法務委員会 第13号
- 発言数
- 208 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2008/05/27
会議録
○下村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、少年法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長米田壯君、法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長西川克行君、文部科学省大臣官房審議官久保公人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○下村委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局大谷人事局長、小泉民事局長及び二本松家庭局長から、出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○下村委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川忠孝君。
○早川委員 自由民主党の早川忠孝でございます。 いよいよ少年法の審議に入るわけでありますけれども、この大事な法務委員会で、実質上、私は、法務委員会の理事としての最後の質問になるのではないかなという思いできょうの質疑に当たってまいりたいと思っております。 といいますのも、平成十五年から、さまざまな法律の改正作業に法務委員会の委員として当たってまいりました。司法改革の最大の課題であります裁判員制度の導入がいよいよ来年の五月、さらには、国民に身近で、しかも利用しやすく役に立つ、そういった司法制度を構築するための法テラスの創設、こういったさまざまな司法制度改革の大事な部分に携わらせていただいたというのは、東京弁護士会の副会長を経験した直後から、直ちにこの衆議院の場において審議に参画でき、大きな成果が上がってきたということを実感しておりますので、そういう意味でも一つの集約の場ではないかというふうに思っているわけであります。 また、私は現在、自民党の犯罪被害者等基本計画の着実な推進を図るプロジェクトチームの座長を務めさせていただいております。犯罪被害者の方々が刑事裁判に参加する参加制度の導入や、あるいは被害者参加弁護士制度の導入、そしてまた、国選手続によって犯罪被害者に弁護人を付する、こういう制度の導入、これが一つ一つ実績を上げてまいりました。いよいよ、少年審判手続に犯罪被害者の方々の傍聴を認める、こういうことを重要な内容とする少年法の改正ということになったわけであります。たくさんの課題がある中で、本当に、具体的な成果を上げてきたというのは、まさにこの衆議院の法務委員会の大変な成果ではなかっただろうかと思っております。 そういう意味で、政府あるいは与党のみならず、国会が十分に司法改革の実を上げてきた、この成果を後戻りさせることがないようにしていかなければならないというふうに考えているわけであります。 鳩山法務大臣、これまでは必ずしも法務委員会の分野では御発言をされる機会がなかったと思っておりましたけれども、この約十カ月近くの間で、ある意味で、従来の固定観念にとらわれることなく柔軟な発想で、新たな視点を付加して、これまで以上に司法改革をお進めいただけるのではないかというふうに最近強く実感を持っているところでございますので、そういう趣旨で、ぜひ大臣にはこれからも御健闘を賜りたいというふうに思っているわけであります。 そこで、少年法についての質疑に入る前に、現下の司法をめぐる問題について、まずお尋ねをしておきたいと思います。 特に、裁判所の問題であります。 甲府地方裁判所の都留支部の支部長である判事が女性に繰り返しメールを送ったということでストーカー規制法違反容疑で逮捕されたという事件を知りました。大変ショックな事件であります。事実関係が新聞報道されているとおりであるとすると、女性に繰り返しメールを送るということ自体が直ちにストーカー規制法違反に当たるのかどうか、警察当局の判断、私はまだ十分得心はしていないところであります。 それから、現職の裁判官を直ちに身柄拘束、逮捕する必要性が本当にあったのかどうか、これまた、令状主義をとっている現在の司法制度の枠の中では果たしてどうであったんだろう、そういったことについて、例えば証拠隠滅と逃亡のおそれがあったのかどうかということでの令状による逮捕要件の審議というのを十分行っているかどうか、これは裁判所の中の実務について改めて検証をしていかなければならないのではないだろうかと思っているわけであります。 私は、警察にも司法警察員としてのさまざまな権限が付与されておりますけれども、こういった、非常に国民の司法に対する信頼に直結するような内容についてはむしろ検察官がその捜査の全責任を負うべきであって、全国にたくさんあります警察職員が、直ちにみずからの判断で現職の裁判官を身柄拘束しなければならないという、この中身について、十分丁寧にこれから検証しながら、しかし、司法全体に対して大変な不信を与えたということについてはそれぞれの関係の部署において反省をし、再発防止の施策を講じていかなければならないと思っているわけであります。 私は、法曹全体の、言ってみれば独立性ということにかかわる大変大事な事案であるということだけ御指摘をしておきたい。 個別の事案については、国会の審議に供するということはやはり慎まなければならないというふうに思っておりますけれども、報道されている被疑事実と現職裁判官の逮捕という結果との対比が、果たしてバランスがとれているのかどうかということについてこれから御検討いただきたい。 しかし、まず、最高裁判所として、裁判所に対する国民の信頼を取り戻すために今後どのように取り組むおつもりであるか、また、このような事件が起こらないように再発防止策としてどのようなことを考えているのか、最高裁判所にまずお伺いをいたします。
○大谷最高裁判所長官代理者 現宇都宮地方裁判所の下山芳晴判事が逮捕、勾留されたという事案についてのお尋ねでございますが、このように犯罪の嫌疑を受けて現職の裁判官が逮捕、勾留されたということにつきましては極めて遺憾でございます。事実関係については、委員も今御指摘のありましたように、捜査が進行中ということでございますが、このような形で国民の信頼を損ねてしまったということについてはまことに申しわけなく、おわびしたいと思います。本人に対しましては、今後、事実関係を踏まえて厳正に対処したいと考えております。 このほか、こういうことが起きてしまった原因について、本件が構造的な問題に起因するものであれば、それは裁判所組織として対策を講じる必要があるということは言うまでもないところであり、例えばストレスが原因だというようなことがあれば、執務体制やメンタルヘルスに関するケアというようなものも考えなければならないと思うところでございます。もっとも、本件について、特定の原因と関連づけてとらえるべきかどうかについては、今後の事実解明にまつべきところも多いと思われますので、もう少しお時間をいただいて、これを見きわめた上で具体的な対応策を検討したいと考えております。 また、今、委員から、国民の裁判所に対する信頼を損なうことになったという御指摘がありまして、これはもうそのとおりでございます。今後は、裁判所が一丸となって、一人一人が重い職責を自覚し、託された職務に全力を尽くすことにより、失われた信頼の回復に努めたい、このように考えております。
○早川委員 次に、法務大臣にお伺いをしたいのでありますけれども、いわゆる条約刑法、国際的な組織犯罪防止条約の締結に伴う国内法の整備ということで、条約刑法がずっと審議の対象になっていて、この国会では、残された会期の中でその審議に入るのはなかなか難しいという状況になっているかと思います。 私は、この法務委員会の理事として、昨年の通常国会等では、何とか政府の提案の問題点について共通の理解を得ながら懸念材料をなくす、そして、その上で与野党の共同修正を実現させなければならないということで努力してまいりました。自民党の中の条約刑法等の検討小委員会の事務局長として一定の成案を得ているところでありますけれども、それをまだこの委員会等におかけすることができないという状況であります。 そこで、テロ犯罪等を未然に防止するために必要な法律だというふうに私どもは理解をし、作業を懸命に進めてまいりましたけれども、いよいよこの七月には北海道洞爺湖サミットが開催をされる、それにあわせて必要な法整備を実現するということがほとんど期待できないという状況を踏まえますと、私は、いわゆるサイバー犯罪に係る部分と、それからいわゆる組織犯罪の共謀罪に係る部分、これを切り分けて、緊急に、国民の生活をどうしても守っていくというために必要なサイバー関係、いわゆるコンピューターウイルスの作成等について、これを処罰化するというこの部分について切り分けて提案をして、早期の成立を図るべきではないかなというふうに考えるに至った次第であります。 なかなか、こういったことを申し上げる機会がなかったわけでありますけれども、この機会に、法務大臣としてこの条約刑法についてどうお考えであるか、お考えをお伺いさせていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 早川先生のおっしゃること、すべて正しいと思っております。国際組織犯罪防止条約は平成十五年に国会で承認しておりますから、もう五年たつのでありましょうか。結局、承認はいたしましても、国内法である条約刑法が成立をしないものですから、締結ができないという非常に残念な事態。 私は、昨年の夏に法務大臣を拝命しましたときに、今早川先生がおっしゃったように、ことしの夏には日本でサミットが開かれる、そうしますと、それに付随してG8の司法大臣会議というのを、私が泉大臣と共同議長を務めて六月の十一、十二、十三と開く、それまでにぜひともこの条約刑法が成立をされて、我が国が国際組織犯罪防止条約を締結できるようになっていることを強く望んでおったわけでありますが、今早川先生御指摘のような状況にあるわけでございます。 私ども政府あるいは法務省といたしましては、条約刑法を、二回廃案になっておりますから、再々提出して、それが継続、継続と来ている状況の中で、私の方から切り分けということは申し上げるわけにはいかないわけでありますけれども、コンピューターウイルス等のサイバー犯罪を防ぐということは大変重要なことであって時間的な猶予のあることではない。もちろん、同時に、麻薬とかテロなど、あるいは組織犯罪と戦うことも重要なわけでありますが。 私の方からはそれ以上のことを申し上げることはできませんが、これは政治の世界のことでございますから、与党間のさまざまな打ち合わせや、あるいは与野党間の打ち合わせの中で御議論を進めていただければありがたいと存じます。
○早川委員 もう一つ、私自身が昨年来取り組みながらまだ結論を出していない大事な問題が民法七百七十二条の、いわゆる離婚後三百日以内に出生した、離婚後誕生した新生児の戸籍の問題であります。 自民党、公明党で与党のプロジェクトチームをつくって一定の成案を出しました。さらには、女性にのみ、離婚して再婚禁止期間が現在百八十日となっているのはいかにも長過ぎる、これを百日程度、これは法制審議会の答申を踏まえてそういった法律改正を実現すべきである、こういうことで意見の取りまとめをしたところであります。しかし、党内の議論が完全には収束をしないという状況の中で、結果的には、自民党、公明党の政調会長の、さらなる検討事項として一応作業が中断をしているわけであります。 早急にこれを再開して、一定の成案を出さなければならないと思っておりましたところ、先日の法務委員会で、今度は、離婚後三百日以内の規定によって無戸籍となっておられる女性の方が子供を出産されるということについて、その新生児について、現行制度の枠組みの中で何らかの運用で解決することはできないだろうかという大口善徳委員からの質問がありました。法務大臣は、できる限り子供に温かくあるべきであるという趣旨の御答弁をされているところであります。 法務大臣は、この民法七百七十二条問題について、従前の法務省の方針を変更するおつもりであるのかどうか、お伺いをさせていただきます。
○鳩山国務大臣 変更するというよりは、検討を加えて問題をもっと深く掘り下げてとらえていくべきだということを省内で申し上げております。 今の早川先生の御指摘は、大口先生の御質問にお答えしたことと絡んでくるわけでございまして、再婚禁止期間百八十日を百日にしても問題がないということについては我々も十分認識しておりまして、また、各党間でもお話し合いをしていただきたいと思っております。 ただ、民法七百七十二条自体の存在意義というのは十二分にあるわけでして、婚姻中に懐胎した子はその夫婦の子供と推定する、結婚後二百日以降あるいは離婚後三百日以内に生まれた子供はその夫婦の子供と推定するという二重推定。これは、子の福祉というか子の身分の早期確定という意味ではやはり意味がある条文でございまして、この条文をなくすとか、そういうことは全く考えることはできないわけでございます。 しかしながら、今問題になっております、前夫の名前が出ないように、前夫の子として認めたくないがゆえに戸籍、出生届を出さない、そうして無戸籍の子供が出てきてしまう。その無戸籍の女の方がまた同じような事情で子供を産むというようなことで、何とかしろということで、これは例外ではあっても、親の事情で子供に被害が及ぶ、親の事情で子供の福祉や身分の確定がおかしくなるというのは非常によくないことであって、あくまでも子供の立場に立って子の身分とか子の福祉ということで考えるべきだ、そこまでは間違いがないわけでございます。 早川先生からお話がありましたように、大口先生がそうした問題や悩みを抱えている実体験をお持ちの方々をお連れになって、それぞれの方からお話を承りますと、ドメスティック・バイオレンスあり、あるいは強制認知という訴訟を起こそうとした場合、裁判所によって、受け付けてくれるところと、門前払いというのか、親子関係不存在の訴えを先にしなさいという指導があったとか、さまざまに事情がある。異なった事情もあるけれども、その中に共通の事情もある。そういう中で、無戸籍のお子さんができてしまうということを何としてでも防がなくちゃならぬ、こういう思いは私も先生方と共有していると思うんです。 ただ、こういう問題は、それぞれの人生観とか哲学とか家族観とか、そうしたものに強く影響を受ける問題ですね。倫理観にも影響される問題。でございますから、やはり各党間の話し合いを大いにしていただきたい。私どもは、先ほど申し上げたように、検討を深めるように、民事局にも厳しく言っておるわけですが、各党間で合意していただきたい。少なくとも、与党同士の、当時の中川政調会長と斉藤公明党政調会長の文書というのがある。これは、あの文書だけでは成案にならないわけですから、あれをさらに深めてもらわなければ具体的な手が打てないわけでございます。 したがって、谷垣現政調会長にも、この間お会いをして、ぜひこの問題は政調会長として公明党さんとどんどん打ち合わせをしていただいて、その後はまた民主党を初めとする野党の皆さんとも話し合っていただきたいというお願いをしたんです。いろいろな意見があるようですねということを谷垣政調会長がおっしゃったわけで、いろいろな意見があるから政調会長にまとめていただきたいんですとお願いをしたといういきさつがございます。
○早川委員 まさに、こういった制度のはざまにある問題、制度の欠陥を是正するのは、国会の役割であり、また各政党が党派を超えて結論を出すべき案件だと思います。法務大臣が御指摘のとおり、むしろ国会で役割を十分果たしていかなければならないというふうに思っているところであります。 もう一つ、法曹養成の問題についてお尋ねをしたいのであります。 現在、法科大学院が七十四校で、入学定員が五千七百九十五人というふうに聞いております。司法試験の合格者数については、新たな法曹養成の制度の状況等を見定めながら平成二十二年ころに三千人程度を目指すとされていることからしますと、この五千七百九十五人という入学の総定員は若干多過ぎるのではないだろうかなというわけであります。 そういう意味で、文部科学副大臣に、この法科大学院の入学の総定員数の件についてどのようにお考えであるか、お答えを願いたいと思います。
○池坊副大臣 弁護士でいらっしゃる早川委員も御存じのように、平成十三年六月十二日、法科大学院の設置については、閣議決定をしております司法制度改革審議会意見書において、「関係者の自発的創意を基本としつつ、基準を満たしたものを認可することとし、広く参入を認める仕組みとすべきである。」という提言を受けております。この提言を受けまして、文部科学省は、基準を満たしますものについてはその設置を認めたわけでございます。 私は、このとき文部科学省の大臣政務官をしておりまして、法科大学院の設立についての推移を見守っておりました。危惧する思いもございましたが、法曹界から、これから日本もアメリカ並みに訴訟が多くなるだろう、今の弁護士では足りないんだから、もっと弁護士養成をしてほしいという強い要望がございました。それを受けまして、また私も全人格的な法曹人を養成することはいいことではないかなと思って、この法科大学院が設立されました。 今、まだ数年しかたっておりませんし、法学未修者の一期生が司法修習を受けております。ですから、こういう段階において、多いのじゃないか、もっと削減をすべきだということは、私は、文部科学省はそういうのを受けましてきちんと基準を満たすものをやっておりますので、この問題は、もっと真剣に、中期的に検討した方がいいというふうに考えております。 人数を多くしたいからつくろうといってつくった。今度は、そんなに多く要らないんだ、抑制しようというのは、私はどうかなというふうに思っております。別の話になりますが、一九八〇年代に、お医者様が多いからもっと少なくしろといって入学定員を削減いたしました。今になって医師が少ないからもっとふやせと。やはりこういう問題は慎重に、学んでいる子供たちの立場も考えながら、きちんと審議をしていきたいというふうに私は考えております。
○早川委員 これからの時代は、社会の隅々まで、いわゆる法の支配を広げていかなければならない。そういう意味では、質のいい法曹、専門家を養成しなければならない。 そういう意味では、企業の法務担当者や、あるいは国家公務員、それから地方公務員など、こういった既に一定の試験等を経られて専門の仕事につかれている方々が、法科大学院に入られて、司法試験に合格して法曹資格を得る、こういうことで、言ってみれば、非常に質の高い方々にそれぞれもともとの自分の分野へ戻って仕事をしていただく、こういう流れをつくることが一番望ましい。そういう意味では、社会人入学者枠を拡大し、かつ、それをしっかりとルーチン化するという配慮が必要なんではないだろうかと思います。 法科大学院というのは、こういった方々をどんどん受け入れて、本当に役に立つ法曹をつくるべきだと私は思っているところであります。法務大臣は、この点についてどういうふうにお考えでありましょうか。
○鳩山国務大臣 私は常々、日本の文化は和の文化であって訴訟社会にしてはいけないと申し上げておりますのは、救急車が病院に駆けつけると弁護士さんが追いかけていくとか、そういうような国であってはいけないと思うし、マクドナルドのコーヒーでやけどしたような話も、日本の文化ではああいう判断にはならぬのではないかというふうに私は勝手に思っているわけです。 つまり、必要でないところにまで訴訟とか裁判が及んでいく、あるいは訴訟を提起するということがあってはならないと申し上げているわけで、早川先生がおっしゃるように、いろいろな分野に法曹が入っていく、例えばいろいろな自治体、みんなコンプライアンスの問題がある。自治体の顧問弁護士というのは多分いろいろおられるんでしょうけれども、自治体の中に職員が弁護士であるというケースは、東京都等を除くとほとんどないというふうに思われます。企業内の弁護士も、大体企業の法務部がやっておって、企業の顧問弁護士はいるけれども、社員としての弁護士というのは余り多くの話を聞かない。 これからは、国際的な問題もあるでしょうし、あるいは特別な医療だとか、あるいはコンピューター、ITだとか、あるいは著作権とか、さまざまに専門的な知識が要求される分野がふえてくるわけでありますから、そういうところに法曹がそれぞれ張りついて問題を解決するということは、私は、大いに進めなくちゃならないことだ、この点については早川先生と全く意見は同じだろう、こう思っております。 そういう意味では、地方公務員が、国家公務員でもいいかもしれませんが、あるいは会社員が社会人枠として法科大学院に入学して、勉強して司法試験を通るなどというのは一つの理想の形ではないか、こう思います。 ただ、この問題、河井副大臣が大変熱心で、いつも二人で議論をする、古川政務官も一緒に議論をすることがあるんですが、やはり法科大学院を初めとする新たな法曹養成制度の状況を見きわめながら、平成二十二年に三千人というのが閣議決定の内容でございまして、それまでの、数字は忘れましたが、千二百とか千四百とかいうのは、そういうふうに増加せしめるというふうに閣議決定は書いてある。ただ、最終ではないかもしれませんが、三千人という数字のところは、あくまでも法科大学院の状況や新たな法曹養成制度の状況を見ながらとなっているということは、質の高い法曹を養成できて、三千人そうした質の高い人をそろえることができればという条件なんだろうと思っておりますので、法科大学院にもうんと頑張ってもらって、とにかく質の高い法曹をつくってもらいたい、こう思うわけですね。 そうなりますと、やはり世の中はどうしたって競争原理は働くわけでございますから、法科大学院の定員の総数というのは、ちょうどいい競争原理が働くような数だといいなというふうに私は思っております。
○早川委員 いずれにしましても、私は、司法試験の合格者数は減らさないようにしながら、しかも公務員制度改革が今これから本格的にスタートする段階で、いわゆる自律性、独立性があるそういった専門家を養成するその供給源として国家公務員、地方公務員を活用し支援するというような枠組みをぜひ法科大学院の中に入れ込んでいただきたい、法務省と文部科学省で十分その具体策の検討をお願いしておきたいと思います。 それでは、いよいよ少年法の関係でありますけれども、詳細な内容は引き続いてほかの委員からあると思います。まず、少年審判について被害者等に傍聴を認めるという今回の改正の一番大事なポイントについて、法務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 本会議で趣旨説明、質疑をいたしましたときに、私は用意されたペーパーにはなかったことを少し申し上げました。 というのは、政治も、あるいは法務省も、政府もみんなでしょうが、犯罪のない、犯罪の少ない国をつくるためには、与野党力を合わせて頑張っていく、法務省も警察も頑張っていく、しかし、残念ながら犯罪というものは起きている。 そうしますと、被害者のない犯罪というのもないわけではありませんが、多くの事件では加害者があれば当然被害者がいる。加害者の扱いについては、刑事司法制度の中でさまざまな制度が充実してある。ところが、一番気の毒な被害者の方々に対して、余りにもその尊厳が重んじられていなかったという中で、平成十六年に犯罪被害者等基本法がそういう観点からつくられて、「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。」これは裁判等でもそうでありましょうし、あるいは経済的な問題もあるでしょうし、政府が今全体で取り組んでいる項目は、たしか二百五十八項目あるというような話を聞いたこともございます。 そういう中で、被害者の裁判への参加というのがことしの暮れぐらいから始まっていくわけですけれども、少年審判においても、やはり被害者等がその尊厳にふさわしい処遇をされる、そういう保障が必要だという観点で少年審判の傍聴という話になったわけでございます。 少年法はもちろん審判は非公開としておるわけでございまして、事件の当事者であってもその傍聴は認められていなかったわけですが、例えば、少年が被害者に重傷を負わせるとか、あるいは死亡させるという事件が起きた場合に、被害者の立場から見れば、加害者が少年であるか成人であるかということはその悲惨さにおいて何の違いもない、そういうふうに思うときに、被害者等が審判における具体的なやりとりをその場で直接見聞きして十分な情報を得たいという思いを持つ、その心情は十二分に理解できますし、犯罪被害者等基本法の精神に沿っているというふうに考えるわけでございます。 また、被害者等に傍聴を認めるということが、同じ審判廷に少年がいて、そこに被害者が入ってくる、ただ傍聴するだけであっても、そこで少年が受けるさまざまな影響があると思いますが、プラスの意味としてその立ち直りに資するというのか、内省が深化するという法務省用語がありますが、反省が深まるというようなプラスの効果もぜひとも期待をしたいと思っております。
○早川委員 きのう、私のところに犯罪被害者の会のあすの会の鈴木八恵子さんという方がおいでになりまして、お手紙を二通ちょうだいいたしました。 その中の一節に、「被害者は死人に口無し のけものに 加害者だけの少年審判」とか「法廷で 大岡裁きの名ゼリフ 聞きたかったな少年審判」ということで、結局、これまでは犯罪の被害に遭ったその子供を抱える遺族が全くその少年審判の状況について聞かされることはなかった。マスコミ報道等で、いつ、どういう結果が出るか聞かされて、コメントを求められる、こういうようなこともあったということを聞いておりました。 そういう意味で、今回の少年法の改正で被害者の方々が少年審判の傍聴ができるようになるということは、言ってみれば、非公開となっているこの少年審判のあり方について大きく一石を投じることになる、さらには、少年事件であっても、通常の裁判所に逆送されることになると被害者参加制度の対象になるということから考えれば、少年事件、少年審判であっても審判の傍聴を認めるということ自体は、極めて方向性は正しいと思います。 ただ、その一方で、現在の審判廷の広さとか、あるいは万一の事態にきちっと裁判所が対応できるか、人員の確保とか物的な環境の整備とかいう問題もあろうかと思います。 法務当局並びに最高裁では、この少年審判の懸念事項をなくすためにどんなことをお考えになっているか、それぞれお答えを願いたいと思います。
○大野政府参考人 少年審判の傍聴を認めることにつきましては、法務省でも法制審議会においてさまざまな議論が行われました。 その中で、少年審判の傍聴を認めると、少年が萎縮して、それによって少年の健全育成を期すという少年法の目的が果たせなくなるのではないかというような指摘もなされたところでございます。 この法律案では、裁判所による適正な処遇選択あるいは少年の反省を深めることの妨げにならないように、傍聴を認めるか否かについては、裁判所が少年の年齢や心身の状態等を考慮してきめ細かく判断することとされております。必要に応じて被害者等を退席させることもできるとされておるところでございまして、そうした規定を裁判所が適切に運用されることによって、少年の萎縮あるいは少年法の目的との関係で指摘されているような懸念は生じないだろうというふうに考えているところでございます。
○下村委員長 二本松家庭局長、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
○二本松最高裁判所長官代理者 それでは、最高裁の方から回答をさせていただきます。 まず、物的体制につきましては、現在の審判廷においても、例えば広目の審判廷を使用したり、座席配置を工夫するなどの方法により、少年と被害者等の間に一定の距離を保ち、円滑な審判運営をすることは可能であると考えております。 また、人的体制につきましても、裁判所としては、これまでにも、家庭裁判所調査官や書記官の体制の整備を図ってきたところでありまして、これまで整備してきました家庭裁判所の人的体制により、委員御指摘のような点についても十分対応できるものと考えております。 今後は、制度の運用状況も踏まえまして、必要に応じて適切に対処していきたいと考えております。 以上でございます。
○早川委員 それでは、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○下村委員長 次に、近江屋信広君。
○近江屋委員 自由民主党の近江屋信広であります。関連質問をさせていただきます。 まず、殺人や傷害致死といった少年事件の被害者の御遺族の皆さんから法務大臣に対しまして、ぜひとも少年法を改正して、そして傍聴が許されるようにしてほしいという切なる要望、要請書が寄せられたと聞いておりますし、また二万五千人にもわたる署名簿も提出されたと聞いております。 そういう被害者の皆さんの切実な思いに対しまして、改めて法務大臣に所感をお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 近江屋先生御指摘の件は、例の寝屋川事件、コンビニに二人で、万引きといっても相当な量の窃盗、大量に盗んで、それを追いかけた二十七歳の店員の方だったと思いますが、十五歳と十九歳の少年ともみ合いになって、ナイフで刺し殺されるという事件が昨年の十月でございまして、その御両親と友人の方が大臣室に見えました。 私としては、いろいろお話し合いはしましたけれども、何とも痛ましくて御遺族の心中を推しはかるだけでこっちの胸が圧迫されるというような思いで、本当に被害者、被害者の遺族の方は、犯罪の原状回復というのは、犯罪によりお子さんが亡くなるというこの穴を埋める方法というのはないわけですし、息子さんを殺されたという事実を一生引きずっていかざるを得ない、何とも痛ましくて言葉も出ないというのが、私の当時の心境、まだ数日前のことでございます。 そのことを考えると、先ほど早川先生の御質問にお答えしたように、とにかく一番気の毒なのは被害者あるいは遺族、そういう方々にできる限りのことをしてさしあげなければいけない、それが政府あるいは国会の責任だというふうに思います。 具体的には、少年法の改正、今ここで議論されております少年審判の傍聴というようなことについての御依頼がありましたし、正直言ってその要請事項の中には、重大殺人事件を犯した少年においても極刑や終身刑の適用、新設、制度を設けること。今の制度では、十八歳以下の少年は、死刑をもって断じようとする場合はこれを無期とするという条文がある。 ですから、御遺族の気持ちはこういうようなお考えだな、本当に、これから被害者あるいは遺族の方々には、今までより以上に我々はさまざまな配慮をしていかなければならないということを痛感する一日であったわけでございます。 〔委員長退席、早川委員長代理着席〕
○近江屋委員 法務大臣から非常に切々たる御所感の表明がありました。 確かに、少年審判において、被害者の皆さんは、事件の真相、真実を知りたい、また加害少年が反省をしているのか、また謝罪の言葉があるのかといったこと、また少年審判の成り行きはどうだったのか、やはり殺されてしまった被害者の方に成りかわって見届けたいという切なる思いがあろうかと思います。そういう被害者の声また思いに対して今回の法改正がなされたものと存じますが、それは現状では適切なものであるなという思いがいたしました。 次の質問でございます。傍聴を許す場合の対象事件についてでありますが、殺人事件等一定の重大事件に限るということにいたしておりまして、その理由についてであります。 こういうことに限定したのは、被害者の方の知る権利、そして加害少年の更生とか立ち直りとか、そういう二つの要請があって、その二つの要請の権衡、均衡を図る形でそのように限定するという結果になったんだろうと思いますが、その点の確認を含めて、法務当局にお伺いいたします。
○大野政府参考人 先ほど大臣の御答弁にもございましたけれども、今回の被害者等による少年審判の傍聴を可能にする制度は、犯罪被害者等基本法の「犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。」そうした基本理念に基づくものであります。そういたしますと、個人の尊厳の根幹をなす人の生命に害をこうむった事件、あるいはこれに準ずる被害を受けた事件の被害者等を傍聴の対象者とすることが、その趣旨に合致するものと考えられるわけであります。 一方、少年法でございますけれども、少年法の目的は少年の健全育成にあるわけでありますが、そのためには、少年等関係者のプライバシーやその内面にかかわる事項を含め広く情報を収集し、適正な処遇選択を図る必要があるということが一つであります。それからもう一つは、少年の心情の安定に配慮しながら、裁判所がその内面に深く立ち入って問題点を指摘して真摯に受けとめさせるという教育的な働きかけを行うことによってその反省を深める、あるいは内省を深める、そういう必要があるわけであります。そうしたことから、少年審判については非公開ということになってきたわけであります。 そうした趣旨に照らしますと、被害者等による少年審判の傍聴を認めるとしても、その対象事件は、殺人事件等の重大事件など、何物にもかえがたい家族の命を奪われた場合のように、被害者側の事実を知りたいという審判傍聴の利益と申しましょうか、関心が特に大きな場合に限るのが適当であると考えられたわけでございます。 こうしたことから、傍聴の対象事件につきましては、委員御指摘の殺人事件等の一定の重大事件に限ることとしたわけでございます。
○近江屋委員 ありがとうございます。 続きまして、被害者に傷害を受けせしめた場合におきまして、傷害により生命に重大な危険を生じさせたときに傍聴を認めるというふうに限定的な規定になっております。その趣旨または意義についてであります。 現実の運用においては、この限界が不明確なのではないか、もう少し明確な要件が必要ではないかといった御指摘もされていたと存じますが、実際の運用面の考え方を含めて、こういう限定を付したという意義またその趣旨について、法務当局にお伺いいたします。
○大野政府参考人 先ほども御説明いたしましたように、本法律案におきまして傍聴の対象事件を限定しているわけでありますが、委員御指摘の、傷害により被害者の生命に重大な危険が生じた場合と申しますのは、被害者が死亡した場合に準ずるということで、被害者側の事実を知りたいという審判傍聴の利益が特に大きいと認められるものであります。 その意義でありますれども、これによりといいますのは、生命の重大な危険が傷害により生じていることを意味しております。したがって、例えば医療機関への搬送中の交通事故等、その傷害と別の要因により生命に重大な危険が生じたような場合、これは審判傍聴の対象にはならないということになるわけでございます。 それから、生命に重大な危険でありますけれども、医療措置を施しても被害者が死に至る蓋然性が極めて高い状態にあったことを意味しておりまして、いわゆる危篤状態に陥った場合がその典型例であります。 それから、生命に重大な危険を生じさせたときでありますが、事件後、傷害により生命に重大な危険が生じた場合であればこれに該当いたします。したがって、一たんそのような重大な危険が生じたものの、その後、そのような危険がなくなったような場合もこの要件を満たすことになります。もっとも、そのように危篤状態を脱して回復に至るというような事例は、それほど多くはないのではないだろうかというふうに思われるわけであります。 構成要件は、今申し上げたようなことで、十分明確なものであるというように考えております。
○近江屋委員 このような限定を設けたのは、死亡に準ずるものであるということ、また直接的に傷害行為によって被害が生じたというふうなこと、また構成要件が明確であるということでありますが、運用面におきましても、適切な運用を心かげていただきたいなという思いがいたします。 続きまして、法文によりますと、「被害者等から、審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、」云々とあります。相当性の判断を裁判所に求められているわけであります。 そういう場合、やはり少年の更生と健全育成という目的を阻害しないように、裁判所は、先ほども事務当局からお話がありましたとおり、きめ細かい相当性に関する判断が重要であると思うわけであります。また、裁判所は、少年の置かれた状況あるいは被害者の状況、そういう事柄についてもきちんと把握した上で、さらに十分な判断材料をそろえた上で適切に傍聴を許すかどうかという判断をすることが求められていると思います。 特に、そうした被害者の状況、少年の状況等に関して、どのようにしてそういう材料を得るのか、そういう手だてについて最高裁判所にお伺いいたします。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 どのような場合に傍聴を認め、あるいは認めないこととするかにつきましては、今回の法律案に盛り込まれました諸事情を総合的に考慮して各裁判体が判断することになりますが、その際には、捜査機関から送られてきた証拠資料に含まれる少年や被害者等の供述調書を初め、いわゆる被害者調査を含めた家庭裁判所調査官による調査の結果などに基づきまして、少年や被害者等の状況を十分に把握した上で適切に判断することになると思われます。 以上でございます。
○近江屋委員 捜査資料、調査資料に基づいて判断するとされておりますが、できる限り広範に、詳細に、きめ細かく判断材料を集めて、適切に判断していただきたいものだなと存ずる次第であります。 さて、少年審判は、先ほど来出ております、加害少年の反省を促すという面が非常にあろうかと思います。その審判は、事件発生直後、比較的早い時期に行われるという実際の取り扱いがされていると思います。そうしますと、その加害少年が、十分誠意を持った謝罪をするに足るきちんとした反省が進んでいるのかどうかという懸念が非常にございます。 そういう状況のもとで、加害少年と犯罪被害者とが相対する形で、少年の方が興奮して心ない言葉を発する可能性もあるのではないか、そういう場合には被害者の心が大変深くさらに傷ついてしまう二次被害が心配されるという御意見、指摘もあるわけでございますが、その点について法務当局にお伺いいたします。
○大野政府参考人 審判傍聴による二次被害を懸念される御意見があることは承知しております。 ただ、そもそも審判を傍聴するかどうかは被害者側の判断にゆだねられておりまして、傍聴によって、少年の対応いかんによっては傷つく可能性があるということを考慮した上でも、なお自分は傍聴を希望するという被害者の方もいらっしゃるというふうに考えます。 また、少年も被害者もさまざまでございまして、審判を傍聴した結果、被害者がどのような感情等を抱くかにつきましては個々の事件によって異なると考えられますし、この法律案では、傍聴する者の不安や緊張を緩和するために適当な者を付き添わせることができるというようなことも定めているところでございます。 そうしたことで、審判の傍聴が被害者側にいわゆる二次被害を与えるおそれがあるとしておよそ一切傍聴を認めるべきでないという考え方は、私どもはとらなかったところでございます。
○近江屋委員 傍聴を認めるに際して、必要に応じて審判の場の座席の位置などを工夫する、心配している向きがありますので工夫しますという裁判所側の立場だと思います。 審判の場は非常に特殊な場ですので、考え方としては、被害者の知る権利、そして一方で加害少年の立ち直りや更生という二つの要請がきちんと達せられるような座席の工夫もぜひしていただきたい。これから具体的に裁判所の中で検討される事柄ですから、答弁は結構でございますが、そのような考え方で御努力をいただきたいと思います。 時間となりましたので、私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
○早川委員長代理 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党の大口でございます。 いよいよ少年法改正の審議が始まりました。 昨日、あすの会の岡村代表を初め、今、それこそ早川先生からも御紹介のありました鈴木八恵子様、最愛の息子さんを本当に残虐な方法で亡くされた、そういう思いのつづられた手紙も読ませていただきました。あるいは、茨城県の岡崎様からも、最愛の息子さんの件について、本当に切々とした文面をいただきました。 平成十六年に成立した犯罪被害者等基本法三条一項には、「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。」こう規定されております。この基本理念に基づき、平成十七年十二月、犯罪被害者等基本計画が策定され、昨年、刑事裁判への被害者参加制度の関連法案が成立いたしたわけであります。これにつきましては、ことしの十二月からスタートするわけでございますけれども、被害者国選の充実、報酬等も含めて、しっかり仕事をしていただくこともやっていかなきゃいけない、こう思っております。 そして、本当に最後に残された大きなテーマとして、今回、少年事件の被害者等に、一つは少年審判事件の傍聴を認める、二に記録の閲覧、謄写の範囲を拡大し、要件を緩和するなどを柱とする少年法改正案が提出され、事件の真相を知りたいとする被害者等の要望にこたえることになったことは、被害者等の個人の尊厳を確立するため極めて重要であり、この法案の提出を高く評価させていただきたいと私は思います。そして、与野党協議し、何としても今国会で成立させていきたい、こういう思いでおります。 法務大臣におかれましては、この法案の成立へ向けての思いをわかっていただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 今、大口先生から、具体的な会のお話とかお手紙の話とか承りました。 先ほど私は、寝屋川コンビニ事件の話をして、御両親とお会いをして、もう言葉を失う思いだったと申しました。その前に、例の海の中道の事件、これは危険運転致死が適用されなくて七年半という判決だということで、いわば飲酒関係で運転をして交通事故で亡くなられた方々の御遺族が大勢お見えになったときも、何とお答えしたらいいのかわからない気持ちでありました。 つまり、やはり一番重視しなければいけないのは被害者あるいは御遺族のことだということを、我々は今、痛切に思いを改めなければならないと思っています。そのことが、大口先生が今いきさつとしてお話しされました犯罪被害者等基本法の制定であり、それにのっとって基本計画ができて、今回の少年法の改正にまで至っているわけでございます。 例えば、役所の書いた答弁書に、多くの被害者等にとって、その被害から回復して平穏な生活に戻るためには、依然としてさまざまな困難があることが指摘されています、こういう文章があるんです。これは文章としては悪い文章ではないが、しかし、亡くなったり、あるいはもう立ち上がれないような大けが、後遺症が残った場合は、どういう手を尽くしたって、被害から回復して平穏な生活に戻るということは遺族の方にとっても絶対あり得ないことなんですね。 そう考えると、できる限り被害者や御遺族に温かくという思いでこれから公明党の先生方とともに歩んでいきたいと思いますし、民主党、自民党あるいは野党の皆さんとも一緒に歩んでいきたいと思います。とにかく少年法の部分でまずこれは成立させていただきたい、こうお願いをいたします。
○大口委員 今回の少年法改正の最も大きな柱は、被害者等による少年審判の傍聴の規定を新設するということであります。この傍聴規定が新設される理由は、事件の真相を知りたい、審判の具体的状況を知りたいという被害者等の心情が尊重されるべきである、また被害者等の立ち直りに資する上、少年審判に対する被害者等を初めとする国民の信頼を一層確保することにつながる、こういうことが挙げられております。 また、犯罪被害者の方やその支援者の方からも、この規定の新設について、被害者等の心情は少年審判の場合と成人の刑事裁判の場合とで異なるところはない、被害者等の傍聴によって少年がうそを言うことができなくなり適正な事実認定にも資するなどといった理由で、強くこの傍聴制度の新設を求められておるわけであります。 一部被害者の中に、被害者の二次被害が心配される、こういうことから反対される方もいらっしゃることも事実でありますけれども、こうした中で、少年法第一条の少年の健全育成の理念のもと、少年審判は原則非公開となっているわけですが、その例外としてこの少年審判の傍聴規定の新設に当たって、法制審でどのような議論がなされているかについてお伺いしたいと思います。
○大野政府参考人 この問題は法制審議会の少年法部会で議論されたわけでありますけれども、刑事法学者、法曹実務家等が出席いたしまして、被害者等による少年審判の傍聴に積極的な立場それから慎重な立場の双方から御意見が述べられ、大変熱心で濃密な議論がなされたわけであります。 そして、この議論の過程で問題になりましたのが、少年審判傍聴に慎重な立場から、少年が萎縮してみずからの心情を述べにくくなったり、あるいはプライバシーに関する事項を取り上げにくくなったりして少年審判の機能を害するのではないかという指摘がございましたし、また先ほど委員の方からも御指摘のありました、事件から間もない時期に傍聴を行うことによって被害者等に逆に二次被害が生じるのではないかというような懸念も表明されたわけであります。 しかし、審判の機能を害するのではないかという点につきましては、少年と被害者との関係はさまざまでありまして、常に少年が萎縮したりプライバシーにかかわる事項を取り上げることができなくなるものではありませんし、また現在考えられております案は、裁判所による適正な処遇選択や少年の反省を深める妨げにならないように、裁判所が少年の年齢や心身の状態等を考慮してきめ細かく相当性を判断することとしているということで、審判の機能を害することにはならないだろうという意見が多数を占めたわけであります。 また、二次被害の関係につきましても、傍聴により被害者等がどのような感情を抱くか、これは個々の事件によって異なる上、仮に傷つくおそれがあったとしても、なお傍聴をぜひしたいと希望される被害者等もおられるわけでありまして、傍聴を一切認めないとすることはやはり適当でないというのが意見の多数でございました。 こうした議論を経まして、法制審議会は最終的に、今回法案として提出しているような被害者等による少年審判傍聴を認める法整備をするのが相当であるという答申をしたものでございます。 〔早川委員長代理退席、委員長着席〕
○大口委員 この傍聴制度と少年の健全な育成という少年法の目的の両方を調和させていくということで、家庭裁判所が傍聴の相当性を判断するときの考慮事情として、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を挙げておる、そして少年法第一条は少年の健全な育成を期することを目的として掲げているわけでありますけれども、改正案もこの少年法の目的を前提として被害者や遺族の方々の傍聴を認める、こういうことでありますので、どのような要件や方法で認めていくことが適当なのか、こういうことをいろいろ考えた末、提案されたものということを承ったわけであります。 少年法の目的と新たに設けられた傍聴制度との関係についてもう少し説明していただくとともに、この傍聴の判断基準として、少年の健全育成に照らし相当と認めるときと明記をすべきではないか、こういう意見もあるわけでございますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
○大野政府参考人 お答えいたします。 本法律案では、裁判所による適正な処遇選択や少年の反省を深める妨げにならないように、裁判所において傍聴を認めるか否かについて、法律案に列記されておりますように、少年の年齢や心身の状態等の事情を考慮してきめ細かく判断することとしておりますし、また必要に応じ被害者等に退席してもらうこともできるわけでございます。したがって、少年審判の傍聴は、審判への支障が生じない範囲で認めるものでありますので、少年法の目的と抵触することはないと考えております。 ここで、御指摘の、例えば少年の健全育成に照らしというような文言を明記すべきであるという御意見もございますけれども、本法律案は、裁判所が行う相当性の判断において、少年法一条に規定する少年の健全な育成を期するという法律の目的を考慮することは当然のことであるというように考えまして、したがって、このような文言を規定する必要性は必ずしもないのではないかということで、あえてこのような案文になっているわけでございます。
○大口委員 また、今回の改正案については、十四歳未満の触法少年に係る事件も被害者等による少年審判の傍聴制度の対象とされておる。その理由として、一、被害者等の心情は、加害者が犯罪少年か触法少年かで特段異なるわけではない、二、触法少年については、刑事裁判になる可能性がないため、少年審判が傍聴可能な唯一の機会と言えるなどと説明をされているわけであります。 しかしながら、触法少年には、年少であることによる脆弱性の問題が存在し、傍聴による萎縮の可能性が一般的、類型的に高いため、犯罪少年と比べて特別な配慮を必要とすることは確かであります。 昨年、通常国会における少年法等一部改正案の審議においても、低年齢の少年が、精神的に未成熟で可塑性に富むこと、被暗示性が強いこと等を理由に、触法少年の少年院送致の年齢を、十四歳未満で下限のなかったところを、おおむね十二歳以上とする与党修正を、私もかかわらせていただきましたが、行いました。同様な理由で、触法少年に係る事件は被害者等による傍聴の対象から除外すべきであるという意見も少なからず存在すると思っております。 こうした中で、政府は、触法少年に係る事件も傍聴を認めることについて、裁判所がきめ細かく傍聴の許否について判断を行うことや、必要に応じて傍聴している被害者に退席してもらうことなどにより適切に対応することが可能である、こういう説明をされていることも承知しております。 もちろん、被害者の側の権利利益を尊重することは当然でございます。この改正法案には、裁判所は、少年の年齢、心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、傍聴することを許すことができるとしております。 そこで、お尋ねしたいことは、今回、裁判所が相当と認めるときの考慮事情である少年の年齢については、犯罪少年か触法少年かというのは私は重要な判断要素になると考えますけれども、そのような考えでいいのか。また、触法少年に係る事件で例えば小学生の場合、傍聴の可否についてどうなるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 結局は、家裁がきめ細かくさまざまな事情を判断して、当然年齢も考慮して、あるいは犯罪、触法少年の場合は犯罪と言うわけにはいかないでしょうが、事件の態様等あるいはその少年の状況等を細かく判断して、傍聴を認めるか認めないかは決めていくんだろうと思っております。 ただ、先生も話されておりますように、例えば殺人というような事件が起きたとすれば、その御遺族にとってみれば、十四歳未満の少年に刺されて殺された場合と、いわゆる非行少年というんでしょうか、罪となる十六歳だ、十八歳だ、あるいは大人に刺されて亡くなった場合と、被害者のお気持ちとしては何らそこに違いがない。したがって、事実を知りたい、あるいは加害者がどういうやりとりをしているかも知りたいというお気持ちには何の違いもないだろう、こう思うわけであります。 ただ、そういう中で、触法少年を含む低年齢の少年は精神の発育が不十分でありますから、その心情の安定への配慮というものはより一層されるものであろうというふうに考えるところでございます。したがって、それらを含めて裁判所が適切な運用をしてくれるものだろうと期待をいたしております。
○大口委員 次に、今回の傍聴の対象事件、これは故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪及び業務上過失致死傷等の罪の事件に限定しております。また、その中でも、被害者を傷害した場合については、生命に重大な危険を生じさせたときに限っているわけです。まず、この生命に重大な危険を生じさせたときの意義についてお尋ねしたいと思います。 生命に重大な危険を生じさせたときとは危篤状態などを指すと言われておりますけれども、どのような場合を指すのか、詳しく御答弁願いたいと思います。これが一点。 それと、生命に重大な危険を生じさせたときということでありますけれども、例えば寝たきりになったりするなどの介護を要する重篤な後遺症が生じた場合でも、被害者の方の生命に重大な危険が生じていなければ傍聴は認められないという指摘があります。被害者に重篤な後遺症が生じた場合に、生涯にわたってその療養看護、介護に当たる近親者の少年審判を傍聴する利益は尊重されるべきである、傍聴の対象に含めるべきである、こういう意見もあるわけであります。このような場合の傍聴を認めることが、また被害者等の個人の尊厳にふさわしい処遇として少年審判の傍聴制度を設ける趣旨に合致するとも考えられます。 このように、被害者に介護を要する重篤な後遺症が生じた場合であっても、生命に重大な危険が生じていなければ被害者や家族の傍聴を認めないという理由についてもお尋ねしたいと思います。
○大野政府参考人 本法案が少年審判の傍聴を認めることとしている、被害者が傷害された場合の生命に重大な危険を生じさせたときの趣旨でありますけれども、生命に重大な危険とは、医療措置を施しても被害者が死に至るような、被害者が死亡に至る蓋然性が極めて高い状態にあったことを意味しておりまして、危篤状態に陥った場合がその典型であります。そして、一たんそうした危険が生じれば、その後、そのような危険がなくなった場合にもこの要件は満たされることになるわけでございます。 他方、被害者に介護を要する重篤な後遺障害が生じた場合はどうかという点でございます。 立案の過程では、生命に重大な危険が生じなくても、身体機能に重大な障害が生じた場合にはなお傍聴を認めるべきではないのかというような意見もございました。 ただ、傷害により生じ得る身体機能の障害といたしましては、例えば手の指がなくなってしまった、あるいは下半身が不随になった等々、さまざまなものを考え得るわけでありまして、どのような機能障害が対象となるのか、どうも一義的に明確にするのが容易ではないということでありました。また、死亡した場合に準ずると言いがたい場合も含まれるように考えられたわけであります。 したがいまして、生命に重大な危険が生じていない場合には、後遺障害が残ったとしても傍聴を認めるというところは適切でないだろうということになったわけでございます。 ただ、これは個別の事案の判断ということになるわけでありますけれども、特に介護を要する重篤な後遺障害ということになりますと、例えば寝たきりになるほどの障害ということでありますと、生命に重大な危険を生じたというような場合も実際上は少なくないのではないかと考えられるわけでございます。
○大口委員 次に、被害者等から傍聴の申し出があった場合に、裁判所が少年や付添人からの意見を聴取することを傍聴許可の要件に加えるべきであるという意見もあるわけであります。少年審判には、裁判所がみずからの手続を主宰する職権主義的審問構造がとられておりますので、法的に必ず意見を聞かなければならないということは疑問があるということで、今回の改正案では、このような意見を聴取することは要件とされておりません。しかし、運用として、裁判所が傍聴を許可するに当たって、特に付添人の意見を聞くなどということは十分あり得ることであると考えます。 裁判所が被害者等の傍聴について少年や付添人の意見を聞くことは運用上の取り扱いとして望ましい場合もあると考えますが、この点についてお伺いします。
○大野政府参考人 委員から御指摘がありましたように、少年審判におきましては、いわゆる職権主義的な手続構造がとられておりまして、家庭裁判所が手続を主宰し、形式にとらわれず柔軟に審判運営を行うこととされていることなどから、この法案におきましては、傍聴の許否を判断するに当たりまして、付添人等の意見を必ず聞くこととはしていないわけであります。 ただ、裁判所の判断で付添人等の意見を聞くことはできますので、裁判所といたしましては、必要に応じて、付添人がいる場合にはその意見を聞くことになると考えております。
○大口委員 また、裁判所が被害者等の傍聴を許可する場合に、少年に付添人のないとき、例えば業務上過失致死傷等の罪では国選付添人というのはつかない場合が多いわけでありますけれども、そういう場合、裁判所が国費による弁護士付添人を選任すべきである、こういう意見についてはどうお考えでしょうか。
○大野政府参考人 この法律案で被害者側に認められますのは、少年審判の傍聴が可能になるということだけでありまして、傍聴によって少年の側で何か反証すべき事項が生じてくるというものではありません。また、裁判所による適正な処遇選択や少年の反省を深める妨げとならないよう、傍聴を認めるか否かにつきましては、裁判所が少年の年齢や心身の状態等を考慮してきめ細かく判断することにし、必要に応じ被害者等を退席させることもできると考えているわけであります。 したがいまして、そうした裁判所の判断、役割に照らしますと、国選付添人を付することとしなくても少年の権利利益の擁護を図ることは十分可能でありまして、今おっしゃった国選付添人を導入する必要というのは必ずしもないのではないかというふうに考えております。
○大口委員 今回、法文上、被害者等の少年審判の傍聴の方法として、モニター傍聴は認められていません。このモニター傍聴に関して、先日二十二日の本会議において、民主党の加藤理事の質疑に対して鳩山法務大臣は、法制審議会において、モニターによる傍聴であっても被害者等から見られているという点では少年に対する影響に大きな違いはないのではないかという指摘がなされ、多くの委員の賛同を得るには至らなかった、モニターで視聴することについてはある程度慎重でなければならない、例えばモニターという機械を使うと、それが失敗して広がってしまうことも恐れなければなりませんと答弁されたわけであります。 直接の傍聴に比べて少年審判に対する影響に大きな違いがないのであれば、なぜ、直接傍聴を認めて、モニター傍聴を認められなかったのでしょうか。狭い審判廷の中で被害者が少年と同じ部屋で顔を合わせることに精神的、身体的な負担を感じ、傍聴を断念せざるを得ない場合もあります。また、被害者が傍聴していることとモニターにより別室で見られていることとでは、少年の心理的負担に違いがあることもあると考えます。 例えば、刑事事件の場合では、性犯罪で、公判で被害者が証言をするときに、加害者のいる法廷に出ないでビデオリンクで、別室にて証言を行うことができることになっています。これは、被害者が加害者と顔を合わせたくないという心情に配慮して行われていることと思います。被害者に対する配慮という視点から考えれば、同様に、加害者である少年がいる審判廷でなく、別室でのモニター傍聴も選択肢の一つとして被害者等に認めるべきではないかと私は思うわけであります。 このモニター傍聴が今回認められなかった理由についてお答えをいただければと思いますし、モニター傍聴を導入する可能性について、大臣にお伺いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 先般の本会議で、モニター傍聴についての御質問に対しては、私は、法制審議会においてモニター傍聴を認めるべきではないかという有力な意見もありましたが、結局、モニター傍聴を認めない形で法律ができていったというそのいきさつについてお話をしたわけでございます。その中身は、今大口先生が読み上げられたようなことだろうと思っております。 ただ、よく考えてみますと、今の大口先生の御意見はまことに十分に傾聴に値するものでございますので、これは今後のかなり優先的な検討課題として我々も勉強をし、考えていかなければならないことと思っております。
○大口委員 時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。どうか大臣、よろしくお願いいたします。
○下村委員長 次に、細川律夫君。
○細川委員 民主党の細川でございます。 少年法の改正案、これについてお伺いをいたします。 犯罪被害者等基本法が制定をされまして、その後、まだ不十分な点もありますけれども、過去には考えられないくらい犯罪被害者や遺族に対する施策が広がりました。私も、二〇〇〇年に民主党から、犯罪被害者基本法という、今の法律は犯罪被害者等となっているんですけれども、その等がない犯罪被害者基本法という一字違いの法案を提案いたしました。そういう経緯もございまして、犯罪被害者の権利に対する理解が進んでいるということは私も大変うれしく思っているところでございます。そういう趣旨からしましても、この法案に対しておおむね歓迎するところでありますけれども、事は少年審判という点でいろいろな問題を感じていることもこれまた事実でございます。 少年法の理念は、言うまでもなく少年の健全な育成にありまして、その理念に変更が加えられるということはあり得ないというのは当然であろうと思います。しかしまた、犯罪被害者等基本法第三条にありますとおり、「個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利」これも非常に大切なものでありまして、この二つをいかにやっていくか、両立させていくかということが大変大事なことであろうと思っております。 そこで、まず最初に、この法案の傍聴の許可の問題について触れていきます。いろいろとこれまでにも他の委員から質問がございまして、重複するところもあるかと思いますけれども、お許しをいただいて質問をいたします。 まず、少年法の理念についてのことなんですけれども、民主党では、この法案を検討するに当たりまして、実際、少年審判の対象となった人を呼びまして話を聞きました。そこで彼はどういうお話をしたかといいますと、審判を経験する前には、審判なんというのは単なる通過儀礼だ、そのぐらいに考えていた、しかし、実際の審判廷では、裁判官の話に心を打たれて、真摯に反省するようになったというような感想を話しておりました。 私は、何よりも印象に残りましたのは、審判廷がアットホームな雰囲気であったという点でございます。私は、まず、被害者等が傍聴することによってこのような審判廷の雰囲気が崩れて、通常の刑事事件の法廷のような緊張の場面になるのではないかというようなことも恐れております。少年法の第二十二条には、「審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない。」こういうことになっておりまして、この条文が生かされたものであるべきだというふうに思っております。 そこでお伺いいたしますけれども、被害者団体の中には、傍聴は権利として認められるべきだ、こういう御意見もございます。私は、原則傍聴できるというこの考え方については、少年法の趣旨になじまないんではないかというふうに思っておりますけれども、この点について法務省はどのようにお考えでしょうか。
○大野政府参考人 今回の法律案で被害者の傍聴を認めることにした理由でありますけれども、これは少年が被害者を死亡させたような重大事件におきまして、その被害者等から審判におけるやりとりをみずからその場で直接見聞きして、その具体的な状況について十分な情報を得たいという強い要望が示されております。そして、そうした要望は、被害者にその尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を認めた犯罪被害者等基本法の趣旨等にかんがみると、十分に尊重されるべきであるということから、このたび、被害者等による少年審判の傍聴を認めるのが適当であると判断したわけでございます。 この法律案によりまして、被害者等には、一定の場合に、通常は非公開とされている少年審判を傍聴することができるという特別な地位を付与するものでありまして、これは被害者基本法が定める被害者等の個人の尊厳にふさわしい処遇を実現しようとするものであります。 ただ、傍聴を権利として認めるということの趣旨が、被害者等による傍聴を常に認めるというようなことでありますと、その点につきまして考えますと、現行の少年法で少年事件がなぜ非公開とされているのかということでございます。 これは、委員の御指摘もありましたように、少年の健全な育成を期するためには、少年等のプライバシーにかかわる事項を含め、広く情報を収集して、適正な処遇選択を図る必要があるとともに、裁判所が少年の心情の安定に配慮しつつ、教育的な働きかけを行うことによって、その反省を深める必要があることに基づくと考えられているわけであります。 したがいまして、今回、被害者等による少年審判の傍聴を認めることとしましても、少年法の目的である、少年の健全育成を期し、非行のある少年に対して保護処分を行うという、そうした目的達成のために必要な裁判所による適正な処遇選択あるいは少年の反省を深める妨げにならないように、家庭裁判所において事案や少年の個性等に応じてきめ細かくその許否を判断できる、そういう仕組みとすべきであるというふうに考えるわけであります。常に傍聴することができるということは、それは適当ではないだろうというふうに考えているわけでございます。
○細川委員 そうしますと、家庭裁判所の裁判官が、被害者等の傍聴が少年の健全な育成を害するおそれがあるというふうに認める場合には傍聴を許可しないと考えてよろしいですか。
○大野政府参考人 法律案では、少年の年齢や心身の状態等を考慮して、裁判所による適正な処遇選択や少年の反省を深める妨げとなることなく審判を適正に行うことができると認められる場合に傍聴が許されることとなると考えられるわけであります。 したがいまして、御指摘のように、少年の健全な育成を害するおそれがあると認められるような場合には傍聴は許されないというように考えております。
○細川委員 今のお答えにもありましたけれども、私は、法律の中に、健全な育成を害するおそれがないときというような文言を傍聴を許可するかどうかの判断の要件としてきちっと規定をすべきだというふうに考えております。そして、それに基づいてかなりきめ細かく、傍聴をさせるかどうか、許可するかどうかという判断をすべきだというふうに考えております。 そこで、傍聴の際、特に少年のプライバシーが審理の中で触れられるような場合、裁判官が被害者等の傍聴が相当でないと判断して、途中で退席を求めることがあるというふうに考えてもよろしいですか。
○大野政府参考人 傍聴が認められた期日の中でも、少年のプライバシーに深くかかわる事項、例えばその少年が性的な虐待を受けていた事実などに立ち入って話してもらう必要がある場合等、その被害者等の傍聴を認めることが適当でないと考えられる場合には被害者等を退席させる措置をとることができると考えております。 もともと、この傍聴の許可自体が裁判官の裁量によるものでありますので、そうした退席措置も当然に可能であるというふうに考えております。
○細川委員 法務省の立場はそうでしょうけれども、裁判所としては、そういった運用というのは実際に可能ですか。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 傍聴が認められました期日でありましても、少年のプライバシーに深くかかわる事項に立ち入って話してもらう必要がある場合などについては、各裁判体において必要かつ相当と認める場合には、被害者等を退席させる措置をとることも運用上可能であると理解しております。 以上です。
○細川委員 では次に、審判廷の広さなどについてお伺いします。 私も東京家庭裁判所の審判廷を見学してまいりましたけれども、一般の刑事法廷と比べまして、被害者等の傍聴席になるであろうと予測される席といいますか、場所、それと少年との間の距離は非常に近くなるだろう、こういうふうに感じました。 実際に、今までにも被害者等の意見聴取の際に、いろいろ数件のトラブルも起こっているというふうにも聞いておりますし、また、逆送された刑事裁判の法廷では、被害者の親族が少年に回しげりをするような事件も実際に起こっているところでございます。現状のままでこの傍聴を認めますと、そういうようなトラブルが起こらないとも断言できないだろうというふうに思っております。 そこでお伺いいたします。 現在の審判廷の構造がどのようになっているのか、また、被害者等をどこに座らせるのか、その場合、少年との距離をどういうふうに考えているのか、そういうところを具体的にちょっと最高裁判所の方にお聞きしたいと思います。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 全国の審判廷の面積の平均は、約三十五平方メートルとなっております。現在の審判廷においては、裁判官の正面に少年及び保護者が座る長いすが置かれ、裁判官の両わきに書記官及び家裁調査官が座ることが多いと思われます。また、付添人がつく場合は、裁判官から向かって右左いずれかに座席が置かれるのが通例だと考えております。 被害者の方に審判廷のどこで傍聴をしていただくかということにつきましては、個別の裁判体の判断する問題でありますが、例えば、審判廷後方の角であれば比較的スペースもありますので、ここに被害者席を設けることにより、少年との間に距離を保ち、円滑な審判運営をすることが可能であると考えております。 さらに、全国の家庭裁判所の審判廷は広さだけでなく形状もさまざまでございますので、少年と被害者との間の距離を一律に申し上げることは困難でありますが、例えば、委員もごらんいただきました東京家庭裁判所の審判廷、これは単独用のもので二十八平方メートルですが、そこを念頭に置きますと、先ほど申し上げました被害者の座っていただく位置と少年の位置との間の距離は約二・五メートル程度確保できると考えております。 以上でございます。
○細川委員 大体状況はわかりました。 では、先ほども申し上げましたような、いろいろトラブルが起こる、それを予防するために一体どういうふうに考えているのか。例えば、警備の人を配置するとか、あるいは警備の要員には警棒を持たせるとかというようなことを考えておるのかどうか。そこの点はどうですか。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 被害者が傍聴することになった場合に、不測の事態が生じることがないようにいかなる準備を行うかにつきましては、事案に応じて個別の裁判体が判断することになろうかと思いますが、例えば広目の審判廷を使用したり座席の配置を工夫するなどの方法によって、少年と被害者等の間に一定の距離を保つことが考えられます。 また、必要に応じて、審判に立ち会う職員の数をふやすことも考えられるところでありまして、このような方策により、不測の事態の発生を可能な限り防止するよう、留意してまいりたいと考えております。(細川委員「警棒は」と呼ぶ) 現在、審判廷に入る職員は警棒等は持って入っておりません。 以上です。
○細川委員 いずれにいたしましても、過剰な警備というのは少年審判という審判廷のよさを減殺いたしますし、何もしないと、もしトラブルが起こったときには大変なことになるというようなことで、こういうところはなかなかジレンマもあるところでございます。 そして、この制度を導入するに当たりまして、少年法で言う、和やかに審判を行う、こういう少年審判の趣旨に反しない程度で審判廷の広さを確保する、あるいは遮へい体を設けて審判廷の構造を多少変更するというような配慮もされるべきと思いますけれども、これについてはどうでしょうか。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 最終的には個別の裁判体の判断する問題ではありますが、現在の審判廷におきましても、傍聴が相当とされた事件については、先ほども申し上げましたように、広目の審判廷を使用したり座席配置を工夫するなどの方法によって、少年と被害者等の間に一定の距離を保ち、適正な審判運営をすることは可能であると考えております。 審判廷の改修の点も含め、今後の施設の整備等につきましては、必要に応じて適切に対処していきたいと考えております。 以上でございます。
○細川委員 私がこれまで指摘したとおり、現在の審判廷を見ますと、この現状で傍聴を許容するということが、少年の心を萎縮させる、あるいはまたトラブルを引き起こす、そんな可能性もあるわけでございます。 そこで、傍聴の許可に当たって、その時期における少年の心身の状態を考慮するだけでなくて、先ほどから議論になっております審判廷での傍聴者の位置も含めて、傍聴させることが少年の心身にどんな影響を与えるかというようなことを考慮して、きめ細かい判断をすべきだというふうに私は考えておりますけれども、この点、法務省はどう考えておりますか。
○大野政府参考人 傍聴の許否を決める際の判断要素として挙げられております心身の状態でありますけれども、これは被害者等の傍聴が少年や審判に与える影響を考える上で重要な要素であることから明示されているわけでありまして、現在の少年の心身の状態だけではなく、今委員から御指摘がありましたように、傍聴させることが少年の心身にどのような影響を与えるのかについても考慮することになるというように考えております。
○細川委員 次に、付添人についてお伺いします。 これまで述べてきましたように、被害者等の傍聴が少年の心身に与える影響というのは非常に大きいということが予想されます。 今回の改正案によりますと、傷害や業務上過失致死傷罪のように、国選の付添人がつかない事件も出てくるところでございます。私は、少年の萎縮を防ぎ、教育的機能に配慮するためには、弁護士の付添人が必要ではないかというふうに考えております。その際、付添人がいない事件の場合でも、裁判官が職権で付添人を選任するような仕組みもまた考慮しなければいけないんじゃないかというふうに思っております。 傍聴の可否を判断するに当たっても、裁判官は弁護士たる付添人の意見を求めた後に判断するような慎重さが望まれると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○大野政府参考人 まず、傍聴の対象事件について、職権で弁護士である付添人を付する制度を設けることについてでありますけれども、本法律案では、被害者等は少年審判の傍聴が可能になるだけであります。その傍聴によりまして、少年の側で何らかの事項を反証すべき状況が生じるというものではありません。 また、先ほど来御答弁申し上げておりますように、傍聴の相当性につきましては、裁判所がきめ細かく判断を行って許可することとしておりますし、必要に応じて被害者等を退席させるなどの措置をとることも可能であるというふうに考えているわけであります。そうしたことから、職権で弁護士である付添人を付さなければならないというような必要性は必ずしもないのではないかと考えております。 また、傍聴の許否、許可するかどうかを決めるに当たって、付添人から必要的に意見を聞くという点についてでありますが、少年審判におきましては、いわゆる職権主義的な手続構造がとられておりまして、家庭裁判所が手続を主宰し、形式にとらわれず柔軟に審判運営を行うこととされておりまして、必要に応じて付添人から意見を聴取することも当然可能なわけであります。 したがいまして、傍聴の許否を判断するに当たって付添人の意見を必ず聞かなければならないとするまでの必要性は必ずしもないのではないかというふうに考えております。
○細川委員 少年事件は非公開、こういうことでこれまでやってきたところ、例外として傍聴を認めていく、こういうことでございますから、傍聴を認めるかどうかというのは大変重要な問題だというふうに私は考えております。 そういう意味では、その許可をするかどうかに当たって、専門的な付添人、弁護士などの付添人に意見をしっかり言っていただく、そして、それも考慮して裁判官が判断をするというようなことは、私はやはりこの制度を導入するに当たっては必要なことではないかというふうに考えているところでございます。 次に、年齢要件についてであります。 これも既に出ておりましたけれども、やはり同じ少年でも、特に低年齢の少年については、一方では、未成熟で判断能力も低くて、他方では、心理的な圧迫や萎縮あるいは動揺が大きいことも当然予想されるわけでございます。 少年司法の専門家の中には、触法少年に対しては傍聴を認めるべきではないという意見がかなり強いわけですけれども、少なくとも、年少少年に関しては、傍聴を許すかどうかということについては格段な配慮も当然のことと思っております。 一方、被害者団体の方からは、逆送があり得ない触法の少年については、少年審判が傍聴の唯一の機会だというような主張もされておりまして、これもまた一理あることでございます。 そこで、年少の少年については、きめ細かく傍聴の可否を検討して、必要に応じて被害者等を退席させるなどの運用をする、そういうことは当然だというふうに考えております。さらに、一定の年齢未満については一律傍聴を認めないというような基準を設けることも検討すべきだというふうに私は思っておりますけれども、この点についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 先ほどもお答えしましたように、もう細川先生の御指摘の中で十分出てきておりますが、被害者の立場をこれからは重んじていこうという一つの大きな流れの中でこの少年法の改正をお願いしております。 被害者が、殺されてしまうとか、生命の危険にさらされるというような、大変な傷害を負うというような場合に、被害者の立場からすれば、あるいは被害者の遺族からすれば、大人に殺されてしまおうと、少年に殺されようと、あるいは触法少年に殺されようと、その思いは基本的に違わない、あるいは真実を知りたい、加害者を見たいという心理については何ら違うところがないだろうと思っております。 ただ、その大前提の中できめ細かく年齢等を考えて、家庭裁判所がその裁判体として傍聴の許諾を決めていくわけでありましょう。当然、年齢が低ければ低いほど、きめ細かな配慮をより一層強めなければならないということでありましょうが、一定年齢以下は傍聴は一切認めないという線引きはできないものではないだろうか、こう考えております。
○細川委員 確かに、今大臣が言われたように、少年の上の方あるいは大人でもそうですけれども、あるいは年少の子供でもそれは変わらない、犯罪被害者の方にとっては変わらないと思います。 しかし、審判を受けている少年というのはいろいろな差があって、とりわけ年少の子供たちにはいろいろ考慮してやらなきゃいかぬ、これはこれでまたそういう要請があるのではないかと私は思うんです。これについては、確かに、犯罪被害者の権利、それから少年法の理念、これがまさに衝突するところだろうと思うんですね。しかし、その少年の間でもいろいろな年齢の差がありますから、一定の、ごく年少の人たちにとっては、これは一律に制限をしてもいいのではないかというふうに私は考えているところでございます。 局長、何かあったらお答えください。
○大野政府参考人 被害者の側から見れば、今大臣が御答弁申し上げたように、少年の年齢によって被害の状況あるいはその心情に特段変わるところはないというふうに考えております。 委員が御指摘になっておりますのは、少年の側を見た場合に、触法少年を含む低年齢の少年には格段の配慮が必要であるということでありまして、それはまさにおっしゃるとおりでありまして、先ほど来申し上げておりますのは、裁判所が傍聴の許否を決する際の判断要素の中に、少年の年齢あるいは心身の状況というような要素が挙げられていることから、その中で十分に運用上配慮され、適切な運用がなされるのではないかということでございます。 それを超えて、一定年齢未満の少年についておよそ一切傍聴を認めない制度にすべきかどうかという点については、慎重な検討を要するのではないかというふうに考えております。
○細川委員 では、次に移ります。 次に、傍聴の対象事件についてお伺いいたします。 これについても先ほども出ておりましたけれども、この改正案では二十二条の四で、犯罪被害者等の傍聴を許可する対象の事件を、故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪、二つ目、刑法二百十一条、業務上過失致死傷等の罪、二つを規定した上で、いずれも被害者を傷害した場合にあっては、生命に重大な危険を生じさせたときに限るという限定を加えております。 私はこの限定をつけることには賛成でありますけれども、どの範囲がここで言う、生命に重大な危険を生じさせたことに当たるかどうかというのはなかなかはっきりしないところがございます。 先ほども大口委員の質問にいろいろ答えておりましたけれども、私は具体的なところでちょっと聞いておきます。三つ事例を挙げますから、こういう場合が当たるかどうかというふうなことで、はっきり答えていただきたいと思います。 一つ、事件直後は生命の危険に瀕したところであるけれども、審判開廷時は生命の危険はなくなった場合、これが一つ。もう一つ、事件直後も生命への危険はなかったし審判時も直ちに生命の危険はない、しかし意識障害でいわゆる植物状態になったような場合、これが二つ目。三つ目、明確な殺意によりナイフによって首を刺した、しかし頸動脈を外れたために結果的には生命に重大な危険はなかった。 この三点について、当たるのか当たらないのか、生命重大危険事案に当たるかどうかを答えてください。
○大野政府参考人 個別具体的な事情によって変わる部分もございますので、あくまでも御指摘の事情だけをもとに、教科書的にと申しましょうか、お答えいたします。 一番目の事例、つまり、事件直後は生命の危機に瀕したけれども、その後、審判時には回復したという場合には、これは生命に重大な危険を生じさせたときに当たるというように解釈いたします。 それから二つ目、直ちに生命の危険があるとは言えないけれども、いわゆる植物状態になった場合ということでございます。直ちに生命の危険があると言えないという前提であれば、これは生命に重大な危険を生じさせたとは言えないと考えられるわけでありますけれども、ただ、植物状態につきまして医学辞典等を引きますと、昏睡状態に陥って一たん死線をさまよったというような記載もございます。したがいまして、具体的な事情いかんによっては生命に具体的な危険を生じさせたと認定される場合もあるのではないだろうかということでございます。 それから三つ目の御指摘は、ナイフが頸動脈を外れて生命に重大な危険が生じなかった場合ということであります。これは、まさに明確な殺意によって傷害を負った事案ということだと思いますけれども、現実に生じた傷害の結果が生命に重大な危険を生じさせるものではなかったということであれば、傍聴の対象事件にはならないというように解釈するわけでございます。
○細川委員 それでは次に、記録の閲覧、謄写について伺います。 今回の改正で、記録の閲覧、謄写の範囲も拡大をしました。改正前では、当該保護事件の非行事実に係る部分に限る、こういうふうにされていたわけでありますけれども、この改正案では、いわゆる社会記録というのは除外されましたが、法律記録については原則閲覧、謄写を認めるというふうに規定されまして、少年の生い立ちや家庭環境が記載されているような身上、経歴等に関する記録であっても対象になるようでございます。 しかし、少年法二十二条の審判非公開原則あるいは六十一条の氏名、年齢あるいは職業などのマスコミ報道の禁止規定を見ましても、少年のプライバシーの保護、更生への支援の重要性は明らかでございます。 また、国際的に見ましても、国際法規の中で、子どもの権利条約は、刑法を犯したとされる子供に対する手続のすべての段階において子供のプライバシーの尊重ということを保障いたしておりますし、少年司法運営に関する国連最低基準規則第八条の中でも、少年のプライバシーの権利は、不当な公表やラベリングによって生ずる害を避けるために、あらゆる段階で尊重されなければならないというようなことが記載されておりまして、少年のプライバシー保護を規定いたしております。 この改正案では、身上、経歴に関する記録まで閲覧、謄写を認めるとなりますと、こういう国際法にも違反をするのではないかというような批判もあるところでございます。特に、これらの閲覧、謄写によって得られました情報に関して守秘義務というのは規定されておりますけれども、その守秘義務に違反した場合の罰則というものがございません。そういう意味では公開されないという担保がないわけであります。現に、インターネット上で調書の内容が公開された例などもありまして、こういう批判に対しては簡単には反論できないだろうというふうに思います。 少年を健全に育成するという理念に照らしまして、少年の身上、経歴などのプライバシーにかかわる情報は被害者等による記録の閲覧、謄写の対象から外すべきではないかというふうに考えますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○大野政府参考人 現行の少年法におきましては、保護事件の記録のうち、非行事実に係る部分だけが閲覧、謄写の対象とされているわけであります。 これに対しまして、被害者側から、現在対象とされていない少年の身上、経歴等に関する記録についても閲覧、謄写を認めるべきではないかという意見が出されているわけであります。 こうした被害者側の心情につきましては、犯罪被害者等基本法の趣旨等からいたしますと、やはり十分に尊重すべきものと考えられることから、今回の法案では、現行法が閲覧、謄写の対象とする非行事実に係る部分以外の記録も対象となるよう、その範囲を拡大することとしたわけであります。 もっとも、この法律案におきましても、プライバシーに深くかかわる内容を含む、いわゆる社会記録については閲覧、謄写の対象から除外しております。それ以外の記録につきましても、少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査または審判の状況その他の事情を考慮して相当でないと認める場合には、閲覧、謄写をさせないものとしているわけであります。 そうしたことから、プライバシーに深くかかわる内容を含むものにつきましては被害者側に閲覧、謄写をさせるのが相当でない場合もあると考えられますので、そうした場合も含め、裁判所によりその相当性が適切に判断されるというように考えております。 それから、委員御指摘の少年法五条の二第三項におきまして、閲覧、謄写をした者に守秘義務や注意義務が課されております。正当な理由がないのにこれにより知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならないというのが守秘義務であります。また、知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉もしくは生活の平穏を害し、または調査もしくは審判に支障を生じさせる行為をしてはならない、これが注意義務であります。 確かにこの守秘義務、注意義務につきましては直接の罰則は設けられておらないわけでありますけれども、仮に、被害者側が閲覧、謄写により知り得た事項を用いて、違法なプライバシー侵害を行って関係人に損害を与えれば、これは民法七百九条の不法行為ということになります。また、関係人の名誉を毀損した場合には、刑法二百三十条の名誉毀損罪が成立し得るわけであります。さらに、この少年審判の手続の中で、再度の記録の閲覧、謄写も認められないことになるのではないかというように考えております。 そうしたことから、今回、閲覧、謄写の対象となる範囲を拡大し、身上、経歴に関する記載についても閲覧、謄写を認め得ることとしても、直ちに大きな問題を生ずるということはないと考えているわけでございます。
○細川委員 今、記録の閲覧、謄写で守秘義務の罰則がない、それを公表した場合について民事、刑事で対応するというような答えがありましたけれども、しかし、それでは逆に少年の被害の方はなかなか回復ができないのではないかというふうに私は思っておりまして、この点についてはしっかりと規制もしていかなければならないのではないかというふうに思っております。 それでは、裁判所として、記録の閲覧、謄写の秘密を外部に公表しないためにはどういうふうなことを考えておりますか。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 先ほど法務省の大野局長が回答されたとおり、外部にみだりに漏らしたような場合には民事上、刑事上の責任が問われるということでございます。 あと、審判手続の中におきましては、もしそういうような行為をした者については、また閲覧、謄写を求めてきたときには裁判所の方は認めないことになるでしょうし、今後、審判傍聴制度が認められたようなときでも、そういうようなことをする危険性があるということで審判傍聴を認めないとか、そういったことで、外部にみだりに公表する等のことは事実上防げるのではないかというふうに考えております。 以上です。
○細川委員 今、最高裁の方からもお話がありましたけれども、そんなことで防げるでしょうか。私は大変疑問に思っております。 もう一度、ちょっと確認的に局長にお伺いします。 少年の身上、経歴などのプライバシーにかかわるこういう情報というのは記録の閲覧、謄写の対象から除外するということについて、もう一度ちょっと聞かせてください。
○大野政府参考人 今回の法案によります閲覧、謄写の対象の拡大で、従来、非行事実に係る部分に含まれていなかったということで一律に見せられないということになっていた身上、経歴に係る部分についても閲覧、謄写が可能になる内容ではございます。 ただ、先ほども申し上げましたけれども、この法律案の中でも、社会記録については閲覧、謄写が認められないわけであります。 つまり、少年のプライバシーに深くかかわる、外に出るとさわりがあるようなものにつきましては、引き続き閲覧、謄写はさせない方向で裁判所の裁量判断が行われるわけであります。それが、この法律案にあります、少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査または審判の状況その他の事情を考慮して相当でないと認める場合というそこの中で、プライバシーに深くかかわる、つまり、社会記録に匹敵するような内容の事項については閲覧、謄写が許可されないだろうというふうに考えられるわけであります。 身上、経歴と申しましても、一様ではございません。身上、経歴だから全部見せられないんだということではなくなるわけですけれども、しかし、さらに、社会記録にも匹敵するような、プライバシーに深く立ち入るような、外に出てはさわりがあるような事項は引き続き閲覧、謄写が認められないというような仕組みになっているというふうに考えております。
○細川委員 もうちょっと話をしたいんですが、次に移ります。 次に、被害者などの権利を保障して、当該事件をできるだけ知りたい、こういう被害者、遺族の要望にこたえる方策というのは、ただ傍聴だけではないというふうに私は思っております。被害者などからの意見聴取については既にもう規定をされているところでございますけれども、家庭裁判所による裁判所からの説明というものは規定がないわけでございます。 少年の様子を知りたい、あるいは事件の真実に近づきたいという遺族の要望は当然のことだというふうに思います。したがって、傍聴が許可される場合でも、あるいは許可されない場合でも、裁判所に対して説明の申し出があるような場合には、家庭裁判所の裁判官あるいは書記官が事件の被害者、遺族などに対して説明をする規定をしっかり明記しておいたらいいというふうに私は思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○大野政府参考人 現行法におきまして、被害者側に対する情報提供の仕組みといたしましては、家庭裁判所から少年の処分結果やその理由を被害者側に通知する、いわゆる審判結果の通知制度が設けられております。 少年法三十一条の二に規定がございますけれども、家庭裁判所が犯罪少年、触法少年の事件について終局決定を行った場合には、被害者等の申し出を受けて、原則として、その申し出をした者に対して、少年の氏名、住居、決定の年月日、主文、理由の要旨を通知することとされております。 また、先ほど来お話の出ております保護事件の記録の閲覧、謄写という制度もございます。さらに今回、一定の保護事件に限ってではありますけれども、傍聴の制度が導入されることになれば、これらの制度を利用することによりまして、被害者等は審判等の状況を十分に把握することができるのではないかと考えております。 したがいまして、これらに加えて、裁判所から説明をすることとするまでの必要は必ずしもないのではないかと考えるわけでございます。
○鳩山国務大臣 刑事局長の答弁は現状の説明であり、確かにそういう形で仕組みがあるわけですが、ただいまの細川先生のお話は、非常に傾聴に値するもので、今後の検討課題とすべきだと私は思います。やはり、それくらい被害者に対して裁判所が温かくあるべきだというふうに思い、先生のお話をこれから十分考えなければならないなと私は思った次第です。
○細川委員 もうそろそろ時間が来て、私はまだ、用意した質問の半分もやれていないような状況です。 これまでいろいろ質問してまいりましたけれども、要は、少年の健全育成という少年法の理念と、犯罪被害者、遺族らの権利をどう調整するかということだと思います。今までの答弁をお聞きしましても、少年法の理念が損なわれるおそれというものがまだまだ払拭できないところでもございます。 我が国は少年の再犯率は低くて、世間に言われているような、少年犯罪が凶悪化しているというようなことも、統計を見る限り正しくはないところでもございます。現在、少年法の理念が、審判や処遇である程度実現もしているというふうに言ってもいいだろうと思います。 そこで、最後に大臣にお伺いいたします。 今までの議論を聞いておられまして、少年法の持つ理念が犯罪被害者等の傍聴によって後退するのではないか、こういう意見もまたあるわけですね。それについて大臣はどのように考えているか、お考えを聞かせてください。
○鳩山国務大臣 少年法の持つ少年の健全育成という観点、それから先ほどから繰り返し申し上げております犯罪被害者の方々の心情をおもんぱかり、またその尊厳を重視しなければならないという観点は、もちろん、審判を聞きたい、知りたいというそのお気持ち、これらとの調整の問題であろうと思っておりますが、少年法の持つ少年の健全育成という理念はきちんと確保しながら、そうした中で、できる限り被害者あるいは遺族に配慮しようというのがこの法案の中身でございます。 実際には、少年の状況と被害者の関係というのは事件によって全部違うとは思いますが、裁判所がきめ細かく判断をして、傍聴の許諾というんですか、許否と書いてありますけれども、要するに認めるか認めないかを決めるということで裁判所を信じていきたいと考えておりますので、少年法の精神あるいは理念が踏みにじられる心配はないと思います。
○細川委員 一時間ほど質問させていただきましたけれども、この少年法の改正案はいろいろと問題もあるかと思います。今後、この委員会におきましては、ぜひ慎重審議をよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○下村委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時四分休憩 ————◇————— 午後一時十七分開議
○下村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となっております本案審査のため、来る三十日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○下村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○下村委員長 質疑を続行いたします。中井洽君。
○中井委員 民主党の中井です。 少年法の改正について、また関連することにつきまして、一時間質問をいたします。 最初に、大臣にお伺いいたしますが、御就任以来、刑務所はどこか視察に行かれたことはありますか。
○鳩山国務大臣 ええ、ございます。
○中井委員 この間、大臣と河村同僚議員の質疑を楽しく聞かせていただいておりました。樹木の伐採のところでございます。 私、法務大臣のときじゃなしに、何年か前に仙台の刑務所を見せてもらったことがあります。伊達政宗公の隠居所に建っていまして、政宗公が植えたのか何かわからぬですが、臥竜の松とかなんとかいったと思うんですが、物すごい松があるんですね。中庭へ行きますと、朝鮮半島から持ち帰った紅梅のまた見事な梅が、赤と白と二本あります。 何カ所か見に行きましたが、かつては郊外、外れにあった刑務所が町中、やはりあの塀は、違和感があるがやむを得ない。中や外に樹木を植えるというのは、囚人を監視するということからいってなかなかうまくいかないとは思いますが、膨大な敷地を持っているんですね。ああいうところをもう少し緑化するとか、何かそういうものを残していくとかいうことを一度お考えになる気はありませんか。
○鳩山国務大臣 刑務所とか拘置所とかいろいろあろうと思いますが、そういう法務省関連ということだけでなくて、すべての国あるいは自治体の施設関係で、樹木を大事にするという日本古来の文化を守っていくべきだと思っております。
○中井委員 すべてはすべてですが、法務省は、日本の官公庁の中で土地を一番広く所有されている役所でもあります。大臣、ひとつ率先して御検討賜ることをこの機会に申し上げておきます。 最高裁にお尋ねをいたします。 二〇〇六年六月、奈良県で少年が自宅に放火をして、義理のお母さんや兄弟が焼け死ぬという痛ましい事件がございました。もう既に当人は、家裁で中等少年院送致が決定をして、更生に向けて頑張ってくれていると思いますが、今回の法改正に関してお尋ねをいたしますと、残された父親がこういう家裁の審判のときに被害者として傍聴したい、こういったとき、少年に与える影響も非常に強いと思うんですが、実際に傍聴が認められるものだろうかどうか、最高裁、お答えください。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 今回の法律案には、少年の年齢それから少年の心情等、さまざまな事情を考慮して裁判所の方が傍聴を認めるのが相当かどうか判断することとされております。 そういったことで、少年とその父親の関係も含めて、さまざまな観点から考慮して、審判を傍聴させることの少年に与える影響、そういったことを重視しながら傍聴の許否を決めることになろうかと思います。 あくまでも仮定のお話ですので、私としてはこの程度しか申し上げることはできないということでございます。
○中井委員 年齢はもう高校生ですからおわかりだと思いますが、少し踏み込んで答えてくれた方が僕らはわかりやすいな、これが認められるか認められないかというのは。法務省、どうですか。
○大野政府参考人 今の委員の御質問が、被害者側ということで、少年の父親が、亡くなったその母親の配偶者等というような立場でどうかと……(中井委員「子供」と呼ぶ)そうですね、子供に対する父親にもなるわけであります。 これは、今回の法律で言います被害者等の中に含まれるわけでありますけれども、ただ、少年とも関係があるわけでありますから、そのあたり、先ほど来申し上げております審判に与える影響等の観点で、裁判所がその相当性をどのように判断するのかというのはまた別の問題かというふうに考えております。
○中井委員 それでは、もう一つこれに関連してお尋ねをいたします。 先ほどから、身上、経歴等の記録の閲覧、謄写の拡大をする、我が党の細川議員の質問に対して、違反が出ても民法、刑法の罪に問われる、こういうことで、罰則がなくても違反が出ないようになっているんだ、こういう防止策が講じられているんだ、こういうお答えがあったわけです。 この奈良の少年の放火事件に関しては、委員の皆さん方も既に御存じだと思いますが、翌年五月に、あるジャーナリストが本を書いた。これをめぐって、少年を鑑定した精神科のお医者さんが、秘密を守らなきゃならないという医者の違反だ、漏えいだ、こういうことで逮捕された、こういう事件があって、今公判中であります。 こういうのを見ますと、防止策が講じられている、こう言うけれども、なかなか難しいことだな。特に少年審判に関しては期間も短いことですから、これは一年後に出版したけれども、もうそのときにはとっくの間に処分が決まっているわけでありまして、後から幾ら言っても本はもう数万冊売れている、こういう状況にあります。 また、今回のこの奈良検察の対応の仕方を見ると、その精神科のお医者さんだけ守秘義務違反をしたということでやられているが、このジャーナリスト等は、あるいは出版社は、先ほど刑事局長のお話があった、民法や刑法の条項で罰せられている、あるいは訴えられているわけではない、ちょっとおっしゃっていることと現実と違うんじゃないかと僕は心配をいたしております。 法務省に聞きますが、人権局か何かがマスコミと雑誌社に勧告を出した、こういうふうに報じられていますが、この勧告はどういう勧告で、この勧告を受けてどういう行動を雑誌社と記者の方はなさったのか、お答えください。 それでは、最高裁、わかるようなら。
○二本松最高裁判所長官代理者 済みません、答弁の前に一点、少し訂正をさせていただきたいと思います。 先ほどの答弁で、いきなりの御質問で少し混乱いたしましたが、奈良の殺人放火事件につきましては、被害者である父親は少年にとっては保護者ということになりますので、保護者は審判に立ち会わせることもありますので、傍聴の問題とは少し異なるだろう。ただ、審判に立ち会わせるのがいいのかどうか、そこは裁判所の方もある程度、その少年の供述、どういう点を確認するのかとかそういう観点で、場合によっては父親を退席させて質問する等の配慮はあるだろうと思います。 それと、今お尋ねの、今回の「僕はパパを殺すことに決めた」という書籍に関して、これは報道によるわけで、裁判所の方が東京法務局の勧告について詳細に承知しているわけではありませんが、この書籍の出版に関しては、東京法務局と法務省の人権擁護局との間で共同で調査を行った結果、この書籍は、少年の生育歴等の私事にわたる事実を多数記述し、また一般人から信用性が高いと見られやすい捜査機関の供述調書等の引用という形で叙述しており、少年のプライバシー等を侵害する程度が著しく、少年の公表されない法的利益がこれを公表する理由を上回っていることが明らかであると認められた、そういうことから、人権擁護の観点から勧告をされたというふうに承知しております。 以上でございます。
○鳩山国務大臣 人権局長が今おりませんので、ちょっと急遽調べたことだけ申し上げますが、「僕はパパを殺すことに決めた」の発行が昨年の五月二十一日、六月五日に法務大臣が、これは長勢前大臣でございますが、記者会見でコメントして、まことに遺憾であると。奈良家裁所長、講談社及び執筆者に対し抗議書を送付いたしております。奈良家裁所長及び最高裁家庭局長がコメントして、まことに遺憾であると言っております。 七月十二日に、東京法務局が草薙厚子及び講談社に対し勧告をいたしております。その勧告の内容は、本件書籍は少年事件における少年やその家族の供述調書等を引用する形で執筆されており、少年のプライバシーの保護や社会復帰の観点、また少年法上の審判非公開の趣旨等からして、非常に大きな問題があると考えております、講談社と著者には、関係者の人権擁護の観点から、適切な被害回復措置を講じるとともに、今後の出版活動においても、こうした点について十分に配慮していただきたいと考えています、こういう形で勧告をいたしております。
○中井委員 大臣までが直接家裁の所長に抗議文を出される、よほど調書というものが直接引用されている。先ほどの刑事局長の答弁は、我が党の細川さんが心配をしていると申し上げたが、心配要らないと。そうなっても、民法七百九条、刑法二百三十条とあって、防止策になっているんだ、こう言っておるけれども、勧告だけじゃないか。これほど明らかなことはないじゃないか。 このお医者さんが勤務していた病院は僕の選挙区なんですよ。息子さんが、お父さんが当直の日に火をつけたんですよ。病院で当直している、いない日に火をつけたんですよ。だから、「僕はパパを殺すことに決めた」というのはどういうことか、僕は読んでいませんからわかりませんが。 そういうことを含めて、私は、こういうことを平気でおやりになるジャーナリストも出版社も処分されるべきじゃないか、勧告だけだ、これは少し現実と御答弁が違うじゃないかと申し上げているのです。どうですか。
○大野政府参考人 先ほど答弁申し上げましたのは、守秘義務を負う主体は、今回の法律案で新たに傍聴を認められる被害者あるいは記録の閲覧、謄写をした被害者、こういうことでございます。 先ほど細川委員の御質問に対して申し上げましたのは、もちろんその少年の身上等について新しい閲覧の拡大によって知り得る場合があるわけでありますけれども、しかし、社会記録についての閲覧、謄写は認められない趣旨等にかんがみまして、社会記録にも匹敵するような極めてプライバシー性の高いと申しましょうか、そういう点については、閲覧、謄写を認めるかどうかの裁判所の裁量判断の中で、おのずと相当な形の範囲での許可が行われるのではないかということを申し上げたわけでございます。 その上で、なお秘密を漏えいするような場合が仮に出てきたとすれば、これは民法の不法行為に当たる場合もあるでしょうし、また案件によっては刑法の名誉毀損に当たることもあるんじゃないかということを申し上げました。 一方、奈良の事件でございます。奈良の事件につきましては、守秘義務を負う主体は、あの事件におきまして鑑定を命じられた医師ということでございまして、法律上は医師の刑事責任を問うたということでございます。
○中井委員 おっしゃることはわからぬわけでもないですが、お医者さん自体が告発されて裁判になっているのは、医師法の、医者の方の守秘義務違反でしょう。あなたのおっしゃる民法でも刑法でもないでしょう。 また、幾ら取材の自由があり表現の自由があるといっても、見てはならないものをこそくな手法で見て、それを商売としてやっていくということに対して罰していかない、勧告だけで済むというのなら、これからだって被害者の付添人、例えば弁護士さん等は、そういうことだと幾らでもこのようなやり方をして出版したり報道したりする道があるんじゃないですか。 それはみんないろいろな思いがありましょうから努力はなさるんですが、やったことに対して、やはり守ると言っている方は守らなきゃだめだよと僕は思うんですが、最高裁、どうですか。
○二本松最高裁判所長官代理者 奈良の今回の出版の件と、その後、鑑定人であった医師が起訴された件については、個別の事件の話ですので、事務当局としてはコメントは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、もし今回のようなことが事実であれば、これは審判非公開の趣旨を踏みにじる行為ということにもなりますので、裁判所の方としては、今後、例えば鑑定をお願いするときには、改めてそこのプライバシーの配慮等についてきちんと説明して了解をとる等、そのほか記録の管理も厳正にするなど、裁判所の方としては注意していきたいと考えております。 以上でございます。
○中井委員 それでは、最高裁に来ていただいたついでに、あと二つほど他の件でお尋ねをいたします。 けさほど自民党の議員の方からも、裁判官がストーカー容疑で逮捕されたという事件が質疑されました。私も一遍物申そう、こう思ったのでありますが、よく考えてみたら、私、裁判官弾劾裁判所の裁判員でありまして、これは立場上やらない方がいいのかなと思い直しているところであります。事実としたらまことに残念で恥ずかしい、情けないことだ、こういうことだけは思いとして申し上げておきます。 せっかくですから申し上げますが、五十五歳の方ということですが、これぐらいの経歴の判事さんで、休暇というのは年間大体どのぐらいとれるのか、あるいはこういうクラスになるともう研修はないのかということについて、わかりますか、わかる範囲で答えてください。
○大谷最高裁判所長官代理者 休暇につきましては、年次休暇として認められているものは二十日間ございますが、実態としてどれぐらいとっているかということについてのデータは、申しわけございません、今持ち合わせておりません。 それから、研修につきましては、これは各種の研修を司法研修所などで行っておりまして、年齢が五十五歳であるかどうかということと関連づけるのは難しいのですけれども、例えば支部長になったばかりの人の研修とか、あるいは判事になって、新しい一つの裁判官としての区切りを迎える人の研修とか、さらには専門的な事件を担当している人たちの研修、こういうものについてはさまざまなものを用意し、現実に行っております。
○中井委員 高いレベルの法的知識や、あるいは判断、こういうのを常に磨いていただく研修も大事ですが、社会人としての常識というものも僕は必要だと思います。人間社会ですから、いろいろな人がおられて、このことで裁判所はどうだこうだと言うつもりはありませんが、ひとつ研修の中身等も、若いときからお考えになられておやりをいただくようお願いいたします。 こんなことを申し上げますのは、私、短い期間、大臣をやらせていただいたときに、ある大変立派な方でありましたが、高裁の判事をやられて退職されて、それから公的な仕事につかれた方と会食をしましたときにお尋ねしましたら、海外へ出張したことは一度しかないと言われたんですね、六十何歳で。びっくりしましたね。その判事さんだけかと思ったら、大体そうだというんですね。それはちょっと違うだろうといって、当時、最高裁に何らかの形で物を言った記憶があるんですね。 やはり研修というのは、時代時代、検事さんも含めていろいろあると思いますので、ぜひ柔軟に対応いただきますようお願いいたします。 それからもう一つ、最近私は友人が民事裁判で争いを起こされてやっていることで聞いたものですから、お尋ねをいたします。 過日、その友人が弁護士と一緒に弁論の準備の手続で呼び出されて裁判所へ行った。そうしたら、中井さん、相手は電話だった、こう言うんですね。私もうかつに、去年法改正になって、電話でそういうことができるというのを知りませんで、一瞬びっくりいたしたわけでございます。 こういう電話での事前の調査や何かというのは、認められてからかなり多くなっているんですか。
○小泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 今委員御指摘の電話会議による手続でございますけれども、これは平成八年の民事訴訟法の改正によりまして導入された手続でございます。施行は平成十年からということでございます。 電話会議でできる場面というのは、今委員御指摘の弁論準備手続と言われる期日、それから進行協議期日と言われる、訴訟の進行に関して必要な事項について協議を行う期日、この二つの期日がございまして、双方とも裁判所に出頭せずに電話で行うという書面による準備手続、この際に、当事者双方が裁判所に出頭しないで、裁判所と電話で会議をする、協議をする、こういう期日、三種類ございます。 委員御指摘の、どれぐらいなされているかというふうな具体的な数値は統計上とっておりませんが、主に、地裁の第一審の民事訴訟とか簡裁の第一審の訴訟で争点整理とか、それから証拠の突き合わせというのでしょうか、どこに争点があるかというようなことを協議する、そういう期日ですので、かなり広く、かなりといってもデータがございませんのであれですが、使われているというふうには承知しているところでございます。
○中井委員 法律を見ますと、「当事者が遠隔の地に居住しているとき」こういうのがあります。今回の私の友人のものなんかは、余り具体的なことを申し上げて悪いけれども、相手の弁護士さんが七十五キロ先ですよ。これは遠隔ですか。遠隔地ですかと僕は思うんですね。例えば、違う県ですから、違う県の裁判がぶつかるということもあるのかもしれません。こういうことがあるから弁護士をふやせと言っているんですね。電話でというのは、僕らにとってはびっくりするような出来事だ。 それで、話をお聞きすると、この電話代は裁判所持ちだというのだけれども、これがわからないですね。弁護士さんというのは、原告側、被告側いずれも、勝訴、敗訴で弁護代がどうなるか決まるまでは原告、被告がそれぞれ出すんでしょう。どうして裁判所が電話代を持つんですか。
○小泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 今委員御指摘のように、弁論準備手続等で電話会議装置を使うのは、当事者が遠隔地に居住している場合などということになっております。そういう場合には割と広く使われている、こういう趣旨でございます。 当事者が期日に毎回出頭しなければいけないというふうになりますと、期日の調整が困難となる場合も多いというふうになりますが、このような場合、裁判所としては、裁判を円滑迅速に遂行する必要がある、こういうことでございまして、裁判所が手続を円滑かつ迅速に進めるために必要な設備として、手段として電話会議を利用するということでありますので、裁判所が電話の使用に係る費用を負担するというふうになっていると承知しているところでございます。
○中井委員 これはちょっと僕は違う。国家財政厳しき折、別に電話でけちなことは言いませんが、膨大な会議でしょう。僕のその友達も、三十分ぐらい電話をつなぎっ放しでしゃべっておったと言っていますから、そこのところは少し判断が違うし、遠隔地というのは違うでしょう。北海道と東京なら遠隔地だけれども、そこら辺は少しお考えになられた方がいいんじゃないか、このように思います。 この友人の裁判でも、九月に受理されて八カ月、まだ三回目の準備期日。これは、どこが促進ですか。その間に、三月三十一日に判事さんが転勤でかわっておるんですよ。これは、全体的に大分改善されてきたとは聞いていますけれども、もう少し御工夫がお要りじゃないか。また、九月に受理されたら、三月に自分がそろそろ転勤なぐらいはおわかりでしょうから、やはりそれまでに結審する日程をおつくりになるというのも一つの仕事じゃないかと僕は思うんですね。そういうためにこれは電話まで使うんでしょう。そういうことを含めて、さらに国民の裁判に対する信頼あるいはまた便利性を高めるように御努力をいただきたい、このように思います。 最高裁は結構ですよ。 法務省にお尋ねします。 前々からこう思っていたんですが、少年法の少年というのは、どうして少年になるのか。つくったときから少年だとおっしゃるのかもしれませんが、何か理由があれば教えてください。
○鳩山国務大臣 中井先生から、少年法はなぜ少年法という名前なのかということで、我々だれもわかりませんで、調べました。 現行の少年法は、大正十一年に成立したいわゆる旧少年法が、昭和二十三年に、これは私の生まれた年ですが、全然関係ありませんけれども、全面的に改正されたものでありますが、少年法という法律名自体はそのまま引き継いできた、こういうことであります。 大正十一年というのですから、もう八十数年前に旧少年法が少年法という名前ででき上がった理由については、当時の国会における議論を調べますと、例えば少年審判法という名称にしてはどうかという議論もありましたが、旧少年法には刑事処分に関する事項など少年審判に関する事項以外の事柄も含まれていたため少年審判法という名前にはできないというので、網羅的な意味合いを含めて少年法という題名にした、こういうふうになっております。
○中井委員 要するにさっぱりわからぬのでありますが、別にこだわるわけじゃないですよ。僕の申し上げたいのは、どうして少年少女法じゃないのか。三分の一か四分の一ぐらいの子供は少女、法的には少年をすべてそういうふうに読みかえるということになるんでしょうが、少年をそういうふうにうまく使い分けて平気なのは司法関係者だけで、一般国民にとっては非常にわかりにくいんじゃないかと僕は前々から思っているんですが、いかがですか、大臣。
○大野政府参考人 今委員が御指摘になりましたとおり、少年は、男性だけではなしに女性も含む意味で従来から使われておりますので、この少年法は、少年、少女両方を含む、そういう趣旨でございます。未成年者の男女ということでございます。
○中井委員 いやいや、それはそういうふうにみんなが解釈しておるだけのことでしょう、違うのですか。どこかに書いてあるわけですか。
○大野政府参考人 今大臣の方から発言がございましたけれども、少年法の二条一項に、「この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、」こうなっております。したがって、二十に満たない者、男女を問わずこれに含まれる、法律上そのように定義されているということでございます。
○中井委員 また当時は、余り小さな子供の女性でこういうことの対象になったのは少なかった時代なのかなとも思いますが、今は全く違う時代である。何かいい名前があるかなと思ってずっと考えてきておるんですが、なかなかいい名前がないというのも事実ですが、国民の皆さんから見たらちょっと違うかなというところが僕はあると思う。少年を、この法律に関してだけ少女も子供もみんな含むんだよという言い方は違うんだろう、このことを思っておりますので、また何らかの機会にのんきに議論でも一度してみてほしい、このように思います。 それから、私は前々から、少年法の改正ということで、いつも成人十八歳、こういったことを言い続けてまいりました。国民投票法の、自民、公明、民主党の合意で、一応十八歳投票ということを境に民法等も検討に入るということで、大臣はことし二月、法制審議会に諮問をされた、このように承知をいたしております。 現在、この法制審議会の審議はどういう状況にあるのか、あるいはまた、大体一年で答申を出してもらえるという話を漏れ聞いておりますが、間違いなく一年で答申が出されてくるものですか、そういう状況にありますか、御報告ください。
○鳩山国務大臣 法制審議会に私が諮問をいたしましたのは、成年年齢を引き下げるべきか、引き下げないで現状のままであるべきか、私は白紙ですと言っているようなものですね、皆さんの御意見を承りたいという形の諮問をいたしました。 法制審は、現在は民法成年年齢部会というものをつくって検討していただいているわけですが、まだ今、この三月から一カ月に一回のペースで、いわゆる調査審議で、主に教育とか消費者問題等について、研究者、実務家の方々のヒアリング段階なんですね。勉強段階、資料集め段階という感じでしょうか。 それで、今後数回にわたってヒアリングを行った上で、ことしの秋以降に委員相互間で本格的な論議を詰めていくわけでございますので、その後結論を出すということですから、ことしじゅうには大体結論が出るんだろう、こういうふうに思っております。
○倉吉政府参考人 ただいま大臣がおっしゃったとおりでございますが、国民投票法の附則でおしりが切られている関係にあるということをちょっと補足させていただきたいと思います。 国民投票法が施行されるまでの間、平成二十二年五月が施行でございますが、そのことについて附則で、同法が施行されるまでの間に、「民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるもの」こうされております。また、これを受けまして内閣の方に、年齢条項の見直しに関する検討委員会というものが設置されました。その検討委員会におきまして、昨年十一月、平成二十一年の臨時国会または平成二十二年通常国会への法案提出を念頭に、法制上の措置について対応方針を決定できるよう各府省において検討を進める、こうされているわけです。これを受けて今法務省の方で検討しているのが、法制審議会にお願いをしている民法の関係ということになります。 法制審議会からいつ答申をいただくか、結論をいただく答申の時期については、もちろん法制審議会自身が決めるべき事柄でございます。審理の状況によっても変わり得るものではありますが、ただいま申し上げました、国民投票法でおしりが切られている、それを受けて内閣の方でこういう期限を切って決定をしている、そういう趣旨。それから、民法の成年年齢を前提とした法令が多数ございます。これを他省庁が検討しなければなりません。その時間的なことを考慮いたしますと、本年末までには一応法制審には方向性を出していただきたい、このように考えているところでございます。
○中井委員 法制審議会がどういうメンバーでどういう部会でというのは大体お聞かせをいただいておりますが、専門家、難しい議論、いろいろあります。そういう中へ、十六、十七、十八ぐらいのいろいろな階層の、学生さんから働いている人から含めて、代表者を呼んで意見を聞くということをお考えいただくわけにはいかぬでしょうか、いかがですか。大臣の考えでいいですよ。
○鳩山国務大臣 法制審というところ、これはもちろん権威のある機関ですから、そこに諮問をいたしておりますが、そこでも今ヒアリングをありとあらゆる形でやっていることと、今まで法制審は、議事録は公開をしても、だれがこういう意見を言ったということを伏せたわけです。今度は、お願いをいたしまして、顕名化というんでしょうか、例えば中井洽委員はこういう意見を述べたということを全部明らかにすることによりまして、だれがこういう意見だということを国民に知っていただく、さらに国民の間でも議論が活発になるように計画をしているところでございます。 法制審として、高校生等との意見交換会、五月三十日、東京都立芝商業高校、六月二日、千葉県立八千代高校、六月下旬または七月下旬に早稲田大学の学生と意見交換会を開くという予定があるようです。
○中井委員 大臣のころはどうであったか僕はわかりませんし、大臣は東京でお育ちですから我々とは違うかもしれませんが、僕は昭和十七年で田舎育ちですから、中学校の同級生の大体半分以上は中学卒業で就職しました。だから、そんな人たちは十五で就職して、稼いだら税金を払うんですね。そういったことを含めて、十八投票だ、同時に少年法も十八だ、成人十八だ、私はこういったことをずっと言ってまいりました。 かつて新進党をつくりましたときに、党の公約にしようということで何回か議論したことがあるんですね。ところが、当時おられた公明党さんの弁護士御出身の方やら新進党の弁護士出身の方を中心に猛烈な反対がありまして、これを取り上げることができませんでした。今回、民主党が投票権十八だと主張して、これに与党が歩み寄って議論して民法等も協議する、こういう形で方向づけをしてくれたことを非常に喜んでいるわけでございます。 お互い成人式のお祝いに行きますと、まあ二十でもまだ早いなと思いをするような成人式もたくさんありますが、私はやはり、十八投票、十八大人というのは、今、成長の速い、情報も私どもの若いころに比べてうんと集められる時代にふさわしいんだろう、こう考えております。 何でも意見を言われる大臣が何も意見を言わずに白紙で諮問をされるというのは非常に慎重におやりになっているんだろうということも思いますが、ぜひ、年内、お急ぎをいただいて、来年には国会で幅広い有意義な議論ができるように、それまで大臣をされているかどうかはよくわかりませんが、御努力をいただきたい。 何かお話があれば。
○鳩山国務大臣 私も、新進党結党のときの実行委員長を務めさせていただいた者でございまして、そのころ活発にいろいろな議論をした中で成年年齢の話もあったなと今懐かしく思い出すわけでございますが、いよいよ本格的に議論をしなければならないということになった、国民投票法がそのきっかけをつくったということで、これまた大いに結構だと思っております。私自身は今、二十がいい、十八がいいという固定的な考え方は持っておりませんし、法制審にもそういう形で諮問をさせていただいております。 もちろん、民法の成年年齢、公職選挙法上の選挙権の年齢あるいは国民投票法の選挙権の年齢を仮に下げたとして、そのことが直ちに少年法に全部自動的に影響を及ぼすものではありませんが、当然、もし十八を成年とすれば少年法についての考え方も大きく変わってくるわけでございますので、大変重要な事柄がいよいよ審議されていくんだなという意味では、身の引き締まる思いがいたします。
○中井委員 法案について幾つかお尋ねをと思います。 過般、本会議で我が党の加藤議員が、傍聴のあり方の中で、モニター傍聴を考えたらどうだ、認めたらどうだ、こういうことを質問いたしましたが、大臣は、丁寧にはお答えいただいたけれども、よくわからぬ事情でこれはだめだということをおっしゃっているんですね。法制審議会の議論もちょっと読ませていただきましたが、モニター傍聴がなぜだめなのかよくわからない。 一般の成人の裁判でも、被害者の御家族等が傍聴しておって、気持ち悪くなって退席されたり倒れられたりということもしばしばある、かなり生々しいことがやられるわけですから当然だと僕は思います。そういうのも嫌だなという思いもあれば、どうしてそうなったんだろうという納得できない思いで傍聴、その二つを兼ねよう思えば、私は、モニターで別室で見るというのは何も悪いことはないし、何も技術的に難しいこともないし、失敗したときに云々とかいうようなことが書いてあるので、何を失敗したと恐れているのか、これもよくわからないんですね。 だから、大臣の御答弁は承知していますが、事務方でひとつ、一体どうしてモニターをやったらだめなのか、ここのところを十分説明してください。
○大野政府参考人 今委員の御指摘のモニター傍聴は、法制審議会でも議論された点でございます。 確かに、少年に不当な影響を与えないようにするため、あるいは被害者を保護するために別室でモニターで傍聴する方法を認めたらどうか、こういう意見もございました。ただ、先ほど来の御答弁で申し上げているように、そういう意見は結局多数にはならなかったというか、少数にとどまったわけでございます。 その理由は、一つは、少年側からいたしますと、モニターによる傍聴であっても、被害者等から見られているという点では、直接傍聴されているのとさほど変わりはないということでございます。それから、被害者の関係について申し上げますと、これは裁判官の方からの御発言でありましたけれども、被害者等の反応を直接目にすることができないので、そのあたり、かえって審判がやりにくくなるんじゃないか、そういう御指摘もあったわけでございます。 そんなことで、モニターによる傍聴につきましては、それほど強く支持する意見がなく、結局これは法制審議会において採用されなかった、こういう経緯でございます。
○中井委員 済みません、僕は珍しく懇切丁寧にきょうは聞いておるんですよ。だから、法制審議会の議論も見たがよくわからない、そう言っているのに、あなたはそのとおり読み上げることはないじゃないか。 少年から見て、被害者が直接傍聴しているのとモニターで見ているのと変わりはない。結構なことじゃないか、変わりがなければ。モニターで見られたら余計プレッシャーがかかるというのならだめなんでしょう。どうして一緒だったらやれないんですか。それから、裁判官、審判の方から見たら云々という理由も僕はよくわからない。どういうことなのかさっぱりわからない、今読み上げられたことは。 そんな理由なら即刻やるべきだ、僕はこう思いますし、そうしたら、モニターでやるんですから部屋がちょっと離れておってもできるわけですから、審判の場所が狭いとかどうだという問題も片づくんでしょう。そういったことを含めて、答えてください。
○大野政府参考人 法制審議会の中では被害者の側からのいろいろな御意見もお伺いしたわけでありますけれども、その際に強い御要望がありましたのは、やはり直接見聞きしたい、こういうことでございました。別の部屋からモニターというようないわば間接的な方法で見るのではなしに、直接見聞きしたい、こういう御要望が強かったというように承知しておりまして、これがこの法案に反映されているということでございます。
○中井委員 この間の大臣の答弁は、技術的な云々というところで何かあったように僕は聞いておるんですね。今のお話は違う。だから、被害者の御要望だ、こう言うけれども、その人たちの審判はもう既にお済みになっているわけでしょう。これからおやりになる人が希望するときに、モニターがいいという人もいれば、実際に見たいという人もいらっしゃるかもしれぬ。実際に一回だけ見て、あとはモニターだけでいいという方もおられるかもしれぬ。見たくない、傍聴したくないという方もおられるかもしれぬ。僕は、それぞれに対応して何も悪いことはないと思うんですね。 だから、そういう意味で、被害者の代表の方の御主張は、実際に見たいと強く言われた、それはお気持ちはわかります。しかし、現実に大変生々しい事柄を聞いたときに耐えられない方も出てこられる。そういうことを含めると、別室でやる方がまだ気が楽に見られるんじゃないか、聞けるんじゃないか、判断ができるんじゃないかと僕は思っているんですね。また、その場におられて、余りのことに傍聴されている方が声を上げられる可能性もある。モニターの場合だったら、そういうことをされても別に審判に影響は出ないという利面もあるんじゃないかと僕は思います。 そういう意味で、この制度を導入するということであるならば、ここまで踏み込んでおやりになってしかるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○鳩山国務大臣 この件は、午前中、大口先生の質問にもお答えをさせていただきました。本会議で加藤公一先生から御質問をいただいたときには、法制審で出た意見を、ちょっとわかりにくい表現だったんですが、私なりにお話をしました。 それから、危惧云々と先生がおっしゃったのは、モニターというものを使った場合に、それを別の人が見てしまうとか、それがコピーされて渡るとかという可能性がもしあったら大変だ、これは厳重に管理をすればいいことなんだろうと思いまして、けさの大口先生にしても、今の中井先生のお話にしても、これは十分に傾聴に値する御意見でございますので、実務的にどういうことになるのか、実際実務に携わってきている方々とも相談をして、検討課題とさせていただきます。
○中井委員 もう時間がありませんので、もう少し中身を聞きたかったのでありますが、最後に私の提案を申し上げて、終わらせていただきます。 今国会は十五日までということで、延長もなさらない。先ほど、三十日は参考人質疑というお話も聞かせていただきました。今のこの審議の状況でいけば、委員長初め皆さん一生懸命おやりいただいているんでしょうが、この法案が衆参を通過するのは大変厳しいとお互い思わざるを得ないんですね。 私ども民主党の中にはいろいろな意見がございます。私みたいにあっさりと賛成というのはめったにおりません。また、私はこの責任者でありません。そういう意味で、細川さん初め私の後やります階さんも含めて、前向きで、この点はどうだ、あの点はどうだといろいろな提案を申し上げております。この際、もう思い切って、民主党や他の人たちの何とかこれを成立させようと思っている意見も全部取り入れて、成立を図るという努力を法務省また与党側もなさるべきだ、私はこう考えております。 そして、その上で、まだやはり専門家の弁護士さんを初め御心配の方がたくさんいらっしゃるから、三年なら三年たったら経過をきちっと見て、本当に被害者の心はいやされているのか、少年の保護育成に悪影響は出なかったか、こういったところをきちっと精査して見直しを図る、こういったことで成立を図るべきだ、私はこうひそかに思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 とにかく、今回の少年法の改正は、被害者や御遺族の尊厳という観点から発しまして、重要な改正をいたすわけでございます。国会は国権の最高機関にして国の唯一の立法機関でございまして、幾ら私どもが御提案をいたしましても、衆議院、参議院を通過いたしませんと法律にはならないわけで、これはもう私から申し上げることではなくて、私も国権の最高機関の一員ではあるわけですけれども、国権の最高機関の皆様方で話し合われて成立の方向に持っていってくださいますようにお願いをいたします。
○中井委員 委員長におかれましても御努力いただきますことをこの機会に要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○下村委員長 次に、階猛君。
○階委員 民主党の階猛でございます。 ふだん私は財務金融委員会なんでございますけれども、このような場で質問の機会をいただきましたことに、まずは心より御礼を申し上げたいと思います。 なぜ私がここに立っているかと申しますと、私、昨年の七月に補欠選挙で衆議院議員になりまして、その前は弁護士をしておりました。そして、東京弁護士会の犯罪被害者支援委員会というところに所属しておりまして、実は、この少年法の改正の問題についてもその委員会でいろいろ議論をしまして、一回議員会館の方にも陳情で伺ったりとか、そういう経験もございます。そういった経験を踏まえて、私は、今回、傍聴に基本的には賛成という立場からいろいろお聞かせ願えればと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。 まず、そもそものお話をさせていただきたいんですが、私が被害者支援になぜこういうふうに取り組んできたかということでございますけれども、司法修習のときに、被害者の気持ちはどういうものかということを一度聞いたことがあります。被害者の気持ちというものは、例えて言えば、こういう紙があったとして、これをぐじゃぐじゃに丸めて、それでこれを開きましても、紙というものは、一回ぐじゃぐじゃにしたものは絶対しわを伸ばそうとしてももとに戻らない、そういうものでございます。確かに加害者の更生する権利も大事なんですけれども、被害者の方というのは、それほどの、絶対回復不可能な傷を負っている、そういったしわを一つでも二つでも伸ばしてあげるようにしたいなと。 弁護士というのは、どちらかというと刑事事件に力を入れている方が多うございまして、被害者の側に立った弁護士というのは余りいないんです。実際、弁護士会の意見などでもなかなか我々の被害者側の意見というのは取り入れられないわけでございますけれども、私は、そういう経験なども踏まえて、微力なんですけれども、被害者の側に立った活動を弁護士時代から心がけてきたということでございます。 それで、質問なんですが、少年法を離れた一般論として大臣にお伺いします。 犯罪により肉親を失った遺族や瀕死の重傷を負わされた被害者において、事件はなぜ起こったとか、あるいは加害少年は何を考えているか、さらにはいかなる審理を経て処分が決められたのか、そういった事実を知る権利と、そのような重大事件を犯した加害少年が更生する権利とを比較した場合、究極的にはどちらが優先されるか、そのお考えをお聞かせ願えますでしょうか。
○鳩山国務大臣 私は、質問の前段に階委員がいろいろお話をされたことは、大変立派なことであり、すべて正しいと共鳴をいたします。 あすの会の岡村代表幹事が書かれた文章も先ほど読ませていただきまして、ここに書かれているような、岡村先生が書かれたような状況が実際に存在をしていた。それは、憲法上も、いろいろな手続の問題が書いてありまして、加害者の方がむしろ守られる、被害者の方には何の手当てもないという状況があったんだ、やはりそういう認識は我々もしなければいけないと思うわけであります。 今の先生の第一問は、いわばその究極のバランスはどうなっている、こういうことでありましょうが、少年の健全育成ということが少年法の大目的ですから、これはとても大事です。しかし、今まで余りにも被害者に対して、これは少年法の世界だけでなくて一般の刑事裁判においても、被害者に対して国は温かくなかったというかきめ細かな配慮をしてこなかった。 そういうことで、国を挙げて被害者の立場を守ろう、それは経済的な面も含めて守ろうといって大仕事をいたしておるわけであります。今までは被害者の立場が守られなくてこんなに傾いてしまっておったバランスを、被害者を重んじることによってやっと水平に戻すというのがこの法律案の目的ではないか、こう思います。
○階委員 ありがとうございます。 基本的なお考えをお聞かせいただきまして、私と本当に同じ目線でお考えになっているということで、非常にありがたいなと思っております。 ただ、先日の代表質問での答弁で一点気になったことがございました。といいますのは、少年法では、御案内のとおり、審判非公開の原則というものが二十二条二項で定められております。今回の改正案の代表質問で、大臣の方からは、この非公開の原則の例外として傍聴制度を設けるがゆえに要件を絞ったという趣旨の答弁があったと思うんです。 ただ、私の考えでは、公開というのは不特定多数の一般国民を念頭に置いた概念であって、事件の当事者であります被害者の傍聴とは異質なものではないかというふうに考えております。したがって、非公開の原則と被害者等の傍聴とは、原則、例外という関係で一体的に議論するのではなくて、両者は切り離して議論すべきではないかというふうに考えております。 実際、諸外国では、審判を公開するかどうかという問題と被害者等の傍聴を認めるかどうかという問題は別次元で議論されているのではないかということを、お配りしている資料一の方でちょっと御確認いただきたいのです。 主要国の審理の公開についての制度と被害者の傍聴についての制度ということで、これはそもそも二つに分けておりますけれども、やはりそれぞれ見ましても、例えば、アメリカのニューヨーク州の例で見ますと、少年事件は公開である、ただし家庭裁判所は一般公衆の傍聴を認めないことができる。公開の原則の例外が非公開であって、それとは別に、被害者の傍聴、一般公衆の傍聴を認めない場合でも傍聴できるというようなやり方ですとか、あるいは逆に、カリフォルニア州では、原則は非公開、ただし重大事件の場合は公開です。非公開の原則の例外が公開です。それとは別に、被害者は少年裁判所の審理を傍聴できるということで、やはり原則、例外関係に対するのは公開か非公開か、そういう問題であって、被害者等の傍聴についてはまた別次元の話ではないか、そういうふうに思うわけです。 そういったことから、先日の代表質問での大臣の答弁はちょっと私としては納得がいかない部分があったわけです。 私は、被害者等の傍聴について、審判非公開の原則の例外として特別に認めてあげるというような考え方ではなくて、非公開の原則とは別個独立に当然認められるという方向で考えるべきではないかというふうに思っておるんですが、その点について御所見を伺えますでしょうか。
○鳩山国務大臣 いいお話だと思います。私が本会議で答弁した文章がそういう響きを持って先生に受け取られてしまったとすれば残念であり、私は今、答弁した文章を持っているわけではありませんけれども、少年審判は非公開なんだ、特別に例外として少年審判の傍聴を認めてやるというような発想ではいけない。 被害者あるいはその遺族の方は、原則、もちろん家庭裁判所がきめ細やかな配慮をしていい、悪いは決めるわけですが、基本的に傍聴する機会を与えられるべきであって、そのことを法制化するのが今の改正法案である。したがいまして、特別に認めてやるというような考え方は、響きとしてあってはいけないことと思います。
○階委員 今お手元に答弁がないということなので、私がどこをちょっと気にしたかといいますと、自民党の小野先生の御質問に対して、「少年審判が非公開とされた趣旨からすると、被害者等による傍聴を非公開の例外として認めるとしても、その対象事件は、何物にもかえがたい家族の生命を奪われた場合など、被害者側の事実を知りたいという審判傍聴の利益が特に大きい場合に限るのが適当、」この答弁についてちょっと問題にさせていただきました。 そこの部分について、今のお話だと、そういう原則、例外関係は適当ではないというような趣旨にお聞きしましたが、それでよろしいですか。
○鳩山国務大臣 今私も手に入りましたが、この文章はそういうような形で受け取られるおそれがある文章であって、私が、役所が書いた答弁書をもう少しよく見て直しておけばよかったと反省をいたしております。気持ちとしては、この「例外」という書き方がよくないなと思いまして、これを反省しなければなりません。
○階委員 ありがとうございます。 それで、今回の法案、いろいろな意見がございます。傍聴反対派の方からは、被害者等の傍聴を認めることにより加害少年が萎縮し率直な発言や真摯な反省を妨げる、そういった意見もございます。 先ほどもごらんいただいたように、先進諸国では、既に被害者の傍聴は基本的に認められているわけでございますけれども、既に傍聴を認められている諸外国において、そのような意見を裏づける客観的な資料などがもしあれば御紹介いただきたいのですが、事務方で結構ですのでお答えいただけますか。
○大野政府参考人 ただいま委員が引用された法務省の資料に挙がっております米、独、仏の例で申し上げますと、少年事件の審理に被害者等の傍聴が認められているわけでありますけれども、そのことによって弊害がある、そういう資料があるということは承知しておりません。
○階委員 加害少年が萎縮し率直な発言や真摯な反省を妨げるというところが反対派の最大の論拠なんですが、今御答弁がありましたとおり、そこについて余り実証的なものが残っていないんですよ。 そういった中で、意見をどれほど信憑性があるものとして受けとるべきかどうかというところは、私は疑問に思っています。また、なるべくこういった制度については諸外国の事例などもつぶさに調べていただいて、そういった中でより客観性の高い論拠を提示していただくように求めたいなというふうに個人的には思っているわけです。 ちょっとまた別な話に行きますけれども、今回傍聴を認めるに当たって、現在の審判廷の構造についていろいろ問題があります。傍聴席との間に間仕切りがなかったり、加害少年と被害者との間に十分な距離が確保できないといった、傍聴を認めるのに不適切なものもある。しかしながら、審判廷の物理的構造を理由に傍聴を認めないということは本末転倒であります。国が早急に被害者等の傍聴に適した審判廷の整備を進めるべきと私は考えるわけでございますが、その点について御意見をお願いできればと思います。
○鳩山国務大臣 全くおっしゃるとおりだと思います。 私が裁判所のことをお話しするのはいけないのかもしれませんけれども、家裁の審判廷を私も見に行きました。やはり印象は、狭いなということでございまして、どのようにいす等を配置するかということは、当然、個別の裁判体が決めていくことなんでしょう。あるいは、傍聴する被害者と加害少年との間に何か間仕切りというのかバリアをつけるとか、広目の部屋を使うとかという話を聞かされておりますけれども、基本的にはやはり少しでもゆったりしている方が安心できる、こう思います。 実は、そのことは、この間、裁判員裁判が行われる東京地裁へ行ったときも感じたわけでございます。全部の部屋を見たわけではありませんけれども、余り広くはないですね。そこに傍聴席がかなりの数あるんですね。裁判員裁判ということになりますと、世の中の注目を集める裁判でしょうから、マスコミュニケーションを含めて相当な方が、多分傍聴は満杯になるんだろう。あれくらいの部屋のスケールで傍聴が満杯ですと、かなり熱気もあるだろうし、そういう中で裁判員の方も相当緊張をされるのではないのかな、そう思ったときに、もう少し広い裁判員の法廷があったらいいな、こういうふうに思いました。 私は、家裁の少年審判廷も、あるいは裁判員裁判の法廷も、これは法務省のお金でつくるものではありませんので、これから最高裁及び裁判所がどんどんそれらを広げていけるように、我々の責任で予算をつけていくべきではないだろうか、そんなふうに思いました。
○階委員 最高裁の方から、この点について何かお考えはありますか。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 被害者の方にどのように傍聴していただくかにつきましては、個々の事案に応じまして裁判体が適切に判断する問題でありますが、現在の審判廷におきましても、さまざまな事情を考慮して、傍聴が相当とされた事件につきましては、例えば広目の審判廷を用いたり、座席配置を工夫する、場合によっては、被害者の傍聴されるところに机を置くなどの工夫をするなど、少年と被害者との間に一定の距離を保ち、不測の事態を防止するとともに、円滑な審判運営をすることは可能であると考えております。 また、今後の施設の整備等につきましては、必要に応じて適切に対処していきたいと考えております。 以上でございます。
○階委員 ぜひ、審判廷の構造を理由に傍聴を拒否するということがないように、よろしくお願いできればと思います。 次の質問に移ります。 先ほども中井先生の質疑で出ていましたモニターの件ですけれども、先ほどの議論は、傍聴が認められるようなケースにおいて、選択的にモニター視聴も認めるべきではないかというお話で、私もそれは聞こうかなと思っていたんですが、既に出ましたので、仮にこういうケースはどうでしょうか。 傍聴を申し出ました、傍聴を認めるにはちょっと危険かなという場合に、傍聴は認めないんだけれどもモニターならいいですよ、そういう傍聴の補完的な制度としてモニター視聴を認めていく、そういうような方向性について、大臣、これは通告しておりませんが、お考えはいかがでしょうか。
○鳩山国務大臣 モニターを使うというのは、まさに先生御指摘のようなケースが一番想定されるのではないかと思います。ですから、大口先生に、あるいは中井先生に御答弁申し上げましたように、これは積極的に検討していく課題として受けとめていきたいと考えております。
○階委員 整理させていただきたいんですが、そうしますと、先ほどの中井先生の御答弁では、被害者の方でモニターにしてくださいと言ってきた場合も、そのような意向については対応する方向で検討するし、逆に、被害者の方は傍聴を申し出たけれども傍聴は認められないという場合であっても、傍聴にかえたモニターというものも認める、そういう両方向といいますか、二つケースを分けて考えますけれども、両方について御検討いただけるということでよろしゅうございますか。 ありがとうございます。
○鳩山国務大臣 午前中の御質問だったかと思いますが、少年審判の内容を裁判所は被害者に説明すべきではないかという話でありました。それは、記録の閲覧の範囲を広げるということでどうだろうかというふうな答弁をもちろん刑事局長はいたしました。それは当然のことだと思います。 また、審判によって保護処分が決定したときに、それを被害者に通知するという制度は従来からあるんだと思います。しかし、私は、やはり被害者に温かくという意味でいえば、家裁が審判内容を被害者にある程度丁寧に、できれば面談して説明するぐらいのことがあっていいのではないかというふうに御答弁を申し上げました。 その趣旨と同じような形で、とにかく被害者の方が少しでも満足され、傷は一生負っていかれるようなケースが多いわけでございますが、そういう方が少しでも救われるように傍聴という仕組みをつくりましたけれども、例えば、傍聴できない場合にモニターでとか、そういうことで温かく被害者に対処していかなければならない、こういう思いです。
○階委員 次の質問に移ります。 お渡ししております資料の二というのをちょっとごらんになっていただきたいんですが、一番上の表でございます。今回の改正で傍聴の対象となる主な保護事件ということで、数字が出ております。 このうち、原則として少年審判ではなく刑事裁判で処分される、いわゆる原則逆送事件、そういったものに当てはまるのは、いろいろな罪名を書いておりますが、どれでしょうか。
○大野政府参考人 この資料二の一の表だと思いますけれども、この中で原則検察官送致の対象となる事件は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものということになるわけであります。 具体的に申し上げますと、この表の殺人、傷害致死、強盗致死、強姦致死、それから集団強姦致死、強盗強姦致死、危険運転致死、ここまでの罪名で、罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものということになります。
○階委員 確認までにお聞きしましたけれども、こういった原則逆送事件のうち、実際に逆送になって刑事裁判になり、被害者等はもちろん一般人にも公開されることになる事件の割合というのはどの程度あるんでしょうか。
○大野政府参考人 平成十二年の少年法改正のフォローということで調査いたしましたのが、平成十三年の四月一日から平成十八年の三月三十一日までの五年間の資料がございます。 原則検察官送致対象事件に係る保護事件の終局人員のうち、実際に検察官に送致された人員の比率は約六一・九%でございます。
○階委員 原則逆送という中で、六一・九%というのがその原則という言葉と整合するかどうかというのは議論の余地があるかもしれませんが、それはそれとして、今回傍聴の対象となる事件は、原則逆送となる事件で実際には逆送されなかったもの、あるいはさっきの表の中では、原則逆送ではなくても、業務上過失致死とか、人の死という重大な結果が生じて、逆送となってもおかしくないような重い事件であります。 今回法律の改正がなされたとして、もし被害者等の傍聴を認めることに消極的な判断が続くようであれば、この表に列挙されているような重大事件の被害に遭った被害者の中で、逆送になったかならないかという、被害者側にとっては全く関係のない偶然の事情で傍聴が認められたり認められなかったり、被害者側にとってはまことに理不尽な結果になってしまうと思うんですが、その点について大臣はどう思われますか。
○鳩山国務大臣 原則逆送で、逆送になればもうこれは公開。そうすると、逆送になるかならないかの瀬戸際のもののみということがちょうど傍聴できるかできないかという話になってくる。そういう状況の中で、今、階委員御指摘のように、傍聴を認めることに消極的だ、そういうことになってしまうわけでございますので、やはり消極的であってはいけないというふうに思います。
○階委員 私としては、そういった理不尽な結果を防ぐような方策というものを考えなくてはいけないのではないかというふうに思っております。 そのために、まず、被害者等による傍聴の申し出の手続、法文上は単に傍聴の申し出があったときというような表現だったと思います、その傍聴の申し出の手続について、これは多分最高裁規則などで定められることになるかと思いますが、その規則で傍聴の申し出の手続をなるべく簡易にして、そして、例えばその傍聴の相当性を根拠づける資料の提出を求めるとか、そういったことで被害者の方に過度な御負担をかけないようにすることが必要ではないかと思うんですけれども、この点について最高裁としては、傍聴の申し出の手続、具体的なイメージはありますでしょうか。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 傍聴の申し出の手続につきましては、まず、各庁に利用しやすい申し出書の書式を備え置いたり、添付していただく書類につきましては、判断に必要なものに限る。例えば、被害者であるかどうかというのは一件記録から判明することでありますが、当該申し出をされる方がその被害者であるかなどにつきましては、運転免許証の写しを提出してもらうなど、そういったような判断に必要なものに添付書類を限るなどして、申し出人の負担が大きくならないように運用上配慮してまいりたいと考えております。 以上でございます。
○階委員 もう一つ最高裁にお聞きするんですけれども、先ほど申しましたとおり、原則逆送事件、今六一・九%が実際に逆送されているということですから、残り四割近くは逆送されていない、少年審判で処分が決まるということだと思いますが、そういった原則逆送事件について、少年審判の中で傍聴の申し出があった場合、これは特段の事情がない限り相当性が認められてしかるべき、すなわち傍聴は許すべきというふうに考えるんです。 その点について、その相当性というのはどの点にウエートを置いて、相当性の判断の基準の考慮要素は挙がっていますけれども、そのウエートづけとかそういうものも余りはっきりしていませんので、この場で言える範囲で結構ですので、今申し上げたような、原則逆送事件で傍聴の申し出があった場合には特段の事情のない限り相当性を認めるべきではないかとか、そういったような細則的な基準といいますか、相当性判断のさらにその下の基準みたいなものをお考えになっているかどうかということをお聞かせ願えますか。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 被害者の傍聴を認めるかどうかにつきましては、結局は、各裁判体が個別の事情を考慮して、法律に規定された考慮要素、例えば少年の年齢、心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を総合的に考慮して、個別具体的に相当性を判断するしかないと考えております。事件がいわゆる原則逆送の対象となるような事件であることについても、その中で適切に考慮されることになるものと考えております。 したがいまして、細則等を設けて、原則逆送事件につきましては特段の事情のない限り相当性があるとか、そういった決め方は困難であろうかと考えております。 以上でございます。
○階委員 そういうことですと、やはり相当性の考慮要素の中に列挙されているかどうかというのは非常に気になるところでございます。 私、これを見ていて、相当性の考慮要素の中に、少年というのは加害少年ですけれども、加害少年の年齢及び心身の状態というものはちゃんと列挙されております。他方で、被害者側の事情というのは一切この中にはありません。 その点について、考慮要素の中に被害者側の事情がなぜ漏れているのかというところについて、お聞かせ願えればと思います。
○鳩山国務大臣 役所がつくったペーパーとちょっと違うような言い方をしますけれども、確かに、家裁が傍聴を認めるか認めないかを考慮する、相当性というんでしょうか、少年の年齢や心身の状態というのはあるわけですね。 私は、傍聴という仕組みを設けるということは、常に被害者あるいは被害者遺族のことを最も重く考慮するという意味がこの法律全体に含まれていると思うんです。つまり、傍聴の申し込みをするんでしょうか、傍聴したいという被害者あるいは遺族から話があったときに、もうそれは最大限考慮するもの、ですからわざわざ書き込んでいないというふうに私は解釈をしているんです。 ですから、被害者の傍聴したいというお気持ちを最大限考慮して、それでもなお年齢とか心身の状況等を考えて、裁判所が、やはりこれは傍聴をさせない方がいいというきめ細かなことを考えて、そういう判断をすることがあるということを想定しているんだろうと思います。 私は、さっきの話でいえば、傍聴の申し出があった場合には、それこそ原則希望は入れられるものではないか、しかし、そういう事情、被害者のそういうお気持ちがあるけれども、きめ細かく配慮してみたら、例外的にやはりこれはあえて認めないということもあるのかなというふうに思います。
○階委員 大臣、大変踏み込んだお話をいただきまして、ありがとうございます。 私も、そういう方向性で考えていくのが一番、その都度その都度、両者を対等なものとしてバランシングするよりは、そういう方向性で、基本的には傍聴を認めるんだけれども、傍聴を認めない特殊例外な事情がないかというところをチェックしていく、そういう考え方が非常にいいことだと思っております。ありがとうございます。 それで、今回の傍聴の申し出について、仮に傍聴を認めないという家庭裁判所の判断になった場合、被害者等には異議申し立ての機会は与えられないということになるんでしょうか。これは事務方で結構ですので、お願いできますか。
○大野政府参考人 被害者に傍聴を認めない場合でありますけれども、不服申し立ての手続は設けておりません。 その理由でありますけれども、少年審判手続は、少年保護の観点から、特に早期処理が要請されるわけでございます。観護措置といいましょうか、身柄の期間等も定められているというようなことでございまして、仮に傍聴についての不服申し立てを認めるということになりますと、本体である少年審判手続の進行に影響を与えて遅延をもたらすおそれがあるということなどを考慮したものであります。
○階委員 法文を見ると、恐らくそういうことかなと思いまして、今確認させていただきましたところ、やはり被害者等には傍聴を認めないという判断に対して異議申し立ての機会が与えられていないということでございました。 もしそういう異議申し立ての機会がないということであれば、傍聴を認めないというケースでは、せめて傍聴を認めないという判断に至った理由を裁判所がその申し出をした被害者等に書面で告知すべきではないかというふうに思うんですけれども、その点は、運用のお話ですので、最高裁からお願いできますか。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 裁判所が仮に傍聴を許さないこととした場合の対応の方法や内容等については、個別の裁判体の判断による問題ではありますが、その申し出人に対して、少年や関係者の名誉やプライバシーを害するおそれがあるなどの弊害が生じない範囲で、書面によることも含めて、その理由等について説明するなどの適切な配慮がなされるものと考えております。 以上でございます。
○階委員 まだ少し時間はありますけれども、これで私の用意していた質問はすべて終わらせていただきました。 きょうは、大臣の方から、本当に、御自身の言葉で、被害者側にとっては非常に好感の持てると言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、非常にありがたい答弁をいただいたと思っています。私も今後とも犯罪被害者の支援についてはしっかり取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。 きょうはありがとうございました。
○下村委員長 次に、保坂展人君。
○保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。 まず、鳩山大臣、率直なところを議論させていただきたいんです、これはちょっと予告はありませんが。 少年法はなぜ存在するのか。戦後六十年、少年法が、例えば一たん過ちを犯した少年を更生させることに寄与してきたかどうか、基本的な評価をお願いしたいと思います。
○鳩山国務大臣 これは非常に難しい問題というか、大問題、大課題だと思います。 実は、先ほど中井先生から、少年法は何で少年法という名前なんだと。少年審判法という名前になりかけたけれども、少年法になったという大正時代のいきさつをお話ししたわけです。 私は、国会議員になりたてのころに、少年法というのは、法務省関連の法律だということはわかっておりましたけれども、少年審判等について書かれているものだということは知っておりましたが、もう少し幅広いものかと思ったんです。文部科学省関係のことは、義務教育とかそういう問題は入っていなかったとしても、児童福祉法というんでしょうか、厚労省関係ぐらいのことも少しは取り込んで、労働だとかそんなことも書いてある法律かと思っていたぐらいなんですね。 ところが、少年法というのは、実は、残念ながら、非行とか触法あるいは犯罪ということについてのみの法律であって、しかしながら、少年は若いんだから健全育成というか更生の機会が十分あるはずだという前提で書かれているわけですね。そのために、そっちを重視し過ぎればやはり被害者の方に手当てが薄くなるというようなこともあったのではないかな、こう思うわけでございます。 ただ、残念ながら、これは少年に限らず、我が国の再犯率というのは非常に高いですね。そういった意味で、もっともっと有効な方法を考えなければいけないんだろうと思います。
○保坂(展)委員 実は、昨年、この法務委員会で、相当長く、内容としては相当重い内容の少年法改正の議論がありました。そのときにも、実は、少年による凶悪犯罪の激増とか、こういったイメージはイメージとして国民の中にあるけれども、実際にはそういう数字はないというようなことは確認をしてきました。 ところで、大臣の今おっしゃったことというのは非常に率直な、少年法はもっと範囲が広いものだと思っていたということなんですが、裁判員制度を前に、一昨年、最高裁が実施した調査によると、これは国民の世論調査なんですが、事件については、成人より少年の方を厳罰にするべきだと考えている人が四人に一人いる。また、二〇〇六年に法政大学の尾木直樹先生が実施した千五百人対象の調査だそうですけれども、少年事件を起こした場合、成人より重く処罰すべきかと聞いたのに対して、同じぐらい、それからもっと重くという人が四六%もいたということなんですね。 少年法の精神、いわば、少年は可塑性に富んでいて、成人とは違って、一たん犯した過ちも、保護という視点で処遇をすることによって更生を期すことができるというのが少年法の根幹にあると思うんですが、そういうこともまだ、まだというか世間的にはそんなに知られていない。むしろ少年の方は厳しくやるべきだという意見すらあるわけであって、そういう意見が存在することについて、我々は世論に鈍感であってはいけないと思いますけれども、世論にひれ伏すのではいけないというふうに思うんですね。 要するに、大臣がさっきから言っているように被害者にとっては同じ結果ですが、明らかに少年法は、少年であるからこそ成人とは違った扱いをしよう、特に十四歳、犯罪少年と触法少年で切ってこれを変えているわけですね。そういうことについて理解をしていない議論があることについてどう思いますか。
○鳩山国務大臣 私、学生時代に大学の授業の関連で、少年が凶悪犯罪を犯した場合は、大体過去をたどると同じような不幸な目に遭っている、何か親に小さいころぶん殴られているとか、だから、そういう少年は何度でも犯罪を犯すから、離れ小島で開放処遇というんですか、ボートもなくて、離れ小島にみんな集めてそこに住まわせればいいんだ、そういう意見もあるんだよ、そういう刑事学的な考え方を聞いたことがあって、なるほどなと思ったこともあるんです。 今の先生の問題は本当に根本的な問題でして、だから、先ほどの民法の成年年齢とも関連がいずれは出てくるかもしれない事柄であって、ただ、私も、地元であれ、あるいは友人関係であれ、いろいろな話をしたときに、なぜ少年だと軽いんだ、保護処分なんだ、それはわかるけれども、少年法のために、大変な犯罪を犯しても扱いが全く違って、平気で出てきてしまうではないかということは相当言われます。私は世論にひれ伏すつもりはありませんけれども、世の中では確かにそういう空気がある。それは正確なデータをお示しするわけにはいかないと思いますが、やはり犯罪の低年齢化、凶悪犯罪を低年齢でも犯すという傾向が一般的に出てきて、体感治安の悪化につながっているからではないかなというふうに思います。
○保坂(展)委員 ですから、耳を傾けるということと事実を示すということをやはりしっかり分けて考えていただきたいと思うんです。こちらのデータでも明らかに、ここ五年でも、今回の法改正によっていわゆる対象となる重大事件の審判の数そのものも減っています、殺人の件数は横ばいですけれども。 刑事局長にちょっと伺いますが、体感治安という言葉が出ましたね。これはやめられた警察庁の竹花局長の言葉だと思いますけれども、少年事件は、例えばこの一年、激増していますか、凶悪化していますか、低年齢化していますか。体感治安という言葉は法務省は使いますか。私は使ってはいけないと思っていますよ。
○大野政府参考人 まず、体感治安という言葉でありますけれども、定義が必ずしも明らかでありませんが、世間一般にそのような言葉が使われているということは承知しております。 実際の少年犯罪情勢でありますけれども、先ほど委員が御指摘になりましたように、件数的にはここ数年はむしろ数が減少している傾向を示しております。ただ、ことしに入りましても少年による凶悪重大事犯はなお後を絶ちません。例えば四月に土浦市で通行人の連続殺傷事件のようなものが起きております。したがいまして、そうした点に対する国民の不安、これを体感治安というかどうかはもちろん別の話でありますけれども、これは依然として深刻な状況にあるのではないかというように考えております。
○保坂(展)委員 鳩山大臣にちょっと考えていただきたいんですが、実は、昨年、長勢大臣とこの少年法について議論したときに、二〇〇〇年に十六歳から十四歳に刑事責任の年齢が引き下げられましたね。前回の改正では、大きくこの委員会で議論になったのは、十四歳未満の少年も少年院に送致することができる。では、十四歳未満というのは一体幾つなんだろう。十四歳未満というのは十四歳より下だということになって、五歳、八歳、十歳はどうか、五歳は無理だけれども八歳はわかりません、いや、八歳も行くのかという話になって、与党の方で、おおむね十二歳ですか、そういった修正で、おおむねというのだから十一歳から、こういうことになったわけなんですね。 ところが、長勢大臣は、ここに議事録があるんですけれども、この審議をしていた時点で、昨年ですが、触法少年、つまり十四歳以下の少年が少年院に来ることもあると明言しているんですね、もちろんあるわけでございますと。私は驚いて、今も、つまり昨年の今も、では少年院に十四歳未満の少年がいるんですかというやりとりを二回連続してやったんですけれども、非常にあやふやな認識で、困ったものだなというふうに思いました。 具体的にちょっと矯正局長にお聞きしますけれども、八施設、いわゆる小学生年齢の子供も、あるいは中学生の十四歳以下の子供も、議論をしたのはとりわけ小学生ですね、用意をされているということでしたけれども、例えば男性教官、女性教官とか、精神科医、カウンセラーそして特別の処遇室、こういう用意におおむねどのぐらいお金をかけて、そして人員的にはどのぐらい配置をして、そして今まだいないのではないかと思いますけれども、その実態をひとつ。
○梶木政府参考人 まず、昨年の法改正の後で、処遇の区分を決めておりました局長通達を改正いたしました。今委員が御指摘のとおり、東日本で四施設、西日本で四施設を新たに年少少年を収容する施設として指定いたしました。その上で新しい通達を出しまして、処遇をする際の留意事項の中心的な部分を定めさせていただきました。 例えて申しますと、処遇の体制、環境につきましては、今御指摘のありましたように、他の少年から分離をした居室、教室を準備する、あるいは男性、女性の教官をペアとして処遇、教育をしていくとか、幾つかのことを定めております。 そういったことを実現するために、現時点でいいますと、二施設について取り急ぎ居室の模様がえをいたしました。そしてさらに、残りの施設等につきましても、順次、本年度、居室の整備等をやっていく準備をしております。予算の額、本年度予算では約八億円ということで措置をしていただいております。 それから、実績は、幸いのことと申しますか、今のところ報告がないということでございます。
○保坂(展)委員 児童自立支援施設もまだ十分あきがあるということですから、整備をしたから早く使わなきゃということではないことはおわかりだと思いますけれども。 裁判所にちょっとお聞きしたいんですが、今論点になっている犯罪被害者の審判の傍聴というのは、例外なく認めるということになるんでしょうか。原則は認めて、例外的に認めないということになるのか、それとも、個々の裁判体の判断に従って、これは適当である、適当でないというふうに判断するのか、ここを明確に答えてください。
○二本松最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 結局は法制度の枠組みの話でして、法を執行、運営する、審判を運営する裁判所の立場として、原則、例外という言い方は申し上げることはできませんが、今回の法律案によりますと、さまざまな事情を総合考慮して、裁判所の方が個別の事案に応じて傍聴を認めるか、あるいは認めないかを判断するというふうになっておりますので、その意味では、個別の判断ということになろうかと思います。 以上でございます。
○保坂(展)委員 では、起案した刑事局長に聞きますけれども、今の裁判所の答弁とこの法律の法文は大体一致しているように思えるんですね。つまり、どちらかが原則でどちらかが例外ではなく、個々のケースによって判断がされる、こういうことでよろしいですか。
○大野政府参考人 法文上は、個々のケースによりまして、この法律に列挙されているような考慮事情を考慮した上で判断するということになっております。 なお、先ほど、ちょっと私、土浦の通り魔事件を少年事件の例として申し上げましたけれども、あれは成人でございまして、少年による通り魔事件は品川で発生した事件でありましたので、訂正させていただきたいと思います。
○保坂(展)委員 大臣、これは法務委員会ですから、やはり逐条審議をしていかなければいけないんですね。ですから、裁判所も刑事局長も言っているように、原則や例外というのはどこにもこの法文には書いてないんですよ。行間ににじんでいるじゃないかと言われては困るんですね。 ですから、もし大臣の言う答弁で、原則みんな傍聴可能なんだという思いですというのなら、これは法文を出し直さなきゃいけない。ここはしっかり、言っていることは違うじゃおさまりませんよ。どうですか。
○鳩山国務大臣 私が申し上げておりますことは、もちろん個々の少年審判においてそれぞれの家裁の裁判体が判断するしかないわけですが、そもそもが犯罪被害者というものに対して厚くなかったということで、今ありとあらゆる面で犯罪の被害者や被害者遺族に温かくということで政策をとってきている。今回の少年法の改正も、少年審判の傍聴を認める、それから記録の閲覧、謄写のことも範囲を広げるというふうな形にしてきたわけですから、私は、心としては、できる限り傍聴をしたいという方の希望がかなえられる方向で物事が進んでいくことを望んでおります。
○保坂(展)委員 ですから、冒頭で聞いたのは、少年法という体系がうまく機能してきたのかどうか。私の立場は、いろいろな問題点は残しながらも機能してきたという立場なんですね。 少年審判の様子が相当変わる可能性があると指摘されていますね。ですから、大臣、要するに、少年法の根幹である保護処分、そして少年の更生を期すんだという審判のあり方があって、その審判のあり方を原点にして、個々の裁判体が傍聴してもらえるかどうかということについて判断をするというのが政府が提案している法律じゃないですか。だから、そこをそうじゃないというふうにおっしゃるのなら、これは少年法そのものをもう存続する意味がないというふうにおっしゃっているのとだんだん似てきてしまうんですね。だから、そこをきちっと整理して言ってもらわないと。 つまり、犯罪被害者の権利が制約されてきたのも事実ですよ。しかし、少年法の体系が審判という形で積み上げられている現実もあるわけですね。だから、そこをどういうふうに整理するのか。ですから、原則は全部傍聴できるんですというふうに法務大臣がずっと言っている、しかし刑事局長や裁判所は違うということでは、これは審議にならないと思うんですよ。だから、整理していただきたいと思います。 〔委員長退席、早川委員長代理着席〕
○鳩山国務大臣 私は先ほど階委員とのやりとりの中でそういうお話をしたわけで、原則、例外という言葉を使ったのは表現上適当だったかどうかはわからない部分がありますけれども、これは被害者に温かくという形で改正をお願いしているわけですから、当然、被害者の希望が、あるいは遺族の御希望ができるだけ満たされる方向で事柄は進んでいかなければならないということを先ほどから申し上げている。しかし、現実には、きめ細かく配慮をするのが家裁の裁判体ですから、それは一つずつの判断ということにはなります。
○保坂(展)委員 あと一問だけ。 先ほどお話ししました犯罪少年と触法少年、十四歳で線が引かれていますね。かつては十六歳でした。しかし、十四歳以下の少年が例えば殺人等の重大な結果を残す行為を行った、あるいは十四歳以上、被害者にとって確かに変わらないんです。しかし、少年法の体系ではやはり遇し方は違っているんですね。触法少年の少年審判について、裁判体はより慎重に対応するはずだと思っています。 私は、触法少年の審判、犯罪少年も含めて、とりわけ触法少年はこれを認めるべきではないという立場ですけれども、大臣はそこは全く線引きしないですか。要するに、十四歳以上の少年と十四歳未満の少年との区別。
○鳩山国務大臣 それは、大刑法典の中で、十四歳未満は要するに犯罪と認めないわけですね、罪を問われない、こういうことでございますから、私の頭の中でも十四歳という線は引かれているわけです。 だから、先ほど申し上げてきた事柄においても、できる限り遺族の希望はかなえてあげるべきだというのがこの法律の改正の趣旨でしょう。それは、何歳の人に殺されようと、殺された方の無念さとか遺族のお気持ちには何の違いもないからです。ですが、では傍聴を認めるかどうかと一つ一つの家裁の裁判体が判断するときには、触法の場合と、十四歳未満の場合と十四歳以上では、当然配慮する事柄の量は違ってくるだろうと私は予想します。
○早川委員長代理 質疑時間が終了していますから、簡潔に。
○保坂(展)委員 済みません、これで終わりますから。 大臣、今の答弁だと、先ほどの原則と例外というのは一たん撤回していただいて、きちっともう一回、ニュートラルで議論できるということですね。どうですか。
○鳩山国務大臣 だから、原則と例外という言い方は適当でなかったかなと思う部分はありますけれども、とにかくできる限り遺族の希望をかなえてあげるという方向でこの法律の改正案は提案されているものでございます。
○保坂(展)委員 終わります。
○早川委員長代理 次に、滝実君。
○滝委員 無所属の滝実でございます。 本日は、ありがたいことに二十分も時間をいただいておりますので、少しばかりお話をさせていただきたいと思います。 きょうの法務委員会はいつになく根本論議が続いておりますので、私も、その影響を受けて、少しばかり質問をさせていただきたいと思っているんです。 少年審判というのは、やはり非公開でございますから、被害者あるいは被害者の遺族にとっては物すごく心配なんですね。特に、被害者が命を奪われているということになりますと、加害少年だけがしゃべりまくる、子供ですから余りしゃべりまくることはないと思うんですけれども、加害少年だけの言葉がどうしてもウエートを持つ。それに対して被害者の方は、何か一方的に切りつけられるような、加害少年の口実の対象になっているのではなかろうか、こういうことだろうと思うんですね。 ですから、被害者の尊厳という中で一番大きな比重を占めるのは、加害少年が被害者との関係で本当のことを言っているのか、本当の気持ちを言っているのか、こういうことだろうと思います。 実は、これは何も少年事件だけじゃなくて、成人の一般の刑事事件でも同じことが当てはまるんです。 かつて、もう今から八年ほど前のことでございますからなんでございますけれども、奈良でも、成人の運転する業務用の車が高校生をはねて死亡させた事件があります。高校生はほとんど即死状態ですから、何もしゃべる暇がない。それに対して加害者側は、自分の意見を堂々とお述べになる機会はたくさんある。したがって、当初、警察の方も、これは交通事故、五分五分の責任だということで、過失相殺、お構いなし、こういうことでございました。 ところが、被害者側が、後に残った遺族が一生懸命証拠集めをしたりシミュレーションをしたりして、ようやく検察庁、警察庁が動き出して再調査をして、第一審は無罪だったんですけれども、大阪高裁で有罪になり、そして最高裁でも有罪の判決が確定した、こういう事件があるんですね。 要するに、被害者が口をきかないということになりますと、どうしても、残っている加害者側の意見というのがかなり大きなウエートを持ってくる。したがって、少年事件でも恐らくそうだろうと思うんです。 ところが、少年審判の場合には、基本的に、責任を追及するというよりも、加害少年の方の健全育成、立ち直りということを主眼にしておりますから、もともと、それほど責任を追及するという感覚は薄い。そこで、被害者ないしは被害者の遺族は、そのままほっておいたら本当に被害者の尊厳が守られるのだろうか、こういうことだろうと思うんです。 したがって、今回の傍聴制度は、従来から少年審判規則の二十九条に、被害者側も場合によっては在席できる、こういう規定があるわけでございますけれども、正面から傍聴の規定が置かれたということは、やはり被害者の尊厳、加害少年の発言だけではないよ、こういうようなこととしては確かに画期的なことでございますし、それだけに、少年審判にとっては大問題ですからいろいろ反対意見もあるんだろう、こういうふうに思っているわけでございます。 そこで、これは午前中にも大臣が御発言になった中にあったのでございますけれども、現在では唯一、記録の閲覧、謄写が認められる、こういうことなのでございます。これは、被害者側あるいは被害者の遺族にとっては、こういうかた苦しいものを受け取っても、どうしたらいいかということがますますわからないんだろうと思うのでございます。私の受け取り方としては、こういう記録を読むというのは大変難しいんだろうというふうに思うのでございますけれども、刑事局長さんはどういうふうにお考えになっていますか。
○大野政府参考人 ただいま委員の指摘されました被害者等による記録の閲覧、謄写でありますけれども、平成十二年の少年法の一部改正により、そのような規定が設けられたわけでございます。そして、平成十三年四月からこれが施行されました。 十八年三月三十一日までの五年間に、この関係の統計でございますけれども、裁判所に少年保護事件の記録閲覧、謄写の申し出をした方が二千八百八十名、そのうち九八・五%に当たる二千八百三十六名の方について閲覧、謄写が認められるなど、この制度は多くの被害者の方々に利用されているというように承知しております。 被害者の方々からは、この閲覧、謄写制度を積極的に評価した上で、さらにこの対象となる記録の範囲を拡大してもらいたいというような御意見が示されておりまして、これも今回の法案に反映されているわけでございます。 また、記録の閲覧、謄写、その内容の理解については弁護士の援助等を依頼することもあるわけでございまして、そうしたことからすれば、被害者の方々にとって、記録の内容を理解することが常に困難であるということはないんだろうというふうに考えております。 ただ、このような制度が設けられたにいたしましても、被害者の方々はなお、書面等により審判の内容を知るだけではなしに、審判におけるやりとりをみずから直接その場で見聞きしたいという強い要望を持っておられるわけでございます。こうした要望や犯罪被害者等基本法の趣旨等にかんがみまして、今回の法案におきまして、少年審判の傍聴も認めるというような案を提出しているわけでございます。
○滝委員 少年審判は懇切で和やかな雰囲気、こうなっているんですね。それはあくまでも加害少年に対する原則なんですね。ところが、被害者の方は、必ずしもそれが当てはまらないと思うんです。 今局長がおっしゃったように、記録を読むにしても、現在では、おかげさまで司法支援センターがありますから、そこへ行って相談をするとか、そこで記録をとる手配をしてもらうとか、いろいろあると思うんです。しかし、それにしても、本人は、家庭裁判所へ足を運び、司法支援センターに足を運び、あちこち駆けずり回らないとそういう便宜が受けられない、こういうことでございます。 それから、もう一つお尋ねしておきたいんですけれども、その記録というのは、審判が開かれた後、何日後ぐらいに手に入るんでしょうか。
○大野政府参考人 捜査記録につきましては、審判が開始されまして、実際上、家庭裁判所でこれを閲覧させることが可能な状態になれば、これを見ることができるということになろうかと思います。 審判期日の記録につきましては、裁判所の方の書類の作成等の関係がございましょうから、それが終了し次第ということかと存じます。
○滝委員 被害者も意見陳述が法律上認められているんですけれども、その意見陳述は、今までは、要するに審判廷に在席できませんから、結局、記録だとか人から話を聞くとか、そういう格好で、想像して意見陳述をする、こういうのしかないんですね。 今度も、恐らく、国会のように委員会が開かれた翌日には議事録ができ上がっているなんということはあり得ないと私は思うんです。 そうすると、意見陳述の規定は、今度は拡大をするということで来ていますけれども、そんなに簡単に、記録を読んで意見陳述を家庭裁判所に提出するなんというようなことが打って響くようにできない、そこに今まで問題があったのではなかろうかと私は思うんです。 大臣は、午前中の御発言の中で、家庭裁判所で少し説明をしたらどうか、こういうふうにもおっしゃっていただきました。しかし、説明の範囲はあくまでも文字にあらわれていることを要約する程度でございまして、審判廷でだれがこう言った、だれがどう言ったということはあり得ないと思いますね。したがって、今回、この傍聴の問題が出てきている、こういうふうに思わざるを得ないんです。 そこで、問題になります傍聴というのは、基本的に、加害少年が本当のことを言っているのか、うそを言っているのか、うそを言っているなら、自分も被害者の遺族として何らかの働きかけをしなきゃいけない、そういうところで傍聴制度があるんだろうと思うんです。 それにしては、実は意見陳述と傍聴とかその辺の仕組みがうまくかみ合うようなシステムがこの条文からはわからないんですね。一体だれに意見を言うのかというのは一般の人はわかりません。恐らく、少年審判規則を読んでも、意見陳述をだれに対してやるかというのは、家庭裁判所へ行ってうろうろあちこち聞いて歩かないと、実は本当はわからないんです。 そのぐらい少年審判というのは余り手続も公には公開されていませんから、やはり司法支援センターへ行ってすべて弁護士さんにお願いしないと、個人ではどうもならぬ、こういうようなことにならざるを得ないところに私は問題があると思うんですけれども、局長、どうでしょうか。 〔早川委員長代理退席、委員長着席〕
○大野政府参考人 意見陳述が具体的にどのような形で行われるのかというのは、家庭裁判所の裁量によるわけでございます。 実際に、裁判所が審判期日で、つまり少年の、基本的には少年がいるんだというふうに理解しておりますけれども、審判期日で聴取する場合もあれば、審判期日外で裁判所、つまり裁判官が直接聴取する場合もあります。また、家裁の調査官が聴取するという場合もあるというように理解しております。
○滝委員 そこで、調査官の存在が甚だよくわからないんですね。調査官というのは加害少年のために存在するとしか思われませんね。基本的に、少年審判は対立軸で構成していないんですね。専ら加害少年の教育あるいは健全育成という感じでございますから、被害者の立場になって調査官が動くというふうにはどうも受け取りがたい。したがって、被害者が家庭裁判所に意見陳述をするにしても、だれに言うとそれが伝わるのかというのはわからないんですね。 刑事事件の場合でございますと、例えば被害者の遺族が異議ありと公判廷へ行って、いや、今度はこういうことを検察庁は言うてくださいとか言えるわけですよ。なぜならば、対立軸がはっきりしていますから、担当する検事さんにお目にかかって、こういうような事情なんです、何とかこれを取り上げてもらえませんか、そういうことが可能なんですけれども、少年審判の場合には、関係する裁判所の職員はすべて加害少年のためにあるような感じになっているわけでしょう。 そこら辺のところは、刑事局長さんはどういうふうにお考えになっているんですか。
○大野政府参考人 確かに、家庭裁判所の手続が、いわゆる当事者主義ではなしに、職権主義で少年事件の審理が行われているというところから今のような御指摘があろうかと思います。 ただ、家庭裁判所の調査官がそれでは一方的に加害少年の側に立って仕事をするかというと、決してそういうことではございません。とりわけ、被害者が死亡するような一定の重大事件、つまり今回傍聴の対象になる事件はこれに含まれるわけでありますけれども、ここでは被害者調査というものが大変重視されております。 事件係属後比較的早い時点に家庭裁判所調査官が被害者等と面接をいたしまして、被害者等から見た非行の状況、被害の実情、それから少年の処分に対する意見等を調査する、そういう手続が行われております。したがいまして、その過程で、被害者に手続を事実上教示すると申しましょうか、打ち合わせることも可能であろうというふうに考えております。
○滝委員 私はそうだと思いますよ、それは。本当のところ、事件の真相、本当の加害少年のそのときの心理状況を正確に把握しないことには処遇の選択なんというのはできないわけですから、当然それはそうなんです。恐らく、被害者側が家庭裁判所へ行く限りにおいては、なかなか親切に扱ってもらっていないんじゃないだろうかな、こういう感じがありますので、そこのところは、この法律の問題としてやはり念頭に置いていただく必要があるんだろうと思うんです。 話をかえまして、五条の二の三項に言う例の、知り得たことを他に漏らしてはいけないという守秘義務の話でございます。 けさ方からも議論がありましたように、例の奈良県の田原本の事件じゃありませんけれども、まともにいくと、みだりに何とかということで、刑事事件や何かに、損害賠償の対象になりますね。ところが、被害者が審判廷で傍聴して聞いたこと、だれがどういうふうに言った、加害少年がこう言った、それに対して調査官がこう言ったということを自分の中で整理して、それをもとにして加害少年側に仮に損害賠償を訴えるというときに、その審判廷のやりとりを訴状に書いた場合にはどうなんでしょうか。
○大野政府参考人 五条の二の三項で守秘義務が課せられ、あるいは注意義務が課せられておりますのは、「知り得た事項をみだりに用いて、」ということでございます。社会通念上、正当な理由があると認められないのが「みだりに」の趣旨であります。そういたしますと、例えば損害賠償請求訴訟を行う、あるいはその訴訟を提起するかどうかの検討のためにそうした事項を検討する、相談するということは当然にこの正当な理由の中に含まれ、したがって、この禁止には当たらないというように理解しております。
○滝委員 ありがとうございました。 そうしますと、そういうふうな損害賠償訴訟を通じて本人の審判廷における行動が全部世の中に出てくるということもあり得る、それは五条の二の三項には抵触しない、こういうことになりますね。めったにない話だと思いますけれども、そこら辺のところはやはりこの五条の二の三項の一番の問題点じゃないかと思いますので、あえてお伺いをしました。 時間になりましたけれども、最後に大臣に、この問題について、御感想をいただければありがたいと思います。
○鳩山国務大臣 滝実先生のお考えになっておられること、大体よくわかったつもりでございます。 要は、少年法の改正というもの、確かに少年法というのは、少年は、若くて、触法少年もおりますし、健全育成ということに意を用いなければならない、あるいは少年審判廷というのは和やかなものでなければならないというような大原則があります。ただ、今まで被害者や被害者遺族が余りにつらい立場に立たされてきて、法律上、行政上の手当ても弱かった、そのことがあすの会の岡村先生の文章にもよくあらわれているわけで、そうしたことの一環として、できる限り被害者あるいは遺族に温かくということを原則にして、我々は頑張っていきたいと考えております。
○滝委員 ありがとうございました。終わります。
○下村委員長 次回は、来る三十日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十九分散会