本会議 第36号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2007/06/13
会議録
○議長(扇千景君) これより会議を始めます。 この際、日程に追加して、 公認会計士法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。山本国務大臣。 〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本有二君) ただいま議題となりました公認会計士法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 本法案は、企業活動の多様化、複雑化、国際化、監査業務の複雑化、高度化、公認会計士監査をめぐる不適正な事例を踏まえ、組織的監査の重要性が高まっている状況に対応するため、監査法人制度等について見直しを行うものであります。 以下、その大要を申し上げます。 第一に、監査法人の品質管理、ガバナンス、ディスクロージャーを強化するため、業務の執行の適正確保や業務の品質管理の方針の策定及びその実施のための業務管理体制を監査法人が整備することを義務付けるとともに、監査法人の社員資格を公認会計士以外の者に拡大し、また、監査法人による情報開示を義務付けることとしております。 第二に、監査人の独立性を確保し、その地位を強化するため、監査人の独立性に関する制度を充実するとともに、監査人が財務書類に重要な影響を及ぼす不正・違法行為を発見した場合における当局への申出制度を導入することとしております。 第三に、監査法人等に対する監督や監査法人等の責任の在り方の見直しとして、課徴金納付命令や監査法人に対する業務管理体制の改善命令など行政処分を多様化させるとともに、有限責任組織形態の監査法人制度を創設することとしております。また、外国監査法人等に係る届出制度を整備することとしております。 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。尾立源幸君。 〔尾立源幸君登壇、拍手〕
○尾立源幸君 私は、ただいま議題となりました公認会計士法改正案につきまして、民主党・新緑風会を代表して質問いたします。 貯蓄から投資への流れを加速させることは、政府が目指す金融サービス立国実現の必要条件であるばかりでなく、リスクマネーの安定供給を通じて経済を活性化し、金融システムを安定させる効果が期待できます。また、個人消費を刺激する効果も期待できます。そして、政府の目指す金融サービス立国を実現するために、山本金融担当大臣が東京市場のシティ化構想を打ち出した意気込みは評価いたします。 しかし、現実には、貯蓄から投資への流れの中で様々な金融不祥事が起きています。足利銀行、カネボウ、ライブドア、村上ファンド、日興コーディアルなど、名前を挙げれば切りがないほど粉飾決算やインサイダー取引など証券市場を舞台に多くの事件が起き、投資家だけでなく、取引先、従業員、地域経済にも多大な悪影響を与えています。 超低金利政策が続けられる現在、預貯金から得られる利息はわずかです。そのため、多くの善良な一般投資家が貴重なお金を株式に投資しています。しかし、一たび粉飾決算が発覚すると株価は暴落し、場合によっては全財産を失ってしまうという悲劇も生じています。こんなことでは貯蓄から投資へをお勧めすることはできません。 こういった問題を未然に防ぎ、信頼できる金融市場を構築するためには、次の三つが求められます。まずは、財務諸表を作成する経営者の責任を明確にし、取引の場を提供する取引所への信頼を構築し、そして財務諸表の適正性を判断する監査への信頼を高めることです。スポーツで例えるなら、経営者は選手、取引所は競技場、監査は審判です。これらすべてが決められたルールに従って公正に試合を行う仕組みが求められています。 今回の公認会計士法改正案は、公認会計士制度の充実強化を行い、審判の襟を正すことを求めるものです。しかし、同時に、企業側における企業統治の充実強化、すなわち選手が審判に不正を見逃すことを強要しないような仕組みをつくることも不可欠です。 そのためには、まず会計監査人の独立性を高めることが必要ですが、現行制度では経営者が監査人とその監査報酬を決める仕組みになっており、企業のお目付役である監査役には同意権しかありません。これでは犯罪を取り締まる警察官が泥棒から雇われているようなものです。このような問題を解消するためには、監査役に監査人の選任や報酬の決定権を与えることが先決です。 これについて、金融庁も参加している証券監督者国際機構は、二〇〇二年に監査人の独立性及びそのモニタリングにおける企業統治の役割に関する原則の中で、企業の経営陣から独立した企業統治機関が外部監査人の選定・指名プロセス及び監査の遂行を監督すべきであると述べ、監査役に監査人の選任や報酬の決定権を与えることと提言され、諸外国では既に実施されています。 我が国では監査役にこれらの権限を与えていないばかりか、今回の金融審議会報告の中では、会計監査人の選任議案及び報酬の決定に係る監査役等の同意権の付与を定めた会社法につき、関係当局において早急かつ真剣な検討が更に進められることを期待したいと述べるにとどまっています。法務省が会社法を改正したくないという意向を持っているから、このような記述になったのでしょうか。 国際的な流れに合わせて、専門家から成る監査委員会あるいは監査役に監査人の選任や報酬の決定権を与えるべきと考えますが、世界に目を向け、東京市場の国際化を進める山本金融担当大臣及び長勢法務大臣の御所見をお聞きいたします。 監査役に監査人の選任や報酬の決定権を与えることや監査役の体制強化については、会社法の改正が必要になります。しかし、この改正は、証券市場で投資家に対して適切に情報開示を行う必要のある公開会社のためのものであって、中小零細を含むすべての株式会社に求められるものではありません。 そこで、株式を市場に公開している公開会社に限定して適切な企業統治を義務付ける公開会社法の制定を提案したいと思いますが、長勢法務大臣の御見解をお聞きいたします。 また、塩崎官房長官は、二〇〇四年十二月に自民党企業会計に関する小委員会の委員長として、公開会社法制度構築に向けて検討することを提言されていますが、民主党が公開会社法案を提出した際には賛成していただけるのか、お聞きいたします。 粉飾決算を防ぎ、信頼できる金融市場を構築するためには、監査人の独立性を高めるだけでなく、より直接的に虚偽の情報開示を行った企業への制裁を強化する必要もあります。現在の金融商品取引法は、粉飾決算やインサイダー取引などによって不当に得た利益を没収するだけであり、制裁にはなっていません。課徴金納付命令が出された事例はこれまで二十五件ありますが、四万円から五億円にとどまっています。これに対して米国では、不当に得た利益の二ないし四倍を制裁金として科す仕組みとなっており、巨額の粉飾決算事件を起こした旧ワールドコムに約九百億円もの制裁金の支払が求められています。 我が国でも、やり得、やり逃げに終わらせないより強い制裁を科すべきと考えますが、山本金融担当大臣の御見解をお伺いいたします。 次に、四大監査法人の一角のみすず監査法人が七月三十一日に全業務を終えて法人を解散することが決まっています。 上場会社の監査の八割以上を四大監査法人が行っている、すなわち監査市場が寡占状態となっているため、上場会社が監査人の変更を希望しても自力で契約できない、いわゆる監査難民が生じるおそれが生じます。国際的には、監査の継続性を確保するため、中堅監査法人の育成を進める流れになっていますが、今回の法改正にはそのような視点は全く見られません。監査難民が生じないよう、中小監査法人の育成の必要性をどのように考えているのか、山本金融担当大臣に御所見をお聞きいたします。 今回の改正で、監査法人に対する業務管理体制の改善命令、役員解任命令、さらに課徴金納付命令など、行政処分の多様化が図られました。しかし、課徴金の納付命令があいまいな要件のまま濫用されると、特に財政基盤の弱い中小監査法人には解散命令と同じ効果を招きます。課徴金納付命令の濫用がないよう歯止めを掛ける必要があると考えますが、山本金融担当大臣の御見解をお聞きいたします。 公認会計士制度の充実のためには、公認会計士の質と数の充実が不可欠です。 その観点から考えると、公認会計士試験の在り方についても再検討が必要と考えます。なぜなら、現在の公認会計士試験は、平成十年に閣議決定された規制緩和推進三か年計画に基づいて、明確で合理的な理由のない受験資格要件の廃止が検討された結果、極端な例ですが、小学生でも受験できる制度になっているからです。アメリカ、イギリスなど、我が国に比べ規制の少ない国々でも、大学卒業者を前提とした試験制度になっています。日本でも、かつては会計の専門的な知識だけでなく、一定の教養を求めていましたが、現在では、日本は世界に例を見ない行き過ぎた規制緩和によって歯止めのない試験制度になっています。 従来の一次試験のような基礎的な学力を判定する仕組みを導入すべきと考えますが、山本金融担当大臣にお聞きいたします。 財務諸表の適正性を確保するためには、公認会計士制度の充実とともに、十分に時間を掛けて監査を行うことが必要です。 日本公認会計士協会が行った調査によると、監査時間数の国際比較では、海外主要国の監査時間数は、我が国の同業同規模企業の監査時間数と比べ、最大で約二・八倍となっており、売上高二千億円程度の上場企業に望ましい会計監査手続を実施するのに年間四千五百四十一時間が必要であるのに対し、実際にはその半分の時間しか費やしていないケースもあります。また、今回の金融審議会報告においても、監査報酬、監査時間については、被監査会社に係る監査上のリスクを踏まえて適切な監査計画が策定され、当該計画に沿って適切な水準が確保されていくことが重要であると述べられています。適切な監査時間を確保するためにどのような対策が考えられるのか、山本金融担当大臣にお聞きいたします。 最後に、一言申し上げます。 民間企業の財務情報の適正性を確保するために、いかにして公認会計士制度を強化充実するかについてお聞きいたしました。現在、国民的関心となっている年金問題についても、年金記録という情報の適正性に疑問が持たれています。これについては、まず社会保険庁の責任が問われなければなりませんが、政府において監査人すなわち公認会計士と同じ役割を果たす会計検査院もチェック機能を果たしていなかったのではないかと思います。社会保険庁の年金記録の管理業務について会計検査院が有効性検査を行い、しっかりとチェックしていれば今回のような問題を未然に防げたかもしれません。会計検査院自体の有効性検査を行うべきとの声が必ず出てきますので、会計検査院の奮起と更なる活躍を期待します。 また、年金記録の調査に対する政府の姿勢も疑問です。金融庁は、生損保の不払、未払について保険会社に行政処分を科し、徹底的な調査を命じています。そして、責任を取って辞任した経営者もいます。しかし、年金問題について、政府は不完全なデータしかないコンピューター上での名寄せ作業だけでお茶を濁し、さらにだれも責任を取ろうとしていません。民間企業には厳しく責任を取らせる反面、自らは部下や他人に責任を押し付け、自分に甘い姿勢は、安倍政権の官尊民卑の思想を表しているだけではなく、正に無責任内閣そのものです。 このような政権に国民の生活を任せておくわけにはいきません。安倍政権に必ずや参議院選挙で国民の厳しい審判が下ることを明言して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手) 〔国務大臣山本有二君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本有二君) 会計監査人の選任、報酬決定についてお尋ねがございました。 会計監査人が被監査会社の経営者と監査契約を締結し、被監査会社から監査報酬を支払われる、いわゆるインセンティブのねじれにつきましては、議員御指摘のとおり、監査委員会に監査人の選任や報酬決定の責任を持たせることで克服を図ることが国際的な潮流であると認識しております。 金融庁といたしましては、こうしたインセンティブのねじれの克服に向けまして、会計監査人の選任や報酬決定における監査役等の権限強化につきまして、関係当局による検討が早急に進められることを強く期待しております。 次に、金融商品取引法における課徴金額の水準についてお尋ねがございました。 公正な取引や企業による適正な開示を確保することは極めて重要でございます。金融商品取引法におきましては、不公正取引や開示義務違反に対する課徴金制度を導入することにより、違反行為の抑止を図っているところでございます。金額水準を含め、金融商品取引法の課徴金制度の在り方につきましては、より実効的な抑止効果の確保を図る観点から、独占禁止法の課徴金制度の見直し結果も踏まえつつ、今後検討してまいる所存でございます。 次に、中小監査法人の育成についてお尋ねがございました。 適正な開示に真摯に取り組んでいる企業等が監査を受けられないといった事態を防ぐためには、監査業務を適正に行う能力を持った中堅、中小の監査法人の存在が極めて重要であると考えております。金融庁といたしましては、中堅、中小の監査法人の状況も含め、会計監査に係る制度や実務の動向を引き続き関心を持って注視してまいります。 次に、課徴金納付命令の濫用防止についてお尋ねがございました。 今般の改正案では、公認会計士監査に係る違反行為を防止する観点から課徴金制度を導入しておりますが、一定の行政処分を行う場合には課徴金納付命令は行わないことが可能となっております。こうした仕組みにより、監査法人等の業務の状況等を踏まえ、個々の違反行為に実効的かつきめ細かい対応を図っていくことが可能になっているものと考えております。 次に、公認会計士の試験制度についてお尋ねがございました。 公認会計士試験につきましては、受験者層の多様化と受験者数の増加を図ることが不可欠との認識の下で、平成十五年の公認会計士法の改正において、大学卒業程度の一般的学力の有無を判定する旧一次試験の廃止を含めまして、試験体系の大幅な簡素化を行ったところでございます。公認会計士試験は、公認会計士として必要な学識と応用能力の有無を判定する試験であることから、我が国全体の高学歴化が進む中で、専門知識以外に基礎的な学力を判定する仕組みを再び設けることにつきましては、十分慎重な検討が必要と考えている次第でございます。 次に、監査時間の確保についてお尋ねがございました。 監査時間につきましては、監査先の会社に係る監査上のリスクを踏まえて、適切な監査計画を策定した上で当該計画に沿って適切な水準を確保していくことが重要と考えております。今後とも、日本公認会計士協会等と連携しつつ、監査時間の見積りに関する研究報告等の成果を監査計画の策定に適切に活用するなど、監査時間の確保のための環境整備に努めてまいります。 以上でございます。(拍手) 〔国務大臣長勢甚遠君登壇、拍手〕
○国務大臣(長勢甚遠君) 尾立議員にお答え申し上げます。 会計監査人の選任議案及び報酬の決定についてお尋ねがありました。 法務省といたしましては、会計監査人の独立性の確保は重要な課題であり、そのため会社法においても、会計監査人の選任議案及び報酬の決定について監査役等の関与を認める規律を設けております。この会社法の規律は、議員御指摘の国際的な流れにも沿うものであると考えております。 この問題については、実務の実情に即した不断の見直しが必要であることは申し上げるまでもありません。御指摘の報酬に対する監査役等の同意の制度は、実質的にはいまだ施行されていない新しい制度であり、その運用状況について必要な調査を行うなど、今後とも検討を継続してまいりたいと考えております。 また、公開会社法の制定についてお尋ねがありました。 我が国の現在の法体系におきましても、基本法である会社法の一部の規定のほか、証券取引法等において、上場会社に特有の規律が定められております。それに加えて、上場会社に特有の規律を設けることの要否、その立法形式の在り方については、実務の状況等を注視しつつ、関係官庁とも連携し、今後とも検討していくべきものと考えております。(拍手) 〔国務大臣塩崎恭久君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎恭久君) 尾立議員にお答えいたします。 民主党が公開会社法を提出した際に賛成をするのかというお尋ねがございました。 上場会社をめぐる法律関係につきましては、広く一般投資家が株主となり得るという上場会社の特徴を踏まえて、独自の規律を設ける必要があるかを検討していくことは、御指摘のように大変重要だと思っております。 ですけれども、まずはその具体的な内容について慎重に検討する必要がありますので、民主党が提出する法律案に現段階で賛成するか否かについて申し上げることはできないのではないかと思うところでございます。 以上でございます。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。 ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第一 平成十七年度一般会計歳入歳出決算、平成十七年度特別会計歳入歳出決算、平成十七年度国税収納金整理資金受払計算書、平成十七年度政府関係機関決算書 日程第二 平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書 日程第三 平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書 以上三件を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。決算委員長泉信也君。 ───────────── 〔審査報告書は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔泉信也君登壇、拍手〕
○泉信也君 ただいま議題となりました平成十七年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 平成十七年度決算外二件につきましては、昨年十一月二十四日の本会議において財務大臣より概要の報告がありましたので、その内容については省略させていただきます。 委員会におきましては、決算外二件に対する概要説明を聴取した後、内閣総理大臣を始め全閣僚出席の下での全般質疑のほか、平成十六年度決算に関する本院の議決及び平成十六年度決算審査措置要求決議について政府等の講じた措置に関する質疑など、合計十三回に及ぶ審査を行いました。 主な質疑内容として、都道府県労働局における不正経理問題、社会保険庁におけるずさんな年金給付及び年金記録管理、官製談合と天下り、特殊法人の独立行政法人化等に伴う会計処理の見直し、電子申請等のIT利用促進、独立行政法人改革などが取り上げられましたほか、行財政全般にわたる議論が交わされましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 六月十一日、質疑を終局し、委員長より、本件決算審査を踏まえ、十項目の内閣及び最高裁判所に対し措置を要求する決議案及び本会議で議決すべき議決案を提出いたしました。 以下、議決案の内容を申し上げます。 一、本件決算は、これを是認する。 二、内閣に対し、次のとおり警告する。 内閣は、適切な措置を講じ、その結果を本院に報告すべきである。 1 国民との双方向の重要な対話の場として政府が行うタウンミーティングにおいて、コスト意識を欠いた不適切な運営が行われていたことに加え、内閣の重要課題について広く国民から意見を聞くという趣旨を逸脱し、事前に発言の依頼が行われていたことは、看過できない。 政府は、新たな方式による出直しに当たり、国民との直接対話の意義及び広く民意を政策形成に反映させることの重要性を認識し、関係者全員に対してコスト意識を徹底させるとともに、テーマや発言者の選定、契約、会計経理などについて、透明かつ公正適切な運営への改善を図り、効果的な国民との直接対話の場の実現に尽力すべきである。 2 全国の四十七都道府県労働局すべてにおいて、物品の購入に当たり、納入されていない物品を納入されたこととして虚偽の内容の書類が作成されていたほか、多くの労働局において、庁費、謝金、旅費、超過勤務手当等の不正支出が組織的かつ恒常的に行われ、加えて国庫金の領得などの事態が引き起こされ、使途についても不明な部分があったことは、極めて遺憾である。 政府は、この大規模な不正行為を厚生労働省の特定監査で確認できなかったこと、並びに発見された不正経理の範囲が年々拡大し、三年続けて警告等を受ける事態を引き起こしたことの責任を重く受け止め、都道府県労働局に対する監査体制の一層の充実を図るとともに、他機関においてもこのような事態が二度と起こることのないよう、会計経理の適正化、倫理の徹底及び綱紀の粛正に万全を期し、不正経理の根絶を図るべきである。 3 社会保険庁において、国民年金、厚生年金の支給漏れにより年金給付額を訂正した件数が平成十三年度からの六年間で約二十二万件に達していることに加え、該当者不明の年金保険料納付記録の件数が約五千万件に達しているなどのずさんな記録管理が明らかになり、公的年金に対する国民の信頼を大きく失墜させたことは、極めて遺憾である。 政府は、年金給付額の誤りを防止するため、年金受給開始手続時における厳格なチェック体制の構築に努めるとともに、該当者不明の保険料納付記録の早急かつ徹底的な調査、これまでの支給漏れ実態の把握、救済策の検討等に真摯に取り組み、公的年金に対する国民の信頼回復に万全を期すべきである。 4 国土交通省発注の水門設備工事の入札に関して、談合撲滅の先頭に立つべき同省が中央省庁として初めて官製談合防止法に基づく改善措置要求を受け、さらに、緑資源機構発注の林道整備調査の入札に関して、同機構及び農林水産省所管公益法人の役員等が独占禁止法違反容疑で逮捕されるという官製談合事件が相次いで発生したことは、極めて遺憾である。 政府は、官製談合の排除等に関する度重なる本院の警告にもかかわらず、このような事態に至ったことを真摯に受け止め、これら事案の徹底解明は当然のこと、談合情報を得たときは談合の存否の確認に努めるとともに、公共工事に係る入札契約方式の改善、天下りの自粛、職員の意識改革などの方策を講じ、官製談合の根絶に尽力すべきである。 5 電力各社の原子力発電所における総点検の結果、北陸電力株式会社志賀原子力発電所一号機の臨界事故隠ぺいなど、悪質な法令違反十一事案を含む多数のトラブル隠しやデータ改ざん等の実態が明らかになったことは、遺憾である。 政府は、安全の確保よりも原子力発電所の稼働を優先させてきた電力業界の体質を根本的に改めさせ、電力各社に対して、不正を許さない仕組みの構築、事故やトラブルに関する情報の業界内での共有等を徹底させるとともに、現在の検査制度の実効性をより高め、この種事案の再発防止と安全確保に万全を期し、原子力発電に対する国民の信頼確保に一層尽力すべきである。 6 基地周辺対策の実施に当たり、一部の防衛施設局において、職員の不適切な業務処理に基づく申請により操業実態のない漁業者に対する損失の補償が行われ、公金が不適正に支出されていたことは、遺憾である。また、一部の防衛施設局において、防衛施設庁本庁の通達では対象とならない住宅に対して独自の処理方針に基づき防音工事の助成が行われるなど、公金の適正支出に疑念を抱かせる事案が明らかになったことは、看過できない。 政府は、この種事案の有無等について早急に調査し、不適正に支出された公金の返還を求めるなど適切な対応を行うとともに、再発防止のため、防衛施設局における審査体制等について所要の見直しを行うべきである。 以上が議決案の内容であります。 討論を終わり、採決の結果、措置要求決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決し、次いで、平成十七年度決算は多数をもって是認すべきものと議決され、また、内閣に対し警告することについては全会一致をもって警告すべきものと議決されました。 次に、国有財産関係二件は、いずれも多数をもって是認すべきものと議決されました。 なお、平成十七年度決算外二件の審査の過程において、国会法第百五条の規定に基づき、会計検査院に対し、タウンミーティングの運営に関する請負契約、独立行政法人の業務、財務、入札、契約の状況、独立行政法人日本スポーツ振興センターにおけるスポーツ振興くじの実施状況について検査要請を行いました。 最後に、関係各位の御協力により、通常国会の会期内に決算審査を終えることができましたことに対し、委員長として感謝を申し上げ、御報告とさせていただきます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) 日程第一の平成十七年度決算の委員長報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することから成っております。 これより採決をいたします。 まず、本件決算を委員長報告のとおり是認することについて採決をいたします。 本件決算を委員長報告のとおり是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百九十 賛成 百五 反対 八十五 よって、本件決算は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(扇千景君) 次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することについて採決をいたします。 委員長報告のとおり内閣に対し警告することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百九十 賛成 百九十 反対 〇 よって、全会一致をもって委員長報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(扇千景君) 次に、日程第二の国有財産増減及び現在額総計算書について採決をいたします。 本件を委員長報告のとおり是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百九十 賛成 百五 反対 八十五 よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(扇千景君) 次に、日程第三の国有財産無償貸付状況総計算書について採決をいたします。 本件を委員長報告のとおり是認することの賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百九十一 賛成 百十九 反対 七十二 よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(扇千景君) 先ほど議決されました内閣に対する警告に関し、内閣総理大臣から発言を求められました。安倍内閣総理大臣。 〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいまの御決議に対しまして所信を述べます前に、一言申し上げます。 参議院においては、これまでも特に決算審査を重視され、種々の改革を進められてきたことについて、改めて敬意を表します。政府としては、特別会計の改革を始め、決算審査の内容を平成十九年度予算に的確に反映したところであります。 ただいまの御決議に対しまして、政府としては、従来から国の諸施策の推進に当たっては、適正かつ効率的に執行するよう最善の努力を行っているところでありますが、今般六項目にわたる御指摘を受けましたことは誠に遺憾であります。 これらの決議の内容は、いずれも政府として重く受け止めるべきものと考えており、御決議の趣旨を十分に踏まえ、今後このような御指摘を受けることのないよう改善、指導してまいります。 以上でございます。(拍手) ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第四 新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件 日程第五 戦略的な経済上の連携に関する日本国とチリ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件 日程第六 経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件 (いずれも衆議院送付) 以上三件を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長田浦直君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔田浦直君登壇、拍手〕
○田浦直君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、シンガポールとの経済連携協定改正議定書は、現行の協定の内容を部分的に改め、物品及びサービスの貿易を更に自由化及び円滑化すること等について定めるものであります。 次に、チリとの経済連携協定は、両国間において、物品、サービス及び資本の自由な移動を促進し、知的財産の保護を確保し、競争、ビジネス環境の整備等の分野での協力を強化すること等について定めるものであります。 次に、タイとの経済連携協定は、両国間において、物品及びサービスの貿易を自由化し、資本の自由な移動を促進し、知的財産の保護を確保し、ビジネス環境の整備、人材育成、中小企業等の幅広い分野での協力を強化すること等について定めるものであります。 委員会におきましては、三件を一括して議題とし、協定締結による関税の撤廃、引下げ措置の内容、関税譲許の対象となる有害廃棄物の品目数、東アジアにおける経済連携に向けた我が国の戦略等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の緒方委員より、チリ及びタイとの経済連携協定に反対する旨の意見が述べられました。 次いで、採決の結果、シンガポールとの経済連携協定改正議定書は全会一致をもって、チリ及びタイとの経済連携協定はいずれも多数をもって、それぞれ承認すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。 まず、新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百九十一 賛成 百九十一 反対 〇 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(扇千景君) 次に、戦略的な経済上の連携に関する日本国とチリ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び経済上の連携に関する日本国とタイ王国との間の協定の締結について承認を求めるの件を一括して採決をいたします。 両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百九十一 賛成 百八十二 反対 九 よって、両件は承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第七 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長伊達忠一君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔伊達忠一君登壇、拍手〕
○伊達忠一君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本件は、北朝鮮からのすべての貨物に対して、平成十九年四月十四日から十月十三日までの間、引き続き経済産業大臣が輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めるものであります。 委員会におきましては、一つ、現在までの輸入禁止措置の効果及び措置を継続する理由、一つ、北朝鮮をめぐる情勢と今後の北朝鮮経済制裁の在り方等の諸問題について質疑が行われました。 質疑を終了し、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百八十九 賛成 百八十九 反対 〇 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(扇千景君) この際、国際問題に関する調査会長から、国際問題に関する調査の報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。国際問題に関する調査会長田中直紀君。 ───────────── 〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔田中直紀君登壇、拍手〕
○田中直紀君 国際問題に関する調査会における調査の経過と結果について、御報告申し上げます。 本調査会は、国際問題に関し長期的かつ総合的な調査を行うため、平成十六年十月十二日に設置され、以来三年にわたり、「多極化時代における新たな日本外交」のテーマの下、日本のアジア外交、日本の対米外交、日本の対EU外交等及び国際社会の責任ある一員としての日本の対応について鋭意調査を進めてまいりました。 本調査会では、委員各位の活発な御議論など、様々な調査活動を通じて十五の提言を行いました。 提言の第一は、日中両国の相互理解と互恵関係の構築であります。我が国は、幅広い対話と交流、歴史共同研究、中国の環境やエネルギー問題解決に向けた協力を促進することが必要であります。 第二は、拉致、核、ミサイルなど北朝鮮問題への取組の促進であります。我が国は、拉致、核などの問題解決のため、関係諸国と連携し交渉を推進するほか、国際世論に広く働き掛けていくことが重要であります。 第三は、東アジアの安定のための日米中韓の連携強化であります。我が国は、中国、韓国及び米国との連携を促進するとともに、そのために積極的に取り組むことが優先課題であります。 第四は、東アジア共同体構築を視野に入れた経済連携体制の推進であります。我が国は、金融、エネルギーなどの分野に留意した経済連携体制の構築に向け、主導的に取り組むことが重要であります。 第五は、気候変動問題解決への貢献であります。我が国は、京都議定書に規定されたクリーン開発メカニズム等の活用を積極的に働き掛け、今後の国際ルール作りに積極的に取り組むことが必要であります。 第六は、環境、教育を重視したODAの推進であります。我が国は、地球温暖化防止や人口、貧困問題解決のため、環境や教育を重視したODAを促進することが重要であります。 第七は、国際問題の解決における政府とNGOとの連携の促進であります。政府は、国際問題解決のためNGOとの連携を促進し、その活動に対し様々な協力、支援を行うことが必要であります。 第八は、国連の包括的改革への寄与であります。我が国は、安保理などの主要機構、事務局、マネジメントなど包括的な国連改革に積極的に取り組むことが重要であります。 第九は、国連アジア本部の創設及び我が国への誘致であります。我が国は、国連アジア本部の創設及び我が国への誘致に向けた働き掛けを行うことが必要であります。 第十は、議員外交の拡充、そして強化であります。議員外交の重要性の高まりにかんがみ、その拡充、強化に努めるとともに、またそのための体制整備を図ることが優先課題であります。 第十一は、在外公館と要員の増強であります。 第十二は、国際競争力の一層の強化のため、科学技術の創造など、積極的に取り組むことが必要であります。 第十三は、米中両国に関する総合的研究所の設置であります。 第十四は、歴史資料の収集・公開体制の整備であります。 第十五は、国際情報の迅速、広範な提供であります。 さて、今日、世界ではグローバリゼーションの進展による経済のボーダーレス化と政治、経済の両面における多極化が同時に起きております。 アジアの一員である我が国にとりアジアの安定が極めて重要であり、そのためには関係諸国との連携を図る必要があります。しかし、北東アジアには北朝鮮問題が存在しております。また、国際社会においては地球温暖化等の地球規模の問題なども依然山積しております。 我が国が、大きく変化しつつある世界の潮流の中でその立場をしっかりと堅持し、世界の平和と繁栄に寄与することができるかどうかは、ひとえに我が国自身の今後の取組に懸かっております。政府並びに関係各方面におかれましては、以上の基本認識を踏まえまして、十五の提言を今後の施策に反映されますよう、強く要望するものであります。 三年間の調査を終えるに当たり、活発に御議論いただきました委員各位、貴重な意見をお述べいただきました有識者の方々など、関係の方々に心から感謝を申し上げ、また、本調査会が大変有意義であり、引き続き必要であることを申し添えまして、私の報告を終わります。(拍手) ─────・─────
○議長(扇千景君) この際、経済・産業・雇用に関する調査会長から、経済・産業・雇用に関する調査の報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。経済・産業・雇用に関する調査会長広中和歌子君。 ───────────── 〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔広中和歌子君登壇、拍手〕
○広中和歌子君 経済・産業・雇用に関する調査会における調査の経過と結果につきまして、御報告申し上げます。 本調査会は、第百六十一回国会の平成十六年十月に設置され、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」を調査項目とし、鋭意調査を進めてまいりました。 一年目は、成熟社会における経済活性化に向けた方策、フリーター・ニート等若年者をめぐる雇用問題及び経済社会の変化に対応した人材育成の在り方等について調査を行い、特に緊急を要する若年者の雇用問題についての提言を含む中間報告書を議長に提出いたしました。 二年目は、経済及び所得格差問題、団塊世代の退職による経済・産業・雇用への影響、高齢者雇用の在り方並びに女性雇用をめぐる課題等について調査を行い、多様化する雇用への対応についての提言を含む中間報告書を議長に提出いたしました。 最終年である三年目は、まず、昨年秋の第百六十五回国会において、雇用をめぐる現状と課題及び経済成長戦略大綱について、それぞれ政府から説明を聴取し質疑を行うとともに、非正規雇用をめぐる現状と課題について、参考人から意見を聴取し質疑を行いました。 次いで、今国会においては、ワーク・ライフ・バランスに関する国際的な動向及び我が国におけるワーク・ライフ・バランスへの対応と課題について、それぞれ参考人から意見を聴取し質疑を行うとともに、政府からも説明を聴取し質疑を行いました。また、この間、委員派遣、視察による実情調査を行いました。 その後、委員間の意見交換を行い、このたび、各会派の意見の一致を見まして報告書がまとまりました。そして、去る八日、これを議長に提出いたしました。 以下、報告書の主な内容につきまして、御報告申し上げます。 参考人からの意見聴取及び質疑においては、まず、非正規雇用をめぐる現状と課題につきまして、参考人から、年功序列制度の負の側面、非正規労働者が増加した理由、最近の我が国における雇用形態多様化の現状等について意見が述べられ、非正規雇用の現状に対する認識、いわゆる就職氷河期世代に対し特段の対策を行う必要性、最低賃金制度の在り方、同一労働同一賃金の原則を具体化するための方策等について質疑が行われました。 また、ワーク・ライフ・バランスに関する国際的な動向につきまして、参考人から、スウェーデンにおける働き方、英国政府の取組、企業におけるフレキシブルな働き方のビジョン等について意見が述べられ、スウェーデンで育児休業中に給与の八〇%が支給される仕組み、英国におけるパートタイム労働法制の課題、日本企業が変わるべき点等について質疑が行われました。 また、我が国におけるワーク・ライフ・バランスへの対応と課題につきまして、参考人から、中小・ベンチャー企業における取組、企業業績への影響、両立支援策における優先課題等について意見が述べられ、基本理念、出生率との関係、情報公開の必要性、北欧のような短時間勤務制度及び復職支援の充実等について質疑が行われました。 政府に対する質疑においては、雇用をめぐる現状と課題及び経済成長戦略大綱につきまして、いわゆるワーキングプアに対する認識と取組、両立支援対策における意識改革の必要性と国の施策、非正規雇用の増加等、雇用制度上の問題が社会の弱体化を招く危険性等について質疑が行われました。 また、ワーク・ライフ・バランスへの取組につきまして、中小企業が推進するための方策、出産後の女性の働き方、仕事と子育ての両立支援における地域の役割、障害者に対する配慮等について質疑が行われました。 これらの質疑の後、委員間の意見交換が行われ、子育てや介護と仕事を両立しやすい環境の整備、ワーク・ライフ・バランスのプラス面を企業に周知する必要性、両立支援策拡充のための長時間労働の是正、正規雇用と非正規雇用の格差是正とその対応策、ワーキングプア、フリーターを支援する国、自治体の取組の強化、退職後の高齢者を地域で活用する必要性等について意見が述べられました。 最後に、このような調査を踏まえ、本会議において決議を行うべく、本調査会委員が発議者、賛成者となって、ワーク・ライフ・バランスの推進に関する決議案を提出いたしましたことを申し添えまして、御報告を終わらせていただきます。(拍手) ─────・─────
○議長(扇千景君) この際、少子高齢社会に関する調査会長から、少子高齢社会に関する調査の報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。少子高齢社会に関する調査会長清水嘉与子君。 ───────────── 〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔清水嘉与子君登壇、拍手〕
○清水嘉与子君 少子高齢社会に関する調査会における調査報告の概要につきまして、御報告申し上げます。 本調査会は、第百六十一回国会の平成十六年十月に設置されて以来、「少子高齢社会への対応の在り方について」を調査テーマといたしまして、一年目は、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件について、また、二年目は、少子高齢社会の課題と対策に関する件について調査を行ってまいりました。調査の最終年に当たる三年目におきましては、少子化対策等の取組状況、仕事と生活の調和、不妊治療及び生殖補助医療、生涯現役社会の推進、高齢期の生活保障基盤、地域社会と高齢者、高齢期の住生活環境について、政府からの説明及び参考人からの意見聴取、調査会委員間の自由討議等を通じて調査を進め、その課題の把握に努めてまいりました。 このような三年間の取組を経て、四本の柱、十九項目から成る少子高齢社会への対応の在り方についての提言を含めた最終報告書を取りまとめ、去る六月八日、議長に提出いたしました。 以下、提言の趣旨及び主な内容について申し上げます。 平成十八年十二月に公表された将来推計人口では、合計特殊出生率は、五十年後の二〇五五年においても一・二六になるとの厳しい見通しが示されております。一方、総人口に占める六十五歳以上の高齢者比率は、二〇〇五年の二〇・二%から二〇五五年には四〇・五%へと倍増すると見込まれております。 このような少子高齢化の更なる進展は、我が国の社会経済的基盤を揺るがしかねず、雇用の確保や持続可能な社会保障制度の維持に向けて解決すべき課題を投げ掛けております。少子化対策については、子育て世代の経済的負担の軽減等のみならず、無理のない働き方により、子育てに楽しみを覚えることができる環境づくりが不可欠の要件であります。また、高齢化については、今後七十五歳以上の後期高齢者が急速に増えていくとされており、年金等の生活保障基盤の確保とともに、生きがい・健康づくりや介護予防は一層重要となります。 このような観点から、提言の第一は、「仕事と生活の調和の推進」として、柔軟な労働時間の選択を保障するための措置の事業主への義務付け、育児休業期間中の所得と休業前所得との格差縮小、子育ての喜びを実感できる体制の整備、児童・家族関係給付費の一層の拡充、社会人の学習・能力開発の機会の確保と公的助成の拡大、正規・非正規雇用者間の賃金格差の是正、若者の安定した雇用機会の確保等であります。 第二は、「妊娠・出産に向けた環境整備」として、出産に適齢期が存在するとの医学的事実についての広報啓発、子宮がん検診の受診率向上への取組、不妊治療に対する公費助成や医療保険適用の検討、生殖補助医療について子供の福祉の観点を踏まえた制度の枠組みの速やかな提示、周産期医療ネットワーク整備への支援等であります。 第三は、「医療・介護の充実に向けた環境整備」として、開業医をかかりつけ医とすることによる病院と開業医との機能分担、産科・小児科、がん医療、在宅医療、緩和医療の充実に向けた手当て、地域において看護師が中心となってケアを提供できる体制の整備、在宅介護を支えるために子供から高齢者までを障害の有無にかかわらず受け入れる、いわゆる富山型の制度についての周知啓発、終末期をめぐる問題についての国民の理解の促進と更なる議論の推進等であります。 第四は、「生活保障基盤及び住生活環境の整備」として、国民の年金に対する不信の払拭、少子高齢化に伴う年金制度の持続可能性についての懸念の解消、リバースモーゲージについて住宅価格下落リスクに対応するための新たな枠組みの検討、コンパクトシティや高齢者が外出しやすいまちづくりの取組の推進、コレクティブハウジング等高齢社会における新しい住まい方への支援の検討等であります。 政府はもとより、企業におかれましても本提言の趣旨を理解され、これらの実現に努められるよう要請するところでございます。 以上が調査報告の概要でありますが、少子高齢化が抱える課題は一朝一夕に解決できるものではありません。本調査会が中間報告において行った提言の中には既に実現を見ているものもありますが、本報告も含め、三年間にわたって行った提言が課題解決の一助となることを祈念する次第であります。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────・─────
○議長(扇千景君) この際、お諮りいたします。 広中和歌子君外八名発議に係るワーク・ライフ・バランスの推進に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。 よって、本決議案を議題といたします。 まず、発議者の趣旨説明を求めます。広中和歌子君。 ───────────── 〔議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔広中和歌子君登壇、拍手〕
○広中和歌子君 ただいま議題となりました自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案に係るワーク・ライフ・バランスの推進に関する決議案につきまして、発議者を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 ワーク・ライフ・バランスの推進に関する決議案 経済のグローバル化が進展するとともに、少子高齢化、価値観の多様化等、社会の成熟化が進む我が国において、持続的な経済成長及び豊かな国民生活を実現するためには、国民一人一人がその意欲、能力を最大限に発揮できるようにすることが必要であり、とりわけ、労働力人口が減少する中、希望するすべての人が就業可能となるような労働環境の整備が喫緊の課題である。 また、雇用者全体に占める非正規雇用者の割合が三割を超えるなど、雇用形態の多様化が急速に進んでいる。非正規雇用者については、正規雇用者との間に賃金を始めとする様々な格差が生じており、その是正を図ることが必要となっている一方、正規雇用者については、長時間労働といった問題を抱えており、正規・非正規を問わず、働き方の見直しが不可欠な状況にある。 このような現状を変えていくためには、労働条件を改善しながら、仕事と生活の調和を図り、豊かさが感じられる充実した生涯を送れるよう、ワーク・ライフ・バランスを推進していくことが必要である。 ワーク・ライフ・バランスは、個人にとっては、それぞれのライフスタイル及びライフステージに応じた働き方を、企業にとっては、生産性の向上や人材の確保等を可能とするものであり、個人、企業の双方にとって利点があると考えられる。また、家族の絆を深めるとともに、少子高齢化への対応、生涯学習、ボランティア活動及び地域における活動の振興など社会全体としての観点からも、その推進が求められる。 政府及び関係者は、成熟社会における我が国の在り方として、ワーク・ライフ・バランスの推進の必要性を十分認識し、次の施策等の推進に努めるべきである。 一、育児・介護休業制度の一層の普及、子の看護休暇制度の拡充、延長保育、病児保育及び休日保育を含めた保育所等の保育環境の整備並びに放課後児童対策の拡充等、両立支援関連施策の充実を図ること。また、育児等のために離職した者に対する職業訓練の一層の充実を図るなど、その再就職・再就業を支援すること。 二、家庭生活に関する負担が女性に偏っていることが多い現状を改善するため、男性の自覚と協力を促すよう一層の啓発を行うこと。 三、正規雇用と非正規雇用との格差の是正に努めるほか、企業は、正規雇用の採用を拡充するとともに、非正規雇用から正規雇用への登用を積極的に行うよう努めること。 四、いつでも再チャレンジが可能となるよう労働環境の一層の整備を行うとともに、企業は、新卒一括採用方式を見直し、既卒者も採用の対象に加えるほか、中途採用を積極的に行うよう努めること。 五、多様な働き方を提供し、多くの者に雇用の機会を与えるため、短時間正社員、フレックスタイム、在宅勤務等の制度の導入を促進し、キャリアの継続を図ること。また、雇用と年金等社会保障制度との関連に十分配慮すること。 六、いわゆるサービス残業の抜本的な解消を図るとともに、長時間労働の是正及び年次有給休暇の取得率の向上に努めること。 七、政府は、ワーク・ライフ・バランスを総合的に推進するための体制の整備及び計画の策定に向けて最大限努力し、企業は、ワーク・ライフ・バランスを図りやすい企業文化、職場環境を醸成するとともに、ワーク・ライフ・バランスに関する施策の実施状況を公表すること等により、ワーク・ライフ・バランスの推進に努めること。 右決議する。 以上であります。 経済・産業・雇用に関する調査会におきましては、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」をテーマに三年間の調査を進めてまいりましたが、広く国民に向けてワーク・ライフ・バランスの推進についての本院の意思を明らかにするとともに、政府及び関係者に対してワーク・ライフ・バランスの推進に関する取組の一層の強化を求めるべきであるとの結論に達し、各会派の合意の下に本決議案を提出するに至りました。 以上が本決議案を提案する趣旨であります。 何とぞ皆様の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。 本決議案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 百七十七 賛成 百七十七 反対 〇 よって、本決議案は全会一致をもって可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(扇千景君) ただいまの決議に対し、厚生労働大臣から発言を求められました。柳澤厚生労働大臣。 〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。 少子高齢化や就業形態の多様化等が進む我が国において、国民一人一人が安心、納得した上で多様な働き方を実現し、仕事と生活の調和を図ることのできる労働環境を実現することは、重要な課題であると認識しております。 政府といたしましては、去る六月一日に、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議におきまして、働き方の改革によるワーク・ライフ・バランスの実現等について基本的考え方を取りまとめたところであります。 ただいまの御決議の趣旨を尊重し、今後ともワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組を進めてまいる所存であります。(拍手)
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十九分散会