本会議 第33号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2006/06/14
会議録
○議長(扇千景君) 御紹介いたします。 IPUによる復興途上国の民主化支援活動の一環として、参議院の招待により来日されましたアフガニスタン・イスラム共和国上院第一副議長サイヤッド・ハーミド・ギラニ閣下御一行がただいま傍聴席にお見えになっております。 ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表したいと思います。 〔総員起立、拍手〕 ─────・─────
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。 日程第一 建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長羽田雄一郎君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
○羽田雄一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、建築物の安全性の確保を図るため、都道府県知事による構造計算適合性判定の実施、指定確認検査機関の欠格事由の拡充、構造耐力に関する建築基準法に違反する建築物の設計者等への罰則の強化、建築士が構造計算によって安全性を確かめた場合の証明書の交付等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、本改正案による偽装再発防止効果、指定機関の公正・中立性の確保と特定行政庁の審査能力の向上、建築確認検査の民間開放の是非と国の責任、建築士制度見直しを含む今後の課題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して加藤委員から、日本共産党を代表して小林委員から、本法律案にそれぞれ反対する旨の意見が述べられました。 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十一 賛成 百三十五 反対 九十六 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第二 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案 日程第三 砂糖の価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案 日程第四 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案 (いずれも内閣提出、衆議院送付) 以上三案を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長岩城光英君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔岩城光英君登壇、拍手〕
○岩城光英君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。 まず、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案は、これまですべての農業者を対象に講じてきた品目別の施策を見直し、米、麦等を生産する一定の要件を満たす担い手に対し、その経営全体に着目した交付金を交付するいわゆる品目横断的経営安定対策を導入しようとするものであります。 次に、砂糖の価格調整に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する等の法律案は、品目横断的経営安定対策の導入に対応するとともに、国内産の砂糖及びでん粉の安定供給を図るため、砂糖の価格調整制度における政策支援の手法の見直し、でん粉の価格調整に関する制度を創設する等の措置を講じようとするものであります。 次に、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案は、麦に対する政策支援が品目横断的経営安定対策に移行することに対応するとともに、麦の需要に応じた生産、輸入を図るため、政府が需給見通しを策定する等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、法案の審査に先立ち、福島県において集落営農等に関する現地調査を実施いたしました。 法案の審査は、三案を一括議題とし、農業現場への品目横断的経営安定対策の周知の状況、担い手の経営規模要件の在り方、兼業、小規模農家への国の対応策、集落営農の組織化に当たっての課題とその解決策、過去の生産実績に基づく支払が農地の流動化や耕地利用率の向上に及ぼす影響、収入変動影響緩和対策、いわゆるナラシ対策の実効性、国内産サトウキビ、でん粉用カンショ及び麦の販路の確保、農地・水・環境保全向上対策と中山間地域等直接支払制度との整合性等について質疑が行われました。 また、旭川市において、地方公聴会と大規模水稲農家等に対する現地調査を実施したほか、八名の参考人から意見の聴取を行いましたが、これらの詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して松下委員より三法律案に反対、自由民主党及び公明党を代表して岸委員より三法律案に賛成、日本共産党を代表して紙委員より三法律案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。 次いで、順次採決の結果、三法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) 三案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。郡司彰君。 〔郡司彰君登壇、拍手〕
○郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。 私は、民主党・新緑風会を代表して、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律案等三法案に反対する立場で討論を行います。 今回の担い手経営安定新法は農政の大転換と言われています。日本のGDPに占める農林水産業の割合は大幅に低下しており、食料自給率は熱量ベースでわずか四〇%にすぎず、今国会でも本法律案が重要法案として広く国民に認識されるには至っていません。私はまず、議場におられるすべての同僚議員に、これまでの村落共同体、つまり日本の原風景が損なわれるかもしれないのだと訴えます。 我が国の食料自給率は、戦後の外貨準備が乏しく、国民にとっての最大の関心事が空腹を満たすことであった一時期には、八〇%近い数字を示していました。その後、自由主義経済の下で貿易立国としての歩みを始め、一九六〇年に日米安保条約を締結する際には、大豆を始め百二十一品目に及ぶ農産物の輸入自由化が決まりました。つまり、一九六一年の農業基本法制定は世界の中の日本農業へと転換することであり、選択的拡大と構造改革はそのときに産声を上げました。 しかし、その後の経済発展は農村社会にも変化をもたらしつつも、食管制度の下での価格政策と相まって、選挙時における政権党の票田として機能し、持ちつ持たれつの関係を築いてまいりましたが、その間も自給率は下降の一途をたどってきました。 一九九〇年代に入り、世界が大きく動いたソ連邦の崩壊等により、新たな世界経済システムは、それまでの物だけの紳士協定ではなく、金融サービスを含めた強制力を持つWTO体制としてスタートしました。日本においても各分野において再編整備が進められ、農業分野においても、米も聖域ではなくなり、新しい農業基本法が平成十一年に制定され、これまでの価格政策は赤の政策と非難されることになりました。しかし、本来、生命産業である農業を鉱工業製品と同一に論ずるのは、多くの矛盾を抱え込む交渉となることは当然であります。 今、世界には八億を超える栄養不足人口がおり、ニュースにはならずに、毎日平均二万四千人もの人々が餓死しているとFAO、国連食糧農業機関は報告しています。日本は世界最大の食料輸入国ですが、日本に入る食料の一二%強を輸出している中国には、約一億二千万人の人々が栄養不足として統計に示されています。また、過日のテレビ放映には、カカオを生産するアフリカの子供が、その製品たるチョコレートを見たこともなく、もちろん一度も口にしたこともなく飢えている現実を映し出しておりました。 私たちは飽食の時代を生き、メタボリックシンドロームがマスコミをにぎわしていますが、もう一度世界的視野で見直せば、どの国においても持続可能な方法で最大の生産を上げることが求められております。輸出国の論理を優先させ、貿易イコール利益優先で食料を扱うより、世界の飢餓をどう克服するかを考えることこそが人類の英知ではないでしょうか。その観点から、WTOを最大限尊重するにしても、自給率が四〇%というOECD加盟国内で最も低い我が国自給率の向上目標を引き延ばし、据え置いて、その上、農家の三割、農地の五割にのみ国の政策的支援を行う今回の法案は認め難いものであります。 また、規模拡大を一方でうたいながら、他方で、本来公共性が強く投機対象とすべきでない土地を担保とする間接金融を常態化した国の政策が、農地の価格を米国で取得する五十倍以上の価格にして農地の集積を妨げ、国際的な競争力をそぎ落とした国の責任は重大であります。 以下、法案に即して具体的な問題点を挙げさせていただきます。 反対の理由の第一は、本法案の目的を食料の安定供給の確保に資するとしながら、食料自給率目標を四五%に据え置き、単にその目標年次を五年間先送りしただけにすぎないからであります。 しかも、今回の施策により耕作放棄地が増え、農地面積が減少するにもかかわらず、不測時の最大熱量供給だけは維持可能としており、食の安全保障、危機管理の面でも国民に誤解を与えかねません。 反対の理由の第二は、国が行う農業施策の対象者を一部の農業者に限定し、かつ経営規模という形式的な要件で選別する手法を取っていることであります。 政府はこれまでの答弁の中で、本法案の対象は農家の三割、農地の五割としております。これは、都府県の八五%を占め、耕地の七五%をカバーする三ヘクタール以下の農業者や兼業農家、これから拡大を目指す農家のやる気をそぎ、能力を閉じ込めてしまうと考えてしまうからであります。 反対の第三の理由は、対象となる作物を限定しつつ、一方で米の生産調整を相変わらず継続することを前提としていることであります。農業者の自由な経営展開を国が縛り付けてきたことが今日の農業の持つ閉塞感の一因であることは論をまちません。 さらに、民主党は、定められた作物以外にも、地域の特性を生かし、分権の視点を取り入れた形で、その他の農産物を各都道府県が指定できるよう提起をいたしましたが、本法案にはその視点が欠けているからであります。 反対の第四の理由は、これほどの改革を行うとしながら、今後のWTOの交渉いかんにより、変更の余地を大きく残している時期に成立を急ぐことにあります。 モダリティーの内容により、米が重要品目から除外される等の事態になれば、財政面からも大きな違いが生じることは明白であります。法案の成立を急ぐのではなく、民主党が主張しているように、国が定める生産数量の目標に従って計画的に生産した販売農家を対象に直接支払を実施すべきであります。 そして、食と環境、エネルギーをつなぐ、言い換えれば脱石油社会、温暖化防止、農地保全、不測時の熱量供給を可能とし、日本古来の伝統的かつ地域共同体をはぐくむ米を主体とした新しい発想の政策を関係省庁と進めることが肝要と考えています。 以上、反対の主な理由を述べました。 日本の経済的発展は、欧州、アジアその他の地域でこれほどの変貌を遂げた例はないとよく言われます。その結果、私たちは、急激に何かを得たのではなく急激に何かを失っていたことに思いを巡らすべきではないのでしょうか。 日本の稲作はつまるところ水の管理であり、それは結いなどと呼ばれた共働、共生の生み出す文化の源でありました。少子の時代にその影響は都市ではなく田舎に、水を送り、空気をきれいにし、人的供給まで担ってきた田舎にまずやってくるのです。原風景が壊され、戻るべきふるさとが消えつつあります。 農業という大自然を生産手段に用いる産業に効率一辺倒の選択と集中という手法を用いることの愚かさを私たちは数年を経ずして知ることを恐れます。 小泉内閣の農業・農村政策が分断と疲弊を招くことは見過ごすことはできません。農村が持つ多面的機能が発揮される活力ある分権型の農政確立に向け、今後も民主党として努力することを申し上げ、反対の討論といたします。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○議長(扇千景君) これより三案を一括して採決をいたします。 三案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十一 賛成 百三十四 反対 九十七 よって、三案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第五 国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長世耕弘成君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔世耕弘成君登壇、拍手〕
○世耕弘成君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、国と民間企業との間の人事交流に関する法律に基づく交流採用の一層の拡大を図るため、交流元企業との雇用関係が継続している者の交流採用を可能とする等の改正を行おうとするものであります。 委員会におきましては、交流による癒着の防止及び行政の中立性の確保、天下り規制の強化と交流推進の在り方、官民交流の意義と目的達成のための具体策、交流の実施状況の把握とその政策評価、交流採用職員に対する公務員研修の必要性等について質疑が行われました。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して吉川春子委員より反対する旨の意見が述べられました。 討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し二項目から成る附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十一 賛成 二百二十二 反対 九 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(扇千景君) 日程第六 健康保険法等の一部を改正する法律案 日程第七 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案 (いずれも内閣提出、衆議院送付) 以上両案を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長山下英利君。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔山下英利君登壇、拍手〕
○山下英利君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、健康保険法等の一部を改正する法律案は、医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するため、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、保険者の再編統合等の措置を講じようとするものであります。 次に、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案は、良質な医療を提供する体制を確立するため、医療に関する情報提供の推進、医療安全確保体制の整備、医療計画制度の拡充強化等を通じた医療提供体制の確保の推進、医療従事者の確保及び資質の向上等の措置を講じようとするものであります。 委員会におきましては、両法律案を一括して審査し、医療費適正化の在り方、高齢者医療制度創設の意義と問題点、療養病床再編の是非、保健事業の今後の方向性、産科、小児科等の医師不足問題に対する認識と取組、医療安全・医療事故対策の必要性等について質疑を行うとともに、参考人から意見を聴取いたしました。さらに、北海道に委員を派遣し、地方公聴会を開催いたしましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑終局を採決で決した後、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して円より子理事より両法律案に反対、自由民主党及び公明党を代表して中村博彦理事より両法律案に賛成、日本共産党を代表して小池晃委員より両法律案に反対、社会民主党・護憲連合を代表して福島みずほ委員より両法律案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。 討論を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(扇千景君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。足立信也君。 〔足立信也君登壇、拍手〕
○足立信也君 民主党の足立信也です。 私は、会派を代表し、議題となりました二法案に反対する立場から討論を行います。 昨日、理事会の合意もないまま、委員長から審議の終局が提案され、二法案は委員会で可決されました。審議時間は三十二時間、多くの国民から非難される中、強行採決された衆議院厚生労働委員会の審議時間にも及びませんでした。 政省令事項は、介護保険法改正案の二百三十二、障害者自立支援法の二百一に比較しても格段に多い四百四十項目に上ります。その政省令事項に確たる方向性を示すためには、開かれた審議を国会の場で行う義務が我々政治家にはあります。委員長の職権濫用に断固抗議いたします。 高齢化が進展する一方で、厳しい財政状況の下、保健、医療、介護を効率的、安定的に国民に供給していくにはどのようにすればいいのか。これを内政上の最重要課題とするOECD加盟国は、一昨年五月に保健大臣会合を開き、詳細なデータの収集と分析を行い、「世界の医療制度改革」という本を刊行いたしました。川崎大臣は昨日の委員会で、この「世界の医療制度改革」は読んだことがないと答弁されました。日本国民にとって最大の関心事であるこの重要課題に世界がどのように立ち向かい、反省をし、どんなアクションプランを描いているか、関心すら示さないということはゆゆしき自覚の欠如と断ぜざるを得ません。 世界一の医療制度と評価され、世界一の健康寿命、平均寿命を達成した今日の日本、これは、医師を始めとする医療従事者と患者、家族との間で培われた確かな信頼関係の中で成し遂げられたものです。しかしながら、最善の医療を受けるのが難しいばかりか、生命すら脅かされるような危険が日常的に生じているのはなぜなのか。八割を超える国民が不満を抱く理由は何なのか。 今こそ、必ず最善の医療が受けられるという安心、これを国民の心に取り戻さなければなりません。この問題の本質に手を付けないまま、財政的観点からのみ医療費を削ろうとする、これが医療制度改革に対する政府の姿勢であり、このままでは医療が守るべき国民の命を削ることになりかねません。命の値段は削れないのです。 以下、主な反対の理由を申し上げます。 まず、健康保険法等の改正案についてです。 推計を繰り返すたびに下方修正される医療費の将来推計値。政府の推計は、一九九五年から九九年までの五年間の一人当たり医療費の伸びを前提に、人口構成の変化を考慮して推計したとされます。すなわち、高齢者は三・二%、一般は二・一%の伸びということです。 しかしながら、これには恣意的な補正が加えられ、高齢者〇・九%、一般〇・五%の水増しをしているのです。正に偽装医療費推計値です。この水増しがなければ、二〇二五年度の医療給付費は四十七兆円となり、今回の医療給付費抑制策の成果とほぼ同額となります。根拠のない作り話と言わざるを得ません。 現行の老人保健制度では、現役世代と高齢世代の費用負担の関係が不明確であること、医療費の支払を実施する市町村と実際の費用を負担する保険者が全く別々であるため、財政運営の責任主体が不明確であること等の批判があります。 これを受けた今回の提案でも、現役世代は、後期高齢者医療制度への支援金、前期高齢者医療費調整のための納付金、そして、今後、実質的には十数年間も存続することとなった退職者医療制度への拠出金と、結局は三種類の負担金を支払うこととされ、老人保健法の基本的な構造は何ら変わっていません。 さらに、今回の改正は、現行の老人保健法に基づき、国及び地方公共団体がこれまで担ってきた住民の健康の保持増進を目的とした保健事業を実施する責務を事もあろうに削除してしまいました。 高齢者医療制度の根幹に医療費適正化計画の策定、実行、評価のプロセスが組み込まれていることが、ある意味、最大の問題点であると言えます。新たな制度は、高齢者にふさわしい医療を適切に提供し、それに要する費用は国民全体が支援するという理念、言い換えれば、高齢者医療を主な標的とし、医療費の適正化イコール医療費の抑制を図るための仕組みとして機能することになるのではないですか。 高齢者にも原則として若年の現役並みの自己負担と、加えて療養病床における居住費、食費の自己負担を求めるなど、高齢者及び家庭を直撃する内容です。日本銀行の家計の金融資産に関する世論調査によれば、二〇〇〇年以降、二十歳代から七十歳代以上のすべての年代において貯蓄のない世帯が増加しております。高齢者もやはり貯蓄を取り崩すことによって自らの生活と健康をやっと守っているのです。 一人一人の状態に合わせ、自己決定に基づいたテーラードメディシンが世界共通の言葉となった今日、高齢者にふさわしいという言葉で望む医療が受けられなくなることを断じて容認するわけにはいきません。 次に、医療法等の改正案についてです。 世界は、医療費抑制の時代を超えて、評価と説明責任の時代です。医療に対する国民の不満の原因は、情報の非対称、自己決定権が尊重されないこと、相談体制の不備、医療事故並びに死亡原因の究明体制の不備、そして提供されている医療の質に対する客観的評価体制の不備にあります。この一つ一つを解決することが医療の質を高めることにつながり、生命の尊厳と医療を受ける者の自己決定の尊重につながります。 政府案は、問題点の羅列にすぎず、具体的な解決策が何一つありません。国民の求めている医療は説明する医療です。いやしの医療です。人が人をいやす医療には人材が必要です。日本の医療従事者は明らかに不足しております。医療従事者の責任感と使命感に基づいた献身的な努力のみに頼ることはもう限界に達しています。決定的な崩壊を迎える前に、我々は安心、納得、安全の医療を実現しなければなりません。 医療、教育は、社会全体にとって共通の財産、すなわち社会的共通資本です。我々の財産である日本の医療が市場原理によって左右されてはなりません。 今、日本は、希望格差社会とも健康格差社会とも呼ばれています。その共通の財産を享受する機会に格差が生じているのです。医療の世界において結果の不平等を是認し、失敗しても再挑戦の機会があればよいと強弁するわけにはいかないのです。医療における機会の不平等は、多くの場合、再挑戦の機会を奪い、生命をも奪うことを意味します。取り戻すことができないのです。 人為的に医療費を削減することによって医療の質の低下を招き、人材の確保、離職の防止が困難になり、サービスや革新的医薬品の供給不足に陥ります。これ以上自己負担増加を加えれば、健康格差を助長します。そして、健康格差に対する公的医療費は増大します。これは、冒頭引用いたしましたOECDの「世界の医療制度改革」に記された世界の経験則です。日本はこの轍を踏んではなりません。 私たち民主党・新緑風会は、我々の財産である日本の医療をすべての国民が効率的に、平等に分かち合える医療改革を目指します。提出された政府案には断固反対することを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○議長(扇千景君) これより両案を一括して採決をいたします。 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十一 賛成 百三十一 反対 百 よって、両案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十時三十九分散会