財務金融委員会 第17号
- 発言数
- 53 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2009/04/16
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案、資金決済に関する法律案の両案を議題といたします。 本日は、両案審査のため、参考人として、早稲田大学法学学術院教授犬飼重仁君、金融オンブズネット代表原早苗君、日本証券業協会会長安東俊夫君及び株式会社三國事務所代表取締役三國陽夫君、以上四名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、参考人各位からそれぞれ十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質問にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。 それでは、まず犬飼参考人にお願いいたします。
○犬飼参考人 ただいま御紹介いただきました早稲田大学法学学術院の犬飼と申します。 本日は、金融商品取引法の一部を改正する法案の御審議に際しまして、金融ADR制度等に関して意見を述べさせていただくこと、大変に光栄に存じております。 私自身は、昨年早稲田大学教授に就任いたします前に、内閣府所管の総合研究開発機構、NIRAというシンクタンクに在籍をいたしまして、二〇〇三年から二年間、市場、特に金融資本市場を取り巻く諸制度、システムにつきまして、そこに参加する市民とユーザーの側に立ったグランドデザインに抜本的に変えていく必要があるというふうに考えまして、NIRAが主催し、早稲田大学が共催するプロジェクトを実施してまいりました。 具体的には、本来日本に備わるべき包括的、横断的な金融サービス市場法制のグランドデザインというものを提言しようというかなり壮大なプロジェクトであったわけでございますが、個人を対象とする金融紛争解決制度についても、いわば広義の法制度システムの一環といたしまして市場インフラの不可欠の要素であるということですので、そのあるべきグランドデザインを提言しようと、当時から進んでいると言われていた英国の金融オンブズマン制度等もかなり突っ込んで調査をいたしました。 ここで、個人が申し立て者となる少額の金融関連の紛争の場合に、金融ADR、裁判外紛争解決制度がなぜ不可欠かということでございますが、その点についての議論自体、日本ではつい最近まで余りなされていなかったというふうに思います。それは、金融機関等に比べまして相対的に弱い立場の個人が行う少額の紛争に、裁判、訴訟制度に不可欠の事実認定や法令解釈の厳密性を適用すること自体無理がございますし、裁判では費用や時間がかかる場合が多い。プライバシーも保てないこともある。 また、金融関連の各業界団体が主催をいたします相談窓口や苦情処理機関もございますが、中立性、公正性の面で、利用者から見て多くの場合、信頼の面で問題なしとしない、または使いづらいということがございます。公正かつ妥当な、簡易、迅速、柔軟な第三者的紛争解決手段が存在しないこと自体、これがずっと日本における問題であったのではないかということでございます。 有効で実効性の高い紛争解決制度が存在するということは、結局、一義的な制度維持のコストを金融機関が負担したとしても、金融機関と市場への信頼が生まれて、市場のコスト、客先が負担するコストや不確実性が最小限になりますので、市場を活発化させることができますし、お金を市場に呼び込むことができます。その好循環の中で業者が潤うということで、結局、市場を担っていけるということになります。 我々がお手本にいたしましたイギリスの紛争解決制度には、結局、金融関連業界みずからが、一九八〇年代初めから多くの試行錯誤を繰り返しながら工夫を重ねまして、よりよい制度をつくり出していったという伝統が生きているということが言えると思います。経験を通じて、有効で実効性の高い紛争解決制度の存在価値をみずから理解していったということであると思います。 英国の経験からわかりましたことは、金融サービス業者と金融サービス利用者の双方に信頼される紛争解決機関の実現というものは、金融資本市場全体の信頼性と利便性を高めて、利用者全体にとって魅力ある市場を構築するための重要なインフラストラクチャーになるということでございます。 そして、そういう観点を踏まえまして、NIRAの研究成果として、二〇〇五年の春に、金融サービス業者に対して片面的拘束を課した制度として、実効的金融ADR、裁判外紛争解決制度設置の提言を行ったものでございます。 なお、片面的拘束とは、紛争当事者の双方の経験や知識のレベル、あるいは対応力の歴然たる差というものを背景といたしまして、制度的な調整を加味することが真の意味の公正につながるということを意味していると考えます。言いかえると、ハンディをつけることがフェアになるという理念が重要ということでございます。 本日御審議をいただいております金融ADR、指定紛争解決機関の創設の法案は、その理念を共有し、大前提として組み立てられているというふうに感じております。そして、それをベースに制度の実効性を高めるための工夫がなされているというふうにも感じております。それは、四年前に我々が行った提言の実現に必要な前提条件の立法化でありまして、不可欠の前向きの一里塚であるというふうに考えられます。 話は前後しますが、私は、提言を行った二〇〇五年以降も一貫して金融ADR、金融オンブズマン研究をしてまいりましたが、今からちょうど二年前に、我が国の金融紛争解決制度の問題含みの状況がずっと続いていたことにかんがみまして、我が国のさらなる制度改革に資するには二〇〇五年に行った提言だけでは不足であり、専門家の手によって我が国にフィットする金融専門ADR機関のあるべきモデルとその実現手段のあり方にまで踏み込んだ具体的な提言を策定して、それを金融機関、政府・金融庁、また立法府の方々にお訴えをする必要があるのではないかと考えるに至りました。 具体的には、第三者的な任意団体として、一昨年、二〇〇七年の四月十八日に金融ADR・オンブズマン研究会を立ち上げましたが、その趣旨に御賛同いただいた二十二名の弁護士、二名の司法書士、メディエーション専門家一名と私、そういう二十六名のメンバーで、一昨年四月から一年半、非常に密度の高い研究調査を継続し、昨年十一月二十八日に百五十六ページの提言を発表させていただきました。 この提言は、各方面から前向きの評価をちょうだいしましたが、金融庁の方々にも詳しく御参照いただき、十二月三日の金融審議会と十二月二十四日の金融トラブル連絡調整協議会の場で参考資料としてそれぞれ席上配付いただき、金融庁の担当官より概要を説明いただきました。民間の一任意団体の提言がそのような公式の場で紹介をいただくというのも異例のことでなかったかと存じます。恐らく、我々の提言の中には、制度創設に必要になる理念、原則と、具体的な制度の進化、発展に合わせた手続のあり方、そこまで具体的な提案をさせていただいたことを評価いただいたのではないかと思います。 それでは、その提言のポイントをかいつまんで申し上げます。 個人が申し立て者となる少額紛争では、事実の認定や法令解釈の厳密性等に強くこだわることなく、良識に即した柔軟な解決、比喩的に言えば大岡裁きのようなイメージですが、これを迅速簡易に実現する金融専門の裁判外紛争解決が求められます。 あるべき金融専門ADR機関は、金融サービス紛争の解決について、柔軟性、迅速性、簡易性、専門性及び質の確保、そしてアクセスの容易性、横断性、公正性、その公正性には独立性と透明性を含みますけれども、並びに秘密性の八つの要素、すなわち設計理念を備えていることが必要でございます。日本は制度をつくる場合形から入る傾向があるように感じられますが、制度の理念、原則について関係者の間でしっかりした考え方を共有しておくこと、これが重要であると思われます。 また、実現への具体的な現実的ステップとして、十八の業界団体がそれぞれ苦情処理機関、業界型ADRを有している日本の現状から、業界横断的な単一の金融専門ADR機関の創設を究極の目的としつつも、リアリスティックな実現プロセスが必要と考えまして、四段階の段階的なプロセスについて、概要を同時に示させていただいております。 今回の法案の御審議に関して、一元的、横断的なADRと業界縦割りの現行のADRについて、どこが違うのか、またどういう発展形を考えているのかという御議論もあるかと存じますが、今回の法案は、現状を踏まえた理想の実現への一里塚であり、この点に関して、将来、我々の四段階ステップの考え方も参考にしていただけるのではないかと考えております。 そして最後に、結びといたしまして、金融機関も金融サービス業者にとっても、個人の信用、信頼が非常に重要でございます。それを失わない制度構築というものが重要ということで述べさせていただいております。 最後に、今回御審議をいただいております法案といいますのは、金融業界をまさに本気にさせるきっかけになり得る法案ではないかというふうに思います。そういう極めて重要な要素をこの法案に含んでいるというふうに考えます。その意味で、今後の制度のさらなる発展のための不可欠の一里塚として、前向きにとらえてよいというふうに考えてございます。 以上でございます。(拍手)
○田中委員長 ありがとうございました。 次に、原参考人にお願いいたします。
○原参考人 おはようございます。きょうは参考人としてお招きをいただきまして、ありがとうございます。 私自身は、金融オンブズネット代表ということできょうこの場に来ておりますけれども、金融審議会の委員をしておりまして、それから金融トラブル連絡調整協議会の委員もしておりまして、この問題に長くかかわってきておりますので、その立場から意見を述べたいというふうに思っております。 金融商品取引法の制定、それから改正の方向性というものについては、高く評価をしております。金融商品取引法は公正な市場づくりと利用者保護の両輪の充実をねらいとしておりますけれども、これは、私ども消費者からしても、その立場は同じです。今回、特に金融ADRについて改正の焦点が当たっておりますので、これについて意見を述べたいと思います。 相談、苦情の解決において、裁判外紛争処理の仕組みは一つの有用な仕組みとして評価できます。これは先ほど犬飼先生の方からお話があったとおりで、既に英国、韓国、オーストラリアなども取り組みが見られるところです。 日本においては、金融商品販売法の制定、施行、これは二〇〇一年なんですが、この金融商品販売法の制定の検討をしている段階で、金融トラブルの解決の仕組みとしてどういうことがいいのかということの検討をしております。ただ、このときは、私はそのときプレゼンテーションで横断的な、包括的な金融トラブルの解決のADRの仕組みを提案したんですが、時期尚早だということで退けられまして、ただ、大変大きな課題であることは間違いないということで金融トラブル連絡調整協議会が設けられて、各業界団体のADRの仕組みを持っておられるところが加わる形でこの検討を重ねて、八年たったところになります。 金融トラブル連絡調整協議会では、金融分野の苦情、紛争解決のモデルを策定いたしましたけれども、その後は、ここに来ておられる方は相談を担当しておられるセンターの所長さんあたりが中心でしたので、制度設計をどうするかということに踏み込んだところまでの議論をすることができずにここまで参りました。この間、地方の消費生活センターには、金融、保険にかかわる相談、苦情は増加し続けておりました。外国為替証拠金取引、無認可共済、変額個人年金保険の銀行窓販、保険の不払い問題、また未公開株などの詐欺的商法も後を絶ちません。 現在、百万件を超える相談、苦情、これは消費生活センターに寄せられている相談、苦情の総数なんですが、百万件のうち二割弱を金融・保険商品が占めている状況です。金融にかかわる相談や苦情というのは、言ったとか言わないという争いが多く、また損害額の特定も大変難しく、被害はほとんど救済されていないのが今の現状です。紛争の性質から考えて、金融、保険分野のトラブルは裁判外の紛争処理の仕組みになじむと考えております。 今回、金融商品取引法を改正し、金融ADRの規定を取り込むことになったことについては、以下のとおり考えております。四点、述べさせていただきたいと思います。 最初、まず第一点なんですが、金融商品取引法に規定を置いたということは評価をしたいというふうに思っております。条文に明記をされるということで金融分野の金融商品取引法という市場の公正さをねらったルールの中で非常に大きな位置づけを占めるということで、条文に明記をされたということは評価をしております。 今回、金融審議会で消費者からの相談、苦情について三回にわたって議論をしたわけなんですけれども、金融機関の上層部の方が消費者からの相談とか苦情という単語、文言を使って話をされるのは初めてという感じがありまして、金融機関のトップの方々が消費者からの相談とか苦情というのをどう考えなきゃいけないのかということでの意識づけになったというところでは、私は、十年かけてようやくここまで来たのかというような感じで大変感慨深いものがありまして、その意味でも、条文明記ということはよかったし、金融審議会の審議ができたということも評価をしております。 二つ目は、条文の置き方についてなのですが、幾つかの懸念と注文のようなものを持っております。 一つは、指定紛争解決機関についてなのですが、この指定紛争解決機関というものの範囲をどのあたりまで置いておられるのか。 それは、今の金融トラブル連絡調整協議会に所属をしておられるところは業界団体としてしっかりしてあるところで、そしてADRの仕組みも構築をしておられるところなんですが、これ以上にどこまで膨らませて考えておられるのか。これは、今後公益法人改革の見直しも進みますので、公益法人改革の見直しが進んだその後の姿がどうなるかによって、この指定紛争解決機関も定まってくるだろうと思うし、そうすると、どの範囲までを考えてこの条文に置かれたのかなというところを、まだやや詰め切れておらずに、注視をしております。 それから、尊重規定が幾つか入りました。手続の応諾、調査への協力、結果の尊重規定が入ったことは評価をしております。 それから、また指定紛争解決機関になりますけれども、この監督に関する規定が条文に盛り込まれております。内閣総理大臣による指定紛争解決機関への報告徴取、立入検査などについては、恐らく、金融庁としては要件を満たしているかどうかという形式的な部分の観点からの調査をなさるんだというふうに思っておりますけれども、そのときのやはり最大の眼目は、透明性の確保がされているかどうかというところに置いてほしいと考えています。 ADRの非常にメリットというのは、秘匿性、秘密性にありますけれども、紛争解決機関として適正なものかというのは、どういう方々で人的構成がされているのか、どういう案件をどのように解決したのか、どれが解決できなかったのかという、これは個人情報は秘匿しなければいけませんけれども、透明性を確保するということに眼目を置いて行政が目配りをして、それが開示をされることで消費者それから一般の社会がチェックをできる、私はそういう形にしていただきたいというふうに思っております。 それから、やはり今の状況から少しでも改善がされることを望んでおります。特に、現行のADRの仕組みの中でも苦情はたくさん扱っておられるんですけれども、苦情から紛争解決、ADRに行く数が極端に少ないんですね。なぜこんなに少なくなるのかというところについて、このあたりが改善をしていくような仕組みになっていただきたいと思っております。 それから三点目なんですが、他のADR機関などとの関係についてです。 ことしの四月から、国民生活センターにADRが発足をしております。また、法務省による認証ADRについても、消費生活アドバイザー・コンサルタント協会などが認証を取得しておりますし、また新たに金融トラブルに特化したADR機関が登場してくることも考えられます。こういったものとの役割分担とか連携とかということも意識をしていただきたいと思っておりますし、金融庁の中に設けてあります金融サービス利用者相談室の働きも改善が必要です。個別の紛争解決というところは、行政は民事不介入ということで手を出しておられませんけれども、ひもをつける形で各ADRに出されて、どういう結果にしたのかということの回答を得るというようなことは私は十分可能だと思っております。 それから、金融トラブル連絡調整協議会についても、レベルアップを図って改善を図っていただきたいと思っております。 それから、私は今、消費者庁の新設にかかわっておりますけれども、新設が検討されている消費者庁と連携をとり、各地の消費生活センターの相談、苦情の解決にも寄与するような連携をお願いしたいと思っております。 もう時間がなくて大変恐縮なんですが、最後、あと一言なんですが、将来の方向性についてです。これは、今犬飼先生もおっしゃられたとおりで、金は出すが口は出さない、こういう横断的、包括的な金融ADR機関を設けてほしいと思っております。 私は、十年来、この主張は変わっておりません。金融審議会で検討しているときも、私どもは優等生ですからというようなお話があって、頑張っておられるところはすごい頑張っておられるんですが、印象として、そこに来たわずかな人の解決はすごく図っておられるんですけれども、一般社会としては、一般消費者としてはすごく遠巻きに見ているんですね。今の業界中心のADRのあり方というのは非常に遠巻きにして見ていて、やはり半分まだ信用できないなという印象で見ているので、そのことを全然察知しておられないという印象があります。ですから、私は、金融業界、金融全体としてこの制度設計をどうするかということを考えてもらいたいというのがあります。 冒頭、金融機関の上層部の方のお話をいたしましたけれども、金融の相談とか苦情を見ていて非常に感じるのは、ほかの業界と違って、絶対にミスを犯してはいけないというふうに金融機関は考えておられて、ミスがあることはひた隠しにしたいという体質があるように思っております。ですから、相談とか苦情とかが表に出てこない。ここをやはり変えない限り、真の意味での消費者の苦情とか紛争の解決には至らないというふうに私は考えておりますので、ぜひコンプライアンスの考え方の中でも検討していただきたいと思います。 それから、最後、一言ですが、相談とか苦情に上がっているものを見ると、販売、勧誘のトラブルがほとんどです。消費者が持っている苦情はそういうところなのかというふうに思わないでほしいと私は思っています。それは、そこだけしか私たちには見えないからわからないからです。私はやはり、商品設計ですとか手数料の体系ですとか公正な市場が構成されているのかなど、消費者が知らないままに不利益をこうむることがないようになっているかどうかということを注視していきたいというふうに考えております。 ちょっと時間が長くなりましたけれども、私の意見とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○田中委員長 ありがとうございました。 次に、安東参考人にお願いいたします。
○安東参考人 おはようございます。日本証券業協会の会長を務めております安東でございます。よろしくお願い申し上げます。 常日ごろ、諸先生方におかれましては、証券市場、証券界に対しまして御理解と御支援を賜り、ありがとうございます。この場をおかりして、厚く御礼申し上げたいと思います。 御高承のとおり、我が国の証券市場は、世界的な金融経済危機の影響、それに起因する為替相場の大幅な変動などにより企業業績が大きく悪化いたしまして、日経平均は一時七千円台まで下落いたしたわけであります。その後、各国の財政金融政策の効果を市場は好感いたしまして、八千円台後半まで回復し、三月の年度末も乗り切ることができ、一時期の危機的な状況からはやや持ち直しておるところであります。 しかしながら、三月決算銘柄の今後の決算発表が連休前後から始まりますけれども、それによりましては、もう一段の株式市場の下落があり得るとも指摘されておりまして、本格的な景気回復にはまだ道半ばの感があるわけであります。 このような市況を反映して、証券会社、これは三百十九社の合計ですが、証券会社の業績も大変厳しいものとなっております。 三月期末の証券会社の決算はまだ出そろっていないために、二月末時点の数字で申し上げますが、上場株式の売買代金の大幅な減少あるいは公募株式投信の設定額の大幅な減少などを原因といたしまして、三百十九社のうち二百十六社の会社が赤字となっております。これは業界全体で六八%を占めております。また、昨年二月末と比べましても、営業損益ベースでは、昨年の六千五百七十九億円の利益から、概算で約二千億の赤字となる見込みであります。 こうした中、我が国経済の底割れリスクを回避して安定成長を実現することが、今日の日本経済の最も重要な課題であります。証券界といたしましては、我が国の国民が安心して投資を行うことのできる金融資本市場の機能の向上と信認の確保に全力で取り組むとともに、貯蓄から投資への流れを加速、確実なものとするために、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。 さて、金融商品取引法は、先生方御承知のとおり、第一に利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、第二に貯蓄から投資に向けての市場機能の確保、三番目に国際化への対応の三つを大きな柱といたしまして、平成十九年九月三十日から施行されたわけであります。 今回の金融商品取引法の改正案では、信頼と活力のある金融資本市場の構築を目的として、第一番目に金融ADR制度、すなわち金融分野における裁判外紛争解決制度の創設、第二に有価証券店頭デリバティブへの分別管理義務の導入、第三に信用格付業者に対する規制の導入、四番目に金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れなどを初めとする内容となっておるわけであります。 証券界といたしましては、この法案が国会での御審議を経て速やかに成立し、早期に実施されることを望んでおります。何とぞよろしくお願い申し上げたいと思っております。 その中の、法律案の内容のうち、金融ADR制度について一言申し述べたいと存じます。 今回の制度化は、金融商品・サービスに関するトラブルの苦情処理、紛争解決について、利用者の信頼感、納得感、実効性の向上を図るため、苦情処理、紛争解決を行う民間団体を主務大臣が指定し、紛争解決の中立性、公正性を確保しつつ、金融機関に手続に応じる義務を課し、事情説明、資料提出や結果尊重等の対応を業法上の義務として求めるものであり、金融ADRの新たな法的枠組みを設けるためのものと理解しております。 本協会は、御高承のとおり、金融商品取引法上の認可金融商品取引業協会であります。このために、既に証券取引の分野においては、証券会社及び銀行等の金融機関とお取引されるお客様に対して、苦情処理、あっせんの手続を設け、迅速かつ適切な解決の手段を提供しております。 具体的に申し上げますと、本協会の中に証券あっせん・相談センターという専門部署を設け、専従の職員で二十人の相談員を置き、さらに弁護士をあっせん委員として選任し、その人員も三十一人体制を確保し、加えて、あっせんの会場を全国五十カ所に設置し、投資者の利便性にも配慮した運営を行っているところであります。また、昨年六月には、本協会はADR法に基づく法務大臣の認証を得たADR機関となっており、万全を期した運営を行っているところであります。 一方、利用者の利便性を高め、速やかな苦情処理、あっせん手続を実現するために、昨年一月から、金融商品取引法上の他の自主規制機関、具体的には、金融先物取引業協会、投資信託協会、日本証券投資顧問業協会、日本商品投資販売業協会と一緒に、フリーダイヤルによる受付窓口を一本化しております。加えて、今後この横断的な機能をさらに実質化するとともに、中立性、公正性を高めるため、本協会の証券あっせん・相談センターを証券・金融商品あっせん相談センターとして独立させまして、他の四つの自主規制機関の所管する苦情あっせん機能との一本化を図ることを予定しておるところであります。 今回の法律案における金融ADR制度は、私どもの今後の苦情あっせん機能の整備拡充への取り組みの延長線上に位置づけられるものと理解しております。 最後に、本協会の業務につきまして申し述べたいと存じます。 御承知のとおり、本協会の組織は、証券戦略部門と自主規制部門とに分かれております。証券戦略部門とは証券市場の健全な発展を推進する業務、自主規制部門は証券市場の公正かつ透明性、信頼性の高い市場運営を推進する業務と言うことができ、いわば車の両輪のごとく機能することが求められております。 本協会としては、今後もその自律性、専門性等の特性を生かしつつ、法令を補完し、適切に機能するよう種々の課題に取り組んでまいる所存であります。 以上、いろいろ申し上げたわけでございますが、私ども証券界といたしましても、さらなる証券市場の活性化に取り組んでまいりたいと存じますので、引き続き御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 以上で私のごあいさつとさせていただきます。(拍手)
○田中委員長 ありがとうございました。 次に、三國参考人にお願いいたします。
○三國参考人 おはようございます。三國事務所の三國でございます。 私どもは、八三年七月より、三國債券格付情報を国内及び海外の投資家向けに提供してまいりました。私は、投資家のために格付ランク情報と格付の理由を説明いたします財務諸表分析を提供する仕事を、二十六年間にわたってやってまいりました。その立場から、今回の金融商品取引法改正案のうち、信用格付業者に対する公的規制の導入について、私の意見を述べさせていただきたいと考えております。 今回、公的規制として、登録制の導入、登録業者への規制、監督、無登録業者の格付を利用した勧誘の制限をうたっております。登録制の導入は、金融行政による信用格付の利用に呼応するものであると理解しております。ただ、私どもの三國格付は、投資家、正確に申しますと融資、企業間信用等の与信先の管理ということになりますけれども、投資家向けの信用情報を提供するサービスという立場にあり、当初より金融行政での活用の枠組みの外に存在してまいりました。したがって、金融行政における格付の使われ方がどうであるか、そのために登録が必要かどうか等につきましては、当事者ではございませんので、特段の意見はございません。 格付は、本来、投資家が投資の際に参照するものであります。そこに格付の最大の機能が存在いたします。この点において、いわゆる依頼格付、起債会社が依頼し、起債会社が格付費用を負担する格付でございますが、それであろうと、勝手格付、投資家の依頼により投資家が費用を負担する格付でございますが、両者においては違いはないと考えております。行政が利用する指定格付機関の格付あるいは登録業者の格付であろうと、指定外の格付、無登録業者の格付であろうと、いずれも投資家に参照してもらうことを最終的な、そして最も大切な機能と考えています。 そこで、投資家の利用に絞って幾つかのポイントを申し上げたいと考えております。 格付が扱っております信用リスクの判断は、本来、投資家が自分で下すものであります。投資家が自分で信用リスクを判断し、自分で投資を決めるからこそ、自分で責任をとることができます。具体的には、社債が債務不履行となり損失が発生した場合に、投資家がみずから納得して損失を甘受することができるというわけでございます。 したがって、投資家が自分で判断できないことを格付会社がかわってやるのかというと、そうではないと考えております。もし判断の代行をするのであるならば、投資家は格付会社の格付に依存するしかないということになります。この時点で格付は、一つの意見ではなく、専門的な権威のある意見であり、投資家は自分で考えずに格付に従うしかないということになります。これは、投資家が判断する余地をなくしてしまうという意味で問題があると言わざるを得ません。 専門の格付会社の役割は、投資家が判断できないことをかわりに判断することではなく、数多くの銘柄、企業について、長期にわたって信用リスクのユニバースを描き、比較感を提供することにあると考えております。私どもの場合、現在約千百社の格付を行っております。 投資家が自分の意見を持ち、多くの意見を参照できることが、市場を通じた価格形成にとって不可欠であります。投資家が自分の意見を形成するときに、格付会社の格付を参考にいたします。したがって、信用格付はあくまでも一つの意見にすぎないという立場を守り切ることが極めて大事なことはおわかりいただけると思います。 私どもは、金融行政に利用されることを目的としておりません。その枠組みの外で投資家向けに格付情報を提供することを仕事としてやってまいりました。したがって、全く一つの意見にすぎないという立場を守れます。しかし、金融行政で利用される格付あるいは登録業者の格付には、一つの意見以上のものであると受けとめられる危険性があることは確かです。したがって、一つの意見にすぎないという立場をこうした格付ではどうしたら貫徹できるかという問題はありますが、いずれにしろ、市場にはさまざまな意見が存在していることが望ましいと考えます。 一つしか意見がないと極めて危険な状況が生まれることは、一昨年来の米国サブプライムローン関連商品の格付の問題が示したとおりでございます。したがって、例えば社債が発行されたときには、登録格付業者による取得格付があり、登録とは無関係な例えば三國格付があり、あるいは格付ランク以外の形で提示される信用リスクについてのさまざまな意見も存在するという状況があってよろしいのですし、また、こうした多様な意見が混在することが大事だと考えております。 昨年来の議論として、問題がある格付会社が放置されるのはいかがなものか、厳しく監督して規制すべきという意見がございます。私は、規制、監督ではなく、規律を与える役割が必要だと考えています。それは、基本的に市場、マーケットが果たすものだと考えております。例えば、妥当性を欠く高過ぎる格付、低過ぎる格付、不十分な分析による格付などは、市場参加者の役に立たず、参照されないことになるでしょう。まともな格付こそが投資家によって参照されていく結果、規制、監督という形をとることなく、市場自体が規律を働かせていくことになることが正しい道だと考えております。 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
○田中委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○田中委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。盛山正仁君。
○盛山委員 おはようございます。衆議院議員、自由民主党の盛山正仁でございます。 順次、参考人の先生方にお尋ねをさせていただきたいと思います。 まず、犬飼先生にお尋ねをしたいんですけれども、犬飼先生は、長らく金融のADRに携わってこられて、今回の法案も評価されるというような御発言もありましたけれども、ずっと問題意識を持ってこの分野の提言その他をまとめてこられて、そしてこういう形の法案がまとまるということで、それなりに感慨が深い、ここまでようやっとやってきたな、持ってきたなというふうにお感じになっておられるんじゃないかと思うんです。 先生の今のお話の中にもありましたけれども、その枠組み、システムをつくるというのは大変大事なことだと思うんですけれども、枠組みをつくるだけではなかなか実際にうまく機能しない。特に、少額の紛争であり、あるいは一般の小規模の投資家の方にとって、敷居が高くない、使いやすい、そういうような制度にしていくもの、また、中立性、公正性という点で、安心できる、信頼の置けるもの、こういったことにしていくためには、さっきの先生のお話の中にも、証券業界、金融業界として、金は出すが口を出さない、そうやって信頼を高めていっていただくことが大事なんじゃないか、そんな御発言があったかと思います。そのあたりについて先生の御意見を再度お伺いしたいと思います。
○犬飼参考人 盛山先生、御質問ありがとうございます。 盛山先生のおっしゃるとおりだというふうに思っておりますが、まず、今回の法案に関しましては、先ほど来申し上げましたように、究極の理想を実現するための一里塚として必要なものであるという理解でございます。そういう意味で、ようやくここまで来たかという感慨を同時に持っているということも、そのとおりでございます。 ただ、今回の法案については、必要なステップであるとは思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、日本においては何事も箱物の議論から入る、そういう傾向が非常に多いのではないかというふうに考えております。ある意味、今回の法案も、箱物をどうするか、新しい指定紛争解決機関、これをどうつくるかという法案でございますので、まさしくその一環であるということでございます。 実は私、九〇年代からずっとイギリスの制度等を見ておりまして、具体的には、二〇〇〇年の金融サービス市場法のもとで、FOS、フィナンシャル・オンブズマン・サービスといいますけれども、これが具体的にできて、横断的な金融紛争を解決するための制度というものができた。そのできるまでの道筋、これは一九八一年から二〇〇〇年まで大変な時間がかかっているわけですけれども、そういうものを見ておりまして、やはり感ずることがございます。それは、箱物の議論だけではなくて、その制度構築に実は金融機関の方がかなりまじめにといいますか真剣に携わってきたということでございます。 例えば、イギリスのFOSの金融オンブズマンの制度は、実は、金融オンブズマンの方に紛争が来るその前に、確実に金融機関の方でその事前のプロセスをきちっと処理というか対応をしなければいけないということが義務づけられておりまして、要すれば、金融紛争を解決する制度だけの問題ではなくて、その前に、金融機関、金融サービス業者の方で、顧客のクレームとか苦情とか紛争とか、そういうものにどう対応するかということが、実はセットでその解決策が図られている。これは長年の試行錯誤を繰り返したことによる成果であると思いますけれども、そういうことがきちっとできている。 その成果が、実は、ISOの10001から10003、突然ISOが出てきて恐縮でございますけれども、皆様御存じのISOというのは、本来的には、機械であるとかねじであるとかばねであるとか、そういうものの品質保証をどうするかというところで使われるものでございますけれども、マネジメントシステム等でもISOというものが非常に重要になってございまして、例えばISOの10000シリーズでは、今申し上げた、金融機関、業者の立場から見たときの紛争解決のあり方が10002、そして10003では裁判外の、要するに組織外の、金融機関外の第三者的な紛争解決機関がどうあるべきかということの指導理念というか手続も含めたひな形というか、そういうものがちゃんとできております。日本もそういうものを使うようになりつつございますけれども、全体として見ると、まだなかなかそこまで行っていない。 そして、もう一つ重要なことは、この二十数年間、イギリスでこの制度の改善、構築が行われた中に、例えばイギリスの銀行協会ですと、銀行協会の中のいわば協会内の指導理念といいますか、これをきちっと書き込んでいる。これはコード・オブ・コンダクトというふうに呼んでおります。銀行の個人顧客のためのコード・オブ・コンダクト、そして法人顧客のためのコード・オブ・コンダクトというものが、まさにこの二十年来、非常に発展を遂げております。そして、そこで言われているのがフェア・アンド・リーズナブルの原則、フェアネスコミットメントというものがきちっとございます。これは実は、金融オンブズマンの背景にあるプリンシプル、そういうものと非常に整合的でございます。 すなわち、何が言いたいかといいますと、箱物の議論で、金融ADRの機関をどうするかということも大事ですけれども、それを実際に使う当人である金融機関の方も、その発展と同じくらい、あるいはそれ以上の発展というか内部的な体制の整備というものがイギリスでは行われているということでございます。 以上です。
○盛山委員 犬飼先生、ありがとうございました。 次に、原参考人に伺いたいと思います。 長年にわたって消費者問題で御活躍をしていただいて、本当に心から敬意を感じております。私自身、原さんとはいろいろな点で、消費者問題、私も携わらせていただいております。原さんもそうでしょうけれども、消費者庁の法案を含めて、やっとここまで来たんじゃないかな、そんなふうにお感じになっておられるんじゃないかと思います。 私ごとですが、運輸省で消費者行政課長というのをやったときに、何で運輸省にそんな課があるんだ、何で経済企画庁じゃないんだと言われたような覚えがございます。許認可官庁というようなところではあっても、結局一番大事なのは業界ではなくてそのバックにある国民であるということで、消費者行政課という課をつくって、私も消費者関係の仕事をいろいろやってきたわけでございます。 消費者庁の法案の関係でも、原さん、今一生懸命やっておられると思いますし、今回の関係でも、先ほど原さんはおっしゃっておられましたけれども、金融、保険の消費関係のトラブルがもう二割を超えている。やはり時代が変わってきたんだな、一般の国民の方にとっても、金融、保険、そういった投資に対するハードルが下がってきたというんでしょうか、身近になってきたんだな、そんなふうに改めて感じる次第でございます。 逆に、それであるからこそ、さっき原さんもおっしゃっておられたように、使いやすい、信頼のできる制度、こういったものの構築が大事。だからこそ、枠組みも大事なんだけれども、どういう人がどういうふうにやってくれるのか、そこが不安ですというとなんでございますが、そこが大事ですよ、こういうふうに御主張されたんじゃないかと思うんですが、そのあたりについてもう少し原さんのお考えを伺えればと思います。
○原参考人 先生とは九〇年代の初めごろ、消費者行政で御一緒させていただいておりまして、大変いろいろ御尽力をいただきましてありがとうございます。 今、並行して消費者庁の審議が、今この時間、消費者問題特別委員会が開かれて、多分最終の委員会だと思いますけれども、やっております。 金融商品取引法を改正してのこの金融ADRの仕組みなんですけれども、私、犬飼先生もそうですけれども、ずっと長年これに携わっていますので、この問題は大きいんだというようなことを言いますけれども、多分、一般の消費者の人にとって身近なところになるには三つぐらいハードルがあるかなと思っています。 一つは、全く認知度がないということです。一般の人たちはほとんど知らないと思います。存在を知らないというところがありますから、この認知度を上げるということがまず第一です。 二つ目は、門前払いはやめてほしいということです。これは、苦情とか紛争解決のところに入ろうと思っても、門前払いがあります。それから、苦情から紛争解決に上がろうとした段階でも、例えば事実確認が難しいからとか、本人確認、本人が出てこられないのではというようなことで門前払いになってしまう。だから、至るところに関所が設けられていて中に入れてもらえない、ここも何とか改善をする必要があるというふうに思っています。事実確認ができないから裁判に行けないのでここへ来ているのに、本人が病気だから、出られないから何とか家族で解決したいと思っているんだけれども、やはりそのあたりが何か非常にしゃくし定規に考えられていて、非常に関所が多くて門前払いが多いところをどうにかしてほしいと思っています。 それから三つ目が、透明性を上げるというところです。これは金融トラブル連絡調整協議会とか金融審でも議論になったんですけれども、個別の、どこそこのだれべえが実際に調停人をやっているかという非常に詳しい個人情報は要らないですけれども、ただ、何とかさんという弁護士の資格の方が入っておられるとか、何とかさんという相談員の資格の人が入っておられるという人的な構成のところが見える工夫というのが必要だと思います。 それから、多分最大は、ずっと思っていて感じているのは、金融の上層部の方たちは、こういう話というのはすぐ、足手まといで、足を引っ張るな、消費者からの苦情みたいなことを持ち出して業界全体の足を引っ張るなという話。今、そこをようやく脱しかけてきていて、やはり重要な消費者へのサービスの一環だ、ここまでは来たように思います。ただ、私は、やはりその次の段階、これは本当に金融業をやっているのなら正面から取り組まなければいけない課題だ、ここまで進んできていただいたときに、横断的、包括的な金融ADRの姿が見えるのだろうというふうに思っております。 以上です。
○盛山委員 原参考人、ありがとうございました。 続いて、三國参考人にお伺いしたいと思います。 三國参考人の方からなかなか厳しい御意見が出たというふうに私は感じております。 私は、大分前に、財投機関債の発行というところで、格付の取得ですとかマーケットの関係で、債券の方ですけれども、少し携わったことがあります。そのときの感じとしましても、発行体の方から格付機関に対して、こういう格付が欲しい、あるいは格付機関の方から、うちだったらここまでの格付を出しますよといったようなセールスというんでしょうか、それが行われているように受けとめられるケースがございました、私は直接それにタッチしていないからそれ以上はわかりませんけれども。そして、ソブリンの一番最高位の格付を受けたところが、結局その年のうちに発行もできない状態になるような、そんな事態もありました。結局、一体この格付は何なんだろうかといったような感じにもなります。 そういった中、三國参考人がおっしゃったことは、結局、いろいろ判断をし、リスクをとるのは投資家なんだからということは本当におっしゃるとおりだろうとは思うんですが、私の限られた経験でいきますと、機関投資家やそういうような投資家の方は、結局、格付ですとかそういうところをある程度重視しながら、社内でどういうふうに説明したらこの程度のものが通るだろうか、そういうふうに判断をしておられるような感じが相当あるんじゃないかな、そんなふうに感じられたわけなんでございます。 三國参考人のように、ある程度のことまで深く掘り下げてわかっておられるような投資家の方ばかりであればいいとは思うんですけれども、現実になかなかそこまで投資をする先の状況だとか情報だとかにうまくアクセスできない人、あるいは判断し切れない人にとっては、格付機関、格付会社の格付というものの意義は重要だと思うんですね。ですから、そういう現実を考えて、今回の格付制度について三國参考人が、三國参考人の理想としての御意見は御意見として、実態を考えて、今回の案をどのようにお考えになっているのか、再度伺わせていただければと思います。
○三國参考人 お答えいたします。 まず最初に、私どもがやっております格付は、企業の発行する社債の格付に特化しております。社債でも株式でも、投資家の方が投資をするときにどういうことを考えておやりになるかといいますと、企業内容開示制度に基づきまして財務諸表が開示されております。あるいは、東京証券取引市場や何かで重要な事実の開示というのがなされております。こういう重要なデータを投資家の方が入手なさって、そして株式投資あるいは社債投資をやっているということでございます。 社債格付の場合には、そういう重要な事実のデータをもとにして格付をやりますけれども、そのときに財務諸表の分析というものをやるわけですが、この財務諸表の分析というのは、もう百年以上の歴史がございまして、ある程度、機関投資家の方々、金融機関の方々でしたら常識的に知っていらっしゃるというんでしょうか、そういうことでございまして、したがって、両方組み合わせますと、社債についての格付判断、信用リスクの判断というものをおおむねできるということが前提でございます。 ですから、投資家、株式とか社債の投資をする方々というのは、もし本当にそういうことが理解できなかったら、それは投資信託へお金を預けるとか預金へ預けるとかということになろうかと思います。格付でいえば、私の理解するところでは、したがって基本的に、社債投資をする方々というのはそういう基礎的な知識を持った方々が来るという前提があったときに初めて機能するんだと思いますけれども、格付会社の格付というものは、やはり一つの見方ということでやっております。 ちょっと説明申し上げますと、格付がどういうことになっているかということを割と御説明申し上げる必要があると思うんですが、皆様方はよく、正確な格付ということをおっしゃいます、正しい格付。本当に正しい格付というものがあるか。私が言うのはなんでございますけれども申し上げますと、恐らく皆様の理解とはちょっと違うと思います。 例えば、格付はトリプルAからトリプルCまで七段階になっておりますけれども、トリプルCの格付、一番最下位の格付になって、それから倒産する。すべてその段階を追って下がってきて倒産するということであればわかりやすいんですけれども、実際問題として、トリプルCでもシングルBでもダブルBでもトリプルBでも、あるいはトリプルAでもつぶれてもおかしくないというのが企業の世界でございます。ということは、正確な格付というのは非常にわかりにくいというんでしょうか、要するに、白黒つけやすい、これこれこれは絶対大丈夫とか、絶対につぶれちゃいますよと言うことはできないという世界でございます。 したがって、信用リスクということを理解していただく仕組みとしては、格付会社が格付を出しますけれども、それはあくまでも一つの意見でございまして、今回のサブプライムローン、また事件にしても、トリプルAを出していたからといって格付会社が肩がわりして弁済することはございません。一つの意見ということで、要するにそれだけの話です。ということは、格付というものはあくまでも一つの意見であるということにしておかないと、非常に投資家が混乱してしまう、そういうことになるのではないかと私は理解しております。 ということでよろしゅうございましょうか。
○盛山委員 三國さん、ありがとうございました。 もう少しお尋ねもしたかったわけでございますが、残念ながら時間でございます。 安東会長には御質問をする機会が残念ながらなくなってしまいましたけれども、やはり貯蓄から投資へということが今の世の中の流れでありましょうし、また、投資というのが不健全ではないんだ、これは当たり前なんだというふうにしていくためにも、ADRや格付を含めて、証券業界としてこれまで以上に、一般の国民の目線を十二分に考えて活動していただくことを心から期待申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○田中委員長 次に、鈴木克昌君。
○鈴木(克)委員 民主党の鈴木克昌でございます。まず冒頭、私からも、四人の参考人の皆さん、本当にきょうは早朝からありがとうございました。また、貴重な御意見を聞かせていただいたことに心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。 それでは、私も、限られた時間でありますが、少しお尋ねをしていきたいと思います。 まず、犬飼参考人でありますが、NIRA時代から私も大変御指導いただいておりまして、本当にありがとうございます。金融サービス市場法について、犬飼先生がどれだけ情熱を傾けてやってみえたかというのは、私も、そばで若干拝見をさせていただいて、本当に重ねて敬意を申し上げたいというふうに思います。 そういうところで、きょうお越しをいただいて、ADR制度についてお話をいただいたわけでありますが、釈迦に説法でありますけれども、いずれにしても、各業界の垣根が低くなって、そして本当にトラブルが多くなったということだというふうに思います。それを解決するというのは、まさに今、消費者もそうでありますし、本当に多くの国民が望んでいるところだというふうに思いまして、そういう意味で、今回のこの法案について、私もしっかりと議論をさせていただきたいなというふうに思っております。 先ほどのお話を伺っておって、先生は、究極の理想への一里塚だということを何遍もおっしゃったというふうに思うんですけれども、その辺からまずお伺いをしたいんですが、まず、究極の理想はどういうものであるのか。そして現在は、その一里塚というのは、なぜ一里塚なのか。我々は、例えばもっと先を審議することができないんだろうか、率直にそういうふうな疑問を思うわけでございます。 いずれにいたしましても、イギリスでは金融オンブズマンという言い方だというふうに前にお目にかかったときに伺いました。金融ADRと金融オンブズマンの若干の差、その考え方の違いをお教えいただきたいし、具体的には、やはりイギリスの金融ADRと今我々が審議しておるADRがどこがどういうふうに違うのかということも含めて、先ほど十分という限られた時間で恐らく言い足りなかったところがあるんじゃないかなと思いますので、ぜひひとつ聞かせていただきたいと思います。
○犬飼参考人 鈴木先生、御質問ありがとうございます。本当にありがたい御質問をいただきまして、感謝申し上げます。 まず最初の御質問でありますが、究極の理想とはどういうものか、そして、なぜ今回の法案が一里塚なのかというところでございます。 究極の理想というのは、私、八〇年代後半から六年以上イギリスに仕事で在籍をいたしまして、商社の資金調達の担当ということで当時はロンドンにおったわけですけれども、それ以来、非常に使い勝手のいい金融市場というものがロンドンにあるということで、大変に注目をしておったわけでございます。 その間、一九八〇年代に金融サービス法ができて、そして二〇〇〇年には金融サービス市場法ということで発展をしていった。そういうイギリスの法制度の発展の歩み、そして、法制度だけではなくて、実際に、ユーザーとしての発行体、社債の発行体、あるいは金融機関であるとか投資家であるとか、そういう人たちが非常に発展をしていったということを横で見ておりまして、日本もイギリスみたいにならないのかなと、非常に単純にそう思っていたわけです。そして、どんどんそれを見ていくうちに、やはり、先ほど申し上げましたように、横断的で包括的な金融サービスの市場法、これが必要だなという確信を持つに至りました。 これは、発展段階としてはイギリスも同じだったんですけれども、縦割りの業法みたいなものがありまして、それがどんどん、発展していく過程で非常に横断的なものになっていった。日本も、銀行法や証券取引法やいろいろな縦割りの業法があったわけですけれども、それが、銀行法とか保険業法はもちろん今も残っておりますけれども、証券取引法を主体にして、今般、一年半前に施行された金融商品取引法でもってかなりの横断化ができたということでございます。したがいまして、その横断化というものが実はまだ発展途上にある。 これをどこまでできるかというのは非常に難しいんですけれども、法律を全部一緒にすればいいということでも必ずしもないんですが、やはりおっしゃいますように、顧客が広範な多様な金融商品を求め、そしてその金融商品を売って終わりではなくて、売ってから五年、十年、二十年と金融商品とつき合い続けなければいけない、そういう状況があるわけでございまして、しかも、その金融商品というものは、グローバリゼーションの世の中で世界的に整合性が出てくる、世界的な競争あるいは関係というものがグローバルで出てくるということになりますと、やはり法律のあり方も、横断的、包括的にしていかなければいけないということでございます。より包括的、横断性の高い法規制システム、そういうものを理想と考えております。 実は、今回御審議中のものも、そういう法制のあり方と非常にシンクロしながら発展をしていくべきもので、金融紛争解決の制度自体だけを抜き出して横断化しろといっても、これは無理なんですね。したがって、法制のあり方とどこまでシンクロしながら今後それをよくしていけるかというところが非常に重要で、非常に大きい課題でございますので、一言でなかなか言いにくいんですけれども、そういう意味でございます。 なぜ一里塚かというのは、全体の法制のあり方との兼ね合いで一里塚と言わざるを得ないということでございます。 それと、金融ADRとオンブズマンの差ということでございますけれども、実は、金融ADRというのはようやく日本に名前として根づいてまいりました。ADRは何かというと、オルタナティブ・ディスピュート・レゾリューション、これは代替的な裁判外の紛争解決手段。代替的というのは何かというと、裁判にかわるものという意味だろうと思います。 ただ、特にイギリス、欧州の方と話をしていますと、金融ADRということはほとんど言わないんですね。やはり金融オンブズマンなんです。なぜ金融オンブズマンかというと、もともと、個人を主体とする少額の争いについては、裁判制度を使うということは初めから考えるべきではないんだという信念があるわけです。要するに、そういうものは使うべきではないんだと。したがって、代替的ではない、オルタナティブではないんだという意味で、ADRのAという言葉をあえて避けている。 ただ、日本においては発展段階でございますので、ADRは使いませんよというわけにもいきません。逆に、オンブズマンという言葉の響きがまた別の意味をちょっと日本ではあらわすようなところもありますので、非常に難しいんですが、まずはADRということで、次の発展段階としてはやはり金融オンブズマン、金融だけではありませんけれども、オンブズマンという言葉が普通に使えるような状況をつくっていくことが重要ではないかというふうに思っております。 以上です。
○鈴木(克)委員 どうもありがとうございました。 続いて、原参考人にお伺いをしたいわけであります。 先ほど、ADRについて参考人は、高く評価をされておるというふうにおっしゃったと私は記憶をいたしております。まあそれはいいんですが、聞き違いかもしれませんけれども、十年前に包括的、横断的な機関を提唱したけれども、時期尚早だということで取り上げていただけなかった、こういう話もあったわけですね。 いずれにしましても、生活相談センターの百万件のうち二割を超す件数が金融関係だ、これはまさにゆゆしき状況にあるわけであります。 そういうことで、改めて原参考人に、お時間を使っていただいて、この意義、必要性をもう一度説いていただければありがたいな、このように思うわけです。ADRの意義、そして必要性をお聞かせいただきたいというふうに思います。
○原参考人 数十分前の自分が話したことも忘れているようではちょっとしようがないんですが、高く評価というよりは、多分金融トラブルにはなじむんだろう、そういう感じなんですね。 今、法務省が認証ADRの仕組みを持っておりますけれども、私、これの検討過程も、司法制度改革の一環で参画しておりまして、こういった裁判以外の紛争解決、オンブズを含めですけれども、なじむ場面というのは二つあるように思っています。 一つは、お互いが対等な関係の場合。お互いが納得すれば解決をする。別にそこは、法律に照らしてどうこう言わなくても、お互い納得すればいいんじゃないかという場面は、裁判外の、ADRのような仕組みの方法でいいんじゃないかという感じ。 それからもう一つは、非常に専門性が高いもの。例えば、法務省の認証ADRの一番トップバッターはスポーツ仲裁なんですけれども、非常に専門性が高いものというのも、こういった、裁判に至らずに、お互い当事者同士が納得しているような人たちに解決をお願いするという仕組みがなじむと思っていて、金融もちょっとそれに近いかなというふうに思っています。 というのは、各地の消費生活センターで、確かに金融と保険の相談、苦情が多いんですが、相談員はとても大変なんですね。オールマイティーの相談、すべてのいろいろな相談が寄せられるので、金融とか保険に特化した形だけで勉強を積み重ねるとかそういうことが大変難しくて、東京都のように大世帯の消費生活センターの場合は、チームを組んで、金融チームとかというのでやっておりますけれども、全国津々浦々を考えるととても大変。 ですから、まず、消費生活センター、全国五百二十以上ありますけれども、やはりそこだけを頼みにしていてはなかなか解決しにくいかなと思っていて、こういった、金融機関が制度設計をする形の仕組みも大変有用ではないかというふうに考えております。 以上です。
○鈴木(克)委員 ありがとうございました。 十年前からこういった問題に本当に取り組んでみえて、ある意味では、先ほどの一里塚じゃありませんけれども、こういう状況が出てきたというのはいろいろな意味で、参考人にとっても非常に展望が開けてきたというか、こういう時代が来たということを恐らく高く評価しておるというふうにおっしゃったのではないかな、このように思っております。 私は、もう一点聞きたかったのは、十年前にそういった提唱をされたけれども時期尚早だということだったというお話をお聞きしたかったんですが、それはそれとして、また次の機会に聞かせていただければありがたいな、このように思っております。 あわせて、時間もあれですけれども、原参考人、犬飼参考人に簡単にお答えをいただければいいんですが、一番大事なのは、やはり中立性とか公平性ということだと思うんですね、このADRの制度。この辺で、本当に利用者が納得されるようないわゆる紛争解決をすることができるのかどうか、また、今の現状をごらんになってそれが可能かどうかということと、それから、こういうところをぜひ留意してくれというような御意見があれば、お聞かせをいただきたいと思います。 まず犬飼参考人、原参考人の順でお願いしたいと思います。
○犬飼参考人 改めて御質問ありがとうございました。 せっかくですので、私がイギリスの制度の発展の中で調べまして、私だけではありませんけれども、同僚も一緒に調べたわけですけれども、その中でどういうポイントがあるのかというのを御披露させていただければというふうに思います。 一九八一年にイギリスで保険オンブズマンが最初にできたんですけれども、それ以来、どういうポイントを彼らは重要視していたのか、今のFOS、フィナンシャルオンブズマンも同様に持っているポイントですけれども、申し上げます。 当時のオンブズマンは、「中立性確保のために学者、消費者団体関係者及び保険業界出身者から構成される評議会がオンブズマンを任命し、紛争解決規程を作成することとされており、以下の特徴を有していた(これらの特徴は以後の英国におけるオンブズマン制度に共通する。)。」ということで、三点ございます。 「一 オンブズマンの裁定は業者のみを拘束し、苦情申立人は裁定内容に不満がある場合には裁判所に改めて訴えを提起することができる。」さっき申し上げた片面的拘束力というのはそれですね、そういう特徴がある。 もう一つ、「裁定をなす判断基準は「何が公正かつ妥当か」」、フェア・アンド・リーズナブルということですけれども、「という点にあり、法規にとらわれることなく、先例や証拠法則にも拘束されない。」さっきからフェア・アンド・リーズナブル、公正、妥当ということを普通に申し上げておりますけれども、その言葉に大変に深い意味があるということでございます。 「三 オンブズマンは紛争解決手続を裁量的に進めることができ、状況に応じて助言、調停、非公式な勧告、裁定等を使い分けることが可能である。但し、苦情申立者が相手方たる業者等が自ら用意する内部的な苦情解決手続を既に利用したことをオンブズマンによる苦情解決手続の開始要件とする。」 ということで、そういう基準というものは、一たん定めたらそれを守り続けて現在まで至っているというところが、制度の安定的な発展の基礎になるということではないかと思います。 以上です。
○原参考人 簡単にということなので、中立性とか公平性とか公正さというのは、この種の議論では必ず出てくることなんですが、それを目的とするのは可能だと思いますけれども、今回の最終報告書でも私はやはりその言葉は余り使わない方がいいというふうに言ったんですね。というのは、何が中立か何が公正さなのかというのはわからないので、私はやはりかぎになるのは透明性だと思っています。透明性の確保ですね。 裁判は公開の場で行われますけれども、ADRはその部分、非公開でやれるところがメリットではあるんですが、だから二律背反する考え方なんですけれども、私は、信頼性を得るためには、どういうところを透明にしてやれば信頼が得られるのかということで、やはり透明性の確保のところに力点を置いていただきたいというふうに思っております。 以上です。
○鈴木(克)委員 時間もなくなってまいりました。 安東参考人にお伺いをしたいと思うんですが、ちょっと先ほどのお話の中には出てこなかったんですが、いわゆる格付について会長がどのように今お考えになっているのか、お聞かせをいただけるとありがたいんです。 プロの金融業者の皆さんですら、いわゆる格付というのでだまされるというのか誤りを犯すというのかよくわかりませんけれども、そういうような状況があったんだ、またあるんだということがよく言われておるわけでありますが、今回規制を導入するということについて、格付についてのそういった問題が前進をしていくというふうに会長としてお考えになるのかどうか。ちょっとそれをお聞かせいただきたいというふうに思います。
○安東参考人 御質問ありがとうございます。 格付に関しましては、過去も数回、その都度、デフォルト等が起こったときに問題が指摘されておりました。 今般のサブプライムローンをベースとした証券化商品、いわゆる投資サイドから見ますと、先ほど三國先生の方からお話がありましたけれども、投資家の責任であることはある意味明白なことなんですけれども、逆に、例えば機関投資家サイドから見ますと、二社以上の格付があって、かつトリプルA以上、それでリターンがいいものが当然投資対象としては一番いいに決まっておりますし、社内でそういうものに投資するのもやりやすい。 そういう意味で、サブプライムローンというのは、高格付でありながら非常に運用利回りが高い商品だったというところが、皆さん投資に行きました、結果的にこうなりましたということでありますから、一概にどちらが悪いという意味ではないんですけれども、それまで格付会社というのは比較的世の中で、投資家の中で高い評価を得られていたものが、ここに来て評価が変わったというのは事実だと思います。 したがって、今回こういった高い評価を再度戻すために、こういった意味での登録という規制を設けるのは、やり方としては一つの適切なやり方だろうというふうに理解しています。
○鈴木(克)委員 三國参考人、申しわけありません。私の時間配分が悪くて、御質問できぬようになってしまいました。後はまた、個人的に御指導いただけたらというふうに思います。 ぜひひとつ、こういった格付の業界のために大いに頑張っていただきますようにお願い申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○田中委員長 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一です。参考人の先生方には、きょうは早朝から大変ありがとうございます。 それではまず、犬飼参考人にお伺いいたしますけれども、先ほど犬飼参考人の陳述の中では、将来的には、業界横断的な単一の金融ADRというのが将来の理想である、ただ、その理想に向けて、今回の法案に位置づけられている金融ADRというのは前向きの一里塚である、こういう御評価をいただいたと思います。 先生の陳述の中で、将来に向けて四段階のステップがあるというふうにお話をしていただきましたが、将来の理想的な業界横断的な金融ADRに向けての四段階のステップについて、この際もう少し詳しく御説明をいただけたらと思いまして、よろしくお願いを申し上げます。
○犬飼参考人 石井先生、御質問大変ありがとうございます。先ほど御説明したかったんですが、時間の関係でできませんでした。御配慮大変ありがとうございます。 その四段階のステップについて簡単に御説明をさせていただきます。 まず最初の段階ですが、既存の各業界型金融ADR機関において、我々の提言に沿って、その理念等を可能な限り取り入れて制度改善を図る自己改革を期待したい。その自己改革は、それだけでも、良識に即した柔軟な解決を迅速簡易に実現するという目標に向かった大きな前進につながるということで、自己改革のステップをまず第一と位置づけております。 その自己改革のステップというのは、今般の法改正によって自己解決を迫られるといいますか、本気にさせられるような状況がまさに出てきたというふうに感じております。 第二のステップですが、次に、設計理念を共有するに至った複数の業界型金融ADR機関が共同して、準備委員会、連絡協議会のような、金融オンブズマン機構設立を最終目標とする新組織を創立する。新組織は、苦情等の統一受付窓口を構築し、徐々に統一窓口を拡大する。さらに、新組織は、金融オンブズマン機構が採用すべきモデル基準を作成し、各既存金融ADR機関等に対しモデル基準の採用を奨励する。これが第二ステップです。 第三ステップとしては、そのモデル基準を満たしている既存金融ADR機関の間のネットワークを構築し、一種のフランチャイズを実現することにより横断性の深化を図っていく。 最後の第四ステップとしては、適切な状況下でネットワークに所属する組織が統合されれば、単一組織によるワンストップ型の業界横断的な統合金融専門ADR機関へと移行することになる。これが本提言の最終的な目標である金融オンブズマン機構であるというふうに提言をさせていただいております。 以上が四段階でございます。
○石井(啓)委員 詳細な御説明、大変ありがとうございます。現実的な段階を踏んでの御提言というふうに受けとめさせていただきました。大変ありがとうございます。そういった理想に向けての今回の、まず第一段階の法改正だということでございます。 続いて、原参考人にお伺いしたいわけでありますが、今回の金融ADRにつきまして、他のADRとの役割分担、連携が必要だという御指摘がございました。 そこで、どういった役割分担が望ましいのか、また、特に消費者庁との連携という御指摘がありましたけれども、消費者庁とはどういう連携をすることが期待されるのか、お考えをもう少し詳しくお述べいただきたいと思います。
○原参考人 役割分担の姿は、なかなか難しいですね。課題がここにあるというのを少し申し上げると、例えば、まず簡保とか郵貯とかは全然この仕組みの中に入ってきていないんですが、この辺をまたどうするのかというのは、まだ今のところお話ししていませんけれども、あります。 あとは、担い手のADR機関のところを考えると、国民生活センターがADRの機能をこの四月からスタートさせておりますし、それから、認証のADR、これは弁護士会とか司法書士会とか、それから、多分金融に特化した形のADRというのも出てくるかと思いますけれども、こういったところとどうするかなんです。 実は、国民生活センターにADR機能を付与するから、金融もそこでやってはどうかというような意見もちらっと聞こえたことはあるんですが、先ほど申し上げたように、専門性の観点からすると、私は、金融機関が頑張った形のADRの制度設計というのも必要だというふうに考えているところです。 あとは、金融庁が金融サービス利用者相談室というのを設けていて、年間数万件の情報を寄せておられるんです。一応、これは行政処分と情報提供に使っておられるんですけれども、金融庁に言ってくるからには、やはり少し助言は得たいということでお電話をかけておられる方が多いようで、この辺もどういうふうに仕組んでいくのかというのと、それから、金融トラブル連絡調整協議会というのが、各業界が持っているADRの長の方たちが集まってやっているんですが、これもどういうふうに今から制度設計で仕組んでいくのかというので、全体の姿ですね。 ですから、横断的、包括的な金融ADRの姿と同時に、全体での制度設計というのも、消費者庁ができた段階では、そういったあたりをどうしていくのかということを視野に入れて考えていくということになると思います。 以上です。 〔委員長退席、木村(隆)委員長代理着席〕
○石井(啓)委員 ありがとうございます。 いろいろなADRができてくるけれども、それをどういうふうに連携したり役割分担していくかというのが今後の課題だということは、確かにそのとおりだと思いますので、そういったことも、私どもこれからしっかりと検討してまいりたいと思います。 それから、安東参考人に二つお伺いいたします。 一つは、今犬飼参考人からございました業界横断的な、包括的なADRといったものについては、業界の関係者としてはどういうふうに御評価をされるのかということが一つでございます。 もう一つは、今回の金融ADRについては結果尊重義務が課せられていますけれども、本当にそれがきちんと実効性があるのかどうかということについて疑念が呈されているというところがございまして、金融ADRと契約を結ぶ側としては、そういったことについてどういうふうにお考えなのか。 この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
○安東参考人 今、ADRに関する二点の御質問でございますけれども、御指摘のとおり、苦情・紛争解決ということによる利用者の信頼感あるいは納得感を高めるためには、金融商品・サービス全般を取り扱う横断的あるいは包括的な金融ADRが望ましいということが、先ほどから再三指摘されているところでございます。先ほど犬飼先生からもありましたように、英国におきましては、そのような形が既にでき上がっているというのも事実ではあります。 このため、協会としては現在、先ほど申し上げました五協会、私どもの協会とか投資信託協会、投資顧問業協会等々五協会で、NPO、非営利団体の証券・金融商品あっせん相談センターというものを今後立ち上げる予定でございます。 現在、冒頭で説明しましたように、法務省から認可されましたADRを持っておりますし、昨年の六月、七月から立ち上げたわけでございますけれども、かなりの紛争解決、あっせんというようなことで、具体的に約百三十件ぐらいの解決、和解ということが大半なんですが、そういうことが行われるということでございます。 よろしいでしょうか。
○石井(啓)委員 続いて、三國参考人にお伺いいたしますけれども、今回のサブプライムローン問題を振り返りまして、サブプライムローンが証券化された商品が非常に高い格付が与えられて、それを評価して買ったところが、いきなり格付が下がって取引ができないような状況になってしまった。結果として、日本の金融機関は比較的傷は浅かったようですけれども、欧米の金融機関では大変な損失をこうむることになったというのが今回の、振り返ってみての状況であります。 こういった複雑化、高度化した金融商品に対するリスク評価というのは、投資家もなかなか難しいですよね、一般の投資家も信用リスクを評価するというのは。したがって、格付会社の格付が一つの意見としてとどまらず、結果として権威ある評価になってしまって、それが信用されて売買されるということになってしまったわけですが、今後同じ轍を踏まないようにするために、複雑化、高度化された金融商品に対する格付というのはどういうふうにあるべきかということで、御意見を賜りたいと存じます。
○三國参考人 御質問ありがとうございます。 私ども、最初にお断りしておきたいのは、CDOというんでしょうかサブプライム絡みの仕組み債というんでしょうか、仕組み債全体、全くやっておりませんで、社債の格付だけを専業としておりますので、その意味ではどちらかというと、私のいろいろな経験を通じての理解ということを申し上げたいと思います。 私どもから見ておりますと、サブプライムローンを含んだ仕組み債の格付には幾つか問題があったんだと思います。 社債の格付と対照して申し上げるとわかりやすいんですけれども、社債格付の場合には企業内容開示制度に基づいて、アメリカも日本も一緒ですけれども財務諸表の開示がされている。虚偽記載に対しては刑事罰で禁止されているというものがあるわけでございます。ところが、サブプライムローンの場合は私募債でございまして、企業内容開示制度とかそういったもののらち外にあったということが一つ言えます。 それから二つ目には、社債格付の場合ですと証券分析、債券分析の手法でやってまいりますけれども、これは先ほど申し上げたように百年以上の歴史があって、みんながわかって、みんなというのはある程度プロの連中ですが、理解しているという世界でございます。ところが、今回のサブプライムローンを含んだ仕組み債なんかの場合は、コンピューターのモデルで評価をするということがやられておりますけれども、このコンピューターのモデルというのは、もちろん格付会社の方は御存じでしょうけれども、普通、機関投資家でも、そのコンピューターモデルを見て全部わかっちゃうというんでしょうか、そういうことはあり得ない、そういうものでございます。 ですから、その意味では、社債格付なんかの場合みたいに、企業内容は開示制度でされていて、分析手法はわかって、みんながいろいろな意見を持つということからいきますと、格付会社の意見が、情報データの入手において、コンピューターモデルの理解において隔絶たる存在になっちゃって、それで一つの意見以上のものになってしまった。 ですけれども、最終的には、さっき安東さんもおっしゃいましたけれども、投資家は自己責任でございます。ですから、あくまでも投資家は、そういうケースの場合に買ってはいけなかったというんでしょうか、投資家の責任としては、自分の理解しないものは買ってはいけないというのが原理原則ということになっております。 それからもう一つありますのは、私どもの格付では、先ほどもちょっと格付の正確性の話をしましたけれども、過去二十六年間において、私どもは八十八社の対象会社の倒産、破綻を見ております。 その中で、つぶれる六カ月前に私どもの格付が何かといいますと、トリプルCであったものが三十九社、シングルBのものが三十四社、ダブルBのものが十三社。トリプルBのものが二社ですが、これは不規則会計がありましたので、実際にはちょっとらち外だと思うんですが、大体トリプルC、シングルB、ダブルBに起こっていまして、しかも基本的に、格付が下がれば下がるほどたくさん倒産しているというんでしょうか、そういうことになっております。 そういうことでございますから、ある程度、投資家サイドとしては、私どもの格付を御利用いただいておりますところからはおおむね評価を受けております。 何で私どもの格付が割と正確な、正確という表現はよくないんですけれども、低い格付のところで倒産が出た、破綻が出たということになりますけれども、それは、格付をする場合、さっきのサブプライムローンにも共通するんですけれども、最悪の経済環境というものを設定してやるわけです。 というのは、お天気の日にぼろ傘を差しても大丈夫なわけです。お天気の日にぼろ傘でも大丈夫ということでトリプルAをつけていますと、にわか雨が降ったときにずぶぬれになるわけです。そのときにトリプルCと言ってももう間に合わない。ということは、最初から雨がざあざあ降ったということを考えて傘の選定をする。それと同じように、最悪の条件を設定するということが非常に大事なわけです。 私どもの場合は幸いにして、一九八〇年代の日本に起きた株式、土地のバブルの生成と崩壊、今回のアメリカの住宅バブルの生成と崩壊について、割と早い時期から理解しておりまして、警告を発してきて、それがどういうふうになるかということを格付に織り込んできておりました。 アメリカのサブプライムローンを組み込んだ仕組み債の場合で言われておりますことは、アメリカの住宅価格というのは一九三三年から七十有余年にわたってずっと上がり続けて、住宅神話ができておりましたのですが、これがずっと続くという前提でやっちゃったというんでしょうか。 ですから、要するに、格付機関の格付がある程度役に立つかどうかというのは、最悪の条件を設定するのが大事だということになっているのではないかと思います。 よろしゅうございましょうか。 〔木村(隆)委員長代理退席、委員長着席〕
○石井(啓)委員 大変にありがとうございました。 では、以上で終わります。
○田中委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。貴重な御意見をありがとうございます。 まず、犬飼参考人にお伺いをいたします。 ある雑誌にこのように書かれておられるわけですが、全体として見ると日本の金融サービスにかかわる相談や苦情対応、紛争解決はばらばらで不十分で、個人など利用者の立場からは使い勝手が悪い、問題が起こったときに相手の金融機関に相談しても泣き寝入りとなる、一つの金融機関の窓口であらゆる種類の金融商品が販売されているため、苦情を受けてもそこだけでは対応できないということで、二回、三回たらい回しにされる、このような実情を指摘されまして、やはり包括的で機能横断的な金融専門ADRによる紛争解決が望ましい、こういうふうに指摘をされて、私もそのとおりだと思うんです。 今回の法案の中身は、先生の立場から見てどの程度の段階にまで来ているのか、その辺の評価をまずお聞かせいただきたいと思います。
○犬飼参考人 佐々木先生、御質問ありがとうございます。また、私の書いたものをお読みいただいて、本当に恐縮でございます。 御質問でございますが、包括的、横断的なADR、望ましいものとしてそういうものがあるわけですけれども、では、今回の法案の中身というのはどこに当たるのか、どの辺なのかという御質問であります。 先ほど来、何回か私御返答申し上げたんですけれども、非常に重要な一里塚であるという言い方をさせていただいております。第四コーナーでないことは確かですけれども、第一コーナーなのか第二コーナーなのか、そこは非常に難しい問題と思います。ただし、これをやらないとその次のステップに行かないという意味においては、極めて重要なステップ、これが今回法案の中身に入っているという理解でございます。 そういう意味でいうと、縦割りのADR、そのまま残しているではないかということではありますけれども、法案をよくお読みいただきますと、今回の指定紛争解決機関というものは、必ずしも縦割りの、特殊な業界の、ある業界部分のADRのみをやるということでなくてもいいわけですね。これは非常に重要な進展だと思いますけれども、そこの、新設かどうかわかりませんが、手を挙げて指定機関となるADR機関が、やる気さえあれば横断的な業種、業態のADRを引き受けることも、実際、今回の法案でも可能になっております。そういう意味において、これは非常に重要な進展ではないかというふうに評価している次第でございます。 以上です。
○佐々木(憲)委員 原参考人にお伺いします。 今、紛争の現状というのは、非常にふえているというふうに聞いております。今までの、金融関連の協会を中心とするADRが、例えば全銀協の場合は、二〇〇七年度ですけれども、相談件数が三万八千七百、これに対して苦情申し立て件数が二千百七十四、紛争申し立て件数がたった一ということですね。日本証券業協会の場合は、それぞれ六千四百三十八、七百七十三、百七十三。これは比率としては、紛争申し立て件数はかなり高い。 それぞれのADRの特徴というのはあると思いますが、なぜこういう差が生まれるのか。今までの仕組みで問題点があるとすれば、どういうところにあるのか。その現状の評価をお聞きしたい。 それから、金融といっても、簡保ですとか郵便局で扱う投資信託というのもトラブルもあると思うんですけれども、これは一体どういうふうに扱われることにすべきなのか。その辺も含めてお伺いしたいと思います。
○原参考人 今、銀行協会と証券の取り組みと比較してお話しになりましたけれども、このことがきっかけで、今回の改善のステップがスタートしたというふうに思っております。 というのは、二通り手法があって、一つは、自分の協会の中で紛争解決まで自己完結でおやりになっておられるところと、それから、銀行協会は外部の弁護士会の仲裁センターに紛争解決の部分は依頼をされておりまして、それが非常に数は少ないですね。数が少なくて、一昨年度ですか、それでも二件あったんですが、一件は、当該銀行がテーブルに着かなかったために不調に終わって、一つは解決になった。非常に数も少ないということで、そういった外に出しての解決を図る方向ではなくて、もう少し自分の責任でやるというふうにした方がいいというので、今回のステップが組まれています。 それから、簡保とか郵政の関係のところですが、これは今、金融トラブル連絡調整協議会にはオブザーバーみたいな形で出席はなさっておられるので、私はやはり、ぜひ全体的な仕組みに入ってきていただきたいと考えております。 それから、ちょっと先取り的な回答になってしまうのかもしれませんが、この仕組みが制度設計されると消費者の苦情解決が随分進むのかというと、決してそうではないですね。半数以上は詐欺的な商法が多いので、これは未公開株もそうなんですけれども、円天もそうですけれども、ほとんどこの中に入ってこないので、金融トラブルが大半解決するかというと、決してそうではないというところは理解しておいていただきたいと思います。 最終的には、私も犬飼先生と同様に、私どもはホップ、ステップ、ジャンプという言い方をしているんですが、ステップの段階だというふうに思っておりまして、やはりジャンプの段階にぜひ進んでいただきたい、これはぜひ附帯決議にでもつけていただきたいというふうに考えております。
○佐々木(憲)委員 ありがとうございました。 原参考人にもう一点ですけれども、金融行政全般について、消費者の立場から何か注文があれば言っていただきたいと思います。
○原参考人 金融行政にはたくさん注文があります。これは、消費者庁ができましたら、おいおいにまたやっていきたいとは思っているんですが、まず、消費者にとって大変不親切なんですね。 金融庁設置法の中には利用者の保護とか利便と書かれているんですけれども、金融庁のホームページのトップを見ると、消費者に向けた顔というのは、教育のところはあるんですけれども、例えば今回の大和生命の破綻でどんなふうなことになったのかとか、三菱UFJ証券の個人情報の漏えいの話がどうなったのかなと思って金融庁のホームページをあけても、全く情報はないんですね。 やはり消費者に対しての情報提供は確実におくれていると思いますし、それから、今回の苦情・紛争解決の仕組みをとっても、銀行が変額個人年金保険を売って、これを保険と思わずに買ってしまった人たちの窓口でのトラブルが多かったですけれども、これは今の仕組みの中でも多分見えてくると思うんですが、保険の不払いは、このADR法の整備で見えてくるかというと見えてこないですね。今回の保険の不払いの発覚は偶然の産物なんですね。 ただ、消費生活センターでは、生命保険の苦情相談というのはいつも二十位のあたりに、ワーストトゥエンティーのところですね、ずっと何十年も続いているわけなので、ここを分析できるともっと早くに保険の不払いの問題は見つけられたかなというふうに思うんですけれども、多分今のこの法整備の中では見つけ切れないので、こういった大きな問題にどう取りかかるのかというのは、消費者から見ると、相変わらず金融行政に課せられている課題だというふうに私は考えております。 以上です。 消費者庁答弁になっているかもしれないですけれども、どうぞよろしく。
○佐々木(憲)委員 どうもありがとうございます。 それでは次に、安東参考人にお伺いをいたします。 証券業協会の紛争処理でありますが、先ほど私数字を紹介しましたけれども、苦情処理に対して紛争処理という機能が、比較的ほかの業界よりは比率は高いという感じがいたします。 それで、その違いを確認したいんですけれども、日証協の場合の法的な根拠、何かほかと違うんじゃないかと思うんですが、その辺はどうなのか。それから、実態面で、体制としてはどういう違いがあるのか。それから、参加している企業に対して、どの程度の独立性と権限を持って指導し得る状況にあるのか。この辺が、ほかの銀行あるいは保険と比べるとどうも違うのではないか。まず、その特徴を説明していただきたいと思います。
○安東参考人 お答えいたします。 証券業、証券にかかわる苦情というのは、やはり変動商品を扱っているものですから、買った買わないという段階から、非常にいろいろなケースがありまして、いわゆる紛争解決といいますか、そういった取り組みは、私どもとしてはまず一九七三年から協会内にスタートしております。 その後いろいろ経まして、先ほどから申し上げますように、昨年の六月には、いわゆる法務大臣認証のADRというものを正式に協会が受けたというところで、ほかとの違いといいますと、まず構成メンバー、これは、業界あるいは証券会社出身の人を決してその中に入れていない、まず公正性を担保しているということと、それから弁護士、これは先ほど申し上げましたけれども、全国で三十一人の弁護士と契約をして五十カ所の相談場所を設置しているということで、実質的にそういう意味での紛争解決の場になっている。 あと大事なことは、このADRが、顧客のコストが非常に低いということですね。金額によってコストは違いますけれども、通常の裁判と比べますと非常にコストが低い、かつ適切な判断をするというようなことで、解決件数が増加しているということだろうと思います。 そういう仕組みをとっているのが一番大きいのではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 証券業界はこれまでもいろいろな不祥事がありまして、あるいは社会的にも非常に指弾されるような事態も発生したことがありました。今回、こういう体制をつくるきっかけになったのは何かあったと思うんですけれども、それは何か言っていただけますか。
○安東参考人 きっかけは、やはり日本の中において市場といいますか、証券というものがより深く理解されて、よりその機会が高まっていくということをするための前提として、まず証券会社が信頼されることが極めて重要である。 第二番目に、投資者に対するいろいろな教育でございますとか、そういった啓蒙活動も重要であるというようなことで、これはかなり年数をかけて継続的にやってきておるわけでして、その中の一環として、顧客との紛争等につきましても、やはり中立的な立場を完全に貫くようなものをつくる必要があったというようなことで流れてきていることだと思っています。
○佐々木(憲)委員 私もきのう、この法案質疑の中で金融庁にも確かめたんですけれども、紛争処理で解決したのはこうだというふうに数字が出るんですけれども、一体その中身は何だろう。銀行やあるいは証券会社、保険会社の言うことが通った、説得したということで、消費者が説得されてしまって解決したというのは果たして解決なのか。 やはり、消費者自身の申し立てに真摯に対応して、その期待にどうこたえるかというのが一番基本だと思いますし、また第三者的な性格をしっかり持って、権限を持って業界に対して指導できる、そういう体制が必要だというふうに思っております。これは今回第一歩ですけれども、さらに横断的な、包括的なものというものが求められてくるというふうに思っております。 最後に三國参考人にお伺いしますけれども、アメリカの金融バブルというのが非常に発生をした結果、世界じゅうから資金を集めて、あのような崩壊状態が生まれて、大変な事態にサブプライムローン以降なっているわけです。そのときに、格付会社の問題というのが大変大きな国際的な問題として指摘されているわけです。 先ほど御説明では、これは投資家の自己責任の問題というのが基本なんだ、こういうふうにおっしゃいました。アメリカのああいう事態を発生させた格付会社の責任というのはどのように認識をされているのか。問題は投資家だけだよということではないと思うので、やはり仕組み上もいろいろな問題があったのではないか、今指摘されておりますけれども。 どのように見ておられるのか、改善すべき点は、どのような点が改善すべき点なのか、格付会社の側からどういうふうにそれを見たらいいのか、お聞かせいただきたいと思います。
○三國参考人 質問、どうもありがとうございます。 まず第一点ですが、先ほども申し上げましたけれども、私どもは直接、仕組み債の格付をやっておりませんから、その点、私が知り得る話というのは、要するに報道されている記事を読んでの話、若干感想みたいなものだということで御了解していただきたいと思います。 格付会社の責任ということでございますけれども、格付というのは、先ほども申し上げているようにあくまでも一つの意見でございまして、一つの意見であるということは、格付会社は、社債が債務不履行になってもその社債を肩がわりするようなことは絶対しない、要するに、あくまでも一つの意見だということでもともとやっている話でございます。ということは、私の方から見ておりますと、先ほども御質問がございましたけれども、結局、格付会社が一つの意見であり続けるために条件というのがあると思います。 社債の格付の場合は、アメリカの場合でもそれなりの信頼を得てきて今日に至っていると思いますけれども、その場合にありますことは、企業内容開示制度というものに基づいて情報がだれでも手に入る。それから、その分析手法が百年以上の歴史があって、皆さん大体そこそこの専門家の方が御理解している。その中で意見が出てくる。だから、いっぱい、たくさん意見がありますから、格付会社の格付自体が高過ぎると必ずチェックされるというんでしょうか、そういうことが起こり得るわけです。 ところが、今回のように、企業内容開示制度の対象外の私募債みたいな形のときには、これは格付会社がオリジナルのデータをもらう。オリジナルのデータについて、企業内容開示制度みたいに粉飾決算とかそういうものを禁止するような、そういうことができていないというんでしょうか、恐らくそうだろうと思います。 それからもう一つは、コンピューターモデルがだれもがわかるというわけじゃなくて、ごく、仕事に従事している方々しかわかりにくいということでやりますと、一つの意見というものが、要するにいつの間にやら非常に権威のある意見になってしまうというんでしょうか、そうなりますと、投資家もその権威ある意見に引きずられていくというんでしょうか、それで反対意見とかいろいろな意見が出てこないということになっていると思います。 したがって、今回もいろいろ改善策が議論されておりますけれども、一つは、やはり開示制度のもとでやるべきであったんじゃないかというような議論というのは結構あると思います。 それから、これは私に聞かれれば私はこういうふうに答えざるを得ないんですけれども、格付自体が確かに、今回のサブプライムローン絡みについては若干不正確だとかそういう議論が、不正確というか高過ぎたとかいう議論はあるかもしれません。さりとて、金融行政が格付会社に対して、適切な格付をしなさいということを法律で義務づけてみてもなかなか大変じゃないか。野球のピッチャーにストライクゾーン以外は投げちゃいけないと法律をつくっても、それはどうしようもないというんでしょうか、それに似た話だと思います。 ですから、マーケットというのは、それぞれの方が自己責任で損をするという世界でありましたら、みんなが一つ一つの意見を持つ、それができるような仕組みになっているということが基本じゃないかというふうに考えております。 どうも失礼しました。
○佐々木(憲)委員 どうもありがとうございました。
○田中委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 次回は、明十七日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十五分散会