法務委員会 第3号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2009/11/27
会議録
○委員長(松あきら君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告をいたします。 本日までに、千葉景子さん及び福島みずほさんが委員を辞任され、その補欠として松野信夫君及び渕上貞雄君が選任されました。 ─────────────
○委員長(松あきら君) この際、申し上げます。 自由民主党・改革クラブ所属委員に対し出席を要請いたしますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。 速記を止めてください。 〔午前十時十七分速記中止〕 〔午前十時二十八分速記開始〕
○委員長(松あきら君) 速記を起こしてください。 自由民主党・改革クラブ所属委員に対して出席を要請いたしましたが、御出席を得ることができませんでしたので、やむを得ず議事を進めさせていただきます。 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案及び裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 三案について政府から趣旨説明を聴取いたします。千葉法務大臣。
○国務大臣(千葉景子君) おはようございます。 裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。 政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改定する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたしておりますが、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。 一般の政府職員について、平成二十一年の民間の賃金水準に合わせて俸給月額を引き下げることといたしておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、おおむねこれに準じて引き下げることといたしております。 また、今回の改定に伴い、平成十七年の改正法において定められた経過措置についても所要の改正を加えることといたしております。 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、公布の日の属する月の翌月の初日、ただし公布の日が月の初日であるときは、その日から施行することといたしております。 以上が裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 次に、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 裁判官の育児休業について、配偶者が育児休業をしている場合にもこれをすることができるようにする等の必要があることから、この法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりでございます。 第一に、配偶者が育児休業をしている裁判官について、育児休業をすることができるようにいたしております。 第二に、子の出生の日から一定期間内に最初の育児休業をした裁判官について、再度の育児休業をすることができるようにいたしております。 これらの改正は、平成二十二年六月三十日までの間において政令で定める日から施行することといたしております。 以上が裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(松あきら君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより三案に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。 御覧になったとおり私の周りには委員が座っていらっしゃらないわけでございまして、こういった状況の中で委員会をやらなくちゃいけないというのは、いろんな正直思いはございます。 国会がいろんな意味で大変な状況があることも承知はしておりますが、私ども公明党は、やはり今回のような人事院勧告に基づいてのどうしてもやらなければならない法律というのも、参議院の責務として施行期日、つまり十二月一日でございますが、それまでに院として責任を果たさなければならない法律もあると私どもは認識をしておりまして、しっかり審議をさせていただいて、是非これはその期日に間に合わせる、これをやらなければならないという認識で今日は質問を若干させていただきたいと、このように思っております。 お尋ねしたいことの一つは、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案というのが今回出されております。 法案読ませていただきますと、現在は、育児休業を取得しようとする裁判官の配偶者が育児休業をしている場合及び配偶者が専業主婦であるなど当該裁判官以外の子の親がその子を常態として養育することができる場合には裁判官は育児休業を取ることができないとされているんですが、本法律案を見ますと、家族を構成する男女が共に家庭生活における責任を担いつつ仕事と生活の調和を図り得るような勤務環境を整備するため、配偶者が育児休業をしている場合等においても育児休業をすることができるようにするものでありというのが法律の説明、よく分からないんですね。よく分からないんですけど、何をしたいのかというと、男性裁判官の育児休業をとにかく促進したいと、これを少し進めたいというようなどうも改正の内容だというふうに理解をするわけですが。 そこで、まず最高裁にお伺いしておきますが、平成四年、この制度、育児休業制度が始まりましたが、男性裁判官が育児休業を取得したという人数についてお聞かせをまずいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今の御質問の点については、男性裁判官は一名でございます。
○木庭健太郎君 申し上げたとおり、育児休業制度が発足したのは平成四年でございますから、何年たっているかというと、十七年でございます。十七年間で何人取ったかというと、一人でございます。それも、聞きましたら、平成十三年のお一人いらっしゃったということでございますが、どうしてこんなふうになっているのか。こういうふうにならないように法改正出されたんでしょうが、なぜこんなふうになっているのか。どういう御認識でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 最高裁としましては、育児休業を申し出られた際にはすべてこれを認めるという運用で来ているわけでございます。女性裁判官につきましては、ですからかなりの数が申し出られているわけでございますが、裁判官については今御指摘のとおりということでございます。ちょっと原因について、なぜ取得しないのかということはつまびらかではありませんが、いずれにせよ今回の改正でその環境整備をしていきたいと、こんなふうには考えております。
○木庭健太郎君 この改正だけではなかなか、じゃ増えるかというと難しいところもまだあると思います。いろんな意見をお持ちの方もいらっしゃるようですが、更なる、言わば法改正だけじゃなくて、とにかく男性裁判官も、できるだけこういう仕組みの中で、これからの時代の中で、やはり育児という問題について、裁判官であっても、男性裁判官であっても、やっぱりそういった制度の利用というものに対して関心を持っていただいて取るということは必要だと思うんですよ。したがって、単に法改正だけで、法改正したことも是非徹底はしていただきたいんですが、に加えて更なるある意味では啓蒙が必要だと思いますが、この点どんなふうにお取り組みになられるつもりか伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 制度だけではなくて実際の運用が重要だということは、もう委員御指摘のとおりでございます。 これまでもそうでございますが、まず私どもとしては、何といっても言わばユーザーといいますか若い世代の裁判官がこの制度について正しく理解しているということが必要だろうと思うわけでありまして、この点については、判事補に任官したこの時点の、この段階から育児休業制度の趣旨あるいは内容、利用方法というものは十分説明してまいりました。 さらに、それぞれの各庁におきまして、所長が妊娠の事実を把握したときには、改めてこういう制度があるということについての注意を喚起してまいりましたし、それからまた、育児休業を取得しやすい職場の雰囲気づくりということであれば、これは部総括裁判官、受け入れる側の部総括裁判官の認識あるいは理解も十分必要だろうと思うわけで、この点については、部総括の研究会でこれまでもその重要性について、制度の重要性についてはいろいろ告知をしてきたところでございます。その運用、こういった運用、いろいろな機会において、更に今回の改正がされた際には、その制度の趣旨を含めて十分伝えていきたいと、このように考えております。
○木庭健太郎君 もう一つの方の、この裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の方ですが、こちらの方は、言わば一般職員と違って裁判官及び検察官の報酬は定められていると。これは、憲法の中でも実はこの裁判官の報酬の問題についてはきちんと確保するんだという項目がうたわれていて、思い出しますが、平成十四年でしたか、初めて下げるという問題ができたときに、最高裁でも検討していただいて、憲法違反なのかどうなのかという問題も含めて検討していただき、この国会でも随分議論もいたしました。その上でこれを認めてきた、その後は何回か下げるということが続いているわけでございますが。 改めてそういった点も含めて、つまり、裁判官及び検察官の任務の特殊性と職務の重要性という問題、職責の重要性から別の法律にはなっているんですけれども、その一方で裁判官の報酬及び検察官の俸給というのを一般の政府職員の給与改定に準じて改定していくということの趣旨、この辺どう合理性があるのかということについて、改めて最高裁と法務省からこの際伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今までの前例につきましては今委員から御指摘のあったとおりでございまして、一方で憲法の規定があり、裁判官の職権の独立等、あるいは職務を行使していくための環境と、こういったことから憲法の規定があるということは十分踏まえつつ、ただ、今回このような形で人事院の勧告があり閣議決定があったことを踏まえて、最高裁としては、今回このような形で引き下げるのが相当であると、このように考え、法務省に対して法律の依頼をしたといういきさつでございます。
○国務大臣(千葉景子君) 裁判官の報酬につきましては、私も憲法で保障されている裁判官の身分の保障、そして俸給を下げられることはないという、こういうことに抵触をしないかどうかという問題があることは承知をいたしております。ただ、一般職の公務員の引下げに連動しているというものではないというふうに承知をいたしております。 今、最高裁の方からもお話がございましたように、そういう引下げに伴って十分に裁判所の中でも協議をいただいて、そして法案の提出については法務省に御依頼があるということでございますので、これからも裁判官の身分の保障、これを十分にそんたくをしながら対応をしていくものだというふうに思っております。 また、検察官の方は基本的には一般職の公務員と同様の立場にございます。ただ、これも職務の、ある意味では特別な立場ということもありまして俸給表が別になっていると。それに伴って法律も別建てで作られているということでございますので、これは一般職の政府職員の給与の改定にある意味では連動する形で改定をさせていただく、それをもって今回の法案提出をさせていただいているということでございます。
○木庭健太郎君 ここまで法律に基づいていろんな質問をちょっとさせていただいたんですけれども、つまり、裁判官の給与というのが最近は、そういう意味では、一般職が下がるものですからそれに合わせてずっと下がっているという状況もあって、その一方で裁判官の職務自体がどうなっているかというと、結構最近はいろんな、事件だけでなくて労働裁判の問題がこの不況下で増えてみたり、それから不当利得返還請求の事件が増加してみたり、なかなか本当に職務としては非常に厳しくなっている。に加えて、裁判員制度という新しい仕組みも始まった中で、なかなかいろんな意味で厳しい状況もある中で給与が下がっていくという状況が生まれてくると、裁判官になりたいという方たちの問題も含めてなかなか大変な状況になるんじゃないかなということも、正直言ってこれだけ続いてくるとちょっと危惧もするものですから、その辺はこういう問題を考えるときにどうそういったことも加味しながら考えていけばいいのかということも是非御検討はいただきたいと思いながら。 そして、ここからは少し、そういう意味では、裁判官にかかわる問題の中で裁判員制度というのがスタートをしたばっかりでございますので、この点について幾つか、最近の報道も受けてお伺いしたいことがございます。 一つは何かというと、裁判員制度が発足してちょうど半年なんですけれども、私たちも大変心配はしておったんですけれども、最高裁が実施された裁判員経験者に対するアンケートを見ますと、九七%、こんな、本当かなと思うぐらい多い方たちが、裁判員はいい経験だったというような評価をされていると。この裁判員制度の半年間、千葉法務大臣もこの裁判員制度については仕上げるまでいろいろ御苦労なさった一人でございますが、こういった評価もあっているということも踏まえて、この裁判員制度、半年間について、法務大臣はどのような評価をされているか伺っておきたいと思います。
○国務大臣(千葉景子君) 御質問ありがとうございます。 私も、司法制度改革、それの様々な課題に取り組ませていただいてまいりました。また、裁判員制度、この実現につきましても、いろいろな問題はございましたけれども、やはり国民が主権者である、その主権者が司法の場にも参加をし、そして開かれた裁判、司法と、こういうものに寄与できるのではないかと、こういうこともあり、私もこの裁判員制度成立に向けて多少、いささかなりとも努力をさせていただきました。 スタートをいたしまして本当に一番感じておりますのは、その裁判員の皆さんが大変正面から裁判に向き合って、そして真摯に裁判員としての責務を果たしていただいていると。やっぱり国民、市民、主権者としての大変な力というか、それを持っておられるということを改めて感じさせていただいております。 ただ、そうはいっても、なかなかまだ、なるべく参加しなくて済めばというような声も強いことも確かでございますので、是非これからもこの定着に向けていろいろな環境整備等にはできるだけ努めていかなければいけないと、こう思っているところでございます。また、いろいろなここから生まれてくる課題につきましては、多方面から御意見をいただきつつ、より良い制度というものに向けて進めていきたいと私も感じております。
○木庭健太郎君 最高裁の方にちょっとお伺いしておきたいんですけど、その同じアンケートの中で、参加後は良い経験だったとなっている、これは極めてうれしいことなんですけれども、例えば評議のやり方の問題です。これについては、もう少し意見を闘わせる時間があってもいいというような意見があってみたり、評議の全体像が見えず、話し合っていることがどう展開していくのか分からなかったというような感想も結構ありました。 こういったことも踏まえて、御指摘をいただければその点について改善していくということをしなければならないと思うんですが、どのような改善をこの点については図るおつもりでいらっしゃるのか、お聞きしておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 大変に今のところは、今大臣の方からもお話もありましたように、順調に推移していると思っておりますが、今委員御指摘のとおり、いろいろな課題も浮かび上がってきていると思います。そうした今評議の点については、まず一番裁判官の中できちんと、まあ司法研修所なんかでも研究会もやりますし、そういう中でいろんな検討、あるいは各地裁どこでも検討会を行って、どういった評議の進め方が一番充実した評議の運営につながるんだろうかということをしっかり検討して、改善すべき点は改善していこうというふうに考えております。
○木庭健太郎君 それともう一つ、半年間やっていらっしゃるのを見ながら、参加した方たちがちょっと戸惑う部分が何があっているかというと、実は守秘義務の問題だと思うんです。経験者のうち、記者会見で御発言するとか、こういうことをやるんですけれども、その立ち会った裁判官職員が守秘義務違反だということでそのやり取りに介入してみたりとか回答の報道自粛を求めたというような報道もあってみたり、その一方で、そういうことを全然制止しない裁判所があってみたり制止する裁判所があってみたりと。一体この守秘すべき範囲というのがどうも分からないんですよね、見ていて。 したがって、この守秘義務という問題についてある程度明確な基準というものがやっぱりないと戸惑うんじゃないかと思うんですが、この点について考えを伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 守秘義務の範囲は法律で定められているところでございます。ただ、実際の場面において、いろいろ共同記者会見で裁判員経験者の方が感想を求められた中で、裁判所の職員は特にそれをチェックするとかあるいは介入するとかいうことではなくて、やはり記者会見に出ていただいた方が安心して感想を述べていただけるという意味で、サポートという意味でその場で立ち会って、それで、これは守秘義務に反する内容が出るのではないかという場合には指摘をさせていただいておくということだろうというふうに思っております。 この点は、いろいろなケースによってこの場合が守秘義務に触れるか触れないかというのは様々な場面があると思いますので、こういった記者会見の中のいろんな感想などもどんどん積み重なって明確になると思っております。
○木庭健太郎君 是非その点は、やっぱりやっていらっしゃる方が本当、記者会見のときにえっというような表情をされた方がいらっしゃったり、ケースがありましたので、是非それはなるべく早く一定方向を見付け出していただきたいと思います。 最後に、大臣にお伺いしておきたいと思うんですけれども、裁判員制度が始まって半年間、まあ動き出している。増員の問題もいろいろやっていただいている。でも、全体を見ているとなかなか、ほかの問題も含めて、裁判官の定員の問題というのも、まあ書記官の問題も含めてなんですが、この費用の全体の中で、裁判員制度が始まった、そして事件が増えてきている中で、なかなかこれ、今のこの体制で足りるんだろうかという一面、その一方でなり手がどうなんだろうかという問題もあるんですけれども、是非そういった、実際の裁判、これをきちんとやれる体制が整っているんだろうかということは再度チェックをしていただいて、増員が必要ならば、厳しいところではありますが、やっぱり新たに始まった制度もきちんとやりたいし、そういった意味での対応をお願いしたいと思いますが、大臣のそういうことに対する決意なり自分の思いをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(千葉景子君) 御指摘をいただいておりますように、裁判員制度が始まり、そして司法等に対する大変期待とそれから責任、これが大変大きくなっているものだというふうに思っております。社会の最後の正義のとりでということになるわけですので、そういう意味では十分な体制を整えていく必要があるということは私も十分承知をいたしております。 是非、限られた中でも漏れがないように、そして十分な体制の中で司法が運営されますように整備をしてまいりたいと思いますけれども、是非皆さんの応援もいただきつつ、できるだけやはり充実をする方向へ私も努力をしてまいりたい、そう思っておりますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
○木庭健太郎君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 今ほどもお尋ねがありましたけれども、まず男性裁判官の育児休業の取得の実際の運用について、男性裁判官が育児休業を取得をしたのは二〇〇一年に一人だけでございます。この取得者は育児休業からそのまま退官され、現場には復職をしておられないというふうに伺っておりますけれども、これは事実でしょうか。加えて、その後、男性裁判官からの育児休業の取得の申請はないのではないかと思うんですが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今委員から御指摘がありましたとおり、この一名の裁判官については復職せずに退職、退官したということでございます。それから、その後でございますけれども、男性裁判官からの育児休業の取得の申出というものはございません。
○仁比聡平君 そうした、つまり育児休業を取得して現場に復帰をした方がいないと。そういう意味では、育児休業法こそ施行はされているけれども、男性裁判官の育児休業というのは実質的には保障された例がないと言ってもおかしくないなと思うんですね。 この実態について、どういう認識で、原因はどこにあるとお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 女性裁判官から申出があった場合には、これは全部今まで認めてきておりまして、特に男性裁判官についてこの権利を保障していないというようなことは我々は毛頭考えておりません。ただ、現実としてだれもまだ取得申請もしていないということについて何らかの考えなければならないところがあるということは、もう委員の御指摘のとおりだろうと思います。 具体的には、先ほども申しましたように、我々としてやらなければならないのは、男性裁判官が育児休業の取得を必要ではないかと考えたときにちゅうちょなく申し出られる、そういう環境づくりというのを、今までもしてきたところでありますけれども、今回のこの法改正を機に、更にそういうことについて環境整備に努力していかなければならない、このように考えております。
○仁比聡平君 大臣に法務省においての取組をちょっと先にお尋ねしたいと思うんですけれども、育児休業の取得というのは権利であって、いかなる不利益取扱いも許されないということは法律上明らかであります。加えて、男女の家庭生活や仕事との両立ということを考えましたときに、育児休業の取得こそ望ましいというぐらいの構えでの周知がなされてしかるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(千葉景子君) 今、仁比委員が御指摘をされたことは、私もほぼもう同感でございます。 法務省におきましても、この間、スマイル子育て応援プランと、何か名前はとてもあれなんですけれども、このような行動計画を策定して、育児休業の取得についての目標を設定するなどの取得促進を図ってきたというふうに私も承知をしております。 具体的には、パンフレット、ハンドブックなどの配布、あるいは研修の際の講義や啓発、あるいは職員からの相談に対応するための窓口の設置、あるいはホームページや各省庁、法務省の所管官庁のネットワークに専用コーナーを設置しての情報提供などと。私も、ちょっとこの間の取組、これで本当に積極的に取得をすることが可能になってきたのかなというのは、若干私もまだまだ疑問が残るところでございます。 そういう意味では、なかなかこれ権利であって、そして取ったときに不利益処分を受けないと、こう言いましても、これは裁判官あるいは検察官、ほかの分野でもそうだと思うんですけれども、強制的に首に縄を付けて休めということにはなりませんけれども、何とかやはり男女共同参画、そして家庭と仕事と両立するワーク・ライフ・バランス、こういうことがやはりどこの分野でも徹底できるように何か私ももっと知恵を働かせていかなければならないのではないかと、こういうふうには私も考えております。 是非、また仁比委員からもこういうことが必要ではないかと、そんな御指摘あるいは御提起もいただきつつ、私も最大限ちょっと目を向けやっていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
○仁比聡平君 今大臣がおっしゃられましたように、そうした社会に変わるんだということが政権交代に期待されているものなのだろうと思います。その期待に是非こたえる努力をいただきたいと思うんですが。 裁判所なんですけれども、先ほども部総括判事の役割というお話もありましたけれども、実際、判事、判事補が配偶者に子供さんができたということが分かったときに、部長に報告をしたときに、おめでとう、必要なら育児休業を取ってね、どんどん取ってねという対応にならないと、東京地裁の民事通常部でいいますと手持ち事件が二百三十件と伺っていますし、大阪では二百件という、そうした水準なわけですよね。こうした中で取れないじゃないかと。いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 裁判官の業務の問題とも恐らく関連しているということはそのとおりかと思いますが、そういう意味でトータルに考えていかなければならないという御指摘であれば、私もそのとおりだと思います。 ただ、今、取得の局面でいいますと、重要なことは、ちゅうちょなく、先ほど申し上げましたけれども、取得できるように、そういうユーザーの側と、それから若い世代の側と、それからそれを受け入れる部総括等の側あるいは所長の側、その辺が共通認識といいますか、より一層認識を深めていくということがまずは重要ではないかと、このように考えております。
○仁比聡平君 裁判官の中で是非この育児休業が積極的に取れるように御努力をいただきたいといいますか、迅速にやっていただきたいと思うんですけれども。 ちょっとその点にかかわって、二〇〇一年の司法制度改革審議会の意見書において、裁判官の人事制度の見直し、とりわけ透明性、客観性の確保というテーマで詳しい意見が述べられております。その前提認識は、引用しますと、現行制度においては、下級裁判所の裁判官の人事は、最高裁判所の行う司法行政事務の一環として、同裁判所の裁判官会議により決することとされているが、その前提となる人事評価については透明性、客観性において必ずしも十分ではないとの指摘もあるという前提認識で、二つお尋ねしたいんですけれども、その人事評価について、評価権者及び評価基準を明確化、透明化し、評価のための判断資料を充実、明確化し、評価内容の本人開示と本人に不服がある場合の適切な手続を設けるなど、可能な限り透明性、客観性を確保するための仕組みを整備すべきであるという点が一つ。もう一点は、裁判官の報酬の進級制、昇給制について、昇進の有無、遅速がその職権行使の独立性に影響を及ぼさないようにする必要があること、また、裁判官の職務の複雑、困難及びその責任の度は、その職務の性質上判然と分類し難いものであることにかんがみ、現在の報酬の段階の簡素化も含め、その在り方について検討すべきであるという指摘なんですね。けれども、これ以降、裁判所における人事のありようが、報酬についても、あるいは任地についてもそうですし、この育児休業の取得がどんなふうにキャリアシステムの中で評価をされたのか、そうしたことを当該裁判官が感じたのかというようなことは、私の目から見ますと何にも変わっていないというふうに感じるわけです。 今回の法改正に当たっての裁判官の報酬の規定といいますか、号俸の表を拝見をしても、判事補の二十二万円台から始まって最高裁長官に至るまでのそのキャリアが細かく、けれども、どういう裁判官がどこに当たっていくのかということは国民の目からは全く分からない形でそのキャリアシステムを支える形になっているように見受けられるわけですね。 この透明性、客観性の確保、特に昇進の有無、遅速が職権行使の独立性に影響を及ぼさないようにする必要がある、これは極めて重要な指摘だと思うんですが、いかがでしょう。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 人事評価等について少し御説明させていただいてよろしいでしょうか。 司法制度改革審議会の意見書については、今御指摘があったとおりでございます。人事評価につきましては、最高裁として、この意見書を受けまして、その後、平成十六年の一月に裁判官の人事評価に関する規則というものを新たに制定いたしました。 それが実施されているわけでございますけれども、その内容についてちょっとだけ申し上げますと、先ほど御指摘のあったような点については、人事評価を行う評価権者というのを所長等というふうに明確に決め、それから評価の基準も定めております。そして、人事の評価のプロセスを透明化、明確化するという点につきまして、評価権者は、人事評価に当たって、裁判官から担当した職務の状況について裁判官からの書面の提出を受けるとともに、必ず裁判官と面談をしまして、申出があるときには、その評価書については先ほどの意見書のとおり開示するということが定められており、さらに裁判官が評価権者に対して評価書の記載内容について不服を申し出る機会もこれは明定されております。このように、審議会意見書の言わば現実、具体化として対話型の人事評価制度というものを実現し実施しているところでございます。 それから、進級制の問題についてもお話がありましたが、この点につきましては、審議会の意見書の後に、司法制度改革推進本部に置かれました法曹制度検討会というところの議論の中でも、この進級制の刻みについて検討の余地があるという御意見もございました。議論されたことは承知しておりますが、他方で、この検討会では現在の進級制には特に問題がないという御意見も少なくなかったものと承知しております。 裁判官の報酬体系については、これは長い歴史を持った制度として定着しておりまして、これを変更するということは裁判官の地位あるいは勤務条件というものに極めて大きな影響を与えるものでございます。そこで、裁判官の職権行使の独立性への影響、あるいはその職務の特質性というものを考えながら慎重に検討をしていく必要があると考えてきたところであり、また現在においてもそのように考えております。
○仁比聡平君 今お話のあった長い歴史の中でつくられてきた裁判官の、私から見ればキャリアシステムであり、それは官僚裁判官のシステムというふうに聞こえるんですよ。その弊害がこれだけ指摘をされる中で、変えるつもりがないという形になってしまうと、個々の裁判官の独立、そしてその独立性に対する国民の不信をなくすことはできないと私は思いますので、是非御検討をいただきたいということを申し上げておきたいと思います。 大臣に最後一問お尋ねをしたいんですけれども、そうした日本の司法制度全体を、これをどう変えていく、改革をしていくのかというのは、これはこれまでの政権はやってこなかった大きなテーマではないかと、そんなふうにも思います。裁判官の在り方の問題については、これは最高裁が考えるべきところが多々あると思うんですけれども、大臣の政治家としての思いがあればという点と、それから、そうした中で予算の問題に関して、裁判所予算というのは国家予算のわずか〇・四%にとどまり続けてまいりました。例えば民事法律扶助の予算も、これ、先進諸国に比べて極めて低額かつ立ち遅れが顕著だとかねてから指摘をされてきました。この抜本増額が求められながら、なかなかそうなってこなかったというのがこれまでだと思うんですけれども、大臣の所見と決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(千葉景子君) 日本の中で、司法というのはこれまで本当に小ぢんまりした体制でしかなかったのではないかというふうに思っています。 そういう意味では、三権の中で、そして一人一人のやはり人権を守り、そして正義をきちっと法の支配という名の下に確立をしていくということになれば、やはり司法の役割、もう大変大きいわけですので、その体制を三権の中でほかに劣ることのないような形でやはりきちっと確立をしていくということは大変重要なことであろうというふうに私は思っております。司法制度改革の中でも、やっぱり司法というものをもっと大きく、そして力強いものにしていくということが指し示されておりまして、私も、是非そういう方向に向けて日本の司法を育てていくことができたらと、こう思っております。 そういう中で、当然のことながら財政も充実をしていかなければいけません。法律扶助につきましては、その国際比較をどういうふうにしていくかということはあるんですけれども、現状でも法律扶助の予算がもう大分枯渇をするおそれもあるというところまで来ております。これは社会の情勢、これだけ雇用情勢が悪くなり、あるいは多重債務が増え、そして貧困というか格差が増えている、こういう中で大変な事態になっているわけで、これも最後のやっぱり権利保障のセーフティーネットということになりますので、この法律扶助のやはり予算につきましても今後しっかりと確保することができるように頑張っていく決意でございますので、どうぞまた応援方をよろしくお願いをしたいと思います。
○仁比聡平君 終わります。
○委員長(松あきら君) 他に御発言もないようですから、三案に対する質疑は終局したものと認めます。 ─────────────
○委員長(松あきら君) この際、委員の異動について御報告をいたします。 本日、石井一君が委員を辞任され、その補欠として姫井由美子さんが選任をされました。 ─────────────
○委員長(松あきら君) これより三案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○仁比聡平君 日本共産党を代表して、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の両案に反対、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を申し上げます。 裁判官、検察官の報酬、俸給等に関する法律の一部を改正する法律案は人事院勧告に準じて裁判官及び検察官の報酬及び俸給を引き下げようとするものでありますが、本来、人事院勧告は労働基本権を制限する代償措置として機能すべきものであり、マイナス勧告はその目的をそもそも逸脱をしております。とともに、社会全体にこの間低賃金化の悪循環を現実にもたらしてまいりました。 特に、裁判官の報酬については、憲法七十九条六項及び八十条に、在任中、これを減額することはできないと明記され、その趣旨は、裁判官の報酬を減らす措置をとることができないとの意味であり、直接に裁判官の報酬を減らす目的の措置を法律によるにせよ行政行為によるにせよ禁ずる趣旨であるとするのが我が国憲法の通説であり、裁判官の独立性を侵しかねないものだからでございます。 育児休業に関する法律の一部を改正する法律案は、男女共に家庭生活の責任を担い、仕事と生活の両立を図る環境整備は重要であり、女性差別撤廃条約の理念、目的にも一致することから賛成をいたします。 以上です。
○委員長(松あきら君) 他に御意見もないようですから、三案に対する討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 まず、裁判官の報酬等に関する法律等の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松あきら君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、検察官の俸給等に関する法律等の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松あきら君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。 次に、裁判官の育児休業に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(松あきら君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。 なお、三案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(松あきら君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十二分散会