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166回国会参議院2007/05/25

本会議 第29号

発言数
49
登壇者
12
会派数
4
開催日
2007/05/25

会議録

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  更生保護法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。長勢法務大臣。    〔国務大臣長勢甚遠君登壇、拍手〕

長勢甚遠自由民主党法務大臣

○国務大臣(長勢甚遠君) 更生保護法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  更生保護は、犯罪をした者及び非行のある少年を実社会の中で適切に処遇することにより、その再犯を防ぎ、非行をなくし、これらの者が自立し改善更生することを助け、もって社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的とするものですが、近時、社会及び犯罪の情勢が変化する中で、更生保護はその目的を十分に果たせていないとの指摘がなされております。また、更生保護に係る法体系について、国民に分かりやすい制度となるよう関係法律の整備統合に努めるべきとの指摘がされております。  そこで、この法律案は、更生保護の基本的な事項に関し、関係法律の統合及び所要の法整備を行い、更生保護の機能を充実強化しようとするものであります。  この法律案の要点を申し上げます。  第一は、犯罪者予防更生法及び執行猶予者保護観察法の整理統合であります。更生保護に関する基本的な法律は、昭和二十四年に制定された犯罪者予防更生法及び昭和二十九年に制定された執行猶予者保護観察法に分かれていますが、両法律の内容を整理統合して新たな法律とするとともに、更生保護の目的を明確化します。  第二は、保護観察における遵守事項の整理及び充実であります。遵守事項は、現行法と同じく、これに違反したときに仮釈放の取消し等の措置をとることのできる規範であって、保護観察対象者に対する指導監督の中核となるものとして位置付けます。そのうち、すべての保護観察対象者が遵守すべき一般遵守事項については、保護観察官又は保護司の指導監督を誠実に受けること等の保護観察対象者が当然守るべき事項でありながら現行法では明記されていないものを加える一方、現行法に規定されている事項のうち、必ずしもすべての保護観察対象者に義務付ける必要のないものを除いております。また、保護観察対象者ごとに定める特別遵守事項については、特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇プログラムを受けること等の一定の事項について、特に必要と認められる範囲内で具体的に定めることとするとともに、保護観察を一層弾力的なものとするため、必要に応じて変更することができるものとし、また、必要がなくなったときは取り消すものとしております。  第三は、社会復帰のための環境調整の充実であります。受刑者等の円滑な社会復帰を図るため、その者の住居、就業先その他の生活環境の調整をより能動的かつ積極的に行うものとしております。  第四は、犯罪被害者等に関する制度の導入であります。仮釈放又は仮退院の審理において犯罪被害者等から意見等を聴取する制度、及び犯罪被害者等の心情等を保護観察対象者に伝える制度を導入することとしております。  このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。松岡徹君。    〔松岡徹君登壇、拍手〕

松岡徹民主党・新緑風会

○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。  私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました更生保護法案について御質問をいたします。  法案に関する質疑に先立ちまして、死刑に対する法務大臣の見解についてお尋ねいたします。  長勢法務大臣は、昨年十二月、就任以来初めて死刑執行命令書に署名し、同月二十五日に四人の死刑囚に対して死刑が執行されました。さらに、先月二十七日にも三人の死刑囚に対して死刑が執行されました。前任の杉浦法務大臣は自らの信条に従って在任中は死刑執行の同意をしませんでしたが、長勢法務大臣は、昨年、大臣就任以来、実に七人もの死刑執行の署名を行っています。このように大臣によって死刑執行の対応が変わることについてどのようにお考えなのか、大臣の御所見をお伺いいたします。  現在、死刑判決が確定した者が百名、うち再審を請求している者が三十七名いると言われています。過去、一九八三年に免田事件、一九八四年に財田川事件、松山事件、一九八九年に島田事件等、死刑が確定した後、再審によって無罪となった冤罪事件が発生しています。また、昨年一月、長勢法務大臣の地元である富山県において、強姦罪で二年間服役した男性の冤罪事件が発覚、この二月には鹿児島地裁は、公職選挙法違反、いわゆる志布志事件で起訴された十二名の方々に無罪が言い渡され、その判決が確定いたしました。さらに、三月にも佐賀県で女性三人を殺害したとして起訴された男性に無罪判決が確定、五月には大阪地裁所長襲撃事件について大阪高裁が少年院送致を取り消す決定を出しております。正に冤罪の危険は決して過去のものではないということがこれらの事例からも明らかであります。  これら冤罪が生まれる共通の問題として、自白の強要など行き過ぎた取調べ、証拠の独占などが冤罪を生む温床と言われ、抜本的な改革が求められています。裁判員制度の導入が迫っている今日、冤罪という人権侵害が引き起こされないためにも、取調べの完全可視化、証拠開示が重要と考えますが、法務大臣並びに国家公安委員長の認識についてお尋ねいたします。  さて、今回提出されている更生保護法案は、一九四九年に施行された犯罪者予防更生法及び一九五四年に施行された執行猶予者保護観察法を整理統合したものとなっております。この二法の理念は、犯罪を行った者の改善更生を目的とし、もって再犯の防止と公共の福祉を増進することを目的としています。  犯罪を犯した者が更生し社会復帰を果たすことは、結果的に再犯を予防し、犯罪からの社会防衛につながるものであります。そのために、更生意欲を高め、改善更生をなし得る必要な援助のありようが問われています。監視の強化と遵守事項を厳しくし、違反者に罰を与えることが強調されるような方向は、対象者を社会から排除し、再犯を助長することになり、更生を促進することにはなりません。  しかし、本法案の第一条の目的では、再犯防止が第一の目的となっており、改善更生の目的が後退しているように思われます。再犯防止は結果であり、改善更生が重要な目的であると考えますが、いかがでしょうか。  次に、法案第二条によれば、国は、「民間の団体又は個人により自発的に行われるものを促進し、これらの者と連携協力するとともに、更生保護に対する国民の理解を深め、かつ、その協力を得るように努めなければならない。」とされています。これでは主役は民間で、国の役割はその後押しと広報活動をするだけになっていると受け取れます。対象者の更生を援助する責務はまず国にあることを明確に示すべきであると考えますが、いかがでしょうか。  また、地方公共団体の役割として、「必要な協力をすることができる。」との消極的な規定になっています。改善更生へ向け、出所者も地域社会の一員であるという観点から、就労支援や定住支援、福祉の提供等、地方公共団体が積極的に関与、支援を促進する規定を盛り込むべきだと考えますが、この点いかがでしょうか。  さらに、保護観察終了時において無職であった者の再犯率が有職者の再犯率の約五倍に達するというデータからも、まさしく就職なくして更生なしと言え、十分な就労支援が更生の重要な要素となっていることは間違いありません。刑務所内における就業支援体制及び職業訓練体制の見直し、充実、実効性の高い処遇プログラムの改善、厚生労働省との連携強化、大企業、経済団体への雇用・就労支援の働き掛け、協力雇用主の拡大等、様々な課題が山積しています。  有識者会議でも強く指摘されている就労支援と定住支援の強化や福祉との連携強化等の社会的援助を国が責任を持って取り組むべきと考えますが、長勢法務大臣と柳澤厚生労働大臣にお伺いをいたします。  我が国の更生保護制度は、余りにも保護司を始めとする民間ボランティアに多分に頼っており、更生保護における国の役割の強化という観点から、圧倒的に不足している保護観察官の大幅な増員が不可欠です。現在、六万人の保護観察対象者に対して、実質約六百五十名の保護観察官で支えていると言われています。有識者会議の報告書でも保護観察官の倍増や専門性の向上を求める提言がなされていますが、年限を決めて着実に実行に移すべきではないでしょうか。長勢法務大臣の方針をお伺いいたします。  次に、第三条の運用基準についてです。  保護観察や仮釈放等、更生保護における措置決定に際しては、対象者の同意を必要とすることが重要です。  東京都府中市にある国連アジア極東犯罪防止研修所において起草され、一九九〇年十二月十四日の国連総会で採択された社会内処遇措置のための国際連合最低基準規則、いわゆる東京ルールにおいては、犯罪者の一定の義務を課す非拘禁措置については、正式手続、裁判の前あるいはその代替として適用されるものであったとしても犯罪者の同意が必要であると規定しています。この規定は、対象者の更生意欲を高め、更生、社会復帰へとつなげるためにも重要な点と考えます。  法案第三条では、対象者の権利や主体性の尊重に関する規定が極めて少なく、本人の同意原則の規定が明記されていません。第一条で強調されている再犯防止目的を考慮すると、かえって強制的処遇を前提としているように思われます。ついては、東京で起草された国際準則に規定されている対象者の主体性の尊重と同意原則を盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、仮釈放審理は、その内容が被収容者本人及び第三者にとって公正性、透明性、検証可能性が十分保障されたものとされるべきです。特に仮釈放の許可基準については、実質的判断が困難な悔悟の情、更生の意欲、再犯のおそれ、社会の感情という主観的要件ではなく、被収容者の社会復帰の可能性を客観的かつ公正に審理することが可能な要件とすべきです。  しかしながら、法案では仮釈放の基準を法務省令で定めるとし、法定化されていません。現行制度の仮釈放審理の申請が申出に変わり、法律上の行為ではなくなり、また地方委員会の仮釈放審理の開始や開始不相当の判断の法的コントロールが及ばなくなっています。そして、審理を経た仮釈放不相当に関する規定が削除されており、法案における仮釈放手続は地方更生保護委員会の職権と裁量が相当拡大されていますが、何を基準に、そして何を対象に審理を行うかが全く示されておらず、恣意的運用の危険性があります。  仮釈放制度は、被収容者の円滑な社会復帰を果たすための援助と位置付けられるもので、被収容者本人の仮釈放申請権、さらに申請が却下された場合の不服申立て権等が保障されるべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、仮釈放の基準について法文上明記し、積極的かつ適切な運用を促進すべきと考えますが、併せてお伺いをいたします。  さらに、現在、仮釈放審理をする地方更生保護委員会は全国で八か所、委員は五十六名で構成されています。年間の仮釈放申請受理件数は二〇〇四年で二万四千百三十一件となっており、例えば関東更生保護委員会の場合、同年二〇〇四年で七千百一件の件数、委員一人当たり五百九十二件の事件数となっています。審査は合議制で毎週月曜日に行われ、火、水、木曜日は申請者への面接等で出張しており、そうすると、一週間のうちで金曜日に約四十分間に一件の割で更生の意欲だとか再犯のおそれだとか、あるいは反省の程度等の決定書を書くことになります。委員の努力は分かりますが、十分な審査となっているかどうか疑問であります。  更生保護委員会の審理に先立って、保護観察官による事前調査が行われています。膨大な受理件数を三名の合議体で判断する、これで十分な審理が行われるのか。このようなシステムが限界に来ていると考えますが、いかがでしょうか。  地方更生保護委員会の人的構成も見直すべきと考えます。  現行の委員構成の大半が保護観察官署出身者に偏っており、仮釈放審理が言わば内輪で行われているという批判、一種の天下りであるとの批判にこたえるものではありません。積極的な民間からの登用、弁護士や被収容者の援助活動を行うNGOの代表者や医学、心理学、教育学、社会学、その他広く各界から適任者を選任し得るようにするための規定を法案に置くべきだと考えますが、いかがでしょうか。  次に、保護観察についてですが、保護観察の際の特別遵守事項をどのように定めるかは極めて重要な問題です。社会内処遇措置のための国際連合最低基準規則を踏まえ、遵守事項となる健全な生活態度は、社会復帰ないし生活再建のためだからこそ対象者の改善更生に特に必要と認められること、現実に遵守可能で保護観察対象者の自由を過度に制限しないものでなければならないと考えますが、この点いかがでしょうか。  また、遵守事項違反の少年に対する少年院送致決定の申請に関する規定についてですが、保護観察処分が決まった少年に対して、保護司の呼出しに応じなかった、朝早く起きてこないといった、それ自体犯罪や非行と言えないようなささいな事実をもって少年院送致の新たな審判事由とすることは余りにも不相応であり、元の事件を考慮して審判するというのであれば、憲法で禁じられた二重処罰に当たるのではないでしょうか。  いずれにしても、少年院送致をちらつかせながら遵守事項を守らせるというのでは、権威主義的な保護観察を志向するものであり、ケースワークの放棄にもつながりかねず、少年と保護司との信頼関係の構築から始まるべき更生保護制度を変質させてしまうのではないでしょうか。長勢法務大臣の御所見を求めます。  さらに、仮釈放の取消しについては、事後的に不服審査を保障するだけでなく、取り消す前に保護観察対象者に対して告知、聴聞の機会を保障し、遵守事項違反の有無、その理由、情状などについて意見を述べ、資料などを提供する機会を保障するべきと考えますが、いかがでしょうか。  犯罪は社会不安を増大させます。犯罪が生まれるのには様々な背景や要因があります。年間三万人を超えると言われている自殺者の発生、働く人の三人に一人、実に千六百万人もの人たちが正規社員でないパート、有期雇用、派遣、請負等の非正規雇用者となっている現実、働いても働いても収入が上がらず、生活保護水準以下の生活しかできない四百万世帯を超えると言われるワーキングプアの発生等、格差社会によって国民が未来に希望や展望が持てない社会も大きな要因ではないでしょうか。  犯罪を犯した者に対し、重罰、厳罰化や監視を強化することによって社会から切り離すことではなくて、改善更生させ社会復帰を実現することが犯罪に強い社会をつくることであるということを強く申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣長勢甚遠君登壇、拍手〕

長勢甚遠自由民主党法務大臣

○国務大臣(長勢甚遠君) 松岡徹議員にお答えを申し上げます。  まず、死刑執行の在り方についてお尋ねがありました。  法治国家である我が国においては、裁判所が法にのっとり言い渡した刑罰の執行については、法の定めに従い慎重かつ厳正に対処されてきたものと承知をしております。  次に、取調べの可視化についてお尋ねがありました。  取調べ状況の録音、録画等を義務付けることについては、被疑者に供述をためらわせる要因となったり、様々な捜査により得た情報等を被疑者に示すことが困難となったりする結果、事案の真相を十分解明し得なくなるなどの問題があり、慎重な検討が必要であると考えております。  次に、証拠開示についてお尋ねがありました。  平成十六年に改正された刑事訴訟法により証拠開示に関する規定が整備された結果、争点の整理や被告人の防御の準備のために十分な証拠が開示されているものと考えております。検察官手持ち証拠をすべて開示することについては、関係者の名誉、プライバシーの侵害、罪証隠滅などの弊害が生ずる場合があるなどの問題があることから、相当ではないと考えております。  次に、法案第一条の目的規定についてお尋ねがありました。  御指摘のように、改善更生が遂げられればおのずと再犯が防止されることになりますが、一方、改善更生を図る過程で一たび再犯に陥れば、改善更生する上での致命的な後退や障害となることから、社会内処遇を実施していく過程においては、改善更生された結果としての再犯可能性の消滅を待つだけでなく、再犯を防ぐことと改善更生を助けることが一体のものとしてともに行われなければなりません。これは更生保護に従事する者が常に意識しなければならない重要な事柄であることから、第一条においてこれを法文上明確化しているものであります。  次に、対象者の更生を援助する責務はまず国にあることを明確に示すべきとのお尋ねがありました。  更生保護は刑事司法の一環として国が担うべきものであり、そのことは特段の規定を置くまでもなく他の諸規定により明らかになっております。すなわち、この法案でいえば、保護観察、生活環境の調整、更生緊急保護等の措置について、これを国の機関である保護観察所が実施するものとしており、これらの措置の責任が国にあることが明らかとなっております。  法案第二条は、このことを当然の前提とした上で、地域社会と密接にかかわる更生保護にあっては民間の協力者との連携や国民の理解、協力が不可欠であることにかんがみ、これらがより一層高まるようにするための規定を置くものであります。  次に、地方公共団体の積極的な関与、支援を促進する規定を盛り込むべきとのお尋ねがありました。  出所受刑者の改善更生と社会復帰のためには、地方公共団体の協力が得られることが望ましいことは御指摘のとおりであります。しかし、地方公共団体は保護観察等の更生保護行政をつかさどる立場にはなく、更生保護に関しどのような行政を行うかは、その自主性、自立性に基づき個々の地方公共団体において判断すべき事柄であります。そこで、地方公共団体に対する義務付けとなったり、一定の指針を課すような規定とはしておりませんが、民間による更生保護の諸活動に地方公共団体が協力することは双方にとって意義のあるものであることから、地方公共団体がこれら更生保護の諸活動に協力することができることの法的根拠を明文上示し、その協力の促進を期することとしたものであります。  次に、就労支援と定住支援の強化、福祉との連携強化についてお尋ねがありました。  いずれも保護観察対象者等の社会復帰のために極めて重要な事柄であります。  就労につきましては、平成十八年度から厚生労働省と連携して総合的就労支援事業を行い、職業相談の実施、試行雇用制度や身元保証制度等の支援策の活用などを通じた支援を進めております。定住支援につきましては、原則として刑務所及び少年院に収容されているすべての者に対し釈放後の居住環境の調整を行い、家族や親族の元への帰住がかなわない場合には、民間の更生保護施設など、改善更生に適した定住場所を確保するよう努めております。また、高齢者や疾病を有する者などにつきましては、必要な福祉の措置を速やかに受けることができるよう福祉関係との連携に努めております。  今後とも、関係機関との連携を密にして、保護観察対象者等の社会復帰を支援してまいりたいと考えております。  次に、保護観察官の増員と専門性の向上についてお尋ねがありました。  御指摘のとおり、有識者会議においては、現場の第一線の保護観察官の倍増を求める提言がなされておりますが、法務省といたしましては、本年度予算において四十三人の保護観察官の増員を得たほか、本年度から全国の保護観察所に専門官制を導入し、課長職百三十人を統括保護観察官等に振り替え、第一線の保護観察官の層を厚くしたところであります。保護観察官の増員については、今後とも、諸般の事情を考慮しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。  また、保護観察官の専門性の向上につきましては、本年度から、保護観察官の研修体系を見直すとともに、職場内における訓練や指導を強化することなどにより、その実力の向上を図ることといたしましたが、引き続きこれを推進してまいります。  次に、いわゆる東京ルールズの同意原則等についてお尋ねがありました。  更生保護における措置には、刑の執行が終了した者等に対する更生緊急保護のように申出などを要件として行うものもありますが、刑罰や保護処分の一環として行う保護観察の実施や遵守事項の設定などは、これを受ける者の同意を要件とすべきものではありません。もっとも、更生保護においては、本人の意思に基づく改善更生を助けるという理念が重要であり、対象者に措置の理由と内容を十分に理解させ、改善更生に向けた意欲を喚起する必要があると考えております。  なお、御指摘の東京ルールズの規定は、正式の司法手続又は正式裁判の前に、又はこれに代えて非拘禁措置をとる場合の準則を示したものであって、更生保護法案が規定する保護観察とは場面を異にするものと考えております。  次に、受刑者の仮釈放申請権等の保障及び仮釈放基準の明記についてお尋ねがありました。  仮釈放は、裁判により刑事施設に拘禁されている受刑者について、保護観察を実施して改善更生を図るという行政目的により刑の執行形態を変容させるものであり、専ら国の裁量権に属することとすべきものと考えられますので、受刑者に仮釈放申請権等を認めるのは相当でないと考えます。  また、仮釈放基準については現在検討を進めているところですが、仮釈放基準の改正は仮釈放の在り方そのものに大きく影響を及ぼすものですので、様々な観点から慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、地方更生保護委員会における審理の体制についてお尋ねがありました。  地方更生保護委員会の取り扱う仮釈放等審理事件は、御指摘のとおり、平成十六年には二万四千件余りに上っておりますが、委員会においては、あらかじめ委員会所属の保護観察官が対象者の面接を行うなど十分な下準備をし、事案に応じて審理手続にめり張りを付けるなどして適正な審理を行っているものと承知をしております。  仮釈放等の審理を委員三名の合議体で行うこととしているのは、審理の客観性を担保し、より慎重でバランスの良い判断を行うためであり、更生保護法案の下においてもそのようにしております。  今後とも、事務効率の向上に努めるなどして、適正な仮釈放等審理を行ってまいりたいと考えております。  次に、地方更生保護委員会委員への積極的な民間からの登用をするための規定を法案に置くべきではないかとのお尋ねがありました。  地方更生保護委員会委員は、仮釈放等の審理に刑事司法及び犯罪者の社会内処遇に関する知識、経験や事務処理能力が求められるため、保護観察官経験者が多いという実情にあります。いわゆる民間からの委員登用につきましては、特別の規定をまつまでもなく、有識者会議の報告書を踏まえ、昨年十月来、合計四人を委員に任命したところであり、今後とも積極的な登用に努めてまいりたいと考えております。  次に、東京ルールズを踏まえた特別遵守事項の定め方についてお尋ねがありました。  更生保護法案第五十一条第二項は、特別遵守事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において具体的に定めることとしております。現実に遵守することが不可能な事項を遵守事項とすることは、そもそも遵守事項としての意味がない上、かえって改善更生に向けた意欲を減退させ、改善更生にとって有害であるのでありますから、改善更生のために特に必要とは認められませんし、自由の制約が改善更生のために特に必要な範囲を超えることが認められないことも明らかであります。  次に、保護観察処分少年の遵守事項違反に対する措置についてお尋ねがありました。  法案第六十七条第二項の措置は、警告を受けたにもかかわらず、遵守事項違反を繰り返し、その程度が重いときにとることができるものであり、ささいな事実をもって少年院等に送致することとする制度ではありません。  二重処罰に当たるのではないかという御指摘ですが、この制度は、遵守事項を守らなかったという新たな事情をとらえて新たな決定をするというものであり、当初の非行事実について重ねて保護処分決定をするものではありません。また、この制度が導入されても、少年との信頼関係を構築しながら処遇をしていくことにおいて変わりはありませんので、権威主義的になったり更生保護制度を変質させるなどとの御懸念には及びません。  最後に、仮釈放取消しの手続において告知、聴聞の機会等を保障すべきではないかというお尋ねがありました。  仮釈放の取消しの処分は、裁判によって刑罰として刑事施設への拘禁を命ぜられている者について、刑の執行の形態を変容させ、緩和していた状態を本来の裁判どおりの刑の執行態様に戻す措置であって、新たな不利益処分を科すものではなく、本人の弁解を聞く機会等を設けてからでなければそうした処分を行い得ないというわけではないと考えます。この点につきましては、現行の犯罪者予防更生法も同様の立場を取っているところであります。  なお、実務上は、仮釈放取消しの申請を行う保護観察所において、例外なく保護観察官が対象者に会って質問調査を行い、その聴取結果を付して地方更生保護委員会への申請を行っているところであります。(拍手)    〔国務大臣溝手顕正君登壇、拍手〕

溝手顕正自由民主党国家公安委員会委員長・内閣府特命担当大臣(防災)

○国務大臣(溝手顕正君) 松岡議員の質問にお答えいたします。  取調べの完全可視化の件でございます。  警察におきましては、取調べを行うに当たって、憲法、刑事訴訟法、その他法令を遵守し、人権を不当に侵害することがないよう十分に配慮し、供述の任意性、信用性の確保に努めていると承知いたしております。  警察は第一次捜査機関として事案の真相を明らかにすることを重要な任務としており、被疑者の取調べもその目的のために行っているものであります。取調べの録音、録画を実施した場合には、被疑者との信頼関係の構築が阻害されることはないか、あるいは組織犯罪の検挙、情報収集が困難になることはないか、あるいは第三者のプライバシーの侵害がされる危険があるかどうか等のことにより、取調べの機能そのものが大きく阻害されることになる可能性があると認識いたしております。その結果、事案の解明が困難となり、犯罪の検挙活動自体に支障を来すおそれがあることから、録音、録画の実施については極めて慎重な検討が必要であると認識をいたしております。(拍手)    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇、拍手〕

柳澤伯夫自由民主党厚生労働大臣

○国務大臣(柳澤伯夫君) 松岡議員にお答え申し上げます。  保護観察対象者に対する社会復帰の支援についてお尋ねがございました。  御指摘のとおり、更生保護のあり方を考える有識者会議の報告書におきましては、再犯防止の観点から、法務省と厚生労働省との連携による総合的就労支援対策を充実すべき旨、指摘をされております。  このため、厚生労働省といたしましては、ハローワークと更生保護機関等との連携の下で、就労支援チームによる担当者制でのきめ細かな職業相談、職業紹介を行っております。また、昨年度からは、職業体験講習、トライアル雇用などを開始しておりまして、保護観察対象者等に対する就労支援を強化しているところでございます。さらに、保護観察対象者等の社会復帰を円滑に進めるためには、福祉と更生保護との連携により、その社会生活を支援していくことが重要と考えておりまして、法務省との間で連携の方策や課題について協議を行うなどの取組を行っているところでございます。  これらの取組によりまして、法務省との連携を更に密接にして、保護観察対象者の社会復帰を促進してまいりたいと考えております。  以上でございます。(拍手)

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 日程第一 武力紛争の際の文化財の保護に関する条約の締結について承認を求めるの件  日程第二 武力紛争の際の文化財の保護に関する議定書の締結について承認を求めるの件  日程第三 千九百九十九年三月二十六日にハーグで作成された武力紛争の際の文化財の保護に関する千九百五十四年のハーグ条約の第二議定書の締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長田浦直君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔田浦直君登壇、拍手〕

田浦直自由民主党

○田浦直君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、武力紛争の際の文化財保護条約は、文化財の保護のため、文化財に対する敵対行為を差し控えることなど、平時及び武力紛争の際にとる措置等について定めるものであります。  次に、武力紛争の際の文化財保護議定書は、占領地域からの文化財流出を防止し、流出した文化財については、締約国が管理、返還すること等について定めるものであります。  次に、武力紛争の際の文化財保護第二議定書は、条約を補足し、その実効性を高めるものであり、武力紛争の際に文化財を攻撃の対象とすることその他特定の行為の犯罪化、裁判権の設定等について定めるものであります。  委員会におきましては、三件を一括して議題とし、条約の署名から国会提出までに半世紀以上を要した理由、我が国の世界遺産を保護の対象とする可能性、イラク国内における文化財流出の状況と保護の必要性等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終え、採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これより三件を一括して採決いたします。  三件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十三     賛成            百九十三     反対               〇    よって、三件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 日程第四 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長藤原正司君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔藤原正司君登壇、拍手〕

藤原正司民主党・新緑風会

○藤原正司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、競争の導入による公共サービスの改革を推進するため、登記事項証明書等の交付及び登記簿等の閲覧に関する業務について、民間事業者に対する委託を可能とするための法律の特例を定めようとするものであります。  委員会におきましては、登記の乙号事務を民間委託することによるサービスの質の維持向上、ハローワークを市場化テストの対象とすることに伴う問題点、政府が供給しているサービスの総事業量と官が行うべき業務の基準等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  昨日、質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十三     賛成             百八十     反対              十三    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 日程第五 港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長大江康弘君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔大江康弘君登壇、拍手〕

大江康弘民主党・新緑風会

○大江康弘君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、廃棄物埋立護岸及び海洋性廃棄物処理施設の整備を促進するため、これらの施設に係る港湾工事の費用に対する国の負担割合を引き上げようとするものであります。  委員会におきましては、海面処分への取組と循環型社会の形成、廃棄物埋立護岸等の安全性の確保、スーパー中枢港湾施策の現状と国際競争力の向上等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して小林委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。  次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十三     賛成            百八十四     反対               九    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 日程第六 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)  日程第七 児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案(衆議院提出)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長鶴保庸介君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔鶴保庸介君登壇、拍手〕

鶴保庸介自由民主党

○鶴保庸介君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、通常の労働者との均衡の取れた待遇の確保等を図ることを通じて、短時間労働者がその有する能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、雇用管理の改善等に関する措置の充実等を図ろうとするものであります。  委員会におきましては、参考人からの意見聴取やスーパーにおける短時間労働者の労働の実情等を視察するとともに、差別的取扱いをしてはならない労働者の要件の妥当性、改正法の実効性確保策、改正内容を周知徹底する必要性、有期契約労働者等の均衡待遇を図るための法整備の必要性等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局した後、日本共産党及び社会民主党・護憲連合を代表して小池晃委員より、法律の対象者に有期労働者を加えること等を内容とする修正案が提出されました。  次いで、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して柳澤光美委員より、原案に反対、日本共産党を代表して小池晃委員、社会民主党・護憲連合を代表して福島みずほ委員より、修正案に賛成、原案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。  討論を終局し、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。  次に、児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、いまだ児童虐待事件が減少するに至っていないこと、前回の改正法附則に施行後三年以内の検討が規定されていること等を踏まえ、児童虐待の防止等に関する施策の更なる強化のため、児童相談所長等による児童の安全確認の義務化、児童虐待が行われている疑いがある場合における臨検制度の創設等必要な措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、提出者である衆議院青少年問題に関する特別委員長小宮山洋子君より趣旨説明を聴取した後、児童虐待が減らない理由と改正による効果、臨検の手続についての考え方、虐待を行った保護者に対する指導の在り方、児童相談所等の体制整備の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。島田智哉子君。    〔島田智哉子君登壇、拍手〕

島田智哉子民主党・新緑風会

○島田智哉子君 民主党・新緑風会の島田智哉子でございます。  私は、民主党・新緑風会を代表し、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の立場で討論を行います。  就業形態の多様化が進んでいる今日、パート労働者の数は千二百五万人に上り、雇用者の四人に一人がパート労働者となっています。パート労働は、子育てを終えた主婦による家計補助的なものではなく、今や日本経済を支える基幹労働力となっているのです。  先日、厚生労働委員会がスーパーマーケットを視察し、私もパート労働者の方と懇談する機会を得ました。パート労働者の方が正社員との均衡待遇を強く望んでいることを実感し、均衡待遇の重要性を改めて認識した次第です。  賃金格差について争われた裁判の判決においても、労働法における差別禁止規定の根底には、およそ人はその労働に対し等しく報われなければならないという均等待遇の理念が存在するとされています。すべてのパート労働者に対し、その働き方に応じ、公正な待遇の確保が求められているのです。しかしながら、今回の法案は委員会でも多くの問題点が指摘されたように、すべてのパート労働者の待遇を改善するものであるとは到底言えません。  以下、法案に即しまして具体的な問題点を挙げさせていただきます。  反対する理由の第一は、法案では、差別的取扱いをしてはならない短時間労働者が正社員と同視できる短時間労働者に限定されていることです。  差別的取扱い禁止の対象となる短時間労働者については、柳澤大臣は全パート労働者の四、五%程度と答弁するなど、今回の法案がパート労働者の均衡待遇の実現にどの程度の実効性を持つのか疑問を抱かざるを得ません。これで再チャレンジができると言えるのでしょうか。  また、差別的取扱い禁止対象の要件も問題です。法案は、要件の判断について、第一義的には各事業主が判断するとしています。事業主の判断、解釈で差別的取扱い禁止の対象となる短時間労働者の範囲が違ってくるなど、通常はあり得ないことです。さらに、転勤要件を含めることについては、均等法で禁止されている間接差別に該当するおそれすら指摘されています。こうした合理的説明の付かない要件によって差別的取扱いが禁止される対象者を不当に限定してしまうと、差別的取扱い禁止規定を設けた意味が失われてしまいます。  反対する第二の理由は、正社員と同視できる短時間労働者以外については、賃金や福利厚生等について均衡待遇の配慮が努力義務にとどまっていることです。  また、対象となるべき賃金については通勤手当を含まない、福利厚生には慶弔金、慶弔休暇等を含まないなど、均衡待遇の徹底がなされていません。委員会においても、通勤手当等も均衡考慮の対象とすべきだとの意見が再三にわたり出されましたが、結局、通勤手当等を含めないことについて合理的な説明はなされませんでした。  反対する理由の第三は、法案の実効性確保に係る規定、体制の不備です。  今回、新たに紛争処理の規定が創設され、それに伴い都道府県労働局の雇用均等室がその役割を担うこととされています。この雇用均等室について、私は機会あるごとにその組織としての体制、職務に臨む姿勢についてただしてまいりました。実際に、ある雇用均等室を視察し話をお伺いしても、均等行政を担う第一線機関としての気概が感じられませんでした。現行法に基づく助言等について、過去五年間を見ても勧告、指導はゼロ件と、全く機能していません。こうした状況で新たに紛争解決援助の役割を与えたところで、負担となるばかりで機能低下を招くだけではないでしょうか。そもそも、根本から雇用均等室の在り方を見直さない限り、現在の体制では法案の実効性が確保できるとは到底思えません。  反対する理由の第四は、改正により、正社員の労働条件が切り下げられるのではないかという懸念が解消されないことです。  政府は、合理的理由のない労働条件の不利益変更は許されないという一般法理を根拠に、そのような懸念には及ばないとしています。しかし、現実には正社員の労働条件に関する相談は増加しています。事業主の判断、良心に任せるだけで、厚生労働省は労働者保護のための行政の責任を果たしていると言えるのでしょうか。  反対の理由の第五は、本法案がすべてのパート労働者を対象としていないことです。  パートと呼ばれている労働者の中には、所定労働時間が通常の労働者と同様か、それ以上となっているいわゆるフルタイムパートの方もいらっしゃいます。こうしたフルタイムパートの方は短時間労働法の短時間労働者の定義に当てはまらず、適用対象から漏れています。本来、真っ先に差別禁止や均衡待遇がなされるべきフルタイムパートの待遇の改善を図らず、そのまま放置するこの法案は全くの欠陥法案だと言わざるを得ません。民主党は、パートや有期契約を含むすべての労働者を対象に均等待遇の実現を目指す本格的な立法が必要であると考えます。  以上、反対する主な理由を申し述べました。  今、日本の労働法制は大きな危機を迎えています。労働分野における規制緩和により、企業が生き残りを懸けた熾烈な競争を展開する一方で、そこで働く労働者の労働環境は劣化、悪化の一途をたどっています。また、医療などの専門職でさえ、人件費の削減、正規職員の多忙さゆえに短時間労働者が増加していることは我が党の委員が指摘したとおりです。にもかかわらず、政府の規制改革会議は雇用分野の一層の規制緩和を推し進める方針を打ち出しました。私はこうした状況に深い憂慮の念を覚えます。  民主党は、短時間労働者はもちろんのこと、正社員やフルタイムパート、有期契約労働者を含めたすべての労働者の待遇改善、労働条件の改善に向けて真剣にかつ全力で取り組むことを国民の皆様にお約束をし、私の反対討論といたします。  ありがとうございました。(拍手)

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これより採決をいたします。  まず、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十二     賛成              百五     反対             八十七    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 次に、児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十四     賛成            百九十四     反対               〇    よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 日程第八 株式会社商工組合中央金庫法案  日程第九 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案   (いずれも内閣提出、衆議院送付)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長伊達忠一君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔伊達忠一君登壇、拍手〕

伊達忠一自由民主党

○伊達忠一君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、審査の経過と結果を御報告申し上げます。  株式会社商工組合中央金庫法案は、商工中金の完全民営化の実現に向けて経営の自主性を確保するとともに、中小企業団体及びその構成員に対する金融の円滑化を図るための業務を行うことなどを定めるものであります。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案は、棚卸資産を担保とする融資のため制度を拡充するとともに、事業再生保険制度を創設するものであります。  なお、両法律案の審査のため、北海道に委員派遣を行い、地域経済及び中小企業金融の実情を調査いたしました。  委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、一つ、商工中金を民営化する意義、一つ、商工中金の中小企業金融機能維持の必要性、一つ、動産担保融資の普及に向けた課題等の諸問題について質疑が行われました。  質疑を終了し、順次採決の結果、両法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、株式会社商工中金法案に対して附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これより採決をいたします。  まず、株式会社商工組合中央金庫法案の採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十三     賛成             百八十     反対              十三    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十三     賛成            百九十三     反対               〇    よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕      ─────・─────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 日程第一〇 少年法等の一部を改正する法律案(第百六十四回国会内閣提出、第百六十六回国会衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長山下栄一君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔山下栄一君登壇、拍手〕

山下栄一公明党

○山下栄一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、少年非行の現状に適切に対処するため、警察官による調査手続、十四歳未満の少年の少年院送致、保護観察に付された者が遵守すべき事項を遵守しなかった場合の措置等に関する規定を整備するとともに、裁判所の判断により国選付添人を付する制度を新設するための所要の規定を整備しようとするものであります。  なお、衆議院において、いわゆる虞犯少年に係る事件についての調査の規定の削除、国選付添人の選任の効力の失効に関する規定の削除、少年院に送致可能な年齢の下限設定などの修正が行われております。  委員会におきましては、少年非行の動向、触法少年事件に対する警察官による調査の在り方及び権利保障の必要性、小学生を少年院に送致することの妥当性、遵守事項違反を理由とする少年院送致処分の妥当性、少年犯罪を根絶するための方策、児童相談所及び児童自立支援施設の課題等について質疑を行うとともに、参考人からの意見聴取、愛光女子学園及び国立武蔵野学院の実情調査、厚生労働委員会との連合審査会の開催など、幅広い審査を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局した後、民主党・新緑風会の簗瀬理事より、少年院送致の下限年齢をおおむね十四歳以上とする等の修正案が提出されました。  次いで、討論に入りましたところ、日本共産党の仁比委員より、修正案に賛成し、原案に反対する旨の、社会民主党・護憲連合の近藤委員より、修正案に賛成し、原案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。  討論を終わり、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) これより採決をいたします。  本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数          百九十四     賛成              百六     反対             八十八    よって、本案は可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────

扇千景各派に属しない議員議長

○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時六分散会

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