行政監視委員会 第2号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2010/03/15
会議録
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、植松恵美子君が委員を辞任され、補欠として松浦大悟君が選任されました。 また、本日、横峯良郎君が委員を辞任され、その補欠として平山誠君が選任されました。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に谷合正明君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に参考人として東京大学大学院教育学研究科教授山本清君及び早稲田大学大学院教授川本裕子君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 行政監視、行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。 本日は、行政組織・公務員制度・公務員倫理の在り方のうち、独立行政法人制度改革について参考人の方々から意見を聴取した後に質疑を行います。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、今後の調査に生かしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 議事の進め方でございますが、山本参考人、川本参考人の順にお一人二十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、参考人、委員とも御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず山本参考人にお願いいたします。山本参考人。
○参考人(山本清君) 山本でございます。 本日は参考人としての意見陳述する機会を与えられまして、誠にありがとうございます。 本日の議題といたしましては、独立行政法人制度ということでございますものですから、お手元に配付しておりますレジュメに従いまして説明申し上げたいと思います。 それでは、座らせていただきます。 まず最初に、確認でございますが、独立行政法人制度の創設の経緯と目的について、いま一度振り返ってみることが必要ではないかというふうに考えておるところでございます。 各ここにおられます先生方御案内のとおり、日本におきます独立行政法人制度の創設と申しますものは、平成九年の行政改革会議の最終報告で制度導入が提言されたところでございます。これはまた、日本からの調査団等も、国会議員を含めまして派遣されました英国のエージェンシーが参考にされたということになっておりますが、これから申し上げますとおり、英国のエージェンシーというものと日本の独立行政法人制度というのは、かなり性格あるいは法制度等が異なるところがございます。 最大の違いといいますのは、独立行政法人という名前が書いてありますとおり、日本におきます独立行政法人制度というのは平成十三年の四月に当初五十七法人からスタートしたわけでございますが、御案内のとおり、これは独立行政法人通則法の規定に従いまして、国の中央政府の省庁機関から切り離された独立した法人格を有するものということで発足いたしました。ちなみに、英国のエージェンシーと申しますものはあくまでも政府の省庁内組織でございまして、ただし、かなりの経営サイドの自主性あるいは裁量性を有しているという点で大きな違いがあるわけでございます。 しかしながら、こういった政策の企画立案というものと執行機関を分けるといった考え方というのはかなり古くからあるわけでございまして、英国のエージェンシーそのものがスウェーデン等を参考にしたと称されておりますが、基本的には、これは自主性、自律性を付与することによりまして業務の効率性、質の向上を図っていく、あるいはより透明的な行政執行を図るということをねらいにしたものでございます。 こういった背景から日本においても独立行政法人制度というのが発足したわけでございますが、実はその後、いわゆる平成九年の制度設計の段階とはかなり違いまして、その後、平成十三年の十二月に特殊法人等整理合理化計画ということが策定されました。 この中で実は従来の特殊法人というものも独立行政法人の方に移行したものでございますから、本来政府の省庁内にありました機関の分離というものと違った形態のものが実は独立行政法人制度という一つの枠の中に入ってきたということで、そういったことで実は、お手元の多分事務局が作成された資料の中にもあるかと思いますが、本来、独立行政法人制度の基本的な財源と申しますものは、いわゆる使途制限がない運営交付金で主として賄われて、残りの部分は自己収入等で賄うということであったわけなんですが、特殊法人等が移行したものが入ったことからいいまして、現在、政府の財政措置の中に占める割合といたしましては、運営交付金と国庫補助金の割合が半分半分ぐらいの程度になっておりまして、実は運営交付金は非常に使途制限がないわけでございますが、国庫補助金というのは当然これは使途指定がありますし、いわゆる補助金適化法の適用も受けるということで、実はかなり、独立行政法人制度の本来的な前提条件でありますようなフレキシブルな業務運営をさせる代わりに結果の責任を負うといったことが、財源面からいってもかなりいびつな構造にもう既に、特殊法人等合理化計画の移行独法がございまして、変わってきておるという点が最初に少し問題提起をさせていただきたいところでございます。 ただ、こういったエージェンシー化と申しますものは世界的にかなり広がっておりまして、日本のように独立行政法人としていわゆる独立した法人格を有するような形態というものも当然大きな意味合いではエージェンシー化の中に入っておるわけでございます。 英国におきましても、日本の独立行政法人のようにいわゆる独立した法人格を有しておっていわゆる政府の省庁の外側にある機関というのもたくさんございます。例えば、日本では独立行政法人でございますが、向こうではいわゆる非省庁公的機関と言われておりますような組織がそうでございまして、そういったものが別途ございますし、オランダにおいても、そういう二形態のもの、すなわち省庁内におきますかなり裁量性があるような機関というものと独立した法人格を有するものというものが二つございます。 したがって、ここでの一番目のことで少し要約をいたしますれば、英国のエージェンシーはどちらかというと日本では実施庁的なものに実は対応しておるということでございます。ところが、日本においては、実施庁の経営改革あるいは行政改革というのが、これはまだ中途半端な状態になっているのではないかというような感想を持っておるところでございます。 次に、レジュメの二であります独立行政法人の制度設計の基本的な考え方を振り返っておきたいと思います。 これは、各ここにおられます先生御案内のとおり、いわゆるいろいろな訳がございますが、ニュー・パブリック・マネジメントと呼ばれておりますような国際的な潮流の考え方と同時に、これは行政改革会議で行政法の専門家として入られました当時の東北大学の教授でおられました藤田先生がおっしゃっている言葉でございますが、垂直的減量化ということを目指した制度設計であるというふうに言われております。 この垂直的減量化と申しますのは、いわゆる政府の中央省庁組織から切り離すことによってその減量化を図っていくんだということで、直接的な目的はいわゆる効率化にあるのではないんだけれども、垂直的減量化を図ることによっておのずと効率化というのも副次的に発生するのではないかということで、そういった説が行政法的に藤田教授から提示されました。そのことは行政改革会議のいろいろな議事録等にも残っておるところでございます。 ここの基本的な前提というのは大きく四つ点がございまして、第一点は、弾力性を拡大する、あるいはフレキシビリティーを与えれば効率性とか質の向上をもたらすのではないかという、これ仮定でございます。 第二点は、事前の投入規制から事後的な成果を追うということの統制にすることによりまして自発的、自律的な組織改善が促されるのではないかというような前提が二番目としてございます。 三点目は、評価や業績報告の強化を通じましてアカウンタビリティー、説明責任の向上を図るということでございます。これは、実は事後統制と一体になってございまして、事前規制を緩める代わりに結果について広く国民に明らかにし、場合によってそれを達成できない場合については責任を追及するというような枠組みでございます。 四点目は、いわゆる藤田先生の垂直減量化を別の言葉で言い直したものでございますが、政策の企画立案と執行を分離して執行機能を行政組織から独立させるということでございます。 この四番目の視点というのは、行政法的にはこのとおりなんですが、行政学あるいは政治学的に言えば、日本においてもまだ一部の省庁において見受けられる点でございますが、いわゆる現場の実施部隊の方が政策立案よりも強大な権限を持っておるという場合が行政組織としてはえてしてあるわけでございます。そうすると、いわゆる企画立案部門が現場サイドの方にパワーとして負けてしまうということからいって、いわゆるそれは行政学あるいは政治学ではキャプチャリング、取り込み現象と言っておりますが、そういった事態を起こすことを抑制するといった考え方もあるわけでございますが、どちらかというとそういったキャプチャリングの抑制を図るというような機能も四の中にあるのではないかということでございます。 問題は、今日の参考人としての意見陳述にもかかわる問題であると思いますが、こういった独立行政法人の制度設計が果たして、かなり平成十三年以降経過しておりますが、実態がどうなっているのかということについて、私の実証分析から見える課題につきまして、以下説明申し上げたいと思います。 第一点は、最初の基本的前提にもございましたように、弾力性の向上が果たして役職員の動機付けや業績改善をもたらしているのかどうかということでございます。 これにつきましては、私は、二〇〇六年に独立行政法人の役員並びに部長クラスに対します意識調査を実施して、定量的な分析を行いました。その結果分かりました点は、ここに書いてございますとおり、確かに行政運営の弾力性、自律性の向上ということとパフォーマンスの間にはかなりの因果関係が確認できたわけでございますが、同時に資源管理、とりわけ予算管理の弾力性の向上あるいは組織構造をフレキシブルにすることあるいは組織管理をフレキシブルにすること等と業績には関係が認められないということが分かりました。このことは、単純に法人格を付与するとかあるいは組織構造を自由に設定できるということだけでは現状においては業績の改善につながっていないんだということを意味しておるわけでございます。 続きまして、レジュメの二ページの方に移らせていただきます。 二点目の論点といたしましては、いわゆる独立行政法人の評価制度というのは二層構造になっておりまして、各府省に置かれます評価委員会というのと総務省に設置されます政策評価・独立行政法人評価委員会の二層構造になってございますが、そういった評価結果が予算や計画に反映されているかどうかという点についての実証分析でございます。 この点につきましても、二〇〇八年の私の論文で分析をいたしました結果におきましては、一部については予算の削減効果が見受けられるわけでございますが、その反映というのは、必ずしも評価結果が予算に反映されているというものではなかったわけでございます。そういった意味では、今も国会あるいは財政当局において評価結果と予算への連動あるいは反映というのは非常に強調されて、政権の重点目標に歴代の政権においてなっているわけでございますが、残念ながら今のところはそういう状況にはないということでございました。これの解決策等はまた後ほど申し上げたいと思います。 三点目は、業務内容が国民に分かりやすくなっているかどうか。 これの主要なテーマといたしましては、いわゆる独立行政法人の会計は原則として企業会計原則によるということで、民間の企業会計のディスクロージャーを導入することによって、より透明的に、あるいは分かりやすくなるのではないかということが期待されていたわけでございます。 しかしながら、私はそちら方面にも関係しておりますが、監査法人でありますとか公認会計士の専門家の方々とお話を申し上げても、なかなか独立行政法人の会計というのは非常に難しくて、会計専門家の間でもなかなか説明が難しい状況であるというところがよく聞くところでございます。 これは何かといいますと、結果的に、一応企業会計原則によるということでございますものですから、損益計算書というものが作られておりまして、利益というのも出ておるんでございますが、その利益がそもそも何を意味しているのかということについて必ずしも明確ではないような計算構造がなっております。確かにコスト節減を促す仕組みはあるわけでございますが、なかなかそれがいわゆる独立行政法人の将来の目的のための目的積立金の設定とどういうふうにリンクするかということにつきましては、なかなか厄介な途中段階の仕組み等もございまして、インセンティブとしての効果というのは非常に薄い状況になっておるわけでございます。 次に、四番目の垂直的減量化というのが最終的な効率化に寄与するのかどうかということでございます。 確かに藤田先生は、垂直的減量化、いわゆる組織を切り離すこと自身がこの独立行政法人の制度設計の一次的な目的であって、あくまでも効率化あるいは財政削減というのは副次的な効果であるというふうに論文で述べられておられます。ジュリストでありますが、述べられておられますが、しかし、いずれにしても、最終的な目的が質の向上でありますとか効率化であるということは疑いのないわけでございますものですから、それが実現しているかどうかということを以下検証してみたわけでございます。 ただ、この検証作業というのはかなり厄介な問題がございまして、平成十三年には五十七法人が創設されましたが、その後、独立行政法人の整理統合、見直し等がございまして、例えば十九年度末という感じで、いわゆるその六年間等の推移を見るだけでも、実は存続あるいは統合等で残っておるのは五十七法人のうち三十九法人になるわけでございまして、若干の修正作業が必要になってまいります。 さらに、効率化という点でいきますと、日本貿易保険等は運営交付金が交付されておりませんので、そういったものは直接、まあ間接的な国の援助というのはあるのかもしれませんが、現金としての補助がないわけでございますものですから、そういったものを除くとか、あるいは追加になりました国立美術館等々は、これは新たな事業が加わっておりますから、当然事業の原資が増えるということでございますものですから、そういうのを除いた三十六法人について以下分析をしたわけでございます。 三ページ目の図を御覧いただいた方が分かりやすいかと思いますものですから、三ページ目のレジュメの①から③の図を御覧いただきたいと思います。 これは、図の見方といたしましては、横軸の〇・六から一・五というのが、例えば①の経常支出の変化にはございますが、これは平成十三年度の実績の経常支出に対しまして、平成十九年度の経常支出がどれぐらいになっているかということでございます。すなわち、当初、平成十三年度に発足してから、平成十九年度でもし経常支出が減っておるということであれば、これは一・〇未満になるということでございまして、逆に、経常支出が増えているということになりますと、一・〇より大きい、右側の方にシフトするということでございます。これは、すべて決算数値の実績値に基づくものでございます。 これを御覧いただきますと、本来は垂直的減量化で業務量の抑制を図るというのが独立行政法人制度の大きな目的であったわけでございますが、予算ベースではなくて決算ベースで見てまいりますと、経常支出ではむしろ一・〇を上回るものがやや多い状況になっておるということがお分かりいただけるかと思います。しかし、一番多いのは一・〇から一・一ということですから、ほぼ同額から一割ぐらい増えているものが一番三十六法人の中では多い、十法人であるということでございます。 一方、収入面ではどうかということでございます。収入面の中には当然、運営交付金以外の収入も入っておりまして、自己収入の増に努めようということがいろんな筋から言われておるわけでございますが、これをまた同時に御覧いただきますと、一番大きな山になっておりますのは一・〇から一・一ということでございますから、経常収入についてはやや減っているものが多いんでございますが、一番多いのはやはりその一・〇から一・一、すなわち微増というものが多いということでございます。 ただし、一点御注意いただきたい点は、運営交付金、すなわち経常的な経費に対します国の財政措置でございますが、これについては、御覧いただきますように、一番大きな山は〇・九から一・〇ということでございますものですから、国の基盤的な運営交付金の措置といたしましてはやや減ということで、それなりの一般会計あるいは特別会計からの運営交付金の歳出というのは減っているというふうには言えるわけでございますが、独立行政法人が本来業務量を抑制しているかどうかという点に関しますと、ややそれとは違うような事態が生じておるということが言えるかと思います。 また同時に、現在いろいろな議論になっておりますような、いわゆる独立行政法人の長であります役員でありますとか理事長が、トップマネージメントがどういう方がおつくりになるといいかどうかという点についても、交付金の収益金の変化につきまして定量的な分析を行いました。そういたしますと、この交付金収益の変化にいたしまして有意な影響を与えておりますのは、研究開発型か否か、あるいは公務員型か非公務員型か、あるいは交付金にどれぐらい依存しているかということは有意な影響を与えておったわけでございますが、今のところ、残念なことかもしれませんが、トップマネージメントが民間出身の方であれば必ずしも業績が改善しているかというと、統計的にはそういうことは確認されていないわけでございます。今後どうなるかというのはまた別の議論があり得るかと思いますが、そういった状況でございました。 こういったことを踏まえまして、四ページ目の改革案ということについて、残り時間を用いまして説明を申し上げたいと思います。 まず、省庁との関係でございます。 冒頭申し上げましたように、独立行政法人はあくまでも省庁の政策の執行機関でございますものですから、やはり省庁の政策が明確になるということが一番重要であるかと思います。そして、同時に、外局でありますとか実施庁と独立行政法人との相互関係についても関係の整理が図られる必要があるのではないかというふうに思っております。 そして、ガバナンスにつきましては、やはりこれは本当の意味で経営能力を有していることが重要だろうと思いますし、あるいは役員であります理事への外部者の登用というのがもっと進められていいのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。同時に、こういったことが機能しているかどうかということにつきましては、外国の事例等を踏まえますと、いわゆるこういった理事であるとかダイレクタークラスについて、いわゆる官民の自由な人事交流がある、その辺のプロフェッショナル化が既に労働市場において成立しているということが日本と外国の違いでございますものですから、そういった違いを踏まえた日本なりのガバナンスをどう構築していくかということが再度検討される必要があるのではないかということでございます。 それと、人事管理につきましては、総人件費管理はそれなりに重要であるわけでございますが、それだけでやりますと、実は非常勤職員等を含めた最広義人件費で見ますと、必ずしもすべての法人が減っているわけではないわけでございまして、そこら辺も注意する必要があるのではないかということでございます。 それと、業績管理につきましては、実は一番重要な問題は、どの独立行政法人の成果報告書等を御覧いただいても、全体としてその独立行政法人がどういう業績を上げたのかというのは分かりにくいことになっております。これは、やはり少なくとも五つとか六つの指標でこの法人がうまくいっているのかどうかということが少なくとも分かるような、そういう成果管理をやはり導入いたしませんと、評価を幾らやってもこれはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。 次に、財務管理につきましては、これはいろいろまさしくこの国会と行政との間におきます守備分担の関係等もありまして非常に難しい問題であるかと思いますが、実は、独立行政法人になった途端に、従前ですと独立行政法人の活動全体について国会のいわゆる議会統制が掛かっておったわけでございますが、現在におきましては、何々法人運営費としてのいわゆる議決項目の項としての議会統制にとどまっておるわけでございます。これは、しかし同時に、成果管理、成果統制、事後統制をやるということからいえば当然のことだという理解もできるわけでございますが、これに代わる外部統制、いわゆる評価に伴う外部統制との車の両輪がどういうふうにお互いに相互補完していくかというのが重要な問題だと思います。 それと同時に、評価とか監査につきまして、現在、非常に重複が見受けられる点でございます。これにつきましては、機能するという観点から、評価、監査の重層的な関係を見直す必要があるかと思います。 最後に、この陳述を終わるに当たりまして是非とも国会等で御議論賜りたいと申しますものは、この独立行政法人制度と申しますのは、この四ページ目の下にも書いてございますとおり、議会側は、包括的で硬い統制を部分的で柔らかい統制に変更するということを前提にしております。他方、執行側は、予算準拠の下、手続、投入遵守から成果達成に責任を変更するということを目指しているわけでございます。 こういった点につきまして両者がお互いに合意形成を行えるかどうかということが、実はこの独立行政法人制度の成否を決するということでございますものですから、是非、この国会の場におきまして、こういった仕組みを的確に御理解いただいた上で、こういった独立行政法人の本来の制度設計の趣旨が我が国に適合するかどうかを議論していただき、また、私が今日申し上げましたような実態を踏まえまして、良識の府である参議院で見直しを図られることがいいのではないかと思われる点でございます。 以上、陳述を終えたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(渡辺孝男君) ありがとうございました。 次に、川本参考人にお願いいたします。川本参考人。
○参考人(川本裕子君) 早稲田大学の川本裕子でございます。 本日は、参議院行政監視委員会に参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。もとより浅学の身でございますけれども、私の経験に基づき、独立行政法人改革についての所見を述べさせていただきます。 本論に入る前に、簡単な自己紹介と、私の行政や経済に関する基本的な考え方を一言申し上げます。 私は、元々、組織経営、特に金融機関経営を専門分野としてまいりました。二〇〇四年に早稲田大学大学院の教職に就くとともに、幾つかの企業の社外取締役となり、経営実務の一端を経験しております。政策との関連では、金融審議会の委員として議論に参加してまいりましたほか、後でも申し上げますけれども、二〇〇二年には道路関係四公団民営化推進委員会の委員も経験いたしました。 私は、経済の基本は、民間の活力を最大限発揮していくことだと思っております。この民間の活力は、消費者が十分な情報の下に選択の自由を持ち、また企業が様々な創意工夫やチャレンジを許されることによって生まれます。政治において主権在民が基本原理であると同様に、経済においては、個人と企業が社会的なルールの下で自由に経済活動を行うこと、すなわち市場経済が基本原則だと思っております。 もちろん、政府には経済に関する重要な役割があります。まず求められるのは、自由で公正な競争を保障するルール作りやその施行です。また、失業保険、公的年金、医療など社会保障制度を運営することによって国民のセーフティーネットをしっかり支えるのも政府の大きな役目です。もちろん、こうした社会保障制度の維持は、民間活力による経済成長が実現できて初めて可能となることは言うまでもありません。 政府がその役割を果たすために近年様々な事業を担うようになった独立行政法人について、今どのような視点で改革に取り組む必要があるか、意見を述べたいと思います。お手元に簡単なレジュメがありますが、それに沿ってお話をいたします。 まず、独立行政法人をめぐり指摘される問題にはいろいろな問題があります。非効率、無駄が多い、天下りの温床である、業務が種々雑多でとらえどころがない、うまくいっていない理由には様々なレベルがあり、また独立行政法人も多種多様なので、問題をどのように整理するかがまずは大事になります。 ここでは、私は三つのレベルに問題を整理したいと思います。それぞれのレベルに応じて改革の方向が分かれていきます。なお、例として挙げる組織は、私が存じ上げている範囲であって、そのほかの機関で多くの問題があるだろうということを付言しておきます。 問題点の三つのレベルと実例を申し上げます。 まず、政策目的そのものが不適切というものです。例えば、日本高速道路保有・債務返済支援機構が挙げられます。高速道路について、小泉内閣のときに民営化の政策が打ち出され、私も、法律で設立された民営化の検討委員会の委員として政策の議論に参加した経験があり、本も出版いたしました。 旧道路公団による高速道路建設は、いわゆる料金プール制、すなわちどんぶり勘定の下で、建設費用の回収が終わった大都市間、あるいは大都市と大都市の間の料金収入を地方の赤字路線の建設に回す仕組みでした。地方には負担はなく、政治的にも人気があるプロジェクトで、コンクリートを大量に使用して交通量も余りない高速道路をどんどん造る結果となりました。道路はあれば便利ですから、自分でコストを負担しない限り、建設が野方図になされても反対する人はいないからです。道路公団の民営化は、こうした無駄な高速道路建設をやめ、国民負担をこれ以上拡大させないために検討された政策でした。その限りでは、一つのアイデアであると私は今でも思っております。 しかし、実際に委員会でまとめられた報告書は、無駄な高速道路造りを今までと変わらず許容する危険の高い内容になってしまいました。報告書の一年後に国会に提出された民営化法案では、更に後退した内容となりました。法案提出とともに、民営化委員の有力メンバーは辞任しました。 現在の日本高速道路保有・債務返済支援機構は、こうした経緯で設立された独立行政法人です。高速道路を国に代わって保有し、民営高速道路会社にリースして、そのリース料で債務返済をするというトンネル機関的な存在です。こうした高速道路保有と運営が分離する今の組織形態には効率化の動機が極めて弱く、問題があります。 したがって、民営化の趣旨を真に実現しようとすれば、保有と運営を一体化する組織形態にすべきだったということになります。つまり、こうした問題については、あるべき政策そのものを議論すべきであり、独立行政法人の制度問題ではありません。 なお、高速道路の無料化は、政権交代を機に活発化している政策論ですが、無駄な道路を、高速道路を造らない、国民負担を増やさないという原則で臨むべきです。国民から借金して高速道路建設している実態は変えようがありません。無料化すれば、現在は高速道路料金を徴収している借金の返済を税金で賄うという負担の付け替えが起こります。高速道路を無料化するかどうか、どう活用するかの話とは別に、既に山積した借金という後世への負担の問題は厳然として存在しており、国民の前にデータを出して議論すべきだと思います。負担面をきちんと議論しない政策面は無責任であり、政治としての責任を果たしているとは思えません。 次に、政策目的は適切でも政策手段として独立行政法人形態に疑問なものがあります。ここでは都市再生機構を例に取りたいと思います。 平成十九年末の独法整理合理化計画閣議決定で、更に在り方を見直し、二十二年末に結論を出すとされました。昨年の行政刷新会議の事業仕分では、私も事業の見直しの検討に参加しました。そこでは、来年度予算に計上されていた高齢者向けの居住環境の整備の事業などが計上見送りとなりました。 私見では、例えばこの高齢者向けの居住環境の整備の問題については、お年寄りに住居面で必要な支援を行うという政策目的は正当なものだと思います。しかし、その政策を実現するために独立行政法人都市再生機構が箱物造りをするという手法で行うことが適切であるとは思えません。行政刷新会議でも、議論も、箱物よりも支援を必要とされる個々の高齢者に住宅クーポンなどで補助を行う政策の方が効果的、効率的という意見が交わされました。 二万人の職員を抱える独立行政法人が自分の存続を優先して、箱物建設ありきの発想になっているのではないかが懸念されます。つまり、組織が歴史的役割を終えても効率面での検討はせず、また、別の政策を担ぐことで組織の存続を図るという自己増殖的側面もあるかもしれません。政策検討がゆがむ結果となります。こういう目で見直すべき独立行政法人の構造的問題だと思います。 さらに、独立行政法人での事業実施は適切なのですが、現実の効果が不十分なものがあります。例えば、雇用・能力開発機構が挙げられます。 同機構は平成二十年末に廃止が決定され、傘下の各事業体、職業能力総合大学校、地方のポリテクセンターや職業能力大学校、短期大学などについて、それぞれ民営化や他法人への引継ぎ、地方への移管などが行われることになっています。基本的には今の政権でもこの方針が受け継がれるものと理解しています。 他方で、職業訓練の充実強化は、今後の経済成長や若者の貧困問題の解決、コンクリートから人への国づくりという点ではますます重要性を増している政策分野です。これまで不効率や不祥事の温床になった部分があるとも聞きますが、だからといってその実施主体全体を廃止、縮小の方向で議論していいのかという疑問は残ります。 現在の雇用・能力開発機構の問題は、サービス分野など新たな産業構造の変化に対応した訓練や、真に就職に効果のある訓練内容、手法のたゆみない向上など、現実の事業実施が政策ニーズに鋭敏にこたえていないことにあります。独立行政法人としてのPDCA、すなわちプラン・ドゥー・チェック・アクションのサイクルが効果的に回っていません。 例えば、機構自前の訓練施設での物づくりを中心とする訓練に現場の関心が偏りがちで、各地方の産業ニーズの吸い上げが不十分だという問題があります。また、訓練受講者の就職に本当に役立っているのかというミクロのデータ収集に基づく訓練内容の不断の改善なども不十分です。非正規労働者の職業訓練が不足していて、企業も手が回らず悪循環に陥っているという実態がよく指摘されますが、これへの取組も明確ではありません。 本来、国直轄でやるよりも、PDCA、すなわち計画したものが実行され、検証され、次の行動につながっていくサイクルを回しやすいのが独法であるはずです。公的な事業を効果的に行うためにつくられた独立行政法人という組織形態が、期待された役割を果たしていないのです。制度上あるいはガバナンス上の問題により、残念ながら現実が想定したように動いていないという問題です。したがって、独立行政法人の制度改革という観点からは、例えば雇用・能力開発機構がどうやったらうまく機能するのかということがシンボリックな試金石になると言っていいのではないかと思います。 では次に、三つのレベルに対応した改革の方向について述べたいと思います。 二のア、政策自体の抜本的見直し、イ、独立行政法人廃止を含めた政策手段の見直しで指摘したレベルの問題は、独立行政法人改革という枠組みでは議論し切れません。アでは政策体系全体の是非、イでは政策手段の選択の問題をまずはきちんと議論して結論を出すべきでしょう。仮に独法のトップや役員にこうしたレベルの問題について質問をしても、責任ある回答をする立場にはないということになります。独法の経営者は、あくまで国が正当と認めた政策目的を達成する事業の効果的な実施に責任を有するのであって、それ以下でもそれ以上でもありません。役所は時々こうした責任を回避して独法に対応させたりする場合があるので、注意が必要です。 ウの、本来の独立行政法人の制度的問題について指摘します。すなわち、独立行政法人のガバナンスの仕組みの改革、狭義の独立行政法人改革です。 最初に、基本的問題として、現行通則法第二条、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないものの根源的問題があると思います。言ってみれば、国の上から目線です。現在の独立行政法人通則法の第二条第一項の定義規定に注目します。そこでは、この法律において独立行政法人とは、国民生活及び社会経済の安定などの公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの、また一つの主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人をいうと規定されています。 私は法律の専門家ではありませんが、この中で、国が自ら主体となって直接に実施する必要がないという言い方に最初から非常に引っかかっていました。今でもそうです。制度設計思想として根本的問題が凝縮している感じがしますが、いかがでしょうか。書きぶりとして非常に国が偉そうにしています。あたかも、やんごとない国があえてやる必要がない重要性の低い事業については、それなら独法にやらせればいいだろう、それで十分だろうと言っているように聞こえます。ある種、傲慢な国の態度がほの見える書きぶりのようにも思えます。 そうではなく、国直轄では事業がとても効果的、効率的にできないから、あえて言えば、国はその点で能力が低いので、独法という組織形態に是非お願いしますという少し謙虚な姿勢がここは是非必要なのではないでしょうか。その意味で、通則法の哲学をいま一度根本的に見直してほしいと思います。 次に、国では公共目的を効果的に達成できないことこそ独法がやるという積極的意義付けの必要性について述べます。つまり、独立行政法人が事業をやる場合というのは、国が直接やる必要がないというような消極的な場合ではなく、国ではうまくできない、独立行政法人という形でやらせる方が公共的な政策目的を効果的に実現できる場合だということを徹底させることです。直接やる必要がないものをやらせるという考えだと、どうしても独法は国の下請的上下意識から抜けられません。また、その結果として、事業を選んで精選して独法にやらせるということにならないのではないでしょうか。 それでは、なぜ国ではうまくできないのでしょうか。それは、国家公務員制度など国の人事上、予算上の硬直性があるからでしょう。ここから、独立行政法人は経営手法として国とは抜本的に異なる手法を採用すべきということになります。すなわち、公的な事業を民間的な経営手法で実現するのです。ここでいう民間的な経営手法とは、客観的で測定可能な目標設定、経営責任の明確さ、組織運営や事業手法の柔軟さ、革新性、サービスの質の敏感な対応、顧客志向、スピード、高い効率性、会計上の透明性です。 逆に言えば、こうした民間的な経営手法で事業をやらないのであれば、あえて実施形態を独立行政法人にする必要はないと思います。国が直接やるべきです。国の行政組織にも消防庁や特許庁など、専門的組織もあります。 ②に沿った徹底したガバナンス改革について述べます。 こうした観点からすれば、現在の独立行政法人については民間経営手法に向けたガバナンスの改革が急務と考えます。もちろん、現在の制度でも各独法には外部有識者による評価委員会が存在し、企業会計原則も採用されていますが、ガバナンス、すなわち統治の基本となる点で抜本的な改革が必要だと思います。 一つは経営陣です。天下りの指摘もあります。統計的に有意性がまだ検証されていないということですが、やはり独法の積極的な位置付けからして、独法のトップは民間企業の経営者の経験が不可欠ではないかと思います。しかも、トップ一人ではなく、チームで入ることが必要だと思います。そうでなければ、民間的な経営手法の導入は不可能と言っていいでしょう。 私の経験から申し上げても、民間企業の方で企業経営の実務経験を蓄えている方々の中には、公共的な貢献をしたいという意欲と志を持つ人は多くいらっしゃいます。もちろん、独法の経営者に求められるのは、そのほかにも政策についての専門的な知見や公的セクターのトップの役割を果たすための幅広いネットワークなどがあると考えられますが、経営陣がチームとして補ったり、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで蓄積することも十分可能と考えられます。あくまで、基本は民間の経営手法によって公的な事業を一層効果的にすることが目的という基本を忘れないことです。そして、こうした経営陣の構想については、行政が専門有識者と意見交換もしながら公募による選定を進めていくべきことと思います。 なお、民間の優秀な人は今の独法役員の給与レベルでは雇えないという意見も散見しますが、そういうことはないと思います。民間で中堅以上の経営実務を積んだ意欲のある人であれば、むしろ今の給与水準より引き下げても人は探せると私は思います。 付言して申し上げれば、ここでいう独法経営陣の選定における民間経験の重視は、今の独法に求められるのが民間経営手法だからという観点で申し上げているのであって、公務員の方々に能力がないと申し上げているわけではありません。 むしろ私は、独法の経営陣に民間の方が入る一方で、官の優れた人材が民間でもっと活躍すべきだと思います。官の優れた人材は、民間経営者には通常は蓄積されない幅広い知見やネットワークを有する方も少なからずいらっしゃいますので、それは今度は民間企業の経営に生かしていくことで官民双方が共に発展するウイン・ウインの結果になることを願っております。これは、日本における経営人材の市場を大きく、深くしていくことでもあります。人材の流動性を高め、いろいろな経験を持つ人がその経験を様々な場所で生かすことによって日本経済を豊かに持続的に成長できるようにするのです。 もう一つ重要なのは、数値目標の積極的な導入です。 もちろん、独法は営利企業ではありませんので、利潤は経営の最終目標にはなりません。しかし、民間企業における利益と同じように、経営の目標となる指標を可能な限り数値化すべきです。もちろん、どのような目標数値の指標と水準が適切かは専門的な議論が必要であり、常に改善を図っていくべきですが、それでも数値目標は必要です。公共的な政策の数値化は難しい面もありますが、もし目標の数値化ができないのであれば民間手法になじまないということになり、むしろ独法にはやらせない方がいいと思います。 例えば、さきに例に取った雇用・能力開発機構でも、どのような産業にどのレベルの人材を有効に供給するかを産業、職種ごとに設定していくことが考えられます。目標設定のプロセスでは、職業訓練の実施主体の地域ごとに、地域がどのような産業を育成しようとしているのかというニーズの吸い上げなども必要となってきますし、目標達成度を検証するためのきめ細かいデータ収集や分析も必要です。こうした目標設定を数値化して検証していくガバナンスの枠組みをしっかりした上で、どのように事業を実施していくかについては経営陣に大幅な、自由な裁量を与えるべきでしょう。やり方については、創意工夫を生かしやすくすることが独法制度の基本だと思います。 さらに、PDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクションを強化するためには、現実の事業実施の実態からのフィードバックのスピードを早めることも重要だと思います。民間企業並みのスピードで決算情報の開示を行い、決算情報を予算を始め事業の計画に反映することが最も大事です。これなくしては経営とは言えないと言っても過言ではありません。 この点では、本委員会の担当に含まれるとも思いますが、本来は国こそが決算情報などの開示スピードを抜本的に上げることが喫緊の問題だと思っています。これまで、予算は立てて、税金を使って事業を行うけれど、その経過の検証もすぐには行われず、使いたいだけ使って、気付いたときには借金の山で既に手遅れという例が非常にたくさんあるように思います。その意味で、国の改革も急務ですが、むしろ独法が国に先駆けて開示を行っていく気概があってよろしいかと思います。 総じて今の独法の評価委員会の制度に大きな弊害があるとは思いませんが、評価をする手段、情報がまだ不十分です。数値目標の積極的導入や会計情報の早期開示、さらには数値目標の達成状況に関する情報の早期開示などにより評価委員会による評価の情報ベースを拡充することが独法PDCAの目指すべき道です。その際、評価委員会による評価は、けちを付けるための評価ではなく、事業を効果的に行うための不可欠な仕組みだという積極的な位置付け、理解の徹底も大事です。 最後に、これまでの経験から学ぶ点について少し述べたいと思います。 まず財政支出削減が至上目的になる弊害、そして法人数削減が至上目的になる弊害、そして公務員バッシング・シンドロームの弊害です。これまで述べましたことは私が考えるあるべき独立行政法人の改革ですが、避けるべき弊害という点についてでございます。 これまでの改革の議論では、大きく無駄が膨らんだシンボルとして独法が取り上げられ、財政支出が結果としてどれだけ削減できるかに関心が集まる傾向があったように思います。私がお話しした三つのレベルのうち、これはアかイの議論です。もちろん日本が抱える巨額の公債残高は大きな問題であり、時代の環境に即応し、効率的、効果的な財政支出を目指した不断な見直しが必要なことは言うまでもありません。不要で無駄な事業は、独立行政法人であるかどうかにかかわらず、廃止すべきです。しかし、ウのように、独立行政法人を改革し、効果的に公的な事業を行うべき問題についての議論が深まらない事態は避けなければならないと思います。一律の支出削減、削りやすいところから削るなどの改革は独法改革とは切り離して議論すべきだと思います。 また、行政改革という観点からは、議論が時間切れになると数合わせの形で独法を統合し、数を減らしたことで成果を見せるという傾向もあります。独法のトップの数が減ることでシンボリックな意味はあるかもしれませんが、人事も含め元の組織は実質上そのまま残り、かえって透明性が低下する恐れもあり、ガバナンスの有効性も期待できません。これも十分注意すべき反省点と思います。 さらに、昨今の公務員バッシングの弊害について申し上げたいと思います。 独法にも公務員型と非公務員型がありますが、公務員だから悪いという風潮は懸念される点です。安易な公務員バッシングは公的なものへの尊敬を失わせ、政治不信につながっていくようにも見えます。公務員の能力を適正に評価し、最大限その力を発揮させるのは政治家の責務であり、政治が公務員に責任を安易に転嫁しているように国民から見られることが不信を更に増幅させます。公務員には重要な社会的役割があり、政治がこれを正当に評価しなければ、若い人の中には公務員を目指す人もいなくなってしまいます。独立行政法人の改革も、公務員性善説あるいは性悪説のようなステレオタイプ、ラベル張りの認識を排し、客観的なデータに基づききちんとした制度を設計するという発想に立って取り組んでいただきたいと思います。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(渡辺孝男君) ありがとうございました。 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終了いたしました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○中谷智司君 民主党の中谷智司です。 今日は本当にどうもありがとうございました。これから質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 お二人の参考人の方々から大変な貴重なお話を伺いました。本当にどうもありがとうございました。 まず最初に、独立行政法人改革と切っても切り離せない公務員制度改革についてお伺いをいたします。お二人の参考人から御意見をお聞かせいただきたいと思います。 公務員の天下りに対する国民の厳しい批判にこたえるとともに、行政の無駄をなくす観点から、鳩山内閣は天下り問題に関する基本姿勢として公務員の再就職を府省庁があっせんすることを根絶するとしていますが、このことについて、それぞれの立場からどのようにとらえていらっしゃるか、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○参考人(山本清君) お答え申し上げたいと思います。 私は、公務員の天下りにおきます省庁の就職あっせんについては、当然これは禁止すべきだと思っておりますが、問題の背景が何かということをもう少し議論する必要があるかと思います。 これは、結果的には、いわゆる公務員の定年制問題、あるいは、いわゆるⅠ種で採用された国家公務員の方の処遇に係る問題が背景にあろうかと思っております。川本参考人もお話しになりましたとおり、従前は確かに、国家公務員の昔の甲種あるいは今ですとⅠ種等の合格者というのは確かに非常に優秀な方が入られておられたと思います。そういう方の人材をパブリックだけじゃなくてプライベートについても活用していくということは、その一面においては弊害があると同時に、それなりの役割を果たしたということもあるんですが、世の中が民間の人材も育っておりますし、国家公務員が民間に比べて圧倒的に優秀であるということは今やないわけでございますものですから、当然、自ら国家公務員としての専門性をより高めていくということがまず第一に必要であろうと思います。 すなわち、ただ国家公務員のじゃ専門性は何かということから考えますと、いわゆる現在においては実はゼネラリストと申しましょうか、いろいろなやはり各局を回るでありますとかそういった方、あるいは特定の部局を経験されておられるのでございますが、これは行政学者、政治学者の実証研究にもありますが、実質的には調整型官僚が非常に重用されて実力があるというふうにみなされているのが今の状況でございますものですから、今のような問題を円滑に、省庁からの就職あっせんをなくすためにも、やはり国家公務員の皆様が専門性を付けていけれるような人事管理制度をまず構築していく、各府省におかれましても、いわゆる自らそういう就職あっせんをしなくても、自らの実力で官民共通の労働市場において十分やっていけるだけのやはり実力を養成できるような人事体系あるいはキャリアの開発ということが重要ではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 私は原則として、先ほども申し上げましたように、官民の方たちがそれぞれの力を遺憾なく発揮できる場の提供というものが非常に大事だというふうに思っております。これが基本原則です。ですから、官の方も民に行かれて力を発揮する、民の人も官に入って力を発揮するというような労働市場の流動性というものがますます高まっていくということが大事だというふうに思います。 そのあっせんという御質問ですけれども、もちろん公務員の方たち全員にあっせんをするということが良くないことである、しかもその行く先でかなり高額の給与が保障されているというような仕組みというのは再考をされるべきだというふうに思います。 ただ、現在のようにあっせんは禁止をすると、官民で接触はできないので、他国のように公務員の方たちは辞める前の日まで職探しはできないということになりますので、その辺りの制度設計、細かい制度設計はきちんとされるべきだというふうに思っています。 公務員というのは、やはり本来の目的である国民の利益のために職能を全力で果たすための動機付けをするということですので、最後に公務員バッシングということを申し上げましたけれども、そういうことだけに偏ってほしくない。本当の意味での国民のための政治、官僚の方たちの働きというものを期待したいというふうに思います。 ここまで公務員バッシングになってしまったところにはやはり、あえて場をいただいておりますので申し上げますけれども、族議員の方たちの存在というものが非常に大きかったということももちろんあります。今かなり公務員の方たちに対する批判というものを、前半では控えましたけれども、それは前提として、議論が余りにも偏るということを、若い人たちと接している大学で教員をしている身としては、余りにも公、パブリックというものに対する尊敬が失われるということについて私は先々懸念をいたしております。 以上です。
○中谷智司君 ありがとうございます。 この再就職規制の問題なんですけれども、再就職規制を厳しくすれば再就職先のあっせんを伴う勧奨退職ができなくなり、役所の人事の新陳代謝が進まなくならないか、あるいは役所の総人件費を減らせなくなるのではないか、こういった意見もございます。この点についてはどのようにお考えでしょうか。両参考人から御意見をお伺いいたしたいと思います。
○参考人(山本清君) これも先ほどのお答えに尽きるかと思うんですが、新聞報道等にもありましたとおり、いわゆる定年制を厳格に守っていくと、従来早期退職された方がいわゆる定年までおられるということになりますと新しい人材の採用が総人件費改革の中で苦しくなってくるという問題で、人事の構成上あるいは人的資源管理の面からいっても、これはゆゆしき問題であろうとは思っております。 ただ、問題は、いずれにいたしましても、これからの話といたしましては、確かに従前の国家公務員で今非常に優秀な方もおられますが、層的にはやはり今、川本参考人もお話しになったように、いわゆる公務としての特殊的なことにずっと専念されていた方ということがやはり民間においても十二分に活躍する場が自動的に保障されているかどうかという点においては、すべての公務がそういうものではない可能性もあるわけでございますから、そういう場合にはやはり六十歳定年、あるいは将来もう少し延びるかもしれませんが、定年までそういう方については頑張っていただくほかないと思うんですが、それ以外の方につきましては、やはり先ほどお話し申し上げましたように、いわゆる官民共通のいわゆるキャリアの開発をしていく。 これはイギリスのシビルサーバントの改革においても既になされているわけでございまして、国家公務員は実は研修制度が人事院を中心に盛んであると言われておりますが、いわゆる専門性ということからいいますと、私が付き合っている非常に限られた方かもしれませんが、やはり潜在的能力は非常に高いんでございますが、専門性の構築という点においてはやはり民間に付いていけないような事態も今や発生しているというふうに私は思っております。 それは、その方が潜在的能力がないということではなくて、むしろ、いわゆる日常の煩雑的な業務に追われておられる、あるいは省庁あるいは省庁間の調整に追われておられるということからくる問題でございますものですから、国家公務員あるいは地方公務員におかれても、定期的な一定の質の確保という点の研修プログラムを確立することによって、川本参考人もお話しになったような官民の円滑な人事交流が、あるいは自由な移動ができるような専門性、能力の構築というのが要するに中期的な課題かと思いますが、そういうことを是非お考えいただきたいと思います。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 組織にとって一番大事なことはやっぱり新陳代謝だと思うんですね。ですから、その新陳代謝をそいでしまうような規制、特に国家公務員制度のような、制度としては非常に硬直的になりやすいものの中でそういうことが行われるということについては、私は非常に懸念をしております。 やはり日本の問題は、非常に高齢化が進んで、上の方たちがいつまでもおいでになるということだと思うんですね。若い活力が生かされないということが経済の成長にも悪い影響を与えるということでありますので、それも公務員制度に関係することだというふうに思います。
○中谷智司君 この公務員制度改革やあるいは独立行政法人制度改革は、やはり国民の利益のために職員が全力で職務に取り組んでいけるような動機付けのシステムを構築をしていくことが私は何よりも大切だと思っています。 公務員制度改革、もう一問御質問させていただきたいんですけれども、公務員の皆さんのモチベーション維持に留意しながら、退職管理の新たな方向性を打ち出していく必要があると思っています。このことについてはいろいろな御意見が出ていて、公務員の皆さんが天下りをせずに定年まで勤務できる環境の整備だとか、あるいは先ほどお話がありました官民人事交流の促進、能力、実績に応じた処遇にしていくなど、公務員制度の抜本的な改革をしていく必要があると思いますが、お二人の参考人から、ここがとりわけ重要だというポイントがあればお教えいただきたいと思います。
○参考人(山本清君) 私、ちょっと極論かもしれませんが、お許しいただきたいと思いますが、国家公務員のとりわけ人事管理において重要なことは、何というんですかね、定員管理を厳格にすることではなくて、少人数で非常に生産性の高いことをやっていただくというのが一番重要なことだと思います。 すなわち、いろいろな分析もあるんですが、国家公務員の方の基本的な時間の過ごし方等を見ておりますと、本来のいわゆる大臣あるいは国会に対します情報提供でありますとか政策の立案の補佐的な機能に向き合える時間というのは、中央省庁のキャリアクラスの官僚においてもそれほど多くないわけでございます。むしろ重要なことは、国家公務員が企画立案の補佐に専念するということであれば、それの専門性を高め、そして生産性を上げるということが一番重要なことではないかと思います。生産性を上げることによって、場合によってはもっと少人数で、あるいは同時にいわゆる総人件費についても抑制ができることができるということであります。 これは独立行政法人でも同じことなんですが、日本における公務員制度あるいは独立行政法人の人事管理で重要なことは、あなたは何をやるんですかといういわゆる質と量についての定義がないんですね。ないから生産性の測定ができないわけです。ですから、これは是非とも、生産性アップということがまず重要であって、生産性が上がればそれなりのやはりインセンティブも付けるべきでありましょうし、民間に比べて、高い給料はまずいと思いますが、遜色のないような処遇というのも当然やっていいのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) やっぱり公務員の方たちの評価とか処遇のシステムの設計には、非常に慎重さと大胆さというのが要ると思います。 少なくとも能力主義ですね、年功序列を廃したというようなこと、あるいは公平性、透明性、それから適切な手続を取っているということ、それから一番大事なことは納得感だと思うんですね。自分がどうしてこういうふうに評価をされるのかということがきちんと伝達されるということが大事だと思います。利益への貢献という計測が比較的容易な評価基準を持つ企業と比べて、公共性への貢献ってすごく難しいので、そこでどういうふうに評価をするかというのはとても難しいと思いますが、それをきちんとやってこそやはり公務員の方たちのインセンティブにつながっていくんだと思います。 更に申し上げたいこととしては、今後、人事の政治化、政治任用なんかが増えていくと思うんですけれども、この際にやはり能力評価がそのときそのときの政治的な恣意に基づいて行われるという危険も大きくなっていくわけで、このためにも公平性とか透明性とか適切な手続というものを取らないと、国際的で専門知識に秀でた良質の公務員の方たちの人材流出に歯止めが掛からなくなって、官僚制の能力自体が低下してしまうというふうに思います。やはり政治的恣意を排した人事システムの確立が大切だというふうに思います。
○中谷智司君 ありがとうございます。 それでは、独立行政法人のことについてお伺いをいたしたいと思います。 先ほど山本清参考人から独立行政法人制度創設の目的や背景がお話しされました。この独立行政法人は、お話をされたように、業務の効率性、質の向上や透明性の確保を図ることをねらいとして国とは別の法人格を有する法人として発足しましたが、もちろんこれ法人によって違いがあるので一概には言いにくいでしょうけれども、一般論としてこの独立行政法人の制度というのが成功しているかどうか、お伺いいたしたいと思います。山本参考人、よろしくお願いします。
○参考人(山本清君) それは、その評価基準をどこに置くかということによって異なってまいりますのでなかなか難しゅうございますが、結論からいいますと、当初、行政改革会議の最終報告で意図された状況には現在は少なくともないということは確かだと思います。成功しているかどうかということは、これはこれから行うべき改革によって決まってくると思いますし、ガバナンス改革もあるかと思いますが、これからの改革いかんによっては意図したものが実現する可能性もあるかと思います。 ただ、全般的に言えば、運営の弾力化というのはかなり可能になったんですが、問題はやはり、後でも申し上げてもいいかと思うんですが、大規模組織のところは逆に中心塔が、司令塔がいない、小さな組織は、ガバナンス構造といいますか内部統制というか監視といいましょうか、そういった民間並みのガバナンス構造、いろいろな評価システムであるとかいろいろな管理等々のシステムをこなすだけで、総務部分といいましょうか、企画部門というのはそれに追われて、肝心の行政の執行に割く者が、勢力が少なくなっていると、そういうアンバランスな状況にあるかと思います。これが概況でございます。 以上でございます。
○中谷智司君 先ほどのお話の中で評価結果が次年度予算に反映をされていないというようなお話がありましたけれども、どのような点を改善をしていけば予算にきちんとその評価が反映されるようになるんでしょうか、そこら辺の御意見をお聞かせください。
○参考人(山本清君) これは、まず手続論からいいますと、まず事前に約束をしておかないといけないということですね。現状の予算への反映って、これはほかの予算システムも、日本の抱えている問題なんですが、要するにルールが前もって決まってないと、頑張った結果どういう状態になるのかは結果見てからですよというのが実は独立行政法人以外の部門でも日本の行政システムの抱える問題として多いんですね。ですから、これは、事前にあなたはこの目標を達成したらこれだけのインセンティブとかこれだけのいいことがありますよ、逆に、達成しなかったらこれだけのペナルティーがありますよということをお互いに了解し、合意をしておくという手続がまずもって必要なんです。 ところが、それが日本においては、悲しいことなんですが、業績執行予算とかいろいろ言われているんですが、そこの制度設計が実はうまくいってないものですからお互いに疑心暗鬼の状態になっているということで、逆に頑張ると次の予算が減らされるのではないか、それであれば余さないようにしようとかそういうことになってくるわけですから、事前にやはり達成すべき質の向上であるとか効率性の目標を設定し、合意をしておくということが重要であると思いますね。そのためには、ただ主要な業務についてのやはり測定システムというのが実は開発されておかないといけないということも同時に付言しておきたいと思います。 以上でございます。
○中谷智司君 先ほど川本参考人から、独立行政法人によってはPDCAの徹底がきちんとされていないというお話がありましたけれども、まさに予算に対する評価の結果が次の年の予算に反映をされないというのは、PDCAの徹底がきちんとできていない、こういうことにもあると思いますけれども、川本参考人から見て、この点についてはどういうふうに思われているでしょうか。
○参考人(川本裕子君) 経営というのはまさに、申し上げましたように、決算情報を次の計画に織り込んでいくということから成り立っていくと思うんですね。ところが、独立行政法人の中には、まず会計の情報が横並びで見られないとか、企業会計原則に基づくというようなことをし始めたわけですけれども、中の方たちというのはまだまだ大福帳での管理、借金も収入も同じみたいな、そういうような管理をされておられる独立行政法人もたくさんあると思いますので、やっぱりそこのところをまずきちんとする、し始めるということだと思います。
○中谷智司君 ありがとうございます。 川本参考人から先ほどから、透明性や公開性が必要なんだと、そういうふうなお話がありました。まさに、この独立行政法人の評価体制について透明性を高めていく必要があると思います。 ただ、片や一方で、独立行政法人の現場では評価のための事務作業や負担がかなり重くなってきている、そういうふうなお話を伺っています。大変これ難しいことなんですけれども、こういったことにも配慮しながら、私たち国民が納得できるような評価制度に変えていかなければならないんですけれども、この点についてどういうふうな評価制度にしていくのが現場の負担も少なくなり、そして私たち国民が納得できるような評価制度になるのか。 大変難しく、答えにくいかもしれませんが、山本参考人と川本参考人から御意見をいただきたいと思います。
○参考人(山本清君) まさしく、それは現場サイドで一番大きな問題になっておるわけでございます。 私の陳述の中でも少し申し上げたわけでございますが、実は、評価、監査、検査ですか、これは非常に込み入った状況になっておりまして、分担関係というのがいま一つ十分なされてないことになっております。 もう少し言いますれば、独立行政法人には監事制度というのもございます。それ以外に、いわゆる府省の評価委員会の評価、それと総務省による評価、さらには主務省におかれます監督的な評価、そして財政当局等がなされるような査定等を通じた評価があるわけでございます。問題は、このいろいろな重層的な評価のすみ分けが必ずしも十分でなくて、例えば川本参考人が御指摘になったような会計的なものについては、実は会計監査人、いわゆる民間の監査法人なり公認会計士の方の財務諸表監査が既になされているんですが、それについて更に会計検査院の会計検査も当然なされて、指摘も国会報告がなされている状況にあるわけであります。 諸外国等の例を見てまいりますと、例えば独立行政法人あるいはそういうエージェンシー的なタイプのいわゆる財務諸表監査あるいは会計監査というのが、そういう国の機関による会計検査院の検査と同時に外部監査人の監査が二つあるなんてことはないわけでございまして、これはどちらかが監査をして、オーディットオピニオンをきちんと掲示をすればそれで終わりなんですね、外部監査としては。ですから、こういうところはできるわけでございます。 さらには、府省に置かれる評価委員会の評価というのと総務省に置かれている評価というのも、これはかなりいろいろな今、国会において検討がなされるやに聞いておりますが、これもすみ分けというのが十分なされているとは思いません。 どちらかといいますと、いわゆる府省に置かれている評価委員会としては、まさしくプラン・ドゥー・チェック・アクションのうちの、どちらかというと改善志向的な評価を目指されているような気もいたします。そして、総務省に置かれている評価委員会の方は、むしろチェックといいましょうか指摘的な、あるいはそういうことを目指しておられるような気がするんでございますが、いずれにしてもそこの事務作業は非常に大変なものがございますものですから、そこを変える。 そして同時に、先ほど申し上げましたように、少なくとも数個の核となるような業績指標というのを定めて、それが主務大臣と独立行政法人の長の間で契約的に結ばれれば、その数個の業績指標を中心的にやはりその評価が行われるべきであって、残りは、例えば数年に一回のようなものでいいのではないかというような考え方もあるのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 透明性の確保ということですけれども、もちろん大前提として政策の見直しというのがあると思うんですね。政策の中でどう位置付けるかということをきちんとしない限り、どんな目標を作ってみてもそれはむなしいものにすぎないということがあります。それに若干の時間が掛かるとしても、私はやはり企業会計原則ですべての独法を横並びで見れるようにするということだと思います。そうしますと、企業で、普通に民間で働いていた人たちには分かるわけですから、そこで一気に透明性が高まるということ。 それと、もう一つは、やはりどうしても独法が、先ほども申し上げましたように、国がやらなくていいことをやっているという位置付けだと、上から目線でやらされているということなんだと思うんですね。やはり透明性を確保していくためには、自分たちがどういう存在意義があるのでこれを説明しなければいけないという、中からのその透明性がない限り、もう永久に、これを出したのか出さないのかというようなことで、現場の疲弊感というのはもうやまらないと思います。 そういう意味では、自分たちがどういう目標を作っていくのかということをきちんと彼らが作っていけるような体制になるということが大事だというふうに思います。
○中谷智司君 ありがとうございます。 この独立行政法人については、政府もこの四月から抜本的に見直しをしていこうとしています。 最後にお伺いをいたしますけれども、必要なものは国に戻し、民間にゆだねるものができるものは思い切って切り出していくということも必要だと思いますけれども、この件についてお伺いをいたします。両参考人にお願いいたします。
○参考人(山本清君) それは、既に国に戻った消防研究所のようなところもございますものですから、当然制度上想定されておるものでございますし、あるいは独立行政法人のものであっても民間で十分可能であれば、当然これは通則法からいっても民間あるいは民営化ということも可能であります。 ただ問題は、英国等でもこういう国に戻った規制的なエージェンシーというのもありますし、あるいは民営化になったエージェンシーというのもあるんでございますが、一つお願いというんでしょうか、今後、政権交代が起こるような状況になってまいっておるんでございますが、一部の国でなされているような、政権が替わると同時にこういった中間的な機関が国の機関になったりあるいは民営化になったりするようなことは、モチベーションとしてもあるいはいろいろな組織変更に伴う経費等々からいっても無駄でございますものですから、こういった基本的な線引きについては、与野党合意の下に共通ルール等を作って、その中で頑張っていけるような体制を是非おつくりいただきたいと思います。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) まさにその政策の見直しをして国に戻す、あるいは民営化をきっちりするということは大事だと思います。現在、その民のガバナンスも官のガバナンスも効いていないというような状態があるわけですから、そこを直すということは大事だと思います。 ただ、今、山本参考人もおっしゃいましたけれども、例えば民営化であれば、税金、税務の規律あるいは資本市場の規律がはっきり働くようにならなければ民営化とは言えないわけで、中途半端な民営化というものをして満足をするようなことになってほしくない。それから、数合わせをして、政治がやった感ですね、達成感をお持ちになるということも避けていただきたいな。本当の意味で、どういうふうにしたら一番公共の目的に立つのかということを考えて設計をお願いしたいというふうに思います。
○中谷智司君 ありがとうございました。 おっしゃるとおり、独立行政法人について本質をきちんと理解をして改革を進めていかなければならない、私もそう思っています。 今日は貴重なお話をいただきました。本当にありがとうございました。
○中山恭子君 自由民主党の中山でございます。 今日は、山本先生、川本先生、非常に独立行政法人制度について貴重なお話を伺いまして、ありがとうございました。座って失礼いたします。 今も質問の中にもありましたけれども、独立行政法人、非常に定義付けですとかそれから評価の問題などなかなか難しい、クリアカットにこうすべしと言い切れないような難しい問題であると考えております。 山本先生御紹介のアンバンドルド・ガバメントですか、この中で、タルボットさんがその論文の中でも基礎となる考え方など非常に示唆に富むものがあると思いますが、ではそれを直ちに日本で実行できるのかというと、またその点も難しいところがあるように思われます。それぞれの国に適した制度というものをしっかりと考えていく必要があると思っております。 その点で、山本先生は独立行政法人発足の当初からかかわってこられていると伺っております。まだ今その独立行政法人としては改革途上にあると思われますが、その今変わりつつある制度について、何に最も注意をしなければいけない点というのがどのようなものであるか、お考えがありましたらお話しいただきたいと思っております。 また、川本先生、今ありましたように、独立行政法人制度自体を廃止する、民営化か国に戻すかという、制度自体を廃止するというお考えなのでしょうか。その辺り、お知らせいただけたらと思っています。
○参考人(山本清君) 今先生お尋ねの件では二点ございまして、一点はトップマネジメントという点でございます。 現在、新しい政権の下において、公募制度による理事長、役員等の選考がなされておられますね。これはこれで、それはそれなりに、広く官民から人材を集めるという意味においては一つの望ましいスタイルだと思っておりますが、公務員制度等との連続性等を考えた場合に、川本参考人の意見と重なることもあるかもしれませんが、その選考過程における透明性あるいは中立性の確保という点が今後の課題ではないかというふうに思っております。 諸外国等の事例等で日本において必ずしも正しく伝わっていないような状況もあるものですから、日本でマスコミ等が報道なされているような英国とかニュージーランドの例等がよく話題になるんですが、実は彼らはそれなりに非常に微妙なバランスの中で、そういういわゆる独立行政法人とか省庁の事務次官を廃止する云々議論がありますが、省庁のトップ的なシニアビューロクラットの選考過程については非常に微妙なバランス制度の下の制度を導入しております。 それはどういうことかというと、当然、公務員あるいは独立行政法人の長もそれなりに中立性が求められている、あるいは政権への中立性というのが求められているわけでございますが、同時に、国家公務員あるいは独立行政法人の長としての守るべき点等がございますものですから、その選考過程においては独立の委員会がいわゆる選考候補者の選定ですね、最初は広く百人とか二百人オーダーになるんですが、その中からの選抜あるいは面接等もいわゆる独立委員会の下においてすべてコントロールをして最終的に一人を選ぶ。 そして、その一人について、最終的にイエスかノーかという権限は確かに主務大臣にあるのでございますが、選考過程はあくまでも能力主義、あるいは人材が求められるスキルなり能力、見識等が備わっているかどうかということだけに着目した、独立したメンバーから成る委員会の下において選考がなされるということでもって辛うじて政と官の間のある意味で適切なあるいはいい意味の緊張関係を確保し、ある意味で情実的な要素が入らない、なおかつ政治に対しては忠誠を誓うというような微妙なバランスを取っておるわけでございます。 そういったことが国家公務員制度の改革あるいは独立行政法人の長とか理事の場合においても、それと同じ制度が決していいわけではないんですが、そういったことも参考に、官民からの適切な人材の確保ということが労働市場との面においても重要ではないかというふうに思っているのが一点ございます。 もう一点は、注目すべき点というのは、はっきり言いますと、これもやはり大きな組織と小さな組織、あるいは途中で、移行独法と言っております特殊法人から独立行政法人になったものとそうでないものとの間においては、これは明らかな組織文化上もあるいは職員の行動体系においても違いがあるわけでございます。 実は、小さな組織等々になりますと、本来は独立行政法人の長が人事権があるものですから、独立行政法人の長が官民から自分で一番自分のミッションを達成するために適材適所で本来はリクルートをしてきて適切な配置が可能なはずなんですが、そういうことは民間からの出身の方でもそこまではなされていないんですね。それは、やはりその独立行政法人がいつまで続く組織かは分からないし、あるいは非常に小さな組織であるので非常にリスキーでもあるということで、ほとんどの場合は、小さな組織になればなるほど省庁に非常に人事を依存しているような格好になっている。ということは、逆に言えば、その独立行政法人に対する愛着心といいましょうか忠誠心がわかないから職員のモチベーションもなかなか上がってこない、顔は常に省庁の方を向かざるを得ないような弊害も場合によっては出てくるといったような問題があります。 逆に、移行独法等によって、川本参考人も申し上げられましたような非常に大きな組織になれば、今度は省庁からの独立性の方が強くて、そちらの大きな組織の中で、何かよく分からないような中でまた動いているという、それで組織としての一体感がなかなか保てなくて、せっかく独立行政法人のトップの方で新しいミッションに向かって進んでいこうとしているのに、なかなか全員がそちらの方に向いてこないというような状況にあるので、是非とも御理解いただきたい点は、移行独法とそうでない元々の独法との違い、そして小規模な独法と大規模な独法と、こういった、ちょっとベクトルは違うんですが、その差異について国会の審議においてもそこら辺は御配慮して、見直しを御検討賜りたいと思っております。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 今日は、独立行政法人の改革ということでお話をさせていただきましたので、その制度自体を廃止するということを念頭に置いてお話をしたものではないということは申し上げたいというふうに思います。 やはり、申し上げましたように、国ではうまくできない、独立行政法人という形でやらせる方が公共的な政策目的を効果的に実現できる場合に精選をして、そういう機関を精選してやり方を考えていくということだと思っておりまして、その中に、ですから組織を選んでですね、今の独立行政法人の中には、国に戻した方がいいものもあるかもしれませんし、民営化をした方がいいかもしれない。そこは検討の余地があると思いますけれども、独立行政法人というものに一回なったらずっとそのままでいくのかというと、そういうことではないというふうに思っています。やり方としては、ですから民間の手法を入れた公共的な機関という、そういう位置付けだというふうに思っております。
○中山恭子君 独立行政法人、国として、川本先生おっしゃられたように、民間企業ではやらない又は民間企業ではできない、まあ利益が上がらないといったところで民間企業はやる必要もない、やるつもりもないというような仕事で、そして、でもやはり国としてはやらないで置いておくと国の信頼が損なわれるといった仕事、また行政組織というんですか、ちょっと山本先生こだわられていらっしゃいましたけれども、国がやる必要がないものというような仕事というのが、又は国がやる必要がないものというだけではなくて、国が行うと弊害が生ずるものというような仕事もあろうかと思っています。そういった仕事をやはり日本の国内でどのような形で行っていったらいいのか。民でやるか国でやるかというだけではなくて、やはり両方ともやらない又はやる必要がない又はやると弊害が起きるというような仕事を扱う何らかの組織がないといけないというように私自身は思っております。また、特に文化にかかわる組織、例えば国立美術館、国立博物館、それから文化交流を担当する国際交流基金などといった組織は非常にその仕事の評価をすることが大変難しいことだというふうに考えております。 山本先生が評価を長年担当していらしたという立場から、こういった分野についてどのような評価方法がいいのか、評価全体を見てどのような評価機関の在り方が望ましいのか、御所見をお伺いしたいと思います。また、今回の独立行政法人通則法の一部を改正する法律案では、不要資産の国庫への納付のみに限られておりまして、評価の在り方の部分が消されてしまっておりますが、その点も含めてお考えをお教えいただきたいと思っております。 また、川本先生にも、文化や文化交流という分野についてどのようにお考えか、お知らせいただけたらと思います。
○参考人(山本清君) 美術館、博物館等の評価の困難性あるいは留意点等につきましては、随分前に、十年以上前に書いた独立行政法人の役割というのがお手元に、参考人資料としての中に書いて、その中に美術館、博物館等の評価のデリケートな点というのが書いておりますので、後ほど御確認いただきたいと思いますが、重要なことは、たくさんの、何というんでしょうかね、方に見ていただくことだけが文化の目的ではないということはそのとおりであります。 したがって、博物館とか美術館の要するに業績評価というのがその収入と支出のバランスだけで見るというのは、これは明らかな間違いであるということはそのとおりであると思いますが、同時に、そういった美術とか博物館の専門家からの否定的な要するに問題提起に対して、自らこういったやはり評価手法があるのではないかという提案も同時に必要ではないかと思っております。 美術館、博物館等の専門家からお聞きいたしますと、そういった数ではなくて、よく透明のガラス等に鼻をくっつけて見ているその鼻の汚れが何個あったかということの方がより的確な評価になるんだという説もありますが、それも一つの手法かもしれませんが、やはり同時に重要なことは、いわゆる私立の美術館、博物館等でできない収蔵を行っている、あるいは展覧を行うということの差異化がまず重要ではないかと思っております。 したがって、これは民営化とか民間化等々の議論にもなるんですが、何ゆえにパブリックで美術館、博物館をやっているのかということについて、やはり民間の美術館、博物館とは違う収蔵をやっているとか、あるいは学芸員でこういうことをやっていますとか、もう一つ、ほとんど知られていないことなんですが、美術館、博物館は調査研究業務も同時に行っているわけですね。したがって、箱物だけを提供して陳列しているだけではないというのはそのとおりであるんですが、そのことがなかなか一般国民にはほとんど認識がされていないということも、同時に必要であるわけです。 したがって、重要なことは、美術館、博物館の全体像が分かるような国民に対する説明責任、そして同時に、評価においても、余りにも、何人が見たとか観覧の収入が増えたか減ったかということ以外のものについてもやはり同時にやっていく必要があると思います。 それと、もう一点お尋ねの独立行政法人の評価制度の在り方でございますが、私は現在のような府省に置かれているような独立行政法人の評価委員会であれば、それはむしろガバニングボード、要するに外部者から成るガバニングボードに変えた方がいいのではないかと。実質的に機能しているとは私は思っておりません。非常に多くの学識経験者あるいは民間の方の参加の下に評価システムが運用されておられるということは事実でありますが、必ずしも的確な専門性の評価がなされているかどうかということも言えないと思いますし、あるいは、じゃマネジメントに志向した評価をやっているかというと、そうではないんですね。ですから、今の評価制度というのは、いわゆる、例えば今お尋ねの文化であれば文化の専門家も入ったような美術館、博物館の業績評価プラス経営会計的な評価という、そういう二層構造から成り立っている意味で、相当非常に包括的な評価になっております。 したがって、ある独立行政法人の理事長さん等とお話ししておりますと、非常にガチンコ勝負だということをおっしゃった方もおられるんですが、そういう専門性の評価についてまでお互いに相当なかんかんがくがくの議論をしておるということはそれなりにいいと思うんですが、ただ、専門性の評価であるとすれば、それは専門家だけの評価機関というのは別途つくるべきであって、今のような改廃も含めたようなことをやるとすれば、やはりそれはむしろ内閣府であるとか総務省に置かれると予想されるような一本の評価組織でいいのではないかと。むしろ、各府省におかれては外部者から成るガバニングボード的な機能を強化することと、むしろ改善改革的な意味合いの組織を置いた方がいいのではないかというふうに思っております。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 文化、文化交流の御質問は非常に難しい問題でございまして、私が的確にお答えをできるだけの基盤があるとも思えないんですけれども、二つのことが大事かなと思いますのは、やはり国民に納得感があるかということだと思うんですね。税金を使って事業を行っているわけですから、それを残すだけの意義が感じられるかと。もちろん、国民というのがその文化、どのくらい理解できるのかということがありますので、二番目としては、やっぱり世界の専門家が御覧になってこういうものを残した方がいいというようなことが言えるのかというような、やっぱり何らかの指標がないとなかなかその辺というのは難しいのかなというふうに思います。もちろん、とても大事なことだというふうに思っております。 やはり、そこで注意しなければいけないのは、特定の権益と結び付いていないだろうかとか、あるいは独り善がりなのではないかということがどうしても国民の側にいると感じてしまうことなので、そこのところがきちんと説明していただければ、そういうことは必要なのではないかなと思います。
○中山恭子君 ありがとうございます。大変御示唆に富む意見、ありがとうございました。 もう一点、同じように今特別行政法人に含まれております印刷局と造幣局の問題についてお伺いしたいと思っています。 元々、印刷局も造幣局も大蔵省の組織の中にあったものでございますが、今は特別行政法人で、国に戻すべしという意見もあるというようなことが報道をされております。 ただ、私自身は特別行政法人制度が持つ良い面というのが非常に多くあると考えておりまして、例えば、そうですね、これまでにも出てきております効率性ですとか、柔軟な組織運営ができる、独立した方針を立てられる、それから企業会計を採用していくという点でコスト削減につながっていくであろうと。又は、単年度主義ではなくて、何年間、例えば五年間の中期目標を立てることができる、これによって機動的、弾力的な設備投資を行えるというような、特別行政法人であるからこそ国ではできないようなやり方で業務を運営できるという点があると思っておりまして、この点について。 もう一つ。逆に、じゃ民営化してよいかというと、これはやはり各国の例を見ても、民営化をした場合に偽造紙幣が出たり偽造貨幣が出たりというような点も考慮しますと、民営化はやはりやってはいけないだろうと考えておりますが、この廃止か国に戻すかという二者択一ではなくて、公務員型の独立行政法人としての制度というものを考えられないだろうかと思うんですが、山本先生、川本先生、両方から御意見を伺いたいと思っています。
○参考人(山本清君) いろいろな御議論があるやに聞いておりまして、それなりに両方分かる点もあるんですが、忘れてはならないことは、印刷局、造幣局の業績が独法以降良くなったかどうかということと、印刷局、造幣局に何を望むのかということが明確にしない限りにおいては、安易に戻すとか独法のままがいいとか言うことは非常に危険だと私は思っております。 私はむしろ、どちらも問題があると思っておりますのは、いろいろな御批判を聞いておりますと、印刷、造幣局は独法化した途端に、例えば役員の数がかえって増えたので天下りのポストになったのではないかと、そういうような御批判があるのであれば、それはむしろガバナンスとか、要するにこれはほかの独法改革でも申し上げようと思ったんですが、むしろ今の理事の方は理事だけの業務をなさっておられるから問題であるので、理事の方の、例えば要するに総務担当理事であれば従前の事務局長を兼ねるとか、そういうこともやっていただければいいわけであって、理事は理事だけの仕事をやっていればいいなんということになっているからそれだけのプラスアルファの役員のコストがかえって増えて、いわゆる業務費に回るコストが減って、結果的には独立行政法人の膨張化という弊害も生じ得るということになるかと思います。 したがって、これは印刷局、造幣局だけの問題ではなくて、むしろ役員の業務の在り方あるいは役員の位置付け等にかかわる議論をもう一度精査すればおのずとそれは、どちらがいいのかということは私は出てくるのではないかというふうに思っております。 なお、印刷、造幣局のすべてではありませんが、根幹的な部分が非常に国の業務と一体的なものでございますから、これは、完全民営化ということは、少なくともすべてのものについてやることは不可能だというふうに認識しております。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 今、山本参考人おっしゃったように、その本来の責務ですよね、それを果たすのにどういう形式がいいのかということがよく議論されるべきだというふうに思います。やはり、常に箱いじりといいますか組織いじりに終始しがちなところがありますので、その責務を果たすためにはどういうふうに効率的な業務を行える組織にするのかということを考えていただくということが大事だと思います。 今、完全民営化というのは不可能だというようなお話が出て、これについて私はこの二つの部局について特定の意見を持つものではありませんけれども、若干申し上げたいことは、民営化をすると信用できないというような雰囲気が多々政府の中にあるようで、これはとても民に対して失礼な話で、もし公共的なものを民がやってきちんと行えないなんということは、きちんと法律を作り、規則を作り、評価をして、監督をすべき、そこの監督責任を果たしていないからそういうことが起こってしまうと思うんですね。その辺の議論というのはやはりよくなされるべきだなというふうに常々思っております。
○中山恭子君 ありがとうございます。 私自身は、やはりすべて民間ができる又は民間でしなければいけないというものではないと思っておりまして、やはり国が担当すべきもの又は独立性や何かを持った形で、民間ではなくて専門的な形で仕事をしていく、そういった業務というものがあると考えておりまして、その辺りはまたいつか川本先生とお話しできたらいいなと思っております。 昨年十二月に出された独立行政法人制度の抜本的見直しというのがございますが、これと、今凍結されている平成十九年十二月の独立行政法人整理合理化計画、これも結構厳しいものだったと思うんですが、これの大きな違いというものがどんなものなのか、又はこの凍結というものが今ちょっといろいろ問題を起こしていると思いますけれども、そういったことも併せてお話を伺えたらと思います。 さらに、こういった制度が国会の法制定を待たなければ変更も改正もできないという今の状況についても御意見をお伺いできれば有り難いと思っております。
○参考人(山本清君) 今お尋ねの件は、概要は存じ上げておりません。詳細については正確には把握しておりませんので、それをまずお許しいただきたいと思いますが。 今、先生御指摘の国会の議を経ないとなかなか円滑なことができないというのは、でもこれはある意味で議会制民主主義の、民主主義のコストとむしろ考えるべきことなのかもしれませんので、これは独法をどういうふうにコントロールしていくかというのは、私の陳述の文章の最後のところにも書かせていただきましたように、従前のいわゆる移行独法ではなくて従前の国の機関であった場合においては、現在の独立行政法人の行っておられるすべての歳入歳出について議会統制が掛かっていたわけであります。それが、現在においては独立行政法人に対する財政支援分のみが議会統制掛かっているわけでございます。 したがって、もし万が一、独立行政法人の一部を国の機関に戻すとか、あるいは独立行政法人を完全にもう財政措置もやめるということになれば、これは大幅な議会統制のやり方が変わるわけでございますから、これは国会でやはり十二分に御議論していただくことがむしろ必要であって、それはある意味においては政権交代に伴う民主主義のコストであって、むしろその期間を利用して独立行政法人の本来的な在り方について与野党を交えた建設的な議論を割いていただきたいというふうに私としては思っております。 ただ、途中の政権交代に伴います政府の方針変更等で、先ほど川本参考人がお話しになりましたような道路に関する債務の返済の独立行政法人でありますとか幾つかの独立行政法人等について統廃合も含めて今中断しておるということは問題だという認識も同時にあるかと思いますが、しかし見直しの対象に係る独立行政法人の中には確かに問題がある独立行政法人もあろうかと思いますが、少なくとも幾つかの独立行政法人については十二分に有用な活動をなされているわけでございますから、それについては予算措置をなされて、その間、適切な業務が行われるかどうかを国会において監視していただけることがいいのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) やはり独立行政法人の成り立ちとして、特殊法人的なものから移行された方たちもあるわけで、そういうところの問題はやはり透明性だと思うんですね。国会での議論もなく、ずっと予算が付けられ使ってきたということがあると思いますので、国会での議論というものというのはやはりしていただいた方がいいのではないかなと。そこが硬直的であるというならば、それは国会の運営の問題なのかもしれないなというふうにお話を伺って思いました。 それから、先ほどの点でちょっと付け加えますと、私はすべて民営化すればいいとかそんなことは決して思っておりませんで、公的な機関がやるべきことはたくさんあるというふうに思っております。
○中山恭子君 時間が来ておりますので、まだいろいろお話伺いたいですが、これで質問を終わります。 ありがとうございました。
○谷合正明君 公明党の谷合正明です。 山本参考人、川本参考人、本日は大変にありがとうございます。私の方から、二十分質疑時間をいただいておりますので、早速質問をさせていただきます。 独立行政法人でありますけれども、やはりスタートした当初というのは行革の目玉で始まったわけでありますが、今はこの行革の対象になっているというところに今日的な課題が凝縮されているわけでありますが、そもそもどうして八年、九年の中でこういう、当初の目的、行革の目玉となるべきものが今行革の対象になってきているのかというところの根源的な理由はどこにあるのかというところを、やはり複雑な糸をほぐしていくんであれば、私は、まず独立行政法人の定義、通則法に当たりますけれども、そこに起因をするんではないかなと、そこをもう少し、もう一度改めて見直しをしていくべきではないかなと思っております。 これ川本参考人の方からも冒頭全文を御紹介いただきましたけれども、独立行政法人とは、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一つの主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的とする法人と定義されていて、非常に長くて何かよく分からないというのが率直の印象なんですが、この定義で、独立行政法人が果たして何のために必要なのか、どのような事業をこの独法に行わせるべきなのかというところが不明になってきているのではないかなと。 そもそもこの通則を作るのが、まず先にこの対象となる法人、特殊法人なんかも先に決まっていて、後から何か定義をくっつけたような感じがありまして、それがゆえに本来独法が行う必要のない例えば事務事業まで行われているところもあるでしょうし、結果的にこの行政の不効率やあるいは税金の無駄といったものも生み出していると指摘されているわけでありますけれども、私は、改めてお伺いさせていただきますが、この定義規則が独法制度における様々な問題の根源的な要因になっていると考えますが、改めまして両参考人にお話をお伺いしたいと思います。
○参考人(山本清君) 今、先生御指摘のような考え方も当然あるとは思います。 私個人的には、先生のお考えに近いところもありますし、川本参考人の意見にも近いところがあるんですが、この法律という点からいいますと、これ行政法学者でおられて、今は司法の方におられますので申し上げにくいんですが、行政法学的な立場からいうと、多分こういう記載になったのは、ある意味では、私、行政法の専門家じゃございませんが、やむを得ない構造になっているのではないかというふうに思っております。 むしろ私は、日本の行政といいましょうか、それの実際の運用上の問題として、先生御指摘のように、独立行政法人制度は、多分構想されておったのは、将来民営化もあって、しかもこれは小さく産んで大きく独法制度の中に囲って、その中で統廃合とか民営化とか行政の減量化をしていこうという、そういう大きな動きが多分裏にあったのは間違いないと思います。それがいいことか悪いことかは別にいたしまして、そういうことが行政改革会議等の議事録等を読んでおりますとうかがわれるところがございます。 ただ、問題は、非常にそういったことで独立行政法人が当初は目玉であったのが行革の対象になったのはどこに背景があるかという点を私なりに考えれば、私は二点あると思います。 一点は、従前の五十七法人というのは非常に小粒なもので、一番大きなものでも産総研の、経済産業省のものであったというふうに記憶しておりまして、それほどその活動等については、その存在理由、活動等においてはそういう世間的にも大きな問題を起こしていなかったわけでございますが、何ゆえにそういった五十七法人のような小さなものであったとしても世間から厳しい御指摘を受けたかというと、それはやはり独立行政法人制度によって役員が非常に多く生まれて、そしてその中には、かなりの部分はいわゆる天下りということが生じたというところがやはり大きいのではないかと思っております。 それと同時に、今世間を騒がしておられたようなものの多くは移行独法なんですね。いわゆる特殊法人のものも従前国が行っていた機関から切り出されたものと全く同じ枠組みの独立行政法人という一つのくくりの中に入ってしまった。したがって、独立行政法人といった場合には、従前の特殊法人でその存在意義自身がかなり時代的に問題になっているようなものと同一視されてきたという、そういうある意味では不幸な背景があるということは忘れてはならないというふうに思っております。 したがって、この際、独立行政法人制度の枠組みの中で運用すべきものとそれ以外のものもやはり仕分をするようなことも一つ選択肢としてあり得るのではないかというふうに私は思っております。ただ、これは運用できちんとガバナンスを利かせていけば解決する問題であるのかもしれませんが、当面私個人的にはそういうふうに考えておる次第でございます。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 先ほども申し上げましたように、やはりここの哲学のところというものが一般消費者には非常に分かりにくいかなというふうには最初に思いましたので、ここのところに引っかかったというようなことを申し上げました。 ただ、一〇〇%最初からうまくいくような組織設計というのはほとんどあり得ないわけでありまして、どんな組織変更にもメリットもあればデメリットもある、良い方向への変化もあれば悪い方向への変化があるということで、どうしても悪い方向への変化をきちんとモニターして直していくという仕組みがこの国全体で弱いのではないかというように思います。 箱はつくったけれどもそのままにしておいているので、常に慣性の法則もありますし、いろんなことに逆戻りもしますし、組織は自己増殖しますから、それに対しての牽制を働かせる機能というものをいかにうまく埋め込んでいくのかということをしていかない限り、箱を変えてもうまくいかないのではないかなというような懸念も持っております。
○谷合正明君 ありがとうございます。 山本参考人にもう一度お伺いしますが、そこで、法律というよりもその運用によってこの独法の改善をしていくべきでないかという御指摘もありましたが、そもそも英国エージェンシーをモデルにしたとも言われておりますけれども、しかしながら制度上は違いがあるというのは冒頭の意見でお伺いしましたけれども、改めまして今後の独法制度の運用において改善すべき点について御意見を伺いたいと思います。山本参考人、よろしくお願いします。
○参考人(山本清君) 陳述が少し時間が足りませんでしたものですから、かなりはしょった点がございますが、レジュメの四ページ目にも書いてございますとおり、改善点とすれば、やはり、これは川本参考人とも共通する点でありますが、独立行政法人が何をするかという点について、本来、主務大臣が中期目標を定め、その達成のための計画として中期計画をそれぞれ独立行政法人の長が定めるということになっているんですが、こういうことを申し上げていいのかどうかちゅうちょするところもあるんですが、多分国会議員の先生は御案内かと思うんですが、この点は是非政治主導で頑張っていただきたいと思うんですが、主務大臣が中期目標を定めるというのは建前であるんですね、現実論といたしましてはですね。 したがって、結果的に、キャプチャリングということを私申し上げたんですが、世界の多くの国で国家公務員が悪い意識がなければキャプチャリング、いわゆる行政が政治家を逆に操縦するような逆転現象ですね、ある意味においては下克上的な要素があるかと思うんですが、そういうことを避けるというために、プリンシパルたる本来の政治家あるいは主務大臣が独立行政法人の長あるいは行政府に対してコントロールを利かすという点で、本来は主務大臣が中期目標を定めることになっているんですが、そこがなかなかうまく実態論としてグリップが利いていないといいましょうか、そういう意味の政治主導が必ずしも十二分に当初のとおりになされていないという点もやはり大きな問題点としてあるのではないかというふうに思っております。 そして、その内容がやはり必ずしも明確でない。あるいはたくさんのことが列挙してあります。独立行政法人通則法では、多くのことを記載すべき事項となっておりますから、非常に厚いんですね。厚いからゆえに結局何をやったらいいのかよく分からないということになりますので、ポイントとなるべき達成すべき目標なりというものをやはり定量的に定めておくということが必要であろうかと思います。目標の中で定量的に定められないものというのも当然これは付記すべきであって、定量化できないものまで定量化してしまうと問題になりますものですから、それは定量化していないということを明確にしておくということが必要であるかと思います。 いずれにいたしましても、主務大臣が定める目標を実現するために最大限の裁量制を独立行政法人の長に与えるというのがこの枠組みでございますから、その枠組みにやはり的確に従った運用というのがやはりまずもって必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○谷合正明君 ありがとうございます。 それでは、川本参考人にお伺いしますが、意見陳述の中で、独法の役員について公募をどんどん積極的にさせるべきという話がありましたが、これは昨年十一月二十五日にこの役員公募を、応募締切りをしたわけでありますけれども、このときに、二十八法人五十ポストを公募をいたしまして二千三百八十七人の応募があったということであります。結果的に、国家公務員OB十六人を含む四十ポストの役員が選任、これをされました。 まずお伺いしたいのは、今回の公募の在り方というか、結果も含めて評価をどのようにされているのか。というのは、やはり役員公募を行った独法の中に、例えば応募資格に国家公務員OBが有利となるような高いハードルがあったのではないかというような指摘もあるわけでありますが、まず昨年秋に実施したこの公募についての評価をお伺いしたいと思います。
○参考人(川本裕子君) その公募の結果についてそれほど情報を持ち得ているわけではないんですけれども、政権交代あるいは決まってから非常に短い期間の公募だったと思うんですね。そういう意味では、もっともっと周知をされるべきである、あるいはもっと周知をしていくという過程だというふうに思っております。 何せ初めての試みなので、どういう基準で選ぶのかという方針が本当にしっかり議論されたかというと、短い期間でありましたので、その辺にもう少し今後議論の余地があると思います。 それから、一人だけをお選びになるということですと、どうしても専門性などでお役所の出身の方が有利というのは免れないことだと思うんですね。ですから、そこで政治の意思でどういう方を入っていただくのかというようなことにもう少し踏み込んで、スペックですね、人材のスペックみたいなものをお出しになるということが大事かなと思います。 更に申し上げれば、変化をさせるということであれば、より民間の方を、まあ民間でもどなたでもいいんですけど、入れていくというような積極的なアクションがあってもいいのではないかなというふうに私は思います。
○谷合正明君 続けて、関連で質問いたしますが、民間の方が応募可能な公募要件としていくという、結果的にだれが選ばれるかというのはこれは最終的に判断があるかもしれませんが、その入口のスタートの時点で、その基準であるとか、またその応募要件といったところは広く民間出身者の方が参入、参入というか手を挙げられるようなことが私も望ましいと思っておるんです。 その際、独法の通則法第二十条第一項に規定しているのが、役員の任命要件が規定されております。この第一号と第二号がありまして、第一号で、当該独法が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者として定められていると。第二号で、前号に掲げる者のほか、独法が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者としておりまして、つまり、第一号が最初に来て、それで、そこが優先的にあって、第一号に掲げる者のほか第二号が規定されているわけでありますから、何か一々、独法の公募要件にいわゆる国家公務員OBが有利となるような、わざわざそういうハードルがあるんじゃないかなと私思っているわけであります。 そこで、例えば第一号と第二号はほぼ同文でありますから、第一号を削除するというような形の法改正ということも今後必要なのかなと思っておるわけですが、この点について、最後、川本参考人にお伺いしたいと思います。
○参考人(川本裕子君) 法改正というようなことも視野に入れられるのは、政治家の方ですとそういうことになるのかと思いますけれども、私は、ずっと民間で経営を見てきた者としては、やはり形を変えても運営方法が変わらなければ、幾ら箱を変えても変わらないということがあると思うんですね。 そういう意味では、高度な知識というのをどう解釈するかということであって、現在、第一番目の規定が、だから役所の人が有利だというのは、元々役所の人を有利に採ろうと思っている思想があるからではないかというふうに思います。そこのルールからそれが起こっているというわけではなくて、高度な知識といいましても、経営に関していえば、同じような、あるいは違った組織体でも、ある一定の経験を積んだ方であれば経営というのは幾らでも可能なわけですから、そこの横展開をできるような方を選べばそこにとらわれる必要がないのではないかと思います。
○谷合正明君 分かりました。 それでは、同じ件なんですけれども、山本参考人に、今、川本参考人にさせていただいた質問について、もし御見解があればお伺いしたいと思います。
○参考人(山本清君) 運用という問題もありますが、私は、最初のその業務についての知識、経験等を有する者等が公務員を特別に優先するために設定されているものではないと思っております。 現実に、一回目、二回目の公募状況等をウエブ上で見ておりますと、圧倒的に民間からの公募の方の方が多いんですね、現状においては。ですから、それが障害になって官の人が優先するということは、むしろ、何というんでしょうか、第三者の委員の方の見識にかかわっている問題であるかと思いまして、それは別だと思います。 ただ、問題は、それを余りにもしゃくし定規に考えて、当該独立行政法人の業務について非常に詳しい知識がないと駄目だとか、そういうような運用がなされれば一番問題であって、やはりそれなりに、例えば美術館とか博物館であれば美術館、博物館等についての全くの基礎知識がなくて経営だけの知識があるからだけでいいというわけにはやはりいかないのではないかというふうに思っております。 したがって、その条件はただ運用的にどういうふうに解釈するかということでございますから、最終的に法案を修正なされるかどうかはこれは国会の御判断でありますが、それは、現在の公募状況等を見ておりますと、それほど大きな制約にはなっていないのではないかと。多分、この第二回目の公募の選ばれる方は圧倒的に多分民間出身の方が多くなるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○谷合正明君 以上、ありがとうございました。 終わります。
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。 私どもは、独立行政法人制度の導入には反対をいたしました、当時。その理由は、国民の福祉や医療、教育など国民生活部門を徹底的に切り捨てるものになるのではないか、国が国民に対して負っている国民生活擁護の責任を放棄しようとしているものではないかという観点からでありました。 私は、独立行政法人の抜本的見直しというのであれば、こうしたそもそも国が担うべき公的責任とは何かという観点から見直すことが必要であって、ただ単に効率化優先、まず削減ありきという視点では抜本的見直しの名に値しないのではないかというふうに感じるんですが、お二人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(山本清君) それは先生御指摘のとおりでございまして、先ほど川本参考人からもお話がありましたとおり、独立行政法人というのは当然政策を所与としたもので、質の向上と効率性を達成するための一つの手段でございますものですから、国の政策あるいは政権の政策として必要なものであれば、当然それをいかに効率的に効果的にやっていくかということの一つのツールとして独立行政法人制度があるわけでございますから、政策そのものが必要であるかどうかという議論とは別の議論でございますものですから、政策の必要性については別途、当然国会の場において議論されるべきだというふうに考えております。
○参考人(川本裕子君) 今、山本参考人がおっしゃったとおり、独立行政法人というのはそのツールですから、その政策の部分においては国会できちんと議論をしていただいて考えていただくということだというふうに認識しております。
○山下芳生君 冒頭二人の意見を聞いておりまして、私も大変参考になる視点が多々ありました。例えば、山本参考人からは、なすべき業務量及び質が定義されていないと、経費削減かつ特定業務の成果達成に向かう危険性があるほか、説明責任も果たせないという御指摘がありましたし、川本参考人からは、これまでの経験から学ぶべき点として、財政支出削減が至上目的になる弊害等が指摘されました。 お話を伺いながら私の頭に浮かんだのは、トヨタ自動車のリコール問題なんです。御存じのように、トヨタは、命に直結するブレーキについて利用者から苦情が多数寄せられていたにもかかわらず、国交省に報告することもなくコンピューターの設計変更をこっそり行っておりました。この点は国会でも、前原国交大臣がトヨタはユーザー視点が欠けていて機敏な対応ができなかったと述べております。 現在のリコール制度がメーカーによる自主的な実施が基本となっていることはこれは是正が必要ではないかというふうに私感じているんですが、もう一つ、この問題を所管する国土交通省が自動車の欠陥を客観的に判断するために検査を依頼する独立行政法人交通安全環境研究所のリコール技術検証部の体制が国民の安全、安心を確保する上で極めて不十分だったのではないかと感じます。 この独立行政法人交通安全環境研究所の技術検証部というのは二〇〇〇年の三菱自動車のリコール隠しを機につくられた部署でありますけれども、人員の体制が表向きは十六名となっておりますが、常勤者はわずか一名しかおりません。あとはOBなどの非常勤職員の方でありまして、今回のトヨタの事故に対応されていたのは技術検証官一名と補佐人が一名のわずか二人だったと言います。 そして、国交省からこの問題を九月の下旬、昨年依頼を受けて、四か月掛かって結局、ブレーキの不具合というよりもブレーキ操作の遅れによる事故であるというトヨタ自動車の見解が現時点では妥当なものであるという結果を出しました。しかし、その間、手をこまねいている間に今年の一月、二月とアメリカで大問題になってリコールとなって、二月の八日、日本でもリコールとなったわけであります。 私が言いたいのは、これ人件費の削減、効率化優先の独法の運営が結局、いざというときに役割を果たせなかったのではないかということなんです。 お二人に伺いたいのは、これまで独立行政法人化された業務のやはり検証が必要ではないか、特に国民の安全や安心にかかわる部門の検証、見直しがされなければならないのではないか。そして、その結果、やはりこれは国が直接実施した方がよいという業務もあるのではないかと思いますが、お二人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(山本清君) 先生御指摘のとおりで基本的にはお考えに賛同いたしますが、まず、背景からいいますと、ですから私の陳述にも申し上げたとおり、独立行政法人は本来フレキシブルであって主務大臣が定める業務を的確に行う仕組みになっているにもかかわらず、実はフレキシブルじゃないような総人件費改革等の波が来ているわけですね。総人件費改革というのは常勤職員に対しての人件費削減なんですよ。ですから、まさしく総人件費改革の対象にならない非常勤職員等を増やして対応されているわけですね。 そうしますと、一応形式的には総人件費改革もクリアすることになるわけです。しかし、独立行政法人の本来のフレキシビリティーというのはトータルコストで与えられた仕事を的確にやることでありますから、私の陳述書に書きましたように、本来、独立行政法人に要請されているような業務の量と質をですからこそ的確に事前に主務大臣と独立行政法人の長が明らかに合意をしておく必要があるわけであって、それが全く不透明かつ不明瞭になっているから今のような問題が起こっている可能性があると思います。 それと同時に、安全、安心に係る場合については諸外国でもかなり微妙なスタンスを取っておりまして、こういった独立行政法人制度がいいかどうかというのも確かに議論があるところであります。イギリスのエージェンシーは確かに省庁内組織であるんですが、規制を担当しておりますエージェンシーについてはかなり独立性が主務大臣に対してあるような組織構造になっております。したがって、安全、安心に係る独立行政法人の長と主務大臣との関係については、独立行政法人通則法の枠内に収まるかどうかは別にいたしまして、少し違った関係の整理というのも場合によっては必要になるということも申し添えたいと思います。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 組織の弊害というのは様々なところから生まれますので、今回の事件が人件費の削減からきたのかどうかということについては私は存じ上げないのでコメントする立場にないと思います。 お話を伺って一言感じましたのは、財政支出削減が至上目的になってはいけないけれども、限られた資金をどれだけ必要なところにきちんと回すのかということこそ考えられるべきで、日本はもう信じられないぐらいの借金大国になってしまっていて、若い世代や未来の世代にもう物すごい負担を押し付けている段階にありますので、その辺についてどういうふうにバランスを取るのかは御英明な御判断を国会でお願いをしたいと思っております。
○山下芳生君 ありがとうございました。 続いて、ちょっと独法と直接かかわりがあるかどうか、大学の在り方について。 昨年の十一月二十四日に、北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学、早稲田大学、慶應義塾の九名の総長、塾長の皆さんが連名で、「大学の研究力と学術の未来を憂う 国力基盤衰退の轍を踏まないために」という共同声明を発表されました。 そこには、ごく一部ですけれども、「諸外国では国家戦略として大学や基礎科学への公的投資を続伸させています。一方、日本では、大学への公的投資は削減されてきており、OECD諸国中、最低水準にあります。この上、さらに財政的支援の削減がなされるとすれば、科学技術立国の基盤の崩壊、学術文化の喪失に至ることを強く憂慮するものであります。」と述べられて、五点、第一に「公的投資の明確な目標設定と継続的な拡充」、第二に「研究者の自由な発想を尊重した投資の強化」、第三に「大学の基盤的経費の充実と新たな枠組みづくり」、第四に「若手研究者への支援」、第五に「政策決定過程における大学界との「対話」の重視」ということを記されてあります。 お二人とも大学人であられますので、まず、今日のテーマと直接はかかわりないかもしれませんが、我が国の高等教育政策に対する御要望があればまず伺いたいと、その後で独法にも少しまた御質問をさせていただきたいと思います。
○参考人(山本清君) 基本的にはその談話等の意見については賛成でございまして、日本がOECD諸国の中で高等教育に対する公的支援の割合が最低であるというのもそのとおりであります。 ただ問題は、それについて日本の国力とかあるいは日本の経済活性化にどういうふうにつながるのかということについて、やはり我々大学人の方もより分かりやすく社会あるいは国会議員の皆様方に対して発信していく必要があるというふうに考えております。 以上でございます。
○参考人(川本裕子君) 大学だけでなく教育全般に対して日本の力の入れようというのが余り芳しくなかったということなので、今回、お金を使ってきたコンクリートから人へということで政権交代が起きたんだと思うんですね。そういう意味では、教育の重要さはどれほど強調してもし過ぎることはないというふうに思っております。 ただ、お金をとにかく使えばいいのかというと、もちろんお金も必要ですが、質の向上のためにどういう形で取り組んでいくのかということ。あらゆることはやり方あるいはその効果ということをきちんと見る、あるいは大学での教育というものがどういうことがなされているのかということをより世の中が考えていくべきことなのではないかなというふうに思っております。
○山下芳生君 そこで最後に、国立の試験研究機関について質問をさせていただきたいと思います。 国の機関として、高い公共性、中立性、そして長期的かつ広域的な視点から、これらの試験研究機関は科学技術の向上に大きな貢献をしてきたと思います。そういう機関が独立行政法人化されることによって三年ないし五年という短期的評価、また効率化と採算優先ということが求められることになって、やはり長期的かつ広域的な観点からの研究という点とこの独立行政法人化というものがなかなか相反することになっておりはしないかと。これは当初から危惧されていることですが、この点、お二人の御意見、いかがでしょうか。
○参考人(山本清君) 御懸念はそのとおりであると思いますが、重要なことは、上位の科学技術政策等において国立試験研究機関の役割等がより明確に位置付けられることがもっと重要ではないかと思っております。結果的に国立大学法人等も六年が中期目標期間の期間になっておりますものですから、たとえ現在の独法としての国立の試験研究機関の中期目標期間を国立大学法人並みに延ばしたところで基本的には大きな問題変わらないものですから、やはり国の科学技術政策の基本的な長期計画の中に国立大学あるいは私立大学も含めた大学の学術機関と国立試験研究機関、民間の試験研究機関を含めて位置付けが重要であろうというふうに考えております。
○参考人(川本裕子君) お答えというよりは、日本の大学はやはり研究機関としての位置付けが強過ぎて、教育機関としての位置付けあるいは評価というのがどちらかというと遅れがちなところが問題なのではないかなというふうに個人的には思っております。
○山下芳生君 ありがとうございました。 終わります。
○委員長(渡辺孝男君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、両参考人に一言御礼申し上げます。 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十二分散会