法務委員会 第2号
- 発言数
- 229 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2007/03/15
会議録
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告をいたします。 昨日、仁比聡平君が委員を辞任され、その補欠として緒方靖夫君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に宮内庁長官官房審議官鈴木武君、公正取引委員会事務総局総括審議官舟橋和幸君、警察庁長官官房長安藤隆春君、警察庁刑事局長縄田修君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、総務大臣官房審議官門山泰明君、法務大臣官房司法法制部長菊池洋一君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長小津博司君、法務省矯正局長梶木壽君、法務省保護局長藤田昇三君、法務省入国管理局長稲見敏夫君、国税庁長官官房審議官荒井英夫君、厚生労働大臣官房審議官森山寛君、厚生労働大臣官房参事官上家和子さん、特許庁総務部長村田光司君、国土交通大臣官房審議官和泉洋人君及び国土交通省土地・水資源局次長日尾野興一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下栄一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○岡田広君 自由民主党の岡田広です。 初めに、先月の二十七日、最高裁判所は国歌斉唱に際してピアノ伴奏を行うことを内容とする小学校長の職務命令については、思想及び良心の自由を侵すものではなく、憲法十九条に違反しないとの判決を下しました。 他方で、これは昨年九月の東京地方裁判所の判決でありましたが、都立高校の入学式等において通達に基づく学校長の職務命令によって国旗に向かって起立し、国歌斉唱を強制することは思想及び良心の自由を侵害するとの判決が下されています。 思想、良心の自由は憲法で保障された基本的人権の一つです。一方で、公務員の人権に一定の制約を課した地方公務員法があります。この制約がどこまでなのかということが訴訟で争われているということだろうと思うわけであります。 私自身、日の丸・君が代については我が国の国旗・国歌として尊重し、同様に他国の国歌・国旗も尊重すべきであると思うわけであります。昨年、教育基本法がいろんな議論の末、成立をしましたけれども、その中で質問に立たしていただいたときに、日本青年研究所が行った日米高校生比較というのを一つ取り上げました。 日本の高校生は、君が代、そして国歌が、揚がるときには起立する高校生二五%、約四分の一ということです。しかし、アメリカの高校生は星条旗が流れるときに起立して歌を歌う、九七%という大変びっくりした数字が出ていました。そしてまた、外国のほかの国々の国旗が揚がり、国歌が流れるときには、日本の高校生は一八%しか起立をしない。アメリカは約九三%という。 こういうことも考えると、正にスポーツ大会ではそうでありますが、サッカーとかボクシングとか世界大会のときにはそれぞれの国旗・国歌が流れるわけであります。起立して注視をいたします。これがやっぱり自分の国を愛する、そして世界の平和につながるという一つの考え方なんだろうと、私はそう思うわけでありますけども、質問に先立ちまして、長勢甚遠法務大臣の政治家としてのこの日の丸・君が代に対する御所見を、所感をお伺いをさせていただきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) この日本に住んでおる私として、また日本人として皆さんと一緒に生活をしておる私として日の丸・君が代は非常に自然なものとして感じておりますし、それに接するたびに国民としての意識が新たにし、厳粛な気持ちになっております。 私どもこれから、今はたくさんの外国の方々も日本にお見えになるようになりましたし、またそれをめぐるいろんな問題も惹起をしておるわけでございますが、何よりも日本の国はこういうものであるということをしっかり築いていくことがこういう問題に対処する上で大事な観点ではないかと、このように思っております。
○岡田広君 ありがとうございました。 それでは、質問に移らしていただきたいと思います。 今般の司法制度改革の三本柱の一つであります日本司法支援センターは、昨年の十月より業務を開始し、約五か月がたとうとしております。この司法支援センターは、すべての国民が司法による救済を受けることができるように、司法に対するアクセス障害を取り除くことを目的に、情報提供業務、司法過疎対策業務等多様な業務を行っているわけであります。この支援センターの運営に当たっては、単なるお役所仕事にとどまっていてはならず、常に国民の目線に立ち、利用者のニーズに的確にこたえる業務を行っていかなければならないことは論をまたないところであります。 日本司法支援センター、愛称法テラスということで、理事長は金平輝子さんという方でありますけども、正にこの法テラスという、通称法テラス、愛称法テラスということをパンフレットで読ませていただきましたが、法で社会を照らす、日当たりの良いテラスのように安心できる場所という思いを込めて名付けられたということであります。名は体を表すという言葉がありますが、正に理事長さんのお名前も光輝くという感じであります。そして、夢とロマンを持った歴史的な法テラス事業をつくっていきたいということを述べておられるわけであります。 考えてみますと、今朝起きたときには太陽の光、雨でありませんでした。雨のとき私たちが思うときには、太陽の光が恋しいと思います。考えてみれば、太陽は六千度Cという温度で自分を燃やしながら地球に光や熱エネルギーを与えてくれています。雨が降る、風が吹く、雪が降る、海に潮流現象が起きる、地球上の自然現象はすべて太陽によって引き起こされている。そういうことから考えると、私たちは、生きているということよりも、太陽の恩恵によって、恵みによって生かされているということが適当なんではないかなと、そう思うわけであります。私たちは日々生活し、仕事をしている中で、それぞれ家庭の太陽に、地域の太陽になる。正に今回の司法支援センターは国民のために法務の太陽になるということがとても大事なことであろうと、そう思うわけであります。 この点に対する当局の認識と、この司法支援センターが利用者の声を聴きながら、そしてその声を業務に生かそうという姿勢をもって業務に当たられているんだろうと思いますが、これは確認の意味で法務当局にお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(菊池洋一君) 日本司法支援センターが利用者のニーズに的確にこたえる業務を行うということが重要であるということは、委員御指摘のとおりでございます。 司法支援センターも同様の認識を持っているとお聞きをしておりまして、具体的には、各地で関係団体と協議会を開催して利用者の声を聴くとか、利用した方にアンケート調査を実施するとか、あるいは本部の総務部内にサービス推進室というセクションを設けまして、利用者からの御意見や苦情を集約、分析するなどして業務に生かす努力をしているというふうにお聞きをいたしております。
○岡田広君 この司法支援センター、法テラスがやはり地域に根差していくためには、地方公共団体や地方のいろいろ関連団体との連携が必要だろうと思うんですが、そういう組織については今どうなっているんでしょうか。
○政府参考人(菊池洋一君) 法テラスは全国で五十か所の地方事務所がございます。各地それぞれ実情がやや異なる面もあろうかと思いますので、各地方事務所ではそれぞれ地元の関係団体、それからもちろん地方公共団体も含めまして、地方協議会というものを実施いたしております。その中で、関係機関との連携協力関係を強めるとか、あるいは先ほど申し上げました利用者サイドの声をお聴きするといったような取組を続けているということでございます。
○岡田広君 是非、法務というとどうも国民からなじみが薄いということで、今までのいろんな行政の展開、法務行政展開の中でもなかなか地方公共団体の連携が、私は地方の経験もありますんで、法務の関係あるいは裁判所の関係の方、まず役所にいろんなことの説明するということはまずない。ですから、これしっかりとやっぱり地方に根差す組織として、この五十か所の事務所も生かしながら、これを広げていただきたいというふうに考えているところであります。 次に、司法支援センターの常勤弁護士についてお尋ねをしたいと思います。 この利用者のニーズを把握をするということは大変重要でありますけれども、そのニーズにこたえるためには司法支援センターがそれを行えるに足る体制を整えなければならないわけであります。この司法支援センターが行う民事法律扶助業務あるいは国選弁護そして弁護士や司法書士が極めて少ない司法過疎対策という国民に役立つ業務をきちんと行っていくには、支援センターが多数の優秀な常勤弁護士を確保していかなければならないわけであります。現在まで二十四名の常勤弁護士が確保できているということを伺っておりますが、今後より多くの常勤弁護士を確保し、利用者のニーズを反映させながら、この司法支援センターの業務を確実に行っていくべきであると考えるものでありますけれども、この点についても法務当局のお考えをお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(菊池洋一君) 司法支援センターが御指摘の国選弁護関連業務あるいは司法過疎対策業務などを実施する上で、優秀な常勤弁護士を十分に確保するということは私どもも極めて重要なことであるというふうに考えております。その中でも特に国選弁護関連業務につきましては、平成二十一年から裁判員裁判が開始されますし、また被疑者国選弁護の対象事件も拡大されますので、これらに対応するためには常勤弁護士の十分な確保ということが重要であるというふうに認識をしております。 現在、常勤弁護士の数は御指摘のとおり二十四名でございますが、そのほかに国選弁護関係だけでも契約弁護士として一万人を超える数を確保しておりますので、当面の業務に支障はないものと考えておりますが、いずれにいたしましても、常勤弁護士の確保というのは重要なことでございまして、日本司法支援センターにおきましては、日弁連の御協力もいただきながら、常勤弁護士の更なる確保に向けて努力をしているというふうにお聞きをしております。私どもでもそういった取組に協力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○岡田広君 ありがとうございました。是非積極的な取組をお願いをしたいと思っております。 次に、タウンミーティングと裁判員制度広報等についてお尋ねをしたいと思います。 昨年、司法制度改革タウンミーティングにおいて、法務省の職員が発言を依頼していたことが明らかとなりました。当時、制度の周知が不十分であったという事情や効果的な広報啓発に対する苦労があったものと思われますが、結果として国民の信頼を損ねる事態となったことは非常に残念であります。 タウンミーティング全体につきましては、政府として国民の信頼を回復する見地から、今後の在り方に関する検討が進められているというふうに伺っておりますが、裁判員制度の導入まで二年余りとなっており、法務省といたしましても制度に対する国民の理解を深め、その参加意欲を高めるために早急かつ効果的な取組が求められていると考えるものであります。今後の取組に関する法務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) まず、司法制度改革タウンミーティングにつきましては、今御指摘のような事情があったわけでございますけれども、結果として国民に十分な意見を聴く機会は与えられなかったのではないかといったような疑念を持たれたということは誠に遺憾なことであったと思います。 裁判員制度の実施もあと二年余に迫りましたので、何としてでも国民の皆さんの御理解をいただいて、御参加をいただいて実施をしていくことがその機能を発揮するゆえんのものでございますので、今後ともそのための努力をしていかなければならないと考えております。 幸い、制度が始まるということは八、九割の方々が御認識をいただいておるという状況になりましたけれども、裁判員として参加をするかということになりますとなお消極的な状況にありますので、国民の皆さんに参加をいただけるように、広報の在り方等についても工夫を凝らして活動を強化をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○岡田広君 法務省や裁判所は非常に頑張って広報活動をやっていると思うわけでありますけれども、本年二月一日に発表されました内閣府の特別世論調査の結果によれば、制度の周知が進んでいる一方、広報活動の効果がいまだ全国津々浦々まで行き渡っているとは言えない状況にあると思います。そこで、今後はこれまで以上に、各地の裁判所や検察庁の職員が自ら地域住民の元に足を運んで説明会を行うなど、説明を行うなど足を使っての広報活動を積極的に展開することが国民の制度に対する理解を深めることにつながると思うわけであります。 この世論調査の結果は、これ細かく話すと長くなりますからお話ししませんけれども、大変私はこの世論調査、全国二十歳以上の者三千人に対してやりまして、回収結果は千七百九十五ということで五九・八%。四割は回答していないということは、関心があるのかないのか、この人たちはこの裁判員制度に対して認知しているのかどうかというのは全く分からないわけでありますけれども、この中でこの回収結果の約六割の人たちの認知度等があるわけであります。しかし、余り参加したくないが義務であるなら参加せざるを得ないとか、義務であっても参加しないとか、これは前年度の、十七年度の十二月の前回調査から考えてもこの数字は七八%で上がっている。これなかなか、これは義務であるなら参加せざるを得ないというところは単純比較はできないんだろうと思いますけれども、こういう点も含めまして、法務大臣がどのように考えておられるのかお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 調査結果はお話しのとおりでございまして、認知度は八割になっておるというものの、参加意識については、まあ見方もありますかもしれませんが、低調であると言わざるを得ないと思います。 あるいは今先生からも自ら足を運んで説明会を開く等すればいいんではないのかという御指摘もございました。今検察庁また裁判所において精力的にこの広報活動を全国的に展開をしておるわけでございまして、その中で、検事正始め多くの職員が学校や地域の集まりに説明に出掛けるという草の根的な広報活動というものも、七千回を超える説明会も開催をしておるところでございます。 しかし、なお低調であることは先ほど申し上げましたとおりでございます。いろんなことがあると思いますが、当初は、私もこの制度設計に当たった一人でございますが、忙しいから行きたくないというような声も多々聞いたわけですけれども、昨今はそのことよりもむしろイメージとしてアメリカの陪審制度のイメージが大変強いと、それに対する嫌悪感が非常に違和感が国民の方に大変根強いような気がいたします。今回の日本の裁判員制度はアメリカの陪審制度とは違うということがほとんど理解をされていない。もう一つは、大変この裁判員制度になるということは、非常に難しいことをやるということというイメージが強い、そしてまた大変に責任が極端に重いというふうに思っておられる方が多い、そのことが参加したくないなということになっておるのではないかというふうに考えております。 今までシンポジウム等々の一種のイベント的なやり方をやってきましたけれども、こういうことが果たしてどれほどの参加意識を高める上で効果があるのかということも少し見直しをしなきゃならぬのではないかと思いますし、また、国民の皆さんに対する説明も、どういいますか、裁判員になることの大変な意義を強調したり、あるいは大変難しいものである、あるいは大変なことである、あるいは大変責任が重いものであるということを強調して、まあそれはそのとおりなんですけれども、そのことがかえって腰が引けるという雰囲気を醸しているということも否めないんではないかということを反省しながら、今当面、あと二年後に迫りましたので、早急に考えなきゃならぬことは、裁判員に指名されたときに参加をするという気持ちになってもらうにはどうしたらいいかということに重点を置いた広報というものを考えていかなければならないのではないかと、そういう方法を今検討させておるところでございます。
○岡田広君 種々いろいろ努力をされていることを大変御苦労に思いますけれども、正に大臣答弁なされたように、足で稼ぐというのはとても大事なことであって、大体足というのは、警察関係では足が付くとか足下から崩れるとか、これは余りいい言葉じゃないんですけれども、正にこれを足掛かりとして、長勢法務大臣の足跡をつくっていくという、選挙もまあ足で稼ぐということがありますから、非常に足が大事だということを申し上げたいと思います。 次に、裁判員制度の実施迫っているわけでありますけれども、裁判員制度の対象事件というのは重大犯罪でありますから、裁判員が死刑を含む重い刑を科す判決に関与することにもなるわけであります。一般の国民の方々に重い刑を科す判断が適正にできるかという疑問を持っている国民も多数いるだろうと思うわけであります。この点に関する法務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 一般の方々に裁判員になっていただいた場合には、死刑を含む重い刑を科す量刑の判断をしていただくことになります。これは当然、大変責任の重いお仕事であることは言うまでもないわけでございます。 ただ、大変に重い重いと、そういう重い責任は負いたくないということを余り強調しておることもいかがかと思うわけでございます。もちろん重いことは当然でございますけれども、裁判員になった方お一人お一人が責任を全部負うという話ではありませんし、御案内のように量刑の判断は裁判官三人そして裁判員六人の合議体、多数決でまず議論をした上で行うわけでございますから、当然このお一人お一人が一人で全部を負うというようなものではないということも十分御理解いただかなきゃなりませんし、またその過程におきましては、いろいろ専門のプロの裁判官等から従来の法律解釈あるいはいろんな経過等々についての御説明があり、また公判の段階で検事、弁護士さんからるるお話があるわけでございますから、それを踏まえて通常の常識で判断をしていただくということが裁判員になっていただくゆえんのものでございます。 そのことをよく理解してもらわなきゃならないなと思いますし、また三審制でありますから、日本の裁判は。意外と知られていないのは、裁判員制度裁判は地方裁判所の裁判だけで行われるのであって、高裁、最高裁の裁判には裁判員は参加はしないという仕組みになっておりますので、そのことも踏まえて裁判員の方の責任というものをよく御理解いただくということが必要なことかなというふうに思っております。
○岡田広君 ありがとうございました。三審制度というお話もありましたけれども、やっぱり国民に分かりやすく広報をしていくということ、とても私は大事なんだと思います。 先ほども世論調査のデータ、少し話をしましたけれども、約四割の人たちは無回答という、この人たちどうするのかというのも非常に難しいところでありますけれども、余り参加したくないが義務であるなら参加せざるを得ないというのを、これを抜いても、百歩譲っても、義務であっても参加しないという人が三人に一人はまだいるという、この数字というのをしっかりと把握してこれ考えていかなきゃならないんだろうと思うんです。更に広報に努めていただきたいというふうに思うわけであります。 一方で、この裁判員制度については、最高裁においても、平成十七年、十八年の両年度に十三億余りという多額の広報予算等を計上しているわけでありますけれども、両年度で合計三億五千万円の余剰が発生し、その使途が不明朗ではないかという報道もされたわけであります。 この裁判員制度広報の必要性、重要性は、もちろんしなければならないわけでありますけれども、最高裁というところの予算執行の在り方について、国民の方々にいささかでも疑問を持たれるようなことがあるということはいけないわけでありまして、この先、裁判員制度について広く国民の理解を得るという広報効果を上げていくことは期待できないんじゃないか。もう今政治不信、行政不信、国民の中に渦巻いている中で、最高裁もかというような考え方を国民がマスコミの報道によって持ったということはあるんだろうと思うわけであります。 この点に関する事実関係と、それに対する最高裁当局の考え方、さらには、平成十九年度にはこの分は補正をされたということでありますけれども、前年度を上回る約十四億円の裁判員制度広報予算を計上しているわけでありますから、この予算の根拠等についても最高裁当局にお尋ねをしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、裁判所の裁判員制度広報予算につきましては、平成十七年に約二億、平成十八年度には約一億五千万、合計三億五千万円の執行差額が出ております。このような執行差額が出た場合には、一般的に申しますと、庁費などの予算の科目ごとにまとめられた上で、同じ予算科目からの支出が可能なほかの案件の執行に充てたり、補正予算の際に修正の減額を行うなどの処理がされております。裁判員制度の広報の執行の差額につきましても、これと同様の処理がされております。このような扱いにつきましては、財政法上も問題がなく、また決済におきまして予算科目ごとにその支出等が明らかにされているところでございまして、裁判所といたしましては、予算の使途が不明朗ということは全くないと考えております。 また、お尋ねの裁判員制度広報予算の今後の展開ということでございますが、最高裁といたしましても、執行実績を可能な限り反映させた適正な予算要求に努めておりまして、十九年度予算もそのような考えに立っております。 具体的に申し上げますと、執行差額ができた部分については減額する一方、裁判員制度の施行が近づくにつれて徐々にその広報を発展充実させていく必要があるという観点から、例えば十九年では、模擬裁判のビデオなど、各地の広報におきまして具体的なイメージを持っていただける取組に充てる新たな企画を盛り込んだ要求を行っております。 以上でございます。
○岡田広君 ありがとうございました。よく分かりました。 これは予算ですから、執行するとなるとこれは違う、もちろん財政法上問題ないということですけれども。しかし、マスコミにこういうのを報道されるとね、やっぱり最高裁当局の説明がしっかりとしていないんじゃないですか。今の説明聞いたら一目瞭然と私は分かるような気がするんですけれども、そういう説明に対してどう対応したのか、お尋ねしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 私どもも、今委員に御説明申し上げました説明をこれまで繰り返し国会あるいはマスコミ等にもしてまいりました。ただ、その予算のその目の中での運用というものが財政法上許されない流用というものに当たるのではないかというような、一部誤解を持っている記者の方もおられまして、この点かなり詳しく説明したわけでありますが、私どもの説明がもう少し丁寧、丁寧といいますか、かみ砕いてやった方がよかったのかもしれません。 私ども、広報ということについて、これまで余り慣れていないところもありましたが、こういう一事についてももっとよく考えて対応してまいりたいと思います。 御指摘ありがとうございました。
○岡田広君 是非、やっぱり最高裁という、もう国民が最も信頼、法的に信頼している場所でありますから、これはしっかりとマスコミ対応して、この裁判員制度もやっぱり国民に広く周知をするということが大事なことであります。 そこで、是非、これからあと二年あるんですかね、裁判員制度がスタートするまで。更にいろんな観点から総合的に検討して国民に周知をする、これが最大のことです。 仕事の「かきくけこ」ってありますけれども、「か」は考えること、記録をする。人間は十の考えが浮かんでも、十を全部頭で覚えることなかなかできません。忘れるという漢字は亡という字に心と書きます。覚えているけど思い出せないという言葉の持つ意味だと思いますけれども、記録をして、そして、あと二年しかない、どれをやるか、優先順位を付けてやるんだろうと思います。工夫をするんだと思います。そして、計画して行動する、仕事の「かきくけこ」って私言っていますけれども、正に二十一世紀はこの工夫が大事な時代。なかなか財政も厳しい中で、いかに工夫をして国民に周知をさせるかというのが一番大事なんだと思います。 そのためにはネットワークをつくっていく。先ほど質問申し上げましたように、地方公共団体からいろんな関連団体。法務当局や裁判所だけがどんなに動いたってなかなか地域に広がらない。そういう意味では、いろんな組織を使うということもとても大事で、ネットワークをいかに広げていくかということが私は大事なんだろうと、そう思うわけであります。 縁という漢字は左がいとへんです。縁があって出会って、いろんな話をして絆が深まる。左側いとへん、一緒になる緒。結納の結も納もそうですけど、法務当局の組織の組も織もみんな左側は糸なんです。点を線にする、線を網にするとか。正に経営という言葉も、経営の経は左側はいとへんですけれども、経営という言葉を仏教辞典で引いてみますと、目標を定めてそれに向かって精進することと、一つ意味が書かれています。正に糸を結んでいく。ばらばらの玉も一本の糸で結ばれれば立派な数珠になります。糸が切れたら数珠になりません。 だから、いろいろ、考え方は人間十人十色です。しかし、目的が決まったら、その目的に向かって一本の縦糸で結ばれるというのがいかに大事かということです。そのためには、いろんな手段、いろんな場所、いろんな組織を通じて話をしていくというのがいかに大事かと思います。 三つの「わ」というのがあります。会話とか対話、談話の「わ」、話という漢字。話をするから、この裁判員制度も組織の輪が広がる。三輪車の輪という漢字です。話をするから和やかになる、平和の和という漢字です。私たちの最初の憲法は聖徳太子十七箇条、第一条は和をもって貴しとなすということです。食べ物にも和え物ってあります。ワカメやネギやウドや海の幸、山の幸が、みそや酢や調味料によって混ぜ合わせることによってもっといい味を出すのが和え物という食べ物のはずです。平和の和という字です。和がいかに大事かという、私はそういうことだろうと、そう思っています。 和の色は何色だと言われたら、私は紫と言うことにしているんです。交差点の信号機は赤と青と黄色、この三つの色を混ぜ合わせると紫という色になります。紫という漢字は比較の比のような字を書いて、下は糸なんです。合わさると糸になるということです。だから、この糸をいかに結んでいくかということで、是非この裁判員制度、国民に不安を与えないように広報、PRに、周知に努力をしていただきたいと思うわけであります。 次に、誤認逮捕、無罪事件についてお尋ねしたいと思います。 このところ、刑事司法の領域で誤認逮捕、そして誤認起訴の事案が幾つか報道をされております。我が国の治安悪化が叫ばれて久しいわけでありますけれども、このような誤認逮捕、誤認起訴がありますと、国民の刑事司法に対する信頼を揺るがすという、治安対策上もゆゆしい問題であると思うわけであります。 法務省、検察当局においても、今回報道された幾つかの誤認逮捕、誤認起訴事実を踏まえ、既に反省すべきは反省し、再発防止に努めておられるものと思います。 富山県で起きた事件であります。平成十四年に強姦罪等で起訴され有罪判決を受けた方について、実は真犯人でなかったことが判明して、再審請求をしたということであります。あるいは二月二十三日、鹿児島地方裁判所は、鹿児島県志布志市市内における公職選挙法違反事件について、被告人十二人全員に対して無罪判決を言い渡したと報道されております。 私は、この最大の問題は、長期間十二人を被告人の立場に置いたということにあると思います。これに対しては、鹿児島県警は刑事部長が会見をされまして、この本部長が同日、捜査を指揮した担当官を呼んで口頭注意をしたことを明らかにされました。 これの調べの中では、いろいろありましたけれども、親族の名を書いた紙を踏まされた踏み絵訴訟とか、これは一月の地裁判決が、取調べ手法が常軌を逸し公権力をかさに着て侮辱するものと県に六十万円の賠償を命じたということであります。こういう取調べが今も行われているのかと、大変私はびっくりをしたわけであります。 これについては、警察庁の長官が当時の本部長を呼んで文書で注意をしたそうです。本部長への注意、文書注意が異例だということでマスコミ報道をされました。警察庁長官が自ら本部長に対して行うのは前例がないということです。で、三月八日、全国の本部長に通達を出したということであります。 最高検も全国に、八高検と五十地検の次席検事に対して、自白などの供述証拠に安易に頼ることなく基本に忠実に検察権を行使するように指導する通知を出したということです。これも極めて異例なことで、裁判員制度を前に、もう一度足下から考えていかなきゃならないと思うわけであります。すべて異例異例。 その中で私は、これは後で、検察当局来ていると思いますが、お伺いをしたいと思いますが、鹿児島県警は刑事部長が記者会見をされたということであります。同日、その本部長はその日に捜査を指揮した担当官を二人呼んで口頭注意をしたということを刑事部長が記者会見で明らかにしているんですが、私、こんな大事なことを何で本部長が記者会見して、その細かい経過は刑事部長が記者会見したっていいと思うんですけれども、こういう点全く分からないんですけれども、いずれにしても、これらの事件を受けまして、法務省あるいは検察当局において今後どのように対処していこうとするのか、法務大臣にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今御指摘の事件、本当に申し訳ないことだと思っております。何よりも、検察は法と証拠に基づいて起訴をするという非常に責任の重い大事な役割を果たす職務でございますが、そのためには国民の信頼が何よりも大事でございますので、今回の事件を反省をして、また検証して、こういうことのないように、国民の信頼をいただけるように全力を挙げて取り組むように今指示をいたしております。 両事件、それぞれ自白の信用性あるいは証拠の取り方について十分でなかった面があったということは極めて申し訳ないことでございまして、このことをそれぞれ最高検においても事実を十分に検証し、そして先ほど御指摘のありました通達をするとか、また今後とも、今後改めてあらゆる機会に各地方庁に対して指示をし、そしてまた検証をすると、研修をするということを今考えておられるというふうに伺っております。 いずれにしても、検察の信用を、信頼を確保していくように、これを機会に全力を挙げていきたいと思っております。
○岡田広君 是非この解明も全力を挙げて、今後こういうことが二度と起きないようにしっかりと監督指導をしてもらいたいと思うわけであります。 警察庁で来ていますよね。警察庁につきまして、この取調べに行き過ぎがなかったのか、あるいは先ほどの本部長が会見をしないとか、こういうことについてちょっと私分からないんですけれども、その点についてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(縄田修君) まず、取調べの関係についてお尋ねでございます。 富山事件の関係につきましては、正にこの男性御本人、当事者を含めまして、調べ官等関係者からいろいろ事情を聞いてまいりました。そういった結果、暴行、脅迫とか、そういった任意性に疑念を抱かれるような方法による取調べはなかったものと考えておりますけれども、本件では裏付け捜査が極めて不十分でありまして、本来そうした捜査を尽くした上で供述の信用性を十分吟味をしていけば、真相解明図れたんではないかなといったところもございます。 そういった点が大きな反省点でございましたし、鹿児島の志布志の事件につきましては、判決文の中で取調べは相当に厳しいものであったと、取調べ官に迎合したんではないかと、こういう疑いを払拭できないとか、あるいは長期間の調べ、あるいは執拗に追及された、あるいは誘導の事実がそのまま受け入れられたと見る余地が多分にあるなどと指摘をされておるところでございます。 私どもは、こういった判決の内容、あるいは富山の事件とその結果も受けながら、先ほど委員の方からもお話がございましたけれども、通達を発出して一線に知らしめるとともに、様々な会議を通じながらこういった事例を基に検討を加え、再発防止といいますか、このようなことが二度と起こらないように対応をしておるところでございます。 それから、本部長が会見すべきではないかという点についてでございますけれども、記者会見においてどのような形で対応するかというのは特に基準があるものではございませんし、各都道府県のいろいろな記者クラブとか周辺の状況の中で判断をされていることではございます。 本件におきましては、まず記者会見の場で鹿児島県の警察本部長のコメントが読み上げられまして、刑事部長が記者に対して説明を行ったものでございます。刑事部長が行いましたのはどういうことかと申しますと、やはり刑事部長というのが刑事警察の最高責任者であるということ、それから事案の、会見の性格からして、捜査にわたる実務的なもの等につきましても御質問なされることということが予想されておりました。そういった役割、刑事部長が果たすのが最適任であろうということで、鹿児島県警察において判断したものと承知をいたしております。 本部長におきましては、記者会見が行われた日、本部長はどちらかというと議会の方で、県議会の総務警察委員会において本件の捜査経過や判決内容、あるいは反省・教訓事項等々、あるいはどういう対応を取っていくのかということにつきまして、県警察を代表して県民の代表である議員の方々に説明を行ったものと、こういうふうに承知をいたしております。
○岡田広君 分かりました。 私は、それは捜査やなんかのあれは刑事部長、しかしやっぱりこういう、もう先ほど申し上げたように異例異例と、しかも十二人ですよね、長期間被告人の立場に置いたという大変もう重要な私問題だと思うんです。それは、県議会が当日あったからそちらで答弁するって、県議会終わってから記者会見すれば、そんなことできるんじゃないですか。例えば、それは専門的に話をするのは刑事部長、しかしコメントじゃなくてそれは本部長がそこで記者側に対して自分の口でコメントする、そのぐらいの重要性を認識していかないといけないんじゃないかと思うんだが、そこにやっぱりちょっと考え方が違うのかなという。その点、もう一回。
○政府参考人(縄田修君) あくまでも県の判断ではございますけれども、本部長といたしましては、先ほども申し上げましたように、県議会で県民の代表である議員の皆さん方に対して、先ほどの事案の概要等について報告をするとともに、今後対処すべき事項につきまして物を言っておるといいますか、御説明を申し上げたところであります。 その後の刑事部長の会見というのは、やはりどういうことであるかという詳細につきまして刑事部長の方が適任であろうと、こういう判断であったというふうに承知をいたしております。
○岡田広君 済みません。また県議会という話が出ましたけれども、私も長のときにこういういろいろ重要問題について記者会見しましたけれども、議会は時間は待ってくれないと思います。記者会見は幾らでも時間は待ってくれる、変更はできるという、こういうやっぱり柔軟な考え方、やっぱり重要なことに関しては最高責任者も同席をするぐらいの、やっぱり責任と反省というのを持たないと、やっぱりこういうのはいつも二度と起こらないようにということでまた終わってしまうという、そういうことを指摘しておきたいと思います。 次に、民法第七百七十二条の関係についてお尋ねしたいと思います。 昨今、離婚後三百日以内に出生した子を前の夫の子とする民法第七百七十二条に関して、本来であれば離婚後三百日以降に出生するはずが早産により結果的に離婚後三百日以内に出生した子についても、前の夫の子と推定をされてその者の戸籍に入るという取扱いは不合理であるという指摘がされております。 これにつきましては、法務大臣におかれましても、国会での所信表明や質疑等において、これに対する取扱いなどを実態に合ったものとなるよう検討を進めていく旨を表明をされております。また、国会質疑や記者会見においても、実態調査を法務当局に指示されている旨を表明されているわけでありますけれども、これについて法務大臣に改めてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 民法七百七十二条、いわゆる嫡出推定に関して決めておるわけでございますが、法律上の父子関係をどのように設定をするかという身分法上の根幹を成す制度だと思っております。そして、この条文におきまして、父子関係の早期確定と家庭の平和の尊重を図ったこの規定自体は合理性のあるものだというふうに思っております。 ではありますけれども、いわゆる三百日、離婚後三百日以内に生まれた方の嫡出推定をめぐっては、それを覆すためには裁判その他の相当面倒な負担が掛かるという仕組みになっておりますので、事情によってはそういうことをしなくてもいいのではないかという強い御要請があることは十分承知をいたしております。 いろんなケースがあるとは思うわけでございますが、七百七十二条の持っておる趣旨というものは維持をしながら、その中でどういうことが考えられるかということは検討する必要があるだろうと私としては思っておるわけでございまして、今どういう実態にあるか、あるいはどういうケースがあるかというようなことを裁判所、家庭裁判所あるいは関係者の方々等々から事情を聴くなりいたしておりまして、それを踏まえてどういうことが考えられるかということを今検討しておりますが、全体の体系を変えるということになればそれなりの時日を要することになるんじゃないかと思いますが、当面考えられることがあるかどうかについては、できる限り早く結論が見いだせればいいなというふうに今考えておる段階でございます。
○岡田広君 ありがとうございました。 法務省はこれについて戸籍窓口での弾力的運用で対応ができないかどうかという、こういうことも検討しているということも承っておりますけれども、長勢大臣は九日の記者会見で、早急に方策を講じるにもそこまで行くのには少し時間が掛かると述べております。 各党でこれはプロジェクトチーム等を立ち上げまして、議員立法などによる制度改正の検討に入っているわけでありますけれども、これについて大臣のお考え方としてこの検討を、現実今起きている問題解決に対応できるかどうかというのが重要なことでありますので、いつごろをめどにこれは検討を終了されるのか、もしお分かりになったらこの決意をお願いします。
○国務大臣(長勢甚遠君) 各党でいろいろ御議論をされ始めておられるというようなお話は伺っておるわけでございまして、それは大変重要なことだと思っております。 しかし、この七百七十二条そのものをどうするかというようなことまで含めますと、民法の体系にかかわることでありますから、十分な検討は必要だろうと思いますが、同時にまた、当面起きているいろんな問題の中で何らかの解決ができる方法があるかどうかという検討は、できるだけ早く方向付けができればいいなということで今検討させておるところでございます。
○岡田広君 現実に今起きている問題でありますので、できるだけ早く検討をお願いをしたいと思っているところであります。 次に、再犯防止に向けた更生保護の在り方についてお尋ねをしたいと思います。 この更生保護制度の担い手である保護司に対する実費弁償金等について新年度予算で手当てがされていると思うんですが、これについてはどのような手当てになっているのか、まず法務当局にお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 保護司さんは、無給のボランティアとして日夜、保護観察等の困難な業務に従事していただいておるところでございます。そこで、平成十九年度の予算案におきましては、保護司活動を支援し、その充実を図るために、実費弁償金につきまして対前年度で約六億五千万円増の五十九億二千万円を計上させていただいております。 その主な内容でございますけれども、一点目は、保護観察事件などを担当していただきますと補導費や環境調整費を支給いたします。そのそれぞれの単価の引上げを含めております。二点目は、保護司会の組織活動というものを、会の活動を充実するということのために保護司会活動援助費というものを新設しております。三点目は、保護司さんは学校や地域と連携をした安全・安心活動をしていただいておるわけでございますけれども、これの充実強化を図るために、各保護区に学校連携担当保護司を置くための経費を計上させていただいております。これが保護司活動実費弁償金でございますけれども、このほかにも、保護司の表彰経費などといたしまして、これは前年度と同額ですが、約一千万円を計上いたしております。 今後ともそれらの充実に努めたいと考えております。
○岡田広君 この保護司に対する実費弁償金等においては、もう大臣の努力によりまして増額予算を組んでいただいているわけであります。 この更生保護制度を充実強化するためには、定員、今充足されていない、定員多分五万二千人かと思う、四万八千ぐらいだと思いますけれども、この充足されていない保護司の数を増やしていくことも大事であり、ちょうど団塊の世代が退職を迎える今がまたとない機会であると思うわけでありますが、この保護司の充足率を向上させるための方策について、これは法務副大臣にお尋ねをしたいと思います。
○副大臣(水野賢一君) 先生御指摘のとおり、保護司の実人員というのは、今年の一月一日現在で四万八千五百六十四人でありまして、充足率でいいますと九二・五%になっております。 更生保護制度を充実強化するためにはこの充足率を高めることが重要でございますし、この保護司の候補者というのは、これまでは退任する保護司の方とか保護司会の幹部である保護司が自分たちの人間関係を利用しながらその後任者を選ぶ、適任者を選んでいくというのが一般的な方法でしたけれども、人間関係の希薄化などからこうした方法だけでは適任者の確保が難しいということで、一昨年から法務省と全国保護司連盟が連携して保護司候補者内申委員会モデル地区事業というのを行っておりますけれども、これを拡大してまいりたいというふうに考えております。 この事業というのは、例えば町内会とか自治会関係者、民生・児童委員、少年補導員等、地域事情に詳しい方々に委員になっていただき、適任者を内申委員会に推薦していただくという方法によって保護司の候補者を幅広く確保していこうという試みでありますし、今御指摘がありましたように、定年退職を迎える団塊の世代の方々など幅広い分野から適任者を発掘できるようにしていきたい、またこの適任者確保のためには広報活動も重要でありますから、それにも力を入れていきたい、そんなふうに考えてございます。
○岡田広君 ありがとうございました。是非お願いします。 最後でありますけれども、不法残留者対策、もう時間がありませんから一括してお尋ねをしたいと思いますけれども、この不法滞在者半減するというこの目標を掲げて努力をされているわけでありますけれども、なかなかこの数字は上がっていません。残された期間の中でどのような方法でこの不法滞在者の一層の削減を図って半減を達成しようとしているのか、これについて最後、法務副大臣にお尋ねして、終わりたいと思います。
○副大臣(水野賢一君) 不法滞在者の問題というのは、これ、一つには摘発に力を入れていくということが極めて大切でありますし、また水際対策といいましょうか、そういう人たちを入国させないということ、両方とも大切だと思うんですが、そういうことで、不法滞在者に対しては、数でいいますと、平成十六年の一月一日時点で二十二万人いた、これは不法残留者ですけれども、これが今年の一月一日時点では十七万人にまでこの不法残留者が減少はしております。それに不法入国者を加え、これは推測値になりますけれども、これを加えますと、十六年の時点では二十五万人と推定されていた不法滞在者、これが二十万人にまで減少したと推計をしておりますが、こうした施策についてはますますもってこれを加速化していかなきゃいけない。 そのために、例えば、一つには収容施設の拡充を図る必要もありますし、これは成田空港では既にこうしたものをやっておりますけれども、さらに、大阪、名古屋などにおいてもこういうことをやっていかなきゃいけない、横浜でもやっていこうとしておりますし、摘発を担当する出張所なども平成十九年度には東京都内の東部地区でこういう出張所を設置するなどというようなことを考えておりますし、また、今年の秋に始まりますバイオメトリックスを利用した入国審査などの運用によってもしっかりとこうした水際対策もやっていきたい、そんなふうに考えております。
○岡田広君 ありがとうございました。
○簗瀬進君 民主党・新緑風会の簗瀬進でございます。 今日、実はADR認証制度が四月一日から開始をされるということで、ADRに関連をするそれぞれの士業を所管をしている役所が全部、一応スタート直前ということで来ていただきましたので大変多くなってしまいました。委員会室が若干混乱をすることをお許しいただければと思います。 ということで、多岐にわたる質問でございますので、端的にスピードアップしながらさせていただければと思っております。 まず、今、自民党の岡田委員の方からも質問がありました裁判員制度について聞かせていただければと思っております。 まず、法務大臣にお尋ねをしたいんですけれども、裁判員制度の主役である国民の理解が、急激にというわけではないけれども徐々に深まってきたなという認識は持っております。現状はどのようになっておるのか、大臣から御説明をいただければと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 去年の十二月十四日から二十四日の間で実施をいたしました内閣府による裁判員制度に関する特別世論調査によりますれば、裁判員制度の認知度、知っているというものは八〇・七%、前回から一割程度上昇いたしております。 一方、この裁判員制度における刑事裁判への参加意識というものを見ますと、参加したいというものが五・六%、参加してもいいというものが一五・二%、義務であるなら参加せざるを得ないというものが四四・五%、合わせて六五・二%。義務であっても参加したくないというものが三三・六%ということでありまして、ありていに言いますと、積極的に参加してもいいよと、するとおっしゃっている方が約二〇%、これは前回とそんなに変わっておりません。それから、まあ消極的といいますか、義務であれば参加せざるを得ないというのが四五%という次第でございまして、先ほど岡田委員からもお話がありましたが、義務であっても参加をしたくないというのが三三・六%というのが私としても気になる数字でございます。 刑事裁判に参加する場合に不安に感じる点というものが幾つか項目を挙げておりますが、多いのは、自分たちの判決で被告人の運命が決まるため責任を重く感じるというのが六四・五%、冷静に判断できるか自信がない、四四・五%、裁判の仕組みが分からない、四二%、裁判官の前で意見を発表することができるか自信がない、四〇%、被告人やその関係者の逆恨み等による身の安全性というものが三九%という状況でございます。 以上のように、相当どういうものが始まるのかということは御理解が進んできたかなという気がいたしますが、逆に、内容が分かれば分かるほどかえって参加意識が、腰が引けるという部分も起きているのではないかということが私の一番懸念しておるところでございます。
○簗瀬進君 今も同僚議員から声が出ましたけれども、内容が分かれば分かるほど不安が広がっているのではないのか、こういうふうな評価もできるような感じもいたしますし、それから、大臣御自身もお触れになられたように、義務だから仕方なくという方が四五%、義務であっても行きたくないという人まで含めると、かなり国民の腰が引けた状況というようなものが今も明らかになってくるのではないのかなと思っております。 そういう状況をどういうふうに考えたらいいのかということを、今日はしっかりと大臣ともまた議論をさせていただきたいと思っておりますし、どうも私はポイントがずれた広報をやられているんじゃないのかなと、そういう大変な懸念を持っております。 でありますから、正にポイントがずれた、魂のない広報というようなものをすればするほど国民が引いていってしまうと、こういうふうなことになると大変でありますし、お金も更に余計に使ってしまうという形になる。これは国費が非常な無駄遣いをされてしまうということになるわけでございまして、今日はその辺の、裁判員制度の根本の精神とは何か、あるいはそれに立脚した本当の意味で効果的な国民に対する広報というようなものはどういうところにあるのか、そんな議論をずっとさせていただければと思っておる次第でございます。 イントロの質問的になるんですけれども、裁判員制度についての啓発、それぞれ、法務省は三億二千六百万円、それから最高裁判所の方は十三億九千百万円と、こういうふうな、合わせると二十億円を超えるような大変な金額が今年の予算だけでも計上されております。 これ、実は二年前から使われておりますので、そうなってまいりますと、使ったお金だけでもう既に最高裁判所、法務省を合わせると、そうですね、もう四十億、五十億近い金額が既に出されております。今年もまた、今申し上げたように十七億円を超えるお金が使われると、こういう状況になっているわけです。 まず、三億二千六百万円の具体的な中身、内訳、これを大ざっぱで結構でございますから、詳細は必要ございませんので、大ざっぱな大くくりの説明を法務省からいただければと思います。
○政府参考人(小津博司君) 平成十九年度予算案における計上額は御指摘のとおり三億二千六百十九万九千円となっておりまして、中身を申しますと、説明会等の開催、交通広告の掲示、ポスター、パンフレットの作成、シンポジウム開催等の経費等でございまして、予算上の目別で申しますと、裁判員制度啓発推進の庁費として二億八千七百八十二万円、裁判員制度啓発推進職員旅費として三千七百四十九万三千円、裁判員制度啓発推進謝金として八十八万六千円となっております。 以上でございます。
○簗瀬進君 同じ質問、最高裁判所で大くくりの内訳を聞かせてください。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 平成十九年度予算におきます裁判所の裁判員制度広報経費、合計額は十三億九千百万円でございます。 大きく七つの項目がございます。一つは、新聞、雑誌、インターネット・バナー広告等の広告経費約六億九千四百万円でございます。二つ目に、広報用映画の経費七千百万円。三つ目に、裁判員制度の全国フォーラムの経費三億四千百万円。四番目に、裁判員のウエブサイト、メールマガジン等の経費五千三百万円。五つ目に、これは広告映画予告、映画の予告編、シネマアドバタイジングというものでございますが、これに五千三百万円。六番目に、広報用ツール等として、模擬裁判のビデオ、ブックレット、あるいは裁判員のアンケート等の経費として一億三千二百万円。七番目に、下級裁判所におきます説明会、出張公費等の経費に四千七百万円、こういったもので当初申し上げました合計額となっております。
○簗瀬進君 今、御説明、特に最高裁判所の御説明を私なりにそしゃくをいたしますと、新聞について、新聞関係等の広告、広報について六億と。それから、いわゆるタウンミーティングという名前は今お使いになっていらっしゃらないようでございますので、フォーラムという名前に変えていらっしゃるようでございますが、それについての費用が三億四千万と、こういうふうな形に聞かせていただきました。 実は、ちょっと質問には具体的には通告はないかもしれませんけれども、経理局長というお立場で小池さんにお尋ねをしたいのは、今まで最高裁判所でこんな大きな広報経費というようなものを使った経験というのは過去にあったんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 最高裁判所になってから、広報経費というのはせいぜい千万で包めるとか、そういうような単位でございまして、こういう多額のものを使ったことは恐らくないと承知しております。
○簗瀬進君 そういう意味では、大変慣れない広報という中で様々な問題が出てしまったのかなという感じもいたします。 ただ一方で、それはある意味で最高裁判所だけではなくて、現在の政府広報、これは法務省ももちろんやっておりますけれども、財務省やら国土交通省やら、すべての政府の省庁が広報をしているわけです。私は、そういう意味では慣れない中での様々なトラブルが出たということは、ある意味では他の省庁にとってみれば他山の石として、別の見方をすれば、これから質問をする内容というのは政府広報全体に対する質問だというふうな、そういうつながりを当然持っていくんではないのかなと私は意識をいたしておりますので、大変最高裁判所に対して厳しい指摘もあるかもしれません。 しかし、これはある意味では最高裁判所だけじゃなくて、今の政府広報全体に対するそういう質問にも共通した点を持っているというふうな、そういうことで御理解をいただきたい。最高裁判所以外に、法務大臣やらあるいは法務省の刑事局長さん等に質問を求めることもあるかもしれませんけれども、それはそういう趣旨でありますし、最高裁判所も、私は、やっぱり先ほど岡田委員の質問もありましたけれども、やっぱり国民の信頼を本当に持ってもらわなければならないところが広報という国民に最も近いところで大変なミスを犯すという形になると、一挙に司法の信頼自体が崩れてしまう、そういう気持ちを持ってどうかしっかりと国民の期待にこたえ直してほしいと、そういう趣旨での質問でございますので、多少きつい質問もお許しいただければなと、こういうふうに思っております。 ちょっと前置き長くなりましたけれども、今日資料を配らせていただきました。資料の一から四という形になっております。ちょっと詳細な資料でございますが、正に詳細なものを提示しないと広報の問題点、どうしても業者にお任せになってしまうという部分が伝わってこないので、このような質問になるということをお許しいただければと思っております。 この資料の一から四まではすべて最高裁判所から私ども民主党の法務部門会議が提供を受けたものでございます。若干の質問に先立っての資料説明をさせていただきますと、資料の一は、一番上に平成十七年九月二十八日という日付が付いているだろうと思いますけれども、これは、株式会社電通が最高裁判所に対してこの日付で提出をいたしました見積書でございます。大臣のお手元には渡っていますでしょうか、資料は。 それから資料二については、この平成十七年度の見積書に基づいて電通が仕事をした後の成果物に対する要求をしているといった請求書でございます。それから資料の三というのは、平成十八年度についての株式会社電通の最高裁判所に対する見積書でございます。それから資料四というのは、これは平成十八年度の法務省に対する株式会社電通の見積書でございます。 さて、これを見ながら、まず冒頭に質問をさせていただきたいと思いますが、先ほど予算の計上があったわけでございます。今年度のこの裁判員の広報についてはまたこのような電通との間の契約が前提になるんでしょうか。最高裁判所と法務省、それぞれお答えください。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 平成十九年度の予算につきましては、これから執行計画を立ててまいりますが、競争でできるものは競争、あるいは企画競争というようなことで、一つ一つまた検討をしてまいりたいと思っております。 今のところ、この業者にしたいというようなことを定めているわけではございません。
○政府参考人(小津博司君) 法務省におきましても、十九年度予算をいただきましたならば、それを実際どのようにやっていくか、もちろん業者にお願いする場合にはできる限り透明性の高い方法でその業者を選定していきたいという基本方針は持っておりますけれども、もちろん、具体的にどの業者ということが決まっているわけではございません。
○簗瀬進君 ちなみに、平成十七年度、十八年度、これ電通に決定したのはどういう手法によって電通と請負契約という形になるんでしょうか。これを締約なさったのかという質問でございます。同じように最高裁判所と法務省。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 質問の御趣旨はタウンミーティング、このフォーラムの件だと思いますが、これは十七年度、十八年度、いずれも企画競争に基づきまして業者を選定し、その業者と随意契約を締結したという形になっております。
○政府参考人(小津博司君) 法務省は十七年度には電通とは契約いたしておりません。各地でそれぞれのマスコミの方等とお話合いをさせていただいて契約をさせていただいたといういきさつでございます。十八年度につきましては企画競争を行いまして、何社かからのお申出があって、それを審査した結果として最終的に電通に決めさせていただいたと、こういういきさつでございます。
○簗瀬進君 企画競争による随意契約ということでございますが、じゃ、様々なところから企画、言うならプランを取った上で、それを見てこれがいいという形で電通さんに契約をしたという形でございますね。何社ぐらいのプランを見たんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 平成十七年度におきましては五社の応募がございました。平成十八年度におきましては二社の応募がございました。
○簗瀬進君 同じように法務省。
○政府参考人(小津博司君) 平成十八年度につきまして、三社から応募がございました。
○簗瀬進君 平成十八年度についての最高裁判所の二社と、それから平成十八年の法務省の三社、名前を出せますか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 申し訳ありません。十八年度の方ですが、電通ともう一つ、今ちょっとど忘れをいたしまして、ちょっと調べさせていただきます。
○政府参考人(小津博司君) 法務省の十八年度の企画競争に参加した企業名でございますが、株式会社電通、株式会社朝日広告社及び株式会社廣済堂の三社でございます。
○簗瀬進君 最高裁判所、そういうお答えですと、じゃ、最初の年の五社という名前はもちろん出ないと思いますけれども、聞かざるを得ませんね。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 失礼いたしました。 十八年度、もう一社は日テレビデオでございます。 それで、十七年度の方は、五社申し上げますと、電通のほか、時事通信社、廣告社、NTTアド、それから第一印刷所、以上五社でございます。
○簗瀬進君 企画競争の結果、随契をしたというお話でございますけれども、その評価のポイントというのは何点ぐらいあったんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) あっ、ちょっと失礼いたします。
○簗瀬進君 じゃ、法務省、先でいいですよ。
○政府参考人(小津博司君) 十八年度の業者を選定するに当たりまして審査を行ったわけでございますけれども、その審査の項目と申しますかポイントでございますが、シンポジウムの企画の内容といたしまして、開催の時期、開催場所、つまりこれは利便性、それから収容人員、それから出演者の人選、それから企画内容、親しみやすさでございますとか、開催都市の地域性が出るような工夫がなされているかなどでございます。 それから、シンポジウムの広報計画といたしまして、事前の広報の内容、それから実施結果の広報の内容、それからシンポジウムの実施体制といたしましては、検察庁と一緒にやりますので、検察庁との円滑な連携でございますとか受託者の過去の実績、このような点につきまして審査をさせていただいたということでございます。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) どうも失礼いたしました。 これは、公募に当たりまして招請書の中で明らかにしているわけでありますが、大きく言いますと四点ございます。 一つは、そのフォーラムに集まる参加者を集める方法という点でございます。二番目が、その企画の内容、テーマがふさわしいかとか、国民の皆様にどういう方法で伝えていくかということ。それから三番目が、業務委託の範囲でございます。どのような裁判所と円滑な連携をしていくかとか、受託者の業務能力という点でございます。四番目が、その企画、業務委託に関する経費、これは額というよりも適正かつ経済的に積算されているかという観点。以上四点でございます。
○簗瀬進君 企画競争という形でありますけれども、企画を比較対照するようなそういう建前にはなっておりますけれども、最終的には随意契約でありますから、言うならば、どっちがいいかどうかというふうなことの記録はしっかりと残っていない。もしかしたら、小池経理局長の頭だけにある話になるのかなということなんですけれども。私は、そういう意味では随契というのは、やっぱり基本的には企画競争をしたとしても結果としてはかなり不明確なものが残ってしまうなという感じがします。 それからもう一つ、御答弁の中で、様々な内容がありますんで簡単にしますけれども、二つに残っていながらもう一社の名前が抜け落ちると。これは一体どういうことなのかなと。正にそういう意味ではもう、最初決めた電通さんに決めていくんじゃないのという、そういう腹構えだから競争相手のもう一社の方については名前すら出ない。あるいは、その中身も検討しているようでいて、プランの本当の意味での比較対照、競争というようなものを審査するという、そういう気構えあるいはシステムが抜け落ちているんじゃないのかなというふうに思わざるを得ないんですけれども、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 私の答弁の不手際がそのような印象を与えたということになりますと、この問題に取り組んでいる者たちにそういう衝にある者としてわびなきゃいけないようなことでございますが、私がとっさに名前出てこなかったと申しますのは、これ以外にも映画とかいろいろの案件がございます。十八年度におきましても七つ八つのものがございますが、物によっては二十社以上の応募があるものもございました。そういったもので、まあ頭の中でどの社だったかというその名前が直ちに出てこなかったということでございます。 こういったものについて、担当の者は大変大きな金を扱うものでございますから、決して委員御指摘のように、そのもう一社の名前を忘れるとか、少なくともそのチームを組んでやっている者はそういうことは決してないということを申し述べさせていただきたいと存じます。
○簗瀬進君 一千万、二千万の随契だったらいいですよ。ところが三億四千万円ですよ。これはちょっと今の答弁では私は納得はできませんね。というよりも、随契でこれをやるということ自体がやっぱり問題があるんではないのかなということになるだろうと思います。 この広報関係というのは、ほかも企画競争の結果の随契でやっていらっしゃるんですか。これは先輩の法務省、まずお答え聞いた上で、お二人に、今後この広報関係についての、例えばまあいろんなのがあるから、この裁判員制度フォーラムに限定をして、先ほど今年の方針を聞いた、いろんなことを考慮するというふうなおっしゃられ方をしましたけれども、随契というのはやめるべきなんじゃないんですか、これだけトラブルを起こしているんだから。
○委員長(山下栄一君) どちらに。
○簗瀬進君 両方に、まず法務省。
○政府参考人(小津博司君) お答え申し上げます。 法務省、いろいろな部局がございますけれども、この裁判員制度の広報に限って申しますと、私ども平成十七年度からいろいろなことを本格的にやり始めたわけでございますが、十七年度につきましては、それぞれの地方で比較的小規模なところでは、その地方で大きな、何と申しますか、シェアと申しますか、ほとんどの方が見ておられるような、読んでおられるような新聞社の方と共催をして、そちらと随意契約を結びました。ただ、そうではなくて、言わばマスコミとしての競争相手が多い地域につきましては複数のところから見積りをいただいて、その中で検討して作ったということでございます。 それらの経験を踏まえまして、十八年度につきましては、十七年度、各地でそのようにやりましたので、おおよそどれぐらいの金額かということも我々にも分かりますし、それよりもちょっと低目で全国ならやれるだろうということで金額も提示いたしまして、審査、確かに我々それほど慣れておりませんけれども、十七年度に経験を積みましたので、多少の経験を持って十八年度やらせていただきました。 いずれにいたしましても、十九年度につきましては、更に一層透明性を高めるということが広報という観点からも重要であると認識しておりますので、総合評価落札方式によります一般競争入札を行いたいと考えているところでございます。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 十七年度、十八年度におきましても、例えば細かいものでございますが、大型のモニターを買うとか、あるいはパンフレットを制作すると、そういった従来入札でやってきたものは入札でやっております。そして、最高裁も現在の公共調達の適正化というところで競争を原則とすべきであるという方針は貫いております。 ただ、この広報ということにつきましては、競争にしていくときにはしっかりとした仕様書を作り、そして総合評価方式の場合にはその評価の観点というところで、その価格とともに、そういった言わば採点表というものを作っていかなければいけないわけでありますが、こういった広報という言わばアイデアというところに非常にウエートがあり、かつ今まで経験のないというものにつきましては、企画競争という形の方が、裁判所の方が仕様書をなかなかうまく作れないというところがございます。 ただ、大分経験を積んでまいりましたので、十九年度におきましては、ただいま法務省からお話がありましたように、明確な仕様書ができるものについては一般競争、あるいはそれに基づく総合評価方式による一般競争入札ということも視野に入れて検討してまいりたいと、かように考えております。
○簗瀬進君 視野に入れるということなんですが、法務省とそれはちょっとニュアンスが違うんで、最高裁判所の方はまだ検討が煮詰まっていないというふうに我々は受け取らざるを得ないですね。これはしっかりと検討してください。 それで、先ほど二社と申し上げましたけれども、電通と日テレでしょう。これはもう大体、私はこの世界のことはそんなに詳しくはないけれども、大体決まったようなもんじゃないですか。大手の中で競争をし合っているところが全然出てないじゃないですか。結局はそういう二社に絞られたけれども、もう本命と対抗というそういう図式は明らかになって二社の随契という形になっているわけですよ。これじゃ競争原理なんというのは全然働かないですよ。しかも、その企画競争のポイントが、先ほど言ったような漠たるものです、結果としては。 私は、そういう意味では、最高裁判所はやっぱりこれからいろんな広報の機会もあるんだろうと思うけれども、基本的にしっかりと基本方針を立てて対応していただければなと思っております。 せっかくのこの請求書なんだけれども、これ、具体的に中身見ると、やっぱりかなり甘い査定をなさってるんじゃないのかなと思わざるを得ないところがたくさん出てくる。 例えば、皆さんごらんになって、委員の方ごらんになっていただければと思うんですけれども、この資料の一、これは三億四千万円の見積書。その中に、資料の一のところに、①から⑨まで一応の費目が挙がっています。それについてはどのような仕事がなされたか、どのような請求が行われたのかということが資料二に出てくる請求書の中身なんですが、例えば、一例挙げると、資料二の六です。 二の六ページをごらんになっていただきたいんだけれども、④の全体企画料・事務局費というのがある。これで、全体渉外費というのがある。プロデューサー、何か難しい名前の方を含めて三人の方が入っておりますけれども、四十万円、六か月、二百四十万円を一番トップの人がもらっている。それから、アシスタントプロデューサー、メーンのプロデューサーが二百四十万円、六か月。それからアシスタントのプロデューサーが二人いて、二十万円ずつ六か月、百二十万、百二十万。こんなお金必要なんですか。何をやっておる。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) このフォーラム、タウンミーティングといいますのは全国五十か所で行いますが、全体一つのコンセプトを持って背骨を通してやるということがございます。そういう意味で、そのコントロールタワーというものが必要なわけでございまして、このプロデューサーあるいはアシスタントプロデューサーというのは、その総合的な企画立案を行うという点、それからあとは、五十か所で行いますので、各地との相談をしていくという連絡調整という形を取るということでございます。 開催期間が準備期間を含めますと約六か月間ございますので、そういった企画あるいは渉外業務というものが必要であろうという視点に立って考えております。 こういった単価でございますが、こういったイベントについて経費に関する刊行物、積算資料というものがございます。そういったものを参考にいたしまして、この見積書の内容というものを言わば審査していったということでございます。
○簗瀬進君 慣行に従ってというところにいみじくも、実に、まあ慣れないところであったんだろうとは思うけれども、やはり主体的なチェックをせずに一つの今までの流れをそのまま飲み込んでしまったというところが端的に表れてるなと思うんですよ。 今の答弁で更に関連させていただきますと、資料二の七を見てください。七ページの方に⑧の事務局運営関連費というのがある。これは、言うならば今の総合プロデューサーがここで元締になってやった部分でしょう。基本フォーマットがちゃんとできてるじゃないですか。それから、進行台本も基本フォーマットできてるじゃないですか。これに従ってやれば、一か月四十万円も総合プロデューサーだから払って、それをずっと六か月間払い続けるって意味あるんですか、これ。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) ここに進行フォーマットというものがございます。ただ、実際上のフォーラムでも、これは各地でこれはいろいろな工夫をしてそれぞれの催しを行っております。そういった意味で、その全体の企画を通すその背骨となるそういった管理業務と、それから各地におきますこういった、言わば五十の足があるわけでございますが、そのセクションにおきますこういったものはまた必要になるというふうに考えております。
○簗瀬進君 その次に、また前に戻って、資料二の六のポスター・チラシ制作費、⑤を見ていただければと思うんです。それから、同じように次のページの⑦の新聞原稿制作費というところを、これ比較しながらごらんになっていただければと思います。 今、私どもも選挙の公報なんかで、例えば千葉さんは今民主党の広報委員長やっていらっしゃいますけれども、やっぱり同じコンセプトでずっと通していくというのは一つの広告の当然のものなんですね。だから、イメージキャラクターだったら大体同じ人を使っていく。ハセキョーさんだったらハセキョーさんをずっと使っていく。仲間由紀恵さんだったら仲間由紀恵さんを使っていく。写真も大体同じものです。コンセプトも同じものです。 これが前提になってこれを見ていただきたい。いいですか、⑤、ポスター・チラシ制作費のまず一番上のところにポスター、4C、B2の制作費というのがある。そこで、中身が六つ出てきます。企画費、アートディレクション料、デザインワーク料、コピーワーク料、カンプ料、デザインフィニッシュ料。これが六点セットなんですけれども、この六点セットがどこでも出てくるんですね。次のチラシの企画料からデザインフィニッシュ料、全く同じ六点が挙がってきます。 それから次のページまたごらんになってください。新聞原稿制作費。また企画費からデザインフィニッシュ料の六点セットが五段広告でも出てきて、またその⑦の下の方の再録下五段広告制作費も一から六まで出てくる。 これの一から六までを⑤のポスター・チラシで、まず4Cというやつですか、4C、B2、上の方が六つ足すと二百二十万。それから下の方が八十五万。それから次のページの新聞原稿制作費が、上の方の五段が百二十万で、再録下五段の方が百二十万。トータルいたしますと、これだけでかなりもう六百万前後の金が出ているんですね。 私は、例えば企画費の中にデザインワーク料とかコピーワーク料、当然ダブっている部分も出てくるんです。こんなに分けて費目を挙げてお金を払う必要あるんですか。大体デザインというようなものはもう一つのもの、そういうポイントもあれば、同じようなものがポスターからチラシからそれから新聞広告、ただの五段と再録下五段と同じように出てくるんですよ。これを何度も何度も請求して払う必要あるんですか。これ、非常にある意味では超過請求、過剰支払なんじゃないんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) まず、二つの御質問がございました。 最初、企画費というところにアートディレクションとかデザインワークとかそういうものがみんな包摂されるんではないかという点でございます。 まずこの点について、先ほど慣行に基づきというように私が発言したようにおっしゃいましたけれども、刊行物でございます。積算刊行物でございますが、そういった積算に関する刊行物というものを見ますと、このようなポスター・チラシあるいは新聞広告というものについては、大まかに言いますと企画費とデザインワーク費とコピーワーク費というような三つの大きな枠があるようでございます。 企画費というのはやはり企画立案、言わばコンセプトを定める。デザインワークはその色とかそのデザインを定める。コピーワークはキャッチコピーとかそういった文言を考えると。アートディレクションというのは、そういったものを言わば管理していくというもので、デザインワークの中に含める場合もありますし、独立させる項目もあるように私は承知しております。 そういった積算に関する刊行物を見まして、こういったものについて、やっぱり単価表がございますので、そういったものと突合してこういったものを見てまいりました。 それからもう一つの点でございますが、重複している、要するにポスター・チラシあるいは新聞広告等が重複しているのではないかということでございますが、ポスター、それから新聞広告、これはポスターは一つのデザインでやったものでございますし、新聞広告の方は、十七年でいいますと長谷川京子さんの写真を使ったものでございまして、やはり広告のコンセプトというものが違います。 そういったところで、確かに後で見ると重複したようなことになりますが、当初、私どもの企画立案段階では、それぞれのものは別の企画として考えていったと、それで私ども会計の実務方としては、それは四つのものが併存するという形でそれぞれ積み上げの見積りについて点検していったと、このようなことでございます。
○簗瀬進君 ついでにもう一つ、このような六点セットの言うなら企画関係の請求というのは前年にもあったんですか。同じような費目はあったんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 同様のものがあったと記憶しております。
○簗瀬進君 今年もそれは出そうですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) まず、十九年度のそのフォーラム、タウンミーティングというものを、予算をお願いしておるところでございますが、どういうふうな形でやっていくかということはこれから検討してまいりたいと存じます。今の点については今後検討してまいりたいということでございます。
○簗瀬進君 ⑧、先ほどフォーマットのことを聞かせていただきましたが、運営マニュアルと進行台本の基本フォーマット、それぞれ二十万、二十万とこの請求されていますけれども、前年度にこのフォーマットの請求はあったんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) ございました。
○簗瀬進君 フォーマットというのは、共通のものを作るのがフォーマットなんですよ。だから、前年度のフォーマットの請求は幾らだったんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 十七年度は各二十万円、十八年度は各十五万円となっております。
○簗瀬進君 むしろ同じようなフォーマットだったら安くなってくるのが常識なんじゃないんですか。ほとんど変わらないじゃないですか、やっていることは。ほとんど変わらないことを手順よく進めるのがフォーマットとかマニュアルなんですよ。だから、そういう意味じゃ十五万が二十万という、それを、だんだんだんだん上がっていってまた同じように払い続けているという感覚がおかしいんじゃないの。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 私の御説明があるいはあれかもしれませんが、前年度が二十万、その次の年は十五万と値が下がっております。 それから、私どもの理解としましては、フォーマットというのはその広告との相対性がございますので、十七年のものをそのまま十八年で踏襲できるものもあれば踏襲できないものもあると、そういったところで足し引きございまして、ただ、その差が五万円の値下がりと、こういうふうに見ております。
○簗瀬進君 それから⑨、報告書制作費というのがこれ結構金額大きいんですよ、九百五十万円。だけど、中身見ると、アンケート集計費、分析費、報告書取りまとめ制作費。アンケート集計というのはただ集めるだけでしょう。集めてそれを分析をする。だけど、分析をするというふうに言っても、何問ぐらいの質問をしてどういうふうに分析なさっているか知らないけれども、こんなお金の掛かる分析なんですか。その成果物としてどんな報告書が出ているんですか。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) まず、アンケート集計のところにお答えします。 まず、アンケートにつきましては、五十か所でアンケートを実施します。その中には、言わば選択肢の中から選んでいただくものもありますし、自由記載のものもございます。そういったアンケートをいたします。それでまず、各会場ごと、五十個のアンケート結果の分析を一つ、それから八高裁ブロックごと、やはり地域性がございますので、それのアンケートの分析が一つ、それからオールジャパンのものが一つと、全部で三種類のアンケートの分析をいたしております。 そして、先ほどの話に戻りますが、入力項目につきまして、幾つかの選択肢の中から選ぶ、チョイスするというものについてはクロス分析も易しゅうございますが、自由記載のものについてはその入力あるいはその分析というものは相応の作業が必要となってくると、そのように考えております。
○簗瀬進君 とにかく、このデザインとか、今御説明を聞いたとしても私はかなり言い値でこれお支払をしちゃっているようなそういう印象を持ちますね。やっぱり何年も続ける事業であるとするならば、だんだんだんだん、先ほど多少二十万が十五万になったというフォーマットのお話ありましたけれども、大胆に切れる部分だってあるはずなんですよ。だから、私は、そういう意味ではかなり言うならば言うがままに支払っているなという状況が今の答弁で明らかにされたんではないのかなというふうに思っています。もっと厳しいチェックしなきゃ駄目だなと、このように思います。 それから、資料四の方で、これ法務省も多少指摘をしないとバランスが取れませんので、資料四の方の中で指摘をしたいことは最高裁判所と全く同じような部分がありますんで、これは小池さんが矢面に立ってくれたということで、法務省、再度質問はいたしません。 ただ、その中で若干これは何だろうなと思ったのが強化地域媒体料というのが資料の四で入っていまして、強化地域、一体何だろうかと。プロパガンダを強化するという、そういうふうな意味なのかよと。何か非常に、戦時中の国策を宣伝をするようなそういう言葉がこの強化地域というようなところに出てくるような感じがするんだけれども、この強化地域というのは一体どういう意味なんですか。
○政府参考人(小津博司君) 委員御指摘のように、一体どういう意味なのかなと思わせるような表現でございます。 実際にどういうことであるのかということを御説明申し上げます。
○簗瀬進君 端的でいいです。
○政府参考人(小津博司君) はい。 その上に、実は十か所で各地方新聞社と共催をしてしたわけでありますけれども、それぞれが私どもの方からと申しますか、電通を通して広告料を支払いまして、事前に広告を載せるというお金が計上しておりますが、このうちの二つの地域、具体的には千葉市と和歌山市、そこは千葉日報と産経新聞大阪和歌山版ということでございますが、この二つにつきましてはその地域で圧倒的なシェアを誇っているわけではございませんので、そこに広告を載せただけでは事前の広報としては不十分だということで、別の広報媒体にも載せなければいけない、その二つの地域については。そこで、その二つの地域を強化地域と名付けまして、そこでは、別途ここに書いてございますように朝日新聞千葉版以下合計三つのところにも広告を載せた、こういう意味でございます。
○簗瀬進君 千葉とか和歌山が取り立てて理解が低いところなんでそこを強化してやろうという、そういう意味ではどうもないようなんで、多少は、私の疑問の半分ぐらいは解消はされたんですけれども、何となくこういうふうな意味での、これから次の質問の方にも移ってまいりますけれども、何となく国民の意識を刷り上げていけばいいんだみたいな、そういう、何といいますか、一種の洗脳作業をやっているような気持ちでこの裁判員制度の広報に取り組まれると、これは全く本末転倒だなと私は思うんで、是非とも御注意いただければなと思っております。 そういう点で非常に気になるのが新聞の広告の出し方なんですよ。ごらんになっていただければ分かりますけれども、先ほどのお配りしてあるものが、資料の二の三には新聞広告掲載料というようなものがずっと載っております。それぞれ委員の御地元の新聞も相当お金をもらって広報に協力をしているというふうな数字と読むこともこれは可能なんですけれども、ここで五dとか十dとか入っているのは、これは段という意味でございます。よく新聞何段何段というようなことをやるんですけれども、五段広告、先ほど下五段というふうに言いましたけれども、五段、五段、五段で十五段になっていて、紙面を横一列、二列、三列で、五掛ける五で、全部で十五段と、こういうふうな計算でこの段単価というようなものが決まってくるわけですね。 そこで、実はこれ私持ってまいったんですけれども、先ほど政府広報の一般的なやり方と、こういうふうに、これは最高裁判所がちょっと矢面にしてしまって恐縮ではあるんですけれども、これ全部に通じる話だと思っています。 実は、こういうふうな、これはタウンミーティングの場合も同じです。大体どういうふうな形でプロパガンダをやるかといいますと、プロパガンダと言うと恐縮でございますけれども、広報やるかというと、まず第一番目に、こういう小さい開催告知の社告というのが第一回目に出ます。これは東京新聞で社告が出ておりまして、裁判員制度全国フォーラム・イン東京、これは平成十八年の一月二十九日に行われる東京フォーラムのその告知なんですね。まず、こういう小さな告知が出る。その次に、これは最高裁判所が作った予告広告であります。これはいわゆる下五段の広告ということになります。そして、その次に、フォーラムが行われた翌日辺りに、フォーラム関連記事という、これは記事として出ます。そして、その次に、最後に一番でかくこれが出るわけです。この中で、皆さん、どれが広告で、どれが記事だと思いますか。 でありますから、本来的にはその広告料として払っているお金というようなものは、下五段のこの金額では出ているんだけれども、言うならばマスコミも電通を介してこういう仕事をいつももらっているというものの中で、サービスと考えているのかどうかは知りませんよ。だけど、必ずこういうふうな、この実際の関連記事がありながら、もう一回特集記事を出します。特集記事を出して、これ特に最高裁判所の場合は、この枠組みを見ると、最高裁判所という名前がここに入っている。だけれども、この上の方が記事なのか、新聞社が書いた記事なのか、それとも最高裁判所が広告として出したものか、非常に読んでいる人の誤解を呼ぶ。 実は、これがいわゆる業界の中ではパブ記事と言われている、そういう手法のようでございます。広告料というようなものは、もう視聴者はみんな分かっていますから、お金を出して紙面を買っているな、画面を買っているなということでありますんで、広告主体の意思が強く出るというふうなことで、言うならば訴求力というようなものは当然値引かれるわけですね。ところが、記事という形になりますと、これはいわゆる社会の木鐸としての新聞が作ったものだと、客観、公平の見地から物を書いているな、これは裁判員制度というような形でありますけれども、これはタウンミーティングなんかでも同じような手法が使われたわけです。正にそういう意味では、記事と広告、広告と記事というようなものは似ているようでいて本質が違う。ところが、その本質が違うところをあえて混同させるような手法を意図的にやってくるというのがパブ記事なんです。 でありますから、これは最高裁判所がパブ記事に協力をしたのかどうかは今聞いてみたいと思うんですけれども、そういう意識はどうなんですか、この東京新聞の紙面を見て。どこまで最高裁判所なのか、どこから東京新聞なのかというのは、この一面で分からないようになっている。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 最高裁判所といたしましては、事後再録記事は、あくまでも地方新聞社がその編集権に基づいて自らも主催者の一人として開催したフォーラムの模様等を記事として掲載するものであるというふうに認識しております。このような記事の掲載に際して、広告だとか何らかの断りを入れるべきかどうかという問題点につきましては、企画を採用した時点におきましては特段の問題意識を持っていなかったというのが正直なところでございます。 今回の再録記事が広告の一種であるのか記事の範疇に入るのかという点は、第一義的には各新聞社において判断されるべきことだと考えておりますが、裁判員制度は国会でほぼ全会一致で可決されて導入が決まっている制度でございまして、最高裁判所は、国民に対して裁判員制度に関する具体的な情報提供や説明を行う責務を負っていることに照らしますと、このような形式の記事の掲載を含む企画の広報効果に着目して採用したことを相当でなかったとは考えておりません。
○簗瀬進君 相当でなかったとは考えていないというのは、もう一回、どういうことなんですか。これでいいんですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 当時の判断として間違いではなかったというふうに考えております。
○簗瀬進君 これからどうなるのかを聞いているんですよ。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 議員御指摘の事後再録記事の掲載の点を含む今回のフォーラム企画については、これを採用したことが相当でなかったとは考えておりませんけれども、平成十九年度以降のフォーラムの実施につきましては、裁判員制度について、真に国民の理解を得て、その不安や疑問点を解消するためにどのような広報がふさわしいのかを含めて検討してまいりたいと考えております。
○簗瀬進君 私は、最高裁判所というようなものの、小川局長さん、意味わきまえていらっしゃらないんじゃないの、今の御答弁は。ちょっと突っ込まなきゃなんないですね。 というのは、最高裁判所は表現の自由を守らなければならないんですよ。そういう立場が、いわゆる報道と広報の違いについてそんなに関心が低い答弁でいいんですか。それは憲法二十一条の表現の自由を基本的に守ろうとする、そういう意識が余りにも低過ぎると批判されてもしようがないですよ。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) お答え申し上げます。 委員御指摘の点ございますけれども、記事の内容は、地方新聞社がその編集権に基づく判断により制作されたものでございまして、報道の自由を制限するというような認識は持っておりません。
○簗瀬進君 まだ質問の意味が分かっていらっしゃらないな。だから、報道と広報を混乱させるような広報を今後ともし続けるかどうかということなんですよ。それを聞いているんです、私は。それに対しては、そんないい加減な答弁だと、これは止めざるを得ないですよ。ちゃんと答えてください。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 先ほども申し上げましたが、委員の御指摘を踏まえまして今後とも検討してまいりたいと考えております。
○簗瀬進君 法務省は今の指摘についてはどうですか。広報について。
○政府参考人(小津博司君) 平成十八年度につきまして、先ほど見積書に基づいて御質問いただきまして、その際、私、事前広報のことだけ言及いたしましたが、これらの広告料の中には、事後の広報、結果広報も含まれているところでございます。 法務省の方でやりましたものにつきましては、それぞれの新聞で広告である旨の表示がなされていると認識はしているところでございますが、さらにただいまの委員の御指摘も踏まえまして、十九年度につきまして十分留意しながらやってまいりたいと考えております。
○簗瀬進君 実は、事前の打合せのときに、これを法務省の担当者と議論をいたしました。した場合は、結果として、法務省はきちんとやっぱり報道の部分と広告の部分は読者に分かるように区分けをしているというふうな答弁だったんですね、答弁というか、そういうお答えだった。私はこれはしっかりとした見識のある対応だったと思うんですね。 最高裁判所は見習ったらどうですか。どうですか。
○最高裁判所長官代理者(小川正持君) 先ほどもお答え申し上げましたが、委員の御指摘を踏まえて今後検討してまいりたいと考えております。
○簗瀬進君 予算委員会だったらこれでは止めるところでございますが、法務委員会だから別に甘くするわけじゃないですけれども、今の答弁は全く駄目です。人権の守り手の最高裁判所、その答弁とは思えない。これだけはしっかりと指摘しておきますから。 国民を、広報か報道か、広告か報道か混乱させるようなそういう広報について、最高裁判所としては、それはもうそういうふうな方向はやらないということをしっかりとやっぱり答えるのはもう当たり前だと思いますよ、私は。それを今後の検討だというふうに政治家的な答弁で済まそうというのは許せないですね。 ということで、長勢大臣にちょっと、これから大臣の方とのやり取りにちょっと移らせていただければと思っております。 私は、先ほど冒頭に裁判員制度の広報がずれていないのかな、広報のポイントがと。ということなんですけれども、先ほど大臣の答弁の中で、この裁判員制度についての制度設計に自分も携わったと、こういうふうな大変いい御答弁があったと思います。 そこで、ちょっと私は日本の陪審制度がどうなったのかということについて、大臣の認識をちょっと聞いてみたいなと思っています。 細かな話でございますので、日本の陪審がどうなったのかということについてはこちらの方で指摘しますと、大正十二年の四月十八日に法律第五十号として陪審法が公布されました。そして五年後、昭和三年十月一日から施行されて、昭和四年が陪審事件数は一番多かったそうです。そして、昭和十八年の三月に停止されることとなった。言うならば十五年やったわけです。しかし、最終的には停止された。 この停止された理由について、大臣はどういうふうに認識をされていますか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 裁判員制度の議論をしておりましたときに陪審員制度の今おっしゃったような歴史も耳にいたしましたが、余り正確には今覚えていないんであれですけど、あれは選択制だったんだったですかね、ちょっとよく分かりませんでしたけれども。あんまり国民の参加が、少なかったんじゃなかったでしょうか。というようなことで、利用が少なくてやめたということと、戦時中になってやめたというようなことだったのかなという記憶で、大変不十分で申し訳ございません。
○簗瀬進君 これはそんなに細かな通告をしておりませんので、答弁の落ちについてはああこう言いませんけれども。 物の本によりますと、先ほど大臣の答弁にもありましたけれども、実は陪審事件については控訴が認められなかったというふうなことなんで、陪審にかけてしまうと事実審がそこでもう終わってしまうと、こういうふうな構造を取っていたというのがやっぱり一つ。だから、慎重にならざるを得ないということだったんでしょう。それから、陪審の評議に拘束力がなくて、裁判官による陪審の更新と。だから、決めたのを裁判官が覆すというようなことが認められていたと、これが陪審員制度だったようです。そして、結果として、在野法曹の情熱が冷却をするとか、裁判官の素人に対する不信感がやっぱりあったのかなとか等々の理由でだんだんだんだん下火になっていって、十八年に十五年目で終わってしまったと、これが日本の陪審員制度の行く末なんです。 今度、逆にこれは大臣お答えになれるだろうと思うんですけれども、この陪審員制度を日本の政治家の中で最も熱心に推進をしたのはいわゆる原敬さんだったと思います。原敬さんがどういう思いで陪審員制度を推進をしたのかなと。いわゆる、まあ私は裁判員制度のふるさとの話、原点の話がそこにあるんではないのかなと思っているんですけれども、その点についてはどういうふうに御認識ですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) これも専門的に勉強したことではありませんし、先ほどの裁判員制度に取り組むプロセスの中で聞きかじったようなことですから、間違ったらお許しいただきますが、原敬さんが大正デモクラシーの中で日本の民主化、中でも司法に対する民主化に対して意欲的に取り組まれたことであるというふうなことだったかなという記憶でございますが。
○簗瀬進君 実は私、先ほど申し上げた裁判員制度の広報の方向性が基本的にずれているんじゃないのかなと。正に今のやり取りの議論なんですよ。推進の一番の旗頭であるべきはずの法務大臣から、裁判員制度の一番の基になっている陪審員制度導入の精神的な核心といいますか、その部分がきちんとやっぱり伝わってこない。 私は、どうも現在の広報というようなものは、例えば身近で頼りがいのあるという、そういうスローガンがあるのは結構なんですけれども、また、先ほど大臣の御答弁の中にあったような、やっぱり難しいことをやらされるのは嫌だなという、国民にある意味で迎合した形での広報、これも一つの手法だと思います。だけれども、私は、多くの国民というようなものは、忙しい自分の時間を差し繰っても裁判員制度に参加をするという、そのことについての大変な高い意識といいますか志というようなものが共感をできれば、もっともっと本当の意味での参加の意識が強くなるんではないのかなと。その部分についての広報が本当は骨格に来るべきなんですよ。それがなくて、テクニック論とか、あるいは細かないわゆる法技術論とか、そちらの方が主役になった広報が行われているというところにやっぱり今のこの取組の基本的な問題点があるんではないのかなと思っています。 そういう意味でここを聞いているんですけれども、別にこれはもう私も受け売りでございますんで偉そうなことは言えませんが、三谷太一郎先生という東京大学の名誉教授、本当に日本の陪審員制度の研究でもう大変な力を注ぎ、また司法改革国民会議でもリーダーシップを取られた先生の御著書を、「政治制度としての陪審制」という、そういう著書を読んで、随分やっぱりなるほどなと思わせるところがありました。 ちょっと御紹介させていただきますと、明治四十三年のことだったんですけれども、当時の政友会、原敬さんが総裁をしておったわけですが、この政友会が党議として陪審制の設置を掲げた。その党議の文章がこの三谷先生の著書に紹介されている。ちょっとそのまま読み上げます、古い文語の言葉でございますけれども。近来、いかにも人権を重んぜざる風習にて、無実の裁判を受くる者も少なかるざるさま思い至れば、その設置の必要を認めと。これすばらしいじゃないですか。人権を重んぜざる風習があるよと、それから無実の裁判を受くる者もどうも少なからざるあると、こういうふうな原点の言葉が書いてあるんですね。 私は、裁判員制度の、例えば国民に対して参加を求める一番の原点の言葉がやっぱりここにあるというふうに認識をすべきなんではないのかなと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 当時はそういう考え方で日本の陪審員制度が導入されたということは、先ほど来申し上げましたように知識として知っております。 しかし、今回、裁判員制度を日本に導入するに当たっては、いろんな観点からの御議論があって、司法制度改革推進委員会ですか、そこで議論をされて方向性が出されたというふうに聞いておりますし、日本の陪審員制度の歴史、意義だけを踏まえて今回の制度設計になったものとは理解をしておりません。むしろその失敗という歴史も踏まえて、日本であるべき裁判員制度を皆さんが御議論になって方向をまとめられたのではなかったのかなと思っております。 もちろん、この裁判員制度が、何というか、裁判の信頼を高めるということだけでなくて、国民として裁判員制度に関与していくということが大変大きな意義であるということも裁判員制度の一つの大きな意義ということはおっしゃるとおりだろうと思っております。
○簗瀬進君 引き続き、実はこの陪審員制度導入のインセンティブを高めた大きな事件が二つあったそうです。 一つは、明治四十二年の日糖事件。これは、実は当時の政友会の議員に対して検察の過酷な取調べがあったと。当時はまあ今のような議員特権なんかが認められていない、多少は明治憲法でもあったんですけれども、そういう状況の中で検察の過酷な取調べがあったと。正に先ほど岡田委員が質問したような、鹿児島県の県議会の選挙に絡んで警察、検察が、まあ暴力的だったかどうかは別にして、過酷な取調べをしていったというのと同じような事情が明治四十二年の日糖事件にあって、これが一つの陪審員制度の導入のインセンティブになっているということをやっぱり踏まえるべきなんじゃないのかなと思います。 それから第二点に、もう一つ、明治四十三年の大逆事件というのがありました。幸徳秋水等が天皇暗殺という容疑を掛けられて、証拠調べもなしに死罪になっていくと。この二つがこの陪審員制度の導入の大変なインセンティブになっていると、これは三谷先生の御著書にはそういうふうに書いてあります。 ちなみに、まあうんちくを披瀝するわけじゃないんですけれども、この二つの事件は、検察側は平沼騏一郎さんが中心になっている、両方とも。それから、弁護側は花井卓蔵等の大変明治の非常な力のある弁護士として有名な人、こういう人たちが弁護団を組んだ。こういう点では非常にインセンティブを政治の世界に与えられるような大変大きな意味を持った事件であったようでございます。 私は、そういう意味では、原さんが導入をした陪審員制度と今度の裁判員制度は似て非なるものであるというふうな、そういう答弁もありますけれども、基本的にはやはりその司法が暴走をさせてはならないぞと、そして国民のチェックをそこに利かせていくんだ、そういうある意味で原点としては共通の一面があるということをこのような経緯からやっぱり私たちは酌み取るべきなんではないのかなと、こういうふうに思いますけれども、大臣、御所感どうですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 司法制度も戦前と今とも大分違っていますし、いずれにしても、司法制度の暴走を食い止めなきゃならぬことは当然のことであり、あるとすれば、あってはならないことですけれども、今回裁判員制度を創設をするということにおいて、一部法曹の中にはこの戦前の陪審員制度を高く評価をされている意見も伺ったことありますが、むしろ裁判が長過ぎるとか、あるいはどうも一般常識とは違う判決がたまたま見られるんじゃないかというようなことも大きなインセンティブとしてこの制度の創設に至ったものというふうに承知をいたしております。
○簗瀬進君 この三谷先生の御著書は是非とも御参照賜ればと思うんですが。 確かに、当時の陪審員制度と今の裁判員制度は似ている部分もあれば違う部分もあると思います。ただ、三谷先生の著書の中で、現在の司法においてなぜいわゆる国民の参加が必要なのかというところで大変非常に洞察力に富む指摘がなされています。私はなるほどなと思いました。プロフェッショナルは往々にして自己の限界を省みない。ここで言っているプロフェッショナルは、いわゆる法の専門家である裁判官やら検察官のことを念頭に置いている言葉でございます。プロフェッショナルは往々にして自己の限界を省みない。そのことによって何よりもプロとしての、プロフェッショナルとしての資格を失ってしまうと。あらゆるプロフェッショナル、特に国家の権力を管理するプロフェッションが健全さを保つためにはアンプロフェッショナルな、これは分かりやすく言えば素人、国民ということだと思います、そういうアンプロフェッショナルな要素を取り込み、それとの内的な緊張関係を維持し続けることが不可欠であると。 私はこれは二十一世紀の司法、やっぱり一つの、裁判官にしても、私も弁護士でありますけれども、こういう専門職が陥りがちの独善の危険性というようなものはいつもあるんですよ。それが暴走して局地的に出たのが例えば鹿児島の事件であるかもしれない。そういうふうに考えますと、やっぱりそういう意味で非常に専門的な方たちが司法の独立という形で、今はそういう雰囲気はないかもしれないけれども、あるとき何かのきっかけで暴走をする、そういう状況にならないように、正にそのアマチュアとしての国民というようなものをしっかり制度の中に取り込んでいくと。こういう制度の基本的な理念があってしかるべきなんではないのかなと思いますが、大臣、御所見どうですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 簗瀬先生は、どういいますか、法学の専門家でありますので、なかなか太刀打ちできないわけでございますが、おっしゃるように、一般国民の中には、弁護士さんも含めて検事さんあるいは判事さんのいわゆる法曹三者の専門性に対して大変な尊敬と、同時に、我々とちょっと違った世界におられるんじゃないかという不信感というか不安感というか懸念もあることも事実であります。そういうことも、この裁判員制度を設ける中で裁判の中身はどうなっているかということを理解をしていただいて、裁判の信頼を更に高めていくという役割を担うであろうということは想定をされているわけでありますから、司法の暴走という先生の言葉の意味が私には正確に理解できないところもありますが、私の程度の人間ではこの程度の理解で今考えております。
○簗瀬進君 それから、身近で頼りがいのあるという言葉の中にある意味では含まれているのかもしれません。過去の議論の中でもそういう言葉が入っておりましたので、これを取り入れていないわけではないだろうと思うんだけれども。 三谷先生のお言葉の中に、司法制度をいかに変えるかという問題はデモクラシーの質をいかに高めるかという問題と深く関連していると、これは大変いい指摘だと思います。それで、日本の政治の将来、特に政治の主体としての日本国民の公共観念の形成、これにこの制度、いわゆる司法への国民参加ということは大変大きな影響を及ぼすであろうと、こういうふうな指摘があります。正に主権者国民の意識をどんどんどんどん高めていく、これはやっぱりデモクラシーの一番根幹に置かれるべきものであって、そのためには裁判員制度というのは実に大変重要な意味を持っているんだと。こういうふうなアプローチ、あるいは広報の中心にそういう国民の参加意欲を本当に、生きがい、気概といいますか、をもっと高めるような、そういう軸というようなものが定まっていないからなかなかやっぱり強力な国民を巻き込むようなそういう広報にはなり得ていないんではないのかなと私は思っているんですけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 先生の御意見は傾聴に値すると思いますが、逆に、私はいろんな一般の方々、一般といったらなんでしょうか、仲間の方々のお話聞いていると、一番裁判員制度に親近感を持たない人の多くはアメリカの陪審員制度がイメージにあるんですね。これはやっぱり戦前の陪審員制度を覚えている人は、日本の陪審員制度を覚えている人はほとんどいないわけで、裁判の市民参加となるとイメージが浮かぶのは、映画の影響もあるでしょうけれども、アメリカの陪審員制度。ああいうことはしたくないという感覚がすごく強い。それがもって裁判員制度を、日本の裁判員制度を理解しようとするというか聞くものですから、まず第一感としてそんなのになりたくないなというのが私は、そこを打ち破るべき、広報の中で考えなきゃならぬ一つなのかなと私は思っております。 同時に、先生おっしゃっていることは誠に高邁で正しいんでしょうけれども、このことを国民の皆さんに、理解をするということはどうやったらできるのかと。私はそのことに、それに全精力を費やすということは、もしできて成果があれば大変いいことだと思いますけれども、むしろ、私は今の時点では、二年後に迫った裁判員制度、とにかく参加をしてもらって、その成果の中で先生おっしゃるような意識を高めていくということが今大事なんじゃないかと思っておりまして、もちろん先生のおっしゃっていることを否定するつもりありませんが、それで広報を軸を置いてやったらどういう広報になるのかということについては私は余り自信がございません。
○簗瀬進君 おっしゃることも十分、広報というのはなかなか分かりやすく本当の部分を伝えていくというのは非常に大変だと思います。大臣のおっしゃることもよく理解できるんですが、どうか先ほどの指摘も御参考にしていただければなと思います。 最後に一点だけ。先ほど三谷先生の本を読んでいてなるほどなと思ったのは、陪審員制度を支えたのはやっぱり政党のインセンティブであったそうです。政友会が原敬さんのときに初めて衆議院、貴族院両方ともに多数だった、そういう中で陪審員制度がようやくできた。しかし、実はその政友会自身がだんだんだんだん変質をしていく。原さんが亡くなった後、実は原敬は軍部の台頭とそれから司法権力の暴走、これに対して大変な警戒感を持っていた。軍部については軍縮という形でたがをはめる、それから司法の独走については陪審員制度ということでたがをはめる。しかも、その人的な担保として、政友会が軍部の田中義一さんを取り込み、また司法権力の頂点にいた平沼さんと大変関係が深い鈴木喜三郎さんという元の最高検の検事長を入れてしまう。いずれも政友会の総裁になります。結果としてその意図が裏目に出てしまった。軍部にだんだんだんだん協力をするような体制とか、非常に総動員体制に協力するような司法とかという形になってしまって、政党のインセンティブが落ちた結果として陪審員制度は停止に追い込まれていく。こういう側面もあったんだなということは、やっぱりこれは歴史の一つの教訓として我々はしっかりと受け止めていかなければならないんではないのかなと。 だから、政党の支えというのが、これは与野党を問わず、この裁判員制度にとっては非常に重要なポイントを持っているんだなということを我々は自戒しなければならないなということをまとめにしまして、大変長くなってしまいました、この冒頭の質問だけで。 ADRの関係を聞こうと予定をして、たくさんの関係省庁の皆さんが待っていらっしゃって、一時間以上にわたりまして大変お待たせいたしまして、失礼をいたしております。おわびをしながら、ADR関係についての質問をして、アクセンチュア絡みはちょっと行けないと思いますので、入管局長とか大変お待たせをしてしまいまして申し訳ないんですけれども、アクセンチュアはまた次回に譲らせていただければと思っております。 ADRでございますが、四月一日からADR認証制度がスタートすると。現時点での準備状況について、これは基本的にチェックをさせていただければと思うんですが、法務大臣とのやり取りは随分やらせていただきましたので、認証事業について法務省はしっかりと今準備態勢取っていらっしゃると思うんですけれども、いわゆる認証を受けてADRの機関をつくろうとする、あるいは代理権を持っている、既に代理権の一部が付与されているところがその代理業務についての業界との様々な動きというようなものが出ているだろうと思います。 ということで、法務省はカットさせていただきまして、恐縮です。法務省で関係しているところの答弁ということで、既に一部代理権を持っているADR関係の八士業の中でありますから、そこで取組の状況を簡単に、本当に端的な答弁で、恐縮なんですけれども、していただければと思います。 まず、司法書士会の状況です。どうでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、代理の側面と今度はADRの主宰の側面とございますが、代理の側面から申しますと、これまでに司法書士の約六割に当たります一万人の司法書士が法務大臣の認定を受けて代理をすることができるという形になっております。 それから、今度は司法書士の調停センターでございますが、この開設にもう現在、会を挙げて取り組んでおられまして、認証を取得するための準備をなさっておられるというように理解をいたしております。
○簗瀬進君 次に、弁理士の絡みはどうでしょうか。
○政府参考人(村田光司君) お答えさせていただきます。 現在、弁理士は弁理士法に基づき、工業所有権等に関する事件につきまして、経済産業大臣の指定する専門的仲裁機関におけるADRの代理の業務をすることが認められております。現在二団体が指定されているところでございますが、ADR法の施行に当たりまして、一機関について既に申請に向けた具体的な準備を進めているなど、これらの仲裁機関におきましては所要の体制整備を図っていると聞いております。 ADR法の施行後におきましても、引き続き弁理士によるADRの代理業務が適切に行われるよう、日本弁理士会を通じて弁理士に指導してまいりたいと考えております。
○簗瀬進君 土地家屋調査士はいかがでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) この面も代理をすることができる土地家屋調査士が既に千名を若干超える数でございますが、認定を受けているわけでございます。 それから、境界問題相談センターというのが各地の土地家屋調査士会によって設立されておられまして、今後もなお続々とこういう団体を設立されるということでADRの認証に向けての準備を進められていると、こういうふうに理解をいたしております。
○簗瀬進君 今聞かせていただいた司法書士、弁理士、社会保険労務士、土地家屋調査士は一部代理権等も新たに付与されたところでございますけれども、これから聞かせていただくところはまだ代理権を持っているというふうなところではございません。そういうことについて取組がどうなっているのか、あるいは代理権なくてももちろん認証の取組はできるわけでございますから、その辺についてどうなっているのか、四つございますんで、聞かせていただければと思います。まず、公認会計士。
○政府参考人(細溝清史君) 日本公認会計士協会におきまして、現時点でADRにかかわる公認会計士の関与などについて、特段の取組を行っているということは承知しておりません。 ただ、協会の方からは、今後のADRの普及状況や他の士業の動向も踏まえながら、必要があれば公認会計士の関与の在り方について検討していきたいという意向をお伺いしております。
○簗瀬進君 次に、税理士さんの関係はどうでしょうか。
○政府参考人(荒井英夫君) お答えいたします。 ADRの認証制度への税理士会としての取組状況につきましては、以前から認証機関になるかどうかなどの検討が行われていたところでございますが、現時点においては認証機関となるための申請等を行う予定はないと承知しております。 また、税理士会としては、ADR認証制度の趣旨等も踏まえまして、税務の専門家である税理士をADR手続実施者等の相談者として活用するための施策を検討するとともに、今後のADRの普及状況等も踏まえつつ、更に検討をしていくこととしていると承知しております。
○簗瀬進君 それから、行政書士さんの関係はどうでしょうか。
○政府参考人(門山泰明君) 行政書士につきまして、お答え申し上げます。 行政書士につきましては、法律の施行日であります四月一日に向けまして、各都道府県に設置されております行政書士会のうち、まず十の行政書士会が民間紛争解決手続の業務の認証を法務大臣に申請すべく準備を進めている段階というふうに承知いたしております。
○簗瀬進君 それから、不動産鑑定士の関係はどうでしょうか。
○政府参考人(日尾野興一君) 不動産鑑定士につきましては、社団法人日本不動産鑑定協会のADR機関としての認証や、ADR手続における不動産鑑定士への代理権付与の早期実現を目指しまして、現在、不動産鑑定士と弁護士の合議体である不動産の価格に関する紛争の調停等を進める不動産鑑定士調停センターを昨年七月一日に開設し、紛争処理の実績の積み重ねに取り組んでいるというふうに承知しているところでございます。
○簗瀬進君 以上はいわゆる士業の関係でございますけれども、士業でないところでもこのADRの話は当然もちろんあるわけでございまして、まずは、姉歯の耐震偽装問題で大変建築に絡む紛争が余計注目を浴びるようになってまいりました。国土交通省にしてみれば、このADR制度というものは相当建築に絡む紛争についての解決のルールとして、ルールというか方策にしてはいいんじゃないのかなと思うんですけれども、取組の状況について聞かせてください。
○政府参考人(和泉洋人君) 御指摘の建築紛争に係るADR制度でございますが、先生御案内のように、住宅に関する紛争につきましては、平成十二年四月から施行されております住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づきまして、全国五十二の単位弁護士会を国土交通大臣が住宅紛争処理機関として指定をさせていただきまして、住宅についての紛争処理を行っているところでございます。 また、構造計算書偽装事件を踏まえまして、住宅の瑕疵担保責任の履行の実施を確保するために、住宅の売主等に資力の確保を義務付ける特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律案を今国会に提出したところでございますが、同法案におきましては、この住宅紛争処理機関の業務を拡大しまして、保険契約に係る住宅の紛争処理を行うこととしております。加えて、建設工事の請負契約に関する紛争につきましては、昭和三十一年に建設業法に建設工事紛争審査会制度が設けられまして、以来、国土交通省及び各都道府県に置かれた紛争審査会におきまして、専門家によるあっせん、調停及び仲裁を行ってきたところでございます。 建築紛争の簡易かつ迅速な解決の観点からは、これらADR制度の活用が重要と考えておりまして、引き続き充実に努めてまいりたいと考えております。
○簗瀬進君 早口に御協力ありがとうございました。 医療についての質問で最後にしたいと思います。これは厚労省関係と、それから法務大臣にまとめの御答弁をお願いできればなと思っております。 お手元に配ってあります資料の五の一と二、これはもう細かく触れておる時間は全くございません。ただ、医療事故についても相当ADRの活躍が期待をされるということで、お手元にお配りしてあるのは、これは早稲田大学の教授でございます和田先生がお作りになったものでございまして、和田先生は現在、医療事故ワーキンググループの代表もなさっているということで、対話型ADRという、また裁判下請型ADRと、ちょっと読み方によっては若干違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、こういうふうな二つのADRの類型をつくって、特に対話型ADRがこの医療紛争の場合には非常に有効に働くんではないのかな。 また、そのADRに当たっては、いわゆる専門の法曹以外にも、メディエーターというそういう資格といいますか、そういう立場の方がアメリカでは大変活躍の場を広げているようでございますし、メディエーターを教育をする、そういう機関もアメリカ各州の中で半分ぐらいはもうできつつある等々のお話も先日聞いたところでございます。 このメディエーターというのは、紛争の当事者の間に立って中立公平の立場で取り組んでいく、しかも弁護士的な特別の資格がないような方、こういうふうな存在でございまして、このようなADRとかメディエーターの養成というものは非常にこれから医療事故についても有効なんではないのかなと思いますんで、厚労省のお考えと、そしてADR全体について、これは法務大臣の方で、今のメディエーターの制度も含めまして、これからやっぱり新しい紛争解決の様々な、特に柔らかな制度というようなものを横断的につくっていく必要があるんではないのかな。そして、現段階のところは各士関係でもいろんなADR機関、仮にできたとしても、横断的な連係プレーというようなものがなかなかできるような仕組みにはなっていない。そういうようなことも含めまして、ADRの重要性についての今後の法務大臣のお取り組みの御所見を聞かせていただいて、質問とさせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(山下栄一君) 時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。
○政府参考人(上家和子君) 医療紛争におきまして、当事者間の対話の促進は極めて重要だと認識しております。このため、厚生労働省として、今般パブリックコメントに付しました診療行為に関連した死亡の死因究明等のあり方に関する課題と検討の方向性と題しました試案の中におきましても、第三者を介する当事者間の対話の促進等による紛争解決の仕組みについて検討項目として掲げたところでございます。 また、議員御指摘の対話を促進する仲介者、このような方の人材の養成の必要性につきましても今後勉強してまいる所存でございます。
○国務大臣(長勢甚遠君) 権利と権利のぶつかり合いということだけでなく、やはり調整という感じの柔らかい紛争解決手続が進んでいくことがいいことだと思いますし、そのためにはその担い手たる専門知識を持った、またそういう調整能力のある方が必要であることもそのとおりでございます。 法務省といたしましても、このADRがうまく機能して社会に役立つように、運用の実情を見つつ、その普及促進に努めてまいりたいと思います。
○簗瀬進君 どうもありがとうございました。
○委員長(山下栄一君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(山下栄一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告をいたします。 本日、緒方靖夫君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。 ─────────────
○委員長(山下栄一君) 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。 まずは、長勢法務大臣の所信の中で一番冒頭に大臣も御指摘をしていただいた問題は、日本司法支援センター、法テラスの問題でございます。 昨年十月、日本司法支援センター、法テラスが業務を開始してそろそろ半年になります。私たちも、この法テラスの問題は、この委員会でも様々な議論をした上で待望の発足でございました。午前中も少し質疑はございましたが、現在の利用状況も含め現状をどのように認識しておるか、法務大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 司法支援センター、開始をして約五か月を経過したわけでございますが、先生御案内のとおり、国民からの相談の受付、そしてその解決に必要な情報を迅速かつ適切に提供する情報提供業務を始め、民事法律扶助業務、国選弁護関連業務など、各業務はおおむね順調に行われておるというふうに聞いております。 特に、国民に最も身近な情報提供業務に関しては、コールセンターに対する問い合わせ件数が本年二月末の時点で約十一万件に達しており、多重債務問題や離婚問題など身近なトラブルに関する問い合わせが多く寄せられていると聞いております。 今後も、司法支援センターにおいては、広報活動などを一層推し進めることとしておると聞いておりますし、法務省としても関係省庁等に対して国民への周知に関する協力をお願いするなど、司法支援センターが更に広く国民に利用していただけるものとなるよう努めてまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 大臣の今の決意とともに、ただ決意と裏腹な面というのは、なかなか充実しないところもあるようでございまして、一つはスタッフの問題だと思います。開始時には常勤のスタッフの弁護士が全国で二十一名であったと、その充実が喫緊の課題だということで、日弁連さんの方は平成二十一年までに三百人に増員する必要があるというような提唱もなさっているようでございます。 やはり一番基礎になるのはこの人的配置の問題でございます。スタッフの充実に向けて、現在の状況をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(菊池洋一君) 日本司法支援センター、法テラスでございますが、その業務を行うためには、スタッフ弁護士、常勤弁護士の充実が重要であるというのは私どもも全く同様の認識でございます。特に、国選弁護の関係では、平成二十一年から被疑者国選弁護の対象が拡大いたしますし、裁判員裁判もスタートいたしますので、そういった点で常勤弁護士の確保ということは極めて重要であるというふうに考えております。 現在、常勤弁護士の数は二十余名でございますが、国選弁護の関係では常勤弁護士のほかに契約弁護士として一万人を超える数を確保しておりますので、当面の業務遂行には支障がないと考えております。 しかし、スタッフ弁護士の確保はやはり重要でございまして、法テラスにおきましては、日弁連とも協力しながら、今年の秋から冬にかけて研修所を卒業する予定の司法修習生などに対しまして法テラスの意義や魅力をアピールするなどいたしまして、スタッフ弁護士の確保に努力をしているというふうにお聞きをしております。 法務省といたしましても、そういう取組に協力をしていきたいというふうに考えているところでございます。
○木庭健太郎君 是非、人的確保、また今司法修習を終わった後、その就職先の問題で、何か弁護士さんが逆になかなか大変だという話もあるんであって、そこはそこで、ある意味じゃ利用できる点は利用した方がスタッフを確保するという意味ではいろんなことができると思うので、その辺は創意工夫しながらスタッフを増やす問題については取り組んでいただきたいと思っております。 そしてまた、大臣から利用件数の問題はあったんですけれども、私どもは日本司法支援センター、法テラス、ある意味では国民に広く知られているものだろうと、こう思っておりましたら、新聞を見ましたら、日経新聞の二月十一日付けでございましたか、全国の市町村職員の研修会でこの日本司法支援センターの方が講義した際に、法テラス知っていますかというふうに受講生に聞いたら、受講生五十人のうち知っていたのが三人という、何か市町村の職員で三人と、これは何かちょっと寂しい気もいたしました。 広報活動というのは、まあいろいろ論議があって難しいところもあるんでしょうが、ともかくまだまだ周知徹底されていないような気もいたしますが、こういった法テラスについて、司法支援センター、今つくって現実に活動していると、これをどう国民に周知徹底していくのかという問題、どうお考えなのか、見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(菊池洋一君) 法テラスが国民に幅広く利用していただくためには、まず法テラスの存在を知っていただくということが何よりも大切であると、私どももそういうふうに認識をしております。 そして、法テラス自身も同じ認識でございまして、そういった点から、法テラスにおきましては、マスメディアを利用した広報、あるいは交通機関を利用した交通広告、パンフレット、リーフレットの配付など、PR活動に努めておりますし、また全国に五十か所、地方事務所がございますが、それぞれの地方で自治体の広報紙とか地方紙などにも広報の記事を載せているというふうにお聞きをしております。 私ども法務省といたしましては、マスコミを利用したPRのほかに、それぞれの地域においてトラブルを抱えた方と接する機会が少なくないと思われる、例えば人権擁護委員の方、保護司の方あるいは調停委員の方などなどが法テラスについて理解をしていただくということが、これ一つ大切なことだというふうに考えまして、実は昨年の十二月にこれらの方々を所管しております関係省庁あるいは関係部局に対しまして書面を出しまして、協議会や研修会を行う場合には、その機会に法テラスについても説明をする機会を与えていただきたいというお願いをいたしました。で、このお願いをしたこともあるんだろうと思いますが、徐々に実現をしてきておりまして、今申し上げました協議会等の場で法テラスについて説明をする機会を与えていただいております。 私どもといたしましては法テラスとも協力して、これからも更に周知活動について努めてまいりたいというふうに思っております。
○木庭健太郎君 今ありましたその協議会ですね、様々な形で地域と連携する意味で開いていただいているようでございますが、その中で、去る二月二十日、日本司法支援センターの東京地方事務所さんが、弁護士会、警察、民間団体と地方協議会を開かれたと。そうしますと、いわゆる先ほど大臣から紹介がありましたコールセンター、電話で相談を受け付ける、一番ある意味ではこの法テラスの中核となる部分でございますが、このコールセンターから弁護士会への電話の転送の問題含めて、もう今は改善されたのかどうか分かりませんが、以前は話し中が多いというような問題があってみたり、コールセンターが利用者の期待にこたえているかというようないろんな意見や、ある意味じゃ苦情も寄せられたようなこともお聞きしております。 私どもも、何かいろんな法律的な問題、御相談を受けることあるんですけど、そのときにこのコールセンターのことを御紹介もするんですけれども、うまくつながるときとつながらないときがあるようでございまして、この辺についてどんな取組をされているのか、改善をされているのかと、伺っておきたいと思います。
○政府参考人(菊池洋一君) 法テラスがまず国民に存在を知っていただくということが大切だというのが第一歩でございまして、次は利用者のニーズに合った業務を提供するということが大切であろうと思います。 法テラスも全く同様の認識を持っておりまして、そういった観点から、各地方事務所では、自治体や関係機関との協議会を開催して協力関係を強化するとともに、利用者の声をお聞きをしていると。それから、利用した方にアンケート調査を実施いたしております。また、法テラスの本部には総務部内にサービス推進室というセクションを設けまして、全国各地方事務所に寄せられた御意見や苦情を集約し分析して、今後の業務改善の資料としております。 また、コールセンターの関係では、担当しているオペレーターに対しまして随時研修を実施しておりますし、また、オペレーターが利用するためによくあるであろうと思われる質問と回答の事例集、FAQと呼んでおるようでございますが、そういうものを作っておりますが、これも問い合わせの実績に応じて見直していって、少しずついいものにしていっているようでございますし、また、関係機関の情報をデータベースに入れておりますが、これも更新をしております。 なお、ただいま先生から弁護士会への電話など話し中でつながらないといったような御指摘ございましたが、これは法テラスが業務を開始した昨年十月当初のことでございまして、現在はそのようなことはないというふうにお聞きいたしております。
○木庭健太郎君 裁判員制度の導入に向けての広報活動の問題は、午前中、簗瀬委員が熱心に議論をなさったわけでございまして、あえてこれを蒸し返してやることはないと思うんですが、大臣と最高裁の当局からそれぞれ、まず大臣から、大臣も所信で、裁判員制度には何よりも参加の懸念や不安が解消されるように広報等に全力と述べられているわけでございますし、正にこの裁判員制度の円滑なスタートのためには国民の理解というのが不可欠だというのは言うまでもないことであって、その一方で、その広報の在り方でいろんな問題も指摘されたと。 そういうことも含めた上で、この所信でおっしゃっている広報等に全力、しかも、参加の懸念や不安を解消するためにと、こうおっしゃっていることについて、具体的にどのようにこれから取り組んでいこうとされているのか。残り二年でございますので、大臣の決意を改めてここで伺っておきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 午前中、簗瀬委員にも一部その件に関してお話し申し上げたんですが、ちょっと委員とは意見が違っているところもありましたけれども、今まで裁判所あるいは法務省、検察庁、大変熱心に広報に取り組んできておられますが、まず内容として、非常に崇高な制度の意義を述べる、あるいは、新しい制度でございますから制度の内容を詳細に説明をするということを大変一生懸命やってきたと思います。もちろん分かりやすいという努力もされていますが。 ところが、どうもイメージが、まずアメリカの陪審員制度から入っている人たちが割と多いわけで、その方々は、まず始めから先入観として拒否感がまずあるという中へ持ってきて、その崇高な使命、あるいは難しい複雑な手続、あるいは責任の重さということが非常に強く印象付けられるものですから、そんな恐ろしいことを、あるいはそんな難しいことを勘弁してもらいたいという気持ちが出ているのではないかということを私は少し配慮をしなきゃならぬのかなと、こう思っております。 分かりやすく言うと、私は法律家ではございませんので厳密性に欠けますが、まあ大したことないんだと、余り責任も重くないんだというぐらいの感じになれば、じゃ行ってみるかということになるんじゃないのかと。ちょっと余り変なことを言ってまた問題になっても困りますが、重々中身は分かって言っておるつもりでございますのでお許しをいただきたいと思いますが、どうしても法曹界の方は非常に厳密な方が多いので、これくらい乱暴なことを言わないとちょっと理解してもらえないのかなと思っておるわけでございます。 それから、そういう意味でいいますと、やり方も、今までシンポジウム等々非常に熱心に、また念入りに、若干批判はないわけではありませんけれども、やっておられる方々はそういうことでなくて一生懸命やってきたと思うんです。しかし、しょせんやっても、シンポジウムであれフォーラムであれ、たかだか千人か何人かの方に聞いてもらうだけと。かつ、集まる方々も関心を持っている方が中心になって集まるでしょうから、むしろ問題は、関心のない人に、先ほど言いましたように、まあそれは行っても大したことないんだと思ってもらうことがまず大事だということになれば、比較的短時間に触りだけさっさっとイメージを持ってもらうということが大事なんではないかと。 そうすると、岡田先生からは足で稼げというお話がありましたが、やっぱり恐らくどこの市町村でも県でもいろんな面で住民説明会とかいろんなことがある、企業でもいろんな催物あるいは説明会がある、団体でもある、そういうところを念入りにやって、選挙運動ではございませんが、足で稼ぐというのが一番大事なんじゃないかと、それに合った武器をそろえるということを少しやったらいいんじゃないかと私が言っておるものですから、職員の皆さんは大変迷惑をしておるというのが現状でございます。
○木庭健太郎君 大臣の考え方は、今、逆の意味で不安に思っていらっしゃる国民に対しての一つの答えになる方法かもしれません。 やっぱりこの裁判員制度というのは、私たち立法府に携わる人間は選挙で選ばれるということで住民のかかわりがある。行政は行政不服の訴訟があってみたり、そんなので住民はかかわれる。それが、司法というのは何もなかったんですよね。初めて国民というか住民が司法に対して権利をもらっているのが正にこの裁判員、非常に有り難いことなんですね、本当は。これをおもしろがってある意味では取り組んでいただけるような、新しい権利ができたんだよみたいな視点も、是非、責任の重さじゃなくてそういうところも、責務というよりはそういう権利を初めて、司法に対する権利を国民が与えられたんだというような視点もあってもいいような気もしますし、そこは様々な工夫をしていただきたいなと、こう感じている一人でございます。 最高裁は、先ほどこれも簗瀬委員と議論をなさっていましたのでもう深く私はお尋ねしませんが、是非、なぜああいうことが起きて、それを基に、どう今後広報を二年後の発足までに最高裁は最高裁として国民に明確に見える透明な形でなさろうとしていらっしゃるのか、それについて最高裁から、これも一点だけ伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(小池裕君) 今委員御指摘のあのことというのは、契約のさかのぼりという御趣旨だと存じます。 この裁判員制度の広報案件につきまして、契約書を作成しないまま準備作業等が行われてしまうという事態が生じたことは御指摘のとおりで、これは私どもとして非常に深く反省をいたしております。その原因については、次のようなものと考えております。 一つには、裁判員制度、非常に大掛かりなものでございます。午前中ありましたように、多額な予算を投じて行っていくというものでございました。裁判所にとっては非常に難しい事柄でございました。企画部門におきまして、その企画あるいは契約内容の確定に随分時間が掛かり、そして契約部門におきましても、ノウハウが確定されていない上、その多額の予算を無駄な執行にしないようにということで、予定価格の厳密な積算が求められて作業に時間が掛かりました。 午前中、これは言わば業者の言いなりになったんではないかという御指摘ございましたが、私どもとしては、例えばフォーラム一か所にしますと三百万ぐらいの額でできましたので、総額としてはストライクゾーンに入っていたのではないかと思っています。ただ、午前中、簗瀬委員から御指摘がありましたように、私ども初めてでございましたので、いかにも教科書的な対応であり、ほかの案件から比べますとこなれの悪い作業でございました。そういった意味で、手間も掛かり、そういうものが遅延を招いたということでございます。 二点目には、広報案件というものが複数競合しておりまして、このセクション、経理局の用度課というところでございますが、四人の職員で契約事務を担当しておりました。そこがオーバーフローしたということでございます。三つ目には、やはり同じ担当部署で、これも午前中にお話が出ましたが、公共調達の見直しという作業、一般競争入札への移行ということをやっておりました。これは仕様書の作成、それからスケジュール管理というところで、非常に担当者としては負担の大きい事業がございまして、こういったところで事務のふくそうと混乱が生じてこのような事態を招いたと考えております。御指摘のとおり、制度を円滑に実行するためには国民の信頼を得ることが極めて重要な案件でございます。 今後の対策でございますが、まずその契約担当係の人数を四人から六人にこの四月に充実させます。また、企画部門と、これは刑事局でございますが、それと契約を担当している経理局の間の連携を強化する、そして迅速なチェック、見積りチェックと、厳格なチェックと迅速な契約書作成という二つの要請のバランスを取るようにしていくということがございます。 それから、広報業務というのはかなり専門的といいますか業界の知識が要ります。そういったものの知識を私どもが何か獲得するそういうシステムを考えていくというような工夫を講じて、十九年度にはその内容においても手続においても遺漏のないように努めてまいりたいと考えております。 以上でございます。
○木庭健太郎君 是非、少し早めに始めた法務省さんから先ほどもお話あっておりましたが、知恵かりる手も一つの関連としてあるでしょうし、様々な工夫をしていただきながら、是非そういう国民に分かりやすい形にしていただきたいと、こう思っております。 さらに今度は話を変えまして、司法制度改革の中で、これも所信の中にございましたが、司法制度改革を本当に実効性あるものにするためには何が大切かというと、法教育の更なる充実、普及、それに取り組んでいくという話がございました。私も当委員会におきましてこの法教育の問題、小さいときからそういった問題を知ってもらう問題も含めて指摘をした経過もございますが、具体的にこの法教育の更なる充実、普及というのはどんなことに取り組もうとされておるのか、当局で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(菊池洋一君) 法教育といいますのは、一般の方々に法や司法の意義、あるいはその背景にある価値観や物の考え方というものを実感として理解し身に付けていただくことを目的としておりまして、決して法律の技術的といいますか、細かな知識を覚えていただくということを考えているわけではございません。そして、司法制度改革が目指しております司法の国民的基盤の確立を実現するためにも、あるいは裁判員制度ということを考えましても、委員御指摘のとおり小さいうちから、未来を担う子供たちのうちから法や司法の意義について理解をさせるということが重要であるというふうに考えております。私どもとしましては、小学生ぐらいのときから始めまして、中学校、高校とその発達段階に応じてそれぞれにふさわしい法教育をしていくということが望ましいと、こういうふうに考えております。 どのような取組をしているかといいますと、私どもでは法律関係者のほかに教育関係者にもお声をお掛けいたしまして、法教育研究会、次いで法教育推進協議会というのをつくりましていろいろ御議論をいただいております。そのような過程を経まして、学校で法教育をするためにはそのための教材が必要でございますので、まず一つ目の教材、これはあくまでも試みのものでございますけれども、教材を一つ作りました。で、一部の学校に御協力をいただいて、その教材を使って授業をしていただきました。その実績を受けまして、教員の方の御意見を伺った上で、法教育をする教員向けに教材使用の留意点などを取りまとめたQアンドAを現在作成しておりますし、また実際の授業の場面を撮影したDVDも作っているところでございます。さらに、今年の二月には、裁判員制度を題材といたしました教材も作成したところでございます。 これからは、私ども関係省庁、具体的には文部科学省でございますけれども、とよく相談をしながらこの法教育というものがもっと全国に広まっていくようにという取組をしていきたいというふうに考えております。
○木庭健太郎君 今お知らせいただいたこれ一部の学校にと、で、授業で使ったというのはこれどの段階ですか、小中高、どこの段階でしょうか。
○政府参考人(菊池洋一君) 中学校でございます。一番最初に申し上げました試みの教材というのは中学三年生向けということで作成したものでございます。
○木庭健太郎君 もう一つは、これも先ほど少し午前中議論になりましたが、裁判外紛争解決手続、いよいよ認証制度が本年四月から開始されるわけでございます。 ただ、ADRというと、専門の士業の方たちはよく御存じでそれぞれ対応をいろいろ協議もされておるわけですが、先ほども御紹介がいろいろ、司法書士、いろんな形であったわけですが、実際に、じゃ国民の側に立ってみるとこのADR、裁判外紛争解決手続というこの言葉自体、ある意味じゃ、裁判所で言えば民事調停なり家事調停ですかね、それ以外はほとんど国民に知られていないのが現状ではないのかなと思うんです。 これ、司法法制部が昨年秋ですか、この認証制度について説明会を全国六都市で行われたと、その結果で、認識については民間事業者の行う紛争解決手続については一部を除き国民への定着が遅れ、必ずしも十分には機能していない状況にあると、その時点で認識を示されているわけでございまして、この法律は十六年の十二月に成立したものでございまして、参議院の附帯決議の中でも、そのときにたしか周知徹底という問題は重要な事項だと、こう挙げていたわけですが、その後どんなふうにこのいわゆる周知徹底という側、ADRを行う側の問題については先ほど様々なお話がございましたが、これを受ける側の国民に対してどうこの辺が体制が整っているのか、取組と現状について伺っておきたいと思います。
○政府参考人(菊池洋一君) 裁判外紛争解決手続がうまく機能して利用していただけるためには、国民の皆さんがこういう手続があるということを知っていただくということが大切であるというのは御指摘のとおりでございます。また、関係の法律が平成十六年に制定されたときの附帯決議で、国民に対して周知徹底を図ることという宿題をいただいていることは私ども十分に認識をいたしております。 そこで、これまで私どもでは、複数の都市で説明会を開きましたし、関係のシンポジウムなどがある場合には講師を派遣しております。これからは、今委員がADRという表現をお使いになられましたが、この分野に詳しい方は裁判外紛争解決手続をADRというふうに呼んでおります。しかし、一般の方はADRといっても何のことか分かっていただけないだろうというふうに私ども考えまして、もう少し実態をイメージしやすい表現がないだろうかということを考えまして、実は解決サポートというニックネームを考えまして、さらにロゴマークとして握手を、紛争当事者が握手をしているイメージを使った図を作りました。これから、この愛称などを使いましてパンフレットやポスターを作り、近々、地方公共団体などにお配りをしてPR活動をしていただくというお願いをしようと思っております。 また、法テラスとも連携をしまして、法テラスに何かこう相談が持ち込まれた場合には、認証を受けたADR機関で適切なものがあればそこを紹介してもらうといったような形の取組も考えているところでございます。 いずれにしても、この関係も周知徹底に今後とも更に努めていかなければならないと私ども認識しておりまして、そのような努力をいたしたいと思っております。
○木庭健太郎君 是非、取組を強めていただきたいし、何でも対立じゃないですけど、裁判だ何だかんだじゃなくて、正に話合いで物事が解決すればそれが一番いいんであって、そういう意味では解決サポート、考えます、もっといい名前がないかどうか、それなりに。ADRよりは分かりやすいですね。是非、何か愛称も、確かに募集してみるというのも一つの手かもしれませんが、もう少しこれ周知徹底することでこの制度が使われるように私どももまた全力で取り組みたいと思います。 次は、更生保護制度改革の問題について何点かお伺いしていきたいと思います。 更生保護制度というか、これにつきましては今国会で間もなく更生保護法案の審議を予定しているわけでございまして、中身の細かい詳細については法案審議のときにやらせていただきたいと思うんですが、ある意味では、警察、検察、刑事裁判、矯正に続く刑事司法制度の、この更生保護というのは正に一番最終段階を担う制度でございまして、今起こっているいろんな事件を見てみても、更生保護制度がうまく機能していればというような問題も一杯ありまして、本当に重要な問題であるということも思いますし、これもまた国民の理解を得なければならない問題だと思っておりますが、まず議論をする前段に、大臣に、このたびようやく法案を出すことに至ったわけですが、法案のことも含め、更生保護制度に関しての基本認識をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 更生保護の制度は、犯罪を犯した人や非行のある少年に対して社会の中で生活を営ませながら指導や援助を行うことにより、その改善、更生を図るものであり、本人の立ち直りを助けるという観点からも、また再犯や非行を防止し、安全、安心な社会を実現するという観点からも重要な役割を担っているものでございます。 我が国においては、昭和二十四年の犯罪者予防更生法施行以来、官民協働体制の下で、保護司を始めとする民間の方々の多大な御協力をいただきながら、保護観察を始めとする更生保護行政を実施してまいりました。 しかしながら、御承知のとおり、平成十六年から十七年にかけて、保護観察中の者や以前に保護観察を受けたことのある者による痛ましい重大再犯事件が続発したことを契機として、更生保護が十分機能していないのではないかとの御指摘をいただきました。そこで、平成十七年に更生保護のあり方を考える有識者会議を立ち上げ、多角的な観点からの御議論の結果、昨年六月に詳細な御報告をいただいたところであります。 この報告書で指摘されておりますとおり、現在の更生保護は、近年の社会情勢や犯罪情勢の変化に十分に対応できておらず、国民の期待に十分にこたえられていない面があると思われます。法務省といたしましては、こうした御指摘を厳粛に受け止め、更生保護制度の機能を強化し、国民の期待にこたえ得るものとするため、法令の整備、その運用、組織体制など、すべての面にわたって改革を行う必要があると考えております。 今般、国会に提出いたしました更生保護法案は、そのうちの法令整備の面における改革を担うものでございます。今後ともよろしくお願いをいたします。
○木庭健太郎君 今、大臣から決意というか表明があったわけですけれども、私も、昨年六月に提出されたこの有識者会議ですね、先ほど御紹介のあった、あれを見て、これ厳しい報告書だなと正直に思いました。 まず、ともかく、この犯罪者の改善、更生、再犯防止、社会を保護する目的とする更生保護制度は今どうなっているかというと、この有識者会議の報告書によると、機能不全だと、陥り掛けていると、もうこれは抜本的な改革が必要だと。さらに、改革の実施に当たっては、国が現在の危機的状況を招いた責任が自らにあることを謙虚に反省し、不退転の決意で強靱な更生保護制度の実現に取り組まなければならないと、ある意味では少し異例とも言えるほど厳しい私は指摘だったと思います。 今の大臣の決意を聞いて、こういう提言に基づいたものだとは思いますが、当局からも是非、この今回の法案というのは正にこういった国そのものが責任の大きな部分であるという、謙虚に反省し、なおかつ、現体制では機能不全だと言われている問題に本気で取り組むんだというようなものになっているのかどうか、伺っておきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 御指摘のとおり、有識者会議の報告書におきましては、更生保護行政の現状に対する厳しい指摘がなされておりまして、それは官民協働といいますけれども、民の側ではなくて、専ら官の側に向けられた厳しい指摘であると受け止めております。 その提言の中には、更生保護の機能強化のためにいろんな施策をするように具体的な提言がたくさん盛り込まれておるわけでございますけれども、その一つとして、関係法律の整備ということが含まれておるわけでございます。更生保護法案は、この提言を踏まえまして、その指摘を何とか実現していくというような気持ちを込めて立案をいたしております。 また、それと併せまして、国会の附帯決議も踏まえた立案でございます。 例えば、本委員会におきましても、平成十四年の更生保護事業法の改正の際に、関係法律の整備、統合に努めることというような附帯決議をいただいておりますし、昨年三月の執行猶予者保護観察法の改正の際にも、今の時代に適応した更生保護のあり方を検討し、更なる改善に努めることという趣旨の附帯決議をいただいているところでございます。
○木庭健太郎君 今お話があったように、これまで官と民が両方、保護観察官と保護司という制度の中でこの更生保護の問題は取り組んできたわけですが、そういう意味では、今回の法案というか、今回どのように規定しているかというところで一番大事なのは正に保護観察官と保護司の役割分担の問題だろうと思います。 今回、この法改正の中で、保護観察官と保護司、役割分担、どのように整理をしようとしているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 有識者会議の報告書におきましては、この点につきましては、保護司への過度の依存を解消するとともに、保護観察官と保護司がそれぞれの特性を生かして充実した処遇を実施できるようにするために、保護観察官と保護司との役割分担を明確化すべきであるという指摘になっております。 こうしたそれぞれの特性を生かして充実した処遇を行うというふうにするためには、個別の具体的な事案ごとに対象者の性格でありますとか、その他もろもろの事情を考慮して、保護観察官と保護司のどちらが担当するのが適切かということを判断をしなければならないと思います。 そういうことで、今回の更生保護法案におきましては、従来の規定が、保護観察は保護観察官又は保護司をして行わせるとだけ書いてあったわけでございますけれども、今度は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内容その他の事情を勘案して保護観察官又は保護司をして行わせるんだというように規定をいたしております。 この趣旨を踏まえますと、例えば、特異重大事犯でありますとか、あるいは暴力的な傾向が強いものなんかで、処遇上特段の配慮を要するような事案につきましては、保護観察官が自ら直接これを担当するなどいたしましてその役割を適切に果たして、保護司さんに無用な負担をお掛けしないようにしたいというふうに考えております。
○木庭健太郎君 そうなんですけれども、やっぱり全体を見ても、まだまだ更生保護の歴史が抱えた課題、つまり民間に依存した形でやらざるを得ないような体制の中でやってきた。それは人員の問題もあるでしょう、いろんな問題もあるでしょう。ただ、やはり是非とも、保護観察官が本来の役割、つまりきちんとした形でできる、どうすれば抜本改革になるのかという部分で、まだ今回の法改正だけでは整理できていないことがあるような気もするし、また定員の問題も、これやっぱりもう少し抜本的に考えていただかなくちゃいけない問題ではないかなと思うし、その辺についての見解を伺うとともに、是非その抜本改革を行うときに考えていただきたい部分の一つが、保護観察官というのはどういう人かと、こうなっているんですよね、医学、心理学、教育学、社会学その他の更生保護に関する専門的知識を有している者というふうに本来、保護観察官は位置付けられているんですけれども。 これ、報告書を読みましたら、専門性そのものにかなり疑問だという声もありましたし、ある意味では、やはり保護観察官の場合は、単に数を増やす問題だけじゃなくて、どういう人の、どう採用するのか、採用の後のいわゆる研修等において専門性をどう確保、向上できるのかと、そんな措置をどうとっていけばいいのかと、こんなことも含まれているような気がいたします。是非この点について御検討もいただきたいし、また現時点でどういうお考えをお持ちか、当局から聞いておきたいと思います。
○政府参考人(藤田昇三君) 保護観察官が本来なすべき事務といいますのは、一口に言うのは難しいと思いますけれども、例えば強制力を用いる事務でございますとか、仮釈放の取消しなどの保護観察対象者に不利益な措置を科するというような事務、これを行うのは当然であろうかと思います。それに付け加えまして、先ほど申し上げましたけれども、処遇上特段の配慮を要する事案の保護観察は自ら直接に行うべき立場にあるかと思います。それから、官民協働をきちんとやるために、保護司さんに対して質が高くて丁寧で、また誠実な指導、助言、あるいはバックアップを行うということも本来の仕事かと思います。 この法案を成立させていただきましたならば、保護観察官は新しい規定に基づきまして、保護観察の責任者としてその本来の役割を十分に果たすことによりまして、円滑な官民協働による実効性の高い更生保護を実現することが運用のよろしきを得れば可能となる。そのために、最善の努力を我々はしなければならないというふうに考えておるところでございます。 そのためと申しますか、抜本的な改革を実現いたしますためには、法律の規定の整備とその忠実な運用に加えまして、保護観察官の実力を強化する、あるいは対象者の就職支援策もいろいろと考える、体系的な処遇プログラムを開発するというようなもろもろの運用面や体制面の改革施策を実施することが必要であると考えております。 保護観察官の専門性に関しましては有識者会議でも指摘がなされておるところでございますけれども、これは、結局のところは保護観察官の保護観察処遇のプロとしての実力と意識を高めなさいという意味ではなかろうかというふうに理解をするところでございます。 そうした言わば処遇能力というものを強化するということは、現在も保護観察官に対していろんな法総研、法務総合研究所における研修も行っておりますし、また、保護局でも重大事犯、再犯事件とか少年事件とか覚せい剤事件などのテーマを絞った研究会も実施をいたしておるわけでございますけれども、今後は新任保護観察官の研修期間を、これまで一年でございましたが二年に延ばしたり、あるいは処遇技法に関する科目を増やすなど、研修体系の見直しを図るために現在関係部局と協議を行っております。 それから、オン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しますか、日常の事件、保護観察事件を材料にいたしまして保護観察官を指導するということも現在やっておりますけれども、新年度以降、これを強化する体制を組むことといたしておるわけでございます。 保護観察官の採用の関係ですけれども、現在は国家公務員のⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種の試験の合格者の中から更生保護に意欲を持っている者、そして関心も高い者を面接をして、法務事務官にまず採用いたしています。そして、それぞれの種類ごとに、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種ごとに一定の年数を経過した後に保護観察官に補職をするというようにいたしておるわけでございます。この現行の採用制度というのは、幅広く多様な人材を確保するという観点からは非常にいいものだというふうに考えておりますので、今後ともこの制度の下で有為な人材の採用に努めてまいりたいと思います。 それで、保護観察官の採用者の七割はⅡ種試験の合格者が占めておりまして、このⅡ種試験の試験科目でございますが、本年度からその専門試験の中に心理学と教育学が加えられました。選択科目として加えられたんですが、これは保護観察官の素養として望ましい要素であると考えておりますので、この試験に合格した者の今後の、何といいますか、勤務状況なんかを勘案して、将来的にどのような採用試験がいいのかということもまた検討してまいりたいと思います。
○木庭健太郎君 保護局長ね、こういうときがチャンスなんですよね、法案改正のときとか。何がチャンスかというと、人数を増やすチャンスなんですよ。元気に頑張るしかないんですよ、局長は、法務省の中で声上げて。正にそういう闘いのときが、今から法案審議させていただけると思うんで、やると思うんで、そこは元気に頑張っていただきたいし、我々もそういう意味では充実した体制をつくりたいと思っていますので、ここはともに頑張らなければと思っているところですので、是非本格審議のときはもっと元気に答弁をしていただきながらやっていただきたいなと感じました。 ひとつ、地方更生保護委員会の仮釈放審理の問題のことについて、一点だけちょっとお伺いしておきたいんです。 この仮釈放審理というのは国民の目に見えない形なんですよね、今はね。ただ、今回、被害者等の意見が述べられるというようなことで大きな前進が図られようとしているわけです。この裁判員制度の実施によって、有罪か無罪か、量刑どうするかみたいな、まず、そこには裁判員制度によって国民の声が届くようになってきている、入口については。 ところが、更生保護というのは、今度はそれによって社会の中に帰ってくるわけですね。再犯のリスクを負うというのはだれが負っているかというと、国民が負うのは負うわけですよ。そういう意味じゃ、地域社会の声を反映させて更生保護に対する国民の理解と支持をどう深めていくかというのは大切な課題にもなっている。言わば、今度は出口となる方の地方更生保護委員会における仮釈放審理の在り方もやはり検討すべきときに来ているんではないかというようなことをちょっと感じておるんですが。 これ、報告書の中でも現実に、この仮釈放審理について内輪で行われているという批判にこたえろと。そして、この審理の公平性、的確性、透明性を高めるためにいろんな、例えば民間有識者等、更生保護官署出身者以外、一般の方も登用すべきだというようなことも、また専門家も登用すべきだというような提案も報告書の中に実際あったわけですよね。 その意味で、今回、今日は法務大臣に、この仮釈放審理、さらに地方更生保護委員会についてどう取り組むつもりでいるのか、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 御指摘のとおりだと思っております。 なかなか人を探すというのも難しい面はあることはあるんでございますが、昨年十月には民間委員として二人、新聞関係者あるいは教育関係者のようでございますが、を任命をすることができました。引き続き積極的な登用に努めていきたいと思っております。 また、専門家の知見を活用すべきという点もそのとおりだと思っておるわけでございまして、地方更生保護委員会委員が精神科医に意見を求め、仮釈放審理に当たっての参考に資するための予算も十八年度から措置を講じてきております。 今後とも、的確な仮釈放審理が行えるように外部の知見を積極的に活用するようにしていきたいと考えております。
○木庭健太郎君 あと、地元の問題を二つほどちょっとお尋ねしておきたいと思うんです。 一つは、更生保護ともかかわる話なんですけど、自立更生促進センター構想というのがございます。宿泊施設まで設けて自立更生のためにきちんとしようと。趣旨、目的、大変立派なものでございまして、私どもも反対する筋合いはないわけでございますが、そのうちの一つが実は私の地元であります福岡市中央区というところに整備が予定されているんですよ。ところが、この考えていらっしゃる場所、まあこれは従前から更生保護の関係の施設があったところだからということでお考えになったんでしょうけれども、目の前がどんなところかというと、本当に自立更生促進センターという、もしそこに造ったら、そこに入っている人の目の前に何があるかというと、小学校なんですよね、目の前が。校庭が見え、プールが見えるというような場所でございまして、これから社会へ復帰しようと思って頑張っていらっしゃる方が寝泊まりする場所になるわけでございますが。 ただ、そういった人たちが小学校の目の前において寝泊まりするというようなことになるとどうなるかというと、当然地元の住民や小学校のPTAの方々から見ると、これはどうなんだろうかという強い反対が現実に上がっているわけでございます。私も現実見ましたが、本当にここが適切なのかどうかということについてはいろんな思いがいたしましたし、もう一つ申し上げたいのは、社会に復帰させるためにそういう人たちが来る場所なんですけれども、この建つ予定地の少し歩いていきますと、実は福岡でも最大の歓楽街と言われている親不孝通りというんですがね、もう目の、本当そばなんですよ。もう正直言って、まあこれ以上言いません。いろんなことがちょっと、本当にそういう意味ではこれがどうなんだろうという思いは深くいたしたところでございます。 具体的事実として、あとは住民の反対運動があること。福岡市議会は、つい先日でございますが、三月十二日に計画の見直しを求める意見書が採択されたばかりでございます。伺うところによりますと、本日、地元の方々が法務大臣に直接陳情されるというようなこともちょっとお聞きしておるんですが、ともかく、地域の方々のこういった心配の声を十分に聞いていただいて、その理解を大前提とした上で進めていかなければならないと私は思うんです。やはり地元の理解がなければこういった施設は私はできないと思います。 そういったことも含めて、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 自立更生促進センターは、仮釈放されたような方々が、なかなか住むところもないというような方もあるわけでありますので、そうするとまた再犯に走るというようなことのないように、きちんとした保護また立ち直りのための援助をしたいという構想でありますので是非御理解をいただいて進めたいと思いますが、まあ理屈は理屈として、やっぱり住民の方々、いろんな思いもあるし、また事情もあると思います。 今おっしゃった具体的なことについてこの場で申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきますが、地元の理解を得なければ機能を発揮しないということも言うまでもないことでございますので、先生の御指摘も十分踏まえて対応していきたいと思っております。
○木庭健太郎君 最後に、法務局の統廃合問題で一つだけお聞きしておきます。 平成十八年六月三十日の閣議決定で、いわゆる行革の流れの中で定員削減の取組の一つとして、法務局、地方法務局の支局、出張所の統廃合が進められているわけでございまして、これも私の地元の福岡県では、大牟田出張所というのを廃止して柳川支局に統合するということになっております。 行革の流れとは言うんですが、ともかくこの法務局の統廃合によって地方の住民の利便性を欠くことになれば、これは本末転倒だと思っております。統合による住民の利便を低下させないための対策として、一部、登記簿等、抄本含めてですが、郵送請求の積極的な推進等のサービスを実施するというようなこともお伺いしているんですが、例えばこれが廃止されてしまうと、その新しく統合された場所には、大牟田という廃止される場所から行くためには交通機関で一時間程度の時間を要するということになりまして、どうしてもアクセス面で不便になるという声が少なくないわけでございます。 これまでどういう配慮をなされてきているのか、またここに利便性確保ということはうたっているわけですから、この利便性確保のためにどのような方策を考えているのかを伺って、私の質問を終わりたいと思います。民事局長。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、平成七年に民事行政審議会で当時御答申をいただいて、それも中心の基準といたしましてこれまで統廃合を行ってきているところでございます。 殊に、今委員も御指摘のとおり、平成十八年には減量化ということで非常に強い効率化を求められるという要請がございまして、その事情の下でまた新たに取組を強化しなきゃいけないという事情にございます。一方ではそういうように、まあ言ってみれば組織体としての効率性を求められているわけでございますが、他方、これまで非常に足長な組織だったということもそのことを裏書きするわけでございますけれども、法務局の仕事というのは非常に地元に密着した、特に表示登記の面で非常に地元と近い関係にございますし、またあるいは会社の方々にもいろんな御利用をいただいているわけでございます。 そういう意味で、私どももできるだけ地元の方々に御理解を得てこの統廃合を進めたいということで、これまでもそういう取組をしてきているつもりでございます。 具体的に申し上げますと、先ほど委員も御指摘になられましたように、郵便で様々な証明書を取り寄せることについて郵便局にいろいろな便宜のための手段を提供するなどということで、相当地元からも御評価をいただいているところもございます。それから、言うまでもなく、これまで二十年間にわたってコンピューター化を進めてきたその一歩先には、やはりオンライン申請ということがございます。このオンライン申請は、基本的には、その申請の中心というのはやはり司法書士さんの皆さんあるいは土地家屋調査士の皆さんというそういう専門家の皆さんですから、こういう方々に実際にやっていただくというために、設定が非常に難しいものでございますので、そういったことの新たな手段というのをまた企画して、この取組を強化したいと思います。 最後でございますけれども、やはり実際に登記が行われた後の証明書の入手というのが一番地元の方にとりましては大きな関心事でございますので、先ほど、郵送ということもこれまでやってきたわけでございますけれども、新たに機械を、証明書発行機というようなものを幾つかの統廃合の例では導入して、これも幸い、ある程度御利用の数がまとまっていただけるところでは非常にうまく運用できているところでございますので、今御指摘になりました大牟田のケースでも、こういったことを地元と十分に御協議させていただきたいというふうに今考えているところでございます。
○木庭健太郎君 局長、そうすると、例えば証明する機械を市役所なり何か公的機関に置くようなことも検討しているということですかね。済みません。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは御相談でございますが、そのとおりでございます。
○木庭健太郎君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 今日は私は、鹿児島、富山の冤罪事件についてお尋ねをしたいと思っています。 といいますのは、大臣の所信表明を伺っておりまして、この事件あるいは刑事司法の在り方について全くお触れにならなかったということ、私、残念でございました。今日、大臣がどう受け止めていらっしゃるかについてはこれまでに基本的な御答弁ありましたので、先に警察庁やあるいは法務省刑事局がどんなふうに受け止めていらっしゃるのかお尋ねして、後ほど大臣にお伺いをしたいというふうに思うんです。 この鹿児島と富山の冤罪事件は、改めて御本人たちあるいは御家族の人生に冤罪というのが取り返しの付かない苦しみをもたらすし、関係者や地域を引き裂く、そういうものであるということが改めて明らかになったと思います。私は、断じて許されないと思いますし、刑事司法の根幹を問うている重大問題だと思うわけです。 まず、警察庁ですけれども、本当に申し訳ないことをした、警察全体としておわびをするというふうに謝罪をされるのは当然のことだと思うんですが、まず処分についてお伺いをいたします。 といいますのは、いわゆる踏み字と言われる事件にかかわった取調官、捜査関係者以外は、鹿児島でも富山でもこれは一切懲戒処分の対象とされていないわけです。なぜ懲戒の対象となっていないのかということについて、富山県警の警務部長がこんなふうに言っています。当時の捜査員の故意や重過失が原因で起こったものではなく、組織的な捜査の結果と認識しており、現時点で処分は考えていないと。 警察庁にお伺いしたいんですが、この故意や重過失が原因で起こったものではなくというのは私には全く理解できないんですね。いかがですか。
○政府参考人(縄田修君) お尋ねの富山県警察の警務部長の発言の趣旨につきましてでございますけれども、今回の事案は、捜査員において無実の人を殊更犯人として刑事訴追を受けさせる目的で権限を濫用するとか、あるいはこれと同一視し得るような、こういった事情が認められるものではないんだということを表明したといいますか、表したものと私どもは承知をいたしております。 いずれにいたしましても、富山県警察において捜査上の反省、教訓事項を組織として受け止めて対応していくと、こういうことだろうと思います。
○仁比聡平君 ちょっと今の答弁信じ難いですよ。そのような状況じゃなければ懲戒処分の対象にならないというんですか。 警察庁が平成十四年の七月に懲戒処分の指針の改正についてという通達出されていますね。これ拝見しますと、責任あるところに処分あり、処分あるところに責任ありを旨とした懲戒権の適正な行使に努めることというふうにあるんですが、今回の両事件で懲戒権の行使をしないというのは、つまり処分なきところには責任はない。警察庁には、あるいは県警組織には責任ないということですか。
○政府参考人(縄田修君) お尋ねの富山県の事案、あるいは志布志の事案についてでありますけれども、これは法令に従って端緒を得、捜査をいたしておったわけでございます。これらの事案の問題点につきましては、これは個人の責任というよりも、先ほども申し上げましたけれども、組織として受け止めるべきものだろうと、こういうふうに考えております。 富山の事案におきましては、これは男性が大筋で犯行を認めたこと、それから写真面割り等で捜査をいたしました。しかしながら、裏付け捜査が不十分でございました。こういった捜査を尽くした上で供述の信用性を十分吟味しておれば、更に実態解明といいますか、真実に迫れたのではないかといったところが大きな反省点でございます。 また、志布志の事案におきましては、これは判決においても示されておりますけれども、正にアリバイの主張が認められ、さらに客観的証拠が十分に提出されていないんじゃないかと、あるいは取調べの在り方についても幾つか指摘をされておりました。そういった点を大きな反省点としてとらえております。 こういった点につきましては、捜査に従事した個々の捜査員一人一人に責任を負わせるといいますか、責任があるというよりも、やっぱり組織としてこれらの捜査の指揮、運用といいますか、そういった点について十分でなかったというところで私どもも受け止めるべきだろうと、こういうふうに考えております。 しかしながら、懲戒といいますか、そういった処分の対象とすべきではないと考えてはおりますが、判決において十分捜査の在り方について、先般も御指摘がございましたけれども、そういった点につきましては十分受け止めなきゃいかぬということで、鹿児島県警察においては警察本部長から捜査主任官等捜査幹部二人に対して厳重注意、警察庁におきましては長官から当時の本部長に対して注意ということで、措置がなされたということでございます。 今後、このようなことがないように十分努めてまいりたいと、このようには思っております。
○仁比聡平君 指導上の注意をしたというのは、今答弁があったように、例えば裏付け捜査が不十分だったというわけですよね。だけれども、重過失はないというんでしょう。違法な捜査じゃないというわけですよね。 富山の事件についてアリバイが問題になっていますけれども、この仮に被害者Aさんとしておきますが、この方のおうちの固定電話の発信記録、これがアリバイの証拠になっています。これいつ入手されたんですか。
○政府参考人(縄田修君) 四月の二日であったと、四月の二日に入手をしたと、こういうふうに承知をしております。
○仁比聡平君 つまり、被害者Aさんの任意の取調べ中、逮捕前ということなんですね。 この被害者のAさんがメディアの取材に答えてこういうふうに言っています。自分は犯行時間帯には電話を掛けていたと訴えたが、取調官は、相手は電話を受けていないと言っていると認めずに、もう何を言っても駄目だという心境になったというんですね。これが、既に入手をしていたはずの発信記録、これがありながら、こういうような虚偽のことを申し向けて、これで自白に追い込んでいく、こういうのが違法ではないというふうにおっしゃるんでしょうか。いかがですか。
○政府参考人(縄田修君) 報道の、アリバイの主張をしたけれども取り合ってくれなかったということにつきまして、これは私どもも検証をしていく過程で重く受け止めました。 当時、この男性の方と何度か接触もしながら、当時の状況をどうであったかということをつぶさに別の幹部が聞き取りをいたしております。先ほど御指摘の、今、そのアリバイを主張したけれども取り合ってくれなかったという点について私どもも確認をいたしましたけれども、当時、その男性の方からそのような話は特になかったといいますか、ないものだというふうに私どもは聞いておるところではございます。
○仁比聡平君 そのことについてもしっかり私は検証をしていくべきだと思います。 鹿児島の事件で、先ほど申し上げた踏み字、これ大臣、御存じでしょうかね、どんな字を踏まされたかという。大臣、お孫さんおられるかどうかは私存じませんけれども、大きな紙に、沖縄の孫、早く優しいじいちゃんになってね、お父さんは、そういう息子に育てた覚えはない、こういう字を書いて、これを無理やり警部補が踏ませるわけですよ。こういうことをやった事件は懲戒の対象になった、だけれどもほかは指導上の注意だけなんですね。 この鹿児島の事件でもアリバイが問題になっています。もう詳しくは申し上げる時間がありませんが、無罪判決の判旨の中では、捜査機関としても被告人がアリバイが成立する前提の場所にいたということは揺るがし難いとの認識を有していたことが明らかであるというふうに認定をされているんです。捜査段階からアリバイが成立する前提事実については揺るがし難い認識を捜査機関は持っていたという認定なわけですよ。 供述の変遷、自白の変遷ですね、被告人たちの、これが大変な問題になってきたわけですが、判旨をちょっと紹介すると、こうです。当初の自白内容は最終的な自白内容とはかなり異なっていて、供述者間の供述の食い違いも多々見られるが、五月七日ころまでの数日間に次々と変遷を繰り返した末に食い違う供述内容が次第に収れんされていき、最終的に自白内容が一つにまとまっていくといった供述経過をたどったことがうかがえると。どうしてそういう経過をたどったのかということを詳しくすべての被告人ごとに認定をした上で、判事は、これは新聞でも言われていますが、こんなふうに言っています。 被告人らの自白するような会合の事実は存在しなかったものと言わざるを得ない。にもかかわらず、被告人らの自白の中に、あるはずもない事実がさもあったかのように具体的かつ迫真的に表現されていることは、自白の成立過程で、自白した被告人らの主張するような追及的、強圧的な取調べがあったことをうかがわせるものである、こういう無罪判決なんですね。で、警察庁はこれに控訴をしなかった、だから確定しているわけです。 このような取調べが現実には行われた、なぜなのか。このことについて警察庁に私は伺いたいんですが、これは新聞報道ですけれども、よろしいですか、たたき割りという、そういう捜査手法あるいは捜査態度が問題とされています。これは街の風評や情報を吟味をして、そこから事件の構図を取調べをする前に先に描いて、で、次々に容疑者を調べていく。その中で元刑事がこう証言しています。 捜査員は構図通りに自供させなければならない。シロと思ってもクロの供述でなければ、駄目なやつだと捜査から外される。これは朝日新聞の二月二十五日の記事ですが。こういう誤った見込みに基づく重大な違法捜査なんじゃないんですか。 こういう事態が実際にあったのか、なかったのか、それは検証されたんですか、警察庁。
○政府参考人(縄田修君) 報道にありますそのたたき割り、あるいは捜査員がシロをクロと言わなければ外されるとか、そういったことにつきまして、私どもといたしましては、そのたたき割りという捜査自体がまあどういうものかというのは、まあ委員はおっしゃいましたけれども、いろんな見方があって、いろんな場面で使われるのかもしれませんが、定義はちょっとはっきりいたしませんけれども、いずれにいたしましても、シロをクロと言うとかクロをシロと言う、ということで、そういった事実を、その取調べの中で逆のことを言わせなければならないという捜査官が私はこの世の中に存在するということ自体、大変不思議に思っております。 今、いろいろ調べの過程でということでありますけれども、私どももいろいろ検証いたしましたけれども、捜査の過程ではいろんな議論があります。取調べでありましても、多数人が関与する事案とか、そういったことになりますと記憶がいろいろありますし、何度か同じ事実がありますと記憶が混在するということで、いろんな形で当初供述が出るということはあり得ます。あり得ます。そういったものを十分収れんしていくといいますか、捜査の過程の中で何が真実かというのを見極めると、そういった過程で捜査員の中でいろいろ議論といいますか、そういったこともありますし、それからさらに、それを基に裏付けをしていって事実を見付けていくと、こういうことも必要になってまいります。そういったことも経ながら判断をしていくというものでありまして、御指摘のようなその取調べがあったということにつきましては、私どもとしては理解をいたしておりません。
○仁比聡平君 大臣、是非、そんなに難しくございませんので、この判決文をお読みいただきたいと思うんですね。私、これ読んで、まるで封建時代の糾問記録を読むような思いがいたしました。 今警察庁の方で御答弁ありましたけれども、自分たちはそんな変なことはやっていない、違法なことはやっていないとしきりに取調官が証人尋問に答えておられるようです。だけれども、判決はそれを否定しているんですよね。そこをよく受け止めるべきでしょう。そういう警察官がいるとは思えないというような御趣旨の御答弁でしたけれども、この朝日の取材というのは大変多方面からの取材をしておられるようですよね。私はその生に当たったわけじゃありませんが。 続けてこういう記事があります。ベテラン警部補が、裏付けが全く取れない、見直した方がいいと言ったと。だが、捜査を指揮していた当時の志布志署長が二時間にわたる説教を始めた。そういう人には出て行ってもらうというふうに言って、翌日、発言した一人が捜査から外されたというわけです。 伺いますと、この署長さんというのは定年を前にして、二月下旬ですか、退職をされたということで、既に退職をしているので懲戒だとか、処分だとか、指導だとかいう対象にならないというふうに警察庁は言っているわけですよね。それでいいんですか。それで本当にこのような違法な事態、人を証拠もなく罪に陥れるような、そういう捜査を今後絶対に繰り返さないということが言えるんですか。そこを私はしっかり検証しなければならないと思うわけです。 法務省刑事局にもお尋ねをしたいと思うんですが、この鹿児島の事件の検察官、捜査検事の対応としてこういう報道があります。 起訴の前に捜査段階でアリバイが成立をするのかしないのか、そこの点についての裏付けを取っておいてほしいという指示をしたんだが、それに対して警察から、それはきちんとした報告がないまま起訴をしたというような記事なんです。 小津局長ですね、仮に局長が現場でこの事件の捜査を担当しておられたとするなら、これはもう本当に仮定の話ですけれども、一人の被告人は捜査段階で警察では自白をさせられ、勾留質問や、あるいは検察の取調べのときには否認をすると、そういう自白、否認、自白、否認、九回もそれを繰り返しているんですね。その供述状況そのものからしたって、それ自体からしたってこれは変ではないかと、そう思うのが当然だと私は思うんですね。とするなら、警察の取調べの仕方について何らかの指示をするべきだと思うし、まさかそのままうのみにして起訴するなんというのは私はあってはならないと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(小津博司君) まず、本件の事件につきましては、鹿児島地検において起訴をし、その公判の結果として裁判所から委員御指摘の内容も含めた判断がなされ、自白の信用性が基本的に否定されたということでございます。 でございますから、自白の信用性や客観的証拠の吟味等々について不十分な面があったともちろん私も思っておりますし、検察全体としても思っておりまして、最高検としてこれから鋭意精査してまいるわけでございます。 委員御指摘の、私だったらどうするのかというお尋ねでございます。もちろん一般的に申しまして、被疑者の供述は事件によりまして様々変わることはございます。それから、その際に検察官がどうするかということでございますが、まあ一般的に我が国は検察官が直接の取調べをして、その警察での供述が本当かどうかを検察官のやり方で確認をするというのが通常でございます。しかしながら、検察官のところでも否認をして自白をしてまた否認をしてというケースがないわけではありません。当然のことながら、そのような自白、否認を含めて供述の変転がある場合には特に慎重に自白の信用性を吟味するべきものであろうと私も思っております。
○仁比聡平君 公判維持の問題についてもお尋ねをしたいんですが、公判で検察側はこう主張しておられたというんですね。被告らは自発的かつ詳細に供述しており、取調べは適正。アリバイを証言しているのは中山被告の同級生や支援者ばかりで信用できないと。 これ伺いますと、論告求刑においてこういう主張をされたと。だけれども、先ほど申し上げたように、判決では、アリバイそのものの前提になる事実について、捜査機関は捜査段階から明確に認識していたという認定をされているような事態なわけですね。最後の最後までその主張は信用ならないといって争い続けたという点について、どうお感じになっていらっしゃるんでしょう。
○政府参考人(小津博司君) 委員御指摘のような主張を検察官が最後の論告のところでしたということは事実でございます。公判の経過の中で、比較的最終段階でございますけれども、この被告人のいわゆる自白調書の任意性を認めるかどうかということが裁判所の判断の大きなポイントになったわけでございますけれども、裁判所は任意性はあるということでこの調書が採用はされました。 しかし、他方で、そのアリバイに関する弁護側の主張が、特に弁護側の冒頭陳述以降、極めて明確なものとして主張されて立証されていった、そういう中での論告でございます。 検察の立場で論告をして、その結果として裁判所はその主張を認めなかったと、こういうことになるわけでございます。 御指摘の捜査の比較的早い段階からこのアリバイに関する事実が分かっていたのではないかということでございます。捜査、公判の経緯につきましては、先ほど申し上げましたように、今後、最高検の方で詳細に精査をするということにいたしておりますけれども、これもやや一般的に申させていただきますと、ある犯行が行われた日に、そのしたとされる人は、そのことだけではなくっていろいろなことをいたしますので、例えば、この会合があったという日に別の会合があるということは、これはあり得るわけでございます。そういうことも含めたその人の行動を本件でどの程度把握をしていたか、それが犯行時刻と接着していればしているほど、それが本当に捜査側の主張と矛盾しないものであるのかどうかということを詳細に検討するべきものだとは思います。 ということになりますから、これもあくまで少し一般的に申させていただきますが、そのようなところも踏まえて検討した結果として検察としては処理をしたのであろうと今のところ思っておるわけでございます。 以上でございます。
○仁比聡平君 鹿児島地裁の無罪判決は小津局長が今おっしゃる一般論と全然矛盾しない形で詳細に認定をした上で、私は久しぶりに明確にアリバイを認めたという、これほどの事実認定というのはそうそうあるものじゃないという印象を受けました。しっかり検証をしていただきたいと思うんですね。 時間ありませんので、今日最後にもう一問だけ局長に伺いますが、この事件では、捜査側の弁護権侵害、これがこのような冤罪を生み出したのではないかという点が重大な問題になってきました。 二つ伺いますけれども、国選弁護人が接見禁止処分を受けていた被告人と接見をする際に、被告人の娘さんの激励の手紙を接見室のあのガラス越しに見せたという行為をとらまえて、弁護人が接見禁止の趣旨を逸脱したと、こう言い立てて解任請求をした、検察が、というのは、これ事実なんでしょうか。 加えて、捜査機関が弁護士と被告人、被疑者が接見をした直後にその内容を逐一調書化をしていく。その中で、弁護士さんからこう言われたので否認している、あたかも弁護士が不当に否認を求めているかのような、そんな言い分が一杯書き込まれている。これ、こんなことをしたのはなぜですか。
○政府参考人(小津博司君) まず、事実関係といたしまして、委員御指摘のように、鹿児島地検の検察官が鹿児島地裁に対しまして弁護人を解任するよう職権発動を促したということがございました。また、本件におきまして、検察官が被疑者と弁護人との接見内容を聴取して供述調書を作成したという事実もあるものと承知しております。 この件につきましては、現在、国家賠償請求訴訟が係属しているところでございますので、この場での私のその点についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○仁比聡平君 その点については、ほかの点、警察庁に今日、ほかにもお尋ねしようと思っていましたが、時間がありませんので別の機会に、近いうちにまた続けてやらせていただきたいと思っております。特に、取調べの可視化の問題についての警察庁の言い分も是非聞いてみたいと思っているんですね。 大臣、最後に今日お尋ねをしたいんですけれども、今ちょっと触りだけ聞いていただきましたが、そういう事件なんですね。これが、冒頭に申し上げたように、刑事司法の根幹を問う、ここに対する国民の信頼を問う大問題だということについては、これはもう明らかだと思います。その結果、どういう事態が起こるか。 この判決文の中にも引用されています、この判決の言葉で言うといち子ノートというのがあるんですね。いち子さんという被告人がいて、その方が取調べ状況についてたどたどしい言葉でずっと書きつづったノートがあるんですよ。ここの部分だけでも私、是非読んでいただきたい。どうして罪のない人をここまで追い詰めなきゃいけなかったのか、どうすればこういうことを繰り返さないで済むのか、その捜査の在り方、司法の在り方について、大臣として是非、これまでお話を申し上げました検証も含めて是非やっていただきたいと、真剣な決意で臨んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今日、富山と鹿児島の事件についての御質問でございましたが、この起訴段階における証拠調べ等々の不十分があったことは明確でございまして、こういうことで被害者の方々はもちろん、国民の皆さんに御迷惑を掛けたことは誠に申し訳ないことであると思っております。 検察の仕事は、法と事実に基づいて適切に犯罪を摘発をし、そして起訴をするということでありますから、これを公正に執行していく上でも国民の信頼と理解、協力がなければ成り立たないわけで、こういう事件は二度とあってはならないことであると、このように思っております。今、最高検において事案のきちんとした検証をすると、また、それに伴って、今後二度と起きないように体制を強化をしていくというふうに聞いておりますし、そのように私からも指示をしておるわけでございますので、今後こういうことのないように全力を挙げていきたいと思っております。
○仁比聡平君 終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。 実は私も今日、鹿児島の公職選挙法違反無罪確定事件を質問させていただきたいと、こういうふうに思っておりました。今ほど仁比議員の方からの質問がありまして、かなり重複をしておりますけれども、一応この準備ということでこの一本でやってまいりましたんで、やらさせていただきたいというふうに思っています。 私もこの判決文をよく読まさせていただきました。とにかく買収の四つの会合のうちの二つについてアリバイを明確に認めたと。この二つについてアリバイが成立するということになりますと、事件全体がもう根底から成り立たなくなってしまうと。本来であればそれで決着ということなんだろうと思いますけれども、さらに、この裁判所は十二名全員の供述調書を子細に点検をいたしまして、それが客観的事実と合致していないと、信用性がないという形で、文字どおり検察側完敗という、そういう正に久々のクリーンヒットの判決ではないかと、こういうふうに私は思っておるんですが。 どうも今ほどの質疑を聞いておりますと、大臣はこの判決文を読んでおられないのかなというふうに思うんですが、大臣のみならず、副大臣、政務官、お三方の中でこの判決文を読まれた方はおられますか。
○国務大臣(長勢甚遠君) 全文を読んでおるわけではございませんが、幾つかの点は報告を受けて読んでおりますし、内容はよく聞いております。
○近藤正道君 多分、優秀なスタッフがそばに控えておられますんで読まなくても分かるんだろうというふうに思いますが、しかし、今ほどの議論ではありませんけれども、やっぱりしっかりと読んでいただきたいというふうに思っています。かなり控え目な、慎重な言い回しではありますけれども、本当に明確に踏み込んで、この事件のあるいは捜査の違法性、そして供述調書はどういうふうに取られていったのか、なぜ信用できないのかということが非常にはっきりと書いてございます。是非それは読んでいただきたいというふうに思うんですが。 いずれにいたしましても、もう一度、もう冒頭、大臣からこの鹿児島の事件の今現在の感想、先ほど国民に対するおわびの言葉もありましたけれども、もう一度、私の質問でありますので、お答えをいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(長勢甚遠君) 今回の事件は、検察に取りましても、国民の信頼に不安を与えたものとして極めて申し訳ない事態であったと思っております。今回の無罪判決を重く受け止めて、今後の捜査に糧とし、こういうことのないように全力を挙げるように努力させていきたいと思います。
○近藤正道君 今ほどの大臣のお話でございますけれども、しかし、今回につきましては、三人の方が厳重注意と、こういう形で決着をしておりまして、いわゆる職務義務違反をだれも問われていないと。これでいいんだろうかと、私は本当に納得できない、そういう気持ちで一杯でございます。 犯罪捜査規範というのがございますが、この犯罪捜査規範の第十九条に、捜査指揮の責任を常に明らかにしておかなければならない、こういう規定になっておりますけれども、今回の事件で、警察本部長、鹿児島の県警本部長、そして志布志の警察署長、この二人は多分直接指揮を執る、そういう事案だろうというふうに思うんですが、この二人に捜査指揮の責任はあるんでしょうか、ないんでしょうか。
○政府参考人(縄田修君) 今回の志布志の事件につきましては、警察本部長指揮事件でございます。本部長が捜査の総括をやることになっております。捜査主任官、これは警察署の課長でございまして、署長はそれをまた監督指揮する者ということ。警察本部の方でその警察本部長を補佐、サポートしながら事件をやっていくと、そういう形になってございます。
○近藤正道君 そうしますと、鹿児島の県警の本部長と、そして志布志の署長が言わば直接指揮の立場に立って、その下で志布志の課長が捜査主任官として具体的な指揮を執ったと、こういう構図でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(縄田修君) 今おっしゃられたとおりだと、こういうふうに思います。
○近藤正道君 この犯罪捜査規範、これはどういうものなんでしょうか。これは、捜査の具体的なやり方を規定した正にその職務義務、捜査官の職務義務を直接定めたものではないかと私は思っております。刑事訴訟法はもちろんありますけれども、より具体的に警察の捜査方法、手法を明確に定めた、これに従って具体的な捜査を行えと、そういうふうな言わば覊絆力を持ったものではないかと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(縄田修君) 犯罪捜査規範、これは警察官が犯罪の捜査を行うに当たって守るべき心構えとか、捜査の方法、手続その他捜査に関し必要な事項を定めることを目的とするということで定められております。 委員におかれましてもその条文いろいろ見られたと思いますけれども、様々な事項が書かれております。正に、是非こうかくあるべしという事項もあれば、留意して、こういった点は気を付けてねというようなものもございますし、それから手続的なことを書いてあるものもございます。
○近藤正道君 この犯罪捜査規範の百六十七条に取調べにおける留意事項、そして百六十八条に任意性の確保と、二つの規定がございます。百六十七条では、被疑者の利益となるべき事項、例えばアリバイなんかそうだと思いますけれども、こういうものについても明らかにするよう努めなければならない、こういうふうに書いてありますし、取調べに当たっては、言動に注意し、相手方の年齢とか、性別だとか、境遇だとか、性格等に応じてその者にふさわしい取扱いをすべきなど、その心情を理解して行わなければならない、こういうふうになっておりますし、百六十八条については、任意性の確保でありますが、取調べを行うに当たっては、強制、拷問、脅迫その他供述の任意性について疑念を抱かれるような方法を用いてはならない、こういうふうに明確に言っておりますし、その第二項では、みだりに供述を誘導して、供述の代償となる利益を供与すべきことなどを約束したり、その他供述の真実性を失わせるおそれのある方法を用いてはならないと、こういうふうに書いてございます。 これは、具体的に単に心構え等ではなくて、これを意図的に逸脱、無視するような場合には、当該の捜査員、職務上の義務違反に問われてしかるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(縄田修君) 委員おっしゃられましたように、意図的にこのような行為がある、例えば百六十八条関係で言えば、暴行とか脅迫のような行為とか、あるいは利益の供与等、そういったことがあれば、私どもとしては、これは厳正に一つ一つを取り上げて懲戒処分をいたしておるところでございます。
○近藤正道君 今度のその鹿児島の事件につきましては、これはもう判決の中でもかなりのことを言っていますよ。今ほど仁比さんの話もありましたけれども、判決文を見ても、取調官から執拗に追及されたため、苦し紛れに供述をしたり、捜査官の誘導する事実をそのまま受け入れた結果云々とか、こういう記載もありますし、あるいは被告人らの主張するような追及的、脅迫的な取調べがあったことをうかがわせる事実があるとの判示部分があったり、あるいはとにかく早期に釈放を期待して云々とか、あるいは連日の厳しい取調べに疲弊する余り、早く解決されたいがための虚偽の自白に応じたのではないかとの疑いが払拭できないとか、そういう慎重な言い回しであっても、かなり脅迫的な、強制的な捜査があったということをやっぱりうかがわせています。 しかも、これは弁護人、あるいは被告人側の主張になるわけでございますが、弁護人がこの日弁連へ来て、かなり前から今度の鹿児島の事件の不当性のことをいろいろ言っています。とにかく強制捜査、逮捕の前にかなり長期にわたって任意捜査という名の下で事実上の強制捜査、とにかく朝早く、朝の六時ぐらいにうちへ迎えに来る、そして帰さない。しかも、そういうものを連日行う。連日午前の七時ぐらいから午後の十一時ぐらいまでこういうものをやる。中には、自殺未遂、うつ病になった、こういう人も出てきておるわけであります。 さらに、具体的には逮捕、強制捜査以降はいろんな問題が出てきている。暴力的、威嚇的、威圧的な取調べがあった。具体的に言えば、大声でどなる、机などをたたく、ける、机の上に両手を乗せ、下ろすなと、警察官が認めるまでその格好でいろとか、あるいは偽計的な取調べという中では、みんなこれを認めている、認めていないのはおまえだけだ、ポリグラフではっきり出ていると、認めなければ家族を逮捕する、認めなければ家族を釈放しない、認めなければ逮捕者が増える、こういうことをたくさんの、この十二名、十三名ですね、一人死んでいますから、この人たちが捜査の過程で言っていますよ、これ。 さらに、利益誘導的な取調べもあった。つまり、認めないといつまでも出してくれない、出さない、認めれば罰金で済む、早く家に帰れる、こういう利益誘導的な取扱いもあったとか、あるいは、先ほど来、違法な方法での証拠の収集、これ、とにかく代用監獄の問題がここでも出ているんですけれども、代用監獄の中で、弁護士が差し入れした大学ノートに被疑者、被告人の一人が克明に取調べ状況を調べている。そうしますと、それを差し押さえて取り上げる、あるいは同房者から様々聞き取りをして、房の中で、代用監獄の中で被告人がどんなことをしゃべっているかということを全部調書に取って、そしてそれを証人申請すると。これは、正に違法な方法での証拠の収集以外の何物でもない。 さらに、弁護人の弁護権の侵害の問題についても、先ほど来、話がいろいろ出ました。こういう問題がたくさん出ているわけですよね。そのごく一部、どうしてもこれ看過できない問題について裁判所が、やはり連日における厳しい取調べの結果、疲れ切って、そして早く楽になりたい、解放されたいという気持ちで虚偽の自白に応じていった可能性を払拭できないと、こういうことを言っているわけですから、私は、是非これについてはしっかりと、これだけの大事件であります。是非きちっと調べていただいて、この犯罪捜査規範違反があるのかないのか、これやっぱりはっきりさせるべきだと思うんですよ。判決が出て、そしてこれが確定した。控訴しない、確定した。直ちに、確かに問題はあるけれども職務上の義務違反があったとは認められない、こんなコメントがぱんと出て、三人の方だけが注意で終わるなどという、こんなふざけた話は私ないと思うんですよ、これは。 この事実はやっぱりちゃんと調べるべきだ。あるいは、調べないのか、あったとしてもこれ組織の責任なんであって、個人の責任には問わないのか。これ、どっちなんですか。
○政府参考人(縄田修君) 今委員御指摘の点につきまして、判決文の中でるる記載をされておるのは私どもも何度か読みました。判決文の中に、御案内のとおり、今でいえば元被告人の方々、若干誇張があるとか受け入れ難いというところもありながら、裁判官としては、捜査官、調べ官の主張と、それから元被告人の方々の皆さん方の御主張とを判断しながら、今委員がおっしゃられましたように、大変私どもにとっては厳しい認定をされたということであります。 私どもも、見ておりますと、やはりアリバイが認められなかったということは、供述の内容が非常に不自然ではないか、あるいは変遷をしているんじゃないか、というか変遷をしておるということですね、それからまあいろいろな言動等によりまして信用性が否定されたということでありまして、これ一つ一つにつきましては、私どもも当然、公判の流れの中で調べ官からも事実を聞いておりますし、調べ官も事実自体を認めておるのも幾つもございます、御案内のとおりでございますけれども。 そういったことも踏まえながら私どもで判断をしていくということでありますけれども、非常に今御指摘の点につきましては重く重大に受け止めて、この判決の中で書かれておる趣旨につきましては、しっかりと各都道府県にも伝え、かつ議論もしながら検討をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○近藤正道君 一般的な、私、話を聞いているんではなくて、これだけ違法な取調べが行われたという具体的な証拠が調書の中でも調書外でも様々出てきているわけですよ。そして、判決文の中にも裁判所は慎重な言い回しながらかなりそれを出しているわけですよ。ですから、私は、捜査員は具体的な固有名詞はもう挙がっているわけですから、是非一人一人やっぱりきっちり調べていただきたいと。具体的には、犯罪捜査規範、今言った百六十七、百六十八、この条文違反が私はある可能性は極めてやっぱり高いと、なければこんな事実にはならないと、こう思うんで、このことをしっかりと調べるのか調べないのかと言っているわけ。それもしないで、三人の人の単なる注意、これでお茶を濁されたら、それは警察に対する信頼は失墜しますよ、それは。だから、正に警察の信頼をきちっと確立するんなら、これだけやっぱり明らかになったわけですから、これしっかりやっぱり調べると、もう一回。そして、職務義務違反があるかないか調べる、そのことをやっていただきたいと、こう言っているわけ。やる気があるのかないのか、どうですか。
○政府参考人(縄田修君) 繰り返しになりますけれども、判決の中では取調べの在り方につきまして厳しく御批判があったことにつきましては私どもも十分受け止めたいと思います。それから、どのような言動があり、どのような取調べの在り方があったかということにつきましては、これまでも公判で正に裁判官もおっしゃっておられますように、両者から時間を掛けてしっかり聴いたということでありまして、私どもも事実関係につきましてはそういった公判の検証の過程で十分認識をしておるつもりでございます。自白の中では任意性が否定をされていないということもありますけれども、先ほども言いましたような信用性につきまして非常に疑念があるということで取り入れなかったということにつきましては、何度も申し上げますけれども、重く受け止め、今後の糧にいたしたいと思っております。
○近藤正道君 そんな話じゃ駄目ですよ、それは。 今回の事件だけじゃなくて、それこそ富山の今の冤罪の事件もあって、正にこういう事件が噴出をしているわけですから、これはしかし法律的には一人一人やっぱり問われるべきでしょう、それは。何でそれをやらないんですか。何でやらないんですか。やる気はないんですか。あるいは、やるなという何か指導でも出ているんですか。これは組織が問題で、個々には問わない、よほどのことでもない限り問わないと、そういう方針でも出ているんですか。やっぱりおかしいんじゃないですか、それは。一人一人の責任をきちっと問う中で、こういうことを起こさない、そういう風土というのはつくっていくんじゃないですか。 もう一度聞きます。これはやるべきですよ。一人一人の事実をしっかり問うべきですよ、これだけ事実が出ているんだから。どうですか。やるかやらないか。
○政府参考人(縄田修君) 先ほども申し上げましたけれども、端緒に基づきまして、法令にのっとって、正に令状も得ながら捜査をしていっているわけでございます。それから、個々の事実関係につきましては、公判でといいますか、明らかにされ、かつ判決にも書かれておると、こういった事実関係につきましては十分承知をいたしております。そういうことも踏まえながら、懲戒処分の基準といいますか、そういったことに照らしながら、あるいは委員の御指摘もありましたけれども、犯罪捜査規範に照らしながら、これは直ちに処分というものには当たらないと、こういうふうに考えるところでございます。 いずれにしましても、この事案につきましては、個々具体的に各都道府県に示しながら、あるいはブロック単位で指導担当の課長補佐等も集めながら、あるいは課長会議等でもディスカッションも含めて十分浸透させて、二度とこのようなことがないようにということで、順次段階を追って対応をしていきたいと、こういうふうに思っております。
○近藤正道君 それは他の都道府県でやっていただくのは結構なんだけれども、その前に個々の捜査官の責任を明確にしてくださいと、こう言っているわけですよ。裁判所での議論は、それはその彼が、捜査官が作成した供述調書を証拠として採用するかどうか、その観点からの議論なんですから。 今、私が言っているのは、そうじゃなくて、こういう形で事件が確定したわけで、しかもこれだけの具体的な疑惑が出ているわけですから、犯罪捜査規範に従って厳格に、この人がその規範を逸脱したかどうか、そのことをしっかり調査をしていただきたい。皆さん調査もしないで、これは逸脱なんかない、職務義務違反はない、こういう形で単なる注意で終わったら、これはたまったもんじゃないですよ、これは。全然もうレベルが違うでしょう、裁判所における議論と私が今言っていることは。 そのことをしっかりやらないから、いつまでたっても一部の人の暴走をみんながだれもチェックできない、そしてみんなでそれに乗っかっていく、こういう風土がいつまでたったって直らないんじゃないですか、どうですか。もう一回。
○政府参考人(縄田修君) 私どもとしては、判決文を踏まえながら、これまでの捜査経過等も含めて検証をしてまいりました。 一つ、総括すべきこと等につきましては、これまでも明らかにし、かつ通達等も流してきたところでありますけれども、ただ、これでもうすべて全部終わりなんだという趣旨では当然ございません。先ほども申し上げましたように、こういった事案を踏まえながら、さらに各都道府県も含めて検討を深めていくということでございます。 捜査規範の百六十七条、八条等、ここら辺の正に任意性の確保というのでかくあるべしといいますか、こうあらねばならぬということも記載されておりますけれども、一つ一つの事実、これにつきまして照らし合わせてみても、直ちにこのような形で明快に、先ほども委員がおっしゃいましたように、意図的にこういうことを行ったということは私ども認定できないわけでございまして、厳重注意処分という形になったということでございます。
○近藤正道君 全く悔い改めていないですよね。百六十八条は、疑念を抱かれるような方法を用いてはならないと明確に書いてありますよ、これ。私は全く納得できない。 しかし、時間がありませんので、次に行きますが、こういう警察の暴走、何で検察官は、検察庁はチェックできなかったんですか。そのことを聞かせてください。 それと、今ほど来、最高検でこのことについて検証している、する、あるいはしていると、こういう話がありましたけれども、この検証というのは今私が言った個々の捜査員の捜査規範とのかかわり、逸脱性、こういうものをきっちりやってくれるんですか。
○政府参考人(小津博司君) まず富山の、(発言する者あり)いえ、順次申し上げます。 まず富山の事件につきまして、当然のことながら、最高検、大変重要な問題と考えて、これにつきまして特に捜査、公判の状況について精査をし、そのような状況を踏まえて既に最高検の刑事部長から厳重な通知を出しているところでございますけれども、鹿児島の無罪判決が出て確定したその後のことでございます。 当然のことながら、この公判の過程で、検察庁において証拠関係を検討しながら公判を行ってきたわけでございますし、無罪判決が出た後、これを控訴すべきかどうかという段階で、また詳細な検討をしたわけでございます。その結果、控訴することはできないという判断に至る、そういう検討はしたわけでございます。 しかしながら、検察当局としては、それで控訴しなかったから十分であるという認識では全くございませんで、検察官といたしましては、この関係者の供述について信用性があると判断して公訴を提起したわけでございますし、その前提で公判を遂行してきたわけでございます。 また、先ほど仁比議員の御指摘にもございましたけれども、捜査段階で、当然のことながら関連するいろいろな事実が明らかになっていたことについてどのような検討がなされてきたのか、また検察と警察との関係がどうであったのか等々、いろいろな角度から本件については正に精査をして、どういうことが今後の教訓であるべきなのか、そしてまたその教訓を検察の組織の中でどのようにして徹底していったらいいのか。もちろん、考えられることといたしましては、研修等々という言葉になってしまうかもしれませんけれども、正に何が問題であったのかということを私が申し上げたようなことも含めて、是非これは精査しなければいけないという判断に立って、最高検の方でただいま精査を進めているという、そういう状況でございます。
○近藤正道君 その結果はこの委員会に明らかにしていただけるんですか。
○政府参考人(小津博司君) 精査をいたします内容が、当然その捜査の非常に機微にわたることやら関係者のプライバシーということもあろうかと思います。これをどのような形で御報告申し上げたらいいのかということにつきましては、今後御指導いただきながら検討させていただきたいと思っております。
○近藤正道君 今日は時間がありませんので、これでやめますけれども、さらにこのことについては関心を持っておりますので、是非検討していただいて、結果を私たちの前に出していただきたいというふうに思っています。 今回、最高検は通知を出しまして、無辜の者を早期に刑事手続から解放することもまた検察官の重要な使命だと、こういうふうに言っております。当然の話であります。 そういう観点からいけば、なぜこの事件が公判請求されたのか。だって、アリバイの問題は早い段階から警察は入手していたわけでありますので、それを正に犯罪捜査規範に従ってきちっとやっていれば、私は全く違ったものになった、公判請求なんというのはあり得なかったんではないかと思うし、さらに公判の中でもあれだけアリバイの主張がきちっとなされ、供述の変遷だとかあるいは証拠収集の過程でのでたらめが明らかになっているわけですから、ああいう全く厚顔無恥の私は論告求刑なんというのはあり得ないと思うんです。正に早く解放しなければならない、そういう検察官の責務を全く怠っていたと、私は言わざるを得ない。 そしてさらに、問題は検察官だけではなくて、裁判所だって、身柄の関係でいえば、本当に警察の暴走に追随をして、令状はばんばん出すし、あるいは逮捕状もどんどん出しますし、これは非常に問題でしたよ。 今日は時間がありませんので言いませんけれども、本来裁判所はそういう暴走にやっぱり歯止めを掛ける、そういう役割を果たさなきゃならぬ。判決はそれはいい判決出ましたけれども、しかし身柄関係の令状の対応なんというのは本当にやっぱりひどいもんだと。もっとやっぱり人権感覚を持ってきちっとやっぱりやっていただきたいと、本当にそういうふうに思います。 やっぱり最後に申し上げたいことは、いずれにいたしましても、今回の密室の調べ、そして自白偏重、そして違法な取調べ、これ正に三点セットのやっぱりオンパレードですよ、これ。これをやっぱりどうやって直していくのか。私は可視化しかないと、取調べの可視化しかないというふうに思うんです。今こそこのことにやっぱり警察も検察も留意をしてこの方向に向けてやっぱり動き出さなきゃならぬと、私はそういうときだというふうに思います。警察と検察の皆さんから決意を含めて、この時期、やっぱりこういう方向で行かなければならないと私は思うんですけれども、お考えをお伺いをしたいと、こういうふうに思います。
○政府参考人(縄田修君) お申出の趣旨はよく理解はいたしますけれども、私ども捜査に携わる者といたしまして、やはり取調べというのは大変重要な役割を担っております。これをしっかりとやり、その供述を得ながら客観的証拠も得ていくというようなこともございます。 そういった中で、取調べの録音、録画ということになりますと、様々な障害要素が出てきます。十分な供述も得られない、したがって犯罪検挙にも影響してくると、こういったことも大きな懸念として持っております。そういった視点から、現状のこの流れの中といいますか、司法制度全体の手続の中で検討される事項だというふうに私ども理解いたしておりますが、取調べの録音、録画のみをもって直ちにということにつきましては慎重にならざるを得ないというふうに思っております。
○政府参考人(小津博司君) 現在、検察庁におきましては、裁判員制度における任意性の分かりやすい立証という観点から、検察官による取調べの一部に録音、録画を導入するという試行を行っているところでございまして、昨年は東京地検だけでやっておりましたけれども、それを東京地検以外の検察庁にも拡大して、今その試行を行っているところでございます。 この取調べにおける録音、録画の問題につきましては、先ほど警察庁からもお話ございましたように、どのようにして相手の方と話をしていくか、つまり取調べをしていくかという問題と、我々が試行しておりますことで申しますと、この任意性、信用性の問題を裁判員制度の下でできるだけ分かりやすくどうやって立証していったらいいかという大変に難しい問題の中で、検察としても大変悩みながらやっているというのが実情でございます。 私どもから申しますと、また検察の役割と警察の役割の違う面もありますので、私どもからいたしますと、まずは我々の方の、検察としての試行を続けていきたいと、このように考えております。
○近藤正道君 時間ですのでやめますけれども、もう二年後に裁判員制度が始まる、そういう中でこういう鹿児島そして富山の冤罪事件が起こってしまいました。この事件を見れば見るほど、取調べの可視化、これ以外にないというふうに思っておりますが、警察あるいは法務、とりわけ警察については全くこの事実を認めようとしない、大変困ったものだというふうに思っておりますが、なおあきらめることなく可視化実現に向けて私どもも頑張る。是非、警察の方も世界の流れをやっぱり見ていただきたい、そして自分の足下を見ていただきたい、そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。
○委員長(山下栄一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時三十二分散会