青少年問題に関する特別委員会 第10号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2008/06/06
会議録
○玄葉委員長 これより会議を開きます。 青少年問題に関する件について調査を進めます。 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案起草の件について議事を進めます。 本件につきましては、先般来各会派間で御協議いただいておりましたが、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。 本起草案の趣旨及びその内容につきまして、委員長から説明いたします。 まず、本起草案の趣旨について申し上げます。 インターネットは、既に我々の生活に深く結びつき、また、将来にわたって、我々の生活をより豊かにすると期待されています。 一方、インターネットを悪用した犯罪による被害も多く発生し、それに対し、インターネット環境を健全なものにしようとインターネット関係者も一定の努力をしてきたところであります。 しかし、残念ながら、犯罪、自殺及びいじめ等の青少年の健全な成長を著しく阻害する情報が依然として多く流通し、それによる青少年の被害が絶えません。 このため、表現の自由を保障しつつ、青少年がこのような有害情報に接することを少なくするとともに、安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備を推進することを目的として、本起草案を提出した次第であります。 次に、その主な内容について申し上げます。 第一に、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにする施策の推進に当たっては、青少年みずからがインターネットを適切に活用する能力を習得することを旨として行われなければならないこととし、また、民間における自主的かつ主体的な取り組みが大きな役割を担い、国または地方公共団体はこれを尊重することを旨として行われなければならないこととする基本理念を定めるものとすること。 第二に、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策の基本方針等を定めた基本計画を策定するため、内閣総理大臣を会長とし、関係大臣で組織されるインターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議を設置するものとすること。 第三に、国及び地方公共団体は、青少年がインターネットを適切に活用する能力を習得することができるよう、学校教育、社会教育及び家庭教育において必要な施策を講ずるとともに、その効果的な手法の開発、普及のための研究支援及び情報収集等の必要な施策を講ずるものとすること。 第四に、携帯電話事業者は、青少年にインターネット接続サービスを提供する場合、保護者がフィルタリングサービスの利用をしない旨の申し出をした場合を除き、その利用を条件として、インターネット接続サービスを提供することとするなど、インターネット関係事業者に青少年のフィルタリングサービスの普及及び利用を促進するための措置を講ずるものとすること。 第五に、サイト管理者等の特定サーバー管理者は、青少年有害情報が発信されていることを知ったときは、青少年による閲覧ができないようにするための措置をとるよう努め、当該措置をとったときは、その記録を作成し、保存するよう努めるものとすること。 第六に、青少年有害情報フィルタリングソフトウエア等に関する調査研究及び普及啓発または同ソフトウエアの技術開発の推進に係る業務を行う者は、フィルタリング推進機関として、総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けることができるものとすること。 第七に、国及び地方公共団体は、フィルタリング推進機関を含むインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体または事業者に対し、必要な支援に努めるものとすること。 第八に、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、政府は、この法律の施行後三年以内に、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。 また、インターネット上の違法情報の閲覧防止措置を講じた場合におけるサーバー管理者の当該情報発信者に対する損害賠償の制限のあり方について、この法律施行後、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。 ————————————— 青少年が安全に安心してインターネットを利用 できる環境の整備等に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○玄葉委員長 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。井澤京子さん。
○井澤委員 自由民主党の井澤京子でございます。 私は、自由民主党を代表して、本法案について意見を述べさせていただきます。 有害情報から青少年を守るため、大同団結により本法案がまとまったことは、有意義な第一歩です。 第一歩とは、三つの意味があります。 まず、フィルタリングの性能向上のための大きな第一歩です。 青少年を有害情報から守るため、フィルタリングの性能向上をスピードアップしていく必要があります。民間団体の登録制も導入することで、政府がきちんと民間の取り組みを後押しできる仕組みを構築しました。 次に、本法案は有害情報対策の着実な第一歩です。 今回は、業界などからの要望を踏まえ、有害情報の基準の策定などを民間にゆだね、国はその活動を支援するという立場をとっています。今後、民主導の取り組みを注視し、今後もインターネット上で発生する新たな事実を踏まえ、国を挙げて法規制の導入も含めた必要な対策を検討すべきです。 また、違法情報については第一歩を踏み出しつつある状況です。 本法案での有害情報には違法情報も含まれますが、対策としては十分ではありません。そのためには、公衆閲覧防止の対象となる違法情報とは何か、それぞれの根拠法に照らして確定する必要があります。また、公衆閲覧防止に必要な手続などの制度整備の課題や考え方について、関係省庁を巻き込んで整理し、必要な対策を講じることが不可欠です。 最後に、今回の対策の実効性を上げるため、全国の御家庭や青少年への普及啓発の政府方策をしっかり検討するようお願いして、私の発言を終わります。 ありがとうございました。
○玄葉委員長 次に、笹木竜三君。
○笹木委員 委員長から起草の提案がありました法案に対し、民主党・無所属クラブを代表して一言申し上げます。 子供が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備については、これまで、民間においても立法府においても対応が不十分であったと言わざるを得ませんが、今回の党派を超えての取り組み、まことに喜ぶべきことと思います。今後は、あらゆる団体がその取り組みに参画できる体制を整備することが必要不可欠です。 このため、携帯電話のフィルタリングソフトウエアの開発を初めとするインターネットの適切な利用に関する活動を行う公正な民間団体に対する財政支援は、国への登録のいかんにかかわらず、積極的に行うことを求めます。 また、国は、表現の自由を侵すことがないように、これらの民間団体に対する支援を行うに当たっては、民間における自主的かつ主体的な取り組みが大きな役割を担うべきとの法案の趣旨にのっとり、フィルタリングにおける有害性の判断に関与することなく、また規制的な取り扱いを控えることを求めます。 一方、民間事業者に対しては、民間における取り組みを尊重する旨を法律に明記したわけでありますから、違法・有害情報に対する閲覧防止措置について、さらなる取り組み強化を求めたいと思います。 次に、フィルタリングサービスの義務化について申し上げます。 子供が使う携帯電話のフィルタリングサービスの利用については、法案でこれを義務化することとしております。ゆえに、法施行に当たっては、子供の発達段階に応じた設定が可能となる携帯電話のフィルタリングサービスの実現が大前提であることを確認させていただきます。 また、フィルタリングは、ネット上の違法・有害情報対策として極めて有効な手段ではありますが、設定基準によっては多様な主体による表現活動や通信の自由を侵害するおそれがあります。このため、閲覧制限の範囲を必要以上に広げない技術の実現を強く求めます。 次に、ネット上の違法情報に対する閲覧防止措置について申し上げます。 言うまでもなく、違法情報は、インターネット上の情報であるか否かにかかわらず、法に基づく厳正な対応が求められます。本法案では本事項について検討課題を挙げておりますが、現行法の枠内でも可能な限りの対応を強化する必要があります。このため、ネット上の違法情報に対する警察のサイバーパトロールを強化するためその適正な人員配置を求めます。 同様に、ネット上の違法・有害情報に関する通報を広く国民一般から受け付け、サーバー管理者に措置を要請する民間団体への予算を含めた支援の拡充を求めます。
○玄葉委員長 次に、古屋範子さん。
○古屋(範)委員 私は、公明党を代表して、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案につきまして、意見の表明を行います。 インターネットは、急速に普及し、私たちの生活を大きく変えています。特に、青少年を中心に携帯電話、インターネットの利用が比類ない発展を遂げ、現在では携帯文化と呼ばれる新たな文化創造の動きも見られます。 一方で、インターネット利用の方法を誤ることにより、青少年が犯罪に巻き込まれる例は後を絶ちません。また、ネット上での陰湿ないじめが問題となるなど、青少年のインターネット利用のあり方について私たち大人が真剣に考えることが求められています。 本法案は、こうした課題に対し、青少年保護に関係するさまざまな主体の果たすべき役割を明らかにしている点で大きな意義があるものと評価いたします。 その上で、青少年のインターネット利用環境を整備するに当たっての国の役割について意見を申し上げます。 まず第一に、本法案では、民間の自主的取り組みの促進について、フィルタリングの性能の向上と普及促進を一つの柱としています。 民間においては、十八歳未満の携帯電話の利用者にフィルタリングを原則適用する取り組みが進んでおり、その利用者は現在三百四十万人に至っています。また、本年四月には、フィルタリングの精度向上とIT啓発教育を目指して、第三者機関であるEMAが設立される等、さまざまな民間の取り組みが開始をされています。こうした取り組みを阻害することなくさらに順調に発展させるため、本法案に基づく支援を適切に行うことが重要と考えます。 その際、フィルタリングの普及、性能向上の推進団体を登録機関とし、国の一定の関与を予定していますが、ここはあくまで民間の取り組みを推進する役割にとどめ、同じ機関が有害情報の基準策定などコンテンツの内容に直接的、間接的にもかかわらないことが望ましいと考えます。今後も国の関与は最小限にとどめ、むしろ産業政策的視点も生かしながら、民間によるフィルタリングサービスの多様化により利用者の選択肢がふえることに期待いたします。 また、第二に、インターネットリテラシーの向上支援について、本法案では、国、地方公共団体、家庭における教育の重要性をうたっています。 ここでは、特に学校教育の役割の重要性を改めて指摘をしておきます。本法案においてインターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議が設置されることとなっていますが、ぜひとも文部科学大臣が、青少年の健全な育成に資するため、学校教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進を積極的に講じていただくことを求めます。 フィルタリングはあくまで青少年の違法・有害情報対策の一つの手段であって、フィルタリングの性能が幾ら向上しても、それだけでは問題の解決にはつながりません。何よりも、子供と一緒になってインターネットの使い方を真剣に考える親の姿勢と教育の充実が重要であります。 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境を整備するために、以上のことを強く要望して、公明党の意見表明といたします。
○玄葉委員長 次に、石井郁子さん。
○石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。 子供たちの間にネット接続が可能な多機能、高機能型携帯電話が急速に普及したことで、無防備に有害なサイト、情報にアクセスできる状態になり、その結果、ネットを通じて子供が犯罪に巻き込まれている現状は、深刻であり、看過できません。インターネットの適切な利用を進める教育が重要で、子供たちの日常生活と結びつけた実践的な情報リテラシー教育を充実させなければなりません。 携帯電話事業者を初めネット業界は、子供の利益を第一に、事業者がみずからの責任を自覚した自主的な改善が望まれます。本法案は、事業者に対して一定の義務を課し、責任を明確にしています。今後、教育の充実とあわせ、子供たちが有害な情報に接する機会が減少することを期待するものです。 インターネット上の有害情報の内容の判断に国が関与することについては、憲法上の表現の自由からも認められません。本法案は、国による関与を規定せず、民間の第三者機関の自主的な取り組みにゆだねており、妥当なものと言えます。 当委員会では、昨年の臨時国会から三回にわたる参考人質疑を初め、委員長のもと、与野党を超え、精力的かつ真摯な協議が続けられ、このように成案を得ることができました。これまでの委員長の労を多とし、法案起草に当たっての意見表明といたします。
○玄葉委員長 これにて発言は終了いたしました。 この際、申し上げます。 まず、本委員会が本案の起草に至った経過について御説明いたします。 学校裏サイトを初めとする子供とインターネットをめぐる事件が頻発していることなどから、先国会の昨年十一月六日、本委員会において、「子どもとインターネットをめぐる諸問題」に関し、尾木直樹法政大学教授を初めとする四人の参考人をお呼びして、意見を聴取し、質疑を行いました。 さらに、委員会として、十二月五日にインターネット・ホットラインセンター、翌六日にNTTドコモを視察いたしました。 また、参考人質疑及び視察を踏まえ、十二月十一日、「子どもとインターネットをめぐる諸問題」に関し、インターネット上の違法・有害情報から子供を守る施策について、政府に対し質疑を行いました。 これらの経過から、子供たちをインターネット上の違法・有害情報から守るためには、従来の取り組みだけでは不十分であり、フィルタリングの性能の向上及びその普及促進や違法・有害情報に対するサイト管理者やプロバイダーの責務等について、法律で規定する必要があるのではないかとの機運が高まり、その後、各党において法整備に係る検討がなされるようになりました。 今国会に至り、四月十七日、十八日において、政府提出のいわゆる出会い系サイト規制法改正案を本委員会で審査した際にも、出会い系サイト以外のインターネット上の違法・有害情報対策に関しても質疑が行われました。 そして、同案の採決に当たり、情報リテラシー及び情報モラル教育の拡充、フィルタリングサービスの利用及び性能向上の促進、サイト開設者等による違法・有害情報の閲覧防止等の自主的措置の指導支援、インターネット上の違法・有害情報対策に取り組む民間団体への支援などについて附帯決議を付しました。 そして、各党における法案の検討が煮詰まりつつあった四月二十五日、「ネット上の有害情報から子どもを守るための対策」に関して、ソフトバンクの孫正義社長を初めとする四人の参考人をお呼びし、意見を聴取し、インターネット上の有害情報対策に関する民間団体及び事業者の取り組みの状況、そして今後の見通し、将来の携帯電話のフィルタリング技術向上の可能性、事業者等の自主的取り組みに対する評価などについて質疑を行いました。 さらに、五月二十八日、藤原靜雄筑波大学大学院教授を初めとする四人の参考人をお呼びし、インターネット上の有害情報から子供を守るための立法を念頭に置いて意見を聴取し、立法措置と表現の自由、立法による事業者等への影響、民間団体等の立法への期待などについて質疑を行いました。 この委員会の終了後、直ちに立法作業チームを組織し、起草案について検討を開始いたしました。 以降、連日、チーム内の実務者を中心として熱心に協議が続けられ、六月二日に最終合意を得、今回の法案起草に至ったものであります。 次に、立法作業における議論及び本法律案に関する留意事項について申し上げます。 この立法に当たっては、憲法の保障する表現の自由を損なうことなく、インターネット上の違法・有害情報から子供を守る手段をいかに確保するかということをすべてのメンバーが前提とした上で協議が進められました。 その中で、議論が分かれたのは、インターネットにおける青少年有害情報対策及び環境整備に関する業務を行う民間の第三者機関に対する国の関与のあり方でした。 この点に関して、インターネット上の情報の有害性の判断については、国が関与するおそれのある制度にすべきではないとの結論に達しました。それは、我々の委員会での議論を受けて、事業者等の民間団体がインターネット上の違法・有害情報から子供を守る各種の取り組みを始めたところであり、その取り組みに期待したいと考えたからであり、かつ、いささかも表現の自由を侵すことのないよう留意したからであります。 ただし、国の関与が有害性の判断にかかわるおそれのないフィルタリングソフト等の調査研究及び普及啓発、またはフィルタリングソフトの技術開発の業務を行う民間団体に限って、フィルタリング推進機関として登録できるものとすることといたしました。 本法案は、青少年自身がインターネットを適切に活用する能力を習得すること、青少年自身がインターネットを利用して青少年有害情報の閲覧する機会をできるだけ少なくすること、民間における自主的、主体的取り組みが大きな役割を担うことを旨として立法されるものであります。 関係各位におかれましては、委員会が、子供たちをインターネット上の違法・有害情報から守るための施策の多くをインターネット関係者の自主的、主体的取り組みにゆだねたことの意味を重く受けとめていただきたいと存じます。 お諮りいたします。 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付しておりますとおりの起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○玄葉委員長 起立総員。よって、そのように決しました。 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○玄葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時七分散会