財務金融委員会 第15号
- 発言数
- 129 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2010/04/20
会議録
○玄葉委員長 これより会議を開きます。 金融に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君、副総裁西村清彦君、審議委員宮尾龍蔵君、理事水野創君、理事山本謙三君、理事中曽宏君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○玄葉委員長 去る平成二十一年六月十二日及び十二月十一日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、それぞれ国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁白川方明君。
○白川参考人 日本銀行は、昨年六月と十二月に、平成二十年度下期と平成二十一年度上期の通貨及び金融の調節に関する報告書をそれぞれ国会に提出いたしました。今回、最近の日本経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚くお礼申し上げます。 まず、最近の経済金融情勢について御説明申し上げます。 我が国の景気は、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、海外経済の改善や各種対策の効果などから持ち直しを続けており、その持続傾向がより明確になっています。輸出や生産は、新興国経済が力強い成長を続けていることなどを背景に、増加を続けています。四月初に公表された三月短観を見ますと、企業の業況感は、製造業大企業に加え、非製造業や中小企業にも広がりを伴いながら、引き続き改善しています。また、設備投資が下げどまっているほか、個人消費は、厳しい雇用・所得環境が続いているものの、各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直しています。 先行きについては、当面、我が国経済の持ち直しのペースは緩やかなものとなる可能性が高いと見ていますが、ひところ市場等で懸念されたような、景気が再び大きく落ち込む、いわゆる二番底に陥るおそれはかなり後退したと判断しています。その後は、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及するにつれて、我が国の成長率も徐々に高まってくると予想しています。 金融環境を見ますと、厳しさを残しつつも、緩和方向の動きが強まっています。企業の銀行からの借入金利は、日本銀行による金融緩和に加え、金融機関の融資姿勢の積極化もあって、低下傾向が続いています。CP市場では、リーマン・ショック以前を上回る良好な発行環境となっています。また、社債市場も良好な発行環境が続き、低格付社債にも改善の動きが見られています。この間、企業の資金繰りは、中小企業ではなお厳しいとする先が多いものの、これらも含め、全体として緩和方向の動きが続いています。 物価面では、生鮮食品を除くベースで見た消費者物価の前年比は、経済全体の需給が緩和状態にあるもとで下落していますが、その幅は昨年八月をピークに縮小傾向を続けています。先行きの物価の基調的な動きは、マクロ的な需給バランスと中長期的な予想物価上昇率に規定されます。この点、今年度から実施される高校授業料の実質無償化等によって、統計上、消費者物価指数の前年比は一年間にわたって低下しますが、物価の基調的な動きを判断する際には、このような制度変更に伴う変動要因を取り除くことが必要となります。そうした物価の基調という点では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移すると見込まれる中で、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、今後も、消費者物価の前年比下落幅は縮小していくと考えています。 以上、経済、物価に関する中心的な見通しを申し上げましたが、日本銀行では、このような見通しをめぐるリスク要因についても十分意識しています。 まず、上振れ方向のリスクとしては、新興国や資源国の経済が挙げられます。新興国、資源国経済の力強い成長は、我が国経済のこれまでの持ち直しを牽引してきました。これがさらに強まる場合には、我が国の景気が上振れる可能性があります。一方、下振れ方向のリスクとしては、ひところより低下しましたが、米欧のバランスシート調整の帰趨や、企業の中長期的な成長期待の動向などがあります。また、最近の国際金融面でのさまざまな動きとその影響についても、引き続き注意が必要です。 物価面については、新興国や資源国の高成長を背景に資源価格が上昇する場合には、物価上昇率が上振れるリスクがあります。一方で、中長期的な予想物価上昇率が低下することなどによって、物価上昇率が下振れるリスクもあります。 以上を踏まえ、金融政策運営について御説明申し上げます。 日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識しています。そのため、物価の基調的な動きを規定する二つの要因に即して、さまざまな施策を講じています。 まず、マクロ的な需給バランスの改善に働きかける施策として、金利面では、政策金利を実質的にゼロ水準に据え置いています。また、長目の短期金利のさらなる低下を促すため、〇・一%という極めて低い金利で期間三カ月の資金を供給する手段を昨年十二月に十兆円規模で導入し、先月にはこれを二十兆円に増額しました。資金供給面では、この手段も含め、各種の資金供給手段を活用しながら、潤沢な資金供給を続けています。さらに、以上のような極めて緩和的な金融環境を粘り強く維持していく姿勢を明らかにしています。 物価を規定するもう一つの要因である予想物価上昇率に関しては、人々の物価に対する見方が下振れないよう、中長期的な物価安定の理解という形で、消費者物価の前年比がプラスの状態を実現することが大事であるという姿勢をはっきりと示しています。 日本銀行としては、デフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長を実現するため、今後とも、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針です。 ありがとうございました。
○玄葉委員長 これにて概要の説明は終わりました。 —————————————
○玄葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野塚勝俊君。
○小野塚委員 民主党の小野塚勝俊でございます。 本日は、質問の機会をいただきまして、委員長、理事、委員の皆様、まことにありがとうございます。また、総裁初め日銀の皆様、当委員会にお越しいただきましてありがとうございます。 冒頭、質疑に臨みまして、私の考えを申し上げたいと存じます。 本日、これから行われます日銀半期報質疑は、日本銀行の独立性を考える上で大変に重要な場であると考えます。我が国の中央銀行たる日本銀行は、通貨の発行など、国家の根幹、特に経済の根幹を担う、大変に重要な役割を担う組織でありながら、政府からもまた国会からも独立した組織であります。 政府と日銀の関係については、政府が日銀の最も重要な会議であります金融政策決定会合の場に出席したり発言をしたり、また今般は、四月九日、総理と日銀総裁が会談をしたり、これは今後定期的に行われるということのようでございますが、意思の疎通が保たれています。 一方、国権の最高機関であり、国民の皆様に国家の議論を託された国会議員が集う国会との関係はどうでしょう。 金融政策決定会合のメンバーである正副総裁及び審議委員は、国会の両院の同意を経て就任されます。 また、日本銀行法が平成十年四月から新しくなり、日銀の独立性は高まりました。その一方で、同法五十四条において国会に対する説明責任が課せられています。この五十四条で定められたのが本日の日銀半期報質疑であり、その意味から、日銀の独立性を担保する大きな一つが本日の審議にあると考えます。 さらに、本日は、昨年の衆議院総選挙後初の、新しい衆議院のメンバーとなって行われる初めての半期報質疑であります。 これらの意味を考えますと、日銀の皆様におかれてはもちろんのこと、委員会のメンバーの皆様におかれましても、本日の日銀からの報告、説明、そして質疑は意味の重いものであると考えます。 そこで、総裁にお伺いいたします。 改めて、日銀の独立性についていかがお考えでしょうか。
○白川参考人 お答えいたします。 日本銀行の目的それから機能等につきましては、日本銀行法に定められております。国会で審議の結果、日本銀行の目的は、物価安定を通じて国民経済の健全な発展に資するという目的が明確に定められております。 その金融政策を決定するための枠組みとして、政策委員会それから金融政策決定会合の枠組みが規定されておりまして、そこでは、さまざまな意見を集約し、その上で、日本銀行の責任と判断において金融政策を決定するということが決められております。ただ、その際に中央銀行が独善に陥ってはならないということも、これは法律に規定されております。その意味で、政府との関係、国会との関係でも十分な意思疎通を図るということがうたわれております。 私としては、そうした日本銀行法の規定を重く受けとめた上で、物価安定のもとでの国民経済の健全な発展に邁進していきたい。それがいわゆる独立性ということの真髄であるというふうに理解しております。
○小野塚委員 それでは、具体的な質疑に移りたいと思います。 まず最初は、現在行われている金融政策の評価についてでございます。 先ほど、総裁の概要説明の中でもございましたとおり、日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとで持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識している、また、日本銀行としては、デフレから脱却し、物価安定のもとで持続的成長を実現するため、今後とも、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針とおっしゃっています。 日銀におかれましても、デフレが現在の日本経済における大きな課題であるという御認識はあると思うんですが、そのデフレを脱却するための方策といたしまして、日銀が、インフレーションターゲティングを導入してはいかがかという議論がございます。 そのインフレーションターゲティングに関しまして総裁は、本年二月十八日の金融政策決定会合後の記者会見で、インフレーションターゲティングは英国やカナダなどでは定着しているが、今回の金融危機を通じて、インフレーションターゲティングという枠組みについても反省の機運が生まれている、また、足元の物価上昇率が目標物価上昇率を下回る状況が長く続くもとで、物価の動向だけに過度の関心が集まった結果、物価以外の面では静かに蓄積されつつあった金融、経済の不均衡を見過ごし、結果として金融危機発生の一因になったのではないかとの問題意識が、以前に比べ高まっているように思うとおっしゃっています。 ここでおっしゃっているインフレーションターゲティングという枠組みについての反省の機運や物価以外の面では静かに蓄積されつつあった金融、経済の不均衡とは具体的にどのようなことであったのか、御説明をいただければと思います。
○白川参考人 インフレーションターゲティングは、金融政策を運営する上での一つの枠組みであるというふうに思っております。 一九八〇年代の後半から、最初にニュージーランド、それから幾つかの国が採用し、次第に採用が広がっていったということでありますけれども、このインフレーションターゲティングの枠組みについて、現在さまざまな反省の機運というものもまた同時に高まっているというふうに思います。 これは幾つかの側面がございますけれども、二つの経験を御説明したいと思います。 一つは、これはインフレーションターゲティングを導入した当初に見られた問題であります。典型的にはニュージーランドでございますけれども、制度の導入当初、短期的な物価安定を目的に、いわば厳格にその物価目標を実現するという政策運営を行った結果、結果として大幅な景気の変動、落ち込みを招くといった事例も見られました。 こうした経験から、インフレーションターゲティングは、短期的な物価目標の追求ではなくて、中長期的に経済がバランスよく発展することを目指した弾力的な政策運営が行われるようになったということ、これが最初の経験でございます。 二つ目、これが、今議員が御指摘になった記者会見での発言の念頭にあった経験の方でございますけれども、今回の金融危機の経験であります。 振り返ってみますと、二〇〇〇年代の半ば、世界的に物価が安定するもとで、経済の状況は非常に良好でございました、高い成長が続き、全体に経済の変動も小さいということで。そういう中で、物価上昇率の短期的な動向にいわば過度の関心が集まったということは否めなかったように思います。その結果、金融緩和が長期にわたって続いたわけでありますけれども、その過程で起きたことは、例えば、信用が膨張する、あるいは、レバレッジと言っていますけれども、要するに借金をきかせてリスクをとっていく、そのレバレッジの拡大、あるいは資産価格の上昇、あるいは、金融機関が短期で資金調達をして長期で資金運用をする長短の期間ミスマッチ、こうした現象が実は起きまして、その間にリスクがだんだんに蓄積していったということであります。こうしたリスクが蓄積されますと、ある段階を通じてそれが巻き戻しということになってきて、結果、経済の大きな変動を今回もたらしたということであります。 その意味で、物価の安定は非常に大事ですけれども、しかし同時に、物価以外の面にあらわれますさまざまな金融的な不均衡にも注意を払う必要がある、そういう反省機運が高まっているということでございます。
○小野塚委員 ありがとうございます。 また、この会見の中で総裁は、現在日銀が行っている金融政策は最適な枠組みであるとおっしゃっています。なぜ、インフレーションターゲティングなどと比べても最適な枠組みと言えるのか、その理由についてわかりやすく御説明をいただければと思います。
○白川参考人 各国それぞれ、金融政策の枠組みについて最適な枠組みを追求しておりますけれども、日本銀行が現在行っています枠組みを簡単に最初に御説明したいと思います。 まず、日本銀行の金融政策の目的というのは、これは物価の安定を通じての国民経済の健全な発展でございますから、中長期的な物価安定というものがどういうものかということについて明らかにしております。すなわち、消費者物価の前年比で二%以下のプラス、中心値は一%という上昇率を念頭に置いた上で、いわゆる二つの柱による経済、物価情勢の点検を行うということでございます。 この二つの柱でございますけれども、第一の柱というのは、先行きの経済、物価情勢について、相対的に蓋然性が高いというふうに我々が判断します見通しについて点検を行っております。展望レポートでは、先行き二年程度の見通しを出しております。第二の柱では、先ほど触れました中長期的なリスクということも意識しながら、より長期的な視点も踏まえつつ、金融政策の運営の観点から重視すべきリスクについて、例えば資産価格であるとかあるいは信用の膨張、こういった金融的な不均衡の蓄積についても点検をしております。 そうした意識的な二つの点検を踏まえた上で金融政策を行っていくということは、先ほど申し上げた短期的な物価動向だけに焦点を当てた場合に起こり得る失敗というものについて、これは目配りができているということでございます。 一方、インフレーションターゲティングのよいところ、つまり、我々が最終的にどういう物価上昇、物価安定を目指すのかについて、これははっきりと我々の理解という形で示しております。 そういう意味で、私としましては、日本銀行としましては、インフレーションターゲティングのよいところは取り入れて、その上で欠点に対しては対応し、いわばインフレーションターゲティングの枠よりもさらに進化した、そうした枠組みであるというふうに思っております。 ただ、これがもちろんベストだというふうに常に言うわけにはもちろんまいりません。経済、金融は常に変化してまいりますので、常にどういう枠組みがいいのかを真剣にまた考えていきたいというふうに思っております。
○小野塚委員 ありがとうございます。 次に、ちょっと話題をかえまして、長期金利に関連して伺いたいと思います。 現在、我が国の国債発行残高は、普通国債だけとってみましても六百兆円を超えて、さらに、残念ながら今後も増加傾向にあります。財政状況を踏まえますと、長期金利はいつ上昇してもおかしくないという議論がありますが、そのような状況にもかかわらず、現在、我が国の長期金利は他国に比べて低い水準です。また、金利が上昇するという話は十年以上前から言われていますが、結局この十年間、国債残高は増加し続けていますが、長期金利が二%を超えることはほとんどなく、足元では一・三%台の水準となっています。 このように長期金利が他国に比べ低い水準にある理由について、どのように分析されていますでしょうか。
○西村参考人 長期金利は、日々さまざまな要因で変動いたします。そうした変動をならしてみますと、恐らく三つに分解できると思います。 一つは、将来の経済成長率、これは企業の成長期待を含めた形のものですが、これと、それからもう一つは、物価上昇率に関する市場の見方、期待物価上昇率という形になります。それから三番目が、債券を保有することに伴うさまざまなリスクに応じた上乗せ分に対応します。これがいわゆるリスクプレミアムと呼ばれているものです。 委員御指摘のとおり、現在、我が国の長期金利は、ほかの先進国と比べても、低位で安定的に推移しています。こうした動きは、基本的には最初の二つでありますが、我が国の経済、物価に対する市場の慎重な見方を反映したものだというふうに考えることができます。これに加えて、三番目のところですが、現在の財政及び金融政策運営のもとで、これまでのところは、国債保有に関するリスクプレミアムの高まりというのが回避されている。そういうことがあるために、この三つが重なって、長期金利の低位安定に寄与しているんだというふうに考えております。 以上です。
○小野塚委員 国債に関する議論といたしましては、日銀による国債の引き受けや、マーケットからの国債買い入れの増額なども言われたりしていますが、今後、必要以上に長期金利を上昇させない方策といたしまして、日銀としてはどのようなことをお考えか、お示しいただければと思います。
○西村参考人 長期金利を安定的に保つためには、先ほど申し上げました国債保有に関するリスクプレミアム、これが高まらないようにするということが必要であります。 そのため、二つの点が重要だと考えております。 一つは、我が国の厳しい経済情勢を踏まえますと、財政規律に対する市場の信認、これを引き続き確保していくということが重要だというふうに考えております。また二番目は、金融政策面においては、物価安定のもとで持続的経済成長を目的とした政策運営をしているという日本銀行の方針に対する市場の信認、これを維持するということが非常に重要だと考えます。 この二つが合わさって、長期金利の安定的な形成ということが可能になるんだというふうに考えております。
○小野塚委員 ありがとうございます。 金融の世界においてまさにそれを進めていただきたいですし、政治の分野におきましては、今お言葉をいただきました財政規律に関しては、しっかりこの財務金融委員会でも議論をしていかなければいけないと肝に銘じたいと思います。 続いて、金融行政に関連してお話を伺えればと思うんですが、金融行政、日本銀行の信用秩序、プルーデンス政策のあたりのことなんですけれども、新政権のもとでは、昨年の臨時国会で成立いたしました中小企業円滑化法など、亀井金融大臣のお言葉をかりればコペルニクス的転換が金融行政では行われました。このことに伴いまして、日銀の考査手法などについてどのような影響を与えているかについて伺えればと思います。
○山本参考人 お答えします。 まず、企業の資金繰りでございますが、全体としては緩和方向の動きが続いていますものの、中小企業ではなお厳しいと見る先が多いと私どもも認識しております。私どもも、金融機関が経営の健全性を確保しながら円滑な金融仲介機能を発揮して企業活動をサポートしていくこと、これが一層重要な課題になっていると認識しております。 こうした認識のもと、考査、オフサイトモニタリングでは、まず、リスクテークの前提となりますリスク管理体制について、金融機関がその充実に努めているかどうかを検証しております。また、企業を審査する能力、いわば目ききの力と言われるものでございますが、そうした目ききの力の向上に努めているか、あるいは企業再生を支援するための体制整備を進めているかについて点検しまして、必要な助言を行っているところでございます。また、モニタリングの関係では、日本銀行の本支店のネットワークを活用しまして、地域における中小企業金融の実態について、よりきめ細かく把握するよう努めているところでございます。 これらの取り組みを通じまして、今後とも、金融機関が適切なリスク管理のもとで円滑な金融仲介機能を持続的に発揮していくことをしっかりと促していきたいと考えております。
○小野塚委員 ありがとうございます。 低金利が長期化いたしまして、また、貸し出しが伸びていないという中でございます。安定的な金融システムを維持するに当たりまして、先日、日本銀行さんでもFSR、レポートを発表なされていましたけれども、金利リスク、また信用リスクという観点から、特に日銀としてどのような対策をとっていらっしゃるか。私たち新政権といたしましては、コペルニクス的転換をした金融行政に伴って、日本銀行さんは独立した機関としてぜひその点をチェックいただきたい、また御示唆をいただきたいと思うのでございますが、信用リスク、金利リスクなどの観点から日本銀行としての対策について伺えればと思います。
○山本参考人 まず、我が国の金融システムの現状でありますけれども、国際金融危機の影響を受けながらも、米欧に比べますと相対的に安定性を維持してきたと考えております。また最近では、金融機関が増資により自己資本基盤の充実を図るなど、金融システムの安定性を高める動きも見られております。 もっとも、景気持ち直しのペースが緩やかにとどまるもとで資金需要が減退しておりまして、貸し出しが弱まっております。運用資産の金利も低水準であります。この結果、金融機関の収益は回復力に乏しい状態にあります。また、リスク管理の面でも、信用コストでありますが、信用コストは発生しやすい状態にあると考えております。金利リスクも、債券投資が増加しておりまして、それなどに伴い蓄積される方向にあります。 こうした状況を踏まえまして、日本銀行としては、金融機関と対話を重ねながら、必要に応じて助言、指導を行っております。まず第一に、信用リスクでありますとか金利リスクといった各種リスクを適切に管理して経営の健全性を確保すること、それから、企業再生あるいは新規事業の支援、そうした多様化します企業の金融ニーズに的確に対応したサービスを提供すること、そのことによって収益性の向上を図ること、こういうことであります。 今後とも、考査やオフサイトモニタリングなどの場を通じまして、金融機関が適切なリスク管理を通じて円滑な金融機能を発揮していくことをしっかりと促していく考えでございます。
○小野塚委員 ありがとうございます。 それでは、それらの議論を踏まえて、実は最後に最も一番お聞きしたかったのは、今後、日本が持続的な成長を続けるためにどのようなことが必要なのかというのを、私たち国会議員でも、また政府でも御議論をしているところだと思うんですが、日本銀行のお考え、総裁のお考えを、ぜひここは、できれば長くお答えをいただければと思います。いろいろな御示唆をいただければと思うので、よろしくお願いいたします。
○白川参考人 日本銀行は、金融政策、それから金融政策を通じて物価の安定、それからさまざまな金融システムの対策を通じて金融システムの安定を図るということが主たる任務でございます。今議員の御質問は少し広い範囲でございまして、私自身の所掌を超えるものもありますけれども、その点は御了承ください。 現在、我が国は、少子高齢化や生産性の伸びの低下などを背景にしまして、趨勢的な成長率の低下といいますか、潜在成長率の低下という大きな問題に直面しているというふうに認識しています。現在のいわゆるデフレの状況も、日本経済が抱えるこうした根源的な問題がいわば集約的にあらわれた現象だというふうに認識しております。その意味で、私としては、この潜在成長率をどのようにして引き上げるのかということが極めて大きな課題だというふうに認識しています。 この課題でございますけれども、まず、少子高齢化あるいは人口減少の件でございますけれども、これ自体は、短期的には大きくは変えがたい話でございます。しかし、そうした人口のトレンドの中にあっても、この人口を最大限有効に活用する、つまり、女性あるいは高齢者の労働市場参加率を高めていく、働きやすい環境をつくっていくということが非常に大事だというふうに思っております。 二つ目の、経済全体の生産性をいかに高めていくかという課題でございますけれども、生産性を向上させるためには、これは多少抽象的な言い方になりますけれども、情報化やグローバル化、あるいは少子高齢化といった経済環境の大きな変化を踏まえまして、潜在的な需要を掘り起こして、需要に合致した財やサービスの供給体制を整備するということが必要だと思います。 多少青臭い話でありますけれども、需要というのは、変化の起こるところに必ず生じるものだというふうに思います。現在、日本経済は極めて大きな変化、つまり、高齢化、これは例えば介護というサービスに対する需要を高めていますし、それから、新興国の成長ということ、これも大きな需要の源泉であります。これは、単に現在、自動車とかあるいは家電の需要が高まるということだけではなくて、現在の勢いで例えば自動車が新興国で普及していきますと、これは単純計算でわかりますとおり、環境に対しては物すごい負荷がかかってくるわけであります。この環境問題にどう対応するかということで、さまざまなニーズが発生しているわけでございます。そうしたニーズ、需要に合致した供給体制を整備するということでございます。 そのためには、これは企業の中でもそうですし、それから企業間、産業間、それから地域間、国際間といったさまざまなレベルで資源の最適配分が実現されていくということが大事だというふうに思っています。こうした取り組みの原動力は、これは過去もそうでしたけれども、企業のイノベーションだというふうに思います。 現在、我が国の企業は、先ほど申し上げましたような日本のマクロ的な経済状況も見て、我が国の将来の成長や、あるいはそのもとでの企業戦略に対して自信が持てないという状態が続いているように思われます。その結果、悲観論が広がっているということでございますけれども、私としては二つのことを感じております。 一つはまず、現在起きている事態について正確に認識し、この問題の性格を理解し、問題に正面からぶつかっていく、取り組んでいくということであります。 二つ目は、今、やや過度に悲観的になっている面もあるように私は思います。冷静に見てみますと、日本の経済にはさまざまな強みがあることも事実でございます。 今回、日本の金融システムは、米欧に比べまして頑健でありました。それから、もともと日本の企業は技術水準が高いという強みを持っております。それから何よりも、世界で最も成長センターである中国あるいは東アジア諸国を隣に有している、地理的に近いということでございます。そういう意味で、私としては、日本の企業がいわば過度の悲観主義から脱却し、その上で、現在我々が直面している本質的な問題を冷静に認識し、これは企業だけじゃなくて、政策当局も含めてですけれども、さまざまな対策をとっていくということであります。 では、何が必要かということでございますけれども、民間経済主体の前向きな対応を可能にするような土台の整備が必要だと思います。 具体的には、第一に、既存の制度がグローバルな競争上我が国企業の努力を阻害していないか不断に点検し、もしそうしたものがあれば、これは速やかに見直していくということだと思います。 第二に、規制の点検や金融市場の整備等を通じて、生産資源がニーズの高い分野に流れるよう、経済構造の柔軟性を高めていくことが必要だと思います。 そして最後に、個人や企業が安心して新たな事業にチャレンジできるよう、セーフティーネットを整備することも重要だというふうに思います。 多少抽象論で、かつ長くなって恐縮でございますけれども、以上のように考えております。
○小野塚委員 ありがとうございます。 総裁のお言葉というのは、ちょっと耳に入りづらいところもあるかもしれませんが、しかし、今伺っているお話は本当に示唆に富むお話だと思います。改めてしっかりと受けとめて、私も議員として頑張ってまいりたいと思います。 本日はどうもありがとうございました。
○玄葉委員長 次に、今井雅人君。
○今井委員 民主党の今井雅人でございます。 私は、銀行におりましたころ、日銀の皆様には大変お世話になっておりまして、特に後ろにおられる中曽理事には非常にお世話になっておりまして、そういう立場から、きょう質問させていただくことを本当に光栄に思います。ありがとうございます。 二十五分という時間でございますので、聞きたいことはたくさんあるんですけれども、できるだけ絞ってきょうはお伺いしたいということで、デフレーションと金融政策ということを中心にきょうはお伺いをしてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。 まず最初に、今日の日本、デフレーションが非常に深刻であるという問題があるわけでございますけれども、一つに、金融危機の後の景気循環、大幅な景気後退による物価下落ということがあろうかと思いますが、この金融危機の発祥であるアメリカ、既にもう消費者物価指数はコアでも年率で一%を超えている、アメリカですら物価は上昇傾向にあるという中で、日本は依然として物価が下落傾向にあるということで、この数年間を見ましても、世界で非常に特殊なデフレーションのスパイラルに入っているということが言えようかと思います。 もちろん景気のサイクルということもあろうかと思いますが、今、日本がほかの国とは違って、デフレーションのスパイラルに入ってしまっているこの特殊要因が何であるのかということを、今、日銀としてどういう御認識をお持ちか。まず、これをお伺いしたいと思います。
○白川参考人 我が国の物価上昇率が、近年、他の先進国と比べましても低位で推移している背景としては、次の二つの要因があるというふうに考えております。 第一は、労働市場における調整の仕方の違いでございます。 今回の世界的な金融危機の局面において、欧米を見てみますと、失業率が一〇%程度にまで大幅に上昇する一方、一人当たりの賃金の伸びはプラスで推移する国が多いわけでございます。これに対し、我が国ですけれども、失業率は上昇いたしましたけれども五%台半ばで、上昇の幅としては、欧米が二、三%ポイント、それに対して日本は一%未満ということで相対的に小さかったわけであります。他方で、賃金はマイナスということで、現在、前年比マイナス三%という数字になっております。 このように、我が国の特色は、賃金が調整され、一方、失業率は欧米ほど上がらなかった。これは、実はコインの裏表の関係でございまして、労使ともに、もちろんいろいろな厳しい情勢の中で、雇用の方を確保しようということで賃金の調整がなされたということであります。失業率という意味では先ほど申し上げたようなことでありますけれども、しかし、労働集約的なサービスを中心として、消費者物価の下落圧力として働いているということがほかの国とは違っております。これが第一点でございます。 それから第二点は、バブル崩壊以降低成長が長期間続きまして、日本経済の先行きに対して悲観的な見方が強まる中で、家計や企業の中長期的な成長期待が弱まっているということでございます。その結果、個人消費や設備投資が持続的な形で増加しにくくなっているということも影響しているように思います。 最後に一点だけ加えますと、実はアメリカも、食料とエネルギーを除くコアの消費者物価というものがこのところじりじりと下がってきておりまして、そういう意味で、米国についても、物価の上昇率の低下傾向に対してどういうふうに診断して、どういうふうな政策をとっていくのかということが今議論されております。
○今井委員 ありがとうございました。 今御指摘のように、雇用環境の特殊性というか、これはむしろ日本のいいところであると思いますが、それが一つの物価上昇につながらない原因である。それから、期待成長率が低いというお話がありましたが、そういう特殊な環境の中にあるということであれば、なおさら金融政策は大胆に行っていかないと、なかなかその効果は出てこないということではないかというふうに思います。 この金融危機におきましてさまざまな政策が打たれてきて、政策金利を引き下げて〇・一%まで下げた後に、ほとんどゼロ金利ですから、この後は量的緩和的な対応がいろいろなされてきまして、直近では、固定金利オペが昨年の十二月には十兆円程度の規模、それからことしの三月には二十兆円程度ということで、ただいま残高が十七、八兆円ぐらいというふうにお伺いしておりますが、こうした量的緩和等の政策が現在どの程度効果が出てきているという御認識でいらっしゃるか、これをお伺いしたいと思います。
○白川参考人 今、議員の御質問は、量的な緩和を中心として、現在日本銀行が行っています金融政策がどういうふうな効果を発揮しているかというお尋ねでございました。 多少、現在我々がデフレ問題に対して金融政策上どういうふうに取り組んでいるかということを最初に御説明し、その上で御質問にお答えしたいと思います。 物価上昇率を左右する要因は、大きく分けて二つでございます。一つはマクロ的な需給のバランス、もう一つは中長期的な予想物価上昇率であります。したがって、日本銀行の政策も、この二つの要因に向けて対応策をとっていくということが基本になってまいります。 まず、需給バランスの改善ということでございますけれども、これは金融政策の面からしますと、家計や企業の経済活動をしっかり下支えすることで需要の不足を解消するということがそのルートになってまいります。 政策金利を、実質的に今ゼロということで、世界で最も低い金利まで下げ、また、長目の金利を低下させることを促すということで、今先生御指摘の措置をとっております。加えて、現在の極めて緩和的な金融環境を維持するという明確な方針を示しております。そうしたことを通じて、需要を高めていくという努力をしております。 一方、予想物価上昇率の下振れを回避するという観点からは、中長期的な物価安定の理解という形ではっきりと我々の考えている姿を示しておりまして、プラスの状態を実現することが大事であるという姿勢を明らかにしております。 量的緩和ということで申し上げますと、日本銀行は、前回の二〇〇一年以降、いわゆる量的緩和を採用して、当座預金にターゲット、目標を定めて、これをふやしていくという政策をとってまいりました。あの量的緩和政策についての我々の評価というのは、これは金融システムの安定には極めて効果があったというふうに思っております。ただ、経済活動を刺激していくという面で見ますと、これ自体として大きな効果があったというふうには認識しておりません。 ただ、我々として、潤沢に量を供給することが大事だと思っていますので、これをどういうふうな名前で呼ぶかは別にしまして、潤沢な量は供給しておりますし、これからもしていきたいというふうに思っております。
○今井委員 ありがとうございました。 今、総裁のお言葉の中に、プラスの物価ということでお話がありました。多分これは、今現在ある中長期的な物価安定の理解というところにつながると思うんですけれども、中長期的な物価の安定の理解という中のこの中長期という言葉、これは具体的には何年程度ということで想定していらっしゃいますか。
○白川参考人 まず、我々自身の経済、物価の見通しということで申し上げますと、これは展望レポートで見通しを公表しておりまして、大体二年程度の見通しを公表しております。 物価がプラスという状況が年度の平均の数値として実現する、現在そういう見通しになっているかというと、これはそうではございません。ただ、我々として、そういう物価安定のもとでの持続的な経済成長の道が開けているかどうか、つまりそういうふうな軌道に今我々が乗っているかどうかということでいきますと、我々自身としてはそうした方向に向かっているというふうに思っております。 それで、中長期の長さでございますけれども、実は、これは日本銀行に限らず、例えばインフレーションターゲティングを採用している中央銀行の多くはそうでございますけれども、中長期とかあるいは景気のワンサイクルを通してというような形で表現しておりまして、必ずしもこれを何年という形では表現しておりません。 これはなぜそういうふうに表現していないかと申しますと、先ほど別の議員の質問に対してお答えしましたように、物価の安定それだけを追求していこうと思うと、結果として経済全体のバランスが崩れることもあり得る。その意味で、その中長期について明示的に何年というふうに必ずしも定めていない中央銀行が多くて、日本銀行もその意味では同じでございます。 ただ、そのことは、こうした状況を放置していいということではもちろんございませんで、最大限努力していきたいと思っています。
○今井委員 ありがとうございました。 今までいろいろ質問してきたことには実は意味がございまして、先日、日銀の方とお話をしている中で、物価が今非常に下落しているというところで、相変わらず足元のところがまだ物価が上昇していかない、金融政策としてもっと大胆にやるべきなんじゃないか、量的緩和をもっと大胆にやるべきじゃないかということをお伺いしましたところ、これは中長期的に物価を上昇していくための政策であるので適切だと思っているというような意見をお伺いしまして、少し私は危機感を覚えたんです。 というのは、今、民主党の方でもデフレ議連というのが立ち上がったりして、デフレに対して、今一番この日本の大きな問題であるということは、恐らくいろいろな方の共通認識じゃないかなと思うんですね。その中で、足元のところが物価が上がっていないけれども、中長期的に上がっていくんだからいいんだ、こういう論調で金融政策をやられてしまうと、それこそ金融政策というのは、ここの監視性というか妥当性は一体どうやって担保されるんだということを私は実は考えております。 先ほど、小野塚議員の方からインフレターゲットというのがありましたが、イギリスなどでは、インフレターゲットの幅をつくって、そこから逸脱すると財務大臣に書簡を出すというような制度がありまして、しっかりとその場面場面で、これからどうやっていくんだということを、対応をとっていくということを表明しなきゃいけないわけですね。 日本がそのインフレターゲットを採用するか否かということに関しては議論があると思いますが、足元のデフレの状態を本当に日銀として克服していくんだという強い決意を、私は国民の一人としてもぜひお伺いしたいんですね。それを中長期的、中長期的というふうに言われてしまうと、何だか逃げているんじゃないかというふうに感じざるを得ないときも場面場面ではあるわけなんです。 ですから、きょう総裁に、デフレを克服するということに対しての日銀としての強い決意をぜひお伺いしたいなということで御質問をさせていただいたんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○白川参考人 日本銀行は昨年来、たびたび申し上げていますとおり、デフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的な経済成長軌道に復帰することが極めて重要であるという認識を、もうこれは繰り返し繰り返し申し上げております。私の言い方がじゅんじゅんとしているかもしれませんけれども、私自身はその決意は非常に、私もそうですし、それから、政策を決定します決定会合の政策委員のメンバーも同様の認識に立っている。だからこそ、ああいう文書を出しております。 そのことを申し上げた上で幾つかの点を申し上げたいわけですけれども、物価は、基本的には経済全体の需給のバランスを反映して決まってまいります。物価が上昇していかないということは、やはりそれは需要が弱いということでございます。この需要を盛り上げていくというためにさまざまな努力が必要でございます。日本銀行は、金融政策という面から最大限努力をやっておりますし、今後とももちろん行ってまいります。 ただ一方で、金融政策だけで需要をつくり出していくことには限界があるということも、これは日本銀行の責任を放棄しているということでは全くなくて、通貨の運営に責任を持つ者としてやはり申し上げる義務があるというように思って申し上げております。 あと、先ほどの需給バランスと物価との関係でございますけれども、現在物価上昇率がマイナス一・二でございますけれども、これがプラスになるということは、つまり一・三%以上上昇しないといけないということを意味するわけでございます。例えば、過去一年間に物価上昇率が一・三%ポイント上がったケースはどういう時期にあったんだろうかということを日本それから欧米で見てみますと、実はこうした時期に限られております。 日本でいきますと、一つは消費税を引き上げた時期、一九九六年、七年のあの時期でございます。もう一つは二〇〇七年から二〇〇八年、つまり、国際商品市況が上がって、その結果、食料品あるいは石油製品が上がった時期でございます。 実は、同じことはアメリカでもそうでございまして、つまり、一年間にそれだけ上がってくるという時期は、国際商品市況が大きく上がったという時期を除けば、基本的にはないわけでございます。 そういう意味では、これは時間がかかって、私どもとしてももちろんじれったい思いはしますけれども、需給バランスをしっかり改善していくということが王道であるというふうに考えております。
○今井委員 ありがとうございました。 ちょうど今商品市況の話が出ましたので、次にその質問をさせていただきたいと思うんです。 現在、日本で消費者物価指数というのを一つのメルクマールにしていると思いますが、これは、いわゆる除く生鮮品のコアというのを今一つの指標としてごらんになっているというふうに理解をしておるわけでございます。御案内のとおり、アメリカの場合はエネルギーを入れたコアというのを見ているということだと思いますが、ちょうど二〇〇六年の四月に日銀レビュー、これは当時の企画局の白塚さんが書かれておりますが、そこにこういう記述がありまして、ちょっと読ませていただきます。 日本のエネルギー関連価格は、一九九〇年代前半までは、原油価格の変動につれてやや大きく変動していたが、一九九〇年代後半以降、振れ幅は小幅化していることなどが指摘できる、我が国では、これまでコア指標として主に、除く生鮮食品が利用され、米国と異なりエネルギーは控除されてこなかった、上記のような日米の違いを考えると、我が国CPIを見ていく上で、除く生鮮品に注目していくことはそれなりの合理性を有していたと思われるというコメントがありまして、これが今の日銀の見解ではないかというふうに思います。 過去に、実は見てみますと、今も御指摘がありましたが、ゼロ金利の後に二〇〇六年の七月に一五ベーシスの利上げをし、そして七年二月に二五ベーシスの利上げをしておりますが、このときの物価の動向を見ますと、実は、確かに生鮮品を除く総合の物価指数はプラスに転じておりますが、エネルギーを除くコアコアと言われている消費者物価指数は依然としてマイナスでした。そしてその後、二〇〇八年、これは原油価格が百四十七ドルまで上がったときでありますが、このときに生鮮品を除く総合指数は二%を超えましたけれども、やはりエネルギーを除くとほとんどゼロという状況でありまして、つまり、エネルギー価格が上がったことによって物価が上がったということ、ここははっきりしているわけです。 このエネルギー価格が上昇したのは、では日本で、国内で需要がふえたからかといったら、そうじゃありません。これは国際価格が上昇したことで上がったわけでありまして、通常、金融政策で金利を上げるというときは、需要が喚起している、これを少し抑制するということで、物価の上昇を抑えようということでやっているんだと思いますけれども、このケースは、国際商品価格が上昇した、国内事情じゃないところで物価が上昇していることに対して金利が上げられている、そういう一部分もあるんじゃないかなと思うんですね。 私自身は、実はこれから日本の金融政策を考えるに当たっては、やはりこのコアコア、これをひとつ指標にしていったらどうかなと思っておりまして、これをもしやらないと、今中国がこの一—三月も一一%を超える成長率をしておりましたけれども、これから二〇一五年に向けてIEAが今石油の需要予測をしていますが、石油の増加のうち九三%が中国の増加に占められるという、とにかく中国がじゃぶじゃぶ石油を食うという時代が来るわけです。そう考えると、今後石油の価格がまた上昇する可能性が非常に高い。 そうすると、除く生鮮品の消費者物価はどんどん上がるけれども、ほかの、エネルギーを除いた部分は上がらないという状態のところで、また金融政策で、出口戦略ということで金利の引き上げというのが行われてしまわないんだろうか、そういう危惧を持っておりまして、エネルギーというところを、コアコアという考え方をぜひ入れていただきたいなと思うんですが、このあたりの御所見をお願いしたいと思います。
○西村参考人 物価情勢を点検する際には、既に委員が御指摘されましたように、国民の実感に即した形でやる必要があります。ということは、家計が支出する財・サービス全体を対象とした指標を見ていくという形になります。 中でもこの場合は、統計の速報性ということがどうしても重要になってきますので、そのためには消費者物価指数、大体一カ月おくれで出ますので、この消費者物価指数が基本的な指標となっております。 しかし同時に、その他の物価指標も、それぞれの特性を踏まえながら活用していくべきであるというふうに考えておりまして、それについてはまた後ほど述べます。 物価指標を評価するに当たっては、観測された物価指標の変動から、いわゆる不規則変動、一時的な不規則変動というものを取り除いて、物価の基調的な動きということを的確に見きわめていくということが極めて重要になります。その際どのような指標が適当かというのは、実はその国の経済構造やそれから経済情勢に依存する極めて実証的な問題であります。 例えば、先ほど御指摘ありましたが、米国のケースですが、米国では食品、特にエネルギーの不規則な変動が非常に大きいです。どうしてかといいますと、アメリカの場合はエネルギーを自国で生産していますから、自国のさまざまな変動によって非常に大きな変動をするということがあります。したがって、これを外して考えるというのは極めて自然な考えであります。 これに対して日本では、生鮮食料品の不規則変動が大きいので、これについては外しております。エネルギーの点ですが、これも、日本の場合は不規則変動が非常に小さいということがあります。変動がトレンドのような形で動くという形になります。したがって、日本の場合はこれを外しておりません。 もう一つ重要な点というのは、日本の場合は、ほかの財の価格がエネルギーの価格に、時間がずれた形ですが、極めて強い形で影響されるという傾向があります。したがって、エネルギーを単純に落としますと、大きなトレンドを見誤るという可能性があります。そのために、先ほど白塚論文の話がありましたが、我が国の場合は、消費者物価の基調判断、基調です、トレンドコンポーネンツですが、基調判断をするには、除く生鮮食品の消費者物価が最も適切な指標であるという結論になって、それを使っております。 ただし、当然のことですが、経済環境が変化しております。そして、先ほど委員が御指摘になりましたように、実はエネルギーの価格というのは、大きく変動すると同時に、トレンドを持ってくる可能性があります。したがいまして、今後の物価の基調判断に当たってはどのような指標が適当かについて、除く食料品、エネルギー、これはアメリカ型のコアですが、これを含めて常に検証していきたいというふうに考えております。 以上です。
○今井委員 ありがとうございました。 ちょっと時間がなくなってしまいましたが、せっかく、きょうは政府の方から古川副大臣いらっしゃっていただいておりますので、一つだけ御質問させていただいて、終わりにしたいと思います。
○玄葉委員長 いや、もう時間が経過したので。(今井委員「経過しましたか」と呼ぶ)そうです。次の質問には入らないように。
○今井委員 わかりました。きょうはどうもありがとうございました。 先ほど金融政策のところございましたが、もちろんデフレの解消は、金融政策だけじゃなくて財政政策も大事ですので、ぜひ政府とともに一緒に取り組んでいただきたいと思います。 きょうはどうもありがとうございました。
○玄葉委員長 次に、山本幸三君。
○山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。 きょうは、また改めて日銀総裁と議論できることを大変うれしく思っておりますが、菅大臣もお忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。ぜひ大臣にも聞いてもらいたいし、大臣と日銀総裁、対決してもらいたいものですから、よろしくお願いします。 また、宮尾審議委員にも御出席を賜っておりますが、ありがとうございます。 最初に申し上げたいんですけれども、きょうは実は審議委員をもう一人、来てもらいたいというお願いをいたしたんですが、断られました。それは、日銀法五十四条、「国会への報告及び出席」というところの条文で、報告について、国会に説明するわけですが、その際に、日銀総裁もしくは政策委員会の議長またはそれらの指定する代理者は、出席を求められたときは出席しなきゃいけない、この規定があるので、この報告については日銀の方で決めさせてもらって、だれでも呼ぶというわけにはいかないというような話でありました。 ところが、私は、どなたに来てもらうかというのは、日銀法に基づいて言っているんじゃないんですよ。憲法に基づいて言っているんだ。憲法六十二条、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」とあります。それから国会法百四条で、国民の義務として、要求されたら出なきゃいけないんですよ。つまり、国会議員には広範な国政調査権というのが認められているんだ。その国政調査権に基づいて、国政の重要な案件について出席を求めたら、それに従わなきゃいけないんですよ。日銀法の規定じゃないんだ。 このことは後でまた委員長に、最後にお願いいたしますので、十分に認識した上で対応してもらいたい。私は、憲法と国会法に基づいて出席を求めているんですからね。 そこで、まず宮尾審議委員にお伺いいたします。 このたび日銀審議委員に御就任されて、おめでとうございます。三月二十六日に就任されたということでありますが、就任されたばかりですから、どういうお考えで金融政策運営をやろうとしているのか、これは非常に大事なところであります。 本来ならば、就任される前にやるべき、アメリカなんかがやっているようにするべきだと思うんですけれども、残念ながらそういうシステムになっていませんので、ぜひきょうお伺いさせていただきたいと思います。 そこで、宮尾審議委員にお伺いしたいんですが、これは三月二十七日の朝日新聞の記事ですが、新任の宮尾氏は、日本経済の長期停滞の原因は生産性の低迷にあるというのが持論だ、デフレ克服に向けた金融政策の役割には限界があると見る日銀執行部の考え方に近いという記事があります。これについて、こういう記事のとおりと考えていいんですか、あるいは、そのことについて簡単に御説明いただければと思います。
○宮尾参考人 先月二十六日に審議委員を拝命いたしました宮尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、御質問にお答えいたしたいと思います。 今、議員が御指摘いただいた日本の長期停滞の原因についてでございます。 朝日新聞の記事を引用していただきましたけれども、私の認識に関して申し上げますと、これは就任の記者会見のときにも申し上げましたけれども、日本の失われた十年あるいは深刻な資産デフレという長期停滞におけるその主要な原因というのは、日本の構造調整のおくれ、あるいは不良債権問題等々にあったのではないかという認識を持っていたのは事実でありますし、そういうような論調でいろいろな研究、分析を行ってきて、そういうような研究成果を公表したりしたことは事実でございます。 以上でございます。
○山本(幸)委員 長期停滞といった場合に、どこからどこが停滞したというレンジで考えておられるんですか。 というのは、これは週刊ダイヤモンドの記事なんですけれども、九〇年代から二〇〇〇年代にかけて、むしろ全要素生産性はちゃんと伸びたんだ、成長率が落ちたのは、労働投入量が非常に落ちた、あるいは資本投入量の伸びが鈍化したという記事になっているんですけれども、これはダイヤモンドが大間違いしているというふうに理解されるんですか。
○宮尾参考人 長期停滞の主因に関してさまざまな議論がございました。そのディベートというか議論はまだ続いているかと思います。 私自身、自分の分析結果が本当に正しいかどうかということは一〇〇%確信しているわけではございませんけれども、今後も、恐らくさまざまな研究等で議論が続いていくものと思います。 日本の長期停滞の本当の原因を真剣に議論し、その主因を解明するということは非常に重要な課題でありますし、今後もぜひ、どういったものが本当に重要であったのかということについては、できるだけ最新の研究成果も踏まえながら、しっかりと勉強してまいりたいというふうに思っております。
○山本(幸)委員 実はそこは非常に大事なところで、成長率がどうして落ちたかということの原因で、供給サイドで落ちたという話の理論的な一つの根拠ですよね。それは日銀総裁がずっと言っているわけだ。 ところが、おっしゃったように、成長会計の論議に関してはいろいろあります。そうではなくて、需要が落ち込み過ぎたことが、むしろ全要素生産性を過大に推定することになっているんだという有力な議論もあるわけですよ。 需要が伸びなければ、失業者はやめちゃうんだから、マンアワーだって過小に推定されてくるわけだ。そういうことが起こってくる。労働市場から労働者がいなくなっちゃうと、これはマンアワーを過小に推定するわけですね。それは全要素生産性上昇率の低下に計算されるんですよ。それから、労働の密度も低下するという面が出てくる。一生懸命働くということがなくなるわけだから、需要がなくなると。そのことがまた全要素生産性の低下として計測されちゃう。あるいは、資本だってそうですね。設備投資は需要にも入っているし、供給にも入っているんです。 結局のところ、需要の落ち込みこそが本当の、成長率を落とした最大の原因じゃないか。需要を一番落としたのは何だというと、私に言わせれば、日銀の金融政策ですよ。そういう有力な議論があるということをちゃんと認識した上で金融政策運営をやってもらわないと困るんですよ。どうですか。
○宮尾参考人 議員御指摘のとおり、長期停滞の主因の議論における生産性の計測において需要の動きが生産性の動きに入ってくるということは、私も十分承知しております。私の研究でも、例えばそういうような影響をしっかりと考慮した上で、どういったことが言えるのかということを研究する上で、しっかり認識して分析を行ってまいりました。 他方で、別の見方から申しますと、需要面と供給面というのはお互い相互にかかわっているという議論がございまして、供給面を非常に重視する議論から申し上げますと、経済のさまざまな非効率性等で経済の成長期待が非常に落ち込む、成長期待が落ち込むという供給サイドの原因から、これがひいては需要面にまたはね返ってくる。人々の消費は人々が恒常的に稼ぐ所得によって説明される部分が大きいわけですけれども、やはりそういう恒常的な所得というのは成長期待に非常に影響を受ける。あるいは、やはり企業の投資活動に関しても同じである。そういうような議論を続けていきますと、経済の供給面と需要面というのは非常に密接不可分だというような議論も成り立ち得るわけです。 いずれにしましても、経済の供給と需要、双方が重要であるということに私は全く異論はございません。 その中で、日本経済の景気、経済変動の特徴をしっかり踏まえた上で、これからのさまざまな景気認識、あるいは金融情勢の分析、あるいは景気判断、あるいは政策判断というところにしっかりと検討を加えていきたいというふうに思っております。
○山本(幸)委員 もうこれ以上は言いませんが、需要が非常に大事なことであって、それがむしろ供給に影響して、そして成長率を低めているという面が非常に強いというのは、私はそう思っているんです。そういう有力な話もあるので、供給だけで決まるんだというような話、私は、期待成長率だって需要も影響すると思いますよ。そういうことをしっかりと踏まえた議論をしてもらわないと、一方的な議論だけされたら困るので、そのことを申し上げておきます。 そこで次に、宮尾委員に改めて聞きますが、現在の日本のデフレ状態、これについてどういうふうに認識して、あなたは日銀審議委員としてどういうふうに対策を打とうとしておられるんでしょうか。
○宮尾参考人 御質問にお答えいたします。 現在のデフレ状態でございますけれども、まず、デフレの原因に関してでございます。 御承知のとおり、今回の世界金融危機、非常に厳しい危機が起こりまして、世界的な景気の低迷が起こりました。それに伴って、我が国も含め、非常に将来に関する不確実性やリスクあるいは不安といったものがありまして、それが人々や企業の支出を抑制し、あるいは低迷させてきた。それが今現在の需要不足あるいは深刻な需給ギャップの原因だろう、その現在の需給ギャップがデフレの主要因であるというふうに私自身は理解しておりまして、この需給ギャップをできるだけ早期に埋めていくということが非常に重要な課題だというふうに思っております。
○山本(幸)委員 あなたは、デフレはリーマン・ショックが起きたから起こったと言うんですか。デフレは九五年から続いていますよ、GDPデフレーターでは。CPIでは九八年の末からだ。企業物価からいえば九一年からだ。まあ譲ってもいい、CPIは九九年から。ただ、超えたのは、原油が上がった二〇〇七年から二〇〇八年にかけて一年間だけですよ。でも、先ほど議論があったコアコアで見れば全然デフレ解消になっていない。だから政府はデフレ脱却宣言なんかしていなかったんだよ。それをあなたは、いかにもデフレはリーマン・ショックから起こった現象だと言うんですか。
○宮尾参考人 お答えを申し上げます。 私の先ほどの説明は、特に足元のデフレ状況に関して申し上げたということでございまして、そのような誤解がありましたことをおわび申し上げます。
○山本(幸)委員 おわび申し上げますって、じゃ、デフレはずっと続いていて、その原因は何なんだ、これからそれに対してどうするんだという答えを言ってくださいよ。
○宮尾参考人 これまでのデフレ状況というものをしっかり認識した上で、今、少なくとも足元のデフレに関しては先ほど申し上げたような認識を持っているということでございます。 今、このデフレを脱却して、早期に物価安定のもとでの持続的成長というものに日本経済が復帰することが極めて重要な課題だということを私自身も心底真剣に認識しておりますので、そのためにどういったことができるのかということを、これから、経済情勢をしっかり踏まえた上で、日本銀行ができることをしっかり考えてまいりたいというふうに考えております。
○山本(幸)委員 何にも答えになっていないんだけれども、あなたはデフレ脱却のために何をやろうとしているんですか。これをやるという姿勢なり方針なりはないんですか。
○宮尾参考人 お答えいたします。 日本銀行としましては、現在、極めて緩和的な環境を維持する、それを通じて需要不足を解消する方向に向けて、しっかりと日本経済が回復基調に戻るよう、持続的成長の経路に戻るよう、緩和的環境を維持していくということをしっかりと国民に明らかにしております。 私どもは、その大きな方針に沿って、これから何ができるのかということを改めて真剣に考えていきたいというふうに思っています。
○山本(幸)委員 日本銀行が緩和的な環境を維持しているなんて言っているんだけれども、みんな、それにだまされているわけだ。 あなたは本当に日本銀行は緩和的な環境をつくっていると思いますか。何を理由に、何を根拠にそう言うんですか。
○宮尾参考人 どのような状況が緩和状況かということでございますけれども、少なくとも最近発表しました短観でございますけれども、その短観等を見ましても、企業の金融、資金繰りという判断を見ました場合に、非常に以前に比べて資金繰りが改善しているという傾向があらわれているかと思います。また先般、昨年十二月に固定金利型の新型オペを行いました。また、その拡充を三月に行いました。そういったことを通じて、より長目の金利に関してもさらに低下させていく方向に政策を打っております。 そういった施策を通じて、金融の緩和状況をしっかりと、極めて緩和的な金融環境をこれからもしっかり維持してまいりたい、その効果をこれから見きわめていきたいというふうに考えております。
○山本(幸)委員 もうちょっとしっかりしてもらいたいと思うんですね。 日本銀行は緩和的な環境を維持していると言っているんだけれども、その根拠は、世界一金利が低いと日銀総裁は言ったんだ。それに対して私はこの委員会で、あるいは予算委員会で、うそでしょう、実質金利は世界一高いじゃないかと言って、実際の数字を示して、日銀総裁はそのとおりですと言いましたよ。日本は先進国の中では最も金融が厳しいんだよ、金融緊縮なんだ。実質金利は一番高いでしょう。そうじゃありませんか。
○宮尾参考人 実質金利の水準に関しましても、先般の総裁の会見にあったとおり、総裁と議員とのやりとりに関しては承知しております。実質金利の水準をどう見るかということに関しましても、私、着任してまだ間もないのでございますけれども、これからそういったことも含めて、今後の政策判断にそういう部分をどう考慮しながら検討していくかということについて、しっかりと検討してまいりたいというふうに思います。
○山本(幸)委員 私と日銀総裁との議論を承知しているということは、日銀総裁は認めたけれども、日本の実質金利は一番高いんだということをお認めになるということですね。
○宮尾参考人 私は、前回というか先般の国会のやりとりを拝見したということでございます。
○山本(幸)委員 委員長、しっかり答えるように言ってくださいよ。 認めるんですか、認めないんですか、どっち。
○玄葉委員長 まず白川総裁。(山本(幸)委員「総裁に聞いていない。総裁は後から聞く」と呼ぶ)いや、白川総裁の答弁をしっかり聞いているんですか、宮尾審議委員。確認したいでしょう。大丈夫ですか。
○宮尾参考人 私の理解は不確実であるかもしれませんので、もし可能であれば、総裁の御見解をこの場で確認させていただければというふうに思います。
○山本(幸)委員 では、なぜさっき存じていますと言ったんですか。どっちなんだ。認めるんですか、認めないんですか。はっきりしてください。
○玄葉委員長 いや、でも、確認がまだできていないんでしょうから。 確認していますか。しているなら答えてください。
○宮尾参考人 大変申しわけございませんでした。総裁のやりとりを拝見いたしたことは事実でございます。(山本(幸)委員「認めるんですか」と呼ぶ)
○玄葉委員長 日本銀行白川総裁、一度答弁してください。
○白川参考人 山本議員と宮尾審議委員との質疑の中で私が答弁することをお許しください。 前回この席、それから予算委員会を含めまして、実質金利について私の考えを申し上げさせていただきました。多少繰り返しになりますけれども、私が申し上げたことは以下の幾つかの点でございます。 まず短期金利、これはもちろん名目の短期金利でございますけれども、これは先進国では一番低いということでございます。一方、実質金利については、これは、実質金利をどうやってはかるかということは将来の物価上昇率の予想をどう立てるかということでございますから、もちろん計算には幅がございます。足元の物価上昇率を単純に差っ引く形で実質金利を計算いたしますと、短期金利は、日本はもちろん高い水準になっております。ただし、長期金利については、これは、私の記憶ですと、意見が分かれていたなという感じがいたします。 日本の場合は、長期金利は欧米対比、低い、もちろん今、物価上昇率も低いわけでございますけれども、仮に単純に足元の物価上昇率を差っ引いた形で長期の実質金利を計算しますと、必ずしも日本の方が高いというわけではない、これはもちろん前提の置き方いかんでございます。 ただ、いずれにせよ、私どもとしては、実質金利も含めて金融の状況についてしっかり見ていく必要性、これは私はその席でもたしか申し上げたと思いますし、現在もそういうふうには思っております。ただし、こういう形で計算される実質金利だけでもって金融緩和の度合いをはかることは、これは必ずしも適切ではないというふうに思っております。
○山本(幸)委員 これからいろいろ議論しますが、実質金利は、それは長期はほかの要素があるし、日銀はコントロールできないんだから、日銀がコントロールできる短期金利のところで比べれば、それは将来の予想で、理論的にはそうなんだけれども、でもそんなものはだれも正確にはわかり得ないんだから、通常やっている計算というのは現実のCPIでやるわけでしょう。だから、それで比べると高いじゃないかと私が指摘したら、あなた、そうですと認めたじゃない。 それについて、宮尾審議委員は認めるんですか認めないんですかと聞いているんですよ。国会の質疑というのは、日銀審議委員会みたいないいかげんなことじゃ通用しないんですよ。どうなんですか。
○白川参考人 お答えさせていただきます。 日本銀行が直接操作し得る政策変数というのは、これは、議員御指摘のとおり、短期の金利でございます。したがって、日本銀行は、この短期の金利をどういう水準にするか、あるいは量をどれぐらい供給するのかということを議論して判断しております。 それで、現状、先ほど計算した実質金利が高いということはもちろんそのとおりでございますけれども、しかし、この実質金利を下げていくということも、これは結局、名目の短期金利を低くする、あるいはこの水準をどのぐらい維持するかということによって、最終的には影響を受けるわけでございます。 したがいまして、日本銀行は、みずからの政策手段である短期の金利水準をコントロールすることによって、最終的には、実質の短期金利も少し長い時間をかけて影響が出ていくということでございます。 今、実質金利ということで議論を展開しておりますけれども、金融環境の評価ということで一点だけ申し上げたいことがございます。 企業が資金を調達して設備投資を行う場合、どういう計算をしているか。これはもう釈迦に説法でございますけれども、この場合、収益率が幾らあるのか、それから一方、調達金利が幾らなのかという、そのいわば利ざやの計算になってまいります。 現在、企業の収益を見てみますと、一たんリーマンの破綻で、リーマン・ショックで下がりましたけれども、現在改善しております。そういう意味で、これは実質金利だけではなくて、収益との関係も含めて、あわせ評価する必要があるというふうに考えております。
○宮尾参考人 改めて御質問にお答えしたいと思います。 短期の金利に関しましては、議員御指摘のとおりかと存じます。
○山本(幸)委員 結構です。 そういう意味では、今、日本の金融の状況は厳しいんですよ、緩和的じゃないんだ。そのことをよく認識した上で、これからしっかりと審議委員としてやってくださいよ。またそのうち来てもらいますからね。宮尾審議委員にはこれだけにします。 さて、そこで、総裁と本題に入ります。 総裁、今まで、さっきの質疑も聞いていて、いろいろ問題のある発言を幾つかしましたよ。今、日銀は短期の金利、名目の短期金利で金融政策をやっているんだ、だからそればかり見ていればいいんだみたいな話をしましたね。私は、それが問題だと思っている。 なぜなら、これまでの議論で少し明らかなように、短期の名目金利だけ見ていたって実質金利はわからないんだから、おっしゃったように。だから、本当に企業が資金調達をやるときに苦しいかどうかという実質資金コストの基本である実質金利が正確にはだれにもわからなくなっちゃうんだよ。そこがまず問題。 それから、名目短期金利を下げることによって実質金利を下げられるんだったら、早く下げればいいじゃないですか、ゼロに。まずそれをやってからだよ。それが一つ。 それから、実質金利の計算が難しいんだから、こういう状況では名目金利の数字で金融政策をやったってだめなんだ。量でやらなきゃいかぬ。量だと、そういう心配なしでどうしているかがすぐわかるわけですよ。だから、量に着目した金融政策をやらなければ、今のような問題は解決できなかった。金利が高いときは、それを下げれば金融緩和だとすぐわかりますよ。こういうデフレ状況で実質金利の計算が難しいときには量でやらなきゃ、やっているかやっていないか、緩和しているのか引き締めているのか、わからないんですよ。実際引き締めているんだ、今。 そこで、次に参ります。 日銀総裁、私が何でこんなことをしつこくやっているかというと、もう一回言いますが、デフレを解消しなきゃ日本の再生はないんですよ。国民生活は豊かにならないんだ。一時的に輸出産業がよくなったって、地域の、私の田舎なんてみんなシャッター通りで、みんな泣いていますよ。そうでしょう、皆さん。それをこの十五年も日銀がほったらかしてきたから、怒り心頭に発しているんだ、私は。だから、やっているんだよ。 そこで、では総裁にお伺いしますが、二月十六日の予算委員会、それからここの財務金融委員会で、菅大臣は、CPIについて、ことしじゅうにプラスにしてもらいたい、そして、はっきりとは期間は言っていないんだけれども、来年ですよ、二年。さっき期間がどうのこうのってあったけれども、どこの国だって中期というのは二年なんだ、インフレターゲットをやっているところは。来年にはプラス一、いや一強にするというのが政府としての目標だと私の質問で確認されたんですよ。 日銀総裁、白川総裁、あなたは、この菅大臣が政府の目標としてそう言ったことについてどう認識して、それをちゃんとやろうとしているんですか。
○白川参考人 菅副総理、大臣の御発言自体につきましては、私が答弁するというのは、これは僣越ですので差し控えます。 それから、国会の委員会もさまざまな場がございますので、私が伝聞でもって発言するということは、これは適切でないというふうに思います。 私が出席しておりました幾つかの場で大臣がおっしゃったことは、できるだけ早くそうしたデフレ状態が脱却できる、そういうことを希望しているということをおっしゃったことはよく覚えております。ただ、期間についての御発言については、これは大臣にお尋ねする方がいいと思います。 ただ、私は、いずれにせよ、現在のデフレ状態から脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが大事だ、極めて重要だという認識はしっかり持っております。そのために日本銀行として何ができるかということを常に考えております。その点についてはぜひ御認識をいただきたいというふうに思っております。
○山本(幸)委員 いや、だって、菅大臣がこれは政府の目標だとはっきり言明されたのは、あなたもいるところで私の質問に答えてそう言われたんですよ。それは政府の目標なんですよ。それを達成するのはあなた方の責務だ。そういうことを認識してちゃんとやっているんですかと聞いているんです。
○菅国務大臣 私の発言がベースになっていますので、若干思い出しながらお答えしなきゃいけませんが、確かに私も、目標というか期待を含めて、年内にプラスになればいいということを申し上げた記憶はあります。 ただ、見通しとしてそこまで政府としてもいっているかということもあわせて言ったと思いますが、見通しという形でいうと、まだ年内あるいは一年以内にプラスになるというところまではいっていないということもあわせて申し上げたと思っております。ですから、表現の仕方によりますけれども、政府の目標としてことしじゅうにプラス、来年にはプラス一というのは、期待値として申し上げたというふうな感じが、私の申し上げた趣旨であります。
○山本(幸)委員 何か随分弱気になりましたね。それは見通しはそうかもしれないけれども、その見通しがあったら、それをどうするかというのが政治の役割でしょう。それがなきゃ、政治家、財務大臣菅直人になりませんよ。 私は菅さんを大変評価しているのは、それをはっきり言ったから評価しているんですよ。それを何か後退されるんですか。それとも、ちゃんとそういう認識で、見通しはこうだけれども自分はこういう目標でやってもらわなきゃ困るというふうに思っておられるんですか。その辺をはっきりさせてください。
○菅国務大臣 期待ということを申し上げたのは、決して、単に何もしないで期待している、あるいは日銀だけに期待してという意味で申し上げたのではなくて、そういうことを期待していると同時に、それに向かって政府としてやれることはやろうと。 私も、このデフレ議論は、山本議員ともいろいろ議論をさせていただいて、いろいろ勉強もさせていただいていますが、金融緩和の側面と、資金が循環するということが非常に今、日本の経済状況は、残念ながら循環しない。ですから、そういう意味では、お金を循環させることがデフレ脱却の、もう一つのと言えるのか共通なのかわかりませんが、ポイントだと思っておりまして、もちろん循環させる意味で今おっしゃった実質金利を下げる、まあ実質金利を下げる手法はなかなか難しいわけですが、大規模な利子補給なんということがあれば、マイナス金利ということもあるのかもしれません。 さらに言えば、財政的に言えば、つまりは、税制でいただくものはいただいて、それを雇用を中心としたデフレ脱却につながるところへ選択と集中で財政出動していく、そういうことも必要ではないかということをこの委員会でも申し上げております。 ですから、後退したということではありませんけれども、政府の目標とまで言われますとちょっと私単独でのあれを越えますので、期待をすると同時に、その期待が実現するように私の立場でやれることは徹底的にやっていきたい、こう思っております。
○山本(幸)委員 菅大臣の立場で徹底的にやるのは、これは目標だと言い続ければいいんですよ。それは内閣じゃなくて財務大臣の目標でいいんだから。これは私の目標だよ、日銀はそれに応じてやれと言っていればいいんですよ。 そこで、また私が頭にきているのが、日銀は最近、金融を引き締めている。特に二月から三月、四月と、私が予算委員会で質問して、財務金融委員会で質問して、菅大臣もそういう目標だと言って、それから引き締めているんですよ。 マネタリーベース、これが減っているんだ。マネタリーベースというのが日銀がコントロールできる数字ですよ。今民主党の皆さん方がデフレ議連とかいろいろ勉強会をやっておられて、大変心強いのでぜひ頑張ってもらいたいと思っているんですが、この議員の勉強会というのは、そこで日銀が説明したそうでありますが、その資料を見て、ああなるほどなと思った。一番大事な資料は隠してあるんだよ。あんな日銀からもらった資料を見ていて、日銀のやっていることなんてわかりませんよ。だまされちゃだめだ。 それは、マネタリーベースの数字なんですよ。マネタリーベースの対前年比、これはリーマン・ショックからずっと、少し伸ばしていたんだけれども、実は、去年の五月からもう下げているんだね。日銀は去年の五月から引き締めに入っているんだ。 ところが、菅大臣がデフレ宣言を十一月二十日にして、これはちょっと何とかやらないかぬなと思って、十二月にちょっと出した。ずっと四%、三%に下げていたんだけれども、十二月に五・二%に引き上げたんですね、平残で、対前年比。一月も四・九%、これぐらいまで引き上げた。それでも私は低いと思っているんだけれどもね。ところが、二月になって二・二に下げた。三月になって二・一に下げた。四月になって、これは十日までぐらいの数字だけれども、一・八だ。 つまり、日本銀行は、菅大臣がこれを目標としろと言い、私が何をやっているんだと追及したのをあざ笑うかのごとく、二、三、四と金融を引き締めているんですよ。なぜですか。
○白川参考人 まず最初に結論から申し上げますけれども、日本銀行がこの間に金融を引き締めたということは、そういう事実は全くございません。 議員の御意見は、マネタリーベースというものの伸び率でもって日本銀行の金融緩和政策の緩和の度合いをはかっている、そういう前提だというふうに認識しております。 これは釈迦に説法でございますけれども、マネタリーベースというのは、これは、皆さんが手元に持たれています銀行券、それから金融機関が日本銀行に預けている当座預金の量、これの合計値でございます。多くの部分は、これは銀行券でございます。 我々自身の行動を思い起こしてもそうですけれども、例えば、休みの前には銀行券をたくさん持つ、あるいは金融システム不安が広がるときには銀行券を多く引き出して持つということがございます。同じことは金融機関についても言えます。先々について金融システム不安を感じるときには、日本銀行に対する当座預金を少し多く持つ、あるいは銀行券を多く持つということが、これは従来からございました。 今御指摘の期間についてのマネタリーベースの伸びでございますけれども、リーマン破綻以降、何が起きたかといいますと、金融機関が手元に厚く預金を持つということが起きました。リーマン・ショックの影響が薄れてくるに従いまして、前年対比で計算しますと、伸び率は下がってまいります。ただ、これは、金融政策の緩和度合いを我々が後退させたからではなくて、むしろ我々の積極的な政策の結果があって金融不安が後退し、それが、マネタリーベースの伸び率がその局面では少し低下するという形で、むしろいい形であらわれたものだというふうに思っております。 繰り返しになりますけれども、マネタリーベースということでもって金融緩和の度合いをはかれないということは、実はこれは、日本銀行だけじゃなくて、今世界の中央銀行が強調して言っていることでございます。 典型は、アメリカの中央銀行であるFRBでございます。今FRBは、マネタリーベースあるいは中央銀行のバランスシート、これは伸び率は高いわけでありますけれども、しかし、このことが経済を刺激する、あるいはインフレ率を高めるものではないということを、これはバーナンキ議長を初めFRBの幹部は繰り返し繰り返し主張しております。マネタリーベースなりあるいは中央銀行のバランスシートでもって金融緩和の度合いを評価してほしくないということを議会で繰り返し言っております。かといって、FRBは今、金融緩和を修正しているわけではもちろんございません。 同様に、日本銀行の金融緩和の姿勢は明確でありまして、マネタリーベースでもって判断するということではないということ、これは私は強く申し上げたい点でございます。
○山本(幸)委員 そこが最大の問題なんだ。アメリカは、バーナンキがそんなこと言っていませんよ。バーナンキは、予想される経済成長に合った物価水準より低くなるおそれがあるから金を出さなきゃいけないと言ってやっているんですよ。彼らは量的緩和解除という言葉は使いませんよ。信用緩和という言い方をしているけれども、やっていることは金を出しているということですよ。金を出すというのは、日銀が金を出すというのはマネタリーベースをふやすしかないんだから。あとは、彼らはM2を直接ふやしているわけだから、ではそれをやればいいじゃないか。 それで、金融緩和政策がマネタリーベースの増減に関係ない、そんなばかな議論がありますか。金利を下げたらマネタリーベースをふやすから、金融を緩和するということなんでしょう。 次の問題もあるんだよ。マネタリーベースをふやそうとして、当座預金をふやしたらマネタリーベースをふやしたことになりますねというときに、当座預金に金利をつけていたら、外に出ませんよ。本当に金融緩和をする気があったら、まず名目金利をゼロ金利にして、一番下に下げて、少なくとも実質金利を上げるような努力をして、それから当座預金ばかりふえたら困るんだから、それが市中に回るようにするためには、そこに〇・一という金利をつけることをやめればいいじゃないですか。 では、日銀は何をやっているんですか。名目金利を下げたって、名目金利はまだ〇・一なんだから、これを下げればいいじゃない。金融緩和をすればいいじゃない。だけれども、どういう金融理論の教科書を見たって、マネタリーベースがふえて金融緩和はしていませんなんという議論はありませんよ。何を言っているんですか。それから見れば減っているじゃないかと、菅大臣や私たちをばかにしているのかと言いたいですよ。どうなんですか。
○白川参考人 まず、マネタリーベースあるいは日本銀行の当座預金に金利をつけていることの意味合いについて御説明をいたします。 現在、日本銀行に限らず、FRBも、それから欧州中央銀行も、それからイングランド銀行も、先進国の中央銀行はいずれも当座預金に今回金利をつけるようにいたしました。FRBは現在〇・二五%の金利をつけております。 なぜ、文字どおりゼロ、つまり〇・〇〇〇という極限のゼロではなくて、日本銀行は〇・一にとめているのか。あるいは、アメリカですと今は〇・二、それから欧州は〇・三、それからイギリスは〇・五でございます。いずれも文字どおりのゼロではなくて、ゼロ金利という言葉でくくれる範囲の金利でございますけれども、文字どおりゼロにはしておりません。 これをなぜしていないのかということが議員の御質問の趣旨でございますけれども、これは、一方で金利を低くしますと、それは最終的な資金の調達者あるいは企業からしますと、資金調達がしやすいということで、これはプラスでございます。しかし一方で、金融は必ず貸し借り、売買がありますから、今度はお金を貸す方からしますと、ある金利水準以下に下がってきますと、利ざやが圧縮され、その結果、貸し出し意欲がかえって低下するということが起きてまいります。イギリスはこのことを随分強調しております。 あるいは、極限的に金利をゼロにしますと、銀行間で資金を調達する場の資金取引それ自体が実は成り立たなくなってまいります。本来、短期の金融市場というのは、金融機関がみずからの資金繰りを見ながら、必要なときに必要な資金を調達できるそういう場がある、その場があるということが安心感につながっているわけでございますけれども、この市場が実はなくなってしまうということになります。その結果、経済の安定的な発展にとってはむしろマイナスになるということでございます。 日本銀行に限らず、どの中央銀行もゼロにしていないということは、実はそうした弊害に対する認識も、日本銀行の量的緩和、それから今回の経験を踏まえて、みんなが認識をするようになったということでございます。そういう意味で、我々としては、今の〇・一というのが、金利面からする金融緩和の効果を最大限実現する上で適切な金利だというふうに判断したものでございます。 そういう意味で、これは日本銀行だけではございません。しかし、その世界でも、日本銀行は短期金利は世界で最も低い、これは間違いなく言える事実でございます。
○山本(幸)委員 だって、ほかの国はデフレで困っているわけじゃないんだから。しかも、信用緩和といって直接マーケットに金を出していますよ。それを日本銀行はやらないでいて、マーケットに直接金を出すようなことをやらないでいて、そして当座預金に金利をつけたら、皆さん、もうほかは使わないで当座預金にどんどんいらっしゃいよと言っているようなものじゃないですか。しかもデフレで。 状況が違うんだよ、状況が。そんな市場ができたら、短資会社がもうけるかどうかの話でしょう。天下り先を考えているのか知らぬけれども。短資会社が困るだけですよ。だって、量的緩和のときは、それで全然問題なくて、むしろあのときは景気が上がったんだから。何でそれをやらないんだというんですよ。それをやらないで、そしてマネタリーベースを減らすというのは何事だ。どんどんふやさなきゃ金融緩和になりませんよ。緩和的な環境になりませんよ。デフレは脱却できませんよ。 私が紹介したようないろいろな実証研究によれば、大体、マネタリーベースというのは二〇%以上ふやさなきゃ、デフレなんて一年二年で解消しませんよ。それを何だ、二%にむしろ落としている。菅大臣、ばかにされているんですよ、あなた。どう思いますか。
○菅国務大臣 率直に申し上げて、この金融の、今、総裁と山本議員で議論されているようなところは、一〇〇%、私も、こうすればこうなるということを申し上げるところまでは、率直なところ、そうした認識を十分に持っておりません。 ただ、先ほど日銀総裁が言われたように、私も、その〇・一%に昨年下げられたときに、なぜゼロではなくて〇・一なんですかということはお聞きをいたしました。そうすると、ゼロというのは、ある意味では取引が、何といいましょうか、計算できないという表現がいいのか、つまり、価格がない状態になる、貸し借りがゼロですから。そういう意味では、実質的にはゼロでいいんだけれども、ゼロにすると、逆にそういう意味でお金の貸し借りが、ある意味で価格がない状態になるので、やはり実質的なゼロという意味で〇・一にしたんだという説明は、日銀総裁から伺いました。 今の説明もそばでお聞きをしておりましたが、そのことが、金利が高いというか、ゼロよりは高いという意味でのマイナスという意味なのか、あるいは、何らかの価格をつけておかなければいけないという最低限のことでやられているのか、そのやりとりを今そばで聞いておりましたが、私が日銀総裁から以前聞いたのはそういう意味合いであって、実質的な意味は、ゼロにするという意味で一番小さい数字で〇・一にしたんだというふうな説明をいただいているところです。
○山本(幸)委員 そういう説明にだまされちゃだめだというんですよ。だって、ゼロ金利、量的緩和のときは、手数料もコストがあるから〇・〇〇三とかになるんだけれども、やって何の問題もなかったわけですよ。短資会社がちょっと損をしたかもしれないけれども、仕事がなくなったかもしれないけれども。それは、日銀は短資会社を一生懸命かわいがりたいんでしょうがね。でも、むしろあのときの方が株は上がって、景気がよくなったんですよ。 しかし、問題は、確かに当座預金だけを考えたから、本当に市中に出すようなことをちょっと怠ったから、貨幣ストックはちょっと伸びなかったかな。だから、アメリカやヨーロッパは、直接貨幣ストックを伸ばすような、長期国債を買うことをふやしたり、証券を買ったり、担保証券を買ったり、直接出すようなことをやるわけですよ。ところが日本は、量的緩和のときは当座預金だけをやったわけだな。 そうじゃないことをやるのであればやって、どんどん緩和をして、そして物価上昇率が一以上になるというような状況をつくってくれているのなら、減らすことに何も文句言いませんよ。そうじゃないんでしょう。そうしたら、考えられるやれることを全部やればいいじゃないか。かつてもやったじゃないか。今CPIが一%以上になったら、そんな文句なんか言いませんよ。でもマイナスなんだ。どうするんですか、これを。 さっきから聞いていたら、何か永遠にかかるような、よっぽど原油危機でも起こらない限りそんなことにならないような話をしているけれども、それに対して果敢にばんばんマネタリーベースを二〇%伸ばしてやりますというぐらいの覚悟はないのかと言っているんですよ。そうしなきゃデフレなんかとまりませんよ。 あなた方はこの四月三十日に何か来年度はゼロぐらいになるみたいなことも書くようなことを言っているけれども、民間はそんなこと思っていない。それを着実に続けていっているのなら少しは認められるけれども、事もあろうに、私が質問し、大臣がこうしろと言った後にマネタリーベースを減らすというのは許せない。ばかにしているよ。 本当にデフレを早期に克服しようとする気はあるんですか。白川さん、何をやるんですか、あなたは。
○白川参考人 議員の御質問の中で、FRBの金融政策とそれから日本銀行の金融政策を比較させる形の議論が幾つかございました。 信用緩和という言葉を使われましたけれども、思い起こしてみますと、リーマンのショックのあの前後、特にリーマン・ショック後がそうですけれども、アメリカの金融市場、なかんずく証券化商品の市場、あるいは社債の市場、CPの市場、これはもうほとんど機能停止になりました。 アメリカの場合は、企業の資金調達の中で、こういう資本市場からの調達が、これは定義いかんにもよりますけれども、全体の八割近くを占めております。一方、日本の場合は、銀行借り入れの比率が八割ぐらいで、圧倒的に銀行借り入れが多いわけでございます。 アメリカの場合には、その根幹をなす資本市場でも発行ができないという状況になりましたために、民間が発行する証券をFRBが買うしかない、そういう状況まで追い込まれたわけであります。ところが日本は、これは前回のバブル以降、あるいは前回の金融危機以降の経験を踏まえて、日本の金融機関がアメリカとの比較で見ますとリスク管理に慎重であったということも手伝いまして、アメリカほどの金融危機にはならずに済みました。 もちろん、そうはいっても、日本も影響を受けました。コマーシャルペーパーも一時発行ができないという状況になりましたので、日本銀行はCPの買い入れも行いました。しかし、繰り返しになりますけれども、アメリカに比べて資本市場の傷みが圧倒的にやはり小さかったということが、そうした日米の政策手段の差となってあらわれております。 今、我々が買い入れを行ったCPの発行環境を見てみますと、先般の短観でも、CPを発行している企業自身が、リーマン破綻前の数字よりも現在の方が発行環境が良好だというふうに多くの企業は回答していまして、これは非常に明確な変化を示しております。 我々として、あくまでも経済、金融が異例なときには中央銀行ももちろん異例な対応が求められるというふうに思っていまして、現に日本銀行はそうした対応をこれまでも行ってまいりました。 そういう意味で、先々の金融市場の状況を見て、もし本当にそういうことが必要な状況になれば、つまり金融市場が毀損される、そのときには、そうしたFRBが行った、そして日本銀行が今回行ったようなことももちろん考えられます。ただ、現在はそうした金融市場の機能が麻痺するという状況からは脱したということは一方の事実でございます。ただ、粘り強く金融政策を行っていくということは、これは変わらぬ姿勢でございます。 冒頭、所信表明を申し上げましたけれども、あそこで申し上げたような考え方に沿って、これからもデフレからの脱却、それから物価安定のもとでの持続的経済成長の実現ということについて、一生懸命努力していきたいというふうに思っております。 日本銀行があらかじめ何か特定の政策手段について念頭に置いたり、あるいはそれを排除するということは決してございません。あくまでも予断を持つことなく、経済、金融の状況を点検して、最適な政策を実行してまいりたいと思っています。
○山本(幸)委員 もう全然答えになっていないんだけれども。 要するに、危機が起こったときには、基本的にやらなきゃいかぬことが三つあるわけですよ。一つは、金融システムがおかしくなれば、それを救わなきゃいかぬから、潤沢に準備を供給しなきゃいかぬわな。これはアメリカもやった、日本もやった。だけれども、日本の場合は金融システムがそんなにアメリカほど悪くなかったから、アメリカに比べるとちょこっとしかやりませんでしたよと言いわけしているわけだね。 それから、本当に金融機関がだめになっちゃったら、これは資本注入をしなきゃいけないわけだ。アメリカがやりましたね、日本もやる準備はかつてあった。 最後にもう一個やらなきゃいかぬのは、実体経済を見ながら、そこを立て直すために金融緩和というのはやっていかなきゃいけないんですよ。そこがデフレにならないようにしていかなきゃいけないんですよ。 それを、アメリカは信用緩和という形で金融システムを安定しながら、おっしゃったように、アメリカは実体経済もそういう市場で成り立っているんだから、そこをやれば自然に実体経済まで行くわけですよ。そこで実体経済がよくなって、しかも、FRBのバーナンキが常に言っているのは、物価が下がり過ぎたら危ないと。だから下がり過ぎないようにどんどん資金を供給するんだといってやっているわけですよ。ところが日銀は、金融システムが日本ではそれほど大したことなかったから、余りやらないで済みました。ところが、実体経済は日本が一番傷ついたんですよ。何もやっていないんだ。 今までの答弁を聞いていると、何にもやろうという意欲が感じられないね、マネタリーベースをこれだけ減らしながら。今度減らしてみろという感じですからね。来月またやりますからね。 それは、大臣もばかにされているということを認識しなきゃだめですよ。あなたがこれだけやってくれと期待も含めて言ったんだから。それを無視されているんだよ。 そこで、時間がちょっとなくなってきましたので、一つ二つ別のことを聞きますが、今回の政策委員会、先ほど日銀総裁のあれにもありましたが、高校無償化でもCPIが落ちるからその分は勘弁してくれよみたいな話をしましたね。 これは宮尾さんに聞こう。高校無償化になったらCPIは減るというのは、理論的に出てくるんですか。
○宮尾参考人 お答え申し上げます。 高校無償化に関する影響をどう考えるのかという点に関しての御質問かと思います。 日本銀行の政策判断にとって何が重要かということに関して、やはり物価の基調的な動きというのが非常に重要だと。高校無償化の制度変更による影響というのは、消費税導入等と同じ影響かと思いますけれども、その一年間限り対前年比で影響が出る、そういう性質のものだというふうに理解しておりますので、そういった制度変更に伴う影響というものは取り除いて、基調的な物価の動きを見ることが適切なんだろうというふうに私自身理解しております。
○山本(幸)委員 私は、理論的には、高校無償化だからCPIが下がるとは思わないんですよ。それは、実際はちょっと一時的に出てくるかもしれないけれども。 なぜか。だって、高校無償化して、家計がその分、金が浮くわけでしょう。浮いたら、ほかのものを買うに決まっているじゃないですか。ほかのものの価格はその分上がりますよ。そうしたら、一般物価水準は変わりませんよ。これが理論的な答えじゃないんですか。今まで経済学を教えていたから、そうじゃないんですか。(発言する者あり)いや、宮尾審議委員。
○玄葉委員長 これは白川総裁の説明に対してでしょう。違うの。
○山本(幸)委員 いや、私はそれを、経済学を教えていた先生だからそういう議論ができるんじゃないかと思って聞いているわけですよ。
○宮尾参考人 お答えを申し上げます。 私が今お答え申し上げたのは、あくまでも指数に及ぼす影響ということでございます。 委員御指摘のような、高校無償化によってどのような影響が出るのかということに関してはまた別の問題といいますか、それに関する影響に関しては別途さらに検討してまいりたいと思いますが、私のお答えしたのは、あくまでも指数に関しての答弁でございます。
○山本(幸)委員 審議委員は独立して見識を持ってやってもらわなきゃ困るので、日銀を気にする必要はないんだ。理論的にこうだと思ったら、はっきり主張してくださいよ。 私は、理論的に考えたらそういうことしかない。つまり、相対価格は変わるけれども、絶対価格、一般物価水準は変わらない。これがデフレを本当に理解できるかできないかの大きな違いのところなんですよ。それが下がるということは、日銀は引き締め的なことをやって下がるのをカムフラージュするようなことを言っているようにしか私には思えないんだよ。だって、わざわざこれは政策委員会のあれに書いているんだから。 一時的なショックは短期間には起こるかもしれない、そうしたら、それを解消するようにちゃんと金を出せばいいじゃないですか。金を出さない限りは、お金の量が変わらなければ、あるものが下がったら余った金はほかのものに行くんだから、一般物価水準は変わりませんよ。これが理論だよ。 ちょっと時間がなくなったが、最後に、先ほどインフレターゲットの話がありましたね。私は、インフレターゲット、日銀はああでもないこうでもないと言って言いわけばかりしてみんなだまされちゃうから、だまされないようにきちっと法律で決めちゃわなきゃいけないと思っているんだけれども、ぜひ民主党さん頑張ってもらいたいと思っているんですよ。(発言する者あり)頑張れ。 そこで、先ほどの質問で、何か白川さんはインフレターゲットが今日の金融危機を招いたような話をしましたが、あなたは本当にそう思っているんですか。
○白川参考人 私は、インフレーションターゲティングそれ自体が今回の金融危機を招いたというふうには申し上げておりません。 私が申し上げたことは、インフレーションターゲティングという枠組みのもとで、あるいはこういう枠組みを採用しない場合もそうですけれども、短期的な物価の動向だけに目が奪われて、その結果、金融緩和を長期に続けた結果として今回のグローバルな金融危機が起きた、その一つの原因であったという議論を紹介したわけでございます。そういう意味で、インフレーションターゲティング自体が危機の原因であったというふうに申し上げているわけではございません。
○山本(幸)委員 そういうふうに聞こえるんですよ。 しかも、あなたはしきりに、インフレーションターゲットは常に短期の物価の動きにとらわれてやるからおかしくなるなどということを言うけれども、今ごろ世界じゅうのインフレターゲットを使っている国でそんなことをやっている国なんかありませんよ。もっと柔軟だよ。そんなことはよく知っているでしょう。現実に少しぐらいオーバーしたって、中期的、二年ぐらいのところでおさまればいいという柔軟な政策をやっていますよ。なぜなら、これはフレームワークだから。 それを日銀は、インフレターゲットをやられると自分たちの責任が出てくるから困るものだから、責任逃れするために、何かいかにもインフレターゲットはがちがちにそこに固執されて、それでおかしなことになっちゃうんだという話をしたがる。そんなことをやっている国はもうありませんよ。 しかも、インフレターゲットをやっている国は、イギリスだって、アメリカも暗黙のうちにやっていると私は思っているんだけれども、彼らが言っているのは、二%ぐらいの物価水準がそれよりも下振れたら困る、そういう認識で金融政策運営をやっていますよ。それを何だ、日銀は、ゼロ%を超えればいい。これは大臣にも言って、大臣もしっかり認識してもらったけれども、CPIは上方バイアスがあるんだから、それをゼロ%プラスになればいいなんてばかじゃないかと。ほかの国は二%をめどにやっているんだよ。そうしなきゃデフレの解消も景気の回復もあり得ませんよ。 そういう意味で、インフレターゲットは、こんな金融危機になったなんという議論があるけれども、今、結局のところ、金融政策というのでやれることとやれないことがある。金融システムの問題については、これはやはり金融監督の規制がおかしかったんですよ。あるいは報酬のルールがおかしかった、それを今やろうとしているわけでしょう。 金融という金利なり量の手段でやれることは、そんなことをコントロールすることなんかできませんよ。金融でやれるのは、全体のマクロ経済の動き、そして物価をどうコントロールするかというところに考えなきゃ、それをこの金融政策の一つの手段で、あれでもやろう、これでもやろう、全部やらなきゃいかぬなんという議論をしていたら、それは目標と手段の数の話で議論が成り立ちませんよ。そこを、すぐ混同するような議論をしてごまかそうとするのは、総裁としておかしいと私は思いますよ。 最後に、大臣にもう一度。 現実の数字を見れば、マネタリーベースを見れば、日銀は二月から引き締めぎみに運用しているんです。こんなことをやっていたら、あなたが期待していることなんてあり得ませんよ。どうしてもらいたいと思いますか。
○菅国務大臣 インフレターゲットという考え方について、一般的には私もいろいろな時期に魅力的な政策だなと感じてきましたし、今でもその気持ちがあることは率直にそう思っております。 ただ、日銀との関係でいえば、既に御存じのように、日銀もプラスゼロからプラス二と。確かに、山本先生から上方バイアスといったようなこともお聞かせをいただきまして、必ずしもプラス一では十分でないという指摘もありますし、私自身ももうちょっと上の方がというふうに思っておりますが、日銀の言葉を使えば、プラスゼロからプラス二の間のプラス一程度をめどにしてという表現で言っておられます。そういう意味で、方向としては、政府が考えている方向と基本的に一致をしていると認識しております。 その上で、あえて言えば、その目標を達成するまでどのような手段をとるのか、さらに言えば、どのような手段を継続するのか、そういうことが重要、あるいはメッセージとしても重要ではないかということも御指摘いただきましたし、私もそれについては同感であります。 ですから、そういう意味では、それがプラス一かもう少し上のプラス二程度を実質的な意味での目標として、それを達成するまでは、金融的な手段は、中身は私たちから言うのは、日銀の独立というところから余り言い過ぎてはいけませんが、日銀としても努力をしていただくし、また政府としてもその達成に向けて努力を続ける、こういう姿勢はともにとることが望ましいし、この間、コミュニケーションはかなりできていると認識しておりますので、方向性としてはそういうことができていると思います。 今御指摘のマネタリーベースの量的な緩和について、ここは、白川総裁と山本議員の議論をお聞きしていて、私もにわかに、どちらがどちらということを申し上げるほどの判断はできませんけれども、少なくとも、あるレベルにインフレが、つまりは二%とかあるいはもうちょっと上のあたりに向かって政策を続けていくことが必要だという意味では共通の認識だ、このように思っております。
○山本(幸)委員 ありがとうございます。 最後に、委員長にお願いしたいんですけれども、やはり審議委員もどういう考えを持っているかというのをそれぞれ聞きたいんです。だって、重要な政策をやっているのでね。だから、ぜひ審議委員をそれぞれ呼んでいただいて、もう法案もなくなったわけですから、しっかり、特に四月三十日はまた報告が出ますので、ぜひこれをやってもらいたいということを、委員長の決断をお願いしたいと思いますが、どうですか。
○玄葉委員長 しっかり理事会で協議しますから。(山本(幸)委員「いや、これは理事会で協議じゃなくて、委員長が決断してください」と呼ぶ)先日もその話が理事会で出ました。与党野党、区別なく、それぞれ賛否両論ありましたので、それぞれの理事の御意見をお伺いしながら、最終的に私の方で判断したいというふうに思います。
○山本(幸)委員 終わります。
○玄葉委員長 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 公明党の石井啓一でございます。 先ほどの白川総裁の半期報告の概要説明の中で、日銀のデフレ脱却への取り組みとして二つのことをおっしゃっていらっしゃいました。 一つは、マクロ的な需給バランスの改善に働きかける施策として金融政策をいろいろやっていらっしゃる、緩和的な金融環境を粘り強く維持していく。これが本当に緩和的かどうかということについては、今山本委員の方からるるいろいろな御指摘がありました。これについてはまたいろいろ議論があると思いますけれども、私は二つ目の方をきょうはやらせていただきたいと思うんです。 二つ目で、日銀がデフレ脱却でやられていることは、予想物価上昇率に関して、人々の物価に対する見方が下振れないように、中長期的な物価安定の理解という形で、消費者物価の前年比がプラスの状態を実現することが大事であるという姿勢を示している。この二つ目の方を、私、きょうは議論をさせていただきたいと思うんです。 まず、物価の見方ということですが、先ほどもありました。日銀は、生鮮食品を除く消費者物価指数、コアCPIで判断されている。一方で、米国あるいは我が国政府も、生鮮食品のみならずエネルギーを除く消費者物価指数、コアコアのCPIで判断している。 実は私も、エネルギーに関しては、特に二〇〇八年の原油上昇の教訓から、実需を上回る投機的な原油価格の高騰によりまして価格が上昇している、これを含めてCPIを考えるということが果たして物価の基調的な動きというふうに言えるのかどうかという問題意識を持っています。 先ほどの半期報告の中でも、高校授業料無償化を外すという理由として、これは制度的なものであって、一年間でこの効果は剥落する、だから、物価の基調的な動きを判断するには、こういう制度変更に伴う変動要因を取り除くことが必要だと指摘されています。 エネルギー価格については、必ずしも制度的なものではありませんけれども、投機的な要因が非常に大きく反映されているわけでありますから、これが果たして基調的な物価の動きと言えるのかどうか、私は問題意識を持っておりまして、日銀においても、このコアコアの指数を重要視されて判断されるべきではないかと思いますけれども、この点についてまず伺いたいと思います。
○白川参考人 お答えいたします。 物価の動向を正確に判断することは、非常に大事なことでございます。物価は、物価指数という形で情報が公表されるわけですけれども、月々の物価指数を見てみますと、さまざまな、一時的な要因、あるいは制度的な要因で変動ができるというものもございます。そういう意味で、何らかの調整をした上で基調としての物価の動きを判断する、そういう作業をしているわけでございます。 問題は、何を控除することがいいのかということでございます。これはもちろん、絶対的な正解があるわけではございません。これは、それぞれの国の経済の状況に応じて変わってまいります。実は、少し長い目で見ますと、コアであっても、あるいは表面の数字であっても同じような動きをするわけですけれども、短期的に違いがあるからこそ、どれを基調として見るかということでございます。 実は、幾つかの計算を行ってみました。消費者物価の中から生鮮食品を除くベース、あるいは消費者物価から食料品とエネルギーを除くベース、あるいは、多少専門的な言葉になりますけれども、上下の一定範囲のいわば異常値を機械的に差っ引くもの、これは刈り込み平均と呼んでいます、いろいろな計算を行ってみました。 日本の場合は、実は過去、長いデータで検証してみますと、消費者物価から生鮮食料品を除くベースが一番将来の予測力が高いという計算結果が出てまいりました。一方、アメリカについては、委員御指摘のとおり、食料品とエネルギーを除くのが一番予測力が高いということでございます。私自身は、両方ともその結果はあり得ると思いまして、それは経済の構造に多分依存するというふうに思います。 現実に、ではどれを使っていくのかということについては絶対的な決め手はございませんから、私どもとしては、過去の実績に照らして、除く生鮮食品、これをベースにはしておりますけれども、先生が御指摘の、食料品とエネルギーを除くベースについても注意をして見ております。それから、刈り込み平均というものも見ております。いずれにせよ、そういう形で物価の動向を見ていきたいというふうには思っております。 それから、高校授業料の関係でございますけれども、前年比で見た場合、一年間だけこれは低下要因になりますけれども、今、これがマイナス〇・五というふうに一般的には推定されております。そうしますと、本年四月から来年三月まで、その間だけマイナス〇・五、突然またマイナス〇・五が消えるという形でいわばジャンプが生じます。そういう意味で、私どもとしては、基調を見る上では高校授業料は差っ引いて、その上でさまざまな指標を見ていくことが大事だというふうに見ております。
○石井(啓)委員 二〇〇八年のように、原油が投機的な動きで高騰した結果、コアのCPIが上がったから物価が上がってよかったという見方にはならないように、そこはお願いしたいと思うんですね。 それから、人々の物価に対する見方、これはどういう指標で判断されていらっしゃるんでしょうか。
○白川参考人 これは先生御指摘のとおり、人々の物価に対する見方というのは非常に大事な情報でございますけれども、これをどう把握するのかというのは大変難しい課題になっております。 日本銀行はどういう形で行っているかということでございますけれども、幾つかの方法がございます。 まず、直接的なアンケートがございまして、日本銀行自身、外部の機関に委嘱していまして、四半期に一回、人々の予想物価上昇率を、向こう一年、あるいは向こう五年間という形で聞いております。同じような調査は政府の方でも行われております。あとは企業の先行きの物価見通し、これもアンケートがございます。それから、エコノミストが向こう一年、五年、あるいは十年という時間の長さの中でどういうような物価を予想しているか、これも数字がございます。それから、そうしたさまざまな見方が最後は金融市場に投影されますから、長期金利、例えば十年の金利を見ますとそこには物価観もあらわれてまいります。 我々としましては、今申し上げたような指標を総合的に見ながら、物価観といいますか物価の見方を点検しております。
○石井(啓)委員 そこで、日銀の中長期的な物価安定の理解ということでございますけれども、これがそもそもどういう性質のものなのか。この物価安定の理解というのは、物価の見通し、予測という意味合いなのか、あるいは物価の目標という意味合いなのか。どういうことで物価の安定というのを日銀としてはとらえていらっしゃるんでしょうか。
○白川参考人 まず、中長期的な物価安定の理解でございますけれども、これは見通しではございません。見通しの方は、我々は展望レポートで毎回物価の見通しを先行き二年程度公表しており、これが日本銀行としての見通しでございます。一方、我々は、金融政策上、物価安定、これを金融政策の使命とするというふうに法律に規定されています。 では、この物価安定というものをどういうふうに定義するのかということでございます。これはもちろん、先ほど来の議論にありますとおり、さまざまな意見がございます。政策委員会のメンバーの中でももちろんさまざまな意見がございますけれども、現状、物価安定をどういう状態と定義するのか、それについて各人の理解を持ち寄って、その上で、プラスで二%以下だ、中心は一だという形で、つまり、我々が金融政策運営上念頭に置いている、実現したい物価安定というのはどういうものかということをあらわしています。そういう意味では、あえて言いますと、これは、定義について各人の理解を合成したものであるということでございます。 多少補足的な説明になって恐縮でございますけれども、イングランド銀行あるいはカナダの中央銀行等では、物価安定について目標という形で出ておりますけれども、例えば欧州中央銀行は定義という形で出しております。米国は、定義も目標も出しておりませんけれども、五、六年先どういう状況になるのかという長期の見通しを出しております。これは私の理解ですと、物価安定というのはどういうものか、あるいは目標というのはどういうものかということについてFOMCのメンバーが数字を合わせている、一つの数字として出ているわけじゃなくて、ある幅でございますけれども、そうしたものでございます。
○石井(啓)委員 そういたしますと、先ほどの議論にもありましたが、見通しというよりはむしろ物価安定ということの定義であり、あるいは実現したい目標であるということになると、中長期的なというところがどこまでのタームで考えているのかというのがやはりポイントになりますね。 先ほどの総裁の答弁では、これは特に定めていないということなんですけれども、時期を定めていなかったら、十年後、二十年後に安定されても困るのであって、それは当然、相場観といいますか、ある程度のものはあってしかるべきなわけです。例えば二年とか三年とか期限を切ってやるということはないかと思いますけれども、どの程度の範囲でやるべきものかということは当然バックにあるはずですね。それはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○白川参考人 日本銀行としても、現在のデフレ状態から脱却し、できるだけ早く物価安定のもとでの持続的成長軌道に戻ることが必要であるというふうに認識しております。 問題は、その期間を明確に定められないのかということでございます。先ほど、別の議員の質問でも多少触れましたけれども、例えば、インフレーションターゲティングを採用している国として典型例はイギリスでございますけれども、イギリスは妥当な期間という表現をしております。あるいは、オーストラリア、ニュージーランド、これもインフレーションターゲティングとしては有名な国です。これは中期という言葉で表現していまして、必ずしも数字で表現しておりません。 私は、数字で表現すべきでないというふうに強く言っているわけではございません。ただ、どの程度の期間で望ましい状況が実現できるかということは、その国の置かれた経済の状況、ショックの大きさにもやはり依存してくるということでございます。 そういう意味で、日本銀行としては、望ましい姿を理解という形で示した上で、今度は日本銀行の見通しを出して、その見通しと望ましい状態が乖離している場合には、これはこういうことでこういう状況になっていますよということをしっかり説明する義務があると思っております。そういう意味で、できるだけ早く実現したい、しかし期間については、明示的に一年とか二年というふうになかなか申し上げにくいということもぜひ御理解いただきたいと思います。 特に今回の場合は、リーマン破綻以降のショックが非常に大きくて、例えば米国についても、失業率が非常に高い状況が長く続くという姿になっております。これはもちろん早く解消した方がいいわけでございますけれども、経済のショックが大きかったがためにそういうふうになっております。 ただ、そのことは、できるだけ早くこれを解消するという努力を否定するものではもちろんございません。日本銀行としては、できるだけ早く解消したいというふうに努力を続けていきたいと思っています。 〔委員長退席、池田委員長代理着席〕
○石井(啓)委員 今後の経済の動向、いろいろなシナリオがあり得ますから、確定的に何年と言うことは難しいのかもしれませんが、ただ、先ほど言いましたように、十年、二十年かけてやるという話ではありませんから、総裁としては、では、今回のデフレというのは何年ぐらいかけて解消したいというふうに思っていらっしゃるんですか。
○白川参考人 先ほど来説明申し上げていますとおり、現在の日本のデフレということは、日本経済が抱えているさまざまな問題がそこに集約的にあらわれているという感じがします。つまり、将来の成長というものに対して皆が自信が持てなくなってきた結果、需要がふえない、その結果、物価の下落がなかなかとまらないという状況でございます。 そのためには、潜在成長率を引き上げていく、生産性を引き上げていく、そうした努力がどうしても必要になってまいります。もちろん、その間、日本銀行は金融緩和を粘り強く続けてまいります。デフレが克服できるというのは、そうした政策当局それから民間の努力が相まって初めて実現するものでございます。そういう意味では、私は、何年で実現できるというふうに予測するよりか、むしろ、早くそういう状況を実現するために、政策当局もそれから民間も努力をしないといけない。 そのためには、繰り返しになりますけれども、現在我々が直面している問題は何なのか、その本質は何なのかということを正確に理解し、その上でそれぞれが努力をしていくということが大事だと思います。日本銀行もその中で大いに努力をしていきたいというふうに思っています。
○石井(啓)委員 日銀の金融政策だけで物価安定の達成の責任を負わされるのはかなわぬということかもしれません。そこは当然、政府の経済財政政策もやらなければいけないところだと思うんですけれども、私はむしろ、そこを政府と日銀がよく話し合って、どのぐらいの期間を目標にしてこのデフレを克服していくのか、日銀はこういうことをやります、政府もこういうことをやりますと。 当然、日銀だけでデフレが克服できるとは私は思っておりません。必要条件であるけれども十分条件ではないと思っています。当然、政府なりあるいは企業なりの努力も必要。しかし、せっかく何か、三カ月に一遍ぐらい政府と定期的な意見交換を始めたようですから、そういったことも含めて率直に意見交換をしていただいて、ある意味で、日銀からも政府にどんどん、こういうことをやったらどうかということの提案もしていただくとか、そういうことで、政府と日銀が相まってデフレ脱却への目標なり戦略なり、そういうことをお考えになってはどうなんでしょうか。 これは総裁だけじゃなくて、本当は財務大臣にも聞かなきゃいけないことだと思いますけれども、総裁のお考えはどうでしょうか。
○白川参考人 日本銀行は、政府との関係で、経済それから金融情勢について意見交換を行いたいという希望をかねてより持っておりまして、昨年来何回かそういう会合がございましたけれども、せんだっても、総理と私との間で意見交換という場を持たせていただきました。 私の方からは、経済金融情勢についての考え、それから政策運営についての基本的な考え方を御説明いたしましたけれども、今石井議員御指摘のとおり、そうした場で、日本経済が直面している最大の課題であります潜在成長率の引き上げという課題に向けて、こういうふうな考え方もあり得るんではないかというふうなことは率直に申し上げたいと思っています。 先ほど、別の議員の質問に答える形で、日本経済は今後何をすればいいのかという御質問がございましてお答えしましたけれども、そうしたことも含めて総理には申し上げております。これからもそうした、日本銀行として、あるいは私としての情報発信というものをしっかりやっていきたいと思っています。
○石井(啓)委員 そこで、物価に対する期待への働きかけということで、今、日銀がやっている中長期的な物価安定の理解だけで本当に十分なんだろうかという問題意識を持っています。 先ほどからインフレターゲットの話が出ておりますが、私は、期待に働きかけるという意味で、このインフレターゲットというのも有力な手法の一つではないかと思っているんですけれども、そういう意味で、これを検討するということは念頭にございませんでしょうか。
○白川参考人 インフレーションターゲティングというものの運営が随分変化してきたということは、先ほど山本議員も御指摘のとおりであります。 つまり、当初、インフレーションターゲティングというのは、比較的短期的な物価目標の追求というところにどちらかというと力点が置かれていたような感じがしまして、人々のイメージも、そうしたものとしてインフレーションターゲティングを理解したような感じがいたします。 しかし、だんだんインフレーションターゲティングの運営も、短期ではなくて中長期的だ、つまり、短期的にある物価を目指して政策を総動員していくんだということではないということが、あるいはそうすることの弊害が大きいということの認識が広がってまいりました。 今石井議員がおっしゃった御意見は、インフレーションターゲティングの持っている物価の数字、これによって人々の予想が変わるのではないか、どちらかというとそれを強調した議論かなというふうに受けとめました。 ただ、最終的にある目標を達成できるかどうかは、いわば言葉だけではなくて、それを支えるさまざまな政策、取り組みがあって初めてその言葉に重みが出てくるというふうに思います。インフレーションターゲティングが、あるいはインフレーションターゲティングのもとでの政策が金融危機の一つの原因になったのは、物価というものに過度に、ターゲットという言葉からくる短期の数字に関心が集まりやすいという欠点がやはり影響しているんだろうというふうに私は思います。 その意味で、私は、各国の中央銀行の金融政策運営を見てみますと、実際の政策運営の仕方というのはどの国も非常に似てきているなという気がします。その上で、それにどういうふうなラベルを張るのかというときに、ある国はインフレーションターゲティングという言葉で呼び、ある国は日本銀行のように二つの柱、あるいは欧州中央銀行もそうでございます。FRBと欧州中央銀行がなぜインフレーションターゲティングという言葉を使っていないのかということの意味を、やはり我々としては重く受けとめる必要があると思います。それは、やはりターゲティングという言葉がもたらす最終的な政策形成の力学といいますか、そういうものでターゲティングを使うということについてのやはりちゅうちょがあるんだというふうに思います。私自身は、そうしたちゅうちょは理解できるものでございます。 ただ、繰り返しになりますけれども、インフレーションターゲティングのよいところは取り込み、さらに進化させていきたいという思いでございます。
○石井(啓)委員 政策形成の力学というところに総裁のいろいろな真意が込められているなという感じがいたしましたけれども。 ただ、中長期的な物価安定の理解だけでは、私はもうメッセージ力が弱いと思うんですね。日銀がデフレ克服に取り組むというそこのメッセージ力を強めるということでもう少し何か工夫が、いや、私は具体的にこうしろという今アイデアがあるわけじゃないんだけれども、そこをもう一工夫あるんじゃないかという問題意識を持っているんですけれども、総裁、いかがでしょうか。
○白川参考人 石井議員の問題意識は、私も日本銀行の政策委員会メンバーも共有をしております。 そうした思いから、日本銀行は政策運営の枠組みを、この過去四、五年見ましても、いろいろな形で進化させてまいりました。二〇〇六年三月に量的緩和を解除する際に二つの柱というのを導入し、その際、中長期的な物価安定の理解をまず公表いたしました。その後、去年の十二月には、物価安定の理解というものの意味合いをもう少し理解していただくさらなる努力をし、そのときに、これはマイナスを許容しているわけではないんだということもはっきり示す、それから、中心としては一%ですよということを出すことによって、今議員がおっしゃったメッセージ力を高めていくという努力をしてまいっているところでございます。 我々としては、言葉の持つメッセージ力、これはこれで非常に大事だと思っています。と同時に、我々は最終的には、評論家ではなくて、政策を実行する、そういう立場でございます。どういう政策手段を持っているのか、現在の日本の置かれた経済はどういうものであるかということも同時に見て、その上で最適なバランスを考えていきたいというふうに思っています。 いつも申し上げていますけれども、現在の我々の枠組みが常にベストだというふうに言うつもりはもちろんございません。我々として、どういう方法があり得るのかということは常に考えていきたいと思っています。
○石井(啓)委員 ぜひ、さらなる工夫をお願いしたいと思います。 時間もなくなってきましたので、最後、郵政改革の中のゆうちょ銀行の預け入れ限度額の引き上げについて申し上げたいと思うんです。 これに関しては、今まで総裁は、金融機関が大き過ぎてつぶせないということが問題じゃないかということと、民間金融機関との競争条件の公平性の確保、この二つのことをおっしゃっていると思います。 これは、総裁の立場から何かはっきりは言えないとは思うんですが、この預け入れ限度額の引き上げについてかなり懸念を表明されているんじゃないかというふうに私は受けとめているんですけれども、これに関しての総裁の真意を確認したいと思います。
○白川参考人 お答えいたします。 まず、郵政事業全体の国民生活における位置づけや、あるいはこれへの公的関与のあり方については、さまざまな観点からの検討を踏まえた上で政府、国会において決定するものというふうにもちろん認識しております。 中央銀行の総裁という立場からこの議論に対して申し上げることは、郵政改革の中で、金融という面からどういう点に注意をしないといけないのかということをしっかりお伝えする義務があるというふうに思っています。 今回の世界的な金融危機の経過を見ても改めて思いますけれども、金融システムの安定を維持する上で、政府と金融のかかわりのあり方というのは非常に重要であるということを認識しています。危機の震源地でありますアメリカを例にとりますと、GSEという暗黙の、明示的な保証ではございませんけれども、暗黙の政府保証を有した公的金融機関の拡大、それからそのもとでの経営難が問題となりました。 このことからも明らかなように、政府と金融のかかわり方は極めて重要ですから、この郵政改革の問題を議論するときにも、そうした観点から見て、これがどういう意味合いを日本の金融システムにもたらすのかということを検討し、その上で、さまざまな観点も踏まえて決定していくということが大事だというふうに思っております。
○石井(啓)委員 もう一つ申し上げると、この委員会でも今まで亀井大臣に指摘をしていますけれども、暗黙の政府保証のついた郵貯の上限額が引き上げになると、地域金融機関の預金がゆうちょ銀行の方に流出する可能性がある。そのことによってどれだけの影響があるかは実際にやってみないとわかりませんけれども、やはり地域の金融システムの安定化ということについて懸念があるんじゃないかということを、実は私ども、亀井大臣には指摘をしております。 その点について、総裁、どういうお考えをお持ちでしょうか。
○白川参考人 先ほど、郵貯の問題を議論するときには、金融システムの安定という観点からの検討が必要であるというふうに申し上げました。 そのときに、幾つかの大事な要素があります。一つは、暗黙の政府保証のついた金融機関というものが存在する場合に、その規模がどのような影響を及ぼすのかということでございますけれども、もう一つは、民間金融機関との競争条件の公平性ということがやはりあると思います。 金融システムを構成するメーンのプレーヤーは民間金融機関でありますし、そうあるべきだというふうに思います。その民間金融機関の競争力が公平性を欠き、その結果、最終的に金融機関の収益性それから金融システムの安定性に影響を与える、そういうことがあるかどうか、これは大事な検討項目だというふうに思います。 そういう意味で、先ほど申し上げた幾つかの点を踏まえた上で具体的な検討が必要だというふうに思っております。
○石井(啓)委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○池田委員長代理 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。 まず、この間のアメリカ発の金融恐慌、これは過剰生産恐慌に連動したと私は思いますけれども、実体経済に非常に深刻な打撃を与えました。景気の現局面をどうとらえているか、それから、この危機から脱したと見ることができるのかどうか、まず最初にその認識を伺いたいと思います。
○白川参考人 二〇〇八年秋のリーマン破綻を契機にしまして、世界的な金融危機が発生し、世界経済は急速に大幅に悪化しました。これに対し、各国の政府、中央銀行は、公的資本の注入や潤沢な流動性の供給などさまざまな対策を矢継ぎ早に講じてまいりました。こうした措置の効果もありまして、金融市場は安定を取り戻し、世界的な金融危機は、これ自体は収束をしたというふうに思います。拡張的な財政政策や金融緩和策の効果などから、世界経済は急速な悪化の局面を脱し、現在は緩やかな回復を続けているということでございます。 議員御質問の危機との関係でいきますと、いわば急性症状としての金融危機は収束をしたということでございます。ただ、まだ世界経済、なかんずく先進国の方は、自律的な回復力は乏しいというふうに思っております。そういう意味では、危機の後遺症といいますか、あるいは危機の前のバブルの後遺症というものがまだ経済には残っているということでございます。 現在、新興国は力強く拡大しておりますので、我々としましては、この新興国が力強く拡大している間に先進国が持続的な成長軌道に復帰できるかどうか、それを実現することが大きな課題だ、そういう局面だと認識しております。 〔池田委員長代理退席、委員長着席〕
○佐々木(憲)委員 先進国が自律的な景気回復の軌道になかなかはっきりとは乗り切れないといいますか、そういう状況だということであります。 一つの、日本としてのポイントとしては、内需の拡大、とりわけ私は家計消費の動向というのがその中でもポイントになると思いますけれども、先ほどの総裁の報告の中で、企業部門の好転が家計部門に波及するにつれて我が国の成長率も次第に高まってくる、こういうふうにおっしゃっておられます。しかし、なかなか実態はそういうふうになっていないし、また、これまでも、企業部門の回復が家計部門に波及しないというのが実態だったと思うんですね。 ことし三月の日銀の金融システムレポート、これを拝見いたしますと、こういうふうに書いています。「製造業の経常利益は大幅に落ち込んだ。その後、全規模・全業種で、主として人件費などのコスト削減が事業計画を上回るペースで実施されてきた。この結果、企業は利益を捻出できるようになっている。」と。 つまり、コスト削減で、いわば労働者の賃金を抑えた、あるいは非正規雇用への転換というのが今までずっとありまして、派遣切りというものが行われた。その影響というのが非常に深刻だと私は思うんです。内需を縮小していく一つの要素になった。確かに企業の利益は回復しているけれども、全体としていいますと、内需低迷の要因というものは依然として大きなものがあるというふうに思うんです。 この点についてはどのような認識を持っておられるか、または見通しをどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。
○白川参考人 お答えします。 日本の現在の経済、あるいは他の先進国もそうですけれども、リーマン破綻後のショックによって、特に大企業製造業を中心に、まず大きな世界的な需要のショック、落ち込みが発生しました。そうした事態に対処するために、企業は、さまざまな経費の圧縮、この中にはもちろん人件費も含まれますけれども、損失補てんに努めました。その結果、固定費が圧縮された結果、一方で売り上げが回復し、企業収益は徐々に回復してきておりますけれども、これが家計部門にどう波及してくるかという問題意識は、私ども全く同じ認識を持っております。 それで、労働市場の統計を見てみますと、賃金上昇率あるいは有効求人倍率、それから雇用者数を見てみますと、足元の数カ月間は、それ以前のずっと下がってくる局面から、少し局面が変化してきて、少しいい方向への変化が見られるようにはなっています。ただ、いずれにせよ、現在レベルが低いことはそのとおりでございます。 これは、実は日本だけではなくて、経済がグローバル化している結果、今、先進国がともに悩んでいる点でございます。アメリカは今、失業率自体も一〇%に近い高水準でございますけれども、賃金がやはりなかなか上がってこない。これは、グローバルな競争が強くなってきている、その結果、なかなか賃金が上がらないということで、今、アメリカではジョブロス・リカバリーということが言われております。 ただ、そういうふうな流れが一方であることも事実ですけれども、しかし、製造業大企業、あるいはグローバル経済の改善がやがて日本経済にしみ込んでくることも事実ですし、一方で、グローバルな競争が続くことも事実でございます。大きな流れとしては、徐々に家計部門に波及をしてくるというふうに思っておりますけれども、ただ、そのテンポは、現状ではまだ緩やかだというふうに判断しております。
○佐々木(憲)委員 今のお話を聞いても、やはり、これは日銀そのものの守備範囲を超えた話になりますけれども、内需拡大の中心である家計部門をどのように支援していくかというのは、財政、税制政策の中では非常に重要なポイントになるだろう。それから、大企業、大きな会社の雇用に対する姿勢というものをやはり問い直さなきゃならないというふうに私は思っております。 さて、このアメリカの金融危機の原因ですけれども、私は、金融の規制緩和というのがこの十年あるいはそれ以前からかなり進行していた、それが背景にあったと思うわけです。例えば、金融と証券の分離というものが非常に骨抜きになってしまうというような問題も大変大きな要素としてあったと思っております。 一九三〇年代の世界恐慌を教訓につくられたのがグラス・スティーガル法でありますけれども、これは、銀行が証券業務を行うことによって、株式投機といいますか、これがどんどんあおられていった、それから不公正取引の温床となった、これは非常に大きな深刻な教訓だったと思うわけです。その結果、株価が暴騰して急落するという御承知の事態が生じたわけです。また同じことを繰り返しているんじゃないか、こういう指摘があるわけです。 この間の規制緩和を振り返りますと、やはり、銀行と証券の壁というものがどんどんどんどん下げられている。いわば銀行と証券が一体として運営できる形態が容認され、いわば巨大な複合金融機関と言われるような巨大な金融機関が誕生する、それが非常に大きな力を持つようになった。つまり、その巨大な力を持った金融・証券にまたがる資本というものが全体の投機的な動きにさらに加速をしかけていく、こういうことがあったと思うんです。 例えばサブプライムローンのように、銀行が債権を証券化する、その証券を今度は転売して、それをもとにして新しい金融商品をつくる、さらにほかのものと組み合わせて、次々とそういう新しい商品を派生的な形で生み出していく。そこに今度は預金者の資金も回されていくような、そういう状況がつくられたのではないか。 日本は、日米の金利差をもとにして、円キャリートレードというようなものが活発に行われて、アメリカに資金が流れる。そういう形でバブルがアメリカを中心に巨大な規模に膨れ上がっていく、こういう実態が生まれたのではないか。 したがって、これに対してどう対応するかというのがやはり今問われていると思うわけでありますが、この金融恐慌を引き起こした要因としてどういうものがあったと総裁は認識をされているか、まずそこをお聞きしたいと思います。
○白川参考人 お答えいたします。 今回のグローバルな金融危機は、二〇〇〇年代半ばの数年間にかけまして、世界的に、実体経済、金融の両面でさまざまな不均衡が積み上がったということがまず基本的な背景だと思います。 よく信用バブル、クレジットバブルという言葉が使われますけれども、一言で言いますと、このクレジットバブルが拡大したということでございます。問題は、なぜこのクレジットバブルが拡大したのかということでございます。これは、原因についていろいろな整理の仕方が可能でございますけれども、私自身は三つの要因に分けて整理をしております。 第一は、二〇〇〇年代半ばにかけまして、世界的に物価上昇率も低い、成長率も高い、金利も低いという極めて良好なマクロ経済環境が続きまして、そうした環境が続きますと、人々のリスク認識は甘くなってくるということが生じました。その結果、さまざまな経済活動の行き過ぎが生じました。これが第一点でございます。 それから第二点目は、さまざまな金融のイノベーションが進み、新しい金融商品が広がるもとで、金融機関による金融商品の価値とリスクの適切な評価やあるいはディスクロージャー、リスク管理などが十分に機能しなかったということでございます。これは、第一の理由とも関連した話でございます。 それから第三番目は、こうした状況に対しまして、金融資産や取引のリスクの捕捉やマクロ的な金融システムのリスクの評価などの点において、規制、監督体制の面でも枠組みが不十分であったということだと思います。 議員御指摘のさまざまな金融の業務緩和あるいは規制緩和でございますけれども、これは、過去十年間、さまざまな規制緩和が行われまして、これが金融機関や市場参加者が積極的なリスクテークを行うきっかけの一つになったことは事実だろうというふうに思います。 ただ、金融危機のより重要な要因としましては、そうした規制緩和なり、新しい商品が生まれる中で、それぞれのリスクを適切に評価するということがやはり不十分であった。これは、良好な経済環境が続いたこともありますし、そういう中でやはり人々が非常に無警戒になったということだと思います。 業際規制との関係で一点だけ申し上げますと、グラス・スティーガル法によって、アメリカは投資銀行業務とそれから商業銀行業務を分けたわけでございます。 今回、どういう金融機関が破綻したかということを見てみますと、さまざまなタイプの金融機関が破綻しています。まず、伝統的な投資銀行であるベアー・スターンズあるいはリーマンが破綻しました。それから、伝統的な商業銀行の一つである、例えばイギリスでいいますとノーザン・ロックが破綻しました。それから、政府系金融機関であるGSEが実質的に破綻状況になったということでございます。 このことが示しますように、これは、業務規制が重要でないということではもちろんございませんけれども、しかし、より重要なことは、リスク管理についての体制、認識だと思います。そういうことを申し上げた上で、どのような業務規制がいいのかということについては、実は今また先進国の間でいろいろな議論が起きております。 私としては、そうした議論も十分にフォローし、我々としてどういうことを考えないといけないのかということについて、今後とも検討していきたいと思っています。
○佐々木(憲)委員 そういう状況のもとで、どのような規制、監督というものが求められているか、これは国際的なさまざまな議論があると思いますが、例えばアメリカで最近焦点になっておりますのはボルカー・ルールと言われるものであります。これは、活動範囲の制限、それから規模の制限、大きな二つの柱があります。 例えば、活動範囲の制限という点でいいますと、銀行及び銀行を傘下に保有する金融機関について、以下を禁止するということで、二つあります。一つは、ヘッジファンドあるいはプライベート・エクイティー・ファンドの所有、投資、スポンサーとなる、そのことを禁止する。それから二つ目は、顧客サービスと関連のない、自己の利益のための自己勘定取引、これを禁止する。これは非常に大胆な対応だと私は思うのです。 それから、規模の制限という点でいいますと、米国金融セクターにおける経営統合を制限する。大規模金融機関に対し、預金の市場シェアに係る既存の制限、これは一〇%の規制がありますが、それに加えて、負債の市場シェアの過度の拡大に、より広範な制限を課すというような提案がなされています。 これは、上院を通ったんでしょうか、これから下院の審議が始まるというようなことでありますが、そういうアメリカの新しい規制、監督政策、これは、我々としても大変参考になりますし、日本としてもそのような具体的な対応策というものを金融当局あるいは政府としても考えるべきじゃないかと私は思うんです。 具体的に、例えば、銀行と証券の分離という問題、これを今後どう考えるか、それからヘッジファンド等の規制、あるいはそこに対する金融の関与というもの、これに対する監督と規制というもの、これをどうするか、最後に具体的な方策としてその点をお聞きしたいと思います。
○白川参考人 今、議員が御指摘になりました、アメリカのいわゆるボルカー・ルール、あるいはそれに関連した金融機関の業務の規制をどうすべきかという議論は、私どもも非常に関心を持ってフォローしております。 まず一般論から申し上げますと、いろいろな金融のルールについては、これだけ金融がグローバル化していますから、国際的な整合性ということも意識する必要があります。しかし同時に、それぞれの国はやはり状況が違っていますので、日本の状況に即した規制のあり方も考えていく必要があるということでございます。 今回、米国の金融危機を見て、我が国を見た場合に、幾つかの論点が挙げられるように思います。 第一は、金融改革を行う上で、金融機関がやはり資本基盤の充実と流動性リスクの適切な管理を図っていくことが重要であるということでございます。この点については、昨年十二月にバーゼル銀行監督委員会から、自己資本規制と流動性規制に関する包括的なパッケージ案が公表され、現在、その具体化に向けた作業が進められております。 私どもとしては、マクロ経済との関係も十分踏まえた上で、こうした規制の見直しということは一つ大事なことだというふうに思っております。 それから第二番目に、これは先ほど業務規制に関連して申し上げたこととも関連しますけれども、金融機関あるいは当局は、金融システム全体が抱えているリスクをしっかり認識することがやはり大事だというふうに思っております。 その面で見ますと、今回はやはりマクロ的な視点が弱かったなという感じがします。やはり実体経済と金融システムは相互に影響し合います。そうしたことも踏まえた上で、日本銀行として、あるいは規制監督当局として、しっかり対応していく必要があるというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○玄葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 正午散会