日本国憲法に関する調査特別委員会 第6号
- 発言数
- 332 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2007/04/25
会議録
○委員長(関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二十三日、秋元司君が委員を辞任され、その補欠として岩城光英君が選任されました。 また、昨日、吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。 ─────────────
○委員長(関谷勝嗣君) 日本国憲法の改正手続に関する法律案を議題といたします。 昨二十四日、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。 まず、第一班の御報告を願います。中川雅治君。
○中川雅治君 第一班につきまして御報告いたします。 派遣委員は、関谷勝嗣委員長、前川清成理事、荒木清寛理事、田中直紀委員、野村哲郎委員、小林正夫委員、芝博一委員、近藤正道委員及び私、中川雅治の九名であり、昨二十四日、名古屋市において地方公聴会を開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。 まず、公述の要旨を御報告申し上げます。 最初に、愛知県国民健康保険団体連合会専務理事鈴沖勝美君からは、暮らしや社会はこの六十年間に大きく変わっており、憲法もこれらの変化に合わせて改正されるべきである、憲法改正手続法である国民投票法は憲法が予定しているのであり、あらかじめ定められるべきものである、若い世代の政治参加を促すため投票権者の年齢を十八歳以上とし、また国民投票運動を原則自由にすることは重要である、国民投票の対象を憲法改正に限定することはやむを得ないなどの意見が述べられました。 次に、三重県いなべ市長日沖靖君からは、市町村合併の経験から、国民投票広報に関連し、説明等の周知徹底が極めて重要である、憲法改正を行うには事前に十分な合意形成を行い、国民を二分するような混乱は避けるべきである、投票権者の年齢について、自ら考え行動する経験や社会性に乏しいという最近の若者の状況を考えると、若年齢化は時期尚早ではないか、戦争や歴史認識の問題について必ずしも清算されていない以上、手続法といえども慎重に取り扱うべきなどの意見が述べられました。 次に、弁護士笠松健一君からは、現在の憲法改正論議は、権力者が縛りを緩くするため改正を求めているように見受けられる、最低投票率については、改正を正当化する上で不可欠である、広報に関しては、政党の枠を超えて積極派、反対派に国家の費用で平等に意見交換の場を積極的に与えるべきである、周知期間について、市民集会や学習会の実施、月刊雑誌による憲法特集や関連書籍の出版などを考慮すれば、六十日から百八十日では短過ぎ、最低でも一年は必要である、無効訴訟は検討が極めて不十分であり、法曹三者、憲法学者等が十分に意見交換をする必要があるなどの意見が述べられました。 最後に、名城大学法学部教授網中政機君からは、公職選挙法との整合性については、成立後施行までの三年間に十分検討をすべきである、大幅な憲法改正を実施する場合、国民が適切に判断することが可能かとの観点から、一度の国民投票で問える適切な案件数の検討が必要である、最低投票率は、低投票率で改正されないためにも定める必要がある、民主主義の熟成度につき、日本は国民の直接政治参加が弱いと評価されており、引き続き投票の対象、範囲について検討する必要があるなどの意見が述べられました。 公述人の意見に対し、各委員より、国民投票法案がこれまで制定されなかった理由、国民投票法案の内容が憲法改正の実現に影響する可能性、諮問的・助言的国民投票の導入の是非、法案成立後施行まで三年間の猶予を置く必要性、投票年齢原則十八歳の是非、最低投票率導入の是非、無効票の取扱いと過半数の定義、国民投票広報協議会の権限、在り方、無効訴訟の要件、機能、効果に関する問題点など多岐にわたる質疑が行われました。 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。 以上で第一班の御報告を終わります。
○委員長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。 次に、第二班の御報告をお願いいたします。簗瀬進君。
○簗瀬進君 第二班につきまして御報告いたします。 派遣委員は団長の舛添要一理事、広田一理事、荻原健司委員、中島啓雄委員、山本順三委員、松岡徹委員、鰐淵洋子委員、仁比聡平委員、長谷川憲正委員及び私、簗瀬進の十名であり、昨二十四日、仙台市において地方公聴会を開催し、四名の公述人から意見を聴取した後、各委員から質疑が行われました。 まず、公述の要旨を御報告申し上げます。 最初に、宮城県議会議長相沢光哉君からは、憲法は自衛隊、地方分権、環境権等に関して改正が必要である、また、国民投票の対象は議会制民主主義との関係等から憲法改正に限るべきである、さらに、最低投票率については、九十六条で明記されておらず、また、ボイコット運動を誘発するおそれもあり、設けるべきではない、公務員は全体の奉仕者であり、公務員と教育者の地位利用を禁止することに賛成であるなどの意見が述べられました。 次に、弁護士佐々木健次君からは、現行の小選挙区制度では民意が議席数に必ずしも反映されないことから、憲法改正を望む国民の意思を確認するためには、投票権者の三分の二以上の最低投票率を設けることが必要ではないか、また、冷静かつ慎重な国民的議論を行うためには、憲法改正案の周知期間は最低一年、可能であれば二年とすべきではないか、さらに、テレビ、ラジオによる広告は費用が掛かること等から一律禁止とし、国民が討議に自由に参加できる公共空間をつくるべきではないかなどの意見が述べられました。 次に、福島県立医科大学医学部人文社会科学講座教授藤野美都子君からは、憲法改正手続法案は手続法とはいえ、国の基本法である憲法の改正手続に関するものであり、慎重に審議される必要がある、また、本法案の周知期間では、憲法改正案の内容を十分に理解する時間を国民に提供できず、反対意見が大きくなることを避けるのが目的であると受け止められる、さらに、ボイコット運動を一つの意思表示と考えることもできることから、最低投票率は設けるべきである、公務員と教育者の地位利用による投票運動の禁止については再考が必要ではないかなどの意見が述べられました。 最後に、社団法人東北経済連合会事務局部長渡辺泰宏君からは、憲法改正手続法案は国民の意思を直接問うものであって、その制定は国会の責務である、また、若い世代を含む多くの国民の意見を反映させるため、投票権年齢を十八歳以上とすることに賛成である、国民が憲法改正案に無関心であるはずはなく、最低投票率を設ける必要はないと考える、さらに、憲法改正案に対する理解と啓蒙のためには情報の十分な提供が必要であるなどの意見が述べられました。 公述人の意見に対し、各委員からは、国民投票の対象、最低投票率を設けることの是非、憲法改正手続法案の制定についての賛否、投票運動を盛り上げるための方策、投票運動の自由と広告放送の制限の関係、投票二週間前の広告放送の禁止と期日前投票の関係、投票権年齢を十八歳以上とすることに伴う民法、公職選挙法等の調整の在り方、予備的国民投票の必要性と課題、参議院における憲法改正手続法案の審議の在り方、憲法を教育する立場と教育の中立性の関係、憲法改正手続法案に不足している点の有無、衆参各議院が異なった議決をした場合の問題など、多岐にわたる質疑が行われました。 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はこれにより御承知願いたいと存じます。 以上で第二班の御報告を終わります。
○委員長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。 これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。 なお、地方公聴会の速記録につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。 ─────────────
○委員長(関谷勝嗣君) 日本国憲法の改正手続に関する法律案について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉でございます。 本日は、日本国憲法の改正手続に関する法律案がございますから、こちらに従いまして是非とも質問したいと思います。 といいますのは、一行一行読んでみましたら幾つか分からない点がございまして、まず発議者の方の御苦労が分かりまして、こちらに関しましては評価いたします。 まず、第七節と第八節に関しまして非常に分からない部分がございましたので、第七節といいますのは国民投票運動であります。第八節は罰則、特に組織的多数人買収及び利害誘導罪ということであります。そのうちの百九条に関しまして、「国民投票に関し、次に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」ということなんです。 そこで、一項と二項がありまして、二項に関しましてよく分からないことがございますので、発議者の方に、この二項はどういった意味かということに関して質問したいと思います。船田発議者お願いします。委員の皆さんが分かりますように、できましたら二項を全文読んでもらいまして、この意味するところに関して御説明願いたいと思います。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今委員が御指摘の第八節、罰則でございます。そのうち第百九条、組織的多数人買収及び利害誘導罪、この規定でございまして、御指摘いただいた第二項、これをまず条文を読み上げさせていただきます。 組織により、多数の投票人に対し、憲法改正案に対する賛成又は反対の投票をし又はしないようその旨を明示して勧誘して、その投票をし又はしないことの報酬として、その者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して憲法改正案に対する賛成又は反対の投票をし又はしないことに影響を与えるに足りる誘導をしたとき、が第二項でございます。
○大久保勉君 こちらに関する内容の説明を簡単にお願いします。
○衆議院議員(船田元君) この第二項につきましては、いわゆる勧誘の具体的な内容といいますか、あるいは勧誘を行うときにその旨を明示して勧誘すると、こういうことでありますが、特に具体的には直接利害関係を利用してというところが最も大きい部分だと思っております。 ここには、いわゆる用水、小作というようなややちょっと古い、古めかしい文章表現がありますけれども、これは小作、用水によるいわゆる上下関係あるいは支配関係というものが他の法律において規定されております。この用語をそのまま使わせていただいたと、こういうことでございます。他の表現もいろいろあるかと思いますが、この法律の安定性ということを考えますと、他の法律で使用している用語をそのまま使わせていただいて法律としての安定性を持たせようと、こういうふうにしたわけでございます。 それから、債権、寄附ということについては、そのものずばりでございますので、説明の要はないというふうに考えております。特に、この二項におきましては、今申し上げたように、特殊の直接利害関係を利用してと、これがどういうものに当たるかということについて例示をさせていただいていると、こういうことでございます。
○大久保勉君 いや、よく分からないんですよ。 次の質問として私が考えたのは、どうして用水が入っているんだと。小作、これは日本国憲法を変えるときに小作というのを、そういう制度をまた導入しようとするのか、そういう意図がある危惧もあるんですね。なぜこういったことを入れるんですか。つまり、これは、この法案は極めて私は重要だと思います。恐らく、他の法律といいますのは公職選挙法、普通の法律に合わせるためにこういった重要な法案を使うと。つまり、非常に拙速といいますか乱暴だと思うんです。つまり、この精神、この法律を作る精神に関して私は極めて不愉快に思います。こういった法律を作っていいのかどうか、このことに関してもう一度質問します。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 今、船田委員からお答えをしたとおりでございますけれども、公職選挙法の二百二十一条第一号、これが「当選を得若しくは得しめ又は」云々ということでいわゆる買収罪を規定しているわけですが、この二号のところで、当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用してこれを誘導をしたとき、これについて罰則を掛けておりまして、多数人買収罪につきましても、多数人についてこの二号の行為をしたときということを二百二十二条で引いているわけです。 今、大久保委員からも御指摘ございましたけれども、あくまでこれは直接、罰則にかからしめる行為でございますから、やはり今までの判例の集積というのを私たちは大事にしていく必要があります。ここに言う多数人買収罪というのも、組織的という加重要件を加え、さらには二百二十二条以上に加重な要件を加えているわけですけれども、そのコアになる部分というのは公職選挙法二百二十二条における今までの解釈、運用、それから判例の集積、これをそのまま踏襲することがこの要件を確実なものにしていくということになってこようかと思います。 したがいまして、ここで、じゃ、用水を抜くんだ、小作を抜くんだというようなことになりますと、いやしくも今までの判例の集積であるとか解釈が変更になったんじゃないかというような疑義を加えてはいけない。やはり罪刑法定主義の世界ですから、今までこの多数人買収罪で積み上げてきた運用であるとか判例の集積、これをそのまま踏襲し、さらにその上に例えば組織的な要件であるといったような要件を加えるということで、これはもう正に罰則で担保する法律でございますので、慎重の上にも慎重を期してこのような表現とさせていただいております。
○大久保勉君 まだ私は分かりません。この法律は、憲法改正、つまり法律を変更するための法律であります。ところが、この手続法はいやしくも公職選挙法という一般法律に従わないと文言を変えることができないということでしたら、非常に問題だと思います。 ちなみに、公職選挙法は昭和何年にでき上がったんですか。これが質問の一点です。第二点は、今、日本において小作人というのはいますか、質問します。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 昭和二十五年にでき上がった法律でございます。 また、この小作ということの定義の問題にもよりますけれども、今現在、特に賃貸借という中で農地のいろんな形での転用というのもでき得るようになっておりまして、その中で、例えば現金ということで賃貸借をするということだけではなくて、あるいは小作と同じような形態である一定の収穫によって賃貸借をするということも当然許されるんであろうというふうに思っています。
○大久保勉君 これは小作の件じゃないと思います。これは賃貸借契約でありまして、小作というのは地主と小作、こういった関係でありますから、こういった制度は廃止されていると私は認識しておりますが、こういった条文を変えるべきだと思うんです。 つまり、法案を作るために、あるものをいわゆるコピー・アンド・ペーストして持ってきている法文なんです。ですから、こんな法文で本当に憲法を変える資格があるのか、私は非常に疑問でした。公職選挙法というのは今からおよそ五十年以上前に作られたものであります。ですから、五十年も時間があるんですから、きっちり現代社会に合うような文言にすべきだと思います。この点に関して、筆頭の保岡発議者、御所見をいただきたいと思います。
○衆議院議員(保岡興治君) 大久保先生が御指摘するように、法律における用語はできるだけ分かりやすくすることが適切だと思います、私も。しかし、今、葉梨委員からも、さきに船田提案者からも、それぞれ提案者から説明がありましたとおり、やっぱり公職選挙法というのがあって、それを利用して直接利害関係というものをここに規定しようとしたときに、その公選法で使った例示をそのまま使うことが法的安定性に帰するという、そういうまた立法のときの一つの原則もありますから、我々はそれに従ったわけでございます。 そして、小作というのは、今ではそういう形態の耕作というのは少なくなっていると思いますが、まあほとんどないと言ってもいいのかもしれませんが、農地法の中に小作という用語は残っておりまして、それとの関係の整理をもう一度改めて法全体の体系の中でするということは必要かもしれません。しかし、この際、我々が国民投票法を立案するに当たっては、やはり全法体系の整理までできませんので、取りあえず公選法の規定に倣って、趣旨は直接利害関係ということで明快でございますので、そこは御理解賜りたいところでございます。
○大久保勉君 私はまだ明快じゃありません。 小作は少なくなっているということは、まだ存在するんですね。ということは、小作を使った直接利害関係というのはどういうことですか。つまり、小作に対してどういうことをしたらどういう罰則になるんですか。具体的に事例を教えてください。また、そういった事例は日本国に現在存在するのか。また、日本国に存在するという状況が正しい状況か、あるべき姿であるか、このことに関して御質問します。
○衆議院議員(保岡興治君) 正直に申し上げて、そこまで、小作の例を頭に置いて、直接利害関係の具体的な例まで想定して、一つ一つ吟味して、何というか、やる必要性を我々は感じなかったものですから、そこまでやっておりませんが、先生の御指摘でございますので、そこはきちっと整理をして、改めて答弁させていただきたいと存じます。
○大久保勉君 吟味することは必要ですし、どうせだったら修正してくださいよ。つまり、これだけ重要な法文ですから、吟味もせずに法案を作りまして提出して、そして可決しようという、この政治姿勢に関して私は非常に問題があると思います。これは一例なんです。 つまり、いろんな問題がございますが、よくよく見ましたら、いろんな法文をコピー・アンド・ペーストで作っています。ですから、非常にこの法律に関しましては問題点があります。ですから、極めて国民の関心がある条文ですから、一つ一つ、百年後、国民が見てもすばらしい法律であるというような完成度が必要であると私は考えているんです。
○衆議院議員(保岡興治君) ちなみに、大久保先生が、この言葉が入ることによってどういう国民投票法制に弊害があるというふうに、過剰規制になるのかとか、いろいろそういう観点の御意見があったら、参考のために聞かせていただければと存じますが。(発言する者あり)
○委員長(関谷勝嗣君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(関谷勝嗣君) 速記を起こしてください。
○大久保勉君 いやしくも保岡筆頭発議者が私に解釈を聞くということは、つまり、私たちが発議者になれと、若しくは自分たちが発議者として失格であると理解しました。このことはよろしいでしょうか。(発言する者あり)
○衆議院議員(保岡興治君) 先ほど申し上げましたとおり、全法律体系の中で法的安定性を考えて条文も立案しなきゃいけない関係上こういう小作というのを入れたわけですが、非常に事例が希有なケースであることは御指摘のとおりだと思いますし、分かりやすい用語という点からもそういう整理をすることは適当なんですが、その点に関して改めてきちっと答弁をいたしますので、次の機会に答弁させていただければと存じます。
○大久保勉君 まとめまして、じゃ、二項に関しまして、報酬として、その後、用水、小作とかいろんな文言がありますが、この報酬と小作の関係、又は直接利害関係等に関しまして、正式に文書でいただきまして回答をお願いしたいと思います。 じゃ、次に参りたいと思います。 次に、直接利害関係に関してもう少し具体的な事例を確認したいなと思っておりまして、例えば現代社会におきましては、小作とか若しくは用水よりも会社というのが一般的だと思います。若しくは、寺社というのは宗教関係ですから。じゃ、確認したいのは、会社や寺社における直接利害関係とは、経営陣が若しくは宗教上の指導者が、社員や信者に対して、地位の昇格や、あるいはリストラをしないとか破門を回避するとか、こういった条件で憲法改正に賛成しろとか反対しろとか、こういうことに関しても直接的な利害関係なんでしょうか。このことを確認したいと思います。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今申し上げたような直接的な利害関係という中で、確かに会社の上司と部下との関係、あるいは社長と社員との関係、あるいは宗教団体におけるいわゆるその総帥をする人と信者との関係、様々な利害関係というものがあると思います。直接関係があると思いますが、ただ、やはり会社などの場合には、やはり民間の商行為によりまして様々な活動をするその組織の組織体としての会社というものがあります。そういう中で直接、昇進とか昇格とかあるいはまた給与とか、そういうものについて、これを直接的な関係ということでそれを盾に取ってそして勧誘をすると、そういう行為自体、これは決して望ましいことではないと思いますけれども、私どもがここで規定しているような条文においてこれが当たるか当たらないか、これはやっぱり程度問題だと思っております。 この程度が非常に厳しい場合には、やはり民法上の規定等でこれは制限されるべき問題だと思っておりますが、軽微なものについてはそれはなかなか当たらないんではないか、個別具体のケースに即してこの条文に適用されるかどうかということを判断していくべき問題だと思っております。
○大久保勉君 非常にふわっとした回答ですが、もう少し、じゃ、問題だと、罰則が掛かるという事例を一つ教えてください。 例えば、あるゼネコン会社の社長が憲法に対しまして是非賛成しろということを部下の社員に言いました。もし、そうしなかった場合、意向に従わなかった場合はリストラをすると、こういった事例に関してはどうなんでしょう。お願いします。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 先にちょっと補足をさせていただきたいと思います。 先ほど、保岡委員の方から小作について、今はほとんどなくなっているというような御答弁もありましたけれども、私、党で農林部会に属しておりまして、最近、所有によらないで、先ほど申し上げましたように、賃貸借みたいな形態で農地を面的に集積するというような方針にやっぱり農政自体も転換しております。そして、この小作というのは、所有権以外の権原に基づき、対価を払って人の所有する農地又は採草放牧地で耕作又は養畜の事業を行うこと、これが農地法二条の定義でございまして、専業か兼業かの否かを問わないということで、農地法七条に基づく小作地というのはそういった形での賃貸借ということで、今非常に増加、むしろ増加をしているというような認識をしていただきたい。 ただ、その小作という文言が気に入らないということであれば、やはり小作自体について農地法の世界の見直しをしていく必要があるのかなというふうに思います。 また、今、百九条の二号についてのお尋ねがございまして、会社の中で、社寺、会社ということで利害誘導、明らかな利害誘導をすると、そういう場合に罰則が掛かってくるわけですけれども、そこには組織により多数人に対してということで、例えばゼネコンであれば、すべての組織を利用してすべての社員に対してこちらにこうしなければ君たちは首だぞというようなことになれば、それは罰則は掛かるんだというふうに思いますけれども、例えば一対一といったようなものは掛かってこないというふうに考えられます。
○大久保勉君 私が言っているのはそんな極端なケースじゃありませんで、社長がある課、例えば十人のセクションがあります。そこのみんなを集めて、朝礼で集めて、憲法改正に対して賛成しなさいよと。それに対して、暗黙にボーナスの発表の前です、よろしくと言った場合はどうです。保岡発議者お願いします。
○衆議院議員(船田元君) ただいま具体例を挙げていただきましたが、民間企業における上司と部下の関係、あるいは、社長がある課の人々に対して勧誘行為を行う。それも、しかも利益を伴って、あるいは不利益を伴った勧誘を行う。これも確かに地位利用ということになるのかもしれませんが、公務員や教育者のように行為者を類型化するということはなかなかできにくいということ、それから憲法上中立性が要求される公務員あるいは教育者と異なりまして、民間の活動については基本的に自由であると我々は思っております。その相互の矛盾、対立は原則として私的な自治にゆだねるということが私は適当であると、こう思っております。 ですから、先ほどのことでありますけれども、民間においてもこの私的自治に対する一般的制限規定があるものとして、やはり民法の第一条の基本原則、九十条の公序良俗、あるいは場合によっては民法七百九条などの不法行為の構成ということで、そちらで罰せられるべきものであるというふうに思っております。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 済みません。ちょっと補足的に答弁を申し上げます。 今は例示として挙げられたのは、会社の社長が課の課員十人を集めてというような例だと思いますけれども、まず一つは、そこでおっしゃられている趣旨が影響を与えるに足りる誘導なのかどうかということがまず要件としては問題になってくるだろうと思います。 ボーナスの時期だけどねというような言葉で、果たして私自身は、影響を与える誘導である、明示的なものであるというふうな形があるのかどうかというのはちょっと疑問かなというふうに思います。また、その旨を明示して勧誘しているかどうかというのが、朝礼の場における具体的な文言というのを、私自身も、具体例に即しては今いろんな状況的なものもあるんだと思いますけれども、やはりその旨を明示して勧誘しというようなことがやはりその場では問題になってくるんだろうというふうに思います。 そして、組織によりということですから、単なる社長の個人としてというものなのか、あるいはその会社が全体の組織としてというような要件なのか、これもまた具体的な事例に即してやはり判断されるべきものであろうと思いますし、またその多数といいますものも、この場合、公選法に言う多数人というのは単に二、三人ということではなくて相当多数であるというようなことですから、例えばその課で十人、一回こっきり個人的な立場で言ったけれどもほかの課では全然そんなこと言っていないというものなのか、あるいは十人の課であっても全部の課で相当明示的にその社長さんが言われているものなのか、そこら辺のところもやはり具体的な事例に即して考えるべきものだろうと思いますし、ただ一個の課だけで、例えば千人の会社で一個の課だけで十人に対してだけちょっと口が滑って言ったようなものまでこの条項で罰則の対象になるとは考えておりません。
○大久保勉君 非常に、整理したいんですが、社長さんというのはこの場合には優越的な地位がありますと。つまり、部下にとりましてはちゃんとした地位によりまして強制をされ得るような状況がある、また会社ということですから組織で考えている、こういった状況においては直接的な利害関係として、場合によっては処罰される可能性があるんじゃないかということですが、全く処罰されないとは言えないと思うんですが、そのことに関して確認したいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 実際の公職選挙法においてもそうなんですけれども、運用上の話として具体的な事例に即してやはり判断すべきだろうと思います。今の大久保先生の例でも全く処罰されるされないというふうに言い切るまで発議者としては自信はないんですけれども、ただ一つ申し上げたいことというのは、例えば買収罪、利害誘導罪が通常そういった形で適用になるといったものでも、多数人というのは実際のところほとんど運用されている例がないんですね。これはどういうことかというと、その多数人というのは相当多数が要求される、そして更に組織的ということが要求されるということですから、一般的に現在公職選挙法の取締りにおいて行われている買収罪、利害誘導罪程度のものがこの罰則で対象になってくるというふうには考えてはおりません。
○大久保勉君 少なくとも全く問題ないということはないですね。つまり、非常に限定条件がありますが、優越的地位があることに関して一〇〇%問題がないということはないということだけ確認したいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) ある大きな会社の社長がその会社の方針として社員の自由意思を奪うような形で明らかな勧誘を行って利害誘導をするというような行為がやっぱり罰則で私どもは担保すべきだというふうに考えております。それが問題のある行為の類型に当たるかどうかということは、やはり具体的な事例に即して判断すべきではないかというふうに思います。
○大久保勉君 先ほどは会社の例でしたが、同じような状況が発生した場合は、宗教団体であったり農業団体であったり、いかなる組織でも同じような可能性はありますね。このことを確認したいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) いわゆる利害誘導に当たるような行為というのは、会社においては、例えば給与であるとか何だとかという話はあろうかと思いますけれども、例えば、そもそも憲法改正についてみんなで賛成していこう、あるいは憲法改正に反対していこうという集まりがあって、その中でいわゆる組織の上の方が憲法改正賛成、憲法改正反対言われることがこれに私は当たるというふうには思いません。 やはりその場合は正に直接利害関係ということが問題となるんであって、例えば宗教法人ということを引かれましたけれども、いわゆる信教の自由で集まられている方で、やっぱりこの利害というのは金銭的な利害に直接かかわるようなものをこれは言っておるわけでございますので、この利害関係に当たるような場合は、それは当たることもあるでしょうけれども、ただ一概に会社以外のものについて、例えば上司の方あるいは上部の方が言われたからといってこれに当たるというものではないというふうに思います。
○大久保勉君 こちらの法律に関して非常に不明な部分があるんですね。今回の議論でお示ししたいのは、非常に解釈に従ってあいまいな部分があるのかなという気がするんです。 第二点の問題としましては、例示として、寺社、学校、会社、組合、市町村というのがありますが、その中で、学校と市町村というのが特別強調されているような条項があると思うんです。それは、七節の国民投票運動に関しまして、百二条、百三条等です。百三条に関しては、国若しくは地方公共団体の公務員若しくは特定独立法人に関しましては、地位によっていろんなことをしてはいけませんよという運動規制がありますし、二項に関しては、教育者に関しては、同じく教育上の地位を利用して国民投票運動をしてはいけませんと。 じゃ、どうして学校と会社、若しくは学校と組合が違うのか、私は分からない部分があります。これまでの説明におきまして、地方公務員であったり国家公務員でありましたら、公務員だから全体の奉仕者だからということで分かりますが、じゃ私立の小学校、中学校、場合によっては幼稚園、こういった場合、特に生徒さんは投票権がないという状況に関して、どうして優越的な地位が発生して運動を規制されるんですか。むしろこれは規制すべきじゃないということでよろしいんでしょうか。その理解を確認、このことを船田発議者に質問します。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 公務員の場合には、職務の公平性ということを確保するという必要があるわけであります。また同時に、公務員としてのやはり地位、その地位にあるためにやはり特に影響を与えるその可能性が大変強いということが公務員の特性だと思っております。 一方、教育者の場合ですが、これは公務員で教育者である場合と、それから私学等で教育者である場合と二つのケースがありますが、いずれも教育者につきましても、これは公務員と同様に一定の社会的な影響を与えるその可能性が強いということでございまして、公務員と同様の趣旨でこの地位利用についてはこれは禁止をすると、こういうことでございます。 それから、相手が例えば高校以下の場合、これはその生徒、児童、園児は選挙権、投票権を持たないわけでございますけれども、やはりその保護者、子供を通じまして保護者に対する働き掛け、あるいは直接PTAの場であるとか、あるいは家庭訪問の場、そういうことを通じてその教員がその保護者に、有権者である保護者に影響を与えるということは十分これ想定されることでございますので、このことにおいて地位利用を禁止するということは妥当なものであると思っております。
○大久保勉君 教員がその地位を利用して影響力を与えると。じゃ、先ほどの百九条の中で、用水、小作というのがありましたので、あえて使いますが、農業団体、例えば農協が水をもう流さないと、こういった影響力を行使することもできるんじゃないですか。若しくは、宗教団体がもしAという行動をしなかった場合、賛成か反対かという行動をしなかった場合は破門するとか、若しくはお布施を渡すからどうしてくれとか、いろんなこともあり得ますから、どうして私立学校の教員だけ強制力があるのか私は分かりません。このことに関して質問します、もう一度。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 今、大久保委員からも御指摘ございましたけれども、ここの百九条で言います社寺、学校、会社、組合、市町村等となりますけれども、ここで例示として挙がっておりますのは、法人格を有するものということで、これコンメンタールによりますと、組合が法人格を有するかという議論があるんですけれども、コンメンタールによれば、法人格を有するものの例示であって、別にこれらにとらわれるものではない。つまり、学校というのを特出ししているということではなくて、法人格のあるものの代表例としてこの学校を書いている。その中で、直接の利害関係を利用して投票に勧誘、影響を与えるような行為をしちゃいかぬ、いわゆる利害誘導罪が書いてあるわけです。 教育者の地位利用につきましては、今、船田委員から御指摘ございましたけれども、また別途の立法理由によって教育者の地位利用を定めているわけですけれども、ここの百九条になりますのは、あくまでもこれは組織的に、多数人に対して、しかも直接の利害関係を利用して影響に足りる利害誘導をする、しかもその旨を明示して勧誘するという、本当のコアのコアの非常に問題となる買収罪に近いような行為を行っているわけです。 ですから、学校の中において例えば買収が行われれば、それは買収罪で問擬する、それは当たり前の話であって、学校の中においてこういった組織的多数人の利害誘導罪が行われれば、それは地位を利用している、いかんとを問わずに、やはり直接利害関係を利用して利害誘導を与えているということで、この利害誘導罪で問擬するというのはそうだと思います。 しかし、学校の中で、先ほど船田委員が申し上げたのは、組織的多数人に対してというよりも、例えば学校の先生がその影響力を利用していわゆる地位を利用するような行為、これについては、やはり教育という観点からそれはいかがなものかということで規制をさせていただいておりますけれども、それぞれ規制の趣旨が違うということは、公職選挙法と同じ立て方をしております。
○大久保勉君 学校の先生の話がありましたので、もう少し、じゃ突っ込んだ質問をしますが、第七節の国民投票運動の項目で、公務員と学校の先生に関しては地位利用は駄目ですよという規定がありますが、第七節の中の百条、一番最初にある規定があります。私は、これは極めて重要な意味があって、また重要な意味があるから一番冒頭に規定されているんじゃないかと思って質問します。 内容としましては、この節及び次節、つまり国民投票運動、次節というのは罰則、の規定の適用に当たっては、表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならないと。これは一番最初にありますから相当重要な意味でここに置かれているんじゃないかと思いますが、どうしてこの百条を持ってきたのか、また百条が一番最初にあるのは単なる偶然なんでしょうか、このことに関して発議者に確認します。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 第七節の第百条、これは今御指摘のように、適用上の注意ということで、表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意すべきであると、これは第七節と第八節全体に掛かっております。 先ほど来申し上げております公務員、教育者の地位利用の禁止、そしてその次に書いてありますいわゆる組織的多数人買収及び利害誘導罪、こういうものすべてにこの百条が全体に掛かる大変重要な条文ということで、この一番最初に書かせていただきました。 もちろん、地位利用もこれはいけないとなっておりますし、また利害誘導罪というもの、あるいは組織的多数人買収は、これは罰則をもって対応するということでありますが、これは公職選挙法にも規定されていることであります。公職選挙法から準用した形で第七節、第八節、書かせていただきましたが、ただこれは、公職選挙法は言うまでもなく人を選ぶ選挙でございます。したがって、その利害誘導の程度、あるいはこの地位利用の程度がより強く反映されるといいますか、影響を与えるということでありますが、一方の国民投票制度におきましては、これはやはり政策を選ぶ、あるいは憲法の改正についての是非を国民に問うと、こういうものでございますので、おのずからその態様というものは違ってきてもしかるべきであるということであります。 百条において書いてあることは、特に公選法とは違い、この国民投票運動においてはなるべくその運動が萎縮されることのないように、また国民のすべての人々が自分の自由な意思、これを表明する、その点において、あるいは勧誘というような点においてもできるだけその自由度を高めるべきである、こういうことを一つの訓示というような形で提示をさせていただきたい、こういう理由から一番最初の百条というところに書かせていただいた規定であります。
○大久保勉君 非常に納得できました。 一応確認したいのは、つまり公務員及び教育者の地位利用に関して、国民投票運動の禁止事項は必要最小限に限るということですね。よろしいですね。はいという、じゃお願いします。
○衆議院議員(船田元君) 今おっしゃるとおりだと思います。 公選法の規定、これの準用はもちろんしておりますが、この国民投票運動においては、その公選法の規定同様にがちがちにやるということは、これは望ましくないというのが私どもの立法者としての基本的な考え方でありますので、必要最小限という表現、まあいろんな意味があると思いますが、この時点においては必要最小限ということを念頭に入れてここに書かせていただいたということであります。
○大久保勉君 分かりました。 あえてこういった答弁を引き出しまして議事録に残しますのは、附則の第十一条の関係なんです。この十一条といいますのは、公務員の政治的行為の制限に関する検討ということで、実際具体的に細かい項目を附則で規定することになっておりますから、先ほど、船田発議者の意向を十分に反映して必要最小限な規定にすべきであるということを確認したいと思います。往々にして、法律に関しましては非常に必要最小限になっていますが、附則で非常に厳しい規定になっているという本末転倒の場合もあり得るかもしれませんが、この場合は絶対起こしてはいけないということを是非確認したいと思います。 この理解でよろしいかどうか、もう一度答弁をお願いします。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今御指摘をいただいた附則の第十一条でございますけれども、これは、公務員の政治的行為の制限規定について、これからこの法律が通った後、国家公務員法、地方公務員法あるいはその他の法令において政治的行為の制限が掛かっている部分について、公務員であってもやはり特定の政治的目的を持たない通常の賛否の勧誘運動については、これは自由にするべきであると、こういう考え方がありまして、ただ、これを実現させるために一体どういうふうにこの公務員法関係を整理すればいいのか、切り分けたらいいのかということについては、これは短時日にこれを規定することはなかなか難しいということでありましたので、これは検討課題として附則に書かせていただいたということでございます。 しかしその趣旨は、今、大久保委員おっしゃるように、できるだけ国民投票運動においては自由度を増すべきであると、こういう方向に向けての検討であるということでありまして、おっしゃるとおりでございます。
○大久保勉君 次に、百一条と百二条、いわゆる特定公務員の国民投票運動の禁止に関しての規定があります。いわゆる在職中は禁止ですということなんです。 この在職中の意味は、いつからいつまででしょうか、質問します。
○衆議院議員(葉梨康弘君) この特定公務員の投票運動の禁止の関係ですけれども、正にこの中央選挙管理会の委員として、中央選挙管理会の庶務に従事する者として、総務省の職員として、並びに選挙管理委員会の委員として、あるいは職員として、また国民投票広報協議会事務局の職員としての在職中という意味でございます。
○大久保勉君 いや、それは当たり前ですから。じゃ、在職中というのは、いろいろ調べました。私の理解でしたら、選挙の場合でしたら公示期間から投票が終わるまで、この場合でしたら十四日間という理解でよろしいでしょうか。当然、発議者ですから、十分考えて、今返答できるはずですね。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 国民投票運動というのが成立いたしますのは、発議がありまして公示になってから投票までの間、その間でございます。
○大久保勉君 発議あって投票前でしたらあるいは九十日から百八十日ということで、本当によろしいんですか。これは間違いないでしょうか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 国民投票運動というのが法律で規定されるのは、正に九十日とか百八十日とかそういう期間ですから、それはそれで結構でございます。
○大久保勉君 これは地方公務員の人に確認しましたら、これを在職といって、あなたはこの仕事をしますよというのは、九十日も前に辞令は出ませんよ。そこを調べてくださいよ。在職するんでしょう。つまり、一般公務員が別の仕事をして、あなたは選挙管理の仕事をしなさいと辞令が出るのはそんな前には出ないはずなんですけれども、そこを質問したいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) もちろん、辞令自体は、辞令というか任命の辞令自体はその前に出るのは正におっしゃられるとおりなんですけれども、国民投票運動という運動は定義上あり得るというのは、発議される前は国民投票運動というのはないんです。ですから、国民投票運動というのが存在する期間は……
○大久保勉君 在職中はいつからですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 在職中ということは、在職中というのは正にその職にある間ということで係りますけれども、そこの期間というのは、国民投票運動の定義自体が、国民投票運動ができる期間、成立する期間というのがございますので、そこのところで九十日であるとか百八十日になってくるわけです。
○大久保勉君 余り調べていらっしゃらないような気がしますが、いわゆる、じゃ投票管理者の在職中というのは、つまりその辞令をもらったときでしょう。じゃ、いつからいつですか。じゃ、投票管理者の在職中は、じゃXデーが今日とします。じゃ、何日前から何日、Xデーまでか。Xデーが投票日としましたら、Xデーの何日前から何日間が在職期間ですか。どういう辞令が発生したときか。辞令が出たときなのか、若しくは仕事に就いたときなのか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) この在職中の定義でございますけれども、在職中というのは、当然辞令が出て、その職にいる間でございます。例えば、一月一日に葉梨康弘という男が中央選挙管理委員会の委員になりました。しかしながら……(発言する者あり)
○大久保勉君 百一条、投票管理者。
○衆議院議員(葉梨康弘君) ごめんなさい。 投票管理者としての辞令が出ますね。投票管理者としての辞令が一月一日に辞令としては出ましたと。ただ、発議が行われたのが三月一日であるといったら、一月一日から三月一日までの間は、国民投票運動、特定の憲法改正案に関して賛成又は反対の投票をし又はしないように勧誘をする行為というのはあり得ないわけなんです。
○大久保勉君 それは分かっています。その後です。
○衆議院議員(葉梨康弘君) ですから、その後は、当然のことながら、ここにもありますけれども、その関係区域内においてはそういった国民投票運動をすることはできないということになります。
○大久保勉君 一月一日に辞令が出まして、あなたは四月一日から二週間、投票管理者として働きなさいと言われた場合は、辞令が出た日なのか、若しくは着任しているときなのか、そこを確認したいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 運用上の話でございますけれども、投票管理者というのは、一般的に選挙における投票管理者も同様ですけれども、公示になりますと、選挙、発議になりましたら、もうその直後に辞令が出るという形になるかと思いますので、実務上それほど問題はないんじゃないかと思います。
○大久保勉君 やっと分かってもらえましたね。そうなんですよ。つまり、実際に辞令が出ているのは、選挙期間である公示の直前に出まして、それから投票日までなんです。最初は間違った答弁をしていましたから、是非勉強されてください。 じゃ、時間がありませんので次に行きます。ちょっと時間がありませんので、国民投票の範囲ということで確認したいと思います。 国民投票法は九十六条の手続法でありますが、じゃ、憲法改正の禁止されている事項はありますか。つまり、この法律で禁止されているものはありますか。一度ある委員が、全部改定することはできませんということですが、じゃ禁止事項はあるかないか、お願いします。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 必ずしも御質問の趣旨がはっきりしないところもありますが、改正の限界ということだと思うんでありますが、私は限界はあるというふうに思っております。全面的改定というのもあるかもしれませんが、それはあくまで部分改正であるということであります。そして、憲法改正が行われれば、その前の憲法と一体のものとして公布すると、こういう形になるわけであります。 限界として以前から言われている、また学説的にも言われておりますのは、特に日本国憲法の基本原則である国民主権、基本的人権の尊重、そして平和主義という、この三原則に抵触をする、そういう改正案については、これはやはり憲法改正の限界を超えるものというふうにみなさざるを得ません。 ただ、この法律、今提案をしている法律案につきましては、特にその限界がどうということは明示はしてありません。これはあくまで政治的な判断によるものであり、この法律が通った後、国会にできますいわゆる憲法審査会、この中で各党の様々な議論によってその限界の問題、あるいは改正原案が限界であるかどうかという判断は、正にそこがまず第一に判断をすべきものだというふうに考えております。
○大久保勉君 関連しまして、ある程度限界を明示すべきじゃないかと私は考えています。そうしませんと、じゃ憲法九十六条は変更できるんですか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 九十六条の改正のための手続を決めた部分でありますが、これについては改正できるという説もありますし、できないという説もあります。しかし、これはもうすべて憲法審査会等でしっかりと議論をしてもらうべき問題であると思います。 現状において、私の立場あるいは立法者の立場として、ある、ないということをはっきり申し上げるわけにはいきません。
○大久保勉君 これは非常に重大な僕は発言だと思うんです。 九十六条のための手続法でありまして、その九十六条を変えることがもしできるとしましたら、じゃ、両院の三分の二の賛成で発議できると、この三分の二を過半数にできるわけですね、もし、理論的な話を聞きます。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今例示をしていただいたのは、多分我が自由民主党の新憲法草案の九十六条の改正という部分でありますが、これは、私どもは自民党の中で様々な議論をし、そしてこの九十六条のいわゆる三分の二条項は改正の対象となり得ると、こういう判断からそのようなことを政治的な判断として書かせていただいたわけであります。 ただ、このことにつきましては今後様々な角度から議論をし、その最終的な判断というものはあくまで憲法審査会、その中での議論、そして各党の皆さんの議論にゆだねざるを得ないというふうに思っております。
○大久保勉君 ここを確認したかったんです。 といいますのは、これが極めて重要なんですが、私は最低投票率というのは厳しくすべきだと思います。そうしませんと、有効投票の過半数でありましたら、もし投票率が五〇%で無効票が一〇%でしたら、四〇%の更に半分ですから、二〇%の国民が賛成したら憲法が変わります。一方で、こちらの三分の二規制も変え得るということですから、やはり歯止めが利かなくなってしまう可能性があります。このことを指摘しまして私の最後の質問とします。 じゃ、このことに関して懸念が、私はあると思いますが、懸念があるかないか、そのことに関して最後に質問します。答弁お願いします。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今のは最低投票率の問題でありますね。これにつきましては、これまでもお答えしているんでありますが、一つは、第九十六条におきましてこの最低投票率制度について何も触れられていないということ。そして、これは、憲法は確かに硬性憲法ではありますけれども、その最低投票率を設けることによってよりそのハードルを高くするということが、憲法の目指しているところとはなかなか考えにくいということが一つあります。加重要件として余りにもそれは加重過ぎるんではないかと、こういう考え方がありますし、また最低投票率制度を設けることによってやはりボイコット運動を起こす可能性があるのではないかということ。それから、棄権をされる方の意思というものを考えなければいけないと思いますが、棄権される方は、これはもちろん最初から反対という方もいらっしゃるでしょうし、また、他の者に、投票していただく方にその判断をゆだねるということで自らは投票所に足を運ばない、こういう方々もおられます。 もし最低投票率を設け、そしてその最低投票率に達しないというような事態が発生をした場合には、そういった棄権者の意思の自由というものも、これも剥奪するということになりかねないということから、私どもとしては最低投票率制度は設けるべきではないというふうに判断をしたわけであります。
○大久保勉君 終わります。
○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。よろしくお願いいたします。 今日は、組織的多数人買収及び利害誘導罪をまず中心に御質問をいたします。 この組織的買収罪について当初は広範な規制が検討された、このように私承知しておりますけれども、公職選挙の規定よりも要件を限定した経過、趣旨についてお伺いをいたします。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今御指摘をいただいた組織的多数人買収やほかのいわゆる罰則規定というものにつきまして、これはやはり基本的に私どもは公職選挙法を準用しようということを考えておりましたが、しかしながら、この制度設計の段階においても、あるいは実際に法案を提出させていただいた後の委員会の様々な審議あるいは公聴会あるいは参考人質疑等を通じまして、やはり公職選挙法は人を選ぶ選挙を規定するものであり、一方で、この国民投票制度というものあるいは国民投票運動にかかわるものは国家の基本的な在り方を選択するものであります。 したがって、前者はやはり利害関係が更に厳しくなるわけでございまして、これについては公選法の規定で厳しく対応する。しかしながら、憲法改正にかかわる国民投票運動については、これはやはり質的に違うものがあって、できるだけそれは緩やかに適用するべきであると。こういう基本的な考え方に立った次第でございまして、それぞれの分野といいますか、公選法の規定は準用いたしておりますが、それぞれの部分において適用の除外であるとかあるいは要件の限定ということで緩やかにしていると、こういう状況でございます。
○小林正夫君 そこで、多数の投票人という言葉が出てくるんですけれども、この多数の投票人とは実際どの程度が多数としているのか、こういう点について質問をいたします。 第百二十八条の第一項第二号では、国民投票無効の判決が出される条件の一つとして、多数の投票人が一般にその自由な判断による投票を妨げられたと言える重大な違反があった場合とされているんですけれども、再度この多数の投票人という言葉が出てきますけれども、これは同一の意味で用いられているんでしょうか。同一となると、国民投票の結果を左右するに足りるほどの多数の投票人に対する働き掛けがということになりますけれども、組織により多数の投票人に対して行う買収、利害誘導の多数とは具体的にどのぐらいの人を想定しているのか、お聞きをいたします。船田発議者に答弁いただければ。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 発議者として同じでございます。 多数人というのを具体的に何人というふうに規定しなかった趣旨なんですけれども、元々、公職選挙法が昭和二十五年にできましたときに、多数の者に対する買収、利害誘導のいわゆるブローカー、こういったものを想定としております。 我々としても、組織的なそういったブローカーみたいなものが投票の公正を害してはならないということで、ここで多数人というふうにさせていただいておりますけれども、この多数人というのはそういったものを想定しているものですから、例えばたくさんお金を持っていて、一人、二人ばらまいて、あと何百人にばらまこうとしているというような状況であればそれは該当するということで、当時の内務省の考え方としては、そういうような例もあるので、ブローカーを想定しているという立法趣旨から、具体的に何人というような定め方、基準の出し方というのはなかなかできないんだろうと。 ただし、ここに言う多数人というのは、例えば不特定多数というような言い方を法律でよくすることがあって、この場合は二人だ、三人だというのが該当することもあるんですけど、そんな少数ではございません。やっぱり相当程度な多数であるということじゃないといけないだろうし、やはりそれが組織的に行われるこのブローカー的なものが介在しているという具体の事例に即してであろうというふうに考えています。
○小林正夫君 今、葉梨発議者の方から、相当程度という、ここがよく分からないから質問をしているんです。 赤松発議者は、この多数とはどのぐらいの人数をイメージしているんでしょうか。お聞きをいたします。
○衆議院議員(赤松正雄君) 今、葉梨委員が言ったとおりで、具体的なイメージ等は想定いたしておりません。
○小林正夫君 今の質疑でもつかみ切れないんですよね、この多数というイメージが。 保岡発議者、いかがでしょうか。もう少し国民の皆さんに分かりやすく、この多数とはこういうイメージなんだということが言えませんか。
○衆議院議員(保岡興治君) やはり多数人買収は、買収罪の中で特に悪質で許し難いとだれもが思うようなケースということを想定して、あえて規制を最小限に抑えるべき国民投票法の規制の類型として法律に規定したわけです。そういった意味で、いろんな要素がかみ合って総合的に考えられて、この法の趣旨に沿う、悪質な、どうしても許せない多数人買収かということが決まってくると。要件が幾つか、たくさんあります。そういったものを総合的に判断して出てくるものでございますから、一概に多数を何人ということを法律上表すということは難しいと理解していただければと思います。
○小林正夫君 確かに難しい面はあると思うんですが、その状況状況によってこの多数の判断が仮に今後違ってくるということになると、これは世の中大変な混乱が起きると、このように私は思うんです。ですから、そういう意味では、今三人の方から答弁いただきましたけれども、どうもここのところは将来問題にならないようにしっかりした考え方を出しておくべき、もうこのように私思いますけど、もう一度、保岡発議者、いかがでしょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) 今申し上げましたように、この法の趣旨に沿って、どうしても許すべからざる悪質なものと。買収は良くないですよね。良くないけれども、普通の公選法で言う買収を一つ一つ挙げるみたいに、我々、選挙違反でいろんな事例を体験していますけれども、こういった、まあ体験するという、自分が違反しているという意味じゃないですよ、そういうものの事例をいろいろ聞く機会が経験上ありますがと、こういう意味ですから誤解をしないようにしてほしいんですが、そういうようなケースでも、国民投票運動だったら、まあそれを一々目くじらを立てて警察が摘発するのもどうだろうかと。よほど悪質で、だれが考えても許せないというものの類型だけは罰則として一応規定しておこうと、そういう趣旨ですね。 ですから、今申し上げたように、いろんな要素がかみ合って許せない悪質な買収類型というものが判定されていくわけで、判例などで、裁判例で、あるいは起訴する段階で決められて判断されていくべきもので、一つ一つの要素を、これはもう相関関係にありますから、一つ一つがどうだということを一つ一つきめ細かくこれを解釈しても意味がないというんですか、それはもうお分かりのとおりで、やっぱりあんまり細かく法律で規定して、身動きが付かない法律になってもいけないと。 趣旨は、今申し上げたように、ごく例外的な多数人買収に限って、悪質なケースをいろんな七重に掛けた一般公職選挙法よりも類型を加重にしてあるというか要件を厳格にしてあるという意味で、ある意味ではそういったところで、先ほど言われた百条における憲法上規定された表現の自由、こういったものを侵さないように運用すべしという、一般法で注意規定でこの運用も当然縛られるわけですから、そういうことで人権やあるいは国民投票運動が不当に規制されることがないように、十二分に我々としてはもうできるだけの配慮をして要件化したつもりでございます。
○小林正夫君 やはりこの法が決まれば一億二千七百万人の国民全体に掛かってくることで、扱いがその場その場によって違ってくるという不安があっては私はいけないんだと思いますね。だから、そういう点ではこの辺に大きな不備があるんじゃないかと、このように指摘して、葉梨発議者に、先ほどの私の質問の中で多数の投票人の意味合いですけど、百二十八条第一項の第二号の意味の多数の投票人というのと同じ意味なのかどうか、これについて答弁を下さい。
○衆議院議員(葉梨康弘君) その前に、今、保岡委員からもちょっとお話しございましたので、ちょっと補足をさせていただきたいと思うんです。 先ほど小作の議論にもあったんですけれども、ここにおいて公職選挙法の多数人買収罪の規定をそのまま引いておるというのは、現在、公職選挙法において確立された判例であるとか解釈、その限定を引いているわけです。ですから、例えば公職選挙法におきましては、いわゆる多数人買収罪は選挙ブローカー及び買収常習者、これを処罰する規定であるということで、その趣旨を正に明確にするために同じ文言を引かせていただいております。 ここで多数というのを何で決めないかということなんですが、私も四年間ほど県警の捜査二課長というのをやっておりまして、二十人を取り締まったり、あるいは五十人を取り締まったり、ただこの多数人買収罪というのは適用したことはございません。これはやはり常習者ではなかったんですね。 ですから、ただし、常習者、買収の完全なブローカーがいまして、それが二十人、五十人で例えば一億円のお金をそろえているようなことであればこの規定になりますよということで、ここのところは数は定めていないわけですけれども、正にその趣旨というのが、二十五年にできて、ずっと判例の集積のあるこの趣旨をそのまま引いて、非常に限定的なものにして、さらにそれに組織的であるというような要件を加えているのがこの多数人という意味でございます。 そして、今御指摘のありました国民投票の無効訴訟における多数とは、これはちょっと別の趣旨、それぞれ規定によってもうこれは別の趣旨であると。これはどういうことかといいますと、投票の結果に影響を及ぼすに足りる多数ということですから、それは相当な数の多数ということになってこようかというふうに思います。
○小林正夫君 次に質問させてもらいます。 罰則の対象になるのは、憲法改正案に対する賛成若しくは反対の投票をし、若しくはしないことに影響を与えるに足りる物品その他財産上の利益と、このようにされておりますけれども、多数の者に対する意見の表明の手段として通常用いられないものに限るという、こういう縛りも付いています。しかし、これだけではどのようなものが容認されるのかよく分かりません。 したがって、まず一つ、提供しても罰せられないものとはどういうものなのか。二つ目、金額、サービスの内容としてはどのようなものなのか。三番目として、多数の者に対する意見の表明の手段として通常用いられる物品その他の財産上の利益にはどのようなものが想定されるのか。具体的に示していただきたいと思います。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 まず、この買収として罰則の対象となるものは何かと、こういうことでございますが、今お話しいただきましたように、賛成又は反対の投票をし、又はしないことに影響を与えるに足りる物品その他の財産上の利益ということで限定を加えております。これは、もう言うまでもなく、投票行動に影響を与えるに足りるだけの一定以上の価値、すなわち社会常識に照らして許容されないほど高価な財貨性を有するもののみを対象とするということでありまして、したがいまして、例えば国民投票運動に伴いまして配布をされることが社会通念上許容されているビラとかうちわとかティッシュ、これはそのティッシュの中に印刷がされていて、イエスとかノーとか、そういったものも含まれますけれども、こういうものが価値が高いとは言えない財物の配布行為でありまして、これは買収罪の対象から排除する、そういうために設けた考え方でございます。 それからもう一つ、多数の者に対する意見の表明の手段として通常用いられないものに限るという更なる限定を加えました。これは修正の段階で加えたものでございます。 これは例えばどういうものがあるかといいますと、国民投票運動の一環といたしまして、例えば各政党が主催し、あるいは諸団体が主催をしてコンサートを開催する、そこでコンサートにおいて有名なミュージシャンが無料で来て、そして歌を歌う、あるいは演奏をすると。こういうときに当然ながら入場料を取らなかったり、こういうこともあるかと思いますが、そういったものが国民投票運動としてよくやられる手段であると、よく行われる一つのイベントではないかと思っております。それから映画の上映ですね、こういったものも、例えば反戦の映画をそこでその場において上映をするということ。あるいは有名な作家が、その反戦活動を盛んにやっておられる作家が書き下ろしということで本を書かれ、そしてそれを印刷したものを配布する書籍のものや、あるいはCD、DVD、こういったものにつきましては、これはやはり価格が、価値がある程度あったとしても、しかしこれは通常意見表明の手段として想定される媒体でございますので、これについてはやはりその対象外というふうにしようということであります。 もしそうでない場合は、その表現の内容に立ち入ってその切り分けをしなければいけない。そうなりますと、どういう内容がよく用いられているものか、どういう内容がいけないのかということになりますと、その内容にかかわって検閲というんでしょうか、あるいはチェックをされると、こういうことにもなりかねませんので、あくまでもそれは外形的なものというふうに考えて対応したいと考えております。
○小林正夫君 発議者と、今日総務省に来ていただいておりますけれども、質問をしたいと思います。 特に心配されるのが、買収行為に対する取扱いの差異を悪用される可能性があるのではないかと思います。 御存じのように、公職選挙に関しては非常に厳しい規制が設けられて、私たち議員が議席を失う、こういうこともあるように、制裁も当然ながら極めて厳しいものになっています。これに対して、今回示されている国民投票法の運動における買収については、そもそもが非常に悪質な場合にしか罰せられないと、このようになっていると私は感じます。国民投票運動を自由にするという理念からは正しい在り方ではあると思いますけれども、やはり国民投票運動に名をかりた買収行為が生じる可能性がないとまでには言えないものではないかと、このように私思うんです。 したがって、制度を悪用するケースが起こることを非常に危惧するものなんですが、この心配はないのかどうか、発議者と総務省に対して質問をいたします。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 御指摘のとおり、本法律案におきましては、国民投票運動の自由というのを最大限に保障しようというその観点から、買収罪についても政治的表現活動に対する不当な萎縮効果を及ぼしたり、あるいは拡大して適用されたりしないように、公選法と比較してもやっぱり七重、最初は原案では五重の縛りと言っていましたが、二つの縛りを新たに修正案で設けまして七つの縛りを、つまり要件を限定している、こういうことであります。 これは、あくまでも国民投票について萎縮効果等に配慮して限定したものであって、公職の選挙について公職選挙法に規定する買収罪の要件を満たす行為が行われた場合には、これは別途、公選法の規定に従って処罰の対象になるということで、この切り分けというのは私は十分にできるものであるし、そのように切り分けて、処罰といいますか、摘発をする部署におきましてはきちんと対応していただきたいと考えておりますので、またそれは現実にできるものと思っておりますので、制度を悪用されるという懸念は私はないと考えております。
○政府参考人(久元喜造君) 選挙とは、有権者の集合体によって国民あるいは住民の代表など公務員を選出する手続でございます。そういう趣旨から、この公職選挙法は、本来選挙人の自由な意思の表明によって行われるべき選挙が不法、不正な利益の授受によって歪曲されることがないように、買収罪など厳格な罰則規定が置かれているところであります。 一方、国民投票法案におかれましては、これまで説明がなされておりますように、人を選ぶ選挙運動と国家の基本法制の在り方を選択する国民投票運動との差異にかんがみてその違いが規定されているところでございます。 御指摘の点につきましては、罰則の適用について、それぞれの法律の構成要件によって判断されるべきものでありまして、仮に国民投票と公職の選挙が同時に行われた場合につきましても、具体的な事実の切り分けによってそれぞれの構成要件が当てはめられ、それぞれの罰則が適用されることになると、このように考えているところでございます。
○小林正夫君 少し具体的に質問をさせてもらいます。 労働組合や団体、これは宗教団体も含むというふうに考えていただきたいんですけれども、あるいは、企業が組織全体の利益に合致すると、こういう観点から、例えば憲法改正に賛成あるいは反対するように組合員とか従業員に指示をして、従わない場合の不利益処分を示唆するような場合、国民投票法あるいはほかの法律でも規制対象となるのかどうか。これについて発議者の考え方をお聞きし、総務省のお考えをお聞きをしたいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 先ほども御議論あったかと思いますけれども、組織的な多数人の利害誘導、これに当たる場合は、この国民投票法制において規制の対象となる場合もあり得るだろうと思います。
○政府参考人(久元喜造君) 誠に恐縮でございますが、国民投票につきましては、私どもお答えを申し上げるべき立場ではございませんので、お答えは差し控えさせていただきますことをお許しいただきたいと存じます。
○小林正夫君 組織的多数人買収罪について、例えば組織の内部の者に対する利益供与なども対象となり得るのかどうか、組織の内部の者に対して。例えば、会社が投票日に金一封を提供して賛成又は反対の投票を行うよう指示をして、なおかつ借り上げバスを用意して、さあ皆さん投票所に行きましょうと、こういうような行為があった場合にどのように判断をするんでしょうか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 組織として多数人に対して行われる場合は、それは該当することとなる場合が多いんじゃないかと思いますが、個別具体の事例についてはそのいろんな状況を見て判断せざるを得ないと思いますけれども、そういう場合であったら該当する場合も多いんではないかというふうに思います。
○小林正夫君 次に、候補者の国民投票運動についてお聞きをしたいと思いますけれども、原則自由な国民投票運動の期間と厳しい規則が掛かる公職選挙法の運動期間が重なる事態、当然考えられますよね、これから。そのときに、候補者がなし得る国民投票運動について制約は掛かるのかどうか。また、昨日名古屋の公聴会に行かせていただきましたけれども、公述人から、選挙運動の規制は厳しく、一方、仮に国民投票運動の規制が戸別訪問とか文書配布、あるいは運動方法などの点で厳しくないとすると区別が付きにくいことから取締りに混乱が予想される、こういうような公述人からの発言もありました。 この点についてどのような所見を持たれているのか、発議者と、総務省、答えられれば答えてください。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今御指摘をいただいたケースというのは、特に国政選挙などにおいては、私どもとしては、この法律案を提案をしたときには、国政選挙と同時に行われるということを想定せずに、その規定を設けずに国民投票のみをやるという前提で法律案を構築をしております。ですから、国政選挙のときには余り一緒に行われるというケースは少ないと思います。 ただ、その場合であっても、途中で解散があって、そして運動期間が重なった場合、補欠選挙の場合もそうだと思います。それから、地方選挙の場合にはこれは十分にあり得ることでございますので、そういうことにつきましては法律の中に、この国民投票運動をやる上においては、これは公選法の規定は準用しないといいますか、国民投票運動ということで行う政党なりあるいは団体の活動においては公選法は適用しないと、こういう別途の規定を設けてあります。経過規定といいますか調整規定を設けてありますので、それによって切り分けることができるんではないかと、こう理解しております。
○政府参考人(久元喜造君) ただいま発議者の船田先生からお答えがあったとおりかと思いますけれども、国民投票運動が選挙運動にわたらない限りにおいて公職選挙法の選挙運動に関する規定は適用にならないわけでありますけれども、そこで行われました事象が選挙運動にわたるといった場合には、当然のことながら公職選挙法の選挙運動に関する規定が適用になるというふうに考えておりまして、それはそれぞれの事実の切り分けによって判断されるべき事柄であろうかと存じます。
○小林正夫君 昨日、名古屋における地方公聴会に私も出席をして、公述人の方から、通常の選挙運動と異なり、買収又は利益誘導の可能性が低く、プライバシーないし平穏な生活を乱すと、こういう理由以外には戸別訪問を規制する合理的理由が見いだしにくいと、こういう発言をされた方もありました。別な公述人は、戸別訪問は必然的に他人の建築物内に立ち入ることになるので、住居侵入罪として規制されるおそれがある、したがって、国民投票法には戸別訪問が規制されないことを明記すべきだと、こういうような公述人のお話があったんですが、このことはどういうふうに受け止めますか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 公職選挙法において戸別訪問が明示的に禁止されておりますのは、住居侵入という公述人のお話があったということを小林先生引かれましたけれども、一般的に、ちょっと密室的なところにあって、そこで買収的なものが行われるというような立法趣旨から戸別訪問を規制しているわけですけれども、元々買収罪も、組織的多数人という形で買収常習者、ブローカー、そういったものに限定を付している。 そういう趣旨から、戸別訪問、戸別に個々の家庭を訪れて国民投票について勧誘をする、あるいは意見の表明をするということは当然許されてしかるべきですし、公職選挙法には明示的に禁止しているわけですけど、ここにおいては何も書いていないということは自由であるということで御理解を願いたいと思います。
○小林正夫君 昨日の、私、名古屋の地方公聴会、非常に勉強になりました。いろんな角度から御意見をいただいて、ああそういう切り口もあるのかと、正直言ってそのように思ったことが多々ありました。したがって、国民投票法という本当に憲法に直接かかわる法律を決めようとしているわけですから、やはり私は多くの国民の意見を私たちはお聞きした上でいろいろ判断していく必要があるんじゃないかと思いました。 そこで、委員長、是非多くの地域で公聴会を開催して、いろんな各層から私たち意見を聴くような機会を設けてほしいと、このようにお願いしたいと思いますけど、委員長、いかがでしょうか。
○委員長(関谷勝嗣君) そのことは、本日の理事会でも私が同じような意図で述べました。
○小林正夫君 是非、委員長自らそのように御判断もされているということですから、多くの国民の声が聴ける機会をつくっていくと、このように努力していただくことを再度お願いをしておきたいと思います。 次の質問ですけれども、少し外国の例と比較して教えていただきたいということで質問をいたします。 アイルランドでは、政府が一方的に憲法改正を推進する内容のパンフレットを作成して配布することは裁判所によって禁じられていると、このように聞いております。イタリアでは、政府はパンフレットを作成しないものの、各地方自治体が独自に解説資料を作成している、このように聞いておりますけれども、現在の法案の下では、国会に置かれる広報協議会以外の公的機関、すなわち国の機関あるいは地方公共団体などが改正案の内容について独自の解説資料を作成することは可能なのかどうか、この点について発議者にお聞きいたします。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今の広報活動ということでございますが、この法律が通りました後、そして実際の改正原案が発議をされた後、国会にいわゆる広報協議会が設置をされます。その広報協議会でこれらの選定がされてくるわけでありますが、その中で、やはり有権的な公報ということで広報パンフレットを作成をし、そしてこれを国民のすべての皆様にお配りをすると、こういう行為があり、また、最近ではネットの時代でもございますので、公式のホームページなどを立ち上げるということで、広報に努めるということはこの法案にもきちんと書いてあるわけであります。 しかし一方で、要するに、ある役所がこの広報活動を行うかということについては、これは具体的には、やっぱり選管あるいは総務省がこの投票についての一般的な事務、あるいはその期日、場所、そういうものを国民に知らせるということはあるかもしれませんが、私どもとしては、そういった特別の、ほかの団体あるいは政府の機関が広報活動するということは想定しておりません。
○小林正夫君 してない。
○衆議院議員(船田元君) はい。してありませんし、できないものと理解しております。
○小林正夫君 そうしますと、船田発議者に引き続きお聞きしますけれども、この法案によると、国民投票期日を知らせる官報には発議された改正案が掲載されるということになります。国民投票の公報が有権者の手元に届くのは投票期日の十日前までとなっています。したがって、パンフレットが届くのが直前で、それまでは公的な説明が一切ないというのは、私は不親切じゃないかと。さらに、誤解に基づく情報だとか偏った情報がその間に流布される危険性も高いんじゃないかと思うんですが、これは何らかの手段を改めて検討する必要はあるんじゃないでしょうか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 国民投票の広報のパンフレットにつきまして、これはもうできるだけ早く有権者の皆様に配布されるということが望ましいことでありますが、発議をしてから実際にどういう内容で作成をするかということは、正にこの協議会において各党から選ばれた議員によって協議をされるわけであります。かなり急ぐという必要はあると思いますけれども、しかし法的には十日前ということで規定をし、その中でできるだけ手前に持ってくるという努力は必要であろうと思います。 ただ、既に、どういう改正の内容、改正案がどういうもので発議をされるかあるいはされたかということについては、相当従前から、前からですね、投票日の相当前から、テレビ、新聞等でいろいろと広報される、広報といいますか、知らされる、そういう状況がありますので、そういう意味におきましては、十日前というのは多分これはぎりぎりの線ではないかと。実際の事務を行う上においては、それ以上の、さかのぼるということはなかなか厳しいのかなというふうに考えております。
○小林正夫君 赤松発議者にお聞きしますけれども、今言ったように、政府以外の人たちがいろんな情報発信する、その発信が間違えていなければいいんですけれども、ある意図を持ちながらそういうことを知らしめていくということも考えられないこともない。したがって、やはり大きな問題を扱って国民投票にかける場合に、余りにも有権者に、十日前よりかもっと早く努力はするもののというお話ですけれども、本当にこれでいいのかどうか。赤松発議者はどのようにお考えでしょうか。
○衆議院議員(赤松正雄君) 同じ発議者としてどう思うかと言われてもなかなか難しいんですが、今の船田発議者と同じ考えであると、そう言わざるを得ません。
○小林正夫君 組織的多数人の買収、あるいは利害誘導罪についてもう少し質問も用意をいたしましたけれども、少し離れて全般的な問題について、後半残された時間、質問をさせていただきたいと思います。 まず、保岡発議者にお聞きをしたいんですけれども、趣旨説明において発議者の方から、日本国憲法は、その第九十六条において改正のための手続を定めているにもかかわらず、そのための具体的な国民投票法制につきましては、日本国憲法が施行されてから六十年近くを経過しようとしている今日に至るまで整備されてまいりませんでした、このような基本的憲法附属法の整備は、国権の最高機関、国の唯一の立法機関として国民の負託を受けている私ども国会議員の基本的責務であります、とありました。 戦後長い間政権を担ってこられた自民党政権がなぜこの問題に取り扱ってこなかったのか、私は政府の不作為じゃないかというふうに考えているんです。発議者の保岡議員は法務大臣を経験されて、議員経歴も大先輩でもう三十年以上国会で活躍をされているわけですけれども、政府・自民党内部でこの問題について過去どういう論議があったんでしょうか。それで、なおかつ今日までこの問題についてきちんと発議をしてこなかった、この辺の原因は何だったんでしょうか、お聞かせください。
○衆議院議員(保岡興治君) 小林先生御指摘のとおり、これは国の形、姿を決める上でも基本法というのは非常に重要でありますし、かつ、国家権力の制約原理を定めるという意味でも、国民と国家との関係で最も重要な憲法、これもやはり時代とともにいろいろ諸情勢が変化しますから、必ずどの憲法典も改正条項というのは持っております。ですから、やはりこういった憲法の基本的な不可欠な付随法というのは、制定のときに必ず作っておかなきゃいけないことだろうと私も思います。 しかし、それがなぜ遅れてきて、かつ、自由民主党が長いこと政権にありながらなぜこれを提案しなかったのか、立法の努力がなかったのかと、こういうことでありまして、正に我々も、立法府というかその与党、多数を担っていた自民党にとってもじくじたるものがありまして、やはりある意味では立法の怠慢、不作為と言われても仕方のないことだろうと。したがって、できるだけ早くこういった基本的な附属法は国会の手で、みんなで知恵を出して、幅広い合議の下にきちっと成立を期していこうということで、今日、努力をしてまいりました。 なぜできなかったかという御質問については、憲法そのものが、国会で論議すると、改正について言及するということは、政府ですらこれは非常に難しい政治状況があって、大臣が改憲の発言をしますと直ちにそれが辞任に追い込まれるような政治状況もありました。私が、そうですね、五、六年前、法務大臣をしていたときも、改憲にわたる発言をしましたら委員会が止まりまして、それで森内閣は憲法改正を具体的に今内閣として課題として予定しているものではありませんと、そういうことを申し上げるなどして委員会を再開していただいたという経緯もありますが。 そういうことで、政府・与党としても、特に与党でございますね、これ、議員立法でやるべきものですから、憲法改正手続を国会に提案するような状況になかったとしか言いようがない。 それが、民主党も含む改憲議連というのが、憲法改正推進議連というのができまして、それで両院に憲法調査会ができ、五年間の調査も行い、そして我々衆議院においては特別委員会が設置されてから一年半余り議論を重ねてきて、やっとここまで到達できたということでございます。
○小林正夫君 船田発議者に質問をいたします。 先日、この委員会の答弁で、今後、国政の重要問題も含めて検討していくことも必要じゃないか、こういう旨の発言がされたと私記憶しております。 改めてお聞きをしますけども、国民投票の対象に統治機構に関する問題とか、あるいは生命倫理に関する問題など国政の重要問題を含めるべきというお考えはある、船田発議者はあると、このように私は理解してよろしいでしょうか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今の問題につきましては、私ども、当初、原案におきまして憲法改正に限る国民投票法案ということで制度設計をいたしました。しかし、その後、委員会での様々な議論あるいは各党間の議論を通じまして、やはり憲法改正を要する問題とか、あるいは憲法改正の対象となり得る問題ということについては、これは国民の皆さんにあらかじめ、実際の改正原案の発議の前に、これはやはり国民の皆さんの関心がどこにあるのか、あるいは何を改正したいと考えておられるか、あるいはそうでないのかということについて、やはり有権的に世論調査のような形で予備的な国民投票を行う必要があるんではないかということを私どもは考え至るようになったわけでございます。 そこで、この修正案におきまして、附則の中にこの予備的国民投票制度の制度設計を、これから法案が通りました後、公布された後、若干の時間を掛けて議論していこう、検討していこうと、こういうことを決めたわけであります。 今御指摘の統治機構に関する問題、それから生命倫理に関する問題というものも、これは、私個人の考えからしますと、これは当然憲法改正を要する問題、あるいは憲法改正の対象となり得る問題という中に含まれるというふうに思っておりますが、こういう問題も含めてこの憲法の予備的国民投票というものに入るかどうかということを今後十分に検討しまして、それで結論を出すべきであろうというふうに思っております。個人的には十分これは対象になり得るだろうと、こう考えております。
○小林正夫君 葉梨発議者と赤松発議者に質問をいたします。 近年、幾つかの自治体で住民投票条例が作られて、特定の政策について賛否を問うと、こういうことが見られることも多くなっているんですが、この状況を葉梨発議者、赤松発議者はどのように受け止めているのか、お聞きをしたいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) まず、ちょっと憲法上の位置付けについてお話し申し上げますと、国政においては今、直接民主制的な手法については限定的だということはずっと御議論あったとおりなんですが、地方自治については「地方自治の本旨に基いて」ということが九十二条に書かれておりまして、これが住民自治とそれから団体自治、これを指していると。特に住民自治の部分においては、国政と比べて地方政治、地方自治の場合は直接民主制的なものを相当入れるという趣旨であるというふうに憲法上も位置付けられておる。 その中で今、私も非常に一般的国民投票に個人としては魅力を感じている一人なんですけれども、地方自治体においていろんな形での住民投票が行われているというのは、それぞれのやはり自治体の必要性において判断されているものだというふうに考えております。
○衆議院議員(赤松正雄君) 小林委員、今御指摘の住民投票、最近はいわゆる市町村合併という問題の住民投票がございますけれども、それ以前ではやはり在日米軍基地に関する問題とか、あるいは環境に関する問題とか、やはり国の全体の方向性とそれから地方自治とのいわゆるバッティングするテーマ、こういう部分で住民の皆さんとそれから地方自治体の首長とそして国と、こういうところでなかなか住民の皆さんの気分が合わないというところがあって住民投票に持ち込まれるケースが多い。そういう意味で非常に大事な方向性というか、地方自治のありようを酌み取る上で住民投票の現状というものは非常によく、深く考えなければいけない問題提起をしている、そんなふうに思っております。
○小林正夫君 残された時間がわずかですから、最後の質問です。 世論動向をどう受け止めているのか、保岡発議者にお聞きをしたいと思います。 読売新聞が三月の十七と十八日の土日に調査をした結果が四月の六日の日に発表になっておりました。その内容は、憲法改正派が四六%で多数を占めたものの、十年ぶりに改正派が五〇%を下回った。二つ目に、十五年連続で改正派が非改正派を上回ったが、改正派は昨年調査と比べて九ポイント減り、三年連続減少した。非改正派は七ポイント増えた。自民党支持層の改正派が昨年比一〇ポイント減っている。安倍内閣を支持すると答えた人の三四%が改正に反対をしている。これが読売新聞の結果でした。私は、このような状況の中で拙速に国民投票法を決める必要があるのか、疑問を持っているんです。 安倍総理が今年の一月に憲法改正を参議院選挙の争点にすると言ったことで、国民投票案の改正の賛否を問う、国民に問う中立的な法案が、位置付けが崩れてしまって、一気に国民投票法案成立すると憲法改正という認識になってしまったと私は思います。そういう意味で、もう一度、国民を含めて国会議員も冷静さを取り戻して、改正の賛否を国民に問う中立的な法案という原点に立ち返って論議をするべきじゃないかと思います。 そのために、拙速に論議を進めている現状を見直すべきじゃないか、このように私は思いますけど、保岡発議者、いかがでしょうか。
○衆議院議員(保岡興治君) まず、我々が提案を申し上げている憲法改正の手続法については、民主党とも含めて、我々衆議院における委員会の現場で委員会や小委員会、公聴会、地方公聴会その他いろいろな要素を踏まえた上でしっかり論議をして、そしてテーマを限定し、そして相違点を限定し、そして一致して一本化の法律を出そうと。正に、その過程では幅広い議論と意見を吸い上げつつ、しかも自公民で一本化して出そうという努力をずっと続けてまいりまして、何遍も申し上げておりますが、非常にテーマも限定され、相違点も少なく、議論が集約されてきて、最終段階で一字一句譲れないという民主党の対応の下に、妥協を断念して提出した経緯があるということをお話し申し上げました。 それと同時に、先生御指摘のように、憲法典の基本的、不可欠な附属法典、これは一日も早く、正に遅れれば遅れるほど立法の不作為、怠慢と言われてしかるべきものだという意味で、議論が収れんして各党の幅広い議論を踏まえた上での結論というものは、私は一日も早くしっかりした論議、慎重な論議をして、衆参できちっとした論議をした上、成立を図るべきだと思います。 なお一方、安倍総理の発言については、前にも申し上げましたが、今のこの急変する変化の中で、戦後六十年たった今日、西洋に追い付き追い越せという明治維新以来の目標を達成した今、国家が新たな志というかグランドデザインを目指して、そして、国民みんなが力を合わせて子や孫の時代に新しい時代を切り開いていくのは政治家として当然の大きな今与えられている責任だ、したがって、そういった意味で、リーダーとして安倍総理が国家のグランドデザインを描き、かつその中に一番基本的な憲法をどうあるべきかということを考えて、それについて姿勢を示されるのは私は政治家として当然であると。ただ、我々はそれに影響されないで、衆議院における中立公正なルール作成に、改憲、護憲のどのためのルールでもない中立公正なルールを求めて誠心誠意やってきたというふうに自負いたしておるところでございます。
○小林正夫君 終わります。 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 今日は、この委員会の開会の前に憲法施行六十周年を記念をする式典が憲政記念館で行われました。各位の式辞がありましたけれども、私は、そこで語られたのは、日本国憲法が戦後、今日まで果たしてきた役割を、値打ちをしっかりと受け止めて、そして日本国憲法の下にこれからの日本、この発展をしっかりと考えていかなければならないという、そういう考え方であったのではないかと思うわけです。 今、少し安倍総理の発言あるいは発議者のその受け止めについて改めて議論があっておりましたが、私は、日本国憲法が果たしてきた値打ち、これをしっかりと踏まえる中でこの委員会での審議も行われなければならないと改めて強く思いました。 今日は、国民投票における国民の運動の自由とその規制について伺っていきたいと思っております。 まず、発議者にお尋ねをしたいんですが、提案をされている法案で、法案で定義をするところの国民投票運動が禁じられるいわゆる特定公務員、この対象者について、与党の当初の案は衆議院の段階で修正をされて、当初あった裁判官、検察官、警察官、これらに対する禁止というのは外されたわけでございます。どうしてこの方々をその禁止の対象から外したのかというその理由をまずお伺いをしたいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 当初の案におきましても国民投票運動はできるだけ自由に行われるべきであるという考え方で作られておりましたけれども、やはり公職選挙法を相当やはり引く部分もございました。例えば、教育者、公務員の地位利用について罰則を設ける、あるいは買収罪については、組織的多数人の買収罪ということではなくて、公職選挙法の買収罪の規定をほぼ、ほぼというか、多少要件は加重いたしましたけれども、引くという形で罰則で選挙の、投票の公正を担保するという色彩もございました。 ここで、裁判官、検察官、公安委員会の委員、警察官については、公職選挙法が罰則でその選挙の公正を担保するという色彩があるものですから、公職選挙法においては特定公務員という形で規定されておるわけですが、衆議院における議論の過程で、やはり国民投票運動というのはより自由なものでなければならないということで、公務員、教育者の地位利用については罰則を設けない、さらには組織的多数人の買収罪という形で買収罪についても極めて限定的な買収常習者あるいはブローカー、そういった者について限定していくということで、罰則でこの投票の公正を担保するという色彩が極めて薄くなりました。このため、投票の事務に直接かかわる者を特定公務員という形で存置し、裁判官、検察官、公安委員会の委員、警察官については削除をさせていただいたわけでございます。
○仁比聡平君 なぜこの三者についての禁止を外したのか、経過は今のお話で分かりますけれど、今、葉梨議員が答弁される中にあった、国民投票運動はより自由なものでなければならないという、そのより自由なものでなければという意味がちょっと今のお話でははっきり分からないわけです。 衆議院の段階で修正案の趣旨説明を委員会でされておりますけれども、そのとき、こういう表現ですよね。憲法改正国民投票における意見表明は、主権者国民が直接に国政に対して発言できる重要かつ貴重な機会であり、それは裁判官や検察官などの職種に就いている者でも同じように保障されるべきだからという、こういう趣旨が述べられています。 この意見表明の機会の保障というのも私ちょっとよく分からない、はっきりしないのではないかと思うんですね。つまり、国民の皆さんが、国会が改憲案を発議をした、それで当然国民的な議論は沸騰するわけですよね。その場面においての国民投票運動の自由というのはどんな憲法上の価値あるいは性格、そこを持っているのかと、その点について発議者はどんなふうにお考えなんでしょうか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) やはり、これからの我が国の在り方について国民として意見を表明するということは当然奨励されるべきであろうというふうに思います。これがたとえ裁判官や検察官の職務に就いている者であったとしても、その意見表明、主権者としての国民が直接に国政に対して発言できる重要かつ貴重な機会でございますから、これは保障されるべきであるというふうに思います。
○仁比聡平君 今の葉梨議員の御答弁にも奨励されるべきという言葉がありました。奨励されるとかされないという話じゃないでしょう。 私、前回といいますか前々回になりますかの質疑で、四月の十八日ですね、皆さんと九十六条の趣旨は何かという議論をいたしました。そのときに確認をされたと私は理解をしておりますけれども、憲法改正の決定権は国民一人一人とその総意にあるというのが憲法九十六条の趣旨であって、この九十六条そして国民主権の原理からすれば、主権者である国民の意思は国会の議決とは別に自由につくられる、国会の発議とは異なる決定をするということが、そういう意思決定を行うことが十分に保障されなければならないと私は思うんです。 その際に決定的に重要なのは、主権者国民の皆さんの意思決定、その過程で、プロセスで十分な討論が行われることですよね。気分や衝動に左右される人気投票であってはならない。 〔委員長退席、理事岡田直樹君着席〕 何が提起をされているのか、その点についてどう考えるのか真剣に考え抜かれた投票になるためには、日本じゅうが、一億数千万の、あるいは投票権者の方々が、まるであたかも一つのこの国会の委員会室の議場になったかのように、どういう意見があり、こういう立場があり、それに対して自分はどう考えるのか。そのことを真剣に考えていく中で、本当にこれからの日本の国の在り方、それは護憲かあるいは改憲か、その立場は別として、真剣に考えていく。そういうダイナミズムが国民投票運動というものが想定されるその場面にふさわしいんじゃないでしょうか。 ですから、例えば諸外国での国民投票において、人を選ぶ公職の選挙とは違うダイナミズムがそこに働くということがよく報告をされているわけですけれども、私は、そういった国民投票運動が本当に自由に行われていくという場面において、そうではない場面での表現の自由や、あるいは国民の皆さんの基本的人権、様々なものがありますけれども、そういったものの優越的な価値と、またそれを、国民投票運動が本当に自由に行われ、十分かつ自由な徹底した討論が国民的に行われるという上で、大変重要な憲法上の重み、価値を持っているんではないかと思うんです。 発議者はいかがでしょうか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 憲法の改正の発議が行われ、あるいは行われる前からですけれども、憲法について本当に自由にいろいろと意見表明をするということは本当に大切なことであるというふうに思います。特に、この投票制度が行われる下で、例えばフランスですけれども、EU憲法、これは結果的には否決をされましたけれども、本当に、夜いろんな酒場においてもEU憲法についてみんなが話し合える、そういう雰囲気を持っているということは、私は日本人として大変うらやましいなというふうに思った感じを覚えております。 ですから、今、仁比委員もおっしゃられましたけれども、やはりこの国民投票という中で自由に物が言えるということは、これは大変大事なことであると。ただし、だからこそ規制というのは必要最小限のものにすべきなんだろうというふうに考えています。
○仁比聡平君 今、葉梨議員が、ただし、いや、だからこそと言い直した辺りに、運動規制の方向性がどこに向くのかというニュアンスもあるのかなと感じたんですけれどもね。いやいや、もうそれはいいんですが。 葉梨議員が憲法条項を引用したりしての答弁には踏み込まれませんので、できれば保岡議員か船田議員にお願いをしたいと思うんですけれども、例えば昨日の仙台の公聴会で、弁護士の佐々木公述人はこういうふうに表現されました。表現の自由、国民投票運動の自由は、憲法二十一条、九十六条、十三条などに照らして最大限尊重されなければならない、国民投票に当たっては、何よりも投票者にできる限りの情報提供がなされ、広く深く国民的議論がなされることが必要であり、そのためには表現の自由が最大限尊重されるべきであるという御趣旨です。憲法二十一条の表現の自由、九十六条のこれは国民投票ということだと思いますが、十三条の幸福追求権を引用されているわけですね。 名古屋の公聴会では、同じく弁護士の笠松公述人はこうおっしゃっています。国民が国民主権を直接的に行使する重要な機会であるから、憲法改正に関する情報交換や意見交換は表現の自由が最大限に保障されるべき最も重要な場面である、こういうふうに述べておられるわけです。 この笠松公述人の御意見の中には国民主権原理、その直接的行使というその場面を重視するお考えが示されていると思うんですけれども、発議者はこのお二方の御意見と同趣旨ですか、それとも、違うというならどう違いますか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 先ほど、憲法の条項を引かれないでということでございましたので、私の申し上げているのは、百条にございます適用上の注意で、表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利、これを不当に侵害しないように、これは大事にするんだと、そういうような考え方でこの規制も作りました。そして、それを適用するに当たっては、これを不当に侵害しないように留意しなければならないということでございまして、正にこの憲法の趣旨を実は答弁の中でも申し上げておったつもりでございます。そして、先般来も議論にございましたけれども、最終的な憲法の改正権力である国民、そして憲法を確定する国民でございますから、その権利というのは十分に保障される必要があると思います。
○仁比聡平君 法案の百条の規定については、おっしゃるような、国民の憲法上保障される自由と権利を不当に侵害しないように留意せよとあるんですね。これ、憲法上の権利を、基本的人権を不当に侵害しないように留意するのは当たり前のことでございまして、この条項を示したからといって国民投票運動の大切さ、憲法上の価値を示したことにはなりませんよ。 これまで国民投票というのは我が国では戦後行われていないわけですから、ですから、そこについてのいろんな、憲法上の例えば基本的な人権としての価値がどのようにあるのかという議論が、今そんなにたくさんの議論がされているわけではないかもしれませんけれど、公述人の方々、参考人の方々は、例えば先ほど御紹介をしたように、一定の見地を示して、憲法上このような位置付けがされるべきだということを前提にいろんな様々な法制度についての意見を表明しておられるわけですね。それに対して発議をされている皆さんがその憲法論上のお立場を示すことができないというんであれば、これは国民投票運動をどういうふうに自由を保障し、一定の部分を規制をしていくのか、その憲法論上の判断の枠組みができないじゃありませんか。ですから、憲法論上のお立場を示していただきたいと申し上げているんです。 いえ、もう保岡議員。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 仁比先生、後で私の答弁精査していただければと思うんですけれども、百条を引きまして、その百条を引いて不当に侵害しないようにということで制度を組み立てたということではなくて、ここにあります表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利、これを大切にするという意味で必要最小限度の制度を組み立て、その適用上の注意を不当に侵害しないということで書いているというふうに答弁を申し上げたわけです。制度をつくるに当たって、これらの、日本国憲法の保障する国民の自由と権利、これは大切にしていく、そして憲法制定権力である国民、憲法を確定する国民、その権利も大切にしていくということは先般の答弁でも申し上げたとおりでございます。
○衆議院議員(保岡興治君) 基本的には、仁比先生が例として挙げられました公述人の方々の御意見は、私はそのとおりだと思います。 そして、我々も、やっぱり憲法というものが、答弁をしておりますとおり、国家権力の国民に対する権力行使の制約原理だと、これはもう近代憲法の大きな一つの性格でございますが、そういう重要な、国民にとってこういった憲法の改正という国政の基本にかかわる法律について直接意見を言える、もう大切な重要な貴重な機会ですから、これの行使できる場である、これが正しく行使される、そして、いろんな情報を得ていろんな意見の交換をしてと先ほど先生も言われましたが、そういう場をしっかりと保障して適正な権利行使をできるように、この法律はそれを基本として提案も申し上げてある、これが我々の基本的な立場で、先生のおっしゃっている趣旨と変わらないと思います。
○仁比聡平君 その上で、一つだけちょっとこれは確認をしておきたいんですけれども、公職の選挙との違いというのが御答弁の中でよく触れられるわけですね。簡単におっしゃるときには人を選ぶ選挙と政策を選ぶ国民投票という対比をされるんですけれども、言葉じりとらえるわけじゃないんですけれども、政策というその言葉ですね。 これはちょっとはっきりさせたいんですが、憲法改正の国民投票の場合、これは対象となるのは、今、保岡議員もおっしゃった、立憲主義の下で憲法という最高法規の規範を国民が自ら定立するという、そういう作用の場面ですね。ですから、この国民投票で問われているのは、個別の施策とか政策の是非の問題ではなくて、国の最高法規たる憲法の改変、変えるのかどうなのかということの是非が問われていると。これも含めて政策とおっしゃるならばそれはそれでということもあるのかもしれませんが、厳密に言えば政策そのものも縛るのが憲法であろうと思いますから、そういう理解でよろしいですか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 いわゆる公選法で規定されている選挙、つまり人を選ぶ選挙ですね、それと国民投票法あるいは国民投票運動というのはおのずから違うものだと。こういうことで、私も先ほど来御答弁申し上げている中で、人を選ぶ選挙と、それから政策を選ぶ投票、こういうふうに言葉上申し上げましたけれども、政策というのでは、これはちょっと憲法という問題を扱うには余りにも軽い言葉であるということを今改めて感じております。これは反省をしておりまして、政策といっても、これは正に日本という国の形を決める、あるいは国民の権利、もちろん義務も入りますけれども、国民の権利を含めた国民主権を、これを実現させるための重要な投票であるというふうに思っておりまして、単なる政策ではない、国の基本を決める重要な投票であるというふうに私としては言い換えたいと思います。
○仁比聡平君 その国民投票運動、これについて、先ほども例えば大久保議員の質問の中でかなりありましたけれども、公務員と教育者だけを地位の利用という要件を掛けて運動を禁止するわけですよね、法案は。今お話しになられたような大変重要な憲法上の価値を持つ国民投票運動をなぜ公務員と教育者には禁止をするのか、地位利用という場合には禁止をするのかという大問題だと思います。 先にちょっと確認をしたいんですが、そのような禁止規定、百三条ですね、法案の、これがどれだけの主権者に及ぶというふうに発議者は認識をしておられるんでしょうか。この法案で規制の対象となる公務員等及びそれから教育者、これ、それぞれ何万人ぐらいのオーダーになると考えていらっしゃるんですか。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 公務員の数については、例えば国家公務員ですと、約三十万人が一般職という形になりますが、その他特別職、自衛隊等も入れますとたしか三十万人程度であったというふうに記憶をしております。ただ、独立行政法人になりました部分も多々ございます。 それから、地方公務員の関係ですと約三百万人程度であったというふうに記憶をしておりますが、その中には教育公務員も当然含まれてまいります。そして、いわゆる私学の教育者につきましては、また追って全体としてまとめた数字を御提示させていただければというふうに思います。
○仁比聡平君 私どもが調べましたら、国家公務員、地方公務員合わせて約四百万人。教育者、これは幼稚園の先生までこの対象には含まれるということだと思いますけれども、約百三十万人。これ、重複を除いても五百万人を超える。その五百万人を超えるという、それだけの規模の主権者にこの百三条において一律の規制を掛けるというのは、これはちょっと大変なことだとは思われませんか、発議者。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 確かに人数の点からいって、五百万人が正しいかどうか、大体そういう数字だと思っておりますけれども、公務員あるいは教育者は、国民投票運動においても、これはやはりその特別の地位を利用して運動を行うという可能性もあり、またそのことによる影響というのは、これはその他の人々に比べて特段に高いということが私どもは考えられるわけであります。 そういうことで、その地位利用による国民投票運動については、これは禁止をするとしました。ただ、そのことによってこの国民投票運動全体が萎縮するということがあってはいけないと考えておりますので、罰則は設けないということとしたわけでございます。
○仁比聡平君 罰則を設けなければ萎縮することにはならないという話にはならないということをちょっと後ほど議論をさせていただきたいと思いますけれども、まず先に、どうして公務員と教育者は何か他の方に比べて特段に高い地位というみたいな話になるのか。 先ほど大久保議員の質疑でもありましたけれども、社会的な地位によって、あるいは職業によって、他の国民の方々の国民投票の公正、これを害し得るような立場というのは、例えば大企業と下請の関係や、あるいは企業の幹部と従業員の関係などあるわけですよね。そういうような関係があるのは現実でありながら、規制を掛けて投票の公正を保障するその対象として公務員と教育者だけを挙げる、その憲法上の制約根拠、企業の幹部や民間人には掛けないが、公務員、教育者にはその規制を掛けるんだという憲法上の根拠は何ですか。船田議員、ちょっと。
○衆議院議員(葉梨康弘君) お答えいたします。 公務員については、憲法第十五条、すべての公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないという形で、公務の中立性をやっぱり持っていくことが必要である。そして、教育ですけれども、義務教育については二十六条二項になりますが、二十六条一項においては、すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有する、こういった国民の権利が害されるようなことになってはならないということで、公務員と教育者については規制を設けておるということでございます。
○仁比聡平君 今の御答弁がこの百三条の規定の趣旨だということで示されたのは大変重大なことだと私は思うんですよね。 といいますのは、今、葉梨議員が答弁をされたのは、公務の公平さとかあるいは公正さ、あるいは教育の中立性、そういった価値ですね。それが国民の投票の公正を害するということに結び付きますか。これ、皆さんが準用というか、立て方は同じになっておりますと先ほど答弁もありましたけれども、公選法は、選挙運動の自由、選挙の投票の公正を害するものを規制しようとしているわけでしょう。それなのに、この国民投票運動の自由を規制するに際しては、投票の公正ではなくて教育の中立性だとか職務の公正だとか、こういう概念を持ち込んでくるというのは一体どういうことなんですか。 大体、改憲が発議をされた、先ほど申し上げたような国民的な大議論が行われている。今回の参考人の方からも、国民的一大イベントだというそういうお話もあったんですけれども、そういうときに、公務員や教員が憲法を語ること、私はこの憲法を愛している、あるいは、ここに問題があるからこう変えるべきが日本のこれからにふさわしいと思っている、これ護憲でも改憲でもいいですよ、立場は。だけれども、憲法を語ることがどうして職務の公正や教育の中立性を害するんでしょうか。私には分からない。
○衆議院議員(葉梨康弘君) ちょっと補足的に答弁をさしていただきます。 ちょっと私自身の答弁、大変舌足らずのところでございまして、ちょっと後の論点とも重なってしまいますんで、公務員については、十五条の二項というのは、政治的な中立性、公務の中立性というのは、公務員の政治的な行為の制限、そこら辺とのかかわりであろうかというふうに思います。そして、教育については、教育を受ける権利を保障するというように書いてあるわけですけれども、そのような公務員、教育者であれば、十五条の一項にございますけれども、やはり国民固有の権利として公務員を罷免することができるというような形の規定もあるわけでございまして、これは公務員、そして教育者については先ほど申し上げたとおり。 そこで、他の者のやはり自由な投票を保障するために、このような公務員であるとか教育者については、一般的、類型的に他者の自由意思に介入するおそれがあるんじゃないかということで必要最小限の規定を設けておりまして、これは公職選挙法においても、この教育者、公務員の地位利用が、憲法違反とされないということで解釈されておるところでございます。
○仁比聡平君 公職選挙法の解釈において、私はこのような規制は違憲だと思っていますけれど、そのことを議論しているわけじゃないんですよ。最高裁が公選法についてどう言っているか、それは国民投票運動の自由とは全然別の問題でしょう。そこを全然頭が整理できていないんじゃありませんか。 葉梨議員は、後の論点と関係、かかわる問題なのでとおっしゃったけれども、それはつまり政治的行為の禁止、この規定を残すのかどうかという論点の中で、与党の皆さんはこれは生かすんだと、こういうふうにおっしゃっている。皆さんの言葉で言うと、公務員法の世界の中でどうしていくかこれから考えるんだというふうにおっしゃっている。そのときに、職務の公正が云々というお話をされるんでしょうね、きっと。だけれども、投票運動の自由をどうして規制しなきゃいけないのかについて、今の点は理由にならないですよ。 衆議院の最終盤になって併合修正案という形で今のような枠組みのお話を出してきている。だけれども、皆さんの答弁聞いていたら、地位利用による規制の問題と公務員の政治的行為の禁止をどうするのかという問題と、これもうごっちゃごちゃにして話していらっしゃるんじゃないですか。 例えば、こういう御意見が公述人、これは衆議院の段階の公聴会の公述人の方からあるわけです。それは、高等学校の教職員組合連合会が卒業生に憲法九条の手紙、九条を守ろうという手紙を送ろうと、これ改憲が発議されたときに送ろうということで、そういうビラを校内では配らずに、生徒の登校時に門前で手渡すことになったというような例を挙げられまして、教師の地位利用が禁止されなかったということになればこういったことが公然と行われることになる、あってはならないじゃないかという趣旨の公述をされているんです。 これは、憲法を教員やその労働組合が語ることそのものを禁止しようという、そういう発想じゃないですかね。そういうお立場に発議者は立つんですか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 公務員、教育者の国民運動投票の制限であります。この地位利用によることは禁止をすると、こういうことでございますが、これはあくまで国民投票運動の公正さを保障するものである、これは公務員あるいは教育者のそれぞれが持っている職制における公正さの保障とはまた違う観点から議論をしてきた、その辺りの整理は私どもの頭の中では十分にできているというふうに思っております。 そして、今例示をされたような部分、例えば地位利用に当たらないケースとしては、例えば休日に学区外で肩書を示さずに勧誘行為を行うということ、これは地位利用に当たらないと思っております。ただ、キャンパス内あるいは学校の校門のところでこれを、九条反対ということのビラを配るというようなことにつきましては、これはたとえ勤務時間外であっても、これやはり公務員あるいは教育者であるということをそれが分かるような状況において行う行為だと思っておりますので、これは地位利用に当たるものであるというふうに理解しております。
○仁比聡平君 水岡議員のさきの質問の趣旨と違うんですよね。地位利用というのがどういう行為が当たるのかというのを発議者は明らかにしていません。こういうふうに私たちが少し質問をすると、それに対していろいろ言った上でお答えになるという状況ですよね。今、船田議員の答弁の中に、九条反対のビラを配ると、ありません、それは。九条改悪反対のビラを配るんだろうと私は思うんですが。結局、その地位の利用というのがどんな基準なのか不明確だ。 だから、船田議員が先ほどおっしゃったように、本来最大限に保障されるべき国民運動の自由が、あってはならない萎縮的効果がもたらされるわけですね。こういった行為が当たるのか当たらないのか。当たるとすれば懲戒されるわけですから、懲戒をされるかもしれないという行為に対して萎縮する、これは当然のことであって、これは精神的自由、表現の自由、この分野においてはあってはならないことでしょう。萎縮的効果一番恐れなきゃいけない、警戒をしなきゃいけない。 その中で与党の方々から、この百三条が、その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用してというふうに定義をしたから、だから禁止範囲は限定されたというような趣旨の質問が衆議院でもあるいは当委員会でもあったかのように思うんですね。地位を利用してというよりは、言葉は付け加えているかもしれないが、だけれども、これで範囲が限定されたということには私は全くならないと思うんですよ。 といいますのは、この文言は、もうこれは衆議院段階で発議者もお認めになっておられますけれども、公選法で地位利用の禁止規定が加わった当時に、一九六二年、昭和三十七年ですけれども、自治省が局議で決定をした、その公選法上の運動規制の要件の考え方と全く同じ考え方ですね。ここにその文章がありますけれども、地位を利用してとは、その公務員としての地位にあるがために特に選挙運動を効果的に行い得るような影響力又は便益を利用する意味である。 結局、総論としては選挙とは違うとか、最大限保障をするとか、公選法同様にがちがちにやるのは望ましくないという答弁も今日船田議員からあったと思いますけれども、そう言いながら、公選法と全く同じ要件であいまい広範な規制を掛けようというんじゃありませんか。公務員と教育者だけにこういう規制を掛ける、そんなやり方は絶対に許されないということを厳しく申し上げて、たくさん疑問点が残っていますけれども、時間が参りました。 もし委員長が許すなら、一言答弁ください。
○理事(岡田直樹君) 保岡君、簡潔に願います。
○衆議院議員(保岡興治君) 最後にこういうことを申し上げるのもなんですが、地位利用の禁止している保護法益というのは、あくまでも国民主権を行使する自由を担保するために不当な地位利用、公務員の行為、教育者の行為を規制しようとするんであって、むしろ国民投票法では一番大事な部分じゃないだろうかと私は思います。 一方、公務員の政治的中立というのは、先ほどから言っているように、公務員の、全体の奉仕者として、あるいは政治的中立を求められる、そういった立場からくる規制だというふうに、規制の保護法益が違うということを前提にこれからまた深く議論をしていただきたいと思います。
○仁比聡平君 根幹だからこそきちんと議論しなきゃいけないんですよ。 終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。 憲法改正の手続法案の審議でございますけれども、改正には限界があると先ほど船田議員もおっしゃっておられました。国民主権、基本的な人権の尊重、そして平和主義、この三つは現憲法の正に根幹を成すものでありまして、改正といえどもこの限界を超えるわけにはいかないという立場を船田議員も明確に述べられておりました。 しかし、今日、お昼に憲法六十周年の記念式典ございまして総理が御発言をされましたけれども、この御発言の中で、憲法の根幹にかかわる部分のお話の中で、国民主権の話、そして人権の尊重の話はあったけれども、平和主義に言及した部分、平和主義という言葉がなかったという、そういう話が今かなり出ておりまして、これは後で議事録を精査をして正確を期した上で改めて申し上げさせていただきたいというふうに思っておりますが。 今日の総理の発言もそうでありますが、二年前にできた自民党の新憲法草案、私どもは、これは憲法の根幹の重要な部分である平和主義を大きく踏み越えている、改正の限界を超えている疑義が極めて強い、そういうものであるというふうに思っておりまして、そういう憲法改正案をベストなものと考え、かつ式典等で殊更平和主義という言葉に触れない総理の号令の下で今この改憲手続法案が成立に向けて歩を進めているということに大変危惧の念を持っているところでございます。 その上で、なおかつ今の国民投票法案は国民主権の立場からいっても最低限持つべき要件を幾つかの点で欠いている、欠陥法であるという立場に立っているわけでありますが、今日は国民投票法案であるためには最低持たなければならない、国民に正しい情報をしっかり伝える広報を担っている国民投票広報協議会について何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。 これを法案では広報協議会が担うことになっております。そして、法案ではこの広報協議会が公報の内容を決めて、公報や放送する回数や内容を放送機関と協議して決める、広報の在り方について広報協議会が基本的に仕切ると、こういう仕組みになっております。そういうことであればあるほど、この広報協議会というのは中立公正な広報をしっかりやっていくんだと、そういうものとしてなければならない、こういうふうに思っておりますが、問題は、これは二十三日の参考人質疑でも、あるいは昨日の地方公聴会でも何人かの方から指摘をされているところでありますが、広報協議会が国会の中に設置されているということに基本的な疑義が出されているわけであります。 言うまでもなく、国会の役割は憲法改正案を発議するまで、発議した後は基本的に役割を終えている、そういう私は立場だというふうに思うんですが、この広報協議会が国会の中に設けられて、広報協議会が広報を担当して仕切ると、こういう仕組みになっております。この国会というのは正に三分の二ということで発議をした立場でありますんで、ここが本当に公平中立な機関なのか、広報まで国会に担わせるというのはこれは憲法上疑義があるのではないか、何か別の第三者に担わせるべきではないかと、こういう指摘に対してどういうふうに御答弁されますか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 日本国憲法において、その改正手続を定める九十六条におきまして、いわゆる国会の両院の三分の二以上の賛成をもって発議をする、それを国民が承認すると、こういう手続でございます。言うまでもないことでありますが、そういう中で、やはり国会の発議ということで、国会というものは憲法改正案の発議機関としてふさわしい役割を果たすべきであるというふうに解するのが私は順当であると思います。 そこで、国会において発議に至るまでの様々な国会の中での議論、あるいは賛成をされる方々あるいは政党の皆さんはどういう根拠があるのか、反対される方々にはどういう根拠があるのかということを我が事として公報にしっかりと載っける。しかも、その公報には賛成意見も反対意見も平等に載っける、一対一という割合で載っけるということを意図しておりますので、むしろこれは国会の中にこの協議会が置かれるということは、発議者としての私は義務ではないかと、このように考えております。 また、広報というものを第三者機関に行わせるということも先生から御指摘としてありますけれども、じゃ、第三者機関というのは一体何なのか。恣意的に人選が行われる可能性もあるわけでございまして、不平等が生じる可能性は否めないものと思っております。
○近藤正道君 私は、国会に置くということは基本的におかしいんではないかと、こういうふうに申し上げているわけで、ここが基本的にその共通認識として確立されるならば、じゃ国会以外のどこで、より公平中立な機関として何がふさわしいのかと、議論はその次また別のところで発展していくわけでありまして、九十六条には広報を一体どこが担当するのかということは一切書いてない。これはあくまでも九十六条の原理原則にいったん立ち返って、国会がこれを担うということが果たしてふさわしいのかどうか、この議論をやっぱりもっとしっかりすべきではないか、そういう意味からいきますと様々なやっぱり疑問がありますよと、こういうふうに申し上げているわけであります。 しかも、国会の中に設けられていて、かつその広報協議会の構成が議席割合に基本的によっている、これはやっぱりおかしいんではないか。三分の二で改正案が発議されるわけでありますので、国会の各会派の議席比率でいくということであれば、これはもう圧倒的にこれは憲法改正、改憲派の皆さんが広報協議会を事実上牛耳ると、こういう形になるわけであります。仮に国会の中で設けるとしても、こういう改憲の人たちが圧倒的に牛耳る、広報協議会を牛耳る、こういう仕組みはやっぱり問題があるんではないか。せめてやっぱり賛否両論平等に議席を与えて、賛成、反対、両者平等に数を出して広報協議会を構成すべきが私は九十六条の原理からいっても妥当なんではないか。こういう声はたくさんございます。 これについてどういうふうに御答弁されますか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 国民投票広報協議会の構成についてでございますが、この協議会につきましては、やはりあくまで国会の中に置かれる組織である、あるいは国会議員を委員として設けられる組織である以上、やはり会派所属議員数の比率によって配分するということが基本ではないかと、こう私どもは考えております。 〔理事岡田直樹君退席、委員長着席〕 しかしながら、御懸念のような、賛成会派が多いという中で広報を行うということにはなるわけでございますけれども、憲法改正案の広報につきましては別途、この私どもが提案した法案の中で、賛否両方の意見について国民にその情報を提供し、国民投票における的確な判断を仰ぐためのものでありますので、国会における多数、少数を踏まえつつも、それと切り離して中立公正に行われるべきものであると。したがって、広報協議会の行う広報活動、とりわけ広報パンフレットにおきましては、これは中立的な部分、それと賛否のいずれの意見というものも平等に扱う、一対一ということに、分量的にも内容的にも一対一として扱うということを明記をしております。
○近藤正道君 中身を中立公正にやると、これは法案の中に書いてあります。それは分かっているんですけれども、私はそれ以前に、広報協議会のやっぱり構成の在り方がおかしいんではないか。これは衆議院でもいろいろ議論がございまして、議席数で配分するというのはこれは発議までだと、発議が過ぎたらこれは、国民の中には賛成、反対、両論あるわけですから、この両方の人たちに配慮した形の構成がやっぱり望ましいということは、これはもうだれが見ても明らかだというふうに思うんですよ、それは。 しかも、この議論を、衆議院で辻元議員と船田議員との間でいろいろありました。私も議事録を読まさせていただきましたけれども、船田議員は、心を入れ替えて考えることにしたとか、過ちを改むるにはばかることなかれと。つまり、議席数を、議席配分に引きずられたという考え方を改めると委員会の場でもおっしゃっているのに、なぜ発議後の広報の担い手である広報協議会、ここの構成について賛否両論の両方の議員、平等で議員が対等に構成するというような方法を取られなかったんですか。これは心を入れ替えるという、入れ替えたという船田議員の発言が必ずしも貫徹していない私は表れだというふうに思うんですが、やっぱり不公平なんじゃないですか、これは、どう考えたって。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 衆議院段階での私の発言を引用していただきましてありがとうございました。実は、その心を入れ替えると、あるいは考えを変えたという部分は、この委員の構成のところではなくて、正にその広報のパンフレットの中身の問題で修正を加えようとしたわけであります。 私どもの原案におきましては、委員の構成もそうなんでありますが、その広報のパンフレットの中身もその賛成、反対の比率に応じてこの分量を決めると、こういうことにしておりましたんですが、それは委員会の中での様々な議論、あるいは公述人、参考人のお話、さらには諸外国の事例なども参考にいたしますと、やはり一たび国会が発議をした後は国民にとっては賛成か反対か、これが問われる問題でありますので、そこはやはり広報を行う上において賛成意見と反対意見を平等に扱うということが、これが諸外国でも取られていることであり、また理論的にもそれが正しい、こういうことで、私自身の考え方をその時点で変えたと、こういうことであります。 しかし、その委員の構成については、やはりあくまで国会の中に置かれる機関でございますので、しかも委員が国会議員によって構成される組織、機関である限りは、やはりその他の様々の国会に置かれる機関もそうでありますけれども、やはり会派所属議員数の比例によって配分するというのが、これは最も妥当であると、このように考えた次第でございます。
○近藤正道君 私は全くおかしいと思いますよね。 さっきも言いましたように、議員の比率でもって決めるというのはこれは発議まで、発議以降はそれは賛否平等でその協議会を構成をして、それでいろいろ仕事をする。だって、広報協議会の仕事ってやっぱり結構範囲がありますから、いろんな仕事がある、いろんな決定権がある。その際に、それはそれこそ議席数の配分でもって多数派、つまり改憲派がいろいろ数の力で決めていくということになれば、これはやっぱり不公平と言われてもやむを得ないんじゃないですか。発議以降はやっぱり平等にしなければ。 私は素朴な思いで言っているわけですけれども、不自然でしょうかね、私の指摘は。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 広報協議会の構成につきましては意見がなかなか食い違っていると、こういう状況でございますが、私どもは、あくまでやはり国会に置かれる国会議員を構成員とした組織、機関でございますので、それはやはりその会派所属議員数の比率というものがやはりこれは重要であると、こう考えております。 ただ、今申し上げましたように、その広報協議会で作成をするパンフレットにおきまして、あるいは無料枠、新聞もテレビも無料枠というものもありますが、それを作成する上においても賛否平等ということをきちんと法律に書かせていただいております。ですから、そこはきちんと担保されているわけでありますので、是非御理解いただきたいと思います。 逆に、この会派所属議員数の比率によって反対される方、反対をされる政党から一人も出ないということが生じるような場合には、これは調整措置、必ず調整をするということで、その反対の会派から必ず議員を出すというような調整の項目も設けておりますので、その点を是非御理解いただきたいと思います。
○近藤正道君 広報協議会の仕事といいましょうか広報事務というのは、当初、公報の発行、パンフレットの発行だけだったんですけれども、その後、公報の発行だけではなくて、放送だとかあるいは新聞広告にまで事務を拡大しております。放送だとか新聞広告ということになりますと膨大な国費を伴うわけでありますが、どうして放送、新聞広告がその後半、とりわけ修正案以降入ってきたのか、その経緯だとか理由をお聞かせいただけますでしょうか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 私ども、広報協議会が正にその発議者としての責任として、国民の皆さんにまず公平、中立的な立場でこの改正原案を、発議された内容について周知をするということを考えました。また、賛成意見、反対意見については、これは平等に扱うということとしたわけでございます。 しかし、やはり新聞あるいはテレビの影響力は非常に大きいというわけでございまして、有料の部分はもちろんそれなりにあるわけでございますが、やはり国会が、その発議者として更に国民の皆さんに公正、平等にお伝えをする、幅広くお伝えをする、また非常に分かりやすく説明をする、こういう役割が我々にはあると考えましたので、この無料枠ということはある程度の金額が掛かると思います。 金額につきましては、これは、衆参両院議長が協議の上、最終的に広報協議会が決めると、このようになっておりますけれども、その金額の多寡は別といたしまして、やはり無料枠を設け、そして、その無料枠の中でも賛否平等になるようにしていくということが重要であると思っております。 そういうものにつきましても広報協議会が関与することとしたのは、正にその賛否平等ということを保障するために関与することが望ましいと、こう考えたのであります。
○近藤正道君 私は、さっきも言いましたように、国会の関与は発議までだと、それ以降は基本的に関与すべきではないと。しかも、広報協議会の構成が改憲派が圧倒的に多数を占める。そういうところが公報の発行のみならず放送あるいは新聞広告まで全部やっぱり出張ると、どうしてそこまで拡大をさせるのか分からない。 しかし、今ほど船田議員は、それは賛否平等をやっぱり徹底させるため、これをきちっとコントロールするため、そのために広報協議会がそこまで出張って仕切るんだと、こういうふうにおっしゃいました。理由は、そこが一番大きな理由なんですか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 ですから、広報協議会がそういう部分まで出張るという趣旨ではなくて、当然の義務として、あるいは広報協議会の当然の責務として、これはやはり無料枠におきまして、その賛否平等を保障するためにもやはりこの協議会がきちんとある意味でコントロールしなければいけないと、そういう意味でございます。
○近藤正道君 これは確認の質問なんですけれども、改憲賛成党派と改憲反対党派と総体として平等に扱うと、個々の政党間の平等じゃなくて、賛成派、反対派トータルで平等に扱うと、こういう理解でよろしいんですね。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 各政党、この改正原案ですかね、つまり発議案につきましてそれぞれ賛成、反対、立場がありますけれども、この広報協議会のパンフレットあるいは無料枠における賛成、反対のその中身につきましてはそれぞれ協議の上で決定していくということでありまして、各政党の割り振りというよりも、やっぱり賛成意見を持った政党の皆さんが作ること、あるいは反対意見を持った政党の皆さんに作っていただくこと、これは総体のものとして賛否の平等ということを考えております。
○近藤正道君 少し細かい話で恐縮でありますが、法案の百六条の六項、これは、憲法改正案に対する賛成の政党と反対の政党の双方に対して同一の時間数及び同等の時間帯を与えるなど同等の利便を提供すると、こういう趣旨の規定でございます。 放送の場合の取扱いなんですが、例えば、いわゆる幾つか民間局ありますけれども、ゴールデンタイムであっても、ある民放A社は非常に視聴率が高い、別の民間放送局は同じゴールデンタイムであっても視聴率が低い、こういう場合、そうしますと、もうそこで差が出るわけでありますけれども、単に同じ時間数を、放送局が違っても同じ時間帯を与えるという趣旨なんですか。それとも、同じ会社の同じ時間枠を賛成、反対両派に平等に与えるという趣旨なんですか。どっちなんですか。視聴の条件をきちっと加味をした対等性というものはしっかりと保障されるんでしょうか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 今の御質問は百六条の六項でありますが、この場合、無料枠という中で賛成、反対、双方に対して同等の時間数及び同等の時間帯を与える等、同等の利便を提供しなければならない、こう書いてあります。これを作りました背景といいますか、参考にいたしましたのは、現在公職選挙法で行われているいわゆる政見放送、これが考え方の基本にはあります。ただ、政見放送とやはり違う部分というのは、賛成、反対を平等に扱うという、この一点がやはり大きく配慮をしなければいけない点でございます。入口のところ、つまり今委員がおっしゃったように、同じ時間であればどの放送局でもいいと、こういうことではなくて、これは形式的平等だと思いますが、そうではなくて、最終的に、実質的に平等になるようにということを目指して対応する必要があるんだろうと、こう考えております。 いずれにしても、それは広報協議会においてじっくりと、しっかりと議論をした上でこの割り振りをするものというふうに考えております。
○近藤正道君 実質的な平等の確保であるというお話がありました。具体的には広報協議会で協議という話でございますので、承っておきたいというふうに思っています。 更に細かい話で恐縮でありますが、広報協議会の広報事務は、いわゆる公報と、それから政党の賛否の意見、賛成意見、反対意見、その三本の柱に分かれるというふうに思いますが、この公報と政党の賛否意見のそれぞれの割合はどういうふうになるんでしょうか。一対一対一になるんですか。それとも、その辺の割合は特段定めないで広報協議会で協議をしてもらうと、こういうことになるんでしょうか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 明確に、賛成と反対は一対一ということを先ほど申し上げましたけれども、じゃ、もう一つの中立的な記述の部分がどのぐらいの割合になるかということでございますが、私どもの制度設計としては、やはり中立的な記述につきましては、賛成意見の分量、反対意見の分量と同等に取り扱うべきであるという考えでございます。したがって、一対一対一というのが理想的なことであります。ただ、今後の広報協議会における議論によって、中立的部分がそれが多少増えたりあるいは減ったりということはあり得るかと思っております。
○近藤正道君 広報と賛否の両方の意見、一対一対一、これが理想じゃなくて、一対一対一が原則だというふうには明確に言い切らないんですか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 その細部については広報協議会における議論にゆだねざるを得ませんが、立法者として、あるいは制度設計としては一対一対一が基本であると、こういう考え方でいきたいと思います。
○近藤正道君 そういうことになりますと、まず改正案の説明があります。そして、それに対して賛成、反対の意見があります。それぞれ一対一対一だということでありますが、外から見ますと、改正案の説明と賛成案というのは大体これは同じ中身になるんじゃないですか。そうしますと、公報の三分の二は実質的に改憲の宣伝になり、三分の一がそれに対する反対の意見、こういうことになりませんか。かなりのお金を使って、結果として三分の二は改憲賛成の側、三分の一が改憲反対の側、これは改憲、憲法改正に賛成の人たちに結果としてやっぱり有利になる。こういう不公正な、不公平な仕組み、しかもこれ税金使うわけですから、そういうことになりはしませんか、素朴な質問なんですが。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 その中立的な記述の部分でございますが、この具体的な内容については、例えばこれは一つの、もう既に決まっていることでありますが、一般の法律案の場合でいえば、いわゆる白表紙と言われる法案資料及び法案に関する委員会の報告書のようなものを想定しております。 具体的には、憲法改正案とその要旨、要綱ですね、それから現行憲法の条文を含めた新旧対照表や参照条文、それから提案理由の説明、そして審議の過程で修正が加えられた場合にはその修正内容と修正案の趣旨説明、そして国会における審議の経過などであります。このことについては、それが賛成意見に有利かどうかということは私はあり得ない、ごく中立的なものであると考えております。 それから、先ほど一対一対一という分量に基本的にはなると、こういうことでございますが、併せまして、その改正原案の分量にもよる部分が多いんじゃないかと考えております。ですから、その一対一対一は基本でありますけれども、この公正中立的な記述の部分については多少の伸び縮みがあるということは御理解いただけると思います。
○近藤正道君 国民投票法案が公正中立な手続法であるためには幾つかのやっぱり条件が必要だというふうに思っています。 その大きな柱の条件の一つが、正しい情報が公平に主権者である国民に伝えられるということだと思いますよね。そういう観点から、今、例えばテレビの有料広告、この議論が巻き起こりまして、まあ投票日前二週間はじゃ禁止しようかと、こういう話になっている。私たちは二週間だけではやっぱり問題の解決にはならないと。資力で、資力の差によって情報格差があってはならないし、金の力によって憲法が買われてはならないんで、全面的に発議から投票日まで禁止すべきだということなんですけれども、しかし皆さんの案は、投票日前十四日、それ以外は基本的に野放し。放送法三条の留意点がそれはあるかもしれませんけれども、私はあれがそんなに力になるとは思っていない。だから、基本的に野放し。これだけでも大変不公平なシステムだというふうに思っております。 ですから、税金を使って情報はできるだけ正しく公平に国民に伝達する、ここのところをよほどしっかりと制度設計をしていただかないと、これは非常に国民投票法案が不公平、端的に言えば、憲法改正を目指す人たちにとってやっぱり有利なものになりはしないかという危惧の念を非常に持っている。 そういう意味で、今の広報協議会の広報の在り方についてももっと工夫を凝らして、文字どおり発議後は、賛否、賛成、反対両方の意見が実質的に広報パンフレットであれ新聞であれテレビであれ平等になるようなシステムに是非していただきたいと、そういうふうに思っている。 そういう意味からいきますと、今の広報協議会が急遽仕切っているこのやり方は私はまだまだ問題があるなと。こういう議論ほとんどこの委員会でも私はまだされていないと。一度見本みたいなものもちょっと見せてもらいながら、こういう実質的な平等が本当に図られているのかどうか、もっと議論尽くす必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 御質問の趣旨はよく分かっているつもりでございますが、今申し上げたような理由によりまして、やはり国会に置かれる国会議員を構成員とした組織でありますので、そのルールというものはおのずから決まってくるものと思っております。 それから、国会議員が関与するから平等でなくなるという話は、ちょっとこれは違うのかなと思っております。民主主義それから議会制という中で、やはり政党が責任を持ってお互いに議論をし、そして公正中立を求めるということは、これは当然できる話であります。国会議員が関与するから中立でなくなるということ、あるいは賛否平等が崩れるということはこれはちょっと違うのではないかと、こう思っておりますので。 ただ、公正公平を求めて議論をする広報協議会においては、それがやはり一番命である、大事なことであるという御趣旨は十分に体していきたいと思っています。
○近藤正道君 幾らその条文の中で公平中立にやりますと言ったって、私たちに見えてくる公報の中身から見るとなかなかそういうふうには見えない、そういうふうに思うのでいろいろ聞いているんですよ。 その公報の中身である改憲案、要旨、その他の参考となるべき事項、ありますよね。この改憲案はもちろん分かりますけれども、要旨とかその他の参考となるべき事項って、これは何ですか、具体的に。教えてください。
○衆議院議員(船田元君) お答えいたします。 その他参考となるべき事項として私どもが考えておりますのは、現行憲法の条文を含めた新旧対照表や参照条文、それから提案理由の説明、あるいは審議の過程でもし修正が加えられた場合にはその修正内容と修正案の趣旨説明、あるいは国会における審議の経過ということが考えられるところでございます。
○近藤正道君 ですから、その公報の中身、改憲案、要旨、その他の参考となるべき事項、これは実質的に憲法改正賛成意見と一体となるものじゃないんですか、これは。その割合の方が反対意見の倍あるわけですよ。これは不平等、不公平というふうになるんじゃないですか。 ならばこそ、なおのこと、広報協議会のメンバーはせめて賛否平等にして、もう絶対言わばおかしなことにならないようにきちっとやりながら、同時に、その公報とか放送だとか新聞広告については賛否が本当に実質的な意味で平等になる、量的にも質的にも平等になる、そういうふうな仕組みにしていかないと、これ不公平ですよ、これは、どう考えたって。私そう思いますよ。どうですか。
○衆議院議員(保岡興治君) 我々が国民投票法制を考える上で一番大事だと思えることは、もうもちろん質疑の中で出てきていますが、国民に正しい判断を求めるということなんですね。これはもう最高の国民の大事な権利でございますから、直接国の基本法に判断の権利を行使できるわけですから、そういった意味で、我々として大事にすべきは、海外調査でも各国で学んだ一番基本は、まず国会が発議する内容を一番分かっている立場ですから、分かっている立場、発議した当事者ですから、発議した者が発議の内容を明確に正確に分かりやすくきちっと国民に示すということが大前提なんですよ。 それに対して国会の中で賛否両論あった。確かに反対は議員の数が非常に五%ぐらいで、八割、九割が賛成が多かったからといってそうせずに、賛成、反対は国会の議論の中で分量はいろいろあったかもしれないけれども平等に扱いましょうということで、同じような量で賛否の意見を国民投票公報などに載せる、あるいは無料広告の枠でも保障する、そういうことを基本にやったんで、これほど公正なことはないんじゃないでしょうか。
○近藤正道君 時間を超過いたしました。 これは、参考人質疑でも公聴会でも、今私が指摘していることは何人かの人から出ております。 私は国民の立場から見れば、是非見ていただきたい。そこから見れば、私は決してこれ、公平なものだというふうには私は言えないんではないか。かなりやっぱり不公平ですよ、不公正ですよ。それは憲法改正派にとって非常に有利な仕組みになっていますよ。 そのことを申し上げて、今日は時間でありますのでこれでやめさせていただきます。ありがとうございました。
○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。 私、先ほど来から御意見いろいろ出ておりますけれども、今の実質的な賛成と反対の意見をどういうふうに扱うかという問題は、恐らく手続法の中でも最も重要な部分かなという気がいたします。委員の各位からも今わあっといろいろ意見が出てましたけれども、是非大いにこれからも議論を受けていただきたいというふうに思います。 私は、結局、この憲法の改正、それに対するこの手続法の制定ということも、要するに、こういったプロセスを通じて政治というものに対する国民の信頼を拡大することにならなきゃいけないというふうに思うものですから、疑問があったりいろいろ意見のあるところは御面倒でも大いに受けていただきたいなというふうに、これ御要望さしていただきます。 そういう中で、気になることが幾つかありました。私、具体的な中身の話よりも、ちょっと枠組みの話でまず御質問をさしていただきたいと思うんですが、今日、昼間、憲法制定六十周年の式典がございました。私も出席をさせていただきまして、三権の長から非常に簡潔な式辞がございました。非常にすばらしかったなと思うんですけれども、残念なのは、出席をしておられる国会議員の方の数が非常に少なかったということでございます。今大変忙しくて、皆さんいろんなことを、あっちもこっちも掛け持ちをしながら仕事しておられますから無理もないと思いますし、選挙も控えておりますからそれも分かるんですけれども、国民の代表たる国会議員の出席がこの程度かなと。これがもしかして国会議員の憲法というものに対する関心の低さを示すものであるとすれば、これはえらいことだなという感想を持った次第でございます。 それから、もう一つは、この調査特別委員会のことなんですけれども、昨日、地方公聴会が持たれまして、私も仙台の公聴会に出させていただきまして、非常に勉強になりました。先ほど小林委員が名古屋の公聴会も大変参考になったというふうにおっしゃいましたけれども、今日、代表して簡潔に両、仙台とそれから名古屋の公聴会の内容についての御説明はありましたが、議事録がまだ我々の手に入っていないわけです。公述人の方は、私、仙台の例を申し上げますと、自分の言いたいことを紙に書いてお配りになったりいろんなことをしておりまして、今日は非常に簡潔で要領のいい御説明はありましたけれども、やはりそれをはるかに超える中身の公述がなされているわけでございまして、恐らく名古屋でもそうだったんだろうな。そうすると、お急ぎになるのは分からないではないんですけれども、だらだらやるのがいいと私は思いませんが、しかし、きちっと環境を整えてやはりこれから進めていかなければならないと思うんです。 このことは発議者の皆さんに申し上げても仕方のないことでございまして、これ、委員長を始め与野党の特に理事の方々にお願いを申し上げたいわけでありますけれども、せっかくこうやって国民の皆さんが注目をしていただく議論をやっているわけですから、日本の中の憲法という、法律の中の最高法規を議論するわけでございますので、せっかく公聴会を開いたり、地方でも公述人の方々の御意見を伺うということであれば、やはり述べられたことの全部が委員のみんなに事前に配られて、そういったことを踏まえて更に議論がいろいろ行われるということでなければ、時間は掛けてはいるんだけれども、何か随分急いでいるなと、急ぐことに意図があるのかと。 例えば、そんなことはないと思いますけれども、五月の三日に間に合わせなきゃいけないとかいうような話がありますと、やっぱり政治というのはそんなものかというふうに思われたんでは私はもう損だというふうに思うわけでございまして、確かに会期の残りがあと二か月という中で急ぐのは分かるんですけれども、きちんとやはり条件を整えて審議をやっていくということがとても大事じゃないかというふうに思います。(発言する者あり)ありがとうございます。 ついでにもう一つ言わせていただきますと、同じことなんですが、公聴会の公述人のある方がこういうことをおっしゃっているんです。公聴会が実施をされるというのが二十日の金曜日に決まったようだけれども、自分のところに翌日二十一日の夜その話があった、自分がたまたま空いていたので今日ここに出ているけれどもというようなお話で、やはりせっかく話をさせてもらうんだったら、もっと準備の期間を与えてもらってきちんとした意見を述べたかったというようなことを言っておられまして、私は非常にもっともだなというふうに思っているわけでございまして、先ほど委員長から地方での公聴会またやっていただけそうなお話がございましたけれども、これにつきましては十分に準備をきちんとしていただきまして、更に議論を深めていただくように冒頭お願いを申し上げておきたいと思います。 そこで、こういう枠組みの話ばっかりで恐縮なんですけれども、先ほど来議論を伺っておりまして、いろいろ質問があるわけでございますが、質疑でございますから質問に対して答弁をなさるという形にはなってしまうわけですけれども、こういった議論で、議論が深まってきて修正案ということになる可能性はあるんでしょうか、お尋ね申し上げます。
○衆議院議員(保岡興治君) 我々は、この法案については、我々作りました最善のものとして提案をさせていただいております。これは、修正するかどうかなどということは参議院の皆様がお決めになることであって、我々提案者としては修正する前提でここに立っているものではありません。
○長谷川憲正君 大変ごもっともな答弁だと思います。 実は教育基本法のときの議論でも同じようなことがございまして、文部科学大臣は、自分の方は提案をしているのでこれがベストだと思っている、したがって修正というようなことは毫も考えないということをおっしゃっていまして、必要なら与野党でよく話をしてくださいという話でございまして、形の上からはそのとおりだと思うんです。しかし、私たちここで何のために議論をしているかといえば、やはりいいものを作りたい。冒頭の御質問のときにも私強調させていただきましたけれども、憲法とか教育とか、国家の基本にかかわる問題についてはなるべく大きな国民的合意をつくるべきであると。 そういう立場から考えますと、それは与党の案がベストだと、特にもう一度修正をして提案をしておられるということを踏まえればベストだという自信の下に出しておられるのも分かりますが、しかし、新聞でもいろいろまだ批判もあります、国民の各層からの批判もあります、委員からも一杯意見があります。そういうものがみんな、ただ質問でそれに対して答えをいただいて泡のごとくに消えていくということであれば、何のための審議だと、結局ガス抜きだけじゃないかという気が私は、ひがみかもしれませんが、正直申し上げてするんですね。 これ、何とか意見の中で、その意見が違いが乗り越えられないものは仕方がないんですけれども、しかし、ああこれはもっともだと、特に憲法というものは日本国民の中でも特に弱い立場にある国民を守らなきゃいけないというのが一つの理念だというふうに思いますので、そういう意味では少数者の意見というものも尊重された形で何とか、妥協案というか、妥協というよりも、より良いものにならないものかなというものを感じるわけでございますが、これは発議者としての御答弁をいただこうと思いませんので、大政治家としての皆さん方の御見識を、政治家としての御見識を賜りたいと思いまして質問させていただきました。
○衆議院議員(保岡興治君) それは先生が言われるように、より良きものが参議院の皆様方の御議論の中から成果として共有するものが生まれれば、それは私としても、一般的に言えば、提案者の立場を超えて、より良いものを求める国会の姿としてそれはあり得ると思いますが、それはあくまでも参議院の先生方がお決めになることだと思います。
○長谷川憲正君 ごもっともなんです。全く私もそうだとは思うんですけれども、これ、質疑という形で発議者からお話をいただいて、その提案に対して私たちが質疑をするという形の中ではなかなか乗り越えられない部分なものですから、私いつも何かフラストレーションを感じながら質問をさせていただいているわけでございまして、そこのところの御理解を是非いただきたいものだなというふうに思っております。 ですから、そういう意味では、本当にこういう質疑もいいんですけど、たまにはもう質疑をやめて、どういう案がお互いに作れるのかというような、別に談合とは申しませんが、そういう私はひざ突き合わせての会というものもあってもいいのかなということを個人的には思う次第でございます。 そこで、私、長々と質問するつもりは今日はないんですけれども、一つお尋ねを申し上げたいと思います。最低投票率の問題です。 これは何度も指摘をされておりますように、国民の方々のかなりの方々が、少なくとも世論調査の結果では最低投票率があった方がいいんじゃないかということを言っているわけでございます。また、外国の例を見ましても、イギリスなどは最低四〇%の得票がなきゃいけないというような定めがあるとかというふうにもお伺いをするわけでありますし、それから、先ほど申し上げました地方公聴会、四人、四人、八人の方々が公述をしておられますけれども、私が直接聴きました仙台でも二名の方は最低投票率というものを設けるべきではないかということを言っておられますし、今日の御報告を伺いますと、名古屋でも二名の方が、三名でございますか、最低投票率を設けるべきではないかということを言っておられる。これはやっぱり無視できないと私は思うんです。 ほかにも一杯考えるべき点はあるんだろうと思いますけれども、先ほど申し上げたように、できるだけ大きな国民的合意をつくるという観点から、まずこの最低投票率ぐらい何か考え直してみる余地があるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○衆議院議員(赤松正雄君) 長谷川委員からの先ほど来のお話、非常に示唆に富んだお話だと思います。衆議院では、憲法調査会の場では議員相互の議論というのが実はありまして、お互いに意見を闘わすというものがあって、私自身非常にいい機会だったなと、そんなふうに思っております。 今の最低投票率を設けるということについて、その部分は何とかならないのかというお話でございますが、今地方公聴会でのお話ありましたが、実は先生先ほど御指摘のように、その部分は私ども正確などういう議論があったかというのは承知していないんですが、その前日のこの場であったいわゆる参考人質疑の議事録を詳細に読ませていただきまして、社民党の近藤先生がその部分を質問されるというふうにお聞きしていましたので、なおのこと改めて見たりしたわけですけれども、その中で、憲法上の疑義があるということについて近藤先生がかなり執拗に四人の方にお話を迫っておられたというのは非常に、何というか、興味深く拝見したわけですけれども、憲法上の疑義云々については、かなり近藤先生の御質問は非常に鮮やかだったのかどうか、最終的にそのことを認める、要するに憲法上の疑義はあるということを認めない人が多かったということでございますけれども、しかし、その話の中身は結構、非常に傾聴に値する部分がありました。 今日、私、多くを申し上げるつもりはありませんが、一点新しい視点というか、先生もその場にいらっしゃったと思いますが、民意のパラドックスということについて福井さんが、要するに、仮に最低投票率を四〇%に設定した場合、投票率三五%の投票率で八〇%の賛成があったときには賛成多数というのは不成立になってしまう。この場合は有権者全体に占める賛成の割合は二八%になる。一方、投票率が四〇%ちょうどで最低投票率を満たしても、賛成率が六〇%の場合は有権者全体に占める割合は二四%になる。すると、最低投票率を満たした方が民意を反映しないというパラドックス、逆説が発生する、こういうふうな指摘もありました。 先ほど、冒頭におっしゃったように、いろいろ新聞の世論調査等にもあり、衆議院段階では余り議論がなかった部分が参議院において非常に議論が伯仲していると、大事な指摘だと思いますけれども、私自身、この最低投票率というものは設けることによる弊害の方が多い、自然に任せていって、要するに棄権を防止してしっかり投票しましょうということをしっかりやるという、言ってみれば選挙の王道といいますか、そういう方向にゆだねた方がいい、そんなふうに考えている次第でございます。
○長谷川憲正君 最低投票率というものでなければいけないということではないんです。私が申し上げているのは、やはり国民の多くの方々が憲法改正なら改正というものを支持したということが私は必要だと。要するに、国論が二分してしまうような形にしないためにも、できるだけ多くの方々の賛成をいただくような工夫を事前にしておくべきではないかと。 そういう意味からいいますと、賛成の最低得票率でもいいんです。ですから、投票率が全体でどのぐらいになるかということは別にして、例えば有権者総数の三分の一の方々が賛成されたとか、あるいはもっと低くてもいいのかもしれません。何かそういう歯止めがあってもいいんじゃないかと。 これは憲法上の問題というふうにも言われましたけれども、私は一応法学を学んだ者でございますけれども、決して憲法がそれを禁止しているというふうには読めないと、素人ではありますけれどもそう思うわけでございまして、ここはやっぱり検討の余地があるんじゃないかと。しかも、日本正に民主主義国でございまして、日本がこの憲法を改正するための手続を議論している、そのことは世界じゅうの国が見ているわけでございます。そういう中で、他の民主主義先進国との言わば制度の整合性といいますか、横並びのようなものもやはりある程度意識していかなきゃいけない。 そういう中で、私も詳しいことは知りませんけれども、イギリスが四〇%の得票というものを定めとして置いているというのは少なくもこれは参考になるのではないかというふうに思いましてお尋ねをさせていただいたわけでございますが、もう一度お願い申し上げます。
○衆議院議員(赤松正雄君) 今おっしゃられた意味よく分かります。最低投票率ではなくても何らかの工夫がなされるべきではないのか、この点については大いに議論を深めていく必要はある、そんなふうに思います。
○長谷川憲正君 大変前向きな御答弁をいただきまして恐縮でございます。 もう一つ、有料広告のことでお伺いをしたいと思います。 先ほど近藤委員の方から広報協議会の在り方についていろいろお話がありましたが、そのこととともに、私は前回も申し上げましたけれども、有料広告というものは極めて有害だというふうに思っている者の一人でございます。 これは、日経新聞が憲法のこの国民投票についての、国民によく分かりやすいようにということで書いた記事の中に、フランスではテレビとラジオの商業宣伝利用を禁止していると、こういう記述がありまして、ああそうか、やはり同じようなことをフランスのようなやっぱり民主主義の先進国きっちりと考えているんだなということで意を強くしたわけでありますけれども。 私は本当に、長々と申し上げませんけれども、この間の郵政解散のときに大変つらい思いをしたわけです。私は自民党を離党させていただきまして、たった五人で綿貫先生を党首にして党をつくるというので参加さしていただきました。もう大先生ばっかりなものですから事務方の仕事をする人間が余りおりませんものですから、私がいろいろ勉強したり飛び歩いたりしてやらせていただきまして、新党をつくるノウハウは大分持っておりますので、場合によったら御相談にも乗りたいと思いますが。 私はその中で、本当に自分たちの考えていることを国民の皆さんに理解してもらうための手段って非常に難しいなというふうに思ったんです。結局、やはりマスメディア、新聞、テレビなんですよ。それが、先ほどのお話のように、賛成の意見と反対の意見がバランス良くきちっと、要点がきちっと出て示されれば私は何の問題もない、憲法についてもそういった形で行われるべきだというふうに思いますけれども、有料広告ということになりますといろんなことがあり得る。 前回の郵政解散の例で言えば、これは党でございますが、自民党の当時の武部幹事長は紙芝居まで作ったわけですよ。私はあれもう本当に腹が立って仕方がないんですが、あそこで言っていることは全部うそだと言ってもいいくらい、今現実に展開されている郵便局の姿と全く違うものを言っているわけで。だから、そういうことがまさか憲法で行われるとはもちろん私思いませんが、そうならないようにやっぱりここのところも歯止めがあってしかるべきだと。 これは、今現在は十四日前までということで一応の歯止めをつくっておられますけれども、しかし不在者投票、今は名前変わりましたけれども、事前投票ですね、これは十四日前からできるわけですよね。だから、そういうことを考えますと、やっぱりこれも不十分なのではないかな、考え直す余地ありと、少なくもですね、というふうに思う次第でございます。これについての御意見がございましたら、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○衆議院議員(葉梨康弘君) 郵政の議論の際は、よく長谷川先生の前に私も座りまして、長谷川先生の御見識は大変尊敬を申し上げております。 あと一点、私もやはり、衆議院でもそういうような議論ございましたけれども、いろいろとかんかん角突き合わせるんではなくて、本当に腹を割っていろいろとお話をしていきたいなというのは赤松委員と同じでございます。 ただ、四〇%ルールの話が一点イギリスの例ございましたけれども、結局二〇〇〇年に国民投票の恒久法を作るときに、四〇%ルールを設けるというのはちょっと間尺に合わないというか、不適当であろうということで、この四〇%ルールというのは撤廃をされているということを御指摘をさしていただきたいと思います。 それから、フランスの例が今ございました。確かに二〇〇〇年の憲法改正においてはデクレという形で有料広告を禁止したんですけれども、二〇〇五年にEU憲法の国民投票がございましたとき、デクレというのは、毎回毎回フランスは国民投票の制度というのを出します。ただ、先般も質疑でお答えしましたとおり、おおむねは変わらないので、基本的には変わらない。ただ、多少時代に合わせて変えるところがあるんです。二〇〇五年の国民投票のときは二十日間という規定を設けて、投票日前二十日間は駄目だけどその前は有料広告いいですよという形でデクレ、その部分を改正したんです。 結果としてどうなったかといいましたら、お金のある方が負けました。といいますのは、EU憲法の場合にはほとんどの与野党、もう社会党も含めてですけれども、賛成してEUに入っていこうという形でお金があったんですけれども、結局ルペンの、トルコ人が来ると、このポスターとかそこら辺で、もうそれでお金のある方が負けたという例があります。ですから、その二十日間、ある程度一定の期間の制限を設けるということは結構これは有効なんじゃないかなということで我々考えさしていただいたんです。 さきに近藤先生から辻元議員の例を引いてというようなお話ありまして、実は二〇〇四年の参議院選挙のときの各政党が掛けたCMのお金というのを辻元先生が昨年の六月に提出されたものですから、それで引かしていただいたんですが、それによりますと、自民党は十億円、はしょりますけれども、公明党は約五億円、民主党は八億円、共産党は二億円、社民党が二千万円掛けているんですけれども、自民党が取った票は千六百万票、民主党が取った票は二千百万票。一票当たり幾らになるかということを計算いたしますと、自民党が六十一・六五円、公明党が五十七・二五円、民主党が三十九・六〇円、共産党が五十七・九八円、社民党は五・九八円ということになっております。 ですから、ここら辺を見ると、必ずしもこの有料広告とその結果とにそれほど完全な有意な相関関係があるかということは、今までの国内それから国外での状況を見てみますとなかなか見えなかったものですから、ですから、諸外国での例も引きながら、十四日という形で制度設計をさせていただいているということを御説明をさせていただきたいと思います。
○長谷川憲正君 非常に参考になる分かりやすい御説明で、それはもちろん大変評価をいたします。 イギリスの四〇%ルールでいえば、日本の場合、総議員の三分の二によって発議をするという非常に硬い形になっておりますから、それは四〇%のようなものは、やはりそれは厳し過ぎるだろうというのは常識的に分かるわけでございます。 しかしながら、やっぱり国民の皆さんがある程度の参加をして賛成をしたという最低限のところを設けるという考え方は、依然としてやっぱり私は考えてみる価値があるというふうに思います。 それから、有料広告のことについて言いますと、それは、与党の側で、しかも日ごろからマスコミの皆さんが大変に応援をしていただけるような、そういう状況の国では私はなるほどなというふうにも思いますけれども、しかしやっぱり、有料広告というのはいろんなことがあり得るわけでありまして、そのルールのないまま二週間前までずっと行われる、もう私はそれで流れは決まっちゃうんじゃないだろうかということを非常に日本の場合にはおそれているわけでございまして、恐らくこの点については他の委員の方からいろいろと御見識もあろうと思いますから、私はこれ以上の今日は追及はいたしませんけれども、是非またこの点の議論を深めていただきたい。時間はまだたっぷりあるはずだと、このように思う次第でございます。 私の質疑は以上で終わらせていただきます。
○委員長(関谷勝嗣君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時三十七分散会 ─────・───── 〔参照〕 名古屋地方公聴会速記録 期日 平成十九年四月二十四日(火曜日) 場所 名古屋市 KKRホテル名古屋 派遣委員 団長 委員長 関谷 勝嗣君 理 事 中川 雅治君 理 事 前川 清成君 理 事 荒木 清寛君 田中 直紀君 野村 哲郎君 小林 正夫君 芝 博一君 近藤 正道君 公述人 愛知県国民健康 保険団体連合会 専務理事 鈴沖 勝美君 三重県いなべ市 長 日沖 靖君 弁護士 笠松 健一君 名城大学法学部 教授 網中 政機君 ───────────── 〔午後一時開会〕
○団長(関谷勝嗣君) ただいまから参議院日本国憲法に関する調査特別委員会名古屋地方公聴会を開会をいたします。 私は、本日の会議を主宰いたします日本国憲法に関する調査特別委員長の関谷勝嗣でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介をさせていただきます。 まず、私の右隣から、自由民主党の中川雅治理事でございます。 お隣が公明党の荒木清寛理事でございます。 そのお隣が自由民主党の田中直紀委員でございます。 次に、私の左隣から、民主党・新緑風会の前川清成理事でございます。 同じく民主党・新緑風会の小林正夫委員でございます。 そのお隣が、同じく民主党・新緑風会の芝博一委員でございます。 そのお隣が社会民主党・護憲連合の近藤正道委員でございます。 なお、自由民主党の野村哲郎委員でございますが、公務のため到着が遅れておりますので、到着後、改めて紹介をさせていただきます。 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。 愛知県国民健康保険団体連合会専務理事鈴沖勝美公述人でございます。どうぞよろしくお願いします。 次に、三重県いなべ市長日沖靖公述人でございます。よろしくお願いします。 次に、弁護士の笠松健一公述人でございます。お願いします。 最後に、名城大学法学部教授網中政機公述人でございます。お願いいたします。 以上の四名の方々でございます。 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様方には、御多忙中のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。 当委員会におきましては、目下、日本国憲法の改正手続に関する法律案の審査を行っておりますが、本日は、本案について皆様方から広く御意見を賜るため、当地において地方公聴会を開会することとなった次第でございます。 皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いをいたします。 次に、本日の議事の進め方について申し上げます。 まず、鈴沖公述人、日沖公述人、笠松公述人、網中公述人の順序で、お一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず鈴沖公述人にお願いをいたします。
○公述人(鈴沖勝美君) ありがとうございます。 委員の皆さんには名古屋までお出掛けいただきまして、私のような一市民の意見を聞いていただけると、大変光栄に存じております。ありがとうございます。 私は、この日本国憲法の改正手続に関する法律案について、賛成の立場から御意見を申し上げたいと思います。 ここにメモをお届けさせていただきましたけれども、本当にほかの公述人の皆さんのように専門家ではございませんので、素朴な一人の人間として、国民としてお聞き取りいただきたいと思います。 第一は、憲法も社会の変化に合わせて改正されるべきであるということです。 法律は道具でありますし、最近、本屋さんで見掛けますように、六法全書も随分大きくなっております。これは世の中を反映したものだと思いますけれども、この六十年間、私も昭和十九年に生まれましたので憲法とほぼ同じ期間生きているわけですけれども、随分社会が変わってきたと思います。私どもの暮らしも変わってきております。大きく言いますと、産業が発達して工業化し、都市化し、電化製品や自動車の大変便利な道具が家庭に普及してまいりました。あるいは、個人でいいますと、女性も含めて大変な高学歴化が進んでおりますし、女性も社会に出て働くようになった、あるいは家庭も核家族化をしてきたと、こういった大きな変化があります。 もっと大きいのは、いわゆる少子高齢化、長寿化と言われますけれども、人々の平均寿命が長くなりまして、私どもが生まれたときには平均寿命が五十歳ぐらいだったと思いますけれども、今では八十歳という大変な長寿の時代になりました。 その具体的な話としましては、科学技術の発達、なかんずく医学、医術の発達ですけれども、私ども、今仕事で国民健康保険の仕事をやっておりますが、本当に大きく変わってきております。健康保険の制度ができたり、国民皆保険の制度ができたころ、戦後特に発達したわけですけれども、感染症、赤痢やチフスで子供たちが簡単に亡くなりました。あるいは、お産のお母さんが亡くなったりもしておりました。結核で青年が亡くなるとか栄養失調、そういった栄養不足で病気が起きておりましたけれども、最近はこういった病気はほぼ克服されまして、むしろ栄養が多過ぎて病気になるという生活習慣病が大きな問題になってきております。医療制度改革の中で、私ども、この対応するための準備に日夜、市町村の皆さんと、中心に準備を進めているわけですけれども、こういった大きな変化がございます。 あるいは、交通が発達し、生活圏が拡大してきております。病院なんかも以前には近いところでということで市町村ごとにつくられたりもしておりましたけれども、どこからでも通っていけるようになったとか、そういった問題があるかと思います。 それから、国際化、グローバル化ということで、経済も、あるいは働く人も、この地域からも外国で働く人たちが増えたり、外国から来て働く人たちが増えておりますけれども、こういった大きな社会の変化があるかと思います。 それから、情報通信も発達しまして、私ども自身の仕事の仕方も変わってきておりますけれども、個人として情報を得る、夜間でも世界じゅうから今現在の情報が得られる、意見も交換できる、そういった時代になってきておるかと思います。 あるいは、環境問題が随分大きく取り上げられておりますけれども、公害、煙による公害とかそういった問題から随分いろいろありまして、現在では地球環境、気候変動の問題が国連でも、安保理事会でも取り上げられると、こういう時代になってきております。 私ども、私自身も昭和十九年に生まれまして、この中で生きてきたわけですけれども、大阪万博のときに県庁に入りまして愛知万博で卒業するという、こういう中で仕事の仕方も随分変わってきております。課題も変わってまいりました。その間には、三年間ロンドンで、イギリスを中心としたヨーロッパの地方自治、あるいは国の政治が動いているのを生活しながら経験したわけですけれども、そんなことから社会制度としての法律、あるいはその一番基本になる憲法も国民自身によって時代に合わせて改正されるべきであると、こういうふうに考えております。 現在取り上げられておりますのは、九条の問題もありますけれども、道州制の問題ですとか環境権の問題等も掲げられております。こういった問題について国会で議論されているわけですけれども、最終的には国民全体の問題として国民の納得の上に制定される、国民のコンセンサスの上に改正されるということが定められているわけでして、この数十年の間にイデオロギー対立とかいろいろありましたけれども、日本の社会も本当に成熟してきたんではないかと、年齢が成熟しただけではなくて市民の意識も随分成熟してきたのではないかと思います。民主主義も定着してきていると思います。こういう時代の変化の中で、国民が主体的に考えるということを前提にして議論がされるべきではないかということでございます。 憲法改正については、憲法、一番大事な法律ですので、大変厳格な改正手続が定められておりますけれども、世の中によって変わることは予定されていることでして、変えないことが良いとか、そういうことではないだろうと思います。純粋に手続の話としてあり得ると。 それから、実態的な意味でいいますと、世の中の変化によって変わることはあるだろうと。例えば、アメリカでもイギリスでも、あるいは幾つかの国で調査が行われていると思いますけれども、平和的に随時改正が行われていると。こういう中で、日本はたまたままだ一度もありませんけれども、それはあり得ることとして理解していいんではないかと思います。 それから、これは私どもの仕事でもそうですけれども、与えられたルールによって、言われたことを言われたようにやっているだけでは本当の仕事にはならないと思います。自分たちで、現場あるいは現実、自分自身で見たり考えたりして新しいやり方をつくっていくと。それがいわゆる仕事の主体といいますか、主役になって仕事をしていこうということを職員といつもやっているわけですけれども、そんな意味でも、これが大きく言えば国の話だろうと思います。 普通の法律は国会で定められるわけですけれども、憲法の場合はその上に国民投票があるということで、この手続を定めていただくのは適当ではないか、必要なことではないかと思います。 それから、二番として掲げましたのは、手続に関する法律はあらかじめ定めておくべきだと。これは当然のことかと思いますけれども、憲法自身が求めていることでもあると思います。憲法改正のような大きな問題は国民的なコンセンサスがなければできません。党派を超えたコンセンサスができたときに初めて成り立つことだろうと思います。そういうことで、国民を代表する議会において十分審議されまして、その特別多数で発議された結果について、国民がこれを認めるかどうか確認するのが国民投票の制度であろうと思います。 私もこの何十年、いろいろなことをやってきたわけですけれども、人間というのは基本的に大変慎重で保守的なんではないかなと思っております。最近でいいますと、私どもの職場のユニホームですけれども、十数年も同じユニホームであることもないんで、どうだろう、変えたらと言ったんですけれども、いや、いいです、変えなくてもいいです、じゃやめるかい、いや、やめなくてもいいですと。もう大変、そういうことかなと思っております。 ですから、変えるということを国会の方から提案をされまして、それについて国民は投票するとき、かなりやはり慎重に考えるんではないかと。そういう意味で、国民が理解し納得する、その上で行われるのが憲法改正ですし、この手続についてできるだけよく情報を国民に与えていただきまして、あるいは議論する機会を許していただくと、こういうことで制度をつくっていただければと思います。 それから三つ目ですけれども、今回国民投票の投票権者を十八歳以上にしようということで、これについては大変意味が大きいと思います。若い世代が政治に参加する、自分たちの社会のルールを定める、在り方を定める。政治に関心を持って、あるいは自分が責任を持って参加するということ、これは必要なことですし、たまたま私はイギリスに行っておりまして、若い人たちが税金を納めて、それから政治に発言をして、意見を言う、政党活動にも参加している、そんな姿を見まして、税金の控除が少ないということもありまして若い人たちもかなり税金を負担しているわけですけれども、参加意識が大変高いなと思っております。十八歳以上にするというのは世界の大勢にも従う民主的な措置だと思いますので、これは大変意味が大きいんではないかと存じます。 それから四番目ですけれども、国民投票運動、国民投票についての運動を基本的に自由にすると、このことは当然ですけれども、大変意味の大きいことだと存じます。私自身は公務員でずっとそこで過ごしてまいりましたので、公務員であるからということだけで選挙等に関してもかなり、何といいますか、重苦しい感じの制約が掛かっているかと、そんな気もしておりますけれども、選挙の場合はいろんな差し支えもあるかと思いますけれども、憲法については正に国民の一人として議論に参加する、支障はないと存じますし、正に参加すべきであろうと、そんなふうに思います。公務員の運動について最小限の制約は掛かると思いますけれども、できるだけ自由にしようとする法案に、ここのところも大変意味のあることかなと思っております。 それから五番目に、最後ですけれども、国民投票の対象が憲法改正の発議があった場合だけに限られるということですけれども、これも当面はやむを得ないのではないかと。附則の方で憲法改正問題について、改正の対象となる事項ですとか、あるいはその途中の段階だと思いますけれども、国民投票制度を取り入れることについて検討を進めるという規定がございます。これについては今後の課題として是非検討を進めていただきたいと存じております。 たまたま先ほどイギリスのことを申しましたけれども、イギリスの場合は憲法典というものはありませんけれども、国会で何でも決まってしまうという、多数を取れば決まってしまうわけですけれども、それでも重要な事項につきましては国民投票あるいは住民投票にかけるということで、その制度をつくって行われております。スコットランドやウェールズに議会が設けられたりして地方分権が大きく進みましたけれども、そんな意味でも、今後国民投票制度が拡大する、検討が進められることについて期待を申し上げたいと思います。 以上でございます。ありがとうございました。
○団長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。 次に、日沖公述人にお願いいたします。
○公述人(日沖靖君) 日沖です。よろしくお願いします。 私は、第一点、国民投票の投票運動につきまして周知徹底をお願いしたいという観点で一点目申し上げます。 実を申しますと、私どもいなべ市は合併をさせていただきました。三重県で第一号の合併でございました。ですから、平成十五年十二月に四つの小さな町が合併をして誕生した町でございます。そのときには住民投票は実施をしませんでした。なぜか。議会制民主主義との関係で、やはり住民投票というのが法律的に位置付けが非常に弱かったというのが大きな観点でございました。しかし、その法律との兼ね合い以上に、やはり三重県で第一号でした。要は、前例がない合併です。 そういう中で、皆さんへの周知徹底を住民投票という形ではなくて、より細かな説明会、アンケート調査、こういったもので実施しようということでさせていただきました。ですから、アンケート調査は有権者の三分の一を対象にしておりますし、住民説明会も、我々の有権者三万六千人を対象として二百回以上させていただいております。 ですから、今ちょっと懸念をするのは、住民投票を選挙方式でということで、運動をということで考えておられると思いますけれども、一般的な選挙、書きましたけれども、選挙の場合、三重県の場合、全県区の選挙であれば、私ども有権者数約三万六千人のいなべ市に入ってこられるときに、個人演説会等で街頭演説をされるのは一回ないしは多くて四回がもう限度です。それ以上は多分不可能だと思います。それと、衆議院の小選挙区であっても四回から十二回ぐらいかなと。それ以上は物理的に不可能になってこようかと思います。 ですから、上の我々がやった合併という五十年に一度の大事業、これの住民説明会等の回数二百回以上と、衆議院選のときでも四回、十回程度の数を比較していただきましたら、住民への周知徹底をいかにするのかが大きな課題かと思っております。 我々、国会の方でいろいろ法案が変わりますそのたびに住民への説明をさせていただくわけですけれども、特に住民の利害と絡むもの、税法とか介護保険法、そういったものにつきましては住民の皆さんへの周知徹底が非常に難しゅうございます。ですから、自治会単位で寄っていただいて、そこにあえて我々が説明をさせていただくようなことが多々ございます。それでも徹底をいたしませんので、確定申告のときには、若干、再度御説明を申し上げないと御納得いただけない方、多々ございます。 ですから、そういう意味で、憲法という国の根幹にかかわること、これをいかに周知徹底をされるのか、こういったものが少し懸念材料として残っております。それと、憲法にも国会議員の皆さんの三分の二以上、それとやはり国民投票というものを義務付けておられるのが憲法でございますので、非常に重要な課題かなと思います。 そういった中で、住民を二分する混乱は避けていただきたいと思っております。それで、賛否両論、例えば今日この会場に来るまでももう相当にぎやかなことになっております。ですから、そういうにぎやかしさを各市町村ですべてにぎやかにやると大変な問題になりますので、要は国会の三分の二以上ということであれば、これは与党も野党も結束をいただいて、それでほとんど合意を得られるものについて改正をしましょうというのが、作られた方の趣旨かなと思ったりもいたします。 我々合併とは比較にならないと思いますけど、町村合併の場合もほぼ満場一致の状態にしようというのが各首長の合意でございました。ですから、十分な住民の皆さんへの周知徹底をし、そして議会で過半数を取ればいいわけですけれども、過半数ではなく、もうほぼ満場一致に近い形で、一部のイデオロギーは除きまして満場一致に近い状況で合併というのに踏み切らせていただきました。そのおかげで、今大きな混乱もなく推移をさせていただいております。ですから、一点、その周知徹底について十分な御配慮をお願いしたいと思います。 二点目は、投票権者の年齢でございます。 これにつきまして、現代の若者の世相といたしまして非常に素直です。逆に言いますと、裏返しますと、批判力に乏しく意地っ張りが少なくなっている。実を申しますと、私は京都大学のアメリカンフットボール部のコーチを長らくやらせてきてもらっておりますし、現在もコーチに近いことをさせていただいております。そういう中で、若者のいろいろな世相、そういったものを考えてみますと、非常に素直なんですが、やはり自分で、自分の力で物事を解決していくということに非常に弱くなっているのかなと思ったりもいたします。ですから、社会が成熟して、受験というもの、そういったものが産業化して、そのレールに乗っていれば進学校から難関校でも入ってこれる、そういったものが影響しているのかなと。 一昔前ですと、学生運動が非常に盛んでした。非常に理屈で頭でっかちな分、やはり自己主張というものが非常に強かった。しかし、最近の若者は自己主張しません。ですから、非常に素直です。一見素直ですが、本当に困難なときにそれに立ち向かっていくものがあるのかないのか。これについては京大の結果を見ていただいたら分かると思いますけれども、そういう意味で、やっぱり自ら考え、苦悩する経験、そういった社会性に乏しい世代、こういう皆さんにある程度決断権をゆだねるということは全体主義に陥りやすいのではないかなと少し懸念をさせていただいております。 ですから、もう一度教育の中で困難に立ち向かう、そういったものを培うようなことをやはり教育の柱にし、そして若者がそういう理念、皆さんと一緒だったらいいんじゃないかと、要は、いじめでも、被害者以外はすべて加害者にならないと自分が被害者にされるからという昨今の世相でございますので、ですから、そうじゃなくて、皆さんが反対してもおれはこうなんだと言い切れるだけの自分というもの、そういったものをやはり持てるような教育理念といいますか、そういったものを受け付けて、そのしかるべき後にやはり若年齢化に落とすべきだと思っております。 それと、市町村の立場からいいますと、成人式どうするのかなというのが大きな問題です。十八歳にした場合に、成人式はそれじゃ十八歳なのという、高校の卒業式と重なるのかな、そういったちょっと行事的なことも含め、そしてすべての法律との整合性、そういったもので少し懸念をいたしますので、国民投票権の若年齢化は時期尚早であろうかなと、私は個人的には思います。 最後になりますけれども、やはり国民投票、そして憲法改正の中で、憲法九条ということが大きな懸念材料としてやはり国民のいろんな各階層から御指摘もあります。ですから、戦争や歴史認識に関しまして、まだ清算されていないんじゃないかという御意見もございます。そういったお考えのある以上、憲法改正に関する手続とはいえ、やはり慎重に取り扱うべきと考えます。 私は、私の祖父の弟が沖縄戦線で戦死をしております。私の名前は日沖靖と申します。日本の日、沖縄の沖、靖国神社の靖でございますけれども、遺族の端くれといたしまして、あの悲惨な戦争を二度と起こさない、そういったやはり諸外国も含めて安心感を国民の皆さんに御提示をしていただいた後にこういう憲法改正の動きというのはあるべきなのかなと思ったりいたしますので、よろしく御配慮をお願いして、私の陳述を終わります。 以上です。
○団長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。 次に、笠松公述人にお願いいたします。
○公述人(笠松健一君) 大阪弁護士会の笠松健一です。 私は、日弁連の憲法委員会の事務局次長も務めさせていただいています。四月五日に衆議院の中央公聴会開かれまして、百二十四人の人が手を挙げました。私もその一人なんですが、そこでは採用されませんでした。江戸の敵を長崎ではなくて名古屋ということですけれども、本日は意見陳述の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。 私は、弁護士になって二十年になります。その間、いろんな事件ですとか委員会活動に取り組んできました。いろんな人権侵害事件ですね、人権救済の活動にも取り組んでいるんですけれども、その活動の中で、憲法が良くないから人権救済ができないというような、そういう人権救済の原因が憲法にあるというふうに思ったことは一度もありません。むしろ、その憲法の理念が立法や行政や司法の場で十分生かされていない、どうしてこれを、憲法に書かれているこの要求が裁判所に認められないのかなと、そういう感想を持つことの方が多いです。今の時期に憲法を変える必要はないというふうに思います。 日本国憲法というのは、この制定された当時の世界じゅうの憲法を参考にしてでき上がった、当時の最高水準の憲法ですね。それを変えようとしているのは一体何なのか。憲法というのは、そもそも国民の人権を守るために権力や権力者に対して縛りを掛けるものです。皆さん、国会議員の皆さんですけれども、皆さん国会議員を含めて、権力を握っておられる方、持っておられる方に対して向けられた命令が憲法です。 ところが、今憲法を変えようという議論を見ておりますと、国民の側から出てきているというよりは、むしろ権力を持っている皆さんが、憲法の縛りがきついと、自分たちがきつく縛られているんでその縛りを緩くしてほしいというように言われている、そういうふうにしか思えません。今の時期に本当に憲法を変える必要があるのかどうか、それから、憲法を変えるための国民投票法を作る必要があるのか、これはやはり慎重に考えるべきだというふうに思います。 仮に国民投票法を作るにしても、憲法改正というのは、それは国民主権が直接に発動する、通常は間接民主制取られておりますんで、代表者を選んで、政治の世界で代表者の皆さんに議論していただくと、こういうわけですけれども、憲法改正で国民投票がされるというのは、これは国民主権が直接に発動される非常に重要な場面です。その手続を定めるのが国民投票法ですから、十分な情報収集や意見交換、その場が保障される必要があります。表現の自由の最も重要な局面なわけですね。 それから、国民投票についてもし何か問題があるというような場合には、それを国民投票無効訴訟という中で、裁判で争う必要があります。そういうものを十分保障して初めてこの国民投票法、立派な法律ということになるわけですけれども、今のこの与党の修正案がその要求を十分満たしているかというと、私はそれは重大な問題点があると、そういうふうに思います。 これは、投票法ができ上がる手続の面についてもそうです。先ほど公聴会のことを申し上げましたけれども、衆議院で、三月二十二日、東京公聴会、それから三月の二十八日、新潟と大阪で地方公聴会が開かれました。四月の五日には私も応募しました東京の公聴会です。公募がされたのはこの四月五日の公聴会だけですね。与党が修正案を出したのは三月の二十七日。地方公聴会が開かれる前の日に、つまり、三月二十二日の東京公聴会が開かれた、その意見を聞いただけで与党は修正案を出されていると、こういうことです。 それじゃ、この修正案、国民の声を十分聴いた上で修正案作ったのかといいますと、それはどうでしょうか、ほとんど聞かれていないんじゃないか。それからまた、この与党修正案についても衆議院では公聴会を開かれていません。三月の二十八日、四月の五日の公聴会というのは、これは修正前の法案、与党案と民主党案についての意見陳述になっておりますから、修正案についての意見というのは聞かれていないんですね。今日、この名古屋、それから仙台で公聴会が開かれ、昨日は参議院で参考人招致ですか、されたようですけれども、この与党修正案について意見が聞かれているのは参議院になって初めてと、こういうことになります。 弁護士ですとか、それから学生等が街頭でもいろんなアンケート調査を行っているんですけれども、この国民投票法案の内容というのは国民にはほとんど知らされていないということがそのアンケート調査の中でも明らかになっております。参議院の中では委員長が慎重な審議を行うと、こういう約束もされています。もしもこの憲法改正の国民投票法案、問題があるということになりますと、後世に大変な禍根を残すことになります。参議院におかれては、全国でも公聴会を開く必要があるというふうに思いますし、もっともっといろんな意見を聞いていただいて慎重の上にも慎重な審議をお願いしたいと、そういうふうに思います。 法案の中身についての意見を申し上げたいと思いますが、過半数の数え方と最低投票率、これは非常に大きな問題点です。国民投票の中で過半数をどうするのか。法案では一番ハードルの低い有効投票総数の過半数という考え方を取っています。表現上は投票総数と言われていますけれども、中身を見ると無効票は除くということになっておりますから、結局は有効投票数の過半数、一番ハードルの低い基準を採用されていることになる。これで本当にいいのかどうか。街頭でアンケートをしますと、過半数の母数というのは有権者全体だと、有権者全体の中の過半数の賛成が必要だというふうに考えている人たちがたくさんいると、そういう結果も出ております。 それから、最低投票率の問題ですね。法案の中には最低投票率は定めない、そういう形になっておりますけれども、有権者のどれだけの賛成が必要なのか、余りに少ない賛成票で憲法改正という重要な問題を決めていいのかどうか、非常に危惧があります。できるだけ多くの主権者がその意見を反映させる必要がある、そういうふうに考えております。 それから、この最低投票率を決めることについてはボイコット運動を誘発するんじゃないかというような反対意見もあるようですけれども、憲法改正に反対の人がボイコットをするというのも、これも一つの国民の意思表示の一つです。ですから、それが反対論の論拠になるとはとても思えません。日弁連では、投票総数の過半数として最低投票率を三分の二以上としておりますけれども、私もその考え方に賛成です。 それから、情報交換や意見交換の自由の制限の問題、これも大問題です。今、日沖委員も言われましたけれども、国民投票運動の自由、これは非常に重要な問題点だというふうに考えます。先ほども言いましたが、国民主権が直接に発動される場なわけですから、十分な情報交換や意見交換、それが必要ですし、それを国家の責任で税金を使って、いろんな人に政党の枠を超えて、法案の中では政党や政党が指名する団体に税金でもって行う活動が規定されておりますけれども、政党だとかの枠を超えて広く一般に、広く厚く意見交換の場を保障すべきだと、そういうふうに考えます。 条文の書き方を見ますと、国民投票運動というのも、憲法改正に賛成、反対という意見を言うこと自体が規制を受ける可能性があります。この間の問題指摘を受けまして、マスメディアや外国人の規制、これは外れましたし、裁判官等の公務員の禁止も外れましたけれども、しかし、全国で五百万人いると言われる一般職の公務員と教職員、その皆さんが地位利用の禁止がされている。その文言はどういう文言かといいますと、その地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得るような影響力を使ってはいけないと、こう書かれているわけですが、これは内容が極めて不明確です。そんな不明確な文言で濫用の危険を防ぐことができるのかどうか、非常に危惧を覚えます。罰則を外したといっても懲戒処分は可能なわけですから、規制権限の濫用の危険性、これは全く除かれていないと、そういうふうに思います。 それから、新聞やテレビへの有料の意見広告ですね。これには莫大な費用が掛かります。そうすると、資金力の差が広報力の差になって現れることになります。結局は金で憲法改正を買うというような、そんな事態にもなりかねません。これは表現の自由に対する規制の根本にかかわる極めて重要な問題だと考えます。 民主党案では、発議後はテレビへの有料意見広告は全面禁止と、こういう方法で解決しようとされていますが、自由法曹団という法律家団体がイタリアの調査報告をして、その報告書は国会にもお届けしてあると思いますけれども、その例も考えますと、次に述べます税金を使っての広報活動、先ほども申し上げましたが、税金を使って国民の広報宣伝活動をサポートすること、これを十分に保障し、テレビなどの有料意見広告は禁止をする、これをセットとして合わせる必要がある、そういうふうに考えます。それをセットにしない場合には、民主党のように全面的なテレビへの有料広告の禁止だとか、それから与党の修正案では十四日前からの禁止と、こういうふうになっておりますけれども、これは表現の自由に対する制限として非常に大きな問題点を引き起こす可能性があるのではないか、そういうふうに思います。 ですから、私の意見としては、民主党が言われるようにテレビの有料広告は全面禁止をする、しかしながら、税金を使っての広報活動、これは政党の枠を超えて国民の皆さんにも公聴会の場を提供するですとか、テレビや新聞の枠を提供するですとか、そういう税金を使った広報活動を十分に保障する、そのことが必要不可欠だと、そういうふうに考えます。 それから、広報協議会が国会に置かれるわけですけれども、憲法九十六条の規定を見ますと、国会が発議をした後、国会がどこまで関与できるのか、これは極めて疑問だというふうに思います。九十六条の条文をそのまま読みますと、国会のかかわりは発議までではないか、発議した以降は国会はかかわってはいけないのではないか、そういう見方も可能だと思いますので、広報協議会を国会に置くことには憲法違反の可能性があるのではないか、そういうふうに考えます。一つの案としては、国会図書館にこの広報活動を任せる。これも、関学の長岡教授などはそういうことを言われていますし、民間の中でも、弁護士の中でもそういう発言をしている方がおります。先ほども言いましたが、税金を使っての広報活動は是非お願いしたいと思います。 それから、戸別訪問というのはお金のない人にとっては表現活動の非常に重要な手段です。法案では戸別訪問は禁止されていないようですが、しかし、戸別訪問をすると他人の敷地内に立ち入ることになりますから、住居侵入罪として規制されるおそれがある。それを避けるためには、この国民投票法の中で戸別訪問は規制されないと、これを明記すべきだと、そう考えます。 それから、民主党が言われております一般的な国民投票ですけれども、これは間接民主制の問題点、特に小選挙区制の下では、国民全体の意見と国会での議論の乖離の問題がありますから、直接民主制を導入してそれを解決するというのは非常にいい案だと、そういうふうに考えます。 一括投票の問題点。これはどの程度の関連性がある場合に一括できるのかという点ですけれども、法案では「内容において関連する事項ごとに」とされています。これは非常に不明確ですし、これでもってその一括投票、国民の意見が十分に個別に反映できるのかどうか、非常に問題だと思います。それから、関連性があるのかどうかの判断が国会議員に任されているという点、この点も問題だと思いますから、これも日弁連言っておりますけれども、基本的には個別案件ごとにというふうにしていただきたいと思います。 それから、国民投票無効訴訟のことについてお話ししたいんですけれども、これは、要件、手続、効果、いずれの面でも極めて不十分です。法曹三者や学者の中でもほとんど議論されていない問題ですから十分に議論する必要がある、そう思います。 情報公開法の条文を配らせていただきましたけれども、管轄の問題で大きな問題があります。法案では、第一審裁判所は東京高等裁判所とされていますけれども、三審制の保障をして地方裁判所を第一審にすべきではないか。それから、東京高等裁判所、つまり東京でしか裁判を起こせないということも大きな問題です。情報公開法のときには地方から大きな反対の声が上がりまして、地方でも裁判ができるようになりました。是非、地方でも裁判ができるように、地方の声を聴かないというような切り捨てるような議論ではなくて、地方の声も十分聴いていただきたい、そのためにも地方で裁判が起こせる必要がある。このことは極めて重要な問題点だというふうに思いますので、この点も十分御審議いただきたいと思います。 提訴期間が三十日、これも非常に短いと思います。それから、憲法改正の効果の発生につきましても、やはりこの無効訴訟の決着が付いてからでなければ大混乱が起きる可能性があります。憲法調査会の中では、裁判所の憲法審査が消極的だという議論をされているわけですけれども、そういうところでこの国民投票の無効訴訟を起こしても、裁判所の消極的な姿勢はどんどんどんどん深まるばかりではないかと、そういうふうに思いますので、憲法改正の無効訴訟が決着が付いてから効力が発生する、そういう形に是非していただきたいと思います。 今、提訴期間の問題を申し上げましたけれども、それと関連するものとして、この国民投票の周知期間、これが六十日から百八十日というのは余りにも短い。私も本を書きましたけれども、この本を書くのに四か月掛かっております。六十日、つまり二か月で十分な情報交換や意見交換ができるのか、テレビや新聞でもって、あるいは月刊雑誌で扱えるのか、本を出すことができるのか。極めて短い時間です。日弁連は最低一年必要というふうに言っておりますけれども、この点も、私は一年でも短いんじゃないかと思いますが、十分な審議をお願いしたいと思います。 最後に、国会法改正部分について簡単に触れさせていただきますけれども、憲法審査会、これは会期と関係なく活動できると、そういうふうになっておりますけれども、これは国会の会期制の原則に反するのではないか。この点は十分議論していただく必要があると思いますし、それから、両院の意見が分かれた場合、つまり一つの院で憲法改正案が否決された場合の扱いですけれども、合同審査会や両院協議会を開いて意見のすり合わせをするというふうにされています。しかし、憲法九十六条の中では両議院というのは独立で、しかもそれぞれ別個にその意見が尊重されるべきだということになっているわけですから、その趣旨からしますと、両院のすり合わせをする必要があるのか、これは極めて疑問だというふうに思います。この点についても是非参議院の中で十分な議論をしていただいて、夏には参議院選挙もありますけれども、その中で拙速な審議をした、こんな参議院議員は駄目だというような声が上がらないように、是非慎重な審議をお願いしたいと思います。 どうもありがとうございました。
○団長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。 最初に御報告をいたしておりましたが、野村委員がただいま到着いたしましたので、御紹介いたします。自由民主党の野村哲郎委員です。 それでは次に、網中公述人にお願いいたします。
○公述人(網中政機君) 発言の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。 この手続法に限定いたしまして意見を申し上げたいと思います。ただ、正確に、今、笠松先生のように読む時間がございませんでしたので、少し間違えている部分があったらまた御指摘いただきたいというふうに思います。 まず第一点。憲法改正のための具体的な手続を定めるこの法律は、本来、昭和二十一年十一月の憲法公布の際に、憲法附属法令として国会法等と同時に整備されるべきものであったと私は思料いたします。しかし、残念ながら、諸般の事情で放置され、ようやく立法の不作為の状況が解消される見通しになったことは、戦後六十年を経過したとはいえ、大変に意義あることだというふうに考えます。 第二点。現行憲法によれば、国民は主権者であります。すべての国家権力は国民から派生いたします。このことを私どもは権力性的契機が国民にあるということを申し上げます。と同時に、憲法は議会制民主主義を採用し、国会を通じて主権が行使されるようになっております。 しかし、同時に、憲法は直接に国民が主権を行使する場を幾つか設けております。一つは、七十九条第二項の最高裁判所の裁判官国民審査でございます。それからもう一つは、九十五条のいわゆる一の地方公共団体に対する住民投票の特別法のいわゆる承認手続でございます。 残念ながら、七十九条が効果があればいいということではないとは思いますけれども、戦後六十年の中で最高裁の判事さんがお一人も罷免されていないということは、この権限の裏になっている法律の問題もかなりあるのではないかというふうに考えております。 それと同時に、九十五条は、憲法制定後十年間は二十余りの法律が制定はされていますけれども、この五十年、ほとんど九十五条による住民投票は行われていないということからいたしますと、直接的な国民の権力を行使するという方法は、実は国会の衆議院、参議院の議員さんの選挙にほぼ限られると。そういう意味で、今回この法案によって憲法改正に対する国民の直接的主権の行使の手段が回復されるということは意義のあることではないかというふうに考えます。 それでは、具体的な内容について意見を申し上げたいというふうに思います。 先ほども申し上げましたように、法案を十分に読みこなしているとは言えませんので、お許しをいただきたいというふうに思います。 この法案を受け取って率直に感じたまず最初の感想は、いわゆる公職選挙法との整合性の問題がかなりあるなということを感じました。これを三のところで書かせていただきました。どういうことかといいますと、このためにこの法案、すなわち公職選挙法といろいろな形でダブりの規定にせざるを得ない。表現は変えておりますけれども、そういう観点からかなり条文数が多いということが率直な印象でございます。 例えば、この法案では投票人資格といういわゆる言葉を使い、公選法では選挙人という言葉を使っておりますけれども、こういうことからこの両方のいわゆる法律、すなわちまた別な視点で言えば、選挙人名簿も別々に作るということでかなり煩雑な規定になっていると。 レジュメにも書いておきましたけれども、この法律の附則において、この点については、この法律が施行されるまでの三年間に、公選法、民法その他の法令の規定を検討し、必要な法制上の措置を講ずるものとするというふうに附則で書かれていますけれども、是非この点について早急に両法、すなわち公職選挙法とこの法案の整合性をお図りいただきたい。これは大変読みづらいという感じをいたしました。 それから、第四点目ということで、この法案の第三十四条二項に、在外投票名簿を編製する選挙区、以下、いわゆる指定在外投票区という表現がされておりまして、いわゆる在外投票についても公職選挙法と同様に選挙区で投票を管理していくという考え方を取っておりますけれども、この点が私には少し分からない点があります。 というのは、要するに、憲法改正については在外にいても情報は個人責任で十分取れるし、ある意味では選挙区の参議院議員、衆議院議員の立候補者さんの情報ではないわけですから、そういう意味で、もう少し全体くくりで海外の在住者の選挙の処理ができるのかなというふうな感じも、海外の例からいいますと受けたわけでございます。その点で、在外投票者名簿は投票区で作るという点について少し理解ができなかったという点がございます。 それから、第五番目に移らせていただきます。 憲法九十六条の規定は、御承知のように一部改正、削除、追加を前提として、全部改正を予定しておりません。したがいまして、改正の場合も個々の改正ごとに一つずつ国民投票にかけ、賛否を問うことになる、これが原則だと思料いたします。無論、一括でという、今、笠松先生のお話もできるようですけれども、それはだれがするかということがかなり問題だと思いますけれども、そういった場合、現に多様な改正案が論議されてきておりますけれども、大幅な改正の場合、これは国民のサイドから一つ一つ適切な判断が可能なのかどうか、大変気になるところでございます。一回の国民投票で幾つかの条項まで賛否を問えるか、こういうことを検討する必要はないのでしょうかという点が私の五番目の意見でございます。外国では、こういった国民投票について、いわゆる最大限の限界を定めているというケースが意外と多いということもございます。よろしく御検討のほどお願いします。 続きまして、それに関連いたしまして、実は憲法九十六条第二項に「この憲法と一体を成すものとして、」ということで、憲法改正が成立をしますと、国民投票の賛成を得て成立しますと、「この憲法と一体を成すものとして、」という規定がございます。この規定は、この条項の意味は、多分、条文は削除せず追加のみでいくという考え方が原則になっているのではないかというふうに考えられます。 憲法九十六条の第二項の「この憲法と一体を成すものとして、」と、この言葉は英米法流に、アメリカ合衆国憲法が一七八八年制定されてから今日まで二百二十数年間来ておりますけれども、これは一切、一七八八年の一条から七条は条文をいじっておりません。後ろに修正条項を付けていくという、こういう英米法流の考え方を示したものだというふうに考えます。 そうしますと、この国民投票法案の、本案の趣旨と少し異なるのかなということで、憲法の文言に忠実にいけばそういったそごが生ずるのではないかということで、法案第四十七条は当然一部改正、追加、削除を行うことが考えられますので、これは憲法改正の段階で英米法流の考え方を取らないということで、この部分といわゆる法案との整合性をお考えいただきたいというふうに考えます。 続いて第六番目。最低投票率の基準の問題でございます。 私も、基本的には最低投票率が必要だと考えております。国の基本法の改正が低投票率で行われるということは許されないというふうに思いますので、せめて四〇%から五〇%ぐらいの最低投票率に関する定めが必要ではないかというふうに思います。諸外国についてもそういった規定が多々ございます。 第七番目。この当法案の中で、法第五十九条、代理投票、法六十条、期日前投票、それから六十一条の不在者投票、それから六十二条の在外投票は、公選法の改正の流れに沿った規定で、私は高く評価できるというふうに思います。投票の方式、法第八十一条の規定も、できるだけ国民の意思を尊重して解釈しようという丁寧な規定であるというふうに考えます。 ただ、先ほどちょっと言われましたように、この国会法の規定の中で、いわゆる発議権等については、国会議員の数は衆議院が百名、参議院が五十名ということですけれども、そのベースを──ごめんなさい、その規定については問題ないんですけれども、その後に、国民投票のいわゆる基礎ベースになっているのは、表現では有効投票でありまして、総投票という形で規定がされていると思いますけれども、その点が有効投票であると少し憲法改正については問題があるだろうというふうに考えます。 さらに、八番目。三年間の猶予期間を置いたことは評価できると思います。 この国民投票法が成立した後、三年間は両院に設置された憲法審査会で現行憲法に関する議論を広く行い、国民サイドにも議論の中身が浸透し、熟成する期間として一、二年よりは好ましいということで、三年間は適切な期間ではないかと考えます。 国民投票運動について御意見がいろいろありました。公務員と学校教育法に言う教員、これは小中高大、全部含まれると思いますけれども、その者に対して地位利用の制限が課せられていますけれども、現行の国家公務員法等に比べるとかなり緩和されているということで、こちらの方の開放も是非御検討いただけたらというふうに思います。 さらに、放送メディア、活字メディアに対する一定の制限が課せられていますけれども、これも国民投票の公正と平等の確保から妥当な規定ではないかというふうに考えます。 まだありますけれども、最後に、大部な資料を付けましたので、国民投票の対象について、十番目について少し述べさせていただきます。 本法案では、事の性質上、憲法九十六条の実施法という立場から、憲法改正の国民投票に限り審査の対象としております。なお、これも附則で、間接民主主義との整合性の確保その他の観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとするとされています。引き続きその検討を強く期待すると同時に、ちょっと私が配りましたかがみを開けていただいて、次の表を見ていただきたい。 これは何かといいますと、イギリスのエコノミストが出したエコノミスト・インテリジェンス・ユニット・デモクラシー・インデックス二〇〇六と書いていますけれども、これは二〇〇七に発表されておりますので、この後ろに書いてありますけれども、この中で民主主義の成熟度ということで書いてございます。この一番上に、日本は二十番目に記載されていますけれども、三枚飛ばしていただいて、百六十七か国全部エコノミストが分析をしていますけれども、この三枚飛ばしていただいた「はじめに」という文章をちょっとだけ、真ん中ぐらいですけれども、この調査は世界の百六十七か国を対象としてそれぞれの国の民主主義の発達を測っていると、そして、この資料の測定方法は二分法又は三分法を使用し、次の五範疇に分け、六十の質問、インデックスを挙げて分析、総合得点でランク付けしていると。これは二〇〇七年、ザ・ワールドという雑誌に発表されています。 特に我が国の問題は、政治参加、Ⅲの指数が大変低い。見ていただいて五・五六であるということで、要するに、国民の政治参加の機会が弱いという点で、成熟した民主主義の中で、二十八か国の中で二十番目であるという点を考えますと、是非、いろいろ御議論があって難しいと思いますけれども、先ほど申しましたように、国民のいわゆる権力性の契機については十分に御検討いただいて、附則に書かれているように、引き続き国民投票の対象についても広げていただけたらというふうにお願いして、終わりにさせていただきます。 ありがとうございました。
○団長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。 なお、質疑及び御答弁は着席のままで結構でございます。
○田中直紀君 自由民主党の田中直紀でございます。 今日は、公述人の皆さん、御多忙のところお出掛けいただきまして、本当にありがとうございます。 割当て時間が十五分でございますので、各公述人の皆さん方にまず一問ずつお願いをいたしたいと思います。 鈴沖公述人からは、この手続法案、国民投票法案につきましては必要であると、こういう御意見の中で、社会の変化に合わせた改正を進めるべきだということで、社会の変化、課題の変化、意識の変化と、こういうことでテーマを分けていただきました。 参議院の審議の中でも、憲法改正原案の発議に当たっては内容において関連する事項ごとに区分して行うものとすると、こういうことなんでありますけれども、非常に多岐にわたるんではないかと、一回の発議でどの程度のことが、項目ができるんだと、まとめ切れるかと、こういう質問に対して、発議者は三から五ぐらいのテーマをまとめて改正されると、こういうことを言っておりましたけれども、たまたまここの課題が三つあると、こういうことですから、何か少しイメージが出てきたのかなと思っております。ただ、周知期間が六十日から百八十日と、こういうことを言われておりますので、どの程度実行の中でこなされるかと、こんなことをちょっと御意見がありましたらと思っております。 それから、日沖公述人には、大変市町村合併で御努力をいただいたと伺っております。今申し上げましたように、公布の日から三年で施行すると、当初は二年ぐらいかと、こういうようなことでしたが、三年にしたんでありますけれども、なかなか皆さん方に浸透していくということが時間が掛かるんではないか、あるいは発議してから、先ほど言いましたように六十日から百八十日と、こういうことで大変重要な、当然住民投票も重要でありますが、国の方向を決めるわけでありますので、この日程でこなせるかどうかと、こんなこともちょっと実体験からお伺いをいたしたいと思います。 それから、笠松公述人には、憲法を改正する必要が今あるかと、こういうお考えの中からいろいろ多岐にわたって専門的に大変有意義なお話をいただいたと思っております。 発議者のお話を聞いておりますと、この憲法の改正に当たっては、基本的人権あるいは国民主権、そしてまた平和主義と、こういう大きな我が国の憲法のこの柱は当然変えるような改正にはならないんではないかと、こういう話がございました。その点、御心配の点もあろうかと思いますが、御感想を伺いたいと思います。 それから、最低投票率につきましては、審議の中では九十六条にはうたわれていないと、そしてまたボイコット運動の問題もちょっとお話がございましたが、そういう懸念もある、そしてまた項目によっては大きな話題を提供する改正もあろうかと思いますが、字句の修正なんかの条項もあると。そうしますと、余り最低投票率というものが、すべてクリアしなければいけないというようなことも心配されると、こういう向きがありますので、投票率を上げていくということが望ましいと、努力をすると、こういうことが発議者のお話でございました。 最後に、網中参考人にお伺いをいたします。 大変専門的にいろいろな、この手続法と公職選挙法あるいは民法その他、メディア規制の問題もいろいろ絡んでくるわけでありますけれども、これ二十歳から十八歳に投票権者を下げると、こういうことで広範にわたって関連法案が出てくると、こういうことでございますし、私もスムースに移行できるのかなと。私も参議院議員でありますが、三年ごとに選挙が行われます。十八歳以上の方々に我々選ばれる、あるいは二十歳の今、方以上の方々から選ばれていると、こういうことでありますから、まあ六年ぐらい掛けないと同じ条件の当選者は出ないのかなと、こんなこともちょっと心配する、これは参議院としての印象でありますが。その辺、努力をすると、こういうことで発議者は申しておりますけれども、どうとらえるか、その点よろしくお願い申し上げます。
○公述人(鈴沖勝美君) 憲法改正案の発議について内容ごとに、関連する事項ごとに区分してということですけれども、幾つかのテーマも考えられますけれども、憲法ですので、緊急性があるというよりは基本的な、大事な、国として目指すべきもの、価値、あるいは国として取るべき制度についての議論だろうと思います。 多分、基本的には一つずつ取り上げていただくんだろうなと、私ども一国民としては思っておりますけれども、そういうことで、多分コンセンサスの得られやすいものから一つずつ取り上げていただくのが普通に予測されるところですし、そのように期待申しております。 幾つかのテーマがあるからといって同時にやろうとすると、ややこしいことが多分起きると思いますので、国民の側としては分かりやすいということが大事だと思います。緊急性があれば別ですけれども、基本的には、大変な問題ですので、一つずつ取り上げていただいて国民全体で考えていくと、こういうことでお願いできたらと思っております。
○公述人(日沖靖君) 先ほど、実施は三か年の猶予を持たれるということであると思いますけれども、我々市町村から考えますと、それは憲法が一般の法律と違いますので、実際への運用に影響を与えないと思います、即には。ですから、一般法ですと周知徹底が要りますけれども、私が申し上げているのは、これを決定する国民投票の間、六十日から百八十日ですね、この間の周知徹底をお願いしたいという趣旨でございますので、よろしくお願いします。
○公述人(笠松健一君) 憲法の基本原則についてどう考えるかという質問と、それから最低投票率の二つ、この二つでよろしいですかね。
○田中直紀君 はい。
○公述人(笠松健一君) まず、憲法の基本原則、平和主義ですとか基本的人権の尊重。 各党が出されている憲法改正案、拝見いたしますと、その点について基本的には変えないということは言葉としては言われているんですけれども、例えば自民党が出された新憲法草案、その中身を見ますと、平和主義に対して極めて重要な変更点がありますね。 自衛軍を持つということ、それから自衛軍の海外派兵等を自由に許す。憲法上はその自衛軍の活動について何の縛りも掛けておられないんですね、自民党の案では法律に任せると書いてある。そうなると、これは憲法上の縛りなしにその時々の国会の多数の意見でもって自衛軍が自由に活動できると、こういうことになってしまう。これは平和主義に対する重要な変更だというふうに思います。ですから、自民党の皆さんが基本原則を本当に守る気があるのか、私は非常に疑問を持っております。 基本的人権の問題もそうです。今の公共の福祉に反しない限りという点について、公益だとか公の秩序に反しない限りというふうに変えようとされている。しかしながら、公益だとか公の秩序というのは個人を超える国家的な利益です。今の公共の福祉というのは、人権と人権が衝突した場合にその調整原理だということでもうほぼ定説ができているわけですけれども、それを今の時期に変える必要があるのか、国家的な利益を人権に優先させるのか、これも基本原則を大きく変える憲法案ではないかというふうに考えておりますので、言葉としては基本原則守ると言われるんですけれども、本当にそうなのかなと、非常に疑問を持っております。 それから、最低投票率の問題ですけれども、これは先日の参議院の議論の中でもありました。まず、九十六条の文言の問題では、確かに九十六条の文言の中には最低投票率という言葉は出てきておりません。しかしながら、先日の参議院の議論の中で、両院協議会という言葉は九十六条に出てこないじゃないかということで大分議論になったようですね。憲法の条文を見ますと、五十九条それから六十条、この憲法の条文の中に両院協議会が出てきます。法律案が両院で異なった場合、それから予算審議の結果が異なった場合、両院協議会を置くというふうにはっきり憲法条文に明記されているわけですね。 そうすると、この国民投票法案の中で、国会法改正部分で九十六条の文言にもない両院協議会を置くという議論がされるということは、投票率の問題についても、九十六条の文言にはないけれども、その趣旨、つまり国民主権、国民の大多数が支持をする憲法改正、それが憲法改正の本来のあるべき姿だということを考えますと、最低投票率の規定を置くことに何の問題もないというふうに思います。 それから、単なる字句の修正にとどまる場合にはいいんじゃないかという言い方をされましたけれども、それは、国会議員の皆さん、つまり憲法尊重擁護義務を負っている国会議員の皆さんの発言としては極めて問題だと思いますね。 憲法というのは国の在り方を決める基本法ですよ。先ほど最初に言いましたけれども、憲法は皆さんに対する縛りなわけです。それを単なる字句修正だから、投票率が例えば、それじゃ一%でもいいんですか。有権者の中の一%が賛成するからそれでいいんだというような、そんな議論成り立たないと思います。ですから、単なる字句修正だから最低投票率なくてもいいというのは、これは全く国民主権に反する乱暴な議論だと、そう思います。
○公述人(網中政機君) 田中委員からの質問は、十八歳に下げたがゆえに、公選法、民法との調整が今後必要になってくるということで、また参議院議員としては十八歳で選ばれることはつらいという、ちょっとそんなようなことを聞いたんですけれども。 私の考え方は、国民投票の年齢と選挙人の年齢は、恐らくすべて、国民投票を入れている国が、国レベルではアメリカとインド、日本だけが今国民投票がないんですけれども、この年齢差を設けているのは、恐らく十八歳にすると今回これが初めてのケースだというふうに理解します。選挙人資格は今二十一歳というのが一か国あります。それから、四、五か国が二十歳ということでございます。あとは基本的には十八歳がもう八割以上でございます。十六歳のところもあります。 したがって、是非、十八歳に公職選挙法の選挙年齢もお下げいただきたいと。ましてや、こういう十八歳の年齢の、当法案のために公職選挙法に大きな影響を与える。私は十八歳がいいと思いますけれども、そういう点で是非これを契機に民法や公職選挙法をお変えいただきたい、速やかにお願いをしたいというのが私の意見でございます。 失礼しました。
○田中直紀君 ありがとうございました。 もう時間ですから、結構です。
○芝博一君 民主党の芝博一と申します。 公述人の皆さん方には、大変お忙しい中御出席いただきまして、大変ありがとうございます。 御存じのように、この場は皆さん方の地方におきましてそれぞれの専門分野若しくは経験の中から御意見を聞く場でございまして、議論の場であったり私の私見を申し上げる場ではございませんので、質問を端的にさせていただきたいと、こう思います。 まず、先ほどからもお話がございました、今日までこの国民投票の手続法、これが六十年間議論されずにきた部分について一部の公述人の方から御意見もございましたけれども、議論されなかったその理由、これはどのようにお考えか。例えば、国会の不作為という先ほどのお言葉もございました。国民のニーズがなかったんだろう、若しくは歴史的背景があった、いろんな意見があろうと思いますけれども、それ以外でも結構です。四人の先生方へ、先ほど御発言いただきました先生方も含めて、端的に御意見いただけませんか。
○公述人(鈴沖勝美君) ありがとうございます。 六十年、私どもに送っていただいた資料を見ましても、何度かは議論がされていると。法律、憲法ができてから、これは国会として作らなきゃいけない、あるいは政府としても考えなきゃいけないというその中で、とりわけ九条の問題、憲法九条の問題は大きな議論になっておりましたし、戦後どうしていくのかという国の基本的な問題でまだ安定していないと、そんな中で議論が避けられてきたのかなと正直に感じております。 それに対しまして、先ほど申しましたのは、六十年の間に随分教育も変わりました。それから、みんなの社会経験といいますか、いろんなものが変わってきておりますので、長期的に言えばもっと早くあるべきだったでしょうけれども、現在なら、要するに大人の国として議論して作れるんではないか、作るべきではないかと。作られなかったのは避けられたのかなと、そんなふうに正直に感じております。
○公述人(日沖靖君) 私は、三番で書かせていただいたとおり、戦争や歴史認識に関して清算をされていない部分が非常に多いという認識が国民の中にあって、それを、これで寝た子を起こすような、そういったことには触れないでおこうという、やはり国会の、閣議決定を避けられてきた部分もあると思います。ですから、やはり憲法九条論議に尽きるのかなと思います。 以上です。
○公述人(笠松健一君) これ、憲法改正国民投票法というのは、一九五二年、当時の自治庁ですけれども、一度発表したことがあるんですが、憲法を改正しようとしているんじゃないかという国民からの疑念ですとか、それから政治の世界でも法務省の反対もあったようですけれども、それでぽしゃってしまったと。その後、憲法改正の論議というのは、いろいろと自民党の皆さんですとか憲法改正についての議論はされていたようですけれども、実際には表に出てこなかった。一九九〇年代になって、湾岸戦争以降ですけれども、アメリカの要求もあって憲法改正論がだんだんと出てくるようになった。 そういう社会情勢を踏まえての国民投票論議だというふうに思いますので、これまで議論されてこなかったのは、もうその必要がなかったと、憲法改正の必要がなかったんで国民投票法も必要がなかった、これが理由だと考えます。
○公述人(網中政機君) 私の発言があったと思います。私は国会の不作為とは言っていません、立法の不作為ということを申し上げました。 私は、憲法改正の議論と手続法の議論は全く次元が違うものであると。要するに、憲法改正手続というのは、これは、当然九十六条はこのままではできません、具体的に手続法がなければ。今これだけの膨大な手続法を議論をされているわけですけれども、こういった手続法がなければできません。これは、当然政争の具の問題では私はないと思います。手続法はやはり決めていただかないと、特に、先ほど申しましたように、国民主権の重要な権力性の一つとして、国民が権力を行使する重要な手段なんです。これを手続法として定めていないというのは、先ほど言いましたように七十九条と九十五条とそれから九十六条、これしかないんですね。あとはいわゆる国会議員の選挙しかございません。 そういう意味で、いわゆる手続法として、私は憲法と同時に定められるべき性質のものであるというふうに理解をしております。
○芝博一君 続きまして、今議論しております手続法、この必要性は皆さん方が十分御認識をいただいていると、こう思うんですけれども、ところが今回の手続法は、すなわちその先には憲法改正という部分の大きな問題があろうということは十分御存じのとおりであります。 そこで、この憲法の趣旨並びにこの手続法、すなわちこれはより憲法を改正しやすいものとあるべきか、若しくはしにくくするべきものか。要するに、改正の部分をよりハードルを高くするべきか低くするべきか。その部分の、端的に四人の御意見をいただきたいと思います。
○団長(関谷勝嗣君) それでは順番を変えまして、まずは笠松公述人、どうぞ。
○公述人(笠松健一君) 私は、憲法改正をしやすくする必要なんてとんでもないというふうに考えておりまして、憲法改正、つまり、何度も繰り返しますけれども、国民主権の発現ですし、この日本国憲法というのは当時の憲法の最先端を行くものでした。それに対してこの憲法を変えようという意見は、先ほども言いましたが、この憲法の基本原則をなし崩し的に崩していこうとする動きの延長線だと、そういうふうに考えております。そういう改憲をねらった国民投票法の中で改憲をしやすくする必要というのはないと思いますし、もちろんこの憲法がとんでもない憲法だというんなら話は別ですけれども、こんな立派な憲法を持っているのに何でこれを変えなあかんねんというのが率直なところですね。
○公述人(日沖靖君) 憲法は国の理想像かなと思います。ですから、理想を大きく変えるのであれば憲法改正いいと思いますけれども、理想像がそれほど変わらない、先ほどおっしゃったような字句の訂正であればなぜ変える必要があろうかと思います。ですから、皆さんが合意できる、国民の皆さんがほぼ合意できるような状況で初めて変わるべきものだと思っております。 以上です。
○公述人(鈴沖勝美君) 憲法改正の手続を九十六条に基づいて作るという手続法ですので、これはこの法律を作ることが憲法改正をしやすくするとかいうことではなくて、議論されたときにないと困るというだけだろうと思います。その場合に、手続法ですので、通常のだれもが納得できる公正なというか、そういうことでいいだろうと思います。殊更難しくすることもないんではないかと。手続としての一般的な妥当性、裁判なんかもそうですけれども、そういう観点で定めていただければいい、今回の法律案についてはそういうふうに理解をしております。
○公述人(網中政機君) 改正をしやすくすべきか、この法案が厳格に制定されるべきかということでございますけれども、当然九十六条の憲法の趣旨は通常の法律に比べてかなり厳格な手続を定めています。恐らく、外国の例でいいますと、特別多数三分の二で、国会だけで制定される国がかなりあります。それから、あとはいわゆる過半数で国民の承認を得るという手続を取っている国が大多数です。我が国のように、いわゆる三分の二プラス国民の承認という手続を取っている例はほとんど見ません。そういう意味では、憲法九十六条は厳格な改正手続を取っているというふうに言えると思います。 したがって、先ほどもちょっと意見でも申し上げましたけれども、いわゆるこのベースとなる国民のベースをどこに置くか。人口総数に置くのか、あるいは有権者総数に置くのか、あるいは総投票数に置くのか、有効投票数に置くのか。あるいは、そういう点については人口総数に置くことはできない、有権者総数に置くこともできない。そうすれば、妥当なのは当然厳格な手続を定めている九十六条から投票総数に私は置くべきだという点で、すべて、そういった点で九十六条を受けて定めるべきである。 ただし、これは大変厳格な規定ですので、この点はやはり良いとするか、あるいは憲法改正をもう少し柔軟に考えていくか、これは国民主権と相反する規定なんですね、要するに少数決ですので、国会の議決が、その点を御審議いただきたい。
○芝博一君 ありがとうございます。 今いろいろ御意見をいただきました。その中で、先ほどからの意見陳述の中で投票率について御意見をいただいたのは網中公述人と笠松公述人だと思いますけれども、直接、選挙に携わって経験されている日沖公述人とそれから鈴沖公述人から、最低投票率の設定、これの必要性と、端的に結構です、今の憲法にこれは違反であるんではないかという疑義もあることも事実なんですが、そこのところを端的にお答えいただけませんか。
○公述人(日沖靖君) 最低投票率、要は、先ほど一%の投票率でもよしとするのかという御議論もあったと思います。やはり最低投票率は設けるべきだと思います。
○公述人(鈴沖勝美君) 特段、私ども、正直言って大学の時代あるいは小学校のころから憲法を教わっているわけですけれども、そのときに、今言われているような問題について条件を殊更付けるというようなことは思っておりませんでした。選挙なんかですと投票の四分の一以上ないと当選者を決めないとか、今フランスの大統領選挙もやっておりますけれども、そういうのがありますけれども、それは投票率を決めるというような話ではないだろうと思います。特段定めなくてもいいんではないかと思います。
○芝博一君 次に、過半数の考え方についてお聞きをさせていただきます。 今の方法では、賛成か反対かを明確にマルを付けるか、若しくは消すかと、今、端的な問題。白票であったりそれ以外のものは、要するに無効票として数えるという規定になっております。その中で、一般的な世論調査やアンケートでいきますと、賛成と反対、分からないだけじゃなしに、どちらかといえば賛成、どちらかといえば反対というのが、必ず設けるのが世の常といいましょうか、アンケートの上での定義といいましょうか、基礎になっているわけでありますけれども、今回は賛成、反対の二つであります。この場合、どちらでもない、若しくはどちらかといえば賛成、反対という国民も多々あるんではないかと予測される中で、この白票、無効票の扱いから出てくることを考えて、過半数の考え方の分母、すなわち投票総数、白票も入れた、無効票も入れた投票総数、それともう一つは、賛成、反対のはっきりしている有効投票総数のどちらが分母として適切か、この部分についてお答えいただけませんでしょうか。
○団長(関谷勝嗣君) どなたにお聞きですか。
○芝博一君 全員に。
○団長(関谷勝嗣君) 全員だとちょっと時間がないんですけど。
○芝博一君 それじゃ、法律の専門家の網中先生と、現実的に選挙を戦ってみえる日沖公述人にお願いします。
○公述人(網中政機君) 私は、当然、総投票数をベースにすべきであると。これは、有権者総数ですと八千万いますので、先ほど来議論になっていますように四千万、半分が棄権したら成立しません。 ですから、そういう意味では投票総数で決めるべきであって、なおかつ、いわゆる無効は、無効というか、賛成と反対にどちらかマルということで、マルを付けなかったら無効になるわけですけれども、それについての欄を設けるべきではないというふうに思います。要するに、別にもう一つ欄を付けて、どちらか分からないという欄を作るべきではないというふうに考えます。
○公述人(日沖靖君) 先ほど申しましたように、住民を二分する戦いはしていただきたくないんですよ。ですから、圧倒的多数でそれが成立するように、できるだけ分母は大きくお願いしたいと思います。
○芝博一君 時間が来ました。ありがとうございます。
○荒木清寛君 公明党の荒木清寛でございます。 今日は公述人の先生方、大変にありがとうございます。 まず、網中公述人にお尋ねをいたします。 日本国憲法の三原則、国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義、これを変えてはならないという点ではコンセンサスがあると思います。その上でお尋ねいたしますが、先ほどの先生のお話でも、この権力の契機というのは国民である、こういうお話がございました。国民、市民を信頼をするという考え方からすれば、むしろ憲法についても、その時々に国民が見直しをしてより良いものにしていくという考え方が私はふさわしいと思うんです。ただ一方で、硬性憲法であるということからすると、よほどのことがなければ変えるべきではないという主張も当然あるわけでありますが、この点は公述人はどうお考えでしょうか。
○公述人(網中政機君) 国民主権、基本的人権、平和主義、日本国憲法の基本原理は大変大切なものであるというふうな委員の御指摘はそのとおりだというふうに思います。ただ、具体的な内容になってきますと、かなりやはり考え方が違う部分があるということは思います。 したがって、いわゆる硬性憲法であっても憲法は変わり得ると。そして、これは戦後間もない時期からずっと憲法を擁護することが正しいということで来たわけですけれども、しかし、憲法六十年を経過して、私も六十過ぎたんですけれども、賞味期限が少しずつ来ている部分がある。こういう点については、やはり新しい考え方、社会やあるいは環境を含めてそういった変化があるわけですから、私は変えていくべきであると。 ただし、今約百九十か国ぐらいあると思うんですけれども、憲法を制定している国が。ただ、独裁国が五つありますので、それを除くと百八十五ぐらいですけれども、六十年の憲法で一か条も改正されていないという憲法は皆無でございます。大体、ドイツなんかも同じくスタートしましたけれども、もう三十回を優に超える改正をしています。 そういう点からすればやはり憲法も、これはドキュメント、宣言であれば別ですけれども、しかしこれは実定法でございますので、内容はやはり国民のコンセンサスを得て、厳格な改正手続に従って、先ほど来出ていますように改正できるものは改めていくということは必要ではないか。 もっと言えば、平和主義、第九条、これは大変すばらしい条文ですけれども、現実は正に乖離している。こういう実定法をこのまま議論をせずに置いておくということは、やはり現実を肯定していってしまうということで憲法の破壊ではないかというふうに私は考えます。 以上です。
○荒木清寛君 続いて網中公述人にお尋ねします。 公述人の報告書を読ませていただきまして、公述人はいわゆる国民投票につきまして、一般的な国民投票につきまして諮問型、助言型の国民投票を我が国においても採用すべきだと、こういうことを提言をされておられます。その場合、今の憲法を改正せずに導入できる範囲というのはどこまでなのかと、このことについて意見を伺います。
○公述人(網中政機君) 諮問型、助言型であれば、地方公共団体が住民投票をやっておるとおり、これは憲法改正なくして私は可能ではないかと。ただし、拘束的な、いわゆる国会等を拘束するような形は、これはできないだろうと。ただし、結果として諮問型であっても、その意見は地方公共団体の住民投票では大部分が尊重されてきているということからすれば、国会のレベルで、これ私は限定的に考えていますけれども、何でもかんでもそこへ持っていけということではなくて、一定の制限を掛けて重要な、いわゆる国政で与野党が厳しい対立をしているものについては、やはり諮問型の意見を聞いてほしいと。これが国民主権の原点ではないかというふうに考えております。 以上です。
○荒木清寛君 関連いたしまして日沖公述人にお尋ねいたしますが、いなべ市では合併の際には住民投票は実施をしなかったということですが、合併の問題に限らず、条例を設けて住民投票をやっておる自治体も少なくありません。市長は、公述人はそうした意味では、いなべ市において今後そうした住民投票ということを考えていくのか、それとも余りそうした制度は評価をしないのか、お尋ねします。
○公述人(日沖靖君) 現行法も、今の法律上……
○団長(関谷勝嗣君) 指名をいただいてからお願いします。
○公述人(日沖靖君) 議会制民主主義という立場から、やはり私は直接民主主義につながる住民投票はすべきでないと考えております。 ですから、今後ともいなべ市として私の任期中はやるつもりもございませんし、そういった大きな課題については直接皆さんと、説明をさせていただいて意見をお聞きしたいと思います。投票という行為をしなくても意見は聞けると思いますので、今現在やるつもりはございません。 以上です。
○荒木清寛君 次に、笠松公述人にお尋ねいたします。 憲法改正をすべきか否か、あるいは改正するとして、どうした内容にするのかということについては各政党意見は出しておりますけれども、国会においてコンセンサスがあるわけではありませんし、国民の間にもまだコンセンサスはないと思います。その上で、公述人の先ほどのお話は、公述人としてはもう憲法改正の必要はないんだから国民投票法も必要ないということが一番の根底であるというふうにお聞きをしたんですね。 ただ、私は、これはあくまでも手続法ですから中立公正な、手続法はやはりない方がおかしいんですから、できるだけ早くこれは整備をすべきであると考えているんですが、いかがでしょうか。 関連して、憲法審査会を常設のものにすることはおかしいという、こういう御批判をいただきました。ただ、これは議論をする場がなければ、憲法改正すべきかどうか、その結果、すべきでないという結論になる場合もあるわけですし、あるいはすべきだという結論になる場合もあるわけですね。そういうやはり議論の場は設けておかなければなりませんし、常設だといっても、必要がなければ開かなければいいだけですので、それも駄目だというのはいかがかと思いますけれども、この点、御意見をお聞かせください。
○公述人(笠松健一君) 手続法なんだからないと駄目、必要ないのかという御質問でしたけれども、こういう手続法をきちっと決めなくても、国民投票をやるということは、やろうと思ったらできると思うんですね。やれる場合はあり得ると思います。 それで、この国民投票法自体、私自身はこの国民投票法を今作る必要ないと思いますし、憲法改正する必要もないからそういうふうに思うわけですけれども、ただ、もし作られるとしても、中身についての問題点、それは先ほどたくさんの論点を申し上げましたけれども、それについて十分議論すべきだと思いますし、その議論が衆議院で十分なされたのか、それから参議院でこれから十分なされていくのか、その点について非常な危惧を持っております。 安倍首相が五月三日までに国民投票法を作ると言われたことに押されて、衆議院でも極めて拙速な審議がされていますし、参議院でも拙速な審議がされるとしたら、これは国の方針を誤ることになりかねない非常に重要な問題点だと思いますので、その点は十分御理解いただきたいと思います。 それから、もう一つよろしいですか。 審査会の点ですけれども、確かに、憲法改正について議論する場が要らないのかと言われると、それはまあ議論する場は持たれたらいいと思うんですが、それは何も審査会という形で置かなくても、これは憲法調査会の中でも議論されていたわけですし、各政党の中でも議論されているわけで、それは、もっとオープンにした、全国民にオープンにされた全国民的な議論の場にしていただきたいというふうに思うんですね。 会期の問題は、これは例えば審査会が傍聴可能なのかどうかとか、それから国民に対してオープンになっているのかどうか、議事録の公開がどうなるのかとか、そんなこととも関係するというふうに思います。ですから、議論する場として全国民的な議論の場をつくっていただく、それならいいんですけれども、この審査会についてそういうものになるのかどうか、非常な危惧を覚えているところです。 以上です。
○荒木清寛君 最後に、鈴沖公述人にお尋ねいたします。 今度の法案は衆議院で修正をされまして、当初は公布されてから二年後に施行するというのを三年後ということに延ばしたわけですね。簡単に言いますと、三年間は憲法改正案について審議はできないというふうにしたわけでありますけれども、この点は公述人としてはどうお考えでしょうか。
○公述人(鈴沖勝美君) 三年というのは、正直言って大変慎重な案になったんだなと、そういうふうに理解しております。 先ほども言いましたけれども、大きな社会の変化の中でいろんな課題が出ておりますので、それから、憲法という基本法ですので、そんなに慌ててやることはないかと。ただ、議論はいろんな形で詰めていって、最後に国会でコンセンサスが得られ、特別多数で決定をされ、発議をされるわけですので、三年というのも特段問題ではないかと、そんなふうに思っていますけれども、最初の印象としては大変慎重な法案を作られたんだなと理解しております。
○荒木清寛君 終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。 四名の公述人の皆さん、大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 最初に、笠松公述人にお尋ねをしたいと思います。 先ほど、広報協議会の問題についてお話をいただきました。広報協議会につきましては、広報協議会なるものを国会の中に置くこと自身の問題とか、あるいは広報協議会の構成の在り方の問題とか、あるいは広報協議会の言わば権限といいましょうか、大体三点ぐらいについていろいろ議論があるというふうに思っております。 このことについては今まで余り議論をされてこなかったなというふうに私は思っておりますが、今日は笠松公述人の方から、そのうちの一つぐらいでしょうか、問題点を指摘されましたけれども、他にも問題点がございますので、この際、与党案の広報協議会にどんな問題意識を持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○公述人(笠松健一君) ありがとうございます。 広報協議会につきましては、今言われたように構成の問題で大きな問題点があります。衆参それぞれ十人ずつで構成されるということになっておりますが、これは憲法改正案が発議された後の問題ですから、衆参それぞれで三分の二以上の賛成で通った後、そうすると、この広報協議会の構成は憲法改正に賛成の議員が圧倒的多数を占めると、こういう可能性があります。そうなると、この広報協議会が憲法改正案、賛成意見と反対意見を広報するというふうになっているわけですけれども、それが本当に公平に扱われるのかどうか、その点について重要な問題点があると思います。 本当に公平に賛成意見、反対意見を扱うためにはやはり国会とは別のところに置くべきではないかというふうに思います。先ほど国会図書館という案を一つ挙げましたけれども、そういうふうに国会の外に置くことが必要だというふうに思いますし、もし仮に国会に置くとしても、そこに対して外部からのメンバーを入れる必要性、これはないのかどうか。本当に国会議員だけで構成していいのかどうか、もっと一般市民だとか、学識経験者ということになるのかもしれませんけれども、メディアの関係者だとか、たくさんの人が入ったところで広報を検討する、その必要性が出てくると思います。 それから、先ほどの意見の中で省略しましたけれども、賛成意見と反対意見を公平に扱うといっても、憲法改正案は一つですから、その賛成意見は一つなわけですけれども、反対意見はいろんな立場から様々な反対意見があり得るわけです。そうすると、そのそれぞれの反対意見も平等に扱うのかどうかというような問題、そういうものが出てきて、この法案の中では賛成意見と反対意見を平等にとしかありませんので、そうすると、賛成意見は五のスペース、反対意見は五つの立場からの反対意見があるとそれぞれ一、一、一のスペースしかないとか、そんなことになりかねない。ですから、その点も十分な議論が必要だというふうに思います。 権限の問題については、広報活動全般をこの広報協議会が決めるということになってくるわけですから、テレビやラジオそれから新聞の枠の決め方ですとかそういうこと、これが本当に賛成意見、反対意見に公平な形で決めることができるのかどうか。先ほどの人数の構成の問題にもかかわりますけれども、その辺りを本当に深い議論をする必要がある、今までの議論では極めて不十分だと、そう考えます。 以上です。
○近藤正道君 私は、憲法九十六条の解釈としましても、国会は発議まで、発議の後は国会は関与は基本的にできないと、こういうふうに思っておるんですが、そういう立場からいたしますと、今の法案は、発議後もかなり国会がいろいろ出張ってきていると、今の放送あるいは広報についても仕切っていると、これは基本的におかしいんではないかなという私自身は問題意識を持っております。 重ねて、今の発議後の国会のかかわりについて更に敷衍して御意見ありますか。
○公述人(笠松健一君) 最初に申し上げましたように、国会のかかわり方というのは発議までというのが、今議員言われたように、憲法九十六条の条文から見れば、発議までは国会はかかわるけれども、それ以外はもう国会はかかわらないと、これが憲法の立場ではないかというふうに思われますので、発議以降はもう国会の手を離れて国民的な議論に任せる、そのための機関を置くべきだと、そう考えます。
○近藤正道君 鈴沖公述人にお尋ねをいたします。 先ほど芝委員の質問のところで少し答弁が落ちていたような気がするのでもう一度お尋ねをいたしますが、最低投票率、日沖公述人、笠松公述人、網中公述人、三名の公述人はいずれも最低投票率を設けるべきだというふうにおっしゃいました。鈴沖公述人は最低投票率設ける必要がないと、こういう立場だったんですが、設ける必要がないということの理由なんです。 これはこの間いろいろ議論があるんですが、こういうものを設けると憲法九十六条に反するあるいは反する疑いがあるという立場で必要ないというふうにおっしゃっているのか、それとも、憲法違反の疑いとは関係なしにいろんな政策論の立場から最低投票率は必要ないという立場なのか、鈴沖公述人はどちらの立場ですか。
○公述人(鈴沖勝美君) 私は学者でもありませんし、深い考えはないんですけれども、特段の条件を設けるのかなという、率直な感想でして、国会で三分の二の多数、特別多数がなければ、しかも両院でなければ発議できない案件について、国民が十分情報を与えられて、あるいは議論する自由を与えられて、その上に機会が設けられるわけですので、なおその上に投票率を、条件を縛るとか、そこまでやる必要があるんだろうかと。率直な意見です。法律の解釈として必要だとか必要でないとかということは考えておりません。
○近藤正道君 そうすると、今のお話は最低投票率を設けると憲法違反という、そこまでは思っていないけれども、いろんな諸般の情勢を総合的に考慮して最低投票率は必要ないんではないかと、こういう立場でしょうか。
○公述人(鈴沖勝美君) 先ほども同じようなことで申し上げたと思いますけれども、憲法の改正をしやすくするのか、しにくくするのか、それを、この国民投票法ですね、そういうことを考えて作るんじゃないだろうと。基本的に厳格な手続が既に憲法で定められていることですので、憲法に従って国会が発議されたものに対して国民はイエスと言うのかノーと言うのかということでして、ある意味では、殊更難しくする必要はないんではないかということになろうかと思います。
○近藤正道君 次に、笠松公述人以外の三名の方にお尋ねをしたいというふうに思います。 今、国会で、今日もそうなんですけれども、国民投票法案の審議が行われております。衆議院でもかなりいろんな議論がありまして、それを受けて今参議院で審議が行われておりますが、この間の国会における国民投票法案の審議について、審議の在り方について、どういうふうな御感想を持っておられるか。笠松公述人はこのことについて今までも御意見を述べられたというふうに私は思いますんで、あとのお三方について御意見をお伺いしたいというふうに思っています。こういう審議の仕方で十分というふうに考えておられるのか、それとももっと慎重に、あるいはこの国会に限らずもっと徹底的に審議をやっていただきたいというふうに思っておられるのか、その辺、どんなものでしょうか。
○公述人(網中政機君) 私は、かなり慎重には審議されていると思いますけれども、せっかくこういう公聴会を幾つかで開かれ、なおかつ中央で、参議院は良識の府として公聴会を開かれるんだろうと思いますので、是非、これは単なる手続ではなくして、御意見を慎重に審議に反映していただいた上でお願いをしたいというのが私の考え方です。
○公述人(日沖靖君) やはり憲法という非常に重要な審議でございますので、十分に慎重を期するべきだと思います、住民を二分するようなそういう投票にはしていただきたくないものですから。ですから、与党さんも十分に審議に協力いただきたいと思いますし、野党の方も反対なら反対、その理由を明確にやっぱりしていただきたいと。ちょっと見えにくい部分がございますので、よろしくお願いしたいと思います。 以上です。
○公述人(鈴沖勝美君) 一般の国民は、議員の皆さんのように個別のことについて日々深く考えているわけではありませんけれども、ある意味では先生方にゆだねている、もうそれが代表民主制といいますか、間接民主制ということであると思います。その具体的な手続がどれほど行われているのか関知しませんのでコメントできませんけれども、今日のように地方にまで出張いただいて公聴会が開かれるとか、あるいはこれまでの長い経過の中でここまで来たんだということで、慎重な手続の下に議論されているというふうに理解をしておりまして、敬意を表しているところでございます。
○近藤正道君 最後の質問でありますが、笠松公述人にお尋ねをしたいと思います。 先ほどのお話の中で国民投票無効訴訟について言及がありまして、この無効訴訟の規定については、要件、手続、効果、いずれの点においても検討が極めて不十分である、このことについてはもっと論議を尽くすべきである、取りあえず法曹関係者の間だけでももっと精緻な議論を重ねるべきだというお話がございまして、一、二点例示もありましたけれども、この点について、更に言葉、お話がありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
○公述人(笠松健一君) これまでもいろんな重要な訴訟手続の法律というのは幾つも決まっております。御承知のように、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政事件訴訟法、人事訴訟法、いろんな訴訟法が決まっているわけですけれども、この憲法改正の手続の中に瑕疵があった、あるいは庭山正一郎さんが衆議院の中でも言われていましたけれども、弁護士ですけれども、憲法改正限界を超えるような憲法改正がなされた場合に、それは訴訟で争えないのかどうかという問題点。それから、この国民投票法自体に憲法違反がある場合には、憲法改正の国民投票自体も無効になるのではないか。つまり、法律、手続法が違憲なために投票自体も無効になるのではないか、こういう問題点もあるわけですね。 そして、先ほど管轄のことも申し上げました。中央、東京でしか裁判ができないのか。そんなことでいいのか。沖縄の人はどうか、札幌の人はどうか。私、大阪ですけれども、大阪で裁判できないのはやっぱり問題だというふうに思います。地方の人たちが問題点を感じれば裁判を起こすことができる、これがこの国の法の支配、法の支配が貫かれているこの国での正義の在り方だというふうに思います。そうすると、地方で裁判を起こせないような法律を作るのが本当にいいのかどうか。 それから、効果の問題ですね。憲法改正国民投票が通って、それに対して裁判が起きた場合に、その裁判の決着を見ずに効力が発生するというような手続が本当にいいのかどうか。いろんな問題点があります。 訴訟法というのは、そういういろんな問題点、民事訴訟法も刑事訴訟法もいろんな問題点があるのを、例えば法制審議会というようなところでけんけんがくがく議論をして何年も掛けてようやくでき上がる、これが通常の訴訟手続法の在り方だというふうに思います。ところが、この憲法改正国民投票についての無効訴訟は、法曹三者が全くかかわっていない、法制審議会にもかかわっていない、そういうところで議員立法で出されてきた、そういう条文構造になっています。 そうすると、何度も繰り返しますけれども、解決できていない問題点がたくさんあって、訴訟当事者がそれをどう使うのかの意見も十分聞かれないままに法律ができてしまったら、こういう手続法が、その訴訟手続法が本当に使い物になるのかどうか、いざ裁判を起こそうとした場合にようやく問題があったということでいいのかどうか、手続法自体の違憲性でもって投票が無効になるようなことがあって本当にいいのかどうか、そういう議論が十分されていない、全くされていないというのが実情ではないでしょうか。 私たち弁護士もかかわって、最高裁もかかわって、法務省もかかわって、この点は十分詰めた議論をする、それこそ二年、三年掛けた議論をして、間違いのない手続法、訴訟手続法を作っていただきたい、これが私の希望です。 以上です。
○近藤正道君 ありがとうございました。 終わります。
○団長(関谷勝嗣君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人の方々に一言申し上げます。 本日は、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして、重ねて厚くお礼を申し上げます。 また、本地方公聴会のために多忙な中、種々御尽力を賜りました関係者の皆様に、この場をかりまして厚く感謝申し上げます。ありがとうございました。 これにて参議院日本国憲法に関する調査特別委員会名古屋地方公聴会を閉会いたします。 〔午後二時五十八分閉会〕 ─────・───── 仙台地方公聴会速記録 期日 平成十九年四月二十四日(火曜日) 場所 仙台市 江陽グランドホテル 派遣委員 団長 理 事 舛添 要一君 理 事 広田 一君 理 事 簗瀬 進君 荻原 健司君 中島 啓雄君 山本 順三君 松岡 徹君 鰐淵 洋子君 仁比 聡平君 長谷川憲正君 公述人 宮城県議会議長 相沢 光哉君 弁護士 佐々木健次君 福島県立医科大 学医学部人文社 会科学講座教授 藤野美都子君 社団法人東北経 済連合会事務局 部長 渡辺 泰宏君 ───────────── 〔午後一時開会〕
○団長(舛添要一君) ただいまから参議院日本国憲法に関する調査特別委員会仙台地方公聴会を開会いたします。 私は、本日の会議を主宰いたします日本国憲法に関する調査特別委員会理事の舛添要一でございます。よろしくお願い申し上げます。 本日の地方公聴会に参加しております委員を紹介させていただきます。 まず、理事から紹介いたします。 民主党・新緑風会の簗瀬進理事でございます。 同じく民主党・新緑風会の広田一理事でございます。 次に、委員を紹介いたします。 私の右隣から、自由民主党の中島啓雄委員でございます。 同じく自由民主党の山本順三委員でございます。 同じく自由民主党の荻原健司委員でございます。 公明党の鰐淵洋子委員でございます。 次に、左へ参りまして、民主党・新緑風会の松岡徹委員でございます。 日本共産党の仁比聡平委員でございます。 国民新党の長谷川憲正委員でございます。 次に、公述人の方々を御紹介申し上げます。 宮城県議会議長相沢光哉公述人でございます。 弁護士佐々木健次公述人でございます。 福島県立医科大学医学部人文社会科学講座教授藤野美都子公述人でございます。 社団法人東北経済連合会事務局部長渡辺泰宏公述人でございます。 以上の四名の方々でございます。 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様には、御多忙中のところ御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。 当委員会におきましては、目下、日本国憲法の改正手続に関する法律案の審査を行っておりますが、本日は、本案につきまして皆様方から広く御意見を承るため、当地において地方公聴会を開会することとなった次第でございます。 皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に、本日の議事の進め方について申し上げます。 まず、相沢公述人、佐々木公述人、藤野公述人、渡辺公述人の順序でお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 それでは、これより公述人の方々から御意見をお述べ願います。 御発言は着席のままで結構でございます。 まず、相沢公述人、お願いいたします。相沢公述人。
○公述人(相沢光哉君) 宮城県議会議長の相沢光哉でございます。 本日、参議院の日本国憲法に関する調査特別委員会によります仙台地方公聴会が開催されるに当たり、公述人として意見を申し上げる機会をいただきましたことを大変光栄に存じております。 私は、自由民主党所属の県議会議員であり、さきに衆議院を可決通過し、今参議院で審議されております日本国憲法の改正手続に関する法律案、いわゆる国民投票法案与党案、正確には修正与党案と申し上げるべきでありましょうが、これに賛成の立場から意見を申し述べさせていただきます。 安倍内閣が誕生して半年が経過しました。戦後体制からの脱却を目指す安倍総理の明確な方針によって、さきに教育基本法が改正され、防衛庁の防衛省昇格が実現しました。特に教育基本法は、憲法とともにGHQの占領政策が色濃く反映されていたものであり、愛国心、宗教的情操の涵養、不当な支配の三点で不十分さが残りましたものの、公共の精神、伝統文化の尊重、道徳心、家庭教育等が盛り込まれた新教育基本法は、我が国の歴史、伝統、文化の大切さを呼び起こし、誇りある日本を築くための教育再生の基点となるものであります。 憲法改正も、正に戦後体制からの脱却と同時に、今日の様々な価値観の中からえりすぐられた、国家、国民が共有できる理想とあるべき形が今改めて求められていることからにほかなりません。日本国憲法が、第九条の戦争放棄に象徴される平和憲法として世界に類例のないものであることから、一切手を加えるべきではないとする一部政党あるいは一部文化人がおられますが、さきに述べましたとおり、現憲法は日本が占領されている時代に占領軍の原文に基づいて制定されたものであることは疑いを挟む余地がありません。良いところは残すとしましても、既に現実にそぐわない部分、例えば自衛隊の自衛軍としての明確な位置付けや地方分権、あるいは地球環境、国際貢献、あるいは個人情報等の項目は、当然書き加え、あるいは書き直しをしなければならないと思います。国民世論も、各種調査の結果、約七〇%近くが憲法改正の必要性を感じております。 古代ギリシャ人は、国家、民族の基盤を共通のロゴス、共通のパトス、共通のエトスにあると説いております。敗戦後六十二年、ようやくにして巡ってまいりました自主憲法制定の機運、国会議員の諸先生方にはこれまでの御労苦に深く敬意を表しますとともに、いずれにせよ、三分の二以上の国会議員の賛同が得られなければ憲法改正案は廃案となり、国民投票にもかけられないわけでありますから、じっくり時間を掛け、より良い改正案を作成して日本人の英知を世界に示していただきたいと思います。 限られた時間でありますので、国民投票法案の論点について、以下、意見を述べてまいります。 まず、国民投票法案が憲法改正に限るとする点については、憲法第九十六条を受けてのことでありまして、至極当然のことであり、賛成であります。一時民主党は、これを拡大して、一般的国民投票なるもの、例えば国政上の重要な案件もこの国民投票にゆだねてはというふうなことを提唱されていたようでありますが、我が国の政治が代議制を取っていることと正に矛盾をしてしまう危険がございます。また、いわゆるポピュリズム政治を招くおそれもあると、こう私は思いますので、これらのことは論外であると言うべきであると思っております。 二つ目に、投票権を十八歳以上の者に与えている点は、憲法第十五条の三項の規定あるいは公職選挙法から整合性にやや問題があるなとは感じますが、むしろ、将来、あらゆる選挙の有権者を、年齢を引き下げていくという方向性を考えますと、今回の措置は歓迎すべきことではないかと、こう思っております。 三つ目に、投票率に下限を設けて最低投票率を設定しようという意見がございます。一見もっともらしい意見と見えますが、私はこれは間違いであると思っております。 その理由を述べますが、まず一つには、この国民投票法案につながっております憲法第九十六条の規定に、これは一切そのようなことは触れていないということから、このような最低投票率を設けるという事態になりますと、憲法違反のおそれなきにしもあらずと、このように考えております。 二つ目に、今回の国民投票法案は憲法改正が是か非かの論点であります。その論点にもう一つ投票率をクリアするかしないかと、これが加わってくるというと、基準がダブってまいりまして、二つなるということから、投票そのものが大変複雑になるということであります。 また、当然ながら、最低投票率を設けるということになると、憲法改正に反対の勢力が間違いなく不成立を目指すボイコット運動を起こしていくんではないかと、こういう心配がございます。 四つ目に、そもそもこのような議論が出ますのは、低投票率になるだろうという前提があるように思います。これは、国民の民意のレベルが低く、関心が薄いあるいは信頼できないということにもつながる議論ではないかと思っております。 五つ目に、そもそも選挙とか投票というものは、これは国民の主権在民からいって大変貴重な権利であり、義務であります。言うなれば、投票というものは何人にも影響されない自由な下で投票をしたりあるいは残念ながら棄権をしたりという事態になるわけでありまして、この投票の結果というものは、一部、首長あるいは国会議員等々の選挙に法定得票率という制約があるものの、この場合はそのような投票率によっての問題を加えることなく、投票は粛々と、そして粛々とその結果を受ける。投票しない自由ということもこれまた配慮しなければならないと私は考えております。 諸外国のいろいろな事例もございますが、時間もございませんので、その点は省略をさせていただきます。 次に、第四点として、公務員、教員の地位利用による国民投票運動の禁止というものがございます。これは賛成でございます。確かに、公務員あるいは教育者といえども一国民という前提で考えればあらゆる運動を行ってもいいんではないかという意見がございますが、しかし憲法第十五条の二項にございますように「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と、このように規定されているわけであります。そういうことから、公務員には組合結成権は認められましてもスト権を認めていないという制約がございます。 公務員あるいは教員がその地位を利用し、あるいは一部の奉仕者として、特定の思想を持つ団体あるいは組合等の力をもって国民やあるいは生徒、学生に影響を与えてしまうということも危惧されるわけでありますので、やはり公務員、教員の地位利用による国民投票運動の禁止は妥当なものと考えております。今回はこのことについての罰則を設けていないということでありますので、そのことも配慮していかなければならないと思います。 五番目に、国民に対する判断材料の提供の情報公開の在り方あるいは啓蒙活動についてでありますが、この憲法改正がなされるまでに国会において十分な憲法審議会による議論が行われていくわけであります。ですから、むしろこの法律によって、今三年間、現憲法に関するあらゆる角度からの調査を中心とした審議を行うことを求められているわけでありますので、この憲法審議会の審議というものをつぶさに国民に知ってもらう、このための例えば公共放送であるNHKテレビの中継等をしっかりやってもらうというふうなことがむしろ大切であると思います。いずれにせよ、今回、国民投票法が成立しましても、実際の憲法改正までには今から少なくとも四年は最低掛かるわけでありますので、決して私は拙速ではないと考えております。 そして、法案成立の六十日以降百八十日の期間を設けてのことでありますが、このことが国民の熟慮をする機会あるいは期間として短いのではないかという意見もございますが、先ほど述べましたような経過から、私は、まして情報化が大変進んでいる我が国の実態にありまして、十分国民が内容を熟思するにふさわしい期間であろうというふうに考えますので、この案についても賛成でございます。 以上、限られた時間でございますので、意見として申し述べさせていただきました。
○団長(舛添要一君) どうもありがとうございました。 次に、佐々木公述人にお願いいたします。佐々木公述人。
○公述人(佐々木健次君) 仙台弁護士会に所属する弁護士の佐々木健次と申します。 本日は、公述人としての発言の機会を与えられたことに感謝いたしますと同時に、参議院の先生方におかれては、私がこれから申し述べることを法案審議に当たって十分しんしゃくし、慎重審議を尽くしてくださいますよう、心よりお願いいたします。 私は、昭和五十二年の四月、仙台弁護士会に入会し、今年で弁護士生活三十一年目を迎えております。在野の町医者ならぬ町弁護士としての三十年でした。 入会した翌年から仙台弁護士会の人権擁護委員会に所属し、今年で人権擁護活動三十年になります。その間、平成八年から現在まで、仙台弁護士会から日本弁護士連合会の人権擁護委員会に派遣されまして、平成十五年、十六年度の二年間は日弁連の人権擁護委員会委員長を務めさせていただきました。そのほか、現在、仙台では憲法改正問題対策本部委員、日弁連では憲法委員会副委員長を務めさせていただいております。また、平成十三年から五年間、ハンセン病回復者の皆さんの救済を目指した補償金給付の認定作業を宮城県にあります東北新生園において座長として行ってきました。 このように、私は、長く人権問題、憲法問題、平和の問題、そして人々の人権救済ということに長らく携わってまいりましたけれども、そのときそのときの活動のよりどころとなるものは、日本国憲法が持つ高邁な人権思想でありました。 皆様御案内のとおり、日本国憲法は、国民主権や全世界の国民の平和的生存権を認めた格調高い前文に続き、十一条、九十七条では「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と高らかにうたっております。個人の尊重や国民の幸福追求の根拠をうたった憲法十三条などは、プライバシーの権利、環境権などの根拠規定となっています。主権者たる国民の知る権利に奉仕する取材の自由や報道の自由は、憲法二十一条から導き出されております。そして、憲法九条は、二十一世紀の今日、地球温暖化など深刻な世界的な環境悪化に立ち向かう指針として新たな輝きを放っているのではないかと私は思っております。 しかし、残念なのは、平和の問題、人々の人権問題や人権侵害を救済することに取り組み感じることは、日本国憲法の立憲主義の理念、これは先生方御案内のとおり、憲法はすべての人々が個人として尊重されるために、最高法規として国家権力を縛り、人権保障を図るために存在するというものですけれども、こういった立憲主義や国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義という基本原理はまだまだ社会の隅々まで浸透していないということです。 ハンセン問題にしても、立法の不作為を違憲指摘した二〇〇一年五月の熊本地裁判決を出すまでもなく、二〇〇三年に発生した熊本黒川温泉宿泊拒否事件、これはハンセン病の元回復者の方の宿泊拒否でございますけれども、選挙区における議員定数の不均衡、刑務所などにおける暴行事件、男女差別を始めとする障害のある人、外国人など民族的少数者に対する差別、貧困と格差の拡大、自殺者が七年連続して三万人を超えていることなど、これらを克服し乗り越えていくためには、あらゆる分野においてもっともっと憲法の基本原理を尊重し、社会のあらゆる分野で憲法の基本原理を浸透させていく必要があると思っています。 日本国憲法を変える前に、憲法の高邁な人権思想を実社会で現実化するため、立法、行政等々でなお一層の最大限努力する必要があると思っています。 本論に入りますけれども、このような見地から見ると、憲法改正手続法案は以下に指摘する問題点が多くあるのではないかと考えております。 まず、議員の発議、修正動議の要件でありますが、修正動議は発議と同じ要件が加えられておりますけれども、修正動議に要する人数に関しては弾力的に、少数意見も尊重しながら柔軟な国会審議がなされるように変更されるべきではないかと考えております。 続いて、最低投票率に関してでありますが、与党修正案には規定がありません。 しかしながら、現行憲法は、人権尊重主義、国民主権及び恒久平和主義を掲げ、六十年間広く国民に浸透、支持され、定着してきた国の最高法規であります。憲法改正というものは、このような国民の間に定着している現行憲法を積極的に変更しようとする行為であり、百年、二百年単位で国民と国家に多大な影響を与えるものであります。それゆえ、憲法自身が一時の政治勢力、権力者の思惑などで容易に変更されないような厳格な改正手続を定めております。よって、憲法改正には国民の多数が現状を変更する旨の意思を明白かつ積極的に表明することが必要と考えるべきです。 憲法の解釈論としても、国会が国民に憲法改正を発議するには三分の二の多数を要するものとしている憲法が、決定権者である国民の承認がある意味ではどんなに少ないものでもいいと考えているとは私は到底思われません。 最低投票率の定めが導入されなければ、例えば、投票率四〇%の場合には投票権者の二〇%程度の賛成で足りることになり、投票権者の五分の一程度の賛成により憲法が改正されるというおそれがあります。このように三分の一にも満たない少数の賛成で国民の間に定着した憲法改正が承認されるのは、憲法改正の正当性、信頼性に疑義が生じ、極めて不当というふうに私は思います。 例えば二〇〇五年の衆議院選挙小選挙区を見ますと、与党、自民党、公明党の得票数は四九・三三%に対し、無所属を含む野党連合は五〇・〇七%でほぼ同数でありました。しかし、議席獲得数は、小選挙区制で自民連合が二百二十七に対して野党連合が七十三で三分の一弱であります。要するに、小選挙区制の選挙では民意が誇張した形で議席数に反映されます。したがって、国会議員の三分の二の多数により発議があったとしても国民の三分の二が支持しているとは限らず、国民の多数が明白かつ積極的に憲法改正を望んでいることを確認するためには最低投票率の定めが必要だと思います。最低投票率の定めがなければ、小選挙区の場合、誇張された民意が修正されることなく、ほんのわずかな賛成で憲法改正がなされてしまう危険があり、硬性憲法の本質に照らし許されないことではないかと思います。 近時、朝日新聞の調査では、七九%の人が最低投票率の定めを必要としていると言っております。四月二十三日付け毎日新聞、日本のスイッチ欄では、低投票の場合、憲法改正の国民投票を無効にしてよいと考える人は七四%に上っています。国民主権の見地から、国会はこれらに示された民意を到底無視できないものではないかと私は思っております。 また、定足数というものは、どの議会でもどの民間の会議でもあるのではないでしょうか。会社の憲法である定款の変更には株主総会の特別多数決が必要とされております。 次に、最低投票率を規定するとした場合、どのように定められるべきでしょうか。この点、近時、地方公共団体で行われている住民投票などでは五〇%を必要とするというような定めがありますけれども、これはやはり民意を正確に把握するということで最低限の基準ではないかというふうに思っております。事は、重大問題たる憲法改正国民投票においては最も厳しい基準を設けるべきであり、私は、国家百年、二百年の方向性を定める憲法改正の重要性や硬性憲法の趣旨からして、少なくとも投票権者の三分の二の最低投票率が定められるべきではないかと思っております。これは、今日、私から資料として皆さんに配付させていただきました日弁連、仙台弁護士会の意見も同旨であります。 続いて、過半数の計算に関してでありますけれども、与党修正案は、投票総数、賛成票プラス反対票の二分の一超えれば過半数であるということでありますけれども、時間の関係で詳しい説明は省略しますけれども、やはり無効票あるいは白票など、そういったものも分母に加えた総数の中の過半数ということに考えていく必要があるのではないかと。要するに、これは、改正行為というのは、先ほども申し上げましたとおり、明白かつ積極的に国の最高法規を変えようとする意思がどのぐらいあるのかということを見るものであります。だとすれば、多数の国民が明白かつ積極的に改正を意図するという、表示をするという、これをはっきり見定めることが必要だと思います。 次に、発議の仕方に関してでございますけれども、私は、国会の審議において、関連する事項ごとに投票するということになっておりますけれども、何が関連するのかということをとことん議論しておくべきではないかと思っています。例えば自衛軍の創設と海外派兵を認める規定が関連するのかどうか、あるいは自衛軍の創設と軍事裁判所の創設は関連するのか関連しないのかなど微妙な組合せも多くあります。法案成立の前に考えられる問題をとことん国会で議論して、後でこんなはずではなかったなどとならないように、考えを確定しておく必要があるのではないかと思っております。 次に、周知期間でございますけれども、与党修正案は、発議から六十日以降百八十日以内としております。しかしながら、これでは私は大変短過ぎると思います。最低一年、可能であれば二年ぐらい置くべきでないかと考えております。東京大学の憲法学者、長谷部教授は、薄っぺらな情報に乗せられて安易な投票をする危険を避けるため、また、発議する政治家側にも熟慮を求める効果を期待するため、二年置くべきだというふうに述べております。 世論調査や街頭インタビューを見ましても、国民投票法案の中身はもとより、現在の自民党憲法草案がどのような内容を有しているのかなど、正確に把握しているのはごく少数だと思います。そのような大多数の人々に憲法改正の中身を十分知ってもらい、改正したら日本という国家が今後どう変わっていくのか、人々の人権が守られることになるのか逆なのか、自由な社会になっていくのか、あるいは思想、良心の自由、表現の自由が制約される窮屈した、硬直した社会に向かうのか、平和な国が守れるのか、イラクやイランなどでアメリカとともに戦争する国になるのか、より平和な国家になるのかなど、しっかり勉強する必要があります。国民が将来に禍根を残さないためには十分な時間が必要だと思います。十分な時間を確保することにより、国民投票運動を日本国民全体が国の将来を考えるという意識、自覚の底上げをするための民主主義の生きた学校とすることが可能です。よって、百八十日あるいは六十日というのは余りにも短過ぎると考えます。 続いて、国民投票運動を禁止する特定公務員に関しては、できるだけ制約的に考えるべきだと思います。 また次に、地位利用による国民投票運動の制限に関しては、公務員、教育者に関して与党修正案はいろいろの規制を掛けておりますけれども、やはりこれは大変問題でありまして、表現の自由、国民投票運動の自由は、憲法二十一条、九十六条、十三条に照らし最大限尊重されなければなりません。したがって、これらは、できる限りこういった制限は規制から外すということに考えられるべきであると思います。確かに、罰則はなくなったようではありますけれども、罰則がなくとも行政処分などを受けるということははっきり国会の議論の中でも言われておりますので、行政処分が重なれば失職し、生活の糧を失うという危険すらあります。 また、十八歳が投票権者となった場合には、高校の教師が高校三年生相手に憲法改正問題を学校で取り上げること自体も負担に感ずることになりましょう。それでは高校生に対し、自律した国の将来につき判断する能力を取得させることもできないと思われ、十八歳を投票権者とした趣旨も没却されるのではないかと思っております。 公務員の政治的行為の制限についても、できるだけ制約がないように考えられるべきであると思います。 また、政党による放送、新聞広告に関しては、広報協議会がこういった広報を担うということに関してはいろいろ問題があるのではないかと思います。やはり、国会は、発議までは国会の権限でありますけれども、その先は国民自身の問題になりますので、こういった広報に関しても、やはり場合によっては中立的な第三者機関によって行われるということも十分検討する必要があるのではないかと思います。 次に、国民投票運動のための広告放送に関してでありますけれども、私は、やはり有料のコマーシャル広告というのは全面禁止にすべきではないかというふうに考えております。確かに、表現の自由の重要性は認めますけれども、ラジオ、テレビのコマーシャル広告放送であれば、それは非常に時間も短いものですし、理性ではなくて情緒に訴えるものであり、掘り下げた理性的な議論はできません、訴えもできません。短期間繰り返し広告が流されることにより洗脳される危険があることなどから、国家百年の大計を計るに当たって主権者たる国民に必要な情報ではないと考えます。これは、経済的な負担によっても大きなハンディキャップが出てくる場合もあります。よって、これは一律禁止とすべきであって、その代わり、国民が参加し自由な討議が可能な公共空間をつくるべきだと思っております。 あとは、多数人買収罪の規定もありますけど、できるだけこういったことはやめるべきだというふうに思っております。 続いて両院協議会に関してでありますけれども、この問題に関しては、このレジュメにも書いてありますけれども、やはり憲法にはその規定がないということで、衆議院の優越も憲法改正問題についてはありません。やはり両院独立した存在であり、独立した考えで意思表示をすべきであって、むやみに両院協議会をつくって意思を調整するというのは憲法の予想するところではないと思っております。 その意味で、憲法審査会及び合同審査会の規定に関しても、非常に硬性憲法の趣旨から大変問題ではないかと。つまり、常時そういった審査会をつくって憲法をどう変えるかということで議論することは、やはり硬性憲法の趣旨及び安定性から非常に問題ではないかというふうに思っておりますし、合同審査会が勧告を出すということに関しても非常に問題があって、より慎重な憲法の本質に照らした十分な審議が私は望まれると思います。 無効訴訟の提起期間、管轄、無効判決に関しても、大変短い三十日ということでありまして、東京高裁一本に絞るというようなことでは、国民の万一のときの訴えの利益というものの、裁判を受ける権利の憲法上の規定に照らしても大変問題ではないかというふうに考えております。したがって、この辺に関してもこれから十分な審議が参議院で尽くされることを切に望みます。 公聴会の開催についても、与党修正案には規定はありませんけれども、やはりこれはきちっと規定を設けるべきではないかと思います。 最後に、まとめでございますけれども、国民投票法は改憲を認めるかどうかを決定する際のルールです。賛成、反対双方が納得できるルールでないと双方後味が悪いと思います。したがって、もっと審議を尽くして双方納得できるルール、国民投票法にすべきではないでしょうか。 最低投票率を設けることは、改憲を目指している人にはハードルが高くなるかもしれません。しかし、それを越えられないときは国民が改憲の必要性を感じていないということではないでしょうか。改憲を行うのであれば、その必要性を国民の多数が感じて投票所に行き、最低投票率を楽々クリアし、反対派も納得せざるを得ないような堂々としたことを行うべきではないかと思います。 最後に、荻原先生がここにおられますけれども、大変スキーでお強くて、ジャンプのルールを改正されて金メダルの後大変苦労されたと。しかし、それを乗り越えて二個目の金メダルを荻原先生取ったというふうに理解しておりますけれども、そういうことで、政権党としては堂々と審議をとことん尽くしてやっていただきたいと切に思っています。 どうもありがとうございました。
○団長(舛添要一君) ありがとうございました。 次に、藤野公述人にお願いいたします。藤野公述人。
○公述人(藤野美都子君) 福島県立医科大学で教員をしております藤野美都子と申します。本日の公聴会において憲法改正手続法案に対する私見を述べる機会を御提供いただきましたことを感謝申し上げます。 私の専門は憲法及び社会保障法です。近年の憲法改正をめぐる動きについては、日本国憲法を守り生かしていかなければならないという立場から高い関心を寄せてまいりました。けれども、現在審議の対象となっている憲法改正手続法案については、今回の公聴会に臨むに当たり初めて最初から最後まで目を通したというていたらくです。したがいまして、本日は憲法学の専門的な立場から意見を申し上げることができません。与えられた十五分間で、参議院議員の皆様に再度御検討をお願いしたいと私が考えている事柄五点について、審議過程に関するもの二点及び法案の内容に関するもの三点に絞り、話をさせていただきます。 なお、お手元に配付させていただきました参考資料は、四月十一日に発表されました「憲法改正手続法案の憲法原理に則った慎重な審議を求める法学研究者の緊急声明」です。重要な問題点について簡潔にまとめられた文書となっていると考えております。 それでは、以下五点について述べさせていただきます。 第一点、慎重な審議を求めます。 憲法改正手続法案は、手続法とはいえ、公権力を規制するための国の基本法である憲法の改正手続に関するものです。慎重に審議されて当然です。参議院での法案の趣旨説明がなされたのは今月十六日です。常識から考えて、審議は緒に就いたばかりです。にもかかわらず、憲法改正手続法を、安倍総理大臣がおっしゃっておられるように五月三日までに成立させなければならないのでしょうか。 憲法九十六条に国民投票に関する規定があるにもかかわらず国民投票法を制定していなかったことに問題があるとの声が聞かれますが、私はそのようには考えておりません。これまで手続法がなかったからといって国民に何らかの不利益が生じたでしょうか。頻繁なる憲法改正を前提としていない憲法の下では、このような手続法は憲法改正の発議がなされるときに存在すればよいのです。今回の法案においても附則で、この法律は、公布の日から起算して三年を経過した日から施行するとされ、施行されるまでの間に投票権年齢や公務員の政治的行為の制限に関する検討等を行うとされています。これらの重要な諸課題について国会できちんとした審議をした上で法律の成立を目指すべきであると考えます。 なぜ五月三日までに成立させなければならないのでしょうか。五月三日という期限にどのような合理的な根拠があるのでしょうか。この五月三日は、日本国憲法施行六十周年の記念すべき日です。その日に向け憲法改正のための国民投票法の成立をというのは、憲法九十九条により憲法尊重擁護義務が課されている人の言動としては余りにも思慮がなさ過ぎるとは思われないのでしょうか。 第二点、内実の伴う公聴会の開催を求めます。 本日私がこの席に参ることになりました主な要因は、福島在住で憲法に関心を持っており、たまたま本日の午後のスケジュールが空いていたということにあります。また、本日の公聴会に私が出席することが決まりましたのは四月二十日金曜日夜でした。冒頭お断りしましたように、私はこの憲法改正手続法案についてこれまで自ら積極的に情報収集したことはなく、新聞報道以上の情報を得ておりませんし、国民投票について専門的な研究をしたこともございません。参議院事務局から送付をしていただきました関連資料を手にすることができたのは本日の朝です。準備をするにも全くと言っていいほど時間がございませんでした。結果として、このような貴重な機会を十分に生かせないことをとても残念に思っております。今回の公聴会実施の決定は十九日木曜日であったとお聞きしておりますが、これでは適切な公述人を選任することは不可能です。 公聴会は、本来、重要な案件について利害関係者や学識経験者等の国民の意見を広く聴き、これを審議経過に反映させ慎重な審議を図るために実施されるべきものです。今回のような形での公聴会の開催については、案件を通過させるための形式的な手続の一つにすぎないと指摘されても致し方ないように思われます。 第三点、ここからは法案の内容について述べさせていただきます。国民が熟慮、討議する十分な時間を確保するよう求めます。 法案では、国民投票は、国会が発議した日から起算して六十日以後百八十日以内において、国会の議決した期日に行うとされていますが、憲法改正案を国民に周知する時間として、さらに国民が熟慮し、討議を重ねる時間としては不十分であると言わざるを得ません。六十日以後であればよいということであり、憲法改正案の内容を十分に理解する時間を国民に提供せず、反対意見が大きくなることを避けたいとしているように受け止められます。 法案では、憲法改正案の広報に関する事務を行う国民投票広報協議会の委員は、各議院における各会派の所属議員数の比率により、各会派に割り当て選任するとされており、憲法改正案に賛成の議員が多数を占めることになります。協議会の広報については、客観的かつ中立的に行うとともに、憲法改正案に対する賛成意見及び反対意見の記載については公正かつ平等に扱うものとすると規定されていますが、この中立性や公正性はどのような形で担保されるのでしょうか。この点が不明です。このような協議会による広報に対して、憲法改正に反対の立場に立つ人々の活動のために十分な時間を確保すべきです。 法案は、国民投票の期日前十四日より前においては、一般放送事業者等の放送設備を使用しての国民投票運動のための広告放送を規制していません。このような前提の下では、財力のある人たちの声が大きくなる可能性は極めて高いと言わざるを得ません。財力のない人々の声が社会に広く行き渡るには時間を要します。やはり十分な時間を確保すべきと思います。よらしむべし、知らしむべからずの時代ではありません。国の基本法である憲法改正案について十分理解した上で熟慮し、討議を重ねる時間を国民に保障するようお願い申し上げます。 第四点、最低投票率を規定するよう求めます。 憲法九十六条には、この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際に行われる投票において、その過半数の賛成を必要とすると規定されています。これまで憲法学では、有権者総数、投票総数、有効投票総数のうちのどれを基準とした過半数かについては定説はなかったと言ってよいと考えていますが、有効投票総数の過半数とする説が多数説と指摘されています。このような中で、最低投票率を規定し、過重な要件を加えるべきではないという指摘も聞かれますが、私はそのようには考えておりません。 憲法は公権力を規制するための規範です。この規範の改正を、公権力の一翼を担う国会議員の総議員の三分の二以上の賛成により国会が発議するものとされています。憲法により権力を規制される側がその憲法を窮屈であるとして改正を求める事柄に対する主権者、国民の意思を慎重に判断するために最低投票率を規定することは、何ら憲法に反するものではないと考えています。 また、最低投票率を定めるとボイコット運動が広まるという指摘もございますが、これも一つの意思表示と受け止めるべきというふうに考えております。 第五点、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の禁止について再考を求めます。 法案では、公務員等及び教育者については、地位にあるために特に国民投票運動を効果的に行い得る影響力又は便益を利用して、国民投票運動をすることができないとされていますが、具体的にどのような行為が禁止されるのかについて不明確であり、表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならないという法案百条の規定にもかかわらず、表現の自由、学問の自由、政治活動の自由等が真に保障されるのか、不安を感じます。 私のように、日本国憲法を守り生かしていくべきであると考えている教員が大学で講義をする際、あるいは地域の学習会で憲法の話をする際、この法案の規定によればどこまでが許され、どこからが禁止されるのでしょうか。 これからの審議においては、そもそもこのような禁止が必要とされるか否かについて再度御検討いただきたいと考えております。現在は国家公務員法や地方公務員法において公務員の政治活動が禁止されておりますが、その在り方自体に問題があると私は考えております。また、公務員等及び教育者の国民投票運動の規制を検討する際には、より具体的にどのような行為を対象とする規制なのか明確にした上で御検討いただきますようお願い申し上げます。 以上、簡単ではございますが、憲法改正手続法案に対する要望を述べさせていただきました。 御清聴ありがとうございました。
○団長(舛添要一君) どうもありがとうございました。 次に、渡辺公述人にお願いいたします。渡辺公述人。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 しんがりを務めます社団法人東北経済連合会の渡辺泰宏です。どうぞよろしくお願いいたします。 本日の仙台での公聴会に、私、公述人として参加できる機会を得られましたことに、大変うれしく今感じているところであります。 私は昭和二十九年生まれですが、ちょうど社会人となった昭和五十三年はほぼ戦後三十年の時間がたっておりました。当時は石油危機という未曾有の危機がありましたけれども、大体総じて日本は戦後の新憲法の下で、言わば一応与えられた形、所与の枠組みの中で私も生活を社会人として歩み始めてきたわけです。また、当時は、今日のように大学時代で学んだ憲法改正がよもや議論の対象になるなどとは全く夢にも思っておりませんでした。それから三十年がたち、言わば戦後六十年を経て、現在はあらゆる社会の枠組みが変わろうとしていることを最近痛切に感じております。身近なところでは裁判員制度もそうでありますし、また長期的に見れば、安倍政権が力を注いでおられる道州制論議も、同じ社会の、日本の国家、枠組みを変える大きな変革期にあると感じているところであります。 いずれにしても、我が国が、戦後一貫して右肩上がりの高度経済成長時代から二十世紀末、一九九〇年代の平成不況を経て、日本という国が大きく変わろうとしている時期を迎えていることは間違いないことだと思っております。言わば日本社会が先進国と言われる欧米諸国の経済水準に到達した中で、これから現代は個性を尊重しながら個人の豊かさを体現できるような社会に変わろうとしているわけです。 このような中で、国民投票法案が我が国の将来を国民がじかに考えていく機会を与えておる、あるいは与えられた重大なテーマであると私は認識しております。その中で、私は本日、経済界の一員として見解を述べることといたします。 まず、私は、この国民投票法案に対して基本的に賛成でございます。 私自身、賛成と考えるポイントは、五点ほど私として考えておる部分がございまして、その点を中心に御説明申し上げます。 一点目は、国民投票制度は、民主主義の具現化、体現化にあるということであります。 なぜならば、国民投票は、国民が直接憲法改正に対する法律案に投票が認められている唯一の権利であり、この権利を行使するための法制度を整備することは、立法府を始めとする国の責務であると考えているからであります。 日本国憲法は、その前文で主権は国民にあることを明言し、かつ加えて、国会の代表者を通じた国政の運営をうたっていることから、要は、この理念というのは紛れもなく議会制民主主義制度に基づくものであると感じておるわけであります。 そこで、そのような観点から憲法第九十六条を見てみますと、ここにおいては、国民の代表者である国会議員が議論を真摯に進めて、衆議院議員と参議院議員のそれぞれ三分の二以上の承認がなければ可決できないという厳しいハードルを設けているだけでも、この憲法改正というものは実に重々しいものと受け止める次第であります。 逆に、国民の代表者の三分の二以上の総意というものは、ある意味ではその代表者ということでありますので、議会制民主主義における民意の反映とも言えると私は感じております。加えて、主権者である国民が直接意思を反映できる国民投票というものも憲法に設けられていることでありますので、これは憲法の重みと二院制を踏まえた言わば究極の民主主義国家の一つの体現ではないかと感じているわけであります。 次に、二点目に、国民投票に関して申し上げます。 国民投票に関しては憲法改正に限るというのが今回の衆議院を通過した法案内容であると思いますし、私も、相沢公述人もお話ししておりましたが、投票の対象が憲法の改正に限定するという部分については全く同感であります。一部の議論で国政の重要問題まで広げようとする御意見もございますが、私はそれについては反対いたします。 私の理解では、そもそも憲法改正を記述した九十六条自身は憲法改正に限定しておる記載であり、仮に将来九十六条自体が改正対象とならない限り国政の重要問題まで広げるべきではないと考えているからです。言わば憲法改正という極めて次元の高い部分での国民の意思表示と、国民を代表して重要な国政問題を審議する立法府に代えて国民投票に転じようとすることは、私としては、議院内閣制自体の存在を問いかねぬことに、そういった点は慎むべきではないかと考えるところであります。 また、三点目は、投票権者について申し上げます。今回の原則十八歳以上について申し上げます。 我が国はもう既に人口減少社会に突入しており、また少子高齢化社会を迎えております。このような中で、多くの国民の意思を発現あるいは発露する機会があってもいいのではないかと私は感じております。特に、日本の国家の将来の帰趨を決めるような憲法問題に関しては、若い世代、将来世代を担う若い世代を含めて大いに議論したり意思を表明することが重要であると感じている次第です。 もっとも、個人的には、二十歳を超えたとはいえなかなか大人社会に入れない若者も少なくないと私自身感じる場面もありますが、今の世界の趨勢を見ても選挙権は十八歳というのが大勢であり、若い世代には早い段階から選挙を通した社会参画をさせるということは、長い目で見た場合の大変効果的な方策であると考えるわけであります。もちろん、若い世代への意識喚起や、あるいは現行の選挙権二十歳以上というような、そういう部分の法改正は今後必要になるのは自明のことであります。 四点目は、有効投票に関してであります。 ここは公述人の方々にも意見の分かれているところではありましたが、私は投票の可否は有効投票の過半数ということでよろしいと思っております。 具体的なテクニカルなところまでは私もすべてを承知しているわけではございませんが、私の言いたいところは、既に立法府で三分の二以上の総意を経て民意を問う以上、私は投票の可否については、それはもう過半数で十分ではないかと考えるわけですが、その中で、賛成、反対の例えば意思表示をする方法や具体的に投票用紙の記載方法などについては、憲法調査会等や他の機関で十分検討していけばよろしいと思っております。 そこで、一つ、一部に有効投票の多い少ない、いわゆる多寡を問題にする声もございますが、自らの生活の根本にかかわるような憲法改正問題、つまり国民が憲法改正という国家としての最重要事項に関して無関心であるはずがあるのでしょうか。私は、そこをまず一番最初に考えてみたいと思っておるわけであります。先ほど別な公述人の方もお話しされていましたが、逆に、一定の水準を設けたりすることは逆に国民を軽んじる、あるいは国民の認識度を問うようなことになりかねないかと感じているわけであります。 ただし、その場合に、国民投票に際しては、憲法改正案が提示されるまで、それから投票までの期間に至るまで、やはり十分な理解と啓蒙活動が必要であります。低いからといって是認するのではなく、やはり何らかの効果的な方法を考えて理解と啓蒙活動を図っていく。そうして、それがやがては有効投票自体が話題にならないような、そういう仕組みづくり、私は今はそのアイデアは持っていませんが、そういう仕組みづくりも必要である、またそういう仕組みづくりを望む次第であります。 最後の五点目としまして、国民の世論喚起という観点から申し上げます。 いずれにしても、憲法改正論議につながる国民投票法案については、国民の世論喚起が極めて重要な問題であります。そもそも、憲法改正案がどのような形で国会議員から発議され、それがどのような経過で衆議院議員の中で、あるいは参議院議員の皆さんの中で議論されていくのか。そして、そこでの賛成、反対の論点や問題は何かなど、国民が自らの視点でしっかりと考えていくことが重要であります。これをしっかりとフォローあるいは捕捉、伝えるのは、できるだけ客観的な事実や報道や情報を提供できるような仕組みづくりや体制などが必要ではないかと考えているところであります。 以上五点、私の意見を経済界として代表して申し上げました。 終わりになりますけれども、今や我が国は国際的にも国内的にも大きな変革期を迎えているのは、冒頭から述べたところでございます。その中で、我々国民は将来世代に禍根を残さぬように、今の時期に十分な議論を尽くして、しっかり自分で判断すべきところは判断すべきであると感じているところであります。 憲法前文では、日本国民は恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚することをうたっております。国際社会の中での役割を我が国が任じた上で、戦後六十年を経た二十一世紀社会でも日本が輝ける国になり続けることを祈念して、私の公述を終えることといたします。 御清聴ありがとうございました。
○団長(舛添要一君) ありがとうございました。 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。 なお、質疑及び御答弁は着席のままで結構でございます。
○荻原健司君 自由民主党の荻原健司でございます。 本日は、大変お忙しいところ、四名の公述人の皆様には意見の陳述をちょうだいいたしまして、大変ありがとうございます。 また、今日は傍聴席にも大変大人数の皆さんにおいでをいただいているということもありますし、また今日もカメラもたくさん入っているということで、この法案又は憲法について非常にやはり関心の高さというものをうかがわせていただきました。 時間の関係もございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。 まず、それぞれの四名の公述人の皆様からもお話がありましたが、特に相沢公述人、そして渡辺公述人のお二方からは、この法案の国民投票の対象についてはいわゆる与党案でいいんではないか、いわゆる憲法改正に限定するということでいいだろうというお話がありました。ただ、佐々木公述人、藤野公述人からは、私の聞き逃しかもしれないんですが、対象についてというところはもう少し触れられておられなかったのかなというふうに思っておりますが。 与党案というのは憲法改正に限定をしておると。また、民主党案では憲法改正の対象となり得る問題、統治機構に関する問題、生命倫理に関する問題、その他国民投票の対象とするにふさわしい問題として別に法律で定める問題と。与党案、民主党案ではその対象が少し幅があるんですが、佐々木公述人と藤野公述人お二方に、国民投票の対象についてどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。
○公述人(佐々木健次君) 佐々木でございます。 私としては、時間がなかったので申し上げませんでしたけれども、やはりそういった国民投票運動というものを、先ほど申し上げました日本国国民全体の民主主義の底上げをする学校とするためには、そういった幅がもうちょっとあってもよろしいのではないかというふうに考えております。
○公述人(藤野美都子君) 藤野でございます。 今回の法案における国民投票の対象については、私は憲法改正に限るべきだと考えております。
○荻原健司君 続きであれなんですが、佐々木公述人に、もう少し幅があってもいいというところで、民主党案には先ほど申し上げましたようないろんな案が出ているわけなんですが、佐々木公述人においては、いわゆる民主党案がいいのか、又は更にもっと広げるべきなのか、何かもう少し具体的に教えていただければと思います。
○公述人(佐々木健次君) 佐々木です。 私は、民主党案がいいということよりは、もうちょっと幅があってもよろしいのではないかという程度の考えでございます。
○荻原健司君 ありがとうございます。 次に、これは皆さんからの御意見にもございました、再確認する形でお伺いしたいと思うんですが、いわゆる国民投票法案の論点の一つに、やはり最低投票率規定というのがあります。これを設けるか否か、どうしようかということなんですが、我々与党案としては最低投票率は設けるべきではないということではあります。先ほど、佐々木公述人からは六六%という非常に高い最低投票率を設けられていると思います。また、藤野公述人からも最低投票率は設けるべきだというお話がありましたけれども、ただ何%ぐらいにした方がいいのではないかということは触れられておられませんでした。 ここでもう一度四名の公述人の方にお伺いをしたいんですが、やはりこの最低投票率規定、繰り返しになるかもしれませんけれども、盛り込むべきか否か、又は盛り込むとすればどのくらいの割合が必要なのかどうかということも含めてお伺いをしたいと思います。
○団長(舛添要一君) それでは、順次、相沢公述人からお願いします。
○公述人(相沢光哉君) 相沢です。 私の意見としては設けるべきでないということで一貫をしておりますが、外国の例を見ますと、例えばフランス、スペイン、イタリアでは、今回の日本の与党案と同じように有効投票総数の過半数を要件としているというだけで、最低投票率の規定がありません。また、韓国は五〇%という数字を設けているようでありますが、アメリカ、ドイツにおいては国民投票そのものの制度がないと。ドイツなどは、戦後同じ敗戦国として憲法改正がもう数十回行われているお国柄でありますので、まあそういうことからいっても日本として初めての国民投票が実施される、その時点になったらこれは国民の関心は大変高いはずなんですね。 ですから、何%でなければ無効だというふうな議論が私は実際上は起きるはずもないだろうと、まず思います。相当高い投票率になるだろうと思いますし、また、先ほど申し上げましたように、やはり国民の代表たる国会議員が三分の二以上の賛成で改正案を提案したということであれば、これはやはり代議制の趣旨からいってもそれ以上のハードルを国民の方で新たに設ける必要は全くないと、このように思いますので、過半数で、しかも有効投票数の過半数で十分だと思っております。
○公述人(佐々木健次君) 私は、先ほど申し述べたとおりでございますけれども、憲法自身の解釈論として、国会の発議に三分の二の多数を必要とする大変高いハードル掲げているわけです。それが国民投票になったら、ある意味ではどうでもいいというような、恐らくこれは憲法の考え方ではないだろうというふうに思っております。 また、実質論としても、やはり国家百年、二百年の大計を決める根本法律ですから、やはりそれなりの改正するという正当性を憲法が持つためには、それ相応のやはり多数の賛成なり反対なりの意見が出てくる必要があるんだろうというふうに思っています。 あとは、九十六条を一点だけ触れたいと思いますが、先ほど申し上げましたけど、国会は発議までなんです。あくまでも提案なんです。主権者たる国民に対する提案です。それの提案を受けて、国民が自らの憲法制定権力の行使として同意するかどうかということですから、やはりそれはそれ相応のきちっとした多数の賛成が必要だろうと、改正する場合にはですね、というふうに思っております。 それで、六六%というのは、その根拠をちょっと御説明申し上げますと、まあいろいろ見ると三%ぐらい無効票が出るらしいんですけれども、そうするとその半分ですと大体三〇%ちょっとぐらいと。そうすると、投票権者の少なくも三割の人ですね、投票所に来ない人も含めて三割ぐらいが改正しようということであれば、これはやむを得ないのかなというふうに思っておりまして、そういった意味で六六%というような考えを取っております。
○公述人(藤野美都子君) 藤野でございます。 私は、最低投票率を規定するように先ほどお願いを申し上げましたけれども、残念ながら、五〇%がよいのか三分の二がよいのかに関しまして、自分自身でまだきちっと判断する材料を得ておりません。ですから、数字として申し上げることはできません。 ただ、最低投票率を設けるべきであるというふうに考えた背景でございますけれども、国民投票に国民が参加するということは、やはり憲法改正の議論がこの時点で必要だと感じている人が投票に行くというふうに判断します。ですから、ほとんどの国民が投票所にも行かないというような形で憲法改正を発議するということは、恐らく国会の側が国民の意思を誤って判断したんではないかというふうに考えられると私自身は考えております。そういう意味で、最低投票率が設けられてしかるべきだというふうに考えております。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 私は設けないという形で先ほども申し上げておりますし、その考えには変わりはございません。 まず、その理由は二つございまして、一つは、国民投票は基本的には国民の人が直接意思表示をすると。例えば公職選挙法で、例えば皆様、議員の方々が最低幾ら取らなきゃならないというようなところは、国民の代表を選ぶところでありますから、そこの数字という点では数字が出てくるのは一つ当然かもしれませんが、国民が直接やる場合にはそこは設ける必要はない。もし、行かないという方はそれは国民投票に反対だという意思表示でもございますので、その議論まで私は踏まえぬでもよろしいのではないかと考える次第です。
○荻原健司君 ありがとうございました。 最後になんですが、皆さんからの御意見を伺っておりまして、その法案の中身、与党案、民主党案どちらがいいかとかそういうことは別にして、憲法が公布されてから六十年たった、その中で、やはりその憲法改正の手続の法律というのはなかった、その手続法を作ることについてはいわゆる賛成だというような御意見だと思いますが、そこに変わりはありませんか。 もう時間もありませんので、簡単にお話しをいただければと思います。
○団長(舛添要一君) それでは、各公述人、一言ずつその点をお述べください。
○公述人(相沢光哉君) ごめんなさい。ちょっと、もう一度お願いします。
○荻原健司君 いわゆる法案の中身、法律の中身は別にして、とにかくこの手続の法律だけはやはり作るべきだというのは、四名の皆さんに共通はしていると思うんですが、その気持ちにはお変わりはありませんか。
○公述人(相沢光哉君) もちろんそうですが、六十年目にしてようやくという感じをいたしております。
○公述人(佐々木健次君) 単純に作ることがどうのこうのということよりは、私自身としては、どういう政治情勢の中でこの法案が出てきたのかというようなことをやはりきちっと押さえておかなきゃならないのではないかと思っております。 私、今申し上げたように、三十年人権擁護活動をしてきましたけど、日本国憲法は非常にすばらしいと思います。それを変えようとする法律は、やはり根本のところではやや疑問を強く感じております。 以上です。
○公述人(藤野美都子君) 私は、日本国憲法を今改正することに反対の立場に立っております。したがいまして、手続法は必要がないというのが私の立場です。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 私は法律手続を必要だと考えております。
○荻原健司君 ありがとうございました。
○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。 本日は四名の公述人の皆さん、お忙しい中、また貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。 それでは、早速、質問の方に入らさせていただきたいと思います。 まず、最低投票率に関しまして、相沢公述人、藤野公述人に御質問をいたします。 相沢公述人は最低投票率導入については反対だというふうなことでございますけれども、その一方で憲法改正には賛成であるという立場でございます。その憲法改正の賛成の一つの論拠として、国民世論の約七〇%が憲法改正を求めているというふうにおっしゃいました。それに対して、先ほど佐々木公述人の方からも御紹介がございましたように、最低投票率の導入については朝日新聞の世論調査では七九%が賛成でございます。そういった観点から、一点、御所見をお伺いをしたいと思います。 そして、ボイコット運動につきまして、これは間違いなくボイコット運動が起こるというふうなお話がございました。確かにボイコット運動は起こる可能性があるとは思いますけれども、私は間違いなく起こるということについてはいささか疑問でございまして、といいますのも、ボイコット運動というものも非常にする側にとってはもろ刃の剣であります。つまり、本来だったら否決されるような案件が棄権をすることによって承認をされるというふうな可能性が出てくるわけです。ですから、本来ボイコット運動が効果的であるためには、投票率が低いということが予測されること、そしてボイコット運動をする団体が全国的な組織力を持っていること、こういうことが要件になると思います。そういった意味では、少なくとも憲法九条改正においては私はボイコット運動というものは起こりにくいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そういった点についての御所見をお伺いをします。 同じくこの点については藤野公述人にも御所見をいただきたいと思いますが、あわせて藤野公述人には、ボイコット運動も権利の一つであるというふうなお話がございましたけれども、確かにそうかもしれませんが、私はそれは推奨すべきものではないなというふうに率直に思うわけでございます。むしろ、この国民運動といったものが盛り上がるような手法を考えていかなければならないというふうに思いますので、これについての何かアイデア、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(相沢光哉君) 最低投票率を設ける必要がないという考え方と、世論がそれでも七九%設けた方がいいという意見にあるという広田理事の御指摘でございます。世論調査の中で、例えば最低投票率を設けなくともいいか悪いかということで聞けば、これは設けた方がいいんじゃないのと言う人は、私はまあ率直に言って多いと思うんですよね。ただ、よくよく考えていただければ分かるんですが、国会議員の三分の二以上の賛同がなければ改正案そのものが成立しないんですね。ですから、三分の二以上の国会議員の方が是とした案が出てきたという前提に立てば、これは私は最低投票率を設けていく必要性が実質上なくなるだろうと。ですから、世論としてそのような八〇%近い人が期待しているぐらいの投票率にはなっていくだろうと思います。 それから、ボイコット運動なんですが、当然憲法改正を必要としない人たちから見ればすべての動きが、まあ極端に言えば好ましくないと、こう考えますから、あらゆる手段を取ってくるというのは想定されるわけであります。そういう面で、日本人というのは甲乙相反する議論をとことんまた冷静にやっていくというところが正直言って、私も議会人でありますからかねがね経験はしているんですけれども、なかなか日本人の国民性からいって、口角泡を飛ばして議論をするということよりもある程度様子を見るというふうな方々が多い。その中で、一部とはいえ強い勢力の方々がボイコットに走ってくるということになると、その影響は相当大きいだろうというふうに思います。 ですから、戦後の日本にとっては大変初めての体験ということになりますので、やはりそういう危惧は起こらないような布石を国会としても是非対処していただきたいと、このように思っております。
○公述人(藤野美都子君) 藤野でございます。 ボイコット運動につきまして、先ほど私が国民の権利というふうに発言をしたといたしましたら、それはちょっと訂正させていただきます。国民の意思表示の一つとして受け止めていいものだというふうに理解しております。 運動の仕方というのはそれぞれあってしかるべきで、積極的に投票に行く、行って賛成する、反対する。それから、この時点で憲法改正が必要ないというふうに判断した上で積極的な形でボイコット運動をするというのも、運動の在り方としては当然あると考えております。そういう国民の意思表示は、それを危惧して最低投票率を記載しないというのは理由にならないだろうというのが私の意見でございます。 それから、ボイコットではない形で積極的にその議論に参加するような形でというお話がございましたけれども、この点に関しましては、私自身は、今回の法案で発議から六十日以降百八十日以内という短い期間で広報活動を行い結論を出すというふうに御提案されておりますけれども、やはりこれはもっと長い期間設けて国民の議論がきちっと成熟するまで待っていいというふうに考えております。 以上です。
○広田一君 どうもありがとうございます。 続きまして、佐々木公述人にお伺いをいたします。 国民運動の自由についてでございますけれども、先ほどの御説明の中で、公務員、教育者の政治的自由等を理由といたしまして、規制についてはなくすべきだというふうなお話がございました。それに対して、いわゆるスポットCMにつきましては、広告主の表現の自由については一律禁止するというふうな御主張だったというふうに思いますけれども、この面は、国民運動の自由というふうな点から立てば、整合性の上でどのようにお考えなんでしょうか。
○公述人(佐々木健次君) 一見、整合性がないように思いますけれども、私はやはりそういう結論を取るのは、要はその憲法改正国民投票の中においてより有益な議論がなされるのかなされないのかというところを中心として考えております。そういった意味では、公務員なり教員の行動の制約というのは有益な議論をいろんなところに出すのに当たって非常に制約になるということから、また憲法二十一条の趣旨などなどから、やはりできる限り抑制的に考えるべきだろうというふうに思っております。 コマーシャルに関してはどうなのか。確かにそれは表現の自由の一態様ではありますけれども、やはり先ほど申し上げましたとおり、CM広告などに関してはごく短時間、理性ではなくて情緒に訴える時間しかないと思います。これは恐らく、広告を専門にされている方に国会に来ていただいて話を聞けば恐らく大部分の人はそう思うと思います。そういった意味では、国民がその憲法改正問題をどう考えるかというところで有益な議論を提供するのかどうなのかということになると、やはりそれは弊害が余りにも大きいだろうと、有益な議論の場を提供するものではないというふうに思います。 それは財力の問題にも大きく関係しております。先ほどちょっと申し上げませんでしたけど、やっぱり財界は、先生方御案内のとおり、やっぱり憲法を改正しようということで声高に申し上げている、そこからどんどん資金が流れたら、とても一般市民は太刀打ちできません。そういった意味で、それはやめるべき、制約するべきだと。その代わり、公共のだれでも参加できる空間でとことん議論したらいいと思っています。こういう考えで区別をしております。 以上です。
○広田一君 スポットCMにつきましてもう少し具体的にお伺いをしたいんですけれども、与党案では、広告主の表現の自由というものを最大限に尊重しなければならないと。一方で、先ほど佐々木公述人がおっしゃったような危惧等があるわけでございますので、投票日前の二週間前にこれを禁止しようというふうなことを出しております。 これについての御所見をお伺いした上で、逆にその与党の皆さんの提案の前提に立ちますと、期日前投票の初日に投票した国民というものは、まさしく扇情的なCMの冷却期間といったものを経ることなく、冷静な判断ができないまま投票される可能性というものが出てくるわけでございます。そうならないためには、スポットCMというものは、基本的にはおっしゃるとおり全面禁止するか、また若しくは与党の皆さんの論に立てば、期日前投票の更に二週間前に禁止しないと私は整合性は取れないというふうに思うんですけれども、この点につきましてはいかがでしょうか。
○公述人(佐々木健次君) 佐々木です。 確かに、修正で一週間が二週間に延びたというところは評価しますけれども、この法案ですと六十日から百八十日、私の考えだと一年ぐらいつくらなきゃ駄目じゃないかということですけれども、仮に百八十日としても、たかだか二週間それをやめたとしたって、その前何日あるんでしょうか。その間にコマーシャルが流れっ放しということになると、もう相当いろいろ弊害が出た状況というのは到底二週間では恐らく回復し切れないというふうに思っております。
○広田一君 次に、渡辺公述人にお伺いをいたします。 五つ挙げられた賛成理由等の中で、世論の喚起というものが大変重要であるというふうなお話がございました。私もそのとおりだというふうに思います。 そういった中で、国民投票法案の第十一条に書かれております国民投票広報協議会、この果たす役割というのも大変大きいものがあろうかというふうに思いますけれども、実はこの協議会というものは国会が発議した憲法改正に賛成した衆参国会議員でほとんど占められてしまいます。その協議会が、法十四条の二項に規定されていますように、憲法改正案並びに要旨などの記載などについて客観的かつ中立的に行うことができるというふうにお考えなのかどうか。また、憲法改正案に対する賛成反対意見の記載などについても公正かつ平等に扱うことということが法律で規制されておりますけれども、こういったことが現実的に可能というふうにお考えなのかどうか、この点についての御所見をお伺いしたいと思います。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 実際に仮定の話ですので、私も今の段階でどうだという形は述べにくいわけですけれども、ただ少なくとも、この形で賛成派が占めていくにしても、そこには当然国民の目も入っていきますし、いろいろな形で私は制約といいますかあるいは自制とかいう形が出てくると感じております。 以上です。
○広田一君 四名の公述人の皆さん、本当に貴重なお話をいただきましてありがとうございました。今後の慎重かつ十分な審議に役立てたいというふうに思います。本当にありがとうございました。
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。本日はお忙しい中、公述人の皆様、大変にありがとうございました。また、貴重な御意見をちょうだいし、心より感謝申し上げます。 まず初めに、四人の公述人の方にお伺いしたいと思いますが、投票権者についてお伺いしたいと思います。 先ほど、相沢公述人、渡辺公述人にも触れていただいておりましたが、当初、与党案では国民投票法案の投票権者を二十歳以上ということにしておりましたけれども、併合修正案によりまして原則十八歳以上ということでなっております。この国民投票は若い方も含めましてより多くの方に参加をしていただくということで、私は十八歳以上ということで妥当な案だと思っておりますけれども、この点に関して御意見を改めていただきたいと思います。 あわせまして、本則におきましてこの年齢要件を十八歳以上ということで、附則の部分でこの法律が施行されるまでの三年間でこの選挙権年齢を定める公職選挙法、また成人年齢を定める民法、そういった諸法令に関しても検討を進めて必要な措置を講ずること、こういったことが附則に書かれておりまして、少しちょっと専門的なお話になるかもしれませんが、こういった公職選挙法、民法、そのほか約二十八ぐらいこういった関係する諸法令があると伺っておりますが、その中に刑法だったり少年法だったりこういった刑事司法にかかわる法律も含まれておりますけれども、こういったこれに関する諸法令、どのような調整を行っていけばいいのか、どういった検討を進めていけばいいのか、もし御意見がありましたら併せてちょうだいをしたいと思います。
○公述人(相沢光哉君) 二十歳から十八歳になった経過というのは、自民党案、与党案が修正されていったという経過の中で出てきておるとおり、大勢がその方がいいと判断をされたわけでしょうから、私もそのことは大変結構なことだと思っております。 それから、公職選挙法や民法、刑法等の関連につきましても、やはりこういう憲法で十八歳からその権利を行使できるということは、当然義務も伴うわけでありますから、その他の法律改正も当然視野に入れていかなければならないし、またそれが将来の日本にとってもプラスに働くように、これは国民全体が努力をしていかなければならないことだと思っております。
○公述人(佐々木健次君) 佐々木です。 私は、子どもの権利条約というのが日本国でも批准してありますけれども、ここの十二条に子供の意見表明権というものが定められております。子供は自由に自己の見解を表明する権利はあるし、それは国家としても保障しなければならないと。子供の見解は正当に重視されなければならないという子どもの権利条約十二条の趣旨からして、やはり十八歳以上と定めることは適切ではないかというふうに思っています。より長く日本国民として生きる人たちが自分の将来について判断を下すというのは、それは十分正当性のあることだと思います。 ただ、今御指摘のあったような民法との調整をどうするかとか、いろんな法令との調整をどうするかという問題は確かにあるんだろうとは思います。ただ、やっぱり法律、法律によってその立法目的というのはいろいろあるわけですから、国民投票法案が十八歳と決めたから、ほかの法律をすべておしなべてそれに一致させるという必要性は必ずしもあるのかなというふうな思いはしております。 例えば、民法で言いますと、成人は二十歳ですけれども、男が十八歳以上、女性が十六歳以上であれば、結婚すればそれは成人とみなすと、未成年であっても、そういう規定を設けておりますけれども。だから立法目的によっていろいろ考えられるので、場合によってはその調整の手だての規定をあるいは国民投票法案に定めることによってそれはクリアできる技術的な問題ではないかというふうに考えておりますので、附則によりますと、三年間の間に全部調整取らないと十八歳には下がらないと、二十歳のままだということになっておりますけれども、そう余りこう固く考えなくてもよろしいんではないかというふうに考えております。
○公述人(藤野美都子君) 藤野でございます。 私は一般の選挙におきましても十八歳から投票を認めるべきだというふうに従来から考えておりましたので、今回の法案で十八歳の可能性が出てきたということは評価しております。また、先ほど佐々木公述人から御紹介がありました子どもの権利条約は十八歳未満を子供として対象とする条約になっておりまして、国際社会ではやはり十八歳から大人と見るところが多いというふうに理解しております。そういうことからしますと、ほかの法律も二十歳ではなくて十八歳という形で整理をするということがいいと私自身は考えております。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 先ほども申し上げましたように、やっぱり世の中がどんどん少子高齢化になっていく場合に、社会に参画する次世代を担う若い人が入るのには、私は十八歳が適切だと思っております。社会的だけじゃなくて国際的に見ても、一部ブラジルのように十六歳で認める特例もあるようにも聞いていますけれども、十八か二十一といった場合に十八が大勢となっている場合に、今若い人たちがいろいろ留学したり、国際社会に行った場合に、ところであなた選挙権あるのといった場合に、そういう議論に入っていけないというのは、これは日本としては大変不幸なことじゃないかと感じているところもありまして、私は十八歳と思っております。 あと移行措置につきましては、詳しくは私も分かりませんけれども、やはり少なくとも今の選挙権は十八歳に持っていくような形で、それが三年の時限的なものなのか、あるいはやはりその落としどころには、どうしても時間が掛かるんであればそれは五年になってもそこの部分は致し方ないと思いますが、具体的なそのステップの仕方はちょっと私には今アイデアございません。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。 次に、予備的国民投票についてお伺いしたいと思います。 昨日、参議院の方でも参考人質疑がございまして、その御意見の中に、憲法改正手続は国会と主権者である国民の皆さんとの協力と理解が重要であり、改正案発議後の国民投票一本だけで民意を問うのではなく、そもそも憲法改正の必要性についての国民の判断を事前に聴き、必要だという意見が大勢であれば国民の意見も聴いて審議を行い、改正案が発議できたらその仕上がりについて承認を求めるという慎重な手続が必要である、こういった参考人の方から御意見をいただきました。 私も全くそのとおりであると思いますし、これも衆議院の方で課題となった点でありまして、この点につきましても附則十二条の解釈に当たる部分かと思いますが、予備的国民投票ということで附則されているかと思います。 この事前の民意の測り方ということで、この予備的国民投票の実施方法だったり実施時期、あとこれに対するもし課題等ありましたら、具体的なお考えがありましたら四人の公述人にお伺いをしたいと思います。
○公述人(相沢光哉君) 私は、予備的国民投票ということには反対です。やはり憲法で定めている諸手続からいって、国会が唯一の立法機関として存在しているわけでありますから、当然民意を国会議員の方々が受け取っていくというか、とらえていくということは当然のことでありまして、それを憲法改正だから事前に国民のまず意見を伺いましょうというのでは、余りにも国会の存在というものが軽視されていることにもつながってきます。 私は、今回のような、まず三分の二以上の賛同をもって改正案を改正したいというのであれば成立をさせ、そして国民が五〇%以上反対すれば改正できないわけでありますから、そのことで十分であると考えております。
○公述人(佐々木健次君) 佐々木です。 結論的には、こういう制度があってもいいのかなというふうに思っております。確かに日本国憲法は間接民主制を取っておりますけれども、極めて重要な憲法改正問題とか、あと最高裁の国民審査の問題などでは例外的に直接民主制を取っております。それはやはり国民が主権者としてやはり直接意思表示をしてほしいと、それを見極める必要はあるということで憲法はこういう直接民主制を取っているわけなので、そういう発露の中で、私も前に申し上げた、かつこういう予備的なことによってやはり国民全体、国家全体が民主主義をもう一回勉強し直すような、そういった運動というか学校とするためにも、やはりこういうある程度枠を広げて予備的な投票制度があってもよろしいかと私は思っております。
○公述人(藤野美都子君) 藤野でございます。 私は、先ほど申し上げましたように、法案自体に最低投票率を設けるべきだというふうに申し上げました。それとの関係で、私自身は予備的投票制度は必要ないというふうに考えております。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 私も予備的制度は必要ないと考えております。なぜならば、先ほども出ておりますけれども、既に国会議員の方が衆議院で百名、参議院で五十名の方々が発議されていく中で、十分にそこの国民の意見とかが反映されるような仕組みになっていくからと考えるからであります。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。 できましたら報道機関の規制の在り方についてもちょっとお伺いしたいと思ったんですが、ちょっと時間もあれですので、また先ほど広田委員からも質問ありましたので、それを参考にまた今後の審議にも生かしていきたいと思いますので、本日は大変にありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。四人の公述人の皆さん、本当にありがとうございました。 今日は国会の議員の皆さんも大変早口でございまして、なぜこんなに急ぐのかと。藤野公述人からも先ほど御指摘があったところなんですが、渡辺公述人が今日公述をしていただけるということを私が知りましたのも今朝のことでございまして、恐らくかなり慌ただしかったんじゃないかと思うんですが、一言御感想を、渡辺公述人。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 大変慌ただしいことは慌ただしくて、昨日から大変、指名を受けたその光栄感に浸っているのと、何をいろいろしゃべろうかずっと考えているうちに夜も更けてしまいまして、若干の寝不足はありますが、ある意味では、六十年前のこういう憲法議論の中に入れる、ちょうど三十年前、先ほども申し上げたように、大学時代、一応法学部だったんですが、余り勉強しない中で、憲法のこういう場に公述人として入れるということで、意見がしゃべれるというのは大変な光栄だと今正直感じております。 以上です。
○仁比聡平君 今日四人の公述人の皆さんにお話をいただいた、それぞれの論点についての御意見は私もしっかり受け止めさせていただいて、今後委員会できちんと審議をしていきたいと思っております。 それで、この参議院の審議の在り方について、今皆さんがどうお感じになっておられるか少しお尋ねをしたいんですけれども、衆議院でこの法案の強行採決がございまして、先週十六日の月曜日に本会議で趣旨説明、審議入りが行われて以来、事実上の連日審議という形になっております。それで、藤野公述人から先ほどお話がございましたように、この公聴会の設定、私もかなり無理があると思うんですね。先ほど、このような形での公聴会の開催については、案件通過のための形式的な手続の一つにすぎないと指摘をされても仕方ないのではないかという御指摘がございました。 藤野公述人には先ほどお伺いをしましたので、佐々木公述人に、このような参議院審議の在り方について、今、現状をどのように思っていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
○公述人(佐々木健次君) 佐々木です。 私も、仙台で公聴会があるかもしれないので、万一そうなったら話してくれるかと言われたのが金曜日の夜だったと思います。それで、本当かなという気はしていたんですけれども、それが本決まりになったというのが土曜日分かって、土曜、日、月と、昨日はもう午前一時ぐらいまでいろいろ頭の中を整理してレジュメ、非常に粗末なものですけれどもまとめて、今日提出できたわけですけれども、大変忙しいと。 国家百年の大計を左右する投票法案を審議するのにこんな早くていいのかということが私の率直な意見ですね。もうちょっとじっくりやるべきではないかというふうに思っています。何か結論先にありきということではないかというのが率直な印象でございます。
○仁比聡平君 相沢公述人に同じこの点なんですけれども、宮城の県議会での議会運営にも携わっておられるというお立場で、参議院の運営について物はなかなか言いにくいかもしれないんですが、どのようなお感じですか。
○公述人(相沢光哉君) その前提として、衆議院の強行採決があったというお話が仁比委員から御指摘があったんですが、私の知るところ、なぜああいう状態になったのかというのは、多分、最初は民主党さんも憲法改正には前向きであったはずであります。ところが、だんだん政局絡み、選挙絡みで野党連合的な動きが強まってきたということが一つあるのではないのかなと、こんなふうに思っております。 さて、参議院審議の在り方として、今日の公聴会も含めまして、確かに慌ただしい感じはいたしますが、先ほども申し上げましたように、国会として国民に対して判断材料を提供していく意味では、現憲法に関するあらゆる角度からの調査を三か年にわたってやっていくという規定になっているわけでありますから、少なくとも十分な議論をこれからしてもらうということになっていくので、手続論、入口論での今回の法制定でございますけれども、その結果がどう出るかは、やはり何回も申し上げますように、三分の二の賛成、あるいは国民の過半数の賛成という大きなハードルがあります。 ですから、慌ただしくはあっても、今日こうやって四人公述をしているわけでありますが、私自身は別といたしまして、お三方の公述の内容を伺っておりますと、短時間の割には大変中身の濃い、すばらしい意見をそれぞれ述べておられますので、さすが公述人に選ばれただけあるなということと、日本人の大げさに言えば民度というか政治的感覚、あるいはいろいろな考え方が大変奥深く、そして幅広いということを実感いたしておりますので、決して拙速過ぎて問題があるというふうには言えないのではないかと思っております。
○仁比聡平君 拙速過ぎてというのは、過ぎないかもしれないが拙速の気があるというふうに印象も受けるわけですけれども、私も本当に公述人の皆さんの御意見は大変深みのある御発言で、それだけに、もっと時間を十分取って、私どもももっと豊かに御意見を伺うということが必要だと思いました。 私、国会とそして国民の皆さんの間のキャッチボールが成立するような審議でなければこの国民投票法案の手続法の審議というのは、これは成り立たないのではないかと改めて今日仙台に参りまして感じているところでございます。 関連して一つだけ。 藤野公述人飛ばしましたので、だったらなぜこんなに急いでいるんだろうかという点について、国会の側には国会の方の事情があるんだろうと思いますが、藤野公述人あるいは国民の皆さん見ておられてどんなふうに、なぜ急ぐのかという理由については、できるだけ短く、どんなふうに感じていらっしゃるでしょう。
○公述人(藤野美都子君) 藤野でございます。 簡単に言えば、やはり憲法改正への道筋をきちっと付けるためというふうに理解しております。 国民の方も、いろいろ憲法改正試案等々出ている中で手続法が必要だという声が強まっていて、そうかなというふうに受け止めている人もいると思いますけれども、私自身、大学で憲法を教えている中で学生の反応を見ますと、そもそも国民投票法案が国会で議論になっているということすら知らない学生がかなり多いということで、実はそれほど盛り上がっていないのではないか。つまり、国民投票法案が必要だというふうに国民の側はまだ思っていないのではないかというふうに私自身は受け止めております。
○仁比聡平君 最低投票率を始めとして、発議と投票の意義について先ほど来御議論があっていまして、この点は私もよく受け止めておきたいと思うんですが。 国民投票運動の問題で、先ほど公務員、教育者の運動規制の点について御議論があっているんですが、そもそも国民投票運動というのが行われる、つまり、国会が三分の二以上の多数で改憲案の発議をして、例えばこれが九条の自衛軍の存否などについて激論といいますか国民的な沸騰した議論が行われていると。そういう場面での国民投票運動の自由というのは、憲法上どんな価値あるいは位置付けを持っているんだろうかということをやっぱり考えなければならないと思うんですけれども。 佐々木公述人に、先ほど来、御意見の中で、十三条あるいは九十六条、表現の自由の二十一条などを引用されて国民投票運動の自由というのを提起をされておられるんですが、私の残り時間あと三分ほどしかないんですが、少しその国民投票運動の自由についてどのように考えるか、お聞かせいただけませんか。
○公述人(佐々木健次君) 佐々木です。 憲法十三条は、国民が自らの幸福追求をする権利を認めております。これは個人の尊重と一緒の規定でありますけれども、私は、幸福追求の権利というのは非常に広い権利でありまして、やはり国民一人一人が自分の国の将来がどうあるべきか、どういう国になることによってまた自分の幸福追求が実現できるのかどうなのか、やっぱりそこをしっかり考えて行動をする権利はあると思います。 その一つのまた表れとして表現の自由というのがあって、また表現の自由は、特に国の政策に関して自由に言論を闘わせて、他人の言論も参考にしながら、それを糧としながらより適切な意見を形成していくという、そういう規定でありまして、二十一条の趣旨からしても自由にやるということが出てくるのではないかと。 私は、どれが根拠かと言われれば、憲法十三条のそれぞれの幸福追求権、自らどんな国家を選ぶんだと、そういったことを自由に議論させたらいいんじゃないかと。やはり、国民のものの国家であって、何も権力者のための国家ではないわけでありますから、そこが一番のポイントではないかというふうに考えております。
○仁比聡平君 恐らく最後の質問になるかと思うんですけれども、相沢公述人のお話の中で全体の奉仕者という、教員、公務員のお話があって、本当は相沢公述人にも聞くべきなんですが、ちょっと時間がありませんので藤野公述人に、教育者であるというお立場も含めて、今、佐々木公述人がお話しになったような国民投票運動の自由という、それが行使をされているという場面において、例えば公務員であるあるいは教育者であるということによって国家のこれからの在り方、国と国民の在り方を決めていく憲法について、憲法改正の立場にしてもそうでないという立場にしても、憲法を語ることがどうして教育の中立性だとか職務の公正を害することになるのかというのは、私ちょっと理解がいかないんですね。藤野公述人はどのようにお考えでしょうか。
○公述人(藤野美都子君) 藤野でございます。 私自身も、今御質問があったように、実は憲法を語ることが教育の中立性を害するというふうには考えておりません。常々私自身は、先ほど申し上げましたように、私の憲法に関する研究を通して、今の日本国憲法を守り、生かすべきだというふうに考えておりますので、講義でもそのように話をしております。また、地域での学習会でもそういうふうに話をしておりますので、それをこの国民投票運動というふうに定義されるのは、私自身は認められないというふうに考えております。
○仁比聡平君 時間が参りました。四人の皆さん、本当にありがとうございました。
○長谷川憲正君 国民新党の長谷川憲正でございます。 本当に四人の公述人からは大変に貴重な御意見をいろいろ伺うことができまして、ああ、仙台までやってきてよかったなというふうに思っているところでございます。 特に藤野公聴人から、国会での審議の在り方といいましょうか、今日の公聴会の開催の在り方を含めて非常に形式的に過ぎるじゃないかという御批判がございまして、これは各党各会派を超えて私ども重く受け止めなければいけないというふうに思っております。 そう思っているやさきに、共産党の仁比先生の方から大変鋭い御指摘がいろいろございまして、私、仁比先生とはイデオロギー全く違うんですけれども、保守主義の立場に立つ人間ではありますが、言っておられることには非常に共感を覚えるわけです。私は、民主主義というのはやっぱり形式であってはならないと、手続なんですけれども、非常に中身が重要だというふうに思っておりますものですから、そういう立場からちょっと挑発的な質問を幾つかやらせていただきたいというふうに思いますが。 最初に、相沢公述人と渡辺公述人と、お二人にお伺いをしたいと思いますが、御意見を伺っておりますと、今の修正されました自民党案とお考えは違わないというふうに私お聞きをしておりましたんですが、別に党の意見を丸のみにしておられるなどということを申し上げるつもりはありませんが、御意見、自民党修正案と違う点がありましたらそれぞれお述べをいただきたいと思います。
○公述人(相沢光哉君) 修正与党案と違う点というのは、私は特別ここで申し上げるべき論点を持っているわけではございません。一〇〇%パーフェクトだとは考えておりませんけれども、今の時点で当然ながら国会でのいろいろな各政党間の調整もあった結果として法律案として提案されているわけでしょうから、妥当なものと考えております。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 私も基本的には他意を唱えるところはございません。ただ、先ほども申し上げましたように、個人的に、最初は十八歳という部分についてはどうしてかなという悩みはありました。特に自分の子供たちが二十歳前後ということもありまして、果たして任せられるかというのはありましたが、最終的には私はこのとおりでいいと思っています。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。 率直なお話を伺いまして、私もその十八歳という点については、私の子供は既にみんな成人をしましたけれども、まだ頼りないものですから本当に大丈夫かなという気は持ちますが、若い人にも機会を与えようというのはそれなりにもちろん理解ができるわけでありまして、大変ありがとうございました。 そこで、また引き続き今のお二人にお伺いをしたいわけでございますけれども、国会を大変信用していただいているというのは大変有り難いわけでございます。国民の代表として選ばれた国会議員が正に国民の立場に立ってそれぞれが信念に従って行動すると、そういう代議員のシステムというものを評価していただいているのは大変有り難いわけでありまして、憲法改正以外の国民投票については必要がないのではないかという御意見をお述べになりましたが、これは一つの見識だというふうに私も受け止めております。 しかしながら、そうだといたしますと、私は一つお尋ねをしたいことがあるわけです。それは、先般の郵政の民営化をめぐりまして、私は当時自民党の議員でございまして、郵政の民営化には反対をいたしました。国家国民のためにならないというふうに思いまして反対をいたしまして、最終的には参議院で否決をされました。日本の憲法、国会法に従えばこれですべての手続は尽くされた、民意が尽くされたというふうに思ったわけでございますけれども、小泉前首相はもう一度国民に聴いてみたいというふうにおっしゃって国会を解散されました。 これはいろいろ御議論はあるところだと思いますけれども、私は今のようなお立場の御議論からすればあってはならないことかなというふうに思うわけでございますが、どのような御意見をお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
○公述人(相沢光哉君) 郵政民営化で日本じゅうが大変ホットになった時期、私、自由民主党宮城県連の幹事長でございましたので、ずっと選挙携わってきたわけでありますが、郵政民営化につきましては、衆議院が可決、参議院が否決ということで、小泉首相は国会が機能していないという判断に立って解散をされたんではないかと思っております。 ですから、国民投票を、例えば国民投票法というのは仮に民主党さんがおっしゃるように重要案件についてあるとすれば、それはできたかもしれませんけれども、やはり選挙ということに、民意を問うということが民主主義の根本でありますので、それによって国民の判断が示されたということであれば、これはいろいろな経過があり考え方があっても最優先させるべきものだと私は思っております。
○公述人(渡辺泰宏君) 渡辺です。 ちょっと余談になるかもしれませんが、私は国会議員の方は本当によく勉強されていると思います。朝食会とかいろいろやっている話も伺っていますし、また今回の国民投票法案も、本来は平成十二年から議論が始まっている話ですので、その中で出てきたものですから、それぞれの民意あるいは議論が尽くされているというのは今この場で感じておるところであります。 御質問の件につきましては、私、郵政民営化の全部を詳細を知っているわけではないんですが、やはり、衆議院のところでのその時間軸等やっぱり物を考えなけりゃいけない。 例えば、小泉政権が出られてから、そのときの衆議院の方々がそこから造反が出てくるような形であれば、やはりその少し新鮮度が落ちているのかな。ということは、その与党政権を見ている人々も衆議院の中でもぶれがあって、それが最終的に参議院を通っても解散に至ったという一つの政治シナリオになったのかなと個人的には感じております。 以上です。
○長谷川憲正君 ありがとうございます。 ここは私の意見述べる場じゃありませんので、皆さん方のお考えをお聞きしたいと思いますが、今もお話がありましたように、要するに、例えば衆議院と参議院で意見が違った、判断が違った。片方は可決であり、片方は否決であった。あるいは、衆議院の中で一つの党の中から賛成の者と反対の者と分かれる意見が出てきた。そういうものを否定をするということになりますと、これは私は民主主義ではないと思うんですね。 そもそも国会に衆議院と参議院の二つがあるというのは、衆議院でも判断が間違うことがある、もう一度考えるために、わざわざ国民の方々の税金を使いながらもう一つ院をつくるということになっているんだろうと思うんです。ですから、再び考える府、再考の府というふうに参議院は言われておりますけれども、参議院の判断をして両方の意見が違ったときは、国会法に規定がありまして、両議院で集まって妥協をするというようなことになっているわけであります。あるいは、衆議院に持ち帰って三分の二の多数で再議決することができるということになっているわけでありまして、そういう手続を無視することが本当に民主主義なのだろうか。あるいは、一つの党派といいましても、賛成も反対も、当然一つ一つの問題点に関してはいろいろ意見があるわけです。国民にだから個人として選ばれてみんな国会に出てきているわけでありまして、そういう者が一切発言を封じられて、右を向けば右、左を向けば左ということで、みんな同じことしか言わないということになりますと、かつての戦前のようなことが起きるのではないかということを私たちは心配をしているわけでございまして、だからこの憲法の改正に関する手続法についても非常に慎重な議論が必要だという立場で皆様方の御意見を伺っているわけでございます。 そういう私の考え方に対しまして、まだお尋ねをしておりません佐々木先生、藤野先生、両公述人の御感想をお聞かせいただければ有り難いと思います。
○公述人(佐々木健次君) 佐々木です。 おっしゃるとおりだと思います。この国民投票法案の問題にスライドして考えますと、私が冒頭申し上げましたとおり、両院協議会というものを改正問題に関してつくるのはそれぞれの議会の独立性を侵すという意味でやはり問題ではないかというふうに思っています。 確かに、今の憲法には四つの問題に関して、法律、予算あるいは条約の承認などに関して衆議院の優越が定められて、両方の意見が、衆議院、参議院合わなかった場合に両院協議会で調整してみなさいということになっておりますけれども、九十六条に関してはそういう規定が全くありませんので、やはりそれぞれの独立した院というのが尊重されるべきであって、両院協議会とかあるいは合同審査会というのはやはりそういった意味で憲法の趣旨からすると大変問題ではないのか、よほどこの辺りは慎重に議論していただきたいというふうに思っております。
○公述人(藤野美都子君) 藤野でございます。 衆議院、参議院の意見の対立等については、私自身は二院制を研究しておりますのでそれなりの意見を持っておりますけれども、今回のこの国民投票法案については、最初に申し上げましたように、そもそもこの法案の附則のところに、先ほど来問題になっております投票権年齢とか、あるいは公務員の政治的行為の制限等についてこれから検討するというような書き方がなされておりますけれども、これは根本的な問題だと思いますので、法案の成立を急ぐよりもこちらの問題をきちっと国会で議論をして、その上で本体の方をどうするかということを考えていただきたいというふうに思っております。 以上です。
○長谷川憲正君 憲法の改正というのは国民をより幸せにするために行うべきものだというふうに思いますので、今日お聴きをしました御意見をみんな十分に踏まえまして、大きな国民的な合意の形成ができますように努力をさせていただくことをお誓いをして、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございます。
○団長(舛添要一君) 以上をもちまして公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人の方々に一言申し上げます。 本日は、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。本委員会を代表いたしまして、重ねて厚く御礼を申し上げます。皆様方の御意見、今後の参議院の審議に十分生かしていきたいと思います。 また、本地方公聴会開催のため、多忙な中、種々御尽力を賜りました関係者の皆様方に、この場をかりまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手) これにて参議院日本国憲法に関する調査特別委員会仙台地方公聴会を閉会いたします。 〔午後三時三分閉会〕