予算委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 139 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2007/02/21
会議録
○金子委員長 これより会議を開きます。 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算、平成十九年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。 この際、公述人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございました。平成十九年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。 御意見を賜る順序といたしましては、まず島田公述人、次に逢見公述人、次に湯元公述人、次に芝公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、島田公述人にお願いいたします。
○島田公述人 島田でございます。公述をさせていただきます。 二〇〇七年度予算は、八十二・九兆ということで案がつくられておりますが、これは今年度、大変景気が向上いたしまして、七・六兆円の税の増収があったわけですね。その増収はありましたけれども、歳出は今年度に比べて〇・六兆増ということで、一口で言えば財政再建型の予算ということが言えると思います。大変手がたいお仕事をなさったというふうに思います。 そのおかげで、二〇一一年度の黒字化目標、いろいろなシミュレーションがありますけれども、楽観ケースでは、増税なしでも実現できるのではないかということも視野に入ってきたということで、健全な予算設定だと思います。 それから、安倍政権は幾つか特徴的な政策を打ち出しておられますが、教育、これは学力調査とか学校評価、わずかですけれどもつけておられる。また、再チャレンジ、子育て支援といったところでめり張りをつけておられますが、額は小さいんですけれども、それぞれやっておられるということだと思います。 社会保障については、自然増六千億円ということはそのまま認めておられますけれども、ただ、雇用保険の国庫負担分の削減というのを思い切ってなさったので緊縮予算ですね。中小企業対策、科学技術、情報化、控え目な額でもって質を高めようということで、一口で言えば、大変手がたい財政再建型の予算ではないかというふうに思います。 ただ、きょう、私はせっかくの時間をいただきましたので、これからの日本経済の長期の展望をいたしました場合に、非常に大きな課題が我々の眼前にある。それは何かというと、人口が減っていく、高齢化していく、経済社会は成熟化していく、そういう中で、新しい活力、繁栄の手がかりをどうつかむかということですね。このままでは労働力が非常に不足していって高コスト経済になってしまう、そういうおそれが強いわけですね。 私は、今こそ労働の側面に大いに注力すべきだというふうに思います。上げ潮戦略ということを言っておられますし、成長力の底上げということを強調されておられるのは大変適切だと思いますが、この成長力を底上げする基盤というのは何をおいても人材資源でございますから、そこらについて一言申し上げたいと思います。 キーワードは、労働の質を高めることも重要なんですが、それより雇用の質を高めるということがはるかに重要だ、私は、これは先生方にぜひ念頭に置いていただきたいと思うんですね。つまり、同じ労働者でも、雇用の質、つまり資本設備とか働き方とか市場環境とかが整いますと、何割も生産性を高めることができる。わかりやすく言えば、自転車で通勤しなさいというのに対して、車を一台与えるから頑張りなさいと言ったら、全然生産性が上がるわけですね。ですから、むしろ、労働の質そのものも大切だけれども、もっと大切なのは雇用の質だ。同じ労働者がもっと生産性を上げて、もっと楽しく暮らせるという工夫があるので、その点について申し上げたいと思います。 これのキーワードになるのは生産性なんですね。生産性ということで考えますと、日本の経済構造は三重構造になっていると思います。一つは、大変頑張っている国際級の企業ですね、トヨタとかソニーとかありますが、これはスポーツでいえば金メダルがとれるような企業ですね。それから、ほとんどの物づくり、製造業というのは頑張っていて、そこそこ国際級なんですね。ところが、大変恐縮なんですけれども、それ以外の第三次産業とか第一次産業の大部分は、まことに恐縮なんですが、物すごく生産性が低いんですね。この部分の生産性を上げる、雇用の質を高めることによって生産性を上げるということで、日本経済の高齢成熟化・人口縮小社会に十分対応していけるということをきょうは申し上げたいと思います。 ちょっと御参考のために数字を申し上げますが、日本では、全就業者が約六千四百万人おられるわけですが、サービス業が二千百七十万人、卸売、小売が千八十万人、建設、建築が五百五十九万人、農林水産が三百三十四万人で、合わせると四千百万人ぐらい、この部分の大部分が大変生産性が低いんですね。なぜ生産性が低いかというと、原因は構造的な要因です。幾つか申し上げますが、これらの業界では、業界の競争体質が極めて弱い、非競争体質ですね。情報が不透明だ、それから政府の保護があちこちに入っている、そして効率経営が不在だということです。 例えば建築、建設の分野なんかをとりますと、実は大変生産性が低くて、欧米諸国に比べると、同じような家でも値段が随分高いんですね。資材価格というのは一、二割しかございませんので、ソフトのところが非常に生産性が低いということです。その結果何が起きているかというと、価格がばらばらなんですね。 例えば、リフォームをするときに、幾つかの業者に相みつをとってみたらすぐわかりますけれども、百万円でいいというのと三百万円でいいというのがばらばらに分布します。何でこんなことがまかり通るのかというと、情報開示が不十分で、競争が不十分なために、三百万の業者が平気で生存するということなんですね。競争が行き渡ってきますと、全部百万円のところへ収れんします。ということは、生産性が上がる、そして勤労者の所得が上がる可能性が出てくるわけで、そういうことが必要なんですね。これは、農業でも医療などのようなサービス業でも、同じようなことが見られます。 ですから、そうしたら、どういうことをすればいいのかというと、規制の改革ですけれども、規制は競争を促進すると同時に、ただ、競争を促進するといろいろなことが起きてくるわけですね。ですから、厳正な評価、厳正な監査というのは同時にやらなきゃいけない、とかくそこが手抜きになるものですから、規制改革の効果が生きないんですけれども。 建設の談合禁止は当たり前のことですけれども、建築でコンストラクションマネジメントというような業種が日本にはないんですけれども、そういうこともしなきゃいけませんし、流通でいうと、卸売が多段階過ぎる、小売がいかにも生産性が低過ぎる、零細企業が多過ぎる、それから情報化、Eコマース、ああいうものをもっと徹底する必要がある。農業でいいますと、土地の集約化、流動化、土地利用の改革。例えば、何十年前に線引きした市街化調整区域に手が入らないなんということが今でもあるわけですね。 それから、農業は本来は知識集約型産業なので、効率化と技術革新をもっと進めていけば輸出農業も可能になる、こういうことでございます。大いにそのあたりを政策的に取り組んでいってもらいたいと思うんですね。それから、株式会社のような企業の参入、あるいは人材のもっと徹底的な教育ということでやっていく必要がある。 サービス業は、雑多な、いろいろな業種がありますけれども、大きい分野でいうと医療が非常に大きな分野だと思うんですね。これは、三時間待って三分医療とか、全国の一万の病院の大部分が破綻に近いとか、ユーザーもお医者様も政府もみんな困っているわけですね。 何がいけないかというと、これは仕組みが悪いんです。基本的に言うと、幾つかありますけれども、一番大きいのがやはり診療報酬だと思いますね。診療報酬が出来高払いになっているということが生産性を低くしている大きな理由で、ベッド数が多いのもその理由ですね。本当は包括標準日払いのようなものを入れなければいけないんですが、このためには、医療の膨大なデータベースを分析するという基本的なインフラが必要ですね。しかも、的確な評価をするというようなインフラがないとできませんが、そういうことをすれば、相当効率的で質の高い医療というのが可能になる。あるいは、レセプトの電子化、総合デジタル化、これはなかなか雇用問題も絡んで難しいんですけれども、こういうことを断行すればさま変わりになる。 医療の経営も大変問題があって、一万ぐらいある病院の八割ぐらいが破綻に近いんですけれども、実はそのうちの七割が公立病院なんですね。ですから、この辺は病院管理が徹底していない。いろいろなことがあります。一つの例を申し上げましたけれども、サービス業はこういうことが多いわけですね。 医療というのは、本来は成長産業なんですね。日本はほとんどが公的でカバーされておりますけれども、実は、民間部門を大きくすることによって、高齢社会のいいサービスをすることによって経済が成長する、そういうことができる。そのためには、自由診療、混合診療を大いに認めていくというようなことが必要ですし、先端医療あるいは健康づくり医療というようなことがございまして、実は、我々の目前に高齢成熟社会を控えて、やるべきことは非常にあるわけですね。ぜひ、この予算をキックオフにして、本格的に突っ込んでいただきたいな。 予算の額じゃないんですね。今私が申し上げているような物の考え方、要するに、同じ人々でも生産性が上げられるんだ、そのためには仕組みをよくするんだ、徹底的な改革をして、監査もし、情報開示もさせる、こういう取り組みをしていただきたいと思います。 それから二番目のポイントですけれども、格差縮小と再チャレンジ支援ということなんです。 格差論がいろいろ言われておりますけれども、基本的には、これはもう古今東西あらゆるデータを私も専門ですからずっと見ているんですけれども、成長期には格差が縮小します、不況期、停滞期には格差が拡大します。つまり、成長期には底上げが起きていく、停滞すると底が下がりますので格差が広がる。これは、短期でも長期でも法則と言っていいと思います。 小泉改革が格差を拡大したというのは、全くこれは逆のことなんですね。小泉改革は成長のために徹底的な構造改革をして成長路線に乗せたというのは何人も否定できないことだと思いますが、それが格差を縮める最大の戦略なんですね。ですから、小泉改革が格差を拡大したというのは的外れの批判でございます。 中長期的な傾向値でいいますと、長期的な格差拡大の背景というのは、実は高齢化なんですね。高齢者というのは、長い人生の間、格差が自分の世代内で広がりますから、そういう方々がふえていくということが格差を拡大させる。短期的に実は今、格差が拡大、ジニ係数その他で見られるんですけれども、これはある種のラグ効果だと思います。バブル崩壊後の経済低迷の効果が遅行指標で残っているものですから、今、短期的に格差が拡大するということは部分的にあります。 ということで、改革と成長こそが格差を縮める王道だということはぜひ念頭に置いていただきたいと思うんですが、ただ、そうはいいながらも、経済機会に恵まれないでこぼれていく人がいらっしゃるんですね。ここは我々、徹底的に支援する、あるいは救済するということだと思います。一般的な格差論ではないんですね、本当に恵まれない方々がいらっしゃいますから。 ところが、先生方にぜひこれはお願いしたいんですけれども、経済機会に恵まれないというのは、雇用機会に恵まれない、教育訓練機会に恵まれない、そういう方々がどこに、どれだけ、どういう形で分布しているかというのを掌握していないんですね、この国は。私も一生懸命やりましたけれども、ぜひ先生方にお願いしたいのは、例えば、今失業者は二百四十四万人いるということが労働力調査で出ているわけですけれども、雇用保険事業統計で、職業安定所が雇用保険を出している人、受給者は六十一万人しかいないんですね。あとの百八十万人はどうなっているんですか。金の切れ目が縁の切れ目で、業務統計で押さえられていない人はどこへ行っているかわからないんですよ。ですから、この中にフリーターがいたりニートがいたりというようですけれども、実はわかっていません。 私は、これは専門ですから徹底的にやったんだけれども、ではどうすればできるかというと、具体的には、例えば労働力調査に雇用保険に関する項目が入っておりません。ですから、今もらっているんですか、先月までもらっていたんですか、最初からもらっていないんですかというような質問とか、今どういう所得をもらっているんですかというような質問、だれから仕送りを受けているんですかというような質問を入れておけば、これはつながる。そんなこともしないで、余り言いませんけれども、何が再チャレンジかということなんですよ。基本的に、実態をしっかり掌握してから政策を立てていただきたいと思う。 つい最近も、その実態掌握のことはやらないとどなたかおっしゃったというのが新聞記事に出ていて仰天したんですけれども、やはり問題だと思います。短期でやらなければならないことはあるんです。しかし、中長期で腰を据えてしっかり横綱相撲をとらなきゃいかぬ。そうしなければ、先進国の中でこれはみっともない姿ですね。 それから、フリーターと俗に言っていますけれども、内閣府が数年前に四百十七万いる、厚生労働省は、いや、そうじゃないんだ、二百一万なんだと。何を言っているんですか。国民はわからないですよ、こんなこと言われたら。それから、ニートが内閣府は八十五万という、厚生労働省は六十四万、それは家事手伝いの女の人を入れなかったからと。これは多少理由がありますけれども、こういうことはもっとしっかり、何がニートで何がフリーターなのか。 それから、生活保護ですけれども、今百四十七万人おられるんですが、これは働くと生活保護給付が削減されますから、それでは全くインセンティブにならない。一体どういう人が何を望んでいて、どんな生活をしたいのか、そういう特別調査、緊急調査を幾つかやりつつ、再チャレンジに挑んでいただきたいと思います。 それから、フリーターがふえているから正規雇用を義務化した方がいいというような議論もあれこれ聞かれるんですけれども、私は、はっきり申し上げますが、これは逆効果になると思います。 なぜかというと、そもそも、表面単価は派遣や請負は高いんですよ。しかし、トータルコストの企業負担は正規雇用の方が高いんですね。国際競争の中でやむにやまれず雇用の多様化を図ってきているわけです。また、短時間就労の方がいいという人も若干はいらっしゃいますけれども、そういう状況があるのはいいとは言いませんけれども、そこで例えば正規雇用を義務化するというようなことをしますと、雇用が海外に逃げますね。元も子もなくなる。ですから、これは大いに研究する必要があって、答えは、雇用を多様化するということの中から、人々の実力相応の給料を払うという仕掛けをつくっていかなければいかぬと思います。 それから、最後に一つ申し上げたいのは、人口が極端に減ってまいります。今一億二千八百万ほど人口がありますけれども、四十三年後、つまり二〇五〇年、働く人の一世代ですよね、一世代のうちに、昨年の人口推計ですと、中位推計で九千五百万人、下位推計で八千九百万人になるというのが発表されていますね。今まで二十五年間、中位推計というのは当たったためしがないので、下位推計の方へ近づくのかなという嫌な予感がいたしますけれども、そうしますと、三千三百万人から三千八百万人の人口がこの日本列島から消えるわけですね、一世代内で。どこで消えるかというと、東京とか横浜とか滋賀や沖縄は消えないと言われていますが、ほかは激減するわけです。 そうすると、地方は機能不全に陥るんですね。地方というのは人材と食料の供給源ですから、地方が疲弊すれば大都会も成り立たないわけでございまして、人口そのものが減っていくことは構わないんですけれども、いい分布で、健全な分布で減っていくということをしなければいけない。 ところが、日本は共産主義国じゃありませんから、それをどう図るかというと、人々が本当は実現したいことがあるんですね。それは、高齢成熟社会ですから、皆さん健康な生活をしたい。健康の最大の条件は何かというと、きれいな空気ときれいな水とストレスがないということです。ということは、地方にその条件が十分あるんですね。大都会には余りないんですね。ただ、それだけじゃ人は来ません。ですから、観光とか生活産業サービスとか、きめの細かいサービスをしていただくということで人を集めることができるんですね。 実は、新聞記事を一つ書きましたが、きょう先生方のお手元に新聞記事を届けてございますけれども、「地方の活路 熟年移住に」、二枚目ですけれども、これは全国でいろいろな自治体が頑張っています、人を誘致しようとして。ただ、ばらばらにやっているので国民的な流れになっていないということで、最後に一つ申し上げたいのは、ばらばらにやらないで、大きな流れにするような工夫を官民こぞってやる必要があるんじゃないかというふうに思います。 例えば、官でいいますと、国土交通省は二地域居住と言っていますし、農林水産省はグリーンツーリズム、就農支援、経産省は集客交流、総務省も調査に入りました。ばらばらにやっているんですけれども、そういうことですよというのを各県の県庁や自治体が受けとめるとどういうことになるかというと、余りにばらばらに来て、何をやっているかわからないんですね。非常に対応に困っています。 ですから、これはやはり官邸の役割だと思うんですね。官邸が、そういう時代になったんだと。戦後数十年間、東京に行こう、東京に行こうといって人が集まって、経済発展して、そしてアメリカに輸出をして、その上がりをもらって、それを全国各地に交付金でまいて発展するというのが戦後の発展モデルです。その時代が終わって、世界の工場は中国になりつつある、日本には高付加価値の物づくりが残る。しかし、人々は働いたので相当の貯蓄を持っているけれども、高齢化していて健康が非常に心配だというときに、地方に行くとすばらしい健康のできる環境がありますよ、建物はもう四分の一、五分の一、生活費も半額ぐらいでできますよ、老後の生活のめどが立ちますよというような情報がまだ伝わっていない。 これを伝えるのは企業だと私は思うんですね。つまり、戦後ずっと人々が都会に集中したのは、企業が人が欲しくて、金のわらじを履いて全国各地へ、集まって東京へ行けばいいんだよと言ったので、人々が集まってきたわけですね。今はそうではなくて、みんな働いて多少お疲れになっているわけですから、地方に行くとこんないいチャンスがありますよというのを企業がどんどん言う。そうすると人が動きます。動けば企業は必ずもうかります、旅行社も交通も自動車も何もかも。 ですから、企業、社会が寄ってたかってそういう動きをする、ネットをつくる、情報を流す。それを官邸が中心になって、これが次の時代の戦略なんですよというふうにしていただきますと、人々が健康を求めて人口配分が健全になりますから、日本はいい循環に動くようになるんですね。 そういうことでございまして、私が今申し上げているのは、ほとんど予算のかからない話ばかりです。私は、予算さえつければ仕事は終わるという考え方は余り賛成じゃなくて、予算をつけて仕事が終わるという考え方は麻薬ですよね。補助金は毒薬だと思っていますので、そういうことをしない。 物の考え方を政府はしっかり言って、民の動きを支援する。しかし、しっかりと情報の開示、監督管理はするということで、日本を健全な国にしてもらいたい。今、そういうところへ一歩確実に踏み出すときが来ている。 まず人材を大切にする。人に、ただただ働けとか訓練しろとか言うことじゃなくて、雇用の質を高める時代に入ったんだというふうに思います。 どうもありがとうございました。(拍手)
○金子委員長 ありがとうございました。 次に、逢見公述人にお願いいたします。
○逢見公述人 おはようございます。連合で副事務局長を務めております逢見です。 本日は、働く者の立場から、実感なき景気回復の中で拡大している格差をめぐる認識、考え方について発言をいたします。お手元に資料を用意しておりますので、逐次参考にしながら発言をしてまいりたいと思います。 特に、格差の中で、家計部門に対する相応の成果配分がなされていないといった分配構造のゆがみや、働き方のルールが改悪される、あるいは安心と安全を担保するはずの社会保障が切り崩されているといったことで、生活不安が高まっているのではないかということを考えておりまして、今後、日本が不安と不信の社会となっていくことを大変懸念しております。こうした社会に陥らないためにとるべき政策の視点についても述べさせていただきますので、予算委員会における審議においてぜひとも反映していただきますよう、お願い申し上げる次第でございます。 まず、実感なき景気回復と拡大する格差の問題であります。 日本経済はイザナギ景気を超える長期回復局面にありますが、私ども働く者にとってはその実感はありません。従来の景気回復過程では、大企業の収益改善が中小企業そして家計に波及しておりましたけれども、資料の一ページにございますように、今回はそのような過程をたどっておりません。分配構造にもひずみが生じており、株主配当や役員報酬が大幅に伸びたのに対し、勤労者の賃金はいまだ十年前の水準と変わっておりません。 また、勤労者所得の中でも、正規雇用とパート、派遣などの雇用形態の違いによる格差が拡大していることはだれもが認識されていることと思いますし、また、地域間の景気回復度合いのばらつきも生じております。地域間、産業間、企業規模間、雇用形態間で二極化や格差拡大が顕著になっているというのも、明らかだと思います。 こうした行き過ぎた配分のゆがみは政策で是正すべきというふうに考えますが、現状の政策はむしろ配分のゆがみを助長しているように思えます。 例えば、今回の予算編成において、法人については減価償却制度の改正等による減税、株主に対しては証券優遇税制の延長を行う一方で、個人については定率減税の全廃が行われております。所得税については、過去に最高税率が引き下げられ、累進性が弱まっていることもあり、資料二ページにございますように、税制による所得再分配機能が抑えられております。さらに、私ども働く者にとっては、毎年の社会保険料の引き上げ、医療費などの自己負担の増加による負担増が現在も続いております。 一方で、給付面に目を転じてみますと、生活保護については老齢加算に続いて母子加算が削減されますし、雇用に対する国の責任を示す雇用保険の国庫負担についても一定割合の引き下げが行われます。また、昨今の医療改革の一環として、保険で受けられるリハビリ医療に上限日数が設けられ、生きるためのリハビリすら切り捨てられたという指摘もなされております。このような予算編成が果たして格差是正に効果があるのかどうか、大変心配するところであります。 私は、昨年のこの場におきましても格差が拡大しているということを申し上げました。当時の政府の認識は、格差は見せかけのものという認識だったかと思います。現在、格差拡大が問題であるということは国民的にも認識されたと思います。また、安倍総理もこの予算委員会で、格差から逃げているわけではないと発言されたと聞いておりますし、政府は成長力底上げ戦略を打ち出して格差問題を取り上げていることからも、格差拡大については一応の認識を示されていると理解しております。 しかしながら、こうした政府からの発信があったとしても、それがどれだけ平成十九年度予算に反映しているのか、私どもの目から見れば、はっきりしたものにはなっていないように思います。 富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透するという経済理論をトリクルダウン理論というそうです。上げ潮戦略によって景気拡大を促すということを否定するものではありませんが、先ほど申し上げたとおり、配分構造にゆがみがある中で、このトリクルダウンが起こることをただ待つだけでは、政策としては不十分ではないかと思います。 景気が底を打って回復基調に転じて以降、例えて言いますと、タンクに水はたまっておりますが、働く者への蛇口が開いていない、開いているのは企業や株主への蛇口だけという状況ではないかと思います。働く者にとっては、いつ蛇口があくのか待ちくたびれているというのが素直な実感ではないかと思います。 次に、働き方について申し上げます。 有効求人倍率が一倍を超えるなど、雇用失業情勢は全体として改善したと指摘されています。しかし、その雇用増の多くは、パートや派遣、請負など非正規雇用であります。非正規雇用は、雇用労働者全体の二割から三割超へと、この十年間で大きく増加しました。また、失業者の三割が長期失業者であるということも忘れてはなりません。 こうした中で、私ども、いろいろな労働相談を受けておりますけれども、社会保険に入れてもらえない、安全衛生に関する教育をしてもらっていない、派遣で仕事をしているけれども将来が見えない、賃金は最低賃金の水準に張りついたままで、働いても働いても生活が楽にならないという声が寄せられています。また、雇用保険の給付が切れても再就職先が見つからないという失業者にとって、生活保護の給付対象になるまで何の所得保障もないという現実もあります。これらの非正規を中心とした雇用の問題を解決することが今求められていると思います。 経営者がパートや派遣、契約労働者を雇用する最大の理由は、いわゆる正社員より人件費が安く、雇用調整が容易だと考えているからであります。資料の三ページをごらんいただきますと明らかなように、人件費の格差が歴然としております。正社員比率を引き下げた企業の八割が人件費総額を削減できたとしている調査結果もあります。 正社員を解雇した後に、パートや派遣、契約労働者を雇用したり、あなたの半分の人件費で雇用できる労働者がいる、いつでも取りかえがきくという理由で雇用の不安定化や労働条件の引き下げを強要されるという、雇用形態の格差を逆手にとった、そしてそれを企業利益の源泉にする、そういう経営者もおりまして、こうした労働相談もふえております。 資料の四ページのところに、個別労働紛争の増加の状況、そして、その中の個別労働紛争の内訳を記載しておりますが、解雇、労働条件の引き下げといった紛争が極めて多いということが、この中でも見てとれます。さらには、人件費削減のために法を犯す偽装請負の問題も明るみになっております。 私たちは、格差をゼロにすべきだとか、あるいは格差が一切あってはならないということを言っているわけではありません。所得格差が拡大し、著しいものになっていったときに、その格差が固定化してしまったら、果たしてそういう社会は、安心して暮らせる、あるいは安心して働ける社会なのかということを心配しているわけであります。残念ながら、貧困層が相当の数になっているということはさまざまなデータによって明らかであり、そういう兆候は既にあらわれていると思います。 資料の五ページ目をごらんいただきたいと思います。年収二百万円以下の世帯が増加しています。二〇〇四年は一八・七%、一九九八年と比較して四・五%ふえております。また、ストック面で見ても、貯蓄のない世帯も増加しております。十年前に一〇%であった貯蓄なし世帯は、二〇〇六年には二二・九%と倍増し、四世帯に一世帯が貯蓄のない世帯となっています。 資料六、七ページをごらんいただきたいと思います。生活保護世帯は二〇〇六年度には百七万世帯となり、十年前の九六年度と比較して七割もふえております。また、自治体から援助を受ける児童生徒が百三十八万人、ここ五年間で四割も増加しております。 このほか、国民健康保険料の長期滞納のために保険証が使用できないいわゆる無保険者も、四年間で三倍の三十万世帯になっているなど、深刻な実態を挙げれば切りがありません。 資料の八ページをごらんください。現在、ワーキングプアと言われているような貧困層も含め、非正規労働者が全労働者の三分の一まで増大しています。これら労働者や地域の零細事業者などは、極めて低い所得に加えて、厚生年金や健康保険にも加入できず、国民年金や国民健康保険の保険料も負担できない層が増大しています。まさに、非正規労働、低所得ゆえに、我が国のセーフティーネットの中核をなす社会保険制度から排除されてしまっています。その中にはフリーター、ニートや長期失業者、障害者、母子世帯、高齢の単身者なども含まれます。 これら低所得、貧困層に対し、福祉の最後のとりでと言われている生活保護制度は、稼働年齢や親族からの支援など厳しい受給要件になっておりまして、本来の機能を果たしておりません。極めて残念ながら、今や刑務所が福祉の最後のとりで化しているとの指摘もあります。受刑者の中には高齢者、慢性疾患者、外国人等も多くいることから、現実はそのとおりだと思います。まさに、雇用ネット、社会保険ネット、公的扶助ネットによる社会的セーフティーネットが機能不全に陥っていると言わざるを得ません。 こうした中で、この間、社会保障分野ではたび重なる給付削減と負担増が繰り返されてきました。二〇〇三年の健保法改正による窓口の三割負担、二〇〇四年の年金改正における年金水準の大幅な引き下げと毎年の保険料アップ、二〇〇五年の介護保険法改正や障害者自立支援法の制定による高齢者、障害者の自己負担増、そして、昨年二〇〇六年の医療制度改正における高齢者の自己負担増などが繰り返されております。 さらに、所得税の定率減税の廃止や年金課税の強化が加わり、低所得の勤労国民、高齢者、障害者は極めて重い負担を強いられています。その結果、障害福祉サービスの利用抑制、医療の受診抑制によって、かえって症状が重度化してしまう人が出てきているという指摘もあります。 以上のような例からも、既に社会的な不安は高まっており、格差拡大に歯どめをかけ、貧困対策となる有効な政策を打ち出すことができなければ、やがては社会の質の劣化、システムの崩壊という事態を招来することになります。 私たちは市場経済を通じてさまざまな恩恵を受けております。したがって、競争そのものを否定するわけではありません。しかし、競争によって生じる格差が固定化し、次世代までそれが引き継がれること、そして、格差が社会的に許容できる範囲を超えて二極化し、貧困層が普通の生活すらできない水準になってしまうようでは、これは公正な社会とは言えませんし、安心、安全な社会とも言えません。市場競争に対応するルールの確立と社会的セーフティーネットの形成が必要となります。 格差是正のためには、まず、機会の平等が保障されなければならないと考えます。競争のスタートラインは平等でなければなりませんし、競争のスタートでハンディのある人には社会的な支援策が必要です。 資料九ページにOECDの調査を載せておりますが、我が国のGDPに占める教育費の割合というのは、OECD各国の平均を大きく下回っております。それが基礎学力の低下にもつながっているものと思います。教育機会均等は、あらゆる施策に優先すべきものではないかと思います。 また、就労機会もできる限り均等である必要があると思います。今、自由な働き方にすべき、あるいはできる限り労働分野の規制はなくした方がいいという議論がありますが、その裏には、ルールを外して自由な働き方を求める一方的な論理が潜んでいるような気がいたします。均等待遇や差別禁止といった働き方のルールは、国際的にもスタンダードなものとなっているものであります。経済財政諮問会議において労働ビッグバンというものがテーマに上がっておりますが、ルールを破壊することではなく再構築することが必要だと思います。 以上のような前提を踏まえ、大きく三つの政策が必要だというふうに考えております。 第一は、行き過ぎた非正規雇用化の流れを反転させ、正規雇用化を促進することです。 労働者の職業能力は仕事を通じて高まっていくものです。日本の長期雇用システムがこの職業能力開発の役割を担い、経済社会の発展や安定の基礎になっていたことを私たちはいま一度再評価し、そして、非正規雇用で働く若者を正規雇用の場に乗せていく施策が必要だと思います。 さらに、多様な雇用、就業形態間における均等待遇の原則が必要です。どのような雇用、就業形態であっても、フルタイムで働けばみずからの生活を支えていけることを目指し、社会・労働保険も適用されるようにすべきであります。これらの施策がなければ、非正規雇用は社会保険も含めたコストの安い労働力として、その拡大には歯どめがかからないでありましょう。 第二は、セーフティーネットの再構築です。 積極的な雇用労働政策と積極的な社会保障政策への転換が不可欠です。そのため、パート労働者等の均等待遇の実現、障害者雇用の促進、フリーター、ニート、母子世帯等への就労支援の充実、最低賃金の大幅引き上げなどが必要です。 資料の十ページに、法定最低賃金の国際比較を載せております。最低賃金については、今アメリカで引き上げが決まり、この点線の部分ですが、七ドル二十五セントになるということが今議会で、既に下院は通ったというふうに聞いておりますが、そういうふうに見ますと、日本の最低賃金は国際的に見ても極めて低い水準であります。憲法で保障された健康で文化的な水準というのをどのように考えるか、国際的に見ても遜色のない水準に引き上げて、実効ある改正とする必要があると思います。 また、パート労働者を対象とした均等待遇、差別禁止の法制化も重要です。当然、社会保険、労働保険の完全適用は前提とならなければなりません。 長期失業者やワーキングプアなどへの就労支援と連携した新たな経済的支援などを積極的に検討すべきです。そして、住宅保障や住宅手当の新設などを含め、生活保護制度について、福祉の最後のとりでとしての機能を十分発揮できるような見直しも必要です。 二極化の固定化を防止するために、だれもが排除されない社会の実現、つまり、仕事を通じた社会参加と所得保障、社会的サービスの積極的な統合、いわゆるソーシャルインクルージョン政策を実現すべきであります。 こうしたことに加え、医療、介護、年金そして子育て支援について、制度の抜本的な見直しを通じて、安心、安全、公正な社会を実現することが喫緊の課題となります。 第三は、所得の分配のゆがみを是正するために、所得再分配機能を強化することです。税金が高いと活力が低下するという一部の主張によって、所得税等のフラット化や資産、財産収入への課税の軽減を行い、所得の再分配機能を弱めてきたことが、格差が拡大し、低所得、生活困窮層が増加した要因の一つだからであります。 サラリーマンをねらい撃ちにした、取りやすいところから取るという安易な増税ではなく、応能負担を原則とした、公平で透明な税制改革を実現することが急務だと思います。 これまで進めてきた税のフラット化を見直し、最高税率をもとに戻し、所得再分配機能を強化すべきであります。 以上で私の意見陳述を終わります。(拍手)
○金子委員長 ありがとうございました。 次に、湯元公述人にお願いいたします。
○湯元公述人 日本総研の湯元でございます。 本日、このような場で意見発表の機会をちょうだいいたしましたことをまことに光栄に存じております。 私の方からは、民間エコノミストの立場から、平成十九年度の予算をどう評価しているかという点に加えまして、中長期的な観点から見た財政健全化の課題を中心に申し述べたいと存じます。 お手元の資料をお開きいただければと思います。 まず、平成十九年度予算の評価ということですが、政府の財政健全化目標、二〇一一年度までにいわゆるプライマリーバランスを黒字化させるという目標がございます。この目標に向けまして、初年度、それなりに好調なスタートを切ったのではないかというふうに思います。 十九年度の新規国債発行額、このグラフにございますとおり二十五兆四千億ということで、前年度比四兆五千億、過去最大の減額幅を実現しました。それから、実はこれに交付税特別会計の償還費というのを含めてみますと、実質的には六兆三千億の財政健全化が実現されたという形になっております。また、国債依存度も三〇・七%ということで、三年連続の低下を記録しております。 それから、目標となっておりますプライマリーバランスでございますけれども、国のプライマリーバランス、十九年度予算でマイナスの四兆四千億の赤字でございます。これは、前年度が十一兆二千億の赤字でございますので、これと比べますとプラス六・八兆円、七兆円近いプライマリーバランスの改善が実現しておるということでございます。 そして、この最大の要因は何かということで見てまいりますと、先ほど御指摘もございましたが、大幅な税収の増加、これが七兆六千億あるということでありまして、内訳は書いてございませんが、定率減税の半減等がございましたので、増収が一兆二千億程度ありますけれども、その他大半は、景気の回復あるいは企業業績の回復に伴います所得税、法人税収の増加というものが寄与している、所得税が三兆八千億、それから法人税が三兆三千億の増加になっておるということでございます。ちなみに、所得税の方は、雇用、賃金の回復が緩やかなもとで増加をしている理由というのは、株価の上昇等に伴いますキャピタルゲインや配当の増加、こういったものがかなりの程度寄与しているというふうに考えております。 それから一方、歳出の方でございますけれども、これは次の三ページのところをごらんいただければと思います。 税収の増加がプライマリーバランス赤字の、かなりの部分を占めるということでありますが、歳出削減の方も、基本的に、昨年六月に決定しました骨太方針二〇〇六、これに沿って歳出の抑制、削減が進められてきているというふうに認識をしております。 この骨太方針二〇〇六では、御案内のとおりかと思いますが、向こう五年間の名目経済成長率を平均三%、それから税収の経済成長に対する弾性値を一・一、こういう前提を置きまして計算をした場合に、社会保障や公務員人件費、公共事業、こういったものを中心に、総額で十一兆四千億から十四兆三千億の歳出削減を実施する、これが中期的な方針であったわけでございます。ただ、この中で示されましたのは、現実に不足する財源、これは要対応額という形で示されておりますが、これが十六兆五千億ございまして、この対比で見ますと、これだけの歳出削減を行いましても、なお二兆二千億円から五兆一千億円、消費税率換算で申し上げますと一%から二%に相当する財源が不足する、こういった試算が示されたわけであります。 この十九年度予算で、この骨太方針とあわせて、各分野ごとの歳出削減がどうなったかということを見てまいりますと、公共事業関係費では三・五%の削減ということで、これは骨太方針、マイナス一からマイナス三という方針でしたが、これを上回る削減率になっております。それから、社会保障、これは骨太方針で一兆六千億、五年間で一兆六千億ですから、年平均にしますと二千二百億ということで、ちょうど年平均ペースで抑えている。それから、公務員人件費につきましては、これも地方で四千億の削減、国家公務員についても削減の方向性が示されているということで、骨太方針に沿った動きだろうと思います。その他、ODA、防衛費等ございますけれども、これもおおむね骨太方針に沿う削減内容になっているかと思います。 一般会計以外のところでも、特別会計の改革によりまして剰余金一兆八千億を一般会計に繰り入れるという、一般会計の税収増の一因にもなっておるわけであります。それから、特別会計の歳出削減が七千億という形で、特別会計の改革の効果も出ております。それから、道路特定財源につきましては、一般財源化が千八百億強、強化されたということで、十八年度補正も入れますと三千億円強の国債減額が実現する形になっております。それから、地方交付税は、一般会計の入り口ベースでは四千億の増加という形になっておりますが、実際地方が受け取る出口ベースでは七千億の減少になっているということであります。それから、地方財政計画の方も、一般歳出で八千億の削減、それから投資的経費でも三%の削減というものを実現しております。それから、財政投融資計画でも五・六%、規模的にはもうピークの三五%の水準になってきているということでございまして、これまで政府が目指してきました小さく効率的な政府の実現に向けて少しずつ前に歩を進めている状況かというふうに考えております。 そういう中で、歳出面、予算措置として重点配分措置三千十億円、それから税制改正関係で四千八十億円の各種減税措置も盛り込まれるということで、トータルで七千億強、成長力強化に向けた予算配分が行われているというふうに考えております。ある意味では、税制改正を含めまして、財政健全化ということと成長力強化というのは車の両輪としてやっていかないといけない課題でございますけれども、それに対してこういう形での配分がなされたということであります。 実際、税収がここまで好調ですと、私ども民間の立場から見てまいりますと、かなり歳出増加圧力が増していくのではないかという懸念を持っていたわけでございますけれども、現実的には、いわゆるばらまき予算ということには陥らず、財政規律をしっかりときかせた予算になったのではないかなというふうに見ております。 十九年度というのは、景気も回復してきて税収増加も見込めるということで、非常に今の局面がいい局面に当たっているということもあるかと思います。しかしながら、中長期的に見ました場合に、このような動きがずっと持続するかどうかということについては、私は余り過度に楽観的に見ることはできないのではないかと思います。 十九年度予算の姿だけを見ますと、このまま順調にいきますと、二〇一一年度プライマリーバランス黒字化というのは一年やそこら前倒し、あるいは、不足する財源であります部分、消費税を引き上げないといけないのではないかというようなことも言われておりましたけれども、これは引き上げなしでできるのではないか、こういう見方も強まってきたわけでありますけれども、もう少し現実を見てまいりますと、それほど簡単に達成できるような状況ではないかというふうに考えておるわけであります。 ちなみに、内閣府が参考試算として出しております「日本経済の進路と戦略」という中で、二つの成長のシナリオ、そして、それぞれの成長につきまして二つの歳出削減シナリオを組み合わせた四つのシナリオを提示しているわけでありますけれども、この中で一番目指している最も望ましいケースというのが、新成長経済移行ケースの中の歳出削減Aというものであります。 この新成長経済移行ケースというのは、いわゆる生産性の引き上げ、それから女性や高齢者も含めた労働力率、働く人の割合を引き上げる、こういったことによりまして、日本経済の持っている潜在的な成長力を二〇一一年度にかけまして大幅に引き上げるということ、これを前提としておるわけであります。 実際に、このままこういった政策が実現しませんと、潜在成長力は、人口減少、少子高齢化の影響によりまして、二〇一一年度には一%程度まで下がっていく。足元は一・六%という水準でございますけれども、〇・五%程度下がっていってしまう。これをさまざまな政策努力によって二・四%に引き上げる、こういう前提であり、あるいは目標が設定されておるわけであります。 そして、歳出削減の方も、ケースAと申しますのは、骨太方針の中で、より大幅な歳出削減、十四兆三千億という金額の削減を実現していく。こういうこと両方ができて初めて、この基礎的財政収支の対名目GDP比が黒字になるという試算結果になっておるわけであります。歳出削減が少しでも少なくなる、あるいは成長シナリオが実現しないということになりますと、二〇一一年度でも基礎的財政収支、プライマリーバランスの黒字は実現が難しい、こういう形になっておるわけであります。 この目標とします新成長経済移行ケース、ここは、下に少し詳しく年度別の前提値、経済予測の前提値等を入れておりますけれども、名目経済成長率でごらんいただきますと、二〇〇六年度のところ、ちょっと資料で二・二というふうに書いてありまして、間違えておりまして恐縮でございます、一・五%、実績見込みでありますけれども。この一・五%の名目成長率を二〇一一年度にかけまして徐々に高めていく、そして一一年度には三・九%、四%近い名目成長率を達成していくということが前提となっておるわけであります。実際に実質成長率も、二〇〇六年度の一・九から二〇一一年度二・五ということで、〇・五%ポイント程度高目。それから、いわゆる物価でございます。消費者物価やGDPデフレーターのところをごらんいただきましても、足元ゼロないし若干マイナスというところから、二〇一一年度には消費者物価で一・九、GDPデフレーターで一・三ということで、かなりの上昇を見込むような経済に持っていく、これが基本的な前提になっているかと思います。 こういう高い経済成長自体が本当に、少子高齢化、人口減少が続く中で実現可能かということで、いろいろな面から疑問視されている部分もあろうかと思います。恐らく、これを実現するためには、先ほどの前提にもございましたとおり、生産性を飛躍的に引き上げるということが必要になってくるわけでありまして、その意味で、イノベーションというものをどんどん促進していく、さらには、アジアの高成長を取り込んでいくオープンという政策、この二つで高成長を追求していくという戦略を今政府はとろうとしているのかと思いますけれども、これは私も極めて重要な課題であろうかと思います。これが実現できませんと、財政の健全化というのもかなり難しいということになるわけであります。しかも、これは、それほど簡単に実現できる課題でもないという意味では、非常にチャレンジングな課題でありまして、さまざまな方策を追求していく必要があろうかと思っております。 財政面に話を戻させていただきますと、さらに二〇〇九年度からは基礎年金の国庫負担の引き上げというものがあるわけでございまして、このための財源不足額は、消費税換算で申しますと約一%強の財源が不足してくるという事態がこの途中にございます。それから、プライマリーバランスの改善、黒字化というのはある意味では財政健全化の第一歩の目標にすぎないということで、プライマリーバランスの次に改善していく次の目標というのは、増大していきます政府債務残高の対GDP比、日本では一五〇%という水準で、先進国の中で突出して高い水準にあるわけでございますけれども、この比率を安定的に引き下げていくということが次の目標として視野に入ってきつつあるわけであります。 そして、この目標を実現するためにはどの程度の努力が必要かということを申し上げますと、結論からいいますと、プライマリーバランス、小幅の黒字ではまだ足りないということでありまして、GDP対比で見ました黒字幅というのは二%近い規模に持っていかないと難しいということであります。 実は、この二%という根拠自体は、いろいろな経済前提、経済成長率と名目の長期金利の水準というのをどう考えるかによって変わってくるものでありますから、必ずしも固定的、確定的に考えるということはできませんけれども、日本の過去の経済成長率と金利の関係から見ますと、一%強、長期金利の方が高いという状況が出てきておりまして、それを前提に今の足元の債務残高のレベルを勘案しますと、二%近い黒字が必要という結論になるわけでございます。 ちなみに、このGDP比二%というのは、五百兆の二%で十兆円、現在価格で十兆円ということでございますから、消費税換算をしますと四%レベルの、追加的な、二〇一一年度にプライマリーバランス黒字を達成した後も、さらに消費税換算で四%規模に相当する財政改善が必要になってくるというような状況にあるわけであります。 そういう意味で、どういった形で財源を図るかというのはこれからいろいろな御議論をしていただくことになる重要なテーマだろうと思いますが、私自身は、将来的に消費税の引き上げというものを含めました、特に社会保障の安定財源の確保というのはもう避けることのできない重要な課題ではないかというふうに考えております。 そして、その点で、最後の五ページ目でございますけれども、消費税の引き上げに関しまして私の考えておることを申し述べたいと思います。 まず、増税というのは非常に国民からアレルギーの強い、特に消費税などは逆進性が強くて、反対、批判も根強いということでございますけれども、私は、一口に増税と申しましても、今の大きな財政赤字を減らしていくために増税が必要だというロジックと、それから社会保障が、これから少子高齢化、特に団塊世代は二〇一二年以降、六十五歳以降に入っていくということがございますので、それ以降の財政状況は非常に社会保障の財源が不足してくるわけでございますけれども、これを賄うための増税、この二つは本来峻別して考えるべきではないかというふうに考えております。 と申しますのは、何のために増税をするのかといったときに、国民の理解あるいは納得度というのが違うであろう。それから、経済へのインパクトも、これはなかなか理論的、実証的に分析することは難しいんですが、異なってくる可能性があるのではないかなと思うわけであります。 特に、財政赤字が大きいので増税をするというのは、無駄な歳出、非効率な歳出がまだ残っている中で、あるいは税制も含めまして不公平な部分が残っている、そういったものがある中で増税に踏み切るということは、国民の反発が非常に大きくなるおそれがあります。それから、景気へのインパクトという点でも、基本的に、財政赤字削減のための増税というのは、家計部門から政府部門が所得を吸収するという形になりますので、せっかくふえた雇用者所得のかなりの部分が政府部門に吸収される。これは、それなりのインパクトが出るわけであります。 他方、社会保障のための増税というのは、当然、国民の理解、納得度、それは相対的に高いと思います。この経済広報センターの行ったアンケート調査でも、消費税を活用した間接税方式に移行すべきであるという回答が過半を占めている形になっているわけであります。そして、景気へのインパクトという面でも、実際には家計部門に対して社会保障給付という形で、取った分が還元されているということでありまして、付加価値税が一五%から二〇%という高い水準にあるヨーロッパ諸国で経済ががたがたになっているというようなことではないわけでありまして、水準自体が影響を与えているわけではなくて、それを何に使うかということが非常に大事なポイントではないかと思います。 そういう意味で、私は、この消費税というものを社会保障目的に充当するということがこれから重要な課題になってくるのではないかと思っております。もちろん、社会保障で目的税化するということについて、メリットだけではなくデメリット等もあるかと思います。どんどん安定財源が確保されて社会保障が膨張して財政が硬直化をしていく、あるいは、既得権益化が進んで社会保障の抑制や効率化のインセンティブが働かなくなってくる、こういうデメリットもあるわけでございますから、このデメリットを最小化する形でメリットを最大限に生かしていく、そういった工夫が必要なんだろうと思います。 私は個人的に、消費税を将来的に引き上げるための条件として三つ考えておりますけれども、一つは、やはり歳出の無駄、非効率、これを徹底的に排除していかないといけないだろう。予算の問題で申し上げますと、例えば、予算の金額だけが前年度の予算と対比で比較をされて、次の予算を決める要因になっているわけでありますけれども、実は、決算とか補正後予算との対比でやはり見ていく、それで次の年度の予算を決めていくということが必要なのではないかと思います。 例えばで申しますと、社会保障という分野でも自然増を抑制すべく毎年度予算の抑制が行われておりますけれども、実際に決算ベースで見ますと、過去五年間の累計で四兆六千億、予算ベースを上回っているような形、年平均で九千億ということですので、実際にはなかなか抑えたことになっていないといったような姿もあるわけでございます。 それから、二番目として、クロヨン、益税に代表されます不公平税制の是正、これが大事かと思います。 そして、三番目。先ほど言いましたデメリットを最小化しつつメリットを生かす方策として、これは一案でございますけれども、社会保障のスリム化、効率化と消費税率というものをセットで議論していただいて、消費税そのものは将来的に上限というものを、ある程度法定するのか、ただ明示するだけにとどめるか、いろいろな考え方がありますけれども、消費税の上限を定めて、その上限を超えそうな状況になる場合には、社会保障制度の改革を行って、抑制、スリム化をしていく、こういった制度設計をビルトインすることが非常に重要なのではないかと思う次第でございます。 ぜひ、各党、国会におかれましても、こういった点に関しまして精力的な議論をしていただくことをお願いして、私の説明を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○金子委員長 ありがとうございました。 次に、芝公述人にお願いいたします。
○芝公述人 芝でございます。 私の方からは、現在、雇用労働問題が非常にクローズアップをされておりますので、労働相談から見た職場の現状あるいは問題点につきまして述べさせていただいて、予算審議にぜひ反映をしていただければというふうに思っております。 現在、さまざまな労働行政機関、あるいはそれ以外の労働団体等で労働問題についての相談を受けておりますけれども、私は、東京都産業労働局の資料をもとに意見を述べまして、参考にしていただければというふうに思います。 そのほかに、先ほども少し出ました全国の労働局の労働相談についての状況なり、あるいは、裁判所におきます労働事件等の数字も極めて増大をしているわけですけれども、資料の方を見ていただければいいと思うのですけれども、年間の労働相談件数につきましては、現在約五万件の相談がありまして、その内容について見ていきたいというふうに思っております。 そこに十年の資料が載っておりますが、少し前の方、これより以前のことを申し上げますと、昭和六十年代につきましては、おおむね三万件程度の数字で推移をしておりました。それで、平成四年に三万七千件ということで二〇%ほど増加をいたしまして、御存じのように、バブル崩壊以降、ほぼ五万件台の数字で推移をしております。 次のページに、労働組合の有無別で見た労働相談件数がありますけれども、労働組合がない事業所からの相談が九割を超えておりまして、そういう意味で、いわゆる集団的労使関係よりも、個別的な労使関係の中からの相談が大半を占めているという状況がうかがえるというふうに思っております。 次に、男女別の相談件数を見てまいりますと、そこにありますように、おおむね五五対四五くらいの比率で推移をしております。 ただ、就労者の数字を男女別で見ますと女性の方が少ないわけですので、例えば千件当たりの数字等を見てみると女性の比率の方が高いというふうに思いまして、そういう意味で、職場で働いておられる女性の方が問題点を抱えているのではないかというふうに考えております。 次に、規模別で見た数字がございますが、下の円グラフを見ていただきたいのですけれども、代表的な相談項目であります三つ、賃金不払い、それから解雇、労働契約ということで見てみますと、賃金不払いにつきましては圧倒的に三十人未満の事業所で、三分の二近い数字を占めております。労働契約のところに行きますと、必ずしも三十人未満ということではなくて、それ以上の規模のところでも相談が来ているということが言えるかというふうに思います。 次に、産業別に見ました労働相談件数なんですけれども、東京の場合でいいますと、ほぼ七五%以上を第三次産業が占めておりまして、そういう意味では、製造業が比較的ウエートが高いところに比べまして、少しサービス業の数字が多くなるかなというふうに思っておりますけれども、一応、少しサービス業の中を詳しく見まして、そういう数字になっております。 次に、労働相談の内容につきまして、そこに六年間の数字を出しておりますけれども、解雇がずっと一位を占めております。解雇の相談というのは、必ずしも景気のいい悪いについて増減をするということなく、大体ずっと解雇の相談が一位を占めております。 二位につきましては賃金不払い、これは退職金ですとか一時金の問題も含めますけれども、賃金不払いの問題がバブル崩壊以降ずっと、二番目に多くなっております。 それから、三番目につきましては労働契約で、これは、労働契約の中身、あるいは、約束されていた労働契約が実際に入ってみたら違っていたというふうな感じの相談が三番目を占めております。 それで、四位のところに、ここ最近、退職の問題が出てきておりますが、これは解雇ではなくて、退職強要をされたとか、そういう項目についてなんです。これまで四位にありました賃金その他というのは主に賃上げだとか賃金水準の相談が多いんですけれども、これが、ここ最近ほとんど賃上げが行われていないということもありまして、非常に少なくなっております。 それから、特に最近の特色といたしましては、五番目のところに職場の嫌がらせというのが上がってきておりまして、最近、この項目につきまして非常に多くなっております。 次に、相談項目をそこにありますような形で分類しているわけなんですけれども、ここ最近の特色といいますか、私は四十年くらい相談をやっているんですけれども、その中で、労働組合や労使関係に関する相談が非常に少なくなっているということが特に言えるかと思います。 非常に高い項目としましては、そこにあります賃金不払い、解雇、それから雇いどめ、退職強要、退職というのを含めますと、ほぼこの三つが非常に高いウエートを占めているわけですけれども、その他の問題のところで、人間関係と職場の嫌がらせというのが次いで高いウエートを占めているというふうに考えております。 そのほかに、特別相談ということで、外国人の相談ですとか派遣労働者の相談、あるいはパートタイマーの方の相談についても分類をしておりますが、外国人の方の相談の中では、圧倒的に賃金不払いと解雇が多くなっております。 次に、派遣の方の相談につきまして言いますと、これはほとんど社会保険と労働保険の加入の問題、加入をしていないという問題が多くなっております。 次に、パートタイマーの方の相談が年間で約六千件くらいあるわけですけれども、ここの中では解雇と賃金不払いの問題が非常に高いウエートを占めております。 全体的な概況につきましては、そこに数字として挙げたような中身ですけれども、次に、最近の労働相談の事例の中から、非常に特徴的といいますか、そういう項目について、どういう内容かということについて幾つか例を挙げております。 労働契約法が、御存じのように制定の問題が検討されておりますが、こういう相談が非常に多くなっております。 このケースでいいますと、Aさんと仮にしておきますが、インターネットで募集広告を見て、企業規模が五十人くらいの食品業のところに採用になりまして、あるスーパーのコーヒーショップで働かれていたわけですが、賃金が約二十万円くらい。就業時間が、開店が十時ですので、十時の少し前から、閉店の八時半ですぐ帰れるということではなくて、実際は九時ごろまでかかっていたというふうに言われているんですが、その中で休憩が一時間予定をされております。お店ですから、彼のほかに数人のアルバイトの方と一緒に働いているわけですけれども、試用期間が三カ月ということで、試用期間を過ぎたら店長手当として三万円を支払うという約束で働き始めたんですけれども、六カ月経過をしましても手当が支給されませんでした。 それで、Aさんは、経理を担当されている社長の奥さんが専務ということですので、お店に見えたときに約束の店長手当を払ってほしいというふうに言われたようなんですが、翌日、社長さんが見えまして、実は、そんな約束はしていないということで、言った言わないの話になったわけです。そうすると、怒って解雇を通知されたということで、解雇の予告手当と、それから時間のところ、計算していただくとわかると思いますが、残業代が未払いになっておりますので、払ってほしいという相談でした。 どういうことかというと、労働契約を文書で交わされているということが非常に少ない。特に中小企業のところでは少なくなっておりまして、労働条件について約束と違うという相談は非常に多くあります。 率直に言いまして、言った言わないの話です。それから、インターネットの求人広告にも書いてありませんので、実は彼の前任者の方にどうだったかということを聞いてもらったんですが、実は店長手当は払われておりまして、ただし金額が一万円ということで、実際に三万円の約束があったのかどうかというのはちょっと疑問なところがあります。 結局、最終的には、店長手当については払っていただけませんでしたけれども、未払いの時間外労働を払ってほしいというふうに言いまして、約五十七万円だと思いますが、そういう金額を支払ってもらって、本人も、それだけ払ってもらったので店長手当については断念をするということになっております。 次に、就業規則の周知義務なんですけれども、Eさんは、サービス業で八十人くらいの企業に就職されていたわけです。ある年、四月に昇給するということになっていましたけれども、ありませんでしたので、上司に聞いたところ、二年前に就業規則を改定して、賃金の昇給の制度を改定したんだというふうに言われたそうなんですが、就業規則を見たことはないし、一方的に変更ができるのかということが相談の中身です。 これは御存じのように、フジ興産事件という最高裁の判例で、周知をしていない就業規則の効力については否定をされております。就業規則を改定される場合には、そこに書きましたように、従業員代表の方の意見書の添付なり、労働基準監督署への提出だとか、あるいは従業員の方への周知、これは法律でかなり詳しく決められているわけですけれども、それがないケースが非常に多くありまして、従業員の方が安心をして働くという意味では、そういう手続についてきちっとしていただく必要があるのではないかと思っております。 次に、不払い残業についてなんですが、こちらの方は、会社で人事労務関係を担当される方からの相談です。広告代理業で、マスコミ関係は非常に残業の多い業種でございまして、連日残業があるわけですけれども、残業料が一銭も払われていないということで、このDさんは以前ほかの会社で残業料をもらっていたということで、ある労務管理の講座に行ったときに残業不払いが多いというふうに言われたこともありまして、その点につきまして社長さんに話をされたら、じゃ、労務担当なんだから考えてみろというふうに言われて、労働基準法どおり支払うということで提案をされたそうなんです。社長さんの方は、営業マンの方だけ月三万円の営業手当を払うということで制度を変えられたようなんですが、その金額では実際の残業の恐らく五分の一くらいにしかならないのではないかというふうに言われています。 そういう意味で、残業の問題は、この間、不払い残業の問題も含めまして、非常にクローズアップをされておりますけれども、時間外労働を命ずるためには、時間外労働協定、通称三六協定というふうに言っておりますが、これを締結して労基署に届け出をする必要がありますが、その手続をとられていないケースというのが非常に多くあります。三六協定は免罰規定でございまして、三六協定を結んで届け出をすることによって罰則が免じられるわけですけれども、労働基準監督署が昨年のいわゆる不払い残業について勧告した金額だけでも二百三十数億円というふうに聞いておりまして、そういう面でいうと、不払い残業が非常に蔓延をしているという状況が明らかになっているのではないかというふうに思います。 次に、労働者派遣法の関係なんですけれども、この内容については、出版関係の六十人くらい、出版で六十人といいますと大体中堅クラスのところだというふうに思いますが、営業補助ということで派遣の方が、そこに書いておきましたように五人働かれているわけです。一人は十一年、二人は、少し違うんですけれども七年間くらい、一人が五年、一人は三年以上ということで働かれているそうなんです。 これは改正労働者派遣法で、一般的、臨時的な業務につきましては三年に延長されましたけれども、その際に、派遣先の使用者責任の強化ということで、いわゆる派遣労働者に対する雇用申し込み義務が創設をされています。経過措置もついているんですけれども、極めて長い期間、同じ方が同じ会社に派遣をされているということは、明らかに派遣法違反ということになるわけです。その際には労働組合の意見も聞くということに法律上はなっていますけれども、これは、直接雇用義務について現在話し合いをされています。 次に、時間の関係がありますので、最後のメンタルヘルスのところに参りたいと思います。 これは、メンタルヘルスの関係では非常に多いケースですけれども、大手金融機関に勤務されているFさんの場合でいいますと、非常に毎日のように残業がありまして、過密労働、時間の平均は、月の数字で約八十五時間残業をされている、そのほかに、ノルマがあったり、口うるさい上司の方に叱責をされたりということで、ストレスが原因で精神疾患、この方の場合はうつ病になりまして、病気療養中になっております。 会社の就業規則によりますと病気休職の期間は二年ということになっておりますが、休職期間が満了に近づくようになりますと、まず家族の方は、生活のことがありますので、何とか復職をしてほしいということを言われます。ところが、主治医の医師の方から言わせますと、同じ状況の職場に戻しますとまた病気が再発するのではないかということがあります。そういう形で、会社の方は、病気がきちっと治ったと医者が言うまで戻っては困るというふうに言われておりまして、問題なのは、このまま休職期間が過ぎますと自然退職ということになりますので、そのことについて心配で相談をされました。 私どもは、できれば病気休職期間を少し延ばしてもらえないかというお話をしたんですけれども、最終的にこの方の場合は、多少の退職金の上積みということで退職をされております。 こういう状況のもとで、私どもとしては、特にこのメンタルヘルスの問題では、やはり会社の方の安全配慮義務というものが非常に大切なのではないかというふうに考えております。 時間が参りましたので、結論として申し上げますが、現在さまざまな労働法制について検討されているようですが、ぜひこういう職場の現状を知っていただいて法改正の検討について行っていただきたいということが一点と、雇用労働条件の改善が特に今の状況のもとで大切なのではないかというふうに考えております。 それと、私ども労働相談を受けておりまして非常に感じますことは、現在あります労働法規について残念ながら守られていないケースが非常にありまして、そういう面で法律が遵守されるということが非常に大切なのではないかというふうに思っております。 それから最後に、ほかの方も意見を言われましたけれども、セーフティーネットの確立がぜひ必要だというふうに考えております。 以上の点を申し上げまして、私の意見にさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○金子委員長 ありがとうございました。 —————————————
○金子委員長 これより公述人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河井克行君。
○河井委員 おはようございます。自由民主党の河井克行です。 まず初めに、公述人の皆様、きょうはありがとうございます。お忙しい中、こうして衆議院予算委員会公聴会にお出ましいただき、どの方も大変参考になる御意見をおっしゃっていただきました。ここにおります議員一同、しっかりと受けとめさせていただきたい、そのように存じております。まことにありがとうございます。 きょうは、私からは、特に慶應大学の島田晴雄先生と日本総研の湯元健治先生にいろいろと質問をさせていただきたいと存じますので、どうかよろしくお願いをいたします。 お二方から、おおむね今回の来年度予算案につきましては評価をするというお言葉をいただきまして、与党として大変心強く存じております。特に、島田先生からは明快にめり張りのあるお考えを示していただくことができまして、私も学生時代、先生の授業をまじめに聞いていたらもっといい人になっていたんじゃないかな、そのように感じるぐらいすばらしい御講義をちょうだいいたしました。また、湯元先生からは、実に緻密な分析をこの予算にしていただきまして、感謝をいたしております。 その上で、先ほど島田先生が、予算とは金額の多寡ではなく物の考え方をあらわすものだというお言葉をいただきまして、いや、すばらしいなと実は感じたんですね。本当にそのとおりで、政府や政治が国民の皆さんに、こういう来年度をつくっていくという物の考え方を示すんだ。その前提として、私は、新年度の政府予算案は、実はこれまでの年の予算案とは違う前提だと考えております。 一言で言いますと、二〇〇七年度という年は、団塊の世代が定年を本格的に迎える初年度である、日本の高齢化が目に見える形で、一人一人私たちが感じることができるようになる最初の年だということ。もう一つは、去年、当初の予測よりも早く人口減が明らかになりましたね。少子高齢化という言葉がありますけれども、これは本来別のものなんですね。少子化と高齢化というのは別のものが、日本国では急激に同時進行している、世界で珍しい状況に私たちは入ろうとしている。この少子高齢化を本格的に迎える最初の年だ。 そこで、島田先生に一つお尋ね申し上げたいのは、その中で、人口減少時代、地方の活性化をしなきゃいけないということをおっしゃいました。先生の関連のホームページを拝見しますと、恋人の聖地というプロジェクトの委員もされている。硬軟両面でいろいろと提言をしていらっしゃるということであります。地方は空気がきれい、水がきれい、すばらしい人が住んでいるし健康的だ、もっと地方に熟年の皆さんは住むべきだというふうに今御提言をいただきましたけれども、一方で、現実を見ますと、さっき先生が、サービス業、農業、林業、建設業、これは生産性が低い、非競争的な産業部門だとおっしゃいました。それが最も残っているのが地方なんですね。それから、健康の面でいいましても、医療の提供が今、地域、地方では逆にどんどん少なくなってきている。 私の出身は広島県でありますけれども、広島市の中でも中区というところがありまして、そこは人口がずっと減ってきた、ことし初めて十五年ぶりに人口がふえると予測がされています。新たな形での都心回帰が、これは広島だけじゃないと思うんですね、全国どこの大都市でも起こりつつある今、先生が先ほどおっしゃっていただいた提言を実行するためにはどういうふうなことが必要なのか、御示唆をいただければ幸いに存じます。 まず、それが一問目であります。よろしくお願いします。 〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕
○島田公述人 河井先生から大変本質的な御質問をいただきまして、ありがとうございました。 日本が高齢成熟化に向かって人口が減っていく、そして、大都市を中心にして人口が集中していく地区と、それから地方の非常に過疎になっていく地域とのアンバランスが大変危険な問題をはらんでくると思うんですが、熟年の方々が地方に住めばいいんだという話は我々はできないわけですね、どこに住むかというのは御本人の選択ですから。ですから、我々がやはり大変注目しなくてはいけないのは、熟年、高年の方々はどういう生活をしたいとお考えになっているのかというのをまずしっかり把握する必要があるんですね。 北海道庁が二年前に東京で一万人調査というのをやりましたら、三割の方が北海道に住んでみたい、あとの三割の方は気候のいいときは行ってみたい、合わせれば三分の二の方が北海道に興味があるということがわかったものですから、道庁としては、限られた予算の中で相当なキャンペーンをして、今いろいろな事業が進んでいるんですけれども、これはやはり御本人の選択ですから。 恐らく、最大のキーワードは、健康で楽しい生活をしたい、そしてできればコストの安いところで暮らしたいという願望はあると思うんですね。それに全国各地の地方の方々がこたえていく必要があるので、一つは、さまざまな観光というのが今大変注目を浴びていますけれども、私は、戦略観光といいますか、ただ見に来ていただくというだけではなくて、しばらく滞在して、いろいろ学んでいただいたり参加していただいたり、あるいはいい家があったら探すというようなことで、定住につながるような観光というのを全国各地の地域が努力する必要がある。 そして、さっき、空気がきれいで水がきれいでストレスがないと言いましたけれども、それ自体は過疎地はみんなあるわけですね。それだけでは住めませんので、地域が来られた方々を温かく迎え入れて、大変便利な生活環境を提示するということが必要なんですね。私は、これを生活産業と言っています。 これは一つは、基本的なのは家ですけれども、家は新しい団地をつくる必要はないんですね。今、日本には四千七百万家計がありますが、家の数が五千四百万戸もあるんですね。多分、世界で家が一番余っている国だと思います。ですから、家に関する情報提供、住宅というのは半分サービス産業になってきていると思うんですが、そういうことを全国各地の人がよく踏まえまして、こんな空き家がある、こんな場所があるということですね。 それから、医療が大変手薄になってきているのは事実なんですね。これはなかなか、お医者さんも大変なんですけれども、全国各地の医療機関のあり方を見ますと、三分の二以上が公立病院なんですが、公立病院のかなりが破綻に近いんですね。これは、さっき申し上げたような経営改革もありますけれども、ワンストップトータルサービスで、今の日本の社会ですと、二十分も車に乗れば必ずどこかの病院に行くわけですから、どこかへ行って一回調べたら全部情報が集約できるというようなネットワーキングを努力される必要があるんですね。そういうことで努力している地方自治体も既にあらわれています。 そんなことで、医療とか介護とか住宅とか、そういう基本的な生活サービスの使いやすいものを整備して、いらしていただいたら、大変楽しくてコストが安くて健康的な生活ができますよ、そういう地域間競争の時代が来ていると思うんですね。そういう認識を全国各地の方々、持っている方も相当いますけれども、それを大きな運動にしていくというようなことができると、先生が今、どうしたら実現できるんだろうかという問いかけに対して、一片の政策で実現できるというものじゃないんですけれども、そういう民が中心で、官がそれを支えるというようなトータルなアプローチが重要なんだということを、私は、予算の中の考え方で大いに強調していただく。予算を伴うものじゃないんですけれども、考え方で、そういう社会に入ったんだということで、官邸を中心に大きく旗を振っていただくということが必要なのではないかと思います。
○河井委員 ありがとうございます。 今、先生が、戦略的な観光とかいろいろな手だてを総合して実現を図っていくべきだということをおっしゃっていただきました。 私、実は、日本イタリア友好議員連盟の事務局を務めておりまして、イタリアっていい国なんですよね、本当に。一人当たりのGDPは確かに日本と比べると低いかもしれません。でも、本当に一人一人の方が豊かに生きていて、おいしいワインを飲んで、おいしい料理を食べて、夜遅くまで仲間と一緒に話をしながら、また出勤して、少し休憩して、また夜が始まるという。民主党の中井先生も有力な議員で、超党派でこの議連をやっておりまして、いつも一緒に、いろいろと御指導いただいておるんですけれども、別に日本がイタリアのようになれとは言いませんけれども、何か地方が、それぞれ独自性がある。 先生は随分海外の御経験がこれまで長かったというふうに伺っておりますけれども、ちょっとその辺で、何か御示唆をいただければありがたいと存じます。
○島田公述人 この点は、ぜひ私も感想を申し上げたいと思っています。私も、ヨーロッパもアメリカも、いろいろな国々に暮らしておりましたので、まさにイタリーの魅力は、感ずること人後に落ちないと思うんですね。ワインも料理もお祭りも楽しいですけれども、私は最近、カンツォーネを習っておりまして、だれもが歌う、そういう楽しさがあるんですね。 それはそれなんですが、日本は、実は再発見する必要があると思います。日本の全国各地に参りますと、すばらしい生活資源、健康資源、観光資源を持っておられるんですけれども、地元の方々の自己認識がちょっと足りないんですね。 例えば、沖縄に行きますと、白い太陽と言います。太陽が真上にあるから白いんですけれども、沖縄の方は余りそれが好きじゃないらしくて、夜になると出てきてオリオンビールを飲んでいるというようなことがあるんですけれども、実は、これは、本土の人や北の地方の人にとってはお金で買えない宝ですね。 同じような、自分の持っているすばらしさというのがある。全国各地に行きますと、深い文化、歴史、食材、それからいろいろなお祭り、たくさんあるんですね。これは、観光のためにつくられているものというのは割に皮相なものが多いんですけれども、全国各地で生活者の楽しんでいる暮らし方。首都圏では、ゴルフに行くといったって一日がかりの仕事ですけれども、地方に行ったら、半日仕事をして、午後からゴルフして、普通の家族団らんができるというような生活がありますから、そういうものが実はヨーロッパのすばらしい、まあ田舎と言うと語弊があるかもしれませんが、カントリーライフなんですね。 ヨーロッパや諸外国にまさるとも劣らない、そういうものを日本はたくさん持っている。それを自己発見する、発信する、そういうことをして、大都会で大変忙しい、ストレスにまみれた生活をしている方々に伝える。これはやはり、私は企業がやることだと思うんです。そうやって魅力があって人が動いてくれば、企業は必ずもうかるわけですから、交通手段も旅行も住宅も。 ですから、民を中心にそういう運動を興して、それを国が認めて応援していくんだと。ですから、観光戦略とか、生活産業を充実させることだとか、地域が豊かになるように情報を徹底的に流す支援をするんだというようなことを、ぜひ考え方として強調していただければと思います。
○河井委員 もう一つ島田先生にお尋ねいたしたいです。 先ほど、成長が格差を縮めるということをおっしゃいました。本当にそのとおりなんですね。格差は不況のときに広がって、好況になれば縮んでくるんだと。ただ、今の日本の状態を見れば、それが少し時間おくれで、そういうふうな状況がおくれてきていると先ほどおっしゃいました。時間が余りなかったものですから簡潔におっしゃったんですけれども、もう少しこの部分、詳しくお考えをお示しいただけますでしょうか。
○島田公述人 私も、所得格差と経済変動の関係をずっと統計的にも研究しているんですけれども、これは、長期で見ても、中期で見ても、短期で見ても、ほぼ共通の傾向性が見られます。 長期で見ますと、経済発展するときは、停滞していますから格差が広がるんですけれども、しばらくたつと格差が縮んでまいります。あるいは、景気変動でもそうで、景気が悪化すると格差が拡大する。 理由は共通の理由なんですが、経済が停滞しているときというのは需要が少なくなりますから、競争条件の恵まれない労働者の方はうんと賃金、所得が落ちていくんですね。経済が発展してまいりますと、需要がどんどんふえてきて労働力が不足になりますから、枯渇してまいりますので、恵まれない方もそこの給料や所得が上がってくるので格差が縮む。これは共通法則だと思います。ですから、成長こそが格差を縮める最大の戦略だ、これはもうはっきり踏まえておいてよろしいと思うんです。 ただ、先ほど同時に申し上げたのは、しかし、世の中というのはそう単純じゃありませんで、いろいろな制度的、構造的理由で、そういう機会からこぼれる人がいるんですね。それをセーフティーネット、生活保護、最低賃金その他で支えていくのが近代国家です。 私がさっき、ぜひ先生方に頑張っていただきたいと思ったのは、だれがどのようにこぼれて、どんなところに苦しんでいるんだというデータが、実はまことに不十分なんです。統計が、労働力調査というのがありますけれども、これは、そういうことを発見できるような質問項目が入っておりません。特別調査というのがあって、時々有効な質問が入ることがあるんですけれども、もっとこれは、常時おやりになった方がいいし、就業構造基本調査というのは数年置きでございます。いろいろなものが数年置きですから、実態がよくわからないんですね。業務統計は、失業保険、雇用保険をもらっている人は確実に調べますけれども、縁が切れるともうわからない。 ですから、こぼれる方々が安心して暮らしていくということは非常に重要なので、どうなっているんだというのをやはりしっかり、大して予算はかからないんですから、本気でやっていただきたい。これは、来月、再来月に結果が出るというものじゃありませんけれども、政治ですから、来月、再来月に何か言わなきゃいかぬ、選挙もあることですし、そういうのはわかりますけれども、しかし、それと同時に、しっかり腰を据えた横綱相撲はとっておいてもらいたい。近代国家ですから、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○河井委員 ありがとうございます。 続きまして、日本総研の湯元先生にお願いいたします。 先生にお配りいただいた資料の四ページ、中長期の財政運営上の課題についてお触れをいただきました。この一、二年はいいけれども、その先がなかなか心配なんだということをおっしゃっていただきました。 その中で、内閣府の試算においては、名目成長率が二〇〇六年度の一・五%から徐々に上昇して、二〇一一年度に三・九%、これが一番理想の形だということをおっしゃっていただきましたけれども、これが実現するためにはなかなか容易じゃないよということをおっしゃいました。イノベーション、それからアジアとの本当に開かれた関係、経済関係ということであります、それは、私たち政治の立場でしっかりやっていかなくちゃいけないわけですけれども。 先生にお示しいただきたいことは、この間、物価のGDPデフレーターが、今は〇・四%マイナスの見通しですね、二〇〇六年度。この物価や賃金が、この内閣府の試算のとおり、うまいぐあいに順調に上昇していくという想定になるにはどのような経済環境が考えられるのか、それがまず一つです。 それから二つ目は、やはりこれが実現するためには、当然、成長率が上昇しますと金利も上昇をしていきます。その利払い費の増加が財政にどういう悪影響を与えることになるか、先生のお立場からお答えいただければと存じます。お願いします。
○湯元公述人 湯元でございます。 まず、河井先生の御指摘になられました経済や物価、足元、消費者物価でわずか〇・一%の上昇、それからGDPデフレーターでは、依然としてまだ前年対比で〇・五%のマイナス、こういう状況になっておるわけであります。 それから、名目経済成長率も、二〇〇六年度実績見込み一・五でございますが、二〇〇六暦年の実績が出ておりまして、これがまだ一・二%ということでございますので、基本的に、どういう状況になるとこれが上がっていく形になるのかというイメージを描きますと、これは名目でございますから、やはり企業部門で利益が出る、あるいは個人の所得が増加していく、賃金が増加していく、こういう局面になることが必要でございます。 そして企業の利益という意味では、ここ五年連続、増収増益。利益水準あるいは利益率を見ましても、バブル期のピークを超えるような高水準になってきている。問題は、この部分が家計部門に波及する度合いというのが、予想対比で見ますとまだ極めて緩やかな状況にとどまっているということだろうと思います。 そして、私は、もちろんこれは政策的になかなかいかないということであれば、いろいろな形で考える必要性というのはあるのかと思いますけれども、これまでの過去五年間、非常に日本経済、どん底に落ち込んだ局面からどうやってはい上がっていくのか、これは構造改革を進めていくことによってはい上がって、ここまで来たということであります。そして、この構造改革を進めるプロセスで、特に企業部門において三つの過剰と言われる人、物、金の過剰があった。この人、物、金の過剰をすべて正常な状況に戻してくる、このために十年ぐらいの期間を要したということでありまして、昨年の動きというのも、いま一つ家計部門に配分が回らなかったという点でありますけれども、これも私はかなり最終局面の方に来ているのではないかなという感じがいたします。 一つは、先ほど先生の御指摘になりました団塊世代というのが退職期を迎えるということでありまして、ここでかなり有能な技能や知識を持った労働者が退職、退出してまいります。企業にとりまして、今全体的に有効求人倍率が一・〇八倍という程度にとどまっていますけれども、実は、機械や電機や情報処理関係のところの技能労働者、専門職、技術職、こういったところに限って見ますと三倍から五倍といったような倍率になっているわけでありまして、企業が求める、欲する人材と現実に存在している人材の間にギャップが大きいということが大きな要因になっているかと思います。 したがいまして、まさに重要なことは、人材、能力開発、これは企業自身がやっていかないといけない部分もあるわけでありますけれども、そういうものを政策として側面から支えていく。 格差の問題ですとかいろいろなことが指摘されていますけれども、実際にこの結果としての差を、必要以上に落ちこぼれていく人たちはセーフティーネットという形で救っていくということは当然必要ですが、本来は、そのセーフティーネット以下に落ちていない人たちで、まだそれなりの不満を持っている方々が残っておりますので、こういう人たちにいかに能力を身につけさせるか。そしてそれは、この厳しいグローバル競争の中で、企業自身が実は人材に対していろいろな投資をして人を育成してきた。この機能が少し競争の中で、あるいは三つの過剰を削減するプロセスの中で弱まってきてしまっている、フリーター、ニートの問題なんかもそういうプロセスの中で出てきましたので。 方向として、今、景気の回復、経済成長の回復ということで、これは改善の方向に少しずつ向かっていると思いますし、これからの人材不足時代の本格的到来というのを考えますと、ある意味では、そういった能力、専門的知識を持っている人については相当な賃金を払ってでも獲得していく、こういう方向に行くと思いますが、これがもし十分にいかないということであれば、そういった人たちを早く、さらに大量につくっていく、いわゆるエンプロイアビリティー。これは、一つの会社で仕事をしていく能力ではなくて、どこの会社に行っても自分は自信を持ってこういう仕事ができるんだ、そしてその仕事がきちっと社会や会社から評価されていく、そしてさらにその評価されたものに見合った賃金がうまくもらえる、こういう仕組みに徐々にこれから切りかわっていこうとしておりますし、切りかわっていく方向になると思います。 したがいまして、今進められているような若者就業支援や再チャレンジ、あるいは底上げ戦略、こういうことをより具体的に実行していく。これが着実に実行されていけば、この内閣府の描くシナリオというのが実現できる可能性は、私はあると思います。現時点では、足元の現状と比べたときに、まだ非常に遠い目標というふうに見えますけれども、方向としては十分可能であるというふうに考えております。 それから、金利の問題ですけれども、これはこの内閣府の試算では、経済成長と金利というのはほぼ同じぐらいという見通しになっておりますので、これも望ましい方向、ベストシナリオとしてはこういう感じになるのがいいと思います。金利が上がったときの利払い負担の増加というのは経済成長による税収の増加で相殺されますので、その場合には余り財政に大きな影響はもたらさないということでありますけれども、過去の経験則、主要先進国も含めた一九八〇年代以降の平均的な金利の上昇と成長率を見ますと、やはり金利の上昇の方が高くなるというのが正常な経済状態では起きやすい現象であります。 ただ、今の状況というのは、世界的にも企業部門が金余り、キャッシュフローが非常に余剰になっておりますから、なかなかそれが資金需要とかそういうものを通じて金利上昇につながっていかない。経済成長と金利というのはさほど変わらない、同じぐらいの状態になっているということでありますけれども、将来的には、やはりそれが少しずつ変わってくる可能性、五年後とかそういう先までをにらみますと変わってくる可能性がありますので、逆に言いますと、今のうちから金利負担が大きくならないように債務残高を圧縮していく、この努力が必要であります。 これは、もちろん、プライマリーバランスの黒字化をして、黒字をふやしていくというのはかなり時間を要する話ですから、短期的にはやはりバランスシートというのをどんどん縮小して、それによって、例えば債務残高GDP比というのは昨年度の予算でも若干上昇率が鈍化するといったようなことが起きておりますので、特別会計の改革を初めとした、あるいは政府資産の圧縮を初めとした努力を進めていくということが、そういった金利上昇に備えるという意味でも極めて重要な課題ではないかと思っております。 ありがとうございます。
○河井委員 あと三分ほどありますので、最後に、再び島田晴雄先生にお願いいたします。 個人消費の今の足元の状態、そして行方について、余り楽観視を先生はされていないということでありますけれども、やはりこの部門が本格的に動いてくれないと、日本経済、先ほどからずっと話をしております底上げとか新成長経済移行ケースとか、そういったことになかなか結びついていかない。この個人消費の拡大、先生、何かお考えがあったらお願いします。 〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕
○島田公述人 日本がバブル崩壊後、厳しいデフレを脱却しようという中で、企業が自己改革をして力をつけて、国際競争、これから日本の市場は飽和してまいりますから、成長分はほとんど海外に求めなきゃいかぬというような厳しい状況の中で、企業が頑張ってきたわけですね。 そうしますと、やはり中国のような国を見ますと、大変技術が進んできておりますけれども、依然として賃金は日本よりも二十分の一以下だ、そういうところと競争しなきゃならないわけですから、安易に賃上げできないという状況で来ているわけですね。その中でまた雇用も絞ってきているものですから、雇用不安もあって、なかなか家計が消費を、かつてのように出ていくということは難しい状況ですけれども、これは回復してくるのに相当時間がかかると思うんですね。徐々に徐々に、経済全体がよくなっていきませんと簡単にいかない。 もう一つ私は重要なことがあると思うのは、実は、人口が高齢化していまして、ますます多くの方々が高齢者、あるいは定年退職してまいりますよね。ことし六十を迎える方は二百二十六万人ですけれども、前後十年ぐらいを見ますと、定年退職される方は千万人ぐらいになってくるわけですね。そのうちの半分以上の方が大都市に住んでおられる。この方々の消費能力というのは非常に大きいんですね。ところが、この方々は、生活を安定し、安心したい、老後に備えたいといったときに、実は物価とか所得の多寡ということよりも、この人たちにちょうどいい多様な生活サービスの選択の余地が少ないんですね。 これは、日本は製造業は非常に頑張ってきましたけれども、生活産業、生活サービスというのはある意味では非常におくれていて、大部分が官製市場と言われるような単一的なものですから、人々の志向がもう非常に多様に、ライフスタイルが多様になっているときに、それでは不十分だ。これが私はある意味では構造的に、今後の高齢成熟社会の消費の力をもっと高めていくためには、そこの供給をもっともっと豊かにする必要があるんじゃないか。 これは何かというと、やはり規制改革なんですね。医療だとか介護だとか、いろいろなところに民間企業の創意工夫がたくさん入る、あるいは外国からの投資もどんどん入って、こんな楽しい生活ができるんですよということを鼓舞していくということが、高齢成熟社会の新しい消費を高めていく根本的な一つの方向になるんじゃないか。ケインズの時代の考え方に我々はとらわれ過ぎていて、勤労者、所得、消費、こうなっていますけれども、勤労していない方の消費というのはもっともっと大きい可能性があるので、ぜひ構造的なシステム改革を考えていただきたいと思います。
○河井委員 どうもありがとうございます。終わります。
○金子委員長 次に、大串博志君。
○大串委員 ありがとうございます。 きょうは公聴会ということで、公述人の方々にはお忙しいところ、それぞれの御経験、御識見を踏まえて、大変貴重かつ示唆に富むお話を聞かせていただきました。本日、私は民主党の立場からいろいろまた聞かせていただくわけでございますけれども、この場をおかりしまして、皆様の御協力に対して御礼を申し上げさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。 本日参加していただきました公述人の皆様方は、本当に、経済、景気、そして今の格差、労働雇用という問題、社会保障等のセーフティーネットという問題に関しての経験者でいらっしゃいますし、そういう中で非常に示唆に富むなと思うこともたくさんあったわけでございます。できるだけ皆様に、時間の許す限り、いろいろ、それぞれにお話を聞かせていただけたらと思うのです。 まず、島田先生にちょっとお尋ねさせていただきたいと思うのですけれども、先ほどお話の中で、なるほどと思いました。格差問題が今言われておりますけれども、何が格差なのか。格差があるのかないのか、どういう点が問題、問題でない、あるいはより深刻に考える必要がある、あるいは少々プライオリティーを落としていい、いろいろな現状認識に基づいた上で格差問題を考えていかなければならない、そのとおりだと思うんですね。 この間、この予算委員会でも、底上げ戦略をつくっていく際の、ニート、フリーター、こういう方々をどう定義していくか、なかなかそこが難しいので、そういう定義に時間を割くよりも、とりあえず目の前の問題に対応するんだということで、定義の問題は時間がかかるので後送りしようというような御意見も政府の方から聞かれましたが、先ほど、格差の実態把握、政府においては非常におくれているんだというお話がありました。それはどのくらいおくれているのか、どのくらい難しいのか、できないものなのかどうか、その辺の実態のところをもう少し敷衍してお聞かせいただければというふうに思います。
○島田公述人 ありがとうございます。 私は、成長こそが格差を縮小していく最大の戦略だと申し上げましたけれども、今般もう長期成長段階に入ってきて、緩やかですが、数年前は失業者は三百万人を超えておったわけですけれども、今は二百二十万人ぐらいですから、明らかに雇用機会がふえてきて、それは長期的に必ず格差を縮小していく結果につながるわけですね。そういうことで、これは基本で踏まえておく必要があると思います。 ただ、もう何度も繰り返し申し上げましたけれども、構造的、制度的、あるいはその他の条件で、経済機会に恵まれない人たちというのがどうしても出てくるんですね。セーフティーネットとして生活保護を受けておられる方が百七十万人ほどおられますけれども、それの実態をどう把握するかということで、実態把握はできるのかできないのか。私はできると思います。 労働力調査というのを毎月やっているわけですね。これが一番、我々は基本に使う調査ですけれども、数万件の世帯に順繰りに、いろいろローテーションしてサンプルをとっているわけですが、これに質問を、生活状況に関する質問あるいは雇用保険の受給状態に関する質問、二問ぐらい入れていただければ、いろいろなものがつながって見えてくるんですね。それから就業構造基本調査とか、一番ベーシックなのは国勢調査がありますけれども、これはインターバルが長いものですから、やはり機動的な調査に質問を工夫するといろいろなことの実態がわかるので、ぜひそれはやっていただきたいと思うのです。 それで、フリーターの定義がどうのこうのというのは余り生産的な議論じゃないんですけれども、しかし、かなりはっきりしていることは、バブル崩壊、デフレの中で、就職氷河期という時期があったわけです。十年ぐらい、とても若い人が苦労した時期がありました。このときに、雇用できなくてこぼれた人たちがいらっしゃるわけですね。フリーターと言われている人の中には管理が嫌だという人もいまして、それは相当数いるんでしょうけれども。いい雇用の機会につこうと思ったけれども、こぼれてどうしてもつけない。つけないまま、日本の雇用制度の、労働市場の状況の中ですと、ずっとこの人たちは恵まれないですね。 私は昔アメリカにいたときに、大不況のときに労働市場に出た人たちのコーホート分析というのをやりましたけれども、アメリカのような市場ですら一生不利になるんですよね。ですから、日本のような労働市場だともっと不利になると思いますので、どんな状況なのか、どういうふうにしたら再雇用できるのかというあたりは、しっかり一回研究する、これは不可能じゃないと思います。サンプリング調査でもいろいろなことができますから、ぜひおやりになって。 それから、氷河期にたまたま、たまたまというか運よく就職できた人は数が少ないんですね。成長が始まったものですから、今度はこの方々は、残業が延びるわ、サービス残業だとすり切れています。このままだと、貴重な労働力、家庭生活もまともに営めないような人が出てきていますから、この辺もしっかり調査しておいた方がいいのですね。 そういう、やはり対象をしっかり確認した上で最も有効な戦略を組むというのは、これは一カ月や二カ月じゃ出てこないと思いますけれども、労働力がどんどん減っていくという非常に大きな歴史的な展望にあるわけですから、もう宝ですから、やはり多少時間がかかっても、短期、中期、長期の戦略でしっかりやることが可能だと思います。よろしくお願いしたいと思います。
○大串委員 いま一問、島田先生にお尋ねしたいんですが、トリクルダウンセオリーですね、成長が格差の問題も含めて解決するということ。私も、二十年近く以前に役所に勤めていたときに、国際金融の世界で、IMFや世銀、先進国経済、途上国経済、いろいろ自分でも現地にも入り、見てきました。そういう中で、トリクルダウンセオリーというのはよく言われているセオリーですけれども、開発途上国、開発経済においては非常に聞かれる定義なんですね。 御案内のように、スティグリッツによると、アジアは、開発の段階はもう終わりつつある、アジアの奇跡は終わったんだということですけれども、開発経済、典型的には潜在成長力が六%、七%という経済が伸びていくとき、そういうところではトリクルダウンセオリーというのは非常にやはりきくと思うんです。六%、七%経済、十年で二倍ですから、所得倍増ですから、そういう経済であれば、その経済構造の中で波に乗った人、乗れなかった人も含めて、全体の底上げが果たされていくということは十分あり得る話だと思うんですが、日本の現在の状況、潜在成長率、一%、一%少しあるでしょうか、ないでしょうか。そういう中で、経済成長が進んでいくことによって、本当に、今おっしゃったような格差の問題も含めて、それだけで解決されていくのかという点において、私は疑問があるんですね。その辺に関してはいかがでしょうか。
○島田公述人 やや繰り返しになるかと思いますけれども、数年前の日本経済の状況と今日を比べますと、失業者数も減りましたし、さまざまな雇用も明らかにふえているわけですね。それは、やがて所得の面でも格差の縮小という方向へ向かうと思うのです。現状はややタイムラグがありますから、ジニ係数で各世代別に調べると、やや格差が拡大するというようなことが見られる。世代別の中では縮小しているんですけれども、全体でちょっと広がっているというようなことが見えたりしますが、タイムラグの問題だと思いますね。そういうことが一つあるのです。 繰り返しになって恐縮ですが、そういう仕組みの中からこぼれ落ちる人がいるわけですね。さっき申し上げたフリーターの方もそうですし、ニートと言われている人の一部もそうでしょうし、生活保護世帯の中で、一生懸命働こうとするんだけれども、働くと生活保護支給がカットされちゃうという状況があるので、いわゆるインセンティブトラップに落ちている人とか、さまざまな人がいるわけですよね。あるいは中途退学者とか、そういう人たちは、やはり近代社会は救わなきゃいかぬ。 それを一番救えるにはどういう仕掛けがいいのかということなんですけれども、例えば、職業安定所がいろいろ支援をなさっていますけれども、実は企業が一番欲しいのはこういう情報なんですね、人々を雇うときには、あの人は本当はできるのかできないのかというような情報が一番欲しい。それは、公的な職業紹介機関では絶対出せない情報です。しかし、民間の職業紹介サービスはやっているんですね。 そういうような工夫一つとっても、では、雇い主ができると思うような訓練とか支援をどういうふうにしたらいいかという戦略が組めるはずなんですね。そういうきめの細かい民間のサービスがもっともっと盛んになるような仕掛けというのは政府としてはつくれるはずですから、やはり機会に恵まれない一部の方々が安心して暮らせる社会をつくらなきゃいけないと思うので、これは可能ですから、頑張っていただきたいと思います。
○大串委員 ありがとうございます。 恐らく、島田先生の御発言の中、繰り返しになるとおっしゃいましたけれども、成長は一つの格差をなくす源泉である、それは私も否定しません。パイが大きくなっていかないと分け与えるパイがないわけですから、それは否定しない。その中で、政府の役割というのが残るということであろうと思うんですね。 逢見公述人にもお尋ねしたいんですけれども、逢見公述人は、去年のこの場でも、格差の問題に関していろいろお話を聞かせていただきました。少しずつコンテクスト、状況は変わってきているとは思いますけれども、二年続けてこの格差の問題をここで聞かせていただいている、あるいは議論しなければならない状況にあるということ自体も、私は深刻だなというふうに思うわけでございます。 現在、格差があるかどうかという入り口の議論ですら、去年もありましたし、ことしのこの国会でも、格差があるのかどうか、格差を認めるのかどうかというような言葉の議論、まだ残っております。逢見公述人の方からは、先ほど御意見の中で、格差の拡大について、幾つか例示を含めて、格差はまだ依然として広がっている、あるいは存在し広がっているんだというお話がありましたけれども、この辺について、格差は今現状どうなっているのか、存在して広がっているのか、広がっているとするとどういうふうな深刻さを持っているのか、この辺について、いま一度になりますけれども、例示を踏まえてお聞かせいただければというふうに思います。 それから、格差というものを考える際に、恐らく、経済が伸びていって、経済の波に乗っている人はどんどん成長していく、これは私は、経済の活力という意味において、あっていいことだと思うし、あるべきだと思うのですね。でも、その格差がどういう意味の格差なのか。つまり、上の人も伸びているし下の人も伸びているけれども、その差が開いているので格差というのか。この場合だったらまだ深刻さは少ないんだと思うのです。逆にといいますか、そうではなくて、上の人は伸びているけれども下の人は逆に下がっていっている、こういうふうな状況で格差が広がっているんだったら、これは非常に深刻さが大きいんじゃないかと思うのです。 その辺も含めて、現在見られている中で、格差というのはどういう状況、動きになっているのか、お聞かせいただければというふうに思います。
○逢見公述人 お答えいたします。 格差が拡大しているということについて、私のお配りした資料の中にも幾つかのデータを載せておりますが、私が特に問題だと思っているのは低所得者がふえているということでありまして、そこが安定していて上位の人がふえているということであれば、そのこと自体は特に問題ではないと思いますが、低所得者がふえている。そうしたところについては、やはり政策的に積極的な支援策を打たなければいけないと思います。 特に、就労、働きたくても働けないという人たちがいます。これは失業者ですが、そのうち長期の失業者が全体で三分の一いる。全体として失業率は低下しているかもしれませんが、長期の失業者に対しては何らかの手を打つ必要があると思いますし、それから、子育て世代の女性。特に、シングルマザーという方たちは、職場に行って仕事をするということがなかなかできない、在宅で就労しなければ子育てができないという方たちがいます。そうした人たちはなかなか労働市場へのアクセスができないわけですから、そういうところへの政策的な支援が必要だと思いますし、それから、ニート。これは、学校にも行かず、働いてもいないという……
○金子委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○金子委員長 速記を起こしてください。 芝公述人は、今、救急車で国会を離れられたようでありますが、大変お気の毒なことであります。委員長として一刻も早く御回復をお祈りいたします。 それでは、再開させていただきます。大串さん、あなたの質問から始めてください。
○大串委員 私からも、芝公述人の御無事それから御快癒をお祈り申し上げながら、質疑を再開させていただきます。 逢見公述人にお尋ねしておりましたのは、格差という問題が広がっているのかどうか。去年もこれは議論させていただきましたけれども、広がっているのかどうか。そして、格差という問題が、上のみならず、社会の中でなかなか苦しい立場にいらっしゃる方の格差の方が非常に重く、深刻化しているんじゃないか、そういう点からの御評価をお聞かせくださいということでございましたので、よろしくお願いいたします。
○逢見公述人 お答えいたします。 格差につきましては、上の層がふえていることによって格差が広がるということ自体は、そのこと自体は問題にすべきではないと思いますが、今問題になっているのは、先ほど私が資料でもお示ししましたように、低所得の人たちがふえているということであります。これについてはやはり政策的な支援が必要である。特に、長期の失業者、あるいは労働市場へのアクセスが困難なニート、あるいは母子家庭、シングルマザー、こうした人たちに対してはきちんとした政策的対応をすべきであるというふうに思います。 そしてもう一つ。ただ、富裕層といいますか、上位の人たちがふえるということが、結果として中間層を薄くしていくということになってはいけないというふうに思います。やはり日本の社会の強み、安定というのは、中間層がしっかりと社会を支えている、経済を支えているということにあると思いますので、それが薄くなって両極になってしまう、富裕層と貧困層の両極になってしまうということは、社会のあるべき姿として好ましくないと思います。 もう一つ、私は昨年のこの場でも格差ということの重要性について申し上げたということは、大串委員からも質問がございましたとおりでございますが、そのときの政府の認識としては、昨年一月の月例経済報告に関する関係閣僚会議という中で、「格差拡大の論拠として、所得・消費の格差、賃金格差等が主張されるものの、統計データからは確認できない。」「中流意識は未だ根強いなど、個人の生活実感においても格差が拡大しているという意識変化は確認されない。」「ただし、ニート、フリーター等若年層の就業・生活形態の変化には、将来の格差拡大要因を内包していることには注意が必要。」という認識でありました。 私は、この認識は違っているということを昨年発言したわけですが、一年たってその思いはますます強くなっております。所得、消費の格差、賃金格差は、この一年間でさらに拡大しております。そして、国民の意識の中にも、格差が拡大しているという国民の意識は強まっていると思いますし、きょうはお持ちしておりませんが、そうしたデータもございます。 政府が、やはりこうした格差についての認識を、きちんと正面から格差問題を見据えるということが必要だと思います。そうでなければ、ニート、フリーター対策が必要だという部分の、これが小手先の対策なのか、あるいは格差問題を正面から見据えた対策なのかによって対応が違ってくると思いますので、そうしたきちんと正面から問題を見据えた対策を望みたいと思います。
○大串委員 ありがとうございます。 今御発言いただいた中で、私も全くそのとおりだなと思うのが、格差が拡大しているかどうかといういろいろな統計数字、これも重要なのでございますけれども、国民の皆さんの意識というのが非常に大切なんだろうというふうに思います。 格差が拡大してきたということが世上でも非常に話題になり、それがこれだけ国会でも取り上げられるということは、格差は拡大していると認識されている人が極めて多くなってきていることの証左だろうと思いますし、先ほどおっしゃいましたように、いろいろな統計調査でも、国民の皆さんの意識の中で、格差が拡大してきて、これが問題になってきているんだというふうな意識がふえてきているんだと思います。 そういう中で、格差に対する対応策として、先ほどと同じ質問をちょっとお尋ねしたいと思うんですけれども、経済成長を非常に中心に据えて、経済成長というものを一番の大きな柱として、これで格差は縮小していくんだという政策態度であると、国民の皆さんの方から見て、本当に、先ほどおっしゃいました、弱い方々がふえている、低所得者の方々がふえている、あるいは就労の機会のない方々がふえている、こういう非常に弱い立場にいらっしゃる方々のところまで心にしみる形で、ああ、政府は本当に格差対策をやってくれるんだなという意識の改善には至らないんじゃないかと思うんですね。 ですから、成長重視、成長を一番の大きな格差対策の柱として据えることの是非について、逢見公述人の御意見をお聞かせ願えればと思います。
○逢見公述人 私は、現在の成長戦略はトリクルダウン理論に基づいていると考えられますが、実際には、先ほど申し上げましたように、分配構造が大きくゆがんでおり、こうした理論どおりに実態は動いていないということだと思います。市場に任せるだけで適切な分配はできないと思います。政府がきちんと配分のゆがみを是正するというメッセージを発信する必要があると思います。 私の提示しました資料の一で、株主配当と役員賞与・給与が伸びているのに対して、一人当たり人件費がふえていない。企業の付加価値生産性は上がっているにもかかわらず、こういうことになっているという中に、株主主権主義への思想の変化というものがあるのではないか。 これはロナルド・ドーア先生、ロンドン大学の名誉教授ですが、その先生が、静かなる株主革命が日本で起こっているのではないかということを言われておりますが、もしこれがそうした、会社は株主のものであって、付加価値はまず株主に最大限配当することが経営者の役割であるというふうに思想が変わったとしたら、人件費に向ける付加価値というのは少なくなってしまうわけであります。これまでの日本企業の経営者の行動はそうではなかったはずでありまして、このグラフによっても、九〇年代後半—二〇〇〇年代初頭までは同じような傾向があったわけです。 したがって、私どもは労働組合の立場として、働く者への付加価値配分ということを公正なものとして求めていきますけれども、株主主権主義に陥るような経営行動になってはならないということもあわせて申し上げておきたいと思います。
○大串委員 今、株主主権主義に陥ってはいけないというお話もありましたけれども、会社はだれのものかという論点も一つございます。 それで、成長期における企業を含めた付加価値の分配の問題もございます。労働者との問題もある。格差を改善していく面において、働き方、雇用、労働、そういう面での対応が非常に重要になってくるんじゃないかと思うのです。ただ、先ほど島田公述人からもありました、世界競争が非常に激しい中で、企業の競争力を維持しながらという論点も一方であるんだと思うのです。そのバランスですね。政府が社会政策、すなわち、格差是正を目指して社会政策を打っていく際に、特に雇用の側面、労働政策の側面でいろいろな政策があり得るんだと思うのです。 いろいろなあり得る政策に関してお話を聞かせていただきたいと思うのですけれども、その際に、企業の競争力という面も考えて、その辺も配慮といいますか視野に置きつつ、労働政策の面で、格差を是正するという側面からどういうことが考え得るのかという点について、御所見をお聞かせ願えればというふうに思います。
○逢見公述人 お答えいたします。 先ほどの公述の中でも述べたことでございますが、この十年で正規雇用から非正規へのシフトということが起こりました。その背景としては、バブル崩壊後のデフレ経済の中で企業がコストダウン政策をとった、そして、グローバル競争の中で、特に近隣のアジア諸国からの追い上げの中で、製造業などは厳しい競争に耐え抜くために徹底的にコストを削減せざるを得なかった。それが人件費にも及んできたということだろうと思います。 それが正社員を削減し非正規をふやすということになったわけですが、しかし、人件費を削減することが目的でそうした行動が起こっている、このことについては、やはり政策的な是正が必要だと思います。多様な働き方を認め合うということは、政策的方向としては必要だと思いますが、しかし、それが格差の拡大になってしまってはいけない。 そういった意味では、均等政策、均等待遇原則ということをきちんと入れるべきだと思います。今回の国会ではパート労働法の改正が提案されておりますが、提案されている内容だけではまだ不十分だと思いますし、新たに提案される労働契約法の総則に、均等待遇原則ということが明記されなければいけないと思います。 もう一つは、最低賃金の引き上げであります。 現在、日本の最低賃金は全国平均で六百七十三円ですが、これで、フルタイム、週四十時間で年間五十二週働いたとしても、百五十万円にも満たない金額であります。これではとても暮らしていけるという数字ではないと思います。これを、アメリカ、イギリス、フランスのデータを私の資料に載せておりましたけれども、それに近づけるような努力をすべきだと思います。連合は、だれでも千円ということを言っておりますが、国際水準からいえば、最低賃金千円というのが一つの目安になると思います。そうした底上げが必要だと思っております。
○大串委員 ありがとうございます。 格差の問題に対応していくためには、やはりまず、逢見公述人もおっしゃったように、格差の問題は、少なくとも国民の意識の中、それからいろいろな統計数字を含めて、存在するんだということを真正面から政府が受けとめて見据えていく必要があると思うんですね。その上で、いろいろな施策、成長を促進するというのも一つの重要な施策だと思います。 それに加えてセーフティーネット、今おっしゃった、社会保障も含めたいろいろなセーフティーネットを、弱い方々を支えるという意味においてしっかりやっていくという点が一つあろうと思います。 他方、グローバル経済の中で非常に競争が激しくなっていく、賃金に下方圧力がかかっていく。これに対応するために、島田先生がおっしゃったような、いろいろな雇用の質と申しますか、先ほどおっしゃったそういう点についても改善を図っていく。その辺では、人材育成、教育、それからあと労働市場のあり方みたいなものも考えていかなきゃいかぬと思います。 あとは、先ほどおっしゃった政府の規制改革等をきちっと行って、サービス産業、やはり付加価値の、これだけいわゆるユニット・レーバー・コストの高い経済になってきておりますので、それで就労がなされるような、サービス産業を含めた産業構造というものをつくっていけるような日本になっていかなければならないというふうに思うんですね。 そういう面の、いろいろ複合的な対応が必要なんだろうと思いますけれども、いずれにしても、格差の問題を真正面に据えて国民の意識にこたえていくということが私は非常に大切なんだろうと思います。 最後に、一点だけ、湯元公述人にお尋ねしたいんですが、今回の新成長経済戦略、この中にも触れていらっしゃいますけれども、二〇一一年、三・九%という名目経済成長の目標がどのくらい確実に行われるのか。それから、そこに向けた歳出削減の工程表がありますけれども、それがどのくらい達成可能なものか、難しいものなのか、その辺に関する評価を、済みません、短時間ではございますが、お聞かせいただければと思います。
○湯元公述人 名目経済成長率三・九%というのは、現時点ではかなり遠い目標ということかと思いますが、向こう五年間の期間があるということを考えますと、もちろん、努力をして実現不可能な目標ではないと私は思っております。 特に、名目、デフレーター、物価のところが上がりにくい構造になっておりますので、これは賃金の上昇率が鈍いというところが最大のファクターになっております。ここが大きく変わっていく経済を目指していく。 これは結果的には、今まで問題になっております格差の問題というものの是正にもつながっていくわけでありまして、企業はやはり、これまでの三つの過剰を解消するプロセスの中で、どうしても非正規雇用というものをふやして、それでトータルの人件費を抑制してきた。このプロセスはほぼ終了に近づいていると思います。これからは、むしろどんどん賃金を払って、人材にお金を投資していく。この優先順位がまだ下の方ですが、優先順位をどんどん上の方に上げていかないと、そうでない企業は生き残れない時代がこれからやってきたんじゃないかというふうに思っておりますので、これは政策面でのサポートもさることながら、企業自身の、経営者自身の考え方がこれから百八十度がらっと変わっていく可能性があると私は思います。そういう展望になれば、この見通しは達成できる可能性があると思っております。 それから、歳出削減の方は、初年度でとりあえず骨太方針の決定に沿う削減ができている。引き続きこのペースで削減をしていけば一応目標は達成できるということですが、先ほども申しましたとおり、二〇一一年度以降の問題というのが、どういうふうに解決していくのかという具体的な処方せんはまだ見えていない段階でありますから、歳出削減につきましても、特に、一番膨張しますのは社会保障費でございますから、これをどうやっていくのか。歳出削減だけでは到底無理だと思いますので、消費税の引き上げ等財源確保の手段とあわせて一体的に改革していく、こういうことを早い段階で議論をしていただくというのが非常に大切だと思っております。
○大串委員 どうもありがとうございました。
○金子委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。きょうは、公述人の皆様方、大変御苦労さまです。 私は、最初に逢見公述人にお伺いしたいのですが、先ほどから議論されております貧困と格差の拡大、そして二〇〇七年度の政府予算の問題、そのかかわりでありますけれども、ワーキングプアが少なくとも四百万世帯になっていると言われています。ところが、今回の予算というのは、定率減税の廃止、そして雇用対策費の半減、国民の暮らしを圧迫する、格差と貧困を一層拡大する予算になっているのではないかと思います。 私たちは、その貧困と格差の広がりの背景に、財界、大企業の雇用破壊、規制緩和、構造改革の名で推進してきた政治、そして、先ほどから逢見公述人も指摘されておりましたが、税や社会保障制度が、所得の再配分機能が全く機能していない、こういう点にあるのではと考えてきましたけれども、改めて、格差と貧困の広がり、ここまで広がった背景について、これまでの御意見も加えて、また新たな逢見公述人の御意見がありましたら伺いたいと思います。
○逢見公述人 OECDのデータによりましても、貧困率、国民の所得の中位数以下で生活している人の割合というのを見ると、これが先進国の中では日本はアメリカに次いで二番目になったというデータが示されております。こういうように、国際的に見ても貧困層がふえているということは明らかになっていると思います。 この背景としては、繰り返しになるかもしれませんが、バブル崩壊後の十年の中で、企業が徹底してコストダウン政策をとってきた、雇用の置きかえがその中で進んできた、しかしながら、その置きかえられた雇用が、きちんとした均等待遇がないまま、より人件費が安いという理由だけでそちらにシフトしてきていることが所得の格差を生んでいると思います。 そしてもう一つは、ニート、フリーター、あるいは就労支援を必要とする母子家庭などにきちんとした手当てがされてこなかった。そのことで、仕事をしたいんだけれども、しかし、どうアクセスしていいかわからない。あるいは、就職氷河期というときに社会に出ざるを得なくなって、そのときに働き口がない、フリーターという仕事を余儀なくされてしまったままで、それから何年も経過してしまっている。こうしたところがワーキングプアという層をつくってしまっているわけでありまして、これは本人の責任ではないと思います。 そうした人たちがきちんとした職を得られるためには、職業の能力開発の支援、あるいは職探しのためのマッチングのためのサービス、あるいは職業相談、カウンセリングなどを行うことによって、こうした層を職につける。あるいは、母子家庭について言えば、生活保護にいくのではなくて、就労支援と生活扶助をマッチさせることによって、子育てしながら生活していくということをサポートしていく、そういう仕組みをつくっていく必要があるというふうに思います。
○赤嶺委員 そこで、引き続き逢見公述人に伺いたいのですが、政府は、そういう雇用形態に加えて、ホワイトカラーエグゼンプションの問題を出してきております。先ほどお話が出ました賃金の、最低賃金法の改正の問題もあります。そういう政府の出してきているホワイトカラーエグゼンプションの問題や最賃制の問題についても、逢見公述人の御意見をもう一度聞かせていただきたいと思います。
○逢見公述人 ホワイトカラーエグゼンプションについてのお尋ねがございました。 これは、法案提出にはまだ至らないのではないかと思っておりますが、その間ずっと審議会等で議論されていたことでございます。 これについては、我々連合としましては、現在、不払い残業とか長時間労働が多くの職場で蔓延している、過労死とかメンタルヘルスの不調、そうした労働者がふえている、働き方の二極化が起こっていると思っております。 一つは、パート、派遣といった非典型の人たち、それは低賃金という問題が起こっています。そして、フルタイムで働いている人たちは、長時間労働という問題に直面している。こうした部分にきちんとした手を打たないままホワイトカラーエグゼンプションを導入すれば、まさにワーク・ライフ・バランスの欠如した働き方のルールになってしまうのではないか、こういうことを主張してまいりましたけれども、国民の声、国民世論というのも私ども連合の主張に味方してくれたのではないかと思っております。 そして、最低賃金については、これも今国会で最低賃金法の改正案が上程されると聞いておりますが、働くということと生活するということがきちんとマッチできる最低賃金にしていかなければなりません。そういう意味では、生活保護水準を考慮する法改正ではありますが、では実際に幾ら上がるのかということを考えますと、この法改正だけで大きな期待をすることはまだできないというふうに思っております。これは政府の底上げ戦略の中にもテーマとして入っておりますが、中小企業へのいろいろな政策支援も含めて、最低賃金を底上げしていくという国民的な合意を、政府がイニシアチブをとってつくっていく必要があるというふうに思います。
○赤嶺委員 それでは、最後に島田先生にお伺いいたしますが、実は私、沖縄県の出身でありまして、沖縄の米軍基地問題にも島田先生が深くかかわっていらしたこと、島田懇事業で一千億円、基地所在市町村への負担軽減ということで、いろいろ予算を使われてきたことを熟知している立場であります。 今度の国会に、米軍再編推進、つまり、米軍基地を受け入れる度合いに応じて出来高払いで振興策の予算をつける、グアムへの基地建設の予算をつける。これ自身は、いわば沖縄を基地経済にいよいよ縛りつけて、海外の軍事基地に国民の血税を使うという無駄遣いじゃないか、沖縄の基地問題はこれでは解決しないんじゃないかと思いますが、島田先生はいかがお考えでしょうか。
○島田公述人 この問題は十分な時間をとって議論をさせていただいた方がいい問題だと思いますが、時間が限られておりますので、一言、私がぜひ先生方に御留意いただきたいなと思う点を申し上げたいのです。 それは、やはり沖縄というところの日本全体の中に占める重要性なんですね。歴史的に見ても沖縄というのは大変文化の高い、三山の歴史というような、室町時代から栄えたところなんですが、歴史の経緯で日本の一部になったということで、しかし、太平洋戦争のときに大変な思いをしておられますので、やはり沖縄の人々の心というのを日本の政治をなさる方はしっかりと踏まえて議論をする。恐らく、解決策はいろいろな具体的な形があると思うのです。しかし、何よりも重要なことは、沖縄の人たちと十分語り合って、十分心を尊重していくということが重要だなと思います。 今般の米軍再編というのは、アメリカが世界的規模で展開しようとしていることで、技術的にも戦略的にもいろいろな課題があるわけですけれども、あらゆる問題を議論する上で、やはり基地を支える沖縄の人たちの心が、信頼がなければ、これは成り立たない。防衛というのは、軍艦も鉄砲も大砲もみんな必要なんですけれども、最も必要なのは国民の支持なんですね。ですから、そこだけ、今は時間がないので、それを十分踏まえて、尊重する形で、誠意を持って、しかし余り長い時間もかけられないんですけれども、密度高く議論していかれるということが必要じゃないか。 大変短いお答えですけれども、私の気持ちです。
○赤嶺委員 どうもありがとうございました。 これで終わります。
○金子委員長 次に、阿部知子君。
○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。 三人の公述人の皆様に、できれば一問ずつ質疑をさせていただきます。 冒頭、島田公述人にお願いいたします。 きょうお話しいただきましたいろいろなこと、本当に参考になりまして、特に、公述人が視点として持っておられます人口の動態と今後の日本の社会モデルのような部分は、非常に視点としても重要と思っております。特に、公述人がお話しのように、今、都市に一極集中ということでずっと戦後の日本があった中、もう一度各地方でも暮らせるようにという視点は本当に今後を切り開く視点と、私もそこは共感するものなのでございますが、公述人に本日お伺いしたいのは、そういう視点に立ったときに、私はもともと医者であるということもあるのですが、地方で暮らす場合の最も不安要因となりますのは、特に御高齢期を地方に戻るとなった場合は、やはり医療問題が大きいと思うのです。 先ほどの公述人のお話を聞いておりましても、では、第三次産業部門、特に医療部門で、今後日本がある意味でイノベーションを重ねたり、あるいは場合によっては混合診療等々でサービスメニューをふやしていけば、果たしてそうしたニーズに合うのかどうかということにおいて、恐らくちょっと、私と公述人とは、意見を異にするのだと思います。 どういうことかというと、今、地方が疲弊しておると言われる中でも、特に、地域で出産ができない、あるいは救急、倒れたときに行く場所がない等々の、いわば基本的な生存を支えるための、共通資本としての医療と言ったらいいんでしょうか、地域で不可欠な分野がもう手だてできなくなってきておる、上乗せ部分がどうかよりも、下がもうもたないというところにまで来ていると思います。 ちなみに、私、先週、日本医療政策機構というところの医療サミットというのに出たのですが、そこでもイノベーションのお話は出ておったのですが、でも、医療政策機構の調査でも、年収が八百万円以上の比較的富裕層の方でも、三四%が、重い病気にかかったらお金が払えないんじゃないかという不安を持っておるという時代になっております。 では、サービス提供もない、お金も不安だとなったら、とても、例えばこの近辺ですと、芝さんも慶応病院に運んでいただきましたけれども、そういうこともあるかと思いますが、本当に地方に暮らしたい人は多いと思うんです。でも暮らせないという不安がある部分について、どのようにお考えであるか、一点目、お願いします。
○島田公述人 阿部先生、医療機構のときは大変ありがとうございました。 この問題は非常に大きな問題で、総合的に議論をすると大変時間がかかるものですから、今、地域との関係でおっしゃった点に絞って私の感想を申し上げさせていただきたいのですけれども、確かにおっしゃるとおりで、医療のサービスあるいは医療の人材、機関は、大都市集中がどんどん進んでいるわけですね。地域は非常に薄くなっています。先生がおっしゃられますように、確かに日常の医療サービスも欠け始めている、それから、救急も産婦人科も高度医療も、地域は本当に少ないのですね。そういう状況の中でどうするか。 高齢成熟社会で、地域に健康の、自然条件がありますよということを申し上げたのですけれども、自然条件だけでは人々は安心できませんから、住宅とか生活サービス、その中で医療は大変重要ですね。予算が限られて、お医者様から見れば、地域だとお客さんが余り来ないので、みんなやはり大都会へ行ってしまうという状況の中から、どうしたらいいのかということを考えますと、一つは、その中でもやや無駄が行われているんですね。 公立病院がたくさんありますけれども、公立病院の持っている資源というのは十分に住民のために活用されていない面があって、病院管理の問題ですけれども、管理システムがまだまだ不十分。本当は、各県に公立病院というのは十も二十もあるんですが、これがいい形で連携をして、情報共有してサービスをしてくださいますと、かなり今までより何割もいいサービスが実は提供できるんですね。そして、車で運べば十五分、二十分でそういうところへ行けるというようなことですから、徹底的にこれをまずやる。 しかし、それをやったら足りるかといっても、先生まさにおっしゃられるように、足りないところはたくさんございます。 今どうして産婦人科が減っていくのか、小児科が減っていくのか。お医者さんとしては、そういうのはやっていられないわけですよね。ですから、そこはやはり診療報酬体系を見直す、あるいは、これはセーフティーネットですから、特別にきっちり予算をつける。予算にも正しい予算のつけ方というのがあるんだと思うんですね。よく議論されてそこをつけるという形で、地域に安心して暮らせるネットワークがある。 ただ、地域でこういう議論があるんですね。我が県で全部総合的に機能を持たなきゃいけない、高度医療までなきゃいけないんだという議論がとかく出てきがちで、私は、それはちょっと違うんじゃないか。 本当の高度医療は、今、地域にはたくさん空港があるわけですから、空港ネットワークですぐ、全国的に、集中的な高度医療ができるところへ運ぶというのは一時間以内でできるところが多いわけですね。昨今では、本当の高度医療になるとバンコクに行ったりドバイに行ったりするという人が出てくるくらいなので、グローバルになっている。 まして、こんな狭い日本列島ですから、うんとお金のかかる高度医療は十分にお客さんが来る幾つかの拠点でやる、地域はベーシックなものを整える、そして公立病院は無駄を排除して連携するというようなことをやりますと、非常に限られた資源の中で、ある程度地域でも安心できるインフラがつくれるんじゃないか。先生、ひとつよろしくお願いいたします。
○阿部(知)委員 そのベーシックなものにお金がかかるんですね、救急、小児、産婦人科。ここはもうぜひ、先生もいろいろなところに影響力のある方でいらっしゃいますので、めり張りをつけてきちんとやっていただければありがたいです。 あと、逢見公述人にお願いいたします。 きょうも、また昨年も、大変御苦労さまです。そして、格差問題は去年も論じられ、ことしも論じられ、さらにきょうの御発表でも深刻であると。私も本当に思いを一にいたしますが、特に、働く部分、労働といいますか、逆に返せば雇用の部分で深刻と思いますが、とりわけて、やはり期限の定めのある雇用、有期雇用と言われている分野が極めて勤労者を不安定にしている、そして、その方たちは社会保障も持たないという形になっております。 EUの諸国では逆に、有期雇用にしていいものをかなり限定して絞り込んで定めて、日本のように何から何まで有期雇用、派遣でも、先ほどの例にもありましたが、約十年近く派遣のような形態はとっておらないと思うのです。この有期雇用における限定列挙方式というんでしょうか、これは連合ではどうお考えでしょうか。
○逢見公述人 お答えいたします。 有期雇用については、今回の労働契約法の議論の中でも、きちんとした条文をつくるべきではないかということを連合として申し上げてきましたけれども、残念ながら、そういうものにはなっておりません。期間一年が三年になっているわけですが、しかし、契約の更新ということについてのルール、これは大臣告示のような形でのものはありますけれども、条文にはなっていないということがあると思います。そういう意味で、連合としても、有期雇用についてのワークルールをきちんと定めるという必要があると思います。 その場合に、期間の定めを置くこと自体は、そうした雇用形態があってもこれは構わないと思いますが、しかし、その人たちが理由もなく解雇される、あるいはきちんとした説明もなく更新が拒絶されるということがあってはいけないと思いますし、それから、期間の定めのない雇用に移っていくための権利が保障されるべきであるというふうに思います。 あわせて、社会保険の適用拡大ということについても必要だと思います。特に、今、働く女性の中で、こうした有期、パートで働いている人たちが、年金等の社会保障の適用の外にある人たちがいらっしゃいまして、こういう人たちがきちんとした社会保障のネットの中に入るべきだというふうに思っております。
○阿部(知)委員 ありがとうございます。 申しわけありません、湯元公述人に時間がなくなりました。終わらせていただきます。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、糸川正晃君。
○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。 公述人の皆様におかれましては、大変貴重な御意見を賜りましたこと、まずは御礼を申し上げます。ありがとうございました。 まず、島田先生にお伺いしたいんですが、これは先ほどいただいた資料で、大変興味深く読ませていただきました。 そこで、今、少子化そして高齢化というものが進んでいっているわけでございますが、では、日本の適正な人口というのは一体どのくらいなんだろうか。経済を支えていく税収ですとか社会保障ですとか、いろいろなことを考えた中で、どのくらいの人口というものが日本に必要な人口だというふうにお考えで、そしてまた、地方と都市部に住む割合、これは、当然日本は自由ですからどちらに住まわれても構わないわけですけれども、どういうふうに誘導していって、地方にどのくらいの人が、何割ぐらいの人が住んだらいいのか、こういうのをちょっと先生の所感で構いませんので、お聞かせいただけませんでしょうか。
○島田公述人 適正人口というのは、私は基本的にはないんだろうと思うんですね。なぜかというと、子供を持つ、産む、育てるというのは本人の意思決定ですから、外から適正な人口はこれだということはあり得ないんだろうと思うんです。 そのことをまず申し上げておいた上で、しかし、経済社会がいい形で循環するためには、外の条件との関係でどのぐらいの人口だったらやれるか、こういうことはあるわけですよね。 江戸時代は、振り返ってみると、経済成長がなかったわけですけれども、三千万人なら、要するに三千万石なんですね、あの時代は。みんな米を食べていたか雑穀を食べていたと思いますが、それは養える。それが今は一億二千八百万まで来た。そんなことがどうしてできるんだというと、工業立国で輸出型の産業構造をつくって、世界じゅうから付加価値を集めるという格好にすると、それができたわけですね。ですから、どのぐらいの経済力を我々が持てるかということによって人口というのは決まってくるんだと思いますね。 今、日本の市場が、人口がこれだけ将来減りますと、やはり生産性を向上させてもマクロの市場は大きくはならない、あるいは、場合によると収縮する。しかし、企業というのは成長し続けないと金利が払えませんので、成長し続けなきゃいけない。そうなると、どういうことになるかというと、ほとんど海外からの収益になるんですね。そういう方向へ向かって日本は急速に今産業構造が変わりつつあるので、そういう力を持った経済が養える人口というのはどのぐらいなんだというのは計算はできるわけですね。 もう一つは人口の分布です。人口は多くても少なくても、定常状態で運行している経済だったら余り問題は起きないんですね。人口が減っていくというときに問題が起きる。集中的にどこに起きるかというと、基金でもって運営する仕組みが崩壊していくわけですね。年金もそうですし、医療もそうですし、介護。介護の場合には、特に地方も参加しておりますので、地方の機能が不全に陥りますと、これは機能しなくなります。ということがあるものですから、そういうことを起こさないで、人口は全体として減っていくけれども、経済がいい循環になるにはどうするかということでその論文を書かせていただいたんですね。 これは、日本は計画経済じゃありませんから、強制的にどうこうしろということは言えないんだけれども、高齢社会になれば、皆さん健康ということを考えるだろう。そうなると、さっき阿部先生もお話ありましたが、やはり地方の自然条件のいいところで楽しく暮らせるイメージというのは描けるわけですね。戦後六十年間、実は、仕事が大都市に集まるんだといって若い人がみんな東京に集まった時代がありますけれども、今度はみんながある程度高齢化して、健康な生活をしたいんだということで、自分の選択で健康条件のいいところを選んでいくというような国づくりの大きなグランドピクチャーが描けないのか、私は描くべきだと思うんですね。 選択は個人個人です。これは地方も都会もですね。しかし、そういう方向性があるんだということを、日本が高齢成熟・人口収縮社会の中で立派に繁栄できる方向性はあるんだということは、これはやはり時の政治指導者は声を大にしてずっと叫び続けていただきたい。特に予算なんか要らないんですから、頑張って考え方を言い続けていただきたい。必ず国民はついてくると思います。よろしくお願いいたします。
○糸川委員 ありがとうございます。 適正人口はなかなか政治家には聞けないものですから、予算委員会でも、大臣にどうだというふうに聞くと難しいものですから、経済界ということで、先生にまたお聞かせいただいたわけでございます。 また、実際に人口がどこに分布していくかということ、そして、与党の自民党の総裁でいらっしゃいます安倍総理は、美しい国をつくりたい、「美しい国、日本」をつくりたいということですから、そういう話がどこまでできるのかなというのは、またしっかりと見ていただきたいなと思います。 私の場合、もう余り時間がございませんので、次は各公述人に質問させていただきたいと思うんです。 厚生労働省の国民生活基礎調査によりますと、日本の一世帯当たりの年間所得の中央値というのが四百七十六万円、その半分に当たる二百三十八万円以下の所得で生活されていらっしゃる方というのが、日本には六・五世帯に一世帯ある、こういうような計算になっているというふうに聞いております。 まず、このように非常に所得の少ない、収入が少ない方がしっかりとその家族を支えていかなければならない、こういう現状についてどのように思われていらっしゃるか。そして、これも難しいと思うんですが、日本人が人間らしく生きるために必要な生活費、例えば四人家族の計算でどのくらいかかるというふうに認識をされていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。もしそういうギャップがあれば、どのように変えていかなきゃいけないのかということを考えなきゃならないものですから、ぜひお聞かせいただきたいなと思います。
○島田公述人 今の御質問は相対的なことなんですね。つまり、どのぐらいの生活をしたいか、それに対してどのぐらいの所得があるかということなので、決まった数字というのは言いにくいんだろうと思うんですね。(糸川委員「平均的に、人間らしく生きる」と呼ぶ)人間らしい生き方というのは自分の定義によりますけれども、これは、幾らあっても人間らしくないという人もいるし、本当に数万円でやっていけるじゃないかという説もあるので、私はむしろ、誇りを持って、人間らしくと自分が思えばということが、済みません、こういう変な禅問答みたいになっちゃって。しかし、ちょっと数字は固定的に言えないんじゃないかと思うんですね。ですから、日本の経済発展段階に応じて、先進国の国民としてというと、幾らというのは平均値で出てまいりますが、ちょっとそんな形で、あるべき姿というのはなかなか言えないような気がします。済みません。
○逢見公述人 お答えいたします。 連合として、賃金を要求する際に、最低生計費が幾ら必要かという調査をしております。ただ、これは全国くまなく調査することはできませんので、さいたま市と宮崎県の延岡市というところをとって、そこで実際の生計費調査をしているわけであります。 さいたま市について、四人世帯で年間必要生計費が幾らかということで計算いたしますと、これは四人世帯で中学生と小学生のお子さんがいるというモデルでございますが、そこで三百四十六万七千七百八十四円。これは、税、社会保険料が入っておりませんので、それを入れますと三百九十九万六千円ということになります。 ただ、これは最低生計費でありまして、貯蓄ができるような暮らしをしたいとか、あるいは車を持てるような生活をしたいとかということになると、さらにそれ以上のものが必要ということになります。
○湯元公述人 一世帯当たりの年間収入が非常に低くなっていて、低い世帯がふえているという御指摘、私も細かく分析しているわけではございませんので、正確かどうかというところはありますが、認識としましては、世帯数の中で世帯人員数がかなり減ってきているという影響、それから単身世帯がふえているといった影響もあるかと思いますので、どちらかというと、一人当たりという概念で見た方がより正確なのかなという感じがしております。それでも下がってきている可能性というのはあると思います。 それから、望ましい生活水準レベルというのは、これもちょっと私も、まさに人によって違うと思いますし、それから地域によっても違うと思いますし、時期によっても、物価がデフレの局面のときと物価が上がっているときと違っていると思いますので、一概にこれが適正だと言うことは非常に難しいかなと思っております。恐れ入ります。
○糸川委員 これも、今、政治家にはなかなか聞けないことだったものですから、お答えいただきまして本当にありがとうございました。 どうもありがとうございました。終わります。
○金子委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。 芝公述人は、ちょっとお気の毒なことがありましたけれども、慶応病院に入院されました。御無事といいますか、今治療中のようでございますので、大変御迷惑をかけました。いずれにしましても、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 午後一時から公聴会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 平成十九年度総予算についての公聴会を続行いたします。 この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございます。平成十九年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いをいたします。 御意見を賜る順序といたしましては、まず宮本公述人、次に柳沼公述人、次に小池公述人、次に小田川公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。 それでは、宮本公述人からお願いいたします。
○宮本公述人 関西大学大学院会計研究科の宮本でございます。 このような席で平成十九年度予算案につきまして私見を述べさせていただく機会を得させていただきまして、まことに光栄に存じております。 まず初めに、十九年度予算案に対する私の基本的な考えは、賛成ということでございます。 その理由を述べさせていただく前に、釈迦に説法ではございますけれども、まず日本の財政の現状を検証させていただきたいと思います。予算の各項目に注目することも非常に大事ではございますけれども、最初に予算全体の方向性というものを少し検証させていただきたいと思います。 私の方から、図を資料といたしまして三つほどお手元に配付させていただいております。 まず最初に、累積債務残高のGDP比というものを書かせていただいたグラフがございます。こういう図でございますけれども、これは先進国におきます累積債務残高の対GDP比率でございます。 日本は、御承知のように、先進国におきましては最高の値を示しておりまして、いわゆる先進国の中の平均値といいますか、イタリアは一二〇%を超えてございますけれども、大体はGDPに対して六〇前後、六〇から七〇というところでございますが、日本はその倍以上という非常にたくさんの累積債務を抱えておるというのが一つ日本の現状でございます。これは、皆様よく御存じかと思います。 その次に、少し、こういう第二番目の図をごらんいただきたいと思います。これは、国債残高の税収に対する比率でございまして、明治のデータのあるときから平成の現状までをかいたものでございます。 これは、税収に対してどれだけ累積の債務があるか、国債があるかという数字でございまして、御想像いただけますように、最高の水準は十四倍近くになりました第二次世界大戦終戦前でございます。それが非常に高い。いわゆる戦艦だ飛行機だというものをつくりますために、どんどんと国債を発行した、そういう時期が一番日本の明治以降高かったわけでございますが、実は、最近の数字はそれに迫る、このまま放置しておきますと、これが日本の最悪の状況に並んでしまう、そこまで来ておるわけでございます。 それでは、私たちのいわゆる負担でございます。どんどんどんどんと歳出が膨らんでいますけれども、では、その負担はどうなのかということを、国民負担率、これも皆、先生方御承知のことかと思いますけれども、国民負担率の国際比較をさせていただきますと、日本の国民負担率というのは、赤でかいてございますように、現在三九・七%、いわゆる借金も入れますと四三%ぐらいでございますけれども、これはアメリカに次ぎまして非常に低い数字でございます。 よく言われますように、いわゆる北欧とか社会保障が非常によく行き届いている国というのは、それなりの負担を国民に担っていただいておる、そういう状況でございます。日本は、国民負担率がまだそれほどの水準ではない、しかしながら非常にいわゆる国債が大きくなっておるというのが現状でございます。 そういう現状を私は頭に入れて、それからきょうの意見を述べさせていただきたいと思いますけれども、十九年度の予算案につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的には賛成であるという根拠、大きな根拠を二つ述べさせていただきますと、累積する公債、国債を削減するということが日本の財政の最大の目的の一つでございますけれども、十九年度予算案では、その方向を示す姿勢が明確に示されまして、また、めり張りのきいた予算案にすることができたというのが第一の理由でございます。 第二番目の理由は、国債の発行額を、前年度三十兆円でございましたけれども、十九年度は二十五兆四千億円と、四兆五千億円ほど大幅な額を削減することができた、これが私、十九年度予算案に基本的に賛成する根拠でございます。 さらに、具体的な項目について少しお話をさせていただきますと、少子高齢化などの理由でおのずと出費がかさんでおります社会保障関係費、これを、雇用保険の国庫負担の削減とか生活保護の見直しなどで、総額約二千二百億円の削減をいたしました。 二番目といたしまして、地方財政におきましては、定員の削減、給与構造の改革などで約四千億円、そして単独の投資経費では、約一兆五千億円という巨額の削減が達成されました。 また、国家公務員の人件費に関しましても、約一千九百億円の削減がなされました。公共事業でも、二千五百億円を超えます額が削減できたということでございます。さらに、ODA、防衛費などでも、対前年比である程度の削減がなされた。 以上が、いわゆる歳出の削減ということはかなり達成されたということで、私は十九年度予算はそれなりに評価させていただいている理由でございます。 次に、今度は歳出の方でございますけれども、めり張りのきいた歳出ということが達成されたということでございます。 経済成長を強化するために、まず競争力を強化するという目標を掲げまして、そのために、国際競争力の強化、国家基幹技術の推進、人財立国の推進、攻めの農政、物流インフラの整備などで、約四千億円の予算をめり張りをつけて決定していただいたということでございます。 第二番目といたしまして、自主的に努力する地域を活性化するために、総額約七千五百億円を超える予算をつけたということでございます。 三番目といたしまして、勝ち組と負け組が固定せず、努力する者が報われる社会を構築するために、再チャレンジ支援の予算として約百四十二億円の予算をつけたということを高く評価してございます。 格差の問題について、少し私の私見を述べさせていただきます。 現在、一部の政治家、経済専門家、マスコミなどで議論されております格差問題の大部分、格差問題につきましては、結果格差というものが問題にされているような気がいたします。結果格差をなくそうということは、努力しても努力しなくても結果が同じになるという、ある意味では不公平な社会をつくり出し、個人の努力、社会の活力、成長力をそぐ、そういう心配がございます。 格差社会というものが、いわゆる所得格差というものが問題になりますのは、同じように汗を流し、同じように努力をして、同じような責任を負い、同じような成果を上げたにもかかわらず、所得で非常に大きな格差ができたというときには問題になるわけでございます。 しかし、現在のような所得格差分析では、出てきた結果といいますか、その数値、所得という数字だけしか計測することができません。その数値だけをとらえて格差議論をするというのは、必ずしも正確ではないのではないかというふうな気がいたしております。どれだけの汗を流し、努力をし、責任を負い、成果を上げたかということについては、数字だけを見ますと不問にされている場合が多いわけでございます。 私は、プロ野球が大好きでございまして、阪神タイガースの優勝の経済効果というのを計算したんですけれども、プロ野球では、成果、成績に応じて選手の年俸が異なるというのは、当事者、本人ですね、それからファン、関係者も含めて、当然のこととして受け取っております。プロ野球の全選手が年俸が同じであるというようなことであれば、逆に不公平な社会になるかと思います。 したがいまして、真の格差問題を議論するときには、努力、責任、成果を考慮した数値、そういうもので判断すべきであろうかと思います。努力した者、汗をかいた者、責任を負った者、成果を上げた者が再び復活して、評価される再チャレンジ可能な社会、あきらめない社会、努力した者が報われる社会をつくることが大切かと思います。 以上の理由から、十九年度予算における再チャレンジ支援は大いに評価することができるというふうに考えております。 さらに、制度の見直しといたしまして、特別会計改革、これは、特別会計が三十一会計から十七に削減されること、さらに情報の開示、余剰金の一般会計繰り入れの実現等が示されたことが評価できる理由でございます。 それでは、全然問題がないかといいますと、決してそうではございませんで、やはり平成十九年度予算には課題がございます。 最初に申し上げましたように、日本の累積債務残高は先進国中で最悪でございます。この改善を図っていくことが、日本の将来にとりまして非常に重要なことであるというふうに考えております。 したがいまして、聖域のない歳出削減により一層積極的に取り組むということが大切であろうかと思います。したがいまして、欲を言えば、十九年度予算においても、もう一歩ももう二歩も踏み込んだ歳出削減を実現していただきたかったというふうに考えてございます。 第二番目といたしまして、拡大する傾向にございます社会保障関係費を、国民の理解を得て抑制していくというためには、給付と負担の関係を国民に明示し、現状の中負担・高福祉の状況から、負担に見合った福祉にするような必要性があることを国民に説明して、理解を得ることが大切であろうと考えております。高福祉には高負担が伴います。そのような高福祉・高負担がいいのか、中福祉・中負担がいいのか、社会保障の将来像を明確にして、国民の理解を得るということが大切であろうかと思います。 費用対効果の計測がしにくいような支出項目については、慎重に考えて予算配分をしていただきたいと願っております。効果の乏しい、余りいい言葉ではございませんけれども、いわゆるばらまきと言われるような予算につきましては、極力抑制をしていただきたいと思っております。 三番目の課題でございますけれども、三番目の課題は道路特定財源の見直し、これはまだまだ不十分であるというふうに考えております。国民が本当に必要としているものに予算を投入すべきであり、投資乗数の値が昭和四十年ごろと比べますと非常に小さくなっております現在では、公共投資の景気回復策としての効果も乏しい。したがいまして、道路特定財源についてもさらに一層の見直しを期待したいと思っております。 これが私の十九年度予算に対する課題というふうに考えてございます。 最後に、結論と期待を申し上げます。 累積国債の額が非常に大きくなりますと、デフォルト、いわゆる債務不履行という危険性が高まります。幸い、日本は今のところ、そのように考えておられる方は非常に少ないかもございませんが、過去には、債務不履行に陥りましたアルゼンチン、またそのリスクが高まりましたメキシコ、スウェーデン、カナダ等では、国債への信頼が失われまして、先進国でも金利が一〇%を超えるという異常事態に陥っております。 金利が一〇%を超えますと、民間投資が激減いたしまして、景気が大きく後退いたします。そして、国への信頼が損なわれ、国の経済状態は悲惨な状態になります。そのようなときにはそれぞれの国がどのようなことをしたかと申し上げますと、劇的な歳出削減を行っております。 一つ例を挙げさせていただきます。昨年の春に私はカナダとアメリカへ行かせていただきまして、カナダの方の歳出削減の分析につきまして勉強させていただきましたけれども、カナダは、一九九二年に対前年度比で財政赤字が二一%も増加するという財政破綻の危機に陥りました。このとき、クレティエン政権は、劇的な歳出削減政策、プログラムレビューというものを採用しております。 これはどういうものかと申し上げますと、一九九四年から四年間で、運輸関係の予算が六九%削減されました。四年間で、六九%、ほぼ七割削減された。農業・自然資源関係予算では三五・五%、文化関係予算では二九・四%、産業・科学技術関係予算では二七・八%というように、日本では考えられないような大幅な歳出削減を実行いたしました。その結果、カナダの財政は改善されまして、一九九七年から現在に至るまで十年間、財政黒字を続けてございます。 しかし、このような劇的な歳出削減策というのはやはり劇薬でございまして、痛みを伴います。現在の日本にとってはふさわしいものであるとは思えません。日本は、累積国債の削減のソフトランディングを図っていくべきであろうというふうに考えております。 今の日本は、日本銀行の低金利政策、きょうまたどうなるか、いろいろ議論がなされておりますけれども、日本は今のところ、低金利政策をとってございます。さらに、一千三百兆とか一千四百兆円と言われる民間の金融資産がありますおかげで、国民はいわゆる債務不履行というものについてはほとんど心配をしておりませんけれども、このまま累積国債がどんどんと大きくなり、それを放置いたしますと、そのリスク、危険性が高まってまいります。 累積国債の負担は、私たちではなく私たちの子供や孫が負うことになります。本格的な少子高齢化の時代に向けて、現代の私たちのみが満たされた生活を送るのではなく、私たちの子供や孫が豊かで美しい日本で安心して生活ができるようにするために、今こそ私たちは財政再建を実行し、そして子供や孫に負の遺産を残さないようにすべきであるというふうに考えております。 平成十九年度予算ではそのような方向性が明示され、さらにめり張りのきいた予算配分が行われたので、私は本予算に賛成でございます。 以上で私の意見を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○金子委員長 ありがとうございました。 次に、柳沼公述人にお願いいたします。
○柳沼公述人 ただいま御紹介にあずかりました、夕張青年会議所直前理事長で、夕張にて建設会社を経営しております柳沼と申します。 本日は、このような場で発言させていただけることにとても感謝しております。どうもありがとうございます。 私の住む夕張市が、昨年六月、財政再建団体として国の管理のもとで財政再建を図るということを発表してから八カ月がたちました。夕張市が財政再建入りを表明したときに、夕張市には相当な衝撃が走りました。財政再建団体というものは言葉として聞いていたものの、果たして市民の生活がどれだけ変わるのか、どうなってしまうのかということに対して、市民は非常に不安に思っておりました。 我々青年会議所として、市民が不安に思っている中で何ができるかということを考えたときに、数年前、平成四年に財政再建団体入りをした赤池町の方に夕張に来ていただき、本当に不安に思っている市民に、財政再建団体とはということで講演をしていただきました。しかし、借金の額、町の成り立ち、いろいろなことは違いますけれども、再建した、立ち直ったという観点から、市民は非常に元気を取り戻したものと思っております。 そうした中、昨年は、菅総務大臣や政界の方、いろいろな方の視察を受けて、夕張市の状況が、少しずつではありますけれども、よい方向に向かっているのではないかと思います。 しかしながら、夕張を取り巻く状況は依然厳しく、十八年にわたる再建計画が発表されましたが、果たしてこの計画が十八年間、続行、実行されるのかどうかということを考えたときに、市民としてとても疑問に思う次第でございます。 夕張が再建団体入りになるということで、さまざまなところの支出が削られることになりました。一つは、子供のための文化教育に関するお金、また、医療にかかわる、市立病院の運営、お年寄りの病院に通うバスの補助のお金、いろいろなところで財政の切り詰めが見直されているところでございます。 私、夕張市民として何が一番大変なのかということを考えたときに、公共料金の値上げ、いろいろな補助の打ち切り、これも非常に大変なことではありますが、夕張から市民が一人として流出するということが、非常に目に見えない損失であると考えます。この夕張に見切りをつけて出ていく方は、もう既に相当数おります。夕張から人が出るということは、地域のコミュニティーが本当にこれ以上存続できなくなるという危険があります。 というのは、夕張は、谷底に細長く、要は石炭の出たところに集落ができてきたという経緯もありまして、二十数キロの範囲に集落が点在しているような町でございます。そのため、経済的な集約が難しく、人が一万二千人はおりますが、なかなか町としての成り立ちが難しい町でございます。そういう町の状況ですので、行政コストも当然ほかの町と比べると高くなってしまいます。 今回の再建計画の中で、行政であります市役所のスリム化がかなり厳しい要求の中で実施されることになり、三百数名いた職員が、百五十名余りの退職を控えて、この春からは百五十人体制で市役所の機能を維持するということになりました。市民として、果たしてこの状態でまともな行政サービスが受けられるのかどうかということも、非常に不安に思っております。 このような中ではございますが、暗い話ばかりでもありません。 といいますのは、皆さんも御存じかと思いますが、夕張市で一月に行われた成人祭があります。この成人祭は、私も実行委員としてスタートのときからかかわっていたのですが、皆さんが報道で目にする内容と若干違うということを、この場をおかりして説明させていただきたいと思います。 といいますのは、当初、一万円の予算、六月に財政再建の表明をしてから成人祭の予算も見直されまして、去年の残りの一万円しかないということが市役所の事務方から報告がありました。 その中で、一万円では到底成人式を行うことはできません。実行委員の中で、どうしようと。お金は間違いなくかかる。それでは、かかるお金は我々大人の、要は先輩の役目として少しでもカンパして、募金をして集めようということになり、ただ、新成人が去年と同じような成人祭をしてもらうことができないということで、では、どうすれば納得していただけるかということを考えたときに、実行委員会に新成人も加わってもらおうと。手づくりで成人祭を行うことにすれば、納得のいく、これが本当に納得いくかどうかそのときはわからなかったんですけれども、少しでも理解の得られる成人祭が行えるのではないかということで、新成人に実行委員に加わっていただきました。 それで、十八万円少しのお金が集まって、そのお金で成人祭をすることになったのですが、一部マスコミの報道がありまして、あの報道を見る限りでは、何もしない行政と新たに成人になる若者という形で報道されましたが、決してそういうわけではなく、市役所の職員の方も一生懸命努力されて、成人祭を行おうというスタンスで進められてきました。ただ、報道であの女性が泣いてしまったものですから、結果的にはたくさんの支援が集まることになったんですけれども、形として、本当にありがたい、すばらしい成人祭をとり行うことができました。 ここで一つ考えなくてはいけなかったのが、たくさんのボランティア、支援をいただいて開催された成人祭なのですが、今の夕張の現状と照らし合わせたときに、今の夕張にもたくさんの支援をいただいているところであります。 ただ、夕張市民として一つ心配なのは、報道等で見る本当に厳しい夕張、これが誇張されている部分がありますので、それが実際の夕張と比べたときに、自分のイメージしていた夕張と違ったときに、果たして、その気持ち、夕張を支援しようとした気持ちが、自分の思っていたものと違うと、そのギャップにどういう反応というか、どういうリアクションになるのかということが一つ不安に思っております。それが自分の思っていたものと違ったときに、逆にバッシングにならないかということは、市民の一人としてとても不安に思っております。 つい最近も、除雪のボランティアで、夕張にあります観光施設、これは、市がお金を使えないのでボランティアの方が自主的に立ち上がっていただき、屋根の雪おろし等をやっていただいたことに関しては、とても心より感謝する次第でございます。 このような動きの夕張でございますが、支援に対していろいろな御意見もあるところでございますが、夕張は市民が自主的に再建するべきだという声も聞かれております。ただでさえ疲弊している北海道の経済の中、まして、夕張のような過疎の町が自主的に再建するということは、非常に厳しい道のりであることは容易に想像がつきます。 夕張がこういう状況になったことに対して、ほかに財政の厳しい町はたくさんございます。皆さん口をそろえておっしゃるのは、夕張のようになったら大変だ、夕張みたいにはなりたくない、これは当然のことだと思います。 私たち夕張市民に何ができるかというと、この今大変な夕張、ここから立ち上がる姿を日本全国の皆さんに見ていただき、夕張が再生できたなら自分たちの町も絶対できる、こういう気持ちを持ってもらうことが夕張のできることだと思っています。本当に夕張のような地方の過疎の町が再生できるとしたならば、日本はもっともっと活力を取り戻すことができると思います。 そのためには、いろいろな、私、建設業を営んではいるんですけれども、いたずらに公共投資をしてほしいとは思わないですけれども、やはり公共事業は必要でございます。その中でも、きちんと使うところに使うお金、要らないところには、必要のないところには削減するということを我々も覚悟しております。 その中で、夕張が今後自立して、活力ある地方の町として立ち直ることに対しまして、この場をおかりしまして御支援願う次第でございます。 本日は、どうもありがとうございました。(拍手)
○金子委員長 柳沼公述人、ありがとうございました。 次に、小池公述人にお願いいたします。
○小池公述人 ただいま御紹介いただきました、私、大阪商工会議所の副会頭をしております小池俊二でございます。 きょうは、私からは、中小企業に関する問題について申し上げたいと思います。 第一に、来年度中小企業対策予算の件、それから来年度税制改正の件、政府系金融機関改革についての問題、人材確保支援の問題、経済成長戦略大綱関連三法案の問題、この五点に絞って申し上げたいと思います。 中小企業問題は非常に多岐にわたりますので、予算的な視点から見ても大変問題が多いわけでございますが、きょうはこの五点に絞って申し上げたいと思います。 まず、平成十九年度、来年度中小企業対策予算の件でございますけれども、まず第一に、このような緊縮基調の予算の中で、中小企業対策予算、政府全体で千六百二十五億円、〇・六%、それからまた、経済産業省分で千二百四十五億円、三・四%前年を上回る予算を確保していただいたことをまず感謝申し上げたいと存じます。 課題として、ただ、中小企業予算は、平成十九年度政府予算全体、一般歳出でございますが、このわずか〇・三五%にすぎず、その規模は余りにも小さいと言うほかございません。 中小企業は、企業全体の九九・七%、常用雇用者の七一%を占めるなど、我が国経済において中心的な役割を果たしております。地域経済の再生あるいは日本経済の活性化を図るためには、多様で活力のある中小企業の成長、発展が不可欠であることは御承知のとおりだと思います。この点について政府内でも我々と認識を共有していただいて、今後とも予算額の十分かつ安定的な確保をお願いしたい、こういうふうに思っております。 消費の回復が当面我が国経済の最大の課題でございますけれども、このことは、やはり七一%の雇用を占める中小企業の肩にかかっておりますので、そういう意味で今のようなことを申し上げた次第でございます。 二番目でございますが、来年度、平成十九年度の税制改正の問題でございます。 税制改正については、まず、成果として、資本金一億円以下の中小企業法人の同族法人の留保金課税を撤廃していただいた、これは評価したいところでございます。この問題については、大変長い期間の私どもの要望でもございました。ようやくこれが実現したということでございます。 また、減価償却制度についても、法定耐用年数を全額償却できるようにしていただいたこと、これも、私ども中小企業がこれから攻めの経営に転じようとしているときでございますので、大変必要なことであったというふうに思っている次第でございます。 ここらの問題につきまして、別紙に参考資料としてデータをそれぞれ項目ごとに記載しております。それをまた参考としてごらんいただければというふうに思っております。 課題として、この機会にお願いしたいことは、特に事業承継税制の件でございます。 事業承継については、小規模宅地等の課税の特例だとか取引相場のない株式の相続税評価の減額等につきまして減額措置を講じられましたことでございますが、必ずしもまだ十分ではないというふうに思っております。 中小企業の経営が安定するためには、円滑な事業承継が不可欠でございます。中小企業の事業承継は単に経営者の私的な相続ではなく、スムーズなバトンタッチが阻害されると、従業員あるいは取引先、特に地域社会への重大な影響を及ぼすことになります。ひいては我が国経済の活力がそがれることにもなるわけでございます。 高度成長期に創設された中小企業の多くが、今現在、世代交代を迎えている時期でございます。ぜひとも、財産の相続ではなく、事業の存続という視点、観点に立って制度を抜本的に見直していただきたい。具体的には、事業用資産の相続については、欧米諸国で導入されている減免措置に準じた制度を講じていただきたいというふうに思って、参考資料にも記載しております。 以上が、税制改正の問題でございます。 それから、特に重要なのは政府系金融機関の改革の問題でございます。 中小企業にとっては、命綱は金融でございます。大企業の場合は市場から資金を調達できますけれども、中小企業の場合は銀行の借り入れによって資本を維持している。借り入れが疑似資本的な性格もございます。したがって、生命線は金融でございます。 まず第一に、商工中金について申し上げますと、政府系金融改革について、商工中金については次の点を成果として評価したいと思います。 新体制が、引き続き、中小企業団体とその構成員に対する金融の円滑化を目的とするものであることということが明らかにされております。二番目に、特別準備金が、自己資本の充実等財務内容の健全性の確保に資するものとして設計されていることでございます。三番目に、金融債がこれまでと同様に発行できるような措置がなされていること。四番目に、完全民営化に当たっても、政府が中小企業団体とその構成員に対する金融の根幹が維持されるよう必要な措置を講じる旨規定されていることでございます。 商工中金は、一つの政府施策を実行してくる協同組合を組織して、それからまた、その構成員に対する融資をしてきたわけでございます。そういう意味で、以上の点は私どもとしては高く評価しているわけでございます。 しかし、課題も残っております。一方で中小企業にとって不安な点が二点ございます。この点について要望したいと思っております。 特別準備金が財務内容の健全性の確保に資するものとして設計されたものの、その額については明確に示されておりません。新体制の業務運営等に支障が生じないよう、特別準備金の金額を適切に確保していただきたいというふうに思います。 二番目に、商工中金の株主は政府と中小企業団体とその構成員に限定されていますので、政府が保有株式を放出すると、かわって中小企業団体や中小企業が取得しなければならないわけでございます。これは当然でございますけれども、中小企業団体や中小企業が、大変財政面で苦労もしておりますので、無理なく取得できるよう、政府株式の処分に当たっては、時期や金額について適切に検討していただきたいということでございます。 そのほか細かい問題はございますが、主な点は以上のとおりでございます。 それから、中小企業金融公庫の問題でございます。 中小企業金融公庫は、来年十月に、国民生活金融公庫などとともに株式会社日本政策金融公庫に統合されることが決まっておりますけれども、中小公庫は、民間金融機関では対応困難な長期のリスクマネーを供給してきていただいた実績がございます。中堅・中小企業にとって大変頼りになる金融機関であったことは事実でございます。今後、改革に際して、果たして、今まで中小金融公庫が実施してきた金融措置を地域の民間金融機関が十分引き受けて果たし得るかどうか懸念しているところでございますので、その視点からも十分検討していただきたいというふうに思っている次第でございます。 次に、政府系金融機関全般の問題でございます。 今申し上げた国民公庫、農林公庫、中小公庫及び国際協力銀行を統合して、株式会社日本政策金融公庫が設立されることになっておりますが、中小企業者の資金調達を支援する政策金融機能については、統合によってその必要性が低下しないということを念じている次第でございます。どうか必要な財政基盤をしっかりと行っていただきたい、こう考えているわけでございます。 また、金融危機や災害あるいはテロリズムなど、危機時の対応については、新しい機関は中小企業者にとって、まさに、先ほど申し上げたとおり命綱でもありますし、またセーフティーネットとして大変重要な役割を担っているわけでございます。新機関法で新たに設けられている危機対応スキームにおいて、今回の政策金融改革により対応できなくなった金融を確保したり、これまでどおりのセーフティーネット機能が維持されるよう、危機対応スキームを活用した指定金融機関による中小企業への資金供給が迅速かつ十分行われるようお願いしたい、こう思っているわけでございます。そのために必要な財政措置について御用意いただきたい、こう考えております。 最後に、これは非常に重要な問題でございますけれども、新機関のトップ人事について、いろいろと問題にされますけれども、私どもは、出身が官であれまた民であれ、優秀な人材を登用していただくことは極めて重要なことでありますが、さらに、ここで申し上げたいことは、プロパーの職員の登用も選択肢の一つにして考えていただきたい。それぞれの機関は、長年にわたって、新卒から雇用し、各地区を足で回って現実を見てきて、ピラミッドの形で体制ができておりますので、大変優秀な人材が豊富にございます。この人材を活用していただいて、トップに据えていただく、そのことは、職員の活力、気力を充実させる原因にもなるかというふうに思いますので、特にお願いしたいところでございます。 次に、人材確保支援について申し上げたいと思います。 中小企業の物づくりの人材の育成、確保の観点から、地域の産業界、教育界、行政等が一体になって行う工業高等学校への実践教育を活用した事業をこのたび創設いただいたことを高く評価したいというふうに思っております。 景気は全体的には回復基調に乗っております。中小企業でも新事業展開に向けた採用を強化するところが増加しております。それに加えて、いよいよ二〇〇七年問題を迎え、団塊世代の大量退職が始まることから、その補充要員への需要も高まっております。 大企業に比べると、中小企業における人材確保は極めて難しい状況に直面していると言えます。目の前の仕事をするために、中小企業ではすぐにでも戦力が欲しいというところが大変多いのが現状でございます。長期の視点に立って人材育成をしていくことは大変重要なことでございますけれども、人材確保、このことが今現在最大の課題となっておりますので、何らかの意味でこの支援をしていただくことが必要ではないかというふうに思っております。 若年層の人材確保については、今まで、ジョブカフェや商工会議所などを中心に、職場体験や、あるいは企業に対して採用力を向上する支援を行ってきているわけでございます。若者と中小企業のネットワーク構築事業をいろいろな形で進めてきておりますので、さらにこの充実も御支援いただきたい、こう願っております。 さらに、高齢者が有する経験、技能を活用して、中小・ベンチャー企業の事業展開を支援するため、現在、企業OB人材活用推進事業が展開されております。中小企業の人材不足は一層深刻化すると危惧されております。こうした中、少子高齢化が進む中、高齢者と中小企業の縁結びをする事業を拡大していきたい、また、これについて御協力も願いたいというふうに思っております。 全国ではOB人材の登録が既に六千二百九十七人、昨年の末でございますけれども、成約ができたのが二千三十八件に上っております。大阪商工会議所だけでも既に五百四十人の登録が行われておりますし、また、五十一件の成約ができております。これからOB人材の活用をどう持っていくか、これは、大阪商工会議所ばかりじゃなくて日本商工会議所の課題でもございます。 次に、経済成長戦略大綱関連三法案でございます。この三法案を成立させていただくということは、これから大変重要な課題だというふうに思っております。 まず第一に、中小企業地域資源活用促進法でございます。 成果として申し上げたいのは、全国総合開発計画時代に、国土の均衡ある発展ということを目的に国主導で進められた画一的な地域振興策にかわって、地域固有の経営資源に着目した地域の資源を活用するプログラムを推進しようとする中小企業地域資源活用促進法のねらいというのは、大変時宜を得ているものと私どもは評価しております。地方分権が今後進み、道州制がクローズアップされているように、確かに今、地方が主体的に考え行動する時期を迎えているわけでございますので、こういう法律が非常に大きな役割を果たすものと考えております。 みずから知恵を出して頑張る地方を重点的に支援して、公共事業に頼らない自立した地方経済を構築することは、逼迫した国の財政状況を考えて大変急務だというふうに思っております。また、小さくともきらりと光る多様な産業が全国に点在しております。特に地域は中小企業が輝いているところがたくさんございます。我が国の経済の厚みを増して競争力を強化する上からも不可欠だと考えております。 この法律は、当初、地域資源として産地の技術や農林水産品を想定していたものと考えておりましたけれども、大都市でも使える仕組みになっているということで、当大阪商工会議所でも大変大きな関心を持ってこれに対処しているわけでございます。 この法律では、地域外市場をねらった新商品の開発、事業化を支援するため、都道府県が振興するべき地域資源を指定した基本構想をまとめることによって成り立つわけでございますが、大阪商工会議所は、賑わい創出プランということで、物づくり、それからツーリズム、バイオサイエンス、この三つを重点的に強化していくという運動を既に三年前から展開しておるわけでございます。 そういう意味で、大阪には観光資源がたくさんございますし、また、物づくりの鋳造だとか鍛造だとかメッキだとか、そういう基盤技術産業がたくさんございます。それから、情報家電等の成長有望産業に関連する分野もございますし、バイオ・ライフサイエンスについても大阪は特記すべき実績を持っておりますので、今後、こういうような地域資源を生かして、関西の、大阪の活性化を図っていきたい。ぜひ今回の国会で成立させていただきたい、こう願う次第でございます。 次に、地域産業活性化法の問題でございます。 地域産業活性化法も、さきに述べました中小企業地域資源活用促進法と同様、集積業種や集積地域など、地域の特性や事情に応じた企業立地を通じて活性化を促進するというものでございまして、地域本位の考え方でございますので、大変賛同するところでございます。 企業誘致は地域の雇用や消費などに大きな経済効果が見込めるわけでございます。同法では、工場敷地に義務づけられている緑地面積比率の変更や、新規立地に伴う機械や建物の特別償却など、地域挙げて企業立地に知恵を絞ってくれることになっております。厳しい国際競争にさらされている中小企業にとって非常に歓迎すべき法律だというふうに考えております。 また、やや広域に見た産業政策の面でも、企業の立地環境を整えることの意義は大変大きいわけでございます。関西では、兵庫県尼崎市に松下電器産業株式会社がプラズマディスプレーパネル工場をつくりましたが、これに関連して旭硝子株式会社が大阪の臨海部に工場を建設して、ことしの五月からは量産を開始すると聞いております。もともと企業や産業は独立では存在し得ず、工場誘致を戦略的に行えば理想的な連鎖が見込めるものと考えております。ひいては大都市の産業のあり方を変えていくものと考えるわけでございます。 最後になりましたけれども、産業活力再生特別措置法の一部改正法について一言申し上げたいと思います。 この法律では、中小企業再生支援協議会の活動を九年間延長していただくということを高く評価したいと思います。私も、大阪府中小企業再生支援協議会の会長をして既に三年有余、企業再生に取り組んでおりますが、ようやく本格的な再生が軌道に乗ってきた段階でございます。大企業はほぼ終わったとしても、中小企業はこれからが本番に入るわけでございますし、再生するわけですから、息の長い努力が必要かというふうに思っております。 銀行の不良債権比率は現在平均二・七%、メガバンクは一・五%、これはもうサービサーにぼかっと売って処理も落ちますので、そこまで減っている。しかし、地域銀行は四・四%、それから信金、信組は六・九%。しかし、こういうふうな不良債権でも、将来、やり方一つによってはいつでも再生できるという環境がこの三年間見ていまして十分ございますので、十分な体制の中で腰をおろして再生していく。これは、今後、中小企業の活力を増強する方策でもございますし、雇用を確保していく、既に私ども、この産業再生、要するに企業再生によって七万人以上の雇用を確保しているわけでございます。そういう意味で、今後、こういうふうな特別措置法ができますことを本当に評価したいというふうに思います。 ちょうど時間になりましたので、私の公述を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○金子委員長 ありがとうございました。 次に、小田川公述人にお願いいたします。
○小田川公述人 全国労働組合総連合、全労連の小田川と申します。 労働組合の立場から、二〇〇七年政府予算についての意見を申し上げたいと思います。 昨年十月に実施をされております国民生活に関する世論調査での政府に対する要望では、年金、医療などの社会保障構造改革、高齢社会対策、景気対策、雇用労働対策、こういう順番になっているところは御案内のとおりでございます。同様の傾向は、私どもの組合員を対象といたしますアンケートの調査結果でも示されておりまして、年金改善、医療、介護の充実、庶民増税反対、雇用対策、最低賃金の引き上げ、こういう順で制度政策の要求を持っていることが明らかになっているところであります。 昨年来、ワーキングプアという言葉が一般化をしておりまして、格差と貧困の拡大についての議論が盛んに行われていることにも見られますように、多くの労働者の関心は、社会的な格差の拡大をとめてほしい、若者にまで広がっている貧困化に対策を打ってほしい、これが政府に対する要望だと考えております。 本通常国会に提出をされております政府予算は、今申し上げましたような労働者の要望からすれば、残念ながらこたえるものにはなっていない、こういうふうに言わざるを得ません。 以下、私が、予算案にかかわって労働者の期待にこたえていない、こういうふうに考えている点について申し上げたいと思います。 第一に、歳入とかかわりますけれども、〇七年度の税収見積もりでは、定率減税の全廃もあって、前年比一六・五%増とされております。その際、減価償却制度の見直しや、所得税の定率減税と同時に措置をされております証券優遇税制の継続で、大企業などには一兆円規模の減税効果が及ぶ税制見直しが行われております。 定率減税廃止によって、年収五百万円の四人世帯では、本年六月以降、昨年よりも毎月三千円も増税になってしまう、年収七百万円で同様に四人世帯で試算をいたしますと年間四万円もの増税になる、このように私ども試算をしております。 〇六年、〇七年の定率減税廃止だけで、庶民、労働者の税負担は三兆三千億円もふえておりますが、なぜ史上空前の収益を上げている大企業が減税をされるのか、とても納得できるものではありません。減価償却制度の見直しなどの企業減税は取りやめていただき、所得税、住民税の定率減税の復活を要望したいと思います。 第二に、充実を求める要望の強い雇用対策にかかわりまして、要望に反して、雇用保険の国庫負担一千八百億円の削減などの減額が行われていることであります。 昨年十二月の完全失業者は四・一%、二百四十四万人となっておりまして、一時よりも改善されたとはいえ、なお低くない水準にあります。しかも、地域ごとの格差が大きいことも重要な問題だと私ども考えております。 雇用保険の給付減が負担金削減の理由とされているように思いますけれども、従前は失業給付期間三百日でありましたが、これを百五十日に短縮する、こういう制度改悪の影響もあっての給付減になっていると思います。予算削減ではなくて、失業給付の内容充実を初めとする制度改善を求めたいと思います。 関連をいたしまして、真水の雇用対策費はわずか三百六十八億円程度と思います。例えば、フリーター二十五万人常用化プランの予算も削減をされております。若年層をめぐっては、製造業などでの偽装請負の問題など、間接雇用の問題が大きな社会的問題となっております。 私たちが行っております労働相談には、一年間は派遣労働者、次の三カ月は有期の契約社員、そのまた後は派遣労働者、こういう繰り返しの中で、同じ仕事についているけれども給料が一円も上がらない、こういう相談も寄せられてきております。 脱法的とも言えますこのような行為も含めまして、間接労働を減らし、非正規労働を減らすための対策が緊急に必要だと思いますが、その点での対策はうかがえません。若年層の正規雇用の拡大に取り組む企業への助成金や、地域での雇用創出促進策、偽装請負などの違法行為を是正、指導する体制の強化、こういった点を求めたいと思います。 第三に、労働者の最低賃金の引き上げに向けた財政的な支援策を求めたいと思います。 アメリカの連邦議会では、昨年十一月の中間選挙結果も反映をいたしまして、最低賃金額を現行の五ドル十五セントから七ドル二十五セントに、日本円に換算をいたしますと約二百五十円程度引き上げる連邦最賃法の改正決議の論議が行われておりまして、既に下院を通過し、中小企業支援策などにかかわる修正論議が今上院、下院の間で行われていると承知をしております。 企業の国際競争が激化をしているもとで、先進各国とも格差や貧困の問題が取り上げられてきておりまして、最低賃金の水準引き上げなどの動きが活発化をしていると思います。 ILOが、一昨年、二〇〇五年に世界百一カ国の最低賃金を調査した結果をもとにいたしますと、ヨーロッパなどでは最低賃金の引き上げが続いておりまして、例えば、イギリスでは一九九九年からの七年間で四九%も引き上げている、このことが明らかになっております。二〇〇六年一月時点の為替換算で比較をいたしますと、イギリスより日本は月額換算で約六万円も最低賃金が低い、こういうことが明らかになっているところであります。 現行の日本の最低賃金は全国平均で六百七十三円でありますが、ちなみに最も低い地域最低賃金は沖縄の六百十円でありまして、アメリカの連邦最低賃金の現在の水準と沖縄の最低賃金がほぼ均衡している、こういう状況にあります。アメリカの最賃が引き上げられる、こういうことになりますと、先進国で最も低い、まさに最低の賃金となる、こういうことは確実だと思います。 日本の現行の法定最低賃金の水準は、生活保護基準を下回っております。仮に、生活保護基準を参考に税や社会保険料の平均負担率を考慮いたしますと、時間当たりの単価は千円をわずかに超える地域も生まれる内容となっております。 働く者が置かれているワーキングプアの状況を改善するためには、私どもも、日本の最大のナショナルセンター、連合もこぞって求めておりますが、時給千円を実現する、そのことが絶対に必要だ、このように主張したいと思います。その実現には、下請単価の買いたたきなどを規制して、労働者の人件費確保が中小企業でも図れるように指導と監督を強めることとあわせまして、中小対策費を大幅に引き上げるなど支援策を強めるべきだと思います。 お手元に、最低賃金を千円に引き上げた場合の経済効果についての私どもの試算をお配りさせていただきました。 最低賃金千円への引き上げは、パート労働者の七七・九%、約三百七十四万人、フルタイム労働者の一三・六%、約三百九万人の賃金に影響すると労働力調査などから推計をいたしております。その賃上げ総額は、第一表にありますように、二兆一千八百五十七億円、二〇〇五年に支払われております賃金総額のわずか一%弱、こういう試算になるところであります。低所得者は、賃金の大部分、いわゆる消費性向が七五%程度というふうに言われておりますので、これを消費に回すといたしますと、約一兆三千億余りの消費拡大となります。 これをもとに、産業連関表、第二表にありますけれども、それで試算をいたしますと、経済波及効果、生産誘発効果は二兆六千億円規模となります。最低賃金を引き上げることによって、国内消費が刺激をされ国内の生産も誘発をされる、こういう関係にあるのだと思います。 こういうことも考慮をされまして世界的に最低賃金の引き上げが進んでいる、格差是正の施策として扱われていると考えたいと思います。経済の底上げとは、このような形で国内の富の循環を刺激する施策でも可能ではないか、この点を強く主張させていただきたいと思います。 第四に、少子化対策とかかわりまして、児童手当や育児休業給付金の改善は歓迎したいと思います。しかし、少子化対策は単に経済的支援策だけでできるものではなくて、子育てにかかわるトータルな支出や環境の整備を図ることが必要だと考えます。その点で、産婦人科や小児科のない地域が広がっていることへの対策の不十分さや、生活保護の母子加算の廃止など、社会保障分野での施策の後退は政策的な整合性に疑問すら感ずるところであります。 日本の教育予算が先進国の中でも低いことはOECDの調査からも明らかになっておりますけれども、その分教育への家計負担が高くて、政府統計などから推計をいたしますと、大学に子供を進学させますと国立大学でも年間約百八十万円の費用が必要となる、例えば年収三百万円の世帯ではとても負担しづらい状況にある、こういうことが明らかになっております。この教育条件の整備が行われないことは、親の所得による格差の固定化につながりかねないものでありまして、国による支援策を強く求めたいと思います。 また、私どもの組合員に対する調査では、結婚や出産後も働き続けることが困難、こういうふうに答えている女性の組合員は約三割おりまして、その最大の理由が残業、こういう答えになっております。労働時間の短縮は急務でありまして、その実現のための政府の取り組みや中小企業への支援策も必要だと思います。 なお、労働時間の短縮とかかわりまして、違法なサービス残業が後を絶たない、こういう現状からも、労働基準監督官の要員確保も含めた規制強化策を求めたいと思います。 第五になりますが、公共事業にかかわりまして、国際競争力強化などの名のもとに、三大都市圏環状道路やスーパー港湾整備費などが伸びている一方で、例えば耐震化が急がれております公立学校整備などの暮らし関連の事業が削減をされているように思います。多くの建設労働者の暮らしにかかわる問題といたしましても、大規模開発偏重から生活関連重視の公共事業への転換を求めたいと思います。 最後になりますが、政府の足元で起きている問題について触れさせていただきたいと思います。 各府省のホームページには非常勤職員の雇用情報が載っておりますが、その賃金額は、一般事務について、日額、八時間で七千円から九千円程度とさまざまとなっております。七千円は単純計算いたしますと時給単価八百七十五円、こういうことになります。 私どもの組合員がことし一月に東京都墨田区で調べた民間事業所の時給調査では、平均時給九百八十円でありまして、国の単純計算いたします時給単価八百七十五円を百円以上上回っているという状況になっております。国の非常勤職員の時給が民間の足を引っ張っている、こういうふうに言いたくなる状況であります。 寄せられております労働相談では、国の機関で、社会保険の事業主負担を避ける目的で労働時間を一日六時間未満にする、残業前提の仕事が割り振られている、こういうことが相談として寄せられております。事実を確認し切れているわけではありませんけれども、社会保険に入らないといういわゆる脱法行為を国が先導する、働くルールの整備をおくらせるようなことがあってはならない、こういうふうに思います。 〇五年度に国の機関が採用いたしました非常勤職員は約十三万六千人と聞き及んでおりますが、財政危機が言われる中で、これらの労働者の賃金処遇を抑制することで経費削減が行われているとすれば、政府がどのような立場で雇用政策を進めているのか、この点にさえ疑問を感ずるところであります。 こういう点も含めまして、労働者の賃金、労働条件の抑制が最大のコストカットとする社会的な風潮のもとで深刻になってきております格差と貧困を是正する、そのことが期待できるような政府予算となることを要望いたしまして、私の意見としたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○金子委員長 ありがとうございました。 —————————————
○金子委員長 これより公述人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ林隆志君。
○三ッ林委員 自由民主党の三ッ林隆志でございます。 本日は、御多用の中、公述人の皆様には予算委員会の公聴会に御出席いただき、またそれぞれのお立場から貴重なる御意見をお述べいただきましたことを御礼申し上げます。 そして、私、宮本先生に幾つか御質問させていただきたいと思うんですが、先生に十九年度の予算案に対しまして賛成をしていただいたこと、大変意を強くする次第でありますけれども、その中でもやはり、国債の発行額が四兆五千億円前年度比で減額したということに大変評価をしていただいておりまして、これが二〇一一年のプライマリーバランス黒字化に向けて大きな一歩になるのではないかと私も思っている次第であります。 ただ、先生からいただきました債務残高GDP比の国際比較でも、一四八%と他を圧倒した大変大きな債務残高というのが残っておりますし、それらをこれから安定的に引き下げていって、将来世代に対しまして、しっかりと我々が責任を持って、先生も子供や孫に負の遺産を残さないようにすべきだというふうなお考えをお述べになりましたけれども、私もそれに同意をする次第であります。 ただ、その中で、お話の中ではたしか、このたびの歳出削減に対しまして、もう一歩も二歩も歳出削減を進めていただきたいというふうなお話があったと思います。後段ではカナダの例とかをお話しいただきまして、お話を聞いていて、私はそのような急激な削減ができるのかなと思った次第でありますけれども、それに対しまして、これは日本には合わない、累積公債の削減のソフトランディングを図るべきだというふうなお話がありました。 一歩も二歩もより歳出削減を進めるべきだというふうなことですと、これからこの累積公債を減らしていくというふうなために、歳出削減だけを今後強く進めていって解消の方向に向かうことができるとお考えなのか、それとも、それ以外の、平たく言えば消費税のようなものの力というものも必要なのか、先生のお考えをちょっとお聞かせください。
○宮本公述人 ただいま御質問いただきました。 私の資料にもございますように、日本の累積債務というのは、対GDP比で先進国の中で圧倒的に高いという非常に危ない状況になっておるわけでございます。 先ほどの御説明でも申し上げましたように、カナダが一九九四年からラジカルな財政再建策というものを、プログラムレビューというのをやりましたけれども、先ほども申し上げましたように、例えば運輸関係だけで四年間で六九%、そういう予算を削減するという、日本では非常に難しいようなことをやっております。 私は、今の日本の現状からいたしまして、そういうふうなことは非常に危機的な状況に陥った場合でも難しいであろう、そうしますと、やはり、先ほど申し上げましたように、徐々に累積債務を減らしていくという方向が日本には合っておるというふうには考えております。 御質問にございましたように、歳出削減だけで可能かということでございます。 私、個人的には、やはり何らかのいわゆる負担増加というものも考えざるを得ないのではないか、その意味で、一番最後に国民負担率の国際比較というのを出させていただいたわけでございます。 特に、私の考えでは、現在、社会保障とかいろいろな分野におきまして、日本では中負担の高福祉というふうに私は考えております。したがいまして、今の福祉を続けるのであれば、少なくともある程度の負担増加というのは国民に御理解いただくというふうなこと、そういう方向でいかないといけないのではないか。 平たく申し上げますと、やはり消費税というものの引き上げも視野に入れるというふうなことをやりまして、基本的には、私は歳出削減というのがメーンであろうかと思いますけれども、それではこれだけにいわゆる累積いたしました日本の国債を減らしていくというのは非常に難しいと思いますので、ある程度のそういう負担増加というものを視野に入れていかないといけないのではないか。 特に、現在安倍政権が考えておられますいわゆる上げ潮路線、これは私、非常に結構な政策であるというふうには考えております。 ただし、その上げ潮路線を維持していくためにも、累積赤字というのを減らしていきませんと、累積赤字がこれだけの額になっておりますと、経済成長してまいりますと、当然のことながら、ある程度金利は上がってまいります。そうすると、今約八百兆円というふうに言われております、こういう公債の利子の支払いだけでも大変な金額になってまいります。これが、累積国債が減ってまいりますと、上げ潮路線がさらに一層効果的になるわけでございます。つまり、それだけの金利を払わなくてもいい水準にまで累積国債を減らせば、上げ潮路線というのは非常に効果的になる。 したがいまして、やはりこの累積国債を早急に減らしていくということが大事ではないか。そのためには、やはりある程度の負担増加というものも視野に入れないといけないのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○三ッ林委員 ありがとうございました。 余りにもこの累積債務が大きいと、予算もいつもいつも硬直化してなかなか融通がきかなくなるというので、やはり減らしていく、これは大変至上命題だと思っております。 あと、先生から再チャレンジ支援について大変高い評価をいただいたと思っておりますけれども、そのような中で、真の格差問題を議論するときには、努力、責任、成果をもとにした数値で分析して判断すべきであるというふうなお話がありましたけれども、実際のところ、そのような努力でありますとか責任というふうなところを客観的に判断するすべというものが現在あるのか。もしくは、余りそれにふさわしいものがないんだとしたら、どのようなものをつくればよいと先生はお考えか、教えていただければと思います。
○宮本公述人 実は、非常に難しい問題でございます。難しい問題でございますので、現在、いわゆる所得格差という問題をデータ的に分析する場合に、どうしても、出てきました所得だけをとりまして、所得格差が開いたというふうなことを議論されるわけでございます。 ところが、私が申し上げましたように、本来ならば、流した汗、努力、責任の大小、それから成果、それに合わせたいわゆる所得、それでなおかつ格差があるという場合には、非常に問題になるというふうに考えております。 ところが、では、それをどういうふうにして比較するのかというのは、実は、正直言いまして、非常に難しい問題でございまして、何らかの形で、例えば労働の質とか時間とか、それから責任の重さ、できました成果、大体、最近、企業なんかでも成果主義というのが出ておりますけれども、それを数量化して、それをもって所得というものの適正を図っていくということが必要であろう。非常に難しいと思います。 今の、いわゆる所得格差のときに分析される経済のデータでよく用いられますのは、実はジニ係数というのがございます。ジニ・インデックスというものでございます。 これはどういうものかと申し上げますと、ちょっと資料を持っておりませんけれども、こちらの横軸にいわゆる人口をずっととっていきまして、縦軸にその合計の金額をとっていくわけです。例えば、全員が一人五百万ずつの所得をもらっている。そうしますと、一人目が五百万、次が合計しますと一千万、次は一千五百万。それを足していきます。そうしますと、この四十五度線の上に乗るわけでございます。 次に、もし、最初の人が実は二百万しかもらっていない、次の人は三百万しかもらっていないということになりますと、その四十五度線から、この積み足していきました線がカーブを持ちます。この四十五度線とカーブの間の面積が開いていきますと、格差ができたということでございます。そうしますと、格差がないというのは、全員が五百万、そういう状況のときに格差がないということでございます。それが本当に正しい判断基準なのかということでございます。 したがいまして、いわゆる格差問題を議論いたしますとき、何を基準にいわゆる所得格差というものをはかっているのかというのが非常に問題でございます。 先ほど申し上げましたように、いわゆる御本人が努力した汗とか努力、それから責任の大きさでございますね、そういうものをやはりいろいろな形で数量化したものをつくっていくべきであろうというふうに考えております。現実のところ、非常に難しいというのは事実でございますけれども、そういう方向でいって、そして初めて正しい格差論議というのができるのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○三ッ林委員 ありがとうございました。 まだまだ質問したいことはあるんですが、時間が終了しましたので、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、丸谷佳織君。
○丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。 本日は、大変お忙しい中、四名の公述人の皆様、それぞれに御経験の中から大変貴重な御意見を承ることができまして、まず心より皆様に感謝申し上げます。時間の許す限り、それぞれの方々に質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 まず、宮本先生にお伺いいたしますが、今の格差論、私も大変興味深く伺っておりました。格差という言葉を耳にしない、目にしない日はないぐらいの状況でございますけれども、先週のニューズウィークの日本版でも、格差社会はそんなに悪い社会なのかといったような角度から、それは、大ざっぱに言いますと、高所得者の人たちが中低所得者を引っ張っていくような社会というモデルもあるのではないかといったような角度の記事が載ってございました。一方に、これだけの格差があるということで、個人の所得に応じた差を強調する記事も当然ある。 また、公明党としても、現在、地域差ということを考えたときに、やはり格差はあるだろうということを申し上げてきたわけなんですけれども、個人の所得の結果としての格差のみならず、地域における格差というのは、それぞれの地域の個人が努力をして責任を持っていっても、なかなか、地域という結果に反映するものなのかということを考えたときに、地域における格差ということに関するお考えがあれば、また考える角度があれば御示唆願いたいと思います。
○宮本公述人 御質問にお答えいたします。 今御質問いただきましたように、いわゆる個人の所得格差以外に、現在はいわゆる地域格差というのが非常に問題になっております。これは、実は私も非常に大きな問題であるというふうに考えております。 といいますのは、この地域格差といいますのは、先ほど先生がおっしゃいましたように、個人で努力してもなかなか埋まるものではない。いかに汗を流して努力したところで、なかなかその格差が縮まるというふうな性質のものではない格差もございます。 したがいまして、今回、十九年度予算に安倍政権が予算をつけられました、自主的に努力する地域を活性化するために、頑張ったところには総額で七千五百億円の予算をつけますという点について私は評価をいたしておるところでございます。 日本全体が活性化するためには、一極集中というのではなくて、やはりそれぞれの地域が特徴を持って努力をして、元気を出すといいますか、活性化するということが必要でございます。しかしながら、基本的には、やはりそこの地域が頑張る、すべて国に支援を頼るということではないというふうに考えております。もちろん、国がサイドからサポートすることも大事ではございますけれども、基本的には、やはりその地域地域が知恵を出し合って努力する、それに対してまた国がサイドから支援をするということが必要ではないかと思っております。 したがいまして、繰り返しになりますけれども、今回、七千五百億円の予算をつけられたということに関して私は評価するところでございます。 以上でございます。
○丸谷委員 ありがとうございました。 もう一点、先生の方からは、十九年度予算につきまして、歳出の削減に対する評価をいただいておりました。 ただ、これだけの少子高齢化が激しい我が国におきましては、緊縮財政の中で、やはり選択と集中というものをしていかなければいけない。その中で、公明党としましては、考え方として、集中していくものに少子化対策あるいは中小企業対策というものを据えてきたわけでございますが、先生が考えるべき選択と集中、どの点を歳出削減の対象のみにせず力を入れていくべきだとお考えになっていらっしゃるのか。やはり地域活性化というところなんでしょうか。
○宮本公述人 お答えいたします。 私は、地域の活性化が非常に大事だと思っております。それとともに、やはり少子高齢化、この問題も非常に大事であるというふうに考えております。 ただし、少しただし書きがつきますけれども、少子高齢化につきましては、やはり効果的な歳出というものを考えていただきたい。ちょっとお耳にさわるかもしれませんけれども、いわゆるばらまきに近いような予算といいますか、例えば子供さん一人に幾らというふうな、そういうのは果たして効果的なのか。少なくとも、やはり我々は費用対効果というものを考えていかないといけない。つまり、これだけの予算を使えば、少なくともそれだけの効果があるというものをきちんとやはりチェックしないといけないのではないかというふうに思います。 例えば、二十四時間の保育設備を駅の近くにつくるとか、それから本当に赤ちゃんができなくて困っていらっしゃる御夫婦に対しては、無料でできるだけそういう治療を行ってあげるとか、限られたお金でございますので、税金でございますので、そういうところに私はできるだけ投入をしていただきたい。 したがいまして、少子高齢化の問題を解決するというのは非常に大切ではございますけれども、いわゆるばらまきにならないような形の予算の歳出というものを期待したいということでございます。 以上でございます。
○丸谷委員 どうもありがとうございました。 少子高齢化ということに関しましては、アンケートをとってみると、本来であれば三人欲しい若い世代の御家庭が、やはり一人ですとか、あるいはお子様を持てないような状況を考えますと、若い世代の家庭に対する経済支援というものも重要になってくるのかなという思いもしまして、十九年度予算には反映させていただいているところでございます。 今、中小企業というところに話が来ましたので、小池副会頭にお話をお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 公明党としましては、中小零細企業を地域の成長の原動力というふうに位置づけまして、新地域成長戦略、地域企業応援戦略を提案してまいりました。その中で、やはり私ども、今一番重要だと考えておりますのは、中小企業の皆様の資金繰りをどういうふうに国が支援していくべきなのか。これができるかできないかでは、中小企業の皆様にとって大きな結果の違いが生まれてくるというふうに存じております。 本日、小池公述人が御発言をしていただきました、日本の全企業の九九・七%が中小企業であり、常用雇用の七一%が中小企業であるのに、政府予算全体では〇・三五%にすぎないといったお言葉、本当に身にしみて、全くそのとおりだなと思いました。 この国の基幹を支えている中小企業をもっと国として力強く支えていかなければ、やはり経済成長もあり得ないだろうというふうに感じながらお伺いをさせていただいたわけなんですけれども、今回の税制改正の中で、小池副会頭もお触れになりましたけれども、留保金課税の廃止ですとか、そういったことを実現はさせていただいております。 また、事業承継税制の中では、相続時精算課税制度を拡充させていただいているわけですね。ただ、これに関しましては、親子間での生前贈与と相続に限ってということを括弧書きをさせていただいているものですから、二〇〇七年問題、八年問題ということで、団塊の世代の皆様がリタイアをされていく、さて、その次、この中小企業をだれに渡していこうかといったときに、やはり継続させる、承継させるための税制ということに関しては、恐らく、もっと中小企業の立場から考えると御意見があるのではないかというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○小池公述人 まさに先生のおっしゃるとおりでございまして、この承継税制については、私ども、企業が存続するかどうかというより、事業がきちっと承継されるかどうかということでございまして、要するに、税制でございますので、何が妥当なのかはその国力に応じて考えなきゃなりませんけれども、一つは、外国でどうやっているかということが一つの目安になると思うんですね。 先進国でどういうふうな税制措置をしているのか、発展途上国でどうなのかということを勘案して、私どもとしては、欧米並みに、事業を承継するときに農業並みにしている国もございます、そういうふうなことで、それは一挙にというのはなかなか難しいと思いますので、逐次一つの目標を掲げつつ、これは、私は、欧米並みの事業承継であるとき事業をきちっと承継できる、農業まで一挙にいこうというのはなかなか難しいと思いますけれども、そういうふうに考えております。 以上でございます。
○丸谷委員 ありがとうございました。 引き続き、あと二点ほどお伺いをさせていただきたいと思うわけでございますけれども、事業からの撤退がおくれてしまって、多額の債務を抱えてどうにもならなくなっている中小企業の方も多いというお話をお伺いいたしまして、そうなる前に相談窓口を設けようではないかという提案をさせていただいておりました。 その結果、十九年度予算の中にもそれが生かされておりまして、早期の事業転換から再起業まで、企業経営の相談に一貫して応じる支援の体制を今回とらせていただくわけでございます。早期転換・再挑戦支援窓口事業というのを新設させていただくわけでございますが、実際には、窓口というのは、全国の商工会議所二百三十三カ所プラス各都道府県の商工会連合会など、全国二百八十カ所に設置をさせていただくわけでございます。 ただ、これは国が、さあ設置をしたから皆さん相談に乗ってくださいねといっても、なかなか現場としましては、人員の面ですとかノウハウの面ですとか、相談を受けてから、ではその相談をほかに投げたいときにどうしたらいいのか、いろいろなことで、現在、準備の段階ではまだございませんけれども、いろいろな不安もあるかと存じます。 こういった窓口の設置について、何か御感想なりあるいは今後の御要望があれば、お伺いをさせていただきたいと思います。
○小池公述人 商工会議所は全国で五百二十四ございまして、その約半分がその窓口になるわけですね。既に、そういう相談案件について過去からずっと実績を積み重ねております。 大阪商工会議所の例をとりますと、大阪地域に十の支所がございまして、相談員が五人、多いところはもっといますけれども、十人くらいおりますが、それぞれマル経融資というふうなことで、経営指導を兼ねて金融の相談を長い歴史を通じてやってきているわけなんですね。 ですから、そういう実績と、また、先ほどちょっと触れましたけれども、中小企業再生支援協議会、これは、大阪商工会議所、私が会長ではありますけれども、事務所を持って、専任者がいて、それからプロマネ、サブマネ、サブマネを含めますと全部で百人体制で、いつでもこういうネットワークをつくっておりまして、要するに、計理士さん、公認会計士さん、税理士さん、それから弁護士さん、中小企業指導員というふうなスタッフがあって、その案件案件によってどんな小さなものも適宜対応しておるわけなんですね。 これは要するに再生していくという法的措置の問題ですが、この経験を相談窓口にフィードバックするということが可能でございますし、そういう意味で、大阪商工会議所の場合は、大阪府下を通じてお互いに商工会議所と連携をとってやっておりますので、今度の制度についてきめ細かいことが、ちょうどマル経融資の制度で経営指導をずっとやってきた、今度はピンチになったところを再生させる、そういう中間にちょうど対応する組織なんですね。そういう意味で、大いに期待しているところでございます。 以上でございます。
○丸谷委員 では、もう一点お伺いいたしますけれども、中小企業支援といたしまして、先ほど、高齢者あるいは若者と中小企業とのネットワークについてお触れいただきました。もう一点、やはり女性、これだけの少子高齢社会ですから、女性の労働力というのも非常に重要になっております。ただ、その中で、ライフ・ワーク・バランスということも最近よく言われているわけでございますけれども、企業における少子化対策という視点も、公明党としては非常に今まで重要視しながら施策をとらせていただきました。 その中で、実際に育児休業というものを取得していただきやすくするように、特に大企業においては、あるいは公務員の方ですとかは育児休業の取得が進んでいるわけでございますが、中小企業はなかなか現場に行ってみるととりにくいというのが、私の友人なんかからも多く聞いているわけですね。 ですから、例えば、初めてそこの会社で、百人以下の中小企業の会社で初めて育児休業をとられた方には、一人目の方には百万円、二人目の方には六十万円ということを職場復帰した際に支援するような制度もつくらせていただいたわけなんですが、実際に、中小企業における現在の少子化対策について、御感想、あるいはもっとこうしたことをした方がいいんじゃないかということがあれば、教えていただきたいと思います。
○小池公述人 つい最近、OECD、経済協力開発機構でございますが、女性の労働力率が高まると出生率が減る、過去はそうだったんですね、ところが、二〇〇〇年以降、労働力率がふえますと出生率が上がるという結果が出てきたんですね。 これはどういうことかというと、まず第一に、国の制度がどうなっているか、それから企業がどう受けとめるか、それから家庭がどう受けとめるか、この三つが非常に重要なんですね。こういう面で我が国はまだまだおくれている。ですから、今、女性が社会進出してきて働く、同時に子供がどんどん少なくなる、要するに、OECDの二〇〇〇年以前の状況ですね。フランスは非常に、もう本当に二・〇までいっているほど高まってきているわけですね。 私は、そのためにはいろいろの、先ほど言った具体的な、保育所の問題、企業の協力の問題、多々ありますけれども、まず国でやっていただくことは、税制問題が非常に大きいと思いますね。二つに分けて、一つは個人に対する税制、それから企業に対する税制。 例えば、児童税額控除制度の創設。例えば、子育てによる経費的な負担がありますので、これを軽減するために、一定年齢以下の、例えば十二歳なら十二歳、小学校までを扶養する者を対象とした税額の、所得じゃなく税額の控除制度を創設していただきたい。 それから、二番目に、教育費の控除制度の導入でございますが、子育てに際して大きな負担になっているのは教育費なんですね。いろいろございます、教材費やら何やらございますが、教育費等の経済負担を軽減するため、教育費の一定割合を所得控除、所得から控除する。先ほど申し上げたのは税額から控除する。今度は、所得から控除する制度をとって、個人に対する助成を行う。これは税制の問題ですね。 それから、企業に対しては、要するに、少子化に歯どめをかけるためには、子育てに伴う離職等による収入減少など機会費用を極力少なくすることが重要であることは事実でございます。そのために、企業が子育ての世代の者を雇用しやすいよう、要するに、子育て世代を雇用するように、子育ての期間、十二歳までの子供を持つ者を雇用している場合、当該社員の給与の一定割合を法人税から控除するということで、法人に対するそういう制度ですね。 ですから、個人に対する税額控除であり、所得税控除であり、今度は企業に対して法人税を控除してやる。これは国の仕組みですね。あとは、家庭の仕組みだとか企業の仕組みは、これは個人と企業のことにかかわることでございますので。 いずれにしても、労働の機会が多くなり、率が上がれば出生率も高まる、今、そういうOECDの結果のような方向に日本は努力すべきだ、こう考えております。 以上です。
○丸谷委員 委員長、どうもありがとうございました。公述人、ありがとうございました。柳沼公述人と小田川公述人にお伺いする時間がなくなりまして、大変申しわけございませんでした。 以上で質問を終わらせていただきます。
○金子委員長 次に、逢坂誠二君。
○逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。 きょうは、四人の公述人の皆さんから大変示唆に富む話を聞かせていただきました。心から感謝申し上げます。ありがとうございます。 私ども民主党は、今国会を格差是正国会というふうに位置づけて、地域あるいは個人間、さまざまな分野での格差を解消していくことを一つの大きな目標にしております。しかしながら、安倍総理は、格差の存在というものを必ずしも認めていないかのように思われます。もしそういう格差が存在すれば対応するというような話はしているわけですが、格差があるというふうには明確には言っていないように私には感ぜられます。 そこで、きょうは四人の公述人に発言の順番にお伺いしたいのですが、今の日本に格差というものはあるのかないのか。格差というのは、何も個人間の格差だけではございません。地域間の格差というものもございます。あるいは、公的なサービスなどを受けられる、受けられないといった意味での格差というものもあろうかと思いますが、格差があるかないか、あるいは、もし仮に格差がないとするならば、なぜないと思われるのかというあたりを含めて、簡単に順番にお伺いできればと思います。
○宮本公述人 逢坂先生の御質問にお答えいたします。 まず、地域格差でございますけれども、地域につきましては、例えば一人当たり県民所得等をとりますと、東京都と地方とを比べますと、一人当たり年間で百万円以上の所得の格差があるというふうな数字が出てまいります。もちろんこれが、先ほど申し上げましたように、出てきた数字がすべてというわけではございませんけれども、地域におきましては、私は、ある程度の差といいますか、そういうものが存在しているというふうに思っております。 続きまして、個人の格差でございますけれども、先ほど私申し上げましたように、個人につきましては、出てきました所得の額、それについては、例えば年収が億を超える人もいらっしゃいますし、年収が二百万、三百万という低所得者の方もいらっしゃいます。そういう意味では、数字の上では確かに差があるというのは認めざるを得ないというふうに思っております。 ただし、先ほど申し上げましたように、その原因がどこにあるのか、それが果たして正確ないわゆる一つの格差の基準になっているのかどうかということについては、私は、まだまだ調査する、いわゆる分析する必要があろうかというふうに考えております。 以上でございます。
○柳沼公述人 質問にお答えします。 私は、格差は存在すると思っております。といいますのは、まず、地方と都市の間の格差のことについてでございます。 私は、五年数カ月横浜で働いておりました。そこで退職しまして、夕張に戻って家業を継いだわけでございますが、まず都市部の、東京を含めてなんですけれども、これだけすごい経済力を目の当たりにして北海道に帰ると、都市と地方の格差をまず目の当たりにします。 まず公共投資に関しましても、公共投資のインフラを見ましても、都市部に投下されるお金と田舎に投下されるお金、これが同じでなければいけないことはないのですが、田舎も都市も、やはり均衡な発展を考えた上での格差の是正というのは必要だと思います。 個人についての格差でございますが、これは私を例にとりますと、私が横浜にいたときの所得というのは、二十八歳の時点で五百万円ほどでした。夕張に戻って、私は経営者という立場でございますけれども、実際のところ、家族三人、妻と子供が一人いるわけではございますが、そのときの所得までは至っておりません。が、しかし、私は経営者でございますので、これに対しては不満はありません。これは、私が敏腕な経営者であればクリアできる問題だと思っていますので、これは格差だとは思っておりません。 以上です。
○小池公述人 格差は、存在するのが当たり前だと思っております。 まず第一に、大きな格差は、企業間格差、要するに大企業と中小企業の大きな格差がございます。それから、地域の格差もございます。地域と大都会、格差がある。それから、最も重要なのは、三つの過剰を解消するために、まず雇用の過剰を解決するということで、思い切ったリストラを大企業がやるわけですね。それで、債務の過剰、公的資金も入れてやる。それから、設備の過剰。これで大企業がよくなったことは事実でございます。 しかし、雇用のあり方は、ほとんどの企業が今、大企業も含めてですけれども、大企業も半分ぐらいパートでございますが、中小企業は、パートがあり、契約社員がいて、外国人労働があり、アルバイトがあり、派遣社員がある。要するに、そういうふうな格差がそれぞれあるわけですね。 こういう点について格差が存在、まあ詳しく申し上げるといろいろ時間もあれでしょうからということで、格差があることは以上のとおりです。 以上でございます。
○小田川公述人 私どもも格差はあると考えております。 例えば地域間で申し上げますと、決まって支給をする給与、直近の数字で、東京と最も低い青森とを比べますと、一対一・六二、大体百対百六十二という関係にあるような問題や、あるいは先ほどからお話が出ております雇用の形態による差、企業規模間、産業間、あるいは男女間というのもあろうかと思いますけれども、さまざまな分野で格差が存在をしているというふうに思います。 ついでに申し上げれば、二〇〇〇年代以降、この格差が拡大傾向にある。国税庁の民間給与実態調査を時系列で追ってみましても、二〇〇〇年以降、三百万円以下の層がふえてきているというふうに承知をしますので、拡大傾向にあることが今の問題ではないかというふうに考えております。
○逢坂委員 どうも急がせたようで大変申しわけなく思っております。 きょうの公述人の中で、宮本公述人から結果格差という話がございました。極めて重要な指摘だというふうに感じたわけですが、この結果格差というものに、例えば、きょう午前中、実は私のところへ、北海道の幌延というところから、乳価、牛乳の価格についていろいろと悩みを持った方が来られまして、近隣の町の話をしておりました。子供が生まれそうな奥様がいた。それが、そばに産院がないということで、救急車で走った。ところが、近隣の市へ行ってもうまくいかなかったということで、最終的に札幌まで救急車が走ったそうで、残念ながらお子さんは死産、お母さんもあと一歩のところで何とか一命を取りとめたということがございました。 こういうような、医療についてサービスの提供が受けられる、受けられないということ、これは宮本公述人のおっしゃるところの結果格差なのかどうか。あるいは、教育についても、極めて遠いところにしか高等学校がないというような問題、これはどういう格差というふうにとらえられておりますでしょうか。
○宮本公述人 お答えいたします。 私が先ほど結果格差という言葉を使いましたのは、いわゆる所得を使いまして、所得格差があるというふうな表現がいろいろマスコミ等で議論されます。その所得格差というのは、出てきた所得という数字であり、その中に、先ほど申し上げましたように、努力をした結果であるとか責任の大きさであるとか成果については考慮されていないという意味で使ったわけでございます。 今、逢坂先生がおっしゃいましたようなそういうものは、やはり地域について、日本国民であればひとしく公的サービスを受ける、そういう権利があるわけでございます。したがいまして、そのようなことが起こらないようにするのが、やはり日本国の務めであろうというふうに私は考えております。 以上でございます。
○逢坂委員 私も全く同感でありまして、こういうものを宮本公述人がおっしゃる結果格差というふうにとらえられては、これはやはり大変だろうなというふうに思います。 続きまして、もう一点お伺いしたいんですが、例えば、仮に時給八百円の方が一日八時間働く、一週間に六日間働く、しかも一年間休みなく働くということをいたしますと、得られる収入は百八十四万三千二百円であります。これは、いわゆる宮本公述人の言うところの、努力した者、汗をかいた者、責任を持った者、成果を上げた者というふうな気が私はするんですね。もう物すごく一生懸命働いて、だがしかし百八十万円ではないか、こういう現実があることについて、どのようにお考えでしょうか。
○宮本公述人 お答えいたします。 例えば、労働時間につきまして、同じような労働時間であった、そのときに、同じような労働時間であって出てきた所得の結果が違うというのは一つあろうかと思います。 しかしながら、例えば、ある店におきまして、店長さんが同じように働いた、ある店長さんでない人が同じように働いた。その場合に、例えば店長さんの方が所得が多いという場合には、少なくともその方にはその店の責任があるわけでございます。したがいまして、同じような労働時間でありましても、その人の持っている責任の大きさというものは表に出てこないわけでありますけれども、少なくとも何か起こった場合にはその方は責任をとらないといけないという地位にあります。それに対して何らかの対価は支払われるべきであろうというふうに考えております。それと、出てきました成果、それについても、やはり差があればある程度の格差が出てくるのは仕方がないというふうに考えております。 先ほど小池公述人もおっしゃいましたように、ある程度の格差というのが出てくるのは、日本の場合といいますか、世界においてもある程度はそれは認めざるを得ないだろう。しかしながら、許容範囲でございます。どの程度の許容範囲の格差であればいいのかというのが一つ問題になろうかと思いますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、同じ労働時間でありましても、責任の大きさとか成果によってある程度の差が出るのは仕方がないというふうに思っております。 以上でございます。
○逢坂委員 まさに今、許容範囲という言葉が出てまいりましたけれども、私は、今私が挙げた例、八百円でフルに一年働いて百八十万円程度の収入というのは少し限度を超えているのではないかなという印象を持っておりますが、これはこの程度にとどめておきたいと思います。 もう一点ですが、宮本公述人から、大変興味深い国民負担率の国際比較というグラフを出されました。私、理科系の出身でございまして、理科系の学生はグラフをかくときは極めて慎重になります。といいますのは、グラフにプロットするそれぞれの数値の条件が違っていれば、それはグラフとしての意味をなさないからであります。 その意味におきまして、日本、アメリカ、イギリス、ドイツというふうにグラフが並んでおりますけれども、例えば、アメリカとイギリスを比較した場合に、教育にかけているお金の割合というのは、日本はGDP比で三・五%、アメリカやイギリスはGDP比で五・五%のお金をかけているわけですね。すなわち、日本の父兄は、教育に対してアメリカやイギリスと同じレベルになろうとするならば、十兆円程度のお金の支出が必要だということになります。あるいは、高速道路の料金については、国民は五兆円ほど負担をしている。あるいは、ゼロ金利政策によって、これもいろいろなとらえ方はあろうかと思いますが、十五兆円ほど日本の国民が負担をしているという計算になるのではないか。 これらを足し込みますと、日本の国民は、この同じグラフの比較において、アメリカやイギリスより三十兆円ほど負担が多いのではないか。これらを足し込んで計算しますと、日本の国民負担率は、四三・二ではなくて四九・二になるのではないか、すなわち、イギリスとほぼ同程度ではないか、こんな議論もあるわけです。 私は、その意味において、こうしたグラフを出すということは十分注意が必要だというふうに思われますが、いかがでしょうか。
○宮本公述人 お答えいたします。 確かに、逢坂先生がおっしゃいますように、グラフにしました場合は一目瞭然という形になりますので、非常に慎重なもとの計算といいますか、そういうものが必要であろうということは理解できます。 この比較は、例えば年度につきましても若干ずれております。というのは、こちらが入手できましたデータが、どうしても日本の方が最新になりまして、ヨーロッパの方はそういう新しいものよりも少し時間が前のものになるということでございます。 したがいまして、データが同じ年度でないというだけでもやはり問題になろうかとは思いますけれども、私は、基本的には、このデータは、今、逢坂委員がおっしゃいましたような意味で、これが日本の場合五〇%に近いというようなことにはならないと思います。その場合には、少なくともそれと同じようなことをイギリスとアメリカにおいても詳細に検討しなければならないというふうに考えております。 したがいまして、逢坂委員のお考えは一つあろうかと思いますけれども、私は、自分のこの分析についてはそれほど間違ってはいないというふうに考えております。 以上でございます。
○逢坂委員 グラフにする際は与条件というものが大事であるということは、私も全く同感であります。 さて、次でございますけれども、きょうは柳沼公述人から、極めて現地の実態に即した話を聞かせていただきました。私も、同じ北海道に生まれ暮らす者として、元気のよかった夕張の時代を知っているだけに、今の夕張の状況を思うと、そしてまたきょうの柳沼公述人の話を聞いて、先ほど、後ろの席の方で目頭が熱くなるのをちょっととめることができませんでした。本当に貴重な話をありがとうございました。 そこで、お伺いしたいのですが、今回の夕張がこうした状況になった責任というものについて、私は、一義的に、市の責任というのはやはり相当大きいだろう。きちんと住民の監視も議会の監視もできていなかったということは、これは相当に大きいと言わざるを得ないというふうに思っています。 しかし、その根っこの原因をたどれば、これはやはり国のエネルギー政策に翻弄されたのであろうというふうに思うわけですね。国の政策によって、あの地が、本当は人が住むにはふさわしい土地ではなかったけれども、石炭を目当てに人が住み始めて町ができた。だがしかし、国のエネルギー政策の転換によって、あっという間に、それしかない産業の息の根をとめられた。それが今回の相当大きな原因になっているというふうに私は考えております。 それから、もう一つですが、とはいうものの、炭鉱が閉山した後にさまざま対策を講じたのは市ではないかという議論もあろうかと思います。だがしかし、現在の財政制度を見ますと、起債の許可をしているのは一体どこなのか。これは、都道府県であり、国も関与をしている。あるいは、財政の情報については、決算統計などによって千円の単位まで都道府県に報告をし、国もその状況を把握しようと思えば把握できた。あるいは、問題になっている一時借入金について、これは違法とは言い切れないという制度上の不備もあったのではないかというふうに思うわけですね。 したがいまして、一義的にはこれは市の責任というのは当然だけれども、国の責任、あるいは都道府県、この場合は北海道の責任というのもあるのではないかというふうに私は思うのですが、これは現地にお住まいの柳沼公述人としてはどうお考えでしょうか。
○柳沼公述人 質問にお答えします。 私も、この夕張の破綻の問題を考えたときに、責任を追及していくと、行政である夕張市、そして議会、市民、それぞれに責任はあると認識しております。 その中でも、先ほど逢坂先生がおっしゃったように、破綻に至った道のりというのはさまざまな要素が絡んでくると思います。前市長であった中田市長が、当時はすごい敏腕な市長であると評価されることもあったと記憶しております。それは、国からお金を持ってくる、そういうお金を持ってきて地元で事業を起こすということが評価されていた時代でもありましたし、それを否定するようなこともありませんでした。ただ、そのときに今の状況を考えることができたならば、夕張市が財政破綻するということはなかったかと思われます。 その中で、国、道の責任については、私は行政のプロではないのですが、結論として、管理責任という言葉を使うとすれば、やはり多少はあるのではないかと思います。 以上です。
○逢坂委員 そこで、現在、夕張市では、報道でいろいろ出ているとおり、相当厳しい状況が生まれている。特に、医療、福祉、子育て、あるいは高齢者の問題、こんなことが生まれているわけです。 再度宮本公述人にお伺いしたいのですが、要するに、責任はともかくとしまして、夕張の今のような状況が生まれていること、これは、公述人のおっしゃるところの、いわゆる結果格差ということになりますでしょうか、それとも、それは違うものだというふうに思われますでしょうか。
○宮本公述人 お答えいたします。 私は、夕張のことにつきましてそれほど詳細に存じ上げているわけではございませんけれども、基本的には、やはり議会のチェック機能が働かなかったのではないかというふうに考えております。 これにつきましては、ある意味では、やはり議会、それから、そのときのいわゆる行政担当者、もちろんそれは市民も含めてでございますけれども、ある程度、それぞれ、少しずつではございますけれども責任があったというふうに考えております。 これにつきましては、いわゆる結果といいますのは、先ほど私が結果格差というふうに申し上げましたのは、いわゆる所得が出てきました場合のその所得だけをとらえて、それで差があるという表現は、やはり結果格差であろうというふうに申し上げておりまして、こういう状態につきましては、必ずしも一〇〇%結果ということではないというふうに考えております。 以上でございます。
○逢坂委員 その観点からいたしますと、夕張のこうした状況というのは、やはり憲法の原理原則に照らしても、最低限の是正、補正というものはされるべきなのかなというふうに私も感じております。 さてそこで、きょうは、この場は予算委員会でありまして、柳沼公述人を除いて、それぞれお三方は予算の数値をいろいろと述べられました。 しかし、私は、今手元に来年度の日本の一般会計予算の予算書を持ってまいりましたが、これを見ただけでは、どうも今の日本の予算というものがよくわかりません。しかも、これを幾ら公開したからといって、国民の皆さんに予算がわかる形になって議論されているというふうには私には全く思えないのであります。 今、宮本公述人から、今の日本の公債残高の高さを指摘し、歳出を減らすこと、そうしていわゆる赤字国債なども減らしていくことが重要だというふうに言われましたが、それも当然重要なことでありますけれども、今の日本の予算に無理、無駄、あるいは隠れた、国民に見えない不適切なお金の使い方があるかないかということがわかる仕組みになっているかどうかということですね。 この点について、これはお答えいただいていないお二人にお聞きしましょうか。お答えいただいていないお二人の公述人から順に、どうお考えかお聞かせください。
○小池公述人 私も昨日、公述人としてここへ出るものですから、この分厚いのを三冊いただきまして、要約を二通見まして、これを見て、本当になかなかわからないわけですね、まとめたものはわかりますけれども。ぱらぱらと見て、ああ、こういうことは先生たちはきっちり見ているのかなと逆に思ったところでございます。 ただ、商工会議所という組織は専門家が控えていますので、これを解釈し、まとめて、それから、私は副会頭だから、組織を通じて提案してくるということはあります。しかし、今回の場合は、これを見て、本当に先生のおっしゃるとおり、それだけでは非常にわかりにくい。だから、一般の人はもう当然だと思いますね。先生方でも果たしてわかっているのかどうかとすら思っているところでございます。 以上でございます。
○小田川公述人 率直に申し上げまして、全部を見る力はありませんから、細かいところまで承知しているわけではありません。概要でありますとか、あるいはマスコミなどで報道されるものを拝見しながら、さらには、私どもは労働組合ですから、労働者にかかわって、厚生労働省の予算部分はそれなりに見させていただいておりますけれども、それ以外のところで、どこにどうなっているかというのは承知をしておりません。その意味でいうと、一面的な意見になるかもわかりません。 なお、率直に申し上げまして、予算書というのは、以前も見たことがありますけれども、まくらにもならないという思いで従来から思っておりました。 以上です。
○逢坂委員 実は、私も国会へ来てそんなに日が長いわけではありませんけれども、予算書を見て、あるいは予算を議論しているという場面へ来て、私には、到底予算を議論しているというふうには思えないのであります。 これは先輩の皆さんがいる中で大変失礼だというふうには思いますが、マクロとしての予算の方向性、これは議論していると思うのですが、今の日本に喫緊の課題の一つである、無駄だとか無理だとか、あるいはどこかにやみがあるのではないかというようなことがわかる仕組みにはどうもなっていないというふうに私は思っています。これをぜひ改善していかなければいけない。 例えば、今ぱらぱらっと開いたところに、たまたま外務省のページが、これは何も意図的に開いたわけではなくて、あるんですが、外務省本省一般行政に必要な経費として、十九年度に三百三十一億五千二百四十三万九千円という計上があるんですね。三百三十一億円というのは、ただ一カ所こう書いてあるだけで、ではこの中身がどうなっているのか、どうだということは一切この中から読み取れないわけですね。 私どもは、こうしたものをベースに議論しているのはやはりおかしいなということを、私も議員として日が浅いから、国民感覚として思うのですが、どちらかといえば、私はそっちの方がまともな感覚なのかなというふうに思っております。 実は、手元に用意いたしましたのは、これは北海道のニセコ町で発行しています予算の説明書でございます。本当は皆さんにお配りできればよかったんですが、これは、いわゆる役所の予算書に加えてこういう説明の書類をつけなければ、実は予算の中身はわからない。借金の残高も、その借金で何をやったかということもわからない。 私は、ぜひ、きょうの公述人の皆様方の意見を踏まえて、国の予算もこういう形になっていけばいいな、こうすることで、宮本公述人のおっしゃる、国債を下げていく、歳出を下げるということにも、より効果的、効率的になっていくのかなというふうに思うのですが、宮本公述人、いかがでしょうか。
○宮本公述人 逢坂先生の御質問にお答えいたします。 非常に分厚い資料でございまして、それを全部読破するというのはなかなか大変であろうというふうに思います。もっと無駄があるのではないか、そういう御指摘もございました。 私は、やはり会計検査院とかそういうチェックする機能をもっと充実させていくべきではないか。これは国だけではなくて、実は地方自治体でもそうでございますけれども、地方自治体でも非常に無駄遣いが多いというふうに言われておりますので、やはり、国並びに地方自治体におきましても、会計監査といいますか、そういうものをきちんとやっていただく。だから、先ほど言われましたように、数字が一つだけ出ているのではなくて、必ずその後ろにある数字、それも全部調べられるようにしないといけないというふうに思っております。 それと、やはりそういう、きちんと一般の国民がわかるようなものを、解説書等を財務省の方では出しておるようでございますけれども、そういうものをさらに一般の方々の目に届くような形にして、そして、先ほど私が申し上げましたように、日本の財政は現状としてこうなんです、長期的にはこういう方向へ行くんです、したがいましてこういうことがこれから必要ですとか、こういう方向へ行かなければいけないということを明確にしていくことが非常に大事ではないかと考えております。 以上でございます。
○逢坂委員 きょうは、大変時間が短かったんですけれども、有意義なやりとりができたかなというふうに思っております。 重ねて言うようでございますけれども、私は、自分の恥を忍んで言うようですが、国会議員として議決した予算に責任を持てということを地域の方からよく言われます。しかし、この予算書をベースに議論をしていたのでは、あるいは今の議論の中では、どうしても責任の持ちようがないというのが実感であります。ぜひ公述人の皆さんにもこのことを御理解いただいて、より一歩でも日本の国の財政、予算がよい方向へ進むように、また御支援賜ればというふうにお願い申し上げます。 以上で終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。 四人の公述人の皆さん、大変貴重な御意見をありがとうございます。短時間ですけれども、質問いたします。 まず、小田川公述人にお聞きします。 政府は、今国会に最低賃金法の改正を提出する予定です。安倍首相は、四十年ぶりの改正と言い、さらに、生活保護水準との整合性を述べて、抜本的な引き上げの意見には全くこたえようとしていません。きょうもこの質疑で大問題になっている貧困と格差、これを大もとから正していく上で、最低賃金の抜本的な引き上げが急務だと私は考えます。 日本の最低賃金の平均は、先ほどもありましたように、時給にして六百七十三円です。もし年収二百万円を得ようと思うと、年間三千時間、過労死ラインをはるかに上回る働き方をしなければなりません。私は、全労連や連合が時給千円を要求していることに大きな意味があり、日本において最低賃金で働いたらば貧困にならないという社会を目指す重要な提起だと考えています。 そこで、格差、貧困という問題が議論になりましたから、まず、格差社会が生まれたその一つの要因として、労働法制の規制緩和、先ほどもありましたように、非正規雇用の増加とリストラのやりたい放題、こういったことが作用したのではないか、その点について御意見をお聞きしたいと思います。 〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
○小田川公述人 直近の数字で、三人に一人が非正規労働、こういうふうな統計に労働力調査ではなっているかと承知をします。九〇年代初頭が、おおむね一〇%強の状況でありましたから、十人に一人ということだったと思います。この十数年間の間に急激に非正規労働者がふえている、そのことが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、年収で三百万円以下の勤労者がふえている、このことに直結しているのではないかと私どもは考えております。 労働法制にかかわって申し上げれば、一九八五年に派遣法が成立をし、その後一九九九年に、派遣業務について原則自由化の方向に再度法制が変わったと思いますけれども、そのことが、非正規雇用を増大させると同時に、昨年来問題になっておりますような偽装請負というような違法行為も含めた間接雇用の問題の深刻さを出してきていると思いますし、間接雇用の増加ということが、結果的にはパート労働者も含めた非正規労働者の賃金低下に結びついているというふうに推察をしているところであります。
○穀田委員 それでは、二つ連続して引き続き小田川さんにお答えをお願いしたいと思うんですけれども、そうしますと、最低賃金制の千円の根拠、それから、先ほど私は、最低賃金で働いて貧困にならない社会を目指すということを言ったわけですが、貧困世帯と最低賃金の関係の基準についてどのようにお考えか。二つ目に、時給千円以上に引き上げたら中小企業の経営を圧迫するという議論がありますが、労働組合団体としてどのように考えるのか、お聞きしたいと思います。
○小田川公述人 お答えをします。 貧困のラインについては、多分二つの考え方があるというふうに私ども承知をしております。一つは、OECDが公表しておりますように、平均賃金の半分あたりを念頭に、いわゆる相対的な貧困ラインというふうに言われるものが一つ。二つ目に、これ以下の水準では健康で文化的な生活を営むことが困難だと考えられる、いわゆる絶対的貧困ラインというものがあろうと考えております。 本来的には、そのどちらをとるかも含め、あるいはその貧困ラインに当たる金額なり考え方については政府サイドで公的にも明らかにされるべき課題だと思っておりますけれども、少なくとも、現行で、先ほどのお話もありました年収二百万円以下の労働者が千百万人もいるということを念頭に置けば、最低限の生活を保障し得るぎりぎりの水準として当面千円の要求が必要なのではないかというふうに私ども全労連としては考えているところであります。その意味でいえば、絶対的な窮乏のラインをこれ以下にはさせないという意味での時給単価としての千円という考え方をとっているところであります。 二つ目の御質問とかかわりまして、最初の公述のところで、私、イギリスのお話を申し上げましたけれども、イギリスは全国一律の最低賃金制度を一九九九年から発効させておりまして、当初、八百五十五円、日本円換算ですが、三・六ポンド、八百五十五円だったものが、現在、五・三五ポンド、時給千二百七十円にまで引き上げられていると思います。段階的に引き上げてきているということが一つでありまして、そのことが中小企業に対する対策の一つだと考えます。 二つ目に、日本の状況で申し上げれば、低過ぎる中小企業対策予算の抜本的な改正や減税などの支援策、それから下請二法の改正などによる下請単価の切り下げの規制といったものが必要なのではないかと考えております。 イギリスの例を再び申し上げれば、イギリスでは低賃金委員会が設けられておりまして、最低賃金引き上げのたびに経営状況や労働市場の状況などの調査が行われておりますけれども、それによれば、最賃引き上げは地域経済に好循環をもたらしたという調査結果も明らかにされておりますし、オーストラリアでも同様のことが報告をされているというふうに承知しております。 本日お配りをいたしました産業連関表もぜひごらんいただくとありがたいんですけれども、低賃金層での内需の拡大と、それの生産誘発にかかわって申し上げれば、農業、漁業、あるいは皮革、ガス・水道、教育・研究、こういった分野での生産誘発、消費が拡大をするということがうかがえるわけでありまして、その意味でも、中小企業の多い分野での生産誘発効果もあるのではないか。最賃引き上げによって低所得者の底を上げていくことは、そういう効果もあるというふうに考えているところであります。 以上です。
○穀田委員 それでは、小池公述人にお聞きします。 総務省の家計調査報告では、二〇〇六年の消費支出は、前年比実質三・五%の減少となったと。同報告は、その理由として、前年に引き続き所得が伸び悩んだことを指摘しています。 日本経済を本当の意味で立て直していく上で、六割を占める個人消費、家計消費の伸びは大事だと思っています。第一生命経済研究所は、ことしも続きますが、住民税増税などの家計の負担増の影響により個人消費が停滞する可能性が否定できないとのリポートをまとめています。このときに、先ほど来議論になりましたが、定率減税の全廃を行う、その一方で、減価償却制度の見直しや証券優遇税制の延長などのやり方を行う。ちょっと方向が違うんじゃないかなと私は率直に言って思っています。 その辺の御意見と、最後に、同時にその上で、単に税制の問題でいいますと、後ろの方には消費税が待ち構えているということがありますから、その点、消費税の問題と関連して、日本の経済の先行きについての影響についてどうお考えか、二つだけお答えください。
○小池公述人 先生の御指摘のとおり、現在の我が国の経済の情勢というのは、大企業を中心にして、まず輸出、それと設備投資、これによって支えられて成長してきているわけでございます。特に、この十月から十二月は大変な、年率換算すると四・八%というふうな成長を見たわけでございます。しかし、実際問題は、全体として見て、消費が回復していない限り景気の基本的回復はないというふうに思っております。 消費は、ようやく、七、八、九の反動で、十、十一、十二は前期比一・一%プラスにはなったんですけれども、しかし、全体として見ますと、まだ消費は回復していない、前年をクリアできていないという状況で、特に暖冬も加えて低迷している。その基礎にあるのは、何といっても中小企業、雇用の大半を占める、七一%を占める中小企業の従業員の収入が上がっていないということに基本があるかと思います。 現在、春闘を迎えているわけでございます。春季賃金改定時期を迎えているわけでございますが、大企業はそれなりの金額を提示、千五百円とか二千円。しかし、中小企業はまだ動こうともしていないというのが現状でございます。一部中小企業でも、IT関係で景気のいいところがあっても、全体としては、まだそこにまで来ていない。 したがって、そういう中で、もし消費税導入が何らかの形で進むとするならば、ここが回復していないときに大変な問題になってくるというふうに私は考えております。経済を大きく引き下げるという極めてリスキーな問題になってくるというふうに思っています。 要は、中小企業の所得が改善されることが、何といっても、最低賃金にせよ消費税にせよ何にせよ、これが基本である、今の日本経済のネックというふうに思っています。 以上でございます。
○穀田委員 ありがとうございました。
○実川委員長代理 次に、重野安正君。
○重野委員 まず、四公述人におかれましては、大変お忙しい中、わざわざ当委員会のために時間を割いていただき、また、貴重な御意見を拝聴することができました。まず最初に、心から厚く御礼申し上げたいと思います。 社会民主党の重野安正でございます。 まず、宮本公述人にお伺いいたしますけれども、宮本公述人は、二〇〇四年の本委員会における公述人として公述されておられます。便益と負担の関係の明確化が必要だといたしまして、消費税の引き上げというふうなことも将来視野に入れなければならないと言っております。 さて、三年が経過いたしました。そのとき、将来と申しておるわけですが、将来とは一体いつの時間帯を想像して申したのかということが一つ。それから、今回の公述において消費税について触れられていない、これは一体どういうことなんだろうか、それが一つであります。 次に、これについては宮本、小池、小田川各公述人にお伺いいたしますけれども、今、雇用問題が非常に重要な問題としてクローズアップされております。雇用における、正規雇用と非正規雇用の労働者の賃金あるいは雇用条件にかかわる格差、いろいろな格差があります、地域間格差など。生活、所得両面にわたりまして格差問題が進行し、社会問題化してきている。 こうした現状に対する認識と、同時に、そういう現状に対する対策、どういう対策を考えておられるか、それぞれお伺いいたします。
○宮本公述人 お答えいたします。 ただいまの御質問、特に最初の方が私個別の御質問でございますので、まず最初にお答えをさせていただきますと、消費税についてでございますけれども、以前こちらで私の意見を述べさせていただきましたときにも、消費税の引き上げというのも視野に入れなければならないというふうに申し上げました。きょうも、先ほど、御質問を受けましたものですから、同じようなお答えをさせていただいた次第でございます。 といいますのは、私は、一番最初に申し上げましたように、長期的に見まして、日本の財政状態というのは、このままでは破綻の道を進むばかりである、したがって、どこかの段階で、やはり歳出削減だけではなくて、ある程度国民の方々に痛みをひとしく背負っていただくことも必要であろうというふうに考えております。そのためには、やはり景気の状況、それから物価、それぞれいろいろな面から見まして、いつが妥当かというふうなことが必要になってくるかと思います。 しかしながら、現状では、年々いわゆる赤字公債がふえておるという状況でございますので、正直申し上げまして、かなり早急な段階で、やはり消費税というものの引き上げを検討せざるを得ないのではないかというふうに考えております。 もちろん、これは先生方の御意見で、国会等で決まるわけでございますので、いろいろな御意見があろうかと思いますけれども、私は、やはりそれも視野に入れた方向を考えないと、日本の財政は行き詰まってしまうのではないかというふうに考えております。 それから、雇用の問題でございますけれども、雇用につきましては、先ほどから小池公述人もお話しされていますように、私は、やはり非正規雇用がふえたということが一つ大きな問題ではないかなというふうに考えております。 私は、日本のいわゆる今までの雇用体系、それから日本人の性格等を考えまして、やはり正規雇用というものを確保しないとだめではないかなと。いわゆる非正規雇用がふえてくるということになりますと、もちろん所得が伸びないということもございますし、それが消費の低迷にもつながるわけでございます。 したがいまして、何らかの形で正規雇用をふやしていくという方向が一つ大事ではないかなというふうに考えております。 以上でございます。
○小池公述人 まず、消費税の問題から申し上げたいと思います。 消費税につきましては、現に大阪の例をとりますと、これだけ財政がピンチになってきましたので、要するに財政難、そのことによって出てきた問題は、大阪府をとりますと、裏金という問題が依然として解決していない。裏金というのは、架空の旅費精算をして、ためて、個人的に使う。これが要するに地方行政のトップ段階で行われている。例えば、今度は大阪市においては、そういう財政難から同和にあれだけの供与を行っていた。しかも、これが個人的に使われていた。 要するに、府においても市においても、財政規律が全然できていない。そのことでもう何年も取り組んでいても、依然として温存されているということ、これは、単に大阪府とか市の問題じゃなくて、ほかの地方自治体にも言えることでございます。 要するに、地方分権だとか道州制といっても、足元がそういうことでは、もちろんそういうことが解決しない限りは、消費税が提案されると、これは国民から大きな反発が得られる。まずは足元を固めた後にそういう税制議論はすべきであって、それがぐらぐらしている段階で、今もってぐらぐらしている段階でやるべきじゃない。こういうことをはっきり申し上げたいと思います。 それから、雇用の格差の問題でございますけれども、私の企業は中小企業でございまして、全部で三百人ほどの企業でございますけれども、これは意図せず、正規社員をきちっと採用したいという考え方でずっと来たんですが、この二〇〇〇年に入ってから、知らないうちというか、雇用を確保する過程の中で、いつの間にかパートタイマーがふえ、派遣社員がふえ、外国人労働がふえ、それからアルバイトもふえてくる。 これは、社会構造として、正規社員を採用したくても、適当な、雇用に応じてくるのは、パートならよろしいという形、あるいはアルバイトでこういうことだったらやりたい、それを仕事としてマッチさせる。それから、現場の一番重要なところは全然若い労働者が来ない。それで、外国人労働、もう既に十年やっていますけれども、彼らは非常に力を発揮するわけなんですね。そうすると、外国人労働がふえる。それから、派遣社員がふえる。 これは、要するに社会構造のシステムとして、企業が頑張って正規社員をふやそうふやそうとしても、なかなかできないという環境にあります。ですから、これは、単に企業の努力としてじゃなくて、一つの社会問題としてきちっと体系づけていく必要があるんじゃないかというふうに思います。 以上でございます。
○小田川公述人 所得だけではなくて、医療や教育などといったサービス供給の分野も含めて格差が拡大をしていると私どもは考えておりますし、その格差拡大と同時に、とりわけ所得部分にかかわりますけれども、貧困と言われる層が増加をしている、このことに今日の最大の問題があって、緊急の解決が必要だと思います。 私どもとして考えます対策は、最低賃金水準の引き上げを軸とするセーフティーネットの再構築が一つであり、二つ目には労働時間の短縮を伴う正規雇用の拡大、そして、それまでの間の問題でもありますけれども、非正規と正規の均等待遇の実現といったような、働くルールの整備が必要なのではないかと考えております。 以上です。
○重野委員 柳沼公述人にも質問を用意しておったんですが、もう時間が来てしまいました。 私たちも、先般現地調査に行かせていただきまして、十分に意見交換してまいりました。皆さんと同じ目線で頑張っていかなければ、このように思っております。 公述人の皆さん、本当にきょうはありがとうございました。
○実川委員長代理 次に、糸川正晃君。
○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。 公述人の皆様におかれましては、大変貴重な御意見を賜りましたこと、まず御礼申し上げます。ありがとうございます。 十分の持ち時間でございますので、それぞれ皆様に少しずつお聞きしたいなと思います。 まず、柳沼公述人にお聞きしたいんですが、昨日、市議会の特別委員会に最終案が報告されておりますけれども、本年の一月二十六日に夕張市が発表されました再建計画素案によりますと、今後、平成十九年度から三十六年度までの十八年間にわたって約三百五十三億円の赤字を解消して、そして財政再建を達成することというふうにされておるニュースがございます。 この財政再建を達成するために、総人件費の削減、これはもちろんですが、各種補助金の大幅な削減、こういうものを初めとする事務事業の抜本的な見直し、市立総合病院の有床の診療所への改編、そして市税の引き上げ、使用料の引き上げ、こういう住民生活のさまざまな面において多大な影響を及ぼす施策が行われることになるわけでございます。 そこで、住民への負担につきまして、今の御実感、それから商取引上の影響、また、今後市民としてこのような状況に対してどのように取り組むおつもりか、お聞かせいただければと思います。
○柳沼公述人 御質問ありがとうございます。 夕張市の現状でございますが、ただいまの御質問に対しましては、まず公共料金等の増加につきましては、上下水道料金とかも、夕張市の場合は特別、自治体の中では高い方だと言われておりました。それが、今回再建団体になることにより、またさらに高くなるということで、夕張の場合は四〇%という高齢化率でございまして、その高齢化の方というのはほとんどが年金生活者でございます。その決まった収入の年金生活者の公共料金が上がるということは、非常に家計を圧迫するものととらえております。 次の質問ですが、商取引に関しましては、私は中小企業の経営者ですが、銀行の融資、もしくは市外の業者との取引、決済につきまして、支払い方法だとか、融資の際は、やはり夕張の業者ということで、大丈夫であろうかと直接、間接的に問われることもございます。 続きまして、我々がこれからどうやって再生していくかということにつきましては、先ほど私も申したんですが、夕張が立派に再生することによって、全国の財政の厳しい自治体、夕張もできるんだったら自分たちもできるという手本になれるように頑張っていきたいと思います。 以上です。
○糸川委員 ありがとうございます。しっかりと頑張っていただいて、お手本になっていただければなというふうに思います。 続きまして、小田川公述人にお尋ねをしたいんですが、一九八四年、所得階層の上位二〇%の総所得と下位二〇%の総所得とを比較しましたときに、その差は約十三倍にすぎませんでした。ところが、二〇〇二年時点では、その差が今百六十八倍にまで拡大をしておるわけでございます。 このように急速に格差が拡大した点につきまして、どのように思われていらっしゃるか、お答えいただければと思います。 〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
○小田川公述人 九〇年代後半以降、企業における配分の状況が変わってきているかと思いまして、労働者に対する配分よりも株主やあるいは役員に対する配分を非常に高めてきているというふうに思います。そのこともありまして、今おっしゃいましたように、八〇年代と比較をして上位と下位の格差が広がっているものと考えております。 二つ目に、先ほどから申し上げていますように、非正規労働者が増加をすることによって、低所得者の層が下の方に下がってきているという傾向がうかがえる状況になっております。これも九〇年代以降の状況だと思いますが、後半以降だと思いますけれども、それも、今申し上げたこととあわせて、二つ組み合わさって所得格差の拡大がうかがえるのではないかと私ども考えております。
○糸川委員 今の同じ質問をぜひ宮本公述人にもお答えいただけるとありがたいんですが、大丈夫でしょうか。
○宮本公述人 お答えいたします。 先ほども申し上げましたように、ノミナルに考えますと、確かに、いわゆる上位の高額所得者、それから低額の所得者と、その格差が開いてきているという面は事実でございます。そういう現象は確かに日本でも、いわゆるグローバリゼーションといいますか、そういう流れの中で出てきたということであろうかと思います。 しかしながら、先ほど申し上げましたように、実は、その裏にありますところの努力とか成果とか、そういうふうなものもなおかつやはり入れて分析をして、格差問題というものを考えていかないといけないのではないか。つまり、出てきた所得が全部同じであれば公平だ、そういう基準はやはりおかしいというふうに私は考えております。 ですから、先ほども申し上げましたように、ある程度の格差があったとしても、許容範囲であるかどうかというのが一つの大きなポイントではないかなというふうに考えております。 以上でございます。
○糸川委員 もうほとんど時間がございませんので、先ほどから消費税論のことが少しずつ出ておりますので、今の消費税がまた切り上げられる、消費税が例えば七%になったり一〇%になったりというようなことに今の日本が耐えられるのかどうかということ。もちろん、福祉のことを考えたりすれば、目的税という観点から必要だという声もあるのも承知しております。ただ、その中で、皆様の考えの中で、今の日本、消費税を増税しても大丈夫なのかどうか、最後に一言ずつ四人の方にいただければと思います。
○宮本公述人 お答えします。 消費税の引き上げというのは非常に微妙な問題でございまして、ある程度、消費水準が上がってきた、所得水準が上がってきたという、それを見きわめた上で私は実施するべきであろうかと思います。ただし、長期的に見ました場合には、やはり、給付と負担の関係から考えますと、その引き上げも視野に入れないといけないというふうなのが私の基本的な考えでございます。 以上でございます。
○柳沼公述人 お答えします。 消費税は目的税と言われますが、財源を確保するためには、私は、国民の一人として、消費税を上げるということもやむなしと考えております。
○小池公述人 私は、消費税そのものを否定する考え方は一切ございません。もちろん、重要な税制でございますから、これを否定はいたしませんが、しかし、いつやるのか、どういう形にするのかということは、現在、いろいろ問題、先にやるべき、消費税を上げる前にやるべきものが山積しているときに、消費税に手をつけて解決しちゃう、これは、大変イージーな政策でもあるし、社会的行動でもあるというふうに思っています。 以上です。
○小田川公述人 消費税の逆進性に目を向ければ、現状の格差の状況のもとで、これ以上の税率を引き上げるという選択は、今とるべきではないと私ども考えております。
○糸川委員 本当にきょうは、貴重な御意見をありがとうございました。今後の審議に活用させていただきたいというふうに思います。 終わります。ありがとうございました。
○金子委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、遠路わざわざ東京まで御上京いただきまして、厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 明二十二日の公聴会は、午前九時から開会することとし、本日の公聴会は、これにて散会いたします。 午後三時四十五分散会