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169回国会参議院2008/03/18

法務委員会 第2号

発言数
7
登壇者
4
会派数
2
開催日
2008/03/18

会議録

遠山清彦公明党

○委員長(遠山清彦君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。  法務行政の基本方針に関する件について、鳩山法務大臣から所信を聴取いたします。鳩山法務大臣。

鳩山邦夫自由民主党法務大臣

○国務大臣(鳩山邦夫君) 遠山清彦委員長を始め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営について格別の御理解と御尽力を賜り、厚く御礼申し上げます。  現在、社会の様々な分野で変革が求められており、社会経済の基盤を支える法務行政も、各般においてその渦中にあると言って過言ではありません。変化は時にやむを得ず、皆様に様々な御負担を強いることもあります。であるからこそ、法務行政も国民に分かりやすいものでなければならず、真に国民の求める声に誠心誠意耳を傾けて、必要な改革を実行していく必要があります。私は、法務大臣就任以来、直面する諸課題に対しては、まずは虚心坦懐、心を無にして意見を聴くことに努めてまいりました。その上で、我が国がこれまで大事に守り育ててきた和をなす文明、情緒豊かで優しさにあふれた美と慈悲の文明、そして、これらにはぐくまれた相互尊重、相互理解、相互扶助といった日本人の精神・知恵ともいうべき伝統を、我が国の未来の幸せのため後世に残さねばならないという決意を持って、諸事に対して心を砕いてまいりました。私は、このような国民の切実なる声と日本の良き伝統を見失うことなく、法務行政の諸課題に対し、法務大臣として強い指導力を発揮して取り組み、国民の視点から、より身近で分かりやすい法務行政の実現に努めたいと考えています。  皆様方より、一層の御理解と御支援を賜りたいと存じます。  それでは、所信の一端について申し述べさせていただきます。  第一は、司法制度改革の推進についてです。  裁判員制度の開始が来年五月までに迫っております。国民の良識や市民感覚を裁判に反映させるという重大な意義を持つこの制度に、国民が不安なく御参加いただけるよう広く広報・啓発を更に進めてまいります。  日本司法支援センターが業務を開始してから一年余りが経過しました。日常生活の中で法的紛争に巻き込まれた方々の、だれにどのように相談したらいいのか分からないといった疑問に答え、解決へのきっかけとなる情報やサービスを迅速に提供するなどして、国民が相談しやすく、頼りにされるセンターとすべく、引き続きその体制の整備に万全を期する所存です。また、こうした法的紛争を裁判によらずに話合いで解決する裁判外紛争解決手続の認証制度について、国民が安心して利用できる身近な制度として定着するよう、適正な実施運営と一層の信頼性の向上に努めてまいります。さらに、子供たちへの法教育を推進し、我が国の未来を担う若者が法や司法の意義・役割に対する理解を深め、身に付けることができるよう努めてまいります。  このような司法制度改革の一層の推進を通じて、国民と司法の距離を今より少しでも縮めることができるよう、全力を尽くしてまいる所存です。  司法試験の合格者数については、閣議決定に沿って平成二十二年ごろに新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら三千人程度とすることを目指しますが、将来のあるべき法曹人口については、隣接法律専門職種との関係も踏まえ、法曹に対して、どのような方面でどの程度の需要があるのかという観点、質の高い法曹を今後どの程度確保することができるのかという観点、我が国をいわゆる訴訟社会にしてはいけない、毎年三千人では多過ぎるのではないかという観点などを考慮して総合的に検討すべき課題であり、本年二月に省内に検討組織を設けております。  なお、司法の中核を成す裁判所の体制につきましては、今後ともその充実強化を図る必要があり、判事等の一層の増員を図るため、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を提出させていただいております。  第二は、犯罪のない社会、被害者を生まない社会の実現についてです。  昨年来からの親殺し、子殺しなど悲惨な事件の続発を直視し、事案の実態に即した適正な科刑を実現するため、治安関係部門の体制充実強化に努めるとともに、刑事施設における受刑者等の過剰収容の解消を目指して、施設の拡充と要員の確保等に努めます。  また、約三割の再犯者が全体の約六割の犯罪を起こしている現状を踏まえると、犯罪のない社会、被害者を生まない社会の実現に向けては、再犯の防止が最重要の課題です。そこで、再犯防止に向けた処遇プログラムの実施や、更生保護法の施行に伴う保護観察の充実強化に努めてまいります。また、再犯を防止する上で就労の確保が極めて重要であるという観点から、今後とも引き続き厚生労働省と連携して総合的な就労支援を推進するとともに、多数存在する無職の保護観察対象者等が幅広い産業分野で就労することができるよう、経済産業大臣とも連携して就労先の拡大に努めてまいりたいと考えております。  昨年、私は、死刑を執行された者の氏名と犯罪事実、執行場所の公表に踏み切りました。重大凶悪な犯罪を犯し、死刑判決を受け確定した時点で、国民から見ればブラックボックスに入ってしまい、いつ死刑が執行されたのか全く分からないというのは実におかしなことです。そこで、死刑が適正に執行されていることについて国民の理解を得るためには情報公開を進めることが重要と考え、熟慮の末、法務大臣の責任において公表するとの判断を下したものです。この点につきましては、本委員会においてもその経緯等について御報告申し上げました。  死刑制度に限らず、刑事司法の在り方については、犯罪のない社会、被害者を生まない社会を実現することが国民の切実な願いであることに思いを致し、このために何をなすべきかを国民の視点から考えていきたいと思います。  現在、法制審議会において御審議いただいている社会奉仕を義務付ける制度の導入の当否については、その御議論を今後とも見守りつつ、私は、いわゆる実刑と執行猶予の差が大き過ぎるのではないか、そこに社会奉仕命令という在り方があってもいいのではないかという観点から勉強してまいりたいと考えています。  犯罪のない社会、被害者を生まない社会の実現を目指しつつ、実際に被害に遭われた方々に対する配慮を忘れてはならないと考えます。  昨年の通常国会においては、犯罪被害者等の保護、支援を図るため、被害者の方々が刑事裁判に参加する制度を創設することなどを内容とする刑事訴訟法等の改正法が成立いたしました。この被害者参加の制度は本年十二月までに施行されることとされていますが、その施行に併せ、資力の乏しい被害者参加人も弁護士の援助を受けられるようにするため、被害者参加人のための国選弁護制度を創設することを内容とする犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律及び総合法律支援法の一部を改正する法律案を提出させていただいております。  また、少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護等を図るため、殺人事件等一定の重大事件の被害者等が少年審判を傍聴することができる制度の創設等を内容とする少年法の一部を改正する法律案を提出させていただいております。  さらに、現在継続審議となっている犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案は、既に国会で御承認をいただいている国際組織犯罪防止条約及びサイバー犯罪条約を締結し、国際社会と協調して麻薬、テロなどの組織犯罪やコンピューターウイルスの作成などのサイバー犯罪に対処するために必要なものであり、委員の皆様及び国民の皆様に御理解をいただき、でき得る限り速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。  国際テロにつきましては、過去にアルカイダ関係者が我が国への不法入国を繰り返していたことがある上、アルカイダを始めとするイスラム過激派が我が国を再三テロの標的に名指ししています。そこで、国民の安全を守り、北海道洞爺湖サミットを安全に開催するためにも、国際テロに関する調査の充実強化をより一層図り、テロの未然防止に努めてまいります。  北朝鮮関係につきましては、拉致問題や核・ミサイル問題等の重大な問題の解決に向け、関係省庁との連携協力の下、関連情報の収集、分析等を通じて積極的に貢献してまいります。また、オウム真理教につきましても、引き続きその組織と活動の実態把握に努め、公共の安全の確保と国民の不安解消に万全を期してまいります。  第三は、出入国管理行政の強化についてです。  昨年、我が国に来日した外国人は初めて九百万人を超え、外国人入国者は着実に増加しております。観光立国政策の目標である二〇一〇年までに来日外国人の一千万人突破の実現に資するため、更なる審査の効率化、迅速化に努めてまいります。  一方、平成十六年に開始した不法滞在者半減計画については、目標達成期限まで残り一年足らずとなりましたが、これまで以上に不法滞在者の削減のための施策を強力に進めていく所存であります。すなわち、不法滞在者を我が国にいさせないため、関係機関との連携を強化してその着実な摘発を行い、円滑に送還するとともに、不法滞在を目的とする外国人を我が国に来させないため、在留資格認定証明書の厳格な審査の実施及び航空会社職員を対象とした研修を行うなどし、偽変造旅券の早期発見に努めてまいります。加えて、昨年十一月二十日から開始した個人識別情報の提供による入国審査により、テロリストの入国阻止はもちろんのこと、不法滞在をもくろむ外国人の入国を水際で確実に阻止して入らせないなど、目標の達成に向けて、いさせない、来させない、入らせないを三本の柱とした可能な限りの施策を講じてまいる所存です。  第四は、民事法務行政における施策についてです。  国民一般に普及している保険契約に関する法制度を全面的に見直し、現代の社会に適合したものとするため、保険法案を提出させていただいておりますので、速やかに成立させていただきますようお願い申し上げます。  さらに、都市再生の円滑な推進に寄与するため、全国の都市部における登記所備付け地図の整備事業を強力に推進してまいります。また、国民の利便性の向上を図るため、登記のオンライン申請の利用促進にも努めます。  第五は、人権擁護行政の推進についてです。  人一人一人が尊ばれる豊かな社会を実現するため、人権の擁護は極めて重要な政策課題であります。人権啓発に関する施策の推進に引き続き努め、人権侵害の防止を図るとともに、現実に発生する人権侵害による被害者の救済を図るため、人権侵犯事件の調査・救済活動の充実強化に努めてまいります。  また、人権侵害による被害者の実効的救済を図ることなどを目的とする人権擁護法案については、人権擁護推進審議会の答申を踏まえたものであり、同答申を最大限に尊重すべきとした人権擁護施策推進法の附帯決議の趣旨に照らし、かかる目的を実現すべき法案の国会への提出を目指すべきものと考えておりますが、与党内においても様々な御議論があることから、与党を始めとする各般の御意見を承りながら、引き続き真摯に検討を進めてまいります。  その他、我が国が国際社会において期待されている役割を誠実に担い、更にその努力を継続することによって、我が国の国際的信頼が向上するものと考えます。そこで、今後も、アジア地域を中心に、刑事司法の分野に関する国際連合等への協力とともに、途上国の民商事の分野を中心とする基本法令の起草や法律家の人材育成等の支援である法整備支援についても引き続き推進してまいります。  以上、所信の一端を申し述べさせていただきました。民信なくば立たずと論語が教えるとおり、国民に分かりやすくなくてはその信頼も得られず、法務行政の円滑な実施もまた困難であります。  委員長を始め委員の皆様の御理解と御指導の下、法務大臣として、河井副大臣及び古川大臣政務官とともに、このような諸課題に対して、国民の視点を常に大切に、誠心誠意取り組んでまいる所存です。  どうぞよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。

遠山清彦公明党

○委員長(遠山清彦君) 次に、平成二十年度法務省及び裁判所関係予算に関する件につきまして順次説明を聴取いたします。  まず、河井法務副大臣。

河井克行自由民主党法務副大臣

○副大臣(河井克行君) 平成二十年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、法務省所管の一般会計予算額は六千五百五十一億七千九百万円であり、登記特別会計予算額は千七百二十九億九千三百万円でありまして、そのうち一般会計からの繰入額が六百八十八億八千四百万円でありますので、その純計額は七千五百九十二億八千七百万円となっております。  この純計額を前年度当初予算額七千四百七十六億五千万円と比較しますと、百十六億三千八百万円の増額となっております。  次に、重点事項別に予算の内容について御説明申し上げます。  まず、定員の関係でありますが、平成二十年度の増員は千二百七十六人となっております。その主な内容を組織別に申し上げますと、一、矯正官署で、刑務所等保安業務体制の充実強化等のため六百六十三人、二、地方入国管理官署で、出入国管理体制の充実強化のため百九十三人、三、検察庁で、検察体制の充実強化のため、検事四十五人を含め二百六十九人、四、更生保護官署で、保護観察体制の充実強化等のため七十九人、五、公安調査庁で、公安調査体制の充実強化のため三十四人、六、法務局で、地図整備事務体制の充実強化等のため三十八人となっております。  他方、平成十七年十月四日の閣議決定に基づく定員合理化計画等により、平成二十年度においては千五十九人を減ずることとなっており、増員との差引きにより、前年度定員と比較いたしますと純増二百十七人となります。  次に、主要事項の経費について御説明申し上げます。  第一に、法秩序の維持確保につきましては四千百九十三億二千九百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと百億八百万円の増額となっております。  その内容について申し上げますと、まず検察関係では、検察活動の充実を図る経費として千五十五億一百万円を計上しており、この中には、捜査・公判の充実強化経費等が含まれております。  矯正関係では、刑務所等矯正機能の充実を図る経費として二千三百十五億六千七百万円を計上しており、この中には、被収容者の増加に伴う諸経費などの過剰収容特別対策経費や矯正処遇の充実強化経費が含まれております。  更生保護関係では、保護観察活動の充実を図る経費として二百十九億四百万円を計上しており、この中には、保護観察官による直接処遇の強化経費等が含まれております。  入国管理関係では、出入国管理機能の充実を図る経費として四百三十五億二千百万円を計上しており、この中には、出入国審査の充実強化経費、不法滞在者対策経費等が含まれております。  第二に、司法制度改革の推進の関係では、主要事項について二百二億五千六百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと七億七千九百万円の減額となっております。  その内容について申し上げますと、まず、日本司法支援センターの運営に要する経費として百九十四億七千八百万円を計上しております。また、裁判員制度啓発活動の推進を図るための経費として三億三千七百万円を計上しております。さらに、司法試験制度改革の推進に要する経費として四億四千百万円を計上しております。  第三に、国民の権利保全の充実につきましては、登記特別会計を含め千九百二十四億六千二百万円を計上し、前年度当初予算額と比較しますと七十一億五千百万円の増額となっております。  その内容について申し上げますと、まず登記関係では、登記事務処理の適正迅速化のための経費として、登記及び地図の情報化推進経費、地図整備事業の推進経費等を中心に千七百二十九億九千三百万円を計上しております。  さらに、人権擁護活動の充実を図るための経費として、子供の人権問題対策の充実強化経費を中心に三十七億二千万円を計上しております。  第四に、施設の整備につきましては、刑務所等矯正施設の拡充整備等のため、施設費として二百三十億一千万円を計上しております。  以上、平成二十年度法務省所管の予算概要を御説明申し上げました。

遠山清彦公明党

○委員長(遠山清彦君) 次に、小池最高裁判所事務総局経理局長。

小池裕最高裁判所事務総局経理局長

○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 平成二十年度裁判所所管歳出予算について御説明申し上げます。  平成二十年度裁判所所管歳出予算の総額は三千二百七十五億八千百万円でございまして、これを前年度当初予算額三千三百三億九千四百万円と比較いたしますと、差引き二十八億一千三百万円の減少となっております。  次に、平成二十年度歳出予算のうち、主な事項について御説明申し上げます。  まず、人的機構の充実、すなわち裁判官及び書記官の増員等であります。  司法制度改革が進展し、裁判所の体制の充実強化が求められている中で、増加し、かつ複雑困難化している民事事件、刑事事件及び家庭事件等の適正迅速な処理を図り、また裁判員制度導入のための態勢を整備するため、裁判官七十五人、書記官百人、合計百七十五人の増員及び振替による書記官二十人の増加をすることとしております。  他方、平成二十年度には百人の定員合理化をすることとしておりますので、差引き七十五人の純増となります。  次は、司法の体制の充実強化に必要な経費であります。  まず、裁判事務処理態勢の充実を図るため二百二十六億五千六百万円を計上しております。  その内容について申し上げますと、第一に、民事事件関係経費として七十五億六千二百万円を計上しております。この中には、民事調停委員手当、専門委員経費、労働審判員経費、知財事件関係経費等が含まれております。  第二に、刑事事件・裁判員制度関係経費として七十八億七千九百万円を計上しております。この中には、精神保健審判員等経費、鑑定入院命令に基づく入院経費、裁判員制度施行準備経費、裁判員制度広報経費等が含まれております。  第三に、家庭事件関係経費として七十二億千五百万円を計上しております。この中には、家事調停委員手当等が含まれております。  また、裁判員制度の導入のために必要な施設を整備し、庁舎の老朽狭隘化に対応するための経費として二百億四千三百万円を計上しております。  以上が平成二十年度裁判所所管歳出予算の概要であります。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

遠山清彦公明党

○委員長(遠山清彦君) 以上で法務大臣の所信並びに平成二十年度法務省及び裁判所関係予算の説明聴取は終了いたしました。  法務大臣の所信に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十時二十三分散会

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