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166回国会参議院2007/06/13

政府開発援助等に関する特別委員会 第8号

発言数
91
登壇者
10
会派数
6
開催日
2007/06/13

会議録

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨十二日、松あきら君、岡田広君、中村博彦君及びツルネンマルテイ君が委員を辞任され、その補欠として山本香苗君、野村哲郎君、松村祥史君及び和田ひろ子君が選任されました。  また、本日、若林秀樹君が委員を辞任され、その補欠として那谷屋正義君が選任されました。     ─────────────

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) 調査報告書の提出についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査について、本委員会におけるこれまでの議論及びこれらを踏まえた提言等を取りまとめ、理事会において協議の結果、お手元に配付の政府開発援助等に関する調査報告書(中間報告)案がまとまりました。  つきましては、本案を本委員会の中間報告書として議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) この際、お諮りいたします。  ただいま提出を決定いたしました調査報告書につきましては、議院の会議におきましても中間報告の申出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等に関する調査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) 次に、政府開発援助等に関する調査を議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  委員会を代表して、まず私から総括的な質問をいたします。  まず、ODAに対する安倍総理の基本的認識について伺います。  本委員会での外部識者との質疑では、ODA予算の減少により国際社会における我が国の存在感が薄れつつあるなどの懸念の声が聞かれました。ODAは、我が国の重要な外交手段であり、適正な水準に向けての量的確保を行うべきであるものと考えますが、総理の御認識を伺います。  一方、なぜ援助を行うのかという国民の疑問に対し、政府より明確な説明がなされたとは言い難いと存じます。今後、総理主宰の海外経済協力会議において国益や外交戦略との関係について議論を深め、その内容を原則公開とし、国民への明確なメッセージを発信すべきものと考えますが、総理の御見解を伺います。  次に、麻生外務大臣にお伺いいたします。  これまでの我が国の援助はODAを中心に実施されてきましたが、今後はNGOや企業による民間投資など、民間部門が持つ援助資源を積極的に活用すべきであります。このため、NGOへの支援の拡大や途上国への民間投資促進のための環境整備などに一層取り組むべきと考えますが、麻生外務大臣の御見解を伺います。  最後に、緒方理事長にお伺いいたします。  来年は新JICAが発足いたしますが、JICAをめぐる環境には厳しいものがあると存じます。被援助国の抱える課題は複雑化し、他の援助国、国際機関との関係では一層質の高い援助の形成、実施が要求されます。JICAにおいては、引き続き組織改革を進め援助力の強化を図るべきものと考えますが、緒方理事長の御認識を伺います。  それでは、安倍総理から御答弁をお願いいたします。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国にとってODAは最も重要な外交手段でございます。そして、ODAを通じて世界の平和と繁栄に貢献することは、国際社会における我が国の存在、そしてまた信頼感を高めていくわけでございます。それによって我が国自身の安全と繁栄を確保していくことにつながっていく、このように認識をいたしております。  我が国といたしましては、平成十七年に表明をいたしましたODA事業量の百億ドルの積み増し、その国際公約達成を念頭に、また、来年は我が国、北海道洞爺湖でサミットが開催されることが決まっております。そのことも踏まえながら、今後とも我が国にふさわしい事業量の確保に努めてまいりたいと、このように考えております。と同時に、またODAの質の改善に引き続き努めるとともに、環境、気候変動問題を始めとする国際社会の諸課題の解決や我が国の国益確保のためのODAを戦略的に活用していく考えであります。  また、委員長御指摘のとおり、ODAは国民の御理解がなければ実施をしていくことができないわけでございます。効率性を図っていく、戦略性を考えていく、また国益との関係について考慮をしていかなければならないわけでございます。  そうした観点から海外経済協力会議を設置をいたしたわけでございますが、我が国の国益を踏まえ、戦略的な海外経済協力の効率的な実施を図るため、現在まで九回開催をいたしています。海外経済協力の重要事項を機動的かつ実質的に審議を行っているところでございます。  本会議の審議内容の詳細につきましては、これは外交上の機微に触れることもございます。また、こうした機微に触れることについてしっかりと議論していくことも極めて重要であると、このように考えております。閣僚間の自由な意見交換を活発化させ、機動的、実質的な審議を推進する観点から非公表とさせていただいておりますが、国民への透明性確保の観点から、審議結果を速やかに官邸ホームページにおいて公表をいたしておるところでございます。  今後とも、本会議におきまして我が国の海外経済協力に関する重要事項につきまして機動的かつ実質的に審議を行っていきたいと、このように考えております。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたとおりに、いわゆる開発途上国に対しまして、政府、NGO、また民間企業との協力によりまして、やっぱりこの種の話は、日本の持っております資源を総合的に活用するというのは御指摘のとおり正しい方向だと、私どももそのように考えております。  外務省といたしましては、これまでもNGOに対する資金協力とか能力支援等々をやってまいっております。今年度からは新たに、国際機関や欧米のNGOへ参加をしていわゆる能力開発を進めるための実務研修等々を始め、いわゆるNGOの能力開発事業とか、またNGOが参加できるODA事業というものを拡充する考えであります。  また、民間資金というものを促進させていきますためには、ODAを通じまして途上国のインフラ整備とかまた制度整備、特に人材育成等々は積極的にこれまでも支援をしてまいりました。例えば、ベトナム等々では正に政府と日系企業が協力をして、いわゆる投資環境整備の一環として工業団地というか産業開発のための産業団地等々を造り、そしてそこは造ったのは民間、そこに至るまでの道路、電話等々のものは政府、分けて行った例もありますけれども、いずれにいたしましても、投資協定とかまたEPAの締結などなど、いろいろ今後とも積極的に行っていきたいと考えております。経済交流の促進が結果としてその地域の経済発展にもつながっていくという考え方であります。  今後とも、今御指摘のありましたように、NGOとの連携等々というものは、民間企業の連携とも併せ、私どもとしては途上国への投資環境の整備の促進というものに努めてまいりたいと考えております。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) JICAは二〇〇三年に独立行政法人になりまして、私が初代の理事長をお引き受けいたしましたが、これまでは効果的、効率の高い技術援助を実施するために、現場主義、人間の安全保障などを柱に様々な事業改革をいたしてまいりました。また、来年十月からはJICAは、従来の技術協力に加えまして円借款と有償資金協力の実施も担うことになっております。これらの援助の一体的実施によりましてその相乗効果を高めること、これが一番大きく期待されているところでございます。  私といたしましては、その責任の重大さを十分痛感いたしておりまして、この期待にこたえるように全力で努力してまいるつもりでおります。よろしく御支援をお願いいたします。

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) それぞれありがとうございました。  私の質問は以上でございます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。

中川雅治自由民主党

○中川雅治君 自由民主党の中川雅治でございます。  安倍総理、ハイリゲンダム・サミット、お疲れさまでございました。今回のサミットは、ハリケーンや熱波の脅威により地球温暖化が世界に与える影響があらわになり、またIPCCの第四次報告書により将来影響の深刻さが科学的に明らかにされる中で開催され、気候変動の問題が首脳間での最重要のテーマになったわけであります。しかしながら、気候変動対策に関する米国と欧州、先進国と新興国との立場の開きは大きく、サミットに至るまでの国際交渉は難航したと伺っております。  こうした中で、安倍総理は、気候変動に関する国際議論をまとめるため大変なリーダーシップを発揮されました。総理は、今年の初めに二十一世紀環境立国戦略の策定を指示され、安倍政権の政策の柱の一つに環境を据えることを指示されたわけであります。そして、五月には美しい星50を公表され、世界全体の排出量を二〇五〇年までに半減することを全世界の共通の目標とすることを提案されたわけであります。総理は、ハイリゲンダム・サミットにおいて、特に気候変動の問題で積極的な役割を果たされ、G8の合意形成に貢献されたとのことであります。特に、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも半減することなどを真剣に検討するということについて、立場の異なるG8の合意を形成された、達成されたことは大きな成果でありまして、心から敬意を表させていただきたいと思います。  そこで、今回のサミットの成果を踏まえ、二〇一三年以降の次期枠組みを実効あるものとすべく、更にこの分野での我が国のリーダーシップを発揮していくことが求められていると思いますが、温暖化交渉の今後の道筋について総理はどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 環境問題の専門家でいらっしゃいます中川委員からの御質問でございますが、御承知のように五月に日本の提案として美しい星50、日本のこの環境問題に対する考え方、提案をさせていただいたところでございます。まずは京都議定書の目標、これをしっかりと達成をしていくということでございます。そのために国民運動を展開をしていかなければいけない。そして二番目に、ポスト京都の枠組み、主要排出国の入った枠組みをつくっていくということでございます。そして、長期目標として、この主要排出国が入った、参加した枠組みをつくって、二〇五〇年までに排出量を半減をしていくと。排出量を半減をしていけば、吸収源との関係においてこれ以上温暖化は悪化をしないという水準まで行くということでございます。  そこで、日本の三原則でございますが、すべての主要な排出国が参加をすると、そのためには柔軟性そしてまた多様性に富んだ仕組みをつくらなければならない、そして、経済成長と環境保全を両立をさせるという三原則でございます。  この提案を基にサミットに臨んだところでございますが、もちろん米国はなかなか数値目標ということについては慎重でございました。そしてまた、他方、EUは大変野心的な目標を掲げていたわけでございますが、しかし、このG8の場において、ハイリゲンダム・サミットの場において、G8が結局意見の一致を見ることができないということになれば、結果としてこの地球温暖化問題に対して大きな悪影響、特に途上国に対しましては悪いこれはサインを送ることになってしまう、そう考えたわけでございまして、そこで、米国には何とかこの同じ地球に住む人間として共通の責任という中において一致するように、また欧州側にも協力を呼び掛けたわけでございますが、結果として、日本が主張しておりました二つのポイント、主要な排出国が参加をするということと二〇五〇年までに五〇%削減をするという提案がこれは書き込まれたわけでございます。  EU、日本からの提案、これは五〇%削減を含む提案を真剣に検討する、委員がおっしゃったとおりでありますが、これがG8の文書の中に書き込まれたことは大きな成果であった、このように思います。  そして、いよいよその枠組みづくりに向かって日本は努力をしていかなければならない、このように思います。来年は洞爺湖のサミットがございます。ポスト京都の枠組みづくりにおいて大きな成果があるように、大きな弾みとなるように全力を尽くしてまいる考えでございます。

中川雅治自由民主党

○中川雅治君 ありがとうございました。  今回のサミットにおいては、米国は初めて次期枠組みづくりへの参加を表明するとともに、中国やインドを含めた主要排出国を巻き込んだ次期枠組みづくりのためのプロセスの重要性を強調したようであります。世界最大の排出国である米国の姿勢も、これまでの京都議定書の拒否一辺倒だけでなく、次期枠組みをもにらみ新たな局面を迎えていると感じております。  こうなると、現在、京都議定書の下では削減の法的義務を負っていない途上国の動向が重要になってまいります。中国は世界第二位の、インドは世界第五位の排出国であり、急激な経済成長に伴って排出量も今後増大していくと予測されています。世界の排出量の半減という長期目標に向けては、これらの国々の削減努力が必要不可欠でございます。  したがって、我が国としても、中国やインドといった主要排出国、さらに広く途上国に対しいかに削減行動を促すかが課題になります。その場合、広く途上国に対する働き掛けを進める上でODAが果たし得る役割を真剣に考えるべきであると思います。特に、途上国に対する環境ODAを増やしていくことは非常に重要であると考えます。全体のODAの中で、例年、環境分野で使われているODAは三、四千億円規模だと承知しておりますが、これを更に増やしていくべきではないかと思います。  本委員会はODA特別委員会であり、ODAをいかに戦略的に使っていくかを議論する場であります。その役割を考えた場合、日本、そして国際社会共通の重要課題である環境、気候変動対策は正に重点を置くべき分野であると言えます。  また、総理は、美しい星50の提案の中で、途上国支援のための新たな資金メカニズムの構築を検討することを表明されました。スピーチの中で総理は、既存の支援を振り向けるのではなく、新たなメカニズムを立ち上げることを強調されておられます。この資金メカニズムはどのようなものを考えておられるのか、併せて総理のお考えを伺いたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) サミットの場における議論におきましても、ブッシュ大統領から、そうした枠組みをつくっていく中において中国、インド、そうした主要な排出国が果たして入ってくるんだろうか、そういう疑問が呈されたわけでございますが、私からは、四月に来日をされた温家宝総理との間において、新しい枠組みづくりに積極的に参加をしていく、そういうお約束をいただいている、そういうお話をいたしました。そして、前もってシン首相に美しい星50を説明をした際、大変高い評価をいただいたというお話もしたところでございます。  もちろん、ODAについて、こうした温暖化対策についてそのODAを活用していくということは極めて重要でございますし、そしてまた、従来、近年、実績は三、四千億円とODA全体の三、四割を占めているわけでございます。しかし、開発途上国あるいは言わば新興国の主張、このサミットの場のアウトリーチにおける主張も、今まで先進国はどんどんどんどんCO2を排出をしながら成長してきたではないか、自分たちにこの成長のこれはキャップを掛けるべきではないと、そういう主張があったわけでございます。  そこで日本は、先般提案をした美しい星50の中で、そうした途上国に配慮をしながら、言わばこの温暖化によって大きな影響を被る非常に立場の厳しい、弱い国々に対する支援、そしてまた、あるいは日本が持っている省エネの技術、環境に対する技術も活用しながら言わば低炭素社会をつくっていこうと、ともにつくっていこうという志の高い途上国に対しては積極的に支援をしていく資金メカニズムをつくっていく、このように説明をしたところ、多くの途上国から賛意、また賞賛の意を表してもらったところでございます。  こうした新しいメカニズムを、これは今までの途上国支援の資金を振り向けるものではなくて、新たにこれは資金メカニズムをつくっていきたいと、そしてこの資金を活用して途上国においても言わばエネルギー効率の進歩が、効率化の改善が行われるように、そして日本とともに地球温暖化に向けてともにすばらしい地球をつくっていこうということで協力をしていきたいと、このように考えているところでございます。

中川雅治自由民主党

○中川雅治君 総理の御決意を伺い、大変心強く思った次第でございます。  次に、外務大臣にお伺いをしたいと思います。  ODAにつきましては、本委員会でも多くの有識者からヒアリングを行い、活発に議論してまいりました。政府においてもこの一、二年でODA改革を進めています。官邸の下に海外経済協力会議を設立して司令塔としての機能を強化するとともに、外務省内でもODA実施部門の組織再編を行ったと承知しております。八〇年代のようにODA予算は無条件に右肩上がりとはいかないでありましょうし、そのような中でODAの戦略的、効果的な活用を進めるための取組はこれからも続けていかなければならないと思います。  それと同時に、今回のサミットを見ても明らかなように、国際社会において日本には依然として大きな役割が求められているということも事実でございます。二〇〇五年のグレンイーグルズ・サミットの際のODA事業量の百億ドル積み増しの国際公約の遵守が求められることを始め、国際社会において日本にふさわしいODAの事業量を求める声は大きいものがあります。昨年の日本のODA実績は二十四年ぶりに世界第三位となりましたが、そのことにより国際的な影響力にマイナスが生じないようにする必要があると思います。  こうした状況の中で、我が国としてはODAの不断の改革を進めるとともに、国際的な発言力の維持強化のためにも、ODAの一層の戦略的な展開を図るべきだと考えます。具体的にどのような取組を進めていくことを考えておられるのか、外務大臣にお伺いいたします。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) 中川先生御指摘のありましたとおりに、昨年の日本のODAの実績は二十四年ぶりに第三位になっております。このままの勢いで横に並びますと、他国の伸び率を見ますと、来年は五位ぐらいに、フランス、ドイツに抜かれて多分五位ぐらいに転落するであろうと思っております。少なくとも世界第二のGDP、国民総生産量を持ちます日本としては、この点を指摘されておるのは事実でありまして、今御懸念のありましたように、この影響力のマイナス部分というのを最小限に食い止めるということは、我々として一層の努力を要するところだと思っております。  具体的に、〇五年と、今グレンイーグルズというお話をされましたけれども、百億ドルのODAの事業量の積み増しというのを国際公約として、この達成というのを念頭に、今後とも日本としてはふさわしい事業量の確保というのをきちんと対応していかねばならぬと思っております。  また、日本は来年の洞爺湖におけますG8、またその前にありますアフリカ援助を主といたしますTICADⅣ等々を通じて、国際社会の中におけるそれなりのリーダーシップというのをきちんと発揮していかねばならない立場にございます。国際社会でそういったものをやっていくために、特に地球温暖化の話というのが先ほど総理からの御答弁のありましたとおり大きな問題でありまして、美しい星50、いわゆる二〇五〇年に五〇%等々、五〇、五〇とかいろんな表現がありますけれども、こういったものを踏まえて、やっぱり高い志を持っております途上国というのもございますので、そういった途上国に対して、やる気はあるけれどもいわゆる資金がないとか技術がないとかというような国々に対して何らかの形で支援ができる、そういったメカニズムというものを今構築してまいりたいと考えております。  基本的には、戦略的、効果的にも、これODAの問題については、御指摘のありましたように、政府といたしましては経済協力会議、また外務省といたしましても国際協力局を新たに設置するなど、こういったODAの体制を強化をいたした若しくは体制替えをしたということであります。  そして、この会議で審議する基本戦略というものは基本的に大きく分けて三つになろうと思います。途上国の開発というものと人道支援というものを通じた世界の平和と安定というのが一つ。二つ目に地球的規模の課題の解決、言わば温暖化を含めまして、そういうことであります。そして三つ目が資源エネルギーの確保それから投資環境の整備、いわゆる貿易等々の環境の整備等々に重点を置いてODAというものを更に戦略的に活用していかねばならぬと思っております。  昨年の、二月に、ODAの点検と改善と題する報告書を取りまとめておりますが、このたびいただきました山崎委員長からお話ありましたこの調査報告等々、非常に参考になるところは御指摘をいただいておりますので、引き続きましてODAの改善というものを対応して、より質の高いODAというものを実施すべく努力してまいりたいと考えております。

中川雅治自由民主党

○中川雅治君 ありがとうございました。  最後に、時間が余りなくなってまいりましたが、緒方理事長に、JICAとJBICの統合につきまして、先ほど委員長からも御質問があって御答弁ございましたが、JICAとJBICの統合、今まで組織的にも経緯的にも全く異なってきた二つの組織を一つにするということでいろいろな問題があると思いますが、この点について、どのように立派な新JICAを設立する方向で御努力されているのか、もう少し具体的なことをお聞かせいただければと思います。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) ただいま中川先生御指摘のとおり、来年発足いたします新JICAは、技術協力に加えまして、円借款等、無償資金協力の実施も担う、事業規模から申しますと世界銀行に次ぐ世界第二の援助実施機関となります。そして、資金協力と技術協力を一体的に実施することによって、先ほども申しましたように、相乗効果というものを高めたいと思っておりますが、従来にも増して迅速でかつ効果的な援助を実施することが求められているということをよく認識しております。  JICAといたしましては、現場主義の徹底など、これまで進めてきた改革を更に進めまして、また我が国の今までの経験を生かして日本らしい援助というものを実施していきたいと、そしてその成果を世界に発信していくということも仕事の一部と考えております。  JICAとJBICの両機関の統合の作業はなかなか容易ではございません。しかし、今、新JICAに対する期待にこたえられますように、新しい組織の体制、人事、組織、業務フローなどにつき鋭意各方面と協議を重ねているところでございます。  私といたしましては、来年十月の新JICA発足のときには、本部のみならず、在外事務所も含めて一体となって事業展開ができるようになることを目指して目下努力させていただいているところでございます。  ありがとうございました。

中川雅治自由民主党

○中川雅治君 ありがとうございました。  終わります。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。  本日は大変お忙しい中、総理、外務大臣そしてJICAの緒方理事長御出席いただきまして、本当にありがとうございます。限られた時間でございますので、実のある議論をさせていただきたいと思いますので、ちょっと順番は、話の展開上、まず最初に緒方理事長にお伺いしたいというふうに思っております。  昨日の報道でも出ておりましたけれども、スーダンに対する国連そしてアフリカ連合の平和維持部隊が入るということが、スーダンが受入れを決定したということが報道されておりますけれども、まず緒方理事長に、スーダン、特にダルフールのジェノサイドは大変な問題でございますけれども、この御実態をもし御存じであれば教えていただきたいというふうに思います。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) 緒方でございます。  ただいま御指摘のありましたように、確かに国連の平和維持活動とそれからOAUの活動とが一緒になってスーダンに、特にダルフール地域に展開されるというニュースを私も読んだところでございまして、詳細は承知しておりませんが、これでやっと進歩が出てくるかなという形で非常に期待は持っております。  ダルフールの状況というのは、ただいまのアフリカの多くございます紛争の中で一番結果が悪くて、四百万人の人が影響を受けていると申しますが、それに対する国際的な効果的な対応ができていないということで大変心を痛めておりましたので、是非この機会に何かダルフールに対してもいろんな対応ができるようにと期待いたしております。  スーダンはアフリカ一の一番大きな国でございますが、ここでの南北の和平合意というのは進んでいるというふうに承知しております。JICAといたしましては、何とかして北のスーダンの人々も南部の人々も和平ができたためにやはりいろんな恩恵があるという実感を得られるようにと思っておりまして、北の方には一応北東部に水、それからこれは職業訓練等の事業を進めたいと思っておりますが、南部におきましては、ジュバという町が、これがナイル川に沿ったところにあるんですが、そこの川の波止場というものを直しまして、そしてそこからナイル川を通してのいろんな物資の運搬などができるように、もうほとんど完成に近くなっております。そして、ジュバの町に職業訓練所を設けまして、国際機関と一緒になって、そして国際機関と一緒に日本のNGOもそちらで活躍しておられるので、国際機関、NGO、私どもで何とかしてジュバというところを中心にした南部の開発を試みております。  お心に掛けていただいて非常に私は喜んでおります。どうぞよろしくお願いいたします。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 国連やAUの部隊の受入れが非常に遅れたということは問題なんですけれども、ただ、一歩前進したということは評価すべきだと思いますが、この受入れと虐殺に対して中国がかなりの部分で、何というんですか、そういった、何というんですか、関与をしていたんじゃないかという議論が報道でもされております。アメリカ議会でも公聴会が開かれたりして制裁まで含めて議論がされているところでございますけれども、このスーダン、ダルフールを中心としたこの虐殺がこれまでずっと続いてきたということに対して、中国の関与についてはどのように見ていらっしゃいますか。緒方理事長にお伺いしたいと思います。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) 私、直接中国側と本問題について話したことございませんので、あくまで新聞報道等で知っていることでございますが、中国はスーダンからたくさんの石油資源を確保しております。そして、このダルフール問題がなかなか解決いたしません中で、国際的な圧力もあって、中国はこのダルフール問題のための特別代表を指名されまして、そして交渉に当たったというふうに聞いております。  そういうことで、やはり国際的な各国挙げての努力というものが、多少今回の国連及びアフリカの平和維持軍の出動につながったのかということを期待はいたしておりますが、確証は持っておりません。やはり、国際的なすべての関係諸国の努力が結集しませんと今のようなスーダン問題、ダルフール問題はなかなか解決しないと思いますので、こういう進展は期待しながら見守っていきたいと思っております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。  報道によりますと、今おっしゃられたように石油をスーダンから中国がかなり買っていて、そのほかにも武器も、ジェノサイドに使われている武器もかなり中国製のものが入っているといったようなことが報道をされております。その公聴会でもいろんな参考人の方がいろんな意見を言われたらしいんですけれども、そのほかにも、大統領の宮殿を造る資金を中国が支援をしたりして、要は石油資源、そういった鉱物資源の利権確保をするために、そういったところに中国は資源外交として、そういう反人道的な政府、そしてそういった部族に対する援助をされていたということが議論されております。  こういったことを踏まえて総理大臣にお伺いしたいんですが、今の緒方理事長の意見も踏まえて、日本政府として中国に対して何らかのこのスーダンの問題に関してアクションを私は取るべきだと、厳重注意なりいろんなことをすべきだと思うんですけれども、現時点での安倍総理のこの問題に関する御見解をお伺いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) このスーダン・ダルフールの問題につきましては、ただいま緒方さんからお話がございましたように、二十万人が虐殺をされて、そして難民だけでも二百万人出ているという状況でございます。  その中で、国際社会が一致をしてスーダン側に圧力を掛けてきたところでございますが、ようやく国連、AUの言わば合同の展開を受け入れるということになったことは一歩前進であったと、このように思うわけでありますが、その中で、国際社会がスーダンに圧力を掛けている中で、中国、最もスーダンとの関係においては大きな比率を占めている、石油の輸入においても大きな比率を占めている中国の対応が注目を集めてきたところでございますが、しかし、中国がなかなか国際社会の懸念をよそに、スーダンへの支援の在り方について国際社会の要請を敏感に感じ取ってこなかったのも事実でございます。  そういう中にありまして、私も先般、四月来日をされました温家宝総理に対しまして、中国のスーダンを含めたアフリカへの支援の在り方について、透明性、そしてまた国際社会の規範に沿った形で支援を行っていくように要請をしたところでございます。今般のG8サミットの場におきましても、やはりアフリカの支援をしていく上において、ガバナンスの重要性を十分認識をしながら支援をしていくべきではないかという議論があったわけでございます。  今後とも、中国に対しましては、海外援助の在り方、特にスーダンに対してはそうなんですが、その透明性、そしてまた国際規範に沿った支援を行うように求めてまいりたいと考えております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。  今、先ほど国連軍が受入れなったということなんですけれども、その国連軍の派遣とか平和維持軍の派遣とか、あと、経済制裁を国連が決議しようとしたとき、中国は安保理の常任理事国の立場を利用してそれに反対してきたといった経緯もございまして、アメリカの中で一部、来年の北京オリンピックについてボイコットすべきだといった運動も展開されておりますけれども、この北京オリンピックのボイコットに関して安倍総理大臣の御見解をお伺いしたいと思います。安倍総理大臣。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) スーダンにおける虐殺、そしてその関連において、中国が来年オリンピックを開催するにもかかわらず、スーダンへの支援を行っているという議論があるのは十分承知をいたしております。しかし、日本の立場は、スポーツはあくまでもスポーツであり、政治とは分けて考えるべきだろうと、このように思っているところでございます。  いずれにいたしましても、中国に対しましては、透明性、そして国際規範にのっとった支援の重要性について我々も中国によく申し上げていきたいと、このように思っております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 安倍総理が標榜されております美しい日本、美しい星、確かにそれを目指すべきだというふうに思っておりますけれども、この美しい星の中で今言ったような大量虐殺が行われていたり、現時点でも、後でまたお話しさせていただきますけれども、一年間に一千万人ぐらいの子供、五歳以下の子供が毎年死んでいると、貧困が原因で死んでいるといった事態がございます。こういったことが一方である、それを放置する姿というのは決して美しい星の姿ではないというふうに思っております。それを助長するような中国政府の今回のこの一連の行動を見てみますと、私は、確かにスポーツはスポーツ、政治は政治、切り離して考えるという考え方もあるかと思いますけれども、そういった美しくない星を助長しているような国に対してはあらゆる手段を使って制裁をしてそういったことを撲滅していく、こういったことが私は必要であろうかというふうに思っております。  こういった意味で、私は日本政府も何らかの形で中国政府に強力な圧力を掛けていくべきだと、そういった虐殺をなくす意味で、資源が欲しいから虐殺をしてもいいんだと、そういった非人道的な考え方を持っているような国に対しては厳しい態度で臨む必要が私はあろうというふうに思っております。  改めて、安倍総理に、そういった意味で私は北京オリンピックのボイコットも日本も考えていいんじゃないかというふうに思っておりますけれども、是非もう一度御見解をお伺いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま富岡委員、大変厳しい御意見を承ったわけでございます。この参議院の委員会の場におきまして、有力政党である民主党の富岡委員からそういうお話があったということ自体は、これはやはり日本の懸念の一つの私は表明になっていくんだろうと、このように思うわけでございます。  政府といたしましても、ダルフールの現状を深刻に受け止めているわけでございます。緒方理事長からも御説明がございましたように、これは国際社会も大きな関心を持っているところでございまして、今後とも中国に対しましては、粘り強く、国際社会が一致してこのダルフールの問題を解決をしていく必要性、そしてそのためにも中国がより影響力を持っているということにも注目しながら、我々も中国とよく話をしていきたいと、このように考えているところでございます。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 関連いたしまして、アフリカの支援について、緒方理事長にお伺いしたいと思います。  JICAでは新しい研究会を発足されたと伺っております。アフリカの貧困削減と紛争予防をテーマとする研究会を発足させたというふうに伺っておりますけれども、この設立された意義と目的について、簡単で結構でございますので、教えていただければと思います。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) ただいま御質問のありました、貧困削減と紛争予防を関連させたような研究の事業についてお尋ねいただいたんですが、このたび、新JICAの法律の中には研究というものが私どもの仕事の本業の中に入っております。そのときに、どういう形でこの研究を進めていくかということの一つ、やはり研究そのものが私どもの仕事に実際に役に立つということが一つでございますが、もう一つは、研究から出てまいりますいろいろな戦略的な考え方あるいはその調査の結果というものを広く国際的にも知っていただかなきゃならないと、そういう形で今研究事業の検討をいたしておりますが、一つ具体的にただいま取り上げましたのは、開発援助というものが紛争の予防あるいは解決にどういう影響を及ぼすことができるんだろうかということを目的にいたしまして、ただいま国際的な研究者の方々と一緒に、アフリカにおける開発援助、貧困削減の事業等、それが実際に紛争の予防に役立つかというような検討を始めました。そして、この事業につきましてはだんだん結果が出てくると思いますが、今紛争が起こりそうなところ、あるいは起こっているところについても、実効のある提言が出てくるようにと考えております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。  緒方理事長がJICAのこの年報の序文でODAの在り方について述べられていらっしゃる文章を読まさしていただきました。  その中で、ODAというのは開発途上国の持続的発展と安定に貢献し、もって世界の平和と発展という国際益の増進に寄与する使命を有しており、日本の国際社会への重要な貢献策ですということで、冒頭で述べられております。  これに対して、政府のODA大綱との違いが、私はちょっとニュアンスが違うんじゃないかというふうに思ったものですから質問させていただきますが、そのODA大綱には、ODAの目的については、国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資することであると示されております。  JICAのその年報の中で緒方理事長が述べられた中では、ODAの目的は国際社会への貢献が目的だというふうにうたってあるのに対して、この大綱の書き方を見ますと、国際社会への貢献は、大綱の方では、我が国の安全と繁栄の確保という目的のための手段であるというように位置付けられているような形で読み取れられるんですけれども、この辺の違いは、あえて使い分けていらっしゃるのか、そういった日本のODAというのはどちらに重点を置いているのか、その辺のところを、もし意味合いがあるのであればお答えいただきたいというふうに思います。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) 大変厳しい御質問だと思いますが、実は私自身はそれほどその二つの見解について大きな違いがあるというふうには考えておりません。  と申しますのは、日本のように、国際的に、安全の上でも経済の発展においてもすべて国際的な相互依存の中にどっぷりつかっている国にとっては、日本の国の安全とそして発展のためには、国際的な安全と発展を保障するような状況、そしてそれに貢献することが不可欠だというふうに考えております。両者を一体のものとして考えておりまして、どうも、きっと年報などに書きますときはそこまでよく考えを詰めないで書いたのかも分かりませんが、私としては、ほとんど日本は国際的に非常に依存度の高い国であると、したがって、国際的な平和と発展というものに貢献していくことが日本自身の国の安全と発展に資するものであるというふうに考えております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 ありがとうございます。  確かにそのとおり、どちらかをやれば済むという問題じゃないというふうに思いますけれども、是非、ちょっと注文なんですけれども、安倍総理に注文というか御提言させて、生意気なんですけれども、させていただきますと、要は国際貢献を日本はODAを使ってやっているわけでございますけれども、その目的が、あたかも日本の安全と繁栄のために手段として使われているというような文脈で読み取られるような大綱というのは、私は、日本の政府として余り美しい政府の在り方じゃないんじゃないかなと私は思います。  要は、自分のためにやっているというふうに、手段としてやっているんだったら、何かいやらしい感じがしまして、こそくな感じもするんで、そこはやはりODA、先ほど麻生外務大臣もおっしゃいましたけれども、世界第二位の経済大国ですから、何だかんだ言っても。ここはやっぱり人道的な観点で日本はやっていくんだと、結果として自分たちのそういった繁栄にもつながってくると、これはもう当然でございますけれども、ですから、そういったところを余りいやらしい書き方をしない方が、私は美しい日本のためにはプラスになるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、その点について安倍総理の御感想をお伺いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) その御指摘は正に私はそのとおりなんだろうと、このように思うわけでございまして、私ども、この日本、そしてまた先進国には特別の責任というのがあるんだろうとこのように思うわけでございまして、先進国は先進国のみで今のこの地位をそして豊かさを築いているわけではなくて、また豊かさを維持をしているわけではない。多くの途上国、またアフリカの国々、アジアの国々の営みがあって初めて私どものこの豊かさがある。そういう中で我々は我々の責任を果たしていかなければならないんだろうと、このように思うわけでございますし、また特に日本は、私はG8の場でも申し上げたわけでありますが、敗戦でほとんど産業も灰じんに帰した中において、世界の国々の好意、援助によって今日の豊かさを築いてきたわけでございます。一九九一年まで我々はこうした海外からの支援に対する返済を続けてきたということでございまして、そういう日本であるからこそ、やはりこれから発展していこうという国々に対して手を差し伸べていかなければならないんだろうと、このように思うわけでございます。  と同時に、一方、やはりこのODAを支えている国民の皆様に対して、言わば国益の観点からもこれは資するものですよという、そういう説明もやはり必要であろうし、またこのODAが持続的に続いていくためにも、これはやっぱり私たちのためにもなっているんだという理解を進めていくということも大切であろうと。このバランスが極めて重要であろうと、このように考えているところでございます。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 続きまして、今回、調査報告書をこの委員会で出させていただきまして、その中で提言させていただいております人間の安全保障センター、これ仮称でございますけれども、の創設を提言させていただいております。この点について、是非総理の御見解をお伺いしたいと思います。  具体的には、外務大臣の方で推進されていらっしゃいます寺子屋構想とか、あと防衛省で今進めておられます平和協力活動にかかわる研修センターの問題とか、あとJICAさんの方でこれ従来から行われておりました様々な研修、実務研修等々を総合的に一体化して、省庁の縦割りをなくして一体化して、研修体制の整備、強化をこれ提言しているわけでございますけれども、この提言に対して、是非推進していただきたいというふうに要望しているわけで、我々は思っているんですけれども、安倍総理大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 本日、委員会から御提言をいただいております援助分野におけます人材の育成につきましては、今後とも我が国がODA実施体制の強化を図る上で極めて重要であると考えています。  その中で、御指摘のような機関を設置する可能性については、今後の検討課題でございますが、国際社会共通の課題に対処をしていくために、国内外の関係諸機関とも連携をしながら、政府全体として幅広い分野で人材の育成、交流を進めていきたいと、このように思っているわけでございまして、既に存在する機関等々も考慮に入れながら、御趣旨に合うためにはどうすべきかということについてよく検討をしていきたいと、このように考えております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 是非強力に、検討をして推進をお願いしたいと思います。  続きまして、日本のODAに対する対外的な公約を幾つかされておりますけれども、そのうち幾つかについて、現在までの進捗状況と今後の達成見込みについてお伺いしたいと思います。  まず一点目は、二〇〇五年四月、アジア・アフリカ首脳会議で今後三年間でアフリカ向けのODAを倍増すると、その中身については贈与を中心とするといった公約がございますけれども、このまず現在の進捗状況と達成見込みについてお伺いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が国にとってODAは、先ほども申し上げましたように、最も重要な外交手段の一つであるという認識の下にODAに精力的に取り組んできたわけでございますが、平成十七年に表明したODA事業量の百億ドル積み増しの国際公約達成に向けて現在取り組んでいるところでございます。  そういう中におきまして、来年は何といっても洞爺湖サミットを開催するわけでございますので、来年もこの洞爺湖サミットの前にはTICADⅣを開催するということもございまして、このアフリカ問題もテーマの一つになるのは間違いないということでございます。  そんな観点からも、今後とも我が国にふさわしい事業量の確保に努めていかなければいけないと、このように認識をいたしております。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) 今御指摘のありましたアフリカの部分でありますけれども、アフリカのODA三年で倍増という件のところだと思いますが、公約は二〇〇七年の実績で約十七億ドル、一千八百億円を目指すものになります。したがいまして、公約にあります贈与の部分には、技術協力のほか、無償協力等々、国際機関への出資、債務救済等々も含まれておりますが、私ども、御存じのように厳しい財政状況にもございます。したがいまして、いろいろ問題は抱えておりますけれども、特にアフリカ向けの案件を積み上げるということにつきましては、例の骨太二〇〇六においてこの点は明確にいたしておりますので、責任ある国際社会の一員として、一応この話は公約みたいな形で申し上げておりますので、私どもとしてはこの達成に向けて努力をしておりますが、ほぼ達成できる見込みで今鋭意努力をさせていただいておるというところであります。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 今、安倍総理にその百億ドル積み増しの公約について先にお話しいただきましたけれども、この問題についてちょっとお伺いしたいんですけど、この中身が私は問題だというふうに思っております。いわゆる、何というんですか、純粋に日本から技術供与、若しくはそういった資金の無償提供、そういったものであればもちろんいいんですけれども、今までの状況を見ますと、債務救済、要するに借金棒引きですね、でかなりの部分を公約の、何というんですか、達成のための手段として算入しているわけですけれども、こういう状況は余り好ましくないんじゃないかなと本来の趣旨からいって思いますけれども、こういったことを含めて、その百億ドルの積み増しの目標の問題と。  あともう一点、二〇〇五年六月の九州・沖縄サミットの世界基金構想五周年シンポジウムの中で、エイズ・結核・マラリア対策の基金拠出、これを当面五億ドル行うというふうに公約されておりますけれども、これを見ると、今年度の予算はまず八十六万ドルしか計上されていなくて、このままでいくと達成が危ぶまれるんじゃないかというふうなちょっと心配もしているんですけれども、この二点について安倍総理及び麻生大臣にお伺いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳細については後ほど麻生大臣から御説明申し上げます。  債務免除につきましては、日本は国際社会との協調の中でこの債務免除について日本として対応しているところでございます。しかしながら、言わばアフリカの国々がオーナーシップ、自助努力の下に国を発展させていくように我々も促していかなければならないと、このように考えているところでございます。  そしてまた、これは九州・沖縄サミットにおいて言わば設立をいたしたと言ってもいいと思うわけでありますが、このグローバルファンドにつきましては既に六・六億ドルを拠出をしているわけでございまして、そして先般、小泉総理が五年間で五億ドルということを公約をし、それは順調に積み上がってきているのではないか。また、詳細について外務大臣から御説明をいたします。  このサミットが始まる前にロックスターのボノから私に手紙が参りまして、日本はアフリカへの約束を確実に守っている数少ない国であると、今後ともアフリカへの支援についてリーダーシップを発揮をしてもらいたいと、このような手紙が来たことも御紹介させていただきたいと思います。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありました分ですけれども、確かに債務救済で早い話が帳じりを合わせておるんではないかという御指摘なんだと存じます。  これは多くの国々が、これはお断りしておきますが、合法的なことであって、非合法なことをやっているわけではないと。いかにも、伺っていると、日本がインチキしているかのごとく言われると、ちょっとなかなか問題なところだと思いますけれども。ただし、それは債務救済と新たな真水の積み足しとでは意味が違うではないかという御意見なんだと思いますんで、その点は私らも、さよう、そうだと思ってはおります。  ただ、平成十九年度、御存じのように、ODAの一般会計当初予算というのは確かに対前年度比マイナス四%という形になっておりますんですが、円借款の事業規模というものを見ますと、これは七千七百億円といたしまして最大限の活用をすることにいたしておりますし、平成十八年度の補正予算と合わせますと前年度プラスということになっておりますので、ODAの事業の押し上げにつながっておるんだと思っております。  また今、エイズの、例の〇五年の六月のサミットのときに行われましたエイズ・結核・マラリア対策基金ということで、拠出金を増額して当面五億ドルの拠出を行うという点を御指摘なんだと思いますが、この点につきましては、〇六年に一億三千万ドル、〇七年に一億八千六百万ドルということになりまして、約三億一千六百万ドルというものになっておりまして、今年度中の達成ということを、達成できる予定にいたしております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 是非、公約の達成をしていただきたいというふうに思っております。  今、総理からボノさんからの手紙の話がありましたけれども、私もボノさんに代わって質問しようと思ってたんですね。ボノさんが、だれか安倍さんに聞いてくれというふうにマスコミで報道されていましたので聞こうと思ったんですけれども。今度の、来年の洞爺湖サミットでアフリカ問題を是非議論してくれということでありましたけれども、それは議論するということでおっしゃっていただいたんで、もうボノさんに代わって聞くまでもないんですが、そのほかにボノさんはこういうふうにも言っているんですね。  先ほどのアフリカの問題でございますけれども、地球温暖化で来年から子供が一千万人ずつ死ぬとなったら多分、温暖化で子供が毎年一千万人死ぬとなったら大騒ぎするはずだと思うんですね。ところが、温暖化じゃないこのアフリカの問題では、もう既に現実の問題として毎年五歳未満、五歳以下の子供が一千万人も死んでいると。これ計算すると三秒に一人死んでいる計算になるんですね。もうこうしている間にも何人もの子供が飢餓、病気、貧困、そういったことが原因になって亡くなっているわけでございますけれども、これはもう温暖化は確かに大きな問題で、将来大変な問題ですと。陸地もどんどんなくなってくると、我々のいろんな生態系も変わってくると、人類のいろんな生命、将来にも大きく影響してくる、これ大変な問題です。これが現実化したらもう大騒ぎになる、確かにそうだと思います。ところが、一方で、既にもう現実化しているアフリカの問題については、この温暖化のようには余り取り上げられてないと。こういった問題がボノさんは指摘しております。  私もこれは大変な問題だというふうに思っております。二〇五〇年のあるべき姿、これも大変重要ですけれども、現実の毎年一千万人の子供が死んでいるという問題は、これもっと切実な重大な問題だというふうに思っております。是非この点について強力な、来年サミットの議長国でございますから、リーダーシップを発揮していただいて、温暖化、クールビズ、クールアース、これも確かに大切な問題かもしれませんけれども、是非このアフリカ問題、積極的に御検討をいただきたいと、直視をして対処していただきたいと思いますので、改めて御決意をお伺いしたいと、こういうふうに思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回のG8におきましても、言わばアフリカの国々は我々のパートナーであるという認識の下に、そしてまたアフリカの国々はやはりオーナーシップを持ってこの国の建設に努めていくと、いくべきであると、そういう議論がなされたところでございます。そしてまた、先ほど御議論があったように、中国など新しい新興のドナー国も建設的な関与をしていく、建設的な役割をしていくよう我々も求めていかなければいけないという議論もございました。そしてまた、感染症対策や保健システム強化のために、G8として少なくとも六百億ドルを提供するよう努力をしていく、努めていくということが成果文書に盛り込まれたわけでございます。  私も、アジアにおいての成功体験ということもお話をいたしました。そのためにはやはり良い統治が必要であるということでございます。しかし、そもそも良い統治を求める基本でございます、言わば人間の尊厳が守られているかどうかという点においても、感染症において言わば国をつくっていくという根本のところでなかなか厳しい状況にあるのも事実でございまして、こうした感染症対策にも全力を我々尽くしていかなければならないと、こう思っています。  エイズだけではなくて、マラリアの問題については、日本は一千万張の蚊帳を、これは防虫剤を練り込んだ蚊帳を寄附をするということを既に目標としております。八百七十万張が大体寄附されるんだろうと、このように思います。そしてまた、これは住友化学が作っているわけでありますが、タンザニアにこの技術を無料で提供して、タンザニアはこの技術を使って同じ蚊帳を作って、また工場を造って人も雇うことができるということでも貢献をしているわけでありますが、この一千万張を送ることができれば二千万人の子供たちをマラリアの蚊から守ることができるということでございます。  こうした日本の技術、また資金も使いながら、こうした感染症対策にも全力を尽くしていきたいと。そして、アフリカの問題の解決なくしては世界の平和と繁栄はないという考え方の下に、アフリカの問題についても取り組んでいきたい。そして、今回ハイリゲンダムで議論されたことをまた基に、来年の洞爺湖サミットにおいても主要な議題として議論をしていきたいと、このように考えております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 今、これまでちょっとアフリカ問題について中心に議論をさせていただきましたけれども、先ほど来お話ありましたけれども、来年はJBICの機能がJICAに移されて新JICAが誕生するわけですけれども、今まで以上に役割と期待が大きくなるというふうに思っておりますけれども、こういったことを踏まえて、私は是非アフリカの一千万人の子供たちの問題を最重要のテーマとして扱っていただきたいというふうに思っているんですけれども、こういった今の議論を踏まえて、緒方理事長に来年の新JICA誕生に向けての意気込みを是非お伺いしたいというふうに思っております。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) 御質問に沿いまして、これからのアフリカ支援をどういうふうに考えているかということを少し具体的に御報告させていただきます。  従来、やはり貧困対策ということ、それからもちろん環境問題も、それからいろいろな医療関係のもございましたんですが、どちらかというと教育、医療、農村開発、水、そういうものを中心とした事業をしてまいりましたが、これからのアフリカとしては、かなりこれはサミットでも議題になっていることでございますが、やはりインフラというものをもう一度見直して、アフリカ大陸内の縦貫道路、あるいはその縦貫道路を、二つの国を越えるときに、今の状況では大変荷物も人もうまく通せなくて、非常にその辺が隘路になっているというようなことがございまして、そこを通すための一つの貨物それから人の一つの共同のポストを造りまして、そこを通していく、そしていろいろな物が動くようにする、そういうことが一つの考え方として出てきておりまして、これは国際機関もやはりインフラというものをもう一度見直そうという動きがございまして、タイアップしてやっております。  それから、アフリカの中からも、やはり大きな経済の成長ということをごらんになっているんだと思うんですが、やはりIT関係の事業をもっと手伝ってほしいという要求が出てきております。これは、やはり日本の非常な経済の発展というものがこういう高度の技術によるものであるというお考えから来ているんだと思うんですが、私どもは、この間もルワンダの大臣が来られて、いつまでもただ援助にだけ頼っていたくないんだと、ちゃんと円借のようなものを借りて、そして自分たちは経済も発展させたいと、そのためには是非IT関係の大学を六か所造りたいのを手伝ってほしいというような要求も出ているわけでございます。  ですから、日本側だけじゃなくて、国際社会だけじゃなくて、アフリカ側からも経済を発展させたいと、そして自立の道を見付けたいというような動きがございまして、それにもこたえていかなければならないというふうに考えております。ですから、ある意味では楽しみなこともたくさん出てくるんですが、やはりアフリカの大陸の国々のほとんどが、経済社会発展の指標から見ますとほとんどボトムにある国々でございますから、そうすると、やはり向こうの期待にこたえつつも、やはり日本のODAだけでなくて、日本の企業の方の方々からのいろんな投資も出てくるような状況をつくっていくというようなことも、今度無償資金だけじゃなくて円借も入ってくる新JICAにおいては心掛けていこうというようなことで計画を練っております。  どうぞよろしくお願いいたします。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 ちょっと時間がないんですが、是非最後一問だけ外務大臣にお伺いしたいんですけれども、JICAのいろんな制度を使って海外のそういった援助をされる方々、NGOの方々とか青年隊の人とか、民間部門でもそういった協力している人とかいますけれども、やはりそういった、行ったはいいんだけど戻ってきたら仕事がないと、次のキャリアパスが全然見当付かないといった方が非常に多いというふうに伺っております。  是非その点、志ある人が戻ってきてもちゃんと経済的な基盤が成り立つような、そういったキャリアパスの制度とか、若しくは民間企業も今は最高収益を上げている企業は大企業たくさん出ておりますので、こういった国際貢献にちゃんと寄与するような、寄附金の税制控除だけじゃなくて、そういった青年協力隊を毎年企業それだけ利益出しているんだったら出せよとか、そういったことを総合的にもっと人材の確保とともに、大切に育てるといった観点で主導権を是非発揮していただきたいと思うんですけれども、その点についてちょっと御見解をお伺いして、私の質問を終えたいと思います。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) 誠にごもっともな御指摘であります。  これは、もう海外青年協力隊というのは始まってこの方、多分その点が一番の問題でずっとこれまで来たんだと思います。特に、終身雇用が非常に主流でありました当時の日本におきましては、帰ってきた人が経験が生かせないというところが、新しくみんな退職して出ていくというのが非常に難しかったという時代が長く続いておりました。  今、青年会議所の話等々で、これはこういう人たちは主に優先して雇った方がいいと、少なくとも国際経験豊かなのを雇った方がいいのではないかというところで、随分途中入社やら何やらいろいろさせてもらったというのは事実でありますけれども、今はそれをもっと組織的にということで日本の国の費用でいろいろ国際機関にまず出す方の訓練をこちらでやった上で出しましょうと。行く意欲はある、けれども、どうやってというつてがない、何がないという人に対しては、あなたのその資格じゃ駄目です、こういった資格が要るんです、だからこれを取るためにはというような組織的なあれをやっておりますのが一つ。  それから、向こう側から帰ってきた人に関して、私どもとしては、実はそういった人を欲しいという企業も、最近は海外に出ていかれる企業が増えましたので、そういった企業からの要望を受けて、こういう人が今どこどこで、例えば群馬なら群馬でどこどこで遊んでいますよとか、何もしていませんよという情報を我々の方から提供するという、いわゆるネットワークというのが一番大事なんだと思ってそういったものの普及というのに努めさせていただいております。

富岡由紀夫民主党・新緑風会

○富岡由紀夫君 ありがとうございました。終わります。

山本香苗公明党

○山本香苗君 公明党の山本香苗です。  六年前、九・一一米国同時多発テロ事件直後に国会で初質問に立たせていただきました。その際に、アフガニスタンへの政府特使として緒方貞子さんをと実はお名前を挙げさせていただいておりました。その後、間もなく緒方理事長がアフガン復興支援政府代表として正式に登用されたときは大変うれしかったことを思い出しますが、今日はJICAの理事長というお立場でいらっしゃいますけれども、質問させていただくということで大変緊張しておりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。  早速質問に入らせていただきますが、我が国のODA予算というのは毎年減少を続け、昨年は先ほど来お話ありますように実績ベースで世界第三位に後退しました。この現状に対する認識につきましては、先ほど総理もまた外務大臣も御答弁されましたけれども、緒方理事長は率直にどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) 大変残念なことだというふうに考えておりまして、何とかこれを回復しなきゃならないというふうに思っておりますが、ただ、先ほどから総理や外務大臣のお話伺って、皆さんもそう思っておられるということを何か確認できたような気がいたしております。  私が難民高等弁務官でありました十年間は、実は日本はODAの世界第一位、そして私、国連難民高等弁務官事務所を始め国際機関みんな大変多くの御支援を得たわけでございます。それがちょうど九・一一事件以降、欧米諸国、アメリカも含めてやはり世界じゅうの、特に開発途上国の安定がなければ、危険性を抑えなければテロが起こるんで、やはり安全とそれから発展のためにもう少し頑張らなきゃならないということでODAが皆さん増やされたわけです。  ところが、日本の場合にはちょうど経済が悪化しているということで全く逆転してしまって、皆さんが増やしていらっしゃるころから減り出したという、大変日本の国内の経済的な実情から仕方がなかったんだと思うんですが、そういう状況の中で、これからいろんな広い意味での安全、それから発展ということの上でどうやってODAをもう一度その有効性を見直していただくように、また私もそれに貢献していかなきゃならないんですが、そういう状況に今入っているんじゃないかと思いまして、是非、アフガニスタンにつきましても、大変大きな支援をアフガニスタンの復興の初期段階ではいたしましたんですが、ここのところアフガニスタンという声も余り国内では聞かれなくなってしまったので、何とか是非、いろんな国々ございますが、先生方よろしく、この国際状況について御関心と、それから貢献しようという雰囲気を是非出していただきたいと思います。

山本香苗公明党

○山本香苗君 憲法上、海外への軍事的支援が禁じられている我が国にとって、経済社会の発展や平和構築に資するODAというものは最大の国際貢献であると同時に、我が国の重要な外交手段でもあります。また、多くの途上国の人々がこの我が国のODAを必要としている状況にあります。ですから、額が大きければ大きいほどいいのは決まっているわけなんですけれども、我が国の厳しい財政状況とのバランスというものも考えなくてはなりません。  そこで、緒方理事長にもう一つお伺いさせていただきたいんですけれども、限られたいわゆるODAの予算というものを有効かつ適切に使うために、現在のODAの在り方というものをどういうふうに見直していかなくちゃいけないのかとお考えでしょうか。特に現場を数多く歩いてこられましたので、そういったところから率直なアドバイスをいただければと思います。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) 大変難しい質問を次々といただくもので恐縮でございますが、やはりJICAに一つここのところかなり進歩したと思っておりますのは、現場を強化したわけでございます。職員を数多く現場に張り付けまして、そして現場におけるニーズというものを的確に吸い上げるという努力を皆いたしております。現場に参りました者もかなり元気よく張り切っておりますのは、やはりそういう仕事は自分たちにかなり懸かるところがあるというふうに認識しているからなんだと思うんです。  ところが、もう一つ大事なことは早く事業を展開させることで、もう一度アフガニスタンの例は、確かにここのところアフガニスタンの安全状況は非常に危ないものがございますと、どうしても文民の支援ということからまいりますと、それほど危ない状況の中では動けないことがある。といって、危ない状況だからこそ国際的な経済社会的な支援が目に見えて出てくるというのは、そういういろいろな不安定な状況を出してくるいろんな勢力、タリバーンの勢力等を抑える結果もあるわけです。ですから、その辺非常に敏感に状況を把握しながら、非常に経済社会的ODAの援助の効果というものに対して十分認識し、そしてそれを早く展開させるということは非常に大事なことだろうと思っております。  もちろん、長期のいろんな形でのインフラの整備から中長期の問題はございますが、もしも短期間に効果的にということは、日本のように特に軍事的ではない手段でODAを通して国際貢献をしてきたものにとっては、敏感にニーズを把握すること、そして早く手を打つこと等が当座私が考えます非常に役に立つ方法だと思っております。

山本香苗公明党

○山本香苗君 理事長、どうもありがとうございました。  じゃ、総理にちょっとお伺いさせていただきますが、我が国が国際社会との相互依存に立脚しているということを考え合わせますと、この国際社会とかかわるということを、単に費用というかコストという形で見る以外の視点が必要なんだと思います。また、国際社会におけます評価だとか信頼というものは一度失うともう回復するのに非常に時間が掛かるということもございます。  これらのことを考え合わせますと、ODAの量的削減には一定のある歯止めというものが必要なんだと思っておりますが、まず現実的に予算が減っていると。この現実を前にして、限られた予算の中でこれまでと同じでは駄目なんだと、既存の路線では駄目なんだと。同じ予算でも今まで以上の効果を生み出そうという努力だとか気概だとかというものがもっともっと国民に伝わってもいいんじゃないかと、そういう必要性があるんじゃないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま山本委員から大変重要な点を御指摘をいただいたと、このように思っています。  このODAの予算、日本がどれぐらい予算を使うんだろうか、これはかなり世界が関心を持っているわけであります。途上国だけではなくて、先進国も日本はどれぐらいの意思と志を持っているか。そういう中で、日本も大変厳しい財政状況があるというのは十分に理解はされているんだろうと思いますが、その中で、やはり日本としての国際社会での役割を果たしていかなければいけない。と同時に、やはり徹底的なコストの見直しと効率化を図っていくことも重要であろう。同じ資金の規模においてももっと大きな効果を得ることができる、そのために徹底した見直しと、やはり緒方理事長から、現場に多くの方々を張り付けていただいたと、こういうお話がございました。  そういう現場の声をきっちりと吸い上げながら、言わば援助を受ける国が、私たちと援助の趣旨を十分に理解をしていただきながら、効果が上がるように協力をしながら努力を更に積み重ねていかなければならないと、このように思うわけでございまして、そのためにも徹底的な情報の収集を努めながら、分析を進めながら、また途上国のニーズも十分に見極めながら対応をしていきたいと。限られた財源の中で最大限の効果を生むように更に一層努力をしてまいりたいと考えております。

山本香苗公明党

○山本香苗君 総理は、努力していきますということなんですが、外務大臣、具体的にどうされますでしょうか。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) 今総理から御答弁がありましたけれども、限られた予算の中で何をやっていくかという話の中で是非御理解をしておいていただきたいと思うんですが、これまで日本からのいろいろな援助が行った結果、先ほど緒方理事長からもお話があったように、経済的に立ち直っている国って結構あるんですよ。モザンビーク、タンザニア、またあそこにありますマダガスカル、チュニス等々はいずれもこのところの年成長率は五%を超えておると。日本よりはるかに高いですから、日本の倍ぐらい行っていますんで、パーセントからいきますと。そういった国々は、かつて物すごく具合が悪かった国々が、いわゆる安定をした途端に良くなっているという話は全然出ないで、悪くなった話ばっかりしか出ませんけど、良くなった話もちょっと是非目を向けておいていただかないと公平さを欠くんだと、この種の判断をするときにはそう思っております。  したがって、今、日本がやってきた国々、そこらの国々からは、非常に日本に対して更なる話をしてくるときには、もう全然、先ほどの大学の話を理事長からありましたように、そういったところになりますと、皆、ほらやっぱり争っているよりは安定した方が銭がもうかるだろうがという話を、私のことだから分かりやすく、もう少し品よく言っていますけど、率直に申し上げてきて、これも、それらの来た人の国々は皆一様に納得して、おれたちみたいな、日本みたいなやり方した方がうまくいったろうがという話を申し上げて、皆更に上の方に行こうとして先ほどのITの話なんかが出つつあるというのが事実であります。  傍ら、そこまで行っていないところというのがまだわんわんわんわんやっている。先ほどのダルフールなんかいい例ですけれども、ここらのところに、民主党の先生からお話がありましたように、これはジェノサイド・オリンピックと言われているほどの騒ぎになっておる部分も確かなんですが、そういったところとの差は、この五十四か国あります中に物すごい差がアフリカの中にありますんで、そこらのところはアフリカという一くくりでやられると非常に話がくちゃくちゃになりますんで、分けて言っていただかないとちょっといかぬ。  その上で、日本というのは、でき上がったところのお金を、必要じゃなくなったところは今度必要なところに回していくというところで、中は結構運用を効率的に考えるというところが我々にとって大事なところでありまして、そういったところは、今配分を変えるとかいろんなところに最大の目配りをしながらやらせていただいております。

山本香苗公明党

○山本香苗君 いろいろと御説明をいただきましたけれども、もちろんそういったマイナスのところばかりを言っているわけじゃなくて、プラスの面ももちろんあることは現場におりましたので分かっておりますが、今実際、ODAの実態についてコスト意識に欠けるような事例が指摘されることもあるわけです。  限られた予算の中で今までよりも本当にもっと効果的に有効にODAを実施するんだというせっぱ詰まった切実感みたいなものが政府だとか外務省になかったら、国民の皆様方の、ただ単に量を増やせと言っても理解が得られないんじゃないですかということを言いたいわけなんです。  これはまた、時間がないので別の機会にお話しさせていただきたいと思いますが、我が国のODAにつきましては、コスト意識の欠如ということと同時に戦略性の欠如ということも言われているわけでありますが、そこで総理にお伺いしたいんですけれども、政府の外交に対する大方針があって、それに基づいてODAというものは実施されるという形になっておりますが、今の国際情勢の下で我が国のODAを実施する基本にある物の考え方、いわゆる、さっきから戦略戦略と言いますけれども、戦略とは何か、具体的に答弁をしていただきたいと思います。  また、時間がないのでまた併せてお伺いしますけれども、総理は、我が国にとってODAは最も重要な外交であり、私が主宰する海外経済協力会議で審議される基本方針の下で戦略的に実施していきますと何度も国会で答弁されておりますけれども、ここに言う基本方針というのはいつ策定されるんでしょうか。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、この戦略性についてでございますが、戦略性というのは、特に外交においてはそうなんですが、個別の指針、方針を、これを全体的に俯瞰をいたしまして、その中で有機的にこれを結合させまして、全体のビジョンを描いていきながら、これは言わば方針を打ち出していくということだろうと思います。言わば一つの国において一つの必要性に応じてそれに対して援助をするということだけではなくて、その地域全体、あるいは例えば水なら水の問題について国際社会が取り組んでいくという中において、ではこの国、この国にどういう援助をしていこうかというのもまたこれは戦略性であろうと。一つの国々から出てくる要求にこたえていくということは、これは戦略性とはまた対岸にあることではないかと、このように思うわけでございます。  そして、基本方針についてでございますが、これまで海外経済協力会議において九回の会議を行っているところでございまして、毎回特定の事項又は主要な途上国・地域に対する海外経済協力の基本方針を議論するとともに、その審議の結果を公表をしてきているところでございます。これまで、アジアに対する海外経済協力について、ODAの量及び質をめぐる課題について、最近では環境に関する経済協力についてなど、九回の審議を行っています。そして、例えばアジアに対する海外経済協力については、価値観の共有、深化、域内の平和と安定、バランスの取れた経済発展、域内協力の深化の四点について積極的に協力を行っていくことを確認をいたしました。  いまだ、海外経済協力の重要事項や主要な国・地域をすべて網羅しているわけではございませんが、引き続きまして議論を続けることといたしております。今後、海外経済協力の重要事項、そして主要な国・地域の議論を積み重ねられていく中で、将来的にこれを取りまとめていくことも今検討しているところでございます。

山本香苗公明党

○山本香苗君 いや、基本方針を定められるのか定められないのかということをお伺いしたいわけなんですが、今アジェンダごとの設定でいろんな決定をされていらっしゃるところだと思うんですけれども、まずは先に基本となるベースのところを決めるべきじゃないですかと思っているわけなんです。  先ほど来、いろんな国際公約を果たさなくちゃいけないという話もありました。また、来年は我が国がTICADⅣとかG8サミットの議長国になるということもあって、本当に我が国のODAに対する期待感も非常に高まってきているところでありますので、我が国のODAを、基本的な物の考え方を明確にして、適切に実施できる体制を是非とも取っていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、委員もよく御承知のように、基本的な考え方としてはODA大綱があるわけでございますが、そのODA大綱の基本的な考え方にのっとりまして、今行っている、言わば戦略的にまた体系的に考えていくという意味においての会議において、議論を積み重ねていく中においてさらにこの大綱にのっとった基本的な考え方の上において今後の方針ということについて取りまとめていくことも考えていきたいと、このように思っております。

山本香苗公明党

○山本香苗君 大綱は大綱で分かっているんですけれども、それ以上のものが、総理が会議つくられて基本方針と言われたので、そのもっと大方針みたいなものが出されるのかなと期待をしていたわけなんですけれども。  ちょっと、あと二分しかなくなりましたので、済みません、外務大臣の質問を飛ばさせていただいて、最後の緒方理事長の質問にさせていただきたいんですが。  人づくりということで、ODA事業に青年海外協力隊現職教員特別参加制度というのがあるわけなんです。この制度は、御存じのとおり、現職の教員が途上国において言語や文化などの壁を乗り越えて教育協力を実施する事業なんですけれども、実際この事業に参加した先生方の報告会へこの間行きまして、話を聞きますと、非常に行った先生にもいいと。で、行った先生だけじゃなくて、もちろん途上国の教員の資質向上にもつながるわけでありますけれども、日本社会にとっても、また派遣される国にとっても非常にいい事業だなということを確信いたしました。  しかし、現在の制度では、一律派遣期間が二年間になっているわけでありまして、厳しい健康診断が課されて、年間百名の枠があるわけなんですけれども、それが満たされないわけなんです。そこで、例えば二年じゃなくて、一年とか夏休みの期間だけでも行けるような短い短期コースを設定するとかできないでしょうかと。また、現行制度というのは私立は対象外で、年齢も四十歳未満という形になっているわけなんですね。ですから、ここの年齢制限を引き上げるかなくして、国公私立を問わず参加できるように対象を広げることも検討していただけないでしょうかと思っておりますが、理事長、いかがでしょうか。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) 海外青年協力隊の現職教員特別参加制度につきましては、今御指摘にございましたように、先方からの、開発途上国からの要請は大変多うございまして、昨年度では要請が五百七十八件ございましたのに対して四百八十名の応募があったんです。ですけれども、結局実際に派遣されましたのは百八十二名で終わったと。  御指摘ございましたように、これは先生方にとってもいい経験、受け入れる開発途上国の子供たちにとっても大変いい経験、そして帰ってこられた先生に教えていただく日本の子供たちにとってもいい経験なんでございます。もっと増やしたいと思うんですが、本当は、先生方がいらして、そして帰ったときに必ず就職先があれば、もっと自由に参加してくださる方はあると思います。今御指摘ありましたように、例えば一年にするとか、短期の可能性とか、いろいろこの組合せは考えたいというふうに思っておりますので、なるべく広く、国際理解の教育の上ではこんなにいい制度はないと思いますので、検討させていただきたいと思っております。

山本香苗公明党

○山本香苗君 どうもありがとうございました。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 大門でございます。  十分ですので、簡潔な御答弁をよろしくお願いしたいと思います。  ODAと軍事活動との関係について質問いたします。  先ほどもございましたアフガニスタンでは治安の悪化が続いておりまして、特に南東部ではもう内乱状態と言っていい状況でございますが、そのアフガニスタンでNATOのPRTと、地方復興チームが活動をしております。PRT、地方復興チームというのは、重武装した兵士と文民やNGOなどの民間の要員がチームを組んで治安活動と復興支援をやるものでございます。軍事行動と支援がセットになっているというものでございます。PRTというのは、実際には米軍によって、アメリカ軍によって導入されたものですが、今枠組みとしてNATOの中でということになっております。  総理に伺います。  今年一月、NATOの理事会でこのPRTに日本も協力を強化するというふうに演説をされたわけですけれども、それには自衛隊のPRTへの参加ということも含まれているのかどうか、まず伺いたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 本年一月にNATO本部を訪問したわけでございますが、アフガンの復興支援におきまして日本とNATOが協力をしていくということについての重要性について指摘をいたしました。そして、現地で活躍するPRTと連携をしていきたいという考え方について表明をしたわけでございますが、これを受けまして、我が国がPRTと連携をしながら初等教育、職業訓練、医療、衛生の分野において草の根・人間の安全保障無償資金協力を行う仕組みを構築をいたしまして、そしてその第一弾として、リトアニアのPRTと連携をいたしまして識字教育、そしてまた職業訓練の実施が決定をされたということでございまして、一昨日、その署名式がカブールで行われたわけでございます。  我が国としては、国際社会によるアフガニスタン支援という支援全体の中で我が国にふさわしい役割を果たしていくべきであるという観点から、現在行っているような支援を今後とも継続をしていくことが重要であると考えております。今回行う協力において、PRTに自衛隊を参加させることはございません。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 今は現行法では難しいということですが、一括法とか法改正も含めて、今後PRTに日本が自衛隊を参加させるというふうなことは検討はされていくんでしょうか、それとも今おっしゃったように、もうそれとは別のことだというふうに判断されているのか、お伺いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在、この国際平和協力のためのいわゆる一般法の整備については幅広く検討中でございますが、国際平和協力のための多様な取組に機動的に対応して、我が国として的確な協力の推進を図る必要はあると私は認識をしています。  国際平和協力のためのいわゆる一般法の整備でございますが、世界の平和と安定に一層貢献するためにも、国民的な議論の深まりというものを踏まえて検討をしていくべきであると、このように考えております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 このPRTに自衛隊が参加する点については、国際NGOも日本のNGOもかなり懸念を示されております。このODA特別委員会でも、参考人で来ていただきました日本国際ボランティアセンターの谷山代表理事もこの委員会の場で懸念を示されました。それは、要するに現地で、アフガニスタンの現地でPRTの活動を生で見ておられる方々の正に現場から見た懸念でございます。  PRTというのは、そういう建前はいろいろあるんですけれども、例えば、日本のNGOが支援している現地のクリニックにアメリカ軍のPRTが急に来て、そのクリニックを占拠してしまうと、五台のジープと装甲車で乗り付けて。物資の配給ももちろん行ったんですけれども、薬なんかもうただばらまくと、薬をばらまいてしまうと、もう診療とか何か関係なくですね。そういうことが批判されて、赤十字国際委員会もこれはジュネーブ協定第四条の医療活動の中立性に違反するということで抗議をしまして、米軍司令部もNGOの医療施設でのPRTの活動をよほどの事態以外は禁止するというふうなことが出たりしています。  とにかく、軍とNGOとの、支援との境が不明瞭になると。したがって、NGOの人たちは政治的中立性ということで身の安全も保障されているわけですが、PRTがそういう活動をすると、もう一緒くたに見られて身の危険を感じるとか、NGOそのものの中立性も不明瞭になってしまうということで懸念を示されているところだと思います。  私は、PRT含めて、人道支援、復興支援といいながら、やはりNGOが危険にさらされないようなことは重々考えていかなきゃいけないと思いますが、総理のお考えを簡潔にお聞かせいただきたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほども答弁いたしましたように、今回行うPRTとの協力でございますが、今回行う協力においてPRTに自衛隊を参加させるということは考えていないということはもう一度答弁をさせていただきたいと思うわけでありますが。  我が国がアフガニスタンの復興支援を進めていくに当たりまして、今後とも、NGOの方々、現場で活躍をされているNGOの方々の御意見も十分に参考とさせていただきたいと、このように思うわけでございまして、何かをやるということが、何か行為を行うことが目的ではなくて、結果を出していきたいと我々はあくまでも考えているわけでございまして、情報共有等を通じて、NGOを含む援助関係者の当然安全確保にも努めてまいりたいと。  もう一度申し上げますが、NGOの方々の御意見も踏まえていきたいと考えております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 もう一つは、今回の二十億円は無償資金協力で、これは直接PRTには行かないような工夫をされているというふうに聞きました。  ただ、先ほど総理のお言葉の中にもありましたが、PRTに無償援助の資金をというふうなこともこれから入ってくるとすると、私は、ODAというのは、OECDの開発援助委員会でODAを定義しております、これは国際的な定義にもなりますが、非軍事分野での援助ということが一つのODAの定義になっております。このPRTというのは、治安維持活動、中央政府の正統性を地方にまで浸透するというような政治目的が絡んでおりますから、そこにODAの資金が、無償資金援助ですね、入るということは、そもそもODAの非軍事の分野での援助というのに抵触する疑いが出てくるというふうに思いますので、その点もODAの在り方そのものとのかかわりで検討しながら考えていっていただきたいと思いますが、緒方さんが一生懸命うなずいていただいていますが、総理、最後にその点をお願いしたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) いずれにいたしましても、このアフガンの復興支援について、ODAの使用ということについては、当然ODA大綱にのっとってODAを実施していきたいと考えております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 終わります。

近藤正道社会民主党・護憲連合

○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。  私は、フィリピンにおける政治的暗殺や人権侵害の問題について伺いたいと思います。  この問題につきましては、昨年私と福島みずほ議員がこの委員会で質問をしております。日本政府がこの問題について関心を持ってフィリピンの政府に伝えてこられたことは承知しておりますが、しかし事態は好転しておりません。国連もアメリカもフィリピンの人権状況について憂慮をしておりますことは、今日皆さんに配付をいたしました参考資料の中で明らかだろうというふうに思っています。  そこで、総理にお尋ねをしたいというふうに思います。  昨年十二月九日のアロヨ大統領との首脳会談で、総理は、第二十七次の円借款と絡ませて、フィリピンの人権状況について日本の強い関心を伝えておられます。このとき、具体的にどのようなことをお伝えされたのか、お答えください。  また、今年五月の二十三日の首脳会談でも安倍総理はこう言っておられます。いわゆる政治的殺害の問題について、フィリピン政府に対し具体的措置の実施が一層進むことを期待する、こういうふうに述べておられます。これはホームページに載っておりますが、このときにフィリピン政府に対してどんなことを伝え、どんな具体的措置の実施を期待されたんでしょうか。このフィリピンにおける政治的殺害といいましょうか、暗殺というものに対する総理の認識と併せてお答えいただきたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まずは、この政治的殺害、これはあってはならないことでございます。日本は自由と民主主義、基本的な人権、そして法の遵守、この基本的な価値を世界の多くの国々と共有しているわけでありますし、こうした価値がアジアにおいても共有されるように我々も努めていきたいと、こう考えているところでございます。  そこで、昨年の十二月の首脳会談、そして五月における首脳会談についての御質問がございました。  昨年の十二月の首脳会談におきまして、アロヨ大統領より、フィリピンは人権問題を重視しており、ODAとの関連で政治的殺害を問題視する向きがあることは承知をしているが、法の支配の下、適切に対処していくという発言がございました。  これに対しまして、私より、第二十七次円借款の供与については鋭意検討を進めたい旨述べるとともに、いわゆる政治的殺害等フィリピンの人権状況についての日本国内の強い関心に留意してほしいと申し上げたところでございます。  そして、本年の五月二十三日の首脳会談におきまして、私よりアロヨ大統領に対しまして、いわゆる政治的殺害の問題については、昨年十二月の首脳会談以降のフィリピン政府の取組は承知はしているが、具体的措置の実施が一層進むことを期待する旨述べたわけでありまして、私としては、フィリピン政府が発表した更なる対応に関し、その具体的な実施が進展するように期待を述べたものでございます。  これに対しまして、アロヨ大統領から事態解明のための調査等への資金の投入、特別法廷の設置、軍関係者についての軍事裁判の実施、人権侵害被害者に対する経済支援等に取り組んでいるという説明がございました。

近藤正道社会民主党・護憲連合

○近藤正道君 総理は五月の首脳会談で、二十七次の円借款にかかわる未解決の問題についてフィリピン側の努力を要請されておられます。  そして、今ほどお話がありましたけれども、昨年十二月の首脳会談の際に円借款問題と絡ませてフィリピンの人権状況に言及をされております。五月の首脳会談でも、前の年の十二月の首脳会談と同様、円借款と結び付けてフィリピンの人権状況に言及したというふうに理解してよろしいんでしょうか。  つまり、安倍総理が言及されました円借款にかかわる未解決の問題の中にフィリピンにおける政治的殺害の問題も含まれるんでしょうか、お答えください。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) 五月の二十三日に行われました日・フィリピンの首脳会議におきましては、昨年の十二月に引き続いて今言われました問題、いわゆるこの未解決の問題という点に触れられておられるのは確かであります。  ただ、この問題は、私ども外務省の立場からはっきり申し上げさせていただければ、フィリピンは税金を我々に払い戻してきていただいておりません。円借を出しますと、それに基づいて仕事が出ます。その仕事に基づいて、仕事をするわけですから、それによって利益が出るなり、仕事をするに対してVAT、バリュー・アデッド、付加価値税というものが出されるんですが、それをこっちからやったお金で発注して、それからおまえ税金取ろうなんというのはかすめているのと同じじゃないかと、それは取り過ぎだ、おかしいだろう、返せという話を長いこといたしまして、これはかなりの部分が返ってきておりますが、まだ全額返ってきておりません。これは明らかに、そういったようなものは我々として当然取るべきものでないのを取っているんだから返してくれという話が未解決という問題の大きな内容でありまして、この政治的未解決というものの中は、いわゆる政治的な話とは違って技術的な話若しくは経済的な話が主たる理由であります。

近藤正道社会民主党・護憲連合

○近藤正道君 ODA大綱、ODAの援助実施の四原則の中で、開発途上国における民主化の促進、基本的人権及び自由の保障状況に十分に注意を払う、こういう規定が明確に掲げられております。このことをもっとフィリピン側に伝えていただきたいというふうに思っています。  この間、政府は、今ほど総理お話しになられましたように伝えているということは分かるわけでございますけれども、事態が改善されていない。この際、改めてより強く人権侵害は許さない、政治的殺害は許さないという日本政府の強いメッセージを是非伝えていただきたい。今年の秋にもアロヨ大統領が来られるという話もありますんで、今ほど借款の問題とはかかわりはないというお話でございましたけれども、是非、この援助四原則の原則とのかかわりにおいて強い強いメッセージを私はフィリピン政府に対して再度行うべきだと、こういうふうに思っております。総理の認識をお伺いしたいというふうに思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この政治的殺害の件につきましても、二回の首脳会談で私の方から注意を喚起をしたところでありますし、日本側の関心ということにも言及をしたわけであります。そしてまたこのODA大綱、今委員がおっしゃったようにODA大綱に沿って我々の援助はあるわけでございます。当然、今後基本的人権及び自由の保障状況等を見ながら、またそうした状況に注意を払いながら援助を行っていきたいと、このように思っていますが、この首脳会談において私の方から申し上げました。これは大変アロヨ大統領も強く留意をしていたのではないか、そのときの対応ぶりからもそれは十分に私はうかがえると、このように思います。こうした状況の改善に向かって努力をしていくフィリピンを我々は支援をしていきたいと、このように考えております。

近藤正道社会民主党・護憲連合

○近藤正道君 私は、フィリピンのODAの実施に絡んで、サンロケ・ダムで殺害をされて、そしていまだもって犯人が分からない、そういう人の話をしながら、日本のやっぱりODAの実施の在り方について質問をさせていただきました。  たくさんのこういう問題がフィリピンにはあるわけでございまして、このことについて、やっぱり国際世論も大変怒っておりますので、より強いメッセージをフィリピン政府に発していただきたい、強く要望を申し上げまして、質問を終わります。

亀井郁夫国民新党・新党日本の会

○亀井郁夫君 国民新党の亀井でございます。最後でわずか十分でございますので、あとしばらくよろしくお願いしたいと思います。  簡単な質問をしたいと思いますが、まず総理にお尋ねしたいことは、総理の幅広い活動の中でこのODAの持つ意味は非常に大きいと思うのでございますけれども、特に東南アジアやアフリカの諸国に対してどのような援助を続けていきたいかと。ODA関係をどのようにやっていくつもりなのか。簡単に言って、ODAを増やしていくのかあるいは減すのか、そういったことを含めて、率直な御意見を承りたいと思います。

安倍晋三自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま亀井委員から、ODAを増やすのか減すのかという非常に率直な御意見がございました。  私ども、厳しい財政状況の中でございますが、国際的な責任を果たしていかなければならないと、このように考えているわけでありますが、その中でも、当然、国民的な理解を得るためにも、コストの徹底的な縮減を行っていかなければ国民の皆様の御理解は、すべての今財政が厳しい中において、支出を削減をしている中においてなかなか御理解は得られないんだろうと。ですから、更なる徹底的な縮減も、言わばコストの縮減、効率化も図っていかなければいけない、このように思うわけでございます。  このODA、主にこれはアフリカ向け、大きく分けて日本の大宗を占めているのはアジア向けとそしてアフリカ向けでございます。このアジア諸国につきましては、日本と緊密な関係を有している国々、日本の安全と繁栄に大きな影響を及ぼし得るということも踏まえまして、ODA供与の重点国としているわけであります。特にこの円借款を積極的に活用しながら、インフラや法制度の整備を通じた貿易・投資環境の整備、域内の安全確保、気候変動、環境問題対応、エネルギー安全保障等の国境を越える問題への対応等への協力を行っていかなければならないと考えております。  そして、アフリカ諸国につきましては、来年、我が国が第四回のTICAD、アフリカ開発会議を開催することになっております。また、北海道洞爺湖サミットでアフリカ開発の問題がこれは大きなテーマとなるということを考慮に入れまして、我が国として対アフリカODA倍増の国際公約を着実に実施をしながら、また、先ほど麻生大臣が答弁で述べたように、一部のアフリカの国々は高度経済成長路線に入ろうかということに、とば口にあります。それは、何といっても良い統治の結果でもあるわけでございます。そして民主化も進んできた。こういういい面を更に伸ばしていく、そして元気なアフリカをつくっていくという観点から、国際社会とともに支援をしていかなければならないと、このように思います。  このODAについては、世界全体で、例えばアジアに向けてのODA、そして、それとアフリカに向けては大体同枠が投下をされているわけでありますが、アジアにおいては、極めてこのODAが言わば生きてきて多くの国々が自立をし始めているという現実がございます。  私はこのことをサミットで紹介をしたわけでありますが、そういう成功例をアフリカでいかにつくっていくか。アフリカにおいていい統治をしていって国を安定化させていけば国は発展していくということにもつながっていくわけでございます。言わば、ただ、そういうところを見ずに援助をしていくということは、最悪の場合は腐敗にもつながっていってより混乱を招いていくということにもつながるという可能性はある、これはG8の多くの国々が共有した認識を持っているわけであります。そういう意味においても、ODAは透明性とやはり国際的な規範の下で行われる必要があるであろうと、こう考えているわけでございます。  そして、このODA全体につきましては、先ほど山本議員とも御議論したように、戦略性を持って、また効率的に、このODA大綱の下に、今はまた議論、海外経済協力会議においていろいろな側面から戦略性を持って議論をしています。環境という観点から、あるいは環境の中でも温暖化あるいは水という観点から、あるいはエネルギーの安全保障という観点から、そしてまたアジア地域の安全のために資するもの、そしてまたあるいは日本に対して極めて友好的な国々に対してどう考えるべきかという観点から、それぞれいろいろな切り口を設けながら戦略的な支援も行ってまいりたいと考えているところでございます。

亀井郁夫国民新党・新党日本の会

○亀井郁夫君 分かりました。東南アジアについては着実な成果を収めつつあると、アフリカについてもそれぞれまだわずかだけれどもやっているという話ですが。  特にアフリカ等については隣の中国からかなり圧力が強くなってきているというふうなことが報道されるわけですが、特に大使館なんかも日本の大使館よりもずっと多く大使館が置かれているというような状況でございますし、大きな課題になるだろうと思うんでございますけれども、そういう意味ではODAの持つ意味は非常に大きいと思うんだけれども、外務大臣にお尋ねしたいんですけれども、そういう意味では、大使館なんかを増やすのか減すのかということを含めて、どのようにアフリカについてはお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) おっしゃるとおり、アフリカは五十三か国中、日本の大使館がありますのは、今度増やすという予定なんですけど、今二十四。中国は四十五ぐらいあると思いますんで、半分ということになろうかと存じます。  そういった意味で、なかなか、隣の国だから兼轄ということになっても、もう亀井先生御存じのように、あの国は隣が一番遠いところですから、一回ロンドンまで戻って下りるとか、パリまで行ってから下るとか、そういった話じゃないとなかなか隣に行けないというのが現実でございますんで、そういった意味では兼轄というのは、地理的に近いというのは必ずしも時間距離が近いということを意味しておりません。そういう意味では、大使館というものがあるなしというのは非常に大きな問題。  また、傍ら、かなり貧しい国が、日本に向こうの大使館はあるけどこっちの大使館が向こうにないというようなことは、これはちょっとどう考えてもいかがなものかということで、このたび百五十、今百十幾つですが、百五十までということを目指して今大使館の数を増やす。  当然、それに対して人が足りなくなりますんで、その分の人員も充てないとどうにもなりませんので総員増やす。しかし、これからできますところはかなり、ちょっと外を歩くのもいろいろ気を付けながら歩かないと、変なところへ入った途端に地雷とかなんとかということになりかねぬ地域に行くことになりますんで、かなり危険を背負い込まれた上でやるという地域に行かされる確率は極めて高くなるということだろうと存じますんで、そういった点考えまして、ローテーション等々いろいろ考えてやらないかぬということも含めまして、今ここの外務省の基礎体力というか、そういったものをきちんとするべく、いろいろ今案を積んで、今予算化をさしていただきつつあるというところでございます。

亀井郁夫国民新党・新党日本の会

○亀井郁夫君 最後に、緒方理事長にお尋ねしたいと思いますけれども、ODAの今後の展開の仕方についていろいろ注文があれば率直にお話ししていただきたいと思います。

緒方貞子独立行政法人国際協力機構理事長

○参考人(緒方貞子君) もちろん、量を増やしていただきたいというのは第一にお願いすることだと思います。これは公約もいろいろおありになりますから、百億ドル増、そういうことについてはもちろん公約をきちっと実施していただきたいと。  それに加えまして、やはり私としては日本が、経済的にはやはり第二の大国なんですね、それが五番目になったり六番目になっていくというのは非常に情けない気がいたします、正直申し上げて。やはり、それなりの国の力に応じた貢献というものを今までやってきたんですから、是非続けたい。  もちろん効果と効率ということは、私のように今ODAの仕事をしております者にとっては、これはきちっとやっていかないとならないということは十分認識しておりますし、職員一同にもよく伝えておりますので、私どもは効果と効率、効果を見せるという努力も非常に大事だということは最近痛感いたしております。ですから、是非増やしていただきたいということでございます。  ありがとうございました。

亀井郁夫国民新党・新党日本の会

○亀井郁夫君 どうもありがとうございました。

山崎正昭自由民主党

○委員長(山崎正昭君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時散会

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