法務委員会 第3号
- 発言数
- 215 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2009/03/17
会議録
○委員長(澤雄二君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長尾崎道明君、法務省保護局長坂井文雄君、法務省入国管理局長西川克行君及び外務大臣官房参事官石井正文君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(澤雄二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(澤雄二君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松野信夫君 民主党の松野信夫です。 本日は、大臣の所信を受けまして、主に検察の中立性の点についていろいろ率直な御意見を伺いたいと思いますが、その前に、昨日の参議院予算委員会で麻生総理の答弁がとんでもないというふうに思いますので、この点だけ簡単に確認をしておきたいと思います。 昨日の参議院の予算委員会で福島みずほ委員の質問に対して、これは民主党の小沢代表の秘書が逮捕された件についてでありますが、麻生総理は、明らかに違法であったがゆえに逮捕ということになったんだと思っておりますと、こういう答弁をなさっておられます。これはもうとんでもない話で、最初から明らかに違法であればもう裁判もやる必要なく、たちまち有罪ということになるわけで、これは総理の答弁としては私はもうむちゃくちゃだと、刑事司法のイロハのイも分かっておられないのではないかというふうに言わざるを得ないんですが、この点、法務行政のトップの森大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 検察当局においては、捜査の結果、御指摘の人物について犯罪の嫌疑があり逮捕の必要性があると判断したことから、逮捕状の発付を得て同人を通常逮捕したものと承知しております。 なお、総理の御発言は私、直接聞いておりませんし、その真意も分かりかねますので、コメントは差し控えさせていただきます。
○松野信夫君 これは議事録がもうはっきり作成されておりまして、今私が申し上げたように、明らかに違法であったがゆえに逮捕と、こういうことで、今、正しくは、大臣が言われたように、一定の嫌疑があるというにとどまるわけで、捕まえる時点から明らかに違法であったというんであれば、これはもう無罪の推定なんか働かない話でありまして、これ裁判すら不要になりかねないわけですね。これはちょっと麻生総理としてはいかがなものかと思いますので、これは法務大臣の方から、まあ指導というとちょっとおこがましいかもしれませんが、せめて注意ぐらいはなさったらいかがでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 先ほど御答弁したとおりでございまして、ただし、委員のお話は承りました。
○松野信夫君 是非、承った上に、麻生総理にとんでもない失言だということで御注意をお願いしたいと思います。 それで、検察の中立性ということが本日のテーマでございますが、衆議院の法務委員会においても大臣が御答弁なさっておられまして、確認いたしますと、検察は不偏不党で厳正中立の立場で犯罪を摘発すると、このようにお答えになっておられまして、これはこれで私はもっともだというふうに理解をしておりまして、また、大臣の方は、指揮権発動には非常に慎重な立場を取っておられるというように聞いております。 ただ、この指揮権発動といいますか、そのもう一歩手前の段階でもいろいろな形で、検察に対する大臣のいろんなお考えというのはどういうふうに伝わるんだろうか、こういう思いもあるものですから。 例えば、地検の特捜部が重要な事件について一定の捜査を進めているというような場合に、大臣の下にはすべて、言うならば検察任せになっていて、全部事後報告というような形になっているのか、それとも途中、経過報告を受けて、大臣から更に詳細な説明ないし何らかの見通しの確認、指示というようなものがなされているんでしょうか。確認です。
○国務大臣(森英介君) 私は法務行政の最高責任者でございますので、国会の場で検察の活動について説明すべき立場にございます。したがいまして、法務大臣としてその職責上当然承知しておくべき事柄については、検察当局から法務当局を通じ適宜適切に報告がなされているものと思っております。
○松野信夫君 そういう報告が適宜なされる折に、大臣の方から、この問題はどうなっているのかというような形でもっと突っ込んだ詳細な報告を求めるとか、あるいは今後の見通しはどうなんだというようなことまで求めるということはあるんでしょうか。
○国務大臣(森英介君) そういうことが完全にあり得ないとは申しませんけれども、現時点において私は検察に全幅の信頼を置いておりますので、個別の事件の捜査や処理につきまして検察に特に意見を申し述べていることはございません。
○松野信夫君 恐らく、地検特捜部の実際に捜査担当している現場の検察官に対して直接大臣から何らかの指示、指導があるということは、これはないだろうと思うんですが、しかし検察としても一定の組織として動いているわけですから、大臣が検察首脳、検察の首脳との間に一定の協議がなされるというのは、そういうことはあるだろうなと思っておるんですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(森英介君) もちろんあり得ないことではないと思いますけれども、少なくとも私が就任して以来今日まではございません。
○松野信夫君 検察の中立性ということを前面に大臣も言っておられますので、そうだとするならば、犯罪の捜査対象者が例えば野党の方に偏るとか、そんなことは私はあり得ない話で、与野党問わず、一定の嫌疑があれば当然捜査を進める。そういう意味で申し上げれば、たとえ閣僚であろうとも、それは犯罪の嫌疑があればしっかりとした捜査をする、立件をするというお立場であることは間違いありませんか。
○国務大臣(森英介君) 個別の事案について意見を申し上げるのは差し控えますけれども、一般論として言えばそのとおりでございます。
○松野信夫君 また、政治資金規正法ですと、時々、虚偽記載ということで摘発される事件があるわけですが、こういう虚偽記載については金額の多寡にかかわらず違法性が認められれば、それもやはり同様に、公平に摘発をするんだ、こういう認識でよろしいでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 一般論として申せば、そのとおりでございます。
○松野信夫君 ところで、せんだって漆間内閣官房副長官が、今問題になっております西松建設の事件において、自民党に及ぶことはないと発言したとマスコミが報じておるわけでありまして、こういうような報道が出るということは検察の中立性に疑念を生じさせるものだと言わざるを得ないと思います。 こういう発言が出るということは、私も調べましたが、委員の皆さんのお手元にも配付してありますように、これはもうすべてのマスコミがほぼ同趣旨で報じているところでありまして、恐らくこういう発言があったことは私はほぼ間違いないのではないかと理解をしております。そうしますと、こういう発言を踏まえると、政府中枢におられる方が捜査情報というものを得ていたのではないか、あるいは自民党には及ばないよという政治的なメッセージを発して事実上の指揮や指導をしているのではないかと、こういう疑いを持たざるを得ないわけであります。 それで、大臣にお伺いいたしますが、これも一般論として、政府の中枢が法務大臣を差しおいてこういう特別の特捜事件の推移について論評をするということはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 今のお尋ねの件は内閣官房副長官の発言をめぐってのことだと思いますけれども、副長官が記者との懇談で一般論として発言をされたことについてコメントすることは差し控えさせていただきます。 なお、申し上げるまでもないことですが、くどいようですが、検察当局においては、常に法と証拠に基づいて、厳正、公平かつ不偏不党を旨として、その捜査の対象がどなたであっても、刑事事件として取り上げるべきものがあればこれに適切に対処していると承知しております。
○松野信夫君 今、大臣の方は、漆間発言というものは一般論だというふうに決め付けておっしゃっておられますが、しかし、マスコミ報道によりますと、漆間さんとマスコミとのこれはオフレコの懇談の席のようでありますが、当然今話題になっている西松事件について自民党の方にはどうだろうかという具体的な話が出て、それで自民党の方は立件ないだろうと、こういうことでありますので、決して一般論で言っているわけじゃないんで、一般論ではそもそも自民党には絶対にどんな事件でも捜査が及ばないなんて、そんなばかな話はありませんから、これは絶対に一般論での議論ではないんで、その点も踏まえてもう一度ちょっと御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(森英介君) 今申し上げたとおりで、副長官の発言について、私が法務大臣としてコメントすることは差し控えさせていただきます。
○松野信夫君 これは今申し上げたように、決して一般論の話ではないということはもう重ねて申し上げていくんで、一般論で逃げることはちょっとこれは許されないんではないかと思います。 それで、今日は漆間官房副長官にもおいでいただいておりますので、漆間官房副長官にお尋ねしたいと思いますが、今申し上げたように、マスコミ各紙とも自民党には捜査が及ばない、こういうような趣旨の報道がなされております。日経に至っては自民党に及ぶことは絶対ないと、こう言ったという、こういう報道でありまして、これが三月六日の各紙朝刊に、五日の発言ということで報じられているわけです。 しかし、漆間さんの方は、わずか四日後の九日の日の記者会見では、記憶がないと、こういうような御説明をされたということがこれまた報じられておりました。四日たったら記憶がなくなっちゃうんだろうかと、それだけでも政府の首脳としては私は無責任ではないかなと言わざるを得ないんですが。 それで、念のために確認しますが、そのマスコミとの懇談の席で当然話題になっているのは西松事件、西松建設の事件であることは、これは間違いないですね。
○内閣官房副長官(漆間巌君) 今お話しになったのは三月五日の夕刻の記者懇での出来事だと思いますが、実は私の記憶では、西松事件とかそういうのじゃなくて、捜査のやり方とか手法とか、それから違法性の認識とか、そういうことに関していろいろな御質問があったという記憶はあるんですが、直接、具体的に特定の政党だとか特定の議員だとかそういうことを挙げて私の方にお聞きになったという記憶はないというのが現在の私の立場であります。
○松野信夫君 マスコミとのオフレコ懇談というのが、何もそうであれば、一般論の話しかしないんだったら、全然オフレコの懇談をやる必要なんかないわけですね。あくまで西松事件の問題だからこそ、ある意味ではオフレコ懇談というふうになったんではないんですか。もう一遍答えてください。
○内閣官房副長官(漆間巌君) この三月五日の懇談だけではなくて、私は月曜日から金曜日まで記者との懇談を毎回やっておるわけでありますが、その懇談の位置付けはすべてオフレコ、私の方も、それから相手方の記者もメモを取らないし、それから録音もしないと、こういう状態の中で行われているわけでありまして、三月五日だけがそういう状態であったというわけじゃなくてずっとこの状態は続いております。 したがって、問題が起こったときについては、これはまさに、今度はこちらの方として、私らの方としては、三人の秘書官が同席していますから、その秘書官と私との間でこういう発言をしただろうかということを確かめた上で、私の発言はこうであっただろうと、こういうことしか言えないというのが現状でありまして、残念ながら、私の方に、それに対してこういうことを言ったということについては、絶対間違っているというようなものの確証も何もないというのが現状であります。
○松野信夫君 それなら、自民党に対してどうなるかという、そういう話すらなかったというのか、それとも、自民党という言葉が出てきて、何か自民党に対してどうだこうだという、そういう話はあったなと、その程度の認識はあるんですか。
○内閣官房副長官(漆間巌君) またお答えいたしますと、私が先ほど申し上げたように三人の秘書官と詰めた限りでは、私がしゃべっている内容というのは、むしろ特定の政党を挙げてしゃべっているのではなくて、一般的にこういう場合はどうなるんだろうかということで聞かれているので、私はそういうふうに答えているというふうに我々は三人で記憶を喚起しまして、そういう……(発言する者あり)いや、基本的にそういうふうに喚起しまして、その記憶に基づいてお答えをしているということであります。
○松野信夫君 少しこだわるのは、マスコミの報道を見ますと、なぜ自民党に及ばないかというその理由まで報じられているんです。それはなぜかというと、金額が違うというようなことで、あの金額だと違法性の認識を出すのはまあ難しいということで、要するに金額が少ないから自民党には及ばないと、そういう報道になっているので、金額の話というのが出ていたんではありませんか。
○内閣官房副長官(漆間巌君) 当日につきましては、確かに金額の多寡ということについては違法性の認識を立証する上で大きな要素となるであろうという私の発言、これは記憶にあります。 これは、少なくとも金額の多寡という問題について御質問があったということはあっただろうと、この答えからいえば言えると思います。
○松野信夫君 金額の多寡が問題になるというのは、もう現下のこの西松事件の行方以外にあり得ないじゃないですか。一般論として、そういう金額の多寡で摘発されるかされないかというような話題にしなければならない必然性というのは何かあったんですか。
○内閣官房副長官(漆間巌君) それは、私の記憶では、記者の質問がそういうものであろうというふうに私が受け取っておりましたので、私も検察から何の情報も得ていない以上は一般論でお答えするしかないというふうに考えておりましたので、一般論でお答えしたということでございます。
○松野信夫君 どうも肝心なところだけは記憶がない、金額の多寡は記憶があると。本当、わずか四日前なんですよ、四日前の重大発言すら記憶喪失だと。 これは、この懇談会というのはお酒でも入っていたんでしょうか。
○内閣官房副長官(漆間巌君) 全くお酒は入っておりません。
○松野信夫君 委員のお手元の方に漆間官房副長官の警察庁長官時代の発言ペーパーをお渡しさせていただいております。 これは、まず一つは、平成十八年十一月三十日時点で漆間さんが警察庁長官のときに記者懇談会をしておられて、その発言を拝見いたしますと、裏のページですが、基本的には私は、北朝鮮に対して小泉前総理のころから対話と圧力で対応すると言ってきたのですが、その圧力部分を担当するのが警察であると認識していると、こういう発言があります。 それから、その次、平成十九年一月十八日の長官記者懇談会、見ますと、日朝間で話合いをしなければならないという気に北朝鮮をさせるように持っていくのが警察庁の仕事だと。それから、北朝鮮の資金源というものについて、ここまでやられるのかということを相手が感じるくらいそれを事件化してという、こういう発言もあります。 さらに、裏を見ますと、北朝鮮が困るといいますか、特に金の問題が一番大きいですから、そのようなものに焦点を当ててそのような事件を摘発すると、こういう趣旨の発言を繰り返しておられるんですが、現在でも漆間さんはこの発言と同じようなお考え、つまり北朝鮮をやっつけるにはどんどん事件化をしなきゃいけないんだと、こういう認識を現在でもお持ちでしょうか。
○内閣官房副長官(漆間巌君) 私、元々、拉致の問題について知ったのは平成三年の一月でありまして、それまでは全然警察にいながら日本の国民が北朝鮮に拉致されておるということを知らなかったものですから、そこから事実関係を確認しまして、これは完全な国家に対する主権侵害の事件であると、何としても拉致問題は解明しなきゃいかぬというつもりでおりました。 ここでいろいろな、引かれておりますが、やはり基本的に今でも対話と圧力ということについては変わっておりませんので、警察庁時代はその対話と圧力の部分の圧力を担うのが警察でございましたからそういう趣旨でお話はしておりますけれども、今は、今の立場は対話と圧力をどういうふうに私はそれを兼ね備えながらやらなきゃいかぬかということを考える立場でございますので、それを考えながら今いろいろな形で、どうしたら拉致の問題を解決できるかということを考えているということでございます。
○松野信夫君 今の発言ですと現在でも余り考えは変わっていないように承ります。そうすると、長官時代の発言を見ましても事件化、事件化というのが出てくるんですね。これを素直に読むと、多少無理筋の事件であろうとも、相手をやっつける、あるいは拉致にちょっとでもプラスになるならば無理筋な事件でも摘発してどんどん相手を困らせるんだと、こういうように、警察権力を外交に活用していいんだと、こう受け取れるんですが、漆間さんは本当にそのようにお考えですか。
○内閣官房副長官(漆間巌君) 私は、違法なものがあれば法とまさに証拠に基づいて厳正に対応するというのが、若い時代からそういうふうに教えられてきました。拉致の問題というのをきちっと明らかにするには、警察としてはやはり事件にして、そしてそれを国民の皆様に訴えるというふうに考えました。その場合の事件にするというのは、何も証拠のないものを、それから法に基づかないものを事件にしろと言っているわけではないのでありまして、つまり、法と証拠に基づいて、事件にできるものは事件にして世の中に訴えるのが拉致問題の解決として非常に大きな要素になるだろうという趣旨で申し上げているわけであります。
○松野信夫君 やっぱり今の発言からすると、ある意味では恣意的に選択して、都合のいいのはどんどんと事件化してやっつけるんだと、そういうふうに私はもう受け取らざるを得ないんで、そうすると警察というのはそういう活用の仕方があると。じゃ、漆間さんは検察も同じように使えるんだと、こういうお考えですか。
○内閣官房副長官(漆間巌君) 私は警察庁時代に検察を使えるなんという、考えたこともありませんし、私が今お手元にお配りになったことで言っているのは、これは全国の警察に対してやはり拉致問題に関してはしっかり取り組もうということの私の強い決意を述べている、それを知らせるためのものでありますからそれを使っているのでありまして、これをもって検察に対してどうのこうのということを考えているわけではありませんし、現在の立場でも私は警察に対しても検察に対しても捜査について云々するというようなことは一切やっておりません。
○松野信夫君 これは、私お配りしたのは、長官が記者懇談会という席上で述べた言うならば議事録であって、長官時代に全国の警察に発したような言葉ではないわけですね。それはもう間違いないことなんで、あくまで記者懇談会という席で北朝鮮やっつけるにはどんどん事件化するんだと、そういうふうに受け取らざるを得ないなと私は考えております。 そうすると、率直に申し上げて、重大な発言については肝心なところだけ記憶を喪失すると。少なくとも警察については拉致問題解決、あるいは北朝鮮をやっつけるには何やってもいいみたいな、どうもそういうふうな考えをいまだに持っておられるのではないか、私はそういう方が政府の中枢、官房副長官に座っているということ自体、これは大変な問題だというふうに言わざるを得ないと思いますが、自ら漆間さんは麻生総理に辞任伺をされるとか、そういうお考えはありませんか。
○内閣官房副長官(漆間巌君) 私の身の処し方につきましては任命権者の意向に従います。 ただ、先ほど申し上げた私のこの記者懇談会というのは、これは双方がメモを取ってやっているわけであります。これは都道府県警察に私が何を記者懇でしゃべったかということが必ず伝えられると、こういう性格の文書でありまして、したがって私は、これはむしろ都道府県警察に対して私の強い決意を述べて伝えていると、こういうように考えております。
○松野信夫君 いや、それこそ問題で、記者懇談会で自由にしゃべっていることが全国の警察に行って、それでどんどん事件化しろと、それはちょっととんでもない話じゃないかと言わざるを得ないですよ。そうすると、捜査情報とか、漆間さんのところには割合集まっているのかなという気すらしております。 それで、ちょっと確認しておきますが、どうも最近見ておりますと、検察が意図的に捜査情報をリークしているのではないかという疑いもあります。これは森大臣にお聞きしますが、通常は捜査情報というのは非常に秘匿性が高い、これは弁護人だってそう簡単には教えてもらえないということで、当たり前ですけれども、捜査情報をむやみに流せば、これは守秘義務違反で国家公務員法違反にもなりかねないんですが、しかし、時として検察は世論操作ということで情報を報道機関辺りに漏らしてやっているということが最近特に私はひどいと思います。 幾つもありますが、一つだけ事例を申し上げると、民主党の石川知裕衆議院議員がこの西松建設事件で参考人聴取されたというケースがあります。これも事前に漏れているわけですね。これは、本人は漏らすことはあり得ませんから、これはもう検察が漏らしたとしか考えられません。実際には、石川議員は三月の十二日に参考人として事情聴取をされているようですが、実はもう十日の段階で呼ばれるということがマスコミ、新聞報道に載っているわけで、私は、こういうような露骨なリークによる世論誘導は、これはもうやめるべきだ、このように思いますが、大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(森英介君) 個別の事件における具体的な捜査内容にかかわる事柄についてはお答えを差し控えさせていただきます。 なお、検察当局においては、従来から捜査上の秘密の保持については格別の配慮を払ってきたものと思っておりまして、捜査情報や捜査方針を外部に漏らすことは決してあり得ないと確信をしているところでございます。
○松野信夫君 個別事件についてはなかなかお答えにくいようですが、しかし現実にはこういう捜査情報がリークされて世論誘導に使われている、こういう事実があります。 また、通常は国政選挙が近い時期に強制捜査着手するというのは伝統的な検察の考え方から見ればやらないと。やっぱり自分たちが持っている検察権力の重みというものを十分に検察当局も熟知をしてその辺は差し控える、こういうことも今回の西松建設ではやっていない。国民も非常に疑問を持っているわけで、やや異例な捜査が続いていると言わざるを得ないわけですね。 私はやっぱり、今年の五月二十一日から裁判員制度もスタートする、やっぱり国民に対して丁寧に説明をする、これは必要だと思います。今すぐというわけではありませんが、検察も、今回のこういうやや異例な、国民も疑問に感じている捜査方法に対しては、私は、大臣がしかるべき時期に国民の代表者である我々に対して、我々の疑問を払拭するだけの丁寧な説明をする必要があると思いますが、大臣はいかがお考えですか。
○国務大臣(森英介君) 検察当局は、あくまでも公判活動を通じて事実を明らかにしていくものと思っております。そういった、もちろん検察として説明すべきものについては説明しているわけでございますけれども、それ以上のことをあえて説明して捜査の妨げになるようなことがあってはなりませんし、そこら辺のところはむしろきちんと注意してもらいたいというふうに期待をしているところでございます。
○委員長(澤雄二君) 松野委員に申し上げます。 時間が来ておりますので、おまとめください。
○松野信夫君 はい。 しかるべき時期にというふうに申し上げて、丁寧に説明するということも是非お考えいただくことをお願いして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○今野東君 何点か質問をさせていただきますが、まず、森法務大臣とはこういう形では初めてですので、基本的なところからお伺いしたいと思いますが、憲法についてであります。 憲法第三章は、国民の権利及び義務について書かれています。この中で基本的な人権とか、あるいは法の下に平等であるとか、あるいは健康で文化的な最低限度の生活を営む権利とかいうのは、この書き出しがすべて国民はという書き出しになっているんですね。 十一条、国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。十三条、すべて国民は、個人として尊重される。そして、幸福追求の権利があるわけですが、十四条は、すべて国民は、法の下に平等であって、二十五条は、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するというように、人権やそこからくる権利についての多くは国民にそれがあるという考え方で憲法は書かれているのだと思うんです。 さて、それでは外国人についてはどのように考えるのでしょうか。 我が国で外国人登録をしている方は、平成十九年でも二百十五万人いらっしゃいます。今、もう恐らくその数の上を行っているでしょう。こういう方々の基本的人権や権利についてはどのようにお考えなのでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 基本的人権は極めて重要なものでありますが、憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上、日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対してもひとしく及ぶものと解すべきものであると理解しております。認識しております。 一般的に、思想、良心の自由や信教の自由等は外国人に対しても保障されていると解されている一方、参政権や入国の自由については、その権利の性質上、外国人には保障されるものではないと解されていると承知しております。
○今野東君 在留する外国人に対しても、基本的な人権そのほかは存するということで安心をいたしました。 それではまず、ここのところ報道されております、埼玉県蕨市に住むフィリピン人アランさん夫婦とカルデロン・ノリコさんのことについてお尋ねいたします。 個別の案件ではありますが、もはや多くの国民にマスコミを通して知れ渡っていることでもありますし、また同じような家族が、これは推定ですけれども六百から七百世帯、あるいはそれ以上いらっしゃるかもしれませんが、あると言われていることから、ここで政府の考え方を少しお伺いしておきたい、議論をしておきたいと思います。 この家族については、アランさん夫婦が自主的に帰国すればノリコさんの在留を認め、自発的に帰国する決断をしないのなら三人まとめて強制的に送還するという判断を示しました、法務省は。出入国管理というのは、確かに厳正に行われなければならないと私も思います。しかし、この厳正に行われるべき入管行政の中で、入管は不法に入国していた人を発見せずに結果的に不法滞在を容認してきたという責任もあるのではないかと思います。 アランさん夫婦は、一九九二年と九三年に、これは他人名義のパスポートを使って入国してきたという好ましくない状態ですが、それぞれ入国をして、しかし、その後アランさんは内装解体工としてまじめに働き、今ではその技術の蓄積を後輩に伝える指導的な立場だというふうに聞いております。まじめに働く良質な市民の一人として、所得税、住民税も納めているということを聞きました。一家が地域社会からどのように受け入れられているかという事実は、住民の方々の二万人を超える署名からもお分かりいただけると思います。そして、何より蕨市の議会が、一家について特別在留許可を求める意見書を採択しています。 外国人にも我が国の国民とひとしく同じく基本的な人権がある、健康的な生活をしていく権利があるというふうにお考えならば、なおこの蕨市の意見書、採択された意見書があるわけでありますから、そこのところはお考えいただいて特別在留許可を出してもよかったのではないかと私は思いますが、大臣は所信表明で、様々な意見に謙虚に耳を傾けとおっしゃっています。蕨市議会の意見には、在留特別許可を出すべきだ、出してほしいという意見には謙虚に耳を傾けていただけないのでしょうか。これはどういうふうに受け止めていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(森英介君) もちろん、蕨市議会からカルデロン一家三人に在留特別許可を認めるよう意見書が寄せられているということは承知をしております。 最終的な判断を金曜日に示した、いや、もっと前に通告はしておりましたけれども、したわけでございますけれども、その最終的な判断をするに当たって意見書が出て、その意見書についても十分に考慮をさせていただきました。
○今野東君 十分に考慮をした結果がどのようになっているんですか。
○国務大臣(森英介君) 先ほど委員も説明をされましたように、両親については他人名義の偽造パスポートで入国したという経緯がございます。したがって、家族統合の原理からいえば三人そろって国外退去していただくというのが本来の方針、決定でございますけれども、しかしながら、この娘さんについては、これは何も罪もないわけでありますし、それから十何年間日本で生活し、日本で学業を続けてきたということもございますので、加えて、この一家の特殊事情というのは、この娘さんにとってのおじさん、おばさんが三人も近くにいるということでございまして、もしその近親者のあるいはそれに見合った人たちの適切な監護、保育、養育の環境が整えてもらえるなら、もしその娘さんが希望するなら娘さんには在留特別許可を出してもよいということを決定いたしまして、結果として、娘さんは日本で残って学業を続けるということを希望したわけでございまして、来月の十三日に両親は退去していただくと、こういう運びになりました。
○今野東君 蕨市議会の意見書は、家族をばらばらにしてくださいという内容のものではなかったはずです。 政府の言う児童の権利に関する条約、いわゆる子どもの権利条約ですけれども、第九条の一項には、締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保するとあります。この条約は一九九四年五月二十二日から日本で効力が生まれておりますが、政府はこれらの部分に関し解釈宣言ということを行っています。この解釈宣言というのは、条約の規定や文言について複数の解釈が可能な場合に、国家が自国にとって最も好都合な解釈を特定し、それを一方的に宣言することと言われます。この政府の行った解釈宣言というのはどういう効果を求めて行ったのでしょうか。
○政府参考人(石井正文君) お答え申し上げます。 先生おっしゃいますとおり、この条約の第九条の一でございますが、これは、締約国に対しまして、父母による児童の虐待又は父母の別居などの特定の場合におきまして、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として児童の最善の利益のために必要であると決定する場合を除きまして、児童がその父母の意思に反して父母から分離されないことを確保するよう義務付けるものでございます。 この規定は、児童又は父母の強制退去、抑留、拘禁など、この条約の同じ条の四におきまして国が取り得る措置として認めておられる措置の結果として親子の分離が生ずることを妨げるものではないというふうに解しております。ただ、このような解釈が文言上、必ずしも一義的に明らかではないため、将来、解釈をめぐって問題が生じることのないよう、条約の締結時にこのような解釈を明らかにするために解釈宣言を行ったものでございます。
○今野東君 政府の解釈宣言は、出入国管理法に基づく退去強制の結果として児童が父母から分離される場合に適用されるものではないとなっているわけですね。 しかし、子どもの権利条約第九条において、父母の意思に反しても分離が許されるというのは、おっしゃったように、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件とし、かつ、その分離が子供の最善の利益のために必要である場合に限られるとなっています。 今の出入国管理法では、退去強制させるかどうか、出入国を認めるかどうかは法務大臣の裁量です。第九条の求める司法の審査とはなっていません。これは国際社会に通用しないんじゃないですか。
○政府参考人(石井正文君) 解釈宣言につきましては先生今おっしゃったとおりでございますので繰り返しませんが、この解釈宣言につきましては、条約の規定に内包された解釈の幅の中で我が国の取る解釈を明確にするものを目的としておりまして、この条約の規定の適用を変更するというふうな意図ではございません。この点につきましては理解が得られているものと考えております。
○今野東君 理解を得られていないから、一九九八年六月の児童の権利に関する委員会の第十八会期と二〇〇四年二月の第三十五会期は日本についてコメントが出ていますね。このコメントは、委員会は締約国、これイコール日本です、委員会は日本による第九条一及び第十条一に関する解釈宣言を懸念を持って留意すると、懸念を持たれています。これはどういうふうに、これについてはどういうふうな説明になるんですか。
○政府参考人(石井正文君) おっしゃるように、過去二回の権利委員会におきまして懸念を表明するという最終見解が出ております。これは、この条項に対して解釈宣言をしておりますのは日本だけではございませんで、ちなみにドイツ、ほかの国も、幾つかの国が解釈宣言をしておるところでございます。もちろん政府といたしましては、こういう懸念が表明されたことを踏まえまして、この解釈宣言を見直すべきかどうかということは内部で検討させていただきました。 ただ、先ほど申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますが、日本が申し上げたような解釈というのが文言上必ずしも明らかでないこと、それから、その解釈自身が条約の規定に内包された解釈の幅の範囲内であり、条約の適用関係を変えるものではないというふうに判断されることから、この解釈宣言は維持したいということで決定させていただいたところでございます。このような解釈につきましては、解釈宣言を出していない国におきましても一定程度共有されている部分があるのではないかと思っておりまして、その意味で、先ほどちょっと理解を得ているというふうに申し上げたわけでございます。
○今野東君 無理やり理解をされているというふうにいっても、実際にはこのような委員会から懸念を持たれている。複数の国がそういう解釈をしているからそれでいいんだという考え方は、これは日本としては誠に国際社会に対して恥ずかしい実態であると思います。 御存じかと思いますが、大臣、退去強制命令が自由人権規約違反と判断された例もあるんですね。オーストラリアに不法滞在していたインドネシア人の一家ですけれども、国外退去を命じられました。二〇〇〇年の五月、両親と子供、このときの子供はちょうどこのノリコさんと同じ十三歳なんですが、両親とこの十三歳の子供は家族でオーストラリアに在住することを求めて自由人権規約委員会に通報して、その結果、退去強制命令は自由人権規約に違反すると判断されたという例です。 退去強制命令は、自由人権規約第十七条、私生活及び名誉の保護、第二十三条、家族の保護、二十四条、児童の権利に違反するという自由人権規約委員会の判断なんですが、我が国もこれに倣うべきだと思いますが、どうですか。
○政府参考人(西川克行君) お答え申し上げます。 まず、御指摘の事例ですが、これは承知しておりまして、インドネシア国籍の両親がオーストラリアにおいて不法滞在後、子供が出生したと。子供が十年間滞在したということでございまして、この子供は既にオーストラリア国籍を取得していたと、こういう事案であると承知をしております。 両親が退去処分とされて、両親の送還が執行された場合は、家族の恣意的な介入に当たって未成年者としての必要な保護の手段を提供しなかったことにより、B規約の第十七条第一項及び第二十四条第一項に違反しているとみなすとの指摘がなされた事案であるということであります。 他方、今回のフィリピン一家の例を見ますと、この少女は我が国で出生して、フィリピン国籍の両親から出生したわけでございますのでフィリピン国籍でございます。いずれも不法滞在であったことから退去強制手続を受け、一家三人全員に退去強制令書発付処分がなされたということであります。この国籍及びそれに伴う家族全員の処分の同一性の有無について事案が異なるというふうに考えております。 さらに、カルデロン一家の場合ですが、三人とも国籍国に退去強制するのが原則であり、それが可能であるという事案でありましたが、仮に両親から長女について適切な監護者の下で学業を継続させたいとの申出があった場合には、長女の在留を特別に許可する旨の意向を伝えていたものであって、当局が同一家に対して、十三歳の長女のみ残るか、あるいは両親と三人で国外退去するか、選択を迫ったというわけでもございませんので、御指摘の事案とは事情が異なるというふうに考えております。 外国人を自国内に受け入れるかどうか、これを受け入れる場合にいかなる条件を付すかは専ら当該国家の立法政策にゆだねられているというのが国際慣習法上の原則でありまして、児童の権利に関する条約、B規約等もこの原則を前提としてこれを基本的に変更するものではなく、したがって、児童の最善の利益及び家族統合の原則も在留制度の枠内で考慮されるにとどまるということは、カルデロン一家に対する退去強制処分、取消し訴訟を始め、他の取消し訴訟においても裁判所も判示しているというところでございます。 以上です。
○今野東君 日本は独自に非情な道を歩んでいくのだというお話を長々としていただきましてありがとうございました。 所信の中で大臣は、不法滞在者を本年一月までおおむね当初の半数である約十一万三千人まで削減できましたと胸を張っているんですが、強制的に送還され、削減と表現された外国人の方々の中には、その基本的な人権が侵され、国際社会から非難されている事案もあるということを知っておいていただかなければならないと思います。 憲法の十三条にある基本的な人権、そこから生まれてくる様々な権利、これは外国人も同じであるというふうにおっしゃっていただいた大臣がいらっしゃる法務省の考え方とは現状ではとても思えない。この際、人道的配慮から特別在留許可を出すべき基準といいますか、こういうことはノリコさんのことだけではなく何家族もあるわけですから、ある程度どういう方向でいくのかというのを真剣に決めておかなければならない、定めておかなければならない、そういう必要があるのではないかと思いますが、大臣のお考えを伺います。
○国務大臣(森英介君) 委員のその御指摘、御提案は、私も認識を共有するところがあって随分このことに当たるに当たって考えてまいりました。 ただ、やはり現時点での私の整理としては、やはりおおむねの何といいますかね、基準というかラインみたいなものはあるにしても、やはり最終的には個別の事案に応じた大臣の裁量ということがいいのかなというのが現時点での思いでございます。
○今野東君 大臣に裁量権があるわけですから、これはひとつ大臣のところで、様々な意見を謙虚にお聞きいただける大臣ですから、大臣のところで是非この方向について検討していただきたい、そういうお願いをしておきたいと思います。 さて、質問はちょっと変わりますが、大臣が所信で出入国管理行政についてお話をされた部分、これは不法滞在者を取り締まるんだという強い決意と、外国人の在留管理を法務大臣としてもきちんとやるんだという二点でありました。 入国管理行政には、母国での様々な迫害から、あるいはそのおそれから我が国に逃れてきた人を保護するという業務もあるはずなんですが、そこのところは残念ながら語られておりません。 そこでお尋ねをいたしますが、今、難民認定、〇八年では千五百六十六人でしたか、去年のおよそ倍ぐらいになっているんだろうと思いますけれども、認定にはどれぐらいの時間が掛かっているんでしょうか、平均で。
○政府参考人(西川克行君) 昨年の申請数は一千五百九十九件ということでございます。平成二十年において難民認定申請に対する第一次審査に関する処分を行った件数、これは八百三十一件でございますが、これについての平均の審査期間は約四百七十二日ということになっております。 それから、第一次審査の処分に対して異議申立てがなされた場合の審査期間ですが、平成二十年における異議申立てに対する決定がなされた件数、これは三百十七件ということでございますが、申請から異議申立てに対する決定がなされるまで平均約七百六十六日ということでございます。
○今野東君 二年近く掛かっているわけですね。 それでは、入管法では難民認定を申請した人には仮滞在許可を出すことになっておりますが、実際に仮滞在許可が出されている人は申請した人のうちの何%になっていますか。
○政府参考人(西川克行君) 平成二十年に仮滞在許可の可否を判断した人数、これは六百五十六人でございます。そのうち、許可した者は五十七人、不許可とした者は五百九十九人、許可割合は八・七%ということになります。
○今野東君 法律を見ますと、いかにも申請した人には全部仮滞在許可を出すような書きぶりになっているんですけれども、実際には八・七%という非常に低い数字です。 さて、それでは、この難民認定を申請中あるいは異議申立て中といった方々の暮らしはどうなっているかというと、幾つかの支援団体とかあるいはボランティアの方々によって支えられたり、公的な支援策としては保護費というのがあります。外務省の外郭団体でアジア福祉教育財団難民事業本部が窓口となって支給をしているんですが、この保護費は一日千五百円、一か月だとおよそ四万五千円と、家賃など住宅費ですか、これが四万円で、計およそ八万五千円支給されているわけですね。 この保護費の予算が昨年は六千五百万円でした。そして、この予算が足りなくなりまして、一時、支給が遅れるということがありました。この保護費によって生活をしている不安定な外国の方々にとっては、これは命綱であります。そういう方々の中で大騒ぎになったんですが、外務省においでいただいておりますから伺いますが、来年度、この保護費として取っている予算はどれぐらいですか。
○政府参考人(石井正文君) 来年度の保護費の予算額、政府原案でございますが、一億円余りでございます。正確に申し上げますと、一億九百万円でございます。
○今野東君 これ、去年、外務省の中でいろいろやりくりをして、六千五百万の中をいろんなところから持ってきたりして、結局、一億五千万執行していると聞いておりますが、今年よりも更に増えている。申請者の数を見ても倍近くになっている。 これ、予算の取り方としてはこれでは当然足りなくなるという予想ができますね。
○政府参考人(石井正文君) 今年度の当初予算の六千五百万円から比べ、一応一億九百万ということで増加の形で要求はさせていただいております。ただ、先生おっしゃいますように、今年度、既に難民認定申請者の急増に伴いまして保護費の受給を申請する方が予想を大きく上回る形で増えたというのは事実でございまして、来年度もこの傾向は恐らく続くものではないかというふうに考えております。 外務省といたしましては、この難民認定申請者に対する保護というのは国際的にも道義的に責任があると認識しておりまして、厳しい財政状況の中で保護費の確保に向けて最大限の努力を続けておりますし、今後もそうしていきたいと考えております。 ただ、同時に、いただきました予算の効率的な執行を確保するために、緊急的でかつ真に保護の必要な方を保護することが肝要だという考え方に基づきまして、若干の優先度の高い方から支給をしていくというふうなことも場合によっては考えなければならないのかなというふうに考えております。 このような考え方につきましては、今まで難民の支援に対して種々努力されてこられた支援団体の方々とも意見交換をしているところでございます。
○今野東君 難民として申請をしている人あるいは異議申立てをしている人はひとしく生活に困っている人で、その中で優先度を付けるというのはどういうことなんでしょうか。非常に難しい作業を強いられているというふうに思います。今、保護費を支給している人は二百五十人と聞いております。このままの数が恐らく減ることはないんでしょう。そうすると、全体の予算でも二億を超える予算が必要になってくる。 そこで大臣に伺うんですが、わずかですが仮滞在許可をしている人がいます。この方々については、仮ということは付いていても滞在していていいですよということになっているわけで、この方たちに就労許可を出したらどうでしょうか。そうするとこの方たちは働くことができるんです、保護費に頼らなくてもよくなるんです。行き渡る人数が増えるんです、結局、保護費が。堂々と働いてもらう。今この方たち、隠れて仕事をしたりしている、あるいは危険な仕事に就いたりする、目立たないように、で、けがをするという悪循環が起きているんですね。是非、せめて、少ないけれども、仮滞在許可を出している人については就労許可も出してもらう、そういうふうにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 大変ごもっともな御提言だと思います。しかしながら、仮滞在許可の対象となる外国人は在留資格を認められていないものでありますので、仮滞在許可者に対して就労許可を認めるなどの措置を講じますと、これ難民認定制度の濫用、悪用を招きかねないという可能性を否定することができません。したがって、したがってというか、言わば在留資格を有していない者に就労を認めることは我が国の在留資格制度の根幹を揺るがすことにもなりかねない、こういった点からやはり慎重な対応が必要と考えております。 ただ、先ほど来お話がありますように、保護費も四か月でありまして、認定期間が一年とか二年とかで、じゃ、一体その後どうするんだと、それまでの間、という疑問がわくわけでございまして、そういったジレンマもありますので、是非入管当局を督励いたしまして、もっと早く難民認定ができるように督励をしてまいりたいというふうに思っております。
○今野東君 今、難民認定に平均およそ一年八か月ぐらい掛かっていて、それを早くといったって、まあせいぜい人員の増加というのを見ても、一生懸命頑張っても一年なんでしょうね。恐らく一年になるということはないだろうと思いますけど、現実には。これだけ掛かっているわけですから、一年八か月今掛かるのならば、それに合わせた制度設計をしなければなりません。働いては駄目だし、保護費は四か月だし、じゃ、その後どうするんだ。これは民間の支援、NGOやそのほかに頼るしかないという実態では、余りにもこれは貧しい制度と言われても仕方がないのではないかと思います。是非そこのところは、大臣、ごもっともだとおっしゃるのなら、ごもっともなように改めていただけると有り難いなと思います。お願いをしておきます。 さて、次の質問ですが、いよいよこの五月から裁判員制度が始まります。そこで、私は、少年が刑事被告人となる裁判員制度の下での裁判についてお聞きしたいと思います。 少年が刑事被告人になったとき、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うというようなその理念、少年審判の理念というのは、これはどう生かされるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 少年が、委員御指摘のように、逆送と申していますが、刑事処分相当となって刑事裁判になったと。そのときに、刑事責任を問うのか、あるいは保護処分相当という判断をするのかという点で問題になってくるというふうに思います。そういう場合に、社会記録というものを取り寄せて、どのようにそれを証拠化するのかということが問題になると思います。 少年の逆送事件でございましても、刑事裁判になりますので、口頭主義とそれから公判中心主義、こういった刑事裁判の原則は当然当てはまってまいりますし、裁判員裁判では、裁判員が法廷で心証を取るようなことができる。そうした、目で見て耳で聞いて分かる審理が行われると、そういうことになってまいります。 また、その一方で、少年調査票を取り調べるということになりますと、少年やその他の関係者のプライバシー、こういうものにも十分配慮する必要がございますので、これらの事情を考慮いたしまして、少年の逆送事件の裁判員裁判では、公判前整理手続の中で法曹三者が少年法五十五条の保護処分相当性に関する主張、立証に当たって、少年調査票のどの部分をどのような方法で取り調べるのかということについて議論をし、その議論を踏まえて必要な範囲で裁判所が証拠採用すると、こういうところになると思われます。
○今野東君 裁判員制度に向けて様々な内部の勉強会といいますか、協議会が恐らく裁判所の中で行われているんだろうと思いますけれども、少年が刑事被告人になっていく場合、この調査官調査の取扱いというのは、刑事裁判での要保護性の取扱い、調査官調査の取扱いはどうなっていくんだろう。非行事実欄は、調査官は警察資料どおりであればたくさん書かなくともいいというような発言があるということも聞いております。重大非行事件に触れるとき、その非行を犯した少年がその成育環境において阻害され、あるいは抑圧的な状況に置かれて適切な教育の機会も十分に与えられず、解決の難しい問題に直面しても精神的に苦しい時期にあっても、そこから解放されるアドバイスを与えてくれる人もなく、孤独と絶望の中で非行へ走っていくというケースが多いように思います。 裁判前の整理手続によってこうした要保護性が抜け落ちていくのではないかと思いますが、そうならないためにどのような方策をしていらっしゃるか、もししているのならお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 先ほど申し上げましたように、社会記録、これをどのように取り調べるかというのは、これは法曹三者で議論して裁判所が決めるということになると思いますが。 ですから、これは裁判体の判断でございますが、ただ、司法研修所の、これは昨年、二十年十一月に公表された司法研修所における司法研究の骨子、これは御紹介できると思いますが、この裁判員裁判における少年法五十五条の保護処分相当性に関する主張、立証の在り方というものについては、このように述べられております。 刑事処分以外の措置をとる特段の事情というのが必要になるわけですが、この有無については通常は一般の刑事裁判と同様の証拠で判断し得ると。社会記録が必要になる場合でも、基本的に少年調査票の調査官意見欄で証拠として足りる。調査官意見について弾劾的な主張、立証を行う当事者は、少年等のプライバシーに配慮した上で、社会記録を含めて開示された記録の中から公判での朗読に適した部分を抜粋し、それを証拠化するべく努めるべきであるとされております。 これは司法研究でございまして、最高裁として何らかの指針を示したというものではございませんけれども、社会記録の証拠調べの在り方を含めまして、裁判員裁判における少年の逆送事件の審理の在り方については、この司法研究を踏まえて更に議論を深めていくということが必要と考えております。
○今野東君 是非、少年が刑事被告人になっていくようなケースは、私は裁判員制度の中からは排除すべきではないかという個人的な意見を持っているんですが、少年審判の理念というのを生かす方向で進めていただきたいと思います。 さて、時間がありませんから最後の質問になりますが、大臣、2ちゃんねるというのを御存じでしょうか。この2ちゃんねるについて質問しますが、一九九九年に2ちゃんねるを開設した管理人の西村博之氏は大変な収入を得ておりまして、二〇〇六年の十一月四日、早稲田大学での講演で、その収入について、日本の人口より少々多いぐらいと西村氏は語っております。一方、2ちゃんねるを相手取った名誉毀損などを訴える民事訴訟が数多くありまして、ほとんどが西村氏が敗訴しております。しかし、西村氏は、敗訴をしても賠償金の支払をしません。年収は一億円を超しているのですから、お金がないわけではないにもかかわらずです。 そこでお聞きしますが、最高裁判所は、2ちゃんねるに関する訴訟の件数、その訴訟の確定内容、裁判所の仮処分命令に従わないことによる支払命令の総額などについて明らかにしてください。
○最高裁判所長官代理者(小泉博嗣君) お答え申し上げます。 今委員お尋ねの件でございますけれども、いずれにつきましても事務当局としては把握していないというところでございます。
○今野東君 まあよく把握してないということを正々堂々とおっしゃるなと思いますが。要するに、これは、この数字を把握してないということは、問題として把握していないということですか。
○最高裁判所長官代理者(小泉博嗣君) お答え申し上げます。 事務当局としては、裁判の関係では、第一義的には裁判所において勝訴した当事者の手にゆだねられているということでございます。裁判所は、個々の事件を審理、判断するということを職責としておりますので、個々の事件の審理を離れて、特定の個人の方を被告とする訴訟がどれぐらい存在し、また、支払を命じられた損害賠償額が合計で幾らになるかということにつきまして把握するということまでの必要はあるというふうには認識していないというところでございます。
○今野東君 報道によれば五億円以上になっているんですよ。逃げ得というか、になっているわけでありまして、これは財産開示をして、今過料になっておりますけれども、そうじゃなくてこれ罰金にして、これを支払わなければ身柄を拘束するというような仕組みを変えていけば、こういう判決を無視するようなやからに対しては対処することができるわけで、是非、裁判に対する信頼性を回復するという上でも知恵を出して、判決の内容が守られるような対応をしていただきたいと思います。 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○松岡徹君 民主党の松岡でございます。 森大臣始め、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。 わざわざ私のために予算委員会理事前川さんも出席いただきまして、ありがとうございます。 それでは、気合を入れていきたいと思うんですが、私、人権を取り巻く環境といいますか、その認識について率直に、大臣の所信を受けまして、大臣の率直な意見といいますか、とらえ方というのを聞きたいというふうに思っております。 それで、たくさんあると思いますが、その中でも一つ、政府にとっても、最近の国内の自殺者が大変増えておりまして、年間三万人を超える自殺者が十数年間続いているという状況がございます。政府は、当然のように自殺対策の推進本部を設置をいたしまして対策を取られておられるようであります。所管は違うと思いますが、この三万人以上、十年以上続いているという状況について、人権を携わる大臣として、この状況をどういうふうに率直に感じられるか、どうとらえられるかということをまず最初に聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(森英介君) やっぱりもろもろの要因があるかと思いますけれども、それだけの数の自殺者がいるというのは誠にゆゆしい事態であるというふうに受け止めております。
○松岡徹君 この三万人を超える自殺者が何を理由に自殺、自ら命を絶つのかというところをやっぱりしっかり見ていかなあかんというふうに思うんですね。その原因をやっぱり取り除かなかったらこの自殺対策は効果を生まないだろうというふうに思います。 最近言われているのが、自殺原因の一つに、リストラとか失業とか倒産によって自殺に至るという人が増えているというふうなことも一部マスコミ等でも私たち聞きます。その中でも私は、例えば子供がいじめで自殺するというのがありますね。先日もありました。その自殺をされた人数の中に、この三万人の中にカウントされるんですね。このいじめによって自殺した子供が、すなわち原因はいじめによって自ら命を絶つということがあります。 こういう状況で私は是非見ていただきたいというふうに思うんですけれども、その原因をですね、これ、いじめというのは人権侵害だというふうに思うんですね。その人権侵害が原因で自殺する、自ら命を絶つ者がおるとすれば、これは一体どこが担当といいますか、自殺をなくしていくという行政をつかさどる側とすれば、法務は当然のように私は責務があると思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(森英介君) 所管ということでいうと内閣府の野田大臣だというふうに思いますけれども、もちろん人権擁護局を擁します法務省としても看過できない問題でございまして、私も余りちょっと、実は御通告いただいていなかったものですから十分調べておりませんが、男性の場合はやっぱり先ほどおっしゃられた経済的な事情が一番多いとか、また子供の場合はそういったいじめとかということで、いずれにしても痛ましいことでございますけれども、特に子供の場合は、そういった状況というのはやっぱり心の荒廃というか、何としても、もうちょっと社会として改善していかなきゃいけない、その時代の風潮というのもあるのかなということを感じます。
○松岡徹君 私は、人権施策といいますか、人権の取り巻く環境というのを見たときに、人権侵害というものが厳しくなってきているというふうに私は思うんですね。その結果の数字として、一つは、自殺者の数の中にいじめによるもの等々があるということは、やっぱりこの人権侵害の施策をより進めていかなくてはならないという現状認識としてしっかり受け止めるべきだろうというふうに思うんです。当然、自殺対策はまた所管が違いますから、そのことを言っているんじゃないですが。 そこで、法務省の人権擁護行政の中には人権侵犯処理規程というのがありまして、私も幾つか聞きました。時間の関係で私から申し上げますけれども、過去五年で見ましても、平成十五年の一年間、平成十五年一月から十二月までの法務省の人権擁護機関が把握した件数で、受理件数で一万八千七百八十六件あるんですね。その後、平成十六年度で増えていっておるんですね。平成十六年度でいきますと二万二千八百七十七件、平成十七年度でいきますと、これ、処理件数でいうと二万三千九百九十四件、平成十八年度でいきますと若干減って二万一千二百二十八件、平成十九年度で二万一千六百七十二件と、こういうふうに、ここ五年前から比べれば増えているんですね。この人権侵犯の法務省が抱えた件数あるいは処理した件数が二万件を超えているという最近の、ここ数年の現象になってきております。 そこで、その処理の結果というものを、どうなるのかということは時間の関係で今日は聞きませんが、二万件を超えるということ、あるいは三万人を超える自殺者が減らないということを考えますと、この二万を超える人権侵犯の処理の件数、法務省の擁護機関がやったことですけれども、これはすべてだというふうに思われますか。それとも、やはりこれは氷山の一角だと、氷山とまでいかなくても、法務省が把握しているだけでも二万件を超えると、いや、もっとたくさんあるだろうという認識ですか。いかがですか。
○国務大臣(森英介君) もちろん、こういう顕在化した以外のこういった人権侵犯事案というのはもっとあると思います。いずれにしても、今委員御指摘のとおり、ずっとここ五年間、高水準で推移をしておりまして、法務省の人権擁護機関では、人権啓発に関する施策を推進し、人権侵害を未然に防止するよう努めるとともに、人権侵犯の疑いのある事案を認知した場合には速やかに調査を開始して、援助や説示等の措置をとることで被害の救済、予防を図ってまいりたいと思います。
○松岡徹君 三万人を超える自殺者の中にいじめを理由に自殺した子供がおると。もし、この二万件を超える法務省の処理のところに、事前に対応しておれば、その子供は自殺してなかったかもしれないというふうに私は思うんです。 すなわち、ここで何を言いたいのかというのは、今の法務省の人権擁護機関が行っている処理はやっぱり氷山の一角だと、まだまだ不十分だという認識にまず立ってほしいと、もっと頑張らなあかんというふうに私は思うんですね。そういう意味で、今やっているのが問題だと言っているんじゃないんですよ。今の状態でも不十分だ、よりもっと強化していくべきだと、そういう意味の認識で大臣が所信のところで人権擁護行政については更に強化していきたいというふうに述べられたというふうに私は理解をしているんですけれども、その理解でよろしいですか。
○国務大臣(森英介君) 実際、こういうことを申し出ること自体が一つバリアがあると思いますので、それはやっぱりこれ以外の、氷山の一角かどうかは分かりませんけれども、随分と顕在化していない事案があるだろうということは私も推察をしておりますし、またそれが少しでも少なくなるように対処してまいりたいと存じます。
○松岡徹君 それで、私は、人権侵害、すなわちその方法としていじめとかプライバシーの侵害とか様々あると思いますが、次に、皆さんの今日の資料に出していますが、これは、皆さんも御存じのように、グーグルというところがサービスとして出している、皆さん、ストリートビューという住所検索サービスがありますが、これはグーグルの地元であるアメリカあるいは特にヨーロッパでも問題になっております。プライバシーの侵害だというふうに言っています。 ところが、最近、このグーグルが、グーグルアースからこういう新たな検索サービスをしているんですね。皆さん方見てもらったら分かりますが、一枚目の左から、地球がありまして、その下は、アップしていきますと日本が出てきます。そして、右側に行きますと、これ、なぜか古地図が出てくるんですね。それをまたアップすると、日本の古地図が日本の現在の地図のところにズームアップしていくんですね。 次のページ見ていただきますと、それが更に詳しく、これは東京の事例でありますが、東京でずっと上がってくる、下のところにその東京の現在の地図に対して上から古地図をはめていくんですね。それを右側でまたズームアップしていくんです。そうすると、その古地図にこういう図があります。ここに、逆さになっていますからあれですけれども、穢多村と書いてあるんですね。個人の名前まであります。 次のページをめくっていただきますと、その古地図をまたズームアップして、それを、下の図ですね、下の図は現在のグーグルが、ずっとズームアップしてきた現在の地図のところとダブらせているのをお分かりですか。古地図と現在の地図をダブらせているんですね。そして、それが右側、現在の場所だとどうなるかというのでズームアップしていくんです、これ、右下。 次のページを見ていただきますと、それを更にズームアップします。それを更にズームアップして、丸の印書いてあります。それがずっと丸の、点ですね、それをずっとやると市街地図になってくるんですね。最後は右の下、この現在の写真なんです。ズームアップしたところの写真なんです。これ、ここまでサービスがされているんですね。これは、今サービスが始まっているのは東京とか大阪とか首都圏が始まっています。グーグルは順次それを地方にも広げていこうということがあります。 ここで、この例は、例えば古地図にあります穢多村、被差別部落、今のところね、出ています。東京では被差別部落は行政的にここがそうだというふうに地区指定していませんですから、なかなか分かりにくいんですね。しかし、古地図と合わすと分かってきているんですね。これが全国で展開されていく。私は、自分の住んでいる大阪にも一遍これやったら、きちっと出てくるんですね。出てくるんです。 心配なのは、この古地図でも、いつの時代の古地図なのかによって変わってきます。中には、明治時代の古地図をダブらせるということもあるそうです。そうすると、日本の政府が以前やった、らい予防法に基づくらい村というのが古地図に載っているんですね、これ。それをズームアップしてくると、らい村というのが現在どこにあるかというところまで、古地図と現在とダブらせるということなんです。 私は、グーグルがどういう意図でこのサービスを始めたのか分かりませんが、この状態は、こういうようなやつは私は人権侵害につながるんではないかというふうに思うんですが、大臣の見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 今のお話は、この場でちょっと初めて詳しく伺ったものですから、とにかくとんでもない話だなというふうにまず基本的に思います。 これをグーグルが主催してやっているんですか。いや、だれかがグーグルのあれを活用して……
○松岡徹君 グーグルのグーグルアースというサービスからこれが見えたんです。
○国務大臣(森英介君) いや、ちょっと今初めて聞いたお話ですのであきれかえっておりますけれども、法務大臣としてどうこうということはちょっと今とっさには申し上げられませんが、こういう問題があるということを重く受け止めたいと思います。
○松岡徹君 この前のサービスはストリートビューといって、ずっとやっていくと家の正面まで写真で出てくるんですね。グーグルのストリートビューという前のサービスは今でもあるんですよ。そして、住所検索をすれば、その家の写真まで映るんですね。たまたまそこに干し物が干してある、車が止めてあると、ナンバープレートや前で掃除している顔まで映る。それが、これはプライバシーの侵害だというふうな問題になっている。グーグルのストリートビューというサービス、これグーグルがやっているやつ。 今回、グーグルが新たにこういう古地図とダブらせて現在の場所というのを検索するようなサービスを今は都市部で始まっています。これは東京のです。私は大阪ですから、大阪の分もアップしました。同じなんですね。 私はこういう心配があるんです。これは人権侵害に当たるのかどうかなんですね。これは明らかにグーグル自身が始めたサービスなんですよ。これ、だれか、個人でも何でもないんです。これ、もし例えば個人がしたとしても、こういう検索のサービスは人権侵害に当たると私は思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(森英介君) 私もこのグーグルのストリートビューというサービスは知っておりますし、自分のうちも見て、余りリアルに見えるのでびっくりいたしましたけれども、それをこういうふうな使い方をしているのは、果たして本当にグーグルがやっているものやら、グーグル以外のだれかがそのグーグルのサービスを利用してやっているのか、いずれにしてもちょっと調査してみたいと思います。
○松岡徹君 だれがしているかということを私は言っているんじゃないんですよ。こういう行為そのものは人権侵害に当たりませんかと言っているんです。だれがやっているかということじゃなくて、個人がやったとしてもどうですかと。
○国務大臣(森英介君) やっぱりどういう定義かは別として、とても看過できない出来事だと思います。
○松岡徹君 看過できないというのは人権侵害にやっぱり考えられると、人権侵害につながるというようなおそれがあるという意味では看過できないというふうに理解させていただきます。 私は、そこで大臣に聞きたいのは、例えばこれはだれが作ったかは別にして、私は、グーグルなんですよ、これ、グーグルの検索サービスでこれアップしたんです。それでいきますと、グーグルというのはどんな意図なのかはそれはグーグルから聞かなあきませんけれども、グーグルにしたらサービスなんですよ。よりそういうような情報を知りたいとかいう人なんです。だから、グーグル自身は人権侵害しようと思ってこういうサービスを始めたんじゃないと思うんです。 ところが、我々からすればそれは人権侵害につながりますよ。例えば、なぜ人権侵害につながるんですかということは、しっかり指摘といいますか、その問題意識を持っていただかないかぬと思うんですね。例えば第二の地名総鑑のように差別的に扱われる可能性があるということですよね。 そういう意味では、ここのこのサービス、具体的に私、説明させてもらいましたけれども、是非、これのどこが人権侵害に当たると、そういうふうにつながってしまうという可能性があるのか、それはしっかり見解としてはまとめていただきたいというふうに思います。実際にそれによって人権侵害の具体的な出来事が起きているかというのは、まだそれ把握できていませんからよく分かりませんが、それは是非とも要請をしておきたい、明らかにしていただきたいというふうに思っております。 そこで、人権侵害というのは、そういう法務省の人権侵犯にかかわる処理規程に基づく救済の行為といいますか、行政やっていますけれども、それ自身も、年間増えている人権侵害事案、二万件を超える状況になっている。あるいは、自殺が三万人を超える実情を見れば、それが人権侵犯による、あるいはいじめによることが原因で自殺者が増えているということからすれば、私は、この人権侵害を受けた人たちを救済するという法律は一日も早く制定すべきだというふうに考えています。 しかし、残念ながら、大臣の所信のところでも真摯に対応していきたいということでありますが、状況はよく分かっていますが、ただ、この人権侵害を救済するにかかわる法律は、前回の人権擁護法案が廃案になってからもうはや六年になろうとしているんですね。この法律制定のきっかけとなった審議会からの答申あるいは附帯決議というものから出て、もう丸八年になろうとしています。残念ながら今なお完成していません。 この法律制定に向けた具体的な考え方といいますか、どういうふうにしようとしているのか、大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(森英介君) これ所信でも申し述べましたけど、今お話にありましたとおり、人権侵害による被害者の実効的な救済を図ることを目的とする人権擁護法案については、人権擁護推進審議会の答申を踏まえたもので、同答申を最大限に尊重すべきとした人権擁護施策推進法の附帯決議の趣旨に照らして、かかる目的を実現すべき法案の国会への提出を目指すべきものと考えております。 しかし、今委員も御指摘いただきましたように、様々な御議論があることから、その御議論を踏まえつつ、各般の御意見を承りながら真摯に検討を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
○松岡徹君 意見を聞くというのは私も賛成でありまして、是非とも、民主党の方も民主党としての考え方、案はもう既にでき上がっておりますので。ただ、法務省として、所管する担当大臣として、今政治的に、あるいは環境がこういう状態だから意見を聞くだけではなしに、もうちょっと能動的にしっかりと動いてはいかがかと思うんです。かつて杉浦法務大臣のときには、大臣の下に、法務省の中に検討チームというのを設置して、今問題になっている問題をどう解釈し、どう今日的に理解し、この法律はどういう意味を持つのかということをしっかりと検討チーム、法務省内部でつくられたということは聞いています。しかし、その後の大臣にそれが継続されていない。後はずっと、要するに与党の問題とかいうのがあって、真摯に検討していくということしか答えられてこないんですよ。それでずっと、今もう六年たとうとしているんですね。 こういう状況、人権状況を見るに当たって、一日も早くこういう法律は私は制定されるべきだというふうに考えますが、そのために、法務省、特に大臣として、担当大臣としてもうちょっと形に見える積極的な動きをつくってほしいというふうに思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(森英介君) ただいまの委員の御指摘を拳々服膺いたしまして真摯に取り組みたいと思います。
○松岡徹君 法務省内部で大臣のその制定へ向けた検討チームとか作業チームとか、せめて検討チームとかですね、今ストップしているこの法律にかかわる問題は何なのか、それをやっぱり法務省からも積極的に、実はこうなっていますよというようなことを言えるような検討チームをつくるとか、そういうような具体的な形は考えられませんか。
○国務大臣(森英介君) 私としては、法務省の中からというのが適切なのかどうか、そういったことを見極めながら、自分として真摯に取り組んでいくということを申し上げております。
○松岡徹君 ずっとそれでもう六年来ているんですよ。大臣替わるたびに同じことなんですよ。これは立法不作為じゃないですか。答申が出たからこれ作らなあかんということでしょう。それからもう八年になろうとしているんですよ。しかも、人権状況を見れば今おっしゃったとおりですよ。 もっと違うところでもいろいろ議論したいと思いますが、同時に、日本は昨年の、先ほど今野先生も子どもの権利条約にかかわって言いましたけれども、この問題でも国際的に勧告を受けているんですよ。去年の国連の規約人権委員会でも日本政府が審査を受けて去年勧告されているでしょう、十月に。いつまで日本は人権救済機関を設置しないんだ、早くしなさいと言っているでしょう。 しかも、これまでの国連の人権委員会、経済社会理事会の一つの委員会だったものが、去年は国連では人権委員会から人権理事会に格上げされたんです。そのとき日本はこの理事国になったんでしょう、手を挙げて。国際的にも私は約束しているんですよ。日本政府が報告しているのは、二〇〇二年の三月に日本はそれにこたえるべく人権擁護法案を提出した、二〇〇一年ですか。その後、二〇〇三年の十月に衆議院解散によって廃案になったという報告を国連にしているだけなんです。しかし、成立に向けて鋭意努力しているとしか答えていないんです。その国連の人権理事会の日本は理事国なんですよ。理事国やのに恥ずかしい、国際的にも。早いところやっぱりつくるべきだと。もう八年たっているんですよと。やはり法務省として、担当大臣として真摯に受け止めて対応していきたいという気持ちはよく分かりますけれども、ちょっと一歩踏み込むような形を是非ともつくっていただきたいと。 大臣、森大臣の就任期間中に是非とも一歩踏み出してほしいという思いなんですが、踏み出すお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 委員の御指摘の趣旨は十分に理解しているつもりでございまして、八年とおっしゃるけど、私、まだ六か月でございますので、ひとつ真摯に取り組みたいと申し上げます。
○松岡徹君 こうころころ替わると、替わった大臣もかわいそうでね、そういう宿題をどんどんどんどん背たろうて担っていくわけですから、その辺のしんどさというのはお察しいたしますけれども、しかし逃げられないんですね。しかし逃げられない。やっぱりちゃんと前に進めていかにゃあかんということです。是非とも森大臣の手腕に大いに期待したいというふうに思っています。 私たちの、国民を取り巻く国内の人権状況というのは、先ほど申したように、自殺者とか人権侵犯の事案が増えてきているということで、しかも全部ではないということを見ると、しっかりとした人権救済対策を打っていく、その中心になるのが私はこの法律だというふうに思っておりますので、是非とも一歩前へ出るような大臣の英断を心から期待して、終わりたいと思います。
○松村龍二君 自民党の松村でございます。時間をいただきまして質問させていただきます。 昨年秋に、アメリカ合衆国の金融機関の破綻に端を発した世界的な金融経済危機の影響を受けまして、我が国の経済も総理が百年に一度と申しておるような深刻な経済危機に陥っております。特に雇用を取り巻く情勢は殊のほか険しく、いわゆる派遣切り、つまり非正規職員の契約不更新などによって職を失い、あるいは新たな職に就きたくても就くことができないという方々が急増しているだけでなく、正規職員についても賃金カットが行われ、あるいは失業が、問題が起きるというようなことも言われております。社会的な不安感が増大しているわけであります。 政府としては、雇用対策や景気対策を始め様々な社会経済政策を講じて対応しておりますが、私は、このような時代背景の下で犯罪が増えていくのではないかというふうに危惧いたしております。 言うまでもなく、我々国民が安全にそして安心して生活を送るためにも良好な治安が確保されていることが極めて重要であり、政府としても治安の回復に全力を尽くす必要があると考えます。 そこで、まず、法務省として我が国の治安情勢の現状についてどのように認識しているのか、法務大臣にお伺いします。
○国務大臣(森英介君) 一般刑法犯の認知件数は、平成十四年に戦後最多の約二百八十五万件を記録した後、翌年以降は六年連続で減少し、平成二十年には約百八十二万件となりましたが、戦後全体を通じて見ると依然高水準にあると言えます。また、近年では、無差別殺傷事件などの凶悪重大事件が相次いで発生したほか、食品偽装などの消費者を不安に陥れる事件、高齢者など社会的弱者をねらった振り込め詐欺事件などが頻発をしているところでございます。 さらに、昨年来、我が国経済も深刻な状況に陥り、雇用を取り巻く環境が急速に厳しくなるなど社会的な不安感が増大し、今後の犯罪の増加も懸念されるところです。このような状況にかんがみると、我が国の治安情勢の現状はなお予断を許さないものがあると考えております。
○松村龍二君 政府は治安回復に向け様々な取組を行っていると思いますが、凶悪重大事件や国民に身近な犯罪の発生が後を絶たず、国民の過半数が治安に対する不安を感じている現状では、治安回復はなお道半ばと言わざるを得ません。更なる治安対策を講じている中で、約三割の再犯者が約六割の犯罪を犯すと言われる現状にかんがみれば、治安回復を図る上で有効な再犯防止策を講じることが重要と考えます。 そこで、法務省におきます再犯防止に向けた取組について、法務大臣政務官にお伺いします。
○大臣政務官(早川忠孝君) 委員御指摘のとおり、真の意味で世界一安全な国日本を復活させるためには、再犯防止に向けた取組が極めて重要であります。 法務省は、これまで性犯罪者等に対する各種再犯防止プログラムの実施や総合的就労支援対策などの取組により再犯防止に努めてまいりました。さらに、平成二十一年度からは高齢や障害の問題を抱える刑務所出所者等への対策に取り組むこととしております。 再犯防止に向けた取組につきましては、法務省として、今後とも刑事、矯正、保護を通じて一貫した施策として実施することはもちろん、関係省庁だけでなく、必要に応じて地方自治体や民間団体とも強力な連携関係を構築していく必要があると考えております。 このような中で、本年一月、法務省内に再犯防止施策検討プロジェクトチームを立ち上げまして、私がその座長を務めさせていただいております。その目的は、効果的で具体的な再犯防止施策の策定であります。現在このチームにおきましては、第一に、就労先の確保の観点から農林業等の職業訓練の充実強化策、第二に、出所者の社会的受皿の積極的確保の観点から地方自治体や社会福祉法人、民間のNPO法人等との具体的連携策、第三に、自立更生促進センター構想についてセンターの開所後の運営方策等を検討をしております。検討事項には中期的な視点のものも含まれますけれども、その結果につきましては近日中に取りまとめて公表をする予定でございます。 今後とも、このプロジェクトチームの検討結果を踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと思います。 以上であります。
○松村龍二君 過般、法務委員会といたしまして、喜連川の社会復帰促進センターを視察してまいったところであります。そのときにも高齢者が多いという話を聞いたわけでございますが、現在我が国は高齢化が進んでおりますが、高齢者人口の増加の勢いを大きく上回る勢いで高齢犯罪者も増加している傾向が認められます。高齢受刑者が満期出所後、社会にほうり出され孤独のうちにまた罪を重ねるということも耳にするところであります。こういったことが繰り返されれば、我が国の治安の回復には程遠く、高齢犯罪者対策は治安回復を図る上で重要な意義を持つものと考えられます。 そこで、高齢犯罪者の再犯防止に向け、法務省はどのように取り組んでいるのか、法務当局にお伺いします。
○政府参考人(坂井文雄君) 御指摘のとおり、高齢者による犯罪が増加しておりまして、例えば犯罪白書におきましても、高齢犯罪者の特性といたしまして、親族などから疎遠となりまして、単身で経済的にも不安定な状態の者が多いというようなこと、それから高齢期特有の心身上の問題点や疾病等を抱えている場合が多いこと、こういったことが指摘されております。 このため、高齢の刑務所出所者のうち、特に就労が困難で身寄りのない者につきましては、生活に困窮して窃盗などの犯罪を繰り返すことがないように、社会福祉施設への入所など必要な福祉サービスに確実につなげていくことが重要であるというふうに考えております。 そのため、刑務所において社会福祉士などを活用した相談支援体制を整備しております。また、保護観察所においては保護観察官が刑務所や福祉関係機関との協働により自立方針を作成し、出所後の福祉サービスの確保に向けて刑務所入所中から計画的に調整を行う取組を厚生労働省と連携して行ってまいります。 また、刑務所出所後、直ちに福祉による支援を受けることが困難な者につきましては、更生保護施設での一時的な受入れを促進いたしまして、社会生活への適応に必要な指導、訓練を実施した上で福祉サービスに確実につなげていく仕組みを構築するなどして円滑な社会復帰に努めてまいりたいというふうに考えております。 以上です。
○松村龍二君 今この不況の進行とともに、仕事を与える、あるいは生活保護を与えるということについてはちょっと今までの基準と違うような判断が行われているわけでございまして、この出所者につきましてもそのような意気込みで取り組んでいただきたいというふうに思います。 法務大臣は所信の中で、地域社会や民間の方々とも強く連携を図ることの重要さを述べられ、刑務所PFI事業についても言及されておられます。現在の刑務所PFI事業の取組と、PFI手法を活用して刑事収容施設を運営することの意義について法務当局の見解をお伺いします。
○政府参考人(尾崎道明君) 法務省では、過剰収容対策の一つといたしまして刑務所PFI事業を進めてまいりました。平成十九年度には最初のPFI刑務所である美祢社会復帰促進センターを皮切りに、委員御指摘の喜連川社会復帰促進センター、さらに播磨社会復帰促進センターの三つの刑務所が運営を開始しております。さらに、平成二十年十月には島根あさひ社会復帰促進センターも予定どおり開所をしたところでございます。いずれの施設につきましても受刑者の収容を開始してまだ日が浅いところではありますけれども、官民協働体制の下で、これまでのところ逃走等の重大な事故もなく、おおむね順調に運営を行っております。 PFI手法の活用に当たりましては、官民協働、地域との共生により国民に理解され、支えられる刑務所の実現を目指しております。具体的には、民間事業者のノウハウを活用するとともに、地域からの様々な協力をいただきながら、受刑者に対する矯正指導や職業訓練を実施し、再犯防止に資する刑務所運営を行っていく方針でありまして、これらの矯正処遇について、それぞれの施設の実情を踏まえて更に効果的な内容を検討するなど、一層充実した運営に向けて着実に進みつつあるものと考えております。
○松村龍二君 私どもも先般見せていただきまして、ある時間グループディスカッションを、作業中の人を引き抜いて十人以上でやっておりました。非常に目新しい感じがいたしたわけですが、やはり刑務所というのは上から下の秩序で組織が、規律で秩序が保たれていると。そのような、今度は刑務官から収容者に対してそのような上から下への規律の押し付けといいますか、そういうことがともすれば起こりがちであるというふうに思いますけれども、あのような形の、元小学館の方がアメリカへ行って、アメリカでそういう刑務所の状況等も視察して、そういうグループディスカッションの方法も研究し、そういうやり方、あるいは日本人に合った方法というのが直接入っていくということは画期的なことだなというふうに私、見させていただいたわけですが、いい意味でPFI手法が活用されることを望むところでございます。 ところで、保護司は我が国の更生保護制度の中核を担う方々であり、この間大いに改善を図っていただいたというふうに思う次第でありますけれども、社会内処遇の効果的な実施を図る上でも、保護司候補者を確保したり、保護司活動を支援するなどして保護司制度の充実を図ることが重要と考えますが、法務大臣の所見をお伺いします。
○国務大臣(森英介君) おっしゃるとおりだと思います。我が国の更生保護は、全国約四万九千人の保護司お一人お一人が保護観察対象者の改善更生のみならず、地域における犯罪予防活動に献身的に御努力くださっていることにより支えられております。 法務省としましては、幅広い人材から保護司の候補者を得るための保護司候補者検討協議会の拡大、保護司活動等の拠点となる更生保護活動サポートセンターの増設を図るため、所要の経費を平成二十一年度予算案に計上したところであります。さらに、保護司の方々に対しては職務上必要な情報を十分に提供するほか、地方、中央の各レベルにおいて保護司組織との協議を積み重ねるなど、緊密な連携を図っております。 今後とも、保護司の皆様方の活動を支援し、その御労苦に少しでも報いる観点から、保護司候補者の確保や活動しやすい環境の整備について、その必要性を十分に検討してまいります。
○松村龍二君 この国会で先般所信のごあいさつがありましたときに、入管法の改正についてこの国会で法改正を審議してもらうというようなお話がありました。入管関係についてお伺いいたします。 私は、地元は福井県で繊維産業が盛んなところでございますが、ここ十年来、二十年来、多くの外国人研修生・実習生が繊維産業を営む企業に研修、実習に来ております。私は、現場を見聞きした実感として、この外国人研修生・実習生の、初期は研修という色彩が強かったと思うんですが、時間がたつにつれて、実際には研修というよりもお金を稼ぐ目的で単純労働者として働き、本来の外国人研修・実習制度の目的と大きな隔たりが生じてきているのではないかという思いを抱いております。 外国人研修生・実習生を受ける日本人の企業の多くは、技術の伝承もさることながら、研修生、実習生がせっかく外国から来たのだから、単に技術の伝承だけでなくて、日本語や日本の風俗、習慣、日本の労働慣行などといったものも含めて伝えたいというような気持ちをお持ちであります。 ところが、ある会社の社長は、三年たった後に研修生が自分の会社を去る直前に、超過勤務手当をもらっていない、したがって払ってくれと、こういうふうなことがNGOの組織の方と関係して要求されたと。その方からすれば、社長からすれば、やっぱり日本の物つくりというのは、職場の環境を清潔にして整理整頓して、次の日、新たな気持ちで仕事に取りかかれるようにすると。それが完成品も大切にし、物を大切にし、機械も大切にすると。そういう物つくりの思想を教えるというつもりで、毎日三十分前に会社に来て掃除をしなさいと、職場の掃除をしなさい、こう言ったところ、これがNGOが参りまして、時間外か何か知りませんが、外国人を呼び出して何か不満はないか、ちゃんと時間外手当をしっかりもらっているかと、こういうふうなことで、そういうことを言ったことが結果になっていると。 あるいは、本人が来たときに、県庁所在地を教えてやる、あるいは県内の有名な景勝地も見せてやるというふうなことが全体の仕事をやる上でプラスになるだろうということで、自分の日曜日をつぶしてサービス、これ努めた。ところが、労働者からすれば、一分幾らで金になるというもう頭からの計算で、そういう親切心で景勝地へ連れていかれたことも、これは命令によらないで時間外勤務をされたと、こういうような感覚になりがちであると、こういうことでございます。 それから、この度の法改正がこういう研修生に対して労働法を早くから適用すると、こういうふうな内容があるようでありますけれども、そのことと関連いたしまして、外国人実習生が来ますと厚生年金を納めさせられるわけですね。ところが、この人は三年で帰るわけですから、厚生年金を受けるわけがないわけですよ、本人がね。ところが、払わされる。そして、余りに不合理だということで、帰国するときに外国人については年金は返してもらえると。ところが、企業には返してもらえないというと、これも大企業なら構わぬのでしょうけれども、もう中小企業からすれば、何で厚生年金あるいは失業保険、こういうものが自分たちも払わされて、こっちには返してこっちには返されないというような問題が生じるわけです。 したがって、これも入管と労働基準監督署の頭からすれば、こういう外国人を雇う企業が払うべきものを払っていない、労働慣行を無視すると。日本の労働法の基準からして、こういう制度は労働法の違反を助長していると、こういうふうなことになって今回の法律も改正されたんじゃないかなというふうに私想像するわけですけれども。 元々これは、研修制度と単純労働というのはそもそも水と油のような要素があって、法務省としてもこれは単純労働だというふうに決めてくれれば対応が矛盾なくできるんでしょうけれども、一方、国民からは単純労働は受け入れてはいかぬと。しかも、研修生は五年以上滞在するということになると、家庭を持って住み着いてしまうと。このことがドイツのような外国人労働者と国民とのいろいろな摩擦を起こすと。こういう制度からやむなく考えたものというふうに想像はいたしますけれども、しかし、この度の法改正では、外国人研修・実習制度の見直しを行うということであるならば、こういった制度運用の実態を踏まえ、より良い制度となるよう努めなくてはならないと考えます。 そこで、法務省はどのような法改正をどのような哲学において行おうと考えているのか、基本的な考え方を法務大臣に伺います。
○国務大臣(森英介君) 研修・技能実習制度は、我が国で習得した技術等を出身国において生かすことで、出身国の経済発展や技術の進歩に寄与するという制度であります。研修・技能実習の中には、受入れ機関及び研修生、技能実習生が制度の趣旨を正しく理解し、適正に実施されているものもある一方で、残念ながら受入れ機関が研修・技能実習制度の趣旨を十分に理解せず、実質的に低賃金労働者として利用するものがあり、また外国人本人も、委員御指摘のとおり、単純労働目的で来日している場合が少なからずあるように見受けられます。その結果、賃金不払や人権侵害などの不適正な受入れ事例が生じております。 このような現状に対して、外国人研修・技能実習制度の目的の見直しや単純労働者の受入れの可否の問題を含めた抜本的な検討を行うべきであるとの御意見があることは承知しております。しかし、この問題は我が国への外国人労働者受入れの在り方、ひいては将来の我が国社会の在り方とも密接に関連するものであり、十分な議論と国民的合意が必要であると考えられるところ、現段階においては一定の方向に意見が集約している状況にはないというふうに受け止めております。 したがいまして、この点については今後更に議論を深めていきたいと考えていますが、一方で、研修生、技能実習生が被害者となるような事例が増加していることも事実でありますので、今回の改正では、実務研修中の研修生に対する労働関係法令の適用など、研修生、技能実習生の保護の強化の観点から、喫緊の課題に対処するための一定の見直しを行いたいと考えております。
○松村龍二君 私は、この法案がスタートするに当たりまして、そういうふうな非常に深い問題が内在しているということをよく関係者は改めて認識してやっていただきたいと。 この研修制度も、初期のころは、さっき申しましたけれども、研修をするということで中国に織機の技術を教えて、その次に中国人が工場を造ったときに、その人たちがリーダーになって中国の国内で繊維産業が発展していくというようなことがねらいであったと思いますけれども、先ほど申しました私が地元から聞いた方の話によれば、もう今ごろ研修のために来ているという人は一人もいないと。それが証拠に、国に帰ってからもう繊維産業なんかに携わっていないというふうなことも申しておりましたし、国情が違うということから、善しあしは私ども言えないわけですけれども、中国人がいかにお金を、収入をその間に確保するということが目的で一生懸命やっているということの違いが出ているというふうに思うわけですけれども、よろしくお願いします。 最後の質問ですが、政府は二〇一〇年までに訪日外国人旅行者の一千万人突破を目標に掲げ、観光立国政策を推し進めているものと承知しており、入管当局も審査の効率化、迅速化に努めているようであります。しかし、他方では、不法に入国し在留する外国人については厳正に対処しなければならず、入管当局では平成十六年からの五年間、不法滞在者半減計画に取り組んできたものと承知しておりますが、その計画の実施結果と、今後の不法滞在者の更なる削減に向けた取組について法務副大臣にお伺いしますが。 その前にもう少し申し上げますと、この半減計画を立てまして、私も治安機関に昔勤めていたことがあるものですから、数字の目標を立てますと、つい無理無理と、血も涙もないというふうなことで進められることが多いわけですけれども、先ほどちょっと御質問ありましたけれども、私は、よくこの間は非常にスマートに半減を達成されたなというふうに思いますので、せっかく御苦労された方にはお褒めの言葉をやっぱりするものも必要かなというふうに思いますので、一言申し上げる次第でございます。 法務副大臣にお伺いします。
○副大臣(佐藤剛男君) ただいま松村先生から御指摘がありました。また、本件につきましては今野先生から先に指摘があったところでございます。 お尋ねの不法滞在者五年半減、削減計画でございますが、これは非常にうまくいっているということで申し上げることができると思います。これも厳格な上陸審査を実施いたしまして、それからまた警察関係等の協力を得まして不法滞在者の摘発を強力に推進した結果、十六年の一月には約二十二万人だったんです。二十二万人でありましたが、この不法残留者が本年の一月現在で約十一万三千人となりました。ちょうど半分というわけにはいかなかったんですが、ちょっと残念だったんですけれども、四八・五%まで減少させることができたとは思われます。私としましては、この半減計画の取組によりまして国民が安心して暮らせる社会の実現に貢献するということができたのではないかなと思っているところでございます。 今後の御指摘でございますが、不法滞在者五年半減計画が終了しましたわけでございますが、依然として不法残留・滞在者、約十一万三千人おりますので、今後も引き続き個人識別情報、バイオメトリックスですが、これを活用するなど、厳格な上陸審査を行いまして、関係機関との連携を強化いたしまして摘発を強力に推進すると。それとともに、正規の滞在者を装って不法就労している者、あるいは与えられた在留資格では認められない不法就労、労働を行っている者、これらの者を確実に取り締まることといたしまして、不法滞在者、不法就労者等の削減を図ってまいる所存でございます。 以上でございます。
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
○丸山和也君 丸山でございます。 今日は、出入国管理に絡む問題と、それから刑事裁判の検察の求刑の問題、それから死刑の問題と、時間限られておりますので、この三点に絞ってお聞きしたいと思っています。 まず、出入国管理に関する質問ですけれども、これは非常に大局的なあれなんで大臣にお聞きしたいと思うんですが、日本の国は、日本の国家の政策として、いわゆる移民政策というものについて基本的に考えが確立しているのか、そういうのは特にないのか、あるいは現在検討しているのか、ここら辺をお聞きしたいと思うんです。 というのも、やはり、割合日本というのは、入管行政は非常に大事だということで力を入れたり取締りとかいろいろやって、先ほど、不法残留者の半減も成果を上げたりいろいろしているんですけれども、難民認定とかは非常に厳しいところもあったり、決して開かれた、外国人を多く受け入れようという全般的なあれはないように思うし、かといって観光立国だ、一千万人だというところもあって、ここら辺の国家としての大局的な、長期的視野で日本の国がこれから、二〇五〇年にはどれくらいになりますか、恐らく一億は切っておるでしょう。こういう中で、近いうちに人口が半減するとも言われています、まあ数十年の単位ですけれども。そういう中で、やはり日本は資源がない国でもありますし、農業、林業、漁業、こういう人手が本当にないという状況もありますし、一方、また超スピードで、世界の最先端で高齢化が進んでおります。 こういう中で、非常に難しい問題ですけれども、外国人をぽつぽつと研修生で入れるとか、ちょこちょこちょこちょこ継ぎはぎするというんじゃなくて、基本的な国家の視点として移民政策というものについてどのように向き合おうとしているのか、向き合っているのか、ここら辺を少しお聞きしたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 移民政策というのか、外国人の受入れというのはまさに国論を分ける問題だと思います。これからの日本の国の形というか国の在り方を左右する問題でございまして、これから大きな議論をしていかなきゃならないんじゃないかというふうに私は思っております。 〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕 人口減少時代を迎えた我が国においては、この外国人の受入れ、とりわけ移民の受入れという問題は、やっぱり社会に大きな影響を及ぼすというふうに思います。この問題は、国内の治安に与える影響、国内労働市場に与える影響、産業の発展、構造転換に与える影響、また社会保障に与える影響、様々な観点からの慎重な検討が必要であると思っておりまして、そうした検討を経まして国民的なコンセンサスを形成する必要があると思います。 法務省としましては、諸外国の例をも踏まえつつ、関係省庁とも連携して、広範な視点から検討してまいりたいと思っておるところでございます。
○丸山和也君 つまり、何も答えていただいていないということに、もう決め付けはしませんけれども、取りようによっては、各歴代大臣がこういう答えをしておられるものですから、一体どうなっているんだろうなということで改めて私、森法務大臣にお聞きしたわけですけれども、残念ながら、これから閣議の、世論を見ながら考えますということで、これでは基本的に政策はいつまでたってもできないんですよね。 それで、やはり私、人口減少は、それは少子化対策いろいろやっていますけど、なかなかこれ食い止められないと思うんですね。そうなると、ある程度、例えば日本の中長期的な人口として、例えば八千万なら八千万ぐらいの人口の国家を目指すのを前提にして考えていくのかと、やっぱりそこら辺で外国人とのどういうふうに、付き合い方、受入れをも含めて、国家の在り方も福祉も教育もすべてを含めて考えていかないと、その中でやっぱり、入管行政といいますけど単に入管じゃないと思うんですけど、外国人との共存行政ですよね、これをやっぱりかなり真剣にやらないといけないというふうに私は思いまして、そういう意味では法務省の役割というのはすごく大きいと思うんですよ。ところが、案外、法務省というのは遠慮しているのか、取締りの方は力入れて非常に立派なんですけれども、前向きの、未来の国づくりの中で法務省がすごく重要な位置にあるという認識を、謙遜されているというか自覚がないのかも分かりませんけれども、何か非常に残念なんですよね。 ですから、やはりここら辺を是非、森法務大臣に、これからの意見もという意味で、要するに、そういう意見を積極的に今から沸き起こすような形で統合してまとめていって、結論はなかなか難しいと思うんですよ、幾つかの意見を出していくような。例えば、全然違いますけれども、皇室の皇位承継に関しても、男子がない場合はどうするのかというような、数年前に随分議論がありましたよ、有識者会議でもいろいろな意見が出ましたように。 こういう非常に大きな問題について法務省が、大臣が中心になって日本の政策として検討していただきたいと思いますので、今日はもう回答が無理だと思っていましたので答えは即求めませんけど、是非ともお願いしたいと思います。 それから、今、松村先生とかそのほかの方からも出ましたけど、不法入国あるいは滞在者の扱いの問題ですね、これは各論の問題でありますけれども。 私は、今般、フィリピン人の、これだれですかね、カルデロン・アラン・クルズさんという三十六歳と、それから奥さん、それから子供さんの問題なんですけれども、これ非常にある意味じゃ、何年かごとにというか起こってくる、こういう事例を見るんですけど、非常にいろんな角度から考えさせられるんですね、こういう問題が起こると。 日本の国は本当に、例えば外国人に対して温かい国なのかなというような素朴なところもあるし、それから、日本に不法滞在をしていると結局はそのままおれる国になるのかなと思ってみたり、あるいは、本当の教育というのは、法の厳しさをやっぱりぴしっと当人に分からせるということが本当の教育になるのかなと思ったり、いろんな角度から複雑な思いで勉強させていただいているんですけど。 私、たまたまこれ、正しいかどうか、報道によりますと、ノリコさんという、これは娘さんですよね、娘さんが、これ涙が出たんですけど、私、両親がこれまでやってくれていたことをこれからは自分がやらなければならない、もっとしっかりしなければと思っていますと。僕はこれ聞いたとき、結構人情家のところがあるんですけど、ぽろっと来ましたね、やっぱりね。もう国がどうであれ、国の政策がどうであれ、やっぱりこういう環境の中に、真っただ中にいるのは自分なんだと。そして、親は法を犯してまで日本に来て、逮捕されてこういう境遇に遭っていると。お願いをしてもやっぱり法は法なんだというところも理解しながら、しかし日本が特別、自分に対して在留許可を出してくれた、これについては自分がしっかりしてこたえて日本で生きていこうと、こういう決意がけなげに出ているんですよね。 だから、ある意味じゃ、個人的に見れば非常にいい、すばらしい人間にこのお嬢さんはなる可能性が僕は十分あると思うんですよ。両親の下、経済的苦労もしないでもうのんびり暮らしていて、もういいかげんな、まあ私も含めてかもしれませんけれども、そういう子供が多い日本の子供と比べると何と立派な子かなというふうに思ったりしたんですよね。 ですから、私はだから、決して今回取られた法務当局の処置が間違っているとは思いません。非常に一つこれはやっぱり厳正な処置であったし、ここまでに来るまでに一か月置きの延長をしたり、それから、三人の強制送還じゃなくて子供については滞在を認めるという、非常にもうある意味じゃ温情的な判断がなされたと思っているので、結果は私はこれで、まあそれはやむを得なかったんじゃないかと、あるいは温情的なあれが出ているんじゃないかと私は思って是としております。 ただ、もちろん事案は個々に判断しなきゃならないんですけれども、こういうのはやっぱりぽつぽつ出てくると思うんですね。すると、必ず比較がされるんですね。ここが難しいんですよ。個別の事案にといっても、やっぱり個別の事案といっても、だから涙もろくぽろっとさせたら滞在が取れるのかとか、それからマスコミがわっと騒いだら法務大臣がまあ仕方ないなと、出すのかなと、これはやっぱり人情ですよ、そういうふうになってくるんですよね。 ここら辺が、個別事案ごとに判断するという原則を貫きながらも、やはりこういう事案について、先ほど松岡先生ですかね、だれかおっしゃっていましたように、やはり一つの基準をつくっていく努力はする必要があると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、私も人間でありますので、今回の判断を下すまでに正直随分と思い悩みました。ただ、今、丸山委員からもぎりぎりのところで是とするということを伺って、大変、何というか、多少ほっとしているところでございますけれども。 先ほど申し上げましたけれども、私も当初何とかもうちょっとすっきりした基準ができないのかということを随分といろいろ識者にも相談して考えたわけでございますけれども、これがやっぱりなかなか、勘案すべきファクターはいろいろとございますので案外難しくて、やっぱりなかなか現時点ではすっきりしたクライテリアみたいなものができないんですね。 そういうことで、やっぱりこれからも私の後に続く法務大臣が同じ思い悩みをするんだと思いますけれども、やっぱり法務大臣の裁量でやるということがむしろいいのかなと。もちろん、暗黙のいろいろなあれがありますよね、可塑性の問題とかいろいろありますけれども、だけれども、やっぱり最終的にはこれは法務大臣の裁量というのがむしろ適当なんじゃないかというのが今時点での私の思いであります。 更に加えて言うと、ノリコちゃんというあの女の子がいろいろ、私も一方の当事者でありますので、自分もそうしておきながら大変申し訳ないと思いますけれども、いろんなこういった大変渦の中に巻き込まれて、何とかこれから穏やかな幸せな生活を送っていただけるように願ってやみません。
○丸山和也君 ありがとうございます。 基本的に私も門戸は広く、しかし違反には厳格にということがやっぱり大事だと思いますので、このノリコちゃんもやっぱり親がこうやって違法なことをしてやってきたんだと、そのおかげで、家族は、両親は頑張ってくれたけれども、やっぱりその因果といいますか、その影響は自分も受けているんだということを、これはもう事実ですから、そういうことを学んだ上で私は頑張らなきゃという、これはやっぱりある意味ですごくいい教育になっていると思うんですね。そういう意味では、その中ににじみ出る温情もありますから、私はそういう意味でよく最後の裁量的判断をしていただいたなと逆に思っておる次第でございます。 〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕 それから、これに関して一件お聞きしたいのは、不法入国あるいは不法滞在している人の五割は韓国、中国、フィリピンですよね、ほとんどが。それを合わせると約五割ぐらいになると思うんですよ、人数的に。すると、政府として例えば、もちろん国内でそういう取り締まったり摘発したりして帰ってもらう、減らすという、結構なんですけれども、そういう中国とか韓国、フィリピン政府あるいは当局に対して何かこういう、不法滞在してもらっては困るんだというようなこと、当然なんですけれども、そういうアピールというか交渉といいますか、政府間で何か努力はされておるんでしょうか。
○政府参考人(西川克行君) 先生おっしゃられたとおり、現在、不法残留者の数としては、韓国、中国、フィリピン、タイと、我が国と関係の深い国が多いということになっております。 これは、外務省とも協力いたしまして、適宜といいますか、年に何回か領事協議みたいな機会を持ちまして、こういうところを傷つければこの不法滞在という問題はお互いの国の友好それから交流の発展を阻害する要因ということになるものですから、ということで働きかけをしていただくということはやっております。 それから、一番多いのはやはり短期滞在で入ってきてそのまま不法残留に至るということでございますが、例えば適宜ビザ等をある程度限定させていただくとか、そのような措置も協力しながらやらせていただいているというところでございます。 以上でございます。
○丸山和也君 分かりました。 それと、若干ちょっとみみっちい話かも分からないんですけれども、そういう警察なり摘発されたり、その後裁判を受けたり、いろんな行政手続、司法手続及び、日本国内でですよ、そういう方が増えるに従って当然行政コスト、司法コストが日本国内で掛かっているわけですよね。弁護士だって国選弁護でやるのもありますし、いろいろそういう掛かったコストを、例えば中国なら中国、韓国なら韓国、タイならタイに求めるという、払ってくれと、おまえさんの国の人のおかげで我々はこれだけコストが掛かったんだよ、その分を、返してくれと言ったらおかしいけど、どういう名目かは別にして、負担してくれとか、こういう要求はできないものなのでしょうか。
○政府参考人(西川克行君) 現在まで、国に対して要求するということはいたしておりません。ただ、行政コストの問題で、今、法律の原則は、送還については、送還費用は我が国が国費で送還すると、これが原則になっております。 ただ、実際は、できるだけ説得する等して自費で本人の負担において出ていただく、そういう工夫はしているというところでございますが、なかなか国同士請求するというところまではまだ話が行っていないという状況でございます。
○丸山和也君 だんだん減ってきていますからいいんですけれども、どんどんどんどん増えてきたらやっぱりそういうことももしかすると考慮しなきゃならないかなと思ったり、私、ちらっとしたものですから、少し念頭に置いていただきたいと思います。 それから、時間の関係で、じゃ次の問題に行かせてもらいます。 最近、刑事裁判見ていますと、いわゆる殺人事件なんです、強盗殺人とか、結果的には殺人の絡む事件なんですけれども、これで検察官の求刑で死刑というのが結構増えているんですね。それで、被害者が一人の場合のことを言っているんですが、被害者が一人の場合で初犯で死刑の求刑というのがやや増えてきているように私は思うんです。それで、割かしマスコミで取り上げた事件ではそういう傾向も強いのかなという気がしていますけれども。 それで、それに関して、検察官の求刑について直接法務省の問題じゃないかもしれませんけどお聞きしたいんですけれども、いわゆる最高裁判決で、大分前ですけれども、永山事件で死刑の求刑基準というのを出して、かなりこれがある意味では現在まで明確には変更されていないんじゃないかと思うんですけれども、そういうのがあって支配していたと思うんですけど、それについては、かなり検察官レベルでは、これはひどいじゃないかと、あるいは計画性が余りなくても、まあ逆に計画性がなく簡単に人が殺せるというほど怖いものはないものですから、いろいろ全体的な、遺体の損壊の手法なども含めたりして、全体的にとらえてやはり非常に残虐だとか悪質だという場合は死刑を求刑している例が非常に多いように思うんですね。 例えば、この前ありました江東区のマンションで、隣人ですか、の女性を連れ込んで、殺してばらばらにしてトイレに流したとか、一部ですね、そういう。これは、検事は死刑を求刑したんですけれども、裁判所は無期懲役にしました。 それから、もう一つ。これ十八日に判決がある予定なんですけれども、いわゆる三人のやみサイト事件で、やみサイトで三人が集まって、これはかわいそうなんですね、当時三十一歳の女性、母子家庭、母親一人、子供一人の生活をしていたらしいんですけれども、帰りがけにこの女性を三人でつかまえて殺したと。これも検事の方は死刑を求刑しているんですけれども、判決はどうなるか分かりません。それともう一点私が直近ので気が付いたのは、群馬の質屋の女性、七十四歳が強盗殺人罪で殺されまして、これは検察官は無期懲役を求刑しているんですよね。 ですから、まさに事件はそれぞれ千差万別ですから、また担当検事の判断もありますから、それは無期であったり死刑であったりいいと思うんですけれども、やや永山判断基準に拘束されたせいかもしれませんけれども、あるいは最近増えてきたのは、そういう世論が非常に死刑を求める意見が一部強くなったせいかも分かりませんけれども、死刑の求刑が増えてきつつあるように思うんですけれども、これについては何か、気合入れて死刑を求刑しろとかそういうハッパでも掛けられておるのか。あるいは、まあそういうことはないと思うんですけれども、何か、そういうことを意識を法務省で、余りにも今までの求刑基準はちょっと甘過ぎるんじゃないかというような批判、検討、反省があってこういう傾向が出ているんでしょうか。それとも偶然の結果なんでしょうか。
○委員長(澤雄二君) どなたか。森法務大臣。
○国務大臣(森英介君) まさに検察は、再三申し上げますように法と証拠にのっとって適正に対処しているものと思います。 したがって、そんなことが念頭にあるとは思いませんが、検察官が今殺人事件の求刑を行うに当たっては、具体的な事案における犯行動機や犯行態様、結果の重大性や遺族の処罰感情、被告人の前科前歴、その他の量刑に影響を及ぼす各種の事情を総合的に考慮して、法定刑の範囲内でどの程度の量刑を求めることが相当と考えられるかを個別に検討して求刑を行っているものと承知しております。 したがいまして、一般論として申し上げれば、検察官が具体的事案の求刑を検討するに当たって被害者の数は様々な考慮要素の一つとはなり得るものの、当該事案におけるその他の個別の事情を総合的に考慮して求刑を行っているものだろうというふうに理解しております。
○丸山和也君 もう二十五年ぐらい前、二十年ぐらいになりますかね、四国の修学旅行生が中国で列車事故に遭いましてたくさんの方が亡くなったんですね。そのときの最初の提示が恐らく一人頭二十万ぐらいだったと思うんですよね。これでもよく出している方なんだというふうに言われました。 私もそれより更に前に中国に旅行して、中国の結構内陸部を飛行機で飛んだんですけれども、飛行機の下にやっぱり鶏とか家畜をいっぱい積んでいるんですよね。飛行機が飛び立つともう家畜がばあっと鳴いたり鳥がばたばたばたっと飛び立ったり、シートベルトもバックルがなくてひもで結んだりしていて乗っていたんですけれどもね。あのころ言われたのは、いや、飛行機は危ないんじゃないか、いや、飛行機が落ちて一番やっぱり心配、損害が発生するのは家畜なんだって言うんだね。人間の場合はそんなに被害弁償しなくていいんだって言うんですね。それを聞いて、まあうそか本当か、あきれたというかびっくりしたことがあったんですけれども。 やはり、それだけ中国は人口が多いからかもしれませんけれども、やはりこれだけ日本のように少子高齢化になってきて子供の数が少なくなってくると、やっぱりこう言っちゃ、財産的に評価はできないんですけれども、非常に、この例なんかお母さん一人、娘さん一人ですよ。これを一人で育ててきてやっと成人に達して、母親思いの子がね。これが全く非の打ちどころもなく、自分に落ち度なく殺されてしまったようなことについて、いややっぱり、それは比較はできないんですけれども、七人も八人も十人も子供がいたような戦前のような時代とちょっと違うと思うんですね、これ。ですから、やっぱり命に対するそういう個人的な思いとか家族の思い、遺族の思い、それから社会の思いっていうのは非常に強くなっていると思うんですね、僕はね。だから、そういう意味では、いわゆる被害感情、それから被害の態様、被害者の数、いろんなことを考慮して総合的に判断するといいながらも、やはりその被害者の数ということについて余りかつてのような重きを置くべきでないと私は思っていますので、これは私の意見ですけれども、是非そういうことも念頭に置いていただきたいと思います。 それから、最後に一つ、いつも毎回のことで申し訳ないんですけれども、死刑の問題ですけれども、大臣は、今死刑判決が確定している人がまだ百名前後おられるんじゃないかと思うんですが、この執行についてはどのようにされるおつもりですか。
○国務大臣(森英介君) 原則として裁判所の判断が示されてから半年以内に死刑の執行を命令するというのが法務大臣の職責でございますので、よくよく、もちろん法務省の担当においてそのケースごとに精査した上、法務大臣としての職責を粛々と果たしてまいりたいと思っております。
○丸山和也君 その執行の点ですけれども、粛々とやっていただく、それは結構なんですけれども、前にも私、鳩山法務大臣にもお聞きしたんですけれども、平均七年半ぐらいですね、死刑判決が確定してから死刑を執行されるまで掛かっていると。中には早いのもぽつぽつ最近はあるようですけれども。そして、突然執行の当日、その日の朝七時ごろかに通知されて、二時間後ぐらいに執行されると。 これについて、私常々疑問を呈しておりまして、やはり執行される、例えば何日か何か月前、私は前三か月と言ったんですけれども、例えばそれくらいの期間の告知をする、そしてその間にいろんな最後の準備、物理的な準備もあるでしょうし、心の準備、関係者等の準備、それから本当の意味での執行を受ける心の準備というか、そういうことをすることの方が、最後の国家が命を絶つに当たっての人間的取扱いじゃないかというふうに私は個人的には思っておるんですね。 それで、国連の方からも、人権委員会の方からもそういう同種の意見が出ていますけれども、日本の方は早く知らせるとかえって動揺すると、だからいきなりその日の方がいいんだという御見解のようなんですけれども、これもまあ、そういう面もそれは一理はあると思うんですが、やっぱり死刑はもう宣告されて分かっているわけですから、それについていよいよの覚悟を決める時間を与えてやると。それが最後の人に対する敬意の払い方じゃないかなというふうに、私はどうしてもそれがするんですね。 だから、その三か月なら三か月の間で、例えば自分は、まあこれ願い出る場合はそういうふうに何月何日やってくださいというような、あるいは申告でもいいし、それをしない場合はもう最終日ということでもいいですけれども、そういう自己決定権というか、自己の尊厳を示す場を与えていただいたらと思って、鳩山法務大臣にも検討してくださいと言ったら、検討しますと言われたんですけれども、何か月か後に検討されていますかと言うたら、していませんと言われたものですから、特別には。是非、法務大臣にも検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。 これで最後にいたします。
○国務大臣(森英介君) 今委員からお話がありましたとおり、現在、死刑確定者本人に対する死刑執行の告知は執行の当日、執行に先立って行っております。 それよりもっと前に告知して心の準備をさせたらどうかというのは丸山委員の御持論で、一つの御見識かと思いますけれども、今委員からもお話がありましたように、当日より前に本人に告知した場合には、その心情の安定を害することが懸念されるとともに、かえって過大でかつ長期にわたる苦痛を与えることにもなりかねないと考えられることなどからそうしているものでございまして、せっかくのお申し越しでございますけれども、差し当たってこのような取扱いというのはやむを得ないというふうに考えておりまして、現時点で直ちに見直しをするということには考えておりません。
○丸山和也君 終わります。
○木庭健太郎君 まず最初に、京都家庭裁判所の元書記官の不正事件の件について何点かお伺いしておきたいと思います。 去年の年末、そして今年の一月に追起訴されましたが、京都家裁の書記官、これ裁判の手続とか仕組みとか判決とか、ある意味じゃ裁判所のそういう機能を悪用するだけして、まず振り込め詐欺に使われた、凍結された口座から四百万円ぐらい詐取したというのが最初の起訴でございましたが、その後は、例えば知人名義で差し押さえた供託金であってみたり、また成年後見制度を勧めておいて、その成年後見制度で申請してきた資産家の資産を横取りするというか持っていって、これも詐取する。計で六千五百万円。 手口もかなり詳細に分かってきておりますが、まず最高裁に事件の概要を簡単に御説明いただくとともに、裁判所の対応、最高裁の対応についてまず冒頭伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) まず、元京都家裁の書記官が今委員御指摘の有印公文書偽造、行使、詐欺というような罪で起訴されましたことは誠に遺憾でございまして、私ども深くおわび申し上げたいと存じます。 まず、事案の概要と裁判所の対応について申し上げますと、まず事件の発端は、今、埼玉の裁判所の方でこの事件、偽造の債務名義、要するに調書判決の正本があるということが判明したわけでございます。それで、その後の捜査でありまして、これが内部の犯行の疑いが強まりまして、十二月七日、京都家裁の書記官であった広田照彦という者が逮捕されまして、二十六日、さいたま地裁に起訴されました。 起訴事実は、大別しますと、一つには、内容が虚偽の就籍許可審判書きの謄本、これは戸籍がない人に新たに戸籍をつくるという手続がございますが、その就籍許可の審判書きを作成するなどしまして、内容が虚偽のものでございますね、馬場という名前の架空の人物を戸籍上まずつくり出したという事案がございます。そして二つ目に、この馬場という名前を使いまして、調書判決の正本、判決の正本などを偽造するなどしまして、振り込め詐欺の救済法によって凍結されておりました預金口座に対するこれは債権差押命令を得ましてその預金をだまし取ったということでまず起訴されたわけでございます。 この起訴を受けまして、京都家裁の職員が広田と接見いたしましたところ、広田がすべての起訴事実を認めたため、まず京都家裁は今年の一月八日、広田を懲戒免職といたしました。その後、一月二十九日、追起訴がございまして、その追起訴の事実は、今委員からも御紹介がございましたが、一つには、その調書判決を偽造した上で、第三者を介しまして、裁判所の不動産強制競売手続において、これは配当の剰余金というのが法務局に供託されていたわけでありますが、その配当金の供託金の還付請求権、これは取戻しでございますが、その請求権を差し押さえることによって多額の供託金をだまし取ったという事案。それからもう一つは、架空の債権があるかのように装って支払督促と、これは簡易裁判所で債務名義を得る特別の手続がございますが、この支払督促を得まして、これに基づき広田が、京都家裁の園部支部という支部がございますが、そこで担当していました保佐監督事件の被保佐人の預金を差し押さえて多額の預金をだまし取ったということでございます。 その後、馬場という名前を使いまして、やはり調書判決の正本を偽造するなどして、冒頭の、最初の起訴と同様のものでございますが、その振り込め詐欺救済法によって凍結されていた銀行の預金口座に対する債権差押命令を四つの地方裁判所に申し立てたという事案でございますが、この最後のものにつきましては、埼玉で偽造であるということが判明いたしておりましたため、裁判所で対応を取ったため、金銭的被害は生じてございません。このようなものが事案の概要でございます。 その対応をどうしたかということでございますが、これはもう委員今御指摘のように、これは裁判所の書記官が職務上得た担当事件に関する情報あるいはその裁判実務の知識、経験を悪用したものでございまして、これまで書記官の非違行為とか事務の誤りということはないわけじゃございませんでしたが、それと根本的に質が異なる極めて悪質な不祥事でございまして、裁判所といたしましても今回の件を組織全体として大変深刻に受け止めております。 それで、防止策としてまず取り急ぎ取りましたのは、凍結預金口座の差押え関係、あるいはその虚偽の就籍の許可の審判書に基づく就籍の届出という点でございますが、これは全国銀行協会やそれから法務省の協力を得まして、凍結預金口座の差押えあるいは就籍の届出につきましては逐一御連絡をいただいた上、確認して、偽造がないかというようなことを確認するということをいたしております。 それから、今お話がありました被保佐人の預金をだまし取ったという事件では、その差押え、執行差押えのその命令の申立書に記載の債務者の住所地と、それから差し押さえられる預金口座の口座の届出住所地が違っていたのでありますが、つながりありという認定をして差押命令が発令されたわけでございますが、このつながりの証明の運用を再検討しましてもっと厳格なものにするということを全国の裁判所に通達したわけでございます。 それから、裁判文書の偽造防止対策としては、判決正本等のその認証用紙がございますが、そこに偽造、変造が困難な特殊用紙を導入することなどを検討しているところでございます。 それから、これは倫理の問題でございますので、このようなことがないように研修あるいは人事管理上の措置なども講ずるなどの措置を講じておるところでございます。
○木庭健太郎君 御説明もいただき再発防止策についても幾つかの点を指摘されたわけですけれども、特にもう今お話しされた内容を聞いていると非常に専門的なお話が多いわけであって、つまり、そういう専門知識を最大限悪用していただいたと。 全く被害に遭ったのは善意の第三者ですからね、本当に。何にも瑕疵ないのに、突然お金が、例えば、この成年後見制度なんというのは裁判所から勧められてその保佐人はこういう制度もあるというので作られた。作られたその成年後見制度において預金口座を、三千万円を超えるお金ですよ、置いていた。ある日突然そこを見たら、預金口座の残高差押え、金額ゼロです。取り戻しようが今ないわけです。裁判の仕組みを悪用しながらそういうことをやってきた。 まさにその再発防止策をやっていただくこと、もうそれは大変大事なことですからきちっとやってもらいたいし、特にその中でも、再発防止策の中でもやっていただきたいのは、今回はその判決文ですよ。裁判にとって一番大事な判決文を偽造してそれを使ってやっているわけですから、たまりませんよ、これは、被害者は。そういう意味では、この判決についての作成、それをどう送達するか、受取をどう確認したか、これ一つやっておけば被害を防げたやつがあるわけですよ。そういった意味では、この手順の再検討というのをもちろんやっていただきたいし、これやっていただきたい。 その上で、もう一つ是非、この事件が起こした裁判所への不信感、これを払拭するためには、被害者をどう救済するかという問題についても、私は裁判所、検討しなければならないと思っていますし、さらに、裁判所、これ一点確認しておきますけれども、被害者に対してこれどれだけ御説明をして、また謝罪というのを直接この被害者の方々になされたのか、この点も併せて確認をさせていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 今申し上げました方策等を始め、もうこれはゆゆしき事態でございますので、私ども全力を挙げて再発防止、それから何よりも債務名義、判決を信ずるものがなくなったらもう何を信じていいかということになりますので、国民の皆様方の信頼の回復を得られるよう、最大の努力をしてまいりたいと思います。 それから、今、この被害者の方々でございますが、広田が追起訴をされた後の二月の中旬、京都家裁の幹部職員でございますが、一連の事件で預金等をだまし取られました三人の被害者の方々に対して、御自宅を訪問するなどして、その際に事案の概要、経過等を御説明を行い、また御質問にお答えしまして、それから深くおわびを申し上げた次第でございます。 今後、新しい事実が判明した場合には、その都度被害者の方に、もうこれはゆゆしき事態でございますし、信頼回復といいますか、できるだけの私どものこれからの取組の姿勢あるいはおわびというものを示して、丁寧に御説明してまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 その説明とともに、やはり私は、こういった事件は、もちろん本人が様々なことを悪用してやったわけですから、最大限本人に責任がある。しかし、それをやっぱり防ぎ得なかった裁判所の体制そのものがどうだったのか。その意味では、所長を始めとしてそれぞれの責任あると思いますよ。 この辺についてどんなふうに今後おやりになるのか、きちんと処分も含めて検討なさるのか、是非見守っておきたいと思いますし、これはきちんとやっていただきたいと思います。そしてさらに、やはり被害者に対してもどこまでおやりになったのかと、きちんと私は後追いするつもりでおりますから、最後まで責任を持ってやっていただきたいということを今日は申し上げておきたいと思います。 それでは、間もなく始まります裁判員制度の問題で、準備を進めてきて、いよいよ五月、これスタートするわけでございます。五百回以上の模擬裁判をしたり、ともかく裁判員にとって分かりやすい審理ということで、様々な取組もしていただいている。その尽力に敬意を表するとともに、やはり様々まだ残された課題も、先ほども御指摘がありましたが、様々な点もあると思うんですが、今日は、その中で一つ障害者の皆さん方の裁判員参加の問題について、いろんな方々がとにかくこの裁判員という制度には参加していくわけでございますけれども、やはり障害者の方々がこれに参加するにしてみても、なかなか障害を抱えるという、情報がある意味では健常者の方々と違ってきちんと受け取ることができないような面もありまして、そういったところにも是非配慮もしていただきたいと思いますし、実際、裁判員制度、その裁判において、その準備において、例えば視覚障害者、聴覚障害者に対して様々な取組をされていると思います。 まず一点目、伺いたいのは、私どもこれ二月に、裁判員制度だけじゃなくて、これから大切になっていくいわゆる視覚障害者の情報バリアフリー化の問題について、私どもの太田代表が政府に対して申入れも二月にしたばっかりなんですけれども、例えば情報バリアフリーをするためには、今定着してきているのは音声コードというようなものもございます。こんなものをどうやって活用していくかというような問題も大きな課題があると思うんですが、この裁判員制度におきまして、もう既に候補者名簿を基に調査票が送付をされておりますが、こういう調査票に対しても視覚障害者等に対してどのような配慮をなさったのか、この点について伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 昨年十一月に発送いたしました裁判員候補者名簿記載通知に同封したパンフレットに裁判員制度の概要等の音声情報を記録した、これ今委員がまさに御指摘になられましたけれども、音声コードという、これは専用の読み取り機械によって音声で情報を読み上げることのできる二次元記号というものでございます、を添付しております。また、この音声コードには、御質問や御相談がある場合の窓口として裁判員専用コールセンターの電話番号に関する音声情報も記録させていただいております。これにより候補者の方の御質問等にお答えするほか、裁判員等選任期日におきまして何らかの配慮が必要な方には、コールセンターを介しまして各地方裁判所へ連絡を取っていただくことができるようにさせていただいて、候補者の方の個別の御事情にきめ細やかに対応することとしております。 また、裁判員制度についてより詳しくお知りになりたい方のために、点字や音声コードを付した解説パンフレット、これも用意させていただいております。なお、具体的な事件が起こった際に、具体的な公判期日を前提とした裁判員候補者の皆さんの御都合を伺う質問票をお送りする際に同封するパンフレットにも音声コードを添付する予定でございます。
○木庭健太郎君 その音声コード入ったやつ、こういうやつで、音声コードはこんなに小さいんです。(資料提示)これに、でもこの情報は全部入っているんです。この小さなマークなんですけど、これですべて中身入っているというのが音声コードで、これについては本当に良かったと思いました。今後もいろんな意味で活用をしていただきたいと、こう感じております。 まあそれはそれでいいんですけど、これ配られて、今度は聴覚障害者の皆さんから、これをいただいた方からお話しいただいたのは、これいただいたと。でも、これ問い合わせしたりするときに、先ほど紹介あったとおり、そのコールセンターもつくりましたしね、今回は。ところが、これ何が記載されているかというと、電話番号が記載されているわけですね、ここに電話してくださればと。でも、聴覚障害者の皆さんにとってみると、電話してもしようがないんですよ。 逆に言えば、せっかく障害者の人に配慮するのであれば、聴覚障害者の皆さんにとってみれば何が大切かというと、それはメールアドレスであってみたり、若しくはファクスでどうするかというのが、これやってれば完璧だったんじゃないかなと思うんですが、その点に対する配慮を今後どのようになさろうとしているのか、お伺いしておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 今委員御指摘ございましたように、確かに視覚障害者の方には音声コードで御配慮させていただいたんですが、聴覚障害者の方は、たしかおそばにおられる方に代わって電話をいただいてということになってしまいました。そこで、今委員も御指摘ございました。 そこで、昨年のこれ十一月二十九日から今年の一月三十一日にかけて、名簿記載通知直後の裁判員候補者名簿に登録された方からの問い合わせや相談に対応するために専用のコールセンターを設置したところでございますけれども、なかなか障害を有する方につきましては個別の御事情に応じてどのような配慮が必要かというのは、それぞれ今御指摘のように異なるわけでございますね。そこで、コールセンターで一律に対応するよりも、もう各地方裁判所で個別的にきめ細やかに対応するのが望ましいというふうに考えられるところでございます。 そこで、今回ちょっとそこのファクス番号とかそういうのはお付けできなかったんですが、来年度の名簿記載通知には各地方裁判所のファクス番号を記載させていただいて、聴覚に障害のお持ちの方にも直接各裁判所にお問い合わせをいただいて、個別の事情に応じて対応するというようなことを予定しております。
○木庭健太郎君 もう一点、その裁判員制度の中で、模擬裁判なり裁判員制度を目指して何を今回いろんなものを行ったかという中で、一番反響を集めたのが実は、先ほどもその死刑の問題で話が出ましたビジュアル立証というやつですね。 検察側が、その犯行の残虐さを効果的に立証するという目的かどうか分かりませんが、その遺体そのものであってみたり、その遺体を損壊するような再現シーンであってみたり、そんなものを直接映し出すという手法。事前に説明を受けた遺族ですら、まあ新聞報道ですが、余りの衝撃に泣きながら退廷したというような話があってみたり、まあある意味ではこの立証はやり過ぎじゃないかというような話もあってみたり、そういう意味では様々の批判も集めたところでもございます。ただ、本当にこの裁判員にどう分かりやすくするかという問題では、この問題はある意味では避けて通れないものもあると思うのでございます。 その意味で、まず大臣にこの基本認識としてお伺いしておきたいんですけれども、検察庁は、今の考え方はとにかく目で見て分かる審理をということを目指すというようなことでやっていらっしゃいます。そういった意味で、検察庁を擁する法務省の長である法務大臣として、これら写真の証拠提示の在り方、この点についてどんなお考えを持っていらっしゃるか、お聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 凄惨な場面が写されている写真については、検察当局において、そもそも立証上の必要もないのに証拠調べ請求するようなことは避けるものと思っております。しかしながら、そのような写真を取り調べなければ犯行の状況等を立証できない場合には、必要な範囲で取調べ請求をすることになるものと考えられます。ただし、そのような場合であっても、検察においては裁判員への負担を考慮し、個別事件に応じて、例えばあらかじめ凄惨な写真が含まれていることを裁判員に告げた上で展示し、あるいは写真を回覧する方法で見ていただくことにするなど、様々な工夫、配慮を行っていくものと承知をしているところでございます。
○木庭健太郎君 その意味で、これ、最高検と日本法医学学会ですか、写真の代わりにイラストとかコンピューターグラフィックを活用するようなことも取り組んでいらっしゃったり、バーチャルな証拠だけでそれを判断できるのかなというような疑問もあるんですけれども、でもそういった問題も今取り組んでいらっしゃるという報道がございました。 じゃ、実際のそういう写真というような問題とこういったコンピューターグラフィック、イラストみたいなもの、どんなふうに、どういう状況のときに使い分けていかれるおつもりなのか。もちろんこういったものを使おうという発想はそれなりに大きな意味を持っていると思うんです。やはり直接物を見たときの裁判員の方たちがそれで心理的影響を受けてですよ、裁判に参加したために心の傷を負って、二度と立ち直れないような心の傷を負うようなことがあってはいけない、その辺の配慮からこういった問題にも取り組んでいらっしゃるとは思うんですが。 ともかく、こういったイラストやCG、こういうものを使った証拠の在り方の問題について、私はやっぱり一つの在り方としてこういったものも当然やっていかなければならないと思っておりますが、その辺含めて刑事局長から、この辺のことについて、今予算措置も含めてやっていらっしゃるでしょうから、含めて御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(大野恒太郎君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、どうしても事案によっては写真を取り調べなければ犯行の状況等を立証できないというような場合もございます。そうした場合には、先ほど答弁ありましたような配慮をして写真による立証を行うことになるというように考えております。 ただ一方で、イラストやコンピューターグラフィックを使うことによって、かえって、むしろそちらの方が写真よりも被害者の傷の状況等を理解するのに効果的であるというような場合も考えられるわけであります。そうした場合におきましては、これはもちろん事案に応じてということでありますけれども、写真に代えてイラストやコンピューターグラフィックを使いまして、傷の、創傷の部位の透視図や、あるいは立体画像を作成するということが現在検討されているところであります。 検察庁から大学等に対しまして鑑定資料の作成を依頼する場合には、検察庁において当然そのコンピューターグラフィックス等を用いる場合には、それに要する相応の経費を負担することになるというように承知しております。 今後とも、このコンピューターグラフィックス等の活用につきましては、予算措置も含めまして必要な検討をしてまいりたいというように考えております。
○木庭健太郎君 今もお話がありましたが、それとともに、さっきちょっと申し上げたことで、この問題は何かというと、やはり裁判員が精神的ショックを受けた場合のケアの問題をどう本当に取り組んでいくのかという問題にもつながっていくんだろうと思うんです。 最高裁は、これについて、精神的ショックを受けた裁判員の心のケア・プログラムとして、二十四時間体制の無料電話相談窓口を設けてみたり、必要があれば臨床心理士や医療機関を紹介してみたりとか、そんなことに取り組もう、一つのプログラムをつくっていこうというようなことをお考えのようですが、具体的にどう考えていらっしゃるのか。 こんなことで、これぐらいのもので心のケアが本当にできるのかなという随分危惧する声も多いものですから、大体どういったプログラムを含めてこの心のケアの問題に取り組もうとなさっているのか、お伺いしておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 裁判所といたしましても、裁判員を経験された方が万が一精神面でアフターケアが必要となられたような場合に備えまして、できる限りの施策を講じておきたいというふうに考えております。 具体的に申し上げますと、メンタルヘルス対策の専門知識を有する民間業者に委託をして、二十四時間体制、無料の電話による健康相談を実施して幅広く御相談をいただくことに加えまして、必要に応じまして臨床心理士などによる電話や面談でのカウンセリングを実施すると、こういったプログラムを予定しております。また、カウンセリング実施後も必要に応じて医療機関の紹介を行う予定でございます。 ただ、今申し上げました電話カウンセリングにつきましては回数無制限で無料、面談カウンセリングにつきましては一定回数まで無料と、こういった方向で現在のところ検討をしているところでございます。
○木庭健太郎君 そして、お聞きしますと、裁判員がもしその職務を原因として病院等でカウンセリングを受けた場合、非常勤の国家公務員として労災申請ができるというような仕組みになっているようでございますが、その一方で、この裁判員の職務が原因で症状が出たということはだれが立証するかというと申請者が立証する、つまり裁判員になった人が立証しなければならぬ。これは余り過重な負担になるんじゃないかなという気もしますし、企業説明会をやられたときに、報道を読みましたら、何かそういうことまで言われるんだったら、裁判員就任、そんな問題があれば辞退したいというようなことまで話が出たようなこともお伺いしているんですけれども。 その辺、つまり病院等でカウンセリングを受けた場合労災申請できるというその保障の在り方ですよね、この辺について裁判所、最高裁としてどうお考えか、お聞きしておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 労災の立証ということになりますと、どうしても立証する側にある程度の負担が掛からざるを得ないのかなというようなことは、そういうふうには考えております。 ただ、そういう場合に、辞退の申立てもしたいというような、説明会ではそういった御意見もございました。ですから、そういう場合には、いろいろとそういった候補者の方にもあらかじめそういうような御希望がございましたら、よく事情も伺って、精神的な負担が大変大きくて裁判員として裁判に参加すれば精神面に与える影響が大変大きいというような場合には、辞退も認められるケースもあろうかと思いますので、個別に応じた適切な判断をしてまいりたいと思っております。
○木庭健太郎君 最後に大臣に、こういった問題、つまり写真の問題、CGとかそういう問題も含めて、最初御答弁もいただきましたが、それが引き起こすいろんな問題、裁判に参加することによってやっぱり心の問題がいろいろ起きてくる危険性があるとするならば、裁判員制度が始まる前までに、そういったことがもし万が一起きたときには、こういった体制、こんなこともできますよという一つの環境整備というんですかね、それがまだちょっとやや欠けているようなところもあるような私は気がするんです。 やっぱり安心してこの裁判員制度に参加するということが一番国民にとっては基本となる部分ですし、是非とも大臣にはそういった環境整備、心のケアの問題もそうです、先ほど申し上げた写真の問題、どうイラストに代えるか、そんな問題もいろいろあります。ともかく参加へ障害がなるべくないようなこういう体制をつくるために、是非最高裁とも連携をしながら全力で取り組んでいただきたいと思うんですが、その辺を含めた環境整備についての大臣の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 木庭委員御指摘の写真の証拠調べの在り方や裁判員の心のケアの問題、いずれも裁判員裁判において極めて重要な課題であると認識をしております。最高裁判所や検察当局において、先ほどから御答弁申し上げているとおり、様々な工夫や配慮が行われているものと承知しております。 裁判員裁判は、広く国民が裁判の過程に参加することによって司法を国民により身近なものにするという大きな意義を有する制度でありますが、裁判員制度の実施まで残すところ二か月余りとなりましたが、法務省としても、最高裁判所等関係諸機関と連携して、国民の方々に不安なく参加していただけますよう、今後とも最大限の努力を払ってまいりたいと存じます。
○木庭健太郎君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 裁判員制度について、この国会で機会をつくってお伺いしていきたいと思っております。 まず最初に、大臣、所信表明で裁判員制度について、司法を国民により身近なものとするという大きな意義を有する制度だというふうに述べられましたけれども、新聞などの世論調査を見ますと、逆に参加したくない、できれば参加したくないと、こうした声が七割、八割を占めているわけです。こうした国民の声をどう考えておられるか、まずお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 今委員御指摘のその調査結果というのは、昨年一月から二月に実施されました最高裁判所による意識調査の結果に基づいたものだと思いますが、それは、辞退が認められている七十歳代以上を除いた二十歳代から六十歳代では、参加したいが四・八%、参加してもよいが一二・三%、余り参加したくないが義務であるなら参加せざるを得ない四七・八%、義務であっても参加したくないが三三・三%となっておりまして、恐らく、余り参加したくないが義務であるなら参加せざるを得ないという方を参加したくないという方に分類された計算結果だと思うんですけれども、いささか手前みそでございますけれども、余り参加したくないが義務であるなら参加せざるを得ないという方を参加してくださる方に入れますと約六五%の方が裁判員として裁判に参加するとの意向を示していただいているということでございまして、この結果によれば、裁判員制度に対する国民の制度に対する理解と関心は相当程度深まっており、裁判員になることへの不安をお持ちの方はなお少なくないものの、全体としての参加意向は制度を実施するために必要な水準に達してきているものと認識しております。 それでもなお、法務省においては、これまでも最高裁判所や関係省庁等と連携して、より多くの国民の方々に不安なく参加していただけるよう、裁判員制度の広報活動を積極的に実施してきたところですが、引き続き更に拍車を掛けて制度実施に向けて広報活動を行ってまいる決意でございます。
○仁比聡平君 大臣もいささか手前みそかと思いますがとおっしゃいましたけれども、私、見方が逆ではないかと思うんですよ。 私が冒頭、七、八割は参加したくないと言っているんじゃないかというふうに紹介したのは新聞などでの世論調査を踏まえて申し上げたつもりだったんですが、大臣の紹介された一年ほど前の最高裁の意識調査、数字としては大臣が御紹介されたところかと思いますけれども、今おっしゃられた七十代未満に限っても三五%、その調査の中で裁判員制度について認知度が高い、内容についてよく知っておられるという方々の調査もしておられますが、その高い方でも二六・七%、この方々は義務であっても参加したくないというふうにおっしゃっているんですよね。これがなぜなのかということを私は問題にすべきだと思っているんです。 周知が足りないからと、もっと知ってもらえればみんな参加したいというふうになるんだということではないということがここに示されているのではないかということなんですよね。 模擬裁判を取材したある新聞記者がこういう記事を書いています。裁判員の大半が、裁判の難しさや時間的拘束ではなく、責任の重さから本番ではやりたくないと感想を話した。審理を短縮して裁判員の負担を減らそうと法廷に出す証拠や争点を最小限に絞っており、裁判員からは、何が真実か判断材料が足りないと不満が噴出した。評議でも、証拠が少な過ぎる、法廷証言がもう少しあれば、供述調書だけ示されても口調など細部が分からず判断できないという声が出た。こうした記事にもなっているんですけれども。 最高裁にお尋ねをしたいんですが、先ほど来の意識調査で裁判員として参加する場合の心配及び支障、差し障りですね、これについての調査がありますけれども、これをどのように見ていらっしゃいますか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 最高裁が昨年実施しました意識調査ですと、制度参加への心配また支障としては、判決で被告人の運命が決まるため責任を重く感じる、これ七五・五%の方でした。それから、素人に裁判が行えるのか不安である、六四・四%。裁判官と対等な立場で意見を発表できる自信がない、五五・九%。仕事上の都合というものもございますけれども、そういった言ってみますと精神的な負担が重いという、そういう点が上位に挙げられているというところでございます。 裁判所としましては、これは重く受け止めて、国民の様々な疑問や不安に応じたきめ細かい情報を提供する広報活動を行ってこうした不安を軽減、解消するとともに、今後も刑事司法手続の適正な運用に努めてまいりたいと思っておりますが、一つだけちょっと申し上げたいのは、確かに意識調査で消極的な方が多うございます。ですから、そうすると参加したいという人が二割にも達していないんじゃないかという見方もあれば、義務であれば参加せざるを得ないといった、これはそういう方も足せば六割は参加意向があるというふうな受け止め方をしているんですが、こういう方々も裁判員裁判に参加するというのは非常に負担の重たいこと、そういうことはあるいは精神的負担も重たいし社会生活上も大きな犠牲があるということはよくお分かりの上で、なお義務であれば参加せざるを得ないというふうに言っていただいているというふうに思っていますので、それは有り難いことだというふうに思っております。
○仁比聡平君 今、小川局長から御紹介いただいたほかに、冷静に判断できる自信がないという、こうした回答もかなり上位に類するものとして挙がっていると思うんですね。先ほど御紹介した模擬裁判の裁判員役の声に沿うものだと思うんですけれども、これは裁判員制度が重大事件について事実認定のみならず死刑を含む量刑をも多数決で決する、その評決は市民裁判員だけではなくて裁判官三人を含む評議によるというふうな制度設計になっているところからそうした声が出ていると私思います。認知や周知が足りないからだという話ではないと思うんですよね。 私ども日本共産党は、五年前の法案審議の際に、例えば評議は全会一致にすべきではないかということを始めそうした点についても修正案を提起いたしましたが、当時入れられませんでした。裁判員の守秘義務、あるいは同時に行われた刑訴法の改正、これには反対をいたしましたけれども、これについても多くの問題を指摘してきたわけです。今、残念ながら、当時指摘した矛盾が噴き出していると言わざるを得ないのではないかと。この国民の皆さんの声を伺ってそのようにも感じますし、今からでも国民の声を受け止めた議論をこの国会で行っていくべきではないかと呼びかけたいと思います。 今日は大臣の基本認識をもう一点伺いたいんですけれども、それは、こうした声の根底にあるのは、冤罪を始めとした我が国の刑事司法の構造的な問題が正されないまま市民がそこに組み込まれるということ、市民が職業裁判官の付け足しやお客さんにされてしまうのではないかという不信や不安があるのではないでしょうか。 自白の偏重とその強要、その調書化というので密室での長時間の取調べ、身柄の拘束、そのような人質司法が指摘をされ、職業裁判官のみによる裁判が本来とは逆に有罪推定が働いているのではないかと指摘される構造的な問題の下で、数々の冤罪を始め重大な人権侵害が生み出されてきました。私も当委員会で、志布志や氷見事件、あるいは引野口事件はもちろんのこと、様々なこうした問題を取り上げてきましたけれども、国民世論は刑事司法の適正化を強く求めているわけです。にもかかわらず、その実現すらしていないのにそこに組み込まれてしまうとしたら、大きな不信や不安を感じるという思いが私は根底にあると思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(森英介君) 私は、我が国の現在の刑事裁判は基本的には適正に行われており、国民の信頼を得ているものと認識をしております。 また、裁判員制度は、刑事裁判に関する様々な御意見を伺いながら、関連する諸制度との関係も含め、十分な検討を経た上で立案され、制度化されたものというふうに受け止めております。 もっとも、裁判員として刑事裁判に参加することに今お話にあったように様々な不安をお持ちの国民の方も少なくないと思われることから、法曹三者においては、裁判員となる国民の方々に不安なく参加していただくためにも、迅速で分かりやすく、かつ適正な裁判が実現されるように努めているところと認識をしております。
○仁比聡平君 これまでの刑事裁判が基本的には適正に行われているという、その基本的にはという答弁は、この法案の議論の当時からよくしておられるわけですけれども、基本的にはとおっしゃりながら、これほど重大な冤罪事件が国民の前に明らかになりながら、例えば捜査過程の全面可視化の問題も、あるいは捜査側の手持ち証拠の全面開示の問題もなかなか実現をしていかないというところは、私は国民の皆さんよく見ておられると思うんですよね。この点は別の機会に時間をきちんとつくって大臣とも議論をしたいと思いますから、ここでとどめますけれども。 今日、特に確認をさせていただきたいのは、そうした状況の下で職業裁判官が裁判員に結論を押し付けるというようなことが絶対にあってはならないということです。裁判員が職業裁判官に対して独立して裁判に当たることができなければ、これは裁判員制度はその根幹を失うことになると思いますが、まず大臣の御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 裁判員制度においては、法律の専門家である裁判官と一般的な国民の感覚を有する裁判員とが十分に評議を行うことにより、双方の有する知識、経験を合議体全体で共有することが期待されておりまして、その過程を通じて適正な結論に到達することができると考えております。 このような趣旨からいたしますと、審理や評議の過程において裁判員が職業裁判官と意見が異なると考えたときにはその御意見を率直に述べていただくことが肝要であり、そのようにして述べられた御意見を踏まえて更に合議体として議論を尽くすことが期待されていると考えております。
○仁比聡平君 最高裁にも同じ問いなんですけれども、裁判員裁判に当たって、審理においても評議においても裁判員が職業裁判官の認識ややり方をただすというのはこれは当然だと思うのですが、どうでしょうか。 もう一点。同じことかもしれませんが、事実認定の判断力は専門家も素人も優劣はないというふうによく言われます。これはどういう意味だというふうにお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 裁判員裁判におきましては、委員御指摘のように、裁判官と裁判員、対等な立場でいろいろな疑問や意見を出し合った上で、被告人が有罪なのか、あるいは、有罪である場合にはどのような刑が相当なのかというようなことを判断するということでございます。 したがいまして、委員御指摘のように、評議等において裁判員から様々な意見が述べられて、その意見を受けて職業裁判官が考え直すということも当然あり得ることであろうと思っております。したがって、裁判所としても裁判員と十分に意見を交換し、まあ裁判所とというのか、裁判官同士もそうですし、裁判員同士もそうでしょうけれども、全体で十分に意見を交換して十分に耳を傾ける、お互いに意見を交換する必要があるというふうに思っております。 それから、事実認定につきましては法律の解釈、適用とはちょっと違いまして、こういう証拠に基づいてどういう事実が認められるか、あったのかなかったかという判断でございますので、これ自体は一般の方々がふだんの生活においても行っておられることでございますので、そこの点については、十分に事実認定については裁判員の方も御判断できるというふうに考えられているということでございます。
○仁比聡平君 今の後の方の点について、市民の持っている多様な社会的な経験やそれを踏まえての常識、これが裁判に反映されるようにというふうに、例えば最高裁もコマーシャルなどもされておられると思いますが、そういった理解でよろしいのか。 それから、先ほど御答弁の前者の方の答弁で、評議等でというふうにおっしゃいましたが、審理においても、これは例えば証人尋問の過程において裁判員が裁判長の指揮とはまた別の角度で質問をしたい、あるいはそういう機会は十分保障されるべきだと思いますが、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 今、二つ御指摘ございました。 最初の御指摘は委員御指摘のとおりだと思いますし、それから二番目の審理のところも、当然裁判員の方から必要な補充尋問ですか、そういうのもされるわけですし、それは当然委員の御指摘のとおりだと思います。
○仁比聡平君 ところが、裁判員の負担を軽減するということばかりが強調されて、審理期間の短縮が進められた模擬裁判において多くの矛盾が現れたというふうに指摘もされているわけです。 この点で、最高裁が原則三日で審理、評議を終えるというモデルを示したとよく言われるんですけれども、こうしたモデルを示したことがあるんですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 原則三日で審理を終えるべきだというモデルを示したことはございません。この原則三日とかいうことじゃなくて、七割は三日以内に終えられるのではないかという見込みを申し上げたことはございます。 これは、従前の裁判員裁判対象事件を今までの審理で実際どのぐらいの時間を掛けてやってきたのかを全部調べまして、それを足し合わせました。そして、しかも、裁判員裁判になりますと評議の時間ももちろん掛かりますし、それから、従前は確かに要旨の告知とかいうことですね、書面を、時間は短く証拠調べしたということもございますが、裁判員裁判になると全部公判中心、口頭主義ですので、証拠調べも時間が掛かりますし、朗読しますから、それから双方のプレゼンテーションも、検察官も弁護人も双方が冒頭陳述されるわけですから、そういう時間も掛かります。さらに、裁判員選任手続の時間も掛かりますので、それも全部足し合わせてみて、もちろん公判前整理で審理計画を立てますから、それで見ると、これまでの事件を全部その審理時間を合わせてみても、どうも七割は三日以内に終えられるという推計をしただけのことでございまして、三日で終えろとか終えるべきだとか、それは原則だとかいうようなことを示したということは全くございません。
○仁比聡平君 見込みを言わば推定しただけですというふうに今御答弁はあるわけです。これがまさか現場の裁判体あるいは職業裁判官にそうした審理ができなければならないというような運用がされては絶対にいけないと思うんですよね。うなずいていらっしゃいます。 元々、三日などと示すのがおかしいのではないかと私は感じているんですが、それぞれの事案に即して審理と評議を尽くすこと、それらを尽くすことによって真実の発見と無辜の不処罰を達成すること、これが刑事訴訟の第一義のはずだと思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 今、委員御指摘のとおりだというふうに思っております。 刑事裁判の原則というのは、被告人の権利を保障しつつ事案の真相を明らかにする。もちろん無辜の者を処罰することがあってはならないということが原則でございますので、この要請を全うできなければいけないわけでございます。 もちろん裁判員裁判になりますと、それとともに裁判員の方の負担とかいうこともございますから、そういう点で綿密な審理計画を立てて、できる限り御負担のないような審理計画を立てるとか、あるいは選任手続のところでも柔軟な選任手続を行うとか、そういった要請をそれぞれ全うしなきゃいけない、こういうことでございます。
○仁比聡平君 法務省にも法を所管する立場として今の点をお尋ねしたいんですが、真実の発見と無辜の不処罰という目的を達すること、これは裁判員裁判においても、当たり前ですけれども、これは求められていると思いますが、いかがですか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 裁判員裁判も、言うまでもなく刑事訴訟であります。刑事訴訟法の第一条にこの刑事訴訟の目的が掲げられているわけでありますけれども、それは、「刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。」、こうなっているわけであります。それは、裁判員裁判においても何ら変わるところはありません。 したがって、裁判員裁判の下でも、充実した審理を行った上で評議を尽くし事案の真相を明らかにし、その上で処罰すべき者は処罰し、処罰すべきでない者は処罰しないという適正な結論を得ることは、刑事訴訟において最も重視されなければならない事柄であるというように考えております。
○仁比聡平君 そこで、刑事裁判に当たる上での大原則である無罪推定の原則、これを裁判員にどのように説示するのかということについて、まず最高裁にお尋ねしたいと思うんです。 これ裁判所の説明例と言われるもののちょっと部分を読みますと、「常識に従って判断し、被告人が起訴状に書かれている罪を犯したことは間違いないと考えられる場合に、有罪とすることになります。逆に、常識に従って判断し、有罪とすることについて疑問があるときは、無罪としなければなりません。」という、こうした表現がありまして、これ分かりやすいようでいて実はあいまいなだけでなく、疑わしきは被告人の利益にというこの刑事裁判の本質を誤らせるおそれがあるのではないかという指摘を法律関係者から強く聞くわけですね、私。 「模擬裁判の成果と課題」という最高裁の取りまとめられた文書がありますけれども、ここではこの無罪推定にかかわる表現として、検察官の主張する事実が、弁護人の主張立証したところを踏まえても、合理的疑いを入れない程度に立証できたかどうかというふうに、検察官の挙証責任と求められる立証の程度、これも含めた表現をしておられるかと思うんです。 私は、こうした無罪推定の説示、原則の説示を公判廷で説示をするようにしてはどうかと思うんですけれども、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 今、委員御指摘の御説明例でございますが、これは最高裁の刑事規則制定諮問委員会とそれから準備会において議論をされました説明のイメージ案でございます。各裁判所は、これを踏まえてこれまで六百回を超える模擬裁判を通じて更に分かりやすい説明方法を工夫してまいったところでございますが、御指摘も踏まえて更に検討を重ねてまいりたいというふうに思っております。 それから、説明ですけれども、これはどこでやるかということですが、裁判員法三十九条一項の説明というのは、これは選任の中の一条として規定されておりますことから明らかなように、裁判員等選任手続の最後に行われるということが予定されているものと解されます。選任手続は公開されることはございませんけれども、検察官及び弁護人が出席することになっておりますので、その両当事者の前で裁判員に対して御説明をするということになろうかと思います。
○仁比聡平君 時間がありませんから今の点を法務省に尋ねて終わるしかないかと思いますが、裁判員法は、この今私が求めた公判廷におけるそうした説示についてやってはならないなんて言っていないと思うんですよね。加えて、被告人も、弁護人、検察官も、それから傍聴者も在廷をしている場でそうした説示がなされることが、裁判員の理解にとってもそれから裁判の公正さにとっても私は有意義なことではないかと思います。 その公判廷で行うということも検討されてはいかがかと思うんですが、法務省、いかがですか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 確かに、裁判員法は、裁判員に対して立証責任の所在を当事者が在廷する公判廷で説明することを法律上禁止しているものではないというふうに考えております。 ただ、実際にどのような場でその説明を行うのが最もふさわしいのかということは、裁判所において適切に判断される事柄であろうというように考えております。 また、先ほど最高裁から御答弁がありましたように、立証責任の所在等に関する説明は裁判員等選任手続のもう最後の段階で行われることが予定されておりまして、ここには、検察官、弁護人も出席して行われるということが想定されているということだけ申し上げたいというふうに思います。
○仁比聡平君 非公開の場というのは、これは余り良くない。この点についてまた更に今後機会をつくって質問していきたいということを申し上げまして、今日は終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。 最初に、今日一番で答弁席に立たれました漆間さんにかかわって法務大臣に質問をしたいというふうに思っています。 元警察庁の長官で官房副長官だと、そして官邸における事務方のトップが漆間さんでございます。 三月の五日の記者懇で、例の記憶にないと言っておられます、オフレコで西松建設事件の捜査は自民党には及ばないと、こういう発言をしたと各紙が報じているわけでございます。 現在、西松建設からの献金額ではトータルで圧倒的に多く、しかも職務権限があった自民党側からは漆間発言どおり逮捕者は出ていないわけでございます。漆間発言は、政権が検察に介入したか、少なくとも自民党側には手を着けるなというメッセージになったのではないかと、こういうふうに受け取る向きも多いわけでございます。また、国民は、ああやっぱり、こういうふうに思っているのではないかというふうに思っています。 あのような人物を政権の中枢に置いておくのは、法の支配あるいは検察の独立に対する国民の信頼を損なうのではないかと私は危惧をしているわけでございます。 また、今日は、漆間さんはこれ以前も相当の政治的な発言をしておられる方だということも分かりました。 法務大臣にお尋ねをいたしますが、あの立場にある方の発言としてあのような、あのような報道がなされた。今日、松野委員の方から配付資料で各紙がこういうふうに報じているという、そういう一覧が資料として配られましたけれども、あのような報道がなされたことについて、その真偽のほどはともかくとして、法務大臣としてどのような見解をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森英介君) 先ほども申し上げましたけれども、内閣官房副長官が記者との懇談で発言したことについてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。 なお、申し上げるまでもないことですが、検察当局においては常に法と証拠に基づいて厳正公平かつ不偏不党を旨として、その捜査の対象がだれであれ、刑事事件として取り上げるべきものがあればこれに適切に対処するものと承知しております。加えまして、検察が政治的意図を持って捜査を行うことは決してあり得ないと確信しているところでございます。
○近藤正道君 漆間発言については、官房長官も総理も国会でコメントをしているんですよ。私が聞いているのは、一連の報道についてどういう所見をお持ちなのかと。 つまり、今回は検察の言わば捜査の在り方あるいは中立性、そのことが非常に議題になっておりまして、まさにそういう意味では法務大臣は当事者なんですね。こういう報道がなされているということについて片方の側の法務大臣としてはどういうふうにお考えなのかと。漆間さんの発言を言わば素材にして、こういうふうな報道がなされているということについて法務大臣はどういう所見をお持ちなのかと。このことについてお答えできないというのは私は理解できないんですが、もう一度御答弁をいただけますか。
○国務大臣(森英介君) 内閣においては官房長官が既に整理をされておりますので、私からコメントは差し控えます。
○近藤正道君 分かりました。分かりましたというか、私はとても理解ができませんけれども、しかしまあこれ以上質問しても多分、大臣は頑として答弁されないということがほぼ推測をされますので、じゃ断念をいたします。 次の問題でありますが、二〇〇七年の九月の二十七日に最高裁の刑事局の平木さんという総務参事官がマスコミ倫理懇談会全国協議会という場で、私見というふうに断った上で、こういうふうに、趣旨のことを言っています。捜査機関から得た情報や証拠を確定した事実のように伝える報道等々を、被疑者に保障された無罪推定の原則を実質的に無意味にする、そういうもんだという懸念を表明したわけでございます。 そこで、最高裁の刑事局長にお尋ねをいたしますが、平木さんが私見というふうな断りを付けて言ったわけでございますが、今ほど言ったように、捜査機関から得た情報や証拠を確定した事実のように伝える報道等々は被疑者に保障された無罪推定の原則を実質的に無意味にすると、こういうふうにおっしゃったということは事実でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 平木総括参事官でございますが、今委員御指摘のように、あくまで私見ということでそういった趣旨の発言をしたものと承知しております。
○近藤正道君 小川刑事局長自身はどのような見解をお持ちですか。今、平木さんとおっしゃったような、同じような認識、見解をお持ちですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 申し訳ございませんけど、私はちょっとそういう点についての意見は差し控えさせていただきたいと思います。
○近藤正道君 これ是非、最高裁としてと言っても皆さんもうお答えされないんだろうというふうに思いますけれども、平木さんがおっしゃったように、まあ堂々とマスコミのそういう場でお話しになっておるんですけれども、刑事局長自身は、よく行われておりますよね、マスコミの報道について、無罪推定の原則とのかかわりでいろいろ意見があるんだろうと思いますけれども、どんな見解をお持ちですか。私見でもお話しすることはできませんか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 繰り返しになって申し訳ございませんが、ちょっと意見は控えさせていただければと思いますが。
○近藤正道君 分かりました。 推定無罪原則というのがあるわけでございますが、この推定無罪原則を無視をして犯人と決め付ける報道、犯人視報道、これがマスコミでよくやられているわけでございますが、これだけが問題なわけではないと。捜査当局がマスコミを隠れみのにしながら世論の処罰感情を高める恣意的な情報操作、これがこれまでよく行われているんではないかと、私は個人的にはそういうふうに思っております。 その上で、法務省の刑事局長にお尋ねをいたしますが、検察官が捜査上知り得た情報、秘密情報をマスコミにリークする、これは犯罪に当たるんでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 仮定の御質問につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。 検察当局におきましては、従来から捜査上の秘密の保持については格別の配慮を払ってきたものでありまして、捜査情報や捜査方針を外部に漏らすようなことはあり得ないというように承知しております。
○近藤正道君 いや、私は、一般論としてこういう事実があったときには犯罪に該当するんですか、しないんですかという質問は、これは法務委員会の場で法務省の担当者に聞いて何が悪いんだと、言い換えればどうして答えられないのかと、こういう疑問を持っておりますが、検察官が捜査上知り得た秘密の情報をマスコミに漏らすと、これは国家公務員法の百条の一項の守秘義務に違反するんではないかと私は思うんですが、一般論です。守秘義務違反、国家公務員法違反に当たる可能性は非常に強いんではないでしょうか。いかがでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 国家公務員法の守秘義務の主体は職員というふうになっておりますけれども、検察官は国家公務員でありますから、その職員に当たります。
○近藤正道君 具体的に漏らした中身が国家公務員法百条で言うところの職務上知ることのできる秘密に当たるのかどうか、そういう問題とか、あるいは外部に話したことが言わば漏示というところに該当するのか、具体的な当てはめの問題については、それは法と証拠に基づいていろんな議論、具体的に判断すべき問題で、軽々に言うべきことではないけれども、少なくとも一般論として言えば、検察官が証拠上、捜査の上で知り得た、他の人が知らない、一般の人が知らない秘密事項を記者に漏らせば、これは国家公務員法百条に違反する、一般論として間違いないですよね。もう一回どうぞ。
○政府参考人(大野恒太郎君) 私が先ほど申し上げたのは、国家公務員法の百条一項に「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」。そして、これに違反すると、この規定に違反して秘密を漏らした者について百九条の罰則が掛かる。そして、検察官は国家公務員法に言う職員に当たるということ、そこまで申し上げました。 しかし、それ以上のことになりますと、先ほど委員が指摘されましたように、個別の事情等によって全く異なってくるわけでございますので、それ以上のお答えは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
○近藤正道君 分かりました。 私は、いつもそう思うんですし、また多くの人からも聞かれるんですけれども、新聞紙上に様々な、つまり捜査当局から出なければ分からぬような極めて具体的な事実がいっぱい出てきますよね。これは検察官がリークする以外、知り得ないんじゃないか。確かにマスコミは、この種の重大事犯になりますと全力を挙げて言わば情報収集して書きます、それは。もうそれは全力を挙げて。それに対して、出す側については厳に秘匿をきちっとやっていただかないと、これはやっぱり検察のまさに使命にかかわるような話でありますので、一体どうなっているのかなとかねがね疑問に思っていたわけでございますが、一般論としては、これはやっぱり守秘義務、国家公務員法百条違反ということは十分あり得るということを今ほど刑事局長はおっしゃったんで、是非この辺のところの疑念が出ないようにやっぱりしっかりと対応していただきたい、これはもう要望を強くさせていただきたいというふうに思っています。 次の質問でございますが、犯罪捜査にかかわって参考人聴取というものが行われますね。被疑者の聴取ではなくて参考人の聴取がよく行われますが、参考人聴取の対象者の氏名というものは普通外部に漏れるものなんでしょうか、漏れないものなんでしょうか。あるいは漏らすんでしょうか、漏らさないんでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 一般的に言ってというお尋ねでありましたけれども、参考人聴取の情報等が外部に漏れますと、それによりまして関係者のプライバシーを損なうことになりますし、また同時に、その参考人の協力が得られなくなるというような点で適正円滑な捜査の遂行にも重大な支障を生ずることになります。したがいまして、捜査機関がそのような情報を外部に漏らすことはあり得ないものというように承知しております。
○近藤正道君 参考人の氏名とか参考人の特定性、これを言わば外部に漏らすと、これは捜査の重大な支障になるという話は分かりました。 捜査に支障になるという問題だけではなくて、先ほど私が言いましたように、職務上知り得た、知ることのできる秘密に参考人の氏名を外に漏らすということは当たるんでしょうか、当たらないんでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) 秘密に当たるかどうかにつきましては、具体的な状況等にもよることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○近藤正道君 そうすると、あれでしょうか、参考人の氏名あるいは参考人を特定するに足る事項は、場合によっては国家公務員法百条一項で言うところの職務上知り得た、知り得ることのできる秘密に当たる場合もあるんでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) その点も含めまして、事情等が、きちっと前提が確定されない段階でのお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○近藤正道君 どうして。私は具体的な当てはめの問題を聞いているわけではなくて、一般論として、捜査は密行ですよね、基本的に、秘密にやるわけで。でも、被疑者ではなくて参考人の特定性に関する事項については、私は十分職務上知り得た秘密に当たる、そういうことは十分にあり得ると、一般論として。ただ、具体的な個々の当てはめは、それは個々具体的にやっぱり判断されるべき問題ではありますけれども、一般論としてそういう余地は十分にあるということは当然言えるんじゃないでしょうか。
○政府参考人(大野恒太郎君) やはりそれも当該のその参考人の立場等によりまして、一概にいずれであるというようなことは申し上げられないように思います。先ほどと同じ答弁を繰り返させていただきます。
○近藤正道君 私、大変新聞を見て奇異に感じたことをお聞きしたいというふうに思いますが、今般行われました小沢さんの秘書の逮捕の問題にかかわって石川さんという衆議院議員の参考人聴取が行われたと。このことなんですが、共同通信がこれを第一報で報じたというふうに聞いておるんですが、ここには、小沢氏秘書の衆議院議員聴取へ、こういうふうな見出しが打たれ、本文で、東京地検特捜部はこの議員から参考人として事情を聴く方針を固めたと。議員は九六年に小沢代表の秘書となり、〇五年の衆議院選挙で落選、〇七年三月に繰上げ初当選したと、議員本人を特定できる属性を当初から公表しています。 そこで、私は、これはまさに捜査上、参考人の氏名、あるいは氏名ではなくてもその参考人を特定するような属性というのは普通オープンにしないものですよ。しかし、単に捜査に必要なだけではなくて、こういうことをオープンにするということは、これは捜査上の知り得る秘密を外に漏らすということに当てはまるんではないか、こんなこと許されていいのかなと、私はやっぱり率直にそう思いますよ。参考人ですからね。被疑者ならそれはまたいろいろなのがあるけれども、参考人でこういうことが許されるのかな。一体だれがこれを漏らしたのか。私は、これを言わば漏示した検察官を突き止めて、やっぱり処分ということだって考えてもいいんではないか、こんなふうに率直に思います。 これは皆さんが一般論としても余りお答えにならないから具体的に聞いているわけですけれども、こういうことが堂々と行われているわけですよ。どちらの立場ということとは関係なしに、参考人の氏名とか、あるいは、これはもう明らかにだれかということが一発で分かるわけですね。こういう情報がこういう形でリークされる、これは検察官が、あるいは東京地検特捜部のサイドから出なければ分かるわけがない。どうなんですか。これはやっぱり非常に重大な問題だというふうに思うんですが、お答えいただけますか。
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいま言われた記事がどういう経過で作成されたのか、私どもはもちろん承知しておらないわけでありますし、また、それを前提にコメントをするということも避けさせていただきたいというように思います。
○近藤正道君 法務大臣、今ほどのやり取りをお聞きだというふうに思いますが、とにかく参考人の氏名とか特定性ということについては、それは一般的に明らかにしない。しかも、国家公務員法百条とのかかわりでも私は問題がたくさんあるケースだというふうに思うんですが、こういうものが公然とやっぱり新聞紙上に出る、これは東京地検特捜部から出た以外には考えられないわけでございますが、まさに法務大臣としてどのような所見お持ちでしょうか。
○国務大臣(森英介君) 先ほども申し上げましたとおり、検察は秘密の保持には格別の配慮を払ってきたものと思っております。したがいまして、報道のいかんにかかわらず、検察側から漏えいしたということはないというふうに信じております。
○近藤正道君 信じているというふうにおっしゃるのは結構なんだけれども、しかし、それ以外に出どころがないわけでありまして、本件のことについてはいろいろ、国策捜査だとかいろんなことが言われておりまして、こういう言葉は軽々に使うべき言葉ではないというふうに私自身は思っておりますけれども、こういう今ほど指摘をさせていただいたような事実がいろいろ出てきますと、それは漆間さんの話もそうでありますけれども、やっぱりそういう言葉が出ても否定しようがない、こんなような思いに駆られざるを得ない。 やっぱりこういう問題についての説明責任は、ある意味では法務省、法務大臣の方にあると思うんですよ、それは。そういう意味でも大臣の所見をお伺いしたい、説明責任という意味からいってもお伺いをしたいと、こういうふうに申し上げているわけでございますが、それでも一切しゃべらないというふうにおっしゃるんですか。大臣、どうですか。
○国務大臣(森英介君) 既に御答弁したとおりでございます。
○近藤正道君 分かりました。このことについてはさらにこれからもまた聞かさせていただくことになろうかと思いますので、もう一つ、今日お聞きをしたいと思っております裁判員制度の問題についてお聞きをしたいというふうに思っています。 今ほど来の話もございますけれども、様々な司法あるいは検察の捜査の独立性、在り方等についていろいろ疑問が出ている中、五月から裁判員制度が始まるわけでございます。私はこのことについて問題点がたくさんあるというふうに思っておりますので、もう五月目前でございますけれども、是非一度この委員会で裁判員制度について集中した審議がやっていただきたいと、委員長にお取り計らいをいただきたいというふうに思っておりますが。 その中でも死刑制度の問題について、先ほども議論がございましたけれども、大変やっぱり気になるところがございます。裁判員の多数決で死刑の、量刑まで決定すると、これに対しては、死刑にかかわりたくないという裁判員の良心とのかかわりで、本当にたくさんの問題が出ておるわけでございます。死刑は残虐な刑罰ではないか、あるいは国際的にも廃止を求められているんではないか、あるいは犯罪抑止効果も本当にあるんだろうか、さらに、被害者にとっても必要不可欠とまでは言えないんではないかとか、執行する刑務官に非人道的な職務を強いることになるんではないか等々の意見がございまして、私自身は死刑は廃止すべきだと、こういうふうに思っているわけでございます。 これは何度も法務大臣にこの間聞いているわけでございますが、国連の人権の理事会からも死刑制度のことについていろいろ勧告等も出ているわけでございますが、法務大臣の死刑に対する考え方、なぜこの制度を言わば堅持するのか、所見をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(森英介君) 死刑制度の存廃は、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる重要な問題でございます。したがいまして、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等、種々の観点から慎重に検討すべき問題であると考えております。 そして、国民世論の多数が、現状において極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみますと、一国の秩序、また治安に責任を負う法務大臣としましては、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することもやむを得ないのであり、死刑を廃止することは現状において適当でないと考えております。
○委員長(澤雄二君) 近藤委員、時間が来ておりますので、おまとめください。
○近藤正道君 時間が来ましたのでやめたいというふうに思いますが、今の死刑の評議の問題だとか、あるいは、先ほど来話がありましたけれども、取調べの可視化の問題だとか、あるいは代用監獄の問題とか、たくさんの問題点を残したまま裁判員制度が始まるということについて、やっぱり多くの疑問の声も出ておりますので、先ほど申しましたように是非一度集中審議をやっていただければ大変有り難いと、そのことを最後に要望申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(澤雄二君) 近藤委員のただいまの御提案につきましては、後刻理事会において協議をいたしたいというふうに思います。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。 午後五時四分散会