国土交通委員会 第7号
- 発言数
- 95 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2010/03/17
会議録
○川内委員長 これより会議を開きます。 国土交通行政の基本施策に関する件、特に八ツ場ダム問題等について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・水資源局水資源部長谷本光司君及び河川局長佐藤直良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○川内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内譲君。
○竹内委員 おはようございます。公明党の竹内譲でございます。 本日は、一番最初に質問させていただくことをまず感謝申し上げたいと存じます。同僚議員の御配慮に大変ありがたく思っております。大変申しわけありませんが、私、この後、財務金融委員会に移行してそちらでも質問をやりますので、途中抜けさせていただきますことをまずおわび申し上げておきたいと思います。 八ツ場ダムの問題につきましては、衆参の予算委員会等を含めてさまざまな議論が行われてまいりましたし、参考人質疑もやりましたし、問題点はほぼ整理し尽くされているんじゃないかなというふうに思っておるわけであります。特に、昨日の参考人質疑は大変よかったなというふうに思っております。 私ども公明党の立場は、八ツ場ダム問題はあくまでも予断なく検証すべきであるというものでありまして、前原大臣の言葉どおりの立場なんです。予断なく検証して、その結果に従うというものでございまして、私どもは、そういう意味では、初めに賛成ありきとかあるいは反対ありきではなくて、あくまでも公明正大に、客観的、中立的立場から、万人の納得のいくような解決方法を求めていきたい、このように考えておるところでございます。 その場合の予断なき検証には三つの視点が必要だというふうに考えておりまして、まず第一の視点は、ダムの意義と効果について科学的検証を行うべしというものでございます。すなわち、治水、そして利水、また環境等の問題につきまして科学的な検証を加えるべきであるということがまず第一点でございます。 第二の視点は、ダムの費用と便益について経済的検証を行うべしというものでございます。これも治水と利水について、いわゆるBバイC分析の正当性とその測定結果をどう評価するかという視点でございます。短期的損得だけではなくて、長期的に経済合理性があるのかどうかということが第二の視点でございます。 そして、第三の視点は、事業の継続あるいは中止について民主主義的検証が必要であるというふうに思っております。すなわち、どちらの結論に至るにせよ、地元住民の合意、また下流域の自治体との合意につきまして、民主主義的手続にのっとっているかという視点でございます。 こういう三つの視点から検証を加えていきたいと思うんです。 大臣は、この議論を通じて、御自分ではもう大変よくわかっておられると思うんですが、我々は予断なく、大臣の言葉どおりの予断なく検証すべきという立場なんですが、残念ながら、前原大臣のこれまでの御発言等を整理してみますと、やはり八ツ場ダムについてはどうも予断を持って中止するというものでありますから、ここに矛盾があるのではないか。これはもう皆さんが思っておられることだと思うんですね、多くの方々が。 この点、八ツ場ダムについては、予断なく検証すべきであるという大臣の言葉の原則と、やはり矛盾しているんじゃないかなということを皆思っていると思うので、まずここをちょっと御説明いただきたいと思うんです。
○前原国務大臣 本体工事の中止の方針は表明しておりますけれども、特定多目的ダム法に基づく手続には入っておりませんし、基本計画もそのまま生きているということでございます。今委員が御指摘をされましたように、再検証の河川に含めまして予断なく検証していくということでございます。中止の方針は示しているけれども、予断なく再検証をするということでございます。
○竹内委員 ここは十分いろいろなことを踏まえた上で御答弁されておられると思うので、押し問答になりますから、これ以上やっても仕方がありませんので、問題点を指摘しておくにとどめたいと思います。 そこで、ちょっと一つ一つ押さえていかないといけないと思うんですが、国土交通省の方に質問したいのは、昨日の参考人質疑で明らかになりましたことは、昭和五十五年に基本高水流量の決め方に大きな変更があったということでございます。すなわち、それまでの既往最大洪水主義から超過確率洪水主義への変更であるということでございます。このときに毎秒一万七千立方メートルから毎秒二万二千立方メートルへと増加しているのですが、これがなぜふえたのか。 そういう原則の変更をなぜ行ったのかということがまず第一点、そして、なぜ五千立米もふえたのか、この二点につきまして、どのようなお考えかお聞かせ願いたい。まず、それだけお願いします。
○佐藤政府参考人 事実関係なので、事務方からお答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、昭和五十五年の利根川水系工事実施基本計画における計画対象流量につきましては、それまでの既往最大流量から、超過確率を踏まえた流量へと変更させていただいております。 これは、理由としては、これまでの既往最大流量では、既往最大を超える洪水が発生し、そのたびに計画を見直したこと、これが第一点でございます。第二点は、過去の記録の年数に関係のない、ただ一回の偶発的な洪水に支配されること。三点目が、普遍的で統一した尺度であらわすことができないことなどから、計画手法につきましては、計画対象流量が何年に一度の割合でその値を超過するという年超過確率であらわし、全国の河川の間でバランスをとるという考え方に基づいて導入したと承知しております。 なお、利根川の昭和二十四年の改修改定計画における八斗島地点の計画対象流量、このときは毎秒一万七千立方メートルでございました。これは、カスリーン台風の実績に基づく流量でございます。このときは、上流域で相当量の洪水のはんらんが生じていた、そのときの状態の流量でございます。 これに対して、昭和五十五年の工事実施基本計画の毎秒二万二千立方メートル、これにつきましては、カスリーン台風と同規模の降雨があった場合において、河川整備に対する社会的要請や今後想定される河川の整備状況、具体的には八斗島上流の河道の改修等の状況も含めた検討を行った結果から定めた、計画値としての流量であると承知しております。
○竹内委員 昨日の参考人で、虫明先生なんかは、やや多目に見積もったのではないかという意見もありました。しかし、とりあえずこの二万二千というのを決めたんですが、この方針はまだ維持されていると考えてよろしいでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。 利根川水系河川整備基本方針、これは、河川法十六条の規定に基づいて社会資本整備審議会の意見を聞き、平成十八年二月に、先ほどの計画を踏襲、一部変更して策定されております。 この現方針につきましては、同法第十六条の六項、変更の手続を行っておらず、現時点においても効力は失われておりません。
○竹内委員 それでは、二〇〇六年に利根川水系河川整備基本方針が策定されたわけでございますが、これによると、八ツ場ダムや鬼怒川上流で建設中の湯西川ダムなどが完成しても、まだ三億五千万立方メートルの治水容量が必要としているわけであります。八ツ場ダムの総貯水容量は約一億立方メートル。この規模のダムがまだ三・五個も必要となりますが、国土交通省としてはこの方針を維持されますか。
○佐藤政府参考人 事実関係だけお答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、平成十八年二月に策定された河川整備基本方針、これにつきまして、事業中の洪水調節施設完成後、さらに必要な治水容量三・五億立方メートルについては、同方針には明示されてはおりませんが、同方針を策定する際の参考資料にこの三・五億立方メートルというものが記載されているものでございます。 一方、同方針においては、この取り扱いにつきまして、「河道が有する遊水機能を一層増強し洪水を貯留するとともに、既設洪水調節施設の徹底した有効活用を図った上で、洪水調節施設を新たに整備する。」としているところでございます。 この方針につきましては、先ほど申し上げた河川法十六条六項、変更の手続を行っておらず、現時点においても効力は失われておりません。
○竹内委員 ですから、国土交通省という組織としては、大臣は先ほど中止ということを言明されているんですが、実行部隊といいますかの計画としては、先ほどの超過確率洪水主義、それから二万二千立方メートル、こういうものはまだ維持されていると。それと、二〇〇六年の利根川水系河川整備基本方針におきましても、一応これはまだ有効である、こういうふうに理解されるわけですね。
○前原国務大臣 現時点においての法的な根拠あるいは計画については、河川局長がお答えをしたとおりでございます。 ただ、政権交代後、どのような治水を行っていくのかということを、今、治水の有識者会議で議論していただいておりまして、その評価軸、そして、今までのそれぞれのダムの基本計画なり整備計画というものも変更する必要性があるのかどうなのかといった前提条件を議論していただいているところでございます。その中間報告が夏ごろに取りまとめられるということで、それを踏まえて今の、現状のこういった法律なりあるいは計画を見直すかどうかという検討にそこから入るということでございまして、今までのものについては変更はしていない、こういう御理解をいただければありがたいと思います。
○竹内委員 そこで、ちょっと角度を変えたいんですが、昨日の参考人質疑では、これまで余り議論がされてこなかった、まあ若干あったかもわかりませんが、そういう話題も提供されました。その一つが、八ツ場ダムの上流域にある浅間山のことでございます。 浅間山は一七八三年、天明三年に大噴火をいたしまして、大量の火山灰、火砕流などを噴出させたわけでございます。再び大噴火したらどうなるか。八ツ場ダムに火山噴出物が大量に流入してくると思われますが、その場合、八ツ場ダムの貯水池は急激に埋まってしまう可能性もある。一方で、このことによって火山噴出物が下流に流れず、下流が安全になることも考えられる。そういう点での必要性を認める参考人の意見があったわけなんですけれども、この浅間山の噴火という視点からの防災という観点から、八ツ場ダムの必要性につきまして過去検討されたことがあるんでしょうか。
○佐藤政府参考人 平成二年から平成四年までの間、五回にわたり、火山活動に関するダムへの影響調査委員会、これが開催されました。委員御指摘の浅間山の噴火により、一七八三年、天明三年のいわゆる天明泥流と同規模の泥流が発生した場合のダムの安定性、そして貯水池内の水位の挙動などについて検討を行ったものでございます。具体的には、噴火による火山泥流に対して堤体としての一定の安定性を確認するとともに、適切なダム操作ができるような監視体制の構築、関係町村等に対する警戒、避難の情報伝達の手法についての検討を実施したものでございます。 本調査におきましては、八ツ場ダムの効果を確認することを目的としたものではございませんが、調査の過程におきまして、八ツ場ダムにより火山泥流の流量が低減されるとの計算結果を得ていることは事実でございます。
○竹内委員 なるほど、違った角度でのダムの必要性ということがあるんだなということを実は気づかされておるんです。それが一点。 それから次に、引き続き行きますが、今度は、他方で、治水につきましてはいろいろな意見がございました、効果がないという意見もございましたけれども、利水の方面からこの八ツ場ダムの有効性を支持する意見も昨日はあったわけでございます。 特に、最近では九四年、平成六年の大渇水がございまして、埼玉県でも河川からの取水量が減らされました。これは十年に一回以上の大渇水と言われておりまして、県民生活には表面上は影響は小さかったようですが、しかし、実際には地下水をくみ上げて生活用水にかなりしていた。そのため、埼玉平野では約三百五十平方キロメートルの地盤沈下が生じておるわけでございます。埼玉県の地盤沈下というのは、この平成六年だけじゃなくて、もう戦後ずっと、四十年近くにわたった地盤沈下が観測されているという報告がきのうもございました。 改めて、国土交通省としては、埼玉県周辺の地盤沈下の状況と利根川治水への影響を御報告願えますでしょうか。
○谷本政府参考人 地盤沈下の実績のデータについて御報告を申し上げます。 関東平野北部の地盤沈下状況につきましては、栗橋付近を中心とします埼玉県北部の地盤沈下が著しく、特に栗橋町あるいは鷲宮町の水準点では、昭和四十八年から平成二十年までに累積で一・五メートル近い沈下が観測をされております。 全般的に近年は鎮静化の傾向にございますけれども、平成十九年度、一センチメートル以上沈下をいたしました面積は約五百平方キロメートルとなっております。なお、平成六年あるいは平成八年という渇水の年には、一センチメートル以上の沈下面積はそれぞれ二千二百平方キロあるいは一千七十平方キロと大変大きくなっているという傾向がはっきりとあらわれております。 以上でございます。
○竹内委員 栗橋のところで一・五メートルも沈下しておるということでしたね。これは、堤防を強化するとかそういう話があるんですが、沈下したらどうなりますか。堤防とか橋梁の沈下にも影響してくるのかどうか、洪水はんらんの危険性が高まるのかどうか、技術的な観点からその辺はいかがでしょうか。
○前原国務大臣 委員の御質問に足らなければ、また事務方から補足して答弁をさせていただきますが、今委員が御指摘をされましたように、地盤沈下が起こっているということは事実でございます。 このために、定期的に堤防の測量を実施し、また監視を行っておりまして、利根川では、昭和五十三年から平成二十一年までの三十一年間でございますけれども、今委員が御指摘されたように、要は、破堤すればより被害の大きい右岸の方ですね、栗橋の右岸のところ、これは河口から大体百三十キロメートル付近のところでございますが、堤防が一・五メートル沈下をしているということでございます。 このような沈下に対しては、これまでも堤防のかさ上げ工事を順次実施してきているということでありまして、例えば、平成六年から十二年にかけて、利根川右岸百三十四・六キロメートルから百三十七・二キロメートルの延長二・五キロメートル、平成十七年から平成二十一年の、渡良瀬川右岸四・〇キロメートルから利根川の左岸百三十五・八キロメートルの延長三・九キロメートルのかさ上げ工事などを実施してきております。 引き続きまして、河川状況の把握を行って、かさ上げ等、適切な対応を行っていくということでございます。
○竹内委員 ここがまた非常に意外な盲点だったなと私はきのう感じたんですけれども、一億立方の八ツ場ダムの水をためるということで、利水にはもう間違いなくこれは効果がある、そういうことが間接的に結局治水に影響しているということで、堤防かさ上げ工事もされているということですが、今後の費用対効果というのも考えないといかぬのじゃないか。そうしないと、砂上の楼閣みたいな話になって、かさ上げしたけれどもどんどん沈下していくみたいな話ではちょっとまずい面もある。この辺をよく検討していただきたいと思うわけであります。 それから、あと、地球温暖化の影響というのを今後どういうふうに算定していくか、ここは非常に難しいと思うんですよね。きのうの参考人質疑の中でも、集中豪雨が来るかと思えば渇水の日が続く、そういう熱帯気候というんですか、私はちょっとそこは、気象関係は詳しくありませんけれども、非常に熱帯化しているような状況があると思うんです。そういう意味では、その部分というのをやはりある程度勘案していかないといけないんじゃないかと思うんですが、この辺の検討状況はいかがでしょうか。
○前原国務大臣 現在、治水の有識者会議でもその観点が話題の一つのテーマになっております。例えば、ゲリラ豪雨というものがどこで降るのかということによって、河川の整備の仕方も変わってくる可能性があるわけですね。例えば、ダムというのは私は有効な治水対策の一つだというふうに思いますけれども、上流でゲリラ豪雨が降れば、その治水対策はございますけれども、下流でゲリラ豪雨が降れば、それに対してはきかないということになってまいりますし、ゲリラ豪雨というものが今までどのような性質といいますか、あるいはどのような実績なのかという検証も踏まえて考えていかなくてはいけない、このように考えております。 いずれにいたしましても、さまざまな今までのデータ等を分析し、特に利根川というのは首都圏を守る河川でございますので、これの安全というのは極めて大事な観点でございますので、評価軸を今有識者会議で決めていただいて、その評価軸の中で利根川水系というものをどう守っていくことが今の気象変動、ゲリラ豪雨等に最も適切なのかという観点も踏まえてしっかりと議論し、それを踏まえた整備をしていかなくてはいけない、このように考えております。
○竹内委員 まだまだ聞きたいことはいろいろあるんですが、今、治水、利水面での科学的検証についてお尋ねをいたしました。 今度は、民主主義的側面と私は最初に申し上げておったんですが、そういう意味では、今後、地元住民四百七十世帯との合意とか、それから下流域一都五県の議会の議決とか、これは容易ではないと思うんですよね。相当の時間がかかる、どちらの結論をとるにしても。大臣はどのようなタイムスケジュールを考えておられるのか、この辺をちょっとお伺いしたいと思うんです。
○前原国務大臣 特に水没地域だとみなされていた地域はかなり時間もかかっておりますし、また、水没をするという前提で、道路整備とかあるいは個別のお宅の補修、管理なんというのはされてきていないと思います。相当御迷惑をかけている状況で、余り時間はかけていられない問題だと思っております。 したがいまして、予断のない検証ということで、今有識者会議で評価軸をつくっていただき、それが固まり次第、利根川水系でどのような治水を行っていくのかといったことをこれから議論していくわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この夏ごろに有識者会議の評価軸の中間まとめをいただき、そして、利根川水系においてそれを前提とした最適な治水対策というもの、これを考えていくということになります。現在の河川法の考え方にのっとれば、これは改正河川法でございますけれども、地域住民との対話というものが大事でございますし、特に法律においては一都五県との協議というものが必要になってまいりますので、できるだけ時間をかけずに、そういった評価軸が定まり、そして利根川水系のあり方という考えがまとまった時点で遅滞なく、しっかりと議論をしていきたい、このように考えております。
○竹内委員 私も国土交通委員会の理事を拝命して、急遽八ツ場ダムにも行きまして、いろいろお話もさせていただいたり、つぶさに調査もさせていただきました。 本当に大変なことだと思うんですよね。皆さん御存じのように、鉄道の橋までつけかえて橋梁をつくって、すばらしいものでありますし、学校も上に上げて、それから住宅ももちろんそうですし、あとは本体のダムというところでこういう事態に今陥っているわけでございますから、住民の方々の心情は本当に思いやられるものがあります。お墓も移転された、そういう思いというのは本当に言い尽くせないつらさがあったんじゃないかなというふうに思うわけでございます。 その上で、その言葉どおり、ぜひとも予断なく検証してもらいたい。繰り返しになりますけれども、どうも予断がある。アプリオリに、先験的に、これはやはり中止というのを大臣は決めているというふうに思うんですよね。これは指摘しておきたい。 その上で、最後に承りたいんですが、今、先ほどから申し上げましたように、治水計画については、計画そのものについてはやや疑念がありますが、しかし、利水の面からは間違いなく効果がありそうだと。浅間山の問題も考える必要があるだろうというふうに思います。 大局的に見て、日本の首都圏を絶対に守るという必要性はあるんじゃないかなというふうに私は思っておりまして、治水計画の細かな技術的な問題は多少疑念があるとしても、しかし、二百年に一回というのは、いつ起こるかわからないわけですけれども、万一起これば莫大な損失が生じます。もう御存じのとおりでございまして、首都圏は三十四兆円とも言われていますし、さらに、この東京を含む首都圏が洪水に何回なったといったら、国際的信用にかかわる重大な問題だというふうに思いますので、その辺、大局的見地に立っていただいて、予断なく検証をしていただきたいと思います。 最後に、もし大臣の見解があれば承りたいと思います。
○前原国務大臣 今、竹内委員がおっしゃったように、もちろんどの河川も人の命にかかわってくることでございますので、治水というのは大変大事でございますけれども、特にこの利根川水系というのは、首都圏を流れる、また、万が一のことがあれば多大な人的、経済的被害、あるいは委員のおっしゃったような世界的な評判にもかかわる問題でございますので、しっかりと治水対策は、当然ながらこれからもやっていくということでございます。 その中の一つとして八ツ場ダムの問題があるわけでございまして、先ほど委員は、疑念を持っておられますけれども、中止の方針はお示しをしておりますけれども、再検証の河川として予断なく検証していくということでございますので、その点を御理解いただければと思っております。よろしくお願い申し上げます。
○竹内委員 終わります。ありがとうございました。
○川内委員長 竹内君の質疑を終了いたしました。 次に、柿澤未途君。
○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。 きょうは、この八ツ場ダムの問題を、いわゆる経済学のサンクコストという考え方から検証してみたいというふうに思っております。 経済学の初歩の練習問題として、サンクコスト、埋没費用というのがございます。これは、埋没費用ということで、いわゆる沈む、シンクというものの過去完了形でサンクで、サンクコストなわけですけれども、このサンクコストというのは、事業に投下した資金のうち、事業の撤退、縮小を行ったとしても回収できない費用を指します。 よく例で挙げられるのは映画のチケットの話でありまして、ある映画のチケットが千八百円であるとする、このチケットを紛失した場合、再度チケットを購入しても映画を見るべきか否か。初めにチケットを買って見に行こうと思っていたわけですから、千八百円損したということをわきに置いても、これからのことを考えれば、やはりその映画を見ることが千八百円の代金に値するということを感じていたはずでありますので、ならば、失った千八百円を捨象して、再度チケットを購入してでも映画を見るということが経済学的には合理的な選択になるということであります。 この失った千八百円がまさに今申し上げたサンクコスト、埋没費用ということになるわけでありますけれども、これを公共事業に当てはめると、例えば、青森から函館まで総工費七千億かけてトンネルを掘っていたとする、工費六千億使って途中までやっていたら、札幌までジェット機が就航して航空運賃の方が安くなったという場合、残り一千億かけてトンネルを完成させるべきかということになるわけです。 正解は、開通させることによって上がる利益が残りの工費の一千億円を上回るようであれば工事は続けるべきであるし、一千億円に達しないようであればもうこの際やめてしまうというのが経済学的には正しい、合理的な選択だということであるわけで、回収できないサンクコスト、六千億円の工費がそれに当たりますけれども、ここの部分は、今後のプロジェクト費用を計算する場合には考えてはいけないものだというふうに言われております。ましてやこのような、トンネルのような大規模な公共工事の場合、その後、例えば大赤字になることがわかり切っているということであれば、こうしたことはいつやめても遅くはないということが言われています。 この点で問題になるのは、八ツ場ダムが、これから完成にかかる費用プラス維持管理費と今後もたらす便益というのが、どちらが大きいのかということに関する比較考量であるというふうに思っております。 まず、基本を押さえておきたいというふうに思うんですけれども、八ツ場ダムの総事業費は四千六百億円とされておりますけれども、このうち既に事業に対して何円を投じた状況であるのか、お尋ねを申し上げます。
○前原国務大臣 柿澤委員にお答えします。 平成二十年度までに既に支出をした額は約三千二百十億円でございます。
○柿澤委員 この三千二百億円という既に支出した額がまさに八ツ場ダムに関するサンクコスト、埋没費用になるわけです。サンクコストの考え方でいえば、この三千二百十億円というのはもう戻ってこないコスト、これはこれからの事業の継続、中止を検討する上では一切考慮に入れないで考えるべきものということに経済学的にはなるわけであります。 それで、これから完成までにかかる事業費は全部合わせて幾らになる見通しか、お尋ねをさせていただきます。
○前原国務大臣 実際やってみないとわからないというのが正直なところだと思いますが、四千六百億円から今の今までかかった三千二百十億円を引いた金額は約千三百九十億円だというお答えをしておきます。
○柿澤委員 一千四百億円程度ということになります。 一方、八ツ場ダムを中止した場合にかかる費用というのはどの程度というふうに想定をされているでしょうか。これについては河川局長にお尋ねをする予定になっていたと思いますので、御答弁いただければと思います。
○佐藤政府参考人 国みずからが八ツ場ダム建設事業を中止した場合には、特定多目的ダム法第十二条に基づき、利水者が既に納付した負担金を還付することとされております。平成二十年度末までに利水者が納付した負担金の合計額は約一千四百六十億円、そのうち国からの補助金分を除いた実質的な利水者への還付額は約八百七十五億円でございます。 このほか、仮に現在の生活再建、これをすべて継続した場合には、ダム事業で平成二十一年度以降に約七百七十億円の支出が必要となります。この七百七十億のうち、国の負担額は約四百三十四億円でございます。
○柿澤委員 それだけではなくて、前原大臣は、就任早々でありましたけれども、建設中止の場合は利水と治水の地方負担金を返還するという方針を示されていたかと思います。これを合わせた場合にはどうなるかということを、もう一度御答弁ください。
○佐藤政府参考人 先ほど申し上げた利水者への還付金、これについては一千四百六十億円、これは法の規定に基づいて、トータルで一千四百六十億円でございます。そして、治水の負担金、これにつきましては、法的な規定は一切ございません。 以上でございます。
○柿澤委員 こういう答弁ならば申し上げますが、治水の直轄事業負担金は五百二十五億円あります。先ほどおっしゃられた利水の負担金、法的に基づくもの、また生活関連事業等々の部分、これを合わせると大体一千三百億で、治水の負担金をお返しになるという方針を、前原大臣は当初お示しになられていましたので、これをプラスすると、恐らく一千四百億を上回る額になってくると思います。利水、治水の地方負担金をどう見るかにもよるんですけれども、これは国、地方自治体の所得移転でしかないというふうに見ることもできますが、しかし、国の財政としては、中止するより建設続行の方が今のところは安くつく計算になるように思われます。 さて、八ツ場ダムの総事業費四千六百億円のうち、既に三千二百億円が使われ、残る事業費は一千四百億円程度ということになっております。国交省の試算で維持管理費は年間八から九億円ということが言われておりますので、百年分でも八百億円から九百億円ということであります。そうすると、今後のコストは明示されているものだけで二千三百から二千四百億円ということになります。一方、国土交通省の発表によれば、ダムの費用対効果はBバイC三・四ということですから、四千六百億円掛ける三・四で、効果は大体一兆五千億とかそのぐらいになるんだというふうに思います。 この点、確認をいたしておきたいというふうに思いますが、BバイC三・四ということでありますけれども、国土交通省のマニュアル及び技術指針に基づき計算をした総便益というのは幾らになっているのか。河川局長、お願いいたします。
○佐藤政府参考人 平成二十一年二月に、関東地方整備局の事業評価監視委員会、ここに提示した八ツ場ダム建設事業のBバイC、これにつきましては三・四でございます。根拠となる河川管理上の総便益額は一兆五百八十九億円でございます。
○柿澤委員 今申し上げたように、八ツ場ダム完成と維持管理にかかるコストは、大体二千三百から二千四百億円。一方、費用対効果の計算ではじき出した効果は一兆五百億円余りということになる。これが事実だとすると、ダムは建設すべきだということになるわけです。問題は、この国交省が発表している費用対効果が正しいのかどうか。 ここからは、河川局長に実務者としての見解を御答弁いただきたいと思います。 総事業費四千六百億円、完成までの今後の事業費一千四百億円という数字に疑義を持つ人もいます。すなわち、これまでのダムなど大型公共事業にあったように、八ツ場ダムの総事業費もこれより膨らむに違いない、こういう批判が見受けられます。こうした疑義を国土交通省として今まで持ってきたかということをお尋ね申し上げたいと思います。
○佐藤政府参考人 八ツ場ダムの関係につきましては、さまざまな御意見があると承知しております。 以上でございます。
○柿澤委員 私が尋ねているのは、国土交通省として総事業費四千六百億円というのを出しているわけですから、これが国土交通省として公式に認めている総事業費である、こういうことを答弁していただきたいんです。
○佐藤政府参考人 特定多目的ダム法に基づいて整理された総事業費四千六百億円、これについては、公的に疑義はないというふうに考えております。
○柿澤委員 公式に疑義はないというお話であります。 一方、総事業費が一九八六年の二千百十億円から二〇〇四年に四千六百億円になってしまった、こうしたことについて、やはり公共事業の、まさに当初の試算より見積もりが膨らんでしまう典型的なケースではないか、こういう批判もございます。 なぜ総事業費二千百十億円が四千六百億円に膨らんだのか。これについて、国土交通省としての公式の御所見をお尋ねいたします。
○佐藤政府参考人 八ツ場ダムの総事業費につきましては、昭和六十一年に定めた当初の基本計画では、御指摘のとおり約二千百十億円でございましたが、現在の基本計画では約四千六百億円となっております。 この総事業費の増加の理由でございます。調査の精度向上による工事費の増加、二点目が補償基準の確定による用地補償費の増加、三点目が物価の上昇などが挙げられます。
○柿澤委員 特にいいかげんにやってふえちゃったわけではないということを今おっしゃられていたんだろうというふうに思います。 この八ツ場ダムについては、総事業費に占める本体工事費の割合が異例なほど低いということが言われています。ほかのダム事業に比べて本体工事費が非常に異例に低いということについては、ほかのダムと比べてどうなんでしょうか、お尋ねをいたします。
○佐藤政府参考人 直轄、水機構が現在実施中で、現在本体工事に着手している八ツ場ダム以外の十六ダムにおける総事業費に占める本体及び関連工事費の割合、この平均値は約四六%でございます。これに対しまして、八ツ場ダムにおけるその値は約二二%。なお、この十六ダムのうち、八ツ場ダムの二二%を下回る事業はございません。 この理由につきまして、八ツ場ダムについては、用地補償費、この割合が全体事業費の中で高いということが挙げられます。
○柿澤委員 事実をお答えいただきましたけれども、周辺の住民の皆さん等々に対して非常に手厚い対策を講じてきた。こうしたことが影響して、すべてのダム事業、今進行中のものの中で一番本体工事費が低い、むしろ関連事業の費用が高いものになっているということであると思います。本体工事費の割合が異例なほど低いということは、つまりはそれ以外の事業に多くのコストを払っているということで、これはすなわち生活再建等ということになる。これは、いわばそれだけ割高なダムなわけです。 にもかかわらず、先ほどのBバイCの総便益でも、総事業費の三・四倍の一兆五、六百億円の効果がある、便益があるということであります。割高なコストがかかっていて、それでもなお三・四倍の効果がある、便益があると見込まれる。そうすると、八ツ場ダムというのは、数あるダム事業の中でも大変な優等生だということになってしまうのではないかと思います。 本当にそうなのかなという気もいたしますけれども、再び河川局長に実務者としての見解をお尋ねしてまいりたいと思います。 八ツ場ダムのBバイCの三・四という数字、この数字についても、いろいろと疑義を挟むさまざまな意見がございます。このBバイC三・四という数字に、国土交通省の公式な見解として疑義をお持ちでありますでしょうか。
○佐藤政府参考人 八ツ場ダムの費用対効果分析につきましては、一定の技術的知見に基づく標準的な手法でございます、平成十七年の四月に作成された治水経済調査マニュアル案、これに基づいて実施しているものでございます。
○柿澤委員 これは、疑義はないというお答えでよろしいですね。
○佐藤政府参考人 このマニュアルに忠実に基づいて実施しているということでございます。
○前原国務大臣 今、河川局長が答弁したとおりでありまして、三・四というBバイCは、平成十七年四月に策定された治水経済調査マニュアルに基づいてやられているという意味においては、この数字というものは適正なものである。 しかし、先ほどから申し上げているように、治水の標準軸といいますか評価軸というものを基本的に見直していくということでございますので、この治水経済調査マニュアルで今書かれているBバイCの算定方法がいいのかどうかも含めて、我々は見直していかなきゃいけない、このように思っております。
○柿澤委員 今の前原大臣の御答弁は、BバイCの三・四という今までの評価手法にはいろいろと再検討をしなければいけない、こういうことをおっしゃられているということでよろしいでしょうか。
○前原国務大臣 我々は、例えば道路の事業評価のあり方についても見直しをするということを今表明しておりますし、当然ながら、河川についても見直していかなくてはいけない、このように思っております。 委員も御存じだと思いますけれども、これは、要は、BバイCですからC分のBですよね。Cというのは、どれだけお金がかかったのかということと、あとは、便益というものについて、人口とか資産とか、そういったものが含まれているわけで、もちろんBバイCが高いという方向性は評価軸を変えても基本的には変わらないと思いますけれども、実際問題、人口が密集しているとか、あるいは都市ほどどうしても高くなる傾向はもちろんあるわけであります。 ただ、それにかわる代替治水案というものについても、当然ながら、BバイCを考えていって、比較をしていくということになると思いますので、これだけが高いからどうのこうのということでもないし、評価軸についても見直していくということで我々は考えていくということでございます。
○柿澤委員 そうすると、今、全国の八十九のダムについて再検証の対象になっていると思いますけれども、これは、BバイCでいうと八ツ場ダムは非常に高い方になるわけですけれども、場合によっては、費用対効果については、高いものを中止して、低いものを建設続行するという判断もあり得るということでよろしいんでしょうか。
○前原国務大臣 BバイCだけが一つの基準ではないと思っております。つまりは、ほかの代替案が治水としてあるのか、利水としてあるのかということ、そして先ほど申し上げたように、改正河川法の一つの大きな柱は、地域住民の意向というものもございますので、流域の自治体との話し合いということも当然ながら含まれてくる、このように考えております。
○柿澤委員 今のお話を総合していくと、八ツ場ダムを、就任早々、ある種決め打ちで中止をしますという発表をしたのが、一体なぜだったのかということがやはりわからなくなってくると思うんですね。 当初、八ツ場ダムを中止しますということをきっぱり明言されたこと自体は事実だと思います。そのときに考えていた中止の理由、根拠ということについては、前原大臣、改めてちょっと御説明をいただけないでしょうか。
○前原国務大臣 柿澤議員も東京都議会で民主党の議員でいらっしゃいましたし、民主党の都議会は八ツ場ダム反対ということで都議会選挙を戦ったという前提で質問をされている、私はこういう理解をしておりますけれども、根本のお尋ねですので、もう一度お話をさせていただきます。 私は、ダムがすべてだめだということを当初から申し上げているわけではありません。先ほどのBバイCの話で申し上げると、どのぐらいのタームで物事を考えていくかということになれば、例えば、ダムをつくれば必ず砂がたまります。そのしゅんせつ工事というのも要るし、そして、しゅんせつしなきゃいけない砂がたまるということは、下流に対して土砂が供給されない。そのことによって、いわゆる海岸の侵食などということも起きているところも実際出てきている。この委員会でもそういった議論もありました。そしてまた、河川がダムをつくることで汚濁をされることによって水質の悪化、そして水産資源、これは川だけではなくて、海に流れていったときの問題ということも数多く今まで指摘をされていることであります。 そういったトータルのことを考えたときに、今の莫大な財政赤字、少子高齢化、そして人口減少という日本の制約要因を考えたときに、税金の最適配分を考え直さなきゃいけない。それを考えたときには、お金があれば、それはできるだけ治水とか命にかかわることはお金をかけた方がいいけれども、財政的な制約のある中で中長期的なことも考えてどういった治水対策をするのか、そして、それをやるために根本的に見直しをする。その入り口として、計画が立てられて五十七年もできていない、四十三年もできていない川辺川と、そして八ツ場というものを、まず中止を表明することによって全体の河川のあり方の見直しをしていくということで、民主党のマニフェストに掲げさせていただき、国土交通大臣としてそれをやっているということであります。
○柿澤委員 後段でおっしゃられた、まさに時のアセスといいますか、半世紀の期間を経てまだ本体工事着工にも至っていない、こうした状況にある八ツ場ダムをやはり中止するという表明をすることによってダム事業全体のあり方を見直していく、まさに第一歩をしるしていくんだ、こういう考え方だと思います。 しかし、まさに時のアセスで、これはアセスメントなわけですから、それをもってアプリオリに建設の中止を打ち出すような話なのかなという気もいたします。まず建設を凍結して、まさに予断を持たずに再検証する、それが必要なのではないかと思いますが、前原大臣、いかがでしょうか。
○前原国務大臣 中止の方針は示しました、中止をするという方針は示しましたけれども、ダム事業というのは、議員も御存じのとおり、特定多目的ダム法とかあるいは河川法とか、さまざまな法律によって計画がされていて、基本計画があるわけですね。そして、この基本計画というものを廃止しようということになれば、これは一都五県との話し合いも含めて、法的な手続に入らなくてはいけないわけです。 私は、八ツ場ダム、川辺川ダムの中止ということを表明させていただく中で、さまざまな御意見もあります、それをまた、この意見も踏まえてどう調整をしていくのかということで、最終的には法にのっとった手続をやっていかなくてはいけないということでありますので、私は自分のやり方が間違ったとは思っておりません。
○柿澤委員 先ほどの竹内委員に対する御答弁でもありましたけれども、予断を持たずに再検証を行う、建設中止は表明した上で予断を持たずに再検証を行うということですから、再検証の結果、場合によっては、八ツ場ダム、やるという可能性もあるわけですよね。こういうふうに解釈すべきなんですか。
○前原国務大臣 中止の方針を示しておりますが、予断なく再検証するということは、予断なく再検証するということです。 そして、先ほどから申し上げておりますように、さまざまな、別に政権交代で、前の政権がやっていたことだから否定するということじゃなくて、我々の政権の根本的なところは、公共事業だけじゃなくて今のままの政策すべて、今のままの政策の延長線上では持続可能ではないだろう。特に、財政破綻というのはもう目の前に来ているのではないか、公共事業というものをしっかり見直さなきゃいけないという中で、しかし、やるべきことはやらなきゃいけない、特に治水なんかはやらなきゃいけない。そのときに、どうやっていろいろな制約要因の中で新たな評価軸を考えていくのかということで、今、有識者会議もつくり、そして新たな評価軸をつくる中で治水全体の考え方をまとめていく、こういう考え方であります。
○柿澤委員 今の御答弁を聞くと、事実上、八ツ場ダムの中止という基本的な方針を撤回したように聞こえます。これについては御答弁は求めません。 それ以上に、ダムによらない治水ということをやっていく上では、まさに河川改修が非常に重要だと思います。私も、ダムによらない治水が進められていくことについては、それが河川における安全、安心を守っていく限りにおいて賛成です。 しかし、きのうの参考人質疑でも、私は例のスーパー堤防の話をしたんですけれども、ああいうコストと時間がかかる法外な計画で河川の改修を行っていくのだと、これはいつまでたっても完成しない。これで本当に、ダムによらない治水で河川改修ですということで、こんなことでいいんですかということをお尋ねさせていただいたところ、八ツ場ダム反対派の理論的支柱であります水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之さんも、それに対して同調する意見を言ってくれました。スーパー堤防では費用も期間もむちゃくちゃかかって、しかも点でしか整備をできず、線にならない、無意味だ、こういうことをおっしゃっていました。 その上で、もっともっと安くつくやり方があるんだ。ダムによらない治水をしていく上では、もっともっとフィージブルなというか実現可能な、コスト・ベネフィットのある、こういうやり方をしっかり模索し検討した上で、この方法で河川改修を着実に進めていく、それによってダムによらない治水を実現していく。そうしたもっとリーズナブルな河川改修のやり方を編み出して、そしてそれを進めていく、こうした方向性を、ダムを中止するという方針を打ち出すのであれば、その代替案として示していくべきではないかと思います。 前原大臣もこの点は御同意いただけるのではないかというふうに思いますので、御答弁をお願いしたいと思います。
○前原国務大臣 ちょっと時系列で申し上げると、私は初め、金子委員がおられて申しわけありませんが、川辺川ダムと八ツ場ダムについては中止という方向性を打ち出しました。先ほど申し上げたように、これはどちらも法的な中止の手続に入っておりません。法律で決められた基本計画があるわけですから、中止という方向性をいたしました。 しかし、川辺川については、熊本県知事さんも含めて白紙撤回という方向性を示していただいておりましたので、地元流域の方々との話し合いが進みますけれども、八ツ場はなかなか進まないということで、八ツ場も再検証の河川に入れさせていただいたということでございます。やはり対話をしていかなくてはいけない、これはもうそのとおりだと思っております。 そこで、今議員がおっしゃったことは、基本的な方向性は一緒なんです。つまりは、評価軸を変えていく、いろいろな制約要因がある中で、治水というものの評価軸を変えていく中で、では利根川水系ではどういった治水がその制約要因の中でベストなのかということを、これから有識者会議の中間報告を受けて考えていくということでございまして、その中には、委員から御指摘のあったスーパー堤防のあり方というものも当然ながら含まれるということだと思いますけれども、スーパー堤防がいいか悪いかというよりも、やはりダムに頼らない場合において、堤防決壊というのが一番怖いわけでありますので、どうすれば強化堤防によって決壊が防げるかということについては、スーパー堤防かどうなのかは別にして、しっかりやっていくということに方向性としてはなるのではないか、このように私は思っております。 いずれにしても、さまざまな制約要因の中で評価軸を変えて、そして、それぞれの河川整備の水系によってのあり方をしっかり定める中で地元の皆さん方の理解を得て、しっかりそれをやっていくということで努力していきたいと考えております。
○柿澤委員 今の有識者会議の中で、河川改修のあり方、まさにこれは、ダムをやらない場合の代替案というか、ダムよりもさらに効果的な案として、皆さんも含めて御提示をされるべきものだと思いますので、そうした点について、鋭意御検討をいただいて新しい案を出されれば、それは大変すばらしいことだと思います。 その一方で、それなくしてダムを中止しますということであるとすると、これは、ある意味では住民等々に対してただただ不安を与えるということになりかねません。今回、予断を持たずに再検証するということは、予断を持たずに再検証するということだと。中止を言ったものの、やはり予断を持たずに再検証ということでありますので、基本的に去年の九月に打ち出された方向性というのは、相当フラットかつニュートラルなものになってきたのかなというような印象を持ちましたけれども、これから本当に有識者会議のアウトカムというものに大いに期待をしながら、注視をしてまいりたいというふうに思っております。 時間も超過をいたしましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○川内委員長 柿澤君の質疑を終了いたしました。 次に、佐田玄一郎君。
○佐田委員 それでは、質問をさせていただきます。 きのう、参考人で、長野原の旅館組合の豊田さんがおいでになりました。豊田さんの主張は、一月の二十四日に大臣と対話をさせていただき、その中の条件としては、生活再建並びに予断なく再検証をするという条件でやらせていただいた、こういうふうに言っておりましたけれども、きのうの発言では、大臣の中止というふうな考え方、これがなかなか変わらなかった、失望をしたと。それともう一つ、そうなれば、生活再建をゼロからまた考え直さなくちゃいけない、こういう意見が一つありました。 もう一つは、生活再建の中で、湖面一号橋の話なんですけれども、川原畑と川原湯の間を要するにまたぐ橋であって、例えば火事になったときは片方の方の消防車が行くとか、もしも橋がない場合は、本当にこれは大変なことになって、何百メーターも下に行ってまた上がっていくという、時間的な制約も相当できてくる。そういうことを考えますと、もう既にこれは、二地区で議論をしながら、何としてでも欲しいんだ、こういうような形で今進んでおるということを述べておりました。 また、きのうの夕刊ではありますけれども、きのうの参考人質疑の問題がここへ出ておりました。「八ツ場ダムの水没予定地にある川原湯温泉の老舗旅館の一つが、「生活再建の見通しが立たない」として、今月いっぱいで宿泊営業を休止する。前原国土交通相が昨年九月にダム建設中止を表明して以来、温泉旅館では初の休業宣言。」ということで、「問題が長期化すれば衰退に拍車がかかる」、もう時間がないんだ、こういうふうに言っておるわけであります。 また、経営する豊田さんという方は、この方は七十四歳ですからもう結構お年を召していますけれども、「中止表明から半年近くもたって何も進まない。代替地移転はいつまでも待たされるばかり。今のままでは赤字が続くだけで経営が成り立たない」、こういうふうにも言っているんですよ。 きのう来られた豊田さんの方は、要するに、温泉を「経営する川原湯温泉街は水没予定地にあり、ダム完成後は、代替地に移転して「ダム湖を望む温泉」として再生する計画だった。」と。そういう中において、もう時間がない、このままいったら四百年以上続いた川原湯温泉が衰退してしまうと。 一方で、この間も質問させていただきましたけれども、大臣は、皆さん方のお話をいただき、そして有識者会議をつくり、ことしの夏ごろまでに基準をつくられる、そしてその後に個別個別の議論をしていくと。それでは余りにも時間がかかり過ぎるんじゃないか。八ツ場についてはほとんど、川原湯もおかしくなってしまいますし、住んでいる方々ももう移転が始まっておりますから、そういう意味においてはどういうふうな対応をされるのか、大臣にお伺いします。
○前原国務大臣 佐田委員にお答えをいたします。 きのうの国土交通委員会の参考人意見陳述で、川原湯温泉旅館組合長の豊田明美さんがお話をされたことについて、概要について私も伺いました。今の川原湯地区の状況というのは、平成十年と二十年では大きなさま変わりだと。平成十年のときには十八軒あった旅館が今は七軒、今先生おっしゃったように一軒がさらに閉鎖をした。それから、飲食店も平成十年に十一軒あったけれども、平成二十年では二軒。そして、平成十年では百八十四世帯五百三十五人が住んでいたけれども、平成二十年では五十三世帯百七十四名。観光客もこの十年間で二十二万人から十一万人に減った。そういうお話をされ、そして、一刻の猶予も許されないということをおっしゃったということは、先生が今御指摘をされたとおりでございます。 予断なく再検証するというプロセスに今のせておりますので、夏ごろの中間報告を受けてどのようにしていくのかということでございますが、ただ、移転を求められる方々につきましては、先ほど柿澤委員にもお答えをしましたように、基本計画の中止はしておりませんので、生活関連に係る事業というものはこれから必要なものは進めていきたいと考えておりますし、移転を御希望されて、新天地で生活をしたい、今までダムに水没するということで手入れをしていなかった、なかなかお客さんも来にくいという旅館については、代替地に移転していただくということももちろんやっていただければというふうに思っております。 そういう意味では、生活再建に係る事業は継続をして、できるだけ地元の方々の御要望におこたえをできるような、そういった対応策は行っていきたい、このように考えております。
○佐田委員 生活再建につきましてはこれから話し合っていくという話でありますけれども、この間も大臣にお聞きしましたけれども、大臣は中止ということで考えをお持ちですけれども、中止の場合の大臣の生活再建の考え方、これからどういうふうに地域に対して中止をしていくか、こういうこともぜひお述べをいただきたい。 そうじゃないと、ただ生活再建、生活再建といって、この間、大臣が一月二十四日に来られたときには、それでは湖面一号橋はどうなるんでしょうと言ったら、それはまだ決めていませんと。これでは、やはり生活再建もそういうふうな形に中止されそうである。そして、ダムの撤回、予断なく再検証すると言っていながら中止というものは変わっていないといったら、住民の方々は、これからまさに大臣が来られてもまず話し合いに応じないと思うんですけれども、その辺はいかがですか。まず生活再建の考え方と、そして住民との対応の問題。
○前原国務大臣 繰り返しお話をしておりますように、当該住民の皆さん方にはまことに申しわけなく思っております。 私の生活再建の考え方は、基本的には住民の方々にその案をお考えいただく。これは、自治という観点においては、まずはどのような生活を考えられるのか。もちろん今はダムを前提にして考えておられると思いますけれども、仮にダムに頼らないということになった場合においてはどういう生活再建が望ましいかということも含めて、まずは地元の皆さん方にお考えをいただくというのが、私は自治の観点からは筋だというふうに思っております。 ただ、そういったことはもう考えられないんだ、きのう豊田さんの話でも、今後の生活再建については、生活再建をゼロから考える時間や経済的な余裕、精神的なゆとりはない、こういう御発言をされていると伺っております。仮に住民の皆さん方が、自分たちはいろいろな意味で、ダムに頼らないほかの代替案、生活再建の代替案について考える、そういった余裕がないんだということであれば、我々も、まずは地元の方に意見をお伺いして、それを受けて例えば幾つかの案をお出しして、そして議論のテーブルにのっていただけるのであれば、私どもはそういった地元の方々からのお申し出によって幾つかの案を考えた上で対話をしていくということは、私は考えられる選択肢ではないかと思っております。 あくまでも、やはり地元の方々がまずお考えをいただくということが、筋論を言って申しわけございませんが、大前提ではないか、このように考えておりますし、また、ダムに頼らないという仮の我々の御提示に対して、その前提で対話にのっていただけるのであれば、喜んで何度でも対話はさせていただきたい、このように考えております。
○佐田委員 大臣、ですから、そこの辺がちょっと食い違うわけですね。大臣は、ダムのない生活再建の話をしたい。ただ、向こうの方は、住民の方々は、ダムなしの生活再建はもう考えられない、きのうも言われたように。もう十年以上それは計画を立ててきた、こういうことがあるわけですから。 それともう一つ、それはおかしいかなというふうに思うんですけれども、生活再建は地元の方々が考えてきたら考えるというふうに今言われましたけれども、大臣、それはちょっと違うんじゃないかと思うんですよ。大臣が中止をするというふうに宣言されたんですから、中止をされる以上は、我々としてはこういうふうな案があります、ああいうふうな案がありますというふうに言うのが筋じゃないですか。どう思いますか。
○前原国務大臣 佐田委員のお考えはそういうお考えなのかもしれませんが、どのような地域においても、地域がどういう産業で、あるいはどういうなりわいで、あるいはどういう特性を持ってやっていくかということは、やはり自治、地域で決めていただく、そして地方自治体やあるいは国がお手伝いをすることについてはお手伝いをするというのが、私は筋論だというふうに思っております。したがって、まずはその筋論を申し上げたわけでございます。 ただ、きのう豊田さんが参考人で発言をされているように、あらゆる面にゆとりがないんだということで、ちょっと国が考えてくれというお話があれば、それは、我々としても幾つかの案を御提示させていただきながら、それをたたき台として議論させていただくという選択肢はあり得るのではないかと考えております。
○佐田委員 私も同じ群馬県ということで、地元であるわけですから、よく川原湯の町長さんだとか東吾妻の町長さん、おいでになったり電話をいただいたりするんですけれども、生活再建ということが、大臣の言われている生活再建と、十年間一生懸命頑張って考えてこられた地元の生活再建が、全然かけ離れているんですよね。 私は、別に大臣に迫って聞いているわけじゃなくて、自分のイメージとしてそういう方々に説明したいわけですよ。大臣のお考えになっている生活再建とはどういうものかということを具体的に言ってもらわないと私も説明できないので、ぜひその辺をちょっと述べていただけますか。
○前原国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、どのような地域であっても、やはり自治というものが基本であると思います。例えば、町議会があって、そして町長さんがおられて、その中で町のあり方というものの計画を立てていかれるというのが、私は大前提だというふうに思っております。 ただ、この東吾妻あるいは長野原というところは、ダムができるんだという前提で今まで生活設計をされてきたというのも、これは委員のおっしゃるとおりだと思っております。したがって、自分たちはダムを前提以外は考えられない、仮にもしダムを前提としないのであれば、そういったものについては考える余裕がない、あるいは考えもつかないと。こういうことを仮にお申し出があれば、我々としては、幾つかの案を考えさせていただいて、それを御提示し、それをたたき台として議論させていただくという選択肢はあるのではないか、繰り返しで恐縮でございますが、このように考えております。
○佐田委員 大臣、ぜひその辺の生活再建は、大臣の方も、役所の人たちもいますから、地域のことをよく考えて、また向こうに事務所もあるわけですから、事務所の所長さん方も随分長くいるんでしょうから、その辺をよく話し合いをしながら、角の立たないように、そして具体的にどういうことをやっていくかということを誠意を持ってやっていただきたいと思うんです。 それと、先ほど柿澤委員の方からお話があって、中止した方と続けた方はどっちがお金がかかるんだ、こうありましたけれども、水特法なんか入ると、やはり中止した方がお金がかかるんですね。それだけじゃなくて、生活再建で七百七十億を計上されているんですよね。そうすると、それが、この間私は大臣に言いましたけれども、その生活再建がはっきりしない、一つの選択肢としてもとへ戻せという意見もあると言ったならば、大臣は、そういう選択肢もありますねというふうに言われましたよね。これは生活再建なんですよね。 そうすると、今、ダムができるということで、千四百人の人が長野原から、中之条であるとか、近くの群馬県の、うちの方の前橋だとか、いろいろなところにもう移っているんですよ。それで、前にも申し上げたとおり、JRも百四十五号線も全部ほとんどできています、八割方。そういうことを考えたときに、では、もとに戻すというイメージというのは、七百七十億じゃとても足りないと思いますよ。これはどういうふうにお考えですか。
○前原国務大臣 仮に地元の方々が中止を受け入れていただく、その場合にどういった町を望まれるのかというところもお話を伺わなくてはいけないということで、もとに戻すということも一つの選択肢だということを申し上げたわけでございます。
○佐田委員 地元の方々も非常に悲観をされているので、全部もとに戻してくれというふうに言われたんだと思いますけれども、現実としてそれはもう不可能ですからね、はっきり言って。外へ出られている方も随分いらっしゃいますし、工事も進んでいるということもありますし。そういう中において、大臣もぜひ誠意を持ってやっていただきたい。 それで、この件についてはぜひお願いしたいのは、きのうの参考人でもありましたけれども、時間がないんですよ、本当に。今の方も、何も進んでいない、大臣が中止を宣言されてから何も進んでいないんだ、私はもう七十四歳だ、結果が出るまでとても生きていられないというふうに言っているんですよ。ぜひその辺は、大臣が先延ばししているとは言いませんけれども、やはりこれは誠意を持って、有識者会議の方々にも、夏とは言わず早くその結論を出すように言っていただきたい。 それと、もう一つお聞きしたいのは、早くしていただくということと、有識者会議の方々には大臣の方から、できる限りダムを使わない治水で考えて再検証してほしいというふうに言われているんですか。
○前原国務大臣 名称が、できるだけダムに頼らない治水を考える有識者会議でございますので、それは先生のおっしゃったとおりでございます。 ただ、その前提として、別にダムが全部悪いんだということを申し上げているわけではございませんし、逆に、ダム反対派の方からは、公開もされていないし、結局ダム推進の人たちばかりでやっているんじゃないかという疑念を私は持たれているぐらいであります。 私は、そういう方々も含めて議論をしている大きな前提は、そういった、今までダムというものを進めてこられた方々にも入っていただいて、しかし、日本の制約要因が今全く変わりましたねと。繰り返し恐縮でありますが、人口減少、少子高齢化、莫大な財政赤字、こういう日本が置かれている状況の中で、どういう治水をこれから我々は責任を持って考えていくのか、その評価軸をしっかりと議論してくださいということでございます。 何も、ダムが悪いという前提で議論していただいているわけではありませんが、できるだけダムに頼らない治水ということで御議論いただいているのはそのとおりでございます。
○佐田委員 そういうことがありますので、ここで一番大事なのはもう時間がないということですから、大臣、ぜひこの辺は誠意を持ってしっかりと地元の方々に伝えていただきたい、こういうふうに思います。 それでは次に行きますけれども、八ツ場ダムの建設事業は、一都五県が治水の負担金と利水の負担金を支出しているという。八ツ場ダムの建設事業費の国費は約四割、三八%であり、残り六割、六二%は、関係する一都五県の負担金であるわけでありまして、負担金は、特定多目的ダム法の基本計画、先ほど大臣が言われた基本計画に基づいて負担をしておるということであります。 基本計画では、ダム本体を含む八ツ場ダムの建設事業を平成二十七年度までに完成させるという内容であり、関係都県に負担金を求めるということはダム本体を建設するということになるのではないかということであります。それであるならば、平成二十二年度において関係都県に負担金を求めるのはおかしいのではないか、中止であるならば。 そして、その中で、これは新聞なんですけれども、群馬県では、本体工事に伴う建設負担金として試算した二億円弱を予算に計上、地元の生活再建に向けたインフラ整備費などと合わせた九十六億円を盛り込んだ、知事は、ダムの基本計画は何ら変更されていない、必要額はすべて計上し、国に対して強力に工事促進を求める、群馬県はそういうふうに言っている。埼玉県の方は、本体工事分として八億五千万円を見積もる、そして知事は、正式な中止要請がない、中止される場合を考える必要はない、こういうふうに言っているんですよ。 ですから、前から知事会の方々とも話し合っているのは私も聞いておりますけれども、そういうところの意見調整というのは、大臣、やられているんですか。
○前原国務大臣 意見調整というか意見交換はさせていただいておりますけれども、現在、一都五県の知事さんは推進という立場でございます。 先ほど、群馬の大沢知事さんの発言をひもといて委員はお述べになられましたけれども、基本計画が変更されていない、廃止されていないというのはそのとおりでございます。先ほどから同僚議員にお答えをしておりますように、本体工事の中止の方針は示してはおります。しかし、基本計画の見直し、変更、廃止を含めた法的な手続には入っておりません。これは、生活関連の事業を進めるということと同時に、今委員のおっしゃったような、関係する知事さんとの話し合いをしっかりとやっていくということが必要であるということで、基本計画はそのままあるということでございます。 いずれにいたしましても、今後、新たな利根川水系の治水のあり方というものを議論していく中で御理解をいただくということで、密接な話し合いを続けていかなくてはいけないと考えております。
○佐田委員 これはよく話し合いをしていかないと、地方と全く分離してしまって、地方は本体分も計上しているわけであって、本体に移っていないからそれはやらないんだというふうに大臣は言われましたけれども、まあこれはへ理屈ですけれども、本体の導水路はやっているわけですからね、一部は。大臣も見られたと思いますけれども、かなり深い導水路をやっている。これも本体の一部ですから。 そういうことを考えますと、地方としてはそういう計上をしてくるんじゃないかな、こういうふうに思っているんですけれども、今後、知事さんだとか、例えば地域の利水者、治水者、そういう方々と話し合うおつもりはございますか。
○前原国務大臣 できるだけ綿密かつ虚心坦懐のお話し合いをしていかなくてはいけないと思っております。 地域の方々やあるいは首長さんとお話をする前提として、我々としては、中止の方針はお示しをしておりますけれども、予断ない再検証をするということでございますので、その再検証の結果をもとに具体的なお話し合いをさせていただくことになろうかと思っております。
○佐田委員 ここで非常に問題になるのは、もしも中止ということになると、うちの群馬県でも、藤岡市で水道水が、暫定水利権の半分ぐらいがなくなります。そしてまた、埼玉県も、暫定水利権がなくなると水道が二二%減ります。それを地下水からくみ上げると、要するに、今の一・八倍くみ上げなくちゃいけない。それでなくても、今、高崎線沿線も含めて随分地盤沈下しているんですよ。 こういうふうなことに対して、暫定水利権の話なんですけれども、きょうは河川局長が来ておりますからちょっとお聞きしたいんですけれども、だめですか。わかりますか、暫定水利権。
○川内委員長 参考人登録をされていないので。
○佐田委員 だめですか。 では、大臣にお聞きしますけれども、要するに、暫定水利権がなくなるというのは、中止から、特ダム法の処理であるとかそういうことを含めて、いつなくなるものなんですか。それとも、これは本体を予算計上しないというときに暫定水利権がなくなるのか。河川法にのっとってそれをお聞かせ願いたいと思います。
○前原国務大臣 詳しくはまた、しっかりと法的な関係を調べて委員にお答えをさせていただきたいと思っておりますが、概括申し上げますと、暫定水利権によって、特に埼玉県というのは、恐らく二六%ぐらいが暫定水利権によって利水の恩恵を受けているということであります。 暫定水利権というのは、これは委員も御承知だと思いますけれども、八ツ場ダムができたと仮定をして、その利水の恩恵が受けられるという前提で、しかし、今の水を他のできているダムから暫定水利権として設定するということであります。そして、大体年間二百日ぐらいだったと思いますけれども、二百日ぐらいの供給というものがなされて、しかし、約束を下回ることがあってもそれは文句は言わないという豊水条項というものをつけて、暫定水利権というものを設定しているということであります。 この暫定水利権がなくなるということについては、これは、水資源の計画において約束されていることが、その計画が変更されたりあるいは廃止されるというときだと私は認識をしておりますが、先ほど申し上げたように、法的な裏づけは委員には詳しくお示しをしたいと思います。 いずれにいたしましても、この利根川水系の問題は、治水の問題のみならず利水の問題も大変重要だと私も認識しておりますし、きのうの参考人のある方は、私もすべての参考人のサマリーを読ませていただきましたけれども、治水では要らないけれども利水では必要だと言った方もおられたと認識をしております。 今、有識者会議においては、治水も、そして利水もあわせて御議論をいただくということをお願いしております。そういう意味では、この暫定水利権というものをどう考えていくのか、新たな水源というものを見出していくのか、あるいは、量は違いますけれども、新潟県の清津川とかあるいは四国の細川内などでは、ダムを中止したときに、関係各位に御相談をして了解を得て、暫定水利権をそのまま安定水利権に切りかえた、こういう例もございますので、それが可能かどうかも含めて、やはり大局的な議論というのは必要ではないか、このように考えております。
○佐田委員 大臣、前にも申し上げましたけれども、利根水系に限ってお話しすると、もうダムが幾つかありますけれども、そのダムについて、利水や治水に対して、各利水者、治水者の方々は負担金をちゃんと出しております。その人たちが、例えば、要するに、八ツ場なんかがなくても水がとれるんだ、暫定水利権であっても水がとれるんだ、お金を払わなくてもいいんだ、こういう話になったならば、これは水行政全体がおかしくなってしまうのであって、暫定水利権を安定水利権に持っていくということはやはり利水者にとっても納得できないことだ、こういうふうに思いますので、それはしっかりと議論をしてもらわないとまずいですよ。大臣、これも早目。 埼玉県の知事は、もう地盤沈下が今どんどん進んでいるんですよ、本当はもっと水をとりたいんじゃないかと思いますけれども。地盤沈下、この間ちょっと図面で見せていただきましたけれども、かなり進んでいます。これも早く対策を練っていただきたい。 そして、うちの群馬県の方も、藤岡は、暫定水利権がなくなると、これで水道水が半分近くなくなりますから。ぜひそういうところも、利水者、治水者の方々ともよく話をして、大臣、納得できるような方向性を、できるだけ話をするということは大事なことなんですから、ぜひそれをお願いしたい、こういうふうに思います。 それで、時間がたってきたんですけれども、この間も大臣に、では、ダムをできるだけ使わない治水、利水の話ということでお話をしようじゃないですか、こういうふうに申し上げましたけれども、大臣、うちの方は、くどいようですけれども、キャサリン台風で六百人ぐらいの方が、貴重な生命がお亡くなりになって、栃木県でも三百五十人ぐらい。そして、東京の葛飾だとか江戸川、そして江東は、もう本当に水没のような状況になりました。 こういう中で、基本的に、社会資本整備審議会で、かつ、その中でいわゆる総合確率法というのがあるらしいんですけれども、これは非常に難しい計算らしいんですけれども、八斗島の地点で基本高水が二万二千立米と。そして、それより、大臣、もう言う必要もありませんけれども、要するに、ダム以外のところでは一万六千五百、それでダムの方は五千五百立米、こういうふうに社会資本整備審議会で定められたわけですよね。これについてどうお考えですか。
○前原国務大臣 カスリーン台風のときに、実際に八斗島地点で流れた水量が約一万七千立方メートル毎秒ということで認識をしております。それがいわゆる計画高水として考えられている。 そして、基本高水については、先ほど河川局長が別の議員に対して御答弁をさせていただきましたけれども、河道改修などが行われて、つまりは、カスリーン台風のときには八斗島の上流地点ではかなりはんらんをしていた、このはんらんをしていたものをすべて河川改修をして川に流れるという前提にしたときには、プラス五千立方メートル毎秒のものが流れるのではないか、こういうことで基本高水が二万二千になっているということであります。 しかし、これはダムとかがなかった場合でもありますし、また、今、有識者会議の中でも議論しておりますけれども、この基本高水、計画高水を設定する際の、例えば流域全体の保水能力をどう算定したのかということも、もう一度これは見直していかなきゃいけないということを議論しているわけでございます。 いずれにいたしましても、先ほど、BバイCのお話も、評価軸も見直していくということもお話をしましたけれども、有識者会議において我々が議論しているのは、基本高水をそのままにして、これまでやり続けるんだということになれば、これも先ほど他の委員から御指摘がありましたように、八ツ場ダムだけでも全然足りない、もっともっとつくっていかなきゃいけない、こういうことになるわけでございまして、時間軸とか費用ということを考えたときには、これが果たして実現可能性があるのかということであります。 したがって、我々としては、このあり方そのものも有識者会議の中で議論をしていただいて、評価軸の見直しの中で議論をしていただくということに今なっているところでございます。
○佐田委員 大臣、この二万二千というのは、基本的に、技術的に、私も、計算方法は非常に複雑だというから聞いておりませんけれども、社会資本整備審議会で決められて、前橋と水戸と東京の裁判で、これは間違っていないというふうな判決が出ているんですよね。 そういう中で一万六千五百ということなんですけれども、大臣は一万七千というふうに言われましたけれども、一万六千五百今あるわけじゃないんですよね、一万六千五百は計画ですから。要するに、これをやるためにはあらゆる方法が必要なわけですよ。例えば、築堤だとか、河川の掘削であるとか、遊水地だとか、放水路であるとか、あらゆる方法をしないと一万六千五百は実現しないんです。そしてまた、埼玉県も加須市なんかではかなり漏水も進んでおる。こういうことを考えたときに、我々は、果たしてダムをできるだけ使わないでやることが正しいのかどうか。 それともう一つは、大臣、これは技術的な問題だから、ある程度の安全率を見て国民の生命財産を守ろうとしているわけですから、下げるという話になると、これは大変な状況になると思います。 もう一つ。では、大臣は、できるだけダムを使わないで、要するに河川改修をするというのは、どういうお考えをお持ちなんですか。
○前原国務大臣 今委員が御指摘をされたことにも含まれておりますけれども、一番大きいのは、やはり河道の掘削、引き堤、堤防の強化、かさ上げ、それから遊水地。それから、既存のダム、日本全体で二千八百九十ぐらいあるわけですから、これの例えばしゅんせつをしたり機能強化をしたりと。金子副大臣のところのあの川辺川については、上流に市房ダムというダムがありますけれども、その市房ダムの機能強化というものもその中には入れているわけでありますので、あるものは機能強化をしてキャパを大きくしていくということもございます。あとは、先ほど申し上げたような、森林の保全の話とか貯留浸透施設の整備とか、さまざまな観点からその流域に応じた方策を見出していくということになるのではないかと思います。 一方で、先ほど漏水という話をされましたけれども、漏水の話というのは、私は、すぐにダムの問題とはイコールに結びつかないと思っておりまして、これはやはり、漏水対策で今堤防のチェックをずっとやっているわけでありますけれども、そういった漏水というものを早目にしっかりとチェックをして、そして、ドレーンというのですか、早く水を排出し、いわゆるその堤防が崩れないような対応策というのは、これはまた別個にやっていかなくてはいけない問題でありますし、さまざまな観点から、日常的な見直しというものもやりながら、決壊というものがないように不断の努力をしていくということが大事だというふうに考えております。
○佐田委員 だんだん時間もなくなってきましたけれども、大臣、群馬県の例えば烏川であるとか奥利根であるとか、そして今度の吾妻であるとか、こういうところのどこに雨が降るかわかりません。大洪水がどこに来るか。 キャサリン台風は私の住んでいるところの赤城山というところに降りました。だが、降り方はわからないんです。ただ、すべてが八斗島の方向に、利根川水系に流れ込むんですよ。ですから、要するに、キャサリン台風のときには伊勢崎市がダムになってしまったんですよ。伊勢崎と佐波、佐波郡というところがあるんですけれども、前にもお話ししましたように、そこがダムになってしまった。こういう現象もあるんです。 そして、ほかのところにダムがあっても、もし吾妻の方に大雨が来た場合、要するに治水ダムはないわけですから、もう守りようがない。こういう現実もあるということを、大臣、よく御理解いただきたいと思います。 それと、きのうのを私は聞いていて、八ツ場ダムというのは十センチぐらいしか水位を下げないとか、いろいろな議論があったんですけれども、今、例えば五千五百ということで、千ぐらいはほかのダムが受け持っています、ダムとして。ところが、ここに資料があるんですけれども、平均をすると六百立米なんです。要するに、それを先ほどの計算式に入れると、昭和三十四年八月十二日には、八ツ場ダムの効果は千五百立米ある、こういうふうに書いてあるんですよ。平均だからね、六百というのは。 だから、そういうことを考えたときに、きのうも先生が言われましたが、三十センチ、四十センチの場合もある、こういうことでありますし、また、大臣、利根川の、これも埼玉県だとは思うんですけれども、もう本当にはんらんすれすれなんですよ、平成十年九月の台風で。 それで、その中で、埼玉県の上田知事なんかは、八ツ場ダムを中止する場合は、八ツ場ダムと同等の治水、利水効果を発揮する代替策を同ダムを建設する場合の期間とコストで講ずることと。これは、東京の知事さんも千葉の知事さんも同調しているということなんですけれども、これについて大臣はいかがお考えですか。
○前原国務大臣 先ほど委員がおっしゃった、どう雨が降るかわからないというのはおっしゃるとおりであります。特に、これから集中豪雨、ゲリラ豪雨などはどこに降るかわからない。 先ほど、平均が六百立方メートル毎秒ということで、それはそのとおりでございますし、千五百カットできるときもある、これもおっしゃるとおりだと思いますが、ちなみに、今前提として話をしているカスリーン台風のときは、吾妻川の上流ではそれほど降っておりませんので、八ツ場ダムがあっても八斗島のいわゆる水位を下げる効果はなかった。これは、答弁は国土交通省からもさせていただいております。つまり、どう降るかわからないというところの中で、流域全体でどう考えていくのかということであろうかと思います。 いずれにいたしましても、今、有識者会議の中で、治水、利水の代替案、しかし、さまざまな制約要因の中でどういったものがいいのか、あるいは、この委員会を、八ツ場の集中審議もこれで何回かやっていただき、予算委員会でも、参議院でも議論していただく中で、いい御提案というのはかなり私はいただいているというふうに思っております。つまり、河川全体、流域全体でどのように利水、治水を考えていくのかということを、先生おっしゃるように、早く有識者会議でまとめ、そして流域自治体の皆さん方と御相談をする中で、しっかりとまとめて対応策をとっていくということに努力していきたいと考えております。
○佐田委員 大臣、もう時間が参りましたので、最後に、これからも議論をさせていただきたいと思うんですけれども、群馬県のホームページによりますと、平均的な洪水調整量をすべて川幅を広げる引き堤、広くして断面積を広げて水位を下げる。そうすると、すべての川の現在の川幅の一割以上の六十メートルの引き堤が必要であると。そしてまた、そうする際には、家屋の移転、道路橋の移転、そしてまた鉄道橋の移転、こういうこともある。 江戸川区で行われた試算によりますと、利根川、江戸川の流域全体において引き堤や堤防のかさ上げなどの河川改修で二兆円かかる、こういうふうに言っておりますから、ぜひその辺のコストのことも考えて、素直に、かつ、我々としては、今の現状を考えた場合には、地元の方々には、ぜひダムの中止の撤回をお願いしたい、そしてまた、予断なくというふうに言われているんですから、その再検証も早くやってもらって、予断なく議論をしていただきたい、お願い申し上げまして、終わりにします。
○川内委員長 佐田玄一郎君の質疑を終了いたしました。 ————◇—————
○川内委員長 次に、内閣提出、国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣前原誠司君。 ————————————— 国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○前原国務大臣 ただいま議題となりました国の直轄事業に係る都道府県等の維持管理負担金の廃止等のための関係法律の整備に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。 国が管理する道路、河川等の維持管理に要する費用に係る都道府県等の負担金については、平成二十二年度から廃止し、その費用は管理主体である国の負担とする等の措置を講ずる必要があります。 このような趣旨から、このたびこの法律案を提出することとした次第でございます。 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。 この法律案では、国が管理する道路、河川等の維持管理に要する費用に係る都道府県等の負担金を廃止するため、関係法律の整備を行うとともに、平成二十二年度に限った特例措置を定めることとしております。 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が、この法律案を提案する理由でございます。 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。
○川内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十時四十九分散会