法務委員会 第4号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2009/03/24
会議録
○委員長(澤雄二君) ただいまから法務委員会を開会をいたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。 委嘱審査のため、本日の委員会に警察庁刑事局長米田壯君、法務大臣官房訟務総括審議官貝阿彌誠君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長尾崎道明君、法務省保護局長坂井文雄君、法務省入国管理局長西川克行君、文化庁文化財部長高杉重夫君及び国土交通省土地・水資源局次長宮崎正義君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(澤雄二君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 ─────────────
○委員長(澤雄二君) 去る三月十八日、予算委員会から、三月二十四日の一日間、平成二十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。 この際、本件を議題といたします。 裁判所及び法務省関係予算につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 おはようございます。民主党・新緑風会の千葉景子でございます。 今日は、私も限られた時間でもございますし、それから予算に伴う基本的な議論をさせていただくということでございますので、大臣とできるだけ議論をさせていただくということにいたしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 さて、先般の質疑の際に丸山委員からも御議論がございました、外国籍の皆さんとの関係を一体どう日本はしていくのかということについて多少議論をさせていただきたいと思っております。 外国籍の方という表現がいいのか、あるいは来日をされて日本で生活をする皆さんというそういう表現がいいのか、なかなかここは考え方によってかなり表現も違ってくるのかなというふうに思いますけれども、まず基本的に、いわゆる来日外国人の皆さん等との日本のこれからの関係をどうしていこうとしているのか、できるだけやっぱり多文化共生の社会ということを考えて、門戸を開きながらやっぱりその皆さんと共存して、そして日本の社会というのをつくっていこうと、こういう方向にあるのか、それとも、いやいやそんなことはない、外国の人は外国の人なんだから一定の制限をして、そしていずれは外国にお戻りをいただく、そういうやっぱり外の人なんだ、こういう基本的な考え方でこれから行こうとしているのか、それによって私はやっぱり政策の立て方あるいは様々な制度のつくり方、大きく変わってくるのではないかというふうに思います。 そういう意味で、まず基本的な理念というかこれからの方向性、これについて一体、この間、丸山先生も移民政策はあるのかというお話をされておられましたけれども、確かに本当にお持ちなのか、あるいはこれからどういうふうにしていこうという何らかの御認識とかあるいは見解があるのか、そこのところをまず大臣のお考え方を聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 外国人政策の基本についてお尋ねがございました。 少子高齢化時代を迎えた我が国においては、外国人の受入れの在り方は国の形にもかかわる極めて重要な問題であると認識しております。専門的、技術的分野に該当しない分野におけるいわゆる外国人単純労働者の受入れや、あるいは今お話もありました移民政策の導入については、我が国や我が国社会の在り方そのものにかかわる問題であり、国内の治安に与える影響、国内労働市場に与える影響、産業の発展、構造転換に与える影響、また社会保障に与える影響等々、多様な観点からの慎重な検討と国民的な大きな議論が必要であろうというふうに思っております。 なお、個人的にどうかというふうに問われたら、法務大臣という立場を離れて私自身はどちらかというと抑制的な立場でございますけれども、それはおきまして、現状について申し上げるならば、我が国における外国人の受入れについては、我が国の社会の安全と秩序を維持しつつ、我が国の経済社会の活性化、一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者については、これまでも積極的な受入れを図ってきているところでありますし、また今後も引き続き受入れを推進していきたいと思っております。 また、不法に我が国に入ってくる外国人や不法に残留する外国人には厳正に対応する必要があると思いますが、ルールを守って我が国に入国し在留する外国人の方々は大いに歓迎して、入国管理上もこの方々への利便性を向上させ、多文化共生を可能とする社会の構築に貢献していきたいと考えているところでございます。
○千葉景子君 今大臣もお答えになっておられますように、個人的にはというか、どちらかといえば抑制的な考え方なんだと。しかし一方では、やはり皆さんには来日を許容してそして日本の中で一定の役割を果たしてもらうということで、なかなかこれは、私も正直に大変国の形にもかかわる大きな問題だというふうに思っています。ただ、ここをずうっと確かに議論をきちっとしないままにこの間来てしまいました。大分以前からこの問題については議論をしなければならないという指摘はありながらも、ここまで推移をしているものですから、様々な政策がどうも継ぎはぎになったり、あるいはそれぞれの対応が矛盾を生じたりしているのではないかというふうに思っています。 そういう意味では、それは今日あしたですぐ結論を出せといっても難しいところがあるのは承知ですけれども、やはりそろそろ長期的なやっぱり展望というものを持ちながら個々の政策展開をしていかなければいけないのではないかというふうに思います。 そういうのがないままに、今回も、これどういうまた法案審議になるか分かりませんけれども、技能実習というような形での一定の在留資格を設けようということのようでございます。これも考えてみると、実際に働いて労働力になっている、しかし現実には、そういう資格がないものだから研修というような形で非常に不安定な中に置かれてきたというものを解消しようということなのかもしれません。ただ、こういうことを入れるということは、ある意味では、一定制約付きではあるけれども労働力の門戸を広げたとも言えないことはないわけですね。 ですから、何か長期的なものがあって、それにまずはここからということなのか、あるいはもう矛盾が生じていてどうも混乱するからこの辺までにしておこうかということなのか、そういうところが結局は場当たり的になってしまうのではないかというふうに思うんですけれども、こういうことをとらえても、そろそろ何かそういう長期的なあるいは大きな視点での基本的なまず考え方というのをやっぱりこれ検討していくときが来ているのではないかというふうに思うんですが、その辺はどうでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 問題意識としてはまさに私も同感でありますけれども、確かにそういった、先ほど申し上げたように、これから日本がどういう国を目指すのか、やっぱり人口が減少しても、つまり人口が減少するということはやっぱりそれなりに経済が収縮するわけですけれども、それでもってそれなりの国を維持していくのか、あるいは外国人労働者を、外国人を導入してその人口減少分を補完してまたそれなりのボリュームを維持するのかとか、いろんな考え方があって、これはやっぱり本当に国民的な議論をこれから展開していかないといけないと思いますし、またそういうことが、まだ一つのコンセンサスができていない中で、まあこういうことを私が言うのはなんですけれども、やっぱり苦肉の策みたいなことで行われているようなところもあるというふうに正直思います。 今回の研修・技能実習制度の見直しは、一部の受入れ機関において不適正な受入れが行われ、研修生、技能実習生が実質的に低賃金労働者として扱われるなどの問題が増加しているその現状にかんがみまして、それに対処して、研修生、技能実習生の保護の強化を図る観点から、実務研修は雇用契約を締結した上で実施させることとし、実務研修中の研修生が労働関係法令上の保護を受けられるようにすることを目的としたものであります。 したがって、今回の改正は、我が国で習得した技術等を出身国において生かすことで出身国の経済発展や技術の進歩に寄与するという研修・技能実習制度の本来の目的を変更するものではなく、また、単純労働者の受入れを行うものでも、研修生、技能実習生の受入れの拡大を目指すものでもないというふうに考えております。
○千葉景子君 さて、そういう中で、先般のカルデロン・ノリコさん、そしてその一家の問題というのも、やっぱり私は今の日本の矛盾みたいなものを私たちに突き付けているんではないかというふうに思います。 大臣も大分悩まれて御決断をなさったというふうに思います。一家の方も大変悩んじゃって、大変だったわけですよね。それを見ている私たちも何となく本当に悩ましくて、何とも本当にいたたまれないような、そういうことになっている。みんなで本当に悩んじゃっているわけですね。これも、やっぱりそういう大きな基本的な視点というものがないままにこういう家族が放置をされてきてしまったということなんではないかというふうに思うんです。 不法な人は日本での滞在は認められないんだと言いながらも、結局は長い間それをある意味では見逃してというか、そうしてきたわけですよね。実際に不法の人を全部、じゃもうそういうものは許さないんだから全部早く帰っていただくといったって、これ現実には不可能のことを言っているというしか私はないと思うんですね。何十万という人をじゃもうあしたすぐ帰ってもらうかなんて、そんなこともできないわけで。片方では、そういう皆さんの労働とかあるいはいろんな働きを日本社会もある意味で頼りにしてしまっている、それによって成り立っているという部分もあるわけですね。こういう中で、いや、ある日、やっぱり不法だった、じゃやっぱりもう帰っていただくしかない、何かここいらに本当に矛盾が生じているというふうに思います。 とりわけて、入ってくる仕方は確かにいろいろあったというふうに思うんですけれども、その滞在においては犯罪を犯しているわけではない、犯罪集団とかということではない、そういう意味では非常に日本にとっても力になってもらい、あるいはお互いに尊重し合いながら生活をしているという、こういう事実が現に存在してしまっている。こういうことをこのノリコさん一家の問題も私たちに突き付けたような気がいたします。 そういう意味では、私はこの辺でやっぱり、先ほど言った、確かに難しい問題ではありますけれども、どこかで一度、例えば、よく言われておりますように、一定のこういう本当に生活の拠点を持ち、そして日本の本当に力にもなってきたという皆さんをアムネスティーのような形できちっと一度滞在を認め、そしてこれから先こういう条件で日本は皆さんと一緒に暮らしていく、そういう社会をつくっていくんですよと、こういう方向をきちっと提起をしていく、こういう時期が私は来ているのではないかというふうに思っております。 そういう意味では、是非、はいそのとおりですと大臣もお答えできないだろうとは思いますけれども、やっぱりそういう時が来ている、みんなでそういう議論をきちっとやろうじゃないか、大臣としてもそれに率先してそういう検討をする、あるいは議論をする、こういう姿勢を持っていくというようなことをやっぱりここは法務大臣がまず示していただくということが大事だというふうに思うんです。 みんなで、悩むんではなくて、やっぱり多文化共生の、本当にそれぞれがお互いに力を出し合ってそういう日本の新しい社会をやっぱりつくっていこうやと、こういうことを大臣からも是非大きくアピールをしていただく、こういうことが今求められているのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 委員の御意見はやっぱり一つの大変傾聴すべき御意見とは思いますけれども、やはり日本の治安あるいは社会秩序に責任を持つ立場から申し上げますと、不法滞在外国人の在留を一律にあるとき認めちゃうというような方策については、今後新たな不法入国者等の増加を誘発する要因にもなりかねませんし、ひいては我が国の出入国管理体制に重大な支障を生じさせることにもなりかねないと考えております。 したがって、やはり御意見は御意見として私としては慎重に対処せざるを得ないわけでございまして、また、実際、在留特別許可の許否の判断においては、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、生活状況、人道的な配慮の必要性等、諸般の事情を総合的に勘案した上で判断しておりまして、なかなかその個別の事情も様々ですからその基準化も難しいということで、やはりその個別の事情に応じて在留を特別に許可すべき場合、そうでない場合ということで対応するのが適当ではないかと現時点では思っております。 いずれにしても、外国人労働者の受入れに係る政策は、先ほど申し上げましたけれども、我が国のこれからの国の形にもかかわる重要な問題であって、大いに議論を闘わせていって何とか一つのコンセンサスをつくらなきゃいけないということは必要性は感じているところでございます。
○千葉景子君 いずれにしても、最後にそういうことは必要なんだという御認識はお持ちいただいているようですので、是非そういうことを積極的に議論をさせていただきたいし、大臣にもそういうリーダーシップを発揮をいただきたいということだけ申し上げて、この問題は一区切りさせていただきたいというふうに思います。 次に、犯罪の防止という観点からちょっと質問をさせていただきたいと思います。 犯罪を防止し、そして安全な社会をつくっていこうということは大きな命題でございます。そのためにはやっぱり一定の厳格な処罰ということもありますし、そして一方で適切な社会復帰といいましょうか、そして再犯を犯すことのないように、こういう観点を頭に置いていくことが必要だというふうに思っています。 そこで、こういうことをやっぱり総合的に考えていく必要があるだろうというふうに思うんですが、今回の予算でこれを考えるときに、やっぱり矯正部分とそれから保護部分、こういうところがやっぱり連携してというか、総合的にこういう犯罪の防止ということにどういう取組をしていこうとしているのか、政策と予算両面で、どんな目玉というか、今回の予算の中ではあるのかないのか、その点について確認をさせていただきたいというふうに思っております。事前に、それのここのところが目玉なんだという、そういうものはちょっといただいておりますので、細かいことは結構でございますので、大臣として、こういうところが今回力を入れたところだというところを簡潔にちょっと御披瀝いただければというふうに思います。
○国務大臣(森英介君) 実は私、法務大臣に就任して今日でちょうど半年になるわけでございますけれども、つまり麻生内閣発足後半年ということになりますが、この半年間、法務行政に日々懸命に取り組んでまいりまして、そこで感じたことは、今委員御指摘のとおり、様々に法務行政の中で課題がございますけれども、もしかすると再犯防止ということが最大の課題じゃないかというふうに思うほどに重要な課題であるというふうに思っております。そのためには、犯罪をした者に対する適切な社会復帰支援が大変重要であって、今おっしゃられたように、矯正から保護につながるような様々な方策が必要であるというふうに認識しております。 そこで、法務省においては、特に自立が困難な高齢者などについては、社会復帰支援に矯正と保護が連携して取り組むことが特に必要であろうというふうに思っております。 具体的には、刑務所において社会福祉士等を活用した相談支援体制を整備するとともに、保護観察所が刑務所と共同して、出所後に必要な福祉サービスの確保に向けて刑務所入所中から計画的な調整を行う取組を、これは厚生労働省と連携して行っていきたいと思っております。 さらに、刑務所出所後直ちに福祉による支援を受けることが困難な者につきましては、更生保護施設で一時的に受入れをして、そこで社会生活への適応に必要な指導訓練を実施した上で福祉サービスに確実につなげていくような仕組みを構築をしたいと思っております。 これらの施策に必要な経費についてはこの度の予算案に計上しておりまして、今後とも、矯正、保護が連携した円滑な社会復帰の支援に努めてまいりたいと存じます。
○千葉景子君 私もやはり今大きな問題は、高齢化を抱えながらなかなか社会復帰が難しいというところをどう解決をしていくかというところが大変大きな課題であろうというふうに思っております。そういうところに今回はかなり重点を置いて政策、そして予算措置を講じているというお話でございますので、是非これを積極的に進めていただきながら、私たちも十分に中身を検証しながら対応してまいりたいというふうに思っております。 そういう中で、突然というか、関係あるのかないのか何かよく分からないんですけれども、先般報道で、仮釈放審理について一定のルール化をするということが報道されておられました。これも難しいことで、要するに仮釈放がされて復帰をするのがなかなか困難だという、そういうこともこの間言われておりますし、逆に仮釈放、だからかどうか分かりませんけれども、までの期間が長くなっているという傾向もあるようでございます。 こういう仮釈放制度、無期刑の仮釈放について三十年を一つの時期として一度総点検をするというようなルールのようでございますけれども、これはどういう意味を持っているんでしょうか。今回の目玉である、社会復帰を困難なケースをできるだけ解消していくというような問題と何かかかわりはあるんでしょうか、それとも、これは全く関係のないところで出てきたこういう制度というルールなんでしょうか、その辺についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 今般、執行開始後三十年が経過した時点で無期刑受刑者に対する仮釈放審理を開始することといたしましたのは、既に実施している無期刑受刑者の仮釈放審理の運用状況等に関する情報を公開する措置と併せまして、仮釈放審理の行われる時期やその結果を明らかにするなどをいたしまして、無期刑受刑者の執行状況及び仮釈放の運用状況の一層の透明化を図るためであって、実質的に刑を軽くするものでも、また重罰化するものでもありません。長期間受刑して高齢になった無期刑受刑者について、仮釈放が許された場合に、その社会復帰を円滑に行い、再犯を防ぐことはもとより重要と考えております。 今後とも、無期刑受刑者の仮釈放審理を適正に行いつつ、その円滑な社会復帰に向けて適切に取り組んでまいりたいと考えております。
○千葉景子君 何かいま一つよく分からない、私もよく分からないんですけれども、何で三十年なんだろうかと。というのは、これ、うがった見方をすると、仮釈放までが早いので、非常に被害者等からは何か結局すぐ出てきちゃうんじゃないかというふうな話などもあって、それで一方では仮釈放のないような刑罰をつくった方がいいのではないかという論などもあります。それでその仮釈放までの期間がいささか長くなっているという傾向もあり、そこでこの三十年という話が出てくると、そうすると、無期刑における仮釈放というのはまあ三十年というのが一つの、何ていうのかな、一定の区切りみたいなふうになっていくのかなとうがった見方をしたり、何だかよく、どういう趣旨なのかがいま一つはっきりはしません。 ただ、いずれにしても、その審理を透明化しようと、どうもそういうことのようでございますけれども、少しこの辺も、全体の犯罪の抑止あるいは刑罰の在り方というようなことも併せて今後検討していかなければいけないのかなというふうに思いますけれども、どうもいま一つよく分からないことだということだけ分かりまして、今日は時間もありませんのでまた議論させていただきたいというふうに思っております。 いずれにしても、今年度、こういう高齢化という中で社会復帰あるいは福祉との連携などをきちっとしていこうということが大きな方向付けのようでございますので、どうぞまた御努力をいただきたいというふうに思っております。 さて、もう時間がほとんどなくなってまいりました。実は、裁判員のスタートがもう五月二十一日ということになります。それに向けて私も何点かお尋ねをさせていただきたいと、例えば可視化の問題であるとか守秘義務にかかわる問題であるとかお聞かせいただこうかなとは思っていたんですけれども、時間の関係もありますので、これは是非この委員会でも集中的な議論をする機会を持たせていただこうという今検討もしておりますので、そういう方に譲らせていただきたいと思いますが。 一点だけちょっと指摘をしておきたいと思うのは、この間、裁判員制度というのが重いものじゃない、なるべく楽なものなんだ、余り負担は掛けません、こういうことが何か少し強調され過ぎてきたような気がするんですね。負担をできるだけ軽くして参加しやすくするというのは、私は当然のことだというふうに思うんですけれども、ただ、やっぱり本来は、裁判、人を裁くということは決して軽いものではない、非常に難しく、そしてまた責任も重いものなんだ、そういうものだからこそ、やっぱり主権者である社会を担っているそれぞれの国民に、きちっと参加をして、そういうものをやっぱりきちっとみんなで担っていこうと、こういうところに本来の、本当の趣旨があるんだろうというふうに思うんですね。だから、そこを余り、そう言っちゃうとみんなもう嫌がって参加しなくなっちゃうんじゃないかということで、余りにもそこをきちっと啓蒙してこなかった嫌いもあるのかなと、私も反省を込めてですけれども感じたりしております。 そういうことをやっぱりもう一度きちっと念頭にしながら、そしてその上で、でも、やっぱりみんな生活を持っているんだから大変だよね、やっぱり一定の、できるだけ軽減をするとか、あるいはそれに対する配慮をしていこうと、こういうふうにつながっていくものだろうというふうに思いますので、そんな議論を是非これからも、もう間もなくではありますけれども、忘れずにやっていきたいものだというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。 時間ですが、最後に、これも、済みません、大臣、大臣はDV法の所管大臣でもございます。で、定額給付金というのが今支給を開始されております。この中身はもう言いません。ただ、居住を失った方とか、そしてこのDVの被害者とか、そういう皆さんこそが本当は受給すべき方たちだろうというふうに思うんですが、なかなか今DV被害者の方たちが受給しにくい、そういう状況にあるということでございます。やっぱりそういう被害者を保護し、そして救済をしていくという、そういうことでDV法もできておりますので、その主務大臣でもある森大臣、総務大臣とお会いするとか何かのときに是非、こういうDV被害者などについてきちっとした支給ができる、そういう体制をつくっていただく、あるいは自治体に指示いただくというようなことをしろよと、是非、森大臣から進言をしていただきたいとお願いをさせていただきたいというふうに思います。うなずいていただいていますので……
○国務大臣(森英介君) 承ります。
○千葉景子君 あれでございますので、よろしくお願いします。じゃ、よろしくどうぞお願いいたします。 終わります。
○前川清成君 前川清成でございます。おはようございます。よろしくお願いいたします。 まず、最高裁にお尋ねしますけれども、司法制度改革とはどういうものだったのか、お答えいただけますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 司法制度改革と申しますのは、いろいろとらえ方ございましょうが、私どもといたしましては、社会が非常に国際化し、多様化する傾向が著しくなっている中、我が国社会の安定と発展をもたらす基盤としての司法の役割がこれまでにも増して重要なものになるという考えに立って司法制度改革が進められてきたと考えております。 一連の司法制度改革は、このような認識に立ちまして、司法の機能を高め、国民にとってより身近で頼りがいのある司法を実現することにより、活力があって自由で公正な社会を築くための基盤を整備しようとするものであると、かような改革であると認識しているところでございます。
○前川清成君 一言で理念みたいなものをおっしゃっていただくと、どうなるんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 国民の要請に沿った機能のある非常に使いやすい司法を築く、信頼される司法を築くということにあろうかと存じます。
○前川清成君 それなら、行財政改革とはどう異なるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) それは司法の役割というところをどうとらえるかということでございますが、立法、司法というところで国の形を築く、司法というのは言わばそういったものをウオッチするというところがございますので、そういった立場に基づいたところの違いがあるというふうに考えております。
○前川清成君 聞いて答えてくださいね。行政についてとお尋ねしたんじゃなくて、司法改革と行財政改革は理念においてどう違うんですかとお聞きしたんです。もう一度。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 行政改革というものについては、行政について国民との距離感、そういったものを縮め、より機能の高い行政を築いていくというものであろうと思います。そして、一連の我が国の様々な動きの中で司法の役割というものは、そういった行政が開かれたものになるときに、事後的に行政の動きあるいは世の中の動きというものをチェックしていくと、そういったところに司法の機能の重さがあるわけで、そこを充実させるのが必要であると、こういうような位置付けであると認識しております。
○前川清成君 それでは、最高裁の御見解としては、行財政改革も司法改革も、いずれも国民にとって身近な司法、国民にとって身近な行政を実現するという意味でほとんど一緒と、こういうことですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 司法制度改革というものは、ある意味で多義的なものでございまして、それを一言で言うというのがなかなか難しゅうございます。 少し時間を取らせて言わせていただくならば、やはり司法改革というのは、恐らく三つの柱があり、一つは、そういった行財政改革を支えるものとして事後チェックをするという司法の役割の強化という点、もう一つは、言わば司法を民主化するといいますか、もっと短く国民の距離感を縮めるというもの、そして三つ目には、司法がより適正で迅速な裁判を実現していくという機能を高めるという、三つの観点があったと考えております。
○前川清成君 時間の無駄ですのでもう私の方から正解を言いますけれども、行財政改革というのは、財政の問題も含めて、より効率的な行政システムをつくっていく、お金を掛けずに国民にいいサービスを提供する、小さな行政を実現するというのが行財政改革で、司法改革というのはそれと逆で、社会の片隅にあった、要するに国にとって、社会にとって、国民にとって余り役に立っていないと思われていた司法を社会の真ん中に持っていく、頼りがいのある司法をつくっていくと。理念において正反対のものじゃないかなと、私はそう思っているんです。 だから、そういう点でいうと、今回の裁判所予算、司法改革の理念がどのように反映されているんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 司法制度改革というものを大きい小さいというところで一くくりにできるかどうかというのは、それはそういうお考えはあるのかもしれませんけれども、それに尽きるものではないというふうにも思うわけでございます。やはり一番大事なのは、国民の皆様が使っていただく、そういう機能が高いということが最も重要であります。それは、行財政のシステムがどうなるかという相関においても、司法が十分な機能を果たすということが最も肝要だろうと思っております。 この一連の司法制度改革を受けた改革、いろいろございますが、今先生が御指摘がございましたように、司法の容量という面では人的充実というものを図るべきであると。そういうところにおいては裁判官の計画的増員というようなことを進めてまいりましたし、最初、司法制度改革のときには、専門性に対応できないというところで知財事件についての機能を高めるという御議論がありました。そういったものについては、知財高裁を築くというようなところでそういった予算的手当てを立ててきたわけでございます。まだまだございますが、そういったような対応をしてまいったというところでございます。
○前川清成君 司法の機能については、それこそ戦後六十年一貫して御努力をされていたんじゃないかなと私なんかは思っているんです。司法制度改革が始まる一九九九年まで努力していなかったと、こういうことなんですかね。まあそういう嫌みはいいんですが、いずれにしても、司法の容量の問題があるから、法曹人口についても五百人から三千人にということでかじを切ったし、法曹養成システムについても二年間の司法修習を一年間に短縮する、あるいは法科大学院をつくるなどなどの様々な改革が行われたし、国民にとって身近という意味で裁判員制度というのが実施されるようになったのではないかなと。 私は、だから、一言で言うと、社会の片隅にあった司法を社会の真ん中に持ってくると、それが司法制度改革ではないかなと思っているんです。 そういう点でいうと、今回の予算については、今お答弁なさいませんでしたけれども、裁判所予算において司法改革というのはどう反映されているんですか、短く答えてください。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 今ほとんど申し上げたところに尽きるわけでございますが、多岐にわたる司法制度改革に対応したところ、先ほど申し上げましたけれども、増員、あるいは知財高裁に関するもの、あるいは金額的には裁判員制度導入にかかわるもの、そういったもの、どこまでが司法制度改革関連経費かという問題はございますが、おおよそそういったもので百二十数億余りの司法制度関連の予算を計上しているところでございます。
○前川清成君 司法制度改革が始まる前の平成十四年の裁判所予算は三千百七十一億円。来年度予算は幾らですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 約三千二百四十七億余ということでございます。
○前川清成君 ですから、この裁判所予算というのが司法改革という大騒ぎをやっているにもかかわらず全然変わっていないということは明らかだと思うんです。 ちなみに、今年の予備費、幾らか御存じですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 恐縮でございますが、国全体の予備費については、今、私、正確な数字、承知しておりません。
○前川清成君 一兆三千五百億円。もう少し裁判所の予算についてお考えいただいたらなと思うんですが、この点に関連して、裁判所予算というのはどのような手順で決まっていくんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 裁判所は、国会あるいは会計検査院とともに、特別の機関として財政法上も一定の独立性が認められている形になっております。ただ、国の予算編成権というものは内閣が有しておりまして、国の予算についても内閣による統合調整を受けるということになっておりますので、予算編成の手順、今、予算の手順というものは基本的にほかの行政庁と同様の手順を踏んで行っているということでございます。
○前川清成君 ですから、その同様の手順を御説明ください。これ、通告していますよ、全部。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 行政庁と同様でございますが、毎年八月の三十一日までに次年度の予算の概算要求を行います。それに当たっては、最高裁、裁判所でいいますとその取りまとめは経理局が行うわけでございますけれども、各局、それぞれ民事、刑事、少年あるいはその人事を担当しているセクションからそういった次年度の要求項目についていろいろ言わばヒアリングをしまして、それを取りまとめて概算要求書を八月三十一日までに内閣に送付いたします。 概算要求に当たっては、いろいろ今申し上げましたような取りまとめのプロセスを経るわけでありますけれども、増員、施設、その他重要な内容につきましては、その概算要求を出す前に裁判官会議で説明をし了承を得るわけでございます。そして、その後、秋になりますと、財政当局との関係で、これもほかの省庁と同様でございますが、要求内容等を説明するなどして折衝を重ねてまいります。そして、年の暮れになりますと、裁判所の予算も含めまして政府の次年度の予算案が閣議決定されることになりますが、そして、一月に国会に提出されて国会で審議されるということになります。 そして、その年末の予算編成に当たりましては、裁判官会議にその編成作業の状況等を報告いたしまして、具体的な折衝については、最終的なところは非常に短い時間で行いますので、長官への一任をいただいた上で、その長官の指示の下、事務当局において復活折衝を行っていくわけでございます。閣議決定後の裁判官会議でそのプロセスについて報告し、最終的なトータルの形での裁判所の予算について報告をすると、これが、概略、プロセスでございます。
○前川清成君 今、ほかの省庁と同じですがというのを二度三度お使いになったんですが、裁判所法の八十三条一項に「裁判所の経費は、独立して、国の予算にこれを計上しなければならない。」とこう書いてあるんですが、これはなぜこのような条文が置かれているのか、まず御説明ください。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) それはやはり三権の分立ということがございますし、それから国会あるいは会計検査院等、その独立機能機関におきましては予算の面からそういったそれぞれの独立機関の活動が制約することのないようその独立性を保つと、そういう趣旨の規定と理解しております。
○前川清成君 三権の分立というのは、司法の独立という憲法上の要請でよろしいでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) そのように理解しております。
○前川清成君 それでは、裁判所予算というのはどのように独立して計上されているんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) それは今申し上げましたような形で計上し、そして財政法上、先ほども申し上げましたように独立性を保つような規定があるということになります。
○前川清成君 いや、私がお尋ねしているのは、どのような形で独立して計上されているんですかと形式の問題をお尋ねしているんです。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) ちょっと私の理解力が足りないのかもしれませんが、その形式上というところがあれですが、裁判所が独立の機関として今申し上げましたようなプロセスでもって概算要求を立てていくということでございますが、システムとしてこれは内閣の方で一括して予算を提出されるということでありますから、裁判所が独立して計上したものについてはその政府の予算案の中に収れんしていくということだと思います。
○前川清成君 裁判所予算は独立して計上しなければならないというふうに裁判所法にあるんです。 ここにも、例えば来年度予算の一般会計の明細書をお持ちしました。確かに形として別の冊子になっていますけれども、例えば法務省予算も別の冊子になっていますし、あるいは国会予算も別の冊子になっていますし、あるいはほかの省庁、厚労省であったり文部科学省であっても別の冊子になっています。 そこでお聞きしているんですが、裁判所法八十三条一項というのは、予算編成において、予算書においてどのように反映されているんですかというお尋ねなんです。御理解いただけますか。 全くほかと一緒なんですよ。今御答弁の中で他の省庁と同じです、他の省庁と同じですというのを何度も繰り返されましたけれども、他の省庁と同じ、形式も同じ、決まっていくシステムもほかの省庁と同じだし、形式もほかの省庁と同じ、にもかかわらず裁判所法には独立して予算を計上すると書いてある。 じゃ、この裁判所法八十三条一項というのは意味のない条文になるんでしょうか。最高裁にお尋ねします。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 裁判所がその予算を計上していく上において、これは裁判所が独立に計上していくわけで、その過程で内閣等からその計上の計算過程についていろいろ指示を受けるということはございません。 そして、究極的に言うと、財政法十九条のところに二重予算権というものがございますが、これは国会も会計検査院もお持ちでありますが、そういったところで一つ制度として担保されていると。だから、形式上その予算書というものが行政の方と全く別かどうかというと、それはシステムとして内閣の方で予算が統合されるというシステムになっておりますので、そこのところは共通性があるということになりますが、そのプロセスにおいて内閣の方からいろいろ言われることがなく、先ほども申し上げましたように裁判官会議というところで決定された形ででき上がっていくということでございます。
○前川清成君 御理解になってあえてお答えを避けておられるのか全く御理解しておられないのか私には分かりかねますけれども。 要するに、例えば文部科学省の予算と裁判所の予算とどこが違うんですか。文部科学省設置法というのは見ていませんが、文部科学省は独立して予算を計上しなければならないという条文はないですよね。裁判所法にはあるんでしょう。それも、今おっしゃったとおり憲法が司法の独立というのを認めていて、それを担保するため、予算的にも担保するためにこの裁判所法の条文があると私は理解しているんです。 それにもかかわらず、何もかもすべてほかの省庁と同じです、同じです、同じですとおっしゃるのは、むしろ司法の独立なり三権分立を自らの手で放棄しようとされているのではないか、裁判所こそが司法の独立を守るという気概をお持ちにならなければならないのではないかという趣旨で私はお尋ねしているんですが、今おっしゃった、この裁判所法八十三条一項が制度として担保されていると、そういうお言葉をお使いになりました。どの点で制度として担保されているのか、ほかの省庁とどこが違うのか、はっきりお答えください。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 司法の独立というところの関連で予算をどう扱うというのは、それはいろいろなシステムがあると思います。私の承知しているところでも、国によっては裁判所が独立の予算提出権を持つようなシステムを取っている国もあると聞いております。ただ、それはまた国のシステムとして国がお定めになるというところでございます。 それで、今、内閣が統合調整をするという予算のシステムになっておりますので、予算書上とかいうものは言わば融合した形になっておりますが、究極の形で内閣の考えと裁判所の考えが違ったと、あるいは国会も会計検査院も同様でございましょうが、そういうときには両者が二重予算権という形で、内閣の方はそういう予算は必要ないという通告をしてくると、それに対して裁判所がそうではないという言わば増額調整の意見を出していくと、それが、そういうシステムが財政法上ございますけれども、そこが言わば司法の独立というところが財政法上表れているものというふうに理解しております。
○前川清成君 ちょっと今日は警察庁とか文部科学省とか国交省も来ていただいているのでこの問題だけで終わるわけにはいきませんし、まだ、せっかく大臣がお越しなのに一言もおしゃべりいただいていないんですが、ちょっと今の答えでは、ああ、そうですかと前へ進むわけにはいかないわけです。 私は何度もお聞きしていますよ。裁判所法八十三条一項という条文があります。あるんですが、先ほどから御説明をお聞きしていたら、裁判所予算と他の行政庁の予算の立て方がどこが違うのか私には分かりません。だから、どこが違うのか御説明ください。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 予算の立て方というところについてどういう形でお答えすればいいのか、ちょっと私あれでございますが、人的経費、物的経費、あるいは施設面と、そこの構造は国の機関である以上同様でございます。そういう面は、実態の面においては共通すると。それから、形式の面においては内閣にそういう予算の統合調整権があるという、そこでは融合すると。 ただ、そこの内容について双方の、裁判所は裁判所として裁判官会議の判断、決議でもって予算を調整していくわけでございますけれども、そこの見解が違ったときには、システムとして国のお定めになった財政法上そういうシステム、独自性を担保するシステムがあると。そこがやっぱり顕著に違うところであると、こういうふうに理解しております。
○前川清成君 その最後が分からないんですけれども、実質も形式も同じなんですか。実質も形式も同じだったら、じゃ国土交通省の予算と裁判所の予算とは変わりがないということでしょう。今何か言い訳のようにおっしゃったけれども、裁判官会議に基づいた意見を財務省に言いますと、こう言うけれども、そんなものは国交省も言うし、文科省も言うし、どこでも言いますよ。それは大臣に対して失礼ですよ。大臣は飾りやと言っているのと同じじゃないですか。だから、同じ点はないんだったらないで言ってください、もう時間もないから。 これは悪女の深情けみたいなんですけれども、僕たちはもっと裁判所が社会において中心的な役割を、中心的な役割というのは独裁するという意味じゃないですよ、余りにも遠慮し過ぎで、法の支配を担う役所であるにもかかわらず、余りにも、何というんですかね、大変失礼な言い方ですけれども、役所役所し過ぎている。もっときっちりと胸を張ってあるべき姿を御主張になったらいいんじゃないかという意味で言っているんですよ。ところが、それにもかかわらず、形式も実質も皆一緒、裁判官会議に基づいて意見を言うてますと。それは森大臣だって法務省予算についておっしゃっていますよ。そうでしょう。一緒だったら一緒と言うてください。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) システムを比較したときに、類似点を強調するか違うところを強調するかということで、じゃ違うところというならば、それは三権の決定、裁判所にとって最終決定をするのは最高裁判所の裁判官会議でございますが、そこが予算についての判断を決定するというところが、そこが決定的に違うというふうに申し上げます。
○前川清成君 なるほど、よく分かりました。 今のは、最高裁の裁判官会議で裁判所予算については最終決定できるんだと、こういう意味ですね。もう財務省が何言おうが、何が何言おうが、予算は自分たちで決めることができるんだと、そこが法務省や国土交通省や文部省とは違うところですと、こういうことでいいんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 予算要求のその案をそういう形で決定するということでございます。予算については、どういうふうにするかというのは、それは国会というところの審議を経て定めるということでございます。 今申し上げましたのは、これは裁判所なり、裁判所予算も予算のシステムということで、財政法なりそういったシステムの下に乗ってしているところでございますので、それは立法論としていろんなお考えあるかもしれませんが、私は、今あるシステムのところでは今申し上げたところが共通な点であり、今申し上げたところが相違点であると、こういうことを申し上げているところでございます。
○前川清成君 予算要求というのはどこの役所でもなさいますよ。裁判所だけが予算要求しているんじゃないから。そんなことを胸張って言うべきじゃないと思うんですが。 もうくどくど言いませんから、結論だけ言ってください。相違点はどこなんですか。違う点だけ言ってください、僕ちょっと理解できないから。国土交通省の予算編成の在り方と国土交通省予算が決まっていくプロセスと裁判所予算が決まっていくプロセスとどこが違うのか、結論だけ箇条書で言ってください。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 要求案について、それは裁判所の最高の議決機関のところで定めるというところが違うというところでございます。
○前川清成君 これはまた、じゃ引き続きとことんやっていきたいと思っています。 大臣、済みません、お待たせしました。ちょっともう司法改革予算については、時間の都合もあるので、大臣にはお尋ねせずに、次のちょっと論点からお尋ねしていきたいと思うんですが。 前回、所信の質疑で、お隣にいらっしゃる松岡理事の方からグーグルアースの御紹介があって、何回もたどっていくと当時の同和地区にたどっていくというので、私ももう非常にびっくりしたわけですけれども、あの質問に対して、大臣は即座に、これはひどいですねとおっしゃったんだけれども、松岡理事の質問は、これは人権問題ではないですかという質問だったんですが、それに対して、これは人権問題ですというふうにはお答えにならなかった。なぜならなかったのかというのをお尋ねしたいんですが。
○国務大臣(森英介君) 一つは、突然のお尋ねだったものですから実態をよく把握していない上での答弁を申し上げましたので、ちょっと非常に慎重な答弁になったということを御理解いただきたいと思います。 そもそも、グーグルアースの提供しているサービスの中に航空写真画像等に古地図を重ね合わせる機能があるということは、その後私も確認をいたしました、自分で。仮に、グーグルアースの古地図重ね合わせ機能を悪用して、歴史上の被差別部落地域を特定してこれをインターネット上で流布するというようなことが行われれば、これは差別を助長するおそれのある行為であって、看過できないと考えます。法務省の人権擁護機関としては、そのような行為を認知した場合には、プロバイダー等に対して削除要請を行うなど、適切に対処したいと考えております。 なお、私としては、松岡委員の御質問のときに、ちょっと若干少し誤解というか、があったことは申し上げなきゃいけないんですけれども、既にしてグーグルアースを悪用して部落地名総鑑的な機能を有するソフトがあるのかというふうに実は受け止めまして、それで、現に存するならばこれはもうとんでもない、あるいは看過できないということであって、今のところ、要するにそれを結び合わせればこうなるということであって、そういうふうなものを、意図的にやはりそういった機能を持つものを流布するようなことがあれば、これはやっぱりとんでもない、看過できないということになることは全く同様でございますし、また当然人権問題であるというふうに思います。
○前川清成君 人権については定義が様々ありますので、どれが人権侵害かという定義の問題でお考えになっていたのかなと思っていました。人権侵害の主体が国家権力に限るというような伝統的な考え方もありますので、グーグルは民間ですから、その辺でどうなのかなと思ってお尋ねしたいと思っていました。 人権という意味から、実は裁判員のことについて議論をさせていただきたいと思っていました。私は、今の社会において冤罪こそが最大の人権侵害の一つである、裁判員制度によってそれが何とか根絶できるのではないかなと、こういうふうに思っていました。その裁判員の下でどのような捜査を行っていくのか、今までどおりの捜査をやっていくのかどうかについて今日せっかくの機会ですのでお尋ねをしたかったんですが、警察庁にもお越しいただいて本当に申し訳ないんですが、ちょっと最高裁等はっきりお答えにならないんで時間がなくなってしまいまして、ちょっと国交省と文部科学省にお越しいただいていますので、同時決済についてお尋ねをしていきたいと思うんですが、今日、理事会のお許しをいただいて、お手元に図をお配りいただいているかと思います。 例えば、甲さんが乙さんに不動産を売却するという場合ですけれども、登記の引渡請求権という点だけで着目をしますと、売主には登記を移転する義務。普通、例えば私たちがマイホームを買うときですと、銀行からお金を借りて銀行が抵当権を付けます。ですから、抵当権の付いていない乙の債務について被担保債権とする抵当権が付いていない所有権移転登記をしなければならないという点で、甲さんには所有権移転登記の義務と抵当権の設定登記の抹消の義務を負います。これに対して、買主の方は当然代金支払義務を負うわけです。 この甲、乙がそれぞれここに書いているような義務を負担しているわけですが、文部科学省にお尋ねしますが、この甲さんの義務と乙さんの義務、乙が国が当事者となる場合には甲、乙の先履行関係はどうなるんでしょうか。
○政府参考人(高杉重夫君) お答えいたします。 国の会計法上、原則として契約に基づく相手方の給付の履行の完了後でなければその経費を支払うことができないということとされておりまして、契約内容に適合した給付が完了している場合についてその対価を支払うことが可能となると思っております。したがいまして、同時ではなくて片っ方が先行するという形になると承知しております。
○前川清成君 国土交通省も、例えば道路を造ったりとかいろいろ土地を購入されると思うんですが、やはり同様の、今文部科学省がお答えになったのと同様の手続を踏んでおられるんでしょうか。
○政府参考人(宮崎正義君) お答えいたします。 国土交通省の事業におきましては、必要な場合に代金の一部を、権利者から抵当権の登記を抹消することを承諾する旨の書面をいただいて代金の一部を支払う、前金払いを支払うということはございますけれども、基本的には、先ほど文科省さんの方のお答えになりましたように、代金の支払は担保物件が登記されている場合は抹消後に行うということで対応しているところでございます。
○前川清成君 今それぞれお答えの中でおっしゃっていただきましたけれども、この図で言いますと、国が不動産を買い上げる場合には、甲が登記を移して、そして担保権を抹消して、その後ようやく甲は乙に対して、国に対して代金を請求することができるという手順で行われています。 それについて私の方で以前質問主意書を出させていただきました。なぜそういうことをしているのかという問いに対して、政府の答弁書は、万が一にも所有権を保全できない、そういう事態を防ぐためと、こういうふうに書かれておりました。 ところでですが、民法の五百三十三条という条文がありまして、同時履行の抗弁権と言われる条文です。甲と乙というのは対等な当事者ですから、たとえ国であろうと、所有地を買うというのは対等な民民の契約ですので、同時履行の抗弁権があって、甲が先に義務を履行しなければならないとか、あるいは、逆に乙が先に履行しなければならないというような法律上の義務はないんです、民法上は。それにもかかわらず、なぜ国はこの場合でいうと甲の同時履行の抗弁権を否定してまで先に抹消登記をさせるのか、お尋ねをいたします。文化庁。
○政府参考人(高杉重夫君) 私ども、先ほど先生がおっしゃいましたように、やはり万が一でも代金を支払った後にその所有権登記が移転されないというようなことがないようにということで、民法の規定とはまた別の契約内容というものでやらさせていただいているということはございます。 ただ、先ほど国交省からもお答えありましたように、前金払いの制度というのがございます。また、その制度も今後活用することを検討して、できる限り円滑に不動産の取得が進むように努力してまいりたいと思っています。
○前川清成君 この図で御覧いただきますと、例えば甲さんがまだローンが残っているというようなケース。これで銀行の抵当権を消そうとすると、自分のローンを全額銀行に対して返済しなければ当然銀行は消さないわけです。これもし消してしまったら、銀行はそれこそ背任になってしまう。 すると、国がどうしても必要な土地だからこそお買上げになるんだろうと思います。必要もない土地を広げようというのでお買上げになっているんじゃなくて、事業の必要性等々は検討して、どうしても必要な土地だから甲さんから土地を買いたい。しかし、甲さんはお金がないから銀行から借りている。お金がないから銀行から借りているにもかかわらず、先に銀行に金払って抵当権抹消せいと、こう言われても、どだいむちゃな要求を国がしているんじゃないかなと私は思うんです。 その点で、国交省でも文科省でもどちらでも結構ですから、甲さんは一体どのようにして銀行に借金を払ったらいいのかお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
○政府参考人(高杉重夫君) 現実問題としては、その当事者間において登記の抹消を、相手が国でございますので、登記の抹消をやって、国が確実に代金を払うというような交渉も行われておるということは承知しておりますけれども、今先生がおっしゃいましたように、なかなかそういう場面が難しい場合もあろうかと思います。 先ほど国交省さんの方からも御答弁なさいましたけれども、前金払いというもので、一部権利者が登記を抹消しますということをきちっと出せば一部のお金を前にお払いするということができる制度というのが認められております。今後、そういう制度の活用についても検討していきたいと思っております。
○前川清成君 その前金払いという制度を活用するというのも是非お願いして、また引き続きどこかでお尋ねしたいと思うんですが。 普通は、このケースでいいますと、甲さん、そして銀行、そして乙、買主ですね、乙が例えば銀行からお金を借りて甲に代金を払うのであれば、新しい銀行、乙が金を借りる銀行、この四者の司法書士が一か所に集まって、当事者も集まって、司法書士は別に一人でいいわけです、乙から甲にお金を払う、甲が銀行にお金を払う、銀行が抵当権抹消の承諾書を甲に引き渡す、それを甲から乙に引き渡す、また甲から乙に所有権移転登記の登記済証を渡す、同時に一回でやっているんですよね。それをやると、別に前払の制度などなどもお考えにならなくてもいいし、同時決済をやると、今文科省なり国交省がおっしゃったような万が一にもというケースは起こりようがないんですよね。 そこで、ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、万が一にもあってはならないから同時決済はしてないと、こういうお答えでした。万が一にものケースはこれまで何件ぐらい発生したんでしょうか。
○政府参考人(高杉重夫君) 今まで原則として抵当権登記を抹消してから代金を支払うということにしておりますので、そのような事例、承知しておりません。
○前川清成君 ですから、国が同時決済をやらない理由として挙げておられる万が一にもというのは起こり得ないんです。起こり得ないにもかかわらず、頼んで土地を買っているのに、頼んでこちらから土地を買っているのに、無理難題を国の方は売主さんに言っている。売主さんはどうするのか知りませんが、もう売らないから公共事業そこであきらめてしまうのか、あるいは高利貸しから借りて金利を損してしまうのか。いずれにしても、私は、国が安く公共工事を行うためにも、あるいは国民の皆さんに御不便を与えないためにも、今の国の不動産の購入の手続自体は改めていただく必要があるのではないかというふうに思っています。 大臣、今の点お聞きいただいて、御感想等でも結構ですからお述べいただいて、それで私の質問を終わらせていただくことにいたします。
○国務大臣(森英介君) 私、委員の疑問とお気持ちは大変よく分かりますけれども、これは別に国が思い上がっているとかなんとかということよりも、やっぱり原資が税金だからじゃないかという気が私はするんですね。ただ、そういう合理的な方法があればやっぱり検討の余地もあろうと思いますけれども、私はやっぱり原資が税金であるというところが一番大きな違いなんじゃないかと今やり取りを聞いて思いました。
○前川清成君 これで終わりますが、私たちがマイホームを買うときも、それこそ一生に一度の買物だと。税金は無駄遣いしてもまた赤字国債をすることができるのかもしれませんが、私たちはもう二度と買えませんので、それこそ私たちもとらの子のお金を使って、それで同時決済という方法でやっているんです。原資が税金だというのも大変よく分かりますが、もしも万が一にもという事態があるのであれば、不動産登記の制度を見直していただく、それによって国民に御無理を掛けないというふうな制度の見直しをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○丸山和也君 自由民主党の丸山和也です。 今日は、今現在進行形とも言える政治資金規正法違反事件との関連もありますし、それから政治と金の問題に関して、中心にしてお聞きしたいと思います。 まず、政治資金規正法ですけれども、これは昭和二十三年に施行されまして今日までいろいろ改正がありながら現在に至っているんですけれども、これの第一条を見ますと、この法律は、議会制民主政治の下、ずっと何かあるんですけれども、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とすると、こういうふうに理念が書いてございます。 それで、まさに民主政治の健全な発達というためには、政治資金の健全な在り方という、政治と金の問題を抜きにしては語れないと思うんですね。それで、これまで日本の歴史を見ていましても、やはり政治と金が絡んだ事件がまさに政治に対する信頼を損なうか否か、又は損なってきたと言われる、例えば戦後の、一九五四年ですけれども、造船疑獄事件、それから比較的近年ではロッキード事件、それからさらには金丸信事件、これらはやっぱり物すごい事件であって、すべて政治と金の問題、政治資金規正法違反に係ってきたような問題だと思うんですね。ですから、この問題について、今日は少し指揮権発動ということも絡めてお聞きしたいと思います。 まず、質問に入るに当たって、大臣はこの政治資金規正法というもの又はこれに対する違反事件というもの、これに対してどのような法務大臣として所感といいますか所見をお持ちになっているのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 一般論としてでよろしいですね。
○丸山和也君 はい。
○国務大臣(森英介君) 一般論として申し上げれば、政治資金規正法は、政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発展に寄与しようとすることを目的とするものであって、これに違反する行為については捜査当局において適切に対処しているものと承知をしております。
○丸山和也君 まさに非常に重要で、捜査当局において適切に対処されなければいけないものだと思うんですね。 しかし、やはりそれがまさに過去においても非常に問題になってきた。例えば、造船疑獄事件においてはいわゆる指揮権というものが発動された。捜査を中止させるというか、止める方向で発動されました。そして、これは当時逮捕が予定されていた佐藤栄作、それから池田勇人、逮捕許諾請求は佐藤に対して出されていました。それで、当時の犬養健法務大臣、吉田茂の下に指揮権を発動してこれをストップさせた。それで、当時の検事総長であった、だれだったかな、佐藤藤佐さんか、この方が非常に捜査の妨害を受けたというような発言を国会でもされていますね。 それで、これは決して、捜査が適正に行われたかどうかと、検察においては適正にやったかもしれないけれども、指揮権という意味では、これいろんな判断があったんだろうと思いますけれども、これはやはり歴史的な事件でございますので、法務大臣がこれにどういう所見を持っておられるか。余り現在では関係ないと思うんですけれども、これは指揮権発動というのは適正であったと思われているんでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(森英介君) ちょっと、当時のことについて私はちょっとコメントは差し控えたいと思います。 申し上げるまでもないことでございますが、検察当局は、常に法と証拠に基づき、厳正公平、不偏不党を旨として、その捜査の対象はだれであれ、刑事事件として取り上げるべきものがあればこれに適切に対処しているものと理解をしております。
○丸山和也君 この両名はその後、両名というか、佐藤、池田両名はその後総理大臣にもなっているわけですね。それで、当時やっぱりこれによって日本の司法制度といいますか、法治国家の根幹が崩れたとも言われているし、あれで当時としては戦後の体制を維持するためにやむを得なかったんだというようないろいろ意見はあったと思いますけれども、非常に大きな問題になって、法務大臣のみならず、第五次吉田内閣もその年の十二月に総辞職をしたと、こういう形で終わっています。 これはまさに、単に歴史的な出来事じゃなくて、脈々とこの問題というのは残っているんですね。例えば、ロッキード事件があります。ロッキード事件に関しては、これは別に指揮権発動という問題はなかったんでありますけれども、非常にいまだに問題になっている。解明されていないとも言われている部分がある。これの事件の発端がやはり米国にあるんじゃないかということも言われて、この前、私驚いたんですけれども、たまたまテレビ朝日の番組を見ていましたら、田原さんがあのロッキード事件は冤罪事件だとはっきり言い切っているんですね。あれは非常に衝撃的な発言なんですね。だから、これ世論、オピニオンリーダーの一人でありますし、非常に影響力の強い番組で、あれは冤罪事件であったと発言された。はっきりと明言された。このようなことを私はある意味でショックを受けたんですけれども、これについては、法務大臣、御存じでしょうか。御存じであれば、どういう所感を持たれたのか持たれてないのか、一言お聞きしたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 私はその報道というか、そのものを全然承知しておりませんし、また個別の判決についてコメントは差し控えたいと思います。
○丸山和也君 政治家のいわゆる金にまつわる事件に関しては、今般、民主党代表の小沢一郎氏の政治資金規正法違反容疑事件に関しても、これは国策捜査であると、簗瀬国対委員長ですか、おっしゃったこともありますし、民主党の、それから鳩山幹事長も非常に疑問があるという発言をされて、そういうお気持ちもあるし、国民の中でもそういう疑念を持っている人もいっぱいいると思いまして、あえてちょっと踏み込んだ質問をしたいと思うんですけれども。 いわゆる指揮権の問題は、検察庁法第十四条に法務大臣の指揮監督ということで、法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができると、ただし、個々の事件の取調べ又は処分については、検事総長のみを指揮することができると、こういうふうに法律上規定されてますんですね。 それで、この規定の存在意義についてまず最初にお聞きしたいんですけれども、これは検察庁法というのは昭和二十二年に施行されております。どうしてこういう指揮監督権という条項がわざわざ設けられているのか教えていただきたいと思います。
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいまの検察庁法の規定は、検察権が行政権に属する、したがって法務大臣がその行使についての責任を負うということと、それから検察権が司法権と密接不可分の関係にある、いわゆる準司法権的な位置付けが与えられているということ、この二つの観点の調和を図ることから置かれた規定であるというように理解されております。 すなわち、法務大臣は検察官の事務につきまして検察官を一般的に指揮監督することができるわけであります。これは、法務大臣が検察行政の最終的な責任者としてその責任を負うからそのような規定が置かれているわけであります。しかし、個別の事件の捜査処理等につきまして、すべて法務大臣の指揮が直接個々の検察官に及ぶということになりますと、これは先ほど申し上げました司法権と密接不可分の関係にある検察権の独立性、公正性の点から問題になり得る場合があり得るわけであります。したがいまして、個別の事件につきましては、法務大臣の指揮権を言わば若干の制約を加えまして検事総長のみを指揮することができるとしたわけであります。これは言葉を換えれば個々の検察官を指揮することはできないという、そういう趣旨であるというように理解しております。
○丸山和也君 例えばこの十四条ですね、指揮監督権というのがないとすると支障は起こるんでしょうか。必要なんでしょうか。私の質問はそういうことなんですけれども。 例えば、検察の独走とか、あるいは政治的意図の下に検察が動き過ぎるとか、あるいは検察国家になるおそれがあるとか、こういうことから、やや分かりやすく言うとブレーキを掛けるというような意図もあってこういうのが是非必要だということになっておるんでしょう。そこら辺についてはどのようにお考えでしょう。
○政府参考人(大野恒太郎君) もとより検察権は主として刑事司法の分野において作用するものでありますから、捜査の過程におきましては裁判所による令状のチェック等を受けるわけでありますし、また、検察官が起訴した案件につきましては、当然、公開の法廷で証拠と法律に基づいて裁判所の判断を受けるわけであります。また、起訴しなかった事件につきましては、一般の国民から選ばれました検察審査会によってその不起訴の当否が審査される、こういうチェックシステムになっているわけであります。 そうは申しましても、三権分立の国のシステムの中で検察は行政に位置付けられているわけでありますから、国民に対する責任の負い方ということにつきましては、最終的にやはり内閣そして内閣のメンバーである法務大臣の指揮を受けるという形で検察に対するコントロールがなされているということだろうというふうに理解しております。
○丸山和也君 これは若干アメリカと比べますと、日本は例えば検事正というのが各地方検察庁に一名ずつございますね。約五十ぐらいあるんですかね、ちょっと数は正確に覚えていませんけれども。すると、アメリカ辺りだと検事正というのはほぼすべて選挙の洗礼を受けるわけですね。日本の場合は、検事正というのはキャリアですから選挙を経るということ、審判を受けることは全くないわけで、そういう意味では政治的に非常に中立になっていると。それから世論とかマスコミの圧力からも直接的には余り影響ないと。しかも、起訴独占主義という非常に世界でもまれなオールハンドの力を、オールマイティーといいますか、力を持っていると。こういうことと先ほどおっしゃった指揮監督権を定義しているということは関連があると考えるべきなんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 先ほど申し上げたのは、まず、検察権につきましては当然司法権の中で裁判所によるチェックが働いているということがまずあるということを申し上げたわけでありますが、それと同時に、検察権が行政権に属する以上、検察権の行使がいわゆる暴走するようなことのないように、国民に対する責任の負い方として法務大臣による指揮監督が規定されているというように考えている次第でございます。
○丸山和也君 指揮監督権には、積極と消極と両方あると思うんですね。今まで問題になったのはブレーキを掛けるという方で問題になっているんですけれども、やはりこれは両方の側面があると思うんですね。 例えば、金丸事件のときは、たしか佐川急便から五億円ですか、違法献金、政治資金規正法違反で少なくとも五億円の献金を受けたと。それで、たしか略式による罰金二十万円でしたか、これになりまして、しかも金丸さんは検察庁に呼ばれることもなかったということで当時大変批判を浴びまして、それからいろんな一般刑事事件の中でも、取調べを受ける人が、おれはたったこれだけのことしかやっていないのに罰金科されて重いじゃないか、金丸は五億円あれは受けてたった二十万かと、取調べも受けないでと、こういうようなことで、検察の言わば威信が地に落ちた事件だったんじゃないかと私は思うんですね。それから検察も随分反省したと思うんですけれども、ああいう場合というのは、例えば幾ら政界の大物であろうと、きちっとした捜査、取調べをする、やらなきゃいけないというふうにむしろ法務当局は指揮権を発動を運用すべきだと思うんですけれども、この点については、大臣、いかがお思いでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 先ほど来やり取りございましたように、検察庁法第十四条についてはそのとおりでございまして、理論的には法務大臣たる私に指揮権を行使する権限があるわけでございますけれども、就任以来、私は検察に全幅の信頼を置いて、その独立性を尊重して、現時点においてはその指揮権を行使するということは毛頭考えておりません。
○丸山和也君 個々の事件にどうこう言うわけじゃないんですけれども、やはり常に政治家と犯罪の場合、指揮権の問題、あるいはそれが動いたんじゃないか、動いていないんじゃないかということが話題になりますものですから、極めてそれは積極、消極両面においても公正かつ適正でなければいかぬと思うんですね。 今回、漆間発言があってこの問題がもう一度クローズアップされたわけでありますけれども、これについては前回、松野先生もたしか質問されたと思いますので、私は重複した質問はいたしませんけれども、今回、恐らく今日も会見されるのかも分かりませんけれども、小沢民主党代表の政治資金違反容疑事件ですね、これについて何らかの形で法務大臣が捜査の指揮を、命令を出したというようなことはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 先ほど申し上げたとおりでございまして、個別の事案についてのコメントは差し控えますけれども、私としては検察に全幅の信頼を置いておりまして、その独立性を尊重して、これまでどの事案についても、私が就任以来どの事案についても指揮権の行使をするということは毛頭考えたことはございません。
○丸山和也君 だんだん時間も余りありませんもので余りこれ以上質問できないんですけれども。私は今月に入って小沢代表の資金管理団体経由の献金について、小沢代表は、これは単に政治資金規正法上の形式的な手続の問題であって、問題があるとしても形式犯だというふうにおっしゃっております。 そして一方、やはりそういう企業からの献金のもとを、そういうある種のよく工夫したというか手の込んだというか、そういう政治団体を通して受け取ることが、実質的には政治資金規正法の意図に対する違反というか脱法行為なんだという批判もされております。これについて、恐らく法務大臣は何らお答えをいただけないと思うんでしょうけれども、自民党はそういう見解を幹事長も表明しているようでありますけれども、ここら辺はどのようにお考えなんでしょうか。政治資金規正法の厳正な運用という観点からいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 個別の事案についてのコメントは差し控えますが、委員御指摘のとおり、政治資金の問題については国民の政治に対する信頼にかかわる重要な問題であると認識しておりまして、理念的な政治資金の在り方のみならず、政治資金の規制から生じる自由権の制約との兼ね合い、また政治資金が政治活動の財政的側面であるということから、現実の政党や政治家の政治活動の実態、その背景となる選挙制度の仕組み、さらには国民の政治意識など政治的、経済的社会条件を総合的に勘案されて決定されるべき問題であって、このような観点から各党会派において御議論いただくべき重要な課題であろうというふうに認識をしております。
○丸山和也君 それでは、最後になりますけれども、恐らく今日いろんな小沢代表の秘書を起訴する起訴しない、私は見ていませんけれども、それに関するいろいろ小沢氏自身の見解も聞かれるんじゃないかと思っておりますが。 私は、小沢代表は、ここで小沢代表は、私、彼についていろいろ発言されたこと、また報道されたことを見ていまして、おれは政治の師、人生の師として西郷隆盛を尊敬していると、西郷になりたいというような表現までされていました、随分前からですけれども。私はそれを思いまして、小沢一郎さんは西郷隆盛になる最大のチャンスが今あると思うんですね。いろいろ今回の捜査について御不満もあるし、時期に関しても、弁明もあると思います。当然だと思います。しかし、いろいろあるけれども、おれはここで死ぬ、おれのしかばねを踏み越えて残った者はしっかりやってくれということで党首を辞任され議員も辞職されると、これが最大の今、小沢一郎さんの取られる立場じゃないかと思うんですけれども、それによって小沢さんは歴史に名を残す政治家になられるんじゃないかと思うんですけれども。 私は別に民主党を支援して言っているわけじゃないんですけれども、やはりそれなりに偉大な一人の政治家が出処進退において立派にやってほしいという願いも込めて、私は一新米議員としてそのように思っているのでありますけれども、大臣はどのようにお思いでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 一つの御意見として拝聴いたしましたけれども、私からコメントすることは何もございません。
○丸山和也君 質問を終わります。
○木庭健太郎君 先ほどから議論があっておりますが、五月二十一日から始まる裁判員制度については、当委員会でも本格的な議論は集中的な形で別途またやろうというようなことも考えておりますので、これはこれで皆さん方の合意を得てやりたいと思っておりますが、その前に、この前も少し議論させていただいたんですけれども、今日も一点だけちょっとお聞きしておきたい点がございます。 それは、報道を見ておりましたら、最高裁の方は既に、この裁判員制度が始まった場合、その運用について検討するような、運用状況を検討する有識者会議というのを既に最高裁の方は設置をして、既に、模擬裁判等を受けてやったんでしょうけれども、今年一月に初会合を開いたというようなことをお聞きしました。 もう一つ、法務省の方はこれどう考えていらっしゃるかというと、ニュースを見る限りは、三年後、その検証の在り方を考えるようなことを検討しているというようなことでございますが。 私はやはり、今から始めるわけでございますが、裁判員制度を始めるに当たって、こういった言わばやったものに対して常に検証していけるような場というのを発足と同時に設けておくというのは極めて大事ではないかなというような考えも持っておりまして、したがって、この点について、この運用状況を検証するというような在り方について、最高裁、法務当局、それぞれどのように取り組むおつもりであるのか、まず現状を伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、裁判員制度の実施に当たりましては、実施前に十分な準備を進めるとともに、裁判員裁判実施後もその実施状況を不断に検証して、社会に根差した制度になるよう育てていく必要があると思われます。裁判員法百三条が裁判所に毎年実施状況に関する資料の公表を義務付けているのも、このような趣旨に基づくものと認識しているところでございます。こうした趣旨を全うするためには、制度実施状況を実証的なデータに基づき分析し、幅広く国民的な視点から裁判員裁判の運用の在り方を検討することが不可欠であろうと思っております。 そこで、裁判所がこのような分析、検討を行う際に適切な助言、御意見をいただくための機関として、裁判員制度の運用等に関する有識者懇談会を設置させていただいたところでございます。第一回の懇談会は本年、平成二十一年一月十五日に実施され、懇談会の今後の運営方針等について確認した上、制度の検証を行う前提となる情報の収集、分析の方法や在り方について検討するなどいたしております。 また、裁判所の方は、裁判員候補者名簿も登載させていただいて通知もさせていただいていますので、既に始まっているという認識でもございます。
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいまの点につきましては、裁判員法附則九条にこのような規定が置かれております。政府は、裁判員法施行から三年経過後に裁判員法の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、裁判員制度が我が国の司法制度の基盤としての役割を十分に果たすことができるよう、所要の措置を講ずる、こういう規定でございます。そして、その所要の措置には、運用上の問題点の改善のみならず、場合によっては制度の改善というようなことも含まれているんだろうというふうに理解しているところでございます。 そこで、法務省といたしましては、施行後の運用状況を踏まえまして、この附則で求められているような適切な検討を行ってまいりたいと考えております。検討に当たりましては、もちろん国民の皆様の声を伺うことが不可欠であるというように考えております。そうした点も踏まえまして、どのようなやり方で進めていくのか、現在省内で検討を行っているところでございます。
○木庭健太郎君 是非、もちろん有識者から外部の意見を聴くということも極めて大事で、そういった場も是非これは法務省内にもいずれつくっていただきたいんですけど、それとともに、この前裁判員の心のケアの問題辺りもお話もしたんですけれども、実はやはりこの裁判員制度を検証していくときに一番大事になるのは、実際にやった裁判員の方々がこの制度、つまり裁判員として何を感じられてどうだったのかというところをどう掌握していくかということも極めて大事な作業の一つではないかと思うんです。 裁判員につきましては、これ守秘義務の問題とかいろんなことも課せられるのも事実でございます。ただ、その問題と別に、やはり裁判員になった経験者の方々から是非意見を聴く場というのをつくっていただきたいし、それが最高裁の有識者会議の中に取り込まれるのかどうか、また今御検討いただいているなら法務省の中でどう考えていくのか、この点について最高裁とともに法務大臣から考え方をお聞きしておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、裁判員制度の運用状況を検証するためには、裁判員等の経験者から率直な御意見を伺って裁判員制度の運用に役立てるということは、裁判所としても重要であるというふうに考えております。 そうした観点から、裁判所は、裁判員等経験者に対して職務終了後にアンケート調査を行って御意見を伺うこととしております。アンケートの集計、分析の結果につきましては、裁判員制度の運用等に関する有識者懇談会の御意見も伺いながら検証、検討することとしているところでございます。また、アンケートに加えまして、裁判員等経験者から直接御意見を伺うということにつきましては、方法等も含めて今後検討していきたいというふうに考えております。 御意見を伺うに当たっては守秘義務が法律上の義務でございますので、裁判所としてはこれを尊重して行うことになろうと思います。もっとも、守秘義務の対象は、評議の秘密その他職務上知り得た秘密ということでございますので、裁判員等を務めた感想や意見はこれに当たりませんので、その限度であれば守秘義務違反の問題は生じないものと考えております。
○国務大臣(森英介君) ただいま最高裁からも御答弁がございましたけれども、実際に裁判員を経験された方の御意見というのは大変に貴重であると考えます。したがいまして、裁判員制度の施行から三年経過後に行う施行状況の検討に資することができますように、可能な範囲でそのような方々の御意見が伺うことができるよう法務省としても努めてまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 さて、今日は公訴時効の問題を少しお伺いをしておきたいと思うんです。 つい先日も、十五年前の強盗殺人事件の公訴時効が完成したというような話がニュースで流れて、遺族の方が、むなしいね、悲しいねと遺影を前に語りかける報道がありました。私自身も極めて感じることがございましたし、また、つい最近ですか、先月二十八日でございましたか、例の世田谷の一家殺害事件で長男一家四人を失った御遺族を会長として、いわゆる殺人事件被害者遺族の会というのが結成をされて、殺人事件の時効撤廃、廃止の実現を求めていくというような動きも始まっているわけでございまして、やはり今、一度いろんな状況の中でこの公訴時効の在り方について見直すべきときが間違いなく来ているんだろうと思いますし、私どもも公明党として、是非こういった公訴時効の在り方を検討を開始すべきじゃないかと、こんなことを考えておりますし、また、今法務委員長をやっている澤委員長もこの公訴時効の問題、何としてもこれ撤廃すべきじゃないかというような考えも持ちながらいろんなこともお考えのようでもございますので、この問題を是非議論をしたいと、こう思っておるんですが。 まず冒頭、ちょっと聞いておきたいのは、こういった声が上がる背景として、極めて最近何か時効を迎えてしまう殺人事件というのが多いような気もするんですが、まず刑事局長に、時効を迎えた殺人事件の件数、どのように推移をしているのか、まずちょっと伺っておきたいと思うんです。
○政府参考人(大野恒太郎君) 検察の統計で時効完成により不起訴処分に付された殺人事件の数について御報告いたします。 最近五年間ということでありますので、平成十五年は四十八件、十六年が三十七件、十七年が四十四件、十八年が五十四件、十九年が五十八件、五年間で合計いたしますと二百四十一件が時効完成を理由に不起訴処分に付されております。 なお、この数字でありますけれども、平成十六年に凶悪重大な犯罪についての公訴時効期間を延長する法改正が行われております。殺人事件につきましては、最高刑が死刑でありますので、時効が十五年から二十五年に延長されたわけでございます。ただいま御紹介申し上げた時効完成の件数は、いずれもこの法改正前の規定による十五年の時効が完成した事件であるということを申し添えます。
○木庭健太郎君 法務大臣、率直に今件数からいって毎年三十件、四十件、五十件というような多くの殺人事件が時効を迎え、未解決のまま終わっていると。言わば犯人にとってみれば逃げ得みたいな感じの問題が起きてきているわけですが、率直に五年間で二百件を超えているという今の現状について大臣としてどう感じられるか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 特に被害者の家族の方々を始め近親の方にとっては全く痛恨極まりない出来事であろうというふうに思います。 公訴時効制度については、被害者の方々を中心にして、殺人などの凶悪重大な犯罪について見直しを求める声は最近特に高まっているところでありまして、法務省においても、この点に関する様々な御意見を参考にしながら今省内において勉強を始めたところでございます。
○木庭健太郎君 刑事局長に、先ほどちょっとお話しされたように、確かに平成十六年、当委員会でもやりましたから私も記憶しておるんですが、殺人罪について十五年だった時効期間を二十五年に延長したと。そのときも論議はさせてもらったんですけれども、ちょっと海外の例辺りを少し紹介もしていただきたいんですけど、例えば、あのときも議論をしましたが、イギリス始め幾つかの国では公訴時効という制度そのものが存在していないところもございますし、特にやっぱり凶悪重大事件については公訴時効を設けないという国も多いというふうに伺っているんですが、実際、海外の状況、刑事局長、知る限りで結構でございますが、幾つか御紹介をいただければと思います。
○政府参考人(大野恒太郎君) 私どもが調査した限りでは、まさに各国様々という状況でございます。 殺人罪を例に取りますと、イギリスにおいては公訴時効はありません。 それからアメリカ、これはまあ州によって法律が違うわけでありますけれども、ニューヨーク州を例に取りますと、殺人であれば公訴時効はありませんが、重大な身体的傷害を与える意図で人を死亡させた場合、これが日本の傷害致死に当たるかどうかちょっと必ずしもはっきりいたしませんけれども、これは五年の公訴時効というようになっております。 それからフランスでありますが、フランスは逆に比較的短期の公訴時効期間が定められておりまして、殺人は十年で公訴時効に掛かることとされておりますけれども、民族謀殺等の特殊な類型はこれとまた違う扱いになっているというように承知しております。 それからドイツは、殺人罪の中で分かれております。殺人嗜好の動機に基づくなど特定類型の殺人でありますと公訴時効はありませんけれども、そうでないが殺人のうち特に重い事案などについては三十年間の公訴時効、そして一般的な殺人については二十年の公訴時効期間となっているというように承知しております。
○木庭健太郎君 先ほどちょっと大臣が御紹介をされておりましたが、大臣の下にこの時効制度の勉強会というのを設けられたというふうにお伺いしているわけでございます。 この勉強会、具体的にどんな構成で、大臣、おやりになっていらっしゃるのか、メンバーの構成、それから、これまでどれくらい御開催をされてどんな検討に至っているのか、お話しできる範囲内で結構でございますが、この勉強会の現在の推移の状況について大臣から直接伺っておきたいと思います。
○国務大臣(森英介君) この勉強会は、私以下、副大臣及び政務官に加えまして刑事局長、官房審議官などで構成をされております。これまでに私も加わった全体会を二回開催をしたほか、こちらの早川政務官を座長とするワーキンググループを五回開催してまいりました。 省内の勉強会でもございますので検討状況の詳細は差し控えさせていただきたいと思いますが、この勉強会においては、基本的な制度趣旨の理解や公訴時効に関連する事件の実情等について確認をするとともに、検討すべき論点を整理した上で公訴時効制度の趣旨等を踏まえた見直しの当否などについて検討を行ってきたところでございます。 今後、これらの検討の成果を取りまとめ、本年度末といってももう目前なんですけれども、何らかのアウトプットというか結論を、結論というか、中間まとめのようなことをしてみたいと考えているところです。
○木庭健太郎君 是非御検討の際に配慮していただきたいというか考えていただきたい点が幾つかございます。 一つは、これまで公訴時効の問題についてよく言われたのは、被害者の皆さん、年数がたっていけば事件に関するいろんな思いも薄れていくし、言い方によっては遺族の処罰感情が薄れていくというようなことも言われた時期もございますけど、私が知る限りは、年数がたてばたつほどある意味じゃ処罰感情は深まっていくと、こう思わざるを得ないケースが極めて多い。ある意味では、この公訴時効を考えるときに、言わば極めて大事な観点ではないかなと。 事件だけじゃなくて、私が一番感じたのは、あの戦争の被害というのはもう六十年前の話ですよ。でも、例えば被爆者の感情というのは何かといったら、その六十年前に置いてきたままですよ。言わば、そういった事件とか事故とかそういうものというのはまさに起こったところに原点がある、したがってその感情というのは消えることはない、そこを基準に物事を考えていただきたいなということが一点目でございます。 もう一つは、よく言われるのは、年数がたてばたつほど存在している証拠、確かに減っていくのは事実であると思います。ただ、現在どんなことが起きてきているかというと、例えばDNA鑑定の問題、精度が飛躍的にもう今は向上しているというような問題がある。これ、私は報道でしか知りませんけれども、例えば世田谷一家殺人事件では、現場に犯人とおぼしき人物の血液が残されていて、そのDNA情報というのはきちんと犯人を特定できるだけのものはあるというようなことも聞いている。 言わば、捜査の技術とかいろんなものが進んでいく中で、年数がたてば何でもなくなっていくというような時代ではなくなってきているんじゃないか、こんなところも一つ大きな観点として見ていっていただきたいと思うし、やはり今時代の流れは犯罪被害者の立場に立っていろんなものを見直していこうということで、これまで当委員会でも様々な制度も見直してきました。 その意味では、犯罪被害者の立場に立つならば、そういった観点をきちんと踏まえた上で物事を考えていくと、やはりこの公訴時効の問題というのは、すべてを撤廃しろとは申しません、でも、重大事件に関してはやはりこれをできるだけなくしていく方向で物事を見ていくべきではないかなということを改めて感じておりますので、是非とも、大臣におかれましては、勉強会におかれましては、この公訴時効制度の合理性というのをもちろん改めて問い直すとともに、言わば遺族の悲痛な思いを受け止めて、国民の声を踏まえて見直しに踏み切っていただきたいと考えておりますが、改めて大臣の意見を求めたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 公訴時効制度の在り方につきましては、捜査、公判という刑事手続の在り方にかかわる大きな問題ですので、今後とも被害者の方々を含む国民の皆様の御意見を聞きつつ検討を進めてまいりたいと考えております。特に、今委員から御指摘のあった点については肝に銘じまして検討に当たりたいと思います。
○木庭健太郎君 もう少し時間がありますので一つだけ。もう一つ伺っておきたかったのは、民法の成年年齢の引下げの問題でございます。 この問題、日本国憲法の改正手続に関する法律の第三条で、憲法改正の国民投票は満十八歳以上の国民に投票権が与えられていると。そして、この附則の第三条一項では、国は、この法律が施行されるまでの間に、満十八歳以上満二十歳未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、公職選挙法、民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置をとるものとすると定めているわけでございますが、このいわゆる十八歳、二十歳の問題です。 成年年齢の引下げの問題について、今どういうふうな形で進んでいるのかということをお伺いしたいということで一、二点お伺いしたいんですけれども、今、この問題については、民法に定める成年年齢の、引き下げるべきか否かについて審議が行われると聞いておるんですが、先日、中間報告が出されまして、その中間報告に基づいてパブリックコメントが付されたというふうに聞いております。 昨年七月でございましたか、内閣府によって、成年年齢に関する世論調査を見て、九月に結果発表されていますが、契約を一人でできる年齢を十八歳に引き下げることについては反対が七八・八、賛成が一九・〇、親権に服する年齢を十八歳に引き下げることについては反対が六九・四、賛成が二六・七という結果でございましたが。 まず、この中間報告の概要、パブリックコメントで出された主な意見について簡潔に御説明をいただいておきたいと思います。
○政府参考人(倉吉敬君) 御指摘の成年年齢の引下げにつきまして、現在、法制審議会の民法成年年齢部会において審議が行われておりまして、今ありました中間報告書というのはその成年年齢部会が出したものでございます。 まず、その概要を申し上げます。成年年齢の引下げの当否については、実は賛否両論で意見が分かれました。ただ、以下の点では一致をいたしました。すなわち、成年年齢を引き下げると消費者被害が拡大するおそれがあることから、法教育や消費者教育の充実、さらには若年者の自立を援助するような様々な施策を行っていく必要があると。これらの施策については、若年者の将来、我が国の将来を見据えて政府全体で取り組んでいくべきであると、こういう点では意見が一致したところでございます。 それから、中間報告書に対してパブリックコメントをいたしまして、それについて寄せられた主な意見でございますが、諸外国の多くで十八歳成年制を採用していることを理由に我が国でも十八歳に引き下げるべきであるという意見、それから成年年齢を引き下げると消費者被害が拡大するのでこれは行うべきではないという意見など、賛否両論の様々な意見が寄せられたというのが実情でございます。
○木庭健太郎君 まだいろいろ経過はあるんですけど、一応この日本国憲法の改正手続法に関する法律附則第三条一項では、国は、この法律が施行されるまで、すなわち平成二十二年五月十八日までの間に満十八歳以上満二十歳未満の者が国政選挙に参加することができることとなるよう、公選法、民法その他の法令の規定について検討を加えて必要な法制上の措置を講ずるものというふうに規定されているわけでございます。 それからちょっと逆算をしていただければすぐ分かることでございますが、その意味では、民法とか公職選挙法などの改正の問題については、今年の秋とか遅くとも来年の通常国会に出さなければならないような形にこれはもう必然的になってくるわけであって、その意味ではもうこれは余り時間がなくなってきているのも事実でございまして、そこで、この問題について現時点で大臣としてどんなふうなことをちょっとお考えになって、今後この法制化ということをもう当然やっていかなくちゃいけないんですけれども、その見通しについて大臣としてどんなふうにお考えで現時点でいらっしゃるのかと、これだけを今日はお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 日本国憲法の改正手続に関する法律の施行を平成二十二年五月十八日に控え、現在法務省におきましても、民法を始めとする所管法令に定められた年齢条項の見直しの要否等につきまして、各法令の趣旨を踏まえつつ本格的な検討を進めているところです。 具体的には、関係部局の密接な連携の下、法務省所管法令の年齢条項について総合的に検討を進めるため、平成十九年十一月に法務事務次官を本部長とする法務省年齢条項の見直しに関する検討本部及び同幹事会を設置した上で関係部局において必要な検討を行っているほか、御承知のとおり、民法につきましては法制審議会において御審議いただいているところでございます。 今後とも更なる検討を進めまして、法制上の見直しを図ることが必要である場合には、遅くとも平成二十二年通常国会までに所要の措置を講じることができるよう、法務省全体で取り組んでまいりたいと存じます。
○木庭健太郎君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 前回に続きまして、裁判員制度についてお尋ねをしたいと思います。 模擬裁判の裁判員役からも、審理を短縮して裁判員の負担を減らそうとして法廷に出す証拠や争点を最小限に絞っており、何が真実か判断材料が足りないと、こうした不満が噴出する中で、それぞれの事案に即して審理と評議を尽くすこと、それによって真実の発見と無辜の不処罰を達成することが刑事訴訟の第一義だという点について前回確認をさせていただきました。 そこで、最高裁にこの公判廷における審理の重要性や公判中心主義について更に確認をまずしたいと思うんですけれども、「模擬裁判の成果と課題」についてというこの文書においても、例えばこうしたくだりがございます。公判廷の審理そのものにより心証を形成できるようなものでなければならず、評議を行うために裁判官から審理の説明が必要となるような審理であってはならないと、こうした表現があるわけですけれども、この公判廷における審理の重要性、ここについてどのようにお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕 裁判員裁判におきましては、国民の皆さんが裁判員として審理に立ち会って評議にも参加されることになりますから、いろんな書面を後で読み込むというようなことではいけなくて、法廷で当事者双方が裁判員の方に分かりやすく主張、立証を尽くして、それによって心証を形成していただくということが最も大切であろうというふうに考えております。
○仁比聡平君 公判廷で裁判員が争点を理解し、その良心に基づく心証形成が尽くされることによって真実の発見と無辜の不処罰、被告人の人権保障の要請が果たされるためには、当事者による攻撃、防御が尽くされること、これが適切に尽くされることということが大変重要だと思うんですね。とりわけ、被告人、弁護人の攻撃防御権が十分に保障されることが必須であると私は考えます。 大臣に基本的な御認識をお尋ねしたいと思うんですけれども、検察は、強大な捜査権限と警察を含めた強大な体制をもって起訴を行うわけです。そして、公判活動に当たるわけですね。この捜査・訴追側に対して被告人の実質的な当事者対等を図ろうとする被告人の弁護を受ける権利、そして弁護活動、この重要性について大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(森英介君) 刑事訴訟法は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障等を全うしつつ事案の真相を明らかにすることを目的としておりまして、刑事手続の中で被疑者、被告人の人権の保障を図ることが重要であることは申すまでもありません。そして、被疑者、被告人を法律専門家の立場から後見、保護する役割を担う弁護人を依頼しその助言を受けることは被疑者、被告人の基本的な権利であって、そうした意味において、弁護人の有する権能は適正な裁判を実現する上で極めて重要であると認識しております。
○仁比聡平君 そこで、当事者、とりわけ弁護人の活動について、公判前整理手続との関係でお尋ねをしていきたいと思うんです。 この公判前整理手続は裁判員裁判では必要的だというふうにされているわけですけれども、まず最高裁にお尋ねしたいと思いますが、この当事者主義の下で、裁判所が当事者の争点の設定や証拠請求、言わば訴訟戦略ですね、ここに介入するということをもしやるなら、結局真実の発見や人権保障を損なうことになると私は思います。公判前整理手続における当事者のイニシアチブの重要性についてどのようにお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 公判前整理は、これは、公判前整理手続による当事者のイニシアチブの問題ということでございますが、これは私どもも、そういう点については裁判官の間でも議論をしておりまして、協議会においては、裁判員裁判においては当事者追行主義にのっとった審理がなされるけれども、当事者追行主義の下では、公判前整理手続における争点それから証拠の整理も、第一次的には当事者のイニシアチブの下においてなされるべきであると。また、裁判所による争点、証拠の整理の関与はあくまで当事者の提示する争点、証拠を前提としてなされるべきであって、裁判所が当事者に対して新たな争点を提示することとか新たな主張を促すようなこと、あるいは証拠の具体的な証明力にまで踏み込んで議論するようなこと、これは基本的に差し控えるべきであるといったようなことが指摘されております。裁判所といたしましては、こうした指摘を踏まえつつ公判前整理手続を適切に運用していくことが重要であると、こういうような議論がされております。
○仁比聡平君 今の御答弁の中でも、当事者のイニシアチブの重要性が語られるとともに、証拠の内容に触れることについての御答弁もあったんですが、ちょっとその点で、争点と証拠を整理するというけれども、その中で裁判所が公判審理にも当たるにもかかわらず証拠の内容に触れることは、私は予断排除の原則に反すると思うんですね。 〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕 この点についての御見解はいろいろあるのかもしれませんけれども、今日お尋ねしたいのは、少なくとも弁護側、当事者が証拠の内容を見ることに反対している、何らかの整理の必要上、裁判所はこの証拠の中身を見ようかどうかということを公判前整理手続のときに判断をしないといけないという場面があったときに、当事者が、裁判官はその証拠の中身を見るべきではない、それは予断排除に反するという形で反対をしているのに裁判官があえて見る、押し切って見るということは、これはあってはならないと思うんですが、いかがでしょうか。もしそうした事態が生じた場合、弁護人はその瑕疵を公判廷で主張できなければおかしいと思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 個別の具体的な事件のときにどうかということはちょっとお答えできないと思いますが、公判前整理手続とそれから予断排除の原則というのは、これは立法段階でも議論されたところだと思います。 その際には、これは、裁判官が争点整理や証拠調べの決定それから証拠開示に関する裁定などのためにその必要な限りで両当事者の主張や証拠に触れるということはあったとしても、それによって実質的な心証を取るものでないので、その点は予断排除の原則に反しないという、こういう意見が大勢であったというふうに聞いて、承知しております。 実際の運用においても、公判前整理手続において裁判所が証拠の内容に立ち入ることは通常ありませんし、例外的に証拠整理の目的という限度で証拠の内容に触れることがあっても、そこから心証を取るということはありませんので、その点は予断排除の原則に反するものではないというふうに考えております。
○仁比聡平君 いや、私は、その点は、今局長が言われた点は、これは詳細に証拠の整理に入っていくとしたら、これは裁判官、皆さん大変能力の高い方々ですからね、そこに何が書いてあるかということを記憶して、それが実際上心証の形成になっていくということは十分あり得ると思うんですよ。だから予断排除に反するのではないかと申し上げているんですが、その点について、今の御答弁と私は立場が違いますけれども、御答弁がなかった点、つまり、当事者、例えば検察官が見てほしいと言っているその証拠の中身を見ることについて弁護側が反対していると。反対しているのに、公判前整理手続でですよ、あえて裁判官が見るということは良くないんじゃないですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 内容に触れるというふうに申し上げていますので、実際に見なきゃいけないかどうか、それは場合にもよると思いますけれども、整理上、整理の必要上どうしても必要だというような場合がもしありまして、その限度で、心証を取るわけではございませんので、その限度で証拠の内容に触れざるを得ないという場合はそれは出てくるのではないかというふうに思います。
○仁比聡平君 最高裁が整理をされた「模擬裁判の成果と課題」についての中で、研究会等ではおおむね以下のような方向での議論がされ、その内容に特段異論は見られなかったというくだりの中で、反対当事者も、判断のため裁判所に証拠を見てもらいたい意思を有していた場合に初めて見るぐらいの姿勢が重要であるというふうにありますが、今の御答弁はこれとは違うんですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) いえ、決して違うわけではございませんので、そういう姿勢でもちろん臨むわけですが、ただ、絶対ないのかとかそういうふうにおっしゃられますと、それは見ざるを得ない場合もあり得るということを申し上げただけでございます。ただ、姿勢としてはもちろん謙抑的でなければいけないということはそういう議論のとおりでございます。
○仁比聡平君 非公開の場で、弁護側が反対しているのに証拠の内容に触れるというのはこれはおかしいじゃないですか。今局長は、そのような場合はあり得ないわけじゃないんだという趣旨の御答弁ですから、原則は謙抑的なんだというふうにおっしゃるのであえて聞くんですが、そうした場合、弁護側は公判廷において、始まる公判廷において、公判前整理手続でそのようなことが行われたということを公開の法廷で瑕疵をただす、これはできますよね。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 公開の法廷で御主張が申し立てられる、主張されるということはあり得ると思いますけれども、それをどういうふうに裁判体が判断するかというのはその裁判体の判断だと思います。
○仁比聡平君 この公判前整理手続で裁判所が予断を抱くのではないかという点に関連して、主張、証拠整理に当たる職業裁判官が公判廷で初めて事件に向き合う市民裁判員に結論を押し付けるようなことが万が一あれば、これは裁判員裁判の根幹を失うことになるわけです。 この点も前回確認をさせていただいたわけですが、模擬裁判の中で、裁判官が争点整理表を作って公判審理で裁判員に配る、評議もそれに沿って行うというやり方が行われて、これは裁判員を職業裁判官に従わせるということになるじゃないか、そんなやり方はやめるべきだという議論があったと思います。この裁判官が裁判員にそうした争点整理表を配って評議もそれで行うというやり方についてはどうお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 争点整理表を配って評議をされたというような模擬裁判も確かにございました。それが、それについてどうというふうにすぐ申し上げるわけではございませんが、裁判官の協議会やそういう裁判官の研究会では、基本的には当事者が主張されているわけで、論告と弁論があるわけでございますから、それを基本にして、そこで争点は整理されていますし、それについての主張が尽くされているというのが前提でございますから、弁論の中身を考慮しながら、もちろんそれから反論、主張ですね、反証も踏まえながら論告を、あるいは論告で主張された、あるいはその論告の基となった立証をこれを評価していくというような評議が望ましいのではないかという議論もされているところでございます。
○仁比聡平君 先ほどのこの最高裁のまとめの文書では、当事者の主張が不十分な場合に、裁判所が当事者の主張を構成し直すような形での争点整理表案を作成することは、基本的には消極であるべきであろうというふうなまとめがあるところでございます。いずれにしても、公判廷における審理においての当事者のイニシアチブというのは極めて重要だと思うんですよね。 そこで、証人尋問や被告人質問の中で、例えば公訴事実に関連する証言の信用性、これを弾劾するために弁護人から必要不可欠であるとして証拠の請求がなされたと、公判廷で。これを制限するということになったら、これは裁判員の心証形成や争点の理解にとって大変重大なきずをもたらすことになるのではないかと思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 刑事裁判というのは、被告人の権利を保護しつつ、あるいは保障しつつ、事案の真相を明らかにするというためですから、そのために必要な審理というのは十分尽くされなければいけないと思います。 したがって、刑訴法三百十六条の三十二の第一項によれば、やむを得ない事由によって公判前整理手続において請求することができなかった証拠、これについては公判前整理手続終了後でも証拠調べを請求することができるということになっております。裁判所としても、やむを得ない事由があると認められる場合には、当然新たな証拠調べ請求を認めて、事案の真相とそれから無辜の不処罰、この要請を全うするために必要な審理を尽くすということになろうかと思います。
○仁比聡平君 例えば、犯人と被告人が本当に同じ人物かと、法廷で起訴されている被告人が犯人と同一かというこの同一性が争われている事案において、犯行が行われた電車に被告人が乗ろうとしているところを見たという証言が仮にあったとします。その証言がなされたときに、例えばPASMOですよね、この乗車履歴、電車に乗る、地下鉄に乗る、JRに乗るというので乗車履歴が分かるカードが最近普及しています。こういう乗車履歴からその日その駅でその電車に乗ろうとしていたことはあり得ないという場合に、その証言を弾劾するために弁護側がこれを調べることが必要だということを法廷で主張して、実際の運用でも、検察は採用に反対したけれども裁判所は採用をしたという例があるようでございます。 法廷でこうした同一性やアリバイに関する証拠の請求がなされたときに、これをさせないということになれば裁判員の心証形成を損なうということになると思いますけれども、もう一度いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 先ほども申し上げましたように、事案の真相を明らかにするための必要な審理というのは尽くすというわけでございますので、その今おっしゃられた具体的な事例が実際にどういう証拠関係なのか、全体の証拠構造がどうなのか、ちょっとそれは分かりませんので個別なことは申し上げられませんが、先ほど申し上げたように、やむを得ない事由があると認められる場合には当然証拠調べはされることになろうかと思います。
○仁比聡平君 大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、検察側は言わば事件や証拠を固めて被告人を起訴し公判に臨むわけでございます。これは弁護側も十分な準備を踏まえて公判廷に臨むわけですが、この証人尋問という場面を考えたときに、検察側は綿密な打合せ、テストの上で証人の主尋問に臨むわけですけれども、その証言がどういう証言になるのか、それが裁判官や市民裁判員に対してどういう説得力あるいは証明力を持つ証言になるのか、これをどういうふうに弾劾するべきなのか、つまり、証人はそういった証言をするけれども真実は違うと、あるいは証言はそう言うけれどもそれは信用ができないものであるということを弁護側がどのように防御するべきなのかという点は、これは公判廷で初めて分かるわけですよね。どうした質問がなされて、それに対してどういう証言があるかというのは、これは公判廷で初めて分かることです。裁判員もそのときに初めてその証言を聞くわけですし、裁判官だって当たり前、もちろんそのとおりなんですよね。 このときに弁護人の弾劾、これを制限するというのは、これは真実の発見にとっても、被告人の人権保障にとっても、そして裁判員にとって争点や証拠が本当に分かりやすい法廷になる、心証形成ができる法廷になる、そういう意味でもここの弁護人の活動の制限というのはやっぱりやるべきじゃないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(森英介君) 公判前整理手続においては、検察官が公判において証明する予定の事実が明らかにされるとともに、従前よりも広く検察官手持ち証拠の開示が行われることによって、被告人側は検察官の主張、立証の全体像を把握した上で防御の準備を十分に行うことができるだけの材料が与えられることになると思っております。それを前提に、被告人側に被告人側の立証に用いる証拠の取調べ請求を公判前整理手続の段階において求めることは、その防御の利益を不当に制約するものではないと考えております。 また、加えて、やむを得ない事由によって公判前整理手続において請求することができなかった証拠については証拠調べ請求することができるものとされていますし、また、裁判所は、真実発見の見地などから必要と認めるときは職権で証拠調べを行うことができるものとされています。 これらの例外が認められていることもあり、被告人の防御権が侵害されることはないと、このように考えております。
○仁比聡平君 今大臣が例外というふうにおっしゃった、そのやむを得ない事情の認定や運用が、これがどんなふうに行われるのかというのは、これは被告人、弁護人の活動、攻撃、防御が不当に制約されるのではないかという重大な問題を持っているわけですね、はらんでいるわけです。 先ほど最高裁の刑事局長から御答弁があったように、当然、個別の事案ごとにその立証の必要性についての判断が個別なされるということは当然のことだろうと思うわけですけれども、これ、裁判員にとって初めてそこの場でその証言を聞くわけでしょう。これについて弁護側は、例えばアリバイがある、あるいはその被告人と犯人を結び付けようとする証言はこういう点で間違いがある、その証拠がありますというふうに法廷で主張をしているわけですよ。これを絶対に調べなければこの裁判は間違いを犯すことになると主張しているのに、それをやってはならないといって制限してしまったら、公判廷における裁判員の心証形成というのは一体どうなるんですか。あのときに弁護人、被告人が主張していた証拠を採用して調べていれば結論が違ったかもしれないと、そんな形で公判廷を終わらせることなんてできないんじゃありませんか。大臣、いかがです。
○政府参考人(大野恒太郎君) 今委員の御指摘になったのは、有罪、無罪にも決定的な影響のある証拠についての御指摘だというふうに理解いたしましたけれども、現在の裁判員制度の設計といいましょうか仕組みについて申し上げますと、公判前整理手続というものが先行しておりまして、ここで相当広範囲の証拠開示が行われることになるわけであります。従来であれば、証人の証言内容に係る調書が開示されていたのにすぎなかったのに対して、今回は、その関連する証拠あるいは被告側の主張に関連する証拠等についても広く証拠開示が行われるわけであります。そうしたものを前提に被告側、弁護側の主張事実も整理されまして、これが公判の冒頭においていわゆる争点という形で裁判員、裁判官に提示されることになるわけであります。 したがって、先ほど委員が御指摘になったような証人尋問を行う際には、当然、裁判員はどこに争点があるかということを理解した上でその証言に対する弾劾が行われるわけでありましょうし、また、弾劾のために必要な、その反対尋問だけではなしにそれ以外の証拠があれば、それはまた公判前整理手続の整理を通じて証拠として提出されることになっているだろうというふうに考えるものでございます。
○仁比聡平君 時間がなくなりましたから終わりますけれども、今の一般論は、制度がそういうふうな組立てになっているというのはそれは局長がるる言われたとおりかもしれないが、現場の証人尋問というのはこれは動いているわけですから、目の前に起こっているわけですよ。そこで心証を形成するわけでしょう。そのときに、当事者が必要であると考えている反対尋問やあるいは立証、証拠の請求、これを否定するなんということをやったら裁判員制度は私は成り立たないと思います。 集中審理を是非この委員会でもやっていただいて、引き続き大臣の御認識もただしたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 ありがとうございました。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。 最初に、前回に引き続いて、いわゆる検察のリークのことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。 今日、民主党小沢代表の秘書の勾留期限が切れますのでそれなりの処分が出るんだろうというふうに思いますけれども、前回も申し上げましたように、この間、政治資金規正法違反以外の容疑が小沢代表及びその周辺にあるかのごとき情報がマスコミ各紙にたくさん報じられたわけでございます。いわゆるメディアスクラムの状態が続いたというふうに受け取って私はおります。 前回、私、紹介をいたしました平木さんという最高裁の刑事局の総括参事官、この方の指摘を受けまして、マスコミはその後、可能な限り情報源を明記すると、そういう方針を決めたようでございます。今日は皆さんにはお配りをいたしませんけれども、その後、マスコミ各紙の報道を見ますと、裁判員時代の事件報道の在り方という中で、各紙はみんな情報の出所を明示するというふうな内部的な指針を策定しているようでございます。朝日も毎日も読売も産経もみんなそういうふうな指針を策定しておりますし、日本新聞協会でもそういう趣旨のことを打ち出しておりますし、また、日本民間放送連盟だとかあるいはNHKもそういう、つまり出所をできる限り明示すると、こういうふうな方針を打ち出しております。 そして、その方針の以後、新聞報道を見ますと、例えば東京地検特捜部は云々とか、特捜部ではこういうふうに見ているとか、従来のだれが言っているか出所を明らかにしないという報道に比べて、どこどこはこういうふうなことを言っているという、こういう記事がたくさん出ているわけでございます。 前回、私がこういう質問をいたしましたら、法務省の方は、検察によるリークなどあり得ないと、もう一顧だにしない、そういう答弁に終始していたわけでございますが、その後の、どの新聞というふうに私、特定をいたしませんけれども、かなり多くは、特捜部あるいは東京地検特捜部は云々かんぬんという、こういう記事をたくさん出しているわけですね。 検察がリークするということはあり得ないと言うならば、こういうところに対して法務省としてはちゃんと抗議をしたんだろうかどうか。 前回の法務省の刑事局長のお話を総合すれば、一般論としてでありますけれども、検察のリーク、これは国家公務員法違反の可能性やっぱり大いにあると。あと、個々の当てはめはいろいろ調べてみないと分かりませんが、一般論としては国家公務員法の守秘義務違反に当たる可能性は非常にあるわけでございますので、こういう出所をそれなりに明示をした報道等については、もしそれが事実と違うんだ、異なるんだということであれば、しっかりとやっぱり抗議をすると、そういうことが私はあってしかるべきなんではないかというふうに思いますが、そういう抗議は今までされたことはあるのかどうか、お聞きをしたいというふうに思います。
○国務大臣(森英介君) 個別の事件における報道内容の一々について法務大臣として論評することは差し控えさせていただきます。 なお、検察当局においては従前から捜査上の秘密の保持について格別の配慮を払ってきたものと承知しており、捜査情報や捜査方針を外部に漏らすようなことは一切あり得ないと確信をしております。
○近藤正道君 いや、あり得ないというふうに皆さんが再三おっしゃるので、私は、前回以降、マスコミがどういう姿勢で臨んでいるのか、どういう記載になっているのか、いろいろ調べましたら、特捜部の調べではとかと出所を具体的に明示をした報道が結構ある。だから、これについては皆さんはどういう態度を取るんですか、取ったんですかと聞いているわけですよ。だから、これに対して答えられないということは私ないと思うんですよ。一般論であれ何であれ、前回の答弁を踏まえて私は具体的な事実を基に大臣に聞いているわけでございますので、やっぱりこういうことはあり得ないと言うんなら、それは具体的にやっぱり抗議ぐらいしなかったらこれおかしいんじゃないですか。どうでしょうか、もう一回お答えいただけますか。
○国務大臣(森英介君) 確かに御指摘のような記載がある報道については承知しておりますが、そもそもそこで言うところの検察関係者とか捜査関係者というものがだれを指すのかが明らかではありませんし、また、その捜査関係者らに直接取材したのかどうかなどの取材方法ももちろん分かりません。報道機関各社は取材活動に基づいて得た様々な情報を報道機関各社の判断においてそのような記事にしていると思われますが、各社の判断の根拠も分からない以上、私がコメントすることはありません。
○近藤正道君 今回初めて、東京地検特捜部によればとかという、そういう報道がなされているということを大臣もどうもお認めになったようでございます。そこまでやっぱり分かっているんなら、それは抗議の仕方はそれは幅はたくさんあるんだろうというふうに思いますが、やはり疑念を晴らす意味でやっぱりきちっと対応すべきなんじゃないですか。この間、検察がリークによって世論操作をしているんではないか、こういう話はやっぱりかなり蔓延していますよ、それは。 ところが、今回初めて刑事局長が、一般論としてと言いながら国家公務員法の違反の可能性を認めた上で、かつ法務大臣もそういうその東京地検特捜部から出たという報道がなされているという事実を認められているので、私としては聞いているわけですよ。これはやっぱりそれなりの態度をはっきりさせなかったら、皆さん自身がやっぱり疑われるんじゃないですか。説明責任は皆さんにあるんじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(森英介君) 私は、東京地検特捜部から出たという事実があるということは全然申し上げておりません、そういった報道がなされているということは申し上げましたけれども。また、その報道に対して一々反論をするということ自体もこれは私どもの本旨にもとるところでございますし、それは、やるべきことを検察においては適切に現下もなされているものと受け止めております。
○近藤正道君 バリエーションはいろいろありますけれども、例えば、法務大臣のコメントで、やっぱり捜査情報の管理をきちっと徹底すべきだとか、あるいはマスコミ等にも一定の意見表明をするとか、いろんなやり方あるんじゃないですか。一切これについて言及しないということは、逆に、こういう時期に何も言わないということは、ある意味で一方に偏っているんではないかと、そういうあらぬ疑念を招くということはあり得るんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 全くあらぬ疑念でございます。
○近藤正道君 これだけで時間を費やすわけにはいきませんけれども、いずれにいたしましても、リークによって世論操作をやると、やっぱりこれにそれなりの歯止めを掛けられなければ、私は検察あるいは法務の捜査の中立性というものに国民はやっぱり疑念を抱くと。それはやっぱりしっかり指摘をしておきたいというふうに思います。 そこで、前回に引き続きまして、裁判員制度のことについて質問をしたいというふうに思っています。 今ほど公判前の整理手続の問題が指摘をされました。私も全く共通した問題意識を持っているわけでございます。裁判員の負担軽減だとかあるいは効率、迅速、ここのところが非常に重視をされて、被告人の防御権、これが侵害されているんではないか、公判前整理手続というものを通じてそういうものが侵害されているんではないか、これはまさに憲法上の問題ではないかと、こういう問題意識を持っております。 公判前の整理手続につきましては、例のやむを得ない事由がある場合を除き公判では新たな証拠調べを請求することはできないという規定、刑訴法の三百十六条の三十二第一項、この問題がありまして、これが今ほど議論をされたわけでございます。 私自身はこの規定は削除すべきなんではないかと、今でもそういうふうに思っております。これは以前にも質問させていただきましたけれども、今ほど来の議論を聞いていても、この条文の問題性というのは相当浮き彫りになっているわけでありまして、この条項の削除は必要ではないかというふうに思うけれども、仮に残した場合であったとしても、相当やっぱり弾力的な運用に努めていただかないと困るというふうに思っています。 昨年の十一月の十三日に私の質問に答えまして、大野刑事局長、答弁をしていただきました。特段の理由もないのに言わばあえて隠し球のような形で証拠を取っておいてそれを後で出すと、これは証拠調べ請求できないけれども、公判の進行によって、当初予定していないような事態が生じる場合はやむを得ない事由に当たると裁判所が判断することが多いのではないだろうかと、こういうふうに答弁をされました、覚えておられると思いますが。 そこで、今ほど議論もありましたんで法務大臣の認識もかなり鮮明なものになっているんだろうというふうに思いますが、法務大臣にお尋ねしたいと思います。 今ほどの、以前の法務省の刑事局長の答弁でございますが、これは公判前整理手続段階で仮に認識していたとしても、弁護人が隠し球のように使用する意思であえて公判段階で証拠調べを請求するような極端な場合以外にはできる限り証拠調べ請求を認めると、こういう趣旨というふうに理解してよろしいんでしょうか。大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 御指摘の刑事局長の答弁は、公判前整理手続終了後の証拠調べ請求が認められるやむを得ない事由に該当するか否かは個々の具体的な事案において裁判所が判断すべき事柄であることを前提として、これに該当しない典型例、つまり隠し球ですね、を挙げたものであって、それ以外のおよそすべての場合にやむを得ない事由が認められるという趣旨ではないと理解しております。公判前整理手続終了後の新たな証拠調べを制限する制度が設けられたのは、同手続において必要な証拠の取調べ請求がなされて実効的な争点整理が行われ、充実した迅速な審理の実現が担保されるようにするためであります。 これに対して公判段階において新たな証拠調べ請求を無制限にすることができるようにすると、相手方の反証の準備のため公判が中断するなど審理計画に従った手続の実現が困難になることが予想されます。 そこで、公判前整理手続終了後の新たな証拠調べ請求を制限する一方、その終了後における関係証拠や相手方の主張の変化に照らし改めて証拠調べ請求することに十分な理由がある場合ももちろん想定されますから、やむを得ない事由がある場合には例外的に証拠調べ請求することができるものとされたものと承知しております。 裁判所においては、このような法の趣旨を踏まえて適切に判断されるものと思っております。
○近藤正道君 隠し球的に証拠調べ請求を行う、知っていながら隠しておいて後で一発逆転をねらうと、こういう場合が典型的なケースだということで、それ以上の話については個々の裁判事例の中で裁判官に判断をしてもらう。多分これ以上言っても皆さん御答弁されないんだろうというふうに思いますので、この質問はこれで終わりにしたいというふうに思っています。 公判前整理手続は非公開で行われるわけでございますが、とりわけ裁判員の皆さんにとって非公開で行われるわけでありますが、この非公開というのは裁判員法における国民の司法参加の理念と矛盾するんではないか、私はそういう疑問を持っております。 少なくとも事件の争点とか証拠の絞り込みの経緯あるいは概要が分かる資料は裁判員にも示すべきなんではないか、全く隠しておいて分からないようにしてやるというのは国民の司法参加の理念と矛盾するんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。これは最高裁にお尋ねします。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 公判前整理手続においては、これは争点と証拠を整理して審理計画、これ適切な審理計画を立てるというところに一番の目的があるんだと思うんですね。これによって裁判員として判断すべき事項がどういうものなのか、それからそのためにはどのような証拠調べが行われるのか、これが裁判員に明確に示されるということになると思います、公判前整理手続の結果が現れましてですね。 ですから、判断に必要な争点、裁判員の方に判断していただくのに必要な争点と証拠というのは、これはすべて公判審理において当事者が分かりやすく主張、立証するということになりますので、裁判員は法廷で見聞きした内容を基に判断をするということが十分可能になるというふうに考えております。したがいまして、今委員御指摘のような争点や証拠の絞り込みというか、証拠の整理の経緯とかいきさつとか概要というものを分かる資料を裁判員に示す必要はないのではないかというような議論がされていると思います。
○近藤正道君 いや、私は、詳細に知らせる必要は仮にないにしても、少なくともなぜ争点をそこに絞り込んだのか、証拠を絞り込んだのか、概要ぐらいは裁判員に後で分かるような、そういう仕組みというのは考えた方がいいんではないか、こう申し上げているんですよ。どうでしょう。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 今申し上げましたけれども、裁判員の方に判断していただくに必要な争点とそれから証拠、これはもうすべて公判廷で当事者の方から主張、立証されるわけでございますので、そういった今おっしゃられましたような情報というのは裁判員の方に判断していただくことに必要かというと、それは必要な情報ではないように私は思うわけでございます。そういう議論がされていると思います。
○近藤正道君 聞いているのは、言わば職業裁判官と市民裁判員がいるわけですよね。どうしてそこにそれだけの差を付けなければならないのか。それは、いろんな事件の概要あるわけだけれども、その中で争点をどういうふうに絞り込んでいて、その関係の証拠をどうやって絞り込んでいくかとかなり時間を掛けてやるわけですよね、密室の中で。どうして職業裁判官と裁判員との間にそんな差を付けなきゃならぬのか。知らなくたって法廷で全部分かるからいいなんていう、そういう話にはならぬでしょう。 差を付ける合理的な理由は何ですかと聞いているわけですよ。なければ、そういうものがないんなら、少なくともある程度の経過、概要ぐらいは説明しないとこれおかしいんじゃないですか。何でそんな差を付けるんですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 差を付けるとか、そういうことでは私ないように思っておりまして、それは、公判前整理手続というもの自体が導入された趣旨が争点と証拠の整理にある。ですから、審理計画を立てるというような目的のためにあるわけでございまして、それを裁判所が入って、それから検察官、弁護人も入って行いますから、そういう過程は確かに裁判員の方は入っておられませんけれども、それは決して別に情報に何か差を付けるとか、そういうことでは決してないというふうに思っております。
○近藤正道君 なぜそういう発想になるのか私さっぱり分からない。 この言わば公判前整理手続については、そこで、先ほども議論がありましたけれども、密室の中でかなり事実上の証拠調べ的なこともかなりある、だから予断排除の観点で問題がないんだろうかという話が一つあります。同時に、職業裁判官がまさに事前にかなり情報を知るわけですよね。一方で、裁判員は何も知らない。情報の格差は相当あると。そういう専門家か素人かということのほかに情報の格差がある。そういう人たちが言わば対等の立場で裁判あるいは評議はできるんだろうか、こういう疑問はやっぱりいろいろあるわけですよ。 これは、模擬裁判の中でも、そういう情報の格差というものを言わば使いながら職業裁判官が裁判員を言わば誘導というか、そういうふうに思われてもしようのないようなケースが、例えば私が聞いている範囲では東京地裁等でもありまして、いろいろ問題になっているから聞いているわけですよ。なぜそういう格差を付けるのか。裁判員と職業裁判官というのは対等の立場でそこに出るんじゃないんですか。だから、情報としてはやっぱり平等にしなきゃならぬと。 一つの方法としては、受訴裁判所とは別の裁判官がその整理をするというのは分かるんですよ。ところが、担当裁判官が直接その公判前整理手続に入っていろんなことをやるわけでしょう。だから、法律の知識プラス情報量は圧倒的にやっぱり豊富になるわけですよ。そういう中で本当に対等な裁判、評議はできるんだろうか、こういう疑問は終始一貫してありますよ。そんなものは、何でそんなことをおっしゃるんだろうか分からぬみたいなことを言うから、私はキャリア裁判官というのはちょっとずれているんではないかなという感じさえするわけですよ。 どうなんですか。やっぱり情報は正しく平等に与える、当然のことじゃないですか。もう一度御答弁ください。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 繰り返しになると思うんですけれども、確かに受訴裁判所が公判前整理手続を行いますので、その過程というのはございますけれど、これは決して心証形成するわけでも全くなくて、何か繰り返しになって申し訳ないんですが、これ審理計画を立てるために争点と証拠を整理するという限度でありますので、心証形成とか証拠調べをするとかいうそういう過程で、それで情報を先に得てしまうとか、そういうことではないと思うんです。 やはり公判廷で出された、当事者がそれは冒頭陳述双方されますし、それから主張も立証もされるわけですので、そこで見たことだけを、それは裁判官であれ裁判員であれ、それは共通に審理の対象にし、そしてそこで評議の過程でもそれだけで議論するわけでありますから、そういう委員の御指摘のようなことは私はちょっとそうではないのではないかなというふうに、今までの議論でもそういうことだと思いますが。
○近藤正道君 そんなきれい事は私は通らないと思うんですよ。証拠整理のために証拠の中身を見るだけで、心証形成はしないなどと言っても、そんなことをああそうですかというふうに納得する人、少なくとも常識を持っている普通の市民はそういうふうには私は思わないというふうに思います。 ですから、これはもう明らかに予断排除の観点から問題がありますし、先ほどちょっと申し上げましたけど、昨年の六月に衆議院と参議院法務委員会、東京地裁模擬裁判を傍聴に行っているわけでありますが、衆議院の法務委員会の傍聴の際、社民党の保坂展人議員から私聞いた話なんですが、衆議院の法務委員会の視察の際に模擬裁判の評議で、裁判長役の職業裁判官が裁判員に、この被告人は捜査の段階でころころ供述を変えていて信用できないんだと、こういうふうな発言をしたと。これはその後、裁判官と法務委員のメンバーの意見交換の中でもそれ問題になって、保坂展人以外の参加した別の議員からも、評議において裁判長が裁判員を誘導しているんではないかと、こういう厳しい批判があったと、私、何度も本人から聞いているんですけれども。 まさに、こういうことが実際の裁判員裁判で起こるんではないか。まさに、専門知識を持っているということとは別に、公判前の整理手続の中で様々な情報に事実上かかわる、情報格差が物すごくできる、そういう職業裁判官と裁判員との間にやっぱり格差ができるんではないか。こういう形で公判前整理手続が行われる危険があるんではないか。ならば、やっぱりその公判前整理手続に関与した裁判官と受訴裁判所というのはやっぱり分けるべきではないかと、こういう議論も出る中で、いろんな今話が出ているわけですよ。 具体的な模擬裁判の一つの総括としてそういうことを申し上げているわけで、もしそんなことあり得ないと言うんなら、是非、去年の六月の東京地裁における模擬裁判ですので、そういうことがあったかどうか含めてちゃんと調べて、私が納得できるような御答弁してくれませんでしょうか。どうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 委員が今御指摘になった衆議院の法務委員会が視察された模擬裁判は私も見ておりますので、一緒に、存じておりますが、その公判前整理手続の情報どうとかいうことではなくて、公判の被告人質問で被告人が捜査段階では公判の供述と異なる供述をしていた、こういうふうに述べたということをとらえて、評議の中で裁判長役の裁判官が、被告人の供述が一貫していないのは信用性を欠くということにつながっていくのではないかという趣旨の発言をしたというように承知しておりますので、ただ、そういう個別の発言がどうかということについて私、ちょっと幾ら模擬裁判でも、それはコメントは差し控えたいと思いますけれども。
○委員長(澤雄二君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
○近藤正道君 ああそうですか。 私は、先ほどの公判前整理手続を通じての職業裁判官と裁判員の情報の格差の話あるいは予断排除の原則の話、こういう話をしても皆さんがそれをお認めにならないから、今のその東京地裁における具体的な例を挙げて、こういうケースもあるんで、そこはやっぱり溝を埋める努力をする必要があるんではないか、制度を見直す必要があるんではないかと、こういう話をしているわけですよ、それ皆さんが一貫してお認めにならないから。 いずれにしても、時間でありますので、これはその後集中審議等も予定されているようでありますので、その中で更にこの証拠、公判前の整理手続の問題点については是非議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、是非皆さんも御検討いただきたい。要望を申し上げまして、質問を終わります。
○委員長(澤雄二君) 以上をもちまして、平成二十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(澤雄二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(澤雄二君) この際、委員長といたしまして委員各位に御報告を申し上げます。 本来、委員会における法案審議の際の討論は会派を代表して賛否を明らかにして意見を述べるものであり、理事会での協議に基づいて行われるべきところ、昨年十二月四日の国籍法改正案討論の際、理事会協議に基づかない発言がなされたため、速記を中断し、理事各位の了解の下、以後の発言を御遠慮していただいたことがございました。 その後、理事会等で協議いたしました結果、後日会議録を参照する方の便に供するため、私が委員会において経緯を説明することとなった次第です。 今後とも、公正かつ円満な運営に一層努めてまいる所存でございますので、理事、委員各位の御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。 以上でございます。 本日はこれにて散会をいたします。 午後一時一分散会