法務委員会 第4号
- 発言数
- 268 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2009/04/03
会議録
○山本委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 本日は、裁判員制度などの諸問題について質疑を行うことといたします。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官河合潔君、警察庁長官官房審議官西村泰彦君、総務省大臣官房審議官望月達史君、総務省自治行政局選挙部長門山泰明君、法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長尾崎道明君、文部科学省大臣官房審議官久保公人君、文部科学省大臣官房審議官戸谷一夫君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○山本委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局小川刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。棚橋泰文君。
○棚橋委員 自由民主党の棚橋泰文でございます。おはようございます。 本日は、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件、また、特に、いわゆる裁判員裁判制度の開始を目前にいたしまして、その点について幾つか質疑をさせていただきたいと思っております。 まず最初に、やはり司法行政、法務行政等の中で一番国民の関心の高い治安について、少し質問をさせていただければと思います。 当然のことながら、国民の人権、実効ある人権をきちんと守っていくという観点から、治安というものが非常に大きなかぎを握るわけでございますが、近年、残念なことに、ここしばらくのところ、検察、捜査当局の御努力で大分頑張っていただいているとは思いますが、従来にない犯罪も含めて、治安情勢が悪化しているというふうに、いわゆる体感治安が悪くなっているというふうに感じている国民も多いわけでございます。 そこで、まず警察庁の方から、近年の犯罪情勢、どのような犯罪が特に特筆されるのか、それから、特に重要犯罪の発生あるいは検挙状況、そういったものについて御説明をいただきたいと思います。
○西村政府参考人 まず、刑法犯の認知件数でございますが、これは平成十四年に二百八十五万件を突破し、戦後最多を記録いたしました。翌十五年から減少を続けまして、二十年は百八十一万八千二十三件と、この六年間で約百万件減少しております。しかしながら、振り込め詐欺を初め、通り魔殺人事件、子供や女性が被害者となる痛ましい事件が相次いで発生するなど、依然として治安情勢は厳しいものと認識しております。 殺人、強盗、強姦等の重要犯罪の認知件数は、平成十五年には二万三千九百七十一件でありましたが、翌十六年から減少を続け、二十年は一万五千八百四十七件と、この五年間で約八千件減少しております。検挙件数は、平成十五年に一万二千三百六十二件でありましたが、認知件数と同様に、翌十六年から減少を続け、二十年は九千九百二十五件と、この五年間で約二千五百件減少しているものの、検挙率は十五年から連続して上昇し、二十年は六二・六%となっております。近年の傾向としましては、殺人の認知件数はほぼ横ばいで推移しておりますが、強盗が大きく減少していることが挙げられます。
○棚橋委員 ありがとうございました。 特に平成十四年ないし平成十五年をピークに、捜査当局の御努力もあって、検挙件数等がふえていると同時に、犯罪の発生件数が減少に転じているという御趣旨の御説明だったと思いますが、大事なのは、検挙をきちんとやっていくということももちろん大事でございますが、まず犯罪の抑止ということも非常に大事だ、とにかく抑止が先にあるんだと私は思っております。 そういう観点から、特に犯罪の発生件数の減少、あるいは検挙件数の増加、そういったことに向けて、今まで捜査当局として、特に警察庁として取り組んできた特筆すべきこと、それからさらには、このような具体的な課題があるというようなことがあれば、その点についてお話をいただきたいと思います。
○西村政府参考人 犯罪抑止につきましては、検挙と抑止対策、この両面から取り組む必要があると考えております。 まず、検挙向上に向けましては、特に重要犯罪等に捜査力を振り向けていくとともに、高性能のDNA型自動分析装置の整備や、情報分析支援システム、あるいは捜査特別報奨金制度の効果的活用などの取り組みを進めまして、重要犯罪等の検挙を徹底してまいりたいと考えております。 また、抑止対策といたしましては、例えば今年度におきましては、子供と女性を性犯罪等の被害から守るための体制強化を図り、各都道府県警察に設置された専従の対策班において、重大事件の前兆事案の段階で行為者を特定し、警告、検挙等の措置を講じることとしたところであります。さらに、街頭における凶悪事件の未然防止を図るため、繁華街等におけるパトロールなど街頭活動を強化するとともに、刃物携帯事案の取り締まりの徹底を図るなどの取り組みを推進しております。 今後とも、治安向上のため、こうした重要犯罪の検挙あるいは抑止の両面からの取り組みを推進してまいりたいと考えております。
○棚橋委員 ありがとうございました。 我が国の財政状態は大変厳しい状況ではございますが、やはり治安の確保、あるいは国民の人権を実効的に守るという観点から、必要な予算あるいは体制を整備するということは、これは国会の責務でもあると私は思っておりまして、また、そういう観点から、一議員としても努力をしていきたいと思っております。 今、警察当局からいろいろとお話をいただきましたが、治安の維持あるいは回復のためには、再犯の防止ということも含めて、法務当局、法務省としていろいろとお取り組みをいただき、またやっていただかなければいけないことがたくさんあると思っております。 そこで、現在、法務省の中で特に重点的に取り組んでいただいている御努力、あるいはさらに今後取り組んでいく方向性等につきまして、早川政務官からお話をいただければ、ありがとうございます。
○早川大臣政務官 再犯防止を含めました治安の維持、回復への取り組みは、真の意味での世界一安全な国日本を復活させるため不可欠であり、法務省の最重要課題と認識をしております。 この点、再犯防止に向けた取り組みとして、法務省はこれまで、性犯罪者等に対する各種再犯防止プログラムの実施や、総合的就労支援対策などの取り組みにより再犯防止に努めてまいりました。さらに、平成二十一年度からは、高齢や障害の問題を抱える刑務所出所者等への対策に取り組むこととしております。 再犯防止に向けた取り組みにつきましては、法務省として、今後とも刑事、矯正、保護を通じて、一貫した施策として実施することはもちろん、関係省庁だけでなく、必要に応じて地方自治体や民間団体とも強力な連携関係を構築していく必要があると考えております。 このような中、本年一月、省内に再犯防止施策検討プロジェクトチームを立ち上げ、私が座長を務めております。その目的は、効果的で具体的な再犯防止施策の策定であります。現在、このチームにおいて、第一に、就労先の確保の観点から、農林業等の職業訓練の充実強化策、第二として、出所者の社会的受け皿の積極確保の観点から、地方自治体や社会福祉法人、民間のNPO法人等との具体的連携策等を検討しております。検討事項には中期的な視点のものも含まれますが、その結果につきましては、近日中に取りまとめて公表をさせていただく予定であります。 さらに、刑事手続における事案に応じた厳正な科刑の実現や、不法滞在外国人のさらなる削減等の総合的な取り組みにより、治安の維持、回復に努めてまいりたいと考えております。
○棚橋委員 ありがとうございました。 ぜひ、今、早川政務官のお話にありました方向で最大限の御努力をお願いする次第でございます。 その上で、本日は、もう一つの私の質疑の主題といたしまして、いわゆる裁判員裁判が開始されることが目前に迫った今、改めてこの問題について質疑をさせていただければと思っております。 いわゆる裁判員裁判が開始されることを目前にして、改めていろいろな議論が沸騰していることは、これはもう皆様方御承知のとおりでございます。 私は、このようなときには、そもそも、なぜいわゆる裁判員裁判を導入するのかという、その議論の原点あるいはその目的の本質、こういったものから、もう一度考えていかなければいけないというふうに思っておりまして、まず、法務当局に改めて確認でございますが、なぜ裁判員裁判、裁判員制度を導入するということになったのか、この議論の経過を簡潔に御説明いただきたいと思います。
○大野政府参考人 裁判員制度には、広く国民が裁判の過程に参加し、その感覚が裁判の内容に反映されることにより、司法に対する国民の理解や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになるという重要な意義があるというように考えております。 加えて、裁判が迅速に行われるようになるとともに、裁判の手続や判決が国民にとってわかりやすいものになることも期待されるわけであります。 さらに、裁判員制度の導入は、社会秩序や治安あるいは犯罪の被害、人権といった問題につきまして、国民一人一人にかかわりのある問題としてお考えいただく契機にもなるのではないかというように考えております。そのことがよりよい社会を築く上での一歩になることが期待されるというように考えております。
○棚橋委員 ありがとうございました。 要は、誤解を恐れずに一言で言えば、司法に国民の感覚をより強く導入するということではないかと思いますが、当然のことながら、そうしますと、裁判員制度の具体的な実施に当たりましては、国民の理解が不可欠でございまして、国民の理解を得られるような努力が、今までも十分にやっていただいたと思いますが、これがかぎを握ると思います。 そこで、佐藤法務副大臣及び最高裁判所事務総局にこれまでの取り組みあるいは今後の取り組み等についてお話をいただければありがとうございます。
○佐藤副大臣 ただいま先生御指摘のように、まず、個人個人の理解を深めるということが非常に重要なことでございまして、これまで法務省といたしましては、国民の理解を深める点におきまして、できる限りの対策を講じてまいったわけでございます。 具体的に申し上げれば、最高裁判所それから日弁連とも連携いたしまして、先生が道を通ったりいろいろいたしますとわかりますように、ポスターとかパンフレットとかの製作、配布あるいはホームページによる情報通信、マスメディアを通じた広報活動等に努めてまいっております。 全国の検察庁職員が、企業とかそれから地域の集まりに伺いまして、そして積極的に説明会等を開いております。例えば、通産省に消費生活アドバイザー制度というのがございますが、この消費生活アドバイザー、一万三千人の中から関心を持っている人たちが選ばれまして、そしてそういう人たちが、それぞれの会合あるいは地域の会合等に参画いたしまして実施をいたしております。数字を申し上げますと、実施回数だけで約三万六千回、それから参加者数が百六十三万人に達しております。これがこれまで一生懸命やってきた成果の一つの結果ではないかなと思います。 もう五月に施行を控えるわけでございますから、今後とも、これまで行ってきました広報活動を踏まえつつ、効果的な広報活動を実施する予定でございます。具体的には、制度の意義とか内容について引き続き広報するということとともに、裁判員制度の実施状況についても広く広報して進めてまいりたいと思っております。 以上でございます。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 多くの国民の方に裁判員制度を理解していただくということが大変重要であるということは、今委員御指摘のとおりでございます。 これまで最高裁におきましては、法務省それから日弁連などとも協力しまた連携しながら、制度の内容や裁判員の役割などを伝え、国民の不安解消に重点を置いた広報活動を実施してきたところでございます。 具体的に申し上げますと、各種のパンフレットやチラシ、ポスターそれから広報用のDVDなどを製作いたしまして、広く国民を対象に配布したり、あるいは上映会を催したり、各種説明会を実施したりするほか、各種テレビやラジオ番組等へ出演し、あるいは協力して、メディアを通じた広報活動も行ってまいりました。特に、昨年秋には、名簿記載通知に合わせて、新聞広告、テレビスポットCM、ラジオスポットCMなどを集中的に実施したところでございます。 今後も、国民の皆様の不安や疑問に応じて、きめ細やかな情報提供を行っていきたいと考えております。
○棚橋委員 ありがとうございました。 ただいま最高裁判所並びに法務省の、裁判員裁判制度の実現に向けての、国民の理解を得られるための地道な御努力についてお話をいただきました。 しかし一方で、まだこの部分について十分な理解をなさっていない方も当然のことながらいらっしゃるわけでございまして、たしか、最高裁の方でこの点について詳しい世論調査を一度やられたと思いますが、まず、その世論調査の分析について簡潔に御説明いただければと思います。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 最高裁が平成十九年度に実施いたしました意識調査でございますが、調査対象者の九五%の方が裁判員制度について何らかの知識を有している上、調査対象者、参加したいという方は四・四%、参加してもよいという方が一一・一%、余り参加したくないが義務なら参加せざるを得ないという方が四四・八%というような回答を得ております。 この結果を見ますと、参加したいという国民が二割に満たないという評価をすることも可能ですけれども、裁判に加わることというのは、これは決して楽なことではなくて、むしろ負担の重い作業でございます。そのことを国民の皆様も十分に理解した上で回答していただいているということを考えますと、義務感からであっても約六〇%の国民について参加が得られる見通しがあると考えるのが正しい評価の仕方ではないかというふうに思っております。 こうした点にかんがみますと、国民の皆さんの制度に対する理解は進んでいて、現状でも国民の制度に対する認知度それから参加意向は、制度を実施するために必要な水準に達していると考えております。 今後も、国民の皆さんに制度に対する御理解をいただけるよう努力をしたいと思っております。
○棚橋委員 ありがとうございました。 国民の皆様方が裁判員裁判制度を通じて司法に参画をする、そのためには、今お話にありましたように、どうしてもいろいろな形での負担が一人一人の個々人にかかってくる、国民にかかってくる。この部分をできる限り軽減する努力が当然のことながらまず必要だと思っております。それが第一点でございます。 第二点として、いわゆる素人の裁判員が裁判に参画するに当たって、当然のことながら、例えば、いわゆる否認事件において、これが無実なのかあるいは有罪なのかという評決において、どのような議論を進めていったらいいのか等々、裁判員裁判を現実に実現するに当たって幾つかのハードル、これまではプロの裁判官だけでやっていたわけですから、あうんの呼吸で通じたものが、それではいけないわけでございまして、まず、そういう観点から、最高裁判所の方で、素人の裁判員が裁判員として実質的に機能するために必要ないろいろな措置を今のうちにとっていただいていると思いますが、これが二点目。 先ほど申し上げました、個々人の負担を軽減するための方策。それから二つ目は、プロではない裁判員が裁判員裁判を通じて司法あるいは判決に参加するという過程において必要な部分をどういう形で埋めているのか、この二点について御説明をいただければと思います。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判所におきましては、裁判員の参加する刑事裁判を円滑に進めるというために、これは実際に試してみるということが大切だと思いますので、これまで全国で六百二十回以上模擬裁判をさせていただきました。これは、法曹三者協力して、検察庁それから弁護士会と協力してやっているわけでございます。それから、二百九十回以上の模擬選任。選任手続のところもやってみております。これを実施して、しかも、ただやったというだけじゃなくて、その結果を三者で検討し、また、裁判官の研究会等でもこれらの分析を行ってまいりました。 研究会の中では、例えば、裁判員裁判においては、裁判員として参加する国民が審理の内容を理解し、意見を述べることができること、それから、合理的な期間内に審理を終え、参加する国民の生活、経済面、精神面での負担をできるだけ少ないものにすること、それから、刑事裁判の目的である真相の解明、被告人の権利保護の要請を満たす、これらを全うしなければいけない、こういう必要があるんだ、そういう議論がされているところでございます。 最高裁といたしましては、本年の一月にこうした議論の状況を報告書に取りまとめまして、全国の裁判所に送付しております。 裁判員裁判実施後も、運用状況に関する客観的データの収集、分析を行って、これを踏まえた裁判官の意見交換等を通じて、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○棚橋委員 ありがとうございました。 ぜひ、そういう観点から、さらなる御努力をお願い申し上げる次第でございます。 一方で、いわゆる裁判員裁判制度が導入されますと、立証活動が、法務・検察当局、特に検察の立証活動が、今までですと、プロフェッショナルな裁判官に対する立証活動だったのが、素人と言うとちょっと言葉があれかもしれませんが、その裁判員も含めてわかりやすい立証活動を当然していかなければならないというふうに考えております。 検察当局におかれましても、そういう観点から、検察官のトレーニングも含めていろいろと御努力をされていると思いますが、その経過と、今どのような形で取り組んでいるかということを少し御説明いただければと思います。
○大野政府参考人 検察当局におきましても、これまでの模擬裁判等準備の成果を踏まえまして、本年の二月、裁判員裁判における検察の基本方針というものを公表いたしました。 この基本方針におきましては、刑事裁判になじみの薄い一般国民の方が裁判員として参加されることを踏まえまして、立証責任を有する検察官の立場から、わかりやすく、迅速で、しかも的確な立証を行わなければならないとしているところであります。つまり、裁判員の負担を軽減することは大変重要でありますけれども、それと同時に、刑事裁判の目的である真相の解明、そしてそれに基づく適正な裁判が確保されるような、そういう立証を行わなければいけないということでございます。 具体的には、検察官の主張であります冒頭陳述や論告等を行うに当たりまして、わかりやすい表現を用いるということで、ビジュアル資料等の活用等も検討されております。また、立証の中心になります証人尋問につきましては、焦点を絞った、わかりやすいものにする必要がありますし、また、供述調書につきましても、簡にして要を得た内容にする必要があるということが強調されております。それから、証拠につきましても、厳選をいたしまして、立証すべき事項を絞り込んでいく、争点に即したものにするということも重視されております。 ただ、他方で、拙速に陥ってしまっては、事案の真相の解明から遠ざかるということではよろしくありませんので、事件のポイント、争点につきましては手厚く立証を行い、個別の事案に応じて、被告人の身上、経歴、被害者の生活状況等についても適切な方法で立証を行うことなどが掲げられているところでございます。 また、そうした線にのっとりまして、検察官のトレーニング等も行われているところでございます。 裁判員裁判実施後は、新たな運用上の課題が生じてくることも予想されるわけでありますけれども、検察当局におきましては、裁判所それから弁護士会等の関係機関と一層の連携を図って、今申し上げたような基本方針を踏まえ、裁判員制度が円滑に運用され、実務に定着するよう全力を尽くしていくものと承知しております。
○棚橋委員 ありがとうございました。 今までの御答弁を拝聴しておりまして、最高裁判所並びに法務・検察当局が裁判員裁判制度の導入に向けて一生懸命御努力されているお姿を感じ取ることができたと思っております。 その上で、最後に、森法務大臣、裁判員裁判制度の導入に向けて、大臣としての御決意、お気持ちを聞かせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○森国務大臣 今御議論いただきましたように、裁判員制度は、司法制度改革の柱となる重要な制度でございます。国民が刑事裁判に参加し、先ほど委員から御指摘もありましたように、それぞれの生活だとか経験の中で培ってきた一般国民の常識や良識を裁判に反映させることによって、司法に対する国民の支持が一層深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになるというふうに考えます。 法曹三者においては、裁判員制度を円滑に実施するため、先ほど来説明がありましたように、迅速でわかりやすい裁判の実現など、裁判員の負担が重くならないようにしつつ、かつ適正な結論が得られますように、その運用面でさまざまな取り組みを積極的に行ってまいりました。 また、より多くの国民の方々に安心して参加していただけますように、法務省においては、関係省庁や最高裁判所等と連携して、裁判員制度の広報活動や、国民が参加しやすい環境の整備を精力的に行ってきたところでございます。 裁判員制度の実施まで、残すところいよいよ一カ月余りでございますけれども、今後とも、より多くの国民の方々に不安なく、かつ積極的に参加していただけるように、引き続き、広報活動を広く行うなど、裁判員制度の円滑な実施に向けまして最大限の努力を傾注してまいりたいと思っております。
○棚橋委員 どうもありがとうございました。 今大臣のお話にございましたように、司法への国民の積極的な参加という観点から、さらなる最大限の御努力をお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○山本委員長 次に、橋本岳君。
○橋本委員 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。(発言する者あり)絶大な御声援をいただき、まことにありがとうございます。 本来、法務委員会に所属をしておらないのでありますけれども、きょうは貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。山本委員長初めお取り計らいをいただきました与野党の理事の先生方、委員の皆様方に感謝をまず申し上げます。 さて、きょうは、日本における死因究明制度について取り上げさせていただきたい、こう思っているわけであります。 今資料をお配りさせていただいていると思いますが、この問題につきましては、パロマのガス湯沸かし器の事故の話でありますとか、時津風部屋の事件でありますとか、そういったところをきっかけに注目を集めたところであります。 当委員会におかれましても、細川議員を中心に民主党さんが法案を提出しておられる。また、委員会で勉強会を開いておられたり、また、視察をされて提言を法務大臣に出されておられたりする。あるいは、学会の方でも最近法医学会さんが提言を出されたり、また、放射線の専門の先生方もそういう提言を準備、用意されているというふうに聞いておりますし、政府の方でも内閣官房が検討会をやっている。そういうことで、いろいろなところでいろいろな議論がされているテーマなわけであります。 そこで、与党としてもきちんとしっかり考えをまとめて議論していかないといけないねということで、異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟というものが二月に設立をされました。保岡興治先生に会長をお願いして、冨岡勉先生が事務局を務めて、最初の資料一にあるような形でこれまで勉強をしてきております。 きょうはそういうことも踏まえて、改めてこの問題を取り上げさせていただきまして、与野党それぞれ議論を持ち寄って、政治のリーダーシップを発揮してこの問題について取り組んでいくのだ、そういうきっかけになるといいなと思って質問に立たせていただいた次第であります。 きょうは、裁判員制度についてということも冒頭委員長からお話がございました。これはこれでもうすぐスタートをする大事な制度でありまして、ぜひこれが国民の皆様方にうまく定着するといいなと思っておりますが、この裁判員制度をスムーズに開始をし、そして運営をしていくという観点に立って、死因究明制度というものがどうあるべきかということと多少の関係もあろうかと思いますので、まずその点について法務省さんの御見解を伺いたい。
○大野政府参考人 裁判員制度は、御案内のとおり、重大な刑事裁判、刑事事件を対象とするものでございまして、したがいまして、その中には被害者が死亡をしている事件も相当数含まれているわけでございます。そうした事件の刑事手続におきましては、死因の的確な究明ということが当然の前提になることは言うまでもございません。 その上で、裁判員制度におきましては、刑事裁判になじみの薄い一般国民の方が裁判員として参加されることを踏まえまして、死因につきましても、これが適切に、的確に解明されているということを前提とした上で、裁判員にわかりやすい立証を行うことが必要であると考えております。 そうした観点から、検察当局におきましては、捜査段階で、抄本の作成が容易な体裁、内容の鑑定書等を作成した上で、公判段階ではポイントを絞った抄本を用いて立証するというようなやり方、あるいは、鑑定書に用いられる写真につきまして、裁判員が、写真ではかえって被害者の創傷、傷の状況等を理解することが困難と認められるような場合には、事案に応じて、写真にかえてイラストやコンピューターグラフィックによって創傷部位の透視図や立体画像を作成するというようなやり方。 さらに、鑑定人の尋問を行う場合に、従来の一問一答形式にこだわることなく、鑑定人が裁判官それから裁判員に対して講義形式で証言を行い、その際に、専門用語についてもわかりやすく説明を行うなどなど、さまざまな工夫が検討されているというように承知しております。
○橋本委員 そうですね。もちろん当然の大前提ということは一つあったとして、わかりやすくという話もあったし、それこそ、先ほどの棚橋議員の質疑の中でビジュアルなという話もありましたが、解剖の写真などは余りビジュアルだと見たくない方もおられるというようなこともあるので、そういった点は工夫が要るんだということで承りました。そういうことも今後議論の中に入れていかないといけないんだろうなと思っております。 死因究明制度を議論するに当たりまして、今どういうようなものなのかということを整理してみました。お配りしている資料の資料二に、実際にその御遺体が発見されたとか、お亡くなりになったところから始まって物事がどういうふうに進んでいくかというフローチャートをかいてみました。ごらんいただければおわかりになるように、まず大変複雑でございます。これをつくるのに四時間ぐらいかかりました、それはそれといたしまして。 その中で着目点が幾つかあろうかと思いますが、まず一つは、解剖という、要するに最終的に死因を究明するための手段が一番最後にあるのだということは、一つこの現行の制度のポイントなんだろうと思うんです。 それは、本当は最初に解剖して、いろいろなことを調べて、その上で例えば犯罪かどうかを判断するとか、死因を判断するとか、そういうことができれば一番いいわけですが、かといって、それはもうキャパシティーの問題で全例を解剖するわけにもいかない。そういうような中で、できるだけ的確に解剖すべき御遺体を見分けて解剖に移す、そのためのプロセスがこれだけあって複雑なんだろう、こういうふうに思うわけでありますが、かえって見逃しなぞの、あるいはそう思われるような例があったときに、解剖されなくて証拠となる御遺体が残っていないということも起こることにつながるのかな、こう思うわけであります。 また、次の資料に移っていただきますと、実際、ではどのぐらい解剖されているのか。よく、総死者に対する解剖者数は三%と言われるし、異状死に対する解剖者数は九%と言われますが、絵で見ればこのぐらいという話でございまして、真っ白なところがいっぱいある。 そういうこともあるので、正しく死因が究明されているのかとか、犯罪や事故の見落としはないかとか、そういった懸念があるということにつながっている。これも一つの現状で、これをどうするかということも大きな問題なのではないかと思っております。 続いて資料の四。もう一枚めくっていただきますと、今度は都道府県別にそういう警察の方が扱った、いわゆる異状死と呼ばれる死体の数から、検視官の方が臨場された数、司法解剖の数、行政解剖の数を都道府県ごとに並べてみました。 ちょっと薄くなっているのでわかりにくいかと思いますが、東京都、神奈川県、それから愛知県、大阪府、兵庫県ですか、今申し上げたところが監察医制度があるところで、それ以外はないところです。やはり東京とか神奈川あるいは大阪、兵庫などが大変目立って行政解剖が多いというのはそういうところにもある。逆に言えば地域の差というのも、そういう監察医制度がある、ないだとか、それ以外の要因もあろうかと思いますが、あるということは見てとっていただけるのかな、こう思うわけです。 なお、神奈川県のところの数字なんですが、厚労省さんからいただいた数字と警察庁さんからいただいた数字がちょっと違っております。これは厚労省さんの方の数字は下に書いてありますので、ちょっと検案と解剖の区別が違っているのかなというふうに思いましたので、今後注意をしていただければと思いますが、それはそれとして、こういうような状況が今あるのが日本の死因究明制度だということであります。 そういうものを参考にして議論をしていくわけで、幾つか各論に入っていこうと思います。 まず、やはり解剖をこれからどうにかして少しでもふやしていきたいなということがあろうかと思います。だけれども、お金をただ入れればやるかというと、それは解剖していただく方が当然必要である。では、その体制がどうなっているかという話が資料五であります。 法医学の学会の方で認定されている方が、大体日本全国で百二十名ぐらいであります。もちろんそれ以外の方でもされる方はされますけれども。そうすると、都道府県別というのでさっきの表を見ていただいても、ゼロとか一人とか二人とか、そういうような都道府県は結構たくさんあって、やはり人の確保というか充実が大事だ、必要だろうということであります。 法医学教室の人員の削減傾向というのは、資料六、解剖医が三年で一五%減、こういう新聞が出ておりますけれども、実際のところ、そういうような状況であります。 資料七というのは、物すごく悲しい資料でございまして、アンケートをとったんですね、医学生の方、それから研修医の方、卒後三年から五年の医師の方。 医学生の方五千二百五十七人の人に、将来どの診療科に行きたいですかという質問をしたら、その中で法医学と答えた方が八人で〇・二%、研修医の方に聞くと、千四百二十五人中一人、卒後三年から五年目の医師の方に聞くとゼロ人ということになってしまいまして、これから法医学を目指そうという学生さんあるいは若いドクターの方、そうした方というのはえらい少ない。余り魅力的ではない、そういうことなんだろうと思うわけであります。 そこで、これは文部科学省さんにお伺いをしたいんですが、これからそういう法医学の方の充実をしていかなければならない、これはいろいろな提言で言われているところだと思いますが、どのようにそれを実現していこうとされているのか、教えてください。
○戸谷政府参考人 お答えいたします。 文部科学省におきましても、法医学につきましては、生命と社会とのかかわりをとらえる観点から、医学部教育におきまして極めて重要な分野の一つであるということで認識をいたしております。 このようなことから、現在医学部を持っております国公私立、七十九大学ございますけれども、そのすべてに法医学を担当する講座が設置されているということでございます。 また、医学教育におきましては、文部科学省といたしまして、医学生が卒業までにきちっと履修すべき学習内容を医学教育モデル・コア・カリキュラム、そういった形で定めておりますけれども、その中におきましても、法医学関係につきましても、当然、学習到達目標を策定いたしまして、その目標を十分満たすようにということで各大学に対して要請を行っているというところでございます。 しかしながら、現状におきましては、先ほど先生の御指摘がありましたように、法医学会の調査によりますれば、やはり法医学教室の教職員につきましては減少傾向にあるといったような問題、あるいは先ほど御指摘のございました、将来従事したい診療科として法医学を挙げる学生が極めて少ないという実情があるということにつきましても、今私どもといたしましても認識をいたしております。 こういったような状況にかんがみまして、文部科学省といたしましては、今後、各大学におきまして、法医学分野あるいは死因究明に関する教育研究組織、こういったものを充実していきたいといったようなお話がありますれば、予算要求あるいは組織といったものにつきましても積極的に検討していきたいというふうに思っております。 ただ、しかしながら、その際、ちょっと私どもとしてやはり考えるべきところは、この分野を専門とする医師が活躍できる場が現状においてどうかといったようなこともございますので、これは単に文部科学省だけの問題ということではなくて、やはり総合的に検討すべき課題であるというふうなことで認識をいたしております。
○橋本委員 そうですね。積極的に対応という言葉はいただきましたけれども、実際、医師全体が不足をしている。生きている方を診ていただくドクターの方も幾つかの診療科では足りないと言われて、どうしようという話もある中で、法医学の方もできるだけというのは相当難しいことだと思うのです。文部科学省だけではという話もありますから、それはもう各省それぞれに考えていただきたいと思いますが、ただ、ここのところがうまくいかなければ、この制度の充実といってもかけ声だけにしかなりませんので、ぜひよろしくお願いをしたい、こう思います。 続いて、解剖をそう簡単にふやせないという話になりますと、では、特に犯罪捜査という面において解剖の前の段階をどう充実させるんだという話にもなろうかと思うのです。 資料の八に、時津風部屋事件の経過の表を挙げさせていただきました。これは見ていただければおわかりのように、一度検案をしている、それで、急性心不全ということになったけれども、御遺族が新潟県警に相談をして、解剖して、どうやらこれは打撲によるショック死らしいということになって、事件になったという経過だったわけで、要するに、後から考えれば見落としだった。 これは、細川議員が以前質問されたときにもお認めになったことでありまして、今言ったこういったことはなくさないといけないということだと思うのですが、こういうことを踏まえて、今後どのように解剖の前の段階の対策をしていこうとされているか、教えてください。
○西村政府参考人 お尋ねの事案は、平成十九年六月、愛知県犬山市内のけいこ場において、当時十七歳の力士が、けいこ中に倒れ、病院に搬送された後、死亡した事案であります。愛知県警察におきましては、当初、その死因を病死と判断したところでありますが、その後、行政解剖の結果、死因は多発外傷による外傷性ショックと判明し、当時の時津風親方以下七名による傷害致死事件の立件に至ったものであります。 この事件につきましては、警察において死因についてより慎重に判断すべきであったと考えております。その教訓を踏まえ、警察では、基本捜査の徹底、刑事調査官制度の的確な運用、CT等の資機材の積極的な活用、司法解剖の積極的な実施、検視体制の強化、死体を取り扱う現場の警察官への研修の充実などを改めて徹底しているところであります。 また、本年度予算におきまして、地方警察官の増員をいただきまして、検視に従事する警察官約百八十名を新たに配置するなど、体制の充実を図っているところであります。 加えまして、犯罪を見逃すことがないようにするためには、解剖率を高めることが有効と認識しております。しかしながら、解剖に関する施策につきましては、警察のみでは効果的な対策を講じることは困難でありまして、現在、内閣官房の調整のもとで、関係省庁が参加して、死因究明に関する検討会を開催し、現状の問題点等について認識の共有を図っております。 今後、この場を利用するなどして、関係省庁と連携を深めながら、打開策を探ってまいりたいと考えております。
○橋本委員 いろいろお話があって、それをきっかけに人をふやすだとか、いろいろの対策をされているんだというお話がありました。それはそれでいいことだろうと思いますが、結局、話は解剖に戻ってくるなという印象もございまして、やはりそこに話が来てしまうというのは、逆に言うと、さっきの、ではどうやって解剖に従事していただく方をふやすかということに戻ってくるなという印象もございます。 では、次に行きましょう。今のお話の中でも、CTを撮るという話がございました。それで、Aiという言葉があります。オートプシーイメージングということですけれども、遺体の画像診断。今御答弁がありましたように、御遺体に対してCTだとかMRIだとか、そういったもので画像を撮って、判断をする参考にしようというものでございます。 個人的には大変注目をしておるところでございまして、いろいろな方にお伺いをしました。先ほどの議連でも何人かの方にお触れをいただきましたし、解剖の補助手段だという言い方をする、要するに必ず解剖と一緒にやらなきゃいけないんだという言い方をされる方もおられます。ただ、要するに、解剖、解剖と言っていると、今の話じゃないんですが、解剖がどれだけふやせるかというところにしか話は行かないので、もっと初動の段階、解剖の前の段階で私は積極的に生かすべきだろうと思うのです。 これは内閣官房さんの資料を資料として配らせていただきましたけれども、資料九の方ですね。内閣官房さんの検討会の方でもヒアリングをされていて、ここに書いてあるような特徴があると。マンパワーが多いとか、費用が安いとか、そういうようなことも触れてある。もちろん、留意点もいろいろあるわけであります。 こうしたことを踏まえて、積極的にAiを今後の死因究明制度を考える上で取り入れていくべきではないか、こう思っておりますが、内閣官房さん、どう思っていらっしゃるでしょうか。
○河合政府参考人 お答えいたします。 御指摘のAi、死亡時画像診断でございますが、これは、死因究明の一手段として大変有効なものであるというふうに考えられるところでございます。 昨年末に策定されました犯罪に強い社会の実現のための行動計画二〇〇八におきまして、その積極的な活用の推進というものが記されたところでございます。また、議員御指摘のとおり、死因究明に関する検討会におきまして、死亡時画像診断の専門家より御説明をいただいたところでございます。 御説明によりますと、Aiにつきましては、解剖と相補うものであるということ、それから、要解剖事例の見落とし回避のためのフィルタリングでありますとか、解剖せずして死因確定できるもののスクリーニングの効果というものが期待できる。また、単独で死因を確定できる割合につきましては、解剖の場合、約八割であるのに対して、CTの場合、約三割であるということ。また、必要経費につきましては、解剖の場合、一体当たり約二十五万円であるのに対して、CTの場合、一体当たり約四万円と安価であり、同額の予算がある場合に、死亡時画像診断の方が解剖よりも多くの死因を確定できるということなどにつきまして、御示唆をいただいたところでございます。 今後、こうした内容を踏まえつつ、関係省庁とともに、Aiのさらなる活用について検討してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○橋本委員 はい。さらに活用ということで。 裁判員制度になると、裁判員の方に優しくという話もありますが、要するに、生の解剖の写真はちょっと見づらいけれども、MRIの画像等があったらそんなに支障なく見られるということもあると思います。そういう意味で、優しいということもありますから、ぜひ積極的に考えていただきたい。 あと、例えば救急の現場ですね。最初の資料二のフローチャートでも、一番上に救急と書いてありますけれども、要するに、到着されたときにもう亡くなっている方が搬送されてくることというのもなくはないわけで、そういった方のCTを撮ったりということはあるようであります。でも、亡くなっている方ですから、診療報酬を請求できないから持ち出しという中でされているようなことは既にあるようなところでありますから、そういうこともぜひ含めて考えていかないといけないし、考えていただきたいと思っております。 いろいろ触れて各論をしてまいりましたけれども、なかなか前途多難だなという気もやはりするわけでございますが、しかし、ビジョンを持って前向きに何とかしていかぬといかぬと思うわけです。 ここから先は、議連の話というよりも、個人の意見なんですが、私個人としては、監察医制度を、今限られたところしかありませんが、これを全国に展開をさせていくようなことを考えるべきではないかと思うんです。 ちょっと時間がなくなりましたので、はしょっちゃいますが、保健所というものが全国にあります。公衆衛生のために設置されています。これは、今、もう時間がないので自分で言っちゃいますが、要するに、法律に基づいて設置をされている。だけれども、都道府県、政令市と中核市はそれぞれがやっていますが、地方自治体の事務です。これについては、今は三位一体改革の結果で、地方交付税による地財措置がされているわけですね。だから、そういう意味で、国から地方自治体に対するお金というのは出ています。それで運営されているというものがある。 そういう形で、監察医務院とかそういう名前になるのかどうかは別として、別の名前になるかもしれませんが、各都道府県にやってもらう、国がそれを財政的に支援をする、そういうような組織をつくれば、先ほどのお話じゃないですが、勤める先もできてということにつながるんじゃないかと思うわけですが、そういうアイデアについて、今監察医を所管されている厚生労働省さん、それから地方自治体を所管されている総務省さん、それぞれにお伺いをします。
○中尾政府参考人 お答えいたします。 監察医制度は、公衆衛生の向上を目的として、一部地域における死亡動向を把握することで、伝染病の発生といった公衆衛生上必要な情報を把握するための仕組みでございます。このため、政令で定めた東京二十三区、大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市を所轄する都府県知事が、必要に応じて監察医を置き、解剖ができることとされているところでございまして、御指摘の保健所とは制度創設の趣旨が異なっております。こうしたことを考えますと、監察医の設置を保健所と同様に全都道府県に義務づける必要は必ずしもないと考えております。 いずれにしましても、死因究明制度の充実につきましては、厚生労働省だけでなく、他の関係省庁とも連携してやっていく必要があることから、厚生労働省も内閣官房で行われている検討会に参加し、政府としてどのような対策が必要か検討してまいりたいと考えております。
○望月政府参考人 監察医制度につきまして、全国展開を行うべきではないかという委員からの御指摘でございますが、まずは、現在の監察医制度におきます実態や課題等につきましては、所管の省でございます厚生労働省からよくお話を伺って、対応を検討してまいりたいと考えております。
○橋本委員 これが今の状況なんだろうと思います。 内閣官房でいろいろな省庁が集まって検討会をしているということは、それはいいことだと思うのですが、結局、どの省庁に聞いても、ほかの省庁と連携してやりますというそれしか返ってこないんですよ。きのうも夜、ちょっとそれで怒りましたけれども、みんながほかの役所と連携してと言っていたら、それは何も進みませんよという印象を、きょうこの質疑をしても持たざるを得なかったです、ちょっと残念なことでございますが。だからこそ、政治の方で議論をしていかぬといかぬのかなという思いを新たにしたところであります。 なお、これは内閣官房さんにお願いですが、さっきの救急搬送の話もありますし、今のような話もあるので、私は、地方自治体の役目というのは要ると思うので、ぜひ総務省さんを入れることを検討していただきたい、これは要望します。 以上のような議論を通しまして、最後に森大臣に所感を伺って、質問を終わります。
○森国務大臣 ただいま、裁判員裁判のスタートとも絡めて、死因究明制度の概括について大変貴重な御意見を橋本委員からいただきました。私も、全く認識を同じゅうするものでございます。 この問題について、一つ大きなインパクトを与えた衆議院の例の訪欧調査団の有力メンバーであるところの細川理事も、今はいらっしゃいませんけれどもいらっしゃいますし、また、政府側に早川忠孝政務官もおられて、みんな同じ問題意識を持っているわけでございます。 それにもかかわらず、先ほども御指摘されましたように、解剖に携わるお医者さんというのはむしろ減少傾向にあって、というのは、これはもう聞くと本当に大変な膨大な仕事量で、非人間的とも言える作業に取り組んでいただいているわけでございます。 何とかしなきゃならないという問題意識は同じでございますけれども、先ほど嘆かれたように、法務省ができることもごく限られておりまして、いずれにしても、そのあり方について、異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟に大きな期待を寄せたいと思いますし、また私どもも、関係省庁と連携協力して、引き続き真摯に努力を続けてまいりたいと思います。 ありがとうございました。
○橋本委員 ありがとうございました。終わります。
○山本委員長 次に、稲田朋美君。
○稲田委員 自民党の稲田朋美でございます。 本日は、裁判員制度を中心に質問をいたしたいと思っておりますけれども、その前に、最近報道されました、海外での同性婚を可能にする新しい証明書を法務省が発行することになったという問題についてお尋ねをいたしたいと思っております。 資料一でございます。言うまでもなく、私どもの民法では同性婚は認められていないわけでありますけれども、それを今回海外で可能にするような証明書を法務省が出されるということでございます。 資料二を示しますが、「法務省、福島党首らの要請で海外での同性婚認める」というふうになっております。その最後のパラグラフですけれども、「法務省は二〇〇二年、「日本では同性婚が認められていないので、有効と誤解を招く」として証明書に相手性別欄を設け、相手の外国人が同性の場合、証明書を発行しないよう通達を出していた。」わけであります。平成十四年には、わざわざ通達を出されて、日本人が日本では認められていない同性婚を海外で行う場合には、法務省として証明書を出さない、そういう扱いをされていたわけです。 私は、これは法務行政をつかさどる法務省として大変見識のある扱いだったのではないかと思っているんですけれども、なぜ今回、そのような扱いを変え、海外で、日本で認められていない同性婚を有効とするために証明書を出されるように方針を転換されたのか。その理由と経過について、民事局長に説明をいただきたいと思います。
○倉吉政府参考人 これは、以前に出した通知と今回出した通知、それぞれ参考書式として証明書の様式を示しておりますが、これは全く別のものであるということでございます。その経過を順次御説明させていただきます。 まず、日本人が外国において、当該外国の方式で婚姻を成立させるに当たり、外国に提出するための証明書として、これまで、「相手方と婚姻するにつき、日本国法上何等の法律的障害のないことを証明する。」という、いわばフルの、婚姻の要件が全部備わっている、こういう証明書を出しておりました。これが婚姻要件具備証明書と呼ばれていたものでありまして、委員の本日配付資料の中にございます四番でございます。 こういう証明書を出していたんですが、実は、平成十四年以前は、この証明書の「相手方」という欄がございますが、ここの性別の欄がございませんでした。このために、同性間の婚姻についても日本法上法律的障害がないものと誤解されるおそれが生じました。現に、同性間の婚姻であったのにこの証明書を出してしまった、そういうケースが出たわけであります。これは明らかに、婚姻の要件が全部備わっていると書いていますので、間違った証明書、こういうことになります。 そこで、今後、性別欄を加えた証明書とすることにいたしまして、そして、同性間の婚姻を外国でやりたいという日本人が来た場合に、この婚姻要件具備証明書、つまりフルの要件が全部備わっているんだという証明書を出してくれと言われたら、それは出せませんよということを通知いたしました。これが平成十四年の通知でございまして、先ほど通達という話がありましたが、民事第一課長名の通知であります。 それで、もとより、日本法のもとでは同性間の婚姻は無効であります。したがって、今申し上げましたとおり、婚姻要件具備証明書というのは出せない。しかし、外国において同性間の結婚を有効としている場合に、日本人がその国の法制のもとで婚姻をすることが可能かどうかということは、これは当該外国の法制にゆだねられる事柄であります。 そこで、これまた別の話になりますが、従来から、同性の者を相手方とする場合にも、独身であることなど、戸籍上明らかな身分関係事項について証明書を発行してほしいという要望がありました。法務省では、これらの意見等を踏まえて必要な検討を行ったわけですが、独身であることを証明してくれ、例えばこういうふうに言われる、つまり、このように戸籍上明らかな身分事項についての証明を求められた場合に、これを拒む理由はないことから、行政証明として別の書式を示すこととしたものであります。これが、本日委員がお配りいただきました、実はこの参考書式はちょっと改めなければいけないかなと思っておりますけれども、五番の書式でございます。 もとより、今般の取り扱いは、戸籍上明らかな一定の身分事項について、従来の、婚姻のフルの要件があるという婚姻要件具備証明書とは別の証明書を発行できるとするものでありまして、法務省として同性婚を容認するといったことに方針転換したというようなものでは決してございません。 そして、もちろん、これももとよりでありますけれども、仮に外国において同性の間で婚姻が成立したとして、日本の戸籍にそれを記載してくれというような届け出がされたとしても、それは受理することはできない、日本では同性婚は認められないわけですから、受理することはできない、これも全く変わっておりません。
○稲田委員 民事局長、今回、司法制度改革、裁判員制度のことについても質問するんですけれども、わかりやすい説明をしていただかないと、今、確かに、この証明書を出したことは違法ではないんだということはわかりましたけれども、なぜこの証明書を出して海外で同性婚が可能になるようにしたのかという点については、全く今の説明では説明になっていなかったと思うわけです。 そして、通知と通達は違うんだと言われましても、課長が出す通知も一般的には通達ということで皆さん理解をしているわけでございますので、そういった細かいことではなくて、もっと大きな議論をしないと、どうしても視野狭窄になってしまっているんじゃないかなということを思います。 そして、今お話がございました平成十四年の通知、通達ですけれども、これは資料三にあります。資料三、平成十四年五月二十四日付、この最後には、「なお、婚姻の相手方が日本人当事者と同性であるときは、日本法上、婚姻は成立しないことから、同証明書を交付するのは相当でないと考えます。」ということが書かれております。私も本当にそのとおりだと思っているわけです。 そして、先ほど御説明いただきましたように、婚姻具備証明書というのは、当該証明に係る日本人につき、日本法上の婚姻の成立要件を満たすことを証明する書面のことです。この証明書というのは一般行政証明と言われるようですけれども、この一般行政証明というのも、当局が好き勝手に出せるものではなくて、やはり出すに当たっては、根拠となる法令ですとか通達ですとか通知ですとか、そういったものがあって初めて出せるものだというふうに理解をいたしております。ですから、今まで出せなかった証明書を、今回は課長通知ということで出されたということだと理解をいたしております。 日本法で認められていないものを、海外でなら認められる、そのために法務局が出す証明書が必要となるといった場合を今回は想定しております。そして、確かに、勝手にと言ったら失礼ですけれども、証明書が要らない海外で日本人が同性婚をされるときにまで、法務省がそれはおかしいと言うのは私もやり過ぎだと思っているわけですけれども、今回、日本の証明書によって海外での同性婚が可能になるといった場合に、そういった証明書を出すべきかどうかというのは、それは違法か違法でないかということではなくて、やはりそこは、今回の証明書を出すことによって、日本法上の婚姻の成立要件を満たさない外国法上の同性婚を成立させることが可能になる証明書を新たに法務省が出すということが政策上妥当かどうかという問題だと思っているわけです。 その点について、私は見解をお伺いしたいと思います。
○倉吉政府参考人 私の説明がちょっと十分ではなかったのかもしれません。それはおわび申し上げます。 まず、実体法上の問題でございます。外国において、同性間の結婚を有効としている国、これがあるわけでございます。そういう国において、日本人がその国の法制度のもとで婚姻をすることができるかどうか、これは当該外国の法制にゆだねられる問題でございまして、外国の法制が、日本では同性婚は認めていない、そのような日本人であっても、外国まで来て、外国の方式で、その国の外国人と結婚をする、それは同性であっても認めますよという国があるときに、それをしてはいけないとか、そういう法制度というのはない。 ただ、政治の問題としてはあり得るかもしれません。委員のおっしゃっている政治の問題というのは、それは理解はできないでもありませんけれども、少なくとも法制度の問題としてはそれはない、外国の法制にゆだねられることであります。 今度、証明書の場面で考えますと、例えば、自分が独身であるということを証明してほしい、それは本来戸籍謄本を出せばわかることであります、戸籍の証明書を出せばわかることですが、外国ではそれは読めなくて、日本の戸籍簿の書き方なんかわからないから、わからない。だから、日本の当局が出した、この人は独身であるということ、そこだけを証明してくれ、こういうふうに言われたときに、それを出せないという理由はないわけであります。戸籍上、そこで独身であるということの証明はできますから。 そういう問題でございまして、ここで新たに、わざわざ外国で同性間の結婚ができるようにこういうものを出したというわけでは決してございません。
○稲田委員 資料六を示します。今回出された通知ですね。「外国において同性間の婚姻を成立させることを目的として証明書の交付請求があった場合の証明書の様式について」と書かれていますから、これは明らかに、今回の証明書は、外国において同性間の婚姻を成立させることを目的として証明書を出す場合の証明書ですから、今回ひな形として示された証明書というのは、外国において、日本では認められていない同性婚を成立させるためにだけ使われる証明書であることは、今回のこの通知のタイトルからも明らかなわけであります。 今おっしゃったように、独身であることを証明することを拒否できないというのであれば、相手方欄を取っ払って、それから、婚姻するためじゃなくて、私は外国で見合いをしたいんだ、外国でつき合っている人に自分が独身だということを証明したいんだ、証明してくださいといったら証明するんですか。それはしないんですよ。 外国で婚姻といった法律行為をするために必要だからというときに限ってやはり行政は証明書を出すのであって、そんな、お見合いするから証明書を出せとか、独身であることを証明してくださいとか、何歳であることを証明してください、外国で必要なんですって、証明するわけがないじゃないですか。そんないいかげんなことを言われると、私はすごくおかしいと思うんですけれども。 ただ、私が言いたいのは、外国で、日本で認められていない同性婚をするために証明書が必要だというときに、この証明書を出してそういった行為をバックアップすることが、違法ではないとしても妥当かどうかということは、これは非常に政策的な問題ですし、いわば日本の道徳観というんですか、そういう価値観とかに直結する非常に重要な問題を、単に局だけで議論をして出してしまう、そういう態度が果たして妥当かどうか、大きく言うと行政権の裁量の範囲内に入るものなのかどうか、その点を私は問題にしているわけで、では、どういった議論が法務省内で行われたのか、その点についてお伺いいたします。
○倉吉政府参考人 私、稲田委員にはかねてより敬意を表しているところでありまして、決していいかげんな答弁をしている、そんなつもりはございません。 一つ例を出させてください。 独身証明はほかにないじゃないかという話がありました。ございます。こういう例でございまして、実は結婚相談所があります。結婚相談所で、独身でもないのに独身だと装って来るやつがいて、詐欺的なことをやられると困る、だから、結婚相談所に来る人に、独身だという証明書を持ってこいというんです。それで、一番いいのは戸籍謄本なんですが、戸籍の証明書を持っていくといろいろなプライバシーがばればれになってしまいます。だから、そこまでは出したくない。だけれども、独身証明書というのを出してくれないかというのがありまして、これは当時はたしか経産省から、その事業の規制の関係で出たもので、それは我々としてはもちろん出しますということで出しておりまして、独身証明書というのは出ております。 この通知、きょう委員からお配りいただきましたのは、外国で結婚をする上で、独身であるということの証明は出しなさい、そういうふうに言われる、いろいろなことを言われる、それで、出してくださいと言われたら断れませんということで出したものです。 もちろん法務局、現場の市区町村に理解してもらわなければいけませんので、同性婚についてこう言ってきたときに、十四年の通知とはここが違うんだとるる説明しております。ここがちょっとくど過ぎて問題ではないかという御指摘かもしれませんが、それはそれとして、そういうものとして、この場面で使うそういう証明書だということで出しているわけです。 委員から、今最後に非常に貴重な御指摘をいただきました。何でここに相手方の欄があるんだと。資料の五でしたでしょうか。相手方の欄が書いてあります。証明文言はどう書いてあるかというと、事件本人についてこれこれこれこれの要件があるということ、婚姻要件、フルにあるとは書いていませんが、書いてあります。その他の要件もちょっと書き過ぎだったかなという点もありますし、少なくとも、相手方を書いているというのは、事件本人について証明しているのに相手方の欄要らないじゃないかと。その点は確かに、委員の御指摘、確かなところがあるかなと思っておりまして、その点も含めて、この様式については、確かに参考書式として示したものではありますが、法務局や市区町村は事実上これに従ってしまうだろうというところはありますので、ここはちょっと改める、検討し直してみるということを考えております。
○稲田委員 そもそも、そういった同性婚を認めるような証明書を出すことについて、平成十四年にはそれが相当でないと言っていた。今回、様式はともあれ、それを可能にする証明書を出すということについては、やはり私は方針の転換ではないかと思いますので、それをやはり省内でも、この問題、大臣も御存じなかったというふうに聞いておりますので、きちんと議論をして、まだこれから通知について、証明書の文言を含めて考え直していただきたいというか検討し直していただきたいと思っております。 民法七百七十二条のときにも感じたんですけれども、やはり民法という、我が国の、家族ですとか婚姻ですとか、そしてさらには価値観や道徳観、そういったものに直結するものの行政をつかさどる民事局でございますので、単に違法かどうかとか、細かい文言がどうかとか、様式がどうかということではなくて、そういう通達を出した場合に、またそういう変更をした場合に、その波及効果がどこまで及ぶのかというところまできちんと議論をし、そして考えて行政を行っていただきたいと思います。 この問題については、まだ実施されていないということも聞いておりますので、検討をいただきたいということを最後に申し上げたいと思っております。 さて、裁判員制度でございます。 いよいよ裁判員制度がスタートするわけですが、まだ国民の理解という意味からは定着をしていないのではないかということも感じております。 ここで大臣に、自分のお言葉で、一体どうして司法制度改革が必要で、その中核と言われる裁判員制度がなぜ日本の司法にとって必要なのか、その点を、これから裁判員になられる一般の国民の方にわかりやすい言葉で語っていただきたいと思います。
○森国務大臣 まず、司法制度改革でございますけれども、これは、事前規制型の社会から事後チェック型の社会へと転換する大きな流れの中で、どうしても紛争が多くなってくるということが予測されますので、それに対応できるような司法制度改革が必要であるということで、法曹人口の拡大などもその一環であるというふうに受けとめております。 それに対しまして、裁判員制度は司法制度改革の中の一つの大きな目玉ではありますけれども、これまで司法というのはごく一握りの専門家集団にゆだねられてずっと来ました。それに対して、やはり私ども日本の国民が司法に対して、国民としてもその責任をシェアし合うということで、その一つの大きな象徴というか、そういった意味合いでもって今回の裁判員制度がそもそも発起されたものだと私は思っております。 したがって、大きな流れでいうと、これまでお上の裁きであったのが国民の審判になるということでもって、やはり私は、裁判員として司法に参画するということは、国民の権利であり義務であるというふうに認識をしております。 したがって、これはやはり国民の皆様方に十分御理解をいただいて積極的に参加していただくことが必要でございますので、いよいよ目前にそのスタートが迫ってまいりましたけれども、さらに拍車をかけてその広報活動等に努めてまいりたいと思っておりますが、いずれにしても、確かに、そうはいっても、裁判員の方々は、生業を持った方々が時間を拘束されて裁判に参加していただくのですから、やはりなるべく御負担が少なく、そして積極的に参加していただけるような条件づくり、環境整備が重要であろうというふうに認識をしております。
○稲田委員 改革といっても、改革が自己目的化してはいけなくて、やはり何のために改革をしているのか、これは、一体日本がどういう社会を目指しているかということだと思います。 私は、日本はアメリカ型の訴訟社会を目指すべきではないと実は考えておりまして、事前規制を取っ払って何でもかんでも事後に訴訟で解決して、どんどん訴訟を起こしてもらって解決していくという社会は、日本のように、昔から、和をもってとうとしとする、余り訴訟を好まない国民性には合っていないし、そういったアメリカ型の訴訟社会というのを日本が目指してよいものかどうかという点については、ちょっと疑問を持っているところでございます。 今大臣のお言葉にも、裁判員となることは国民の権利であり義務であるというお言葉がありました。昨年の憲法記念日に、当時の島田仁郎最高裁長官が、裁判員として刑事裁判に参加することは国民の義務であり権利であるという発言をなさっております。 ただ、私はこの発言にはやや違和感を覚えまして、裁判員として刑事裁判に参加することが国民の義務と言われますと、納税義務とかいろいろ憲法上の義務がありますけれども、それほどのものなのかどうなのか。また、裁判員制度に参加することが国民の権利と言われますと、権利と言われるようなものなのか。むしろ反対に、例えば、論者によっては、この裁判員制度によって裁判員にならされるということは憲法十八条が禁止している苦役にならないのかという意見すらあるわけであります。 裁判員になることが法的にどのような地位というか位置づけになるのか、刑事局長の御見解をお伺いいたします。
○大野政府参考人 裁判員制度は、広く国民の司法参加を求めるという制度趣旨によって導入されたものであり、現実に相当多数の国民のお参加を得る必要があることに加えまして、国民の負担の公平も図らなければならないということから、裁判員となることは法律上の義務というように理解されております。 そして、実際に裁判員になった者は、法令に従い公平誠実にその職務を行う義務、これは裁判員法九条一項であります、それから公判期日等に出頭する義務、五十二条です、評議に出席し意見を述べる義務、六十六条、さらに評議の秘密等の守秘義務、九条の二項でありますが、等々の法律上の義務を負うということになるわけであります。 先ほど、このように裁判員となる義務を課することは憲法十八条の苦役を科することに当たるのではないかというような御指摘もございました。 けれども、先ほど、裁判員制度におきまして、裁判員になるのが義務であり、さまざまな具体的な義務が課されているというふうに申し上げましたけれども、その義務の履行を担保する手段は、刑事罰則やあるいは直接的な強制の措置ではなく、基本的に過料を科すことにとどまっております。また、一定のやむを得ない事由がある場合には裁判員になることが辞退できる制度を設けております。さらに、迅速な裁判を実現するための刑事訴訟法の改正、あるいは出頭した裁判員に対する旅費、日当等の支給等、国民の負担を軽減するためのさまざまな手当てを行っているわけでございます。 そうした点を考慮いたしますと、裁判員となることの義務づけといいますのは、裁判員制度の実施のための必要最小限のものと言うことができますので、例えば、現行の検察審査員になるのも同様に考えられるわけでありますけれども、これと同様、憲法十八条の「その意に反する苦役」を強制するものではないというように理解しております。 なお、裁判員になることは国民の権利ではないかと言われることもございます。これは権利という言葉の定義の問題かというように理解しております。政治的な意味合いでの権利というようなこともあろうかと思いますけれども、法律上の権利、つまり、実定法上の権利として裁判員となることが保障されているというようには言えないだろうというふうに考えております。
○稲田委員 それから、刑事被告人の権利ですけれども、刑事被告人が公平な裁判所の裁判を受けるということは、憲法でも保障をされております。 今までであれば訓練された専門家によって裁かれたわけですけれども、これからは、市民という名の、法律的に言うと素人に裁かれるということになることが被告人にとって不利益にならないかということでございます。 最高裁、法務省、日弁連がつくったパンフレットには「私の視点、私の感覚、私の言葉で参加します。」なんて書いてあるんですけれども、私の感覚なんかで裁判されたんじゃたまったものじゃないと思う被告人もいるんじゃないかと思うわけです。 刑事裁判に国民が参加することについて、例えば被告人になったことのある人の意見を聞かれたことがあるのかどうか。多分それは聞かれていなくて、弁護士会がそれを代表して意見を言われたんじゃないかと思います。 昨日、弁護士会の先生方がお見えになりまして、今の刑事裁判は余りにひどくて、これ以上ひどくなることはないので、国民が参加されることでよくなる一方だという驚くべき現実を言われまして、私もびっくりをしたわけですが、私は、刑事裁判を余りやっていなかった者といたしまして少し引いて見ていると、刑事裁判、裁判官も検察官も弁護人もきちんと訴訟活動をやられていて、そして妥当な裁判をされていて、それを、裁判員制度が導入されることによって、国民の皆さん方も、刑事司法裁判はきちんとやってくれているんだなという安心感を得ていただけるんじゃないかと思っておりましたけれども、そこはちょっと弁護士会と認識を異にいたしておりました。 そういった、被告人の経験のある人からは意見を聴取したのかどうかというと、されていないと思うんですが、例えば、被告人に裁判員裁判を受けるか否かの選択権を与えるということも検討されたんじゃないかと思いますが、これを導入されなかった理由について簡単に説明いただけますか。
○大野政府参考人 ただいま御指摘がありましたように、裁判員法におきましては、被告人の選択権というのは認められておりません。 その理由でありますけれども、司法制度改革審議会の意見書にもその旨の指摘があるわけでありますが、裁判員制度は、個々の被告人のために導入されるというよりも、むしろ国民一般にとって、あるいは裁判制度として重要な意義を有するがゆえに導入するものであるという以上、その訴訟の一方当事者である被告人が、裁判員の参加した裁判体による裁判を受けることを辞退して裁判官のみによる裁判を選択することは認めないこととすべきである、こういう考え方に基づいているということでございます。
○稲田委員 きょうはいろいろ質問を用意してきたんですけれども、時間の関係上聞けませんので、答弁を御準備いただきました最高裁それから文科省には申しわけないですが、また機会をいただいて質問いたしたいと思いますけれども、やはり、改革によって何を目指しているか、この点を常に考えていただいて、そして進めていただきたいなということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。 以上です。
○山本委員長 次に、富田茂之君。
○富田委員 公明党の富田茂之でございます。 法務委員会での質問は五年ぶりになります。委員長、各理事に本当に感謝申し上げます。 裁判員制度について今各先生方から御質問ありましたが、この委員会の議事録を見てみましたら、三月十一日の委員会で我が党の神崎議員から、問題点あるいは裁判員制度に御批判のある点についてかなり詳細に質問をされておりまして、当局から的確な答弁がされていたというふうに思います。 裁判員制度については、五年前の審議の際も、どちらかといえば反対の立場から随分質問をさせていただきました。いろいろな思いがありますが、きょうは、裁判員制度に絡むという意味で、取り調べの録音、録画についてちょっと御質問させていただきたいというように思います。 「取調べの録音・録画の試行についての検証結果」というのを最高検察庁の方でことしの二月に出されております。ペーパーをいただきまして読ませていただきましたが、十八年の八月から東京地検で試行をまず始めた、二十年の四月からは今度は本格試行を開始したということで、その中でどういうような状況だったかということをまとめていらっしゃいました。 実際にやってみて、取り調べの録音、録画がどんな状況だったのか、法廷にもDVDを出されたということもあると思いますので実施状況について御説明いただくのと、また、実施した結果、どういうふうに法務当局の方で評価されているのか、まずお聞かせ願えればと思います。
○大野政府参考人 今御指摘のありましたように、検察庁におきます取り調べの録音、録画の試行につきましては、ことしの二月、最高検がその試行の検証結果を公表したわけでございます。 その試行と申しますのは、ただいま御指摘がありましたように、去年の四月から、裁判員対象事件で、自白をしている事件については基本的に全件を対象に実施しているということでございまして、録音、録画の実施事件数は、昨年の暮れ段階で千五百件余りに上っているということでございます。 そして、その評価でございますけれども、検察庁といたしましては、これまで検察庁で試行してきた録音、録画は、検察官にとって有利であるか不利であるかを問わず、自白の任意性を刑事裁判になじみの薄い裁判員にもわかりやすく、かつ効果的、効率的に立証するために有用であるという評価をしているわけでございます。 実際にこの録音、録画がどれだけ公判で用いられたかということでございますけれども、最高検の報告書によりますと、調べられた件数は、重複がございますので、裁判所で判断が示された件数は十五件ということでございます。先ほど申し上げたように、千五百件余りの事件について録音、録画をしているわけでありますけれども、実際に裁判所に出た件数が十五件といいますのは、端的に申し上げて、任意性を争われる事件というのが極めて少ないということでございます。十五件、裁判所の判断が示された事件の中で、任意性が認められた事件が十四件、否定された事件が一件あるということでございます。 それから、しばしば捜査現場の方で、録音、録画を入れるということが取り調べの真相解明に影響を与えるんじゃないのかという主張がなされておるわけでありますけれども、その点につきましては、やはり真相解明機能に影響を及ぼす場合があるので、その実施方法については十分な慎重さを要するというような内容になっております。 影響を及ぼすという具体的な根拠でありますけれども、何よりもやはり、被疑者が録音、録画を拒否した事例といいますのが九十八件、実施対象事件の六%くらいあるということが一つでございます。それから、供述内容が録音、録画をする前と後で変化をした件数等も数十件報告されているわけであります。 もちろん、供述が変化をしたといっても、その前の供述がむしろ間違いであって、録音、録画をした結果、本来の供述が出たということであれば問題はないわけでありますけれども、変化のあった事件の中で、地裁で判決のあった事件が二十六件あるわけでございますけれども、この二十六件の中で、実際に任意性を争われなかった事件は十九件あるわけです。つまり、供述は変化したけれども、公判におきましては、もとの自白調書、供述が変化する前の自白調書がそのまま証拠として採用されているというのが十九件であります。 それから、自白の信用性が争われた事件が七件ありますけれども、これにつきましては、判決ではいずれも録音、録画実施前の供述に沿った認定が行われているということでございまして、こうしたことを根拠に、検察庁といたしましては、やはり録音、録画が取り調べの真相解明機能あるいは供述態度に一定程度影響を及ぼすのではないかというような見方をしているところでございます。 検察当局は、こうした検証状況等も踏まえまして、ことしの四月一日からは、裁判員対象事件、基本的にやはり全件につきまして、自白事件について録音、録画を実施していく方針であるというように承知しております。
○富田委員 今、刑事局長の方から詳しい説明をいただきましたけれども、衆議院の予算委員会等でも、大臣に鈴木宗男先生がかなりこの点について何度も質問されて、私も予算委員会で横で聞いていたんですが、やはり鈴木先生の御主張なんかを聞いていると、参考人もきちんとやってもらわないと困るんだというようなことも言われていましたし、鹿児島の志布志事件を見ると、やはり全部をきちんと撮っておかないと、一部だけ録音、録画した場合に、録音、録画されていないところでのいろいろな影響、そういった部分は、そこが真相究明に対して逆にまた不当な形になっていくんじゃないかという懸念がやはり払拭できないと思うんですね。 実は、横にいらっしゃる塩崎理事なんかと一緒に、平成十六年の八月にヨーロッパに、この裁判員法が通ってから、参審制とか可視化の問題を検証しようということで、法務委員会として行かせていただきました。ドイツとポルトガルとイタリアに行ってきましたけれども、参審制をとっているところ、また弁護人の立ち会い権を認めているところ、いろいろな形で被疑者の権利を擁護していました。きちんと録音、録画しているところはやはり全部録音、録画するというような報告もありまして、その後、私は、平成十八年に韓国のソウルに行きまして、現場の地検で録音、録画しているところを見させていただきました。去年の三月には、台湾でやはり録音、録画している状況を見てきましたけれども、これはもう全件録音、録画です。一部ということはありません。供述の最初から最後まで、取り調べを全部録音、録画している。 現場を見て、やはり通常取り調べる側の検事さんとか調査官の人たちはやりにくいんじゃないかなと思ったんですが、韓国でも台湾でも全く逆で、取り調べ時間が短くなった、カメラに映されているので被疑者の方が真摯な態度で供述しているというようなことがあって、ちょっと何か日本の感覚と大分違うなというような印象を実際に持っています。 私は、個人的には、全部録音、録画してもらいたいなということで、うちの大口理事なんかとも一緒に勉強しておりますけれども、なかなか予算の問題とか、今言われた、真相解明機能に逆の影響を与えてしまうという今の大野刑事局長の、それは検察当局の言い分としてはある程度理解はできるんですけれども、ただ、志布志事件なんかがこの時代でも起きるということを考えると、やはり全部を録音、録画する方向に踏み出すべきじゃないのかな、裁判員制度が始まるのをいい機会にそういった方向に持っていくべきじゃないかなというふうに私自身は思っております。 大臣も、予算委員会等でこの件について大分御答弁されていますので、今回の最高検察庁の実施状況の結果報告を見られて、今後、取り調べの録音、録画のあり方がどういった方向であるべきなのかということを、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○森国務大臣 釈迦に説法でありますけれども、今言及されました例えば韓国については、捜査手段というか、例えば身柄拘束期間が日本よりも随分と長いとか、通信傍受の対象犯罪が我が国よりも幅広い、また証人の免責だとか司法取引が法制化されている等、いろいろな捜査手段を総合的に駆使して取り調べがなされていると思いますけれども、そういう意味で、我が国はそういった手段が非常に限定されているということは今さら申し上げるまでもありません。 その中にあって、全面的な録音、録画とかいうようなことになりますと、例えば組織犯罪において共犯者に供述が及ぶ場合など、どうしても供述をためらわせることにもなりかねませんので、やはり極めて慎重に対処すべきだというふうに私は思っております。 ただ、先ほど刑事局長から御答弁したとおり、ある制約条件のもとではありますけれども、全件について部分的な録音、録画が採用されて、それでも十分に功を奏している部分もありますし、またそのマイナス面も指摘されているところですけれども、そういった状況を見ながら、また他の捜査手段ともやはりあわせ考えて対処すべき課題であるというふうに思っております。
○富田委員 大臣が言われるとおりだと思いますし、いろいろな捜査手段がないとやはり検察当局だけに過重な負担になるということもあると思いますので、そういった捜査手段についてもこの委員会できちんと議論を進めていただきたいと思います。 イタリアの検事さんから、録音、録画は自分が違法な取り調べをしていない証拠なんだという話を委員会で行ったときに聞いて、びっくりしました。同じことを韓国で担当の検事さんに話しましたら、その担当の検事さんは、検事総長から言われてイギリスに録音、録画の施行状況を視察に行ったら、イギリスの検事から同じことを言われたと。やはり検察官側がどういう意識で取り調べに当たるのかというところを考えていかないと、この録音、録画がどういった方向に行くべきなのかというところがちょっと違うんだと思うんですね。 そういう意識改革もしていただきたいと思いますし、真相解明というのが一番大事ですから、そういった意味で、そのための手段が必要であれば、やはりきちんと議論して、改めるべきところは改めていく必要があるというふうに思います。 もし何かちょっと御答弁であれがありましたら。
○森国務大臣 ちょっと訂正させていただきますけれども、先ほど韓国と申し上げたのは台湾の間違いでございまして、謹んで訂正いたします。
○富田委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。 皆さんのお手元に、読売新聞の三月三十日付の夕刊のコピーを配らせていただきました。大臣も私も千葉県在住で、今回知事選挙をいろいろやりましたけれども、二人とも残念な結果になりましたが、御当選された方が「「完全無所属」実は「自民支部長」」というのが三十日の夕刊にどんと出ました。これはちょっとどうなのかな、千葉県民の一人として冗談じゃないよという気持ちなんです。 この新聞記事の中に、当選された新知事さんが自民党の支部長を務めていた、収支報告書によると支部長はその御本人だ、〇四年から〇七年に一億六千万を超える企業・団体献金を受けて、その企業・団体献金を御自分が代表を務める資金管理団体に一億五千万近く寄附していたというような記載があります。 総務省にお尋ねしますが、ここに書かれている、この指摘されている事実はそのとおりなんでしょうか。
○門山政府参考人 お答えいたします。 東京都選挙管理委員会の告示を確認いたしましたところ、自由民主党東京都第四選挙区支部というのがございましたけれども、これが自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部という、新聞報道にございます支部に名称異動いたしましたという届け出が平成十五年十月一日にあったところでございます。 この自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部につきまして、平成十六年から十九年、代表者を確認いたしましたところ、鈴木栄治というお名前になっております。 それから、自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部につきまして、平成十六年分から十九年分の東京都選管が公表いたしました収支報告書の要旨で確認いたしましたところ、同支部への企業、団体からの寄附金額でございますけれども、平成十六年分が五千四百七十五万円、十七年分が六千七百八十九万二千円、十八年分が二千六十九万円、十九年分が千八百五十二万円となっているところでございます。 それから、森田健作政経懇話会というところに対しましてこの政党支部からの寄附金額を確認いたしましたところ、平成十六年分が四千三百八十八万八千八百六十七円、十七年分が八千五十七万一千四百二十円、十八年分が一千四百二十万四千三百十三円、平成十九年分が一千百六十四万四千円となっているところでございます。
○富田委員 今、部長の方からお話しいただきましたけれども、ちょっと不思議だなと思うのは、この鈴木栄治さんは平成十五年十一月に施行された衆議院選挙に出馬されませんでした。衆議院議員をやめられて、やめられるときに名称変更をされて、自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部というような支部名称で政党の支部という団体を持たれて、御自分の資金管理団体を持っている。 やめられた後になぜ衆議院というような名前をつけて支部が持てるのか不思議なんですが、これは事前にお伺いしたら、それは各政党の問題だ、政党がどういうふうにするかということなので、総務省に聞いてもしようがないので聞きませんが、政治資金規正法は、企業、団体の個人に対する寄附を禁じていますね。何のために政治資金規正法二十一条でそのような規制をしたんだか、ちょっとその立法趣旨をお話しいただけますか。
○門山政府参考人 お答えいたします。 政治資金規正法の第二十一条におきましては、「会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならない。」こういう規定になっているわけでございます。 会社ですとか労働組合などの団体が行います政治活動に関する寄附につきましては、平成六年の法改正におきまして、政治資金の調達をまず政党中心とする、それから、近年におきます政治と金をめぐる国民世論の動向などにかんがみて、政党及び政治資金団体、それから、この時点におきましては資金管理団体、これ以外の者に対するものは禁止するということにされまして、さらに五年後の平成十一年の改正によりまして、資金管理団体に対するものも禁止するというふうにされたと理解いたしております。
○富田委員 資金管理団体への寄附も十一年改正で禁止しているというのは、やはり政治と金に絡むいろいろな不祥事が起きて、そこをきちんと透明性を持たせようということでこの改正がされたと思うんですね。 今回の鈴木さんのやり方というのは、政党の支部でこれだけの巨額の企業献金を受けて、そのまま今度個人の資金管理団体にほぼ丸投げのような状況で渡している。これでは何のために政治資金規正法二十一条で透明性を図ったのか、全く理解ができません。 事前にいろいろレクを受けましたら、政党の支部から資金管理団体への寄附を禁じる規定がないというお話でした。確かにそういう規定がないので、法律上はできてしまうということなんでしょうけれども、全体を見たときに、やはりこれは政党の支部をトンネルにした違法献金、迂回献金なんじゃないかなというふうに思えます。それをどうですかと聞いても答えられないから聞きませんが、ちょっとこのやり方は幾ら何でもひどいんじゃないかな。 この新聞記事を見ましたら、「「知事選には使っていない。知事選に無所属での出馬を決意する前に、自民党候補の応援や党勢拡大などのために使った」と釈明」と。本当かいなと思って、ちょっと調べました。 前回、この三月二十九日に行われた知事選の四年前の知事選にも出馬されていますので、平成十七年のこの政治資金管理団体の収支報告書を見ましたら、先ほど、八千万近くの企業献金が迂回して渡っているというお話がありましたけれども、実に正直な方だなと思うんですが、政治活動費の中に、寄附として四千万円、千葉県知事選挙選挙運動というふうなところに支出したと書いてあるんですね。何じゃこりゃと思ったら、やはりさすがに間違えたのか、判こを押して個人名に直してありました。もう一つ、四千五百万円を「元気モリモリ千葉を日本一にしよう会」というところに寄附されているんですね。 ということは、やはり、法で禁じられている企業・団体献金を政党の支部で受けて、それをかご抜けにして政治資金管理団体に渡して、政治資金管理団体から知事選挙の費用を出したと、まるでもう明らかな、それなのにこういうふざけたインタビューに答えているというのは、ちょっと私は県民の一人として許せないなというふうに思います。 もう一つ。完全無所属とか完全無党派ということでずっとこの方は選挙戦をやられたんですが、公職選挙法上、二百三十五条に、虚偽の事実を公表してはならないという規定がありますね。この二百三十五条の立法趣旨はどういうことなんでしょうか。これを教えてください。
○門山政府参考人 公職選挙法第二百三十五条の第一項におきましては、当選を得または得させる目的をもって公職の候補者等の身分、職業、経歴等に関し虚偽の事項を公にした者は、二年以下の禁錮または三十万円以下の罰金に処する、こういう規定があるところでございます。 この規定の立法趣旨は、選挙という過程におきまして正確な情報を有権者にお伝えすることは当然のことであるということから、虚偽の事項を公表してはならないということに規定されているものと認識いたしております。
○富田委員 政党に所属しているかどうかもこの規定の中には書いてありますね。その有無もきちんと、うそを公表しちゃいけないというふうに書いてあるんですが、選挙公報を見ますと、自由民主党に所属しているなんてことは一切書いてありませんし、党員であるということも一切書いてない。とにかく無所属、「政党より千葉県民第一。」というふうな形でずっと選挙運動をされていました。 今部長に説明していただいた公職選挙法二百三十五条の趣旨からいいますと、一般論として、ある政党の党員で、かつ政党支部の支部長を務めるような人物が、殊さらそれらの事実を隠して、当選を得る目的で、選挙活動のさまざまな場面で、自分は政党に所属しない、政党の支援を受けない、無所属、完全無党派であることをアピールしていたような場合には、この二百三十五条の虚偽事項公表罪に該当する可能性があるというふうに思えるんですが、そのように理解してよろしいですか。
○門山政府参考人 一般論としてのお尋ねでございますが、若干前提を御説明させていただきますと、立候補届け出におきまして、立候補届け出書に所属する政党その他の政治団体の名称を記載する場合には、当該政党その他の政治団体の証明書、いわゆる所属党派証明書というのを添付するということになっておりまして、この所属党派証明書の添付がない場合には無所属、こういう扱いになるわけでございます。 したがいまして、立候補届におきます無所属という記載は、立候補届けをした方がどの政党にも属しないということを意味するものではなくて、所定の所属党派証明書がない、添付されていないという場合に記載すべき、かなり広い意味の呼称であるというふうに解されておりまして、一般に、政党に所属する者が無所属として立候補届けをし、無所属として選挙運動を行うことは、当該規定には抵触しないというふうに考えられるところでございます。 一方、政党に所属する者がいかなる政党にも所属しないということを公にして選挙運動をするということにつきましては、これも一般論でございますけれども、それが立候補届における無所属ということではなく、実際の政党への所属関係について、当選を得または得させる目的をもって公職の候補者の政党その他の団体への所属に関し虚偽の事項を公にした、そういうふうに認められる場合には、公職選挙法二百三十五条一項に抵触するおそれがあるということは考えられるところでございます。 なお、個別の事案につきましては、具体の事実に即して判断されるべきものと考えております。
○富田委員 非常に明確な答弁をいただいたので何も言いませんが、四月一日付の読売新聞、千葉版だと思いますが、こんな記事がありました。「「無所属だから森田さんに入れたのにだまされた」 千葉市の無職男性(七十)は、森田氏が東京都の自民党支部長として、政治資金を集めていたことを知り、憤りをあらわにした。 森田氏は現在も自民党員。支部長を務めていても法的に問題はないが、選挙戦で「完全無所属」と訴えてきただけに、違和感を覚える有権者も少なくないだろう。」私も違和感を覚えます。 大臣、御感想はどうですか。
○森国務大臣 その報道は承知しておりますけれども、事実関係について把握しているわけではございませんので、済んだことでもあるし、コメントは差し控えます。
○富田委員 法務大臣のお人柄が出て、すばらしい答弁だというふうに思います。 最後、ちょっと時間がありますので。 与党あるいは民主党の方から児童ポルノ法の改正案が今提出されておりまして、今後、各党間協議をぜひ進めたいなというふうに思っております。 ただ、民主党の案を見させていただきましたら、定義規定のところで、現行法でこういう場合が児童ポルノに該当しますよというのが第二条に書かれておりまして、第二条の三項に「この法律において「児童ポルノ」とは、」というふうに書いてありまして、一号、二号、三号と規定があるんですが、民主党の案では、この三号の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」というのを削除するというふうにされています。 現行法上、この二条三項三号で、どういう場合が適用事例としてこれまで検挙等をされていたのか、ちょっと教えていただければというふうに思います。
○大野政府参考人 二条三項三号を適用して処罰がなされた事案としまして、例えば、半裸あるいは全裸の児童に姿態をとらせ、ポーズをとらせて、陰部を見せる、それをカメラ撮影して児童ポルノを製造する事案というのがあります。あるいは、脱衣場で着がえ中の児童の全裸を盗撮して、児童ポルノ提供目的で製造した事案というのもございます。それから、現在公判係属中の事案でありますけれども、十六歳の児童に極めて小さい下着や水着を着用させて、性器等の周辺部分を強調した写真を撮影して、児童ポルノを提供目的で製造した事案、これらが今御指摘のあったようなケースに当たると考えております。
○富田委員 今局長の方から説明していただいた中で、脱衣場の盗撮等が、どうも私の感覚では、民主党案の中でこの三号を削除してしまうと、そこが入らなくなってくるんじゃないかなというふうに思います。これは今後各党間の協議の中で明らかにしていく必要があると思いますので、御指摘だけさせていただきたいと思います。 最後に、与党案は児童ポルノの単純所持の禁止を大きく掲げていまして、民主党さんの案は取得罪を新設しようというような流れになっています。ただ、今回こういう改正の動きが出てきたのは、そもそも、単純所持を処罰してもらいたいというふうなNGOの皆さんの強い要望から与党PTが立ち上がって議論してきたという経緯があります。 法務省として、今後各党間の協議が始まると思うんですが、NGOの要望とかを受けて、今後どういうふうに法務省として児童ポルノ法等の改正に取り組まれるのか、最後に大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○森国務大臣 まず、児童ポルノについての認識でございますけれども、インターネットが普及をいたしまして、画像というのがとにかく世界じゅうに、また半永久的に流出し、取得できるという状況になっておりまして、これは特に児童に一生心の傷が残る問題であるというふうに思っております。したがって、これについて何とかしなきゃいけないという問題意識は持っております。 そういう状況の中で、規制のあり方については種々の議論がなされておって、与党からは、先ほど言及されました法案が現在衆議院で継続中でありますし、また、このたび民主党からも同名の法案が提出されているわけでございまして、私は、個人的に言えば、そんなに乗り越えられない壁があるとは思っておりませんけれども、いずれにしても、法務省としては、国会において児童ポルノの撲滅に向けた実りある御議論をしていただくために積極的に協力をしてまいりたいと思っております。
○富田委員 ありがとうございました。終わります。
○山本委員長 次に、細川律夫君。
○細川委員 民主党の細川でございます。 きょうは、裁判員制度について御質問をいたします。 私たち民主党では、昨年から、裁判員制度実施に向けた環境整備等の検証プロジェクトチームを党内に設置いたしまして、裁判員制度の円滑な実施に向けて、論点を整理しながら検討を重ねてまいりました。先日この意見書がまとまりましたので、森法務大臣にもお届けをしたところでございます。そのプロジェクトチームで議論をした、そのことを踏まえまして、何点かきょうはお伺いをいたします。 まず、保釈についてでございます。 私たちの意見書の中で最も重要な論点は、裁判員裁判で拙速な裁判が行われて、公正な裁判が保障されないおそれがあるのではないかというようなことで、いろいろと議論をいたしました。 これについては、先月、大臣所信に対する質疑でも、特に公判前整理手続や公判の日数について議論をいたしましたので、重複は避けますけれども、裁判員の負担軽減を追求する余り、とりわけ複雑多岐にわたる事件では問題が起こるのではないかというような懸念を持っていることを御指摘しておきたいと思います。 きょう、まずお伺いしたいのは、保釈であります。 我が国の司法制度が人質司法と言われて久しいところでございます。連日開廷されます裁判員裁判には、被告人と弁護人の連携が今以上に要求されるというふうに思いますが、裁判員裁判の対象事件というのは必要的保釈事件の例外というふうになっておりまして、多くの場合はまず保釈は認められない。したがって、連日開廷の際に、被告人は夜間に短時間で弁護人と打ち合わせをしなければならない。そうすると、この点で被告人の防御権が侵害されるのではないか、こういうふうになります。東京拘置所なんかは、今でも五時にもう弁護人も面会ができないというようなことでもありますと、これが裁判員制度の裁判のときにもそういうことでは、これはまた大変なことだというふうに思っております。 刑事訴訟法八十九条では、一般的に保釈の請求を許可すべきだ、一般的には許可すべきだということで、六点の例外を設けております。第一号が「被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。」ということになっておりますけれども、私は、運用によって、保釈請求の却下という幅をできるだけ狭くなるように努力をすべきではないかというふうに思っております。 この点については最高裁はどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 一般論として申し上げますと、裁判員裁判におきましても、保釈の判断に当たりましては、刑事訴訟法八十九条各号の定める保釈制限事由の存否や、裁判所の裁量で保釈することの相当性について検討して決定することになります。 保釈の運用について事務当局としてコメントは差し控えさせていただきますけれども、裁判官の論文の中で、裁判員裁判で連日的開廷が行われると、弁護人と被告人とが十分な意思疎通を図るため、可能な限り被告人が身体拘束から解放された状態で訴訟の準備を行う必要性が高い、それから、公判前整理手続において、争点、証拠の整理が早期に行われて審理のスケジュールが立てられているということは、保釈を容易にする要素になり得ることなどが指摘されているものと承知しております。 現場の裁判官においても、こうしたような点も踏まえて、個々の具体的な事案の内容に即して適正に判断を行っていくものであろうと考えております。
○細川委員 裁判員裁判が連日開廷というようなこともありますので、先ほど言われました、裁判官が裁判以外でいろいろ言われていることなど、ぜひその方向で進めていただきたい、こういうふうに思っております。 今、現状では、裁判員裁判の対象にならない事件、軽微な犯罪でもなかなか保釈が認められないというのが現状でございます。私たちは、衆議院に提案をして、この委員会に継続しておりますけれども、刑事訴訟法改正案、この改正案の中で、八十九条の第四号、ここを改正する。この四号の「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」こういうようになっておるのを、この「相当な理由」を「充分な理由」とするという改正で、そこで権利保釈について、保釈請求を安易に却下できないような、そういう法改正を提案いたしております。こういう改正によって、今言われております人質司法全般が正されていくのではないかということで、改正案を提案しているところでございます。 保釈に関しての私どもの改正案、これについて大臣はどのようにお考えなのか、お聞かせください。
○森国務大臣 現行の刑事訴訟法の規定や実際の運用からしましても、現状以上に保釈が認められる幅を制度上広げることは適当でないと考えております。 特に、委員御指摘の刑事訴訟法第八十九条第四号の「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」という要件につきましては、単に抽象的な罪証隠滅の可能性があるというだけでは足りないものとして解釈、運用されており、これを改正する必要はないと現時点では考えております。 また、加えて申し上げますと、現行制度におきましても、現に保釈後に罪証隠滅工作が行われる事例も絶えないところでございまして、権利保釈の除外事由としての罪証隠滅のおそれの程度を引き上げるなどして保釈が認められる幅を現状以上に制度上広げることには弊害もあるものと考えております。
○細川委員 しかし、余りにも今の現状は保釈が認められないということで、ぜひこの点については今後検討をしていただきたいというふうに思っております。 次に、取り調べの可視化の問題でございます。 一昨年、私ども民主党は、参議院に取り調べの録画、録音による可視化法案を提案いたしまして、昨年六月には参議院で可決をいたしました。衆議院の方に送付をされてまいりまして、この委員会にもかかりましたけれども、結局、審議をされずに廃案となりました。それと同じような、類似の刑事訴訟法改正案の法案を衆議院に提案もいたしておりますけれども、いまだに審議をされないままに、継続審議というふうになっているところでございます。 参議院の方に提出いたしました法案については、今国会も再度提出をすることにしておりまして、その法案には、取り調べの可視化とともに、検察官手持ちのリスト、この開示も規定をいたしているところでございます。 この可視化法案は、一義的には、刑事裁判における冤罪の防止が最大の目的でございます。しかし、裁判員制度が始まるというようなこともありまして、私どもの可視化法案を策定していく、こういうことの動機にもなっていたわけでございます。鹿児島の例の志布志事件、あるいは富山の氷見事件など、本当に、今のこの社会でもこんな自白の強要が行われて、警察の追及的あるいは強圧的な取り調べが行われているということが大きな問題となったわけでございます。 自白の任意性が争点となりましたならば、裁判が長期化する場合が多くなりまして、事件の解決といいますか、裁判が非常に困難になる、困難な議論になるという可能性も強いわけでございます。一般の国民が裁判員になるわけですから、裁判員の前に事実に反する自白調書が提出をされてその任意性が争点になるようなことは、これはやはり避けなければならない、そのためにはやはり取り調べの全過程の可視化が欠かせない、こういうように当然考えられるわけでございます。 先ほどもこの委員会で法務省の方から説明もありましたけれども、取り調べの可視化は現在でも一部は導入されております。しかし、部分的な録画、録音ということで、私は、一部ではやはり自白の任意性、信用性を裏づける証拠ということには必ずしもならない、こういうふうに思っております。少なくとも、私たちは、全過程の録画、録音をすべきだと主張をいたしております。 それから、公判前整理手続におきます、検察官が持っている手持ちの証拠リスト、これが私は大変重要だというふうに思います。 被告側はそもそも検察官がどういうような証拠を有しているのかわかりませんから、そのために公平な手続にならない可能性が大きいということでございます。公判前整理手続の導入によりまして開示の範囲が拡大したというようなことは理解ができますけれども、しかし、検察官がみずから都合の悪い証拠を開示しない、こういうことはこれまでの冤罪事件の歴史を見てみれば明らかでございます。したがって、私どもは、すべての手持ちの証拠のリストを開示するように私どもの法案には規定をいたしているところでございます。ぜひこれにも賛同をしていただきたいというふうに思っているところでございます。 この証拠の開示について、大臣、私が今説明したこのことについては、大臣はどのように考えているか、お聞かせください。
○森国務大臣 手持ち証拠のリストについてのお尋ねでございますが、公判前整理手続においては、証拠開示に伴う弊害の防止にも配慮しつつ、被告人側の訴訟準備と争点整理、証拠整理が十分になされるよう、基本的に、開示の必要性と開示に伴う弊害の双方を勘案して開示の要否を判断するという仕組みが採用されております。 その立案過程においても、検察官請求証拠の開示の際に、検察官の手持ち証拠すべての標目の一覧表をも被告人側に開示する制度について検討がなされましたが、まず、供述調書、鑑定書、証拠物といった証拠の標目だけが記載された一覧表を開示しても意味がないこと、また、証拠の内容、要旨まで記載した一覧表を開示するものとすると、開示の必要性や開示に伴う弊害を度外視して検察官手持ち証拠をすべて開示するのに等しく、適当でないと考えられること、さらに、手持ちの全証拠について一覧表を作成させること、特に証拠の内容、要旨まで記載した一覧表を作成させることは、捜査機関の負担を過重なものとし、現実的に見て妥当でないことなどの諸問題があって、相当でないと考えられたことから採用されませんでした。 このような経緯や改正法の趣旨からして、御指摘のような法改正が必要であるとは考えておりません。
○細川委員 やはり、刑事裁判というのは公平に行われなければいけない、こういうのは原則でございます。したがって、証拠に関しても、やはり検察側が持っている証拠については全面的に開示をする、証拠の標目を開示、こういうことですから、これはぜひやっていただきたいなというふうに思っております。 次に、裁判員の日当に関してお伺いいたします。 昨年も私はこの委員会で、この日当の件について、上限が一万円というのは余りにも低いのではないかということの議論がありました。私じゃなくて、同僚の古本さんだったと思いますが、議論がございました。この日当一万円ということが妥当かどうかということでございます。 裁判員も、量刑の決定も含めまして職業裁判官と同等の職務権限を持っているという点、また、国民の負担や不安が大変大きいという側面から、我々のプロジェクトチームで議論したときも、この金額については大変大きな、批判のような意見がたくさん出てまいりました。私も、裁判員の方がいろいろ忙しい中、無理をしながらも裁判員裁判に参加をして、また、場合によっては死刑を含む大変重大な決定もしなければいけないような、そういう裁判員の日当が上限一万円というのは余りにも低いのではないかというふうに考えておりまして、裁判官にある程度見合った額ということになれば、やはり三万円程度に引き上げてもよいのではないかというふうに思っております。 また、裁判員の宿泊料についても問題がありまして、例えば、東京の二十三区に宿泊した場合には、裁判員の宿泊料は上限八千七百円、これに対して裁判官は一万四千八百円。同じような権限を持って判決を下す立場でありながら、こういうふうに違うというのはちょっと理解ができないところでございます。 そこで、お聞きをいたしますけれども、これらの日当あるいは宿泊料、今私が話したようなことについて最高裁判所はどのように考えているのか、従来の考えを変えるおつもりはないのか、お答えいただきたいと思います。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判員の日当でございますが、これは、出頭雑費、それから出頭したことによる逸失利益を一定の限度内で補償するというものでございます。したがいまして、職務の対価である裁判官の報酬とはもともと性質が異なるものでございます。 また、裁判員の日当の上限額が一万円であるということにつきましては、ただいま申し上げました日当の法的性質を踏まえまして、国民の司法参加という点で共通いたします検察審査員の日当の上限額、これは八千円でございますが、これを基本としつつ、検察審査員に比べて職務のために拘束される時間が定型的に長いというふうに考えられることなどを考慮した上、最高裁判所規則制定諮問委員会の議論を経て、規則で定めたものでございまして、裁判所としては適切な額であると考えております。 裁判員に支給する宿泊料につきましても、国民の司法参加という点で共通いたします検察審査員に支給する宿泊料と基本的に同様に考えるのが相当で、裁判員規則においても、このような観点から、国家公務員等の旅費に関する法律に定める甲地方については八千七百円、乙地方については七千八百円とそれぞれ定められたものでございます。この金額は、検察審査員に対する宿泊料の上限額と同額であるほか、例えば刑事事件における証人に対する宿泊料とも同額でございます。
○細川委員 今の説明だと、日当という性格からいろいろと御説明がありました。 これは法務省の方からファクスで資料を送っていただいて、日当というのはどういうふうになっているかという、法令上の用語の辞典からちょっと日当というのを申し上げますと、日当は、法令上の用語としては、実費弁償の性格を有する旅費の一種として用いられている。実費弁償です。日当は、旅費のうち、運賃その他、他の種類のものには含まれない旅行中の昼食代その他の雑費の支払いに充てるため、実費弁償として定額支給される旅費の一種であること、こういうような説明がされているんです。 そうしますと、日当ということになっているからこの額が一万円ということであるならば、日当ということではなくて、報酬とかあるいは手当というふうな法改正にすれば引き上げは可能なのか。これはちょっと法務省の方にお聞きをいたします。
○大野政府参考人 ただいま委員からお話がありましたように、日当は一種の実費弁償でございまして、裁判員として勤務したことに対する対価ではないわけであります。 今委員が、それならば手当を支払うこととしたらどうかというのは、裁判員に対しても職務の対価としての、一種の給与のようなものとして支払ったらどうか、こういう御提案かというように理解いたしました。 その上で、それでは、裁判員に対して日当ではなく手当を支給することとすべきかどうかでありますけれども、考慮すべき要素といたしましては、裁判員の職務の性質がどうか、あるいはその職務に従事する期間等がどうかというようなことが考慮されるべきであろうというふうに思います。 そして、金額につきましては、それでは手当ということで支給することとした場合にその金額としてどの程度が適切であるのかというのは、これはまた別に検討されるべき問題ではないかというように思います。つまり、裁判員に支給される金額が日当か手当かというような性格づけから直ちに決まってくる、導かれるものではないだろうというように考えております。 もちろん、国民の皆様に裁判員を務めていただくため、その負担を過重なものにしないよう、さまざまな配慮をしていくことが重要でありまして、裁判員の日当もその一つでありますので、その額については、最高裁におきまして、そうした観点も踏まえて適切に定められたものというように承知しております。
○細川委員 どうも私の質問の趣旨から外れたようなお答えになって大変不満なわけなんですけれども、私の質問の趣旨は、日当上限一万円では低いのではないか、裁判員の皆さんには、裁判に行ってもらったらもう少しのお金、もっと上のお金を差し上げてはどうか、こういう提案でありますから、その方法はないのかどうかということでの議論でございます。 そこで、昨年の四月ですか、委員会で、同僚の議員が当時の鳩山法務大臣にこの日当問題で質問をいたしております。鳩山法務大臣はこのように答えております。裁判員は裁判官と九人で合議をするんだから、やはり裁判員である以上は、裁判官と同等に、近いものとして扱わせていただくのが正しいんだろう、実際には予算とかいろいろな制約があるのかはわからないけれども、私はそう思いますというふうに答えておりまして、つまり結論は、できるだけ同等にせよということをおっしゃっております。 当時の鳩山法務大臣の気持ちというのは、先ほどの最高裁あるいは法務省の答弁では反映されていないというふうに私は考えますけれども、森大臣はこの点についてどのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
○森国務大臣 個人的にはまことに心動かされる細川委員の御意見、問題提起でございますけれども、法務大臣としては、裁判所の御判断に従いたいと思います。
○細川委員 そういう大変心を動かされたという発言がありましたので、そのことをぜひ最高裁判所の方も考慮していただいて、ぜひ上げていただけたらというふうに思っております。 私の質問はこれで終わりますけれども、五月二十一日からは裁判員制度がスタートいたします。関係者の皆さんのいろいろな御努力で、ぜひ円満、円滑に実施がされていきますように心から願って、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○山本委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時二分休憩 ————◇————— 午後一時五十二分開議
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。仙谷由人君。
○仙谷委員 きょうは、法務委員会で裁判員裁判の開始に当たって集中審議をされるということでございます。 民主党は、この裁判員裁判について、果たしてうまくできるのかどうなのか、国民の心からの賛意を得られる制度に育てることができるのかどうなのか、運用がうまくいくんだろうかという、いろいろな不安や懸念を背景にいたしまして、この間、プロジェクトチームをつくって、何が問題になりそうなのか、そしてそれに対する対応をどう考えておけばいいのかということで検討をしてまいりました。そして、一昨日の次の内閣で、裁判員制度実施に向けた環境整備等に関する意見書というのをまとめまして、私どもが考える点を指摘しておきました。 要は、この裁判員裁判は、司法への国民参加、司法を国民の手に取り戻す、そのことを通じて司法をより民主的なものにし、国民の信頼を受けられるものにしなければならないというところが眼目でありましょう。そして、なおかつ、刑事裁判である限り、被告人の防御権が全うされなければならない。裁判員裁判によってかえってそのことがある種のショービニズムといいましょうか、メディア報道とも相まって、被告人の裁判を受ける権利あるいは公正な裁判を受ける権利、そして防御権というものが侵されるというふうな本末転倒になってはならないということを考えてきたところでございます。 そういう観点から、きょうは一、二、この裁判員裁判を運用するに当たって我々が考えておかなければならないこと、そして裁判所あるいは検察庁、検察官にもぜひ強く留意をしていただかなければならないということを、私どもの方から質問という格好で指摘をさせていただきたいというふうに思います。 まず法務大臣にお伺いをするわけでありますが、日本の裁判は、ある意味でキャリア裁判官による裁判という形で、いわば明治維新の大津事件という困難な事件を通して司法権の独立を確立したというふうに言われておるわけでありますが、そこからキャリア裁判官による裁判が続いてきたわけでありますけれども、これについて法務大臣はどのような評価をされているのか、つまり、どういうプラスがあって、どのようなデメリットといいましょうかマイナスがあったのか、そのことについてお考えをいただければと思います。
○森国務大臣 私は、基本的に言って、これまで日本の裁判というのは、どこに比べても引けをとらないぐらいきちんとなされてきたというふうに基本的には思っております。ただ、やはり今おっしゃられたキャリア裁判というか、極めて一握りの専門家によってつかさどられていた裁判でございますので、そういう意味ではやはりいささか、ある意味で一般の常識とか国民の感覚とかから若干隔たりができている面もなかったわけではないと思います。 それから、加えまして、必要以上に時間がかかって、また、なかなかその結論が出ないというふうな弊害もあったわけでございまして、そういったことも含めまして、私は、今委員がおっしゃられたように、そういったすぐれて専門家集団でなされていた司法に国民の常識とかあるいは感覚とかを導入して、より国民に根差した裁判が行われるようになるということは極めて意義深いことであるというふうに思っております。
○仙谷委員 的確に近いところまで御認識をいただいておるようでありますが、つまり、一つは、裁判が別に閉鎖された空間で行われているわけじゃないんですが、新聞やテレビの報道による以外、国民が傍聴に行こうというほど暇ではないといいましょうか、あるいは国民の日常の関心の外側に多くの裁判が置かれているということが一つの理由でありましょう。 さらには、こういう言葉、こういう文章が、私には昔からひっかかっておったわけであります。 それは、石牟礼道子さんという大作家でありますが、石牟礼道子さんが、チッソの刑事事件というのがあるんですが、それにずっと通われて、傍聴をされた後、「魂の言葉を紡ぐ」という本の中で、「法廷で原告側と被告側の弁護人がやりとりをするのですが、法律的な問題の立て方がまずピンと来ない上に、使われる言葉は自分たちの生活実感からあまりにかけへだたっています。魚をとったり畑を耕しているときには絶対に使わないような、実に味気なく内容の薄い言葉で終始やりとりされますから、裁判に勝っても、どうも勝った気がしない。」というようなことをおっしゃっているんですね。 二十年ぐらい刑事裁判を、あるいは民事裁判もそうでありますが、やった経験からいいますと、どうも裁判所の中でのやりとりというのは、ある種、プロ集団といえばプロ集団でありますが、法曹三者の共通言語でやりとりされて、どうも概念、法律用語の意味が常識とは少々違う部分があるということもあるんでしょう、あるいは共通言語が符牒のように聞こえるということもあるのかもしれません。 そんなことで、国民の多くは実態的な理由、つまり、裁判を見に行くほど暇ではないというふうな理由とか、大きい事件は新聞、テレビ等で報道されるということもあるんでしょうけれども、つまり、それはまあ興味本位の報道の場合が多いわけでありますが、そういうところからも阻害をされているし、共通言語に入っていけないというところからも、大いに裁判からは普通の国民といいましょうか、一般の国民はまさに阻害されているという状況が続いてきたというふうに思います。 そんな中で、ある種、国民の監視が行き届かないといいましょうか、国民に実質上オープンにされない空間で、裁判官、検事、そして弁護人のやりとり、そこに刑事事件の場合は被告人という存在がおるわけでありますが、やりとりが行われてきた。最近では被害者側からのストレスも大変強いようでありますけれども、被告人の側、弁護人の側からいっても、そこで行われていることが、果たしてこんなことでいいんだろうか、とんでもないことがやられていると。 それはそもそも、もとを正せば、刑事事件の場合には、捜査の密行性、つまり、こここそ閉じられた、要するに、外には明らかにしてはならないという前提の空間の中でつくられた証拠で基本的には刑事裁判というのは運ばれるわけで、特に刑事事件の主導権というのは、実質上は検察官がつくった、あるいは集めた証拠をもとに主張がされ、そして法廷はそこから始まっていって、そのことが裁判官によって肯定されるかどうかという形で終わる、こういう仕掛けになっておるものですから、こういう筋道になっておるものですから、どうしても捜査の密行の中での、密室の中での検察官がつくったプロット、筋書きに従って進められるという場合が多いわけであります。 そこで、刑事弁護人からは、日本の刑事裁判というのは調書裁判である、そしてさらに、被告人、被疑者の身柄を拘置所にとどめ置くことによって裁判が進行するということになれば、人質をとって刑事裁判を進めているようなものである、人質司法であるというふうなことが言われてまいったわけであります。 今度は、裁判員裁判をするという前提で、刑事訴訟法三百十六条の二以降ということでありましょうか、公判前整理手続ということが規定をされまして、公判廷を開く前に、主張と証拠調べの中身と順序というようなものも含めて、まずはそこで法曹三者あるいは被告人を含めて整理をするんだ、そして、その後公判廷が開かれれば、効率的に集中審理で行うんだ、こういうことにするんだということに、刑事訴訟法の改正もそういうふうになされてなったようであります。 早い裁判というのは、今法務大臣がおっしゃいましたけれども、これはある意味で、第一義的に被告人にとっても、あるいはそれを見ている国民にとってもいいことであります。 だけれども、早い裁判ができなかった理由というのは、集中審理で早くできなかった理由というのは、それはいろいろな理由があるわけでありますが、私は、弁護士、弁護人の経験からして、実は日本の刑事裁判、そして刑事被告人になった場合の御本人たちの最も大きな理由は、刑事事件にはお金をちゃんと払える被告人というのがほとんどいないというところにあると思います。つまり、弁護料を、そういう少々大きい額の報酬を払う、つまり、弁護人の弁護、労働に見合う、そして事務所維持を賄えるだけの報酬を払える依頼者というのは、刑事事件の被告人はほとんどいない。 したがって、集中審理に専念するとなると、先般も今も刑事事件をやっている弁護人とちょっと話をしましたけれども、結局、一時間の法廷をやるためにどのぐらいの時間がかかるか。つまり、調書を読み、調査に赴き、接見に赴いて被告人と打ち合わせをし、判例を当たり、それから参考書といいましょうか原典を読み、自分で文章をつくるということの作業にどのぐらいの時間がかかるだろうか。十倍ぐらいかかるだろうか、百倍ぐらいかかるだろうか、こういう話をしてみたわけであります。 つまり、法廷で見える姿、その何十倍もの時間をかけないと、良心的なといいますか丁寧な裁判はできないわけですね。その時間を賄い得る費用を払える被告人というのはほとんどいないというのが、実は集中審理に弁護人も踏み込めなかった大きな理由であります。 今度、公判前整理手続を、時間をかけて、ある種、早期にということも書いてありますが、具体的に、検察官の主張をまずさせて、それに従って証拠調べをやる、順序を決める、集中してそういう証拠調べをやるんだということをやるこの公判前整理手続も、随分時間がかかる。あるいは、ここをこそ丁寧に具体的にやらないと、いい審理はできないと思います。そうなると、弁護人は公判前整理手続にもエネルギーを割かなきゃならない、時間を割かなきゃならないということになります。 しかし、公判前整理手続をやらなければならないわけでありますが、多分、刑事弁護をまじめに真剣に取り組んできた弁護人にとっては、この中で検察官手持ち証拠がどのぐらい開示されるかというのがやはり最大の関心であり問題だというふうに、私の経験上もそうでありますが、理解をしております。 この点について、まずは手持ちの証拠リストを全部開示するというふうな方針で今法務省がいらっしゃるかどうか、そのことについてまずお尋ねをしたいと思います。
○大野政府参考人 証拠開示に関するお尋ねでありましたけれども、今委員御指摘のように、改正刑事訴訟法によりまして、公判前整理手続におきます証拠開示の方法が定められております。 一番最初に、検察官が法廷に提出しようとするいわゆる請求予定証拠を開示するわけであります。その前に、検察官の予定主張を明らかにするわけでありますが。そうした証拠開示に対しまして、開示された証拠の証明力を争うために、弁護側が今度はそれに関連する、類型証拠と申しますけれども、類型証拠についての証拠開示請求が行われる。その後、弁護側が主張を明示することになるわけでありますけれども、そこで明示された主張に関連する証拠について、今度は第三段階目の証拠開示が行われる、こういう手順になっております。 そうした証拠開示の要件等については、もちろん刑事訴訟法に規定がございますし、また、そうした証拠開示の要否につきまして弁護側と検察側との間で意見が合わない場合には、裁判所に裁定請求を行って裁判所が裁定をするという仕組みも設けられているわけでございます。 ただ、検察の現場の実情について申し上げますと、そうした法律の仕組みはございますけれども、目的とするところは、証拠開示の弊害を避けつつ、迅速的確な審理計画を立て、争点を整理するということでありますから、そうした証拠開示請求に対しては、基本的に、できる限り誠実に対応していこうということでやっております。 実際に、弁護士会等からも、検察庁の証拠開示に対する姿勢といいましょうか、これは新しい手続ができた後、格段に出る証拠がふえているというような話を伺うこともございます。
○仙谷委員 従来は、ともすれば、国民に有利な資料になる可能性のある証拠を検察官が、その存在を示すことを嫌がったり、それから、それを指摘されても、いやいや、私どもはそんなものを証拠請求するつもりはないということで隠したりというか表に出さなかったり、要するに、証拠開示をめぐって裁判所で争われて、大変長期にそれがかかるということがあったわけであります。 さらに、今局長がおっしゃった、第三段階の関連する証拠というふうなものについては、ほとんど存在を認めなかったり、あるいは、証拠請求はもちろんしないし、開示もしないというふうなことがあったわけであります。 今、ここで最近の高裁判例、最高裁判例というふうなものを改めて見てみますと、犯罪捜査規範により、警察官、検察官が作成及び保存が義務づけられている備忘録というふうなものについて争いが随分あるように読み取れます。近年、平成十九年ですか、広島高裁の平成十八年の事件、名古屋高裁の平成十九年の事件を引用しながら、それに反論して、検察官の特別抗告を棄却した最高裁の決定というのが出ております。 こういう観点からいうと、証拠開示の請求があった場合に、この種関連する証拠についても、まずは裁判所のインカメラによる証拠物といいましょうか、あるいは証拠書類の検討に速やかに付す、そういうふうなこと、あるいは開示命令、開示に関する裁判所の決定を受けて、円滑な整理手続あるいは公判の進行に資するように積極的に協力するんだという構えは、法務省にはおありになるんでしょうか。
○大野政府参考人 備忘録をめぐります証拠開示の要否につきましては、確かに今委員御指摘のように検察側の考えと弁護側の考えが食い違っておりました。これは最高裁まで行きまして判断が示されたわけでございます。 したがいまして、当然検察側としては、今後、こうやって最高裁の示した判断に沿って運用をしていくということになるわけでございます。
○仙谷委員 従来、備忘録以外の問題、証拠物等々に関しても、どうも現在行われている公判前の整理手続でも、存在しないというふうな釈明を堂々となさる場合が多いようでありますが、弁護人がある種の特定をして開示の要求をしたときに、ちょっと表題が違うとかなんとかで存在しないとかということを、割と私どもも言われてきたわけであります。 その問題以前に、手持ち証拠のリストを全部開示すれば、存在しないとか存在するとかという矮小な議論にならないで済むと私は思っておるのでありますが、この存在しないと言う検察官が、事前の公判前整理手続の中で釈明をするということではなくて、これは、全面的に証拠リストだけはまずは開示をするというか提示をするということが必要だと思っておるのでありますが、その点はいかがですか。
○大野政府参考人 今御指摘の点は、検察官手持ち証拠の全面開示あるいは手持ち証拠リストの開示という御主張かと存じます。この点につきましては、今回の刑事訴訟法改正の立案の段階でもかなりの議論がございました。 確かに、証拠開示を広く行うということは、一面、弁護権をそれだけ手厚いものにするというような長所がある反面、他方で、客観的には証拠開示の必要性がない、つまり事件の関連性がなく、しかも、逆に関係者のプライバシー等に悪影響を及ぼすという弊害のあるような証拠もございます。 そうなりますと、そうした証拠が、いわば無限定に開示されていくということにやはり弊害があるではないかというような議論の中で、先ほど申し上げましたように、争点整理、証拠整理と結びつけた形で、開示の必要性と開示に伴う弊害の双方を勘案して、逐次証拠開示を進めていくというやり方が採用されたわけであります。そして、弁護側には、従来は認められていなかった開示請求権というようなものも認められたわけでありますし、先ほど申し上げた、裁判所による裁定の仕組みも導入されたわけでございます。 そうしたことで、全面開示をすべきである、あるいはリストを開示すべきであるという御主張はございますけれども、現行法に盛り込まれたそうした証拠開示の仕組みを活用していくことによって、その弊害とメリットの双方を調整して実現するような現在の仕組みにそれなりの長所があるんじゃないかというように考えているわけでございます。
○仙谷委員 いや、私が言っているのは、すべてを全面的に開示せよなんてことを言っているんじゃなくて、まず証拠リストを提示する必要があるんじゃないかと。 その中に、これはプライバシーに関するものだから、あるいは事件との関連性が全くないからとかいうことをちゃんと提示しながら、開示を自分の方が必要がないという理由を公判前整理手続でおっしゃれば、果たしてそうなのかどうなのかということを裁判官が、例えばインカメラで見るというふうな方法で開示請求を、これは開示まで必要ないじゃないですかということが、裁判官と、その三者の間で協議をすれば、それは容易に解決のつく話だと私は経験上も思っているわけですね。 それを、検察官の裁量権の頭の中で、つまり、そんなものは開示の必要性がないんだという検察官の判断だけを示すことによって、その判断が合理性があるのかないのかということは検証されないわけですから、その場限りでは。だから、まずは証拠リストは示して、そういう意見をおつけになるということが望ましいというか、そうしないと、今までと余り変わらない、悪くすると変わらないことになってしまうんじゃないかということを申し上げておるんですが、いかがですか。
○大野政府参考人 私、先ほどお答えしたのは、確かに手持ち証拠そのものの全面開示について申し上げました。今委員の特におっしゃいましたのは、リストの開示ということでございました。 このリストの開示につきましても、立法過程の議論で申し上げますと、供述調書、鑑定書、証拠物といった証拠の標目だけが記載された一覧表を開示しても、これは意味がない、わからないということになります。そうなりますと、今度は、その一覧表に証拠の内容や要旨も書き込まないと、確かに何が中身になっているのかわからないということになるわけでありますけれども、そうした一覧表に中身を書くということになりますと、開示の必要性やあるいは開示に伴う弊害を度外視して検察官手持ち証拠をすべて開示するのに等しいことになりまして、やはり適当ではないのではないだろうかというように考えております。 また、手持ち証拠と申しましても、非常に膨大でございます。それにつきまして一覧表を作成するということは、現実的に見て必ずしも現実的ではないのではないかというような問題点もございまして、そうした主張は立案段階でもございましたけれども、結局採用されなかったという経過がございます。
○仙谷委員 さはさりながら、そうはおっしゃるけれども、結局、刑事事件の弁護人が最も苦労するのは、どこかに隠されておった検察官手持ち証拠の中にアリバイを証明するものがあったり、あるいは有罪立証を崩す反対有力証拠があったりしたという歴史的経験に基づいて、私もそういう経験を何度かしていますから、それで申し上げているわけなんですね。 だから、おっしゃった、プライバシーとか、立証とほとんど関係ないということならば、そういう注記をして、別にその中身をそこへ書く必要はないわけで、標目ぐらいは、リストぐらいは全部さらさないと、やはり検察官はどこかに検察官の立証にとって不利な証拠をお隠しになっておるのではないかということになるわけで、そういう事件になった場合に、これは三日や四日や五日で裁判を終えるとか、そういう簡単なものじゃなくなってくると私は思います。 公判前の整理の手続でそこのところこそ詰めてやっておかないと、ただでさえこれは拙速裁判になる可能性があるなというふうに、非難を受けない裁判期間といいましょうか時間を実現するためには、この開示の問題と次の次に申し上げる保釈の問題を解決しておかないと、弁護権、防御権を全うすることはできないと思いますので、これは裁判所でまた争われることになるのかもわかりませんが、この問題が絶えず絶えず裁判所で蒸し返して争われるというようなことは、裁判員裁判といいましょうか、短期間の集中審理がうまくいかないということになりますので、この点は、検察庁、法務省はよくお考えになった方がよかろうかなと思っております。 次に、二号書面請求というのがあります。私ども、争う事件を担当する弁護人からいえば、こここそ大問題。普通の方は、この三百二十一条一項二号による二号書面請求というのが、こここそすべての裁判になった人の恨み骨髄の規定になっておるわけでありますが、今度は、公判での証言といいますか、公判廷に出て調書も朗読をされた、そのことをもってもし調書が証拠とされることになっても、そのことをもって、つまり、公判での直接主義で裁判が進められるという前提になっておるようでありますから、検察官の立証のやり方についてのこの二号書面請求について、どういう方針をお持ちなのか。つまり、なるべくこんなものを請求しないでもいいような立証にするという気構えなのかどうなのか。従来は、もう二号書面を請求することは当たり前だというふうな立証方針で刑事事件というのは進んでおりましたが、この点、いかがでございますか。
○大野政府参考人 裁判員裁判は、やはり公判で裁判員に心証をとっていただくわけでありますから、その意味で、公判における証人尋問に主力が注がれることは申すまでもございません。 ただ、公判における証言が捜査段階の供述調書、供述と食い違う場合もあり得るわけであります。ただ、そういう場合も、やはり裁判員にきちっと心証をとっていただくという観点、あるいは直接主義といいましょうか口頭主義の観点からすれば、できる限り公判における証人の弾劾によって真実を証言してもらうということに力点を注ぐことになろうというふうに考えております。 ただ、その場合でも、どうしても真実の証言が得られないという場合には、やはり刑事訴訟法の規定に従って二号書面を請求するという場面もそれは残るだろうというふうに考えております。
○仙谷委員 特に信ずるべき情況になければ二号書面というのは本来は採用されないんですが、裁判所の方も割と安易に、二号書面が請求されたら、はい、ではいただきましょう、あとは信用性の問題ですみたいなことで採用してきた嫌いがあるわけですね。 この特信性問題とも関係するわけでありますが、要するに、自白の任意性、それから、相共犯者の供述というふうなものがどういう状況下で検察官や警察官に対して供述されたのかということは、ちょっと考え方が違う、レベルが違う問題でもありそうで、しかし、実態の生の事実としては、調べに対してどのような態度でどのように供述をしたか、その前後関係はどういうときにそういう供述が出てきたかどうかということに関する問題だと思うんですね。 被告人、被疑者の供述についての可視化の問題、取り調べの可視化の問題というのがあるわけでありますけれども、この二号書面を出す場合の特信性情況をもし立証されようとするのであれば、これこそ、ちゃんと録音、録画をして提示をすれば、法廷に出せば、これにまさる特信性の証拠はないというふうに私は思っております。 だから、相共犯者とか、あるいは結果として被疑者にはならなかった、つまり共犯者として被告にはならなかった人の供述というふうなものがとられた経緯を、二号書面請求をするとかなんとかということをおやめにならないのであれば、この取り調べの可視化の問題として、やはり全面的な可視化、つまり、現時点で言えば、そこに固定カメラがついていますね、これで取り調べ期間中延々と、だれも、こういう固定カメラのことを意識してしゃべっている人はほとんどいないと思うんですよ。これを、今の録音技術といいましょうかデジタル化された技術だと、非常に廉価に全面的に録画できるわけですね。 これは実は、この種のものは、編集もしやすいけれども、時間との関係で、何時間全面的に録画してあるものですということは、そこのところがわかれば編集のしようというのは余りないと思うんですね。それで、不要になったものはまたもう一遍使える、別の場面を映すことができるというのがこのデジタル化された技術でありますから、これは部分的な可視化とかなんとかややこしいことを言わないで、特信性立証のためにも可視化を全面的にお進めになったらいかがかと私は思うんですが、いかがですか。
○大野政府参考人 今委員が御指摘になりましたのは、二号書面の採否との関係で、特信性を立証するために取り調べを可視化したらどうか、こういうお話でございました。 ということになりますと、いわば可視化の対象になる取り調べは参考人の取り調べということになろうかと思うわけでありますが、参考人につきましては、これは訴訟手続の話になりますので釈迦に説法でございますけれども、参考人の供述調書を証拠請求し、弁護側がそれに同意しない場合には、その書面は基本的には証拠にならずに、証人尋問の形になるわけでございます。 そうしたことから、任意性が認められれば直ちに証拠として受容されるという被疑者の場合とまずちょっと局面が違う場面があるということを申し上げたいというふうに思います。 それから次に、それでは参考人の取り調べでありますけれども、参考人は千差万別でございます。目撃者あるいは街角で事情を聞くような場合もあります。捜査現場からいたしますと、最近は非常に参考人の協力を得ることが難しいわけでございます。 そうしたことから、参考人になるべく負担をかけないで事情を聞くというような観点からすると、録音、録画を義務づけるということはいかがだろうかというふうに考えております。 ただ、身柄が拘束されている被疑者が、共犯者との関係では、実は参考人といいましょうか、そういう立場に立つ場合がございます。実際に検察が録音、録画を試行しているのは、これはもちろん任意性の立証のためでありますけれども、特信性の立証のために用いた例がございます。これは裁判所によって受け入れられておるところでございます。
○仙谷委員 刑事局長、余り私の質問を散らさないで。 私が言っているのは、街角の話をしている話ではないんですよ。あるいは任意で調べを、まあ任意の場合も、検察庁とか警視庁の取り調べ室へ連れ込んでやる場合には、私は、いざというとき、やはりちゃんと録画したのを、全面録画したのを持っていらっしゃる方がむしろ捜査側にとってもいいんじゃないかと思います。 二号書面請求というのは、共犯者だけれども別法廷で行われているとか、あるいは釈放されたとか、我々から見ると、弁護人から見ると、おい、この検事と共犯者はどこかで取引したんじゃないかみたいな、こういう話を、ちゃんと録画しておけば、あらぬ疑いもかけられないで公平な判断を受けられるんじゃないか。だから、むしろ取り調べ官署の中で、役所の中で、検察庁や警察関係調べ室の中でやる分については、全部固定カメラでちゃんと録画しておけば問題ないじゃないんですか、こういうことを言っているわけであります。 時間が少なくなってきましたので、裁判所にちょっと聞いておきます。 今度の裁判員裁判の中で一つの大問題は、評議の問題であります。全く経験のない裁判員に対して、いろいろ裁判官が評議の前に説示をされるのか何か知りませんけれども、やはり裁判所のある種の、よくもあしくもリーダーシップといいましょうか、これがないと、なかなか裁判実務としての評議が実質的に成立しない可能性があるのではないかと思います。 そのときに、今どうも模擬裁判を見ていますと、裁判官の方から、被告人というのは有罪になるまで無罪である、推定無罪である、無罪推定がまずは働くんだということをおっしゃる裁判官が全くと言っていいほどいないというふうに聞くのでありますが、このことと、有罪というのは、要するにゼロから出発して有罪認定するに合理的な疑いを入れない程度の立証ができているかどうか、このことなんだということを、ちゃんと素人さんにわかるように説示の中で説明されることになっているんでしょうか。いかがですか。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 今の御指摘の点は証明の程度ですね。検察官が立証責任を負うという、それからそれは合理的な疑いを超える程度の立証が必要であるということ、それから証拠裁判主義でございますね。 そういった重要な裁判の原則というのは、裁判員を選任したその後に、検察官と弁護人がいるその場で御説明をするというようなことになっておりますし、実際の審理の中でも、検察官もあるいは弁護人も、個別の事件の審理の中でそういうことに即して主張もされますし、それから評議も、いろいろ中間的なところもありますが、そういう中でも、事件に即して裁判官の方から、今言った原則的なものというのは御説明をするというようなことになっております。
○仙谷委員 時間がございませんので、この辺で締めくくりに入りますけれども、要するに、刑事裁判にとって一番重要なことは、予断排除の原則というのがありますけれども、今のマスコミ状況といいましょうか、それとの関係でいいますと、特に重罪事件の場合には、ある一定期間は相当の報道量があります。悪性の報道があります。この間は、例えば小沢代表の事件についても、訴因とは全く関係がない、玄人が見れば、それはいつの話をしているんだと。五W一Hで、いつ、だれが、どのようにしたのかという点を全く混同して、もう膨大な情報があります。重罪事件の場合にはなお、推測も含めた、おもしろおかしいようなことをどんどんテレビ、新聞でもなされる場合が相当あります。 弁護人の技術は、余り早々と、拙速な裁判に協力するような格好で、検察官の言うことにゴムのスタンプを押して刑務所へほうり込むようなことのお手伝いをしてはならないというのが弁護人の仕事の一つだというふうに、大体伝統的には教えられてきているんですよ。要するに、拙速裁判をいかに避けるのか。ほとぼりを冷まして、真実をどうやって発見するのかということが一つの重要なテーマなんですよ。 ところが、今度の裁判は、三日で終わるとか四日で終わるとか、そういうことをうたい文句にして、多分一割ぐらいは存在、あるいはもうちょっと存在するかもわかりませんが、争いのある事件、それは情状についてだけの争いなのかもわかりません。あるいは訴因そのものについての争いかもわかりません。こういうものを、特に裁判員の皆さん方の御迷惑、御苦労を考えると早くやらなければいけないということで拙速になって、被告人の防御権が侵されるということだけは避けなければならない。つまり、そのことをやって冤罪がそこで生まれた瞬間に、この裁判員裁判の権威というか信頼は大きく揺らぐと私は思っているんですね。 そのことについて、裁判所のお考えをお聞きして終わりたいと思います。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 刑事裁判の目的は、被告人の権利を保障しつつ、事案の真相、これを解明していく。これが損なわれてはいけませんので、とにかく早くやればいいということではないと思います。ですから、必要な審理は必ず尽くすということであろうと思っております。
○仙谷委員 裁判は生き物ですから、ぜひそのようにしていただきたいと思います。 終わります。
○山本委員長 次に、河村たかし君。
○河村(た)委員 河村たかしでございます。 私も本当に皆さんにはお世話になりまして、ありがたいことでございます。嫌われた方も多いと思いますけれども。 中小企業をずっとやってきまして、本当にトラックに乗るのもフォークリフトに乗るのもどえらいうまいんですけれども、名古屋の皆さんのおかげで出させていただいて、いろいろな委員会をやりましたけれども、こういう場でやらせていただくと、つくづく思うのは、本当に税金で食うというのはありがたいことですね。これはぜひ、きょうは何人かおみえになりますので、よくよくそういうことをお忘れにならぬように。 税金を払う方は、去年の秋口ぐらいからどえらい苦しみですよ、本当に。だけれども、税金で食う方は極楽。こういう八百長の社会を正すのが、本来、議会の役割だということで、私はこれを庶民革命と言っておりますけれども。政治というのは、そもそもこれは国王と庶民の延々たる闘いだったんです。だけれども、議会が国王側についたんではないかと。後でちょっと大臣にも聞きますけれども。 何でかというと、収入が税金になってしまった、全部、議会とか政党の。税金で食う人というのは役人ですから。今苦しい方は税金を払う方ですからね。本当に税金を払っておる方の、商売をやっている方なんかは本当にこけですよ。銀行のために毎日生きておるようなものだ。これは一体どうなっておるんだと。 では、そもそも議員は本当にそういう人たちの味方なのか。何のために議員と議会があるんだということをつくづく考えながら、総理をねらう男でございましたけれども、このたび名古屋の総理の方を目指させていただきたい、こういうことになったわけでございまして、皆さんにおかれましては、ぜひ庶民革命、議員はあくまで納税者の方の味方をしてもらわなければいかぬ、国王の味方をしてはいけませんということを要望させていただきたいと思います。 それで、特に法務の方は何遍もやってきましたけれども、これも予算委員会におりましたときに、民主党の幹部の方から、名古屋の刑務所でとんでもない暴行事件がある、それで、こんなものでは話にならぬので厳しく追及して、森山さん、おみえになるけれども、ちょっと言い方は悪いですけれども、森山法務大臣の首をとってくれと。本当のことを言いますと、そういう話だったんです。 私も、新聞報道から、ここでやっておる議論、あれは国会から始まったんですから、刑務官が暴行したと。名古屋の刑務官が暴行して、受刑者を二人死に至らしめて、一人はけがをさせたということを言った。真相、わからへんじゃないですか、はっきり言いまして。 それで、聞くところへ行ったら、みんな法務省の説明ばかり。それからマスコミを見るばかりということで、ほぼ二回、そうだと思って、刑務官が暴行した、とんでもないという質問をしましたところが、これはうそだとわかった。これは後で言いますけれども。 これで、私はこの委員会で謝罪しまして、彼らに対する罪を償うために、延々と、もう四、五年になりますか、やってきておるけれども、こんな明らかなことでも後戻りできない、この委員会と司法というのは一体どういうものかということで、これは大臣、今回の事件だけにとどまらず、これはまた今から言いますけれども、先ほど言いましたように、被告人の権利を守りながら真相を追及するといって、こんなに国会でやって、僕がこれだけ提示しても、法務省たる者がおっても、こんなばかげた公判が維持されているということは、今後のためにも一遍検証せにゃいかぬ、これは本当に。何でこんなことが起きてしまったのか、後で言いますが。 ここはまず委員長、ちょっと。 これは一般的なテーマに置きかえてもいいけれども、こういう法務委員会とか、委員会が間違えたときなんかに、どうやってそれを正していくのかということについて、一遍御協議いただきたいんだけれども、どうですか。
○山本委員長 理事会で協議します。
○河村(た)委員 こうやっていきますと、一応足跡が残りますのでということでございます。 まずちょっと最高裁、来ていますので。 そもそも、経験則に反する判決というのは効力があるんですか。
○小川最高裁判所長官代理者 一般的に申し上げますと、第一審で経験則違反の判決が仮になされたといたしますと、それは控訴理由になるということでございます。 控訴審において、それが経験則違反だという判断がされて、事実誤認があるんだ、そしてその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかだ、こういう判断がされるということになれば、それは原判決が破棄されるということになると思いますし、またそれは、上告審においてもそれは経験則違反だということが認められて、その結果、判決に影響を及ぼすという重大な事実の誤認があるんだ、かつ、原判決を破棄しなければ著しく正義に反する、こういうことが認められるという場合は、その判決は破棄されるということになります。これは一般論でございますけれども。
○河村(た)委員 最高裁で確定してしまった場合、後でちょっと内容を言いますけれども、ちょっと一般論で言っていかぬと、後で逃げられることはわかっていますので。 最高裁で確定してしまった、明らかに世の中であり得ないことが、その場合はどうなるのですか。
○小川最高裁判所長官代理者 最高裁で仮に確定したというか、どこで確定するかいろいろあると思いますけれども、確定すれば、それは確定した判決の効力ということで、法的に尊重されると思います。ただ、再審とかそういうものもございますので、それはまた手続が始まるということもあるかもしれません。
○河村(た)委員 小川さんにちょっと聞きたいけれども、水道の水を一・五メーターぐらいの距離から人間にかけて、肛門が切れて、直腸が切れて人間が死ぬと思いますか。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 なかなか、そういう個別の話でございますけれども、一概にどうというふうにお答えするというのはちょっと私、難しいと思いますので、ちょっとお答えは御勘弁いただきたいと思いますが。
○河村(た)委員 いやいや、お考え自体。 あなた、人間として生きておるわけでしょう、人間として御立派に、最高裁の、あの裏口からしか傍聴に入れぬところで。あそこで生きておられて、人間の、自分の、自然界の……。朝、顔を洗われるわけでしょう。水道の水で洗っているでしょう。その同じ水道で、一・五メーターぐらいの距離から水をかけられた人が死ぬと。 これって何とも思わぬのですか。あり得ないんじゃないんですか、素朴に言って。
○小川最高裁判所長官代理者 繰り返しになって申しわけないんですが、なかなか、どう思うかとおっしゃられましても、それは一概に言えないと思いますので、ちょっとお答えは差し控えたいと思います。
○河村(た)委員 だから、こういうことから冤罪というのは起こるんですよ。 こんなの、はっきりしゃべればいいですよ。水道の水であったら、それが本当の水道の水であって、通常の使用によって、それを一・五メーターから水をかけたところで、死ぬわけないじゃないですか、そんなもの。それなら、手を当てたら、何でこれがずたずたに切れぬのですか。そのぐらい言ったらどうですか。ごく常識人の感覚としてですよ。
○小川最高裁判所長官代理者 再度の御質問で、また私、繰り返しでお答えして申しわけないんですけれども、ちょっとお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○河村(た)委員 こんなばかな話はない。もっと直截に話をすればいいんですよ、一般論としてだけどと言って。 この間、お見せしたでしょう。あのときおみえにならぬかったかな。厚生労働省の水道課ですか、通常の水道水で事故をした例は一件も聞いておりませんと。それから名古屋市の水道局、一件もありません。それから、ここは個別になりますけれども、当時、刑務所で使われていた荏原のポンプ、実物、製造メーカー、今まで、過去、同型種を入れて、何千万台ですか、使用によって一度も事故はありません、こういうふうに言っておるんですよ。 そういうところでも、一般的にですよ、答えられないとしか言えないんですか。それが常識なんですか。裁判官には常識は語れぬのですか。何なんですか、もう一回、ちょっとしゃべってください。
○小川最高裁判所長官代理者 何度も繰り返しになって申しわけないんですけれども、ちょっとお答えは控えたいと思います。
○河村(た)委員 何遍も言うから言いますと、本当に大臣、私、これは引き継いでいかないといかぬもので、後で聞きますけれども、あなたの部下ですけれども、刑務官が今の嫌疑で、みんな今有罪判決を受けて、民事は確定してしまっておるんです、最高裁で、国家賠償請求が。みんな地獄の苦しみを味わっておる。その端緒は、何と国会だったということです。 つい五、六年前は、この国会の法務委員会、今と全然様相が違います。とんでもない刑務官だと。そのときの刑事局長が今の検事総長をやっておられる樋渡さんですよ。それから当時の官房長が今東京高検の検事長の大林さんですよ。五年前は全く違っておったんですよ。 そういう人たちはみんな偉い様になっておるじゃないですか。そのときに猛烈にバッシングして、その刑務官たちが地獄の苦しみを味わう。それで国会は後は知らぬ顔。最高裁に言ったって、ろくに、当たり前の答弁もようせえへん。 なぜこんな過ちを生じたのか。それでなぜ国会と法務省は後ろ戻りできないのか。これは本当に、よほど考えないといかぬですよ。 ということで、もう何遍も言っておりますけれども、革手錠もありますけれども、革手錠をやって、ベルトを引っ張って、それで中の血管が切れることはあると思いますか。中のですよ、表面じゃないですよ。そんなのあるわけないですよ、こんな話は、ちょっと考えれば。実験をやればすぐわかるけれども、法務省は絶対実験をやらぬのよ。こんな残酷な話がどこにあるかということです。 ちょっと事実を確認しておきますけれども、委員長、この間、資料を出しましたけれども、あの五年前に国じゅう大騒ぎした事件の放水というのは、実は消火栓というのは屋外消火栓とあって、僕も間違えたんだけれども、ここに消火栓と書いてあるんですよ、刑務所の中にある消火栓です。そこから消防用ホースを三本とって、ホースは消防用ホースだ、それから筒先も、ダブルアクションノズルといいまして、消防に使うものだ。だから、消火栓というところから水をとったら、それはいわゆる消防の水だと思ったわけ。私も思いました。いわゆる出初め式に使う高圧ホースだと。 だけれども、何と屋外の消火栓というのは、あれは実は、そこまでは普通の水道なんですよ。そこからつないで、普通の場合は、消防車に一たんつなぐんです。消防車に消防用ホースをつないで、消防車でポンプで加圧して、それを消火に使う、こういう順序なんです。 だけれども、これはちょっと矯正局長に確認しておきますけれども、何遍も答弁いただいておりますけれども、あの十二月の名古屋刑務所の当該事案のとき、あのときは、屋外消火栓からホースをつないで、ホースは消防用ホースだった、筒先も消防用のノズルだったけれども、その間には加圧はなかったですね。
○尾崎政府参考人 委員御指摘の消火栓と申しますのは、所内の各所に給水される給水配管、いわゆる水道に接続されていたものと承知しております。 水道に送水する際は一定の加圧が加えられておりましたけれども、その後、そこから取り出して、委員御指摘のように、何か消防自動車のような加圧ポンプで加圧したということはございません。そのように承知しております。
○河村(た)委員 大臣、今よく聞いておいてもらったですね。 いいですか、水道の前にポンプがあるのは当たり前ですよ。水道用の送水ポンプ、四キロぐらいに加圧しておるらしいんですけれども、そこからとって、消防用器具は使った、使い古しのものだったんだけれども、穴もあいておったんだけれども、そこからは加圧していない水だったんです。 これで大臣、今の話を聞いておって、そういう水を、ちょっと言い方は悪いけれども、本当にノズルをしりの穴に突っ込んで、それなら別ですよ。うんちまみれになって、最後はそうなるらしいんですけれども、そういう人を、ふろへどうしても連れて行けぬ人の体を一・五メーターから洗った。刑務官たちは、後でタオルでふいているんですよ。それで本当に肛門が切れて死ぬと思いますか。大臣、どうですか、今のを聞いて。後ろのお偉い様に聞かずに、本当に常識で答えてちょうだい。
○森国務大臣 後ろの偉い様というのは無礼千万だよ。僕の秘書官だよ。(河村(た)委員「ごめんなさい。失礼いたしました」と呼ぶ)言葉に気をつけて。(河村(た)委員「はい、わかりました」と呼ぶ) お答えすると、今、公判係属中のケースについて、法務大臣として答弁するのは控えます。ただ、AであればBということであって、それが仮に真実あるいは経験則であっても、私は、委員からの、これはAだということ、それからBだということが確認できませんから、それについては何とも申し上げられません。
○河村(た)委員 しかし、一遍調査してみようということは、何遍も私は言っておりますけれども、これは再発防止義務といって別にあるんです、私は行政には何遍も言っておるけれども。これはもう確認されていますよ、前の矯正局長なり法務省の場合。 だから、要するに、衛生管理が必要なふん尿がついた受刑者をやはりきれいにせにゃいかぬでしょう、その務めはありますわね。そういうときに、同じ水道の水であるけれども、量が少ないと、時間がかかるなり、こびりついちゃうから非常に落ちにくいわけです。うんちというのはそういうものらしいですよ、私も聞きました、かりかりになっちゃうと。だからデッキブラシなんかで洗わにゃいかぬことになるから、水量だけざあっと出るという処遇はしてはいけないか、いいのかというのはわからぬでしょう。 だから、少なくとも、法務省の中庭でもどこでもいいですけれども、大臣、裁判とは別に、将来のために一遍実験してみようじゃないかというお気持ちにはなられぬですか。
○森国務大臣 先ほど申し上げましたように、まさに公判係属中のケースでありますから、私から答弁するのは差し控えます。 また、今は委員がそういうふうにおっしゃいますけれども、その状況と全く同じことをそんな簡単に再現できるとは私は思いません。
○河村(た)委員 いや、これは実は簡単にできるんですわ。当該名古屋刑務所へ行けばいいわけですよ。これは実はよくわかっておる。わしらも失敗したんだ。消火栓からとっているから、直感的にいわゆる消防用の放水だと思っちゃったんですね。 私も京都で実験をやりに行きました。これは消防用設備でやっちゃったんです、圧力だけ〇・六キロに合わせて。消防用設備の人からすると、〇・六キロなんて物すごく低い水圧で、そんな水圧じゃおかしいじゃないですかと言っておったんだけれども、それから厚生労働省にかけたら、厚労省の人が、いや河村さん、これは実は普通の水道なんだから、水道でやらなきゃだめですよということになって、わかったんです。 だから、今、名古屋刑務所に行きますと、当時のポンプと同じものがあるかどうか知りませんけれども、要するに、井戸水を揚げるポンプが要りますわね。それでタンクに入れて、そこから、ここでもそうですよ、こういうところでも、一般的な水道水、一たんやはりポンプで加圧するわけです。これはそれでやっています。 だから、どこでもいいんですよ、どこも同じですから、パスカルの原理で。大臣、昔習ったと思いますけれども。とめておるときですけれども、水圧をかけるとみんな同じところから出るので、どこからでもそこに通っているんですね。もし同じだったら、そこに消防用ホースを三本なら三本つないで、当該ダブルアクションノズルもありますから、それをそのままかければ同じ実験ができます。 ですから、本当にこれはやられたらどうですか。刑務官というのは大臣のかけがえのない部下ですよ。よく話として、刑務官は通い修行で、物すごい苦労があるなんて格好いい話ばかり幾らでも出てきますけれども、実際に困っておる人を救わぬというのはおかしいと思いますよ。どうですか、大臣。
○森国務大臣 ですから、公判係属中のケースですので、私から答弁申し上げません。
○河村(た)委員 こういうことなんですけれども。これはいいんですかね、本当にこういうことは。 裁判所なんて全然だめじゃないですか。一たんされた誤解、消火栓からとった水はいわゆる高圧放水であると、国会と法務省、それからマスコミが断定してしまったら、もう戻れない。この日本の司法、これは本当に大丈夫ですか。裁判員制度をやっておるから特に言うんですよ。日本というのは、原点のところで間違えたときに戻れない国になっておるんじゃないの。 ということで、それでは、これは刑事局長かな、こういう公判というのは漫然と維持していいんですか。
○大野政府参考人 個別事件については、もちろんお答えできないわけですけれども、公判中の事件につきましては、当然検察官は、弁護側の主張も踏まえて、必要な主張、立証を行うわけでございます。法と証拠に基づいて適切に公判活動を遂行しているというように理解しております。
○河村(た)委員 しかし、今、尾崎さんが、実は普通の水道の水と同じ配管につながれていて、そこから一切加圧がなかったと言われたんでしょう。そうすると、大野さんも、そういうものでも、弁護側が立証するとか、そういう条件にあくまでかからしめて、そんなことでは肛門括約筋が切れるわけないではないかと、これは筋肉が切れているんですから、そのぐらいのことを思わぬのですか。これはどうなんですか。
○大野政府参考人 名古屋刑務所事件に関連するお尋ねということになりますと、お答えを差し控えさせていただきたいというように思います。
○河村(た)委員 大野さん、何遍も言って悪いけれども、個人的には余り恨まぬようにしてちょうだいよ。いつお互いに年を食って老人会の旅行で会わなならぬかわからぬでね。それはしようがないんですよ、人を救わないかぬから。 高圧の放水をかけたというのは告発状に書いてあります。違っていたわけだよ。告発だったら、これは明らかに法務省の仕事ですよ。それは自分で訂正しなくてもいいの、大野さん。
○大野政府参考人 先ほども申し上げましたように、現在、この事件は高裁の有罪判決を受けて最高裁に上告中であるというように理解しております。そうした現在進行中の事件につきまして、法務当局から意見を申し上げるのは適当でないというように考えております。
○河村(た)委員 いや、それは間違っておりますね、明らかに。それは、法務省は国会に明らかに中間報告として報告しまして、ここにですよ、委員会に。五年前、その議論ばかりやっておったんですから、ここで。消防用ホースで高圧の水をかけたという前提で。 何ですか、何か火事をやった場合、山火事になった場合は、放火した人は責任ないんですか。後は消防署の責任になるんですか、これは。どうですか、局長。
○尾崎政府参考人 委員御指摘の告発につきましては、その当時の調査結果からそのような告発に至ったものというふうに承知しております。 そのほか、名古屋刑務所事案にかかわる個別の事案につきまして評価をお尋ねでございますけれども、現在公判係属中の事件にかかわる事柄でございますので、答弁を差し控えたいと思います。
○河村(た)委員 まあ正義がないですわ、これは。組織を守るためには全部覆い隠す、こういうことですよ、これは。裁判じゃないですよ。自分たちが国会で……。 では、告発状にある高圧と書いてあるやつを訂正してくださいよ。
○尾崎政府参考人 いずれにいたしましても、その告発関係は、現在公判係属中の事件にかかわっております。その告発について訂正等をすることは適当ではないというふうに考えております。
○河村(た)委員 何がないんですか、一体。自分の責任で書いた文書ですよ、これは。裁判に行ったら、後は全部そっちのせいになるわけですか。告発した人は、告発した人の責任がありますよ、当然別個に。そうじゃないですか、これは。 では、水は高圧でなかったのか、あったのか。どっちなんですか、これは。
○尾崎政府参考人 まさに委員御指摘のように、その水圧がどうであったのか、それから、それによってそういう傷害が生じて死亡に至ったのかどうか、この点は現在係属中の刑事事件のまさに争点となっているところでございます。したがいまして、そういう点に関する評価に関しましてお尋ねでございますけれども、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○河村(た)委員 だから、これは本当に委員長、後で、僕がおらぬようになってから考えておいてほしいんだけれども、現代的冤罪というのがあると私は思うんですね。昔の冤罪というのは、やはり犯人が違っていたような場合ですね。今のように、組織を守るために事故や何かを隠すというやつで、真犯人が別にいる場合、特に、組織の上の方の過失だった場合、現場の人間が、故意犯で、地獄の苦しみを味わっていく。残念ながら、最高裁も、これは裁判所がそれに対する最後のとりでだと言うじゃないですか、失敗してしまうということで。 ちょうど森山さんがおみえになるんですけれども、これが実はあのときの話です。僕らも追及してきた方です。あれは五年前でしたか、六年前ですかね。これはとんでもないというのが、実はあれは消防用の加圧された水ではなくて通常の水道水だったという、とんでもない失敗ということですね。 ということでございますので、何遍も言っておりますけれども、尾崎さん、これは調査せぬと。検事の偉い様に言うのは本当に心もとないんだけれども、これは犯罪を構成するんじゃないですか。調査をすれば容易にわかると。もうわかってきましたよ、自分でしゃべっているんだから、普通の、通常の水だったと。それで、厚生省も名古屋市も、ポンプをつくった荏原も、とにかく一切けがはなかったとはっきり書いているんです。当たり前じゃないですか、そんなこと。ここで水道から水をとって、一・五メーター先からしりにかけたときに、何がそんなことで死ぬんですか。 そんな公判を漫然と維持して、自分の部下である刑務官に地獄の苦しみを味わわせている、そういうことを放置している。その一番最初の端緒も、尾崎さんじゃないけれども、皆さんの部下である刑務官が告発している。これだけそろっておって、放置して、刑務官に不利益を与えるのは、公務員職権濫用罪かね。これは何か犯罪にならないんですか、本当に。どうですか。
○尾崎政府参考人 行政調査をすべきではないかというお尋ねだと思いますけれども、いずれにいたしましても、繰り返しになりますけれども、この事案につきましては、いずれも現在刑事裁判として係属中でありまして、まさに御指摘の点が争点となっておって、攻防の対象となっております。 そういう点を考えますと、その推移を見守りながら、適切に対処するというふうに考えていきたいと思っております。
○河村(た)委員 そんなことは攻防の対象になっとらんですわ、そんなもの。単なる誤解があっただけのことで、皆さんがそういうことを言ったものだから、裁判所だって、検察官と、それから国会とマスコミがこれだけ有罪であると断定したものをようひっくり返さぬだけですよ、はっきり言いまして。 委員長、こういうのをどうしたらいいんですか。国会が間違えたのをどうしたらいいんですか。私は、五年前の、ちょっと森山さんに答えてほしいぐらいですわ、本当に、あのときのことを。みんな、私に何を言ったのという話ですよ、そのときのことを思えば。私も誤解させられていたということでしょう、はっきり言えば。だと思いますよ。 これは委員長、どうしたらいいですか、こういう場合。
○山本委員長 私に聞かれても、お答え申し上げかねます。
○河村(た)委員 国会は最高機関だということになっておりますし、国民の皆様に向かって正しいことをやらないかぬ。少なくとも、冤罪の引き金をつくる機関であってはいけないでしょう。 僕は、ここまで委員として五年間やらせていただいて、しかし、真相解明に向けて何の力もないということになったら、余り人を非難することはできないんじゃないですか、こうなってきたら。 もう一回聞きますけれども、大臣は法務省のお立場で言われるのでいかぬと思いますけれども、これはやはり委員長ですね。委員長の意見でいいじゃないですか、国会の委員長として。こういう、国会が間違えるというときはないんでしょうか。
○山本委員長 何ともお答え申し上げかねますので、質疑を続けてください。
○河村(た)委員 いや、これだと困っちゃうよね。後の質問にも関連しますけれども、そう中立だということはないですよ。やはり委員長というのは立派ですから、本来は、本当に。自分の意見を言ってもらわな困りますよ、これは。 ということでございまして、委員の皆さんにおかれましては、まあこれで私も御無礼することになると思いますけれども、こういうとんでもない悲劇がここで行われたということだけは、ぜひ記憶にとどめておいていただきたいどころか、ぜひ真相解明のために後を引き継いでいただきたい。地獄の苦しみをしておる刑務官たちを助けてやってほしいと思います。 それでは、あと、議員というものはどういうものかということについて。 今回のこういう議論もそうですけれども、何か党に右に倣えになっちゃってね、大臣。一般論ですよ、今やっているのは。議員個人個人の表決というのはできないし、僕は世襲を全部悪いとは言いませんけれども、ブッシュ大統領も世襲でしたけれども。余りにこれはひどいんじゃないかということを考えたときに、大臣の印象として、まず現状としてどうですか。あるべき国会とか議員というものが大臣のイメージとフィットしているのか、それともそうでないのか、どうでしょうか。
○森国務大臣 私は、河村委員のかねてからの御主張であるパブリックサーバントですね、やはり国会議員というのは公に奉仕するものだというふうに思っています。それが、現状がどうかというと、それはやはり隗より始めよで、自分がそういう思いを肝に銘じて国政に邁進することこそが自分の存在証明になると思っていますから、そういう思いで臨んでおります。 また、あと、党に右へ倣えということですけれども、確かにそれは、党議拘束ですとかそういうことは、各政党、会派の方針に一にかかっておるところだと思いますけれども、ただやはり、生命倫理にかかわることだとかそういったことについては、場合によっては党議拘束をなくして、議員が一人の人間存在として自分の意思表示をするという場面があってもいいんじゃないかということは思います。
○河村(た)委員 今回の刑務所の話で、なぜこんなことが起きたかというと、一つは、やはり民主党は追及する側、自民党は守る側ということで、いわば一種の団体戦みたいになっちゃっているんですね。だから、攻撃する方は攻撃することばかりでだあっといきますので、それで、何人かが、いや、それはちょっとおかしいじゃないかとなっても、まあ結局理事会でもそうですけれども、なかなか少数で物事を、例えば法案を出していけるふうにはなっておらぬでしょう。 だから、今の党議拘束の話がありましたけれども、それは大まかなのはいいですけれども、議員がもし党議拘束に全部従うのなら、議員の数というのは党の数だけあればいいんじゃないですか。そう思わないですか、大臣。 もし、党議拘束に全部拘束されるなら、今生命倫理と言われたことはあれとしても、そうなれば、要するに議員の数というのは党の数だけあればいいんですか。そう思わないですか。あとは党の職員にしたらどうですか、全部。
○森国務大臣 ちょっと先ほど来の議論を聞いて、自分の所感も含めて申し上げると、河村委員が、自分のある時期の言動に対する贖罪意識を持って、何とかして、自分なりの意思表示をして目的を貫徹しようとなさったその情熱と倫理観とそれから心意気にはまことに心から敬意を表します。 ただ、私の立場で申し上げると、やはり例えば三権分立を尊重しなきゃいけないとか、そういった法務省の立場もありますし、こういう答弁になりますけれども、委員のこれまでの行動に対しては私は心から敬意を表します。 それは恐らく、別に民主党員としての行動じゃなくて、河村たかし個人としての行動で今日までやってこられたと思いますけれども、私はそのことについては敬意を表しますけれども、やはり政党政治ですから、それは多くの場合は、政党の目的でもってその所属議員がそれなりの方向性を持って行動するというのも、これまたけだし当然だろうというふうに思っております。
○河村(た)委員 政党政治といいますけれども、大臣、ここからはちょっと普通の議員の話でいいんですけれどもね。 政党に全部となると、いろいろな公約をしますね、議員というのは選挙のときに。有権者というのはやはり公約に従って入れるというのが本当の姿ですね。だけれども、党議拘束というのは選挙が終わってからされますね、その当選したメンバーで。となると、有権者からすれば、約束したことよりも、その後、党によってその議員は行動することになりますので、そうなるとすると、有権者というのはいわゆる投票の基準をなくすんじゃないですか。どうですかね。
○森国務大臣 いよいよ法務大臣としての立場を離れますけれども、これは最後の機会でしょうから、私も率直に意見を申し上げたいと思います。 やはりそもそも、小選挙区制というのが導入された時点に、やはり二大政党を志向した制度だと思うんですね。これはそういうことでもって、おのずからこれは二大政党に収れんしていくのだろうというふうに私は思いますけれども、ただ、例えばアメリカの場合のように、二大政党とはいっても、いろいろな法案ですとかテーマによっては議員が個々で投票行動をするというようなこともあるわけですので、やはりこういう時代になって、議員が、基本的には私は、その政党の一つの目標に向かって同じ方向で行動するということは妥当であると思いますけれども、事によっては、やはり個人個人の意思が尊重されてしかるべき場合もあるということは当然あるというふうに思っております。
○河村(た)委員 私は議員というのはもっと立派なものだと思うんですけれどもね、それこそ一人一人が。立派というのは、威張っておるとか金があるという意味じゃないですよ。全国民の代表と書いてありますしね。特に信託関係で選ばれたんだから、自分に投票した人に対して忠実であるべきだ、そもそも。党は党で、一つのアバウトな感覚はあっていいと思いますけれども、だから、何かあったときに、やはり議員の理念、自分に投票した人との約束、これが議員にとって一番重いんじゃないでしょうか、党で決めたことより。これはどうですかね。
○森国務大臣 基本的には私もそう思います。ただ、やはり同じ志を持って一つの方向に向かって進む者が集まってできたのが党だというふうに考えると、必ずしも党の利害と個人の有権者との約束とが相反するものになるとばかりも限らないと思います。
○河村(た)委員 そういうことですけれどもね。それは、党は党で一つのくくりだと思いますけれども。 では、党で決めたことと自分の理念と異なった場合ですね。イギリスでもあったんですけれども、イラクへブッシュさんが軍隊を送ったときに、イギリスのブレアさんですかが送りまして、賛成してくれといって国会で決議を出しておるんですけれども、このときに、労働党の大臣は、三人ですけれども、上院が一人か、下院が二人だったですかね、これはわしらは反対だと言って、大臣をやめて反対票を投じておるんですね、議院内閣制の国でも。 こういう姿がやはり、政党はあっても、もっと議員が個人でそれぞれ投票するようになると、政党は、例えば歴史的に言えば、アメリカでいえば、金持ちの共和党とか庶民の民主党とか、多分そういうふうに分かれていきますね、理念。こういうふうに機械的に分けるんじゃないかな。 だから、そういうような、どちらか対立したときには、個人の有権者との約束を重要視する。森大臣の場合は、キャビネットにおる場合は総理に従わなきゃいかぬです。なぜかといったら、党議拘束じゃなくて行政権は一体だからです。 森さんが、いや、これは総理はそう言っているけれども、私はこういう理念でやってきて、有権者にも約束している場合は、そちらに従って、大臣をやめてでも従う、こういう姿の方が本来の議員だとは思われぬでしょうか。どうでしょうか。
○森国務大臣 私は国会議員になって、もちろん、当初から自民党に所属して足かけ二十年になりますけれども、これまで党議に反した行為をしたことは一度もありません。強いて言うならば、党議に反するほど党と私の理念とが反したことは、これまでなかったということです。
○河村(た)委員 そう言われると何とも言えぬのですけれども、そう個人の考えておることと党が全部合いますと、反対に、大臣、これは党の職員みたいになっちゃいますからね。(森国務大臣「そんなことはないよ」と呼ぶ)そんなことはないと思いますか。議員ってもっと、自分自身の信念とか理念とかいうのがやはり強くあらわれる、特に国が間違った方向へ行こうとするときにちょっと待ったと言うのは、これは一番大事な仕事でしょう。 そういう中で、ちょっともう一つの話なんだけれども、今、十五年ぐらい前に、二大政党制とかいうことで、政党交付金も導入されて、自民党の方はまだ寄附が結構残っておると思いますけれども、民主党なんかの場合は寄附は余りありませんので、議員がほとんど税金による収入になってしまった。 だから、本来は寄附金による議員活動を目指すべきだ、そうは思われぬでしょうか。
○森国務大臣 そういうことになってしまいましたから従っておりますけれども、認識は河村委員と私は一緒です。
○河村(た)委員 そう言ってもらうとありがたいんですけれども。 これは、僕は、十五年前の政治改革は間違えたんじゃないかと思いますね。まあ、リクルート事件なんかがありまして、何か寄附をもらうと悪いことが起こるということで、税金の方に走ってしまった。税金の方に走りますと、税金を出す人の味方になりますから、議員と役人の連合軍になっちゃうんですね。 だから、本来はやはり寄附でやっていくというんだけれども、ここで重要なのは、私は実は、五年前に企業献金をみずからやめまして、それで、やはり年間、四、五百万減りました。うちのかみさんと秘書から、暴挙であるということで、私もとんでもないことをやったもんだと思っておりますけれども。 よく日本人は寄附しないと言われるんだけれども、よく考えてみると、日本の皆さんというのは税金でもう払っちゃっていますから。政党交付金を払っている、一人三百円ずつでしたか、それから議員に対するお金でも、税金で払っちゃっていますので、やはり寄附をするということになると、これは二重払いになるんですね、よく考えてみると。 だから、私は、将来は、議員とか政党というものが、やはり一たん本当の実費ぐらいにして、国民の皆さんから浄財をもらえないことには、そのかわりオープンにせないかぬですよ、もらえないことには政治活動ができないというふうに戻して、やはり政治を寄附金化すべきではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○森国務大臣 私も基本的にはその方が望ましいと思っています。
○河村(た)委員 そう言っていただくと、どなたかが……(森国務大臣「法務大臣としてではなく」と呼ぶ)結構でございます、個人の議員としてでございますけれども。 こうなるとどうなるかというと、多分、自分はやはり寄附者に忠実になるんですね。寄附者を裏切りますと、そこで、結局お金が入りませんから、議員がそのものを続けられなくなるというふうになると思うんですよ。 そんなことでございまして、それからもう一つよくあるのは、そういうことにすると金持ちしかならぬというふうにすぐ言いますけれども、これは明らかにうそだ。今こそ金持ちばかりです、悪いけれども。普通の人はなれません。なぜかというと、税金で議員をやったらやめないからです。寄附で議員をやるということは大変つらいことですから、間違ったらお金が途絶えてしまうということでございますので。 時間が来ましたからやめますけれども、ぜひ、大臣初め皆さんにおかれては、もっと議員が自立して、個人森議員というか、河村議員はもうすぐ終わりますけれども、山本議員とかいうことで、本当に国民から一人の自立した人間として尊敬されるような、そういうような国会になっていってもらうように、また、国会が庶民革命の、税金で食っておる人の、国王の代弁者じゃなくて、税金を払っている、本当の苦しみを毎日毎日味わっている人たちの代弁者になる、そういうふうに、お祈りじゃないけれども、していってもらいますようにお願いしたいと思います。 以上で終わります。
○山本委員長 次に、川内博史君。
○川内委員 川内でございます。 委員長、与野党の理事の先生方に御許可をいただきまして、発言の機会をいただきましてありがとうございます。大臣、きょうはよろしくお願いをいたします。 まず、私の地元で、かつて、かつてというかまだ記憶に新しいわけでありますが、いわゆる志布志事件というものがございました。裁判所で、事件そのものがつくり上げられた事件だったのではないかということで捜査当局が厳しく反省を求められた事件でありますけれども、法務大臣がこの志布志事件についてどのような評価をしていらっしゃるかということをまずお聞かせいただきたいと思います。
○森国務大臣 いわゆる志布志事件につきましては、平成十九年二月二十三日、鹿児島地方裁判所において、公訴事実に掲げられた四回の会合のうち二回については候補者であった被告人にアリバイが成立すること、したがって、四回の会合を自白した他の被告人六名の自白調書は信用できないことなどを理由に、被告人十二名に対し無罪判決を言い渡し、同判決は一審で確定したものと承知しております。 最高検察庁においては、志布志事件の捜査、公判の問題点等について精査をし、平成十九年八月、検証結果を取りまとめた報告書を作成しております。この報告書においては、消極証拠の検討や供述の信用性の吟味に十分でない面があったと指摘されているところであり、検察当局においては、今後の捜査、公判の教訓としなければならないものと考えております。
○川内委員 答弁をそのままお読みになられましたが、大臣として、政治家として、このいわゆる志布志事件について何かコメントはございますか。申しわけなかったなとか、一年以上勾留をされたわけでございますけれども、悪いことをしたなとか、そういう素朴な評価というものがございますでしょうか。
○森国務大臣 やはり深くかみしめて教訓としなければいけないと思っております。
○川内委員 それでは、次のことを聞かせていただきます。 一般論ですよ、検察当局の職員が職務上知ることのできた秘密を漏らした場合、国家公務員法第百条の守秘義務に違反する犯罪になるのではないかというふうに思いますが、法務大臣の御見解をいただきたいと思います。
○森国務大臣 あくまでも一般論として申し上げれば、国家公務員法上の守秘義務の主体である職員が職務上知ることのできた秘密を漏らした場合、同法の秘密漏えい罪に該当し得るものと考えます。
○川内委員 それでは、一般論でございます。検察当局の職員が参考人を事情聴取する予定を外部者に漏らした場合、これは捜査上の秘密を漏らしたということで、同様に国家公務員法第百条の守秘義務に違反する犯罪になるのではないかと思いますが、法務大臣の御見解をお聞かせください。
○大野政府参考人 参考人を事情聴取する予定を外部者に漏らした場合、こういうお尋ねでございました。 仮定の質問ということですので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論といたしましては、国家公務員法上の守秘義務の主体である職員が職務上知ることのできた秘密を漏らした場合には、秘密漏えい罪に該当し得るということになるわけです。 それでは、いかなるものがその秘密に当たるのかということでございますけれども、これは個別の具体的な事情等によりますので、この段階でお答えはできないということでございます。
○川内委員 何が捜査上の秘密に当たるのかは、その個別の具体的な事情に応じて判断されるべきものであるという御答弁かなと理解するんですが、そうすると、捜査上知り得た情報も、秘密であるものと秘密でないものがあるということでしょうか。
○大野政府参考人 もちろん、秘密であるものと秘密でないものもございます。そのようにお答えしたいと思います。
○川内委員 そうですよね。何が秘密で何が秘密でないのかと私も判然としませんが、よく、テレビのドラマとか見ていると、取り調べを受けながらカツどんをとっていただいたりして食べたりしているシーンがありますけれども、きょうはカツどんを彼は食べたよというのは秘密なのか秘密でないのか。あるいは、私が先ほど申し上げた、では、参考人にだれを呼ぶよ、参考人としてだれから事情を聞きたいと思っているんだよというようなことは、私は一般的には捜査上の秘密に該当するのではないかというふうに思いますが、これは御見解はお示しいただけませんでしょうか。
○大野政府参考人 先ほどお答えしたとおりでございまして、参考人として呼ぶという場合でも、個別の具体的な事情等によりまして、それが秘密と評価されるかそうでないかということは変わってき得るんだろうというふうに考えております。
○川内委員 よく、検察の皆様方は、法と証拠に基づいて捜査をするのですということをおっしゃいます。そうすると、私はまだよく理解ができないのですが、参考人として呼ぶ方が、それが捜査上の秘密であるかないかは個別の具体的事情によるのだというのは、では、逆な聞き方をすると、どういう場合は、だれを参考人として事情を聞きますということが捜査上の秘密ではないということになるのかということを教えていただきたいんです。
○大野政府参考人 それはまさに個別の事情によって異なってき得るものですので、ここで抽象的にお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
○川内委員 例えばでいいんですけれども。 きのう、私は、質問レクに来ていただいた法務省の若手の官僚の方に、ああ、なるほどねということを教わったんですが、殺人は犯罪ですかと。いや、一般論としてはそうだが、しかし、正当防衛の場合もあるし、さらには、責任能力があるかないかも思料をされなければならない、したがって、何がこうだと一般的に決めつけるのは、川内さん、それはなかなか難しいことなんですよということを教わって、それはなるほどねということを私は思いました。 例えば、では、こういう場合には、参考人の方を、だれそれを呼ぶよということが捜査上の秘密に当たらない場合になるのだと。これは例えばなんです。こういう場合はそうだということを一つでも教えていただければ、多分、聞いていらっしゃる皆さんも、ああ、そうか、そういう場合はそうなんだねということが理解をしていただけるのではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
○大野政府参考人 まことに恐縮でございますけれども、繰り返しになりますが、個別事情、千差万別でございます。例えばも含めまして、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○川内委員 局長、大野さん、済みませんね、私もしつこい性格なものですから。過去にこういう事例があった、この場合は機密の漏えいには当たらないのだというようなことも、何かないでしょうか。
○大野政府参考人 少しお答えとずれるかもしれませんけれども、検察の活動というのは、基本的に、起訴した場合には、公開の法廷における主張、立証でその捜査の結果を明らかにしていく、これが基本でございます。 ただ、被疑者を逮捕した場合、あるいは起訴した場合に、記者会見を行うことがございます。起訴したという事実を明らかにする、あるいは起訴した事実の概要がこうであるということをその時点で公表することがございます。逮捕の場合もそういうことがあるわけでありますけれども、そうした逮捕事実といいますのは、これは、では秘密なのかどうなのかという議論がございます。秘密であるという考え方もございます。ただ、仮にそれが秘密であるとしても、公益上の理由からそうした最小限の説明をすることは許されるという場面があるだろうというふうに考えております。 ただ、先ほども申し上げましたように、それはあくまでも公益上の必要と、それから将来の捜査、公判に与える影響、あるいはプライバシーの問題、あるいは裁判に与える影響等々を慎重に検討した上で行うものであるということを申し上げたいというふうに思います。
○川内委員 今まさしく大野刑事局長が御答弁されたように、裁判員制度のスタートを前にして、裁判のあり方もそうですが、捜査のあり方、そしてまた捜査情報の取り扱い方、そしてまたそれを広く国民の皆さんにお伝えするマスコミの役割、今いろいろなことが問われているんだろうというふうに私は問題意識として持っているんです。 その私の問題意識について、要するに、裁判員制度で裁判をするわけですけれども、裁判員に予断を与えるような問題というものが生じてしまうとこの制度自体が成り立たなくなってしまうのではないかという危惧でございますが、私の問題意識、法務大臣、どう思われますか。一緒の問題意識でしょうか。 要するに、いろいろなことが、裁判を前にしてどんどん情報がはんらんし、メディアスクラムという言葉がありますけれども、マスコミの方は、メディアスクラムにならないようにしようねということで、マスコミ同士で協定も結んでいらっしゃるようでありますし、裁判員制度という新しい制度がスタートするに当たって、まさしく大野局長がおっしゃられたように、公開の法廷の場で犯罪の事実が立証をされ、そしてまたそれについて量刑などの判断が行われていくということが裁判の正しいあり方であって、裁判が行われる前にいろいろなことが、ああだね、こうだねというようなことが判断が固まっていくような状況になるのはまずいですよねということを問題意識として持っているということなんですけれども。
○森国務大臣 おっしゃるとおり、裁判が法にのっとって公平に行われなければならないことは言うまでもなくて、マスメディアの情報が裁判員に予断を与え、結果として裁判の公正が損なわれるようなことがあってはならないと考えております。 そういう観点で、裁判員法の立案に当たっては、公正な裁判を確保するための方策について種々の検討が行われまして、その中では、報道機関が事件に関する報道を行うに当たって、裁判員に事件に関する予断や偏見を生ぜしめないよう配慮すべきであるという規定を設けるべきかどうかについても検討がなされたのでございますけれども、報道の自由や国民の知る権利にも配慮すべきだ、また、報道機関において自主的な取り組みの努力がなされていることにかんがみ、事件の報道に関する規定は設けないこととされました。 なお、この問題に関して、日本新聞協会及び日本民間放送連盟において、裁判員制度のもとにおける報道のあり方について指針を公表するなどの検討、努力がされておりまして、各報道機関において適切な取材、報道がなされることを期待しております。
○川内委員 それでは、大臣、ここで根本的なことを一つお尋ねさせていただきたいんですけれども、そもそもこの裁判員制度というのは何で導入をされたのか。こういう問題があるから裁判員制度で対応しようねということで考えられたのか。裁判員制度導入の立法事実をお聞かせいただきたいと思います。
○森国務大臣 裁判員制度には、広く国民が裁判の過程に参加し、その感覚や常識が裁判の内容に反映されることによって司法に対する国民の理解や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになるという重要な意義がある、それゆえに導入されたものと考えております。 その結果、副次的な効果でありますけれども、裁判が迅速に行われるようになるとともに、裁判の手続や判決が国民にとってわかりやすいものになることも期待をされるところです。
○川内委員 今、裁判員制度を導入する目的とか意義、国民の皆さんに裁判に関する理解や支持が広がるでしょう、さらにその副次的効果として迅速化をするでしょうと。それはわかりました。 私がお尋ねしているのは、これまで日本の法律のプロフェッショナルが集まって、それぞれの立場で、弁護士は弁護士の立場で、検察は検察の立場で、そしてまた裁判長は裁判長の立場で裁判をしていた裁判に、重大な何か大きな問題があったんでしょうかということをお尋ねしているのでございます。
○森国務大臣 我が国の現在の刑事裁判、民事も含めてですけれども、基本的には国民の信頼を得ているものと私は思っております。 刑事裁判を運営する裁判官、検察官、弁護士の法曹三者においても、国民の感覚を反映し、国民の信頼を得ようと努力を重ねてきたものであって、さはさりながら、余りに専門家集団のみに司法をゆだねるのじゃなくて、やはり国民も我が国の法秩序あるいは治安に責任をシェアしようということが一番大きな動因ではなかったかというふうに私は思っています。
○川内委員 裁判員制度導入に当たっては、具体の立法事実はないが、しかし、裁判をさらに国民に近いものにし、日本の民主主義をよりよく発展させていくために導入をしたのであるという理解でよろしいでしょうか。
○森国務大臣 私も全くそのように理解しています。
○川内委員 そうすると、国民の皆さんに、もちろん参加をしていただくというか、法律的には参加せよという義務になっているわけでございますけれども、参加をしていただいて裁判に国民の目線を導入していく。しかし、法律上はこの裁判員法は、裁判員の守秘義務違反というものに刑罰を科しているわけでございますね。 これは多分ほかの先生方からも御指摘があったろうと思いますが、改めて私からも教えていただきたいので問わせていただきますが、守秘義務違反について刑罰を科すというのは過重な負担ではないか、それはあんまりだ。裁判に参加していただいて、国民の皆さんに御意見をいただいて、それでちょっと何かしゃべったら、あなたそれ犯罪ですよというのは、それはちょっと、何が何でもあんまりだろうというふうに思うのですけれども、大臣、いかがですか。
○森国務大臣 裁判員の守秘義務は、他人のプライバシーを保護するとともに、裁判の公正さや裁判への信頼を確保し、評議における自由な意見表明を保護するために必要なものだというふうに私は考えております。このうち、評議における自由な意見表明を保障することについては、裁判員が、後の批判を恐れるなどして意見を述べることを差し控えることがないようにして、自由闊達にさまざまな意見が交換される、そういう充実した評議が行われるようにしようということだと思います。 このことは、裁判により適正な結論が得られるようにする上で大変重要な意味があって、また、評議において述べたことが公表されないこと、つまり秘密が守られることによってその後の追及や報復のおそれがなくなるという点で、裁判員の負担を軽減する意味もあるというふうに考えます。加えまして、他人のプライバシーにかかわる情報もその侵害が多大な不利益となることから、こうしたことを防ぐために、刑事罰を設けることにも十分な合理性があるというふうに思っております。
○川内委員 今、大臣は最後の部分で十分な合理性があるというふうに御答弁されたわけですが、私は裁判員の守秘義務自体について異議を唱えるわけではなく、守秘義務をかけていることそのものがだめなのではなくて、それはさまざまな理由によって守らなければならない秘密というのはありますね。しかし、その一方で罰則までかけるのは、ちょっと余りにも国民の皆さんを信頼していないのではないかという視点でお聞きしているわけです。 なぜかというと、きのうこれも教えていただいたのですが、にわか勉強でこういう発言をするのは大変申しわけないのですが、例えば、裁判官には裁判所法という法律で守秘義務がかけられているということを聞きました。しかし、その裁判所法では、裁判官は守秘義務違反について罰則は適用されない、犯罪ではないということを教えていただきましたが、これをちょっと事務局の方で確認していただけますか、そうですと。
○大野政府参考人 裁判官と裁判員の守秘義務についてのお尋ねでございました。 守秘義務が課されている範囲につきましては、裁判官も裁判員もいずれも、評議の秘密を含む職務上知り得た秘密につき守秘義務が課されておりますし、しかも退職後もその義務が及ぶという点で変わりはございません。 ただ、今委員が指摘されました罰則の有無という点では、裁判官には罰則が設けられていないのに裁判員には罰則が設けられているという相違があるわけでございます。これは、そのような守秘義務の遵守を担保するためにどういう措置を設けるのが必要なのかという、そこのところから来ているわけでございます。 裁判官につきましては、高度の職業倫理に基づく行動が期待できまして、それを担保する手続といたしましては、弾劾、分限等の手続が設けられております。したがいまして、こうした手続によりまして守秘義務違反を抑止することが十分に可能であり、必ずしも罰則を設けなくても対応できるというように考えられたわけでございます。 これに対しまして、裁判員は事件ごとに選任されるということでございまして、ほかに有効な担保措置というものが考えられなかったため、罰則を設けることが必要であるというように考えられたものであります。 したがいまして、罰則の有無につきまして、確かに相違はございますけれども、これは裁判官と裁判員の置かれた立場、その他の手続の相違に基づくものでありまして、不当とは言えないというように考えております。
○川内委員 不当とは言えないと最後に大野局長が締めくくられたわけでございますが、いや、これはもう絶対正しいんだ、相違があっていいんだというのではなくて、不当とは言えないという微妙な言い回しで終わるところが、やはり私は、政府の皆様方も、ちょっとやり過ぎたかもしれないなという、そこはかとない感情を感じるわけですね。 裁判員制度を導入するために、政府は、サイバンインコという縫いぐるみというか着ぐるみを着せて、国民の皆さんに、裁判員制度はいい制度ですよ、大丈夫ですよと言っているわけですけれども、サイバンインコの一方で、守秘義務違反には禁錮刑を科す。一方はインコでこっちはキンコだということになっているわけです。 これはいかにも、禁錮刑まで科すのは、それはちょっと幾ら何でもやり過ぎというか、国民の皆さんをある種、担保措置のためだ、守秘義務を守ってもらうために、それを担保するための措置として考えているんですよということだったわけですけれども、それは禁錮まで言われると、みんな、ええっと。多分、そこまで知っている国民の皆さんというのはまだそんなに多くはないと思うんですね。禁錮刑があるんですよということまで言われると、えっ、裁判員制度ってそんな制度だったんですかということにもなっていくのではないかというふうに思うんですね。(発言する者あり)
○山本委員長 ちょっと、理事、集めてください。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○山本委員長 それでは、速記を始めてください。 川内君。
○川内委員 法務大臣、さらに続けて教えていただきたいんですけれども、裁判官と裁判員の違い、さらには、法務省並びに最高裁は今までずっと、裁判員裁判は三日で終わりますよ、大丈夫ですよ、余り書類も読まなくていいんですよという広報啓発活動を続けてきていらっしゃるわけですね。 ところが、データ的には、一カ月、二カ月、あるいはそれよりもっと長くかかるかもしれない裁判員裁判も、数の上では想定をされ得るわけでございまして、そういう裁判のときはどうなるのか。長期間にわたる裁判もありますよ、そういう場合はこうしますよというようなことについての広報啓発活動がなされてきているのか否かということを教えていただきたいと思います。
○森国務大臣 公判前整理手続できっちり詰めて、そして、大体どれだけ審理日数がかかるかということで、そういった心づもりのもとにお呼び出しをするわけですね。 三日というのも、大体七割の事件が三日ということで、確かに確率論的に言えばもっと長くかかるのももちろんないわけじゃないと思いますけれども、そういったことを含めて、裁判員制度の広報に当たっては、また皆様方に正確に理解がいただけるように努めていきたいと思っております。
○川内委員 私は、申しわけないです、申し上げるのを忘れていましたが、裁判員裁判には現状では反対の立場です。だけれども、法律で決まっていて、五月二十一日から始まるよということですから、それを踏まえて私なりの考え方を申し上げさせていただいているわけですけれども、国民の皆さんに裁判に参加していただいて、裁判を理解し、そしてまた民主主義をよりよく発展させていこうね、人を裁くということがどういうことなのか、それに参加するということがどういうことなのかということは大変なことなんですよ、だけれども、その大変なことを、みんなでその役割をシェアすることが、それぞれの人生をよりよく実り多きものにしていきますよという形の広報啓発活動でなければならないのではないか。 どうも、大丈夫ですよ、紙も読まなくていいですよというようなこと、あるいは画面で見せるから大丈夫なんですよ、そういうような広報啓発活動だけで、本来、先ほど法務大臣が、森さんがおっしゃった、具体の立法事実はないが、しかし、よりよい社会をつくっていくために導入したのだという、そのよりよい社会のための裁判員裁判にしていくためには、大変なことなんですよ、苦しいこともあるかもしれませんよ、しかし、それがよりよい社会をシェアしていくために必要なんですよという啓発活動の方が、私には胸にしっくりくるというか、なるほどね、そうだよねというふうに思っている。これは意見です。申し上げさせていただきます。 そこで、きょうは最高裁にも来ていただいているので、ちょっと具体的な数字などをずっとお答えいただきたいんです。 先生方のお手元には資料をお配りしてございます。最高裁から提供された資料では、平成十四年中に係属した事件二千三百三十件中、平成十六年十二月三十一日までに終局しなかった事件が六十件あるということでございますが、この六十件の中で、現在も続いている、要するに長期間にわたっている裁判は何件ございますでしょうか。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 議員御指摘の資料でございますが、これは、裁判員裁判対象事件の審理時間を調査するという目的で、平成十四年中に第一回公判期日が行われた対象事件につきまして、平成十六年十二月三十一日までに終局した事件を調査したものでございます。 今委員御指摘のように、それまでに終局しなかったもの六十件でございますが、まことに申しわけないんですけれども、実は、これは追跡調査を行っておりませんものですから、今委員御指摘の、現時点で係属している件数がどうかという点については、ちょっとお答えができないということでございます。
○川内委員 それでは、これまで裁判員裁判の手続を検証する模擬裁判が全国で六百回以上実施されたというふうに聞いておりますが、一日でやった模擬裁判、二日間やった模擬裁判、三日間やった模擬裁判、あるいは、長期間にわたる裁判員裁判もあるでしょうから、例えば一カ月にわたってやった模擬裁判もあるよというのであればその回数、それぞれ内訳をお示しいただいて、回数をお答えいただけますか。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 六百回以上実施しております。ただ、平成十九年より前に実施した模擬裁判の、ちょっと報告の受け方があれだったんですが、正確な日数はちょっと承知しておりませんので、平成二十年一月一日から平成二十一年三月三十一日までに実施した模擬裁判、これが合計三百五十二件ございます。この内訳は把握しております。 これは、一日以内が五十六件でございます。それから、一日を超えて二日以内のものが百十七件です。二日を超えて三日以内のものが百六十八件、三日を超えて四日以内のものが十件、五日以内のものが一件となっております。
○川内委員 六日以上の長期間を要する模擬裁判は実施していないということでよろしいですか。
○小川最高裁判所長官代理者 私どもの方で報告を受けて把握している期間内では、ございません。
○川内委員 そうすると、長期間の審理を要する裁判に参加した裁判員の方が具体的にどういうような感想をお持ちになるのかということについて、最高裁としては知見を有していない、まだわからないということでしょうか。
○小川最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおりでございます。
○川内委員 模擬裁判に裁判員役として参加していただいた国民の皆さんに対して、最長で何日間裁判に参加できますかというようなことをアンケートでお尋ねになられたデータというものがございますでしょうか。あれば、日数も答えていただきたいと思います。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 模擬裁判に裁判員役として参加していただいた方に対して、最長で何日間裁判に参加できるかということをお尋ねしたというデータについては承知しておりませんけれども、平成十七年に内閣府の方で実施された裁判員制度に関する世論調査によりますと、「あなたが裁判員になる場合、裁判所に行く日数を多くて何日までにしてもらいたいですか。」そういう御質問がございまして、六・七%の方が「十日を超えてもよい」というふうに回答されたということは承知しております。
○川内委員 その内閣府の調査がどの程度の信頼性を持つものなのか。裁判員裁判に参加した方にやはり聞くべき事柄であったのではないかというふうに僕は思います。 なぜこういうことをお聞きするかというと、やはり裁判というのは、私もまだ参加したこともないですし、どういうものなのかがよくわからないんですけれども、恐らく、すごく心理的にも肉体的にもプレッシャーというか重圧のかかる仕事であろうというふうに思うんですね。 では、審理に長期間を要する事件では、審理の最初の段階で参加した裁判員と終局段階で評決に参加した裁判員の構成が全く異なるという可能性もあるのではないかというふうに思うわけでございますが、その可能性についてはいかがですか。
○小川最高裁判所長官代理者 委員御指摘のようなケースというのは、それは、審理の途中で体調を崩されたとか、いろいろな事情が生じてどんどんかわっていかれるということで、理屈としてはあり得るかもしれません。 ただ、裁判員の選任手続においては、裁判員候補者の方にあらかじめ、職務従事予定期間、これは審理予定期間でございますが、これをお伝えして、御都合を伺って、大丈夫だという、参加に支障のある方はそれは辞退ということになると思うんですが、御都合を伺った上で裁判員と補充裁判員を選任するということにしておりますので、補充裁判員も含めて裁判員全員が審理開始当初の構成員と異なってしまうということは、もしあるとしても相当限定されたような場合ぐらいかなと思っております。
○川内委員 相当限定されたような場合であっても、可能性としてはあるだろう。しかも、裁判員法はすべての国民にひとしく強制力を持ってかかっているわけですから、長期間拘束されても大丈夫ですよ、その間ずっと裁判に参加できますよという人がそうざらにいるとは私はとても思えないんですね。それは、よっぽど裁判マニアとか、そういうのが大好きだという人はまた別でしょうけれども。 では、ちょっとお尋ねいたしますが、最高裁から提供された資料を見ますと、平成十九年に係属した事件では、最長で百四十九時間の実質審理時間を要した事件があるようでございますが、この事件を裁判員裁判で審理した場合、どのくらいの審理期間を要するのかということを、何か大体週二日ぐらいでやっていくそうですから、ちょっと教えていただきたいと思います。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、平成十九年に係属した裁判員裁判対象事件の中で、約百四十九時間の実審理時間を要した事件がございます。ただ、この事件の内容については私ども把握しておりませんものですから、これは、公判前整理手続をやって、証拠と争点を整理して、そして審理計画を立てた場合に、どのぐらいの審理時間がかかるかというのはちょっと一概に申し上げられません。 ただ、恐らく、長期にかかる事件というのは、一週間に三日前後、二日とか三日とか四日とか、証拠調べの順序もありますので、それはいろいろとあると思うんですね。それを繰り返しながらやっていくことになろうかと思いますので、その数で計算していくと、ある程度かかるかなというふうには思います。
○川内委員 ちょっと最高裁に、最後はもう一回大臣に聞きますから、最後の一個前、ラス前で聞かせていただきたいんですけれども、法律新聞というのに元東京高裁部総括判事大久保太郎さんという方が、「最高裁は司法制度改革審議会で平成十二年九月十二日、「わが国の憲法では、司法権の担い手としての裁判官について身分保障等の詳細な規定が置かれている一方、陪審制、参審制を想定した規定はなく、果たしてこれが憲法上許容されるかどうか問題である」」というふうにお述べになっていらっしゃるということなんですけれども、この最高裁の見解は、現時点においてはもうその見解ではない、新たな、見解が変わったのだという理解でよろしいのでしょうかね。
○小川最高裁判所長官代理者 委員今御指摘の最高裁の意見というものは、立法過程の司法制度改革審議会の議論の中で述べられたものだと思っております。当時いろいろな意見があって、最高裁の方で何らかの意見を言ったというわけではなくて、一つのアイデアとして述べたというようなものというふうに位置づけられていると思っております。
○川内委員 大臣、今、司法制度改革審議会で最高裁が述べた意見をアイデアだというふうに、それはもう非常に苦しい御答弁ですね。 私は、きょう質疑をさせていただいて、守秘義務違反が何で禁錮なのか、なぜ裁判官と裁判員と違うのかというようなことから含めて、あるいは長期間にわたる場合どうするのか、あるいは裁判員制度について本当に自信を持ってやるんだというのであれば、民主主義を発展させていくために必要なのだというのであれば、裁判員裁判についての本当の広報啓発の仕方というものがあるであろうというふうに思いますし、まだまだ準備がもうちょっと要るんじゃないのというふうに思うんですね、大臣。 そこで、最後、お尋ねいたしますが、五月二十一日からスタートをするということですけれども、これは法律として決まっているので、裁判員裁判について私どもは否定するものではないです。したがって、もうちょっと準備に時間をかけた方がよいのではないかというふうに私は思いますが、大臣、御所見を聞かせてください。
○森国務大臣 準備が十分であるか不十分であるかというのは、これはやはり見方にもよると思うんですけれども、随分模擬裁判も数を重ねてまいりましたし、それから、法曹三者手分けして、説明会ももう何万回とやってまいりました。そういうことで、随分と最近マスコミにも取り上げられる機会が多くなって、認知度が高まってまいりましたが、確かに、委員おっしゃるように、不安を和らげる方向の広報が多くて、積極的意義を打ち出すことは若干乏しかったかなという気が個人的にはいたします。 でも、五月二十一日に始まりますけれども、それはあくまでも五月二十一日以降に起訴されたものですから、まだ実際に裁判員裁判が始まるまで少々時間がございますので、それまでに、より積極的な意義を訴え、またいろいろ今御指摘のあった点も踏まえて広報活動等々に努めてまいりたいというふうに思います。 ネガティブとおっしゃりながら、大変本質的で当を得た数々の御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
○川内委員 お褒めをいただいて恐縮でございます。 終わります。
○山本委員長 次に、保坂展人君。
○保坂委員 社民党の保坂展人です。 森法務大臣、一昨日、国会の中で、自民党、民主党、共産党そして社民党、国民新党と、十七名の超党派の議員が集まりまして、裁判員制度を問い直す議員連盟がスタートをいたしました。これは質問ではありません。やはりここへ来て、きょうも集中審議をやっておりますけれども、立法府にいる者としてしっかり議論をしたい、しなければならない、こういう問題意識でスタートをいたしましたが、御存じだったでしょうか。
○森国務大臣 議連が発足したということは仄聞しております。
○保坂委員 それでは、法務大臣にまずお聞きをしていきますが、世界の司法制度の中で、国民、市民が参加して多数決で死刑判決を下すという国があるか、ここに絞ってお願いします。
○森国務大臣 諸外国の制度について網羅的に承知をしているわけではありませんけれども、アメリカ合衆国では、死刑事件について、一般市民で構成される陪審が死刑を含む量刑を決定する制度や量刑について裁判官に勧告する制度をとっている州が少なからずあると聞き及んでおります。 これらの中には、市民が参加して多数決で死刑判決を勧告する州もあると承知しております。
○保坂委員 アメリカの陪審は全員一致と聞いていますが、どの州ですか、多数決でやるのは。
○大野政府参考人 私どもが確認している限りで申しますと、フロリダ州、アラバマ州におきましては、市民が多数決により死刑判決を勧告するとされております。
○保坂委員 アメリカの陪審も原則全員一致というふうに存じ上げています。では、どういう形でその多数決が構成されているのか、後ほど聞いていきたいと思いますが、きょうは時間が限られていますので、幾つかの点をただしていきたいと思います。 裁判所にお聞きいたしますけれども、以前から裁判員面接の話を聞いています。 不公平な裁判をするおそれのいわゆる事例というのが、昨年ですか、一昨年でしょうか、公表されておりまして、これは、死刑をいかなる場合でも選択しないというふうに決めていますかと裁判所が聞くことになっている。 逆に言えば、裁判員面接で聞かれなくても、自分は死刑は選択しないんだ、こういうふうに宣言をした場合、これは不公平な裁判をするおそれに相当するかどうか。自分は死刑については選択をしない、こう言った場合には裁判員として不選任という対象になるかどうかという点についてどうでしょうか。
○小川最高裁判所長官代理者 死刑の適用が問題になるような事件の質問の手続で、仮に今議員御指摘のような発言があった、それでどうかということでございます。 ただ、どういうケースで、それからどういう状況でどんな発言か、これは具体的なケースによることでございますから、なかなか一概にどうだというふうにすぐに言えるようなことではないと思いますけれども、その質問手続の過程で、例えば、候補者の方が法令に従った判断ができない、公平誠実に、公正にその職務を行うことができないというようなことが認められるということになれば、不公平な裁判をするおそれがあるという判断をすることになるとは思います。
○保坂委員 死刑についても、世論の多くは存置が多いということですが、国会の中でも、やはり死刑制度は廃止に向けて進めていくべきだ、これは与野党またがってかなりたくさんの方がそういう意見をお持ちだということも御存じだと思います。 ですから、これは内心の自由にかかわることでありまして、それが不公平な裁判をするおそれに該当する場合もあると今裁判所の答弁は言っているようですけれども、刑事局長に、前回私は、裁判員面接のペナルティー、今、川内議員からも守秘義務についてありましたけれども、裁判員面接の虚偽陳述、これについても過料と罰金がある、これはそれぞれどういう場合に適用されるんでしょうかということをお聞きしたところ、答弁で、例えばと言われて、明らかに虚偽の陳述を行っている、それで注意などがあって、そういった場合に過料ということが考えられる、そしてさらには、明らかに虚偽の陳述を、例えば裁判長からの注意などがあったにもかかわらず継続をして、それが悪質である、特に悪質であるという場合にいわゆる罰金、刑罰が科される、両方の併科もあり得る、こういう答弁をされているわけですね。 これは、後から議事録を見てみて、一体どういう場合にそういうことになるのか。虚偽陳述ですから、明らかに虚偽の陳述だということを面接の場で判断をして、そして注意をして、それも聞かないで持続をして、だからこそ裁判所は告発をして、逮捕するのか書類送検なのかわかりませんけれども、起訴まで行くわけですね。どういう場合を想定してこの両方を置いているんですか。
○大野政府参考人 抽象的なそこのところの考え方については、前回御説明したとおりであります。 先ほど内心の自由にも言及されましたけれども、その虚偽性をどう判断するかという問題がございまして、内心の自由のようないわば虚偽性の判断が難しいものではなくて、客観的に明らかに事実と違う、例えば、被告人の会社に雇われている人間であったという人が、本来は被告人との関係を理由に裁判に関与できないにもかかわらず、裁判員となって、そして被告人に仮に有利に事を運ぼうというようなことで虚偽の陳述をしたということになれば、これはやはり悪質性が高いということになってくるのではないかと思われます。 ただ、これはもちろん具体的な事実関係いかんによりまして決められることでありますので、今軽々にこうだということは申し上げられませんけれども、悪質性が高いというのはそういう趣旨でございます。
○保坂委員 先ほど川内委員からも守秘義務についていろいろありました。 例えば、生涯、墓場まで評議の秘密は人に漏らしてはならないというかなり厳しい規定になっているわけですね。十年、二十年、三十年たってもということであります。例えば、そういう守秘義務の厳しい縛りもあって、裁判員に実はなりたくないという方が、先ほどの死刑の話題でもいいです、あるいは、自分はとても裁判員なんかできないと思うとか、そもそも守秘義務なんか守れない、あるいは守りません、こういうふうに陳述をした場合とか、それが本心というよりは、裁判員と選任されることを避けるためにこう言っているような場合は、刑事局長、どう考えますか。
○大野政府参考人 済みません、ちょっと今御質問の趣旨が必ずしも理解できなかったんですけれども、殊さらにそういうことを言うのが虚偽陳述に当たるかどうか、こういう御趣旨でしょうか。 明らかに実際に自分が考えていることと違えば、理屈の上ではこれは虚偽陳述になるんだろうというふうに思いますけれども、しかし、実際問題は、なかなかそこの内心のところは何が虚偽かと決めがたいところもございます。したがって、理屈としてはそれは虚偽陳述だということになるとは思いますけれども、現実にそれが過料あるいは場合によっては罰金というような、そういう制裁の対象になるかどうかと言われると、そこはどうかなというように思います。
○保坂委員 もう一つ確認なんですが、守秘義務のところで、例えば、裁判長が殺意の説明をしたんだけれどもこれがなかなかわかりやすくてよかったと、これは大体いいのではないかと言われていて、そして、その殺意について、必ず殺してやる、死んでも構わない、この二つの殺意についての解釈の違い、定義をめぐって評議が行われたんだ、こういうふうに言うと守秘義務違反になる。こういうのは、どうも、衆参両院で附帯決議で既につけられているはずの、守秘義務の範囲がより明確になるようにするべきだということを実現していないんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか、刑事局長。
○大野政府参考人 守秘義務の範囲につきましては、附帯決議の趣旨も踏まえまして、広報啓発活動等の場面で、守秘義務とはこういうものである、こういうことは許されるけれどもこういうことは守秘義務の対象になりますよというようなことを申し上げているところでございます。そうしたやり方で説明、周知に努めてきたところでございます。
○保坂委員 いや、ですから、では大臣に聞きます。大臣、よろしいでしょうか、ちょっと必ずしも予定していない質問で、今の応用なんですけれども。 前回も聞いたんですけれども、死刑などが想定される事件で、この人はやっていないというふうに思った裁判員の方がそういう意見を言った、でも、おっしゃるように多数決ですから、アメリカの幾つかの州がそうだと言いますが、ほとんどの国で多数決で死刑が判断できる国はないので、その無罪だと言った人が、量刑を判断しなきゃいけないわけですね、そして、そのとおり死刑になったとしましょう。というときに、自分は死刑だというふうには到底思えなかったと、自分のことです、そのことを言うことも守秘義務違反で、これは罰則の対象になる、なりかねないんじゃないかと言われているんですね。そこはどうですか。 自分のことをきちっと話すというのは、これは人間の、ある種の原初的な、本能に近いことだと思いますね。しかも、死刑という重大結果、その判断が出ていく。そのときに自分は無罪だと主張した。しかし、全体としてその声は少なくて、そうじゃない、死刑判決になったけれども、自分は違うんだ、そう言うことは許されないんですか。これはちょっと法務大臣に聞きたいんです。
○森国務大臣 非常に、ある特殊なケースの仮定の御質問と思います。ただ、そういうことがあり得ないということでもないということも理解いたしますが、やはり裁判員は法令に従い公平誠実にその職務を行わなければならないとされておりますが、評議に出席し意見を述べることは裁判員の職務の根幹でありますし、したがって、その人の信条はともかくとして、やはり相互の、お互いの裁判員の方々のプライバシーとか、それから発言の自由とかを担保する意味で、守秘義務を伴うということは妥当なことであろうというふうに私は思います。
○保坂委員 もうちょっと議論を進めたいので。 いや、法律にあるからだめだという議論じゃないんですよ。では、法律にあってそれが余計なら削ればいいじゃないですか。我々実はそれを考えている。 刑事局長に今度聞きたい。 毎日新聞の死刑をめぐる連載の中で、アメリカのルイジアナ州ニューオーリンズのキャサリン・ホーク・ノーマンさん、この方は十二人のうちの陪審長で、ダン・ブライト被告という、これは九六年の事件なんですが、陪審の長をやった。そして、死刑が相当という判決を勧告したわけですね。ところが、その控訴審の弁護人が、検察側の目撃証人が刑務所からの仮釈中で事件当時は飲酒をしていたということを探れとあったんですね。もう一回やり直せと言ったら、検察が訴追を放棄して、〇四年には釈放された。このときに、取り返しがつかないと、死刑囚の支援運動を始めたんですね。陪審の長ですよ。自分たちは死刑判決を出してしまった、とんでもないことになってしまった、ですから、何とかこの無実を晴らそうと。 そういうことは、日本の裁判員制度であり得ますか。だって、評議の中で私はこう思ったが、しかし、新たに一審の判決後に出てきた調査とかあるいは報道とかということで、私は大変なことをしてしまったんじゃないかと救援運動に乗り出す、真相解明、救援の会に出ていって発言をする、あるいは面会をしてその死刑囚を激励する、そのことについて。
○大野政府参考人 先ほど、守秘義務の関係で、自分の意見についてはどうかということについての御質問がございました。 確かに、守秘義務の存在理由として挙げられるもの、他人のプライバシー、それから裁判の公正さ、裁判の信頼、それから評議における自由な意見表明、こうなっているわけでございます。あるいは、評議で述べたことが公表されないことによって、その後、追及や報復のおそれがなくなるというようなことも挙げられております。 ただ、自分の意見だったらば、それを承知の上で言っているからいいじゃないか、あるいはこういうことになるのかもしれませんが、ただ、自分の意見でも、それを公表いたしますと、判決結果から照らしてほかの裁判員の意見も推測できる場合が出てくると思います。あるいは、例えば、一部の裁判員が自分はこうだったんだということを表明いたしますと、ほかの裁判員も、いわば、ではおまえはどうだったんだというようなことで事実上意見を表明せざるを得なくなって、結局、だれがどういう意見を言っていたのかということを事実上明らかにせざるを得なくなってしまう。それはやはり適当でないだろうということでございます。 したがって、自分の意見についても、やはり評議の内容については秘密にしていただくのが妥当だろうというのが現在の法律の考え方でございます。それがまた実質的な理由でございます。 それから、救援運動にかかわることはどうかということでございます。 それも守秘義務という角度から申し上げるならば、救援運動にかかわるのはもちろん個人の自由ということになるのかもしれませんけれども、そこで評議はこうだった、自分はこうだったということを言えば、それは守秘義務にかかわる、守秘義務違反になり得る場合も出てくるだろうということになりますけれども、そのようなことを明らかにしないのであれば、少なくとも守秘義務の関係については、直ちに守秘義務違反ということにはならないだろうというふうに思います。
○保坂委員 アメリカでは、自分たちは極刑を選んだけれども、これは大変済まなかったといって救援運動をやった、こういう例も出てきている。日本では、今刑事局長がおっしゃったように、相当の新事実というのが一審判決、裁判員裁判終了後に出てきて、その裁判員の一人が、例えば○○さんの無実を晴らす会、冤罪救援集会というところへ出てきて発言をする、一般的に賛成ですよと言うのはいいけれども、評議の内容にかかわると守秘義務違反に問われる場合がある。 では、もう意を決して、自分はこういう評議を経たけれども、やはりこの事実と照らして間違っていたと言って暴露するわけですね。そうすると、その事実が報道されたりあるいは確認をされた場合に、場合によると逮捕されて起訴されて、守秘義務違反第一号という裁判が始まる。 さあ、その起訴されたときに、自分は守秘義務に違反をしていない、実は評議の本当の内容はこうだったんだ、守秘義務の違反と当局が言っている内容はこういう集会での発言だ、しかし、本当の評議はこうだということを法廷で述べると、また守秘義務違反になるんですか。
○大野政府参考人 大変込み入った設例でございますが、もちろん、守秘義務違反の成否は具体的な事案の事実関係に照らして判断されるべきことでありますので、一概にこうだとお答えすることはできないわけであります。 ただ、御指摘のように、守秘義務違反の罪で起訴された者が、その審理の過程で、防御といいましょうか、審理のために、さらにその守秘義務の対象である評議の秘密等に陳述が及んだとしても、これは被告人としての防御活動でありますので、もちろん、それは必要性、相当性の範囲というものはあろうかと思います、したがって、それは個別の判断ということになるわけでありますけれども、そうした一定の範囲内であれば、守秘義務違反が成立しないということも考えられるんじゃないだろうかというふうに思います。
○保坂委員 もう一つ聞きます。 そういった冤罪ではないかということの運動も、マスクをして、見えない猿ぐつわをはめながらやるというのは事実上無理ですから、非常にそこは国民の自由を拘束するという面があろうかと思います。 もう一つ、私が東京地方裁判所で見た模擬裁判ができがよかったのかどうかわかりませんけれども、これは模擬ですから、評議が秘密ではなくてモニターで流されていました。そのときに、私は捜査段階の調書を何回も読んだんですがこの被告は供述をころころ変えているんですね、一般的に言うとそういう人は信用性がないというんですよ、こう裁判長が言っていたんですよ。これは衆議院法務委員会で見に行っていますから。 こういうことを言っていいのか。私は、実は模擬裁判を見てかなり決定的におかしいと思うようになってしまったので、これはぜひ究明したい点なんですが、裁判長のパーソナリティーによっては、そういう人はゼロというわけじゃないんですね。もっと強引に、自分の意見だけを押しつけて裁判員の意見をほとんど聞かない、そういう進行をしてしまった場合とか、あるいは、いろいろ聞いているんだけれども判決文に書かれていないぞ、裁判員として述べたこと、評議の中で語られたことを反映されていないではないかということを指摘することも守秘義務違反ですか。
○大野政府参考人 感想にとどまる限りは守秘義務違反にならないと思いますけれども、具体的に評議の中身に入って指摘をされるということになりますと、これは守秘義務違反になり得る場合も出てくるんじゃないだろうかというふうに思います。 ただ、いずれにしても、これは個別具体的な事情いかんによりますので、余り断定的なことは申し上げたくないと思います。
○保坂委員 司法制度改革で、裁判官の中には、やはりだれもが常識的ですばらしい人ばかりではない、かなり強引な人もいれば、人の話をよく聞くタイプの裁判官もいれば、そうでない人もいるわけですよ。だから、評議のあり方ということは、裁判員制度が始まったらやはり大きな問題になる。 そのときに、こういう議論を判決に反映していないんじゃないかと言ったら、これは評議の内容になりますね。そういうことを全部守秘義務違反でブロックして、一切の批判を許さないというふうになりませんか。裁判所、どうですか。
○小川最高裁判所長官代理者 一つ、先ほどの衆議院法務委員会でごらんになった模擬裁判、あれは東京地裁でやって、私も御一緒でした。 あれは、裁判長は、供述調書をいっぱい読んだんだけれどもということではなくて、被告人が自分は捜査段階では別の供述をしていたんだということを法廷で言ったということだったんですね。それを裁判長が聞いて、評議の中で、供述が変わるということは信用性に影響があるんじゃないだろうかということを指摘したんだというふうに私は理解しておるものですから、ちょっと申しわけないんですけれども、申し上げさせていただきたいと思います。 今おっしゃったようなことが守秘義務違反に当たるのかどうかというその前として、やはり裁判所が判決を書くときには、それは評議の経過をそのままきちんとあらわさなければいけないものですから、そんな、評議で全然出ていないことを後で裁判官が書くというようなことがあってはいけないと思うんですね。それはやはり評議の経過をきちんと忠実に反映してそれを判決に出すということだろうと思っております。
○保坂委員 法務大臣、今までの話を聞かれていて、特に、映画とかにもなりますね、アメリカの陪審の。まさに死刑だということで、いろいろ長い議論で決めた人が実はそうではなかった。この場合は釈放されたからよかったですね。場合によっては、アメリカでも処刑されてしまう場合もあるわけですよ。そんなことになったら、裁く側にとっても一大事なわけです。ですから、精神的な負担が非常に重い。 というときに、今の刑事局長の答弁では、救援運動は、黙って集会に行くくらいはいいかもしれないけれども、裁判員裁判に自分は裁判員としてコミットしたけれどもというようなことで評議の内容がちょっとでも、かけらでも入るようになれば、これは逮捕あるいは起訴も覚悟しなければいかぬ、ようやく裁判では少し言えるかもしれないけれども、というぐらいのペナルティーを国民に科すというのは果たして適当なのか。やはりアメリカの陪審も、判決までは日本よりずっと厳しく制限されて、ブロックされていますね。しかし、その後は、終わってしまったらそれぞれ自由に話をしている、あるいはブログに書いている。そういうことをもうちょっと考え直す議論をしませんか。 ちょっとこのままでは、余りにも重大な守秘義務違反ということで、しかも、線引きが明確じゃないですよ。感想を漏らすならいいって、人生の勉強になりましたなんていう、では例えばどこが勉強になったの、例えばとこれ以上言えないんだよという話になりますよね。どうでしょうか。それを生涯守るんですか。寝言も言えないということになっちゃう。
○森国務大臣 どうも委員のお話を伺っておりますと、かなり特異例をおっしゃっているように思います。 いろいろな議論を踏まえてこの制度が生み出されて、今まさに五月二十一日から始まろうとしているわけでございまして、当初はなかなか、まだ熟度が高まっていないかもしれませんけれども、それなりの議論を踏まえてここまで来たのですから、やはり裁判所においても適切にそういうふうに対応されることを期待しつつ、私としては円滑にスタートできるようにベストを尽くしてまいりたいと思っております。
○保坂委員 それでは、アメリカでできることが何で日本でできないんですか。
○森国務大臣 別にアメリカと同じじゃなくてもいいでしょう。(発言する者あり)
○保坂委員 そんなの、いい答弁でも何でもないですよ。 人権とか、人を裁くというのは、重大にしてこれ以上のことはないことですから、もし誤ってしまったら、良心をかけてその人を救援するのは当たり前じゃないですか。それを要するに刑事罰で封じて、それで国民に参加してもらう、理解してもらう。これは、私、重大な点だと思いますよ。アメリカと違っていいんだというのは内容がない答弁ですよ。 では、アメリカは何で許しているんですか。アメリカはこれを許していることで何か弊害があるんですか。それだけ答えてください。
○森国務大臣 またそれも一つの特異例を取り上げておられますけれども、アメリカは刑務所に二百万人入っている国です。
○保坂委員 特異な事件を対象にして始めることは、私は間違いだと思いますよ。行政訴訟とか国家損害賠償請求訴訟とか公選法違反事件とか政治資金規正法の事件とか、そういうものから市民の感覚を反映させるということであれば、まだこの制度は生きてくるのかなと思いますが、時間ですので終わりますが、ぜひ、特異な例ばかり言っているなんて言わないでほしいですね。 終わります。
○山本委員長 次に、滝実君。
○滝委員 無所属の滝実でございます。 いよいよ裁判員裁判が始まろうとするこの直前に発言の機会をいただきまして、感謝をいたしたいと思います。 今も議論がありましたけれども、東京地裁で行われた模擬裁判に私もこの委員会の視察で参りまして、やはり日本のレベルというのはかなり高いな、あの模擬裁判におけるいろいろな議論は、本当にこの法律ができるときには考えられもしなかったような議論が行われているということに私は感激をした一人でございます。 そういう意味から、やはり裁判員裁判が、これに参加する人たちが、裁判というのはこういう公正な仕組みの中で結論が出されていく、そういう姿を身をもって感じ取っていただけるような環境を、これまでも検察庁も裁判所もおつくりになってきたと思います。それをぜひ現場で本当に実感できるような環境を引き続き整えていくのが我々の仕事ではないかな、こういう意味で幾つか御質問をさせていただきたいと思います。 まず、たびたびこういう裁判員裁判で問題になって取り上げられてきている例で、例の冤罪事件があるわけですね。氷見事件あるいは志布志事件、きょうもそのうちの幾つかがここで議論になりましたけれども、それについては、平成十九年の六月でしたか、最高検が素早くこの経緯、いきさつについての調査報告をおまとめになりました。 この氷見事件、志布志事件から、具体的に、検察庁は検察庁で、裁判所は裁判所でどういうことを反省しているのか、それをまず刑事局長さんの方からおっしゃっていただけますか。
○大野政府参考人 今御指摘の氷見事件、志布志事件につきましては、検察としても深く反省すべきであるということで、平成十九年の八月に、最高検察庁が問題点を検証し、再発防止のための方策等を指摘した報告書を取りまとめまして、しかもそれを公表したわけでございます。 氷見事件、志布志事件は、罪名上は裁判員対象事件ではございませんけれども、しかし、裁判員対象事件の捜査、公判にも通じるところがあるということで、私どもとしては、検察当局といたしましては、この事件の教訓をきちんと踏まえた対応をしなければいけないというふうに考えているわけであります。 具体的な問題点として指摘されましたところについて申し上げますと、アリバイなどの消極証拠の検討が不十分でありました。また、供述の信用性の吟味も不十分でした。検察といたしましては、警察捜査とのかかわりのあり方に対する配慮や内部の捜査体制に関する合理的な検討も十分ではなかったというような指摘がなされております。 また、公判につきましては、争点が拡散することによって公判が長期化してしまったということがございます。また、そうしたことから、被告の身柄拘束期間が長引いたというような点も反省事項でございます。 こうした問題を、裁判員裁判対象事件も含めまして、今後の教訓にしていくものというように承知しております。
○小川最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 委員御指摘の件は、個別の事件のことでございますので事務当局としてはコメントは差し控えさせていただきますけれども、ただ、そうはいいましても、裁判所としても、無実の人が服役するというようなことは決してあってはならないというふうに考えております。 最高裁といたしましては、今後とも、個々の裁判官がこうした観点を踏まえて、事実認定のあり方でありますとか審理のあり方、そうしたもの全般にわたってしっかりと研さんを行うということが大切で、そういう機会を設けるように配慮をしていきたいと考えております。
○滝委員 確かに、志布志事件も氷見事件も、今度の裁判員裁判の対象事件ではありませんけれども、その最高検の報告書を見ますと、明らかにきちんと証拠に基づいて審理をすればこんなことはなかったのにと、こういうのがまずあります。 それからもう一つ、両事件に共通しているのは、やはり自白の取り扱いの問題ではないかというふうに思われる点が一番重要じゃないかというふうに思うんです。 最近も、これはそんな重大事件じゃありませんけれども、地裁段階で、被告人の調書について、これはどうも、早く本当のことをしゃべらないと家族を引っ張るとか、いつまでたっても出さないとか、そういうことを言って圧力をかけた疑いがある、したがって、肝心かなめの本人の調書が証拠として不採用になった例もあるわけですね。 したがって、そういうところから見ると、捜査当局も含めて、警察も検察も、こういう事態に備えて、やはりもう少しきちんとしてもらう必要があるんじゃないだろうかな。そういう重大事件で同じようなことが出てくれば、先ほど申しましたように、そこに参加している裁判員が、やはり日本の司法制度は何かおかしいというふうに思われないようにするためにも、もうちょっときちんと捜査段階からやっていただきたいというのが第一の私の感想であるし、そういう期待を込めてお願いをしたいと思うんです。 それから、裁判所もそうなんですね。裁判所も、当事者主義の判定役だというだけでは今度の裁判員制度は務まらないんですね。やはりみずからプレーイングマネジャーをやらないと、今までのように、ただ単に判定者というわけにはいかない事情がこれありという点もあるんじゃなかろうかなという感じはします。 余り出過ぎてはいけないと思いますけれども、少なくとも、何が憶測なのか、何が推測なのかというようなことを意識した整理が評議ではやはり必要なんだろうと思って、先ほど一つ例がありました点も、恐らく、ころころ変わるのは信用ならぬという見方もあり得るというのは、憶測とか推測ということの関連でそういう注意を喚起しているのが裁判長の意見だったと思うんですけれども、そういう点も、裁判所は裁判所なりに大変労力も要ることになると思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。 いずれにいたしましても、まずは自白調書の扱い方、こういう点について、やはりもうちょっと徹底する必要があるんじゃなかろうかなと思うのでございますけれども、刑事局長の意見があったらお聞かせください。
○大野政府参考人 氷見事件、志布志事件を通じまして、捜査当局は厳しい批判を受けたわけでございます。その後、さまざまな取り調べ適正確保方策を講じたところでございます。 例えば、逮捕、勾留中の被疑者と弁護人との間の接見でありますけれども、これは、なるべく早期に接見ができるように、きちっと記録にとどめ、きちっと告知をするというような、そうした取り組みをまずしております。この点は、裁判員裁判の実施と同時に、被疑者段階の国選弁護の範囲が広がるということも相まちまして、実質的に捜査段階における被疑者の立場を強化するところにつながるだろうというふうに考えております。 それから、取り調べについて、時に不満が出されることがございます。その不満をいわば握りつぶさずに、きちっと記録に残し、そして必要な対処をするというような制度も、警察、検察において採用したところでございます。そのほか、取り調べの時間等についても配慮すること、あるいは調書の作成方法等につきましても一層適正確保が図られるような方策を講じたところであります。 なお、裁判員裁判対象事件の自白の任意性立証のための録音、録画でございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、裁判員対象事件、基本的に全件について行うことにしておりまして、その録音、録画の中に、おのずとそれまでの調べの状況というのは出てくるわけでございます。これは一面、取り調べの適正化に資する部分もあろうかというように考えているところでございます。
○滝委員 今の刑事局長の御答弁で、この裁判員制度の発足に当たっての一段と改善されたシステムが出てくるということで、今と違った場面の展開が期待できるということを承知いたしました。 そして、とにかく公判前整理で証拠などもすべて限定されてしまう、こういうようなことが一つ気がかりとして残ってくるわけですね。裁判員の皆さん方が、とにかく、ここまではわかっていないという問題について、わかっていないまま、そのまま結審してしまえば、当然、疑わしきは罰せずという結論にならざるを得ないんですね。したがって、どこかで重大な事件については証拠という問題が新たに、そういう問題にまで手を伸ばさないと、裁判員制度の意味がないんじゃないかな、こういう感じがするんですけれども、それに対して刑事局長はどういうふうにお考えになっていますか。
○大野政府参考人 公判前整理手続との関係もございますけれども、裁判員裁判につきましてしばしば表明される懸念は、裁判員の負担軽減あるいは日程上の制約から、本来行われるべき立証、この立証はもちろん検察側の立証である場合もありますし、弁護側の立証である場合もあるわけですけれども、これがやや疎漏になってしまって、結果において適正な裁判が実現できないのではないかというような点についての御指摘であります。 これにつきましては、検察も、今までのようにいたずらに厚い、念の入った立証をすること、これはかえって裁判員の負担を増して、ポイントをわかりにくくしてしまいますから、そこは改めなければいけませんけれども、しかし、事件のポイントあるいは争点につきましては、手厚く、裁判員の納得が得られるような立証をしなければいけないというように考えております。これは、恐らく弁護側も同じことだろうというふうに思います。 また、公判前整理手続におきまして、争点、証拠関係が整理されて日程が決まるわけでありますけれども、しかし、訴訟は生き物でございまして、その後の事情変更等でやむを得ない事由、事情が出てくれば、そこはそこで新たな立証ということもあり得るのかなというように考えているところでございます。
○滝委員 ありがとうございました。 いずれにいたしましても、この裁判員裁判が、とにかく、そこに参加する裁判員の皆さん方、そして、新しい訴訟制度について国民が、やはりこれによって日本の司法が健在だという意を強くするような場面を期待したいと思うんです。 最後に大臣から、今、刑事局長、あるいは最高裁の刑事局長さんからもおっしゃっていただきましたけれども、そういった意見を踏まえて、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○森国務大臣 司法制度改革のいわば最後の、一番眼目ともいうべき裁判員裁判のスタートがいよいよ目前になりました。今、最高裁また法務省から御答弁申し上げましたように、いろいろと注意すべき点もあると思いますけれども、そういったことを踏まえまして、円滑にスタートし、司法に対する国民の信頼が十分に得られますように、ベストを尽くしてまいりたいと思います。
○滝委員 ありがとうございました。終わります。 ————◇—————
○山本委員長 次に、内閣提出、外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。森法務大臣。 ————————————— 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○森国務大臣 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 この法律案は、国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約を踏まえて、外国等を当事者とする民事裁判手続並びに外国等の財産に対する保全処分及び民事執行に関する我が国の裁判権の範囲について規定するとともに、外国等に係る民事の裁判手続についての特例を定めるものであります。 その要点は、次のとおりであります。 第一に、この法律案の規律の対象となる外国等の意義について定めております。 第二に、外国等に対する民事裁判手続について、外国等が我が国の裁判権に服する場合を定めております。 具体的には、まず、外国等が特定の事項または事件に関して我が国の民事裁判権に服することに明示的に同意した場合及び我が国の裁判所にみずから訴えを提起するなどした場合には、外国等は我が国の民事裁判権に服するものとしております。 次に、外国等の明示的な同意がないような場合でも、商業的取引、労働契約、人の死傷または有体物の滅失等に関する裁判手続のうち一定のものについて、外国等が我が国の民事裁判権に服することとしております。 第三に、外国等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続について、外国等が我が国の民事裁判権に服する場合を定めております。 具体的には、まず、外国等がその有する財産に対して保全処分または民事執行をすることに明示的に同意した場合及び保全処分または民事執行の目的を達することができるように特定の財産を担保として提供するなどした場合には、外国等は我が国の民事裁判権に服することとしております。 次に、外国等の明示的な同意がないような場合でも、その有する商業用財産等に対する民事執行の手続については、外国等は我が国の民事裁判権に服することとしております。 また、外国中央銀行等の有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続については、その明示的な同意があるような場合に限って、外国中央銀行等は我が国の民事裁判権に服することとしております。 第四に、外国等に対する訴状等の送達、外国等が裁判所に出頭しなかった場合の取り扱い等、外国等に係る民事の裁判手続についての特例を整備することとしております。 以上が、この法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 次回は、来る七日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時散会