法務委員会 第19号
- 発言数
- 335 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2007/06/12
会議録
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、円より子君、岩城光英君、佐藤昭郎君及び関谷勝嗣君が委員を辞任され、その補欠として千葉景子さん、山東昭子さん、若林正俊君及び吉村剛太郎君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府大臣官房審議官荒木二郎君、警察庁刑事局長縄田修君、金融庁総務企画局参事官私市光生君、法務省民事局長寺田逸郎君及び法務省刑事局長小津博司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○岡田広君 自由民主党の岡田広です。 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。 まず、この法律案の中身に入る前に、その前提として幾つかお尋ねをしたいと思います。 この法律案は、平成十六年に議員立法で成立した犯罪被害者等基本法やこれを受けて閣議決定された犯罪被害者等基本計画を踏まえ、犯罪被害者の方々の権利利益の一層の保護を図るための法整備を行うものとするものであると承知をしております。 まず、この犯罪被害者等基本計画というのはどのような経緯を経て策定されたのか、これは内閣府にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(荒木二郎君) お答えを申し上げます。 犯罪被害者等基本法におきましては、政府において総合的かつ長期的に講ずべき犯罪被害者のための施策の大綱を盛り込んだ基本計画を策定することとされております。平成十七年の四月、基本法の施行と同時に犯罪被害者等施策推進会議の下に被害者の方、それから有識者、関係省庁から成ります基本計画の検討会を設置をいたしまして、十一回にわたる検討を行い、平成十七年の十二月に基本計画が閣議決定されたところであります。検討会におきましては、できるだけ犯罪被害者の方の声に耳を傾け、被害者の方の視点に立って基本計画を策定しようということで、延べ六十八の被害者団体、支援団体等からヒアリングを行い、またパブリックコメントを実施するなどによりまして、合わせて一千六十六の意見、要望を集めまして、その一つ一つにつきましてどのような施策が可能であるかを検討し、基本計画を策定したものであります。 基本計画におきましては、被害者の方からの強い御要望を踏まえまして、刑事手続への関与拡充への取組というものを重点課題の一つに掲げまして、犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することのできる制度の検討及び施策の実施が盛り込まれたところであります。
○岡田広君 ただいま説明がありました、パブコメを実施されたということですが、パブコメの、どういう意見があったのか、どのぐらいの件数の意見があったのか、内閣府でいろいろパブコメやられていると思いますけれども、そういう中ではこの意見、件数というのはどういう状況だったのか、お尋ねしたいと思います。
○政府参考人(荒木二郎君) 先ほど申し上げましたように、パブリックコメントを含めまして一千六十六の意見がございました。その中身につきましては、大変多岐にわたっておりますけれども、おおむね被害者の損害回復に、経済支援に関するもの、それからただいま申し上げました刑事手続への関与の拡充に関するもの、それから特に精神的被害の回復が重要であるとするもの等々がございました。 以上でございます。
○岡田広君 よく分かりましたが、このパブコメの件数とか今の内容は伺いましたが、そういうパブコメに関して、内閣府の中で意見の件数というのは多かったんですか、少なかったんですか、それだけちょっと参考までに教えてください。
○政府参考人(荒木二郎君) 一概に多いか少ないかというのは申し上げるわけにいかないんですけれども、この間実施したあるパブコメでは百件程度でございましたので、かなり多かったんではないかと考えております。
○岡田広君 ありがとうございました。 今回の法律案においては、犯罪被害者の方々が刑事裁判に参加することのできる制度の創設と損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度の創設のこの二つが大きな柱になるものだと考えております。 そこで、この被害者参加や損害賠償命令の制度について、基本計画の策定の過程ではどのような議論がなされ、どのような結論に至ったのか、これも内閣府にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(荒木二郎君) お答えを申し上げます。 そもそも犯罪被害者等基本法の第十八条におきまして、刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等必要な施策を講ずるとされております。また、附帯私訴的な制度の導入につきましても、第十二条におきまして、損害賠償の請求についてその被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充等必要な施策を講ずると定められているところであります。 いずれの制度につきましても、先ほど申し上げましたように、被害者等の方から強い意見、要望がございました。検討会においてこれを検討いたしました際には、そういった被害者の方からの強いそういう導入すべしという意見と、それから諸外国で行われている参加制度あるいは損害賠償命令等の制度をそのまま導入することは無理じゃないかとか、あるいは現行の訴訟の在り方への影響を懸念する慎重論等々がございましたけれども、それらも踏まえまして、基本計画におきましては、参加制度、損害賠償命令、いずれにつきましても我が国にふさわしい制度を新たに導入する方向で必要な検討を行うとされたところでございます。
○岡田広君 ありがとうございました。 それでは、この犯罪被害者等基本計画が閣議決定された後、本法律案がどのような経緯を経て国会に提出されたのか。この経過につきまして、これは法務省の小津局長にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 この犯罪被害者等基本計画が策定されました後、法務省におきましては、平成十八年二月と三月に合計十二の被害者関係団体の方々からヒアリングを実施するなどしながら、これら制度の導入についての検討を進めました。また、この間、平成十八年の通常国会で犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律等が全会一致により成立いたしました際に、衆議院と参議院の各法務委員会において、「犯罪被害者等基本計画に基づき政府において検討が進められている被害者が刑事裁判に直接関与することのできる制度の導入等について、できるだけ早期に結論を出し、その結論に従った施策を速やかに実施すること。」との附帯決議がなされました。 そこで、法務省におきましては、これらの結果も踏まえまして、平成十八年九月六日、法務大臣から法制審議会に対して、これらの制度の具体的な内容を検討していただくよう諮問を行いました。 そして、法制審議会の刑事法犯罪被害者関係部会におきましては、その構成員として複数の被害者関係団体の方々や被害者の方々を支援する活動をしている弁護士の方にも加わっていただき、それぞれの制度について、我が国にふさわしいものとしてどのような内容のものが考えられるかにつきまして、被害者関係団体の方々からのヒアリングの結果も参考としつつ、二年後に開始される裁判員制度との関係を含めて幅広い観点から議論を行って具体的な案を練り上げていくという方法によりまして、慎重な審議が行われました。 また、この間、平成十八年十月二十日から十一月三十日までの間に、法務省といたしましてもパブリックコメントを実施いたしました。 その結果、平成十九年二月七日、法制審議会から法務大臣に対しまして、今回の法律案に盛り込まれている被害者参加の制度や損害賠償命令の制度の新設等を内容とする答申がなされました。 そこで、法務省におきましては、この答申に基づきまして関係省庁とも協議しながら法案の立案作業を行いまして、平成十九年三月十三日の閣議決定を経てこの法律案を国会に提出させていただいた、こういう経緯でございます。
○岡田広君 本法律案につきましては、今局長から御答弁ありましたけれども、論議がまだ十分ではないという意見もありますが、この点についてはどうでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 私どもといたしましては、先ほど内閣府の方から御答弁がございました犯罪被害者基本法、それから基本計画、そしてそれを受けての私どもの検討、法制審議会での議論等々におきまして十分な検討を行ったと理解しております。
○岡田広君 ありがとうございました。 それでは、この法律案の内容につきまして順次お尋ねをしたいと思います。 まずは、犯罪被害者の方々が刑事裁判に直接参加することができる制度についてお尋ねをしたいと思います。 被害者の方々が刑事裁判に直接関与するものとしては、現行法においては、被害者の方々が心情を中心とする意見を裁判官に直接伝えることができる意見陳述の制度があるわけであります。この意見陳述の制度につきまして、衆議院の法務委員会におきまして参考人の片山さんが、約一千件しか使われておらず利用者は少ないという趣旨のことを話しておったのが議事録に載っておりました。 そこで、実際に意見陳述の制度はどのくらいの件数利用をされているのか、正確な数字を教えていただきたいと思います。またあわせて、この意見陳述の制度につきましては増加傾向にあるのか減少傾向にあるのか。これについては最高裁判所にお尋ねをしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 意見陳述の利用状況でございますが、これは平成十二年の十一月から始まりました。平成十二年は意見陳述は三十件、十三年は二百九十件、十四年が五百六十七件、十五年が七百二十九件、十六年は九百十五件、十七年は千十七件、平成十八年は千百七十件でございます。毎年確実に意見陳述をされる方の数は増加し続けているということが言えると思います。それで、公判期日で心情その他の意見を陳述した方の数は、平成十三年が二百三十二名でしたが、平成十八年は九百十七名となっております。 今後の傾向については、これは予測をすることは非常に困難でございますが、こうした数値を見ますと、公判手続の場で主体的に意見を陳述することを希望する被害者の方が増えてきていると言えるのではないかと考えられます。 以上です。
○岡田広君 次に、被害者参加の制度についてお尋ねをしたいと思います。 この被害者参加の制度につきましては、被害者が参加することによって事案の真相を知り、被害者の尊厳と名誉を守り、加害者に対する適正な刑罰権の行使を求めることができるとしてこの制度を求めているわけであります。しかし、一方においては、法律専門家でない被害者が自ら法廷で事案の真相に迫ることというのは大変難しいのではないかという意見もあるわけであります。本制度につきましては、一部に被害者の方々が直接参加するのではなくして間接的な関与とすべきであるとの意見もあるわけであります。 そこで、被害者の方々が刑事裁判に間接的に関与する制度とはせずに、刑事裁判に直接関与、すなわち参加することができる制度としたのはどういうことなのか、これは水野法務大臣からお尋ねをしたいと思います。法務副大臣、ごめんなさい。
○副大臣(水野賢一君) 先ほど来先生から御指摘のあった、平成十六年に成立をいたしました犯罪被害者等基本法におきまして、国の責務として、刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等必要な施策を講ずることをこの法律でもう既に定めておるわけでございます。したがって、被害者の方々が刑事裁判に間接的に関与するだけにとどまらず、今回の法律案のように直接関与する、すなわち参加することを認めるという方が基本法の趣旨に最も合致するものだというふうに考えております。 また、本制度によりまして被害者の方々が刑事裁判に参加することができるようになることというのは、多くの被害者が求めていることでもございますし、さらに、その名誉の回復とか被害からの立ち直りにも資するものだというふうに考えられております。 こうしたことから、今回提出をしております法律案においては、被害者の方々が刑事裁判に間接的に関与するのではなくて直接関与、参加することができる制度を創設することにいたしたものでございます。
○岡田広君 この制度は、被告人が加害者であるとの前提で被害者が被告人質問などの訴訟活動を行うことになることから、無罪推定の原則に抵触するという意見が一部にはあります。このような意見についてはどのように考えているのか、小津局長にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) いわゆる無罪推定の原則といいますのは、一般に有罪の判決があるまでは被疑者、被告人は有罪ではないとされ、有罪とするための挙証責任は検察官等が負うとするものと考えられておりますけれども、本制度によりまして被告人が有罪と推定されてそのように取り扱われるというわけではございませんし、また挙証責任が被告人側に転換されるというわけでもございません。基本的にそのようなことからも、今回の被害者参加の制度を導入することといたしましても無罪推定の原則に反することにはならないものと考えております。
○岡田広君 さらに、被害者に刑事裁判上の法的主体として訴訟活動を行うことを認めるものであるため、検察官と被告人、弁護人の二当事者対立構造という現行の刑事訴訟制度が根底から変わるという、変容されるおそれがあるという意見があるわけでありますが、こういう意見につきましては、これも法務省の小津局長から御見解をお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 被害者参加の制度におきましては、被害者参加人等に対しては、公判請求権はもとより、訴因設定権、証拠調べ請求権、上訴権等が認められるわけではございません。また、証人尋問、被告人質問等の具体的な訴訟活動につきましても、一定の要件の下で裁判所が相当と認めて許可した場合に限ってこれを行うことができることとしております。 このように本制度は、検察官が訴因を設定して事実に関する主張、立証を行う一方で、被告人、弁護人がこれに対する防御を行い、これらを踏まえて公正中立な裁判所が判断を行うという現在の刑事訴訟法の基本的な構造を維持しつつ、その範囲内で被害者の方々が刑事裁判に参加することを認めるものでございまして、現行の刑事訴訟の基本的な構造を変えるものではないと考えております。
○岡田広君 また、被告人の防御に加重な負担を課すだけでなく、適正手続による真実発見がないがしろにされるおそれがあるという意見もあります。このような意見に対しましては、小津局長の方ではどのように考えているでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 先ほど一部申し上げましたけれども、被害者参加人等に対しましては訴因の設定権や証拠調べ請求権等が認められるわけではございませんで、また証人尋問や被告人質問等の具体的な訴訟活動につきましても、例えば事実又は法律の適用についての意見の陳述は訴因の範囲内でのみ認めることとしているなど、一定の要件が課されているということでございます。したがいまして、本制度の導入によって被告人の防御すべき対象が拡大することはないものと考えております。 また、現在の刑事訴訟において、被害者の方々が証人として証言する際や心情を中心とする意見を陳述する際の状況等に照らしましても、被害者の方々が刑事裁判に参加することによって事案の真相の解明が妨げられることになるのではないと考えております。 その上で、本制度におきましては、そういう弊害が生じないように幾つかの措置を講じております。 例えば、被害者参加人が後に証人として出廷することが予定されている場合のように、被害者参加人の公判期日への出席を認めることが事案の真相を解明するという観点から適当でないと考えられるような場合は、裁判所は出席を制限することができることとしております。 また、証人尋問につきましては、情状に関する事項についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項についてのみ許すこととしておりまして、犯罪事実に関する事項についての尋問は認められておりません。 また、被告人が被害者参加人等からの直接の質問に対して供述することがためらわれるということがあったといたしましても、被告人はいつでも任意に供述することができるわけでございますし、弁護人による質問や最終陳述の際に自らの主張を述べる機会も十分あるということでございまして、このようなことを考えましても、被告人の防御に過度の負担を課すのではないかという御懸念、あるいは事案の真相の解明が妨げられるようなことになるのではないかという御懸念に及ぶ必要はないのではないかと考えております。
○岡田広君 この被害者参加制度を使うかどうかは被害者の自由であり、義務ではないから、この制度を使わない被害者に対して何ら不利益を与えたり傷付けるものではないという主張もあるわけですけれども、やっぱり犯罪被害者としては、こういう制度ができますと、刑事裁判に参加しなければならないという精神的な圧力を感じたり、逆に刑事裁判に参加しなかったことによって何か後悔の念に駆られるような、そういうこともあるんではないかなという気がするわけであります。 被害者の方々の中においては、被告人と同じ法廷内にいるということだけで苦痛である、とても刑事裁判に参加することができないという方もいらっしゃると思いますけれども、そのようなことから、本制度について、刑事裁判に参加できない被害者にとって不公平ではないかとの意見があるわけであります。 こういう点につきましてはどういうふうにお考えなのか。これは水野法務副大臣にお尋ねをしたいと思います。
○副大臣(水野賢一君) まず、本制度におきましては、犯罪により傷付いた被害者の方々が参加するというものであることに配慮をいたしまして、刑事裁判に参加しやすい環境を整えるという観点から、被害者の方々が法廷に出席をされる際には、その方々の不安や緊張を緩和するのに適当な方を付き添わせることというのを認めておりますし、また被告人から被害者が見えないようにするための遮へいの措置をとることも、これもできるようにしております。 また、本制度においては、被害者の方々から委託を受けた弁護士が刑事裁判に参加することもできることとしており、被害者の方々は自分に代わって自らが委託した弁護士に参加してもらうこともできることとしております。 さらに、今先生御指摘のとおり、刑事裁判に参加するか否かは被害者の方々の自由な意思によりますけれども、様々な事情によって参加できない被害者の方々についても、検察官がそのような事情を含めその心情を十分に把握して、これが適切に裁判に反映されるようその主張、立証に努めることになりますので、参加できない被害者の方の被害感情が過小評価されるなどの不公平は生じることはないものと考えております。
○岡田広君 様々な被害者の方がいらっしゃるということは、今の水野副大臣の御答弁の中にもありました。 先ほど申し上げましたとおり、自ら直接法廷に赴くことができない方々もいらっしゃるわけであります。この点、今回の制度は、被害者の方々が自分に代わって弁護士に参加してもらうことができることとされており、弁護士の費用の点についての不安が解消されれば弁護士に委託したいという方が相当数いらっしゃるんじゃないかと私は思うわけであります。 そこで、本制度において、被害者から委託を受けた弁護士の費用を含め、被害者の方々の支援を行う弁護士の費用を公費で賄うことが大切であると考えるものであります。 この点については、内閣に設置をされました経済的支援に関する検討会で検討がなされているとのことでありますが、この検討がどこまで進んでいるのか、そしていつごろこの検討について結論が出るのか、この点について内閣にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(荒木二郎君) お答えを申し上げます。 経済支援に関する検討会につきましては、昨年四月に設置をいたしまして、一年余りにわたりまして、犯罪被害者等の方の経済的支援をより厚くするための検討を進めてきたところであります。 これまでの検討の中間取りまとめの案がまとまりまして、近く推進会議に報告の上、パブリックコメントを行いました上で、この期限が実は年末ということになっておりまして、それまでに最終取りまとめを行うこととなっております。 この支援検討会の中で、公的弁護人制度の導入の是非につきましては、犯罪被害者等が刑事裁判に参加する制度に伴う公費による弁護士選任について、正に今議論していただいている法案ですけれども、関連法案の国会審議状況等を注視しつつ、制度導入に向けて検討を行うべきであるという方向で取りまとめ案ができております。
○岡田広君 是非、年末の取りまとめの後、早くこれを制度化していただきたいということを要望しておきたいと思います。 この被害者参加の制度を導入しますと、被害者の方々が自分の感情をストレートに表して法廷が復讐の場になるのではないかという懸念が一部で示されております。これに反発した被告人が被害者に再度危害を加えるという報復の連鎖を引き起こすのではないかという指摘も一部にあるところであります。 裁判が復讐の場となったり、いわゆる報復の連鎖が引き起こされるということはあってはならないことということで思いますけれども、この点についてはどのようにお考えなのか、法務省のこれは小津局長にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) まず、現在の刑事訴訟におきまして、被害者の方々が証人として証言をされる場合がございます。また、心情を中心とする意見を陳述するという制度が比較的最近できたわけでございます。これらの際の状況等に照らしましても、被害者の方々が刑事裁判に参加することによって裁判が復讐の場となったり、あるいは報復の連鎖が引き起こされるということにはなっていないのではないかと考えるわけではございます。 その上で、被害者参加の制度におきまして万が一にもそのような弊害が生じないように、次のような措置を講じております。 まず、裁判所は相当と認める場合に参加を許可するということでございまして、例えば法廷の秩序を乱すおそれがあるような場合等にはそもそも参加が許可されないということでございます。 また、被害者参加人は、検察官に対して意見を述べて必要な説明を受けることができます上、被告人質問等の訴訟活動を行おうとする場合には、あらかじめその内容を明らかにした上で検察官を経由して申し出なければならないこととしておりまして、被害者参加人がいたずらに感情的な訴訟活動を行うことがないように、検察官においてもあらかじめ適切に対処することが可能と考えております。 さらに、仮に被害者参加人がする尋問や質問が違法、不当な場合には裁判長がこれを制限することができることとしておりまして、裁判長の適切な訴訟指揮権の行使により、審理の混乱を防止することも可能ではないかと考えているところでございます。 このようなことから、いたずらに感情的な訴訟活動が行われて、いわゆる復讐の場になってしまうというようなことでございますとか、報復の連鎖が引き起こされるということはないものとは考えております。 もちろん、被害者の方々が逆恨みをされたり報復をされたりということはもちろんあってはならないことでございますので、本制度の導入後もそのような事態を未然に防ぐために関係当局において適切な対応がなされるものと考えております。
○岡田広君 平成二十一年の五月までに施行される裁判員制度への影響、これについてもお尋ねをしたいと思います。 被害者の方々が法廷内で直接意見を述べることなどにより、裁判員が被害者の意見に流されるなどの影響があるのではないかとも言われております。日本人は情にもろいという一面があります。情にほだされやすいという面があるようにも思うわけでありますが、裁判員に対する影響ということについてどのように考えているのか、小津局長にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) そもそも、裁判員制度は広く国民の感覚を裁判の内容に反映させることによりまして司法に対する国民の理解や支持を深めるために導入されるものでございまして、広く国民の感覚を刑事裁判に適切に反映させることが適正な裁判の実現につながるものと考えているわけでございます。 その上で、本制度におきましては、被害者参加人等による質問や意見の陳述等が不適切なものとならないようにあらかじめ被害者参加人等と検察官がコミュニケーションを保ちつつ訴訟活動を行うこととするとともに、裁判長が違法、不当な質問や意見の陳述等を制限することができることとするなどの措置を講じております。また、被害者参加人等のする証人や被告人に対する質問自体や、被害者参加人等による事実又は法律の適用についての意見の陳述、これらはいずれも証拠とはならないものでございまして、本法律案にも明記しているところではございますけれども、このような証拠とはならない質問や意見の陳述と証拠とを峻別して裁判を行うということは、もちろん大変、当然のことながら大事でございまして、裁判員制度の下におきましては評議等の場で裁判官が裁判員に十分説明をして理解していただくことなどによりまして審理、判断の適正を確保することはできるものと考えております。 したがいまして、今回の制度を導入することによりまして、裁判員の心証に不当な影響を及ぼしたり裁判員制度が円滑に機能しなくなるようなことはないものと考えているところでございます。
○岡田広君 この被害者参加の制度の施行期日は、附則の第一条によりますと、公布の日から起算して一年六か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとなっており、今国会で成立しますと平成二十年十二月までに施行することとなるのだと思います。一方で、裁判員制度については、先ほど申し上げましたように平成二十一年五月までに施行されるということで、被害者参加の制度の方が約半年早く導入されるということになるわけであります。 このことから、裁判員制度がスタートするときには法廷内には被害者の方々も被害者参加人としてバーの内側にいる事件もあることになります。裁判員制度を設ける法案を立案した際には、被害者参加の制度が導入されることは想定されておらず、被害者の方々が刑事裁判に参加することを前提とした議論は出されていなかったものだと思います。そのこと自体は当時の状況としてはやむを得ないと思うわけでありますけれども、ただ、これからは裁判員制度を円滑にスタートさせるためにも被害者参加の制度も踏まえた整備をする必要があると思うわけであります。例えば、裁判員制度の模擬試験が今各地で実施をされておりますけれども、被害者参加人も加えた状態での模擬裁判というものも実施してみるのもいいのではないかと思うわけであります。 いずれにしましても、この裁判員制度と被害者参加の制度という二つの重要な制度が円滑に進められるよう、両制度の施行に向けて万全の整備を行うことが重要であると考えるわけでありますけれども、この点につきまして長勢法務大臣のお考え、決意をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 裁判員制度、また被害者参加制度、いずれも我が国において初めて導入する制度でありますので、関係機関とも連携をして適正に運用していくというために準備に全力を挙げなければならないと思います。 裁判員制度立案の際にこの被害者参加の制度が想定されていなかったことは事実でございますが、当然、被害者参加制度をつくるときには裁判員制度の施行が前提になっておったわけでございますから、このことを、裁判員制度が導入されることを前提に被害者参加の制度もいろんな議論があったというふうに承知をしておりますし、この裁判員参加の下での制度の中で被害者が、方々が参加されるということになると今までの裁判とは違ったいろんなことを考えなきゃならないこともあろうかと思います。そういう意味で、それに備えて今先生御指摘のような模擬裁判も、そういうことも含めてやったらどうかという御提案は検討に値するんではないかなと思いますが、いずれにしても、この法案が成立した後、この裁判員制度が施行されるということを踏まえて被害者参加の制度が円滑に運用されるように万全の準備を行ってまいりたいと考えております。
○岡田広君 これは裁判員制度と被害者参加の制度、被害者参加の制度の議論の中には裁判員制度が前提として議論をしたということは今大臣の方から御答弁がありました。裁判員制度につきましてはこの被害者参加制度を想定しない中での議論であったということですから、今御答弁ありましたように、模擬裁判等も含めてあらゆる考え方をもちましてこの二つの重要な制度が円滑に進められるよう願っているところであります。 次に、損害賠償命令の制度についてお尋ねをしたいと思います。 被害者の方々が迅速に被害の救済を受けられるような制度を設けることが非常に大事だ、重要であると考えているところであります。起こってしまった犯罪はもう取り消すことはできません。犯罪が起こる前に戻れるものではないわけでありますから、いかに被害者の方々を救済していくかということを第一義的に考えなければならないと思うわけであります。そこで、このような観点から何点かお尋ねをしたいと思います。 まず、この損害賠償命令制度の趣旨を確認しておきたいと思います。 今回の法律案においては、いわゆる犯罪被害者保護法を改正して損害賠償命令制度を導入することとしておりますけれども、この制度を設けることとした趣旨を、これは奥野政務官にお尋ねをしたいと思います。
○大臣政務官(奥野信亮君) 犯罪被害者が損害賠償請求をする場合、現行制度下では皆さん方御案内のように刑事裁判が終了してから改めて民事裁判を起こし手続を進めるということになるわけでありまして、大変複雑な手続及び時間が掛かっているところにいろいろな御指摘があるところであります。特に平成十六年、先ほども議論されておったわけでありますが、十六年に成立しました犯罪被害者等基本法においては、国の責務として犯罪等による被害に係る損害賠償の請求の適切かつ円滑な実現を図るため、犯罪被害者等の行う損害賠償の請求についてはその被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図って、それを満足するような制度の拡充等必要な施策を講ずるよう求めているわけであります。 一方、パブリックコメントと申しましょうか、いろんな方に御意見を伺いますと、多くの犯罪被害者にとって現行の制度の下で損害賠償の請求をすることについては高い費用と多くの努力、時間を要するという御指摘がある、あるいは独力では証拠が十分得られないというようなことなどの様々な難しい要素があって、現在の損害賠償制度が犯罪被害者等のために十分に機能しているとは言えないというような御指摘が各方面から出されておるわけであります。 そこで、犯罪被害者等による損害賠償請求に係る紛争を刑事手続の成果を使いながら簡便かつ迅速に解決すべく本制度を設けることにしたものでございます。
○岡田広君 この犯罪被害者等基本法の第十二条では、国及び地方公共団体は、犯罪等による被害に係る損害賠償の請求の適切かつ円滑な実現を図るため、犯罪被害者等の行う損害賠償の請求についての援助、当該損害賠償の請求についてその被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充等必要な施策を講ずるものとすると規定をされており、犯罪被害者等基本計画においては、損害賠償の請求に関して刑事手続の成果を利用することにより、犯罪被害者等の労力を軽減し、簡易迅速な手続とすることのできる制度について、我が国にふさわしいものを新たに導入する方向で必要な検討を行うこととされております。 ここにあるように、被害者の方々の労力を軽減し簡易迅速な手続とすることは大変重要なことであると考えておりますが、今回の損害賠償命令制度において、この基本法や基本計画の趣旨がどのように反映されて制度化されているのか、法務省小津局長にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 委員御指摘の趣旨に基づきまして、具体的には、まず刑事被告事件を審理した裁判所がそのまま損害賠償命令事件の審理を行うことといたしました上、刑事被告事件の訴訟記録を本手続の最初の審理期日で職権で取り調べなければならないことといたしまして、刑事に関する審理において抱いた心証をそのまま民事に関する審理に引き継ぐこととして、刑事手続の成果を利用して被害者等による被害事実の立証を容易にしているという点がございます。 二つ目には、任意的口頭弁論の手続を採用して、審尋によっても審理をすることができることとして、簡易かつ迅速に審理をすることができるようにしております。 三点目として、刑事判決の直後に損害賠償命令事件の最初の審理期日を開くことといたしまして、また審理期日を原則として四回以内として審理の迅速化を図っております。 四点目は、損害賠償命令の申立てについての裁判が確定した場合には、確定判決と同一の効力を有することといたしまして、その命令に基づく強制執行を可能として救済の実効性を担保いたしました上、損害賠償命令に仮執行宣言を付することもできることといたしまして、簡易かつ迅速な被害回復の実現を可能としております。 〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕 また五点目でございますが、損害賠償命令事件の申立て手数料は二千円といたしまして、手数料の面からも制度を利用しやすいものといたしました。 これらの制度的手当てをいたしまして、基本法及び基本計画の趣旨を反映させたところでございます。
○岡田広君 この損害賠償命令の制度については懸念を示す向きもあります。被害者の保護を図る一方で、被告人の防御権等の保護に欠けるところがあってはならないとの観点からの懸念です。 例えば、被害者の損害賠償請求について争うこと自体が量刑上不利な情状として考慮されることとなって、被告人の刑事裁判における防御活動に重大な影響を与えるのではないかという懸念を示す向きもあるわけでありますけれども、この点につきましては、法務省小津局長、どのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 損害賠償命令制度におきましては、刑事の審理と民事の審理を完全に分断いたしまして、被害者等から損害賠償命令の申立てがなされても刑事裁判中には民事に関する審理を一切行わないこととしておりまして、刑事事件の有罪判決の言渡しがあるまでは被告人が当該申立てに対する態度を明らかにすることが予定されておりません。また、刑事事件におきまして被害弁償の有無や内容が情状に影響する事情の一つとなることがありますけれども、このことはおよそ被害者が存在するあらゆる事件において問題になることでございまして、本制度に特有の問題ではないわけでございます。 したがいまして、本制度の導入によりまして防御活動に特段の影響を及ぼすものではないと考えております。
○岡田広君 また、この刑事裁判を担当して被告人や事件に一定の印象を抱いた裁判官がそのまま損害賠償命令という民事の裁判をすることになると、相手方である被告人にとって不利になるんではないかというおそれ、そういう心配もあるわけですけれども、これについては法務省小津局長の方はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のように、本制度におきましては、刑事事件の審理を行った裁判所と同一の裁判所が損害賠償命令事件の審理を行うこととしているわけでございますけれども、この点は刑事手続の成果を利用して簡易かつ迅速に紛争を解決するというこの制度の基本的な趣旨に基づくものでございます。 本制度におきましては、四回以内の期日で審理を終結するということが困難であると認められるときには、通常の民事裁判所に事件が移行されることになります。したがいまして、本制度において対象となる事件として想定され得るものは、基本的にこの四回以内の期日で審理が終結されるような事件、すなわち不法行為の原因となる訴因として特定された事実に特段の争いのない事件であって、例えば、被告人が刑事裁判において刑事事件への関与を否定して、損害賠償命令手続においても同様に争うような事件は対象として想定されておりませんで、これは通常の民事裁判所に移行されて改めて審理がなされることになるわけでございます。 また、裁判所が事件を移行させずに審理及び裁判を行った場合でございましても、相手方である被告人におきまして、当該損害賠償命令に不服がある場合には異議申立てをすることができまして、その場合には通常の民事裁判所に移行されて改めて審理をされることになるわけでございます。 したがいまして、刑事裁判を担当した裁判官がそのままこの手続の審理を担当しても被告人に不利になるものではないと考えております。
○岡田広君 今答弁にありましたように、本制度における審理の回数については、第十六条第三項によりますと、原則として四回以内の審理期日ということであります。 本制度によりまして、刑事手続の成果を利用して簡易迅速に損害賠償命令が出されても、加害者である被告人が無資力の場合には被害者の方々は報われないということにもなりかねません。そこで、実質的にこの被害者の方々を保護していくためには、被害者の方々に対する補償を含めた経済的支援をより手厚いものにするための検討が必要であると思いますけれども、この点については法務省の方ではどうお考えでしょうか。 〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のような補償制度を含む被害者の方々への経済的支援につきましては、犯罪被害者等基本計画におきまして、経済的支援制度に関して設置する検討のための会において、社会保障、福祉制度全体の中における犯罪被害者に対する経済的支援制度のあるべき姿や財源と併せて検討することとされておりまして、内閣府に設けられました経済的支援に関する検討会において、犯罪被害者等に対する経済的支援制度を現状よりも手厚いものとするための制度の在り方について様々な角度から鋭意検討がなされているところでございまして、法務省といたしましても、今後その検討の結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
○岡田広君 殺人事件とか交通事故にしろ、ふだんどおりの日常の生活を送っている中で突然被害に遭われることがほとんどだと思います。特に被害者の方が亡くなった場合、残された家族を支援する必要が大きいわけであります。一家の大黒柱が被害に遭われて亡くなってしまうと、残された家族に対しては様々な観点からの支援が必要となるのでしょうが、やはりまず生活というのがあるわけでありますから、生活していくことも厳しい状態に追い込まれることもあると思いますし、経済的な支援というのが大変重要であると思うわけであります。 今御答弁にありましたように、内閣府に設置されました経済的支援に関する検討会において様々な検討がなされておると思います。先ほど、年末までにはこの検討を終えて結果を出したいという御答弁がありましたけれども、新聞報道等では、この犯罪被害者等給付金の最高額を自賠責並みの金額、つまり死亡事故であれば三千万円に近づけるという方向で検討がなされているという記事も出ていたわけであります。 この被害者や遺族の方々への経済的支援に関する議論につきましても、内閣府の方にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(荒木二郎君) お答え申し上げます。 経済的支援に関する検討会、昨年四月から十六回にわたって開催をしてまいりました。先ほども申し上げましたように中間取りまとめ、近々できるかと思っております。 御指摘のございました経済支援、被害者の方、遺族の方への経済支援の充実につきましては、犯罪被害者等に対する給付の抜本的な拡充を図るべきであるというふうにいたしまして、現行、遺族の方に対する給付金の最高額が一千五百万円余りでありますけれども、これを自賠責の支払限度額であります三千万円にできるだけ近づけようじゃないかと。それから、障害を負った場合の給付金の最高額が一千八百万円余り現行制度でなっておりますけれども、これにつきましても自賠責の支払限度額でございます四千万円にできるだけ近づけようと。当然のことながら、最高額をそういうふうにアップして最低額についても引上げを図ろうということになっております。 また、現在の制度ではどうしても、若い人で収入が少ないという場合に重度障害を負われたような場合にはどうしても給付が低額になってしまうということがございます。ところが、若ければ若いほど重度障害で苦労される期間長いわけですから、そういう給付水準が低くならないように特に配慮をすべきであるとか、あるいは御遺族の方でも、特にお子さんがたくさんおられるような負担の重い御遺族の方には特に配慮すべきだというような方向で中間の取りまとめを行うことといたしております。 以上でございます。
○岡田広君 今御答弁ありましたように、被害者や遺族の方々への経済的支援、いろんな角度から検討をされまして、是非いい制度をつくっていただきたいと思います。 次に、衆議院でこの法案につきまして修正案が出されまして三年後見直し規定というところがありましたけれども、この衆議院で修正されました三年後の見直し規定については、当初の政府原案には盛り込まれておりませんでした。この点、政府原案を立案する過程の中でこの見直し規定についての検討がなされなかったのかどうか、法務省、小津局長にお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 本法律案におきましては、被害者参加人が検察官とコミュニケーションを保ちつつ訴訟活動を行うこととするなど、万が一にも弊害を生じることがないように様々な措置を講じておりますので、本法律案の立案に当たりましては御指摘のような規定を置くことはしなかったわけでございます。 もとより、このような規定の有無にかかわらず、この法律案が施行された場合には政府としてはその施行状況について検討を加え、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずべきことは当然のことと考えておりますけれども、衆議院におきまして、裁判員制度との関係等を踏まえてこのような見直し規定を置くという御提案がなされたわけでございますので、法務省といたしましても、このような趣旨を十分に踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
○岡田広君 この見直し規定の年数につきましては、刑事関係法律に置かれた見直し規定、三年とか五年とか十年とかありますけれども、今回の法案につきましては衆議院で三年ということで見直し規定が入ったわけでありますけれども、この三年後の見直し規定につきまして、長勢法務大臣、どのように受け止められておられるのか、お考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) この見直し規定が議院修正によって入れられたという経過は今御説明したとおりでございますが、衆議院において、全く今までにない被害者参加制度がつくられる、また併せて同時期に裁判員制度が導入されるというようなことから、刑事裁判が大きく変わるということになりますので、そういうことを踏まえて、審議の過程でこのような規定が入れられたものというふうに思っております。 そういうことでありますから、本法案が成立した場合には施行に万全を期していくわけでございますけれども、いろいろ考えなきゃならぬことが起こるかもしれませんので、当然、この見直し規定の趣旨に従って施行状況について十分検討して、その結果を踏まえて必要な対応をしてまいりたいというふうに思っております。
○岡田広君 大臣から、この法案が成立した後には万全を期すという御答弁がありましたけれども、この被害者参加の制度や損害賠償命令の制度は、これまで我が国になかった新しい制度であります。国民のだれもが被害者となる可能性があるわけでありますし、被害に遭われた方々がこれらの新しい制度を適切に利用できるよう、その周知を徹底することが非常に重要であると考えるものであります。 この周知に向けた長勢法務大臣の決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 被害者参加の制度は被害者の方々が長年要望されてきたことでございますから、これを適切に利用できるように、国民の皆様にその趣旨、内容を十分広く知っていただくことが大変重要であるというふうに思っております。 また、いろんな御指摘も先生からいただいたわけでございますが、そういうことが、そういう弊害といいますかそういう問題が生じないようにするためにも、皆さんに十分内容も意義も趣旨もよく理解をしてもらうことが必要であります。これから施行まで少し、まだ十分時間があると思いますので、この周知徹底を図る、このために万全を期してまいりたいと、このように考えております。
○岡田広君 ありがとうございました。 この今回の法案につきましては、様々な議論がまだまだあります。是非、この法案が成立した後につきましては、今大臣が答弁なされたように、国民にこの新しい制度を適切に利用できるよう、その周知もしながら万全の対応をしていただきたいことを要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○前川清成君 おはようございます。民主党の前川清成でございます。今日は、先輩、同僚議員の御配慮で二時間質問時間をいただきましたことを感謝申し上げます。ありがとうございます。 それで、先週の六日に、長勢大臣を被告とする国賠事件、大阪地裁で判決がございまして、六億七千万円の損害賠償が命じられました。大和都市管財であります。この大和都市管財の代表でありました豊永浩、懲役十二年の実刑判決を受けています。したがいまして、大和都市管財の原告もまたこれは犯罪被害者であります。 今般、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部改正案を提案された長勢大臣におかれましては、この大和都市管財事件の判決、どの程度まで御存じなのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 事案の概要という意味であれば、今、先生、ある程度は聞いています。中身を申し上げる必要はあるんでしょうか。そういうことでなければ、事件は知っております。それから判決の内容も、概要を十分承知をしております。この後、この対応をこれから関係省庁と検討していきたいと思っております。
○前川清成君 今朝の出来事なんですけれども、私たち民主党の財政金融部門会議というのがありまして、その際、金融庁から資料が配られました。この中の二ページに、平成七年の八月に業務改善命令を検討、業務改善命令を出すか出さないか検討したと、こういうふうに書かれてあるんです。 判決の詳細は結構なんですけれども、検討という日本語はどういう趣旨で、大臣、御理解になられますでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 一般論としてですか。一般論としてであれば、幾つかどういう対応があるかを考えて、そのうちのどれかを選択するプロセスを検討というと思います。
○前川清成君 私も、大臣のおっしゃるとおり、幾つか方法があって、どれにしようかな、どれが適切かな、これを考えるのが検討だと思うんです。私も、何も知らずに金融庁のペーパーをそのまま読んでしまうと、今大臣がおっしゃったのと同じように考えてしまいます。 ところが、これは別に大臣が悪いんじゃありません、金融庁が悪いんです。私、今手元にあります平成七年の八月二十一日付けの命令書、これは業務改善命令書ですが、これには近畿財務局の渡辺局長が公印も押しているんです。しかも、これは判決の中で認定されていることですけれども、大和都市管財の代表者を近畿財務局に呼び出した、検査官と調査官がいる前で課長がこの命令書を読み始めた、そうしたらこの豊永は帰ってしまったと。そこで、こんなんで帰られてしまいましたということをその日のうちに次長にも報告したし、近畿財務局長にも報告したし、当時の大蔵省の金融会社室にも報告したと。そうしたら結論はどうなったか。豊永浩をこれ以上刺激するのは避けて、しばらく本件の処理を先送りしようと、こういう結論になりました。既に命令書に公印も押してある、ところが本人が腹を立てて帰ってしまった、だから先送りした、これが検討なんですかね。 しかも、決裁書がありまして、これによりますともうスケジュールまで決まっていたと。平成七年の八月二十一日に業務改善命令を出す、九月四日が業務改善命令に対する回答期限、九月六日が弁明の機会の通知、九月二十二日が弁明書の提出期限、そして九月二十六日には業務停止命令を出す、そして官報にも掲載すると。 ここまで決まっていながら、私たち国会議員に、そして恐らく大臣にもそうだと思います、業務改善命令を検討していましたと、こういう報告をする。私は、こういう報告は明らかにうそだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) ちょっと、金融庁の出されたペーパーのお話のようでありますが、私、そのものは存じ上げませんし、ちょっと経過が分かりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○前川清成君 いや、経過が分からないんじゃなくて、大臣に経過をお聞きしているんじゃなくて、今私が述べたのは、事実経過は判決が認定しているとおりなんです。業務改善命令の命令書原本に判こも押してある。それに対して例えば大臣に検討していましたという報告があったとしたら、大臣はああそうですかと引き下がらはるんですか、どうなんですか。おまえ、その報告はおかしいんと違うかと問いたださないんですか、どうですかというお尋ねなんです。
○国務大臣(長勢甚遠君) 先生がおっしゃるようなだけの事情であれば何か変だなという感じはしますけれども、ちょっと全体が、その当時の事情を全部は私は知りませんので、まあ、おっしゃることだけの事実であれば、ちょっと正確な表現ではないかなという気はします。
○前川清成君 大臣、釈迦に説法ですが、大臣が当時の事情を知っておられるはずがないじゃないですか。平成七年当時、大臣は大蔵省にいらっしゃったわけでもありません。 そうであれば、大臣は今どうして国賠訴訟の代表になっておられるんですか。大臣は、今、職務上、法務大臣という職におられるのでこの国賠訴訟、国の代表になっておられるわけです。平成七年当時の大蔵省の経緯を知らないから答えられない。それでは、なぜ法務大臣が国賠訴訟の代表になるんだという制度そのものも問いたださなければならないことになってしまうんじゃないですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 金融庁の出されたペーパーに検討と書いてあるということの御質問だと思いましたので、そのことに今のように、そういう文書、何でそういう表現をされたのかについて私は詳細を知りませんのでと申し上げたつもりでございますので。
○前川清成君 この平成七年に、近畿財務局は不作為で、何もやらなかったということで大和都市管財による詐欺の共犯者になりました。 ところが、これだけではなくて、平成九年十二月には登録を更新しています。もう一度免許を与えています。その結果、一万七千人の方々が一千百億円の損害を被っておられます。被害者の多くは高齢者で、老後の蓄えを奪われてしまいました。その意味で、第二の豊田商事事件だと言われています。 大臣にはまさしく釈迦に説法でしょうが、なぜ国を当事者とする裁判で法務大臣が代表となられるのか、この件で金融担当大臣ではなくなぜ大臣が国を代表されるのかと。 私は、役所の言い分をうのみにして、そして役所を守ってやる、それだったら金融担当大臣でいいのかもしれないけれども、法務大臣が代表になっておられるのはそういう趣旨ではない、正に正義を実現するその仕事が法務大臣に課せられていると、私はそう思っているんです。大臣、その点、御認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 国を相手とする訴訟については、法律によって法務大臣が国の代理人ということになっておるわけで、その趣旨は、当然、政府全体としての政策の問題と、それが訴訟上あるいは法律上対応できるかどうかということを併せて判断をする必要があるからそういう役割が与えられているものと思っております。
○前川清成君 私は、法務大臣もまた法と正義の擁護者でなければならないと思っています。ですから、この国賠訴訟で国がなすべきことは、あたかもサラ金の担当者がやるように、うそをついてでも、証拠を隠してでも、あるいは証拠を捏造してでも何が何でも勝つと、それがなすべき態度だとは思っていません。国にとって不利な証拠があっても、それは客観的な事実を明らかにする、その上で裁判所の判断を仰ぐという意味できっちりと証拠は出すべきではないかと、そう思っています。 この裁判において、例えば国がこういう文書を持っていますというリストを出しているんです。ところが、そのうち約五十は黒塗りで、タイトルさえ隠されています。これは、被害者の皆さん方にとっては、きっとやばい証拠があるねんやろう、それを隠しているに違いないと、こう思うのは私は当然ではないかなと思っています。 昨日夕方五時半ごろに、私のところに法務大臣官房民事訟務課の方がいらっしゃいました。そのときに、判決の中身のことをいろいろお尋ねになりましたので、私は、私の手元に判決はありません、そんなことを言われてもお答えしようがありません、だったら判決を持ってきてくださいと、こういうふうに申し上げました。すると、いろいろマスキングしなければならないところがあります、黒塗りしなければならないところがあります、だから時間は掛かりますが持っていきますと、こう言われたんです。私は、昨日九時ぐらいまで待っていました。しかし、判決は届きませんでした。 大臣、判決はいつ届くんですか。
○委員長(山下栄一君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こして。
○国務大臣(長勢甚遠君) 先生とのやり取りは、ちょっと存じ上げませんで大変申し訳なく思いますが、今聞いたところでは、ちょっと今日は無理だというふうにお答えをしたと言っておりますのと、個人情報の問題があるので少し作業が掛かるというようなことを今説明を受けたところでございます。
○前川清成君 それなら、僕昨日九時まで待ってたのは、僕があほやったという意味ですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) ちょっとその経過は私存じ上げませんでしたので申し訳なく思いますが、何か今日じゅうにはできると言っておりますが、今日じゅうにはお届けできると言っておりますが、ちょっと経過は私も知りませんで申し訳ありませんでした。
○前川清成君 今日じゅうにできて、僕はいつ質問するんですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 度々申し上げて非常に申し訳ありませんが、昨日、先生との対応が適切でなかったのではないかなと思いますが、今申し上げたようなことで今日は無理だというふうに説明をしたと言っておりますので、(発言する者あり)質問を妨害するという意図で申し上げておるわけじゃないと思いますが、物理的というか、そういう作業上無理だという説明をしておったという説明を今聞いたところでございますが、決して質問を妨害をするという意思じゃなかったと思います。
○前川清成君 大臣にそのように頭を下げていただくのは誠に恐縮で、私は大臣に対してどうこう言うつもりはさらさらありません。 ただ、大臣ね、当然でしょうけど、先ほどのその業務改善命令の検討の話にしてもなんですけれども、彼らの話をそのまま信用しないでください。判決を黒塗りしないと個人情報の問題があるって、判決はやがて公刊されますよ。雑誌になって日本じゅう印刷して配られます。あるいは、私、その気になれば原告団から入手することだってできるんですよ。個人情報の問題なんか何にもないですよ。そうじゃなくて、何でもいいから隠そうという体質が役所にあるからなんですよ。私はそのことを申し上げているんです。 今日届けられないと昨日の段階で言った。だれが言ったんですか。そんな明らかなうそを言うんだったら、質問続けられへん。
○委員長(山下栄一君) 速記止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こして。
○国務大臣(長勢甚遠君) だれが言ったかというお尋ねであるとすれば、お伺いした担当の者が申し上げたというふうに今説明を聞いております。
○前川清成君 この事件は控訴するんですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 国にとっては大変厳しい判決になっておるわけでございますが、関係機関とも協議をして決めたいと思いますが、今検討中でございます。
○前川清成君 そこも大臣、是非、だまされずに、失礼ですけど、よく事実関係聞いてください。これ、厳しい判決じゃありませんよ。大甘の判決ですよ。 平成七年の八月に業務改善命令を、原本に判こも押しているんです。その年の九月か何かにはもう業務停止も出す予定だったんです。ところが、この直後の平成九年や平成十年の原告については、判決は救済していないんです。平成九年十二月更新以後の原告についてだけ勝訴判決なんです。しかも、過失相殺は六割ですよ。何で国が認可した抵当証券を買ったおじいさん、おばあさんに過失があるんですか。この判決の一体どこが厳しいんですか、大臣。
○国務大臣(長勢甚遠君) この裁判の過程で国が主張してきた主張が認められなかったという意味で厳しいと申し上げたわけであります。
○前川清成君 しつこいようですからもうやめますけど、大臣、国の言い分を、役所の言い分をそのままリピートするのは、私は国賠訴訟における法務大臣の仕事ではないと思っています。正義を追い求めることが法務大臣の仕事だと私は思っています。そのことを申し上げておきたいと思います。 それと、昨日の質問取りのように、法務省の役人が質問取りに来てうそをつくのであれば、私はもうこれから事前の口頭での質問通告は一切しません。これをこの法務委員会の場で宣言しておきたいと思います。 それでは次に、修正案についてお尋ねをしたいと思います。今日は何か本会議があるらしくて、お忙しい中をお越しいただいて恐縮でございます。 まず、修正案の提案理由は先日拝聴いたしましたけれども、そのポイントだけ簡潔にお述べいただけますでしょうか。修正理由。
○衆議院議員(上川陽子君) 今回、修正案を出させていただきましたけれども、附則の第九条と第十条ということでございます。 衆議院の法務委員会の方の様々な質疑と、そして参考人の皆様への意見聴取、更には現場の視察ということで加えさせていただきました上で、この法律案がしっかりと根付くためにこの九条と十条ということでございます。 一点目は、政府に対しまして、法施行後の三年を経過した場合において、改正後の規定の施行の状況についての検討を加えること。また、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることを義務付けるという内容でございます。これによりまして、犯罪の被害に遭われた方々やその遺族の方々の権利利益の保護が広範囲にわたり、また総合的な観点から、より一層適切に図られるものというふうに考えております。 もう一つの十条でございますけれども、十条につきましては……
○前川清成君 提案理由なんで、また後で聞きます。
○衆議院議員(上川陽子君) そうですか。
○前川清成君 私、この修正が非常に大切だと思っているんです。それで、今、なぜ修正をしたんですか、その理由をお尋ねしたいと、こう思っているんです。もしかしたら私たちと認識が共通するかもしれないし、全然違うのかもしれない。 今のお答えであったら、衆議院における様々な審議や参考人の意見を踏まえてとしかお答えにならなかったので、一体どういうような問題があるとお考えになっているのかと、どういうような理由でどういうところに政府原案のままだったら危ない、問題があるとお考えになっているのかと、そこをお尋ねしたつもりなんです。
○衆議院議員(上川陽子君) 今回の裁判員制度、全く新しい制度ということで創設されたものでございますが、この時期の施行に当たりましては、同時期に新しい制度として裁判員制度という制度が施行されるということでございます。そういう意味では大きな、刑事裁判が変わろうとしているという大変大事な時期であるということでございます。 そういう意味で、法務委員会におきましても、こうした問題を含めましていろいろな御指摘がございましたし、また、先ほど申しましたとおり、質疑、また参考人の皆さんの御意見、いろんなことを勘案しまして、九条の中身として、先ほど申しましたとおり三年後の見直しという形の規定を設けさせていただきました。 そして同時に、二点目として、十条におきまして公的弁護の制度を導入していくことについての検討を努力してやっていただきたいということを規定しているものでございます。
○前川清成君 いや、裁判員制度があるということは十分分かっていますし、それは岡田先生の質疑で十分あったんです。 裁判員制度の導入が予定されていると、ほぼ同時期に、だから何なんですか。この被害者参加制度との関係でどういう問題意識をお持ちになっているんですか。
○衆議院議員(上川陽子君) この今回の議論の様々な過程の中で、三年後の見直しということについて与党の方で出させていただきまして、そして修正を加えさせていただきました。九条と十条ということでございますけれども、新しい制度の導入ということでいろいろな議論がございましたし、また、新しい制度、裁判員制度の導入で大きく刑事裁判が変わるというこの時期でございますので、この制度がうまく施行することができるように、課題については予見することなく、制度がうまくいくようにということで実施を予定しているところでありますが、この間、様々な問題も指摘されていますので、こうしたことも含めまして三年ということで期限を切って見直しをするということでございます。
○前川清成君 委員長、ちょっとさっきから同じことの繰り返しで、尋ねていることは全然答えてもらってないんですよね。
○委員長(山下栄一君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こしてください。 委員長から申し上げますけれども、様々な問題の中身をもうちょっと教えていただいたらいいんじゃないでしょうか。一つか二つ例を挙げていただいたらいいのではないかと思いますけれども、様々な問題の中身ですね。 じゃ、質問者前川君の方から分かりやすく。
○前川清成君 それではこうお聞きします。 刑事裁判が大きく変わろうとしているところでありますと、こういうふうにお述べになっています。刑事裁判のどの点が大きく変わろうとしているのか。例えば、無罪推定の原則というのがあります。これが裁判員制度によってどういう影響を受けるのか、また、この被害者参加制度によって無罪推定や裁判員制度との関係で何かぎくしゃくしたものが生じないのかどうか、そこをお尋ねしているんです。
○衆議院議員(上川陽子君) 今のような御指摘につきましては、この法律案の提案者であります大臣を含めまして関係の方から、無罪推定の原則を十分に維持しながらやっていくということで御答弁がございました。 しかし、同時に、実際に運用したときにそうした問題について疑義が生じないかどうかということについては、三年後の、実施したときの状況をしっかりと見据えながらこの問題についての検討を加えていくということの部分で修正案を加えたところでございます。
○前川清成君 今の御答弁であれば、衆議院というのは、ほとんどビジョンも何もなく、ただ三年たったら見直そうか、その程度の御認識でこの修正案をお出しになったとしか取れませんが、それでいいんですか。
○委員長(山下栄一君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こしてください。
○衆議院議員(上川陽子君) 今回の裁判員の参加の制度ということで、これまで法廷の外に置かれていた被害者の皆さんが法廷の中に入って、それこそ意見陳述、これまであった意見陳述を更に踏み込んだ形で様々な意見陳述をしたり、あるいは証人尋問をしたりということで、そういう意味では、新しい大変制度であるということでございます。 しかし、同時に、議論の中で、時期的に裁判員の制度が二年以内に導入されるという事態もございますし、そういう意味で、裁判は無罪推定の原則の中で行うべきことという大原則の中で、被害者の皆さんが意見陳述をした内容が裁判員の皆さんの目の前で繰り広げられるときに、いろいろ感情的に流されたりというようなことがないようにということについては、委員の皆さんから大変大きな御指摘がございました。 こういうことについて、十分に制度的にはいろいろ検察官とコミュニケーションをしながらとか、裁判員の皆さんの判断とか、いろいろな形で制度の仕組みをつくっているということでございますので、それが実際に本当に運用して問題がないかどうかということも含めて今度の三年以内に、実際に運用した後に評価をし、そしてその中で問題があればそれに対して対処していくということを三年という期日を区切って行っていただきたいということを法務委員会の委員の意思として出させていただいたところでございます。
○前川清成君 私、別に上川議員とお会いするのも初めてですし、難しいことも聞いていませんでしょう。これで時間の浪費するのはちょっともったいないですし、同じことの繰り返しはもうできたらおやめいただきたいと思います。 私がお聞きしたかったのは、実は私なんかは、この政府原案のままではなくて、いろいろな修正を加えるべき点があるのではないかなと、こう思っているんです。同じようなことをお考えになっているのか、違うことをお考えになっているのかお聞きしたかった、それだけの質問なんです。もうリピートは結構ですから、ちょっとその点だけ是非お約束いただきたいんですが。 それでは、この附則の九条、この日本語を読みましても、非常に抽象的で分かりにくいと私は思います。 まず順番にお聞きしていきたいんですが、この施行後三年を経過した時点というのは何を意識しておられるのか。先ほどお尋ねしたように、ただただ三年様子を見ようというものなのか、そうではなくて、別の出来事があるからそれとの整合性を見ようとしておられるのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○衆議院議員(上川陽子君) 三年という年限につきましては、施行後ということでございますが、この間に裁判員の制度も施行されるわけでございます。一定の重なりの部分があることを十分に、何というんですか、考慮して、そしてその最低限のラインとして三年ということが適切ではないかということでございます。
○前川清成君 そうであれば、その後の改正後の規定の施行の状況について検討を加えるというのは裁判員制度のことでしょうか。
○衆議院議員(上川陽子君) そういうことではございません。被害者参加制度そのものに対して三年後の見直しということでございます。
○前川清成君 じゃ、なぜ先ほどのお答えで裁判員制度が出てきたんですか。
○衆議院議員(上川陽子君) 同時期に裁判員制度の実施が並行して行われるということでございますので、そういう意味で、そのことも勘案して十分な時間を取っていく必要もあるということの判断で三年という年限を区切ったところでございます。
○前川清成君 だから、裁判員制度も施行されて、その中で被害者参加制度もあるから、裁判員制度で被害者参加制度がどのように運用されるのか等々を検討していくんじゃないんですか。
○衆議院議員(上川陽子君) そういうことも踏まえて三年という年限の中で区切ったところでございます。今おっしゃったような趣旨でございます。だから両方施行が重なるところがございますので。でもその中身につきましては、もちろんこの法律の附則に掲げられていることはこの参加制度そのものに対して三年後見直しをするということでございます。
○前川清成君 それじゃ、必要があると認めるときというのはどういう場合を指すわけですか。
○委員長(山下栄一君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こしてください。
○衆議院議員(上川陽子君) 具体的に必要があると認めるときの内容がどういう課題が出てくるかということについては今予見して言うことができませんけれども、この間にいろんな問題があるかもしれないということも、動かしながら、施行が実施された場合にはそういうことがあることもあり得るということでございますので、そのことについては、権利利益の保護を図るという大きな趣旨に照らして問題がないように、十分なセーフティーネットを張っていくということで加えさせていただきました。
○前川清成君 そんなことであれば、その結果に基づいて所要の措置を講ずるとありますが、その中身も一切分かりませんと、白紙ですと、こういうことですか。
○衆議院議員(上川陽子君) 今回、非常に大変新しい制度であるということでありますので、本当にきめ細かくその状況について検討していくことが非常に大事だと、そういう趣旨でございます。
○前川清成君 きちんと質問にだけ答えてくださいよ、質問にだけ。
○衆議院議員(上川陽子君) ですから、必要があると認めるということを判断した場合には、その結果に基づいて所要の措置を講ずることをしなさいということを政府に対して義務付けるということを立法の趣旨としてやらせていただきました。
○前川清成君 だから、その所要の措置というものの中身は一切描いていません、白紙ですと、こういうことですね。
○衆議院議員(上川陽子君) 現状ではそのとおりでございます。
○前川清成君 僕はもっときっちりした附則だと思っていましたよ。今のお話だったら、結局附則の九条というのは、被害者参加制度が始まったらいろいろ見ますと、その上で何か問題が出るかもしれませんねと、そのときはその問題に応じて考えましょうねと。別にこんな附則九条要らないじゃないですか。この附則九条なくても、現行制度で問題があればそれを見直すのは当然に国会の責務ですよ。あえてわざわざ議員立法で修正までされたこの理由は全くないですよね。
○衆議院議員(上川陽子君) 今回の裁判員参加制度そのものについては、この間、基本法の成立から含めまして大変十分に議論をしていただきながら、被害者の皆さんの要望ということについてぎりぎりのところで出してきた制度であるというふうに認識しております。そして、この制度が、今の段階で、今検討していただいて出されている制度そのもので十分に行われるというふうに思っておりますけれども、万が一、万が一課題があった場合にはそれに対してしっかりと対応するようにということで、そのことについての義務付けを更に明確にするということで附則に盛り込ませていただいたところでございます。
○前川清成君 これ、与党の皆さんも含めて、がっかりしません、この附則。 検討を加えるとこう書いてあるんだから、こういうような視点があるとか、こういうような問題点が予想されるとか、こういうような問題点が出たときにはこういう方向でとか、せめて何らかのビジョンが私は必要だと思いますよ。こんなの要らないじゃないですか。附則の意味、九条の意味が全くないですよ。もしあるとしたら国会対策じゃないんですか。何のためにこの九条を作ったんですか。全くないですよ。 それともう一つお聞きしておきます。 附則九条でこの法律の施行後とあるんですが、この法律とは何という法律を指すんですか。
○衆議院議員(上川陽子君) 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、法律でございます。
○前川清成君 今その読み上げられた法律というのは六法全書に出ているんですか。今は出ていない、来年の六法全書に出るんですか、再来年の六法全書に出るんですか。
○衆議院議員(上川陽子君) 今回の国会の中で御審議をいただいた上で、衆議院は一応通過させていただきましたが、参議院の方の通過をいただいた上で法律が出るということでありますので……
○前川清成君 違うよ。違うって、僕はそうじゃなくて、例えばこれは、この法律によって刑事訴訟法が一部変わったり、民事訴訟法が一部変わったり、民事執行法が一部変わったりするわけですよ。いろいろと何らかの問題意識があって、例えば刑事訴訟法を、この点を変えないかない、あるいは民事執行法を変えなければいけない、その他の法律を変えなければいけないと、そういう対象、見直しの対象が何なんですかという意味で今聞いたんです。
○衆議院議員(上川陽子君) 一年半の期間を経て施行するということでございますので、この間にそうした問題についての体制の整備ということを図っていくものと思っております。
○前川清成君 委員長、これ答えになっていませんよ。
○委員長(山下栄一君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こしてください。
○衆議院議員(上川陽子君) この今回の法律案というのは、今の参加人制度というのは刑事訴訟法の一部改正ということでございますし、そのほかにも損害賠償請求に関しての附帯私訴と言われている部分を含めた改正もございますし、またビデオリンク等の問題もございまして、民事訴訟法の一部改正ということで一連の法律の改正案の集合体というか、総括してこの今先ほど私申し上げましたけれども、すべてを含むというものでございます。
○前川清成君 いや、上川議員がいろいろ刑事裁判が大きく変わるとか裁判員制度がどうこうだとおっしゃるから、私はここの九条というのは刑事訴訟法だけを指すのかなと、こう思っていたんです。だから、議員の議論を前提に議員の議論を理解したら、議員はこの法律というのは刑事訴訟だけを指しておられるのかなと思ったんですが、今のお答えではそうではないと、民事執行法も刑事確定訴訟記録法も全部なんですね。
○衆議院議員(上川陽子君) すべて含んでこの刑事手続への被害者の皆さんの参加にかかわる制度そのものについて掛かっているということでございます。
○前川清成君 大丈夫ですか、本当に。全部見直すんですか。
○衆議院議員(上川陽子君) 必要があれば見直しを図るということでございます。
○前川清成君 いや、必要があれば見直しを図るというのは、別に附則がなくても当たり前のことでしょう。 私がくどいほどお聞きしているのは、なぜ政府案が、せっかく長勢大臣がこれが一番ええと思って出してきはったやつを与党の皆さんが修正したんですかと、それを聞いているんですよ。そうしたら、裁判員や、いやいや刑事裁判がどうやこうやとおっしゃる。すると、刑事訴訟法だけを見直すんですかと、こういう意味で聞いたら、全部ですと、こういうふうにお答えになる。そうしたら正に附則の九条なんて要らないですよ。附則の九条はどの点に存在理由があるのですか。
○衆議院議員(上川陽子君) 今御指摘いただいたとおり、この法律を、見直しということについて改めて附則に書く必要がないんじゃないかと、こういう御指摘でございまして、確かに必要があれば修正を加えるとかしていくのは当然のことだというふうに思いますが、しかし、この制度そのものが新しい制度として今時点でいろいろ予測ができないようなこともあるかもしれないということの部分でいきますと、立法者としては、このものに対しては改めてしっかりと見直しをし、そして検討をするということを附則という形で明言するということがある意味では義務というか、それを更に促すという意味で大事だというふうに判断してこの附則に入れさせていただきました。
○前川清成君 この法律の関係でお聞きしておきたいんですけれども、私も分からないんですが、新旧対照表がありまして、そこのところにはLLPが書いてあるんですね。なぜここで有限責任事業組合の契約に関する法律が出てくるのでしょうか。
○委員長(山下栄一君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こしてください。 上川さん。 速記止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(小津博司君) 私から申し上げますが、この制度につきましては、一部法人が被害者になる場合があり得ます。それは、例えば強盗致傷の場合には、もちろん個人の方が傷害を負うわけでございますけれども、その財物については被害者が法人であるという場合があるわけでございます。 したがいまして、民事上の手続につきまして、民事執行法と並びで有限責任事業組合契約に関する法律で規定してある部分がございますので、それについても改正を行う必要があると、こういうことでございます。
○前川清成君 これ、修正案について法務省が答弁されるんですか、小津局長。
○政府参考人(小津博司君) ただいまの点は、政府原案でなぜ有限責任事業組合契約に関する法律の改正があるかということに限って私の方から御説明申し上げました。
○委員長(山下栄一君) いいですか。前川君。
○前川清成君 いや、そうしたら先ほどの質問はどうなるんですか。
○委員長(山下栄一君) 上川さん、いいですか。 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(山下栄一君) 速記を起こしてください。
○衆議院議員(上川陽子君) 大変恐縮でございますけれども、もう一度、先生、御趣旨について御質問していただければ、大変時間の制約もある中で恐縮でございますが、よろしくお願いいたしたいというふうに思います。
○前川清成君 それじゃ、もう次の質問に行きます。 附則の九条で主語が政府はとなっています。政府が検討するということは、具体的にはこれ法務省になると思いますが、刑事裁判手続の見直しをただ法務省だけでやるというのは適当でしょうか。
○委員長(山下栄一君) どちらに質問かな。
○前川清成君 修正案。
○委員長(山下栄一君) 修正案提出者上川さん。
○衆議院議員(上川陽子君) この法律案を提案している政府がまず第一義的に責任を持って当たるべきだというふうな趣旨でございます。 そして、それだけで済むのかということでございますけれども、今回の一番基になりました平成十六年に成立した基本法におきましては、この体制の中に専門家会議が開かれておりまして、そこでこの関連の制度については検証し、その成果を見ながら検証していくという、そういう文言になっておりまして、そういうところでの検討も併せてすべきであるというふうに思います。
○前川清成君 いや、そうじゃなくて、元気もなくなってきますけれども、刑事裁判というのはどういう構造を取っているのか。一方、当事者である検察官が訴追し、被告、弁護側が防御すると、その対立の中で公平な第三者である裁判所が裁く、こういう三者構造を取っているわけですよね。検察が、法務省が、訴追側だけが今の刑事裁判でいいのか悪いのか検討するのは、今の刑事裁判の構造に照らすと問題があるのではないかと、私はそういう意味で申し上げたのであって、役所の中の権限の取り合いを言っているつもりは全くありません。 それと、十条、もう時間もあれですんで、十条についてお聞きします。 この十条で、これもやっぱり中身は何も決まっていませんと、ビジョンは何もないと、こうおっしゃるのかもしれませんが、附則の十条の必要な施策を講ずるよう努める、ここで言う必要な施策というのは何を指すんでしょうか。
○衆議院議員(上川陽子君) 十条のところの規定でございますけれども、弁護士の助力が必要とされるということで、とりわけ資力の弱い皆さんに対して、そうしたことができないゆえに裁判員の、司法参画の権利が活用できないということになれば公平性に欠けるというような御議論がございまして、この点については公的な弁護人制度の導入ということにつきまして、今、実は内閣府で検討中ということでありますので、ここについて必要な施策をしっかりと取るようにということで促していると、講ずるよう努めることを政府に求めるということで、その意義というのは大変大きいものであるというふうに思っております。
○前川清成君 いや、今、上川議員がおっしゃった弁護士の役割が重要だとか資力の乏しい被害者参加人も弁護士の法的援助を受けれるようでなければならないとかいうのは法文に書いてますよね。そこをリピートしてくれと言ったんじゃなくて、だから、そういう視点からどのような施策を検討するんですかという質問ですよ。いや、それについても何も決まってませんと、丸投げですとおっしゃるんだったらもうそれで結構ですから、そうおっしゃってください。
○衆議院議員(上川陽子君) この点については内閣府で今専門家会議を開いて、それこそこの項目につきましてもいろいろな制度の幅も含めて議論しているということでございますので、それをしっかりとやるようにということの、しっかり検討をして、そして制度の導入に対して措置を講ずることを努めるということを政府に厳しく求めるという、そういう附則でございます。
○前川清成君 どうも最近、安倍内閣は、有識者会議に任せますとかどこどこに任せますとかという話が多くて、今もそうなんですよね。そうじゃなくて、せめて方向性ぐらいは選挙によって選んでいただいている私たち政治家の責任で決めなければならないのではないかなと。技術的、細目的なところは、有識者であろうと専門家であろうと役人であろうと任してもいいかもしれないけれども、方向性ぐらいは、あるいは問題意識ぐらいは、私たちは持たなければならないと、私はそう思っています。 せめてこの十条についても、わざわざ政府提案を修正してまでお出しになるのであれば、もっと方向性なり問題意識を持っておられたらいいのになと私は思っています。 そこで、もうこれ上川議員に対しては最後にしますけれども、なぜその資力の乏しい被害者参加人にも弁護士の法的援助を受けられるようにするために、必要な施策が必要になってくるのか。検察官と弁護士との経済的な基盤の違い、そういうものを意識して議論をされているのかどうか。安倍総理は、これは別にヒントのつもりでお出しするんです、安倍総理は最近親方日の丸というお言葉が大好きで、昨日の決算委員会でも多用しておられました。その意味で、何か方向性みたいなものを修正案提案者としてはお持ちになっておられないんでしょうか。
○衆議院議員(上川陽子君) ちょっと繰り返しのことになるとおしかりを受けるかもしれませんけれども、今度の公的弁護人制度につきましても、基本計画の中の二百五十八分の一の項目の中で、この一つなんですけれども、その中に、被害者の皆さんに対してどういう経済的支援をしていくべきなのか、また、それに対して、経済的支援でもいろいろな施策もございますし、福祉的なものもあれば、様々な社会保障の問題もございますし、住まいの問題もございますので、そういうものを総合的に勘案しながらしっかりとした制度をつくっていくように、あるいは経済的な支援をしていくようにという中の一つとして、公的な弁護人制度の創設ということにつきましても、その計画の中にしっかりと書き込まれていたことでございます。 国選弁護の仕組みにつきましても、そうした国選弁護人的な仕組みというものを被害者の方のところに導入すべきだという御意見もございましたし、また民事のところで出てきている扶助制度というものを応用したらどうかというような御議論も、いろいろな御要望がございまして、それを十分に被害者の皆さんから要望を聞きながらふさわしい制度になるようにということで、今内閣の中で議論をしていただいているということでありますので、しっかりそれに対して附則の中で講ずるべき措置をすべきだということを国会の意思として明示して、法律としても明示しているところでございます。
○前川清成君 私は、検察官というのは税金で給料もらえますから、その経済的な採算等々は度外視して活動することができますけれども、弁護士はそうではありません。国選弁護というお言葉がありましたけれども、現行の国選弁護というのは、弁護士の経済的な意味においては献身的な奉仕という面が多分にあります。それに依拠して、そういう行為といいますか、そういうのに依拠して制度を組み立てていっても持続しないのではないかなと、私はそう思っています。 そういう意味において、本当に犯罪被害者の支援に弁護士の助力が大切だというのであれば、経済的な基盤も着目した上での施策が必要ではないかなと、私はそう思っています。 私の許された時間の半分が過ぎそうなんですけれども、与党の皆さんも是非お聞きいただきたいんですが、衆議院から送られてきた修正案、私は今の上川先生との議論を通じて余り詰められているというふうには思いません。もし私たち参議院、良識の府と言われている参議院で真摯な議論を積み重ねて、もしもきっちりとした修正案が作れるのであれば、是非党派的なことも超えて協力をお願いできればいいなと、そんなふうに思っておりますので、委員長におかれましても、是非しかるべき御指導をお願い申し上げたいと思います。
○委員長(山下栄一君) 今の前川委員の御提案につきましては、後刻理事会で検討したいと思います。 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、吉村剛太郎君が委員を辞任され、その補欠として岸信夫君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 休憩前に引き続き、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○前川清成君 では、午前中に引き続いて、どうかよろしくお願いいたします。 大臣にはもうお尋ねしないつもりだったんですが、ちょっと声援もありましたので、一つだけお聞きしたいと思います。 実は、山東先生と歩きながらぼやいてきたんですが、私が十二時五十分に会館の部屋を出ようとしたところ法務省が来まして、判決を今お届けしましたと、ごらんになりますかと言われました。ごらんなりようないですよね。要りませんと言ったら、委員会室に届けましょうかって言われたんです。それ邪魔やろって僕言うたんです。本当であれば、くどくど言いませんが、性格がくどいので、本当に法務省が申し訳なかったと思ってくれるのであれば、どうして判決要旨を持ってこなかったんでしょうかね、三、四枚なんですよ、それだったらすっと読めるんです。六百ページあるんです、判決。委員会で質問しながら読みようがない。ちょっとそういう対応もありますので、また大臣どこかお心にお留め置きいただければと、そんなふうに思います。 引き続いて、実は、この本題に入らせていただきたいと思うんですが、私は刑事手続において被害者の皆さん方が疎外されている、そう思うのはある意味当然ではないかなと思っています。愛する人が命をなぜ落とさなければならなかったと、その真実が実は御遺族にはあるいは被害者には何も伝わっていない、その願いを受けての今回改正だと思います。 しかしながら、まず一点としては、制度の設計を余りにも急ぎ過ぎたのではないかと思います。もう一つは、被害者の皆さん方が持っておられるこの疎外感は制度の問題なんだろうかと。新しいこういう制度をつくらないと被害者の皆さん方の思いは満たされないのかと。実はそうではなくて、今までもそれなりの制度はきっちりとあったにもかかわらず、運用が不十分ではなかったのかな、そんなふうに思っています。 今日は午前中に終わる予定でしたので、ちょっと長く拘束して申し訳ないんですが、警察庁の刑事局にお越しいただいています。少し刑事告訴という制度について警察とそして検察庁の対応をお尋ねしたいと、そう思います。 被害者は自分が犯罪の被害に遭ったときに、警察あるいは検察庁に対して告訴することができます。刑事訴訟法に明記してあります。しかしながら、告訴においては受理という手続が事実上あります。受理というのがどういう手続なのか、警察庁にまずお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(縄田修君) 告訴の受理と申しますと、告訴状、これは要件がございまして、処罰意思あるいは犯罪事実の特定等がございます。そういったものが十分満たされておるものとして、私どもでこれを承知いたしましたといいますか、受け取ったと、こういうことだろうと、こういうふうに思います。
○前川清成君 今のお答えは、受理というのは受け取るという手続のことを言うわけですね。そうしたら、受理するための要件についてお答えください。
○政府参考人(縄田修君) 告訴と申しますのは、委員御案内のとおりでございますが、告訴権者が捜査機関に対しまして犯罪事実を申告して犯罪の処罰を求める意思表示、このようになされております。したがいまして、犯罪事実の若干特定が要ります。それから処罰の意思等が必要かと思っております。 もう少し詳細に言いますと、一つは告訴権等が存在することというのが確認が要ると思いますし、公訴時効が完成していないこと、あるいは既に処分がなされた事実について告訴等でないこと、あるいは親告罪の場合にはその告訴期間内の告訴であること、あるいは以前に告訴を取り消して、再告訴でないというようなこと、実質的要件といたしましては、犯人の処罰を求める意識があること、あるいは犯罪事実が特定されていること、このようなことが要件になろうかと、こういうふうに思っております。
○前川清成君 今、いろいろな要件をお述べになりましたけれども、それは刑事訴訟法の何条に書いてあるんですか。
○政府参考人(縄田修君) 刑事訴訟法自体、要件としての条文というのはないものと承知をいたしております。 二百三十条、告訴権者とありまして、犯罪により害を被った者は告訴をすることができるということになってございます。その解釈といたしまして、私どもは先ほど申し上げたようなことを理解いたしております。
○前川清成君 委員の皆さんお聞きいただいたと思いますが、刑事訴訟法上、犯罪被害者の皆さんは、権利として告訴を求めることができます。それについて要件は何も書いてありません。ところが、今警察の実務においては、くどくどおっしゃったような要件が満たさないと告訴状自体を受け取らない、そういう運用がなされています。 これは、神戸大学の教授をされていた二木雄策さんという方が、お嬢さんをお亡くしになりました、交通事故で。そのときの思い等々をこの岩波新書にまとめておられます。告訴をこれは検察庁に持っていかれたんですが、この中でも、この著者は、担当の検察官に会って告訴状を受理してくれるように頼んだと、こういうふうに書いてあります。頼まないと告訴状は受理してくれない、それが実務なんです。 私も何度も告訴状を出したことがあります。それは代理人としてもありますし、本人としてもあります。本人として何があったかって、松岡さんになぐられたとかそんなんじゃなくて、弁護士の仕事で裁判所から破産管財人に選任されることがあります。破産した会社に行って、例えば什器、備品が盗まれているというのであれば、破産管財人の仕事として破産裁判所の許可を取って警察に告訴状を持っていきます。ところが、こんな場合でも警察は告訴状を受け取りません。なぜ受け取らないんですか、縄田さん。
○政府参考人(縄田修君) 先ほども申し上げました告訴の要件が整っている場合、これは速やかに受理をして刑事訴訟法にのっとって速やかに証拠書類等を検察官に送付することになってございます。 今御指摘の事案につきまして、ちょっと私ども承知をいたしておりませんので、ちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○前川清成君 違うんです。あのね、縄田局長、僕が今申し上げたのは、その事案知ってはるはずもないし、もし知ってはったら怖いですよ。そんなこと言っているんじゃなくて、要件を満たしていても今の警察実務では受け取らないんです。それは縄田さん御存じないんだったら御存じないで仕方がありません、現場ではそうされています。縄田さんが何回言おうと私は体験として知っています。警察の実務としてどうするかというと、コピーを取って原本は返すんです。その上で、捜査の目星が立ったら、じゃどうぞ持ってきてくださいと原本を受け取る、これが受理なんです。 このように、刑事訴訟法が本来考えてもいないような実務を今警察や検察庁ではなされています。私はこれ自体、告訴権という本来犯罪被害者が持っている権利を不当、違法に侵害するものではないかなと思っています。 あるいは、例えば遠方の警察に対して告訴状を出す。わざわざ行くのが大変だと郵送します。郵送すると警察はどうするか、送り返してきます。郵送では必ず受け付けない、なぜか。先ほど言ったように、郵送で届いてしまって配達証明があると受理したというふうに言われかねないから送り返してくる。恐らくそういう場合にもコピーは取っておられて、これはおいしい事件だというときには立件をされる。そうでなかったら、受理なんかしてませんと、こういうふうな扱いをしているのが今警察、検察庁の現実ではないかと思います。 私は、新しい制度ができても、その運用を警察や検察庁の皆さんあるいは裁判所の皆さんが自分勝手にやってしまうと、今回せっかく改正、犯罪被害者の皆さん方の願いが届かないのではないかなと、こんなふうに思います。 検察庁も今日お越しいただいていますよね。小津さん、今の検察庁の、例えば二木さんも、私だけじゃなくて、神戸大学の教授の二木さんも頼んで受理してもらったと、検察庁に、こう書いておられます。この今の告訴の在り方についてどうお考えですか。
○政府参考人(小津博司君) 告訴につきましては、その要件を満たす場合にはそれを受理する義務があるというふうに考えております。 告訴をするということで来られた場合に、検察庁でその内容を検討させていただく場合がありますけれども、それはあくまでもその告訴の要件、つまり特定の犯罪事実を申告していて処罰意思があるということがはっきりしているかどうかを確かめるためだけのものでございます。
○前川清成君 小津さんが今お答えになったとおりで、被害者の皆さんが検察庁にあるいは警察に告訴状を持ってきたとき、あるいは郵送したときに、受け取る受け取らないの権限は、刑事訴訟法上、警察にも検察庁にもありません。受け取った後、それが事件として立件できるのかどうか、これを検討されるのは当然であるけれども、立件して白黒付くまでは受け取らない、こういう運用は違法であるということで、縄田局長と小津局長、確認させていただいてよろしいですね。お二人とも御答弁ください。
○政府参考人(縄田修君) お答え申し上げます。 あくまでも要件が整った場合には、委員御指摘のとおり、これは受理をしなきゃいかぬ、私どもは義務だと思っております。したがって、それの後、捜査をし送付するということでございますけれども、私どもといたしましては、若干、先生御指摘もございましたので、警察の現状、私どもの指導の状況につきまして御説明申し上げたいと思いますが、委員御指摘のようなことがあってはならぬということで、私どもといたしましては、担当の告訴専門官というのを各警察本部に置かせまして、こういったものに対する、昨年も十二月にやりましたけれども、全国会議をやり、それから告訴・告発専科、これもこういったものに当たる担当者等を警察大学校に集めまして教養等もいたしております。 また、警察署段階でいろいろ告訴、先ほどおっしゃられたような相談事案というのもございますが、そういったことがちゃんと対応されているのかどうか、こういったものにつきましてもしっかり点検させるということで私ども指導をいたしておるところでございます。 先ほどちょっと郵送の話もございましたが、当然、郵送でありましても要件が整っておれば告訴するということで指導をしておりますが、郵送されたものにつきまして若干確認を要するというものにつきましては、誠にお忙しい中かもしれませんが、警察署の方に来ていただくということで、説明をいただくということもあり得ようかと、こういうふうに思っております。 あくまでも、告訴の処理といいますか捜査をしていくということは、その告訴権者といいますか被害者の方と、それから関係者の方、私どもと十分協力、意思疎通しながら対応していかなきゃならぬと思っておりまして、そういったところで意思疎通を欠くようなことがあってはならぬと思っております。十分指導をし、御指摘のようなことが指摘されることのないように指導に努めてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○政府参考人(小津博司君) 告訴の要件を満たす場合に受理する義務があるというのは御答弁申し上げたとおりでございます。 委員御指摘のように、犯罪被害者の方が検察庁に要件の整っている告訴状を持ってきたときの対応について御不満をお持ちだということもただいまも伺いましたので、今後ともそのようなことがないように、検察当局としても努めてまいると思いますし、私どもの方としてもこのような議論を紹介させていただきたいと思っております。
○前川清成君 ちょっと今、小津局長の語尾がはっきり聞き取れなかったんですけど。まあいいです。 その前に、縄田局長、せっかく今、委員御指摘のことがあってはならぬと、こういうふうにおっしゃっていただいたんですが、同床異夢になってはいけませんので確認しておきたいんですが、私は、言っているのは、要件が整っているから受け取りますと、要件が整ってなかったら突き返しますと、これがあってはならぬと言っているんですよ。本当に犯罪があったのかなかったのか、その告訴状に書いてあることが真実なのかそうでないのか、それは、受け取った後、捜査しないと分かりませんよね。今は違うんですよ、警察。僕の指摘しているのは、捜査をして、ここに書いてあることが本当に犯罪だと、間違いないという段階にならないと告訴状を受け取らない、それが問題だと、こういうふうに申し上げているんです。 告訴状を受け取ったら、必ずそいつを有罪にしろなんてむちゃむちゃなことを言うつもりは全くないわけです。門前払いする権限は警察にも検察庁にもないでしょうということを申し上げているんです。縄田局長、それでいいですよね。
○政府参考人(縄田修君) なかなか難しい問題だと思いますが、委員が御指摘の要件が整っておるという御判断があろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、判例等もございますが、必ずしも犯罪の日時、場所、それから犯行の態様等詳細に明らかにする必要はないというふうに理解をいたしておりますけれども、さはさりながら、どのような犯罪によってどのような被害を受けたかという、こういった特定がなされないとなかなか告訴としては受理というわけにもまいらぬと。 その判断ということで、私どもはそれに、いかがなものかと思えば突っ返しているということじゃなしに、若干説明を求めて、いただくという作業をする場合が間々ございます。そういったことで、若干お時間をいただき、説明プラスアルファしてもらうということがあるということは御理解をいただきたいと、こういうふうに思っております。
○前川清成君 まあ、いかないですね、なかなかね。 縄田局長、告訴状を出したら、説明も一切しませんと、そんなこと言ってないですよ。特定され、犯罪事実が特定、ともかくだれだれに悪いことされましてんと、それだけの告訴状で受け取れなんて言ってませんよ。いつどこで、殴られました、物取られました、殺されましたと。犯罪事実、構成要件が特定されていたら、それで受け取って当然じゃないですか。それを受け取らないから問題だと言っているんですよ。本当に殺されたか、本当に盗まれたかと、それは受け取って後の話でしょうと。そんな段階で門前払いするから被害者の皆さん方が疎外感を持つんじゃないですかと、こういうふうに言っているんです。 小津局長、私の言っていることは刑事訴訟法の理屈として間違ってますか、私の言っていることが正しいですか、どちらですか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のとおりでございまして、犯罪事実が特定されていれば、それで告訴を受理する。そして、そこに特定されて書かれていることが本当にあるかどうかというのはその後の捜査のことであると、こういう頭の仕切りでございます。 ちなみに、その書いておられることがそもそも犯罪事実の特定として不十分な場合に、私どもとしてここはどうですかとお伺いしていると、こういう頭の整理でございます。
○前川清成君 今の小津さんの答弁を、縄田局長、異論あるんですね。異論がある点だけ言ってください。
○政府参考人(縄田修君) 異論がないということを申し上げたいと思います。私どもの考え方と一緒でございます。
○前川清成君 それでは、今日のこのお二人の御答弁から実務が大きく進展することを祈りたい、そんなふうに思います。 もうこれで警察庁にお聞きすることは特にございませんので、どうぞお引き取りいただいて結構です。 次に、この法案の三百十六条の三十三の一、被害者参加についてお尋ねをいたしたいと思います。 この場合、被害者参加できる犯罪を限定しています。この限定しているのはどうしてでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 被害者参加の制度は、すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するとの犯罪被害者等基本法が定める基本理念に基づいて設けることとしたものでございます。個人の尊厳の根幹を成す、人の生命、身体又は自由に害を被った被害者等を対象とすることが、その趣旨に合致するものと考えられます。 また、本制度に対する被害者の方々のニーズを判断するために、現行法上の意見陳述の運用状況が参考になると考えまして、当局において調査を行った結果を見てみますと、この意見陳述のお申出を行った方の七割の方が遺族の方である。また、そのほか強姦、強制わいせつ、逮捕監禁など身体活動等の自由や性的自由に害を被った事案について意見陳述の比率が比較的高いと、このようなことが明らかになりました。そこで、この制度を設ける趣旨や被害者の方々のニーズ等を総合的に考慮して、法案のとおりの犯罪を対象にさしていただくことにしたということでございます。
○前川清成君 小津局長、午前中、岡田先生が随分丁寧に基本理念とかをお尋ねいただいたので、もうそこはこれから省略してください、残された時間があと、私、四十五分しかありませんので。 それで、今、三百十六条の三十三の一項で、一、二、三、四号、これ限定した理由については、現行の二百九十二条の二の制度の運用状況に照らしてニーズから判断したと、こういうことですよね。そしたら、それで犯罪のある意味類型化というか、限定されているわけですけれども、さらに三百十六条の三十三の一項に犯罪の性質等々を聴いて裁判所は許可すると、こう書いてあるんです。この本文で言う犯罪の性質というのは何を指すんでしょうか。その一項で、例えば故意によって死傷させたとか、性犯罪については二項等々書いてあるので、さらに要件として犯罪の性質を挙げている趣旨、これをお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) この犯罪の性質は構成要件を構成要件として見たということではございませんで、例えばその起訴されている事件が暴力団同士の抗争である場合に、被害者の方も一方の暴力団の当事者であるというようなことも含めて考えるということでございます。
○前川清成君 ちょっと分からないんですが、暴力団同士だったらどうなるんですか。
○政府参考人(小津博司君) これも、もちろん例えばでございますけれども、暴力団同士の抗争で一つの組の組長が殺害されて、もう一つの組に報復をしようというような動きがある、そういうような事件について、その事件については被害者になっているその暴力団関係の人を被害者参加人として認めていいかどうかということも考えますということでございます。
○前川清成君 もうちょっとはっきり答えていただかないと分からないんですが、暴力団同士の抗争で仕返しをしようと、そういう場合には許可しないと、こういうことですよね。だから、この犯罪の性質を勘案して許可するというのがどういう意味なのか教えてください。
○政府参考人(小津博司君) その場合の犯罪と申しますのは、殺人罪であるということではなくて、その具体的な犯罪行為の内容がどうであったかということを考えますと、こういう意味でございます。
○前川清成君 いや、分かっているんです、局長ね。だから、その三百十六条の三十三の一項は白紙で裁判官に任せますという意味じゃないでしょう。これこれこういう要件を裁判官が判断した上で参加を許すか許さないか決めますと、こういうことでしょう。そういうことでしょう。だったら、犯罪の性質のどの点をどう考えた場合には許可を許すことになって、どういう場合には許さないことになるのか、そこの判断基準、メルクマールを答えてください。
○政府参考人(小津博司君) 私は、その一つの例だけ挙げたわけでございますけれども……
○前川清成君 だから、一般論でどうなるか。
○政府参考人(小津博司君) 一般論で申しますならば、その当該事件について、被害者参加を認めた場合に、これも例えばで恐縮でございますが、法廷が大変に混乱するような事情がありはしないかとか、法廷外でその法廷内で得た情報に基づいて仕返しをするおそれがないか等々の大きな弊害が生じるおそれがあるかないかということが一般的にはメルクマールの一つになると思います。
○前川清成君 今の局長のお答えであれば、犯罪の性質という文言を使うのは適当でないですよね。裁判の秩序とか法廷の秩序とかあるいは裁判の運行とか、そういう日本語を使うべきだと思います。小津局長が今答弁されたとおりのことを三十三の一項でイメージしておられるのであれば、私は、この文言は修正する必要があるのではないかと思います。 続いて、これは今年の二月二十六日の産経新聞、「勝手な証言に反論できず 法廷で疎外感」というような見出しで、御主人を殺人事件で失った近藤さえ子さんの記事が出ています。近藤さんの記事については、今年の一月三十一日の朝日新聞にも出ています。 加害者が、被告人が殺すつもりはなかったと、そういうふうに法廷で弁解したと。しかしながら、御主人というのは口を粘着テープでぐるぐる巻きにされていたんだと。だから、殺すつもりはなかったんだというのは、それは幼稚園児にでも分かるようなうそではないか、当時十二歳だった被害者の長女がそう言って泣きじゃくったと。その現場に居合わせた近藤さんというのは、勝手な被告人のそういう、殺すつもりはなかったというような勝手な証言に反論もできない、法廷で疎外感を持った、だから証人尋問なり被告人質問の制度をつくらなければならない、そういうようなコンテクストで意見を述べておられます。 私は、その近藤さんの思いというのは当然だろうと思うんですが、しかし、これは制度の問題なんでしょうか。被害者が被告人質問できないから、証人尋問できないから、この近藤さんの無念の思いは生じてしまったんでしょうか。私はそうではないと思いますが、小津局長、いかがですか。
○政府参考人(小津博司君) その具体的な案件について詳細に承知しているわけではございませんが、事案によって、被害者の方々が現在でも検察官の訴訟活動あるいは起訴、不起訴の判断に御不満を持っているということは事実であると思います。 まず第一に、私どもは、その運用でやるべきことにつきましては、私どもとしては近年努力をしてきたつもりではございますけれども、更に引き続き努力を重ねていかなければいけないと思っております。 ただし、被害者の方々の御意見は、そのような運用上の中から出てきた御不満であるという面はもちろんございますけれども、一方で、しかし検察官は検察官の立場で起訴、不起訴の判断をし、訴訟活動をするのであるから、やはり被害者はそれとは立場が異なる面があるので、やはり被害者としての立場で何らかのことをしたいということが御議論の、あるいは御要望の一つの大きなポイントではないかと私は理解しているところでございます。
○前川清成君 もうちょっと小津局長、踏み込んではっきりと御答弁いただきたいと思うんですが、運用に努力はしてきた、これは何のことをおっしゃっているんですかね。 もし小津局長が法務省にいらっしゃる前に検事をされていたのなら申し訳ないと思うんですが、私は、はっきり申し上げて、今のこの近藤さんのケース、検察官の反対尋問が下手だというふうな市民の皆さんの御不満ではないかなと、そう思っているんです。だから、はっきり言うと、検察官の能力なり、そういったものに対する不満が一つとして現れているのではないかなと。そうであれば、制度ももちろん大事ですけれども、検察官の能力を上げていく、そういう努力も必要ではないかなと思うんですが、違いますか。
○政府参考人(小津博司君) 反対尋問あるいは被告人質問につきましては、私は三つ申し上げたいと思います。 一つは、御指摘のように、検察官の能力がまだまだ不十分であるということによる場合もあり得ると思いますので、そこのところは、今後とも能力の向上に全力を挙げていかなければいけないと思っております。 二つ目は、検察官が検察官として事件を立証して妥当と思われる量刑を得るためには、証人尋問あるいは被告人質問はまあこの程度であれば十分だと思うことがあり、この程度で十分だという判断が被害者の方の御希望、認識と大きくずれるところがあり得ると思います。 三番目には、それの延長の部分もありますが、検察官としてはもう職責上それ以上のことはやれないという部分もあろうかと思います。 このような三つの段階、三つの面があろうかと思います。
○前川清成君 去年の十月三十一日の日経新聞ですが、やはり今申し上げた近藤さえ子さんの記事がありまして、それに続いて法務省の犯罪被害者施策研究会が〇四年にまとめた中間報告でも、被害者らのうち、検察官の被告人質問に満足したと、そうお答えになったのは二四%、不満が残ったのは三八%だというような数字が示されています。 生意気なことを申し上げますと、検察官の皆さんというのは、やっぱり調書に依存していて、密室ででき上がってきた調書に依存して立証するということに頼っておられるので、法廷における技術というのはやはり少し問題のある方もいらっしゃるのではないかなと私は率直に思っています。 それで、次に三百十六条の三十三の一項です。 これで証人尋問が許されるようになりました。ただし、限定が付いていまして、情状に関してだけ尋問できることになりました。情状に関してだけ尋問できるというのであれば、近藤さんの例は被告人質問でしたけれども、証人が勝手なことを言っていると、被害者の皆さんから、犯罪事実に関して勝手なことを言っている。その場合には被害者や被害者の御遺族が反対尋問はできないということになって、近藤さんが持った疎外感というのはそのまま残ってしまうんじゃないかなと、こう思うんですが、この点、なぜこういう制度設計にしたのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 本制度の設計に当たりまして、法制審議会でも様々な議論がございましたが、大勢は、基本的に現在の刑事訴訟法の基本的な枠組みの中でということで最終的な制度設計いたしました。 証人尋問につきまして、犯罪被害者の方に事実関係につきましても全面的に尋問することを認めますと、公訴の遂行について責任を持っている検察官の立証方針等々と異なる尋問がなされることもあります。これは、被告人の側からすると、その防御という観点で問題が生じ得るというのが一つございます。 もう一つは、証人の方は宣誓の上で証言を強制されておるわけでございまして、その方に対する負担ということも考えなければいけないであろうという御議論もございました。そういたしますと、証人の方の立場からしますと、比較的負担が少ないと思われるのは、情状に関することであって、なおかつ自分が証言した内容の弾劾にとどまるのであれば負担もそれほど大きくないのではないかと考えたのが二点目でございます。 第三点目に、委員御指摘のような声があることもそのとおりでございますけれども、相当数の被害者の方からは、特に情状について、証人が自分の知っていることと違うことを言ったときに是非発言したいという御意見もあったということで、これらのことを総合的に考えてこのような限定を付けたということでございます。
○前川清成君 三百十六条の三十三の一項は、裁判所が情状尋問を許可するかどうかについて、被告人又は弁護人の意見を聴きますと、こう書いてあります。これもよく分かります。情状に関してだけ尋問できるというのは、今御説明いただきました。 その間に、ごめんなさい、三百十六条の三十六の一項についてです。その間に審理の状況等々を勘案すると、こう書いてあるんですが、審理の状況というのは何を指すんでしょう。
○政府参考人(小津博司君) 例えば、その犯罪被害者の方が後ほど重要な証人として証人尋問を受けるということが予定されている場合に、それに先立ってある事項について、もちろん直接話を聞けるのは情状についての弾劾ではございますけれども、その前提として、例えばその犯罪事実についていろいろ証言をするという証言を聞いて、それについて質問をしてしまうことによって、後ほど被害者の方が証人になったときにその信用性に影響が出るということもあり得る、そんなような場合を一つ想定しております。
○前川清成君 ちょっと分からないんですけど、せっかく裁判官に、裁判所にこれも白紙で丸投げしたのではなくて、例えば申出に係る尋問事項の内容、これは分かりますよね。犯罪事実はあきまへんよ、情状だけですよという意味で加えたのは分かります。申出をした者の数、これも分かりますよね。例えば百人も二百人もするわけにいかないから代表でだれかというのは分かるんですけれども、審理の状況というのが分からないんです。今の御説明聞いても分からないんです。
○政府参考人(小津博司君) 念頭に置いているのは、私が申し上げましたように、この段階で犯罪被害者の方にその証人尋問をしてもらうと後々の審理に悪い影響があり得る、それはその方が証人に出るということが想定されている場合であります。 加えて申しますと、それであったらその証人、被害者の方が法廷の中で聞いているだけでも同じではないかという御議論もあろうかと思いますので、場合によっては、そういう場合にはその日は、被害者の方にちょっとその日だけ参加を御遠慮いただくという判断を裁判所がされることもあろうかと思います。
○前川清成君 午前中の上川議員の御答弁じゃありませんが、三年間の見直しの間にこの審理の状況等々の要件も是非見直していただいたらどうかなと思います。運用状況等含めて検証していく必要があるのではないかなと思っています。 次に、申出の時期なんですけれども、三百十六条の三十六の二項で、検察官の尋問が終わった後直ちに検察官に申し出なければならないと、こう書いてあります。この直ちにというのがいつを指すのか。例えば、検察官が尋問終わって座ったその瞬間を指すのかどうか、時期の点をお聞きしたいのが一つ。もう一つは、検察官が尋問が終わって座った段階であれば、それは法廷ですから、検察官に申し出なくても、目の前に裁判官がいるんですね。なぜ裁判官でなく検察官に申し出るのか、この二点、お伺いしたい。
○政府参考人(小津博司君) これは、もちろん本当に瞬間的に直後ということほど狭いわけではありませんけれども、直ちにということで、相当のゆっくりとした時間を置いてということではございません。その趣旨を申し上げます。 それから、その趣旨と併せて、どうして検察官を通してするのかということでございます。これは、被害者の方が尋問をしたいと言われる場合に、その尋問の内容がこの法律に照らして相当かどうかということ、そしてそれは検察官が自分で聞くかどうかということがございます。そこで、事前に被害者の方と通常は打合せをして、まず検察官が尋問をして、それを聞いて被害者の方が、あっ、やっぱりそこには含まれていないからやりたいということをすぐに言っていただいて、そして、そうであれば検察官の方で裁判所の方にこういう申出がありますというふうに申し上げて裁判所の判断をいただくと、こういうことでございます。
○前川清成君 その期日が終わってしまったらもう駄目なんでしょう、証人が帰ってしまったら。だから、もうその当該法廷が閉じるまででしょう。だから、それが直ちにという意味ですというふうに説明すると正しいんじゃないんですか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のとおり、少なくとももう一度証人の方に来ていただくというのは基本的に不適当であろうということが想定されております。
○前川清成君 それと、先ほどの御答弁の中で、何を尋問するかは被害者と検察官が打合せをしますというふうにおっしゃいましたよね。今までしていないですよね。この法律施行後はやるんですか。
○政府参考人(小津博司君) この法律の三百十六条の三十五でございますけれども、被害者参加人は、検察官に対して、検察官の権限行使に関して意見を述べることができるという規定が設けられます。これがございますので、従来以上にと申しますか、法律の根拠に基づいて検察官はあらかじめいろいろと説明をして、そしてそれについて被害者の方の意見をいただきながら訴訟活動をすると、こういうことでございます。
○前川清成君 それじゃ、この三百十六条の三十五で意見を言った場合にやりますと、こういうことですよね。 それと、小津局長、これからは被害者と検察官が、それこそ尋問事項についてまで打合せしていきますと今おっしゃったんだけれども、そんなことが本当にできるんですね。 例えば、私や奥野先生、奈良県ですけれども、人口百四十万人ですよ。奈良県に検事が何人いるかというと、検事正と次席、三席、本庁に五人です。うち管理職三人でしょう、実働二人、葛城に支部長だけ三人、これでやっているんですよ。そんな段階で捜査もやって公判もやっているんですよ。おっしゃるとおり、これからはやっていきますと言うたところで、そんなの空手形じゃないかなと私は思うんですけれども、今おっしゃった以上は、じゃこれからは努力していただけると信じていいのかなと思うんです。 それと、三百十六条の三十七では被告人質問が書いてある。これは、申出は尋問終了後直ちにではなくて、あらかじめでいいんですよね。被告人質問についてはあらかじめ申し出ることができるのに、証人尋問については直ちになっている。なぜこのような区別をつくったのか私には分からないし、被害者の皆さん方の参加の機会を保障するというのであれば、そんな、終わったその瞬間に言えではなくて、あらかじめ是非言うておきたいんですというふうな申出を受け付けてあげるべきではないかなと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(小津博司君) まず、直ちにということは事後にという意味ではございますけれども、実際の運用としては、そういう希望があるということは通常はあらかじめ聞いておいて、そして検察官の尋問を聞いてもらって、そしてやっぱりやりたいということをその後、その期日内に言っていただくということを想定しているわけでございます。
○前川清成君 ちょっと今のおかしいですよね。 例えば、被告人質問であっても、あらかじめ聞いておきます、あらかじめ希望は聞いておいたと、しかし被告人質問を実際に聞いてみて、もうこれだったら結構ですはあるわけですよ。証人尋問についても、今の小津局長のお答えは、あらかじめ申し出ておいてもらいますと、しかし聞いてやっぱりやめますという場合があるので直ちににしましたと。こういうことであれば、三百十六条の三十三の二項と三百十六条の三十七の二項と表現を異にする理由はないです。
○政府参考人(小津博司君) 一点追加して申しますと、証人尋問につきましては弾劾のための尋問でございますので、その証言を聞いて初めてやるべきかどうかという判断ができるという頭の整理をいたしまして、こちらについてはそのように表現をしたということでございます。
○前川清成君 今、私、ちょっと条文の引用で間違えていたみたいですね。三百十六条の三十六の二項と三百十六条の三十七の二項とで表現を異にする理由はないのではないかと、これが正しい条文の引用です。 ただ、いずれにしても、今の小津局長の御答弁、表現なぜ変えているのか、私にはへ理屈としか思わないんですけれどもね。 それと、三百十六条の三十六の二項、これは口頭の申出でいいんですね。
○政府参考人(小津博司君) そのとおりでございます。
○前川清成君 刑事訴訟規則の百八十八条の二の一項で、証人の尋問を請求するときは、書面を差し出さなければならないと、こう書いてあるんですが、この規則はどうなるんですか。
○政府参考人(小津博司君) その適用はなく、この条文で犯罪被害者の方はやっていただくということでございます。
○前川清成君 もう要らないんですね、要らなくて、じゃ、この規則はもう変えるんですか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘の規則が刑事訴訟規則百八十八条の二でございますれば、これは、証人の尋問を請求するときは、氏名、住所を記載した書面を出さなければいけないということでございます。既にこの証人は尋問されている、その弾劾でございますので、これの適用はないと、こういうことでございます。
○前川清成君 時間が少し残り少なくなってきましたけれども、頑張って進めていきたいんですが、三百十六条の三十七の一項ですが、これでいわゆる、あっ、ごめんなさい、また条文の引用間違えましたかね、三百十六条の三十七の一項ですね、これは被告人質問ができる場合として、いつでもできるんではなくて、意見の陳述をするために必要があると認める場合、この場合には被告人質問ができると、こう書いてあります。それ、どういう場合なんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) この意見の陳述は、現行刑事訴訟法の意見陳述と、このたびの改正によって被害者参加人の方に認められる意見陳述の両方が含まれます。 その意見陳述をするのに必要があると認める場合にできるということでございまして、逆に申しますと、そのような意見陳述をすることとは無関係に被告人の方を非難するために質問するというようなことは認められないと、こういうことでございます。
○前川清成君 ちょっと今の答えも、その逆は必ずしも真ならずで、おかしいと思うんですけれども。要は、被告人質問をしなくても意見は述べれるわけでしょう、現行そうですよね。だから、意見を述べるために、意見を陳述するために必要がある場合にだけ被告人質問を認めるというのであれば、被告人質問が認められる場合というのはほとんど限定的になるのではないかと、私はそう解釈しているんですが、その点がどうですかという質問ですよ。
○政府参考人(小津博司君) 被告人質問をしなければ全く意見陳述ができないというほど限定的に解釈されるものとは考えておりませんで、でも被告人質問をするために必要があるかどうかというように判断していただくということでございます。
○前川清成君 そうであれば、この文言もこれでいいんですかね。例えば、制限する場合を今例示されましたよね、殊更に批判するような場合は駄目ですと。そのただし書というような形で条文の体裁を整える方が私は運用に問題がないと考えます。 同じ条文の三百十六条の三十七の三項、その尋問を制限することができると書いてあります。どんな場合制限できるかというと、意見の陳述をするために必要がある事項に関係のない事項にわたるとき、こう書いてあるんです。しかし、三百十六条の三十八で、検察官の論告の後に被害者参加人は意見を言うんですよね。だから、被告人質問する段階では被害者がどんな意見を言うかは分からない、分からないにもかかわらず、関係がないということで制限するというのはどういう意味なんですか。
○政府参考人(小津博司君) まず、検察官の論告求刑の後に行われる、その被害者参加人の意見も無限定ではございませんで、その設定された訴因の範囲内で行うわけでございます。したがいまして、正に現在起訴されて審理をされている事件に関係のない事項であれば、それについての意見も言うことができないわけでございますので、やはり被告人質問をすることは相当ではないということになるわけでございます。
○前川清成君 今の答えは分かりますか、聞いておられる皆さん。今のは答えになっていないでしょう。しかし、もっとほかにもあるんで。 三百十六条の三十八の一項、相当と認めるときだけ意見を述べることができるようになっています。相当と認めるときというのはどういうときなのかなと思うわけです。この法廷で意見を言う、三百十六条の三十八以外にも、例えば意見書を出すとか、あるいは現行法の二百九十二条の二の一項に基づいて意見を言うこともできます。そういう制度があるにもかかわらず、さらに相当と認めるときだけ三百十六条の三十八の一項で意見を言うのであれば、この三百十六条の三十八の一項で相当と認められる場合というのは結構少ないんですか。
○政府参考人(小津博司君) この相当と認めるときと申しますのは、ほかの方法でもできる場合にはやってはいけないという意味が含まれているわけではございませんで、あくまでもこれを行うことが相当であるかどうかという判断でございます。 これも例えばで申しますと、直接被告人と対面することで余りにも感情が高ぶり過ぎる参加人の方がおられて、そのことが裁判所にそう認められるというような場合には、相当でないと認められる場合もあると考えております。
○前川清成君 今の三百十六条の三十八、一項の相当と認めるときとか、あるいは先ほど申し上げました三百十六条の三十七の意見の陳述をするために必要があると認められる場合とか、非常にどうでも解釈できる文言によって許可を、許すことになっています。 ですから、これは本当にこれからの運用次第で、裁判実務の運用次第で被害者の権利が広いこともあり得るし、極めて限定的になる場合も、解釈論としてはどちらも立ってしまうと思うんですね。そこがそれでいいのかな、これから先は裁判実務に任すというのでいいのかな、どうなのかな、任すのであるとしても、せめてその裁判所が判断する要件自体は法律の中に私は書き込んでおくべきではないのかなと、そんなふうに思っています。 それで、三百十六条の三十八、一項の意見陳述についてお聞きしたいんですが、これは今までありました二百九十二条の二の意見陳述とどこが違うんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) まず、現行法の意見陳述は、被害者の方の心情を中心とした意見でございまして、被害者の方が正にどういう気持ちであるのかということを言っていただくための意見陳述でありまして、これについてはいろいろな細かい要件はございませんで、基本的にはやっていただく、そしてその内容は、裁判所としては情状を判断する材料にしても構わないという仕切りでございます。 それから、今回の意見はそれとは異なりまして、あくまでもそれまで参加をしてきたことを受けて、参加人としてあくまでも意見を言うということでございまして、それはもちろん意見でございますので、情状や事実認定の証拠にはならないということがまずは変わります。
○前川清成君 今の御答弁は文言的にもおかしいですよね。二百九十二条の二の一項は、被害に関する心情その他被告事件に関する意見の陳述、これをさせることができると、こう書いてある。意見の陳述ですよね。で、今回の三百十六条の三十八は、意見を言うことはできると、こう書いてあるけれども、こんなつらい思いですと心情についても述べることができるわけですから、二百九十二条の二と三百十六条の三十八と、概念的には区別されてないじゃないですか。 結局は、僕は優しいので小津局長の答えを善解すると、二百九十二条の二の方は、被害感情なり被害者のつらい思いなり心情を述べますと。そうじゃなくて、三百十六条の三十八は、法律の適用、事実認定に関する意見を述べますと、こういうふうにすみ分けをさせる、そういう趣旨なのかなと思うんですが、違うんですか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のとおりでございます。
○前川清成君 そうであれば、そういうような文言を書かないとごちゃごちゃになりますよ。違いますか。
○政府参考人(小津博司君) まず、二百九十二条の二に、被害に関する心情と書いてあるだけではなく、その他の被告事件に関する意見と書いてあるところが一つの御指摘のところだろうと思いますが、この解釈につきましては、あくまでも中心は被害に関する心情であって、それを述べる前提として事実関係に触れたりすることもあるだろうというふうに理解をしております。 逆に申し上げれば、事実関係について主として意見を述べるということは、現在の二百九十二条の二では認められていないというふうに理解をしております。
○前川清成君 そうであれば、ちょっといいか悪いかの話はこの後残された時間でやりたいんですが、小津局長がおっしゃったようなすみ分けを考えるのであれば、二百九十二条の二は被害者の心情を述べると、それがはっきり分かるように書くべきではないかなと。で、三百十六条の三十八については、事実認定や法律の適用に関する意見ですよと、心情等は含まないんですよ、あるいは、心情も含めてもいいけれどもこうこうこうなんですよと、その範囲をはっきりと書かなければならないと私は思っています。その点でもちょっと、どうなんでしょうか、この法律の立て方がいいのかどうかなと私は思っております。 それで、この点も、心情を述べる機会というのも、この小津局長がおっしゃったように、二百九十二条の二というのは最近できた条文です。昔はなかったんですね。 この、何度も引用しますが、二木さんはお嬢さんを亡くして、被告人の方は、母親や婚約者が情状証人としてやってくると、被告人はこんないい人ですと言う。それだったら自分も、私の娘はこんなにいいやつだったんだと言いたい。そこで、検察官に是非証人にしてほしいというふうに申し出た。言わば、心情を申し述べる機会を与えてほしいと、こういうふうに検察官に申し出た。しかし、検察官は取り合ってくれなかったというのがあるんです。 実は、新しい制度、くどいようですが、新しい制度をつくらなくても、前々からそういう可能性はあったわけです。その点について、いやいや、そんなこと言うても証人やったら反対尋問受けるやないですかと、そんなんつらいですと、こうおっしゃるかもしれないけれども、現行の二百九十二条の二であっても、四項で反対尋問的なことを受けるおそれもあります。そこで、まあ先ほどの話ですが、やはり制度だけではなく運用の問題があるのではないかと思っています。 で、残された時間で是非やりたいのは、ここで法律の適用まで被害者に意見を述べていただくのが本当に正しいのかどうか。午前中、上川さんは十分な問題意識がなかったようですけれども、これから市民が参加をして裁判員制度が始まります。そんな中で被告人は、被告人はこれは無罪か有罪かまだ決まっていない。むしろ無罪であると推定されるべき存在です。しかし、被害者の方は、犯人がだれであるかはともかくとして愛する人を失った。被害者であることは間違いない。そこで被告人と被害者の間には質的な相違があります。その質的な相違を無視したままにその被害者が法律の適用まで述べてもいいのだろうか。私は、事実について被害者に述べてもらってもいいけれども、求刑までやるというやり方が裁判員制度の実態を何ら検証しないまま突き進んでいいのかどうかは疑問に思っています。 ローマの格言で、ローマでなかったかもしれません、なんじは事実を語れ、されば我は法を語らんというのもあるわけで、当事者に求めるべきは、私はむしろ事実、心情等の意見発表とする、そういう制度設計の方がむしろ適当ではないかなと、こう思っているんですが、いかがですか。
○政府参考人(小津博司君) このような形で立案させていただきましたのは、基本的には被害者の方の御要望、それは被害者のお立場からすれば、被害者の尊厳ということを考えたときに、やはり法廷で自分の口からその点についても言いたいという御要望が大変強かったと私どもは理解しているということが一つございます。 二つ目には、検察官が公訴官として行う意見について論告求刑という表現で、そういうものとして大変重く受け止めていただいていると理解しておりますし、また検察官としては、それと相当に異なる判決が出た場合には当然上訴を検討して、場合によっては上訴をすると、そういう立場でございます。 被害者の方の意見は、正にその犯罪被害者の方のお立場で語られることでございまして、そこの違いにつきましては、これは裁判員制度になりましたらまたその制度につきましても裁判官の方が裁判員の方に御説明していただくということにはなるかもしれませんけれども、検察官の論告求刑とは別に被害者の方の意見を言っていただくということについても十分理由があるのではないかと私どもとしては考えたということでございます。
○前川清成君 今の答えは僕はちょっと分からないですね。 最初のお答えは、被害者の皆さんが自分の口で言いたいと思っておられますと、それは先ほども言ったように検察官のやっぱり能力の問題をもう少し見詰め直していただく必要があるのではないかということをあえて申し上げました。 二番目の点、今のはちょっとひどいですよ。検察官の論告と判決と違ったら上訴しますと。被害者の意見はそれとは違いますというのは、結局は被害者は言うだけ言わしてガス抜きしますと、あとは知りませんということを今御自身で認めたのと一緒ですよ。ちょっと今のは、この正に仏作って魂を入れずという答弁がありありと出ていると思いますが、いかがですか。
○政府参考人(小津博司君) もし私の答弁がそのように聞こえるものであったといたしましたら、その点はおわびを申し上げます。 私は、あくまでも、検察官の今行っていることが、論告求刑と呼ばれているその理由と申しますか、について、私どもが理解していることを申し述べたということでございます。
○前川清成君 答えてないじゃない。だからどうなるんですかって。 じゃ、被害者の意見はガス抜きなんですかと聞いたんですよ、今。それはどうなんです、ガス抜きなんですか。
○政府参考人(小津博司君) そういうものではございません。
○前川清成君 じゃ、何なんですか。
○政府参考人(小津博司君) 一つは、犯罪被害者の方がその尊厳を守るために被害者参加人という立場で行うことであるという側面がございます。また、被害者の方の意見を直接法廷の場で言っていただくということによって、そのことが適正な判決に良い影響を与えるということも期待しているわけでございます。
○前川清成君 残念ですが、時間ですので、今日はこれで終わりますけれども、被害者に法廷で、希望される場合に、直接意見を述べていただく、今も制度としてあるんですよ。それは私はいいことだと、こう申し上げているんです。それを否定するようなことは申し上げていません。そうじゃなくて、私が今、なぜその制度の上に、心情等を述べていただく制度の上に更に法律の適用に関する意見を述べることが被害者の尊厳になるのかどうかです。しかも、それを重く受け止めて大切に扱うんだったらいいけれども、検察官の論告と判決が食い違ったら上訴するけれども被害者の意見と食い違ったら上訴もしません、ほっとくだけですと。これガス抜きなんですよ。それであれば、私はかえって被害者の尊厳を傷付けるものではないかな、そういうふうに思っています。 残念ですが、時間ですので、これで終わります。ありがとうございました。
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。 まず、法案の質問に入る前に、内閣府の方お見えになっていらっしゃいますか。 犯罪被害者等給付金の拡充につきまして、現在、内閣府に設けられました経済的支援に関する検討会において、今年の末までに結論を出すことを目指して検討が進められていると伺っておりますけれども、その検討状況についてお尋ねいたします。
○政府参考人(荒木二郎君) お答え申し上げます。 先生御指摘のように、官房長官を会長といたします犯罪被害者等の施策推進会議の下で、被害者の方や有識者、関係省庁から成ります経済支援に関する検討会を昨年四月設置をいたしまして、一年余にわたりまして経済的支援を厚くするという前提の下に検討を進めてまいっております。これまでの検討十六回行いましたけれども、これを中間取りまとめということで、近く推進会議に報告の上、国民からの意見募集を行った上で最終取りまとめを行うことといたしております。 御指摘のございました犯罪被害者の給付金につきましては、犯罪被害者等に対する給付の抜本的な拡充を図るべきであるということで、現行の遺族給付金の最高額が一千五百万円余りでございますけれども、これを自賠責の支払限度額であります三千万円にできるだけ近づける方向で、また、重度障害等の給付金の最高額が一千八百万円余りでありますけれども、これにつきましても自賠責の限度額であります四千万円にできるだけ近づけるということで検討がなされております。 さらに、それに伴いまして、当然のことながら最低額についても所要のアップを図るということにしております。さらに、どうしても若い人で収入の低い人というのは、重度後遺障害を負った場合に給付金が少なくなるシステムになっておりますけれども、そういうことがないように特に配慮をすること、また、御遺族の方でお子さんがたくさんおられるような場合、そういう負担が重い方の場合には十分に配慮したアップになるようにということで検討を進めているところでございます。
○浜四津敏子君 内閣府の方、質問は以上ですので、どうぞ結構でございます。 次に、大臣にお伺いいたします。被害者参加についてでございます。 長い間犯罪被害者は、日本の刑事手続の中では証拠として扱われるだけで、裁判自体は被害者抜きで進められてまいりました。これまでは、刑事手続の中心テーマは、加害者とされる被疑者、被告人の権利保障でありまして、自白強要など捜査当局の不当な行為を防いだり、あるいは公正な裁判を通して冤罪を生まないというところに重点が置かれてまいりました。しかし、加害者重視の刑事裁判の姿というのは本来あるべき刑事裁判の一つの側面にすぎません。被害者の方の痛みあるいはその切実な声を裁判に反映させることにより、事件の真相究明を図り、さらに被告人に反省を促し、被害者の方々にとっても立ち直るということへの後押しになると、そのもう一つの重要な側面に光を当てるべきだという考え方が既にかなり以前より国際的な潮流となっております。 今回の法案は、被害者が刑事裁判に参加することを権利として保障するいわゆる公訴参加制度の導入を柱とした内容で、日本の刑事司法の新しい時代を開く画期的な法整備になる可能性を持ったものだと思っております。 ところで、今回の法案は、日本の犯罪被害者支援を一気に国際レベルに引き上げたと世界から評価された二〇〇五年四月施行の犯罪被害者等基本法の理念に基づいて立案されております。国連は一九八五年に犯罪及び権利濫用の被害者のための司法の基本原則宣言をまとめました。その宣言では、被害者の個人的利益が影響を受ける場合には、被告人に不利益を与えることなく、また該当する国内の刑事司法制度に従って、彼らの意見や関心事を訴訟手続の適切な段階で表明させたり考慮したりするとの規定を設け、被害者の公訴参加の導入を求めております。日本がようやく国際レベルに肩を並べる、そして日本の裁判制度を国民のための司法へと改革、前進させていると、そういう意味で今回の法案は私は大変に意義深いと思っております。 そこで、まず、今回この制度を設けることとした趣旨、理由及びその持つ意味、また大臣の思いをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 先生にも、この問題について大変長年にわたって御尽力いただいてきたわけでございまして、これは敬意を表したいと思いますし、今おっしゃられたとおりだと私も思っております。 平成十六年十二月の基本法では、すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するとうたい上げておるわけでございまして、そういう点からしますと、被害者の方々がその被害に係る刑事事件の裁判の手続においてもその尊厳にふさわしい処遇を保障されることが重要であるというふうに考えられ、そういうことから、基本法においても、刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備が国の責務として定められておるところでございます。 おっしゃるように、被害者の方々がどうのということではなくて、自らが被害を受けた事件の当事者としてその被害に係る刑事事件の裁判の推移や結果に重大な関心を持つことは当然のことでありますので、この刑事事件の推移や結果を見守るとともに、これに適切に関与したいという心情は十分に尊重されるべきであると考えます。さらに、関与することによって被害者の方々の名誉の回復や被害からの立ち直りにも資するものと考えております。 そこで、この法律案では、この被害者の方々が一定の要件の下で裁判所の許可を得た上で被害者参加人という地位に基づいて公判期日に出席するとともに、被告人質問等の一定の訴訟活動を自ら直接行うという参加の制度を設けることとしたものでございます。 もう長年の懸案でありましたし、被害者の方々も強い御要請もありましたし、こうやって大変御熱心に御議論いただいていることも大変有り難く思いますが、早急に成立をして、被害者の方々の権利を保護していきたいものだと思っております。
○浜四津敏子君 今大臣がおっしゃったように、この被害者参加の制度、大変意義が深いものであると考えられますが、ただ一方で、一部の方から様々な懸念も表明されているところでございます。そこで指摘されているような弊害が生じるおそれが本当にあるのか、その危惧は杞憂にすぎないのかどうかということについて、順次お尋ねしていきたいと思います。 まず、こういう声があります。被害者参加の制度は、検察官と被告人、弁護人との間で攻撃、防御が行われる、それを踏まえて裁判所が判断を行うという現在の刑事裁判の基本的な仕組みを大きく変えるものであると、こういう指摘がありますが、この指摘についてはどうお答えになるでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 被害者参加の制度におきましては、被害者参加人等に対しては、公判請求権はもとより、訴因設定権、証拠調べ請求権、上訴権等は認められておりませんし、また証人尋問、被告人質問等の具体的な訴訟活動につきましても、一定の要件の下で裁判所が相当と認めて許可した場合に限ってこれを行うことができるとしております。 本制度は、検察官が訴因を設定して事実に関する主張、立証を行う一方で、被告人、弁護人がこれに対する防御を行って、これらを踏まえて公正中立な裁判所が判断を行うという現在の刑事訴訟法の基本的な構造を維持しつつ、その範囲内で被害者の方々に参加をすることを認めるというものでございますので、基本的な構造を変えるものではないというように認識しております。
○浜四津敏子君 被害者参加の制度の導入に消極な方あるいは慎重論の皆さんからは、被害者参加を認めると被害者の方々が感情的な訴訟活動を行うことによって公平で公正な裁判が阻害されるという懸念の声がありますけれども、それに対してはどうお答えになりますでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) それにつきましては、まず、現行法の意見陳述の運用状況等に照らしまして、そのようなおそれは少ないのではないかと考えてはおりますけれども、この制度を設計いたします際に以下のような措置を講じたわけでございます。 まず、裁判所が相当と認める場合に参加を許可するという制度でございまして、法廷の秩序を乱すおそれがあるような場合には参加が許されないということになります。また、被害者参加人は、検察官に対して意見を述べて、必要な説明を受けることができる上、被告人質問等の訴訟活動を行おうとする場合には、あらかじめその内容を明らかにして、検察官を経由して申し出なければいけないというようにしているわけでございます。また、被害者参加人がする質問や陳述等が違法、不当な場合には、裁判長がこれを制限することができることとしているわけでございます。
○浜四津敏子君 また、被害者の方々が直接証人を尋問することによって証人となる方の負担が過大なものになるおそれがあるのではないか、そういう危惧の声がありますけれども、この点はどうでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 証人尋問につきましては、犯罪事実に関する検察官の主張、立証と矛盾する尋問が行われて真相の解明が困難とならないようにしなければいけないということでございますとか、また、証人の負担が過度に重いものにならないようにしなければいけない等々のことを考えなければいけないと思うわけでございまして、そのような理由から本法案につきましては情状に関する事項についての証人の供述の証明力を争うためのものに限定したということでございます。
○浜四津敏子君 先ほど同僚議員からも同様の質問がありましたが、すっきりとお答えいただきたいと思うんですが、刑訴法改正法案の三百十六条の三十七、被害者参加人の被告人質問については必要性や相当性が要件とされております。こういう要件を定めた理由はどこにあるのでしょうか。また、被害者参加人の被告人質問について必要性や相当性が認められないというのは、具体的に例えばどういうような場合なんでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘のようにいたしました理由は、この被告人質問が被害者参加人等の意見の陳述をより実質的かつ効果的なものとするとの趣旨から認めるものでありまして、訴訟の推移や結果と結び付く目的でなされる訴訟活動であるということを明確にすることが適切だと考えられたわけでございます。 したがいまして、専ら被告人を罵倒したり憎しみをぶつけるということを目的とした質問は許されないという趣旨でございます。
○浜四津敏子君 被害者の方々が直接被告人に対して質問すると、被告人は言いたいことが言えなくなるなど被告人の防御権が害されてしまうのではないかという指摘もあります。被告人の防御権も重要ですけれども、被害者参加の制度の下で、この被告人の防御権が不当に害されるおそれはないと考えていいんでしょうか。何かそうしたおそれは考えられるのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 被告人の防御権が不当に害されることがないようにという点で申しますと、まず当然のことながら被告人には本制度の下におきましても黙秘権が認められておりますので、被害者参加人等の質問に対して供述を拒むことが可能でございます。また、弁護人選任権が認められておりますので、実際の刑事裁判の場で弁護人の適切な援助を受けることが可能でございます。 また、被害者参加人等の質問に対して供述することがためらわれるということがございましても、被告人はいつでも任意に供述をすることができるわけでございまして、弁護人による質問や最終陳述の際などに自らの主張を述べる機会も十分に与えられているというふうに考えております。 そのようなことで、被告人の防御権を不当に侵害することにはならないと考えております。
○浜四津敏子君 また、被害者の方々が検察官の論告求刑と同様の意見の陳述を行うということとなりますと、裁判員の判断に大きな影響が及び、被告人が不当に重く処罰されることとなるのではないかという指摘があります。 これにつきましては、全国犯罪被害者の会、通称あすの会が、訴訟参加を導入しているドイツ、フランスの視察を通しまして、こうした危惧するようなことは起きていないと、こういう報告がなされておるところでございます。要は裁判官の力量がかぎになると、こう言われておりますが、どのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) この犯罪被害者の方の新しい意見は、情状等についても資料としてはいけない純然たる意見でございます。裁判員制度におきましても、またそうでない裁判におきましても、検察官や被害者の参加人の方を含めて、法廷の場で語られたことのどの部分が意見であるのか、どの部分が証拠となるものであるのかということを明確に区別をして事実認定や情状の判断をするべきものであります。特に裁判員制度におきましては、その点につきまして可能な限り分かりやすく裁判官において裁判員の方々に説明をするということが大変に大事ではないかと思っております。
○浜四津敏子君 一部の被害者の方々からはこういう声が出ております。被害者は刑事裁判に参加することを選択した場合には法廷で被告人から攻撃されるなどして二次的被害を被るおそれがある、また出所後に報復を受けるのではないか、こういう恐怖も持つと。逆に参加しない場合には、被害者はその犯罪をそれほど深刻、重大に受け止めていないのではないか、その被害感情が軽く見られてしまうおそれがあるのではないかと、こういう声がございます。 被害者の方は裁判に出るのも怖い、出ないと不利になるのではないかと、こういう葛藤を持つことになるという声がありますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) まず、被害者の方が参加をされる場合の負担あるいは御心配をできるだけ少なくしなければいけないということがあると思います。そのような観点から、この法案におきましても、場合によっては遮へいの措置を講ずることができるとか、付添いの方を付けることができる等の措置を講じております。それらの措置、そしてまた、そもそも裁判手続そのものについて検察官が被害者の方に分かりやすく説明をし、また例えば検察庁では被害者支援員という制度もございますので、それらの制度も活用して、できるだけ被害者の方が参加しやすい状態をつくらなければいけないと一方で思っております。 他方で、やはり裁判には行きたくないし、あるいは行ったとしてもこの参加制度は使いたくないと思われる方がおられるのも当然でございます。その場合には、検察官がその被害者の方々から十分お話を伺って、検察官が行う活動、具体的には論告求刑ということにもなろうかと思いますが、場合によっては被害者の方が情状証人としてなら出てもいいということであれば情状証人として出ていただくとか、現行の意見陳述ならやってもいい、あるいは現行の意見陳述で行くのはどうしても困るけれども書面でだったら出してもいいという方もおられると思います。それらの事柄をできるだけ詳しく御説明した上で、いい方法を選択していき、さらに検察官として必要な活動をしていくということが重要であると思っております。
○浜四津敏子君 今のお答えに関連いたしまして、今回の法案の立案の過程に関連してお尋ねいたします。 この法案は平成十六年の犯罪被害者等基本法に基づきまして平成十七年に策定された犯罪被害者等基本計画を受けたものでありまして、また法制審議会における審議も経た上で立案されたものでございます。 そこで、これらの過程において、被害者の方々あるいは一般の国民の方々の御意見とか御要望というのはどのように酌み取られてこられたんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 犯罪被害者等基本計画ができた後に、法務省で行ったことだけ申し上げますと、合計十二の被害者関係団体の方々からヒアリングを行いました。また、パブリックコメントを実施いたしまして、広く国民の皆様方から御意見を伺ったところでございます。 被害者団体等の方々からのヒアリングにおきましては、被害者参加の制度につきまして、例えば訴因の設定権や証拠調べ請求権を認めることを求める御意見など、現在御提案申し上げております制度よりも広い権利を認めるべきだという御意見もあったところでございますが、その時点では被害者の方々の方からは刑事手続に参加すること自体に反対する御意見はございませんでした。 パブリックコメントにおきましては、多くの方々からやはり被害者参加の制度に積極的な意見をいただいたところでございます。
○浜四津敏子君 被害者参加の制度が導入されますと、被害者の方々、これまでは言われっ放し、あるいは反論の機会もなかったというような不満がおありであった。それとともに、名誉の回復あるいは立ち直りのきっかけにもこの制度は役立つと考えられますけれども、それとは別に刑事訴訟自体には、例えば手続の公平性とか信頼性が高まるなどといったようなメリットはあるのかどうか、お伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) まず、被害者参加の制度が導入されますと、刑事裁判が被害者の方々の心情や意見をも十分に踏まえた上でなされるということがより明確になりまして、被害者の方々を始めとする国民の方々の刑事司法に対する信頼が一層強くなると考えております。また、適正な科刑の実現にも資することになるものと考えております。また、被害者の方々が主体的に参加することによって名誉の回復や立ち直りに資すると、これも刑事司法の立場から考えましても大変重要なことであると考えます。 また、事案によりますけれども、被害者の方々の意見を被告人が直接聞くことなどによって、被告人の理解や反省が深まって更生に資する効果を与えるという場合もあろうかと考えているところでございます。
○浜四津敏子君 刑訴法改正法案二百九十条の二、被害者情報の保護についてお伺いいたします。 公開の法廷において性犯罪等の被害者の氏名等を明らかにしないようにする制度をここで設けて規定しているわけですけれども、この制度は性犯罪等の被害者が公開の法廷で名前を読み上げられることは非常に不快であるとか、あるいは苦痛である、屈辱であるといったようなことを勘案して、刑事手続における保護をより一層手厚いものとする上で意義を持つというふうに思いますけれども、この制度を設けることとした趣旨につきましてお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 基本的な趣旨につきましては、ただいま委員御指摘のとおりでございます。 現行法の下におきましても、検察官が弁護人や裁判所にそういう被害者の方々の氏名を公判廷で明らかにしないということについて協力あるいは同意を求めるということもございまして、その同意が得られた場合にこれを秘匿するという場合もあり得るわけでございます。しかし、このような運用はあくまでもそのような同意等が前提になるわけでございます。 また、こういう措置ができるということを法律上明記することによりまして、訴訟関係者の注意を喚起して、被害者の名誉等が害されることなどを未然に防止することができるという点があると思いますし、さらに、このような措置が可能である、法律上可能であるということ自体が被害者の方々に安心感を与えて、被害の申告や十分な供述をいただくということに資するものではないかと考えているところでございます。
○浜四津敏子君 今回の法案では、被害者に関する情報を保護するためのもう一つの制度として、検察官が証拠開示の際に相手方に対して性犯罪等の被害者の氏名が関係者に知られないようにすることを求める制度を設けております。この制度もこのような被害者を保護するために大きな意義があると考えられますけれども、この制度の趣旨についてお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) この点につきましても基本的な趣旨は委員御指摘のとおりでございます。 これも現行法の下でも、実務上、検察官が弁護人等に対して協力を求める場合もあるわけでございますけれども、そのように求めることができるということを法律上明記することによりまして、検察官や弁護人等の関係者の注意を喚起する、また、そのことによって被害者の名誉等が害されることを未然に防止するということができるわけでございますし、この点につきましても、そういうことが法律上明記されているということ自体が被害者の方々に安心感を与え、被害の申告や供述をいただくことに資することになるのではないかと考えたところでございます。
○浜四津敏子君 次に、この法律案では、刑事訴訟だけではなくて民事訴訟の関係でも犯罪被害者等の保護を図るということとされておりますので、その点について質問いたします。 刑訴法では平成十二年に、被害者に付添人を付ける、遮へいする、ビデオリンクと、こういう保護施策が取られたわけですけれども、その効果は上がっているんでしょうか。 例えば、そこまで保護してくれるのであれば出廷するという被害者もいらっしゃると思いますけれども、どの程度効果が上がっているのか。また、この法案では民事訴訟でこの付添い等の措置が導入されるということになっておりますけれども、その趣旨についてもお伺いいたします。
○政府参考人(寺田逸郎君) まず趣旨でございますが、おっしゃるとおり、これまで民事訴訟については特段の措置は設けられておりませんでした。法廷はどうしても訴訟当事者の便宜というのが優先されるという嫌いがありまして、証人の方がおいでになっても必ずしもその証人の方のいろいろなお気持ち等に対する配慮というのが行き届かないことがあったというのはそのとおりだろうと思います。 そこで、委員も御指摘になられましたように、刑事訴訟法については先行いたしまして、証人の不安、緊張を和らげるために適当な方を付き添わせて証人の証言の便宜を図るという付添いの制度、あるいはつい立てを置く遮へいの制度、あるいは別室に証人を置いてテレビモニターを介して証人尋問を行うビデオリンクの制度、これらが既に登場しているわけでございます。 現在までのところ実績を見ますと、例えば平成十七年を取りますと、付添いについては七十件、遮へいについては千百件、ビデオリンクについても二百十件の御利用がありまして、関係者の話によりますと、思った以上に使われている、利用としては期待されているものであるという評価が出ております。現場の方のお話を聞きましても、これによって非常に証人尋問がやりやすくなった面があるということは評価されているところでございます。これらの実績も一方でございます。 他方で、先ほど申し上げましたように、民事訴訟法についてはこれらの措置というのは全くございませんので、場合によっては裁判官が工夫で訴訟指揮の範囲内で付添いでありますとか遮へいの措置をとっていたことはございますが、やはり制度上もう少ししっかりした制度としての確立を求めるという御提言が犯罪被害者等の基本計画においてございました。 そこで、この法律においては、その後法制審議会等でも御議論いただいた上で、付添い、遮へい、ビデオリンク、いずれの制度も法律上の制度として導入することとしたものでございます。
○浜四津敏子君 今三つの措置の内容について御説明ありましたけれども、そのうちの付添いの措置についてお伺いいたします。 まず、この付添いの制度、どういう人が付添いになることが想定されているのか。通常考えられるのは親とかあるいはカウンセラーなどが考えられますけれども、被害者保護の支援をされている弁護士の方も多くいらっしゃいますけれども、この弁護士も付添人になることができるんでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほど申しましたとおり、この制度の趣旨というのは、あくまで証人等の不安や緊張を和らげることにあるわけでございます。それに最も適するということになりますと、今委員も具体的に指摘されましたとおり、例えば性犯罪によって心的外傷を受けた被害者、これを尋問するような場合における親族あるいは心理カウンセラー、こういう方が付添人としては最も考えられるわけでございます。 ただ、あくまで不安や緊張を和らげるという趣旨に沿うものであれば、おっしゃるとおり、弁護士というものも、まあ本来想定されるものではございませんけれども、弁護士を付添人として充てるということも決して排除されるものではございません。
○浜四津敏子君 次に、大臣にお伺いいたします。 今回の法案においては、いわゆる犯罪被害者保護法を改正いたしまして、被害者の被告人に対する損害賠償請求のための新たな制度として損害賠償命令制度を導入することとしておりますけれども、そもそもどのような趣旨に基づいてこの制度を導入することとしたのか、大臣から御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 犯罪被害者等基本法においては、今御質問になっております被害者参加制度とともに、国の責務として、犯罪等による被害に係る損害賠償の請求の適切かつ円滑な実現を図るため、犯罪被害者等の行う損害賠償の請求について、その被害に係る刑事に関する手続との有機的な連携を図るための制度の拡充など必要な施策を講ずるということが求められております。 多くの犯罪被害者等にとって、現行の制度の下で損害賠償の請求をすることについては、高い費用と多くの労力、時間を要すること、独力では証拠が十分に得られないことなどの様々な困難があり、犯罪被害者等のために十分には機能しているとは言い難いとの指摘がなされているところでございます。 そこで、犯罪被害者等による損害賠償請求に係る紛争を刑事手続の成果を利用して簡易かつ迅速に解決すべく、本制度を設けることとしたものでございます。
○浜四津敏子君 この損害賠償命令制度につきましては、一部ではこの制度に対する懸念あるいは批判もあると伺っております。 そこで、そうした点についてちょっと伺っておきたいと思いますけれども、まず、損害賠償命令制度につきましては、被告人が民事上の不利益を回避するために、民事上の争点についても刑事裁判で争うことによって刑事裁判が長期化してしまうのではないかという懸念が一部にあると伺っておりますけれども、この点についての法務当局の御見解はいかがでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 本制度におきましては、刑事裁判中は民事に関する審理を一切行わず、刑事判決の後に民事に関する審理を行うこととしております。このように刑事と民事の審理を分断することによりまして、刑事に関する審理においては、これまでの刑事裁判と同様に刑事の観点から必要なもののみが審理の対象となって、民事に関する争いは持ち込まれないものと考えております。 また、本制度におきましては、刑事裁判の判決そのものに法的拘束力を認めているわけではございませんで、民事上の争点につきましては損害賠償命令事件の審理等において主張、立証していただくということになるわけでございます。 そのようなことがございますし、また、この判断が出た後に、異議があれば通常の民事裁判に移行するという手続もあるわけでございまして、この制度の導入によって刑事事件の審理が長期化するというおそれはないと考えております。
○浜四津敏子君 損害賠償命令の申立ては刑事裁判の起訴後弁論の終結までに行うと、こういうことになっておりますけれども、このように被害者に刑事裁判中に損害賠償命令の申立てをさせるということになりますと、申立て書などに接した裁判官あるいは裁判員に対して予断を与えるおそれがあると、そういう一部に懸念の声がございますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 御指摘の点につきましては、もちろん申立て書の審査を行うということは、刑事被告事件の実態についての心証形成を目的とするものではないという整理がもちろんあるわけでございますけれども、さらに、本制度におきましては、御指摘のような懸念が抱かれることがないように、損害賠償命令の申立て書に書くことを非常に限定しております。一つは請求の趣旨、二つ目は、刑事被告事件に係る訴因として特定された事実その他請求を特定するに足りる事実等の一定の事項以外の事項を記載してはならないということにしているわけでございまして、この申立てがなされましても刑事の裁判官が予断を持つおそれはないと考えているところでございます。 ちなみに、裁判員につきましては、これは手続に関することでございますので、このような申立て書に接する機会はないわけでございます。
○浜四津敏子君 この制度においては簡易迅速に審理をするということとされておりますけれども、身柄を拘束されている被告人につきましては、例えば刑務所入所後はそう簡単に自由に出廷しにくいと、こういう状況にもあるようですので、そういう場合には民事の審理における被告人の防御権が十分保障されていないのではないかという批判が一部にありますが、この批判に対してはどうお答えでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) まず、本制度におきましては四回以内の期日で審理を終結することができるような事件をやるということで、逆にそれが困難であれば通常の民事事件に事件を移行させるということになっているわけでございます。 身柄が拘束されている被告人の出頭の問題につきましては、これは現在の民事訴訟においても同様に生じ得る問題ではございますけれども、特に本制度におきましては、当事者が出頭しなくても主張を記載した書面を提出しさえすればその主張が裁判の資料になるなど、より柔軟に審理を進めることができるようになっているわけでございまして、本手続において身柄拘束中の被告人の防御権の保障に特段の支障は生じないのではないかと考えております。
○浜四津敏子君 損害賠償命令につきましては、対象犯罪が故意の犯罪行為により人を死傷させた罪又はその未遂罪とかあるいは強制わいせつとか強姦など、一定の範囲に限定されております。被害者の方々の迅速な損害の回復のためには、被害者がいるすべての犯罪を対象とする必要があるとも考えられますけれども、なぜ対象犯罪を限定したのでしょうか、御説明願います。
○政府参考人(小津博司君) 本制度、新しい制度でございますので、円滑に導入して運用していくために、救済の必要性が強く認められ、かつ簡易迅速な手続で審理するのが相当と思われる犯罪を対象とするという考えで立案させていただきました。 対象犯罪につきましては、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪や強姦罪等、類型的に身体的、精神的に疲弊して通常の民事訴訟を提起することが困難であると思われる犯罪でありまして、救済の必要性が強く認められ、かつ刑事手続において認定された事実を基に簡易迅速な手続で民事上の請求についての判断をすることができる犯罪に限定させていただいたところでございます。
○浜四津敏子君 そうであれば、おっしゃる趣旨は分かりましたけれども、なぜ業務上過失致死傷、また本日施行だったでしょうか、自動車運転過失致死傷をその対象犯罪から除外したのでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) お尋ねの業務上過失致死傷罪あるいは自動車運転過失致死傷罪でございます。非常に重大な深刻な事故も多いわけでございます。ただ、このような事案につきましては、民事上の争いは、過失がそもそもあるかないかということよりも、双方にどの程度過失があるかという、いわゆる過失割合が問題になることが多いと理解しておりまして、この過失割合の問題になりますと、先ほど私が御説明申し上げましたように、刑事裁判と民事裁判の手続は遮断されてはおりますけれども、過失について刑事で双方の主張、立証活動が行われる中でその争いが持ち込まれるおそれもあり得るのではないかというのが一つでございます。 それから、このような過失割合等の審理は大変に専門的でございまして、現に交通事件の専門部や集中部が設けられている裁判所もあるわけで、かなり専門的な判断を要する事項が多いのではないかと。また、保険会社が絡むような事件につきましては、保険会社も絡めて解決する必要があると。 このようなことを考えますと、本制度のような簡易迅速なやり方になじまないのではないかと考えられまして、対象から外させていただいたということでございます。
○浜四津敏子君 次に、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律の一部改正の三条及び三条の二についてお伺いいたします。 ここでは公判記録の閲覧、謄写の範囲を拡大するということになっておりますが、その概要と趣旨をお尋ねいたします。
○政府参考人(小津博司君) 現行法は、被害者等による公判記録の閲覧、謄写につきましては、被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認められる場合等正当な理由がある場合で、かつ相当と認められるときに限り例外的にこれを許すことができるとしております。 しかし、被害者の方々が自らが被害に遭った事件の内容を知りたいという心情から、その被害に係る刑事被告事件の公判記録の閲覧、謄写を望むということは当然のことでございまして、このような要望については法律上も十分に尊重すべきものと考えられます。 そこで、本法律案では、被害者等による公判記録の閲覧、謄写については原則としてこれを許すこととした上で、例外的に閲覧、謄写を求める理由が正当でないと認める場合、又は相当でないと認める場合に限ってこれを許さないこととし、これが認められる範囲を拡大することといたしました。 さらに、現行法はいわゆる同種余罪の被害者による公判記録の閲覧、謄写を認めておりませんでしたが、このような被害者の方々については、一般にそのような余罪と同種の既に起訴された刑事被告事件の公判記録中に自らの損害賠償請求権の行使のために必要な証拠が含まれている蓋然性が類型的に高いと考えられますので、既に起訴された刑事被告事件の被害者等と同様に、これは自らの損害賠償請求権の行使のために必要だという要件が付いておりますけれども、閲覧、謄写を認める制度を導入することとしたわけでございます。
○浜四津敏子君 次に、与党案提案者にお伺いいたします。 今回の法案について、衆議院において与党の提案によりなされた修正について、まず第一点目、明確にお答えいただきたいと思いますが、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすると、この規定を追加することとされたところですけれども、この修正の趣旨についてお尋ねいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) この附則第九条の趣旨でございますけれども、本法律案は、犯罪の被害に遭われた方々、その遺族の方々が刑事裁判に参加する、あるいは損害賠償について刑事裁判の成果を利用する、あるいは今委員がいろいろと御質問されました公判記録の問題、あるいは犯罪被害者の情報の保護の問題等々、非常に新しい制度、これを創設しているわけでございまして、これはやはり犯罪被害者基本法、平成十六年、そしてまた平成十七年の基本計画、それによって刑事司法は犯罪被害者等のためにも存在すると、こういう理念にのっとって、犯罪被害者の個人の尊厳、これを守るためにこういう新しい制度ができたわけでございます。 そういうことで、この施行が一年六か月後であるわけでございますが、二年後にはまた裁判員制度の導入、これもあるわけで、刑事裁判自体は大きくこれから変わろうとしておるわけでございます。そういうことで、本法律案自体、内容自体は訴訟構造を変えないで、そして被告人のことも考え、また犯罪被害者のためにも刑事裁判があるんだということでそういう新しい制度を設けて、私は非常にバランスの取れた法律案だと思うわけでございますけれども、施行して、実際その中で、衆議院の法務委員会において、また参議院の法務委員会においてもいろいろ議論がありました、あるいは私どもも視察も行きました、参考人のいろいろ御意見も賜りました。そういうことで、いろいろな御懸念も表明されているわけでございます。そういうことで、私どもは三年間これを施行して、そしてやはり三年という区切りを付けて、そこでもう一度その施行の状況、結果というものを踏まえてこの法律を見直す必要があると、こういうことで今回こういう規定を設けたわけでございます。 そして、犯罪被害に遭われた方々やその遺族の方々の権利利益の保護が一層適切に図られるようにするものになるんだと、こういうことで民主党さんともかなり修正協議もやりました。そういう中でこの三年間の見直し規定というものを置こうと。これを置かないのと置くのでえらい違いだと私思いますよ。本当にある新聞の社説でも大変評価していると、こういうことでございました。よろしくお願いします。
○浜四津敏子君 修正の二点目である弁護士による法的援助についてお尋ねいたします。 被害者参加の制度においては、被害者本人だけではなくてその委託を受けた弁護士も被害者に代わって一定の訴訟活動を行うことなどが認められております。被害者の方々の中には、このような弁護士を通じて刑事裁判に参加したいと考えても、その費用を捻出することが困難であることからあきらめてしまうという方も出てくるのではないかと思われます。 被疑者、被告人につきましては国選弁護人の制度があるということを考えますと、本制度によりまして参加される被害者の方々について、これを支援する弁護士の費用を公費で賄う制度を導入すべきではないかと考えております。 この点に関しまして、今回、与党の提案によりまして、政府は、被害者参加人の委託を受けた弁護士の役割の重要性にかんがみ、資力の乏しい被害者参加人も弁護士の法的援助を受けられるようにするため、必要な施策を講ずるよう努めるものとするという規定を追加する修正がなされたところでございますが、この修正の趣旨についてお伺いいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) これも本当に私も法務省といろいろと議論しながら、これ絶対にこういう規定を置くべきだと、こういうことで強く言いまして、そして民主党さんもよく入れられましたねなんていうお答えもいただきました。 とにかく、犯罪被害者が法廷のバーの中に入る、そして被告人質問をする、あるいは証人尋問をする、そして事実だとか法の適用について意見を述べると、こういうことであるわけでございますけれども、犯罪被害者の中に慎重な、このことについて慎重な御意見の中に、やはり参加したくても心の傷を負っていて参加できない、それから次々と進む審理に付いていけるか心配である、あるいは自らの立ち居振る舞いが、これが裁判員の判断を左右してしまう、そういうことで望む結果が、判決が得られなくなるかもしれないとか、非常に不安があるわけですね。本当に大きな犯罪の被害の痛手を受けて、そして、我々でも緊張するんですよ、弁護士でも緊張するその法廷のバーの中に入って、そしてこういう形をやるわけですから、やはりその弁護人というのをきちっと置くということがこの犯罪被害者の刑事裁判参加制度にとって非常に大事なことだと。大臣もその重要性についてお認めになっていたわけでございます。 そういう中で、資力の乏しい方についてはやはり公費でもってやるべきだ、このことはこの犯罪被害者の基本計画に基づいて、今、内閣府においてもこの経済的な支援についての検討会、ここで議論もされて、十二月末には結論を出そうと、こういう状況であるわけです。 ただ、それを、内閣府のそういうものを待っているんじゃなくて、我々立法府の良識として、やはりこの法律に今回、附則にこの十条を盛り込んでいこうと、こういうことで、これを盛り込むことによって一段とこの制度というものが前に進むということで、必要な措置を講ずるよう努めることについて政府に求め、そしてそのことを法律に規定したと、こういうことでございます。
○浜四津敏子君 最後に大臣にお伺いいたします。 今回の法案に盛り込まれた新たな制度の導入に向けた法務大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 本法律案によって創設しようとしております被害者参加の制度あるいは損害賠償命令制度というのは非常に画期的なものでありまして、これからの刑事裁判を大きく変えるものであると思いますし、これは犯罪被害者等基本法に書いてある被害者等の権利利益の保護を図るために国の責務として講ずることを求められていた施策の一環ということで大変重要な法案であります。このことは犯罪被害者等の方々からも早期の実現を強く求められてきたものでありまして、是非成立をさせていただいて、これが真に犯罪被害者等の方々の個人の尊厳に資するものとして適正に、円滑に運用できるように全力を挙げてまいりたいと思っております。
○浜四津敏子君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 私は、被害者の方々の刑事司法への関与というのは、憲法で言いますと十三条に由来をする権利ではないかと思っております。ただ、その具体化については、今日も様々議論があっておりますけれども、幾つもの課題があって、慎重な検討が必要だと思っております。 そこで、大臣、通告しておりませんでしたけれども、一問だけ、被害者参加制度と冤罪事件の関係をどう考えるか、その御所見を聞かせていただければと思うんですけれども、冤罪が過去のものではなくて、今年も、例えば佐賀の北方事件、これは三名の女性に対する殺人で起訴をされた被告人が、無罪が今年確定をしたという事件です。富山の冤罪事件については、私も大臣に質問もさせていただきましたけれども、これは刑務所を出所後真犯人が現われたという強姦未遂事件なわけですね。北方事件は被告人あるいは弁護人によって公訴事実が争われた事件です。だけれども、富山の事件は公判廷では事実が争われなかった。それで、無実の人が受刑もされて、出所をされた後に冤罪であるということが分かったと。公判廷で事実が争われなかった事件でもこのような重大な冤罪が引き起こされたということ自体が私は大変な衝撃でございました。 仮にこれらの事件で今議論をしております被害者参加が認められていたとすれば、被害者としても全く的外れの対象に対して対峙をさせられていたということになるわけですね。この誤判あるいは誤った起訴、これはこれからもあり得るということと被害者参加の制度というのをどのように考えたらいいのか、大臣はどんなふうにお考えですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 正に初め、通告なかったんで感じたまま申し上げさせていただきますが、この二つを対比するというのか、同じものとして議論することなのか。やはり冤罪事件、いわゆる冤罪事件といいますか、罪を犯さなかった人が罪になる、あるいは罪を犯した人が罪を免れるというようなことはやっぱりあってはならないわけで、その間にいろいろここでも議論になったようなことがないようにしなきゃならぬというのはそのとおりだと思いますし、一方、被害者の方々の権利保護ということも大事なことでありますので、そこに被害者が参加をすれば、どちらかがどうかなってどちらかがどうなるという関係で議論をするのが適切なのかどうかなと。そういう観点よりも、そういう犯罪を犯したのに犯さなかったとか、あるいは犯してないのに犯したというようなことにならないような取調べや裁判の仕組み、あるいは被害者の方々のお気持ちがちゃんと伝わるような仕組みというものをどうつくっていくかという問題ではないのかなと。 ちょっと答弁になったかどうか分かりませんが、率直に申し上げさせていただきました。
○仁比聡平君 私、なかなか難しい問題だと思うんですよね。ここが、私の我田引水なのかもしれませんけれども、当事者主義的訴訟構造と今度の被害者参加制度がどのようなかかわりになるのかというテーマで議論をされているのかなというふうに思いますので、少し局長にお尋ねをしたいと思うんですけれども。 私の理解で言いますと、刑事司法には常に、今冤罪という言葉で紹介をしましたけれども、無辜の処罰の危険が付きまとうというために、一方では実体的な真実の発見に迫らなきゃいけない、もう一方では、無罪推定、無辜の不処罰ですね、この一見相反するような要請を果たさなきゃいけないと。これはどの国でも同じだと思いますけれども、それぞれの国の法文化や歴史の中でそれぞれの訴訟構造がつくられてきて、我が国においては、戦後、当事者主義的な訴訟構造と呼ばれる制度が導入をされて、仕組みが導入されて、これが定着発展をしてきたということだと思うんです。 これも私の理解ですけれども、その中核に、中核部分に、当事者、検察官と被告人、弁護人というこの当事者が真摯に攻撃、防御を行うということが中核にある。つまり、有罪か無罪か、あるいは有罪であったとしてもいかなる量刑が適正かという点について、刑事裁判というのはこれは激しいぶつかり合いになる、激しい訴訟行為が行われるということが私は始めから想定されていると思うんですね。当事者の主張はそうなるんだけれども、あるいは立証活動はそうなるんだけれども、そしてその中で訴訟指揮権を裁判所は持っていますが、だけれども、裁判所が何でもかんでもその激しいぶつかり合いを抑制していいというものではなくて、訴訟関係人の本質的な権利、これを害することは裁判所であってもできない。そういう意味で、公平中立な判断権者にならなきゃいけないという、そういう構造なのではないかと思うんです。 今回の法案に関連をいたしましても、被害者の方々の参加をされた後の訴訟活動について二百九十五条が引用をされています。二百九十五条の一項では、訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り裁判長は制限できるというふうになっておりまして、だったらば、この法案で参加をすることができるようになる、その参加後の被害者参加人の本質的な権利というのは何なんだろうかと。ここが衆参通じて、私も昨夜大分時間を使って衆議院の会議録も読んだんですが、全部、きちんと語られていないように思いまして、局長にちょっとお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) まず、被害者参加人は、検察官そして被告人、弁護人と並ぶ意味での当事者ではないという整理をまずしております。 被害者参加人がどのような立場でこの刑事裁判に参加するのかという点につきましては、正に事件の当事者として、そして犯罪被害者としての尊厳が尊重されなければいけない、それを刑事裁判の場に参加するという形で実現しようということでございまして、言わばこれまでの検察官や被告人、弁護人とは違う特別の地位が与えられるものであるというように理解をしているものでございまして、そのような被害者参加人の立場というものがコアになるであろうと。 先ほど御指摘のありました刑事訴訟法の規定との関係で申しますと、正に両当事者である検察官あるいは被告人、弁護人の訴訟活動につきましては、当事者主義の下で、それを裁判所が制限するという場合にも、言わば相当慎重にと申しますか、両当事者がきちんとやれるようにするということを考えながら制限していくんだと思います、必要な場合には。 しかし、この被害者参加人につきましては、そもそもその権限の行使につきまして非常に大きな制約があり、裁判所の方が相当と認めて初めて許されるという立場でございますので、どの程度の裁判所の介入が許されるかということにつきましては、その両当事者とはおのずから違いがあるのではないかというふうに理解しております。
○仁比聡平君 今の局長の答弁から拾い上げますと、一定の要件の下に裁判所が認めたという場合に与えられる特別の地位というようなお話なんですけれども、これでは、結局、裁判長が許可をしたときにその許可の対象になった事々について法律上生まれる権能というくらいの意味にしかならなくて、何がそれらの権利や訴訟上の地位の本質なのかというのが分からないんですよね。 当事者主義の私なりの理解は、先ほど局長もうなずきながら聞いていらっしゃいましたのでそんなにさほど違いはないんだろうと安心もしているんですが、被害者の方々が実際に参加をされたときにその訴訟活動がどのようになるかというのは、これはもう被害者の方々それぞれなんだろうと私は思います。実際に御自身が予想されなかったような、そういう場面が法廷で生じて感情的になるなという方が僕はおかしいんじゃないかなというふうにも思うんですよ。それは実際に私も刑事裁判もたくさん経験をしてまいりましたが、検察官やあるいは弁護人だってそうであって、その熾烈な争いの中から真実の発見、そして無罪の推定が図られていくという、そういう攻撃、防御の中に被害者の方が参加するという、そういうことなんだろうと思うんですね。 そうしますと、この被害者の方々が参加をして裁判長なりから制約をされる、あるいは検察官がこれは相当でないといって意見を付して裁判長に言うという場面というのは一体どんな場面になるんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) その前提として、先ほど私が答弁したことを補充させていただきますと、犯罪被害者等の基本法の基本理念で、すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有すると書かれておりまして、正にこの権利が被害者参加人が参加を認められる基本であろうと思っております。 先ほど私が当事者とは違っていろいろと制約を受けると申し上げましたのは、この権利を、これを背景にして具体的にいろいろな活動をやっていただく際に、現在の訴訟当事者と同じようにやっていただいてはいろいろと不都合が生じるかもしれないということで、かなりきついとも見える要件を課し、また混乱が生じたら裁判所が止めたりするということを予定しているわけでございますけれども、どうして被害者の人がいろいろできるのかということについては、単にいろんなことが認められる、裁判所によって認められる単なる集合体であるということではなくて、基本はこういう精神があるんだろうというふうにまず考えております。 そういたしますと、どのような場合に裁判所がその活動を止めたり、検察官が不相当だと言うのかということにつきましては、やはりこの尊厳という観点から、ふさわしいことについてはやっていただくんだけれども、それはやはりこの法律に従ったことをやっていただく必要がある、そして被害者の方々の活動によって法廷が混乱するということが万が一にもあってはいけない等々のことがありますので、そのようなことを考えながら裁判所も検察官も活動していくのではないかと理解しております。
○仁比聡平君 そうしますと、被告人、弁護人の側で被害者参加人やその代理人の訴訟活動について例えば異議を出すというような場面においても今のような考え方が裁判所の訴訟指揮の判断基準になるのではないかと、そういうお考えですか。
○政府参考人(小津博司君) 基本的にはそのような考えでございまして、もちろん、それぞれの行為を認める要件等々につきましてはこの法律の条文の中で規定しているわけでございます。
○仁比聡平君 ちょっと別な角度で聞きますけれども、多くの国民の皆さんは、検察官の独占をしておられる起訴独占主義や公判維持の活動ですね、これは被害者を中心とした被害感情を含めた公益の代表というふうに理解をこれまでしてきたんだと思うんです。今の局長のお話であれば、そこには、その構造には限界があるということなんでしょうか。今日も、前川議員などからも、検察官の行為と被害者の行為、訴訟行為ですね、この本質的な違いはどこにあるのかというテーマが質問されていたと思うんですが、この辺り、どう考えたらいいんでしょう。
○政府参考人(小津博司君) 検察官としては、その活動をしていく中でできる限り被害者の方の気持ちを酌む、あるいは被害者の方の置かれた状況をできるだけ裁判所に顕出するということをこれまでにも考えてやってきたつもりでありますし、現にやってきた、あるいは少なくともやろうと努力をしてきたと思います。 むしろ、比較的最近、例えばここ十年間ぐらいの間に犯罪被害者の方々の声が大変強くはっきりと私どもの耳や心にも届くようになりまして、そのことによって、我々検察としてはそういうつもりでやってきたけれども、被害者の方からすればそれが証拠としてしか扱われていないというふうに受け止められたり、それから検察官でございますので、幾ら被害者の方がかわいそうだとは思っても、やはり法律に基づいて、あるいはやはりほかの事案とのバランスというものを考えてここまでしかできないということがあるわけでございます。 そのことをむしろ犯罪被害者の方々が、やはり自分たちと検察官というのは違う面があるんだから、だから被害者の権利として一定のことができるようにするべきだということを強く御主張されるようになり、検察の方としても、もちろん運用面でできるだけのことはいたしますけれども、そのようなことを強く認識するようになってきたといういきさつではないかと理解しております。
○仁比聡平君 今のお話ですと、そうすると、検察官が職務上といいますか、他の事件との均衡だとか、あるいは法律上の解釈だとか、あるいは事実認定について証拠の見方が違うとか、そういうようなことで被害者の方々の意に沿えないということがあった場合に、被害者の方々は、その検察官の言わばのりを越えてといいますか、そのような立場で訴訟行為を行うのが本質なんだということになるんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) そののりを越えて行うのが本質かと言われますと、その意味が、例えば訴因設定権も持つべきということが本質であるかというようにも理解されるのでございますけれども、現に被害者の方々の御意見の中には訴因設定権あるいは独自の上訴権も認めるべきであるという御主張もあったわけでございます。 ただ、それにつきましては現行法の基本的な枠組みを崩さないということで今のような制度になったわけでございますので、そういう意味で、公訴官としての検察官の役割を自分たちも行う、あるいはそれ以上のことを行うという意味でもし委員がのりを越えていると言われるのであれば、それはそうではないだろうと。ただ、検察官と被害者の方の立場というのはやはり違うと、あるいは違う面があるということは前提になっている制度であると思いますし、また現にそこはどうしても違う面があると考えております。
○仁比聡平君 声が出ているように、検察官と被害者の役割、立場が違うということは、これはみんなそうだと思っているんですよ。訴訟行為を行う地位をこの参加という形で持つということの提案をされているから、その本質は何かということが問題に私はなるんじゃないかと思うんですね。 というのは、直接的関与という基本計画の言葉を踏まえて、主体的な参加が必要だという、その主体性というのがテーマになっていますよね。これちょっと比喩的な表現で意が伝わらないのかもしれませんが、犯罪によって被害にさらされて人間性が否定をされる、尊厳が傷付けられる。これを、主体性を取り戻して訴訟に参加をすることによって回復をするというような考えが、名誉回復とか、この中での立ち直りとかいう言葉で語られているのかなというふうに私は少し理解を今しているんですが、主体性というのは、具体的な場面で言いますと、被告人、弁護人の側からはもちろんのこと、検察官や裁判官からも、裁判所からも侵されない本質があると、なければ与えられたプレーをするしかないという、そういうことになって、主体的じゃなくなりませんか。何が被害者の参加の本質なのかということなんです。
○政府参考人(小津博司君) 主体的という概念に関して申しますと、以前から被害者の方は、検察官が情状証人として法廷に来てもらって証言をしたいと思った場合には、もちろん被害者の方がそれでいいと言われればですが、来て証言をしていただいていたわけでありまして、その際には被害者の方の苦しい思いなども述べていただいていたのであろうと思います。しかし、そこが正に被害者の方々からすれば、検察官が法廷に出てほしいと思うときにだけ呼んできて証人として立てるということになるわけでございまして、そこは主体的ではないということであろうと思います。 今回の被害者参加制度につきましては、もちろんいろいろな制約やら要件やらがございますし、裁判所が相当と認めてというのがありますけれども、基本的には犯罪被害者の方が参加をしたいと言うことによって参加が実現する、また、証人尋問や被告人質問や意見陳述もそのような流れの中で実現するわけでございますので、現在の意見陳述制度をちょっと抜きにいたしますと、その前の証人として証人に呼ばれるということと今回の制度というものを対比すれば、正に主体的にという言葉が当てはまる法案ではないかなと考えております。
○仁比聡平君 公判期日を知らされることすらなかったという完全な置き去り、疎外という状況の当時の被害者の方々の思いというのは、本当にどれほどのものかと改めて思いますよ。だけれども、その苦しみと今回の法制度の提案、その一つ一つの制度がストレートに結び付いて、だからというふうになっているとはちょっと私は思えない。 時間がありませんから、そのことだけ申し上げて、次回に譲って、条文の関係をちょっと伺っておきたいんです。 先ほども議論ありましたが、参加の規定、三百十六条の三十三の参加の申出の時期について、ここ法文上は何ら制約はないのだと思うんですね。日本の刑事訴訟の構造は、これはアメリカなど陪審を取っているところと違って、事実審理と情状立証、いわゆる量刑判断が同時に進行する、分離されていないというところに大きな特徴があるのは、これはもう共通の了解事項だと思うわけです。 そのときに、被害者の方々が、事実がシビアに争われている、例えば被告人の捜査段階での自白調書の任意性が焦点となって、この任意か否かというテーマが取調べ官などを呼んで延々と行われていると。この中で、被告人自身が質問をするということ、被告人質問が行われるということがあるわけですけれども、このときに被害者が参加をして、その被告人質問で物を言う、質問をするということはあるんでしょうか。その参加の申出がなされれば、どの時期にも認めるということになるんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 参加の申出は、公訴の提起後、その被告事件が終結するまでの間にいつでもできるわけでございまして、参加の申出があって認められますと、基本的にはバーの中に入って在廷するわけでございます。つまり、バーの中でずっとその公判の行方を見ていると申しますか、聞いていると申しますか、そういう状態になるわけでございます。 そして、それ以上の訴訟活動につきましては、証人尋問については情状証言を弾劾する必要がある場合、それから被告人質問をするかどうか、そして最後に意見陳述をするかどうかということが出てくるというわけでございまして、参加そのものはしてバーの中にいると。そして、委員御指摘の点は、そのような被告人質問でも参加人がするのかということは、またちょっと別の観点から考える必要があるのだと思います。
○仁比聡平君 時間がありませんから、もう一問聞いておきたいんですが、つまり、随分制約された要件でというふうに局長、今日もおっしゃっているんですけれども、実はそんなに制約にはなっていないのではないのかなという受け止めもしているんです。 例えば、この三百十六条の三十三が、先ほど前川議員の質疑に触れられていましたけれども、犯罪の性質という考慮事項を挙げているが、ここには審理の状況というのはないんですよね。 被告人質問に関して最後に一問お尋ねしますが、被告人質問の要件はこの法律の規定による意見の陳述をするために必要があると認める場合ということであって、今度新設をされる意見陳述というのは三十八で事実又は法律の適用について意見を陳述するということで、これはつまり認められればですけれども、相当と認められればですけれども、被告人に対しては犯罪事実に関しても、その犯行に至る経緯や動機等々犯情に関する部分に関しても、もちろん情状に関する部分についても、あるいはこれからの更生の意欲などに関しても、すべてにわたって被害者参加人は質問できるということになるんじゃないんですか。
○政府参考人(小津博司君) その前提としていろいろな制約があるということを省きますと、こういう事項については質問をしてはいけない等々のことはないわけでございます。しかし、もちろん被害者参加人としての意見陳述はその訴因の範囲内で行われなければいけませんから、それからはみ出したような事柄について聞くということは許されませんけれども、その範囲内の事柄であれば事実関係についても被害者の人が聞くことができるということは間違いございません。
○仁比聡平君 本当に十分な審理を尽くしていかなければならないなということを改めて申し上げまして、今日は質問を終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。 私は、犯罪被害者の支援、大変重要なものであるというふうに考えておりますが、しかし、今の時点で直ちに被害者参加制度を導入するということにつきましては、刑事裁判の構造だとかあるいは本質とのかかわりでいろいろ問題があるんではないか、これは慎重に検討しなければならないんではないか、こういうふうに基本的に思っているものでございます。今日はそういう立場から、被害者の参加の問題に絞って、短い時間でありますが、質問をさせていただきたいというふうに思っています。 まず最初に、今ほどの議論の中で、訴訟当事者がいる、それ以外に今度は参加という形で被害者が入ってくる、被害者は訴訟当事者とは別の特別な地位なんだという性格付けが局長の方からございました。今日聞いていてかなり、ああ、今まで分からなかったこと、もやもやしていたことが少し分かったなというふうに思いました。それはなぜかといいますと、この法案だけ見てみますと、さっぱりよく分からない、訴訟当事者とその被害者参加人の関係がよく分からなかったんですが、今ほどの局長の話で多少分かったような気がしました。 しかし、その性格をより明確にするためには、この法案だけでは少しまずいんではないかと、被害者参加人ができることとできないこと、言い換えれば、裁判所が介入をしてストップを掛けるところ、被告弁護人がどういうときに介入ができるか、こういうことについてはよりきめ細かくやっぱり定めないとちょっと困る事態が法廷に出現するんではないかなと、こういう思いが非常にするわけでございます。 そこで、最初にお聞きしたいのは、これ通告はなかったんですが、今後、この法案が通った後、刑訴規則等を作って、制定あるいは改正をして、より被害者参加人の地位を明確にするというようなことは考えておられるのかどうか、これは通告しておりませんけれども、お聞きしたいというふうに思います。これ、どこになるのかな、最高裁。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答えを申し上げます。 この法案が成立しましたら所要の規則を制定していくつもりでございますけれども、今具体的にどういう内容のものを作っていくか、まだ法案成立しておりませんので、今後具体的に検討してまいりたいと思っております。
○近藤正道君 分かりました。 じゃ、具体的な質問に入りたいというふうに思いますが、三百十六条の三十三の関係でございます。 参加の決定の時期のことでございますが、裁判所は犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮して参加を許すかどうかを決定する、時期については定めていないと。今ほど来の話であればいつでも決めることができるということでございますが、私もやっぱり冤罪との関係で、刑事事件の場合は争う事件と争わない事件があると。争わない事件についてはいつでもということで何も構わないんだけれども、争う場合、無罪を激しく争うような場合に、決定の時期というのは非常にポイントではないかなというふうに思っておりまして、基本的に第一回の言わば罪状の認否で、被告人の認否だとかあるいは検察官の立証の状況だとか、ある程度分かった段階で決めるべきではないかと。 とりわけ、激しく無罪を争っているような場合には、私は極力、被害者参加人についてはやっぱり慎重であるべきだと、できればぎりぎりまでこれは認めるべきではないんではないかなと、こういう思いがしているわけでございますが、法務省としてはどういうふうに考えておられるのかということが法務省にお聞きしたいこと。 もう一つは、最高裁の方に、無罪を争っているときに裁判所が判断をする相当の場合、この無罪を争っている場合というのは、非常に否定的に抑制的に被害者参加人の決定というのはやっぱり私はやるべきではないかというふうに思うんですが、どういう方向でこれを決めるのか。法務省と最高裁にお聞きしたいというふうに思います。
○政府参考人(小津博司君) 被害者の方が参加する時期でございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、公訴の提起後、終結するまでの間なんでございますけれども、それは被害者参加の申出をする時期のことで、基本的には申出をする時期のことでございます。 で、公訴提起後、第一回公判期日前に、例えば公判前整理手続をやっているときに既に被害者の方が参加をしたいと言われる場合、もちろん御意向は伺いますけれども、それは普通は第一回公判からバーの中に入りたいという申出であると理解されるわけでございます。それに対して裁判所が、いやいや、それはやっぱり申出は今受けたけれども、実際にバーの中に入ってもらうのはずっと後だよというのは、基本的にはこの制度は予定しておりません。もちろん、参加をこの時期に認めるのがいろいろな意味で非常に相当ではないという場合には、じゃ、今回はやめて次の回からというのはあり得るわけでございます。 委員御指摘の事実関係が争われている、特に被告人が自分が犯人ではないと言っている事件につきましても、もちろん被害者の方は、そのような事件がどのように審理されてどのように判断されるのかということにつきましては重大な関心を持っておられるわけですし、その関心は我々として大いに尊重して法律に反映しなければいけないと考えているわけでございますので、そのような観点からは、争われている間はちょっと御遠慮いただこうかという考え方はこの法案は取っていないわけでございます。 しかしながら、被害者の方々に刑事裁判の仕組み、そしてこの事件が実際にどういうようにして動いているのかということは、できる限り客観的に正確に理解していただくということがいろいろな意味で大切でございまして、これはまずは最もよく接触いたします検察官の方で、この事件は、こういうことで被告人は自分が犯人ではないんだと言っているということも含めてよく御説明をして、そうすると、公判というものはどういうふうに主張、立証活動が行われていくのかということについても理解をしていただくということが大切だというふうに認識しております。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 公訴が提起されまして、そうしますと、委員御指摘のように公判前整理手続が行われることになると思いますけれども、まあ裁判員裁判の場合はですね、そういった中でいろんな事情が分かってくる。あるいはそうでない事件の場合は事前準備なんかが行われるとある程度の事情が分かるかもしれません。そういった過程の中で、もしその第一回公判期日前に被害者参加人の方からそういう参加の申出があった場合にどうなるのかと。これは、実際にはこの法案が成立しましたら、この法案に書かれたような要件を個別の裁判体がいろんな事情を判断しながら決定するということになろうかと思います。 ですから、具体的にはどうだということは直ちには申し上げられませんが、抽象的に申し上げる、一般的に申し上げれば、それは第一回公判期日前に、決定の時期が制限されているわけではございませんので、第一回公判期日前にそういう参加の決定がされるということはあり得るだろうとは思います。 おっしゃられました争いがある場合ですね、そういう無罪が争われているとか、犯人性が争われているというような場合には、こういう事情をどういうふうに考えるのかということですけれども、これは被害者参加を相当として認めるかどうかということは様々な事情をいろいろと考えなければいけないということですので、委員御指摘のような事情をどのように考えるかと、これはもう一概にはちょっと申し上げられないように思っております。
○近藤正道君 一般論で大変聞いて恐縮でございますが、無罪を争っている、犯人性を争っている、先ほど話がありましたけれども、調書のその任意性を争うというときに、その段階から被害者参加人が入って任意性をめぐるいろいろ質問、尋問に被害者が参加するということはあり得るんでしょうか。これは積極的に認めていくんでしょうか。私は、いろいろ問題が出てくるんではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 任意性をめぐる証人尋問につきましては、その証人について被害者参加人の方が尋問するということは認められないわけでございます。情状証人ではございません。 それから、被害者参加人の方につきまして、全く一般論で申しますと、ある特定の公判期日についてだけ今日は御遠慮いただきたいというふうにすることもできるわけでございますけれども、今御指摘の任意性を争われているという、まあ公判の段階といいますか、これが犯罪被害者との関係でちょっと御遠慮いただかないような事情になるのかどうかということにつきましては、どうなのかなという感じが率直なところいたしますが。
○近藤正道君 多分これは具体的なケースでいろいろ争いになるんだろうというふうに思っています。だから一般論で聞いてもちょっと難しいかなと思いながら、私も刑事法廷に以前立っておりましたので、そこら辺のところが大変気になりまして今聞いたわけでございます。 次に、被害者参加人の被告人質問についてお尋ねをしたいというふうに思います。 いろいろお話を皆さんから承りまして、被害者の人間の尊厳の回復、多分ここなんだろうなと。被告人質問の過程の中で何かを引き出すということよりも、引き出すということはもちろんあるけれども、それ以上に被害者の人間性の尊厳回復、ここにポイントがあるんだろうなというふうな、私自身はその受け止めをしております。そういう意味で申し上げましても、被害者の被告人に対する質問というのは、被害感情をぶつけるという、そういう側面はやっぱり出てくるだろうと。これは、そういうことがないといっても、やっぱりそういう事態にならざるを得ないということは否定できないんではないかと、私は自分の実感からそういうふうに思います。 そういうときに、果たして、被告人はともかくとして、被告のその弁護人は本当に間髪を入れずに様々な異議申立てとか攻撃、防御が尽くせるんだろうかという不安がありますし、裁判所もいろいろこの制約は掛けていると、範囲を逸脱すれば止めると、法廷の秩序を維持するためには果断に動くというふうに制度としてはなっていても、果たして被害者の本当に心からの叫びがあったときにその辺のところを十分に行使できるんだろうかと、私はやっぱりその辺のところ大変やっぱり心配です。 そういう意味では、先ほど来議論がありますけれども、刑事法廷というのは訴訟当事者がやっぱり本当に一〇〇%フルに攻撃、防御を尽くして、そしてその中からやっぱり真実が浮かび上がってくると、そういうものだというふうに思っておりますんで、本当に攻撃、防御がしっかりと果たされていくのかどうか非常に不安がありまして、法廷が真実発見という点では萎縮をしていくんではないか、そういう不安を私自身は率直に持ちます。 被害者のその参加制度の意義というのは認めた上で、なおかつその辺の不安は消し去ることができない、消し去ることができないわけでありまして、そこで、今の段階でこういう質問をするのはいかがかなとも思うんですけれども、被害者の被告人質問について、直接被害者が被告人と対峙しないでいいように、被害者から委託を受けた支援弁護士だけが質問できるとか、あるいは検察官が十二分に被害者の意向を聞き取って、そしてその意思を体して質問を被告人に対して行うと、こういう制度設計というのは取れなかったんだろうかと。当事者主義の構造を取るアメリカとかイギリスというのはなかなかこういう制度はやっぱり設けてないということから考えましても、なぜ検察官との関係を密にする中で被害者の皆さんの思いを被告人の質問の中に生かすという方法がぎりぎり取れなかったのか、法制審の中の議論も含めてお聞きしたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 被害者の方の思いを被害者本人ではない人が法廷で話をするという場合に、委員御指摘の中で、それが検察官である場合と、それから被害者の代理人、被害者に付いている弁護士である場合とは異なると思います。 検察官の場合には、先ほど来も御答弁申し上げておりますけれども、やはり検察官として、できる限り犯罪被害者の方のためにと思いましても、やはり公益の代表者として公訴の遂行に責任を持つという立場からいたしまして、それが矛盾がない場合もありますけれども、矛盾が出てくる場合もあり得るわけでございます。そこを、被害者の方が特に言っているので、まあ言わばまげて検察官がやるのがいいかということになりますと、むしろそこのところが現在の刑事訴訟の根幹にかかわる部分が出てくるのではないか、つまり検察官の役割が本質的に変わってくる面があるのではないかと思われます。 〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕 もう一つ、弁護人が付いた場合にどうかということでございますが、現実に弁護士の方が被害者の方に付いた場合には、この法案によりましても、被害者が直接やらないでその弁護士の方がやれるという制度にはなっておるわけでございますけれども、必ず弁護士でなければできないという制度にいたしましたときに、果たしてすべての方が弁護士が付けられるだろうかという問題と、それから、被害者の方の中にはやはり自分の生の声で語りたいという場面やら気持ちやらがあるということにどうこたえるかと、そういう問題があるのではないかと考えております。
○近藤正道君 私は、本人が尋問をする、質問をする、それを全否定するわけではないんですが、私自身の体験から見ても、あるいは結局その当人同士が人間的にぶつかるわけですよね。そのときのことを考えますと、やっぱりその感情的な部分、これがやっぱり出るのはこれは避け難いと。これは決しておかしいことじゃなくて、私は当然そうなると思うんですよ。 なるからこそ、その言わばデメリットを軽減する意味で、専門家である検察官あるいは依頼の弁護士、このどちらかで質問をする、被害者本人は出ない、こういう制度というのはぎりぎり設計できなかったのかと、そういう余地はなかったのかという質問をしているわけです。
○政府参考人(小津博司君) 繰り返しになって恐縮ですが、検察官がやるということにつきましては、それをすべての場合に検察官がやるということになると、検察官の役割というものが変わってしまうということで現在の刑事司法の根幹に触れる、だからそういう制度は取れないという判断になったわけでございますし、必ず弁護士を通してやるということにつきましては、先ほど申し上げましたように、弁護士が付けられない人がいますし、それからやはりどうしても直接やりたいというお気持ちにこたえられない。そういたしますと、犯罪被害者基本法の被害者の方の参加の機会を拡大するという方向から考えてどうかということで、そのような制度にはしなかったということでございます。
○近藤正道君 私は、弁護士を付ける場合と付けない場合の不公平というのは、これ当然あると思います。ですから、こういう制度を導入する場合にはだれでも弁護士を依頼することができる、そういう制度をやっぱり国が財政的にきちっと支援の上で確立をすると、こういう前提で申し上げているわけです。 私は、どうしても人間的なぶつかり合い、これは避けてもやっぱりそうならざるを得ないと。これは私自身のつたない体験でありますけれども、そういうふうになる危険性の方が大きいというふうに思いまして、その趣旨を大事にしながら、それにぎりぎり代わる制度としては、今言ったように検察官あるいは弁護士で対応する、こういう制度がぎりぎり考えられなかったのかと。 今回、皆さんは修正案で、だれでも弁護士を頼める、検察官とは別にやっぱり質問ができる、そういう制度に向かって動かれるということでありますので、そういうことであるならばなおのこと、そういうことを当初から制度設計できなかったのかというふうに聞いているわけでございます。 これはこれ以上聞いても堂々巡りでありますのでやめさせていただきたいというふうに、次の質問に移りたいというふうに思っています。 被告人の防御権との関係についてお尋ねをしたいというふうに思いますが、今度の被害者参加人の制度の下では、検察官が設定した訴因の範囲内であれば検察官とは独自の立場で主張、立証が被害者参加人にはできるという形になっております。そのことが刑事裁判の中に混乱をもたらさないのか、被告人のあるいは被告弁護側の防御権に支障を来さないのかという疑問の声がございますが、これについてはいかがでしょうか。局長。
○政府参考人(小津博司君) まず、御指摘につきましては、被告人に黙秘権が認められていること、弁護人が付いていること、そしていつでも供述ができること等々の基本的な刑事裁判の仕組みと申しますか、また本制度の仕組みによりまして黙秘権を侵害するようなことにはならないと基本的には考えております。 〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕
○近藤正道君 だから、訴因の範囲内で独自に訴訟活動ができるわけでしょう、被害者参加人が。そうすると、検察官の主張、立証と違うところから攻撃、防御を行う可能性があるではないかと。そうすると、被告弁護側の攻撃、防御が混乱を来さないかと、こう言っているわけです。
○政府参考人(小津博司君) 具体的な事案におきまして、例えばそれまで検察官が、もちろん訴因の範囲内ではございますけれども、訴因の範囲内で具体的に行ってきた主張、立証、そしてそれに対する被告人、弁護側の主張、立証というものがあって、裁判の終わりの方に行き、そしてその段階で被害者参加人の方が、ぎりぎり訴因の範囲内ではあるけれどもそれとは全く異なる主張を展開されますと、法廷の審理も混乱いたしますし、それから、それではそのことについて被告人側はどのような対応をしたらいいのかということになる場合もあろうかと思います。 そのような場合には、その段階でのそのような被告人の、例えば被害者の方の被告人質問でありますとか等々を相当ではないものとして裁判長の方で制限する、あるいは認めないことができるというふうに考えております。
○近藤正道君 それが適切になされればいいんですけど、例えば同じ殺意でも、検察官は未必の故意を言っていると、それに対して被害者参加人が確定的故意を最終盤で主張する、あるいは共謀事件について、検察官は現場共謀を主張していたのに、被害者参加人が事前共謀を最終盤になってそういう立場で質問をする、あるいは共謀の日時、場所が検察官の主張と被害者参加人の主張が具体的に最後になって違ってきたとか、そういう具体的なやっぱりことが考えられます。こういうことについても今の制度の中では果たして混乱なくやれるのかどうか、問題点はあるんだろうというふうに思っています。 時間がありませんので、最後の質問でありますけれども、いろいろ考えましても、私は被害者参加人に法律上の適用、法の適用について陳述を許すということは、これはやっぱり非常に問題だなと私も思わざるを得ません。被害者に求刑を求めると、求刑意見ができるということになりますと、多くの場合に法定刑の上限を求刑することが予想されるんではないかと。この国には死刑の制度もございます。検察官の求刑と被害者の求刑が多くの場合違ってくる、こういうケースが私は非常に出るんではないか、そういう懸念をしておりまして、特に、それが裁判員制度の下で市民である裁判官にとってどういう影響をもたらすのか、そのことが懸念されてなりません。 裁判員制度がある程度先行した後にこの被害者参加の制度が出てくればいいんですけれども、もう冒頭からこの被害者参加の制度と裁判員は向き合うと、こういうときに一番最後のところで検察官の求刑と異なる、検察官の求刑より更に上回る、こういう求刑意見が出てきたときに、私は裁判員制度が一体どういう影響を受けるのか大変懸念をしているわけでございますが、その点について長勢法務大臣、私の心配は単なる杞憂なんでしょうか。大変ここのところを実務家も含めて心配をしているわけでありますが、御所見をいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) この検察の求刑と被害者参加人の求刑とが異なることがあるのではないかと、それが特に裁判員制度が導入されればそれによる混乱というものが懸念されるんではないかという御質問だと思います。 これ、よくこの質問も度々いただいておるわけで、制度的なあるいは考え方としての両者の違いとかという話はもう度々局長からも答弁をされていますので、御理解いただいている前提で話をさせていただきますが、やはりそういうことは起こらないという保証はないですし、それからその場合に被害者の方々が比較的重い求刑をされるということもないとは言えないと思います。そうすると、当然いろいろ御心配のようなことが起こるということもそれなりに考えておかなきゃならぬ問題だろうと思います。 ただ、裁判員制度そのものがこういう一般の民間の感覚を入れるという考え方、反映させるということが一つの大きな目的になっていることから考えて、そのことをどう評価するかという問題もありますし、また両者がそういう大きな違いがあって混乱を生じないように、現場において検察と被害者とのコミュニケーションの中でいろいろ理解をし合った形での対応ということもあり得るでしょうし、それ以上に、慣れるに従ってこの検事の立場と被害者の立場というものも裁判上御理解いただくということ、あるいは裁判員の方々にも十分説明できるようにしていくことが必要だろうと思っております。 そのことと施行時期の関係もおっしゃられましたけれども、これはいろんなお考えはあると思うんですね。一緒にやると混乱するんじゃないかというお考えもあるでしょうし、これから被害者参加を含めたように仕組み、制度が変わっていくわけですから、そういうものとしての裁判を踏まえて裁判員制度も運用していくという順番も私はいいんじゃないかと思いますし、まあ逆の考えもまたあると思いますが、政府としては今のお話を選択をして御提案を申し上げているということだと思います。
○近藤正道君 時間がなくなりました。済みません。 私は、精一杯被害者参加制度というものの趣旨、理念をやっぱり取り入れていっていいというふうに思うんだけれども、しかし被害者が求刑をするということについては、どうしても私としてはこの点はやっぱりちょっと問題だなというふうに思うし、今それこそ何十年に一度のこの国の司法改革、裁判員制度のその前にこういうふうな大転換をするというのはどうなのかなという不安な気持ちで一杯でございます。 直近の朝日新聞の社説でありますけれども、被害者からの求刑はあくまでも意見とされているけれども、そんなに単純に割り切れるものではないんではないかと、二年後に始まる裁判員制度では、素人の市民が裁判官とともに、有罪か無罪かだけでなく量刑を決める、法廷の最終段階になって聞いた被害者の生の声に大きく影響されないか、それが心配だと、こういうふうな指摘をされておりまして、これは多くの専門家も含めた意見ではないかというふうに思っておりまして、この辺のところはもっとやっぱり真剣な慎重な議論が私は必要なんではないかと、こういうふうなことを申し上げまして、まだこれから質問が続きますので、後にまた譲りたいというふうに思っています。 ありがとうございました。
○委員長(山下栄一君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四分散会