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166回国会参議院2007/05/10

財政金融委員会 第11号

発言数
110
登壇者
16
会派数
4
開催日
2007/05/10

会議録

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日、富岡由紀夫君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。     ─────────────

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省国際局長篠原尚之君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君外六名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。福井日本銀行総裁。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) おはようございます。日本銀行の福井でございます。  日本銀行では、昨年の十二月でございますが、平成十八年度上期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしました。本日、日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をちょうだいいたしました。誠に有り難く存じております。厚く御礼を申し上げます。  最初に、最近の経済金融情勢について御説明を申し上げます。  我が国の景気でございますが、これは緩やかに拡大をしております。この点をやや詳しく御説明いたしますと、まず輸出でございますが、これは海外経済の拡大を背景に増加を続けております。また、高水準の企業収益や総じて良好な業況感が維持される中、設備投資も引き続き増加をしております。こうした企業部門の好調の影響は、家計部門にも波及しております。すなわち、企業の人手不足感が強まる下で、雇用者数は堅調に増加しておりまして、雇用者所得も緩やかな増加を続けております。その下で、個人消費は底堅く推移しているという状況でございます。このように内外需要の増加が続く中で、生産は増加基調にあり、在庫も全体として見ればおおむね出荷とバランスしている状況にございます。  先行きにつきましても、このように生産、所得、支出の前向きの好循環が作用する下で、景気は息の長い拡大を続けていく可能性が高いと考えられます。ただし、米国経済など海外経済の動向や原油価格の動きにつきましては、今後とも注意深く見ていきたいと思っております。  物価の面では、国内企業物価は足下では三か月前比で横ばい、三か月前との比較で見て横ばいとなっております。目先の動きを予想いたしますと、国際商品市況の反発などに伴いまして上昇に転じていくと見られるところでございます。消費者物価指数、これは生鮮食品を除くベースの消費者物価指数でございますが、これにつきましては、原油価格反落の影響などから前年比ゼロ%近傍で推移いたしておりますが、より長い目で見ますと、経済全体の需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくというふうに予想されます。  金融面では、企業金融をめぐる環境は引き続き緩和的な状態にございます。CPや社債といった資本市場を通じた資金調達環境は良好な状況にございますほか、民間銀行は緩和的な貸出し姿勢を続けております。また、民間の資金需要は増加しておりまして、こうした下で民間銀行貸出しは増加しているという状況にございます。  次に、金融政策の運営について申し述べさせていただきます。  日本銀行は、二月の金融政策決定会合におきまして金融市場調節方針を変更いたしまして、無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標を〇・五%前後といたしました。この政策変更は、昨年三月に導入された金融政策運営の枠組みに沿って行われたものでございます。  まず、二月会合までに明らかになりました内外の指標や情報を基に日本経済の先行きを展望いたしますと、これは先ほど申し述べましたとおり、緩やかな拡大が続く中で消費者物価は基調として上昇していくというふうに判断いたしました。このように、経済・物価情勢の改善が展望できることから、現在の政策金利水準を維持した場合、金融政策面からの刺激効果は次第に強まっていくと、こういうふうに考えられます。このような状況の下で、仮に低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、企業や金融機関などの行き過ぎた活動を通じて、中長期的に見て経済・物価の振幅が大きくなったり、あるいは非効率な資源配分につながるリスクがございます。日本銀行としては、経済・物価が今後とも望ましい経路をたどっていくためには、この際金利水準の調整を行うことが適当であるというふうに判断いたしました。この措置をとりました後も、極めて緩和的な金融環境は維持されておりまして、中長期的に物価安定を確保し、持続的な成長を実現していくことにこれは貢献していくというふうに考えております。  この先の金融政策運営につきましては、四月末の経済・物価情勢の展望、いわゆる展望レポートにおきまして、経済・物価情勢の見通しと併せて基本的な考え方をお示ししたところでございます。すなわち、日本経済が物価安定の下での持続的な成長軌道をたどる蓋然性が高いということを確認し、リスク要因を点検しながら経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられるところでございます。  日本銀行といたしましては、今後とも経済・物価情勢の変化に応じて金融政策を適切に運営し、物価安定の下での持続的成長の実現に貢献してまいる所存でございます。  誠にありがとうございました。

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

中川雅治自由民主党

○中川雅治君 まず、経済の現状と先行き、それを踏まえた金融政策の在り方についてお伺いをしたいと思います。  ただいまの福井総裁の御説明の中にもございました。そしてまた、先般公表されました経済・物価情勢の展望、展望リポートにおきましても述べられているわけでございます。緩やかな拡大が続く中で消費者物価は基調として上昇していくと判断いたしましたというお話、御説明でございます。  しかし、二〇〇七年度の消費者物価指数の前年度比上昇率、これは展望リポートにおきましては〇・一%と予想しておりまして、昨年十月の見通し、〇・五%を下方修正しているわけであります。もっとも、実質GDP成長率は二〇〇七年度二%程度の伸びを見込んでおりまして、昨年十月の展望リポートとほぼ同じ見通しを立てているということでございます。実際には、消費者物価指数は二か月連続でマイナスとなっているわけであります。  今回の展望リポートにおきまして、また今の御説明でも、日本経済が物価安定の下での持続的な成長軌道をたどる蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられるというように述べているわけであります。今の御説明でも、日本銀行としては、経済・物価が今後とも望ましい経路をたどっていくためには、この際金利水準の調整を行うことが適当と判断しましたということでございます。福井総裁は記者会見でも、経済・物価の変化のペースに合わせて金利水準の調整を行っていくと、利上げ継続の姿勢を改めて示したというふうに報道されているわけでございます。  日本銀行は昨年三月、消費者物価指数が上昇傾向に転じた、もっと言えば、上昇傾向に転じるのを待ちに待って量的緩和を終わらせ、七月にはゼロ金利を解除したわけであります。しかしながら、消費者物価が横ばいからマイナスになる過程の本年二月にも利上げをしたわけでございます。そして、今回の展望リポートにおきましては、二〇〇七年度の消費者物価指数を下方修正しているわけですね。その中で、また実際にも二か月連続でマイナスとなっている中で利上げ継続の姿勢を示しておられるということは、私は非常に分かりにくいと思うと同時に、こうした日本銀行の姿勢に私は疑問を持つと申し上げざるを得ないわけであります。  日本銀行は、直近の物価指数がマイナスでも中長期的には物価がしっかりと推移していくと、こういうふうに見込まれる場合には徐々に利上げをしていかないと、経済・物価の振幅が大きくなったり、非効率な資源配分につながるリスクがあるとしているわけであります。今の御説明にもそういった言葉があるわけでございます。しかし、今の御説明の理屈をもっと分かりやすく説明をしていただく必要があると思います。また、そもそも、果たして中長期的に物価がしっかりしていくのかどうかというところを私は懸念をしております。  二〇〇七年度の消費者物価指数の政策委員全員の見通しを見ますと、〇・一%とした方もおられるようであります。岩田副総裁ではないかというように言われているわけでございますけれども、〇・一%だと、マイナスだと、マイナス〇・一%だと、こういうふうに考え、マイナスになるというふうに見られておられる方もいると、こういうことでございます。  そこで、経済の現状と先行き、それを踏まえた金融政策の在り方について、ここでもう一度福井総裁のお考えをお聞きしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) ありがとうございます。  日本銀行は、今委員御指摘のとおり、今後の経済・物価情勢の推移に応じて、極めて慎重ながらも適切なタイミングで金利水準の調整を図っていく方向にあるということを展望レポートで明確にいたしました。かつての数多く経験しました金利引上げ、これはインフレリスクに直面している、そういうふうな、あるいは現実にインフレが起こっているというふうなときの金利の引上げと違いまして、今徐々に行っている金利引上げはある意味で分かりにくいとおっしゃられますことは非常に私どももよく分かります。それだけに私どもの考え方を繰り返し御丁寧に申し上げていく必要があるんではないかというふうに思います。  物価安定の下での息の長い経済の拡大を金融の面からしっかり貢献していきたいと、こういうところにあるがゆえに、目先にインフレリスクがあることを抑え込むというふうな性格の金融政策でないところに難しさの根本的な源がございます。  今回、展望レポートで御報告しました中で最も重要な点は、先行き二〇〇八年度まで、つまり今から約二年先まで展望して、日本経済は生産、所得、支出の前向きの好循環、生産が増え、所得が増え、そして支出が増えるという前向きの好循環のメカニズムが維持されるという点が一番重要な点でございます。これが更に二年間維持される下で、既に五年を超えている息の長い拡大が更に息の長い拡大を続けるというふうに予想している点でございます。  成長率の水準は、委員御指摘のとおり、実質で二%程度と。二%程度ですから、極めてマイルドな成長でございますが、現在の日本経済の持っております実力としての成長率、潜在成長率をこれでも幾分上回る成長がこれから先二年間続くという見通しでございます。潜在成長率を幾分上回る成長が更に続いていくということは、経済全体の総需要と総供給との関係では、やはり需要超過の度合いが緩やかであっても徐々に進んでいく、こういう点でございます。  したがいまして、物価の面では、御指摘のとおり、消費者物価指数、足下前年比で、直近の数字ではマイナス〇・三%と小幅のマイナスとなっておりまして、目先もゼロ近傍で推移する可能性が高いと私ども見ておりますが、二年先まで見たフォワードルッキングな金融政策において、物価の面でより重要なのは、その物価の基調的な動きでございます。  委員からも御指摘いただきましたけれども、景気の拡大が続くという下では、需給ギャップは引き続き需要超過方向で推移していくということでございますし、単位当たり労働力コスト、ユニット・レーバー・コストの方は、これはまだ今なお極めて緩やかに低下を続けていますけれども、賃金の緩やかな上昇が予想される下で、下げ止まりからこれも若干の上昇に転じていく可能性が高いと、こういうふうに判断されるところでございます。  したがいまして、より長い目で見ると、消費者物価の前年比のプラス幅は次第に拡大していくと、こういうふうに考えています。二〇〇六年度、わずかプラスの〇・一ということですが、これは平均してということでございます。そして、二〇〇八年度、私ども委員の中央値としては〇・五%ぐらいと見ていますけれども、これも平均してということでありますので、経済が緩やかであっても着実に右上がりの成長を続けていくということであれば、月々刻んで物価の今後の推移を見ていきますと、やはり物価上昇率のプラス幅は極めてわずかずつですけれども次第に拡大していく、こういうふうな構図になっているわけでございます。  このように私ども、インフレを目先に引き寄せるということなく物価安定の下での持続的な成長を実現していける可能性が高いと、こういうふうに思っておりまして、実現可能性が高いこのシナリオは現実の姿として是非実現させていきたい、少なくとも金融政策の面からはフルにこの方向で貢献していきたいということでございます。  そうした中で、この経済の見通しは、もう一つ大事な点は、先行きの政策金利の変更を市場や企業がある程度織り込んで意思決定していくということを前提にしてこういう経済・物価見通しを私どもは作っているわけであります。したがいまして、シナリオどおり経済・物価情勢が進んでいく限りにおいては、政策金利水準をある程度適切に調整を行っていくということと裏腹な関係になっております。  もとより、今後の経済の、あるいは物価の変化、そのペースというものはやはり多少の揺れを伴いながら進んでいくと思いますので、必要な金利調整のペースは、今後の経済・物価情勢の改善度合いをきめ細かくかつ正確に判断しながら、それに応じて決まってくるものだというふうに思っておりまして、あらかじめそのスケジュールというものが決まっているものではございません。私どもも先見的にスケジュール観を持つというふうなことをしないで、冷静に経済を見極めていきたいというふうに思っております。  経済・物価情勢の改善が展望できる状況の下で、その状況があるいは今後も続く下で、金融政策の面からは金利を据え置いておけば刺激効果が一段と強まる可能性があります。仮に、低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するんだという期待が定着するような場合には、金融資本市場において行き過ぎたポジションが構築されたり、非効率な経済活動に資金やその他の資源が使われると。  例えが正しいかどうか分かりませんが、不動産投資にしても、あるいはいわゆる円キャリートレードの行き過ぎというふうなことも含めて申し上げているつもりでございますけれども、そうした非効率な経済活動に資金やその他の資源が使われて、長い目で見た資源配分にゆがみが生じるおそれがあるということでございます。このような行動は、短期的には景気や資産価額を押し上げるということがありましても、その後の調整を余儀なくされる、息の長い成長をかえって阻害する可能性があるというふうに考えています。  心配性過ぎるんじゃないかというふうに、あるいはお感じ取りになられるかもしれませんが、私どもといたしましては、蓋然性は必ずしも高くなくとも金融政策上考慮すべき要因と。物価安定の下で息の長い景気拡大を続けさせていくために考慮すべき要因の一つだというふうに考えておりまして、この点、引き続きよく見てまいりたいと思っております。  以上のような認識の下で、先行きの金融政策運営につきましては、日本経済が物価安定の下での持続的な成長軌道をたどる蓋然性が高いということを確認し、リスク要因を十分点検しながら経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで徐々に金利水準の調整を行うことになると、こういうふうに考えております。

中川雅治自由民主党

○中川雅治君 次に、我が国金融資本市場の国際競争力の強化についてお伺いいたします。  少子高齢化や経済のグローバル化が進む中で、東京市場の国際競争力の強化が安倍政権の重要な課題となっておりまして、経済財政諮問会議や金融審議会で検討が進められているところと伺っております。  過去を振り返れば、我が国の金融制度改革の中で、八〇年代の日米円・ドル委員会報告書、九〇年代の日本版ビッグバン等、国際化は常に大きなテーマでありました。ただ、今回はこれまでとは状況が異なり、香港、シンガポールといった国際金融センターに東京はアジアの中核市場としての地位を脅かされつつあり、このままではグローバルな市場間競争の負け組に転落するおそれがあります。  他方、我が国には千五百兆円の家計金融資産、国際競争力のある製造業の企業群の存在等強みもあるわけであり、正にピンチをチャンスに変え、官民一体となってオールジャパンの体制で東京市場の国際競争力の強化に取り組んでいく必要があると考えております。  日本銀行は、我が国の金融コミュニティーの重要な一員として、一般投資家への啓蒙活動や金融分野での専門的な人材の育成、世界に向けた東京市場のPR等に自主的かつ積極的に取り組む必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。  また、日本銀行自らも取り組むべき課題があるのではないでしょうか。日銀法は日本銀行の目的として、金融政策だけではなく、資金決済の円滑化の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することも掲げています。我が国の金融決済システムを支える日銀ネットについては、国際標準化対応がなされていないとの指摘があります。  また、国債決済期間の短縮化が進んでいないとの指摘があります。金融取引のクロスボーダー化がますます進展する中で、市場のインフラである決済システムの国際化は極めて重要な課題と考えます。  これらの点につき、今後、日本銀行として何をすべきとお考えか、武藤副総裁の御所見をお伺いいたします。私の持ち時間五十八分までなので、よろしくお願いします。

武藤敏郎日本銀行副総裁

○参考人(武藤敏郎君) ただいま委員から三点ばかり御質問がありましたので、順次お答えをさせていただきたいと思います。  まず、東京市場の国際競争力の強化という課題でございます。私ども中央銀行の立場といたしましても、より効率的な資源配分の実現を通じて我が国経済全体の発展に資するということ、それから様々なショックに対します市場の吸収力が強化されるということによりまして、我が国経済の頑健性向上にも資するといったような点で大変重要な取組であるというふうに認識しております。その実現に向けまして、金融資本市場の目指すべき方向といたしましては、まず内外の市場参加者が安心して自由にイノベーティブな金融活動を競い合えるようにすること、また、そうしたイノベーティブな金融活動の成果が金融サービス利用者の利便性向上に確実につながること、これが重要であるというふうに考えております。  この改革に取り組むに当たりましては、やはり一回限りの改革ということではなくて、市場の変化に即応して常に見直しを行う努力が重要でありますし、特に市場参加者の問題意識、知恵をうまく吸い上げながら行っていくことが大事であるというふうに考えております。  第二点の、一般投資家への啓蒙活動等についての御下問でございます。  我が国金融資本市場の高度化を図っていくためには、これも重要な視点の一つだというふうに考えます。日本銀行ではこれまでも、いわゆる金融広報委員会というものがございますが、その活動をサポートすることを通じまして、金融教育の充実や国民一般に向けた金融経済情報の提供に取り組んできております。また、金融機関におきますリスク管理や経営管理の高度化を支援するためのセミナーの開催等、多岐にわたります活動を行っております。日本銀行としては引き続きこれに積極的に貢献してまいりたいというふうに考えております。  それから、第三点の決済システムの国際化についての御下問でございます。  日本銀行はこの決済システムの安定を通じまして信用秩序の維持に貢献するという役割を担っているわけでありまして、自ら日銀ネットという決済システムを運営しております。資金決済のいわゆる即時グロス決済化、あるいは証券と資金の同時決済化というものを行っておりまして、その安全性と効率性の向上に努めてきております。日銀ネットは、海外関係も含めまして円の最終的な金融機関の資金決済を行う場でございますので、その安全性と効率性の向上が国際的な信認にもつながるというふうに考えております。  御指摘の証券の決済期間につきまして、我が国では国債のTプラス1の決済の実現というものは残された課題というふうに認識しております。その実現のためには、まずは市場参加者、あるいは清算機関、それから私ども日本銀行、関係省庁等を含めた幅広い関係者の共通の認識と協力が不可欠というふうに考えておりまして、その実現に向けて具体的な検討を加えていくことが重要であると考えております。  日本銀行といたしましては、今後とも国際的な動向にも十分目配りしながら、引き続き決済システムの安全性と効率性の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

中川雅治自由民主党

○中川雅治君 以上です。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  大変、私事で恐縮でございますが、国会で仕事をさせていただくようになりまして、一回目の質問が日銀速水総裁に対する御質問でございまして、今日が質問、討論、発言の百回目なものですから、ちょうど切りのいいところは古巣に質問をさせていただきたいということで今日は質問に立たせていただきました。  さて、今日は両審議委員、新しい審議委員にもおいでいただいております。亀崎委員と中村委員でございますが、まず両委員にお伺いをしたいと思うんですが、このたび新たに審議委員に御就任になられたわけですけれども、それぞれ、どのようなこれまでの御経験なりが金融政策の審議の上で言わば大変お役に立つという観点で選ばれたのかというそれぞれの御認識をちょっとお伺いしたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。

中村清次日本銀行政策委員会審議委員

○参考人(中村清次君) 審議委員の中村でございます。よろしくお願いいたします。  私自身の経験について申し上げますと、約四十年弱、外航海運企業である商船三井に勤務し、財務、企画といった部門で長く経験を積んでまいりました。また、専務、副社長の五年間はIRも担当して内外の投資家との対話も行ってまいりました。  外航海運の競争相手は海外の船会社で、市場もグローバルマーケットで、国際海上荷動きは世界の経済、政治、社会の影響を直接的に受けるとともに、ボラティリティーの非常に高い海運市況、為替、金利、燃料油等を対象にそのリスクマネジメントを行わなくてはならず、長期的視野に立った経営判断を常に求められてまいりました。  一方、直近の四年間は内航海運業を営んでいる商船三井フェリーという中堅企業の社長としてかじ取りを行い、国内の物流、人流の視点から日本経済を見てまいりました。商船三井フェリーは、関東から北海道及び九州という航路を運営しており、それぞれの地域経済や主たる顧客であった中堅・中小企業との接点も多々ございました。  したがいまして、このような私の経験やそうした中で培ってきた見識が金融政策を担う審議委員として生かせると思います。また、日本銀行の審議委員は日本経済にとって大変重要な役割を担っており、私としてはこれまでの民間企業の中で培ってまいりました内外経済や金融市場あるいは企業経営に関する経験と見識を踏まえて、全力を尽くして適切な金融政策の運営に貢献していきたいと考えております。

亀崎英敏日本銀行政策委員会審議委員

○参考人(亀崎英敏君) 審議委員の亀崎でございます。よろしくお願いいたします。  私は、先月の四月四日まで三菱商事に勤務しておりました。四十一年間、三菱商事におったわけでございますが、主に海外拠点、三菱商事が持っております海外拠点、二百を超える海外拠点を持っておりますが、その管理運営並びに地域戦略を主に担当してまいりました。この間、海外ではベルリン、ニューヨーク、台北の駐在を体験しております。  こういう体験を通じまして、自社のグローバル展開はもちろんのこと、日本企業の海外へのグローバル展開並びに米州、欧州、アジアの経済の実態あるいは企業活動の実態というものを肌で感じてまいりました。特にアメリカのダイナミズム、社会経済のダイナミズム、実力主義、敗者復活、移民等々、非常に学ぶことが多くありましたし、また台湾では起業家精神が非常に旺盛であるということについても多くを学ぶことができました。  現在の世の中は変化が常態という状況であると思いますが、ただグローバライゼーションについてはこれは不変だと思います。不変どころか、ますますこれは深化していくものであるというふうに考えております。したがいまして、私としましては、国内経済はもとより、国際情勢、国際経済をも軸に適切な経営判断、運営判断をやっていきたいと思っております。  微力ではございますけれども、可能な限りの情報収集と把握に努めながらこれをつぶさに分析するとともに、個人的には予見とかあるいは先入観を排して精一杯適切な政策判断というものを行っていきたいというふうに思っております。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 ありがとうございます。  両審議委員の今のお話を聞いておりますと、それぞれ本当に審議委員の職責にふさわしい御経歴をお持ちであると思うわけなんですが、これは私もOBとしてまた一国民としてお願いでございますが、御就任されたときの記者会見の新聞記事を拝見しましたら、どちらの方か記憶にありませんけれども、恐らく謙譲の美徳でおっしゃったと思うんですけれども、なぜ私が選任されたのか分からないと、別にこういう分野のプロではないからということをおっしゃっておられたんです。まさしく今のお話をお伺いするともう十分その職責にふさわしい御経歴だと思うんですが、謙譲の美徳も時として、新聞の読者や一国民から見ますと、どうして選ばれたか分からない方がこういう重要な仕事をやっていいのかなという思いになることもございますし、もうこれからは一挙手一投足が大変な関心を、そして注目を浴びているということを是非御理解いただいて、御発言をお考えいただければ有り難いなと思っております。  私も、これは好むと好まざるにかかわらず、元日銀ということで看板しょって地元では見られてしまいますので、そういう新聞記事が出ますとすぐ私のところにいろんな御質問とか来るものですから、いやいやそんなことはないですよというふうに申し上げておきましたが、もうこれからは一言一言が本当に影響が大きいということを是非御理解いただいて御発言をいただければなというふうに思っております。  その上で、私ども民主党は、総裁、副総裁もそうですが、日銀の審議委員、どういう方が御就任になるかというときに、やはり事前に国会でどのようなお考えであるか聞かせていただければ有り難いということをかねてからずっと申し上げているわけであります。これはやはり、今金融政策が九人の合議制で、総裁も含めて全く平等な立場で多数決で決まっていくわけですから、最高裁の判事と同様に、どういうお考えを持っているかというのは本当に重要な影響を与えますので。  そこで、両審議委員に非常に単純化した質問で恐縮なんですが、基本的にどういうお立場かということを聞かせていただきたいんですが、あえて、あえて金融政策や経済政策に取り組む基本的な考え方として三通りに分けさせていただきます。  一つは従来型のケインジアンといいましょうか、財政支出をすれば景気が良くなって、それに伴ってマネーサプライも結果として増えていくというような考え方、これが一つの考え方としてあります。もう一つは、いやいやそうじゃないと、俗にマネタリズムといいますが、マネーを増やすことによって逆に経済は好循環につながっていく、そういうメカニズムもあるんだというそういう考え方、お立場。もう一つは、これを新古典派と言うかどうかは別ですけれども、いやいやそうじゃない、レッセフェールだと。とにかく余計なことは政府も政策当局もやらないでいた方が経済はうまくいくし、金融とかマネーサプライというのは結果として付いてくるものだという、あえて非常に簡略化して申し上げれば、ケインジアン的なお立場か、マネタリストのお立場か、いやそうじゃない新古典派のお立場かと。これまでの経営や経済界での御経験を踏まえてどういうような感触を経済に対してお持ちになっているか、それぞれ亀崎委員と中村委員にお伺いしたいと思います。

中村清次日本銀行政策委員会審議委員

○参考人(中村清次君) 中村でございます。  今ケインジアンとかいろいろ学生時代に習ったことが出てきて、緊張しているんですけれども。  御存じのとおり、その後の経済は非常にグローバル化して状況はかなり変わってきていると思いますし、それから最近においてはいろんなアジアの新興国等が台頭しておりまして、従来の単純な理論等では律することができないんじゃないかと、こういうふうに私は考えております。したがって、これからますますやっぱりこのグローバル化というのは進んでいくと思いますし、いろんなそういった局面局面で経済情勢を見ながら、どういう施策が一番適当であるかということを考えていかなければいけませんし、いろんな経済情勢も過去がなかなか通用しないことも多々あると思いますし、そういうことも踏まえて先入観を持たずに判断をしていきたいと思います。  そういう意味で、ややケインジアンであるかと、マネタリストであるかということは、特にどちらだということは思っておりません。以上でございます。

亀崎英敏日本銀行政策委員会審議委員

○参考人(亀崎英敏君) 世の中の物価をめぐる環境あるいは経済をめぐる環境というのが従来から大きく変化していることは、皆さん御案内のとおりでございます。その中において、財政政策、それからマネタリーポリシー、いずれも相まって健全な経済発展を遂げるものであって、例えば日本国内でも地域格差があると、これを金利一本でどうにかするのは無理でございます。これは消費税の問題があり、資源配分の問題があり、財政政策と税制と金融が一体となって政策を打っていくということが必要だというふうに思います。  また、その物価をめぐる情勢につきましても、従来であれば、その需給ギャップが需要超過の方に振れていけば、物価は押し上げ要因となってどちらかというと分かりやすく上がっていった。しかし、現状では決してそうなっていないと。これはグローバライゼーションによる競争の原理が働いておりまして、新興国、特に中国なんかで安いものがどんどん出てくる、日本の製造業は物価を上げられない。  また、例えばパソコンとかあるいは薄型TVですか、こういうものも、薄型TVは今年は八百万台も日本国内で売れると見通しが出ているわけですけれども、こういったものが昨年の一月から今年の三月の十五か月、どういう物価の経緯をたどっているかと見てみましたところ、毎月前年同月比二〇%を超えるマイナスなんですね。要は、統計上は同じ値段で去年の一月と今年の三月売っても、例えば容量が増えるとか機能が増えていければ、それは統計上は物価が下がっていると、こういうふうに見ている。こういったいわゆる物価の押し上げ要因と、それから今度は構造的な押し下げ、抑制、物価上昇抑制要因というものが働いているわけで、従来どおりの分かりやすい構造になっていないということがあると思います。  したがいまして、議員の御質問に答えるとするならば、私は財政政策もマネタリーポリシーも一体となって日本経済の持続的発展に貢献すべきじゃないかというふうに思っております。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 両委員の今お話を聞いて、私個人としては大変安心しました。自分はケインジアンだとかマネタリストだとか、そんなはっきり峻別できるものじゃなくて、総合判断がまさしく必要だと思いますので。しかし、世の中には、いやいや、マネタリズム的な政策が必ず成功するんだといって、ある何といいますか狭い考え方で金融政策や経済政策をまるで社会実験であるかのようにやった方がいいという御主張の方も中にはいらっしゃいますので、私はやっぱりそれは大変危険なことだなと思っておりますので、今両委員がおっしゃられましたような、特定の考え方にこだわりを持たずに適切な御判断をしていただければ大変有り難いと思っております。  その上で、先般発表されました展望レポートについてちょっとお伺いをしたいんですが、今度は総裁にお伺いをいたしますが、このレポートを読ましていただきますと、先々の物価については下振れリスクよりはどちらかというと上振れリスクの方が高いというふうに、全体をざっと読ましていただきますとそのように私は読後感として感じられるんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) ただいまのお尋ねは、展望レポートの中ではいわゆる第二の柱、リスク要因を点検しているところに絡むお尋ねかというふうに思います。  展望レポートの中では上振れリスク、下振れリスク、双方に言及しております。御承知のとおり、上振れリスクとしては、企業や金融機関などの行き過ぎた活動を通じて中長期的に見て経済・物価の振幅が大きくなったり、非効率な資源配分につながる心配があるということを挙げています。また、下振れ方向のリスクとしては、経済情勢の改善が途中で足踏みをしたり、あるいは経済情勢の改善にもかかわらず、今亀崎委員からも御指摘がありましたけれども、物価が意外に上昇しない可能性と、こういったことも指摘しております。  委員御指摘のとおり、確かにアップサイドのリスクにつきましては、その経済・物価情勢の改善が展望できる状況の下では刻々と金融政策面からの刺激効果が強まっていく可能性があるわけですし、一方、ダウンサイドでは、この経済・物価情勢の改善が展望できる状況の下では企業部門の体力や金融システムの頑健性が高まっている、あるいは更に高まっていくということでありますので、デフレスパイラルが生じるリスクは更に小さくなっていくと、そういうことは確かでございます。  方向性としてはそうでございますが、私どもあくまで、アップサイドリスク、ダウンサイドリスク、双方とも現在から先行きを見る限り、引き続きその可能性はそう大きくないと、だけれども起こればコストが大きいと、そういうものとして、そういうリスクとしてとらえているわけでございます。そういう意味では、方向性は今申し上げましたような方向性であるとしても、ダウンサイドリスクの方を軽視しているということではございません。やはり蓋然性はそう高くなくても起こればコストが非常に高いということで、明確に意識の中に位置付けているということでございまして、先行きの金融政策運営におきましては上下双方向のリスクについて丹念に点検を続けていくと、こういう姿勢に変わりはございません。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 総裁、今お手元にございますか、展望レポートは。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) はい。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 委員の皆さんにお手元になくて恐縮なんですが、十四ページのところに、ちょっと読ましていただきますけれども、物価について、目先はゼロ近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目で見ると、プラス幅が次第に拡大すると見られると。ちょうど真ん中のところですね。もう一回申し上げますと、目先はゼロ近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目で見ると、プラス幅が次第に拡大すると見られる。  二つお伺いしたいんですが、この後段の部分ですね、より長い目で見ると、プラス幅が次第に拡大すると見られるという、これは、私はだからこの部分を見て、主に、ああ、これは下振れリスクより上振れリスクのことを言っておられるんだなというふうに思ったんですけれども、より長い目で見ると、というのはどのぐらいの期間のことをおっしゃっておられるのかということと、その根拠はどういうことかという、この二点についてちょっと感触をお伺いしたいんですが。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 展望レポートは二〇〇七年度、それから二〇〇八年度、この二年度にわたる経済を展望いたしておりますので、一応二年先までということでございます。そして、その間の物価の見通しはこれは好ましい見通しだと、こう申し上げておるわけで、何か上振れリスクという意味で、つまりインフレリスクが出てくるよという見通しではないわけであります。  つまり、二〇〇七年度は平均して消費者物価指数で我々のメンバーの中央値が〇・一%、そして翌年度、二〇〇八年度はプラスの〇・五%ぐらいが中央値ということでありますので、しかもこれは年度の平均ということですから、二〇〇七年度平均〇・一ということは前半よりは後半の方が高いと。そして二〇〇八年度平均が〇・五であれば二〇〇八年度も前半よりは後半の方が高い。この二年度を続けますと、極めて緩やかながら消費者物価指数は上昇していく、そういう可能性が高いと。しかしこれは、この範囲内で動けば、それは物価安定の下での持続的成長ということとコンシステントな見通しであって、インフレリスク、上振れリスクをこれが示唆しているということではないわけでございます。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 ありがとうございます。  向こう二年間ぐらいを展望すると、必ずしもインフレリスクがあるという意味でこういう表現を使っているわけではないということだというふうに今理解させていただきました。  そういう観点から、やはり自分の問題意識、この場でずっと議論させていただいている問題意識に照らしてみますと、やっぱり物価というのは非常に上がりにくくなってきている。  これは先ほど亀崎委員のお話の中にもあったような気がしますが、例えば中国でもどんどんどんどん価格が下がる問題も含めて。つまり、かねがねずっと私がこの場で申し上げているのは、もう物価というものを一九七〇年代や八〇年代の感覚や常識で考えたり先行きを見通したりするということができないぐらいに環境変化が起きているんではないかと。したがって、今そのゼロ近傍の予想であったとしても、いわゆるその七〇年代、八〇年代的な水準にあえて引き直せば、十分物価は基礎体温は上がっている状態ではないかということを私はずっと主張しているつもりなんです。  したがって、せんだって、経済財政諮問会議ですか、副総裁が代わりにお出になったときに、何かゼロ近傍予想は低過ぎるんじゃないかとかという議論があったと新聞で拝見しましたけれども、そういう議論も、それはゼロというのは低い水準だという七〇年代、八〇年代の常識に基づいたやり取りのような気がしますので、日銀が今後利上げをしていく、まあ私は金利はやはり早く正常化するべきだというふうにずっと申し上げておりますので、そういう御主張をされたり、そういう政策選択をされるに当たって、物価というのはやっぱり構造的に相当それをめぐる環境やメカニズムが変わったんだということをきちっと日銀として主張されないと、なかなか見た目の物価水準は低いんだけど、まあいろんな理由で少し金利を上げた方がいいと言っても理解をされにくいんではないかなというふうに思っております。  そこで、これはそれではまた両審議委員にお伺いをしたいんですけれども、今私が申し上げましたように、その物価をめぐる経済環境とか経済構造というのは、一九七〇年代、八〇年代ですからバブル以前の時期に比べて私はもう完全に変質してしまって、物価が上がるのを待ってから従来型の金融政策の変更を行うのでは、ひょっとすると、かなりまた意図せざる混乱や失敗につながる可能性が私はあると思っておりますので、物価をめぐる環境が昔と比べてどう変化して、今どういうことになっていて、どう考えるべきなのかと、こういった辺りの点について両審議委員の御認識をお伺いしたいと思います。

中村清次日本銀行政策委員会審議委員

○参考人(中村清次君) お答えいたします。  私はたまたま四月の四日まで国内のフェリー会社の社長をしていまして、御存じのとおり油代というのは物すごく、七割から八割上がった。だけど、それをその運賃に転嫁できるかといいますと、約半分しか転嫁できなかった。なおかつ、半分というのは他産業に比べればかなりいい方じゃないかと思うんです。じゃ、その上げた半分ですけれども、お客さんであるトラック屋さんとかそういうところはどうしているかといったら、上のお客さんからもらえていないと、こういうことで、もしそれを言うともう来なくていいと言われるとか、そういうことで確かにいろんなコストは上がってはいるんです、いろんな原材料とか油代とか。だけど、それを消費者物価まで転嫁できない。結局それは、変な話ですけれども、途中のいろんな弱いところにどんどん押し付けられているという面があると思います。  これは、一つは経済の、まあグローバル化って昨日今日始まったことではございませんけれども、やはり東西冷戦以後、一段とそういうことが進んでいると思いますし、それから、やっぱりいろんな規制緩和ということがあって、国内産業も、非製造業部門等においてもいろんなやっぱり構造改革が起こっていて効率化が求められているというようなことですとか、それからやっぱり、もう一つあれしますと、一般流通段階なんかでは、かなり合併等で、イオンとかあるいはセブンイレブンとか、そういうところが巨大になってなかなか値上げを認めてくれない、いろんなことが起こっている。  ただ、現実にはいろんなコストが上がって、だんだんやっぱりいろんな効率化、それにも耐えられなくなってきておりますので、やっぱりいずれは物価は、緩やかではあると思いますけれども、上がっていかないと企業はもたないということではないかと思います。いずれにしても、非常にやっぱり上げづらい環境だということは、以前とは大きくバブルのころと異なってきているというふうに認識しております。

亀崎英敏日本銀行政策委員会審議委員

○参考人(亀崎英敏君) 先ほどの答弁の中で申し上げたわけでございますけれども、従来は設備、労働の需要超過になってくれば比較的に分かりやすく物価が上がってきたけれども、近年は構造的要因で物価上昇の抑制要因が働いてなかなか上がらないと。この二十年、特に海外諸国と比べましても、この二十年の物価上昇率が平均〇・六%という非常に低いところに張り付いております。  ということで、従来、バブル期以前それからバブル期後というのは非常に状況が変わってきている。そういった中で物価というものを見なければいけませんので、これは単なる数字だけじゃなくて、どういう要因でそうなっているのかと。先ほど申し上げましたような統計的な要因あるいは技術革新あるいは国際競争の中での物価の上昇が抑えられているというところをつぶさに見ながらやっていかなきゃいけないんじゃないかと。  総務省から発表されておりますCPI、生鮮食料品を除くCPI、五百品目を超えるアイテムがあるわけですけれども、その中で特に目立ってきているのが、先ほど申し上げたような家電製品とかデジタル製品、こういったものが大きく作用していると。しかしながら、この最近、随分、ガソリンの値上げだとか小麦粉の値上げだとか古紙の値上げだとかマヨネーズの値上げとか続いております。こういったものがどういうタイミングでどういうふうに影響してくるのかというのを見ながらやっていかなきゃいけないと思いますが、基本的には、タイムラグがあっても、これだけの設備、労働の需要超過の中においては、タイムラグはあっても次第次第にこれが物価にも波及していくんじゃないかと。それから、現在の企業収益、非常に高水準であります。これも個人の所得に対してタイムラグはあっても少しずつ波及していくんじゃないかというふうに見ておりますので、いずれにしろ、従来型の日本経済と違って日本経済が非常に複雑になっている。こういう中で分析をしていかなければいけないので、大変な重い作業それから判断だというふうに思っております。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 本当にいいお考えをお二人から聞かせていただきましたが、特に中村委員おっしゃったことは、ちょっと私の言葉で再整理させていただきますと、原油を中心にしたコストが上がっているんだけれどもそれを価格に転嫁できない、したがって、そういった原材料のコスト以外のコストの部分で企業は収益を上げるようにしている。これが言ってみれば、人件費を削るであったりとか下請に対するコストダウン要求ということだというふうにこれは言えるわけです。したがって、この状態をずっと続けるわけにはいかないので、今おっしゃったのは、先々ある程度消費者物価や最終製品価格に反映していかないと、つまり物価が上がっていかないと企業はいずれやっていけなくなるだろうと、こういうことをおっしゃったわけであります。そして、亀崎委員は、そういう環境をつくるためにも、企業の高収益が家計の方にいずれ波及をしていって言わば需要が増えるというメカニズムがなければならないと。  お二人の話は、ある意味合致して、うまくジグソーパズルのようにはまっていると思うんですが、これ、順番が大事なんですね。  つまり、人件費を削られる、さらには下請のコストダウン要求をもっともっと続けていっている過程で、先に消費者物価や最終製品価格が上がり始めたときには、私たちが日常、政治活動で地域の皆さんと接していると、多分物価が先に上がり始めて所得環境が今のままだと、ますます財布のひもは固くなって、多分ダウンスパイラルに入っていくリスクがどちらかというと高まるだろうと。そうであるならば、あるいはそういうリスクを避けるならば、先に少し懐具合、家計の所得構造、所得環境を良くしてから、後から物価が上がってくれば、多少大きな気持ちになって、まあ物価も上がるけど所得も増えているからいいかといって支出も増える、支出も増えると企業の収益も上がっていくという、これ微妙な差なんですけれども、どういうプロセスでそれが起きるかということによって、日本経済は下折れもすれば上向きになることもあり得るという、非常にこれ微妙なところに来ていると思うんです。  そういう意味で、お二人は財界の御出身でもあるわけですから、昨今の、去年から今年にかけての財界の御議論をずっと聞いていますと、割と日本の労働生産性を上げるためにはベアなんか応じられないとか、もっとコストカットをするべきだと、今、参議院でも始まりました労働法制の議論なんかでもそういう魂が少し中に宿っているわけですね。  この発想とこういう法制というのは、今私が説明をした二通りのシナリオで言うと悪い方のシナリオに入っていく可能性があるなと私個人は思っているんです、私個人は。その点について、経営者として、そして財界におられたお立場でもう少し感想をそれぞれに聞かしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

中村清次日本銀行政策委員会審議委員

○参考人(中村清次君) 私、自分で経営していた限りで申し上げますと、実は一方で労働のマーケットは非常にタイトになってきておりまして、人手不足というのもあるし、現在抱えている人間でも、今給料を下げるとかいうことをしますともう会社辞めていくわけですね。そういうことで、求人倍率もああいうことになっておりますし、労働市場というのはかなりタイトになってきていますので、ある程度の見合った給料を上げていかないと労働者の抱え込みはできないと思います。だから、今言ったことを労働者の給与のカットで対応するということは私は無理だと思いますね。それはいろんな零細企業のところでも、私があれしているような、トラックドライバーでも賃金を下げて云々といったらすぐ辞めていくわけですね。もう今はそういう世の中になっている。  むしろ、やっぱりいろんな合理化というのは、産業の効率化とか、そういうことによってやっぱり対応していかないと、それを労働者の犠牲の上でやるということは不可能だし、やるべきではないというふうに私は思います。

亀崎英敏日本銀行政策委員会審議委員

○参考人(亀崎英敏君) 昨年から今年にかけての賃金でございますけれども、私は統計を今見ているわけでございませんけれども、新聞を毎日読んでいて、ボーナスあるいはベースアップ、それから初任給の上昇等々、近年の企業収益というものが必ずや個人所得が増えるという形になってつながっていくと、若干のタイムラグがあってもつながっていくというふうに思っておりますし、それから、今年の三月三日の東洋経済でございますが、昨年の一世帯当たりの実質収入というのは上昇していると、増加していると、しかしその内容、スペンディングでございますけれども、定率減税の廃止によって一月から所得税、それから六月から住民税が増えて、そっちの方は取られたけれども、可処分所得の方で消費に回すよりも貯蓄に回った方が大きいと、こういう記事が載っておりましたけれども。  私は、問題はやはり、この千五百兆円という日本の国民の持つ個人資産をいかに引っ張り出して活性化するかということが片方では重要ではないかと。個人所得というものはあってもそういう貯蓄に回るような状況ではなくて、投資に回っていくというためには、今御議論いただいている金融市場の活性化とかあるいは税制の問題だとか、そういった多面的なアプローチがないと、どんなに言っても、所得が入っても貯蓄するようでは、これでは決して消費、日本のGDPの六割を占める消費が成長の推進力にならないということでございますので、私は総合的に考えなきゃいけないと思いますが、所得につきましてはタイムラグがあっても上昇していくものというふうに思っております。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 ありがとうございます。  今日は、両審議委員から本当に参考になる御意見、そして御発言がそれぞれ論理一貫性がある内容を聞かしていただいておりますので、大変質問する立場としても気持ちよく質問をさしていただいているんですが、是非、今後、これ今回の展望レポートではまだ消費者物価の見通しとかお出しになったかどうか分かりませんが、今回ももうお出しになりました。──ああ、そうですか。そうすると、レンジがゼロ%から〇・二とか示されていますけれども、九人の審議委員が、ある方はゼロと言い、ある方は〇・一と言い、ある方は〇・二と言い、これはよく考えると、何を根拠にゼロとおっしゃって、ある方は何を根拠に〇・二とおっしゃってという、この根拠の部分が実は非常に興味深いんですね。  今、お話聞いていますと、もう十分その根拠をそれぞれの委員がお示しになれるだけの深い議論ができると思いますし、その根拠をそろえられると思いますので、私は、今後この展望レポートを発表されるときに、ますますこれマーケットの関心は高まっていますから、レンジはゼロ%から〇・二%、中心は〇・一ですとかって、そういう何か大ざっぱな発表のされ方ではなくて、どなたが何%と言ったかは別にして、ゼロ%とおっしゃった方はこういう根拠でゼロ%、〇・一の方はこういう根拠でゼロ%の方よりはプラス〇・一と予想していると。〇・二の方はゼロ%の方に比べるとこういうデータに基づいてそういうことをおっしゃっているんですという根拠をもうちょっと明確にしていただかないと、ちょっと言葉は悪いですけど、何か水晶玉をううんとにらんで、ううん、ゼロかな〇・一かな、よし〇・一にしておけぐらいの議論かななんて想像もしちゃいますので、そういうつまらない想像を我々がしなくていいように、是非根拠を今後は明らかにしていただきたいということを総裁にお願いをしたいんですが、いかがでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 展望レポートの中身は委員が非常によくお読みいただいているということを有り難く思っております。  展望レポートの中で、委員もお気付きのとおり、経済の見通し、そして物価の見通し、なかんずく今、新しい審議委員の御両人と御議論いただきましたような、物価のメカニズムが、形成メカニズムが過去と比べてどう違っているか、違っていても今後とも非常に硬直的なものかどうか、需給が更にタイト化し、ユニット・レーバー・コストが変わっていくと、やはりそれなりに物価は変わるものであるのかどうかというふうな、基本的な経済・物価のメカニズムについてとことんまで議論を闘わし、一致したところを詳細に記述しているというのがこの展望レポートの主たる内容でございます。  それで、今回の展望レポートは、そういう物価情勢については大変難しい判断を要するけれども、徹底的に議論した結果、物価形成メカニズム、現在の認識及び今後の変化する可能性について完全に意見の一致を見ているということでございます。つまり、全員一致でこの展望レポートは出しています。  将来ともそうであるという保証はございません。物価の展望の仕方の基本的な考え方について意見が最後まで合わない委員が出てくる可能性は将来的にはあります。そのときは、展望レポートは全員一致でなくて、八対一とか七対二とかいうふうに分かれると思います。分かれたならば、その少数意見はどういう物価形成メカニズムを頭に置いた議論であるかということは展望レポートでこれは非常に明確になってまいります。  そういうことでは、将来的には、意見が違った場合にはそこは明確になるということでありますが、意見が一致している場合に、あとどういう数字を頭に描くかということはその後の派生的な問題です。もうちょっとした前提条件の置き方で数字が変わってくる。これはいろんなエコノミストが経済予測をコンピューター等を使って出される場合にも、基本的なメカニズムをインプットした上、あと前提条件を幾らか入れることによって数字が変わってまいります。それと同じようなことでありますので、これは各委員の数字がどうというよりは、ある幅で見るということの方が、本体である物価形成メカニズムの記述とコンシステントにむしろ読んでいただけると、こういうふうに理解をいたしております。

大塚耕平民主党・新緑風会

○大塚耕平君 御説明は分かりましたので、一応希望は希望として申し上げておきます。  最後に、是非、両審議委員におかれましては、これ九人の合議制でありまして、言わば事前に用意されている結論に賛成することがお仕事ではないということを改めて申し上げまして、もうこれ九人同じお立場ですし、法律をよく読むと、政策委員の議長を総裁がやらなければならないとは書いてございませんので、そういう意味では議長を九人のどなたがやってもいいわけですから、私は、むしろ本当に議長というのはそういう形で総裁以外がおやりになるということも十分あり得るという中で、九人が対等のお立場であるということを十分御理解いただいて、本当に新聞の一言一言を熱心に読んでいる方々がいらっしゃいますので、十分に御発言にも御留意いただいて職責を全うしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。    〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。  まず、早速質問に入らせていただきますけれども、日銀金融政策をめぐりましては、例えば量的緩和の解除を昨年の三月にやりました。ゼロ金利の解除は昨年の七月、そして追加利上げは今年の二月二十一日に行いました。その局面局面でいろんな、日銀と政府との間であるいはマスコミの中ではいろんな憶測、あるいはさや当てという言葉が適切かどうか分かりませんが、ありまして、結構大騒ぎになってきた。今ここに来て、日銀展望レポートを見ますと、日本の経済は先行き結構明るいんじゃないかというような、そういう内容の展望レポートになっております。  そこで、財務省と内閣府と、これはちょっと所管が違いますけれども、金融担当大臣の所管ということなんですが、今までの日銀金融政策の評価をちょっとお聞きしたいというふうに思います。まず、財務省から、どうでしょうか。

田中和徳自由民主党財務副大臣

○副大臣(田中和徳君) 昨年の三月の量的緩和政策の解除、同年七月のゼロ金利解除及び本年二月の利上げを含む金融政策の決定は、日銀自身がその時々の経済・物価情勢を十分に分析をして、金融政策決定会合において議論を尽くした上で責任を持って判断をされたものと思慮しております。  いずれにしましても、日銀が担われる金融政策については、現在の景気回復を持続的なものとするため、経済を金融面から支えていただくことが重要と考えております。具体的な金融政策運営については御承知のとおり日銀にゆだねられておりまして、政府からのコメントはすべきではないというのが私どもの基本的な考えであります。  以上でございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 そうすると、財務省としては、これからは事前においても日銀政策に関してのコメントは一切しないんだと、こういう理解でよろしいでしょうか。

田中和徳自由民主党財務副大臣

○副大臣(田中和徳君) 一切をしないということについては、私が言う立場ではないのかもしれません、これは政府全体のことで動いていきますので。ただ、今申し上げた原理原則というものは私どもの大臣も繰り返して述べておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 内閣府、どうでしょうか。

齋藤潤内閣府大臣官房審議官

○政府参考人(齋藤潤君) お答え申し上げます。  具体的な金融政策運営につきましては、日本銀行の金融政策決定会合において決定されるものとされているところでございますが、昨年三月以降の政策変更につきましては、これに基づきまして経済・物価情勢を丹念に点検された上で金融政策決定会合としての御判断をされたものというふうに考えております。  日本銀行におかれましては、政府の政策取組や経済の展望と整合的なものとなるよう、市場の動向にも配慮しながら実効性のある金融政策に努めていただき、経済活動や物価の下振れリスクを考慮して責任を持って金融面から経済を支えていただきたいというふうに考えております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 内閣府にお尋ねしますけれども、二月二十一日の採決後に、日本銀行として本日の決定に至った経済・物価情勢の認識及び日本銀行が考える物価安定に向けた道筋についてしっかりと説明責任を果たしていただきたいと思いますというコメントをされております。日銀はこれを果たしておりますか。

齋藤潤内閣府大臣官房審議官

○政府参考人(齋藤潤君) 政策運営における信頼性確保のためには、一般的に透明性と説明責任を徹底することが必要と考えておりますが、金融政策運営におきましても、日本銀行の基本的な考え方や、その前提となる経済・物価情勢に関する御判断を分かりやすく適切に説明することは極めて重要であるというふうに考えております。  日本銀行におかれましては、政策変更に当たっての公表文や展望レポート、あるいは記者会見や経済財政諮問会議での審議などを通じまして国民に対する説明に努めてきていただいておるものと認識しておりますが、更に国民の理解が進むように透明性と説明責任の徹底を図っていただきたいというふうに考えております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 わざわざコメントしたのは、説明責任というのは、これは日銀に元々備わっているんですよね。それを分かった上で説明責任を果たしていただきたいと思いますと言っておるわけですから、これについては何らかの問題意識を持ってやったと思うんです。  今の答弁の中では、日銀さんはその説明責任はしっかり果たしているんじゃないかという答弁だったと思いますが、それでよろしいでしょうか。そういう理解でよろしいでしょうか。

齋藤潤内閣府大臣官房審議官

○政府参考人(齋藤潤君) 先ほど申しましたように、一般に経済政策の運営におきましては適切な透明性と説明責任を果たしていただくということが大事だというふうに思っておりまして、その点をあえて申し上げているところでございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 金融担当大臣、どうでしょうか。

山本有二自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(山本有二君) 金融政策は日銀の所掌でございます。昨年来、量的緩和政策の解除、二度の利上げを含めまして、日銀が諸般の状況を勘案して責任を持って判断されたものであると考えております。また、この間の日銀は政府との間で十分な意思疎通を行っておられまして、デフレ克服に向けまして金融政策に取り組んでおられることを高く評価しておるところでございます。    〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 従来の答弁のいずれも繰り返しであったと思いますが、もうちょっと積極的な評価というのをお聞きしたかったんですが、それについては申されないということでありますね。  今の御答弁を聞きますと、これから追加利上げがあるかもしれないといった局面においては、内閣府からも財務省からも、あるいは金融庁、金融担当大臣としても、要するにこれは基本的に日銀に全部お任せしている話だから、日銀が責任を持って決定する話であるから余計なコメントはしませんということを再度ここで皆さん明らかにされたというふうに私は理解しますが、それに対しての反論がございますれば、どうぞしてください。なければないで結構です。

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) どなたに。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 いや、いいです。三省にお聞きします。──ないということでございますので、私は非常に好意的に解釈をいたしました。  それではもう一つ、次のテーマに移りますけれども、デフレの問題についてですが、これは昨年の、私、予算委員会で、デフレ脱却の定義はどうだということを始めとして何回かお聞きをしました。しかし、あれからもう一年以上過ぎましたけれども、依然としてデフレ脱却の宣言が出されない。先ほど大塚さんからいろいろデフレあるいは物価という見方というのは大局的に変わってきているんじゃないかといういい御指摘がございました。しかし、やっぱりデフレ脱却が時期はいつなんだということについてはやっぱり大きな経済的というか、市場の関心事項だと思います。  消費者物価指数、GDPデフレーター、需給ギャップ、単位労働コスト、ユニット・レーバー・コストですね、これを総合的に勘案して判断するんだというお話でしたけれども、GDPデフレーターについてはもうプラスの方向になっていますし、需給ギャップは完全に逆転しているということでありまして、ユニット・レーバー・コストが若干まだ弱含みということですが、問題は消費者物価指数だろうと、CPIだろうと思います。  今、こういう状況の中でデフレ脱却宣言がまだはっきり言えないという最大のネックといいますか、要因というものは何なのか、改めて内閣府にちょっとお聞きしたいと思います。

高橋進内閣府政策統括官

○政府参考人(高橋進君) お答えいたします。  今CPIというお話がございましたけれども、私どもは、デフレ脱却の判断に当たりましては、足下の物価の状況に加えまして、再び後戻りしないという状況を把握するためにも、消費者物価だけではなくて、GDPデフレーターなどの物価の基調、あるいはお話がございましたように、その背景にございますGDPギャップあるいはユニット・レーバー・コスト、こういったものを総合的に考慮し、慎重に判断する必要があるというふうに考えております。  ちなみに、物価関連指標について申し上げますと、まずGDPデフレーターでございますけれども、こちらは前年比でマイナスが続いております。ただし、マイナス幅が縮小傾向で推移しているということに変わりはございません。それから、消費者物価指数でございますけれども、こちらは生鮮食品を除く総合、それから原油価格変動による石油製品の影響などの特殊要因を除いた指数、この両方で見まして前年比ゼロ近傍で推移しております。それから、GDPギャップにつきましては、お話のありましたとおり、景気回復の持続によって改善してきているというところでございます。それから、ユニット・レーバー・コスト、単位労働費用でございますけれども、こちらについては前年比の低下幅が縮小というところですが、足下でちょっと足踏みが見られるということでございまして、今後も動向に注意していく必要があるというふうに考えております。  こうした物価の動向を総合的に見ますと、デフレからの脱却が視野に入っているものの、海外経済の動向などに見られるリスク要因を考慮しつつ、デフレに後戻りする可能性がないかどうか引き続き注視していく必要があるということでございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 結局、これだということはなかなか言えないと、総体として判断するんだという、そういう御答弁だったと思います。  じゃそこで、そういう答弁である以上、次の質問もきちっとした答弁は返ってこないんだろうと思うんですが、総裁にお伺いしますけれども、今このデフレ脱却ということに必要な政策というのはどういう政策が必要だというふうにお考えになるか、基本的な考え方でちょっとお聞きしておきたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 一番大切なことは、現在既に日本経済は生産、所得、支出の前向きの好循環の下で緩やかではございますけれども着実に拡大を続けていると、これを今後ともあくまで維持していくということが一番大事でございます。  緩やかな成長率でございますけれども、やはり現在の日本経済の実力としての潜在成長能力をやや上回るペースでの成長だと。ということは、時の経過とともに需給はよりタイトになり、ユニット・レーバー・コストもいずれはマイナスからプラスの世界に転化していくと。物価が上昇する方向の潜在的な圧力が強まる方向に経済が推移していくということでありますので、日本銀行が今目指しておりますとおり、今後かなり長期にわたって今のように物価が安定した上で経済の拡大が緩やかではあっても着実に続くと、この軌道をしっかり確保するということに尽きるんではないかと。日本銀行の金融政策は段階的に金利水準の調整を行っておりますけれども、こうした経済の軌道をきちんと確保するためにやっていると、こういうふうに御理解いただければというふうに思います。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 内閣府はどうでしょうか。

齋藤潤内閣府大臣官房審議官

○政府参考人(齋藤潤君) 先ほど御説明がありましたように、物価の動向を総合的に見ますと、デフレからの脱却が視野に入ってはいるものの、海外経済の動向などに見られるリスク要因を考慮しつつ、デフレに後戻りする可能性がないかどうか注視していく必要があるというふうに考えております。  デフレ脱却のためには何が必要かというお尋ねでございますけれども、物価安定の下での民間主導の持続的な経済成長を図るということが非常に大事だというふうに考えております。その点、政府、日本銀行としまして、マクロ経済政策運営に関する基本的視点を共有する中で一体となった取組を行うこととしているところでございます。  特に、政府といたしましては、引き続き、日本経済の進路と戦略において示されました新成長経済の実現に向けまして、改革への取組を加速、深化していく所存でございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 はい、分かりました。  それでは、次のテーマに移らせていただきます。二月二十一日の政策決定会合における報道をめぐっての質問をさせていただきます。  総裁にまず一点、冒頭確認させていただきます。  二月二十一日のNHK報道、昼の時間でございました。先ほど福井総裁は追加的な金利利上げを提案し、金利の引上げが決まる見通しという報道がされました。この段階では、総裁は追加的な金利引上げを提案しておりません。にもかかわらず、先ほど福井総裁は追加的な金利引上げを提案し、金利の引上げが決まる見通しという報道がされたと。  これは、大久保委員はこれは誤報ではないかということを再三にわたって質問しましたけれども、これは誤報と言えるかどうかは分からないと、それは情報源の守秘でしたか、そういったことの関連もあってなかなかそこは言えないんだということなんでしたけれども、その情報源がどうのこうのの問題じゃなくて、先ほど福井総裁は追加的な金利引上げを提案しと言ったんです。これは明らかに事実に反する報道ですね。そういう認識でよろしいでしょうか、総裁。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 御指摘の報道は、私も電光掲示板で見ておりました。そのときには明らかに金利変更の議長提案はしておりませんでした。そういうことでございますので、提案を行う前の報道という意味では、私は憶測に基づく報道ではないかというふうに申し上げているわけであります。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 憶測という定義はどうかは分かりません。私が申し上げているのは、事実に反しますねと、事実に反する報道をしましたねということをお聞きしているんです。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 今申し上げましたとおり、私が議長として提案を行う前に報道されているという意味では、事実ではないということであります。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 この事実でない報道をしたということは、これはその後の総裁のいろんな発言の中で、市場にいろんな影響を与えたかもしれないということで問題意識を持っているんだというような発言をされていました。  私は、問題意識どころではなくて、この議論の中でも、委員会の中でもいろいろありましたけれども、ひょっとしたらその報道の中からいろんなまたそれこそ憶測が出てきます。だれかが相場操縦をしようと思ったんじゃないかと、これも大久保委員の中で議論出ました。私は、インサイダー取引ということも可能性もありますねということも、そういうことの憶測も成り立つということを委員会でも指摘いたしました。  問題は、そういう相場操縦にひょっとしたら、NHKさんはそんなことをやるはずありませんから、ひょっとしたら乗せられたかもしれない、あるいは使われたかもしれない、あるいはNHKのそういう報道が市場に様々なインパクトを与えるんだということが、この議論の中では私らも共有しましたし、総裁も共有しました。NHKさんはこれに対してどういう意識を持っているんだというふうに総裁は理解されていますか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私どもも委員と全く同様に、政策決定会合の開催中の報道によって市場に対して攪乱的な影響が及ぶということは極めて好ましくないというふうに思っております。そのことは、私どもの広報担当からNHKに対しまして問題意識をお伝えしていると、繰り返しお伝えしていると、こういうことでございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 NHKさんは、これについて、報道については実は様々な本当に市場にいろんな影響を与えたんだということに対して理解をされたという理解でしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私どもがお伝えしている問題意識を共有していただいているというふうに考えております。私どもとしてそれを確認する方法はないんですけれども、そういうふうに私どもは思っております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 ブラックアウトルールというのがございますが、これは日銀の内規です。この委員会の中でもいろいろ議論がございまして、当然、財務省も内閣府も政府全体としてこれは遵守すべきものだと、守るべきものだということで、財務省からも内閣府からもそういう答弁がございました。  過去のいろんな報道を見ますと、量的緩和の解除、十八年三月と、ゼロ金利の解除、十八年七月の報道でも、これは私は知らなかったんですが、後で聞いたら、日銀総裁がその提案をした直後に、量的緩和の解除の提案をしました、あるいはゼロ金利解除の提案をしましたという報道が流れたそうですね。そうしますと、ブラックアウトルールというのは、要するに総裁のその記者会見まで一切そういう情報は外に流れないということになっているわけです。にもかかわらず、報道は推測でも何でもない、経過報告をしているわけです。  今回の二月二十一日は経過報告どころじゃない、事実に反する報道をしちゃったからまたこれいろんな問題が出てくるわけですが、このブラックアウトルールというのは、今までの財務省、内閣府、情報漏えい、情報の漏れはなかった、二月二十一日もなかったというふうに理解してよろしいでしょうか。財務省、どうでしょうか。

田中和徳自由民主党財務副大臣

○副大臣(田中和徳君) 御指摘の三回の金融政策変更時において、日銀から金融政策の変更が公表される前に財務省からの出席者が例えば金融政策決定会合において知り得た内容を外部に漏らしたんではないかというようなことについては全くございません。これは非常に厳正に私たちも対応しておるわけでございまして、絶対にありません。今まで答弁をしてきたとおりでございます。  また、特に二月の金融政策決定会合の際の事前報道について私たちが情報源ではなかったのかと、そういう疑わしいという報道があったことも事実でございまして、この点についても大変遺憾な報道であると、どんなことを推測で書いたのか分かりませんけれども、これも厳にですね、厳しく私たちも抗議をいたしておるところでございます。  以上でございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 憶測に憶測の報道が出たと、こういう話ですね。  内閣府、どうでしょうか。

齋藤潤内閣府大臣官房審議官

○政府参考人(齋藤潤君) お答え申し上げます。  金融政策決定会合につきましては内閣府としても厳格な情報管理を行っているところでございまして、今後ともその点については徹底してまいりたいというふうに考えております。  お尋ねの二月二十一日の金融政策決定会合に関するNHKの報道につきましては内閣府でも調査を行っておりますけれども、その結果、内閣府の関係者からの情報漏えいではないということを確認しております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 日銀さんはどうでしょうか。十八年三月、十八年七月、これも含めて、改めてお聞きします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私どもは全く缶詰状況の中で審議をし終えております。そして、マスコミ等への接触をした者はいなかったということは十分確認いたしております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 そうしますと、マスコミさんは、もしそれが今皆さんがおっしゃったことが事実だとすれば、全く事実に基づかない報道をしたと、完璧に憶測に基づく報道をしたということになるわけです。それか、皆さん方の調査が甘くて実は漏れていたという、二つに一つなわけですね。  そこで、こういう憶測報道、あえて憶測報道としましょう、あるいは金融担当大臣はもっと厳しく言いました、揣摩憶測と言いました。私、本当そのとおりだと、いいと思います。そういう憶測報道がなされるというこの状況につきまして、日銀総裁はどのように思われますか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) マスコミの基本的な在り方というところにも絡む問題でございますので、余り私の立場で軽々なことは申し上げられませんけれども、金融政策決定会合における決定内容というのは、私どもは明確にこれは公表すると、決定が終わればそんなに時間を置かないで公表することでございますので、公表を待って明らかにされると、そのことをマスコミあるいは市場関係者により十分理解していただきたいと、私どもはそれを強く願っております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 日銀さんは、短観を発表するときは大変厳しい規制をしいていますよね。発表は、八時五十分に発表して、しかしその前に記者レクを八時二十分ぐらいから始めるそうです。一切携帯電話の持込禁止、それで、その間から部屋を完璧に密封してそこから一歩出ることも許さない。そして、八時五十分に発表と同時に、まあインターネットでも公表するんでしょう、そして記者もそこから一斉公表ということで、八時五十分というラインをぎっちり守られているんですね。それぐらいぎっちり情報管理しているんです。そして、報道に対しても厳しい姿勢で臨んでいるんです。  ところが、今回は、この金利引上げというのは、もうこの短観どころじゃなくて、大変なその情報、情報というか、市場に対するインパクトは物すごく大きいわけです。もちろん、マスコミですからいろんな要するに予測報道をすることまでは制限できませんよ。ところが、報道自体が、先ほど提案をしましたという、これはプロセスの報道なんですよ。ところが、プロセスの報道をやること自体実は、ブラックアウトルールが出されている状況においてはやること自体おかしいんですよね。そして、もっと言えば、NHKさんは、ある報道機関からの、NHKさんに対する報道によると、いや、しっかりとした取材に基づいてやっていると言っているんです。それが事実だとすれば、だれかがそれに対する、利するような報道を流している。  ブラックアウトルールというのは、途中で余計な報道が出てきて市場に混乱を与えさせないということが、これが社会的正義ですよ。マスコミさんは本来はすっぱ抜きが正義だという、一般論としてはそういう状況になっていますから、それがそっくりこのままに、今回の場合もそのすっぱ抜きという姿勢が出てきたんだと思うんです。だけれども、実際は、本当に報道するならば、その情報源が漏れてきたということを報道しなくちゃならないんですよね。ところが、いや情報漏れてきて取材やってきたから、要するに、先ほど日銀総裁は例えばこういう提案をしましたと報道すること自体がおかしいんです。  それは、私は、日銀総裁は確かにマスコミさんにいろんな気を遣うというのは、これは分かります。私もマスコミさんなんかを敵に回したくない。ところが、今回の案件については断固として、市場に対してこれ悪影響を及ぼすんですから、強い姿勢で臨まないかぬと思います。ましてや、NHKがやった後、日経新聞まで後でテロップ流したんですよ。日経新聞は、私は日経新聞愛読しているから余り悪口も言いたくもないけれども、本来ブラックアウトルールが分かっていて、この状況の中にそういう報道するというのはおかしいというのは分かんなくちゃならないんです。しかし、日経新聞のみならず、共同通信とか全部流したでしょう。それぐらい、要するに、例えばNHKさんがばっと出したらあらゆるマスコミが要するに次のその段階では、あらゆるマスコミじゃないですね、何社かは違いましたから、主要のマスコミの何社かは、日銀総裁が提案しないにもかかわらず、インターネットで提案しましたということを流しているんです。  これは、遠慮して言うというんじゃなくて、じゃ、マスコミに、だれに対してそういうことに対していやそれはおかしいじゃないですかと言うんですかということなんです。本来であれば、私は、日経新聞辺りがこの報道自体がおかしいんだと、日本の報道姿勢がおかしいんだという報道をしていただきたかった。ところが、そのマスコミ、日経新聞にしたって、今この財政金融委員会でこれだけの議論しているんですが、一言も報道していない、その後。それは自分が、要するに日経新聞は、その二月二十一日、NHKの多分報道を見てばばっと流しちゃったからでしょう。だけれども、そういうこと自体がおかしいんだということはだれかが言わなくちゃならないと。唯一私が言ったと思うのは、金融担当大臣言っていると思うんです、揣摩憶測が渦巻く市場はおかしいと、不健全だと。  だけれども、それはもっと、それ以上の言葉は私は総裁として、今決定会合をやっているときにそんな憶測を流されることは本当に不健全だと、困ると、そういうことを強くはっきり言っていかないと、マスコミだって悪気があって言っているわけじゃないです。先ほど言いましたように、私に言わせればすっぱ抜き、早く情報を伝えたいというのは社会的正義だという一面がありますから。しかし、今回は違うんですね。すっぱ抜きを許すような状況があったらそれを報道しろということなんですよ。そういうことに対しての意思を私ははっきり総裁は出すべきだと思うんです。どうでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 市場に対して攪乱的な影響を及ぼす可能性があるような非常に重要な報道というものはきちんと公表を待ってやっていただきたいということを明確に申し上げています。繰り返しこれは申し上げたいというふうに思います。  同時に、市場関係者に対してもやはり、何といいますか、より練れた市場をつくっていくためには、やはり自ら責任持った判断で市場行動をしていただきたいと、こういう気持ちも同時に持っております。様々な情報に振り回されないような市場行動ということも非常に大事じゃないかというふうに思っています。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 山本担当大臣は、山本大臣は、三月二十七日、大久保委員の質疑に対して、揣摩憶測が渦巻く市場は不健全だと、こうした情報に対する冷静な、厳粛な受け止め方のルールが必要ではないか。本当にこのとおりだろうと思います。大臣でこういう発言をされたというのは、私は本当に評価するし、そのとおりだと思います。  それで、具体的にその受け止め方のルールあるいは冷静な、厳粛な受け止め方のルールということで必要ではないかというふうに発言されていましたけれども、大臣はこのルールというのを何か、イメージ的でも何でも結構ですから、どのようなルールが必要だというふうにお考えでしょうか。

山本有二自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(山本有二君) 既に日銀法二十九条あるいは国家公務員法百条第一項あるいは平成十三年一月六日の閣議決定で国務大臣、副大臣、大臣政務官規範、こういったものでそれぞれ規律ある情報報道、あるいは職務上知り得る秘密を漏らしてはならない、盗用してはならないというような規定がございます。そして、今度日銀の金融政策におけますルールとしましては、金融政策の最も根幹にかかわる判断でございますので、これについての報道管制というものはもう既にあり得ることだろうと。もう既に万全の体制は取っていらっしゃるだろうというように思います。  とすると、今後、私は懸念しているのは、マスコミの皆さんの秩序というようなことを考えざるを得ないというように思っております。特に、マスコミ報道の根拠なき報道が許される三つというのがございまして、一つは衆議院解散いつあるかというやつ、それから皇太子殿下がまだ未婚の場合の御成婚の報道、そして日銀の金利政策決定、これ、どんな報道でも許されるという時代がございました。  しかしながら、今、私が近年の報道と相場というテーマで考えてみますと、一面トップに上場廃止というように書かれれば廃止されるだろうというように思うのが一般投資家の考えでございます。そうすると、やっぱりそこに損する人、得する人が出てくるわけでありまして、そこに根拠がなければやはりそれは誤った報道であり、先ほど先生御指摘されたようにインサイダーの懸念がございます。また、黒字予測を急に赤字にしたりする決算報告だってそうですし、また犯罪事実があって捜索差押報道ということもやはりそこは行き過ぎた報道ではないか。しかも、捜索差押えをしていないにもかかわらずその三十分前に報道されるだとかいうことがもしあるならば、やはりそれはインサイダー取引や相場操縦の懸念がございます。  そんなことを考えましたときに、必ずしも最も決定に携わった方々からの情報発信以外の部分で、そうしたニアリーであるかもしれないけれども誤った報道を出すことによって、市場関係者が損得をするという、この部分についての規律というものを我々は議論しておく必要があるだろうというように考えております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 全く賛成でございます。特に、今回のこの日銀の政策決定については、そのプロセスを報道するというのはあり得ないんだということをこれマスコミが理解しないと駄目なんですね。繰り返しますけれども、プロセスを報道するに足るような報道が出てくれば、それが問題なんだということを追及しなくちゃならないわけです。そのことを私は、さきに言った金融担当大臣の秩序ということで言われれば、そういうことをやっぱりぎっちり求めていただきたいというふうに思います。  それから、ちょっと時間がなくなりましたんで、最後の質問。これ、私、大事な質問だと思っているんですが、日銀法第十九条に、大臣が指名する職員が政策決定会合に行って発言させることができるという規定がございます。  過去の重要な局面においては、いずれも休憩が取られたということなんでありますが、どうもこの休憩を取るのが本当に必要なのかどうか。場合によっては必要かもしれません。しかし、この十九条を読みますと、大臣の代理人でありますから、その代理人も大臣もやっぱり基本的には同じ立場なんだろうと思うんです。そうしますと、基本的に私は休憩を取って、そこから何かどういう手段で確認するか分かりませんけれども、財務省か内閣府の大臣か何かに確認するのかどうか分かりませんが、できるだけ、もうできれば完璧にこれはやめたらいいんじゃないかと思うんです。やめることできませんか。副大臣とか、今回の場合は田中副大臣出られたんですか、今回は。大臣、自分でどう思いますか。自分で、そういう任せられない存在ですか、あるいは判断できない存在ですかね。それは、政府を代表して出てきているんだから。  それからもう一つ大事な話は、政策決定会合の、要するに議論の議事録は田中副大臣が一番聞いているわけですよ。それを電話で伝えていれば、どんなに伝えたとしてもバイアス掛かる。  それからもう一つ、本当にそれだけの重要な案件だったら大臣が直接出てくりゃいいんですよ。そして、できるだけとにかく中断をさせないと。その中で、例えばひょっとしたら情報漏えいが出てくる可能性が出てくるかもしれない。先ほど、日銀短観で言ったかもしれませんが、完全にその間遮断すればいいわけですから。そういうことができてくる。  それともう一つ、代理人であろうが何であろうが、やっぱり政府の代表である以上は全部任せるということがこれはできるんじゃないかと思うんですが、田中副大臣、どのようにお考えになりますか。

田中和徳自由民主党財務副大臣

○副大臣(田中和徳君) もう委員も内容をよく御存じでお尋ねをしておられると思っておりますけれども、この政策決定会合はその場で議論いたしまして物事を決めてまいりまして、事前に例えば政府側との打合せをするということがないわけですね。これは特殊な事情がございます。  ましてや、その場に出て、議論にかかわるというよりも陪席をするわけでございまして、政府からの意見を伝えたり、あるいは場合によっては今言われたように、ちょっと止めてまいりますが、それはやはり日銀の政策決定会合の内容というのは、政府全体、国全体に及ぼす影響が極めて大きゅうございますので、仮に大臣が出たとしても何らかの極めて限られた人々とのやり取りというのはどうしても出てくる可能性がありますので、今の制度そのものを、やり方を今後変えていけば別でございますけれども、今の段階では、一切政策決定会合の会議を止めず、その中だけですべてを終局をさせるということは難しいんではないかと、このように思います。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 例えば、量的緩和の解除、これ解除するかしないかだけなんです、これはね。それはその場で判断できるんですよ。これは事前の相談とか云々の問題じゃないですよ、これは。  それから、金利の引上げ。突然一%上げるとかなんとかと、これは大変な状況ですよ。しかし、そういうことを、あらゆる想定は一応するでしょう。想定もした上で内部でいろいろ検討するでしょう。その上で、政策審議委員だってそれで臨んでいるんだから、政府の副大臣だって何だってそれで臨めないわけないんですよ。おかしいと私は思いますよ。どうしても私は中断を求めるの駄目だと言いません。言わないんだけれども、三回とも求めているんですよ、これ。これ、情けないじゃないですか、これは、ということなんですよ。  それで、やっぱりそこは政策決定会合というもののステータスというものがあります。そういうステータスといいますか、審議そのものに対して、私は敬意を払うという言葉は妥当かどうか分かりませんが、そういうことにもなると思うんです、権威を高めるというあえて言葉使わせていただきますが、権威を高めるということになると思うんです。そして、政府もそれだけのやっぱりしっかりとした人を送ってきてその場で判断してもらっていると。そういう政策決定会合にした方がいいんじゃないですか。田中副大臣、もしこれ答弁できなかったら、休憩してもいいですよ。

田中和徳自由民主党財務副大臣

○副大臣(田中和徳君) 委員のおっしゃることが分からないわけでもありませんけれども、やはり日銀の政策決定会合というのは、すべてに及ぼす影響が極めて大きい、こういうことでありまして、もちろん日銀が決められたことを尊重しておるわけですし、ただ事前に、これは本当のことを言って、打合せが全然できないわけでございまして、そのことを考えれば、やはり政府の内容について少し、最低限の関係者でやはり相談をするわずかな時間というものはあった方がいいと、このように認識をしております。

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 平野君、時間が来ておりますので。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 まあいずれ、まあ相談するならそのスタッフを連れていけばいいし、それからもう一つ、やっぱり副大臣としてのやっぱり覚悟のことも私は今併せて問うているつもりなんですよね。  政策審議委員、それから総裁、副総裁、皆さん参加されて、それで判断をされる、そしてそういう状況の中で政府の考え方を述べるということについては、打合せをするとかしないかという問題じゃないですよ。いろんなことを想定して考えて臨めばいいと、そういう話だろうと思いますので、できるだけというか、中断しないように、そういう政策決定会合にしていただくことを強く要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  この経済・物価情勢の展望、いわゆる展望レポートの最新版を拝見させていただきました。  この将来展望の第一回、二〇〇〇年の十月三十一日版から最新のものまでを見ますと、大きく三つの期に分かれるのではないかと私は理解をしております。速水総裁の時代、また福井総裁の前半、すなわち伝統的な金融政策から積極的に乖離して政府・与党の意見を取り上げていった時期と私は思っているわけですけれども、その三期目は後半のときでございまして、今、伝統的金融政策に回帰する努力をされている時期であろうと、こういうふうに大きく分けて三つの期に分けて拝見をしておりまして、総裁、先ほど来からお話ございましたが、直近の消費者物価指数だけを見ると、いわゆるインフレ懸念から金利を引き上げるということがなかなか、それだけでは容認される状況にはないと、情勢にはないと思います。逆にコアインフレ率が前年同期比で下落をしたり、あるいは弱含みになっているということを認識すると、来春までこれ引き上げる機会をとらえることも困難ではないかというぐらいに見えるわけですね、この数字だけ見ますと。  しかしながら、そうした軟弱な物価情勢にもかかわらず、総裁、また政策決定委員の多くの委員の皆様方は、その次の金利引上げということを懸命に模索されている。今回の展望レポートにも徐々に金利水準の調整を行うという形で、表現で出されていると思います。ということは、こういう事実は、この日銀の政策金利そのものが、先ほど来からお話ありますように、消費者物価指数と短絡的に直結する形では金利政策を考えていないことを意味しているんだろうというふうに理解をいたします。  政策委員の多くの方々は、GDPベースでの需給ギャップの縮小と設備投資、また輸出の好調持続というものを背景にして家計部門の労働分配率が上昇することによる所得拡大、これを背景にした個人消費の回復、これによって需給バランスの点からデフレ圧力が解消し需要牽引型の物価上昇が始まると見ているんだろうなと推測というか、理解をしております。その意味では、いわゆる消費者物価の上昇ではなくて個人消費の将来の盛り上がりを担保にして金利を引き上げるというような思考回路になっているんだろうと思うわけであります。いわゆる一喜一憂して消費者物価指数がどうだからということではなくて、経済全体の需給動向を判断しながらこの金融政策を行っていると、こういう意味だろうと思います。  こうした点を考えますと、世上一般的に金利の引上げか、あるいは正常化かというような短絡的な二者択一の命題というのは決して正しい問題提起ではないだろうというふうに私は思っているわけでございまして、今後、今までのプロセスの中で、言わば第三期は、これまでの何でもありの金融政策、それは何でもありの財政政策との表裏一体だと思いますけれども、この何でもありの金融政策を早期に是正していくということが今求められて、またそのプロセスに入っているんだろうというふうにも思うわけでありますが、最初に、こうした私の理解が正しいかどうかはいろいろあるかもしれませんけれども、当面のこの金融政策の課題について総裁にまずお聞きしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) ただいま委員から非常に正しく御指摘いただきましたとおり、私どもの金融政策は、この先、物価安定の下で経済の拡大がより順調に続いていくように、資源再配分機能という点で金利の位置付けがより正しい位置付けに持っていけるように様々な条件を十分検討しながら運んでいきたいと、こういう段階だというふうに思います。  人によりましては、これは正常化の過程ではないかというふうにおっしゃいます。あるいは物価が余り上がらないのに金利の引上げをするのはなぜかと、様々難しい御質問をちょうだいするわけでありますけれども、今、私申し上げましたとおり、物価安定の下でせっかく実現しつつあるこの持続性のある着実な景気拡大軌道と、これを大事にしていこうとするためには、金利の位置付けというものが常により良く資源再配分機能を果たすという方向に持っていく必要があると。現実に経済の中で活動しておられる企業にしても家計にしても、経済が順調に動けば動くほど、やっぱり先行きを見ながら幾ばくか金利は上昇するんだという前提で行動されるわけでありますので、そうしたことを金融政策を行っていきます我々の立場からも十分読み取りながら呼吸の合った金融政策をやっていくということが大事だと。  正常化というふうに言ってもいいんですけれども、何か一定のペースで金利を上げていくんだと、金利が低過ぎるから一定のペースで金利を引き上げていくんだと、その過程では経済や物価の状況が多少振れようとそんなことに関係なく上げていくんだというふうな理解に結び付くことを私どもは過剰に心配しているのかもしれませんが、やはりそこを心配しておりまして、何事も見ないで一定のペースで正常化を図るということではないという意味で、正常化という言葉を使うことは私どもはかなり慎重に使っておりますけれども、金利機能がより正常に働くような方向に情勢を見極めながら慎重に持っていくという意味では正常化というふうに言っていいんではないかというふうに思います。

西田実仁公明党

○西田実仁君 私の表現で言えば、何でもありの金融政策を早期に是正していくというプロセスの第一弾はマネタリーベースの無制限な拡大の廃止でありました。第二弾としてゼロ金利の廃止、そして今第三弾目に入っているのは、今総裁がおっしゃったことを私なりに理解しますと、形式的な金利の復活から金融政策的に意味のある金利水準に戻して機動的な金利政策をできるように、活用できるような状態にしていくと、今そういうプロセスに入っているんだろうと、こう思うわけでございますが。  そうしたことを、そういう日銀のお立場というものを理解しても、なおかつ今日御質問したい主たるテーマは、そうした、まあ正常化という言葉を使うかどうかはともかくとして、そうした金利の正常化をもちろん今は求められておりますが、併せて市場構造の正常化ということが本当の意味での正常化に必要ではないかというやや構造的な話を触れさせていただきたいと思います。  特に長短金利の形成システムということについてで、まず短期金利でございますけれども、これはちょっとやや技術的な話ですけれども、短期ゼロ近傍金利は、今、日銀の金融調節に時として異常な現象が出来してきておりまして、それは突発的な巨額の日銀貸出しの実行であるというふうに思います。  今年の一月二十六日に一兆二千七百億、二月十六日が一兆七百、二月二十一日が一兆八千百億、三月三十日は二兆七千八百億円と。日銀貸出しがこの今申し上げたところでも非常に突発的にまた巨額に出ているわけですね。これはなぜでしょうか。

稲葉延雄日本銀行理事

○参考人(稲葉延雄君) 今お話ありましたように、日によって日銀の金融機関への貸出し、大きく増加することがございます。これは、最近では専ら補完貸付制度の利用が増えたことによるものでございます。  補完貸付制度は、借り手金融機関のオプションによって担保の範囲内で自由に日銀から借りられる制度でございます。例えば、期末日のように出し手の金融機関の運用姿勢が慎重化するといったようなときには市場の金利であるコールレートが高くなる傾向がございます。このようなときに市場から調達する代わりに日銀から補完貸付けを利用して調達するということがございまして、こういうふうなときに日銀からの貸出しが増加するということになってございます。  補完貸付けの適用金利はコールレートの誘導目標をやや上回るところに設定してございまして、今申し上げましたような市場がタイトになるというふうなときにはコールレートがこれを上回りそうになります。そうなりますと、金融機関は補完貸付けの方を利用するということになりますので、言ってみれば補完貸付けの適用金利がコールレートの言わば上限を画すと、こういう役割を果たすわけでございます。この結果、安定的なレートのコントロールに資するという、そういう補完貸付制度の機能、目的は達成されているということでございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 補完貸付けによってそうした巨額な日銀貸出しの実行が行われたという御説明でした。技術的にはそういうことなんでしょうけれども、いわゆるその思惑どおりにいかなかった場合でも、もちろん担保の枠内でありますけれども、日銀信用で救済されるというのは分かりませんけれども、巨額の貸出しが実行されるということにつながるんではないかというふうに私は思います。  コールレートより高い公定歩合だけでいいのかどうか、金融政策とは別にこの金融機関の行動審査も必要なんではないかという問題意識を持っておりますけれども、総裁、いかがでございましょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 市場関係者の行動は、できるだけ日本銀行がいわゆる口頭指導でお行儀を正すというよりは、できる限り市場の中で適切な行動を取らなければ、あるいは読みを誤ればペナルティーを受けるということが望ましいというふうに思います。ですから、本来ですと、資金繰りの予測を誤った金融機関は市場の中で非常に高い金利で最終的な帳じりを合わせるというふうなのが一番いいわけでございます。  しかし、そうはいいましても、私どもは政策金利を目標とする、今であれば〇・五%前後と、この金利を実現しなければいけませんので、両方の要請を満たしていくために、補完貸付制度といって市場の中で普通に取れる金利よりは少し高い金利を払わなきゃいけない。そういう意味では市場の中で罰則金利を払いながら帳じりを合わせる金融機関が時として出ると、こういう仕組みで運営しているわけであります。諸外国の中央銀行でも多かれ少なかれ似たような仕組みになっています。  今の補完貸付金利の水準が十分そういう両目的を達成するために適切な高さに設定されているかどうかというのは、今後また経済がより望ましい方向に行き市場の機能もより円滑に動くようになった場合に今の水準が適切かどうか、つまり目標としている政策金利に比べて補完貸付金利が幾らか高いわけですが、この高さが十分かどうか、もっと高い方がいいんじゃないかというふうなことはこれから更に検討していく課題として残っているというふうに思っています。

西田実仁公明党

○西田実仁君 よく分かりました。その辺の課題はあると思います。  次に、長期金利でございますけれども、教科書的に言えば、短期金利は中央銀行が政策的に管理をする、長期金利は市場の成長率とかあるいはインフレ予測とかあるいは中央銀行の政策に対する信認度によって形成されると、これは教科書に書いてある長期金利の形成システムだろうと思います。しかしながら、日本の現実はどうかといいますと、長期国債利回りは、ある意味で日銀のこの金融政策の姿勢によって、あたかも短期金利のごとく上下しているんではないかというふうに私は思っております。短期金利の方はしっかり日銀の管理下で安定して推移をしていることと対比されるわけであります。  具体的には、例えば昨年の四月から八月、今年の一月から二月を見ますと、日銀が短期金利の引上げに動くと、何となくそういう思惑が働きますと長期金利が素早く対応して上昇をすると。当面引上げの動きがなくなると、この三月、四月などがそうですけれども、極端に低位安定をしていくと。欧米の主要国を見ますと、中央銀行の政策意図に敏感に反応するのは短期金利あるいは短期国債、例えば二年物であり、長期金利は独自の動きをしているんではないかと思われます。こうした現象が起きる理由の一つとしては、長期国債がディーリングによってあたかも短期国債のように市場で取引されているということがあろうかと思います。  しかし、それ以上に重要で日本に特異な政策行動としては、やはり日銀による定期的かつ大量の国債買上げ、いわゆる長期国債の買いオペがあるんではないかと私は思っております。現在も毎月一兆二千億ですか。四回、一回当たり約三千億の長期国債買いオペを実行しておるわけですが、一見すると正常な金融政策の遂行に思えるわけですけれども、実は極めて異常な市場介入ではないかと私は思っております。年間に直しますと十四兆四千億ぐらい、フローで見ますと新規国債の年間発行額は三十兆弱ですから、半分近くをそれで占めている。  もちろん、日本銀行が直接これを受け入れているわけじゃなくて、大体発行が半年以上経過したものを買っているというのも事実であることは理解しておりますけれども、それでも国債の年間新規発行額の半分近くの国債が日銀買いオペの形で購入されていて、保有している金融機関からすれば満期前の償還になると。それだけの資金が自行に資金として還流されてくることを意味するわけです。その資金が新規国債の償還に充たっている、あるいは新規国債以外に発行される借換国債の引受資金の一部にもなっている。これは自明の理であろうと思います。  そこで御質問ですが、新規国債発行額の半分近くが日銀買いオペで資金供給されている国債市場は果たして正常に需給や価格機能で動いている市場と言えるのかどうか。先ほどお話ありました脱非常時を目指している、まあ私の言葉で言えば何でもありの金融政策からの脱却のプロセスに入っている現在もなぜ、かくも巨額の国債買いオペを行っているのかという質問にも代えられると思いますが、いかがでございましょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 委員から正しく御指摘いただきましたとおり、私ども、あるいは各国の中央銀行も、金融調節の基本原則はイールドカーブの左端、一番短いところに介入することによってそこを政策的に水準を決め、より長いところは基本的に市場の中で自然に金利形成をさせると、これが基本でございます。  それじゃ、そのすべての金融調節を超短期の金融資産の売買だけで行うことが円滑な金融調節になるかどうかという点にもう一つ技術的な問題がございまして、市場に供給すべき資金は非常に短い資金から銀行券の発行残高のように長期根雪となって残る資金需要まで様々ございます。ある程度長い資金、根雪となる資金については長い金融資産を買い取ることによって市場のベースをならした上で、その超短期のところに時にワサビを利かせ、時に甘味料を与えて政策的に目指す水準、金利水準を実現していく、これが通常のパターンでございます。したがいまして、より長い特に長期の債券、なかんずく長期の国債を買い入れる場合には相当な制約感を持ってやらなきゃいけないと、おっしゃるとおりでございます。ましてや、長期金利に影響を与えるとか財政の支援を行うというふうなことをいささかも目的にしてはならないということでございます。  今、日本銀行がやっておりますのは、確かにかなり多額の長期国債を買いオペレーションという形で買い続けておりますけれども、銀行券の発行残高がまだ非常に高い状況が続いているということが一つ大きな背景になっています。私どもは、あくまで当初申し上げましたような金融調節上の必要から長期国債を買い入れておりますが、やはり日本銀行の資産、負債の状況を踏まえながら、長期の資産が余りにも私どものバランスシートの資産サイドに偏り過ぎて将来の金融調節の弾力性を欠く、売りオペをしなければ調節ができないなんというような状況に絶対持っていってはならないとか、銀行券の発行残高をこれは上限としておりまして、それを上回る可能性を心配しなければいけないというふうな状況にならない範囲内でやっているということであります。  そして、長期金利に影響を与えないという意味では、実務の面でも、あらかじめ買入れ額を定めました上でほぼ定例的なタイミングで実施していると、市場にとって予測可能な状況でオペレーションをやっておりまして、長期金利に影響を与えないという姿でやっております。  政府の方の国債償還額も昨年度は非常に大きかったというふうなことがありまして、これだけ多額のオペをやっておりましても、日本銀行の長期国債保有残高はこのところ減少しております。日銀の資産サイドに占める長期国債の残高の比率というものは、例えば米国の中央銀行であります連邦準備制度、連邦準備制度の資産の中に占める長期国債の残高比率、それよりも低い水準にございまして、私ども、月々の買入れ額がかなり高い状況を続けているということは承知しながらも、異常な領域に入り込んでいるというふうには思っておりません。

西田実仁公明党

○西田実仁君 成長通貨の供給として実行してきたこの国債の買いオペが、従来からいろいろ変わってきている中で日銀券の見合いの資産をどうしていくのかということは、さらにいろいろ内部で検討なさっていると思われますけれども、今後もその成長通貨の供給をどうするのかということを是非とも鋭意御検討いただきたいと思います。  今総裁からお話ありましたこの日銀の長期国債保有残高ですけれども、年間、今申し上げたとおり、フローで十四兆円以上の長国を買い上げているのだから、例えば六年間でいえば、長期国債保有残高八十五兆円以上になる勘定なんですね。しかし、開示している二〇〇一年四月末以降の長期国債保有残高は、二〇〇一年四月末段階で四十五兆七千八百二億円だったのに対して、六年後の二〇〇七年三月末には四十九兆円強にすぎないわけですね。毎年十四兆近く以上の長国を買い上げているのにもかかわらず、急増するどころかほとんど増えていないというのが長期国債保有残高の推移であります。  なぜこうなっているのかというと、もう時間もないので私の方で理解していることを申し上げますと、国債の償還システムにそれはあるんだろうと思います。  日銀が保有する国債は、原則として全額が現金償還をされていると。これは、ホームページでもたしかそのように書いてあると思います。したがって、満期到来国債と国債買上げ額の差額しか保有長期国債は増加しないと。一部、借換国債の新規引受けも行っていますけれども、これは、借換国債は短期国債とするというそういうルールになっておるようでございますので、いずれにしても、長期国債の保有残高は減少すると。  私は、ここで申し上げたいのは、二つの事実から御質問したいんです。  一つは、巨額、私にとっては巨額と理解しておりますが、巨額の長期国債買いオペという事実、そしてもう一つ、保有している長期国債は現金償還されるという事実、この二つの事実から、それは見方を変えると、結果的には、長期国債利回りは日銀と財務省の共同管理状態にあるんではないかということを言われても仕方ない現状ではないか。まあそういうことは万が一にもあってはならないわけですけれども、しかし疑いを持たれることもまたそれは問題ではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでございましょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) おっしゃるとおり、多額の国債買いオペを新規で実行しながら、一方で償還が多くて残高が減っていると、こういう状況でございます。  これは、オペレーション、買いオペレーションをいたします場合に、長期の国債、十年国債をすべて買っているかといいますと、市場に出ております国債は十年国債であっても残存期間は十年近いものからもう非常に短いものまでずっと幅がございまして、実際にはその幅広い残存期間の国債のほとんどすべてに我々はオファーしていて、この買いオペに応ずる民間の側では、自分の方のポートフォリオの調整の必要も考慮しながら、いろんな残存期間の長さのものを日本銀行に売り希望を出してまいります。結果といたしまして、日本銀行が買い入れております国債の残存期間というのは意外に短いのでございます。  したがいまして、償還期到来金額というのは、買い入れている金額に比べますと意外に償還額が多いという結果になっていると、実際の買入れ期間は比較的短いということが事実になっているということでございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 私が今日銀に申し上げたかったことは、今のいろんな、間口が広くて実際に残存期間が短いがためにそういう形になっているというお話でありますけれども、長期金利の形成そのものをやはり市場にゆだねるというその市場構造の正常化ということをやらなければならない課題として今日本の市場にあるんじゃないかという問題意識であります。  最後に、いわゆる、日本語で訳すと前方監視型の金融政策というんでしょうか、フォワードルッキングと、英語が得意じゃないものですから意味が分からないので、前方監視型の金融政策とは一体どういうことかということの含みでお聞きしたいと思います。  その具体的な中身は先ほど来からお話があったとおりでございまして、それとの関連も含めて、議論の中にあるのは、いわゆる物価目標型の金融政策の成功事例として最近取り上げられていたイングランド銀行ですね、今は逆に大変厳しい批判の目にさらされております。物価目標型の金融政策そのものに対して非常に疑問符が投げ付けられている、突き付けられていると。  細かい話は飛ばしますけれども、低インフレは決して経済の安定には直結していないんだという事態が起きているということでありまして、その問題を先鋭化させているのが資産インフレの問題であろうというふうに思うわけでございます。日本において、過剰流動性が将来的に資産インフレに火をつける懸念がないのかどうか。  幸い今は円安と輸出の好調という他力によって危機的状況を脱しつつありますけれども、今現在海外で徘回している資金が逆流して国内に還流が起こってくれば、これはたちまちにして過剰流動性と円高、輸出の不振というような良くない循環になってしまう懸念もあろうかと思っております。  こうした資産インフレの懸念ということと過剰流動性の話、また物価目標型の金融政策がイギリスにおいて今大きな壁にぶち当たっているということも含めて、最後、総裁に御認識をお聞きしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 委員御指摘のとおり、私どもも、そして外国の中央銀行の多くも、いわゆる前方監視型とおっしゃいました、フォワードルッキング的な枠組みを設けながら金融政策の運営を行っている。それは、金融政策が経済や物価に最終的に影響を及ぼすまでにある程度の時間を要するために、将来好ましい経済の姿をつくろうと思えば、かなり手前のところで適切な政策運営を行う必要があるからでございます。  そうなりますと、先ほどからも議論出ておりますとおり、目先にインフレが迫ったから何かたたくというふうに見えやすい金融政策よりは、非常にある意味で分かりにくい金融政策をやるということになりますので、透明性確保のために中央銀行は最大限の努力をしなきゃいけない、あるいは様々な道具立てを使わなきゃいけないということでございます。  インフレーションターゲティングというものを採用している国は、やはりそうした考え方を基礎に置きながら、その国の実情に最も適する方法としてインフレーションターゲティングということをやっているということだと思いますし、日本銀行の場合には、現在置かれた状況、これから将来予見される日本の状況というふうなものを考えました場合に、インフレーションターゲティングというよりは、現在私どもの取っております中長期的な物価安定の理解と、そして二つの柱に基づく経済の点検と、これで十分御説明しながら金融政策の運営を行っていくのが目的達成上も、あるいは透明性確保の上でも望ましいという姿を取っているわけでございます。  委員御指摘のとおり、あるいは先ほどからの議論も出ておりますとおり、世界的にもそうなんですが、特に日本の状況におきましては、景気の拡大が続き、需給がタイトになってもなかなか伝統的な物価上昇という形に跳ね返りにくい状況がいましばらく続いている、これからもしばらくはそういう状況が続く可能性がありますけれども、逆に言えば、そういう状況の下においては、低い金利水準の下では、資産価格の取引、その他将来の経済の姿を好ましくする方向への取引でない方向へ資源配分が行われやすい可能性があるということは十分念頭に置かなければいけないということでございます。  したがいまして、我々はインフレーションターゲティングは取らない、しかし物価安定の理解ということで、緩やかな枠組みの中で、単に物価だけではなくて、資産価格の動き、為替相場の動き等も十分念頭に置きながら、目指すべきは安定的な成長軌道と、その基礎は物価安定がしいていると、これを目指しているということでございまして、方程式は多少複雑になっているんですけれども、ねらっているところは極めてクリアであり、その軌道からそれていないかどうかということを常時点検しながら、その状況についてはいつも御報告をし続けてまいりたいというふうに思っております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 終わります。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 大門でございます。  最後ですので、日銀さんを激励する質問をしたいと思っております。  東アジアにおける経済協力、通貨協力は積極的に進めるべきだという点で今までも質問してまいりました。この点でこの間進展がございましたので、お聞きしたいと思います。  まず、財務省の方に所管ですのでお聞きしますけれども、ASEANプラス3の財務大臣会議が今月の五日、京都で開催されましたけれども、ここで東アジアでの金融協力について新たな前進があったと思います。主な内容について簡潔に解説をしていただけますか。

篠原尚之財務省国際局長

○政府参考人(篠原尚之君) お答え申し上げます。  ただいま委員からお話ございましたように、今回のASEANプラス3の財務大臣会合におきまして、チェンマイ・イニシアチブ、それからアジア債券市場育成イニシアチブという東アジアにおける地域金融協力を推進していくという上で進展がございました。  チェンマイ・イニシアチブにつきましては、流動性の困難に直面した国に対して短期的な外貨資金の融通を行うこと等を目的とするものでございまして、現在ASEANの五か国、それから日中韓の八か国の間で合計八百億ドル相当の二国間通貨スワップ取決めを結んでいるところでございます。  今回の会合におきましては、その発動の迅速化あるいは円滑化を図るという観点から、マルチ化という言葉を使っておりますけれども、それに向けまして一本の契約の下で各国が運用を自ら行う形で外貨準備をプールするというふうな枠組みをつくるという方向で合意をしたところでございまして、今後その実現に向けて更に検討を進めていこうということになっております。  それからもう一つのアジア債券市場育成イニシアチブでございますけれども、御承知のように、これはアジアの豊富な貯蓄をアジア域内での有効な投資に結び付けていこうというものでございます。今回の会合におきましては、このイニシアチブを更に強化するために三つの新たな取組を開始しようということにしております。  これは、具体的にはインフラ整備資金の調達に資するような新たな債券を開発しようと、あるいは貸付債権等の証券化の一層の促進をしようと、あるいは中期債を簡素な手続で金利等の条件を変えて発行できる仕組み、これはミディアムタームノートプログラムと言っておりますけれども、こういったものの利用の促進を図ろうということでございます。  今申し上げましたように、アジア通貨危機からちょうど十年という節目の年に開催されました今回の会合で、こうした進展ができたということは大変に有意義なものであったというふうに考えておる次第でございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 初めてお聞きになる方はちょっと分かりにくいと思いますけれども、要するにチェンマイ・イニシアチブというのは、九七年のアジア通貨危機を教訓に、ヘッジファンドがその国の通貨を売り浴びせしたときにそれを買い支えなきゃいけないと、そうすると外貨が、ドルが必要になると、そのドルをほかの国で、通貨スワップで融通してあげようという仕組みでございますね。  このチェンマイ・イニシアチブにおける日本銀行の役割というものについてどういうふうになっているか教えてもらえますか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 委員御指摘のとおり、アジアと日本との間で非常に優れた機能を持った金融の仕組みをともにつくっていくこと、非常に大事でございます。  日本銀行は、チェンマイ・イニシアチブに関連する各種作業部会におきましても、正式メンバーとして財務省とともに積極的にこれに参画しています。財務省との役割分担につきましては、簡潔に申し上げれば、ドルを供給する主体としての財務省、円を供給する主体としての日本銀行というふうに役割分担をしています。それぞれ相手国との間で通貨スワップ取決めを締結するという実務上の役割分担はそういう形で行われていると御理解いただきたいと思います。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 福井総裁の個人的なお考えでも結構なんです、見解で結構なんですけれども、このチェンマイ・イニシアチブが、九七年のアジア通貨危機のときは宮澤構想と言われるAMFというのがございました。ああいう危機が起きたときに日本が積極的に対応しようということで構想は出されたわけですけれども、アメリカ、IMFが難色を示すとか、中国も余り日本にイニシアチブ取られたくないという思惑があったのか、とにかくその構想はつぶれてしまいましたが。  今回のこのCMI、チェンマイ・イニシアチブが、外貨をみんなでプールしていざというとき助けてあげようということでございますが、もちろん通貨危機のときに限った介入資金の融通という限定はありますけれども、私、あの宮澤さんのAMF、アジア通貨基金構想は非常にいいものじゃなかったかと思っておるんですけれども、今回のものがそういう方向につながっていけばいいなと私は思っているんですが、もちろんまだ限定的なものですけれども、そういう見通しとかそういうことへの期待とか、そういうものは、総裁、いかがお考えですか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) チェンマイ・イニシアチブというのは、ですからスワップ協定を各国相互間で結ぶという一番地味な姿からスタートして、それ以外にも様々な国際金融協力が展開し、更なるステップを迎えようというふうに、地道な努力の積み重ねが花を開きつつあるというふうに思います。  今回の新しいチェンマイ・イニシアチブ、まあ一種のプール化しながらマルチラテラルにそういう有効なネットワークをつくろうという段階に一歩進んだということがそれを象徴的に示しているというふうに思っています。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 じゃ、もう一つのスキームのアジア債券市場の育成の方の話ですが、余り中身に入ると小難しいところありますので、まず、これは要するに、これも通貨危機の教訓もあると思うんですけれども、アジアの国が外国からドルを借りている状態ですと、その国の通貨が急落したら返済するときに大変なことになるということで、できるだけ自国の通貨で債券を発行してそれで借金をしてもらうというふうな、簡単に言えばそういう仕組みでございますけれども、そういうマーケットを育成していこうという流れですけれども、このアジア債券市場の育成において日本銀行はどういうふうな役割を果たしておられるか、教えてもらえますか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 今委員が御指摘なさいましたとおり、アジアはたくさん貯蓄を持っています。貯蓄を持っているのに、必要なお金は外から外貨建てで、しかも短期の資金で借りていると。これは逃げ足の速い金ですから、何かありますとさっと逃げていくと。自分でせっかく貯蓄があるのに、なぜそんな形になっているんだというのが考え方の出発点でございます。  やはり、自分の貯蓄を自国通貨建てで、より長い形で再還流させて有効に使っていけば安定的にアジア経済の発展に資するではないかということにつながるわけでありまして、そういう意味でアジア各国において債券市場を健全に育てていこうと、様々なきっかけをそこに与えたいということで、日本銀行は、いわゆるABFプロジェクトと言っておりまして、これはアジア・ボンド・ファンド・プロジェクト、こういう仕組みについてイニシアチブを取りまして、今アジア債券市場の育成に取り組んでいるところでございます。  ABFプロジェクトと申しますと、アジア・オセアニア地域の十一の中央銀行がアジアの国債等に共同投資を行うプロジェクトでございます。日本銀行の提唱によりまして発足した東アジア・オセアニア中央銀行役員会議、これEMEAPと呼んでいますが、がその推進母体となっております。  日本銀行は、ABFプロジェクトについて、アジア金融協力の一環としてその構想段階から資金拠出に至る段階まで作業部会の主要メンバーとして深く関与してまいりました。プロジェクト推進のため、一部のメンバー国に対しては所要の技術支援も行ってきた経緯がございます。こうした地道な努力を今後とも、これは有効に作動してきておりますので更に進めていきたいと、こういうふうに思っています。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 もう少しゆっくり説明していただいても結構でございますけれども。  そうしたら私の方からもう少し中身でお聞きしますと、日本銀行が持っている外貨で、日銀が持っている外貨でこのアジアの国の国債を買うということも呼び込み効果としてされているようですが、どういう仕組みでそれがこの呼び込み効果になるか、説明をしてもらえますか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 中央銀行が外貨を拠出をしてファンドをつくり、それで最初は外貨建ての資産に投資をするという形で債券市場の糸口をつくったわけですけれども、第二段階としては、各国通貨建ての債券に投資をすると、今そこまで進んできております。  つまり、自国通貨建ての債券に対して投資が行われる、これが呼び水となって広く投資家がより広く集まるようになってくれば自然と普通の債券市場が発達すると、そこにつなげていくという今その途上になってきているというふうに思います。国際決済銀行、BISも後ろからこのプロジェクトを支援してくれていると、こんなふうな状況でございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 このアジア債券市場育成、大変大事なことだというふうに思っております。  これ、もう一つはアジアの、先ほど言われましたが、貯蓄をアジアの中に生かすといいますか、そういう発想があるわけですけれども、ただ債券市場、マーケットが育成されていくと、別にその国のアジアの人しか債券買えないわけではないと。そうすると、当然今の段階で考えますと、今もう既に外資が入っておりますけれども、外資が、自国通貨建てとはいえ外資がそれを買うということも広がるということも考えられます。  そういう点でいくと、必ずしもアジアの貯蓄がアジアの債券に回るとは限らないという部分もあると思うんですけれども、この辺は外資がすべて短期マネーで悪いことしているとは言いませんが、若干心配されるところですが、その辺はいかがお考えですか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) アジア各国も今や国境を閉鎖した姿で国内的に貯蓄を回すことだけで経済の発展を図るという段階が過ぎまして、やはりそれぞれの経済が門戸を開いてグローバル化した中で経済の発展を図っていると。そういう意味では資金的にも国境を越えて円滑な金利裁定が行われ、資金の出入りという形で有効な資源の再配分機能が進められていくという形であれば、アジア諸国の経済の発展もグローバルな分業体制を自国に有利な形で進めていくことができるというふうになると思います。  おっしゃるとおり、内外資金が入っております場合には、経済の運営がまずければ、つまり傷口を見せればやはり外から入った金は外に出ていきやすい、市場が混乱しやすい。その混乱は自国の経済に悪い影響、跳ね返しをもたらすリスクであるということは確かでありますけれども、それなるがゆえに、各国の経済政策、なかんずく金融政策が先行きどういう波乱を呼ぶ可能性があるかということも十分考慮に入れながら健全に行われていかなければならないと。そういうプレッシャーがマーケットの方から感じられるようになるわけですので、金融政策よろしきを得る上にもその債券市場は開放された形で発展する方が望ましいと、こういうふうに思っています。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 是非頑張っていただきたいというふうに思います。終わります。

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。  株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

家西悟民主党・新緑風会

○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会

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