政府開発援助等に関する特別委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 2009/11/25
会議録
○委員長(岩永浩美君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会をいたします。 参考人の出席についてお諮りをいたします。 政府開発援助等に関する調査のため、本日の委員会にヘレン・クラーク国際連合開発計画総裁の御出席を賜り、御意見をお伺いしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩永浩美君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 ─────────────
○委員長(岩永浩美君) 政府開発援助等に関する調査を議題といたします。 本日は、ヘレン・クラーク国際連合開発計画総裁の御出席を賜り、国際連合開発計画と我が国の援助政策に関する件についてお話をお伺いしたいと存じます。 参議院政府開発援助等に関する特別委員長の岩永浩美でございます。 委員会を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、参議院政府開発援助等に関する特別委員会にようこそお越しくださいました。クラーク総裁におかれましては、就任後初の来日の折、当委員会に御出席をいただき、懇談のお時間を割いていただきましたことに対し、心から感謝を申し上げます。 失礼して、着席させていただきます。 当委員会は、二院制の中での参議院の特性を生かすべく、政府開発援助を始めとする国際援助・協力についての調査を行うために設置されたものであります。設置からこれまで四年間、我が国のODAがより効果的、効率的なものとなるよう質疑を通じ政府を監視してまいりましたほか、議論を取りまとめた提言、決議を行うことで国際協力の在り方について国会からの考え方を発信してまいりました。 今後も我が国のODAの在り方について調査をしていく中で、本日、クラーク総裁に御出席を賜り、世界の開発課題やUNDPと我が国との協力の現状、今後の在り方などに関し御意見を賜り、懇談を行うことは、委員会といたしまして、極めて有意義な機会を得たものとうれしく思っています。 では、最初に、私から本日参加しております当委員会の委員を御紹介をいたします。 まず、理事でありますが、民主党・新緑風会・国民新・日本の富岡理事、姫井理事、次に、自由民主党・改革クラブの橋本理事、松山理事、次に、公明党の浜田理事でございます。 次に、委員といたしまして、まず民主党・新緑風会・国民新・日本の小川委員、大久保委員、加藤委員、金子委員、行田委員、武内委員、津田委員、広中委員、藤末委員、藤原委員、松浦委員、柳澤委員、米長委員でございます。次に、自由民主党・改革クラブの岡田委員、木村委員、小泉委員、佐藤委員、西田委員、山内委員、山本委員、渡辺委員でございます。次に、公明党の谷合委員でございます。 以上であります。 それでは、クラーク総裁からお話をお伺いしたいと存じます。クラーク総裁、よろしくお願いをいたします。
○参考人(ヘレン・クラーク君)(通訳) ありがとうございました。 委員長閣下、そしてまたこの参議院政府開発援助等に関する特別委員会の皆様方、皆様お忙しい中、お時間をいただきまして、このようなお話をする機会を得たことは誠にうれしく思います。何人か私のよく存じ上げている先生方もいらっしゃると思います、過去にお目にかかった方々です。 今回の来日は、私がUNDP、国際連合開発計画総裁として七か月前に就任して以来初めての来日でありますけれども、実は七回日本には来ております。一番最初は一九七五年でございまして、そのときは青年の船に参加いたしました。ですから、日本の若い人と一緒ににっぽん丸で上陸したという思い出があります。ということで、三十年前に私、この日本に関しての思い出ということではさかのぼることができます。それからまた、ニュージーランドの首相としても来日は三回ございます。 本日はUNDPの話をするということで参っております。日本は国連の強力な支援国であります。また、国連開発システムにとっても長年の良きパートナーでありまして、事実、今現在、UNDPの通常予算に対する第六位の拠出国でもあります。ということで、こういった強固な財政基盤がありますので、私どもは、事前に将来を見据えて戦略的な計画を立てて、最も意義のあるところで開発成果を上げられるということになっております。 また、この話の途中でも何回も触れますけれども、日本は、個々のプログラム、カントリープログラムなどについても、世界中のいろいろなところで展開されておりますが、非常に御貢献いただいています。 日本がUNDPとこれまで培っていた非常に強力な関係によりまして、貴国は、UNDP執行理事会、ニューヨークやジュネーブなどで開かれるわけでありますけれども、大きな存在感を示し、常に国連の改革、そしてすべての活動の効果と効率の向上に向けた推進者でもあります。 また、UNDPの活動地域そして分野というのはアフリカ、アジアなどにわたっておりまして、日本も関心を示しているところであります。具体的にはイラク、アフガニスタン、スーダンなどであります。日本が大きな貢献をされてきた場所でもあります。また分野としては、ミレニアム開発の目標、環境・気候問題、そして平和と安定、そしてガバナンスの向上などでありまして、日本の関心領域とも重なっております。 また、皆様方、この委員会のメンバーでいらっしゃるということでいわゆるODAの専門家でありますけれども、御存じのとおり世界は数々の危機にさらされ続けておりまして、その被害を大きく被るのが途上国であります。もちろん、全世界にこの被害は至っているわけでありますが、特に途上国がその被害者となっております。問題はより深刻であります。そして、そういった危機に対する対応力も弱いわけであります。 例えば、食料・燃料危機もありましたし、世界同時不況、そしてまた気候変動に起因する自然災害などなど、さらに最近では新型インフルエンザの発生と続きました。これらすべて非常に厳しく、途上国に大きな被害をもたらしております。また、UNDPは、日本を始めとする寛大なパートナー諸国の支援により、こうした危機にさらされた途上国支援の実は最前線で働いているとも言えましょう。 相互につながり合っている今日の世界では、貧しく脆弱な国々が今後ともやむことがないであろう危機に耐え得る力を身に付けられるよう助けるということは、ひいては我々すべての利益にかなうことにもなると思います。この新しい世紀において、一連のこういった災難が次から次へともたらされております。 まさにこれは、九月の国連総会における鳩山首相の演説の精神とも合致すると思われます。首相は、日本は先進国と途上国双方を結ぶ架け橋になるべく最善の努力をするとおっしゃったのです。まさにこのような架け橋が八つのミレニアム開発目標を達成するためには必要であります。 私、二〇〇〇年にこの国連ミレニアム宣言、ニューヨークで署名されたわけでありますけれども、その首脳の一人として署名、調印いたしました。そして、これらの開発目標は必ずや二〇一五年までに達成すべきものという皆の熱い強い思いがあったことをよく記憶しております。 いろいろな危機がある前には、かなりこのミレニアム開発目標に関しては前進があったのです。例えば、極度の貧困にあえぐ人々の数は減っておりまして、例えば普遍的な初等教育の普及率でありますとか、あるいは乳幼児死亡率も低下傾向を実は示していたわけであります。 しかし、度重なる危機が続いたことで悪影響が重なり、積み上がった結果、せっかくの前進、改善の足取りは中断どころか逆行の危機に今さらされております。ミレニアム開発目標は、いわゆる慢性飢餓にさらされた人々の苦しみを和らげるということですが、非常に厳しい飢餓にさらされているわけでありますけれども、二年前はその数が八億五千万とも言われておりました。しかし、FAO、国連食糧農業機関の予測ではこの数が今年は十億を突破するとのことであります。そして、まさにこのテーマが先週のローマでの世界食糧サミットでは大変大きな議論の中心となりました。 失業者の数も増え続けており、アジアも例外ではありません。失業者の数は、二年前、二〇〇七年の八千万から今年は一億五百万に到達するとも言われております。幸いにもアジアの経済成長の見通しは回復を示しておりますので、それはうれしいことでありますけれども、成長と回復が即、雇用創出に結び付いて、個人、家族そして地域社会の苦しみが和らげられることが一番重要な課題なのであります。 世界中でUNDPは、日本などの国から協力を得て、途上国が困難な状況を乗り越えられるよう支援しています。例えば、要請に応じ、不況が途上国の人間開発に及ぼす影響を調査し、その調査を基にしてどういった対応策を取ったらよいかというようなことに関しても助言をしております。例えば、緊急の雇用対策、社会保障の仕組みづくり、そしてまた財政出動などなどであります。また、こういった国々に対して資金調達とかあるいは債務再編成といったところも支援や助言をしております。そして重要な点は、私どもは、世銀、IMFなどの現地で活躍する国際機関との緊密な連携もしていることです。 私どもの目標は、極めて明確で簡潔そのものであります。ミレニアム開発目標、MDGsと申しますけれども、これの達成を始めとするその他の国際的に合意された開発目標達成に向けた勢いがそがれないように各国を支援することであります。日本が人間の安全保障の推進、MDGsの達成に向けて努力を倍加されると言われた首相の約束に大変意を強くしております。ODAの主要拠出国である日本の支援は非常に大きな力となり得るからであります。 するべきことはたくさんあります。MDGsの目標達成年二〇一五年まで残すところ六年しかありません。したがって、非常に国に特化した努力が必要だと思います。そして、どういったギャップがあるのか、目標達成までに。そしてまた、立証されたイニシアチブ、政策、そして能力など、どういったものがその個々の国々で必要とされているか、そして目標にいかにそういう努力をして達成するかということであります。MDGs目標はそれぞれ関連し合っておりますので、こうした努力は一貫性を持ち、かつ戦略的でなければなりません。 日本が非常にこれまで支援してくださった分野として一例を挙げれば、ジェンダー平等を確立することがあります。それ自体非常に重要な目標でありますが、残りの目標達成にも必須な要件であります。 ミレニアム開発目標推進に当たり最も遅れている地域を見てみますと、やはり女性や少女のニーズ、地位が軽視されているところと重なることが分かっております。日本・UNDPパートナーシップ基金を通じ、日本は女性のエンパワーメントを促進するUNDPの取組を支援してきました。同じ努力は、我々のすべての活動で強化しなければなりません。そうすることで初めて開発の進展の恩恵に女性もあずかれるようになるからであります。 また、特にアフリカには注視、注力しております。MDGsの達成が今現在非常に難航している地域だからであります。サハラ以南のアフリカ地域では、MDGsの進展という意味ですべてが大きく後れを取っております。 日本とともにUNDPは、アフリカ開発会議のプロセスを基に、TICADであります、こういった名称で呼ばれておりますけれども、強力なパートナーシップをつくり上げてまいりました。二〇〇八年の第四回TICADにおける前政権の二〇一二年までにアフリカへのODAを倍増するというコミットメントは、新政権にもきっちりと引き継がれるとの確信を私どもいただいております。 このTICADの下に、そして様々なスローガンの下に、私ども、アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラムも一緒に協力してまいりました。アフリカの平和維持訓練センター支援も互いに力を合わせてやってまいりました。日本からの九千二百十万ドルの投資を活用して、気候変動に適応するための政府の能力強化をアフリカの二十一か国を対象に実施することもできました。 九月に国連の事務総長がニューヨークにおきまして国連気候変動首脳会議を主催いたしましたが、その折、大きな注目を集めたのは、鳩山首相の、すべての主要国による意欲的な目標の合意を前提にではあるが、日本は温室効果ガスを二〇二〇年までに九〇年比二五%削減するというこのスピーチでありました。 コペンハーゲンでのCOP15はもう数週間後となりました。この気候変動の問題に取り組んでいられる方は、このサミットでの新たな進展を非常に熱い思いで見守っている人だと思います。 そのような新しい合意は、開発にも配慮した取決めであることが必要であり、炭素排出量を抑えつつ、途上国が成長し、かつエネルギーへのアクセスも可能とするような道筋を切り開くものでなければなりません。そのためには十分でかつ予測可能な資金の裏付けが必要であります。よって、鳩山首相が途上国に対してこれまで以上の資金的また技術的な援助を約束されたことは、大変喜ばしいことであります。そして、私どもUNDPは、このイニシアチブ推進に向けて日本と協力する機会を楽しみにしております。 私たちUNDPは、貧困削減とMDGs達成は気候変動に対するグローバルな取組と密接に結び付いていると考えています。貧困削減かあるいは気候変動問題のいずれかという二者択一ではあり得ません。もし私たちが生態系を破壊してしまえば、持続可能な開発はまた不可能になります。したがって、UNDPは非常に大きなポートフォリオを持っており、適応と緩和に関する諸戦略を国家開発計画の中心に据えるよう、各国に支援を提供しています。 そして、特に環境金融については、UNDPは、支援国が環境金融にアクセスできるよう支援を活発化させています。これは、資金規模は大規模なものとなることが今後予想されますが、これを利用する上で求められる能力強化に力を注ぐ必要もあります。すなわち、京都議定書の下でのクリーン開発メカニズムを始めとする現在の環境金融システムの下では、ほとんどの資金は官僚制度などが整っている大きな途上国に吸収されていますが、最貧国や脆弱国が十分な資金を享受できる方途を見出す必要があります。 昨今、気候リスク管理は、広範な災害リスク軽減の取組において極めて重要な一角を形成しています。UNの一つの報告によれば、自然災害に起因する死亡者の約七〇%、約七割はアジア太平洋地域に集中しています。そういうような自然災害がここ数か月あるいは数週間の間にも多くの国を襲ったことを把握しております。 UNDPは、四十を超える災害頻発国の政府との協力を通じて、兵庫行動枠組に貢献しています。そして、各国政府が災害リスクの軽減に取り組み、リスクの評価、脆弱性の軽減、災害への備えといった分野での制度構造を整備又は強化するよう支援しています。日本は、この太平洋地域において台風の経験もありますので、非常にこの領域においては専門性を持って支援していただいております。 そのほか、日本より多大なる貢献を受けている領域として、平和と安定の領域があります。この委員会においても、紛争から、まだ十分平和の配当が適切に行われていない国が多くあります。紛争からの脱却に努めているにもかかわらず、平和の配当が適切に行われていないために再び紛争状態に陥る事例もあります。 UNDPを含む国連システムとしては、地域社会による生計手段再建の努力、地方レベルでの国家当局の再建と法の統治の促進といった様々な活動を支援しています。 UNDPは、日本の多大なる貢献を得て、コンゴ民主共和国やソマリア、イラクやスリランカ、ブルンジやリベリア、そしてパレスチナ自治区、東ティモールといった世界中の紛争中及び紛争後の地域でたゆまぬ努力を続けています。 また、日本にとりアフガニスタン支援における平和構築と安定がいかに重要であるかを私も認識しております。日本は、最近、対アフガニスタン支援を、今後五年間で最大約五十億ドルの規模で行う方針を発表しています。私どもも、首相を始め閣僚の皆様と、アフガニスタンに対する日本の支援拡大をUNDPがどのようにお手伝いできるのかについてお話しし、我々が実績を持つ分野における具体的提案を行ったところです。 これには、元兵士の武装解除と社会復帰、そして生計手段の再建、警察訓練、地方開発、ガバナンスの向上等が含まれており、私どもは共に大きな成果を上げることができると考えております。 また、さらに、日本との幅広いプログラムにおいて、私たちはより強い政府の構築に取り組んでいます。そして、人権保護、司法及び選挙制度の構築、議員の監視者としての役割強化、そうしたパートナーシップの下、取り組んでいます。 そして、実際に発展の成果を共有する機会を国民が手にしたときに、行政機構のあらゆる層で透明性が確保され、説明責任が果たされ、国民の意見に耳が傾けられたとき初めて持続可能となると、私たちはこうした国のガバナンスを高めることで可能となると考えています。 現在の危機の下、途上国は資金とプログラムを必要としており、日本の支援が求められています。ODAは、開発という方程式の一部にすぎません。しかし、それでも触媒的な役割を果たしています。ガバナンスの段階的変革、優れた戦略の策定、国家の未来を変える上での必要となる能力強化等を支援するものであります。 過去十年間にわたり日本のODA予算は縮小傾向にあります。しかし、私たちは、具体的な領域につき質、量の両面において強化させるという日本の約束を称賛したいと思います。 また、日本はUNDPを始めとする多国間組織との協力実績があり、今後も私どもとこのような強固な関係が継続されることを期待します。一方で我々は、日本の対UNDP通常予算への拠出削減を懸念しています。九年前、日本は最大の拠出国でありましたが、現在六位になり、来年は更に七位に落ちるものというように予想されています。日本では今、大変予算が厳しい状況にあるということは理解しておりますけれども、一方で、通常予算については今回の訪日における一日半の間に、鳩山首相及び閣僚の方々と協議を重ねてきたところであります。 昨日、また、私は国際協力機構の緒方貞子理事長とお会いする機会に恵まれました。国連においてはすばらしい、十年以上にわたる御活躍でよく知られています。UNHCRでの活躍でよく知られていらっしゃいますが、JICAは世界最大の二国間開発支援機関であり、私たちはJICAと覚書に署名をし、引き続き協力を、連携を強めていこうということにしております。 そして、この委員会におかれましても、国連改革に関心をお持ちのことと思います。武見敬三元参議院議員も国連システムの一貫性に関するハイレベルパネルの委員を務められておりましたが、これがいわゆる一体となった任務遂行のためのパイロット事業を世界各国の国連事務所で実施するという考えをこのパネルは打ち出しました。このパイロット事業は、UNDPの常駐代表が主導しておりますが、この常駐代表は国連常駐調整官を兼任し、国連諸機関を調整する立場にあります。本事業はこれまでも非常に成功してきており、これらのパイロット事業に対する独立評価が終了し、国連総会により本事業の推進に強固なマンデートが付与された暁には、日本からの御支援を期待したいと思います。 最後に、まとめといたしまして、私たちは、長年にわたり開発に対し、そしてUNDPに対し、日本政府、そして日本の議会、日本の国民からいただいている御支援に大変感謝しております。今後もUNDPはより良い連携に向け継続的な対話を日本と続けていきたいと考えております。とりわけ、アフガニスタンでの支援、気候変動における適応策と緩和策、そしてMDGs達成に向けた取組の拡大において、より緊密な協力関係を構築できることを期待しております。これらはいずれも日本がコミットメントを強化している領域ですが、その実施に際し、長年のパートナーであるUNDPとして、更に我々のパートナーシップを拡大できることを期待します。 委員長、どうもありがとうございました。少し私の方からお話をさせていただきましたが、委員の皆様からもお話をお伺いしたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(岩永浩美君) ありがとうございました。 これをもちまして委員会はいったん休憩といたします。 午後二時二十六分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕