法務委員会 第11号
- 発言数
- 217 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2007/05/15
会議録
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、若林正俊君が委員を辞任され、その補欠として二之湯智君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 少年法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁生活安全局長片桐裕君、法務省刑事局長小津博司君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長藤田昇三君、文部科学大臣官房審議官布村幸彦君、文部科学大臣官房審議官西阪昇君及び厚生労働大臣官房審議官村木厚子君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○岡田広君 自由民主党の岡田広です。 少年法の一部改正について質疑をさせていただきたいと思います。 まず初めに、本法案が立案されたのは三年ぐらい前と伺っておりますけれども、本法案が立案、そして提案された経緯につきまして、法務大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 非行少年等について事案を解明をして適切な保護処分を行うということは、当該少年にとっても大事なことでありますし、社会にとっても強く要請されるところでございます。 そういうことから、本法案に盛り込まれておりますように、触法少年の事案について警察の調査権限を明確化すること、十四歳未満の少年についても少年院送致の保護処分を選択可能とすること、保護観察中の少年について遵守事項の遵守を確保し、指導を一層効果的にするための制度的措置を講ずること、こういうふうなことはかねてから立法的手当ての必要性が指摘されてきたところでございます。 近年、低年齢の少年による重大事件の発生により、こうした立法的手当ての必要性が改めて認識をされるようになりまして、平成十五年十二月に青少年育成推進本部が策定した青少年育成施策大綱においても、これらの諸点につき検討をすることとされたほか、同月、犯罪対策閣僚会議が策定した犯罪に強い社会の実現のための行動計画においても、非行少年の保護観察の在り方の見直し及び触法少年事案に関する調査権限等の明確化について検討することが取り上げられました。また、平成十四年三月に閣議決定された司法制度改革推進計画において、少年審判手続における公的付添人制度につき積極的な検討を行うこととされました。 法務省におきましては、これらを踏まえて、平成十六年九月に法制審議会に少年法改正について諮問し、十七年二月に答申を受け法案を提出したものでございます。
○岡田広君 この提案理由に、近年、人口に占める刑法犯の検挙人員の割合が増加し、あるいは強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移しているということがありますけれども、これ具体的な数字がどうなっているのか、これは法務当局にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 まず、少年人口千人当たりの刑法犯検挙人員、人口比でございますが、これは戦後全体を通じて見ますと、戦後の少年犯罪の第一の波と言われております昭和二十六年に九・五となりまして、いったん減少いたしましたものの、第二の波である昭和三十九年には十一・九となりました。その後、第三の波とされる昭和五十年代半ばには十七・二を記録しておりまして、これが戦後を通じてのピークとなっております。この人口比は、その後減少傾向を見せておりましたものの、平成九年ころからは増加に転じまして、平成十五年には十五・五、平成十六年には十五・一、平成十七年においても十四・二となるなど、昭和五十年代半ばの最高水準に次ぐ水準となっております。このような経緯を見ますと、近年の少年犯罪の動向には予断を許さないものがあると考えております。 次に、少年の凶悪犯のうち、強盗の検挙人員につきましては、昭和四十六年以降、一千件を下回っておりましたものが、平成八年以降は再び一千件を超える数値で推移しております。 また、その他の凶悪犯について最近の約十年間の推移を見ますと、強姦につきましては四百件台から百五十件台へと減少しておりますものの、殺人につきましては六、七十件台から百十件台、放火についてはおおむね二百件台で推移しておりまして、顕著な減少傾向は見られません。 これを凶悪犯全体で見ますと、平成十六年及び十七年と二年連続で減少はしておりますが、昭和五十九年以降平成八年まで一千件台であったものが、平成九年以降平成十五年まで二千件を超える高水準で推移してきたものでございまして、ここ一、二年の動向のみでは、なお予断を許さない状況にあると考えているところでございます。
○岡田広君 端的に伺いますけれども、少年犯罪の凶悪犯は増加をしているという理解でいいんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 少年犯罪の動向は予断を許さない状況にあるというふうに認識しているところでございます。
○岡田広君 今説明をいただきましたけれども、第一の波、第二の波、第三の波という御説明いただきまして、第三の波というのは昭和五十六年ということになるんだろうと思いますが、これをピークに最近は減少していると。 いろんな角度からこれは考えられるんだと思いますけれども、少年犯罪は増加をしているのか、予断を許さないという御答弁ありましたけれども、低年齢化、凶悪化、今回のこの法案を出した背景というのは、長崎とか佐世保で起きた低年齢の少年の凶悪事件ということが端緒になったということも一つ考えられるんだと思いますけれども、こういう点についてはどう思うのか。 これは資料いただきましたけれども、少年の検挙人員、これは今御説明ありましたけれども、触法少年、これで補導された数というのは一九八一年のピークの後減少傾向が続いて、一九九九年以降は二万から二万二千人台で横ばいで推移をしていると。二〇〇四年は二万百九十人ということで、前年比六・三%減ということで減っているわけです。数字だけ見るとそういうことになるわけですけれども、当然これは全体の少子化といわゆる人口比の問題もあるわけですけれども、こういう点、国民に分かりやすく説明するためにどういうふうに説明したらいいのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 触法少年の事件のうち、国民の皆様の関心の高いものといたしましては、いわゆる凶悪事件というのがあろうかと思います。 そこで、その推移につきまして統計の数字を御説明申し上げますと、殺人、強盗、強姦及び放火の凶悪事犯による触法少年の補導人員でございますが、昭和三十七年に七百五十件となって以降、いったん減少いたしまして、昭和四十七年に二百六十件となり、昭和五十七年には再び四百六十五件にまで増加いたしましたが、再度減少に転じまして、平成二年には百十六件という低い数値になりました。 しかし、その後は増加傾向にございまして、平成十五年には二百十二件、つまり十数年ぶりに二百件を上回ったということでございます。その後、十六年、十七年もいずれも二百件を超えていると、このような状況でございまして、この数値から見まして触法少年による凶悪事件の状況は予断を許さないものがあると考えているところでございます。
○岡田広君 ありがとうございました。 低年齢の少年による、先ほど長崎とか佐世保の事件の話をしましたけれども、これもその後、例えば今回おおむね十二歳以上ということで衆院で修正をされて可決されたわけですけれども、こういう年代の少年の凶悪犯というのはその後あったんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) その後もございます。
○岡田広君 余り資料としてはいただいてないんですけれども、例えばどういう事件があったのか、幾つか分かる範囲で教えていただければと思います。
○政府参考人(小津博司君) 比較的最近のもので申し上げますと、平成十六年の六月に新宿区内で、犯行時、処分時十三歳の少年が幼児を殺そうとした殺人未遂事件、それから十七年の十月に枚方市内におきまして、これは犯行時、処分時十二歳の少年によります母親に対する傷害致死事件、それから平成十八年の四月には長崎市内における少年、これは犯行時十三歳の少年による兄に対する傷害致死事件、それから同じ月に大和市内における少年、これは犯行時十二歳によります母親に対する殺人未遂事件、あるいは八月には同じく十三歳の少年によります現住建造物放火事件、これらの事件がマスコミ等でも比較的大きく取り上げられて、国民の皆さんの関心を集めたのではないかというふうに理解しております。
○岡田広君 分かりました。 いろんな団体の要請を受けますと、そういう低年齢少年の凶悪事件というのはこの長崎、佐世保以外ほとんど起きてないじゃないかという、こういう主張をする方もいらっしゃいます。やっぱりそういうところも今局長から答弁を受けますと私も理解をするわけですけれども、今回の少年法改正ということについての意義を理解をするわけでありますけれども、やっぱりそういう点につきましてもしっかりと、何というんですかね、よく理解を求めるというのも大事だろうと思うわけであります。 この触法少年による凶悪事件の推移というのは今お話しいただきましたけれども、世界の少年非行とかこの少年法の関係というのはどんなふうになっているのか、もし分かる範囲でこれもお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 特に諸外国の少年関係の法制度ということにつきまして、私どもで承知しておりますことを御紹介申し上げます。 外国の事柄でございますので、詳細につきまして正確な把握がなかなか難しい面がございますが、特に少年院のような閉鎖的な施設に収容されることがあるかどうかということに着目して調べてみましたところ、アメリカのニューヨーク州とカリフォルニア州、それからイギリスのイングランドとウェールズ、それからドイツにおきまして十四歳未満の少年を閉鎖施設へ収容することが可能な制度になっていると承知しております。 例えばアメリカのニューヨーク州では、七歳以上は犯罪少年とされ、保護処分としての行動制限、警備レベルの高い施設に収容され得るということのほか、十三歳以上であれば自由刑の対象にもなり得るとされていると承知しております。また、カリフォルニア州では、十四歳未満でありましても、検察官が少年における行為の悪性の認識を明確に立証した場合には犯罪少年とされ、拘禁施設への収容が可能でございます。英国では、十歳以上は犯罪少年とされまして、拘禁・訓練命令のほか拘禁刑の対象にもなり得ることとされております。また、十歳未満でございましても、児童保護命令により犯罪少年と同一の施設に強制的に収容することが可能でございます。ドイツにおきましては、犯罪に当たる行為をした十四歳未満の少年につきましては、福祉的機関が当該少年の家族と協議の上、必要な教育上の措置を決定しますが、かかる教育上の措置には施設内の教育も含まれておりまして、閉鎖施設への収容も施設内教育の一形態として可能とされていると、このような制度があるというようなことは調査いたしました。
○岡田広君 世界各国いろいろ今説明をいただきましたけれども、七歳とか十三歳、それぞれの国によってやっぱりそれは違うわけでありますけれども、一つ、世界の各国の中のルールの中でおおむねという言葉を使っている国があるのか、これが一つお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 恐縮でございますが、現時点では把握しておりません。
○岡田広君 日本の少年犯罪、先ほど件数とか説明をいただきましたけれども、世界の先進国の少年犯罪の件数とかというのはどちらが多いのか、これだけちょっと端的にお答えいただきたい。
○政府参考人(小津博司君) 少年による主要な犯罪の検挙人員、もちろんこれもそれぞれの国によって構成要件等が異なりますけれども、フランス、ドイツ、英国、アメリカと比較して我が国は相当低い水準にあると、件数的にはそのように理解しております。
○岡田広君 世界の国々と日本の少年犯罪の検挙人員とか見てみますと、もう相当日本は低いんです。大分低いです。低いんですけれども、局長の答弁のように、低年齢の少年非行は予断を許さないということでありますから、やっぱりそういうところを、先ほど申し上げたように長崎とか佐世保事件以来にもういろんな事件が、低年齢の少年非行が起きているという、そういうことで、やっぱり安全、安心の担保のために今回の法改正もするということも是非よく説明をされたいと思うわけであります。 そこでお尋ねしたいのは、この少年犯罪の状況でありますけれども、世論調査とか国民の意識の調査、国民から意識調査とかそういうことをされているのかどうか、これについてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 少年犯罪の状況に関する国民の意識あるいは世論の調査といたしましては、平成十七年一月に内閣府大臣官房政府広報室によりまして、少年非行等に関する世論調査というものが実施されております。 その内容を若干御紹介いたしますと、例えば、実感として少年による重大な事件が以前に比べて増えていると答えた方が九三・一%という結果でございます。次に、少年非行はどのようなものが増えていると思うかと聞きましたところ、低年齢層によるものと答えた方が六四・六%、凶悪・粗暴化したものと答えた者が六〇・一%と多うございまして、それ以前、平成十三年の十一月に同様の調査が行われておりますが、それぞれ約六ポイントほど増加しているという結果でございます。それから、非行少年の立ち直りに必要なことという問いにつきましては、年齢相応の社会的責任を取らせるということを挙げた方が四五・八%と、このようになっております。
○岡田広君 今お答えいただきました調査の方法、どういう形か、複数回答か、これ分かりませんけれども、重大事件が増えているということの回答をした方、九三%いらっしゃるという、こういうこともあるわけですけれども、そういう中で、やっぱり少年犯罪があったときには立ち直らせると、これが正に一番重要なことでありますから、これはまた後で述べたいと思いますが、そういう中で、今度はこの調査手続の整備についてお尋ねをしたいと思います。 本法案では、触法少年の事件に関して、警察が押収、捜索等の強制処分をすることができることとされているところ、強制処分の対象を重大事件に限るべきではないかとの意見もあるようでありますが、これも法務当局の考えを伺いたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 調査手続の整備は、事案の真相を解明し、適切な処遇を行う上で必要不可欠でありまして、これはすべての少年保護事件に共通するところでございます。 すなわち、捜索や差押え等の強制処分が必要となりますのは殺人、強盗、放火等の法定刑の重い罪名に係る事件に限られるわけではございませんで、家庭裁判所に送致される事件の多数を占めます窃盗や傷害等の事件につきましても、盗品や凶器等の物的証拠や没収すべき物を押収するなどの強制処分を認める必要性が高いと考えられます。 とりわけ、少年が非行事実を否認して争っておりますときには、客観的証拠に基づいて厳格に事実認定をなすべき要請が強く働くわけでございまして、この要請は法定刑の重い罪名に限られるわけではございません。例えば、触法少年による窃盗事案におきまして、盗んだ物を発見、調査する必要がありましたのに、保護者が提出を拒んだために事実の確認ができないばかりか、被害回復にも至らないということで現実に調査に支障が生じた事例もあると承知しております。 一方、押収等の手続につきましては、本法律案は刑事訴訟法を準用いたしまして、処分の理由及び必要性について司法審査を経るものとしております。このうち、処分の必要性につきましては、行為の態様、事案の軽重、収集しようとする証拠の価値、重要性、当該処分によって受ける被処分者の不利益の程度等の事情を総合的に判断して決せられるものでございまして、事案の軽重も考慮事由とされます以上、強制処分の対象となる事件の範囲はおのずと限られることとなると思われるわけでございます。
○岡田広君 本法案によりますと、警察官が触法少年の事件につき調査した結果、一定の重大犯罪に当たる場合など家庭裁判所の審判に付することが適当な場合には、事件を児童相談所長に送致しなければならない。事件の送致を受けた児童相談所長は、事件を原則として家庭裁判所に送致しなければならないこととされているわけでありますけれども、この家庭裁判所、原則家庭裁判所送致という制度にした趣旨について、これは局長にお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 本法案によりまして、児童相談所長が警察官から触法少年の事件の送致を受けたときには、警察の調査結果及び児童相談所における調査等の結果を踏まえて処遇を決定することとなるわけでございますが、重大な触法行為をした疑いのある少年につきましては、非行の重大性にかんがみ、家庭裁判所の審判を通じて非行事実を認定した上で適切な処遇を決定する必要性が特に高いと考えられます。 また、このような重大事件につきましては、まず証拠資料に基づいて非行事実の有無、内容を確定することこそが、被害者を含む国民一般の少年保護手続に対する信頼を維持するために必要であると考えられますし、さらに、家庭裁判所の審判手続におきましては、被害者等は記録の閲覧及び謄写や意見の陳述を行ったり審判結果等の通知を受けることができますために、被害者保護という観点からも、少年法が定める家庭裁判所の審判手続によって事実解明等を行う必要があると考えられるわけでございます。 そこで、本法案第六条の六第一項では、都道府県知事又は児童相談所長は、いわゆる検察官関与の対象となる少年法第二十二条の二第一項の罪に係る重大な触法行為の疑いのある事件の送致を受けたときは、原則として家庭裁判所送致の措置をとらなければならないということとしたものでございます。
○岡田広君 はい、分かりました。 それで、次に警察の方にお尋ねをしたいと思いますが、この非行少年の調査面接について、警察としては十分な配慮を必要だということでありますけれども、どういう配慮をしていくのか、これはまず警察当局にお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(片桐裕君) お答え申し上げます。 少年につきましては、暗示を受けやすいとか、また誘導されやすい、また迎合しやすいといったような特性を有しますことから、警察としましては、国家公安委員会規則でございます少年警察活動規則等において、非行少年の捜査、調査に当たっては、その特性に配意した調査を行うよう各都道府県警察を指導をしているところでございます。 具体的に申し上げますと、非行少年等の調査に際しましては、少年警察活動規則において、少年の心理、生理その他の特性に関する深い配慮を持って接すること、深い理解を持って接すること、少年の性行及び環境を深く洞察し、非行の原因究明や犯罪等の状況の把握に努め、その非行の防止及び保護をする上で最も適切な処遇の方法を講ずるようにすること等と規定しておりまして、また、これを受けて警察庁次長通達でございます少年警察活動上の留意事項についてにおきまして、少年に応じてふさわしく分かりやすい言葉を使用する、また少年の話の良い聞き手となって、一方的にこれを押さえ付けようとせず、その原因を理解することに努める等と定めているところでございます。 今後とも少年の人権とか特性に配意した調査が行われますよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○岡田広君 やっぱりこれは多分、警察の組織の中では、少年課の警察官がこの触法少年の調査面接に当たるということなんだろうと思いますけれども、やっぱり今御答弁のありましたように、暗示を受けやすいとか誘導するとか、いろんなことがあるわけですけれども、今まで少年事件あるいは触法事件の中でも、罪が決まっても裁判でこれが無罪になったとか、あるいは家庭裁判所で不処分が決定されたとか、例えば浦添事件とか甲府事件とか大垣事件とかたくさんあるわけでありますけれども、いったん、やっぱりそういう少年にレッテルを張るということになりますと、これはもう大変なことになるわけであります。やっぱり少年だけではなくして、学校とか家庭はもちろんですけれども、家庭、学校あるいは地域ぐるみでいろんな調べも行われるということになるわけでありますし、この取調べの少年課の警察官というのは当然、児童心理学とかカウンセリング勉強をしたとか、こういうことに主眼を置いて配置をしているのか、あるいは全国の警察の中で少年課の取調べに当たる警察官に対しての指導、講習とか、こういうことはどういう形でされているのか、お尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(片桐裕君) 少年の事件捜査とか、それからまた事件調査において留意すべき事項というのは決して少年警察だけに限られるものではございませんので、すべての警察職員に対して、そういった少年の特性であるとかいうものをきちんと理解させるということに努力をしているつもりでございます。 例えば、警察に任用された段階でそういった教育を施しますし、また階級が上がるごとに各学校に入って教育を受けるわけでございますけれども、そういった中においても、そういった少年の特性について十分配意した調査を行うようにということは指導しているところでございます。 これと併せまして、これとともに少年警察に特に従事する職員については、少年警察部門に登用される際に又は登用された直後にまた学校に入れて、これについてもきちんとした教育を施すようにしておりますし、また、これも今申し上げた学校の教育以外においても、各職場において機会があるごとにそういった子供の特性とかいうことについてはきちんと教育をするように努めてきているところでございます。
○岡田広君 ありがとうございました。しっかりとやっぱりそういう教育研修というか、やっていただきたいと思うわけでありますけれども、今までの先ほど申し上げた一連のいろんな事件の中で、例えば担当警察官の言うとおりに供述しないときには机を持ち上げてぶつけるとか、あるいは顔面を平手で殴るとか、こういうことが裁判とかあるいは家庭裁判所の調べの過程の中でそういう事実が出ているわけですけれども、こういう事実を把握したときに警察としてはどういう指導、対応をしているのか。全然、聞き置くだけで済んでいるのか。警察は警察の言い分があるんだろうと思いますけれども、やっぱり一番心配なのは少年ですから、少年に対して調査面接というのは慎重にもちろんやらなきゃならないという、そして少年の人権というのもあるわけですから、そういうことも随分踏まえてやってはいるんだろうと思いますが、この点だけもう一度御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(片桐裕君) 御指摘のように、残念ながら家庭裁判所の審判の過程において非行事実がないというふうに認定されたというケースはございます。 また、今おっしゃるように、子供に対して調べの過程で有形力の行使があったというふうに疑われるとされた事案もあったと承知しておりますけれども、そういった事案がありますごとに、私どもとしましてはその事案について十分に検証して、私、具体的にその今事例を承知しておりませんけれども、もし少年に対して暴行を加えたという話があれば、これは特別公務員暴行陵虐罪でございますからそういった処置をしなければなりませんけれども、今それについて私、具体的にどういったケースがあったか承知しておりませんけれども、一般論として申し上げればそういった形になるというふうに思います。 ただ、いずれにしましても、そういったことのないように、また非行事実なしというふうな審判が下された場合にはきちんと検証して、今後そういったことがないように努めているということでございます。
○岡田広君 是非お願いしたいのは、やっぱりこういう調査面接に当たって、先入観という観があるんですけれども、先入観を余り頭の中に入れないでもちろん調査面接をしていただきたいと思うんです。 私、日本の単語の漢字の中で最も多い漢字というのはこのカンという漢字なんです。勘を働かせるとか、官と民と一体となって安全、安心のために警察が汗を流すとか、汗もカンですけれども、時間の間もそうです。健康は肝機能とか冠動脈、病院は看護師さんがいないと、患者さんがいないとやっていけない、これ経営が成り立たないと。一番大事なカン、これは観光の観とか監視する監とか保護観察官とか一杯あるわけですけれども、一番大事なカンは、日本の安心、安全を担保する環境をつくるということが一番大事なわけですから、そして感動し感激をするというのが生きるということだと私は思っているんですが、やっぱり罪ありきという先入観で調査面接が行われたんでは、さっきお話ししたように、担当警察官の言うとおりに進めるために、相手は子供ですから、後で、この後質問しますけれども、付添人という今度制度、弁護士である付添人を選任できるということが衆議院の修正で可決されていますが、やっぱり先入観、観という言葉は是非肝に、肝というのもカンですけれども、是非肝に銘じて今後やっぱりしっかりと少年の調査面接には当たっていただきたいと思うわけであります。 そこで、今お話ししました衆議院で修正が行われました弁護士である付添人を選任できることになったというのは、国民の理解、付添いという言葉がいいのかどうか、これちょっとあるんでしょう。私は保護者代理人とか何かほかにいい言葉がないかなという考えを持っているんですけれども、例えばこういう考え方があります。警察官が非行少年の調査面接、質問に当たって、少年に対して供述を強いられることはないことを分かりやすく説明する、そして併せて弁護士を選任できることを告知をする、いわゆる弁護士選任権をつくったらどうかという考え方があるわけですけれども、この弁護士である付添人を選任できることになったというのは、この調査面接に立ち会うという意味の付添いではないと思うんですけれども、これは衆議院の方の修正提案者にお尋ねをしたいと思います。
○衆議院議員(早川忠孝君) 付添人という言葉はあくまでも少年法上の概念でありますので、民事法上のいわゆる代理人というのは明らかに異なっております。 そういう意味で、この付添人というのは、必要な法的なアドバイスを専門家である弁護士からちょうだいできるような、そういう制度を立ち上げることで、言ってみれば、調査の適正さの担保とそれから少年の健全育成と、この双方の観点からこういう修正を施したという趣旨であります。 もちろん、いわゆる弁護人選任権の告知とかというものとはこれはまた別の制度でございますけれども、ただ、こういう付添人という制度があるということは、当然少年法で、この修正案で認められれば、当然それは少年が権利行使ができるような、そういう環境はつくっていかなければいけないことは当然だというふうに思っております。ただ、この内容は、調査の場合に当然立会いをすることができると、こういう制度ではないことは委員の御指摘のとおりであります。
○岡田広君 分かりました。付添人というのは少年法の言葉ですから、これなかなか、どうも付添人というと、国民の側から見ますと、調査面接に低年齢の少年だから立ち会うという、そういう言葉にもとらえられかねないんではないかなと思います。付添人というのは、何かほかに言葉がないかなと私は思っているんですけれども。 今、早川修正提案者からお話をいただきまして、弁護士選任権とは違うということでありますから、当然、少年や保護者から選任された弁護士の要請があっても、調査に弁護士を立ち会わせる、この弁護士の立会い権、これとは全く違うわけですけれども、こういう点については、この弁護士、やっぱり心配なのは少年ですから、なかなか言いたくても言えない、うまく話をまとまらないとか、やっぱり私なんかも質問して全然話まとまらないときが多いんですけれども、やっぱり、特に少年だったら、どうしても警察という場所に行って調査をされるとかになるとなかなか考えがまとまらない、そういうときにやっぱり相談する人がいればいいなというそういう考え方もあるわけですけれども、これについてはどんなふうに考えるんでしょうか。
○衆議院議員(早川忠孝君) これは、必要なアドバイスを弁護士である付添人から得られるということで、もちろん経験のある弁護士である付添人であれば十分その少年に合ったアドバイスの仕方ができるだろうと思います。必ずしも調査のときの立会いでなくても、少年が付添人に来てもらいたいと、こういう連絡をして、それで必要に応じて弁護士である付添人と話ができると、こういうことになりますれば、先ほど申し上げたように、その調査そのものについての適正さと、それから少年の健全育成というこの両方の目的が図られるだろうと思います。 問題は、じゃそういった弁護士である付添人を確保できるような環境があるのかないのかということだろうと思いますけれども、これは、これまで弁護士会等で少年の付添い制度をやはり充実させようという努力をされてこられておりますので、こういった方々がその受皿になっていただくということが一番望ましいのではないかと思っております。 そういう意味では、今回の少年法の修正でこういった制度を立ち上げるということで、あとは今後の体制整備ということになるのではないかなというふうに思います。
○岡田広君 ありがとうございました。よく分かりました。 そこで、この触法事件、一つ例を挙げますけれども、十三歳の少年が調査面接を受けまして、延べ五十六日間と書いてありますけれども、要するに自白というかしゃべらない、自白しないと毎日取調べが続きますよとか、こういうことになってきちゃうと、少年がやっていないのに自白、いわゆる自白強要という、前に警察でも、これは大人でもそうですけれども、鹿児島県の事件とか富山県の事件とかありましたけれども、やっぱりそういうことになって、その後これについては、これは今、係争中、無罪判決ですね。これ、防犯カメラで画像から算出される犯人の身長と被告人の身長に大きな差があるから無罪判決を言い渡したという、こういう事件もあったわけですけれども、これはカメラが証拠となってやったということで、私、この調査の段階、調査面接の段階で、イギリスとかフランスでもやっているんですけれども、ビデオ録画、その調査の全過程をビデオあるいは録画、録音、そういったいわゆる可視化について何ら手当てがされていないという、そういう考え方もあるわけですけれども、これについてはどんなお考えをお持ちでしょうか。
○衆議院議員(早川忠孝君) 委員御指摘のとおり、少年の触法事犯の調査の過程においていわゆる調査の可視化というか、そういったことについての御意見があるということは当然理解をしておりますし、これは少年だけでなくて、刑事事件全般について、いわゆる録音、録画制度の導入、こういったことを検討をしていくということについては、その必要性が検討される。ただ、少年事件に限ってということではなくて、これは刑事の捜査全般について取り組んでいかなければならない課題であるというふうに承知をしております。 裁判員制度が始まることで、法務省ではそういったことについての試みを進められているということでございますので、今後の検討課題であるだろうというふうに承知をしております。
○岡田広君 分かりました。 先ほどの無罪ということについては、これは成人の方のことでしたから、訂正をさせていただきます。ありがとうございました。 それで、政府案はこの少年院の送致可能年齢について、これまで十四歳と下限が設けられていたところ、その下限を撤廃するものであったと伺っておりますけれども、このように少年院の送致可能年齢の下限を撤廃しようとした趣旨は何なのか、そしてまた十四歳未満の少年を少年院へ送致できるのは特に必要と認める場合に限りとされているわけでありますけれども、そのように限定するのはなぜなのか、これは法務当局にお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 非行を犯した少年の立ち直りを図りますためには、少年の年齢や心身発達の程度のみならず、非行に至る動機や背景、非行の内容のほか、少年の性格、行状、環境等を総合的に考慮いたしまして、最も適当な処遇が選択される必要があると考えているところでございます。 そして、十四歳未満の少年でございましても、凶悪重大な事件を起こしたり悪質な犯行を繰り返すなど、深刻な問題を抱える者に対しては早期の矯正教育が必要かつ相当な場合があるわけでございます。また、無断外出を繰り返す者、暴力的な言動に及ぶ者、医療的措置が必要な者など、児童自立支援施設の処遇になじまない者もいると考えられます。 そこで、少年の年齢のみによって処遇を一律に区別することは適当ではないと考え、本法案におきましては、政府が提出した内容では、十四歳未満の少年であっても家庭裁判所が特に必要と認める場合に限り少年院における働き掛けを行うことを可能としたものであります。この特に必要と認める場合に限りとは、保護処分の種類の選択に当たり、非行事実及び要保護性の程度、内容に照らして、少年院送致の保護処分が最も適当であり、かつ他の保護処分によっては少年の改善更生の目的を達することができないと認められる場合をいうわけでございます。 このような規定を設ける趣旨は、十四歳未満という低年齢の少年の施設内処遇は従来どおり児童福祉施設で行うのが原則であるという認識の下、少年院送致は児童自立支援施設送致等の他の保護処分によっては処遇目的を達し得ない特別の事情がある場合に限って例外的に許されるものであるということを法律上明らかにするため、家庭裁判所が保護処分の種類を選択するに当たっての特別の要件を設けたものでございます。
○岡田広君 政府案の考え方をお聞きいたしましたけれども、この提案が衆議院で、少年院送致が可能な年齢の下限についておおむね十二歳以上ということで修正可決されたわけでありますけれども、このおおむねというのは衆議院の質疑の中では一歳程度ということで承っておりますけれども、いろんなこれは考え方があると思うんです。小学生は少年院に収容しないことが明示できるのか、あるいは年齢を記す必要性があるのか、それぞれ人によって肉体年齢、精神齢、まちまちであります。六歳、七歳でも知能指数のすごい高い少年もいるわけであります。知能指数にのっとって体が付いていくという、そういう犯罪もこれからないとは言い切れないわけでありますけれども、このおおむね十二歳以上と修正した考え方について法案提出者にお尋ねしたいと思います。
○衆議院議員(大口善徳君) 大口でございます。 今先生から御指摘がありましたように、大変この問題は最大の論点の一つでございました。私ども、児童自立支援施設にも行ってまいりましたし、少年院にも視察に行ってまいりました。そういういろいろな現場を見た上で、やはりいかなる低年齢層の少年でも少年院に送致される可能性があるということが、やっぱり懸念が与野党でございました。そして、児童自立支援施設は小舎夫婦制ということですね。本当に御夫婦でもって、家族のような形で育て直しをしていこうと。こういう部分というのは非常に大事でございまして、ですから、できるだけ低年齢層の少年については、この児童自立支援施設で処遇することがふさわしいんじゃないかなと。 じゃ、そこで、やはり少年院の収容年齢の下限というものを設けなきゃいけないと。そして、やはり大きな目安というのは、確かに個人差はありますけれども、小学生と中学生というのは差があると、こういうふうに一般にも言われております。そこで、今回その一線を引くとすれば中学校に入学する年齢と、十二歳ということを一応の目安として、そして、そこにやはり個人差等もありますので、弾力的な処遇選択、これを可能にするためにおおむねという形でこの一歳という程度のものによって幅を持たさせていただいたと、こういうことでございます。
○岡田広君 分かりました。 おおむね一歳程度ということですけれども、これ、例えば八歳、九歳の人がそういう、さっき知能、IQのお話もしましたけれども、知能指数が高くてそれに引っ張られて体が付いていくという、そういう犯罪もあるかもしれない。そういう場合にはどういう対応をするんでしょうか。
○衆議院議員(大口善徳君) これについても議論があったわけでございますけれども、やはり知能指数だけじゃなくて、子供の発育というのはいろいろ総合的に考えていかなきゃいけません。ただ、そういう形である程度の目安、基準を設けないと、少年院でどういうイメージで対応していくか、少年院もこの処遇についてはいろいろ今検討しております。疑似家族的なことをやっていこうということで、男性の教官と女性の教官が夫婦になって、専門家も入れてチームでやっていこうと、こういうことを考えているわけですけれども、ある程度このターゲットを絞っていかなきゃいけない、そういうことで私どもはおおむね十二歳と。ですから、十一歳の人はおおむねの中にも入りますが、例えば十歳以下というのは私ども想定をしておりません。
○岡田広君 分かりました。 今まで、例えば十二歳というお話ありました。十二歳で触法少年が児童自立支援施設で立ち直り、更生をするという、そういうことになっているわけですけれども、これが今度、少年を少年院に入れた場合、逆にほかの年上の少年とのつながりから悪影響を受けると、そういうことで非行の度合いが進むおそれがあるんではないか。家庭的環境で処遇する児童自立支援施設の方がそのおそれは小さいというふうに考えるんですけれども、その点について、これは法務当局からお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 初等少年院でございましても児童自立支援施設でございましても、やや年齢差のある少年が同じ施設に収容されると、そのことに限定いたしますと変わらないわけでございますが、もちろん、少年院に収容されることによりまして他の少年からかえって悪影響を受けて非行の度合いが進んだりすることのないよう、年長の少年とは分離して処遇し、指導職員が少年の行動を綿密に観察し、十分に配慮した処遇がなされるものと承知しております。
○岡田広君 今、年長の少年と区別するという、そしてやっぱりしっかりと見守るということ、とても大事だと思うんです。少年院でほかの年上の人たちとやっぱりつながりができるというふうになると、多分、少年院に入って立ち直った少年が大きくなって犯罪を犯すという、そういうデータも出ているんだと思いますが、それについては聞きませんけれども、やっぱり縁というのがあると、いろんな面でその縁が生かされるということも社会に出てからありますので、是非注視をしていただきたいと思うわけであります。 そこで、児童自立支援施設ですけれども、この児童自立支援施設は、家庭的な雰囲気のある環境の中で子供たちの成長を遂げさせているということで、大変私は、地元にもあるんですけれども、非常に開放的な雰囲気の中でいい環境だと思うんです。やはりこの児童自立支援施設について、今の役割等について、この前、長崎の佐世保で起きた、あるいは長崎で起きた少年もここで更生をしていると思うんですけれども、そういう点についてちょっとお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(村木厚子君) 児童自立支援施設につきましては、家庭的なケアの下でこれまでも少年の立ち直りについて大変大きな成果を上げてきたというふうに考えております。 今回の少年法の改正によりましても、低年齢の児童につきましては、特に必要と認める場合に少年院に行くということはございますが、原則としては引き続き私ども児童自立支援施設で児童の処遇を行っていくわけでございますから、この処遇の更に充実をさせていきたいというふうに考えているところでございます。
○岡田広君 児童自立支援施設を所管する厚生労働省としては、児童自立支援施設の本当にこの意義は私も十分認識をしているんですけれども、今回の少年法改正については、こういう考え方でよしとしているという考えでよろしいでしょうか。
○政府参考人(村木厚子君) 私ども、児童自立支援施設で児童を処遇をしている場合に、数は多くはございませんが、開放的なケアになじみにくい児童がいるということはかねてから関係者から指摘をされているところでございます。そういった意味で、今回の法改正によりまして個々の子供の処遇の選択肢が広がるという点においては一定の意義を見いだせるものと考えております。しかしながら、それによって児童自立支援施設の重要性が減ずるということではないというふうに考えているところでございます。
○岡田広君 分かりました。 それでは、保護観察中の者に対する措置について、もう時間ありませんけれども、最後にお尋ねしたいと思います。 保護観察に付された者が保護観察官との間で決められた遵守事項を守らない場合には、保護観察所が少年に対して警告を発し、それでもなお遵守事項を守らず、保護観察では改善更生を図ることができないと認めるときは、家庭裁判所が少年院送致の決定ができることとされています、この改正の趣旨。そして、保護観察中の遵守事項違反を理由として少年院送致されるとすれば、一つの審判事由によって最初の保護観察に加え更に保護処分に付するものであり、二重処罰の禁止に反するのではないかとの意見もありますが、これについて法務当局の御見解をお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 保護観察は、遵守事項を遵守するように指導監督することを主たる内容といたしまして、そのために保護観察官及び保護司が保護観察に付されている者と接触を保つことが不可欠の前提となっております。 しかしながら、実際には再三の指導に反して保護司や保護観察官の下に出頭もせず、保護観察官等が接触することすらできなくなるなど、遵守事項の不遵守を繰り返し、社会内処遇としての保護観察が実質的に機能し得なくなっている事例が少なくなく、また現在このような状況に有効に対処できる法的枠組みは、必ずしも十分なものとは言えません。 そこで、保護観察における指導監督に努めたにもかかわらず遵守事項を遵守しない場合に、その違反が重大であり、そのまま保護観察を継続することによっては本人の改善更生を図ることができないと認められるときは、家庭裁判所において新たな保護処分を言い渡すこととしたものでございます。 これによりまして、遵守事項の重要性が制度上も明確になって、少年にそのことの意味を自覚させて、これを守ろうという意欲を生じさせ、その改善更生を図ることにつながるものと考えております。 次に、御指摘の二重処罰の禁止との関係でございますが、憲法三十九条後段、「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」と規定されておりますが、これにつきましては刑事手続に関するものであり、少年審判に直ちに適用されるものでないとは考えているところではございます。 また、本法律案における制度は、保護観察決定後、遵守事項を守らなかったという新たな事情をとらえて新たな決定をするというものでありまして、保護観察の保護処分決定の対象となった事由と同一の事由について、重ねて保護処分の決定をするものではございません。さらに、保護観察所の長による警告、その後の更なる程度の重い違反という過程を経て、家庭裁判所が改めて調査、審判を行い、保護観察では改善更生を図ることができないと判断したときに初めて少年院送致等の新たな保護処分を行うこととしておりまして、少年の地位を不当に不安定なものとすることがないような制度としているところでございます。
○岡田広君 ありがとうございました。 時間ですから、最後に大臣にお尋ねして終わりたいと思います。 少年法の趣旨というのは、少年を立ち直らせることであると思うわけであります。少年事件で必要なのは、やっぱり児童福祉の充実とか教育的見地、ここをしっかりと考えなければいけないんだろうと思いますけれども、今回の法改正によって少年非行がなくなる、少なくなるように、警察庁始め関係機関と連携を取って大臣には頑張っていただきたいと思うわけでありますが、先ほどのいろいろ質疑をしましたけど、衆議院における与党修正についてもどう評価しているのか、そういう点も踏まえて、最後に大臣の考え方を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 委員御指摘のとおり、少年法の趣旨はまずもって少年の育て直し、立ち直り、その健全な保護育成にあるわけでございます。本法案も、少年事件における事案の真相解明をより一層進めるとともに、これに基づいて個々の少年が抱える問題やその少年の非行の内容に即して、本人にとって最も適切な処遇の選択を可能にするという少年の健全育成の観点に立つものでございます。 この法案につきまして、衆議院におきましても大変御熱心な御議論をいただきました。そして、衆議院における与党修正につきましても、御案内のとおりでございますが、私どもとしても大変貴重な御提案と受け止めております。参議院におきましても、この修正も含めてしかるべく御審議をいただき、できる限り速やかにこの法律案を成立させていただきたいと考えておりまして、この法案の成立により、その少年の立ち直りを図り、再非行防止、ひいては少年非行全体の減少に資するものと考えております。 今後とも警察あるいは家庭裁判所、児童福祉機関等の関係機関と連携しつつ少年の保護育成、非行の防止に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○岡田広君 終わります。
○江田五月君 少年法改正案について質問をいたしますが、その前に、新聞報道でちょっと看過できないことがありますので聞いておきたいと思います。 事件の捜査とか調査とか、これにかかわるときにどういう心構えで行わなきゃならぬか。言葉でいろいろいいことをおっしゃっても行動が付いていかなかったらどうにもならない。逆に、行動がその逆の方向へ行っていたんではこれは幾ら言葉で言われても信用できないということになるわけで、少年事件のことではありませんが、東京地検、証拠うっかり廃棄、特捜部ですね。これについて、これは国民も、法務委員会やっているのに何も触れないというんじゃ、これは法務委員会の見識を疑われるので、一応伺っておきたいと思うんですが、緑資源機構の官製談合事件で公取が捜索をして証拠を収集をした、これを東京地検が預かっていて、そしてどこかへ運ぶのに一箱だけ忘れていて、これがごみだと思って捨てられたと、既に焼かれたと、こういう話ですが、いろいろありますね。 まず第一に、証拠品がうっかり廃棄されて焼かれちゃったという、何か新聞によると、というか、これはほかの、私も確か耳にしたと思いますが、警視庁が凶器と見られる木刀、のこぎりなどを紛失していたことが発覚したと。これは地検は誠に遺憾というコメントを出したとかいう話でありますが、地検、当の地検がこういうことをやっていた。 それだけじゃないんですね。問題は、この事件はまだ公取から告発を受けてないんですね。なのになぜ証拠品が地検にあるのか。これは公取が事件を調査をするときに、起訴をする検察といろんな調整、調整というとちょっと言葉は悪いですね、いろんな打合せをしながら、協議をしながらこれは告発してくださいねとか、ここのところをちょっとよく調べてくださいとか、いろんなことをおやりになる。私はそのことに若干の批判を持っておるんです、本当は。公取は公取の判断できっちりやって、それで地検は地検の判断でまたそれをちゃんと処理をするという、そういうある種のけじめが要るんじゃないかと思うんですが、しかし、今現実にはそういういろんな協議の上、事件を処理している。協議ならいいんだけど、証拠物まで地検に、何の手続も多分ないんです、これね。領置とかいうようなことを多分やってないんじゃないかという気もするんですが、だってやりようがないですよね、事件が来てないんだからね。 いずれにしても、そういうような問題もあってこういうことになっているので、昨日通告をしましたら、これは今まだ動いているところで告発もされてないんで、できれば質問は控えてほしいというような様子であったんですが、そうはいきませんが。まだお答えにくい部分もあると思いますけど、法務大臣、これどういうふうに報告を受けてどうされるおつもりか、具体的事件ですから、こういうふうにすると言うとまたこれが法務大臣が指揮したとかいうようなことになるかもしれませんけど、今の法務大臣の、どういいますか、お考えを、今の程度で結構ですからお答えください。
○国務大臣(長勢甚遠君) 先におっしゃっていただきましたけれども、捜査機関の具体的活動内容にかかわるので詳細にお答えすることは差し支えますけれども、いずれにしても、この東京地検において公正取引委員会から預かっていた証拠品の一部を紛失、破棄したという事態が生じたということの報告は来ております。私自身も何ということだと驚くといいますか、信じられない気持ちでございまして、誠に申し訳ない次第だと思っております。 今、公取との関係についての御質問でございますが、一般論として申し上げれば、公正取引委員会の犯則調査は告発に向けられた調査であるところ、告発後の捜査主体であり、公訴維持に当たる検察当局は、告発前であっても犯則調査部門との間で必要な情報交換、その他の連携を取りつつ捜査を行うのは当然であると考えております。そして、そのことは、公正取引委員会に犯則調査権限が与えられた趣旨に沿い、また当然に予定されているものと言えますので、公正取引委員会の犯則調査部門が差し押さえた証拠物を検察当局に貸し出す行為や、検察当局がこれを借り受ける行為には問題はないものというふうに考えております。
○江田五月君 貸し出したり借り受けたりするのは問題がないと言われましたが、どういう手続でやっておられるのか、何か受領証とかをきっちり出しているのかとかいうようなこともいろいろ調べてお知らせをいただきたいんですが、今日はやめておきますけれども。優しいと言われますが、優しくはないんですけど、今日、余り無理にそんなことを答えていただくこともできないかと思いますが。 ひとつ刑事局長、これ、東京地検がコメントを出したというように新聞には書いているんですが、コメントを出したというんだと文書か何かでお出しになっているのか、御存じですかね。もし文書で出しているんなら、この委員会に文書を提出してもらえませんか。
○政府参考人(小津博司君) 東京地検からは、マスコミの方に口頭でコメントをしたというように報告を受けております。
○江田五月君 口頭、口頭ね、荒唐無稽じゃないかと。 これ、故意にこの証拠をなくしておいて、そして、これはちょっと告発を受けても事件として扱えないからというようなことでうやむやに処理するなんということがあったら、これはもう大問題ですよ。そういうことさえ疑われるようなことですので、きっちり責任問題含めてしっかりした処理をし、当委員会に報告をしていただきたいと、今そのことだけはひとつお願いをしたいんですが、いかがですか、法務大臣。
○国務大臣(長勢甚遠君) 捜査の問題でございますので、事案に応じてどのように考えるか、改めて検討させていただきたいと思います。(発言する者あり)
○江田五月君 いや、本当に、捜査の問題じゃないと。どういうか、法務行政全体の信頼性の問題なんですよ。こういうことをこのままにしておいて、そしてうやむやにしたままで、幾ら触法少年に対して警察はこんなに優しくいろいろやっていますとかいったって、信用できないという話ですから、これはここで、この問題だけにかかわっておると少年法の質疑ができませんので次へ行きますが、本当に肝に銘じておいていただきたいと思います。 さて、少年法改正案ですが、私は実は少年法とか少年保護についてはかなり長いかかわりを持っております。一九六三年ですからもう四十何年か前、懲戒処分を解かれて大学に戻った後に、長勢大臣とは一緒に入りましたから、大臣は私より先に本郷の方に行かれておるんですが、私は後から付いていったんですが。 縁あって森田宗一さんの御自宅にしばしばお伺いをするようになりました。森田宗一さんは、戦後、家庭裁判所の開設にかかわられたり、また少年法の制定にも関与されて、例の有斐閣のポケットコンメンタールですかね、少年法を団藤重光先生と共著でお出しになっている方で、少年法の権威、今年二月に九十二歳で他界をされまして、私も葬儀に駆け付けました。つい先日、しのぶ会も行われましたが、この場をかりて少年保護の大先輩の御冥福を心からお祈りをさせていただきたいと思います。 その後、私自身もまだ三十代のころに、裁判官として少年審判を主宰をいたしました。森田さんあるいは同僚裁判官や職員の皆さん、特に家庭裁判所調査官の皆さん、そして何よりも少年自身から非常に多くのことを学んだと思っております。当時は付添人は本当に、制度はあったんですが、付添人をやってくれる弁護士さんはほとんどいなかったですね。しかし一方で、補導委託先など社会的な少年保護のリソースというのはかなりあったと思いますし、また家庭裁判所にやる気があったと思うんですね、当時。しかし、今、付添人は確かに随分増えてまいりました。ところが、どうも家裁の元気、あるいは社会の少年保護のいろんなリソース、そういうものはどうなっているかと思いますと、ちょっと心が寒くなるような思いがいたします。 私、なぜそういう話するかというと、そういった家裁の問題、あるいは児相の問題、あるいは社会的な少年保護にかかわるリソースがだんだん弱体化しているんじゃないか、そのようなことを、そのようなことを少年にしわ寄せするような形で解決しては断じてならぬということなんですね。これはやっぱり、家裁ももっと元気に働けるように、あるいは保護司さんたちもそうですし、またいろんな社会のリソース、こういうものが少年保護のために一生懸命頑張ろうという、そういう制度をつくっていくように我々立法にかかわる者は最大限努力をしていかなきゃならぬし、また法務大臣、法務行政の中で、あるいは今日は厚労省の皆さんは呼んでませんが、児相の実際の運営の中で少年の保護、これを第一に置いて、国連の子ども特別総会決議にもあるように、チルドレンファーストということですべてが努力をしていかなきゃならぬと、私自身もそう自分自身肝に銘じておきたいと思っているところです。 今回の改正は、私は実は若干責任を感じているんです。長崎の事件や佐世保の事件があって、当時私、ちょっと何をしていたか忘れたんですが、民主党の中の刑事司法関係、法務関係の何かの役を持っていたと思うんですけれども、この事件は大変衝撃的な事件で、この二つの事件、事案解明、刑事責任年齢に達していないからというんで事案解明ができないということでいいんだろうかとか、あるいは十四歳未満で児童自立支援施設にしか入れられない、しかし強制的措置がとれる児童自立支援施設というのは数が少ない、もっと多くの児童自立支援施設が強制的措置がとれるようにするのがいいのか、しかしそうすると児童自立支援施設というもののまた性格ともこれは関係するわけですから、それでいいかという問題も出てくる。しかし、何か一般の児童自立支援施設だけで社会が納得するだろうかというようなことを考えると、保護処分の弾力化、少年院送致の弾力化ということも考えなきゃならぬのじゃないかというようなこともちょっと言ったことがございまして、余り自分で思い上がっちゃいけませんけれども、私が言ったことがこういう提案になってきたかなというような思いがあって、それにしてはちょっとこの今回の提案は悪乗りが過ぎるんじゃないかとじくじたる思いも持ったりしながら質問をいたします。 まず、この今回の改正の目的は一体何なんだということなんですが、法務大臣に伺います。 安倍首相は、衆議院の法務委員会で、これ我々から言わせれば強行採決ですが、採決の後に記者に聞かれて、残念ながら少年犯罪が凶悪化しており、被害者の気持ちも踏まえればやむを得ない、各紙報道の、おおむねこういうトーンですね。残念だ、しかし凶悪化がある、被害者の気持ちを踏まえてやむを得ないと、こういう単語が並んでいるわけですが。 安倍首相に聞いてくれと言われるかもしれませんが、衆議院の方でこれについて法務大臣お答えになっていますので、こういう安倍首相のコメントというのをどう思われますか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今回の法案は、少年の非行に関する事実の解明をより一層進めるということ、そして少年の状況に応じた保護処分の選択を可能にするということを内容とするものでございまして、少年の健全育成を図るために必要な法整備を行うという趣旨のものでございます。その背景には少年非行の状況があるわけでございますが、先般来、刑事局長から御説明したとおりでございます。そういう状況の中での、いわゆる厳罰化を目的とするというものではない、今申しましたように、健全育成を図るために必要な法整備を図るという趣旨のものでございます。 総理におかれましても、当然そのことを御理解の上で御発言をされたものと理解をしておるわけでございます。
○江田五月君 御理解の上じゃないと私は思うんですよ。 というのは、新聞報道をもうちょっと子細に見ると、少年院送致年齢の引下げについての認識を言ったんだという報道もあるんですね。それから、厳罰化を図る内容であるかについての認識だという、そういう報道もある。要するに、全体として、安倍首相の認識というのは、本改正案は少年事件の凶悪化に対応をして厳罰化を図ることで、それは被害者の気持ちを考えたらやむを得ないんだと、こういう内容なんです。したがって、今の事案の解明、そして処分の弾力化、これがいいとか悪いとかというふうに安倍首相は何も言っていない。ところが、この法案というのは厳罰化じゃないとおっしゃるわけですね。 安倍首相に聞いてくれと言わずに、ちょっと、そこの、安倍首相はどういう理解でこういうふうなコメントをされたかお分かりですかね。
○国務大臣(長勢甚遠君) そのコメント自体について直接真意をお伺いしたことはないわけでございますが、少年非行が高水準で推移をしてきておる、また非常に重大な事件も起きておるということについて、世論のいろんなお考えもあるということが背景にあって、そういうことも背景として今回の法案になっておるわけでございますが、そういう中で、これからの健全育成を図る上でどういう方策があるかということで今回御提案申し上げているわけでございます。 総理もそのことを十分御理解の上で、この法案の意義を理解していただいておるというふうに思っております。
○江田五月君 安倍首相が理解しているかしていないかをここで法務大臣とやり取りしたってしようがない話ですが、被害者の気持ちを踏まえるとと言っているんですが、今回の改正案に被害者保護ということは何かちょっとでも入っているんですか。
○政府参考人(小津博司君) 直接ではございませんけれども、例えば、重大な事件に係る触法少年の事件についてできるだけ家庭裁判所の審判を経ることにしようということにつきましては、その家庭裁判所の審判というものを通してと申しますか、介してと申しますか、被害者の方がその事件の内容等々を知るなどの機会を得ることができるということになるわけでございまして、そのような意味では被害者の方の御要望に沿う面もあると理解はしております。
○江田五月君 小さなところを見付けましたね。今回の改正の中の本当に小さな部分で、家裁へ行って審判で、審判にはいろいろ被害者がかかわるようなことも先般の改正で取り入れたからというんだけど、ちょっとそれはこの安倍首相のコメントの筋道とは違うんじゃないですか。 私は、安倍総理大臣、少年保護のことなど何も分かっていないんで、分からずに、ただ単に世間一般が、少年に対しては甘いんでこれに対して厳重に対処しなきゃならぬ、したがって少年法の厳罰化はいいことだ、そんな空気がある中で、それに、まあポピュリズムというんですかね、乗っかって、いいことだいいことだと、あるいはやむを得ないというようなことを言うことは本当にやめてほしいと思っております。もっと本当に真剣に少年保護のことを考えなきゃならぬと思うんですが。 さて、法務大臣ね、少年犯罪が凶悪化しているかどうか、これは今いろんな統計の話なんかはありますけれども、その統計の見方もいろいろあると思いますが、思いますが、私が思うのは、凶悪化というこのことは何を意味するんだと。少年事件というのが身の毛もよだつような、とても大人じゃ考えられないような残酷な、残虐なことを行うようなことになってきて、だから凶悪化しているんだと、よってこれに対しては厳しくと。しかし、それはちょっと少年犯罪というものの見方が違うのではないかという気がします。 少年というのは汚れのない天使のようなものとは違うんですよ。そうじゃないんです。少年の心の中はもっともっとどろどろしているんです。当たり前なんです。 こういうことを言うんですね。人間というのは哺乳類の中で一番未熟で生まれてくるというんですね。とにかく生まれてきたときには首も据わっていない、ぐにゃぐにゃで、みんなが保護して大きくしていかなきゃ、そのままで置いておいたんじゃもうどうにもならないと。何とかポストができるなんというのも、そういうことなんです。もう一番未熟な状態で生まれて、これが随分長い時間を掛けて、次第次第に育っていくんで、その過程でいろんな、すうっと育つ子供ばかりだったらそれは手間暇掛からないけど、そうじゃないんで、いろんな脇道へそれたりいろんなことをする、心の中もいろいろ動いていく。 そんな中で、まだ幼稚な、ある意味で残虐というようなことの判断さえ付かない、そんな状況を残したまま、何か感情の赴くままに事件を起こす。大人の目から見たら、それはもう極悪非道、とても許し難い。だけど、子供のそのときの気持ちからすると、幼稚性の表れなんだというようなことも一杯あると。そこの見極めをやって適切な処遇をするのが家庭裁判所の役目なんですよね。 私自身も家裁で事件を扱っているときに、もう本当に、例えば殺人、殺人だけど、これは保護処分、保護観察と、そんなことをしたこともあります。いや、不処分でもいいかと思ったこともあります。どういう事件かというと、まあ十八、十九の女の子が、いろんなことがあって子供が、おなかが大きくなって、そしてある日便所で産み落とすと。これは殺人ですね。しかし、要保護性というのは決して高くない。その子自身が一番傷付いているわけで。あるいは、単にちょっとした無免許運転。しかし、その子を調べてみると、その要保護性というのは非常に高い。この無免許運転についてはこれはきっちりした保護処分をしなきゃいけないというんで少年院送致にすると、そういうこともある。 少年事件の見方というのをそこまで是非理解をした上で見てほしい。何か、刑法犯の凶悪犯、粗暴犯がこういう件数になっているから少年は今凶悪化しているとかいう理解は是非慎んでほしいと思うんですが。そして、社会全体で少年の非行についてそういう物の見方をしないと少年保護というのは成り立たないんだということを是非理解していただきたいと思うんですが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 少年に関する大変含蓄のあるお話でございまして、そのことはおっしゃるとおりだろうと思います。 やっぱり少年に対して社会全体、我々も含めて、そういう存在であるということの認識に立っていろんな政策、施策を、また現場においてもそういう気持ちで接すべきことであるということはおっしゃるとおりだろうと思います。そういう中で、今回の法改正を踏まえて、事案を十分に認識をして、それに沿った対応が取れるようにやっていく必要があるものと考えております。
○江田五月君 分かっていただいたかどうか。お分かりいただけたでしょうかという最近のテレビの口調ですが、本当に分かってほしいと思うんですよ。 さて、今回の改正は、これ今、改正自体は事案解明とそれから処分の弾力化ということですが、その目的といいますか背景といいますか、提案理由説明では、近年ということで始まって、少年事件の増加、それから凶悪犯の増加、凶悪化ですね、そして触法少年ですからこれは低年齢化。少年事件の増加と凶悪化と低年齢化、そして深刻であるからそれを踏まえてこういう改正にするんだというふうに書いてあるんですが、今の増加と凶悪化と低年齢化、これが今回の改正が対処しようとする少年事件の今の状況だと、こういう認識でいいんですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 提案理由で申し上げておるとおりでございますが、短期的にここ一、二年どうという話ではなくて、やはり趨勢的に増加の傾向、そして予断を許さない状況にあるということは共通の認識であろうと思います。 そしてまた非常に凶悪な事件も起きておるわけで、こういう問題に対処して社会全体として対応をきちんとやっていかなければならないというのが、みんなが考えておるところだろうと認識をしております。
○江田五月君 私はもうちょっと論理的に考えていただきたいと思うんですよ。この提案理由の説明の中にも、このような現状を踏まえ、云々云々とずっと書いてあって、そしてこういう検討事項があって、その検討事項を実現するために今度の改正案を出したんだという趣旨だと思いますが、これらの検討事項はいずれもかねてから立法的手当てが必要と指摘されていたところでありますと。つまり、現時の少年事件の動向に対処するということと、かねてから立法的手当てが必要と指摘されていたことと二つのことが書いてあるんですが、今度の改正は、今の少年事件の動向に対応するというよりも、かねてから指摘されていた懸案、これを解決しようということではないんですかと。助けを出しているつもりなんですが、どうなんですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) もちろん、ずっと議論のあった立法が必要、手当てが必要であるという議論のあったことでありますと同時に、昨今の状況から見てそれに対する必要性といいますか、立法の機運が高まったというふうに理解をしております。
○江田五月君 じゃ伺いましょう。 二〇〇〇年ですよね、前回の改正が。二〇〇〇年の改正のときに、今の少年非行の増加とか凶悪化とか、それが何であるかは今ちょっと議論しませんが、増加とか凶悪化とか低年齢化とか、少年事件の動向は看過できない、したがって改正をするんだと、これは法務省が提案したんじゃなくて議員立法ですが、知らぬ存ぜぬとはそれは言えませんわね、法務省としても。そういうことで改正をしたんですよ。 そして、私ども民主党は、これ恥をさらすというか、我々自身一生懸命悩んだということを言いたいんですが、本当にそれでいいのかという議論をしまして、それで衆議院の段階では造反が出たんです、たくさん。出たんです。それで参議院に移ってきたんです。私は当時責任者で、そして参議院で修正をしてもらったんですよ。 当時、確かに少年事件についていろいろと困ったことはあった。何より何が困るかというと、少年自身が、少年の時代に犯罪を起こせば罰せられないから今だとかいってやったというようなことを言うような少年さえ出てきて、つまり少年法の運用が社会全体の確信、法的確信によって支えられているかどうかが非常に危ないことになってきたと、これはマスコミの責任もあると思いますけれどもね。そういう状況になってきて、何か手当てをして、立法として手当てをしないと、これはそのまま今の状況をほっておいては少年法及び少年保護の理念に対する社会の確信が元へ戻らない。 だからというので、我々、これは何かしなきゃいけない、しかしその内容がこれでいいのかということはあって。まあ厳罰化です。検察官の関与にしても、あるいは刑事責任、逆送年齢を引き下げることにしても、厳罰化です。厳罰化がそのような社会の確信の立て直しに役に立つのかどうか、これは証明はないんです。何のデータもないんです。ないけれども、じゃやってみようと。やってみるけれども、五年間期間を置いて、そしてその間の状況を検討し、見直しをしようというので、そういう見直し条項を参議院で修正で加えて。 これ本当に、私も当時の活動日誌、今ずっとさっき見てみたんですけれども、もう連日のように交渉しました。現場での交渉もしました、現場以外のところでもいろんな交渉をしました。そして修正というのを入れて私たち民主党も賛成をして、それで参議院で議決をして衆議院に送って、衆議院でも我々賛成して二〇〇〇年の改正を実現したんですよ。で、二〇〇一年からこれが施行された。 そのときは、増加、凶悪化、低年齢化、これに対処するという。で、今回も同じ増加、凶悪化、低年齢化に対処するというんだったら、二〇〇〇年改正の検証を踏まえてでなければ出せないはずじゃないですか、今回。それを私は言っているんですよ。だから、そうじゃなくて、あのときにまだ残っていたものがあったからそれを直すんだというなら、それは百歩譲って分かると。だけどそうじゃなくて、今のような少年事件の傾向がこうだからといって、二〇〇〇年の改正からまたここで、しかも今度は法務省がお出しになる。これは筋が違うんじゃないですかと、そういうことを言いたいんですが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 平成十二年の改正の際は私が衆議院の法務委員長をいたしておりましたので、大変先生方に御苦労掛けたこと、先生ほど記憶力がないので正確には覚えておりませんが、御苦労掛けたことだけは覚えておりまして、当時衆議院の筆頭理事は佐々木秀典先生だったと思いますが、大変御苦労掛けたことを委員長として覚えております。そういう意味で、大変今のお話、迫力があるわけでございますが。 御案内のとおり、十二年の改正では、少年事件の処分等の在り方の見直し、少年審判の事実認定手続の適正化及び被害者への配慮の充実というものを内容としておったと思っております。一方、本法案は、平成十五年十二月に策定された青少年育成施策大綱等や、平成十四年三月に閣議決定された司法制度改革推進計画に掲げられた新たな検討事項を中心に、平成十二年改正後の五年後見直しとは別に所要の整備を、法整備を行うということにしたものでございます。 本法案に盛り込まれた事項は、かねてから立法的な手当ての必要性が指摘されながら、平成十二年の改正後の少年非行情勢等から改めて積極的な議論の対象となったものと考えておりまして、前回の改正時に残された問題というわけではないんではないかというふうに考えております。
○江田五月君 そこで、修正案提出者に伺いますが、大変な、かなりの修正をされたことは事実だと私も受け止めたいと思います。なぜここまで思い切った修正を与党の方でされたかですが、それでもまだ問題はあると思うんですけど、なぜここまでされたか。 それは、私が今言ったように、二〇〇〇年改正をちゃんと踏まえなければその一般的な法改正、少年法改正というところはそれは無理ですよと。しかし、佐世保事件、長崎事件などで前から残っていた事案解明の手続とかあるいはその保護処分の弾力化とかということの懸案が鋭く社会に提起をされた。だから、これはそこの部分はちょっともう最小限の手当てをしておかなきゃならぬ。ところが、今回、最小限の手当てより更に進んでいろんなものが入ってきているんで、まあしかし入ってきたものをゼロにするわけにもいかないから、そこのところには一杯条件を付けて、極力そのとげを抜いて、今の調査のことと少年院送致年齢のことについて手当てをしたんだというのが修正案の皆さんの気持ちじゃないか、提出者の皆さんの気持ちじゃないかと推測するんですが、いかがですか。どちらがお答えになる。
○衆議院議員(大口善徳君) 今、江田委員の非常に含蓄あるお言葉をいただきまして大変勉強させていただきました。 私どもは、やはり衆議院のこの政府の案は政府の案でありますが、私どもやっぱり立法府としての見識を示さなきゃいけない。今回、三月二十八日、四月十日と法務委員会の審議が行われまして、四月十一日に少年院そして児童自立支援施設等にも行かさせていただきまして、児童相談所にも行かせていただきました。そこのいろいろ現場の話を聞く。そして、四月十三日には参考人からいろんな貴重な御意見をいただく。また、厚生委員会との連合審査もさせていただく。こういう中で、やはり例えば虞犯少年に対する調査については、いろいろな、その対象が限定されていないので非常に不安があると、こういうことを参考人からそういう話があったりとか、あるいは少年院なのか自立支援施設なのかということは、現場を見させていただいて、やはりこの下限というものを設けなきゃいけない、参考人もそういうお話があるとか等々、やはりこの委員会の審議また視察の中での貴重なこの成果というものを今回修正案、修正という形で立法府の見識を示すためにやらせていただいた、こういうことでございます。
○江田五月君 何か問いと答えがちょっと擦れ違っているような感じですが。 私は、そういう意味でこの少年保護の理念、これは少年保護にかかわる者はだれも疑っていないと思うんですね。少年というのが、先日、参議院の本会議で千葉景子さんが質問されましたが、育ち直しと。少年が自分で育っていく、その育っていく育ちがいろいろ揺らいだときに、その少年の自分で育っていくこの道筋をへりからちょっと手助けをする。そして、そのことは本当に健全な社会人をつくっていくためにどうしても私たち取り組まなきゃならぬ、言わば人間社会の非常にこの未熟な状態で生まれた子供をちゃんと社会の構成員にしていくための人間社会が持っている重要な責務なんだというような思いで少年保護というものをやっているわけで、それで二〇〇〇年改正でああいうことをやった、これはある種の社会的実験で、しかしそれがもう一度少年保護の理念に対する社会の確信を取り戻すことに役立ってほしいという思いをみんな持っているんですが、その思いだけじゃいけないんで、やっぱり実際に行動で少年保護の理念をもう一度みんなで大切にしようということを社会の皆さんに理解していただく、その努力をしなきゃならぬ。 ところが、私は、どうもその努力が足りなかったんじゃないかという気がしております。我々もそうですが、特にその衝に当たる法務省、どういう少年保護の理念に対する社会の確信を取り戻すための努力をこれまでしてこられたのか、お答え願えますか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 先生の御質問の趣旨は、少年保護の意義というか理念を国民に分かるようにどうしてきたかという御趣旨だろうと思います。 それにぴったり合っていたのかどうか、私は、正確には私自身がまだ理解していないかもしれませんが、十二年の改正法については、法務省としても関係省庁と協力して改正の目的等を分かりやすく説明したリーフレット、ビデオを作成し、リーフレットについては全国四万四千部余りを配付するというような努力をいたしておりましたし、また具体的内容についても、担当者から一般向けにQアンドA形式とした分かりやすい解説書を執筆するなどして周知に努めてきたところでございます。 今回の改正についても法務省のホームページに掲載しておるわけでございますが、今後とも関係機関と連携しつつ、この十二年の改正も含めて広く国民に少年保護の意義を理解していただくように努めてまいりたいと考えております。 ただ、制度の説明だけでは、先生の言っておられることとちょっと違うことを私は言っているのかなと思いながらしゃべっておるんですが、是非そういう気持ちをきちんと伝えるような仕組みも考えていかなきゃならぬなと確かに思います。
○江田五月君 違うように思いながらということを言われてしまったらこっちもどうも追及しにくいんですけれども、違うんですよね。 制度の説明もさることながら、法務大臣の下にあるすべての少年保護にかかわる皆さんが一つ一つの少年保護の現場で、それは保護司さんであったり、まあ家庭裁判所は法務大臣の下にはありませんけれども、かかわる皆さんが一つ一つの少年保護の現場でいろんなことをやるときにこうやって自分たちはやっているということを、プライバシーの問題なんかはもちろん注意するのは当然ですが、社会の皆さんに理解をしていただいて、少年というのが立ち直っていって、そして本当に健全になっていく例は一杯あるはずなんですよ。少年院に入った、出てきた、もうあいつは少年院上がりだからとかいうようなことはもう極力なくして、例えばそういう子供を雇い入れるような機関を一杯増やしていくとか、雇ってこんないいことがあったというような事例もそこはかとなくみんなに伝わっていくような努力をするとか、そういう努力が必要なんじゃないかということでございまして、分かっていただけたと思いますので、是非よろしくお願いをしたい。 触法少年の調査についてちょっと伺っておかなければなりませんが、これ、いろんなことを伺いたいんですが、時間の方がだんだん来ておりまして、触法少年の調査というものが今回法定されると。強制調査もできるようになるが、もちろん少年自身の事情聴取を強制的に行うことはできない、身柄を確保するというようなことはできないと、しかし任意で触法少年に事情聴取をする権限というものを警察が持つようになるということなんですね。これは、全面的にノーとは言いませんが、しかし危ないことではあるんですね。 警察庁の方に伺いますけれども、犯罪捜査規範、ここでいろんなことをお書きになって、少年についての特則もある。この少年の特則の関係は犯罪少年と触法少年で違いがありますか。
○政府参考人(片桐裕君) 御指摘のように、犯罪捜査規範において少年事件の捜査に関する特則を設けてございます。これは直接的には犯罪少年にかかわるものでございますけれども、他方で少年警察活動規則という国家公安委員会規則がございまして、ここにおいて犯罪捜査機関で定められている配意事項とかいうものはそれに準ずるという形でもって準用されているということでございます。
○江田五月君 私が聞いたのは、そういうものは犯罪少年と触法少年とで適用に違いがありますかということを聞いたんです。
○政府参考人(片桐裕君) 実態からすると大変難しい問題がございますけれども、ただ、触法少年、十四歳未満であるから特性が急に変わるとかいうものではなかろうと思います。したがって、特に低年齢層とか中年齢層とか高年齢層とありますけれども、やはり低年齢層については特別な配意をしなさいということは我々言ってきたつもりでございますけれども、ただ、触法少年だからそこについて特にこれをやりなさいというようなことは特に申してはおりません。
○江田五月君 私も、それはある日突然がらっと変わるということはないと思いますよ。思いますけれども、今の犯罪捜査規範などがある中でいろんなことが起きているじゃないですか。 ここへ私持っているのは「少年警察活動と子どもの人権 新版」という、日本評論社、これは日弁連ですよね、持ってきておるんですが、えっ、こんなことやっているのという事例が山ほどあるんですよね。いや、まあこれはちょっと古い話なのかなと思ったら、これ今朝の新聞、少年の処分取消し、これは当時、大阪地裁所長だった鳥越健治さん、たまたま私は同期なんですけれども、彼の事件と言うといかぬか、彼が被害者になった事件ですね、についての少年の調べ、これ当時十四歳の少年という、今十八歳だそうですが、抗告審の決定があったと。この中では、少年の取調べについて机をたたくなど穏当を欠いた。決定で、机をたたくなど穏当を欠いた、ただそれだけの文字で書いてありますが、その奥は相当いろんなことがあったんではないかと思われますよ。 そういうようなことが行われているわけで、そうすると十三歳十一か月何日と十四歳と、そこでぱっと切れるわけじゃないけれども、やっぱり触法少年についてはこういうことに注意をしなきゃというような規範はきっちり作っておかなきゃいけないんじゃないですか。いかがですか。
○政府参考人(片桐裕君) 御指摘の事案については、今朝、報道で私も承知をしておりますけれども、まだ係争中でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。 そこで、触法少年について規範を定めるべきだというお話でございますけれども、現在も、今申し上げましたように、触法少年だからと、触法少年のみについての配意事項というものは決めておりませんけれども、ただ非行少年についての面接と申しますか調査に当たっては、その少年の特性について深い理解を持って当たるとか、また、少年の性行、環境を深く洞察し、非行の原因の究明や犯罪等の状況の把握に努めて、その非行の防止及び保護をする上で最も適切な処遇の方法を講ずるようにすることとか、また少年に応じてふさわしい、分かりやすい言葉を用いるとか、また少年の話の良い聞き手となって、一方的に押さえ付けようとしないとかいったようなことを配意事項として定めているところでございまして、御指摘のように触法少年についてはこういったことが特に強く要請されるというふうに考えております。 そこで、こういったことで我々これまでも規則、通達でもって大分定めてきているつもりではございますけれども、今回、この改正が通って、触法少年に関する警察の調査権が明記されることになれば、その施行に向けて更に規則、通達等を整備する必要があるかどうかについては検討してまいりたいと考えております。
○江田五月君 検討と言われますけれども、もうちょっと何か腹の底からそう思っているというような気持ちがにじみ出るような答え方はないんですかね。だから言うんですよ。ここでしゃべってもらうだけじゃ信用できないんで、だから言っているわけで。現に起きているわけですよ、次から次へと。 私は、やはりこれは、初めにも申し上げましたが、チルドレンファースト、子供たちに向かうときに子供のことを一番に考えなきゃいかぬよということで、やはり今まであれでしょう、触法少年に対する事情の聞き方というのは、警察法二条でしたか、というようなことでやっておられたということなんですかね。 しかし、犯罪少年に対しても触法少年に対しても同じ規範なんで、それでいいのだと言わんばかり。検討すると言うけれども、検討するじゃ何だかよく分からぬということなんで、そうじゃなくて、触法少年についての調査の権限も特に今回これで、まだ通っていないから与えられるとはなりませんが、多分そういうことに残念ながら、委員長がにこっと笑っておられるから、そうなるんでしょう。 しかし、権限が与えられることになったら、やっぱりその権限の行使について本当に真剣に何か考えなきゃいけない。触法少年について事情を聴くときの聴き方というものについて、単に警察庁内部の検討だけでなくて、例えばそれは専門家、いろんな心理学者のこともあるでしょう。あるいは厚生労働省関係、児相の関係なんかもあるでしょう。弁護士会もあるかもしれません。そういう皆さんとよく相談しながら、こういう聴き方しましょうねと、そういうような準則、ルールをお作りになってはどうですか。 そして、併せて言いますと、十四歳の直前と直後でがらっと変わるわけじゃないけれども、それでも十四歳以後についてはいろんな刑事手続の保障というものがそのまま働くわけで、供述拒否権のことであるとか弁護人選任権のこともあるわけですよ。これは、触法少年だったらそんなものは一切要りませんというんではなくて、憲法の黙秘権の保障がそのまま当てはまるかどうかなどということを概念法学的にあれこれ言うんではなくて、もうちょっとそこは、だれしも、どんな小さな子供でも自分のことについて、自分の不利益なことについて供述が強制されるということはやっぱりあっちゃいけないんで、その子に分かりやすいようにいろんなことをちゃんと保障していくと、そんなことも含めてルールをちゃんとお作りになったらどうですか。
○政府参考人(片桐裕君) 私も、先生の今ずっとお話を伺っておりまして、全く同感でございまして、決して我々何もしないとかいう趣旨では全くございません。また、現場の職員も、単に罰を与えればいいという気持ちで調査に当たっているわけではなくて、やはり少年の保護とか健全育成のためにはどうしたらいいかということを真剣に悩みながらやっているところでございますので、是非その点は御理解をいただきたいなというふうに思っています。 加えて、今の準則のお話でございますけれども、私ども、規則とか通達では相当程度のことを決めているつもりでございますが、むしろ、先生のおっしゃっていることは調査に当たってのマニュアルとかというふうなお話なのかなというふうに考えておりまして、こういったマニュアルについては、今後、今おっしゃった、こういう御指摘があったように、専門家の御意見も聞きながらこういったものを整備することについて検討してまいりたいと考えております。
○江田五月君 これは本当に本気でやってくださいよ。検討と言って、また聞きますよ、どういうふうにしましたかというのを。いいですか。覚えておいてくださいよ、ちゃんと。 ほかにもいろいろ聞きたいことあるんですが、それは、そういうふうに言われたって、ここで、十四歳の少年に対するこれ捜査なんですよね。穏当を欠く、何だっけ、穏当を欠いたというのがね。是非やってほしい。 あわせて、可視化です。やっぱり今可視化の問題というのは議論になっているのは、裁判員制度がスタートするのでその前にということで、検察庁の方も一定の前向きの対応をされているようですが、それはそれでいいんですが、警察の方は依然として駄目だということですけれども、せめて、一般論言いません、せめて触法少年の事情聴取はちゃんと録音、録画やられたらどうですか。
○政府参考人(片桐裕君) 可視化という、いわゆる取調べといいますか、面接の録音、録画についてのお尋ねでございますが、これについては今提案者の方から御説明があったように、司法制度全体の中でもって検討されるべきであるというふうに考えております。 特に、今御指摘は触法少年についてというお話でございますけれども、いろいろ議論はあるところでございますけれども、少年につきましては、先ほども御答弁を申し上げましたように、質問者の暗示を受けやすいというふうなこと、また迎合的になるという、なりやすいという特性を有するということは我々も十分承知をしておりまして、その点については十分に配意をしながら面接をしなければならない。 他方で、少年の健全育成のためには、まず事実が、どういった事実があったのかということの真相を解明するということは絶対にこれ必要不可欠な話であるというふうに我々は考えております。そのためには、取調べというか、面接の場で少年に無用の緊張を与えないように配意をしながら少年とのコミュニケーションを重ねていくということが大事だということで考えております。 しかしながら、御指摘のあったような取調べの過程の録音、録画ということになりますと、供述の内容、過程、又は態度、少年のしゃべった中身だとか、どういった過程でもって話をしたのかとか、また話すときの態度、表現ぶりといったものがすべて公になるのではないかというふうな心理的圧迫が加えられますので、十分な供述が得られないというおそれがあるわけでございます。 特に、少年からは、その原因、動機を解明するために聞かなければならないという問題がありまして、例えばそれは親とか兄弟への思いとか、また学校への不満であるとか、また仲間、先輩への思いであるとかといったことがあからさまに供述されるといったことが多いわけでございまして、そうなりますと、それでもってこれが録音、録画されてしまいますと、それらの自分でしゃべった中身が関係者にそのまま伝わってしまうのではないかということについて少年は強い懸念を持つというふうに我々は考えております。 他方で、調査においてこのような思いを聞き出す中で非行の原因とか動機等の真相の解明につながっていくことが多いというふうに考えておりますので、それが録音、録画されていくということであれば、こういった供述が得られなくなって真実の解明に支障が生じるというふうに考えております。 したがって、その過程を録音、録画することについては極めて慎重な検討が必要であるというふうに考えております。 こうしたことから、警察としましては、これまでも少年その他の関係者が秘密の漏れることに不安を抱かないように配意するということを決めておりまして、また他方で、少年に応じてふさわしく分かりやすい言葉を用いるとか、また少年の話のよい聞き手となるとか、また一方的に押さえ付けようとしないとかいったようなことの配意事項を決めて調査に当たっているところでございます。
○江田五月君 全然駄目ですね。そうやってやっている、やっていると言うけど、こういうことが起きているじゃないですか、現に。こういうことが起きている。ですから、あなた方がこうやっている、やっていると言ったって、そうじゃないという事実が出てきているから私は言っているんで、世間の理解を得ようとするならば、触法少年の調査の権限を警察が持つことについて世間の理解を得ようとするならば、こういうことはもう起こさないと、そのためにもそれは可視化というものにちゃんと本気で取り組むべきだということを申し上げておきます。 触法少年の付添人の関係について、これは今回修正によって導入されたので、これなかなか大きなことだと思うんですが、しかしいろいろ聞きたいこともあるんですが、ちょっと時間がなくなりました。 選任ということは、これは刑事手続といいますか捜査の手続の中の行動ですが、あくまで私選になるわけですから、そうすると民事上の契約関係はどういうふうになるかということもあったり、民事上の契約関係があれば、そうすると、その付添人として選任された、委任を受けた弁護士さんが委任の趣旨に沿った付添人としての活動をしなかった場合のことはどうなるのかとか、逆にした場合の報酬とか、あるいは費用の請求はどうなるのかとか、いろいろありますが、今日は時間ありません。 そこで、これはまだまだいろいろ質疑は続くんだと思いますから、そうしたことをまた聞かしてほしいと思いますが、最後に、刑事局長、さっきの答弁に間違いがあったそうなので、訂正してください。
○政府参考人(小津博司君) 申し訳ございません。 先ほど、東京地検の証拠品紛失問題につきまして、これを東京地検の方でマスコミにどのような方法で知らせたかということにつきまして、私の方で口頭でということだけ申し上げました。もちろん、口頭で対応した社もございますけれども、各社に取りあえずファクスでお知らせしたということがこの間判明いたしましたので、その部分、訂正、補充させていただきます。 恐れ入りました。
○江田五月君 じゃ、それ当委員会に出してください。
○政府参考人(小津博司君) この事案、そして経緯につきまして、どのような方法で御報告させていただくかということにつきましては、またよろしく御指導をいただきながら検討させていただきたいと思います。
○江田五月君 理事会で検討してください。
○委員長(山下栄一君) 今の件、理事会で検討させていただきます。
○江田五月君 終わります。
○委員長(山下栄一君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 正午休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、二之湯智君が委員を辞任され、その補欠として岡田直樹君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 休憩前に引き続き、少年法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。 午前中の同僚江田五月議員の質疑も大所高所で大変中身の濃い質疑だったと、済みません、いなかったものですから、きちっと報告を受けまして、しかもジェントルマンの江田議員が声を荒立てるような、そういうこともあったということでございます。大変そのような中身のある議論に続きまして、午後、少し技術的あるいは細かい点にわたることがあるかもしれませんが、質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいというふうに思います。 さて、私はまず今回の改正の中で、少年院送致年齢が引き下げられたという点についてまず何点か質問をさせていただきたいというふうに思っております。 実は、この現行少年院法というのが定められましたのが昭和二十三年でございます。このときには少年の収容可能年齢を最初おおむね十四歳以上と、こういうふうに定めていたそうでございまして、その規定が二十四年、すぐ改正されたかよくちょっと私も分かりませんけれども、そこでおおむねが削除されて十四歳以上というふうにされたというふうに聞いております。 これがどういう経緯で、そしてこの十四歳ということがどういう理由に基づいているのかということを考えてみますと、ちょうどその昭和二十四の改正時の政府の御答弁だと思いますけれども、十四歳未満の少年を十四歳以上の犯罪少年又は虞犯少年と同一に扱うことは適切ではなく、もしこれに収容保護を加える必要のあるときは、すべてこれを児童福祉法による施設に入れるのが妥当と思われ、また少年院の運用もさようとする方が一層効果的になりますので、少年院法第二条第二項を改めて十四歳未満の少年は少年院には収容しないことにいたしたのでありますと、こういう旨の御答弁がなされているようでございます。 こういう趣旨を考えますと、立法当時のこの考え方というのをどう御認識なさっておるか、そしてこの立法当時と現在とを考えてみますときに、この言われている趣旨というのが本当に変化しているんだろうか、やはり十四歳で分けて、そして児童福祉法による施設あるいは少年院による収容と分けて考えるという考え方はもう意味を成していないというふうに言えるのかどうか、その点についてまず御確認させていただきたいと思います。 法務省、よろしくお願いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 委員御指摘になられましたように、昭和二十三年に新たに制定された少年院法では、初等少年院及び医療少年院はおおむね十四歳以上の者を収容するとされておりました。その後、昭和二十四年に少年法、児童福祉法の改正と併せて行われました少年院法の改正においてこのおおむねの文言が削除されまして、初等少年院及び医療少年院の収容年齢は十四歳以上とされたものでございます。この改正法案の提案理由説明で先ほど委員御指摘のような説明がなされたというふうに承知しております。 しかしながら、現在の少年非行の現状にかんがみますと、十四歳未満の少年であっても、凶悪重大な事件を起こしたり悪質な非行を繰り返すなど深刻な問題を抱える者に対しては、早期に矯正教育を授けることが本人の改善更生を図る上で必要かつ相当と認められる場合があると考えられます上、開放処遇を原則とする児童福祉施設では対応が困難と考えられる場合もあるわけでございます。 そこで、これまでのように年齢によって一律に区別するのではなく、個々の少年が抱える問題に即して最も適切な処遇を選択できる仕組みとするために、十四歳未満であっても初等少年院又は医療少年院に収容できることとする政府案を提出したところでございますが、これにつきましては、与党の御提案でおおむね十二歳とする修正がなされたわけでございます。 他方、本法案によります改正後の少年法第二十四条では、ただし、決定のときに十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分、すなわち少年院送致をすることができると規定しておりますので、十四歳未満の少年を少年院に送致できることといたしましても特に必要と認める場合に限っておりますので、そういう意味では、十四歳という区切りについて改正後も意味がなくなるわけではないと、このように認識しております。
○千葉景子君 今の御答弁にありましたように、どうやら、法務省の元々のお考え方というのは、十四歳未満の少年について年齢で一定の基準を考えるのはなかなか困難だと、意味がないというようなどうもお考え方があるように私は思えます。 ただ、本当にそうなんだろうかと。十四歳ということで一つの大きな基準を設けていたその考え方、先ほどの答弁にもありますように、やはり年少の少年は児童福祉という観点で処遇をすべしと、その方が効果がある、そうではない年長の場合には少年院という収容の仕方が効果があるんだと、この考え方というのがそう簡単にやはり変わっているものとは私は思えません。 繰り返しませんけれども、こういう経緯があったんですけれども、今回は、全く年齢を取っ払うということに対して与党の側で御修正をなさいまして、おおむね十二歳以上というふうに修正を施されました。これは一つのまた御見識だというふうに思いますが、ただ、どうなんでしょうか、この十二歳以上というふうになさった根拠というんでしょうか、理由、これについて御説明いただければ有り難いと思います。
○衆議院議員(大口善徳君) 今の千葉先生のお考えというものは私ども生きておると、こう思いまして今回修正案を出させていただいたということでございます。そして、自立児童支援施設にも参りましたが、やはり小舎夫婦制ということで、本当に家族のように少年を一緒に育て直すと、こういう部分は非常に大事な部分であるということはそのとおりだと思います。 それで、この十二歳ということでございますが、これはある線を、やっぱり下限を設けなきゃいけない、その場合の一つの線として、中学校に入学する年齢、これを一応の目安といたしました。そして、弾力的な処遇の選択を可能にするということで、そこにおおむねというものを付けさせていただきました。ですから、おおむねというのは大体一歳程度でございますので、この収容の年齢の中には十一歳というものも入ると、こういうことでございます。
○千葉景子君 子供をやはり育ち直しという観点、大事だということを共有させていただいているのかなというふうに今受け止めさせていただきました。そういう観点から、全く下限を付けないのではなくしておおむね十二歳以上となさったということでございます。 ただ、このおおむね十二歳以上ということにいたしますと、小学生も少年院に送致される可能性というのは含まれているわけですね。十二歳で、それこそおおむねは中学校に入る年齢ということではございますけれども、おおむねということになりますと、小学生でも少年院に送致するということをやっぱり可能にするということになります。 この小学生を少年院に送致することの妥当性ということについて、これは朝日新聞の記事でございますけれども、福島大学の生島先生がこのようなことを書かれておられます。基礎的な学力を身に付け個をつくり上げる段階にある小学生は、少なくても集団的な矯正教育がベースの少年院に入れるべきではなく、児童自立支援施設で、育て直しと使っておられますけれども、私は育ち直しかなと思いますが、を図るべきと、こういう指摘をされておられます。私も、十四歳未満の少年、とりわけ小学生ということになりますと、言わばこれからの育ち直しということについていささか危惧を私も持つものでございます。 そこで大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、小学生も少年院送致をされる可能性を今含んだ法案になっていると。元々は、政府の方の案によりますと、小学生であれ何であれ、もう年齢構わず少年院と、どちらかといえばそうだったわけですけれども、この十二歳、おおむね十二歳ということで一定の区切りは付けられましたけれども、それでも小学生が送致される可能性は含んでいるということです。 この小学生を少年院に送致するという考え方、それから実際にそういうことが一体本当に適切なことなのかどうか、大臣はどうお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(長勢甚遠君) この少年院送致は、御案内のとおり、少年に罰を与えたり刑事責任を取らせるというものだけではございませんで、少年の立ち直り、育て直しのための教育を行うという施設でございます。 今、年齢が話題になっておるわけでございますが、少年院で教育をする方が本人の立ち直り、育て直しに向いているというか、適切であるという判断をされた者を家庭裁判所で御判断をいただくという仕組みになっておるわけでございまして、すべて小学生が入るというわけではないことはもう御案内のとおりでございます。 一方、児童自立支援施設も大変機能を果たしていただいているわけでございますが、ここは開放施設という原則になっております。したがって、そこに、低年齢の少年であっても児童自立支援施設の処遇になじまない者がおられるわけですし、一方、少年院の方ではそこの集団教育になじまない者であるとかそこの教育ではうまくいかないというケースもあるわけで、ここら辺を勘案をして判断をされるわけでございます。 したがいまして、小学生であるからとか、あるからどうだとかというだけではなくて、その個々の事例によってより適切な処遇を御判断いただく。深刻な問題を抱えている人たちとか、あるいはこういう開放処遇になじまない方であれば、小学生であるからというだけで少年院の送致を認めないということはかえって不適切なことが起こるんではないかと、このように思っておるわけであります。 もちろん、このおおむね十二歳以上とされた立法趣旨、今提案者の方から御説明があったとおりでございますから、それを基本にして具体的には判断されることになると思いますけれども、小学生であっても少年院送致の保護処分を取ることが適当であるという判断があっても、それはおかしくないんではないかというふうに考えております。
○千葉景子君 確かに、今大臣がおっしゃったように、小学生だから云々、中学になったから少年院でという考え方は必ずしも個々のケースでなじまないんだというお話でございました。 ただ、やっぱり年少の少年が起こした事件というのは、たまたま非常に衝撃的なときというのはないわけではありません。ただ、そういうことと、やっぱりその年齢から、本当にまだまだ将来に育ち直りの可能性を非常に含んだ年齢なわけですので、何かその結果だけをとらまえて、いや、これはやっぱりそういう場合にはもう開放的なものでは駄目だ、少年院のような集団的に少し厳しくやらなきゃいけないのだというふうにつなげていくというのは、私はいささか短絡的な感じはするのですね。 法務省の方にお聞きをいたしますが、やっぱり少年院ではなくして、年少の児童福祉の観点で児童自立支援施設というのが存在をしている、この意義というか、それはちゃんと理解をしておられるんでしょうね。お聞かせください。
○政府参考人(小津博司君) 一般論といたしまして、心身の発達が不十分な低年齢の少年につきましては、児童自立支援施設等の福祉施設で処遇を行うのが適当な場合が多いと考えられるところでございます。先ほども少し言及いたしましたけれども、十四歳未満、十四歳に満たない少年につきましては、特に必要と認める場合に限り少年院送致をすることができるとしたのもそのような考えに基づくわけでございまして、私どもといたしましても、児童福祉施設等における処遇は大変重要であると認識しているところでございます。
○千葉景子君 やっぱりそこの基本的な認識というのはどういうことがあっても私はきちっと押さえておかなければいけないというふうに思うんです。 厚労省の方にお聞きをいたしますが、先ほどから、児童自立支援施設というのが開放的な処遇で、強制にわたらないような形で処遇が児童福祉の観点から行われているということでございます。ただ、どうも開放になじまないケースもあるとか、それから、児童自立支援施設ではやはり処遇の内容として、例えば医療の問題などでもなかなか十分に手が回らないんだというようなことがよく言われることもございます。 実際に児童自立支援施設でどのような処遇がなされているか。そして、例えば今指摘があるような、どうしても開放的にやるには少し問題があるなというようなとき、あるいは医療的な様々な措置を講じなければならないなというようなときなど、この児童自立支援施設でどのような処遇がなされているのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(村木厚子君) 御説明申し上げます。 先ほどからお話に出てきておりますとおり、児童自立支援施設におきましては、開放処遇を前提にして、家庭に近い環境で子供と職員が生活をともにする中で、生活指導を通じて子供が再び社会に出て自立をできるように指導をしているところでございます。 特に御質問のありました医療でございますが、医療的なケアが必要なお子さんもかなりおられます。この場合は、施設に配置をされている医師による治療、それから基本的に児童自立支援施設は開放処遇でございますので、外部の医療機関も活用をして医療的な対応を実施しております。また、特に国立の二施設では、医療上の問題性が高い子供を対象に外部の医療関係者も交えたチームケアを導入して処遇をしているところでございます。 それから、一部に、やはり開放処遇といいましても、一定期間どうしても自由を制限せざるを得ない場合も出てまいります。こういった場合につきましては、特に国立の二施設において家庭裁判所の決定に基づいて、必要に応じて施錠をした寮舎を使用して行動の自由を制限する強制的措置も場合によってはとるということでございます。
○千葉景子君 今御説明をいただきましたが、児童自立支援施設でも様々な御努力をされておられるようでございます。特に、国立の施設におきましては一定の、どうしてもやむを得ない場合の開放処遇を、少し自由を制限をするようなそういう処遇の仕方、あるいは医療についてもチームを組んでというような形で少年の育ち直しに力を尽くしているということでございます。 そういう意味では、先ほどから開放処遇にはなじまない、あるいはどうしても少年院の方がいいんだというお話はあるんですけれども、私はこの児童自立支援施設の処遇の様々な形態をお聞きをいたしますと、そういうところでやはり家庭的に、そして福祉の観点から年の幼い少年について育ち直しを図っていくということは、私は大変意味が、意味があるというか重要なことだというふうに思っております。そういう意味で、どうしても少年院に、しかも小学生ぐらいの子供まで送致をしなければいけないという、その理由というのがいまだになかなか私は理解できないという感じがいたします。 むしろ、今お聞きしますと児童自立支援施設、確かに閉鎖的な処遇を一定できるというのが国立の施設ということになります。それから、医療などの面でもなかなか国立ではない地域地域の児童自立支援施設では十分にないところもあるかもしれません。ただ、基本的な、先ほども冒頭から申し上げますように、年少の子供を育ち直しという観点でやっぱり児童自立支援施設を中心に考えた方がいいと私は思うんですが、でも、それにしてもこの体制の整備といいましょうか、そういうものを積極的に行っていく必要、これはだれも否定するところではないだろうと思うんです。地方によってはむしろもう縮小というか廃止とか、そういうことすら言われるような場合もありますけれども、むしろ積極的にこの児童自立支援施設、その育ち直しをするようなやっぱり施設をむしろ積極的に充実をさせていくということに力を入れるべきではないかというふうに思いますけれども、厚労省はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(村木厚子君) 御指摘のとおり、児童自立支援施設の機能の充実は大変重要だというふうに私どもも考えております。 一昨年から自立支援施設の在り方について検討会も開催をしておりまして、昨年の二月に報告書を取りまとめていただいたところでございます。 これに基づきまして、特にお医者さんでございますが、嘱託医の施設への訪問回数を増やすとか、それから児童福祉施設の最低基準も改正をいたしまして、施設の長や専門の職員の任用要件の厳格化なども図ったところでございます。またさらに、本年度は各施設における先駆的な実践プログラムの集約、それから専門的支援、援助技術に関する調査研究も実施をして、特にケアの質の向上ということはこれからも更に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○千葉景子君 是非それは積極的に私は進めていただきたいというふうに思うんです。 そうしませんと、何だか、この十四歳未満の少年、小学生までをも少年院に送致することを可能にするということになりますと、児童福祉の充実向上ということを言わばもうほっぽり投げちゃって、言い方もし誤解があったら申し訳ございませんけれども、もう福祉では駄目だ、手に負えないと、だからもう少年院の方でお願いしちゃえというような、言わば福祉の、児童福祉の放棄みたいな結果になりかねないのではないかというふうに思うんです。 そういう意味では、何かもう厚労省の方では、どうぞもう少年院の方でやってくださいと、まさかそんなことを考えて今回の改正がなされてきたと、経緯があったとは私は言いませんけれども、やっぱり厚労省の方で、いや、児童の育ち直し、福祉、これは私たちがもう本当に責任持ってやるんだ、そんなそっちから口出してもらわなくても大丈夫だと、こういう構えで、そしてそれに見合うやっぱり受皿というんでしょうか、そういう体制を整備をしていくと、これぐらいの覚悟がなければ、私は、本当に子供たちが一番そういう意味では悲しい思いや、あるいは子供たちが一番の被害を被るということになってしまうんだろうと思うんです。 そういう意味では、今日は法務委員会でございますので大臣というわけにはまいりませんけれども、審議官としての言わば御覚悟、そしてそれをしっかりと大臣にも持っていただくということをお願いをしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(村木厚子君) 今回の少年法の改正によりましても十四歳未満の児童の処遇の中心は児童自立支援施設でございますし、また、現在でも十四歳以上の少年院へ入れる年齢層のお子さんの中でも自立支援施設で処遇をしているお子さんたくさんいらっしゃいます。そういう意味では、今回の法改正が児童福祉の後退につながるものであってはなりませんし、私どもは期待にこたえられるようにしっかり努力をしたいというふうに考えているところでございます。
○千葉景子君 是非、それは改めて強調しておきたいというふうに思っております。 ところで、児童自立支援施設に送致をするか、少年院に送致をするかということは、先ほど御説明がありまして、家裁でのいろいろな判断ということになるんだというふうに思うんですけれども、これはどんなお答えをしていただけるかはちょっと分かりませんけれども、これどうなんでしょうか。年齢ということではなくなりますものですから、そうすると、どういう基準といいましょうか、自立支援施設に送致をされるんだろうか、あるいは、いやいやこういう場合は少年院なんだ、この辺の判断基準というんでしょうか基準、これは具体的にどんなことになるんでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) 一般的に申しますと、どのような保護処分をするかということは、個々の事案、その少年の特性に応じて家庭裁判所が決定することになるわけでございますけれども、この十四歳未満の少年につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、この法案で特に必要と認める場合に限り少年院送致決定をするという明文を置いているわけでございます。 したがいまして、御指摘は、この特に必要と認める場合とはどういう場合であろうかということになると思いますが、これはその非行の内容やこれに至る動機、背景等の少年や家庭が抱える問題点等からうかがわれる要保護性を総合的に判断して、開放処遇を基本とする児童自立支援施設等送致では少年の改善更生に適当ではないと認められる場合を意味するものと考えております。
○千葉景子君 そのまま言葉を置き換えていただいたということになるのかなというふうに思うんですけれども、それを聞いても、先ほどから児童自立支援施設においても、今ちょっと指摘がありましたけれども、やっぱり開放処遇になじまない、いささか閉鎖的な処遇ということも実際にはやっておられる、こういうこともあるわけですね。 そういうことを考えてみますと、私は、こういう改正になろうとも、できる限りやっぱり子供の福祉という面を忘れ去らないように、そして小学生であればもうよっぽどのこと、よっぽどのことって、私が言っていることもよく分かりませんね。本当に、何というんでしょうね、もう例外の例外というような考え方で小学生などには当たっていただかなければいけないのではないかなというふうに思うんですね。 そういう意味では、私どもも、考え方としてせめて、ただ一定の幅は必要なんだろうということで考えるとすればおおむね十四歳未満と、この辺がやっぱり考え方としては一番適切なのではないかということで考え方をこの間お示しをしてきたわけです。十四歳というかちっとしたものでは、よく言われるように、共犯関係にあった片方は十七歳になっていたから少年院、でも一緒の子がまだちょっと年齢が足りなかったので少年院には送れないというような、そういうことで、そこまでかっちりするというのはいささかどうかなということで、おおむね十四歳というやっぱり一つの大きなこれまで積み重ねてきた基準というものを大事にしながらも、一定の幅を考えていくという考え方を示させていただいてきたところでございます。 私は、やっぱりその考え方が最も今の処遇の実態、それから少年院と児童自立支援施設の様々な処遇実態などを考えてもふさわしい線ではないかなというふうに思っておりますので、是非この委員会の審議を通じましてまた議論を詰めさせていただければ有り難いというふうに思っておりますので、その点を指摘をしておきたいというふうに思っております。 それでは、次に、今回の法案で遵守事項違反による少年院送致という考え方、制度がまたこれも新たに盛り込まれることになっております。保護観察中の遵守事項違反による少年院送致という問題でございます。これもいろいろ問題を指摘をされております。 まず、法務省の方にお聞きをしたいんですけれども、この遵守事項違反、いろいろ私も聞いております。特に保護司さんなども、信頼関係を築きながら何とか社会内で少年たちが立ち直っていく、そのお手伝いをするということで、本当に親身になって、そして大変なお志を持ちながら頑張っておられる。でも、なかなかそこがうまくいかないんだよというお話も私も確かに聞いております。 どうなんでしょうか。この遵守事項違反での処遇のなかなか難しい、こういう実態というのはどんな状況でしょうか。例えばの例なども挙げながら御説明をいただければというふうに思います。法務省、お願いします。
○政府参考人(藤田昇三君) 家庭裁判所で保護観察処分に付された少年、遵守事項を守る者もおれば守らない者もおりますし、守らない程度も態様も様々でございますけれども、保護観察官とか保護司が処遇に困難を来している場合の例として私どもが聞いておる例を申し上げますと、例えば保護観察官や保護司との面接にほとんど応じない、あるいは面接には応じるけれども話をまじめに聞かない、あるいは生活状況を尋ねてもきちんとした答えをしないというような少年、あるいは保護観察官や保護司の前では割と良い返事をするんだけれども、その場限りのことであって、最低限の約束事である遵守事項すらほとんど守ろうとしない少年というような者がいるというふうに承知をいたしております。 こうした対応の難しい少年に対しましては、担当の保護観察官、保護司が、どうすれば少年の心に訴え掛けることができるかということでそれなりに努力をしておられるということでございます。時には厳しく時には優しくいろんな話題を持ち掛ける、あるいは呼び出しても駄目なときは、その少年の自宅を何度も訪問をしたり、家族に協力を求めたり、あるいはメッセージを残したりというような努力をしているところでございます。 しかし、このような働き掛けにもかかわらずやはり遵守事項違反を繰り返して、再三の指導にもかかわらずなかなか保護観察に乗ってこられないというような少年がいるということで、現場で対応に苦慮しているということを承知をいたしております。
○千葉景子君 今のお話を伺って、それがいわゆる遵守事項違反での処遇の困難ということなのかなと思うんですよ。指摘をされているようなことというのは、ひょっとして私のこと言われたんじゃないかなと思うような気がするくらいで、言わば今の少年たちというか、これは逆に大人も似たり寄ったりじゃないかなとも思うのですが、人の話を聞かないとか、あるいは会っているときはいいことを言うけれども、ちっともそれを守らないとか、何か言われていることというのは処遇困難というか、今の社会、本当に一人一人振り返れば何かみんなそんなもんじゃないかというような感じもしないではいたしません。そういう意味では確かに保護司さんも御苦労されている。 そして、そういう規律などをきちっと守ることによって本当にもう一度社会人として立ち直らせていくというんですけれども、これは何かその少年というばかりではなくて、やっぱりもっと社会の根底にあるものと非常に深くつながっているような気がして、それだけをとらまえて、何かそういう遵守事項違反があった、だから少年院にまた戻しちゃうんだという、どうもこれもいささか乱暴なやり方のような気がしてなりません。人の話を聞かない、それで少年院に送られてしまうのかなと、こういうことにもなるわけでして、そこいらを今度やはり与党の側で一定の修正をされたということでございます。 ただ、どうなんでしょうか、政府の原案と与党の修正案とでどういうふうに違うのかなというのがなかなか分からないのですね。確かに文言上では、その修正案では、何というんでしょう、家裁のまた審判を経てというような形でより慎重になったのかなという感もするんですけれども、この辺の与党修正で政府案とどんなふうに実際に違ってきたのでしょうか、ちょっと御説明いただければと思います。
○衆議院議員(早川忠孝君) 与党の、与党というか衆議院で修正した部分については、これは第二十六条の四で書いてございますけれども、保護処分を受けた者がその遵守すべき事項を遵守しないことの程度が重くというのが一つの要件があります。それから、その保護処分によっては本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときはと、こういうことがあります。それからさらに、決定をもって、同項第二号又は第三号の保護処分をしなければならないと、こういう三段階になったわけでありますけれども、ただ、これはあくまでも構成要件を明確化するということで、実質的な要件や効果等に具体的な違いがあるわけではありません。 そもそも、この修正ということについては、審議の過程で政府原案について、保護観察中の者が遵守事項違反により少年院送致等の処分を受ける場合を規定したことについて、保護観察に付された事由につき二重に処分するものではないかと、こういう疑問を呈される向きがあったことなどから、これは家庭裁判所において遵守事項違反という新たな事由に基づいて審判を受けるものであると、そういうことを明確にするためにその規定ぶりを改めたものであると、こういうことであります。
○千葉景子君 それはよく分かりました。私も、元々の原案においても二重処罰というものではないんだろうなというふうには理解をしておりました。ただ、そういうことが懸念されないように、より構成要件を明確にしたという御趣旨だということで受け止めさせていただきたいというふうに思います。 ただ、そうなりますと逆に、やっぱり保護観察中の遵守事項違反ということによって少年院に送致をされるということがあり得るということ自体は変わっていないというか、そういうことが可能になってくるというわけなんですが、ちょっとそこで、これまでの法律の制度で、犯罪者予防更生法で、例えば四十一条に呼出しとか引致、それから四十二条では虞犯通告という制度がございます。こういう制度というのがこれまで一体どの程度活用されたり、あるいは何か有効に機能してきたのだろうかということをちょっと確認をしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘のように、犯罪者予防更生法におきまして、呼出し、引致、虞犯通告という制度が定められておるところでございます。 まず、呼出しでございますけれども、これは犯予法の四十一条一項の規定によりまして、保護観察所の長は、保護観察に付されている者を呼び出し、質問をすることができるというふうにされております。 この呼出しは、通常は遵守事項違反の疑いがあるかどうかというようなことなどの調査を行う場合に行っておりまして、本人の氏名でございますとか出頭すべき日時、場所、正当な理由なく呼出しに応じないときは引致されることもあるというようなことを書いた呼出し状という書面を作りまして、これを郵送することによって実施をいたしております。 それ以外に事実上の出頭指示というものも行っておりまして、これは呼出し状の前段階のようなものでございますが、これも書面によって、いついつ来てくださいというようなことを書いたものを送るというようなことをいたしております。 これらの件数でございますけれども、件数調査を実際にはいたしておりませんので分かりませんが、事実上の出頭指示は相当な数やっております。それから、呼出しの方もある程度の数やっておるということでございます。 それから、犯予法の四十一条の二項で引致という制度がございます。これは、遵守事項に違反した疑いがあるかどうかということを調査するために、対象者を強制的に保護観察所等一定の場所に出頭させるものでございまして、裁判官の発する令状に基づいて引致をするわけでございますけれども、実際の引致を行った件数ですが、平成十四年から十八年までの五年間を見てみますと、平成十四年が七件、十五年が五件、十六年が七件、十七年が九件という数になっております。 それから、犯罪者予防更生法四十二条に基づく虞犯通告でございますけれども、この件数は、平成十四年から十八年の五年間で見てみますと、十四年が三十三件、十五年が二十九件、十六年が三十件、十七年が十九件、十八年は、これは速報値になります、二十二件というふうになっております。 それで、こうした引致とか虞犯通告の件数というのは、保護観察対象少年の数は相当おるわけでございますので、比較的少ない印象を受けられるかと思います。その理由はどういうことにあるのかなということを私どもでも調べて検討してみたんでございますけれども、やはりこの虞犯通告というのは、保護観察における指導監督とかそれに対する対応状況ということは問題にしないで、その者に虞犯事由や虞犯性が認められるかということを考えて、もうこれは駄目だというようなことで家庭裁判所に通告をするという制度でございます。そういうことでございますので、保護観察官や保護司にとりますと、これは、言わば実務上は保護観察の枠内での対象者の指導とか改善更生のいろんな援助のようなものを断念することを意味するんだというふうに受け止められるところでございます。 そういうことなものですから、多少の行状が悪化したから虞犯通告をするというようなことはなかなかやりにくくて、保護観察の枠内でできるだけ対象者を粘り強く指導していこうというような意識が保護観察官や保護司さんの間にあるということから件数は比較的少ないというふうに思われるところでございます。そして、引致の件数につきましても、言わば虞犯通告の前提になるようなものでございますので、やはりそれと同じような意味で少なくなっているというふうに考えております。
○千葉景子君 本当に、それぞれの制度というのが数も少ないのです。 今いみじくもおっしゃいましたように、本当にみんな、なるべくこういうことをして社会内での処遇を何かあきらめてしまう、放棄をしてしまうというようなことはしたくないと、保護司さんたちはみんなそうなんですね。何とかやっぱり本当に信頼の中で育ち直しをしたい、そしてまた社会で生活をできるようにしてほしいと、これを私はやっぱり切に願いながら、本当にこれまでボランティアという形の中でも日本の言わば保護観察制度を支えてきたということだと思うんです。 だから、そういう御苦労に何とかこたえ得るような、そういうサポート制度を私はきちっとするのは大事だというふうに思うんですけれども、この虞犯通告などがやはり余りそういうことで使われないように、遵守事項違反をしたから、じゃ少年院に送致をするということが本当に機能するものなんだろうか、あるいは逆に、せっかくの保護観察、社会内処遇というようなものをむしろ形骸化させてしまうということになりかねやしないか。きっと、保護司さんたちもこういうことを積極的にやろうなぞという気持ちでおられるとは私は思えません。その困難なりにやっぱり何とか、むしろ保護観察制度、保護観察所などがもっともっと充実をさせて、そして支援をしていく、支えていくということは大事だろうというふうに思いますけれども、決して少年たちを、しかも遵守事項違反ですからね、先ほど言ったようにちっとも寄り付かないとか話を聞かないとか、本当に、こういうことでまた少年院でたたき直そうなぞという話には私は決してならないんだろうというふうに思うんです。 これ、私はそういう意味ではちょっとこの制度というのはもう一度考え直す必要があるんじゃないかなというふうに思います。下手すると、これは私なりの解釈ですけれども、少年院にまた送致をするということを認めることになると、そもそも執行猶予付少年院送致というような、そういう新たな保護処分形態というんでしょうか、そういうものをつくることになってしまうのではないか。 保護処分というのは最終的なやっぱり一つの処分ですから、その中で全うしていく、社会内で立ち直りを図っていくという、それを全うするというのが本来の姿だろうと思うんですけれども。途中でちょっとした遵守事項違反があった、まあちょっとしたではないかもしれませんけれども、で少年院ということになると、最初から、この保護処分は何かあったら少年院に戻るんだぞというような、よく言われる執行猶予の処罰と同じような執行猶予付少年院送致、こういうものに法的にはなってしまうのではないかという私は危惧を持ちますけれども、そんなことはありませんでしょうか。御認識をお聞かせいただきたい。
○政府参考人(小津博司君) 委員も御指摘のように、少年の保護処分はその審判においてその少年にとってどの保護処分が最もふさわしいかということで判断されるわけでございまして、その結果として保護観察処分が選択された者はそれがふさわしいというのが家庭裁判所の判断でございますし、少年院送致がふさわしいと判断された者はそのような少年であったということでございます。 それを前提にいたしまして、精一杯保護観察を行うと、また少年もそれによって立ち直る努力をするべきであるという中で重大な遵守事項違反があって、それについて警告をしてもなおやはり同じようなことが繰り返されるということを新たな審判事由としてもう一度家庭裁判所の判断を仰ぐということでございますので、その点が与党修正によりまして条文上も更に明確にされたと考えておるところでございますので、そのような趣旨であると私どもも理解しておりますし、そのように運用されるものと承知しております。
○千葉景子君 その保護観察中にまた別な意味での触法事案というか審判事由のようなものがあったということであれば、それを改めて家裁の審判で少年院に送致とすることも、そういうことはあると思うんですけれども、この遵守事項違反ということでその保護観察という一つの選択された処分を大きく損ねていく、変更していくということには、私はちょっと納得いかないところがございます。 ただ、先ほどから申し上げましたように、それから御答弁にもありましたように、やっぱり保護観察を本当に納得できる、そしてまた保護司の皆さんも十分にその気持ちをきちっと少年との間で通わせて、そしてその保護観察を全うさせていくということを考えたときには、むしろ少年を少年院にまた戻しちゃおうとかいうことではなくて、保護観察そのものの充実といいますか、それで対応していくことがまず先決なんじゃないかというふうに思うんです。 今、保護観察官がお一人お一人、これも大変な量の仕事をなさっておられます。一人で抱えておられる件数も大変なものがありますし、そうなるとやっぱり保護司さんに任せて、それをサポートしたり、それから今言ったようにその遵守事項をなかなか守らない、そういう今の社会的な、その少年ばかりではなくて、全体の子供たちを取り巻いているそういう実情、そういうものなどをしっかりと研究をしたり、あるいは専門的な見地に立って、でもやっぱり子供がそういう社会の中でもきちっと育ち直っていくということをやっぱり進めていくような保護観察制度の充実ということの方が私はまず先決問題ではないかというふうに思うんです。そういうことをほっぽっといて、まあちょっと難しいことになったから少年院へというのでは、これは全く根本的な解決にならない。 だとすれば、保護観察官の増員とか、それからいろんな専門的な研究とか、そういうことをもっと積極的におやりになって、そしてそれから、それでもこうなんだと言ってほしいんですよ。その点についてのお考えはいかがでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 先ほど来、少年院送致について先生の御懸念、度々伺いました。先ほど来伺っておりまして、我々全体がそうなのかなとは思いながら聞いておったんですけれども、少年院についてのイメージがやっぱりある種固定的になっておって、少年院は、やはりこれも育て直し、立て直しの施設でございまして、少年院の教官、そのために本当に一生懸命やっておるし、そういう気持ちでやっておると思うんでございますが、何か少年院へ行くと福祉でなくなってとんでもないところへ行くというイメージのような感じで議論をされることになったんじゃちょっとまずいなと先ほど来思っております。 また、今の保護観察の件でございますが、保護司に任せっ放しであってはいけないと、おっしゃることはそのとおりだと思っておりまして、今回更生保護法の法案も出させていただいたりしておるわけでございますが、保護観察の充実強化に向けて今後様々な対策を講じていかなきゃならぬ。特に、処遇に特別な配慮を要する対象者については、保護司任せでなくて自ら観察官が処遇を行えるように、また保護司に対する相談体制も強化をしていくということにしておるところでございます。 なかなか増員がこういう定員事情で難しい中ではございますけれども、この増員にも今までも力を尽くしてまいりましたし、さらに、今年度からは専門官制を導入いたしまして、いわゆるプレーイングマネジャーといいますか自らも第一線で活躍できるような層も厚くする。さらに、研修体系の見直し、職場内実務訓練というようなことも強化をしてまいっております。 御指摘のように、ちょっと何か言うこと聞かなかったから少年院へ送るという話ではないわけでございまして、保護観察官制を強化をし、またそういう中で処遇上より適切な対応をするというシステムのその趣旨に沿った運用をするように、法案を通していただいて努めてまいりたいと思います。
○千葉景子君 もう時間ですので多くを申し上げませんけれども、先ほどの大臣の御発言は、私はちょっと誤解があるといけませんので指摘だけしておきます。 別に私は少年院が悪いところだとかといって申し上げているんじゃないんです。むしろ大臣の御認識もきちっとしておいていただかなければいけないのは、少年院と児童自立支援施設というのはどちらもそれぞれの機能と、そしてそれから処遇の在り方というのを持っているわけなんですね。だから、別に少年院に送るというのはとんでもないことだと言っているわけではなくて、やっぱりそれぞれの処遇、そして施設の置かれている意味、それに沿ってやっぱり子供たちをそれぞれ即した施設で処遇すべしだと、こういうふうに申し上げているわけでして、決して、少年院はとんでもないところだとか、少年院行きというのはもう本当に悪いことだと、そういうふうに私申し上げているわけではありませんので、それだけ御確認をいただき、大臣にも、そこはそういう性格の違いだ、性質の全く違う施設なんだという意味できちっとおとらえいただきたいというふうに思います。 それだけ指摘をして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。 法案の質問に入る前に一つ、法務省の関連ですのでお伺いしておきたいことがございます。熊本のいわゆる赤ちゃんポストのことでございますが、私自身は、失われていたかもしれない命が救われるという意味で賛同している一人でございます。また、病院の関係者の方に敬意を表しているものでございますので、温かい目でこれを見ていっていただきたいなというふうに思っておりますが、五月の十日に三歳の男の子が預けられたということが発覚したというニュースがございました。 よほどの事情があったんだろうというふうに思いますけれども、この赤ちゃんのもう域を超えた三歳の子供を預けるということについてどう考えるべきか、私自身もまだ頭の整理はできておりませんけれども、法務・検察当局としてはこれに対してどう対応されるおつもりでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) いわゆる赤ちゃんポストの医療上の問題につきましては所管外でございますが、御指摘は法務・検察ということでございますので、犯罪の成否ということに関連する御質問と理解させていただきます。 この関係につきましては、刑法の保護責任者遺棄罪との関係が問題になるわけでございまして、御案内のとおり、同罪は、老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任がある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときに成立すると規定しておるわけでございますので、この条文の解釈といたしましては、そのような要件があれば成立する。逆に申しますと、およそその生命、身体に危険を生じさせるおそれがない場合には同罪の成立は認められないと申しますか、認められにくいということになると思います。 もちろん、具体的な案件についての犯罪の成否につきましては、収集された証拠等に基づいて判断されるべき事柄でございますので、これ以上の御答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。
○浜四津敏子君 それでは、本論に入らせていただきます。 まず、大臣にお伺いいたします。 昨年十二月に内閣府が行いました治安に関する世論調査によりますと、最近の犯罪の傾向として低年齢化していると回答した者が八割近くに達すると。非常に高い数値を示しております。実際に、統計的に本当に低年齢者の犯罪が増加しているのかどうかについては定かではありませんけれども、国民の受け止め方としてそのように受け止めているということでございます。 十四歳未満の者を含めまして、低年齢の少年による凶悪な事件がしばしば社会の衆目を集めているということは事実でございますし、また些細なことで大人にはちょっと考えられないような凶悪な犯罪に手を染めるということ、理解困難な事件も多数発生しているところでございます。 そういう意味から考えますと、この国民の方々の不安というのには理解ができるかと思いますが、この点、長勢法務大臣は少年犯罪の現状についてどのように認識しておられますでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 午前中でしたか、少年犯罪の統計的なお話を局長から申し上げたんでございますが、改めて答弁させていただきますと、少年人口千人当たりの刑法犯検挙人員は、人口比ですけれども、戦後の少年犯罪の第一の波である昭和二十六年に九・五、第二の波である昭和三十九年には十一・九でありました。そのうち、第三の波とされる昭和五十年代半ばには十七・二を記録した後減少傾向を見せていたものの、平成九年ころからは増加に転じ、平成十五年には十五・五、平成十六年には十五・一、平成十七年においても十四・二となるなど、昭和五十年代半ばの戦後の最高水準に次ぐ水準となっております。 また、少年による殺人、強盗、強姦、放火といった凶悪犯の発生件数は、昭和五十九年以降平成八年まで千件台だったものが、平成九年以降二千件を超える年が続き、平成十六年、平成十七年は二千件を下回りましたが、なお予断を許さない状況にあります。このうち、十四歳未満の触法少年についての補導人員や、少年人口千人当たりの補導人員の比率は増加傾向にあるとは言えない一方で、減少する傾向も認められないという状況でございます。 また、殺人、強盗、強姦及び放火の凶悪事犯による触法少年の補導人員は、昭和三十七年に七百五十件となって以降いったん減少し、昭和四十七年に二百六十件となり、昭和五十七年に四百六十五件まで増加した後再度減少に転じ、平成二年に百十六件となりましたが、その後増加傾向にあり、平成十五年に二百十二件、平成十六年に二百十九件、平成十七年に二百二件と、いずれも二百件を超えております。 さらに、近年、いわゆる長崎市幼児誘拐殺人事件や佐世保市同級生殺人事件など、低年齢の少年による世間の耳目を集める重大事件が発生しております。それに加え、最近の少年犯罪の特徴として、少年が些細なきっかけで凶悪、冷酷とも言える犯行に走り、動機が不可解で少年自身にも説明できない場合があるなど、従来の少年犯罪との質的な違いも指摘されております。 短期間での統計の推移についてはいろんな評価もあるかと思いますが、ここずっと少年犯罪は厳しい、また予断を許さない状況が続いておると、また国民の皆さん方の受け止め方も、少年犯罪は大変深刻な状況にあると認識が強いというふうに私は理解をしております。
○浜四津敏子君 従前、少年事件の被害者に対する保護が十分でなかったという意見が強くありまして、平成十二年の法改正では、被害者の意見陳述ができる、あるいは記録の閲覧、謄写ができる、あるいは審判の結果の通知を受けるというような改正がなされまして、家庭裁判所における被害者に対する配慮の規定が設けられたわけでございます。 被害者の保護というのは、被害者自身のためにも、また少年司法が国民の信頼を得るためにも、十分に配慮されなければならないと考えておりますけれども、今回の法律案では、少年事件の被害者の保護につながる配慮はなされているのでしょうか。ちょっと、前の同僚議員と重なる面がありますけれども、少し詳しくお答えいただければと思います。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 全体として本法案は、触法少年に係る事件についての警察の調査権限の整備、それから一定の重大な罪に係る触法行為をした疑いのある少年について、原則として家庭裁判所の審判を行うということで、この種の事件における的確な事実認定を確保しようということでございますので、そのこと自体、被害者の方々の保護につながる面があるわけでございますが、より直接的には、御指摘ございました平成十二年改正法によって創設されました被害者等による記録の閲覧及び謄写、それから被害者等の申出による意見の聴取、それから被害者等に対する審判結果等の通知というような少年審判手続に関する被害者への配慮規定が一定の重大な事件の触法事件につきましては活用できることになりますので、その点で被害者保護に資する面があると考えているところでございます。
○浜四津敏子君 次に、六条の二、六条の三、六条の四についてお伺いいたします。 今回の法案は、触法少年の事件についてその調査手続、整備、権限を明確化すると、これが一つの柱とされております。この触法少年の事件に対する調査手続について、なぜこのような規定を置くこととしたのか。その理由及び趣旨について、法務当局にお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 少年事件におきまして事案の真相を解明することは、非行のない少年を誤って処分しないためにも、また非行のある少年について、個々の少年が抱える問題点に即して適切な保護を施しその健全な育成を図るためにも不可欠でございます。 しかしながら、触法少年の行為につきましては、刑事訴訟法に基づく捜査ができないとの理解から、捜索等の法律に基づく行政処分を行うことができず、また、任意で行う調査につきましても法律上の根拠が明確でないために円滑な調査に困難が伴い、事案の解明が十分にできない場合があるわけでございます。 そこで、少年の健全な育成のための措置に資するよう、警察の調査権限を法律上明確にすることとしたものでございます。
○浜四津敏子君 次に、与党案提出者にお伺いいたします。 触法少年の事件につきまして、政府案では、調査開始の要件として、単に触法少年である疑いのある者を発見した場合とされておりました。それに対しまして与党修正では、その要件を、客観的な事情から合理的に判断して、触法少年であると疑うに足りる相当な理由のある者とされております。 この客観的な事情から合理的に判断して、触法少年であると疑うに足りる相当な理由のある者というのは、具体的にはどのようなことを意味するのか、なぜこのような修正をしたのか、その理由をお尋ねいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) お答えいたします。 これは、やはり単に警察が主観的に嫌疑を抱く程度では足りず、客観的な事情から合理的に判断して、十四歳未満の少年と刑罰法令に触れる行為との結び付き等が存在すると思料されることが必要であると、こういうことで、触法少年に対する調査の権限を法的に認めるわけですから、きちっとこういう形で要件を明確にしたと、こういうことでございます。
○浜四津敏子君 次に、法務当局にお伺いいたします。 触法少年の事件に対する調査については、低年齢であることから、警察よりも第一次的には児童相談所やあるいは家庭裁判所が調査を行うべきではないかとも考えられますが、この点について、法務当局の御見解をお伺いいたします。
○政府参考人(小津博司君) 児童相談所の調査は、児童や保護者等にどのような処遇が必要かを判断するため、主に児童福祉司や相談員が中心になって、面接や心理、医学診断、行動観察等の方法により児童の状況、家庭環境、生活歴や生育歴、過去の相談歴、地域の養育環境等の事項を調査するものと承知しております。 他方、触法行為の内容等につきましては、これを解明することが児童相談所の調査の直接の目的と位置付けられているわけではございませんで、現在の実務におきましても、警察の調査結果が児童相談所で利用されるなど、警察の調査が重要な役割を果たしているものと承知しております。 また、家庭裁判所の調査には、非行事実の存否について法律的な側面から行う法的調査と少年の要保護性に関して行う社会調査とがございまして、これらを適切に活用することによりまして、非行事実及び要保護性が正しく認定判断されることは極めて重要であると考えております。 しかしながら、家庭裁判所の裁判所としての性格からいたしますと、事件が認知された直後の段階から積極的かつ能動的な証拠収集を自ら行うことは実際上困難であると考えられるところでございます。したがいまして、児童相談所や家庭裁判所の調査に加え、警察による調査手続を整備する必要があると考えたところでございます。
○浜四津敏子君 次に、与党案提出者にお伺いいたします。 政府案では、触法少年の事件に対する調査の規定だけではありませんで、虞犯少年の事件に関する調査の規定も盛り込まれておりました。これまで虞犯少年に対する調査は警察官が任意に行っておりました。これを与党修正で虞犯少年に対する警察官の調査手続の規定を削除した趣旨はどこにあるのか、これを削除したことによりまして、これまで警察によって行われてきました虞犯少年の事件についての調査は許されなくするという趣旨なのか、お尋ねいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) この規定を削除させていただいたのは、衆議院の法務委員会において、いろいろと審議の中で、政府提出案について警察による調査権限の及ぶ範囲が不明確で、調査対象の範囲が過度に拡大するおそれがあると、こういう懸念が指摘されたからでございまして、そこで、この虞犯少年に係る事件の調査の規定については、以前から警察が行ってきた調査の範囲や方法等を変更しようとするものではないということで、この修正案では虞犯少年の事件について明文での規定を、これを控えることとしたわけでございます。 したがって、本修正案は、これまで警察が行ってきた虞犯少年に係る事件の調査の実態を何ら変更するものではなく、警察はこれまでと同様に虞犯少年に係る事件について任意で調査を行うことができることには変わりはございません。
○浜四津敏子君 同じく与党案提出者にお伺いいたします。 調査において付添人を選任できるという規定が設けられたことにつきましては私は大きな評価に値すると思っておりますが、他方で、この制度の趣旨を徹底するためには、少年及び保護者が弁護士である付添人を選任する資力を有しない場合には国費で付添人を付するということにすべきではないでしょうか。そうでないと、資力がある者の場合と資力がない場合とで差別が生ずるということになりますが、これについての御見解をお伺いいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) この付添人を置く規定、選任できるようにしたということは、これはかなり思い切ってやらさせていただいたということで、大変評価を受けておるわけです。 ただ、今委員がおっしゃったように、資力のある者とない者で異なる形になってしまうということでございますけれども、ただ、これ身柄を拘束されていないということ、それから調査が行われている段階であるということ、そしてこれが児童相談所限りの指導で終わる可能性もあること、刑事処分を受けるおそれはおよそこの触法少年ないわけでございます、十四歳未満でございますので。そういうことに照らして、国費で付添人を付することまで必要かどうかということでございますが、なかなか財政的な部分がございます。 今、弁護士会において、早川委員も前々から答弁しておりますように、付添人制度というものを今までつくり上げ、充実させてきたわけでございます。この法律が成立いたしましたら、いろんな形でまた弁護士会の方に御検討していただくと思いますけれども、そういうものの推移を見守っていきたいと思っております。
○浜四津敏子君 同じく与党案修正者にお伺いいたします。 与党修正において、触法少年に対して警察官が質問するに当たっては、強制にわたることがあってはならないと規定されておりますが、具体的にどういう質問が強制に当たるのか、どの程度で強制に当たるのか、この規定を置いた趣旨はどのような点にあるんでしょうか。 また、この場合に供述拒否権の告知を義務付けるべきであるとも考えられますけれども、与党案には供述拒否権の告知を義務付ける規定が定められておりません。定めなかった理由はどこにあるんでしょうか、お尋ねいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) まず、その具体的に強制にわたる分野はどういうことなのかということは、これはその事案事案の状況等がございます。 ただ、この規定を設けさせていただいたのは、やはりこの触法少年ですね、非常に低年齢であるということから、表現能力が不十分であり、また暗示に掛かりやすい、誘導に掛かりやすい、こういう特質を持っていると、こういうことでその権利保護のために一定の配慮をすべきであると、こういうこの審議の中でも指摘もありましたものですから、その調査についての配慮規定として強制にわたることがあってはならないと、このように定めさせていただいたわけでございます。 また、これについて供述拒否権の告知を義務付けるべきではないかと、こういう御意見もあるわけでありますけれども、この触法少年については刑事責任は問われる可能性がないという以上、供述拒否権の問題は生じないという見解が有力であると。これらの少年への質問は身柄の拘束を伴うものではないと、こういうこともありまして、また他方、少年の健全な育成を目的として行われているわけですので、少年を適切に保護するために少年が自ら話しやすい環境を整えることも重要であるということで、その答弁を強制されることがないというふうに告げる、一律にこれ義務付けることが、少年に正直に話をしなくてもよいというような誤った意識を生じさせるようなことがあればこの調査の目的に沿わないという指摘もございます。 したがって、あらかじめ答弁を強制されることはないとの告知を義務付けるというのは適当でないと考えたわけです。
○浜四津敏子君 これは質問というよりも法務省に対するお願いでございますけれども、先ほどから何人かの同僚の委員から出ておりますように、本日の新聞に載っておりますように、犯行当時十四歳の少年、現在十八歳の少年の抗告審の決定が十四日、大阪高裁であったと。これによりますと、その決定の中で、警察官がこの十四歳の少年に対して机をたたいて怒るなどの取調べ方法をしていたと、また取調べ官の誘導などがあったことがうかがわれると、こういう記載がございます。 法務省として、しっかり取調べ官に対して、少年に対しては誘導やあるいはこういう脅しあるいは強制ということを決してしないようにということをしっかり徹底していただきたいと、こういうふうに思います。また、先ほども出てまいりましたが、やはり取調べの可視化を是非早期導入していただきたいというふうに思います。それが強制にわたらない担保になるだろうというふうに思いますので、御検討いただきたいと思います。 次に、少年院では低年齢の少年の処遇を行うことが難しいという声があります。これについて法務当局はどう考えておられるのか。低年齢の少年の処遇が本当に適切に少年院でできるのか、殊に、今回小学生も対象となる可能性が出てきたわけでございまして、様々な配慮をすることが必要となってまいりますが、法務当局にお尋ねいたします。
○政府参考人(小津博司君) 本法案におきまして、十四歳未満の少年につきましても少年院送致を家庭裁判所が選択できるようにいたしますのは、年齢だけで処遇を一律に区別するのではなく、個々の少年の特性や少年が抱える問題性に即して、最も適当な処遇を選択することができる仕組みとするためでございます。 また、少年院における処遇は、今回、少年院法第一条の二に明記することといたしましたように、個々の少年の年齢及び心身の発達程度を考慮し、それぞれの少年の特性に応じて行うものでありますけれども、十四歳未満の少年につきましては、まずは少年の言い分をよく聞き、少年との信頼関係を築くなど、その存在を受け入れるという姿勢を旨としつつ、全人格的な成長、発達を促すための働き掛けに特に重点を置くとともに、義務教育の履修や復学、家族関係の調整にも十分配慮するなど、福祉的な観点も十分に取り入れた処遇を実施することを予定していると承知しておりまして、低年齢の少年の保護育成を図ることは少年院においても可能であると考えているところでございます。
○浜四津敏子君 与党案提出者にお伺いいたします。 政府案では少年院送致可能年齢の下限を撤廃するということになっておりましたが、与党修正では、この年齢についておおむね十二歳という下限を設けたわけでございます。これまで何度もやり取りがあったかと思いますけれども、確認的にもう一度お伺いさせていただきますが、このように下限を設けた趣旨がどこにあるのか、与党修正で下限とされたおおむね十二歳と言う場合、おおむねとは大体何歳まで少年院送致できるとお考えなんでしょうか、お答え願います。
○衆議院議員(大口善徳君) まず、下限を設けた趣旨でございますね、やはり私どももこの委員会審議で児童自立支援施設に行ってまいりまして、そこで非常に開放的、また小舎夫婦制といいまして、家族のような形で処遇されている。やはり基本的には低年齢の人は児童自立支援施設でやるのが妥当であろう、ただ、それになじまない場合もあると。 そこで、ただ、下限というのはそういう点ではある程度設けていかないと、例えば少年院に収容する場合においても、ターゲットが絞られていませんとなかなかきめ細かな対応もできません。そこで、中学に入学する年齢の一応の目安として十二歳、そして弾力的な処遇を可能にするということでおおむねというものを付けさせていただいて、こういう形で下限を作った。おおむねにつきましては一歳程度であると、こういうことでございます。
○浜四津敏子君 次に、法務当局にお伺いいたしますが、少年鑑別所では、最近の十四歳未満の少年で非行に走った少年の特質についてどのように把握、分析しておられるのでしょうか、お尋ねいたします。
○政府参考人(梶木壽君) 少年鑑別所におきます資質鑑別を通じて我々が把握しております状況を御説明させていただきます。 十四歳未満の少年の特質でございますが、学校や家庭における対人関係上の深刻な問題を抱えている子供が多いということでございます。そして、こうした問題を背景にして、突発的に凶悪重大な非行に至る事例、あるいは小さいころから非行を繰り返す事例、さらには地域の不良集団との結び付きを強める中、年長の少年に同調して犯罪に至る事例、こういったものが顕著に認められるというふうに把握しております。
○浜四津敏子君 少年院送致の下限年齢がおおむね十二歳となった場合に、新たに中学一年生やあるいは場合によっては小学生が少年院に送致されることもあり得るということになります。 そこで、少年院における十四歳未満の少年に対する義務教育の体制についてはどのように考えておられるのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(梶木壽君) まず、先ほど刑事局長から若干御答弁を申し上げましたが、我々のところの基本的な教育の方針、考え方と申しますのは、年齢だけで区切っているわけではございません。個々の少年の持っている問題の種類あるいはその問題性の深さ、そういったものを中心にしまして、これを改善するための方策を一人一人個別的な処遇のメニューを作って処遇する、そういう体制で臨んできたわけでございます。 今御質問にありました義務教育の関係で申しますと、全国の少年院、我々のところでは女子が九庁、男子が九庁、中学校の義務教育を実施してきております。今後、この少年院に十四歳未満が入ってくる、端的に申しますと小学生を念頭に入れてということでございましたが、我々のところでは二百名を超える小学校の教員免許を持った教官がおります。この新しい法律ができました折には、子供たちを受け入れる施設というのを東西にそれぞれ四施設ずつ指定するように準備を進めております。そういう中で、義務教育につきましても、教員免許を有する職員を中心としまして教科教育を実施していきたい、こういうふうに考えております。
○浜四津敏子君 今回の法改正によりまして、十四歳未満の児童、すなわち、これまで児童自立支援施設に送致されていた少年が少年院に送致されることが可能となります。そういう意味では、法務省が言われるように、家庭裁判所における処遇の選択肢が増えるということになります。 そこで、児童自立支援施設と比べまして少年院の処遇にはどういう特徴があるのか、また、法務当局としては一体裁判所は何を基準にしてその少年を自立支援施設に送るか少年院に送るのかを判断すべきと考えておられるのか、お伺いいたします。
○政府参考人(梶木壽君) それでは、まず児童自立支援施設と我々の少年院の処遇あるいはその処遇環境の違いといったものを説明をさせていただきます。 児童自立支援施設は、不良行為をし、あるいはこれがなすおそれのある児童、あるいは家庭環境その他環境上の理由によって生活指導等を要する児童を入所させる児童福祉法に基づく施設でございます。我々のところは、少年院は非行のある少年のみを収容して、非行性を除去するための統一的かつ一貫した処遇を行う施設でございます。また、児童自立支援施設には医療措置を専門とする施設はございません。我々のところでは心身に故障のある者を対象といたします医療少年院を設けております。 先ほども答弁の中で出ておりましたが、少年院は原則として非開放施設でございます。建物の出入口が施錠されるなど少年が施設から逃走できないような構造が取られており、仮に少年が施設から逃走した場合であっても強制的に連れ戻すことが法律で認められております。児童自立支援施設は原則として開放施設でございまして、施錠など逃亡を防止するための措置というのは基本的にとられておりません。 こういった様々な違いがあろうかというふうに考えております。
○政府参考人(小津博司君) 御質問の後段につきまして、私から御答弁申し上げます。 十四歳未満の少年につきましては、本法案で特に必要と認める場合に限り少年院送致をすることができるという趣旨の規定を置かさせていただいているところでございまして、この特に必要と認める場合に限り、すなわち例外的に少年院送致決定をする場合と申しますのは、その非行の内容やこれに至る動機、背景等の少年や家庭が抱える問題点からうかがわれる要保護性を総合的に判断して、開放処遇を基本とする児童自立支援施設等送致では少年の改善更生に適当ではないと認められる場合にそのような判断がなされるものと考えております。
○浜四津敏子君 少年院ではこれまで対象としていなかった低年齢の少年を受け入れるということになるわけですけれども、これまで低年齢の処遇実績がある児童自立支援施設との間で、少年院はこの児童自立支援との連携というのは図られているんでしょうか。あるいはもうその準備に入っているのか、既に連携を取り始めているのか、どういう状況になっているんでしょうか。
○政府参考人(梶木壽君) 御質問の点につきましては、平成十七年度から様々な取組を進めてきております。 まず、平成十七年度には厚生労働省と法務省との間で十四歳未満の少年の処遇に係る検討会を開催しております。合計六回開催しておるわけでございますが、この中で、児童自立支援施設における生活支援、一方で、少年院における被害者の視点を取り入れた教育など、相互に具体的な諸活動の情報交換を行ってきております。また、その後の連携の在り方についても協議を進めてまいりました。 そして、これを前提といたしまして、平成十八年度には児童自立支援施設と少年院、少年鑑別所の間で職員の交流研修を合計十四回実施をいたしました。我々の職員が児童自立支援施設に伺って実際にその処遇の中身を体験させて、見させていただく、その逆のことをやってまいりました。こういった活動を通じまして、相互の理解を深めるとともに、年少少年の処遇の在り方に関する具体的なノウハウの共有化、研究を進めてきたわけでございます。 今後も引き続き同様の協力をしてまいりたい、検討、勉強をしてまいりたいと考えております。
○浜四津敏子君 次に、大臣にお伺いいたします。 平成十二年の少年法等の改正では、家庭裁判所による保護者に対する措置のみが盛り込まれておりました。今回の改正では、少年院の長が在院者の保護者に対し、その監護に関する責任を自覚させ、矯正教育の実効を上げるため、指導、助言その他の適当な措置をとることができるとされております。なぜこのような規定を置いたのでしょうか。この規定ができることによりまして、少年院としては具体的にどのような指導、助言等を行うことを検討しているのでしょうか、またそれによって実効性が上がると考えておられるのでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 少年非行におきましては、家庭あるいはその保護者のことが非常に重要な意味を持っておるということはよく知られておることでございまして、少年院での教育に併せて保護者の協力が不可欠、また重要であるというふうに考えております。 そのため、本法案にその点を盛り込んでおるわけでございまして、本法案を成立させていただければ、少年院の長による保護者に対する措置が法律上規定されることになりますので、少年院の矯正教育に協力的でない保護者や少年に対する養育態度に問題がある保護者について、より積極的な指導、助言ができるということになりますので、今まで以上に矯正教育の実が上がるものと考えております。 また、現在試行的に導入を試みております保護者参加型の処遇プログラムを一層拡充する、あるいは保護者の監護責任を一層自覚させるために、少年院において保護者向けに講話や講習を実施する、さらに、保護者と少年院との情報交換を促進させるような冊子を配付するということなども推進していきたいと考えております。 従来からもこの保護者の協力というものが相当有力な手だてになっているという実績もありますが、今回の法律案を通じて更にその効果が上がるものと考えております。
○浜四津敏子君 与党案修正者にお伺いいたします。 与党修正では、保護観察中の者に対する措置について、家庭裁判所は、審判の結果、その遵守すべき事項を遵守せず、犯罪者予防法第四十一条の三第一項の警告を受けたにもかかわらず、なお遵守すべき事項を遵守しなかったと認められる事由があり、その程度が重い場合であるということを明記しております。 なぜこのような修正を行ったのでしょうか。政府案と内容的に同じようにも見えますけれども、どのような点について違いがあるのか、また、あるいは意義があるのか、その点についてお答え願います。
○衆議院議員(大口善徳君) この原案については、保護観察中の者が遵守事項違反により少年院等の処分を受けることについて、保護観察に付された事由につき二重に処分するものではないかと、この疑問を呈する向きがございました。 ただ、このこと自体、これは刑事処分に関するものではないわけでございますので二重処分ということではないと思うんですが、新しい事由によるということを構成要件上明確にするために、家庭裁判所において遵守事項違反という新たな事由に基づき審判を受けるものであることを明確にするために規定ぶりを改めたということでございます。
○浜四津敏子君 同じく与党案修正者にお伺いいたします。 国選付添人制度につきまして、政府案では、少年が少年の保護処分を終局させる決定前に釈放されたときはその選任の効力を失うと、こうされておりました。それに対しまして、与党修正ではこの規定が削除されまして、少年が釈放された後も国選付添人は少年の援助を行うことができることになりました。 なぜこのような修正をしたのか、その理由、趣旨についてお伺いいたします。
○衆議院議員(大口善徳君) これも大変現場から強い要請によりましてこういう形で修正をさせていただいたわけでございます。 観護措置を受けていたわけでありますけれども、それがこの審判の終局させる決定の前に釈放されたというときにこの国選付添人の選任の効力を失うと、こういう規定であったわけでありますけれども、例えば審判終局決定前に試験観察などで釈放された場合、引き続き家庭等の環境調整を付添人がやらなきゃいけないわけですね。それが、選任の効力を失うことによって失う。また、少年に法的なアドバイスを引き続き行う必要もあるのにそれができなくなると、そういうことは非常に不都合であると。これ、試験観察の場合だけじゃなくて、やはり終局させて決定をする場合には、要保護性に関する調査だとか審判のそういう成果というものがやはりこの決定に反映させなきゃいけない。そういう点でも、最後までしっかりこの国選付添人として少年の処遇に責任を持つと、このためにこういう修正をやらせていただきました。
○浜四津敏子君 次に、法務当局にお考えをお伺いし、またお願いをしたいことがございます。 昨年八月、概算要求について法務大臣に申入れをした際に、私どもは、今年度予算に法務省が盛り込んでいる少年の公的更生施設でホースセラピーを導入することを提案させていただきました。それは、ホースセラピーが心を病む少年の更生に大きな効果を上げているという現場視察を私自身させていただいたからでございます。 例えば、千葉でホースセラピーに取り組んでいる方がいらっしゃいますけれども、平成十年から十七年までの八年間、補導委託先として家庭裁判所から延べ四十人に上る少年を預かって、家庭的な生活環境の中で少年が健全に育つよう、ホースセラピーを実施しながら更生に取り組んでこられました。この方、齋藤さんとおっしゃいますけれども、齋藤さん御夫妻はこの千葉で乗馬苑を営んでいるわけですけれども、そこでは、一般的な乗馬以外に障害者の乗馬、また高齢者の乗馬にも取り組んでおります。脳性麻痺で体に補装具を着けたり、また歩くことができない、あるいは座ることが自由にできない子供たち、あるいは重度の知的障害、自閉症など発達障害のある子供たちがその乗馬苑で多くの人の協力を得て馬と触れ合い、乗馬をする中で、リハビリや治療に大変大きな効果を上げている。表情がなかった子供に表情が出てきた、あるいはなかなか歩けなかった子が歩けるようになってきたというようなのはほんの一例でございます。 専門家によりますと、馬というのは、イルカもそうだそうですけれども、非常に特殊な能力を持っているそうで、触れてくる人が何を感じ、何を悩み、あるいはどんな問題を抱えているかというのを直観で理解し、それを受け止め、それに対していやそうとする、そういう能力を本能的に持っているというふうにおっしゃる方がおられます。 その視察した乗馬苑で、補導委託されたいわゆる非行少年たちが、朝早くから馬小屋の掃除をしたりえさを与えたり、あるいは馬を洗ったりしながら自分たちも乗馬の練習をし、またこうした障害者あるいは高齢者が乗馬をすることをお手伝いする、こんなことを通して、規則正しい生活を送る中で次第に心を開いていき、また本来のあるべき道に戻っていったという子供たちがたくさんいるという話を伺ってまいりました。 この乗馬苑に預けられて、補導委託期間が過ぎても乗馬苑で仕事を続けているある少年からこういう話を聞きました。ここに来たころは、自分ではもう朝も起きない、人に会ってもあいさつもしない、仕事も嫌でサボってばかりいた。でも、馬の世話をする中で仕事がだんだん楽しくなってきた。今は、障害のある子供たちが馬に乗って障害の程度が軽くなったり、あるいは笑顔を見せてくれるのが大変うれしいと、こんな話がありました。 また、かつて非行少年だった子で、この乗馬苑でセラピーを受けて現在は立ち直って会社を経営している青年がいらっしゃいます。この方もこうおっしゃっておられました。生き物の世話は逃げ出せないと、毎日の繰り返しが必要、その中で忍耐力を培うことができた。また、馬に触れ合う中で自分を見直すことができたと思うと、こんなふうに語っております。この乗馬苑では、乗馬苑に来たときには非常にきつい顔をしていた子供たち、あるいはそっぽを向いていた子供たちの顔つきがすっかり変わって、補導委託期間が終わっても乗馬苑にとどまって仕事を続けている子供たちが多くいる、あるいは厩務員として新しい生活を始めたり、また茶髪で悪くて悪くて仕方なかった子供が本当に馬が好きになって、調教師やジョッキーになったという子もいるそうでございます。多くの子供たちが立ち直って新しい生活をスタートしております。障害者がいて高齢者がいて少年がいて馬がいる、そういう環境の中で、心を病んだ子供たち、多く更生していると、そういう事実を見てまいりました。 少年の更生には多くの選択肢が必要でございますが、その一つとして、これは外国でも多くなされていることでございますけれども、このホースセラピーを少年の矯正施設に是非積極的に日本でも導入すべきと考えておりますが、法務省のお考えを是非伺いたいと思います。
○政府参考人(梶木壽君) 少年院では、約十年ぐらい前になろうかと思いますが、生命尊重教育を行うその手法といたしまして、小鳥とかあるいは熱帯魚などの小動物を飼育させるということをやってまいりました。少年の心のケアをしようというもくろみでございました。また、最近では犬の飼育あるいはその犬と触れ合う機会を取り入れた教育プログラムを実施し、その効果について検討をしているところでございます。 今委員が御指摘になりましたように、動物が持ついやし効果というのは我々も着目をしております。ホースセラピーなどのいわゆるアニマルセラピーにつきまして、委員御指摘の情報も含め様々な情報を収集し、心情の安定あるいは心身の機能回復といったものに対する効果について、検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○浜四津敏子君 熱帯魚とか犬とか猫とかというのもいいんですけれども、いわゆるアニマルセラピーの中でも特に馬、それからアメリカでは盲導犬とかあるいは介助犬の育成など、要するに、ただ動物をかわいがるというだけではなくて、非常に意味があるアニマルセラピーがあるというふうに言われておりますので、是非法務当局としては、いわゆるペットと一緒にしないで、ペットはペットなりに効果はあるとは思いますけれども、ホースセラピーとかあるいは盲導犬、介助犬の育成とか、特にアニマルセラピーの中でも効果があると言われるものについて、真剣に検討をしていただきたいと思います。 次に、最後に、平成十二年の少年法改正に際しまして、我が党は少年の更生、社会復帰を支援するために提言を行いました。この提言の中で、少年院入所中の作業、教育プログラムについて、農作業や今言われた動物の飼育など、命を育てる作業に従事すること、あるいは福祉施設や障害者施設での社会奉仕活動など、心のケアに高い効果が期待できることで注目されている活動を取り入れるように求めました。 犯罪白書二〇〇五によりますと、重大事件を起こした少年の四六%が社会奉仕活動を行っておりますが、法務省としてこうした社会奉仕活動についてどのように位置付け、どう評価しているのかお尋ねいたします。
○政府参考人(梶木壽君) 少年院では、全国の多くの施設で今委員が御指摘になりました社会奉仕活動を教育プログラムの中に取り入れて実施をしております。主な実施内容といたしましては、公共施設あるいは公園での清掃美化活動、それから福祉施設、例えば老人ホームでありますとか障害者施設に赴いての介護の補助等でございます。 こうした社会奉仕活動を行うことによりまして人のために無償で奉仕をすることの貴さを体得する、あるいは人の役に立つ経験を積むことによって自己有用感、自分が意味のある存在であると、そういう感覚を高めることができること、さらに、助け合いやいたわりの気持ちを培うというような点で少年の成長に大きな効果があるというふうに考えております。 このようなことから、少年院におきまして今後とも社会奉仕活動の効果的な実施に努めてまいりたいというふうに考えております。
○浜四津敏子君 こうした活動の効果を数量で推し測るということは難しいと思いますけれども、参加した後の少年たちの感想文等によれば、人のために尽くすことの大切さが分かったとか、あるいは人の役に立つ経験をしたことで自分自身に自信が付いた、あるいは助け合うことの大切さを学んだ、お年寄りのお手伝いでいたわりの気持ちを持てたというような肯定的な反応が多かったと伺っております。 私自身も、ある少年の話を伺ったことがありました。その少年は本当にワル、いわゆるワルと言われている少年だったんですけれども、あるきっかけで町の清掃作業、もう初めは嫌々親分に言われてやって、清掃作業をやっているときにたまたま見知らぬおばあちゃんからありがとうねと一言声を掛けられて、もう本当に涙が出るほどうれしかった、ああ、こんな自分でもありがとうと言ってくれる人がいるんだと、こんな自分でも社会の役に立っているんだという、それがきっかけとなって自分は立ち直ったと。で、今実はボランティアのリーダーをやっている人でございますけれども、そういう方がいらっしゃいます。 人によっては、いわゆる社会奉仕活動、ボランティアというのは自発的にしなければ意味がないんだと、強制してやらせるのでは意味がないんだと言う方がいらっしゃいますけれども、私は決してそうは思いません。きっかけは強制であっても、あるいはどんなきっかけであっても、こうした社会奉仕活動をすることによって、ああ自分も社会から認められる存在なんだ、自分も必要な存在なんだと、人の役に立つということはとってもすばらしいことなんだということを学んで自分が成長していくと、こういうことがあるかと思います。 ともかく、法務省としてはこうした社会奉仕体験を、活動をさせることによってどのような効果があったとお考えになっておられるのか、また今後どのように充実していかれようとしているのか、お伺いいたします。
○政府参考人(梶木壽君) まず効果についてでございますが、正に今委員が御紹介になったような感想をそれぞれの子供が感じております。非常に自発的で有益なことであろうというふうに我々も受け止めております。 ちょっと古い統計で恐縮なんですが、平成十六年の数字で申しましても、全国で千二百六十名を超える子供たちがこの環境美化、公園等の清掃に従事をしておりますし、また、老人ホームにつきましても千五百名を超える子供たちが行っております。障害者施設につきましても五百名を超える子供たちが行っております。 そういう意味で、今委員から御指摘のありましたように、こういう子供たちが少年院の教育の一環としてこういった施設に主体的に赴いて参加するということは非常に教育的な効果が大きいと思っておりますので、機会をとらえて増やしていきたいというふうに考えております。
○浜四津敏子君 ありがとうございました。終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 今回の法案では、十四歳未満で法に触れる行為をした少年、いわゆる触法少年に対して警察による調査権限を強化をする、また、現行法では十四歳以上とされている少年院への送致年齢をおおむね十二歳以上に引き上げるなどの重大問題が提起をされています。 そもそも少年法の基本理念は、非行少年の可塑性にかんがみて、生育発達段階にある少年に対する教育的、福祉的施策によって、その立ち直り、育ち直しを促すところにあります。だからこそ、保護観察を始め保護処分を中心とする施策、あるいは児童相談所などがその役割を担ってきました。厳罰化と警察的、権力的対応が優先をされるなら、冤罪など子供の人権侵害の重大な危険がある、強権的な対応は少年問題の解決にならないという厳しい批判がこの法案を審議をしているこの参議院の委員会に寄せられているということを私たちは肝に銘じて審議に臨まなければならないと思います。 少年法あるいは少年手続の理念について、今日もその理念は少年の健全育成にあるという答弁が大臣からも繰り返し述べられているわけですけれども、私は、少年の可塑性と保護主義に照らして、子供たちに、社会、そしてとりわけ少年司法がどう向き合うのかということが問われているんだと思うんですね。 今日は、最初ですから、幾つか基本的な点について質問させていただきたいと思うんですが、まず、私の手元にこれは法務総合研究所が出しました研究部報告十一という大変分厚い冊子がございます。これは少年院の在院者を対象に、児童虐待に関する被害経験がある、ないという調査を行って、そしてその調査の結果に基づいて児童虐待問題に関する研究会を法総研で行って実施をされてきたというものなわけです。 中を見ますと、これは刑事司法の現場における児童虐待の問題を取り上げようという、そういう問題意識で行われたもので、全国の少年院を対象にこのような調査を行うのは初めてのことであるということでございます。その調査結果の中には、被虐待経験を持っている子供たちが、少年院在院者のうちだったかと思いますけれども、約半数に上るという大変衝撃的な結果も出されておりまして、この中を拝見しますと、様々な角度からこれを検討しようではないか、例えば児童虐待問題について関係諸領域の研究者、実務家による学際的アプローチが求められていると思われる、このように法総研も述べているわけですね。 まず、法務省にこの報告をどう受け止めているのか、この点をお尋ねします。
○政府参考人(梶木壽君) 今御指摘のありました調査、平成十二年のものでありまして、我々も協力をしてやったものでございます。 当然のことながら、我々は、そういったマクロの調査のほかに、これまで個々の少年について家庭裁判所から調査記録が参ります。また、少年鑑別所からは鑑別結果が参ります。我々のところでは、個々の少年との個別面接等によりまして今御指摘のあった被虐待経験の内容等についても深めてきておるわけでございます。 虐待等によりまして、子供たちは、いわゆる外傷、外側から見られるけがでございますね、こういった身体的な影響ばかりではございませんで、人から愛され、あるいは人を愛するという愛着行動への障害を持っております。また、破壊的な行動を行うパニック行動、自傷行為、こういった感情や行動への影響も出てきていると。また、他人に対する基本的な不信感が植え付けられることによりまして、自分に対する自己イメージが低い、あるいは強い対人不信感があると、こういったことが個々の子供たちの特質として浮かび上がってきたわけでございます。 先ほど来御説明しておりますように、我々の施設では、個々の子供の問題性、特質に合わせた個別的な処遇計画を作りまして、その問題性の除去をし、育て直しをしようと職員は努めておるわけでございます。今御指摘のあったこの調査結果、あるいは我々が日々集積しておりますデータを基に、少年処遇の手法等について更に充実をさせていきたいというふうに考えております。
○仁比聡平君 今お話があったようなことも含めてしっかりと検討をして、個別処遇のより一層進めていこうということが少年院において求められるんだろうと思うんですよ。 私が今日問題にしたいのは、これは少年院在院者に対する調査でございますから、当たり前ですが十四歳以上ですね。今矯正局長からお話のあった個々の少年を通じて得てきた知見というのも、これも当然十四歳以上なわけです。ならば、政府は、十四歳に満たない子供たちに対する少年院送致、あるいは警察による調査、こういう法案を提起をされておられるわけですけれども、この十四歳未満の子供たちについて、その発達や心理、家族や学校教育、その他その年齢の少年が持つ特性と少年法が対象とする非行、この関係についての科学的な検討を行ったことはありますか。 あわせて、処遇についても、低年齢の子供たちを家族や社会、学校から隔絶をして身柄拘束をする、少年院に入れるというのはそういうことです。そのことによってその子供に与える影響について科学的な検討を行ったことがありますか。答えてください。
○政府参考人(小津博司君) まず、私の方からお答え申し上げます。 法務総合研究所におきまして、犯罪白書という形で毎年、十四歳未満の触法少年につきまして、一般刑法犯補導人員の、人口当たりの補導人員の比率、そして補導の内容等につきまして、統計上の数字を明らかにして推移等を分析しております。 また、平成十年版、十七年版の犯罪白書ではいずれも少年非行を特集しておりまして、その中で、例えば平成十七年版では、これは十四歳未満の少年に特化はしておりませんけれども、非行少年の質的分析では、人に対する思いやりに欠けるなどの資質面での問題性が大きくなっていること、甘えの通用する狭い人間関係の中にとどまろうとするなどの対人関係面での問題性がうかがわれること、指導力に問題のある保護者が増えてきていること等を挙げまして、これらを踏まえ、人の痛みに対する共感性を育てる処遇、集団場面を活用した処遇、保護者の自発的対応を促す働き掛けが重要になっていることが指摘されております。 矯正の実情につきましては、ただいま矯正局長から御答弁いたします。
○政府参考人(梶木壽君) 先ほど若干御説明を申し上げましたように、我々のところでも平成十七年以降勉強を積み重ねてきたわけでございます。もう一度申し上げますと、まず平成十七年度には、厚生労働省と法務省との間で十四歳未満の少年の処遇に係る検討会を開催いたしました。合計六回やったわけでございます。その中では、十四歳未満の少年の特質、問題点、それに対してどういった処遇をこれまで児童自立支援施設がやってきたのか、そういった議論、検討をさせていただいたわけでございます。 それを踏まえまして、平成十八年度には、我々のところの職員が児童自立支援施設に伺い、児童自立支援施設の職員が我々の施設においでになって、現実の処遇の場面の中で検討をし、議論をし、ノウハウの交換をしてまいったわけでございます。こういった形で、我々は年少少年に対する新たな処遇をつくっていこうということで準備を今、進めてきたわけでございます。 その新たな準備と申しますのは、この年少少年に特化した施設を東西四か所ずつ指定しようというもの、そして、その処遇スタッフにつきましても、これまで担当教官制で個々の少年に一人の担当の先生が付いて教育をやっておったわけですが、男子の教官と女子の教官が組み合わさって、そこに精神科医も入って疑似家族的な環境の中で教育をしていこうと、そういった様々なその指導体制についての準備を進めておるわけでございます。
○仁比聡平君 刑事局長からお話のあった白書というのは、これは正におっしゃったように統計的な分析であって、数字の問題でしょう。その中で何らか少年の特質にかかわるもの、これ十四歳に満つるか満たないか、これは区別していないが分析をしているとおっしゃっているが、そこには様々な学際的な分野において、どういう角度でそれがどういう実情を基にして、材料にして検討されたのか、そんなお話、白書にないでしょう。 矯正局長のお話は、私には、詰まるところ、児童自立支援施設がやってきたことを学んでいますというお話にしか聞こえませんよ。児童自立支援施設には当然その知見はあるでしょう。児童相談所にもそうだと思います。その知見があるのは当然のことであって、その児童福祉の分野での様々な歴史的な経験やその中で生まれてきた知見や科学というのはあるわけです。それを法務省が、この少年法の改定案を提出するに当たって、皆さんが十四歳未満の子供たちに新たな法制をつくるというんだから、そしたら科学的に検討しましたかと私は聞いているんです。ないじゃありませんか。 先ほど、千葉委員のお話の中でもありましたけれども、例えば少年院送致の下限年齢としての十四歳というのは、これは理由があって決められたものであり、そして戦後長きにわたって合理的なものとして継続をしてきたわけですね。これを皆さんは変えるとおっしゃるんだが、その根拠は何ですかと聞かれたときに、先ほどのような答弁しかできないというのであれば、一体何で変えるのか、こういうことになるんじゃありませんか。 そこで、私は与党の修正案提案者に聞きたいんですが、今日お話を伺っておりますと、個人差はあるが、小学生と中学生では差があるだろうと。そこで、中学入学をする年齢十二歳を一応の目安とする、個人差があるので弾力的処遇の選択を可能にするためにおおむねという言葉を付ける、これは一歳程度であるというお話なんですけれども、その根拠としては、視察に行かれたということと、それから皆さんの政治家としての見識、これをお話される以外には示されていないと思うんですよ。視察に行ったということと政治家としての見識以外に根拠がありますか。
○衆議院議員(早川忠孝君) この問題については一貫して大口議員の方から御説明をしておりましたけれども、改めて申し上げますと、衆議院の法務委員会で参考人の質疑をさせていただきまして、現実にこういった審判官として少年事件の審判に当たられた学者の、現在学者の方からの御意見を伺いますと、現実にその処遇を行うときに、例えば中学生と小学生が年齢が一緒の者が事件を起こす、それで処遇する時点において、たまたま決定の時点では中学生と小学生と、こういうふうになっている場合に、児童自立支援施設に処遇する者と少年院に処遇する者と、こういうふうに分かれるケースもあるといった場合に、その処遇はどうあるべきかと、こういうような問題意識を持ったことがあるというようなお話を承ったことがあります。 さらには、現実に少年院等におけるいろいろな処遇の内容については、我々が法務委員会での視察以外にそれぞれ個別に視察をしているところがありますけれども、例えば京都の宇治の少年院は、トレーニングスクールといって、ある意味でいろいろ特別の障害を抱えている方々に対しての自立支援教育についての特別の処遇プログラムを開発された職員がおられるとか、あるいは、その方が広島に行って少年院でいろいろと教育を行われていると、こういったことをいろいろとお伺いをするうちに、我々としての少年に対する処遇の在り方については弾力的に考えるということはやはり現場の要請であろうかなと、こういうふうに思ったところであります。 そういう状況の中で、中学生に入学する年齢、十二歳ということを一応置きながら、しかし、おおむねという要件を付するという形で、現実には、家庭裁判所の審判官にその一人一人の少年に応じた処遇を決定いただくということが政府の原案を修正する立場としては妥当ではないだろうかというふうにしたわけであります。
○仁比聡平君 共犯関係がある場合に、処遇にアンバランスが生じるのではないかという問題については、先ほど千葉委員からお話があったように、おおむね十四歳以上というふうにすれば何の問題も起こらないわけですよね。今私は、おおむね十二歳以上というふうにされた修正提案者に視察と見識以外の根拠はあるのかと申し上げましたけれども、そこで示されたのは、結局、参考人から伺ったということだけなんですよね。 だけれども、皆さんは、複雑で処遇困難なそういった事件が実際に起こって、それが社会に対して大変な衝撃を与えている、そのことを強く問題意識を持っていらっしゃるでしょう。そういった事件の加害少年が、十四歳に満たないけれども、どんな過程でその行為に至ったのか、そこについては真剣な科学的な検討が様々な形でされているじゃありませんか。社会の中で、私たちの国の中で、子供たちに真剣に向き合うために、こんな科学性、こういう知見、みんなが一生懸命考えているのに、視察に行ったその中でのお一人の参考人の話を聞いた、そして政治家の見識だといって、どうして下限年齢を決めるということができるんですか。私はそれ、さっぱり分からないんですけれども。 警察庁では、そのような十四歳に満たない子供たちの非行や、あるいは警察にとっては問題行動というのも問題かもしれませんけれども、少年の特質とその行動との関係、こういうことについてそのような科学的な検討を行ったことはありますか。
○政府参考人(片桐裕君) 少年の特性は十四歳で、境にして大きく変わる、はっきり明確に変わるというわけではございませんので、私どもとしては十四歳未満の少年の問題行動に対象を特化した科学的調査は行ってはおりません。ただ、科学警察研究所におきまして少年の特異・凶悪事件の特定の事例を集めまして、その中で触法少年も含めてその非行の背景とか前兆とか要因とかといったようなことについて分析するような調査は行ったことはございます。
○仁比聡平君 法制審でもそのような検討はありませんね。
○政府参考人(小津博司君) 法制審議会におきましては、十四歳未満の少年の非行と関係する機関やその関係者等から具体的な事例、知見に基づく意見を広範に聴取いたしまして、実証的な検討を行っております。すなわち、法制審議会の少年法部会に厚生労働省の担当の方に出席していただき、同省内における審議会での議論の内容を報告していただきました。また、少年福祉機関の立場からの意見を述べていただきました。また、同部会には家庭裁判所のほか、警察、少年院、保護観察所の担当者も出席しており、それぞれの立場からの意見を踏まえて少年法部会における議論を進めたところでございます。
○仁比聡平君 今のようなお話で、呼んで聴いたと言うんですけれども、例えばその中で、現場の自立支援施設の方は重大触法事件でも対応できているという趣旨のお話をされているのではないかと思うんです。私もこの審議を通じてしっかり調べて今のお話は確認をしていきたいと思うんですけれども、つまりこれまでの法の根幹部分にかかわる問題についてどんな検討がされたのかということは私は大変問題があると思うんですよ。 この十四歳の少年院の送致下限年齢の問題については改めて次の機会にしっかりと聞きたいと思うんですが、別の問題で、十四歳未満の警察の調査権限に関しまして今日もお話がありましたが、物的処分、捜索や差押え、押収など、こういうお話があるわけです。これの具体的な状況については改めて聞きますけれども、私は憲法の令状主義との関係をまず伺いたい。皆さんは法案でそのような物的処分をするときに令状を取る、ここで刑事訴訟法を準用する、そういう法律構成をされておられるわけです。これは憲法三十五条に言う令状主義の趣旨の下でのことですか。
○政府参考人(小津博司君) 憲法第三十五条第一項は、「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」と規定しておりまして、いわゆる令状主義について定めております。これは、本来、主として刑事手続における強制捜査について、それが司法権による事前の抑制の下に置かれるべきことを保障したものでありますけれども、そのほかの手続における強制処分についても同様の保障が必要とされる場合もあると解されているものと承知しております。 今回の改正法案におきましては、警察官は、触法少年に係る事件の調査をするについて必要があるときは、押収、検証又は鑑定の嘱託をすることができることとしておりまして、これは刑事責任を追及する手続ではありませんが、この調査手続においても刑事訴訟法の押収、捜索、検証及び鑑定の嘱託に関する規定を準用することとしているため、あらかじめ裁判官から令状の発付を受けてしなければならないこととされており、いわゆる令状主義の趣旨に沿うものと考えております。
○仁比聡平君 つまり、憲法の趣旨に沿うものだとおっしゃるわけですね。私は、調査における権利保障の問題についても本来は同じはずだと思うんですよ。皆さん、何というんですか、言葉の上で刑事責任を追及するものでないからなどという答弁を衆議院段階から繰り返してこられているが、保護処分も不利益処分であるということは、これ明らかでしょう。 最高裁が既に昭和五十八年十月のいわゆる流山事件の判示の中で、少年保護事件における非行事実の認定に当たっては、少年の人権に対する手続上の配慮を欠かせないというふうに述べています。有名な団藤裁判官の補足意見は、保護処分は少年の健全な育成のための処分であるとはいえ、少年院送致はもちろん、当時の教護院、養護施設への送致や保護観察にしても、多かれ少なかれ何らかの自由の制限を伴うものであって、人権の制限にわたるものであることは否定し難い、こう述べているわけですね。 ですから、今研究者の中でも、適正手続、憲法三十一条の趣旨が少年司法にも及ぶということは、これは法律構成がどうかは別として当然のことであって、その柱として、非行事実の告知と弁解録取、黙秘権の保障とその告知、自白の証拠能力の制限と補強法則、付添人選任権などが挙げられています。その中で、伝聞法則あるいは証人審問権も問題となってきたわけですね。 なのに、なぜ十四歳に満たない子供たちに警察が調査をするというときに、少年警察活動のその規則ですか、こういうようなものを挙げられるだけで、権利保障について述べられないんでしょうか。その活動の規則というのは、あるいは捜査規範やマニュアルというのは、あくまで捜査機関のルールでしょう。実際に調査、実質取調べということが行われるときに、おじさんは優しいからね、悪いことしないからね、幾ら言ったって権利保障にならないじゃありませんか。なぜ権利保障は要らないというのか、あるいは本当に要らないといっているのか、そこを明確に答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(小津博司君) 少年法の手続は、少年の健全な育成を期すると、少年にとってどのような処分が相当であろうかということを家庭裁判所を中心として判断していくというのが基本でございますが、その中で、委員御指摘のように、それが少年の健全な育成を期するものであって、その少年にとって最も適切な内容であるということではありましても、その少年の自由を少なくとも一定程度制約するという側面もその保護処分によってはあるということも事実でございます。 そのようなことを踏まえて、その少年事件であるということの特質と、それからその中における少年のそのような意味での手続上の保護というのをどのようにやっていけばいいかということは、大変大きな難しい問題であろうと私ども認識しているわけでございます。 先ほど申し上げましたこのたびの警察の触法少年に対する調査権限、その中での物的な強制的な調査について、これは令状主義の趣旨に沿って令状を必要とすることにいたしました。それは正にその警察の調査に対するものではありますけれども、直接的な強制的な性格を有するものでありますので、その部分にもこの令状主義の趣旨を及ぼすことが相当であろうと我々が判断したわけでございます。 それぞれの問題、課題につきまして、どのような少年の利益保護のためのシステムをつくっていったらいいのかということを一つ一つ考えていく必要があろうかと思います。 そのような中で、政府提案につきまして、与党の方から、警察の調査についても弁護士を付添人として選任するという内容の修正も加えられたのもそのような御配慮の結果ではないかと認識しているところでございます。
○仁比聡平君 時間がなくなりましたから続きは次にしますけれども、手続上の保護とおっしゃったが、私は保障だと思います。手続上の権利保障、これを難しい問題だといって、衆議院通して、今日の段階で刑事局長が言っている、そんなことでどうしてこんな法案出せますか。直接的な強制にわたる場合は違うといって制度化をしたと言うが、それ以外は一つ一ついろいろ考えなきゃいけないんだって、一体、訳が分からないですよ。 調査だと言い、面談だ、取調べだと言うけれども、ここに権利侵害、人権侵害、とりわけ子供たちを冤罪に、それも十四歳に満たない子供たちを置くのではないかという重大な疑問が呈されているときに、今の答弁はもう絶対に答弁にならないということを厳しく私は指摘したいと思いますし、付添人を選任したら済むという話じゃありませんよ。そこまでおっしゃるんだったら、立ち会わせなさいよ。可視化をしなさいよ。それをやらずに、付添人を選任しさえすればいいなんという話には絶対にならない、強く申し上げて、私の質問を終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございますが、今ほど、午前中来の話を聞いておりまして、ポイントのところで立法事実が極めて不明確であるということがこれほど明らかなケースはないんではないかというふうに思っています。 今ほど、触法少年に対する警察の調査ということでありますが、本来であれば、なぜその警察法の規定外で少年法の中に触法少年に対する警察の調査という権限を盛り込まなければならないのかと。盛り込まないとどういう不都合があってということを、やっぱりるる皆さんの方でそれをやっぱり証明をしてそれから論議が始まらなきゃならぬのに、それがなかなか分からない。ましてや、そういう調査という事実上の捜査権を警察に与えるならば、今ほど言った、少年の言わば防御権といいましょうか、憲法三十一条あるいは三十五条等で定めた適法手続あるいは令状主義の原則、当然これは適用されなければならない。これはもう判例の上でもこの考え方はほぼ確立しているにもかかわらず、これが全く事実上担保されていない。しかも、こういうことが、衆議院を通過して、参議院のこの今の段階になって問題になるということ自身やっぱり私は大問題だというふうに思っています。 そしてまた、処遇の年齢制限、十四歳から十二歳にすると。これだって、本来は、十四歳でどこにどんな支障が出ているのかということを科学的にしっかり皆さんが明らかにして、そしてその上で何歳がいいのかと、こういう議論が行われなければならないのに、それがほとんど私に言わせればなされていない、こういうことだろうというふうに思っています。 そして、すべての問題は、一番最初の話になるわけでありますが、午前中、江田先生がお話しになって多少私は頭の整理ができたわけでありますが、この法改正は、やはり少年非行が深刻な状況にあるという一つの土台の上に、土台の上に青少年育成施策大綱とかあるいは犯罪に強い社会の実現のための行動計画、こういうものが言わば乗っかって今回の法改正に私は至っていると、こういう構造になっているというふうに思うんですが、午前中来いろいろ議論がありますけれども、果たして今、少年非行は深刻な状況にあるのかということについても、必ずしもこれは議論がきちっとかみ合っていない、共通認識がつくられていない。私は、やっぱりすべてここに問題があると。ここで全然議論がかみ合わない。そういう意味では、皆さんが立法事実をきちっと提起ができない。そしてさらに、それが警察の調書にも及び、そしてさらには少年の処遇の年齢の下限のところでもまた出てくる。本当にそのポイントのところで皆さんが立法事実をきちっと出せない。正にこういう法案は、本当にやっぱり私は問題だというふうに思えてしようがありません。 そこで、今日も何人かの議員の方が質問をされましたけれども、一番最初のこの法改正の土台のところについて法務大臣に是非お聞きをしたい。 私は、皆さんが提起している少年非行は深刻な状況にあるというここの土台のところは、崩壊はしているというふうにまでは言わぬけれども、かなり崩れ掛けているというふうに思えてしようがありません。 まず、法務大臣は趣旨説明の中で、少年非行は深刻な状況にあるというその理由として三つの柱を挙げておられました。一番目は少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合の増加だと、二番目は強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移している、三番目がいわゆる触法少年による凶悪重大な事案、つまり低年齢化、この私は三つだというふうに思っておりますが、これが言わば少年非行は深刻な状況にあるという三本柱だというふうに私は理解しているんですが、そういうことで、大臣、よろしいでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) おっしゃるとおりのことを今まで説明をしてまいりました。そういうことから予断を許さない状況にあるという認識を持っております。
○近藤正道君 じゃ一つ一つお聞きしますけれども、少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合の増加ということでありますが、たしかこの法案が一番最初に出された平成の十五年くらいはそれなりに高いところにありましたけれども、その後、つまり十六年以降、十六年、十七年、十八年、今年十九年でありますけれども、この減少傾向が続いている、これはお認めになられますか。
○政府参考人(小津博司君) 先ほど来、私の方から、また大臣の方から統計の数字については繰り返して御説明いたしましたのでそこは繰り返しませんけれども、かなり高い水準で推移をしていて、ここ一、二年、それが若干下がっている面があることは否定いたしませんけれども、なお予断を許さないというように表現をさせていただいたところでございます。
○近藤正道君 いずれにしても、皆さんはその十六年以降の減少が続いているということはお認めになっておられます。 二つ目の強盗等の凶悪犯、この検挙人員が平成十六年以降減少を続けている、これもお認めになられますか。
○政府参考人(小津博司君) ごく最近、若干低下しているというのは事実でございます。
○近藤正道君 若干じゃないですよ。見事に低下を続けていますよ。 三番目の重大事犯の低年齢化、これについては私は最近の状況が顕著なものとは思えない。近年に限ってこういうものが増加しているというふうには、この長いスパンで考えたときに思えないんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(小津博司君) これは近年、年齢の低い少年による凶悪重大な事件がいろいろと発生しているということは事実であると認識しておりますし、また、最近の少年犯罪の特徴として、少年がささいなきっかけで凶悪、冷酷とも言える犯行に走って、動機が不可解で、少年自身にも説明できない場合があるなどの、従来の少年犯罪と違う面があるんではないかという指摘もなされているわけでございます。 もちろん、委員御指摘のように、それでは長い期間の間で最近起こったのと同じような事件が起こったことがないかと、このような御趣旨でございますならば、罪名で申し上げてそのような事犯はあったと思いますけれども、しかし、現在我々の目の前に最近どのような事件が起こっているのかということに着目いたしました場合には、やはりそのような年齢の低い少年による重大な犯罪が行われていて、それも含めて深刻な状態にあると、このように認識しているところでございます。
○近藤正道君 私は、データを見る限りは、少年非行は深刻な状況を強めているということは必ずしも言えないんではないかと。ただ、ないんではないかという、それはそれなりに数字の上ではっきりしていると思うんですよ。 そこで、法務大臣は最近になって、増大をしているという言葉を使わないで、以前、つまり昭和三十年とか四十年ごろに比べると非常に高い、これは予断を許さない、高水準だと、こういうことをずっとおっしゃっている。予断を許さないとか高水準だと、そういう言葉をずっと使っている。その数年前、今から三年ぐらい前までは、非常に少年非行が深刻な状況にどんどん増えている、こういう言い方をしましたけれども、最近はそういう言い方をしないで、高水準で維持しているとか予断を許さないと。 こういうあいまいな言い方はやっぱり改めるべきだと。もっと正確な数字を、まあ私は、なぜ最近減少したのか。それは、二〇〇〇年の少年法の改正がうまくいっているのか、あるいはその改正以後、関係者が本当に努力をして抑えているのか分かりませんが、つまり逆送件数はこの数年、確実に減っていますよ。そしてまた、検察官立会いの、少年法の二十二条の二項に定める一定の重大な事件、新受数というんでしょうかね、これも減っている。 つまり、統計的なデータを見るとこの三年ぐらいは確実に減っている。ならば、その事実をきちっとやっぱり認めるべきだと。私は、やっぱりこの事実があるんで、今回の、先ほども話ありましたけれども、この少年法のぎりぎりのところで与党の皆さんはかなりのやっぱり修正をしたと、こういう状況が変わっている中で無理強いできないということで大幅な修正をしたんではないかと、こういうふうに私は思えてならない。ならば、そのことをやっぱりしっかり認めた上で、今はそれなりに落ち着いていると。だから、本当にこの現実をしっかり踏まえた上で、警察に調査権を与えるんなら、それに見合った少年あるいは触法少年の一つの防御権といいましょうか、人権というものを憲法との観点できちっと与える、そういう体制を私はきちっと整える、そういうことに本格的にやっぱり目を向けるべきだというふうに思っているんです。 何となく世間の人たちは、体感治安がかなり悪化しているということで、まあとにかく守るためには何でもいいやみたいなところがあるけれども、それはやっぱりいけないと思うんですよ。代表質問で千葉議員が言いましたように、正に衝撃の大きさに惑わされてはならないと。冷静に、冷静に事実をきちっと見ながら今どういう状況にあって、警察に新たな権限を与えるんなら、少年たちにも、触法少年にもとりわけやっぱりきちっとした法の保護、憲法が定めた法の理念をやっぱり具体化させなきゃならぬ。そういう私は立場に立つべきではないか。それが何にもされてない。そういうふうにこの法改正案、見えてならないんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 委員の感覚は今お伺いをいたしましたけれども、短期的なここ二、三年の数字ということだけをもって科学的と言うのもいささかいかがかと。今体感治安という言葉をお使いになられましたけれども、国民の大多数は、少年がひどいということはもう皆さん方もいろんなところでお聞きになっておられるとおりでございまして、これに対して何か対応しろというのは国民の要請だと私は思いますし、それについていろいろ衆議院でもたくさんの御議論をいただいて、与党でも御修正をいただいて今日御審議をいただいておるわけでございますが、いろいろ御懸念の点は、運用その他も含めて考えなきゃならぬことはあると思いますけれども、是非早急な成立をしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
○近藤正道君 我が国の少年法の運用というのは非常に先進国の中でうまくいっているというふうに思っています。犯罪白書を見ましても、少年の事件数は非常に先進国の中でも少ない。成年もまた少ない。これは数年来の傾向です。なぜ少ないのか。つまり、少年法の運用がうまくいっているのか。皆さんはどういうふうにお考えですか。
○政府参考人(小津博司君) 犯罪白書で少年事件の特集をいたしました際に、諸外国における少年事件の状況と我が国の状況を比較いたしました。もちろん、それぞれ少年法制が異なりますのでぴったり厳密に対応するものではございませんけれども、それでもその数字を見る限り、委員御指摘のように、諸外国に比べて我が国の少年事件の件数は数字で表れたものを見ますと比較的低いというふうに申し上げてよろしいかと思います。 ただ、これまた今委員御指摘のように、それでは少年だけそうであるかといいますと、成人の刑法犯自体やはり我が国は全体として件数が幾つかの国に比べて、いわゆる欧米諸国に比べましても少ないわけでございます。 これがいかなる理由に基づくものなのか、社会的、文化的状況もあろうかと思いますが、他方で、これまで刑事司法あるいは刑事政策のいろいろなものが功を奏してきた面もあろうかとも思いますけれども、いずれにいたしましても、委員御指摘の点はそのとおりでありますが、同時にそれが成人の刑法犯全体も少ない中での数字であるということだけはちょっと指摘させていただきます。
○近藤正道君 私は、この国のやっぱり少年法の今言いましたようにいいところといいましょうか、そのところをやっぱり是非守りたいと、そういう思いで今申し上げたわけでございます。 話を別のところに移しますが、先ほどの話、今回、警察に調査権限を与えます。午前中も議論がありましたけれども、この警察の調査権限、犯罪捜査ではないといっても、この調査権限によって非行事実が明らかにそれなりに解明をされ、そして保護処分という、それも幾つかの種類に分かれた保護処分がこれで決められると、その言わば源泉になるわけでありまして、少年たちにとってはやっぱり重大な利害関係を持つ、不利益の問題と直結する問題でありますんで、私は憲法の三十一条、三十五条、適法手続あるいは令状主義というのは、私は事柄の性質で、基本的にこれが事柄の性質上適用できないような場合は除いて、原則やっぱり準用されるべきだ。 こういう立場から考えれば、今の黙秘権の告知だとかあるいは供述拒否権の問題、こういう問題については当然私はできる限りこの法案の中に具体化されなければ私は均衡を失すると、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小津博司君) まず、調査手続の意義につきましては、これが正に少年事件を適正に運用していくための根幹のところでございまして、もちろん非行のない少年を過って処分してはいけないということがございますし、非行のある少年について、個々の少年が抱える問題点に即して適切な保護を施すという意味で重要であると申しますか、最も基本になるわけでございますので、そのために、現在の警察の触法少年に対する調査、法的権限が明文化されていないということで、いろいろな面で事実解明に不都合を生じているということから、今回の改正を提案させていただいたわけでございます。 それも含めて、少年事件と申しますのは、少年の保護育成のためであるという面と、その中で、その保護処分の内容等によって少年にいろいろ不利益が課されていく可能性があることもそのとおりでございます。そこで、どのような場面において令状主義等の考え方を準用なりしていくのかということを考えていく必要がある問題だと考えているわけでございます。
○近藤正道君 ですから、その令状主義と適法手続の立場からいけば、今の供述拒否権だとか、正にその任意性を担保するようなきめ細かな刑事訴訟法の規定に準じたような、そういう手続が盛り込まれて当然なんじゃないですか。今そういうものは全くないでしょう。しかも、犯罪捜査規範についても、もっと全く触法少年にふさわしい新しいものを作れと言ったって、検討するぐらいの話しかしない、それは警察の方も。ここは抜本的に直さなければおかしいんじゃないですか、これは。検討じゃなくて、是非憲法の理念に従って、警察が新たに調査権を持つんだから、これに対応した触法少年の権利保護の規定、それを捜査マニュアルの中にきちっと入れる、そういうものを新たに作りますと、何でそれが言えないんですか。警察。
○政府参考人(片桐裕君) 前提として申し上げておきたいんですけれども、触法少年に関する事件についての調査というのは、現在、警察法第二条に定める警察の責務の範囲内の行為として、任意の活動として我々行ってきているところのものでございまして、今回この調査権限が明確化されますけれども、これは新たな権限を付与するものではなくて、単に明確化を図るだけのものであるというふうに考えています。 ただ、今おっしゃっているように、強制処分の部分だけは、これは新たな権限として今回付与されるものであるということでございます。
○近藤正道君 そんな常識に合わないことなんかないですよ。皆さんこれでもって対物の強制処分権限を持つわけですよ。しかも、少年法で調査権限が明記されるわけで、これは、皆さんそういう必要があるからこういう法改正をやったわけでしょう。法改正をやっても何の今までと変わりもありませんなんて、そんなばかな話ないでしょう。必要があるから、このことによって触法少年に対する様々な健全育成をより効果ならしめるということで新たな権限を持って対応するんでしょう。今までと変わらぬなんてことはあり得ないでしょう。総合的に考えれば、はるかに皆さんは権限を持つ。ならば、そのカウンターとして子供たちあるいは少年が、そのデュープロセスをきちんと保障する。これは常識じゃないですか、こんなこと。何でそれができないんですか。
○政府参考人(片桐裕君) 今もお答え申し上げましたように、強制権限、物的強制に係る部分は新たに権限が創設されたものでございます。ただ、それを除けばあくまでもこれは調査といっても任意の調査でございますので、実態においてこれまで我々が警察法に基づいて行ってきた調査と中身において変わるものではないということでございます。
○近藤正道君 じゃ、マニュアルを検討するというのは、これはどういう趣旨なんですか、これは。マニュアルを午前中は検討するって言ったでしょう。どういう趣旨なんですか。違うじゃないですか、それは。 しかも、今度は公務所に対する照会、まあ私はこの後、学校のこともちょっと聞きたいと思うんだけれども、明らかに、総合的に考えれば、皆さんは一定のやっぱり権限を持つわけですよ、それは。しかも、今だって皆さんは単なる任意捜査だと言うけれども、それこそ、今日の言わば大阪地裁の判事襲撃事件の問題含めて、沖縄の浦添の問題含めても、こういう事件を一杯起こしているわけでしょう、子供に対して様々な形で自白を誘導して。そういうことをやった皆さんが更に力を持つわけですよ。 だから、当然その憲法の趣旨を生かすために捜査のポイントポイントについてきちっとした人権保障を行う、これは当然の話じゃないですか。皆さんそれを論理的に認めたから、先ほど新しいマニュアルを検討すると言ったんでしょう。どうですか、もう一回。
○政府参考人(片桐裕君) 法律的な整理としては、あくまでも今回の調査は、今回認められた捜索、差押え、検証等の強制処分を除けば、あくまでも任意の行為でございますから、質的にそれは変わるものではない。 なぜこれを今回規定するのかと申しますと、国民の側からして、やはり警察法二条に基づく調査というのは非常に分かりづらいという部分がありまして、例えば我々が調査に伺った場合に、何で警察が調査するんですかということを聞かれる場合がある。その場合に我々は一々答えなければいけないという部分がございますから、そういったことがないように、明確に警察には調査権がありますよということを今回記載をしたということでございます。 なおかつ、加えて、今回こういったことを法律でもって規定されるということを我々は重く受け止めて、更に適正が期されるようにマニュアル等の検討をしたいということでございます。
○近藤正道君 ちょっと、先ほどの事実認定は多少違いますけれども、犯罪の言わば凶暴化、凶悪化というものを前提にして、そして諮問が二つ出ているわけですよ、それは。それは明らかに、そういう子供たちがやっぱり犯罪の傾向、非行化が進んでいるという前提で、それに対して皆さんが適切に対応できるように、より権限を与えると、強化させるという立場で皆さんに付与しようと、流れはそういうことですよ、それは。皆さんが幾ら我々は何の権限もないんだと、そんなこと通用しないでしょう、それは。事実上、実態としてその権限強化ということになるんで、皆さんとしても新たなマニュアルという話になってくる。しかも、それだけではとどまらぬということで、今、憲法の理念をもっと具体化しろという話を我々はやっていますけれども、皆さんは何の権限強化にもならないと、今までと全く同じだなどということはだれも信用しないですよ、そんなことは。 もっとしっかりと、その実態を踏まえた、そしてなおかつ、その上で触法少年の権利保護の体制をどうやってつくるか、そういう前向きの分かりやすい話してくださいよ。
○政府参考人(片桐裕君) 今回、我々の調査権限が強化されたことの中心は、今申しましたように、捜索、差押えとか検証とかのことが令状主義の下にできることになったということでございます。これは従来、我々が調査を行う過程で、例えばそれは保護者とかまた触法少年とか関係者の協力が得られずに証拠物が得られないとか、また解剖ができないとかいったことによって実態解明が十分にできないということがあったということを前提として、この部分をきちんとやろうということが今回の改正の趣旨だと我々は考えております。 調査について、何ら変わりがなければマニュアル等を作る必要ないじゃないかという御指摘でございますけれども、ただ、より慎重にするということはこれは当然必要でございますから、我々はそういう観点からマニュアルを作ったり、また規則の改正等を検討したいということでございます。
○近藤正道君 これは更に続けます。 せっかく政務官に来ていただいたんで、学校のことについてお尋ねをしたいというふうに思っています。 今言いましたように、今回は警察が調査権を持って、そして対物の処分権を持つし、あるいは公務所等に様々な照会の権限を持つ。当然、そういうことになりますと学校等についてもいろんな照会をしたり調査に入ると思うんですよ。 学校にかかわる事件とすると、学校の外で事件が起こった場合と、学校の中で例えばいじめとかそういう形で起こる場合と二つあると思うんですけれども、いずれにしてもこの法改正によって警察が学校の中に入っていろんな調査をする、そういう場面がたくさん出てくるというふうに思うんですが、学校は一方で子供たちあるいは保護者に対する様々な情報を持っておりますし、生徒とのやっぱり信頼関係というのは極めて重要なものなんですが、そういう調査あるいはいろんな照会があったときの学校の基本的な対応、どのように考えておられますか。お聞かせください。
○大臣政務官(小渕優子君) お答えいたします。 現行の少年法の下におきましても、警察がこれまで児童生徒に対して調査をしていたということが行われておりますけれども、その際にもやはり教育的配慮を行うことが必要だということはもう申し上げるまでもなく当然なことであるということでありまして、今回、この法律改正されても、この教育的配慮につきましては当然変わらないものであるというふうにこちらとしては認識をしておるところであります。 御質問がありました学校の対応ということでありますけれども、やはり学校におきましても、十分な教育的配慮の下に関係機関との間で情報共有を図り、児童生徒が健全な育成を図っていくように対応することが何よりも重要だというふうに考えております。 個人情報ということのお話もありましたけれども、やはり児童生徒のプライバシーの保護、そうした観点にも十分に配慮しなければならないと思っておりますし、情報管理、情報提供が必要であるというふうに強く認識しておるところであります。
○近藤正道君 処遇年齢の引下げ等については次、聞かさせていただきたいと思っています。 終わります。
○委員長(山下栄一君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 少年法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時一分散会