財務金融委員会 第18号
- 発言数
- 122 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2008/05/08
会議録
○原田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、金融商品取引法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、参考人として早稲田大学大学院法務研究科教授黒沼悦郎君、株式会社東京証券取引所グループ取締役兼代表執行役社長斉藤惇君、日本証券業協会会長安東俊夫君、社団法人投資信託協会会長樋口三千人君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○原田委員長 ただいま参考人として、早稲田大学大学院法務研究科教授黒沼悦郎君、株式会社東京証券取引所グループ取締役兼代表執行役社長斉藤惇君、日本証券業協会会長安東俊夫君、社団法人投資信託協会会長樋口三千人君、以上四名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、参考人各位からお一人五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。 それでは、まず黒沼参考人、お願いいたします。
○黒沼参考人 早稲田大学の黒沼でございます。 私は、今回の改正案の柱のうち、主として、プロ向け市場の枠組みの整備、課徴金制度の見直しについて意見を申し述べます。 まず、プロ向け市場は、資本市場がその本来の機能である資金調達の場、資産運用の場を幅広く提供できるように、プロ投資家のみが参加する市場を創設しようとするものです。金融商品取引法は投資者保護のために厳格なディスクロージャー規制を設けており、そこでは、日本語、日本の開示基準、日本の会計基準による開示が原則となります。このため、開示コストの負担を恐れて外国企業が日本国内の市場に上場せず、我が国の投資家が外国企業の株式に投資をする機会も限定されているのが実情だと思います。 そこで、プロ投資家のみが参加する市場を開設できるようにし、プロ市場における情報開示については、取引所による自主的な取り組みにゆだねようというのが改正案の要点です。 現行法においても、近く、英語による開示の対象が拡大される予定ですけれども、私は、一般投資家が参加する市場で英語開示の対象を拡大するよりも、情報を分析する能力のあるプロ投資家が参加する市場でそういった株式を取引させる方が適切であると考えておりましたので、今回の改正案に賛成であります。 このような制度を構築する場合、プロ向け銘柄が一般投資家の手に入らないように法的に手当てをすることが重要ですけれども、改正案では、転売制限のほか、業者が一般投資家との間でプロ向け銘柄の売買をしたり一般投資家から注文を受けて取引をすることをも罰則をもって禁止するなど、十分な手当てを行っていると考えます。 また、改正案では、プロ向け銘柄についても年一回以上の情報提供を義務づけ、提供情報が虚偽であった場合に、罰則や課徴金を課し、民事上の損害賠償責任を整えるなど、法律で最低限の情報開示を確保するようにしています。この点は私が当初予想していたよりも厳格な規制となっており、内容に満足しているところであります。 一般投資家はプロ投資家を通じてプロ向け市場へ投資をすることができるわけですが、その際の一般投資家の保護は、既存の法律制度によって図られることになります。例えば投資信託を通じて投資を行う場合、それが公募であれば法律上のディスクロージャー制度が適用されるわけですし、私募であっても、金融商品取引法上の説明義務や適合性原則などの販売勧誘規制が適用されるということになります。 次に、課徴金制度について、今回、その水準の引き上げや適用範囲の拡大を目指す改正案が提出されています。これまでこの制度はスムーズに運用されており、一定の効果を発揮していると私は考えておりますけれども、課徴金額の水準が低いのではないかという声があり、今回の改正案が提出されているところであります。 例えばインサイダー取引については、重要事実の公表から二週間以内の最高値を基準とすることにより、従来の二倍程度の課徴金額が算出されるようになります。これは、インサイダーが得た利得というよりも、インサイダーがねらった利得をとらえるものであり、インサイダー取引を行おうとする者に対して一定の抑止効果を発揮するということが期待できると思います。利得相当額を剥奪するというだけでは抑止効果が十分でないという議論もありますけれども、まずは改正法を運用し、その実態を観察すべきであろうと思います。 課徴金の適用範囲も拡大されています。もっとも、すべての金商法上の規定違反について適用されているわけではありませんで、例えば、一般的な不公正取引の禁止規定である百五十七条違反が対象となっていないという点については、異論もあるようであります。しかし、最近では、風説の流布、偽計取引の禁止を定める百五十八条が活用されておりますので、百五十八条に係る課徴金で十分対応することができるのではないかと考えております。 最後に、行政処分や課徴金の適切な運用のためには、ただ単にその適用範囲を拡大して行政がそれを運用するというだけでなく、それが公正に適用されるように最終的には訴訟の場で争うことができるという仕組みがとられていますので、我が国でも、訴訟の場でこういったものを争うという抵抗感が減少し、適用の基準が明確になっていくということが期待されると思います。 時間を超過して失礼いたしました。以上で私の意見を終わりたいと思います。(拍手)
○原田委員長 ありがとうございました。 次に、斉藤参考人、お願いいたします。
○斉藤参考人 東証の斉藤でございます。 本日は、この法案の審議にお招きいただきまして、大変ありがたく存じます。この法案、法律案につきまして、私どもの考え方を簡単に述べさせていただきたいと思います。 もう先生方はよく御存じのとおり、過去二十年間、日本の資本市場は、世界でただ一つ縮小を続けました。東証の時価総額、二十年前は六百兆円が現在四百兆円でありますが、ニューヨークは当時の四百七十兆円が二千兆円を超えておりますし、ロンドンは百二十兆円であったのがただいま六百兆円になっております。また、昨年の取引状況を見ましても、東証の取引金額は六百五十兆円でありましたけれども、ニューヨークの取引金額は三千兆円、そしてロンドンは一千兆円というふうに、取引量でも格差がついてきている。今や世界は、どうやってリスク資本を自分の国に呼び込むかという熾烈な競争をしているという状況であります。 この法案の中にうたってありますETFにつきましても、私どもはしっかり取り組まなければいけないと思っております。 北米で六百八十本のETFがあります。ドイツ市場は三百三十三本、ロンドンは百六十七本、そして、パリにありますユーロネクストだけで三百二十一本と、合計八百本近いETFがヨーロッパでは取引されているのに対して、つい先日まで東証は、何とわずか十三本のETFでありました。ようやく今三十五本にふやさせていただきましたけれども、このETFというのは、上場投資信託、非常に安いコストで、しかも指数を投信にパックにして上場しておりますので、個人の方が投資なされば、例えば、世界で一千銘柄ぐらいを投資しているのと同じような効果が出ます。したがって、個人のダイバーシフィケーション、リスク分散の商品として高く評価されて、もう既に数年にわたって世界で取引されているこのETFが、実は日本ではいろいろな理由で未発達であった。したがって、個人が自分でリスク分散しながら投資するというチャンスを日本国民に我々は与えることができなかったという問題があります。 また、投資信託も、後でお話があるかもしれませんが、確かに日本は四十兆円から八十兆円近くまで伸びまして、GDP五百兆円に対して一六%になりました。しかし、アメリカは同じ時期に八百兆円から現在千二百兆円の規模に膨らんでおりまして、アメリカのGDP千二百兆円と全く同じ金額の投資信託があるというのが、今の世界のような姿であります。 我々は、国民一人一人が自分の人生を自分の資産運用でしっかり考えるという意味でも、このETFというものをぜひ拡大させていただきたい、こういうふうに思っております。 プロ向け市場でありますけれども、後ほどまた説明させていただきますけれども、若者がいろいろな事業を起こしたい、あるいは、日本の大学がいろいろなインキュベーター的な技術を持っている、あるいはベトナムや中国やインドの国々のいわゆる新興企業というものが、とてもそういうところは銀行がお金を貸せない先であります。リスクが非常に高い。だからこそ、リスクマネーを供給する資本市場の役割があるはずでありまして、そういう夢と希望を持ったビジネスマンにまたは投資家にチャンスを与える意味でも、このプロ市場というのをぜひつくらせていただきたいというふうに思っております。 最後の残りの時間で排出量の問題でありますが、我々としては、何を取引するか、そういうものはかなり国家的な戦略等々もありますので、そのことについていろいろここでコメントするつもりはありませんけれども、肝心なことは、排出量というのは既にもう大きく取引されている、そして、そのルールをどんどん西洋人を中心につくっていっている。その中にもし日本が今入らなければ、戦前と同じように、自分だけよければいい、世界のルールができ上がってから、孤立化してから批判してもしようがないということで、私どもとしては、もし商品の規定が決まれば、いつでも取引できるように取引所としての整理をしておきたいということで、既に研究会を発足しております。 考え方としては、取引所は国民の共有の財産だと思っております。何とか東証は、常に創造的かつ挑戦的な姿勢を保ちつつ、個別の具体的な施策に取り組んでまいりたいと思いますので、どうか、今後とも先生方の御支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 簡単でございますが、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)
○原田委員長 ありがとうございました。 次に、安東参考人、お願いいたします。
○安東参考人 日本証券業協会の会長を務めております安東でございます。 常日ごろ、諸先生方におかれましては、証券市場、証券界に対しまして御理解を賜りまして、ありがとうございます。 今、証券業協会は、証券会社三百十九社、それと、第二地銀以上の銀行並びに信金、信組というところで二百二十一社、これが特別会員でございます、そういう構成で日本証券業協会は成っております。 御高承のとおり、我が国の証券市場は、サブプライム問題に端を発しましたアメリカ経済の先行きの不透明感、及び、それに起因する円高、原油高に伴う企業業績の懸念などによりまして、日経平均ですと、昨年七月の一万八千円台から、本年三月には一万一千円台まで下落いたしました。その後、若干上昇基調にはあるものの、いまだ一万四千円前後の水準にすぎず、我が国の市場と同様にサブプライム問題で昨年夏以降下落した他の主要先進諸国よりも回復がおくれておるところでございます。 このような状況を反映いたしまして、証券会社の決算でございますけれども、この三月期決算におきましては、営業損益ベースで前期と比べまして三一%減の約六千九百億、そして、先ほどのサブプライムに絡む特損のありました証券会社の影響によりまして、当期純損益ベースでは九五%減の約二百七十億と、大変厳しい決算状況になると思われます。 また、我が国の金融資本市場に関しましては、ロンドンでことしの三月に公表されました国際金融センター指標、グローバル・ファイナンシャル・センターズ・インデックスということでございますと、一、人材、二、ビジネス環境、三、競争力等々五つの評価項目の総合で東京市場は第九位ということと低迷しておりまして、ちなみに、一位がロンドン、二位がニューヨーク、三位香港というところで、東京市場は先ほど言いました第九位ということで、国際的なプレゼンスの低下が懸念されているところでございます。 最近の国内のIPOを含めましたエクイティーファイナンスの状況を見ましても、昨年、二〇〇七年中は約七千二百億円と、前年に比べまして五分の一程度まで減少しておりまして、リスクマネーの供給という機能発揮の面での不十分さというような指摘もなされておるところでございます。 こうした中で、我が国が安定成長を持続し、国民一人一人の豊かな生活を実現するということは、今日の日本経済の最も重要な課題であります。 証券界といたしましては、我が国の金融資本市場の国際的な競争力を維持し、多くの国民が安心して投資を行うことのできる世界最高水準の市場の確立を目指しまして、貯蓄から投資への流れを加速、確実なものとするために、投資促進のための税制改正要望などを初めといたしまして、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。 さて、金融商品取引法でございますけれども、利用者保護ルールの徹底と利用者利便性の向上、貯蓄から投資に向けての市場機能の確保、国際化への対応という三つを大きな柱といたしまして、昨年九月三十日から施行されておりますが、当初は、年末までをピークとして、やや混乱が見られました。 本協会の独自の調査によりますと、例えば証券会社におきまして、特定投資家であるとか一般投資家の振り分け、あるいは契約締結前書面等の作成、広告規制への対応が必要でした。一方、顧客の反応としては、特に銀行等の顧客が中心でございますけれども、書面交付の際の説明時間が非常に長くかかり過ぎるといったような反応がございましたけれども、これらにつきましても、現在のところは大分落ちつきを取り戻しているところでございます。 今回の金商法の改正案では、我が国金融資本市場の競争力の強化を図るため、いわゆるプロ向け市場の創設、ETFの多様化、取締役等の兼職規制の撤廃など、いわゆるファイアウオール規制の見直し、課徴金制度の見直しなど、言ってみたら、日本版ビッグバン以来の、我が国の金融資本市場の競争力の強化に向けた諸施策が網羅的に打ち出されております。 特に、冒頭にも申し上げましたけれども、こうした厳しい時期だからこそ、証券界としても、この法案が国会での御審議を経まして速やかに成立し、早期に実施されることを望んでいる次第であります。 ただ、銀行、証券間のファイアウオール規制については一言申し上げたいと思います。 初めに、私としては、我が国ではいわゆるユニバーサルバンクを目指すべきではないというふうに考えております。この考え方を前提とした上で、今回の改正では、利益相反管理体制の整備の義務づけ、銀行の優越的地位を濫用した証券会社による勧誘の禁止等の措置を講じた上で、役職員の兼職規制、法人顧客に関する非公開情報の授受の制限緩和の措置が講じられることとされております。 しかし、この規制緩和の新たな枠組みが十分に機能するためには、前提といたしまして、厳しい自己規律に基づいた、グループ内における規制の実効性が確保される必要がありますし、そこがおろそかになってしまいますと、かえって弊害が生じることになります。 今後、利益相反の管理体制につきましては、法令、ガイドラインにおいて規定されることと思います。証券界といたしましても、みずから適切な運用に努めることはもちろんでございますけれども、行政当局の適切な監督指導により、規制の実効性が確保されるようお願い申し上げます。 最後に、本協会の取り組みについて申し述べたいと存じます。 御承知のとおり、本協会は証券戦略部門と自主規制部門とに分かれております。証券戦略部門は証券市場の健全な発展を推進する業務、自主規制部門は証券市場の公正かつ透明性、信頼性の高い市場運営を推進する業務と言うことができまして、言ってみたら、車の両輪のごとく機能することが求められております。 本協会としましても、今後も、その自律性、専門性の特性を生かしつつ、法令を補完して適切に機能するよう、積極的に種々の課題に取り組んでいく所存でございます。 以上、いろいろと申し述べさせていただきましたが、私ども証券界といたしましても、さらなる証券市場の活性化に取り組んでまいりたいと存じますので、引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げます。 以上で私の冒頭陳述とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○原田委員長 ありがとうございました。 次に、樋口参考人、お願いいたします。
○樋口参考人 投資信託協会の樋口でございます。 衆議院財務金融委員会の先生方には、日ごろから何かと御支援を賜り、まことにありがとうございます。 金融商品取引法の改正案の中で、投資信託業界にとって特に関係いたします二点について、御意見を申し上げたいと存じます。 まず、ETFの多様化について述べさせていただきます。 さきの競争力強化プランには「取引所における取扱商品の多様化」として掲げられておりましたが、ETFを組成し運用する投資信託の運用会社の立場といたしましても、この法改正が行われることは、大変意義のあるものと思っております。 ETFは、先ほど斉藤参考人からもございましたが、一九九〇年代に米国を中心に急速に発展をいたし、今、諸外国にも広がりを見せております。諸外国のETFは種類も豊富でありまして、株価指数に連動するもの、債券指数に連動するもの、あるいは商品の価格に連動するものなど、非常に多様化をいたしております。 ETFが最も発展をいたしております米国におきましては、自己の判断による投資活動が非常に活発に行われておりまして、その手段として、ETFや通常の投資信託が大いに利用されておるところでございます。 今回の金融商品取引法改正案が成立をいたしますれば、我々日本の運用会社も、投資家のさまざまなニーズにこたえるべく多様なETFを組成、運用して、我が国国民の皆様の資産形成に寄与できるものと考えております。 ETFは、運用対象となる有価証券指数や商品指数に連動するものがほとんどでございます。したがいまして、個別の有価証券や商品に投資するのに比べまして効果的に分散投資効果を得ることができ、投資経験が少ないとされております個人の方々にとりましても、比較的わかりやすい商品ではないかと思います。 さらに、株式、債券、REIT、商品など複数の資産のETFを組み合わせますれば、資産分散の効果も働き、リスク分散を図ることも可能となると考えられます。 また、諸外国の運用会社が商品を含めた多様なETFを組成、運用できるのに対しまして、我が国では以前は商品への投資はできませんでしたので、今回の改正案は、我が国の運用会社の国際競争力向上の面でも大いに意味があるものと考えております。 次に、プロ向け市場の創設について述べさせていただきます。 投資信託は、もともと、一般の個人の方々にかわりまして、専門家である運用会社が運用を代行する仕組みとなっております。一般の個人の方が高度な金融知識を習得し、経済・金利動向を予測いたし、さらに個別企業の収益や財務状況を分析するということはなかなか難しいものがございますが、投資信託を活用することにより、投資に参加することが可能となるわけでございます。 また、デリバティブ取引のように個人の参加が困難な市場であるとか、コールローンや手形を売買するインターバンク市場のように、金融機関だけで構成され、個人がそもそも参加できない市場でありましても、投資信託を通じまして、この市場での商品や取引を利用することができるわけでございます。 今回の改正法案に盛り込まれておりますプロ向け市場も、参加者をプロに限定した取引所市場でありますので、一般の方々は、投資信託を利用することによってこの取引に参加することになります。 投資信託の運用会社といたしましては、投資対象となり得るマーケットが拡大することは大いに歓迎すべきことであると判断いたしており、プロ向け市場の創設は、投資信託を通じて個人の資産形成に貢献できるものととらまえております。 投資信託は、分散投資と長期投資に最適であるという商品性から、国民の皆様の資産形成のための中核商品であるというふうに認識をいたしております。投資信託の運用会社といたしましては、プロ向け市場の創設などを通じまして、今後ますます多様化する投資対象をプロの視点で十分に分析をし、投資家の期待にこたえる運用成果を上げるよう努力をしてまいりたいと考えております。 以上で私の発言を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○原田委員長 ありがとうございました。 以上で参考人四方の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○原田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。
○とかしき委員 自由民主党のとかしきなおみでございます。 本日は、参考人の先生方には、法律案の質疑のためにお時間を割いていただきまして、本当にありがとうございました。 それでは、質問に移らせていただきたいと思います。 今回の法律案では、日本の金融市場の魅力を高めていくというのが一番の改正の志向であります。金融センターの国際競争が激しさを増す中、この法律案の改正によって、劣勢にある東京の地位向上にいかにつなげていくか、ここが大きなポイントになるかと思います。 そこで、黒沼悦郎参考人にお伺いしたいと思います。 この法律案の改正で、透明性、多様性、競争力など、どの点がどのように有効に機能して、日本の市場の魅力を高めていくということが期待できるのか、その考えをお聞かせいただきたいと思います。さらに、運用面でどのような点に特に配慮すればこの法律案が最も有効に機能するのか、あわせてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○黒沼参考人 どのようにしたら透明性、多様性を高めることができるかという点ですが、プロ向け市場の枠組み整備ということで、法律上の一定のディスクロージャーが行われる予定であります。それに加えて、取引所の自主的な取り組みによる、自主規制によるディスクロージャーが行われる。その内容をしっかりと整備していただくことで、市場の透明性というのは高まると思われます。 それから、そこに参加する投資家ですけれども、プロ投資家を念頭に置いておりますが、先ほども各参考人の方から御説明がありましたように、その背後には一般投資家が投資に参加するということが予定されておりまして、その一般投資家のニーズを酌み取った投資が行われるということで、単なるプロだけのための市場ではなく、一般投資家にもその利益が享受されるということであろうと思います。 改正点は多面的なもの、多岐にわたるものですから、すべての点について御指摘の側面を説明するというのは時間がかかってしまいますので、そのほか運用面で配慮しておくべきことということについて一言申し上げますと、今回見直しが図られる課徴金制度は、このプロ向け市場の仕組みにも取り入れられています。そのほか、従来から金融商品取引法では、違反に対する制裁として罰則がありますし、それから損失をこうむった投資家を保護するための制度として特別の民事責任制度があります。 そういった制度が、行政が運用する制度もありますし、検察官がイニシアチブをとって運用する刑事罰の制度、それから投資家が、私的なエンフォースメントといいますけれども、みずからの利益を実現するために裁判制度を利用して損害賠償を求めていくといった、こういった救済の仕組みが円滑に活用される。これは取り締まりのレベルを上げればいいという問題ではありませんで、そういうことがいざとなったら実効的に動くということが、投資者の信頼を高めて、制度の目的を発揮するために重要なことではないかというふうに考えております。 以上です。
○とかしき委員 ありがとうございました。市場の信頼性をいかに獲得していくかということが大切だということがよくわかりました。 それでは、次は斉藤惇参考人にお伺いしたいと思います。 海外からの投資や金融機関を呼び込まなければ、市場や金融機関の活性化はあり得ないわけであります。MアンドAをしやすくする環境などを整備し、チャンスがあれば日本に行こう、こういう構図をいかに築いていくか、ここが重要かと思いますけれども、これは具体的にどういうふうにしていったらいいのか、その辺のお考えをお聞かせください。
○斉藤参考人 お答えいたします。 今黒沼先生からリーガル的なフレームワークのお話があったと思いますが、御案内のとおり、アメリカでSOX法ができて、それに対抗するような形でロンドンで、デリバティブ等々を持たないロンドン取引所が、対抗上、AIM市場というのを作成しました。この新しいルールで世界の新興企業を一気にロンドンに集中した結果、アメリカ・ニューヨーク市場というのは、かつては世界の五三%ぐらいの企業ファイナンスをやっていたんですが、今一三%しかできないぐらいに凋落しました。世界は非常に激しい、先ほど申しましたような、いかにしてリスクマネーを自分の国へ取り込むかという、強烈な戦いをやっている。 その中に、知恵として、ロンドンはAIM市場というのをつくり出しました。これで、ロシアの新しい企業を上場させたり中国やインドの会社を上場させることによって大変な成長を市場にもたらした。投資家ももちろん大変潤ったわけであります。この背景には、大変な税制の優遇をつけたりしまして、国家を挙げて市場をつくってまいりました。 私どもが考えておりますのは、このスキームを使って日本に取り入れなきゃいけない問題が幾つかある。それは、新規上場をしましたときに、証券会社が引き受けの役割をやりますが、現在では、一時的に引き受けの役割をやって、その後の面倒を見ないということがあります。プロ市場の一つの特徴は、ノーマッドという制度があるんですが、引受業者に責任を持たせるということです。この引受業者が外れますと自動的に上場廃止になる、そのくらい引受業者が後まで面倒を見なければならないという制度を持っております。これは日本にぜひ取り入れたい制度であるということが一つあります。 それと、先ほども申しましたように、日本国内の小さな技術、インキュベーターと言われる技術、そういうものには当然、リスクが高いので金融機関というのはお金を貸せません。そこであるのが、もともとリスク資本を提供する株式市場なんだと私は思います。そこへ投資することによって新しい産業を生み出すということが大事だと思います。 東京証券取引所を見ますと、いつも世界で言われることは、日本というのはトップ五十という企業を選び出すと過去五十年間ほとんど変わらない。アメリカは恐らく十年おきに七、八割、メンバーが変わっていきます。そのくらい新しい産業が起き、古い産業が廃れていくという、はっきりした回転が行われている。それがやはり国家のエネルギーを生んでいるということで、日本が沈滞している、成長がとまっている一つの現象として、新しい産業が育たない。これは我々が育ててあげなきゃいけないと思います。 そういう意味で、このプロ市場というのを、日本の千五百兆円と言われるお金をある意味ではうまく運用するというような意味もありまして、ぜひ育成させていただきたい、こういうふうに思います。
○とかしき委員 ありがとうございました。やはり新しい市場、企業をどうやって育てていくのか、ここが重要なポイントだと思います。 実は、塩漬けになっているのは企業のことだけではなくて、個人資産の方も今塩漬けになっておりまして、資料をお持ちさせていただきましたけれども、まず一番のところなんですが、グラフを見ていただきますと、最初に、実はバブルの後も日本は金融資産がずっと伸び続けて今千五百五十五兆円までということで、現金、預金が五一%、株式、出資金がわずか一二%ということで、アメリカの四分の一ぐらいになっているわけであります。ところが、日本は金融資産をだれが一番多く持っているのかといいますと、各国と比較すると、日本は高齢者が一番資産をたくさん持っているということで、日本は、生活が苦しいと言いながら懸命に貯金をして、死に旅立つ直前が一番資産を持っているという状況になっております。 そして、実際にアンケートをとりますと、不思議なことに日本人は、十分な貯蓄をしていないから老後が不安であるということを十人中九人の方がお答えになるということです。ですから、海外から見ると、巨大な金融資産を持ちながら老後が不安だ、年金も世界の水準の中では一番もらっている国民なのにもかかわらず不安だ不安だと言って、お金を全く塩漬けにしたまま使っていない、市場に流していかないという非常に特異な特性を持った状況になっているわけであります。 そして、実際に、個人投資家、金融商品の選択基準は何なのかということで、次のページ、六番なんですけれども、日本は一番重要視しますのが安全性重視、投資するときに必ず聞かれるのが、元本保証はあるんですかというふうに言われてしまうわけです。収益性が一番低いというふうになっているわけであります。 また三番に戻りますけれども、このような状況ですから、運用益が各国に比べて日本は極端に低いということで、運用益がないために日本は金融資産はだんだんじり貧状態に陥っている、こういう構図があるわけです。ですから、日本人がこの千五百五十五兆円の資産を不安だ不安だと言って全く市場に流してこない、そのために株式市場が硬直化している、日本のマーケットの力が落ちているのではないかというふうに考えられるわけであります。 そこで、安東俊夫参考人と樋口三千人参考人にお伺いしたいんですけれども、なぜ日本は、根拠のないというか、これだけ不安を抱き続けるのか。千五百五十五兆円もの金融資産を運用できない、なぜできないというふうにお考えになられるのか。あと、想定される原因とその対応策をあわせてお聞かせいただければと思います。お願いいたします。
○安東参考人 私どもも常日ごろ非常に悩ましく思っていることを御指摘いただきまして、ありがとうございます。 前提条件といたしまして、公正で透明な証券市場というもの、言ってみたら投資家が安心して取引できる場を確保するというのが不可欠ということであります。 御指摘のとおり、我が国の個人金融資産は、高齢者のところに金融資産が偏在しているというのも事実でございます。したがいまして、確定拠出年金、言ってみたら日本版四〇一kとかあるいは少額投資の優遇策等を通じまして、現役世代といいますかの金融・証券投資を促進していくことは重要だと思います。 その際に重要なのは、ある種の投資のインセンティブを与えることではないかというふうに思います。その一つは、金融・証券税制だというふうに思っております。これは、欧米の主要先進国とかあるいはアジアの国等と比較しましてもかなりリスク商品についての優遇措置が講じられておるところでございますし、こういう面の国際競争力の確保という観点からも、そういったための税制措置が必要であるというふうに考えます。 それと、個人の投資に対する不安心理ということでございますけれども、金融に関する知識が必ずしも十分でないということは挙げられると思います。これは、金融広報中央委員会というところでアンケート調査をとったところ、金融商品とか金融商品にかかる税金については六割の方、投資のリスク、株式、債券等の投資に関しては七割以上の方が、ほとんど知識がないと思うという回答をされております。したがいまして、そういった知識不足あるいは理解不足のためにとどまっている、停滞しているということも言えると思います。 協会といたしましては、そういったことを解決するために、取引所でございますとかと連携いたしまして、セミナー等々あるいは証券投資の日とかいった各種イベントを長年継続してやってきております。これを継続してやることによって、皆さんの知識向上あるいは理解を深めることに努めたいというふうに考えております。 以上でございます。
○樋口参考人 御質問の内容、先ほど安東参考人も申し上げましたように、私どもも共通の課題として、悩みとして抱えている問題でございます。 千五百兆の個人金融資産が動かないというのは、将来に対する不安が非常に大きいというふうに我々も思っておるわけでございます。私は個人的には、不安だから運用しないということよりも、むしろ運用をしなきゃならないという必然性、必要性を切実に感じていないという面が結構あるのではないかなというふうに感じております。 実際に、年金の受給世代、先ほど御指摘もありましたように、高齢層のところにこういった預金が集中しておるということでございますが、この層の方々は資産運用にある程度関心を持っておられるというふうには認識しております。むしろ大きな問題は、長期投資ができる状況であり、かつ、リスクをとってでもそういうことを行う必要性があるというふうに考えられております若年層が、資産運用への関心が非常に低いという現状にあるのではないかというふうに思います。 投資信託協会としましては、いろいろな形で国際交流の活動も行っておるわけでございますが、諸外国の事例から見まして、関心を持ってもらうためには、若年層への確定拠出年金制度の普及というものが最も有効な解決策だというふうに思っております。諸外国のケースでは、この確定拠出年金制度の普及啓発活動とあわせまして、先ほど来出ておりますように、投資家教育といったものもあわせて推進を図っておるという状況でございます。 個人個人が年金について切実な問題としてみずから長期運用して、リスクをとってためていかなきゃいかぬのだという考え方を浸透させることが、この問題の解決策の一つではないかというふうに考えておる次第であります。投資信託を使ってそのような形を遂行していくように、我々としても努力してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。
○とかしき委員 やはり知識が不足しているということと、税的な配慮とかいった必要性を感じられるような環境づくりというのが大切だということがよくわかりました。ありがとうございました。 それでは最後に、日本が金融大国を目指すならば、特に環境と金融の融合、ここがこれから世界でも大きなテーマになってくると思います。低炭素社会への移行に際して、ヨーロッパが今ちょっと先行ぎみですけれども、日本も新たな世界のリーダーを目指すべきだと私も考えておりますけれども、今後、環境と金融のマーケットの育成、あと基準づくり、国としてどんなサポートをすべきとお考えかということを、時間がありませんので、一言ずつお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○黒沼参考人 環境については私の専門ではないのですけれども、金融の分野で開発された手法を生かして、環境問題に取り組むためのインセンティブを適切に与えるために排出量取引などが認められているわけですから、両者が相補完し合って、この場合の最終的な目的というのは金融にあるわけではなくて環境問題への取り組みにあるわけですから、その目標をしっかり見失わないようにして、制度を構築していくことができるのではないかというふうに考えています。
○斉藤参考人 先生よく御案内のとおり、世界の金融というのは、一九六九年ぐらいから、数理、定量によって数学的に把握する、リスクというもの、ボラティリティーをベースに計算するという技術が発達して、その金融のバリューというものを市場で取引することによって最も効率性の高い社会をつくろうという動きが、この二十五年、三十年続いてきたわけです。その中に環境問題というのが出てきて、排出権という権利、クレジットも数量的にとらえて、それを市場で取引することが最もベストであるという哲学を持っているということです、彼らは。それを日本が完全にネグレクトしない方がいいと私は思っております。
○安東参考人 協会としては、証券業界の環境問題に関する行動計画というものを既にこの二月に策定しております。具体的には、例えば環境配慮型企業を投資対象とする商品、エコファンド等ございますけれども、そういったものを開発、提供して、環境配慮型企業への支援並びに投資家に対する環境配慮型企業への投資機会の提供等を通じまして地球温暖化防止策の啓蒙に寄与しているところでございます。 また、今斉藤さんがおっしゃいましたように、排出権取引等々につきましても、投資機会の多様化でありますとか投資家の拡大というようなことを期待しておりまして、政府におかれましても、こうした取り組みを支援して環境対策を促すような制度設計をぜひやっていただきたいというふうに思います。
○樋口参考人 投資信託の方の立場から申し上げますと、今現在話題にあるエコファンドと称される、そのような公募のSRIファンドは、二〇〇七年九月末時点で約五十本、七千五百億円程度ございます。これも、一年間で倍増というようなピッチではあるんですが、公募株式投信全体の中に占めるウエートはまだまだ低い状況であるということでございます。 大きな規模での運用というものが活発になりましたのはここ一、二年のことでございまして、これは主に、環境とかそういったものに非常に関心の高い企業を選別して投資をしていく、そういった企業に投資をされることによってそういった企業の株価が上がり、さらにその結果として投資家にそのリターンが戻るというような形で環境問題に対する企業の取り組み方を支援していくということで、非常に役立つのではないかと思っておるんですが、現状におきましては、まだ運用が開始されてから一年とかそんなレベルでございまして、他のファンドとの運用格差というか、そういったものがまだ明確に提示できない状況で、一般にもなかなか明確に支持されにくい状況にあろうかと思います。 こういったものが、確かに有効な投資であるし、いい企業に投資をしているんだというようなものがもう少し定着してまいりますれば、恐らくこういったものに対する関心は一段と高くなって、金融と環境の関係からいきましてもいい形で推移していくのではないかというふうに考えております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
○原田委員長 次に、石井啓一君。
○石井(啓)委員 おはようございます。公明党の石井啓一でございます。 きょうは、参考人の皆様方、大変御苦労さまでございます。 早速質問に入らせていただきたいと思いますが、まず、四人の参考人それぞれにお聞きしたいと思いますけれども、金融専門人材の育成という点でございます。 財団法人国際金融情報センターが在日外国金融機関に対するアンケートを行っておりまして、東京市場がニューヨーク、ロンドンに比べて不利な理由の最たるものは国際金融に豊富な能力を持つ人材の雇用及び確保にあるという調査を金融庁の方から資料をいただいております。金融・資本市場競争力強化プランにおいてもこの点に着目をして、金融庁では、今般、金融専門人材に関するコンセプトを公表して、広く意見を募集した上で制度設計に取り組もうとしているところでございますけれども、参考人の皆さんからそれぞれ、金融専門人材の育成、確保に関しまして御意見をお伺いいたしたいと存じます。 〔委員長退席、後藤田委員長代理着席〕
○黒沼参考人 私は法律学を研究しておりまして、金融の専門家ではございませんが、私の経験からその範囲で申し上げますと、一方で、斉藤参考人が言われたように、金融の分野は金融工学といいますか理科系の進出が著しいところで、そのような人材の育成が喫緊の課題になっていると思います。他方で、文科系といいますか法律学の専門家で金融に進む人間というのが、かつては多かったと思いますけれども、最近では法律の専門職を志向する人間がふえているように思います。 しかし、大学で教えている経験からいいますと、この分野では、法律学の知識と経験を持った人材が活躍できる部門も多いのではないかというふうに考えております。法曹人口の拡大の問題が話題になっておりますけれども、金融分野でも、例えば海外の規制当局者やあるいは金融機関、証券会社の人材を見ても、法律家がかなりの部分を占めておりますので、これからそういった分野の人材育成が日本でも必要になってくるのではないかというふうに個人的に考えております。
○斉藤参考人 まさしく日本の一番の問題は、国際的金融人材の不足と言われます。 今の金融は、先ほど申しましたように、数学と法律と財務会計がまずはっきり身についていなければついていけない世界であります。それに、もちろんそれを全部英語で説明できるということが国際的という意味で基本になります。ちなみに、例えば中東諸国ですとかインド、インドは当然ですが、数学と科学、理科は全部英語で教育をしております。 加えて、金融の場合は、流動性のリスクを把握する体験ですとかクレジットリスクをマスターする体験というものが必要です。したがって、これは数学、法律、会計というものをマスターした上で、やはりある程度徒弟制度的なトレーンを受けないと、今回のサブプライムローンの問題は数学と法律と会計だけをマスターした若者が暴走したということで、彼らは経験が少ないために市場の流動性やクレジットリスクというものが習得できていない。先生御案内のとおり、これは実はノーベル賞をもらった先生ですら、数理の天才ではありましたけれども、クレジット、流動性のリスクというものがわからなかったということで、むしろトレーダーの方が、彼らの方がよっぽどまさっているという言葉をはっきり言っております。 そういうことで、これはある程度現場で教育していくということ、その前に、基礎として数学、法律、財務会計というものと、それを英語でちゃんと表現できる、こういう人間をつくっていくしかない、世界はそれをやっているということです。
○安東参考人 国際競争力強化ということに対しまして、金融人材の厚みを増していくというのは非常に重要であるというふうに考えております。また、金融機関だけではなくて、自主規制機関でありますとか規制当局においても、複雑化、高度化する市場に対応する人材の育成、確保というのは今急務になっております。現在、金融庁で金融専門人材のあり方に関して議論がされているところでございますが、コンセプトが公表されました金融士資格が金融サービス業における一定の能力水準の証明になるということから、この制度を通じまして金融人材の厚みを増すということが期待されているところでございます。 加えまして、よりよいベターレギュレーション、規制環境でございますけれども、こういったものを実現するために、官民の人材交流を促進あるいは官と民のコンプライアンスに関する知識や考え方を共有ということが必要だというふうに考えております。資格保有者が官民の双方向で移動することによりまして、人材交流を通じましたコンプライアンス意識の共有というものが実現できるのではないかというふうに考えております。
○樋口参考人 私の方から、運用会社の立場からということで申し上げたいと思います。 元来、運用会社としましては、もともとプロフェッショナルであることを要求されておる業界でございまして、他の金融業と比較いたしましても、いち早く専門家集団としての人材育成策や処遇策を採用してきた業界ではないかというふうに思っております。 このようなことから、国内の運用会社でございましても、ファンドマネジャーであるとかアナリストなどの専門家につきましては、人材の育成という点ではキャリアパスを明示した、また人材の確保という面では年俸制の採用等、実績報酬型を採用している社がかなりの数に上ってきておる現状でございます。 また、投資信託の評価会社も存在し、運用実績の定量的な側面ではなく、例えばファンドマネジャーの育成、確保策についても、定性的な分野を含めて投資運用会社として評価をしていただいておるために、運用会社における専門的な人材マネジメントは常に外部の目にさらされておるという状況でございます。 ただ、コモと外資系の運用会社等と伍して、グローバルな運用体制を確立すべくその運用対象範囲を拡大していくという現状でございますので、一層これら人材の育成、確保に努めて、そのレベルを高めていく必要性が一段とあるのではないかというふうに感じておる次第でございます。 以上でございます。
○石井(啓)委員 それでは、続きまして黒沼参考人にお伺いしたいと思います。 金融サービス法へ向けての展望あるいは課題ということでございますけれども、今般改正をいたしますこの金融商品取引法、もともと制定する際に、これは将来的にはいわゆる金融サービス法、金融商品を幅広く網羅して横断的なルールを設ける金融サービス法への一里塚なんだ、こういう議論がなされたところでございますけれども、この金融サービス法に向けてどういう課題があるのか、あるいはどういう展望があるのかということにつきまして、御意見をお伺いいたしたいと存じます。
○黒沼参考人 金融サービス法といいますのは、銀行、保険、証券の分野を総合的に規律する法体系のことを言います。昨年九月より施行されている金融商品取引法は、投資に係る横断的な法律ということで、投資性の低い預金や保険契約については対象としていなかったものであります。そこで、論者の中には金融サービス法を目指して検討を進めていくべきだと言う方もいらっしゃいますし、行政としてもそういう対応で今後検討を進めていかれるんだろうと思います。 金融サービス法に向けての課題として私が感じていることは、まず、単に法律を寄せ集めるだけならばすぐにでもできるんですね。しかし、銀行法や保険業法の目的というのは金融商品取引法の目的と異なる部分があります。銀行法であれば安全な貯蓄を求めている預金者を手厚く保護する、保険であれば保険事故が発生したときに保護を確実に提供するというのが目的でありまして、金融商品取引法のように、投資について情報開示と自己責任の原則のもとで効率的な資源配分を達成するという目的とは若干異なった面があります。それをどのようにして一つの法律に盛り込むかということが一番難しい点だろうと考えています。 それから、監督の面については、これは比較的統合しやすいんですね。ですから、監督の面について総合的な法律をつくることはできますけれども、しかし、今言ったように、目的の違うものを一つの法体系にうまく組み込むことができるかという点ではなお検討すべき点が多々あるというふうに考えております。
○石井(啓)委員 続いて斉藤参考人にお伺いしますけれども、東証の存在感が低下している理由と、今後の東証が存在感を引き上げていくためにどういう戦略をお持ちなのかということであります。 先ほどの陳述の中でも、この二十年間、先進国の中で時価総額が下がったのは我が国だけだ、こういうお話でございました。欧米あるいはアジアの市場と比べますと非常に日本の存在感は薄らいでいる、こういう危機的な状況かと思います。この二十年を振り返ってみますと、やはりバブルがはじけた、あるいはそれに続く景気低迷が長引いたということが一番大きな理由の一つかなというふうに思いますけれども、斉藤参考人としてはそこら辺をどういうふうにお考えになっているのか、また、今後東証の位置づけを引き上げるために東証自身としてはどういう戦略をお持ちなのか、お伺いをいたしたいと存じます。
○斉藤参考人 もちろん東証といたしまして自分たちなりの相当の努力をしなければいけないと思っておりますが、やはり国際的なプレゼンスが非常に低い理由を、かなり極論ですけれどもあえて一言で申しますと、日本企業のリターン・オン・エクイティー、資本のリターン率が非常に低い、つまり会社としての魅力がないということであります。 投資家は、普通なら銀行預金に置いて、少なくとも元本は減らないかもしれないお金を引っ張り出してきてリスク投資をする以上は、かなりのリターンを求めて投資するはずでありますが、それに対して会社が、上場企業が十分株価ないしは配当によって報いることができていないということであります。ちなみに、御案内のとおり、日本のROEというのはマイナス〇・四%まで落ちたことがありますが、今は大幅に改善したと言われて九・八%であります。しかし、アメリカが大体一八%、ヨーロッパが一四、五%でありまして、普通、経営者を判断するメルクマールは一三%ぐらいまでが限度でありまして、一〇%以下のROEを出している経営者は失格と言われております。しかし日本は、今ピークに来てようやく九・八%であるということであります。 これに対して当然株主は厳しい目で経営を見たいという気持ちがあるわけであります。今、恐らく近代社会というのは、アドミニストレーション、監視のサイクルみたいなものがあって、アメリカは特に、カルパースのようなカリフォルニアの地方公務員の年金、あるいはカレッジ・リタイアメントという学校の先生方の年金、これは中立性が非常に高いという意味で、彼らが自分の運用効率を上げる意味で非常に厳しい目で経営のスタイル、ビジネスのやり方を見て、株主権を行使してきました。その運用者自体もまた年金の委託者、公務員の人やあるいは先生方から非常に厳しく、なぜ自分のところの年金はこんなに下手な運用をするんだといって追及されて、場合によっては首をとられる。カルパースでも何回か経営者が首を切られております。 そういうふうな非常に厳しいサイクルが回っているということに対して、日本では、いろいろ言葉は出ていますけれども、現実にアクションをとるような公的年金の姿を見たことがありませんし、また、外国からそういう声がかかってくると寄ってたかって何かおかしいような反応をしてつぶしてしまう。もちろん、私は外国のファンドが全部正しいことを言っているとも思いませんし、いろいろ問題点があることも認めますけれども、一般論としては、株主からしっかり見られる、株主に対してしっかり説明をする、アカウンタビリティーの高い経営をやるという日本の経営のスタイルというものがまず求められていると思います。 これが、海外から見ますと非常に、リレーションシップキャピタリズムという言葉に言われていますけれども、見えないところで何かこそこそこそこそやって業務を提携していっているとかディールが行われているというふうに見られておりまして、結果的には、ROEという数字が実際九・八というふうに非常に低いじゃないかという形で批判されているということです。何か透明性を上げるということが非常に重要ではないかと思っております。東証としては、当然そのようなコメントを出し続けていくということになると思います。
○石井(啓)委員 最後の質問でございますけれども、安東参考人、樋口参考人にお伺いしたいと思います。 先ほどの質問と重なりますけれども、貯蓄から投資への流れを加速するために今後どういう施策が必要かということでありますけれども、ようやく我が国も、株式と投資信託合わせて、個人の一千五百兆円を超える金融資産のうち一一・四%を占めるようになりましたけれども、まだまだ欧米と比べると低い状況でございます。 政府としても、今年度の税制改正で配当と株式譲渡損との損益通算を可能にする措置をとり、金融一体課税に一歩踏み出しましたし、また今般はこの金融商品取引法の改正を図っているわけでございますけれども、今後さらに必要な施策について御意見、御要望等、お伺いをいたしたいと思います。
○安東参考人 何度も申し上げておりますけれども、公正で透明な証券市場というもの、それが投資家の信頼の維持向上を図るということでは不可欠であります。 本協会におきましては、昨年の四月でございますけれども、今後の金融・資本市場のあり方を考える懇談会というところで報告書を取りまとめまして、その中の、個人投資家、発行企業・プロの投資家、機関投資家ですね、海外投資家、法的・制度的インフラの四つの視点に関しまして、四十四項目の提言を行っております。この提言の内容を順次実施することによりまして、我が国証券市場の活性化が期待されるところであります。 加えまして、先ほども申し上げました重要なインフラであります税制。損益通算というものが配当も含めて来年から実施されることになりましたけれども、こういったことを一段と促進する必要があるというふうに考えております。
○樋口参考人 先ほども申し上げましたが、投資信託がいわゆる長期投資かつ分散投資の極めて有効な手段であるということであります。これをいかに活用して一般の個人の方に浸透を図っていくかということに尽きるかと思います。 そういった意味で、長期投資という意識がなかなかまだ芽生えておらない現状である。投資信託の購入者におきましてもそういった状況が見受けられます。そういったことで、端的に一つ申し上げるとすれば、長期保有に対するいわゆる優遇税制的な措置というのは、私は個人的には一番有効な手段であるのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○石井(啓)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
○後藤田委員長代理 次に、松野頼久君。
○松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。 きょうは、参考人の皆さん、大変御多忙の中に当委員会にお越しをいただきまして、心から感謝を申し上げます。 さて、早速お話を承りたいと思うのですが、今回の金商法の改正、一つの大きな柱として、貯蓄から投資へということが大きな柱となっております。一千兆を超えるという個人の金融資産をいかに株式、信託等のマーケットに呼び込むか、これは大きなテーマだというふうに思うんですが、ただ、それには私は大前提がありまして、まず市場が信頼足るべきものなのかということ、そして投資家が安心して投資ができる環境をつくること、これが大前提の話だというふうに思うわけであります。 そこで、その視点で幾つか参考人の皆さんにお話を承りたいと思うんですが、まず黒沼先生にお伺いをしたいんですが、エコノミストという雑誌、これは二〇〇六年の十二月十九日に黒沼先生がこういう御発言をされております。「不十分だった「金融商品販売法」」というところ、「学者が斬る 「貯蓄から投資」の時代の金融商品取引法」というテーマで、金融商品販売法が不十分であったというふうに先生はおっしゃっているんです。 「金融商品の販売・勧誘に関するごく一部のルールを統一したにとどまった。」これは前回の金融商品販売法のときのお話だと思うんですが、「金融商品の元本割れリスクについて業者に説明義務を課したことと、勧誘方針についての業者の策定・公表義務を定めただけであった。勧誘規制として、いわゆる「適合性の原則」さえ定めることができなかった点で、極めて不十分な立法であったといわざるを得ない。」というふうに先生は述べられているわけです。 金融商品を販売、勧誘するときに、要は、リスクをどれだけ説明するのか、そしてまたその商品がどういう性格の商品であるのか、また、これは後でも御紹介いたしますけれども国民生活センター等にいろいろな苦情が来ている状況の中で、どういう販売方法をしたのかということを、やはり統一的なルールを定めるべきであったというような趣旨の御発言を先生はされているのですが、その辺について、もし御意見がありましたら承りたいというふうに思っています。
○黒沼参考人 販売、勧誘ルールについての統一が金融商品販売法では不十分だったというふうに申し上げていましたが、これは平成十二年に施行された旧金販法の話であります。昨年九月より施行されている金商法とあわせて改正された金融商品販売法では、説明義務違反に基づく損害賠償責任のルールとか、それから断定的判断の提供の禁止など、幾つかの点で金融商品全般にかかわる販売、勧誘ルールについて改善が図られていると思います。 それから、金融商品取引法、これは適用範囲は限られていますけれども、それと同時に、保険業法とか信託業法等の改正が行われまして、投資性の高い金融商品についてはできるだけ横断的なルール、特に販売、勧誘に関する横断的なルールを整えるということが行われています。その結果として、リスクの説明ですね、特に、なぜそれだけのリターンが得られる、その背後にリスクがあるはずですけれども、そのリターンと、きちんと納得がいくようにリスクを説明するということも、金融商品取引法と金融商品販売法の両者によってかなりの程度実現しているのではないかというふうに現在は考えております。
○松野(頼)委員 どうもありがとうございます。 国民生活センターに、実は株式で約五千六百件の苦情というものが来ているんですね。これは若干ダブっているのかもしれませんが、販売方法に関して三千七百件、また、契約、解約について四千七百件という苦情が今でも来ている。これは二〇〇六年のデータでございます。ただ、これがすべていかがなものかということは一概には言い切れないというふうに思いますけれども、これは、諸外国で見られるような、市場の中にある程度ADR的な、裁判を経ないで紛争を解決するような機関をつくったらどうかというような議論もあるんですけれども、その辺、先生の御意見はいかがでございましょうか。
○黒沼参考人 ADRをつくろうという動きがあるということは承知しております。 金融商品取引法においても、認定投資者保護団体という制度が設けられまして、民間の団体があっせん業務を行うについて行政が認定を与えるという制度ができています。 どちらの制度がすぐれているかというのは、今後その運用の状況を見なければならないと思いますが、どうも投資者保護団体制度については余り活用がなされていないというのが現状のようですので、私個人としてはADR法にも期待しているところであります。
○松野(頼)委員 どうもありがとうございます。 また、今回、黒沼先生は審議会の中で、インサイダー取引に対する課徴金のことについて随分発言をされていたというふうに思います。今回の金商法の改正においても、課徴金が随分値上げをされました。ただし、一方で見ると、利得をすべて奪われたにすぎないという見方の議論もあるように考えておりますけれども、その辺の課徴金の金額について黒沼先生の御意見を伺えればというふうに思っています。
○黒沼参考人 課徴金については、従来から、その性質上、利得の範囲に制限されるという考え方と、抑止効果を上げるためには利得を奪うだけでは足りないのであって、利得を超える金額を奪うべきだという考え方の両方があります。 この課徴金制度をスムーズに創設して運用するためには、当初、利得相当額に限って課徴金をかけるという考え方がとられたものと思います。今回の改正ではそれを引き上げようとしているわけですけれども、今回の改正では実質的には、利得に限られず、要するに利得しようと思った、ねらった金額までは取れるということになっているように私は感じています。インサイダーであれば、実際に得た利得よりも課徴金の額が高くなるということもあると考えられまして、その限りでは、利得以上の金額の吐き出しを求められるということでありますので、一定の抑止効果が得られる。 私個人としては、抑止効果を発揮するにはより高い金額に引き上げることが必要だというふうに考えてはいますけれども、まずは、今回の改正案で実施をしてみて、その運用状況を見るべきではないかというふうに思っております。
○松野(頼)委員 逆に、今回、プロ向け市場というものを積極的に推奨してつくっていくという状況なんですけれども、要は、一般投資家が投資をする市場とまたプロ向け市場という中で、果たして課徴金を一律でいいんだろうか。例えばプロ対プロの世界の中では、もっと罰則的な課徴金を課すという考え方もあるのではないかというふうに私は思っているんですが、その辺、先生の御意見はいかがでしょうか。
○黒沼参考人 プロ向け市場であれ一般投資家が参加する市場であれ、市場と言えるものを法律で市場が成立するように担保する以上は、不公正取引や不実の情報開示については厳しく処罰をしていく、あるいは制裁をかけていく必要があると思います。 その違反行為の内容に応じて、課徴金で済ませるものもあれば、罰則を適用するものもあるし、それから民事責任を追及しやすくするものもあると思いますが、基本的には、プロ向け市場と一般投資家向け市場で市場の公正性を確保するための仕組みのあり方は変わらないというふうに考えています。
○松野(頼)委員 どうもありがとうございます。 次に、安東会長にお伺いをしたいんですが、安東会長も、十九年六月一日、「国際金融」という雑誌の中で、このようにおっしゃっております。「不適格な業者・反社会的勢力の排除」というところで、特に、「不適格な業者等を市場から排除し、一般の個人が安心して投資できる市場を構築するため、金融商品取引法上の金融商品取引業者等の登録要件の厳格化、自主規制ルールの順守のための制度的枠組みの整備及び関係当局及び証券取引所等関係機関による監督・監視体制の一層の強化が必要」であるというふうにおっしゃっています。 そういう中でお伺いをしたいんですが、協会の立場で、例えば不適切な業者というのは大体どういう業者だというふうに御認識されていますでしょうか。
○安東参考人 言ってみたら、法令等を含めた、あるいは、いろいろな引き受けに関するものとか販売に関するものとか多々あるんですけれども、その中において、私どもの自主規制等に対してルール違反を行った者というふうに考えております。
○松野(頼)委員 例えばルール違反を行ったらすべて市場から排除するというような意味にも聞こえるんですけれども、そこまで厳格に、厳しくととらえてよろしいんですか。
○安東参考人 さまざまな罰則規定がございまして、要するに、悪質なのかそうでないものかといういろいろな区分けがあるんですけれども、それによりまして、勧告で済ませたりあるいは過怠金を取ったり、いろいろな罰則規定がございます。
○松野(頼)委員 では、例えばそれで悪質であるということで捜査当局が入り、裁判所で刑が確定をした場合、事件を起こしたということであれば、それは市場から排除するというお考えでよろしいんですか。
○安東参考人 もちろん程度によるわけですけれども、法律によって完全に違法であるということが認定された場合に、もちろん行政処分の対象ということになります。それに従いまして協会としても、程度に応じまして、過怠金と申しましても金額を含めまして行っていく、あるいは、例えば行った個人に対して、もちろん資格上の処分とかいうこともあります。
○松野(頼)委員 インサイダー事件が昨今ずっと長い間取りざたをされている状況の中で、例えばインサイダー事件を起こした会社というのは、もう市場から排除するという考えでよろしいんですか。
○安東参考人 インサイダー事件というのは、もちろん個別にいろいろあるわけですけれども、基本的にその所属する会社の管理体制に問題があったのか、あるいは個人の、要するに確信犯的な犯罪であるのか、いろいろなパターンがあるわけです。したがいまして、もちろんインサイダーを引き起こした会社が、それを調べた結果、行政処分に該当するということもかつてございましたけれども、それらに関しましては、その程度に応じて処分ということでしております。それを排斥するというようなことは、除名というようなことはございません。
○松野(頼)委員 除名ということはされていないですか。(安東参考人「はい」と呼ぶ) 例えば、それは協会として、自主規制機関としてどのような調査を日ごろされているのか伺えればというふうに思っています。
○安東参考人 協会は、協会監査と申しまして、証券会社、銀行等のすべての協会員を対象ということで、現在、年間二百社程度行っております。協会員が、先ほど、冒頭申し上げました五百四十社ございますので、平均いたしますと二年半か三年に一回監査は行うということになります。それを今現在専任の六十名でカバーしている。ただし、入会して間もないところにつきましては頻度を高めまして、半年に一回とかということで、初期の監査は通常よりも頻度を高めているというようなことでございます。
○松野(頼)委員 また、同誌の中で会長はこのようにおっしゃっております。「例えば、検査については、日証協は証券会社等のコンプライアンス態勢、自己資本規制比率、分別保管及び新しい金融商品の勧誘・販売の状況等について監査を行い、行政にその結果を報告するという役割分担が考えられます。」要は、行政に頼らずとも、業界として、協会として調査をして、その結果もし問題があれば行政に報告するんだというふうなことをおっしゃっております。「この結果、行政側は市場の監視機能の強化により多くの資源を投入できることになるほか、日証協と証券取引所との間でも、現在の合同検査をさらに進め、日証協が基本的に証券会社等に対する検査を担当し、証券取引所は、マーケット監視に特化するという役割分担が」必要であるということ、このようにおっしゃっているわけです。 今、日証協として、行政が出動する前に事前に調査をして、こういう問題があるんだ、だから行政、ちょっと動いてみてくれないかというようなことをやった例というのはあるんでしょうか。
○安東参考人 詳しくは承知しておりませんけれども、私の知る限りではないというふうに思っています。
○松野(頼)委員 今回、野村証券さんがインサイダーで当局に立ち入りを行われました。この件について、何か協会として事前に動いた、または、それ以降も行政に対してこのようなことがあるというような報告をされたことはありますでしょうか。
○安東参考人 ございません。
○松野(頼)委員 先ほども申し上げましたけれども、国民生活センターに対する苦情、これは別にすべてがそのとおりだというふうに受け取るわけではありません。ただ、ある程度の頻度で、特に株に対する苦情というものが国民生活センターなり金融庁のホットラインというところに寄せられているという現状があります。 また、協会として何かそういうような苦情の窓口等をつくられたというふうに聞いておるんですけれども、どれぐらいの頻度でその苦情窓口に苦情が寄せられ、そしてその寄せられた苦情に対して実際の調査を行っているかということを、もし現状であればお答えいただければというふうに思います。通告してありませんからざくっとした数字で結構ですし、どういう気持ちでその苦情に対して臨んでいるかということだけでも結構でございますので、お答えをいただければと。
○安東参考人 たまたま今資料がございましたので、申し上げます。 苦情の件数自体が、平成十九年度が七百七十三件と若干減少している。先ほど先生がおっしゃっておりましたいわゆるあっせん、ADR法、これは協会の方で既にございまして、当初証券業協会の苦情あっせんセンターだけだったものが、今般、本協会と投信協会、金融先物取引業協会、投資顧問業協会、投資販売業協会、五団体による共通電話相談窓口というようなことをやっておりまして、言ってみたら、この五団体に関して言えば電話窓口が一本化した、それと和解のあっせん等を行うADR法も取得した、こういうことでございます。
○松野(頼)委員 今おっしゃった和解のあっせんは、どれぐらいの頻度で行って、どれぐらいあっせんが成立されているんでしょうか。
○安東参考人 件数については把握しておりません。ADR法というのも、まだ設立されて間もないということもございまして、これからだと思います。
○松野(頼)委員 寄せられた苦情、国民生活センターなり金融庁のホットラインから、きのう、ちょっと抜粋をして幾つか出してくれというふうに申し上げましたら、こういうのが出てまいりました。 株券の電子化手続をするために証券会社に預かり証を持っていったが、取引はないし証書の印鑑が押されていないので無効だというふうに言われた。これも、すべてこの言葉をうのみにできるわけではありませんけれども、また次は、証券会社に出向いて株式を購入、高額資金を投入し担当者の助言どおり二年間売買したが全くもうからずに損、清算を申し出たが不満である。こうやって、もうからなかったから不満であるという声も多数寄せられているので、すべてそれが正しいということは言えません。もちろん、自己責任ということを投資家個人も当然覚悟していかなければいけないということだと思います。また、証券会社の担当者に勝手に株の売買をされて損失が出た、調停にかけたが不調、証券業界の窓口に相談したが回答がないというような声も寄せられております。 また、これは金融庁の方のホットラインに来ている話でありますけれども、証券会社の担当者からある一部上場会社に対するTOBがあるらしいという話を聞いて、当該銘柄を買った、その後TOBの発表がないまま値下がりを始めた、結局TOBは行われずに損失をこうむったということ、金融商品取引法で禁止されている虚偽のことを告げる行為に当たるのではないか。これはうわさ話、余り正確な情報を流すとそれはインサイダーになってしまいます。ただし、こういう話というのは、販売のときにいろいろな話がよく出てくる。こういう情報があるからこの株は上がりますよという勧誘方法は往々にしてあるというふうに思っております。 また、家内が数年前にD証券会社から新興市場のネット関連株の購入を勧められ、結果的に多額の損失をこうむった、その後、同証券会社の次長等から、損をさせられた分を取り返しましょう、半年で三〇%の利益が上がる投信があるので買いませんかと誘われ、書面の交付等が一切ないままに代金二千万を支払った、手元にある書面は二千万の領収書のみ、本店のお客様相談室に相談したがらちが明かない。いろいろな声が寄せられておるんです。 さっき申し上げましたADR、もちろんその声がすべて正しいというわけでは当然ありません。ただ、やはり裁判に行く前に紛争を解決するルールというのが日本のマーケットで非常におくれているのではないか。要は、果たしてADRが業界の自主ルールの中だけでいいのか、それとももう少し一歩進んで、中立の機関的なもので、市場の中の、微妙な立ち位置になるかもしれませんけれども、そういうところにつくるのも一つではないかというふうに私は思うんですが、その辺、協会長の立場で、今のADRで十分なのかということをお聞かせいただければありがたいというふうに思っています。
○安東参考人 先ほど、ADR法を既に認定を受けたと私言いましたけれども、若干間違いがございました。現在、認定団体として申請しているところでございます。したがいまして、従来から協会では苦情あっせんは行っておりますけれども、ADR法の認定がこれによって受けられれば、先ほど申しました投資者保護ということに立脚したものがより強くできる。ですから、ちょっとさっき誤認識がございましたので、失礼しました。 それで御質問でございますけれども、こういったADR法に加えまして、主に投資者と、それから言ってみたら証券会社の間のあっせん業務ということになるわけですけれども、そういった形で実際機能してくるのではないかということを期待しております。やはりお互い言葉のやりとりというものがございまして、誤解に基づくものあるいは説明が不足したもの等々、原因が多々あると思いますので、それぞれ具体的に個別に対応していけば、かなり進むのではないかという期待をしております。
○松野(頼)委員 ADRの立ち位置というか、どんな感じの立ち位置でつくった方がいいとお考えですか。協会の下に自主規制でいくんだというような形なのか、もう少し、もちろん協会も参加をする、当然のごとく参加をするのと同時に、行政と民間の中間的な立ち位置につくった方がいいのか。 私は、決して批判をするために言っているのではなくて、やはり投資家が安心をして今一千兆を超える資産を日本の証券マーケットに入れる。世界に比べても、例えばニューヨークと比べると今五倍近い取引高の差になっているわけです。ロンドンにも抜かれております。そういう状況の中で、一千兆という個人の金融資産をもっと証券マーケットに入れて、そして世界からももっとお金を呼び込めるような状態にする。また、世界のマーケットも、日本のマーケットは安心なんだというような安心感をつくって、より一層世界からお金を呼び込むということが必要だからこそ、割と厳し目なことを言わせていただいているわけであります。 でなければ、日本の金融市場というのは世界にどんどんおくれをとってしまう。ここで本当にもう一回、今までの形をもっとがちがちに固めていくんだということをしなければ、日本の金融市場が衰退してしまうのではないかという立場から、こういう厳し目のことを申し上げております。 ADRの立ち位置に関して、協会と、あと黒沼先生、また斉藤参考人からもぜひ御意見をいただければというふうに思っております。
○安東参考人 松野先生が憂えている、あるいはこれからやらなくてはいかぬということにつきましては、全く同感でございます。したがいまして、そういう方向でしっかりやってまいりたいというふうに思います。 ADR法の立ち位置も、具体的に着手してから、よく見ながら、どこに置いたら一番効果が発揮できるのかというようなことを今後考えてまいりたいというふうに思います。
○黒沼参考人 どういうADR、紛争解決あっせん制度が望ましいかということでありますが、まず、証券業協会のもとにあるあっせん制度というのも、これは法律に裏づけられた制度的なものでありまして、証券業協会は単なる業界の団体ではなくて、法律上の自主規制機関であります。それは公的な使命を負っているわけであります。ですから、これは別に業界寄りの解決がなされるということではないと思います。 それから、私は、さまざまなADR団体、それから証券業協会のような法律上の自主規制団体、それぞれが紛争解決のための制度を設けて、その間でいわば競争して、よりよい投資者保護あるいはより投資者に安心感を与える制度を目指して競争していくべきではないかというふうに考えています。 それから、これは参考になるかどうかわかりませんけれども、アメリカではかつては投資家と証券会社の紛争が裁判所に持ち込まれることが多かったんですが、その後、口座設定契約などに仲裁条項が入りまして、ほとんどそういった紛争は裁判所に持ち込まれなくなったんですね。 それは、論点によって評価は違いがありますけれども、自主的な取り組みで紛争が解決されているのでいいんだと言う人もいますが、果たしてそれで本当に投資家は満足なのか。特に、日本の投資家が損害を受けた場合に、最終的に裁判所で決着をつけたいと考えている人もいますので、そういう裁判例が積み重なることが投資者にとってかえって安心感になるということも考えられるのではないかと思います。 〔後藤田委員長代理退席、委員長着席〕
○斉藤参考人 東証としての立場は、ちょっと門外漢的な立場ですが、今、黒沼先生がおっしゃったように、私もアメリカでそういう経験がありますが、やはり国民センターなどへその種のクレームが行くということに対して、真摯にそれを受け取ってあげて、仲裁といいますか判断をしてあげる権威ある制度をつくるべきだと思います。 その結果、そのプロセスの中で、今先生がおっしゃったように、買ったら損したんだ、だから問題だというような問題も、そこはどういうふうな形で自己責任なんだ、情報がちゃんと公開されていたならば、そこから先はあなたの責任ですよ、公開されていなければ、それはしていない方が問題ですよというふうな丁寧な一つ一つのプロセスを経ていくことによって、よく言われるリテラシーというものが敷衍すると思いますので、私は、何かそういうものがちゃんと、今、協会は本当は自主規制機関としてしっかりやっているんじゃないかと理解しておりますけれども、あった方がいいと思っております。
○松野(頼)委員 樋口参考人からも一言お願いします。
○樋口参考人 当業界に関しましては関連しない事項でございますので、申しわけございませんが、回答を用意してきておりませんので、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○松野(頼)委員 続きまして、協会として、インサイダーというものに対して「協会員の従業員に関する規則」という内規を自主規制機関としてつくられております。 例えば、「協会員は、いかなる名義を用いているかを問わず、自己の従業員から、又は他の協会員の従業員から当該従業員が当該他の協会員の従業員であることをあらかじめ知らされている場合において、信用取引、有価証券関連デリバティブ取引等又は特定店頭デリバティブ取引等の注文を受けてはならない。」というふうにされているんですが、これは協会として、加盟各社の社員のデータベースなるものはつくっていらっしゃるのでしょうか。
○安東参考人 現在はございませんけれども、データベースは来年五月までにシステマチックに完成する予定でございます。それは、上場会社の役員並びに重要事実に接することの可能性のある、例えば財務部長とか企画とか、そういう方たちのリストはできる予定です。
○松野(頼)委員 これは重要事実にかかわる社員だけですか。
○安東参考人 その辺を規定するのは実はかなり難しいところがございまして、ある場面においてかかわる人、常日ごろかかわる人と全くそうでない人とちょっと区分けしにくいので、その辺は個々の各社におきまして、重要事実の公表ということによってかかわる人をやっていただく、こういうことだと思います。
○松野(頼)委員 この協会服務規則、要は、いかなる社員も取引をしてはならないということをうたわれているわけですから、だれがどういう形で、どこの社員が取引をしているのかというデータベースがなければ、うたわれたことが実行できないのではないかというふうに私は思うんですね。 先ほど、重要事実にかかわる社員というふうにおっしゃいましたけれども、各インサイダー、重要事実に直接かかわる社員が行う場合と、そうではなくて、二次的にそこから情報が漏れるという場合も多々あるのではないかというふうに思っております。やはり、綱紀粛正を考える場合には、そこのところはしっかり自主規制機関として、まずこのうたわれた規則を実行する基層データをぜひつくっていただきたいなというふうに感想を受けるわけですけれども、ぜひもう一度、御意見等がありましたらいただけますでしょうか。
○安東参考人 要するに、証券会社の役職員のデータは、今つくるかどうか議論しているところでございます。もちろん、議論しているということは、つくるという方向で議論しているということでございますし、あと、加えますと、昨年九月に倫理コードというものを策定いたしまして、十二月からいわゆる倫理規定、協会員における倫理規定というものを新たに設けたところでございます。
○松野(頼)委員 あともう一つ、協会としてジャスダック市場の株式の七割超というものを保有されている。一般的に、株式会社で株式の七割を保有していると実質的支配をしているというふうに考えられると思うんですけれども、昨今の、これはジャスダックだけに限らず東証マザーズも同じかもしれませんが、新興市場は六つ今あると思いますけれども、この新興市場の状況というのは、私は今非常に厳しい状況にあるのではないかというふうに思っております。 そして、先ほど金融庁から資料を出していただきましたけれども、新興市場の中で、例えばジャスダックで考えますと、ジャスダックは創設してから百七十五社余りが大体新規上場をしている。その中で初値を下回っているのが、いろいろな計算もあるんですけれども、今約百六十五社ある。要は、上場したときの初値から、今日、直近の数字として初値を下回っている企業が百六十五社という現状であります。 やはり投資家が安心して市場に資金を入れられる、それにはある程度安定した価格が維持できるということは大前提だというふうに私は思うんですね。今の現状を見て新興市場から撤退をした会社というのも多数出ておる状況の中で、やはり上場基準の厳格化というものもこれは考えなければいけないというふうに思うんですが、その状況を踏まえまして協会としていかがでしょうか。
○安東参考人 これも御指摘のとおりでございます。新興市場につきましては、私ども、非常に重要な問題であるというふうに考えているところでございます。 先ほどございました、例えば、協会といたしましては、証券会社に対しまして昨年八月、いわゆる引き受けルールの強化、簡単に引き受けはできませんよ、主幹事はできませんよというようなルールを制定しておりまして、それ以降、引き受けと体制がきちっと分離されているとか、条件を満たさないと証券会社としては引き受けができなくなりました。 あともう一つは、取引所の上場審査の問題があると思います。これはもちろん私どもでとやかく言う問題ではございませんけれども、それぞれがより厳しくやっていただきたい。特に新興市場におきましては、先ほど御指摘もありましたように現在六ございまして、言ってみたらある種の競争が逆に弊害を呼んだ、いわゆる上場審査が甘くなるとか、そういう現象があったのも事実でございますので、その辺もきちっと見きわめまして、新興市場、特に個人投資家離れが、売買代金が非常に減少しておりますし、ということは投資家が信頼をなくしているということの一つの証左であると思いますので、ここからきちっとした新興市場構築のために、先ほどおっしゃられました、ジャスダックの株を私ども七二%強保有しておりますので、これらを活用しつつ構築してまいりたいということでございます。
○松野(頼)委員 ジャスダックは協会としてどうされますでしょうか。いろいろ議論が今なされているようでありますけれども、この七二%強お持ちになられるままでいくのか、それとも違う形をお考えになるのかということをもしお聞かせいただければというふうに思います。
○安東参考人 ジャスダックの株につきましては、現在、私どもの特別委員会、理事会等で確認したところでは、大証への売却を今検討中でございます、もちろんまだ最終的な結論には至っておりませんけれども。 その理由といたしましては、魅力ある新興市場をやはり日本につくるべきであるというのが第一。それから、七二・六という、私ども協会ですから一〇〇%株を保有してももちろん構わないんですけれども、将来の利益相反というようなことを考えますと違和感がある。その二点から、現在大証への売却を検討を進めているところでございます。
○松野(頼)委員 やはり協会が七二%持っていらっしゃるジャスダックという新興市場に関しては、私は上場審査というものは相当厳しくやってもらう必要があるのではないかというふうに思うんですね。 それは、やはり協会が持っている責任ということの重さを考えても、これは確かに新しいベンチャー企業を育成して日本を復興するんだということ、この理念は僕はすばらしいことだと思うんですけれども、ただ昨今の、上場した企業の中で、百七十五社ジャスダックに上場して百六十五社が初値を割っているという、これは非常に悲しい状況だというふうに思うんですね。やはり上場したからには当然初値は上回って、そして市場から集めたお金をもってより一層すばらしい企業に成長をしていただく、そういう企業を多数輩出するんだというのが私は新興市場の当初の夢だったのではないかというふうに思うんですが、ただ、特に現状を見ると非常に厳しい状況になっている。 それは、本来一番厳格にやらなければいけない上場審査、そして、そもそも株を上場するという意味合いというものがやはりしっかりとあるべきだというふうに思うんです。例えば、こういう会社はすばらしい技術を持っている、この技術を使って量産をして、もっと世界のマーケットまで打って出るんだ、そのためには設備投資が必要で、土地を取得して工場を建てる、だから市場から、マーケットからお金を集める必要があるんです、これがごく当たり前の上場の形ではないかというふうに思うんです。 昨今の市場の関係者または新興企業の話等々を聞くと、設備投資が要らない業種なのに、上場することが目的になっていて、上場した後にそのお金の使い道を、なくていろいろ探している、全く本業とは関係のないところでその資金を、使わなければいけないから使って、赤字を出して失敗している。そして、それを見た投資家が愛想を尽かしてマーケットから逃げているというような現状が多く見受けられるのではないかというふうに私は思うんですが、その辺、協会としてお考えはいかがでしょうか。明らかに資金使途が必要ない企業が上場しているという現状、あるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○安東参考人 今御指摘があったこと、例えば上場して数年たって業種を変更するとか、あるいは上場して数年後に経営者がやめちゃうとか、明らかに不心得な企業が多いというのは事実であるというふうに思っています。 したがいまして、私どもが危惧しているのは、まさしく、例えば情報開示の問題、夜中に情報開示を行うとか、とんでもない会社が実際多いわけですね。これらはやはり改善する必要があるということで、あるべき新興市場というものを模索したい。私どもの手本には米国のナスダックがあるじゃないかというふうなことで、それらを十分学習しつつ構築したい。 入り口のルール、新興市場ですから、入り口をやたら狭くするということに関しては、私は賛成はしていません。ただ、言ってみたら入った後のルールですね、これをきちっと証券会社も含めてやっていくことによって退場ルール等もより明確にしていくというようなことも踏まえて、魅力ある新興市場をつくってまいりたいというふうに思っております。
○松野(頼)委員 例えば上場した瞬間に物すごい高額な車を購入してみたり巨大な自宅を建ててみたり別荘を建ててみたり等々、ある意味では有価証券報告書に、記載を見ればわかるような話が行われていても平気でそれを放置しておくという状況があるんじゃないかと私は思うんですね。例えば、社宅で出していればなぜこんな社宅が必要なのか、自宅で登記していればなぜこんな自宅が必要なのか等々、その辺はやはり上場をした後、きちっとその株主なり、またその上場をする市場がしっかり監視をして、本当にこの業界が伸びていくのか、それとも上場が目的になっているのかというところはしっかり見きわめていくこと、これがやはり多くのお金を呼び込む大前提だというふうに私は思うんですね。それで株価が低迷しているということであれば、やはり投資家は納得できないものがあるというふうに私は思っております。 また、最後に一点だけ伺います。 今回の金商法でファイアウオールの規制緩和というものが行われてきております。これは若干、協会としてはいろいろな意見があるかもしれませんが、例えば、これは性善説に立てば、今、大体証券会社と銀行と一つのグループである場合もあるし、その間の情報をやりとりするということは非常に有益なことでもあろうし、また、その銀行なり証券会社が、これは融資でやった方がいい、またこの企業は上場して市場からお金を十分集められる企業だという判断をして、資金使途の拡大にもなっているというふうに思うんですが、逆に、性悪説に立てば、実は内情が非常に厳しい会社だ、しかし、これは融資をこれだけ銀行がしちゃっているから、でもこれを回収しなければいけないから、では逆に上場して回収をしようじゃないかみたいな、逆の性悪説に立てば非常に心配があるというふうに思うんです。その辺、証券業の協会の方からはいかがでしょうか。
○安東参考人 私が冒頭申し上げましたように、ファイアウオール規制については、ユニバーサルバンクは望まない、今のような、御指摘のあった子会社方式と。特に、今回、役職員の兼務でありますとか情報の授受が可能になった、あるいは法人情報もオプトイン、オプトアウトという形で可能になりました。ただ大事なのは、それを行う人たちの言ってみたらモラルの問題ではなかろうかという話を冒頭したわけですけれども、まさしくそこに尽きるのではないかというふうに考えております。
○松野(頼)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、若干厳しい指摘があったかもしれませんが、どうか、この金融市場が発展をして、もっと外国からお金を呼び込めるようなすばらしいマーケットになっていただくという前提でお許しをいただければというふうに思います。 きょうはお忙しい中、本当にありがとうございました。
○原田委員長 次に、古本伸一郎君。
○古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。 本日は、改正金融商品取引法の審査の中での参考人質疑ということで、参考人各位におかれましては、早朝より御対応いただきましたことに、私からもお礼を申し上げる次第でございます。 諸先生から随分議論が各般にわたりまして出ておりますが、私からは、改めまして、政府が唱えております間接金融から直接金融へという大きな流れ、さらに、渡辺喜美金融担当大臣におかれましては、個人のたんす預金が、金融資産が一千数百兆円になんなんとするということをよくおっしゃっておられます。その意味で、先ほど松野委員からありました、いわゆる新興市場への投資を、生まれて初めてそういう市場で株を買った人が、実は初値をずっと下回っていて含み損が出ているなんということになると、もう懲り懲りだという、ビギナーズラックならぬ、本当に最初にしてもうえらい目に遭ったという人もいるかもしれない。そういう問題意識から多分おっしゃっておられたんではなかろうかと拝聴いたしておりましたが、ぜひ、私も同様な問題意識で幾つかお尋ねしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 まず、個人の資産の全体のポートフォリオを考えましたときに、きょう、与党の先生の方からも出ておりましたが、日本人というのは若い時分にリスクをとらずに年をとってからリスクをとる、単純にそういう学説があったり、あるいは諸説もあろうかと思いますし、一面で見れば私もそのとおりだと思うんですが、一点抜け落ちていることがございまして、これは、実は若いときにリスクをとってないわけではないんです。若いときに不動産という大変なリスクをとってしまっているんですね。ですから、この観点を加えまして、総合的な日本人の資産形成、これは当然高齢化がさらに進んでまいりますので、よわい八十にしてまだまだ元気という人は山ほどいらっしゃるわけですから、やはり、老後の蓄えとして期待される領域もこの中に多々あろうかと思います。 その不動産の話も若干触れておきますけれども、諸外国、特にアメリカ、英国の比較をよく皆さんはなさいますが、イギリスなんかでいえば、例えばロンドンのダウンタウンのあのかいわいですね、バッキンガムパレス、あの周辺からいわゆる高級住宅街がありますね。あの辺のエリアでいけば、土地を買おうにも買えません。なぜならば、レジストリーオフィスに行ってみれば、女王陛下の土地というふうになっていますので、賃貸しかできないんですね。たな子にしかなれないわけです。 したがって、不動産を買い込むというリスクをしょわずに、いわゆる賃借料だけを払えばいいということであって、可処分所得に占めるポートフォリオで見れば、日本人の、一生に家一軒という物すごい呪縛をしょい込んで、それで五千万ぐらいの建て売りを、関東近郊だとそのぐらいでしょうか、皆さんの地方に行けばもうちょっと安いかもしれませんが、それで大変なローンをしょい込んでというような、物すごいサラリーマン何とか物語みたいなものはないわけです。 アメリカに行っても、恐らく、賃貸という概念は、日本より戸建ての賃貸も含めて随分進んでいるというふうに不動産の流動性という意味では承知をいたしております。 その意味からいきますと、単純に、欧米に比べて直接金融に回っている割合が少ないから日本はいけないんだという議論にはならないと思うんです。 冒頭、日本人の不動産という、若くして三十代前後で持ち家しましたなんという人は幾らでもいます。今、東京二十三区内でも、いろいろなところでマンション何とかパビリオンとかといういわゆる展示場をやっていますけれども、三十代の子連れの若いお父さん、お母さんのファミリーがマンションを見に来ていらっしゃいますよ。あの人たちは、まさに不動産というリスクをとっているんです。 ですから、そういう日本における、家は借りるものではなくて買うものだという資産形成の前提、圧倒的違いが欧米に比べてある中で直接金融へと特に若い世代を導いていこうと思うと、大前提としてそういう問題がある。事実、借金の返済が終わり、楽になり、退職金も入った、それではちょっと株を買ってみようかなんという人が出てきたときには、平均年齢はもう六十歳以上です。それは当たり前ですね、そうなる絵柄は。 ですから、本当に政府が進める直接金融へという流れを、皆様もその方が業界としては繁栄なさるわけでありますから、日本人の住宅事情という特性を踏まえた資産形成というプロセスにおける、若年層がなぜ直接金融になかなか入ってこれないのかということについての少し御意見を、四方からそれぞれいただきたいと思います。 御専門外であれば、わかりませんと言っていただければ結構ですので。
○黒沼参考人 私は研究者ですので、政策から中立的な立場でありまして、間接金融から直接金融へ向けた方がいいとか悪いとか、そういうことについては定見はございません。 ただ、間接金融の仕組みも直接金融の仕組みもそれぞれ効率的なものにして、その間で競争をしていただくということが重要なことではないかと思います。 それから、国民の資産形成がどのような形態をとるかというのは、金融の制度だけでなく、今御指摘がありましたように、外在的な要因によるものが大きいと思います。若いときに不動産というリスクの高い資産をとっているので、それ以外の金融資産についてはローリスク・ローリターンの預金に向かうのは当然だという見方も、そのとおりだというふうに思います。 私としてはこのくらいにさせていただきたいと思います。
○斉藤参考人 幾つか問題を切ってお答えしたいと思います。 間接金融、直接金融論というのは、もう釈迦に説法ですが、戦後成功した、あらゆる社会リスクを金融機関に集中して資金を再配分するというこの間接金融がフェールしたということはやはり事実でありますし、我々は何のために喪失された二十年、十年というものを学んだかということ、この間接金融制度の持っている一つの効率性の悪さとアカウンタビリティーが欠如しているという問題は、何とかある程度改善しないと、やはり、資本の効率性という面で、あるいはリスクの偏った社会的な位置づけという点で、国民負担が大きくなるばかりだというふうに思います。 第二点の、先生のこの不動産の問題というのは、どこかの大学の先生で、確かに物すごくこれを研究なさっている方がおられて、論文が出ております。結論は、相続税を上げろということになるんです。要するに、なぜみんな不動産を買った方がいいと思うかというのは、一つはインフレが戦後続いたということで、周りを見たら、やはり不動産を持っていた人は非常に豊かになったということは、若い人にも、我々が若いときも先輩を見てそういうふうに思いましたし、そういう形が刺激になった。しかし一番大きいのは、実は、不動産相続税が世界でも物すごく安いわけです。不動産を持っている人は豊かになっていくんです、どんどん社会として。 こういう構造を持っていて、不動産に魅力を持たせておいて、その一方で貯蓄から投資へと勧誘するのはなかなか難しいというのは、論理的にはもう少し整理する必要があるんではないかなと私は思います。 それから、先ほどから話がありましたが、確かに貯蓄から投資へという言葉があって、現実はなかなか動かなかったではないか、そのとおりでありますし、いいことか悪いことか別ですが、日本はほぼ十数年にわたってデフレであったわけですね。このデフレの中ではやはり現金が強かったということです。 それで、ずっとデフレならばそれも一つの手かもしれないと私は思います。ただ、もはや世界にはインフレのサインがいっぱい出ている。なぜ私は日本にインフレのサインが出ないのか不思議でしようがありませんが、データによっては出ている。家計を細かく見れば本当は出ているので、家計の主婦の財布はどんどん購買力が落ちていっているし、日本の通貨の購買力も落ちていっているわけでありまして、デフレで何とか表面的な元本を保ったとしても、実際の購買力は、恐らく今後、これだけいろいろな物価が上がっていく中で喪失していくだろうと思います。 そうすると、当然、高齢者がインフレにぶつかったときは悲惨だと思います。何とかこういう方々に自分の資産を守るというような道具を与えてあげるというのは、我々の責任ではないかと私は思っています。 先ほどからお話が出ているように、個別銘柄に何かこう投資してという考えは私は余りなくて、ETFですとか投資信託で何とか細かく分散をする、当然、投資というものは絶対的リターンが常にあるというものではないということはもう釈迦に説法でございますが、これは学問的には証明されていて、できるだけ細かく分散する。 例えば、先ほどから例に出しておりますカリフォルニアの年金カルパースというのは、一固定資産に一%以上投資するということは余りありません。〇・五%ずつ例えばヘッジファンドに分散投資する。そうすると、今度のようにヘッジファンドが幾つか飛んでも、トータルリターンはまだポジティブだというような結果を出しております。 やはり分散させてあげるということ、そのための道具を与える。それは、一つは投資信託かもしれません。もっと運用のプロの投資信託であってほしいと思いますし、もう一つは、個人で、自分で選択されるETF、これを例えば五本そろえられると、例えば世界の株数千銘柄とか、それからコモディティーというようなものに広く分散できるという意味で、何とか少しでもお役に立てるのではないかという考えです。
○安東参考人 若い世代が、不動産を確保したい、現実に購入されている方が多いんですけれども、日本に不動産神話というのがずっとあったと思うんです。恐らく、バブルが崩壊するまで不動産というのは過去ほとんど下がったことがなくて、上がり続けて右肩上がりだった。したがいまして、今、若者たちの親も、早く家を買っておけとか、そういうような影響もあって、早目にローンを組んで住宅を購入しているというケースが多いと思うんですけれども、今後は、さまざまな形態は出てくるだろうと思います。 と一緒に、今申し上げました株式あるいはその他有価証券による投資、これは四〇一kというのがあるんですけれども、一般的には、上場会社には持ち株制度というのがございます。持ち株制度による、長期に毎月定額的に買い続けるというのが、不幸にして倒産した会社は別なんですけれども、一般論から申し上げますと、一番パフォーマンスがいいわけですね。 したがいまして、私がやはり今後やっていかなくちゃいかぬことは、日本版四〇一kの充実というものを強く訴えていきたいと思います。やはり、時間分散と投資の中身の分散というものが、結果的に投資成果を上げる、遠くて近道ではなかろうかというふうに考えております。
○樋口参考人 今、先生御指摘のとおり、不動産の問題一つを見ましても、日本の投資の現状をかんがみますと、あるものに偏っておるという現状であろうかと思います。これを打破していくにはどうするかということを、貯蓄から投資への流れという言葉に代用して推進をしたいというふうに業界としても考えておるわけでございます。 そういった意味で、我々投資信託業界の立場で申しますと、先ほど来意見が出ておりますように、分散投資、長期投資、これには投資信託が最適であるということでありますので、若年層の間におきましても、この投資信託の形で分散投資に挑戦ができるような枠組みを何とかつくっていく必要がある。 今、安東参考人からも発言がありましたけれども、私も先ほど申し上げましたが、四〇一kに代表される確定拠出年金の形で、長期にわたって、積み立てによって、機会の分散、資産の分散、そういった形でリスクを分散することによって、そういう運用の効果とか成果とか、そういったものを実感できるような形に早く持っていくということが必要であろうというふうに考えております。 日本の現状は、預金に五一%偏っているという現状を見ましても、それが実現しておらないというふうに考えておりますので、我々業界としても、そういった活動に今後取り組んでいきたいというふうに思っております。 以上でございます。
○古本委員 今いただいたお話の中で、税の話が出ました。御案内のとおり、税制によって、いろいろな節税をしたり、あの手この手で知恵が出されるわけでありまして、その意味では、税が世の中を変えていく、つくることができるという影響力を恐らく持っていると思うんですけれども、その意味で、相続税という話は興味深く拝聴いたしました。 翻って、証券税制に関して少しお尋ねをしておきたいと思うんです。 今は御案内の分離になっておりますが、例えばですが、諸説ありますが、いわゆる勤労性所得で働いておられる方が大体五千万人前後として、勤労者の中でいわゆる給与所得者が圧倒的なわけです。この人たちの給与所得というのは、源泉徴収制度によって、所得が確定し、諸費用を控除し、課税標準が決まり、そして税率が掛けられ所得税が決まってくる。このプロセスの中で、実は、金融所得とは合算できない。 これは総合課税か分離かという議論になるわけでありますが、若い世代が、四〇一kも結構かと思います、大手の企業では熱心にやっておられますので。若い時分に確定拠出型ということで、一年に一回か二回か、たしかああいうレポートが多分来るんでしょう。そういうのを見れば、自分の選んだAコース、Bコースみたいなのがあって、ああ、こうやって上げ下げがあるんだなというのを実感できますね。投資ということに対し、間接的ではありますが、自分もプレーヤーとして参加しているという意識を持てる。 ただ、四〇一kぐらいの話ならまだしも、扶養家族三、奥さんとお子さん二人がいて、手取りが例えばもう本当に税引き後は十何万という方がほとんどでしょう。税引き後で十何万あるといったら、まだいい方かもしれませんね、平均年収がもう五百万を切っていますから。そういう皆様に、では、とにかく今度、上場投資信託という商品も新分野でETFというのがまた上場もするので、非常に安心だから、一口何円から売っていただけるかよく存じ上げませんが、みんな、毎月五千円なら五千円からどうだと言っても、これは先立つものがないわけでありまして、ましてや、そこで損金が出たとなると、泣きっ面にハチということになるわけであります。 今は、特定口座を含めて、分離によって証券市場にプレーヤーとして入っておられる個人の投資家を中心に、非常に便利な仕組みになっているという評価は恐らく高いんだと思いますが、本当にアメリカあるいはヨーロッパのように、そして渡辺大臣も大変言っておられる、一千五百兆円になんなんとする個人のたんすの中に入っているお金、これは、普通預金に入っている給与所得口座の中のお金も含めてですよ、そのうちの五千円を、遊びに行くことに回すなら、ぜひ投資信託を、上場投信をなんということをやろうと思うと、やはり税制においても何か後押しがないと、そこに対する魅力というものは半減するのではないかと私は思っています。 給与所得というのは、それで確定をし、所得税というのは当然今徴税を源泉徴収で当局がなさっておられますけれども、発想を変えれば、例えば不動産所得は通算できますので、なぜ株の売却損が出た場合これは通算できないかという問題意識は、他方で、そういうのは関係ない、おれは金が自由になるんだという人はもうおいておきますよ、本当に一般的なごくごく普通の、すそ野の広いこの五千万人という物すごいマーケットです。さらに、この人たちがやがて退職なさっていくと、団塊世代退職が加速していきますと、皆さんとしてもいわゆるおいしい顧客層になってくるわけでしょうから、やはり、若い時分からなれておいていただくということは大事なことだと思います。 六十五の手習いで、今まで株のカの字も知らなかった人がいきなりその世界に入ってくるというよりも、やはり二十代、三十代、若い時分からリスクをとるということになれ親しんでもらった方が、本当のアメリカやヨーロッパのようにと御当局のかじ取りを正とするのであれば、あるいは、公の器として取引所を初め皆様もそう思っておられるのであれば、税制という観点で、これまでの常識に対する非常識かもしれませんが、少しそういう発想もあってもいいんじゃなかろうかと思うんですが、こちらについても、せっかくですので四方からそれぞれ、御専門外であれば専門外だと言っていただければ結構ですので、よろしくお願いします。
○黒沼参考人 専門外ですが、一言だけ申し上げます。 一般的に、投資を促す手法として、税法上の手当てをするというのは考えられると思います。 ただ、私の専門の範囲内でいいますと、しかし、個別的な投資勧誘の局面においては、適合性の原則をきちんと適用して、その者が望まない投資をすることのないように、法律は現在も手当てはなされていますけれども、それをきちんと運用していくことが重要であろうと思います。
○斉藤参考人 先生の御指摘のとおりでありまして、実は、ETFを拡大したいという裏に、アメリカでIRAが非常に普及している。これは、本当に相当のブルーカラーの人からやっておられます。 それで、先生がよく御案内のとおり、売買益に対しては、再投資を続ける限り一切ノータックスでありまして、六十歳とか六十五歳で一生分引き出すときに、インカムタックス、所得税が取られるという形でIRAというのが非常に普及して、自分の人生は自分で守ろうという、かなりそういう思想も与えているという意味で、必ずしもETFに限りませんけれども、このETFなどを使うIRAというような制度、四〇一kでもいいんですが、四〇一kには会社が絡みますし、見ますと、会社の方もリスクをとらされるものですから、何か社債だけ入っている四〇一kをやれとか国債だけの四〇一kをやれなんというのもあったりして、本来のあれにちゃんとなっていない。会社に非常に責任をとらせてあるものですから、会社の方も怖いんですね。そういうところが少しぎくしゃくしているかなと。四〇一kでも同じような税のメリットを与えてあげるということは、非常にいいことだと私は思います。 先生も既に御存じだと思いますけれども、金融の投資についていいますと、個人投資家の問題では、平成二十一年の一月一日から、上場株式、公募株式投資信託の譲渡損失と配当との間の損益通算の仕組みというのが導入されるというふうにお伺いしておりますので、これは、先生方の御努力でいろいろ既にお考えいただいていると思います。 でも、我々としては、特に私は、個人的には、株配当が最高でこの前六兆円になりました。これは大変な金額の配当になったわけですが、これの一〇%、六千億とか、それが、十年で六兆円ぐらいのコスト、これを減価することによって投資を勧誘するというような考え方も本来はあると思います。ロシアで御存じのとおり、三〇%の税だったのをプーチンさんがフラット一五%に変えた結果、税収は二〇%伸びているわけですね。 したがって、本当に税というのは、使いようによって国民の資産があるいは元気が出るというものもあると思いますので、また今後ともぜひいろいろお願いしたいと思います。
○安東参考人 証券税制につきましては、私も会長になってちょうど今二年を経過するところでございますけれども、昨年、一昨年と証券税制改正には諸先生方に何度も御説明に上がって、その際に、各国比較でありますとか、投資促進のための言ってみたらインセンティブを与えるためにさまざまなことを提言してまいりました。二十一年からは、いわゆる配当金も含めた損益通算が可能になりますけれども、逆に、現在の一〇%に譲渡益あるいは配当に関しても限度が設けられるということで、一進一退というようなことではないかと思います。 今やアメリカは、個人金融資産というか、株式投資市場に個人のウエートが非常に高まっていますけれども、八〇年代は全くそうではなかった。急激に伸びた背景は、先ほど斉藤さんが言いましたIRAとかあるいは四〇一kの要するに非課税の枠が拡大して、それによって個人が間接的に株式市場に参入してきたということで実際保有比率が上がったという歴史があるわけです。 日本も、その辺を考えますと、やはり要するに、若いときから利用できる対象の税制による支援というのがより必要かと思います。したがいまして、何度も申し上げましたけれども、四〇一kの拠出金を拡大するとか、いろいろな少額優遇税制であるとか、そういった意味で、若い人たちの投資に関して支援するような税制が必要だと思います。
○樋口参考人 本件に関しましては、私が冒頭に申し上げましたように、長期投資への税制面での優遇措置、これが極めて有効であるというふうに考えております。 先ほど安東参考人も発言がありましたが、アメリカにおける四〇一kの問題、これは九〇年代に急速に発展をいたしておるわけでございます。いろいろな優遇税制措置もあるわけでございますが、具体的には、個人、一年間一万五千ドルまで無税であるというような扱いもなされております。 こういったことを背景に急速に拡大をいたしておるわけですが、日本の場合はまだ個人拠出は認められておりません。企業拠出によるものでございまして、この、個人の上乗せ拠出をやっていくような形で取り組んでいくべきではないのかというふうに思っております。 それと、投資信託を離れて、投資ということで、いかに積み立てで、先ほど来お話がございます、投資信託は一万円から購入ができるわけでございますが、毎月一万円ずつ買っていく、同じ金額で買っていくという投資方法をドル・コスト平均法というふうに申しておりますが、高くなれば口数が少なくなる、安くなればたくさん買えるということで、定額で投資をしていくということは極めて有効な手段でございます。 こういったことを我々業界としてもいろいろな形を通じて投資家の皆様にアピールをさせていただいているところではございますが、一つの制度として税制面でのフォローアップもいただきながら、強制的と言うとちょっと表現は適当でないかと思いますが、全員がひとしく加入できるような形のものに若年層からの制度をつくっていくという形でお願いできればというふうに思う次第でございます。
○古本委員 さらにお尋ねしてまいりたいと思いますが、中身の分散と時間分散という、またこれも興味深い御説明を拝聴いたしました。恐らくこの時間的分散というのは、短期間でとっていくのではなくて、少し長い目で投資というものを見てほしいと。 たしか著名なファンドの、皆さんのお会社の名前じゃなくて恐縮ですけれども、個社名を言っていいのでしょうか、さわかみファンドさんですか、の極意とか何か雑誌で読んだことがありますけれども、長く売らないことが一番もうかることだ、要するに、ロングレンジで保有しておけば、悪いときがあれば必ずいいときが来る、こういうバイオリズムだと思うのですが。 ですから、時間的分散というのは、個々人の投資家の皆様がこれはみずから判断すればいいわけですね。もちろん、いろいろな営業マンから、今が売りどきですよ、買いどきですよという、これはアドバイスを求めればそういうアドバイスもできる、こういうことだと思うのです。 一方で、この中身の分散についてぜひお尋ねしたいと思うのが、コモディティーでございます。 実は、この当該金商法の議論が、ちょうど二〇〇六年であったかと承知していますが、議論があったときにも当委員会で大分議論になったんですが、東京工業品取引所と東京穀物取引所、実はこの二カ所にいろいろヒアリングに行ってまいりまして、また二年ぶりに実情を少し調査してまいったわけなんですけれども、そこで改めて思いますのは、金に関しては現物で決済できるように今度なってきている。しかもそれは、インゴットを何キロなんてとても手が出せない個人投資家でも、百グラムから小口でやれるようになった。百グラムですと今は三十数万円だということでありましたが。これは今、金とかいわゆるレアメタル、まさに世界じゅうで引っ張りだこですね。 と同時に、東京穀物取引所、東穀でいけば、これは、さらに引っ張りだこになる要素を含んでいる商品を扱っておられます。トウモロコシ、これなんかは、豚肉を初めとして食物の自給率でいわゆるカロリーベース計算したときには、御案内のとおり、トウモロコシの自給率が日本は低いために、ほとんど輸入ですから、もしかしたら豚カツも食べられなくなっちゃう時代が来るかもしれない。 そういう問題を考えますと、実は、きのうもそれぞれの理事長にお尋ねしてきたのですけれども、パン屋さんにパンを買いに行きましても、昔、ポン菓子がありましたよね、あのとき、たしか何か物を持っていかなきゃやってくれなかったのは、要は、物がない時代だったので持ち込みだったわけですよね。だから、パン屋にパンを買いに行っても、小麦持ってきているのなんていうことを言われる時代がもしかしたら来るかもしれない。 そのときに備え、いろいろ先物で買っておこうなんていうことになると、さらに投機的につり上がっていきますから、いわば当業者といいますか実需のある方が、それぞれをヘッジするために売りのヘッジと買いのヘッジをそれぞれ入れておられて、先物を現物として決済したい人と、差金のリスクをヘッジしたいという、特に差損をヘッジしたいという当業者と、それと投資家に分かれる思うのですけれども、圧倒的に大多数は、本来当業者から始まってきた領域ではあるやに伺っていますけれども、今は、投機的といいますか投資的なプレーヤーも大変入っていらっしゃる。 このETFの上場投信に関して言いますと、もっともっと投資商品の分散という意味では、コモディティーの領域も多様な選択肢があり、さらには、極端な例ですが、例えばきょうの工業品取引所の金がグラム幾らかよく存じ上げませんが、仮に三十万円で百グラム買ったとしても、それが二十万に下がったとしても、現物決済できれば、いわば百グラムのインゴットが手元には残るわけでして、もうすっからかんという感じではないですよね。 だからそういう意味では、上場投資信託も、ある意味、単にそのインデックスだけで無機質にやっていくのも、もちろんキャッシュさえ入ればいいんだという方が大勢いらっしゃるのかもしれませんが、多様な選択肢でという意味でいきますと、例えばですが、そういう子育て世代なんかの若いお母さん方が、自分の子供が大人になったときにもうパンが食べられない時代が来るかもしれない、そのときに備えてお母さんが先物で小麦を買ってあげているからなんという話が、いや、これは本当に笑い話じゃない時代がもしかしたら来るかもしれないぐらい、いろいろな地域で今食料が逼迫しているわけですよね。 そうすると、商品の先物に関してもう少し金融商品としてのバリエーションを今回のETFに見出すわけでありまして、今回、現物で決済できるようになるというのも、多分、新たに改正で規制が緩和されるという方向だと思いますし、むしろそういう全体の方向だと思うんですが、このETFに関して、商品の先物がこれまでは別でしたね。 東穀なり東京工業品取引所の会員会社、あるいはそこから委託を受ける人しかなかなか参加できてこなかったというものから、証券会社の窓口あるいは銀行の窓販で、自分も間接的にそういう、商品先物というと何となくプロの世界というイメージがありますが、随分、一般投資家もネットを通じて参加をされているというふうにきのう聞いてまいりました。 そういう部分で彼らとの連携、あるいは、これは東証を中心にしたお尋ねになるかもしれませんが、例えばアメリカのシカゴ、ニューヨーク、それぞれ穀物と工業品で明快に分けていますね。日本も、では、例えばそういうふうな先物取引所を形成していくべきなのかどうなのか、その際には、東証という一つの軸が例えば合従連衡も含めて視野に入っているのか等々、それぞれから商品先物という概念、これは圧倒的に、特にアメリカに比べると日本は、シェアそれから世界的なプレゼンス、あるいは個人の投資家、特にそんな普通の五千万人の勤労者世帯が、いや、私、今月麦を買いましてねなんて、そんな人めったにいませんので、四〇一kをやっていますぐらいがまだましなぐらいで、そんな、ことしは小豆が上がるらしいから小豆を五千円毎月買っているんですなんという人は、一般の奥様じゃそういないわけです。 ただ、せっかくそういうプラットホームとしてはいい仕組みがありますので、しかも今回、このETF、上場投信ということで、上場するということによってさらに安心感も担保される仕組みに恐らくなるんだろうと思いますので、アメリカに比べて、向こうは六百本ですか、それに対して日本は今十数本という寂しい話も伺っていますので、その辺のバリエーションをふやすという意味も含めて、いろいろ業界としてのお考えと同時に、それに向けた既存のコモディティー、日本で言うところの東穀と東京工業品取引所との連携という観点について、ここについては東証だけになるのかもしれませんが、少しお尋ねしたいと思います。
○黒沼参考人 今回、改正が提案されているETFにつきましては、金などの換価の容易な商品現物との交換を可能にするということと、それ以外のETFについては、指数を対象とするものは念頭に置かれていますので、御指摘のような、穀物、個別の銘柄について、直ちに一般の投資家がそれの取引に参加するとか参加せざるを得ないといった事態は考えられないのではないかと思います。 それから、将来的な連携に向けての問題でありますけれども、第一段階としては、その相互乗り入れということは、既に検討を始めるということが決定されておりますが、これはそれほど難しい話ではないですね。それぞれ法体系のもとで取引所が開設されるということであります。 その先に法律自体を一本化するかという問題があるわけですが、その点については、現在の商品取引所法では、現物商品の生産及び流通の円滑化を図るということも重要な法律の目的になっていますので、そういう目的もある市場法と、それと、投資者保護と資源の効率的な配分を目的とする金融商品取引法とをうまく接合できるかという課題が残っていると思います。 これは、委員が御指摘のように、現物の生産、流通に及ぼす影響というのを勘案して決めなければならない問題だと思います。
○斉藤参考人 先ほど黒沼先生からお話がありましたように、今回のこの法律で相互乗り入れというのがうたわれておりまして、大変ありがたく思っております。まさしく先生がおっしゃいましたとおり、コモディティー、商品の分散化というのも非常に有効な方法だと思います。 金について申しますと、ニューヨーク等々で上場している商品を六月に我々は東証へ持ってくるつもりでありますので、これはインゴットを現引きすることができます。そういう意味で、東京工業品取引所と我々はMOUを結んでおりまして、一緒にいろいろやっていきましょう、向こうは向こうでまたそういう商品をおつくりになったらいいと思います。 例えばこの前、ガソリンが暴騰いたしましたけれども、世界じゅうにオイルETFというのがあるわけです。本当はオイルETFを買っておけば、あれだけガソリンが暴騰して、本当にガソリンを入れる値段は高くなるんですが、買っている人は、財布の方で実はその買ったETFが値上がりしていて、オフセットしているんですね。日本の投資家だけがそういうことができないという状況だったわけです。 そういうヘッジ機能というものをもう少し社会的に用意するという意味で、コモディティー、ETFというものもいろいろお願いしてきたというところであります。 ただ、先生方よく御案内のとおり、投機という問題があります。現物との現引きができるというのは、かなり投機を抑えるという機能もあります。指数だけで走る、為替というのも相当指数だけの取引ですけれども、これは釈迦に説法ですけれども、もともとコモディティーというのを運搬することは不可能だったために、これは日本人が開発したものですけれども、江戸時代に米を先物で取引する、なぜなら、米を運ぶだけのコストで大変だったので、そこは日本人が実は開発した手段でございますが、これは今、世界でコンピューター化に乗って動いているということです。 この投機資金というのは、一見、非常に問題のありようと同時に、市場の流動性を補完する。今はサブプライム問題がなぜああいう問題にぶつかっているかというと、投機資金があそこから全部引き揚げてしまったから売れないわけです。買う人がいない。したがって、ホールドしていた人が投げられなくなったというのが今の問題です。 ですから、流動性を担保する、先ほど申しましたように、市場のリスクという点では、実は流動性リスクというのが一番大きいわけです。これを吸い上げてしまいますと市場は死んでしまいます。そういう意味では、あんばいというものが問題だと思います。 行政的には、アメリカは、確かに先生がおっしゃったように、シカゴとニューヨークに分かれています。SECとCFTCと分かれて、実は、アメリカはこれが一番今問題になっていて、なぜアメリカがヨーロッパに今負けつつあるかというのは、行政の分割と取扱商品を分けたことであるということで、今度、ポールソンさんが合体説をいきなりぶって、賛否両論が出ているというところであります。なかなかここは難しいんですが、ヨーロッパはこれは一貫して一本で見ておりますので、参考になることではないかと思っております。
○安東参考人 私の方からは、今、斉藤さんの言ったとおりでございますので、特にございません。
○樋口参考人 運用業者の立場から考えまして一言申し上げられますことは、投資対象が広がるという意味において、この商品がそういったETFの形で上場されるということは非常に意義深いということでございます。 ただ、この中でも、個人投資家というのはなかなか個別の商品にいきなりというわけにはまいりませんので、指数で構成されるETFが上場されますれば、直接的に毎日値動きがつきますから、そういった動きを手にすることができるわけで、どういった経済現象が起これば投資のどういうふうな動きが進むのかということにも関心が高まっていくだろう。 そういった観点から考えるにしても、我々運用業者としましては、商品のバリエーション、ETFをまたさらに複数組み立ててリスク分散を図るような商品設計も可能になってきますので、大いに結構な話だと思います。
○古本委員 時間が参りましたのでそろそろ終わりたいと思いますが、要は、今、東証の方からお話がありましたような、東京の工業品取引所でいけば経産省なんですよ。それで、東穀さんの穀物でいけば農水省なんですね。皆様のETFでいけば金融庁なんですね。各省がそれぞれきちっとやっていただけるという前提に立てば、これはこれで一つのことなんだろうと思いますが、結果として、投資家の皆さんがいろいろなバリエーションを持ちたい、しかも、それはあちこちに行くのではなくて、一カ所でいろいろな投資商品に触れたい、研究してみたいという要求にはこれはこたえていかなければならないというふうに思っていますし、今回の法改正ではそこまで各省の壁を越えてというところにまでは入っておりませんけれども、引き続いての課題ではなかろうかというふうに思っております。 いろいろ申し上げましたが、きょう、わざわざお越しいただきましたことに改めて感謝を申し上げて、終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○原田委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。 参考人の皆様方、大変長時間、お疲れさまでございます。私、最後ですので、どうかよろしくお願いいたします。 まず、黒沼参考人にお伺いをいたします。 金融危機の発生した九七年ごろに私も大蔵委員会に所属しておりましたが、金融商品に対する幅広いルールをつくるべきだということで、包括的、横断的な金融サービス法の制定ということが議論されました。政府も前向きの方向だったと思うわけですが、その後、個別的、部分的な法整備は行われたものの、金融サービス法自体としては、どうもどんどん先送りされているような感じがするわけであります。 その結果、法のすき間を縫うような商品が開発され、また、それが販売され被害がふえるというような事態も起こっております。外国為替証拠金取引というようなものもそういう一つではなかったかと思いますが、今の法整備の現状、到達点というのをどのように見ておられるか、さらに、包括的、横断的な金融サービス法の制定に向けてどういう課題があるのか、その辺の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○黒沼参考人 まず、現在の到達点についての認識ですけれども、確かに従来は、新しい金融商品が出てくるたびごとに規定を整備して、どのような金融機関で取り扱いするかというのを決定するような方式がとられていました。 それに対して、昨年九月から施行されている金融商品取引法では、これは審議段階では投資サービス法という名前で呼ばれていましたけれども、投資に対する包括的、横断的な投資者保護のルールを整備して、それによって新しい投資商品の開発を促そうという目的でつくられたものであります。 そこでは、典型的には、集団投資スキーム持ち分という概念を用いて、一種の包括的な有価証券の概念を使いまして、法のすき間を縫うような投資商品があらわれても、かなりの部分はこれを適用して、販売勧誘ルールとか、あるいは、場合によってはディスクロージャールールを適用していくことができるようになっているというふうに考えています。 従来から、投資サービス法の先に金融サービス法があるというふうに言われていまして、金融サービス法に向けての検討も引き続いて行うというふうにされているところであります。この点については先ほども少し申し述べましたけれども、預金や保険契約を含めた、広い範囲の金融サービスについての総合的な規律を定めるということを目的にした制度と一般には考えられています。 そこでは、行政的な監督規定、市場に関するルール、それから、契約者と業者との関係を規律するルールというものを包括的に定めることが考えられるわけですけれども、市場に関するルールというのは、実は投資サービス法でもう既に整えられていまして、それ以外に、保険契約、預金契約というのは一般的には個別に結ばれるものですから、さらにつけ加える部分は余りないのではないかというふうに私自身は考えております。 それから、金融機関ないしは業者と顧客との関係についても、投資サービス法で、投資性の高い金融商品についてのルールがかなりの程度横断的に定められました。これを一般的な金融商品についても及ぼしていくということは、それほど難しいことではないと思います。 さらに、業者の監督についても、これは統合は可能であります。ただ、現在ある証券取引等監視委員会のようなものは、これは証券市場に特有の機関ですので、これをどうするかという問題は重大な問題として残っていると思います。 ですから、法律自体を統合するとか、あるいは幅広いルールを薄くかけていくということはそれほど難しくないのですけれども、先ほども述べましたように、法律の目的というのが違っている部分がありまして、それぞれ目的に即した規定があるわけですから、これを一つの法律に置くのがいいのか、それとも、できるだけ横断的なルールは定めるけれども、なお銀行法とか保険法といった法律を残して、実質的な意味での金融サービス市場法ができればいいというふうに考えるのかは、議論が分かれるところではないかと思います。 御質問に対するお答えになっているかどうかわかりませんけれども、私からは以上です。
○佐々木(憲)委員 私は、市場の信頼性というふうに言われますけれども、公平公正なルールが確立されているということと、それから、紛争が起こった場合の処理が公明正大に行われる、このことが大変重要だろうと思っております。 そういう意味で、やはり消費者保護的観点をしっかりと踏まえた金融サービス法、それから、裁判外の紛争処理のルールの確立、制度の整備、これが非常に大事だというふうに思いますが、黒沼参考人のこの点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
○黒沼参考人 証券取引法や金融商品取引法では一般に投資者保護という言葉が使われておりまして、そこでは、投資者と消費者は一応区分された概念で議論されています。私が考えるところでは、消費者保護的観点が必要な部分と、そうではなくて、投資家保護といいますか、投資者保護的な観点が必要な部分とがあると思います。 投資者保護的観点というのは、これは、情報をきちんと発行者などに開示させ、その情報に基づいた投資者の投資判断を尊重して、その判断の結果は投資者に帰属するようにする。そうすることが、市場における効率的な価格形成に寄与しますし、企業の資金調達などを通じた資源の効率的な配分に寄与する。そういう考え方から成っています。したがって、市場ルールとかディクスロージャーといったものについては、投資者保護的な観点からの規制が重要であろうと思います。 それに対して、業者と投資家、投資者の関係については、これは消費者保護的観点からのルールが必要な場面も出てくると考えています。両者の間には、情報の格差がありますし、契約に関する知識なども差がありますので、発行者が虚偽記載を行ったとかそういうのでなくて、証券会社の外務員が詐欺的な言辞を用いて投資勧誘を行ったとか、そういった直接的に投資家と接触が起こる場面では消費者保護的な観点からの法規制というのが必要であるし、現在、そういった観点からの規定も幾つか置かれているところであります。 それで、紛争の迅速な処理と投資家の納得のいく紛争解決というのも、消費者保護的な観点から求められていることだろうと思います。
○佐々木(憲)委員 次に、安東参考人、斉藤参考人にお伺いをいたします。 今回、野村証券元社員のインサイダー取引に関連をして逮捕者が出るということで、大変な大きな話題になっておりますが、企業情報部というMアンドAを扱う部門で発生した事件であります。日本の証券市場の信頼性というのは非常に損なわれる可能性が大きいと思うんですが、なぜこういう事件が発生したのか、その原因はどこにあるのか。 特に私が疑問に思いましたのは、この事件を起こした社員が、これは入社したばかりでこの企業情報部に配属されているわけですね。一昨年の二〇〇六年二月にすぐこのMアンドAを行う企業情報部に配属された。重要な非公開情報に接する部署に会社に入って間もない人物が配置される、これが通常行われているやり方なのかどうか。 野村証券に斉藤参考人は三十五年間お勤めになり、副社長まで務められたわけでありますし、安東さんは、三十四年間ですか、三十数年お勤めになっておられると思うんですが、みずからの体験も踏まえて、こういう人事配置というのは通常行われているのかどうか、それから、今回の事件の背景、原因、こういうものをどのようにとらえておられるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○安東参考人 通常、新卒採用ですと、ジョブローテーションとの関係がありまして、今、企業金融部門とかあるいは一般的な営業部門とか二通りの採用をしておりますけれども、いきなりこういった企業情報部みたいなところに行くケースは少ないと思います。 ただ、今回のケースは中途採用でございますので、特にこういったMアンドAに絡むビジネスというのはもちろん重要でございますし、それから、クロスボーダーといいまして、各国をまたぐようなビジネスも多いということで、恐らく今回採用した社員は、即戦力として、もちろん、中国人で京都大学ということで日本語と中国語を十分に操れる、かなりレベルも高いんだろうというようなことで配置したというふうに考えております。
○斉藤参考人 私も働いたことのある会社でこういうことが起きて、大変遺憾に思って申しわけなく思いますが、正直言いまして、私も十年以上前にもう会社をやめておりますので、今、野村の体制がどうなっているか、採用をどうしているかよくわかりませんので、一般論的にちょっとあれしますと、企業情報部というのは、先生もおっしゃるとおり、大変な秘密を保っている部でありますので、私たちが経営していたときは、これは別会社に独立させておりました。後で中へ入れた。どうして入れたかとか、それはよくわかりません。 私も、去りますときに、法曹界でも一番厳しいような弁護士先生なんかにいろいろ管理をしていただくような体制をしいて去りましたので、その後、後輩たちは相当一生懸命やっていたようには拝見していたんですけれども、これはやはり抜けていたと思います。 やはり時代で、今後これはもういろいろ問題が出てくると思いますが、外国から見て日本企業の一つの閉鎖性という言葉になるんですが、言われるのは、日本の本社に外人がいない。これは、世界でこんな国はない。本社は、大体数十カ国の人材、あるいは役員も、もはや今の時代は数十カ国の人間が一緒に働く時代だというようなことを言われておりまして、多分これは、ある一種のプロフェッショナルとして中国を専門にするというような考えで採用したんだろうと思いますが、これはもうまさしく管理が不十分であった、一語に尽きると思います。
○佐々木(憲)委員 今、管理が不十分だったということですけれども、こういう部署だけではないと思いますけれども、重要な部署につく場合には、当然、社内の研修なり、あるいは情報管理のあり方というものをしっかりと確認するということが大事だと思うんですが、今回、こういう事件を踏まえてどういう対応をするかということが大変大事だと思うんです。九七年のときに氏家社長は、三回目を起こせば社会的な信頼を二度と取り戻せない、こう言っていたわけです。ところが、またこういうことが起こる。もう三度目、四度目ということなわけですね。 ですから、これは日本証券業協会としても、自主規制機関としての何らかの対応というものが求められると思います。どういう対応をとられるのか。 当然、その原因の究明はもちろんですけれども、きちっとした対応をとらない限りは、やはり、幾ら国民に株を買いなさいと言っても、これはなかなかそういうふうにはならないわけでありまして、この点での対応を具体的にお聞かせいただきたいと思います。
○安東参考人 インサイダー取引は、もちろん市場の公平性を阻害する、かつ重大な法令違反行為でございます。したがいまして、証券市場あるいは証券界に対する信頼の確保、向上というのが求められている中では、極めて遺憾な出来事だ。 現在、当局とも情報交換を行っているところでございますし、野村証券においては第三者による特別委員会が発足したということでございますので、その結果につきましては現在不明でございますけれども、当協会としては、今御指摘のありました自主規制機関として、現在、内部者取引防止に関する内部管理体制等検討ワーキングというようなものを設置しておりまして、金融庁及び金融商品取引所等とも連携を図りながら、内部管理体制について現在検討を行っているところでございます。
○佐々木(憲)委員 検討もしっかりやっていただきたいんですが、その具体的な対応策をいつごろまでに、どのようにとられるかということをお聞かせいただきます。
○安東参考人 具体的な検討事項といたしましては、まず、法人関係者情報の管理のあり方、これは極めて重要でございます。それから、協会員の役職員における株式取引のあり方、内部者取引防止のための協会員における売買管理、内部管理体制、協会員の役職員の倫理意識の向上、違反者に対する処分の厳格化というようなところが具体的なところでございまして、五月中にこれはやるつもりでございます。
○佐々木(憲)委員 安東参考人は先ほど、ファイアウオールの関連で、規制の実効性が確保されるように臨みたいというふうにおっしゃいました。これは、企業任せということではなかなかこのファイアウオールの管理というものも十分できないと私は思います。 この間の金融機関の不祥事も、コンプライアンス体制の監督をしても防げなかったということもありますし、やはり、直接的な監督体制の強化というものが非常に大事だというふうに思っておりますので、この点で具体的な規制のあり方、この点についてお考えがあれば、最後にお聞きをしたいと思います。
○安東参考人 これはもう協会として、現在監査が六十名いますけれども、これらの物理的な人員も含めて、監査を徹底強化していくというのが早いかと思っています。
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。
○原田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。 本日は、当委員会に御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。皆様の御意見を今後の委員会審議の中で十分に生かしてまいりたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。参考人の皆様に委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 次回は、来る十三日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十四分散会