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164回国会参議院2006/06/14

北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第4号

発言数
33
登壇者
5
会派数
3
開催日
2006/06/14

会議録

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日までに、白眞勲君、浅尾慶一郎君及び森ゆうこさんが委員を辞任され、その補欠として林久美子さん、犬塚直史君及び津田弥太郎君が選任されました。     ─────────────

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律案の審査のため、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律案を議題といたします。  提出者の衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員長平沢勝栄君から趣旨説明を聴取いたします。平沢勝栄君。

平沢勝栄自由民主党

○衆議院議員(平沢勝栄君) ただいま議題となりました拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律案につきまして、提案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。  本案は、昨年十二月十六日に採択された北朝鮮の人権状況に関する国連総会決議を踏まえ、我が国の喫緊の国民的な課題である拉致問題の解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が国際社会を挙げて取り組むべき課題であることにかんがみ、この問題に関する国民の認識を深めるとともに、国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害の実態を解明し、及びその抑止を図ろうとするものであります。  以下、法律案の概要を申し上げます。  第一に、政府は、北朝鮮当局によって拉致され、又は拉致されたことが疑われる日本国民の安否等について国民に対し広く情報の提供を求めるとともに自ら徹底した調査を行い、その帰国の実現に最大限の努力をし、及び国民世論の啓発を図るとともに、その実態の解明に努めるものとしております。  第二に、国民の間に広く関心と認識を深めるため、十二月十日から同月十六日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間とし、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めるものとしております。  第三に、政府は、北朝鮮当局によって拉致され、又は拉致されたことが疑われる日本国民、脱北者その他北朝鮮当局による人権侵害の被害者に対する適切な施策を講ずるため、外国政府又は国際機関との情報の交換、国際捜査共助その他国際的な連携の強化に努めるとともに、これらの者に対する支援等の活動を行う国内外の民間団体との密接な連携の確保及び財政上の配慮その他の支援を行うよう努めるものとしております。  第四に、政府は、脱北者の保護及び支援に関し、施策を講ずるよう努めるものとしております。  第五に、政府は、拉致問題その他北朝鮮当局による日本国民に対する重大な人権侵害状況について改善が図られていないと認めるときは、北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する国際的動向等を総合的に勘案し、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法の規定による措置、外国為替及び外国貿易法の規定による措置その他の北朝鮮当局による日本国民に対する人権侵害の抑止のため必要な措置等を講ずるものとしております。  以上が本案の提案の趣旨及び概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  政府に質問させていただきます。  本法案は、脱北者への対処を日本の法律で初めて明記し、脱北者について、北朝鮮を脱出した者で、人道的見地から保護、支援が必要であると認められるものと法令上定義を行っております。  これに関連して、外務省に伺います。  これまで政府は、脱北者について、一般に、北朝鮮の厳しい食糧難、経済難等を背景として北朝鮮から中国に逃れた北朝鮮住民を指す語として用いられているものと承知しているとの見解を示してこられました。このことからも明らかなように、脱北者問題というのは、基本的には北朝鮮国内に起因する性格の問題と考えますけれども、いかがでしょうか。

梅田邦夫外務大臣官房参事官

○政府参考人(梅田邦夫君) お答えいたします。  今先生御指摘のとおり、北朝鮮の食糧事情でございますが、昨年、約四百二十万トン穀物を生産しております。それで、WFP等の国際機関によりますと約九十万トンが不足しておるという状況でございますし、また、北朝鮮は慢性的なエネルギーとか原材料の不足、生産施設の老朽化等の問題を抱えておりまして、経済的には非常に厳しい状況にあると思います。  それに加えまして、昨年十二月に国連総会で採択されました国連人権決議にも指摘されておりますけれども、北朝鮮におきましては、拷問であるとか非人道的な刑罰、強制収容所の存在などが確認されており、広範かつ重大な人権侵害があるというふうに指摘をされております。  このように、経済的な事情及び今申し上げたような政治的それから人道的な観点から脱北者が発生しているというふうに認識をしております。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 要するに、北朝鮮住民が脱北する背景には北朝鮮の国内事情があるという、そういうことでよろしいですか。

梅田邦夫外務大臣官房参事官

○政府参考人(梅田邦夫君) 御指摘のとおりでございます。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 今外務省も認められたように、脱北者問題というのは北朝鮮の内政にかかわる問題だということになります。  法案は、この全く次元の異なる問題を北朝鮮当局による人権侵害問題として、我が国の主権を侵害した国際的犯罪である拉致問題と同列に扱って、政府が脱北者の保護、支援に関する施策を講ずると、そういうことを明記しているわけです。  政府は、我が国の在外公館に、本邦への入国及び居住を求めてくる脱北者及びその家族等への対応に当たっては、関係国政府等の間で慎重な協議を行うことが必要になるとの立場を表明されてきました。脱北者問題の対応が、関係国との間で慎重な協議を行うことが必要になるのはなぜでしょうか。

梅田邦夫外務大臣官房参事官

○政府参考人(梅田邦夫君) お答えいたします。  脱北者の方が我が国の在外公館に来た場合、まず、当該脱北者が滞在している国、それから経由地となる国、それから最終的に行かれる国と、そういう国々と調整が必要になります。  それで、それらの国におきましては、国内法的には、多くの場合、脱北者の方は不法滞在者ということになるケースが多いです。同時に、多くの国が北朝鮮と外交関係を有しておるというような事情もあって、これらの関係する国の多くが静かにかつ慎重に対応してほしいという要求を出しております。  したがって、日本政府としましても、それにこたえる形で非常に慎重な対応をしているということでございます。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 政府は、脱北者を含む外国人が我が国の在外公館に保護を求めてきた場合、基本的には同人の人定事項や希望等を確認した上で、生命又は身体の安全確保等の人道的観点、関係国との関係等を総合的に考慮して個別具体的に対応を検討するとしてこられました。同時に、具体的内容にかかわる事項については、これを明らかにすれば関係国政府等との信頼関係を損なうおそれがあるとして公表を控えてこられました。  脱北者問題の個別具体的な内容の公表が関係国との信頼関係を損なうおそれ、その理由はどこにあるのか、それを的確に答えていただきたいと思います。

梅田邦夫外務大臣官房参事官

○政府参考人(梅田邦夫君) 先ほど御説明しましたように、多くの国がこの問題を人道的な観点から取り扱うために、慎重かつ静かな形での対応を要求してきております。そこがまさしく、信頼関係という点では一番大きな事情になります。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 今答弁ありましたように、政府が脱北者をめぐる対応で慎重かつ静かな対応、関係国との慎重な協議や関係国との信頼関係を強調してきたのは、やはりこの問題が北朝鮮の内政にかかわる問題であると同時に、文字どおり関係国にかかわる影響が大きい問題だからだと思います。  そこで伺いますけれども、法案は、政府に北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する年次報告の提出と公表を義務付けております。この報告には、脱北者の保護・支援状況が当然含まれることになると思います。谷内事務次官は昨年二月の記者会見で、在外公館で保護している脱北者にかかわる具体的な情報開示は差し控えるとの考えを示されましたけれども、それはなぜですか。

梅田邦夫外務大臣官房参事官

○政府参考人(梅田邦夫君) お答えいたします。  脱北者の方につきましては、脱北者御自身の身の安全、それから北朝鮮に残っておられる御親族及び関係者の身の安全、それから先ほど申しました関係国との関係、それから今後、やはり類似の案件、継続的に発生しておるわけでございますが、それへ、そういうことに対して好ましくない影響が及ばないという観点から、情報開示については慎重に対応しておるというような事情はございます。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 好ましくない影響というのは、例えば行動を誘発するとか、そういうことに当たりますか。

梅田邦夫外務大臣官房参事官

○政府参考人(梅田邦夫君) その点もございますし、まさしく脱北したい方が脱北できないような状況が発生することも考えられると思います。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 あわせて、法案は、脱北者支援の活動を行う国内外の民間団体に政府が財政上の配慮その他の支援を行うことを定めております。  これまで政府は、脱北者の保護にかかわる費用について、これを明らかにすれば政府の財政的援助の一端が明らかになり、脱北者の保護の要請を誘引することになりかねないとして公表をしてきませんでした。脱北者の保護に関するこの費用の公表が保護要請の誘引を招くということはどういうことになりますか。

梅田邦夫外務大臣官房参事官

○政府参考人(梅田邦夫君) 既に一部の国で起こっておることでございますけれども、財政支援の全体を公表することにより、本来、人道的観点から取り扱われるべき問題に、ブローカーなど違う視点を持った人の介入が推定されるということがございます。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 今回の法案で脱北者の保護、支援を国の施策として明記する以上、政府がいかに脱北者の保護要請の誘引を、誘発を警戒しようと、今後は北朝鮮からの脱出の動きを国家の行為として促進せざるを得ないと、そういうことになりかねません。これまでも人道上の必要に応じた措置をとってきたわけですけれども、今回の法案をもって北朝鮮からの脱出を促すことになるとしたら、これはやはり内政への介入ということにならざるを得ない、そういう懸念があると思います。  麻生外務大臣にお伺いいたします。  脱北者問題は北朝鮮の内政にかかわる問題であり、その対応は関係国との慎重な協議が必要なもので、対応を間違えば信頼関係さえ損なうおそれのある、そういう性格の問題だと存じます。他方、日本の主権を侵害した重大犯罪である拉致問題は、アジアだけでなく世界の理解と支持を広げ、一層、外交努力を強める必要が求められていると思います。このことは先日、大臣もこの委員会でお認めになったとおりであります。こうした重大な局面で、この法案が拉致問題の解決にも障害になるという懸念、可能性はないでしょうか。

麻生太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(麻生太郎君) いろいろ御意見はあろうと存じますけれども、少なくとも今度この法律に基づいて運用をしていくわけですが、あの拉致問題の解決を始めといたします北朝鮮のこのいわゆる人権問題、人権侵害問題への対処ということにつきましては、これまでも政府としては真剣に取り組んできたところだと存じます。  したがいまして、この法律が仮に成立をすると、いたすという前提で申し上げさせていただければ、政府としては立法府の御意思というものを十分に踏まえて、例えば国民世論の啓発含めまして国際的な連携の強化とか、脱北者の支援など、あの本法に規定されておりますいろいろな点につきましてより一層適切に対処していく所存、そういうようにお考えいただければと存じます。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 適切に対処されるということですけれども、ちょうど谷内事務次官が六月の十二日に記者会見で述べておりますけれども、この法律が成立したからといって直ちにどうこうしようとは考えていない、そういう発言もございます。したがって、私は、法律が成立しても直ちに施策を実施しないと言わざるを得ないところにやはりこの法律の重大な問題点があると考えます。  このことを指摘いたしまして、質問を終わります。

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 答弁はいいですね。  他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 日本共産党を代表して、本法案に反対の討論を行います。  我が党が本法案に反対する最大の理由は、法案が、我が国の主権を侵害した国際的犯罪行為である拉致問題と、北朝鮮の国内の人権侵害問題を同列に扱っていることです。特に、脱北者問題は、政府も、北朝鮮での厳しい食糧難、経済難等を背景に中国に逃れてきた北朝鮮住民と説明しているように、基本的には北朝鮮の内政にかかわる問題です。この次元の全く異なる問題を、北朝鮮当局による人権侵害問題として拉致問題と同列に扱い、政府に脱北者の保護、支援の実施を定めていることです。  我が国に保護を求めてきた脱北者を人道的に保護することは当然であり、これまでも政府が個別具体的に対応してきたことです。しかし、法律で脱北者の保護、支援を国の施策として明記し、公表することは、これまで人道上の配慮から行ってきた措置を国家の行為として促進することにならざるを得ず、北朝鮮からの脱出の動きなどを促すなど、内政問題への介入につながります。  相手がどのような国であれ、特定の国を名指しし、その国の内政にかかわる問題を日本の国内法で明記し、国としての対処を定めることは、内政干渉となることは明らかです。  こうした国際的道理を持たない法律を制定することは、拉致問題の解決に極めて有害なものです。  今日、拉致問題は、日朝の二国間協議でも、六か国協議の場でも、そのほか広い国際的連携を強め、外交交渉による解決への努力が継続中の問題です。その努力を積み重ね、外交的解決の道をあくまで追求すべきです。  このような重要な局面の下で、政府も関係国との信頼関係を損なうおそれを懸念する脱北者問題を使って北朝鮮に圧力を掛ける法律を制定することは、外交交渉による拉致問題の解決に重大な障害を持ち込むことにほかなりません。  法案は、以上述べた基本点のほかにも、国内外の民間団体への財政上の配慮など、その判断が政府の裁量にゆだねられており、歯止めがありません。さらに、国際的にも厳格な日本の出入国管理に、政府の立場からいっても大穴を開けかねないなど、重大な問題を含んでいます。  かかる重大な外交問題は、国会での慎重な審議が必要であり、会期末に十分な審議もなしに採決する拙速なやり方を断じて容認することはできません。このことを強く指摘して、反対討論を終わります。

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

広野ただし民主党・新緑風会

○委員長(広野ただし君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十分散会

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