法務委員会 第3号
- 発言数
- 146 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2007/03/20
会議録
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日、近藤正道君が委員を辞任され、その補欠として田英夫君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 委嘱審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房長安藤隆春君、警察庁刑事局長縄田修君、金融庁総務企画局審議官畑中龍太郎君、金融庁総務企画局参事官私市光生君、法務大臣官房司法法制部長菊池洋一君、法務省刑事局長小津博司君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長藤田昇三君、法務省人権擁護局長富田善範君、法務省入国管理局長稲見敏夫君、財務省主計局次長真砂靖君、文部科学大臣官房審議官辰野裕一君、林野庁林政部長島田泰助君及び経済産業省商務情報政策局消費経済部長谷みどり君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 去る三月十五日、予算委員会から、三月二十日の一日間、平成十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。 この際、本件を議題といたします。 裁判所及び法務省関係予算につきましては既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松村龍二君 自民党の松村龍二でございます。 平成十九年度の予算につきまして委嘱審査をすることになっておりまして、自民党を代表して質問をさせていただきます。 まず第一に、さきの臨時国会の冒頭の委員会でも私、長勢大臣に御質問したわけでありますが、死刑の執行につきまして御質問し真摯なお答えをいただいたわけですが、その後、先日は死刑判決が確定していて未執行の者が百名を超えた旨の報道がされております。まあ新聞等を見ておりましても、裁判所は国民の輿望を担ってどんどん死刑の判決をするわけでございますが、今後も相当数の死刑判決が見込まれる現状におきまして死刑は適正に執行されなければならないと考えますが、法務大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 御案内のとおり、刑事訴訟法では確定後半年以内に執行するということが規定をされておるわけでございますが、したがって法治国家において確定した裁判の執行というものは厳正に行われなければならないものだというふうには思っております。一方で、死刑というのは極めて重大な、人の命を絶つという重大な刑罰でございますから慎重でなければならないということも大事な観点だろうと思っております。 そういう意味で、法務大臣としては、裁判所の判断を尊重し法にのっとり適正に、慎重かつ厳正に対処してまいりたいと、このように思っておる次第であります。百人を超えるという初めての事態になりまして、これに関していろんな御意見も伺っておりますけれども、私としては法にのっとり慎重に厳正に対処してまいる所存でございます。
○松村龍二君 どうもありがとうございます。 平成七年、ちょうど私が選挙に初当選した年が松本サリンの手入れがあった年でございましたけれども、地下鉄にサリンをまいて五千人近い傷害者または死者を出すというふうな犯罪を犯した人間が十二年たってもまだ死刑が執行されないということになりますと、小学生は言うに及ばず、法の権威といいますか、そういうことに対して国民が納得しないという面があろうかと思います。 また最近、私、「かたき討ち」という何か本を中公新書か何かで読みまして、江戸時代の敵討ちが、親や兄に対する敵討ちというのが行われたというふうな話でございます。しかし、子供とかそういうものに対する敵討ちというのは江戸時代なかったと、それは司直に任せるということであったんだろうというふうな記述がございました。 昨今の新聞を見ておりますと、交通事故で死んだ子供さんに対してあるいは殺人の被害に遭われたお父さんが大変嘆き悲しんで、敵討ちをしたいような口ぶりにも見えるわけでございますが、やはり司法が厳正な機能を発揮するということが大切であろうというふうに思います。 さて次ですが、先日、東京都内で暴力団の幹部組員が射殺されまして、さらにこれに関連すると思われる連続発砲事件が発生するなど、市民生活に著しい脅威を与える事件が発生いたしております。まあ余り東京ではこれらの暴力団の対立抗争事件というのが目立ちませんので、都民も簡単に収まったというふうに思っていると思いますけれども、やはり大きな資金源の縄張争いというふうな本質がある以上、かなり内部にあるエネルギーというのは大変なものではないかと思います。 検察、警察がこれに対して断固とした姿勢を取っていただくことが必要かと思いますが、これら事案に対する取組姿勢についてお伺いします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 昨今、東京都内でも暴力団による事件が起きておるわけでございます。こういう事件において、けん銃などの銃器というようなものも使われておるわけでありまして、こういうことは極めて国民生活に不安と脅威を及ぼすものでございますから、検察においても第一次捜査機関である警察と共同して連絡をして徹底した捜査をしてその組織背景を含む事実の全容解明、厳正な科刑というようなことに対して今後とも全力を挙げてまいりたいと思っております。
○松村龍二君 日本経済が活力を取り戻しつつある中、暴力団は公共工事や企業活動等、様々な分野に介入して資金獲得活動を進めていると聞いております。必ずしも景気が回復しなくても、公共事業に巣食って、地方においてはいろいろな話を聞くわけでございます。なかなか証拠がない、被害者も後難を恐れて訴え出てこないということで事件になるような形がつかみにくいということは想像に難くないわけでありますが、このような正常な競争を妨げるような暴力団の活動に対する取組、取締りの取組姿勢について刑事局長にお伺いします。
○政府参考人(小津博司君) 暴力団は、ただいま御指摘の点も含めまして、いろいろな意味で社会に対する大きな脅威となっておるわけでございます。また、資金獲得の手段、これもますます多様化させているというふうに考えているところでございます。従来から規制薬物の密輸入や密売、恐喝、賭博等の事犯に加えまして、正当な事業活動を仮装しながら建設業等の各種事業活動へ参入して巧妙に資金獲得活動を行うと。また、このほかに、いわゆるやみ金融や振り込め詐欺等を組織的に敢行して莫大な不法収益を上げているという現状にあろうかと思うわけでございます。 これらの犯罪は市民生活の安全と平穏を脅かしますとともに、健全な社会経済の維持発展に悪影響を及ぼして社会の存立基盤を揺るがしかねないものであると認識しておりまして、この種犯罪に対する取組は極めて重大な課題であると法務当局としても認識しているところでございます。
○松村龍二君 次、保護観察活動についてお伺いするわけでありますが、保護司は困難な職務に従事しておりまして、その負担に見合った実費弁償金の改善が必要と考えます。このところ本予算においても画期的な前進を見ておる。現場の保護司さんの方もようやく自分たちの苦労に対して日が当たって差してきたかというふうな感想も聞かれるわけでございますが、来年度予算においてはどのように手当てされているのか、水野副大臣にお伺いします。
○副大臣(水野賢一君) 保護司の方々は無給のボランティアとして保護観察等の困難な職務に従事していただいておりますので、それで、その活動の中で今まで資金的な金銭的なことでいうと持ち出しの方が多くなってしまうなどというような声も多く聞かれておりまして、その負担軽減を図る観点から保護司実費弁償金の改善に取り組んでまいりまして、今先生御指摘のとおり、平成十九年度の予算案におきましては、保護観察事件等を担当していただいた場合に支給する補導費及び環境調整費については実態調査等の結果を踏まえて単価をそれぞれ引き上げました。 また、保護司会に対しても今回、保護司会の活動援助費というのを、これは新設でございますけれども、創設をいたしまして、これらによりまして対前年度に比べまして約六億五千万円増の約五十九億二千万円を計上して相互の改善を見たところでございます。
○松村龍二君 総額においてはそのようなお話でありますが、単価が幾らが幾らになったのか、教えていただきたいと思います。
○副大臣(水野賢一君) 補導費に関しては、単価、これは保護観察事件を担当した場合における担当事件一件一か月当たりでございますけれども、特別分、一番高い部分でございますが、特別分に関して平成十八年度が五千六百二十円だったものが十九年度、新年度においては七千三百十円、また一般分に関しては十八年度が二千八百十円だったものが十九年度は四千二百六十円になったというところでございます。また、環境調整費におきましては、単価は、これはやはり一回当たり十八年度千六百五十円が十九年度三千二百八十円になったというところでございます。
○松村龍二君 ただいまのお話で、一件一か月、通常の扱いであれば二千八百十円が四千二百六十円、重いものは五千六百二十円が七千三百十円というお話でございますが、昨日担当の方から聞いたところでは、一件幾らじゃなくて何件扱っても一か月四千二百円と、こういうふうに伺ったんですが、どちらが正しいんでしょう。
○副大臣(水野賢一君) 一件一か月当たりでございますから、複数、例えば保護司として何人も扱っている場合もあるわけですから、その場合には掛ける何人というふうになるわけでございます。つまり、今申し上げたので申し上げますと、十九年度四千二百六十円というのは、何人扱っても四千二百六十円ではなくて、掛ける何人というふうになるわけでございます。
○松村龍二君 そのようなことであれば現場の方も喜んでおられると思いますが、しかし、いずれにしても、今日、車に乗ってちょっと県庁所在地へ行くということだけでも、自分の車で当然行くわけでしょうから、あるいは電車に乗って行くというようなことを考えても、ほとんど実費以下というか実費にもならぬというような金額であろうかというふうに思いますので、今後とも、保護司が趣味としてやってくれているということではなくて、やはり、ただでさえ人の嫌がる難しい仕事をやっていただいているわけですから、対応についてはしっかりやっていただきたいというふうに思います。 それから次、更生保護のあり方を考える有識者会議の提言を受けて、法務省においては、更生保護制度の運用についてどのような改革を進め、保護観察処遇の充実強化を図ろうとしているのか、そのための予算の取組状況を含め、その内容をお伺いしたいと思います。 また、このたびの国会におきまして更生保護関係の法律を改正しようという意欲的な方向もあろうかと思いますが、ただいまの質問にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 法務省におきましては、有識者会議の昨年の提言を受けまして、保護観察の機能を高めるためにいろんな面から総力を挙げて改革を進めておるところでございます。 運用の面でございますけれども、幾つかの柱がございます。 一つは、保護観察を重点的に行うべき対象者をしっかりと選択をいたしまして、そういう人につきましては保護観察官が直接に担当する、あるいは保護司さんと共同して担当するけれども保護観察官が濃密な頻度の高い指導監督を行うというようなことをやっております。 それから、保護観察官と多くの事件は保護司が共同で保護観察を行いますので、保護司さんに対する迅速で的確でまた誠実な助言でございますとかバックアップということを行うようにいたしております。 それから、いろいろなプログラムがございます。一つは、贖罪指導プログラムというのを最近は本格的に始めまして、これは結果の重大な事件でございますけれども、これについてのプログラムの円滑な実施に努めております。また、性犯罪を犯しました仮釈放者等に対する性犯罪者処遇プログラムも大いに力を注いでおります。 また、保護観察中に所在不明になりました者が前に多くございましたけれども、これについて所在調査を強化するようにいたしました。警察との御協力もいただきながら、所在不明者の早期の発見とそれから対象者に対して所在不明にならないようにということで事前のいろんな指導も強化いたしております。 また、社会復帰を円滑にするためには就労の確保ということが大事でございますので、本年度から厚生労働省と連携をいたしまして、総合的就労支援対策を行っておりますが、これの推進にも努めてまいりたいと思っております。 予算の関係でございますけれども、有識者会議の提言を受けまして、平成十九年度の予算案においては、保護観察所における保護観察処遇の充実強化関係経費といたしまして次の三つの柱の経費をいただきました。第一に、再犯の危険性が高い者に対する保護観察処遇の強化経費といたしまして、保護観察官の往訪面接、訪問をして面接をする旅費及び性犯罪者に対する処遇強化経費等に約一億二百万円、警察との連携による所在不明者対策の強化経費として約二千八百万円、三番目に、犯罪者の更生のための就労支援体制の強化経費として、更生保護法人の就労支援事業に対する補助等に六千五百万円がそれぞれ計上されております。 今回提出させていただいております更生保護法の成立とともに、成立させていただきましたらば、その適切な運用も含めまして保護観察の強化に努めたいと存じております。
○松村龍二君 それでは次の質問ですが、外国人の労働者の受入れの問題について御質問させていただきます。 三月十八日の日経新聞を見ておりましたところ、経団連が受入れ拡大を提言するというような記事がありました。企業の国際競争力を高める観点から、エンジニアなど高い専門知識や技術を持つ外国の人材の在留資格要件を緩和するよう政府に要請すると。経団連が会員企業に実施したアンケートでは、IT、先端研究開発、国際業務といった分野で外国の専門家へのニーズが高い、国際的な人材獲得競争が激しくなっているという結果が出たと。現在、高度人材の在留資格は十年以上の実務経験ということになっているけれども、これを大学卒業年限と同じ四年以上にするよう提言、また、技能者に関して日本語能力などの一定の要件を満たす人に限って受け入れる方向で検討すべきだ、こんな記事があったわけでありますが。 そこで、私の問題意識としましては、このたびの平成十九年度の補正予算で森林の整備に対しまして五百億円以上の補正予算が付いたと。本予算合わせますと七百六十五億の予算が付いたわけであります。これは京都議定書が定める日本のCO2吸収源対策として森林に三・八%ですか、三・九%の期待が寄せられている。そこで森林整備を行うと。二十万ヘクタールの間伐に相当する初年度分で、これを今後六年間にわたって百二十万ヘクタールの間伐をしなければならない、こういう話であるというふうに伺うわけです。 そのようなことを今から行う場合、林業労働者が日本においては戦後の一時期、非常に豊富にいたわけですけれども、最近は非常に少なくなっておる。しかも、県の方で聞きますと、今まで七十歳以上の森林労働者には勇退していただくと。六十五歳以上も働いていたんですが、事業量が非常に少ないのでもう六十五歳以上はやめていただくということで、非常にベテランのもう林業労働者がいなくなってしまっていると。 こういうときに正に突然降ってわいたように予算が付いたわけでありまして、既存の労働力だけでなくて、外国人労働者も入れないと間に合わないんではないかと。IターンとかUターンとか若者に帰ってきていただくとか、最近、建設業が非常に停滞しておりますので、公共事業が減っておりますので、このような労務者にも働いてもらうと。いろいろ方法はあろうかと思いますが、やはり木に登るような仕事は、都会で木に登ったことのないような青年に林業労働といっても簡単にできるものではないというふうに思うわけですけれども、林野庁、どのようにお考えかお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(島田泰助君) 京都議定書の森林吸収量目標でございます千三百万炭素トンの達成を図るためには、平成十九年度から二十四年度の六年間に毎年二十万ヘクタール程度の追加的な森林整備を実施する必要があるというふうに考えております。 この追加的な森林整備に必要な労働力の確保につきましては、一つは緑の雇用担い手対策事業などによりまして新規の林業就業者を確保していく、また、既存の林業就業者の年間就労日数を増加させるなどの対策によりまして着実に推進してまいりたいというふうにして考えているところでございます。またさらに、施業の集約化に向けました森林組合等への積極的な働き掛けに併せまして、路網と高性能林業機械を組み合わせた低コスト、高能率の作業システムの整備等によりまして、生産性の向上に集中的に取り組んでまいる考えでございまして、これらの対策を進め、必要な労働力を確保しつつ、追加的な森林整備を適切に推進してまいる考えでございます。 こうしたことから、現時点におきましては積極的に外国人労働者を受け入れるというような状況までには至っていないというふうにして考えているところでございます。
○松村龍二君 緑の雇用担い手対策事業というのはどんな事業ですか。
○政府参考人(島田泰助君) 緑の雇用担い手対策事業につきましては、新規の就業者を確保するために、最初に新しい皆さんが入ってこられたときに、林業の事業に慣れるまでの間、雇い主に対しまして一定の援助をいたしまして、そうした新規の労働力が定着できるように支援をするための制度でございます。
○松村龍二君 一定の支援というのは、事前に伺ったところでは一か月九万円政府が払うと、こういう話ですね。外国人が、九万円あれば、その補助の九万円だけでももう二人も三人も雇えるような支援して、その企業は事業が成り立つと、日本の森林対策が成り立つというのも、これ何か本末転倒というか妙な感じも私はするわけです。 そこで、もう一つ併せてお話し申し上げるわけですが、林野庁としては、こういう施策を決めてやっているわけですから、答えはそれでよろしいかと思うんですが。 私の県は繊維産業が非常に盛んでありまして、今あります技能研修制度、研修・技能実習制度ですね、一年間研修をして二年間実習をすると。この二年間については労働者として扱われるという制度が定着いたしております。これによって事実上、研修をして、海外にその企業が工場を造って、日本で中国人なりの研修生の技能研修をして、また中国へ呼び返してやると、こういう本当の制度の趣旨の制度ならいいんですが、事実上は日本においては中国人、外国人労働者を安く、人件費を安く使うためにこの制度はあるというようにも伺っております。 それで、そういうことでやっておりますと、なかなか最近、初めは現場の中小企業も有り難がっていたんですが、最近はいろんな苦情も聞くわけでございます。といいますのは、中国人なりの労働者というのは月給を、収入を得るということだけを目標に当然のことながら来ているという中にありまして、日本の労働慣行と違う慣行の中で、例えば繊維会社が、朝三十分早く来て織機の回りを、身の回りを整理整とんして、それから仕事をやりなさいと。日本人なら当たり前のことが中国人からするとこれは超過勤務手当の対象じゃないかと、超過勤務を命ぜられていたのに日本人は、その企業は金を出さないということで、二年の実習が終わるときにまとめてこれを請求して、労働基準監督署ですかね、払えというふうな指示を受ける。 その間、日本の企業としては、日本に早く定着できるようにと思っていろいろ親切にしてあげる、県庁所在地まで案内してあげる、あるいは県の名所にも家族とともに連れていってあげるというふうなサービスをしていたことが、何の感謝もないし、メリットもないし、もうぎすぎすそういうことでやられてしまって、もうむしろ今の制度は苦だと、むしろ単純労働者として働かせると。 月給についても、最低賃金制度、何だかんだとうるさくといいましょうか厳しく縛られるということがもう非常に苦痛になってきて、現在の入国管理の制度も根本的に改めてほしいと、こういうふうな要望も聞くわけであります。全部が全部そういう意見かどうか知りませんが、かなりそういう強い要望も聞きます。それから、失業保険手当を企業が払わされるとか、年金も企業分を、三年に帰ることはもうはっきりしているのに年金も支払わせるというようなことの実態についても苦情があるわけであります。 そこで、法務大臣、労働問題にも非常にお詳しい大臣であると思いますが、かねて来言われておりますこういう日本への外国人労働者の受入れについてそろそろ抜本的に検討しないといかぬ時期ではないかと、そういうことはもう前々からいつも言われながらだれも決断できないと。あるいは日本人全体のあうんの呼吸といいますか、そのあうんの呼吸の中で外国人は受け入れないということが決まっているのかどうか分かりませんが、このような、先ほどの経団連の話から始まる林業労働者その他につきましても御検討をいただきたいと思いますが、大臣の御所見をお伺いします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 外国人労働者の受入れ問題、私が初めて当選した当時から大変大きな問題となっておりました。景気が良くなると、どうしても人手不足のような話になってそういう話がまた盛り上がる。若干、一時期低かったんですけど、最近またいろんな議論が起きております。 今申し上げられました経団連のお話は、具体的に今回どういうふうなお話をされているのか私は分かりませんが、今先生からも伺った限りにおいては、いわゆる専門技術者の範囲を、専門技術者の場合は日本の国は極めてオープンでありますので、世界でも一番オープンにしてありますので、日本で就労は十分できるわけでありますが、その範囲を、職種によってはもう短期間のうちに、比較的若いうちに来てもらわないとその職務を達成できないという職種もあるもんですから、その技術を日本のために生かすためには若干の見直しが、手直しが必要な部分があるんじゃないかという趣旨のことだろうと思います。このことは大体政府内でも合意の方向に行っていますので、実現できるんではないかと思います。 もう一つ、日本では、いわゆる専門技術者以外の外国人の方は日本では就労してはならないというのをずっと国是としております。 ただ、いろいろこの平成の初めころですね、大変な問題もあって、今御指摘の技能実習制度を創設をいたしたわけであります。これは元々、本来、日本では働いてはいけないということでありますが、それを踏まえて、外国に対するいわゆる人材養成の協力という考え方で仕組んだ制度でございますので、今先生言われたように、労働基準法を守らなくてもいいとかそういう話になるとちょっと事が違うわけでありまして、やはりこの制度の中で日本の労働法制をきちんと守って働いていただくということでなければならない。 しかし、現実にはいろんなそういうことをめぐってもたくさん問題が出ておって、そういう議論もありますし、一方で、人口減少社会ということもあって、外国人の労働力の受入れについてはもう考え直すべきではないかという御意見もあることも事実であります。 総じて、従来の議論からいいますと、外国人の方々がたくさん日本で働くということを認めてしまうと、定住化が進む、その中で治安の問題があるという御議論と、特に中小零細の方々の労働力が確保できないという問題とがずっと議論の中心になってきたと思います。 いろんな議論も、昨年来も経団連はもちろん、労働組合の方々、あるいは党の中でもいろんな議論が出ていますので、そういうことは踏まえて今後の在り方は検討していかなければならないと思っておりますが、現時点で今、方向性を見いだしている段階ではございません。 ただ、外国人の方々による国内のいわゆる治安の問題をきちんと整理をする、つまり在留管理等々がきちんとするという仕組みができて、その上でそういう問題についてより正確な議論ができるんじゃないかなと私自身としては思っております。
○松村龍二君 どうもありがとうございます。 それから、林野庁に一つ、せっかくの機会ですからお願いするわけですけれども、外国人労働者が入ると日本人の労働費が、給料が下がるから入ってもらっては困るといった議論も聞くわけですけれども、やはり長期的な、最初申し上げましたような今急に間伐をしないといかぬといった対策、六年後に気が付いて手当てするということになっては間に合わないわけでございます。 私、かつて総理府の広報室というところにおりまして、各役所のくせを見ておりましたら、時間の感覚ですが、警察は今日起きたことと明日起きたことと違うともう即座に方針変えますので、刹那的ですね。経済官庁は一年単位で物を考える。農林省は三、四年単位で物を考える。林野庁は三十年単位で物を考えると。防衛庁は百年単位で、戦争することはありませんので、百年単位でというようなことを感じたことがありますけれども、やはりこういう改革の時代でありますから、従来こうあってきたからこうだというんではなくて、意欲的に取り組んでいただくことを希望いたしまして、私の質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○前川清成君 おはようございます。民主党の前川清成でございます。 まず冒頭に、司法制度改革の理念について確認をさせていただきたいと思います。 大臣はたしか農水省にいらっしゃったと思いますが、行政改革ということが語られます。この行政改革というのは、肥大化した行政組織をどのように効率的な組織に改めていくか、不必要な行政作用があればそれを排除して自由な国民の活動を保障するか、これが行政改革の理念だと思いますが、司法制度改革というのは実はそうではなくて、司法が本来果たすべき役割を十分に果たしていなかった。二割司法という言葉があって、司法が本来果たすべき役割の二割しか果たしていなかった。だから、司法がその容量を拡大していく、これが司法制度改革の理念であって、行政改革とは方向が全く逆のものだと思うんです。 この点でまず法務大臣に、今回の法務省予算、この司法制度改革の理念に沿って司法の容量を増やすという趣旨で作成されているのか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 行政改革と司法改革は逆の方向のものではないかというのは、大ざっぱに言って、そういう見方もできるかと思います。つまり事前規制型の社会から事後チェック規制型の社会に、救済型の社会に移行していこうということが自由でかつ公正な社会としてはいいんではないかという方向でやっておりまして、その中で司法の果たすべき役割は大変重要であると、かつ今までのやり方をそれに合うものに一連の構造改革の中で見直していきたい。そういう中で、国民により身近で早くて頼りがいがある制度にするということが必要であるということが今進めておるところでございます。 今、そのために先生御案内のとおり各般の政策を講じてきたわけでありますが、当然この司法制度改革が円滑に進むようにということを前提に我々も予算の要求をし、御理解をいただいてきておると思っておるところでございます。
○前川清成君 司法制度改革推進法という法律が平成十三年の十一月にできています。二条に基本理念がありまして、司法制度を支える体制の充実強化を図り、もって自由かつ公正な社会の形成に資することを基本として行うと。五条の第二号に基本方針というのがありまして、法曹人口の大幅な増加、裁判所、検察庁等の人的体制の充実、これが司法制度改革、法律にうたわれた司法制度改革の基本理念であって基本方針であると。こういう方針、要するに司法の容量を増やしていくということでこの予算が作られているのか。 今日は、ちょうだいした一時間の時間はこういう視点で議論をさせていただきたいと思います。途中、信用情報機関のこととかで寄り道をするんですけれども、大きな筋道はそういうことですのでお願いをいたします。 それで、司法の容量を増やすということで、まず司法試験の合格者の数が平成三年の六百五人から増えてまいりました。平成十八年にはおよそ千五百人になっています。この間、これに伴って司法の容量が増えてきたかということなんですが、例えば私は平成二年に弁護士になっています。四十二期といいます。この年の二年前、昭和六十二年の司法試験の合格者が四百八十九名でした。四百八十九名の中から裁判官になったのが八十一名でした。平成十二年に五十三期が司法修習を終わりました。この五十三期の司法試験の合格者は千人でした。千人ですが、新任の判事補に採用されたのは八十二名です。四百八十九人のときに八十一人、千人のときに八十二人、結局、裁判官の数が増えていない。この各論については次回江田先生の方からあると思いますが、これに象徴的なように司法の容量が増えていないんじゃないかと、私はそう思っています。 それで、先日のこれは読売新聞なんですけれども、三月十七日の読売新聞の夕刊ですけれども、司法修習終わって弁護士になるのに就職が困難だというような記事が出ました。また、二月八日の毎日新聞によりますと、弁護士になりたい人の五人に一人は就職ができませんと、そういう状態にありますという記事が出ました。現に日本弁護士連合会は、今年の一月十八日付けで会長名で新人弁護士をどうか採用してくれという緊急の要請が出されています。また、一月二十九日には大阪、私が大阪弁護士会なんですけれども、大阪弁護士会会長の名前で新人採用増大のお願いというような文書が出ています。司法試験の合格者を増やしていったんだけれども、司法の容量が増えていないために、例えばですけれども、今こういうような新人弁護士の就職先がないというような事態が起こっています。この点について、最高裁と法務省、感想等ございましたらお聞きしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 裁判官、検事、それぞれ司法の仕組みを担当する者でございますから、今事件も多くなっておりますので、当然毎年その定員の増加に最大限の努力を払ってきております。毎年の卒業生の合格者から裁判官あるいは検事になる人の数字は今おっしゃったとおりなんだろうと思いますが、少なくとも定員上は十三年度から十八年度までの五年間で裁判官の定員は二百九十二人増加を図っております。具体的にどういう形でその定員がこなされているのかまで私は分かりませんが、そういう努力はしておりますし、これで足りるとは思っておりませんが、御案内のとおりのいろんな事情の中で、我々としても最大限の努力をしておりますし、検事についてもその五年間では二百十六人の増加を図っておるところでございます。 今お話しの弁護士さんの就職先という意味は、検事あるいは裁判官にしろという御趣旨なのか、何かもっと働き場を探せということなのかよく私理解できないところもありますが、当然弁護士さん、いろんなこれから法曹需要が増えるということで、司法修習あるいは司法試験の合格者数を考えながら今進めておるものと承知をしております。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 最高裁にもお尋ねということでございましたけれども、立場上、裁判官の数ということでの司法の容量が増えていないという観点からの御質問ということで承ってよろしいでしょうか。 確かに、司法修習生が増加するということであれば判事補の給源も増加すると、これは間違いございませんが、ただ裁判官の採用数を考えるに当たりましては、まずはその司法に対する需要、つまり全体としてどの程度の人数の裁判官が必要かということを考えなければならないということでございまして、司法修習生の増加数に対応して裁判官の採用数の増加が直ちに必要になるというものではないように思われます。また、申すまでもありませんけれども、裁判官として採用するにつきましては、それにふさわしい資格を、資質を持った人材でなければならない、このように考えております。 そういうことからいいますと、裁判官の数につきましては、今後ともこういった要素を注意深く見極めながら、国民のニーズにこたえるために必要なまたそれにふさわしい人材を裁判官に採用していきたいと、このように考えております。
○前川清成君 今、弁護士の就職難をお示ししたのは、要するに司法の容量が増えていないのではないかという一つの例としてお示しをしました。 それで、要するに裁判所にやってくる事件を受け身の形で処理するにはどれだけの人間が要るのかというのではなくて、そもそも司法改革のスタートはそうではなくて、今仕事が忙しいから何とかしてくれということで始まったんじゃなくて、もっと司法が大きな役割を果たそうということで始まったわけですから、そういう意味で人的そして物的な基盤をどのように整備していくかという根本的な議論が特に予算の審議に当たっては必要ではないかと、私はそう思っています。 それと今、最高裁の方から、裁判官を採用するに当たってはそれにふさわしい資質が必要なんだというお話がありました。当然であります。しかし、裁判官だけ資質が問題になるのか。検事や弁護士についても当然国民の権利を守るということで資質、もっとはっきり言えば能力、知識が必要になると思います。最高裁、今の点で大谷さん、どうですか。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今、委員御指摘の点については、私どももそのように思っております。御質問について、裁判官の増加ということについてということでお答えしたものですから少し話が狭くなったかもしれませんけれども、今般の司法制度改革の中で司法の強化ということが言われ、司法全体としての人的、物的基盤が整備強化されなければならない、この点については委員御指摘のとおりだと思っております。(発言する者あり)
○委員長(山下栄一君) 前川君、もう一回、もう一度お願いします。
○前川清成君 後半の、裁判官だけ資質が問題になるのか、そうではなくて法曹三者いずれも資質や能力が問題になるのではないかという質問。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) その点もおっしゃるとおりでございまして、裁判官だけではなく、弁護士あるいは検察官についてもその資質がきちんと社会のニーズにこたえたものでなければならなくなる、このことについては私どももそのように思っております。
○前川清成君 実は、この裁判官、検事、弁護士という法曹三者になるには司法試験に合格しただけでは足りず、従前は二年、そして今は一年六か月の司法修習を経た後に、いわゆる二回試験というのに合格しなければなりません。この不合格者の数が増えています。 この点でまずもう一度最高裁に聞いておきますが、不合格以外の人は全部合格者ではないですよね。ちょっと言葉の説明だけまず。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 最終的に不合格にされた者を不合格者というふうに呼ぶとすれば、応試者からその不合格者を差し引いた結局、者は合格したということになろうかと思われますが。
○前川清成君 もう時間の都合がありますから言いますけど、実は二回試験を受けます。で、合格しない人には二種類あって、不合格の人と合格留保の人があります。 先ほど、五十三期について、合格者がこの年から千人になったということを御案内いたしましたけれども、この年から、従前二年間だった司法修習が一年半に短縮されています。例えば、いわゆる四十期以降ずっと不合格者、多い年で平成四年の四十四期の四人だったんですが、この五十三期については十九名の合格留保者が出ました。平成十八年ですが、この年は合格留保者が九十七名、もう一回追試を受けてそれでも不合格だった人を合わせて、結局、司法試験に合格して司法修習も終わったけれども法曹三者になれなかったという人が十六名出ました。 この点、何が原因があるのか最高裁にお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 今、これまでの不合格者、あるいは先生のお話しになりました合格留保者についての御指摘がありましたので、少しその点を、全体状況をもう少しまず御説明したいと思いますが、近年の二回試験のまず不合格者、これは最終的な不合格者、不合格になった者ですが、この動向を申し上げますと、昭和六十二年度三十九期から、平成十二年度五十二期、五十三期までは不合格者数はゼロということで、平成十三年度五十四期以降は、ゼロ人であった平成十五年度五十六期を除きまして一けた台前半で推移しておりましたが、平成十八年は十六人ということになりました。 また、合格留保者数でございますが、この動向といたしましては、平成十一年度五十一期まではせいぜい一けたでありまして、ゼロという年も多かったわけでありますが、平成十二年十月の五十三期以降はコンスタントに二けたになり、平成十六年度五十七期が四十三人、平成十七年度五十八期が三十人、そして平成十八年度五十九期が九十七人ということになっております。 今、委員の御指摘の修習期間が一年六か月に短縮された平成十二年度五十三期は、合否の留保者数こそ十九人と前年度の三人から増加したものの、不合格者数は前年度同様ゼロ人でございました。 また、司法修習生の数が八百人から約千人に増加したのがこれは平成十三年度五十四期でございますが、その年は不合格者が出たものの、合否留保者数は十六人ということでありまして、前年と比べてその割合は減少しております。 したがいまして、修習期間の短縮とかあるいは司法修習生の増加といったものが司法修習生考試の不合格者数や合否留保者数との相関関係があるとは断定しにくい状況にあるのではないかと、このように考えております。
○前川清成君 今、大谷さんのおっしゃったことは、へ理屈としてはそうかもしれないし、断定はできないかもしれないけれども、蓋然性があることは明らかではないかなと、傾向としてあることは間違いないと思う。 それで、一般論ですけれども、普通は、これは合格された方には失礼ですけれども、合格者を増やすとその分合格水準は下がるわけです。合格水準が下がるんだから、普通は司法試験合格後の修習を充実させてなければならないんですが、その逆に、合格者が増えるにつれて司法修習は二年から一年半、さらには一年にまで短縮されようとしています。 先ほど大谷さんの方から、裁判官については資質が必要なんだというお話がありましたけれども、これは法曹三者いずれについても必要なことであります。 例えばですけれども、欠陥商品というような弁護士が世の中に出たときに迷惑を被るのは国民の皆さん方お一人お一人です。そういう事態が起こっているのかもしれませんが、もう既に。あるいは起こったときに、この法曹養成に掛ける予算をけちってきた財務省が悪いのか、あるいは司法修習を短縮させた最高裁が悪いのか、あるいは合格者の数を増やした法務省が悪いのか、この三すくみの中で国民に対してどういう責任を負うのか。一定レベルの法曹を国民に提供する、そういう司法試験の意義自体をどう考えているのか。 この点は、まず欠陥商品が出たときの責任については財務省、最高裁、法務省、それぞれお伺いした上で、司法試験を管轄する法務大臣にこの司法試験制度の意義についてお伺いしたいと思います。
○委員長(山下栄一君) だれからかな。どこからいきますか。手を挙げてください。どなた。財務省からいきますか。
○政府参考人(真砂靖君) お答え申し上げます。 今先生御指摘の法曹三者の方の資質を高めていくためにどういう研修制度を準備していくかということにつきましては、まずはやはり法曹界、法務省、最高裁の方で御検討いただいた上で、我々としてもそれを受けて引き続き検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 司法修習生の考試を担当する者として申し上げますと、法曹養成の最終段階において、法曹としての必要最低限の能力を有しているか否かをこれは検証するものでありますので、この考試によりまして最低限の水準に達していない者はこれは厳格にチェックし排除していくと、こういう機能についてはこれは言うまでもなく我々が担っていかなければならない機能だろうと思いますし、今後もそういう点についてはきちんと運用していきたい、このように考えております。
○国務大臣(長勢甚遠君) この委員会には法曹資格をお持ちの方も多数おいでになるわけですが、それを全く関係のなかった私としては大変な方々ばっかりだと信用しておりますし、司法試験というものはそれくらい難しいものだというイメージで今日までおりましたから、何か今おっしゃったような方がおられるとは夢にも思ったこともございませんし、司法試験はそういう意味で、裁判官、検察官あるいは弁護士として必要な学識、応用能力等々をきちんと判定できるものとしてあるだろうと思っておりますし、そのための在り方については、この新たな法曹養成制度をつくったわけでございますが、最高裁等々における試験も委員会等々を通じて整備を必要なものはしていかなきゃならぬと思います。
○前川清成君 今、財務省から法曹養成の在り方については法曹三者でよく相談してほしいと、こういうような趣旨がありましたので、ここは特に最高裁におかれては財務省に遠慮せずに必要な予算は要求していくということが必要ではないかと思っています。 それと、大谷さんにいろいろ申し上げて申し訳ないんですけれども、二回試験の制度は、今おっしゃったのは最低限の水準にあるかどうかを確かめるものなんですか。そうしたら、裁判所はそこから判事補として手取り足取り指導するかもしれないけれども、弁護士になる人は次の日から市民の皆さんから直接依頼を受けるわけですよね。それが最低限の水準だったら困りますよね。あるいは、検事だったとしても、次の日から取調べをやるわけでしょう。二回試験は、最低限の水準ではなくて、一人前の法曹としてやっていけるかどうか、司法試験が最低限の水準に達しているかどうかを判断して、二年ないし一年半あるいは一年の司法修習を経て一人前の法律家に育てていく。一人前の法律家になったかどうか、それが二回試験の判定基準じゃないんですか。
○最高裁判所長官代理者(大谷直人君) 言葉が十分ではなかったかもしれませんけど、特に今委員の御指摘のようなことについて私が何か異論を申し上げているつもりはなく、要するに、法曹として必要最小限度と申し上げたのは、司法修習研修所の門を出て、そうしますと委員も御指摘のように直ちに法曹として活動しなければならない。そして、社会に対して責任を持たなければならない地位になるわけです、身分を取得するわけですから、そのときに新人として必要最小限度の要請を満たしていなければならない、こういうことを申し上げたつもりでございます。
○前川清成君 もうこれ以上は繰り返しませんが、要するに、司法試験というのは、弁護士村のギルドを守るためにあるのではなくて、国民の皆さん方に質の悪い法律家を出して迷惑を掛けないというためにあるのだと思います。 財務省の方から今積極的なお話もありましたから、法曹人口が増えていく中で司法修習をどうするのか、あるいはさらに翻って、司法試験の合格者の数も含めてどうするのかということを是非法務大臣、お考えをいただきたいと思います。 それで、質を落とさずに法曹人口を増やしていく、そういう趣旨で法科大学院が創設をされました。ついては、文部科学省にお伺いしますが、この法科大学院の学費についてお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(辰野裕一君) 法科大学院の学費の問題でございますけれども、平均で申し上げますれば、国立が八十万四千円、公立が七十三万九千円、私立が百二十一万九千円というふうになっております。
○前川清成君 この八十万あるいは百二十一万という学費を何年間払わないといけないんでしょう。
○政府参考人(辰野裕一君) これは基本的には二年コースでございますけれども、未修者では三年ということになります。
○前川清成君 この八十万あるいは百二十一万という学費が法曹を志す若者にとって障害になっているというふうにはお考えになりませんか。
○政府参考人(辰野裕一君) 法科大学院におきましては、これは専門職大学院の一種ということで高度な職業人を育成すると。そのために、少人数の教育をやると、それから実務家教員というものをお招きしてやると。そのようなことで、質の高い教育を確保するためにこれだけの額ということになってくるんだろうと思っております。
○前川清成君 いやいや、質問はそうじゃなくて、なぜ高いんですかと聞いているんじゃなくて、法曹を志す若者にとって八十万円ないし百二十一万円というお金は障害になっているんじゃないですかと、障壁になっているんじゃないですかという質問です。 要するに、今格差が拡大していく中で教育格差というのが語られます。貧しい家庭に生まれた子供たちがその意思と能力に応じた教育を受けることができるか、その志を遂げることができるかという視点で、例えばこの法科大学院の八十万円ないし百二十一万円、どういうふうに位置付けるかという質問です。
○政府参考人(辰野裕一君) 質の高い教育を確保するために今これだけの額が必要であると思いますけれども、ただ、この法曹養成という極めて重要な人材育成の意義にかんがみまして、意欲と能力がありながら経済的な理由によって進学を断念するということがないように、奨学金の充実という形で対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
○前川清成君 その奨学金の中身について御説明ください。
○政府参考人(辰野裕一君) 奨学金には二種類ございまして、第一種が無利子の奨学金。これは八万八千円と、月額が八万八千円と一律でございますけれども、有利子奨学金におきまして特別な配慮を行っているところでございます。 一般の大学院の在学者への貸与月額につきましては、五万、八万、十万、十三万の月額でございますが、その中から選択をするというふうになっておりますけれども、法科大学院の学生に対しましては、学生の選択に応じてこれに更に上積みをすると、更なる増額が可能としております。すなわち、更にこの今の額に四万円又は七万円の増額をするということを特別な配慮としてやっておりまして、ですから有利子だけで最高額では十三万プラス七万円で二十万、さらに無利子貸与も併用できますので、二十八万八千円月額で貸与できると、そのような特別な配慮を行っているところでございます。
○前川清成君 その奨学金だけで、生活費を含めて法科大学院で学ぶ学生たちが経済的に困ることはないと、こう伺ってよろしいですか。
○政府参考人(辰野裕一君) これは、学費は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、生活費につきましては、これは個々の学生でいろんな実態がございますので、一律にはちょっと申し上げにくいと思いますけれども、いずれにいたしましても、一般の大学院と比べて、例えば年齢も高いだろうし、又は家族をお持ちの方も多いだろう、そのような事情を勘案いたしまして、このような特別な配慮を行っているということを御理解いただきたいと思っております。
○前川清成君 その奨学金というのはただなんですか。くれるんですか。
○政府参考人(辰野裕一君) 奨学金につきましては、これはすべて貸与でございます。
○前川清成君 そこで、法務大臣も含めて是非皆さん方お考えいただきたいんですが、二十歳そこそこの若者が法律家を志したときに、奨学金がありますというふうに文部科学省は言いますけども、何百万かの借金を背負わなければならないわけです。しかも、何百万の借金を背負って勉強したら必ず司法試験に合格するとは限りませんし、司法試験に合格しても二回試験に落ちてしまうということもあります。また、冒頭御案内させていただきましたように、二回試験に通っても就職先がないというようなこともあるんです。 そうなりますと、教育格差の話になるんですが、豊かな家庭に生まれてきた子供たちは何百万かの学費を払って法科大学院に行って司法試験にでも挑戦してみようか、こういう気持ちになるかもしれませんが、そうではなくて、貧しい家庭に生まれてきた子供たちにとっては、法律家になりたいと思っても、何百万円の借金を背負わされて、しかもなるかなれぬか分からへんと、こういうことではあきらめてしまうんじゃないか。 結局、豊かな家庭の子供たち、具体的に言うと、裁判官や弁護士の家庭の子供しか司法試験に挑戦しなくなるんじゃないか。医学部の学費がお金が掛かるというので、お医者さんの子供がまたお医者さんというふうなことが多いというふうに聞いていますが、同じような趣旨で、この法律家の世界においても職業の固定化、世襲化、これが進んでいくんじゃないか、それが公正な社会と言えるのかどうかと。 そんな趣旨で、法科大学院の学費の問題、高度な教育を施しているんだというふうに今自慢げにおっしゃいましたけれども、ところが余り法科大学院の司法試験合格率は芳しくないし、ましてや、我々のころはだれも落ちなかった二回試験、風邪さえ引かへんかったら大丈夫と、そう言われた二回試験に百人近く落ちている。これはまだ法科大学院の成果が現れてないのかもしれませんが、いずれにしても、質が高いから高い金を取るんだということでは若者たちの法曹に対する夢を奪ってしまう。むしろ、将来に対する投資という意味で、こういう分野にこそお金を使っていくべきではないかと私は思いますが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 法曹に携わる方々を充実することが必要ということでこの制度が設けられ、今文科省からも御説明あったように、奨学金等々特段の配慮をされておるように承知をいたしております。 当然、おっしゃるように、単に経済的な理由だけで法科大学院に行けないというようなことのないように、今後とも関係者において適切に対処されるでありましょうし、法務省においても御支援を申し上げていきたいと思いますが。 ただ、あれですね、みんな、どの分野においてもそれなりにリスクを持ち、それなりの助け合いの中で社会はつくられているわけですから、法科大学院だけが特別にどうというだけを申し上げられると、何か法曹三者だけの議論かなという印象は、法曹三者でない私としてはちょっと持ちましたけれども。
○前川清成君 そのとおりなんです。私は、今年の予算委員会、二回質問に立たせていただいて、ずっと教育格差のことをやっていたんです。今日は法務委員会というのでこの法科大学院のことをやっているわけですけれども。 例えば、高校生や中学生の場合には中高一貫校の学費の問題もありますし、あるいは薬学部の修学期間が六年に延びた等々含めて、今教育費に大変お金が掛かるという現状をまず指摘させていただいて、要するにだれにでも門戸が開かれていますよという意味の形式的な機会の平等ではなくて、この国に生まれたすべての子供たちがその意思と能力に応じて、貧しい家庭の子供は各駅停車だけれども、豊かな家庭の子供は特急に乗ってどんどん前へ進めると、そういう社会ではなくて、実質的な機会の平等を保障するために政治が果たすべき役割があるのではないかというような趣旨を申し上げたいと思っています。法曹三者だけ得をさせろというようなことは、長勢大臣、つめから先も思っていませんので。 それで、今の点で、例えば一つだけ、これはもうお尋ねしませんが、紹介をさせていただきたいのは、安倍内閣の目玉政策に再チャレンジというのがありますよね。 大阪の市役所の助役をされた大平光代さんという女性がいらっしゃる。この方は、中学校のときにいじめを受けて自殺を図って、結局は高校にも進学されなかった。しかし、二十歳を過ぎてある親切なおじさんに会って励まされて、最初は行政書士を受けて、司法書士を受けて、司法試験を通ったと。その当時、大平光代さんが再チャレンジを志した当時は法科大学院はなかったわけです。法科大学院を行かなくても司法試験を受けることができたと。だから、大平光代さんの再チャレンジは成功したわけです。 しかし、第二の大平光代さんがこれから出るかというと、出ない。なぜならば、百二十一万円なり八十万円なりの学費を払って法科大学院を卒業しないと司法試験受けれなくなってしまう。そうすると、実は再チャレンジ、いやもちろん弁護士だけが再チャレンジの道ではないというふうに長勢大臣はおっしゃるかもしれないけれども、一つここで再チャレンジの道が閉ざされていっていると。それは、文部科学省に特に聞いてほしいんですが、法科大学院に限らず学費がどんどん高騰していく、結局は親の財布の重さでそれぞれの子供たちの未来が決まってしまっているという政治の現状があるのではないかと私は思っています。 ちょっと時間の都合もありますので先に進めさせていただきたいんですが、貸金業法が成立をして、やがて指定信用情報機関というのが創設されることになります。この信用情報機関において個人の特定は氏名と生年月日でなされるわけであります。今現にそうなされています。この結果、例えば同姓同名で生年月日が同じ人、これは世の中にたくさん、たくさんでないかもしれないけれども、何人かいらっしゃると思います。同姓同名で生年月日が同じ人、この人がどこかで事故を起こして、信用事故を起こして事故情報が登録されたときに、全く無関係の同姓同名、生年月日が同じ第三者が誤って与信が許否されるおそれはないのか。あるいは、その事故情報を基にサラ金やカード会社から取立てを受けるおそれはないのか。この辺、経済産業省か金融庁、どちらでも結構ですから、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(畑中龍太郎君) お答え申し上げます。 今御指摘のように、今度の改正法におきましては、四十一条の三十五第二項におきまして、顧客の氏名及び住所その他の当該顧客を識別することができる事項として内閣府令で定めるものを提供することを義務付けております。現在、府令改正作業を検討しておりまして、より精度の高い個人の特定を行うために、例えば法律で書いてございます氏名あるいは住所に加えまして、今委員御指摘の生年月日でございますとか電話番号等の連絡先、こういったものを名寄せに用いるべきかどうか検討しているところでございます。 このように、名寄せの精度を上げることによりまして、御指摘のようなトラブルが発生しないように努めてまいりたいと考えております。
○前川清成君 畑中さん、今信用情報機関は既にありますでしょう。それは氏名と住所と生年月日で特定をしています。 ちょっと一例を御紹介させていただきたいんですが、奈良県に生駒市というところがあって、そこにお住まいのKさんというのは昭和五十五年以来生駒に住んでおられます。ところが、平成五年の九月にアプラスから取立てを受けました。その年の十二月に武富士から取立てを受けました。おかしいなと思って、このKさんはアプラスに行ったり、あるいは武富士に問い合わせたりしますと、大阪府の摂津市に同姓同名で生年月日も同じという方がいらっしゃって、その方のカード利用代金が遅滞していた。遅滞したまま、その摂津市のKさんは転居先不明になられた。で、アプラスや武富士は、事故情報を基にこの取立てをしようと探していた。すると、生駒に同姓同名で同じ生年月日のKさんがいらっしゃった。摂津から生駒に夜逃げしたんだということで取立てを受けたわけであります。 このような事故を防ぐような手だて、今の畑中さんの御説明だと、住所と名前と生年月日のほかに電話番号を付け加えます、こうおっしゃっているけれども、電話番号は住所が変わったら変わっちゃうんで、個人を特定する方法にならないわけです。ですから、私は、この信用情報機関を創設するんだったら、今の生駒にお住まいのKさんのような迷惑を被らない、そういう方策を考えなければならない、こう考えているんですが、いかがですか。
○政府参考人(畑中龍太郎君) 御指摘は、別人である第三者の事故情報等によって言われなき督促を受けるというようなことについてであろうと思います。 このような場合には、信用情報機関は利用者からの苦情を受けて訂正を図っておりますほか、貸金業者が利用者を他に登録された同姓同名の別人と混同しているような場合も、この当該利用者の申立てを受け付けて、別人が存在するという本人の申告内容を登録する形になっております。この辺も徹底をいたしまして、信用情報機関を使うことによって逆に御指摘にあるようなことが未然に防げるようなシステムの改善を図ってまいりたいと思います。と同時に、先ほど申し上げました名寄せの精緻化ということについて、更に突っ込んだ検討をさせていただきたいと思っております。
○前川清成君 その今の畑中さんのお答えでも、間違って取立てを受けるおそれというのはこれは回避できないわけでしょう。取立てを受けたときに信用情報機関に言うていけというのが今のお答えだと思いますけど、それより前に怖い怖いサラ金がやってくるんですよ。その怖い目はもうせなしゃあないんですか。ということを是非御検討いただきたいし、あと、私申し上げたのは、与信を受けるとき、今、例えばどこかで、例えばですけれども、レンタルビデオを借りようとしてもスポーツクラブに入ろうとしても、無理やりのような形でクレジットの会員にさせられてしまう。そこで、その代理店で例えばアプラスとかが入ってて、信用情報を調べて事故情報が登録されてたら、スポーツクラブにも入れないしレンタルビデオも借りれないというのが今の社会の状況なんです。すると、同姓同名の人が事故情報があれば、借金はできないだけではなく、レンタルビデオも借りれないしスポーツクラブにも行けないし何もできないということになっちゃうんで、それはそのときそのとき言うてきてくれではなくて、もう少し工夫が必要ではないかなと思います。 この点については今すぐ妙案はないと思いますから、畑中さん、また引き続き御検討をお願いしたいと思うんですが、この生駒のKさんというのも、信用情報機関であるCICに平成五年の段階でも苦情を言いに行きました。すると、アプラスを通じてわび状というのがやってきました。ところが、今レンタルビデオの話をしましたけれども、平成十一年、Kさんがレンタルビデオを借りようとすると、またしても与信が拒否されました。同じような状況で、駄目ですと。今度は二回目なんで、CICに文句を言いに行ったら、CICは、うちは政府の指導に基づいてやっているんだと、文句があったら国に言うてくれと、こういうふうに言うたらしいです。で、CICの言うとおり大阪経産局に行ったら、CICは民間の会社ですと、煮て食おうが焼いて食おうがどうぞ勝手にしてくださいと経産局が答えたそうです。 ついては、経済産業省にCICというのはどんな会社なのかお伺いしたいと思います。
○政府参考人(谷みどり君) お答え申し上げます。 株式会社CICは、クレジット事業者などが共同して設立……
○前川清成君 手短に。
○政府参考人(谷みどり君) はい。設立した信用情報機関でございます。
○前川清成君 経済産業省の指導の下に設立した会社で、役員に経済産業省のOBが天下りしている、こういうことはなぜ言わないんですか。
○政府参考人(谷みどり君) 株式会社CICにおきましては、経済産業省のOBが専務取締役に就任をしております。
○前川清成君 なぜその話を言わないんですか。聞きたいのはそこでしょう。要するに、経済産業省はこういう隠ぺい体質がある。金融商品先物取引法のときも指摘しましたけれども、各業界団体に天下りをさせている。しかも、それは自分が指摘されるまで隠し続ける。この汚い体質を是非皆さん方、御存じおきいただきたいと思うんですが。 それで、このCICについては、政府の指導、すなわち経済産業省の指導で煮て食おうが焼いて食おうが勝手にやらんかいと、こう言っているわけですか。
○政府参考人(谷みどり君) 先ほど手短にという趣旨で、詳しい御答弁を申し上げませんでしたことをまず謝罪をいたします。 その上で、信用情報機関についてでございますが、割賦販売法に基づきまして、正確な信用情報をクレジット事業者などに提供するよう努めることとされておりまして、経済産業省といたしましても、割賦販売法の規定を踏まえまして必要な助言、指導を行っているところでございます。
○前川清成君 もう時間の無駄ですから言いませんけど、必要な助言、監督を行っていると。じゃ、この同姓同名で生年月日が同じ人、こういう人が生じたときにどうするというような具体的な指導はやってないんでしょう。形だけのことは言わない。 もう時間の無駄ですから次に進みますけれども、今日は、先ほど申し上げたように、司法の容量をどうやって増やしていくのか、こういう観点で議論をしたいと思っています。 それで、貸金業法に伴って、カウンセリング機関を充実させるという条項が入りました。まず、この点は金融庁になると思うんですが、この平成十九年度予算で、貸金業法に定められたカウンセリング機関を充実させる、そういう視点でどれだけの予算が計上されているのかお伺いしたいと思います。
○政府参考人(畑中龍太郎君) お答え申し上げます。 カウンセリングに関連をいたしまして、十九年度、金融庁自らの予算としては、多重債務対策のためのシンポジウム開催経費として二千二百万円の予算を計上しているところでございます。
○前川清成君 法務大臣、お聞きいただきたいんですが、二千二百万円なんですね。 それで、クレジットカウンセリング協会というのがあります。これは、貸金業法成立のときに衆参両院の附帯決議ででもこのクレジットカウンセリング協会を充実させるというような趣旨の条項が入ったんですが、実はこの点は、私は昨年十二月五日の財政金融委員会でも紹介をさせていただいているんですけれども、このクレジットカウンセリング協会の平成十七年度の予算額は三億七千万円でした。三億七千万円の予算で千四百八件のカウンセリングを実施しています。この件というのは一人に相談したという意味だと思うんですけれども、要するに、一人、一件を処理するのに二十六万円、三億七千万割る千四百八件ですから、一人当たり二十六万円掛かっています。 で、今、二千二百万円というような予算がありましたけれども、サラ金の利用者は年間、今現在一千四百万人に達しています。国民の八・五人に一人がサラ金を利用している。五件以上サラ金を利用しているという人が二百三十万人になっています。これはどういう資料かというと、政府の出している「時の動き」、ここに五件以上サラ金から借りている人は二百三十万人いると、こういうふうに書かれています。二百三十万人、五件以上サラ金から借りているということですから、まあ多重債務者と、こういうふうに言っていいと思うんですが、仮に、計算しやすいように、二百万人の人たちにこのクレジットカウンセリング協会方式のカウンセリング、相談を実施しようとすると、一体どれだけのお金が掛かるのかということで、財務省あるいは金融庁にそれだけのお金を用意する覚悟があるのかどうか、この点、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(真砂靖君) 今先生の御指摘の試算でいきますと、五千億を上回るお金になろうかと思いますが、多重債務者対策につきましては、今までもるる御議論ありましたように、例えば、先ほどの内閣府でシンポジウムをやる、あるいは法テラスでもって相談を受け付ける、あるいは日本弁護士会でも活動するという、そういう総合的な対策の下で対策を遂行していくということだろうと私ども了解しているところでございます。
○前川清成君 だから今、財務省、五千二百億円の予算を付けるつもりはありませんと、こういうことでいいですよね。
○政府参考人(真砂靖君) そういうふうに理解していただいて結構でございます。
○前川清成君 いや、理解するというんじゃなくて、ないでしょう。はっきり。
○政府参考人(真砂靖君) そういう財源はございません。
○前川清成君 それで、実はこういう新しい相談機関をつくって二百三十万人とも言われる多重債務者の救済活動となると、膨大な予算が必要になります。今の大変逼迫した財政の下で五千億円をおいそれと出せないというのもよく分かります。 そこで、最高裁にお伺いしたいわけですけれども、自己破産の処理件数、そして特定調停の処理件数、これは、もうちょっと時間もありますから私言いますけど、自己破産については二十五万件を切ったぐらい、特定調停については二十八万件ぐらい、ざっと五十万件ぐらいの自己破産や特定調停を処理していると思うんですが、結論だけで結構です、そういうことでよろしいですか。
○最高裁判所長官代理者(小泉博嗣君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおりのような事件数というふうに承知しております。
○前川清成君 特定調停あるいは自己破産というのはどういう人たちのためのどういう制度なのかというのを、結論だけで結構ですから言っていただきたい。
○最高裁判所長官代理者(小泉博嗣君) お答え申し上げます。 今委員の方からもお話のありました、いろいろなところから借入れをしたいわゆる支払ができないような状態になられた多重債務者といわゆる言われている方々が主だというふうに承知しております。
○前川清成君 要するに、年間約五十万件の多重債務者救済事業を裁判所がやっているわけです。 そこで、金融庁にお伺いするんですが、私は、この多重債務者対策を進めるに当たっては、例えば金融庁が、あるいは地方自治体の市役所や等々の窓口が新たな制度をつくっていく、それも場合によっては必要かもしれませんが、一番コストが掛からなくて、一番実績のあるそういう制度は、そういう機関は裁判所ではないかと。だから、多重債務者対策としてまず裁判所の容量、これを増やしていかなければならないと、私はそう考えているんですが、金融庁はいかがですか。
○政府参考人(畑中龍太郎君) カウンセリング対策の充実については、衆参の委員会で附帯決議もいただいております大変重要な課題でございます。 現在、官邸の対策本部で有識者会議を開いてこのカウンセリングの充実策について総合的な対策の検討に当たっておりますが、今委員から御指摘のございました、現実の制度として裁判所における自己破産あるいは特定調停制度と、それぞれ、十八万件でありますとか二十七万件ということを利用されておりますので、こういった制度があることにつきましても引き続き積極的な周知を図っていく必要があると私どもも考えているところでございます。
○前川清成君 その衆参両院の決議があって、カウンセリング事業が重要だというふうにおっしゃるのであれば、どうして今年の予算がシンポジウム開催の二千二百万円だけなんですか。
○政府参考人(畑中龍太郎君) 財政当局との交渉の担当ではございませんのであれでございますが、現在この対策本部で検討しておりまして、これは恐らく今春をめどにプログラムを作りますので、ここで何がしかの予算措置という必要が出てまいりますれば来年度の予算において検討されるべきテーマであろうかと思っております。
○前川清成君 もう余り畑中さんを責めるつもりはないんですけれども、隣に座っておる財務省が五千億円出す気はないと、こうはっきりおっしゃったわけですよ。幾ら検討したところでそんな大きなお金が出てこない。そうであれば、ここは縦割りのメンツは捨てて、どうやれば国民にとって安上がりで、しかも便利な制度ができていくかということで議論をすればいいんじゃないかと私は思っています。 それで、最高裁に伺いたいんですが、この年間ざっと五十万件ぐらいの多重債務者対策を裁判所がやっています。これを更に充実していくためにどうしていったらいいのか、予算的なことも含めてお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小泉博嗣君) お答え申し上げます。 現在多数の事件が係属している状況ではございますけれども、今後の推移を十分に見守りながら、事件処理、迅速かつ丁寧な処理に努めてまいりたいと思っております。
○前川清成君 違うんだ。予算的に何をしなければならないかということを今お聞きしたんです。 例えばですけれども、言うまでもありません、サラ金からお金を借りる人は最後の千円札までサラ金に金利に取られてしまうわけです。そんな人が、例えば裁判所に行って、かつてであれば自己破産の予納金五万円が必要ですと、こう言われたわけです。で、破産法の条文には、その自己破産であれば仮支弁ですか、そういう制度があったんですけれども、財政上の理由でそれは適用されたことがありませんでした。 だから、そういう財政的な裏付けを最高裁としてどう考えるのか。これはもちろん最高裁だけではなくて、いわゆる法テラスにおいて多重債務者に対する予算をどう付けていくのかというようなことも考えて、そこで思い切ったお金を使う方が、実はカウンセリング協会方式で五千億円を使うよりもはるかに安上がりで、そして国民にとって利便性の高い制度ができ上がるのではないかと、私はそう思っています。(発言する者あり)ということなんで、じゃ、最高裁、今の点、よろしく。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 委員御指摘のように、裁判所におきましては特定調停等の事件が多数ございます。 裁判所におきましてやはり一番有効なのは、それに対応する裁判官、それから書記官、それから調停室等の物的、人的体制というところが重要になります。これまでの予算要求とかそういう面でも、ここを視野に入れました裁判官、書記官の増員を図っており、また調停室も増やしておりますが、そういったもの、事件の動向を見まして、委員御指摘のようなものに対応できるように、まあ言わば駆け込み寺の点がございますので、努力してまいりたいと存じます。
○前川清成君 裁判所が乏しい予算の中でいろいろ工夫をされていることはよく知っています。今、最高裁かどこかへ行かれたあの東京地裁の破産部の部長が、園尾さんが小規模管財というような制度をつくって、結局は一丁上がり方式をつくりました。しかし、それは本来の制度からしたらどうなのかというのもあると思いますんで、今財務省も、五千億円は出す気はありませんと、裁判所の方が安上がりの制度ができるということは分かってもらったと思いますので、是非予算についてもこれ考えて、遠慮せずに要求していって、司法の容量を増やすと、で、公正な社会をつくるということで御尽力をいただきたいと思います。 時間がちょっとなくなってしまいましたので、せっかく警察庁にも来ていただいていますので、一言だけ触れさせていただいて私、質問終わりたいと思うんですが。 志布志事件というのがありまして、これで無罪判決が出ました。これ、結局何が良くなかったか。違法不当な取調べがあったというわけですが、これを防ぐにはどうしたらいいのか。違法不当な取調べというのは今回初めて、歴史上初めての出来事ではなくて、今までさんざん繰り返されてきたことであります。その都度その都度、恐らく警察庁は、もう二度と繰り返しませんという決意をおっしゃっていたにもかかわらずまたしても起こると。しかも、これはもしかしたら氷山の一角かもしれません。この違法不当な取調べをどうやって防ぐのかと。 しかも、裁判員制度がやがて導入されます。裁判員の皆さんに調書の任意性というお話をしても、そもそも任意性の言葉さえ分からないんじゃないかと。だから、何が何でもいいから、どいつでも構わへんから有罪にしたるというのであれば、違法不当な取調べを密室で行うというのはいいかもしれないけれども、そうではなくて、実体的な真実を追い求める、そして無辜の者を処罰しないということを考えれば、やはり取調べについては可視化をするしかないのではないかと私は思っています。 その点、警察庁にお伺いしたいのと、もう一つ、この点について実は私は裁判所の責任が非常に大きいと思っています。この志布志事件でも一番長い人で一年一か月間勾留されています。で、求刑が一年六か月です。その罪に比べて異様に勾留期間が長い。しかも、日本の裁判所の現実として、否認をしていたら、認めなかったら保釈を許さないと、自白しない限り保釈を許さない、こういう保釈制度の在り方。だから、私は、警察と裁判所とそして検察庁、この三者の共犯でこの志布志事件ができ上がったのではないかと思っています。 時間が過ぎていますので簡潔にお答えいただいて、私の質問、終わらせていただきたいと思います。
○政府参考人(縄田修君) 御指摘の志布志の事案につきましては、取調べを含めまして多くの反省点がございました。私ども、それをしっかりと受け止めて、第一線に徹底してまいりたいと思います。 通達、会議等はもとよりでございますけれども、このたびの事態、私どもも重く受け止めまして、管区警察ごとブロック単位でかなり細かく事例を紹介しながらディスカッションをして、しっかりと理解をした上で一線に定着させる努力もしてまいりたいと思っておりますし、さらには、審議官、課長等幹部による各都道府県の実際どういう状態になっているかというのも今後、巡回教養といいますか、そういう活動もしてまいりたいと思っています。さらには、警察大学校における教養の在り方で若干見直しをこの四月からいたすことにいたしておりまして、刑事任用課程等におきまして、緻密かつ適正捜査の時間を四時限、新たに別途設けるというような形で教養を徹底してまいりたいと思っています。 取調べの録音、録画につきましてどうであるかということでございますけれども、この件につきましては、私どもといたしましては、このような事案がありながらも、やはり一番物を知っている被疑者の方々からしっかりと供述を得て、それで真相を解明していくということが非常に大事なことであろうというふうに理解をいたしております。詳細は全体の検討の中で今後慎重に議論をしていただければと、私どもはそういうふうに考えております。
○委員長(山下栄一君) 小川最高裁刑事局長、簡潔にお願いします。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答えを申し上げます。 個別の事件については申し上げることはできませんが、一般論として申し上げますと、逮捕状や勾留状に関する事務は、身柄拘束という国民の基本的人権に直接かかわる非常に重要な職務でございますので、各裁判官がその点に十分思いをいたして、捜査官から提出された資料について厳密に審査し、適正な処理を行うよう努めているところと認識しております。 否認していれば保釈を認めないというような態度で判断に臨んでいるというようなことはあり得ませんし、あってはならないことでございます。委員御指摘のとおり、不必要な身柄拘束が行われることがないように、権利保釈すべき場合ではないか、裁量保釈できるのではないかについて十分検討した上で、適正な処理を行うように努めているところと認識しておりますが、今後とも適正な処理に努めてまいりたいと考えております。
○前川清成君 ありがとうございました。
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。 まず初めに、長勢法務大臣にお伺いいたします。 法務省のいじめ問題に対する取組でございますが、学校におけるいじめは昨今ますます深刻の様相を見せておりまして、社会的にも大変大きな関心を呼んでおります。ある学校の現職の先生に伺いましたら、恐らく全国の学校でいじめのない学校というのは一つもないだろうと、そういう大変ショックなお話を伺ったことがあります。政府の教育再生会議でも、社会総掛かりで教育をと、こういう提言がありましたが、まさしくいじめも本当に社会総掛かりで取り組んでいかなければならない問題であろうと思います。 法務省は平成十八年度補正予算で、新たにいじめ一一〇番のフリーダイヤル化やインターネットによる相談受付、SOSミニレターを全小中学生一千百万人に配付することを盛り込んでおります。これまでいじめ対策は主として文部科学省やあるいは教育委員会、弁護士会などが中心になって取り組んでまいりましたが、法務省が今回、補正予算でこうしたいじめ対策に取り組むこととした理由、意義はどこにあるんでしょうか、お伺いいたします。
○国務大臣(長勢甚遠君) いじめ問題、法務省においても、学校教育の中でいろいろ対応されていることは当然でございますが、学校生活のみならず社会の中で、健全に子供さんが成長される中で人権擁護にかかわるということも相当ありますので、そういうことのないように今までも人権一一〇番等の作業はしてきたわけでございますが、余り先生のお目に留まらなかったとすれば誠に残念でございますが。 昨年からこの問題は大変大きくなりまして、法務省においても人権擁護委員の方々にももっともっと活躍してもらいたい、こういう思いで、補正予算の機会がございましたので、一刻も早くこの体制を取ろうということで、このフリーダイヤル化あるいはSOSミニレターを全国に配るという作業を至急にやろうということで補正予算を計上させていただいた次第でございます。
○浜四津敏子君 いじめの解決というのは、単に相談を聞くだけでなく、まあ一部、ごく一部は話を聞いてもらったということだけで本人が収まったと、こういうケースもなくはありませんけれども、ケースによっては調査、仲裁などによって解決まで責任を持って取り組むのでなければ、単に話を聞いて終わりと、中途半端になってしまうおそれが大変大きいわけでございます。 私ども、党として川崎市に視察に参りました。市として単独事業でオンブズパーソンの制度を実施しております。そこでは、いじめの相談をまず受けて、弁護士と児童相談所関係の方、また臨床心理士の方が担当して、もちろん匿名制でございますけれども、その被害者が望めば調査もする、また加害者あるいは学校と話合いもするということで、最終的な解決にまで責任を持つということを大原則として取り組んでいるところでございます。大変効果を上げているということを見てまいりました。 今回の法務省の取組は、いじめ一一〇番も、あるいはインターネットによる相談受付、SOSミニレターはこうした本当の意味での解決に十分対応できるようになっているんでしょうか。また、そういう人材が確保できているのか、どういう人が相談及び解決に当たるのか。実効的な解決のためにどのように取り組もうとされているのかをお伺いいたします。
○政府参考人(富田善範君) 委員御指摘の人材の確保についてでございますが、学校等における人権啓発活動、人権相談及び人権侵犯事件としての調査救済活動は、法務省地方法務局の職員及び人権擁護委員が担当しております。 いじめを始めとする子供の人権問題に関する取組につきましては、人権擁護委員のうちの子どもの人権専門委員が中心になって行っております。子どもの人権専門委員は、過去に教職を務めていた者など、子供の人権問題に対して熱意と理解があり、活発に活動していただける方を人権擁護局長が指名したものであり、全国に約九百五十名の子どもの人権専門委員が配置されております。 また、いじめ問題の実効的解決、あるいは予防のための取組でございますが、まず、いじめ問題の実効的な予防のために、従来から積極的に啓発活動に取り組んでおります。具体的には人権擁護委員等、特に子どもの人権専門委員等が全国の小中学校の総合的な学習の時間等を利用して、子供たちがいじめについて考える機会をつくる啓発活動として人権教室を実施するなどをしております。 また、相談につきましては、今委員からもございましたように、インターネットによる人権相談受付システムの導入、子どもの人権一一〇番のフリーダイヤル化、SOSミニレターの全国の小中学生への配付の各事業を実施し、子供たちがより相談しやすい体制を整備しております。このような相談等を通じていじめ問題に対する学校側の対応が不十分である疑いがあるなどの情報を認知した場合には、被害者等からの被害申告を受けるなどして人権侵犯事件として手続を開始し、所要の調査を行った上で、被害者救済のための適切な措置を講じております。 今後も、このような活動を通じ、いじめ問題の実効的な解決、予防のために尽力していきたいと考えております。
○浜四津敏子君 次に、これまで行われました一連の司法制度改革は、二十一世紀の自由で公正な社会の形成を支える基盤として決定的な重要な意義を有するものと思います。昨年は日本司法支援センターが業務を開始しました。二年後には裁判員制度も開始されます。 こうして各種施策が実施されつつありますけれども、司法制度改革の三本柱の一つが司法の国民的基盤の確立ということでございました。本当の意味で司法の国民的基盤を確立するためには、大きな視野で法と司法というものそれ自体について国民の皆様の理解を求めていくという必要があるだろうと思います。そして、そのために最も重要なのが未来を担う子供たちに対する法教育の充実と促進だと考えております。自由で公正な社会を支える基盤である法や司法の役割と重要性を理解すれば、子供たちはおのずと自他ともの人権あるいは権利の重要性を認識し、また裁判への関心を覚え、司法を積極的に利用し、あるいは社会のルールを覚えていくものと考えております。 そこでまず、法教育の意義と重要性について法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 法治国家においてこれからの司法制度改革を進めていく上でも、その基盤となる法教育というものが非常に重要であるということはおっしゃるとおりだろうと思います。 法教育という概念が必ずしも法律で決まっておるわけではないんでしょうけれども、やっぱり発達の各段階においてあるんだろうと思いますが、まず何よりも法律というものがある、そしてそれを守るのが大事なことだということが基本であるでしょうし、そういう中で法や司法制度の意義というものを理解してもらう、そしてそういうものを自分で考えられるようになれるようにしていっていただく、参加意識を持ってもらう、また法というものの物の考え方というものを身に付けていただくということを、発達段階に応じて、学校教育だけでなくていろんな場面で指導をしていくということがこれから大変大事になってくるだろうと思っております。 学校教育を始め、いろんな場面が必要でございますので、法務省としても引き続き関係機関と協力をしながらこの問題に取り組んでいきたいと思っております。
○浜四津敏子君 この法教育の少し具体的な中身について法務当局にお伺いいたしますが、例えばいじめというのは、ある場合には侮辱であったり、あるいは名誉毀損に当たったり、あるいは強要罪だったり、あるいは恐喝、暴行、傷害と、こういう犯罪を形成するものでございます。 まず、子供たちにいじめというのは犯罪なんだということをこの法教育で教えてもらいたいと私は思います。また、ストーカーとかあるいはDVとかあるいは悪質商法にだまされないと、こういったような実生活に即した法教育にしてほしいと思います。単に司法の役割とかあるいは裁判への関心とかというような機構的なもの、あるいは単なる法的な知識ではなくて、自分たちの身の回りのこと、また気が付かなかったこと、ああ、そうだ、いじめは犯罪なんだというふうに気が付かせるような、そうした法教育に是非してほしいと思っておりますが、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) おっしゃるとおりだろうと思います。やっぱり我々は法律によって守られ、また相手を大事にしていくという仕組みの中に生きているわけですから、こういうことをしてはいけない、あるいはこういうことは犯罪だということはきちんと教えて、みんなが規範意識を持って生活できる社会にいくことが必要であろうと思っておりますので、今後ともそういう観点からの取組について、文部省とも相談をしながら進めていきたいと思います。
○浜四津敏子君 それでは次に、法テラスについてお伺いいたします。 昨年十月から日本司法支援センター、いわゆる法テラスが全国の地方事務所等でスタートいたしました。昨年スタート時には、相談件数は三万五千件と報告されております。ところが、今年の一月、二月は約一万七千件と減少しております。なぜ急激に減少しているのか、その原因はどこにあるとお考えなんでしょうか。まず、その点をお伺いいたします。
○政府参考人(菊池洋一君) 日本司法支援センター、法テラスのコールセンターに寄せられるお問い合わせの件数、委員御指摘のとおりでございまして、昨年十月に業務を開始してから今年の二月まで五か月たちましたけれども、トータルでおおよそ十一万件、当初に比べますと件数自体はやや減っているという実情にございます。 これ、原因、確たるもの、はっきりしたことはなかなか申し上げにくいんですが、最初は法テラスのような存在が今まで世の中になかったと、初めてできたといったようなこともあったのかもしれませんが、もう一つ私どもが考えておりますのは、法テラスは、平日は朝の九時から夜の九時まで昼休みもなく受け付けておりますし、土曜日もオープンしておりまして、これは朝の九時から午後五時まででございます。法テラスは公的な機関でございますので、一般の国民の方は五時以降とか昼休みはやっていないんではないかというふうに思われている方もいるんではないかと、そういったことも一つ、いま一つ利用件数に伸びが出てこない原因になっているのかなと思っておりますので、法テラスにおいても、私どもといたしましてもその点を含めたPRというものが必要であるというふうに考えているところでございます。
○浜四津敏子君 一つは、法テラスについて、今御答弁がありましたが、約七割の国民が知らないと、こういうふうに言われておりまして、明らかにPR不足があるだろうと思います。それもやはりおざなりに、適当にその辺に紙を張っておけばいいというのではなくて、もっと緻密に細やかに、現場で、地元で、その地域の例えば独自の広報紙を使うなどして周知徹底を図ろうと、そういう気迫を持って臨んでいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○政府参考人(菊池洋一君) 法テラスが国民の皆様に利用していただけるためにはまず法テラスの存在を知っていただくということが必要でございまして、そのためにはPR活動が大切だというのは全く御指摘のとおりでございまして、法テラスにおきましても、私ども法務省でも同様の認識の下にPR活動をしているところでございます。 具体的に申し上げますと、まず法テラスにおきましては、ラジオや新聞などマスメディアを利用した広報あるいは公共交通機関を利用した交通広告、パンフレット、リーフレットの配布などを積極的にやっていると聞いております。また、委員御指摘のとおり、法テラスは全国に五十か所の地方事務所がございます。各地方事務所におきましては、地元のメディア、地方紙とか自治体の広報紙などに法テラスについての広報記事を載せてもらうといったような活動もいたしております。 私ども法務省におきましては、マスメディアを利用した一般的なメディアのほかに、各地域においてトラブルに巻き込まれることのある国民、住民と接する機会が少なくないと思われる人権擁護委員の方、保護司の方、あるいは調停委員の方などを所管しております役所に実は昨年の十二月、書面をお出しいたしまして、こういった方々に対する研修会や協議会が開催される場合には、法テラスについても説明する機会を与えていただきたいというお願いをいたしたところでございます。その成果が少しずつ現れてきていまして、今申し上げましたような方々に対する協議会や研修会の場で法テラスについて御説明をする機会を与えていただいているところでございます。 今後とも、法テラス共々、PR活動には一層重点を置いて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
○浜四津敏子君 是非そうしていただきたいと思いますが、もう一つの課題といたしまして、法テラスの質そのものの向上が必要ではないかということが挙げられると思います。 法テラスが利用者の期待に十分こたえていないという声をよく耳にいたします。たらい回しにされたとか、あるいは紹介するだけだという指摘もございます。例えば、ワンストップにするとかあるいは提供する情報の質の向上を図るなどをして、利用者の満足度を高めるためにどう工夫されたらいいとお考えでしょうか。
○政府参考人(菊池洋一君) 法テラスにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、まず存在を知っていただくというのが第一歩でございまして、その次は利用者のニーズに的確にこたえることができる業務を行うということが大切なことであるというふうに思っております。 今の点は法テラスも全く同様の認識を持っておりまして、そのための取組をいろいろ工夫して行っているというふうにお聞きをしております。 例えば、全国五十か所に地方事務所があるというふうに申し上げましたが、各地方事務所がそれぞれの地域で関係機関と協議会を開催しております。その協議会の場では、関係機関との連携というんでしょうか、協力関係を維持し強化するといったような議論のほかに、利用者サイドから見てどういうニーズがあるのか、どういう声があるのかということをお聞きしております。そのような利用者の声をお聞きして、その後の業務の改善に反映させているというふうにお聞きをしております。 また、法テラスは東京に本部がございますが、その総務部の中にサービス推進室というセクションを設けておりまして、全国各地からの利用者から寄せられる御意見や苦情を今申し上げましたサービス推進室で取りまとめて分析をしておりまして、そういった利用者の声も業務に生かす努力をしております。さらに、本部では、利用者、利用された方にアンケート調査を実施しておりまして、どのような点が不満足だったのか、あるいはどういう点に満足したのかといったようなフォローアップといったこともしております。 また、もう一つ申し上げさせていただきますと、コールセンターには電話の受け答えをするオペレーターの方がいらっしゃいますが、法テラスでは、オペレーターに対して随時研修を実施しておりますし、またオペレーターの方が利用するために、よくある質問と答えという、FAQと呼んでおりますが、それを作っておりますが、実際にそれを使ってみた実績を受けましてFAQの改訂ということも行っておりますし、それから、協力関係を築いた関係機関をデータベースに入れておりますが、それも適宜見直しをするといったようなことで、情報提供業務の質の向上にも努めているところでございます。 今後、更にこのような努力も続けていくというふうにお聞きをしているところでございます。
○浜四津敏子君 法テラススタート時に約六十人の常勤スタッフの弁護士が必要と言われておりました。しかし、現在二十四名確保できただけで、多くの地方事務所、地域事務所にはスタッフ弁護士そのものがいないと、こういう状態にあります。 なぜスタッフ弁護士の確保が進まないのか、今後どのように確保していくのか、お伺いいたします。
○政府参考人(菊池洋一君) 法テラスのスタッフ弁護士の数、現在二十余名というのは御指摘のとおりでございます。 スタッフ弁護士につきましては、法テラスの業務、その中でもとりわけ国選弁護関連業務につきましては、平成二十一年から被疑者国選弁護の対象事件が拡大されますし、また裁判員裁判も開始されますので、そのようなものに対応するためには、一般の契約弁護士の確保とともにスタッフ弁護士の充実ということが非常に重要であるというふうに私ども考えております。 ただ、現在、一般の契約弁護士について申し上げますと、国選弁護関係で一万を超える数を確保しております。これは弁護士さんの協力をいただきまして、スタッフ弁護士ではありませんけれども、国選の事件があったらやりますよと言ってくださっている弁護士の方々を、一万人を超える数になっております。したがいまして、当面の業務に支障はないというふうに思っておりますけれども、ただ、スタッフ弁護士の数を確保するということは今申し上げましたとおり重要な課題であるというふうに認識しております。 法テラスにおきましては、日本弁護士連合会の協力も得ながら、修習生も含めていろんな方々に法テラスの意義と魅力をアピールするなどして、計画的にスタッフ弁護士の確保に努めているというところでございます。
○浜四津敏子君 それでは最後に、少年院、少年刑務所などを仮退院、仮釈放、出所した少年たちが社会復帰するまでの中間施設についてお伺いいたします。 平成十二年十一月の少年法改正の際に、公明党は次のような提言をいたしました。少年院、少年刑務所などを出た後の少年がスムーズに社会復帰できるように、また再犯を犯さないように、社会生活に戻るまでの中間施設としてグループホームを創設し、社会復帰を支援することを提言し、申入れをいたしました。 今般、ようやく十九年度予算でこうした少年たちのための更生保護施設、就業支援センターを北海道沼田町に設置することとなっております。そこに少年たちを住まわせて、農作業や牧場で牛の世話などを通して更生を図り、少年たちの社会復帰を支援する施設であります。 こうした施設を出ても、帰る家庭がないとか、あるいはかえって悪い環境にまた戻ってしまうとか、あるいはまた昔の仲間に戻らざるを得ないというような少年たちをこうした施設でしっかり自立のために支援するという施設でございますが、この施設の必要性、概要、特色、あるいは効果、また今後の就業支援センターの展開をどのようにお考えか、お伺いいたします。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘の沼田町の就業支援センターのまず概要でございますけれども、これは主に少年院を仮退院した少年を対象といたしております。これを対象にいたしまして、旭川保護観察所に宿泊施設を整備いたしまして、農業を取り入れた処遇を行うとともに、保護観察官による密度の濃い指導監督を実施するという施設でございます。 この施設におきましては、対象となる少年、これは定員を一応十二人といたしておりますけれども、これを宿泊させながら、おおむね一年間、豊かな自然環境の下で、保護観察官が常駐をいたしまして、直接少年の問題性に応じた指導監督を行いますとともに、沼田町が設置、運営する農場などの実習施設におきまして、野菜や花の栽培、あるいは御指摘にありましたが、肉牛の飼育などの農業実習を中心といたしました訓練とそれに関連する学科指導を行うことを計画いたしておるわけでございます。現在は、十九年度中の業務開始を目指して準備を進めております。 このセンターの特色でございますけれども、第一点目は、保護観察官が常駐する国の施設に少年を宿泊させるというものである、第二点目は、農業の実習や農業の関連の学科指導を行うという点にあるというふうに考えます。 この必要性でございますけれども、これは一般の更生保護施設におきましても、少年院を仮退院した人、あるいは少年刑務所からの仮釈放者も収容をしていただけるわけでございますけれども、農業を中心にしたこのセンターにおけるような処遇を行うのにふさわしい少年、そっちの方がよりふさわしい少年というものが一定数存在をいたしておりますので、その特性に応じた処遇を行うことが必要だというふうに考えるところでございます。 この効果でございますが、いろいろ考えられますけれども、例えて申しますと、一つは、豊かな自然の中で生活を行いますことによって高い情操教育効果あるいは心情の安定効果があると。二点目といたしましては、自分が努力をいたしますと収穫にそれが直につながるということで、達成感を感じることができると思います。そこで自信や自立の精神を養う上での効果があると思われます。三点目でございますが、望ましくない交友関係を持っている少年の場合でありますと、そういう関係から切り離された落ち着いた環境の中で規律のある生活を送ることによりまして、改善更生の意欲が養われるのではないかというふうに考えるところでございます。こういうことを期待いたしております。 今後の展開でございますけれども、まずは、この沼田町の就業支援センターを確実に運営をするということから始めたいと思います。そして、その運用状況を検証いたしまして、将来における整備計画について検討をしていきたいというふうに考えております。
○浜四津敏子君 終わります。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) この際、委員の異動について御報告をいたします。 本日、若林正俊君が委員を辞任され、その補欠として岡田直樹君が選任されました。 ─────────────
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 今日は、取調べの可視化の問題について伺ってみたいと思っています。 御案内のように、今日、イギリスあるいはアメリカの幾つかの州、オーストラリア、イタリア、台湾、韓国、あるいはアジアではモンゴルなどでも取調べ過程が録画、録音をされるということになっておりまして、国連の規約人権委員会が我が国における被疑者取調べ制度の問題点を指摘した上で、取調べ過程を電気的に記録することという勧告もなされているわけです。あるいは、今国会で政府はICC、国際刑事裁判所の関連条約の批准、承認を求められているわけですけれども、このICCの取調べ手続、質問と言われていますが、ここも録画、録音という形で可視化をされているわけですね。 つまり、国際水準は録画、録音は言わば当然の流れで私はあると思いますし、なのになぜ、これだけ録画・録音技術が発展をしている、世界一かもしれない我が国において捜査段階の可視化にそんなに抵抗があるのかと、何かよく分からないわけですよね。 前回、大臣に是非お読みくださいということで志布志事件の判決を御紹介をしましたけれども、ここの判決の中で、この可視化に関連して大変印象的だった判旨部分がございます。それは、つまり供述証拠の自白の信用性についてずっと検討を詳しくした上で、こういうふうに鹿児島地裁は言ったわけです。 本件においては、被告人らの自白の任意性及び信用性が激しく争われ、その関係で、取調べ状況に関する事実関係が重要な争点となり、これを解明するため、膨大な時間を費やして多数の取調官の証人尋問と自白した六名の被告人質問を実施し、さらに、自白した六名の被告人の供述調書など膨大な量の証拠書類を取り調べた。しかしながら、このような証拠調べを実施したにもかかわらず、取調べ状況を明らかにする明確かつ客観的な証拠がなく、その真偽を判別するに足りる証拠を欠いたことから、被告人らと取調官との言い分の対立点について、結局、疑わしきは被告人の利益にとの観点から判断するほかなかったのであると。 先ほど前川委員からもございましたけれども、例えばある被告は、取調べ時間は延べ七百三十七時間ですよね。否認をし続けて三百九十五日間拘置、身柄拘束を受け続けたという方があるわけです。これだけの人権侵害を余儀なくする。それほどまでに取調べ過程を密室にしておく必要がどこにあるんだろうかと私は思うわけですね。当然これ、録画、録音がされていさえすれば、任意性が問題になったときに、そこの、争われる部分の録画、録音を再現をすれば、どちらの言い分が正しいのか、被告人、つまり被疑者側が言うのが正しいのか、それとも取調官が言っているのが本当なのかというのはすぐ分かるわけでありまして、なぜそれができないのかということなんですね。 この志布志事件を受けて、あるいは富山の事件を受けて、可視化を進めるべきだという論がメディアでたくさん出ているんですが、そのうち二月の二十四日付けの読売新聞で、警察庁幹部、これは縄田局長に伺いたいわけですけれども、こうおっしゃっているんですよ。録音、録画された環境では、真実を打ち明ける容疑者がいるだろうか。 これ、僕は意味が分からなくて、これ、どういう意味なんでしょうか。警察庁はどうして可視化をそんなに否定をされるのか、あるいは否定されていないのかもしれないけれども、先ほどの答弁では。どうお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(縄田修君) 警察の捜査といたしましては、これ、事案の真相を解明するというのが第一の目的でございます。そのためには、やはり一番事情を知っているのは被疑者あるいは周辺の事件に関与した者であります。そういった方々からどれだけの事実を引き出すかといったところが正に真相解明の大きな要素になり、また、それが一番正しいといいますか、司法の流れに乗っかっていけば一番いい形になるんだろうなと、こういうふうに思っています。 録音、録画をされることによる障害といいますか、懸念される向きといたしましては、一つは、取調べと申しますのは、これは相手方から供述を引き出すわけでありますけれども、これは右か左かとか、これはやったのかやらないのかとか、あるいはどこをどうしたのというような問い掛けで、それに対する答えのみでは前に進みませんし、真実が解明されないものであります。やはり自らに不利なことを話すということになりますと、やっぱり相手方との会話の中で相手を知り、その中で追及され、あるいは諭される。そういった中で自ら反省をし、本当に真実が出てくるものだと、こういうふうに理解をいたしております。 録音、録画ということになりますと、先方の方から、これ、かなり意識をして物を言わざるを得なくなる。先ほど言いましたように、説得をしたり、いろいろ会話を交わすということなんですけれども、これも相手方から供述を求めるということは、やはりいろいろなことを調べ官としても聞いてやらなきゃやっぱりいかぬわけですね。いろんな社会に不満がある、あるいは会社に不満がある、あるいは組織に不満がある、あるいは経済状態どうなんだとか親族の関係どうなんだと、そういったことを十分聞いてやって、それは調べ官がしっかり聞いてくれるんだと、そういったところで信頼関係も生まれる。調べ官も自らの体験、あるいはなかなか人にも言えないような子供のころの体験等々も含めながら、よりプライバシーにわたることも話をし、そこで初めて人間関係といいますか信頼関係ができてくる。そういった中で更に説得をされ、諭される。そういった中で真実は出てくるんだと、私どもはそういうふうに認識をいたしております。したがいまして、こういった中で録音、録画となりますと、非常に両者、物がなかなか言いづらいといったところがあろうかと思っております。 それからもう一つは、組織的犯罪等に対する取締りの関係でございます。 これは、特に暴力団犯罪等、薬物のいろんな組織犯罪もございますけれども、そういったことから見れば、これは首領がいて、いろいろな幹部がい、それから組員等が動いていく。これはなかなか共謀関係、それは正にその当事者、本人から聞かないとなかなか分からない。そういった供述を得ていくためには、やっぱり組長のたまには悪口もあれば組に対する不満もある。そういったことも聞いてやらなきゃいかぬし、こちらからもそういったことを言わせるようにもしむけると。そういった中で話を、会話をしながら本当に真実を話をしてもらう。それも、暴力団の場合は、これは首領のことなんかを話しますと、組によっては確実に除名絶縁どころじゃない、命まで奪われる、そういう状況にもあるわけです。そういった中でどう話してもらえるか。だから、これは直ちに供述調書の作成をしない、要するに供述だけ、話は教えてくれというようなことで説得をしてみたり、いろいろな手法を講じながら真相解明を図っておるところでございます。 だから、組の首領の話、あるいは他の組織の話等々につきましても、こういった調べる中で供述が出てくるわけでございますが、そういった捜査に大きな支障を来す。これは録音、録画されておりますと、これはもう命にかかわる、あるいはとても、あと追及されるということも考えれば、その真相が語られないといったことがあろうかと思います。 そういったことを含めますと、事実の解明、刑事事件捜査におきまして相当の支障があるというふうに私どもは考えておるところでございます。
○仁比聡平君 昨年の五月二十六日の衆議院内閣委員会で、当時の沓掛大臣が、今局長からあった被疑者との信頼関係の構築が阻害されるという点と、それから組織犯罪の検挙、情報収集が困難になっていくのではないかという点に加えて、第三者のプライバシーが侵害される危険が生じるなど、取調べの機能が大きく阻害されることになるというふうに答弁されているんですが、これ、今、縄田局長の三点目はなかったかと思いますけれども、これもあるわけですか。
○政府参考人(縄田修君) 被疑者あるいは取調べ官、それぞれ捜査の対象の事件についていろいろ語っていくわけですけれども、特に今委員がおっしゃった点は、例えば被害者の関係とか、それから第三者ですね、正に自分の上司であるとか自分の部下であるとか、あるいは自分の親族であるとか、そういった周辺の方々の話も当然出てまいります。 私どもも、調べ官等からも何度か取調べの録音、録画につきましてどうだろうかということも聞いたりもいたし、私自身、別に空想で物を言っているわけでもなし、実感として感じておるんですけれども、調べ官にとっては、親族の方とか、あるいは被害者の関係の、あるいは場合によっては落ち度とか、そういったことにつきましてもその被疑者の言い分を聞いてやらなきゃいかぬ、あるいは自らもいろいろな話をしなきゃいかぬというようなところ、そういったところはなかなか難しいといいますか、後々表に出ることにつきましてはちゅうちょせざるを得ないというふうな言動もあるところでございます。 〔委員長退席、理事松村龍二君着席〕
○仁比聡平君 今、他の委員、理事から御意見が出ているとおりかと思うんですけれども、ちょっと一つずつ伺いたいんですけれども、まず信頼関係というお話で、よく刑事ドラマなんかで人情刑事が取調べ室で、いわゆる落とすというか、落ちるというところまで被疑者が真摯に悔悟して物を話すということはありますよね。この過程のお話、先ほど局長ずっとおっしゃられていたんですけれども、この過程が録画、録音されることが何の問題があるんでしょうかね。別に、その過程においてかつどん食べさせても録画、録音しておけばいいんじゃないかと、僕は何の差し障りもないんじゃないかと思うんですけれども、逆に信頼関係というふうにおっしゃるのがよく分からないんだけれども。 この志布志や富山でもそうですが、自白の任意性、信用性が争われる場合の重大な問題は、取調べ室という密室の中で、身柄拘束やあるいは外界との連絡あるいは便宜供与なども含めて、取調べ官が被疑者側から見るとすべての生殺与奪の権を握っているような状況になるというふうに被疑者側からは思うわけですね。ですから、威圧をされる、あるいはそれに迎合的になるというような心理になるんじゃないのかというふうに思うわけです。 そこでの信頼関係というのは、おれ、おまえの友情関係なんかではあり得ない。事実を究明しようとする取調べ官と被疑者の間なんであって、これはどういう意味なんですか。
○政府参考人(縄田修君) 確かに、役割分担としては、取調べ官は事実を追求し真実を解明する、被疑者についてはこれは事案を認めて正に反省をしていただいて正直に話をいただく、こういうことになろうかと思いますけれども、信頼関係といいますのは、やはり優秀な調べ官というのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、相手からしっかりと話を、向こうの言いたいことを全部聞いてあげるというような形ですね。 〔理事松村龍二君退席、委員長着席〕 だから、いろんな不満、あるいはどういったことをふだん思っているのか、そういったこともしっかり十分話させながら自らの体験も話していく。これも、単にテレビの番組の場合はどちらかというと割と単純な会話でありますけれども、とても人に聞かせたくないような自分の体験談とか、それから被疑者にとってみれば、小さいころこれだけいじめられたんだとか、自分の会社ではこれだけ差別されていじめられたんだとか、上司の悪口を言う、それをしっかり調べ官が聞いてやる、調べ官も自らの体験を話していく。そういう会話でありまして、とても人には聞かせられないところまでの議論というのはあるんだろうと、こういうふうに私は考えております。
○仁比聡平君 今のお話を聞いても、録画、録音してはならない理由とは全然思えないですよね。人には聞かせられないとか、あるいは聞かせるほどの話でもないとかいうようなことはそれは当然あるだろうと思うんですけれどもね。それは、録画、録音したからといってすべてを天下に公表するという話ではないわけでしょう。 それは、録画、録音をしたその証拠を、裁判所、何を立証目的にしてどのように使うのかという場面で問題になる話であって、これは先ほどの第三者のプライバシーの問題もそうだと思うんですけれども、供述が本当に真摯になされたものかどうかと。特に、自白の部分がなされたかどうかという部分の任意性を立証するというためにそれが使われるという点については、今、縄田局長が言われたことは別に理由にならないんじゃないですか。
○政府参考人(縄田修君) 公判時の任意性の立証等につきましては私どもとして申し上げる立場にはございませんけれども、やはりそういった録音、録画がなされ、これがどういう場面でどう使われるかというのが分からない状態の中で、被疑者あるいは調べ官、そういった中での会話というのはどうしてもちゅうちょせざるを得ないといいますか、十分な真相解明といいますか、取調べにならないというふうに私どもは考えております。
○仁比聡平君 そうすると、録画、録音がどのように使われるのかということを、もっともっと、日本でも刑事司法にかかわる関係者がもっと深めて議論していくということができれば、これは警察庁もそういう検討あるいは検証、これ自体はやぶさかじゃないということですか。
○政府参考人(縄田修君) 司法制度改革審議会等での議論もございましたし、これは司法制度全体の中で取調べの在り方等につきましても慎重な今後検討が必要だというふうに結論付けられておったように記憶をいたしておりますが。
○仁比聡平君 国会で、衆議院それから我らが参議院法務委員会も、そういう趣旨の附帯決議も過去上げていることもあるわけですね。 あと一点だけちょっと縄田局長に聞いておきたいんですけれども、先ほどの、結局、密室でしか真実は話されないというような趣旨のですね、これ、そういうふうに新聞なんかにコメントしておられるんですけれども、そういう実証、検証、客観的な根拠というのはあるんですか。先ほども御自身の実感に基づいてとはおっしゃっていたけれども。それだったら、アメリカだとかイギリスだとか韓国だとか、こういうところでは密室じゃなくなったので真実が話されなくなったという、そういう検証でも実証でもあるのかしらと思っているんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(縄田修君) どういった場合に供述がなされるかというのは正に事案の、事件の中身にもよりますし、それから、どの程度証拠として私どもが握っているのか、あるいは被疑者側としてそれを承知しているのかとか、いろいろな周辺の環境状況にも影響されてこようかと思います。別に、録音、録画があれば一切供述が出ないというふうには私どもは思ってはおりませんが。
○仁比聡平君 それから、あともう一つちょっと聞きます。 先ほどの組織犯罪の関係なんですけれども、いわゆるお礼参りとか、あるいは一番最悪の場合には命をねらわれることだってあるというお話もありました。あるいは、その取調べ室でのやり取りの中で情報が得られることがあるというお話もあったんですけれども、このお礼参りという話は、これは結局、そういう話がその取調べ室の中であったかどうかが外に出なければ問題はないことかと思うんですよね。 あと、組織犯罪のほかの情報が得られる場合があるというのは、これは、これ厳密に言えば、被疑事実についての取調べとは別なんでしょう。いわゆる内偵というか、まあ余罪捜査はある程度の範囲で許されるんだろうと思いますけど、別件ということになればこれは大問題なわけで。そういう意味では、その話の中で被疑事実の取調べと違う話がそこで出てくることがあるという、そういう話ですよね。それは別に、録画、録音しておいたって別に何も問題ないんじゃないですか。
○政府参考人(縄田修君) 取調べのやり取りの中で、自らの組長とか幹部に対するいろいろな思いとか、そういったものも出る場合がございますし、他の組織にかかわる、一つの事件の取調べの中でですよ、その犯罪事実だけを聞いているわけじゃございませんから、他の組織との関係とか今までどういう状況であったのか、それに対してどういう思いをしておるのかとか、そういったことも聴いていくわけでございます。 そういった意味合いでは、先ほど申しましたように、録音、録画という状態になれば、それが表に出ること自体といいますか、どこかの時点で公になること自体がこれは正に場合によっては命にかかわるというようなことで、私どもとしては、真相解明に大きな支障があると、こういうふうに考えておるところでございます。
○仁比聡平君 いや、だから、どう録音、録画を使うかについてはよく議論したらいいじゃないですかと私は思うんですけれども。 それで、裁判所にお尋ねをしたいんですけれども、一つは、密室でなければ真実が話されないと言わぬばかりのその趣旨というのは、裁判所にとってはこれはあり得ない話だと思うんですね。というのは、公判はこれはもう公開されているわけで、法廷での供述がすべて信用ならないものだなんというような話はあり得ないと思うし、そもそも直接主義、口頭主義ということからすると、あるいは裁判員制度の導入をにらめば、法廷で、オープンな場で話をする、供述があるということで真実はもちろん解明されるべきはずだと私は思うんですが、まずその点いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 法廷で証人になっていただく方には真実を話していただくということが大切だというふうには思っております。したがって、ただ、法廷で真実を話される人もありますし、そうでない場合もまああるというふうには思います。
○仁比聡平君 今おっしゃられるとおりでございまして、それだけに、今の刑事訴訟の当事者主義の下で、両当事者の尋問技術あるいは尋問の態度、あるいは裁判所の訴訟指揮も含めた、法廷がどういう真実を引き出す場になるのかということが大変大事なんではないかと思うんですよね。 裁判員制度の導入を前にして、裁判の迅速化が求められる中で、これは先ほど鹿児島の無罪判決の紹介をしましたけれども、仮に取調べ過程が録音、録画されていればということについては、最高裁としてはどう思われますか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 取調べ過程の録音、録画という問題でございますけれども、被疑者の自白ないし供述の任意性等が争点になりましたときに、まずこれは、立証をするのは第一義的には立証責任を負う検察官の責任だということでございますので、どのような立証を行うかということについては検察官において判断すべき事柄であるというふうに考えております。
○仁比聡平君 何か慎重な物言いでよく分からないという感じがするんですけれども。 ちょっと私が心配をしますのは、一つは、裁判員制度の導入を前にして裁判員に過重な負担をこれ掛けるわけにはいかないと、だから、事前によく整理をした上で集中審理をしなきゃいけないというお話がありますよね。ただ、一方で自白調書の任意性というのはこれはもう重大な問題なわけで、あるいは信用性もそうですが、この供述証拠の吟味をどうするのかということを、仮に裁判員に負担が掛かるからといっておろそかにすることは絶対にできないということになりますでしょう。その下で迅速化を図っていくというためには、裁判所としてはどういうことが必要だと思っていらっしゃるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 立証責任を負うのが検察官でございますので、先ほど申し上げましたとおり、第一義的には検察官の判断すべき事柄だと考えておりますけれども、委員御指摘の点につきましては、刑事訴訟規則百九十八条の四におきまして、検察官は、被告人又は被告人以外の者の供述に関し、その取調べ状況を立証しようとするときは、できる限り、取調べの状況を記録した書面その他の取調べ状況に関する資料を用いるなどして迅速かつ的確な立証に努めなければならないと規定されているところでございまして、検察庁においても、この規定の趣旨をも踏まえて、迅速かつ的確な立証の在り方について検討されておられるのではないかと考えております。
○委員長(山下栄一君) 時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
○仁比聡平君 ということで、時間が過ぎてしまいました、改めてまた機会があれば議論をさせてもらいたいと思うんですけれども。 先ほど冒頭申し上げたように、国際的な流れとしてはもう取調べ過程の可視化というのは当然なんですよね。今度批准するのも、ICC条約だってそうなわけで、これはもう本当に真剣に、そして早急に検討をして、検察庁は試行を始めていらっしゃるわけですが、この取調べ過程の可視化、是非実現をしたいということを改めて申し上げ、大臣にもお願いを申し上げて、質問を終わります。
○委員長(山下栄一君) 以上をもちまして、平成十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び執行官法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 両案について政府から趣旨説明を聴取いたします。長勢法務大臣。
○国務大臣(長勢甚遠君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び執行官法の一部を改正する法律案につきまして、一括してその趣旨を御説明いたします。 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、その内容は、民事訴訟事件及び刑事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るとともに、裁判員制度導入の態勢整備を図る等のため、判事の員数を四十人及び判事補の員数を三十五人増加しようとするものであります。 次に、執行官法の一部を改正する法律案は、国家公務員の退職後の年金制度に関する状況等を踏まえ、執行官の退職後の年金についての暫定措置を廃止しようとするものでありまして、改正の内容は次のとおりであります。 第一に、執行官の退職後の年金についての暫定措置である恩給の支給を廃止することとしております。 第二に、執行吏の身分についての経過措置、金銭の保管等についての暫定措置、臨時の職務の代行についての暫定措置等を廃止することとしております。 このほか、この法律の施行に伴う所要の経過措置について定めるとともに、関係法律について必要な規定の整備等を行うこととしております。 以上がこれらの法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(山下栄一君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終了いたしました。 両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十二分散会