財政金融委員会 第19号
- 発言数
- 222 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2007/06/19
会議録
○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、岡田直樹君、小泉昭男君、野村哲郎君、広中和歌子君、藤本祐司君及び柳澤光美君が委員を辞任され、その補欠として金田勝年君、舛添要一君、山下英利君、大塚耕平君、円より子君及び尾立源幸君が選任されました。 ─────────────
○委員長(家西悟君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 電子記録債権法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(家西悟君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 電子記録債権法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君及び年金積立金管理運用独立行政法人理事長川瀬隆弘君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(家西悟君) 電子記録債権法案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○中川雅治君 かねてより日本では、受け取った手形を取引銀行に持っていき割り引いてもらうということで事業の運転資金などを得るという形で、古くから企業が資金調達をする手段として手形が用いられてきたところであります。しかしながら、手形は紙であるため紛失や盗難のリスクがあること、手形の作成や保管等に手間やコストが掛かることなどを理由に、その利用が活発ではなくなってきていると言われております。実際にも、数字を見ますと、事業者の手形残高は平成二年度の七十二兆円から平成十七年度の三十一兆円に減少しております。最近では、IT化の進展に伴い電子的に商取引を行うようにもなってきておりまして、金銭債権の譲渡などにつきましても電子的な手段が整備されれば広く利用されるようになるのではないかと言われております。そういうふうに私も思います。 今般の電子記録債権法案は、これらの状況の下で、中小企業を含む事業者の新たな資金調達手段を提供するための法案であると言えると思いますし、また、IT化に対応した新しい時代にふさわしい法案とも言えるのではないかというふうに考えられます。 まず最初に、電子記録債権制度の導入によって資金調達手段が多様化されることが期待されるわけでありますが、法案に対する全体的な評価を金融担当副大臣にお伺いしたいと思います。
○副大臣(大村秀章君) 本法案の趣旨につきましては、今中川先生が言われたとおりでございます。手形や指名債権におけるコスト、リスクの問題を克服をし、そして事業者の資金調達環境を整備をするということと併せまして、IT化の進展に対応して電子的な記録によって権利の帰属が定まる新たな法制度を整備をするということでございます。 この電子記録債権は、手形の代替や売り掛け債権、貸付債権の流動化など、様々な場面での利用が想定されるところでございまして、本制度の創設によりまして、特に今、中川委員が御指摘になりました中小企業者の皆さんを始めといたします事業者の皆さんの資金調達の円滑化、そのことによりまして経営基盤の強化が図られて経済産業の発展が期待をされるということでございまして、正にこの法案の趣旨を今委員が御指摘をいただいたというふうに認識をいたしております。
○中川雅治君 資金調達手段として電子記録債権が広く活用されるためには、それが譲渡しやすいような制度になっていることが必要だと思います。従来の手形は券面を見れば債権の内容が分かる、裏書をすれば譲渡ができるなど流通しやすい仕組みとなっておりまして、中小、大企業を問わず利用され、企業間信用としての存在感を保ってきたものと考えられます。 電子記録債権は、この手形に代わり得るものとして想定されているのでありますが、手形同様にその取引が安全に行われることが権利の譲渡、資金調達の円滑化につながっていくかぎとなるというふうに言ってよいと思います。本法案では電子記録債権の取引の安全を確保するためどのような仕組みを設けているのか、法務省にお伺いをいたします。
○政府参考人(寺田逸郎君) 御説明申し上げます。 今委員も御指摘のとおり、取引の安全が非常に重要でございますので、手形に倣いまして様々な仕組みを設けているわけでございます。 まず、電子記録債権の権利内容自体が債権の記録によって定まるという点が最も重要でございます。また、電子記録債権の債権者として記録されている者である電子記録名義人は権利者だという推定を働かせるということになっているわけでございます。さらに、心裡留保、錯誤による意思表示の無効あるいは詐欺、強迫による意思表示の取消しの場合の第三者保護の規定、あるいは無権代理の相手方の保護の規定、これらも手形に倣って設けておりますし、何と申しましても、譲渡するに際しまして、手形の裏書による譲渡と同様に、権利者として債権記録に記録されている者が無権利者であっても、これを知らないで債権の譲受けを受けた者を保護するいわゆる善意取得の規定でございますとか、あるいは、電子記録債権の譲受けを受けた者に対しまして権利発生の原因となった事情等を理由に支払を拒むことができないという、人的抗弁の切断と申しておりますけれども、それらの規定もあるわけでございます。また、支払の場面におきましても支払免責の規定を設けているわけでございます。 電子記録債権特有の規定といたしましては、電子記録債権の記録機関が間違った電子記録や無権代理人等の請求に基づく電子記録をしたことによって損害が発生したと、このような場合には、民法上の不法行為のルールを変えまして、証明責任を転換し、電子記録債権の側で無過失であるということを証明しない限り機関が損害賠償責任を負うと、こういうことにいたしているわけでございます。
○中川雅治君 電子記録債権制度は、この法律によって新たに創設される制度であります。この新たな制度が円滑に回るためには、電子記録債権の記録を管理する電子債権記録機関が信頼できる存在であり、利用者に使いやすい、そういうものであることが重要であると思います。 電子記録債権は中小企業等の新たな資金調達手段となるものでありまして、その意味において記録機関の業務は各企業の資金繰りに直結するものと言えます。このため、記録の内容が勝手に書き換えられたりすることがあってはならないわけであります。とりわけ、最近の情報化、ネットワーク化の進展によりまして、いわゆるハッカーによるコンピューターへの侵入やコンピューターウイルスの問題などがありまして、セキュリティーに関する様々な問題が指摘されているところでございますが、外部からの不正アクセスによって記録原簿が書き換えられてしまうような事態に万全の備えを講じることが必須であると思います。 この点についての御見解を金融庁にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) お答えいたします。 御指摘のとおり、電子記録債権は、記録原簿によって権利の内容や帰属が定まるものでございます。このため、記録機関は、その業務を行うに当たりまして、外部からの不正アクセスの防止を含め十分なセキュリティーの確保が必要でございます。具体的には、事前の対策といたしましてインターネット接続時におけるファイアウオールの設置、また、万一改ざん等が生じた場合の対策としてバックアップデータの保存などの措置が考えられるところでございます。 これらにつきましては、記録機関の指定申請時に業務規程等の審査を通じてチェックするとともに、業務開始後におきましても日常の検査、監督を通じて適切にフォローしてまいりたいと考えております。
○中川雅治君 この電子記録債権が手形代わりに使われ、中小企業が電子記録債権制度によって恩恵を享受することは、振出側である大企業が手形代わりに電子記録債権を振り出すかどうかに懸かっているわけであります。例えば、部品納入先である大企業側が振り出さなければそもそも電子記録債権が使われることはないわけでありまして、納入企業である中小企業が早期資金化することもできないということになります。 大企業が手形の代わりに電子記録債権を発行する、そのような機運が大企業にあるのかどうか、そこをまずお伺いしたいと思います。金融庁、お願いします。
○政府参考人(三國谷勝範君) 取引の際にどのような手段を用いるかは基本的には当事者間の判断に基づくところがございますが、大企業にとりましては、この電子記録債権、これを利用するメリットといたしまして、一つは、手形の事務作業が電子化することで処理コストが低下する、二つ目は、印紙税が課税されない、三点目は、資金調達のために手形を望む納入業者に対して電子記録債権を発行することによりまして管理等に手間の掛かります手形より低コストで長期的な環境を維持できるといったことが想定されるわけでございます。 このように、大企業にとりましても電子記録債権を利用するインセンティブはあると考えられるところでありまして、本制度が今後幅広く利用されることを期待しております。
○中川雅治君 一方、中小企業側に立っても、電子記録債権が簡便に利用することができる、これが電子記録債権制度の推進にとっては重要なことであるというふうに言えます。 例えば、どの記録機関を相手にしても同じ利用方法で電子記録債権を取り扱うことができたり、ITになじみのない利用者を手助けするための方策があったりすることが制度の普及には不可欠であると考えます。例えば、電子記録債権法案は中小企業等の資金調達のためのものであるわけですが、現在、資金調達は、銀行から融資を受けたり手形の割引を受けたり、いずれにしても銀行や信用金庫などを介して行うのが主流であるため、電子記録債権を用いた資金調達についても手形と同様に取引金融機関を介して行うことができると便利であるというふうに思います。 記録機関の窓口業務を取引銀行が代行するなど、利用者にとって使いやすい記録機関にすべきではないかと思いますが、この点について金融庁にお聞きいたします。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のように、新たに創設されますこの制度につきましては、利用者が使いやすい環境を整えることが重要と考えております。 本法案におきましては、利用者が取引銀行等を介して電子記録債権制度を利用できるよう、窓口業務など記録業の一部を銀行等に委託することができることとしております。また、記録機関には、利用者の保護に欠けることのないよう業務に当たって適切な配慮を求めることとしておりまして、この点、条文にもその旨記載しているところでございます。 金融庁といたしましても、利用者保護の観点からしっかりフォローしてまいりたいと考えております。
○中川雅治君 実際の電子記録債権を利用するということは、記録機関に自らの重要な情報を預けるということを意味いたします。記録原簿は電子記録債権の権利の内容が書かれているものであり、記録原簿を見れば取引企業名等の重要な営業情報なども把握することが可能となります。 ですから、電子記録債権を利用する企業にとっては、この記録原簿の内容がだれに見られることになるのかが極めて重要な問題となります。もし記録原簿がだれにでも見られるようになっていたとしたら問題があるのではないかと思います。この点についての見解を法務省に伺いますが、もう簡単で結構ですので。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、不動産登記等と違いまして、この債権は基本的には当事者以外の方にはお見せしないということにいたしているわけでございます。つまり、電子記録名義人あるいは電子記録債務者として記録されている者、これらの方々には当該債権記録の内容を開示いたしますが、第三者は、電子記録について記録を請求した人が同意している場合等、極めて例外的な場合にのみ情報を開示すると、こういうことにいたしております。
○中川雅治君 以上で終わります。 ありがとうございました。
○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉でございます。 まず、手形に関して質問したいと思います。 こちらに全国銀行協会の決済統計年鑑という資料がありまして、手形交換の金額が、平成二年で四千七百九十七兆あったものが平成十年には一千二百九十六兆、そして平成十七年には五百二十九兆と急減しております。この要因と、また現在の段階で手形の主な振出人の構成に対して金融庁に質問したいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 近年の手形交換金額の減少の要因につきましては様々なものが考えられ、一概に要因を特定することは困難でございますが、一般的に言われていることをあえて申し上げますと、一つは、印紙税や手形の保管、運搬に掛かるコスト、それから二点目は、手形の紛失・盗難リスクなどが要因として挙げられるのではないかと考えているところでございます。 次に、手形振出人の構成につきましては、手形の振出しは私人間で自由に行えますことから、その把握は困難であり正確な統計は存在いたしませんが、あえて法人企業統計より参考になる数値を申し上げますと、これは支払側のベースでございますが、平成十七年度末時点で、中小企業が債務を負う支払手形の残高は二十三兆円、大企業が債務を負う支払手形の残高は十七兆円となっているところでございます。
○大久保勉君 ありがとうございます。 次に、大臣に質問したいと思いますが、電子記録債権法案を読みましたところ、非常に手形としての機能も重要だということで、この法案自身は電子手形決済法案じゃないかと思った次第なんですが、このことに対して大臣の所見を聞きたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権は、従来の手形の代替としての機能が大変大きいものでございます。その意味におきましては、電子手形決済法案ということが言えようかと思います。 しかし、あらゆる金銭債権について利用が可能でございまして、売り掛け債権や貸付債権の流動化などへの利用も想定されているところでございます。これらの利用によりまして、手形の管理コストや印紙税の削減のみならず、指名債権につきましては債権譲渡を通じた資金調達方法の多様化が図られますし、二重譲渡の有無の確認や対抗要件の具備等に要するコストの削減も実現できると考えるところでございます。 こうしたメリットが考えるところでございまして、今後、様々な形での利用を通じて経済活性化に貢献していくことを期待するところでございます。
○大久保勉君 今回の法案に関しましては、手形が電子手形になっていくということ、別の言い方をしましたら、現在の手形に関する印紙税収入がなくなるんじゃないかと、こういった危惧もございまして、この点に関して財務省に質問したいと思います。 先ほどの要因としまして、印紙税負担を嫌って手形取引が減っていますというコメントもございましたので、じゃ、まずは大臣の方に、二〇〇五年と二〇〇六年の手形取引にかかわる印紙税収入は幾らであるか質問いたします。 また、もし分かりましたら、消費貸借契約等もこの法案で代替できると、電子登録債権法案で代替できることになりますから、消費貸借に関する印紙税も要らなくなる可能性があります。まずこの点に関して、もし分かりましたら、質問したいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 印紙税収入全体として、二〇〇五年度で、決算で五千百七十億円でありますし、また二〇〇六年度の補正後の予算では五千百十億円ということになっております。 このうち、手形消費貸借契約書に係る分がどの程度かということを実績に基づいて正確に把握することはなかなか難しいという状況でございます。仮に、過去に行われた調査の数値を用いて単純な推計を行いますと、手形に係る印紙税収入は約千百億円、消費貸借契約書に係る印紙税収入は約七百億円程度になるかと考えております。
○大久保勉君 ということは、この法案が通った場合に、手形取引がほとんどなくなる。そうしましたら、一千百億円の減収と。また、消費貸借契約がこの法案に、つまり電子取引になった場合は七百億円の印紙税収入が減りますから、合計しますと一千八百億円の減収要因じゃないかと。いわゆる企業に対する減税政策じゃないかなと、こういう見方もあります。 じゃ、もし減税政策をするということでしたら、私はこれに関しては賛成だと思います。私自身は賛成ですが、減税するからにはちゃんとした財源措置が必要だと思います。財務大臣、この辺りの財源措置はされているんでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 電子記録の債権制度は、電子的手段によって債権譲渡の推進によって事業者の資金調達の円滑化等を図る観点から、新たな債権制度として設けられるものであると承知をしております。 これに伴いまして、手形取引や消費貸借取引の一部が電子記録債権に移行するわけでございますが、この移行に伴いまして印紙税の収入が減少すると予想されることは事実でございます。ただし、その移行の規模等については現時点で見込むことは難しいという実情にございます。 いずれにいたしましても、今後、今回の電子記録債権制度の創設のほか、ペーパーレス化の進展が印紙税にどのような影響を与えるかということをよく見極めまして、文書課税である印紙税の性格も踏まえながら、何らかの対応が必要かどうかを含め、今後、注視していく必要があると考えております。
○大久保勉君 ちょっとがっかりしております。尾身大臣でしたらもう少しきっちり調査されて財源措置もされているのかなと思いましたが、若干残念です。 ただ、後々、印紙税が減ったからといって新たに電子取引に対して課税をしないように是非とも要望したいと思いますが、この点に関して、大臣の御意見、もしございましたら聞きたいと思います。これは質問通告しておりません。
○国務大臣(尾身幸次君) 中長期的には今回の電子記録債権制度の創設のほか、ペーパーレス化の進展も予想されますので、それに伴って印紙税にどのような影響が出るか、こういうことをよく見極めて、文書課税である印紙税の性格を踏まえながら、何らかの対応が必要かどうか、今後、十分注視していく必要があると考えております。
○大久保勉君 分かりました。注視した後に突如増税とならないように是非お伝えしたいと思います。 では、続きまして、この電子記録債権、非常に使い勝手がいいんじゃないかと思いまして、どういう取引ができるか、手形以外の取引としてどういうことができるのか、この点に関して確認したいと思います。 電子記録債権を通じた融資取引若しくは社債発行、優先証券発行というのが可能であるかどうかを質問したいと思います。 一例で言いますと、毎年一定の利息を支払い、満期、十年後には十億円の元本を払うという電子登録債権を発行することは可能か。いわゆる十年の社債、若しくは十年の、海外ではノートと言いますけれども、こういったものが発行できるか。もし発行できるとしましたら、印紙税も要りませんし、電子上の取引ですから非常に画期的な取引だと思います。 また、この債権を通じまして劣後債の発行ができないかということです。つまり、支払に関してはほかの優先債権に比べて劣後すると、いわゆる資本性の調達ができるかどうか。場合によっては転換社債を発行できるか、こういった点に関して質問いたしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) まず、貸付けを原因として電子記録債権を発生させることは可能でございます。電子記録債権を利用して融資を行うことも可能となるわけでございます。他方、そもそも社債が会社法の規定に基づき当該会社を債務者として発生する金銭債権であることからすれば、会社法でなく本法律案の規定だけに基づいて電子記録債権の形式により社債が発行されるということはございません。 しかしながら、経済的に見て社債に類似した性質を持つ電子記録債権を発行することは可能でございます。特に、電子記録債権では、利息についての定めを記録することも可能とされておりますことから、御指摘のように、毎年一定の利息を支払い、十年後の満期に十億円の元本を支払うという電子記録債権を発行することは可能でございます。 次に、優先出資証券は出資者が分配を受ける金額が確定していないのに対しまして、電子記録債権では債務者が一定金額について支払義務を負うものとされていることからしますと、優先出資証券に類似した電子記録債権を発行することは考えにくいところでございます。劣後条件が債務者が債権者に対抗できることができる抗弁を構成するようなものでございますと、電子記録債権におきまして劣後条件を記録することで支払に劣後条件を付することは十分可能でございます。 次に、電子記録債権は金銭債権でございます。時価十億円相当の現物株式で支払うことを内容とする電子記録債権を発行することはできません。しかし、あらかじめ株式によって代物弁済する旨を記録した上で、十億円の債務につきまして、会社法等の所定の手続を踏まえて、時価十億円相当の現物株式で代物弁済するということの仕組みは可能でございます。
○大久保勉君 事実上は社債類似若しくは劣後債類似商品は簡単に発行できるということで、金融のイノベーションにとりましては非常に有り難い商品じゃないかと思います。 しかしながら、投資家にとって本当にこれは、じゃ、ちゃんとした保護がなされているのか、こういった観点で質問したいと思います。 電子記録債権が他の金融商品と同じような利用のされ方がなされた場合に、金融商品取引上の規制が掛かるという理解でよろしいでしょうか、質問します。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権は、一つ一つが記録番号で管理されております。個別の権利として認識されるものでございます。しかし、電子記録債権に個別性があるといたしましても、社債のように同じ内容の多数の電子記録債権を発生させる場合など、電子記録債権が広く投資家からの資金調達を目的とする金融商品として利用されることも十分考えられております。 このような場合には、投資家保護の要請は通常の社債の場合と異なるところはございません。今般の法案による改正後の金融商品取引法におきましては、社債等の有価証券と同視し得るような電子記録債権を有価証券とみなした上で、発行者に対する開示規制、仲介者に対する業規制、行為規制などを課することとしているところでございます。
○大久保勉君 じゃ、次に、この電子登録債権が事実上社債と同じ性質であると、またそういった商品を発行することができるということですね。また、金商法の対象になるということなんです。 そこで、金商法の三十三条、証取法の六十五条に対して質問します。いわゆる銀行と証券業務の分離、銀証分離です。 これは金融審などで今議論されておりますが、垣根をどんどん低くしましょうということなんですが、まだグラス・スティーガルの名残が残っています。もう私はこれは要らないと思いますが、法律がちゃんとありますから。 じゃ、金商法三十三条との関係で、銀行がいわゆる類似社債を引受けをした場合には金商法三十三条違反になるんじゃないかと思いますが、この点に関して質問をします。
○国務大臣(山本有二君) 金融商品取引法第三十三条のいわゆる銀証分離規定によりまして、銀行等が社債等の引受けを行うことは禁止されております。 今般の法案によります改正後の金融商品取引法では、社債等の有価証券と同視し得るような電子記録債権を有価証券とみなした上で、これにつきましても銀証分離等の規定を適用するというようにしております。こうしたことによりまして、御指摘のような満期十年の社債と同様に利用される電子記録債権の場合も銀行等による引受けが禁止されることになるということになると思います。
○大久保勉君 非常にここが分からないんですが、十年の手形というのは社債とみなされて、これは引受けできないと。ところが、じゃ一年の手形、つまり一年後に十億円払います、利息も一年後に払います、これは引受けできるんですか、できませんか。
○政府参考人(三國谷勝範君) この問題は、有価証券の引受けというのはどういうものかということになるかと思います。 引受けにつきましては、総額引受け、残額引受け等がございまして、そういった引受け者が自分で取得あるいは残額部分を引き受けて、そのリスクをしょった上でまた他人に転売をするというようなものでございまして、そのような形というものであれば、これは銀証分離の規定に抵触してくるということになると思います。
○大久保勉君 手形買取りだったらいいんだけど、手形を引き受けたら銀証分離に抵触すると。これ実務的にはほとんど同じ行為なんですね、手形を買い取ることも、若しくは引き受けることも。非常に峻別するのは難しいですから、もうこれだけ金融が自由化している、規制緩和しておりますから、そろそろ金商法の三十三条を撤廃すべきときが来たんじゃないかと私は思っております。 ここは意見だということで終わりまして、じゃ次の質問に参りますと、電子記録債権は金融市場に与える影響は非常に大きいと思います。また、健全な取引慣行ができれば我が国の金融経済に多大なメリットがあると考えられます。そこで、東京シティー構想との関連で金融のイノベーションを進める観点から、大臣のこの法案に対する御所見をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権制度は事業者の資金調達手段を多様化する金融インフラでございます。多様なニーズに基づいて様々な利用方法が考えられる仕組みでございます。我が国経済の活性化に資するとともに、金融イノベーションを促進するものとして期待されるところでございます。 我が国金融資本市場の国際競争力の強化のためには市場を支える金融インフラの利便性向上が重要な課題でございまして、金融庁といたしましては、こうした観点から、電子記録債権制度の具体的な環境整備を進めるなど、その円滑な導入に向けまして引き続き努力してまいりたいと考えるところでございます。
○大久保勉君 続きまして、この電子記録債権の健全かつ安全な制度をつくるための質問をしたいと思います。 電子記録債権の発行者や債権者、譲受人は、当該記録機関に全員が口座開設を行う必要があるのかどうかを質問したいと思います。また、本人確認、マネーロンダリング等の回避など、どのような方法で行うのか、具体的なことに関して質問したいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権の利用開始に当たりましては、利用者は記録機関との間で利用契約を締結することになります。記録機関は、当該利用契約の締結時に犯罪収益移転防止法に基づく本人確認を行うことになるわけでございます。具体的に申し上げれば、取引関係の開始時に運転免許証や電子証明等による本人確認を行う一方、一度本人確認を行った利用者につきましては、パスワード、ID等によりまして本人確認済みであることの確認を行うこととなっております。
○大久保勉君 じゃ、より具体的な質問に入りたいと思います。 例えば、電子記録債権の発行人が不渡りを起こした場合は登録機関はどのような措置を行うんですか。例えば、一回不渡りを起こすとか、場合によっては二回。銀行の場合でしたら二回不渡りを起こした場合は銀行取引が停止されます。こういった措置は行われるんでしょうか、質問します。
○国務大臣(山本有二君) 手形における不渡り制度は、銀行取引停止処分によりまして不適格な参加者を排除するということで、手形の円滑な流通を確保する民間のルールでございます。電子記録債権に関しましては、手形における不渡り制度と類似の民間ルールを導入することにつきまして、民間のニーズ等を踏まえて、電子記録債権の実践的な活用方法をにらみながら、利点、問題点のバランスに配慮した十分な検討が必要であると考えております。 金融庁といたしましては、実務者と十分意思疎通を図りながら、こうした民間ルールの策定について適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
○大久保勉君 金融庁としては、制度は想定できるが、最終的な決定は民民で決めなさいということだと思います。 中小企業団体と話をしまして、是非要望として、銀行取引停止処分とか、手形と同じような制度が是非とも必要じゃないかと、そうしないと、手形をもらったけど不渡りになる可能性がある。特に譲受けをした場合のリスクもありますから、この辺りは金融庁としても適切に指導してほしいという要望もありました。このことを申し伝えたいと思います。 では、次の質問として、電子記録債権が転々流通し、いわゆる反社会勢力や過度な取立て業者が譲受人になることを未然に防ぐような制度はあるんでしょうか。この点に関して質問します。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権は金銭債権の流通性を高めるために新たに創設される制度でございまして、あくまで自由に譲渡できることが基本でございます。しかしながら、記録機関におきましては、業務規程に基づいて電子記録債権の利用者との間であらかじめ利用契約を締結することが想定されております。この中で反社会勢力の利用制限等を盛り込むことは大事なことであろうというように考えております。 いずれにいたしましても、利用者にとりまして最適な枠組みが構築されますように、実務を踏まえた適切な対応を記録機関に期待するとともに、金融庁といたしましても利用者保護等の観点を踏まえて適切に監督を行ってまいりたいと考えるところでございます。
○大久保勉君 分かりました。 反社会勢力に関しては明快な回答だったと思います。ただ、過度な取立て業者が譲受人になるという点に関しては、強調したいと思いますが、消費貸借契約もこの電子登録債権という形で結ぶことができますから、この債権が転々流通しまして非常に厳しい取立てをするような人に渡った場合には、期限の利益があってもそれが機能しないケースもありますから、この辺りに関してはきっちり金融庁としても認識し、また指導すべきだと思いますが、この点に関してもう一度大臣のコメントをいただきたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) こうした取立てにおける過度な行為というものに対しましては監督指針等でしっかりと見てまいる所存でございまして、言わば公平、公正な観点からこの記録機関が運用されるように考えていきたいと考えております。
○大久保勉君 じゃ、次に、記録機関の資本金に関する質問をします。 記録機関が例えばシステム障害を起こすとか記録データの毀損、情報漏えい等によって多大な損害を利用者に与えると、その場合の損害賠償能力が問われると思います。 現在、五億円が最低資本金になっておりますが、非常に少ないんじゃないかと私は考えております。じゃ、それを補完するために供託金制度とか強制保険加入義務制度、こういったものを設けるべきだと思いますが、実際のところはどうなっていますでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) 記録機関には、御指摘のとおり、システム障害、記録データの毀損、情報漏えい等に備えた損害賠償能力等が必要でございます。このため、今般の法案では、電子債権記録業を健全に遂行するために十分な財産的基礎を記録機関に求めるようにしております。 財産的基礎の水準につきまして申し上げますと、多様な主体による参入が阻害されないようにする必要性がまずございます。利用者からの信頼や安定的な業務運営を確保する観点もございます。他の金融関係法令による最低資本金の水準という面もございます。会社法におきまして資本金五億円以上の大会社は外部監査が義務付けられていること等を総合的に勘案いたしまして、五億円以上と法定したところでございます。
○大久保勉君 大臣、外部監査が必要でありましてもそのことによって信用力が高まるということにはなりませんから、是非とも、保険に加入するとかいわゆる財政的な補強が是非とも必要でありますから、そのことに対して正面から答えてもらいたいと思います。もう一度質問します。
○国務大臣(山本有二君) したがって、この法案につきましては、記録機関につきまして供託金等によるセーフティーネットや損害賠償保険に加入義務を課するなどの制度を設けるべきという点もございますが、今後、そうしたものにつきましては十分検討をさせていただきたいと思っております。
○大久保勉君 ありがとうございます。是非、検討かつ実行をお願いします。 じゃ、続きまして、記録機関に関して質問します。 これはだれでも設立可能であるかという質問です。また、役職員の兼業は可能であるかということです。もし自由に設立を認めた場合には、また役員の兼業を認めた場合には情報の目的外利用やリスク遮断が本当にできるか、非常に心配な面もあります。また、親会社が反社会勢力であったり、全然違いますが、例えばファンド、外資系企業、例えばSPC、保険会社、証券会社、ノンバンクあるいはIT企業といろんな組合せが考えることができます。こういったものはすべて設立可能であるか、このことに関して質問します。
○政府参考人(三國谷勝範君) 電子記録債権制度は、多様なビジネスニーズに基づきまして複数の記録機関を設立することが可能な仕組みとされているところでございまして、法定の要件を満たすものであればだれでも記録機関の指定申請を行うことが可能でございます。いろいろ保険業法等の金融法令がございますが、ここにおきましても、子会社として記録機関を保有できるよう、これは内閣府令等で子会社規則の見直しを行うことを考えているところでございます。他方、記録機関の指定に当たりましては、社会的信用も踏まえた観点から審査を行うために、反社会的勢力との関係等もチェックすることが可能となっているところでございます。 役職員の兼業につきましては、この電子記録債権制度を円滑に導入、促進していく上で過度な規制にならないよう慎重に対応してまいりたいと考えておりますが、役職員の兼業の場合であっても、御指摘のように、記録機関の役職員の秘密保持義務や記録機関による不当な差別的取扱いの禁止を規定しているところでございまして、情報の目的外利用や他業のリスク遮断への対応を図っているところでございます。
○大久保勉君 法律的にはすべての人が設立可能であると、ところが指定申請をして認可されるかどうかはまだ分からないということですが、じゃ具体的に、外資系企業が指定申請を求めた場合には承認しますか、若しくはSPC、さらにはファンド、この点に関して質問します。
○政府参考人(三國谷勝範君) それぞれの機関が要点、要件を満たしているかどうかということで個別に判断されることになります。
○大久保勉君 その要点、要件というのは何でしょう。
○政府参考人(三國谷勝範君) 一つには申請者の欠格事由というのもございますが、一方では、財産的基礎、人的構成、あるいは業務を遂行するに足る適格な能力、こういったことを審査した上で指定するかどうかを決めるものでございます。
○大久保勉君 この辺りも、先ほどの答弁では事実上何にも言っていないのと一緒だと思うんですよね。ですから、もう少し具体的に分かるように是非改善してほしいんです。是非、ノーアクションレター制度に対して使い勝手を良くしたいということが金融審で議論されておりますから、是非、こういった事例を踏まえましても、だれがどういう要件だったら設立できるのか、この辺りに関してきっちりみんなに分かるようにしてもらいたいと思います。これが国際化であると思います。 では、続きまして、登録機関はタックスヘーブン国など国外で設立は可能ですか、また物理的な建物に存在せずインターネット上の電子空間のみで活動することは可能でありますか、この点に関して質問します。
○国務大臣(山本有二君) まず、記録機関は日本法に準拠して設立されました株式会社であることが必要でございます。国外で設立されました外国会社は記録機関として指定を受けることは自動的にできなくなるわけでございます。 また、記録機関が物理的な建物に存在せずインターネット上の電子空間でのみ活動するということにつきましては、記録機関が株式会社である以上は本店が物理的に存在しなければなりません。また、記録機関の指定の要件として一定の財産的基盤や適切な人的構成が求められております。こういったことにかんがみますと、いわゆる電子空間の活動ということだけでは存在、想定しにくいのではないかと考えております。
○大久保勉君 分かりました。ほかに細かい疑問点は一杯ありまして、昨日もレクの段階でいろいろ質問をしましたが、まだ決まってないところが相当多いと思うんです。ですから、これから政省令できっちり決めてほしいなと思います。 次の質問に参りたいと思います。 まず、福井総裁がいらっしゃいましたので、福井総裁に質問したいと思います。 日銀の福井総裁が十五日の金融政策決定会合後に行った会見で、思わぬハト派的な発言に市場からは驚きだったと戸惑いの声も上がっております。例えば、政策変更という行動に結び付けるには先行きの経済、物価の動きにより確証を持つ必要があるといったコメントであったり、若しくは要確認事項が非常に多いなど、これまでのトーンと相当変わってきたと思うんです。これまでといいますのは、一月前とかその前です。 そこで、前回の政策決定会合から今回の政策決定会合まで何か経済のファンダメンタルズが劇的に変わったのでこういったタカ派発言からハト派に変わったのか、それとも、七月に予定されている参議院選挙を意識した高度な政治的な発言、若しくは高度な政治的判断によるものか、この点に関して質問します。
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行の先行きの金融政策運営の基本的な考え方につきましては、経済・物価情勢の展望と題しましたいわゆる展望レポートで常にお示しをしております。最近の四月の展望レポートでは、日本経済が物価安定の下での持続的な成長軌道をたどる蓋然性が高いことを確認し、リスク要因も点検しながら経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで徐々に金利水準の調整を行うことになるとはっきり記述をしております。 先週十五日の御指摘の記者会見でありますが、このときもこうした基本的な考え方に立った上で経済・物価情勢について丁寧に御説明をしたところでございます。つまり、会見に先立つ二日間の金融政策決定会合では、経済・物価情勢を丹念に点検しました結果、日本経済は四月の展望レポートでお示ししたシナリオに沿って、物価安定の下で息の長い拡大を続ける可能性が高いという見方で一致し、そのことを明確に記者会見でも御説明しております。その上で、今後とも各種の指標や情報を分析し、こうした見通しの蓋然性やリスク要因を点検していくと、より確信が持てるような状況に進んでいく必要があると考えているということを申し上げました。 参議院選挙を意識した発言かという御質問も今ございましたけれども、そうしたことは全くございません。あくまで経済・物価情勢を丹念に説明したものでございます。
○大久保勉君 ということは、六月の発表とその前四月、五月というのは、福井さんにとりましては全く同じような意識で、全く同じようなタカ派的な考えの下にコメントを出したということでよろしいでしょうか。
○参考人(福井俊彦君) 決して私自身がタカ派であるとか、逆にハト派であるとかいうふうに認識はしておりません。丹念に経済情勢を客観的に分析していく責任を負っている立場でございます。 今の御質問に沿ってお答えすれば、四月の展望レポートでお示しした言わば標準的なシナリオに沿って、その後一か月半経過しているというところでありますけれども、経済はおおむね標準的なシナリオに沿って順調に進んでいると、このことを確認したということが記者会見における最も重要なポイントであります。そのことをすぐに政策判断に結び付けるかどうかということについては、今後ともそうしたシナリオどおりの経済の推移があるかどうかということを更に点検したいと、こういうふうに淡々と記者会見では説明いたしております。
○大久保勉君 分かりました。 では続きまして、いわゆる日本銀行の金利政策が経済若しくは年金等に与える影響に関して幾つか質問したいと思います。 最初の質問としては、これはもう既に答弁されたことですが、確認のために質問します。これまでの日本銀行の低金利政策によって日本の預金者の金利が減少しているということで、この点を日本銀行は分析されたと思います。じゃ、どのくらい家計に影響したのか、この点に関して質問します。
○参考人(福井俊彦君) 国会の場でこれまで幾たびかお答え申し上げてきましたいわゆる預金利息への影響についての数字は、ある前提を置いた御質問にお答えするという形でお示ししたものでございます。 つまり、国民所得統計における家計の受取利子額を用いて試算いたしますと、一九九一年における受取利子額三十八・九兆円がその後二〇〇五年まで継続したものと仮定した場合と実際の受取利子額との差額ということで、累計三百三十一兆円という数字を申し上げております。また、もう一つの試算は少し時点をずらして、一九九三年における受取利子額二十九兆円がその後二〇〇五年まで続いたものと仮定した場合との実際の受取額との差額、これが累計で百九十七兆円と、こういう数字を御説明申し上げております。 いつも申し上げておりますけれども、そういうふうにお示ししておりますが、低金利政策の家計に及ぼす影響という意味では、経済の下支えによる雇用者所得の増加など、もう一つ別の面も含めて総合的に評価する必要があるということもいつも重ねて申し上げていると思います。
○大久保勉君 分かりました。 日本銀行の金利政策がいわゆる預金金利に与えた影響はよく分かったんですが、国民のもう一つの関心事といいますのは、いわゆる将来の生活、そのための年金制度、ここに多大な関心があると思います。 では、日本銀行の低金利政策が公的年金に与えた影響に関する試算はあるんでしょうか、まずその点に関して質問します。
○参考人(福井俊彦君) 低金利政策が年金財政等の、年金財政は様々なルートから収入があるわけですけれども、金利収入という面での減少をもたらしたという御指摘があることは私どももよく承知しております。ただし、低金利政策の年金財政への影響は、経済活動全般の動きを通じた効果も考慮して評価する必要があるんではないかというふうに思います。 実際、厚生労働省が公表をしておられるデータによりますと、量的緩和政策の時期におおむね相当する二〇〇一年度から二〇〇五年度の平均で見て、年金積立金の運用利回りは三%を上回っているということであります。こうした利回りによる運用が可能であった背景の一つには、低金利政策が日本経済を下支えし、景気回復期待が生じた下で株式等の投資収益率が回復したことが相当寄与しているというふうに見られます。 このように、資産運用のパフォーマンスはそのポートフォリオや運用方針によって異なるものでありまして、金利収入だけを取り出して評価することは非常に難しいというふうに考えております。 いずれにいたしましても、低金利という面から金利収入という面に限って見れば年金等に運用難をもたらしたことは事実でありますし、それは低金利政策の副作用の一つだというふうに認識しています。ただ、金融政策は副作用があったとしても全体としての経済・物価状況に照らして実施するものでございます。低金利政策は、これまでの経済・物価情勢の下で必要な政策であったというふうに考えております。
○大久保勉君 まだ非常にあいまいもことしていまして、もう少し理論的に若しくはリスクファクター別に分析した方がより理解が進んでいくと思いまして、まず一つの資料を作ってまいりました。 皆様の方に渡しています資料で、運用利回り、合計特殊出生率と所得代替率の関係、平成十六年財政再計算に基づく分析。この資料といいますのは、厚生労働省に計算をお願いして、厚生労働省から出てきた資料であります。ただ一点だけ私の方で変えた部分は、①の五%上昇した場合、二〇ポイント上昇になっていますが、元々の資料は五九%でした。これは、金利が上昇した場合に最低所得代替率が上昇しますが、五九%がキャップになっているということで五九がありましたが、このキャップを外しましたら二〇%に値するというものです。 まず、前提に関して申し上げますと、物価上昇率が一%、賃金上昇率が二・一%、運用利回りが三・二%で財政再計算がなされております。 なじみが深いのが②の部分です。合計特殊出生率と所得代替率の関係ということで、これはよく公表されてもうおなじみの数字でありますが、二〇五〇年の合計特殊出生率によってどのくらい最終所得代替率が変わるかということがこの表です。 例えば、中位推計でもし出生率が一・三九でしたら五〇・二、つまり、現役世代の所得の五〇・二%年金でもらえますよと、こういった考え方です。ところが、出生率が一・一〇まで下がっていたケースでしたら、五〇%を割りまして四六・四%しかもらえないという状況です。ですから、国を挙げて少子化対策をしないといけないと。もし少子化対策の結果出生率が一・五二まで上がった場合は、五一・七%ということになっています。この数字は極めて重要な数字ということで、政府が一丸になって何とか少子化対策をしていこうということで今行っている数字だと思います。 ちなみに、国の少子化予算は一・七兆円というのがさきの厚生労働省での質問で返ってきました。つまり、一・七兆円掛けまして少子化対策をした結果、二〇〇五年度が一・二六の出生率が二〇〇六年には一・三二、まあ〇・〇六ポイント上がったという状況です。ですから、出生率は上げていくことは重要ですが、その予算が一・七兆掛かったということです。 それに対して、運用利回りと所得代替率の関係、これは意外と議論されていないんです。私は、極めて重要だということでこの数字を出してもらいました。 もし、運用利回り三・二%と推定していますが、一%上昇したらどのくらい上昇するか。これは、人口推計を基準ケース、中位ケースが一・三九のときに五〇・二%になっていますが、これに対して三・二%の運用が四・二%まで上がった、つまり一%上昇した場合は四ポイント上昇しますと。つまり、五四・二%の所得代替率になるという数字です。非常に大きいんです。二%でしたら当然八ポイント、つまり一%当たり四ポイントの効果なんです。ですから運用利回りを上げないといけないですねと。日銀の金融政策というのは年金に多大な影響をしているわけなんです。 どうしてこれだけ大きいかといいましたら、年金というのは百年安心、百年間で均衡水準になっています。私は、百年安心というよりも今の百年間飛ばしている、百年飛ばしと思っていますが、百年間で計算していますから運用利回りと最終所得代替率の関係が極めて大きくなっています。 ちなみに、②の推計を見てもらいたいんですが、少子化進行ケース、一・一〇の場合でも、金利が、運用利回りが〇・九五%上がりましたら最終所得代替率を四六・四%から五〇・二%まで引き上げることができます。さらに、一・三二五%運用利回りが上がりましたら、少子化改善ケースと同じ五一・七%を維持することができます。もちろん出生率は一・一〇であったとしてもということです。ですから、運用がどれだけ重要かというのは是非認識してもらいたいんです。 下の方にまとめとしまして、合計特殊出生率が〇・一上昇すると所得代替率は一・二ポイント程度上昇すると。特殊出生率〇・一に相当する運用利回りといいますのは〇・三%です。私も運用の現場におりましたから、〇・三%運用利回りを上げることは比較的簡単です。ちなみに、一九七〇年代の長期金利の水準は七%台でした。二〇〇〇年代の金利水準は一・五%前後ですから、六%金利が下がっています。逆に、七〇年代と同じような金利水準に戻しましたら五%上昇したケースに近いように最終所得代替率は相当の上昇をします。もちろんこれは、運用利回りが六%程度上がった段階では賃金上昇率もありますから若干相殺はされますが、いかに運用利回りが重要かと、つまり日銀の政策がいかに重要かということなんです。 これまで、日本銀行としては預金の金利に関してはおっしゃっていました。また、さきの衆議院の古本委員の質問によりましては、家計というのは住宅ローンが多いですから、金利を上げた場合は利払いが増えて景気に、消費にマイナスの影響があるといった分も議論されていたんです。ここで議論したいのは、日銀の金利政策が年金に影響するということなんです。 では、どのくらい影響するかに関してここで御説明します。 現在、公的年金の運用金額は百五十兆円です。そのうち八〇%は国内社債で運用しておりますから、金利が上がりましたら並行的に上がっていきます。百五十兆円で八〇%ですから、百二十兆円の部分は金利に連動します。もし金利が一%上がりましたら、年間一・二兆円の運用利回りの運用益が上がってくるんです。それが十年間で十二兆円になりますから、無視はできないと思います。さらに、公的年金以外には年金の二階部分とか三階部分があります。これは厚生年金基金だったり企業年金基金です。資金量は膨大です。ここも国内債で運用している部分が多いですから、金利に連動する分が多いと思います。 ですから、日本銀行が低金利政策をすることによって年金の運用利回りが下がり年金財政が悪化、そして年金に対する不信、消費が低迷すると、こういったパスもあると私は思います。この点に関して福井総裁の御認識はどうか、確認したいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 今委員から資料をお示しいただきまして詳しい試算を拝見いたしました。私どももここまで詳しい試算を従来見ておりませんが、それでも運用利回りと所得代替率の関係、それ一定の前提を置けばどうなると、例えば一定の前提を置けば一%実質運用利回りが変わった場合に最終所得代替率が四ポイントほど上昇するというふうなこと等についてはつとに承知をいたしております。 私どもは低金利政策の影響、短期的には預金金利にどういうふうに影響がある、逆に住宅ローンにどういう影響がある等、これは非常にショートランな影響、これは将来の経済につながるものでありますのでいろいろと分析しておりますが、年金につきまして決して関心の的から外しているということではございません。 ただ、年金につきましては、私ども金融政策の観点からはマクロ的にどうとらえるかと。これは預金金利とか住宅ローンと少し違って、より長期の視点に立った運用が行われて給付額が最終的に確定してくる性格のものだというふうに思っております。年金資産の運用は極めて長期の視点に立つ投資であるということがまず第一点でありますし、最終的な給付額の決定に至るそのプロセスにおいては、委員御指摘のとおり、賃金の動向、賃金スライド方式の要素と最終的に物価スライド方式と、賃金とか物価の動向いかんということが介在して最終的な年金額が決まる、したがって所得代替率が決まる、こういう関係にあります。 私どもマクロの経済政策の一端の運営責任を担わしていただいております金融政策の立場からいきますと、年金資産が債券に運用されている場合には、長期的に持続的な形で、また実質的に金利水準がどうかということ、できればその金利水準が実質的に長期的、持続的な形で上がっていくということが重要だというふうに視点を定めております。 そのためには、最終的には長期の実質金利というのは我が国の経済の潜在成長能力、つまり付加価値を付け加えていく能力が上がるというところに最終的な根源があるわけでありまして、そこを可能な限り高めていくことがポイントになると。金融政策の場合には直接潜在成長能力を押し上げるという手段は持っておりませんけれども、物価安定の下での持続的な成長に貢献していくという姿を通じて民間の努力あるいは政府の努力で潜在成長能力が引き上げられていった場合に、それを余すことなく実際の成長率として実現していくと、これが一番大事なことだというふうに思っています。 年金財政につきましては、国民経済全体にとって非常に重要な問題であり、私どもはそういうふうにロングランな視点の中で金融政策の中にきちんと位置付けているというふうに御理解いただきたいと思います。
○大久保勉君 ありがとうございます。是非、年金の方もきっちり見てもらいたいと思います。 今日は、年金積立金管理運用独立法人の川瀬理事長に来てもらいました。恐らく福井総裁の後輩に当たられる方ですよね。日本銀行出身ということで、非常に金融に関しても見識が深いということでいろいろ質問したいと思います。 先ほど、マスコミ等の報道によりましたら、今年は初の小型株式投資を行うということで発言されていました。一方で、REITとかファンド、ヘッジファンドなどの代替投資に関しては慎重であるというコメントがありましたが、このことに関してもう少し詳しい意見を聞きたいということで質問したいと思います。いわゆる百五十兆円の資金を運用しているところでありますから、この資金がどこに行くかということで非常にマーケットに大きい影響がありますし、先ほどのように一%運用利回りを上げましたら四ポイント所得代替率が上がるということで、極めて重要な職務の方です。是非コメントをいただきたいと思います。
○参考人(川瀬隆弘君) 先生の試算を見ても、あるいは以前から、運用利回りというのは非常に大事だなというふうに考えております。 ただ、私どもは、今の現在の目標は、年金財政から示された予定利回りを安全かつ効率的な資産運用によって達成を目指すと、こういうふうなことでやっておりまして、現在はそれを国内外の債券、株式という伝統的な四資産の組合せによって実現をしようとしているわけでございます。 それで今、オルタナティブというお話がございまして、これは先般、ある通信社から取材を受けましたときに、それについては慎重に検討しているというふうに答えたわけで、それが報道されていると思いますけれども、私どもの方ではそれが運用の対象になるかというようなことを研究をしておりまして、ただ一部報道にございましたように、それを進める方向で検討しているというような方向性まで出しているわけではございません。 オルタナティブにつきましては、いろんな方からも質問を受けますし、我々も問題というふうに思っていますけれども、私どもとしては、まずそういう運用対象が安全かつ効率的な運用を行って予定運用利回りの達成を図るという運用目的に沿うものであるかどうかということを十分に検討する必要があるなということで、今検討しているということでございます。
○大久保勉君 今日、山本金融担当大臣がいらっしゃいますので、ちょっとコメントをもらいたいんですが、最近出た金融審の議論によりますと、日本の金融市場をいわゆる国際化していくために幾つかの改善が必要であると。問題点としては、日本の公的年金の運用利回りが低いと、特に諸外国に対して技術革新を取り入れていないとか、若しくは、一例としましては、ノルウェーの年金運用に関しては非常に新しい手法を取り入れております。また、カルパースといいまして、カリフォルニアの退職金等に関しては非常に画期的な運用をしております。こういったことを全くやっていないことに関していかがなものかといった論調で議論があったと思いますが、この点に関して、山本大臣、何かコメントはございますか。
○国務大臣(山本有二君) 年金の運用については様々な議論があることを承知しております。その中で、日本市場で世界の各国の年金基金がその利回り、収益を高く上げているという事実がございます。そう考えましたときに、我が国の年金の運用についても、言わばもっと頑張ってほしいというような意味の議論は当然あることは承知しているわけでございます。 しかし、リスクなきところ利益ないわけでございまして、この点を考えましたとき、将来合意がなされた場合には当然そうしたリスクテークも考えるような運用手法を取っていくことが可能ではないかと思いますが、いまだその議論が熟していないということに対しては、もう少し頑張っていただきたいというように希望するところでございます。
○大久保勉君 分かりました。 リスクとリターンの関係というのは重要ですが、ところがリスク量を一定にしてリターンを上げる方法もあるんです。具体的には、今四資産で運用されておりますが、いわゆるREITとかヘッジファンドというのは株式とか債券市場とは別の動きをしますから、リスク量はそれほど増やさずに利益を上げることができますから、こういったことを是非検討すべきじゃないかと私は言いたいと思います。 この点、川瀬理事長はどうですか、御意見は。
○参考人(川瀬隆弘君) いや、今こちらの方から御指摘ありましたように、リスクとリターンというものはやはり表裏の関係にあるというふうに思っておりまして、何か今、ヘッジファンドとかオルタナティブにつきまして非常にリスクがないままに高い金利を取っているというふうな記事が出ますけれども、どこかにそういう宝の山があって、そこに行けばリスクなしで高い利回りが取れるというふうには考えにくいというふうに思っています。 したがいまして、ヘッジファンドとかそういうものについて、これなかなかリスクとかリターンについての長期間のデータが取りにくいわけでございますけれども、その辺も考えながら取り入れることができるかどうかということは検討していきたいと。伝統的な四資産であります内外の債券、株式につきましては、大体リスクでもあるいは資産相互間の関係を示します相関係数でも、二十年から三十年ぐらいの過去のデータによってある程度そのリスクとか相関係数が推計できるわけでございますけれども、新しい手法でありますヘッジファンドについてはなかなかそういうものが手に入りにくいということでございますので、その辺をどう考えるかということを考えながら検討してまいりたいというふうに思っております。
○大久保勉君 リスクを回避したいという点で、じゃ今の年金運用が本当にリスクを回避しているか、一つ指摘したい点があります。 厚生年金に関して債務サイドのいわゆるデュレーションは四十年です。ですから、年金のアセット・ライアビリティー・マネジメント上は四十年の資産を持ってくることによって完全に、資産といいますのは債券を持っていくことによって完全にリスクをヘッジできます。また、運用は二十年から三十年を心掛けているということですから、だったら、本当にリスクを減らして安全運用するんだったら、四十年の国債若しくは四十年の債券で運用しないといけないのに、公的年金の八割は国内債券で運用していて、その指標は野村BPIを採用しています。野村BPIというのは、資産のデュレーションは六年です。ですから、債務サイドは四十年の債務を持っているのに、六年でしか運用していないと、大きなミスマッチを負っているんです。こんなので安全とは言えないんですよね。これは世界の常識です。もうオランダではそういったミスマッチを起こさないように法律で決めました。アメリカでもERISA法ということで、プルーデントマン・ルールできっちり議論されています。日本はそういったことが何ら議論されていないから、もう少ししっかりしてほしいと思います。 このことに対して是非コメントをいただきまして、私の質問を終わります。
○参考人(川瀬隆弘君) 年金の債券、債務のデュレーションに関連しての御指摘でございますけれども、先生御承知のとおりに、年金債務のデュレーションを正確に算定するには、先行きの年金支払額が確定していることが必要でございますけれども、公的年金の場合には年金額はいろいろな要因、例えば名目賃金の動向とか出生率とか、それから制度的な変更によっても変わり得るわけでございまして、公的年金の先行きの支払額というのは一定の想定を置いて試算をしたという性格のものでございます。また、資産サイドでは、株式にも投資をしておりますので、資産全体のデュレーションは計算できないわけです。 そうした中で、債券だけについて一定の想定を置いて試算をした債務のデュレーションに厳密に合わせて運用するということが果たして合理的なのかどうか、あるいはそのことが私どもの目標であります予定運用利回りを達成ということにどういう関係があるのかというのを考えてみなきゃいけないと思っております。 また、実際に債券市場で運用する場合に、私どものような巨額な資金では市場の一部の銘柄、例えば期間二十年以上の銘柄というようなものに絞って運用しようとしても運用量が十分に確保できないというふうな問題がございますので、これだけの巨額の資金を運用する場合にはやはり市場全体を対象として考えざるを得ない面がございます。 野村のBPI指数は債券市場全体を指数化したものでございまして、債券投資を行う上で一般に広く使用されているものでございますので、私どもが現在BPIを選択していること等、現時点で十分に合理的であるというふうに思っております。
○大久保勉君 柳澤厚生労働大臣から債務サイドのデュレーションは四十年という言葉を明言しておりますから、きっちり勉強されて運用に当たってください。 これで終わります。
○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。よろしくお願いします。 今、大久保委員からの年金の質問がございましたので、ちょっと関連して、通告はしていないんですけれども、お答えできる範囲でお答えいただきたいというふうに思っていますが、山本大臣にちょっとお伺いしたいと思います。 今、宙に浮いた年金、どこ行っちゃったか分からない年金という問題が大変議論されておりますけれども、第三者機関をつくって、その中で、ある程度客観的な証拠があれば納めたということで認定してちゃんと給付をするように検討しようということで、政府の方でもういろいろと対策を練っていただいておりますけれども、私、その中で大きなポイント、かぎを握るのは、銀行の預金通帳の入出金明細、払戻し、入金、その過去の明細が非常に大きなポイントになるんじゃないかなというふうに思っております。 ところが、銀行は過去のそういう入出金明細の記録は余り昔の分までは取っていないんですね。十年ぐらいまでの分まではちゃんと保管してありますけれども、それ以上の前の分はどこか倉庫にあるかもしれないし、場合によっては、もう本当にひっくり返して探さないと出てこない可能性が非常に高いというふうに思っておりまして、要は、そういった過去の履歴、入出金明細を調べるのに、銀行にとっては、預金者から、お客さんからそういう要請があればもちろん調べますけれども、かなりお金と労力が銀行に負担として掛かってくると思うんですね。 ですから、これは何というんですか、年金を納めた人のそういった証拠を探すということで今回いろんな対策を考えていらっしゃるわけでございますけれども、銀行にかなり強力な要請をしていただかないと、そして、逆にいただくとそういったところも明らかになるんじゃないかなというふうに思っておりますので、そういった銀行に対する何らかの政府の支援なり援助なり補助なりそういったものが検討できないかどうか、ちょっと通告はしていませんけれども、もしお考えあれば、御感想でも結構でございますので、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 年金記録を正確に再現するということが今、社会から問われているわけでございます。これにつきましてはあとう限りの措置を講じなければなりません。その意味におきます委員の御指摘は大変重要だろうというように思っております。今後、銀行の皆さんとも協議をしながら、いい解決方法を探ってまいりたいというように思っております。
○富岡由紀夫君 いろんな領収書なんかを取っている人はほとんどいないと思いますので、預金の入出金が大きなかぎになるという方もかなりいらっしゃると思いますので、是非金融庁の方もしっかりとフォローしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。 質問に入らさしていただきますけれども、日銀総裁がこの後ちょっと御用事があるということなので、先に総裁に質問をさせていただきたいと思います。 日銀が決算を発表されまして、今回の決算でかなり為替差益若しくは含みがあるということで公表されましたけれども、実際に為替差益がどのぐらいあって、そして是非、直近の部分で含み益、為替の含みがどのぐらいあるのか、もしお分かりになればお答えいただきたいと、こういうふうに思います。
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行の持っております外貨資産につきましては決算期ごとに時価評価をしておりますので、まず十八年度決算では、為替差益と申しますか、それは二千十一億円と、これは時価評価による実現益であります。 そしてその後、十九年度に入ってからまた為替相場が変動しております。決算するまでの間は、それは為替が変動いたしましてもいわゆる含み益的な形で認識できるわけでありますが、仮に試算をいたしますと、六月十五日辺りの相場を取りますと二千三百億円程度の為替差益が出ていると。途中経時であります、今後どうなるかは分かりません。
○富岡由紀夫君 非常に大きな益を出されて、また含みも今持っているということなんですけれども、その外貨保有高というのは大体どのぐらいお持ちなんでしょうか。
○参考人(福井俊彦君) 三月末決算時点で五兆円強でございます。
○富岡由紀夫君 この五兆円というのは、日銀はどういう目的で保有されていらっしゃるのか、いつごろからお持ちなのか、お答えいただきたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 主としてこれは運用益が累積したものであります。元は、政府との間で外貨資産の売買取引を行ったことが過去にありまして、その元は全部政府に売り戻しております。したがいまして、基本的には運用益の累積と、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
○富岡由紀夫君 政府から、運用益というのは、ちょっと、もう少し詳しく教えていただけますか。
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行が外貨を持っております期間、これは海外で運用しておりますが、結果として利を生んでいると、その部分でございます。
○富岡由紀夫君 その運用益が五兆円ということなんですか。今運用して、元本も含めて全体の額が五兆円ということなんですか。
○参考人(福井俊彦君) 今持っております総額が五兆円強ということであります。
○富岡由紀夫君 これはいつごろからお持ちなんですか。
○参考人(福井俊彦君) たしか一九五〇年ぐらいまでさかのぼると思います、元々の外貨保有が始まりましたのは。
○富岡由紀夫君 これは、一九五〇年のときの目的は、当初の目的は何だったんですか。
○参考人(福井俊彦君) これは、政府の外為特会におきます円資金調達のため、時限的な措置として政府との間で外貨資産の売買取引を行ったと、そういうことでございます。これは全部売り戻しております。
○富岡由紀夫君 あれ、売り戻しているんだけどまだ五兆円残っているということなんですか。政府には、外為の外貨準備高はまた財務省持っていますよね。それとは同源ということですか。ちょっとその辺を詳しく教えていただきたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 政府から買い取った部分は全部元に戻したということで、そういう元々の元本は全部政府に戻っております。日本銀行が持っております期間に生んだ収益が外貨として残ります。それはずっと累積運用しておりますので残高は増えていると、こういう形であります。
○富岡由紀夫君 元本を戻したというお話なんですけれども、何でその運用益だけは残すと、戻さないんですか。これは戻してもいいんじゃないかなというふうに思うんですけど、いかがでしょうか。
○参考人(福井俊彦君) 運用益の部分は、これは政府の所有に係るものではありません。元々、売り戻すという条件付きで買い取った部分は売り戻していると、こういうことであります。
○富岡由紀夫君 五兆円のその外貨は、じゃ政府には戻さないというお話なんですけれども、今後どのようにする予定なのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 最近は比較的途切れておりますけれども、中央銀行ベースで例えばBIS経由で国際的な資金協力をするような場合に、こういった資金はある程度中央銀行としても持っている必要がある、そういうふうなものでございます。
○富岡由紀夫君 二千十一億円の今回益を出されたということなんですけれども、これは幾ら売って、どういう理由で売られたんでしょうか。外貨を売って益を出された、実現化したわけですよね。それは、幾ら売ってどういう目的で売られたのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 売ったわけではありません。帳簿上外貨を持っていまして、それを毎決算期末に時価評価をしていると。時価評価額が上がれば決算上益が出ると、こういうものでございます。
○富岡由紀夫君 じゃ、毎回時価の見直しをしているということでございますか。これは売る予定はないんですか。
○参考人(福井俊彦君) 予定というものは持っておりません。
○富岡由紀夫君 続きまして、株式の売却益も同様にかなり計上されましたけれども、この売却益の金額と、今株が非常に好調なわけでございますけれども、直近の含み益をお伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 五月末時点で株式を評価いたしますと、含み益約一兆八千億円ということでございます。
○富岡由紀夫君 売却益は幾ら三月期決算で出されたんでしょうか。
○参考人(福井俊彦君) 三月のときはたしか二千百億円ぐらいだったと思います。
○富岡由紀夫君 この売却理由はどういった理由なんでしょうか。若しくは、今後の残っている部分は幾らぐらいあって今後どういうふうに売却する予定なのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行が異例の対応として株式買入れを行いました後、まだ売却は開始しておりません。先ほど二千数百億という売却益が出ましたと申し上げました部分は、例外的に企業の方から自社株買入れの申入れがあった部分に応じた部分でありまして、日本銀行自身が積極的に株式の売却を開始するのは平成十九年十月以降というふうに初めから決まっております。そして、平成二十九年九月末までに終了することということも決まっております。
○富岡由紀夫君 自社株の売却で二千百億売却益出たということなんですが、幾ら売られたのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 済みません、ちょっと今売却金額直ちに分かりません。申し訳ありません。
○富岡由紀夫君 昨日、調べておいていただきたいということで御通告させていただいたんですが、もし分かったら後でも結構でございますので教えていただきたいと思います。 今年の十月から積極的に売却されるというお話なんですけれども、幾らぐらい今保有されていらっしゃるんでしょうか。売却した残り、自社株の対応に売却した残りを幾らお持ちなのか。
○参考人(福井俊彦君) 今現在の残高、正確にちょっと分かりませんが、平成十四年十一月から平成十六年九月にかけて、銀行から累計株式の買入れ額二兆百八十億円であります。自社株買いで幾らか戻っておりますが、そんなに大きな額じゃありませんので、二兆円前後のものは持っているというふうに思ってください。
○富岡由紀夫君 十月から積極的に売却されるというお話なんですけれども、株式市場に対する影響はどのように見ていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 三月末で持っております額がちょっと正確、先ほど二兆前後と申しましたが、一兆七千六百七億円と、これが正確な額でございます。 それから、株式の処分に当たっては既に二つの大きな方針が決まっています。一つは、処分時期の分散に配慮すると。株式市場に与える影響を極力回避すると、日本銀行が株を売ることによって市況に影響を与えたくないということでありますので、処分時期の分散に配慮すると。したがって、売却期間も今後十年間という非常に長い期間を取っているのはそのためでございます。もう一つは、日本銀行の損失発生を極力回避することと。中央銀行の帳簿に株式の売却で大きな穴を空けてはいけないということがございます。 その二点は決まっておりますが、具体的な処分方法はこれから検討を進めて成案を得たいと。成案が得られればこれは公表する予定でございます。
○富岡由紀夫君 分かりました。是非市場への影響を最小限にしていただきたいと思います。 先ほどの為替差益というか、外貨保有は、一九五〇年代、政府が持っていた部分を一時日銀が協力して保有していた部分が残っているというお話なんですけれども、先ほどファンダメンタルズのお話もありましたけれども、政府は百兆円ぐらいまだ持っているわけですよね、外貨、保有しているわけなんですけれども、一般的には、市場で為替というのは、経済全体のファンダメンタルズを反映して為替の水準が決まるというふうになるというのが好ましい姿だと思うんですけれども、政府が百兆円も持っているということはファンダメンタルズをゆがめているんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう考えもあるかと思うんですけれども、この点についてどのように考えたらよろしいんでしょうか。
○参考人(福井俊彦君) 過去におきまして、政府におかれて、為替市場におきます相場の余りに急激な変動に対処するという趣旨で為替市場に対して介入措置を講じられ、結果が累積したものがその額だと承知しておりますが、最近は全く市場で介入が行われておりません。日本の為替市場における為替相場の形成については、そういう人為的な介入による相場への影響は全くない相場形成だというふうに思っております。
○富岡由紀夫君 政府で一般のマーケットとは、何というんですか、市場、まあ政府も市場参加者の一人といえば一人なのかもしれませんけれども、一般の経済活動とは違った意味合いで百兆円ぐらい持っているわけですから、これは経済の、為替のかなりバランスを崩しているんだというふうに思うんですけれども、そういうふうに、崩している状況だという認識ではないということでお考えなんですか。
○参考人(福井俊彦君) 日本に限らず、外貨準備をたくさん持っている国の政府、場合によっては中央銀行が持っている国もありますけれども、いずれにしても、そういう外貨準備をたくさん持っている金融当局は、今のこのグローバル経済、そしてグローバル化された金融資本市場の状況を前提にいたしますと、政府と申しますか、金融当局の為替に絡んだ行動が金融資本市場にひずみを与えかねないと、そのリスクについては従前に比べますと相当強くこれを意識して行動するようになっております。国によってそれぞれ実際の行動パターンは少しずつ違うと思いますけれども、時の経過とともにそういう意識を強く共有しながら市場に臨んでいると。 日本におきましては、外国為替市場への介入は政府の権限でありますが、日本政府もそういう強い判断の下に行動され続けているんではないかというふうに思っています。
○富岡由紀夫君 是非そういうことで、リスクが、この間の、先週の答弁のときも、かなり偏在してきているということで、そういうところを注意すべきだというお話いただきましたけれども、そういうふうにしていただきたいと思います。 先週質問させていただいたときにもそういうお話をいただいたんですけれども、今かなり円からユーロなり、ユーロ高になったりドル高になったりして海外に行っているわけですけれども、これは要は、外貨で持っているということは、急に円高になったら外貨評価額が下がっちゃうわけで、非常に危険な状況だなと。だけどあえてそういうふうにやっているということは、しばらく円高にはならないんだろうという、市場参加者がかなりそういう思いを持って外貨にシフトしているわけですけれども、なぜこういう市場では見方が強くなっているのか、どのように分析されていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 先回ももしかしたら同じようなことを申し上げたかもしれませんけれども、世界経済全体として先行きの成長に対する見通しが比較的高水準で安定していると、それからインフレのリスクというふうなことを、程度の差はあれ、幾ばくか感じている国は存在いたしますけれども、世界経済全体としてはインフレ期待というものは過去に比べると比較的より良く抑制され続けていると、これが市場参加者の共通の認識になっているというふうに思います。 〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕 したがいまして、株式市場を見ましても債券市場を見ましても為替市場を見ましても、大きく見れば非常に市場の相場変動の可能性が総体的に少ない市場になっています。我々用語で言いますとボラティリティーが低い市場になっていると。そういう中では、金利差が従来よりもより強く働いて、金利の低いところから高いところへ資金や資本が流れやすい状況になっていると、このことは金融政策当局者がすべて認識しているところであります。私どももここは強く意識しております。 委員御指摘のとおり、先行きの見通しが良好であるときほど、安心して、それじゃ、偏った投資の仕方あるいはリスクの取り方ということが起こりがちであるということは確かでありまして、そういうリスクが累積していないかどうかと、こういう厳しい目で市場をモニターし続けているのが現状でございます。 なかなか難しいバランスなんです。資金や資本が円滑に流れる方が資源再配分機能が効率的に行われて世界経済全体の成長を保障するというプラスの面もありますけれども、安心し過ぎてリスクが偏って取られますと将来大きな反動が来ると。コインの裏表、裏の面は非常に怖い面が潜んでいるということは十分承知の上で、各国の金融政策、注意深く行われているというふうに思っています。
○富岡由紀夫君 じゃ、続きまして、金融調整についてお伺いしたいと思いますけれども、無担保コールの金利は〇・五%を目指してやっているわけですけれども、しばらく〇・五%を上回る状況がずっと続いていたといったことが現象として起きております。新聞によると、やや手を抜いたんじゃないかというような感じのトーンで書かれている新聞もあるんですけれども、意図的にそういうふうに、〇・五%以上に誘導した部分があるのかどうか、まあないというふうにお答えになると思いますけれども、そういった懸念はないのか、そういう見方がされているということに対してどのようにお考えでしょうか。
○参考人(福井俊彦君) 市場レートを意図的に金融政策決定会合で定められました方針のライン以上に金利を引き上げるというふうなことで操作をしているということは全くございません。 市場レートの運用目標は、今〇・五%前後ということになっています。毎日の市場レートをちょうど〇・五にするということは不可能なんでございます。どこの国の中央銀行でもそういうことはできておりません。それは、日々のレートは、個々の金融機関の資金運用とか調達のスタンスによってかなり振れを伴うものでございます。その振れをなるべく小さくするように、つまり誘導目標からの振れというものが余り大きくならないようにいろんな工夫をしながら調節をしているというのが実情でございます。 今委員が御指摘になられましたのは、恐らく、振り返ってみますと六月初め、五月の末から六月初めにかけてだと思います、無担保コール翌日物の加重平均レートが誘導目標の〇・五%を若干上回る日が続いたと。下回る日というのが時々入るというんではなくて、上回る日が若干続いたときがございました。これは、国債発行日、五月二十五日、三十日、資金不足の大きい日であります。それから、続いて六月四日に税金の引上げの日というふうに、資金不足の山が三つも見えていた時期でありまして、資金の出し手の間で資金運用スタンスを慎重化させた月が見られたということによるものでございます。 そのプレッシャーをある程度オフセットするような調節をやっておりますけれども、多少やっぱりその波は防ぎ切れないと。事実、六月四日の税金の引上げの後は、準備預金の積み最終日の十五日にかけまして、むしろ逆に資金余剰感が幾ばくか強まりまして、誘導目標を下回る日が見られていると、こういうふうな状況であります。この程度のアップダウンは、資金需給の振れ、それを目掛けた金融機関の資金繰り態度の変化によって微妙に変わるものでございます。また、その微妙な変化というのが個々の金融機関の資金繰りの技能を向上させる動機にもなるわけでありまして、まあ市場が生きているというのはなかなか難しい概念ですが、振れは余り大きくしないように、だけれども振れの中で資金繰りのオペレーションの能力を高めてもらいたいという気持ちも我々の方ではございます。 なお、日本銀行では、短期金融市場の機能向上に引き続きいろんな努力をしておりまして、例えば去る四月からは、準備預金残高見込みの公表時刻というのを、従来、朝の九時二十分ごろにやっておりましたが、これを八時ごろに早めました。その結果として、市場参加者はその日のマーケットの状況を読みやすくなったということで、無担保コール翌日物の日々の加重平均レートの振れはそれまでよりも小さくなっております。
○富岡由紀夫君 〇・五をずっと上回り続けて、一か月ちょっとずっと続いているわけなんですけれども、そのぐらいは誤差の範囲内だということのお話だと受け止めをさせていただきます。 続きまして、中小企業の景況判断についてお伺いしたいと思いますけれども、前回の質問に御答弁いただいた中で、中小企業もちゃんと調査しているというお話の中で、日銀短観で調査できないところを国民金融公庫の調査とか中小企業金融公庫の調査を引用しているというお話なんですけれども、中小企業金融公庫、国民金融公庫については調査対象について詳しく御説明いただいたわけですけれども、中小企業金融公庫のその調査というのはどういったところを対象に調査したレポートを参考に日銀はしているのか、改めてお伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 前回申し上げました例えば国民生活金融公庫の調査などは、中小企業の中でも一番規模の小さなところ、この辺の業況感がどうかということをよりよく知るために私ども利用させていただいている資料でございます。 中小企業金融公庫の調査も活用させていただいております。これは、恐らく国民金融公庫がカバーしておられる調査よりはもう少し規模の大きな中小企業かなというふうに思っております。中小企業金融公庫の取引先のうち一万三千三百二十三社だというふうに伺っておりますが、この業況感は、二〇〇二年から改善し、二〇〇四年以降は好転と悪化がほぼ拮抗しているというふうな状況であります。国民生活金融公庫のお答えは、まだ、業況判断、良い、悪いという比較をしますと、悪い超幅がまだ大きい状況で推移していますが、中小公庫との間では違うと、これは対象とされている中小企業のスケール、内容が違うんだろうと。 そういうふうに、段階的にいろんなデータをきめ細かく利用させていただいているということでございます。
○富岡由紀夫君 日銀短観でカバーできない資本金二千万円未満のところを、国民生活金融公庫とか中小企業金融公庫の調査を使って判断しているというお話だったんですけれども、国民生活金融公庫のところは前回の御答弁でよく分かりました。 今お話ありました中小企業金融公庫の調査、日銀の短観で捕捉できない資本金二千万円未満のところはどの程度その調査をしているのか、お伺いしたいと思います。 〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
○参考人(福井俊彦君) 中小公庫の中小企業の範囲でありますけれども、これは中小企業基盤整備機構というのがありますけれども、そこで定義されている、そこで中小企業の景況調査というのを四半期ごとに行われておりますけれども、そこで言う中小企業、つまり、具体的に申し上げますと、中小企業基本法第二条第一項に定められている中小企業の概念でありまして、製造業、建設業、それから運輸業につきましては資本金三億円以下又は従業員三百人以下と、それから卸売業につきましては資本金一億円以下又は従業員百人以下と、小売業につきましては資本金五千万円以下又は従業員五十人以下と、サービス業につきましては資本金五千万円以下又は従業員百人以下と、こういうふうに細かく定義をされております。
○富岡由紀夫君 定義は私も知っているんですけれども、その二千万円未満、日銀が調査できないところをこれを使って捕捉しているというお話だったんですけれども、二千万円未満の企業はどのぐらい調査対象にあったのかということをお伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) これらの公庫等でそこまで細かい内訳は公表されておりません。したがって、そこまで細かくは把握いたしておりません。
○富岡由紀夫君 調査対象が分からないのに、二千万円未満をこれを使って捕捉したということはどういうことなんでしょうか。
○参考人(福井俊彦君) 単一の調査ではなくて、国民生活金融公庫、それから中小企業基盤整備機構による調査、それから中小企業金融公庫による調査、さらには商工中金による調査、存在しますすべての調査は利用させていただいておりまして、それぞれ内容が、傾向としては業況判断は改善しているけれども、レベルはやはりそれぞれ違いがあると、その中から対象とされている中小企業の規模によって業況判断にかなり差があるという判断に到達することは私どもとしては十分可能であります。
○富岡由紀夫君 しっかりと調査対象を、いろいろアンケートする場合でもよく調べて使っていただきたいなと思います。これは前から申し上げていますけれども、いわゆる地元の、特に地方の中小企業は全くそういった、景気が良くなったという実感がないもんですから、あえて申し上げさせていただいているということですので、是非再度御確認をお願いしたいと思います。 総裁にちょっと最後の質問なんですけれども、村上ファンドの清算が終わったというふうに伺っておりますけれども、具体的にどのように最後清算されたのか、お伺いしたいというふうに思います。
○参考人(福井俊彦君) 私自身の出資につきましては、昨年八月以降、四回にわたって払戻しを受けました。その都度、これは公表いたしております。今年の三月にすべて払戻し手続が終了しております。
○富岡由紀夫君 具体的に、トータルでどういう清算方法を取られたのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 払戻し額は通計で約二千二百万円でございます。その元本部分を含め寄附をするとあらかじめ申し上げておりましたとおり、既に慈善団体に対して寄附を終了済みでございます。
○富岡由紀夫君 トータル二千二百万円というのは、それはあれですか、元本も含めた金額ということでございますか。それを全額寄附されたということでございますか。改めてちょっとお答えいただきたいと思います。
○参考人(福井俊彦君) 納税をした部分を除いて、厳密に申しますと残り二千万円を寄附していると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○富岡由紀夫君 前、大門議員もお話しされたと思うんですけれども、なぜ元本まで寄附する必要があったんでしょうか。何か後ろめたい思いがあって元本までやってしまったのか、ちょっとその辺を。元本は取っておいて私はいいと思うんですけれども、どういうお考えなんでしょうか。
○参考人(福井俊彦君) 元々ファンドに資金拠出をするに当たっては様々なことを考えているというのは既に御説明をしておりますけれども、私としては、元本が返ってこなくなる可能性もあらかじめ覚悟しながら拠出をしていたということだったと思います。 ファンドへの拠出については国民の皆様方から大変厳しい御批判をいただいた。私としても、これは引き続き真摯に反省しているところでございます。こうした反省を踏まえますと、自分なりに本件に対するしっかりとしたけじめを付けなきゃいけないということで、元本も含めて寄附をすることとしたわけであります。 委員御質問のとおり、理屈を言えばキャピタルゲインを寄附すれば十分ではないかという理屈があり得るかなというふうに思います、そういう御質問を受ければですね。思いますが、あとは自分の気持ちの問題であります。
○富岡由紀夫君 気持ちの中で、元本まで寄附されたわけですけれども、やっぱりさっき、そういったことで何か後ろめたい気持ちがあってやったのかというようなふうに思っちゃうんですけれども、今回の出資は何がいけなかったんですかね。いけなかった理由、世間からいろんな今批判を受けたというお話だったんですけれども、なぜ批判を受けたというふうにお考えですか。
○参考人(福井俊彦君) やはりあれでしょうね、私募ファンドというふうに必ずしも透明性が十分でないファンドに対する出資を、恐らく、これは恐らくです、私もよく正確なところは自分でも分からないところがありますけれども、総裁就任の時点でそれを解約しなかったということは、振り返ってみて一番重要な反省点だというふうに思っています。
○富岡由紀夫君 何で解約しないといけないんですか、総裁就任と同時に。
○参考人(福井俊彦君) 先ほども何回もこれはお答えしておりますけれども、内規に反するものではないし、元々村上ファンドというのはコーポレートガバナンスの改善のために先頭を切って活動するという、その当初の志というものをやはり私は尊重していたという面があったというふうに思います。
○富岡由紀夫君 今、村上さんは裁判でやっているわけですけれども、村上さんの、何ていうんですか、コーポレートガバナンスを改善するというか、そういう意気込みに賛同して出資したわけなんですけれども、心情的には村上さんは無実であってほしいというふうな感じなんでしょうか、今の思いとしては。
○参考人(福井俊彦君) 司法手続は公正に進められると信じておりまして、結果にはやはりそれはきちんと服従してもらいたいと、そういうことであります。
○富岡由紀夫君 ありがとうございます。 総裁の質問はこれで終わりでございますので、御退席いただいて結構でございます。
○委員長(家西悟君) 福井総裁、御退席いただいて結構でございます。
○富岡由紀夫君 それでは、大臣にお伺いしたいというふうに思っております。 今回の法案のニーズはいろいろと先ほど御説明いただきましたけれども、具体的にニーズの中で中小企業が資金繰りが付けやすくなるといったことがございましたけれども、その辺の理由を改めてちょっと、どういった手続によって資金繰りが取れるようになるのか、お伺いしたいというふうに思っております。
○国務大臣(山本有二君) まず、事業者の間では、企業間信用の手段として長年にわたり手形が活用されております。受け取った手形を銀行に持ち込むことにより資金調達が行われてまいりました。近年、紙媒体であることに内在するリスクやコストの問題から、手形の利用が減少してきているわけでございます。 その額について申し上げれば、平成二年の受取手形が七十二兆円ございましたが、平成十七年では三十一兆円でございます。また、平成二年の売掛金全体は百七十八兆円ございましたが、十七年では二百一兆円。売掛金は増えているけれども、決済手段としての手形は三十一兆円と非常に小さくなっております。 従来から、いわゆる受取手形は金融の手段とされているわけでございます。この観点からしますと、従来四割ぐらいがこの金融手段を持っておった方々が、現在では言わば二百兆のうちの三十一兆ですからかなり低い割合に、二割以下になってきていまして、そう考えていきますと、そもそもの金融手段が、手形だけ考えてみましても非常に小さなものになってきておりまして、この手形での金融の道が閉ざされているということがまず言えようかと思います。 その観点からすれば、この電子記録債権がこういった問題を救済する道になるし、強いて挙げれば、この二百兆における売掛金を、売掛金担保という道を考えたときに、仮に、二百兆のうちこの電子債権で五割もし賄えることがあり得るとするならば、百兆円の融資手段が新たに提供できることになるというように考えるところでございます。 またさらに、この電子記録債権制度の利点をあえて申し上げますと、事業者にとっては指名債権も、債権の存在を確認するコストや二重譲渡のリスク等の問題があることから手形を受け取れない中小企業者は結局早期の資金調達が難しい状況にございます。先ほど申し上げましたように、そうした観点から、中小企業者が積極的に早期の資金調達の道を開いていくことができるツールになるというように思っているところでございます。
○富岡由紀夫君 ありがとうございました。 今お話ありました、二百兆円の売掛金が半分でもなればというお話だったんですけれども、全銀協なんかは、売掛金のところまで一気に交換機関の、今回の法案を利用した記録機関の設立を検討しているのかなというと、なかなかそうじゃないような感じを受けます。今ありました三十兆に減った手形の代替機関型のそういった交換機関を検討しているようなふうに受け止めるんですけれども、それであれば、今言ったような資金化のニーズにはこたえ切れないことになりますけれども、今、山本大臣のお答えですと、一気に売掛債権のところまで電子化して登録機関の方に参加させようと、そういうお考えですか。
○国務大臣(山本有二君) そこまでたどり着くには紆余曲折が当然あろうかと思います。 現在の受取手形の代替措置としての機能が、恐らく決済手段としての機能が現在考えられている第一義的機能であるとするならば、直ちに新しい金融の道が中小企業に開かれているわけではないというようにも思います。しかし、理想からすれば、そうしたことが可能になる社会を実現する一歩であろうというような認識でございます。
○富岡由紀夫君 今回のこの法案の審議に先立って、経済産業省は五月にアンケートを取られたというふうに報道で受けております。それによると、このアンケート、この法案ができて電子手形にすぐ利用するかというアンケートなんですけれども、それについては内容を見極めてから考えたいと、利用するかどうか今現状ではまだ判断できないといった企業が多数を占めているといった経過が出ております。 そういうことを踏まえると、今言ったように、この制度そんなに急ぐ必要はないのかなというふうにも考えられるんですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) 中小企業者の皆さんは、印紙税についてのコスト縮減ということもありますし、さらには紙によるリスクということも避けられるというように思っておられますし、また、様々な形での金融商品の提供ということも認識されておられるようでございますし、中小企業あるいは商工関係、経済関係の団体の皆さんはこの電子記録債権制度を待望されておられます。 そういうことからすれば、実務者の側からすれば、この実現によって新しい分野、融資あるいは決済あるいは新商品というような形での新規分野を期待される向きが多いというように思っておりますので、これは独り金融機関だけが言わば安全に決済ができるというニーズだけにとどまらない部分が開かれるものと期待するところでございます。
○富岡由紀夫君 具体的なイメージがなかなかつかみづらいんですけれども、最初は手形代替機関という形で普及するんだと思うんですけれども、今、手形交換所は全国で何十も何百もありますけれども、今回、そういった形で、それぞれの地域ごとにそれに代わるような形でできてくるのかと、そういうイメージで考えてよろしいんですか。
○国務大臣(山本有二君) でき得るならば、そうした自由な設立、また自由な競争によって利用者の手数料も減額されるというようなことをイメージしているわけでございますが、ただ、申し上げますように、基礎的財産についてということを考えたとき、またシステムを購入し、またそれをワークさせるというコストの大きさからしますと、手形交換所と全く一緒の地域に一緒の姿でこれが将来存在するかどうかについては、少し疑問なしとしないところでございますが、私どもの考え方としては、自由につくっていただいて競争があり得るというように理想として考えておるところでございます。
○富岡由紀夫君 自由につくってもらうという思想で今お考えだという話なんですけれども、今の手形の取引、扱いについては、ちゃんとフォーマットが決まって、ちゃんと要件を決めて、必要事項はちゃんとやってくれということでルールが決まってあるわけですけれども、これは、今回はそういった電子記録機関ごとの統一的なルールというのは、そういうのはお作りになる御予定はあるんでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) 今のところ、統一的なものを作るかどうかにつきましても、民間のこうした電子記録債権を考えておられる電子債権記録機関の皆さんと将来検討し、定めていくというようなことになろうかというように思っております。
○富岡由紀夫君 やはり一番心配なのは、民間でどんどんできるのはいいんですけれども、先ほど供託金とか資本金のところでいろんな、何というんですか、トラブルが発生したときの対応はするという話なんですけれども、一取引についての保証なら五億円とか供託金で済むのかもしれませんけれども、その電子記録機関全体がシステムトラブルに陥った場合とか、そういったときには計り知れない影響が出てくると思うんですけれども、そういった場合はどのように対処、対応するのか。具体的に、損害賠償責任が発生した場合どのように対応したらいいのか、お考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) システム障害等につきましては、記録機関自身がまずはしっかりと対処することが基本でございます。記録機関はその業務を行うに当たりまして、システム障害時のバックアップ体制の構築を始めとするセキュリティー対策を講じる必要がございます。したがいまして、万が一、システム障害等を原因として電子記録が消失したといたしましても、記録機関は、隔離された場所にバックアップされた記録原簿や発生記録等の請求の際に提供された情報を基に速やかに復旧を行うことが求められております。 金融庁といたしましては、システム障害等の突然のトラブルが発生した場合にも、速やかに復旧できるような適切なリスク管理体制の確保に向けまして、記録機関の対応状況を指定申請時の審査や日常の検査監督を通じまして適切にフォローしてまいりたいと考えるところでございます。
○富岡由紀夫君 大臣政務官につきまして、何か御予定があるということなんで、もしあれでしたら、御退席いただいて結構なんですけれども。 続きまして質問させていただきますけれども、先ほど大久保委員からもお話ありましたけれども、今回のこの電子記録債権は原則として金融商品取引法の規制対象外になるということでございますけれども、ただ、例外的な場合は対象にするといったことがありますけれども、どのような場合を想定していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) まず、電子記録債権法と金融商品取引法との関係について御説明を申し上げたいと思います。 電子記録債権は、一つ一つが記録番号で管理されております。個別の権利として認識されるものというところでございます。しかし、電子記録債権に個別性があるといいましても、社債のように同じ内容の多数の電子記録債権を発生させる場合など、電子記録債権が広く投資家からの資金調達を目的として利用されることも十分考えられます。このような場合には、投資家保護の要請は通常の社債の場合と異なるところはございません。 今般の法案による改正後の金融商品取引法は、社債券等の有価証券と同視し得るような電子記録債権を有価証券とみなした上で、発行者に対する開示規制や、仲介者に対する業規制、行為規制などを課することとしておるわけでございます。 そう考えましたときに、この電子記録債権の適用対象ということをどう考えていくかということになりますけれども、電子記録債権のうち、流動性その他の事情を勘案しまして、社債券その他の金融商品取引法上の有価証券とみなすことが必要と認められるものとして政令で定めるものにつきましては金融商品取引法が適用され、それ以外は適用外ということになるわけでございます。政令で規定する要件につきましては、当該電子記録債権の流通性その他の事情を勘案して定める必要があると考えておりまして、今後、電子記録債権の活用ニーズ等も見極めながら検討を深めてまいりたいと考えております。
○富岡由紀夫君 今回の記録機関のビジネスモデルについてお伺いしたいと思いますけれども、専業としているわけでございますけれども、専業とすることで、このビジネス、取扱手数料で、収入でやっていくことになると思いますけれども、ビジネスとして本当に成り立つのかどうか、ちょっと大前提になると思いますので、その点についてどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) まず、電子記録債権を利用する際の手数料でございます。 記録機関の経営判断により決まるものでございまして、記録機関の取り扱う電子記録債権の量やシステム開発、維持費、現在の手形利用に掛かる諸経費等様々な要因を勘案した上で設定されるものと言うことができようかと思います。 また、この記録機関の設立コストの面でございますが、記録機関の設立コストは今後具体的な設立作業が進む中で明らかになってくるものと考えられておりまして、現時点でどの程度の費用が必要かを明確に述べることは困難でございます。 あえて申し上げれば、電子的な記録を取り扱う他の組織の例としましては証券保管振替機構がございます。同機構は株券等の大規模な取引を取り扱うものでありますことから、単純な比較はできないものの、株券等の電子化に向けた新規設備投資として約七十一億円を予定していると承知をしております。 また、経済産業省の報告では、全国の預金取扱い機関との連携を前提に記録機関のシステム構築に係る概算見積もりが行われておりまして、リスクに幅広く対応する堅牢な設計の場合の費用として、システム構築経費八十二億、運用経費二十一億、より低廉な設計の場合の費用として、システム構築に四十二億、運用費用として十二億との概算が示されているわけでございます。 こういうような観点の支出また手数料という収入、こうしたことからして十分に収益が上がり持続可能であるかという、そういう御質問であろうかと思いますけれども、ここらにつきましても、今後この法案が成立しまして、制度的に万全を期していただくべく、行政庁としましても応援をしていきたいというように思っておりますが、今のところ、金融機関等の設立の準備につきましては、その経費について心配があるというようにはこちらの方までその話は来ておりません。
○富岡由紀夫君 今お話の中で引用されたのは、経済産業省の報告なんかも引用されたと思うんですけれども、経済産業省さんのシミュレーションについてお伺いしたいんですけれども、これは、全国でこの機関が幾つあるという想定で作った、幾つできるという想定で作ったシミュレーションなんでしょうか。
○政府参考人(立岡恒良君) お答えいたします。 今御指摘いただきました、私ども、この五月に発表いたしました報告書の中で、ある種の幾つかの前提を置いて試算をしたわけでございますけれども、その前提としては、これは一つの機関ということで計算をしております。 すなわち、全国の金融機関がつながって、といいますのは、ある種、中小企業から見てどこでも同じような対応ができるということを想定をして、そういった形で行った場合に、リスクに対応できるような堅牢なシステム、それからより簡易なシステム、先ほど大臣からお答えがあったとおり、ある種の幅の中で、先ほど御答弁がございましたようなある種の試算というのを行わさせていただいた次第でございます。
○富岡由紀夫君 先ほど山本大臣とお話ししたときは、幾つか今全国にありますけれども、それぞれ拠点拠点でできるようなイメージも伺ったんですけれども、経済産業省さんは、一か所でこれできるという、逆にいうと、そういう事業者のニーズは一か所でセンター的に、全国で一か所でこれが全部取りまとめしてほしいと、そういうふうにお考えなんでしょうか。
○政府参考人(立岡恒良君) お答えいたします。 幾つつくるかということを予断したものではなくて、仮に一つつくるとした場合にどうなるかということをある種の前提を置いて計算したというふうにお受け止めいただければというふうに存じます。
○富岡由紀夫君 この試算は、確かに全国で一個、全事業所の三分の一、五十万社が利用するという前提でありますけれども、仮に地域地域でやるとすると、それぞれの一か所の、何というんですか、利用者が、利用件数が減ってくるわけですから、この収益シミュレーションというのはまた成り立たなくなってくるというふうに思うんですけれども。 全国で今交換所、何というんですか、手形の交換枚数というのが大体どのぐらいですか。そんなにないんですよね。一億数千万枚ですか、全国合わせて、百四十か所の交換所を合わせても一億数千万枚しかないのに、そのうち、これはもう六百万件も全部集中して計算しているわけでございますので、非常に採算ベースとしては、もし一か所でできるんだったらこれは成り立つかもしれませんけれども、地方地方で行うということになると、若しくはいろんな業界同士でつくるとなると、非常に採算が厳しいということになろうかと思うんですけれども、先ほど山本大臣は、こういったことに対して、金融庁はいろんな何らかの経済的な支援は行わないようなお話だったんですけれども、経済産業省さんとしても、そういったことはやっぱりこれはもう民間ベースなので、国の関与というか補助というか、そういったものは全然考えていらっしゃらないんでしょうか。お伺いしたいと思います。
○政府参考人(立岡恒良君) 幾つつくるかについては、先ほど申し上げましたように、予断するものではないというふうに思っておりまして、私どもといたしましては、仮にある種の前提を置いて、一つつくるとすればどうなるかということで試算をさせていただいたところなわけでございます。 それで、実際じゃ、この記録機関がどう機能していくかということにつきましては、正にどういうようなルールができるかとか、あるいはどれぐらいの使いやすさになってどれぐらいの利用率が上がっていくかと、いろんな要件に絡んでくると思いますし、またシステムの方でも、試算でお示ししましたように、ある種どれぐらい手間暇掛けたシステムをつくるかどうかと、いろいろ変わってまいりますので、そういったところについて、私どもといたしましては、よく事業者側のニーズを酌み取ってそれを関係方面によくお伝えをして、そういう中で検討を深めていくというようなことで対応させていただければというふうに思ってございます。
○富岡由紀夫君 今言ったように、ある程度の参加者、取扱件数が見込めないと、この手形交換機関というか記録機関というのは設立が難しいと、採算ベースでは難しいということなので、是非その点はしっかりと政府も何らかの支援なり対応を考えていただきたいと思いますので、是非その点について山本大臣に最後お伺いして、質問を終えたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 法律ができ上がりましても、記録機関が十分国民の信頼に足り得るようにワークしなければなりません。そうした観点から、財政面につきましてしっかりとした注視をしてまいりたいと考えております。 以上です。
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。 今日は電子記録債権法案につきまして、まず初めに、先ほど来からお話ございますけれども、この法案が中小企業の資金繰りの改善に果たす役割というお話が先ほど大臣からございました。そういうことを大変期待しているわけでありますけれども、であればなおさらのこと、中小企業にとって使い勝手の良い仕組みにしていく必要があると思います。そういうことの中小企業にとっての使い勝手の良さということにどう配慮していくのか、仕組み上のことも含めて、まず大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権の利用や記録機関の設立は正に民間の経済活動の中で自由に判断されるべきことでございますが、特に金融庁として、これら支援策のために予算の措置を講じることは想定はしておりませんが、特に中小企業金融や中小企業の決済コスト、そういった面につきまして、この法案によりまして電子記録債権制度が中小企業支援につながればと期待するところでございます。
○西田実仁君 例えば、いわゆる電子記録原簿は、法案の中では磁気ディスクでなければならない、こう定めがございます。例えば、中小企業がこの原簿にアクセスする場合に、これは必ずインターネットでなければならないのか、それとも、例えばファクスとか電話とかでもアクセスが可能なのかどうか。こういう原簿へのアクセスということも使い勝手ということにも含まれるのではないかと思うわけですけれども、この点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権制度は新たに創設される制度でございますので、中小企業も含めた利用者が安心して使えるものになることが望ましいところでございます。 このため、例えばファクス等での記録機関への請求を行えるようにすること、記録機関の業務を委託し身近な取引銀行等で窓口サービスを受けられるようにすること、こうしたことを通じて記録機関による利用者への配慮が求められるところでございます。こういった点、実現したいというように思っております。
○西田実仁君 初期コストをいかに小さくしていくのかということについてお聞きしたいと思います。 中小企業にとって、この仕組みに参加をしていく際のコストを最小化する。今ございます税制の中では情報基盤強化税制というものが、高度な情報セキュリティーが確保された情報システムに対して適用されているところでございます。今回の電子記録債権につきましても、一定のこうした仕組みに参加する際の投資がこの情報基盤強化税制の対象にもなり得るのではないかと思いますが、財務省、いかがでございましょうか。
○政府参考人(古谷一之君) お答えを申し上げます。 今回の法律によりまして事業者の方で電子記録債権に対応するためにどういう設備投資が必要になるのか、必ずしも現段階では明らかではございません。 御指摘がございましたように、高度なオペレーションシステム、データベース管理ソフトウエア等につきましては情報基盤強化税制の対象に現在なっております。そのほかにも、中小企業者に対しましては、一定の機械装置あるいはコンピューターソフトウエア等につきまして中小企業投資促進税制といった特別の措置もございます。 こういったものの対象になるのかどうかも含めまして、今後、金融庁あるいは事業者サイドからのお話を聞かせていただきながら、必要に応じ検討させていただければと思っております。
○西田実仁君 是非とも、この仕組みをスムーズに定着させていくためにも様々な検討をお願いしたいと思っております。 利用手数料についてお聞きしたいと思います。 この水準、また課金方法についてはこれから様々なビジネスモデルの中で検討されていくんだろうというふうに思いますけれども、先ほど来からお話があるとおり、印紙税のコストがないというメリットが強調されるのであれば、当然印紙税のコストよりも低くなければ意味がないんだろうと率直に思います。例えば、契約金額で一千万円超ですと、印紙税、いろいろございますけれども、〇・〇二とか〇・〇四%ぐらいのコストになるわけでございますので、そうすると、一回当たり、大体それよりも低いと考えると、〇・〇一とかそれ以下でないと余り意味のない仕組みになってしまうと思います。 しかし、印紙税の場合は一回払えばいいわけですけど、これが電子債権の場合、譲渡されるたびに仮に課金されるとなると、一回分は印紙税も低いけれども、三回、四回と重ねていくうちにいつの間にか印紙税よりもコストが上がってしまうと、こういうようなことにもなってしまいます。 こうした利用手数料の水準、またその課金方法、これについても中小企業に対する配慮というものも必要だと思いますので、民間のことであるとはいうものの、この仕組みを定着させていくに当たってどういうような考え方を当局としては持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権を利用する際の手数料水準は、記録機関の経営判断によって決まるものでございます。記録機関の取り扱う電子記録債権の量、システムの開発・維持費、現在の手形利用に係る諸経費等、様々な要因を勘案した上で設定されることになるものと考えております。 手数料の課金方法につきましては、記録機関の経営判断により決まるものでございますが、記録機関が業務規程等を定める中で利用者への利便性にも配慮しつつ設定されることになるわけでございます。 いずれにいたしましても、こうした利用手数料の水準、課金方法について、中小企業にとって使い勝手の良い制度になるように努力してまいりたいと思っております。
○西田実仁君 是非、その業務規程を決める際に、今大臣が御答弁いただいた中小企業への配慮というものが十分に行き渡るようなきめ細かい支援なり助言をお願いしたいというふうに思います。 中小企業が電子記録債権での支払を希望しても、支払企業から確実に振り出してもらえるかどうかが大事になってくるということは先ほども御指摘がありました。特に、中小企業にとって、親事業者が意図的に遅らせるようなことがあっては、せっかく中小企業が利用しようと思っても電子記録債権を利用することができないということになります。 先ほどの質問の中では、御答弁で、それは民間というか、インセンティブ、利用した方が得になるという大企業もあるので、そういうふうに自然にいくんじゃないかというような御趣旨の御答弁があったかと思いますけれども、しかしこれ、事中小企業と大企業という関係でいきますと、そうした自然の流れに任せる的なことだけではもしかしたら電子記録債権市場というものが十分に機能しないという懸念もございますので、これについてどういうようなお考えをお持ちなのか、もう少しお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(山本有二君) 電子記録債権制度は、下請中小企業を含む事業者の資金調達の円滑化を図るために創設されるものでございます。手形に代わる事業者の支払手段としての利用ニーズが想定されているわけでございます。 ここで、下請中小企業の資金調達が円滑化されるためには、債務者であります親事業者等の協力は正に不可欠でございます。親事業者が意図して支払を遅らせることのないように、国民への周知徹底等を通じ、事業者の理解を深めていくことが大変大事な観点であろうというように思います。 また、下請法の運用ルールの整備ということについてでございますが、親事業者等から支払を受ける下請事業者の実態にも配慮しつつ、今後、公正取引委員会も含め関係方面と適切な連携をしてまいる所存でございますので、また御指導よろしくお願いいたします。
○西田実仁君 是非そうした整備を進めていただきまして、これまでの様々な中小企業、下請企業の資金繰りが大変に親企業によって妨げられている面もありましたので、それが今回改善されることを是非とも期待したいと思います。 今回の手形を電子手形にしていくということは、すなわち売り掛け債権の電子化、電子指名債権ということに向けて、その応用ということになると思いますけれども、今後進んでくるんだろうというふうに思います。 ここで、売り掛け債権担保融資についてお聞きしたいと思います。 これは、二〇〇一年の十二月に売り掛け債権担保融資保証制度が創設をされまして、これまでの保証承諾件数というものは一兆一千億余りになっているわけでございます。しかし、当初、この制度が創設されたときには年間で二兆円ほどの規模の保証を想定していたというふうに中小企業庁長官の答弁でも国会でございました。しかし、実際にはそこまで進んでいないということがあろうかと思います。 なぜ売り掛け債権担保融資が普及していないのかというその現状、そして今回の法案が成立することによってこうした売り掛け債権担保融資の普及にどれほど効力があるのかということについて、二つお聞きしたいと思います。
○政府参考人(加藤文彦君) お答え申し上げます。 売り掛け債権担保融資保証制度につきましては、今先生のお話ございましたけれども、平成十三年十二月、制度創設以来、本年四月末までの五年四か月で五万五千件以上、約一兆二千四百億円の実績を上げておりまして、不動産担保や個人保証に過度に依存しない中小企業の資金調達の円滑化に大きな役割を果たしてきたというふうに認識しております。 当初、年間二兆円というようなことも考えたことございましたけれども、実際、金融機関における事務負担の問題、あるいは売り掛け債権に譲渡禁止特約が付けられている場合があることなど、同制度の利便性につきまして、徐々に改善してきておるわけでございますけれども、更に向上の余地があるものと考えております。 このため、今国会で成立させていただきました中小企業信用保険法の改正によりまして、流動資産担保保険制度を創設し、制度の対象となる担保の種類を売り掛け債権に加えまして棚卸資産まで拡充するとともに、事務負担の問題につきましては、担保徴求の方法について、従来、個別の売り掛け債権ごとに担保設定を要するとしていたところでございますけれども、売り掛け債権全体につきまして集合的に担保設定をすることを可能にするなど、金融機関あるいは中小企業側の事務負担の軽減を図ることを検討しているところでございます。 また、債権譲渡禁止特約の解除につきましては、これまでにも中小企業庁が中心になりまして、国の契約につきましては中小企業の要請を受けた場合に特約を解除するなど、中小企業のニーズに対応できる措置を講じてきております。民間の企業に対しましても、例えば本年三月に全国五百六十以上の事業者団体に対しまして、下請事業者への配慮につき親事業者に対する指導をお願いいたしましたが、その際にも売り掛け債権の譲渡につき適切な対応をするように求めているところでございます。 こういった対策を講じまして、売り掛け債権を担保とした流動資産担保融資保証制度の一層の普及が図られていくものと考えております。
○西田実仁君 電子記録債権がこれで成立することになれば、今後、今おっしゃった売り掛け債権担保融資についても、この普及の後押しということにもつながるんではないか、その大きな契機になるんではないかと思いますが、この点いかがでございましょうか。
○政府参考人(加藤文彦君) 売り掛け債権担保融資保証制度との関係で、電子記録債権の活用につきましては、中小企業そして債務者側の電子記録債権に対するニーズ、あるいは先ほどから御議論がございますが、手数料を含めた使い勝手といったところが重要なファクターになると思っております。 このため、現時点で中小企業庁として活用の有無についてまだコメントしにくい面がございますけれども、電子記録債権の利用方法や普及状況を見据えつつ、中小企業者にとって不利にならないことも含めて、中小企業金融の円滑のための方策について検討してまいりたいと思っております。
○西田実仁君 次に、この電子手形を実現していく際の実務上の幾つかの課題についてお聞きしたいと思います。 一つは、不渡り時のペナルティーの話でございますが、これについては先ほど御答弁ございました。今の現行の手形と電子手形が併存して、今後、手形は、今も減ってきているわけですけれども、より減っていくだろうと、そういう中で一方電子手形が増えていくと。現行制度と電子手形制度が併存していく中で、両制度間での不渡り情報をどう共有していくのかということについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘の電子記録債権に関します不渡りとの関係、手形との関係等の問題でございますけれども、これはこれからの電子記録債権の実践的な活用方法をにらみながら、利点、問題点のバランスに配慮した十分な検討が必要と考えておりますが、その検討に際しましては、御指摘の手形の不渡りと電子記録債権の不渡りが併存して同時に存在するようになった場合、そういった場合の取扱いにつきましても考慮が必要かと考えております。
○西田実仁君 あと、原簿情報の参照権限の問題についてお聞きしたいと思います。 現在では、原簿に登録された債権情報は、当事者、すなわち債権者、債務者しか参照できないわけでありますけれども、債権の決済をする際に金融機関が当該債権情報を参照できないと資金決済できないわけでございまして、必要に応じて適宜当事者ごとに原簿情報の参照権限を設定、付与する検討が必要ではないかと思われますが、この点はいかがでございましょうか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 今回の制度におきましては、債権者からの申請により支払等記録を行う仕組みのほかに、記録機関、債務者及び金融機関が締結する口座間送金決済に関する契約、これに基づきまして記録機関が職権により支払等記録を行う仕組みを設けているところでございます。 この口座間送金決済におきましては、金融機関は、記録機関から支払期日、支払金額等の電子記録債権に係る情報を受け、その情報を基に債務者口座から債権者口座へ送金等を行い、金融機関からの送金結果の通知を受けて、記録機関が職権により支払等記録を行うこととされております。 このように、金融機関への支払期日等の情報提供によりまして、債務者からの支払と支払等記録が円滑に行われる仕組みを確保することで債務者の利便性を確保する、こういった措置も講じているところでございます。
○西田実仁君 最後に、認証セキュリティー対策についてお聞きしたいと思います。 情報システムの観点、電子債権記録機関についてのビジネスモデルはどうなるのかという議論は既にございました。加えて、セキュリティー対策ということも大変重要な問題だと思っております。電子記録債権の情報システム化に当たりましては、当然認証セキュリティー対策を施さなければならないという中で、例えば、非常に長期にわたる債権データの改ざんをどう防止するのかということについてお聞きしたいと思うんです。 具体的には、住宅ローンとか償還期限の長い債権を原簿で管理する場合に既存暗号技術の陳腐化が起きる可能性もあると。そういう場合、長期にわたって債権データを保存し、改ざんを防止していくための手だてということが必要になってくると思うんです。こうした長期にわたる債権データの改ざん防止策ということについては、現状ではどんなことが考えられておられるんでしょうか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 記録機関におきましては、業務の始まりからその後の技術の進歩に対応してセキュリティー水準の確保に向けた適切な対応が求められるところでございます。したがいまして、その業務を行うに当たりまして、不正アクセス等に対しますセキュリティーの水準の確保を含めまして適正な対策、体制を構築していく必要がございますけれども、当庁としてもそういった点を日常の検査監督、こういったことを通じて適切にフォローしてまいりたいと考えております。
○西田実仁君 この情報セキュリティーの問題は大変に重要でございますので、是非とも慎重によく監督をしていただきたいというふうに思います。 ちょっと早いですけれども、以上で終わりたいと思います。
○大門実紀史君 大門でございます。 鳴り物入りで登場した電子記録債権ですけれども、私はこの電子記録債権、余り使われないんじゃないかというふうに思います。せいぜいクレジット会社のローン債権等が先行するぐらいで、何年後かにまた改正をしないと使われないといいますか、その程度の法案じゃないかなと思っていますけれども、記録機関の専業の問題もそうですけれども、最も大きな目的であります中小企業の資金調達が本当に進むのかと、これ、よく考えなきゃいけないというふうに思います。 そもそも手形、売り掛け債権流動化してほしいというのは中小企業の資金調達促進の上で大変強い要望でございました。その中でも売り掛け債権の方ですね、先ほどもありましたけれども、強い要望だったと思います。しかし、さっき経産省もありましたけれども、大企業といいますか親企業の方は、売り掛け債権の譲渡禁止の特約を付けることができるわけですね。いろいろ指導しているといっても現実には付けられているわけです。逆に言うと、元請の大企業というのは、いろんな業種ありますけれども、大抵は月末締めで翌月払いをやっていますから、長期になる場合もあって、手形とかがあるでしょうけれども、ほとんどはその次の一次下請といいますか、その一次下請と二次下請以下との関係で手形とか長期の売り掛けが発生すると。一番資金繰りに困る中小企業の部分ではそれを何とかしてほしいというところですけれども、ここも譲渡禁止の特約が付けられてしまうと、せっかくこの法案が意図した流動性が、つまり、現金に換える資金調達につながらないということになると思います。 そういうことがそもそもこの法案、何も払拭されていないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(三國谷勝範君) この制度の基本は、債権の流通性を高めるために自由に譲渡できることが基本でございます。一方、譲渡禁止特約につきましては実務上広く用いられておりまして、そうした実務慣行を尊重する方がより使いやすい制度となること、それから、譲渡禁止特約付きの債権を電子記録債権の対象とすることによりまして、多様な金銭債権につきまして電子記録債権制度を活用できるようになるメリットがあること、譲渡禁止の場合でも、譲渡に際して債務者の個別の同意があれば譲渡が可能であることといったことから、法案におきましては譲渡禁止特約を禁止せず、これは利用者の意思に任せることとしているところでございます。
○大門実紀史君 ですから、現実の現場の経済を考えてほしいんですけれども、その意思に任せるというところがあるわけですから、幾らこういうスキームをつくっても実際には使われないということが私は生じてしまうんではないかというふうに思います。ほかのメリットがあっても、肝心なのは取引の関係でございますから、その点を心配するわけでございます。 元々、この電子記録債権は当初は電子債権という言われ方もしていましたけれども、最初は経済産業省が中心になって検討が進められてまいりました。検討が始まった当初は、今申し上げた手形や売掛金など企業間の商取引を原因関係として発生する債権のみが対象で検討が進められてまいりました。そこにクレジット会社とか銀行関係の要望も入ってきて、ローン債権とか貸付債権も入れようという流れになってきたわけでございます。 我が党は、この貸付債権の譲渡促進には様々な懸念が伴うというふうに考えております。いろいろなことを今まで取り上げてまいりましたけれども、もちろん貸付債権の流動化全部を否定しているわけではありません。リスク分散を図ることによって資金調達が容易になると、将来そういう環境が整備されれば借りる方にもメリットになるという点を知らないわけではございませんが、今、実際に日本の経済の中で、現場の中で現時点ではこのことは懸念されることの方が多いというふうに考えているところでございます。 まず、スキームの問題として伺いますけれども、中小企業の要望が強い手形債権とか売り掛け債権から電子記録債権化して、環境が整った後に貸付債権を入れていくと、当面貸付債権をこの電子記録債権のスキームから外すということは不可能なんでしょうか。
○国務大臣(山本有二君) 本法案では、中小企業者を始めとする事業者の資金調達環境を整備するため、電子記録債権につきまして、記録原簿により権利の内容を規定し債権の可視性を確保することとした上で、売買や貸付け等によって発生する原因債権とは別個の債権、無因債権とすることで取引の安全を確保しているわけでございます。 仮に、貸付債権の一部は電子記録債権にできないことにするなど原因債権の内容を電子記録債権の成否の要件とした場合には、譲受人は電子記録債権の譲受けに当たって一つ一つ原因債権を調査しなければならないという事態になります。電子記録債権の流通をこれでは阻害しかねない結果となるわけでございます。 こうしたことから、本法案では原因関係が貸付けであるかどうかを問わず、あらゆる金銭債権を電子記録債権の対象とすることを選択したところでございます。
○大門実紀史君 つまり、流動性か借り手保護かという点でいくと、法案そのものの性格がそうですが、流動性を取るという政策判断をされたということに尽きると思います。 それでは、百歩譲ってですけれども、この電子記録債権に貸付債権を入れるとしても、例えば韓国の電子売り掛け債権制度がありますけれども、あそこでは一定流動性に制限を掛けるものも、貸付債権とかですね、そういう仕組みをつくっております。今度の中で、いろいろこれから心配されることが起きるかも分かりませんけれども、この貸付債権の流動性について、この枠内に入れたとしても一定の流動性の制限を付けるということは可能ではないかと私は思うんですけれども、今すぐという意味ではありませんが、そういうこともスキームとして可能だと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、今回の法案におきましては、流動性、流通性の安全の方にも配慮する一方で、一方ではいろいろな個々の事情に応じました債務者保護等の措置も講じているところでございます。 この流通性の問題につきましては、例えば今回の法案におきましても、債務者が債権者に対抗することができる抗弁がある場合、この抗弁を記録原簿に記録することが可能とするなど、それぞれの選択に応じまして様々な措置が講じられることを可能にしているものでございます。
○大門実紀史君 もう一つは、この法案の大きな欠陥だなと思っているんですけれども、貸付債権というのはよくよく現場でどうなっているか見てほしいんですけれども、貸付債権を譲渡するという動機は二つでございます。一つは財産として譲渡する場合、もう一つは取立てのために譲渡する場合。現実社会はそうなっておりまして、現在はこの貸付債権の譲渡というのはもう九九%取立てのための譲渡になっております。これが現実なんです。今の現実なんですね。 どうしても貸付債権を入れるというなら、きちんとした債務者保護が必要だということでございます。これは日弁連等の意見もあってこの法案には消費者については消費者の抗弁権を確保したと、つまり、住宅ローンとかクレジット契約で後で瑕疵が見付かったのにその金額だけ譲渡されて請求されてはたまらないということで抗弁できるようになりましたけれども、事業者の抗弁権は切断をされております。 私はサラ金問題、商工ファンド問題を取り扱ってきましたけれども、例えば事業者ローン、商工ローンあるいは日掛けだってそうでしたけれども、違法な保証金とか違う名目で結局お金を取って、名目百万円貸した貸付契約にしていますけれども実際には五十万しか渡していなかったと、こんな例が一杯あるわけですね。実際に起こっているわけです。手を変え品を変え、起こるわけですね。 ところが、この今度のところでは事業者のローンの場合は抗弁権が切断されます。ほかに譲渡されたら、実際には百万円もらってないのに百万円請求されて払わなきゃいけないと、抗弁権が切断されるようになります。これはやっぱり一番さっきの今回の目的である資金繰りに困っている中小業者が仕方なしに商工ローンに手を出してしまうと、これとの関係というのは大きな矛盾ですし、この電子債権が悪用される可能性も私は色濃いと思います。ですから、事業者についても抗弁権、貸付債権の中では抗弁権をきちっと確保すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 電子記録債権は両当事者の意思に基づいて債権者、債務者の双方が記録機関に請求することで発生するものでございますが、その請求に際しまして債務者たる中小事業者側に抗弁の切断を望まない事項がある場合には、当該抗弁を記録原簿に記載、記録する、人的抗弁の切断の規定を適用しない旨の定めを記録原簿に記録するといった対応が可能でございます。
○大門実紀史君 じゃ、なぜ法案の中にきちっとそういうことが明確にされてないんでしょうか。
○政府参考人(三國谷勝範君) これにつきましては、法案の第十六条におきまして、その二項の十一号というのがございますが、債務者が法人又は個人事業者であって、ちょっと前号に掲げる定めが記録されていない場合というのがございますが、債務者が債権者に対抗することができる抗弁についての定めがあるときはその定めという形で記載しておりまして、法案でも所要の手当てを講じているところでございます。
○大門実紀史君 そうしたら、確認しますけれども、さっきのような場合、抗弁権は事業者にもずっと保障されるという解釈で明確になっているわけですね。
○政府参考人(三國谷勝範君) 当事者同士の請求がそのようなものとして記録原簿に記載すればそういったことが可能となる仕組みとなっております。
○大門実紀史君 そこが三國谷さんも商工ローン、サラ金問題をやられていましたからよくお分かりだと思うんですけれども、書かれていればということですね、書かれていればですよね。書かれていれば、書かれた時点でもうその金額もらってないわけですよ、その中身について抗弁権は保障されるわけですか、事業者は。消費者の場合はそうなっていますけれども、事業者の場合はそう明確になっていないと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、個人の場合にはこの法案で明確に書いているところでございます。それ以外の事業者の場合であれば、それを記録原簿に記載、記録することによりまして同じような効果が選択によって取れる仕組みとなっております。
○大門実紀史君 そこが危ないですので、政令なりなんなりで、今の見解は大事な見解だと思いますんでね、明確にしてもらいたいんです、そこは明確に。そういう手続を取っていただけますか、そしたら。
○政府参考人(三國谷勝範君) これにつきましては、法律におきまして、そのような発生記録に対抗することができる抗弁についての定めをするときは、その定めと、これを任意的な記載事項として記録することが可能となっております。
○大門実紀史君 じゃ、ちょっと実践的に見ていくしかないというふうに思いますが、個人の場合は明確になっていますが、今のようなところが本当にそこに適用されるのかというのは、金融庁の意思はそうかも分かりませんが、法文上、個人と同一になっておりませんので、懸念されるということでございます。 もう一つは、この貸付債権の流動化促進で懸念されるのは、銀行と借り手の問題です。これは、我が党の佐々木憲昭議員が衆議院で質問をしたときに、大臣が、金融機関が不良債権化した電子記録債権を譲渡する場合でも、現行の金融機関の監督指針に従うことになると。ですから、とんでもないところに売り飛ばしたり、本人の理解、納得の説明なしに譲渡することはありませんということを、ですから心配ないとおっしゃいましたけれども、これは私あくまで金融機関の監督指針だと。ですから、民間会社には当たり前のことですけれども、適用されないという形になっていると思いますが、確認の意味で、いかがですか。
○政府参考人(佐藤隆文君) ただいま御指摘いただきましたように、金融機関が債権を流動化する場合、私どもの監督指針で次のことが重要であるというふうに明記をいたしております。 一つは、債務者等を圧迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような者に対して貸付債権を譲渡していないかということで、原債務者の保護に十分配慮すること。それからもう一つは、これまでの取引関係や、顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえて、顧客の理解と納得を得ることを目的とした説明を行うこと。この二点でございます。 そこで、このような監督指針の適用範囲でございますけれども、これは金融庁の監督対象である金融機関を対象とするものでございますので、電子記録債権が金融機関以外の一般事業会社に譲渡された場合には、新たに債権者となった当該一般事業会社は監督指針の適用対象には含まれないということでございます。
○大門実紀史君 佐藤さんに質問をするのは恐らく今日が最後かと思います。いろいろお世話になりまして、この場をおかりしてお礼申し上げたいと思います。 今、お話あったように、銀行が電子記録債権化して、不良債権化したときには、そういう監督指針の下にある。ところが、銀行が不良債権化する前に今度は譲渡できるわけですから、ほかの民間企業に譲渡すると。その後不良債権化した場合、こういう監督指針とは関係なく、すぱっとドライに取立て、サービサーにしろ、あるいは本人に十分な説明もなしに譲渡することができると。これが問題なんですよ、問題なんです。銀行よりも、売られた後不良債権化した場合、そういう立場に追い込まれると。これがこの法案が持っているその取立てが厳しくなっていく方向に使われるんではないかという懸念の問題でございます。 この点、大臣、いかが思われるか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の点、金融機関における監督指針でございますので、それから先への譲渡については、これは射程距離の外にあるわけでございます。しかしながら、この電子記録債権を導入されたことによりまして、その金融機関外に譲渡されたことが言わばかえって中小企業金融に支障を来したり、過度な取立てに追い込んだりというようなことのないように、今後この制度運用についてしっかりとした監督をしてまいりたいというように思っております。
○大門実紀史君 まあ本法案は意図した中小企業の資金調達が本当に進むのかどうかも不透明でございまして、むしろ貸付債権における、今の現場の経済を考えますと、貸付債権におけるその事業者の抗弁権が、先ほど何とかなるという話でしたけれども、非常にきちっと確立していないということと、このスキームを利用して、さっきのような譲渡、取立てという危険性があって、債務者保護が大変懸念されるところでございます。 総合的に判断すると、なかなか賛成するには危ない法案だということで、今回反対をさせていただきますけれども、是非早く法改正をして、出し直していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
○委員長(家西悟君) 他に御発言もないようですので、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 電子記録債権法案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(家西悟君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、大久保勉君から発言を求められておりますので、これを許します。大久保勉君。
○大久保勉君 私は、ただいま可決されました電子記録債権法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 電子記録債権法案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 電子記録債権制度の導入に当たっては、事業者の資金調達の円滑化等を図るという法律の趣旨にかんがみ、特に中小企業の資金調達等に配慮しつつ、適切な金融インフラの整備に努めること。また、電子金融取引に係るインフラとして、他の電子的な取引に係る決済機関・クリアリング機関等との連携を図ることにより、我が国金融市場の効率性を高め、経済の活性化に資するよう努めること。 一 法施行までに電子債権記録機関の業務規程や口座間送金決済契約等の詳細について慎重な検討を行い、債務者の二重払いのリスクが回避されるよう同期的管理の確実な実施を含め、電子記録債権制度全般の信頼性を確保すること。また、取引参加に当たっては、本人確認の徹底及び悪質業者等の排除、債権の期限に支払えない債務者への対応措置の検討を行うこと等により取引全体の安全性と健全性の確保に努めること。さらに、電子記録債権の譲渡禁止特約については、中小企業金融の円滑化の阻害要因とならないよう、制度の運用状況等を検証し、必要があると認められるときは、適切な対応を行うこと。 一 電子債権記録機関の指定に当たっては、適切な人材の確保等による業務運営の適正性と財務面における長期的健全性の確保等に配慮すること。また、電子債権記録機関の設立・運営にかかる費用が過剰にならず中小企業も安価に利用できるよう環境整備に努めること。さらに、利用者利便の向上に向けて、実務関係者が記録様式等の必要な標準化等を検討する際には、適切な連携に努めること。 一 電子債権記録機関の公正性・中立性や円滑な業務運営の確保、破綻防止の観点から、体制の整備を含め、適切な検査・監督に努めること。その際、記録原簿は、電子記録債権の権利の内容が記録され、取引先名等の重要な営業情報等も含むため、電子債権記録機関のセキュリティ面について、なりすましなど外部からの不正アクセスの防止策や、情報漏えい等を防ぐための内部管理態勢の構築が図られるよう、格別の注意を払うこと。 一 電子記録債権が普及するためには、とりわけ債務者である大企業などの協力が不可欠であるため、その利用が図られるような環境整備に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(家西悟君) ただいま大久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(家西悟君) 全会一致と認めます。よって、大久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。 ただいまの決議に対し、山本内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山本内閣府特命担当大臣。
○国務大臣(山本有二君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
○委員長(家西悟君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 正午散会