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169回国会参議院2008/06/03

議院運営委員会 第28号

発言数
30
登壇者
8
会派数
3
開催日
2008/06/03

会議録

西岡武夫民主党・新緑風会・国民新・日本

○委員長(西岡武夫君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。  まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本銀行政策委員会審議委員の任命同意に関する件のため、本日の委員会に参考人として日本銀行政策委員会審議委員候補者・慶應義塾大学経済学部教授池尾和人君の出席を求め、所信を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西岡武夫民主党・新緑風会・国民新・日本

○委員長(西岡武夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

西岡武夫民主党・新緑風会・国民新・日本

○委員長(西岡武夫君) 次に、日本銀行政策委員会審議委員の任命同意に関する件を議題といたします。  候補者から所信を聴取いたします。  池尾和人さんにお願いいたします。池尾和人さん。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) 池尾和人でございます。  本日は所信を述べる機会を与えていただき、大変光栄に存じます。  私は、現在、慶應義塾大学で学生の教育、研究に携わっております。専門は金融論ですが、とりわけ金融制度・システムや金融機関行動にかかわる問題を中心に研究し、著述等もしてまいりました。それで、目の前の現実を無視して金融の研究をするということはあり得ませんので、一九九〇年代以降の状況の中では、政策的なイシューにも常に注意を払いながら研究を行ってまいりました。この意味では、中央銀行が取り組まなければならない諸課題についてもかねてから関心を持ち続けてきたと言えます。  また、研究活動との関連で、日本銀行の特に調査・研究畑の人たちとはかなり以前から交流がありました。私自身、もっと若いころに日本銀行金融研究所の客員研究員を二年間務めた経験もあります。こうした交流、経験から、私は日本銀行という組織に対して、愛着と言うと言い過ぎですが、それに近いようなものを持っており、今回、日本銀行政策委員会審議委員への就任要請を受けました際には、極めて短期間に判断をしなければなりませんでしたが、余り迷うことなくお引き受けしようと決意いたしました。  それで、日本経済について述べたいと思います。  現下の日本経済は、主として海外発の要因の影響で減速を余儀なくされていると思います。もっとも、もう少し長い目でとらえた場合には、日本経済の成長基盤は数年前よりは格段に強くなっています。企業部門では、債務、人員、設備の過剰、いわゆる三つの過剰などの構造的な問題が解消に向かいました。また、金融システムの安定も基本的には回復したと考えています。経済の動きを見る場合に、需要項目などの短期的な動きだけでなく、こうした企業、産業の構造や金融システムの状況など、成長の基盤となる部分をよく見てきちんと評価することが重要だと思っております。  このような日本経済の現況にあって、金融政策運営に関して現在日本銀行が表明している考え方、すなわち、経済、物価の見通しと上下両方向のリスクを点検した上で機動的に政策を行うという考え方は極めて適切なものだと私自身も評価いたしております。  金融政策の効果波及等に時間的なラグが存在することを踏まえれば、先を見て行動する、いわゆるフォワードルッキングであることは不可欠なことですし、その際にも不確実性を考慮に入れた慎重な対応を取ることが望ましいことは理論的にもよく知られております。とりわけ現在のような微妙な局面では、リスクに注目することは全く当然のことだと考えています。  この限りでは、日本銀行が折に触れて主張してきていることと私自身の考えの間に大きな違いはあるとは思いませんが、その上で、私自身が特に重要だと考えていることを最後に付け加えさせていただきたいと存じます。  それは、金融システムの安定性、健全性を維持することの大切さということです。もちろん、これは言うまでもないことかもしれません。日本銀行法が日本銀行の使命として物価の安定と並んで信用秩序の維持を規定しているのは、こうした認識があるからだと思います。  しかしながら、一九九〇年代から二〇〇〇年代初めにかけての我が国が陥った長期低迷の教訓に加えて、今般の米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融資本市場の不安定化の経験からも、中央銀行が金融システムの問題に深く関与する必要があることが改めて強く確認されたと考えます。そして、この信用秩序維持政策の面におきましては、これまで蓄積してきた学問上の知識や経験から私にはいかばかりかの比較優位があり、政策委員会での議論を活性化させる上で貢献できるのではないかと自負いたしております。  現在は経済金融情勢が大変難しい局面にありますが、日本銀行の審議委員に任命していただきました場合には、最大限の努力をしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。  御清聴ありがとうございました。

西岡武夫民主党・新緑風会・国民新・日本

○委員長(西岡武夫君) 以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。  速記を止めてください。    〔速記中止〕

西岡武夫民主党・新緑風会・国民新・日本

○委員長(西岡武夫君) 速記を起こしてください。  これより候補者に対する質疑を行います。  質疑を希望される方は、挙手の上、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。  なお、質疑及び答弁の際は着席のままで結構でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。

榛葉賀津也民主党・新緑風会・国民新・日本

○榛葉賀津也君 民主党・新緑風会・国民新・日本の榛葉賀津也でございます。  池尾先生には、公務御多端な中、当委員会にお越しをいただきまして、心からお礼を申し上げたいと思います。  まず、審議委員の役割についてお伺いをしたいと思います。  日銀法上、審議委員と総裁、副総裁は日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の委員としては役割は互いに対等であるということでございまして、審議委員が議長になることも法的には可能であるということでございます。政府や日銀総裁、副総裁との関係を踏まえまして、あるべき審議委員の役割について先生はどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) 分かりやすく、企業統治といいますか、コーポレートガバナンスと比較する形で述べますと、私は、総裁、副総裁は執行に携わると同時に取締役を務める人たちであって、それに対して審議委員は執行には直接関与しないノンエグゼクティブな取締役に相当すると思うんですね。それで、全体として取締役会に当たるところで最高意思決定をするという、そういう構造に日本銀行もなっていると思います。  その場合、執行に直接携わらないという違いはありますが、逆に言いますと、そういう立場から、より独立して幅広い見知から判断をするというのが審議委員に求められている役割ではないかというふうに考えております。

榛葉賀津也民主党・新緑風会・国民新・日本

○榛葉賀津也君 次に、昨今の物価高への対応についてお伺いをしたいんですが、一九九〇年以降、マネーサプライを一貫して増やしている日本銀行なんですが、実質GDP、名目GDP共にそれほど増加していないということで、特に名目GDPは一九九七年当時とほぼ同水準ということなんですが、その原因をどのようにお考えになっているかという点。  そしてまた、日本銀行法第二条では、物価の安定を図ることを通じて国民の経済の健全な発展に資することと理念に挙げているわけでございますが、しかし六月に入りまして、ガソリンの店頭価格が百七十円を記録したり、小麦や乳製品等の食材が再値上がりするなど、原油、食料品を中心とした物価の高騰が続いているわけでございます。  国民の生活感覚では決して好景気とは言えない我が国の経済状況でのこの物価の上昇ということで、新興国の経済成長であるとかオイルピーク、資源の高騰、投機マネーの問題等々を考えると、従来の日銀の政策では乗り切れない、これから大変難しいかじ取りを日銀に求められるということでありますが、先生はこの点についてどのようにお考えか。  また、もう一点、スタグフレーションが本格的になってしまった場合にどのような経済政策を採用すべきと先生はお考えか、お伺いしたいと思います。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) 委員御指摘になりましたように、生活者、消費者に身近な財・サービスの価格につきましては明らかに上昇傾向が見られるわけです。そういう意味で、消費者、生活者の立場からはインフレの懸念を抱かざるを得ないような局面になっていると思います。  しかしながら、これも委員御指摘になりましたように、名目GDPは伸びていないということに示されておりますように、全体としての物価を何で測るかという問題がありますが、いわゆるGDPデフレーターというような形で一番幅広い物価指標を取りますと、むしろ今でも下がっているという状況にありまして、相対価格という言い方をしていますが、いろんなものの値段の割合ですね、それが大きく変わっているという状況があります。それが問題を非常に難しくしているというふうに考えます。  つまり、すべての財・サービスの価格が同じように動いているのであればこれは対処は比較的簡単なわけですが、ところが、繰り返しになりますが、生活に身近なものの値段は非常に上昇しつつあるんだけれども、全体としてはむしろまだまだ物価がデフレ基調が抜け切らないような動きになっているというところでどういう政策を取るかというのは非常に難しい局面を迎えているというふうに思います。  それで、一部で見られる価格上昇の原因が需要サイドにあるのならば、これは金融政策として対応しやすい問題になるわけですが、御指摘になりましたように、むしろコストプッシュ型の価格上昇の場合に金融政策で抑え込もうとすると、失敗した場合、スタグフレーション的な状況を招きかねないという極めて困難な局面にあると思います。こういう局面において、やっぱり最終的に経済を決めるのは、実体経済の強さとか生産性の改善ということが、生産性の向上ということがどれだけ実現していけるかということにやはり懸かっていると思います。  そういう意味で、民間企業部門、民間経済部門の力というのがやはり最大限生かされなければいけない。そういう民間経済部門の働きを、何というんですかね、支えるようななるたけ良好な経済環境を提供するというふうな形の経済政策運営というものが考えられるある意味で最善な政策運営ではないかというふうに思っております。

佐藤信秋自由民主党

○佐藤信秋君 池尾参考人には大変お忙しいところを御出席いただいて、ありがとうございます。  先ほどの所信のお話で、金融システムの安定性、信用の維持、その中でも中央銀行の役割が重要であると、こういうお話をいただきました。  池尾先生は金融審議会の委員を務めてこられたということで、大変金融システム、先ほどのお話でも金融システムに深い御識見をお持ち、こういうことであります。政府に対しても様々な御提言をいただいてきたということを私も重々承知しているところであります。  難しい問題かもしれませんが、こうした今までのお考えと、先ほど重要だと、こう御指摘になられた金融システムの安定という問題について、日銀、中央銀行の役割重視と、こういうお話ですが、何か具体的な幾つかの考え方があれば、お教えいただければと思います。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) 金融システムの健全性維持という課題は、第一義的には金融庁を中心とした金融監督行政がその中心を担うべき課題だというふうに思っておりますが、やはり所信を述べさせていただいたときにも申しましたように、中央銀行の役割も非常に重要だというふうに考えております。  それは、今般の様々な経験からも記憶に新しいところですが、金融資本市場が不安定化した際には、中央銀行が最後の貸し手として流動性を供給するということが金融システムの安定性を維持する上で非常に重要な役割を果たしているわけですね。そうしたときに、中央銀行が最後、流動性を供給するという役割を果たすのであれば、日常的にやはり流動性を供給する対象となる金融機関の経営状況等についてモニタリングする能力を持っている必要があるだろうというふうに考えております。  これは、日本銀行及び米国のFRBはそうした権能を持っているんですが、それに対してイングランド銀行は、かつてはそういう権能を持っておりましたが、イギリスの金融監督体制の変更以後、直接の銀行監督機能、日本銀行でいえば考査の機能をイングランド銀行は持っていなかったんですが、そのことがやはり、ノーザン・ロック銀行の問題等に示される対応が必ずしも最善の対応をイングランド銀行が取れなかったことの一つの要因になっているんではないかというふうに考えております。  そういう意味で、現在日本銀行が金融庁と並んで金融機関に対して一定のモニタリングの役割を持っているということは、非常に金融システムの安定性ということとかかわって重要なことだというふうに思っております。

佐藤信秋自由民主党

○佐藤信秋君 次に、もう一問。  池尾参考人は日銀の内部規程等の見直しに関する諮問会議のメンバーでもいらっしゃいましたですね。そういう意味で、日銀の組織とか業務運営の在り方、これを今までは外部から見てこられたわけですが、これから審議委員におなりになられて内部から御覧になると、こういうことで、重点視されるのはどんなことかということをお伺いしたいと思います。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) ルール、規程を整備することは非常に重要なことといいますか大切なことだというふうに考えておりますけれども、最終的にはやはりそれぞれの職員ないし役員の自己規律といいますか、内面化された規範意識というのがやはり大切だというふうに思っております。だから、幾ら形式的に厳しいルールを作っても規範意識が内面化されていなければやはり十分ではないということで、その規範意識の内面化、充実を図るということが最も大切なことだというふうに考えております。

佐藤信秋自由民主党

○佐藤信秋君 終わります。

山下栄一公明党

○山下栄一君 公明党の山下でございます。  今、先ほどの池尾先生の所信をお聴きしながら、極めて高い見識をお持ちだけではなくて、強い意欲を持っておられるということを感じたわけでございます。  日銀法の中に、今回の人事につきましてこのように規定されております。「審議委員は、経済又は金融に関して高い識見を有する者その他の学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。」と、こういう規定があるわけですけれども、この規定に関係するんですけれども、この日銀人事は、特に総裁、副総裁の人事、大変重要な立場で、国内だけではなくて国際社会においても日本の中央銀行である日銀の最高人事は非常に関心高かったし、盛んに報道もされたわけですけれども、振り返ってみますと、非常に政治の動向に翻弄され続けてきたなということを感じておるわけでございます。  そういう意味で、先ほど私が読み上げました二十三条二項、その手続の一環で今日も行われておるわけですけれども、副総裁、総裁というだけではなくて、審議委員にまで政治の動向に翻弄される、影響されるということが尾を引いているということで大変残念なことなんですけれども、日銀人事の政治からの中立といいますか、私、こういうことはやはり直視して議論すべきことではないかと思っております。  先生大変答えにくいかも分かりませんけれども、私が今申し上げました、特に中央銀行、日銀人事の政治からの中立ということにつきまして、それが侵されているのではないかということで申し上げているわけですけれども、先生の御所見をお伺いできればなと思っております。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) 中央銀行の独立性という問題だと思いますが、民主主義社会におきまして、選挙によって選ばれたわけでもない中央銀行家に独立した判断をゆだねるということが民主主義の原則との兼ね合いでいかがなものかという疑念は基本的に存在すると思っております。しかしながら、世界各国の歴史的経験の積み重ねの中から、中央銀行の独立性ということが言わば歴史の知恵として非常に重要なことだというふうに認識され、それに対する理解が形成されてきていると思います。  そうした歴史の知恵としての中央銀行の独立性ということと民主主義の原則を両立させるための制度的な手当てが新日銀法においては非常にある意味で工夫して織り込まれていると思います。その一環が、両院の同意を得た上で内閣が総裁、副総裁以下、審議委員についても任命するという規定になっており、この規定自体は、今申し上げましたように、民主主義社会の中での中央銀行の独立性ということから考えれば適切な規定だというふうに私は考えております。  これも先ほどの規範意識の内面化とちょっと似たような話になるんですが、そうした規定にいかに魂を吹き込むかということが重要でありまして、それはやはり、中央銀行が実績を積み上げて国民からの信頼を得るという形を積み重ねていく以外にはないのではないかというふうに私は思っております。

山下栄一公明党

○山下栄一君 大変よく分かりました。ありがとうございました。  以上で終わります。

松野信夫民主党・新緑風会・国民新・日本

○松野信夫君 民主党の松野信夫です。  先ほど、先生の日本経済の現状に関するお考えの中で、海外発の影響がかなりあって少し減速ぎみではないかと、こういうお話がありました。海外発というと、恐らくサブプライムローンとかあるいは原油高、いろいろな食料の値上がり等々が原因となって日本経済にかなり影響を与えているのかなと、こういうふうに思います。  それで、日本経済の現状とそれから今後の傾向をどう見るか、これについて少しお伺いしたいんですが、これまでは、過去数年ぐらい、大体二%ぐらいの成長かなと思っておりますが、ただ、成長が今後ともどうなるかという点で見ますと、世界経済との結び付きが割合強いと思われる大都市とかあるいは大企業はそれなりの恩恵が受けられるのかなと。ただ、逆に言うと、そうではない家計あるいは中小企業、地方、そういうようなところには必ずしもそういう恩恵が得られない。そうすると、ますます大企業、大都市圏と地方、中小企業とのいわゆる格差というものがこれからも十分考えられるのではないかな。  そういう格差の中で、できるだけ格差を是正する方向ででもやっぱり経済政策、金融政策というのが考えられるかなと思いますが、この点について先生のお考えがありましたら、御所見をいただきたいと思います。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) 日本経済を考えましたときに、国内的にはやはり人口構成が更に高齢化していくとか人口自体が減少していくとかいったマイナスの要因があるわけですけれども、より、何というんですかね、開かれた経済に日本経済がなっていくことによって、もっと簡単に言えば、例えばアジアの成長活力を国内に取り込んでいくことによって日本経済は十分に成長をしていく余地を現在も持っているというふうに思います。  アジアの成長活力を取り入れていくという点においては、必ずしも大都市、大企業だけが専らそれができるということではなくて、むしろ地方都市等において、あるいは中小企業の中にもアジアとの結び付きを強めることによって成長の可能性を見出している地域とか企業群があるわけでありまして、そうした、何というんですかね、より開かれた経済に日本経済をしていくということがいろんな問題を、格差を含めて解決していく上での基本的な素地を提供していくんではないか。  何というんですかね、守りに入ってますます閉じた経済を志向すると、これは問題をやっぱり解き難きものにしていくんではないかというふうに私個人は考えておりまして、だから、よりオープンな開かれた経済に日本経済をしていくように経済政策の運営等をやっていくことが、様々な問題をより解決しやすい経済環境を提供していくことになるんではないかというふうに考えております。

松野信夫民主党・新緑風会・国民新・日本

○松野信夫君 終わります。

丸山和也自由民主党

○丸山和也君 二点ばかりお聞きしたいと思います。  日銀は、これまでいわゆる俗に言われる超低金利政策というのをずっと取ってきまして、基本的には今もその延長線上にあるように思うんですけれども、これが正しいかどうかはいろいろな議論もありましたんですけれども、いわゆるデフレ脱却するためにはこれは是非とも必要だという、そういう大きな方針があったんじゃないかと思うんですが、現時点での考え、それからこれからの在り方としてこの点についてどのようにお考えをお持ちか。  一方、これについては、昨今、もう既にその時代は終わったと、やはりこれはもうデフレは脱却しているという見解もありますし、それから、やはり超低金利政策がもたらす弊害といいますか、特に預金者、年金者に対する問題とか、あるいは金融機関だけに有利になっていて一般の人については本当にひどい政策だなんという意見もあり、早くこれは利上げを行うべきだという明確な反対意見も出ているんですが、このような点について池尾先生は、非常にさっきからやっぱりいろいろなものに魂を込めなきゃいかぬという、非常に私も魂という言葉が好きなんですが、気骨のある先生のように思われますので、ほかの人の顔色をうかがわずに、本当のところをひとつお聞かせいただいたらと思いますので、よろしくお願いします。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) 一九九〇年代には、所信の中でも述べましたが、企業部門が設備の過剰を始めとした三つの過剰を抱えていたわけですね。過剰な設備を保有しているときに更に投資をしようという人は余りいないわけですから、どうしても需要不足がちの経済になりがちでありまして、そういう中で景気の底割れを回避するためにはどうしても低金利政策を取らざるを得なかったということがあります。  そういう理解からいたしますと、基本的に企業部門が抱えていた三つの過剰が解消されたということは、そういう段階に日本経済が来たということは、金利正常化の条件が基本的には整いつつあるというふうに思われます。実際、日本銀行が量的緩和政策から脱却をして、二度の利上げを通じて、現在、政策誘導金利を〇・五%まで引き上げてきているのはそういう判断の上だというふうに思います。  ただ、直面する状況は、先ほども申しましたように、やや経済の減速傾向が見られるような状況にあるわけですから、中長期的には金利を正常化するような条件が日本経済について整ってきていると思いますが、当面の経済状況を考えるならば、これは当面は慎重にといいますか、中立的なスタンスで臨むのがやはり妥当ではないかというふうに今の時点では私は考えております。

丸山和也自由民主党

○丸山和也君 これとも関連するといえば関連するんですが、基本的な日銀の金融政策の問題の一つであると思うんですが、いわゆるよく使われる言葉なんですけれども、政策なんですが、いわゆるインフレターゲットを導入すべきでないかとか、こういう意見もあるんですが、非常に明確な一つの考え方なんですが、こういう問題については池尾先生はどのようなお考えをお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) インフレーションターゲティングということについては、その内容をどう理解するかということだけで、我が国の議論の中では、何というんですかね、様々な理解の仕方があるというふうに思います。  一方では、あるターゲットにしたインフレ率を何が何でも実現するためにもうできることは何でもするんだというふうな政策としてインフレターゲティングを理解するような、私からするとやや乱暴な理解もあると思いますが、それに対して私が理解します本来のインフレーションターゲティングというのは、金融政策の運営の枠組み、フレームワークでありまして、本来的な意味での金融政策の運営枠組みとしてのインフレーションターゲティングというのは、金融政策の透明性を向上させるという意味で私はメリットがあるというふうに基本的には思っております。  しかしながら、先ほどもちょっとイングランド銀行のことを申し上げましたが、この間の金融資本市場の不安定化の中で、インフレーションターゲティングを公式に採用しているイングランド銀行の対応ぶりが必ずしも適切なものだったかどうかということには一定の疑問があるわけでありまして、もう一度今回の金融資本市場の混乱の総括をした上で、インフレーションターゲティングについては再検討する必要があるだろうというのがちょっと研究者としての関心であって、まだ政策担当じゃないので、研究者としては思っているところです。

丸山和也自由民主党

○丸山和也君 以上で終わります。

青木愛民主党・新緑風会・国民新・日本

○青木愛君 民主党の青木愛でございます。  一点質問させていただきます。  景気判断に関しまして、政府はようやく最近になりまして足踏み状態との判断を示されましたけれども、それ以前は、二〇〇二年以来景気回復が継続しているとの発表でございました。政府の発表と一般庶民の感覚との間には相当のずれがあるように思われるのですけれども、そのずれの原因がどこにあるのか、日銀にもそういう傾向があるのか、また、池尾先生が審議委員になられた場合、この一般庶民の感覚というか実感をどのように配慮されるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

池尾和人日本銀行政策委員会審議委員候補者/慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(池尾和人君) 一番最初の榛葉先生の御質問にお答えした中でも触れましたけれども、やはり社会の構造が変化していることを反映いたしまして、それと、要するに、技術革新であるとか資源価格の上昇であるとか、様々な要因を受けて社会の構造が変化しておりますから、あらゆる財・サービスの価格が同じように動いているわけではなくて、大きく上昇しているものもあれば、むしろ今も下落を続けているものもあるというふうな形で、相対価格が大きく変化しているというのが今の特徴だと思います。  そのために、消費者、生活者にとって身近なものについては非常に物価の上昇ということが見られるわけですね。ところが、より川上といいますか、の部分のところの価格では依然として下落を続けているものがあったりして、要するに、非常に、まだら模様と言うとちょっと表現があれかもしれませんが、非常に一律な動きをしていないんですね。  こういうときに特定の局面だけを強調するのも間違いだし、逆に様々な局面が併存しているということを無視するのも間違いだというふうに思っておりまして、中央銀行、金融政策というのはどちらかというと全体に対して影響を与える政策しか打てないわけですね。  しかしながら、そういう全体に影響を与える政策を打つ場合にも、それぞれの局面といいますか、それぞれの主体だとか地域だとか部門についてどういうことが起こっているかということは十分に、何というんですか、見守った上で取り組まなければいけないと思いますが、とにかく簡単ではないといいますか、全部が同じように動いてくれているんであれば、ブレーキを掛けるときはブレーキを掛ければいいわけですし、アクセルを踏むときはアクセルを踏めばいいわけですけれども、一部の動きについてはブレーキを踏む必要があると。例えば、一部の資産価格の上昇に関しては明らかに行き過ぎであるというときにブレーキを踏まなきゃいけないと。ところが、おっしゃったように、生活者は決して、何というんですか、極めてまだまだ好況を実感できないような状況にあると。その中でブレーキを踏むことはできない、むしろアクセルを踏むべきじゃないかと。  そういう経済が跛行的に動いている中で、経済全体に一律の影響を与えるような金融政策、金利操作をするというのは、従来よりももう数段困難な仕事になってきているというのが正直なところだというふうに思っております。

青木愛民主党・新緑風会・国民新・日本

○青木愛君 ありがとうございました。

西岡武夫民主党・新緑風会・国民新・日本

○委員長(西岡武夫君) 以上で質疑を終了いたします。  池尾和人教授に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙の中、御意見をお述べいただき誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十分散会

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