政府開発援助等に関する特別委員会 第4号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2010/03/10
会議録
○委員長(岩永浩美君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会をいたします。 委員の異動について御報告をいたします。 昨日までに、外山斎君、梅村聡君及び木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として風間直樹君、武内則男君及びツルネンマルテイ君が選任をされました。 ─────────────
○委員長(岩永浩美君) 理事の補欠選任についてお諮りをいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩永浩美君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に松山政司君を指名をいたします。 ─────────────
○委員長(岩永浩美君) 政府開発援助等に関する調査のうち、ミレニアム開発目標の達成状況と我が国ODAの役割及び我が国ODAと民間活力の活用に関する件を議題といたします。 本日は、長崎大学熱帯医学研究所国際保健学分野教授山本太郎君及びソニー株式会社CSR部統括部長冨田秀実君に参考人として御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 議事の進め方について申し上げます。 まず、山本参考人、冨田参考人の順序でお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。 御発言の際は、その都度委員長の指名を受けてからお願いをいたします。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、山本参考人からお願いをいたします。山本参考人。
○参考人(山本太郎君) 御紹介ありがとうございました。長崎大学熱帯医学研究所国際保健学分野の山本でございます。 今日は、ミレニアム開発目標の達成状況と我が国のODAの役割ということで少しお話をさせていただきたいと思います。(資料映写) 本日の話の流れでございます。まず、簡単に自己紹介と私ども国際保健学分野が熱帯医学研究所でやっていることの紹介をさせていただいた後に、ミレニアム開発目標に対する背景、現在の達成状況、そしてそれに対する認識をお話しさせていただいた後に、私的ではありますが、政府開発援助に対する所感を簡単に述べさせていただきたいと思います。 簡単な自己紹介でございます。こんなところで勉強してきました、こんなところで働いてきましたということで、国際保健を大学院で勉強した後に、南部アフリカにありますジンバブエで感染症対策のプロジェクトにチームリーダーとしてかかわっておりました。約一年半アフリカに滞在しました。その後、アメリカに留学いたしまして、そこから、この前地震で大きな被害を受けたハイチのカポジ肉腫・日和見感染症研究所というところに二〇〇三年から二〇〇四年にかけて約一年間留学をしておりました。最後は、政変、内戦に巻き込まれる形でハイチを後にしたまま、今回国際緊急援助隊でハイチに入るまで、約六年間ハイチを後にしておりました。ハイチを出た後、外務省国際協力局で三年間働いた後、現在、長崎大学熱帯医学研究所に勤務しております。 長崎大学の熱帯医学研究所の中の国際保健学分野というのは、ここに掲げている三つの柱を重要な柱として設定しております。まずは研究でございます。これは後で少し簡単に触れますが、これは、感染症の進化・適応とか環境医学とか医療生態学というものを割とベーシックな面から研究をしている。教育、修士課程、博士課程を中心に大学院教育をやっていると同時に、社会貢献をやろうと。国際保健学分野であるから、その社会貢献は当然国際貢献になるということで、この分野においては公共政策への提言あるいは現場での活動、人づくりなどを行っているということになっています。 研究活動ですが、私たちの研究室には三つの研究ユニットがあって、一つ目は環境と健康ということを研究しております。これは、気候変化あるいは気候変動と健康の関係をグローバルに見ていこうという研究でございますし、もう一つは黄砂と健康ということで、中国大陸を中心に発生する黄砂の健康影響についての評価を行っているということ。 第二の研究は、医療生態学的研究と称しております。これは、感染症というのは微生物と宿主の相互作用の結果として表層に現れる現象でございますが、我々は感染症をいつも人の視点からのみ見ているという反省に立って、感染症そのものを、例えばマラリアを起こす原虫、あるいはデング熱を引き起こすウイルスの側から見ればどのように見えるんだろうかと。そうした視点から感染症を例えば見ていった場合に、我々が行っている感染症対策は果たして生態学的に妥当なのかどうかといったことを評価していこう、研究していこうという分野でございます。 最後が進化生態学と感染分子進化と書いておりますが、これはHIVあるいはHIVと非常に似たウイルス感染症であるHTLVⅠ、あるいは結核を対象として行っておりまして、感染症というのは基本的に人類の農耕、定住が始まった後に家畜から人社会に持ち込まれたものでございます。それがどのようなプロセスでどのような時期に持ち込まれてどのように変化していったかということを調べることによって、感染症の深い理解をしていこうという研究を行っている。こうした研究を横断するかぎとなる言葉が時間軸及び空間軸の中における感染症理解ということで研究の部分を行っているということでございます。 一方、社会貢献の方は、先ほど申しましたが、政策提言としてG8やTICAD、アフリカ開発会議などに市民社会の一員としてかかわっていこうというもの、あるいはJICAあるいは外務省、NPO、NGOを通じた現場での草の根レベルでの協力をしていこうといったことを行っているということでございます。 これは、左の三枚の写真がベトナムに行ったときのマラリア研究の調査の写真でございますが、そうした活動、研究、社会貢献を、あるいは教育を行っている中で非常に重要だなと思う考え方があって、これがそのスライドでございまして、シンクローカリー、アクトグローバリー、元々これはシンクグローバリー、アクトローカリーという言葉だったわけで、地球規模で物事を考えてそれに対して現場で行動しましょうと。確かにそれは非常に重要な考え方なんですけれども、それと同時に、今我々に必要なのは、現場の活動を通して考えたことを国際的また地球規模でどういうふうに発信し、活動に結び付けていくかという多分概念なんだろうと。こういうことを頭に置きつつ、研究、社会貢献、人づくりというものをやっていきたいというふうに考えているところであります。 そうした研究、社会貢献、人づくりを通して我々は何を目指しているかというものがこのスライドでございまして、それはミレニアム開発目標の達成に貢献することであると。特に、目標六のHIV、エイズ、マラリアその他の疾病の蔓延防止ということを通して、世界の中から極度の貧困や飢餓の根絶に貢献しよう、あるいはその研究を通して環境の持続可能性についての提言を行おうということを考えているわけであります。 そのミレニアム開発目標でございますが、成立の背景に一つの国際的な状況があったと考えております。 それは、貧困や飢餓が許容し難い人道上の問題という認識が一九九〇年代の後半から二〇〇〇年ごろにかけて出てきたと同時に、九・一一のテロ、あるいはアフガニスタン、小規模紛争の原因が貧困にあるという認識も共有されてきたと。こうした貧困の問題に取り組むことなく、テロや小規模紛争は恐らくなくならないという現状認識をみんなが持ち始めたというのがミレニアム開発目標の背景にあったのではないかと考えております。 しかし、そのミレニアム開発目標に関する達成状況は必ずしも順調ではありません。これは一日一・二五ドル未満で暮らす人々の割合を示したものでございますが、サハラ以南アフリカ、南アジア、西アジアといった国々では、ミレニアム開発目標の達成状況は、目標に達成できる状況にはないというふうになっております。東アジア及び東南アジアを中心にミレニアム開発目標の達成が行程表の上に載って達成ができるだろうという地域がある一方、サハラ以南アフリカや南アジアでは達成が困難であると考えられています。また、西アジアや中央アジアと呼ばれる地域では、この二十年間、逆に状況が悪化しているという現状も見られているわけでございます。 こうした、特に貧困が厳しい地域やあるいは小規模の紛争が起こっている地域においてミレニアム開発目標の達成が困難であるということが、成立の背景から含めて考えても非常に大きな問題であろうと考えております。 そうしたミレニアム開発目標の達成に関して、欧米は、現在資金量を非常に重視した議論をしていると。GNI比で〇・七%のODAがあれば目標は達成できるという意見がかなり強い意見となっている一方、そういう意見がありつつも、資金量だけでは達成は難しいのではないかという議論も現在行われているところだと認識しております。 一方、こうした議論とは異なる話になりますが、認識という点でいえば、ミレニアム開発目標に対する認識が日本国内において非常に低いという現状というか課題というものがあるのではないかと考えております。この問題は、ミレニアム開発目標に対する認識のみにかかわらず、ODAや開発途上国支援あるいはアフリカ支援といったものに関する認識と一致する部分も多いのではないかというふうに考えております。 一方、二月に首都を襲ったハイチの地震に対して、以前ハイチに暮らしていたこともあり、今回国際緊急援助隊の一員として参加してまいりました。その後、その支援活動等々を見ておりますと、一方では非常に別な側面も見えてくるという気も最近してきておりまして、それは非常に皆さんの関心が高いと。ハイチというのは、私が暮らしていたときもそうなんですが、大使館の関係者を除くと日本人がほぼ三人とか四人、数人しか暮らしていない国でございました。現在でも、地震が起こる前であれば、ハイチという国の名前を知っている人の数は非常に少なかっただろうと思われます。にもかかわらず、今回この関心の高さというのは何に起因するんだろうかということに非常に今後の日本のODAを考えるに当たってのポイントがあるのではないかと思ったりすることがあります。 そこで考えることが、最後のスライドになりますが、一つ、初心に返った援助ということなのかもしれないということでございます。 六十数年前に敗戦を迎えた日本は、戦後、国際社会への復帰を希求したと私は学校で習ってまいりました。例えば、国連への加盟であるとか、あるいはアジアへの援助の再開であるとか。戦後が終わり、復興が始まり、その復興が軌道に乗り、アジアへの援助が始まったとき、それは例えば初めての青年海外協力隊がカンボジアへ派遣されたときなんかもそうなんだと思いますが、そういう時代を迎えようとしたときに、戦後長く日本人がアジアの国々から受け入れてもらえない状況があったとも聞いたことがありました。日本人に二度と祖国の土を踏ませないという声がアジアの国々からあったとも聞いたことがあります。 そうした中、例えば青年海外協力隊が初めてアジアの国々に受け入れられたとき、国会で万歳の三唱があったという話も聞きました。それは恐らく、国際社会から日本が受け入れてもらえて、その社会の一員になれたという大きな感激だったのではないかと思います。そうした初心をもう一度私も含めた国民全体で共有することも、今後の日本のODAをどういうふうに進めていくかということについて非常に重要な点になるのではないかと考えております。 以上で私の発表を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○委員長(岩永浩美君) ありがとうございました。 次に、冨田参考人にお願いをいたします。冨田参考人。
○参考人(冨田秀実君) ソニーの冨田と申します。よろしくお願いいたします。(資料映写) 私の方から、企業の活動の一事例といたしまして、ソニーのCSR活動、特に国際支援にかかわります案件といたしまして、ガーナ共和国におけるJICAとの共同プロジェクト、こういった事例を踏まえて御説明をさせていただきたいと思います。 まず初めに、CSR、企業の社会的責任ということについて簡単に触れさせていただきたいと思いますが、これは非常に広範な概念でありまして、非常に狭い意味での社会貢献という以上の意味を持っております。当然、コンプライアンスですとか倫理的な経営といったような問題、さらには製品の品質を保っていく、安全を確保していく、こういったそもそも企業経営に必要な最低限の経営の質を担保する部分、これも一つ重要な要素としてございますし、さらには、これだけにとどまらず、持続可能な社会を実現していく上で企業ができる貢献というのも多面にわたってあると思いますので、そういったところを含めた全体的な概念として私どもはとらえております。 特に、本日のお話に関しましては、この分野で、右の方にあります社会貢献の活動でありますとかBOPビジネス、こういったところが国際的に貢献として意義のある活動ではないかというふうに考えております。 少し歴史をひもといてみますと、そもそもソニーは一九四六年にこの写真にあります井深大によって創業された会社でございますが、創業当時から自由闊達にして愉快なる理想工場の建設というのを目標に掲げまして、単に利益の追求という以上に、技術を通じて日本の文化に貢献する、さらには国民の科学知識の啓発をしていくと、こういったところを企業理念として掲げて始まった会社であります。この目標に基づきまして、かなり創業間もないころから小中学校の理科教育を支援する事業というのを開始しておりまして、ちょうど昨年五十周年を迎えましたが、この活動は五十年にわたりまして脈々と受け継がれまして、現在ではソニー教育財団の方でこの理科教育の振興を引き続き行っております。 ただ、この五十年間にソニーという会社の規模も非常に大きくなりまして、ビジネスの範囲、さらにはグローバルな展開がなされましたので、この社会貢献活動も非常にグローバルスケールをもって現在では行っております。特に、創業以来の重点分野であります次世代育成、この分野に関しましては、私どもの強みを生かすという意味で科学、音楽、映像といった分野に集中的に取り組んでおりますが、やはり現在のこの様々なグローバル課題をかんがみるに当たりまして、グローバル企業でありますソニーも持続可能な社会、グローバルな持続可能な社会をつくっていくといった意味での貢献も近年力を入れて取り組んでいる部分でございます。この部分に関しましては、先ほど御紹介のありましたミレニアム開発目標への貢献、達成への貢献、さらには災害支援、こういったところがこの部分に当たる項目でございます。 こういった活動を展開していくわけですが、これも単純に金銭的な支援というよりは、我々が持っている強みをいかに生かしていくかというところに重点を置いておりまして、特に、例えば技術でありますとか製品といったソニーのユニークなものを中心に考え、さらには一人でも多くの社員に参画をしてもらう、こういったところに基づいたアプローチをしております。 さらに、グローバルなこのミレニアム開発目標のような課題に取り組む際にはパートナーシップというのが非常に必要不可欠の項目となってまいりまして、これはいわゆる官民連携だけではなくて、我々とNGOの協力、さらには企業間の協力、こういった様々な形のパートナーシップを有効に活用しながら取り組んでいくということを目指しております。 まず簡単に、先ほどハイチのお話もありましたので緊急人道支援の取組もちょっと御紹介させていただきますが、今回のように非常に大規模な災害が発生した場合には、やはり我々もグローバル社会の一員として、会社からの支援、義援金という形でお手伝いをさせていただくわけですが、その際にも企業からの義援金にとどまることなく、一人でも多くの社員に参画をしてもらう、認識してもらうということを意識して常に取り組んでおりまして、例えば、ここにありますようにファミリーカード、これはクレジットカードのようなものですが、こういったもの、さらには銀行の振り込み、そしてEdy、これはソニーの非接触カード技術、FeliCaというのが使われております電子マネーですね、によって募金ができる。このすべての方法はもうパソコン上ですべてできる仕組みになっておりますので、事実上、社員が仕事をしながら本当に数分のうちに募金ができるというような仕組みになっておりまして、効果的な募金ができるようなスキームを確立しております。 特に、この一番最後のEdyという電子マネーの募金は、これを導入してから募金に参画する社員の数が非常に増えたということで、金額の多寡に関しましては比較的少額な寄附が多いんですが、こういったことは非常に社員参画という意味では意味がある活動ではないかというふうに考えております。 さらに、こうした集まりました社員募金並びに義援金ですが、これが現地支援に行くわけですが、これも私どもとして意識しておりますのは、特に大きな災害の場合、災害の直後はメディア等の非常に報道もありまして注目を浴びますが、ある一定期間を過ぎますとどうしても認知度が落ちてしまうということもありますので、我々の支援はなるべく中期的な復興支援というところに近年特に力を入れておりまして、過去にもこれまで、中国の四川省の地震、これに関しましては、やはり教育の崩壊が起こりましたので学校の設備の建設に支援するとか、ミャンマーのサイクロンにおきましては、やはり住民の方々が持続可能な農業をできるような形での農業の復興支援、こういったところに我々の義援金を投じるような取組をしております。 そして、主な国際支援の中心的な課題は、先ほど御紹介のありましたミレニアム開発目標への貢献ということですが、これも我々といたしまして、グローバル社会の一員としてきちんと企業としても役割を果たしていこうということで取組をしております。 必ずしも、このミレニアム開発目標は我々の得意分野、一見ビジネスとは無関係な分野もありますが、ここはある種想像力を働かせながらいろいろなアプローチを試みようということで、次に御紹介させていただくような事例がございます。 このまず活動なんですが、例えば先ほどもありましたアフリカですね。これは我々のビジネスにとっても未開地域で、拠点が必ずしも多くあるわけではございませんが、ここにありますように、多様な形のプロジェクトを多様な方々と協力しながら、例えばここにありますようなUNHCRでありますとかユニセフさん、それからローカルなNGOとタイアップした形でプロジェクトを進めております。 一つ御紹介させていただきますが、南アフリカの移動図書館プロジェクトということでございますが、南アフリカは今非常に急速に発展しておりますが、まだまだ非常に識字率が低いという問題を抱えておりまして、特にその原因として学校設備に図書館がまだ十分に行き渡っていないという課題があります。ここにアプローチするために、NGOでありますSAPESIという団体が日本の中古の図書館車を南アフリカに寄贈するというプロジェクトを行っております。日本の中古の図書館車というのは、十年ぐらい使った後でもまだまだマイレージがそれほど行っておりませんので、まだ南アフリカに持っていけば事実上新品同様といった形で使えるということで、これを外務省の草の根援助等の資金援助を活用しながら南アに輸出しているという団体でございます。 ここに対して、ソニーは、これは特に我々の社員の力を利用するというプロジェクトになっていますが、英語圏の関連会社から中古の本を寄贈して、これまで累計三万冊という冊数の本を南アフリカ、この移動図書館車のプロジェクトに寄附をさせていただいております。 具体的には、ここにありますように英語圏の我々の販売会社が世界各地にございますので、こういったところの社員などから寄贈の本を集めてこのSAPESIという団体に寄附をしていくと、こういった活動をしております。また、本社の方からは、南アフリカには現地語として全部で十一か国の言葉が話されていまして、英語も含めて十一か国語ありますが、現地語の書籍が非常に少ないという問題点もありますので、ここはある程度金銭支援をしてサポートしていくという取組をしています。 昨年、ちょうど南アフリカのフリーステート州とこのSAPESIというNGO団体、ソニーの三者で、今後三年間にわたってもこの活動を支援していくというコミットをさせていただいております。 そして、次の課題がこのガーナでのJICAとの共同プロジェクトということでございますが、プロジェクトの実施のまず背景といたしまして、私どもソニーはオフィシャルのFIFAのパートナー契約を現在しておりまして、今年、ちょうどこの二〇一〇年、アフリカ大陸初のFIFAのワールドカップが開催されると、こういったタイミングであります。 一方、このアフリカの代表国が今六か国、今回出場することになっておりますが、幾つかの国ではまだまだテレビの普及率が非常に低く、特に今、都市部は除いて地方の都市では観戦が十分にできず、自国の選手が活躍しているにもかかわらず選手の顔を知らないと、そういったことすら実際起こっているわけでございます。 一方、先ほど来御紹介のありますように、アフリカ諸国はMDGsの達成に向けてまだまだ課題が山積している地域であると。こういったところにかんがみまして、ソニーの技術とこの権利ですね、FIFAの映像の使用権が幸いありますので、これを活用してサッカーの映像を届けると同時にミレニアム開発目標に貢献していこうということを考えて、このプロジェクトを始めました。 特にこのサッカーの映像、先ごろも冬季のオリンピックが開かれまして、その映像を実際サッカー、サッカーに限らずスポーツイベントが国民に与える勇気と希望といいますか夢ですね、これでも非常に大きなインパクトがあるというふうに感じておりますので、それだけでも十分に意味のあるプロジェクトだとは思っておりますが、それに加えまして、いかにこのミレニアム開発目標に貢献するかと、これをうまくやっていこうというのが今回のプロジェクトであります。 実際、こういったプロジェクトをやるに当たりまして、私どもソニーでは、このガーナといった地域はまだまだ拠点がございませんので、ここでこういった拠点、現地の強力なネットワークを持ってい、なおかつ、このMDGsの達成に向けての様々なプログラムを持っておられるJICAさんと協力をさせていただくという決断をいたしました。 実際どんなことをしたかということですが、ちょうど昨年、二〇〇九年の六月から七月にかけてガーナの共和国の中で七地域にわたってこのプロジェクトを実施したわけですが、このHAPEプロジェクトというJICAさんのやられているHIV、エイズの啓発・教育イベントをやり、これと組み合わせる形でソニーの技術であります大型のハイディフィニションの映像装置を設置してガーナのサッカーの映像を提供するということで、このタイミングでちょうどFIFAのコンフェデレーションズカップというのが開かれておりましたので、これの生中継及び前回ワールドカップの録画映像、これを提供するということでありまして、ソニーの機材として、ここにありますように、ビデオプロジェクター、ブルーレイのプレーヤー等が使われております。 実際、これがどういうふうにプログラムをやられるかということですが、基本的には、こういったかなり半日にわたるプログラムになっておりまして、まず広報活動で、様々なメディアを通じて周知をして、まず人を集めるということがあります。そして、HAPEプロジェクト、このHIV、エイズの啓発ですね。ここに幾つか写真がありますが、このドラマの実演であるとかクイズの大会とかサッカー大会、こういうことをやりながら学んでいくということがありまして、最後、ちょうど暗くなったときに屋外でこのパブリックビューイングですね、サッカーの映像の提供をいたしますので、これで見ていくと。こういう形で、この過程を通じまして、この右下の写真にありますように、HIVの検査などもやるテントをやって、集まっていただいた方に順次検査を受けていただく、こういった包括的なプログラムを実施いたしました。 実際、やられた地域なんですが、先ほど七拠点というふうにお知らせいたしましたが、特にこれまでJICAさんがやられていたHAPEプロジェクトで、このHIV、エイズの教育イベントですが、なかなか地方部で人を集めるのが難しいという現実に直面しておりまして、都市部のみでやられていたと。今回は地方部での集客が非常に図れるだろうということで地方に積極的に展開いたしまして、実際これが非常にうまく成功しまして、地方でもかなりの人数を集めることに成功し、このHAPEプロジェクトの効果を倍増することができたというふうに言えるんではないかと思います。 実際、そのプロジェクト成果ですが、これまでJICAさんがやられていたプロジェクト、大体七か所程度でやりますと、ここにありますように、参加者、HIVの検査の受診者、この程度の規模感になるわけですが、今回、JICAさんとソニーで協力して大きなプログラムを組むことによって、実際この効果として二・五倍、三倍といった非常に大きな効果を得ることができた。さらには、州大臣のHIV、エイズに関する感染防止へのコミットメントも得ることに成功いたしましたし、先ほども御紹介いたしましたように地方展開等にも成功し、非常に質的にも優れたプログラムを展開することができたのではないかというふうに考えております。 このように、一見保健衛生の分野とは関係ないプロジェクターですとかサッカーのコンテンツといったものをうまく有効活用することによって、こういった分野でもミレニアム開発目標に貢献していくということがある種証明されたのではないかというふうに思っております。 この成功を受けまして、本年開かれますFIFAのワールドカップの期間中、今回はJICAさん並びにUNDPさんとも連携させていただきまして、ガーナとカメルーンにおいて同様のプロジェクトを実施する予定になっておりますので、御興味のある方は是非とも御参加いただければと思います。 最後に、BOPビジネス、最近ちょっと話題になっているベース・オブ・ザ・ピラミッドという、いわゆる途上国の貧困層に向けたビジネスという話題についてもちょっと触れさせていただきたいと思いますが。 このBOPのビジネスでは、最近の議論では、特に貧困層から搾取するというよりは、ビジネスを通じて社会の開発効果も同時に実現していくような形の新しいタイプの途上国ビジネスというふうに位置付けられておりまして、日本の国内におきましても様々な企業や経済産業省、ジェトロ、JICAさん等で様々現在研究が進んでいるというふうに認識しております。 昨年、ちょうど経済産業省様の委託事業としてBOPビジネスのフィージビリティー調査の公募がございまして、十件が選ばれたわけですが、その中ではソニーのテーマも採択をしていただきまして、私も含めてメンバーが実際インドの農村部の電力状態の調査などをして農村部での民家の宿泊等も含めたプログラムでこのスタディーをさせていただきまして、やはりこういった意味で現場のニーズをきちんと的確にとらえていくというのはこのBOPビジネスの展開には非常に重要な要素だと思いますので、こういった委託事業、政府からの委託事業という形での支援というのは非常に有り難いというふうに感じた次第でございます。 簡単にまとめさせていただきますが、特にミレニアム開発目標のようなものを意識しますと、やはりこのパートナーシップというのが非常に我々常日ごろ重要だと考えておりまして、政府、企業並びにNGO、こういった様々な得意分野を持つプレーヤーがうまい形で連携することによってより効果的な支援が可能になるんではないかというふうに考えております。 またさらには、特に企業の視点ということに関しましては、国際開発分野でも企業は非常に様々なオポチュニティーがあるのではないかというふうに思っておりまして、特に企業が持ちます多様な技術力などの資産というのはこういった分野においても非常に有効なツールとなるというふうに言えるのではないかと思います。 また、CSR分野における官民連携ですとか、BOPビジネスの支援、最先端技術のODA活用などを通じて企業の積極的な関与ができるような形になれば、加速、こういった開発分野での貢献、ひいてはミレニアム開発目標の少しでも達成に近づくという意味での大きな力になるのではないかというふうに考えております。 以上、簡単ですが、私の方からの御報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○委員長(岩永浩美君) ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 参考人に対する質疑を行う際は、御起立の上、御発言ください。 参考人の方々の御答弁につきましては着席のままで結構です。 また、各委員の発言時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いをいたします。 それでは、順次御発言願います。
○金子洋一君 民主党・新緑風会・国民新・日本所属の金子洋一でございます。 今日は、山本さん、冨田さん、大変にお忙しいところをおいでをいただきまして、本当にありがとうございます。また、非常に参考になる、なかなか私どもこういったところで活動しておりましても容易には分からない側面についてお話をいただきまして、本当に勉強になりました。 私に与えられた時間は四十分でございますので、その範囲内でお二方に御質問させていただきたいと思っております。 まず、順番から申しまして、山本さんにお尋ねを申し上げます。 今回、山本さん、被災直後のハイチにお入りになって様々な医療救援活動にお取り組みになったということで、またその報道などにつきましても私ども勉強をさせていただきましたけれども、大変厳しい状況で、インフラもない、そういった中で医療活動を各国ともやってこられた。その中で、山本さんもいろいろな面、御自身でこれまで御経験をなさって、ハイチにも一年か二年間おいでになって、想像されていたような面もあるでしょうし、また違った面もあったんだろうかなと思っております。 そうした、今回の被災後の救援活動で得られた教訓、我が国に対する教訓、あるいは世界、ほかの国に対する教訓といったようなものをお教えをいただければというのがまず第一点の御質問でございます。 第二点の山本さんに対するお尋ねでありますけれども、今、ミレニアム開発目標について御説明をいただきました。様々な項目がございますけれども、大体拝見をしてまいりますと、これはアマルティア・センが言っておりますベーシックエンタイトルメントとかなり重なってくるのではないかなと思いました。環境の部分というのはちょっと違うのかなとも思いますけれども、それ以外の部分、極度の貧困からの脱出ですとか、あるいは識字率を上げるですとか、そういったことについてはかなり重なっているように思えます。 こういった面で、ハイチというのは西半球の最貧国と言われるわけですから、非常に欠けている、そういったその欠けていることが今回のもう数十万人お亡くなりになっていると言われる状況の下での負傷者、被災者の被害の拡大をもたらしている面があるのではないかと思いますけれども、こういった面について山本さんのお考えをお教えをいただければと思います。 冨田さんにつきましては、また後ほどお尋ねをしたいと思います。
○参考人(山本太郎君) どうもありがとうございます。二つの質問だと思います。 まず、第二の質問のハイチあるいはハイチを含む最貧国と言われる国、地域で欠けているものが何かという質問についてですが、私自身は、貧しい地域あるいは開発途上国と言われている地域において一番欠けているものはリジリアンスというか、何というんでしょうか、ゆとりというか、災害事象あるいは感染症、ある通常想定しないことが起こったときに、そこからの復元をする力という、その総合力が多分欠けているのだろうと。そうした総合力が欠けている理由の一つに貧しさがあり、教育が行き渡っていないということがあり、女性の差別がありということなんじゃないかと考えております。 第二のハイチの今回の地震あるいはそれに対する支援からの教訓について言えば、これはまさに、何が教訓かをこれから我々がもう一度考え直していくべき必要があるのかなというふうに考えております。というのは、恐らく八十数年前の関東大震災を除くと、首都直下型の地震というのは今回が初めてだったんだと思います。ただでさえ政府機能が弱いところに向けて首都が被災をした、政府自身の非常に脆弱な中で緊急支援あるいは復興支援に対するロードマップを書かなければならないと。 基本的に、私は、国際協力というのはその国の自立的な支援を側面からサポートするということが非常に重要だと考えているのですが、その自立する主体の部分が今回は非常に大きなダメージを受けた、その中での支援を国際社会はどういうふうにやっていくのか、そこを考える必要があるということが一番の教訓になるのではないかと考えております。 以上です。
○金子洋一君 ありがとうございます。 また、これに引き続いて山本さんにお尋ねをしたいと思いますが、続きまして、ちょっと冨田さんの方にまずお尋ねをさせていただきたいと思います。 まず、この一ページ目の、ソニーの目指すCSR活動ということで図表を示していただきました。 持続可能な事業活動あるいは持続可能な社会への貢献ということで、様々な取組を行っていって、最終的にステークホルダーからの信頼を得るということでございますけれども、ステークホルダーと申したときに、会社の場合ですと、やはり第一に頭に浮かびますのが株主であろうと思います。特に、最近ですと、株主の主権論と申しますか、会社はだれの持ち物であるのかといったような問いから様々な動きが見られております。特に、このところですと、食料品関係の会社ですけれども、委任状争奪戦などが行われるというような話も承っております。ということで、ステークホルダーと申したときに、会社にとって一番大切であろう株主に対してどういった形で説得をしていくのかということについてお尋ねをしたいと思います。 特に、BOPなどで、ベース・オブ・ピラミッドを対象にしたビジネスで申しますと、例えばバングラデシュでダノンが一個八円のヨーグルトを販売をしていると。報道によりますと、二〇一一年に黒字に、単年度黒字化がなりそうだということでありますけれども、それまでに投資した総額というのが二十六億円だということで、リターンとしては極めて微々たるものだということだと報道をされております。となりますと、そういったリターンとして極めて微々たるものをやっていく上で、株主に対してどういった形で具体的に説得をされているのか、あるいはされていこうとお考えになっているのかということをまずお尋ねをしたいと思います。 二点といたしましては、このプロジェクト実施概要、六ページの上の方のこの写真にも小さく載っておりますけれども、二百インチなんでしょうか、この大きなスクリーンの左上の方にSONYと入っております。もちろん株式会社ですからこういった広告をしていかなければならないはずなんですが、このプログラムを拝見していましても、なかなかソニーが頑張ってやっていますよということが分かりにくい感じがいたしますので、この事業、あるいはほかの事業でも結構なんですけれども、現地の国で自社ブランドの評価を高める方法について、既にいろいろ工夫をなさっていると思うんですが、具体的にどういうふうに工夫をなさっているのか、あるいはこれから展開をされていこうとしているのか、あるいは社内で、いや、ちょっとそれは足りないんじゃないかというような議論があるのかとか、そういった辺りについてお教えをいただければと思います。
○参考人(冨田秀実君) 二つ御質問をいただきまして、どうもありがとうございました。 非常に難しい御質問かと思いますが、まず一つ目のステークホルダーの部分でございますが、特に私ども、CSR活動という観点に立ちますと、ステークホルダーは株主や投資家に限ったものではなくて、もちろん顧客、お客様でありますとか社員ですとか政府機関、NGO、こういった多様なステークホルダーの皆様に、こういった形でいかに信頼を勝ち得るかといった観点で取組を進めておりますので、そういう意味では、様々に価値観の異なるステークホルダーの皆様、どういうふうにそれぞれの興味、御関心を理解しながら取り組んでいくかというところを我々常々考えているところであります。 実際、株主、投資家というステークホルダーにいかに説得していくかという観点に関して申しますと、まず一つ、最近の注目すべきトレンドといたしましてSRI、社会責任投資家といった一部の投資家グループが、従来のように企業の財務的なパフォーマンスだけではなくて、いわゆるCSRのパフォーマンス、社会や環境への配慮、こういったものを積極的に投資の評価に取り入れていくといったグループが徐々に増えてきている。これは特にヨーロッパなんかを中心に増えてきているというふうに理解しておりまして、こういった特に投資家、株主の方々に関しましては、このCSRの活動自体が直接的に大きなプラスポイントとして評価していただけるということになろうかと思います。 ただ、当然株主、投資家の皆様がすべてSRIだというわけではございませんので、一般の、より利益面に関心のある投資家の方々ということに関しまして言うと、このCSRの活動、こういったものは確かに直接的な売上げにすぐ貢献するといったものではないかもしれませんが、こういった活動を通じてソニーという企業のブランド価値の向上というのに当然寄与すると思いますし、こういった活動を通して社員のモチベーション、こういったところ、またさらには優秀な人材の獲得、こういった側面にも寄与します。また、ひいてはこういった活動を通じて新しいイノベーションが起こっていく、こういったところから、ある程度、中長期的な観点から見れば、適切にこういうところに投資していかないと、逆に株主価値を損ねてしまうという結論にも結び付いてしまうんではないかというふうに考えております。 そして、二点目ということに関しましては、今回例えばこのプロジェクトを実施いたしましたガーナなんていう国では、私どもの販売拠点というのもまだ現在はない時点でありまして、一種、当然幾つかの電気店等では我々の製品も並んでおりますが、まだ特にマーケティングという観点からは大きなブランディング活動を行うという段階には必ずしも達していない地域に属するかと思います。実際、そういった地域こそが今日のテーマでありますミレニアム開発目標の課題が山積している地域ということでありますので、逆にそういった地域においては、極端にブランディングといったところを前面に出すよりは、やはりそういった基礎的なところをきちんと貢献させていただいて、きちんとその地域に根付いていくといったところが、ひいては中長期的にその国が発展していったときにその国にとって非常に重要なブランドになるのではないかというふうに考えております。
○金子洋一君 ありがとうございました。なかなか、まだガーナにおかれても最初の一歩を踏み出しただけだということで、これから様々な取組を通じて広めていかれたいというようなところなんではないかなと受け取らせていただきました。 それでは、山本さんにまた先ほどのお尋ねの続きで質問をさせていただきます。 先ほど、リジリアンスが欠けているということが大変に大きな問題ではないかとおっしゃいました。確かに、ミレニアム開発目標の項目の中でそういったことがきちんと高まっていけばリジリアンスも増えていく、強化されていくという感じがいたします。 一方で、お話の中にもありました、山本さんの六枚目にミレニアム開発目標達成状況ということでちょうだいしておりますけれども、東及び東南アジアを中心に行程表に載っている地域もあれば、サブサハラや南アジアあるいは西アジア、中央アジアでは状況が余り良くないということであります。 こういった地理的な状況を見てまいりますと、もちろん開発援助と申しますと非常に短期的な援助のことをどうしても思い浮かべがちになりますけれども、内在的な経済発展の有無というのも非常に大きく影響をしているのかなという気がいたします。 そうなってまいりますと、私どもODA特別委員会でございますけれども、ODAの考え方そのものとして、今のミレニアム開発目標といった目の前にあるこの目標を実現をする上で、いや、実はもっと根本的なところから考えていかなければならないのかもしれないというような、何というんでしょうね、新たな視点の持ち方というようなものが必要になってくるのではないかなと感じるんですが、その辺り、実際に現場に行かれている山本さんとしてどのような受け止め方をなさっているのか、ちょっとその辺りをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(山本太郎君) どうもありがとうございます。 リジリアンスが社会を安定的に動かす意味で非常に重要なものであると考えています。 ちょっと話は外れるかもしれないんですが、私は医師として数年働いたことがありまして、そのときに患者さんを助ける際に非常に重要なことというのは、ある一定の、ホメオスタティックというんですけれども、一定の状態の、正常と言われる状態の中に置いておいてあげるということで、生物とかあるいは組織、ネットワークの中というのは、一度その正常域から外れちゃうと、どどどっと悪くなる傾向があって、常に安定性に向かって働く状態に物事を置いておくことが重要だと医者になったときに習ったんですが、それは社会においてもそうなのかなというふうに考えることがあります。 今、ミレニアム開発目標の達成が実は困難な地域でやっぱり困難であって、ということは、その困難な地域こそ、何というんでしょうか、外部的な要因を入れてもその達成をしなければリジリアントが達成できないんだろうという、多分そういった視点の援助の考え方というのが必要になってくるのかなという気はしております。 以上です。
○金子洋一君 ありがとうございます。 そうなってまいりますと、具体的に、旧来の考え方ですと、道路を造るとか橋を造る、あるいは地下鉄を造るといったような形のものが我が国としてはODAということで多かったわけですけれども、具体的に申しますと、そのミレニアム開発目標にありますような人間開発を目的としたもの、識字率ですとか女性の社会参加ですとか、そういったようなことを目的に、別の変数としてそこを目標にして動いていった方がいいということになりましょうか。
○参考人(山本太郎君) ありきたりの答えになるかもしれませんが、私自身はどちらも必要だと考えております。 いわゆる女性のエンパワーメント、教育あるいは医療の保障というものも社会のソフトインフラを高めていく、その側面も絶対的に必要ですし、でも、その側面だけで解決できない、いわゆる社会のハードなインフラへの投資というものも恐らく必要なんだと。多分、そのバランスというかその両輪が必要で、今まで開発議論は、よくソフトの方が必要なのかハードの方が必要なのかという偏った議論をしてきたんですけれども、答えは両方必要だろうというふうに個人的には考えております。
○金子洋一君 ありがとうございます。なかなか一朝一夕には解決の出ない問題ではないかなと思いまして、お答えを聞かせていただきました。 では、これはお二方にお尋ねを申し上げたいと思うんですが、ちょっと今日いただいたお話から若干離れてまいりますけれども、これは今後のODAを考える上で私がいつもこんなことがどうなのかなと思っていることですので、この機にお尋ねをさせていただきたいんですが、ODAを行った先で非常に感謝をされているところ、感謝をされていないところという国がございます。 例えば、先日我が国にラオスのチェンマリー国家主席がおいでになって、ラオスの国家主席の訪日というのは今回が初めてだったそうなんですけれども、あの国に対するODAで橋が造られていて、その橋があちらのお札の裏の、何というんでしょう、柄になっているということで、大変ラオスの国では我が国の援助というのは有り難く受け取られているということを承ったことがございます。 また一方で、私、昨年中国に行ってまいりまして、中国の地下鉄の、何というんでしょうね、ヘッドクオーターに行ってまいりましたけれども、その中国の地下鉄の少なくとも一部の路線というのは我が国からのODAを使って建設をされていたんですけれども、その記述が一切どこにもない。友好的な場でしたから、そんなにきついことは申せませんので、せめて我が国からの資金で造られているんだったらどこかにそのくらいのことを書いておいてくださいよと申し上げて帰ってまいりましたけれども、私どもとしましては、我が国が力を貸して造らせていただいたものにはやはりどこかで日本の関与に対する感謝というものが欲しいなと思う次第であります。 そういったことを考えますと、そういった形で日本が応援をしているんだということを向こうの国で何らかの形で知らしめるといったような方向性を持たせるということがこれからの納税者に対する説明の責任ともなってくるんではないかなと思います。 例えば、ちょっと余談になってしまうかもしれませんけれども、二〇〇〇年辺りをピークといたしまして、我が国のODAの予算というのはどんどん減ってきております。これは、景気が悪いですとか様々な要因がございますけれども、その一つの要因として、海外で余り感謝されていないんではないかなという世論の声も大きいのではないかなと思います。そういった世論に対して、いや、ちゃんと感謝をされているんだということを示すためにも、やはり我が国がODAをその国でやっていますと、そういったことをかの地でも知っていただきたいと思うんです。そのために、まあ売名ではありませんけれども、正当な評価を得るために外国、そのODAの先の国とどういうふうに付き合っていくのか、あるいはどういうふうな持っていき方をすると先方に我々が造ったんですよ、やったんですよということを認識していただけるのかといったようなことについて、お二方から順番にコメントしていただければと存じます。
○参考人(冨田秀実君) では、私の方から答えさせていただきますが、まず、これは非常に企業でも似たような課題に結構直面するところもある課題ではないかなというふうに感じました。 まず、そもそもこういったODAで実行されること自体が本当にその相手国、相手地域のニーズをとらえているかどうかと、これは非常に基礎的なところとしてまずあって、そもそもそのニーズに的確にこたえていなければ当然感謝されないのも当たり前ですので、そこのセンサーをまず初めの段階できちんとされるかどうかというのは当然必要な要素ではないかと思います。 その次のステップですが、これは我々企業のCSRの中でもよく議論になるものなんですが、何らかの社会貢献活動をやったときに、これがどれぐらい感謝されるかとか、これをどうやってブランディングに使っていくかみたいなところは非常に共通する課題ではないかなというふうに感じましたが、日本には結構古来から陰徳というような思想があって、いいことはするけれども、それは隠れてするのが理想であるという、そういった考え方の方も確かに今いらっしゃると思いますし、そういったアプローチも当然あり得るのではないかと思います。 ただ、当然考え方としてもう少し積極的に、その相手国でのブランディングですね、日本が支援しているんだということをもっと明示的にやっていくような形というのも当然考えられますので、ここはいろいろ議論が必要なところじゃないかと思いますが、短絡的にまず結論を出すというよりは、やはりそういったODAのプロジェクト自体を本当に何を達成していくためにやるのかというところをもう一度改めて考えるべきではないかなというふうに思います。 先ほども触れましたが、実際そのODAの案件自体は、何らかの相手国の社会ニーズにこたえていくというところがまず一つの直接的な目的ではあると思うんですが、先ほどCSRの事例でも御紹介したように、そこからソニー、企業が社会貢献をやったときにその副次的な効果として、ブランドの効果を取るのか、例えば社員の満足を取るのか、さらにはそういったまた新しいイノベーションを生み出す源泉とするのか、そういった副次的なところで何を目指していくのかというところまで総合的に考えた上で戦略を立てていくべきではないかなと思います。 その結果として、ブランディングは非常に優先度が高い、ある特定の国ではやはり日本の貢献というのをより明示的に示してもらうべきではないかという判断であれば、そういったところにより力を割いていくという判断ができるのではないかなというふうに思います。
○参考人(山本太郎君) 正当な評価ということなんだと思うんですけれども、これも極めて個人的な感想の域を出ないんですが、多分何かをすればそうした評価が上がるという万能薬のような対策はないのだろうと考えています。逆に、今の評価というのがもしかするとその国の日本に対する評価の正当な評価ということなのかもしれないと思うときもあります。 というのは、恐らくODAを通じた協力の評価は、ODAを通じた協力に対する評価のみでなくて、日本の民間ベースの経済力であるとか貿易を通じた日本との交流であるとか、あるいはもっと言えばスポーツとか音楽とかといった文化そのものの日本の発信力であるとか、そういった日本の総合力すべてがあって、その上にODAの幾分かの、何というんでしょうか、成果があると。それがその国のODAに対する評価として出てくるという気がしていまして、ということは逆に言うと、その評価を上げるためには、ODA自体で何らかの広報活動を高めるというよりも、日本そのものの発信力、あるいは日本そのものの魅力を総合的にどう上げていくかということが逆に重要なんじゃないかなという気がしております。 そういう意味では、政府ベースでの、GOベースでのディプロマシーも大切ですが、いわゆるセカンドトラックディプロマシーと言われる民間ベースでの外交、あるいはもっとそうした戦略的なパブリックディプロマシーと言われる文化を中心とした発信をする外交なんというのも、実は結果的にODAの評価を、あるいは日本の国際的な評価を高めていく上ですごく重要なんじゃないかと考えることがあります。 以上です。
○金子洋一君 ありがとうございました。 では、最後にお尋ねをしたいんですが、お二人とも海外でこういった活動をなさっていて、日本の動きが鈍いというような御批判をよく、現地でも御覧になって御自身でもお持ちになるかもしれませんし、あるいはマスコミなどでも言われていることなんですけれども、日本の動きが鈍い、それに比べてほかの国はというような形で、ほかの国で比較をされる国として最近急に上がってまいりましたのが中国ではないかなと思います。特に、中国の場合、発展途上国に援助をするときに、戦略的に重要、地理的に重要であったり、あるいはそこに希少資源があるといったような理由で援助をしている場合も多いように聞きます。 そういった形で、中国には限りませんけれども、ほかの国の取組を現場で御覧になっていて、山本先生の場合でしたらほかの国の政府の取組、冨田さんの場合でしたらほかの国の企業の取組で、こういった取組をしている国があってこれには驚いたとか、あるいはこういったことを日本も政府が少しバックアップしてやってくれれば我々としても活動がしやすいのにというような具体例がありましたら、それをお聞きいたしまして、私の質問を終了させていただきます。
○参考人(山本太郎君) ざくっと国際協力あるいは海外に出て思うことということになるんですが、実は国際協力という言い方、あるいは国内と国際というか海外を分けるという考え方自体が非常に日本としては特殊な感じになってきているのかなという感じを受けます。 アメリカでは、例えば今回のハイチの地震の問題というのは、国際問題ではあるんですけれども、一方で国内問題でもあるわけなんです。ハイチからの移民がアメリカで二百万人、三百万人。それがある意味で、政治的に非常に強いキャスチングボートを握ったりしているという意味でも国内問題ですし、ハイチで何らかの例えば非常に大きな感染症が流行するというのは、海一つ隔てた向こうでの出来事で、言わば国内問題なんですね。そうしたときに非常に国民の関心というのは高くなる。また、ヨーロッパ、イギリスを中心とする国々では、アフリカの問題というのが一方で国内問題で、人の流通が物すごく大きいと。 ですから、国際問題が国際問題である限り、日本にとってはそれは外部経済であって、非常に何らかのコストを払ってやるべきものというふうになるんですが、それが内部化今後していくのかどうかということが多分日本の国際協力の在り方を変えていくのかなと。人口減少が始まる日本社会の中で、日本自体の、社会自体の国際化が今後どうあるべきか、あるいはどういうふうになっていくかが非常に日本の今後の在り方を変えていくだろうという気は、外の社会を見ていて思うことであります。 以上です。
○参考人(冨田秀実君) 非常にある意味で大きなお話ではないかというふうに思いますが、私が今担当している分野で感じるところを簡単に述べさせていただきますと、まず他国においては一種の組織間の連携のやはりスピードが速い。やはり日本の場合ですと、多分相対的に、政府機関ですとか企業、NGOなんというのは比較的独立に動いて独自でやっていく傾向があるのに対して、かなりトライ・アンド・エラーを含めて海外の国ではそういった連携を早い段階から模索していろいろな一種の積み重ねができているといったところが一つ違いとしてあるのではないかなというふうに思いますし、あと一つ、やはりどうしてもこういった国際貢献系の話ですと、NGOの力という観点に立ちますと、まだまだ日本のNGOさん、たくさんありますが、やはりそれぞれ規模は非常に小さく、海外のNGOに比べると圧倒的に規模感で劣る現状だと思いますので、こういったところが一種の連携を阻んでいる原因の一つではないかなというふうに思います。ただ一方、そこで日本の中だけでうまく連携をしていけばいいかというと、逆にそれはそれでこの今の時代においては正しい解答では必ずしもない。 そういう意味でいくと、もっとそういう意味での組織間の連携を、日本国内に限らず海外の組織等も含めて、もっとオープンな形でネットワークし協力をしていくようなことを積極的に推進していくべきではないかというふうに考えます。
○金子洋一君 ありがとうございました。
○岡田直樹君 自由民主党の岡田直樹と申します。 本日は、山本参考人また冨田参考人には、大変貴重なお話を伺いまして、誠にありがとうございました。心から御礼を申し上げたいと思います。 まず、山本参考人には、先ほどもお話がありましたとおり、大地震直後のハイチで十日間にわたって国際緊急援助隊の一員として医療活動、最善を尽くされたということをお伺いをしております。大変お疲れさまでございました。心から敬意を表したいと思います。 せっかくの機会でございますので、このハイチの現場での医療活動の実態、あるいはいろんな困難が生じたことと思いますけれども、そうした辺りについて少し詳細にお伺いすることができれば勉強になって有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
○参考人(山本太郎君) 今回のハイチの地震の詳細ということですが、一つには、恐らく今まで起こった他の災害と一番違う点として、首都直下型であったという点があると考えております。 というのはどういうことかと申しますと、通常であれば、中国の四川の地震を考えてみますと、四川で地震は起こってはいますが、上海も北京もあるいは重慶も、そういったところの機能は担保されていて、だから後方支援を行う場所はある中での医療支援だったんですが、今回のハイチでの災害支援というのは首都にある病院そのものも全部被災を受けていて、あるいは救援をまさにしているハイチの人そのものが被災者であるというところが一番の困難だったんではないかと思います。 そこに日本の医療チームが入っていったわけでありますが、当然、本来であればその国に機能している病院があって、そこに患者を転送できたりするんですが、今回はそれができなかった。そこで何を行ったかと申しますと、ハイチの国の医療機関とそれができないとすれば、各国の医療援助隊の比較優位をすることによって機能分化を少し図っていったというところがあります。それは非常に良い点だったんだろうというふうに考えております。 具体的に申しますと、手術あるいは入院の施設を早急に立ち上げたカナダ、アメリカの医療援助隊に重傷患者の治療を任せ、逆に日本チームは中等度の外傷に対して対応していくということを行いました。二点目としては、一方で手術の施設を持ってはいたアメリカ、カナダだったんですが、検査施設、レントゲンであるとか超音波であるとかといった検査に必要なものの機材が持ち込まれておりませんで、それを持っていたのは日本チームだけで、そうした検査に日本チームが素早く対応していったという機能分化もございました。 困難な面は、先ほど言った、その国そのものが後方支援をする病院を持たなかったという点でございました。
○岡田直樹君 地震によるけが人の対応に追われて、ハイチに多いHIVとか結核の患者さんの治療ということが困難になったというお話もお伺いいたしましたけれども、その辺りについても山本参考人からお伺いをいたしたいと思います。
○参考人(山本太郎君) 災害における外傷治療に追われて、HIV、結核の対策が困難になったというわけでは恐らくないと考えています。 まず、地震ですから、地震に対する急性期の対応は重傷災害者に対する支援であることは間違いないんだろうと思います。それをまず行ったというのは恐らく正しい選択、選択というか優先順位の付け方であっただろうと。 ただ一方で、それさえすれば災害支援は終わるのかといえば、そうではなくて、その背後にはHIVとか結核といったそもそも地震前からハイチに存在する大きな社会問題があるということを多分忘れてはいけないということと同時に、救急、急性期の災害対応をやりながら、そのHIV、結核の対策をどういうふうにやっていくかということを考えないと、実は、五年後、十年後にそうした感染症が非常に悪化した状態で蔓延するという危険性があるということになるんだろうと思います。
○岡田直樹君 しばらく山本参考人に御質問を続けたいと思いますけれども、日本からこうしたHIVや結核の感染症薬というんでしょうか、そうしたものをこのハイチに供給をしていく、こういう体制を強めるというのは一つのアイデアではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○参考人(山本太郎君) まさに同感でございます。今後の復興の分野において、保健、医療の関係では、HIV、結核を含む感染症と、こういう状況の中でさえどんどん新しい命が生まれてきております、そうした子供たちへの対策、この二つだろうと考えております。
○岡田直樹君 どうもありがとうございます。 私は、今回のハイチ大地震に際しての我が国の援助隊の活躍というものを高く評価したいと思うわけであります。 ただ、日本の国として、政府として少し初動体制が遅れたんじゃないかという、こういう話があることも事実でありまして、日本隊が現地入りされたのは地震発生から五日後でございましょうか。これは、アメリカはもちろん、ハイチとの距離が余り日本と変わらない、先ほど金子委員からも御指摘がありましたけれども、中国と比べても相当後れを取ることになったわけであります。日本隊もアメリカで自衛隊機に乗り換えて精いっぱい急いで行かれたということでありますけれども、やはり出だしが遅れたという感は否めないんじゃないかということを思います。 首都直下型ということでハイチの政府機能も麻痺状態になって、恐らく要請というものもなかったのではないかなと、こういうふうに思うわけでありますけれども、このような援助の迅速性について、今回どのような実感を持たれたか、あるいは今後どういう教訓を酌み取っていけばいいか、山本参考人、お願いを申し上げます。
○参考人(山本太郎君) 多分、これは意見が多々あるもので、まさに私の個人的な考え方として感じるところで多分正解がない話だと思ってお話しさせていただきたいと思いますが、まず、日本の今回の援助が遅かったかというと、私自身は遅れてはいないというふうに認識しております。 それは、一つは、元々PKOで入っていて情報を持っていた国と安全をまず確かめて行かなければならない状況にあった国との違いがあると思いますし、あともう一つは、本当に多分想定外だった事態が起こって、本来であれば大使館が被災しても大使公邸は残ってバックアップ機能を果たす、あるいはその逆というか、そういう中での体制ができるんですが、今回は大使館も大使公邸も両方被災したといった部分等々があった上で出たと。その派遣を決めて、要請を取って派遣を決めたという時点においては、遅れはそんなになかったかなと考えております。 一方で、中国が非常に早い時期に行った背景には台湾との関係が確実にあるんじゃないかという気がしていて、ハイチはずっと親台湾の国で、そこに向けて中国は何らかのやっぱり影響力を形に見える形で示したいという要請があったのではないかと思います。だから、ある意味では中国の決断が逆にかなり早かったのかなという気はしております。
○岡田直樹君 中国というのは大変分かりやすい国だなということを思うわけであります。 この点については、外務大臣も、派遣について極めて厳しい状況で一定の慎重さが求められたと、このようにおっしゃっておられますし、そうしつつも、今後スピードアップを検討していきたいというふうに考えておられるわけで、私、今後、緊急支援についてはなるべく緩やかな指針を作っておいて、極力迅速に派遣をする必要があるんではないか。余り手柄争いのように急いで行く必要もないわけでありますけれども、やはり顔の見える援助、そして日本が現地で感謝をされる援助ということを考えますと、やはりある程度の迅速性というものが支援の額といいますか量とともに求められていると思いまして、そのことを一つこの委員会で申し上げておきたいなと思うわけでございます。 ハイチのお話はこのぐらいにいたしまして、ミレニアム開発目標の件で引き続き山本参考人にお願いをしたいと思うんですけれども、私、二〇〇〇年の九月にニューヨークに行きまして、そのときは総理大臣の私設秘書という立場でありましたけれども、国連ミレニアムサミットを傍聴いたしました。あれからもう十年たつのかなと思うわけでありますけれども、そこで採択された国連ミレニアム宣言、これを一つの共通の枠組みにしてミレニアム開発目標というものができているということは皆さん御承知のとおりでございます。 現在、ODA始め国際援助の枠組みとして国際社会で共通認識になっておるこのミレニアム開発目標でありまして、日本も結構イニシアチブを取ってきたと思うんでありますけれども、先ほど山本参考人もおっしゃったとおり、日本国内でなかなか認識というか、浸透されていないのが現実ではないかと、こうも思うわけであります。 二〇一五年という期限も迫ってきておりまして、日本国民の理解それから支持を得るためにどういった措置というものが必要であろうかといろいろと考えておるわけでありますけれども、参考人のお考えがございましたら御示唆をいただきたいと思います。
○参考人(山本太郎君) これは、先ほど日本のODAの評価をどういうふうにすれば上げることができるかといった御質問に対する答えと似てくるのですが、例えばミレニアム開発目標に関する広報をすれば認知度が上がるかと、多分そういった問題ではないのかなという気がしております。日本の国民自身がどれだけ海外の事象に関心を持ちということが結果としてミレニアム開発目標のようなものに対する関心の高さに結び付いていくということなのかなという気がしておりまして、そういう点に関して言えば、最近、私は大学で若い人たちと接しているんですけれども、非常に内向きの感覚が気になるところではございます。ただ、とは申しつつも、若い人の内向きの感覚というのは恐らく社会を微妙に反映しているんではないかというふうに思っていまして、そこは我々、そういう社会を構成している者の責任もあるのかなという気がしております。 ちょっと長くなるかもしれないんですが、昔、母親に言われたことがあって、私たちの若い世代のときはあなたたちより確実に貧乏だった、今の方が食べるものも着るものもいいと、だけれども一つ違いがあって、それは、まじめにやっていれば今日よりあしたが良くなるということに関してはもう絶対的な信頼があったと。そういう社会の中では、若い人は多分、冒険とかチャレンジであっても外に向けての何かをしていくんだろうと。それがなくなったときにやっぱり内向きになる可能性はあって、それが結果としてミレニアム開発目標に関する認知度が上がらないとか、あるいはODAに対する理解が進まない、ODAはまだ減らした方がいいんじゃないかといった意見になって出てくるとか、そういったことにつながっていくのかなと。 そういう意味では、我々がどう日本の未来を構想してそれを国際社会の中に位置付けるかということが、実はミレニアム開発目標も政府開発援助も含めた大きな意味の中で必要になることなのかなという気がしております。
○岡田直樹君 日本人のメンタリティーとかあるいは教育にも関する示唆に富んだお答えをいただきまして、ありがとうございました。 山本参考人に対する御質問の結びとして、ミレニアム開発目標に八つの目標が掲げてございますけれども、この中で国際保健、グローバルヘルスというんでしょうか、これは最も中心的なものであると思いますけれども、その一方で、その進捗状況というものは必ずしも芳しくないと私は思っておるわけでございますけれども、参考人、どのようにお考えでしょうか。 それと、この分野というのは日本の得意分野というか、医療それから保健という面で我が国の果たし得る役割は大きいと思いますけれども、途上国の現実を前にしてどういう課題があるかということを少しお聞かせいただけたら有り難いと思います。
○参考人(山本太郎君) ミレニアム開発目標の八つの目標のうち三つは保健関連と言われる目標ですが、その進捗状況が遅いということに関してはまさに同感でございます。 一つ、それをどうすればいいかということで感じることは、保健に対するインベストメント、投資がコストが掛かるもの、外部不経済であるというふうに考える限り、なかなかそこは加速していかないのかなと。これが将来の、例えば経済成長を含めた持続可能な成長に対する必要な有効な投資であると、そういうふうな道筋ができたときにこれはアフリカでも加速していくのかなという気はしております。 ですから、大きな枠組みの中ではそうした保健の問題をどう、何ていうんでしょうか、経済として内部化していくか。これは多分、これまでも大切な問題でしたし、今後も大切な問題として残っていくだろうという気がしております。 じゃ、具体的には何をすればいいかというと、まさにここに書いてあるとおりで、まず感染症、今あるHIV、エイズ、結核、マラリアの状況というのはアフリカの開発をもう大きく阻害していることは間違いございません。五十歳を超えていたボツワナの平均寿命は現在では二十歳代にまで下がっていると。こうした状況での安定的な経済発展はないと。 まず、感染症の蔓延を抑えていく。あとは、人口転換も含めて、お母さん、新生児、子供の健康を守る、もうこの三つ、書いてあるとおりのことをやっぱり確実にやっていくことが重要なんだと思っております。
○岡田直樹君 どうもありがとうございました。 次に、冨田参考人にお伺いをいたしたいと思います。 大変興味深いガーナでの実例などをお聞かせいただき、誠にありがとうございました。ミレニアム開発目標達成のためには今やODAなどの公的資金だけでは不足である、不可能であると思っておりまして、民間の資金や企業活動との連携が不可欠だと思いますけれども、この分野ではどうも欧米が先行していて日本は少し後れを取ってきたのではないか、このように思うわけでありますけれども、ソニーさんのように積極的になさる企業が出現をして、そこで冨田参考人に今日御出席いただいたということは大変意義深いことだと思っております。 企業のいわゆるCSR、先ほどおっしゃいましたように、単に企業ブランドを高めるための社会貢献活動というのではなくて、本業を通じたビジネスとそれから途上国の貧困削減、こういった公的な要素と、これをいかに相乗的に結び付けて効果を上げていくかという発想が重要だと私も思っております。その意味で、いかに効果的な案件、先ほどのサッカーを見てもらってそれでHIVの啓発をするといったような効果的な案件を発掘していくか、それが非常に大きな課題ではないかと思います。 今後CSRを推進されるに当たって、こういうプロジェクト発掘という課題にどのように取り組んでいかれるか、その取組についてお伺いをしたいと思います。また、これに関しまして、今回はJICAと連携をされたわけでありますけれども、JICAなど政府に期待をされる点あるいは現在不十分と感じておられる点がございましたら、お教えいただきたいと思います。
○参考人(冨田秀実君) そうですね、まず政府へ。 今回、JICAさんとタイアップして先ほど御紹介したようなプロジェクトを進めさせていただいたんですが、私どもの方では、JICAさんに限らず、様々な国際機関ですとかNGOの方々と連携を常々してこういったプロジェクトを実行しているわけですけれども、特に今回JICAさんとの連携に関して不満みたいなことは決してございませんで、逆に、非常に私として驚きましたのは、JICAさん、新しい今組織体制になりまして、民間連携室という組織があって、ここが非常に積極的に民間、企業との連携のファシリテーションをしていただけるということで、ある意味で効果的な、効率的なタイアップが今回は非常に実現できたんではないかなというふうに思っておりますので、そういった意味では直接的、今回の案件に関しても非常にポジティブに受け取っております。 実際、一つ目の御質問の効果的な案件ないしプロジェクトの発掘、これは非常にある意味で難しい面もありまして、今回のガーナの件に関しましては私どもソニーの方から、今回のワールドカップというサッカーのコンテンツというのをとらえて、一種の途上国地域である意味でスポーツとしての夢と感動をまず提供をしたいと。ここのモチベーションが初めに来て、これを実現していくには、そしてまたさらにこれをどういうふうにうまい形での社会開発課題と組み合わせるといいかということを逆にJICAさんと御相談させていただいて、この議論を通じて最終的にはこういったフレームワークができてきたということになりますので、初めからこういった形が、プロジェクトの形態がぽんとソニーないしJICAさんの方であったわけでは決してありません。 実際、これは非常にある意味でこれからのチャレンジなんだと思いますが、ミレニアム開発目標の課題にしても様々な課題、さらには様々な地域、その特有の問題たくさんありますし、企業の側もいろいろな技術リソースですとか様々なシーズを持っているわけですけれども、これのマッチングをいかにうまくやっていくかというところが一つ、今後効果的な案件づくりに欠かせない要素ではないかと思います。 多分一人のプレーヤーが、一組織のプレーヤーがすべてを初めからこれでいくという形で決めるというよりは、それぞれが組織が持つ強みをうまく持ち寄りながら、その中で調整をして非常に効果的なものに組み上げていく、こういったある種仕組みづくりがもしかすると政府として支援していただけるのであれば、非常にこれは有意義なことではないかというふうに思います。
○岡田直樹君 先ほども御指摘のありましたBOPビジネスでございますけれども、金子委員がおっしゃったダノンのヨーグルトでしょうか、それから日本では住友化学がマラリア予防の蚊帳を作って売っているという非常に興味深い実例もございます。JICAもBOPビジネスに向けた支援制度を創設するということでございますけれども、しかし、途上国の農村地帯で行われる、大変企業としてはリスクも高い行動ではないかと思います。 こうしたビジネスの課題や、それがCSRとの関係、先ほどもかなりお話をいただきましたので簡潔で結構でございますけれども、そうした観点について御意見を承れば幸いでございます。
○参考人(冨田秀実君) このBOPビジネスに関しては、やはり今御指摘いただいたように、ビジネスリスクが非常に高いという側面があると思いますので、やはりここの中で始めていくに関しては企業単独で乗り組んでいくのはある意味でハードルが通常のものに比べて高いものではないかというふうに思います。 そういった観点からすると、私ども参画させていただきました経済産業省様の支援制度であるとか今現在JICAさんの方で検討が進められていると伺っております支援制度、こういったものはある意味でリスクの分散という意味で非常に有意義なものではないかというふうに思いますし、特にこのBOPのビジネスを展開する地域に対するアクセスという観点からすると、やはり一企業がなかなかまだ進出していない場所に新しい事業展開をするということになりますので、その地場でネットワークを持っているJICAさんのような組織でありますとか現地のNGO組織でありますとか、そういうところとうまく連携していくような枠組みというのが非常に大切ではないかというふうに思っております。
○岡田直樹君 ありがとうございます。 もう時間も少なくなってまいりましたけれども、このCSRやBOPビジネスを進めていく上で、ソニーさんのような大企業だけではなくて中小企業、日本のいろんなユニークな技術を持った中小企業でありますとか、あるいは先ほどからも指摘されておりますけれども、企業とNGOのような言わば民民連携といったものの活用というのが非常に重要になってくるというふうに思っております。 この辺りの認識について最後に冨田参考人の御意見を承りまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○参考人(冨田秀実君) やはりこういったことをやっていくには、その中小企業さんが持っている非常に特殊なノウハウでありますとかNGOの知見というのは非常に大事だと思います。ただ一方、特に例えば中小企業さんからよく聞かれますのは、なかなか比較的小さな企業一社では、ある種新しいBOPのビジネスの提案まで持っていくのは非常に難しいというような声も率直なところよく伺う話であります。 そういった観点からすると、今まで取られているような一種の公募型で、一種の案件を一社ないし何かで完全な形で提案していくという形は、なかなか中小企業さんなんかにとってはハードルが高いのかもしれないなというふうに感じますので、逆に発想を、一種の例えばJICAさんなり政府機関の方から問題提起型で、こういった課題があり、こういった今プロジェクトがあるので、これを例えば効果的に展開するにはどういったことが更にできるだろうかみたいな、そういったことを逆にしていただけると、ある種いろいろなシーズを企業は多分持っていると思いますので、そこでより接点が生まれ、中小企業やNGOの皆さんもより参画しやすいような形になるのではないかなというふうに思います。
○岡田直樹君 どうもありがとうございました。
○谷合正明君 公明党の谷合です。私、最後になります。 今日は、山本参考人、また冨田参考人、本当にありがとうございます。 私から、まず山本参考人に御質問をさせていただきます。 まず、ハイチでのこの度の御活動、大変にお疲れさまでありました。私もちょうど地震から一か月後の二月の十二、十三と現地に行きまして、国際緊急援助隊の医療チーム、JICAのチームはもう帰国しておりましたけれども、自衛隊のチームの方にも話をさせていただいたり、現地でいろんな話をさせていただきました。 緊急ステージは、これは当然やらなきゃいけないんですが、今後の課題として、この三月三十一日にニューヨークで、国連でハイチの復興支援の国際会合があるわけですが、日本として四千五百万ドルのたしか二国間の支援をもう既に表明しているんですが、そこでハイチの中期的な視野に立ちますと、本当にハイチ政府のガバナンスをどうしていくかという大きな問題を抱えている中で、どこにこの私たち日本の税金を使って援助を集中していくのかということが求められているのかなと。ハイチも、もうどの分野もどのセクターもすべて足りないといった状況でありますから、やはりそこで日本としてどういった分野にフォーカスを当てるのか、さらに国際保健の分野としても、日本の強みというか比較優位をはっきりするために、どこに今後焦点を当ててやっていくことが大事なのか。 私は、今回、ハイチの復興へのかかわり方というのが、今回山本参考人からもMDGsに対する日本国民の認識、日本の認識がまだまだ広がっていないということがありますので、このハイチへのかかわりいかんによっては、まさにこのMDGsの認識というものも広げることもできるんだと思いますし、やはり一つはその試金石になっていると思っておりますので、その点について御意見をいただければと思っております。
○参考人(山本太郎君) これもあくまで私的な所感というか感想なんですが、今回、今御指摘もございましたように、政府のガバナンスが非常に弱くなっている中で各国がドナー会合をやって、復興に向けてかなり大きな資金をつぎ込むことが決まっている。その多分状況はすごく歓迎すべき状況だと思うのですが、一方で、今回の場合でいえば、ハイチの援助資金吸収能力というか、今の状況で資金だけが大量に投入されても、恐らくそれを吸収する能力がないんだろうと個人的には思っております。 でも一方で、そうは言いつつも現場で活動しているハイチのNGOというのは確実にあって、そこは草の根的にそうしたNGOがどんどんできてきている。だから、多分必要なことは、政府のラインを通したGGの中からだけで資金を入れて吸収能力がなくなっちゃう資金を入れるよりも、現場で活動しているNGOにどういうふうにその資金を届けていくかという形の援助を日本が模索できるといいのかなという気はしております。 もう一つの点で、国際保健で何をするかということですが、中長期的な復興には、やっぱり先ほどから出ていますHIVあるいは結核の支援というのが非常に重要なんだろうと考えております。そこには日本の比較優位も私自身はあると考えておりまして、そうした支援を行うことは非常に重要だろうと。 もう一点、ハイチには三十年以上にわたって日本人のシスターであり医師である方たちの活動が続いておりまして、そうした活動には非常に高い評価が現地でも与えられていまして、そうした活動等を支える形の支援もあってもいいのかなという気はしております。
○谷合正明君 大変にありがとうございます。 私も現地でずっと長年活動されている方にも国内でお会いさせていただきましたし、むしろ、そういう方があってこそ今回の日本の緊急援助隊が本当に評価も高く活動できたんだなと思いまして、両方に私は感謝を申し上げたいわけでありますが。 次に、冨田参考人にお伺いしたいと思います。 CSRあるいはBOPビジネスについてでありますけれども、やはりODAだけでは今回のMDGsの達成に向けては限界があるというのは私も認識を同じにするわけであります。 そんな中で、実は私はNGOで活動してきた出身の人間として、企業の方との連携というのが、これができるんであれば非常にNGO側としても、日本の国内のNGOを含めて、これからの活動が広がりが出てくるんだなと思っております。これは何も資金面だけじゃなくて、やはりどうしても企業さんの方がよっぽど抱える顧客が多かったりという意味では、私は資金量だけじゃなくて活動にも大きな広がりが来ると思っております。 その中で、先ほど参考人の方からも、ただ、そうはいっても、NGOといってもいろいろ規模もまちまちだし、なかなかすぐに連携といかない場合もあるという話がございました。 そこで、今後、参考人の方からもパートナーシップが重要であると、政府、企業、NGOのパートナーシップと言われましたけれども、この点について、改めまして、特にNGOに対しての、連携をするに当たってNGO側に対する要望であるとか、あるいはそういうパートナーシップをつくる上での例えばフォーラムみたいな場が必要だと思うんですけれども、今のままだと単体のNGOと単体の企業、個別で交渉しているようなものですから、その辺、もう少しスムーズにできるような仕組みづくりというのも必要だと思うんですが、この辺りをちょっと総括的にお話をいただければと思っております。
○参考人(冨田秀実君) この課題は、常々、我々もいつも感じているところではありますが、最近、日本のNGOでも非常に積極的な取組がなされつつありまして、特に国際貢献系のNGOさんがたくさん集って一種のフォーラムをまさしく形成している場もございまして、その中に企業のメンバーも取り込むということで、実は私どももそのフォーラムの中に参画させていただいて、様々な情報交換や意見交換というのをする段階までは確かに来ているというふうに思います。 ただ、そこから更に本当の意味で踏み出してきちんとした連携事例をつくっていく、ここが多分次のステップになるのではないかと思いますが、集まりますとどうしても議論の焦点がぼやけたりする傾向が非常にあると思いますので、これは多分、企業とNGOの連携もそうですし、例えばJICAさんのような政府機関と企業との連携も全く同じような問題だとは思うんですが、何かやはり明確な課題設定をある程度して、それに基づいて具体的に解決をしていくには、それぞれの組織が持つ持ち味、資金面だけでなくて、やはり持っている技術であるとかノウハウであるとかそういうところも含めて、どういったものが問題の課題解決につながるのかという視点でもってきちんと議論をしていく。言ってみれば、よく我々の世界でもオープンイノベーションという言葉を別の意味合いで使ったりするんですが、もう少しそういった意味で、ある特定の目的に対して広いパートナーを募って具体的な話をしていくような、ファシリテーションができるような場をつくっていく、こういうことがあると、その中から、なかなか時間の掛かるプロセスだと思いますが、着実な形で成果が期待できるんではないかなというふうに感じます。
○谷合正明君 時間が参りましたので、終わります。
○委員長(岩永浩美君) 以上で参考人に対する質疑を終了いたします。 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、長時間にわたり大変有意義な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。 午後二時五十一分散会