法務委員会 第21号
- 発言数
- 178 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2007/06/14
会議録
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、二之湯智君及び荻原健司君が委員を辞任され、その補欠として山東昭子さん及び若林正俊君が選任されました。 また、本日、弘友和夫君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、それでは理事に木庭健太郎君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁刑事局長縄田修君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長小津博司君及び法務省矯正局長梶木壽君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○岡田広君 自由民主党の岡田広です。 今日は午前中、陪審法廷そして東京地裁と、視察、見学をさせていただきました。やっぱり百聞は一見にしかずという言葉がありますが、大変私もいろいろ感じさせられることがありました。特に東京地裁ではビデオリンク、遮へい、被害者参加人の意見陳述と、そしてまた東京地裁の被害者参加人が使うであろう待合室といって、大変狭い部屋でありましたけれども、たくさんの方が入るわけではないからこのぐらいでという所長からのお話もあったわけでありますが、やっぱりあの室内に入ってみましたら、花瓶にお花が入っている絵が一枚だけありまして、何となく私の感じでは殺風景という感じがしてなりませんでした。そういう中で、やはり被害者参加人があそこで待ち合うということになりますと、やはり心の緊張感とか、いろいろ心の葛藤もあるんだろうと思いますが、もう少し落ち着くような、精神的に落ち着くような工夫をされることをこれは要望しておきたいと思います。 今日は、昨日参考人質疑もありました。被害者参加制度につきまして、そして損害賠償命令ということで、二こまについて参考人質疑があったわけでありますが、その二点を中心にお尋ねをしたいと思っておるわけであります。 今回の被害者参加制度については様々な懸念が示されております。その懸念も踏まえまして議論を続けてきたわけであります。昨日は参考人の方々から率直な御意見を伺ってまいりました。今回の参加制度は刑事司法の構造を大きく変容させかねないものである。刑事司法においては訴訟、起訴及び訴訟遂行を国家機関である検察官にのみ認め、被告人の無罪推定原則の下に有罪立証は検察官の責任とされて、被告人、弁護人側はこれを弾劾するという二当事者対立構造が取られてきたわけでありますが、この参加制度においては、犯罪被害者等は一定の制約があるとはいえ、検察官とは別個の、当事者の立場で証人や被告人に尋問したり、求刑について、この求刑については昨日の参考人質疑の中でも求刑ではないという意見も参考人からありましたが、私は求刑という言葉でお話をさせていただきたいと思いますが、この求刑について意見を述べたりすることができる。そこに報復感情といったものが影響してくることは否定できない。被告人、弁護人は、検察官だけでなく犯罪被害者等とも対峙しなければならないわけでありますから、被告人の防御権の行使にとって負担が過重となることは避け難いという、こういう意見もたくさん司法関係者の方々から寄せられております。 そのほかにも、この参加制度は被告人を萎縮させ、刑事裁判における真実の発見にとって支障を来すおそれがあるとか、たくさんの意見が出されたわけでありますけれども、私はこの議論を通じまして、いろいろ本制度においては様々な工夫がなされていることから、この指摘されているような懸念は、この法案が成立した後、長勢大臣が答弁をされておりますようにいろんなケースが考えられるだろうと思いまして、それに対しては万全な対応をしていくという答弁もありましたから、この制度による、しっかりと国民に理解される制度にしていただきたいということを要望しておきたいと思っているわけであります。 そして今日はこの被害者の方々、今日現場を見てきましたけれども、被害者の方々の刑事裁判への参加が具体的にどのように行われるかというのを刑事裁判の手続の流れに沿ってお尋ねしていきたいと思っております。 まず、この被害者参加の制度の参加の申出の手続についてお尋ねをしたいと思っております。 この法案による改正後の刑事訴訟法三百十六条の三十三において、被害者参加は、被害者又はその委託を受けた弁護士が検察官を経由して裁判所に対して参加の申出を行い、裁判所がこれを相当と認めて許可する決定をした場合に認められることとされておりますが、この申出や許可の決定は刑事手続のどの段階から行うことができるのか、そしてまた被害者の方々の参加はどのような場合に許可され、どのような場合に許可されないのか、これは法務省小津局長にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 まず、参加の申出や許可を行うことができる時期についてでございますが、本法律案による改正後の刑事訴訟法三百十六条の三十三は、被告事件の手続への参加の申出を行うことができることとしておりまして、被害者又はその委託を受けた弁護士は、検察官が当該事件を起訴した段階から参加の申出を行うことができまして、また、裁判所は第一回公判期日の前であってもこれを許可する決定を行うことができるわけでございます。 次に、どのような場合に参加が許可され、あるいは許可されないかという点についてですが、まず前提として、本制度は殺人、傷害等の故意の犯罪行為により人を死傷させた罪など、その対象犯罪が定められておりますので、そのような犯罪の被害者の方々のみ参加の申出ができることとされております。そして、被害者の参加は、裁判所が検察官や被告人又は弁護人の意見を聞き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と認めるときに許可されることになります。 参加が許可されない場合といたしましては、例えば暴力団の対立抗争事件のように、被害者が被告事件の手続に参加して訴訟活動を行うことを認めると法廷の秩序が乱されるおそれがあるような事件もありますので、このような事件は犯罪の性質を考慮すると相当とは認められないとして参加が許可されない場合もあると考えられます。また、例えば被告人と被害者との仲がかねてから非常に険悪で一触即発の関係にある場合や、被告人と被害者が暴力団の組織内で上下関係にある場合など、被告人との関係を考慮すると参加を許可することが相当とは認められないと判断されることもあると考えております。
○岡田広君 参加の申出が許可されて被害者参加人の地位が与えられた被害者は、三百十六条の三十四において、原則として公判期日に出席することができることとされております。そこで、公判期日に出席する被害者参加人は法廷内でどのような位置に座るのか。先ほど東京地裁でも伺いましたが、なかなか場所、どこということの明確な回答はありませんでしたけれども、まあ弁護側に座るということはあり得ないんだろうと思いますけれども、これ、座る位置についてももう決まっているのかどうか、そしてまた例外的に被害者参加人が公判期日に出席することができない場合としてはどのような場合が考えられるのか、これも小津局長にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 被害者参加人が法廷内でどのような位置に座ることとなるかにつきましては、法廷の施設の状況等を踏まえて個々の事件を審理する裁判所において判断されることになるものと考えられますけれども、本制度におきましては、被害者参加人は検察官との間でコミュニケーションを保ちながら訴訟活動を行うことが重要であると考えられますので、その点を考慮した座席になると考えられます。 次に、例外的に被害者参加人が公判期日に出席することができない場合についてですが、この点につきましては本法律案は、裁判所は、審理の状況、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士の数その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、公判期日の全部又は一部への出席を許さないことができるとしております。 例えば、被害者参加人が後に証人として出廷することが予定されている場合において、その証言の信用性を確保するために、他の証人尋問が実施されている間に公判期日に出席することが審理の状況から相当でないと判断される場合もあり得ると思われます。 また、例えば、多数の被害者参加人の全員が出席を求めて調整が付かず、法廷の広さ等にかんがみますと全員の出席を認めることができないというような場合には、被害者参加人等の数から相当でないと判断されるような場合もあるのではないかと考えられます。
○岡田広君 被害者参加人は、三百十六条の三十五において、当該被告事件についての検察官の権限行使に関し検察官に意見を述べることができ、検察官は必要に応じて説明をしなければならないこととされております。 被害者参加人は具体的にどのような事項についてこのような意見を述べたり説明を受けたりすることができるのでしょうか。また、このような検察官と被害者参加人の間のやり取りは具体的にどのような機会にどのような場所で行われるのか、小津局長にお尋ねいたします。
○政府参考人(小津博司君) まず、被害者参加人が意見を述べたり説明を受けたりすることができる事項についてでございますが、本法律案におきましては、被害者参加人は当該被告事件についての刑事訴訟法の規定による検察官の権限の行使一般について検察官に対して意見を述べ、必要に応じて検察官から説明を受けることができることとされております。 したがいまして、被害者参加人が意見を述べたり説明を受けることができる対象は、参加人自ら直接行うことができる証人尋問、被告人質問、それから事実又は法律の適用についての意見陳述に関するものに限られるわけではございませんで、訴因設定権や証拠調べ請求権を含めて、検察官が当該被告事件について刑事訴訟法上有しているすべての権限に関する事項が対象となります。 具体的には、例えば検察官が傷害致死の訴因で起訴をいたしましてその裁判が行われている場合に、被害者参加人は検察官に対して訴因を殺人に変更すべきだという意見を述べることができますし、これを受けた検察官は、仮にそのように訴因を変更しないという場合にはその理由を被害者参加人に説明しなければいけないということになるわけでございます。 次に、具体的に両者のやり取りがどのように行われるかでございますけれども、検察官と被害者参加人が面会いたしましたり電話等で連絡を取ったりする際に、適宜このようなやり取りが行われることになると思います。 例えば、公判期日の前におきましても、参加人と密接にコミュニケーションを図って、要望を十分に踏まえながら適切な訴訟活動を行うためにいろいろと打合せをするということが考えられますが、その際に被害者参加人が意見を述べたり検察官が説明をするということが考えられます。 また、公判の当日におきましても、その開始前あるいは休廷時間などに検察庁や裁判所内の控室など適当な場所においてこのようなやり取りがあるということも考えられますし、場合によっては公判中でありましても必要に応じて、例えばメモをやり取りするなどの適宜の方法でやるということも考えられようかと思います。
○岡田広君 ありがとうございました。 次に、被害者参加人が行うことができる具体的な訴訟活動の内容についてお尋ねをしたいと思います。 三百十六条の三十六の第一項において、情状に関する事項についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項に限って認められることとされておりますが、具体的にはどのような尋問が認められるのか、小津局長にお尋ねいたします。
○政府参考人(小津博司君) 被害者参加人が行うことが許されますのは、情状に関する事項のうち犯罪事実に関するものを除く事柄について証人の供述の証明力を争うために必要な事項と、こういう趣旨の規定でございます。 例えば、被告人やその親族による示談や謝罪の状況など、犯罪事実に関係しないいわゆる一般情状に関する事項について、証人が既にした証言の信用性を争うために必要な事項について尋問するということでございます。 例えばでございますけれども、被告人の親族が被害者の自宅を訪問して謝罪したところ被告人の犯行を許してくれたというふうに証言した場合に、その証言がうそだというふうに考えてその参加人の方がその詳細について尋問をするということなどが考えられようかと思います。
○岡田広君 被害者参加人の証人尋問の申出につきましては、条文の中で、検察官の尋問が終わった後、直ちに、尋問事項を明らかにして、検察官にしなければならないとされておりますけれども、この申出やそれに基づく被害者参加人による尋問はどのような手順で行われるのか、具体的な例がありましたら小津局長からこれも御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 先ほどの御答弁で、被告人の親族が被害者の自宅を訪問して謝罪したら許してくれたと証言した場合を申しましたので、この例で申し上げますと、そのような証言があったにもかかわらず検察官がその点について何ら反対尋問をしなかったと、そこで被害者参加人としてはその謝罪したこと自体がうそだということを明らかにしたいと考えたといたします。この場合に、被害者参加人は検察官に対して、検察官の尋問が終わった後、直ちに尋問事項を明らかにして申出を行います。この申出は、通常はこういう場合ですと公判廷において口頭で検察官に告げるということになるわけでございます。その申出はそれほど詳細である必要はないわけでございまして、うそであることを証明するために、それでは被害者の自宅がどこにあるかを知っているのかなどということを聞きたいというようなことが考えられます。 それから、その申出を受けた検察官は、これを検察官自らが尋問することが適当かどうかということを考えまして、自らがやった方が適当だと考えれば追加して自分がやるわけでありますが、今のような例ですと、被害者参加人自身に直接尋問してもらった方がいいということもありますので、そのようなふうに判断いたしました場合には、それが相当だという意見を付けてその申出を裁判所に通知すると。これももちろん口頭で公判廷で告げるということになるわけでございます。 そして、その申出を受けて、裁判所は被告人又は弁護人の意見を聴きました上で、法律上の要件を考慮して相当と認めれば証人尋問を許すということになると、このような流れになろうかと思います。
○岡田広君 被害者参加人の被告人質問の申出についても、条文の中で、あらかじめ質問する事項を明らかにして検察官にしなければならないとされておりますが、この申出やそれに基づく被害者参加人による質問はどのような手順で行われるのか、これについても小津局長にお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) まず、具体的な例といたしまして、遺族である被害者参加人が被告人に対して直接問いただしたいというふうに思っている場合を想定したいと思います。 この点、被害者参加人の中には、公判期日の前からただいま申し上げたようなことを被告人に対して直接問いただしたいと考えられる方も多いかと思いますが、そのような場合には、検察官は公判期日の前におきましても被害者参加人と緊密に話をいたしまして、その際に被害者参加人が検察官に対して申出を行うということも考えられるわけでございます。この申出は、口頭や書面等の適宜な方法で検察官に伝えることにより行われることになるわけでございます。 被害者参加人が公判廷で実際に弁護人の質問等に対する被告人の供述を聞いた上で、そのような事項を直接問いただしたいと考える、つまり事前にはそこまで考えなかったけれども、公判廷でそのように聞いてそのように考えるようになったという場合もあり得ると思いますが、その場合は公判廷で検察官に対して通常は口頭でその旨の申出を行うということになると思われます。 いずれの場合も、被害者参加人は申出の際に質問事項を明らかにする必要があるわけでございまして、例えば、被告人の被害者に対する現在の心境について質問するというようなことを言っていただくということになろうかと思います。 このような申出が出ました場合に、検察官としては、これを直接被害者参加人に質問してもらうことが適当だと考えまして、そのような意見を付けて裁判所にその申出を通知すると。この通知につきましては、公判期日の前でございましたら電話その他の方法で裁判所に伝えるということがあろうかと思いますが、公判廷では通常口頭で告げることになろうと思います。裁判所の方は、被告人又は弁護人の意見を聞いて、法律上の要件を考慮して相当と認めればその質問を許すということになるという、そのような流れでございます。
○岡田広君 小津局長から被害者参加人の証人尋問あるいは被告人質問の申出について御答弁いただきましたけれども、今回の被害者参加制度につきましては、被害者参加人の被害感情や復讐心があらわになって質問がエスカレートをするんではないかという懸念が一方にあるわけであります。しかし、今の答弁を伺ってますと、被害者は事前に検察官を通じて質問内容を申し出るなどの制約があります。そういう中で、被害者のむき出しの感情が法廷に出るわけでないという、冷静な審理が十分確保できるんではないかという昨日の参考人の意見もありましたが、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のように考えております。
○岡田広君 ありがとうございました。 それでは、被害者参加人による質問や尋問について今説明をしてもらったわけですが、被害者が参加する刑事裁判の審理が適正、円滑に行われるためにも、万が一にも被害者参加人の尋問等が違法、不法なものである場合に、これを適切に制限することも必要であると考えます。本制度においては、このような尋問等の制限はどのような場合に行われるのか、法務当局にお尋ねいたします。 そしてまた、万が一にも違法、不法な尋問等があった場合は、裁判所が訴訟指揮によりこれを適切に制限することが重要であると考えられますけれども、この点については最高裁判所のお考えをお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) まず、被告人質問について申しますと、質問事項が既にした質問と重複するときや事件に関係のない事項にわたるなど相当でない場合、あるいは公開の法廷で被害者特定事項を明らかにしない旨の決定がなされた事件において質問がそのような事項にわたる場合、あるいは質問が被害者参加人の意見の陳述をするために必要がある事項に関係のない事項にわたるときには、裁判長は被害者参加人等による質問を制限することができるとされております。 また、被害者参加人等による証人尋問につきましては、ただいま申し上げました重複した質問でありますとか、被害者特定事項に関するもののほか、証人等の身体等に危害が加えられるおそれがある場合に尋問が証人の住居等に及ぶ場合、これは現行の刑訴の二百九十五条の第二項に関係することですが、こういう場合でありますとか、それから尋問が犯罪事実に関する事項に及ぶ場合や証人の証言の証明力を争うために必要な事項以外の事項に及ぶとき、こういう場合に裁判長が被害者参加人等の尋問を制限することができるということでございます。 例えば、情状証人が事件の目撃者でもあったような場合に、被害者参加人がその目撃状況について尋問するということは犯罪事実に関することでございますので、このような尋問は制限されるということになりますし、また、被告人に対して怒りや憎しみの気持ちをぶつけるために繰り返し厳しい言葉を投げ掛けるというふうなことがもしございましたら、それは意見の陳述をするために必要がある事項に関係がないということで制限されるということになろうかと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 被害者参加人による尋問それから質問はこの法律によって認められるものでございますので、この法律で予定されていない違法、不当な尋問等がなされた場合には、委員御指摘のとおり、裁判所といたしましては適切に制限することが重要と考えております。
○岡田広君 時間がなくなってきましたんで、ちょっと質問を飛ばします。 この被害者参加人の行う事実又は法律の適用についての意見の陳述は、証拠とはならない純然たる主張としてなされることが条文上明らかにされています。裁判員裁判において適正な審理、判断が行われるためには、この点を含め、証拠となるものとならないものの区別について裁判官が裁判員に対して分かりやすい説明を行い、裁判員の方々に的確に理解をしていただくことが重要であると思いますが、この点について最高裁判所のお考えをお尋ねしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、被害者参加人の行う事実又は法律の適用についての意見の陳述を含め、証拠となるものとならないものの区別につきましては、評議等の場で議論をする中で裁判官が裁判員に十分説明して、裁判員に的確に理解していただくことが重要と考えております。 また、被害者参加人の意見陳述は、証拠調べ終了後、検察官の論告求刑の後に行われるものでありまして、手続上、証拠調べとの区別がなされているものと理解しておりますが、個別の事案でこの点について疑義が生じる場合には、検察官や弁護人においてもその点を指摘する機会があるものと承知いたしております。
○岡田広君 ありがとうございました。 損害賠償命令の制度についてお尋ねしたいと思います。 この制度の重要な意義は、被害者の方々を簡易迅速に救済するという点にあると思います。この点についてはもうこれまでも議論をされてきましたが、さらに、被害者の方々の救済という観点というのは非常に大事でありますので、これは最後に大臣の御意見をお尋ねをしたいと思っております。 この被害者の方々の救済が大切である一方、被告人の防御権が侵害されるようなことがあってはならないわけであります。また、しかし新しい制度でありますから、平成二十一年五月までに施行される裁判員制度の関係で本当に問題はないのかという視点も大切であると思っております。この点については、先刻、長勢法務大臣から御答弁をいただきました。 しっかりと対応をしていただきたいと思うわけでありますが、最後に、被害者の方々の施策というのは本法律案に盛り込まれたものに尽きるものではないわけであります。犯罪被害者等基本計画においては、多くの省庁にまたがって二百五十八もの施策の検討と実行が求められているわけであります。引き続き、政府を挙げて各種施策に取り組むことが大変重要であり、今後法務省においても各省庁と連絡を取りながら、連携を取りながら被害者の方々のための施策を推進、実行していくものと期待をしているわけでありますが、改めて長勢法務大臣にその決意を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 御指摘のとおり、この犯罪被害者の訴訟参加また損害賠償命令制度、今回画期的なものだと思いますが、これで被害者のための施策が終わりというわけではございません。御指摘のとおり、基本計画でも二百五十八の取り組むべきことということが定められておるわけでございますから、これを政府挙げて、これ各省にまたがりますけれども、一生懸命やっていかなければならないと思います。 法務省におきましても、特にこの法案にも関連してでも、法律に頼るというだけではなくて、併せてというかその前提として、犯罪被害者の方々と検察官とのコミュニケーションの充実を図る、あるいは犯罪被害者の方々に対する情報提供の拡充というふうなことも、するべきことはないか、更にやるべきことはないかということもやっていかなければならないと思いますし、先ほど申しましたように、各省挙げてこの問題に、いろんな施策の充実に努めるように努力をしてまいりたいと、このように考えております。
○岡田広君 ありがとうございました。是非しっかりとした対応をお願いをしたいと思っております。 この被害者参加制度の本法案につきましては、この委員会でも様々な意見が出されました。本制度は当事者主義に反するのではないか、あるいは無罪推定の原則に反するのではないかとか、被害者参加は裁判員に不当な影響を与えないかとか、本制度が導入されると報復の連鎖が起こるのではないかとか、あるいは被害者が被告人から攻撃されて二次被害を受けるおそれはないかとか、たくさんの意見、懸念がこの中でも出たわけでありますから、しっかりとそういうことに耳を傾けながら、十分検討しながらいい制度を作っていただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○簗瀬進君 被害者参加制度の質問に入る前に、長勢大臣の個人的なことについて若干、直前の通告でございましたけれども、御質問をさせていただければと思っております。 昨今、随分様々週刊誌等をにぎわしてらっしゃるということでございますが、そのことについては私は聞きません。今日は新聞を、先ほど実は視察から帰ってきて今朝の新聞をチェックさせていただきましたら、こんな記事が出ておりました。法務大臣、実家を未登記と。長勢甚遠法相が資産公開している富山県魚津市の実家の建物が未登記の状態となっていることが十三日、分かったというようなことでございまして、まず、民事局長、急遽来ていただいたんですが、この新聞によりますと、法務省民事第二課によると、建物を所有したにもかかわらず登記を怠ると不動産登記法違反に当たると、こういうふうな記事が出ておりました。 不動産登記法の規定がどうなっているのか、違反した場合の罰則等がどうなっているのかについて、まずは確認をさせていただきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは法律の規定の一般論で申し上げるわけでございますけれども、御承知のように、建物、土地の登記簿がございますが、その登記簿を備えた場合に、表題部、表題登記、これは昔から表示登記ということで概念上整理されておりますけれども、その登記と、権利の登記、つまり所有権、抵当権等がどなたにその権利が帰属するかという部分と、二つあるわけでございます。このうち、表題登記につきましては、これは登記の義務を負っているわけでございまして、所有者の方あるいは登記名義人の方がその登記をする義務が課せられておりまして、この義務に違反いたしますと最高十万円の過料の制裁を受けると、こういうことになっているわけでございます。
○簗瀬進君 確認なんですが、そのカ料というのはとが料ですか、過ち料ですか。
○政府参考人(寺田逸郎君) 過ち料でございます。
○簗瀬進君 過ち料というのは、言うならば行政罰としての過料十万円ということのようでございますね。 表題登記、表題部の登記を怠っていたかどうかということなんでございますけれども、長勢大臣、この記事によりますと、この問題はもう九五年に一部で報じられていた等の記載もございます。ということで、これから本題の質問に入る前で恐縮なんですが、表題の登記を怠っていたのかどうかということの確認と、それから九五年当時にこの登記がされていなかったということの御認識をお持ちになっていたのかどうかと、この二点をちょっと確認させてください。
○国務大臣(長勢甚遠君) この問題、記者からの御質問で指摘をされまして調べてみました。 事実を申し上げますと、この土地は私が父から相続をした建物でございます。土地と建物を相続しておりますが、この土地については私のものとして所有権登記がされておるわけでありますが、建物については祖父の名義で登記がされておるというのが事実でございまして、これについて、今おっしゃった時期に指摘があったんではないかという御質問でございますが、多分あったんだと思いますし、記憶が正確ではないんですが、あったと思いますし、当時、司法書士さんですか、相続を担当していただいた方に、当時も当然相続のときにきちんとされていたものと思っておりましたので、その指摘があったときも確認をして、しかるべく登記をするようにお願いをしたというふうに思っておるんですが、その後、それがちゃんとされておるかどうかを確認しないままに今日になってまいりまして、今は私のものとしての表題登記がされていないというのは事実でございまして、これは誠に申し訳ないことだと思います。早速きちんと調査をした上で必要な登記手続を取りたいと、このように思っております。
○簗瀬進君 確認なんですけれども、この部分に余りこだわる気持ちはないんですが、表示の登記はあるけれども権利の登記が怠られていたということでございますか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 正直言ってこの問題、非常に法律難しいんでよく理解できなかったときもあったんですが、簡単に言うと、権利の登記の部分が私の祖父の名前になっていまして、私の名前に書き換わっていないということだと理解をしております。
○簗瀬進君 今の答弁ですと、表示の登記はあるという形になれば、これ不動産登記法違反の問題はどうなんでしょうか、寺田さん。
○政府参考人(寺田逸郎君) ちょっとこれ、事実関係に立ち入るので余り適当ではないかもしれませんけれども、私どもが承知している範囲では、一応建物の表題の登記というのはされておりまして、その表題部の所有者欄に今おっしゃられました祖父の方の名義が書かれているわけでございます。ただ、この建物は、お聞きするところでは、実態、今建っている建物と相当変化があって、増築等いろいろなことがされておりますので、果たして同一性があるのかどうか。仮に今、増築にとどまれば、これは変更の登記をしていただく必要があるわけでございます。 いずれにしても、権利の登記は全くされてない状態でございます。
○簗瀬進君 そうなりますと、更に質問しなきゃならないんだけれども、その変更登記、表示の登記が、建物の何といいますか状態がもうかなり変わってしまったんで、新しい表示の登記をしなければならない。それが変更登記だとするならば、それを怠られていた大臣のことというのは過料の対象になるんじゃないんですか。どうでしょう。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは具体的にどうなるかということをちょっとお答えするのを避けたいと思いますけれども、一般的に申し上げますと、今、簗瀬委員のおっしゃったとおり、建物に大幅な変更があって、そこで新たに変更の登記をしなきゃならないというような状態のようでございますけれども、そうでございますと、その変更登記をする義務がございまして、それを怠れば先ほど申したように過料の制裁があると、こういうことでございます。
○簗瀬進君 これは是非とも、これは法務大臣というお立場でもございますんで、先ほどの御答弁だと、大臣の御答弁だと過料の対象にはなっていないということになるんだけれども、今のいわゆる同一性が失われてそして表題部の変更登記を怠っていたという形になりますと、これ過料十万円を払っていただかなければならないんですね。これを大臣として誠実に処理していただけますか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今専門家の先生と民事局長でお話があったようなことまで余り私もよく存じないままに今日ございまして、私が相続してから少しも建物は変えていないものですから、どういうことになるのかよく分かりませんが、いずれにしても、どういいますか、私が大臣ではございますが、登記の担当の方の指示に従って対処したいと思います。
○簗瀬進君 法務大臣でございますんで、きちんとした、法にのっとった処理をしていただけるように心からお願いをしたいと思います。 それでは、本日の本題でございます被害者参加制度についての質問に入らせていただければと思っております。 今日も、先ほど岡田委員の方から百聞は一見にしかずというふうなお話がございまして、午前中、横浜の桐蔭でしたかな、桐蔭学園という大学で横浜地裁の特号法廷、わざわざ、BC級の戦犯が裁かれたそういう場所でもありますし、そういう歴史的な意味もあれば、また刑事司法というそういう観点から見ても、昔のいわゆる刑事法廷の状況がどうだったのか。そして、あれは昭和三年に導入をされた陪審員制度の中で、陪審員がどういうふうな席を与えられており、被告人がどこに座って、弁護人がどこに座ってと、そして裁判官がどこに座って、検察官がどこに座ってということが全部リアルに再現をされておりまして、私は古い時代の刑事司法の姿というようなものがひときわ印象に残りました。 もう皆さん行かれたんで御記憶のとおりなんですけれども、私が一番なるほどなと思ったのは、正面にいわゆる裁判官の席がございました。ひときわ高い位置にありますけれども、その向かって、私どもから見て左隣に検察官が座っている。そして、裁判官の今度右隣には書記官が座っている。そして、被告人あるいは弁護人等の位置は一段下がったところに置かれている。陪審員のシートはそれと向かい合ったところに十二のいすがあるわけでございまして、正に戦前の刑事法廷というようなものは極めて裁判官の職権主義的な指揮の下に行われており、裁判と検察が一体となっていたという、そういう姿が非常にリアルに見えてきたわけでございます。 ところが、御案内のとおり、新しい刑事訴訟法ができまして、戦前の刑事司法の姿が職権主義から当事者主義に大変大きく変更をされたと、このように私どもも刑事訴訟法の勉強をするときには教わるわけでございます。正にそういう意味で、新しい憲法がこの日本に発布をされる、それと相前後する形で刑事司法の姿も職権主義的な姿から当事者主義的な姿に大きく変わっていくと、こういうふうな状況があったと思うわけでありますけれども。 私は、正にそういう意味では、当事者主義の導入というようなものは非常に刑事司法における人権、特に被告人の人権という形で、それが憲法が導入した基本的人権の尊重、憲法の中にもかなりそういう意味では刑事司法に関する人権規定が置かれました。それと相前後する形での当事者主義の導入ということであったと思うんです。正にそういう意味では、人権感覚の推移とともに職権主義が当事者主義に変わっていったという、こういうふうな歴史的な経緯を持っていると認識をまずはしておくべきなのかなと、このように思っておるんですけれども、大臣の御見解をいただければと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 御指摘のとおり、刑事訴訟においていわゆる職権主義から当事者主義に変わったのは、現行の刑事訴訟法において初めてそういうふうになったわけでございまして、刑事訴訟法の目的においても、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現するということがうたわれているわけで、それを達成するために適した訴訟手続として現行の刑事訴訟法、いわゆるその当事者主義が採用されたものというふうに承知をいたしております。
○簗瀬進君 大臣もお認めになっていただいたように、日本国憲法で三つの基本原則の一つとして基本的人権の尊重というようなものが刑事司法の現場に現れてきたのが当事者主義というふうなことであると思います。 ただ、私は、実はそこに様々な問題を含んで、それがまた現在まで引っ張っている問題もあるんではないのかなと思っているんです。というのは、当事者主義というようなものは正にそういう意味で刑事司法の最終的な目的が一人一人の個人の尊厳あるいは人権を守る、こういうふうな大きな理想を持っていたんですけれども、一方で、日本の警察あるいは検察の現場に流れていた強い職権主義というようなものはかなり根深いものがあって、結局その当事者主義というようなものが持ち込んできた人権尊重というふうな観念が一方的に被告人の側だけに現れてしまったのかなと。そして、その反面として、犯罪の被害者の側の人権というようなものが、非常にそういう意味では光と影ではありませんけれども、影の方に置かれて、随分長い間たってきたんではないのかなと、こういうふうに見るべきなんではないのかなと。正に、昨日の参考人でもサリン事件の高橋シズヱさんのお話の中で様々な御指摘があったわけでございます。 その一つ一つの御指摘について、実はこれからちょっと丁寧に質問をさせていただきたいと思うんですけれども、冒頭に、まずそういう意味では、なぜここに来てこの被害者参加制度というこの大きなうねりがこの日本に出てきたのか。正にそういう意味では、被害者の皆さんがずっと自分たちの尊厳やら、あるいはプライバシーやら、あるいは人権というようなものが刑事司法の中でないがしろにされてきたという一種の疎外感、あるいは喪失感、あるいはそれから出てくる刑事司法への信頼の喪失というようなものに結び付いてしまった、そういう大きな一つの風潮の社会的な感情といいますか、それの背景にあった原因、これ大臣、どのようにお考えになっているのか。まず、出発点での御認識を聞かせていただければと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) これまでこの刑事司法について被害者の方々からは、例えば被害者は刑事裁判において証拠として扱われているにすぎない、事件の当事者にふさわしい扱いを受けていないという御批判ですとか、被害者は審理の推移を傍聴席で見ているしかなく刑事裁判の蚊帳の外に置かれているという御批判もありましたし、また被告人、一般には加害者ということになるんでしょうけれども、加害者の権利は尊重されるけれども被害者の権利は全くないがしろにされているというような声も言われてきたところでございまして、今先生御指摘のように、刑事裁判に対する疎外感というものが非常に強く言われてきたわけでありまして、これは率直に受け止めなければならないというふうに考えます。 その原因はどこにあったんだろうということでありまして、先生からはかつての職権主義の残滓がそういうところに現れているんではないかという御指摘であったかと思いますが、具体的にどういうことかは別にして、そういうものが全くなかったというわけではないかもしれないなということは反省をしなきゃなりませんし、またどうしても、右から左へ変わったわけですから、その反動、行き過ぎたというか、という面もあったのかもしれませんし、いずれにしても、そういうことから被害者の方々がそういう意味でのいろんな思いを持っておられたということにやっぱり対応しなきゃならぬということが今回こういう議論をさせていただいておる要素であったことは事実でありまして、是非、今回の被害者参加の制度、早急に成立させていただいて、こういう問題に対応できるようにしたいものだというふうに考えております。
○簗瀬進君 今回の被害者参加制度が入った形でこの我が国の刑事訴訟の制度がどういうふうな形になっていくのかということについては、なかなか学者の意見を聞いても、英米流でもない、また大陸法系でもない、日本独自のものだというふうな説明が参考人の学者の方からもございましたけれども、正に日本独自のものというふうな言い方で説明せざるを得ないような、ちょっと訴訟構造の本質の流れにどういうふうに位置付けたらいいのかということについてまだまだ議論が定まっていないような感じは私は受けております。 ただ、私は、そういう意味では、やっぱりある意味でその当事者主義の構造をしっかりと守った形で、今までどうもその当事者主義それから刑事司法における人権というと、被告人の人権がクローズアップを、どちらかというと傾いて傾斜的にされてきたものを、今回は被告人も、それから被害者も、とにかく国民全員の人権をしっかりと守っていく、それがその当事者主義の基本にある考え方なんだと。 正に、そういう意味では被告人の人権も被害者の人権もともに尊重をするという、そういう観念を刑事司法の、これから捜査から、それから検察、そして裁判、この全体に流れる一つの大きな基本的な考え方としてきっちりと位置付けさせるということがこの今回の法律のある意味で大変大きな歴史的な意味であるというふうに理解すべきなんではないのかな、こういうふうに当事者主義の理解を、正に被告人も被害者もともに人権を尊重する、そして刑事司法も、正に人権の最大の侵害である犯罪というようなものをすべてにわたって救済をしていく、そのための大きな手続なんだという、何といいますかね、この刑事司法の中に人権尊重というようなものを一貫した大きな流れとして位置付ける、それがこの法律の意味なんだというふうに考えるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) やや講学的な話になりつつあるようで、私、先生ほど専門家ではございませんが、そういう意味で印象的に申し上げることはお許しをいただきたいと思いますけれども。 いわゆる今回の改正で当事者主義の原則を変えるわけではございませんで、従来、その中でやってきた、先ほど来御指摘の問題点を解消して被害者の方々の権利の保護に当たろうというのが今回の法案でございますが、おっしゃるように、訴訟全体、刑事手続全体が加害者、被害者併せて人権を大事にしたものであるべきだというのはおっしゃるとおりだろうと思います。それは当然、それに当たる検察、弁護士さん、裁判官、それぞれがそれぞれの立場で役割があるわけでありますけれども、それぞれが加害者、被害者、すべての人権を大事にするという流れを持っていかなきゃならぬと。そのことの一つの大きな、この今回の改正がその一つの大きなステップになるということを期待したいと思います。
○簗瀬進君 先ほど、東京地裁のビデオリンクやら遮蔽というような形で被害者の皆さんへの大変裁判手続の中での配慮というようなものをしっかりと組み込んだ新しい工夫というようなものも見させていただきました。しかし、これがつい最近出てきた流れということは非常に私は残念に思うんですね。 そういう意味で、昨日のサリン事件の被害者の高橋さん、先ほど触れましたけれども、幾つか印象に残る指摘をいたしておりましたので、これはこの場をかりて是非ともそれぞれ御当局に確認をさせていただければなと思っているんですけれども。 まず第一点目は、被害者として供述調書を取られると、そしてその取られた供述調書を見たいと、あるいは残したいというふうに思ったときに、そのコピーをいただけるそういう手だてがなかったと、こういうふうなお話があったんですけれども、このことについては現時点ではどういうふうな対応になるんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 まず、被害者等の方々は、その供述調書が公判に提出された場合には裁判所に対して閲覧、謄写の申出をすることができるわけでございますし、正に本法律案によりまして原則としてそれが認められることとなるという意味で、これが認められる範囲が拡大するわけでございます。また、刑事確定記録法に基づいて御自分の供述調書の閲覧、さらに謄写をするということができるわけでございます。また、当然のことながら、検察当局においていろんな捜査の状況について被害者の方々に情報提供をするということになるわけでございます。 ただ、被害者の方であれば、その方の供述調書をその場ですべてコピーをお渡しする取扱いになっているかどうかということでございますけれども、この点はそのようにはなっておりません。と申しますのは、被害者の方からお話を伺って、一度供述調書を作成いたしまして、また更に引き続いて来ていただいてまたお話を伺うということもあり得まして、その際に、最初にお話を伺ったときの供述調書をお持ちいただきますと、次に来ていただいたときにその記憶に基づいて言っていただけているのかどうかというチェックが難しくなる面もあるということが一つございます。もう一点は、基本的に、刑事訴訟法四十七条で訴訟に関する書類は公判の開廷前に公にしてはならないということにはなっておるわけでございます。 そのような中で、どういう場合に公判前に被害者の方に直接お話しいただいたことに関して検察官とやり取りをしていくべきなのか、また今後とも研究させていただきたいと思っております。
○簗瀬進君 公にするわけでは全くないですよね、今、場内でも発言ありましたけれども、正に、そういう意味では法的な根拠は全くないんじゃないんですか。 それから、記憶をその都度その都度明らかにすると、記憶をある意味で一方的に作り上げてしまうような、そういう調書を本人には見せない。これもおかしな話で、私もかつては修習生をやったことがありまして、そのときに検察修習で調書を取りました。本人に読み聞かせたところ誤りがないということを証明してサインもらうんですよ。サインもらうということは、それは、書いているのは検察関係の職員の方かもしれませんけれども、やっぱりしゃべっていて、このとおり間違いないというようなことで署名をしているのは本人なんですから、これが被害者の方であろうが、それ以外の証人の方であろうが、供述調書の作成名義人というか著作権は御本人にあるんじゃないですか、それは。だから、その著作者がそのコピーを求めるというのはこれは当たり前のことであってね。 私は、そういう意味では、供述した内容をその都度、あなたはこういうことで供述しましたよというふうに渡すのが丁寧だし、ある意味で、これは間違っているのであったらよく確認してまた来てくださいよということで、その方がむしろ事実関係を明らかにするのにはプラスじゃないですか。今の御説明は納得いきません。
○政府参考人(小津博司君) ただいま私の方で現在の運用と、現在どのような考えでそうしているかということについて御説明申し上げたわけでございますけれども、委員ただいま御指摘のように、それでは検察庁なり捜査機関が話を聴いて供述調書を作成した場合に、その相手の方にすべてその供述調書のコピーをお渡しする運用にするべきかどうかということについては、少なくともこれまでのところ我々はそういうふうには考えていないわけでございまして、その基本は刑事訴訟法の四十七条という頭の整理をしておるわけでございますが、具体的にはいろいろな捜査の障害が生じるだろうという考えなんですが。 さらに、今の点につきまして、被害者の方に限定して特別の扱いをするべきかどうかというのはまた別の問題になるわけでございます。その点につきましても、これまでのところ基本的にはそのような取扱いをしていないわけでございまして、これにつきましては、一般的にはお渡ししないけれども被害者の人にだけお渡しするとすれば、それをどのようにして考え方の整理をして、どのような要件でどうするのかということについて更に慎重に検討する必要があるのではないかなと、現時点ではそのように考えているということでございます。
○簗瀬進君 よく自白を取るための様々なテクニックというようなものが巷間言われるわけですけれども、正にそれは、供述者に取られた供述内容をコピーとして渡さないということは、言うならば、それを、取調べから解放されたらやっぱり違うよというようなことを言われてせっかく作り上げた調書が意味を成さなくなるということを心配なさっているんじゃないですか。逆にそれは、そういう考え方は、正に見込みの中で調書を大体作ってそれに合わせろ、合わせる、そういう意味で、調書を取りながら、被害者にしても、あるいはこれはもう被告人にしても被疑者にしても同じだけれども、もう不断に調書を取りながら文章化する中で鋳型にはめ込んでいくみたいな、不断の誘導作業を調書作成過程でやっているということの現れなんじゃないのかなと思うんですけれども、どうでしょうか。小津さん。
○政府参考人(小津博司君) ただいまの御指摘は、被害者の方に限らない取調べ、そして供述調書作成全般についての御意見と承りました。私どもとしては、申し訳ございませんが、委員御指摘のような理由で供述調書のコピーをすべての方に渡していないわけではないと理解はしておるわけでございます。 これは、すべての場合にそのようにするべきかどうかということにつきましては、これはいろんな観点から相当慎重に検討をしなければいけない問題であろうというふうに考えております。
○簗瀬進君 だからこそ、やっぱり、あのようなビデオリンク等の様々な機器の発達を先ほど目の当たりにしたわけですから、可視化についてはもう相当格段の御努力をお願いしたいなというようなことで一応はまとめさせていただきたいと思います。本当はもっとやりたいところなんですけれども、ほかもありますので失礼します。 その次に、高橋さんの指摘の中で私もなるほどこれは大変なショックだったろうなと思ったのが、証拠物として押収されたか領置されたか分からないんですけれども、夫の臓器が自分の全然知らないところで法廷に出されて、それを非常に無機的な言わば法廷用語の中で、夫の臓器、大変自分の愛する夫の方の肉体の一部ですから、そういうようなものが非常に無機的な言葉で引用されているのを見て大変なショックを受けたというような話がございました。私も本当に同感なんですけれども、こういうことは今も続いているんですか。
○政府参考人(小津博司君) まず、高橋さんのケースにつきましてでございます。 もちろん、高橋さん、プライバシーの問題もございますので、あくまで外形的なことだけお話しさせていただきたいと思いますけれども、伺いますと、これは司法解剖がなされて、その後にその御主人の臓器が解剖医の元で保存されているということをある段階まで御存じなかったというふうに承っております。高橋さんがそのことをお知りになって東京地検に問い合わせをされまして、その後、東京地検の検察官の方で高橋さんと連絡を取りながら、その保存の経緯を御説明するなどして対応させていただいているところでございます。 この問題につきましては、解剖後に臓器を保存する場合に、どのようにしてこれを被害者の、あるいは関係者の御遺族の方にお知らせするかということについての制度がない状態でございます。この問題につきましては、法務省のほか警察、そして他の関係機関がございますので、今後、どのようにしてまいるべきか、十分検討してまいりたいと考えております。
○簗瀬進君 まあ、ほかの皆さんからいろんな御発言が出ているので、全くそのとおりですよね。制度がないという形になりますと、被害者の親族の肉体でも犯罪の被害者になるとどこにどう持って行かれてどう処分されるか全く分からないで、本人に対しても何の御報告もないというようなことで、これはこのまま放置してよろしいんですか。これは大臣、どう思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 現行制度というか運用を正確に私は存じ上げていない点は申し訳ありませんが、お聞きしている限りは、親族の一部ですからやっぱり丁重に扱うべきものと思いますし、具体的にどうすればいいかはちょっと私も今直接の意見は持っていませんけれども、率直にそのように思います。
○簗瀬進君 大臣はよく専門家云々のお話なさいますけれどもね、我々は法律というのはもう最大の常識であると思っているんですよ。 今、丁重に扱うというふうな話なんだけれども、丁重に扱うのはこれは当然の話でありまして、丁重に扱う前提として、例えばお借りしますとか、ここに保管してありますとか、そういうふうな、言うならば臓器の提供者ですよね、その人たちに対してしっかりと報告、連絡をすべきなんじゃないんでしょうか。そういう制度や手続がないということは非常に問題だと思いませんか、大臣。いいですよ、大臣に聞いているんです。だから、先ほど答弁で、ないというふうに言ったから、つくるべきではないのかというふうに質問しているんで、大臣、どうですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) いろんなケースもあるんではないかと思いますので、少し説明を聞いて私も考えてみたいと思います。
○簗瀬進君 私も考えてみますということは、もう積極的に考えるというふうな、そういう形で一応は聞き取りました。 それからもう一つ、これも大変なるほどなと思ったんですけれども、立証に際して検察官が被害者の心情やら被害者の考え方をどの程度代弁してくれていると思いますかというふうな、そういう質問が委員の間からありました。それに対して、一〇%程度だというふうなことなんですよ。 先ほど当事者主義のお話をいたしましたけれども、ある意味で犯罪を求めるのは、それは、いわゆる刑罰権を国に発動を求めるのはそれは検察官のお立場かもしれませんけれども、その原点になっているのはやっぱり犯罪ですから、でありますから、訴因を被害者側が求めることができるのかどうかという、そういう議論もここからやっぱり私は出てくるだろうとは思うんだけれども、当事者主義の考えであっても、検察官というのは、正に公益の代表であると同時に、いわゆる被害者の代弁をするという立場も濃厚にやっぱり持つべきなのは当事者主義の理想から言っても当然出てくる話なんじゃないのかなと思うんですよ。 ところが、現状においては満足度一〇%と、代弁度一〇%と。これ普通の弁護士だったら、これは解任されますよね。こういうふうな検察の状況だとしたら、これはもう大変ゆゆしい問題で現在まで来たなと、こういう感じがするんですね。これについては、大臣、どんな御所見をお持ちですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 検察がその活動を行う中で被害者の気持ちを尊重しながら進めなきゃならぬということはそのとおりだと思いますし、そういう点で御指摘のような一〇%ということは、努力はしてきたんでしょうけれども、大変残念なことだというか、より改善すべき余地がたくさんあるんではないかというふうに思います。
○簗瀬進君 それで、小津さんにお尋ねしたいんだが、改善すべき余地がたくさんあるよと今大臣おっしゃられました。現状では正にそういう意味で、まあこれは被害者側に立っての真相究明とその努力をしっかりとしなさいという意味での検察部内における指導原理だと思うんですよ。この辺についての指導原理の考え方がどんなふうなところにあるのか。あるいは、検察官に対して、検察官もお一人お一人はある意味で独立の法曹としての矜持も持ってもらわなければならないんですけれども、さはさりながら、しっかりとやっぱり検察の心得というようなものを教えていかなければならないと思うんです。 だから、その指導原理、それから現時点での教育の仕方、あるいは今後の考え方等についてちょっとお答えください。
○政府参考人(小津博司君) この問題につきましては、検察部内でもいろいろな機会に指導したり通知を出したりしておりますので、基本的な考え方について御説明申し上げます。 検察といたしましては、従来から公訴官としての立場ではございますけれども、真相を解明して適正な科刑を実現する、その過程でできる限り被害者の方の心情も法廷に顕出して正しい裁判を得るという気持ちでやってきたのは事実なんでございますけれども、むしろ検察の方はそれをやる過程で実際にどこまで被害者の方と個別にじっくりと話をしてその御要望を酌んでやってきたであろうか、あるいは被害者の方とお話をしたり、いろいろな面で相対している場合の対応がどうであったかということについて、特に大変強い反省と申しますか、これまでのやり方を改めなければいけないというように考えて、現在、検察の方で部内の会議でございますとか研修等々で鋭意行っているところでございます。 したがいまして、被害者の方の御不満をこの間いろいろなところで聞かしていただいておりますし、また検察の中の会議に直接被害者の方に来ていただいてお話をしていただくということもしているわけでございますけれども、やはりそのお話を伺いますと、一番感じますのは、検察の側が感じて考えてやっていたことと、現実に被害者の方が考えて感じていたことのギャップと申しますか、これがやはり大きく存在したのではないかと、そこを何とかして改めていかなければいけないと、このような問題意識でやっているところでございます。
○簗瀬進君 本日、警察庁の刑事局長の縄田さんにもお見えになっていただいております。取調べ段階における被害者、例えばいわゆる性犯罪についても、必ず被害者側に落ち度があるんではないのか等々の、どっちが犯人だか分からないようなそういう針のむしろに置かれるんだなんという話もよく聞きます。参考人の方からも、そういうお話がございました。 さらに、私は栃木県でございまして、大変全国的に報道もされた栃木県の石橋町の須藤さんの事件というようなものがありました。親御さんが警察に行って、息子が行方不明になってどうもおかしいというふうに言ったことに対して、警察はまともに取り合ってくれない。また、警察官がどうも大変な予断を抱いておりまして、かえって須藤さんの息子さんを死地に追いやるような、そういう非常に無神経な対応をした等々のことが問題になりまして、先日、宇都宮地方裁判所でも原告側が勝訴をすると、須藤さんの側が勝訴するという、そういう裁判もあったところでございます。 正にそういう意味では、警察段階においても更に検察よりも強く、昔のやっぱり私は、変な話ですけれども、警察の一番原点にあるのは、川路利良という薩摩藩の藩士であって、明治維新後は川路大警視というふうな形で警察の一番スタートを開いたのは川路利良さんだというふうに言われております。 ところが、明治の警察というのは基本的には士族がなりました。そして、戦前の警察の取調べというのはおいこらということで、言うならばおいこらというのが警察であって、警官は正に一般の庶民よりも高いところで物を見るという、そういう組織文化というようなものがかなり根深いものがあるんではないのかなということを今も感じたりすることがあるんですよ。ちょっと話は飛躍するような言い方になってしまったかもしれません。現在の警察は全く違うというふうにおっしゃるだろうと当然思いますけれども。 正にそういう意味では、警察の心ない取調べが、やっぱり本当の意味での人権感覚を守る、市民の生命と安全を積極的に守っていくという、そういう姿勢がやっぱり警察の中にも基本的にない。だから、そういう意味で被害者に対しても平気で無神経な言葉が出てくる、事件処理の一つの対象としてしか見ていない、こういうのが現場の警察の窓口では強く感じるわけでございます。 こういうことについて、現状をどう認識していらっしゃるのか、今後どういうふうな指導監督をしていこうとしているのかという、その警察庁のお考えを聞かせていただければと思います。
○政府参考人(縄田修君) 今先生の方からるる御指摘をいただきました。 被害者の皆さん方に対する対応につきましては、御案内のとおり、警察庁では平成八年に被害者対策要綱を制定いたしました。このポイントは、犯罪被害者の方々に適切に対応することは、警察法第二条の規定に基づく、これは個人の権利と自由を守るという正に警察本来の重要な責務であると、こういう位置付けをしたことでございます。そういう認識に立って、私どもは一線に対しましても指導をし対応いたしておるところでございますけれども、委員御指摘のように、幾つかの点で十分その趣旨が徹底をせず、御指摘をいただいていることも事実でございます。 今御指摘いただいたうち一つ、性犯罪等につきましては、これはやはり専門的にそういった特殊性について十分理解をした上で被害者の方に対応するということをしっかりしなきゃいかぬということで、全国に性犯罪捜査の指導官というのを専門的に設けました。これは五十一名おります。中でも百二十八名、更にそれをサポートする警察官につきまして百二十八名、これは女性を登用しています。順次これが拡充されていっております。こういった扱いにつきましても、女性警察官によるいわゆる事情聴取とか、あるいは証拠の採取等につきましても短期間でできるように、あるいは産婦人科医との協調関係、こういったところもしっかりできるように対応し、遺漏のないようにと頑張っております。 また、石橋事案につきまして御指摘がございました。これは、その前に桶川の事案等もございました。同様の事案だろうと思います。これにつきましては警察改革要綱にもしっかりと御指摘も受けて取り込みながら、私どもといたしましては、こういった事案につきましては、それぞれの捜査員、担当者だけじゃなしに確実に署長、所属長まで上がる、いろいろな部門でこういった相談あるいは届けを受けるものですから、署長のところまで確実に上がりながら幹部の判断によって適切に対応するんだということで通達等も出し、また指導をいたしておるところでございます。 御指摘のようなことがないように今後も一線に対して指導してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○簗瀬進君 次に、被害者参加制度の冒頭の三百十六条の三十三について聞かせていただければと思っております。 この三百十六条の三十三の一項では、一号から四号まで対象となる罪を掲げてございます。個人が被害者になっている犯罪は、ここに挙げられていないものでも、例えば財産犯等がございます。そういうふうに考えてみますと、あるいはそのほかの類型の犯罪もあるわけでございますけれども、この犯罪の中で被害者のある犯罪、例えば通貨偽造等の公益に対する罪というふうな、そういう類型もありますね、犯罪の類型の中で。それは被害者というようなものよりも全体が被害者でありますからこれは落とすにしても、被害者がある犯罪の中でピックアップをしてこの四号だけにしたというふうな、その趣旨はどういうふうな趣旨だったんでしょうか。これは大臣でも担当者でもいいですよ。
○政府参考人(小津博司君) この制度は我が国において今回初めて導入するものでございまして、また、その導入によりまして被害者の方々の参加や訴訟行為を許すかどうかの判断等々新しい手続が生ずることになるわけでございまして、本制度の円滑な運用を図りますために、まずはこれを認める必要性が高いと考えられる犯罪の被害者をその対象とすることが適当であると、まずはこのように考えたわけでございます。 〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕 次に、基本的にこの制度は、すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するとの犯罪被害者等基本法が定める基本理念に基づいて設けることにしたものでございます。個人の尊厳の根幹を成す人の生命、身体又は自由に害を被った被害者の方々を対象とすることがその趣旨に合致するものと考えたわけでございます。 他方で、この制度に対する被害者の方々のニーズを判断いたしますために、現行法上の意見陳述の運用状況が参考になると考えたわけでございますが、当局において行った調査によりますと、この意見陳述の申出を行った方の約七割の方が遺族の方でございます。また、被害者が死傷された事件のほかに、強姦、強制わいせつ、逮捕監禁など、被害者の方々が身体活動等の自由や性的自由に害を被った事案について意見陳述の申出の比率が高いということも明らかになりました。 このような観点を総合的に考慮いたしまして、ただいま委員も御指摘ございましたような罪に限定さしていただいているということでございます。
○簗瀬進君 その部分は理解できる部分もあります。ただ、個々的に見ると、例えばこういう例があります。裁判員対象事件となっているんだけれどもこの被害者参加の適用がないものは果たしてあるのかと思って調べてみたら、現住建造物放火等などは裁判員対象事件となっている、しかしこの被害者参加の対象にはなっていないというふうなことなんですね。 そうすると、現住建造物放火罪という形で放火された人から言ってみれば、これはもう被害者として本当にふざけるなの話で、愉快犯のえじきにされたみたいな部分もあるわけでございますから、正にそういう意味では被害者参加に入っていきたいなと、こういうふうな思いというようなものは当然あるだろうと思うんですね。だから、個々的に見ると、現住建造物放火なんか何で落としてしまったのかなという疑問があるんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のとおり、裁判員裁判の対象事件であって、かつ今回の被害者参加制度の対象となっていない事件、幾つかございますけれども、その中の一つの代表的なものとしては現住建造物放火がございます。もちろん、放火されたことによって人が亡くなったりけがをしたということになりますと殺人罪等々が成立するわけでございますので、被害者参加の対象になるわけでございます。 それ以外の放火につきましては、今回、二つの観点から対象外とさせていただきまして、一つは、この現住建造物放火の保護法益が第一義的には公共の安全であるとされているということ、他方、現実に、先ほど申し上げました意見陳述の運用状況から見ますと、現住建造物放火罪の被害者につきましてはそのお申出が余り多くないということもございました。これらの点を考慮したということでございます。
○簗瀬進君 質問がちょっと後先になるかもしれませんけどお許しいただければと思うんですが、この被害者参加制度と後段のいわゆる損害賠償命令の制度はくっ付いているわけですね。参考人のお話の中にもありましたけれども、被害者参加の対象になっている事件に関しては、被害者がかなり、例えばいわゆる申立て手数料が訴額に応じた印紙というようなものとはらち外に置かれるわけです、一回二千円ということで。それから、審理手続も極めて簡便だし、それから主張、立証についての手間というようなものももう極めて軽減される。そういう意味では、大変ある意味でほかの犯罪の被害者から比べると優遇された形になりますね。だからそれが問題だと言っているんではありません。 一方で、例えばここで落としてしまった財産犯、例えば詐欺罪とか業務上横領罪とか、そういう犯罪の被害者となってしまった皆さんにも大変な被害回復についての要請というようなものは強いものがあると思うんですよ。ところが、この被害者参加制度とそれからその後の損害賠償命令をリンクさせることによって個人犯罪の中で財産犯罪を落としてしまっているという形になると、個人犯罪の中で財産犯の被害者と生命、身体関係の被害者との間でかなりバランスを欠いた損害賠償、回復のそういう立場をつくってしまうということについては、僕は若干問題があるんではないのかなと。こういう、言うならば非常に被害回復のしやすい被害者類型と一般の民事訴訟によらなければ救済されない被害者というようなものを類型としてつくってしまうことに結び付いているわけですね。 この制度設計は問題だなと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 対象犯罪の類型をさせていただいた理由は局長から答弁したとおりでございます。 今、詐欺罪と財産犯のお話がありましたが、もちろんこれ、理論的に入れてはいけないとかという議論はなかなか難しいところがあるなと私自身も思いますけれども、一般的に考えて、そういう問題について身体、生命を被害を受けた方々と一緒にしないことはそんなにおっしゃるほどの不公平になるかということも考えれば、これ新しい制度でございますから、まず必要なところから始めるということで御提案を申し上げたというふうに御理解いただきたいと思います。
○簗瀬進君 損害賠償命令の方では業務上過失関係も落としているということも一つ大きな問題にはなるんですけれども、正にそういう意味では、この制度をつくった以上はやっぱり個人に対する犯罪の被害者については一様にやっぱり手当てをしていくというふうな方向性を考えざるを得ないんではないのかなと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) この制度を設計するに当たってもいろんな方々の御意見を聞いて、その結果としてこの成案を得た、御提案申し上げているわけでございますので、当然、今御指摘のような問題も将来の問題として検討の対象になるというふうには考えます。
○簗瀬進君 決して十分な納得できる答弁ではないんですが、ほかの質問事項もございますので次に移らせていただきます。 この三百十六条の三十三の一項では、これ、ほかの委員の質問でも出ておりますけれども、相当と認めるときは参加を許すというふうに書いてあるんですが、裁判所が不相当と認めて参加を許さない場合があるのか、また、あるとしたらどんな場合のことを想定をしていらっしゃるのか。これは前川議員の質問にも出ていましたけれども、改めてきちっと答えていただければと思います。
○政府参考人(小津博司君) 一般論で申しますと、被害者の刑事裁判への参加につきましては、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し相当と認めるときに許可されることになるということでございまして、不相当である場合を具体的な例を省いて申しますと、その参加を認めることによって例えば法廷の秩序が乱されるおそれがあるような場合にこの不相当の判断がなされるものと考えております。
○簗瀬進君 これ法廷の秩序が乱れるって、この前もそんな答弁なさっていましたけれども、法廷の秩序が乱されるかどうかというのはやってみなきゃ分からない話でしょう。申出があった段階でその判断ってできないんじゃないですか。だから、その例は、僕は不相当と認める場合の例として、あるいは答弁としては極めて不十分だと思いますよ。
○政府参考人(小津博司君) これはあくまでも参加の申出がなされた場合にそのような不相当と認められる事由が認められた場合でございますので、もちろんそれが分からなければ参加を認めて、その上で問題が起こった場合に、例えば参加の決定を取り消すとか、あるいは特定の期日については出席をしないでもらう等々の対応を取っていくということになるわけでございます。
○簗瀬進君 おかしいというふうに言っていますので、まだ次の質問の機会もあるかもしれませんから、そのときにまたやっていただければと思っております。 それから、次に三百十六条の三十五に行って、検察官の権限の行使に関しという、被害者参加人が意見を述べることができるわけでございますけれども、この法律の規定によるというのは、これは確認の意味で、もう簡単で結構ですけれども、この法律というのは刑事訴訟法全体、だから検察官の当該公判廷における、やれることについてはすべて参加人の方は意見を申し述べることができるという、そういう解釈でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) そのとおりでございます。
○簗瀬進君 今、刑訴法全部というふうなお話がありましたけれども、実は、そのとおりというのは、公訴の提起後というようなことなんでしょう。これは、だから検察官の権限行使でありますから、例えばこの法律という形になりますと、例えば起訴するかどうか、それは最終的には起訴してから公訴が提起されるという形になるんだけれども、起訴前の様々の検察官のやり取りというのがあるじゃないですか。それに対して被害者の方から、例えば不起訴処分、まあこれは別の制度はあることはありますけれども、被害者として様々な意見を述べるということはここでは想定されていないんですか。
○政府参考人(小津博司君) この条文は被害者参加人がこういうことができるという規定でございますので、起訴をした後その被告事件について参加した方ということになります。ということでございますので、検察官が不起訴にしたということについての御意見はむしろこの条文ではないというふうに考えた方がよろしいかと思います。 次に、起訴はしたけれども、例えば殺人罪だと思っていたら傷害致死での起訴になったということにつきましては、被害者の方とすればそういう起訴をしたのはおかしいじゃないですかというふうに言われることになりますし、そのように言っていただくということを考えているわけでございますが、それでは、検察官がもう既に起訴をしておりますのでそれをどのように受け止めるかと申しますと、そのように訴因変更をするべきであるという意見として受け止めた上で、そのように訴因変更するかどうか、あるいはしないとすればどうして訴因変更をしないかということについて御説明をすると、こういうことになろうかと思います。
○簗瀬進君 この条文に必要に応じという言葉が入っています。必要に応じ理由を説明しなければならないという形になっているんだけれども、必要を認めずに理由を説明しなくてもいいという場合もあるということですか。
○政府参考人(小津博司君) 基本的にはどのような時期にどのような説明をするかということでございますけれども、それでは、およそ説明をするかどうかということも条文上含まれているかということでございますれば、条文には含まれているわけでございます。 もちろん、できる限り御説明をするわけでございますが、例えばこういうことがあるかどうか分かりませんけれども、特定の事柄につきまして御意見があってそれについて説明をして、またさらに同じ御意見が来て説明をしてということが何回も繰り返されましたときに、ずっとその説明をする義務があるのかということもあるいはあるかもしれません。しかし、現実には、その場合にもうこれ以上付け加えて説明することはございませんのでということで最終的には御納得いただく、あるいはそれについて不服があれば、また例えば被害者参加人として行使するべき権限を行使していただくと、こういうことになるのかなと思っております。
○簗瀬進君 三百十六条の三十六には被害者参加人の証人尋問の規定が置かれております。その二項、これは同僚議員が聞いているところでもあるんですけれども、いわゆる証人を尋問したいというふうなことでの申出、これは検察官の尋問が終わった後、直ちに、尋問事項を明らかにして、検察官にしなければならないと。これは、尋問事項を明らかにして直ちにというふうな形になりますと、条文だけ読んでみると不可能を要求しているのではないのかなというふうに読めるんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 直ちにと申しますのが、何と申しますか、何分以内にとかいうことではございませんで、少なくともその証人の方にもう一度来ていただくのは大変だということもございますので、その公判期日でやっていただける範囲内でということは含まれているわけでございます。 それから、尋問事項ということでございますけれども、それはその被害者参加人の方がやりたいと言われる内容が法律の要件に違反していないかどうかということを判断できる、あるいは検察官がそういうことならばそのことは自分で聞こうという判断ができればいいわけでございますから、簡潔にその概略を言っていただければよいものというふうに理解しております。
○簗瀬進君 三百十六条の三十七の被告人質問については、前回、前川議員からもかなり詳細な質問がございましたので、私は三百十六条の三十八についてちょっと詰めた議論をさせていただければなと思っているんですが。これは衆議院でもかなり議論となりました刑事訴訟法二百九十二条の二との関係がもう一つはっきりと整理されていないような感じなんですね。 それで、まず冒頭の質問として、この三百十六条の三十八、事実又は法律の適用について被害者参加人が意見を陳述することができると、事実認定にしても、それから刑の量定にしても求刑にしても意見を述べることができるということなんですけれども、二百九十二条の二においても被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときはというふうな規定が置いてございまして、まず、質問の順番としては冒頭に、この二百九十二条の二の一項の意見陳述と、それから三百十六条の三十八の一項の意見陳述というのは併存しているんですか、ダブっているんですか。あるいは優先劣後の関係に置かれているんですか、どうなんでしょう。
○政府参考人(小津博司君) 併存しているわけでございますので、その両者の関係について御説明させていただいてよろしゅうございましょうか。
○簗瀬進君 どうぞ、簡潔に。
○政府参考人(小津博司君) 現行法において被害者の方に認められている意見陳述は、これはあくまで、例えば被告人に対する処罰感情など被害に関する心情を中心とする意見に限って陳述することが認められておりまして、事実や法律の適用についての意見を述べることは基本的には認められないと解されております。 もちろん、その心情を述べる前提として事実に及ぶということはあろうかと思いますけれども、それはあくまでもその心情を中心とする意見かどうかということで判断されるわけでございます。 他方で、本制度の意見陳述は、事実や法律の適用について意見を陳述すると、このように明記されているというところが違います。 それから、現行の意見陳述は、被害者の方々から申出がなされた場合には、原則的にはこれをそのまま行うことが認められるわけでございますが、本制度の意見陳述は、裁判所が審理の状況等を考慮し、相当と認めて許可した場合に限ってこれを行うことができるという点で異なります。 それから、現行の意見陳述において述べられた意見は量刑の資料とすることが許されますけれども、本制度の意見陳述において述べられた意見は一切証拠とはならないということが法律上明記されていると、このような違いがあるわけでございます。
○簗瀬進君 これ、我々も先ほど東京地裁でお話を聞いてきたときにはそのような言い方はしていませんでしたね。 二百九十二条の二、刑事訴訟法のこの規定の中で、被害に関する心情その他の被告事件に関するという意見の陳述ですから、だから、被害に関する心情その他のという形で、もろもろ被告事件に関する意見があるけれども、その一部が被害に関する心情であって、そのほかのものもあるよというふうな、これ、だれが読んでもそういう条文だと思うんですよ。 今、小津さんが言われたような、被害に関する心情を中心でやるんだよというふうな、そういう書き方だったら別の表現取るはずですよね。だから、その解釈論は全くおかしいんじゃないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 少なくとも、この二百九十二条の二を御提案申し上げた立案当局者としてはそのように理解をして、そのような趣旨の御答弁をさせていただいたと承知しております。ちなみに、この条文の解説書等にもそのような趣旨で解説がなされておりますので、私どもとしては現時点でそのように理解をしているということでございます。
○簗瀬進君 今、仁比委員から、先ほど裁判所でいただいたパンフレットにこういう記述になっているよというふうな指摘が私の方に来ました。 ここでは、法廷で心情や意見を述べることができますと、意見を述べることができますと。心情や意見ということですから、だから、心情を中心にということじゃなくて、心情と意見というふうな形になっているんですよ。 だから、これはもう裁判所の考え方では、これはもう心情だけじゃなくて、心情以外の意見、正にそれは被告事件に関する意見だから、これは三百十六条の三十八で言っている事実又は法律の適用についてもこの中にも含まれているよというふうに解釈するのが、これどうも裁判所の解釈のようですよ。違っているのはおかしいんじゃないですかね。 最高裁判所の刑事局長、来ていただいていますので、小川さん、どうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答えします。 この意見と申しますのは、典型的には処罰感情のようなものを想定して運用しておるわけでございまして、犯罪事実についての意見ということを想定しているわけではないと思っております。
○簗瀬進君 そうしたら、その心情や意見というふうなこのパンフレットは間違いですね。これは直してもらわないと困るんじゃないんですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 間違いとは思っておりませんけれども、今申し上げた趣旨で書いていると思っております。
○簗瀬進君 どうも法律の文言と運用の実態が乖離しているし、運用の実態が逆に法律になっているというおかしな現象ですね。最高裁判所もそれから法務省もやっているとしたら、これ、日本の法の支配って一体どこに行っちゃうのということになりますよ。 これは、この文言は何でそういうふうに限定的に読めるんですかね、二百九十二条の二については。小津さん、どうですか。
○政府参考人(小津博司君) 繰り返しになって恐縮でございますけれども、この文言で私どもとしてはそのように理解しております。 もちろん、被害者の方が自分の心情を述べるときに、その表現方法として、例えば極刑に処してもらいたいという表現を使われることはあるわけでございますし、少なくとも十年以上は刑務所に入ってもらいたいという言い方をされることはあるわけでございます。これは、この条文で被害者の方が言うことが認められている内容であると我々は理解しておりまして、それは心情を中心として発言をしていると、このように理解しております。 ただ、事実関係につきまして、もちろん事実関係につきましても自分の心情を言う前提として、これこれこんなことがあったとか、それから被告人、目の前にいる被告人がうそをついているように思うけれどもというようなことに言及することを禁止しているわけではございませんけれども、事実関係そのものについて意見を、それを中心とした意見を述べるということはやはりこの条文では読めないと私どもは理解しております。
○簗瀬進君 全く納得できない答弁だと思いますが。 特に、この三百十六条の三十八で被害者参加人による論告求刑が行われ、検察官より重い刑を求めることも可能だというふうに、このいわゆる参議院の解説、調査室がつくった解説にもそんなふうな解説があるんですね。 これは、正にそういう意味では、先ほどの当事者主義の中で検察がきっちりと被害者の皆さんとコミュニケーションができていれば、こういうふうな、検察官より重い刑を求めることも可能だ、そういう意味で検察官はこういう求刑をし被害者の方はこういう求刑をする、それを三百十六条の三十八でやるんだという、こういうふうな非常に最終的な場面で判断が迷うようなことというのは起き得ないんじゃないのか。 このように、検察官より重い刑を求めることも可能だということがあたかもこの三百十六条の三十八の立法の意味のように解説をされるということは、私は、ある意味で検察官の努力不足であり、当事者主義を自ら崩壊をさせる、そして判断をする裁判所が非常に迷う、こういうふうな状況をつくってしまうのではないのかなと思うんですね。だから、こういうふうな違った求刑意見が検察官と被害者の側から、双方から別のものが出るなんというふうな、そういう事態をできるだけ起こさないように努力をしっかりとするというのが検察の当然の仕事だと思うんですけれどもね。 どうですか、そういうふうに努力をした形で、最終的には被害者の皆さんとしっかりとコミュニケーションを取って一本化した求刑を持ってくるべきなんじゃないんですか。別のものが最終場面で裁判所にぶつけられるというふうな、こういう状況というのは非常に私は混乱をすると思うんですけれども、いかがでしょうか。 〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
○政府参考人(小津博司君) まず、当事者主義との関係で申しますと、もちろん検察官は、公訴を行う者としてその責任と権限においていわゆる論告求刑を行うわけでございます。それが一点でございます。 それから、検察官が行う論告求刑は、当然のことながらこの法律に基づく検察官の権限の行使でございますので、これにつきまして被害者の方は意見を言うことができるわけでございます。 具体的には、事前にあるいは直前に、検察官がこのような論告をするということを説明する機会があればその際に意見を言うことができるわけでございまして、それに対して、いや自分としてはもっと重い刑にするべきだと思うということであるならば、どうして検察官がそういう刑を求刑するのが相当だと思うのかということをできる限り説明をして、できることならば御理解をいただくということで最善の努力をするべきものだと考えております。 しかしながら、やはり被害者の方の中には、どうしても自分はそれ以上の刑が相当だと思うということを自分の口で法廷で言いたい、それが被害者の気持ちであって、それを認めてもらうことが被害者の個人としての尊厳を認めることではないかと、こういうお気持ちの方も現におられて、今回のようなことを含む制度の実現を希望しておられる方もあるわけでございます。 そのような観点から、委員御指摘のように、できる限り検察官の求刑の内容について御理解をいただく努力をすべきものと思いますけれども、それにもかかわらず、やはりこの規定を残しておく必要があるのではないかと考えているところでございます。
○簗瀬進君 正に当事者の分裂が生まれるような状況が起こらないように、しっかりと検察官とそれから被害者の方とのコミュニケーションを徹底してやるというふうなことがやっぱり必要なんではないのかなということで、これ以上押し問答の議論はやめたいと思います。 最後に、損害賠償命令についてかなり細かく質問しようと思っていたんですけれども、時間が全くなくなってしまいまして、一点だけ。 刑事裁判が終わりました、その裁判の前に損害賠償の申立てがあって、そして、同じ裁判官が同じ法廷の延長として刑事裁判の手続の中でこの損害賠償の認定をしていくというふうな非常になかなか分かりづらい制度をつくるわけなんですけれども、そこで問題になるのは、例えば、請求の趣旨というところで金額は明らかになります。申立ての段階ではそうかもしれませんけれども、例えば被害者の方が亡くなりました、損害というふうな形になると様々な損害があります、例えばその人の持っている現時点での所得、それで平均余命を掛けて逸失利益というようなものを出すというふうな形になりますと、訴因として特定された事実その他請求を特定するに足りる事実だけでは本当の意味での請求額の認容額ということが決まっていかないと思うんですね。これをどうしていくのかということが、どうも今度の法律の中ではどこにも書いてないんですよ。 そういう場合の、請求額を決定する際の様々な訴因にわたらないような事実をどこでどういうふうに当事者から酌み取っていくのかと、それをどういうふうに制度設計をしているのかということがどうももうひとつ分からない。それらしい文言としてあるのが、九条の三項に、最高裁判所規則で定める事項以外の事項を記載してはならないという、損害賠償命令手続に出すべき事実というようなものを最高裁判所規則がそれなりに書くような形になっているんだけれども、それはどういうふうに制度設計なさっているのか。この九条三項に言うこの最高裁判所規則というのは具体的にどんなものを想定なさっているのか。 ちょっともう時間が迫っておりますけれども、簡単に御答弁いただいて、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、損害額を算定するためには様々な事情を踏まえて判断する必要があるというふうに考えております。申立て書の記載事項のみでは主張として不足していると考えられるような場合には、損害賠償命令事件の審理に移ってから別途主張を補充してもらうことになると考えております。 具体的にどのような事項を最高裁判所規則で定めるかというのは、これは法制審議会の議論もある程度ございますので、それも踏まえて、これは今後よく詰めて検討してまいりたいと考えております。
○簗瀬進君 終わります。ありがとうございました。
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。前回に引き続きまして質問させていただきます。 今、いろいろ質疑応答、やり取りがあった点でございますが、改正後の刑事訴訟法三百十六条の三十八、ここでは、裁判所は、被害者参加人又はその弁護士から事実又は法律の適用について意見の陳述をすることの申出があるときは、相当と認めるときは、訴因として特定された事実の範囲内で意見を陳述することを許すものとすると、こう書いてありますが、そもそも、事実又は法律の適用についての意見というのは具体的にどのような意見を想定されておられるんでしょうか。整理して明確にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 事実又は法律の適用についての意見とは、訴因として表示された公訴事実や情状等の量刑の基礎となる事実等がいかなる証拠によって認定されるかについて、証拠能力や証明力の観点から述べる意見や、証拠によって認定されるべき事実に対する実体法及び訴訟法の具体的な解釈や適用に関する意見を意味するとされております。そして、被告人に科せられるべき具体的な刑罰の種類や量、すなわち量刑についての意見も法律の適用についての意見に含まれると解されております。
○浜四津敏子君 この事実又は法律の適用についての意見の陳述について、こういう御意見があります。それは、被害者が検察官のように求刑をすることができるというのは行き過ぎだと、被害者は量刑についての意見を述べることはできないものとすべきであると、こういうものでございます。 一方で、被害者の方々の思いとしては、被告人がどのような刑を科されるかについて最も関心を持っておられると思われますし、量刑についても直接意見を述べたいという御要望をお持ちの被害者の方々が多いのではないかと、こういうふうに思われますけれども、被害者の方々が量刑について意見を述べることの意義あるいは必要性について、法務省としてはどうお考えになっておられるのでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 被害者参加の制度におきましては、被害者参加人の方々が裁判所の許可を得て公判期日に出席して、自ら直接証人尋問や被告人質問を行うことができることとされているわけでございますが、その被害者参加人が自らが参加した刑事裁判の審理の結果を踏まえて、結審に先立って量刑についての意見を陳述するということは、被害者参加人にとって大きな意義を有するとともに、その名誉の回復や被害からの立ち直りにも資するものであると考えられます。 また、委員も御指摘のように、被害者の方々は一般に被告人がどのような刑罰を科されるかについて最も関心を有していると考えられますので、その御要望も大変強いと考えているところでございまして、このような観点から、その量刑についての意見も述べることができるとすることが、その尊厳にふさわしい処遇を保障して、刑事に関する手続への参加の機会を拡充するという基本法の趣旨に合致するものと考えているところでございます。
○浜四津敏子君 次に、改正後の三百十六条の三十五についてお伺いいたします。 ここでは、被害者参加人又はその委託を受けた弁護士は、検察官に対し、当該被告事件についてのこの法律の規定による検察官の権限の行使に関し意見を述べることができる、検察官がその権限を行使し、又は行使しないとしたときには、必要に応じてその理由を意見を述べた者に説明しなくてはいけないと、こういう規定がございます。この規定の趣旨について、まず法務当局にお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 被害者参加の制度が適正かつ円滑に運用されるためには、被害者参加人等と検察官との間の密接なコミュニケーションに基づきまして、検察官は被害者参加人等の要望をも十分に踏まえつつ公益の代表者としての適正な訴訟活動を行い、被害者参加人等は、このような検察官の訴訟活動の意味、内容をも十分に理解した上で自らの訴訟活動を行うことが重要であると考えられるわけでございます。 そこで、本法律案では、検察官が被害者参加人等の要望を十分に把握できるように、参加人等が検察官に対して、この条文に規定がございますような、検察官の権限の行使について意見を述べることができるようにし、このような意見を述べた被害者参加人等が検察官の活動や意味を十分に理解できるように、検察官が必要に応じて説明を行わなければならないということを明文で明らかにしたものでございます。
○浜四津敏子君 まさしくこの三百十六条の三十五というのは、検察官と被害者参加人との間での十分なコミュニケーションが必要なんだということを示しているわけでございます。 参考人の御意見の中で、検察官がどれだけ自分たちの思いを分かってくれると思ったかという質問に対して、一割だという大変驚かされた答弁がございました。それほど被害者の方々というのは、検察官から十分なこれまでは説明を受けておられなかったんだなということを参考人の方のお声から感じた次第でございます。 ともかくも、被害者参加の制度が適正、円滑に実施されるためには、十分な検察官と被害者参加人との間でコミュニケーションを図る、そして検察官の側でその被害者の思いとか痛みとかあるいは要望を的確に受け止める必要がある、また検察官として、こうするんだ、こういうふうに考えているというようなことを十分に素人の方にでも分かるように説明を丁寧にすると、こういうことが重要であると考えておりますけれども、法務当局としてはこの点についてどう認識しておられるでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 委員御指摘のとおりでございます。被害者の方々の御要望、御意見をまずは十分に伺うということが重要でございます。そして、検察官がどのような訴訟活動を行うかということを丁寧に分かりやすく説明をするということが重要でございます。 また、その過程におきまして、そもそも刑事裁判というものがどのようにして進行するのか、検察官の役割、被告人の立場、弁護人の役割、そして裁判所の役割につきましても、折に触れてと申しますか、きちんと説明をする。その説明が十分に行われませんと、どうして検察官はこの時点でこういうことをするのか、逆に言うと、ここまでしかできないのかということも御理解いただけないと思いますので、それも含めて十分な御説明をすることが大事であろうと、このように考えております。
○浜四津敏子君 是非その点を十分に認識して取り組んでいただきたいと思いますが、今後十分にそのコミュニケーションが取れるようにするために、御参考までにお伺いいたしますけれども、これまではどうも自分たちの思いの一割ぐらいしか分かってもらえなかったというような声が出るような実態だった。これまでの検察における被害者保護の取組としては、どのような取組をしてきて、またその運用状況というのはどういうものであったのかについてお尋ねいたします。
○政府参考人(小津博司君) 近年、検察におきまして被害者の方々の保護、支援のための具体的な取組を行っております。その内容の幾つかを御紹介いたします。 まず、平成十一年の四月から、それまで幾つかの地方検察庁において実施されておりました被害者等通知制度、これは事件の処理の結果でございますとか公判期日、裁判結果等々を被害者の方々の御希望に応じて提供するということでございますが、これを全国統一の制度といたしました。また、平成十三年からは受刑者の釈放に関する情報の提供を開始するなど、各種の情報の通知制度を整備いたしました。また、平成十一年の十月から全国の地方検察庁の本庁に被害者支援員を配置いたしまして、犯罪被害者相談、それから被害者の方々への情報の提供や法廷への付添い等を行う。また、平成十二年の四月からは、地方検察庁本庁に被害者ホットラインを設置いたしまして、被害者の方々からの相談に応じております。また、平成十二年の二月と平成十六年の五月に不起訴記録の開示につきまして、被害者の方々が民事訴訟等で十分に権利を行使できるために、一定の限度で不起訴記録の閲覧、謄写を可能とするなどの弾力的な運用を行うことといたしました。平成十八年の三月からは、御要望に応じて冒頭陳述の内容を記載する書面を交付することも始めたところでございます。 このような具体的な取組を行いながら、検察庁の部内で犯罪被害者の方々の気持ちを十分分かるような研修その他を行ったり、具体的な問題点について話し合うなどしているところでございます。
○浜四津敏子君 欧米諸国では、そうした必要とされる情報をきちんと説明するということの中に、犯罪被害者を支援する組織、例えばそれが民間の組織であっても、こういう取組をやっているところがありますよというような情報も検察官の方からきちんと説明すると、こういう取組がなされているようですので、その点についても今後十分配慮しながら取り組んでいっていただきたいと思います。 次に、昨日の参考人の方の御意見の中にこういう御意見がありました。 被害者参加の制度については、裁判員裁判への影響を見定めるために、被害者参加制度の実施を裁判員裁判が実施された後に延期すべきであると。そもそも裁判員裁判の制度が検討されていたときには被害者参加制度というのが検討されていなかったではないかと。だから、あっ、逆ですか、被害者参加制度のときに裁判員制度との関連というのは検討されていなかったと、だから、この参加制度というのは裁判員裁判が実施された後に、その様子を見ながら導入すべきであると、こういう参考人の御意見がございましたけれども、この点については法務省はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 被害者参加の制度につきましては、これまでも御説明申し上げておりますようないきさつで、できるだけ速やかな実施が求められて、私どもとしては法案を取りまとめて提出させていただいておりますので、是非とも御理解を賜れればと思うわけでございますが。 この被害者参加制度の制度設計に当たりましては、もちろん裁判員制度が間もなく実施されるという時期でございますので、法制審議会の議論の中でもこのことを十分に意識して議論、審議するべきだという意見は何人もの方から出され、実際にそのようなことも意識していろいろな問題が、裁判員裁判であれ、それ以外の裁判であれ、生じないような工夫と申しますか制度設計というのはどんなものがあるのかということで、今回のような案を取りまとめさせていただいたということでございます。 もちろん、この法律を成立させていただきましたならば、この法律案の実施までの期間に更に、裁判員制度との関係も含めまして十分に準備を行いまして運用に万全を期してまいりたいと、このように考えているところでございます。
○浜四津敏子君 また、本制度の導入につきまして、消極論、慎重論を取られる参考人の方からはこうした指摘もありました。被害者参加人の少年被告人への質問というのは、精神的に未熟で社会経験が乏しい少年への影響が非常に大きいと、特にこの点が深刻であるという指摘がございましたけれども、この少年への影響についてはどうお考えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 本制度におきましては、家庭裁判所から刑事処分が相当であると判断されて検察官に逆送されて公判請求される少年の被告事件についても適用されると申しますか、それも対象になるわけでございます。 少年法は、少年の健全な育成等を期するために、少年がそのような刑事処分になります場合にでも、その被告事件は、他の被告事件と関連する場合であっても、審理に妨げない限りその手続を分離しなければならないものといたしておりますし、また、少年に対する刑事事件の審理においても、心理学、教育学等の専門的知識等を活用して、少年や保護者等の性格や環境等を解明する方法を尊重すべきものであるという規定が置かれているわけでございます。つまり、少年に対する刑事事件の審理についてこのような配慮を求めているわけでございます。 被害者参加制度を実際に運用するに当たりまして、検察官に被害者参加人の方から一定の事項について質問をしたい、あるいは意見の陳述をするという御希望がございましたときの検察官の対応におきましても、事案に応じてでございますが、そのような少年事件であるということも念頭に置いた適切な対応が必要であると思いますし、裁判所の御判断におきましても、その点も含めて相当性等々の判断がなされるものと承知しております。
○浜四津敏子君 是非、少年事件についてはその点を心して取り組んでいただきたいと思います。 次に、損害賠償命令についてお伺いいたします。 改正後の犯罪被害者保護法十六条三項には、損害賠償命令の申立てについては、特別の事情がある場合を除き、四回以内の審理期日において、審理を終結しなければならないと、こうありますけれども、なぜ三回でも五回でも十回でもなく四回なのか、その根拠、四回の審理期日で通常はどのようなイメージで審理をしていくことになるんでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) この審理期日を四回以内といたしましたのは、一つは労働審判手続が原則として三回以内の期日において審理を終結しなければいけないとされておりまして、これを一つの参考にしたわけでございますが、労働審判の手続におきましては、当事者双方が相手方の主張、反論に対して十分な準備をした上で第一回の期日を迎えるわけでございますが、本制度におきましては、刑事判決の直後に最初の審理期日が開かれるということを原則にしておりますので、それよりも一回多くしたということでございます。 また、実際にどのようなことをイメージしているかということでございますけれども、もとより事案によって様々ではございますけれども、最初の期日、つまり判決の直後の期日におきまして申立人の主張の補充や、それに対する相手方である被告人の言い分を聞いて、二回目で当事者双方が更に主張や反論を行って、三回目で必要な証拠調べをして、四回目で補充的な証拠調べをした上で終結すると、こういうようなことが一つの典型的な流れとして想定しているところでございます。もちろん事案によっていろいろではあろうかとは思います。
○浜四津敏子君 それに関連いたしまして、改正後の犯罪被害者保護法二十四条一項では、その四回以内の審理で終結することが困難だと認めるときは、申立て又は職権で損害賠償命令事件を終了させる旨の決定をすることができると、こういうふうに規定されておりますけれども、これによって安易に職権による移行というのが行われて、損害賠償命令制度が形骸化するおそれがあるのではないかと、こういう危惧を抱かれる方がいらっしゃいますけれども、これについてはどうお答えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) ただいま御指摘の点につきましては、本制度は、不法行為の存否に関する事実関係は既に刑事裁判の中で明らかになっておりますので、本制度の審理において実質的な争点となるべき事項は通常は損害論に限られようと思います。 また、簡易迅速な手続で審理することとしておりますので、事実関係について大いに争いがあるような事件は、通常はこの制度にはなじみにくいのではないかと考えております。すなわち、争いのない事件について既に刑事裁判で行われた成果を利用して行うという簡易な手続であるからこそ、安易な移行というものがなされないのではないかということを期待して制度設計をさしていただいたということでございます。
○浜四津敏子君 また、昨日の参考人の方の御意見の中でこういう御意見がありました。今回の損害賠償命令には仮執行宣言を付することができるということになっているわけでございますけれども、これは仮執行されると取り返しの付かない被害を被ることになるのではないか、したがってこれは、仮執行宣言というのは損害賠償命令に付すべきではないという御意見がありましたが、これに対してどうお答えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 犯罪被害者の方のお立場からすればこの仮執行宣言というのは重要なものであろうと思いますので、他方、この手続で被告となる人、つまり刑事事件では被告人でありますけれども、その立場で十分な攻撃、防御を尽くすことが可能であろうかという問題でもあろうかと思います。 先ほども申し上げましたけれども、この制度では四回以内の期日で審理を終結することが難しいと思われるような場合には、これは通常の民事事件に事件を移行させるということにしております。また、手続においては、すべての審理期日において当事者双方を呼び出して、出頭の機会を得て十分な攻撃、防御を尽くしていただくということを前提にしておりますので、この命令に仮執行宣言を付することについても相当の理由があると考えております。
○浜四津敏子君 次に、損害賠償命令の申立て手数料、二千円と定められております。被害者の方々の負担の軽減という意味からいいますと、申立て手数料というのはできる限り低額であるということが望ましいと考えられますけれども、なぜ二千円と設定されたのか。ちょっとこだわるようですけれども、これも千円でも三千円でもなく二千円だとされた理由というのはどこにあるんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) この点も、被害者のお立場からするとできるだけ低くということになろうかと思いますけれども、しかし、この手続でどの程度の回数の審理を予定しているか等々のことを考慮しつつ、他の制度の手数料がどれぐらいかということを見ながら二千円とさしていただいたわけでございます。例えば、現在では刑事和解の手続でございますとか民事保全等におきまして手数料の額を二千円としておりますので、その額に合わさしていただいたわけでございます。
○浜四津敏子君 最後に大臣にお伺いいたします。 真の意味での犯罪被害者の権利利益の保護を図るためには、被害者の方が納得され、また一応満足と、こういう結果にするためには、この法律によっていろいろ新たな制度が設けられておりますけれども、法の規定に基づいた適正な運用というのが重要かと思われます。この点につきまして法務大臣の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今回の法案によって今後の刑事裁判が被害者の方々にも御納得いただけるというか、裁判に対する信頼を持ってもらえるようにする、なるということを強く期待しておるものでございます。そういう意味で、この制度を十分に周知をしていかなければなりませんし、そういう中で、被害者の権利利益の保護を図るということについて、国民一般はもちろんでありますし、こういう刑事裁判に携わる検察、弁護士、裁判官、それぞれの方々がその役割を果たすようにきちんとしていただけるように、私どもとしても最大限努力をしてまいりたいと思います。
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 先ほど簗瀬理事からも御指摘がありましたけれども、昨日の参考人質疑で被害者の方からの検察への、私は厳しい批判として受け止めましたけれども、そのようなお話がございました。先ほど御指摘があった点に加えまして、被害感情を被害者証人尋問の中で立証をしようとして、体重は幾ら減りましたか、家計は苦しくなりましたか、このような尋問事項が投げ掛けられると。これは私も被害者への、あるいは被害というものへのパターン化された一律の認識を端的に示したものにほかならないと思うわけですね。ステレオタイプで被害者を見ている。 先ほど司法解剖に関して小津局長から、制度がないからという答弁がありましたけれども、ないのは制度じゃなくて情なんじゃないんですか。情がない、心がない。誠意がない。法律家の共通の言葉で言いますと、私はリーガルマインドの問題なんじゃないかと思います。そのマインドがないまま私はコミュニケーションというのは成り立たないと思うんですよ。 それで、通告とちょっと順番違いますけれども、三百十六条の三十五、ここの意義について伺いますので、今の私申し上げた点についての局長の御所見も含めてお答えいただいて結構ですが、この三百十六条の三十五というものを独自に置いた意味、趣旨というのはどこにあるんですか。
○政府参考人(小津博司君) まず、委員御指摘のように、検察官が被害者の方と接してその方々の御意見を伺ったり、そのお立場を何らかの形で公判廷に顕出する際に大変重要なことは、被害者の方々は一人一人違う状況にあって、それぞれの思いを抱いているということを深く理解するということであろうと思います。 この点につきましては、この間、特に比較的最近、研修や部内の会議におきまして直接被害者の方に来ていただいて検察の中でお話を伺う際に、そのような意味のことを逆に申しますと、検察側の対応がそのような観点から不十分であると申しますか大変不満であるという御意見を伺い、我々として深刻に受け止めているところでございます。 それぞれの方がそれぞれの場面で異なるという一つの例として私どもが受け止めましたのは、例えば、被害に遭ってお気の毒であるとか頑張ってくださいという声をお掛けすることが、その被害者のそのときのお気持ちからしてどうなのかということまで思いを致して検察官なりがそういう言葉を発しているのかということもございまして、そのことを更に深くこれからも我々は被害者の方の御意見を伺いながら対応していく必要があると思います。 それから、御指摘いただきましたので一点。先ほど私の答弁で、臓器の取扱いについて制度がないと申し上げました。これは、制度がございませんのでそう申し上げたのでございますが、制度がありませんので、その鑑定にかかわった医師の方や担当官がその判断でその都度被害者の方にそのことを説明をする、あるいはそれがしていない場合があったということでございますので、この点について私どもとしては御意見を十分に受け止めて検討してまいりたいと考えております。 次に、直接御指摘の三百十六条の三十五の趣旨でございます。 これは、被害者参加の制度が適正かつ円滑に運用されるためには、被害者参加人と検察官との間の密接なコミュニケーションに基づいて、検察官は被害者参加人等の要望をも十分に踏まえつつ公益の代表者として適正な訴訟活動を行う、被害者参加人等はこのような検察官の訴訟活動の意味や内容をも十分に理解した上で自らの訴訟活動を行うということが重要であると考えられますので、このような規定を設けたということでございます。
○仁比聡平君 検察官のリーガルマインドというのは、これは被害者の方々も、被害者の言うなりになってくれということを要求しているんじゃないと思うんですよ。被害者の心情を量った上で、もちろん検察官の立場がありますから、これは手続の問題でも、あるいは被告人の権利保障の問題でも、あるいは捜査機関、第一次捜査機関に対する、警察に対する対応の問題でも、それを適正にということが私は求められるんだと思うわけです。 この三百十六条の三十五なんですけれども、今の御答弁で言いますと、先ほど来もお話ありますけれども、参加人に対すると、参加人に対する説明義務、あるいは参加人は検察官の権限の行使に関して意見を述べることができるという、こういう規定になっているわけですね。 そうしますと、先ほど公訴提起前の被害者はどうなのかというお話がありました。あるいは公訴提起後も参加を求めない、あるいは参加することができない、これは参考人質疑の中では、言葉として適正かどうかは別として、弱い被害者という言葉もありましたけれども、そういう方々との関係では、だから被害者全体との関係ではそのような法律上の義務は負わないということになるんじゃないんですか。
○政府参考人(小津博司君) この条文は被害者参加人との関係で規定をしておりますので、この条文による義務という意味ではないわけでございますけれども、今回の法律改正全体の趣旨またその中で被害者参加人等との関係でこのような義務規定が置かれたということを十分に踏まえて、検察官としては公訴提起の前、また何らかの事情なりお気持ちで被害者参加の道を選ばれなかった被害者の方々に対する御説明あるいは御意見を伺うということについても十分に配慮してまいる必要があると考えているところでございます。
○仁比聡平君 そうしますと、参加の道を選ばなかった被害者の方が公訴提起後、検察官の権限の行使に関して、参加人あるいは参加人の委託を受けた弁護士と同様に権限行使についての意見を述べたとき、これは参加されている方と同様に扱われるんですか。
○政府参考人(小津博司君) 参加人の方については、具体的な法廷での訴訟活動もございますので、そういう意味も含めて全く同じかと申しますと、違う側面が出てくるかもしれませんけれども、被害者の方々に対してその御意見を十分に伺って可能な限り適切な分かりやすい説明をしていくべきであるということについては、被害者参加人以外の方についても同様であると考えております。
○仁比聡平君 そのように本当に運用されるのか、しっかり見ていきたいと思うんですね。 それで、参加人の方々に対する説明義務について、条文で言いますと、必要に応じという文言があるわけです。つまり、必要に応じて説明しなければならないというのであって、この必要性の判断、必要があるのか否かというこの判断や基準というのは一体どうなっているのか。そしてこれに違反する、説明責任に反するという場合が想定されるのでしょうかね。その責任に反する、つまり検察官は私たちが尋ねたのにきちんと説明してくれなかったと被害者の方々が感じるときにどんな責任を負うことになるんですか。
○政府参考人(小津博司君) まず、この説明については必要性を判断するのはだれかということであれば、条文上は説明をする検察官であります。しかし、想定しておりますことは、検察官は説明を基本的にするわけでございまして、いつどのようにどの程度を説明をするかということでございます。 ただ、条文上、説明をするかしないかの判断も含まれているかということにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、条文には含まれている、しかし、基本的にはする、じゃどういうような場合に説明をしないということがあり得るのかと、これはもう、そういうことがあるのかどうか分かりませんけれども、同様の質問を何度も受けて同様の御説明をし続けた場合にさあどうかというようなことはあり得るのかもしれないとは思っております。 それから、この検察官の説明につきまして、まず、十分納得されなかった被害者の方々は、それでは今回は被害者参加人としてできることがあるわけでございますので、もちろん納得してもその権限を行使されるとは思いますけれども、納得されなかった場合には、特にと申しますか、御自分で例えばそのような主張を法廷の中でされるということになると思います。 これを、この相当性の判断につきましては、被害者の方々がどのように受け止めるかによってその被害者の方々がその後対応されると申しますか、まず第一にはそんな説明ではおかしいということを強く検察官に言われると思いますので、その際に御不満のないように是非対応してまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 結局はっきりしないじゃないですか。検察官がこの権限行使について被害者とコミュニケーションを取るんだというふうにずっとこの法案の根幹部分としておっしゃっているけれども、これまでとどれほど変わりますか。必要に応じてしか説明しない、その判断は検察官がやる。 結局、そうすると被害者の参加人の主体性というのは一体どこにいくのか。直接関与とおっしゃりながら、結局、検察の判断下、支配下、コントロール下に置くということになりませんか。それには納得いかないという強い意思を持った被害者の方々は、検察とはもう信頼関係を失って公判廷に臨むということになりかねないというのを私感じるんですね。もうこれは評価の問題になって議論になっちゃうから、また時間があれば議論したいと思うんですけれども。 私、そういう関係もあってちょっとお尋ねしたいんですけれども、前回申し上げたように、日本の刑事司法の審理というのは、罪体についての事実審理とそれから情状立証、これが分離されていないというところに大きな特徴があるわけですね。この中で、有罪であると検察は確信をして起訴はされたんだけれども、実際に審理が進む中でこれは無罪だという心証を抱かれることはありますよね。論告でこれは無罪であるという弁論をされることがあるでしょう、無罪論告をすることがある。それは、手続上の負担を被告人に掛けた以上、公訴を取り消してやめるよりも無罪判決もらった方がいいという判断されることあります。 だけれども、被害者あるいは被害者参加人の委託を受けた弁護士は、その検察の事実認定には異論があると。いや、検察は無罪だと言っても私は有罪だと思うと、そうじゃなければ犯人はどこに行ったことになるんですかという心情になるのは、私は仮にそういう場面であれば分かると思うような気がするんです。 その三百十六条の三十八で、相当と認める場合の言葉として、審理の状況という要件がありますけれど、これは検察が無罪論告がふさわしいと思ったような場合というのは含まれるわけですか。
○政府参考人(小津博司君) 一点だけ付け加えさせていただきたいんですが、先ほど、検察官の説明等について被害者の方が強い不満を持たれて、これは法律からしてもその必要性の判断がおかしいというときには、検察は組織でございますので、その検察官の上司に言っていただく等々のことはもちろん可能でございますので、その辺りも含めて、今後この法律が施行されるまでの間に十分な検討をしてまいりたいと思っております。 それから、ただいまの御指摘につきましては、正にそれまでの審理の状況、出た証拠、攻撃、防御の中身からして、これはもうその被告人が無罪だという前提で審理が進んで、最終段階になったときに検察官は無罪の論告をする。それにもかかわらず被害者の方が、恐らくその場合には、法廷に顕出された証拠の評価とは大きく懸け離れて、やっぱりこの人は有罪だと言いたいという場合には、正にその段階で検察官がそのような意見を言うことが相当かどうかということを判断されるということになると思います。
○仁比聡平君 今申し上げたのはもちろん極端な場合だと思います。めったにある場合じゃないんですけれども、それでも、その被害者参加人の方々の地位が検察官の訴訟行為とどう関係しているのか。特別の地位と前回おっしゃりましたけど、その本質がどこにあるのかということがよく分からないというところにやっぱり私は起因していると思うんですよね。 証人尋問についてですけれども、局長は、示談、謝罪の状況というようなことを情状立証の弾劾についての典型例としてよく御答弁されているんですけれども、私、この示談、謝罪の状況というのもいろいろあり得ると思うんですよ。これこれという事実を認めて謝罪をしたと情状証人が述べたときに、いや、その事実認めなかったじゃないか、あのときには、例えば、わざとやったんじゃありませんというふうに最後まで言ったじゃないかというようなことは、これは当然、情状証人の証明力を弾劾する中ではこれは出てくるんじゃないかと思うんですね。 この証人尋問で、情状に関する事項というふうにおっしゃってきているんですけれども、その次の括弧書きの犯罪事実に関するものを除くというのはどういう意味になるんでしょうか。この情状の中には、示談の成立状況とか以外に、当然狭義の犯情、犯罪事実の状況そのものが情状の証拠になることがある。それに動機を含めて、犯行に至る経緯あるいは犯行後の対応ですね、今後の更生の意欲などなど、犯行に関するものが情状になるわけですよね。 これ、局長は、何か随分絞られるんだと、被害者参加人の方々が実際に尋問できるのは大変絞られるんだというふうにおっしゃるんだけれども、この条文を見る限りは、私はかなり広い範囲で情状証人に対する弾劾ができるようにも感じるんですけれども、違うんですか。
○政府参考人(小津博司君) ただいま御指摘の点は、情状に関する事項ではあっても、同時に犯罪事実にも関係するものは除外するという趣旨でこの部分に犯罪事実に関するものを除くと書いてあるわけでございますので、いわゆる犯情については含まれない。それ以外の一般情状ということがございますけれども、その事項に関する弾劾に限られるということを明らかにするためにこのような条文にしたのでございます。
○仁比聡平君 犯情に関するものは含まれないというのは、犯行に至る経緯や動機、計画性などは、これは犯情に含まれるわけですか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のとおりでございまして、それらが正に犯情、つまり、情状には関するけれども犯罪事実に関するものであるということでございまして、それらは含まれないということでございます。
○仁比聡平君 そのような分離が実際に証人尋問を行う現場でできるんだろうか。これは、最終的には裁判所が制限をするということになるのかもしれませんが、まず、時間がありませんから端的に聞きますが、被告人あるいは弁護人の側の、その尋問をされている被害者参加人に対する反対尋問権、あるいは異議の申立てなどの証拠調べの手続の権利、これは保障されるわけですかね。
○政府参考人(小津博司君) これは証拠調べの手続でございますので、保障されます。
○仁比聡平君 すると、かなり厳しい審理がそこで行われるということも想定をされると私は思うんです。あり得ると思うんですよね。その尋問に臨む際に、被害者参加人の方々は尋問事項を明らかにして検察官に申し出なければならないということになっているんですが、この尋問事項を明らかにしてというのは、これはどのような内容を明らかにしろという趣旨ですか。
○政府参考人(小津博司君) これは、その被害者参加人が尋問したいという内容が違法、不当な内容にわたらないか等々を判断するためのものでございます。 他方で、被害者参加人の方がその場で尋問をしたいと言われましたときに、非常に詳細に尋問事項を言ってもらわなければ判断ができないということでは、実際この尋問をすることが困難になると思われますので、尋問をしたい内容のポイントといいますか、それを伺って判断をするということになろうかと思います。
○仁比聡平君 今のお話だと、尋問事項を明らかにしてと書かれているけれども、どれほど明らかにされた上で被害者参加人の方々の尋問が始まるのかというのがよく分からないですよね。検察官が自ら尋問する場合を除きという要件もあるわけです。その申出を受けて、いや、それは検察官が自分で聞いた方がいいでしょうということで聞かれる場合があるんだろうと思うんですね。検察官が尋問をそうやってしたときに、その検察官の質問とその結果に被害者参加人の方々が納得されたら私はいいと思うんですけれども、納得されない場合、あるいは、仮に検察官の尋問が一二〇%被害者の皆さんの思いにかなっていたとしても、それでも私はこの証人に聞きたいんだという心情もあり得るわけでしょう。そういう場合はどうなるんですか。
○政府参考人(小津博司君) まず、被害者の方からすると、検察官が聞いたけれども、それは自分の聞きたいことが内容として尽くされていないと判断すれば、その段階で更に自分はこういうことを聞きたいと申出をして、その場合には検察官は意見を付けて裁判所にそれを通知する。その場合に、検察官が相当と言うか相当ではないと言うかは別でございますけれども、裁判所の判断を仰ぐということでございます。 次に、自分の言いたいことを内容としては全部聞いてくれたけれども、やっぱり直接聞きたいという場合に、その場合にも検察官が、その場合には裁判所の方に聞きたいという、その状況をどのように判断するかはあるかもしれませんが、やはり基本的には裁判所の方にお伝えをして、自分としてはそれは相当ではないと思うけれども、例えばでございますが、あるいは内容的には同様だと思われても、これは被害者の方の立場で違う角度から聞くのであるから相当だということもあろうかと思います。そのような対応をすることになると思われます。
○仁比聡平君 やっぱりよく分からないんですよね。 この法文には二百九十五条の第一項という制約も掛かっていまして、重複尋問やあるいは関連性のない質問は許されないわけですけれども、被害者の方々の心情や立場からしたときに、それが重複だと言えるのか。これは現場ではなかなかシビアな判断だと思うんですよね。 もう一つ、最後になりますけれども、被告人質問に関連してちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、前回局長にお尋ねをしたところ、被告人質問においては、これは訴因の範囲内であれば事実関係についても被害者の参加人の方々が聞くことができると、ここには間違いはないという御答弁をいただいたわけです。 つまり、被告人は、被害者の方々からの質問にすべて、犯情も含めて、犯行事実も含めて質問にさらされることになるわけですけれども、これまで黙秘権は法律上保障されているでしょうと、それから別の機会に任意に被告人がどこかで質問をする供述をするということはできるでしょうと、だから被告人側の防御権は害さないというふうな御趣旨の答弁が続いてきているわけですけれども、そのような場面で事実上、法律上黙秘権が奪われてしまっているかどうかは別ですよ、ですけれども、その被害者の方々から被告人がそのような質問を受けるときに、事実上心理的な圧迫を受けるというのはこれはあり得る、実際あるんじゃないかと思うんですよ。 そこがないと言うのはちょっと言い過ぎなんじゃないかなと思うんですが、それについての回復手段といいますか、そういう場合、どうすれば被告人は被告人なりに言いたいことが言えるようになるわけですか。
○委員長(山下栄一君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○政府参考人(小津博司君) これは、正にその当該事案における被告人の防御活動の在り方ということになろうかと思います。 制度からいたしますと、被告人が刑事弁護人と十分に打合せをして、また事前の打合せができなければその場で弁護人と打合せをして、その援助を得て、答えるべきではないと思えば黙秘権を行使する、あるいはその場、面前では言いたいことが言えなければ次の機会をつくるというのが刑事訴訟法上の基本的な方法ではないかと思います。
○仁比聡平君 それで本当に保障されるのか疑問です。 終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。 私は、被告人質問の問題に少し絞って質問をさせていただきたいというふうに思います。 今日、午前十一時過ぎから東京地方裁判所に見学に行かせていただきまして、大変勉強になりました。 そこで、私は、これは現実の事件ではありませんけれども、委員の皆さんと一緒に被害者の意見陳述、現行法で認められております被害者の意見陳述というものをモデルを使って初めて聞かさせていただきました。文書を読み上げておられたわけでありますけれども、裁判員席に同僚の先生方と一緒に座って、そして、目の前で被害者の意見陳述というものを聞かさせていただきました。それだけでも大変迫力を感じました。多分、現実の裁判では文書を読まれるのか、あるいは生の言葉で話をされるのか、あるいは表情はもっと生々しく伝わってくるんだろうというふうに思いまして、これが更にいわゆる求刑意見まで入ったときにどうなるのかなというイメージをかなり具体的に持つことができまして、大変勉強になりました。 私は非常に驚きましたのは、先ほど簗瀬議員の論議の中にもありましたけれども、被害者の意見陳述といっても、現在、この法案で新たに創設されようとしている求刑意見、事実と法律の適用に関する意見と一体どこが違うのかなというふうに見まがうほど非常に具体的にお話をされておりました。 殺人事件で、そしてその遺族の方が言わば意見を言うんですけれども、自分の父と同じように極刑に処していただきたいということも言っておりましたし、あっ母ですか、お母さんと同じように被告人には極刑に処していただきたいということも言っておりましたし、あるいは被告人はいろんなことを言っていますけれども、これは違うということをかなり具体的にその事実に踏み込んで、証拠の引用等ありませんでしたけれども、事実についても、ここは違う、これはこうだというようなことをかなり細々と言いながら遺族の無念の気持ちを切々と訴えておられました。 私は、こういう現行法の二百九十二条の二で定められている被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述がこういう、今日私が東京地方裁判所で一つのモデルとして体験させていただいた形で、多分あれは、披露されたのは、通常こういう形で行われているんだろうということで、それで示されたと思うんですが、こういう形で行われているなら、なおそれ以上、具体的な事実あるいは法律の適用、つまり求刑までする必要というのは具体的にどこにあるのかなというふうに非常にやっぱり思えてなりませんでした。 というのは、昨日の参考人質疑の中でも参考人の一人が、いろいろ意見はあるけれども、少なくとも求刑までは被害者にさせるというのはやっぱりいろいろ問題がある、これは弁護士だけではなくて、法曹界の自分は多数の意見ではないかと、自分が体験した範囲内ではですね、そういうふうなことまでおっしゃっておられた後で私は今日の体験をしまして、現在もあそこまで行っているなら、更になぜ言わば具体的な求刑までする必要があるんだろうかと、その辺の必要性とかあるいは趣旨、目的について率直な疑問を持ってしまったわけなんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 現行の意見陳述制度と今回新しく導入しようとしている制度の制度上の違いにつきましては、既に御答弁いたしましたので繰り返しません。 では、どのようなことが現行の意見陳述ではできないけれども、今度できるだろうかということになりますと、やや抽象的になりますけれども、やはり自分の心情を述べるために言っているのではなく、自分が被害者参加人としてその場に、つまり法廷の中でずっと審理状況を見ていて、場合によっては一部証人尋問やら被告人尋問をした結果として、特定の証人が言っていることは正しくて、こちらの側は間違っていて、やっぱりこういう事実が認定されるべきだと言いたいときに、それはやはり現在の意見陳述では言えないということでございます。それから、確かに現在の意見陳述で、自分の気持ちとしてはもう一生刑務所から出てきてもらいたくないということを言えるわけでございますし、言っておられる場合があると思います。 今回の本法案の意見陳述がなされました場合に、被害者の方によってはやはり同様に自分は無期懲役が相当であるというふうに言われる場合があるかもしれません。しかし、少なくともこの新しい制度におきましては、設定された訴因の範囲内でございますので法定刑にない意見を言うことは許されないわけでございます。そして、検察官が論告求刑をした後でございますので、検察官としてこういう論告求刑をしたけれども、それを受けても自分としてはやはり少なくともこれぐらいの刑が相当ではないかと、こういう形での意見が言えるようになるということでございます。
○近藤正道君 制度論は言わずもがなでありまして、それはいいんですけれども、ただ、私は今日、所長まで出られて刑事部長まで出られて、そして一つのモデルを示された、私はあれは東京地裁で日常的に行われている被害者の意見陳述だと思うんですよ。正に、極刑に処していただきたい、そして具体的に犯行経緯等についてのやっぱり事実認定、被告人の言っている主張は誤りだということをかなり具体的に言っている、こう言っていましたよ、それは。 私は、これ、当初はこれから創設される事実又は法律の適用についての意見陳述ではないかと最初に間違ったぐらい、誤解したぐらい、誤解していまして、こういうことをこれからやろうとしているんですかというふうに聞いたら、いや、もう現に行われている被害者の意見陳述をやったんですと、こういうことですから、私はある意味で非常に驚いた。あそこまでやっていながら、あれ以上なぜ求刑までという、そういう疑問なんですよ。 しかも、新たにそういう制度を設けておきながら三百十六条三十八の四項では証拠にしない、証拠とはならない。ここがやっぱり分からない。多分一つの妥協の産物なんだろうというふうに思うけれども、そこまでやらせるんならやっぱり証拠とすべきだと。あるいは、そうでなければ新たにこういう制度は設けない、筋としてはやっぱりそうだと思うんですよ。証拠にしないということであれば、これは結局、参考人も言っていましたけれども、感情面だけやっぱり訴えると。ガス抜きなどという話、私はそういう言葉使いませんけれども、感情面だけをやっぱりアピールすることになる、それはやっぱり否めないではないかと。職業裁判官ならいざ知らず、言わば裁判員の前でそういうことをしてどうなんだろうかと。私は、本当に被害者保護というのはよく分かるけれども、しかし、私もやっぱり法廷に立った経験を持つ弁護士としてここのところはやっぱり非常にやっぱり不安なんですよ。 どうして言わば証拠として採用しないのか。今でも具体的な求刑意見まで実質的にやっている、事実についての意見も言っている、更にそれを明確に事実についても言えるよ、求刑についても言えるよと、そこまで踏み出しておきながら、なおかつ証拠としないと。ここの言わばねらいといいましょうか、趣旨、目的は何なんですか。
○政府参考人(小津博司君) 現行の意見陳述制度におきましては、被害者の方が心情を中心として述べる場合に事実関係に及ぶこともありますし、心情を表現する方法として刑の量定に及ぶこともあるわけでございますが、被害者の方が言われて、現制度で言っておられることは正に被害者の方の心情を述べておられますので、その方がそういう心情にあるということを裁判所は情状証拠として、情状を判断する資料として構わないと、こういう整理をしているわけでございます。 今回、新しい制度は、意見、つまり、私どもは検察官の論告求刑とは被害者の今回の新しい意見は立場が違うという御説明はしておりますけれども、意見であるという点については同じでございます。つまり、検察官の論告求刑を証拠にしてはいけないわけでございます。それと同じような意味で今回の制度の被害者の意見についてはそれ自体を証拠としてはいけないということを、ある意味では当然のことではございますが、明らかにしたと、こういう趣旨でございます。
○近藤正道君 ここのところは論理的に整理が付かないんだろうなというふうに私自身もある程度分かった上でお聞きをしているわけでございます。 一番やっぱり懸念すべきことは、裁判員制度の中でこういうことが行われる。私は、被告人質問を仮にやったとしても、そこで被害者が正に被告人と対峙をして、そして自分の思いをやっぱりぶつけていく、そしていろんなものを引き出す、あるいは自分の気持ちをやっぱりそこで訴える、そういうことを全部受けて最後は検察官が正に後は自分がという形で求刑をすると、それでいいんではないかというふうな思いがしているんですけれども、しかし、その検察官の求刑の後に被害者の事実のみならず求刑もあると。 通常は、私は多分検察官の求刑を上回ってかなりの場合、法定刑の正に上限の求刑があり得るんではないかというふうに思います。確かにその後、弁護人、被告弁護人の最後の言わば弁論というものがありますけれども、しかし、その被害者の求刑のインパクトというのは私はやっぱり相当なものがあると。これが言わば裁判員制度に与える影響と、言わば重罰化の傾向といいましょうか、そのことをやっぱり懸念するわけでございます。 私たちはこの法務委員会で法定刑が引き上げる際にはかなりその都度厳格なけんけんがくがくの議論をいたしますけれども、しかし、この被害者参加制度の下で私は重罰化の傾向、これはやっぱり否めないんではないかというふうに思います。その私の懸念について局長どういうふうにお考えでしょうか。それはやっぱり避けられないんじゃないんでしょうか、重罰化の傾向というのは。
○政府参考人(小津博司君) 具体的な事案におきましてどのような刑が適正であるのかということにつきましては、それぞれのお立場によってもちろん見方は異なるわけでございます。 被害者の方が法廷で発言をすることによって、その裁判所の判断、裁判員制度になりましたら裁判員の方が入られますけれども、その裁判所の判断が不当に影響を受けることがあるだろうかというふうに考えました場合に、私どもはそうではないと思っているわけでございますけれども。 その判断の一つのよりどころとしておりますのは、現行法の意見陳述制度があり、その中で正に被害者の方の気持ちとして情状の資料にして構わないという前提で被害者の方が大変に強い内容のことも言っておられる。この制度につきまして、年間数百件から最近では千件、これが多いと見るか少ないと見るかはございますけれども、まあ経験を積むという意味では十分多い量ではないかなとは思いますけれども。その意見陳述をしておられる法廷においてそのような不当な影響が出ているというふうには私どもは認識していないわけでございます。 もちろん裁判員制度になりましたら一般の方が入られるわけでございますので、ただいまの御指摘の点につきましては、これは検察官の論告求刑であれ、被害者の方の意見であれ、あるいは弁護人の弁論であれ、それが意見であるということ、認定はあくまでも証拠に基づいてしなければいけないということについて職業裁判官におかれて十分に裁判員の方々に御説明をしていただく必要があると、このように認識しております。
○近藤正道君 アメリカでは死刑評決で被害者参加が陪審員に影響を与えるという報告があるというふうに聞いております。そしてまた、日本の国内でも現行の意見陳述権の行使で判決に影響を与えているというそういう調査結果もあるようでございますが、この辺の内外の被害者参加制度と量刑の関係に関する研究調査というものについては、この法案を提出するに当たってどの程度調査研究をされましたか。
○政府参考人(小津博司君) まず、現行の意見陳述制度につきましては、法務省では平成十六年の一月から三月にかけまして、このときに法務総合研究所に設置いたしました犯罪被害者のための施策を研究する会におきまして、意見陳述を行った方々に対するアンケート調査を実施いたしました。これはその当時も公表している内容でございます。 詳細には申し上げませんけれども、例えば意見陳述をしてよかったとする方が六三%という結構高い率でございますとか、ただ、やってみて不満が残ったとされる方の不満の内容としては、意見を陳述したけれども被告人が十分に聞いてくれなかったような気がするというふうな御意見もあり、興味深いわけでございますが、そのような調査はしております。 他方、先生御指摘のこの意見陳述制度の運用状態についての法務省以外の研究でございます。それほど多くはないと思いますし、私の承知しております範囲内では明確に一定の影響があったという断言をしているものはちょっと承知してないのでございますけれども、いずれにいたしましても法務省ではそのようなことをしたわけでございます。 アメリカの運用の実情につきましては、現時点では十分御答弁する資料を持ち合わせておりません。
○近藤正道君 そうすると、被害者参加制度とその量刑との関係については、その研究発表について、そういうものはどの程度あるかということも含めて調査というのは余り十分にはされていないという、そういう受け止めでもいいんですか。ちょっと聞かせてください。
○政府参考人(小津博司君) 調査はいたしましたけれども、法務省以外のところでそのような研究があるとは承知しておりません。むしろそのような研究が余りないというように承知しております。
○近藤正道君 ですから、そういう研究がないんで特段調査はしなかったということなんですか。
○政府参考人(小津博司君) 先ほど申し上げましたように、意見陳述をされた方々に対して、これは実は意見陳述だけではなくてもう少し幅広くやっているんでございますが、実際の犯罪被害者の方にいろいろなことをしてみてどうだったかということについてはかなり詳細にアンケートで調査をしたということでございます。
○近藤正道君 いや、私は量刑との関係をさっきからいろいろ聞いているわけですよ。その一つの前段として今ある被害者の意見陳述の話を聞いたんだけれども、しかし外国では、それは訴訟構造は違うけれども、職権主義の国あるいは当事者主義の国で被害者の参加制というのはそれなりにありますよね。だから、その現に行われている海外の情報をいろいろ調べる中で被害者参加と量刑との関係についても調べられたんではないかというふうに思うんで、それで聞いているんですよ。ところが、先ほど来の話だとほとんど量刑との関係においては調査をしていないと、そういうふうにしか私には聞こえないんだけれども、どうなんですか。それを明確に答えてくださいよ。
○政府参考人(小津博司君) 我が国におきましても量刑が個々の事案でどうかということは、個々の事案について異なるということもございまして、被害者参加をしたことがどのように影響したかということについての、それに特化した調査をしておりません。 海外につきまして、その制度や運用状況については可能な限り情報は収集いたしましたけれども、ただいま委員御指摘のような明確な調査結果があるということは少なくとも現時点では私どもは把握しておりません。
○近藤正道君 私は、国内ではないんだから、そのきちっとしたものなんかないですよ。せいぜい被害者の意見陳述、ついこの間始めたところ、そのぐらいしかないんで、せめてその調査をしましたかということと、私が本当に聞きたいのは、海外では被害者参加の制度というのはそれなりにある、それは訴訟構造は違うし、当事者主義を取っていても日本の場合とはかなり違うような形で、事実認定のところまで入れているかどうかという、いろんなその違いはあるけれども、少なくとも海外にはそれなりの蓄積があるわけだから、被害者参加と量刑との関係、これについてはそれなりのやっぱり研究成果というのはあるんではないかというふうに思うんですが、その辺のところはちゃんと調べましたか、調べた上でこの法案を出しているんですかというふうな質問ですよ。ストレートに、端的に答えてくださいよ。
○委員長(山下栄一君) 局長、明確に答えてください。
○政府参考人(小津博司君) 私どもがこれまで諸外国について収集した情報の中にはそのような情報は得ておりません。
○近藤正道君 そのような情報って何ですか。その重罰化という、そういうことですか。何ですか。
○政府参考人(小津博司君) 被害者参加と量刑に関する具体的な研究結果についての情報は私どもは得ていないということでございます。
○近藤正道君 それはしかし極めて重要な問題なんではないでしょうかね。法案を出す、あるいは制度設計する場合の重要な私は前提ではないかと思いますよ。 しかも、これ先ほど来話ありましたけれども、裁判員制度を導入する際に、皆さんはそれなりの議論をしたと、こういうふうにおっしゃっているけれども、だって参考人出てこられて裁判員制度の導入の際にはこの被害者参加の議論というのはそんなになかったという話皆さんされているわけで、しかも、多分間違いなく言えることは、その議論があったかないかという話はちょっと別に置いたとして、被害者参加の問題と量刑の関係についての議論というのは法制審議会の中でもほとんどなかったんじゃないですか。全くなかったんじゃないですか。これはどうですか。
○政府参考人(小津博司君) 法制審議会の中でそのような重罰化の影響があるのではないかという御意見が出されて議論がなされたという事実はございます。
○委員長(山下栄一君) もう一度、小津局長。時間が過ぎております、簡潔に。
○政府参考人(小津博司君) ただいま私が申し上げましたように、重罰化に関する御意見が出たことはあったということでございます。
○委員長(山下栄一君) 近藤君、時間が過ぎていますのでまとめてください。
○近藤正道君 はい。私は、少なくともこの被害者参加と量刑の関係についての議論なんというのはほとんどなかったというふうに思っています。 いずれにしましても、時間がありませんので、私はやっぱり更に続けさせていただきたいというふうに思っておりますが、極めて重要な問題が本当にしっかりと議論されているのかどうか、これはやっぱり慎重に議論する必要があるということを改めて申し上げまして、続行させていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
○委員長(山下栄一君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時五十分散会