財務金融委員会 第9号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2009/02/27
会議録
○田中委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省主税局長加藤治彦君、社会保険庁運営部長石井博史君、農林水産省生産局長本川一善君、農村振興局長吉村馨君、水産庁長官山田修路君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○田中委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
○中川(正)委員 民主党の中川正春です。 先ほどは予算委員会で、最近珍しいというか、久しぶりのことなんですが、混乱なく採決が行われました。しかし、そんな中で、外は雪になりまして、大分冷え込んできましたけれども、麻生総理のこれからの国の運営を暗示しているような、そんな日にきょうはなっていったのかなと、さっき渡り廊下を歩きながら、そんな感慨を持ってきょうこの質疑に来ました。 最初に、きょうはこれは締め総でありますので、もう一回原点に戻って、今の経済の状況、世界恐慌への入り口だという非常に悲観的な、あるいは危機感を持ってこの状況を見ているエコノミストも今多くなってきているわけでありますが、その根本原因、よくサブプライムの話は出てきますけれども、もっと深いところに今回のいわゆる恐慌に至ろうとしているこの状況というのは原因があるんじゃないか。そこのところを私たちがしっかり見ておかないと、政策をつくっていく中で焦点を合わせてそこへ向いて一気呵成にどんと行く、そういう体制をとっていくということができないんじゃないか、あるいは見当違いのところへ向いてその政策が走っていくんじゃないか。これは日本だけじゃない、アメリカやヨーロッパも含めて、ここのところをしっかり押さえておくという必要があると思うんです。 そういう意味で、総理は今、この原因を基本的な部分でどう見ておられるのかということ、これをまず確かめておきたいと思います。
○麻生内閣総理大臣 今、世界同時不況になりました本当の原因をどう考えるのかという御質問ですか。 今回は、九月の十五日のサブプライムというのが直接の引き金になったというのは事実だと思います。少なくとも、リーマン・ブラザーズの話というのは大きなものとして今後とも歴史に残るような騒ぎだったと存じます。 しかし、ここに至るまでの間は、少なくとも住宅バブルを含めまして、いろいろなバブルというものがはじけつつあったのが一つ。これはアメリカに主にそう起きております。 また、その間、巨大な金余りになっておりますので、その金余りに関連して金融派生商品というものが大量に金融商品として生産され、そしてそれに対するチェック、管理が追いついていく前に世界じゅうにそれが売りさばかれる。幸いにして日本はその商品を購入するという金融機関、個人投資家の人数が限られていたということもありましたが、多くの国々はその金融派生商品というのを購入し、結果として、それがバブルとしてはじけたというときになって、今回一斉に世界が同時に不況になった。 これまで、不況というのは数々ありますが、戦後は一貫してインフレ下の不況、今回初めてデフレに近い形での不況というのも、一九九七、八年に我々がやった以外ありませんので、そういった意味では、世界じゅうそれに対応するすべというものがかなり混乱をしておりますのが今の現状。 したがって、対応策がこれ一点にすれば何とかなるかというものは私はないと思っています。みんなで、これはお互いさま、きちんと自分の経済を立て直して、内需拡大というものをきちんとやっていかない限り、貿易不均衡がこのままずっと継続したままの、前回同様の状況で続くはずはないと思いますので、各国、自国の内需の拡大をやって、きちんと自国の経済を立て直すという基本的なところからスタートされる以外にほかに方法はないのではないかなと、私なりにはそう思っております。
○中川(正)委員 金融派生商品がバブルを起こしたというような説明と同時に、それぞれ、いわゆる貿易の不均衡も指摘をされました。 これは、私も、トータルで考えるとやはりアメリカ問題なんじゃないか。もっと言えば、双子の赤字と言われますが、とにかく貿易赤字を、それが持続していくということを可能にするために、簡単に言えばドルを無鉄砲に刷って、世界にそれを供給して、金融手法をいろいろ駆使しながら逆流をさせる、アメリカへ向いて再投資をさせることによって成り立ってきた経済、これが金融派生商品等々、証券化という手法の中でさらに増幅されてバブルを起こした。 そういう構造がまず問われなければならないし、これからそれをどうするかということをしっかり国際的に考えていかないと、どういう手段をとってもやはり行き着くところまで行ってしまう。いわゆる恐慌状態になって、どうにもならないところでそれぞれの通貨が破綻しながら、各国が非常に厳しい破綻状況を生んでしまうということだろうと思うんです。そういうマインドを持って、恐らく今回オバマ大統領に麻生総理も会われたんだろう、そういう気持ちを持って、いろいろな提言と、それから日本として何ができるかということも念頭に置きながら話し合いをされたんだろうというふうに私は思うんですよね。 そんな中で、総理はどう思われますか。ちょうど二十五日、あの会見があった日に、その後オバマ大統領はアメリカの議会に出まして、日本で言う所信表明というのを行った。その中で、私も印象的に見ているのは、いわゆる思い切った財政出動を念頭には置いておるけれども、やはり財政規律というのも同時に達成をしていかなければならない、この二つの目的というのを同時に実現していくということを念頭に置きながら、新しいニューディールの政策というのを出してきているな、そういう思いですね。その思いというのは、我が国に振り返って考えると、同じ主題を持っているということも言えると思うんです。 そんな中で、アメリカのこの政策が成功するかどうかという見きわめと、それから、成功するというところに持っていくためには、いろいろな条件がそろわなきゃいけないんだろうと思うんです。そこのところを麻生総理はどのように見ていられますか。
○麻生内閣総理大臣 アメリカの、他国の景気回復の予想をするのは、これは自国ですら難しいのに、他国はさらに難しいという前提である程度聞いていただかないといかぬとは思いますが、少なくとも、七千八百七十二億ドルという巨額な、いわゆる減税措置を含めましていろいろなことを今回出しているんですが、アメリカの再生とか、いろいろな表現をしていましたけれども、再生というものを主にして、あの成立した法律をもとにして、今、議会演説で、信用危機というものを回復しない限り真の再生はあり得ない、多分そういう表現だったと記憶します。 私は、少なくとも今、この前の予算委員会で御質問があっておったと思いますが、あれと同じように、アメリカは、とにかくここは金融対策では景気回復にはならない、なぜなら金利が限りなくゼロでも企業は金を借りて投資しませんから、設備投資をしませんから、金融政策はきかない。したがって、ここは財政出動以外にほかに方法がないということになりましたのが、去年の一月にIMFのストロスカーンがダボスで言った話とほぼ同じところ、そこまでは来ているんだと存じます。 問題は、その対策をした場合にアメリカは、今、無尽蔵にドルを刷ればというお話ですが、ドルを刷りますとドルの価格が下がることになりますので、ドルの価格がたらたら下がるということは、これは我々にとっても、アメリカの国債を持っている他国にとりましては被害が出ますから、アメリカには投資はしない。したがって、やはり中期的にはきちんとドルの信用を回復しておかなければならないといったところは、私は見識だと思います。 短期的には景気対策、中期的には財政というものをきちんとするんだということを言っているのは、私は正しいんだと思っておりますので。これはどうなるかと言われると何とも言えませんけれども、最初の任期が終わるまでに財政赤字を半減させるという表現もしているんですが、では、それを本当にできるかと言われると、ちょっと私どもとしては、そんなに簡単にできる話かなと思わないでもありませんけれども、少なくともそういう意識を持っているということは、我々としては、たらたらやみくもに行こうとしているわけではないということが、我々外から見ている者としては信頼が置ける話として、一生懸命、真摯にまじめにこの方法でやろうとしているという意識、決意というものを感じます。 少なくとも資金が円滑にうまく回っていくようにということを考えないと、こちらの国益にも大きく響いてくるところでもありますので、ここはアメリカの対応というものを応援してやるというのが正しいあり方かなと思っております。
○中川(正)委員 応援をする、そういう姿勢で私たちもいかなきゃいけないんだろう、それは私は正しい我が国のスタンスだというふうに思うんですよ。 ところが、応援するというその言葉の中に、さまざまな懸案がありましたが、唯一その中で総理が口にされたのは、ドルが基軸通貨であり続けるべきだということですね。ところが、皮肉にも二十五日、これは産経ニュースが伝えているんですけれども、同じ二十五日に行われた米国債の入札が不調になっているんですね。これは日本の円に換算すると三兆百億円、これを入札したんですけれども、落ちなかった。それはなぜかというと、やはりこのオバマのいわゆる経済政策ということが、米国債をこれからも相当増発していかなければならないだろうという、市場のそうした解釈だと思うんです。そんなことが、もう二十五日に揺れ始めてきているんですね。 そんな中で、具体的に、ドルが基軸通貨である、あるいは、アメリカのいわゆる財源というものを確保していくために何が日本に協力できるのか、日本が何ができるのかということを念頭に置いて当然これは発言をされたんだろうと思うんです。具体的には何を念頭に置いておられますか。
○麻生内閣総理大臣 少なくとも、今回の一時間二十分にわたる会談の中で、このアメリカの国債の話もしくはアメリカのボンドの話、こういうことに関して、オバマ大統領から日本に対して、私に対して、直接的にも間接的にも要請などというものは全くございませんでした。
○中川(正)委員 いや、要請がある、ないというのを聞いているんじゃないんですよ。日本の国家の意思として、何をするかというのは当然積極的に示唆をする、あるいはこれができるよという話は持っていっていいはずなんですよ。そういう外交をしなきゃいけないと逆に私は言っているんですよ。言われてから渋々、日本もそんな余裕はないんだけれども、国民をそれで説得できるかどうかというふうな形の中でやっていく政治じゃないと思うんですよ、今。 そういう意味では、逆に日本の存在感というのを出していく、あるいは日本の国益にもなっていくような国際貢献の仕方、アメリカに対する協力の仕方というのは、知恵を出せばあるんですよ。そこのところをしっかり出してくださいよと言っているんですが、どんなことを今考えられているんですか。
○麻生内閣総理大臣 今、世界的な流れとして、ブレトンウッズ体制にかわるものとか、いろいろな表現がなされております。特にヨーロッパではそういう意見はよく聞かれますが、サルコジ大統領、いろいろほかのヨーロッパ系の方もこの話をしておられるのは中川先生御存じのとおりです。 日本はそれにくみしない。なぜなら、ここは、我々が一番ドル債券を持っている国ですから、いきなり基軸通貨がかわることによってドルが暴落するというのは、日本にとっての国益を著しく損ないます。したがって、ドルというものの基軸が安定しているということの方が我々にとって国益が大きい、私は基本的にそう思っておりますので、ドル体制の維持というものを、同じようにドル債券を一番持っている国家でもあります中国とともに、日本と一緒に、ドルの安定、ドル基軸通貨の安定というものが我々の基本的な考えであるというのだけはきちんと伝えてございます。
○中川(正)委員 もう一つ、ドルが基軸通貨であるべきだというのと、そうではなくて、その実力が、いわゆるドルの信認というのが崩れてきているという現実があるんだと思うんですよ。だから、あるべき論と現実論とは違うんです。 日本が対応していかなければいけないのは、ドルへの信認が崩れてきているときに日本の円をどうするか、あるいは日本の立場をどのようにそこでつくっていくかということだと思うんです。この議論が欠けているんですよ。これはドルに対する話だけじゃなくて、安全保障あるいはまた世界の中での日本の政治的スタンスといいますか、そういうすべての分野で、さっき総理が出されたような発想しかないから、日本の主体性というのが問われるというところだと思うんですね。それはもう本当に象徴的にあらわれていると思うんです。 そんな中で、私、きょうは日銀の総裁に来ていただいておりますので、一つ確認をしておきたいんですが、一時、日本の円を国際化していこうという議論が数年前に積極的な形としてありました。その後、円の国際的な流通の形態というのは一体どうなっているのか。国際的な円の立場というのは二つあると思うんですね。一つは、流通貨幣、決済貨幣としての円の立場と、それからもう一つは、各国で外貨として積み上げられている円の立場、二つあると思うんですが、この二つをあわせて、最近の情勢というのは一体どうなっているのか、ここを確認したい。 それからもう一つは、円の国際化ということは、日本のいわゆる企業活動にしてもあるいは政治的な立場にしても非常にメリットがあるし、それがいわゆる為替リスクから日本の状況というのを隔離することにもなっていくので、私は非常に大事な視点だと思っているんですが、そういう形で円の流通を高めていくということが正しいのかどうか。そういうことの努力というのをすべきなのかどうかということも含めて、総裁の見解をお尋ねしたいと思います。
○白川参考人 お答えいたします。 最初に、円の流通の状況あるいはドルの流通の状況というところからお話しいたします。 全世界の貿易・金融取引の決済に占める通貨別のシェアというものは、網羅的にカバーした統計はございませんため、こうした取引も含めました外国為替取引高に占める通貨別のシェアをまずお答えしたいと思います。 この点では、国際決済銀行、BISが三年ごとに調査を行い公表した数字がございます。これを見ますと、世界の外為市場の取引高に占める円の割合、これは為替レートの変動の影響も含んだ計数ではございますけれども、二〇〇一年四月中は一一・四%、二〇〇四年四月中は一〇・一%、二〇〇七年四月中は八・三%ということで、割合的には低下をしております。一方、米ドル関連の割合でございますけれども、同じ年次で見ますと、四五・二%、四四・四%、四三・二%ということで、若干の減少ということでございます。 一方、ストックでございますけれども、世界全体の外貨準備高について通貨別の構成をIMFの統計で見てみますと、米ドルの割合は、二〇〇〇年末は七一・一%、二〇〇五年末は六六・九%、そして二〇〇八年九月末は六四・六%というふうに減少しております。他方、ユーロの割合は、同じ期間で見まして、一八・三%、二四・〇%、二五・五%でございます。同様に、円ですけれども、六・一%、三・六%、三・一%ということでございます。 次に、円の国際化についてどういうふうに考えるべきかということでございます。 先生御指摘のとおり、海外におきまして円の使用比率が高まりますと、それは我が国全体として見ますと円の金融市場の魅力が高まるということになりますので、その分、国全体としての資金調達面で有利性が高まるという可能性がございます。 一方、貿易取引でございますけれども、経済金融市場がこれだけグローバル化していますから、為替レートの変動の影響それ自体はどのような状況においても最終的には免れ得ないというふうに思いますけれども、為替変動に伴います短期的な収益の振れを抑制できるという意味では、円建ての取引がふえますと、その分、短期的な収益の振れを減殺するという効果があるというふうに思います。 国際的な貿易取引あるいは金融取引でどの通貨が用いられるかということは、最終的には、その国のいわば頑健性とか安定性、それから通貨の利便性、そうした要因に依存してくると思います。これは、通貨の特性として、通貨が一たん使われますと、ますますまたその通貨を使いやすくなるという面がございますので、その結果、今ドルが基軸通貨になっているということであります。 ただ、いずれにしろ、円がたくさん使われていくということは、日本全体として先ほど申し上げたような意味において魅力があるということでございます。したがって、円がよく使われていくように努力をするということは大事だというふうに思います。つまり、利便性を高めて信認を高めていくということでございます。 そうした観点からは、我が国の金融資本市場の機能や利便性を一段と向上させること、それから、日本銀行に即して申し上げますと、適切な金融政策運営で物価安定のもとでの持続的な成長を実現するというふうに考えております。
○中川(正)委員 この観点というのは、これから新しい世界秩序を構築していくという作業に世界全体が入っていかなければならないんだろうと思うんですが、そういう中では非常に大事な視点なんだろうと思うんです。ただアメリカのドルについていったらいいんだ、あるいは、ドルの資産が多いから、ドルが目減りしたらえらいことになるんだという単純な話だけで終わらせてしまうことではないんだろうというふうに思います。 そのことを指摘した上で、どうですか、総理、例えば、米国債を受け入れるというときに、円建ての米国債をということで条件づけをしまして、円建てであれば日本も受け入れるよということも言おうと思ったら言えるんです、政治的な意思で。これも可能だと思います。 それから、今度IMFに出資をするという話がありますけれども、IMFというのは、アメリカにコントロールされていて、いわゆる欧米型の見方で発展途上国を締めつけていくということで、そういう意味では非常に評判が悪かったわけですが、これについても、そこから脱却していくために、いや、出資するのに円でやるよということも言えるんだろう。 今、チェンマイ・イニシアチブが、ちょうど財務大臣が出席できない留守の間に、改めてその機能というのを強化していこうじゃないかという話し合いができて、恐らくそれを共通バスケットみたいな形で、何らかのものを積み上げていくような形に将来なっていくんだろうと思う。そのときに、アジアでの円の存在というのを高めておく、そういう戦略的な判断というのがあって動くんだと思うんです。 ただマーケットが選択をしていくというだけじゃなくて、そこに国家の意思があって、装置をつくっていって初めてこういうものは動くんだろう。それがこれまでドルが基軸通貨であった背景だったんですよ、アメリカはその戦略をとっていたわけですから。そういう意味合いで、今日本ができることというのは幾つもあると思う。それを、言われてからやるんじゃなくて、言われる前に日本の国家の意思として固めていく、そういうことが今本当に必要なときなんだろうというふうに思うんです。 そういう観点に立って、今回日本ができることというのは何なのかということを、総理、改めて答弁してください。
○与謝野国務大臣 日本ができることは、既に国際会議で麻生総理、中川財務大臣が表明されていることですけれども、一つは、何といっても日本にとって大事なのは、自由貿易体制を守る、保護主義に走らないように世界各国と協調していくということです。それからもう一つは、やはりIMF等の国際機関を通じて、国のデフォルトが発生しないように日本も協力していくこと。それから、日本の中央銀行たる日本銀行も、アメリカの連邦準備あるいは他の国々の中央銀行と協力をして、通貨スワップをやって信用をお互いに共有し合う、そういうこともありますし、もう一つは、日本ができることは、やはり内需を拡大して日本の経済を立て直すことによって、そのことが世界経済、米経済に一定の貢献をする、そういう覚悟を持って国内で経済対策をやることだと思っております。
○中川(正)委員 そんな格好のいいことだけを言って、物わかりのいい国だなというイメージだけつくり上げていく時代というのは、日本は終わったんだと思うんです。例えば中国が米国債の話でああやって揺さぶっているように、あらゆる手段を使いながら戦略的に日本の立場あるいは国益というものをもっとはっきりと打ち出していく、そういうときが来ていると私は思うんです。それがないということを指摘しておきたいと思います。 本当はさっきの答弁は総理に私は求めたんですが、一番大事なところを財務大臣に譲ってしまったのは残念で仕方がありません。 そんな中で、今度は国内の話に移っていきたいというふうに思うんですが、今の日本の状況を市場はどう見ているか。非常に危機感を持って見ているわけですが、そんな中で象徴的に、これはロイターで伝えられているんですけれども、アメリカのJPモルガン・チェースがこんなことを言っているんです。現在のクレジット危機から脱却するのは中国が最も早く、中国の次にアメリカが来て、日本はこのままであると一番最後になっていく可能性があるというコメントを出しています。 その理由としていろいろなことが考えられると思うんですが、これは総理が一番早く日本が脱出をしていくよと言うこととは全く正反対の見方を市場がしているということなんですが、それはなぜだと思われますか。市場がどうしてこういう評価しか出てこないのか、そこのところを総理はどう考えておられるか。まずここから始めていきたいと思います。
○麻生内閣総理大臣 マーケットが決めていると言われましたが、それはその人が言っている話であって、全然別の意見は、マーティン・ウォルフなんという最も有名な人が、日本のやり方は正しいとこの間書いて、十日ぐらい前にファイナンシャル・タイムズにでかでかと出たのは、もう当然読まれていると思いますので、私どもそれを説明するつもりはありませんが、そういう意見もあります。 今、日本の場合、中国の場合、一番問題は、どうして中国が先に出ていくか、日本の方が後なのか、いろいろな分析はその方の分析で、よくわかりません。ただ基本的には、外需依存度というものをどれだけ早く内需にきちんと切りかえられるかという分析というのが違うかなと思います。
○中川(正)委員 一般的には、外需型の経済というのを内需に切りかえていく、そのための経済政策に中心を持っていくべきだ、こうよく言われますよね。しかし、本当にそうなのか。私は、短期的な話と中長期的な構造改革をしていくという話と、これは分けて考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですよ。 自動車それから電機を中心に、実体経済がここまで落ち込んだ、しかも急激に。しかも、大手の企業を含めて、トヨタあたりでも資金繰りが本当にできるのかどうかということがちゅうちょされ始めている、そんな深刻な事態に対して、内需だけで本当に喚起ができるのか。 アメリカもあるいは中国もしっかり回復していって、日本の外需というものがあれだけ大きなシェアを占めているわけですから、そこのところが一つの牽引になって回復していくというプロセスが前提にないと、本当に短期的には難しいんじゃないか。そこのところの頭の整理というのは、しっかりしておかなきゃいけないんだろうというふうに思うんです。 最初から内需、内需と言っていると、そこの部分がどうなるんだと言っている間に、ばんばんに企業が、下請も含めて破綻をしてしまうということになってしまうんじゃないかということを一つ指摘をしておきたいのと、それからもう一つ、内需、内需と言いますが、総理の頭の中には、具体的に日本の内需とは何なんだ、どこへ向いてシフトをしていくという方向性があるのかというのをちょっと確認しておきたいと思います。
○麻生内閣総理大臣 我々、今、内需というのが重要だと申し上げている一番の背景は、一番先に中川先生の御質問のところと同じことなんだと思います。 少なくともアメリカというのは、貿易赤字、世界最大の債務国家になっておるわけです。傍ら日本は世界最大の債権国家、そしてアメリカに対しては明らかに貿易が黒字。そういう状況にあって、アメリカが仮に内需拡大に成功して景気が戻ってきたときに、中国、日本からまた大量の輸入品が入ってくるというのを向こうが素直に受け入れられるかどうか、なかなか難しいところだと思います。 当然、こちら側が内需の努力をしていないじゃないかという指摘に対しては、我々はそれにきちんとこたえる努力というものをやっておかなきゃならないのは当然なことだ、私はそう思っています。したがって、今回の予算の中でも、例えば住宅減税の話もさせていただいておりますし、これまで過去最大の住宅減税をしておりますし、また、省エネ、新エネ等々の設備投資に関しては、五年償却、六年償却一切なしで、即日、一年の一発償却を認める、過去に例がないようなこともやっております。 いろいろな意味で、私どもは、この予算の中でそういうものを、従来の公共工事だけに限ることなく、私は公共工事は要らないなんと申し上げるつもりはありません、土地は安い、金利は安い、しかも工事費は安い、そういうときに投資すべきです。当たり前のことだと思いますが、そういうことも含めまして、我々は内需というものをきちんとやっていく必要があるのではないかということで、家計の部分でいろいろな意味で新しい支援をしたりいろいろ、もう既に御存じのとおりなので、私どもとしてはそういったことをきちんと踏まえて内需拡大というのに努力をしていく必要があろうと存じます。
○中川(正)委員 きのうもさっきの住宅ローン減税の議論がここであったんですけれども、あれで家を建てようか、あるいは新しいローンを組もうか、そういうインセンティブにはならないねというのが結論だと思いますし、企業に対して償却を早めていくということについても、これは、今の企業でそれによって減税効果が出てくる企業というのはもうかっている企業ですよ。だから、そういうところに対してのインセンティブではなくて、恐らく、減産体制をとらなきゃならなくて、資金繰りに困ってどうにもならないというところの企業がいかに起き上がってくるかという、そこへ向いて緊急的にはしっかり金を入れ込まないとだめなんだろうと思うんです。 そういう意味で、私は、内需と言うけれども、今回の予算の中には、あるいはこれまで一連出してきた政策の中に、本来の意味での内需、これは中長期的に見て構造を内需型経済にシフトさせていくという意味ですから緊急対策じゃないんですね、シフトさせていくという意味では、まだしっかり入っていないという思いがするんです。 それを中途半端に、あした需要喚起をしなければいけないから住宅ローン減税を中途半端にやりますよ、あるいは償却をやりますよ、こんなことを言っているから、中長期的な話と短期的な緊急対策が混同されていて、結局は両方が中途半端になって、しっかりきいてこないというような結果になってくるんじゃないかという思いがしておる。だから今回の予算というのは、これは日本にとっても、マーケットから、いわゆる市場からそれを見たときに、何をやろうとしているのかわからない、見えないという評価がなされてしまうんだというふうに思うんですよ。 そういう意味で、緊急対策というのは、金融対策でとにかく企業がつぶれないという状況をしっかりつくっていくということがしっかり見えないといけない。 前にもちょっとここで指摘をしたんですが、枠組みができているんだけれども、大手企業にしてもそれから中小企業にしても、実際に金が回っていない。これはデータを実は皆さんの手元に届けてあるんですが、枠組みがつくられていても、実際に銀行がそのリスクをとらない、あるいは銀行の中にそれだけの資金余裕がなくなってきているというふうなことがはっきりしているデータというのがこれだけ出ているわけですから、だからやり方としては、これまでの既存のスキームを使ってもこれは資金が伸びないんだという心の整理をもうしなきゃいけないと思うんです。 その上で、では新しいルートというのは何にするんだということなんですが、だから、そこがわかっているからアメリカは、直接の資本注入をやったり、企業へ向いて直接FRBが貸し付けたり、これは本当に世間の常識から、これまでの世界の常識からいったら考えられないような話だけれども、直接やり始めている。そこまで腹をくくっているんだというのがメッセージとして出ているわけなんですが、そういうようなことに踏み出していかなきゃいけない。そのメッセージをまず短期的にははっきり出すということだと思うんです。 その上で、内需というのはやはり構造を変えていくということですから、最近、与謝野大臣は時々口にされるんですけれども、福祉関連部門で本当の安心感、あるいは医療の中で今破綻している状況というのを本当に組みかえていく、その中に資金が回る、金が福祉、医療分野で回っていくというような制度を日本の中でもつくり上げていくというふうなことであるとか、環境でいえば、私は太陽光はいいと思うんですよ。あれは、固定価格の買い取り制度をつくればそこに新しい市場ができるわけですから。こういう形で市場をつくって、そこで回していくというふうなことであるとかというふうな工夫を打ち出していかなきゃいけないということだと思います。そういう意味で、ちょっと整理をして経済対策というのを立てていかなきゃならない局面に今日本は来ているんだと思うんです。 今の予算、これは採決はしたわけですが、参議院にこれから回ります。そうした私たちの考え方も含めて、総理、ここはひとつこの予算を修正しながらめり張りをつけた形で、マーケットに対しても確実に反応が出てくるような、そういう組み替えをやりませんか。どうですか。
○麻生内閣総理大臣 組み替えを言っておられるんですか、修正を言っておられる。(中川(正)委員「どっちでもいい」と呼ぶ) 私どもとして、今の段階でこの予算というものを、まだ実行に全く移される前の段階ではありますけれども、これまで過去最大、八十八兆円からの予算を組んで、少なくとも経済対策、一次、二次、本予算と合わせて七十五兆円にも上る予算を組んでおります。そういった意味では、まずはこれをやらせていただくということで、きょう採決をいただきましたけれども、きちんとそれで対応させていただきたいと思っております。
○中川(正)委員 前にも申し上げたんですが、総理、一つ誤解されていることがある。誤解されているというか、頭の切りかえができていないところがある。 これは、昔だったら、小泉さんの時代だったら、参議院も衆議院も絶対多数ですから、まるっきり、一〇〇%責任を持って与党がそれをやっていくという体制ができているし、それでいいんだと思うんですよ。ところが今、参議院がひっくり返っているんですよ。ということは、我々、少なくとも国民のそうした負託を受けて、民主党、野党もあるわけです。 それを国民は、しっかり話し合いなさい、そこから一番いい知恵が出てきたらいいじゃないか、そんなかたくなに肩を怒らせて、おれが絶対正しいんだ、そうでないと次の選挙は勝てないんだというふうな、そうした思いでやっている必要はないんじゃないかということだと思うんです。これは本当に民主主義の成熟度というのが今問われているんだろうというふうに思うんです。やりませんか、話し合いを。どうですか。
○与謝野国務大臣 総理がお答えする前に、金融だけについて申し上げますと、今、我々は、いろいろな金融の手段を用意いたしました。また日銀も、異例とも言えるほど積極的な対応をしてくださっております。 しかしながら、先生が懸念されているように、これからの経済状況を考えて、今の枠組みで大丈夫なのか、また今の枠組みですら動いていないという側面もあるよと。それは確かなことなんで、やはりそういう緊急事態に至った場合には、民主党を中心としたすべての党の方のお知恵と力をちゃんとおかりして、国民のために物事を迅速に決めていく、これは理想の姿であると私は思っております。
○麻生内閣総理大臣 今言われましたように、中川先生、政党間協議をやろうと最初に私の方から何回となくお声をかけたことは、御記憶力がよろしいので覚えておられると思うんですが、そのときは全く相手していただけなかった。御記憶だと思います、担当もしておられましたから。 しかし、私どもはずっと申し上げてきたんですけれどもうまくいきませんでしたので、この間も二日間にわたって両院議員総会でも全く話がつかなかったという、それまでの長い間、時間がかかっておりますので、そんな簡単にはいかないんだというのが正直私どもの実感でして、今この段階で直ちに修正しろとか何とかしろと言われてもそう簡単にできる話ではない、私どもはそう思っております。
○中川(正)委員 こんなのは水かけ論になっていきまして、そっちから話し合いをしようよというふうに声をかけてきたのか、私たちの方から、これは話し合いが必要だよ、修正するために民主党案というのはこういうのがあるよと提議をして、それをもって話し合いをしようということに対して、そっちが強行採決でどんどんどんどん、我々のは採決せずにつるしておいて、衆議院でそっちの与党案を通していたということであったのか、これは水かけ論になる。 だから、そんなことを言っているんじゃなくて、ちょうどこれから参議院に話が回っていくわけですよ。それだけに、ここのところは日本がこの危機を克服していくためにも、お互い政治が少し考えなきゃいけないね、大人にならなきゃいけないねという思いを私は言っているんです。 同時に、ちょうどちょっとした特集がありまして、あるエコノミストの記事を読んでいましたら、九月の金融危機のときには、インターバンクの市場というのが過熱をして、ドルだけじゃなくて円も調達が難しかったと。それに日銀が供給したわけですけれども、その前はどこが頼りになっていたかといったら、郵貯なんですね。郵貯にたまっている金、あるいはひょっとしたら、財投あたりも使っていかなきゃいけないのかもしれないと思うんですね。 今度は二月から三月と言われている。あるいは、これから先、今の状況の中でそうした非常に難しい、いわゆる危機的側面というのが出てくる可能性があるんじゃないかと言われている。市場というのは、それだけ本当に危機感があるし、緊張感があるんですよ。そんな、さっきのようなのんきな話をしている状況じゃない。そういう答弁が出てくるから国民は、いや、わかっていないんじゃない、この人という話になっちゃうんです。 そこのところをしっかり指摘しておきたいと思いますし、今からでも遅くはない、めり張りのついた、しっかり我々の意思、国家の意思が市場にすとんと伝わるような、そういう政策というのを打ちましょうよということを指摘しまして、私の質疑を終わりたいというふうに思います。
○田中委員長 次に、大畠章宏君。
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。中川委員に引き続き、民主党の時間内で質問をさせていただきます。 まずは麻生総理、この九月から大変な状況下で御苦労されていると思いますが、通常の国会議員とは違って、つぶやきとかちょっとした発言が公にとらえられていろいろと波紋も起こる、一言で言いますと、二十四時間気が許せない、こういう毎日をお過ごしだと思います。そういう意味では与謝野大臣も、三つの大臣をされているというので、これまた大変な御心労なんだと思うんですが、この永田町での苦労というのもありますが、正直言って、地域の方では国民はさらに厳しい状況に置かれておりますので、ぜひ地域の実態をしっかりと見据えて、真剣に対処していただきたいということを冒頭に申し上げさせていただきます。 中川委員の方からは、英文の資料とかいろいろ高度な視点からの大変専門的なお話がありましたが、私の方からは、少し地域の実態を踏まえて、金融と関連する問題について質問をさせていただきます。 最初に、お手元に参考資料をお配りさせていただきましたが、これは私、総理の決断でいかようにでもなるんじゃないかと思うんです。 一つは、本格的な御質問に入る前に、百三歳の年金受給者が漏れていたということが判明しながらも、まだ一円も年金を受け取っていない。二、三日前に百四歳になられたそうですね。担当官のお話を聞くと、手続してから一年ぐらいかかるんですよ、通知するまで待っていてくださいということを言われたそうなんですが、百四歳になった年金受給者に対して未払い金があったら、総理の一言で、仮払いしておけと。 というのは、年金というのは国と国民との約束事ですよね。だから、そういう漏れがあっても、認めたものについては、この百三歳の、今度百四歳に二、三日前になられましたけれども、あと半年、一年待っていてくれというのは酷なことですよ。私は、こういう問題は政治の決断でいかようにもなるんじゃないかと。 というのは、一九九九年九月三十日にジェー・シー・オーの事故がありました。あのとき、梶山静六先生も茨城出身でおられまして、このジェー・シー・オーの事故対策に当たったんですが、トータル百億円の被害の申請があったんです。ところが、事務手続でなかなかお金が払われない。十二月三十一日でひょっとしたらジェー・シー・オー事故に絡む倒産が始まるかもしれないということで、申請については半分だけ、申請額の半分だけは仮払いしてしまえ、こういうことを政府に要請して、結果的には半額だけ、例えば百万円の人なら五十万円とか、二十万円の人は十万円とか、三百万の人は百五十万とか、こういう支払いをして、年末の倒産は防ぐことができたんです。 私は、決断すれば、この年金の未払い金、百歳超えた人にあと半年、一年待てなんというのはおかしな話ですから、百歳超えた人とか九十歳超えた人とか八十歳超えた人にはとにかく政府の責任で、事務手続はいろいろあるかもしれぬけれども、認定されたものについてはまず払いなさいと。こういうことは、麻生総理、政治の責任、国の責任としてやるべきだと思うんですが、この件についてまずお伺いしたいと思います。
○麻生内閣総理大臣 百三歳。(大畠委員「百四歳になりました」と呼ぶ)百四歳。 大畠先生、正直、私は年金にそんな詳しいわけじゃありませんのであれですけれども、まず基本的に、やはりこれはどう考えても、常識的にはおっしゃるとおり。私もそれはそう思いますので、これはちょっとどうなっておるんだと調べてみたんです。 仮払いというのは一つの方法ですけれども、御存じのように、仮払いにするとまた百四歳の人を相手に、後でまた精算してくださいとか途中になったらどうなりますとか、いろいろごちゃごちゃ後々なりますので、直近、少なくとも過去五年間分ぐらい先払いせいと。五年間。とにかく今、目先なんだから、全部使うわけじゃないんだから、とにかく直近五年間分ぐらいは即払うということで、この三月十三日に支払わせていただく方向で今作業を進めさせております。これが、最初の御質問に対するお答え。 しかし問題は、これは人数が足りないんですよ、ここの精算する事務のところに。これはいろいろ、人員体制というのは大幅にふやさないかぬということで、これがスタートした昭和二十年の一月、だから約一年ちょい前、二十年一月には三十八名でスタートしたんです。これが、今の段階で四百六十名までふやしてきている。まだ足りない。さらにふやさなきゃいかぬと思っております。これをもう少しふやすことによって、処理件数を倍以上にふやすことは可能だと思っておりますので。 御指摘の点、こういった話はまことに深刻な話ですから、そういった体制が人数だけでできないというのであれば、とにかくこれは目先、これまで明らかに社保庁の瑕疵から始まっている。瑕疵というのは、いわゆる手抜きから、いわゆる間違いから、手抜きとか瑕疵とかいろいろな表現がありますけれども、とにかく問題が社保庁にあったことははっきりしているんだから、そういったところからスタートするのであれば、人員が足りないというためだけに起きているというのであれば、私どもはきちんとやらせていただく、そのために人をということでやらせていただくということをいたしております。 昭和じゃなくて平成。済みません。
○大畠委員 かつての自由民主党は情というのがあったんですよね、「情と理」という本を後藤田先生が出していますが。小泉さんになってから、情の部分はもう全部切っちゃう、理屈だけだ、こういうような状況が随分見られていまして、政治というのは理屈だけでいいのかなという思いは私は持っていました。地域の人もそういう感覚があるんです。やはり政治には情が必要なんですよ。 こういう問題を四角四面の考え方でやると、確かに一年、半年後になっちゃうかもしれませんが、今総理がおっしゃったように、即決即断、全額仮払いというのはなかなか難しいかもしれませんが、半分だけでも、これはたまたま百四歳の方の事例ですが、百歳以上の人、九十歳以上の人、八十歳以上の人もいるわけですよ。それで、確定したら、半額だけでも全員、手が足らないというのであれば、今失業の人が随分いますから、社会保険庁の方で面接をしたり前職の事務関係の人を見たら臨時的にでも、一カ月でも二カ月でも雇って早く国の責任を果たす、そこから国の信頼というのは回復してくるんだと私は思うんです。 ですから、このケースについてはわかりましたが、可能であれば、百歳とか九十歳とか八十歳以上とか、そういう高齢者の人から優先的に支払うというのが、これは御担当じゃないから詳しいことはわからないかもしれませんが、政治として、こういう方針でやれと言えば、総理がそういう方針でやれば全部の省庁はそれに従うはずですから、そういうことぐらいはぜひ麻生総理の御決断でやってもらいたいと私は思うんですが、再度この件についてお願いいたしたい。
○麻生内閣総理大臣 今、なかなか情という部分がなくなってきたじゃないかと。小泉さんだからなくなったと言うつもりはありません。ただ、世の中全体として、何となくぎすぎす世知辛くなってきたというのは、最近、日本に限っただけの話じゃないのかもしれませんが、世界じゅう少しそういう傾向があるのかなという御指摘なんだと思います。私も、その点は憂うべきところだと思っております。 今言われた点につきましては、これは百で切ると九十で切ると、何がどうして九十になるんだとかまた難しい話になりますので、なるべく年齢の高い順からというお話なんだと思います。それをするにしても、こちら側のそれを決めていく人数が今四百人、やっとふやして四百人ですから、これをさらにふやしていかないととてもじゃないと思っておりますので、まずその分は先にさせて、きちんとふやして、御指摘の点にこたえるようにさせたいと思っております。
○大畠委員 これは、自民党とか民主党とか各政党いろいろありますが、やはり人間社会ですから、ぜひ、そういうものを十分踏まえて対処していただきたいということを改めて要請しておきたいと思います。 それからもう一つ、自殺の問題でございますが、自殺と金融というのが絡んでいるようなんですね。 お手元にA3サイズの資料をお配りさせていただきました。この大きな資料の二枚目なんですが、「自殺者数の推移」という左上の「第一章」と書いてあるところの表なんですが、平成九年から十年にかけてぼんと上がっているんですね。 私も、なぜ上がったのかと。この平成九年から十年にかけて何があったのかというと、山一証券とか長銀の破綻とか金融機関の破綻がどうやら発端のように、分析をされた本があるんですが、その中にはそういうふうに書いてあります。 かつ、最近、自殺の背景を追うというテレビのドキュメンタリー番組がありまして、私も見せていただきましたけれども、お配りした資料の右側に「危機の進行度」、これは自殺をどう防ぐかという意味で専門家の方が分析をされたそうでございます。この中に、失業あるいは職場の人間関係、負債とかいうのがありましたが、この負債というところが発端となって、家族の不和、生活苦、うつ病、自殺ということにつながっているらしくて、この自殺をどう防ぐか。 この左下の方には「OECD諸国における自殺率の比較」というのがありますが、断トツで日本がはるか上の方に行っているわけでありまして、OECDの水準と比べましても、自殺問題については異常な国家と言わざるを得ないという状況にございます。 国の政治の責任は国民の生命財産を守ることというのであれば、生命を守るということが不十分だということの一つの裏づけにもなるわけでありまして、何とか与謝野大臣も、毎朝、テレビとかラジオを聞いていると、どこどこで、中央線が人身事故でおくれているとか、また山手線がおくれているとかよくニュースがありますよね。私が行っている常磐線なんかもよく人身事故でおくれるんです。また自殺かなという暗い気持ちになるんですが、これをどう防ぐかというのも非常に大事な政治の役割でございます。 そこで、ちょっとお伺いしたいわけでございます。 九八年三月ショックと言われているらしいんですね、自殺を分類しますと。それまでは二万五千人ぐらいの平均でございましたが、それが八千人ぐらいふえて三万三千人から三万五千人台になってしまった、それで今日に至っている、その背景に金融問題がある、こういう専門家の指摘を受けています。 私がそのドキュメンタリーで見たのは中小企業の社長さんなんですが、だんだん企業が行き詰まってきて、借金に借金を重ねてもう立ち行かない。奥さんと話をして、会社を閉めようか、もう破産しようかと言うんですが、連帯保証人にお兄さんか兄弟の人になってもらっているんですよね。破産するとそっちに取り立てが行く。そうすると破産もできない。悩みながら、最後は自殺された。こういうケースなんですが、私は、その背景に、破綻も破産もできないという経営者の人の一つに、連帯保証人制度というのがあるのではないか。 これは金融庁のお話も聞きましたが、いや、連帯保証人というのは先進諸国にもあるんですと言うんですが、私はいろいろと聞きましたけれども、日本のように、貸し手と借り手の責任範囲というのが借り手の方に非常に一〇〇%重いような状況というのは、どうも日本独特だと思うんですね。 そこで、地域の人の話を聞きますと、今や連帯保証人になってくれる人は親か兄弟しかいない。親兄弟でも、これはちゅうちょします。そうすると、金融機関から、じゃ連帯保証人をだれか出してくださいというときに、なかなかいないわけです。そうすると子供とか奥さんとか、それも収入がない人はできませんから、そういう意味では大変な状況になってきているんです。 私は、これは一つの考え方ですが、金融の保険制度みたいなものに入ってください、保証人のかわりにそういうものに入って、返済とか不良債権化した場合には保険の方から支払うという形にして、連帯保証人は一切やめる。これも私は、金融に絡むいわゆる自殺者を防ぐ一つの方策ではないかという感じすらいたします。 とにかく、OECDの諸国に比べても高水準を続けている、日本の金融に絡む自殺者の数をいかに減らすかということも政治の大事な役割だと私は思いますが、この件について与謝野大臣の御所見をお伺いしたいと思うんです。
○与謝野国務大臣 日本の自殺者数は十年連続で三万人を超えており、自殺対策を全力を挙げて推進するということは、だれもが生きやすい社会をつくるという意味で大変重要であると考えております。 先生が御指摘をされたように、自殺の主要な原因の一つは経済、生活問題が挙げられておりまして、このため政府は、例えば貸金業法の改正により、貸し手への規制を通じて新たな多重債務者の発生を抑えるとともに、多重債務問題対策プログラムに基づいて、既に多重債務に苦しんでいる方に対する相談窓口の整備やセーフティーネット貸し付けの提供などの取り組みを推進しております。 また、御指摘のあった連帯保証人制度についてでございますが、連帯保証人が過大な責任を負いがちである等の問題が指摘される一方で、これは債務者の信用を補完し、資金調達の円滑化に寄与する場合もある、そういう認識もあるわけでございます。 こうした点を踏まえつつ、政府としては、金融機関に対して、連帯保証を初めとする担保保証に過度に依存しない融資を推進するように促しているほか、連帯保証契約については金融機関が十分な説明を行っているかどうか、検査監督でチェックする取り組みを進めておるところでございます。 なお、金融検査や自己資本比率規制は、金融機関の業務の健全性の確保、預金者保護等の観点から重要な役割を担っているところでございまして、こうした制度を踏まえつつ、今後とも金融の円滑化にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○大畠委員 何か教科書に載っておるような話が今答弁に出ましたけれども、現実は、私の先輩も自己破産しました。 それは何かというと、弟さんが栃木県の方の工場をやっていて、最初は三百万円の借り入れで連帯保証人になったんです。しばらく過ぎたら、何年か過ぎたんですね、十年ぐらい過ぎたのかな、そうしたら、向こうの弟さんの企業が破綻しまして、倒産しました。同時に、先輩の預金口座というのが全部押さえられ始めたんです。土地とか建物もやられますから、結局先輩は離婚をして、自分は自己破産をして、そして何とか土地と建物だけは住めるようにしたんですが、三百万円がいつの間にか数千万円になっていたらしいんですね。 ですから、今与謝野大臣がお述べになったものは、永田町では通用するかもしれぬけれども、地域では全然違いますからね。そういう話であれば、自殺なんかする必要はないんですよ。現実の金融は、大臣も大変かもしれませんけれども、かなり恐ろしいところまで入っていますよ。 RCCの問題だって、ほとんど今まで金融庁は放置してきました。私もこの件については、北海道とかあちこちから説明を受けて、かつ、自殺まで考えたという人と話をしています。 答弁書を書かれたのは多分金融庁だと思うんですが、そんな現実ではないですよ。もっと現実に立脚してやってくれないから、もう政治は遊離している。永田町の論理は、現実の生活から遊離したところでやっている。だから、政治に対する失望感が広がっているのではないかと私は思いますね。 ですから、大臣、この連帯保証人制度、日本では金融機関を守るためというのが非常に強いんですね。欧米諸国の実態と比較して、この連帯保証人制度はかなり特異に使われているということが、こういう自殺者の九八年三月ショックというのが残っていますから、三つも大臣をやられて大変かもしれませんが、これは国民の命にかかわる問題です。金融庁を取り調べるというのはおかしいのですが、呼んで、実態をよく踏まえて、連帯保証人制度はもうやめて、お互いに金融に関する保険制度に切りかえるというようなことを検討していただきたいと思いますが、再度御答弁をお願いします。
○与謝野国務大臣 先生の言われる保険制度というのは、今信用保証協会がやっているものと同じものだと思います。債務が支払えないときの保険というのは、保証とほぼ法律的には同一の意味を持っている。 ただ問題は、先生が御指摘のように、民法上の連帯保証人という制度を、保証する人が実は知らない。単なる保証と連帯保証とは全く保証の内容が違うわけで、連帯保証人は期限が来たら本当に本人と同じような責任をとらなきゃいけない。その本質がわかっておられないで保証人になるという、大変残念、まことに悲劇的なケースがあるということもよくわかっております。したがいまして、連帯保証の意味ということは、やはり金融機関が連帯保証人になる方によく説明するというようなことも極めて大事なことだ。 ただし、貸金業法は改正を既にしまして、多重債務が理論的には発生しないような仕組みをつくり上げておりますから、貸金業からお金を借りることによる多重債務問題というのは、何年かたつと一応解決し得る道はできております。 いずれにしても、資金繰りに苦しんで、御生業はうまくいっているのに御生業の方が回らなくなる、あるいはそれによって死に追い込まれる、こういう悲劇は、政治としてはやはり避けるような努力はしなければならない。先生が言われるように、それは政治の本来の責任である、そういうことはきちんと自覚をしております。
○大畠委員 隣の小沢委員の方から、アメリカでは基本的に、連帯保証人制度なんというのはないんだというような話を今されましたが、日本はよくアメリカの制度をどんどん取り入れてきたわけですが、なぜこんな問題については取り入れていないのか。 大臣もいろいろとやることがたくさんあるかもしれませんが、これは、地域の方では非常に大事な話なんだと私は思うんです。ぜひ、再度内部で御検討をしていただきたいと思います。
○与謝野国務大臣 連帯保証人制度というのは明治のころつくった法律に書いてあるので、それを直すということはできませんけれども、金銭の消費貸借契約のときに保証というのはどういうことであるべきかというのは、金融庁でもこれから勉強してまいります。
○大畠委員 与謝野大臣のお話でございますが、今、憲法を改正しようというような話もあるんです。明治のときにつくったものだから改正できないなんという話はないですよ。だとすれば、何のために私たちは代議士としてここに来ているんですか。明治の時代と今の時代は違うでしょう。そうしたら、その時代時代に合った形で制度を変えていくというのは当然じゃないですか。 なぜ明治につくったものだから変えられないんですか。与謝野大臣の話ですが、それはちょっと納得できませんね。
○与謝野国務大臣 保証とか連帯保証というのは民事契約の根幹をなす概念でございまして、この一件だけで連帯保証という概念を変えるということは大変難しいということを申し上げているわけです。
○大畠委員 歴史があるからなかなか難しいところかもしれませんが、かつては、日本も金融大国を目指すなんという話もあったんですから、そういうときに、明治のころにつくったものだからなかなか変えるのが難しいんだというんじゃなくて、ぜひ、現実の社会をしっかりと見て対応していただきたいということは要請をしておきたいと思います。 それから、幾つか関係するものとして、会社はだれのものかとかいろいろお話を論議しようと思いましたが、時間的な制約もございますので、百年に一度の金融危機対策というものについて、それから雇用の問題等についても御質問させていただきたいと思います。 よく百年に一度と言われますが、実は昨日の財務金融委員会で参考人質疑をさせていただきました。そのときに三人の方の参考人としての御意見を賜りました。 特に印象的な話としては、これは総理と与謝野大臣にお伺いしたいと思うんですが、藤原参考人から、一つ目として、金融と貿易が日本の経済を主導する時代は終わった。それから二つ目には、当面の対策と抜本的政策の核心は、国民の絶望の回避と新たな国家ビジョンをつくることにある。三つ目には、過去十年の時代の反省と新しい金融システム構築の必要性があると述べておられました。 この三つの御意見、かつては、いわゆる輸出貿易立国あるいは金融立国というふうに言われた時代もありましたが、どうやら金融と貿易が日本の経済を主導する時代は終わった、小手先の対策ではこの不況を脱することはできない等々の三つの御意見がありましたが、これらに対する総理並びに与謝野大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○麻生内閣総理大臣 私は直接藤原先生の話を聞いたわけじゃないので、ここにある資料をもとにしてしかお答えができませんが。 日本が貿易立国であったことは間違いないと思いますが、金融で立国するほど立派な金融をやっていましたかねと、正直、私自身の感じはそんなところです。多分同じような感じを、物づくりで食ってきたので、金融で食ってきたという意識はほとんどの国民にはないと思いますけれども。したがって、私は、金融でやってきたんだというところしか書いてありませんので、その前後の脈絡がわからぬからちょっと無責任なことは言えないんですが、まず、そこの点にはちょっと違和感が正直あります。 当面の対策に関して小手先だけではないということに関しましては、私は、景気対策、不況対策は短期的には絶対必要だと思っています。中長期的な投資とは別に、雇用失業問題がありますので、この目先の対策をとにかくまずは傍らやりつつ、中期的にということと二つを、時系列をつくると、分けて考えるところと重なっているところと幾つかあろうと思いますが、目先はまず景気対策、多分小手先と言われるかもしれませんけれども、目先の雇用対策は絶対必要なものだと私自身は思います。三万人が五万人になったらえらいことになりますので、私どもとしてはそこが一番肝心なところ、全治三年と申し上げている背景がこれです。 中長期的には成長経済だと思いますので、その部分に関しましては私どもは、今明らかにエネルギー革命とか言われる時代が来ております。先生のところも昔のあれがあったのでよく御存じだと思いますが、時代が変わると、私ども、石炭から石油に変わって、石炭屋は全部食いっぱぐれました。猛烈に記憶にあるところです。私はそのとき経営者をやっていましたので、エネルギー革命というのは恐ろしいことになるというのは自分で実感をしました。 今これが、石油からまた別のものにかわるというのがどれぐらい早く来るのか。みんながガソリンと思っていたけれども、いつの間にか車はすべて電気にかわった、その電気はすべからく日立がつくる原子力発電にかわる、これはあり得ない話じゃありません。世界の原子力発電というものの三つに一つは日本がつくっていると言ってもおかしくない、今ではほとんどつくっていると言ってもおかしくないぐらいだと思います。この三十年間の間で原子力発電を三十一個もつくっているのは日本だけだと思いますので、その意味では圧倒的な技術の差がある。そこでつくり出す電気が動かす自動車、圧倒的に有利な時代になる、リードし得る可能性は日本が一番あるというのも確かだと思います。低炭素社会と言われておるのが一つです。 また、百三歳という話は、昔だとええっと言いましたけれども、百歳以上の方というのは、今、万とおられますので。私の近所にもおられます。そういった方というのがえらくふえてくる時代。健康で長寿、全然、植物人間みたいなかわいそうな状況じゃなくて、だれかが言った、ぴんぴんして元気、いろいろな表現がありますけれども、元気な方というのは、正直、私が朝散歩しているときに追い抜いていかれる私より高齢者の方がいらっしゃいますので、そういうのを見ていると、やはり元気というのは、これからの日本にとってすごく大きな要素になるんだと思っております。 そしてやはり、日本の持っておりますいろいろなこれからの物づくりというものの中には、いわゆるコンテンツと言われる新しいものが今幾つも出てきております。もう漫画なんというのは日本語じゃなくなって、漫画はフランス語になっているぐらいですから。言葉の字体は完全に変わりました。漫画はフランス語ではベーデーというんですけれども、今、漫画というのは、日本製のものは全部MANGAとして書きます。これは間違いなくフランスは、国立出版協会でMANGAでちゃんとジャンルを立てましたから、おととしから。こういったことはいっぱいあります。 永田町とか霞が関ではほとんど通じないんです、こういう話は。しかし、これが今、日本で猛烈な勢いで外貨を稼いだりしている大きなものの一つなんです。では、こういったものを我々は、コンテンツを産業と思って通産省がジャンルとして入れているかというと、絶対入れていませんから。 そういった意味では、新しいものというのを我々が今からやっていくというのは、どの部分が出てくるかというのは、もう七十にも近くなってきたらなかなかイマジネーションがわかぬのです。大畠さんよりもっと若い人たちなのかもしらぬ、そういった人たちが新しいものを考える。今そういう時期なのであって、これは、考えようによっては千載一遇の時期かもしらぬと思っているぐらい、今はおもしろい時期になっているというようなことを考える人が、政治家とかいわゆる経営者とかいうものをやっていくべき時期に来ているんじゃないのかな、私自身はそう思っております。 いずれにしても、今言われましたように、この藤原先生の意見の中で、過去十年間の時代のところで新しい金融システムの構築ということに関しては、この方は多分金融に詳しい方なんだと思いますが、少なくとも昨年の十一月ワシントンで、日本として、金融工学とか、余りよく我々がついていかない金融派生商品とか、よくわからぬのがいっぱい出てきましたけれども、それに振り回されて、それをチェックする国際的な機関も、プア・アンド・スタンダーズなんという言葉があって、あれは本当はプアスタンダーズの間違いだったんじゃないかと私はいつもおちょくるやつですけれども、そういったものを含めて、きちんとした国際的な機関というものをつくり上げていかないと、またぞろこういったものにやられるということは断固避けるべし。それが、四月二日にロンドンで話し合われるべき、そこまでに話し合われるべき大事な点だということを申し上げてきました。 この方の話を読まないままで申し上げておりますのでちょっと偏っているかもしれませんけれども、感じたままです。
○与謝野国務大臣 総理が既にお答えになったので簡単にお答えを申し上げますと、金融も実業の部分と虚業の部分とあって、やはり金融仲介機能を果たしているのは実業だと私は思っております。 日本にとって貿易というのは、日本が必要とする資源やエネルギー、食料等を獲得するためにやはり必要最小限の貿易は必要なのであって、そういう意味では、金融だけやっていれば生きられる、そういう思想は捨てなきゃいけないし、特に、額に汗をしないで、お金を動かしているだけで何かお金持ちになれるというような幻想を振りまかれた時代があったということは大変残念です。 やはり金融は、実業としての金融に立ち返るべきだし、日本の製造業は、どうやって国際競争力を維持して、日本が必要ないろいろなものを手に入れることができるのかと。やはり、額に汗するということが日本の産業の基本であるというふうに思っております。
○大畠委員 時間が来たようでございますからこれでおしまいにしたいと思いますが、参考人の質疑の中では、永田町、国会で考えておられる以上に地域の経済というのは厳しいものである、もっと心してやってほしいという意見がありましたし、当面は、国民の絶望の回避という意味では、企業のつぶれるものをいかにとめるかということと、とにかく二、三年は、総理もおっしゃっていますが、突っかい棒を政府がきちっとやるべきだ、その後、大きなビジョン、国家ビジョンというものを考えて国民に希望を与えることだ、こういうお話でもございました。 もう日本は金満大国ではなくなりました。アメリカもロシアも、日本の財政を考えながら外交でどうも迫っているようでありますが、まずは、日本の国民の生活をどう支えていくか、自殺者をどう減らしていくか、そして雇用をどう確保するか。政治の原点は、やはり国民が、仕事を求める人が仕事につけるような状態にするのが政治の目的だと私は考えておりまして、これからもそういう意思を持ってやっていきたいと思います。 なお、お手元に参考資料としてお配りをさせていただきましたが、これは、総理は余り見たくないものかもしれませんが、現在の政党支持率、内閣支持率の一覧表でございます。一番後ろに書いてあるんですが、これを見ますと比較論が書いてございますが、麻生総理が頑張りながらもこういう状況であるということを踏まえて、政治的に決断をされる時期がそろそろ近づいているんじゃないかという思いもありますし、自民党の党内からも、きょうそういう発言をされた方もおられるようでありますから、ここのところはぜひ、国民のために政治を行うという決断をしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○田中委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。 麻生総理にお伺いしますけれども、今回提案されている国税法、これの附則に消費税の増税の問題が書き込まれております。そのきっかけをつくられたのが総理だったと私は思います。昨年の十月三十日の追加経済対策の記者会見、そのときに麻生総理は、三年後に消費税引き上げをお願いしたい、このように明言をされました。 景気対策の発表というタイミングで、増税、庶民に負担を負わせるということを、三年後であったとしても、ここに発言をされるということは、私は、景気対策ということからいいますと、消費者心理に水をかけるようなもので、これはマイナスではないかというふうに思いますが、なぜあのタイミングでああいうことをおっしゃったんでしょうか。
○麻生内閣総理大臣 基本的には、これはもう佐々木先生の前で何回か申し上げたと思いますが、私は、今回のいわゆる世界的な不況の中にあって、これから抜け出す間、これは全治三年ということを申し上げたんですが、財政政策として、短期は大胆にやります、そして中期的には責任ということを申し上げたんだと思って、これは繰り返し申し上げてきております。 したがいまして、大胆な財政出動、少なくとも八十八兆円というようなこれまで例がないような大きな予算を組んで出し、その中にはいろいろな経済対策七十五兆円、これは一次、二次の補正を含めましての話、七十五兆円のものを出す。そういったものを出す以上、ばらまきだ、先はどうするんだという話に必ずなりますので、そういった意味では、我々はきちんとそれに対して責任をとるという姿勢を出しておくのが当然のことだと思います。 また、中福祉と言われますから、私、中福祉はかなりほころんでいるところも多いように見受けますけれども、中福祉と言うのであれば、これは今のような小負担ではとても賄えませんので、少子高齢化が進んでいく中にあっては、中負担というものをお願いしない限りは中福祉は持続的にはあり得ない、私自身はそう思っております。 したがいまして、増税というのはだれでも好きな話じゃありませんけれども、少なくとも景気がよくなったら、この三年間で景気をきちんと立て直すという最大の努力をいたしますけれども、その結果、景気がきちんと立て直るような状況になった段階ではぜひ中負担をお願いしたいというのが申し上げた背景であって、財政出動をする以上は、それに対してきちんとした責任を先にはとるんですということを申し上げるのが責任だと思ったからであります。
○佐々木(憲)委員 私は、消費税というものを財源として選択することは逆に、社会保障という考え方、国民に対する福祉という点から考えますと、これは逆行する税制であるというふうに思っております。財源は別なところから確保すべきだというふうに思っております。 そこで、あのときの、三年後に消費税を上げる、そういう発言は、財務大臣の中川大臣、あるいはお隣にお座りになっている経済財政担当大臣の与謝野大臣、こういう方々と事前の打ち合わせの上で発言をされたのか、それとも麻生総理自身の御判断で発言をされたのか、どちらでございましょうか。
○麻生内閣総理大臣 基本的には、細目三年後に何とかと、消費税をいずれ上げねばならぬというお話は皆ほぼ同じ思いだったとは思いますけれども、全治三年、三年後というのは私の信念から申し上げております。
○佐々木(憲)委員 事前に打ち合わせなく発言をされた、こう理解してよろしいですね。
○麻生内閣総理大臣 私は、三年後に景気がよくなった段階で消費税をお願いしたいというような表現をしたと記憶いたしますが、少なくとも、今名前を挙げられました当時の財務大臣、当時の経済財政担当大臣と事前に細目細かく詰めたわけではございません。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、これは、財務省も全くそういう発言をされるということは知らなかった、与謝野大臣も知らなかったということで、そういう形で総理が発言をされたわけですね。与謝野大臣に先日、この点について私も質疑をさせていただきました。相談はなかったとおっしゃっていました。 与謝野大臣の書かれたある雑誌の三月号では、「「三年後に消費税引き上げをお願いしたい」と言いだしたのである。この時は私にも財務省にも何の相談もなし。」「私も会見の時に麻生総理の隣にいて「このおじさん、いったい何を言い出すんだ」と驚いたぐらいなのだ。」と。これは何か親しみを込めておっしゃったということらしいんですが、どうも、隣に座ってそういう発言をこのおじさんというふうに言ったということなんですが、ともかく、大変周りの大臣すら驚くような、三年後に消費税ということを一体このタイミングで言い出すということは、非常にびっくりしたということであります。 それで、与謝野大臣、手をさっきから挙げておられますが、何か言うことがありますか。
○与謝野国務大臣 かりそめにも、おじさんなどという表現を使ったのを恥じ入っておりますので。 それから、これは総理が独断で言われたということになっておりますけれども、私どもも財務省も願いとして、言っていただきたいという願いは長年持っておりましたので、言っていただいたので、やはりこういうことを言うというのは大変勇気の要ることでありまして、党に参りましたら政調の関係者は、麻生総理はガッツがあるな、そういう評価をいただいたわけでございます。
○佐々木(憲)委員 何かいろいろ整合性をとろうとして努力をされているのはよくわかりますけれども、突然言い出してびっくりしたということは実際上のお気持ちだろうと思うんですね。 その麻生総理の、いわば独断専行型のという感じで発言をされたことが、昨年の十二月二十四日の中期プログラムの中に書き込まれ、そして今度は、提案されている法律の中に書き込まれる。そういう形で、今度の所得税法等改正案の附則百四条、遅滞なく、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成二十三年度、つまり二〇一一年度までに必要な法制上の措置を講じる、こうなっているわけですね。二〇一一年四月一日から消費税引き上げが実施し得る状況をつくる、そのためにはあらかじめ法案を提出する、こういうことだと思うわけです。 ということは、もちろん、その実施の時期あるいは実施の税率の幅、これは別途定めるということになってはいても、消費税を上げるというその法案は、二〇一一年四月までの前の段階で国会に提出をし、それを通したい、こういうことだろうと思うわけです。 先日、与謝野大臣にも御質問いたしましたら、大臣は、遅くとも再来年、二〇一一年の通常国会、場合によっては来年、まあ来年の通常国会だろうと思うんですけれども、そういうタイミングで出す必要があるというふうに御答弁がありました。当然、総理もそういうタイミングを考えておられるんだと思いますが、まず総理の発言をお聞きしたいと思います。
○与謝野国務大臣 日本共産党としては、消費税の部分を強調されたいと思うお気持ちは十分わかりますけれども、実は、何をやるかというのは、税制の抜本改革というものをやるということを言っていまして、それは当然消費税も含まれた税制の抜本改革ですということを言っているわけです。 それはお気持ちとして、消費税を強調されたいというお気持ちはわかりますけれども、税制抜本改革をやるということがもう日本の社会としては避けて通れないことだ、この点はぜひ、日本共産党においても御理解をいただけないかなと思っております。
○麻生内閣総理大臣 税制抜本改革の中の一つに消費税がある。法人税も所得税も相続税もいろいろありますので、そういったものを含んでやらなきゃいかぬ、これはもう前々から出ていた話ですから。今、よく言われております貧富格差の問題を含めまして、これは共産党の非常に関心のおありになるところだと思います。したがって、我々が消費税だけをやろうとしているように、そういうように持っていきたいという気持ちも私もわからぬわけではありませんけれども、そうじゃないんですよということだけは私どもとしても言わせていただかぬと公平さを欠くと思いますので、言わせていただくのが一点。 それから、景気がよくなるというのが私どもにとっては最大の眼目なんです。これがよくなって経済のパイがある程度大きくなるようにしないと、やりたいこともやれないことになりますので。ぜひ、そういった意味では、先ほど中川先生の御質問にもありました、国際金融の中で日本だけといったって、これはみんなの中におりますので、なかなかそう簡単にいく話ではありませんけれども、少なくとも我々としては、そういった状況ではありますけれども、きちんとしたものをやらないと、日本の税体系として財政の体系としてもたないという感じがいたしますので、きちんとした形で、少子高齢化という状況が避けられない、勤労者より高齢者の数がどんどんふえていくという状況になってまいりますと、我々は、持続可能な状況というものをきちんとつくり上げていくためにはということが前提で申し上げさせていただいております。
○佐々木(憲)委員 税制の抜本改革ということをおっしゃって、その中には消費税も法人税も当然あるでしょう。「消費税を含む」とわざわざつけて税制の抜本改革とおっしゃっているわけですから、ですから消費税というのが非常に目立つわけでございます。 この内容を見ますと、法人税は下げますということを検討しよう、消費税は上げますということを検討しよう、そういうことが法律にも書かれているわけですね。だから我々は、その中身がおかしいじゃないか、こういう批判をしているわけです。 それからもう一つ、タイミングのことについて今総理にお聞きしたんですが、実施はいつからというのは別なもので別途決める、しかし法制上の措置をとると。その法制上の措置をとるという法律、これは遅くとも再来年、早ければ来年、国会に出す、これは与謝野さんはおっしゃっていますが、総理も当然そういうことで主張をされている、こう理解していいですね。これはもう与謝野さんにはお聞きしましたので、総理に。
○麻生内閣総理大臣 与謝野大臣と同じであります。
○佐々木(憲)委員 この増税法案、消費税を上げますという法案を、来年の通常国会あるいは遅くとも再来年の通常国会、こうなってまいりますと、だれがそれを決めるのかということですよ。 今、我々ここにいるメンバーは、その前に全員一度議員ではなくなるわけです。次の選挙で選ばれる議員がその消費税増税法案に賛成するのか反対するのか、これが国民によって選ばれてきて国会で法案の取り扱いについて賛否を決めていく、こういうことになるわけですね。 したがいまして、次の総選挙、これはいつになるかは、確かに解散は総理大臣の専権事項でありますのでわかりませんけれども、しかし、九月までには解散あるいは任期満了選挙、こうなりますね。必ず、この消費税を含む税制抜本改革というものの内容、つまり、我々から言わせれば消費税の大増税ですけれども、この大増税を選挙戦の争点として当然打ち出してくる、その選択を国民に仰ぐ、こういうことになると思うわけですけれども、総理はそういうことで提案をされているというふうに理解してよろしいですね。総理の決断、総理の考えを聞いているわけでございます。
○与謝野国務大臣 国民年金法という法律があります。この附則に、基礎年金の国庫負担三分の一を二分の一にするということが書いてあります。さらに、安定財源を求めてそういうことをするということが書いてあります。この法律の附則はだれに責任を課したのか。これはやはり、行政府にも課していますし立法府にも一定の行動を促しているというふうに考えることが私は自然だと思っております。 ですから、国民年金法というのは、二分の一に上げなさいよ、安定財源を求めなさいよ、この二つのことを、やはり行政府にもその責任を課しているし立法府にもそのような行動を促していると解さざるを得ない。今回のこの税法の附則も同じような趣旨で書かれているというふうに私は思っております。
○麻生内閣総理大臣 今、法律というものをきちんとして、我々は将来に対して、少なくとも、年金の国庫負担二分の一というのをこの四月から実行するわけですけれども、その実行を持続的にやっていくためには安定した財源が要る、これはもうはっきりしていると思います。 その財源というものを考えたときに、我々は、少子高齢化の世の中にあって広く薄く負担を求める、中福祉を求めるなら中負担ということで今回の話を決めさせていただいたというように、今お願いをしているその背景は、今与謝野大臣から説明を申し上げたとおりであります。
○佐々木(憲)委員 つまり、次の総選挙では、消費税を上げてそれを賄うんだ、そういうことで選挙をやるということだと思いますね、今の御発言は。 そこで、平成十六年度税制改正大綱というのが手元にありますが、これは自民党、公明党が合意をされてつくられているわけでございます。 その内容を見ますと、年金課税の適正化、国庫負担の割合の引き上げに充てると。何を充てるか。定率減税の縮減、廃止、これによって基礎年金に対する国庫負担割合の引き上げに必要な安定した財源を確保する、こうなっているわけです。 つまり、定率減税の廃止というのは本来、二分の一に国庫負担をふやす財源として充てるはずだったんです。ところが、それがいつの間にか、庶民に住民税、所得税の大増税だけは押しつけた。二兆八千億円、国税を取り上げた。一体どこに行ったんですか。二分の一の財源に充てる、ちょうどいい財源だとだれかが言っていましたよ、与党の幹部は。ところが、それさえ、国民から取り上げたけれども、五分の一しか充たっていないんですよ、二分の一の部分に対しては。まだ足りない、当面は埋蔵金で充てるけれども三年後は消費税の増税で充てるんだ、今のお話はそういうことですよ。 だから、結局、年金の二分の一の引き上げの分の財源だというその理由も、定率減税の廃止のための理由として使われ、今度は消費税を上げるための理由として使われている。一つの証文で二度借金を取り立てるという話がありますけれども、本当にそういうようなことと全く同じであります。 ですから、私は、今回の消費税の増税ということは絶対に認めるわけにいかない。これは過去の経緯からいっても、あるいは逆進性という点からいっても、中小企業の営業を破壊するという点からいっても、絶対に認めるわけにはいかない。総選挙の最大争点として、総理がそのようにおっしゃるなら、我々としてはその問題を国民に厳しく問うて選挙戦も戦いたい。 以上で終わります。
○与謝野国務大臣 日本共産党の御主張はよくわかりますが、実は、消費税はもともと、累進性、逆進性の論議の対象にならないと私は思います。しかも、給付とあわせて考えますと、低い所得の方の方が高い給付を受けるということで、給付とあわせて考えると全く共産党と違う結果が出ますので、そのこともぜひ御研究をいただければと思っております。
○佐々木(憲)委員 最後にそのように言われたので一言だけ言っておきますが、給付とあわせると言いますけれども、まず第一に、今まで社会保障の給付がどれだけ削られてきたか。どんどん削られてきて、増税だけ押しつけられてきているというのが現実です。これから社会保障をふやすと言いますけれども、では、二千二百億円、毎年自然増を縮減してきたこの路線は変わらないんでしょう。撤回すると一度も言っていないじゃないですか。それでいながら、ふえるふえるというのは、これは幻想ですよ。しかも、高齢化が進めば、高齢者、年金を受け取る人がふえますから、そうすれば、自然増でそれはふえるに決まっているんです。しかし、一人当たりのお年寄りの受け取る金額、これは実際上減らされているわけじゃないですか。年金の百年安心と言ったのが直ちに崩壊して、今、給付そのものも削られてきているわけですね。 ですから、そういうことを前提に考えますと、また消費税を取って、年金だ社会保障だと言いながら、実際には社会保障を改悪し、増税だけを押しつけるものだと、最後に言われたので、一言だけ反論させていただいて、以上で終わります。
○田中委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。 総理大臣は御退席いただいて結構でございます。 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○田中委員長 これより両案を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。
○階委員 民主党の階猛です。 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、所得税法等の一部を改正する法律案及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。 まず、本題に入ります前に、中川前財務大臣がいわゆるもうろう記者会見で国益を損なったこと、本委員会を無断欠席するなどした上に突然辞任し、国会審議に多大な遅延をもたらしたことに遺憾の意を表します。 麻生総理は百年に一度の経済危機を克服するとかねがね言われておりますが、危機を克服するどころか、内閣の中枢たる財務大臣が全世界に醜態をさらし、危機を増幅しております。麻生内閣に日本経済の危機管理能力はないと言わざるを得ません。 さて、今回の法案に対する反対の理由を申し上げます。 まず、所得税法等の改正案ですが、消費税を含む税制抜本改革は、附則百四条において、「経済状況を好転させることを前提として、」「平成二十三年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と記されております。 経済状況の好転、必要な法制上の措置、それがいかなる意味なのか、この審議を通じても結局明らかになりませんでした。しかも、基礎年金の国庫負担割合を引き上げるため、平成二十一年度までに安定財源を確保するはずであったにもかかわらず、後で述べる金利変動準備金の流用で二年間賄う、それに加えて、税制抜本改革がなされなかった場合のリスクヘッジとして、未来永劫臨時財源でしのぎ得る内容の国民年金法改正案も今国会で審議されることになっております。 このような抜け道だらけの法案では、将来世代に負担を先送りしないと国民に胸を張って言えないのではないでしょうか。むしろ、いたずらに不安や憶測をあおるだけで、かえって経済の足を引っ張りかねない。ほかにも多々問題はありますが、この一点だけでも、政府の経済危機への危機管理能力の欠如を如実に示すものであり、反対の理由として十分であります。 次に、財政運営特例法案ですが、民主党は、特別会計の余剰金、積立金は過大であり、埋蔵金が眠っていると指摘をしてまいりました。特に、財政投融資特別会計の金利変動準備金については、総資産の千分の五十という目標も過大であると指摘してまいりました。 しかし、政府は、民主党の主張に対し、目標は適正であり、切り下げることはできない、目標超過分も国債の償還にしか使えないと繰り返し答弁してまいりました。しかし、このたびの経済危機を理由に、背に腹はかえられないとして百八十度方針転換、さきの補正予算関連法案での定額給付金を初め、さまざまな用途に湯水のごとく使おうとしております。 背に腹はかえられないとしても、政権をかえることはできます。方針転換するのであれば、麻生内閣は潔く退陣して野党に政権を禅譲するか、解散・総選挙によって民意を問うのが筋であります。これまで埋蔵金を隠し続け、無用に国の借金を膨らませてきたことへの政府の責任がはっきりしない以上、本法案にも反対せざるを得ません。 規制緩和と小さな政府を目指した小泉構造改革は、景気がいいときは強者が利益を先取りし、景気が悪化すると弱者にツケが回ってくるという社会的公正に著しく反する結果をもたらしました。構造改革によってプライマリーバランスを二〇一一年度に黒字化するという政府の旗も、修復不可能なほどぼろぼろになってしまっています。 ぼろぼろの旗を掲げながら政権にしがみつき、もうろうとして迷走を続ける麻生政権、もはや限界です。潔く白旗を掲げて野党に政権を禅譲するか、解散・総選挙によって民意を問うか、いずれかの選択を一刻も早く行うべきです。それこそが、与謝野大臣がかねがね言われている堂々たる政治であるということを申し上げまして、私の反対討論を終わります。
○田中委員長 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました内閣提出の財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に賛成の立場で討論を行います。 以下、その理由を申し述べます。 まず、財源確保法案について申し上げます。 政府は、今年度からの三年間のうちに景気回復を最優先で実現するべく、生活対策及び生活防衛のための緊急対策を策定し、二十年度第一次補正予算、第二次補正予算、二十一年度当初予算と、切れ目なく連続的に施策を実施していこうとしております。 特に、二十一年度当初予算は、総理がおっしゃるように生活防衛のための大胆な実行予算であり、国民生活を守るための医師確保・緊急医療対策、雇用対策、出産・子育て支援、日本経済を守るためのセーフティーネットや将来の成長の芽を育てるための施策が盛り込まれております。また、これまでの対策の総仕上げに当たる極めて重要な予算であります。 本法律案は、平成二十一年度における特例公債の発行を定めるとともに、平成二十一年度から二十二年度において生活防衛のための緊急対策等の対策の実施及び基礎年金の二分の一を国庫が負担するために必要となる財源を確保するため、財投特会から一般会計への繰り入れの特例を定めるものです。 二十一年度予算においては、特例公債の発行により二十五・七兆円、財投特会からの繰り入れにより四・二兆円の財源を確保しております。これは、二十一年度歳入予算の実に三分の一を占めており、二十一年度予算と本法律案は一体不可分のものであると言っても過言ではありません。現下の厳しい経済情勢に対処するためには、二十一年度予算と同時に本法律案も成立させ、年度当初から二十一年度予算を速やかに執行していくことが必要不可欠であり、本法律案の一日も早い成立を強く求めるものであります。 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について申し述べます。 本法律案は、地方税と合わせて総額一兆円を上回る規模の大胆な減税を行うものであり、厳しい経済金融情勢のもとで国民の暮らしや企業活動を幅広い分野で支える観点から、必要不可欠なものと考えます。 具体的には、住宅ローン減税の大幅な拡充、延長、環境対応車への自動車重量税の減免、中小企業の法人軽減税率の引き下げ、中小企業の雇用を維持し事業を承継した場合における相続税や贈与税の猶予などを盛り込んでおります。これらの施策は、我が国の内需を力強く刺激し、早期の景気回復の実現に資するものと確信しております。 このような減税措置を含む大胆な財政出動を行うからには、中期の財政責任を明確にしなければなりません。とりわけ、社会保障を安心なものとし、子や孫に負担を先送りしないためには、安定財源確保に向けた道筋を国民にお示しする必要があります。 このため、附則第百四条において、消費税を含む税制抜本改革の道筋と基本的方向性を盛り込んでおります。この規定は、消費税を含む税制抜本改革の前提条件やスケジュールに加え、所得課税、資産課税、消費課税等の税体系全般にわたって今後の見直しの基本的方向性を明確に法制化するものであり、画期的な規定であると高く評価しております。 以上、内閣提出の二法案に賛成の立場を表明いたしまして、私の討論を終わります。
○田中委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党を代表して、所得税法等改正案及び財源確保法案に対する反対討論を行います。 まず、所得税法等改正案について反対の理由を述べます。 本法案に反対する第一の理由は、法案の附則に消費税増税法案を二〇一一年度までに成立させる方針を明記するなど、消費税増税を既定路線とし、その工程表を法案に盛り込んでいることであります。 逆進性を持つ消費税は、応能負担の原則に反し、貧困と格差を一層深刻化させるものであります。昨年来の急激な景気の落ち込みは、個人消費を一層悪化させています。このような時期に消費税増税の立法化にレールを敷くことは、消費の落ち込みを加速させるものであります。事前に国民の審判を経ることもなく消費税増税のレールを敷く法律を通すことは、民主主義の原則を踏みにじるものであります。 第二の理由は、大企業や大資産家優遇税制の継続、拡充を図っていることであります。 海外子会社から日本国内の親会社への配当を非課税とする国際課税の改定は、海外展開する日本の大企業への優遇措置であり、企業の海外移転を加速させるものであります。その上、上場株式の譲渡所得や配当への軽減措置の延長は、一部の資産家に莫大な恩恵を与え、格差を一層拡大させるものです。さらに、法案の附則では、法人税のさらなる引き下げの検討を明記しております。大企業がもうかればやがて家計に回るという破綻した構造改革路線にしがみつき、大企業、大資産家優遇の税制改革を一層進める内容には反対であります。 第三の理由は、道路特定財源の問題です。 本法案は、道路特定財源を一般化するとしているにもかかわらず、揮発油税について暫定税率を維持しました。暫定税率は道路整備の財源を確保するために導入されたものであり、一般財源化に伴い本則に戻すべきであります。中小企業への時限的な法人税の税率引き下げや繰り戻し還付の復活、事業承継税制の導入など、中小企業の負担を軽減し、その要望にこたえる内容も含まれていますが、以上の理由から反対するものであります。 次に、財源確保法案についてです。 本来行うべき無駄な大型公共事業や軍事費を削減せず、大企業と大資産家に応分の負担を求めないまま巨額な赤字国債の発行を認める本法案には賛成できません。 さらに、本法案では、基礎年金の財源を理由に国民の財産である財投特会の準備金を取り崩し、捻出することを決めています。しかし、自民党、公明党は、基礎年金の国庫負担の二分の一への引き上げの財源に充てるためと称して、定率減税の縮減、廃止を強行したのではなかったでしょうか。これでは一枚の証文で二度取り立てることにほかなりません。基礎年金など社会保障の財源を二年間は埋蔵金で穴埋めし、その後は消費税増税を財源に当て込む本法案のねらいは見え見えであります。 以上の理由から、二法案に対し、反対いたします。
○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○田中委員長 これより採決に入ります。 まず、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○田中委員長 ただいま議決いたしました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、山本明彦君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。松野頼久君。
○松野(頼)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 納税者数の増加、滞納状況の推移、高齢化の進展などによる納税環境の変化、経済取引の国際化・広域化・高度情報化による調査・徴収事務等の複雑・困難化による業務量の増大、納税者の納税意識の更なる向上の必要性にかんがみ、税務執行の重要性及び徴税等真に必要な部門には適切に定員を配置するという政府方針を踏まえ、適正かつ公平な賦課及び徴収実現のための国税職員については、国家公務員の定員削減計画にとらわれず、増員を含む定員の確保を行うとともに、そのための税務行政執行に係る予算措置を図り、更には、高度な専門知識を要する職務に従事する国税職員の処遇改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を行うこと。 一 高度情報化社会の急速な進展により、経済取引の広域化・複雑化及び電子化等の拡大が進む状況下で、従来にも増した税務執行体制の整備と、事務の機械化の充実に特段の努力を行うこと。 一 租税特別措置については、税制上の特例であることを踏まえ、その利用状況の把握や検証のあり方について引き続き検討を深めるとともに、租税特別措置の政策目的の緊急性、政策効果の有無等を勘案しつつ、今後とも一層の整理・合理化の推進に努めること。 以上であります。 何とぞ御賛同賜りますようによろしくお願いを申し上げます。(拍手)
○田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣与謝野馨君。
○与謝野国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。 —————————————
○田中委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十九分散会