法務委員会 第13号
- 発言数
- 35 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 2006/11/28
会議録
○七条委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 本日は、参考人として企業会計基準委員会委員長斎藤静樹君に御出席をいただいております。 斎藤参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 斎藤参考人におかれましては、御多忙中にもかかわりませず、こうして御出席を賜り、また、この委員会につきましては、何度も何度も予約をいただき、あるいは御予定を割いておいていただきながら、きょうになってしまいましたことを、厚く厚く御礼を申し上げたり、きょうはまたこうして御出席を賜りましたことに感謝を申し上げます。どうかよろしくお願い申し上げます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長寺田逸郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○七条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○七条委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。早川忠孝君。
○早川委員 自由民主党の早川忠孝でございます。 斎藤参考人におかれましては、大変御多忙のところ、御出席賜りまして、心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。 まず、本日お越しいただいた趣旨を御説明するために、まず、信託法案及びその整備法案についての衆議院法務委員会における審議経過を御説明しておきたいと思います。 信託法案及びその整備法案につきましては、本年十一月十四日、衆議院法務委員会において、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案に係る修正案による一部修正の上可決され、十一月十六日には本会議においても修正決議されて、既に参議院に送付されているところであります。このように、信託法案及びその整備法制についての衆議院での審議は終了しておりますけれども、このような段階で法案に関連した質問の参考人としてお越しいただくことは、極めて異例でございます。 しかしながら、当衆議院の法務委員会では、委託者がみずから受託者となる自己信託という新たな制度に関しまして、このような附帯決議が付されているところであります。すなわち、「自己信託については、委託者と受託者とが同一人であるという制度の特質に応じた必要な特例が設けられた趣旨にかんがみ、適用が凍結された一年間が経過するまでに、その周知を図るとともに、会計上及び税務上の取扱いその他の事項に関する検討、周知その他の所要の措置を講ずること。」こういう附帯決議が付されているところであります。 今回の信託法の改正におきましては、自己信託を中心としまして、信託に関する会計のあり方がどのようになるかという点が極めて重要な関心事項となっているところでございます。 そこで、本日は、信託に関する会計についての検討がどのようなスケジュールで進められるかなど、幾つかの点について確認をさせていただきたいということで、実際の検討に当たられます企業会計基準委員会の委員長である参考人、斎藤静樹教授に御足労をいただいた次第でございます。 そこで、まず、本日の質問の大前提といたしまして、参考人が委員長をされております企業会計基準委員会とはどのような性格の組織であるのか、まず御説明をお願いしたいと思います。
○斎藤参考人 企業会計基準委員会と申しますのは、我が国の企業会計基準の設定と、それから国際的な会計制度への貢献とを役割といたしまして、二〇〇一年に設立されました民間財団でございます。民間の財団法人であります財務会計基準機構というところ、これは、日本経団連や日本公認会計士協会等主要な経済団体を設立母体に設けられておりますけれども、その中の独立組織でございます。この種の役割は、従来は金融庁の企業会計審議会が担ってまいりましたけれども、国際的な流れへの対応ということもございまして、二〇〇一年に私どもの委員会がその権限を引き継いだという次第でございます。 もとより、私どもの会計基準は社会の規範となるべきものでありますから、民間の委員会が決めたというだけでは直ちには社会の規範にはなりませんので、それについて、金融庁による承認というプロセスが必要になってまいります。 そういう役割を担って、現在は、常勤二名を含む十三名の委員で構成しておりまして、主として、会計情報の作成者、利用者、それから監査人並びに学識経験者によって構成し、透明かつ適切な会計基準の設定について努力をしている、そういう組織でございます。
○早川委員 ありがとうございます。 企業会計基準委員会では、本年の十月二十四日、信託に関する会計処理基準のあり方について検討を行う旨決定されたと伺っております。具体的には、どのようなことが決定されたのでありましょうか。 また、先ほど申し上げましたけれども、自己信託は非常に専門的な分野であり、一年間の施行の凍結で検討が十分にできるのか疑念を示す意見も、当委員会における質疑の中で示されたところであります。 そこで、企業会計基準委員会で行われます信託に関する会計基準のあり方の検討というのが、まず今後どのようなスケジュールで行われるか。特に、自己信託についての検討は、適用凍結期間が終了するまでの間に完了し、実務上の混乱などが生じないように措置されるものと期待してよろしいか。合同会社や有限責任事業組合の会計処理に関して、既になされた検討等と比べて特に難しいものなのかといった点を含めまして、可能な範囲での御説明をお願いしたいと思います。
○斎藤参考人 今般の臨時国会におきまして、自己信託、事業信託等の新しい信託制度の導入を含む信託法案が成立を目指して審議されるということ、また、さきに成立いたしました金融商品取引法におきましては、一定の信託受益権が新たに有価証券とされまして、これらについて公募等を行った場合には、その信託に係る財務諸表の開示や監査が必要になると見られますこと、これらを踏まえまして、会計問題を早急に検討し、会計基準等を整備するために、特別目的会社・信託専門委員会という専門委員会を私どもの委員会の内部に組織したところでございます。目下、事務局において論点の整理を進めておりますけれども、専門委員会のメンバーも既に参加をお願いしておりまして、早々に議論を始められる状態になっております。 それから、今後のスケジュールでございますけれども、国会におきます審議等を踏まえまして、現在、事務局において論点の整理を進めておりまして、今申しましたように、今月中には専門委員会での議論を開始する予定になっております。その後は、公正な審議を進める上で定められたデュープロセスを経るということになります。 具体的には、まず、今申し上げました特別目的会社・信託専門委員会による議論を踏まえまして、決議機関であります企業会計基準委員会において審議をいたします。これらはすべて公開で行われます。その後、公開草案を企業会計基準委員会で委員現在数の五分の三以上の多数によりまして議決、公表いたしまして、一カ月以上の期間、一般からの意見を聴取いたします。いわゆるパブリックコメントに付するわけでございます。そして、一般からの意見を踏まえまして、今の専門委員会で議論いたしまして、再度、企業会計基準委員会において審議し、最終決議をするという段取りでございます。 こういう手続に加えまして、会計基準というのは、市場参加者、市場関係者の広範な理解及び合意を得て開発されるものでございますので、具体的な日程を明言するということは大変難しゅうございます。しかし、問題の重要性と緊急性を十分に認識いたしまして、法律の施行時までには間に合うように迅速に取り進める所存でございます。また、お尋ねの自己信託につきましては、信託法案の施行からさらに一年という期間が設けられておりますが、関係者の理解と合意を得て、できる限り早く進めたいと考えております。
○早川委員 ありがとうございます。 大変丁寧な手続でもって検討をお進めになるということであり、しかも、今月から既に具体的な検討に入られるというふうに理解をいたしました。 それでは、引き続いて、会計基準についての具体的な内容に関する質問に入らせていただきます。 先ほども申し上げましたけれども、信託法案におきましては自己信託という制度を新設しております。この自己信託が行われた場合の会計処理がどうなるのか、当委員会における質疑でもいろいろな議論がございましたので、御所見をお伺いしたいと思います。 もちろん、先ほどお伺いしましたように、これを含めて企業会計基準委員会においては今後検討していくということでございますから、現時点においてお答えが可能な範囲で結構でございます。よろしくお願いをいたします。
○斎藤参考人 まず、自己信託のお話を申し上げる前に、一般の信託が行われた場合の委託者側の会計問題からお話し申し上げたいと思います。 委託者側が信託受益権を保有している間、その場合は、信託した財産をそのまま保有しているのと同じ効果を持ちますために、当該信託財産がそのまま委託者のバランスシートに残されるということになりまして、いわゆるオフバランス化の問題は生じません。他方で、受益権を売却した場合には、これは信託財産に対する権利を失うわけでありますので、その分がバランスシートから除かれる、つまりオフバランス化されるということでございます。 それで、自己信託をした場合でございますけれども、この場合でありましても、委託者側に受益権が生ずることに変わりはないわけでございます。したがいまして、自己信託した財産はそのままバランスシートに残されて、受益権を第三者に売却したときにオフバランスにされるということでございます。その点では、基本的に自己以外への信託と同様と考えてよろしいかと思います。 ただし、御懸念のように、委託者であると同時に受託者であるという特殊な状況、これが財務諸表の表示面で外から何かを見えにくくする、そういうことがないかどうかを検討して、場合によっては脚注などでの追加開示が必要ないかどうか、それらを慎重に検討する必要があるとは考えております。
○早川委員 次に、受託者が信託財産を用いて事業を行う場合の会計処理についてお伺いをいたします。 今回の信託法改正の議論の中では、受託者が財産を自己信託して事業をするといったことが具体的なニーズとして寄せられているとの指摘がございました。ただ、このように信託で事業が行われるということになりますと、会社や組合といったものと同様に連結の対象となるかといった点の整理が重要であるとの指摘も、当委員会における委員会質疑の中でございました。 そこでお伺いしたいのでありますけれども、このような観点から、信託と連結の関係についても企業会計基準委員会において検討がなされるのでしょうか。また、具体的な検討項目や検討の方向性についても、可能な範囲で御教示を願いたいと存じます。
○斎藤参考人 まず、お尋ねの連結範囲でございますけれども、これは基本的には連結原則の問題でございます。現在の連結原則では、会社、組合、それからこれに準ずる事業体は連結の対象になっております。信託につきましては、これは基本的に財産管理の問題、財産管理の制度でありまして、会計上は現物資産の信託で受益者が単独であればみずからが信託財産を保有しているものとして処理されておりますために、これまでは信託を連結対象と考える必要は乏しかったわけでございます。 その一方、金銭の信託につきましては、これを事業体とみなして、特に多数の受益者がいる場合の金銭信託でございますね、その場合にはこれを事業体とみなしまして受益権の会計処理をしておりますけれども、この場合には、文字どおり多数の受益者が投資家として関係いたしますために、だれかの連結対象になるということを考える必要が余りなかったというふうに思います。 しかし、金融資産とか不動産などの財産と異なる事業の信託でありますと、これは受益権の部分的な売却のケースで連結問題が生ずる可能性は当然否定できないわけでございます。この点は今後の重要な問題として慎重かつ迅速に検討いたしたいと考えております。 特に、自己信託による事業の信託と連結問題でございますけれども、これは、今般の改正案で事業の信託が新しく認められるようになったと言われますことから、従来からの不動産信託との違い、あるいは財産と債務をセットにした信託との関係などを含めまして、そこで言う事業の信託がどこまで現行ルールの延長上で考えられるか、どういう点で新しい対応が求められるか、それをまず検討する必要があると思われます。さらに、これに自己信託という要件が加わりますと、債権者との関係を含めて、どこまで他人への信託と同様に考えてよいかを検討する必要が出てくるわけでございます。関係者の意見を集約いたしまして、私どもとしては適切な会計処理を明文化したいと考えております。 なお、事業の分離につきましては、これは当委員会で昨年十二月に会計基準を公表して、本年の四月から実施しているところでありますので、この適用との関係も視野に入れて検討を進めることになろうかと存じております。
○早川委員 ありがとうございました。 極めて専門的な内容にかかわるものであり、さまざまな関係者からのヒアリング等もあわせて行いながら、安定的なわかりやすい会計基準をつくる。それから、社会の変化に応じてこういった新しい信託の分野というのが広がってまいりますので、この利用の適切な、かつ利用が促進されるような、そういう御配慮をお願いしたいと思います。 時間を少々余らせましたけれども、私の質疑はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。
○七条委員長 次に、大串博志君。
○大串委員 本日は、法務委員会での質疑の時間をいただき、ありがとうございます。 そして、きょうは、先ほど来議論もいただいておりますけれども、企業会計基準委員会の斎藤委員長にもおいでいただきまして、これまで審議をいたしました信託法案、そしてその留意点等々について議論をさせていただければというふうに思う次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 先ほど来議論がありましたように、今回の信託法の改正におきましては、自己信託という新しい制度が入ってくること、これを受けて、それが円滑な形で導入されるかということが非常に大きな論点でございました。施行まで一年半プラス一年という時間を経て、いろいろな法律以外の定めも行っていくというような形になってございます。その点について聞かせていただければというふうに思う次第でございます。 先ほど来の質問の中で、企業会計基準委員会の性格や役割、そして自己信託の場合あるいは事業信託の場合についての論点について、少々のやりとりを聞かせていただきました。その中で、もう少し議論をお聞かせいただきたいんですが、まず、昨今、いろいろな規制緩和あるいは規制改革が進んでおります。そういう中で、経済社会が複雑化しているというふうに言われておりまして、企業の資金調達あるいは事業のあり方などが非常に多様化している、複雑化しているというふうに言われています。そういう中で、企業運営が円滑になること、あるいは投資家の保護という観点も含めて、会計制度の重要性というのは極めて高まっているというふうに言われております。 企業会計基準委員会委員長の立場から、会計制度の重要性に関してどのようにお考えか、お聞かせ願えればと思います。
○斎藤参考人 企業会計制度と申しますのは、これは基本的には証券市場におけるディスクロージャー制度の一環でございます。会計基準は、その中核をなすものでございます。もちろん、証券市場への情報開示ということを前提といたしました会計基準は、会計情報、財務諸表のさまざまな利用者にとっても有用であるというふうに考えております。 ディスクロージャー制度がそもそも必要とされますのは、これは証券市場、資本市場における情報の非対称という問題がございます。つまり、企業の経営者側が企業に関する情報をたくさん持っている、一方で市場の投資家は余り情報を持たない、そういう情報の非対称が存在いたします。これを放置いたしますと、投資家側の企業のリスク評価が非常に保守的になりまして、結果において企業の資金調達コストがはね上がってしまいます。その結果として、証券市場は有効に機能しなくなるということがございます。 そのために、経営者の側にも当然情報を開示するインセンティブがありますけれども、同時に、虚偽もしくはバイアスを与えるインセンティブも働きますので、そういう虚偽やバイアスの可能性を防ぎながら、なおかつ、できる限りフォーマットを統一した均質な会計情報、投資情報を投資家に開示する、そのための最小限のルールを構成していくのが企業会計基準でございます。 その役割は、基本的に、今御指摘のように、資本市場、証券市場が拡大し、かつ複雑になるほど役割を高めるというふうに考えておりますので、今日におけるその重要性というのはだれしも否定できないというふうに考えております。
○大串委員 ありがとうございます。 今まさにお話がありましたように、資本市場が大きくなり、証券市場が発展していくにしたがって、会計基準、そしてディスクロージャー制度の役割というのは非常に大きくなっていく。法律の制度というものが一つありますけれども、それに付随する、付随するという言い方もよくないのかもしれません、それと一つのセットとなって社会や経済の規範をつくる、その一翼として非常に重要になってきているんだろうと思います。 そういう中で、今回、法律の制度が変わりまして、自己信託というものができるようになった。そういう中で、これからその一翼を担う会計制度を、さらに自己信託に関して検討を進められるというお話でありましたけれども、先ほど来お話にもありましたように、これから検討を進められるということでございますので、現在お聞かせ願える範囲ということで結構でございますが、自己信託という新たな制度、これは本当に新しい制度なわけですけれども、これに合わせて会計制度を整備する、これに関して我々はこの委員会の中でもいろいろな懸念や問題点、そして留意点等々を指摘してきたわけでありますけれども、委員長の観点から、具体的にはどのような課題といいますか、あるいは留意点、こういうものがあるか、この辺に関してお聞かせいただければというふうに思います。
○斎藤参考人 自己信託と申しますのは、これは申し上げるまでもありませんけれども、財産管理の制度であります信託に、さらに委託者と受託者が同一であるという追加条件が加わったものでございます。ですから、その位置づけの中でこの制度の意味というものを考えることになりますので、今申しました追加条件が信託の会計問題にどの程度の影響を持つかということを中心に検討していくということに尽きると思います。
○大串委員 今まさにおっしゃったようなところが問題の焦点となっていくんだろうと思います。 その場合に、その考える一つの物差しとして、これからいろいろ検討を進められるんだろうと思いますけれども、先ほど来からちらっと話もありましたが、この自己信託に関する会計制度を考えるに当たって、何がしかベンチマークあるいは参照となり得るような類似の制度、事例みたいなものはあるのか、それとも全く白地のところから考えていかざるを得ないようなものなのか、その辺のところはいかがでございますでしょうか。
○斎藤参考人 今申し上げましたけれども、自己信託というのも、財産管理の制度であります信託の方法の一つであるというふうに理解しております。このため、自己信託に関する類似の事例とかベンチマークになる制度といいますのは、まず何をおいても他人信託といいますか、自己以外への信託、通常の信託を考えるべきであろうと思います。 すなわち、信託財産の所有権というのは受託者にありますけれども、しかし、信託における経済的な効果というものは受益者に帰属いたしまして、受益者の意に反した処分はできないことなど、会計上はあたかも受益者が信託財産を保有しているものとみなして処理が行われているわけでありますが、これは自己信託においても基本的にしんしゃくされるというふうに考えております。 もっとも、通常の信託と異なりまして、自己信託というのは委託者イコール受託者でございますので、こういう特質も考慮に入れて、受益権を有している受益者である場合には財務諸表の表示において何か見えにくくなるということがないのかどうか、その場合に何かの補足的な開示が必要になるかどうか、そういう点を中心に慎重に検討するということになろうかと存じます。
○大串委員 ありがとうございます。 今まさにおっしゃったところが問題の核心なんだと思うんですね。すなわち、自己信託に関する会計制度を考える上での一つの基準、ベンチマークを与えるものは、今までの制度であるところの他人信託であると。この他人信託の制度を前提として、そこにどれだけ似ているのか、あるいは異なるのかということを踏まえながら検討していく。すなわち、自己信託が他人信託と違うのは、まさに委託者イコール受託者というところであって、そこがまさに他人信託との違いだったわけでございます。 今お話もありましたけれども、他人信託の会計基準を前提として自己信託はどう考えるべきかということを考えていくということであれば、実は、他人信託と全く違った、自己信託になった、まさに委託者イコール受託者というところのこの新しさのところを会計基準の検討の中でも考えていかなきゃならない。これは非常に難しいといいますか、新たな未知の領域に入っていくんじゃないかというふうに私は思いまして、それを今回の委員会の中でも議論させていただいていたわけでございます。 ちょっと一点確認させていただきたいんですけれども、監査の問題も今回、委員会の中で議論されました。自己信託された場合、特に事業信託されたような場合に、一定の場合、今回の法令では、限定責任信託の場合とか負債が二百億円以上の場合、この場合を除いては会計監査の規定がないことになっております。こういうふうに、一定の場合を除けば会計監査の規定がないという状況、これが果たしてこれでいいのかなという意見がございます。 すなわち、会社法、商法上の規定ではこういうふうなくくりになっているわけでございますけれども、例えば公開会社であればもう少し重い規制をかけるべきじゃないかとか、そういうふうないろいろな留意点があるんじゃないかと思いますが、この会計監査に関して何がしかの問題点あるいは留意点みたいなものがあるかどうか、お聞かせいただければと思います。
○斎藤参考人 投資家の保護を図るディスクロージャー制度におきまして、会計情報を開示するために必要になる会計基準とその会計情報が適正かどうか、それを保証する会計監査というのは非常に密接な関係がございますけれども、しかし、会計監査制度の問題は、実は、私ども委員会の守備範囲を超えるものでございまして、ただいまちょうだいいたしました御質問につきましては、企業会計基準委員会の立場ではお答え申し上げるのは少し難しいというふうに存じますので、御了承いただければと存じます。
○大串委員 恐らくそういう答えであろうとは思いましたけれども、問題として指摘させていただきたいというふうに思います。会計監査に関しましては、先ほど申しましたように、限定責任信託の場合あるいは負債が二百億円という場合を限定した上で、それを除いては会計監査の規定がないというふうになっておりますけれども、もう少し緻密な、例えば公開会社の場合はどうだ、上場会社の場合はどうだというふうな緻密な議論があっていいんじゃないかなということを申し添えておきたいと思います。 さて、もう少し自己信託に関して、あるいは自己信託を使った事業信託に関して議論を進めさせていただきたいというふうに思います。 今回の自己信託そして自己信託を使った事業信託を用いて、先ほど連結の話もありましたけれども、ライブドア事件のようなものの再発を惹起してしまうんじゃないかというふうな懸念も言われております。その根本のところは、私が見るに、ライブドア事件の根本のところは連結の規制のよしあしが非常に影響していたというふうに私は見ておりまして、今回、自己信託そして自己信託を使った事業信託を使った場合にライブドア事件のようなことが起きるかどうかという問題も、連結をどう会計基準の中で確保していくかということと密接に関連しているんじゃないかと思います。 まず第一に、ライブドア事件の発生を受けまして、会計制度の面では、先ほどの連結という観点も含めましてどのような改善あるいは整理がなされたか、この点に関してお聞かせいただければと思います。
○斎藤参考人 ライブドア事件そのものという個別のケースについての直接のコメントは控えさせていただきますけれども、そういうケースも含めまして、近来、投資事業組合に係る不適切な会計処理が指摘されておりまして、その適用に関する取り扱いをより明確にしなければならないという御意見を受けまして、本年の九月に、実務対応報告第二十号として、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」という文書を公表したところでございます。
○大串委員 ありがとうございます。 今おっしゃいましたように、ライブドア事件、直接ということもあるのかもしれないし、かつ、金取法というものができる、その内容の中で連結基準に関する改善が行われたというふうに理解しておりますけれども、今おっしゃいました実務対応報告二十号、そして、それをベースとしてQアンドAもつくっていらっしゃいます。 これをベースとした場合に、自己信託そして事業信託を行った場合に、一つのあるセクションが外部性をある程度持つわけでございますけれども、この実務対応報告二十号、そしてそれに基づくQアンドA、この内容をもってして、今回の自己信託あるいは自己信託を用いた事業信託の場合に連結となるかどうかということが判断できるようなたてつけとなっているかどうか、この点に関してお聞かせいただければと思います。
○斎藤参考人 現在、まず連結原則というものがございますが、そこでは、会社、組合、それからこれに準ずる事業体、これらが連結の対象となっております。 しかしながら、信託につきましては、基本的に財産管理の制度でございまして、現物資産の信託を行って受託者に移転しても、受益者が自分だけの単独であります場合、この場合には自分が信託財産を持っているものとして会計処理を行っておりますので、先ほど早川先生の御質問にも申し上げましたけれども、これまでは、信託を連結対象と考える必要性は乏しかったというふうに思われます。その一方で、多数の受益者がいる、そういう金銭の信託等では、現在は信託を事業体とみなして受益権の会計処理を行っておりますけれども、この場合にも、多数の受益者が個々の投資家として関係いたしますために、だれかの連結の対象になるということも、これまで余り考える実益に乏しかったわけですね。 ただ、今般、信託法案に関しましては、まさに自己信託と事業信託という概念が示されたために、信託と連結に関する問題の重要性を認識いたしまして、これから慎重に、しかし迅速に検討してまいりたいと考えております。
○大串委員 ありがとうございます。 今お話がありましたように、慎重かつ迅速にという審議をこれから進めていかれる、そうしないと、自己信託あるいは自己信託を使った事業信託の場合の連結の考え方は明らかに示されていかないということだろうと思います。 そのときに、連結開示となるかどうかというのがライブドア問題の場合には非常に大きかったわけでございますけれども、連結開示となるかどうかを考える際の基準としては、一つは持ち株基準というのがございますね。出資とかあるいは株式保有を通じて、どれだけ議決権に関して影響力といいますか決定権を持っているか、これが一つの基準。もう一つは、持ち株基準だけじゃなくて、実質的な影響力といいますか支配力を持っているか。すなわち、役員を送っているとかあるいは重要な技術を提供しているとか、そういうふうな実質的な支配力を持っているか。この双方が勘案された上で、連結開示となるかということが今考えられているというのが実相だと思います。 そして、非常に難しいのが、持ち株基準は客観的に出てきますので、考えることがある程度感覚的にもわかるわけでございますけれども、実質支配力基準、これがいつも非常に難しい検討内容になっているというふうに私は認識しております。 今考えますに、例えば会社が子会社をつくった、その場合に実質的な支配力があるかということを考える場合には、例えば役員を送っているかとか、あるいは重要な技術の提供があるかとか、そういうことのいろいろな客観的な検討もあるのでありましょうけれども、自己信託を用いて事業信託をした、すなわち、会社の一つのセクションを事業信託しました、この新たな形態の場合に、どういう論点なり視点なりを持って実質支配力があるというふうに考えるのかというのは、これは新しい制度であるだけに議論の取りかかりが非常に難しいんじゃないかというふうに私は思うわけです。 これを考える際にどのような点を留意していくのか、あるいは、類似の制度などを引っ張りながら、どの点を考えながら、どういうときに実質支配力があると考えるべきなのか。その辺、ヒントがあるかなしか、その辺に関してのお考えを聞かせていただければと思います。
○斎藤参考人 投資事業組合のところでもいろいろ検討した問題でございますけれども、実質支配力基準というのは、もともとは連結基準で、会社を対象につくられております。そのため、組合等のケースでは非常にわかりにくい問題がございました。そのため、私どもの先般の実務対応報告第二十号では、業務執行権というものを勘案いたしまして、従来の連結基準における実質支配力基準を組合等に適用するルールをつくったという次第でございます。それが恐らく基本的なベンチマークになって今後の問題も考えられていくというふうに思っております。 組合のケースでは、これは民法上の合有という考え方から、組合財産のうち自分の持ち分を直接有しているものとして会計処理を行っておりますので、問題を指摘されるケースが果たして連結の問題であったのかどうかということも含めて、これは当然論点になろうかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、信託と連結に関する問題の重要性を認識いたしまして、これも今後慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
○大串委員 今お話のありましたように、一つは、組合の場合の業務執行権、これも一つのベンチマークになると思いますが、自己信託の場合、事業信託の場合は組合とは違いますので、また新たな地平線での考えを起こしていかなきゃならないんだろう、そこに難しさがあるんだろうというふうに私は思うわけでございます。 今回、信託法が改正されまして、こういうふうに経済分野での法制が変更されたわけですね。先ほど来申し上げましたように、資本市場や証券市場が非常に複雑高度化していく中で、法制面以外でも、あるいは会計制度やそれに付随するいろいろな制度が全体として社会や経済の安定性なり投資家保護なり消費者保護なりを確保していく、その全体の仕組みが非常に大切なんだろうというふうに私は思うわけでございます。ですから、これからいろいろな経済あるいは社会にかかわる法律を議論していく際には、それにとどまらず、その外側にある制度も見越した上で、社会的なインパクトを頭に置きながら考えていくということは非常に必要なんだろうなというふうな感じがしておるわけでございます。 すなわち、法律だけ決めればそれでいいということではなくて、法律の外にある会計制度や開示制度、監査の制度まで含めた上で全体として一つの系をなして、これで社会経済としても発展し、安定するし、かつ投資家保護、消費者保護としても大丈夫だというふうに言えるという状況をつくり出していくことが、責任のある政府のあり方としては非常に重要なんじゃないかと思います。 委員長のお立場から、法律を審議していく際に、その法律以外の制度、会計制度等々も含めて不確実な状況が生じないように議論していくような仕組み、例えば、会計制度や開示の制度のある程度の議論の目鼻がついたところで法律の議論をしていくというような順序論もあり得るんじゃないかと思うんですが、その辺に関してどのような御所見をお持ちか、いただければと思います。
○斎藤参考人 非常によく理解できる御指摘でございます。過去に私どもの委員会でも、会社法のケースとか、あるいは金融商品取引法における四半期開示のケースでは、比較的早い時点から取り組みを開始いたしまして、制度の施行に間に合わせるという努力をしてまいりました。ただ、何分にも私ども、民間の組織でございますので、なかなか法制の変更と歩調を合わせて、あるいはそれをあらかじめ読み込みながらの検討を進めるということは、これはよほど国会議員の先生方や関係官庁の御協力がないとうまくいかないということがございます。そういう点では、ぜひ御支援をいただければと存じております。
○大串委員 ありがとうございます。 今おっしゃいましたように、企業会計基準委員会は民間の組織でございますので、そちら側の方から法律の変更に関して歩調を合わせていくのはなかなか難しかろうと思います。そこで、解決策といいますか対応策としては、政府の方で法案の審議を考える際に、いろいろな、民間で決めるような基準の検討の進みぐあいも含めて法案の審議のあり方を考えていくというようなことが必要なんだろうと思うんですね。 だから、今回の信託法の場合も、法律だけ決めて、あとは会計の審議を待てばそれでいいんだということではなくて、会計の基準に関する議論の進み方も踏まえた上で法律の審議をしていくということもあったんだろうと思うんです。そういうふうな視点で考えていくべきじゃないかと思うんです。 同じような事例で、大臣にちょっとお尋ねしたいんですけれども、会社法が改正されて、ことし五月から施行されております。その中で三角合併の要件の厳格化という問題が今出てきておりまして、三角合併については、合併対価の柔軟化ということで、来年五月まで具体的な取り進め方を待っている状況でございます。そして、これから五月に向けて、具体的にどのように要件を厳格化していくかということを詰めていくということになっております。 これも信託法の議論と非常に似たようなところがあって、法律を変えたのはいいけれども、具体的な取り扱いをどうするかというところで、実は実態は相当変わってくるわけでありまして、その具体的な実態のところを後から定めることにしているがゆえに、法律は決まったけれども、本当にどういうふうな影響が合併というものを通じて社会に出ていくかということが非常に不確定になっている。そのように非常に問題の大きい状況になっているというふうに私は見ておりますけれども、これに関して、今どのような検討が行われて、どのような方向性に向かっているのか、御所見をいただければと思います。
○長勢国務大臣 三角合併の施行に向けての省令の見直しの要否ということについては、今先生御指摘のとおりの経過で検討しなければならないことになっております。 今、この省令の規定をどのように見直すか、または見直す必要があるかないかということにつきましては、今後、関係方面のいろいろな意見がありますので、そこで御議論をいただいて、それを踏まえて、五月一日には間に合うように対処していきたいと考えております。
○大串委員 今お話がありましたように、これから五月に向けて関係各般の議論を踏まえて検討していくということでございますけれども、三角合併の場合の要件がどのようになるかによって非常に、日本の企業に対する海外からの合併のあり方が大きく左右されていく、そういう大きな問題であるにもかかわらず、法律は決まったけれども細則のところの検討で非常に不確定な状況が残っているというような問題、これは非常に私は問題として大きかろうと思うんですね。 この問題に関して私の視点を申させていただきますと、いろいろな意見が今出ております。新聞紙上でも、経団連や同友会あるいは経産省等々、いろいろな意見が出ておりますけれども、私自身は、合併対価の柔軟化ということで日本に対する投資に対する誘因となるということも含めて、いろいろな経済的な、まあ、会社法を規制と言うかは別として、これも一つの規制としてとらえるならば、規制が可能な範囲において緩和されて、経済活動、社会活動が円滑に行われるように、また活性化されるような方向になっていくというのは、あるいは市場の仕組みがより活性化されていくというような規制の緩和、改革は賛成でございまして、こういうことは進めていくべきだろうと私は思っています。 ただ、一方で、それが、例えば企業のマネジメントの保身とかそういうもので抑えられてはいかぬということを頭に置いた上で、市場を活性化するようなこういう規制緩和は非常にいいんだけれども、一方で、投資家保護というようなことも非常に重要だろうと思うんですね。今回、合併対価の柔軟化によって、合併の末、外国株式を国内投資家が得てしまうかもしれない。その場合に、国内投資家が株主として保護されるのか、そういう観点からの検討も非常に必要なんだろうというふうに思うわけでございます。 これに関して私、最終的な結論を持っているわけじゃございませんけれども、視点として、経済的な規制をきちんと緩和、規制改革していきながら経済の活性化をし、ただ一方、株主の保護など、守られにくい方、いわゆる個人の方々の保護を図っていく、そういう視点を持った上で規制改革を進めていくべきなんだろうというふうに私は思うわけでございます。 そこで、長勢大臣に考え方をちょっとお尋ねできればと思うんですけれども、法務省も、長勢大臣も法務大臣として、会社法や今回の信託法を初めとして、これを規制と言うかは別として、これは規制と言ってもいいんだと思いますけれども、経済に関する大きな仕組み、制度を所管していらっしゃいます。これをどう変えるかによって、経済、社会の仕組みは大きく変わってくる。これを緩和したり改革したり変える際には、大きな思想なり背景なり、あるいは歴史観なり社会観なりを持った上でやらないといかぬのじゃないかと私は思うんですね。改正の時期が来たから改正しますというわけではいかぬと思うんです。ニーズが強いから改正しますというだけではいかぬと思うんです。 私なりの考え方を述べさせていただくと、今、日本、大きな政府か小さな政府かという議論はございますけれども、公的セクターの占める対GDP比の割合ということも含めて、あるいは規制の大きさということも含めて考えると、やはり、大きいか小さいかというと大きな政府になるんじゃないかなと私は思うんです。 その大きな政府を志向して、経済的規制を中心として、そして時には、あるいは社会的規制も、その内容がよくなければ規制を緩和し、改革して経済を活性化させていくということが非常に必要なんだろうというふうに私は思うんですけれども、そういうふうにしながら、一方で、そこで守られない方々、例えば個人投資家や消費者やそういう方を事後チェック型の規制によってしっかり守っていくという方向を別に強めていくというような大きな思想みたいなものが必要なんだと思うんですね。 私は、長勢大臣にぜひお聞かせ願いたいんですけれども、大臣自身、会社法や信託法など非常に社会的な影響の大きなこういう規制を所管されている大臣として、規制緩和や規制改革、これをどういうふうに進めていくと社会観として考えていくか、どういうふうな所感をお持ちなのか、そこをお聞かせ願いたいというふうに思います。
○長勢国務大臣 大変難しい御質問なのかなと思いますが、規制改革かどうかということもさることながら、やはり経済情勢、国際的にも含めて産業、経済は変わってまいりますので、その中で経済がきちんとできるように、不便のないようにやるということをみんなで考えていかなきゃならぬ、それを不断に考えていかなきゃならぬだろうと思うのです。その結果として、それが規制改革という結果になることもある。また規制改革というか、自由にやれるようにするという視点を常に持っていなきゃならぬという意味でも、それは大事なことだと思います。 しかし、ではそれだけでやればいいかというわけにはいかないということは今御指摘のとおりであると思いますので、これは規制改革であるかどうかとか、それが先にありきということではないだろう。やはり、社会経済の進展に沿った中で円滑な社会システムができるようにという視点の中で、いろいろな点を総合的に勘案しつつ議論していくべきことだろうと思っております。
○大串委員 ありがとうございます。 私は、先ほど申し上げたように、日本の政府は大きい政府であろう、志向して、経済的規制や社会的規制も含めて見直すべきものはどんどん見直して、経済の活性化につなげていくべきだろう。しかしその一方で、消費者を守る、投資家を守るという事後チェック型の規制をしっかり逆に強めていくというふうな方向で、全体論として日本の経済をよくし、かつ安定させていくということが必要だろうと思う。その流れからいくと、信託法の改正や会社法の改正も、法律以外のそのほかの周辺ルール、会計基準なんかも含めて、周辺ルールも含めて、それがきっちりなっていることも含めて、それを全体の系として、経済は促進され、かつ投資家も保護されるということが担保されていくんだろうと思うんです。 そこまで、法律の所管、大臣でいらっしゃいますから、今後もいろいろな法律の改正があろうかと思います。ぜひ大局観、全体観、社会観を持っていただいて、若輩者の私が言うのも恐縮ございますが、ぜひそういう考えで臨んでいただければというふうに思う次第でございます。 終わります。
○七条委員長 斎藤参考人に委員会を代表して一言御礼を申し上げます。 本日は、貴重な御意見をこうしてお述べいただきましたことにまことに厚く御礼を申し上げるところでございます。 いろいろな不手際もあり、何度も何度も予定を立てていただきましたけれども、こうしてきょうは万難を排してお越しを賜りましたことに対しても、厚く御礼を申し上げます。 本日は、本当にありがとうございました。 この際、暫時休憩いたします。 午前十一時二十二分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕