予算委員会 第14号
- 発言数
- 276 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2007/02/23
会議録
○金子委員長 これより会議を開きます。 平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算、平成十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 この際、お諮りいたします。 三案審査のため、本日、お手元に配付のとおり政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○金子委員長 本日は、雇用・労働問題等についての集中審議を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。深谷隆司君。
○深谷委員 おはようございます。私は、自由民主党の深谷隆司でございます。 かつて自民党が野党の時代に、予算委員会の今園田先生の座っておられる席で筆頭理事を務めて、細川、羽田政権に大いに論陣を張ったものでございまして、一時は武闘派とか予算男と言われたものでございます。今回は久々の質問でございますから、柄にもなく大変緊張いたしているところでございます。 さて、安倍総理大臣、政権を得た御感想はいかがでしょうか。私は、あなたのお父上、安倍晋太郎先生とよき交流関係を長く持たせていただきました。もう一息で政権の座にお着きになるというときに病に倒れて、残念ながらその機会を失ったのでございます。さぞかし無念であったろうと思います。その御子息のあなたが、今晴れて総理大臣におなりになった。父上はどんな御心境であろうか、そのお心を思うのでございます。 今はやっております「千の風になって」という歌を御存じでしょうか。これは、亡き人が、愛する、今生きている人に向けて呼びかけている歌なんです。その歌の一節の中に、朝は鳥になってあなたを目覚めさせ、夜は星になってあなたを見守るという歌詞があります。恐らく、安倍晋太郎先生の御心境は、そのような状態ではないだろうかなと拝察をいたしております。 ただ、政権の座に着くということは、単なる栄誉ではなくて、実は大変な御苦労を担われたということでもございます。かつて中曽根康弘先生は、日本の将来、日本国民の将来を思うと、なかなか夜寝つけないんだという、そんな率直なお話をなさったことがあります。恐らく安倍総理も、さまざまな感慨を持つというよりも、この日本丸という大事な大事な船をどのようによき方向に向けていくかということで日夜お悩みではないだろうかと思うのであります。 率直な、あなたのただいまの心境を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 私が衆議院に初めて当選をいたしましたのが、平成五年でございました。ただいま深谷先生がおっしゃったように、当時自由民主党は野党に転落をしたわけでございまして、私の議員生活は野党からスタートしたところでございます。 そのときには、多くの自民党の議員が失意の中でしょんぼりしていたのを思い出すわけでありますが、その中で生き生きと闘っておられたのが深谷先生でございまして、まさに水を得た魚のように厳しく与党を追及していたことを思い出すわけでございまして、なかなか、当時は野党型の質問になれていない自民党議員が多かった中で、深谷さんは当時の細川政権を厳しく論理的に追及しておられました。当時は、私もいつか深谷先生のように与党を追及したい、このように思っていたわけでありますが、思いのほか早く自由民主党は与党に復帰することができたわけでありまして、その深谷先生からこのように質問される立場になるとは、当時、思ってもみなかったわけでございます。 今、私の父のことについてお話をいただきました。先生には大変父もお世話になったわけでございますが、最晩年に当時のソ連に赴きまして、当時既に病を得ていたわけでありますが、当時のゴルバチョフ大統領と会談をし、訪日の約束を取りつけたわけでございまして、このように命を削って戦後の課題に取り組む父の姿を間近で見たことは私にとって大変いい経験になったわけでありますが、そうした、まだまだ戦後解決すべき課題は残っているわけでございます。 こうした課題に正面から取り組んでいかなければならない。もとより浅学非才の身でございますが、総理の職にある以上は、全身全霊を打ち込んで職責を全うしていかなければならない。そのときには、やはり国民の、また国家のために誤りなき判断をしなければならない。常に心がけていきたい、このように肝に銘じているところでございます。
○深谷委員 各種の世論調査によりますと、残念ながら、当初よりも支持率は下降線をたどっています。しかし、あなたが総理に就任されてからまだ四カ月であります。私は、安倍政権の内容を評価するにはまだ早過ぎると思うのでございます。 国民の声に耳を傾けていくということはとても大事なことですけれども、世論の動向に一喜一憂する必要は私はないと思います。政治家として天下を握ったことは、まさに本望であります。あなたは、長年培ってこられた政治への夢を、そしてこの日本をどうするのかという大事な仕事を、今までの経験や知識を生かしながら、しっかりとあなたらしい政策を立てることによって断行することが大事だろうと思うのであります。 日本の将来に禍根を残さないようにぜひ頑張っていただきたいのでありますが、その決意のほどをお聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 先ほど委員が引用されました中曽根先生が、私の祖父の岸信介の葬儀の際、弔辞を読んでいただいたわけでありますが、その弔辞の中で、政治家が信念に従って行動すればするほど毀誉褒貶はつきものであり、まさにその毀誉褒貶はどんどんこれは大きなものになっていく、こんなことをおっしゃっていたわけでございますが、私は、自分の信念に従って、まさにみずから省みて直くんば、自省しながら、自分がやっていることは正しいかどうかということを常に自分自身確認しながら、それが正しいと信じるに足るものであれば、まさに一千万人といえども我行かんの信念を貫いていくという気概を持って進んでまいりたい、このように思うところでございます。
○深谷委員 あなたの並々ならぬ御決意が伝わってきたような、そんな思いがいたします。 それを支えるのは、申し上げるまでもなく閣僚の皆さん方でございます。どうか一致団結なさって、一糸乱れず安倍総理をしっかり支えていただきたいと思うのであります。いろいろな声が聞こえてきます。塩崎官房長官、どんなふうでございますか。
○塩崎国務大臣 私も、平成五年に、総理と同じときに初当選をさせていただいて、先生の予算委員会でのお姿を後ろに座って聞かせていただいて感銘を受けたことを、本当に私もきのうのように思い出すわけでございます。 今、官房長官という立場で安倍総理を支えながら日々努力を重ねているところでございますが、今御指摘のように、一致団結をして、一糸乱れぬ閣僚の行動というのが大事だ、まさにそのとおりだと思っております。 先ほど総理からお話がありましたように、美しい国づくりで燃えている、この総理を支えながら、我々一致団結をして、心を一つにして頑張らなければいけない、このように考えているところでございます。
○深谷委員 歴代官房長官は、それぞれの時代の総理大臣をしっかり支えてこられたのであります。この予算委員会にも細田元官房長官もおられますが、立派な、誠実な官房長官でありました。 中でも、一番私どもが印象に残っておりますのは後藤田官房長官でございます。当時、私も総理府総務副長官という立場で御一緒に仕事をさせていただきました。後藤田官房長官がおられなかったら、恐らく国鉄民営化、専売公社の民営化など、思い切った中曽根行革はなかなかかなわなかったのではないだろうかなと思うのであります。 あのときに後藤田官房長官を近くで見ておりますと、閣内をしっかりまとめる、それから、行政に対して、役人に対してにらみをきかせる、党内ともきちっと話を十分に尽くして、党を挙げての大きな支持を得る、そういうようなことに努力なさったのであります。 私は、塩崎官房長官は春秋に富むお若い国会議員で、まさに大いに頑張っていただいて、後藤田官房長官をしのぐような官房長官にぜひなっていただきたいと思いますが、御決意のほどをお聞かせください。
○塩崎国務大臣 ただいま後藤田官房長官の話が出ました。ちょうど中曽根内閣のもとで後藤田官房長官がお務めをいただいていたと思うわけでございますが、そのとき、深谷先生は総理府総務副長官をお務めでございました。たまたまでございますが、安倍総理と私はそれぞれ、外務の政務秘書官、私は経企庁の政務秘書官、同じ時期にお世話になって、私も後藤田官房長官からじきじき御指導いただいたことを覚えているわけでございます。 これまで卓越した官房長官がたくさんおられ、私の前任も安倍官房長官でございますが、それぞれの時代時代に応じた、そしてまた国民の思いに心をいたして、偉大な仕事をされてきた官房長官がたくさんおられるわけであります。 今、深谷先生から御指摘をいただきましたような資質をしっかりと身につけるべく私も努力をし、安倍総理を支えて、日本のこの国づくりのため、美しい国づくりのために努力をしてまいりたいと思いますし、微力を尽くしたいと思いますので、また御指導のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。
○深谷委員 どうぞ精いっぱい頑張っていただきたいと思います。 さて、バブルがはじけて以来、我が国は長い長い不況の時代を迎えました。失われた十年と申しますけれども、その間に国民の御苦労は並大抵のものではなかったと思います。幸いに、ようやく二〇〇二年を境にいたしまして景気は回復途上に入りました。現在は景気拡大期、もう六十一カ月というぐらい極めて長くなっています。イザナギ景気を超えたのではないか、そんな声も聞こえます。 しかし、率直に申し上げて、町のどこへ参りましても、実感がないという答えしか返ってこないのであります。私は東京の下町に住んでおりますが、特に下町、中小企業関係の皆さんから、景気回復したと言われるが実感がない、早く実感のある状態にしてもらいたい、そんな声が非常に多く上がっております。この点を総理はどのようにとらえておられるか、お聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 イザナギ景気と比べ、今回の景気回復はいわば企業部門の強化、つまり、これは三つの過剰、雇用、設備そして債務の過剰を適正化していく中によって、企業が力を回復し、競争力を上げ、そして景気回復を図ってきたということではないかと思います。 その結果、正規雇用あるいは家計部門への波及がおくれているという現状があり、また、デフレ下の中での景気回復ですから、どうしても実感が伴わないということではないか、このように思うわけでございまして、特に中小企業や、また地方によってはその思いが強いのではないか、このように思います。 私は、ことし、まさに多くの方々が、景気回復、景気回復はまさに構造改革の果実ではないかと思いますが、この果実が行き渡っている、また回復を実感できる、そういう年にしていきたい、こう考えているわけでございますが、そのためには、まずは景気回復をさらに持続的に続けていくことが大切ではないか。 幸い、明るい兆しも見えてきたわけでございまして、正規雇用がだんだんふえてきた、あるいはことしの新卒内定率が上がっているわけでございまして、初任給も上昇していく。だんだん労働市場がタイトになっていけば、しっかりと人材に投資をしなければ、優秀な人材が確保できないということになってきました。 ですから、その意味で、景気回復の流れをさらにしっかりとしたものにしていく必要があるわけでございますが、それと同時に、やはり人材に着目をして、就労を支援していく、人材に投資をしていく、あるいは中小企業も支援していくという、我々が進めていこうという底上げ戦略を着実に具体的に進めていく必要もあるのではないか。 その中で、特にやはり中小企業、大変大切であります。今後、中小企業が生産性を上げて力強く成長していくことが、日本経済が本当に安定的に力強く景気上昇の波に乗っていくためには必要ではないか、私はこのように思うわけでありますし、また、家計部門に波及していくことによって、それが消費に回り、そしてその消費が景気を支えるという好循環に入っていくことができる、こう考えているわけであります。 中小企業の生産性を上昇させ、また底上げを図っていくためにも、また成果を下請企業等々にも波及させるために、例えば、価格転嫁がなかなか下請はできないという状況にもあるわけでありますから、下請取引の適正化を図っていったり、あるいは、生産性を上昇させていくためにも、IT技術を中小企業が活用していくことに対しての支援をしていく、そしてまた、大変今世界でも競争力の高い自動車産業等のノウハウをそういう中小企業にも普及させていくことも必要ではないか、このように思います。 また、さらには、やはり中小企業の方々がなかなか資金繰りが苦しい、あるいはまた個人保証や連帯保証を求められるという中にあって、個人保証や不動産担保に過度に依存しない資金調達環境を整備するための法案をこの国会で図っていきたいと思っていますし、地域資源を活用した中小企業の試みを支援する法案の成立もこの国会で図ってまいりたい、このように思います。
○深谷委員 従来の景気回復というのは、どちらかというと公共事業に力を注いで、そして景気を上向きにしてきた、つまり官主導であります。今回は、民間がそれぞれの企業の中で身を削るように、例えばリストラなどを行いながら、ようやく経営を向上させてきたという、そんな傾向が見られます。企業利益の伸び率は年間一〇・八%と非常に高いものがあります。 ただ、問題でありますのは、設備投資などには力を注いでいるのでありますが、賃金をふやしていくという、つまり企業の利益の向上を従業員、社員に還元するという点にまだ十分なものがない、そういうところが大きな問題ではないだろうかなと思うのであります。 イザナギ景気のときは、東京オリンピックの時代の背景もありまして、消費ブームという、そんな言葉を生んだのであります。個人消費は九・三%と、そのころ大きく伸びました。しかし、今回の個人消費は一・五%程度の伸びしかないのであります。 最近、二月十五日の内閣府発表の数字を見ますと、やや明るみが出て、GDPは、実質ベースで前期比一・二%増、年率に換算しますと四・八%増というふうになっておりまして、個人消費も二期ぶりに上がってきた、そういう報告でございます。ただ、この数字には、私は若干首をかしげたい思いがあるんですね。つまり、七月から九月期にかけてかなり落ち込んでいましたから、その反動ではないか、そんな見方もあるようであります。ですから、これがどこまで本物になるのか、これから十分に見定めていく必要があるのではないだろうかな、そんなふうに考えます。 こうした状況の中で、きょうは日銀総裁、おいでいただいていますけれども、一昨日、日本銀行は短期金利を〇・二五%から〇・五に引き上げることを決定されたのであります。市場観測で利上げかと言われたのが去年の十二月及びことしの一月でございますが、そのときはいずれも、日銀は利上げを見送ったわけでございます。一月の日銀の審議会では、利上げ賛成はわずか三人で、残りの六人は反対に回ったと報道されています。しかし、今回は、反対は副総裁ただ一人だということで、わずか一カ月の間に、見送った利上げをこのたび実施するようになったのは一体どういうわけなんだろうか、そこの背景についてお話しいただきたいと思います。
○福井参考人 お答えを申し上げます。 ただいま委員御指摘のとおり、今回の日本経済の回復、拡大局面の最大の特徴は、過去と比べて、中央と地方、あるいは大企業、中小企業、業種別、企業ごとのばらつきが非常に大きいということでございます。その辺のところ、私ども、多くの情報をちょうだいし、支店長会議でも十分検討し、結局のところ、物価安定のもとで、緩やかではあっても景気の拡大をできる限り長く続ける、その中にあっては、ばらつきがあってもそれぞれに少しずつよくなるということが確認されている。 したがいまして、私どもの金融政策の目標も、物価安定のもとで今の景気の拡大をできるだけ長く続ける、ここに主眼を置いております。そういう観点から、毎回の金融政策決定会合で、その時点で持ち得るあらゆるデータを毎回新しく検討し直し、分析し直し、この先の経済がどうなるかということをフォワードルッキングに展望を引き出しながら、政策の要否ということを続けているわけでございます。 十二月あるいは一月の決定会合のことをおっしゃいましたけれども、我々は慎重に検討した結果、さらに確信を得たいということでああいう結果になっていたわけでありますけれども、今回は、〇・二五%の金利の引き上げが、今後、景気の安定的な回復を続けさせていくために必要だという判断に至りました。 前回の会合から今週の会合までの間の新しいデータだけを頼りに判断したというよりも、また改めて、それ以前に持っているデータも含め分析し直して、将来に引き延ばして物事を考えたということでございます。その結果、もともと日本銀行では、日本経済の場合に、生産、所得、支出の前向きの好循環が今後とも続いていく、そういう方向性にあるというふうに思っていましたけれども、今回綿密に再検討しました結果、その蓋然性が高いというふうに判断できたわけであります。 幾つかのポイントだけ申し上げますと、日本経済、グローバル化の中で、世界経済と緊密な連関を持って動いております。世界経済の観測抜きには判断できないんですけれども、世界経済は、やはり地域的な広がりをもって当面順調な拡大を続けることはほぼ間違いない。 一番問題はアメリカ経済で、住宅市場を中心に今減速しております、調整局面にありますけれども、やはり最近までのデータで見ますと、米国経済、ソフトランディングに向かう可能性が高まった、従来に比べますと少し高まったというふうに私ども判断いたしました。住宅市場の調整は続いていますけれども、これが米国経済の他の部門に悪い影響を及ぼしていない、こういうふうに判断したことが一つございます。 世界経済が順調な拡大を続けるであろうということは、先般のG7においても、尾身大臣と一緒に出席をさせていただきましたが、各国の共通の認識でございました。 国内の経済につきまして、大企業、中小企業ごとに業況の差はかなりありますけれども、ひっくるめて、企業部門は比較的好調な収益を背景に設備投資が増加を続けている、これは委員御承知のとおりだと思います。 問題は個人消費。これは昨年夏ごろにかなり急激に落ち込んだようなデータもございましたので、私どもは、やはりここはよく吟味し、点検しなければならないということで、吟味を続けてきたわけでありますけれども、今回の会合では、一時的な落ち込みが昨年七—九月以降かなり大きくあったということですけれども、その後のデータを補充して考えると、全般的に底がたい動きになっている。先行きのトレンドとしては、決してこれは高い伸びは期待できない、雇用はふえても賃金が鈍いということですので、高い伸びは期待できないけれども緩やかな増加基調をたどる蓋然性が高い、こういうふうに判断させていただきました。 物価の方も、足元、CPIが少し弱含みである、場合によっては、原油価格の値下がり等がありますので、この先ゼロ近傍で推移する可能性すらあるというふうに思っております。 しかし、今申し上げましたとおり、景気が今後とも順調に推移していく、緩やかであっても順調に推移していけば、設備や労働といった資源の稼働状況はさらに高まっていくことは確実でございます。したがいまして、より長い目で見れば、消費者物価の動き、これは基調として上昇していく、こういうふうに判断いたしました。 そういう展望が、我々が……(深谷委員「短目にお願いします」と呼ぶ)はい。恐れ入ります。持てるのであれば、冒頭に申し上げましたとおり、中長期的に物価の安定を確保し、持続的な成長を実現していくために、我々の目標はそこにありますので、この際、金利水準の若干の調整を行うことが適当だ、こういうふうに判断したわけでございます。
○深谷委員 今いろいろおっしゃいましたけれども、わずか一カ月の間に方針が変わるというのは問題があると私は実際思っています。ただ、今のお答えを責任ある回答としてとりあえず受けとめたいと思います。 これから先、市場の動向を眺めながらさらに利上げを考えているのか、ちょっと伺いたいと思います。
○福井参考人 この先の金利政策の具体的なあり方につきましては、現時点においては全くオープンでございますが、基本的な考え方は、今後とも物価安定のもとで経済が着実に回復、拡大を続けていく、それを前提として申し上げれば、当面、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を維持しながら、経済、物価情勢の今後の変化に応じて徐々に金利水準の調整を進めていく、それが景気の長続きをさせる根本になる、こういうふうに考えております。
○深谷委員 どうぞ、極めて重要なお立場でございますので、経済の流れをしっかりごらんになりながら、誤りなきような対応をしていただきたいと思います。どうぞ、お引き取りください。 今、一つの大きな問題は、私は雇用の流動化だというふうに思っているのであります。経済の流れが悪かった時代も背景にありますけれども、だんだんに正規社員、従業員の数が少なくなって、非正規の社員の数がずっとふえてきているのであります。これは、つまり、立場の弱い従業員の数が増加するということでもございます。 また、もう一つ、パート労働者の数も近年非常にふえてまいっております。平成十八年度でパート労働者は千二百六十六万人というふうに言われておりまして、全雇用者数の二四%、つまり四人に一人はパート労働者でございます。ですから、今や国の重要な労働力になっているのがパート労働者であって、しかも、その七割が女性でございます。 つまり、これから私たちが考えていかなければなりませんのは、非正規社員の待遇の問題、それから、パートで働く人たちをどのように支えていくかという問題、これは重要な課題であろうと思いますが、この点についてのお考えを厚生労働大臣、お願いします。
○柳澤国務大臣 正社員、非正社員といいますか、正規労働、正規雇用、あるいは非正規の労働、雇用といったような範疇で労働市場の動向を見ますと、今深谷委員の仰せられるとおり、最近においては、大変非正規労働が、雇用が多くなっている、大体三分の一近くになっている、こういう状況でございます。それから、その中でパートも非常に大きな部分を占めている、こういう情勢になっております。 これについてどのような認識を持っておるかということでございますけれども、これは、これがもたらしたものについては、使用者側の構造変化への対応という動機があったことは間違いないと思いますが、同時に、労働者側の、労働形態を多様化して自分が労働に従事したい、こういうような意欲もあったことは間違いがないというふうに考えておりまして、そのようなものが合致したところで今日のような労働の構造が生まれているのではないか、このように考えるわけでございます。 それに対して私どもはどのように対応していくべきであろうかということでございますけれども、まず、基本的には、この非正規労働というような人たちの中に、非常に正規労働の方に移行したいという希望を持っていらっしゃる方もおりますので、それらについては、できる限りこれを正規労働の方に移行させるような支援をいたしたい、これが一つでございます。 それからもう一つは、いや、自分の時間の配分だとか、あるいは専門知識を生かしたいというようなことで、パートの労働形態をいましばらくは選択したい、こういう方がいらっしゃる場合には、しかしその待遇はどうなのかというふうに考えられるわけでありまして、この待遇が無用に正社員の人たちと均衡を失するようなことは、やはりこれは許されるべきではない、このように考えまして、今度、パート労働を中心として均衡処遇の確保という方向での法律改正をいたしているところでございます。 したがいまして、非正規労働をできる限り、希望者であればそれは正規労働の方に向けていく、それから、非正規労働というものを選択する人たちについても、基本的に正規社員との関係で均衡の処遇を確保するような方向での法律改正でもってこれを支援いたしたい、このように考えているというところでございます。
○深谷委員 これから、いわゆる団塊の世代と言われる人たちが大量に離職していく時代に入ります。戦後のベビーブームの時代の方々でございまして、この方たちが今日までのあらゆるものを支えてこられた。その経験者がいなくなるということ、技術その他を含めて非常に不安が残るわけでありますが、これは一つの大きな流れでありますからやむを得ないことかもしれません。 この団塊の世代の人たちの賃金というのは、比較的高いものがございます。その金額を、例えば二〇〇七年から二〇一六年まで累計してみました。実に八十七兆九千億円という膨大な金額になるのであります。あのバブルの時代は、企業が、余剰な資金がありますとさまざまな過剰投資に走ったんですね。今度、団塊世代の方たちが大量に離職していく。そこに払うべき膨大な、ただいま申し上げたような賃金が企業にもたらされた場合に、また過剰投資に回されたのではたまったものではないわけであります。 将来の企業の発展を考えて設備投資に努力をすることはもちろんでありますが、先ほど申したような、つまり、働く人たちに還元していくということがとても大事なことだろうと思うんですね。 こういうような問題につきまして、それぞれの役所では努力をなさっておられると思いますが、これらについては、総体的に総理のお考えをこの機会に聞きたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になったように、やはり企業も、働く人について、働く人を大切にしていく、そして人材に投資をしていくという姿が、人材のまさに長期的な養成にもかなうわけでありますし、この企業で一生懸命頑張っていこう、このようなモチベーションにもつながっていって、結果として企業の業績が上がっていくことにもつながっていくのではないか、私はこのように思うわけであります。 基本的には、我々、この景気をさらに維持し、そして安定的に力強くしていくことによって、やはり労働市場をタイトにして、人材に投資をしなければだめだという中にあって、労使の交渉の中においてまた賃金が上昇していく。また、私どもとしても、先ほど厚生労働大臣が答弁をしたように、パートタイム労働法を変えて非正規から正規に移れるようにしていく、そしてまた、あるいは最低賃金制度を改正して、見直しをして、セーフティーネットとしての機能を果たすようにしていくことによって、賃金を上昇させ、そして生活水準を向上させていくという、私どもの政策的な側面からのそうした環境づくりを行いながら、なるべく家計に反映をしていく、人材に企業の投資も向かっていく、それがむしろ景気が力強く長続きして回復していくためにも重要ではないか、私はこのように思うところでございます。
○深谷委員 このパネルをちょっとごらんいただきたいと思うんですね。資本金別の企業の利益がグラフに今かかれているんですね。 ごらんのように、赤いラインは一億円以上の企業でございまして、確実に景気回復で向上しているんですね。それから、一番下の青い部分が一千万以下の中小企業、とりわけ小規模企業の実態です。景気は回復していると言われていても、ごらんのとおり、上がらないどころか低迷している。この一億円以上のグラフのラインと一千万以下のラインとのこの差、これをどう縮めるかというのがこれからの非常に大きな課題ではないだろうかなと思っているのであります。 いつまでも中小・小規模企業が景気回復から取り残されているという現状は、看過できないのであります。この点について、底上げを図るためにどう考えておられるか、経済産業大臣に伺いたいと思います。
○甘利国務大臣 経済成長戦略は経済のパイを大きくしていく、その過程で格差が固定したり拡大しないようにするために底上げ戦略がある。そして、その底上げをする際に、中小企業がどういう影響をこうむるかということをしっかり注視して対策を打つようにということを総理から指示をいただいているわけであります。 中小企業の利益が低い。生産性の問題も一つはありますから、構造要因として生産性を上げるためのITの導入等の指導助言等は構造的な問題としてやっていきますが、即効性の問題として、きちんと元請から適正な代金を払われているか、あるいは元請が優越的地位を濫用して無理強いをしていないか、これをすぐチェックしなければなりません。 下請二法、公取と中小企業庁が所管する法律がありますが、この中には、下請がきちんと適正な利潤を確保できるようにするために元請企業は種々の配慮をすべきということがいろいろ書いてあるわけであります。即効性の部分で、きちんと元請が下請に法にのっとった対処をするように要請をしますし、また、構造的な問題として、生産性を上げていくための助言をしていく。この即効性とそれから構造的問題と両方で対処をしていきたいと思っております。
○深谷委員 いろいろお尋ねしたいことがたくさんありましたが、あっという間に時間が過ぎてしまいました。 中小企業対策では、昨年の暮れ、我が党の税制調査会で種々の税制の改正を行いました。これらは安倍総理の指示に基づくものでございまして、かなり今国会にも反映されていると思います。いろいろな角度から、せっかく景気回復しているのでありますから、それが比較的弱いと言われる人たちに還元されるように、ぜひこれからも一層努力をしていただきたいと思います。 きょうは集中審議で、賃金問題、労働問題、中小企業問題についてお話ししたのでありますが、今日本が直面している課題というのは本当に山積しています。外交問題からあらゆることが山積をしまして、いわば日本は曲がり角に来ていると思うのであります。 こういう大事なときに総理におなりになった安倍総理の責任は極めて重いと思いますけれども、冒頭申し上げましたように、天下を握るということは簡単にできることではありませんから、せっかくのこのチャンスにあなたのすべてを発揮していただきまして、この愛する国のために大きな歴史の一ページを残していただきたいと心から期待を申し上げる次第であります。 私たちも、微力でありますが、議員一人一人が全力を挙げてお手伝いを申し上げることをお誓いいたしまして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
○金子委員長 この際、野田聖子君から関連質疑の申し出があります。深谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。野田聖子君。
○野田(聖)委員 おはようございます。安倍総理、各大臣、よろしくお願いいたします。 いろいろ前置きをしたいところですけれども、時間に限りがありますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。 まず初めに、少子化についてお尋ねをしたいと思います。 大変うれしいことでありますが、安倍政権に入りまして、少子化という問題が大きくクローズアップされてきました。世間では私の頭の中は郵便局のことでいっぱいじゃないかという誤解をされている向きがありますけれども、決してそうではありません。私は、安倍総理と同期に当選させていただきまして、以来十数年、国会活動の主たる一つとして、この少子化対策をライフワークとして取り組んできたところです。 十数年前、少子化と申し上げても、だれも関心を示していただけませんでした。むしろ、私がその問題を提起すると、それよりあなたが子供を産めばいいじゃないか、そんなようなけんもほろろな状況が長く続いてきたわけであります。 しかし最近、この数年、少子化という言葉がクローズアップされるようになり、さきの小泉政権では、少子化担当の専任大臣をつくっていただきました。私は、いつでも小泉前総理と対決しているように思われておりますけれども、このことに対しては小泉前総理に高い評価を差し上げたいと思っています。そして、安倍政権下においては、引き続きその少子化担当大臣を任命され、そして総理みずからも、やはり美しい国づくりの一つには少子化対策が急務だということをおっしゃっていただいております。 せんだって、柳澤大臣の不適切な発言がございました。にわかに国会の中では少子化という言葉がヒートアップされて、議論の対象になってきました。私は、それは決して悪いことではありません、ただ、問題の本質が、柳澤大臣がおやめになることで少子化対策が進むというような横道にそれるような議論になってしまってはいけないと思うわけであります。大臣におかれましては、深く反省をされているということを何度も聞きました。その上に立って、はりつけにされたつもりで、命がけでこの少子化という大きな問題に対峙していただきたいと思っているところであります。 そこで、改めて、総理そして厚生労働大臣に対して、少子化についての認識を再確認させていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 この少子化の問題というのは、よく経済財政に結びつけて語られることが多いと思います。また、経済政策、産業政策、あるいはまた社会保障政策。しかし、そうした課題、問題との関係だけではなくて、これはもう社会全般にとって、子供の数が減っていって人口が減少している、社会を支える基盤そのものに対して極めて大きな影響が出てくる、このように思うところでございます。そうした認識のもとに、我々は少子化を考えていかなければならない。 先般、若い人たちにとったアンケートの中で、結婚したいあるいは子供を二人以上持ちたいと思っている若い人たちの方がマジョリティーであった、そういう結果が出たわけであります。しかしながら、結婚することに、あるいは子供を持つことにちゅうちょする人たちがいる。では、なぜちゅうちょしているんだと。そうしたちゅうちょしているもととなる原因、障害をとっていくことが私たちの役割ではないだろうか、このように考えています。 まさに、これは少子化問題、子供は国の宝であり、子供を生み育てていく方々、家族を支援していくこと、また家族のよさを我々はしっかりと認識をしていかなければならないと思います。 そこで、今般策定をいたします子どもと家族を応援する日本という重点戦略では、すべての子供、家族を大切にということを基本的な考え方にいたしまして、働き方の改革を含めた幅広い対策の効果的な再構築と実行を図っていきたいと思います。そしてまた、子育てをしている人たち、また家族を社会総がかりで支援していく、社会総がかりで子育てを考えていく、そのことも極めて重要ではないか、そういういわば国民運動を起こしていくことも我々は考えて、また進めていかなければならないと思っています。
○柳澤国務大臣 ただいま少子化についての認識、それから今後の取り組みにつきまして、大変総理から行き届いた考え方の御説明がございましたので、私がつけ加えることはもうほとんどないのでございますけれども。 働き方の問題、それから経済的支援の問題、あるいは意識、意識は個人意識だけではなくていわば社会の意識、こういうようなものが恐らくその環境をつくっていくんだろうと思いますけれども、とにかく基本の枠組みとしては、結婚をして家庭を持ちたい、それからその中で子供を持ちたいという希望、これと現実のギャップ、乖離をどのような施策でもって埋めていくかということ。その埋めていくのは、今言ったように働き方の問題であり、経済的支援の問題であり、また個人から社会から国民の意識にかかわる問題だと思うんですが、そのそれぞれの局面にどういう手だてを講じていくか。これは今まで講じてきたこともありますので、その効果をしっかり分析した上で、新しいことを考えるべきなら新しいものを考えるというようなことで進んでいくんだろうということでございます。 私どもは、尾身大臣がいらっしゃっていただくので申し上げますが、かなり抜本的に考え直そう、それは尾身大臣もかなり覚悟してくれておりまして、それはいざとなったらなかなか財務省は金を出してくれないかもしれないけれども、とにかく構想段階ぐらいはせめて財政の厳しい枠を一応外して、思い切った構想を出していこうじゃないか、こういう心意気で今戦略会議の議論を進めているというところでございまして、私もその一員として頑張らせていただきたいと思っております。
○野田(聖)委員 ありがとうございます。 少子化というのは、今、ややもすると厚生労働省の母子福祉の一つのようにとらえられがちです。産む産まない、そのような議論で足踏みしているような気がしてならないんですね。むしろ、今お二人のお話にありましたように、日本の土台そのものが大きく変わっていくという、少子化というのはすなわち人口減少、少人口国家という新しい国になるに当たってどういうものを制度整備していくかという大変大きな、総合的な問題だと思うんです。 ですから、申しわけないんですけれども、厚生労働大臣が担当大臣というような今のあり方では、この国の少子化対策は進んでいかないのではないかという懸念をしているところであります。 人口減少というのは、皆さん簡単に口にされますけれども、この中でだれ一人経験したことがない、先例が全くない。何をもとに人口減少でいろいろな抜本的な問題を解決していいか、お手本がどこにもないわけです。だからこそ命がけでやっていただかなければならない。 この国の、日本の歴史というのは長いわけですけれども、人口に関してはとても特異な現象があらわれています。つまり、縄文や江戸時代から順番順番こうやって一億二千万人まで人口がふえてきたわけではなくて、例えば、明治維新のときが、一八六八年、三千三百三十万人日本の国民がいた。ところが、それから急激に、第二次世界大戦があるときの八千三百九十万人、そして今一億二千万人と、この近代歴史の中で急激に人がふえているわけです。 とりわけ、この五十年間で四、五千万ふえ、そして、推計によると、これからの五十年で一気にこの四、五千万が消失していく。それも満遍なく減るのではなくて、これからの社会の担い手と言われている若い労働力がなくなっていくという大変未曾有の事態を迎えているわけであります。 ちなみに、日本の国会議員、戦国時代の武将のお話が大変大好きですけれども、関ケ原の合戦、これは私の地元岐阜県なんですけれども、このときの日本の人口というのはわずか千二百二十七万人でありました。戦国武将の言葉を引いていろいろなことをおっしゃる方がいるけれども、十倍の人口を抱えた今の日本、やはりもっと抜本的な取り組みをしていかなければならないと思います。 つまり、少子化が厚生労働省の範疇の中にあると、社会保障はさることながら、私たちの周辺に抱えている、例えば安全保障、本来の安全保障、防衛とか警察力とかまたは身近な消防活動、これにも大きな影響を及ぼしてくるでしょうし、現実に、お隣の韓国では、こういう少子化によって人が減っていく、だから兵役を短縮させようというような動きも出ているわけでありますし、食料に至っては、そもそも農家が、農業人口が激減していて高齢化している中で、人口減少が始まって一番直撃されるのが食料を担ってくれている農業人口にほかならないわけです。 こういう総合的な問題を、果たして今の政府でカウントしていろいろな仕事に取り組んでいただいているのか非常に疑問なところがあるんですが、これに対して、総理、少し御所見をお願いします。
○安倍内閣総理大臣 少子化については、柳澤厚生労働大臣が担当しておりますが、担当大臣、高市大臣を置いているわけであります。そして、少子化社会対策会議、全閣僚が参加をする会議をつくって、まさに省庁横断的な取り組みをしなければならない。その中で、高市担当大臣も担当して、まさに省庁全体を俯瞰しながら、省庁の縦割りではなくて、総合的な取り組みを行っています。 また、先ほど申し上げました新しい戦略においても、これは、一省庁だけではなくて、すべての省庁がそれぞれの責任で、またそれぞれの省庁すべてにかかわるという認識のもとに参加をしてもらっているわけでありますし、政策は、縦割りにならずに、全体的な、総合的な政策にしていきたい、戦略もそうでなければならない、こう考えています。 そして、そこで、しばらくの間は、しばらくというのは相当長い期間にならざるを得ないわけでありますが、人口減少局面が続いていくわけであって、そのことも踏まえた政策も考えなければならない。ですから、例えば社会保障制度におきましては、それを前提に年金制度を変えまして、いわば我々は労働力人口、平均寿命によって給付をスライドさせていくという新たな仕組みを取り入れて年金制度の改革をいたしました。まさに、人口が減少していく中で、一々右往左往しなくても自動的に給付と負担のバランスをとっていくという仕組みに変えたわけでございます。 また、今後とも、医療制度、支え手が減っていく、給付の対象者がふえていくという中で、いかに質を落とさずに、負担も余りふやさずにということで、どういう改革が必要かということを我々真剣に考えながら改革も進めていかなければならないと思っています。 また、農業の分野、特に農業については、農業人口が年々減少しているということは、これは委員が御指摘のとおりでございます。農業については、そもそも少子化とかかわりなく、農業人口は、いわば後継者がいないということで減っているわけであって、農業を支える人たちも大変高齢化をしています。 その中で、私たちは、今、担い手の方々が農業を支える基盤になるような政策を打ち出しているわけであって、農業というのはやはり魅力ある、若い人たちが農業に入ってくる、就農していこう、そういう気持ちになるような農業に変えていこうと考えているわけであります。 今まで農産品を輸出ということはもうほとんど考えていなかったわけでありますが、日本の農産品というのは安全でおいしい、多少価格が高くても日本の農産品を買いたいという人は海外で相当ふえてきているわけでありまして、この機を利用して我々は海外への輸出を一兆円にふやしていこうということも打ち出して、また政策も進めていきたいと思っています。 農業を魅力ある職業にしていくことによって、就農者をふやしていきたい、減少を食いとめていきたいし、新しい活力を取り入れていきたい。また、団塊の世代の方々が、都会での仕事を終えて、後半の人生は地方で農業に従事したい、大地と美しい自然の中で暮らしたいと思う人がいれば、そういう方々の就農を支援していくという仕組みも進めていきたい、このように考えています。 そして、もちろん自衛隊や警察官、こういう若い人の力を必要としている、しかし大切な国民の安全、安心を守る、こうした組織の維持のためにも我々は全力を尽くしていきたいし、募集等においてももっと力を入れていきたい、このように思っておりますし、それと同時に、町の安全を守るためには、いろいろなボランティアの方々、退職した方々の支援もお願いをしたい、このように思っております。
○野田(聖)委員 総理の今の御発言を聞いていますと、やはり少子化というのは、少子化の言葉自体が問題ではなくて、そこから生まれ起きてくる人口減少によってさまざまな今ある制度を大きく変えていかなきゃいけない、社会構造改革なんだ、そういう位置づけにまでやはり持っていただかなければならないわけであります。 そこの責任者というのが少子化担当大臣であるわけですけれども、正直申し上げて、安倍政権の中で私が一番がっかりしているのがこの少子化担当大臣の取り扱いであるわけです。これだけの大きな日本の国の歴史を左右するような問題の責任者でありながら、無任所大臣、つまり、自分の役所も持てない、自分の役人もいない、自分の権限の持てる大きな予算も持っていない、そういうポジションに置いているのでは、いかに前任の猪口さん、そして今の高市さんがすばらしい、優秀な女性であっても、十分な実力が発揮できないのではないか、そういう残念な思いに駆られているんです。 あわせて、今内閣においては、高市さんにはそれ以外に沖縄、北方領土、イノベーション、男女共同参画と、それぞれ大変重要な政策をあわせて兼任させてしまっている。これでは物理的に、いかに高市大臣が頑張っても、少子化に割ける時間はわずかになってしまう。むしろ、この少子化の問題は、今総理がおっしゃったように全般的にわたる問題ですから、やはり総理級の実力、権力、そして時間がなければやり遂げられない大きな課題だと思っています。 それについて、私の提案とするならば、思い切って、時限でいいですから、限られた年限でいいですから、子ども家庭省なるものを一本立ち上げて、そこに集中的に人、物、金を投下して、そしてこれからの人口減少下における、少人口国家となる日本の新しい社会構造改革の姿というのをやはりつくり上げていく必要があるのではないかということを提案させていただきたいと思うわけであります。(発言する者あり)これは党派関係ないです、日本の国の問題ですから。 あわせて、財源の問題があります。財務大臣もいらっしゃっていますが、今、緊縮財政でいろいろと切り詰めていることはよくわかります。切り詰めることによって、新規のものには予算がつけづらい。少子化はいろいろつけたと言うけれども、抜本的に大きな柱が財源として確保されているわけではないわけです。そのために、ぜひ、財源確保の意味とあわせて、この国の特徴として、制度化されないと、国、国民、政府、行政は動きづらい、そういう国家の中にあって、財源の確保と制度化の定着という意味で保険制度を、子ども保険、育児保険、少子化保険、何でもいいです、そういう保険を創設していただき、やはり広く多くの国民の理解、支えのもとで、私たちが直面しているこの大きな問題に対して全国民挙げて取り組んでいく、そういう機運を一日も早くつくっていただきたいと思います。 ちなみに、猪口前大臣は、その保険創設の提案をされておられますけれども、その後の進捗状況または決意について伺わせていただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 まず、高市担当大臣でありますが、高市大臣は極めて有能な大臣でございますので、今回、沖縄北方あるいは食品安全、イノベーション等の担当もお願いをしているわけでありますが、少子化についてもかなり多くの時間を使ってこれは取り組んでいただいていると思います。そういう意味では、ワーク・ライフ・バランス上、少したくさん頼み過ぎたかなという気持ちもあるわけでありますが、十分にそれは取り組んでいただいていると思います。 昨年の予算編成におきましても大変獅子奮迅の活躍をしていただいて、いわば児童手当の乳幼児加算について、財源の確保も含めて、これは新たに予算をとったわけでございますし、また、育児休業給付についても四割から五割に加算をしたわけでございます。そしてさらには、子どもと家族を応援する日本の戦略について、この戦略を打ち立てるために中心的な役割、まさにこれは全省庁を取りまとめながらそうした仕事を担っていただいている、こう思っています。 そこで、少子化のための、また、子供を育てる方々を応援するための財政的な裏づけにおいて、保険をつくったらいいではないか、こういう案も確かにございますし、また、そういう案も含めて我々はいろいろ検討しなければいけない。しかし、それが保険制度としてふさわしいのか、あるいはまた特定財源という形でもいいのではないか、いろいろな議論があると思います。いずれにせよ、子供に対する我々のいわば国家支援の配分というのは、お年寄りへの配分に比べて非常に少ないではないかという御指摘も確かにそのとおりであろう、私もこのように思います。 いろいろな方策も我々は前向きにそれぞれ検討をしなければいけない。積極的な検討をしながら、子育てに対して私たちはしっかりと支援をしていくというメッセージをことしの秋の予算編成においては出せるように努力をしていきたいと思っております。
○野田(聖)委員 フランスでは、先進国の中で少子化対策の成功国家と言われていますけれども、当時、世論調査をして、国民、若い人を対象だったと思いますけれども、子供が三人欲しいという大多数のアンケート結果が出たそうです。それで、フランス政府はその夢をかなえようということで、今のフランスの少子化対策というのが国家を挙げて抜本的に取り組まれて現在に至っていると聞いています。 先ほど柳澤大臣からも障害を取り除こうという話がありました。これは若い人だけの話ではありません。人口減少することによって将来の、先行きの不安感を多くの高齢者は持っているわけで、そういう不安を解消するためにも少子化というのは極めて重要な仕事であるわけですが、ここで若干認識の違いを感ずるのは、少子化対策というのを、同じ、それぞれいろいろな政策と並びにしているところに大きな誤解があるのではないか。 少子化対策というのは、先ほども、繰り返しになりますけれども、国家の政策の土台そのものであって、それが、土俵がどんどん小さくなっていく中で、今ある政策、社会保障政策、安全保障政策、食料安保にしても、これまでの先達は、この国の人口はふえていくという前提ですべての制度をつくってきているわけです。それが反転したという認識をしっかり持った上で、政策ではなくて、そういう土台がこういうふうになったときに、まず我々は、この人口減少によるシュリンク、縮小を極力最小限にとどめていこうということが一つの仕事であり、しかし現実は、五十年後には、厚労省によりますと、これから八千九百万人ぐらいになっていくんだ。そういう国家が透けて見える中で、やはり今の取り組みでは生ぬるいのではないかという不安を感じているところであるわけです。 ぜひとも、十年、二十年の期間でいいから、子ども家庭省なりを立ち上げていただいて、一気呵成に、我々の知恵を集結し、そして、そこで新たな、やはりこれからの時代の人たちの安心のために新しい国づくりをぜひとも推進していただきたいと心から願っているものであります。 それで、きょうは集中審議ということで、労働、雇用ということになります。 先ほど深谷先生から中小企業全般の低迷についてお話がございました。この国は、二〇〇二年ぐらいから意見が二つに分かれてきています。景気がよくなってきたと言われる人と、いや、全然悪い、相変わらず低迷している。これは、都市、地方、または大企業、中小企業で顕著になってきています。 自民党では格差という言葉を余りお使いにならないようなので、あえて二極化という言い方をすればいいのかもしれませんが、とりわけ経済の中にあって、大企業そして中小企業の二極化が数字の上でも大変進んでいることは、これは明らかであるわけです。 私が問題にしたいのは、少子化というのは、単に厚生労働省で母子福祉をすればいいわけではなくて、そもそも子供が生まれる環境づくりは一体何なのか、そして、この環境をつくるためには人はどうあればいいのかというところまでさかのぼった場合には、やはり雇用、労働というのが少子化対策の大きなかぎであるということは、これは言うまでもございません。 ところが、今現実に私たちが直面しているのは、労働者の約七三%を吸収している中小零細企業が低迷しているということなんです。小泉改革の功の部分は、大企業、製造業を中心に製造業の再生を図ったことです。これは高く評価されるべきだと思いますが、反面、罪の部分を申し上げれば、中小企業が置き去りにされてしまっているという事実なんです。でも、それを企業努力で、企業努力でと言っているうちにいろいろな問題が生じていることは、大臣、もう明らかだと思います。 でも、これは単に企業の経営、企業収益のみならず、中小零細企業が抱えている大きな社会的使命というのは、労働者をたくさん吸収してくれていることなんです。働く場所があり賃金があるから家庭が営める、家庭が営めるからやはり結婚をし子供を産もう、そういうトレンドが生まれてくるわけですが、その大多数を支えてくれている中小企業が今危ない。危ないどころか、相変わらず低迷している。 私は岐阜市の国会議員です。中小企業のメッカと言われています。きょう、岐阜に帰ります。だれも景気がよくなったという声は出てこないわけですね。そういう格差という言葉が嫌であるならば、経済の二極化が逆に格差を生み、都市と地方の格差を生み、そういう問題に派生しているということをかんがみ、あわせて、労働者の大きな受け皿である中小企業がこれから弱っていくということは、人口減少にこれから取り組んでいくに当たってやはり大きな分岐点になるだろうと思っています。 なかなか経済産業省では少子化対策という視点からこういう問題について取り組むことはないと思われますけれども、ぜひ新しい見地を持っていただきまして、お答え願えればありがたいと思います。
○甘利国務大臣 おっしゃるように、中小企業は事業所の比率でいって九九・七パー、雇用をどれくらい引き受けているかというと、七割であります。今、大企業はいいけれども、なかなか中小企業に景気の実感がないというのは事実だと思います。 先般、総理が経団連に行かれまして、数百人の経営者を前に、企業業績がいい企業は、自身の従業員、それから自身の関係企業、下請企業に対する配慮もしてほしいということを熱く訴えられたわけであります。大企業の好調さがどうやって中小企業に、あるいは家計に広く伝播をしていくかということがこれからの課題であります。総理からは、中小企業の底上げに総力を投ずるようにというふうに命じられているわけであります。 中小企業の生産性を引き上げていくことと同時に、即効性のある効果として、下請二法等の運用基準、振興基準どおりにきちっと元請企業がやってくれているか、優越的地位の濫用をしていないか、これをしっかり見ていかなきゃならないですし、あるタイミングをとらえて私は元請企業群に対してこの要請をしていくつもりであります。 あわせて、中小企業自身がその経営資源を活用して、あるいは中小企業が存在する地域の資源を活用して、中小企業の振興と地域の振興を両方図っていく、地域資源活用型の中小企業振興、地域振興も今国会に提案をすることになっておりますし、あるいは地域の企業立地、産業集積の新しいスキーム、新しい仕組みも法案として提出をするということになっております。 もろもろを通じて、大企業に対して、タイムラグはあるでしょうけれども、中小企業の底上げも図っていく、そして、大企業の従業員のみならず、雇用の七割を支えている中小企業の従業員の生活水準を引き上げていく、これらをもって少子化に対する環境づくりに資することができればというふうに思っております。
○野田(聖)委員 今、中小企業の底上げという話がありました。 よく私たちが口にするのは生産性という言葉でありますけれども、生産性を高めていくためには、やはり十全の設備投資というのが非常に重要だと思います。設備投資額を見ても、大企業製造業というのは極めて好調というか、大変設備投資に力を入れている中、残念ながら中小企業は設備投資過少になっているわけであります。 こういうことに対してもむしろ積極的に政府の方で、今設備投資をしないということは、さっきタイムラグというお話がありましたけれども、これが五年、十年先に響いてくることになる。大企業だけが設備投資して、中小企業がそれをしてこなかったら、新しい生産性がまた高まってくるのかは極めて懐疑的であります。それについてはどうでしょうか。
○甘利国務大臣 おっしゃるとおり、設備投資というのはあすへの投資であります。あすの競争力をどう培うかということです。 かつて研究開発減税というのを、世界一にしようという目標を掲げてこの研究開発減税というのをつくることができました。中小企業には深掘りをいたしております。あわせて、中小企業の投資を拡大する各種税制、投資減税というのを組んでおります。 あわせて、中小企業は、大企業と違って自分で研究開発の機関を持っていない、そんな余裕はない。しかし、地域に公設の研究機関があるではないか。国立の研究機関もあれば県が運営しているものもあります、それとのコラボレーションを図っていくことが大事だということで、今、再度、地域の経済産業局長に、その地域に存在をしている公設試との連携を積極的に図れと。 うまくやっているところは、公設試の所長さんがその地域の中小企業を回って、御用聞きに回って、我々のところで引き受けるシーズはありませんかということで営業活動を行っています。そうすると、中小企業には、うまく活用している中小企業は社外研究所的に公設試を使うんですが、そういうことを使うということの発想がない中小企業が多いんです。ですから、あっ、そうだ、自分のところに研究施設はないけれども、公的な研究施設とコラボレートすれば自分が持っているアイデアやノウハウを実用化できるじゃないかということも考えているわけであります。 今、地域経済産業局長会議というのを開きます。最初に私が就任したときに、これをテーマとしてすぐ各エリアごとに調査せよという指示を出しました。その調査結果が上がってきていますが、うまくやっているところと、実はそこまでの発想が行き届いていないところとありますから、これの底上げも図っていきたいと思っております。
○野田(聖)委員 ありがとうございます。 中小企業がこの少子化対策の大きなかぎを握っている。企業収益とか経済の大きさだけではなくて、そこで働く人たちのやはり幸せの保障を担保してくれるかどうかという大きな時を迎えていると思うので、ぜひとも御活躍いただきたいと思います。 続きまして、少し具体的な話をさせていただきたいんですが、安倍政権は憲法改正を大きな柱として、精力的に取り組んでいただいております。それは敬意を表するところですが、私は、もう少し、個人、人の暮らしにのっとった取り組みも必要ではないかということを常に考えているんです。 それは、憲法改正が、戦後六十年過ぎて老朽化してきて、これからの新しい国家のためにつくり直すことが大事だということで、それはそれで当然だと思いますが、それよりも、私たち国民の暮らしに直結している、また人生に直結している民法についてはなかなか議論に上がってきません。しかし、やはり、この時代にあって、民法が年をとり過ぎたがゆえに、現代の我々の生活と間尺が合わなくて、その中で、国民が生活または人生の中で苦労している部分が大分顕在化されてきたことは明らかです。 この国会でも取り上げられたと思いますけれども、民法七百七十二条というのは、三百日以内問題といいまして、離婚後三百日以内に産まれたら前の夫の子供だと一方的に法律が決めつけてしまっている結果、大変な事態が起きているわけであります。これができた明治三十一年以来ほとんど手直しがないということですから、憲法よりはるかに古い制度なわけでありますね。 このことについてもやはり検討しなきゃいけないし、最近では代理母の問題が浮上してきます。これも、裁判で負けたりしているわけですけれども、それはその行為が悪いということで負けているのではなくて、法律そのものがないから負けちゃうんですね。これは立法府の責任なんですよ。高度生殖補助医療、いわゆる体外受精は、御存じのように、私も随分やってまいりました。これはもう四半世紀たっているわけです。最初に生まれた体外受精児は、もう赤ちゃんを産んでいるわけですね。 この二十五年間、一体、日本は何をしてきたのかということです。つまり、高度生殖補助医療という技術が進めば進むほど、代理母はもとより、いろいろな形で子供が生まれてくる可能性が膨らんでいるわけです。それに対して日本の民法は、相変わらず、そのことがなかった時代に差し戻して今の子供たちをはかりにかけてしまう。こちらでは産め産めと言いながら、せっかく生まれてきた子供たちを宙ぶらりんにさせているのがこの国の矛盾なんです。 これに対して、私は一日も早く、法務大臣もこの民法おかしいよねとおっしゃっていることを聞いておりますし、憲法改正も、これは極めて慎重にそして大胆に実行していく、と同時に、今目の前にある、民法によって遮られている種々の個人の生活の支障についても、やはり国家の責任として速やかに解決していただきたい、民法改正をしていただきたいということをお願いしたいんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 ただいまの御質問は二つあったと思いますが、一つは民法の七百七十二条だと思います。 確かに、これは随分時間が経過した、時代が移り変わったと言ってもいいかもしれません。実態に即して今検討をしている、このように思います。 そしてもう一つの、生殖補助医療の問題なんですが、これはまさに、親子の関係をどうとらえていくかという、かなり根源的な、人間にとって親子の関係を規定する根源的な問題を含んでおりますので、これはやはり国民的なコンセンサスも必要ではないか、こう私は考えるわけでございまして、そうした観点から、この課題についてはさまざまな論点から慎重に検討を行っていきたいと思います。
○野田(聖)委員 もう既に検討が行われていると伝え聞きますけれども、検討している間に子供たちは成長していきます。ずっとこの国の子供でいたいと思いながら、それを認められずに生きていく子供たちの福祉というのを考えていただきたいと思いますし、この点に共通しているのは、やはり科学技術との連携がとれていないなと。明治三十一年もそうですし、代理母の最高裁判例というのは昭和三十七年、このときにやはりDNA鑑定というのは社会的に認知されていないわけですね。 ただ、現在では、この民法七百七十二条も、裁判にかけて、DNA鑑定すれば一〇〇%勝つわけですし、横田めぐみさんの拉致の例の件でも、日本のDNA鑑定というのは世界に冠たる技術なんだという、そういう技術があるにもかかわらず、やはりそういうことを利用されずに、相変わらず古い民法の中で子供たちを放置することは、国としては極めて無責任と言わざるを得ません。ぜひとも速やかに総理の決断をしていただきたいと思っています。 重複になりますけれども、いま一度。やはり、子供は宝だというのであれば、どういう生まれ方をしたとか、どういう子供という、そのまず選別があってはならないわけですね。この国に住みたいという子供はすべて宝なんです。そういう観点から、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 先ほども答弁をいたしましたが、七百七十二条については、これはやはり相当時代が変わってきた、確かにそのとおりだと思います。DNA鑑定等ですぐわかるじゃないか、私も本当にそのとおりだと思います。ですから、時代に合わせて、時代の実態をよく考慮しながら検討を今進めている、このように思います。 生殖補助医療については、これはなかなか、まだそもそも論としていろいろな議論があるわけであって、そこではやはり国民的なコンセンサスというのも大切であって、いろいろな論点を踏まえて検討していくべきではないかな、このように思いますが、我が党においても、野田聖子委員のように、こうした悩みを抱える人たちの声に耳を傾け、その人たちの立場に立って議論をしている方がいるということは、私は大変心強い、このように思っております。
○野田(聖)委員 総理がおっしゃる美しい国というのは、さまざまな人によって解釈があるはずですけれども、私にとって、やはり私たちが一人でも多くの子供たちの笑顔を支え守り抜く、そのことによって私たち大人がいやされる、こういう優しい国が美しい国だと信じています。どうか安倍総理、同世代、お互い子供はいませんけれども、すべての子供が自分たちの子供ととらえて頑張っていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○金子委員長 この際、増原義剛君から関連質疑の申し出があります。深谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。増原義剛君。
○増原委員 自由民主党の増原でございます。 先ほど来、本日の雇用労働問題等に関する集中審議におきまして、大所高所からの議論を深谷議員がされましたし、そしてまた少子化という切り口から、各般にわたって野田議員が御質問をされました。私はできるだけそれとダブらないようにしていきたいなというふうに思っておりますが、多少ダブるところがありましたら、御容赦を賜れればというふうに思います。 大きく三点に分けてお聞きしたいと思っております。一点は、いわゆる雇用問題であります。それから二点目は、いわゆる格差問題でございます。そして三点目が、財政の健全化、この三点についてお話を伺いたいというふうに思います。 まず第一点目の雇用問題でありますが、皆様御承知のように、バブル崩壊後十六年でしょうか、もうそのくらいたってきておりますが、その間、三つの過剰、雇用と、そして設備と債務という三つの過剰に我が国は悩んでまいりました。しかし、なかなかそれに対する処方せんとしては、どうも有効でない政策を打ってきたんだと思います。 前半でありますが、減税をし、そして公共事業を追加しまして全体を底上げしていくという、財政中心の、公的部門中心の底上げを図ってきた。しかし、それが切れますとすぐまたがたっとくる。はっきり言えば、経済社会の症状に、病状に合わない政策をとってきたんだろうというふうに私は思っております。 そして、約六年前でありますが、小泉政権になりまして、これではいかぬ、処方せんが違うということから、多少痛みを伴っても我慢してもらうんだということで、改革をしていくという旗印のもとに、これまで我々自由民主党、公明党の連立与党の政権が歩んできたんだろうと思います。 これは、ちょうど私が地元の商工会議所の新年互礼会など出ておりますと、四年前までは、とにかく国が、政府が景気対策をやってくれ、こればっかりだったですね。ところが、三年前の新年互礼会のあたりから、経営者の方々がみずから自助自立ということを言われ始めるようになりました。ちょうどそのころから景気が反転をしてきたということなんであろうというふうに思っております。 そうした中で、三つの過剰の一つである雇用についてリストラが行われてまいったわけであります。当初は、公共事業の追加でもって、いわゆる製造業でリストラされた人が、バブルのピーク時、建設関係は六百万人の雇用でありましたが、累次にわたる景気対策でもって七百万人まで建設関係の雇用者がふえました。ところが、現在はそれが五百六十万人ぐらいになっておるということでありますから、相当なこれはマグニチュードになっておるわけであります。 当然のことながら、国際競争の問題もありましょう、企業再生といった問題もありましょう。そうした中においていろいろ皆さん工夫されてやってこられた。いわゆる雇用の流動化をやってこられました。これは、当然、時の流れに対応したいい点もあれば、一方においていろいろな、フリーターとかニートとか、あるいは学卒新卒者の超氷河期時代といったようなこともそのリアクションとして起きてきたわけでありますから、それぞれプラス・マイナスあるんであろうというふうに思っております。 こういった今日の雇用労働市場、これに対する基本的なお考えを総理にお伺いしたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 私は、まさに今増原委員が御指摘になったとおりだろう、このように思うわけでございます。 小泉政権ができた当時を振り返ってみますと、大変景気も厳しい、経済成長はマイナス成長でございました。そして、銀行は山のような不良債権を抱えている中にあって、景気はなかなか伸び悩んでいる。そして、それまで行ってきた財政出動はほとんど実は効果がなく、我々の借金を積み上げることにしかならなかった。そのときに、やはりこれは、改革なくして成長がない、構造改革に大きくかじを切ったわけであります。その中で増原議員も、改革は今もうこれは待ったなしだというお気持ちで、これは政策的にも政治的にも先生にも大きな役割を果たしていただいた、こんなように思うわけであります。 その中で、構造改革を進め、また、民間の方々もそれぞれ大変な努力をした。大変な努力というのは、やはり三つの過剰を解消していくというのは大変だったと思います。特に雇用についてはそうだったんだろう、このように思いますが、そのおかげをもって、この構造改革と民間の努力によって景気は回復してきた。不良債権も処理できた。三つの過剰も解消しながら企業部門をこれは強化し、そして国際競争力を高めてきた。おかげで、まさに今経済は成長をしております。 しかしながら、正規雇用あるいはまた中小企業や地域への波及というのが大変遅くなっているのも事実でありますが、しかし、明るい兆しも見えてきているのも事実であって、雇用においても、ことしの新卒は高卒、大卒ともに前年よりもよくなっています。そしてまた初任給においても、高卒、大卒ともこれはよくなってきています。 景気を持続的に維持する、成長を維持することによって、労働市場がだんだんタイトになっていくことによってこれはだんだんやはり企業側も、お金を出さなければ、投資をしなければ人材が確保できない、人材が確保できなければ企業として成長力を失っていくということになってきたのではないか。ですから、この傾向を私たちは維持していくことによって、必ず賃金にも家計にも波及していくことができる。 ただ、それだけではだめであって、それプラスアルファが必要であることから、パート労働法を改正する、労働法については、我々六本の改正案を出す、法律を出すわけであります。また、地方をこれは元気にしなければいけない、このための関連法案を九本提出を予定しています。また、何回でもチャレンジできる社会でなければならないという意味において、再チャレンジを推進していくための施策も講じていかなければならない、こう考えているわけでございます。 そういう観点から、今後、企業部門からだんだん家計部門にいい景気の波が波及していくことによって消費がふえてくる、そして、それがさらに景気にいい影響を及ぼしていく、それがまた成長につながっていく、そういう経済を目指していきたいと思っております。
○増原委員 総理、どうもありがとうございました。 それで、今総理が御指摘になりました。要は、負の部分と言ってはおかしいんですが、勝ち組、負け組、競争すれば当然それは出てきます。しかし、その負け組、それが固定化してはいけないというところだと思うんですね。そういう意味で、先ほど総理も触れられましたけれども、法律改正を含めていろいろ議論をしている、その提案をしてきているということであります。 実は、きのう、おとといとこの予算委員会の公聴会がありまして、公述人の方々からいろいろお聞きをいたしました。 大阪の商工会議所の副会頭の方、約三百人の従業員を持っていらっしゃる中小企業の方なんですが、その方がおっしゃったのは、正規雇用を採用したいんだけれども、自分たちのような中小企業には来てくれないんだということも言われていました。したがって、派遣とかあるいは外国人労働者の方々に来てもらわないと事業が維持できないんだという御意見もありました。 また一方において、これはキヤノンの派遣職員の方で、東京ユニオンに入っていらっしゃる方もいました。正規職員と同じようにずっと仕事をしてきているのに、全く団体交渉権もなければ給与の格差も格段に多い、将来が極めて不安である、何とかここを是正してもらえないだろうかと、本当に切なるお声もお聞きしたようなわけであります。 そうしたいわゆる負の部分でありますけれども、確かに、マクロでは失業率は低下をしてきておりますけれども、個々のミクロで見ていった場合には、まだまだ多数の問題があるのではないかというふうに思っております。 そういった意味で、最低賃金法の改正を含めまして、これもやはり公述人の方なんですが、今、最低賃金は六百七十三円でしたか、これを千円にすればおよそ二兆数千億円の賃金が雇用者の中に入るんだというのを、ある労働組合の方が産業連関表を回して試算をされておりました。 いろいろな試算の仕方はあるんだと思いますが、いずれにしましても、ニート、フリーターというのは、厚労省の統計では約二百万人ですか、それとか、派遣とかそれから請負とか、偽装請負に至っては何をか言わんやというところがあるのでありますけれども、そういった方々を入れれば三百万とか、いろいろ統計によってございます、誤差があるのでありますけれども。やはりそういった方々に、いろいろなニーズはあるんだと思うんですが、正規の職員になりたい、ここらあたりをどのように吸い上げていくかというのが大きいのではないかというふうに思っております。 特に、ニート、フリーターという方々は、社会のセーフティーネットであります年金とかそういうものから漏れているわけですね。かつて、約三年前に、未納、未加入問題、未納三兄弟とかいって、開いてみたら四兄弟というのもありましたけれども、いずれにしましても、未納、未加入を現実につくっちゃうわけですね。月に五万円とか十万円で東京で暮らしていけるわけがない、そして、親のところからいろいろそこでお世話になっておるわけですね。親が、これからは団塊の世代を中心としてリタイアしていくわけであります。そうすると、その基盤もなくなってくる。私は、非常に深刻な問題がそこにあるんだろうというふうに思います。 これに対しまして厚生労働大臣から御所見を伺いたいと思います。
○柳澤国務大臣 若者の雇用情勢の中で、今、増原委員の指摘されるようなニートと言われる人たち、それからまたフリーターと言われる人たちの問題、これは、別の面を実は持っているわけですけれども、我々としては、せっかくの我々の次の世代を担う若者が、彼らの希望する状況でないそういう状況に身を置くというのは非常に望ましくないことだと私どもも思っております。非常に重要性を重視しまして、いろいろな実は手だてを講じているということでございます。 まず、ニートと言われる方々に対しては、私は現場も行ってまいりましたけれども、地域若者サポートステーションというようなところがありまして、それは大体外注しているわけですけれども、長年そうした若者について相談相手になってきたようなNPOの法人のような方がこれを受託して、親身になって実はこの方たちの就労までのお世話をしている姿を見ました。なかなか容易ならざる仕事だというふうに思って見ておりましたけれども、しかし、一歩一歩着実に、極めて強い情熱、使命感を持って取り組んでいる姿を見ますと、その方々の御努力に敬意を表するとともに、何とかそれがもうちょっと効果的に実を結ぶように我々もいろいろな支援策をさらに考えていかなきゃいけないな、こういうように思っております。 フリーターというのは、これは、アルバイト、パートの一部の人たちがフリーターというような簡単な呼び方になっているようですけれども、これにつきましては、とにかく、将来何か自分が夢を持って、それに今一生懸命傍らで勉強している。だから、働くのはいわば一定の時間を割いて働くんだという方もいらっしゃるにはいらっしゃるんですが、そうではなくて、学校を卒業するときにいい正社員の口が本当になくて、そういうところに今はとりあえず身を置いているという方も非常に多い。 ですから、我々は、この前者のフリーターの人たちにはぜひとも正社員化をするようにしむけてまいりたい、こういうようなことで、雇用対策法の改正で、こういう人たちの経験、能力を正当に評価してやってくれというようなことも言っておりますし、また、パートにいらっしゃる方々についても、正雇用への転換というものについてチャンスを与えてくれ、外に人材を求めるようなときには、まず先に自分たちのところにいるパートの人たちに声をかけてくれというような法律改正をするということを考えているわけでございます。 それから、今いろいろの点にお触れになられまして、そうしたいわば本来自分が望まない職場にいる人たちについては、できるだけ望むような方向に誘導するような法整備をしまして事業者にも理解を求めていきたい、このように考えております。 その一つの例として偽装請負の問題があったわけですけれども、これはもう明らかに法律の違反ですから、我々は、しっかりとこれについては、法律の枠組みの定めるところによって一つ一つ改善の手だてを講じているというのが現況でございます。これは、一々個別の企業について、今こういう処分をしていますとかこういう指導をしていますということは差し控えますけれども、基本的に、一般論として、この枠組みでもって取り組んでおりますので、さらにこの改善について拍車をかける努力をしてまいりたい、このように思います。 最後に、最低賃金制度のお話がございました。最低賃金制度が、現在六百七十三円ということで、いろいろなところで取りざたされている、千円にしたら一遍に雇用者所得がふえるんじゃないかというようなお話の引用もあって申されたんですが、私どもとしては、基本的に、これまでの枠組み、つまり、地域、地域でもって、公労使入った三者構成の最低賃金審議会というところでそれぞれの地域の生活の実情に合った最低賃金を決めていくということを尊重していきたい、このように考えているんですが、ここに二つ問題があって、それにしても、そもそも生活保護のレベルとどうなっているんだ、生活保護のレベルを下回るような最低賃金というのはどういうことなんだという御議論がありましたので、これとの整合性はしっかりとっていく。 それから、最低賃金を守らない人たちに対するいわばペナルティー、罰則、これもやや形式的なものでありましたので、これらについてもはっきり引き上げをして、この最低賃金を遵守することについての遵守の精神というものをもうちょっと刺激し、現実に、その違反に対してはしっかりした遵守を担保するような制度を置いていきたい、このように考えているところでございます。
○増原委員 柳澤大臣、どうもありがとうございました。ぜひ、しっかりその路線で政策を進めていただきたいというふうに思っております。 私も、せんだって、テレビで自立塾のあれを見せていただきました。本当に大変だなと。自信を失っている若者を、どういうふうに自信を持たせて社会の中でひとり立ちできるようにするかというのは大変難しいんだろうというふうに思いますが、でも、それをやり遂げませんと、やはり、人口減少社会における将来の日本というのが相成り立たないというふうに思っております。 そうした中で、ただいま厚生労働大臣が御指摘になりましたことも含めて、例えば、さきの国会で私どもは貸金業規制法の適正化を図りました。五社以上から借りている多重債務者が二百三十万人とも言われているわけであります。これをどうしてもその呪縛から解き放たないと、やはりその再生はできない。そういう意味で、安倍内閣の一つの大きな目玉であります再チャレンジ、若者が、あるいは老人でもいいんですが、再チャレンジできるような社会をどのようにつくっていくかというのも、今厚労大臣が言われたのもその一環だろうと思います。 ぜひ、担当大臣であられます山本大臣から、その点につきまして御所見をお述べいただければと思います。
○山本国務大臣 御指摘の多重債務者問題は、大変この社会に影を落としております。 今、多重債務対策本部をつくりまして、専門家等の意見を聞きながら、まずは債務の整理を図ります。そしてさらに、家計を管理させていただくような相談窓口をつくります。そしてさらには、自立を支援して、やがては多重債務から逃れて、生き生きと社会で活躍していただくということを今目指しておるところでございます。 また特に、先生御指摘の、安倍内閣の大変重要な課題でございます再チャレンジでございますが、特に、勝ち組、負け組を固定させない社会、これを早く実現しなきゃなりません。そのための課題は、先生が既にもうつとに御指摘のとおりでございますが、非正規雇用者が、一九九五年、約十年前には全体の五分の一でございました。それが十年たってみると三分の一、ここまでふえてきつつございます。人数は千六百三十三万人。こうした人たちが均衡処遇を受けなきゃなりません。つまり、正規であっても非正規であっても、行く行くは、それは生き方の選択の問題だというところまでこぎつけたいと思っております。 次に、フリーター、特に若者については大変大事なことでございますが、二十五歳以上のいわゆる年長フリーターはなかなか減少しておりません、横ばいであります。もっと若い方々は、景気が回復すると同時にフリーターから正規雇用に移りやすいんです。ところが、年長の方は移りにくいという問題がございます。 そしてさらに、高齢者、団塊世代、団塊世代は六百六十九万人いると言われておりますが、この人たちが定年を迎えますと、すべてが仕事や勤めからリタイアされて家に引きこもるというようなことでは活力が失われます。そんな意味で、こうした問題を片づけなきゃなりません。 特に、最後に女性について申し上げますと、子育て、結婚をすると職場から離れていく、そうした人たちが、二十五歳から五十四歳までは二百四十五万、逆に働きたい、こうおっしゃっておられるわけであります。そうしたことから、女性が働きやすい社会づくり、環境づくりを目指さなきゃなりません。 そういったことからしまして、正規、非正規の均衡処遇のためのパートタイム労働法の改正に取り組み、また、フリーター二十五万人常用雇用プランを促進する、そして、七十歳まで働ける企業の実現や定年制の引き上げ、マザーズハローワーク、子育て女性向けの職業紹介窓口を充実するというようなことを通じまして、働き方、学び方、暮らし方、こういったものが多様化して、複線化して、チャレンジ可能な社会の実現に向けて全力を挙げていきたいと思っておりますので、御指導よろしくお願いします。
○増原委員 山本大臣、どうもありがとうございました。 大分、雇用のところで時間をとってしまいましたので次に移りたいと思いますが、いわゆる格差問題であります。 格差はいろいろ言われますけれども、今も昔も格差はあったわけでありまして、社長の給与と新入社員の給与が一緒であるはずはない。そこは当然、所得の格差はあるわけですね。問題は、その格差が拡大しているということが指摘されております。詳しくは、後ほど地域間格差と所得格差についてお伺いしようと思いますが、この格差につきまして、いろいろ統計上なかなかわからない国民の意識の問題と、それから、統計で出てくる客観的な問題と、かなり難しいなと思いました。 と申しますのは、我々も昨年、自由民主党の中の内閣部会、私はその専任部会長をやっておりまして、その格差問題について正面から取り上げました。先ほど同僚議員から、自民党は格差問題を避けているというふうな御発言がありましたが、決してそうではありませんで、正面からそれについては議論いたしました。なかなかこれが難しいところがあるんですね。 これにつきまして、経済財政担当大臣、これは内閣府でございますので、その担当の総括政策官ですか、そのときにもやはり来てもらって勉強いたしました。ぜひそこらあたりについての基本的な認識をお伺いしたいと思います。
○大田国務大臣 所得格差を示す代表的な指数でありますジニ係数をとりますと、八〇年代以降、緩やかに拡大しております。ただ、これは、高齢化ですとか単身世帯の増加といったものでかなり説明できる部分がございます。ただ、個人単位で労働所得をとりますと、二十代、三十代でジニ係数が上がっております。これは、背後に非正規雇用の増加といったことが考えられますので、この格差が固定化しないように十分に注意が必要であると思っております。 また、今先生が御指摘のように、格差をなかなかとらえ切れない部分もございまして、所得、消費、資産という経済的格差以外の要因もあるんだろうというふうに考えております。社会のどのような層で、どのような形で格差が拡大しているのか、あるいはいないのかというところは、多面的にとらえてまいりたいと思います。 また、経済的格差につきましても、使うデータによりまして幅がございます。ある程度その幅を持って見る必要がありますので、きめ細かい分析ができるように、統計手法の解析についても勉強しながら格差をとらえてまいりたいと思っております。
○増原委員 大田大臣、ぜひその点はお願いいたしたいと思います。 前の経済財政諮問会議のメンバーであられました吉川東大教授が統計についていろいろ勉強会を持たれ、それを整合性を持たせるべく、このたび法案も準備されているようでありますが、いわゆる物事を議論するときの基礎的なデータが右向け左ではこれは議論になりませんので、そこらあたり、ぜひしっかりとした統計データをお願いいたしたいというふうに思っております。 それでは、具体的に入っていきたいと思います。 まず地域間格差、都市と地方であります。これはいろいろありますけれども、なかなかこれも難しいんですが、ただ言えることは、まずは、財政健全化路線、財政緊縮ということでもって農業関係の予算も聖域なく見直して、圧縮してきております。そしてまた公共事業というものは、かつて、バブル崩壊後、景気対策で打ったその額に比べて、今は国、地方合わせますと約半分、場所によっては半分以下になっているというわけでありますね。そしてまた地方交付税などにつきましても、財政健全化の観点からかなり大幅な見直しをされた。平成の大合併をやったけれども、一体メリットがないじゃないかといったような怨嗟に似た声も地方団体から聞こえてくるということであります。要は、地方における金回りが非常に悪くなっているということであります。 そしてまた、私がちょうど十一年前に大蔵省をやめて地元に戻ったとき、地元の老人クラブの年一回の旅行は、二泊三日、別府、湯布院でした。ところが、ゼロ金利になりましてからどうなったか。しまなみ海道バス旅行日帰りコースですよ。これだと地方にお金が回らないですよ。すごく金回りが悪くなっているんですね。 これをどういうふうに持っていくか。はっきり言えば、低金利だったらそういうことになるわけですね。これから高齢者がふえていくというときに、そういう方は、年金収入と自分の蓄えからくる利子配当なんですね。一千万の、取っておきの預金があった、かつては三、四十万の利子が入っていた、それが一万円以下になっちゃうんですから、これは財布のひもは締まる道理なんですね。 そういうこともあって、いろいろ地域間格差、特に大都市と地方の格差が言われておりますけれども、これにつきまして、まずは大田大臣の方からお聞きをしたいと思います。それで、後ほど総務大臣から、いろいろ地域の再生も含めて、あるいは地方財政上どのような措置をとっているかにつきまして御所見をお伺いしたいと思います。
○大田国務大臣 先生御指摘のように、今回の景気回復は民間需要主導でありましたので、産業構造や人口構造の違いで地域間がばらついております。ただ、景気の谷から比べますと、有効求人倍率、失業率、あるいは生産の動向、じわりじわり温かくなっているのも事実です。 その一方で、例えば北海道や四国など、有効求人倍率の伸び率が非常に低くとどまっているところもございます。それだけに、この景気回復を長く長く、息長くすることで全体を上げていくことが大事だと考えております。
○増原委員 私の地元のところも、ずっと十年間、工業団地はあるんだけれども全く入ってこないというような状況が続いておりましたが、ここ一年ぐらい、幾つかの企業から打診が来始めているということですので、確かに今大臣がおっしゃるように、じわじわと地方に波及してきつつあるのかなというふうな感じはいたしております。 それでは、続きまして菅大臣の方から、地方自治体も含めて、地域再生、いろいろあります。私の近いところで言いますと、呉なんかは、「男たちの大和」というのがありまして、それで十分の一模型の戦艦大和もつくった。大和ミュージアムをつくった。大変な来場者があった。そういう知恵を生かす元気な地域もありますが、なかなかそれがないところもある。一体どうしたらいいんだろうかというようなこともあります。 地域再生を含めまして、総務大臣の方から御所見を賜りたいと思います。
○菅国務大臣 まず、総務省としましては、日本全国どこに住んでも一定水準の行政サービスを確保する、このことが私どもの基本であります。 そういう観点から、地方税や交付税の一般財源の総額確保、これに全力を挙げて取り組んでいます。そして、十九年度でありますけれども、昨年と比べて五千億円上回る額を確保させていただくことができました。 さらに、地方の自治体で金利の高いときに上下水道の整備等を行っていますから、五%以上の金利が十兆円あるんです。そして、ことしは、その中で財政力の弱い地域を優先的に五兆円だけ補償金なしで繰り上げ償還することを決定させていただきました。三年間で八千億程度の、地方にとっては従来よりは有効に活用できるお金がふえる、このように思っています。 いずれにしろ、財政的には、やはり地方消費税等で偏在の少ないものにしていかなきゃならないというふうに思っています。 地域の活性化策でありますけれども、今日までも、過疎対策だとかあるいは中心市街地の活性化対策だとか、委員も先頭に立って取り組んでこられましたけれども、それに加えること、やはりどんな地方にも魅力があって特徴がありますから、地域のそうしたものを何らかの形で生かすことができないかという形で、頑張る地方応援プログラムというものを今回つくらさせていただきました。そういう中で地方が独自に物事を考えて、そして魅力のある地方になるように、私ども支援をしていきたいと思います。 さらに、地域コミュニティー、これが崩れてしまいますと、日本の古きよき伝統、そうしたものがすべてなくなってしまうおそれがありますので、セーフネットも含めて、そういう中で私どもは研究会というものをつくらさせていただきました。 そうしたことを行いながら、地方に活力ができる、地方の活力なくして国の活力なしというのは、これは安倍内閣、総理の基本指針でありますので、それに基づいて私どもも全力で取り組んでいきたいと思います。
○増原委員 菅大臣、どうもありがとうございました。 確かに、人口減少社会におきまして、集落としてもう成り立たなくなるというような地域があちこちで出始めてきております。そこらあたりをどういうふうに踏まえて対応していくのか、非常に大事なことだろうというふうに思っておりますので、ぜひともその点につきましては、いろいろ知恵を出し、そしてまた金の工面をしていただくようにお願いを申し上げておきます。 次に所得格差でありますが、これにつきましては、先ほど大田大臣の方からジニ係数も含めて言われました。要は、一番問題なのは二十五から三十五の若い層ですね。まさにニート、フリーター、もうこれも議論もいたしました。これをいかにきちんとしていくかということなんだろうと思います。ですから、僕は答弁は結構でございます。 そしてまた一方で、実は、労働分配率なんですけれども、総理も御関心のところでございます。かつてのピーク時よりも一〇ポイント以上落ちているんですね。トータルでは六十数%、いろいろデータによるんですよ、民間企業実態調査なのか法人企業統計なのか、いろいろあります。一〇ポイント以上落ちている。 ところが、これを規模別に見ますと、中小企業、資本金が一千万から一億、そういうところはまだ七〇%ぐらいあるんですね。ところが、資本金十億円以上の大企業、これが労働分配率が急速に落ちていまして、五〇%あるかないかなんですよ。国際競争の問題もありましょう、いろいろなことはありますけれども、やはりここは少し考えてもらわなくちゃいかぬ、私はそのように思っております。 その意味で、先般、総理が財界に対してエールを送られました。私も、非常にタイムリーでいいことではないかというふうに思っております。 残されました時間、あと五分でございます。財政について少しお聞きしたいと思います。 まず総理から、この十九年度の予算案も含めまして、財政健全化と、そしてまた、今後我々政府・与党が取り組むべき税財政改革につきまして、大きな方針につきましてお伺いできればというふうに思っております。
○安倍内閣総理大臣 財政の健全化、これは、私の内閣においても大切な課題であり目標でございます。ですから、その観点から、この十九年度の予算におきましても、新規国債発行額を四兆五千億円減額する、総額で六兆三千億円の財政健全化を果たしたわけでございまして、私の内閣におきましても財政健全化の方針は揺るぎないというメッセージを出すことができたのではないか、このように思います。そういう中におきまして、経済成長を維持しながら歳出歳入の一体改革を行い、そして財政の健全化を目指していきたい、こう考えているところでございます。 そして、二〇一一年にはプライマリーバランス黒字化を目指してまいります。そして、二〇一〇年代の中ごろには対GDP比債務残高を安定的に減少していくということを目指してまいりたい、このように思っているわけであります。その目標達成のためには、まずは我々、新経済成長戦略を着実に実施していきたい、成長なくして財政再建はない、このように考えております。 しかし、それと同時に、年々ふえていく社会保障給付にどう対応していくかという課題がございます。そしてさらには、少子化対策にどう取り組んでいくか。あるいは、地方の税財源をこれは充実させていかなければいけない。そういう観点から、ことしの年末に抜本的な税制改革に我々は取り組まなければいけない、議論をしなければいけない、こう考えております。 我々、この財政再建のためには、やるべきことをやって、しかし、それでもなお対応し切れない額があるのであれば、それも含めてこの秋に本格的な議論を行い、道筋を定めていきたいと思っております。
○増原委員 総理、どうもありがとうございました。 そうした中で、将来の展望につきまして内閣府とそれから財務省からも出されております。一番の問題は、名目成長率が実質を上回る、はっきり言いますと、GDPデフレーターがプラスになるということなんですね。どういうシナリオでプラスになるのかというのがもうひとつ僕はわからない。もう時間の関係がありますので、また追ってそれをお聞きしたいと思うんです。 それともう一点、これは財務大臣にお聞きしたいんですけれども、確かに圧縮されてきております。非常にいいことだと思います。しかし一方で、行政改革推進法でもって二十兆円の寄与を特別会計から求めるというふうにやられてきていますが、その中において、それはそれでいいんですが、外為特会から大体ここのところずっと一兆五、六千億の繰り入れをされています。これは一応ルールをつくられましたよね。全体で約百兆ある外為特会の三割の三十兆ぐらいまで積立金を積む、残りについては折半をして一般会計に繰り入れるというふうになっておるんですけれども、大体ざくっと見たところ、お話を聞きますと、一ドル百三円、これになりますと、これまでの分も全部含めて要はもう飛んじゃうんです、大体百三円と聞いておりますが。だから、そこに一兆六千億もうそういうかさ上げが入っている。いつまでもいつまでもこれが続くのかということについてもよくお考えいただく必要があるのではないか。 税財政改革をやるときに、特に税制改正をやるときについては、それがはげ落ちる、逆に一般会計から繰り入れるというふうなこともあり得るわけですから、そこらあたりで甘い見通しを持たない方がいいのではないかという点についていかがお考えでしょうか。
○金子委員長 尾身財務大臣、時間が参りましたので、簡単にお願いいたします。
○尾身国務大臣 外為特会は、外貨準備を保有しておりまして、為替の変動に対する為替介入を行うために設けられている特別会計でございます。 それで、この積立金につきましては、通貨の信認を確保するという観点、特会の健全な運営の確保を図るという観点と、一般会計の厳しい財政状況の両面を総合的に勘案いたしまして、行革推進法に基づきます、「相当と認められる金額を繰り入れる」という規定に従って一般会計へ繰り入れを行うこととしているところでございます。 こういう考え方のもとで、十九年度予算では、十八年度を上回る一兆六千億円の決算剰余金の中から一般会計に対して繰り入れることとしたものでございます。
○増原委員 まだ申し上げたいことはあるのでございますが、時間が参りましたので、以上で終わりにします。 どうもありがとうございました。
○金子委員長 これにて深谷君、野田君、増原君の質疑は終了いたしました。 次に、古屋範子君。
○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。本日、初めて安倍総理に質問する機会を得ることができまして、少々緊張しておりますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。 短い時間ではございますが、私がこれまで取り組んでまいりました仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランス、またテレワークを中心に、本日、質問を行ってまいります。 御存じのように、我が国の特殊出生率、昨年、過去最低を記録し、一・二六となりました。急速に進むこの日本の少子高齢社会の対応策が待ったなしで求められる中で、公明党は、昨年四月、一年半をかけまして少子社会トータルプランをまとめ、少子化に歯どめをかける総合的な施策、また目標も明確にいたしました。具体的には、生活を犠牲にしない働き方の確立、また、子育ての負担を過重にしない支え方の確立、この二つの改革を柱としております。 先般、残業代の割り増し引き上げを労働基準法改正案に盛り込む、この国会に提出されることを決定いたしましたけれども、この政策は、公明党のトータルプランの中で、ワーク・ライフ・バランスが可能な働き方の改革の一環として提言をした点でございます。今回の残業代割り増し率の引き上げが、非婚化また晩婚化の要因とも言われる長時間労働を抑制する、そこに威力を発揮することを大いに期待いたしております。 さらに、政府からは、今国会ではほかにも、これまで一貫して主張してまいりました育児休業給付を引き上げる雇用保険法改正案、また求人の年齢制限を禁止する雇用対策法改正案、パート労働者の均衡処遇を推進するパート労働法改正案、最低賃金を生活保護水準に配慮した形で引き上げる最低賃金法改正など、労働法制を整備する法案がメジロ押しとなっております。 総理は、「国民それぞれの個性や価値観にも着目し、働き方と暮らしをよくしていくことにこそ力を注ぎたい」、このように施政方針演説の中で述べられています。総理のこうしたお考えを具体化するような、今こそ、特におくれている働き方改革につきまして、ぜひとも総理が先頭に立って、国、また地方自治体、企業も巻き込んでリーダーシップを発揮していただきたいと考えております。 少し長くなりましたが、この少子社会における仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスについての総理のお考えをお伺いいたします。
○安倍内閣総理大臣 働く時間と生活の時間、家族と費やす時間、自分のための時間、このバランスを変えていくというのは、これはやはり、企業、働く側、国民みんなの意識を変えていかなければ、なかなか私は実現をしないんだろう、このように思います。 そこで、時間外労働が大変多い、これは、そういうワーク・ライフ・バランスを考える上で、ワーク・ライフ・バランスを取り戻していく上においては、大きな障害となっているのは事実であろう、このように思います。 そこで、ただいま古屋委員が御指摘をしたように、もう長年公明党ではこの問題に取り組んでこられました。公明党、また先生のそうした御指摘も受けながら、今回の国会におきまして、均衡待遇等を進めるためのパートタイム労働法の改正や長時間労働の抑制等を図るために労働基準法の改正案を提出するなど、働く人たちのための一連の労働法制、六本の法律を、改正案を出す予定でございます。 そういう意味におきましては、この国会が、まさに働き方を変えていくスタートとなっていく、そうした国会にしていきたいと考えております。
○古屋(範)委員 総理より、ワーク・ライフ・バランスに対するお考え、今伺いました。 次に、厚生労働大臣にお伺いいたします。総理が力を入れていらっしゃる再チャレンジ支援についてでございます。 我が国の労働力の減少、非常に大きな課題であると考えております。この労働力の減少、そこに女性の労働力の活用、これは非常に大きなかぎとなっていくのではないか、このように考えております。 これは平成国際大学藤田至孝名誉教授の論文でございますが、アイルランドの経済成長につきまして、一九九四年から約十年間、平均年七・九%の高度経済成長を記録している、その大きな要因は、やはり女性の労働力を大いに活用したところにある、その意味からも、ザ・ライオネス・ジャイアント・エコノミーという名称になっているようでありますけれども、この女性の労働力の成長、これが経済成長をもたらし、それが税の増収、そして社会保障財源の安定化につながっているということでございます。 公明党では、二〇〇五年のマニフェストに、女性の再就職を支援する相談体制の整備、また再雇用制度の導入を掲げて推進をしてまいりまして、現在まで、全国十二カ所でマザーズハローワークが開設をいたしております。 昨年十一月、党の雇用・再チャレンジ本部で、私も渋谷にあるマザーズハローワークに行ってまいりました。そこでは、子育てをしながら再就職をしたいという方々への相談、非常にきめ細やかに行っていらっしゃいまして、そこには、子供さんを見るコーナーもございます、保育士さんもきちっといらっしゃって。それで、きめ細やかな保育の情報提供ですとか、パソコン、今パソコンが使えませんとなかなか仕事ができません、その研修なども行ってくださる。非常によくやっていらっしゃるなという印象でございました。そこでは、九月までに約半年で四千二百人の相談者がお見えになって、九百三十人以上が就職をしているということでございました。 女性が働きやすい環境の整備、また出産、子育てで一たん離職した女性の再就職支援、非常に重要な課題であると思っております。総理も施政方針演説の中で、子育てをしながら早期の再就職を希望する方に対し、マザーズハローワークの就職支援を充実したいと言及されています。来年度予算二十億円が計上されており、私も非常にうれしく思っているところでございます。 さらに、このマザーズハローワーク、全国への設置を展開し、女性の再就職、この拡充に取り組んでいただきたいと思いますが、柳澤大臣の御見解を伺います。
○柳澤国務大臣 今古屋委員の御指摘のとおり、日本の労働力の見通しを見ますと、二〇三〇年ごろまでの労働力というのは一千万人規模で、そのままにしておくと減ってしまう。これを何とか、もう少し労働力率を引き上げることによって、何とか五百万人ぐらい、半分ぐらいはカバーしないといろいろな面に大きな影響が出てしまう、そういう見通しを持っております。 この引き上げをするところの主力は、高齢者の方と今先生御指摘の女性の方々なんです。特に女性は、M字カーブという、生涯を通じて、どうしても若いころ結婚とか出産で少し労働市場に出る率が少なくなってくるわけですけれども、そこをいろいろなことで引き上げていただかないと、今の女性の労働力率というのが低いままにとどまってしまうおそれもある。 そこで、我々は、女性の労働力の活用ということが非常に大事だという認識に立ちまして、今先生御指摘のマザーズハローワークということを展開しているわけでございます。現在のところは全国十二カ所で、私も古屋先生のおいでになられたところに、前後はわかりませんけれども、行きました。非常に行き届いておりました。 まず、相談をするときには、とりあえずお子さんを、ちょっと別のところでお子さんを預かっていただくという施設もありますし、それから自分が働きに行ったとき、このお子さんをどこの保育所に入れられるんだという保育所の世話もしていただく、就職の世話もしていただく、さらにまた技能の研修もしてくれるというように、非常にトータルに相談に乗ってくれるということで、このシステムは女性の再就職のためにはもう欠くべからざるものだ、このように印象を持った次第でございます。 そんなこともありまして、今回、新しい年度におきましては、このマザーズハローワークをさらに全国的に広めたいということで、三十六県に各一個ずつということでこれを拡張しようという、そういう予算化を図っておりますけれども、東京におけるマザーズハローワークと同じ規模というかそういうことでなくて、機能は同じなんですけれども、ちょっと別名でマザーズサロンと呼ばせていただきたいのでございますけれども、そうしたことでこの全国展開を図って、きめ細やかな再就職支援を確保してまいりたい、このように考えております。
○古屋(範)委員 大臣、ぜひ女性の再就職支援の推進、よろしくお願い申し上げます。 次に、テレワークについてお伺いをしてまいります。 多様な働き方の確立という観点で、私、このテレワークに以前より着目をしてまいりました。働きたいという意欲を持った人に仕事を提供できる、また在宅で、情報通信技術を利用して、場所を選ばない、また通勤時間をとらない、このテレワークという働き方であります。 このテレワークが普及することによりまして、母子家庭のお母様、母親、また高齢者、障害者の方々への雇用の機会の拡大が期待をされているわけであります。長時間通勤、特に首都圏では非常に通勤時間が長いわけであります、それからの解放。また、子供と過ごすといった育児支援、キャリアアップのための学習機会の創出、労働人口が都市部に一極集中することを分散するというような、さまざまな利点があると考えられます。 私は、前内閣で総務大臣政務官を務めておりまして、このテレワークの推進に取り組んでまいりました。昨年五月にテレワーク推進会議というものを設置し、少子高齢社会対策の一環として、また仕事と生活の調和を確立する、そのためにこのテレワークの導入を進めてまいりました。 来年度、このテレワーク関連予算、国土交通省、厚生労働省などを合わせて四億円計上をされておりまして、また、テレワーク環境整備税制が創設をされることになりまして、これ以上の喜びはないと思っております。 既に政府のIT戦略会議では、テレワーカーは、二〇一〇年までに就業人口の二割を目指すという目標が掲げられております。安倍総理も、政権公約として、前国会での所信表明、また今回の施政方針演説でも、テレワーク人口の倍増について言及をされております。 総理、このテレワークという新しい働き方についてのお考えを伺います。
○安倍内閣総理大臣 私の内閣の新経済成長戦略において、大きな柱は、イノベーション、そしてオープンな姿勢であります。このイノベーションによって生産性を高めていくということでありますが、特に情報通信技術の革命的な大きな進歩が今ある中で、IT技術を取り入れていくことによって生産性を向上させていくこともできますし、そしてこれは、やはり先ほど委員も御指摘になった、ワーク・ライフ・バランスを考える上においても、働き方、暮らし方を大きく変えていくことが、いい方向に変えていくことが十分に可能ではないかな、このように思います。 よく私ども、子供のころ、未来になったらどういう社会になる、こんなことをいろいろ漫画で読んでいたわけでありますが、家にいながらいろいろな人と会話ができたり、仕事もできる、こんなことに本当になるのかなと思ったら、まさにそれは実現をされたわけであって、しかし、残念ながら、まだこれは行き渡っていないわけであります。 このテレワークをもっともっと活用していく、私の内閣においては倍増するという目標を立てておりますが、このテレワークを活用していくことによって、女性が、出産、育児を、自宅で育児をしながら、出産、育児の際に職場から離れる、仕事を一たん中断するということなしに、自宅で仕事が可能になっていく、あるいはまた、障害を持った方や高齢者の方々が通勤しなくても済む、まさに場所と時間を選ばない働き方ができるわけであって、このテレワーク人口倍増をぜひ目指して、さまざまな施策を実行していきたいと思っております。
○古屋(範)委員 ただいま総理より、テレワークに対します御決意、構想をお伺いすることができました。 私は、このテレワーク、どのような形で実際行われているのか、熊本に行ってまいりました。ここは、NTTの子会社、NTTネオメイトという会社がありまして、特に、母子家庭の母親、また障害者の方々を中心に、西日本を中心に七県にわたりまして、約百人のスタッフ全員がモニターを見ながら、テレワークを行っている方の相談などに応じながら仕事を進めている。そこでは、航空写真を地図に起こすという仕事をしておりまして、経済的にも自立することができるというわけであります。特に最近では、コミックを携帯電話で見ることができるようにレイアウトし直すという仕事もそこで行っているようであります。 そのようなテレワークでありますけれども、厚生労働大臣にお伺いいたします。 厚生労働省では、これまで、テレワーク実施のためのガイドラインの策定、また、在宅勤務の効果についての委託調査などを行っていらっしゃいました。また、テレワークを推進する関係四省の一つとして、テレワーク推進フォーラムを設立していらっしゃいます。しかしながら、二〇〇五年の政府のテレワークへの取り組み状況を見ますと、テレワークの試行実施をしているのが、総務省、人事院、経産省、国土交通省、財務省だけでありました。 私は、労働を所管する厚生労働省でも、ぜひこのテレワークを導入していただきたいと考えておりますが、大臣、いかがでございましょうか。
○柳澤国務大臣 テレワークは、ITを活用して、時間や場所に制約されない働き方であるということで、古屋委員などがリーダーになられまして、特に女性の育児、介護、家事、要はライフ・ワーク・バランスを実現するための有効な手段ではないか、こういうことで御推奨になっておられます。 我が厚生労働省におきましても、このテレワークにつきましては、今先生御指摘のように、検討の、省内の関係者の会議を開きまして、これまでにもう三回ほどいろいろな問題を詰めているところでございます。その中には、必要機器の調達条件だとか所要経費はどうするかとか勤務時間管理をどうするかとかということのほかに、やはり何といっても情報セキュリティーの対策等の問題があるということで、これらにつきましていろいろの検討をしておるようでございます。 ただ、まだ、残念ながら、今御指摘のように、どこかで始まった、しかも、ちゃんとしたシステムのもとで始まったというようなことはございませんので、平成十九年度のできるだけ早い時期に、早く試行を始めるように準備を進めたいと思っております。
○古屋(範)委員 ぜひ厚労省でも推進をよろしくお願いいたしたいというふうに考えております。 次に、総務大臣に質問をしてまいります。 総務省では、中央省庁で初めて、昨年十月から、職員に対しまして週一回以上部分的な在宅勤務、テレワークができるよう実施をされました。先駆けて実施をされたわけであります。 国土交通省の平成十七年度テレワーク実態調査によりますと、就業者全体に対するテレワーク人口は、いまだ一〇・四%ということであります。三年前に比べますと一・六倍にふえてはおりますが、既に普通の働き方となっている欧米先進諸国と比べますと、まだ低いという感があります。二〇一〇年までに就業人口の二割の目標を目指すということになれば、やはり国が率先して取り組むべきと思います。 日本では、高速ブロードバンドネットワーク、またインフラ整備の普及が非常に進んでいるわけでありますが、まだまだそのインフラを十分生かし切れていないのではないかという気がいたしております。そこで、情報通信を所管している省として、また、最も取り組みが早く進んでいる総務省、このテレワークの一層の普及に取り組んでいただきたいと思っております。 総務省でのテレワーク実施状況、さらなる普及への御決意を、総務大臣にお伺いいたします。
○菅国務大臣 古屋委員が総務大臣政務官当時に、このテレワークの実施に向けての先導的な役割を果たしていただきました。そして現在、昨年の十月から開始をいたしておりまして、対象は、育児、介護に携わる職員でありまして、現在七名の職員がテレワークを行っておるところであります。そして、私どもは、今日の状況というものを検証して、その結果を踏まえて、対象職員というものを拡大していきたいと思っております。ちなみに、十九年度は三十人を考えております。 さらにまた、日本全体のテレワークの普及に向けまして、総務省では、十九年度の予算として、中小企業でも容易に安全なテレワーク、ここをシステム導入が可能なように、その実証実験のための費用として三億円計上させていただいています。 さらに、十九年度の税制改正の中で、テレワーク設備導入時の税制優遇を行うことができるように、テレワーク環境整備税制も創設をさせていただく予定であります。 いずれにしろ、先ほど総理の答弁にもありましたけれども、このテレワークというものを、私ども全力で推進をして、そうした働く女性の皆さんを初め、できる限りこうした仕事に参画できるように努めていきたいと思います。
○古屋(範)委員 今七名、既に始めていらっしゃるということであります。また、その中で、さまざまな現実的な課題というものも見えてきたのではないかというふうに感じております。 このテレワーク導入に向けて、人事院では、公務職場におけるテレワークのあり方についての調査研究を行って、勤務方法のあり方を検討する有識者研究会を設置する予算がついていると聞いております。政府として、本格導入に向けて環境整備が始まるものと大いに期待をしているところでございます。 各省におきまして、実際に制度やスキームを整備するとともに、テレワークで働く職員のモチベーションの確保も重要であります。実際にテレワークを希望する職員に、例外的な勤務形態ということで不当な人事評価が下されてはいけない、そのような懸念もございます。 そこで、ぜひ総理から、テレワークだからといって人事評価等で不当な差別を受けることはないとぜひ明言をしていただきたいのですが、この点、総理、いかがでございましょうか。
○安倍内閣総理大臣 私の内閣でテレワーク人口を倍にしていく、これはもう公約ですから、私の内閣で進めていることにまさに賛同して、ワーク・ライフ・バランスを考えても、そういう仕事の仕方を選んだ人たち、あるいはまた職場において、そういう人たちを人材として生かしていくためにもテレワークを導入していこうという判断をして、そういう人たちも参加をしているわけでありますから、テレワークに参加した人たちが万が一にも不当な差別を受けることがあってはならないし、そういうことはあり得ないということをはっきりとお約束しておきたい、このように思います。
○古屋(範)委員 安心いたしました。これで、各省庁におきましてもさらに導入が進み、そしてまた、それが民間へと大きな波及効果を持っていくのではないか、そのように思います。 最後の質問になります。ワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和ということでございます。 私は、みずから主体的に多様な働き方が選択できる社会、そういう社会を構築すべきと考えております。総理も、施政方針演説の中で、女性の活躍は国の新たな活力の源です、意欲と能力のある女性が、あらゆる分野でチャレンジし、希望に満ちた活躍ができるよう、働き方の見直し、テレワーク人口の倍増などを通じて、仕事と家庭生活の調和を積極的に推進したいとお述べになっていらっしゃいます。 仕事と生活の調和。正規雇用の社員は労働時間が延びている。特に三十代、子育て世代で労働時間が延びている。また、一昔前は、女性は家庭にという言葉もありましたが、今では、女性は仕事も家庭も家事もと、さらに大変な状況にあるというふうに考えられます。その中で、ワーク・ライフ・バランス、仕事と生活、子育てのみならず、介護もありますでしょうし、また次のステップへの充電、学習の機会も必要であろうというふうに思います。あるいは、地域のボランティア活動であるとか、さまざま、仕事と、そして仕事以外の生活、ライフ、これをどうバランスをとっていくか、まさにここが重要なポイントであると思っております。 公明党は、この仕事と生活の調和推進基本法というものの制定を目指しております。昨年着手をいたしまして、今、さまざまのヒアリング等を行い、全力を挙げて、この仕事と生活の調和推進基本法を作成しているところであります。 この仕事と生活の調和推進基本法、日本においてワーク・ライフ・バランスを国民全体が目指していく、そうした基本法、理念法となるものと思います。私は、この基本法をぜひとも制定すべきと考えますが、総理のお考えはいかがでございましょうか。
○安倍内閣総理大臣 だれもが仕事と子育てを両立させていくことができる社会、あるいは仕事と生活を調和させることができる社会を目指していかなければならない、こう考えています。 その中で、仕事と生活の調和推進基本法を制定すべきであるという御提案でございますが、大変貴重なものである、こう受けとめております。政府といたしましても、そうした御提案の趣旨を重く受けとめまして、先般発足した「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議において働き方の見直しについての検討を進めるなど、ワーク・ライフ・バランスを重視した働き方の実現に最善を尽くしていかなければならないと考えております。
○古屋(範)委員 今、総理からも御決意を伺いました。重点戦略推進会議で、一つの柱としてこのワーク・ライフ・バランスを考えていかれるということであります。男性も女性も、また働く人すべてが安心して子供を生み育てられ、かつ多様な働き方の選択を可能とする仕事と生活の調和推進基本法、この一刻も早い制定を求めまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○金子委員長 この際、赤羽一嘉君から関連質疑の申し出があります。古屋君の持ち時間の範囲内でこれを許します。赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。 先日の補正予算の初日の審議でも申し上げさせていただきましたが、今、日本の状況は、本年から私たちの先輩でありますいわゆる団塊の世代の皆様がリタイアを迎える。この五年間で一千万人の方たちがリタイアをされ、これまで社会保障を支えていた側から支えられる側に移るという、大変、極めて厳しい人口構造の変化、そして社会構造の変化を迎えるわけでございます。まさに総理も私も、僣越でございますけれども、同じポスト団塊世代、いわゆる未来に責任を持つ世代の政治家同士として、きょうも、限られた時間でございますけれども、三十分間真剣に議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 まず、構造改革についての評価でございます。 当委員会のやりとりを見ておりましても、構造改革をした結果、したからいわゆる格差問題が生じた、構造改革はとんでもなかったんだと、大変否定的な意見を述べられている政党、政治家の方々が見受けられますが、まず率直に申し上げて私はどうかなと思うんですが、総理の率直なる御見解を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 構造改革をスタートした、小泉改革がスタートした二〇〇一年を振り返ってみますと、二〇〇一年は経済もマイナス〇・八%の成長であったわけでありまして、銀行は山のような不良債権を抱えていました。そして、失業率もだんだん高くなっていく、有効求人倍率も悪いという中にあって、また、それまでの十年間、失われた十年の間に我々は何回か財政出動もしたんですが、これは一時的な効果があっても長続きしなかった。今までのような対策ではうまくいかないという中で、やはりこれはもう構造改革を進めていくしかない、これが成長への唯一の道である、こう決意をして構造改革に取り組んできた。 そして、その成果が出ている。これは、もう確実に、現実が、数字が示していると思います。マイナス〇・八だったマイナス成長が、プラスに転じています。そしてまた、有効求人倍率も、〇・五だったものが一を超えたのも事実であります。そして、失業率も、最悪のときにはこれは相当の水準まで至ってしまったわけでありますが、現在は大体四・一まで来ている。最悪のときには五・五ぐらいまで来てしまったわけであります。 もちろん、その間、不良債権問題は我々解決をしたわけでございます。そして今、さらに我々、二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化に向けて着実に歩みを進めているというのも現実であり、我々のこれは一つの実績であろう、このように思います。 こうした道に乗ることができた、道を進むことができたのも、やはり構造改革を進めてきた成果ではなかったか。これを否定するということは、やはり事実を、現実を否定することにもつながっていくのではないか。そしてさらに、これからやるべきことは、この成果がまだまだ行き渡っていないところもあるのは事実でありますから、そこに光を私たちは当てていきたい、このように思っております。
○赤羽委員 今の総理の御答弁、きょう配付している、また用意している資料を見れば、総理の言われているとおりだということがわかると思いますので、出したいと思います。 まず、実質GDPの成長率、二〇〇一年マイナス〇・八%から近年は約二%を超える成長率になった。失業率も、二〇〇二年には五・四%、三百六十万人が、ようやく四・一%まで鎮静化してきた。有効求人倍率につきましても、一九九九年がボトムですが、〇・四九。これは本当に、東京だけではなく、全国どこへ行っても就職先がない。ですから、失業して再就職ができない。もう本当に再チャレンジがどうなるのかということが言われた状況でありましたが、有効求人倍率は全国の平均で一・〇八。不良債権比率は、二〇〇二年に八・四%をつけておりましたが、現在、主要行でありますけれども、二〇〇六年九月では一・五%に減少した。倒産件数と倒産の負債金額、これは二〇〇〇年度で負債金額二十六・一兆円という大変大きな負債金額でありましたが、二〇〇六年の段階では五・五兆円に減少した。 こういったことでありまして、総理の御答弁のとおり私も思いますが、まさに構造改革がなければ、この十年間はまさに十年前と同じような状況、暗い状況。東京に行っても地方に行っても、どこもいいところがない。どの業界、どの業種を見ても、先の展望が全く見えない。一流企業と言われている社員もいつリストラに遭うかわからない。リストラされると再チャレンジできない。こういった暗い状況だったと思うんです。 その中、まさに構造改革をやればこういう結果が出るということは見えなかった中で、しかしやらなければいけないという中で、自民党、公明党の政府・与党挙げて構造改革をしてきた。これが、現状、マクロの数字はよくなってきた。 しかしながら、総理の御答弁にもありましたが、地域によって、業種によって、その効果のあらわれ方が違う。大都市東京はいいけれども、地方に行くとまだまだだ、神戸もまだまだだなというのが実感でございます。また、業種においても、元気な業種もあれば、まだ元気じゃない業種もある。企業でいうと、おおむね大企業はかなりよくなってきているけれども、中小企業でまだ苦戦している。こういったバランス、格差が見られる現象というのは、ある意味で構造改革の途上として起き得る現象だと僕は思うんです。 人間の体に例えても、大変成人病を患って、何とか体質改善しなければいけない、まずダイエットをする。その中で、ダイエットで体重は落ちたけれども筋肉質に変えなければいけない、その途上で血圧の数字がどうだとか一時的な状況が生まれているということはよくあることだと思うんです。 しかし、大事なことは、一途上の現象を固定化させない、それを固定化させないように追っての再支援策というか、具体的な適切な施策を打っていかなければいけない、こう私は思うのであって、この構造改革を否定するということは、十年前の状況の方がいい、どこの地域に行っても真っ暗だ、どこの業種に行っても、いつもリストラされるかどうかびくびくしている、こういった状況の方がいいというような話になるのであって、断じて正しくない見解だということを私の意見として申し上げておきたいと思います。 この克服していかなければいけない一つ目の課題で、要するに、企業部門の収益というのはあのバブルを超えるような収益が上がっている、その企業部門の収益を家計部門にしたい、これは総理も先日の御答弁で申されたとおりであります。 「企業の労働分配率の推移」と「利益配分のスタンス」というお手元に配付している資料を見ていただきたいのですが、利益配分について、大企業、中小企業それぞれの経営者に回答を求めています。何に利益を配分しておりますかと。設備投資ですか、内部留保ですか、株主への還元ですか、有利子負債の削減ですか、新商品の開発ですか、従業員への還元ですか、こういったことで三つ選ぶアンケートがされているというデータでございます。これは法人企業景気予測調査、平成十八年の十月から十二月の調査でございます。この下ですね。 これを見ますと、大企業は、製造業、非製造業、おおむねそうなんですが、一、二、三というのは設備投資、内部留保、そして株主への還元なんです。押しなべて、従業員への還元というのは最下位なんですね。相当パーセンテージも開いております。一方では、中小企業は、逆に言うとそんなに余裕がない。内部留保、従業員への還元が二位なんです、設備投資。こういった、大企業と中小企業の利益配分における実態というのは相当ある。 そして、一方で、先ほどの質問にも出ておりましたが、労働分配率の推移等を見てみましても、中小企業における人件費というのはやはり高推移で移動している。大企業の方は、最近、景気がよくなってきたという状況の裏腹だと思いますけれども、分配率は四六・七%と、この二十年間を見ても今一番低くなっている。それだけ余裕が出てきたという数字だというふうに思っております。 私がここで申し上げたいのは、最近の企業の経営者に話をすると、企業はだれのものか、こういう問いに、株主のものだ、こう即答される方がたくさんいらっしゃるんですね。それはもちろん一面の真実です、株式会社ですから。しかし、株主と同時に従業員、社員のものである、私はそう思う。 日本型の経営というのは、やはりアメリカ型の経営とはちょっと違って、会社に入る、そこに対して、会社を自分の会社として、ロイヤリティーというか、忠誠心を持ちながら大変な勢いで仕事をする。その結果として、世界でも大変な業績を上げている日本の企業というのが現出してきたという歴史がある、事実がある。 どうも、この十年間、構造改革という中で、大変な三つの過剰、債務の過剰、設備投資の過剰、そして雇用の過剰ということを削減していく過程の中で、アメリカ型と言ったらちょっと適切ではないかもしれませんが、その企業文化について若干冷たくなっているのではないか。 ですから、私が申し上げたいのは、構造改革の途上、プロセスで、こういった設備投資を控える中、何でも控える中でなかなか従業員の給与が上がらなかったのは、これはやむを得ないことだとは思いますが、まさにようやく明るさが出てきた、利益も上がってきた、今こそやはり、企業はだれのものか、株主と同時に従業員のものである、こういった考えから、やはり従業員の給与というのをもう少し還元率を上げるべきだというふうに思いますが、その点について率直な総理の御見解をよろしくお願いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 ただいま赤羽委員がお示しをしていただいた大企業と中小企業の行動の違い、そういう意味においては、中小企業というのは、ある意味、日本的なよさを生かした家族的な雰囲気、やはりこれは、みんなで苦しいときも楽しいときも同じように分かち合おうよということではないかな、こう思います。かつては、これが日本の企業の強さとも称賛されていたわけでございます。 現在、大企業がそういう行動をとるのは、確かに委員が指摘をされたように、国際競争にさらされ、設備投資をしなければいけない、あるいは利益を株主に還元もしていかなければいけない、そういう中においての行動の一つのあらわれなんだろうと思うわけであります。しかし、従業員に利益を還元していって所得をふやしていくことは、消費増にもつながって景気のいい循環に結びついていくわけであって、結果としては、これは企業にとっても必ずプラスになっていくわけでありますし、また、従業員の皆さんが安心感、安定感を持つこと、そしてまた、きょうよりもやはりあしたが、頑張れば来年の方がよくなる、こう思うことが、もっと一生懸命働こう、いいアイデアを出していこうというモチベーションにつながっていくのではないかと私も思うわけでございます。 それを全部捨ててしまうというのは、私は、やはり間違いであって、そのバランスをうまくとっていく、まさにある意味では、世界に対して新しい日本のモデルを、これがやはりモデルだな、こう目指してもらえるようなモデルを提示することが求められているのではないだろうか、このように思います。
○赤羽委員 今、本当にいい御答弁だったと思うんですが、本当に、新日本型の企業モデル、雇用のモデルというのはやはり十分あり得るべきだと思いますし、ぜひこのマクロの景気の回復の実感を一人でも多くの国民ができるように施策を進めていただきたいと重ねて申し上げたいと思います。 ちょっと次に、順番が違うんですが、いわゆる格差問題の中で、よくいろいろな格差の問題のとらえ方というのはあると思うんですが、やはりだれもが認めざるを得ないのは、いわゆる就職氷河期、バブルがはじけた後に大学、学校を卒業した人たちが、能力がありながら就職できなかった。 日本の企業というのは、いい側面もあれば、僕がちょっとどうかなと思うのは、学校の新卒者に対する神話というんですかね、新卒神話というのが物すごく強い。ですから、能力がありながら、既卒業者ということで大変なハンディを負うというのが現状だと思うんです。 知り合いの中で、就職ができなかった、卒業してからアメリカに留学をして、ネイティブのような英語ができるようになって帰ってきた、しかしなかなか、もう二十五歳を超えていると就職ができない。そこで、派遣会社に登録をするわけです。派遣会社に登録をしますと、英語が物すごくできるということを書くと、その単価が高くなるんですね、その人の給料の。そうすると、結局、その特技があるがゆえに就職ができないというおかしな話になる。そして、結局、その特技を消して申告する、そうすると、非常にいわゆる派遣業の安い待遇というか、それなりの待遇でしか仕事がない、いまだに正規社員になれないというような状況になる。 これは年がたてばたつほどそういった道が閉ざされていくという、簡単な話じゃないなと思うんですね。どうもややもすると、そういういわゆる年長フリーターの方たちに対して、世論は何か努力が足りないとか、もっとやり方があったんじゃないかみたいなことを結構言いがちなんですが、私はそれはかなり間違った偏見ではないかと。 やはり生まれた時代によって不当に差別をされている社会というのは美しい国とは言えないと私は思うんですね。ですから、やはりここは偏見を排し、正しい認識をするということがまず第一で、そして適切な措置をとる、それもなかなか官民挙げないとできないと思うんです。ですから、ぜひ総理も、よくこの点、御専門で詳しいと思いますが、できればやはりこういった年長フリーターの皆さんの生の声を聞く機会があればいいと思います。 そういう中で、まず隗より始めよということで、国家公務員制度の中からそういった採用の窓口をつくるということが一つと、もう一つは、非正規に甘んじているそういう年長フリーターの人たちに対して、企業もそこの部分で今の収益があるという認識の中で、やはり就職氷河期の年長フリーターの人たちに対して、相当意識的に雇用するように強く促すべきだというふうに考えておるんですが、この点について総理の御認識をいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 ただいま赤羽委員が御指摘になったように、年長フリーターの皆さんは、本当に、就職氷河期、一番厳しいときにたまたま新卒として就職の時期を迎えてしまった、その結果、残念ながら、就職活動がうまくいかなかった、あるいはまた思っているような企業には行けなかったという人たちもたくさんいるわけでございまして、この多くの方々が、うまく就職がいかなかった人たちが、いわば年長フリーターとして存在をします。 もう一回やり直そうと思っても、残念ながら、大企業はみんな新卒ですから、また多くの企業が新卒ですから、中途採用の道がほとんどない。であるからこそ、我々は、この方々にも着目をしながら、この方々がもう一度正規の雇用に進んでいくことができるように、そういう道をつくらなければいけないと思っています。 この問題に長い間、赤羽委員を初め公明党が取り組んでこられたことに対しましては、本当に敬意を表したい、このように思います。御進言をいただきました政策を我々も政府として取り入れて推進をしていきたい、このように思います。 この国会におきましても、雇用対策法の改正案を提出して、新卒一括採用システムの見直しを進めていきます。また、いわゆる年長フリーターに対して、新たな就職能力開発支援に着手をしていきたい。なかなかこの方々は、フリーターをやっていますと、アルバイトですと、自分の能力を開発していく機会というのがほとんどないということであったのではないかと思います。また、これは年長フリーターではありませんが、ニートの若者に対しては、地域の関係機関等のネットワークによる支援を進めていかなければならない、このように思います。 我が国の次代を担うこうした方々にも社会に参加していただく、夢を持っていただくために、あらゆる施策を推進していかなければいけない。こういう方々が何度でもチャンスのある社会をつくっていくのが、私が進めております再チャレンジ支援でありまして、フリーター、ニート対策については五十九施策を実行してまいります。ですから、この方々のために五十九施策を新たに実行してまいる考え方でございます。 隗より始めるということでございまして、国家公務員については、三十代の人を対象に国家公務員の中途採用者選考試験、私はいわゆる再チャレンジ支援と言っておるんですが、これを新たに実施いたしまして、通常の国家公務員採用試験の対象年齢を過ぎた方、いわば年長フリーターの方々にも国家公務員への再就職の機会を広げていかなければいけない。私どもから公務員において門戸を広げていかなければ、民間企業の方々にそういう中途採用をこれからやってくださいということもお願いできないと思います。合格者を来年四月に各府省に採用することを想定して、ことしの秋にこの新たな試験を実施する方向で今準備を進めております。
○赤羽委員 私は今、その国家試験制度、制度としてちゃんと受け入れることは大変すばらしいことだと思いますし、国家としても、その世代の埋もれた人材を活用できないというのは大変大きな損失のはずなんですね。そういったことについて、何か特殊な立場、存在というふうに見るのではなくて、正々堂々とした、オープンな、オープンマインドな制度としてぜひやっていただきたい、こう思うわけでございます。 その中で、職業能力形成システム、いわゆるジョブカード制度というのを確立するという案がある。今までの履歴書ではなくて、自分がどういった能力形成をしてきたか、どういったキャリアを踏んできたかということについて、そういう制度の用意があると伺っておりますが、どうか、役所が先行してつくった、そしてそれを、お仕着せを企業側にするというのではなくて、まさに経済産業界挙げてともにつくっていく、全産業、全企業が参画をするというような制度にしないと、制度はできたけれどもあれを利用している人は少ないよというような話になってしまっては、何のために予算をかけるかどうかという結末になってしまうのは明らかでありますので、その点について短く、大田担当大臣、御決意を聞かせてください。
○大田国務大臣 ジョブカードは、企業の現場で実際に職業訓練を受けていただいてそれを記録するものです。これは、業種ごと、職種ごとに能力訓練プログラムを策定いたしますので、先生が御指摘のように、企業、産業の御協力が不可欠です。まず十九年度は、協力が得られる企業、協力が得られる業界から先行的に始めていきたいというふうに思っております。そのための官民一体となった構想委員会をつくって、制度をしっかりとつくっていくつもりです。
○赤羽委員 これは本当に大変難しい課題であるはずなので、ぜひ政府を挙げて、最大の施策として取り組んでいただけるように強く申し上げておきたいと思います。 次に、今度、地域格差、地方と都市部の格差、こういうことについてちょっと話題を移したいと思うんですが、どうもこの地域格差、いろいろ全国を回っておりますと、やはり正直言って、東京と地方のレベルというのは随分違うというのは、政治家ならだれでも実感していることだと思います。 それで、よくよく考えてみますと、地方に行けば行くほど地方経済の公共事業への依存率というのは高いんですね。公共事業の予算がここ数年劇的に削減の中で、それと同じように疲弊していっている。その中でも、産業集積がある地域は結構頑張っている、産業集積、企業立地があるところというのは結構頑張っているんだけれども、ないところは全然差がついている。ですから、まさに地域活性化という問題は、本当にどう企業集積をしていくか、そこに雇用、働き手の場を生んでいくか、そういったものを発火点として循環させていくというのがすごく大事なことだというふうに考えております。 有効求人倍率、これはもう何回も、皆さん、出ていると思います。有効求人倍率自体は随分よくなりました。しかし、このグラフを見ておりますと、これは方面別の有効求人倍率なんですが、順位が余り変わらないんですね。よくなってきた状況の中で、東海地方が常にリードしている、一位だ、北海道がやはり一番厳しい状況である。これは入れかわったりしないんですね。有効求人倍率というのはある意味で固定化しかかっているんです。ですから、この固定化、地域バランスというのを、ぜひ企業立地をしていかなければいけない、いろいろな手法があると思いますが、企業立地というのは地域活性化の一つの大きな柱だというふうに認識をしております。 経済産業省もそういう思いの中で今回企業立地に関する法案も用意されていると伺っておりますし、それに対する施策、相当踏み込んだ施策がつくられているというふうに伺っておりますし、私も経済産業部会長ですのでともにやっているわけでございますけれども、その点について経済産業大臣からお答えをいただきたい。
○甘利国務大臣 地域間格差を縮小していくのに補助金や交付税という手法も当然大事なんでありますけれども、自立という点を考えますと、抜本的にはその地域ごとに雇用と税収を生み出す仕組みをそこにつくっていかなきゃならない。これは、企業立地、産業集積をつくるというのは極めて大事な仕組みであります。 今度、新しい企業立地の法律を提出いたします。先生、内容についてもよく御存じのとおりですね。その地域ごとに、言ってみれば、人材の供給から、あるいは許認可のワンストップサービスから、県単位、うちはこういうような各部署の連携をとってこういうオファーをしますよという、一つの企業立地、産業集積パンフレットみたいなものを競争し合うということになるんでしょうね。それによって企業を引っ張ってくる。企業を引っ張ってきて税収が上がった場合、普通は、交付団体はふえた分の四分の三は召し上げられちゃう。これは、総務省、菅大臣と当初から連携をとっておりまして、もっとちゃんと成果が地元に残るような交付税の仕組みにしていくということもあわせて組んだわけでございまして、地域が自立して立ち上がっていく力をつけるための施策を提案しております。
○赤羽委員 まさにこの企業立地、いっとき企業は海外に出た、しかしその周辺の部品だとかなんとか、グループとしての集積がないとなかなか機能しないということで、やはり国内に回帰している現象があると思います。そこについてぜひこの法律を使ってほしいし、やはりその土地に対して、例えば高速道路ですとか空港ですとか港湾とか、周辺のアクセスのネットワークがないと、幾ら地方自治体が頑張ってもなかなか企業立地、また企業を経営する側はそこに出ていこうとしないと思います。 そういった意味では、経済産業省だけではなくて国土交通省も、これはあるところを拠点に経済産業省として立地したいと思っても、そこの高速道路やアクセスを全くやらなくて別のところを整備するというような話では、まさに国益とは逆方向に行くと思いますので、この点についての国土交通大臣の御見解も。
○冬柴国務大臣 企業立地やあるいは産業集積にあわせまして周辺整備を、必要なインフラをタイミングよく整備していくということが非常に必要であります。 したがいまして、都道府県が必要なインフラ整備を一体的に進めることができるようにするために、国土交通省としましては、地域自立・活性化交付金制度の創設を目的とした法案を提出いたしているところでございます。この制度によって、企業の立地に伴い必要となるアクセス道路だとか港湾施設等のインフラ整備を一括して効率的に進めることができます。ハードとソフト一体の幅広い支援を行ってまいりたい、このように思っております。 そういう意味で、経済産業省等々、他省庁とも緊密な連携を図りながら、省を挙げて、やる気のある地域、その自立を促進すべく頑張ってまいりたいと思います。 これは、観光の活性化や都市農村交流の促進など、地域の知恵と工夫に応じた広域的な地域の活性化にも資することができると思いますので、そのような法律を通じて頑張ってまいりたいと思っております。
○赤羽委員 どうもありがとうございます。 今、冬柴国土交通大臣の御答弁の中にも最後出ておりましたが、企業立地が大変大きな地域活性化の効用と同時に、企業の立地だけじゃなくて、その地域の資源をどう活用し、うまく育てていくか。今、観光業はまさにそのとおりだと思うんです。 観光業というのは、私の地元も有馬温泉があり、神戸ビールがあり、六甲山系があり、百万ドルの夜景があり、資源はあるんですが、そこをプロデュースするというような観光業というのはなかなか少ないんですね。そこのバリアフリー化とかアクセスというのがなかなか手を打たれていない。ちょっと予算をしたりとか目配りをできると、大変世界に冠たる観光資源になるし、交流人口もふえていくという実例も出てきていると思いますので、ぜひその点を強く御要望をしたいと思います。その点について簡単に。
○冬柴国務大臣 まちづくり交付金とか観光ルネサンスというような形で、都道府県や市町村が行う事業にあわせまして、そこに住む民間の方々が、その地域の歴史や伝統、文化あるいは資源を生かして、観光資源としてやろうという努力に対してこたえようというふうに頑張っているところでございます。 今おっしゃった有馬温泉ですが、大変その意味では優等生だと思うんです。例えば、泊食分離というようなことを今社会実験としてやっていますけれども、大変好評でして、台湾から来られた方が神戸で中華料理を食べて、泊まるのはやはり温泉に入って有馬で泊まりたいという人があるわけで、これにこたえた泊食分離は非常に人気がありますし、それからまた、森林浴とかウオーキングというものを組み合わせた入浴というような長期滞在型の、これを台湾で売ったみたいですね。 したがいまして、前年度比二倍ですよ。去年、一万一千二百人が四月から九月まで来られました。うち四五%が台湾から来たということを考えましても、やはり、そういう意欲的な取り組みと売り込みというものが非常にすごいと思っています。 そういう意味で、また頑張ってまいります。
○赤羽委員 どうもありがとうございます。 もう答弁は求めません。最後に一点。 人口減少化していく、地方が過疎化していくというような大きな流れがある。それを何とか食いとめるために、住民税をぜひ柔軟な考えを持っていただきたい。母親、父親が田舎に残っている。しかし、もう仕事をしていないから税金を納めていない。自分も育ったところだから何とか支えていきたい。ふるさと税みたいな形で住民税の一割を出すとか、二地域の居住というのが出てくると思いますので、週末だけ住むところにはその一割を出すとかですね。菅大臣のときしかできない結論ですから、来年の抜本的のときにぜひやわらかい住民税を御検討いただきたいということを要望申し上げまして、私の質問とします。 ありがとうございました。
○金子委員長 これにて古屋君、赤羽君の質疑は終了いたしました。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前に引き続き、雇用・労働問題等についての集中審議を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。
○枝野委員 民主党の枝野でございます。 雇用・労働問題、その背景にある経済問題について総理と論戦を闘わせたいと思っておりますが、きょうの本題に入ります前に一点だけ。 先日、我が党の小沢代表は、一部で疑義があるとされた事務所費の詳細について、会見を開き、みずから積極的に公開をいたしました。 きのうの高山委員の質疑の中でも、総務省から、政治資金規正法の趣旨、それは国民の皆さんの監視とチェック、見ていただいて、知っていただいて、それで、それがいいのか悪いのか、そのことについては国民の皆さんに判断をしていただく、そういう趣旨だというお話もありました。そのとおりだろうというふうに思います。 残念ながら、閣僚の皆さんの中で、特に多額の事務所費、事務所費というのは事務所の家賃等、その「等」の中にどこまで入れていいのかというところに疑義があるわけでありまして、その部分のところで、本来別のところに入れるべき、あるいは政治資金ではないのではないかと思われるようなものが入っているのではないかという疑義が一部上がっておりまして、特に多額の事務所費が計上されているということで、この間、松岡農水大臣と伊吹文部科学大臣について、もし問題がないというんだったら、積極的にその内容を公表して、国民の皆さんに問題ないんだなと知っていただいた方がいいじゃないかということを、この委員会の中でも繰り返し我が党の同僚議員から申し上げてまいりました。 残念ながら、問題ないと、なぜ問題ないと思うのかということについては信頼する会計責任者がやっているからだということでございまして、本当に問題ないなら、国民の皆さんに見ていただいてそれこそ問題ないというふうに思います。 総理は、閣僚には説明責任があるというような言葉、一般論としてでありましょうが、おっしゃったこともございます。これは、内閣というよりも、内閣の信頼が失われていてもそれは我々にとってはどちらでもいいんですが、政治全体に対する信頼の問題でございます。見ていただいた上で何にも問題がないじゃないかとかいうことであれば、それはだれにとっても、みんなにとって一番いいことであります。 ぜひとも、内閣総理大臣のリーダーシップとして、一部で取りざたされている閣僚の皆さんに対して、問題ないならみずから積極的に公表したらいいじゃないかという指導力を発揮された方が内閣のためにもいいんじゃないかとお勧めをいたしますが、いかがでしょう。
○安倍内閣総理大臣 小沢代表が小沢代表の考えられる範囲内で公表されたということは承知をしておりますが、年間四億円という極めて巨額な事務所費を計上し、そして御自身の名義にして土地を購入された、そして上物もつくっておられる。これは、かなり異例なことではないか、このように思います。そうした中で、議員としての判断で公表されたんだろう、このように思います。 事務所費の問題について指摘をされている閣僚については、法令にのっとって処理をしているということでございます。 こうした事務所費等のあり方について言えば、これは議員個人の活動にかかわることであって、事務所費をどう処理すべきか、あるいは不動産を買っていいのかどうか、自分の名義にしていいのかどうかということも含めて、やはりこれは議員としてそれぞれが議論をしていかなければならない、このように思うわけでありまして、法律によって定められていないものを事後的に公表しろということは、なかなかそれは、私は、おかしいのではないか。 もちろん、そういう一定額以上の事務所費を計上している場合はその中身を明らかにするということを各党でお決めになれば、自民党で決まれば、それにのっとって公表するのは当然のことではないだろうか、このように思います。
○枝野委員 もう一点、きのうのこの委員会の質疑で、佐田元大臣、事務所費について問題があって大臣を辞職したという説明をいただきましたが、実はその後、収支報告書の訂正もなされていないということもきのうのこの委員会で明らかになりました。どう問題があったのか、そういう説明も果たされておりません。 佐田大臣は、安倍内閣の閣僚であった方であります。これまた内閣の信頼性にかかわる問題であります。やめたから済ませるというのではなく、閣僚ではありませんから内閣総理大臣たる安倍晋三さんが指導するわけにはいかないでしょうが、自由民主党総裁としての指導力を発揮して、やはり説明責任を果たした方がいいんじゃないですかということをお勧めになるべきだと思いますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 佐田大臣は、事務所費について不適切な取り扱いがあったということを認められて、みずから職を辞された、責任をとられたわけであります。その際に、みずから不適切な取り扱いがあったということも含めて説明をされた、こう承知をしているわけであります。 今後は、この事務所費のあり方について、政治資金規正法の法改正も含めて議論をしていただくことが大切ではないか、このように思います。
○枝野委員 不適切という、中身が何も明らかにされていませんし、不適切であったなら収支報告は書きかえなければいけないはずだと思うんですが、それも出てきておられませんで、先ほど申しましたが、別に内閣が信頼を失っても我々にとってはどちらでもいいんですが、政治全体の信頼が失われるということは、日本の民主主義にとっていいことだとは思いません。 不適切であったとお認めになった佐田大臣、もし総理からお勧めがないのであれば、この国会の場で、どう不適切で、だから責任をとったんだということをきちっと説明していただいた方がいいと思いますので、改めて参考人として、佐田元大臣をお呼びいただきたいと委員長にお願いを申し上げます。
○金子委員長 昨日の委員会で同じ要請をいただいておりますので、理事会協議とさせていただきます。
○枝野委員 その上で、お二人の大臣、現職の大臣、問題ないんだ、法に照らして適切に処理しているんだというのであれば、それはこういう中身なんですということをお示しして、それが法に適しているけれども、それは、今小沢代表について総理もおっしゃられましたけれども、国民の皆さんがいろいろな御判断をされる、まさにそれが政治資金規正の意味でありまして、だから、三年間公表しない部分についても帳簿をちゃんと残しておくということで、お三方についても帳簿は残っているはずであります。 これはぜひ、それぞれが、法では最低限ここまでだけれども、疑いがあるんだったらここまで出しましょうということをみんながやるという文化が私は必要ではないか、それに対して総理が積極的なリーダーシップをとられることを強く希望して、きょうの本題に入りたいと思います。 先日も、この場で私は、経済財政諮問会議の議員を務めていらっしゃる御手洗氏が会長を務めるキヤノンの偽装請負問題について、総理の認識をただしました。 きのうの公聴会に、まさに偽装請負、請負と派遣と行ったり来たりさせられて、会社側は、派遣で長くいると正社員になりませんかと申し込みをしなきゃならないということがあったんでしょう、ある時期、派遣をやっていると、今度はまた請負だ、請負だと偽装請負になるから、しばらくたつとまた派遣だというようなことのやりとりをされて、しかし、やっている仕事は、正社員の方と一緒になって製品の開発をしてきた。やっている仕事は何かといったら、キヤノンの先端技術、世界に冠たる技術であるナノメートル単位の、本当に我々では想像がつかないような熟練の技術でレンズを加工しているという仕事。七年にわたってそういった仕事を続けながら正社員になれない、いつ解雇されるかわからない状態、給料は年二百七十万円、昇給もボーナスもない、こういう立場の大野公述人においでをいただいて、その実情をお話しいただきました。 総理には、きのうの通告で担当の事務方の方にインターネットでもアップされているので、ぜひごらんをいただいた上で来てくださいとお願いをしておきました。ごらんになったと思いますけれども、こういう状況を放置しておくということが許されるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 昨日の公述人のお話でございますが、きのうの公聴会におきましては、製造現場における派遣、請負労働者の実態、また非正規労働者の正社員化など、処遇の改善に対する要望等について公述があった、このように承知をしておりますが、個別企業にかかわることについての感想は差し控えさせていただきたいと思います。 いずれにいたしましても、今後、労働者派遣法に違反する事例があれば、その速やかな是正を徹底していく、これは当然のことであろう、このように思います。そして、その上で、どのような働き方をしても安心して納得して働くことができる環境の整備が極めて重要であり、働く人のルールの整備にも取り組んでいきたい、こう考えています。 具体的には、パートタイム労働法の改正あるいは雇用対策法の改正、そしてまた請負事業の適正化及び請負労働者の雇用管理の改善を図るためのガイドラインの策定を行ってまいる考えであります。
○枝野委員 先日もこのキヤノンの問題を取り上げましたが、あなたが指名をされて、経済財政諮問会議という、ある意味では一国会議員などよりもよほど政策決定に影響力を持つ立場に、この会社の会長を今選任しておられるんです。 厚生労働大臣に伺います。 少なくとも、報道で明確に時期、場所を含めて明らかになっているだけで、〇五年夏に大分キヤノンが、〇五年秋に宇都宮本体工場がそれぞれ偽装請負で指導を受けたと報道されています。また、神奈川では、きのうの大野公述人が属する東京ユニオンが当事者となっている案件、つまり、偽装請負、派遣法違反ということの当事者として救済の申し立てをしたという当事者になっている事件だけで、〇五年二月と十二月の二度にわたって派遣法違反で是正指導がなされています。これらは間違いありませんね。
○柳澤国務大臣 個別の企業の点について新聞報道等を確認せよと言われましても、そういうことは私はできないし、差し控えるべきであろう、このように思います。
○枝野委員 正確に答えてください。確認はできるんでしょう、言えないということなんでしょう。だって、指導をしているのはあなたの手足である労働局なんですから。
○柳澤国務大臣 個別の企業に対して私ども行政がどのようなことをやっておるかということについては、私はこれについてお話を申し上げることは差し控えるべきだと思います。
○枝野委員 公表できないと。公表できないという理屈は、厚生労働省の方から説明を受けました。派遣法には公表という規定があって、これこれこういう要件を満たしたときに公表することができるという規定がある。それは、指導にも従わなかったというときにはその旨を公表できるという規定がある。それ以外のところ、公表できないなんて書いていないですよ、法律にどこも。 まして、私はすべての企業を出せだなんて言っていません。皆さんが経済財政について一緒に物を考えて、議論をして、政策をつくっていこうということでお仲間にしている御手洗氏が会長を務めているキヤノンの、既に世の中的には明らかになっていることだけでも確認できませんかということを申し上げているので、一般論としての、すべての中小零細企業から含めて指導を受けたところを全部出せと言っているわけではないんです。それでも御説明になれないわけですか。
○柳澤国務大臣 私どもとしては、国会のおつくりになられた法律に基づいて行政をやっていく、これが私たちの使命だと考えておりまして、今先生御指摘のとおり、公表そのものについても一つの行政手続として法定されていることでございますので、その手続の命ずるところによって我々はこれを執行する、こういう立場でございます。
○枝野委員 まず、法律そのものが、「勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。」。「その旨」というのは、勧告に従わなかった旨と読むのが法律の解釈として正しいと思いますが、「その旨を公表することができる。」それ以外のことは何も書いていないです、公表しちゃいけないなんということは。 まず、現行法の解釈の問題として、ここは勧告に従わなかったひどい会社ですということは、この法律に基づいて、ひどい会社ですといって公表したらいい。だけれども、それ以外について、ここは勧告をして、勧告どおり是正されましたということについて公表するともしないとも何も書いていないので、まず、法律の解釈として、今の解釈は私は疑義がある。百歩譲って今の解釈が仮に正しかったとしても、この法律はざる法です。さっさと改正しなきゃいけないと思います。 なぜならば、同一の企業グループが繰り返し繰り返し派遣法違反で指導、勧告を受けているんですよ。その都度、その場では、はい、わかりましたといって、そのケースだけは是正しているんですよ。それどころか、実はまだ是正し切れてなくて争っているというのも、今申し上げた五件の中にはありますが、というか、今現に大野さんの件は争っているわけであります。そのほかにもまだ残っているのもあります。 同じ企業グループの中で一カ所出た。わかりました、従います、そうすれば公表もされない。だけれども、同じようなことをやっていると、同じグループの別のところでまた起こって、また申し立てを受けて、指導を受けたら、ごめんなさい、今度はやりませんといって、そこでわかりましたとやったらそれでおしまい。また同じ企業グループの別のところで繰り返す。まさにキヤノングループはそのことをやっているんじゃないですか。それにもかかわらず、何の社会的制裁も受けないで繰り返される。法律自体がざる法です。 もし今の解釈が正しいとおっしゃるんだったら、早急にこの法律を変えるべきだと思いますが、違いますか。
○柳澤国務大臣 これは本当に、是正指導、勧告、それから公表という一定の枠組みで規定されていることは枝野先生御指摘のとおりだし、お互い、今それをもとに議論しているということでございますが、基本的に、是正指導をした場合に、自主的に是正をしていくということが私どもがこの法律で一番期待しているところでございまして、そのことが一番の目的である。したがって、是正をされていく、自主的な是正をしていくということをこの法律は期待しているんだろう、私どもはこのように考えるわけでございます。
○枝野委員 キヤノンはそれをやっていないんですよ。 報道は外しましょう。きのう公述人として来ていただいて、その参考資料として文書を出していただいた、東京ユニオンがかかわっている神奈川の事業所のケースだけでも、〇五年二月に神奈川労働局から会社に対して派遣法違反の是正指導が出て、その上で、その年の九月に別の人が派遣法違反を申告、こういうケースが出ているんですよ。同じ事業所で、勧告、わかりました、従います、従って、また同じ会社で同じことをやっている、こういうことが現に起こっているんですよ。 現に起こっているんだから、百歩譲って今の公表についての解釈が仮に正しいんだとしたら、ざる法であって、まさに企業経営者の善意に期待しているけれども、少なくとも、ここまでのキヤノンという会社はその善意に反する行動を繰り返している。こういう企業が放置される。まじめに、勧告を受けたら、ごめんなさい、間違えましたといってグループ全体挙げて是正をしているところがばかを見て、こうやって、見つかったらそこだけふさげばいいやといっているキヤノンは得をする。あべこべじゃないですか。
○柳澤国務大臣 今、枝野委員は、繰り返しの話と、それからグループの別会社の話と一緒に論じられたわけでございますけれども、私は、今お聞きしていて思うんですけれども、同じ会社で繰り返しということになりますと、これは行政判断としてもいろいろな判断があり得ると思うんです。しかし、この法律に従う限りは、別の会社であれば、それは一社一社についてそういう手続を進めていくということが法律の命ずるところであろう、このように考えます。
○枝野委員 二つの意味で今の答弁はおかしな話でありまして、柳澤大臣の言っている、法律の公表の要件についての解釈に従えば、同じ会社であっても、反復、繰り返してでも、その都度ちゃんと従っていれば公表というところまでいかないんですよ、「勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、」なんですから。勧告を受ける都度ちゃんと従ってやっちゃえば、公表まで何の制裁も一切受けないんです、同じ企業の中でも。という意味で、今の答弁は全く法律の解釈は間違っていて、行政の判断でできるんだったら、今度のことだって行政の判断で公表できるはずです。 それから、企業グループ、別会社で、だからそれがざるじゃないですか。一体として、私はキヤノンについてそこまで調べてきておりませんが、例えば連結決算がされているような企業グループで、親子会社関係にあるような企業グループで会社法人組織を別にすれば、ああ、また別のところでやる、これなら通ってしまう。そういうことで、では本当に、繰り返します、勧告とか受けて、ああ、これはまずかった、いけないことをしたんだといって、ちゃんと派遣の人たちでしかるべき人たちは正社員にする、偽装請負なんかやらない、ちゃんとやった会社がばかを見て、キヤノンのような会社が得をする、そういう制度をそのまま放置しておくのはおかしいんじゃありませんかと聞いているんです。
○柳澤国務大臣 これは、少なくとも現行法では一社ごとで行政指導なり行政処分の手続に入っていくということでありまして、私が先ほど申したのは、同じ会社で一度是正されるけれどもすぐ次にまたやるというようなことになれば、一定の心証というかそういうものが形成されて、勧告等についてもそれなりの配慮が払われていくものになるだろうということを常識的に申し上げているわけでございます。法の運用としても、私は、そうであるべきだろうと思うんです。 別会社ということになると、私は、正直言って、キヤノンというようなことについて今申し上げておりません。ですから、関連会社というような話であるとか、そういったことについてまでここで私がまた新たな立法論を行うというだけの準備は、正直、私は持っておりません。
○枝野委員 まず、前段の話ですが、派遣法四十九条の二で勧告とかをなされるのは、個別の、私は本来は正社員になれという申し込みを受けるべきなのに受けなかったとか、正社員になるべき派遣の期間を過ぎているから、正社員にしてくれと言ったのに断られたとかという個別案件を是正する勧告なんですよ。だから、今のように、このグループは全体として繰り返しやっていてひどいなという話の勧告という話では四十九条の二はないので、法律そのものをよくもう一度勉強し直していただいて、後日また答弁訂正されるんでしょうね、何度この予算委員会の中で答弁訂正されているのかわかりませんが。 そして、後段、まさに今のような法制度でいいんですかということに対して、いや、今は考えていませんと。まさにそういったことを考えなきゃならない、そのために当事者の方にも公述人として来ていただき、ここで議論をしているんじゃないですか。 企業グループ全体としてちゃんとやるところ、それとも、別の会社だから関係ないやといってごろごろやっているところ、そういうところが、まさに正直者がばかを見る、企業間でもそういうことが出てくるということで本当にいいのかということを申し上げて、総理にお尋ねします。 先日、この御手洗氏が本当に経済財政諮問会議の委員として適切かというお尋ねをしましたら、「法律を遵守するのは当たり前のことであるということも諮問会議において発言をしておられるわけでありまして、」とお答えになっているわけですよ。ところが、キヤノングループは、この発言の以降も、きのう公述人として来ていただいた大野さんの案件で偽装請負をやっていたんですよ。 さらに言うと、きのう大野さんが用意をしていただいた資料にもありますけれども、ことしの一月になってからも、正社員採用セミナー開催という募集求人広告のところに、派遣社員などで現在キヤノンに在職中の方は参加を御遠慮くださいだなんという、正社員化を進めるという話と全くあべこべのことをやっていて、まさに、法律を遵守するのは当たり前のことであると経済財政諮問会議で言っていることとあべこべのことを現にこの方はやっているんですよ。いいんですか、それで。
○安倍内閣総理大臣 先般のこの予算委員会で私が答弁いたしましたのは、諮問会議において御手洗議員が、法令を遵守していく、これは当然のことである、このように発言をした、この発言を紹介いたしました。そういう考え方で企業家としても行動しているという本人のお考えであろう、このように思います。キヤノンも、何といっても世界のキヤノンですから、それにふさわしい行動をこれからもしていかれるだろう、このように私も期待をしております。 それとともに、御手洗議員は個人として諮問会議のメンバーに選んだわけでございます。いわば経営者として、国際競争の中で立派に、企業を国際競争の中で競争力のある企業として多くの人たちの雇用を確保しながら、利益も上げ、税金も払っているわけであります。そうした確固たるビジョンをこれからもこの諮問会議において生かしていただきたい、今後ともその責任を果たしてもらいたい、このように思っております。 と同時に、やはり、この企業としての責任を果たしていくのも経営者としては当然のことではないか、このように思います。
○枝野委員 いいですか、キヤノングループは、みずからの企業グループで偽装請負や派遣法違反を、先ほどのように、報道等や当事者からの声で確認できるものだけでも五件、繰り返しておられます。それだけじゃなく、あるかもしれない。そのことについて公表はされないとしても、内閣総理大臣は知っておられるはずです。この間の予算委員会で申し上げました。やっているのは、外局ではなくて労働局ですから。内閣として勧告、調査をやっているんですから、当然、厚生労働大臣は知り得るはずだし、そのことについての情報は内閣総理大臣も知り得る立場なので、内閣総理大臣は、キヤノングループが、どこで何件、偽装請負等で指導を受けているかを知っているはずであります。 その上で、この御手洗委員は、自分のところで偽装請負などをやっておきながら、そして、法令を遵守するのは当然だがと言いながら、今のようにその発言の後も違法な行為で問題になっていながら、経済財政諮問会議、昨年の十月ですが、これでは請負法制に無理があり過ぎる、今の派遣法のように三年たったら正社員にしろというと、硬直的になってだめだということを堂々とおっしゃっているんです。 それぞれの意見が、意見としてそういう意見があり得ることは私は認めます。それは、考え方としてあり得ることは認めます。しかしながら、自分のところは一生懸命法律を守ってちゃんとやっている、だけれども、今の経済状況の中では大変厳しくて、今の法制に無理がある、だから直しましょうよ、直してくださいよと言うならば筋がわかる、筋が通る。だけれども、自分のところで違法な行為をやっておいて、その違法な実態に合うように法律を改正してくださいということを、一経営者が言うなら結構ですよ、経団連の会長が言うなら結構ですよ。経済財政諮問会議委員という公的な立場、公的な場所でおっしゃる方は、私はそういう立場にふさわしい人だとは全く思わないんですが、安倍さんはそう思わないんですね。
○安倍内閣総理大臣 個々の企業について我々がそれを公表できないということについては、既に厚生労働大臣からお答えをしたとおりでございます。 その上で申し上げれば、この御手洗議員は、先ほども申し上げましたように、これは企業の代表としてこの場に座っているわけではありません。個人として、経営者としての手腕を、我々はそこに着目して、経営者として、競争力を向上させ、世界において競争に勝ち抜いている。そして、経営者としてのビジョンを多くの方々から国際的に評価されているのも事実であります。その手腕を日本の経済の運営に生かしてもらいたい、この観点から、私たちは、議員に……(発言する者あり)済みません、場外の発言はもういいかげんにしてもらえますか。いいかげんにしてくださいよ。 その上で申し上げれば、個人としてのそうした見識……(発言する者あり)
○金子委員長 静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 個人としての見識に我々は着目をしたわけであります。ぜひ、その国際的な企業家としての手腕を、諮問会議において、改革のエンジンとして、また成長のエンジンとして活発な御議論をいただきたい、こう思っているわけであります。 他方、一般論として言えば、各企業においては、当然法令遵守をしていくのは当たり前であって、そうした違法行為があれば、徹底して法令にのっとって我々は指導していく、処罰をすべきは処罰をしていくのは当然であろう、こう考えております。 そしてまた、直接的な雇用をふやすべく努力もしていただきたい、こう考えております。
○枝野委員 個人として御手洗さんを委員にしている。それは個人として、公人が委員になんかなれるはずがありませんから。しかし、まさに経営者としてのいろいろな実績をと。 キヤノンは確かに業績を上げていますよ。その業績を上げていることのその大きな要素は、経営者である御手洗さんかもしれないけれども、まさにキヤノン製品の、世界で三社しかつくれないというナノメートル単位のその技術をやっているエンジニアの方にきのう来ていただいたんですよ。こういう方を、本来、派遣法の趣旨からすれば、七年間正社員じゃない状況で働いてきているんですから、とっくの昔に正社員にしなきゃいけない。そういう人を正社員にするどころか、団体交渉すら拒否している。そういう状況の経営をやって利益を上げてきている、そういう経営者としての手腕を評価するという安倍総理の姿勢だから、格差の是正という話が本格的にならないんです。 もうちょっと一般論にしましょう。お手元にも資料を配らせていただいています。ここに、最近の大企業における付加価値の配分、つまり、もうけをどうやって配分しているのかというグラフをつくりました。〇一年を一〇〇として、各大企業のもうけがどういうふうに配分をされているのか。 一人当たりの人件費は九四・二、減っております。一人当たりの人件費は減らしています。一人当たりの付加価値生産性は一一〇・一、約一〇%伸びているということになります。一人当たりの役員賞与・給与、一九七・三、約二倍に伸びています。一社当たりの配当、二七四・八、約三倍に伸びています。こういう企業経営のあり方、安倍総理は美しいと思いますか。
○安倍内閣総理大臣 それは個々の企業の経営判断であろう、このように思います。
○枝野委員 いいとか悪いとかということを聞いていません。美しいかどうかを聞いています。 法に触れないでいろいろなことをやってもうけた金を、人件費に回そうが配当に回そうが賞与に回そうが役員が取ろうが、それはまさに各企業の経営判断であり、個人の判断であります。しかし、こういう経営のあり方、つまり、人件費、働いている人たちの給料を下げながら、自分たちの給与、賞与は二倍にもしているというマクロとしての実態があらわれている。もちろん、個別企業で見たら、いろいろな会社があります。でも、こういう状況は美しいですかと聞いているんです。
○安倍内閣総理大臣 それは美しいか美しくないかということではなくて、それぞれの企業がさらされている競争の状況もあるでしょうし、産業の状況もあるんじゃないんですか。ですから、それはもう一概に言えないのではないでしょうか。
○枝野委員 トータルでこういう状況になっているんです。 それから、企業の置かれている状況が違うとか。例えば、設備投資がどうなっているかとか、こういう話だったら、今の事情、お話はわかります。もうけをどう配分しているのかという話をしているんです。その中でも、今、わざと私は配当の話は二回目から言いませんでした。役員賞与は二倍になる。従業員給料はマイナスにしている。確かに、国際競争の激しいところは人件費コストを下げなければいけないでしょう。しかしながら、一人当たり人件費が下がるという構造の厳しい状況の中で、自分たちは役員賞与や給与は二倍にしている、マクロで出ると大企業については出てくる、こういう構造を聞いているんです。 では、個別企業ごとに違う。キヤノンはどうなっているのか。利益処分計算書によると、取締役員の取締役賞与金、〇三年は一・四億円だったのが、〇六年には二・二億円に伸びています。配当金は、〇三年百五十四億円が、〇六年六百億円にふえています。 キヤノンは、国際競争が大変だということをおっしゃって、だから、人件費コストを上げるわけにいかないので、派遣を正社員にするだなんてできないと経済財政諮問会議などでおっしゃっていますが、配当を役員に回す金はあるけれども、だけれども従業員に回す金はない、こういうことを自分の会社でやっているわけですよ。 こういう方が、いいんです、違法なことをやらないで、それで稼いで、それをどう配分しようと、それは個別企業の勝手であります。しかし、経済財政諮問会議の委員として、すばらしい経営者だからこの人の意見を聞いているんだ、この人はそういう経営者ですか。
○安倍内閣総理大臣 私は、役員の報酬についてつまびらかに承知をしておりませんが、かつて、厳しいときにカットしたものを、その後戻しているということも恐らくあるかもしれません。 他方、また経営の努力によって、相当収益を伸ばし、また雇用もふやし、そして新しく国内にも工場を立地し、その場で地域の方々を雇用している、こういう現実もあるんですね。そこに、すべてに目をつぶってしまってはいけないんだろう、私はそのように思いますよ。
○枝野委員 きのうの大野さんのを映像で直接見ていただきましたか、公述人の。
○安倍内閣総理大臣 私は、要旨について秘書官から聞いております。
○枝野委員 総理、ぜひ見てください。 それから、ぜひ、テレビ、ラジオでお聞きになっている方も、インターネットのブロードバンドをお使いになれれば、今、大野さんというキヤノンで偽装請負の立場で仕事をされている方のきのうの公聴会での公述、どなたでも見られます、いつでも見られます。衆議院などと検索かけていただいて、衆議院のホームページから見られます。ぜひそれを見ていただいて、キヤノンの現場において日本の最先端の技術を担っている方、まさにキヤノンのブランドを背負っている方、そしてキヤノンを愛している、こういう世界に冠たる技術の仕事の一端を担っていることに誇りを持って働いていらっしゃる方、この方をこういう不安定な状況に置いておいて、それで役員報酬を伸ばすというのは、いっとき下げたかどうか知りませんが、こうやって伸ばす金があるんだったらまずこういう方を正社員にするのが先だろうというのは当たり前の、日本の企業経営者、美しい日本の姿だと私は思います。 財務省の法人企業統計で労働分配率を調べていただきました。大企業製造業における九八年の労働分配率は六四・六%、〇六年の七—九月期の大企業製造業の労働分配率は五一・三%、一三・一%減らしています。中小企業は、九八年には八四・一%だった労働分配率を〇六年には七九%、五・一%しか減らしておりません。中小企業の方が収益も上がらずに苦しい状況、この回復基調と言われている中で厳しい状況の中で、労働分配率を減らさずに、大企業ほどは頑張っています。 同じように、法人企業統計、一人当たりの人件費と役員賞与。中小零細企業の役員給与、九八年の七—九月期の一人当たりの役員給与は百七十三万円でした。〇六年同期は百五十七万円で、マイナス九・三%。中小零細企業の経営者の皆さんは、今のグラフのちょっと前ぐらいからですが、役員給与はマイナス九・三%です。同じ期間、その中小企業の一人当たり人件費はどうなっているかというと、九八年百十二万円だったものが〇六年百六万円、五・五%のマイナス。繰り返します。中小零細企業は、人件費マイナス五・五%、役員給与はマイナス九・三%です。 私も、中小企業とまで言えない零細企業を経営しておりましたが、日本の大部分の中小零細企業というか、昔は大企業もそうだったんじゃないかと思いますが、経営が厳しいとき、競争が厳しいとき、まず何をするかといったら、自分たちの取り分を抑える。それで、企業にとっての宝である人材を、働く皆さんを何とか守ろうとする。自分たちの取り分を減らしてもどうにもならないとき初めて従業員の給与を減らす、あるいはリストラをする、こういうことで日本の人材は育ってきた、日本の中小零細企業は育ってきたし、昔は大企業もそうだったと思う。 もちろん、大企業の中にもいろいろな企業はある、中小零細企業の中にもいろいろな企業はある。その個別企業のことをどうこう言うつもりはありません。しかし、まさに、今この国で問われているのは、こうした経営者のモラルが特に大企業において崩壊をしている。その崩壊の象徴が、あなたがすばらしい経営者として経済財政諮問会議に入れている御手洗氏ではないか、私はこう申し上げているんです。
○金子委員長 どうぞ、今のは御意見で、質疑をしてください。
○枝野委員 中小零細企業の今のようなまさに経営者のモラルが、壊れてきている。壊れてきているその象徴を経済財政諮問会議の委員にして、加速をさせているということになりませんか。
○安倍内閣総理大臣 今マクロ的な数字を挙げられたわけでありますが、確かに、中小企業においては、苦しいときもいいときも、喜びも悲しみもともにしよう、そういう気持ちが強い。これを私は、ある意味では日本的な経営のよさではないか、このように思います。従業員の給料を減らすときにはみずから率先して、そういう気持ちがある意味では中小企業の強さにもあるときにはなっていくわけだろう、このように思います。 一方、大企業の方の役員の賞与の問題については、悪いときにどれぐらいカットしたかということも見ていかなければいけないとは思うわけでありますが、大企業においては、国際的な競争の圧力の中で設備投資をしていく、あるいはまた株主に還元もしていかなければならないという中において、しかしながら、やはりこれは、従業員に対して、働く人たちに対して給与の水準を上げていくことは、それは消費にもつながっていくことであって、結果としてはこれは企業のためにもなっていく。いい景気の循環の中に入っていくことができるわけでありますから、企業にとってもこれはいい。そしてまた、働いている人たちが、もっと頑張れば自分たちの生活もよくなっていく、こういうモチベーションにつながるわけでありますから。そして、その段階にやはりこれは次に移っていくことが大切であって、今まさにこの構造改革の中で三つの過剰を、まさに企業部分の強化、三つの過剰を解消していくという中にあって企業は競争力を回復してきたという局面があった。 しかし、やっと、景気回復局面が続いてくることによって労働市場もタイトになってきたわけでありますから、人材を確保するのはだんだん大変になりつつある。人材を確保しなければ企業は当然成長をしていくことができないわけでありますから、当然そのためには人材を確保する。そのためには企業はこれから人材に投資をしていくことになるのではないか、このように思います。
○枝野委員 いろいろとおっしゃっておりましたが、先ほども一度申し上げたんですが、何か勘違いをしている。 国際競争が激しい、国際競争が激しければ利益が上がらなかったりするんですよ。でも国際競争に勝って利益が上がっている、その利益をどう配分するかという話をしているんですよ。それから、設備投資のことは言っていません。国際競争が厳しいから、特に国際競争をしている大企業は、設備投資、研究開発、どんどん回さないといけない。そこのところが多いじゃないかなんて言っていないんですよ。設備投資なんかにも回し、なおかつもうけが出た分をどう配分するのかということを言っているんですよ。 そして、国際競争を頑張って、一人当たりの付加価値生産性上げているんです、一一〇に。大企業製造業頑張っているんです。頑張っている一一〇というのが国際競争の中で頑張った成果なんですよ、生産性が上がったというのは。それを大幅に超える賞与、給与がとられているというのは、全体、マクロからいって明らかにおかしいということを申し上げたいんです。 もう一点。今、そろそろ労働環境がタイトになってきて、雇用環境がタイトになってきて、拡大をしていく、波及をしていくということをおっしゃっているんですが、今タイトになってきていますから、一時的には少しよかったり悪かったりという若干の変動は私もあると思うんですが、では、本当に、今大企業製造業を中心に起こっている景気の回復が中小零細企業に波及をし、あるいはそこで働いている人に波及をするのか。 私は、そもそもそこのところで、安倍総理は戦後レジームからの脱却とかというお言葉が大好きですが、まさに、戦後体制、高度経済成長の時代と今の日本との違い、そこを明確に認識しなきゃいけないと思うんですが、イザナギ景気などに代表される高度経済成長期、こういう時期はどういう競争をして、どういう競争に勝ったから日本の経済は伸びたと総理は思っていますか。
○安倍内閣総理大臣 その質問にお答えをする前に、決して、この労働市場がタイトになってきていい兆しが出てきているというのは、これは一時的なものではないわけでございまして、例えば、新規学卒の就職内定率は、高卒で四年連続であります、大卒で三年連続改善をしています。初任給について言えば、高卒で二年連続、大卒の初任給も三年ぶりの、こちらの方は三年ぶりでありますが、増加となってきたわけでございます。 そして、この増加傾向をまさに一時的なものにしないために、我々は新しい新経済成長戦略を着実に実施していくことが大切ではないだろうか、このように考えております。 先ほど御指摘の企業においても、新規の新たな正規雇用をふやしています。いわば、新卒だけではなくて中途の採用もふやすということを既に発表もしているわけでありますから、そういう意味において、だんだんよくなってきたこの状況において、そうした労働状況の改善、人材への投資もふやしてきているということも申し上げておきたい、こう思います。 今、イザナギ景気についてお話がございました。このイザナギ景気については、これはまさに、新しい試みや、また新しい設備投資等々によって成長力を引き上げ、そしてまた、いわば、当時三Cと言われた新しい商品も次々と売り出される中において消費が増加をしていくという中にあって、当時は現在と違って、デフレ下の成長ではない中において力強く成長をしていった。そして、国際収支も黒字を連続していく中において、その成長を持続していったということではないだろうか。 そして、今回の景気回復は、先ほども申し上げましたように、まさに企業部門の強化によって三つの過剰を解消する中での景気回復であり、またデフレ下の景気回復であったがために、いわば正規の雇用あるいはまた家計部門への波及、また地域への波及がおくれているということではないかと思います。
○枝野委員 半分わかっておられると思うんですが、確かに今回の景気回復は、三つの過剰、これを処理した、つまりリストラをした、だから景気がよくなったというのが景気回復の半分の要素だと思います。もう半分の要素は円安だと思いますけれども、きょうはそこには触れません。 つまり、メード・イン・ジャパンは、あのバブル崩壊以降も別に品質が悪くて売れなかったわけではない。ただ、メード・イン・ジャパンはコストが高かった。だから、コストが安い競争、コスト競争の中で厳しい状況に置かれていた。そのコスト競争の中で、一つは円安という追い風が吹き、もう一つはまさに三つの過剰、過剰な雇用や過剰な設備、過剰な負債という過剰を切っていった、コストを削減していった。コスト競争に打ちかったから、今回、大企業製造業、輸出関連産業は国際競争力を高めて伸びているということだというふうに思います。 イザナギ景気に象徴される高度経済成長期は違います。あのときは、メード・イン・ジャパンは安かろう悪かろうだったんです。安かろう悪かろうだったメード・イン・ジャパンの品質がどんどんよくなってきたから、国際競争力を持ってメード・イン・ジャパンが売れるようになった。安くていいものだということになって、どんどん売れていった。もともとコストが安い日本の製品が品質を高めていった、品質競争に勝っていったのが高度経済成長の歴史だと私は思います。 だからこそ、あのときは、そうやって得た利益を、コストがもともと安いんだから働いている皆さんに配分しましょうということで、従業員の、働いている皆さんの給料も所得倍増とかということでどんどん伸びていった。所得がふえるから、カラーテレビを買いましょう、自動車を買いましょう、三Cと今おっしゃいましたけれども、勤労者の所得が伸びるから国内で消費が伸びる、したがって内需関連の産業も伸びる。伸びたところはもともとコストが安いんだから、そこにも人件費コストなどを高めていくことができる、また、これでいい循環が起きる。もともとコストが低いところで品質が伸び、消費が伸びたから、高度経済成長というのはどんどん伸びていった。 ところが、まさに戦後構造が終わって、日本が世界のトップランナーになって以降は、メード・イン・ジャパンは安いんじゃないんです。コストは高いという状況まで追いついた。そのことはいいことなんです。世界の標準並みの、働く皆さんと同じような所得をみんなが得られるようになった。ただ、常にコスト競争にさらされている。常にコスト競争に勝たないと、国際競争をしている輸出関連産業は成長しない。こういう状況に置かれていて、二十年おくれかもしれないけれども、ようやく日本がその競争の中に入り込んで、この五年ぐらいの間、その競争に勝っている。コストを下げる競争をしている。さてここで、本当に、本格的に、それが国内に波及をしていくか。 今、日本が置かれている国際環境、つまり、メード・イン・ジャパン、品質はいいよねと。もちろん、停滞してちゃいけません、世界が伸びていくのと同じスピードあるいはそれ以上で品質も高めていかなきゃならないけれども、常に新興国からコストの安い商品が来るのに対して、コストを抑えるという競争に常にさらされていくんです。ある段階まで来たら、国際競争が緩やかになって、コスト削減のプレッシャーが小さくなるはずはないんです。これから数十年にわたって、ずっとコストを下げるという圧力がかかり続けるんです。 先ほどのとおり、今の大企業の一部には、従業員に配当しないで自分たちがとってしまうというゆがんだ構造があるけれども、このゆがんだ構造が正されたからといって簡単に、さらに、働いている皆さんがどんどん収入がふえるというようなコストを上げていくということをやったら、またその瞬間に、実は輸出関連産業では競争力が落ちるんです。 輸出関連の産業はこういう構造にあるということが、まさに昔、日本の人件費が安かった時代と決定的に違っている。総理はこういう認識をお持ちじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 確かに、イザナギ景気のときには、日本はいわば安いコストで製品をつくることができた。決して悪いものではなくて、安いコストで、かつ、すぐれたものをつくった結果、我々は、先ほど申し上げましたように、国際収支の黒字をずっと続けていくことができた。それはまた、その後、いわば経済摩擦にもつながっていくわけであって、そのときに、この経済摩擦につながっていったときに日本は何と言って批判されたかといえば、小さな家に住んで長時間労働をして、やはりこれは欧米並みの生活をしなければ、我々と同じ競争できないではないか、こんな批判も当時あったわけであります。 今回のこの景気回復が確かにそのときと質が違うのは事実でございます。しかし、グローバル化する中で、よりコストの安いところにメーカーは場所を求めていくのも事実であります。しかし、国内にあっても、やはり日本において、日本で製造することのいろいろなメリットというのはあるんだろう。やはり品質の確保ということもあるし、いろいろなリスクを考えた上で、日本で生産したって十分にこれはやっていけるということで、日本にたくさんのメーカーは生産拠点を置いているのも事実だろうと思います。 そしてそこで、すべてこれは人件費を安く抑えることによってのみ競争に打ちかつことができるかといえば、それしか道がないかといえば、そんなことは決してないわけであって、やはり、それはイノベーションによる新しい付加価値をつけていくということではないでしょうか。 典型的な例は、やはり私は自動車業界ではないか、このように思います。自動車業界は、新たな製品を売り出す際に、値段を下げるのではなくて、むしろ値段を乗せても、新たな付加価値をつけることによって世界の市場をいわば席巻しつつあるのも事実であって、同じ土俵から次のステージにどんどんこれは上がっていくことが大切であって、だからこそ、私の新経済成長戦略はイノベーションを大きな柱にしています。 それは製造業だけではなくて、他の非製造業、例えばサービス部門においては、今の段階では生産性はまだ上がっていませんから、残念ながら国際競争力がない、この非製造業においても生産性を上げていくべく、我々も努力をしていきたいと考えています。(拍手)
○枝野委員 後ろの方、余り拍手をするところじゃないと思うんですけれども。 私は、各企業が生産性を高める努力をしていないなんて言っていません。世界各国とも、特にコストの高い地域で製造業をやっている世界各国とも、品質の競争を今もしている。だけれども、日本がまだ貧しかった時代の、コストが安かった時代には、主に品質競争のところで世界にどんどん追いついていったから日本は高度経済成長をしていった。今、日本は品質という面でトップランナーにいる。トップランナーにいる中でも、それぞれが競争をして伸びていかないと、停滞していたらどんどん置いていかれますから、それは、各輸出関連企業は一生懸命品質競争をしているけれども、常にコスト削減の圧力はかかり続けている。 実は、先ほどまで、繰り返し総理は国際競争が大変だから云々かんぬんということをおっしゃっていたにもかかわらず、今の話になったらころっと変わるわけですけれども、国際競争はこれから緩むことないんですよ。コスト削減競争は緩むことないんですよ。メード・イン・ジャパンの品質をよりよくしていくこともやりながらだけれども、少なくとも、高度経済成長期のように、日本の製造コスト、特に人件費コストなどをどんどん上げていけるような国際環境に日本はないし、これからもそうであることは想定できない。 まず、この基本前提に立たないと、どんどん輸出関連産業を伸ばしていったとしても、伸ばしたら伸ばしたほどその分を新たな設備投資や研究開発に回していかないと、とにかくコストが上がったら中国や東南アジアに勝てないんですから、コストの点のところでは。だからこそ一生懸命コスト競争をこの間やってきて、その成果として利益を上げているんですから。 だから、ここの部分のところは本格的に労働分配に回っていくということを期待することが、そもそも競争している大企業の立場からも、おい、それはないよね、御手洗さんが国際競争大変だからと言っているのは、その限りにおいては私は正しいと思うんですが、どうもその辺の認識が違うようでございます。(発言する者あり)
○金子委員長 御静粛に願います。
○枝野委員 別の観点から聞きましょう。 アメリカは雇用の数を伸ばしています。アメリカ労働省の調査では、〇二年から〇六年までで、民間の雇用は四百八十万人ふえております。このアメリカの民間の雇用がふえているうちの八〇%は、従業員百人未満の中小零細企業であります。分野でいうと、教育、医療関係が約三割、専門ビジネスサービスが約三割、飲食を含む娯楽が約二割、これで八割を占めております。 つまり、何を言いたいか。国内において、今申し上げたような教育、医療やビジネスサポートやあるいは娯楽、これは、国際関係のところでの競争は、製造業などとは違った種類であります。もちろん医療だって、今、ドバイに行って手術を受ける方とか、そういう意味では国際競争はありますが、非常に質が違っています。そして、アメリカ。いろいろな状況はあります。景気がいいと言われていますが、雇用をふやしているのはまさにこの分野であります。 国際競争をしているところは、コストを下げることを頑張らないといけない。さらに言えば、規格大量生産で高い品質、労働力の質の高さを問われない部分はどんどん海外に移転できる。質の高い労働力が必要で国内でやらないといけない部分だけ国内に残って、雇用の数をふやすという意味でも、一部の人たちには高いペイを払ってでもということかもしれないけれども、多くの人たちに高い給料を払うということを国内でやることは、輸出関連産業では難しい。実際にアメリカでも、そういう部分では雇用の数は伸びていなくて、今言ったようなサービス関連のところが伸びているんですね。 日本の国内においても、本当に雇用の質を高める、雇用の数をふやすということを本格的にやろうと思うならば、まさにこの分野を育てなきゃならない。しかも、その分野は中小零細なんですよ、実際にアメリカもそういう例が起こっているように。医療とかあるいは介護とか教育とか、飲食を含む娯楽とかという分野なんですね。日本においてまさに伸びそうな分野はどこかといえば、医療、教育、介護、環境。 なぜそこなのかといったら、まさにニーズがあるんです。みんな質の高い医療を求めています。みんな質の高い介護を求めています。質の高い教育を求めています。環境を守らなきゃいけないという意識が物すごく高まっています。この分野こそニーズがある。ニーズがあるし、海外移転できない分野であるし、本当に雇用をふやそう、質的にも量的にもふやそうと思ったら、こういう分野にこそ集中的なエネルギーを注ぐべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 その点においては全く私も同じ考えであって、だからこそ、先ほど、製造業、非製造業の分野において我々はもっと力を入れていかなければいけない。非製造業の分野においては、まだ競争力あるいは生産性が低いところもあるから、そういうところに力を入れていく。中小企業においては、ほとんど、やはり今厳しいのは非製造業の中小企業であろう、このように思います。国際的に全くこの部分は競争にさらされていないわけではなくて、金融等はさらされているけれども、生産性が低い。やはりこの生産性を上げていくことも大切であろう、このように思います。 また、諮問会議においても、先ほど来大変な批判を重ねてこられましたが、この諮問会議におきましても、まさにこの分野において、介護とか教育とか医療等々の分野において、規制緩和も進めながらこの分野のパイをふやしていくことが大切だというのが大きなテーマでございます。 と同時に、製造業においては、製造業にかかわっている人たちが将来給料がふえていかないということは、私はそれはないんだろう、このように思います。鉄鋼業界においても、これは先端の技術を開発することによって優位な地位を得ていますし、その分野においては、ほかでほとんど他の外国の企業との競争にさらされていないという、この先端の分野に進出しつつあるのも事実でございます。 そういう絶え間のない努力と、さらには、今委員が御指摘になったような非製造業の分野における、我々、さらに雇用の拡大と生産性の拡大を目指していきたい、このように思っています。
○枝野委員 サービス関連産業が大事だというところまでは一緒なんですが、そこを伸ばす方法が規制緩和なのか。今、規制緩和をおっしゃられましたが、私は違うと思うんですね。 まさに国際競争をしている分野というのは、規制を取っ払って自由に何でもやりたいようにやるということで伸ばしていくということがあると思うんです。ただ、先ほど私が申し上げました医療、教育、介護、こういったところは、ベーシックなところは全部国が管理、コントロールしているんです。医療の規模も教育の規模も介護の規模も、ベーシックなところは国が管理しているんです。ふやしていますと必ず厚生労働省は言うんですが、それは高齢者人口がふえているからそれに応じてふやしているだけであって、一人当たりで見たら縮小しているんですよね、ある意味では。 もちろん、高齢化の中では、財政を考えたら縮小するのは仕方がないという議論もあるでしょう。しかしながら、まさに高齢者がどんどんふえていって、そして、豊かな日本で育ってきた、そしてこうやって高度成長をなし遂げてきた皆さんが、さあ、年をとった、いい医療を受けたい、いい介護サービスを受けたいというニーズは物すごく高いんです。 ところが、このベーシックのところは国のコントロールで、むしろ一人当たりでは縮小している。財政との関係で、べらぼうにふやせと言うつもりはありません。しかし、まさにここのところで、まずベーシックのところ、しっかりと金を使いましょう、ニーズがあるんだから。ニーズがあるんだから、そこにちゃんと金を使いましょうよ。そして、どんな人でもそれこそ格差の問題が生じないように、どんな人でも最低限の医療や介護を受けられる、さらにお金のある人はそれに積み足したらもっといいサービスが受けられるというところで、この分野の経済としてのパイが大きくなっていくんだと私は思うんですね。 ところが、それをやらないで、では規制緩和ということで介護の現場で何が起こっているのかといえば、介護のサービス提供では食えないんですよ、現場で働いている人たちが。自分が食べていく、あるいは家族を持って家族と一緒に生きていくということのために、介護の現場で実際に仕事をしている人たちが受け取っている報酬がそれに見合うものになっているかといったら、現実にはなっていないんですよ。あるいは医療の現場、これは、お医者さんはそれなりの給料を取っているかもしれないけれども、当たり前のような家族生活をするような労働、雇用環境に置かれていないんですよ、医療現場の人たちが。 こういうところは規制緩和なのかといったら、違うんですよ。むしろ行政がしっかりと、ルールをきちっと守らせる、あるいは最低保障をしっかりする。介護の仕事で一生を過ごして、それで家族を持ち、子供を生み育てていけるような介護の現場で働いている人たちの報酬を保障する、そうすると質の高い介護サービスが提供される、それならば、介護保険に加えて、うちは金があるからもっと金を出してもっといいサービスを受けようという人もどんどん出てくる。 つまり、規制をきちっとやって、きちっとした最低限、ベーシックと、そこに対するサービス提供について雇用の質をしっかり高めて、さらに、その上でプラスアルファのところは、金のある人はもっと自由にできるようにしましょう、この二段階がなきゃいけないのに、規制緩和だけやると、どんどん雇用環境が厳しくなって、質の高いサービスを得られるのはほんの一部、雇用の質としてもパイとしても本格的な回復にならない、こういうことに今なりかけているというか、介護の現場なんかは現実にそうなっているし、医療の現場などもある意味そういうことになっている。 そういう認識をちゃんと持たないと、幾らきれいごとを言っても、幾ら生産性向上と言っても、本格的な意味の雇用の回復にはならないということを申し上げ、そして最後に、きょう、何度も御手洗さんの名前を出しました。 まさに安倍さんが、こういう経営者がふさわしいと思っている。自分の足元では、きのう公述人の方に来ていただいたら、こんなことが起こっている。さあ、本当に安倍さんがこの人が日本の経済を語っていただくにふさわしいというような企業経営者であるのか、しっかりとこの場に来て、国民の皆さんの前で御意見を伺いたい。国民の代表である国会の前にも国民の皆さんにも説明責任を果たさずに、経済財政諮問会議という場で政策決定に強い影響力を持つというこの話は、私は、与党の皆さんこそ怒らなきゃいけないと思う。 ぜひ、しっかりと、国民代表の場である国会の場に御手洗さんは来ていただいて、意見を聞きたい。ぜひ、重ねて委員長にお願いをして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○金子委員長 この際、原口一博君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。原口一博君。
○原口委員 民主党の原口でございます。 総理並びに閣僚に、通告に従って幾つかお尋ねをしたいと思います。 まず、労働、雇用ということで今建設業の現場の現状は非常に厳しい、多くの人たちが建設業から去っている。そういう中で私は、総理、情報公開と説明責任、自民党さん、民主党、ほかの政党もそうですけれども、改革競争は続いていると思います。しっかりと情報を開示して説明責任を果たす、その上で二日間質疑をしていただきましたが、最初に残念なことから申し上げます。 与党の理事も一生懸命誠意を尽くしていただいて資料を出していただきましたが、内閣府が沖縄の科学技術大学院大学の入札等について説明をしていたものは、全くの、虚偽という言葉をあえて申し上げますが、違ったものでした。きのう、高市大臣が体調を崩されているのも押して謝辞をされましたから、私は、これは与党、野党関係なくて、国会対政府の問題であるというふうに思っています。国会で虚偽の答弁をした、そのことは非常に重く、私たちはそれを簡単に許すわけにはいきません。 私はその後、官房長官がきのう誠意を持って資料を提出するとおっしゃいましたから、夜もずっと待っておったんですが、今の今に至るまで納得のいく資料は出てまいりません。 総理にお願いを申し上げたいのは、まず、どうしてこういう虚偽の答弁になったのか、その調査をしていただきたい。そしてこれは、きょうはもう大臣ではなくて平沢副大臣、総理の家庭教師の先生でいらっしゃると伺っておりますが、平沢副大臣からで結構でございますので、昨日求めた資料をきっちり出していただきたい。そして、こういう問題について国会議員の働きかけがあったや否や、そのことについても説明の資料を、これは期限を切って、予算委員会もいつまでもやっている委員会というわけにはいきません、大事な予算を審議しております、月曜日までにぜひ私どもに教えていただきたい。これは、与野党を超えた、国会対政府の問題であるというふうに思いますので、総理並びに平沢副大臣の御答弁をお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 今後、担当大臣において、機構の業務についての実施状況を的確に把握してしっかりと説明をすべき、そういう事柄であるというふうに私も考えています。誠意を持ってそれはお答えをしなければならない、そのように指示をいたします。
○平沢副大臣 昨日の予算委員会におきまして原口委員から御質問がありまして、それに対しまして高市大臣が、機構の事務局を呼んでしっかりと事実関係を確認させていただくと答弁させていただいたところでございます。 それを受けまして、本日これから、高市大臣が機構の担当者を急遽沖縄から呼んでおりまして、そして、その担当者から事実関係を調べさせていただく予定でございます。 いずれにしましても、事実関係を徹底的に調べまして、資料の有無等につきまして、万が一そういったものがあるようであれば、速やかにすべて明らかにさせたいということで考えております。
○原口委員 ありがとうございます。 事は虚偽の答弁にかかわる問題ですから、私は、事実関係がどうだったかということも含めて総理に再びお尋ねをしますが、なぜこういう虚偽の答弁を、私は内閣府の方にもきのう御同情申し上げたんです。それは、機構の方が多分さまざまな資料を出していて、それに振り回されたのが内閣府だったのかなと思っています。 ただ、内閣府には機構をチェックするその責務がありますから、私どもが二日間見てチェックできることが、それを責務とするつかさにおいて振り回されるということはあってはならないので、ぜひ総理に、どうしてこのようなことになったのか。これは、独法はほかにもいっぱいあります。ぜひ、なぜあのような答弁になったかということの調査も御命じいただきたい。 これは、国会の権威を守る大切なことであるというふうに思いますので、御答弁をお願いします。
○安倍内閣総理大臣 どういう理由で、またどういう経緯でそういう答弁になったかということについては、調査をし、そして、そのことについては当然説明をしなければならないと考えております。そのように指示をいたします。
○原口委員 総理の誠実な答弁、感謝申し上げます。ぜひ期限を切って回答をしていただきたい、これは再度お願いをいたしておきます。 そして、やはりこういうものがありますと、建設会社の現場あるいはさまざまな御苦労をなさっている人たちが不公正さを感じてしまうんですよ。 私は、きょう、労働の問題を少し長い時間軸あるいは広い空間軸で論じてみたいと思うんですが、ILO憲章となったベルサイユ条約、国際労働条項の一部にはこう書かれています。多くの人々に不正義、困苦、貧困をもたらす労働の条件が存在し、それによって引き起こされる紛争がしばしば世界の平和と調和を危うくする。多くの人々に不正義、困苦、貧困をもたらす労働の条件が存在し、これは、いわゆる第一次世界大戦の後にベルサイユに集まった人たちが、平和に対する脅威とは何かということを論じながら書いたものであります。 つまり、雇用、労働の問題というのは、人間の尊厳の問題であり、安全の問題であり、平和そのものの問題である、私はこのように考えるのですが、総理の御認識を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 雇用があって初めて人間の生活が成り立つわけであります。また、安定した雇用によって私たちは安心して日々を送ることができるわけであって、それは社会の安定にもつながっていくわけでありまして、ただいま委員の御指摘のとおりではないかと思います。
○原口委員 共通の認識ができたと思います。 フィラデルフィア宣言においても、「労働は、商品ではない。」というふうに高々と掲げられています。なぜ、労働の問題は人間の尊厳であるのか、平和の問題であるのか。 先ほどまで同僚議員から、派遣労働や非正規雇用の問題、いろいろお話がありました。近年、安全の現場においても非正規の方々がおふえになって、そして、その方々が原因というわけではないのですけれども、爆発事故が起きてみたり、先日は、あれはカラオケ店でしたか、アルバイトの店員さんが失火をして、そして多くの命が失われるということになりました。 私は、雇用というものは、まさにすべての政治家、政治に携わる者が保障しなければいけない根本的な人間の尊厳、権利である、このように考えています。そして、あなたの不安は私の平和を脅かすという言葉があります。アマルティア・セン博士の、たしか「人間の安全保障」の中に出てきた言葉だったと思いますが、あなたの不安は私の平和を脅かす。私は総理にぜひ御認識いただきたいのは、今、日本の多くの国民の皆さんが何を不安に感じておられて、そして何を恐れておられるのか。 例えば、ちょっとパネルを、委員長にお許しいただいてお手元に資料を配付させていただきたいんですが、1をごらんになってください。おとといの公聴会でも委員が出されていたものですが、やはり、生活に困る人たちがふえている。可処分所得が生活保護基準以下の世帯がふえている。それと無保険者の推移が非常に多くなっている。日本は世界に冠たる国民皆保険の国で、どこでも安心して医療が受けられる、そういう状態であったのが崩れてきている。そのことが見てとれると思います。 それで、これが自助努力で何とかなるのか。中川委員がこの委員会でも御指摘をなさいましたけれども、交付税の大きな改革によって、ある自治体には三割以上の財源が出てきている。しかし、地方の自治体の中には、半分になった、そういう自治体もあって、結局、自分たちの努力とは関係のないところで生活の安心や安全が中央政府の仕組みの改革によって起こっている。だとすれば、それは変えなければいけないと私は思います。 成果とは何か、生産性とは何か。先日も、この予算委員会を聞いていた農協青年部の私の同僚が、一次産業と農業は生産性が低いという答弁がございましたから、私たち農家は一生懸命やっているけれども、まだ何をどうやれとおっしゃるのか、私たちこそ生産性が低いのか、そういう問いをなさいました。 この生活に困る人たちがふえているということに関連してもう一つ資料を、2でございます。「近年の国民負担増」、これを見てみると、これは、二〇〇二年から二〇〇七年六月まで、いわゆる定率減税の廃止までを示しています。 そこでお尋ねを申し上げたいと思いますが、サラリーマン増税に関し、総理は、二月十三日の委員会で、自由民主党さんの公約は所得を捕捉されやすいサラリーマンを対象としていたという旨の答弁をなさっています。サラリーマンというのはもともと所得が捕捉されやすいものであると考えます。総理の御認識を伺いたいと思います。 〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
○安倍内閣総理大臣 先般の委員会において岡田委員の質問にお答えをしたわけでありますが、その際、自民党はサラリーマン増税をしないと言ったのにしたじゃないか、それは公約違反ではないかという御指摘に対する私の答えであったと、このように思います。 私は、自民党の公約には、所得を捕捉されやすいサラリーマンを対象としたいわば増税は行わない、つまり、捕捉をされやすいサラリーマンに的を絞った増税は行わないということで申し上げたわけであって、まさにサラリーマンは捕捉されやすいというのは、これはもうおっしゃるとおりだろうと思いますが、私どもの公約との関係においては、捕捉しやすいサラリーマンを対象とした増税は行わないということにおいては、いわばサラリーマン増税は行っていないということでございます。
○原口委員 非常にわかりにくい、ある意味では堂々めぐりになるような議論になってしまうので。サラリーマンは、総理がおっしゃるようにもともと捕捉しやすいんですね。 私どもの喫緊の課題は、これまで輸出と設備投資で伸びてきたものを、やはり内需主導、消費にそのエンジンをもう一つつくっていかなきゃいけない。それを考えてみると、やはり、生活者の方へさまざまな所得というものを、あるいは生活の安心というものをきっちり実感していただく、これがとても大事だというふうに思います。 さて、もう一つ、具体的に入る前に政治的なスタンスを伺っておきたいと思います。 労働者の権利の保障と団結権の保障、こういう政治的な責任について、私は、すべての政治家が労働者の権利を保障するという責務を持つと思っています。 格差という問題をずっと議論していて、格差を埋めるのを単に財政や税制だけでもって埋めようとすると、これは、かつてもあのナチス・ドイツが出てきたときにも起こりましたけれども、非常に無際限な、財政規律を欠いた格差の埋め方をやられてしまうと、ファシズムにもつながる非常に危険な部分を持っていると思います。あくまで、市場を整備する、つまり、働く側の権利が弱過ぎるとその経済というのは健全な経済とは言えない、健全な市場とは言えない。 総理にお尋ねをしますが、労働者の権利の保障、先ほどILOのお話をしましたけれども、これはすべての政治家の責務であるというふうに考えますが、御認識を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 働く人の、労働者の権利を保障する、これは当然のことであろうと思います。日本もILOに加盟をしているわけでありますから、その責務を果たしていくのは当然のことであろうと思いますし、そもそも、政治家として、また私は総理として、働く人たちの権利は守っていく、当然それは、その上において我々はそういう責務があると考えております。
○原口委員 私たちと同じスタンスだという認識をいただきました。ありがとうございます。 そこで、これからの政治の役割は、労働者の集団にもさまざまな集団があります。例えば、正規雇用それから非正規雇用、あるいは労働者の所属するところ、働き方によって、官公労あるいは民間労組。 ここでもう一回伺いますが、私は労働者は分断されるべきではないんじゃないかと思っています。正規と非正規の間に何かくさびを打ち込んで、その人たちをお互いの権利を争わせてみたり、あるいは、この後、公務員制度改革についても柳澤大臣、渡辺大臣に伺いますが、民間労組そして官公労、その人たちをいたずらにくさびを打ち込んでやってみたり、むしろ、団結権を保障し、労働者の権利をきっちり守るために統合させる、そういう姿勢が必要なんではないか、私はこのように考えていますが、総理の御所見を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 ただいま原口委員が言及されました労働者の権利の保護や労働者の団結権の保護は、憲法や労働関係諸法制において規定されており、これを徹底することが政治の責務であると考えております。それは先ほど申し上げたとおりであります。労働者を分断するという考えは、もちろん全くないということは申し上げておきたいと思います。 このため、引き続き、労働委員会を通じて団結権の保障に取り組むことにより、労働者の労働条件の向上を図るため、働く人たちのための一連の労働関係法制の整備に取り組む考えでございます。
○原口委員 やはりこれから私たちも、国民から審判を受けるときに多分問われると思います。この政治家は労働者を団結させる政治家なのか、それとも、この政治家は労働者の権利を損なうそういう政治家なのか、これは大事なことだと思います。 なぜか。それは、総理、各国の労働法制を私もいろいろ見ますと、労働教育、労働者の教育、労働組合の教育、これはアメリカも非常に力を入れています。それからスウェーデン、これは労働組合そのものが国民学校を持っています。なぜか。経済がグローバル化して、たくさんの外からの労働者が入ってくる。そうすると、仕事におけるいろいろなあつれきも出てくる。排外的なナショナリズムとこの雇用の問題が結びついてしまうと、そこにはファシズムが入ってくる危険がある。だから、多くの国は、殊さら労働教育、労働組合教育というものに力を入れている、私はそのように感じます。 日本も、これからさらに労働教育、なぜこんなことを申し上げるかというと、先ほど偽装請負のお話がありました。先日、ある民放の番組で、ちょうどそこには派遣労働の方々がお見えになっていました。派遣労働の方々、ちょうど二十代の後半から三十代の前半の方でしたけれども、自分たちの権利がいかに侵されているかということすらおわかりになっていない。もう四年目の派遣になるというにもかかわらず、正社員への道は一回も開かれたことがない。あるゲストが、それはあなたの努力不足ですよというようなことをおっしゃっていました。しかしそれは、その人の努力不足ではなくて、法律を違反して、まさに不当な労働の条件の中に自分がいることすらおわかりにならない、つまり……(発言する者あり)そうです、小野寺さんがおっしゃるように、これは学校で教えていないんですよ。 私は、健全な市場、日本は世界の経済大国で第二位です。これからきっちりとした市場をつくっていく上でも、社会を安定化させていく上でも、どんな労働法制をつくってみても、国民の皆さんがそれを理解し、そしてみずからの尊厳や権限について学ぶことがなければ、それは絵にかいたもちであるというふうに思いますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 働く上において労働者が自分の権利について十分に認識をしているということも当然これは大切であろうし、市場経済を発展させていく上においてもそれは基本的なことではないか、私もそのように思います。
○原口委員 その上で、私もいろいろな若者や就職に困った方々の御意見を聞きますと、就職の仕方がわからないとか、あるいは職業人としての教育がない、どのように社会にかかわっていいかわからない。例えばこれは、欧米の国の教育の中ではマイクロソサエティー・スクールというのがあって、いわゆる小学校のときに社会の枠組みを学ぶ、そういう学び方もございます。 教育の問題、きょう伊吹文科大臣には来ていただいていませんが、資料の10をごらんいただくと、「GDPに占める公財政教育支出の割合」、日本はこれだけ大きな国ですけれども、他の先進国よりもその割合は低い。これをもって日本が教育に力を入れていないなんということを言う気は全くありません。 しかし、この間、OECDが出したいわゆる読解力調査、これは全国の国語の先生の中でも今は大きな問題、あるいは指摘がされていますけれども、十五位になってしまっている。読解力が低くなるということは、まさに相手とのコミュニケーション能力も落ちてくる。結果、何が生まれるかというと、産業の活力そのものも失われてくるのではないか。 教育再生会議でいろいろな議論がされることは、これは結構だと思います。多くの国民が教育を選択でき、あるいは教師も選択できる、これも大事なことです。しかし、教育を選択するためには、そこには一定限の資源がないと選択できません。私は、佐賀という、教育に力を入れていただいている県で公教育だけで育てていただきました。本当にありがたかったと思います。しかし、今まさにこの公教育がある意味では曲がり角に来ている。総理は、教員に対する免許制、これも入れようというお考えだと思いますが、そのことはきょう論じませんが、ぜひ、教育に向かう投資そのもの、この額を大きく見直す必要があるのではないか。 平沢先生のような方を家庭教師にできるという方は、割とまれだと思います。(発言する者あり)いや、選べないという意味ですね。選べないという意味で、選べない人たちに選ぶその選択の自由をしっかり保障するためにはそれなりの資源の投下が必要だ、このように考えますが、総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 教育再生は、私の内閣の最重要課題でございます。そのため、教育再生会議において今さまざまな議論を深めているわけでございますが、今、委員が御指摘のように、そもそもその教育の分野に投資をしなければいけないんじゃないか、私もまさにそのとおりだろう、このように思います。十九年度予算案においては、厳しい財政ではございますが、教育再生を推進する施策について重点化を図るなど、めり張りをつけた、真に必要な教育予算の充実に努めております。 OECDの調査において、我が国の学校教育に対する財政支出のGDP比が低くなっているわけでありますが、詳細に見ていきますと、初等中等教育における生徒一人当たりの額を比べると、OECDの平均を上回っているわけでございます。 今後、今委員が御指摘になった教員の免許制度は進めていきますが、と同時に、頑張っている、一生懸命努力をして効果を上げている先生を応援していくという仕組みも当然つくっていかなければならないと考えております。 いずれにせよ、この教育に対する投資を我々は充実をさせていかなければいけない、そうしなければ教育新時代を開いていくことはできないと認識をしています。 〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
○原口委員 前向きの御答弁をいただきました。 これは、現実にこの予算、今審議している予算は概算要求が去年の八月でしたから、来年どういう内閣になっているかは別にして、いずれにせよ、どちらが政権をとっているにしても、教育予算を大きくふやすべきだ、そのことを確認させていただきました。 アマルティア・セン博士は、その御著書の「人間の安全保障」の中で、基礎教育を普及させ、その効力を拡大すれば、人間の安全を脅かすほとんどの危険に対しておおむね強力な予防効果を発揮することができる、教育に関する矛盾点や怠慢をなくせば、世界各地で人間の安全を脅かしているもの、これを減らすことができるというふうにおっしゃっています。何かを選別するという議論ではなくて、私たちは大きな国ですから、教育へ向かう資源そのものを大きくする、このことを確認しておきたいと思います。 さて、またお手元の資料に戻っていただきたいんですが、給与や配当の変遷、大企業と中小企業、これが一九八六年—八九年増減率。 会社はだれのものかという話がありました。今は随分企業の経営者の行動も変わってきました。ちょっと前は、会社は株主のものであるというような考えのもとで、株主への配当、あるいは、従業員への給与ではなくて、役員給与、賞与といったものをふやす、こういうことが主流でありました。しかし、私どもの師は経営の神様と言われた松下幸之助さんでしたけれども、彼はどんなことがあっても首を切らなかった。労働組合をとても大切にし、働く人たちを大切にしました。正規雇用、労働者を大切にするということは、企業そのものを大切にする。 会社はだれのものかという議論がありますが、会社は公器であり社会のものであります。一部の株主のものではない、私はこのように考えますが、総理の基本的なお考えを伺いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 会社というのは、存在として社会的責任を負っていると思います。もちろん、会社の成り立ちからいって、出資をしている株主に対しての責任というのも当然あるんだろうと思いますが、経営者は、そこで働いている人たち、また、その従業員の家族に対しても当然責任を負っているだろう、そして、企業が活動する地域や日本に対しても責任を負っている、このように思います。 そしてまた、今委員が御指摘になったように、経営者が働いている人たちを大切にしているという気持ちが従業員に伝わることによって、やはり従業員の人たちは安心感を持つし、この企業のために一生懸命頑張ろうという気持ちにつながっていく、結果として会社は伸びていくのではないかと思います。
○原口委員 同じ認識をおっしゃっていただいてありがとうございます。 私は、これから労働と福祉を組み合わせた考え方がとても大事だなと。二〇〇七年問題と申しますが、大量に退職をされる方々、働くその働き方は、何もいわゆる株式会社、私の企業だけで働くというものが働き方だけではなくて、NPOやNGO、市民公益を担う、そういう働き方もこれからふえてくるのではないか。つまり、アメリカのGDPの中では一五%ぐらいがこのNPOの生産だというふうに言われていますが、日本もさらにNPO税制を広げて、そして、大量退職される方々は大変技能をお持ちで、しかし、フルタイムでは今までと同じようにはお働きになれないかもわからないけれども、社会に対するさまざまな貢献がもっともっとおできになる方がたくさんいらっしゃると思います。 これは税制でございますが、税制だけではなくて、政策誘導の基本的な考え方を持っておく必要があるのではないかと思いますが、総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 残念ながら、人口が減少していく局面に入ってまいります。もちろん、ありとあらゆる少子化対策を打っていきますが、人口が減少していく、これは残念ながらしばらくの間は続いていく。中にあっては、あらゆる人たちに社会に参画をしていただく必要があります。 そういう意味におきましては、会社を退かれた方、あるいはまた、フルタイムでは働けない、また、少しの時間でももしいろいろなことに活用できたらと思っておられる方々もおられる。そういう方々にいろいろな形で社会に参加をしていただいたり生産活動に参加をしていただく、そういう選択肢をふやしていくための努力を、また、そういう環境をつくるための努力を我々はしていかなければいけない、基本的にはそう思っております。 税制については、財務大臣からお答えをいたします。
○尾身国務大臣 NPOの税制については、いろいろな企業がNPO活動をサポートできるようにしていくというのが全体の方向であろうというふうに考えております。そういう意味で、日本の税制はまだ外国と比べますとちょっとおくれているように感じております。
○原口委員 財務大臣、総理、ありがとうございます。 企業の税制、あるいは一人一人の国民が寄附をする、その税制についても私たちも民主党として提案をしておりますので、前に、より建設的な議論をして、市民公益の部分をもっと広げていくという形で進めていきたい、このように思います。 さて、これはもう事務方で結構ですが、前回、障害者の権利条約の問題について、これの批准に向けた総理の前向きな御答弁をいただきました。 障害者の権利条約、昨年の十二月十四日、国連で採択をされました。私は、国連でのアドホック委員会、四回と八回に参加させていただいて議論をいたしました。差別とは何か、そして、労働の権利とは何か、障害とは何か。そこでは、差別というものは合理的な配慮を欠いたもの、これは差別と言うという条文が入りました。このことを説明いただけますか。これは事務方で結構でございます。
○木寺政府参考人 お答え申し上げます。 原口委員お尋ねの障害者権利条約は、障害者の権利を保護、促進するための包括的かつ総合的な条約でございます。 その第二条には、障害に基づく差別には、合理的配慮の否定を含め、あらゆる形態の差別を含むとの規定がございます。同条では、合理的配慮につきまして、障害者が障害を持たない者と同じようにみずからの権利を行使できるようにすることを確保するための必要かつ適当な配慮を指すとしております。同時に、その配慮に当たっては、ふつり合いな、または過度な負担を課さないものとされております。 具体的には、あえて例を挙げますれば、階段しか設置していない企業や学校等の施設で、ふつり合いな、または過度な負担とならない範囲で、車いすを使用する障害者のためにスロープやエレベーターを設置する等の配慮をすべきであるという考え方が合理的配慮だと言われております。 どのような場合に合理的配慮の否定として障害に基づく差別とされるのか、これにつきましては、この合理的配慮という考え方がこれまでにない新しい概念でございますことも踏まえ、慎重な検討が必要であると考えております。 障害者権利条約の締結に向けた検討におきまして、このような点についても十分検討してまいる所存でございます。
○原口委員 これはとても大事なことで、差別というのは何も直接的差別だけではない。合理的な配慮を欠いて、その人が、社会の方のバリアがなければなし得たその権利の貫徹、これを阻害することについても、これも合理的配慮の欠如、これも間接差別だという定義であります。 先ほど、野田委員が少子化について大変有意義な議論をなさいました。少子化というのは、私は、産めよふやせよということを奨励することではないと思っています。また、そんなことは政府が音頭をとってやるべきようなことではない。産みたくても産めない、あるいは、育てたくても育てられない、そういう環境を整えること、これも少子化対策でしょう。 しかし、もう一つの大きな柱は、少子化社会が進んでいても、それに対応できる仕組みをつくること、これが抜けていては本当の少子化対策と言わないのではないかと思います。 柳澤大臣の基本的な御見解を伺いたいと思います。
○柳澤国務大臣 少子化社会への適切な対応というのがいかにあるべきか。少子化は非常にいろいろな困難をもたらすので、やはり、もう少し人口がふえるような方向の施策を行うことは一つの方策だと思いますが、今、原口委員からは、むしろ、少子化あるいは少人口化、人口減少が進んだとしても困らないようなそういうシステムの整備を図ることも少子化対策ではないか、こういう御提起がありました。 私も時にそういうことを考えることもあります。ありますけれども、今、私の任務として考えていること、この職にあって考えていることは、やはり、先般来申し上げておりますように、日本の国民の中にある、結婚をしたい、さらには子供を持ちたい、そういう希望をかなえる、そういう環境整備をすることだ、そちらの方向への努力だ、このように受けとめております。
○原口委員 私は、それだけが柳澤大臣の務めでないと思っているんです。だから、この間のあの産む機械の発言も、私はこれまでここで四回質疑に立たせていただきましたが、あえて柳澤大臣には触れていません。ただ、このままでいいかなと思います。それは、何が不適切だったかということがやはり国民の側からはわからないんですよ。私は、これはすべての政治家の務めだと思うけれども、差別と闘うということが大事な私たちの務めだと思っています。 お手元の資料の7をごらんください。これは、ずっと出し続けてきて、最初の総理との質疑のときに一部言及したものでございますが、「自分の人生の主役になるために」、自分の人生というのは、やはり主役は自分です。だれかから、産みなさいとか結婚しなさいとかそんなことを言われるものではない。しかし、私たちの社会の流れを見ると、そこに対する抑圧、差別、偏見、これがとても強いんです。 その証拠が資料の8です。生き物を多く殺した家に何とかができる。差別用語ですから、テレビが入っているのでこれは読みません。その何とかというこれは、いわゆる不妊や産まない女性を差別する言葉なんですが、それを鬼女と言っている。こういう話がずうっとあって、多くの女性はこういう差別と闘ってきている。いや、多くの国民、人間は闘ってきているんです。 私は、総理も私もそういう差別と闘い、その抑圧を撤廃する、その先頭に立つのが私たちの務めであるというふうに思っています。その務めである大臣が、女性は子供を産む機械であるとおっしゃったから、つまり、差別の撤廃の先頭に立ってほしい人がむしろ逆の御発言をされた、これはやはり重いんだと思います。 昨年、柳澤大臣と欧州へ郵政の視察で行かせていただきました。大変誇らしかったです。さまざまな国際的な政治家あるいは企業、堂々と柳澤大臣が団長として渡り合っていただいて、ああ、こんな立派な団長のもとで勉強できて、議論ができてうれしいと思いました。 だからこそ私は、柳澤大臣がこの御発言をなさって、もう謝罪をしていただこうとは思いません、何回も謝罪をしていただこうとは思わないけれども、しかし、この問題の本質について、やはり厚生労働省の中には差別と闘うその場所はありません。政府の中にもありません。 私たちは、人権担当というのを民主党の中に置いてやってきました。やはり、政府の中にも人権担当というものを置く必要があるんじゃないでしょうか。そして、多くの声なき声、差別と闘うという姿勢を示すべきじゃないでしょうか。安倍総理、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 あらゆる差別をなくしていく、これは当然のことではないだろうか、このように思います。その意味において、政府としてどのように対応すべきかということについては、適切に判断をしていきたいと思います。
○原口委員 野田委員が御提案になった子ども家庭省、これも私たち民主党はずっと言い続けています。子ども家庭省をつくって、そして子供たちを、いわゆる義務教育あるいはその後の教育と輪切りで見るのではなくて、全体として教育あるいは子供たちの生育の環境を整えていく、あるいは、それをはぐくむ保護者の支援をしていく、これはとても大事なことだと思います。 野田委員が党派の問題ではないというふうにおっしゃいましたけれども、今、この予算委員会でそういう提案を自由民主党さんの委員からもなされたことを大変喜んでいます。私たちも、何も、自分たちが最初に言ったからそれをとったなんてそんな狭いことを言う気は全くありません。いいものは建設的にやっていこうではありませんか。 総理、子ども家庭省、そういうものをおつくりになるおつもりはあるのかないのか。先ほどは、御答弁の中では私はつまびらかではなかったと思いますので、お尋ねをしたい。
○安倍内閣総理大臣 先ほど野田委員から、子ども家庭省をつくって、現在のように厚労省あるいは文科省ということではなくて、子供という視点から行政を束ねるべきではないかという御提案がございました。ほかにも、子供庁をつくった方がいいということをおっしゃる方も自民党の中にもおられるわけでございます。 どういう組織がいいのかということも、これは、この問題だけではなくて省庁全体についても考えなければならないだろう、このように思うわけでありますが、今現在においては、ただいま各省庁横断的につくって、すべての大臣が参加をしている少子化社会対策会議等を通じて施策を実行していきたい、そしてまた予算についても考えていきたいと思いますし、子供やまた家庭を応援するプログラムを進めていく中においても、これはまた全省庁的に考えていかなければならないと思っています。役所の仕組みとしては一つの課題ではないかと思います。
○原口委員 やはり行革の流れがあるので、省庁を新たにつくるというのはなかなか難しいというのは理解します。ただ、省庁横断的に力を入れていくという御答弁ですから、また次の機会に質問したいと思います。 ただ、私は安倍内閣の中でもどうかなと思うのは、障害者のいわゆる自立支援法、それから、今回これはやはりひどいというのは、リハビリテーションの打ち切り。これは小川委員の香川県ですけれども、二〇〇六年四月の診療報酬改定に伴って公的医療保険で受けられるリハビリテーションに日数制限が導入された問題で、香川県内では、十月以降に四百二十人の脳疾患患者がリハビリを打ち切られた。医療を受ける人たちにとってリハビリの打ち切りというのは、まさに命の綱の打ち切りに等しい思いをその方々に与えています。 これが、厚生労働省からいただいた、いわゆる「急性期から回復期にかけてのリハビリテーションは従来の一・五倍に拡充」しますよ、皆さんがよくおっしゃる重点化ですね。だけれども、「効果が見込めないにもかかわらず長期間にわたって漫然と実施されているリハビリテーションについては適正化」します。よく重点化と適正化と言うけれども、適正化というのは、なくす、減らすという話なんですよ。 本当に現場がわかっていないと思いますよ。リハビリの現場で、それは症状は劇的に改善しないかもわからないけれども、例えば、では医療のリハビリから介護のリハビリに移すんですと言われて、この脳疾患障害一つ例にとってみても、ST、言語療法士がどれぐらいいますか。日本で言語療法士がどれぐらいいるかお答えください。これは事務方で結構です。
○水田政府参考人 お答えいたします。 言語聴覚士は、比較的新しい国家資格、これは平成十年に設けられたものでございまして、毎年順調に増加してございます。平成十八年末の免許登録者数は一万一千二百七十七人ということでございまして、五年前に比べまして五千六百九十人増加しているということでございます。
○原口委員 実際働いていらっしゃる方は幾らですか。
○水田政府参考人 失礼いたしました。 言語聴覚士で、介護老人保健施設で働いている方が五百五十名、医療施設で働いている方が三百二十八名、合計八百七十八名でございます。
○原口委員 総理、こういう現状なんです。つまり、先ほど、殊さらに登録者数をおっしゃるでしょう。ああ、一万人もいらっしゃるんだったら大丈夫だとテレビをごらんの方は思いますよ。しかし、実際に働いていらっしゃるのは今の数字です。介護のリハビリに移そうと思っても、移れないんですよ。 私は、本当に血の通うことをやってほしい。この六月から、定率減税云々で住民税もまた大幅に上がる。そこを今国民が一番問うているんです。憲法の改正、これも大事でしょう。総理ともいろいろ議論をしてきました。しかし、人権や歴史について、あるいは人々の暮らしについて、そのことについて思いをいたさずに憲法改正だけを総理がおっしゃっているとは私は思いません。しかし、国民が一番大事に思っていること、民のかまどから煙が上がっているかどうか、そのことを常に私たちは敏感に感じ取る、そういう感受性が必要ではないか。 特に中小企業について、きょう、公取の委員長、ありがとうございます、来ていただきました。まさに下請いじめ、私は、日本の雇用問題というのは中小企業問題だと言ってもいいと思っています。七割の雇用を持つ中小企業、この中小企業が市場の中できっちりと頑張っていただける、このことを整備する必要があると思いますが、現在の下請法に基づくさまざまな実態を見ると、大きければいいんだ、強ければいいんだ、下請をたたけばいいんだ、こういう実態が散見されると思いますが、公取の委員長から見た現況について伺いたいと思います。
○竹島政府特別補佐人 御指摘のように、バブル経済が終わりましてデフレ経済と言われて、その中でも価格破壊なんということが言われるような状況が続いたという中で、大変競争がシビアになっている。メーカー、卸、小売それぞれございますが、流通の分野で非常に厳しくなっているというふうに思います。 そういう中で、いわば生き残りをかけていろいろな努力がなされているわけでありまして、安くなって消費者がメリットを受けているということもありますし、ユーザーがメリットを受けているということもございますので、まさに、適正な競争がもたらす生産性の向上というのが生まれてもいいんですけれども、それに隠れて、優越的地位を濫用して不当にその相手に対して不利益を与えるという行為が見られます。 一つは下請法の世界でございまして、いわゆる下請いじめということでございますが、これにつきましては、単に製造業だけではなくて、サービス業においてもその問題があるということで、法律改正をいたしまして、平成十六年から対象にしております。 そこで、公正取引委員会といたしましては、不当な値引き、それから長期手形、それから書面を交付しないというようなことがよく見られるわけですが、これらに対しまして、平成十六年度以降で見ますと、二十二件、勧告をいたしております。勧告というのは、これは法律に基づく措置でございます。それから、八千八百件の警告を行って、そういう行為をやめるようにということをいたしております。 それからもう一つ、下請関係がなくても、大規模小売業者の納入業者いじめという問題がよく見られまして、ディスカウンターで価格が安いということはいいんでございますが、安くできる理由が、協賛金を納入業者から取るとか、それから事後的に値引きをさせるとかいうようなことが行われておりまして、その結果として収益が上がっているというのは、これは適正な競争に基づくものではないということで、これにつきましては、平成十七年の十一月に、こういう行為をすれば大規模小売業者は独禁法違反になりますよということを具体的に告示をいたしました。これに基づきまして厳正な執行をしているつもりでございます。平成十六年以降でございますが、正式な措置としても八件、大規模小売業者に対しまして是正措置を講じさせている、こういうことでございます。
○原口委員 下請いじめに対する現状というのは、もっと深刻で件数も多いと私は思います。そうであれば、経済の公正というのは成り立たないんですね。 きょう、こういう所得税、住民税の増税のことも議論をしなければいけませんでした。しかし、きょう柳澤大臣それから渡辺大臣がお見えでございますので、あえて公務員の労働基本権について。 私は、公務員制度改革の柱は二つあると思います。よく公務員には、身分保障されている、身分保障という法律用語を誤って解釈されている向きがある。公務員の身分保障というのは政治的な中立性であります。政治的な中立性を求めながら、いかに人材を集め、効率的に国民の負託に、あるいは主権者の負託にこたえていくか、これが公務員制度改革の柱ではないかというふうに思います。 そこで、渡辺大臣、きょう十三時に開催された行革推進本部専門会議、この中で、公務員の労働基本権について方向性をいつ出されるというのか、中間報告取りまとめの発表の時期について教えてください。時期だけで結構です。
○渡辺国務大臣 本日一時より、専門調査会佐々木毅座長のもとで行われております。私の方からは、佐々木座長に対しては、四月中ぐらいに中間取りまとめをぜひ出してくださいということでお願いをしております。中間取りまとめというと、九割方決まって出てくるのが普通なんでありますけれども、そこまで行けるかどうかは自信がないというようなことをおっしゃっておられました。 いずれにしても、公務員制度改革をきちんとやるには、この問題は避けて通れない。特に、今のような年功給与体系ではなくて、能力・実績主義、これを導入しようとしているわけでありますから、ですから、採用試験の区分とか年次とかにかかわらずに、能力と実績のある人にはそれなりの昇進と給与体系にしていこうと考えているわけでありますから、この問題は、どこからどこまで付与するか、そういう方向で検討をしていただくことになろうかと思います。
○原口委員 これは、尾身大臣が経済財政諮問会議でおっしゃっていることを私は支持します。やはり、公務員、働く人たちの人権、渡辺大臣のように優秀な方は能力能力とおっしゃるかもわからないけれども、まずはそこの福利厚生、きょういらっしゃる皆さんだってどこでどう福利厚生されているか、それは明確とはなかなか言いがたいんじゃないでしょうか。一人一人の公務員が権利保障される、このことがとても大事だと思います。 総理、経済財政諮問会議には、先ほどお話しになったような総理の労働に対する御認識ではありますが、労働側の委員は入っていませんね。私は、広く労働側の委員も入れてしっかりとした議論をされた方がいい、こう考えますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 この経済財政諮問会議においての民間委員は、いわゆる経営者の代表という形で入っているわけではなくて、それぞれの見識においてお入りをいただいています。 他方、労働法制全般について、労政審の方には働く方の代表も入っておられるわけでございまして、この労働法制に関する議論はそちらでもしっかりとなされている、このように思います。
○原口委員 私は、ぜひ今のうちに労働側の委員も入れて、そして、組合こそが貧困と闘う最良の手段だという信念のもとで、ワーキングプアを救う新展開、アメリカでは、SEIU、そういう組合ができて、そしてチェンジ・ツー・ウインと呼ばれる新しい労働運動を開始しました。私は、やはり人間の尊厳を守る上で、こういう今まで声をまとめることができなかった人たち、あるいは私たち政治がそこへ対して適切な措置を加えられなかった人たち、その人たちに対する施策を行うべきだと思います。 最後に、もう時間が来ていますので申し上げますが、勤労者福祉施設の譲渡・廃止状況というこの資料を柳澤大臣にいただきまして、驚きました。これは総額四千四百六億にも及ぶものを……(発言する者あり)そうですね、今おっしゃいましたように、たたき売っているんですよ。結局、譲渡価格は百二十七億です。そして、これをずっと見てみると、あの財政再建団体になるという夕張市にも出しています。一億三千七百万でつくった施設を十万五千円で譲渡をしています。こういうのばかりですよ。 そして、皆さんの理由書には何と書いてあるかというと、「これまでも長年にわたり勤労者・国民に使われ、今後も公共目的に使われるため、雇用保険財源からの出資の趣旨は生かされる。」こんな言いわけが書いてあるんです。 国民の税金をまさに全く説明のつかないようなところに使って、そしてさらなる増税を求める、これは理解されないということを指摘して、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○金子委員長 この際、川内博史君から関連質疑の申し出があります。枝野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。川内博史君。
○川内委員 川内でございます。 きょうは、総理並びに閣僚の皆様方と議論をさせていただく機会をいただきました。本当にありがとうございます。感謝を申し上げます。充実した議論をさせていただきたいというふうに思っております。 まず、本日は、雇用・労働等に関する集中審議ということでございますが、その前に、私の地元で、鹿児島地方裁判所において大変重要な判決が下されました。司法制度改革が今、国でも進んでいるわけでございますが、四年前の統一地方選挙、鹿児島県議会議員選挙において当選された当時現職の県会議員候補が、会合を開き、現金買収をしたのではないかということで、公職選挙法違反に問われ、裁判になっておりました。 本日午前中、判決が出まして、私、その判決の骨子をいただきました。御当選された県会議員の先生、そして奥様、そして現金買収に応じたとされる十名の方々、合計十二名の被告人、いずれも無罪。 さらには、その判決の理由が、総理、ぜひ聞いていただきたいんですけれども、これは司法制度改革にすごく絡む重要な問題だと思います。「被告人らの自白はいずれも信用することができず、他に本件各公訴事実を認めるに足りる証拠もなく、本件各公訴事実については犯罪の証明がないことに帰するから、刑事訴訟法三百三十六条により被告人十二名に対していずれも無罪の言渡しをする。」要するに、全く何の証拠もないということをこの判決は言っているわけでございまして、結局、自白を強要されたということでございます。 今、私ども民主党は、取り調べの可視化法案を国会に提案させていただいております。さらに、政府は、試行的に検察で取り調べの可視化を行っていらっしゃる、あるいは行おうとしているというふうに聞いておりますが、きょうのこの判決を受けて、総理並びに法務大臣、そして国家公安委員長に、それぞれ御所見を賜りたいというふうに思います。 〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
○安倍内閣総理大臣 個別の事件に対する裁判の判決については、行政府の長としてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として言えば、捜査は適正でなければならない、こう考えています。
○長勢国務大臣 取り調べについて可視化をすべきではないかという御質問だと思います。 我が国の刑事司法手続において、被疑者の取り調べというのは事案の真相を解明するために不可欠な手段であり、極めて重要な役割を果たしておるわけでありますが、取り調べ状況の録音、録画を義務づけることについては、取り調べ状況のすべてが記録されることから、関係者のプライバシーにかかわることを話題とすることが困難になるとともに、被疑者に供述をためらわせる要因となり、その結果、真相を十分解明し得なくなるなどの問題も指摘されておるところであります。 取り調べ状況の録音、録画等につきましては、司法制度改革審議会意見書においても、刑事手続全体における被疑者の取り調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であること等の理由から将来的な検討課題とされているところであり、法務省としても、慎重な検討が必要であると考えておるところでございます。
○溝手国務大臣 判決については承知をいたしております。今、総理、法務大臣からお答えがあったとおりでございまして、捜査については、人権に配慮し、適正に努めるべきものと考えております。まだ情報をつかみ切っていない段階で個別のコメントをいたしますのは、お許しをいただきたいと思います。 なお、捜査の可視化については、国家公安委員会並びに警察庁とも、検討すべき対象とは考えておりません。 〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
○川内委員 今回のこの判決が契機になって、取り調べの可視化、そしてまた、もちろん犯罪については厳しく対処をしていかなければならないわけでありますが、犯罪であったのか否かということについて、取り調べの段階で、どのような取り調べが適正であるのか、公正さを担保していくのかということについては、今国家公安委員長からは、考えていないというような大変残念な御答弁があったわけでございますが、法務大臣はまたちょっと違うお考えも述べていらっしゃるようでございますし、ぜひ試行を踏まえて取り組んでいただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。 それでは、早速、雇用・労働に関してお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。 総理は、成長が大事だ、成長、成長、成長とおっしゃるわけでございます。もう一つのキーワードとして、競争ということもおっしゃられる。さらには、自立、自己責任、そして就労支援という言葉がよく出てまいります。 私は、成長も大事だけれども、しかし、世の中の人たち、日本の国民全員が競争しなければならないということではないというふうに思います。競争が終わってゆっくり暮らしたいと思っていらっしゃる方々もいらっしゃるし、また、競争できないという方たちもいらっしゃる。 そういう中で、その端的な例は障害者自立支援法ですね。 自立という言葉は、競争しなさい、自立しなさいということを意味するのではないというふうに私は思います。今、厚生労働大臣は首を振られています。しかし、障害者に対して一律に自立を促すというのは、ちょっと違うのではないか。だから政府も、施行一年で政令改正をして予算措置をしたんだろう。自立をしようと思っている障害者もいらっしゃる。自立をしようと思っているけれどもなかなか自立できない障害者もいらっしゃる。しかし、全くもともとそういうことが無理だという障害者の方々もいらっしゃる。そういうきめ細かな政策というものが必要なのではないかというふうに私は思います。 美しい国という言葉は、私は、非常に日本国民が、皆さん、美しい国を目指すと言うと、そうだそうだと思うと思います。しかし、そのビジョン、その下にある政策、さらにはその下にある施策は、すべて言葉であらわされる、すべて言葉になっているわけでございますが、例えば、骨太の二〇〇六に書いてある少子化対策の中には、生み育てやすい環境を整備するという言葉はどこにも出てこないんです。とにかく国家のために子供を産ませるんだというような、子供を産ませるための施策をするんだというような、何かちょっと違うんじゃないのかなというようなことが書いてあります。 私が申し上げているのは、子供を生み育てやすい環境を整備するという、少子化対策基本法に書かれている趣旨が、どのような文書にあっても出てこなければならないのではないかということであります。 さらに、もう一点申し上げさせていただければ、生活保護についても、骨太の二〇〇六ではこのような書きぶりをしているんですね。「生活扶助基準について、低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直しを行う。」と書いてあります。生活保護の水準と低所得世帯の消費実態というものがあたかもイコールであるかのような書きぶりがしてある。 私は、この前柳澤厚生労働大臣に申し上げたとおり、生活扶助基準というのは、生活保護法三条にある、健康で文化的な最低限度の生活を維持するのに必要な水準という、「健康で文化的な」という言葉を必ずつけるべきだと。その健康で文化的な水準という言葉と、今実際に大変困っていらっしゃる低所得世帯の方々の水準というものは、健康で文化的な水準にならなければならないんだ、そのために国がさまざまな施策をしていかなければならないんだろうということを繰り返し申し上げているわけでございます。 せんだって予算委員会で、この後ろで、かつての野村監督みたいにささやくやじをされる小野寺さん、自民党の先生ですけれども、安倍総理の施策に対して、心が伝わってこない、何となく冷たい感じがするとおっしゃったじゃないですか。それはすなわち、結局、成長、成長、成長と、成長に引きずられて、要するに政策が市場に引きずられて、そこからこぼれ落ちる人たちのことを言葉としてきちんと政策の中に書き込んでいないからではないかというふうに思います。それをきょうは残りの四十五分間で論証していきたいというふうに思います。 それでは、聞かせていただきます。 まず、いわゆる残業代ゼロ法案、私たちは残業代ゼロ法案と呼びますが、ホワイトカラーエグゼンプション制度に対する質問の答弁。柳澤厚生労働大臣は、工場労働者の皆様方に対して、労働時間だけが売り物というふうにおっしゃられた。だけという言葉が不適当だということで、議事録を訂正したいというふうにおっしゃられたわけでございますが、私は、総理、柳澤厚生労働大臣の産む機械発言とか、あるいは労働時間だけ発言とか、結局、労働者を、あるいは人間を、国家のために奉仕する一つの部品というかマシンとしか見ていないのではないか、そういうお気持ちが言葉の端々に出ていらっしゃるのではないかなというふうに思うんですね。 私は、そういう柳澤大臣を厚生労働大臣としてお使いになっていらっしゃるという安倍総理の御見解を、もう一度、きょうこの場でお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 質問にお答えをする前に、まず、少子化に対する基本的な姿勢でありますが、私の施政方針演説において、「安心して結婚し、子供を産み育てることができる日本にしていかなければなりません。」と、このように明確に述べているとおりでありまして、これが基本的な姿勢であることをまず申し上げておきたい、このように思う次第でございます。 また、美しい国づくりについては、当然小野寺議員とも心はつながっておりまして、彼は、もう少し伝わりやすい表現を使ってもらいたい、こういうことではないだろうか、このように思います。 そして、厚生労働大臣が言いたかったことは、ベルトコンベヤーに乗って流れてくる製品の組み立てのように、労働時間と成果の対応が明確な仕事、つまり、労働時間といわばラインで組み立て作業をしていれば成果が直結をしているという仕事と、新商品の企画のように、ある日突然名案が浮かんできて、そしてそれが成果につながる、全く名案が浮かんでこないときもあるというような、労働時間と成果とは直接つながりがない、こういう意味において、その説明の中においてそういう表現があった。労働時間法制のあり方を検討する際には、こうした多様性を念頭に置く必要があるということをおっしゃったのではないかと思います。 また、厚生労働大臣は国会において、生産現場の労働者の方々はもちろん、人間にはそれぞれ尊厳があるということを前提にしてすべてのことに臨んでいるという旨を答弁しているわけでございまして、柳澤大臣の頭の中にある基本的な姿勢は、今申し上げたとおり、働く人たちの尊厳ではないか、このように思います。
○川内委員 まず、少子化対策について申し上げれば、私は、政府の公式文書のすべてに、生み育てやすい環境を整備するという言葉が盛り込まれなければならないはずであるということを申し上げているわけで、総理の所信表明演説に入っているとか入っていないということを指摘したわけじゃないですからね。すべての政府の文書に生み育てやすい環境を整備するという言葉が盛り込まれていなければならないはずだということを指摘している。 さらに、今、柳澤厚生労働大臣に対する御見解をお述べいただいたわけでございますが、それでは、日本の生産現場、工場の現場が、今労働者派遣法によって大変な、悲惨なというか厳しい状況になっているということは、総理も御案内のとおりであろうというふうに思います。 この労働者派遣法というのは、いわゆる労働者、人間を派遣先と派遣元が商品として売り買いするわけですよね、ある意味で言えば。もう全く労働が商品になっているわけです。そういう中で偽装請負という問題が起きている。先ほど枝野議員からも激しいやりとりをさせていただいたわけでございますが、私は、ちょっと観点を変えて質問させていただきます。 労働者派遣事業に係る請負の発注者に対する厚生労働省の監督実施件数というのが、平成十七年度に何件、平成十八年四月から十二月まで、昨年末まで何件あったのか、お答えをいただきたいというふうに思います。これは事務方からで結構でございます。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。 労働者派遣法にかかわります監督件数のうち、今、請負の発注者に対するということについてのお尋ねでございますが、平成十七年度におきましては、一年間で六百六十件、平成十八年四月から十二月までの期間でございますが、七百六十二件となってございます。
○川内委員 総理、これは厚生労働省が発表した昨年十二月二十六日の書類でございます。プレスリリースされているんだろうと思いますが、「派遣労働が対前年四割の増加」と書いてあります。偽装請負は、あるいはこの労働者派遣法違反の事例は、四割どころじゃない、倍増しているわけですね。今、そういう状況が労働者派遣の世界で起こっている。 では、もう一点聞かせていただきますが、平成十七年度に六百六十件、平成十八年四月から十二月までの間に七百六十二件の偽装請負があった、監督指導が行われたということでありますが、その中に東証一部上場企業であったものは何件、何社あったでしょうか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。 監督指導の対象になりました事案につきまして、東証一部上場企業でどれぐらいあるのかというお尋ねでございますが、そうした観点での数は把握はいたしておりません。
○川内委員 把握をしておらないというのはわかりましたが、労働者派遣の世界というか労働市場を規制緩和すれば、規制を緩和するということは弱肉強食が強まるということであろうかと思います。そうすれば、大資本が労働市場を席巻する、大資本からの風圧は強まるわけですよね。これは否定できないことだと思います。 そういう中で、違反事例が大企業あるいは企業規模に応じてどのくらいあるのかということは発表されてしかるべきであろうというふうに思いますが、厚生労働大臣の御見解を承りたいと思います。
○柳澤国務大臣 これは正直言って、そういう観点からのデータをとっていないということを今職業安定局長からお答えしたとおりでございます。 私どもとしては、そういう大企業、小企業、中小企業というようなことにとらわれないで、請負の事案について派遣法違反にわたるような事案を、これに対して監督指導等を初めとする手続を進めている、こういう次第であります。
○川内委員 いや、数字だけ教えていただきたいというふうに申し上げているわけです。七百六十二件の中に東証一部上場企業が何件、何社あるかということを調べるのはそんなに難しいことではないというふうに思いますが、大臣、それをお調べいただいて本委員会に御提出をいただくということもならぬという御答弁でしょうか。
○金子委員長 できるかどうかということに対して、厚労省高橋職業安定局長。
○高橋政府参考人 対象になりました企業をどういう形で分類するか、これはいろいろあろうかと思いますが、できないということでは恐らくないというふうに思います。
○川内委員 だから、できるわけですから、大臣、やらせてくださいよ。もう一回答弁してください。
○柳澤国務大臣 枝野委員との質疑応答の中にもありましたけれども、違反の、監督件数というものは、まさに件数一件一件ということです。それで、派遣というか、請負の発注先というのは、社ごとというふうになっているんだろうと思います。 このことについては、監督件数のうち請負の発注者に対するものということで、今職業安定局長も件数ということで言われましたので、そのあたりのことがどういうふうにとらまえられるものなのか、検討させていただきます。
○川内委員 私、経団連の会長がおかわりになられるときにお出しになられる政策ビジョン、御手洗会長のもとでの「希望の国、日本」というものをきょう持ってまいりましたけれども、この中に経団連の企業行動憲章というのが載っておりまして、「国の内外を問わず、人権を尊重し、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守するとともに、社会的良識をもって、持続可能な社会の創造に向けて自主的に行動する。」と書いてございまして、その中に、「本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたる姿勢を内外に明らかにし、原因究明、再発防止に努める。また、社会への迅速かつ的確な情報の公開と説明責任を遂行し、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行う。」と書いてございます。 偽装請負というのは法令違反だというのは政府もお認めになっていることであろうというふうに思います。したがって、こういう行動憲章を出していらっしゃる方々の企業行動というものが本当にこの企業行動憲章に合っているのか否かということについては、国民の皆様に十分明らかにされていかなければならない、公開していいと言っているわけですから。公開するとみずから言っている。 総理は御手洗さんと仲よしでいらっしゃるでしょうから、経済財政諮問会議でお会いになられたときに、国会でキヤノンの偽装請負が問題になっている、話題になっている、御手洗さんのところだけは公表してもいいかと聞いてくださいよ。そうしたら、いいと言うに決まっていますよ。どうですか、総理。
○安倍内閣総理大臣 いわば個別の事案の公表については、法律において要件等が定められているということから、我々はお答えを控えさせていただいているところでございます。
○川内委員 だから、総理に今ここで答えてくださいと申し上げているわけではなくて、御手洗さんに、国会でこういう議論があるから、御手洗さん、公表してほしい、偽装請負について情報を明らかにしてほしいという意見がありますよということを伝えてくださいと申し上げているんです。言ってくださいと言っているんです。どうですか。それさえも言わないというんですか。
○安倍内閣総理大臣 当然、この議論については、恐らくテレビもごらんになっているだろうと思います。その上で、つまり、この当該の企業がどうかということについては、これは法律の要件が整わなければ、我々としては、どうかということは申し上げられないという立場であるということを繰り返さざるを得ないと思います。
○川内委員 安倍内閣の内閣府の副大臣のお一人は、テレビの報道番組で、法令違反の企業は論外であるというふうに力を込めて御発言をされていらっしゃいました、大村さんですけれども。 安倍総理御自身は、この労働者派遣法のことについて、改正に言及をされているようなんですけれども、まさか御手洗さんが望む改正の方向ではない、要するに労働者派遣法を、ドイツやフランスの派遣法のように、規制を強化するという方向での改正を考えていらっしゃるという理解でよろしいでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 最近の景気の上昇によって正規雇用がふえているのも事実でございます。三四半期連続で正規雇用はふえている。さらにこうした景気回復を持続させることによって正規雇用をふやしていきたいと思っております。 そこで、この正規労働者との均衡処遇の実現を図るための、これはパートでありますが、パートタイム労働法の改正のほか、また、正規雇用か否かにかかわりなく適用される最低賃金制度の約四十年ぶりの改正や、労働契約全般に関するルールを明確化するための新法の制定など、一連の働く人たちのための労働法制の整備に取り組んでいかなければならないと考えております。
○川内委員 それではもう一点、ホワイトカラーエグゼンプションについて、総理の「進路と戦略」の中の十四ページでございますけれども、「時間に縛られないホワイトカラーの働き方」という表現でホワイトカラーエグゼンプションのことが記述をされております。 これについては、今国会にはホワイトカラーエグゼンプションは出さない、さらに参議院選挙後も出さないという政府の御見解のようでございますけれども、もう一度国民の理解を得られるように議論をするということもおっしゃっていらっしゃいますから、骨太の二〇〇七において、書きぶり、記述を変える、あるいはどのようにされるのかという具体的な方針を明らかにしていただきたいというふうに思います。これは総理。
○安倍内閣総理大臣 まず私がお答えをいたしまして、「進路と戦略」についてのお話でございますから大田大臣から詳しく答弁をいたしますが、このいわゆる自己管理型労働制については、働き方が多様化している中にあって、それぞれがそれぞれの働き方について決められる仕組みを、これはさらにそういう選択肢をふやしていく必要があるのではないか。 しかしながら、大分、残業代が全く出ない、残業代ゼロという先入観がある中にあっては、やはりなかなか、働き方の制度、法制については国民的な理解がなければならない、このように思います。 この自己管理型の労働制は、組合との協定、そしてまた個人が納得する、そういうさまざまなちゃんとした前提条件がついた中にあって、そしてまた、一定の所得以上の方々にのみこれは適用される制度であるわけでありますが、そうしたことも含めて、どういう効果、影響があるかということを、国民との対話の中で、意識が深まる中で考えてまいりたいと考えています。この法案提出ありきではない、こういうことでございます。
○柳澤国務大臣 今総理がおっしゃったとおりの状況にあるわけでございますので、次の骨太では、その時点の状況、それから我々の考え方、こういうことを中心に記述をしていただくべく、私は取りまとめ役の大田大臣にお願いすることになろうと思います。
○川内委員 大田大臣には後でちゃんとお聞きしますので、ちょっと待ってください。 それでは次に、高齢者の皆様方の、要するに、競争が終わってこれからゆっくりされたいという方たちのことについてお尋ねをさせていただきます。 平成十八年の十月六日、衆議院予算委員会の基本的質疑、この中で、我が党の菅直人代表代行が、高齢者の皆様方は、介護保険料や国民健康保険料、さらには住民税の負担が大変に上がって大変だということを質問させていただきました。それに対して安倍総理は、「平均的な年金以下だけで生活をしている方々に対しては新たな負担はない、このように承知をしております。」というふうに御答弁をされていらっしゃいます。「平均的な年金以下だけで生活をしている方々に対しては新たな負担はない、」というふうに言い切っていらっしゃいます。 きょう、私は、「モデル年金世帯の住民税・介護保険料・国民健康保険料の負担増」というパネルをつくってまいりました。 この住民税、介護保険料というのは、住民税の課税最低限が変動をすることによって大きく保険料が変わってまいります。住民税も、住民税の課税最低限というのは、生活保護の一級地、二級地、三級地、生活保護一級地というのは大都会、二級地は大体中都市、三級地は地方ということで、ほとんど大部分の市町村は三級地になるわけでございますが、総理、これを見ていただくと、総理が言ったモデル年金世帯でも、住民税は年額四千円、さらに、介護保険料は五万八千八百円から十一万四百円、国民健康保険料は六万四千八百円から十万八百円、何と、平成二十年には九万一千六百円の負担増になるんですね。九万一千六百円の負担増になる、モデル年金世帯で。 柳澤大臣、大臣の御地元はほとんど三級地ですから、九万一千六百円負担増です。一級地、大都市であっても、モデル年金世帯は、国民健康保険料は、保険料が上がりますから、六万四千八百円から十万八百円ということで、三万八千四百円負担増になるということでございます。 この課税の区分というのは、下にちっちゃな字で書いてございますけれども、その額を一円でも超えたら、一級地、二級地もいきなり三級地の課税ベースになるということで、三万八千四百円の負担増の人はいきなり九万一千六百円の負担増に飛ぶということにこの課税の仕組みがなっているということでございます。 まず、私がつくってきたこのパネルを、厚生労働省と総務省に、間違いないということを確認していただきたいと思います。
○阿曽沼政府参考人 お答えを申し上げます。 厚生労働省関係の数字は、間違いございません。
○河野政府参考人 お答えをいたします。 個人住民税関係の数字、間違いございません。
○川内委員 そうすると総理、総理が御答弁になられた、「平均的な年金以下だけで生活をしている方々に対しては新たな負担はない、このように承知をしております。」というふうに御答弁されていらっしゃることは、ちょっと認識が不足していた、間違いだったとおっしゃっていただかなければならないというふうに思いますが、御答弁をお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 私の答弁が間違っていなかったということを、今かみ砕いて説明させていただきたい、このように思います。 個人住民税及び介護保険料については、三級地ではモデル年金世帯において引き上げとなり、国民健康保険料については、級地区分にかかわらずモデル年金世帯が引き上げとなることは事実であります。 御指摘の、臨時国会の予算委員会における答弁については、質問が、個人住民税及び介護保険料については、大阪の茨木市、これは一級地であります、この事例を受けて、この場合にはモデル年金世帯に新たな負担が生じることはないという趣旨で、国民健康保険料については、ほとんどの市町村において、個人住民税の課税、非課税にかかわらず広く御負担をいただいており、税制改正の影響により、個人住民税が新たに課税されることを理由として国民健康保険料の負担が増加することはないという趣旨で、基本的にはまた新たな負担はないとお答えをしたわけでございまして、不適切な答弁ではない。 そこで、では一級地だけではなくて三級地も含めてではないかという質問も恐らくしたいのではないかと思うわけでありますが、あのときの菅議員は、茨木市を挙げて議論をしたわけでございます。一級地を挙げて議論した。なぜ茨木市であったかは、まさに、恐らく、これは私の推測でありますが、そのときに、後に行われる予定の補欠選挙ということがあって議論されていた。ですから、私もその地域を念頭に置いて、そこの負担は上がりませんよということを申し上げたわけで、そこの負担について着目をして申し上げたわけでございます。
○川内委員 いや、総理、総理は茨木市長じゃないんですから。日本国の内閣総理大臣なんです。いいですか、認めるところはお認めになられた方が潔いというふうに私は思います。 うちの菅さんは、国民健康保険料のことにもちゃんと言及しているんですよね、国民健康保険料、住民税、そして介護保険料というふうに。国民健康保険料は、一級地、二級地、三級地関係なく、どの地区も、日本全国負担増があるんです。負担増があるんですよ。だから、総理がおっしゃられた、それは、住民税に連動している介護保険料は、三級地のモデル年金世帯では三級地の負担増はありますよ。負担増が一番大きいわけですが、その他も、国民健康保険料は引き上げをされているわけですから、それは総理、認識が不足していたということをおっしゃらないと、ちょっとここで言いわけをされるのは、私は、総理として美しくないというふうに思う。 私がなぜこのようなことを申し上げるかというと、厚生労働大臣にも経済財政諮問会議の大田大臣にも聞いていただきたいんですが、このような負担増が、田舎の方が負担が重いということに関して、公正でしょうか、果たしてこれが公正な課税あるいは保険料のあり方でしょうかという問題を提起したいからであります。 柳澤厚生労働大臣は、この前、私のこの提起に対して、問題がある、問題だということは認識しているというふうにおっしゃいました。しかし、見直しについては次の改定のときに議論をしたいと、非常にのんびりしたことをおっしゃられました。大臣、大臣の御地元はほとんど三級地ですから、私も三級地でございますけれども、負担増、物すごいんですよ。 総理、この問題についてどう思われますか。
○柳澤国務大臣 お答えを繰り返すことになりますけれども、要は、幾つかの要因が重なりましてそのようなことになっております。 まず第一に、考え方としては、公的年金というのは国家の制度ですから、国家のどの地域にもあまねく同じ制度が適用される、こういうことでございます。それに対して課税最低限というのは、国税においては全国一律なんですけれども、地方税ということになりますと、これは生活保護の級地で課税最低限をあんばいする、わずかですけれどもあんばいするという制度になっているわけでございます。 そして、介護保険料というのは、実は地方税の、住民税の課否に非常にかかわってその負担額が決まってくるという制度になっています。しかもそれが、非常に非連続に階段状で上がるというような制度になっておりますので、そうなりますと、こっちに、この低い方にちょっと振れれば低くてよろしい、それが一円でもちょっと右側に行ったら物すごく高くなってしまうという、階段状で料率を決めるということの、非常に厳しさ、そういうものがそこにあらわれている、こういうことになっております。 それで、そういうことでございますから、そもそも昔は、介護保険料なんていうのは全体が低いところでございましたので、一・二五倍と〇・七五がどれだけ絶対額で違うかというと、そう余り大きな差はなかったと思うんですが、今やそれがどんどん、実際には基準の保険料が高くなりましたので、それの一・二五倍と〇・七五倍というと、その差が非常に大きくなってしまう、こういうものをこの現段階でも将来にわたってほっておいていいかという問題を先生が今突きつけて問題提起されている、こういうことでございまして、私どももその点については非常に強い問題意識を持っておりまして、そんなゆっくりとと言っているわけじゃないんです。 私が言ったのは、指示はすぐするけれども、しかし、この検討にはかなりいろいろな要素があるので、なかなか難しい論点もありますので、少し時間がかかるかもしれません、早急に結論は出すようにはしますけれども、しかし、難しい問題があるんですということに御理解を求めたのでございます。
○川内委員 総理、総理は負けず嫌いな御性格でいらっしゃるでしょうから、私が指摘をしたことに関してお間違いをお認めにはなられませんでした。しかし……(発言する者あり)いや、菅さんは日本全国のこととちゃんと冒頭に言っているんですよ。茨木も負担増があるんですから、三万八千四百円、国民健康保険料が。総理は、負担増ないと言い切っちゃっているわけですから。僕はそんな、総理に謝ってもらおうとかそういうことを言っているんじゃないんです。訂正してもらおうとか言っているんじゃないんです。総理に現実をきちんと津々浦々まで認識してくださいねということを申し上げているということでございまして、きょう、御認識をしっかりいただいたというふうに私は理解をしたいというふうに思います。 それでは、残りあと十数分でございますので、成長力底上げ戦略の中の中小企業対策に移らせていただきたいと思います。 本日も午前中から、中小企業の皆様方に対してどうしていくのかという議論が交わされているわけでございますが、中小企業基本法というのがございます。中小企業基本法のもとに官公需法という法律があって、公共調達について中小企業の受注割合を毎年閣議決定し、目標を定めます。そして、それに対する実績を毎年政府は発表されるわけでございますが、平成十八年度の公共調達の中小企業の受注目標というのが四七・九%。 私は、この成長力底上げ戦略の中で、中小企業に対して政府として何ができるのかということを考えたときに、平成十九年度予算案の中でさまざまな公共調達が予定をされているわけでございますが、これらは、この目標を引き上げることによって、今四七・九%ですから、これを五五%なりあるいは六〇%にすることによって、これは大変な中小企業の皆様方への支援になる。今もう既に予算は組み込まれているわけでございます。 なぜ成長力底上げ戦略の中でこの官公需法についての議論が行われなかったのか、施策として出てこなかったのか、私は不思議でしようがないのでございまして、大田大臣、その議論があったのかなかったのか、まずお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○大田国務大臣 中小企業に対するさまざまな施策について検討いたしました。成長力底上げ戦略は、生産性の向上、ここにしっかりと焦点を当てております。したがって、官公需法はここには含んでおりません。もちろん、中小企業政策の重要な柱であることは理解しております。
○川内委員 生産性を上げる。生産性とは何ぞやということにもなろうかと思いますけれども。 中小企業基本法の基本理念の中には、中小企業に対して自主的な努力が助長されるように支援をしていく、経営の革新及び創業が促進されるようにしていくというような理念が書き込まれていて、この中小企業基本法に基づいて官公需法というものができていて、そして、受注目標、中小企業向けの発注目標というものが設定をされる。 今、地方の中小企業は大変厳しい状況ですよね。午前中から盛んに議論が出ているように、中小企業は、雇用の源泉、雇用の源であると同時に、技術革新、イノベーションの源でもある。そういう中において、今厳しい中小企業、苦しんでいる中小企業は、技術力がないわけじゃないですよ。技術力はあるんですよ。優秀な人たちもいっぱいいますよ。だけれども、優秀だけれども苦しんでいるんですよ。そういう人たちに対して国が直接的に支援できる最も有効な方法が、この官公需法に基づく閣議決定だと思うんですね。それを、従来どおりのやり方しかしませんと。 従来どおりのやり方ではなくて、新しい、ちょっと高目の目標を設定しますということさえ言えないというのは、私はちょっと情けないという気がするんですが、まず、甘利大臣、では御答弁ください。
○甘利国務大臣 官公需法ができて中小企業に配慮するということがスタートしたときには、二五、六%台でありました。毎年上げていって、今は実績値で四六・九ぐらい行っているのでありましょうか。 目標を設定すると、実績は若干それよりも上回って出てきます。その実績をもとに少し乗っけて出しているということでありまして、これは毎年毎年引き上げてきておりますから、恐らく、諮問会議でどうして入れなかったかということは、毎年実情をしっかり精査しながら引き上げていくという実績があるということをもって、当然少しずつ上げてくるだろうという織り込みだというふうに思っております。
○川内委員 毎年少しずつ目標も実績も上がっているという今経済産業大臣の御答弁なんですけれども、〇・一%ぐらいずつ上がっていたって、私は、中小企業の皆さん、余り元気が出ないというふうに思うんですね。 さらに、今、大臣の御答弁の中には若干事実を誤認されている部分がある。なぜかならば、これは、「中小企業政策審議会基本政策部会・中小企業経営支援分科会取引部会中間とりまとめ」という政府の文書ですよ。この中に、実績値が目標を下回っている年もいっぱいあると書いてあるんですよ。目標ですからね。 今、こういう経済状況の中で、政府が閣議決定して目標を定めれば、すなわち、これはできることなんですよ。それを、いや、今までどおりでいいですと言うのは、余りにも官僚的な御答弁じゃないか。 これは総理、政治の決断だと思いますよ、政治の決断。今、四七・九、ことしの目標は四七・九だが、ことしは五五から六〇ぐらいを目指したいとか、そのくらい言っていただかないと、全国の中小企業の皆さんはこのテレビを見ていらっしゃいますから、ぜひ総理、御答弁いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 中小企業の活力というのは、我が国の活力の源だと思っておりますし、頑張っている、一生懸命努力をしている中小企業に我々はいかに支援をしていくか、大変大切なことだと思っています。また、この国会においても、二本、中小企業を支援していく法律を提出しています。 そして、官公需について、中小企業が受注をして、そしてそれを活力にさらにステップアップしていくということは、そういう姿になっていけば大変すばらしいと思っています。 そこで、この目標なんですが、十八年度の契約の方針においては、中小企業者向け契約目標を、前年度比、前年度一%増の四七・九%に定めておりますが、官公需総予算額に占める中小企業者向け契約目標額の比率でありまして、官公需の中には、航空機や大型船舶や高額医療機器等のように、中小企業者ではなかなか対応が難しいと考えられるものが多々、特に額としてはあるものでございますから、直ちに六〇%を目標として掲げても、これは非現実的になってしまうのではないか、このように思いますが、中小企業の受注機会の増大に最大限努力をしてまいります。(拍手)
○川内委員 いや、今、与党の先生方、こんなところで拍手していますけれども、私がきのうレクしたとき、総理、中小企業庁の人たちが、航空機や戦闘機や、そういう調達になかなか中小企業は応じられないと言うわけですよ。だけれども、では、公共調達の中にその割合はどのぐらいあるんだ、中小企業が調達できない部分がどのぐらいあるんだ、数字を言ってくださいと言ったら、言えなかったですよ。 だけれども、総理、私が申し上げているのは目標ですから、これは。目標を定めることが大事でしょうということを申し上げているんですよ。最大限努力するとおっしゃっていただいたが、目標を最大限高いところに置くとは言っていただいていないですから。 この成長力底上げ戦略、大田大臣と官房長官で、これは総理からの御指示でおつくりになられたチームだと。最初は、いわゆる格差問題やワーキングプアの問題に正面から取り組むと、もう大上段に振りかぶっていたわけですよ。しかし、二月十五日、ペーパーができたら、ワーキングプアという言葉はないし、格差是正についても、結果平等を目指すものではないみたいな、そんな、結果平等を目指している人なんてこの中に一人もいませんよ。格差が拡大……(発言する者あり)いや、ごめんなさい、若干いましたけれども。 格差が物すごく拡大している、生活保護の扶助基準にまで達しない勤労所得しか得られない方たちがたくさん出てきている、その新しい問題があるんだということで、私たちはその格差を是正していかなければならない。要するに、富の分配のあり方を税や社会保障あるいは労働法制のあり方の中で考えていきたいということを申し上げているわけです。それが、全く、正面から取り組むと言っていたのが、でき上がったペーパーは、逃げちゃった、なくなってしまった、特にワーキングプアについては言葉がなくなってしまったわけです。 総理、これは新たな問題ですから、ワーキングプアという言葉についてしっかり定義をして、きのうもテレビで、タクシーの運転手さんが時給三百六十六円と言っていましたよ、時給三百六十六円。そういう厳しい状況で働いていらっしゃる方々が日本全国にたくさん出てきている。そういう新しい問題に対してどう取り組むのかということを、最後、総理に御答弁いただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 よく、格差から逃げているとか、ワーキングプアという存在を認めない、こういう御批判がありますが、これは全く当たりません。私たちは、まず現状をしっかりと見たい、むしろ、目を大きくあけて実態を把握したい、こう思っています。 そこで、いわば格差が拡大をしているかもしれないという若年層にも十分に焦点を当てて、例えば再チャレンジについては、就職難あるいは経済的困窮からの再チャレンジに対しては、フリーター、ニート対策で五十九施策、非正規労働者の均衡待遇で十一施策、多重債務者の防止、救済で二施策、事業に失敗した人の再起業で三十施策、予算では八百七十億円。機会の均等化においては、子育て女性の再就職二十一施策、障害者の就業等が二十五施策、家庭環境に恵まれない子供への支援が十一施策、犯罪を犯した人の社会復帰に五施策、その他二施策、これは二百六十八億円。そしてまた、複線型の社会をつくっていくための施策が合わせて六十施策近くで、五百八十一億円。こういう施策をちゃんともう既にやっています。 そしてまた、いわば成長力の底上げ戦略についても、いわばワーキングプアと言われている方たち、頑張っているけれどもなかなか所得がふえない、それは例えば非正規であったり、極めて零細企業に働いていると、仕事をさらにスキルアップしていくというチャンスにもなかなか恵まれませんし、OJTで新たな技能を身につけていくという機会がない、そういう方々のためにそういう仕組みをつくっていかなければいけない。つまり、人材、そしてまた就業、あるいは中小企業に着目して、しっかりとした対応策を練っています。 ワーキングプアと言われる人たちは果たしてどういう人たちかということを定義づけていくということは、それはしっかりとやっていかなければいけないと思いますよ。今の段階では定義はなかなか難しいし、その調査も、現段階では定義がないからまた難しいということではないかと思います。
○川内委員 目をしっかり見開いていろいろ見ていらっしゃるということでございますので、総理が目を見開いても目が届かない部分もあるかもしれませんので、私どもがしっかりそれを御指摘申し上げさせていただきたいというふうに思います。また議論させてください。 どうもありがとうございます。
○金子委員長 これにて枝野君、原口君、川内君の質疑は終了いたしました。 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。 まず、安倍総理の基本的な認識をお聞きしたいと思います。 このパネルを見ていただきたいんですが、景気が回復したと言いますけれども、どうも実感がない。確かに大企業の方は、経常利益、非常に急速にふえておりますけれども、その反面で、労働者の所得はふえておらず、逆に減っております。労働者の年収ですね。私は、非正規雇用の存在というのがここにも影響しているのではないか。パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託、これらの非正規雇用の方々の賃金というのは、正規雇用の方々と比べますと、半分とかあるいは七割とか、そういう水準と言われております。 したがいまして、賃金が低く雇用の不安定な非正規雇用の比率が高まれば平均賃金全体を押し下げる、そういう作用を及ぼすというふうに考えますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 いわば派遣またパート等々のいろいろな働き方がふえてきたということは、これはまた経営者あるいは働く側のさまざまなニーズによる結果ではないか、このように思うわけであります。 しかし、その中で、非正規の方たちの中で正規雇用に移っていきたいと思われる方たちが正規雇用に移っていけるような、そういう仕組みを支援していきたい、このように思っているわけでありますし、また、非正規の方々が不安な中で仕事をしなくても済むように、どんな働き方を選んでも安心して仕事ができる、そのような労働法制を行っていきたい。そのための、今回、六本の労働法制を提出しているわけであります。
○佐々木(憲)委員 私が質問したことに正面からお答えにならないんですが、つまり、非正規雇用の比率が高まれば平均賃金が下がるということについてお聞きしたんですが、まあ否定されなかったから肯定されたんだと思いますが。 例えば、政府のミニ経済白書、これは昨年の十二月に出された日本経済二〇〇六—二〇〇七、この中でも、非正規雇用者の賃金は正規雇用者に比較すると相対的に低い水準にあり、企業内でその比率が高まることは平均賃金を押し下げることになる、こう明確に言っているわけです。 これは内閣府ですので、大田大臣、このことは事実ですね。
○大田国務大臣 御指摘のように述べております。
○佐々木(憲)委員 そこで、なぜ非正規雇用というものがふえたのか。 これは、企業側から見ますと、非正規雇用を活用すると賃金が低いからコストの削減につながるということで、利益を上げるために、いわば人間を、先ほども議論がありましたが、物扱いする企業の側に責任があるというふうに私は思うんです。 同時に、それを後押しするような政府の政策があったのではないか。政府が進めた労働法制の主な規制緩和、これを図で示しますとこういうふうになります。これは全部ではありませんが、主なものでございます。結局、ここで、例えば派遣労働、これを認める法律をつくり、それを次々と緩和をする。それが、派遣労働、非正規雇用をふやしていく、そしてまた社会的な問題を引き起こす、そういう原因になったのではないかと思います。 これは柳澤大臣にお聞きしますけれども、これまでのこのような規制緩和というものが現在の非正規雇用を広げていく非常に大きな要因になった、その反省というものは多少なりともあるんでしょうか、お聞きしたいと思います。
○柳澤国務大臣 我々の国の労働市場の中で、正規雇用、非正規雇用というものがそれぞれどういう推移をたどったか、それが政府の政策によってどの程度左右されたかということの御質問ですけれども、非正規雇用が徐々に増嵩してきてシェアを多くしているのは随分前からでございます、佐々木先生も御存じだと思いますが。 それでは、非正規雇用の派遣法の問題とか、あるいは派遣法へ、物の製造についての労働者についてこれを解禁したとかというのがどうであるかというと、それがあったから、グラフの目盛りにもよるでしょうけれども、急増している、急角度で伸びているということはなくて、なだらかに徐々に上昇したというのが、私が今手元に持っているグラフの示すところでございます。
○佐々木(憲)委員 規制緩和をやったから、なだらかでも伸びてきているわけで、その責任が政府にあるということを言っているわけですよ。これがなければ、派遣労働なんというのは実際に生まれないわけです。 長い間と言いますが、八五年に初めて派遣労働というものが認められた。その後どんどんどんどん拡大して、すべての産業に今広がっているでしょう。そういうことが政府の政策によって行われたということなんですよ。 問題は、労働者の中には非正規でもいいという人もいるでしょう、しかし、非正規で働いている若者の多くは、正規雇用者になりたい、正社員になりたいという方々がかなり多いわけです。政府の経済財政白書の中でも、若者のほとんどが正規雇用にかわりたいと、この白書はきちっと政府自身が分析をして書いているわけです。実際に、その希望のかなりの部分が閉ざされているのが実態なんです。 私は、去年、ちょうど今ごろ、トヨタの偽装請負問題というのをこの場で取り上げました。参議院では日本共産党の市田書記局長も質問をいたしました。シャープ、松下、さらにキヤノンなど日本の名立たる企業が請負労働者、派遣などによって支えられている、こういう実態も明らかになり、次々と違法状態も指摘され、社会的な問題になりました。 総理は、昨年十月のこの市田書記局長の質問に対しまして、このようにお答えになりました。ワーキングプアと言われている若い方々が非正規雇用から正規雇用に移っていく可能性をもっと拡大をしていく環境をつくらなければならない。なかなかいいことを言ったと思うんですね。 そこでお聞きしたいけれども、その後、総理は、請負、派遣労働者が正規雇用に移れるように、企業、財界にどのような指導をされましたか。
○柳澤国務大臣 簡単に事実を申し上げますと、そういうことの取り組みではなくて、我々は、この国会に対して新しい法制を御提案して、ぜひそれを成立させてもらいたい、その法制を通じて、今言ったように、非正規雇用の状況のもとにある若い方々を中心とする人たちが正規の雇用に移行、転換するように、そういう仕組みをつくりたい、こう思って努力をしているわけでございます。 もう時間があれですから、中身は、もしお尋ねであれば御説明申し上げます。
○佐々木(憲)委員 総理にお聞きしたいんですが、そういう環境をつくらなきゃならぬとお答えになったわけですから。 具体的に、これは先ほど言いましたように、企業側は、コストを削減するために非正規雇用をどんどんふやそうとするわけです。できるだけ非正規雇用でいきたい、正規雇用に転換するのはできるだけさせない、させたくないというのが利益を考えると出てくるわけです。それに対して政府の側は、非正規雇用を正規にしようとすれば、そういう企業に対して何らかのアプローチをしなきゃいかぬ。その具体的なアプローチを何かやられましたかというのを聞いているんです。
○安倍内閣総理大臣 私どもが民間企業に命令して正規をふやすということはもちろんできません。ですから、そういう仕組みをつくっていくことが大切であって、一つは、なるべく、パートの方たちを含めて、正規、非正規の方たちの均衡の処遇を制度化していくということが大切でしょうし、また、最低賃金を改正することによって、いわば安心を確保するためのセーフティーネットとしての機能を生かしていかなければならない、このように思っております。 そしてまた、再チャレンジ支援策を進めていく中にあって、ニート、フリーター対策、五十九施策を行っているわけでありますが、いわば非正規の方たちが正規に移っていけるように、自分のキャリアをアップしていけるような、努力が可能になる、努力をすることもしやすくなるし、それが報われる環境もつくっていきたい、こう思っています。 そして、それと同時に、私としては、これは各企業に対しても、まだもちろん指示とか命令なんかはできませんが、そういう努力をしている企業の方たちに集まっていただいて、そういう方々が頑張っているということをもっと多くの方たちに知っていただきたい、このように思います。 こういう中でも、そういう努力をしている企業はたくさんあるわけでありまして、東京のある衣料品メーカーは、契約社員六千名のうち、何と五千人を正社員に採用するわけであります。これは昨年の四月ですね。そのような努力をしているところもたくさんあるわけでありますので、こういう動きを広げていきたいと思っております。
○佐々木(憲)委員 個別の企業の中で、努力をされている企業もあるということは認めましょう。しかしながら、全体として非正規雇用がこれだけふえて、社会的に非常に大きな問題になっているわけですから、そういう全体としての状況をどう改善するか。これはやはり政府自身が、企業団体なりあるいは財界団体なり、そういうところにしっかりとしたリーダーシップを発揮して申し入れを行う、あるいは法的改正を行う、こういうことで規制を強化していかないと、労働者の要求は守れないわけであります。 実際に、経団連会長のキヤノンの例が先ほどから出ていますけれども、昨年の九月に、このキヤノンは、請負や派遣労働者を正社員化する方針を決めたというんです。ところが、昨日の公聴会で、労働組合キヤノンユニオン・宇都宮支部長の大野さんがこういう証言をされました。喜びもつかの間、請負会社から突然、五月に派遣契約から請負契約に変更されたばかりの契約を、再度派遣契約に戻すと通告されました、会社側の詳しい説明は一切なく、請負から派遣、そして請負、そしてまた派遣契約にと、ころころと契約形態を変えられただけだった、同僚がキヤノンで中途採用をしていると聞いて、自分も受けようとしたら、求人広告には、キヤノンで働いている派遣、請負社員は正社員の採用試験を受けられないと明記されていた、こう言っているんですね。 こういう具体的な事例があるわけですから、これは経団連の会長さんの企業であります、こういうところに対して、こういうことは事実ですか、もしあったら直してください、こういうことをおっしゃるのが総理として当然のことではないかと思いますが、その意思はありますか。
○安倍内閣総理大臣 この場で個々の企業の状況について申し上げることは差し控えさせていただきたい、このように思うわけでありますが、当然、私どもが目指している働き方の改善等は十分に御理解をしておられると思います。その中で、正規雇用をふやしていく努力もしていかれるでしょうし、また、派遣で雇っておられた方々がいわば正規社員になっていくという道についても当然考えていかれる、私はこのように思っております。
○佐々木(憲)委員 理解しているならこんなことはしないわけですから。現実に企業の中でこんなことが行われているんですから。そんなことも具体的にできないようで、再チャレンジと幾ら言っても、どうも、中身がないばかりか、私は、こういうことをやっているキヤノンをかばっているとしか思えませんね。 総理がかばうから、御手洗会長は言いたい放題で、経済財政諮問会議でこんなことまで言っているんですね。偽装請負問題を指摘されて、請負制度に無理があると。偽装請負を告発された側が、法律の方が悪いと居直っているわけですよ。とんでもない話でありまして、それだけじゃなくて、今の派遣法のように三年たったら正社員にしろというのは硬直的だとか、派遣法を見直してもらいたいと、格差を固定化するような、再チャレンジを妨害するような発言をしているんですよ。残業代ゼロのホワイトカラーエグゼンプションをあくまでも国会で通せ、こういうことまで言っている。こういう言いたい放題をたしなめもせず、ただ聞いているだけじゃないのか。 経済財政諮問会議というのは財界の言い分を実行する司令塔になっていると言われても仕方がない、そう思いませんか。
○安倍内閣総理大臣 そこは共産党とは見解が違うところでございますが、先ほど、派遣法についての言及の中においては、いわば突発の事故があったとき等々において指示ができないというのはおかしいじゃないかということでおっしゃったんだろうと私は記憶しているわけでございますが、いずれにせよ、法律を遵守していくのは当たり前のことでありますし、また、非正規の正規雇用化を目指していただかなければならない。 私は、このようなことはもう既に、今までお目にかかったときには何回か御本人には申し上げているということは、この場ではっきりさせておきたいと思います。
○佐々木(憲)委員 それなら効果が具体的にあらわれなければならないのに、全然あらわれてないですよ。 私は、重大なことは、この裏で政治献金があるということなんですね。日本経団連は、自民党など政党の政策評価というのをしていまして、政党にAからEまでの五段階で通信簿をつけて、経団連は、その通信簿でいい点をとった政党に献金を集中するようにと企業に呼びかけているわけです。いわば経団連の言いなりになる政党に献金せよということであります。これはまさに通信簿方式による政策買収というものだと思うんです。 例えば、具体的な数字をいいますと、こうなっているんですね。(パネルを示す)自民党の点数A、これは五段階のAです。これは二〇〇四年のとき三個だった、二〇〇五年のとき四個だった。二十二・六億円、これが二十五億円にふえた。九個になったらもっとふえるんじゃないか。こういうふうに、いわば通信簿でいい点をとることが献金をふやすということで、いわば言いなりになればなるほど献金がふえる。 こういう仕組み自身を、これは癒着ですよ、断ち切る意思はありませんか。
○安倍内閣総理大臣 政策を評価するのは、これはもう経団連が独自に評価をしていただいているわけでありまして、私どもが評価してくださいと言っていることは全く……(佐々木(憲)委員「当たり前だ」と呼ぶ)それは当たり前のことでございます。 そして、大切なことは、私たちは常に国民のためになる政策を考えています。それ以外のことは全く考えていないということをはっきり申し上げておきたい。つまり、その結果として経団連がどのように評価して献金をするか、こういうことではないかと思います。
○佐々木(憲)委員 大体、経団連の御手洗さんに一言も物が言えないような状況で、お金をもらい、献金をもらい、そして、政策そのものも経団連の言いなりの政策を実行する、そういう癒着体制、まさにこれは、官邸が経団連によって直接支配されていると言わざるを得ないですよ、そんな状況は。 私は、日本の働く人々のためにも、また日本の経済のためにも政治のためにも、このような経団連による政治支配を一刻も早く脱却すべきだ、このことを指摘して終わらせていただきます。
○金子委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。 次に、菅野哲雄君。
○菅野委員 社会民主党・市民連合の菅野哲雄でございます。 私どもは、今議論になっております非正規雇用の方々を、正社員にすべきであるということを思っております。この点に絞ってきょうは質問させていただきます。 まず柳澤厚生労働大臣にお聞きしますけれども、偽装請負、偽装出向という問題が表面化しています。この表に出ているのは氷山の一角だと思います。社民党といたしましても、いわゆる偽装出向で是正指導を受けた都内の自動車メーカーに調査団を派遣し、また、昨日公聴会で公述人として出席された、キヤノンで働く請負労働者の方々からもヒアリングを行うなど、この問題を注視してまいりました。 そこで、派遣労働についてお伺いします。 一九八六年、労働者派遣法が施行され、その後、対象業務を製造業にも拡大するなど、何度かの法改正がありました。それでも、直近の二〇〇三年の改正時において、厚生労働省の民間労働力需給制度部会の最終報告では、長期雇用を慣行とする我が国においては、労働者派遣事業は臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策であると位置づけております。 厚生労働大臣、派遣事業はあくまでも臨時的、一時的な需給調整対策であるという位置づけについては今も変わりありませんか。お伺いいたします。
○柳澤国務大臣 まず、昭和六十年、一九八五年に制定されました労働者派遣法につきましては、経済社会構造の変化や価値観の多様化に伴う、企業や労働者の多様な働き方に対するニーズに対応すべくこれを制定し、その後、数次の改正を行ってきたという経緯でございます。 平成十一年、一九九九年の労働者派遣法改正におきまして、ネガティブリスト化して対象業務を拡大し、その際、臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策、こういう位置づけをいたしましたが、平成十五年、二〇〇三年の改正を経た現在におきましても、その位置づけに変更はございません。
○菅野委員 政府はそういう位置づけにしているにもかかわらず、今の労働者派遣を行っている事業所の数はウナギ登りにふえて、現在約四万七千、そして、派遣を受け入れている事業所は六十六万。日本全国にある事業所や事務所、そのうち、先ほどもありましたけれども、三分の一以上が派遣労働者を雇っていることになります。派遣労働は、安価で使い勝手のいい労働力として恒常的な存在になっています。派遣事業、派遣会社は今や成長産業の一つと言われています。 厚生労働大臣、この現状は、派遣事業が一時的、臨時的な対策、この域にとどまっているというふうに認識しておられますか。
○柳澤国務大臣 最初に派遣労働法が制定されたときの専門的、技術的な分野と、それが最終的に二十六業種まで広がっておったんですが、その後、ネガティブリスト化をして製造業なんかも入ってきた。そのときにこの臨時的、一時的ということになっているということでございます。 したがいまして、今の状況ということは、やはり臨時的、一時的な労働だというふうに認識を、そちらの、後で広げた方について私はそのように認識をしております。 つけ加えれば、したがってそれは、有期限で、それが終わったときには、やめるか、雇用の申し入れをしなければならないという義務づけが行われているということです。
○菅野委員 大臣、それでは、きのうの公述人の大野さんの公述を聞いていただきたいと思います。キヤノンの宇都宮工場で十年間非正規雇用として、大野さんは六年間ですけれも、最長の人は十年間、非正規雇用のままで働き続けているんです。この実態が製造業の部分で起こっているということなんです。大臣、三年とか一年とかという有期雇用じゃないんです。十年ですよ。今のこのことを私どもは問題にしているということなんです。 それで、そういう実態に今職場があるということを踏まえて、非正規雇用、非正社員の正社員化ということをいかにしたらできるのかということで私は政府に求めていきたいというふうに思うんです。 総理は、参議院厚生労働委員会で、非正規の方が正社員に転換することが可能な社会をつくるべく努力したいと答弁しております。そして厚生労働大臣も、先日の予算委員会で、このことは安倍内閣の一致した考えであるというふうに述べられています。これは今、政府全体の一致した考えであると。 でも、現状はどうなっているかということなんですが、驚くことに、政府の資料によっても、派遣先の七割が派遣労働者を社員に登用する制度がないということなんです。これは政府の資料によって明らかになっています。そして、一般派遣でも常用型でも、一定期間を経た後、受け入れ企業に直接雇用の申し出義務が発生します。にもかかわらず、七割の企業で直接雇用に転換する制度をつくっていない。これは大変ゆゆしき事態だというふうに思うんですね。 それで、こういう実態を受けて、先ほどからも議論になっていますけれども、経営側から直接雇用の申し出義務の撤廃を求める声が出てきている。とんでもない話だと私は言わなければならないと思います。 それで、正社員化が可能な社会をつくると言うのであれば、受け入れ企業に直接雇用申し出義務を徹底させ、同時に、正社員登用制度の創設を義務づけるべきだと思うんですが、大臣、この考えはありますか。
○柳澤国務大臣 これは大変難しい問題なんですね。つまり、派遣労働者というのは派遣元と雇用関係にあるわけなんですね。したがいまして、派遣元の労働者を今度は派遣先の企業と雇用を義務づけてしまうというようなことになりますと、これはある意味で引き抜きみたいなことの現象も起きかねないわけでありまして、これはなかなか難しい問題をそこに含んでいるというふうに私どもは考えております。 しかしながら、広く企業が正社員登用制度の整備に取り組むための方策についてどういうふうな道があるのかということは、今後の課題として検討してまいりたいと思います。
○菅野委員 今後の課題じゃないというふうに思います。これは早急な課題だというふうに思います。 というのは、製造業に門戸を開放したときにこの条項がついているんです。本来であれば、この労働者派遣法の趣旨に従って各企業が受け入れ体制を、派遣元じゃなくて派遣先の企業が、派遣労働者を受け入れる企業が整備すべきなんです。それが、三割の企業は整備している、しかし、七割の企業が未整備なんです。これを整備しなさいということを私は言っているんです。このことが問題があるとかそういうことじゃなくて、早急にやるべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。 そして今、労働法制国会と言われておりますけれども、労働契約法案の要綱が閣議決定されております。労働政策審議会の分科会での議論では、昨年の素案段階で、請負労働者も対象範囲に含めることが検討課題にされていました。法案要綱では対象からもう外れています。 請負で働く人の中にも、正社員を望む方はたくさんいらっしゃいます。昨日の公聴会で、キヤノンで働く請負の青年がそのことを切実に訴えておられました。ところが、請負は派遣と違って厚生労働省の許認可も不要、請負労働者を保護する制度は大変に貧弱です。請負を労働契約法の対象外としたのは私は大きな問題だというふうに思います。 また、これだけ非正規雇用が増大している中では、有期雇用あるいは非正規雇用の契約については、利用できる条件の制限を企業側に課して、労働契約の入り口で非正規契約の規制をすべきだと私は思うんです。厚生労働大臣、お考えをお聞きいたします。
○柳澤国務大臣 労働政策審議会に諮問いたしました労働契約法案要綱におきます労働者の範囲につきましては、労働基準法と同様とすることとしておりますが、労働基準法上の労働者とは、事業または事務所に使用され、賃金を支払われる者を言うものであって、労働者であるか否かは、契約形式にとらわれず、その実態によって判断することといたしております。 したがいまして、労働契約法におきましても、これと同様に、労働者であるか否かは契約形式にとらわれず、その実態によって判断することとし、たとえ請負という契約形式であったとしても、その実態によっては労働契約法の対象となる労働者と判断されることもあり得ると考えておるわけでして、実態に即した判断をして法を運用していこうという趣旨に出るものでございます。
○菅野委員 この点に関しては、これから法案の質疑がなされますから、徹底して議論していきたいというふうに思っております。 総理にお伺いしたいんですが、再チャレンジ総合プランを拝見させていただきました。先ほども総理は答弁しておりましたけれども、行動計画では、パートなど非正規を対象とした施策もずらっと並んでいます。数えたら十一施策、総理も先ほど十一施策と答弁していましたね。 しかし、総理が正社員になりたい非正規の方々の思いを本当に受けとめるのであれば、労働者派遣法、労働契約法、パート労働法、そして、対策が講じられていない請負労働の分野で正社員化への道を制度として確立する義務を使用者側に求めることこそ必要ではないでしょうか。残念ながら、再チャレンジのメニューには、企業に正社員化を義務づけるようなものはありませんでした。失礼かもしれませんが、このままでは、再チャレンジプランは底の抜けたおけで水をくむようなものではないでしょうか。 総理、正社員化への道についていかがお考えですか。決意のほどをお聞きいたします。
○安倍内閣総理大臣 この再チャレンジ支援の総合プランは、私は、確実に成果を出す、このように確信をしております。まず、そのことを申し上げておきたいと思うわけであります。 そこで、義務化でありますが、果たしてその義務化がそもそもなじむか、現実的であるかどうかということではないだろうか、このように思うわけでございまして、結果としてこれは、雇用の面において逆の結果が出てくるということも考えられるわけでございまして、そこはやはり、ある程度柔軟な仕組みの中において、なるべく希望を持っている方々が努力を積み重ねていくことによって正規労働者の道が開かれていくというこの姿が正しい道ではないか、私はこのように思います。
○菅野委員 やはり総理、今、非正規雇用労働者というのが、先ほどの経済財政大臣の答弁でも一千六百三十三万人、非正規労働者ですよ。そして、ふえて今は一千六百五十万人とも言われております。この人たちは、きのうの大野公述人の話にもあるように、職場でこういうふうに非正規雇用で働いていて、意欲を持って産業のために携わっているという人たちがいるんです。その人たちは、派遣労働で甘えていた、でも、正規雇用の道があるんであれば、一日でも早く安定した身分で働きたいんだと訴えています。 これは、すべての人を義務化するというんじゃなくて、最低でも、派遣が製造現場で一年を超えたならば、その働いている人からの申し出によって、申し出があれば正規の社員にしていくんだという道を再チャレンジプランの中で私はつくるべきだと思うんです。そのことを総理大臣としてはっきり明示しない限り、この一千六百五十万人と言われる非正規労働者の正規社員への道というのは開かれていかないんだというふうに思うんです。 ぜひ総理大臣、もう一回その決意をお聞きしておきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 この六年間、我々は、構造改革を進める中において、国民の努力もあわせ、相互作用によって景気を回復しているわけであります。その結果として、有効求人倍率も〇・五だったものが一になってきています。そして失業率も、五・五%だったものが四・一までこれは下がってきたのも事実ですね。そして、非正規から正規になるべくいけるような努力も私たちはしてまいりますが、正規雇用も三四半期連続ふえているのも事実なんです。 まず私たちは、しっかりとした成長戦略を進めていくことによって労働市場がタイトになっていって、人材に投資をしなければいけない、正規雇用のもとで安心して働ける、そういう環境をつくることによって初めて優秀な人材が確保できるということになっていく、そういう姿を我々は目指していかなければならない、このように思っているわけであります。そこでやはり、非常にある意味硬直的な仕組みをつくることによって柔軟な対応ができなくなってしまっては元も子もなくなってしまうという可能性も私はあるのではないだろうかと思います。 しかしながら、非正規雇用の中で正規雇用になりたいという希望を持っている方々、また、派遣労働の中で、そこの職場において技術を身につけていく中において、正規の方々とほとんど同じ能力を持った方々が正規社員の道が開かれるように、我々もさまざまな努力をしていきたいと思っております。
○菅野委員 総理、最後に申し上げます。 非正規の方々が正社員に転換することが可能な社会をつくるべく努力していきたい、こう申し上げています。これが内閣の一致した考えであるというのは踏襲されています。今回、労働法制の改正が行われますけれども、この正社員化への道というのがまだ開かれていません。ぜひ、この正社員化への道というのを早急に開いていくべきだということを強く申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○金子委員長 これにて菅野君の質疑は終了いたしました。 次に、糸川正晃君。
○糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。 まずは、いろいろとお騒がせいたしました。御心配をおかけいたしました。ありがとうございます。 本日は集中審議でございますので、労働問題について質問をさせていただきたいと思います。 まず、総理にワーキングプアの認識についてお伺いしたいと思うんですが、現在、ワーキングプアや格差の拡大が大きな問題となっております。この予算委員会でも大変活発な議論をされておるわけでございます。ワーキングプアの定義は明確になっておらず、一般論的には、正社員並みに働いても生活保護水準以下、年収二百万円以下というんでしょうか、の収入しか得られない就業者のことというふうにされておるようでございますが、四百万世帯とも五百五十万人だとも、こういうふうにも言われておるわけでございます。 このように、一生懸命働いてもなかなか貧困からはい上がることができない、こういう人たちがふえているこの現状について、政府の現状認識についてお伺いをしたいというふうに思います。
○安倍内閣総理大臣 いわゆるこのワーキングプアについては、その範囲や定義に関してはさまざまな議論があり、現在のところ、我が国では確立した概念はない、このように承知をしております。 そしてまた、働いても働いてもなかなか賃金もふえていかないし、十分な生活に資する賃金を得ることができない、そういう状況に置かれている方々はいつの時代にもおられるんだろう、それは私はそのように思うわけでありますが、いわば今ワーキングプアと言われる方々でありますが、ワーキングプアや貧困と指摘をされた方々について言えば、これは、ワーキングプアのみならず、いわば貧困の中にあると言われている方々について言えば、フリーター等の非正規雇用の方々、あるいはまた母子世帯の方々、生活保護世帯の方々ではないか、このように思います。 そういう方々に対しては、例えばフリーターの二十五万人常用雇用化プランを進めていく、そしてまた、パートタイム労働法の改正によって、非正規雇用から正規雇用への転換を促進していかなければならないと思います。 そしてまた、母子世帯に対しましては、就労支援を初めとして、総合的な支援を推進していかなければなりません。母子世帯の中でも、既に職を持っておられる方々も、より高い収入の仕事に移っていけるようなそういう就労支援も行っていかなければならないと思います。 また、生活保護世帯に対しては、福祉事務所とハローワークの連携等によって就労支援を推進していかなければならないと思っています。福祉は福祉、就労は就労と別々の取り組みではなかなか成果は出ないんですが、これを一緒に取り組んだところは、割と就労支援で大きな成果を出しているところもございます。 こうしたさまざまな政策を進めることによって、働く人全体の所得や生活水準を引き上げながら格差の固定化を防いでいく、そのための成長力底上げ戦略に取り組んでいく考えであります。
○糸川委員 そこで、この成長力底上げ戦略というものをつくられて、塩崎官房長官を主査とされましてことしの二月一日に設置されました成長力底上げ戦略構想チーム、これは当初、ワーキングプアに正面から取り組むというふうに基本姿勢のところに書かれておるわけでございます。そこを期待しておりましたけれども、二月十五日に取りまとめられました成長力底上げ戦略の基本構想を見ますと、ワーキングプアという言葉、この文字はどこにも入っていないわけでございます。 政府は今後、今総理がおっしゃられているような方向で取り組まれるのか、これは官房長官にお聞きしたいと思います。
○塩崎国務大臣 確かに当初、紙にも残っておりますけれども、いわゆる格差問題、いわゆるワーキングプア問題に正面から取り組むというふうに書かせていただいておりました。 先ほど総理から答弁申し上げましたように、このワーキングプアというのは、ちょうど去年のNHKの番組で取り上げられて国民的な関心を呼んだもので、私もしっかり見ました。確かにいろいろ考えさせられる番組であったと思います。ただ、この定義が、アメリカの一九六〇年代に農務省がつくったもので、最低限の食費から換算してその三倍というような形でワーキングプアを定義してきて、それに後ずっと延長してきた。そういうことで、いろいろと国内でもアメリカでも問題を指摘されているような定義のようであります。 私たちも、あのNHKの番組では四百万世帯、一〇%と言われていますけれども、その定義にこだわるよりは、さっき総理から申し上げたように、いわゆる格差問題、あるいはいわゆるワーキングプア問題の対象とされるような人たちというのは、例えば、さっきのフリーター、母子世帯、生活保護、障害者、そういった方々全体を包含するような政策対応を打っていくべきではないのか、そういう中で全体の生活の底上げをしていこうじゃないか、成長戦略の一環としてそれをやっていこう、こういうことで、我々としては、いろいろな統計を、実は、正直言って役所の中でもいろいろ調べてもらいました。 しかし、そこで定義の議論に時間をかけるよりは、やはり全体が含まれるような、皆さんが取り上げているような方々全員が入るような政策を取り上げて、さっき申し上げたような、就労支援、それから人材能力開発、それから中小企業底上げ戦略ということで全体を底上げしていこうじゃないか、こんなことで、ワーキングプアという、定訳がないというか定義がはっきりしていない言葉を使うよりは、全体を対象にしていくきっちりした政策を組んだ方がいいだろうということで、こういうふうにさせていただいたところでございます。
○糸川委員 それはぜひ定義をしていただかないと、ちまたではやはりワーキングプアという言葉が使われているわけでございます、マスコミの間でもどこでもこのワーキングプアという言葉が使われておるわけでございますから、ぜひそれは定義をしていただきたいなと。 もし、この底上げ戦略の中の、「「ワーキングプア」の問題に正面から取り組む。」というふうに書いてしまっている以上、この言葉を使わないのであれば、ここになぜ使わなくなったのかということの説明を入れていただいた方が理解しやすいんじゃないかな。これを全部含んでいるんですよということではなくて、そのように気を使っていただくというのも、思いやりのある政府になるんではないでしょうか。 そこで、ワーキングプアのこの問題の原因としまして、パートタイマー、フリーター、派遣労働者、こういう非正規雇用者の増加が挙げられるわけでございます。そして、この問題を解決するためには、これら非正規雇用者の賃金の底上げが必要であるわけでございます。これも、さまざまもうこの予算委員会でも議論されておりますけれども、その手段として最低賃金の引き上げが必要であるというふうにももう我々は考えているわけでございます。 しかし、この最低賃金の現状を見ていますと、青森ですとか岩手、秋田、沖縄、この四県は時給が六百十円でございます。最高は東京の七百十九円でしょうか。仮に、この六百十円で一日八時間、そして一カ月二十二日間働いたとしましても、月に十万七千そこそこしか得られないわけです。これでは、一生懸命働いても貧困から抜け出すことができない。これは、働いても働いてもいつの時代にもそういう人がいるのは仕方ないとおっしゃられるかもしれませんが、これはやはり何とかしなければならないわけですね。 そこで政府は、今国会に最低賃金法、これを提出され、地域別最低賃金の決定に際し、生活保護との整合性も考慮する、そういう決定基準を明確にするんだというふうにしておりますけれども、この最低賃金法の改正案というのは、最低賃金を引き上げることを念頭に置いたものというふうに考えてよろしいんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 詳しくは厚生労働大臣からお答えをいたしますが、先ほど私が申し上げたのは、いわば、働いてもなかなか厳しい状況の方々がおられるのはいつの時代もそうだ。その方々がおられるのは仕方がないということは申し上げていない。そういう方々に光を当てていくというのは、これは当然政治の使命だ、こう思っています。 その中で、今、糸川委員が指摘をされたように、最低賃金、セーフティーネットとして十分に機能しているかどうかということで見ますと、生活保護との水準、これが逆転をしているところもあるわけでございまして、そこはやはり、働きがいがある最低賃金にしていく必要も当然あるのではないかということにかんがみ、私は、四十年ぶりのこれはいわば大改正をしなければいけないと思っております。
○柳澤国務大臣 具体的なことを補足申し上げますと、最低賃金の具体的な水準については、公労使三者構成の地方最低賃金審議会における、地域の実情を踏まえた審議を経て決定されるものでございます。 今回の法案が成立した暁には、それぞれの都道府県の今申した地方最低賃金審議会において法の改正の趣旨に沿った議論が行われて、現下の雇用、経済情勢を踏まえて適切な措置が講ぜられるものと思いますが、その方向は引き上げだということであると私は思っています。
○糸川委員 大臣、私は思っていますということは、では、引き上げの方向ということでよろしいわけですね。 日本の最低賃金がイギリスやフランスと比較しても低いということですから、そうすると、今のこの最低賃金額というのが適正ではないという認識だということでもよろしいんでしょうか。 例えば、日本の最低賃金の全国加重平均は六百七十三円でございます。イギリスやフランスの最低賃金は時給千円を超えておるわけでございます。アメリカにおきましても、この引き上げ法案が下院で可決しておるわけでございます。 ですから、そういう観点からも、今のこの日本の最低賃金という額が適正であると逆にでは思っていらっしゃるのかどうか、再度御答弁いただけますでしょうか。
○柳澤国務大臣 大体ほかの国においても同様でございますけれども、最低賃金の決定は審議会の議を経る方式を採用しておられる、そういう国が多いわけでございます。我が国におきましても、公労使の三者により構成される地方最低賃金審議会の調査審議を経て決定する、こういう方式が採用されているわけでございます。 したがって、このような最低賃金を、それぞれの国において労使も参加して決めたことでございますので、その具体的な水準を高いとか低いとかというふうに評価することはやはり適切でないと私どもは考えるわけでございます。 なお、今国会に提出する改正法案におきましては、最低賃金制度が安全網として十分に機能するよう、地域別最低賃金について生活保護との整合性も考慮することを明確にすることといたしているところでございまして、これによって最賃制度が安全網として一層適切に機能することとなる、このように考えている次第です。
○糸川委員 それが適正かどうかということを判断することが適当ではないということでしょうけれども、先ほど大臣は、この最低賃金を上げる方向だということでございますので、おのずから何を言いたいのかということはわかってくるんじゃないかなというふうに思います。 次に、過重労働、サービス残業について質問させていただきたいと思うんです。 現在、過労死、過労自殺、そしてメンタルヘルス問題の解決が喫緊の課題となっておるわけでございます。また、国民の関心も高いわけです。今国会への提出が予定されておりましたホワイトカラーエグゼンプション制度、これも、残業代の不払い制度そして過重労働を助長するものだというふうな世論の批判もありまして、政府は今国会への法案提出を断念したのではないかというふうに思います。しかし、この法案が提出されなくても、現在、長時間労働にあるという厳しい現状が変わるわけではないわけです。 過労死の労災補償の状況というものを見ますと、平成十七年度は、請求件数が八百六十九件、認定件数が三百三十件と、ともに過去最高となっておるわけでございます。この認定の仕方が甘くなったのか、基準が甘くなったのかどうかというのも含めてなんですが、ILOが調査した週の労働時間五十時間以上の労働者割合を見ますと、日本が二八・一%だ。断トツのトップでございまして、ニュージーランドが二一・三%、イタリアですと四・二%と非常に低い状況にあるわけでございます。 このように、諸外国と比べて日本の労働時間が長くなっているという状況について、まず政府の認識をお尋ねしたいと思います。
○柳澤国務大臣 総実労働時間は、労働者全体としてはむしろ減少の傾向にございます。しかしながら、短時間労働者の割合が高まっている一方、一般労働者については、だから依然として長時間労働の実態がある、こういうふうに解されるわけでございます。 中でも、子育て世代の男性を中心に長時間労働者の割合の高どまりが見てとられまして、仕事と生活の調和の実現などの観点から、長時間労働の抑制を図ることが必要である、これが我々の認識でございます。
○糸川委員 そうすると、政府は今後、時間外労働の、つまり残業、これを削減するために、今国会に、時間外労働の割り増し率というんでしょうか、これを引き上げることを内容とする労働基準法の改正案を提出することとされておるわけだというふうに思いますが、この法案は、現在の割り増し賃金率二五%を、ある一定時間以上時間外労働をさせた場合、五〇%に引き上げるというふうに聞いておるわけですが、割り増し賃金率の引き上げが本当にこの時間外労働の削減になるのか、それとも逆にサービス残業がふえてしまうのか、その辺の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○柳澤国務大臣 今御指摘のように、長時間労働を抑制するために、今国会に提出する労働基準法改正法案には、法定割り増し賃金率を引き上げる、そういうことを盛り込む予定にいたしております。 そして同時に、時間外労働の削減に積極的に取り組む中小企業に対する助成金を創設する、さらには、限度基準告示と申しまして、政府が限度時間の目安を示す告示を出しますが、ここにおきまして、一定時間を超える時間外労働をできるだけ短くするよう努めることを労使双方に求めるということ、さらには、労働基準監督署による長時間労働についての監督指導の強化を図る、こういうような措置を盛り込む予定にいたしておりまして、全体として私どもは長時間労働の抑制を図ってまいりたい、このように考えております。
○糸川委員 それから大臣、もう時間がありませんので、最後、一問聞きます。 長時間労働者への医師による面接指導の実施というのがあると思うんですが、これは、事業者は、労働者の週四十時間を超える労働が一月当たり百時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申し出を受けて、医師による面接指導を行わなければならないというふうになっておるんですが、労働者の申し出により行うということが本当にその実効性に疑問があるんですが、この面接指導が適切に実施されるための方策について簡潔にお聞かせいただけますでしょうか。
○柳澤国務大臣 ただいま糸川委員がおっしゃられたとおり、労働安全衛生法の長時間労働者への医師の面接の指導制度というものが平成十八年四月から実施されたところでございまして、今、現にこれを実行いたしているところでございます。 この面接指導制度につきましては、労働者が疲労の蓄積を自覚した場合に事業者に対して申し出を行うことができるよう、事業者に対して、申し出様式の作成、申し出窓口の設定などの事業場における体制整備につきまして、パンフレットを作成、配付して啓発に努めているほか、集団指導、監督指導、個別指導等あらゆる機会をとらえて指導をしているところでございまして、この面の指導をさらに今後徹底してまいりたいと考えております。
○糸川委員 ありがとうございました。 温かいお声をいろいろといただきましたので、最後にまた御礼を申し上げます。ありがとうございました。
○金子委員長 これにて糸川君の質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時一分散会