厚生労働委員会 第6号
- 発言数
- 319 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2007/11/20
会議録
○委員長(岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、森ゆうこ君、足立信也君及び若林正俊君が委員を辞任され、その補欠として青木愛君、吉川沙織君及び坂本由紀子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(岩本司君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十二日に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩本司君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(岩本司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長青木豊君外七名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(岩本司君) 労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小林正夫君 おはようございます。民主党・新緑風会・日本の小林正夫です。早速質問に入ります。 まず、労働契約法案について質問いたします。 この法案は新しく作る法案であり、衆議院においては政府案が修正されております。そこで、この法律案で示されている条文の意味と修正部分の解釈等についてお聞きをいたします。 労働契約法案の第一条について、修正案の提案者に対しお尋ねいたします。 内閣から提出された原案の第一条では、この法律の目的につきまして、合意の原則と並んで労働契約と就業規則との関係を定めるとされておりました。この点につきまして多くの議論が出されました。すなわち、今回の労働契約法は、労働者と使用者が合意で契約内容を定めるという契約法の大原則に変更を加え、使用者が一方的に労働条件を定める就業規則を重視し、就業規則を当事者との合意と同列に扱うものであるとの議論が出されました。しかるに、修正案におきましては、政府案にありました「及び労働契約と就業規則との関係等」という部分を削除し、これに代えて「その他労働契約に関する基本的事項」とすることにしております。 この修正の趣旨につきまして、労働条件の決定や変更について既に確立している判例法理、すなわち、労働条件はあくまでも契約の当事者である労働者と使用者の合意で決定されるのが基本的であり、使用者が一方的に労働条件を変更できるのは例外的な場合であるという判例法理を足しも引きもしないで法律とする趣旨であり、今回の法律の制定によって使用者が今まで以上に労働条件を一方的に決めたり変更したりできるようにするものではないことを明確にするためのものであると理解いたしますが、このような理解でよろしいでしょうか。
○衆議院議員(細川律夫君) おはようございます。小林委員の御質問にお答えをいたします。 第一条の修正の趣旨は委員御指摘のとおりでございます。 就業規則は、労働基準法八十九条により、常時十人以上の労働者を使用する使用者に対しまして作成の義務付けをいたしておりまして、この中には重要な労働条件が網羅的に含まれております。常時十人以上の労働者を使用している使用者が就業規則を作成しない場合には刑事罰の対象となるところでございます。 ところが、就業規則の制定手続につきましては、労働基準法第九十条によりまして、過半数労働組合か労働者の過半数を代表する者の意見を聴くだけでありまして、これらの過半数労働組合や労働者の過半数代表者の反対があっても使用者が一方的に制定をしたり変更したりできるものとされております。これに対して労働契約につきましては、契約に関する大原則、すなわち労働者と使用者の合意により契約内容が決定されるという大原則が存在をしているところであります。 このように、使用者が一方的に制定する就業規則と、労働者と使用者との合意により決定されるべき労働契約との関係をどのようにするかということにつきましては労働法上大問題でありましたが、法律の整備はなされておりませんで、専ら判例と学説の解釈にゆだねられてきたところでございます。 この点につきましては、最高裁判所は昭和四十三年の秋北バス事件に関する大法廷の判決の中で、新たな就業規則の作成又は変更によって既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されないとの原則を示した上で、その例外的な場合といたしまして、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者においてこれに同意しないことを理由としてその適用を拒否されることは許されないと、こういう判断を示しております。これ以降、就業規則に関する最高裁判例が次々と出されておりますけれども、いずれの最高裁判例におきましてもこの秋北バス事件の大法廷判決で示されている原則と例外の関係を踏まえているところでございます。 今回の労働契約法の制定の基本的な考え方は、就業規則と労働契約の関係につきましても、最高裁判例で確立しております原則と例外の関係を言わば足しもせず引きもせずにそのまま法律にするというものでございます。この基本的な考え方に基づいて、この点を明確にするために、御指摘のとおり、第一条の法律制定の目的の部分を修正をした次第でございます。
○小林正夫君 今、この労働契約法の制定の基本的な考え方として、就業規則と労働契約との関係につきまして、最高裁判例で確立しております原則と例外の関係を足しもせずに引きもせずにそのまま法律にするということを答弁されました。 この判例法理を足しも引きもせずに立法化するという基本的な考え方につきまして、政府の答弁を求めます。
○政府参考人(青木豊君) 私どもが提出いたしました政府案におきましても、就業規則と労働契約との関係につきまして、判例法理に沿って、判例法理を変更することなくそのまま立法化するという考え方を取っておりました。ですが、この点についてより一層明確にすべきだという御議論がありまして、判例法理に沿って判例を変更しないことを更に明確にすべきだという御趣旨で衆議院で修正がなされたものと理解しております。 ですから、今回の労働契約法は、従来から形成されてまいりました判例法理の変更を求めるものではありません。また、労働現場で実際に行われてきた今までの実務運用につきましても、判例法理を尊重して運用がなされてきているものにつきましては変更を求めるものではございません。
○小林正夫君 今答弁したことにつきまして、政府案に関する責任者である厚生労働大臣に御確認いたします。
○国務大臣(舛添要一君) 今答弁がありましたとおり、政府案は判例法理に沿って、判例法理を変更することなく立法化したものでございます。
○小林正夫君 判例法理にあるものをなぜ法律にする必要があるのか、また、判例法理で確立しているのであれば、あえてこれを法律にする必要はないのではないかという疑問についてはどのようにお考えでしょうか。厚生労働大臣と修正案の提案者に質問いたします。
○国務大臣(舛添要一君) 判例法理は一応確立しておるわけでございますけれども、この判例法理というのは広く一般の方々に知られているというわけではありません。このため、判例法理を知らないために、すなわち就業規則や労働条件の決定、変更方法に関する基本的なルールを知らないために紛争が発生することも少なくありません。 こうした無用な紛争の発生を防ぐためにも、確立している判例法理のうち重要な事項につきましてはきちんと法律にして、労働条件の決定や変更その他の労働契約上の基本的事項について法律で定めて、広く国民の皆さんに周知を図り、無用な紛争の発生を防ぐということが重要だと考えております。
○衆議院議員(細川律夫君) 今大臣がお答えになったとおりでございます。労働契約に関する基本的なルールについての理解が十分ではなくて、このために紛争が発生する例が少なくない、したがって明確な基本的なルールを作ると、こういうことでございます。 その上で更に追加をいたしますと、今回の法律には、裁判所がこうした判断をしていくことを期待するというような、そういう効果もございます。 この点につきましては、具体的に申し上げますと、解雇のルールにつきましては、最高裁判所の日本食塩製造事件判決によりまして解雇権の濫用ルールができておりました。幾らその最高裁の判例がありましても、法律がなければ最高裁判例と異なる判決を出すこともありまして、それがまた可能なわけでございます。そこで、平成十五年に労働基準法に第十八条の二が設けられまして、判例法理であります解雇権の濫用法理の立法化が図られたところでございます。 この立法化の理由の一つとして、法律により労働者を保護することを確実にしたということであります。この点につきましては当時の衆議院の議事録上にも明らかでございます。今回、この法律、労働基準法の第十八条の二の規定につきましては、今度のこの労働契約法第十六条に移されるものでございます。 したがいまして、確立している判例法理のうち重要な部分を立法化するということは、司法判断で確立し社会的にも定着しているルールを法律で明瞭に定め、労働者を保護するという重要な役割を持つものでございます。この点、特に重要なことでありますので、私から追加をしておきたいと思います。
○小林正夫君 今の御答弁は、判例法理を法律にすることは重要であるということですね。つまり、一般の法律に書かれていない考え方というものは、固まっているように見えても揺れ動く面があり、裁判官によって良く変わる場合もあれば悪く変わる場合もある、そういうものを今回法律に定めることによって、今後は法律に基づいて労働者の保護がしっかり行われるという重要な効果がある、こういうことでよろしいでしょうか。
○衆議院議員(細川律夫君) 小林委員の御指摘のとおりでございます。
○小林正夫君 政府案の第三条の一項にあります「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。」との規定は、労働契約の基本原則を確認したものであると理解しますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のとおりであります。
○小林正夫君 修正案で新たに追加された第三条二項について提案者にお尋ねいたします。 今回の修正で均衡の文言が労働契約法案に盛り込まれたことはすばらしいことだと私は思います。新しく加えられたこの条文では、「労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。」とあります。これは、労働契約を締結、変更する場合には均衡について考慮することが重要であるということを定めたものと理解します。 均衡という点につきましてこの修正案ではどのような考え方に立つのでしょうか、お伺いいたします。
○衆議院議員(細川律夫君) この均衡ということにつきましては様々でございまして、その内容につきましてはこれまたいろいろな考え方もあるところでございまして、十分成熟もしていない面もあるところでございます。 しかし、いずれにいたしましても、この労働契約の締結あるいは変更に当たりまして均衡を考慮するということが大変重要でございまして、この均衡という考え方を第三条第二項におきまして新たに修正で加えまして立法化するということにしたところでございます。
○小林正夫君 修正案で新たに追加されました第三条三項について提案者にお尋ねいたします。 最近、ワーク・ライフ・バランスが重要であるとの認識が大変深まっていることは共通の認識であると思います。労働者一人一人が子供と向き合う時間を確保したいと思い、あるいは高齢の親御さんを介護する時間が欲しいと思う方もいらっしゃると思います。家庭生活にとどまらず、自己の能力開発や地域活動に力を入れたいという人もいると思います。 そうした中で、ワーク・ライフ・バランス、すなわちこの条文で言う仕事と生活の調和がこの労働契約法案に盛り込まれたことは大変意義あることであると思います。「労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。」というこの条文の趣旨を確認いたします。
○衆議院議員(細川律夫君) 委員御指摘のとおり、少子化対策あるいは生産性の向上、あるいはまた労働力の確保などの観点からワーク・ライフ・バランスが重要であるということにつきましては、政府も含めまして共通の認識だと言えるものと思います。そのため、この重要性を改めて認識をしていただきたくてこの委員御指摘のような条文を新たに盛り込んだわけでございまして、この第三条三項につきましては大変重要な意義があるものと考えております。
○小林正夫君 修正により第三条四項と五項になる条文について政府にお尋ねいたします。 修正後の第三条四項にあります「労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。」という条文は、民法第一条二項にあります「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」という規定にあります信義誠実の原則を労働契約に関して具体的に確認するものであり、また、修正後の第三条五項にあります「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。」との規定は、民法第一条三項にあります「権利の濫用は、これを許さない。」という権利濫用禁止の規定を労働契約に関して具体的に確認するものであると理解しておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のとおりでございます。
○小林正夫君 衆議院では、政府案の第四条一項にありました「使用者は、労働者に提示する労働条件及び締結し、又は変更した後の労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。」という条文の中の「締結し、又は変更した後の」という文言を削除する修正案が採択されています。 その理由につきまして、修正案の提案者にお尋ねいたします。 この政府案、政府原案のままですと、使用者が一方的に労働条件を変更することが可能であり、一方的に変更した後の労働条件について労働者の理解を深めるようにするとの解釈がなされる可能性があるので、このような解釈を招かないため修正を行ったと理解いたしますが、そのような理解でよろしいか、修正案提案者に確認を求めます。
○衆議院議員(細川律夫君) 委員お尋ねのとおりでございます。 第四条一項により使用者が労働者の理解を深めるようにする労働契約の内容というものは、これはあくまでも有効に締結された労働契約の内容か、又は有効に変更がなされた労働契約の内容でございます。
○小林正夫君 政府案の第四条では「労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする。」とありましたが、衆議院の修正案では、「労働契約の内容」という文言に続けて「(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)」という文言が追加されております。 ここで言う期間の定めのある労働契約に関する事項とは具体的にいかなるものを指すのか、修正案の提案者にお尋ねいたします。
○衆議院議員(細川律夫君) 期間の定めのある労働契約の場合、契約期間はこの元の原案にあります労働契約の内容そのものでございますから、これだけであればあえて修正をする必要はないわけでございます。 ここであえて期間の定めのある労働契約に関する事項というこの文言を加えましたのは、期間の定めのある労働契約が締結される際に、やがてその後必ず参ります期間満了時において、契約の更新を予定しているのか、それとも契約更新の予定はないのか、もし更新される可能性があるならばどういう条件を満たせば契約更新がなされるのかというような事項につきましてあいまいでありまして、そのために紛争が生じることが少なくないわけでございます。そこで、期間の定めのある労働契約について、その内容をできるだけ書面で確認することが重要であることを明確に定めるものでございます。 期間満了時において、契約の更新を予定しているのか、それとも契約更新の予定がないのか、また、もし更新される可能性があるならばどういう条件を満たせば契約更新がなされるのかにつきましては、労働基準法第十四条二項に基づく平成十五年の厚生労働大臣告示第三百五十七号、ここに、その有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準というのは、ここにこれが明示をするようにということを定めておりますけれども、これらも含めまして有期労働契約に関する事項をできる限り書面により確認をするようにというふうにしたわけでございます。
○小林正夫君 政府案の第五条では、労働者の安全への配慮につきまして、「使用者は、労働契約により、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」としておりました。修正案では、この「より」という二文字を「伴い」に修正しております。 その趣旨につきまして、政府案では、労働契約の中で労働者の安全への配慮について明確に定めていない場合には使用者に配慮義務が生じないとの解釈を招くおそれがあるので、このような解釈を防ぎ、労働者と使用者との間で労働者の安全への配慮に関する明確な合意が存在していなくても、とにかく労働契約が締結されれば、契約締結に伴って当然に使用者の安全配慮義務が発生するのだということを明確にするために「より」の二文字を「伴い」に修正したと理解いたしますが、この理解でよろしいか、修正案提案者にお尋ねいたします。
○衆議院議員(細川律夫君) 委員御指摘のとおりでございます。 従来の判例、学説におきましても、使用者の安全配慮義務は労働契約の締結により当然に発生するという考え方を取っております。この考え方を明確にするために「より」という二文字を「伴い」という二文字に修正をしたものでございます。
○小林正夫君 第七条に関して、政府案では、条文の表題として労働契約の内容と就業規則の関係とありましたのが、修正案ではこの表題が削除されて、第六条の冒頭にある労働契約の成立という条文の表題が第六条と七条の両方に掛かり、さらに第七条の条文につきましても、政府案にありました、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとするという条文が、修正案では、労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていたときは、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとすると修正されました。 この修正の趣旨について確認をさせていただきます。 そもそも、この第七条の基になりました労働政策審議会の法案要綱の段階では修正案と同趣旨の内容となっておりました。判例法理におきましては、常時雇用している労働者が十人未満の事業場で、使用者が新たに就業規則を制定して労働条件を一方的に不利益変更することができるのか、また、できるのであれば、いかなる要件を満たせばできるのかという問題についての答えが出ておりませんでした。それは、そのような問題を含む事件が提訴されていなかったからであります。法案要綱の段階ではこのことを考慮し、常時雇用している労働者が十人未満の事業場で、使用者が新たに就業規則を制定して労働条件を一方的に不利益変更することができるのか、また、できるのであれば、いかなる要件を満たせばできるのかという問題については、判例法理で解明されていない問題であるため法案要綱に盛り込まれていませんでした。 ところが、政府案の段階では、この点について、常時雇用している労働者が十人未満の事業場における労働条件の切下げを使用者が一方的に制定する就業規則で容易に行うことを可能にするのではないかという議論が生じました。 そこで、修正案について、まず第一に、第七条の政府案では、条文の適用場面に関して、就業規則が存在しない職場で新たに就業規則を制定した場合や、就業規則の存在する職場で使用者が就業規則の変更を行った場合を含んでいたのに対し、今回の修正により適用場面を労働契約の成立の場面に限定したものと解されます。 また、第二に、就業規則の定める労働条件が労働契約の内容となるための条件の一つである周知に関して、修正案では、職場の労働者と新たに加わる労働者に対してあらかじめ周知させていなければならないことを明確にしたものと解されます。 このような理解でよろしいか、修正案の提案者にお尋ねいたします。
○衆議院議員(細川律夫君) この点につきましては質問者の御指摘のとおりでございます。常時雇用している労働者が十人未満の事業場で、使用者が新たに就業規則を制定して労働条件を一方的に不利益に変更することができるのか、また、できるとすれば、いかなる要件を満たせばできるのかという、こういう問題につきましては、今後の判例の形成の状況や、また労働の現場での実情の推移を見守ることといたしまして、今回の法案の規定が労働契約の成立の場面を対象とすることを明らかにすることとしたものでございます。 周知の対象者や時期については質問者の御指摘のとおりでございます。
○小林正夫君 この条文にあります「周知」と「合理的な」という文言につきましては政府案と修正案に共通しておりますので、その意味内容について政府にお尋ねいたします。 衆議院での委員会審議の段階で、人材派遣業者がデータ装備費という名目で賃金ピンはねをしている問題が取り上げられ、人材派遣業者がデータ装備の徴収に関して就業規則に盛り込んでおり、これをインターネットで公表していることを指摘した上で、今回の労働契約法によりこのようなやり方が適法とされる危険があるとの指摘がなされました。また、このような危険性を指摘する新聞報道も一部で行われました。 しかしながら、この指摘されているケースについていえば、就業規則をインターネット上で公表しているだけでは必ずしも労働基準法と労働契約法が定める周知という要件を満たしておらず、また、データ装備費という名目の費用天引きについてはまず労働基準法上の問題があると考えられ、労働基準法にも違反するような内容の就業規則は合理性という労働契約法第七条が定める要件も充足しません。 いずれにしても、今回の労働契約法によって、こうした労働基準法にも違反しているような就業規則の定めが労働契約の内容となることはあり得ず、衆議院段階での質問や一部の新聞報道は誤解に基づくものではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 委員御指摘のとおりであります。 まず、周知というのは、できればもちろん一人一人に一冊ずつ手渡しするということが望ましいのですけれども、そこまでいかなくても、最低でも就業規則の内容を知りたい労働者がいればいつでもこれを知ることができるように、職場に就業規則を備え付けておくなどの方法で実質的に労働者が就業規則を知り得る状態にしていなければなりません。したがって、一般的に申し上げて、インターネットで公表をしていたとしても、労働者がいつでも就業規則の内容を知り得る状態にないのであれば周知の要件を満たしていないというふうに考えますけれども、いずれにしても、その判断は個々の事案に応じまして個別具体的になされるものというふうに考えております。 御指摘のデータ装備費の件につきましては、個別案件について具体的に申し上げることはできませんけれども、一般的に申し上げれば、労働基準法第二十四条において、賃金は労働者にその全額を支払わなければならないというふうにされておりまして、例外として、労使協定がある場合には賃金の一部を控除して支払うことができるということにされております。また、この労使協定による控除につきましては、購買代金、社宅、寮の費用、あるいは社内預金、組合費など、事理明白なものについてのみ控除することを認める趣旨でございます。 したがって、様々な名目で賃金から控除した場合についても、労使協定なく賃金から控除している場合や、あるいは労使協定により賃金から控除している場合であっても控除の対象となる具体的な項目が事理明白と言えない場合につきましては、労働基準法第二十四条に違反するものであります。労働基準監督署において改善を指導してきたところでございます。 そして、このような労働基準法に違反する就業規則の内容については、労働契約法案第十三条において、同法七条、十条及び十二条の規定は適用されないということとしておりまして、そもそも合理性の判断をまつまでもなく、これらが労働契約法により労働契約の内容となるということはありません。
○小林正夫君 第八条では、労働契約の内容の変更につきまして、労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができると定めています。これは、労働契約法の基本原則である合意原則を確認するものであると理解しますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のとおりであります。
○小林正夫君 第九条と第十条は、規則による労働契約の内容の変更について定めております。 条文の表題にあります、就業規則による労働条件の内容の変更という文字は、第九条と第十条の両方に掛かると理解いたします。また、九条にあります、使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできないという部分は、既に指摘されている秋北バス事件の最高裁判所大法廷判決で示された原則の部分を労働契約法上にも原則として位置付けて条文化したものであると理解いたします。さらに、第十条にあります、変更後の就業規則を労働者に周知させ、就業規則の変更が合理的なものであれば、労働契約の内容は当該変更後の就業規則に定めるところによるものとするという部分は、秋北バス事件判決で示された例外の部分を労働契約法上も例外と位置付けたものであると理解いたします。 この第九条が定める原則と第十条が定める例外の関係を明確にするために第九条のただし書が設けられて、第九条と第十条の橋渡しする形での条文化がなされたものと理解しますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のとおりであります。
○小林正夫君 第十条の中に、就業規則の変更の合理性に関する判断要素として、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情と書かれております。この条文の趣旨に関しまして、衆議院の委員会では、最高裁判例で示された合理性に関する判断要素を変更し、合理性の判断要素を切り縮めているという趣旨の意見や批判が出されております。 しかしながら、このような意見や批判は誤解に基づくものではないかと考えます。すなわち、第十条は、平成九年に出されました第四銀行事件最高裁判所第二小法廷判決において示された合理性判断のための七つの要素を変更するものでなく、これを踏襲するものであると理解しておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 第四銀行事件最高裁判決で述べられた合理性を判断する際の七つの考慮要素、その中には内容的にお互い関連し合うものもあるため、この法案第十条では、関連するものについては統合して列挙しているものでございます。具体的には、第四銀行事件最高裁判決において示されました、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、それから使用者側の変更の必要性の内容、それから変更後の就業規則の内容自体の相当性、労働組合等との交渉の経緯につきまして、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況として規定しております。 このうち、変更後の就業規則の内容の相当性には、就業規則の内容面に係る制度変更一般の状況が広く含まれるものでありまして、第四銀行事件最高裁判決で列挙されている考慮要素である変更後の就業規則の内容自体の相当性のみならず、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、あるいは同種事項に関する我が国社会における一般的状況も含まれるものでございます。また、いずれにせよ、条文の中の「その他の就業規則の変更に係る事情」という文言で包括的に表現されているというふうに考えております。 また、「労働組合等との交渉の状況」の労働組合等には、多数労働組合や過半数代表者のほか、少数労働組合や労働者で構成される親睦団体等、広く労働者の意思を代表するものが含まれるものでありまして、第四銀行事件最高裁判決で列挙されている「労働組合等との交渉の経緯」と、それから「他の労働組合又は他の従業員の対応」、これが含まれるものでございます。 このように、第四銀行事件最高裁判決で示された七つの考慮要素等を総合考慮して判断すべきという考え方を、第十条において挙げた四つの考慮要素及び「その他の就業規則の変更に係る事情に照らして」と規定するものでございます。したがって、第十条の規定は判例法理に沿ったルールであり、判例法理に変更を加えるものではありません。
○小林正夫君 就業規則による労働条件変更をめぐる最高裁判例としましては、既に指摘しました秋北バス事件と第四銀行事件の各判決の中間に、昭和六十三年に出された大曲市農協事件最高裁判所第三小法廷判決があります。この判決では、就業規則の合理性の判断方法と合理性の程度に関する判断が示されています。すなわち、合理性の判断方法につきましては、当該規則条項が合理的なものであるとは、当該就業規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面から見て、それによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認できるだけの合理性を有するものであるということをいうとの判断が示されています。 また、合理性の程度につきましては、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項がそのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合でなければ、その効力を生じないとの判断が示されています。 しかしながら、この就業規則の合理性の判断方法と合理性の程度につきましては、今回の法律に文言としては盛り込まれておりません。今回の法律に文言として盛り込まなかった理由について、この判例法理を法律で修正したり変更するものではないと理解しておりますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のとおり、今回の労働契約法案は判例法理に沿って、判例法理を変更することなく立法化したものであります。
○小林正夫君 そうしますと、今回の立法が就業規則変更法理に係る最高裁判決を踏襲したものであるとのことですが、これらが条文化されても、先ほど述べました秋北バス事件最高裁判決、大曲市農協事件最高裁判決、第四銀行事件最高裁判決を含め、今まで積み重ねられてきた判例法理はこれまでどおり個別の紛争を解決するための判断基準として考慮されるものであると考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のとおりであります。今回の立法は、判例法理に沿って労働契約と就業規則との関係を明確にしたものであり、この結果、判例法理を修正するものではありません。個別の事案においては、具体的な当てはめに当たって判例法理において示された具体的な考え方が引き続き存続し、考慮されるものというふうに考えております。
○小林正夫君 第十一条の就業規則の変更に関する手続の部分は、労働基準法が重要であることを確認するものであり、第十二条の就業規則違反の労働契約の効力につきましては、労働基準法第九十三条の定める最低基準効をそのまま労働契約法に移したものであり、第十三条の法令及び労働協約と就業規則との関係につきましては、労働基準法第九十二条の規定と同じ意味のものであると理解いたします。 したがいまして、今回の労働契約法の制定により、労働組合が締結する労働協約の効力が変わるものでなく、労働組合と労働協約に関する制度には一切の変更がなく、従来どおりのままであると理解いたしますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 御指摘のとおりでございます。
○小林正夫君 第十四条の出向に関する条文につきましては、政府案にありました二項の出向の定義規定が全部削除されております。 この削除の理由につきまして、修正案提案者にお尋ねいたします。
○衆議院議員(細川律夫君) 出向の定義の規定を削除したことについての御質問でございますけれども、今日、実態は派遣でありますけれども、しかし派遣でないように見せ掛けるために、請負とかあるいは出向の形式を取るものが横行をいたしております。 政府案の出向の定義は、判例、学説上も未成熟なものばかりであるばかりか、出向の概念から業として行うものを排除しておりませんので、業として行う出向を可能とするのではないかというような議論がございました。そこで、このような問題のある出向の定義につきましては削除した次第でございます。
○小林正夫君 期間の定めのある労働契約につきまして政府案では、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がないときは、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」とされておりました。これに対し修正案では、「やむを得ない事由がないときは」という文言をやむを得ない事由の「ある場合でなければ」と修正しております。 この修正の趣旨について提案者に説明を求めます。
○衆議院議員(細川律夫君) 期間の定めのある労働契約につきましては、民法第六百二十八条で、やむを得ない事由があるときは当事者双方が契約を解除できるというふうに定めております。 このやむを得ない事由が存在することについての証明責任、これは契約を解除する側が負うと。すなわち、使用者が契約期間途中で契約を解除する場合には、使用者がやむを得ない事由の存在することを主張、立証しなければなりません。やむを得ない事由があるかないかについて裁判官の心証形成がグレーである場合には、使用者が敗訴するのがこれまでの考え方でございます。そして、労働契約法制の制定後も、有期労働契約の契約期間途中の解雇の根拠は労働契約法の第十七条一項ではなくて民法六百二十八条に求められるものでありまして、やむを得ない事由があることに関する証明責任は使用者が負うものでございます。 ところが、政府案では、この証明責任の分配につきまして、解雇無効を主張する労働者の側でやむを得ない事由がないということを証明することになるんではないかというような、そういう解釈を招く危険がございました。そこで、こういうような解釈を招かないよう、証明責任分配が従来どおり、従前と同じであることを明確にする文言に改めた次第でございます。
○小林正夫君 以上の質疑を総括いたしますと、政府案におきましては従来確立していた労働者の権利を脅かす誤解を生じる条項が存在しておりましたが、今回の修正によりこれらの誤解をすべて解消し、労働契約法の内容が明確化されたものと理解いたしますが、修正案の提案者におかれましては、それでよろしいでしょうか。
○衆議院議員(細川律夫君) 御指摘のとおりでございます。 政府案には労働者の権利を脅かすと誤解を生ずるのではないかというような議論がたくさんございました。これらの点につきましては、百六十六国会におきまして、私が内閣に対する質問主意書とこれに対する内閣の答弁書によって具体的かつ詳細に明らかにされたところでございます。 今回の修正は、これらの点をすべて解決されたものであるというふうに自信を持って申し上げられるところでございます。
○小林正夫君 修正後の法案につきまして、就業規則法制を強化するものであり、就業規則による使用者の一方的な労働条件の決定と変更を容易にするものであるとの批判がありますが、この点についての見解はいかがでしょうか。
○衆議院議員(細川律夫君) まず確認をしておかなければならないのは、労働基準法により使用者は常時十人以上の労働者を使用する事業場において就業規則の制定が義務付けられております。そして、就業規則と労働契約の関係につきましては、これまでも判例法理が存在しまして、労働現場でルールとして機能をしてまいりました。 今回修正されました後の労働契約法は、新たに就業規則制度を設けるものではございません。既に労働現場のルールとして機能してきた判例法理のうち、特に法律で明確化すべきものを条文化し、法律の文言とされなかったその判例法理は判例法理としてそのまま残すものでありまして、法律と判例の総体としましては現在の判例法理を足しも引きもしないものでございます。 したがいまして、修正後の労働契約法につきまして、就業規則法制を強化するものであるとか、就業規則による労働条件の一方的な決定、変更を容易にするものであると、そういうような批判には根拠がないものだというふうに考えます。 そこで、民主党としての考え方を述べさせていただきますと、もちろん労働条件変更の方法につきましては、就業規則に頼らない様々な方法が立法論としてはあり得るところでございます。民主党も今国会におきまして、就業規則制度に頼らない新たな方法を法案として提出をいたしました。ではありますけれども、現在既に存在しているルールをそのまま法律として周知徹底を図り、広範な労働現場でこのルールを実現させた上で、更に就業規則に頼らない制度に発展させるというのも一つの選択肢であるというふうに考えたところでございます。このため、政府案には誤解を招く規定もありましたが、修正をしてその実現を図るというのも現実的な選択肢であるというふうに考えました。 そこで、政府案について与党と修正協議を重ねた結果として、与野党共同で修正案を提出をするということに至ったものでございます。 委員各位におかれましては、このような修正案の趣旨と目的を正確に御理解をいただくように、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
○小林正夫君 修正部分を除き衆議院で可決されました内閣提出の労働契約法案につきまして、今修正案提案者からの説明のありましたこと、すなわち、既に労働現場のルールとして機能してきていた判例法理に沿って条文化し、法律の文言にはならなかった判例法理は判例法理としてそのまま残すもので、法律と判例の総体としては現在の判例法理を足しも引きもしないものであるという点につきまして、いま一度厚生労働大臣の確認を求めます。
○国務大臣(舛添要一君) 修正部分を除き衆議院で可決されました内閣提出の労働契約法案につきましては、今委員の御指摘のとおりの内容であることを確認申し上げます。
○小林正夫君 労働契約法案につきまして、この法律が成立したときには、その内容はもちろんのこと、判例や事例的なものを分かりやすく国民に示して紛争の未然防止に努める、これが何よりも重要なことではないかと考えます。この点について大臣のお考えをお伺いいたします。
○国務大臣(舛添要一君) 労働契約法案は、個別労使紛争が増加基調にある中で、労働者が安心、納得して働くことができるようにするため労働契約に関する基本的ルールを明確にするものであり、その実効性を高めるためには、御指摘のとおり、その趣旨の徹底を図っていくことが肝要であると考えております。 このため、労働契約法案が成立しました暁には、現在の判例法理や実務に即した適切な法律の解釈、運用が行われますように、分かりやすいパンフレットを作成し、これを活用して周知するとともに、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで相談を受けた場合には、これらのルールを十分に説明し、理解の促進に努めてまいりたいと考えております。
○小林正夫君 ありがとうございました。 次に、最低賃金法改正案についてお伺いいたします。 まず、今般の改正法案に対する修正の理由及び意義について修正案提案者にお伺いいたします。
○衆議院議員(細川律夫君) お答えいたします。 衆議院におけます審議では、政府は政府原案の第九条第三項の趣旨につきましてこのように答弁をいたしております。 生活保護との関係は、地方最低賃金審議会における審議に当たって考慮すべき三つの決定基準のうち生計費に係るものであるから、最低賃金法の書きぶりとしては、生活保護との整合性に配慮すると規定しているところでありますが、これは、最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配慮するとする趣旨であるというふうに答弁をいたしているところでございます。 すなわち、政府が提出をしました原案は、地域別最低賃金の三つの決定基準のうち労働者の生計費につきまして、生活保護に係る施策との整合性に配慮すると、こういうこととしていましたが、この規定の趣旨が必ずしも明確ではなかったところでございます。 このため、最低賃金の決定の際に生計費を考慮するに当たっては、生活保護との整合性について、最低賃金が労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるような水準になるよう配慮することを明確にするよう修正を行うこととしたものでございます。これによって、最低賃金が労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるような生活保護の水準を下回らない水準となるよう配慮する旨がより強く強化されたというふうに考えております。
○小林正夫君 引き続きお伺いいたします。 修正後の法案につきまして、今後の最低賃金審議会における議論に具体的にどう反映されるのか、修正案の提案者に質問いたします。
○衆議院議員(細川律夫君) 最低賃金の決定に当たっては、最低賃金の水準を決定する審議会におきまして、生活保護を始めとする労働者の生計費に関する様々な論点について十分検討を行い、最低賃金によって保障されるにふさわしい健康で文化的な最低限度の生活について議論されるべきものと考えております。 具体的な地域別最低賃金の水準につきましては、労働者の生計費に加えて、地域における労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力も決定基準として地方最低賃金審議会において地域の実情を踏まえた審議を経て決定されるものでありまして、生活保護との整合性を具体的にどのように考慮するかについても中央及び地方の最低賃金審議会において審議を経て決定されるべきものと考えております。 生活保護と最低賃金の比較に当たって、例えば、地域別最低賃金は都道府県単位で決定をされますけれども、生活保護は市町村を六段階の級地に区分していることなど、あるいはまた生活保護は年齢や世帯構成によって基準額が異なること、あるいはまた生活保護では必要に応じた各種加算や、また住宅扶助、医療扶助等があること、こういうようないろいろな論点を考慮するかどうかということが問題となるところでございます。 生活保護との整合性を考慮するに際しては、以上のような論点も含めて、最低賃金の具体的な水準を決定する審議会におきまして様々な角度から十分に検討を行い、最低賃金によって保障されるにふさわしい最低限度の生活について議論されるべきだというふうに考えております。
○小林正夫君 修正後の法案につきまして最低賃金の決定の際の考慮要素となる労働者の生計費と生活保護との関係はどうなのか、お伺いいたします。
○衆議院議員(細川律夫君) 最低賃金制度につきましては、労働者の最低限度の生活を保障する、そういう観点、あるいはモラルハザードの観点、そういうところから生活保護との整合性の問題がいろいろ指摘されてきたところでございます。 このため、最低賃金の決定の際に生計費を考慮するに当たっては、生活保護との整合性について最低賃金が労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるような水準になるよう配慮することを明確にするよう修正を行うこととしたものでございます。 最低賃金の考慮要素の一つであります労働者の生計費とは、労働者の生活のために必要な費用、これをいうものでございまして、国が困窮するすべての国民に対してその困窮の程度に応じて必要な保護を行うという生活保護とはおのずから異なるものでございまして、地域別最低賃金の具体的な水準を決定する地方最低賃金審議会においては生活保護基準のほかにも様々な資料を用いて審議を行っていくものと考えております。
○小林正夫君 以上で、二法案の条文及び修正箇所の質問を終わります。 次に、法案に関連して、労働問題にかかわる質問に移ります。 まず、舛添大臣にお聞きをいたします。 今回は、労働基準法はまだ衆議院で審議中と、こういう状況になっておりますけれども、今労働三法が審議されるという背景をどう考えているのか、このことについて大臣の御所見をお聞きしたいと思います。 私は、日本はみんなの努力によって国際競争力に勝てるような国になったけれども、要は、国際競争力に勝てるような国になったんだけど、さらに景気回復されているというふうに言われていますけれども、振り返ってみると、労働環境や労働条件が置き去りにされてきたということではないかと私は思います。この状況は、戦後の歴史の中で、高度成長を成し遂げたが、振り返ってみたら公害問題や環境問題が置き去りになっていたという私たちが学習した過去の状況に似ているなと私は感じるんです。 現に、非正規労働者が労働者の三分の一を占めるという状況、これは総務省労働力調査の詳細結果では、二〇〇七年四月から六月期には前年同期比八十四万人増の一千七百三十一万人、正規雇用者は二十九万人増の三千四百八十三万人となっており、非正規の増加は正規労働者の約三倍、労働者全体の三三%が占める。二〇〇二年の同時期と比べると、五年間で三百三十八万人が増加している、こういう現状があります。 さらに、長時間労働が顕在化している。これは大臣も十一月二日の衆議院厚生労働委員会で民主党の園田議員の質問に、長時間労働をなくしていきたい思いは同じだと、このように答弁をされてもおります。 三つ目には、給与所得が減少している。これは実態調査では、民間給与は九年連続で下がっており、二〇〇六年の年間平均給与は実に一万九千円ダウンしている。さらに、低所得層が増大をしている。二〇〇六年の国税庁民間給与統計調査では、年収二百万円以下の層は全体の二二・八%、年収三百万円以下では三八・六%となっている。低所得層の増加は、二〇〇一年に出された骨太方針に示された労働分野の規制緩和政策と一致していると思います。労働分野の規制緩和はこうした低所得層を増やしただけではないかと、私はそのように危惧をしております。 さらに、生活保護世帯が増加をしている。厚生労働省平成十八年度社会福祉行政業務報告では、二〇〇六年度は百七万五千八百二十世帯、前年より三・三%増加しております。二〇〇五年度には百万世帯を超えた後も増加し続けております。これは、報道によると十四年連続で増加していると、こういうことになっている報道がございます。 私は、今言ったような状況を生み出し、景気はイザナギ景気を超える戦後最長を記録していると言われておりますけれども、国民生活はますます厳しさが増すだけで、不安定な雇用は不安定な社会をつくり、人生計画が描けない人が多くなっている。また、自殺者も警察庁のまとめでは九年連続三万人を超えている状態で、昨年は勤務問題での理由が千九百十九人と、統計を取り始めた一九七八年以降最も多くなっております。 少子高齢化社会に入り、黙っていても労働人口は減少し、国の財政も厳しい時代が続いていくと思いますけれども、それだけでも国力の低下が心配されますけれども、先ほど私が話したように、今日の状況を考えると日本は大丈夫なのかと、このことがより心配になる、私はそういう思いでございます。 国民が安全で安心して働ける環境の下で額に汗して働き、生産性を上げて収入を得て生活をしていく、私はこのことが国力をつくり出す源と考えております。我が国が成り立っていく基本的な、基礎的な条件をしっかり立て直すため、そして我が国で大きな問題になっている格差の是正、つまり日本の社会のベース問題の解決を図るために最低賃金法と労働基準法の見直しあるいは労働契約法の制定という労働三法の審議が今回求められていると、私はそのように考えておりますけれども、舛添厚生労働大臣はいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(舛添要一君) 現状の日本の認識それから問題意識というのは、私も実は共通したものを持っております。 過去十五年間、バブルの崩壊そして不況、その中からどうすれば立ち上がるか。そのときにやっぱり企業サイドから、経営サイドからの話が一番最初に来ただろうと思います。つまり、設備投資であれ雇用であれ債務であれ、いわゆる三つの過剰と、こういうものをまず整理をする。そのときに非常にアングロサクソン型の経営再建という形で取り組んできた。ですから、まず企業業績を上げる。その企業業績から見ると、委員御指摘のような、確かにイザナギを超える景気ということになる。しかし、働いている人たちに給料の形で跳ね返ったのは随分遅れてきている、こういう問題があると思いますし、やはり労働環境の改善がなければ日本の活力は取り戻せないと、そういうことを背景に今回のこの労働三法についての議論があるというふうに私も認識しております。 そこで今、この産業構造の変化、経済の構造変化、こういう価値観が多様な中で、今私が申し上げました、やはり経営者も企業側も、そして労働者側もニーズが非常に多様化している。しかし、その中でどうしたら安心して働いていけるのか、どうすればセーフティーネットが確立するのか。私は実は、これまで戦後、日本経済が良くなったのは企業がセーフティーネットを提供していた、しかしそれができなくなったときに、十分できなくなったときにやはり政府がやらないといけない、そういう観点も一つあろうかというふうに思います。 そこで、具体的に政府が取り組んでいることを申し上げますと、さきの通常国会で成立しました雇用対策法改正法案に基づいて若者の雇用機会を確保すると、これがまず第一でございます。それから第二に、パートタイム労働法改正法に基づきまして均衡待遇の確保、そしてそれから、できるだけ正規雇用に移っていただくと、こういう施策を取っております。 これに加えまして、今申し上げましたように、この労働三法。もうルールの明確化がなければやはり働いている人たちは不安である、そういう意味での労働契約法。それから、今私申し上げましたように、親方日の丸主義でやれた時代は終わったと、セーフティーネットはやっぱり最賃法できっちりやらないといけない、これが第二番目でございます。それから、今御審議いただいている、衆議院で御審議いただいている労働基準法の改正法案、これには法定割増し賃金率の引上げというようなことも入っておりますので、これは是非成立させていただきたいというふうに思っておりまして、いずれにいたしましても、この労働三法の審議、これは今申し上げましたように、安心してみんなが働くことができる明るい日本をつくる、希望と安心、これが福田内閣のスローガンでございますから、これを確立するためにも是非必要なことだと、そういうふうに考えております。
○小林正夫君 今大臣の答弁を聞いておりまして共通する点は、やはり日本の働く人たちがきちんとした労働条件の下また自分の人生設計が描けるような、こういう環境をつくっていく、そのことがなければ日本の国力が本当に、何だろう、しっかりできていかないと。 したがって、この三法を含めて労働問題の、いわゆる世界の各国からあるいは先進国から見て立ち遅れている労働環境というのは一杯あるんですね、そういう意味でそういうものを引き続き精力的に検討していい日本にしていくと、こういう考え方でよろしいでしょうか。確認いたします。
○国務大臣(舛添要一君) 委員御指摘のとおりでございます。
○小林正夫君 次の質問に移りますけれども、私たち働く者にとって安全の問題が最優先されるべきだと思います。また、私たちの取組あるいは政府の取組も安全が第一番であると、この考え方については否定はないものだと思います。 平成十九年度版の厚生労働白書の労働災害の発生状況の推移を見てみますと、死亡者数は前年より四十二名減ったけれども、依然として千四百七十二名。これを三百六十五日で割ると、一日四名の方が労災で亡くなっているという事実は変わらない状態が続いているということであります。また、休業四日以上の死傷者はプラス千二十四件で十二万一千三百七十八人、このような死傷者が出ている。重大災害は大幅に増加してプラス五十三件で三百十八件、このような状態であるということが平成十九年度版の厚生労働白書で明らかになりました。 そこで、死亡者は横ばい、休業四日以上の死傷者と重大災害が増加している、この実態をどうとらえているのか、災害が減らない原因は何なのか、この点について質問をいたします。
○政府参考人(青木豊君) 労働災害の状況については、今委員御指摘のとおりでございます。 災害が増加しているということの背景要因としては、最近の景気回復による業務の繁忙化でありますとか、あるいはベテラン労働者が多く退職するということなどによりまして安全衛生に関するノウハウの伝承が十分でないということなどによりまして、事業場における安全衛生水準が低下したということなどが影響したというふうに考えております。 これらの状況を踏まえまして、昨年の十一月三十日に災害増加業種に対しまして労働災害防止対策の徹底を要請をいたしております。経営トップが自ら先頭に立って安全衛生パトロールをしたり、あるいはリスクアセスメントを実施したり、そういったことを要請をして指導をし、あるいは災害発生要因等についても示して注意を喚起するというようなことをいたしております。 そういうことで、今年の、平成十九年の速報値、十一月現在でございますけれども、死亡者数は対前年八・九%減、休業四日以上の死傷者数は対前年二・三%減、重大災害、これは対前年八・七%減といずれも減少しているという状況にございます。
○小林正夫君 今、私たちの社会を見ると、非正規雇用者が全雇用者の三分の一を占めている状態であります。また、労働者派遣が規制緩和により製造業にも拡大されて原則自由になっている、こういう状態であります。こういう人たちに十分な安全教育がなされていないのではないか、大変私は心配をしております。労働者派遣数の全体数は二百五十五万人と聞いております。 そこで、非正規雇用あるいは派遣労働者の声を聞くと、雇用が不安定で将来の見通しが立たない、二つ目、収入が不安定で生活費を賄う収入を得られないなど、こういう返事が返ってきます。その不安な気持ちが災害につながっているのではないか、このように私は思います。 一九八五年に労働者派遣法ができて、一九九九年に原則自由になり、二〇〇三年に製造業にも拡大という派遣労働が規制緩和されてきた推移を見ると、重大災害の発生件数が増加していく推移と同じ軌道を描いておると。これは厚生労働省の白書で、小さいからちょっと見にくいと思いますけれども、正に労働者派遣法が制定をされた一九八五年から今日まで、この重大災害のグラフがずうっと上がってきているというのが実態なんであります。 そこで、私は、この労働者派遣法の在り方を特に一九八五年に制定された方向に向けて私たちは検討をする必要があるんではないか、このように私は思っているところでございますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 働く人の命を守る、健康を守る、これはすべての基本でないといけないと、そういうふうに考えております。したがって、今申し上げましたように労働災害の防止、特に派遣労働者、今委員御指摘のように、やっぱり精神的にもいろんな意味で不安定なんで、それが事故につながるということは、これは十分あり得ることだというふうに考えます。 したがって、そういう点を含めて、一般的にこの安全ということのためには法令の遵守をきちんとやってもらわないといけない、それから経営者はそういう意味での社会的責任、トップの自覚を持っていただかないといけないというふうに思いますんで、そういうことを含めて、派遣の労働者のみならず一般的に労働災害を防止すると、そういう観点から厚生労働省としても全力を挙げてまいりたいと思います。
○小林正夫君 私たちの生活でもう本当にすべてが、安全が最優先されると、こういうことが大変大事だと思いますので、大臣、是非この労働災害の撲滅、あるいはこういうことが起こらない社会をつくっていく、このことに対して本当に頑張っていただきたいと、このようにお願いをいたしますし、またこのような委員会の場でいろいろ論議をさしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、長時間労働の関係で御質問いたします。 三十歳から四十歳代を中心に、長時間労働を強いられている人は大変増えております。二〇〇七年版の労働経済の分析、これは労働経済白書ですけれども、この世代の男性雇用者で週平均六十時間働いている人の比率が急上昇しており、中でも四十歳から四十四歳は二一・二%と、十年間で四・九ポイント上昇しております。白書は、現在の日本の雇用社会における長時間労働の実態を認めた上で、労働者の健康や生活の質の確保が困難な状況をもたらしていると極めて真っ当な分析を記しているものであると思います。 加えて、この白書においては、仕事と生活の調和が取れていると考える従業員の方が仕事への満足感や就業意欲が高いことが示されています。さらに、長時間労働を余儀なくされる理由について、労使ともに、所定内労働時間では片付かない仕事量であることや突発的な業務がしばしば発生するという回答が多いことも明示されており、実感として納得できる部分があります。 日本企業の置かれた状況は大変厳しいものがあります。にもかかわらず、世界の中でどのように競争に勝ち抜いているかは、上場企業の経常利益が二〇〇六年度までに四年連続で過去最高を更新、今年度も前年度を上回る勢いを示している点でも明らかであります。その一方、賃金の上昇幅は抑えられており、労働時間も短くなっておりません。労働基準の最低基準を定める労働基準法において、労働時間について今私たちが何をしなければならないのかという論議が必要であります。 我が国の労働者をどう健康にしていくか、仕事と家庭生活、仕事と地域活動をどう調和させ、労働者が生き生きと仕事に打ち込み、かつ生活を確保するか。民主党は、労働時間と健康は分かち難い関係にあり、長時間労働は働く人の健康上極めて問題があると考えます。労働時間の適正化に向けた仕事の役割分担を見直すための契機が不可欠であります。 そこで、現行の労働基準法の問題点についてお聞きをいたします。 現行の労働基準法では三六協定による時間外労働の限度に関する基準を設けておりますが、一方で、特別条項さえ結べば事実上制限なし、青天井と言っても過言ではありません。この特別条項付協定も中小企業より大手の方が活用されていて、三百一人以上の企業では特別条項付協定が六六・七%、三十人未満だと二八・一%と聞いております。特別条項ありきでなく、限度基準をきちんと抑えていくための施策が必要ではないかと思います。 この特別条項について、長時間労働の観点からどのように認識しておられるのか、今後もこれを放置していくつもりなのかどうか、お伺いいたします。
○政府参考人(青木豊君) 時間外労働そのものは本来臨時的なものでございまして、必要最小限にとどめるべきものであるというふうに考えております。 このため、時間外労働の限度というものについて、限度時間の目安について厚生労働大臣が基準を定めまして、この限度基準において限度時間というものを定めております。例えば、週十五時間とか月四十五時間とかいうふうに定めているわけであります。 しかし、事業又は業務の態様によっては、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わざるを得ない特別の事情が生ずることが予想される場合がございます。そのため、このような場合の弾力措置として、今委員がお触れになりましたような特別条項付協定を締結することによって、この限度時間を超えて労働することを可能としているところでございます。 特別条項付協定を見直して一律に時間外労働の上限時間というものを規制するということは、繁忙期に業務が停滞するなど企業活動に多大な影響を及ぼすおそれがあるということで、余り適当ではないというふうに考えております。 今回の労働基準法の改正法案におきましては、月八十時間を超える時間外労働の法定割増し賃金率を五割に引き上げるということを考えておりますし、それとともに、今申し上げました限度時間を超える時間外労働につきましては、大臣告示を改正しまして、そこで定められた限度時間を超える労働時間について割増し賃金率を引き上げると、また、その時間そのものもできるだけ短くするよう努力義務を課すということを考えておりますし、あわせて、時間外労働の削減に積極的に取り組む中小企業に対する助成金の活用を図るということ等をいたしております。 こういったような方法を組み合わせることによりまして、長時間労働抑制の実効を上げるということにいたしているところでございます。
○小林正夫君 時間の関係もありますので、大臣にお聞きをします。 日本版のホワイトカラーエグゼンプション、先日のこの委員会で福島委員の方からもその質問がありましたけれども、改めてこの発言の意味合い、どのように考えられているのか、そして、家庭団らん法という日本の名称にすればいいじゃないかと、このような伝わり方がしているんですが、このことに対して、大臣、どのような御所見でしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) その前に、今静岡で技能オリンピックというのをやっておりまして、あした閉会式です。私も日曜日、視察してまいりました。その関連で各国の労働大臣来られるものですから、いろいろ意見を交換します。私は基本的に思っているのは、これだけ豊かになった世界第二の経済大国といっても、やっぱりまだ、豊かさの実感って本当に皆さんありますかと。その最大の問題は労働時間が長いことだという認識を持っているんです。これだけ働いてこの程度の豊かさかと、極論すれば。 じゃ、ヨーロッパの労働大臣と議論していて、はるかに労働時間は日本より少ないですよ。しかし、はるかに高い経済成長を上げています。それで現実に見ると、時間を十分持って、正にワーク・ライフ・バランスが実現している。一月の有給休暇が、バカンスが取れる。やっぱり先進国というのはこういう国じゃないかなという認識があるわけです。 じゃ、そこで何をすべきか。まあホワイトカラーエグゼンプションについては、名称はこれ、名称の問題があったですから、それを申し上げたのでいろんな誤解があったと思いますけれども、私の基本認識はそうなんです。 ですから、片一方では、例えば同じ千時間働いても、だらだらいい加減な働き方していて駄目な面もあるかもしれない。それは効率化しないといけない。しかし、そうではなくて、本当に過酷な労働条件で働いていて、しかもサービス残業という形で賃金も払われない状況もあるだろうと。そういうことを全部踏まえて、私は働き方の革命がないといけない。そういう意味で、人生八十五年ビジョンを今策定したいと。そういう中で、ワークとライフのバランスということも含めて、なぜこれだけ働いてなぜそれだけの豊かさの実感がないのか、これは国民的に議論をする課題であると。そういう問題意識の下に、私は家族は夕方団らんする時間を持つのが当たり前であって、夜中の九時までも十時までも働いてからでないとうちに帰れないというのは異常であると、そういう認識を持っているわけでありますんで、どうか、ネーミングの問題についてはいろいろ誤解があればそれは申し訳ないと思っていますけれども、全く基本的認識は私は小林委員と同じ認識を持っており、しかも技能五輪があって、今申し上げましたようなこの労働大臣、各国の労働大臣との議論を通じて正にその認識を深くしたところでございます。
○小林正夫君 家庭団らん法という名称あるいはホワイトカラーエグゼンプションについて大臣と本当に気持ちが共有しているかどうか、また更に論議をしていきませんと、私はそうですと言い切れません。改めてまた論議をしたいと思います。 終わりに当たりまして、私はいろんなことをみんなで注意して長時間労働をなくそうと、このように意識を改革しようといってもなかなか実現できないのが世の常じゃないかと思います。私は、今、できれば一日十一時間の休息時間を設けると、EU諸国ではスタートしておりますけれども、これだけやって長時間労働がやまないんならば、ならば勤務が終わった後、次の勤務まで就く間に十一時間の休息時間を設けるべきだと、私はこの検討をこれからはしていく必要があるんじゃないかと思う、そういうことの考え方だけをお話しをして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○吉川沙織君 民主党・新緑風会・日本の吉川沙織でございます。この七月の参議院選挙におきまして初めて当選をさせていただき、また国会での質問は今日が、この厚生労働委員会での質問が初めてになります。どうぞよろしくお願い申し上げます。 私の方からは、主に最低賃金法の一部を改正する法律案、またこれの関連の御質問をさせていただきます。 まず最初に、具体的事項の御質問をさせていただきます。 最低賃金についてですが、二〇〇六年においては加重平均で六百七十三円、二〇〇七年改定後十四円引き上げられて六百八十七円という、そういう状況になっております。ただ、二〇〇六年の六百七十三円と同年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査における一般労働者の一時間当たりの平均賃金を比較した場合、最賃は一般労働者の三七・二%の水準にしかなりません。また、これは年次をさかのぼって計算をした場合でも三五から三七%で大体推移をしております。これは、月例賃金の時間額と比較をしても三分の一強の、これぐらいの水準にしかなりません。 一般労働者の場合は、ボーナスや賞与支給されますが、時間給で働くパートタイマーの方は一部を除いて一時金等は支給されない状況にあります。よって、一時金の支給状況を勘案すると、パートタイマーの方は更に低い水準となってしまう、こういう現状が存在をいたします。最低賃金をこれまで比較的低い水準で放置をしてきたことがこのような社会のゆがみを生んでいるのではないでしょうか。 今回の最賃法の改正によって生活保護との整合性に配慮することになるのであれば今申し上げたような状況は改善されるのか、この御認識を大臣の方にお伺いをさせていただきます。
○国務大臣(舛添要一君) 最低賃金の決め方というのは、公労使三者がそれぞれ地域でその地方の最低賃金審議会というのを踏まえて、ですから地域別にその地域の事情を踏まえて決定するということでありますけれども、今御指摘なさったように、やっぱりこれ労働者の最低限の生活を保障するという機能があるわけですから、今おっしゃいましたように、生活保護に係る施策との整合性に配慮するというこのことを今回明確にしたことは正に最後のセーフティーネットであるという認識がそこにあるんだろうというふうに思います。 今回、この法律を是非成立させていただきまして、その下で今の状況を踏まえて適切な規模での引上げを何とか実現したいというふうに思っております。 それから、今成長力底上げ戦略推進円卓会議というものを設けておりまして、その中で、生産性の向上を考慮した最低賃金の中長期的な引上げということで、これを政労使の間できちんと合意形成を図りたいと、そういう合意形成を含んで、成長して生産性上がれば必ず最低賃金引上げするんだよと、これをきちんと決めたいと、そういう方針で最低賃金の問題については取り組んでまいりたいと思っております。
○吉川沙織君 今の大臣の御答弁の方で、政労使でこれから検討していくとございました。 働いても働いても普通に生活ができないような今の生活保護、保護というか最低賃金の状況、これを、安心して働くことができるセーフティーネットの整備として最低賃金の抜本的引上げは検討するに値するということで大臣の御認識はよろしいでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 私が一人で決めるというわけじゃなくて、今言ったようにそれぞれの地域の審議会でなるべく公平に決めていただく。ただ、今回、生活保護との整合性に配慮するというのは、みんなでこの条項をきちっと入れたことは、私は、やっぱり最低賃金は生活保護を下回っちゃいけないと、これは当たり前のことじゃないかなと思います。その当然の国民の認識を前提にして、様々な施策を実行してまいりたいと思います。
○吉川沙織君 ありがとうございます。 では、この生活保護に係る施策との整合性、整合に配慮するということは、つまりは生活保護を下回ることはないという解釈でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 今申し上げましたように、基本的にそうでなければ、何のために最低賃金があるか分かりませんですから、委員の御指摘のとおりでございます。
○吉川沙織君 ありがとうございます。 では、実際に現行の地域別最賃の水準は、生活保護と比較した場合、生活保護を下回るところがあるのかないのか。 最近の報道で、二〇〇七年の改定後十四円アップしたけれども、生活保護との逆転現象が解消されない地域が九都道府県もあり、またこれ県庁所在地などに限ると更に増えるという報道もあります。この現状を政府として放置しておいてよいと考えるのか否か、お考えをお聞かせください。
○国務大臣(舛添要一君) 今、委員が御指摘くださいましたように、下回っているところですね、秋田、宮城、北海道、広島、兵庫、京都、千葉、埼玉、大阪、神奈川、東京と、これで間違いないですね。これだけ上がっているわけであります。これは、やっぱりできるだけ改善していかないといけないというふうに基本的に思っています。 地域別の最低賃金の決め方というのは三つ要素があって、一つは労働者の生計費、それから労働者の賃金が二番目、三番目が通常の事業の賃金支払能力、この三つで決定するということでありまして、今の三つの決定基準で各地域の審議会で決めていただいているわけです。 これも必要があれば政府委員の方に細かいそのルールを御説明させますけれども、生活保護に係る施策との整合性は、じゃどういうふうになっているかというと、最低賃金と生活保護の水準との比較におきまして、手取り額で見た最低賃金額と、衣食住という意味での生活保護のうち、若年単身世帯の生活扶助基準の都道府県内人口加重平均に住宅扶助を加えたもの、ちょっと長くなって恐縮ですけれども、要するに、その住宅扶助を加えたもの、いわゆる生活保護ですね、それに住宅扶助を加えたものを比較するという考え方で来ているんで、それで公正公平な形で一応数字を出しているということですが、今御指摘のようにまだまだアンバランスなところがある。これは、やっぱり私は一つ一つ改善していく努力が必要だろうと思います。地域によっていろんな事情が違うと思うんですね。 それで、いろんな指標を比べてみても、収入の基準、生活費の基準、最低賃金の基準、全部、例えば東京を一〇〇としたときに青森が幾らですか、北海道幾らですか、その指標がまあばらばらなんで、それが正に地域格差だと思います。しかし、今委員御指摘し、私が具体的な県名を挙げたようなことがないようにするというのが、これが基本的な政府の方向であります。
○吉川沙織君 ありがとうございます。 これに関連して、先週の一部報道でこんな報道がありました。国の統計調査によると、最低賃金を更に下回る賃金しか受け取っていない人がパート、アルバイトの方を中心に全国で四十三万人に上っている、こういう報道がございました。この実態、厚生労働省として、大臣、把握されていますでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) ちょっと具体的な数字を今持ち合わせておりませんけれども、最低賃金によって、最低賃金未満での賃金になっているという人を未満率ということで我々把握をしておりますけれども、これは、これは罰則をもって強制をするものでありますので、一%程度というふうに考えております。 具体的な数字、それが何万人になるかということについては、ちょっと今手元に数字がございません。
○吉川沙織君 こういう報道があって、実態を把握しているか否かということをお伺いさせていただきましたので、御答弁をお願いいたします。
○政府参考人(青木豊君) 今申し上げましたように、最低賃金の目安というものを中央で年一度定めております。その際には、実態調査をいたしまして、先ほど私が申し上げたような数字を把握しているところでございます。また、具体的な個々の事業場における個々の労働者に対する賃金支払につきましては、それぞれ監督署において必要に応じて立入調査をしながら調査をいたしているというところでございます。(発言する者あり)
○吉川沙織君 もう一度になりますけれども、把握されていますでしょうか。こういう実態があるかどうか。
○委員長(岩本司君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(岩本司君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(青木豊君) 調査は一応ございますので、後ほど申し上げたいというふうに思います。
○吉川沙織君 では、時間の関係もございますので、また違う観点から最低賃金と生活保護との整合性についてお伺いをさせていただきます。 この最賃の適用を受ける可能性があるのは勤続年数が一年に満たない人が多うございます。これに該当する人は六か月、八割以上出勤しないと有給休暇が付与されず休むこともままなりません。最低賃金を仮に生活保護と同水準にすると、最初の六か月に一日でも休んでしまうと生活保護以下の収入になってしまいます。 この今回の修正案では、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとすることとなっておりますが、先ほど御答弁いただきましたが、生活保護の水準を一定程度上回る必要があるのではないかということ、そしてまた、生活保護基準が見直され仮に引下げとなった場合、これが生活保護に係る施策との整合性として双方ともに引き下げられてしまうような事態があってはならないと考えておりますが、大臣の御認識をお教えいただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 最低賃金の決め方は、先ほど申し上げましたように、労働者の生計費がどれだけ掛かるか、賃金がどれだけ掛かる、それから会社というか事業者が通常どれぐらい支払能力があるか、この平均で決めます。 そういう中で、今回の最低賃金法の趣旨は、生活保護を下回らないようにしましょうということでありますから、じゃ、その経済の状況変わって生活保護が下回ったからといって、そのまま機械的に比例して下げればいいというものではない。先ほど申し上げましたような三つの要素をきちんと勘案して、地域の、この各地域ごとにある最低賃金を審議する審議会で公労使が入った上できちんと議論をして、どういう手だてを取るかということで、片一方下がったから片一方自動的に下げるというものではありません。
○吉川沙織君 ありがとうございます。 では、仮に生活保護が下がった場合、最低賃金は一緒に引き下げることはないという認識でよろしいでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 機械的に比例して下げるということではありません。そういうことも含めてきちんとした基準に基づき状況を、経済状況、雇用状況、そして生活全体の状況を考慮した上で、各地域の審議会において公労使が入って公平に議論をして決めると、そういうことでございます。
○吉川沙織君 今まで御答弁の中で三つの要素のお話がたくさん出てまいりました。 その中で、労働者の生計費という言葉、何度も繰り返されましたけれども、この労働者というのは定義は特にあるんでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 労働者は、労働に従事して賃金を支払われる者ということだったと思います。
○吉川沙織君 特に若い人で単身者をモデルとしているということではないという解釈でよろしいでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 労働者の定義はそういうことだと思いますけれども、最低賃金制度におきましてどういう労働者をイメージするかと、どういうところをターゲットにして制度をつくり、その基準たる額を設定していくかということだと思います。 それについては、もちろん制度の設計でありますので、様々な労働者なりが考え得ると思います。しかし、私どもとしては、最低賃金ということでございますので、日本の賃金体系から考えると、一般的には単身の若年者をイメージして制度設計するというのが適切なのではないかなというふうに思っております。
○吉川沙織君 先ほど、小林委員の最後の方の質問の中にもありましたとおり、今非正規雇用の方がたくさん増えています。そういう方の中では生活費ぎりぎりで家族を支え、またいろんな人を支えて生活をされておられるケースも多々あるんではないかと思います。そういう場合、この労働者の定義が例えば単身の若い人であれば救われない、報われないということもあるのではないかと思うんですが、どうでしょうか。青木さん、お願いします。
○政府参考人(青木豊君) 確かに、そういう意味では、生活保護のように世帯でありますとか年齢でありますとかそういうものをきめ細かく設定をしてそういう制度をつくるということは、生活保護のような場合にはあり得ると思いますが、これは使用者が支払う賃金の最低水準を定めるということでありますので、その最低の支払うべき、これは罰則をもって強制するわけですけれども、ものについては幾つもの種類が出るということは考えられませんので、どこか一つに決めるということだろうというふうに思います。 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、日本の賃金の実態、賃金体系からいきますと、単身者の若年者を想定して設計するのが適切なのではないかなというふうに思っております。
○吉川沙織君 今罰則規定のお話出ましたので、今回設けられることについてお伺いをさせていただきます。 今回の改正で、地域別最低賃金違反の罰金額、従業員一人当たり五十万円に引き上げられることになっております。しかしながら、違反した経営者の摘発につながっているのは一部であると思います。今後は、違反した企業名の公表などを通じた罰則規定の強化が必要だと考えますが、御認識について副大臣にお伺いをさせていただきます。
○副大臣(岸宏一君) 今回、五十万円に引き上げられたということ、これが罰則の制裁的な効果が上がるものということで期待をしております。 この中で、最低賃金法違反の指摘を受けた企業名を公表したらどうかというふうな話もございましたが、これらにつきましては、一般的に言えば、当該企業の競争上の地位やその他正当な利益を害するおそれがある、あるいは公表が前提となりますと、監督指導時において意図的に事実関係を隠ぺいすると、調査に行った場合ですね、そういうこともおそれがあるということで、支障を来すということになりはしないかということで、この辺、企業名を公表しないことになっておりますが、しかし、なお労働基準監督官の指導にそういう案件があって従わなかった場合など、非常に悪質だと思われるものについては司法処分に付することとしております。そのような場合には、必要に応じて書類送検や送検をした事案を公表しているというのが今の実態でございます。 例えば、外国人を大量に雇って最低賃金以下で使っていたとか、そういう場合などなどがこの送検の、しかも公表の対象と、こういうふうに考えております。
○吉川沙織君 ありがとうございます。 先週の報道、さっき少し取り上げたものの続きなんですが、これ、経営者の摘発につながるというのは毎年二千人ほどにとどまっている。なぜならば、労働基準監督署が調べるのは事業場全体の三%にすぎないという現状がどうも関係しているようです。 すべての事業場に対する調査は困難であることはもちろん理解をいたしますが、経営者として最低限守るべきルールは守られるべきでありますし、違法行為は絶対に見逃されてはいけないことだと思います。徹底した指導を大臣始め副大臣、政府関係、お願いしたいと切に願うところでございます。 では次に、続きまして、これの関連ということで、私自身もこの世代の一人でございます若年者の雇用の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。 私、今回三十歳で当選をさせていただきました。就職活動をいたしましたのは一九九八年、平成十年のことになります。当時は、景気が底を打っていて就職氷河期、特に七四年から七六年生まれの人間は超就職氷河期と呼ばれたぐらい、働きたい、どんなに働きたいと思っても、どんなに働きたいと願っても、企業が採用の門戸を固く閉ざしていた、そういう時代に当たります。 残念ながら正社員という道を選べなかった多くの仲間、同世代の仲間は非正規という働き方を余儀なくされたまま、今、三十歳前後の年代を迎えています。今、学卒の新卒採用は景気回復に伴ってだんだんだんだん改善はされていますけれども、この置き去りにされた三十歳前後というのは、景気回復の波にも乗れず、そして、非正規という働き方を余儀なくされたがゆえに、職業能力がないということで正規雇用の道も残念ながら閉ざされているような状況があります。 また、年長フリーターと言われるように、最賃並み若しくは生活ぎりぎりの範囲で働くことを余儀なくされている方もたくさんいらっしゃいます。そしてまた、最近公表されました年金の実質納付率ございます。これ、若いほど、若い年代ほど未納が深刻な状況という、こういう現象もございます。 これ、問題は現在余り表面化していないだけで、年長フリーター、二十五歳から三十四歳までの人間が親を最後のよりどころにしている場合、その親御さんが介護、そして病気等でもう本当に生活が立ち行かなくなってしまった場合、親子共々貧困の道を歩んでいかざるを得ないような状況も容易に予想されるのではないかと思います。 こういう若年者雇用、そして取り残された世代がある、こういう対策とか御認識について大臣の方にお伺いをさせていただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 吉川さんは非常に、今御自分で述べられたように、大変な時期に就職を迎えた就職氷河期、あなたより十年年取った先輩はもう逆に引く手あまたで、例えば証券会社に入ると、入って最初の年の夏のボーナス百万なんという話があって、だからやっぱり時代による世代間の不公平って、何とかなくしていくというのはやっぱり政治の仕事だというふうに思います。 そういう意味で、これは例えばパラサイトシングルなんていう言葉で呼ばれていますけど、今は、今御指摘のように、まだ高齢化で御両親が健在、親のうちに住める、親に食べさせてもらえる、そういうことがあるわけですけど、それが、だんだん親も年取って、自分が倒れて介護が必要な身になると、こういうことは当然想定されるわけですから、何とかこの社会保障制度を担ってもらう、正に国民年金を未納というような状況をなくすためにもこれが必要なわけで、今、年長フリーターの正規雇用、これを目指してフリーター二十五万人常用雇用化プランということで、キャリアアップのためのトレーニングをやったり、いろんなことを今具体的にやりつつあります。 それから、これはもう企業もできるだけ正規の形で雇用をしてもらうように、これも企業の社会的責任として我々の方からもお願いをするということをやっておりますので、やはりその時代の荒波にもまれて、それで世代による不公平がいつまでも続くという状況は、私は政治としてきちんと是正すべきであると思いますので、この問題特に、最年少で御当選なさったんですかね、一番御認識が深いと思いますので、またしっかり御提言賜って、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
○吉川沙織君 前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。 ただ、今御答弁の中にありました、その関連でお伺いをさせていただきます。 本当に前向きに取り組んでいただけますでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 私自身もいろんな世代による不公平、例えば私は団塊の世代ですから、生まれたときから競争にもまれて、六十人学級で十何組という、これはお隣に座られている小林さんも全く同じだと思います。何で我々はこれだけ競争にもまれて苦労しないといけないかと思ってここまでよわいを重ねてまいりました。しかし、自助努力ではやっぱりかなわないところがあります。 何度も申し上げますけれども、戦後日本の高度経済成長の基礎というのは企業がセーフティーネットを張ってくれていた。しかし、バブルの崩壊によってそれがなくなった。正にそれが今の年長フリーターの問題であると思いますので、セーフティーネットは政府が中央、地方を問わずきちんとやるべきであると、この認識が必要だと思います。 したがって、そのためにはコストが必要ですから、財源議論も私はきちんとやらないと、天からお金が降ってくるなら幾らでもできます。しかし、私は、例えば年長フリーターの人がきちんと正規雇用を得て、そして生き生きとして働く、家庭も安定する、そしてちゃんと年金の掛金も払ってもらう、そういうことが明るい活力ある日本の基礎だと思います。 そのために必要な、じゃ、その二十五万人雇用プラン、どこからお金が出るんだ。私は予算要求をして、予算下さいよと。その予算付けてトレーニングのための訓練をやってもらうと。そうすると、またこれが、そんなのお金無駄遣いだと言う人がいるんです。そうじゃないですよ、その投資は必ず二倍、三倍になって実を結びますよと、私はそういう発想が必要であると思いますので、きちんと消費税増税論議もやりたいと思います。
○吉川沙織君 今の御答弁の中で、フリーター二十五万人常用雇用化プラン、また二十年度概算要求では、これ三十五万人のプランになっておりますけれども、これ、常用雇用化された後、この雇用をされた若年者層が一体どれだけ定着をしてどれだけ働けているのかというところも疑問ですし、また、先ほど団塊の世代のお話ありました。私自身というか、だれしも生まれる時代というのは選ぶことができません。でも、就職活動をした時期が、たまたまその時代が不景気だったから、そのことを一生引きずるのはあってはならないことだと思っています。 今御答弁の中にもありましたとおり、これは政治がしっかり役割を果たして、この不公平感を是正する、若しくは取り残された世代の格差というものをしっかり狭めていかないと、十年後、二十年後の日本社会、経済を展望したときに、本当に税収面、そして現役世代が先輩方を支える社会保障の根幹にもかかわる問題だと考えております。 なので、本当に前向きにやっていただきたいと思っているんですが、企業に正規雇用の義務化を設けるというお話ございました。これは積極的に取り組んでいただけますでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 企業に対して義務化ということはなかなか法律的にもできません。しかし、私は常に申し上げているのは、企業というのはただ金もうけすればいいのかと。それは、その利益の最大化というのはビジネスということの定義であるかもしれないけれども、やはり今日の先進社会においてはきちんとした社会的責任を果たすということが重要だと思いますんで、経営者たらんとする者はそのことをきちんと認識していただきたい。そして、我々もいろんな提案をし、指導をし、また要請をしていくと、そういうことでございます。
○吉川沙織君 では、企業に何らかのインセンティブを与えるような仕組みをつくるですとか、そういう具体的な方向性というのは検討はもうされていますでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) そのことも含めて、例えば別の例ですけれども、心身障害者の雇用の比率をきちんとやりなさい、クオータ制ですね、例えば女性の雇用比率をきちんとやりなさい、そういう中で、例えば目標として、何人以上の従業員がいる会社は非正規雇用を正規雇用にする率を何%にしろと、そういうことが検討できるかもしれません。これも真摯に検討して、できることがあれば実現したいと思います。
○吉川沙織君 私自身、今大臣がおっしゃっていただきましたとおりのことを実は個人的ですけれども思っておりましたので、是非、大臣主導で強く進めていただきたいと思っています。 なぜならば、この問題放置をし続けますと、本当にさっきの年金の実質納付率の問題ではありませんけれども、この社会が成り立たなくなるおそれが非常に多うございます。そしてまた、若年層における格差の拡大というものは、日本社会全体における格差の固定化を招き、日本全体が格差社会化をしてくる、こういうおそれも内包していると言わざるを得ません。 二〇〇三年四月の若者自立・挑戦戦略会議の立ち上げ等を契機に、政府においても対策を講じていただいているということは十分理解をしておりますが、政策の効果を厳密に評価をし、効果のあるものとないものの区別、そして効果があるものについては大臣主導又は政治主導でしっかり対策をやっていただきたいと思います。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○谷博之君 民主党・新緑風会・日本の谷博之でございます。 限られた時間ですので、今日は最賃法の改正の大きな二つの課題をお聞きしたいと思っております。 実は私、民主党のハイタク政策議員懇談会というのがございまして、その事務局長を務めております。本来であれば、先ほど修正案の提出責任者であった細川律夫衆議院議員がこの会長をやっておりまして、一緒になって聞いていただきたかったかなと、こう思っておりますけれども、そういう立場から、最賃法の改正の、特にハイタクに従事する運転者の皆さんの賃金問題についてお伺いしたいと思っています。 限られた時間ですから、総括的なことをお聞きすることになると思いますが、御案内のとおり、二〇〇二年の二月に改正道路運送法というのが施行されまして、その後、タクシーの増車が非常に顕著になってまいりました。そして一方では、この規制緩和によって、特にその台数の増車と、それから顧客をめぐるトラブルあるいは運賃の引下げ等々によって大変タクシー業界が混乱になってきた。一方では、まじめに働いている運転者の皆さん方、頑張っても生活保護まで、標準的な生活保護まで行かない、こういうふうな方々も相当数いる。また一方では、法定最低賃金にも満たないような、そういうふうな賃金しか得られない、こういうふうな実態が今出てきております。 皆様方にちょっとお配りしましたこの資料を見ていただきたいんですが、そういう中で、これは厚労省の資料でありますけれども、最低賃金法第五条違反状況というのが資料に出ております。ハイヤー、タクシーの事業場で、右側の欄を見ていただきますと、平成十八年、全国の調査では、最賃法の第五条違反事業場数が一七・七%、二百四十七か所あります。これ栃木県の例もちょっと入れさせていただきましたが二七・三%、そして全業種、一番下を見ていただきますと一・五%。ということは、このハイヤー、タクシーの事業場のこの第五条違反状況というのは極めて突出しているというふうにこれは見ざるを得ないと思うんです。 大臣に、この状況をどのように認識されるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 今委員が御指摘されましたように、これ全業種平均に比べると一六・二%も違反比率が高いと。まあ、栃木はサンプル数が少ないので一概に言えないと思いますけれども。だから、これはやっぱり極めて違反率が高い異常な状況だというふうに思います。 ですから、こういうことは法律違反ですから、きちんと是正していくべきだと考えています。
○谷博之君 この状況を生み出したその理由というのは、一つは今増車の問題と、それから一台当たりの水揚げ高、営業収入のダウンというふうなことを申し上げましたが、もう一つ実は大きな問題があるように思うんです。それは、タクシー運転者の皆さんの給与体系、賃金体系に問題があるというふうに言われています。 これらの方々の賃金はいわゆる歩合給なんですね。それで、特にその歩合給の中でも、いわゆる水揚げ高によって歩合率が変化するという、こういう累進歩合といっております。つまり、水揚げ高が区切りをされていまして、ランクによって歩合率が上がったり下がったりする。しかもそこに、一番頑張った人にはトップ賞というかトップ給というのを出すとか、それからいわゆる奨励加給といって、特別に歩合率を高めるようなそういうふうな仕組みができているわけなんです。 本来であれば、この業界では保障給といって、全体の収益の六割は固定しなければいけないというふうな、こういうふうな考え方、六割以上の固定的な給与を設けなければいけないというふうなこの労働基準局長の通達も出ているんですが、現実にはこれは守られておりません。 こういうふうな累進歩合といいますか、こういうふうな存在が今申し上げたようなことにつながっているんではないかなと、こういうふうに思うんですが、これが過去に労働基準局長名でもってこれは禁止しなさいというふうな通達が実は出ているんですが、現実にこれは守られておりません。こういう現状をどのように認識されておられるか、お伺いしたいと思うんです。
○政府参考人(青木豊君) 確かに、タクシー運転者についての累進歩合給制度ですが、歩合給の中でも累進歩合給ということで、今委員が御指摘になりましたように、売上高によって歩合給が非連続的にぐんと上がっていくということのために労働者の長時間労働やスピード違反を極端に誘発するおそれがあるということから、本来、賃金制度についてはこれは労使が自主的に決定すべきものでありますけれども、そういうようなことでありますので基準局長通達を平成元年に出しまして、望ましくないということで廃止するよう指導を行っております。 それで、最近、平成十八年の数字で見ますと、事業場に対して監督指導を九百三十二件実施いたしましたが、改善指導に至るもの、累進歩合制度については百十八件、一二・七%というふうになっております。毎年大体このぐらいの数字が出ているところであります。 私どもとしては、今申し上げたようなことでございますので、引き続き指導をしてまいりたいというふうに思っております。
○谷博之君 この最賃法の違反するようなそういう現状というのは、これは幾ら指摘してもなかなか改まらないというか、そういう厳しい状況にあるわけですが、やっぱりその背景には、今冒頭申し上げたようにタクシー業界の構造的な実は問題があるというふうに私は思うんです。 先ほども申し上げたような増車の問題や、あるいは歩合制の問題や、そういういろんな絡みの中で、依然として全体の収入、パイが増えない中で、なおかつ車の数が増えて一台当たりの水揚げが減ってきて、そこに働く運転者の皆さん方の給与が減ってくるという、こういうある意味では悪循環の中に今のハイヤー・タクシー業界というのはあるというふうに思うんですよね。 ですから、この構造的なといいますか、こういう問題をどう解決していくのかということで、実は今日の朝日新聞の朝刊に出ております。タクシー参入の厳格化、特に六つの地域では新規のいわゆる禁止をするという、こういうタイトルの記事が出ております。 これはごらんになったかどうか分かりませんが、この中身を見ますと、簡単に言うと、余りにも過当的な状態になったときにそこを一定程度見直しをしようと、こういうことになってくるわけですけれども、こういうふうな構造的な見直しも含めて、今後、この業界、そしてそこに働く運転手の皆さん方の雇用も賃金も含めて、どのようにこれ解決していこうとしているか、まず大臣とそれから厚労省からもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) その前に一つデータを申し上げますと、十八年の各業種の平均の年間賃金というのは三百二十八万円なんですけれども、失礼しました、タクシー運転手が三百二十八万円、年間ですね。これは実は百六十一万円、平均より少ないということで、そういうことの問題意識から谷委員がおっしゃっているんだと思います。 規制緩和というのが、今記事を御引用なさいましたように、どういう影響を与え、どういうプラスマイナス含めて効果を持っているのかをきちんと検証しないといけないというふうに思います。 基本的にはやっぱり労働関連法案を、この最低賃金法含めてきちんと守っていくということが基本ですから、私たち国権の最高機関であるこの国会で決めた法律をきちんと守っていただくと。そのために、国土交通省とも連携を取りながら、定期的な監査をしたり指導をしたりして、今おっしゃったような弊害が生じていることを、現状をきちんと認識した上で指導して改善していかないといけないと、そういうふうに思っております。
○政府参考人(青木豊君) 今大臣から御答弁ありましたように、労働基準関係法令違反の問題というものはいずれにしても許されないことでありますので、私どもとしては、タクシー事業者に対しまして監督指導、立入調査をして、監督をし、調査をして指導するというようなことをやっておりますが、そこでその法違反、これが確認された場合には厳正に対処してまいりました。 そのほか、平成十八年度からは、国土交通省と連携をするということで、労働基準監督署と国土交通省の出先であります地方運輸局との合同による監督監査を実施すると、あるいは最低賃金法違反の事案について相互通報制度をするということなどを行ってきておりまして、今後ともこういったことを着実に実施して指導も強めていきたいというふうに思っております。
○委員長(岩本司君) 国土交通副大臣、お願いします。
○副大臣(松島みどり君) 今、谷委員の御認識、タクシーの労働者、タクシーの運転手さんの労働条件の悪化の問題については正に認識を一致しているところでございます。 おっしゃいましたように規制緩和、平成十四年二月に規制緩和されました結果、プラスとマイナスと両方の面が表れていると。プラスの面では、もちろん新規参入によりまして競争が促進されて福祉タクシーや観光タクシーなども生まれましたし、利用者の待ち時間の短縮も実現しているところでございます。 しかしながら、一方、今御指摘ありましたように、輸送需要、需要が増えていないところで車が増えて大変な状況になって、運転者さんたちが厳しい労働環境に置かれている。これがひいては輸送の安全に支障が生じかねないという状況も発生するなどマイナスの面も多々生じているところでございます。 今御指摘ありました新聞記事でございますけれども、これは国土交通省ですね、今朝大臣が記者会見しておりますけれども、道路運送法八条の規定に基づきまして、まず最初、仙台市でございますが、緊急調整地域に指定し、新規参入や増車を禁止する措置をとることができるように運輸審議会に諮問をする、この手続を開始することといたしました。この一番激しい例が仙台でございますけれども、それ以外におきましても、緊急調整地域までいきませんでも、特別監視地域などの指定制度を見直しまして、増車の際には事業者に労働条件などについて報告を求めるなどして、安易な増車によってドライバーの労働条件の悪化が招かれないように、そういうことにならないようにする、地域を指定していくということでございます。
○谷博之君 これはひとつ結論から申し上げたいと思うんですが、これ私の地元の新聞でも三日前に出ておりますけれども、東京地区とかあるいは京浜地区を始め、今タクシーの運賃の値上げの動きが出ております。 この理由は、御案内のとおり、この運転者の皆さん方の賃金を少しでも運賃を上げることによって確保したいという、こういう思いも当然これ労使の間であっての取組だと思っておりますけれども、残念ながら、運賃の値上げをしても、ガソリンの値上げ等によってどうもそれがうまくいくかどうか分からないというようなことをこの新聞にもその経営者の一人がコメントで出しています。ということは、やっぱり今申し上げたように、このタクシー運賃一つ取っても、総合的ないろんな絡みの中で今置かれていて、そこに運転者の皆さん方が従事しているということだと思うんですね。 ですから、これは是非、今日は国土交通副大臣にもお越しいただきましたけれども、どうも物価に関する閣僚会議なんかでも、この問題は国土交通省が所管をして頑張っていただけるということなものですから、是非これから、そういうふうないわゆる総合的というか構造的といいますかね、そういうふうなところの中におけるハイヤー、タクシーの運転者の皆さん方の雇用労働条件、賃金問題はどうあるべきか。こういうことをやっぱりしっかり見据えた議論をしていっていただきたいなと、このことを要望として、どうぞ御発言してください。
○副大臣(松島みどり君) 委員がおっしゃいましたように、今回の運賃改定、運賃改定は、全国の九十ブロック中五十二か所で申請が出されて、三十七か所、三十七地区は既に認めているわけですけれども、この運賃改定は基本的に運転者の労働条件の改善を主な目的としてなされております。 ところが、実際にそれが運転者に対して行き渡らないおそれがあるということで、私ども国土交通省といたしましては、運賃改定を行う事業者が、会社が増収分を確実に運転者に還元し、労働条件の改善を図るようしっかりとフォローアップし、しっかりと監督していきたい、必要ならば指導を行ってまいりたいと思っております。 そしてまた、このことのために一つ一つの会社に対してそういう指導を行うということとともに、交通政策審議会にこの問題についての議論の場を設けて、どのようにすればよいか、ただいま御指摘いただいたようなタクシー運転者の労働条件の問題やタクシー事業者の経営姿勢の問題など含めまして、タクシー事業をめぐる様々な課題については今回の閣僚会議でも指摘されたことでございますので、交通政策審議会の中に特別の議論の場を設けて話し合ってもらって改善に努めたいと考えております。
○谷博之君 それではもう一つの、この最賃法の改正の二つ目の課題をちょっとお聞きしたいと思っておりますが、最賃法の改正と障害者のいわゆる賃金問題であります。 今度の改正で、第八条の見出しの中に、適用除外という言葉といいますか、そういう考えが、減額の特例ということに改正されました。この意図は、このねらいは一体何なんだろうかということを私たちは考えているわけですが、別の言い方をすれば、この適用除外というのは、主にその対象者は障害者の方々がその多くだと思っておりますけれども、そういう人たちがいわゆるこの最賃法の適用している例えば就労継続支援A型とか、あるいは一般の企業で働いていて現実にその最賃を割っている状況で仕事をしているという人たちがおります。 こういう人たちに対する権利の保護の強化という意味からして、このいわゆる、今申し上げたように適用除外が減額の特例というふうなことになった、こういうこととの絡みで、どういう意図があるかということを御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 今般の最低賃金法の改正におきましては、最低賃金の安全網としての機能を強化するという観点から、現在行政裁量により決定されている地域別最低賃金がすべての労働者の賃金の最低限の水準を保障するよう行政機関に決定を義務付けるということにしております。こうした観点からは、最低賃金の適用対象もなるべく広範囲なものとするということが望ましいというふうに考えておりまして、減額措置も可能であるならば、適用除外とするよりも最低賃金を適用した方が労働者保護に資するということから適用除外に係る規定を廃止いたしまして、減額措置を講ずることができるという旨の規定を設けることといたしたものでございます。 今回の改正によりまして減額措置の対象となる労働者に対しましても最低賃金が適用されるということになりますので、これに違反した場合は直ちに罰則が適用されるということになるわけでございますし、当該労働者に対する賃金不払の防止にも資するものというふうに考えております。
○谷博之君 ちょっと角度を変えてお聞きしたいと思うんですが、国連の障害者の権利条約というのが、御案内のとおりです。これは日本も批准をするために国内法の整備を今行っているわけですが、お手元に資料としてお配りしてありますのでごらんをいただきたいんですが、これは政府仮訳の抜粋なんですけれども、第二十七条労働及び雇用、第三十一条統計及び資料の収集、この二十七条と三十一条、これはいわゆる最賃法の第八条とそれから第五条最低賃金の効力という、この二つの条文に関連があるというふうに私は見ております。 したがって、今回の最賃法の改正だけで、締約国としての責務はこの改正で果たせるんでしょうか、あるいはまた国内の当事者はもとより国際社会の理解はこれで得られることになるのでしょうか、この点について大臣どう思われますか。
○国務大臣(舛添要一君) この障害者の権利に関する条約、これは極めて重要な国際条約でありますから、厚生労働省、外務省とともに最初からこれにきちんと参画して条案作りをやってきました。その中で、今ここに御指摘の二十七条、三十一条の項目につきまして、これはもうきちんと守るべきである。ただ、障害者について、先ほど政府から説明がありましたように、その適用除外とするよりも減額を設ける、ある意味でこの幅を持たせて一律に、もうとにかく最低賃金の対象にはなりませんというんではなくて、結果が良ければいいわけですから、雇用する側そして働く側から見ても自分の心身の状況に応じてやれる方が効果があるんではないかと、いい結果が出るんじゃないかと、そういう言わば善意の配慮でやったことでありまして、これが目的でございますので、委員御指摘のこの権利条約と相矛盾するということはないと思いますし、いささかでもそういう懸念があれば、これはそのたびにきちんとあらゆる施策で直していきたいというふうに思っております。
○谷博之君 今私がお聞きしましたのは、いわゆるA型とか一般雇用というか、そういう企業のそういうふうなことでの話ですが、障害を持つ方々の団体の中には、八条のいわゆるこの規定が適用除外というのは、いわゆるそういう部分の人たちだけではなくて、こういう適用除外そのものが障害者にとっては差別的な取扱いになるんだという考え方があります。 つまり、この八条の適用除外を、むしろこれを廃止すべきじゃないかという意見もあるんですが、この辺はどう考えておられますか。
○政府参考人(青木豊君) 確かに委員御指摘になりましたように、適用除外についておっしゃるような指摘をしている団体もございます。適用除外条項が現行法で存在するということでありますけれども、これは今般、適用除外について減額措置ということで、先ほど申し上げましたように、よりそういった方々についての保護に資するよう、今般改正をしようということでお願いをしているところであります。そういう意味では、そういった方々に対しても一定のお答えになっているのではないかというふうに思っております。 それから、新しく減額措置でございますが、これにつきましても、これについては実際に許可をするということになるわけですが、それに当たりましては、個別に実地調査も行いまして、当該労働者の労働能率等の実態を十分把握した上で慎重に判断を行うことといたしまして、労働者が不当に低賃金で雇用されることのないように運用していきたいというふうに思っております。
○谷博之君 先ほどから出ている減額の措置、減額の特例ということについては、これは現実に今の、先ほど申し上げたように、障害者の皆さん方がA型だとか一般企業で働いている、そういう中で最低賃金を割るような状態の中に置かれていると、それを正に追認するような形でこのいわゆる減額の特例というものはできてきているというふうに私たちは見ざるを得ないんですね。ですから、そういう意味では、先ほどの答弁ありましたように、それを努力をされるということですから、それは我々は、いわゆる権利の保護の強化といいますか、そういう意味では答弁的には分からないではないわけなんですけれども。 ただ、一方では、とは申せ、その工賃、そこに働いている賃金で最低賃金にも満たないような、そういうふうなA型に勤めている人たち、あるいはもっと言えば、B型で、あるいは小規模授産施設で工賃一万円、一万五千円で働いているそういうふうな障害者の人たち、こういう人たちに対して、じゃ次にどういう手だてをつくっていくのかということになれば、これは非常に大きな問題だと思うんですよね。ですから、それが、もっと大きな話でいえば障害者の権利条約、これとの絡みも出てくると思いますが。 したがって、そういう障害者全体のいわゆる所得の確保ですね、一言で言えば。最低賃金制に見合うようなそういうふうな所得の確保をどうするかということ、ここのところについて、最後に御答弁を大臣にいただきたいと思うんです。
○国務大臣(舛添要一君) 正に委員がおっしゃった問題だと思います。 私は、その障害者自立支援法の大きな理想は下ろしてはいけないと。つまり雇用を、障害者もきちんと仕事を持って税金が払えるようになるとこれはすばらしいことである。そうすると、例えばこの前、スワンベーカリーという、障害者が一生懸命頑張っておられるパン屋さんに行きましたけれども、雇用する立場から見たときに、ああ、この方はちょっと使ってみたいと、そして、訓練して本当にいい賃金、もうそれこそ障害を持ってない方と同じぐらいの賃金を差し上げられるまでにしたいというときに、現実にそういう例があったんですけれども、まさかこの方がレジまで打てるはずないだろうと。ところが、一生懸命やったら、非常に障害があるんですけれども、心身に障害を持っていてもレジまで打てるようになった。そうすると、それなりに賃金をもらえる。 だから、雇用のときにこの減額の特例をやることによってむしろ雇用機会を広げる。そうじゃないと、最初から全部最低賃金を守らないとだれも雇っちゃいけませんよとなると、逆に障害を持った方々の雇用を狭めることにもなりかねないので、最終的なゴールは、そして訓練を続けていただいて、そして理想的な形で、先ほどおっしゃったように、月に一万円というんじゃなくて、月に十五万とかきちんと稼げるようになると。この目標は同じなんですね。その行き方として、減額の特例を求めることによってインセンティブを与えているやり方が私は善意の配慮だと申し上げたのはそういう意味であります。 ただ、おっしゃるように、いや、ちょっと待てよと、もう最低賃金法の適用除外のためにそういうことをやっているんじゃないかという懸念があれば、大きく掲げる目標は、理想があるわけですから、そこに行く一つの道すがらとしてこれを描いたわけでありますので、それがいろんな問題が起こってくれば、きちんとそのたびに是正していって最後の大きな目標を達成したいと、そういうふうに思っております。
○谷博之君 時間が来ましたので終わりますけれども、最後に、実は私は、民主党の中の障害者政策の推進議員連盟というのがございまして、その会長を実はやらせていただいております。是非この国会で、障害者自立支援法の改正法案を我々が国会に提出をしております。この法案を一日も早く当委員会で審議をして、そして是非成立に向けて全委員の御理解を賜りますように心からお願い申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
○委員長(岩本司君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分から再開することとし、休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(岩本司君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子です。 日本では少子高齢化が進んでおりまして、いよいよ人口減少社会が到来をしております。さらには、経済のグローバル化が進展していることによりまして、企業は国際競争が激しくなって、このようなことが様々な面で雇用労働面に影響を与えておるところでございます。このため、さきの通常国会に、これら雇用労働問題の解決のために法案が多数提出をされまして、言わば雇用労働国会とも称されたわけでございます。 振り返ってみますと、雇用対策法の改正によりまして、募集、採用に係る年齢制限の禁止が義務化をされましたし、若者の能力、経験の正当な評価等による雇用機会の確保が規定されるなど、若者や女性、高齢者、障害者等のだれもが就業しやすい環境を整備するという点で一歩進んだ取組が図られることになりました。 また、あわせて、雇用情勢の厳しい地域がありますが、こういうところに重点的な支援をするということで、雇用情勢の地域間格差の是正を図るための地域雇用開発促進法の法改正も行われました。さらに、多様な働き方が拡大する中で、雇用の不安定化あるいは格差の固定化を排除するということが重要になっております。 このために、パートタイム労働法と雇用保険法が改正をされて、均衡待遇の確保措置の義務化が規定をされましたし、正社員への転換の促進、苦情処理、紛争解決援助措置等が強化されたことは大きな前進であったと思います。 そして、今日ようやく残された法案のうちの労働契約法案と最低賃金法の一部改正法案が審議されるに至ったことは、山積する労働問題の解決にとって大きな力になるものだろうというふうに考えます。 初めに、労働契約法についてお伺いをいたします。 就業形態の多様化が進んで、個別の労働紛争も増加をしてきております。労働局に寄せられている総合労働相談コーナーへの相談件数も増えておりますし、様々そういうために新たな紛争解決制度を機動的に関係者の努力により動かすことによって解決が図られていることは確かだと思います。しかしながら、本質的には、紛争が生じないようにするということが大変重要なことであります。寄せられている相談から紛争の具体的な内容を見ますと、解雇であるとか労働条件の切下げなどに集中をしているという実態もございます。 今般、労働契約法案が提案されているところでございますが、この法案は、このような実態に対してどのような取組を行おうとするものなのか、趣旨、目的と、この法律が制定することによって期待される効果、どのようなものがあるかということについてお答えください。
○政府参考人(青木豊君) 個々の労働者と使用者との間の紛争が、今委員がお触れになりましたように大変増加をしてまいりました。平成十八年度で十八万件、総合労働相談に訪れたのだけでも十八万件ということになっております。これはもう、五年も前の平成十四年の十万件からしますと相当伸びているという状況でございます。そういう中で、労働者が安心して働くことのできるよう、労働契約に関する基本的なルールを明確にすることがこういった紛争の防止や解決に役立つというふうに思っております。そういうことが必要であるというふうに思っているわけでございます。 このため、労働契約法案では、労働契約は労使当事者が対等の立場における合意に基づいて締結されるべきという契約の原則、理念や労働契約の成立及び変更は労使当事者の合意が原則であり、就業規則による労働条件の変更は合理的なものであることを要するなど、労働契約に関する基本的なルールを明確にしたものでございます。 これによりまして労働契約に関する基本的なルールが周知されまして、使用者に対しても合理的な行動が促されるということになりますし、そういうことによって紛争の未然防止に資することとなるというふうに考えております。そういうことによって労働者が安心、納得して働くことができるようになるものというふうに考えております。
○坂本由紀子君 法案の内容は、具体的には、労働契約の締結とそれから労働契約の変更、労働契約の継続、終了、そして有期労働契約、大きく四つに分けられるんだろうと思います。 労働契約の締結については、今局長から答弁があったように、労使対等の立場の合意原則を明確化したということでございますし、契約内容の理解を促進することによって相互の誤解が減って、労使が相互理解の上で、労働者が安心、納得して就労できることになるんだろうと思います。この点はしっかりと、契約内容が双方でしっかりと理解が進むように行政としてサポートしていただくということがこれからも必要だろうと思うのであります。 労働契約の変更につきましてですが、労働契約の変更についてはこれまで内容のルールが判例に任されておりました。手続についてはルールがあったわけですが、内容はそういう意味で不明確であった。今局長からお話があったように、労働契約の内容の変更について合理的なものである場合には労働条件が変更され得るというような説明がございました。 第十条で就業規則による労働契約の内容の変更について規定がされております。その規定の中に、「合理的なものであるときは、」という文言がございます。何をもって合理的なものと判断されるのか。このことが当事者にとっては大変重要なんであろうと思います。この点についての考え方はどのようなものなのでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 法案の十条でございますけれども、これは、就業規則の変更によって労働条件を変更しているのが多くの企業で日本の場合なされているわけであります。その労働条件の引下げに関する個別労働関係紛争の相談件数も増加しているということで、裁判例におきましてもこの変更について争われた事例が多数存在しているわけであります。そういう中で、こういったルールを法律に明記をしようということでございます。 これについては、個別事案の当てはめ、合理性、何が合理的かということでありますが、個別事案の当てはめについては一義的には決まらない、様々な状況があるわけですので、そういうことでありますけれども、一般的な基本的なルールとして、その就業規則の変更によって労働契約の内容を変更するためには合理性が必要であるんだということ、あるいは、その合理性の有無を判断する際の判断要素を法定するということで使用者の合理的な行動を促して紛争の未然防止に資するようにしようということでこの条文が成り立っているということであります。
○坂本由紀子君 合理性の有無の判断要素は、確かに、ここに書いてありますように、労働者の受ける不利益の程度であるとか、あるいは労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものということで、要素は書いてありますが、それが合理的であるかどうかということが非常に大事なわけで、ここのところが個別の判断であるというのは、これはこれで分からなくはないのですが、そうはいっても、おおよそどのようなものが合理的なものなのかどうかということがある程度事業主に周知されなければ、この条文の実効性というのは十分には上がらないのではないかというふうに思うのであります。 それ以外にも、例えば労働契約の継続、終了についてですが、十四条で出向について、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には無効とするとか、あるいは懲戒、十五条の懲戒においても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は権利の濫用、その次の十六条の解雇も同じように権利の濫用というのがあるわけでございます。 個々の労働者と使用者の労働関係が良好なものになるようにルールを整えることは極めて重要なことであって、そういう点で今回の法案の意義は大きいものだと思います。しかしながら、再三申し上げているように、ルールの運用が、具体的な運用の中でその内容が関係者に周知され十分に理解されなければ、このことが絵にかいたもちになって、紛争の減少という成果が十分には上がらないのではないか。特に、大企業はともかくとして、中小零細企業におきましては労働分野での専門家が特別にいることは非常に少ないですし、あるいはこういう問題について十分な情報が得られていないというような状況もございます。 そういう意味で、特に中小企業等の事業主に対して、この点で参考になるような判断基準、情報提供等々、しっかりと与えてサポートをすることが大事ですし、あるいは事業主団体等の自主的な取組をきちっと整えていくということが大事ではないかと思うのですが、この点についてはいかがお取り組みをしていかれるのでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 確かに御指摘のとおり、例えば、お触れになりました十条の条文の実効性、これを高めるためには、言わばその中身といいますか、そういったところまで踏み込んで労使双方に対して十分周知をするということは大変重要だというふうに思っておりますし、お取り上げになりました条文についてもそうであります。 これは、解雇のところもお触れになりましたけれども、解雇の条文については実は前回の労働基準法改正のときに初めて作ったわけでありますけれども、そのときにも、やはりきちんと実効性を高めるためには十分周知をしろという随分御指摘がございました。そのとおりでございまして、私どもとしては、やはりこういった法律が成立した暁には、先ほど申し上げましたように、様々な判例や実務がございます、実際の実例がございますので、そういったものを蓄積をいたしまして、適切な解釈、運用が行われるよう分かりやすいパンフレットを作成したり、あるいはこれを活用して、都道府県労働局に総合労働相談コーナーというのを設けて相談を受け付けておりますけれども、具体的な相談を受けた場合にはそういったものを活用しながら、ルールを十分に説明して理解の促進に努めてまいりたいというふうに思っております。
○坂本由紀子君 労働基準監督署というのは監督行政でありますので、どちらかというとサービス分野での活動について得意分野ではないということが一つ。それから、事業所にとってみると、監督署というのはどちらかというと有り難くない存在で、そうそう来てもらうと困るというような存在だろうと思うのです。 そうすると、パンフレットを作ったりというようなことだけで、本当に事業主のところにしっかりとした情報が届き、あるいは取組が行われるかというと、私はそれだけでは不十分ではないか、むしろ積極的に事業主団体を活用して自主的なお取り組みをいただくような、そういういろいろな政策メニューを用意しないと法律の効果は上がらないのではないか。 労働基準法の中に確かに解雇の規定が入りましたが、あれが入ることによって、じゃ個別の紛争が目に見えて減少してきたような効果が上がっているかといえば、そこは必ずしもそうではないのではないか。それは、やはり行政の手法においてまだまだ反省すべき点、工夫すべき点があるのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(青木豊君) 確かに、監督署に対する事業主の方々の目というのはそういったところはあると、委員が御指摘になったところはあると思います。 先ほどちょっと申し上げました都道府県労働局に相談コーナーを設けたというのも、監督署ではなくて労働局でやるということで、監督官がやるということではなくて労働関係の万般について相談が受けられるようにということで、そこを意識しながらそういう体制を取っているわけでございます。個別労働関係紛争については特別の法律を設けてあっせんをしたり、そういうことをやっているわけでありますが、それも労働局ということで、言わばそういう仕分をしてやっておるところであります。 それから、そういう意味では労働局を中心にして行政としては周知徹底、相談に応ずるというようなことをやっていきたいというふうに思っておりますが、同時に、正に御指摘になりましたように、労使の団体、そういったところに十分理解を得た上、御協力をいただくということが実際問題としては有効だというふうに、おっしゃるとおりだと思います。私もそう思っております。 そういう意味で、そういった手法も私ども様々なその他の行政でも既に経験をしてきておりますので、そういったことも十分配慮してやっていきたいというふうに思っております。
○坂本由紀子君 局長の答弁の中に、労働局の中にコーナーを設けたということで、これはこれで確かに多くの方が利用しておられていいことだとは思うのですが、労働局というのは都道府県に一か所しかないわけです。そうすると、働いている方は通常、平日は仕事をしていますが、労働局のこういうコーナーというのは土日原則休みで普通の日しかやっていない、あるいは県庁所在地に一か所しかないということからすると、利便性を考えると十二分な対応とは言えないのではないか。でも、こういう時代でありますので行政のスリム化ということも大事でありますから、やたらそういうものを増やせばいいということではないと思います。 そういう点では、専門家、例えば社会保険労務士であるとか、様々こういう分野の専門家等がいますし、先ほど来申し上げている自主的な事業主の取組というようなこともありますので、そういう多様な政策メニューを組み合わせて、このできた法律が効果が上がるようにしっかりお取り組みをいただきたいと思うのですが、通告をしていなくて恐縮ですが、副大臣、お答えをいただけますでしょうか。
○副大臣(岸宏一君) お説のとおり努力したいと思っています。
○坂本由紀子君 副大臣がしっかりやってくださるというお答えでしたので、これ行政としてもしっかりこの法案の効果が上がるように頑張っていただきたいというふうに思います。 次に、最低賃金法の方に移りたいと思うのでございます。 この最低賃金法の一部を改正する法律案、この法改正の趣旨、目的は、聞くまでもないことで、労働者の賃金の最低限を保障する安全網として十分に機能するようにということで行われるものだと思います。ただ、これによって、この一事をもって労働者の保護が図られるかといえば、私は、これはほんのごく一部でそれ以外の部分が大変大きいと思うのでございます。 例えば、労働分配率の推移を見てみますと、景気が回復しているけれども労働分配率が向上していないというのは広く言われているところでございます。これは特に規模による差が大きくて、資本金の規模別で見てみますと、一億円以上のところでは、この十年間、労働分配率というのが一貫して低下をしてきています。特に、資本金の規模が十億円以上のところでは、付加価値が増加している中で人件費は減少しているという状況があります。他方で、中小企業である一千万未満のところでは、付加価値は減少しているけれども人件費は横ばいないし微増をしているということであります。労働分配率はむしろ小さいところでは増加してきているという状況があるわけでございまして、中小企業はそういう意味で賃金の支払について一生懸命頑張っていると言っていいんだろうと思います。 そういう意味で、この最低賃金法が改正されて最低賃金が引き上げられる方向になって、それを引き上げなくてはいけないとなったときに、中小企業、特に零細企業にとってはなかなか大変なことなのでございます。 最近の賃金改定状況を見てみますと、平成十九年度の中小事業所の賃金改定状況、これは全国中小企業団体中央会がまとめたものでございますが、平成十八年に続いて十九年も凍結だというところが、従業員二十九人以下のところでは半数以上なのであります。従業員が九人以下というもっと小さいところでは、凍結だというところは六割を超えています。この賃金改定状況というのは、最賃のランクがございますが、特にDランクという厳しい状況のところでは、より賃金改定が厳しいものになっておるわけでございます。 そういう状況を見ますと、やはりこの最賃法の改正が実効あるものであるためには産業政策が非常に大きな意味合いを持つものであります。それで、今日は経産省と国土交通省からもおいでいただいておるのでございますが、まず中小企業からお伺いをいたします。 特に、中小企業の下請企業においては、親企業から値下げ要求などがあって経営も苦しい状況にあると聞いております。このような企業の経営の安定が図られなければ労働者に対してきちっとした賃金を支払うということが難しいわけでございまして、このための強力な施策が必要だと考えますが、どのようなお取り組みをしていただいているのでしょうか。
○政府参考人(長尾尚人君) 議員御指摘のとおり、全体として景気回復が続けられている中で、中小企業の多くはその恩恵に浴していないという認識を持っているところでございます。そういった厳しい状況の中にあります中小企業に対しまして、景気回復の果実、それをどうやって均てんさせていくのかという観点からいえば、下請取引の適正化というものが非常に重要な課題になってまいります。 このため、経済産業省におきましては、公正取引委員会とも協力いたしまして、下請代金支払遅延等防止法を厳正に運用し、違反行為を取り締まっておるところでございます。 具体的には、一般に弱い立場におられます下請事業者の方々が親事業者に対して違法行為を積極的に申し立てるというのはなかなか難しいわけでございます。このため、年間十万社程度の下請事業者に対しまして親事業者との間の取引に関する書面調査を実施しております。また、その結果を活用いたしまして、例えば平成十八年度におきましては、約四千社の親事業者に対して警告文書を発出するとともに、約一千社の親事業者に対し立入検査を行ったところでございます。その立入検査の結果、下請代金の支払遅延などの違反行為が見受けられた九百社に対しては改善指導を行ったところでございます。 一方、取締りだけではなかなか世の中良くなるわけではございませんで、元請企業と下請企業の間のいわゆるウイン・ウイン関係と申しますか、望ましい取引関係の構築を促進するということが重要だというふうに認識しておりまして、本年六月にベストプラクティス事例などを盛り込んだ業種別のガイドラインを策定し、普及啓発に努めているところでございます。今後ともこうした取組を通じまして、下請適正取引の推進に積極的に取り組んでまいりたいと思います。 このほかこれに加えまして、IT等を活用した経営基礎力の向上ということを通じて資金調達の円滑化にも努めてまいりたいと思っております。
○坂本由紀子君 我が国は中小企業が数多く存在して、それが日本の経済を支えているわけですし、また、働く人たちもそのほとんどが中小企業で働いている方が多いわけでございます。そういう意味で、中小企業対策というのは大変重要でございまして、今お伺いした年間十万社について書面調査をし、重ねて立入検査までしっかりとフォローし改善指導をしていただいているということは大変大事なことだと思いますので、この点についてはこれからもしっかり法の趣旨が厳正に守られるように御指導いただきたいと思います。 また、業種別のガイドラインにつきましてですが、これは具体的にどのような運用がなされているのか、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(長尾尚人君) 現在、経済産業省関係で七業種、具体的には素形材、自動車、産業機械・航空機、情報通信、繊維、情報サービス、そういったところに業界として何が望ましい方式であるのかということを具体的に書いていただき、何が望ましくない事例であるのかということも明確に書いていただくという形でやっております。それ以外に、国交省の方でも建設業のガイドラインというものを策定されておりまして、現在八業種についてガイドラインが作られておるところでございます。 このガイドラインが適正に運用されているかどうかについては、できるだけ幅広い層からそれをウオッチしていくことが必要だというふうに考えておりまして、現在、下請取引センターというのが都道府県四十七にございますけれども、それを中核にしまして、より中小企業に近い存在であります商工会議所、商工会を窓口にして、実際に具体的にそれがちゃんと運用されているかどうかという声を吸収していくというメカニズムを構築しようとしているところでございます。
○坂本由紀子君 是非よろしくお願いをいたします。 次に、もう一点国土交通省の方にお伺いをしたいのですが、先ほど午前中にハイヤー、タクシーについての事案が取り上げられました。今年の六月の最低賃金についての一斉監督の状況を見ますと、確かにハイヤー、タクシーは違反率が一六・八%で高いのですが、更にそれより高いのが道路貨物運送業で、二一・四%という最も高い違反率になっておるわけでございます。 この業界は極めて厳しい状況に置かれていて、様々な問題があるがゆえに最賃違反も多いという状況になっているんだと思いますが、国土交通省の方では業界が置かれた現状についてどのような認識をお持ちでいらっしゃるのでしょうか。
○政府参考人(神谷俊広君) お答え申し上げます。 トラック輸送でございますが、御承知のように国内貨物輸送のトンキロベースでは六割、トンベースでは九割という大宗の輸送を分担をしておりまして、非常に重要な存在ではございますが、一方で事業者の九九・九%、これが中小企業という脆弱な体質でございます。また、需給調整の撤廃ということを大きな柱といたしました規制緩和によりまして、事業者数は平成二年の四万社から現在六万二千社と、一・五倍という状況でございます。 こうした状況で大変厳しい競争があるわけでございますが、日本銀行の調査によりますと、運賃は平成十二年度を一〇〇といたしました場合、平成十七年度は九六・三と低下傾向にございます。大変、極めて厳しい経営状況にございます。 また、加えまして、昨今の異常とまでも言えます原油価格の高騰によりまして、軽油価格、平成十五年度は平均一リットル六十四円でございましたが、本年九月には一・五倍の九十六円ということでございまして、十五年度と十九年度と比較しますと業界全体で五千五百億円のコスト増という状況でございまして、今後もこうした状況の継続が見込まれますので、大変厳しく、もはや自助努力の限界を超えているというふうに認識をしております。
○坂本由紀子君 誠に深刻な状況にあるというのは今お述べになったとおりで、私も誠にそのとおりだと思います。もう放置できない状況に来ておると思うのですが、この点についてどのようにお取り組みを、改善のためにどのようにお取り組みをしていかれるおつもりなのでしょうか。
○政府参考人(神谷俊広君) お答え申し上げます。 大きく三点申し上げたいと思います。 まず一点は、まず喫緊の課題であります軽油価格高騰対策につきましては、こういった問題に対応した適正な運賃設定を図るための環境整備というものを我々行政は何としてでも図っていかなければならない。こういうことで、一昨年におきましては当時の北側国土交通大臣から経団連の会長、そしてまた日商の会頭に対しまして、そしてまた昨年は国土交通事務次官から経団連の副会長、そして日商会頭に対しましてトラック業界の置かれました窮状を説明し、運賃の円滑な転嫁について荷主サイドの理解をいただけるよう要請をいたしたところでございます。また本年は、昨今のこの極めて危機的な状況を踏まえまして、近々、冬柴国土交通大臣から経団連及び日商の両トップに対しまして同様の要請を実施することにしております。また、全国各ブロックございますけれども、そのブロックを所管いたします運輸局長から各地域の経済団体にも同様の働き掛けをさせていただきます。 二点目でございますが、先ほどの経産省さんからの御答弁もございましたが、私どもこの規制緩和におきます競争激化の中で、軽油価格の高騰分も含めた適正な運賃を設定するためには、荷主、それから元請事業者、下請事業者、それぞれの取引におきまして関係者間の理解と信頼を共有化しながら適正な価格協議が行われる環境を整備しなければならないと考えております。 御承知のように、現在でも下請法あるいは独禁法におきましてしかるべく規制は実施されておりますが、さらにこの下請適正取引の推進を通じまして中小企業の底上げを図るために、私ども近々、中小企業庁の方にも御参加をいただき、トラック業界の代表、荷主業界の代表も参加の上、検討委員会を設置いたしまして、下請・荷主適正取引推進ガイドラインを策定したいと考えております。そしてまた、その中で問題となります行為の実態把握でございますとか望ましい取組についても示してまいりたいと考えております。 三点目は、予算要求、税制改正の絡みでございますが、今日、地球温暖化問題が国家の喫緊の課題であり、また交通安全対策、政府全体で取り組んでおります中で、トラック業界に対してはより一層の環境対策あるいは安全対策の推進が求められております。 こうしたものには非常にコストが掛かりますものですから、できる限りその負担を軽減するということで、例えば税制につきましては、平成二十年度の改正要望におきまして、軽油引取税収入の一定額に相当する額を都道府県から地方トラック協会に補助金として交付していただいております運輸事業振興助成交付金の延長をお願いをしておりますし、予算につきましても低公害トラックの助成に対する拡充をお願いをしておるところでございます。
○坂本由紀子君 今ガイドラインを策定するという御説明がありましたが、ガイドラインの策定について、おおよその時期的なめどとかお決まりなんでしょうか。また、その中身についてもう少し詳しく、もしお決まりでしたら御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(神谷俊広君) ガイドラインの策定スケジュールにつきましては、今年度内を目標に作ってまいりたいと思いますが、中間的なものを年内に出せればというふうに考えております。 内容につきましては、先ほど経産省さんの方からも御説明がありましたようなものでございまして、いわゆる独禁法において、あるいは下請法において問題となる行為あるいは望ましくない取引慣行を実態を把握する、そしてまたそういったその実態を具体的に類型化するということ、それから一方で関係者のよりすばらしい取組につきまして、取引の取組につきまして、それを模範事例として提示をするということを念頭に考えております。
○坂本由紀子君 それでは、そのような業界の経営の改善につながり、そして一人一人の働く人たちの豊かさにつながるような業界でのお取り組みがなされるようにしっかりと対策をお進めいただきますようお願いを申し上げます。 大臣にお伺いしたいのですが、人件費負担の対策としてどのような取組をするか、最も力を入れているのは何かということを調査したものがあるんですが、これによりますと、ちょうどオイルショックの後は価格や料金の引上げというものを答える企業が比較的多かったんでございます。最近では、人員削減だとか欠員の不補充、それから職能給など賃金制度の改善をするとか、あるいは特に直近ではパートへの切替えですとか、下請や派遣労働者を活用するというようなものが増えてきておるわけでございます。 こういう企業の取組の実態を考えますと、今回の最低賃金法の改正によって最低賃金額の引上げが行われるということ自体は私は好ましいことだとは思うのですが、そのことが非常に経営難に陥っている企業の倒産につながったり、あるいは企業がそのことによってむしろ人減らしをしたりとかいうようなことになると、これは労働者のためにはならないわけでございまして、そういう意味で、この問題を解決するためには、企業の生産性の向上だとか経営の安定が図られるように、厚生労働省だけではなくて経済産業省、国土交通省を始めとして業所管官庁と十分な連携を取って、政府として総合的な取組をしていただくことが非常に重要ではないかと思うのであります。大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど来、坂本委員が別の角度からこの最低賃金の問題を取り上げられておられるわけでありますけれども、要するに産業政策と雇用政策は非常にコーディネートしながら一体化されないと絵にかいたもちに終わってしまうということだろうと思います。 今御指摘されましたように、経営者の立場から見たときに、グローバライゼーションというのがあって非常に国際競争力にさらされる。ですから、消費者に価格を転換する形でコスト増を対応をできないと。そうすると、どこかというと、やっぱり雇用の側面にしわ寄せがくる。それから、片一方でIT化、情報化ということが進んでいけばそれもまた人減らしにつながると、そういうことですから、私は常に思っているんですけど、社会全体としてどういう政策パッケージを取るのか。 だから、産業政策もありますね。今我々はこの雇用政策で最低賃金の話ばかりしているけれども、全体から見たときに社会全体のコスト、それは例えば安心というコストもその中に入る。ですから、例えば終身雇用制とか年功序列であるとか、こういういわゆる日本的経営の柱だったものが言わば流動化されて時代遅れになったような感がするけれども、しかし安心というコストを考えたときに、それもひょっとしたら悪いことではないかもしれないんです。 だから、そういう意味でこれからの日本のかじ取りをやっていくときに、どういう方向でコストを下げて、しかしみんなが本当に希望と安心を持って生活できるんだろうかと、こういう観点が必要だと思いますので、今おっしゃったことは、産業政策、これは今日、国土交通省、中小企業庁、経済産業省ありますけれども、内閣全体としての課題だというふうに考えておりますので、何度も申しますけれども、福田内閣は希望と安心の内閣でございますので、必要であれば関係閣僚会議を開くようなことも含めて私はこの問題にきちんと対応する。つまり、格差の問題であるとか小泉内閣の改革の光と影という、言葉では言っているんだけれども、どこが問題あるかというときに、今、坂本委員がおっしゃったような問題提起は極めて重要だと考えております。
○坂本由紀子君 舛添大臣のリーダーシップで是非この問題の解決に向けて大きなお取り組みをいただきますよう、心から御期待を申し上げる次第でございます。 次に、法案の中身について伺いたいのですが、先ほど午前中も少し議論になったのですが、最低賃金の適用除外、旧法では第八条で適用除外としておりましたのが、今回の改正法では最低賃金の減額の特例という規定の仕方になりました。内容的には、障害者だけではなくて試みの使用期間中の者等々があるわけでございますが、この条文、新しく改正することによって具体的にどのような点がどう変わってくるのかというのをお答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 今般の改正におきましては、最低賃金法、現行法第八条の適用除外の規定が改正をされまして減額の特例ということに、第七条で減額の特例ということになるわけでありますけれども、これは最低賃金の安全網としての機能を強化するという観点から、現在行政サイドにより決定されている地域別最低賃金がすべての労働者の賃金の最低限の水準を保障するよう行政機関に決定を義務付けることとしているという観点からすると、最低賃金の適用対象をなるべく広範囲なものとすることが望ましいということであります。減額措置が可能であるならば、それは適用除外とするよりも最低賃金を適用した方が労働者保護に資するということで、今申し上げましたように、八条で定める適用除外の規定を廃止しまして、新たに七条として減額措置ということで規定をするということにしたわけであります。 具体的には、今回の改正によって減額措置の対象となる労働者に対しても最低賃金が適用されるということになりますので、これに違反した場合には直ちに罰則が適用されるということでありますので、当該労働者に対する賃金不払の防止にも資するものというふうに考えております。
○坂本由紀子君 私は、かつてこの最低賃金の適用除外の申請が出ている事業場に監督官が出掛けていって、その審査をする場面に立ち会ったことがあります。その人に実際に作業をしてもらって、どのくらいのスピードで作業をするかというようなことを確認しながら審査をしておりました。ですから、そういう意味で、一人一人について本当に作業の能力が最低賃金の適用除外、今回では減額になりますが、そうする必要があるのかどうか、あるいはその程度がどのくらいなのかということをこれからも見ていただくんだろうと思います。それはそれで大事なことですし、しっかりやっていただかなくてはならないと思います。 一方で、特に最近、障害者の方の自立意識が高くなってきていて、重度の障害を持っている方、場合によって重複障害、身体障害と知的障害、両方持っていらっしゃるというような方でも働きたいと思う方が増えています。 そういう状況の中で、この最低賃金の適用除外の許可がどうかという数字を見てみますと、例えば精神障害について言えば、平成十六年、十七年、十八年で適用除外を許可した件数は、十六年が三千三百八十二、十七年が三千三百七十七、十八年が三千四百九十二ということで余り変わっていないのであります。身体障害者の方についても、この許可件数というのは余り変わっていません。 ハローワークでの障害者の就職件数というのは、このところかなり大幅に伸びています。そして、障害者の方で就職をしたいといってハローワークに求職登録をしていながらまだ就職できていないという方は何万といらっしゃいます。そして、現に企業の中で、雇用率制度があるわけですが、障害者の雇用数が足りなくて、あとどのくらい障害者の方を雇用しなくてはいけないかというと、その数は八万人なんでございます。そうすると、それだけの方々がスムーズに企業の場に行って雇用されることができれば、企業も社会的責任を果たしてもらえるわけですし、また障害者の方は働く場を得て所得も従前以上に確保できますので、大変望ましいことなわけでございます。 一方で、先ほどの午前中の質問にもありましたように、この適用除外の許可を安易にしてもらっては困ると、障害者の配慮に欠けるようなことがあってはならぬということが往々にして国会で指摘されますのと、あと、やはり監督署の体質として保護を重要に考えますので、できるだけこういうことは少なくしようという配慮が働いているんだろうと思います。 一方で、先ほど大臣も善意の配慮とおっしゃいましたが、ハローワークのサイドから見ると、できるだけ雇用機会が得られるようにしたいと。特に、最初は仕事にも慣れませんから、最低賃金よりも低い所得でも徐々に慣れていって所得が上がればいいじゃないかということで、最低賃金のあえて適用除外をしても雇用の場の確保をしたいという配慮という違う物の考え方もあるわけであります。 同じ厚生労働省の中の同じ第一線の機関の中でそれぞれ違う、何というか、違う物差しを持って当たることになるのかと思いますが、大事なことは、障害者の方、それ以外の方もいらっしゃいますが、きちっと働ける場を得て、そしてその保護が手厚くなっていくということだろうと思うのでございます。 そういう意味で、この試みの使用期間中の者とか、あるいは職業訓練中の方というようなところについては、できるだけ幅広くそういう機会が与えられるということも念頭に置きつつこの規定の運用をしていただくということが大事なことではないかと思いますが、この点いかがお考えでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 確かに、今委員が御指摘になりましたような言わば相反するいろんな要請があります。現実に、障害者の方を始め訓練中の人たちにつきましても、雇用の場の提供と同時に、そのきちんとした適正な賃金の支払ということはともに満たしていかなければならないというふうに思っております。 私の方としては、最低賃金の適用除外は現在許可でやっているわけですけれども、それについては、業務の遂行に直接支障を与えるような障害がある場合にも、その程度が著しい場合にのみ許可をすると、あるいは賃金の額についても、最低賃金の適用を受けようとする他の最下層の能力者よりも労働能力が低い割合に対応する金額を減じた額を下回ってはいけないというようなことで運用しているわけでございます。 委員もお触れになりましたように、それを担保するために、実際許可をするに当たりましては、現地に赴きまして実地調査を行って、実態を十分把握し、適切に判断しているところでございます。減額の特例でも同じように、そういったことで事務を進めていきたいというふうに思っております。 こういったものを踏まえまして、今度のところでは、減額の特例について、厚生労働省令で定めるところにより具体的な条件というものを決めるということにしておりますので、そういったものを踏まえまして省令なども策定してまいりたいというふうに思っております。
○国務大臣(舛添要一君) その問題の一つの解決策は、雇用の機会を広げるという意味で減額の特例をする、しかし半年ごととか一年ごとに必ずフォローアップをやるということがあれば相当解決できると思いますので、それを必ずルールの中に入れたいというふうに思います。 というのは、正に坂本委員の地元で、静岡、その技能五輪があり、同時にアビリンピックがありました。これはハンディキャップを持った方々の技能の国際大会です。日曜日、私は表彰式、閉会式行ってまいりましたけど、日本は十二も金メダルを取りました。それで、本当に不自由な方々が私の何倍ものスピードでコンピューターを操作できる。これはだから、同じ仕事をすると私の何倍もの賃金取っていいわけですから。しかし、彼らだって最初からそうではなかったんですね。訓練に訓練を重ね、周りの温かい支援に支えられてそこまでなった。そうするとこれ、最初減額措置やってたって、今私の十倍給料取っていいんだと。そうなったとき、やっぱりフォローアップという、これが必要なんで、そのきめの細かい政策をきちんとやれば多様なニーズにこたえられると思いまして、必ずこれは実現させたいと思います。
○坂本由紀子君 ありがとうございます。 障害者であるというだけの理由で差別をするということは排除されなくてはいけないと思いますが、障害者の方々が十二分な雇用機会が確保され、そして充実した職業人生が送れるスタートがたくさんつくれるような御配慮をよろしくお願いいたします。 次に、地域別最低賃金について、今般、労働者の生計費を考慮するに当たって生活保護に係る施策との整合性に配慮するという文言が入っております。この生活保護に係る施策との整合性に配慮という文言を入れたことの趣旨について改めてお伺いをいたします。
○政府参考人(青木豊君) これは、今度の最低賃金法の改正案の中で、御指摘にありましたように、地域別最低賃金の水準について生活保護との整合性も考慮して決定することを明確にしようということで、新たに追加することとした規定であります。 これは、生活保護との関係でいえば、地方最低審議会における審議に当たりまして考慮すべき三つの決定基準のうち生計費に係るものであるので、最低賃金法の書きぶりとしては生活保護との整合性に配慮すると規定しておりますけれども、最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配慮するという趣旨でございます。
○坂本由紀子君 ところで、日本の生活保護に相当するところの諸外国の公的扶助給付について教えていただきたいのですが。
○政府参考人(中村秀一君) 委員からの御指摘、御質問の諸外国の公的給付でございます。 なかなか、諸外国の制度違いますので、ぴったり日本の生活保護と合うかどうかは難しい点がございますが、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、アメリカ、私どもが二〇〇四年に調査いたしましたものによりますと、例えば保護基準額などにつきましては、例えば東京を一〇〇といたしますと、いろんな推計をするわけでございますが、その報告書では、スウェーデンが七二でございますとか、ドイツが七二、フランスが六九・五、イギリスが七一というように、アメリカは三一というように、日本の生活保護の水準は諸外国に比べて低いということはなく、むしろ、この報告書だけ見ますと極めて高いという状況になっております。 一つは通貨レートなんかの問題もありますので、今日の通貨レートで見ますと、スウェーデン七二と申し上げましたけれども九一になっているとか、ドイツ、フランスが八五、八四、八二になっているとか、そういう問題はありますけれども、総じて、日本の東京の基準でございますが、外国に、今挙げた国の生活保護に相当すると思われるものに比べて低いということはないということでございます。
○坂本由紀子君 質問通告していないので恐縮ですが、局長にちょっと伺いたいのですが、最賃法の対象となる賃金に住宅手当は入るんですか。
○政府参考人(青木豊君) 住宅手当を入れているか入れていないかということでございますけれども、様々な資料を総合判断して地方の最低賃金審議会で決めるということになっています、具体的なことを。その際、考えておりますのは、単身世帯の若年者の初任給というようなところがイメージをされているということだというふうに思っております。
○坂本由紀子君 ちょっと聞いた趣旨が違っていて、賃金が最低賃金を下回ってはいけないと言っている場合の賃金には住宅手当が入るのか入らないのかという意味なんですが、住宅手当を入れて考えるのかどうかという。
○政府参考人(青木豊君) 住宅手当は算入して考えるということでございます。
○坂本由紀子君 そうすると、住宅手当を払っている企業であれば、一般的な給与にプラス住宅手当を加えて、それが最低賃金額を超えていればいいということですか。
○委員長(岩本司君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(岩本司君) 起こしてください。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金の対象となる賃金から除外しておりますのは臨時に支払われる賃金とかそういったもので、列挙されておりますが、その中に入っておりませんので、それは算入して考えるということでございます。
○坂本由紀子君 分かりました。 もう時間が大分なくなってきたので恐縮ですが、これから地域別最低賃金が生活保護を下回らない、つまり、働けば、頑張ったらそれだけの報酬が得られるという方向で持っていくことは、これは働く人たちの意欲を高めるという意味で大変大事なことだろうと思います。 一方で、日本の生活保護については、その在り方というのを今行政の中で見直していらっしゃると思います。最低賃金ぎりぎりで生活をしていらっしゃる方に、賃金に加えて必要な手だてがまた十二分に整えられるということも大事なことかと思っておりまして、そういう意味で、生活保護制度の見直しの中で、日本の生活保護制度の在り方を考える中で、純粋に生活保護としてやらなくてはいけないものと、それから医療制度の中等で総合的にやり得るもの等々、いろいろな切り分け方があるんだろうと思いますが、今後御検討いただく中で、我が国の実態に合った制度として見直しが進められることを要請して、私の質問を終わります。
○石井準一君 自由民主党の石井準一であります。順次通告に従い質問をさせていただきます。 昨今の労働をめぐる環境を見ますと、大変大きな構造的な変化に伴い雇用を取り巻く環境は大きく変わってきており、労働環境の改善に向けた取組が求められているのが今日の課題であります。こうした労働環境を含めた我が国の社会全体が、少子高齢化の進行に伴う労働力人口の減少や産業構造の変化に伴う就業形態の多様化、労働時間の二極化、ワーキングプアと呼ばれる雇用者の社会問題などを踏まえ、労働政策につきましては、このような環境の変化を見据え、方向性を決して誤ることなく、力強く進めていかなければならないと思います。 こうした労働をめぐる環境が多様化している中、今様々な問題がこの委員会でも指摘をされてきました。例えば、年長フリーターやネットカフェで寝泊まりする不安定就労者に象徴される若者の雇用問題、パートタイム労働者が増加をする中で賃金等の処遇の問題、長時間労働が常態化する正規雇用者の健康や生活をめぐる問題などが取り上げられてきております。また、年次有給休暇の取得率の推移を見ても、一九九〇年代後半から低下傾向にあり、労働者の健康面への配慮、企業の生産性向上に加え、少子化対策の観点からもワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組が急務であります。 こうした労働者の生活の安定を確保するためのセーフティーネットとして機能するはずの最低賃金制度につきましては、その水準が生活保護以下であるといった逆転現象が一部で生じるなど、その不十分性が指摘をされ、見直しが求められているわけであります。これらの問題は一朝一夕に解決できるものではなく、その解決に向けた継続的な取組が重要であると私は考えます。 この点、さきの通常国会では、若者の雇用機会を確保するための雇用対策法の改正、パートタイム労働者の均等待遇の確保や正規雇用への転換を進めるためのパートタイム労働法の改正など、三つの法改正が実現をしております。しかし、本日議題となっております労働契約法案、そして最低賃金法改正法案につきましては、誠に残念ながら成立には至らなかったところであります。これらの二法案、いずれも働き方のルールの根幹を成す法案であり、その早期成立こそ、今労働分野で求められている最重要課題であると考えるからであります。 そこで、これらの二法案について、まず大臣にお伺いをいたします。 労働政策の課題が様々ある中で、この二法案はどのような位置付けや意義を持っているのか、そのお考えを聞かせていただきたくお願いをいたします。
○国務大臣(舛添要一君) 午前中の小林委員の御質問にもお答えいたしましたけれども、日本の近代の歴史、もっと言うと世界史と言ってもいいですけど、そういう長い流れの中で今をどう位置付けるかという発想も実は必要だというふうに思います。 近代産業革命で一気に産業化が進んだときに、労働者保護というものがどうしても後回しされてきた。ですから、ビスマルクのような政策が出てくる。そしてまた、ソーシャリズムという言葉は、これは、つまりソーシャリズムというのはフランスで最初に起こったわけでありまして、何もマルクスをまつまでなかったわけです。その中において、やはり働く人たちの生活の改善をどうするか、一歩遅れですけど、ずっとやってきた。そういう中で二十世紀を、まあ一気に飛びますけど、二十世紀を迎える。 我が国について言うと、幕末、明治維新の改革があり、そして昭和二十年の敗戦以後の改革があった。そのときの少なくとも戦後の改革、これは戦災から復興する、そして新しい国をつくるということで高度経済成長を遂げた。そして一定の、OECDに入り、先進国の仲間入りをした。その中で、実は豊かさを実現したと思ったところにバブル、そしてバブルの崩壊という形がありました。 じゃ、どういう形でこの国を立て直していくのかと。小泉内閣は一つのやり方を示した。しかし、私はそれがすべての解ではないだろうというふうに思っています。ですから、例えばアングロサクソン型の社会の在り方というのも一つの在り方であろうし、また、例えばスウェーデンやデンマークのような北欧型の在り方も一つの在り方であろうと思います。どちらのやり方であったって、結果的にそこに住んでいる国民が豊かで安心して希望が持てる生活ができればいいわけでして、非常に、例えば消費税の負担が重い北欧であったって、はるかに日本より経済成長を遂げている、そういうこともありますし、市場経済原則だけですべてがいくかということは、今の格差の問題含めていろんな反省が起こっているわけです。 そういう中で、取りあえずバブルから崩壊ということで、バブルの崩壊による不況から抜け出すと、そのことにこの十五年間全力を挙げてきたと。しかし振り返ってみたら、その結果として格差、それからこの労働環境の問題含めて非常に大きなひずみが生じてきた。今までのようにセーフティーネットとしての企業の役割を頼る時代はもはや終わったと思います。 そういう意味では、きちんと政府の役割が何であるかということをやらないと、何でもかんでも官から民へ、官から民へ、民に任せればいいってもんじゃなくて、民が駄目になったからこそ官がしっかりしないといけない側面がある、それが正にこの労働政策であろうというふうに思います。やはり、契約に基づいてきちんとしたルールをやっていく。そうでなければ、ひずみが全部労働者の方に行ってしまう。これが労働契約法であります。 そして、とにかく大きな会社に入れば、フリンジベネフィットという形で住宅から診療所からスーパーマーケットから全部提供できた、そういうような時代が終わったわけですから、セーフティーネットを張り巡らす役割は企業ではなくてもはや私は政府にある、その政府の役割をきちんとやるのがこの最低賃金法であるというふうに思います。 あと一つ、これはまだ審議中でありますけど、そういう労働関係の法律をきちんと整備することによって、働く人たちが生き生きと、そして安心して安全で生活できる、それが日本の今からの活力を生む道だと思いますので、そういう位置付けにおいて、私は大きな世直しの一つがこの労働三法であろうというふうに思っております。
○石井準一君 大臣の答弁にもありましたとおり、時代の要請を踏まえ、だれもが安心、納得して働くことのできる環境の整備という観点から最低限度のルールを不断に見直すということが政治に求められていると私は思います。 とりわけ、最低賃金制度は、国が法的強制力を持って賃金の最低額を定め、使用者はその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないという制度であります。今般、約四十年ぶりの抜本的な法改正が提案されたということであります。その基本的な内容について政府に確認をしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金制度は、賃金の低廉な労働者の労働条件の下支えとして重要なものと認識しておりまして、就業形態の多様化等といった社会経済情勢の変化に対応して、今後とも安全網として一層適切に機能することが求められていると考えております。 今回の改正法案におきましては、地域別最低賃金について、その水準を生活保護との整合性も考慮して決定することと、それから不払に係る罰金額の上限、現行二万円ですけれども、これを五十万円に引き上げるということといたしておりまして、こうしたことによって最低賃金制度が安全網としてより一層適切に機能することとなるというふうに考えております。
○石井準一君 今年は例年になく最低賃金に関する話題が各種のメディアで取り上げられております。私の地元の千葉県は、時給で十九円引き上げられ、七百六円となります。東京の引上げ額が二十円であったことからすれば大きな引上げだと思います。 一方、千葉県の企業のうち九九・八%が中小企業であり、小規模企業も八七・二%と、千葉県の経済を支えるのは中小企業と言っても過言ではありません。このため、最低賃金の水準については、地元経済に与える影響なども総合的に考えながら決定することが必要であると考えます。 改正案では、地域別最低賃金制度を充実する観点から、各地域における地域別最低賃金の決定を行政機関に義務付け、その際には地域における生計費等が考慮されるべきことが規定をされており、それだけ地方を重視したものと考えます。 一方、現行の目安制度は、その言葉のとおり、あくまでも地方の審議会における審議の参考にすぎず、拘束力はないものの実質的には影響が大きいのではないかとも考えられます。地域における最低賃金の決定が中央志向的な決定システムとなってしまうと、目安にとらわれ地域の実情を適切に表した最低賃金額が決定されないというおそれがあるのではないでしょうか。 地域最低賃金の決定につきましては、目安制度も含めて、地域の実情を適切に反映したシステムとする必要があると考えますが、法改正後の地域別最低賃金の決定の在り方についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 現行の地域別最低賃金について目安制度というものがあるわけでありますが、この現行の地域別の最低賃金の改正に際しましては、できるだけ全国的に整合性ある決定が行われるように、中央の最低賃金審議会が地域別の最低賃金額の改定の目安を毎年作成して、地方の最低賃金審議会に提示をしております。 この目安は地方最低賃金審議会の審議の参考として示すものであって、これを拘束するものではないんだというふうに了解をされているところでございます。毎年の答申に際しても、中央最低賃金審議会においては、地方最低賃金審議会において自主性を発揮されることを強く期待する旨、申し添えているわけであります。 〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕 地域別最低賃金の具体的な水準については、地方の最低賃金審議会における地域の実情を踏まえた審議を経て決定されるものであります。今回の法案が成立した暁には、各地方最低賃金審議会において、中央最低賃金審議会が提示する目安も参考にしつつ法改正の趣旨に沿った議論が行われまして、その結果に沿って適切な引上げ等の措置を講ずることとしております。 私どもとしては、地方の最低賃金審議会に対しまして地域の実情に即した資料が十分に提出された上で法改正の趣旨に沿った審議が行われるように、都道府県労働局に対して指導を行ってまいりたいというふうに思っております。
○石井準一君 局長の方から、地域の実情も見ながら最低賃金の水準は決められていくというお答えがありました。是非、地方の経済状況が反映される仕組みを維持していただきますようお願いをいたします。 次に、最低賃金の決定基準について伺いたいと思います。 改正法案では、地域別最低賃金の決定に際して、労働者の生計費や賃金等を考慮し、特に生計費については生活保護との整合性についても配慮するとしておりますが、具体的にはどのような労働者像が想定されているのか余り明確ではないように思われます。また、最低賃金決定の際の生活保護との整合性に配慮に関しまして、例えばどのぐらいの収入があれば税金や社会保険料を支払った上で健康で文化的な最低限度の生活ができるのかを検討するなど、生計費についての想像をめぐらして議論を深めていくことが必要ではないかと私は思います。 政府は、地域別最低賃金の決定に際し、生計費を考慮するに当たっての生活保護との比較についてどのように認識をしているのか、まずお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 生活保護と最低賃金の比較に当たりましては、例えば地域別の最低賃金は都道府県単位で決定されております。これに対しまして生活保護は、市町村を六段階の級地に区分しております。また、生活保護は年齢や世帯構成によって基準額が異なっておりますし、あるいは必要に応じた各種加算でありますとか住宅扶助あるいは医療扶助等があります。こういった点をどのように考慮するのかといった問題がございます。 しかし、最低賃金は労働者の最低限度の生活を保障するものでありますので、モラルハザードの観点からも、少なくとも最低賃金が生活保護を下回っている場合には問題であるというふうに思っております。このため、最低賃金と生活保護の水準を比較するに当たっては、手取り額で見た最低賃金額と、衣食住という意味で、生活保護のうち若年単身世帯の生活扶助基準の都道府県内の人口加重平均、これに住宅扶助の実績値を加えたものと比較することが一つの考え方ではないかなというふうに思っております。 いずれにしても、生活保護との整合性を具体的にどのように考慮するかにつきましては、中央最低賃金審議会及び地方最低賃金審議会における審議を経て決定されるべきものと考えております。
○石井準一君 御答弁ありがとうございました。 次に、最低賃金審議会についてお伺いをしていきたいと思います。 最低賃金を決定するために、中央及び地方に労働者、使用者、公益の三者同数で構成される最低賃金審議会が設けられておりますが、労働者側の委員には労働組合の代表者が多いとも聞いております。近年、就業形態の多様化等により、パートや派遣労働者など、労働組合に組織されていない非正規労働者が増加をしているところであります。パートの労働者等については概して低賃金であることが多く、地域別最低賃金の影響を大きく受けるものと思われますが、現在の審議会の委員構成を見ると、パート労働者等の意見が反映されにくいのではないかと思われます。こうした方々の意見が反映されるよう配慮する必要があると思われますが、見解のほどをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 地方最低賃金審議会の労働者を代表する委員につきましては、現行の最低賃金法二十九条及び最低賃金審議会令第三条の規定に基づきまして、都道府県労働局長が労働組合の推薦を受けた者の中から非正規労働者を含む労働者一般の利益を代表するにふさわしい者を任命しているということでございます。そういうことで、審議会には非正規労働者の意見も十分反映されるものと承知をしております。 また、地方最低賃金審議会における最低賃金の改正審議におきましては、現行法の三十一条五項の規定に基づきまして、意見を述べようとする関係労使の意見、これを聴くものとされております。 〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕 またさらに、最低賃金審議会が最低賃金額についての意見を提出した場合におきましては、関係労使はこの最低賃金審議会の意見に対する異議の申出もできるとされているところでございます。 このように、非正規労働者を含めた関係労使の意見の反映に万全を期した審議会の運営が行われているというふうに承知をいたしております。
○石井準一君 御答弁をいただきましたパートや派遣労働者などの意見が更に反映されるよう御配慮をお願いをいたします。 次に、最低賃金の実効性を高めるという観点から幾つかお伺いをしたいと思います。 最低賃金は労働者の最低限度の賃金を保障するルールであります。したがって、ルールを破った方に対しては、事案によるかもしれませんが、やはりきちっとしたペナルティーというものが抑止力という観点からも設けられるべきだと思います。今回の改正案では、罰金額の上限が二万円から五十万円へと大きく引き上げられており、最低賃金法違反の抑制が期待をされているところであります。しかし、労働基準監督署から指導された段階で賃金差額を支払えばいいということにもなると、最低賃金法違反の抑制力として不十分ではないかという考え方もあろうと思います。また、午前中には違反した事業主を公表するというような意見も出ておりました。さらには、民事的には最低賃金額と実際に支払った額との差額の要求しか認められていないわけであります。 そこで、罰金額の上限を五十万円に引き上げた趣旨について御説明を願います。また、更なる最低賃金法違反抑制の実効性の確保策として賃金差額の数倍の請求を当該労働者に認めるべきではないかという意見もあるようですが、こういった意見についてどのように考えているのか、見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金法の罰則につきましては、昭和三十四年の法律制定以来、罰金等臨時措置法による見直しのほかは見直しが行われておりませんで、この間の貨幣価値の変動等によって罰則の制裁的効果が著しく低下しているところでございます。このため、今般、罰金額の上限についても併せて見直しを行うということにいたしております。 具体的な上限額については、これは最低賃金法制定当時の最低賃金不払の罰金額の上限、それと賃金の、労働基準法上の賃金の全額払いの違反に対する罰金額の上限などを勘案して、現行の労働基準法の賃金の全額払い違反の罰金の上限額である三十万円の二倍程度に相当する五十万円を上限とすると、新しい最低賃金不払に係る罰金額の上限とするというふうにしたものでございます。 お話にありましたように、賃金差額の数倍の請求を労働者に認めるべきだという意見ということでございましたけれども、最低賃金法違反を抑制するための一つの考え方ではあるとは思いますけれども、今般の改正において、今申し上げましたように、罰金額の上限について大幅に引き上げるということとしているところでありますし、そういった新しい措置の導入については、こういった改正後の最低賃金法違反の状況なども慎重に見守る必要があるのではないかというふうに考えております。
○石井準一君 今説明があった罰金額というのは、一事業所当たり最高でも五十万ということなのでしょうか。それとも、最低賃金以下の賃金を支払っていた労働者の数によるものでしょうか。この罰金の数え方について、詳細に具体的にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金不払の罪数につきましては、労働基準法における賃金不払の罪数と同様でございまして、犯意が単一であると認められないときは各支払期ごと及び各労働者ごとに一罪が成立すると、これらは併合罪の関係に立つと、したがって罰金額は単純に加算をされていくということであります。そういうように考えております。
○石井準一君 これまでの罰金の強化についてお伺いをしてきました。 最低賃金の遵守を徹底するために、最低賃金に関する周知広報、違反業者の取締り、指導強化がこれから重要になってくると思います。しかしながら、労働基準監督署が調査をした事業者数は、二〇〇六年、平成十八年では一万七百件であり、一九九八年、平成十年の一万七千六十八件に比べて約四割減っております。今年六月には約一万一千事業所に一斉監督を実施をしておりますが、これまで最低賃金法違反の取締りに本腰を入れていなかったのではないかと思われかねないと考えますが、最低賃金に関する今後の周知広報及び指導監督の具体策についてお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 委員が御指摘になった周知広報、監督指導でありますけれども、これは、最低賃金制度はすべての労働者の賃金の最低限を保障するセーフティーネットであるということでありますので、こういった周知広報であるとか監督指導というのは重要であるというふうに考えております。 従来から、ポスターの掲示でありますとかリーフレットの配布、あるいはホームページへの登載などによって最低賃金額の周知を行っております。同時に、地方公共団体に対する広報誌への掲載依頼も行ったりいたしまして、様々な周知広報活動を行っているところでございます。 今後とも、インターネットや広報媒体を活用して、使用者団体あるいは労働者、民間団体等、広く国民に最低賃金の内容及び最低賃金額について周知広報を図っていきたいというふうに思っております。 また、監督指導につきましては、政府の成長力底上げ戦略におきまして最低賃金の周知徹底が盛り込まれて、さらに、最低賃金遵守のための事業所の指導強化が直ちに取り組むべき施策というふうにされたことから、委員がお触れになりましたように、今年の六月に全国の労働基準監督機関において最低賃金の履行確保についての一斉監督を実施いたしました。 こうした結果も踏まえまして、今後とも、問題があると考えられる業種等を重点とした最低賃金遵守のための監督指導に適切に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○石井準一君 新しい法案ができましても、やはり今後の周知広報及び指導監督の必要性が大きな意義があると思います。徹底的にお願いをしていきたいと思います。 次に、産業別最低賃金についてお伺いをしていきます。 産業別最低賃金については、以前に規制改革・民間開放推進三か年計画でも取り上げられていたものと認識をしておりますが、今般の改正において産業別最低賃金についてどのような見直しが行われているのでしょうか、お伺いをいたします。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金は、地域別の最低賃金と今お取り上げになりました産業別最低賃金、この二つが大きな柱として成り立って現行いるわけでありますけれども、その最低賃金というのは、すべての労働者についての賃金の最低限を保障するということで安全網としての役割を果たしているわけでありますし、今般こういった安全網としての役割については地域別の最低賃金、これが担うというふうに整理をいたしまして、その地域別最低賃金につきましては必ず定めなければいけないと、あるいは罰金額を大幅に引き上げるといったような機能強化を図るということにいたしております。 一方、産業別の最低賃金につきましては、関係労使のイニシアチブによって設定されて、企業内における賃金水準を設定する際の労使の取組を補完する面、あるいは公正な賃金決定にも資する面があるということなので、安全網とは別の役割を果たすものとして見直しを行うことといたしました。 具体的には、産業別最低賃金につきましては、関係労使の申出を必須の条件といたしまして、そういった申出があった場合において必要があると認めるときに決定することができるということにいたしますとともに、最低賃金法の罰則は適用しない、言わば民事効にするというふうにしたわけでございます。
○石井準一君 局長のただいまの御答弁の中で、最低賃金法上の罰則は適用されない旨の説明がありましたが、産業別最低賃金の実効性の確保についての問題はないのでしょうか、お伺いをいたします。
○政府参考人(青木豊君) 産業別最低賃金は、今申し上げたような見直しをするということで、新しい改正後の最低賃金法では特定最低賃金ということになるわけでありますけれども、この特定最低賃金は最低賃金法上の罰則の適用はございませんけれども、今ほど申し上げましたように、民事的効力を有しております。最低賃金法上、民事的効力を有するということでありますので、特定最低賃金のこの不払というものは結局賃金の全額払の違反ということになるわけでございます。これは労働基準法二十四条に違反するということになります。したがって、労働基準法の適用がありまして、その罰則、罰金の上限額は三十万円ということで最低賃金法より若干低いわけでありますけれども、が適用されることとなりまして、そういう意味では、一定程度の、罰則上の面から見た面においても労働者の保護が図られるというふうに考えております。
○石井準一君 今御答弁いただきましたように、産業別最低賃金の見直しにつきましては、規制改革・民間開放推進三か年計画の検討要請を踏まえ、労使が審議会において真摯に議論した結果であると受け止めたいと思います。 最後に、最低賃金引上げの影響を受ける中小企業への対策についてお伺いをしていきます。 政府におきましては、内閣府を中心に成長力底上げ戦略というものを策定して中長期的な最低賃金引上げと中小企業の生産性向上の車の両輪とした取組を展開されているものと承知をしております。 まずは、成長力底上げ戦略のねらいや基本的な考え方について、担当である内閣府から御説明を願いたいと思います。
○政府参考人(山崎史郎君) お答え申し上げます。 御指摘の成長力底上げ戦略は、成長の基盤となります人材や中小企業に着目しまして、働く人全体の所得、生活水準を引き上げ、格差の固定化を防止すると、こういう観点から策定されたものでございます。具体的には、職業能力の向上を目指します戦略でありますとか、福祉、雇用両面にわたる就労支援を行う戦略のほか、御指摘の中小企業の生産性の向上とともに最低賃金を引き上げていく、このための施策としまして中小企業底上げ戦略と、この三つから成っているわけでございます。 この戦略は、内閣府、厚生労働省、経産省等が連携しまして、政労使が参加します円卓会議で合意形成を図りつつ推進していくというふうになっている次第でございます。
○石井準一君 戦略の基本的な考え方については今説明を受けました。 成長力底上げ戦略推進円卓会議が七月に取りまとめた合意文書におきましては、中小企業の生産性向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針の取りまとめが先送りされていたように思います。この基本方針について、いつごろ、どのような内容で取りまとめられることになるのでしょうか。具体的なスケジュールがあれば説明を願いたいと思います。
○政府参考人(山崎史郎君) 御指摘の点でございますが、七月の円卓会議におきまして、これ政労使の合意でございますが、中小企業の生産性の向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針に関しまして、これを各地域の議論を喚起しながら取りまとめるという、そういう合意形成がなされてございます。スケジュールとしましては年内に取りまとめるということを見込んでおりまして、具体的内容に関しましては、今後、労使、さらには関係省庁とも十分意見交換をしながら検討してまいりたいと、このように考えている次第でございます。
○石井準一君 是非とも有意義な合意が取りまとめられることを期待をしていきます。 次に、具体的な中小企業対策についてお伺いをしたいと思います。 原油高や円高など、中小企業を取り巻く経済環境は極めて厳しいものと認識をしております。また、最低賃金の引上げは、我が国の企業の大半を占める中小企業への考慮を抜きにしては図れないものと考えます。しかし、大企業から下請が多い中小企業は、大企業からの不適正な金額での発注でも受けざるを得ず、その場合、中小企業で働く労働者の賃金水準の底上げは現実的に難しくなると考えます。 一方、成長力底上げ戦略では下請取引の適正化が挙げられているところでありますが、中小企業庁においては下請取引の適正化や中小企業の生産性向上について今後どのような施策を推進していくのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(長尾尚人君) 中小企業庁といたしましては、委員御指摘のとおり、下請取引の適正化を含む中小企業の生産性の向上などにきめ細かく対応することは非常に重要なことだというふうに認識しております。こういった観点から、中小企業の生産性向上に向けた取組を加速させる政策パッケージを今月の十三日にまとめまして、公表したところでございます。 具体的には、まず景気回復の果実をきちっと均てんさせていくということから、先ほど坂本委員の御質問にもお答えいたしましたけれども、下請取引の適正化を進めてまいりたいと思います。具体的には、下請取引ガイドラインの普及啓発や下請代金法の取締り強化等、下請適正取引の推進に取り組んでまいります。 これは、言わばその分配の問題でございますが、それに加えてやらなければならないのは、地域において付加価値の高い産業を振興することだというふうに認識しております。そのため、中小企業地域資源活用促進法の着実な実施を図りまして、今後五年間で千件程度の新事業の創出を目指してまいる所存でございます。 あわせまして、経営基礎力の向上ということが重要でございまして、中小企業の中でも特に厳しい状況にあります小規模企業につきまして、ネットde記帳等のITを活用いたしまして、自らの財務状況を正確に把握することへの支援とか、それに伴います資金供給の迅速化を検討しているところでございます。また、小規模企業が直面する課題を克服するための支援拠点の整備等についても今後強化してまいりたいというふうに思っております。
○石井準一君 正に最低賃金を引き上げるためにも実効性のある様々な施策を組み合わせ、中小企業対策の充実をお願いをするところであります。 次に、労働契約法についてお伺いをいたします。 労働契約法案については、労働契約の基本的なルールを定めるという重要な法案であることもあるでしょうが、法案の内容については様々な意見を耳にすることがあります。そのような意見の中には、労働契約のルールが明確になり紛争が未然に防止されることにより、労使双方にとってもプラスになるという肯定的な意見だけではなく、中には否定的な意見もあるようであります。 そのような意見の中に、労働契約法が成立すれば労働条件の一方的な不利益変更が日常茶飯事になるのではないかといった意見もあるようですが、今回の労働契約法案は本当にそのような内容なのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 労働条件の変更についてでありますけれども、労働契約法案におきましては、その第八条で「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」という合意原則をまず明確に規定しております。 その上で、就業規則による労働条件変更に関する最高裁判所の判例法理に沿って、まず原則として、第九条で、使用者が労働者と合意することなく、就業規則の変更により労働者の不利益に労働契約の内容を変更することはできない旨を規定いたしております。さらに、第十条で、変更後の就業規則が労働者に周知されており、就業規則の変更が合理的なものである、そういう場合に労働契約の内容である労働条件は変更後の就業規則に定めるところによるものとするという旨を規定いたしております。 このように、労働契約法案は、労働条件の変更に関しまして、労働者及び使用者の合意を原則としつつ、現在の判例法理に沿ったルールとするものでありまして、一部の御意見にあるような、労働条件の一方的な不利益変更が日常茶飯事になるといったような懸念はないというふうに考えております。
○石井準一君 局長の答弁の中にも、労働条件の変更はあくまで合意によることが原則であると、就業規則による労働条件の変更の場合にも合理的なものでなければならないという答弁でありました。使用者による労働条件の一方的な不利益変更を認めるなどといった誤解が広がらないよう、法案が成立した暁には周知をしていただきたいと思います。 次に、この就業規則については、就業規則を見たことのない人もおり、今回の労働契約法によって、見たこともない就業規則に拘束されることになってしまうのではないかという意見もあるようです。しかし、先ほど御答弁いただきました労働契約法案においては、就業規則が効力を持つためには周知が要件とされているとのことでした。 そこで、この周知についてお伺いをいたしますが、労働契約法案の就業規則ルールにおいて規定をされている周知とは何を示すのでしょうか、御答弁をお願いいたします。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案の十条の周知といいますのは、例えば常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けるということ、あるいは書面を労働者に交付すること、あるいはパソコン等においていつでも見られる状態にしておくことなどの方法によりまして、労働者が希望をすればいつでも就業規則の存在、内容を知り得るようにしておくことをいうものだというふうに考えております。
○石井準一君 先ほどの質問とも重なりますが、労働者が見たいときにいつでも見られる状態にしておかなければ就業規則は効力を持たないという御答弁でありました。 労働契約法案についての最後の質問となりますが、労働契約法案の就業規則ルールについて否定的な意見の根本には、就業規則は使用者が一方的に変更するものであり、そのような就業規則を労働契約法案に位置付けるのはおかしいという考え方があるように思われます。労働条件の変更は合意によることが原則であることはこれまでの答弁で明らかになっておりますが、使用者が就業規則を変更するに当たっても労働者側の意見が考慮されることは望ましいことであると私は思います。労働契約法案では、就業規則の変更の際の労働者の意見の取扱いについて何か規定されていることはないのか、質問をいたします。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案におきましては、その十条で、就業規則による労働条件の変更ができる場合の合理性の判断要素といたしまして、「労働組合等との交渉の状況」ということを言っております。そういう就業規則の変更に当たっての労使協議の状況というものを明示いたしております。この労働組合等には、多数労働組合や過半数代表者のほか、少数労働組合でありますとか、あるいは労働者で構成される親睦団体など、広く労働者側の意思を代表するものが含まれるものでございます。 このように、労働契約法案におきましては、使用者が就業規則を変更する場合に労働者の意見を聴くなどの協議を行うことが重要である旨が定められているところでございます。
○石井準一君 最後でありますが、労働契約法案によりまして、労働者が安心、納得して働くことのできる環境が一層整っていくことを強く期待をいたし、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。 本日は、議題となっております労働契約法案と最低賃金法案について伺います。 初めに、労働契約法案についてお伺いをいたします。 我が国にも欧米流の契約社会の傾向が徐々に浸透しており、自己責任の原則を基本とする新しいルール作りが求められてきております。 こうした中で、労働契約法案は、これまで判例法理によって積み重ねられてきた労働者と使用者との間の権利義務のルールを明文化しており、高く評価するものであります。透明かつ公正な法的ルールを確立することで労働者が安心をして働くことができ、更に言えば格差社会の是正に大きな役割を果たせると考えます。 また、衆議院の段階で自民、公明の与党と民主党が協議をして修正案という形で結論を出したことは、いわゆるねじれ国会の中において大変意義あることと考えております。修正の内容も法の趣旨も明確化されたと言えるので、この法の趣旨が徹底されることを希望いたします。 そこで、具体的な内容について、まず厚生労働省にお伺いをいたします。 まず、第一条の目的において、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係に資することとしていますが、労働者の保護は大変重要な視点であると思います。この労働契約法が制定されることで具体的に労働者にどのような影響、メリットがあるのでしょうか。この法律による労働者保護の考え方をお伺いをいたします。
○政府参考人(青木豊君) 今、個々の労働者と使用者との間の個別の紛争というのが大変増加しているわけでありまして、そういう中で労働者が安心して働くことができるように労働契約に関するルールを明確にすることが大切だというふうに思っております。 労働契約法案では、労働契約は労使当事者が対等の立場における合意に基づいて締結されるべきという契約の原則、理念や、労働契約の成立及び変更は労使当事者の合意が原則であって、就業規則による労働条件の変更というのは合理的なものであることを要するということで、労働契約に関する基本的なルールを明確にしたものでございます。 こういったことによりまして、労働契約に関する基本的なルールが周知をされて使用者の合理的な行動が促されるということになりますので、紛争の未然防止に資することができると、そういうことで労働者が安心、納得して働くことができるようになるということで、労働契約法一条に言うその目的にかなっているというふうに思っております。
○山本博司君 法律案では労使の対等の立場をうたっていますけれども、現実的に見ると、労働者の立場は大変非常に比較的弱い状況にございます。労働者保護の視点を重視して対応していただきたいと思います。 次に、第四条の二において「労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする。」と、こうございます。 書面の明示義務ではなく、「できる限り」という表現が意味をするところは何でしょうか。使用者より労働者の方が知識に乏しいので、書面の確認がないことで労働者に不利益が発生することのないように使用者に徹底すべきではないでしょうか。このことをお伺いします。
○政府参考人(青木豊君) 今お取り上げになりました法案の四条第二項のできる限り書面で確認という規定でございますけれども、これは労働基準法の十五条で、労働契約締結の際に賃金や労働時間等の労働条件についての書面の交付を求めているわけですが、これとは異なりまして、書面で確認する場面や、対象である労働条件が限定されるものではなく、例えば労働者の就業環境や労働条件が大きく変わる場合でありますとか、あるいは労働者が労働契約の内容について説明を求めた場合などがこの法案の適用場面として考えられるものでございます。 書面で確認する対象項目につきましても、労働基準法の十五条とは異なり、賃金や労働時間等の一定の労働条件に限定されるものではなく、基準法でその書面の交付まで求められていない、例えば賞与等についても含まれるものでございます。労働者が確認したいと考えた場合などにおいて、労使が話し合って、使用者が便宜、労働契約の内容を書面で示すことを明らかにしたものでございます。
○山本博司君 労働者が不利益を被ることのないような、そういう徹底をお願いを申し上げたいと思います。 さらに、第九条についてお伺いをします。 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容にある労働条件を変更することはできないと原則を定めております。次の十条において例外規定を置いておりますけれども、このことで使用者から一方的に労働条件を切り下げられ、労働者の不利益につながるのではないか。これは先ほどもございましたけれども、危惧を持つ考え方がございます。これに対してどのように回答するのか。これまでの判例法理を法律の中で明確にしたことで解釈が変更され、この例外規定だけが独り歩きすることないのか、確認をもう一度したいと思います。
○政府参考人(青木豊君) この労働契約法案におきましては、まず第八条で、労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができるという合意原則を明確にまず規定しているわけでございます。その上で、就業規則による労働条件変更に関する最高裁判所の判例法理に沿って、まず原則として第九条で、使用者が労働者と合意することなく就業規則の変更により労働者の不利益に労働契約の内容を変更することはできない旨を規定しております。さらに、第十条で、変更後の就業規則が労働者に周知されており、就業規則の変更が合理的なものである、そういう場合に労働契約の内容である労働条件は変更後の就業規則に定めるところによるものとする旨を規定しております。 こういったことで、労働契約法案は、労働条件の変更に関しまして、労働者及び使用者の合意を原則としつつ、現在の判例法理に沿ったルールとするものであります。 また、就業規則による労働条件の変更ができる場合の合理性の判断要素として、労働者の受ける不利益の程度という、個々の労働者にとっての影響でありますとか、あるいは労働組合等との交渉の状況という、就業規則の変更に当たっての労使協議の状況を明示しております。 そういうことなどで労働者の保護に十分配慮したものとなっており、御心配のようなものではないというふうに考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。 次、大臣にお伺いをしたいと思います。 この法案が成立をした場合、この法の周知徹底、また労働雇用に対する知識を広める工夫が必要であると思います。また、今回の法律を作ったことで労働紛争がすべて解決するということではないので、今後も更なる改善を重ねなくてはならないと思います。こうした個別労働紛争を未然に防ぐための取組に対する大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 最近、労働者と使用者側のいろんな紛争が増加傾向にあるわけでありまして、これ非常に危惧をしております。今回、この契約法案がきちっと成立してルールが明確になりましたら、今委員がおっしゃったように周知徹底させると。あらゆる機会を通じてこの法案の中に盛り込まれたルールについて広く知らせていく。そして、できるだけ紛争を未然防止したいと。そういうことのためにもこの法律があるんだということを強調しておきたいと思います。
○山本博司君 ありがとうございました。 労働契約法で新たなルールができたことで労働者が安心をして働くことができるような万全の対策を講じていただきたいと思います。是非ともよろしくお願いを申し上げます。 次に、最低賃金法案についてお伺いを申し上げたいと思います。 今回の改正は三十九年ぶりの改正ということで、最低賃金制度はすべての労働者の賃金を下支えするセーフティーネットとして極めて重要な役割を果たしており、就業形態が多様化する中でその重要性は更に増していくものと考えております。また、生活保護との整合性を考慮することは最低限度の生活を保障するという観点とともに、就労に対するインセンティブを働かせるという点からも必要なことであり、この改正を高く評価するものでもございます。 今回の改正では地域別最低賃金の決定が任意的設定から必要的設定に変更され、罰金の上限額も引き上げられるなど、地域別最低賃金の機能強化が図られております。これによって今後、地域別最低賃金の具体的な水準を決める地方最低賃金審議会の役割がより一層重くなるものと考えます。 そこで、この地域別の最低賃金の決定方法について、構成、概要について御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 最低賃金の制度、とりわけ地域別最低賃金につきましては、今委員がお触れになりましたように、その必要的な設定と、あるいは罰金の上限の引上げというようなことであります。これは、すべての労働者についての賃金の最低限を保障する安全網としての役割を果たすべきであるということから、そういうように考えたわけであります。 地域別の最低賃金の具体的な水準についての決定でありますけれども、これは公労使三者構成の地方最低賃金審議会において地域の実情を踏まえた審議を行いまして、それを経て決定されるものでございます。今回の法案が成立いたしました暁には中央最低賃金審議会が提示をいたします目安も参考にいたしながら、この今般の法改正の趣旨に沿った議論が地方の最低賃金審議会においても行われ、その結果に沿って、現下の雇用経済情勢、地域の事情を踏まえた適切な引上げ等の措置が講ぜられるということになると思っております。 厚生労働省としましては、地方の最低賃金審議会でこうやって議論をされるわけでございますので、そこの地方の最低賃金審議会に対しまして地域の実情に即した資料が十分に提出されるように、そして、その上でこの法改正の趣旨に沿った適切な審議が行われるように都道府県労働局に対して指導を行ってまいりたいというふうに思っております。
○山本博司君 地域の実情に沿った対応をしっかりお願いを申し上げたいと思います。 さらに、重要な改正点でございます生活保護との整合性についてお伺いをしたいと思います。 今回の改正では、最低賃金の三つの考慮要素のうち労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護との整合性について配慮することとしております。また、衆議院における修正によって、第九条の三では、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、」と規定をされました。これによって憲法二十五条の生活保護法の理念が最低賃金を決める際により一層重視されることになると思いますが、具体的にどのような基準で生活保護との整合性を考慮することになるのでしょうか。このこともお願いいたします。
○政府参考人(青木豊君) 生活保護と最低賃金との関係でございますけれども、地域別の最低賃金は都道府県単位で決定されております。生活保護は市町村を六段階の級地に区分しているわけでありますし、あるいは年齢や世帯構成によって基準額が異なっていると、あるいは生活保護では必要に応じた各種加算でありますとか住宅扶助だとか医療扶助などがありますと、こういうことで、生活保護と最低賃金を比較するに当たっては、こういった点をどういうふうに考慮していくのかということが問題になるわけであります。 しかし、最低賃金は労働者の最低限度の生活を保障するものでありますので、モラルハザードの観点からも、少なくとも最低賃金が生活保護を下回っている場合には問題であるというふうに思っております。 このため、どうするかということでありますけれども、最低賃金と生活保護の水準を比較するに当たりましては、手取り額で見た最低賃金額と、衣食住という意味で生活保護のうち若年単身世帯の生活扶助基準の、まあこれは都道府県内人口加重平均が適当かなというふうにも思いますけれども、これに住宅扶助の実績値を加えたものと比較することが一つの考え方ではないかなというふうに思っております。 しかし、いずれにしても、これ、具体的には生活保護との整合性をどうやって考慮していくかということについては、中央最低賃金審議会及び地方最低賃金審議会における審議を経て決定されるべきものというふうに考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。 次に、大臣にお願いをしたいと思います。 最低賃金制度は働く人たちにとって必要最小限のセーフティーネットであり、この水準が引き上がることでより豊かな国民生活が送れることになると考えます。今後、経済成長を含めた政府一丸となった取組が求められると考えます。最低賃金の引上げに向けた大臣の決意をお願いを申し上げたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど来、生活保護との整合性も配慮ということが非常に重要であるということを何度も強調しておりますけれども、この経済の成長力底上げ戦略において、生産性を上げる、それとともにこの最低賃金を引き上げる、そういう方向付けが既に出ております。 〔委員長退席、理事谷博之君着席〕 この法案が成立した暁には、地方の最低賃金の審議会において、諸条件を考慮に入れながら、そして今言ったように生活保護、これを下回らないということが重要なわけですから、そういう形で最低賃金が引き上げられるという方向での努力をお願いしたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございました。 国民生活の安心、安定が何よりも重要であると思いますので、更なる対策を大臣に講じていただきたいと要望いたします。 最後に、法案の内容とは少し離れますが、労働雇用に関する法案についての審議なので、ひとつ大臣にお伺いをしたいと思います。 それは七五三現象と呼ばれる現象についてですが、就職後三年以内に離職する人が増加をし、厚生労働省の調査によると二〇〇三年度には三五・七%と三人に一人を上回る高い離職率になっているとのことでございます。さらに、新社会人がわずか一か月半で転職を希望し、人材紹介会社に登録をする人が昨年同期の約二倍以上に増加をしており、その理由として会社が合わないため、配属が不満なためが大多数を占めているとの民間のデータもあります。 また、財団法人の社会経済生産性本部では毎年新入社員のタイプについて命名をしていますが、本年の新入社員のタイプをデートレーダー型と命名しました。これは、細かく利益を確保しようとする売買手法のことをデートレードと言うことから、目先の利益を優先する姿勢を表現しているとのことでございます。 いずれにしても、このような人材と職場のミスマッチの急増は、若者の努力や忍耐などの人間力の低下だけでなく、仕事に対する意識を持つことなく就職してしまう教育システムにも問題があるのではないでしょうか。 ニート、フリーター人口の増加を抑制するためにも職業意識の形成を支援することは重要な課題と思いますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほど来、私が日曜日に静岡に技能オリンピック、これを視察に行ったことをお話ししていますけど、できればこういうものをすべての日本の若者に見せたいという感じがしました。あれは二十二歳以下の若者が技能を世界的に競争するんです。大工さんもいます。左官さんもいます。それからコンピューターの技師もいる。二十二歳以下ですよ。それはすばらしい技術競争をやって、やはり物づくりの大切さ、職業意識をしっかり持つことの大切さ。恐らく彼らにとってフリーターという言葉は全く要するに無関係なものだろうというぐらいにすばらしいそこで技能が磨かれている。こういうことを体験してきたばかりでありますので、そういう安易に、職には就いた、今七五三とおっしゃったけど、さっと離職してしまう、そうじゃなくて、やっぱり地道に努力して、この分野では自分が負けないんだという、そういう職業意識をしっかり持つということも、これはフリーター対策の一つであります。 それから、そういう意味で、私は是非技能オリンピックみたいなものを、幸い、見に来てくださった方の数は予想をはるかに超えていて大成功だったと思うんですけれども、まず、それとの関連で言うと、中高生を対象に職場体験をやってもらうと。実際、旋盤を動かしてもらう、左官ってこんなものだ、大工はこんなものだとやってもらう。そういう、ジュニアインターンシップということで、今、仕事の体験をやってもらう、これを一つやっております。 それからもう一つは、仕事を持ったビジネスマン、企業人が中学や高校を訪問して、こういうことを自分たちはやっているんだよ、このコンピューターはこういうのが面白いよ、大工の仕事はこんなにすごいよというようなことを、職業講話を行うキャリア探索プログラム、こういうものを今やっております。 ですから、例えば文部科学省と連携取りながら、各関係省庁と連携を取りながら、やはり若者にとって仕事とは何なのか、自分がプロフェッショナルとなるためにはどういうことをやればいいか、こういうことを地道に子供のときから訓練していくと、そういうことが必要だと思いますから、これまた目先ですぐ利益の上がる話ではありません。ないけれども、きっちりと若い人たちにこういう投資をするということが大きな花を咲かせることになると思いますんで、あしたがその技能オリンピックの最終日ですけれども、残念ながらあんまりたくさんは報道もされていない、だけど大変な大成功であり、多くの日本の若者に夢を与えたことは確かなんで、こういうこともまた一つの、技能オリンピックというようなことも一つの観点から見て進められるべきことだということをお話ししておきたいと思います。
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。 教育や社会との連携、大変重要であると思います。公明党としましても、雇用格差是正対策本部を立ち上げて若年雇用者の支援について今検討しておりますけれども、未来を託す青年の育成には各界の連携協力が必要でございます。今後も一体となった取組をお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。 労働契約法及び最低賃金法の一部を改正する法律案に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、先ほど山本委員も触れたわけでございますけれども、内閣提出の労働契約法案及び最低賃金法改正案の労働二法が、十一月の七日の衆議院厚生労働委員会におきまして自民、公明、民主の三党により修正可決され、翌十一月の八日、衆議院を通過しまして当委員会に付託されたわけであります。いわゆるねじれ国会にあって、初めて自民、民主、それから公明が協議、合意してでき上がった修正案でございまして、この成果につきましては、国民の視点から見ますとやはり大変有益であるというふうに私は感じておりまして、評価をしているわけであります。 このような修正に至ったことに関しまして、舛添厚生労働大臣並びに二法案の修正にかかわりました衆議院の修正部分提出者の御所見をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 国会の場で、いわゆるねじれ国会と言われている中で、国民にとって非常に重要な法案について、自民、公明、民主の皆さん方がきちんと協議をして修正可決衆議院でなさり、また今ここの参議院の場で議論をしているということは、国民の負託を受けた国権の最高機関の在り方として私も大変歓迎をし、高く評価をしたいと思います。引き続きまして、今審議しております法案の一刻も早い成立をお願いいたしたいと思います。
○衆議院議員(田村憲久君) ありがとうございます。 今、渡辺先生から御質問いただきましたとおり、労働契約法及び最低賃金法改正案につきまして、衆議院の厚生労働委員会で本当に審議をしっかりとする中において、自民党そして無所属会、公明党、民主党・無所属クラブというふうな協議の結果、今回このような形で修正案が合意を得られたということでございまして、我々もほっと安堵をいたしておるところであります。 二週間強いろいろと議論をさせていただきました。途中、自民、民主の大連立なんというような話が入ってきたもんでありますから、これ、修正協議どうなっちゃうんだろうななんて、自分らでやりながら、不安に駆られながらやっておったわけでありますが、最終的には、民主党さんと自民党とそれぞれかなり乖離があったんです、スタートは。ところが、議論をしていくうちに、その中において、やはり国民に喫緊の課題でありますから、こういうものをしっかりと合意できるところを合意して、そしてこういう問題にこたえていかなきゃならないと、こういうところにやはり最終的には落ち着きまして、お互い譲るところは譲るということで、今回このような法案修正ができたということでありまして、連立をしなくてもこのような形で法案ができ上がったということは、大変我々としてはこれからの国会運営にとっては大きな意味があるんじゃないか、このように思っております。
○衆議院議員(細川律夫君) 今回、修正合意に至りました最低賃金法の改正案そして労働契約法案のこの労働二法案につきましては、民主党といたしまして、我が国における雇用就労形態の多様化、非正規雇用の増加、正規雇用と非正規雇用の待遇の格差といった雇用状況に重大な影響を与えるものであると考えております。民主党は、国民の生活を守り格差を是正する観点から、両法案への対案を提出した上で与党との修正協議に臨み、民主党の考え方がある程度反映されたと判断をいたしまして、両法案の修正に合意をいたしたところでございます。 民主党は、地域別最低賃金の引上げと法の遵守は格差是正とワーキングプア問題の解消にとって不可欠であるということから、最低賃金の基準を労働者とその家族が生計を立てられる水準にするための法改正を提案をしてきたところでございます。 修正協議によりまして、地域別最低賃金の原則に「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、」という文言を追加され、最賃は少なくとも生活保護給付を超える額となることが明確になったと考えております。今後、新たな最低賃金の円滑な施行に向けて中小零細企業への支援策が必要となりますけれども、財政上、金融上のきめ細かな支援策を十分行うよう政府に求めていきたいと考えているところでございます。 労働契約法は、労働契約の成立から変更、終了に至る基本的なルールを定める労働分野の民事法でありまして、二十一世紀の働き方を規定するに当たって大変重要な法律であると考えております。 民主党案では、特に期間の定めのある労働契約、有期雇用契約が個別に決定、変更されることを念頭に、労働契約の成立、変更、終了に当たって対等性と公正性を確保することに力点を置いておりました。 与党との修正協議では、就業の実態に応じて均衡を考慮すること、ワーク・ライフ・バランスに配慮することが労働契約の原則に加えられたほか、有期労働契約の保護規定が加わったほかに、さらに労働政策審議会が答申をいたしました要綱案から法案作成に際して、労使の合意を超えまして修文されました労働者の権利を脅かす誤解を生じる条項をすべて解消することができたと自信を持って申し上げておきたいと思います。 労働関連法案につきましては、民主党案も政府案も、労働者保護を強化し、労働条件を改善しようとする方向性では同じでありまして、法案の内容に隔たりがあっても原理原則が全く違うというものではございませんでした。そこで、民主党は、働く人たちの立場に立って、与党との協議の中で最大限の譲歩を引き出し、法案を成立させることが重要であると判断をした次第でございます。 今回、衆議院の審議段階では、労働基準法改正案がまだ継続審議のままになっておりますが、民主党の修正要求に対して与党に再考をお願いし、長時間労働の実質的な防止につながる法改正の成案を得ることを期待をしたいというふうに思っている次第でございます。
○渡辺孝男君 今、修正案の提案者の方からもお話をいただきました。修正に至る中では様々な御苦労があったと思うんですけれども、やはり国民の生活を大事にする、働く方々の要望を実現をするという、そういう観点ではこの修正案が合意されたということは大変評価をしているところであります。これからも国民の生活に大事な法案というものもいろいろ出てくるわけでございまして、時にかなった法案の成立ができるようにまた御活躍を期待を申し上げたいと思います。 修正案提案者の方々、この後は、私の方は質問ございませんので、退席、結構でございます。 それでは次に、最低賃金法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。条文の内容等の確認等もさせていただきたいと思います。 まず、改正案第三条に関してですが、現行法の時間、日、週又は月によって定める方式から時間によって定めると規定した理由につきまして、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 現行の最低賃金法第四条では、最低賃金額は時間額、日額、週額又は月額によって定めることとされております。しかしながら、賃金支払形態、所定労働時間、そういったものなどが異なる労働者についての最低賃金適用上の公平の観点、あるいは就業形態の多様化への対応の観点、さらには分かりやすさという、そういう観点からは時間額単独表示とすることが適当と考えられますので、そういうことで、法律上、時間額表示にこの新しい改正法三条で一本化をすることとしたものでございます。 なお、地域別最低賃金につきましては、平成十四年度から時間額表示に一本化されまして、産業別の最低賃金につきましても、大部分が時間額単独表示に移行しているところでございます。
○渡辺孝男君 次に、第九条の地域別最低賃金の原則について伺いたいと思います。 第二項の、「地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。」と、そのように規定されておりますけれども、ここで言う通常の事業の賃金支払能力とはどのような能力なのか、また、個々の企業の支払能力とどのような関係があるのか、この点につきまして厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 地域別最低賃金の具体的な水準については、第九条で、労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払能力の三つの決定基準に基づいて、地方最低賃金審議会における地域の実情を踏まえた審議を経て決定されるというものであります。 御指摘になりました通常の事業の賃金支払能力というものは、個々の企業の支払能力ではなくて、地域において正常な経営をしていく場合に、通常の事業に期待することができる賃金支払能力をいうものでございます。事業者一般の賃金支払能力と言ってもいいかと思います。 最低賃金は、国民経済ないし当該地域の経済力の水準と懸け離れた水準で決定され得るものでもないということでありますので、最低賃金の決定に当たっては、通常の事業の賃金支払能力について考慮するということになっているわけでございます。
○渡辺孝男君 次に、厚生労働省が発表しております毎月勤労統計の二〇〇〇年から二〇〇六年にかけての事業所規模別の平均賃金の推移というのがデータとして出ておりますけれども、三十人規模以上のいずれの事業所も二〇〇四年までは下落傾向が続いてきた。その後、二〇〇五年、二〇〇六年と上昇をしているということであります。一方、小規模の五人から二十九人の事業所は、二〇〇〇年以降、一貫して下げ続けているということであります。つまり、最近賃金が上がったというのは大企業や中規模の企業のことであって、小規模の企業についてはなかなか厳しい状況だということであります。 そこで重要となるのは、小規模の企業の活性化であり、また支払能力の強化ということになります。今後の小規模の企業に対する対策について、中小企業庁にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(長尾尚人君) 委員御指摘のとおり、中小・小規模企業の生産性の向上と活性化というのは非常に重要な課題でございまして、緊急に取り組むべき事項だというふうに認識しております。このため、厳しい状況の中にありながら頑張っておられる中小企業の方々の生の声に丁寧に耳を傾けながら、日本経済の回復が中小企業全般に幅広く行き渡りますように、中小企業対策に万全を期してまいる所存でございます。 このため、今月十三日には中小企業の生産性向上に向けた取組を加速するための政策パッケージを取りまとめ、公表したところでございます。 具体的には、下請法によります取締りの強化や業種別ガイドラインの周知徹底など、下請適正取引の推進によりまして景気回復の果実がフェアに分配されて均てんされるように万全を期してまいります。それに加えまして、今後の成長の種といいますか、そういったものをつくる観点から、地域資源を活用した新事業創出支援とか、ITの活用等による小規模企業者の経営力向上支援の強化を図ってまいります。これに加えまして、資金調達や事業承継の円滑化等の施策を強力に推進しまして、中小企業の生産性の向上と活性化を図ってまいる所存でございます。
○渡辺孝男君 次に、法案第九条の三項に関連して質問をさせていただきたいと思います。 厚生労働省は生活保護制度の見直しに関して検討を進めておるわけでありますけれども、生活扶助基準に関しての検討は今後どのように進めていかれるのか、この点をお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(中村秀一君) 生活保護基準につきましては、平成十六年十二月に専門委員会で御報告いただいておりますが、その報告の中で、全国消費実態調査等を基に五年に一度の頻度で検証を行う必要があると、こういうふうにされたところでございます。この全国消費実態調査は平成十六年に実施されまして、生活扶助基準の見直しに必要な特別集計の結果が出ましたので、現在、今、生活扶助基準に関する検討会、専門家による検討会を開催し、低所得世帯の消費実態との均衡が生活扶助基準で適切に図られているかどうかなどの評価、検証を行っているところでございます。 本年十月十九日から検討を開始いたしまして、本日もこの検討会、開催する予定でございますが、これまでの議論の整理を行うことといたしております。客観的な数字に基づいて検証しようということで検証していただいておりますが、今後、来年度の予算編成を視野に入れまして、専門的見地から取りまとめをしていただきたいと考えております。 〔理事谷博之君退席、委員長着席〕
○渡辺孝男君 なかなか景気もまだまだ十分に回復していない地域もありますし、生活が大変だという声も多く聞いておるわけでございまして、この生活扶助の基準に関しましては客観的なデータを基に慎重に検討をしていただきたいと、そのように考えております。 では次に、本年八月に行われました中央最低賃金審査会、先ほどからもいろいろ質問で出ておりましたけれども、この中央最低賃金審査会が平成十九年度の地域別最低賃金額の改定の目安について、Aランク十九円、Bランク十四円、Cランク九円から十円、Dランク六円から七円の引上げを答申したわけでありますけれども、この答申を受けて、本年度の決定額により生活保護の所得格差が解消されてきたのかどうか、この点を厚生労働省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(青木豊君) 今年の中央最低賃金審議会の目安審議、それと、それに基づきまして、それを参考にいたしまして、地方の最低賃金審議会でそれぞれ具体的な額の水準を決定していただいたわけでありますけれども、今般の審議の中では、最低賃金の額について、国会において最低賃金法の改正案が提出され審議をされているという状況や、あるいは、最低賃金について引上げを、大幅に引上げをしなければいけないんじゃないかという議論などもございまして、例年になく大幅な引上げ、あるいは、例年のデータから見れば三倍程度に平均的に言えばなるような引上げがなされたわけであります。 しかし、この法案でお願いしておりますような生活保護との逆転現象というようなことにつきましては、当時、十一都道府県で、まあ単純にこれも、生活保護をどういうものを見るかというのはいろんな議論あると思いますけれども、いわゆる若年単身世帯の生活扶助基準と住宅扶助を合わせた、合計した額で見ると十一都道府県において逆転現象が起きていたわけでありますけれども、これは生活保護の基準というものが、データがまだ新しいものが出てきておりませんので、その当時のデータを引き直して考えますと、その結果、今夏の改定によって二県について逆転が解消されたというふうに言えるというふうに思っております。 最低賃金につきましては、賃金あるいは消費者物価等々の地域格差などに比べましても非常に低い格差ということで来ておりまして、その状況は大幅な引上げにおきましても変わっていないというふうに思っております。そういう意味で、引き続きこの法案の早期成立をお願いしたいというふうに思っております。
○渡辺孝男君 次に、改正法案の第七条、減額の特例について質問をしようと思いましたが、先ほどから先に質問をされて回答も出ておりますので、これは割愛をさせていただきたいと思います。 次に、船員に関する特例についてお伺いをしたいと思うんですが、この特例の必要性と近年の船員の特定最低賃金並びに雇用の動向について国土交通省にお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(武藤浩君) まず、船員につきましては、長期間連続をして海上を移動する船舶において、その県の範囲を超えた広域的な業務を行っている場合が多いということと、それに加えまして、乗船中は船内及び寄港地で生活をして下船中は居住地での生活と、そういう二重生活が常であるということで陸上労働者と異なる労働実態と生活実態になっております。 したがいまして、陸上労働者のように県レベルの地域における生計費及び賃金に基づいて地域別最低賃金を設定するのではなくて、船員に関する特例措置として、例えば内航鋼船運航業あるいは海上旅客運送業、そのほか遠洋マグロ漁業など、船舶の運航形態及び船員の就業形態が同様な一定の業種ごとに最低賃金を設定することとしております。 また、船員に関する最低賃金の近年の動向につきましては、海運業及び水産業の厳しい経営状況を反映して、平成十三年以降、最低賃金の改定を行っていませんでしたけれども、本年九月に遠洋マグロ漁業及び大型イカ釣り漁業について、それぞれ最低賃金額を引き上げるよう船員中央労働委員会から答申をいただいたところでございまして、現在、国土交通省において答申の趣旨を踏まえて最低賃金を引き上げるべく所要の手続を進めているというところでございます。 それから最後に、船員の雇用の近年の動向につきましては、船員全体の有効求人倍率を見ますと、平成十六年が〇・二〇であったわけでありますが、本年九月には〇・九六倍まで上昇しておりまして、ほぼ需給に釣り合っている状況ということでございます。さらに、内航貨物について見ますと、平成十六年が〇・二一倍でございましたが、本年九月には一・一二倍まで上昇しておりまして、船員の需要が供給を上回ると、そういう状況になっているところでございます。
○渡辺孝男君 海洋基本法も成立をしておりまして、海洋担当大臣も任命されているということでありますので、やはり日本は海洋国家であります。こういう船員の方々も大変な貢献をされているわけでありまして、この労働条件の改善とか賃金の改善等に更に努力をしていただければと、そのように思っております。 以上で質問を終わります。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 最初に、最低賃金法について質問します。 労働者の四人に一人がワーキングプアと言われている中で、日本の最低賃金は〇一年から〇七年までの上昇率、わずか二・九%で、下支えどころか平均賃金を引き下げるおもしになってきたのではないか。 最初にちょっと実例を紹介したいんですが、十月三十一日に東京で働く美容師さんたちが首都圏美容師ユニオンというのを結成しました。首都圏に八十二店舗を持つ大手美容室アッシュで働いている二十三歳の男性美容師の方の例なんですが、まあ一見華やかな世界であります。しかし、彼の賃金は基本給月十一万五千円、サービス残業は当たり前だと。その上、教育費や共済金の名目で使途不明の天引きがされていると告発をしました。この方も美容師資格を持っている正社員なんですね。二万七千五百円の技能給があるんですが、これ加えても時給換算でやっと八百九円、東京の最賃よりわずか九十円上回るだけなんです。固定の残業代二万五千円入れても手取り十四万円に満たない。 大臣、これ、たとえ正社員であっても、しかもこういう資格を持っている方であっても最低賃金水準の賃金で暮らさざるを得ないという実態があります。こんなふうに一生懸命資格を身に付けて、これ、夢もあったと思うんですね。しかし、生活できないような賃金水準に置かれている、こういう若者たくさんいる。これで果たして夢を持って働き続けていけると、大臣、率直な御感想をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(舛添要一君) 今委員がおっしゃったような実例はまだいろいろあるかと思いますし、個々のケースを見れば本当に大変だなというのは思います。そういうこともありますんで、生活保護水準、これとの整合性ということで今回最低賃金法をきちんとやる、そしてさらに、それを守らない場合には罰金を一気に五十万に引き上げると、こういうことを含めて社会全体でやはり安心して生活できる環境を整えると、それが非常に重要だというふうに考えております。
○小池晃君 この最賃の水準の生活というのは一体具体的にどういうものか。いろんな取組がありまして、今日、資料でお配りしたものの二枚目に体験告発をやった労働組合がまとめたものがあるんですね。これは宮城県の全国一般労働組合ですが、宮城の最賃額の十二万円弱で一か月暮らした体験をまとめて、いかに人間らしい生活ができないかと。 これ、逆説的なんですが、その結果をまとめて、最賃で暮らす八か条というのを出していて、家賃一万円以下の家に住め、車は絶対持つな、友達と交際するな、冠婚葬祭は無視しろ、休みの日には外に出ず家で過ごせ、食事は一日二食以内にすべし、外食厳禁、自炊をしろ、病気にならないよう健康管理をと。二〇〇六年に、見えを捨て、ひたすら人にたかれ、おごってもらうべしと、ここへ加わったと。もちろん、こういう生活しろということじゃないんですね。最賃の生活ではこういうことになってしまうと。これは体験を基にまとめたというんですね。実際、最低賃金水準で暮らしている人たちというのは、これは体験では済まないわけで、正にこれがずっと続いていく。 大臣、引き上げる、そのための法案だというふうにおっしゃったけれども、ちょっと現状の認識としてお伺いしたいんですが、連合も全労連も現在の生計費考えれば時給千円以上という主張をしています。大臣は、現在の水準、最低賃金額、今年も例年になくこれ引上げがあったというのは私も承知をしておりますが、しかし、それであっても現状の水準で労働者が人間らしい生活を送れるとお考えか、現状についての認識をお伺いしたい。
○国務大臣(舛添要一君) それは地域差もありますんで、それぞれの地方の最低賃金の審議会、これは私が勝手に決めているわけじゃなくて、政労使ということでいろんな条件を勘案しながら数字を出していただいているわけですから。 しかしながら、今委員がおっしゃったような問題意識もございますんで、とにかく生産性を上げていく、それに見合った形で最低賃金を上げていく、それが政府の方針でもありますんで、引き続き努力はしたいと思いますけれども、基本的には私は審議会の議論を前提に置いているということを申し上げておきたいと思います。
○小池晃君 やはり審議会任せじゃなくて、国の本当にイニシアチブ、責任が求められている分野だと私は思うんですね。これ、法案、衆議院で修正されましたが、全国最賃制の導入や、労働者や家族の生計費を原則とするという規定は盛り込まれていないわけです。 先ほどお話あったように、現行は都道府県ごとの決定で、最も高い東京と、あるいは秋田、青森、岩手などによっては大きな開きがあります。元々低いのに、住む地域によって更に月二万円以上も最低賃金額が違うという実態がある。 そこで、局長にお伺いしたいんですけれども、世界ではどうなっているのか、日本のように地域別最低賃金制度のみを法律で決めている国は世界で何か国あるのか、お答えください。
○政府参考人(青木豊君) ILOが二〇〇五年に出版した著書、それとILOのデータベースによりますと、政府又は第三者構成機関によって地域別最低賃金のみを設定している国は多くとも九か国であるというふうに思っております。
○小池晃君 九か国ということで、今日、資料の一枚目にお配りをいたしました。中国、インドネシア、日本、フィリピン、カナダ、メキシコ、パナマ、ベネズエラ、シリア、私どもの調べでも、ILOの資料ではこの範囲です。しかも、これらの国の最賃の数というのは、例えば中国は三十九、インドネシア三十、カナダ十二、メキシコ三、日本は四十七ですから、世界で最も地域別最賃の数が日本は多くなっているんですね。中国というのは、御存じのように日本の二十五倍の面積がある、インドネシアは五倍ある、それからメキシコやカナダは連邦国家ですからいろいろ特殊事情がある。 私、この地域格差という点から見ても、地域別最賃の数というのはできるだけ少なく減らしていくべきものであって、狭い日本で世界で一番多い地域別最賃のままにしておいてよいのか、この点について、局長、どうですか。
○政府参考人(青木豊君) 確かに、全国の最賃というような御議論はもちろん従来から相当強くあるということは承知しております。 しかし、最低賃金は労働者の最低限度の水準の賃金を保障するものであります。地域によって物価水準等の差もありますし、生計費も異なっているわけでありますので、その最低限度の水準についても地域によって差があるものと考えております。したがって、地域別最低賃金につきましては、こうした地域における差異を踏まえまして、現在は都道府県単位で設定しているところでございます。 労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会において、地域別最低賃金の設定単位についても議論を行っていただきました。都道府県単位での設定を、現行設定をしているわけですが、これを変更するということについては様々に御意見ございまして、労使のコンセンサスは得られなかったところでございます。更に議論を続けていく必要があるんではないかというふうに思っております。
○小池晃君 二〇〇五年のILOの報告書では、この日本のケースを特異なケースだというふうにしております。地域別最賃など複数の最低賃金については、最低賃金制の決定が変質するというふうに指摘をしています。 そもそもこの最低賃金の役割というのは、これはILOの報告書でも繰り返し格差と貧困をなくすことだというふうに強調しておりまして、四十七もあるのは世界で日本だけなわけですね。しかも、今回地域別に決めなければならないと法定化されていく。いろいろ地域の実態というふうに今局長おっしゃいましたけど、私は、国の責任でこれが最低ラインですというふうに決めて、さらに地域差については必要に応じて加算するということにしていけば、これは問題生じないのではないかというふうに考えております。 大臣、これは大きな政治論としてお伺いしたいんですけれども、例えば中央最賃審議会が目安を決めまして、これ最初から地域別に四ランクに分けられているんですね。その結果、今年、先ほどちょっと言いましたが、十四円ということで例年になく上がったけれども、しかし東京と青森の格差というのは逆に更に広がったという実態、これは事実としてございます。青森の東奥日報というローカル紙は、最賃九円引上げ、でも喜べないという社説を掲げまして、景気が良くて人手不足から賃金を上げる流れにある大都市に、本県のような地方は更に差を付けられると、こう書いております。 これ以上格差と貧困を広げていいのかということについて、これはもちろん中小企業支援を抜本的に強化するということが私は必要だと思いますが、それをやりつつ、やはり地域格差を縮小していくためにも、国の責任で全国どこでも最低ここまではというラインを設定すること、これがやはり必要になってきているのではないかと思うんですが、格差、貧困是正のためにどうなのか、お伺いしたい。
○国務大臣(舛添要一君) 小池委員のおっしゃった方向も一つの手だと思います。ただ、私は逆に、やっぱり各地域で物価の水準も違う、いろんな要因が違う、そうすると、きめの細かさを売り物というか、きめの細かさを主眼として個別に対応する方がその対応を受ける方は有り難いのかなという面もまたもう一つあると思います。そして、これからの日本の国づくりをどうするか、余りにも地域格差、貧富の格差、こういうことがあってはいけないというふうに私は思いますけれども、しからば逆にすべてについて画一的であっていいのか。 だから、地方の自立、地方の独自性、そういうこともまた例えば道州制の議論の中なんかで起こってきていることでありますので、私は、これが最低でそこから上というふうに決めるか、それか全体の物差しをどっかに置いてその幅を決めるか、いろんなやり方があろうかと思いますけれども、少なくともきめの細かい対応ができるという意味においては四十七都道府県で今のような形で行うというのは決して悪い手ではないというふうに考えております。
○小池晃君 きめを細かく、千円超えれば何も私もこう申し上げないんですが、やはり全国一律でないということが複雑にし、最低賃金引き上げることをやっぱり障害になっているという面もあると思うんで、これはやはり世界の流れを見ていただいて、やはりきちっと全国一律というふうにすべきだというふうに申し上げたいと思います。 修正部分について提出者に質問したいんですが、政府案になかった「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう」という文言が加えられております。この修正によって、少しでもこう引き上がるということを期待されているんだろうと思うんですが、提出者としてはこの修正によってどのような変化、影響が最低賃金額の決定にもたらされると期待されているのか、お答えいただきたい。
○衆議院議員(細川律夫君) 小池委員にお答えいたします。 衆議院の方での審議におきましては、政府はこの政府原案の九条第三項の趣旨についてこのように答弁いたしました。 生活保護との関係は、地方最低審議会における審議に当たって考慮すべき三つの決定基準のうち生計費に係るものであるから、最低賃金法の書きぶりとしては、生活保護との整合性を配慮すると規定しているところでありますが、これは、最低賃金は生活保護を下回らない水準となるよう配慮するという趣旨であると答弁をいたしておるところでございます。 すなわち、政府が提出いたしました原案は、地域別最低賃金、三つの決定基準のうち労働者の生計費につきましては、生活保護に係る施策との整合性に配慮することとしていましたが、この趣旨というものが必ずしも明確でないと、そういうことであったところでございます。 そのため、この最低賃金の決定の際に生活費を考慮するに当たっては、生活保護との整合性について、最低賃金が労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるような水準になるよう配慮することを明確にするよう修正を行うこととしたものでございます。これによりまして、最低賃金が労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるような生活保護の水準を下回らないと、こういう水準になるというこの配慮、このことがより強化されたんだというふうに私どもは考えております。 そこで、生活保護と最低賃金の比較に当たりましては、例えば地域最低賃金は都道府県単位で決定されておりますし、生活保護は市町村の六段階の級地に区分していることなどがございます。生活保護は年齢や世帯構成によって基準額が異なるということもございます。生活保護では、必要に応じた各種加算や住宅補助、あるいはまた医療補助などがございまして、そういう論点をどのように考慮するのかということが問題となっているところでございます。 そこで、また……
○委員長(岩本司君) 細川君、簡潔に願います。
○小池晃君 もう大体分かりました。
○衆議院議員(細川律夫君) はい、分かりました。 それで、最後に申し上げますが、最低賃金の考慮要素であります生計費と生活保護とは異なるものだという認識に立って、双方共通の規範であります憲法二十五条の規定を加えることによりまして、最低賃金を生活保護水準以上に引き上げることを十分可能にするというのが本修正の意図でございます。
○小池晃君 最後、大事なことを言っていただいたと思いますが。 私どもは、世界の流れからも実態からも、最賃額決定の要素は労働者と家族の生計費を基本とするというふうに原則にすべきだと思いますし、全国一律制、支払能力を削除して生計費原則にするものにこの参議院で是非修正をするべきだということを主張したいというふうに思っております。 続いて、労働契約法案についてお聞きします。 現行労基法では、労働契約は労使が対等な立場で合意、締結、変更することになっておりますが、本法案は、合意原則を定めながら、内容の合理性を要件として労働契約の変更を就業規則の変更だけで行うことができるようになっている。合意が原則だというふうに先ほどから何度も繰り返されますが、就業規則の変更によって使用者の一方的な押し付けを明文で容認することになるということは、これは間違いないんじゃないですか。
○政府参考人(青木豊君) まずもって、就業規則の変更法理といいますのは、これは日本の労働現場における実態といたしまして、就業規則で一律的に労働条件を定めているということが非常に多くあると。そしてまた、そういうことから、労働条件の変更についても就業規則を変更することによって労働条件の変更がなされているという、七割方なされているという実態にもあると。 そういうことで、労働契約というものを考えるときに、あるいはその労働契約の変更、労働条件の変更ということを考えるときに、やはり就業規則によるこういった取扱いをどうするのかというのはきちんとルールを定めなければいけないだろうということだと思います。そういう前提に立ってやはり考えますと、最高裁の判例法理においても一定程度確立をしているというものを踏まえまして取り入れるということであります。 それで、委員がお触れになりましたように、それを規定するに際しては、やはりまずおっしゃるように労働契約というのは労使合意が原則なんだ、大原則なんだという、そういう大前提に立ちまして、それが八条でございます。明確にそういった規定をいたしまして、なおかつ第九条で、使用者が労働者と合意することなく、労働者の不利益に、就業規則の変更によって労働契約の内容を変更することはできないというのを明定をいたしまして、さらに十条で、最高裁判例で合理的にやるということでありますので、そういう意味ではその合意原則とそごを来しているというものではないというふうに思っております。
○小池晃君 判例に沿った立法化だという点は極めて疑問なんで、この点は次回でも更に議論したいと思うんですが。 あくまで労使合意が原則だというふうにおっしゃる。しかし、先ほど局長もおっしゃったように、一番労働条件変更で多用されているのは就業規則の変更で、労働政策研究・研修機構の実態調査でも七割が就業規則変更でやっている。しかも、このうち二割は労働組合などとの協議が行われていないんですね。労働者代表の意見聴取のみです。 また、働く女性の全国センターのアンケート結果では、就業規則を見ることができない人が二五%いると。その理由は、かぎの掛かった部長の引き出しの中にあるとか、専務の許可がないと見せることができないとか、イントラネットでしか見られないが接続されていない。見ることができなければ意見言うことだってできないわけです。これが実態なんですね、就業規則をめぐる。 こうした現状、実態の下で、労使合意がないままに就業規則による労働契約変更を明文で容認する法律を制定したら、幾ら合意が原則だ、合意が原則だとずっと言っているけれども、結局実態から見れば絵にかいたもちということになるんじゃないですか。
○政府参考人(青木豊君) 就業規則についての周知につきましては、これはもう既に労働基準法で周知をするということになっておりますし、今お挙げになりましたようなものは基本的には周知に当たらないだろうというふうに思います。いつでも労働者が知り得る状況にある状況にしておかなければいけないということにいたしておりますから。 したがって、こういった法律を作りまして、それによって法律効果を与えていくということでありますので、そういったものについてはきちんと、なければ法律効果は与えられないということになるだろうというふうに思っております。そういう意味では、この法律をもってそういうことがどんどんどんどん行われていくという御懸念はないんだろうというふうに思っております。
○小池晃君 そんなこと言ったって、罰則付きの法律があったってサービス残業はある、偽装請負はあると。これが日本の実態なんですから、今の実態から見れば合意原則なんというのは、これは絵にかいたもちになるのは間違いないというふうに私は思うんです。 それから、労働契約法に書かれているのは合理性の判断要素だけなんで、労働条件変更の限度が明確になっていないんですけれども、例えば労使合意がなくて就業規則の変更だけで常勤から契約社員に変更する、つまり期限の定めのない雇用契約から有期雇用契約に変更する、こういうケース認められるんですか。
○政府参考人(青木豊君) 労働契約法案の十条では、就業規則による労働条件の変更ができる場合の合理性の判断要素として四つ挙げているわけであります。 この四つの事情というのは、それぞれ、不利益の程度だとか、変更の必要性だとか、内容の相当性だとか、労働組合等との交渉の状況だとかいうことでありますけれども、これらを個別に、具体的に総合考慮して判断するということでありますけれども、例えば、今お触れになりましたように、無期から有期へ変更するというようなものについては、まあ特段の必要性が何かあれば別ですけれども、通常そのような変更は合理的であると判断するのは難しい場合が多いのじゃないかというふうに思っております。 しかし、先ほど申し上げましたように、いずれにしても、個別の事案ごとに様々な事情を総合判断して裁判所においては判断される問題であるというふうに考えております。
○小池晃君 実態何が起こっているかというと、東武スポーツ事件というのがあるんですね。これ東武のゴルフ場のキャディーさんが訴えているんですが、心配しなくていいと、給料下がらないんだというふうにだまして、無理やり契約書を判こを押させて有期雇用に変えたんですね。 これが裁判で争われている。これは一審で労働者側の主張が認められて、被告は今控訴しているんですが、東京高裁。東武スポーツ側、何と言っているかというと、労働契約の変更の合意は有効だというふうに主張した上で、仮に合意がなかったとしても、就業規則変更法理に照らして経営上の合理性があり、有期雇用の契約社員への変更と賃金ダウンは有効だ、こういう主張しているんですよ。 これが今の経営側の就業規則変更法理の理解なんですよ。これが実態なんです。こういうときに、これを正に明文で立法化すれば、私はこういう横暴がますますはびこることになるんではないかというふうに思います。 しかも、大臣は、これ労働者保護の法律であるべきだというふうにおっしゃいましたけれども、実際に今回いろいろ使われている変更法理というのは結局、秋北バス事件、大曲農協事件、第四銀行、それぞれ全部、使用者側の一方的な労働契約変更を否定したんじゃなくて肯定した判決ですよね。最近では、住友重機事件のように、経営が順調なのに、これは債券の格付低下が重大な経営危機だと言って、就業規則による賃下げ認めた判決まで出ているんですよ。これが実態なんです。 大臣、こんな中で就業規則変更法理の立法化をして、どうして労働者保護が進むというんですか、お答えいただきたい。
○国務大臣(舛添要一君) 正にこの労働契約法をきちんと法制化することによって企業の社会的責任、そういうことを世に周知させる、その合理的な行動を求めるというためにもこの法律が必要でありまして、そういう世の中の大きな変化でありますよということを経営者側にもきちんとこの法律によって知らしめる、それは大きな意義があると思いますし、そういうきちんとした合理的な行動を取らない経営者はこれから我が日本では生き残っていけないと、そういう時代にしたいと思っております。
○小池晃君 非常に危険な法案だと改めて指摘します。 それから一点、先ほど薬害C型肝炎の問題で、田辺三菱製薬が三十八人死亡されたという、そういうことを発表された。これ二〇〇二年の段階でこの方たちは元気だったのかどうか、あるいはその時点で感染を御存じだったのかどうか。私、重大だと思うんですね。それから、死因は何なのか、徹底調査すべきだと思うんです。 しかも、大臣はコメントで、御本人がお亡くなりになっている場合には御遺族にお知らせするよう指示している、これしか言っていない。これ重大問題だという認識、大臣あるんですか。このコメントは余りにも冷た過ぎるコメントじゃないですか。
○国務大臣(舛添要一君) 私は、昨晩きちんと報告を受けた。それで、今日、朝から委員会ですから、コメントを付けてやる。 それで、要するにこういうことなんですね。私が呼んで指示をするまで製薬メーカーは動かない。動き始めた。黙ってたら報告も上げてこない。だから必ず一週間に一遍報告をしなさいよと。遺族にちゃんと知らせなさいということを言わなきゃ、知らせることすらしないんですよ。ですから、それを一つ一つきちんとやっていく。 私にまだどういう死因かも知らされていません。この前だって、分からないということで、十一例、十一人亡くなってますよって、私に来た紙には書いてないんだから。今回は書いてきた。ですから、きちんと製薬メーカーはやってもらわないといけない。それで、死因についても徹底的に調査する、今おっしゃったように。 だから、私がやる気がなくてやっているんではなくて、冷たいコメントじゃないんですよ。今この場ではっきり申し上げますけれども、製薬メーカーも全力を挙げてきちんとやるように指示をし、十分でなければ更に厳しい指示を与えると、そういうことでございます。 ─────────────
○委員長(岩本司君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生労働省医薬食品局長高橋直人君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岩本司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。 私も冒頭、肝炎について一言お聞きをいたします。 初め十一人死亡ということだったんですが、三十八名という発表になりました。四百十八人のリスト記載者のうち特定できた人が二百四十二人、うち死亡者が三十八人に上ると田辺三菱製薬から厚生労働省に報告がありました。肝炎で死んだのか、死因については分からないということですが、大至急やるべきだということを改めて要望します。 そして、私はけしからぬと思うのは、この三十八名のうち御遺族に連絡済みの症例数は八例というわけですね。三十八名亡くなっていれば、きちっとその人たちの遺族に言うべきではないですか。余りに、余りに企業、製薬会社の反応が遅過ぎる。 申し訳ないが、指示をしたと言うが、厚生労働省、もっと責任持って迅速にやってくださいよ。いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) 今いみじくも福島委員が御指摘いただいたように、三十八例のうち八例しか指示していない。ですから、きちんと遺族に指示しなさいと今の段階で申し上げます。 今後、迅速な対応が取れてない、不十分であれば更に厳しい指示を与えると、そういう決意でございます。
○福島みずほ君 フィブリノゲン投与の二十八万人への告知、すべての血液製剤の投与の告知の期限はいつまでに終えるのでしょうか。
○政府参考人(高橋直人君) フィブリノゲン製剤が投与されたと推定されます約二十八万人の方々につきましては、平成十六年十二月に七千の医療機関の名称を公表いたしまして、これらの医療機関に対しまして元患者の方に対するできる限りの情報提供、協力を依頼したところでございますけれども、今回改めて御依頼をもう一回お願いをいたしております。その状況につきましては、十二月上旬までに医療機関からの報告を受ける予定にいたしております。
○福島みずほ君 大臣、どうですか、医療機関からの報告を受けるという段階で、できるだけ早くすべての人に告知をする、それを促進してやらなければならないじゃないですか。今の局長の答弁では生ぬるいと思います。いかがですか。 それから、企業の人たちは当事者たちに会おうとしません。大臣は会ってくださいました、肝炎の被害者に。企業もきちっと会って、促進してやるべきだ、どうですか。遺族の報告だってしてないんですよ。
○国務大臣(舛添要一君) まず、二十八万人への投与の件の、これは今予算措置も含めて、あらゆる手段でできるだけ早く告知をする。それから、第Ⅷ、第Ⅸ因子についても、これもホームページを始め、もう既にホームページにつきましてはすぐ見れるようにしております。それから、無料相談ダイヤルを設置して、一日に物すごい数の今相談が起こっていますんで、第Ⅷ、第Ⅸ因子についてもできるだけ広く告知をする、しかもできるだけ早くやると、そういうことでございます。 それで、私は、大阪高裁の和解というシグナルが出ましたんで、是非、まあ原告、被告という立場がありますから、その意味では、ある意味では禁欲をしてきましたけれども、是非、直接皆様方のお声を賜りたいということで、それぞれの地域の方から本当に深刻な声を直接賜りまして、これは何とかやっぱり解決しないといけないと、そういう決意を新たにしたところでございます。 今、大阪高裁が一生懸命この和解に向けて努力をする。我々もそれにこたえる努力をする。是非、製薬メーカーの方もきちんと誠意を持って大阪高裁のイニシアチブにこたえていただきたいと思いますので、そういうプロセスにおいて原告の患者の皆様方の声を直接お聞きするというのも一つの考えであろうと思います。
○福島みずほ君 労働契約法についてお聞きをいたします。 就業規則の合理性と周知性、それから就業規則の不利益変更の合理性と周知性のことについてお聞きをいたします。 就業規則は使用者が一方的に作るものです。契約は両方の合意ですが、就業規則は一方的に作るものです。世の中にはとんでもない就業規則も山ほど存在をしている。弁護士として、就業規則における賃金差別を裁判で争ったりしてきました。 ここの手元にあるのは外資銀行の給与規程です。これには、定期昇給は原則的に毎年四月に、男子職員は九千円、女子職員及び雇用員は六千円、そして五年以上勤続職員に対しては四千円範囲内で、現地事情を勘案し、店舗長が決定する。明確に女性差別であり労基法違反ですが、このような就業規則が存在していることについてどうお考えでしょうか。
○政府参考人(青木豊君) 就業規則は、委員がお触れになりましたように、事業主が定めるというものであります。問題は、そういった定めによって法律効果がどういうふうに与えられるのかということだというふうに思います。 労働契約法で就業規則の変更による労働条件の変更についての規定を置くというに当たりましては、労働契約の内容となる就業規則の内容かどうかというのがまずもって前提だというふうに思います。就業規則の内容のうち、合理性があると認められるものが労働契約の内容となるものでございます。合理性のないものについては労働契約の内容とはなりません。いずれにしても個別判断ということになるわけですけれども、基本的にはそういうことであるというふうに思います。 この御指摘の事例について一般的に申し上げれば、労働者が女性であることを理由として賃金について差別的取扱いを行うことは労働基準法四条に違反しますので、このような就業規則が監督署に届け出られた場合には、その内容を確認した上で必要な指導を行うことといたしております。
○福島みずほ君 労働基準監督署は、就業規則を受理する際、その合理性についてどのくらいチェックをしていますか。
○政府参考人(青木豊君) 労働基準法では、八十九条で、十人以上の労働者を使用する使用者に対しましては、法で定める必要事項をすべて含めた就業規則のまず作成、それから変更、それから届出、それからまた法九十条では、就業規則の作成手続としての労働者の団体としての意見の聴取義務なんかをやって……
○福島みずほ君 局長、局長、法律は分かっていますので、答えだけお願いします。
○政府参考人(青木豊君) それについて監督署に届け出られるわけでありますけれども、監督署においては、その受理に際しまして、基準法で定められた労働時間でありますとか休憩でありますとか休日等の最低労働基準、あるいは就業規則の作成、変更に係る手続、そういったものを満たしているか否かを確認しているところでございます。
○福島みずほ君 合理性についてチェックをしている。じゃ、労働基準監督署は許可制ですか、ちゃんとチェックしていますか。労働基準法違反は排除しますよね、受け付けない、もちろん。だけれども、じゃ、合理性について、これは排除するんですか、許可制にするんですか、チェックするんですか。
○政府参考人(青木豊君) これは許可ではございませんで、届出ということであります。 しかし、労働基準監督署に届け出られた就業規則の内容を今申し上げましたように点検をいたしまして、基準法、労働基準法等に違反する内容が定められているということを把握、確認した場合には、その内容を説明して、法令に合致したものになるように変更するよう指導しているところでございます。
○福島みずほ君 合理性と法律違反というのは概念が同じですか。
○政府参考人(青木豊君) いや、必ずしも同じとは言えません。
○福島みずほ君 そのとおりですよね。合理性があるものは労働契約の中身になるというふうに法律に書いてあります。しかし、法律違反は存在そのものが罰則ですから、それはもう初めからはじき飛ばされるわけですね。 合理性、労働基準監督署は法律違反をチェックしますが、合理性は判断しません。じゃ、だれがチェックするんですか。
○政府参考人(青木豊君) これは、合理性については最終的には裁判所で決着をするということになるだろうと思いますけれども、基本的には法律に基づき労使が、労働者側も意見聴取ということでチェックをするわけでありますので、基本的には労使の関係でそのチェックができるということだろうと思います。
○福島みずほ君 チェックできないですよ。労働基準法違反は明確に排除される。合理性の基準は最終的に裁判所で争って勝つしかないんですよ。それまでは合理性の担保は労働基準監督署は行わない。つまり、合理性の担保のない就業規則がそれまでは労働契約の中身になっちゃうんですよ。だから、問題なんです。違法かどうかという問題と合理的かどうかという問題は違う概念だと今おっしゃったじゃないですか。 違う質問に行きます。とんでもない就業規則にたくさん遭ってきたから、そのことを言いたいわけです。 就業規則は知っているよという人の統計も結構あるんですが、実際、裁判やったときに自分の会社の就業規則を熟知している人や知っている人はほとんどいませんでした、私が担当した場合。就業規則も古くなっていたり、古びていたり、問題があるものも非常に多かったです。 例えば、先ほどもありましたが、働く女性の全国センターでは、就業規則アンケートによると四分の一の人たちが就業規則を見ることができない。会社のイントラネットで見ることができるが、そのイントラネットの接続をされていない、大手銀行。管理職が就業規則を持っているため見せてほしいと言い出しにくい。ある場所さえ知らない。あるのかどうかも分からない。派遣は手伝い要員にすぎないから見せてもらえない。自由に開閉しにくい書棚に置いてあるのでそれを見るにはかなり勇気が要る。就業規則は社長が管理している。就業規則はかぎの掛かった部長の机に入っていて見られない。コピーもさせない、転記するのみ。 パートの人に対しては労働契約の中身をきちっと直接提示するとあるじゃないですか。最も親切なのは就業規則を直接交付することだと思います。周知なんてよく分からないじゃないですか。 現状はこのとおりなんですよ。局長、就業規則の周知なんて現実は絵にかいたもちじゃないですか、どうですか。
○政府参考人(青木豊君) 今委員がお話しになったのがすべてであれば、それはおっしゃったとおりだと思いますけれども、そういう場合もあるかもしれませんけれども、それ自身は、今ほとんどの場合、お触れになったほとんどの場合には周知されているとは言い難い局面だと思います。 その周知については、就業規則の周知方法、入社時に説明しているというのが五三%ありますし、それから、各職場に掲示したり備え付けたりして従業員が自由に見られるというのが三四%あります。それから、これは若干あれですけれども、管理部門なので、従業員から申出があったときに見せているというのが三三%あります。それから、おっしゃったように、従業員に配付しているというのが二〇%ございます。 確かに、おっしゃるように渡すというのが最も確実であると思いますけれども、それ以外の方法でも、きちんと就業規則をいつでも労働者が知り得る状態にあれば周知ということだというふうに思っております。 例に挙げられた、例えばちょっと一つ、派遣の話では若干違うのかなと思っていますのは、派遣労働者の就業規則については派遣元が周知義務を負っていますので、派遣先については就労条件明示ということが必要だと。それ以外、を除いては委員がお触れになったのは特異な例かなというふうに思いますけれども、いずれも、どうもそれは周知されているとは言い難いのではないかなというふうに思います。
○福島みずほ君 いや、特異じゃないんですよ。特にパートや女性の場合はほとんど見ていないというふうに思います。 ちょっと話が戻って済みませんが、さっき局長おっしゃったとおり、就業規則は十人以上だと労基署に持っていかなくちゃいけないけれども、それ未満だと別に持っていく必要ないですね。合理性の担保って一体どこでされるんですか。
○政府参考人(青木豊君) 先ほど申し上げましたように、まず、これは法律でこういう基準を定めて法律効果を与えるものでありますから、まずありきということだと思います。 担保とかチェックという話でありますけれども、これは、就業規則については労働者の側の意見を聴取するということで、そういったところのチェック、あるいは現に働いている人たちが周知をされていないということで、そういった意味でのチェックが周知されていない場合には出てくると思いますし、それから最終的には裁判ということになるわけでありますけれども、先ほどちょっと、前の御質問の中で、裁判で負けるまでは不当な就業規則が労働契約の内容になるとおっしゃいましたけれども、そういうことではないだろうというふうに思います。それはその時点でもう既に決着が本来付いているもの、法律効果としては付いているものだというふうに思っております。
○福島みずほ君 いや、法律効果として裁判で決着を付けば、こちら側でいえば勝つ、局長側でいえば負けるという、今おっしゃいましたけれども、企業側でいえば負ける、労働者側でいえば勝った場合にその労働契約が無効になるわけですが、それまでは一応その労働契約の中身になるわけじゃないですか。労働者が裁判で勝つまではその就業規則の中身が労働契約の中身になってしまう、それがこの法案の最大の問題点ですよ。 先ほど、意見聴取を労働者にすると、聴取ができる、確かに条文上はそうなっています。しかし、合意なんか要らないんですよ、聴きゃいいんですから。それが何も、合理性の担保にも何にもならないですよ。合意にもならない、聴くだけですから。 それから、就業規則の不利益変更について、第四銀行事件は七つの要件、合理的かどうかということについて七要件を言っています。それが今度の条文で四要件に減っています。減ったものは何か。代償措置その他関連する他労働条件の改善状況、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等。なぜ七つの要件を四つに減らしたんですか。
○政府参考人(青木豊君) 第四銀行の事件の最高裁判決は確かに七つの考慮要素を挙げているわけでありますけれども、この中に内容的にお互い関連し合うものもありますので、法案化に当たりましてこれを整理統合するということで、労働契約法案の十条ではおっしゃったように四つにしたわけであります。 それで、今挙げられましたように、労働契約の内容自体の相当性だとか他の、代償措置その他の関連する労働条件の改善状況というものは、それは法案で言います変更後の就業規則の内容の相当性ということに代表をされる、整理されるということであります。 労働組合との交渉の経緯や他の労働組合あるいは他の従業員等の対応についても、これは労働組合等との交渉の状況ということで整理がされるということでこの法案の規定をいたしたものでございます。
○福島みずほ君 代償措置その他関連する他労働条件の改善状況が変更後の就業規則の内容の相当性に盛り込まれるという理解は非常に難しいと思います。むしろ、はっきり明示してもらった方がいいと。 ただ、今局長は代償措置、じゃ逆にお聞きします、代償措置その他関連する他労働条件の改善状況、これは合理性の判断基準になるということでよろしいんですね。
○政府参考人(青木豊君) そういったものを総合判断してするということにはっきり言えばなるということであります。
○福島みずほ君 なれば書けばいいと思いますが、なるということですね。 じゃ、他の労働組合又は他の従業員の対応、他の少数組合がとても反対している、パートの人が反対している、この他の労働組合又は他の従業員の対応、これは合理性の判断基準のメルクマールになるということでよろしいですね。
○政府参考人(青木豊君) おっしゃるとおりだと思います。
○福島みずほ君 同種事項に関する我が国社会における一般的状況等、判例の七要件目です。これも合理性のメルクマールに明確になるということでよろしいですね。
○政府参考人(青木豊君) はい、そういうふうになると思っております。
○福島みずほ君 それならば書けばいいじゃないですか。
○政府参考人(青木豊君) 先ほど申し上げましたように、お互い七つの考慮要素というのは整理をいたしますと四つに整理できる、お互いに関連する内容のものについては、法案化するに当たっては、条文化するに当たっては整理ができるということで整理をいたしたわけでございます。
○福島みずほ君 変更された就業規則に対して異議申立てがあり裁判となった際、就業規則はどの時点から有効ですか。
○政府参考人(青木豊君) 就業規則の変更については、それが合理的で有効に変更できたということであれば、その変更時点でもちろん効果が生ずるということだというふうに思っております。
○福島みずほ君 就業規則の不利益変更は、調査によりますと、この間、九〇年代半ば以降に人事労務管理制度に関する何らかの制度改定を行った企業を対象に集計した結果、六一%ぐらい、つまり不利益変更している企業がとても多いんですね。すべての人に不利益か、だれかの一部に不利益か、不利益変更の就業規則はとても高く行われている、有利に就業規則が変更される例より圧倒的に不利益に変更される場合が多いんですね。今の局長の答弁は、存在するものは合理的である、ヘーゲルじゃないけれど、変更した時点から有効なわけじゃないですか。 じゃ、お聞きします。裁判の結果、私たち側でいえば労働者が勝った、局長の立場で企業側が負けた場合に無効となるんですが、いつから無効となりますか。
○政府参考人(青木豊君) 申し訳ありませんが、別に企業側の立場で言っているわけではありませんけれども……
○福島みずほ君 さっき負けたとおっしゃったから。
○政府参考人(青木豊君) 裁判で最終的には争いがある場合には決着するわけですけれども、それは、決着したときに、いつからじゃそれが効果が出るかということでありますので、それは変更の時点から無効になったり、それから有効が確認されたりということになるだろうというふうに思っております。
○福島みずほ君 問題なのは、裁判で就業規則の不利益変更の裁判例があって、就業規則の不利益変更を、この不況下、実は認めた判例が多い。しかも、その判例よりも後退している四要件でやっているわけですね。 だから、お墨付きを与える。就業規則の不利益変更をしたい企業ばっかりですよ、やっぱり不況だし。そうすると、実際は就業規則の不利益変更をこの労働契約法がお墨付きを与えるんですよ。やったときから有効なんですよ、さっき局長おっしゃったとおり。裁判で無効にならない限りはこれは覆しようがないんですね。 たくさんの就業規則の不利益変更の労働相談を、民間の、さっき言った働く女性の全国センターがインターネットアンケートをやった結果、就業規則の不利益変更の例がたくさんたくさん寄せられています。正社員が非正規になったり、労働条件が悪くなったり、賃金が下がったりということが非常に多いのです。 大臣、この労働契約法、聞いていてやっぱり問題だと思われませんか。
○国務大臣(舛添要一君) 今、福島委員が御指摘になったような懸念もあるかと思いますけれども、しかし、基本的に労働契約のルールを明確化したというのは大きな第一歩だと思います。 ですから、これは言わば仏を作ったんで、今からみんなで魂を入れていかないといけない。労働環境の改善の第一歩ですから、今おっしゃったような就業規則の不利益変更が濫用されるようなことを避けるために正にここに合理性の規則をぴしっと入れたわけですから、そういう時代にしましょうと、そのためのプログラム規定でもあるわけです。 だから、このルールの明確化、これを基にして、どうか共産党の方々も社民党の方々も一緒に監視していただいて、そういうことがないように更にいい労働環境をつくり、日本の活力を保っていきたいと、そういう決意でございます。
○福島みずほ君 この労働契約法がない方が裁判争いやすいですよ。こんなへんてこりんな四要件減らして、しかも変更した時点から有効だというんだったら、本当に就業規則の不利益変更はばんばんやられますよ。判例で積み上げてきた内容がむしろ後退をして、使用者側に有利に利用されてしまう。 ところで、過半数代表制についてですが、労働組合の同意は就業規則の不利益変更に要件ではありません。別に、言っていれば、交渉すれば、労働組合がオーケーと言わなくたって、これは就業規則の不利益変更の合理性はあると認められるわけですよね。 過半数代表制のことなんですが、部長職、課長職、係長職などの管理職が参加している過半数代表制が非常に多いと。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、係長、主任、班長クラスの職位に就く過半数代表は四九・五%、一般職クラスが二二・〇%、課長クラスが一三・二、部長、次長クラスが一〇・六。特に、規模が小さい会社は部長、次長クラスが二割弱、社長が命ずるなんというのもとても多いわけです。これで労働組合と交渉したと言われてはたまったものじゃないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(青木豊君) 労働基準法の過半数代表者につきましては、労働基準法施行規則六条の二におきまして、労働基準法第四十一条第二号に規定する監督又は管理の地位にある者でないことを一つの要件としております。 したがって、役職名だけでは即断はできないわけではありますけれども、仮に労働基準法上の管理監督者を過半数代表者として選任している場合は法令違反となるものでありまして、そのような事案については適切に私どもとしては対処していきたいというふうに思っております。
○福島みずほ君 実際は、管理職のような人たちが過半数代表制の中に入っていると。変更手続における従業員代表は、パートなどの非正規雇用はゼロ%というデータもあるんですね。だから、パートの人に不利益な就業規則の不利益変更を管理職作れちゃうという現状があるわけです。 今日の私の質問は、現実の就業規則がでたらめであったりひどいものも多い。届け出られているものにもひどいものがある。しかも、十人未満だと届けられない、届けなくてもいいし、届けている中にもひどいものが多い。就業規則の不利益変更がとても極めて行われていて、結局、このことで、要件が緩くしているので、判例よりも、ひどい事態が起きるだろうと。 この続きはまた次回やります。許されないということで、終わります。
○委員長(岩本司君) 舛添大臣、時間が来ておりますので、簡潔に願います。
○国務大臣(舛添要一君) 最後一点。 先ほど、産業政策と雇用政策のハーモナイゼーションが必要だというのは坂本委員の質問にも答えましたけれども、就業規則の不利益変更が起こるというのは、大変な不況下において、それであっても雇用を確保したいというニーズが片一方はあるということですから、やはり日本経済を活性化させて生産性を上げていく中において雇用政策もきちんと位置付ける、そういうことであればこの問題は解決すると確信しております。
○福島みずほ君 終わります。
○委員長(岩本司君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時五十八分散会