経済・産業・雇用に関する調査会 第4号
- 発言数
- 61 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2006/03/01
会議録
○会長(広中和歌子君) ただいまから経済・産業・雇用に関する調査会を開会いたします。 経済・産業・雇用に関する調査を議題といたします。 先般、本調査会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。南野知惠子さん。
○南野知惠子君 ありがとうございます。 委員派遣の御報告を申し上げます。 去る二月十六日から十七日までの二日間にわたり、愛知県において、経済・産業・雇用に関する実情について調査してまいりました。 派遣委員は、広中会長、北岡理事、松村理事、谷理事、和田理事、浜田理事、佐藤委員、西島委員、野村委員、津田委員、井上委員、渕上委員、そして私、南野の十三名でございます。 以下、調査の概要を申し上げます。 まず初めに、愛知県庁において、「愛知県の経済・産業について」及び「愛知県の雇用状況について」、それぞれ説明を聴取しました。 愛知県は、製造品出荷額で全国第一位を占め、県内総生産の業種別内訳でも製造業の割合が最大であるなど、製造業が非常に盛んであるとともに、農業産出額においても全国でトップクラスにあります。また、近年は県内企業の海外進出拠点数も増加を続け、中部国際空港開港後には同空港を利用した輸出が増加するなど、諸外国との関係においても活発な経済活動を展開しています。愛知県からは、好調な経済を背景に「モノづくりDNA」を受け継ぎ、更に進化させていくという強い意欲が感じられました。 雇用状況については、有効求人倍率が全国平均を上回り、完全失業率が全国平均を下回るなど良好なものとなっており、パート、アルバイトなどの非正規雇用の比率も全国平均をやや下回っています。しかし、年齢階級別に完全失業率を見ると、若年者の失業率が最も高く、ニートやフリーターも相当数に上っていることから、若者に労働市場への参加を促す施策が求められています。平成十七年二月には「あいち就業促進プラン」を策定し、フリーター・ニート対策の強化、小中高校生のキャリア教育の強化を始め、高年齢者、女性、障害者等に対する雇用促進、就業支援施策の整備を行っているとのことでした。 派遣委員からは、平成十六年に海外進出企業の撤退数が進出数を上回った理由、製造業における派遣労働の状況、企業側が求める人材の育成方法、廃棄物処理やリサイクルへの取組などについて質疑がありました。 次に、産業技術記念館を訪れました。産業技術記念館は、若者に、「モノづくり」や「研究と創造の精神」の大切さを理解してもらうため、トヨタグループ十三社の共同で設立されたとのことです。概要説明を受けた後、繊維機械や自動車などの産業技術が展示されている館内の視察を行いました。館内では、イギリスのプラット社に特許権が譲渡されたG型自動織機等、豊田佐吉が発明した織機の数々、トヨタ最初のAA型自動車などの歴史的な産業技術のほか、高速のエアジェット織機、高周波加熱装置による金属加工技術、進化を続ける自動車安全技術などの最新の産業技術を見ることができました。 次に、株式会社ノリタケカンパニーリミテド及びノリタケの森を視察し、会社の概要や人事制度などの説明を聴取いたしました。同社は、食器や研削・研磨機械のほか、セラミックや環境エンジニアリングにも事業を広げ、米国、中国など海外にも進出しているとのことです。人事制度につきましては、年功序列型の制度から成果主義型の制度に移行しつつ、主体性や個性を尊重した人材教育を行うため、社員自らがコースを選択する複線型人事コースを導入しているほか、働きやすい職場環境づくりのため、定年退職者再雇用制度、育児休業制度、介護休業制度などを整備しているとのことです。派遣委員からは、非正規雇用の割合、育児休業や介護休業の取得状況、育児休業などを取得した従業員の会社復帰後の待遇などについて質疑がありました。 その後、ノリタケの森において、陶磁器製作の実演、ディナーセットや装飾品などの歴史的・芸術的陶磁器作品の数々のほか、洗面所やバスルーム、精密機械部品など様々な用途で使用されているセラミック製品の視察を行いました。 翌十七日は、まず、トヨタ自動車株式会社堤工場を視察しました。堤工場は組立て工場であり、プリウス、カムリなど七車種を一分間に約二台の割合で生産しているとのことでした。工場内では、ロボット等も活用し、生産ラインに乗って流れてくる車体に従業員が様々な部品を取り付けていました。不良品が出た場合には一時的にラインが停止する仕組みも組み込まれているとのことです。 次に、ハイブリッドカーや愛・地球博で公開されたI・UNITなどが展示されているトヨタ会館を視察し、その後、トヨタ自動車の概要と雇用に対する取組について説明を受けました。同社は、昨年、七百二十七万台の販売台数を記録しましたが、グローバルな競争が一段と激しさを増す中においては「クルマづくり」のレベルを更に高めていく必要があるとのことです。雇用については、同社には正社員六万七千人のほか、約一万二千人の嘱託・期間従業員などが働いているとのことでした。また、雇用に対する取組としては、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定し、仕事と育児を両立できる環境整備に努めるとともに、社内再雇用制度の見直し・拡充などを行い、六十歳以降も就労を希望し、自ら努力する従業員に対して活躍の場を提供しているとのことでした。派遣委員からは、正社員と嘱託・期間従業員のチームワークの取り方、大企業病の有無などについて質疑がありました。 最後に、有松・鳴海絞会館を視察しました。まず、愛知県の伝統工芸品、有松・鳴海絞について、歴史、製作工程、絞りの技法、今後の課題などの説明を受けました。派遣委員からは、後継者の育成などについての質疑がありました。館内では、歴史的な資料の展示とともに、伝統工芸士による絞りの実演が行われておりました。伝統の絞り文化の継承にとどまらず、産業としての発展に懸ける姿を見ることができました。 なお、今回の派遣に当たりましては、愛知県並びに関係者の皆様から多大な御協力をいただきましたことに対し、厚く感謝の意を表し、報告を終わります。 以上でございます。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。 ─────────────
○会長(広中和歌子君) 次に、「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、団塊世代の退職による経済・産業・雇用への影響について参考人から意見を聴取いたします。 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、シャープ株式会社代表取締役専務取締役人事本部長熊谷祥彦さん、株式会社ニッセイ基礎研究所経済調査部門シニアエコノミスト斎藤太郎さん、NPO法人ニッポン・アクティブライフ・クラブ会長高畑敬一さん及び国際基督教大学教養学部教授八代尚宏さんに御出席いただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。 御多用のところ本調査会に御出席いただきまして、本当にありがとうございます。 本日は、本調査会が現在調査を進めております「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」のうち、団塊世代の退職による経済・産業・雇用への影響について忌憚のない御意見を述べていただき、調査の参考にさせていただきたく存じますので、よろしくお願い申し上げます。 さて、議事の進め方でございますが、まず熊谷参考人、斎藤参考人、高畑参考人、八代参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただきました後、午後四時ごろまで各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず熊谷参考人からお願いいたします。
○参考人(熊谷祥彦君) シャープの熊谷でございます。ひとつよろしくお願いを申し上げます。 団塊世代の退職によります企業の影響と、こういうテーマと理解をいたしております。私ども、このオンリーワン経営と称しまして需要創造型の経営を進めているわけでございますけれども、この推進の過程の中で企業への影響等どのような課題があるのか、あるいはどのようなことを私ども取り組んでいるのか、こういうことを御報告を申し上げまして進めてまいりたいと思います。 パワーポイントに従いまして御報告を申し上げます。(資料映写) まず、このシャープのオンリーワン経営ということで需要創造型の経営を進めているんでございますが、この四つのところを軸にして進めております。ちょっと簡潔に御報告申し上げます。 オンリーワン技術・オンリーワン商品、これを軸にしていこうじゃないかと。需要を創造するためには何と申しましても特徴のある技術と商品で需要を創造していこうと、こういうことでございます。 その特徴ある技術ということになりますと、昨今は商品だけではなくて、その中に入っております部品、デバイスが特徴がございませんとなかなかそういうものが創出できませんので、デバイスと商品に至る垂直統合型の経営を進めていこうと、こういうことを行っております。 また、製造業でございますから、何といいましても付加価値は製造するところに発生するわけでございまして、競争力ある製造、これを国内で実現していこうと、このように取り組んでおります。 最終的には、無から有を生むこのアイデアが何といいましてもキーワードでございますので、この人材育成には注力をしていこうと、こんな取組を称しましてオンリーワン経営と申しているところでございます。 その人材の育成というところでございますが、労使で基本認識を一にいたしまして、今一体となってこの三つの観点で諸施策を展開をしております。 一つは、シャープは終身雇用を守っていくと。ありていな表現で申しますと、リストラはしないと、何としても終身雇用を守っていこうと、こういうことで頑張っているつもりでございます。と申しますのは、例えば液晶テレビ、これを商品設計する技術者、やはり一人前になりますのに十年ぐらい掛かるんですね。これ十年掛かるということになりますと、ベースにやはり安定した雇用というものがございませんと人材育成型のなかなか企業運営もできない。こういうことで、お互いに労使ともに社内外にこれを公表しまして頑張っていこうと。こういう、要は人材育成型の雇用というのは終身雇用であると、このように理解をして一手に進めております。 これを進めていこうと思いますと、やはりクリアすべき事柄が当然出てまいりまして、一つは、個人が何といいましても成長してもらいませんと会社そのものが成長しないわけでございますから、労使挙げましていろんな施策を挙げて個人の成長を支援していこうと。もちろん成長するのは個人そのものが自発的に取り組んでいかなければならないんですけれども、これ労使で会社も含めてその環境づくりを支援していこうじゃないか、こういう点。また、その能力を顕在化しましてやはり業績に反映いたしませんと、私ども、経営理念で挙げております会社の発展と社員の幸せの一致ができないもんですから、その顕在化された業績貢献に対して評価をしていこうじゃないかと、報いていこうじゃないかということで、過度なものではございませんですけれども、成果主義を労使で一体となって進めていると、こういう状況が二点目でございます。 もう一つは、これもちょっと表現がまずいかも分かりませんですけれども、シャープはリストラはしないと、こう言っているんですけど、毎日がリストラクチャリングですね、毎日が各事業間において人の流動性を高めまして、企業でございますので部門ごとに当然隆盛がございます、それぞれ業績の伸長しているところ、そうでないところ、ございますが、そういうところに毎日人の移動というものをやっていこうと、こういうことを現実に進めております。 そのためには、各人が自分の専門性をずうっと高めた上で、その横周辺についての幅広い知識というものがございませんと、そういうことには対応できませんので、人事制度を含めまして、その知識の習得と併せて現場を経験するという意図的な計画的なローテーションを実施をしている、こういうことでもございますし、シャープの場合は会社が一つでございまして、分社制度は取っておりません。したがいまして、組織と組織との間の壁ももう極力小さくしようと。よく、私ども事業部制を取っておるんですけれども、縦一列で売上げ、収益、そしてシェアの責任を持ちますと、やはりもう組織の壁がどうしても必然的に出てまいりますけれども、それを助長するような分社制度というものは取らないと。あくまでも会社は一つで、その中でユニットとして横の交流が、深めていくような組織体制を取っていこうじゃないかと。 このように、この三つの視点で人材づくりというものに取り組んでいるところでございます。 そういう進行途上の中で、二〇〇七年度問題、私どもにも大変影響が現実に出てきております。上の方は日本全体の折れ線グラフでございますけれども、下の方の赤い折れ線グラフが私どもの年齢別の社員の数でございます。一番右端の方に一つの山がございますが、ここが団塊の世代の私どもの社員の数でございまして、この方々の技能の伝承、また高齢化に対応する施策をどのように取っていくのかという課題。 それから、右から二つ目は少しこの折れ線グラフが下の方になっておりますけれども、これは私どもの会社の事情でございまして、オイルショックがございました、オイルショックのときに残念ながら十分人を採用しておりませんでして、その分そこが薄くなっていると、ということは次の経営層が少し薄いと、こういう状況になっております。 ところが、有り難いことに、この真ん中のところ、三十七、八歳のところが一つの私どもの会社の母集団でございまして、ここの人材をいかに、グローバルに能力を発揮していただければ業績もそれに連れて上がっていくんではないかなと、このように思っておりまして、この三十七、八歳の母集団、大変有り難いことだと存じておりますけれども、ここの能力開発に注力をしているところでございます。 一方、若年層は大変減少しております。これは、新しく入ってこられる新入生の方々の高学歴化、例えば技術者で申しますともう九五%が修士の方々でございまして、もう年齢は二十四以上とか、そういうことにもなっております。また、いわゆる単純な組立て作業につきましては海外の方に工場が移っていると、こういうこともございまして、結果としてこの二十代の人員が大変減っていると、こういうような状況でございます。 そこで二〇〇七年度問題、私ども認識しておりますのは次の二点でございまして、先ほどの話と少しダブりますけれども、団塊の世代が今担っておりますリーダー、事業責任者の方々並びに組織の部門長の方々、この方々が退職されると。シャープの場合は三か年ごとに経営計画をローリングさせながら組んでおるんでございますけれども、この六年間の間に事業責任者の七割が退職されますし、組織の長のもう五割が退職する。したがって、早期にこの人たちを育成していかなければならないということが、同じように現場のところでも起こっております。 それから、二つ目の課題でございますが、ポジティブにとらまえた企業活性化の推進と。これは大量の団塊の世代の方々が退職されるわけですから、逆に言いますとチャンスと。ということは、同数以上の採用ができると、こういうことでございまして、その採用を、現在の経営課題に合った形での採用をやっていきたい。キーワードはやっぱりグローバルでございまして、国際競争力に合った採用をやっていきたい。国際的な技術競争力の強化と書いておりますのは、正にそういうことです。私どもが戦っております世界の企業は、その国の技術者だけではなくて、世界の頭脳を集めた企業なんですね。したがって、我々も日本の技術者だけじゃなくて、世界の優秀な技術者を本当に雇用して戦ってまいりませんと技術的にもなかなか大変だと、こういうような認識がございます。 下の方の国際的なコスト競争力の強化と、こう申しておりますのは二つの意味がございまして、一つは単純に価格は大変下がると。例えば液晶テレビ。もう御承知のとおりでございますけれども、日本国内ではもう毎年毎年、大型機種でございますが、三〇%以上の価格下落になっているわけですね。これが北米に行きますともっと激しゅうございまして、四〇%ぐらいになっていると、売価がですね、業界平均で。こういうようなコストの対応をしなければならないということと、もう一つは、価格が下がるもんでございますから在庫は持てないんですね。在庫を長く持っておきますと当然商品が陳腐化すると、我々、見込み生産でございますので。そうしますと、極力消費国で商品を組み立てると、こういうことが必然的になってまいります。お取引先様の方も、VMIと申しまして、もう短納期で商品を下さいと、こういう動きが出てまいっております。そうしますと、もう必然的に消費国で物を作っていくということになりますと、課題としましてグローバルに通用する人材というものがあらゆる職種で必要になってきていると。工場が移るということは、もうすべての職能が向こうへ移るということですから、大変そういう状況に今なってきておりまして、ここを、じゃ新しい雇用形態を含めて対応していこうではないかなと、このように取り組んでいる次第でございます。 具体的な取組事例でございますが、定年の再雇用制度を私どもも取っております。二〇〇一年四月にスタートいたしました。希望される方について紹介、あっせんという形でしております。一般社員につきましては実績として約七〇%、残念ながら管理職がなかなかうまくいきませんでして、希望される方の二〇%に終わっていると、こういう状況でございます。これは四月の法の改正も待ちまして、もっと充実していこうと、こういう状況でございます。 それから、技能の伝承、物づくりの匠制度。これはエレクトロニクス業界としての基本的な技術、ここに書いております七技能でございますけれども、この技能について現在習熟している者が若手を育成していこうじゃないかと。その若手が習熟した者のレベルに立ちましたら、たとえ一般社員でありましても、課長と、管理職と同じような待遇をしようじゃないか、そういうインセンティブを付けまして技能の伝承を図っておりますし、b、技能伝承のための社内学校も作っております。これは、OBの方々を我々利用させていただきましてやっている内容。それからc、産学連携によります物づくり後継。我々の企業といいますのは、この暗黙知を形式化するというのは、言葉では分かるんですけれども、なかなか難しいんですね。あるいは、体系的にやるというのはなかなか苦手でございまして、いろんな先生方のこういう会合にはどんどんもう人も出させまして、これを活用していこうじゃないかと、かように思っております。 一方、この多様な人材の採用をやっていこうと。これ、キーワードはグローバルでございます。先ほど申しました世界の技術者に戦っていこうと思いますと、日本国内の研究所だけではなくて、海外でも研究所、開発拠点を持っていかなければならないということで、aに書いておりますとおり、それぞれの拠点でその御当地の技術者を採用しております。 で、グローバル採用、これも先ほど申しましたような観点からしておる状況でございまして、特に今工場が、海外の工場が中国で多いものですから、私どもも直接中国の大学に参りまして、その中国の工場の技術者を毎年百五十名程度ですね、ずっと採用して、そこで技術を発揮いただく。その方々が日本にもキャリアパスでお越しいただいて能力を発揮いただこう、こういう制度をしております。 そうしますと、賃金体系もグローバルに対応せぬといきませんので、購買力平価の考え方を入れまして自由にできると、こういう賃金体系も進めているところでございます。 シャープ・リーダーシップ・プログラムは、選抜型の経営幹部をつくっていこうという内容でございます。 ちょっと早口で、時間の関係で恐縮でございますが、そういう観点から見ますと、今後の課題、ここに三つ挙げておりますけれども、何しろシャープは特徴ある商品を作るんだというものがもう伝統的にあるんですけれども、団塊の世代と今母集団になっております三十七、八歳の世代とは、やっぱりちょっと価値観が違うんですね。この辺のところの伝承を、本当にこう、どう言ったらいいんでしょうか、組織の精神としてつなげていくには本当にどうしていったらいいんだと、こういう課題がございます。 それから、育成型の制度で終身雇用をうたっておるんですけれども、やはりジョブホッピングが大変出てきております。一生懸命研修をし、人を育て、いざというときにいわゆるよそへ行っちゃったらちょっと困るなと。そういうことが定着しますと、結果的にそういう方々の賃金と残った方々の賃金の格差はどんどんどんどん開いていくと思うんですね。平均的に見ましてもコストが高くなってくる、こういう状況にございます。 それから三点目でございますけれども、物づくりを支える人材の強化。特にこの現場、工場運営をする社員の方々が非常に逼迫しております。そういう意味で、特に海外ですね、逼迫をしておるわけです。海外に例えば私どもの社員を派遣いたしますと、賃金が一・八倍になります。ということは、我々海外にどんどん出して経験させたいと思うんですけれども、なかなかそれが思うようにいけない。こういう意味でのバックアップ。 あるいは、技術者がどんどんどんどん高学歴化しておりまして、必ずしも修士の人だけが技術ではない分野というのはたくさんございます。ところが、そういう方々、例えば高専の方々も大変少のうございますし、工業高校の方々ももう本当に引く手あまたのところでございまして、少し悩み事が多いなと、かように感じている次第でございますけれども、知恵を絞りながら需要を創造することが社会に貢献すると信じておりますので、その経営スタイルをこれからも取っていきたいと思います。 ちょっと早口で恐縮でございますが、以上でございます。
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。 それでは次に斎藤参考人、お願いいたします。
○参考人(斎藤太郎君) ニッセイ基礎研究所の斎藤でございます。本日はよろしくお願いいたします。 本日のテーマは団塊世代の退職による経済・産業・雇用への影響ということなんですが、私の方からは、団塊世代の退職によって労働供給力が今後どうなるかということで、かなりテーマを絞って限定的なものになるということで、あらかじめお含みおきいただきたいと思います。 お手元に配付されています資料を基にお話を進めさせていただきます。 改めて申し上げるまでもないんですけれども、団塊の世代というのは一九四七年から四九年生まれの方を指しまして、この三年間だけで人口としても六百八十万人くらいということで、前の世代からすると五〇%近く、後ろの世代からと比べてもまあ一〇%以上多いという突出した世代なわけであります。したがいまして、この世代の方々が二〇〇七年から六十歳を迎えまして、定年の年齢を迎えるということで一斉に退職が始まるということで、労働力が一気に不足してしまうのではないかと、こういうのがいわゆる二〇〇七年問題の一つとして考えられているわけであります。 最初に少し細かい話で恐縮なんですけれども、労働市場において団塊世代を扱う場合に問題となってくるものとして、毎年公表されてます労働関係の統計というのは、基本的には五歳刻みで公表されているわけです。通常、分析をする場合には、五歳刻みで何の問題もないわけですけれども、こういう団塊の世代というかなり限られた世代を扱う場合には、この五歳刻みというデータがやや実態を把握するのに少し不十分な点があります。 例えば、二〇〇五年時点で団塊の世代の方は五十六歳から五十八歳ということになるわけですけれども、労働統計でこの世代を見る場合は、五十五歳から五十九歳という、こういう刻みで発表されます。したがいまして、団塊の世代も、三年間ということに限って見たい場合にも、その前の世代とその後の世代、これが混じってしまうと。年によっては、その団塊の世代が違う五歳階層のところに分かれてしまって、なかなかこうつぶさに見ていくには少し問題があるという点が一つあります。 国勢調査なんかを見ますと、これはまあ非常に大調査ですから、一歳刻みで労働力状態とかこういうものが公表されてまして、かなりつぶさなデータを拾うことができます。しかしこれは、御承知のとおり、五年に一度しか調査されないものですから、二〇〇五年、昨年は国勢調査の年だったわけですが、まだその詳細なデータというのが、発表されるのはこの六月が予定されてまして、現時点で扱えるものというのは二〇〇〇年と、ちょっと古いものになります。 そこで、今回私がお話しさせていただきますのは、その五年前の国勢調査と、毎年発表されます労働統計の五歳刻みのデータを組み合わせることによって、毎年毎年の労働力人口というのを一歳ごとに独自に作成しまして、その上で団塊世代の動向というのを見ていくことにしております。 まず、二ページのグラフをごらんいただきたいんですけれども、このような形で少しデータを加工した上で、直近の団塊の世代の方の労働力人口というのがどのくらいあるかというのを見たものが二ページのグラフです。 二〇〇五年時点では五十六歳から五十八歳に当たるわけですけれども、この方の労働力人口というのは五百十三万人ということになっております。この中には失業している人も含まれてまして、これも私の試算なんですけれども、失業者が二十三万人いて、就業者が四百九十万人くらいいるということであります。 団塊の世代の方というのは、まだ今六十歳より手前なわけですけれども、実はピークは六百万人くらいいたわけです。既に五十代で退職されている方も結構いらっしゃって、そこから比べますと少し、百万人弱ですけれども、労働力人口としては減っているわけであります。しかし、それにしても、グラフから見ても分かりますように、全体の中でも約八%くらいの割合を占めてまして、かなり大きな勢力を依然保っているということが分かるかと思います。 次に、二〇〇七年以降の問題を考える前に一つ押さえておかなければいけない問題というのは、日本の労働力人口というのは既に減少が始まっているということを見ておかなければいけないかと思います。 三ページ目のグラフに、労働力人口の最近の推移を載せておりますけれども、一九九九年以降、六年連続で減少が続いていました。昨年は実に七年ぶりに増加に転じたわけですけれども、これは景気回復がかなり定着してきまして、労働市場の外にいた人、まあ女性が中心なんですけれども、労働市場に戻ってくる動きが出てきたということで、昨年は労働力人口は増えました。 ただ、この労働力人口の増減を要因分解してみますと、ここで三つの要因に分けておりますけれども、一つ目は人口要因、これは労働力人口の対象年齢に当たる十五歳以上の人口が増えたか減ったかという要因です。もう一つは年齢構成要因、これは、各年齢階級の労働力率が変わらないとした場合に、年齢構成の変化によって全体の労働力がどう変化するかというのを見たものです。高齢化が進んでいきますと、相対的に労働力率の低い高齢者が増えますんで、自然と全体の労働力人口は減ってしまうと、こういう要因であります。三つ目の労働力率要因というのは、これはもう各年齢階級の労働力率が前年に比べて上がったか下がったかと、こういう要因でありまして、一般的には、景気がいいと各年齢層の労働参加率が上がって、これはプラスに働くことになります。この三つの要因のうち、人口要因と年齢構成要因、この二つは人口動態面から決まってきてしまうものですから、一年二年でどうなるものではないというものであります。 ここで注目したいのは、人口要因というのは少しプラスに働いてますけれども、年齢構成要因というのがずっとマイナスに働いてまして、この大きさを比べた場合に、二〇〇二年を境に年齢構成要因のマイナスというのが人口要因のプラスを上回っているということになっております。したがいまして、趨勢的な動きとして見た場合に、昨年は確かに労働力人口増えましたけれども、長期的なトレンドとして見た場合に、既に労働力人口はもう減り始めているということが言えるのかと思います。 続きまして、六ページのグラフを見ていただきたいんですけれども、いよいよ団塊世代の話に移りたいと思いますが、ここでは五十歳以上の高齢者の退職者数というのを年ごとに見ておりまして、それを更に団塊世代以前の方と団塊世代とそれ以降ということで分けて見ております。二〇〇五年までは実績値に基づいた私の試算値なんですけれども、それ以降については、二〇〇五年の各歳の労働力率が一定と置いた上で、二〇〇六年以降の退職者数を試算しております。 このような仮定を置いて団塊世代の退職動向を見ますと、既にこの紫のところで示されてますように、九〇年代後半から少しずつ退職が始まっていると。これは早期退職制度などで、六十歳になる前、五十歳代のうちに退職した人というのが少しずつ出てきていると。二〇〇六年、来年くらいまでは、これは十万人程度退職していくということであります。問題の二〇〇七年以降になりますと、二〇〇七年で三十一万人、二〇〇八年で三十九万人、二〇〇九年で四十一万人という形で、確かに団塊世代の退職者数というのは二〇〇七年以降に一気に上がるということであります。 しかし、このグラフを見てお気付きのとおり、全体としての退職者数がどうなるかということを見ますと、二〇〇七年になって急に退職者数が増えるわけではないということが分かるかと思います。むしろ、二〇〇一年、二年くらいの高齢者の退職者数というのは実は百五十万人くらいいまして、それに比べますと二〇〇七年以降というのは百四十万人台と、むしろこのときよりは水準が低いということになっております。 このことをどう考えたらいいかということなんですけれども、実は六十歳と定年というイメージがかなり定着しておりますから、六十歳になると労働者は一気に退職するという印象は持ちがちなんですけれども、まあ現実にはそうではないということです。一つは、当然のことながら労働者すべてが会社員ではありませんで、自営業者というのも、だんだん減ってきてはいますけれども、いらっしゃいます。自営業者にとっては六十歳という定年は余り意味のないものです。 また、八ページのグラフをごらんいただきたいんですが、五十九歳から六十歳になるときに労働力率がどのくらい下がるかというのを実際に見てみますと、男性と女性で少し水準は異なるんですけれども、まあ全体としても大体一〇%以内ですね、一〇%下がるか下がらないかというくらいです。つまり、六十歳になって労働市場から退出するという人は、全体からするとまあせいぜい一割ということが現実であります。したがいまして、団塊の世代が六十歳を迎えて、二〇〇七年になって一気に労働力がなくなるということは、私は違うんではないかというふうに考えております。 ただ、だからといって労働力不足の懸念がないかといいますと、決してそんなことはありません。初めに述べましたように、労働力人口というのは既にもう減少が始まっておりまして、九八年がピークでありましたが、既にもう百四十万人ほど減っております。二〇〇七年になって何かが急に起こるということではなくて、問題というのは既に始まっていて、これからもじわじわと進行していくというのが実態ではないかと思っております。また、二〇〇七年から数年たつとその問題がなくなるということでも当然ありませんで、決して一過性のものではないというふうに私は考えております。 九ページのグラフと十ページの数字は、二〇〇五年時点で労働力率が今後一定と、年齢ごとの労働力率が今後一定と仮定した場合に労働力人口がどれだけ減るかというものを試算したものですけれども、毎年大体四十万人くらいずつ減っていって、大体十年間すると四百万人近く減ってしまうということが試算されております。 このとき人口全体に占める労働力はどのくらいかというと、これも私の試算ですけれども、四九・六%ということで、五〇%を割り込んでしまうということであります。したがいまして、この問題を放置しておくということは決してできないことというふうに考えられると言えます。 もちろんこの状態というのは、そのまま手をこまねいて見ているわけではありませんで、御承知のとおりこの四月から高年齢者雇用安定法の改正がありまして、継続雇用制度というのが導入されるわけです。したがいまして、この制度が実際にどのような運営をされるかというのは非常に大きな問題かと思っております。 実際は、既にこの継続雇用制度というのは既に多くの企業で実施されております。十二ページに実施割合を見ておりますが、七割以上の企業が制度自体は持っていると。しかし、十三ページにありますように実際の適用の割合というのは必ずしも高くないということでありまして、ですから、実際にこれがどれだけ適用されて実効力を持ったものになるかということが大きなテーマになるかと考えております。 十五ページ目には、六十五歳までの継続雇用が定着した場合の労働力人口というのを試算しております。これは、現在の五十五歳から六十四歳の労働力率がそのまま十年後に十歳分下にシフトすると、上昇すると、そういうかなり大ざっぱな仮定を置いた試算であることに御留意いただきたいんですけれども、このような形で六十五歳までの継続雇用が定着していきますと、まあ現状維持制度に比べてかなり減少幅を抑えられると。十六ページ目に具体的な数字を載せておりますけれども、これでも減少は避けられないんですけれども、まあ人口自体がもう減っていくことは不可避ですから、この程度の減少であれば、まあ何とかなるんではないかというふうに私は考えております。 最後に、継続雇用を進めていく上で私は一つ問題かと思っておりますのは、団塊の世代が退職するとかなり人件費が浮くというような、まあ企業側からすると楽観的な見方というのが一部にあるかと思うんですけれども、私はこれは少し楽観的過ぎるんじゃないかと思っております。実は、高学歴化というのは団塊世代の後もうどんどん進んでおりまして、十八ページ目のグラフに大卒の労働者割合というのを載せておりますけれども、賃金水準の高い労働者の割合というのは実は団塊世代が退職した後どんどん高まっていくという問題があります。 したがいまして、このままの年功賃金のカーブというのを維持していきますと、ほっといても平均賃金水準というのが上がってしまうという問題があります。十九ページ目にその試算を載せておりますけれども、男性、女性ともに高学歴化というのは賃金上昇圧力というふうになってしまいます。 したがいまして、今後の課題として、このような年功型の賃金体系というのを是正することによって、賃金の上昇圧力というのを軽減しながら高齢者の継続雇用を進めていくということが非常に重要なテーマになるのではないかというふうに私は考えております。 以上でございます。
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。 それでは、次に高畑参考人、お願いいたします。
○参考人(高畑敬一君) 団塊の世代が定年後、どんな夢と不安を持っているか、また消費や社会に対する参加の意識はどうだろうかということを、既に定年退職されている六十代、七十代の定年アフター世代と、それから団塊の世代の前後の五十代と比較する意味で、約四千四百四十六名の方に全国一斉に、ナルク、私どもの会員が調査員になって調査をいたしまして、ある調査会社と共同でそれを分析、報告したものがここにデータとしてございます。また、それを、「団塊の世代のシニアデビューが社会を変える 市場を変える」という本を出版して販売しております。一冊三千円でございますので、よろしくお願いいたします。 それを基にいたしまして、本日のテーマに対する私の意見を表明いたします。(資料映写) 団塊の世代の一割は既にリストラによって早期退職を余儀なくされておりまして、そのうち六割は再就職をしております。既に、先輩の定年いわゆるアフター世代が、ここにありますように二〇%を超えるリストラに遭っておりまして、自分たちの世代も遭っていますけれども、先輩もかなり強烈なリストラに見舞われまして、従来ひたすら高度成長の中で頑張ってきたこの団塊の世代が非常にショックを受けて、企業に対する信頼感を失っているというのはこの調査に表れておるところでございます。 その結果、例えば、定年延長を望むかどうかという調査項目がございますけれども、定年アフター世代は五割以上が定年延長制度をやってほしいと、やるべきだという意見が強いんですけれども、この団塊の世代は三割しか上っておりません。自分の会社でそのままとどまって仕事をするということは好んでいないというのがこの調査に出ております。 それと、アフター世代と違うもう一つの大きな要因は、年金に対する不安というのがアフター世代と比べて格段に多いというのが特徴でございます。したがって、なお働きたいと、自分の会社ではないけれども、なおやっぱり働いて収入を得なければならないと考えておる層が七〇%に上っております。 なお、団塊世代のライフスタイルは、ここにありますように、私どもの調査では、二〇%は分譲マンション暮らしで、年収平均九百二十万。公務員はそれよりも高くて一千万円強。定年アフター層はこれより四百万少なくて五百二十万というのが私たちの調査で出た数字でございます。 団塊の世代に多い不安要素は、先ほどもちょっと申しましたんですけれども、やはり定年後の生活費、年金など将来の見通しが非常に不安なので、定年後の生活費が不安だというのが五一%に上っておりますし、そして、したがって、働きたいんだけれども、なかなか仕事が見付からないということの不安というのが三九%に上っています。 なお、アフター世代を含めたシニア世代共通の不安というのは、何といっても自分の健康というのが四二ないし五三%、世代によってちょっと違いますけど。それから、配偶者の健康、お互いに配偶者の健康を四割近くがやっぱり不安に思っている。それから、自分が要介護になったときの不安というのは、介護保険は入っておりますけれども、なお一七から三〇%に上っています。 ここにありますのは世代別に比べた定年後の暮らしの不安、不満なんですけれども、こちらが若い層ですね、これは団塊の世代ですね。団塊の世代でもちょっと若い層がこの辺ですね。それから、七十歳—七十九歳とか六十五歳—六十九歳、この辺ですが、この層との、ここは一緒ですね、ほとんど。自分の健康とか配偶者の健康とかというのはほとんど変わらない。要介護になった不安が、これもそんなに大きく変わっておりません。しかし、年金など将来の見通しというのはこれだけ差があり、もっと大きなのは、やっぱり定年後の生活に対する不安がこう、非常に差が出てきている。それからもう一つは、働きたくても仕事がないということですね。先ほども申しましたのは、こういうふうに世代によって、これは非常に大きな特徴でございます。 最も希望する定年後の暮らし方というのは、私どもの、私は今七十六なんですけどね、私どもの世代の場合は定年直前まで余り考えなかったですね、定年後のことを、一生懸命会社で働いて。しかし、今の団塊の世代は五十代からもう定年のことを考えておる。その下の世代は四十代から考えていると、定年のことを、というデータが出ております。 団塊の世代は、御承知のとおり、友達夫婦と言われるように、職場結婚、恋愛結婚が圧倒的に多かった世代でございまして、定年を機会に、少し仕事に走り過ぎたけれども、夫婦二人の人生を旅行や遊びに使いたいというのがやはり特徴として出ておりますが、もっと大きな特徴は、ここにありますように三位一体と。これは地方分権の三位一体じゃございませんで、一つは、やはり先ほどのように、仕事をしたい、なお働いて生活費を稼がなきゃならぬ、でもフルタイムでない仕事で自分の特徴や特技や資格を生かした仕事を新たに見付けて働きたいというのが一つ。それからもう一つは、これは非常に大きいんですけれども、ボランティアで地域活動に当たりたい。私たちの層よりも非常に大きく出ております。それと、先ほど申しました、夫婦ともに旅行とか趣味とか健康づくり、この三つをバランスよく定年後暮らしたいというのが夢と申しますか、目標になっております。 これはアフター世代と大きく違うところであります。アフター世代はこちらに圧倒的に要素が多いということですね。先ほど申しました、自分を生かして主体的でマイペースな働き方を希望しているという、特にこのところですね、こことか、こことか。これがこちらの世代とこちらの世代との違いですね。ですから、働きたいけれども、三位一体で、しかも自分の特技を生かしてフルタイムでないマイペースな働き方で若干の収入を得ていきたいということですね。 この定年後の就労ですけれども、大体月十五万から二十万円は欲しいということです。だから、従来の賃金よりも下がってもよろしい、年金プラスアルファでやっていきたいということですね。就労の、働いてもよい、働くというのは、団塊の世代でも、さらにこの若い世代はもっと多くなっております。それだけ非常に不安がもっと強いということですね。それから、共働きが増えていくだろうということ、これもデータ出てます。約六割から七割の人たちが、奥さん方が働きたいという。アフター世代の場合は六二ないし七〇%はもう働くつもりはないという、この辺が大きく違いとして出ております。先ほどお話あった労働力ということでは、両方とも大きく期待できるということではないでしょうか。 就労の理由は、先ほど申しました、一番多いのはやっぱり生活費の一部にしたい、こちらはアフター世代、団塊の世代ですね、大きく違っていますね。ゆとりを持ちたいというのも、これは団塊の世代ですね。これはビフォアーという団塊の世代を含めた若い世代と、既に定年になっている世代との違いですね。 何歳まで働きたいかというんですけれども、六十五歳までというのが一番多いように思ったんですが、そうではなしに、働けるうちは働きたいという、その方がぴんぴん生きてころりと死ねるというので、できるだけ働けるうちは働きたいというのがトップになりまして、その次は六十五歳まで、その次は七十歳までというふうになっております。堺屋先生が七十歳まで働くようにすべきだというのは、最近本に書いていらっしゃいますけれども、それを十分裏打ちしているんじゃないかとデータでは見えます。 ここが一番私が出てきた任務じゃないかと思うんですけれども、この社会参加に対する意識ですが、これが従来の六十歳以上のアフター世代の線ですけれども、町内会とか自治会、趣味教養のサークルと、これが一番多くて、健康・スポーツサークル、同好会とか。ボランティアが低くて、NPO、NGOはほとんどないという。現在の団塊の世代は、現状参加はこちらですね、これは余り変わらないんですけれども、聞いてみますと、自治会とか町内会というのはもう当番制になっているんでやむなくやっていますという、将来は余り参加したくないというんですね。将来参加はここまで落ち込んでしまいました。趣味教養のサークルとか健康・スポーツサークルとか、地域で多少参加しています。ボランティアもやっていますけれども、一〇%にしかすぎませんが、これが将来の定年後になりますと、これはまあそんなに、ちょっと上がるだけで、これは余り変わらないけれども、こちらがうんと上がるわけですね、三〇%近く、二八%ありました。NGOやNPOに参加したいというのもうんと上がります、一五%程度。ここが非常に期待できる団塊の世代、更にその後続く人たちの大きな特徴ではないかと思っております。 これを見ますと、こちらが現在参加している社会活動、こちらは将来参加したい社会活動ということですけれども、ごらんのように、町内会、自治会は参加していますけれども、ぐっと落ちるわけですね。NPO、NGOが、今はこちらですけれども、ぐっと上がってきまして、ボランティア活動、ここら辺りが非常に団塊の世代の大きな特徴であります。これは余り変わらない、今までの世代と、という結果でございまして、これから非常に厳しい、例えば社会保障の維持などが難しくなってくるわけですが、それを地域でそれぞれ税金を出す代わりに労働力を出して、ボランティアで、地域コミュニティーを図りながらいろんな活動で働いて社会を支えていくという、こういう活動が非常に期待できると思っております。 一方では、雇用の問題は、後の先生が専門でお話になると思いますが、改定高齢者雇用安定法によりまして、企業はもう当然必要であればあの制度を、これはもう守らないかぬですけれども、必要であればどんどん雇用延長をするわけでございまして、団塊の世代の皆さんも、年金とのつなぎをするためにはやっぱり働かなきゃならないと。この会社は余り好きじゃないけれども、信頼できないけれども、やむなく働こうかというのは三分の一ぐらいおるでしょうし、企業を替わって新しく、先ほど申しました、主体的でマイペースで自分を生かした働き方を新たに求める人も三分の一近くおるんじゃないかなと。 しかし、この私どものデータでは、収入はちょっと減るけれども、基礎年金がなくなってですね、けれども、蓄えもあるし、自分のしたいことをこの際したいというのも三分の一近くいらっしゃるわけで、これも団塊の世代の非常に大きな特徴ではないかと、逆に私どもは期待をしておるわけでございます。 私自身は、今、定年退職者の皆さんに、ただ自分の趣味とか健康づくりとか旅行だとかいうことだけで人生を終わるんじゃなしに、少しでも社会や人様のためにボランティアで働いて、自分自身が生きがいや健康をちょうだいするというような生き方をしようじゃないかと、それは自分のためにもなるし、ひいては少子高齢化の日本の社会の大きな支えになるんだと。そういう高齢者が圧倒的に多くなれば、超高齢社会というのはそんなに心配はないと、社会保障もある程度守っていけるんじゃないかというふうに考えまして、広く全国に組織をしてメンバーを増やしているわけですけれども。これが団塊の世代の定年以降、また雇用延長と年金の開始年齢をつなぐ年以降、大きく参加していただけることを期待したいし、そのためには、実は受皿がまだ十分できてないんですね。 ボランティア団体は全国で、そうですね、十万以上あるわけですけれども、ほとんどイベント型、一過性型が多くて、アメリカのように継続型と申しますか事業型と申しますか、こういうボランティア団体がまだ少ないわけですね。生きがいと健康と、社会に貢献していくボランティアをやろうとすれば、やはりいつでもだれでもボランティアができるという、そういう受皿をつくっていかなきゃならぬというんで私どもそれをつくっているんですけれども。 そのためには、事務所も要るしコーディネーターも要りますし、いろいろ経費が要ります。私どもの場合は、年会費三千円を出し合って、それでも足りませんから企業に若干応援を求めてますが、それもなかなか集まらないというわけで、私ども独自のいろんな過去のキャリアを生かした事業をやりましてですね、その事業の収益の中から本体のそういうボランティアのところの経費に充てておりますが、なかなかまだ十分いきません。けれども、そういうところまでいってない一過性型のボランティア団体が圧倒的に多いわけでして、いかに継続型、マネジメント型の、いわゆるNPO的なボランティア団体を多くつくるかということが大事ではないか。 しかも、現在のボランティア団体の九七、八%は女性が入っていらっしゃるという、女性のみのボランティア団体が多いわけでして、男性がどんどん入っていけるボランティア団体が非常に少ない。まあ、私どもの場合は男女ちょうど半々ぐらいでやっておりますので、非常に男性が入っていけまして定着しやすいんですが。だから、男性がもっと参加しやすいですね、できれば男女共同型のボランティア、NPOをつくっていただくための、一つは、やっぱり各自治体においても、単なる老人大学ではなしに、あれは税金の無駄遣いでしてね、勉強だけして何もしないんですから、勉強したらすぐ行動するというためには、やっぱりそのボランティアリーダー、継続型のボランティアリーダーの養成講座をやって、それを受けた人は必ずつくってもらうと、団体を。それにやっぱり応援をしていくと、自治体行政等が援助していくということが必要でしょうし、いま一つは、NPOに対する税制優遇措置がアメリカ等に比べて非常に不十分でございますので、これをやっぱりしっかりやっていただきたいと。 今年は政府税調や自民党税調もそれを考えていらっしゃるようですけれども、是非アメリカ等を見習って、NPO、ボランティアに対する税制の優遇措置をしっかりやっていただきたいと思っております。 なお、これはあと先生の専門でございますのでさっと走りますけれども、定年後の社会参加、そして自立共生型でどんどん生きていこうというのは、男性よりも団塊の女性の方が非常に積極的であります。 それから、確かに田舎暮らし志向というのは、男性で一二%あるんですけれども、女性の方は二%しかございませんで、逆にマンション住まいをしたいという、これは男女差がはっきり出ております。ここをどう解決していくかというのは、田舎暮らし志向へのこれからの課題でしょうと。海外暮らしへの転換もまあ一部ございますが。非常に消費として多いのは、やっぱり住まいのリフォーム、建て替えをしたいというのが一五%もございまして、これが非常に大きなこれからの消費の期待できる分野ではないかと思っております。 それから、生活意識ですけれども、これも最近、堺屋先生やいろんな方々がおっしゃっているように、自分のために使うと、お金を。子や孫より自分のために使いたいというのが私どもの調査では四割出ておりまして、従来のアフター世代に比べて二倍半の大きな比率になっております。この数字はもっと多いんじゃないかというふうに思いますが。もう一つは、本物志向ということで、価格よりも品質、デザイン、これはブランドは気にしないと、高くても良いものを一つ持ちたいとかということで、そのためには蓄えを積極的に使いたいという意識があります。 それから、情報に対する関心度は現役よりも高くなってまいりまして、新聞や行政の広報誌を読むというのはぐっと増えてまいります。女性の方は、むしろ友人の口コミで情報を得たいというのが出てきます。 定年後のお金の使い方で増加するのは、趣味・習い事、旅行、自宅での料理・食事費、住居の増改築費、友人・知人との交際費と、男性の方が非常に消費に積極的でございます。コンビニをどんどん利用したいというのも出てきております。 定年後の生活行動としては、先ほど申しましたようなことから、やはりこの新聞、広報誌、雑誌を読むというのは比率が高まり、夫の家事分担も増えてまいりまして、しかし、ごみ出し、ふろ掃除、庭の掃除、草引き程度でございますけれども、しかしこれは増えるという。家族と過ごす時間も増えるという。 それから、定年後の生活行動は、アフター世代と比較いたしまして、書籍を読んで知識を高めたい、教養を高めたい、車の運転にもっと熱心になりたい、インターネットで通販を使いたいとか、ペットと暮らしたいとかということですね。 それから、定年後のお金の使い方が減少するのは、これは意外だったんですけど、ファッション、美容、自宅以外での飲酒、これはまあ当然ですけれども、クリーニング、タクシー、こういうのは減るという。 健康は、良好だという自覚を持っている人は九割、七十代でも八割いらっしゃいます。心掛けていることは、栄養のバランス、適度な運動、規則正しい食事、定期健康診断、睡眠と、こういうふうに結構健康に気を遣っていらっしゃるというのは出ています。 これからは、私どもとしましては、一つは、やっぱりボランティアだけではなしに、働いていく、そしてボランティアもするということですから、まあ七十五歳までは働ける社会にすべきじゃないかと、しかし、多様な働き方がありますよと。必ずしも、さっきも、フルタイムじゃなくて短時間とか隔日勤務とかSOHOとかいろんな働き方あります。多様な働き方を工夫した企業が、七十五歳までの就労で使っていくと、そして七十歳以上も、収入があれば年金などの保険料を出していくということ。それから、女性の就労率をどんどん高めていくということ。共稼ぎが当然増えるわけですから、これによって新たな保険料収入が相当出てまいりますので、私たちの調査では、団塊の世代も含めてできるだけ年金は維持してほしいと、余り減らさないでほしいと。そして、保険料率はそんなに上げてもらいたくないんだけども、上げられなきゃならないのだったらまあやむを得ぬけれども。しかし、私たちの世代や団塊の世代は、これからもう保険料払わぬでもいいようになるんですから、働けばこれから出していくということですけれども。 同時に、その保険料の収入増だけじゃなしに、消費税によって、むしろ私たちは保険料の代わりに消費税を払うことによって若い世代の負担を和らげることができるということで、むしろ保険料の負担増はできるだけ抑え目にして、消費税だったら一五%ぐらいまでは上げましょうというのがデータとして出ておりますので、是非ひとつ、心強くこれから審議していただきたいなと思っておるわけであります。 それから、いま一つは、やはりアメリカのように年齢差別禁止法などを作って定年制はもうやめていくと、七十五歳まで働けるわけですというような社会をつくるという意味で、もちろん年功賃金の修正とかいろんなことがございますけれども、新しい雇用の在り方を考える必要があり、やはりエージレス社会の発想が大事ではないかということを最後に申しまして、私の意見の発表を終わらしていただきます。
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。 それでは、八代参考人にお願い申し上げます。
○参考人(八代尚宏君) 国際基督教大学の八代でございます。 本日は、団塊世代の退職問題を中心にいたしまして、世界で最も速いスピードで進展します日本の高齢化問題とそれへの対応ということでお話しさしていただきたいと思います。(資料映写) 本日の趣旨は以下のとおりでございまして、戦後のベビーブーム世代の高年齢化に伴う経済社会的な影響ということを、特に九〇年代までの日本は人口構成の黄金時代であると、人口の稼働率が非常に高くて、少子化に伴う扶養負担の軽減という中で、今の中国が実はそういうような状況でありますが、こういう人口構成上、非常に恵まれた時代であった、しかしそれが今急速に変わってきているということであります。 それから、団塊の世代が前の世代とどう違うかというお話があったわけですけども、やはりその一つの大きな違いというのが寿命の長さだと思います。つまり、過去は大体、定年を迎えると、もうその後しばらくして寿命が尽きる場合が男性の場合は特にあったわけですが、今や定年後平均して二十年ぐらい寿命があるわけですから、それをどう活用するかというのが非常に大きなポイントになる。それがまた、逆に言えば不安感にもつながっているんじゃないか。その意味では、先ほどからお話もありましたが、定年制ということ自体が時代後れでありまして、やはり高齢化への最大の対応というのは、年齢を問わない社会、と同時に性別も問わない社会、生涯現役社会といいますか、働き方の多様化で学習とか就業とか余暇のバランスを回復すると。若者は働くだけ、学生は勉強するだけ、高齢者は余暇を持て余すだけという、そういう極端なことではなくて、いずれの世代もやはりしたい勉強はする、能力と意欲に応じて働く、それから、それぞれもっと余暇を楽しむというバランスの回復が必要ではないかということでございます。 先ほど申し上げました黄金時代というのは、こういう従属人口比率という指標で示されるわけでして、これは六十五歳以上の人たちと十五歳以下の人たちの十五歳から六十四歳までの生産年齢人口に対する比率を見ているわけでありますが、日本は戦後、高度成長の中で急速に少子化が進みましたので、従属人口比率は大きく低下した。しかし、高齢化、高齢者の比率が高まってきたことによってこの黄金時代がもう終わってきているわけであります。それが実は、九〇年代以降の長期経済停滞とも関連しているんじゃないかということでございます。 これはどういうことかと申しますと、さきの従属人口比率の変化分を指標にして逆目盛りにしているわけですが、これと経済成長率とが非常にラフではありますが相関関係にあると。これは結局、人口の黄金時代の状況では、家計や企業が相対的に他の先進国と比べて税金とか社会保険料の負担が小さかったと。同時に、団塊の世代が旺盛な耐久消費財への需要を維持して、それが消費を中心とした高い経済成長を牽引した、それに応じて設備投資も増えたという好循環のメカニズムが働いていたんではないかということであります。 ですから、この関係を機械的に延ばしますと、将来は非常に暗いものでありまして、人口の変化というのはもうほとんど決まっているわけですから、低成長も避けられないということになってしまうわけでありますが、しかし、これはある意味で十分避けられるわけでありまして、それはやはり人口の稼働率を更に高めていけばいい。つまり、先ほどもお話がありましたが、今余り活用されていない女性や高年齢者の就業率を維持するないしは高めていくということではないかということであります。 幸い、日本の高齢化の一つの大きな明るい面というのは、高年齢者の就業率が国際的に見て非常に高いことでありまして、この一番下のフランス、それからドイツなんかは早期退職ということが非常に顕著でございまして、大体、五十代後半ぐらいからもう就業率が非常に低くなってしまう。実は、高齢化以上にこの早期退職というのが欧州では大きな問題になっているわけでありますが、日本では幸いその気配はほとんど見られません。五十五歳代後半というのの就業率はむしろ上がってきているわけでして、六十歳代や七十歳に至るまで高い就業率を維持している、これは男性の場合でございますが。その意味で、先ほどお話がありましたように、一挙に別に団塊の世代が引退したからといって就業率が落ちるわけではないということはそのとおりであるわけです。 ただ、経済的な影響ということを考えたときに、実は、単にこれまでと比べて就業者がどれほど極端に下がるかという、先ほど斎藤さんのお話があったんですが、そういう考え方ももちろんございますが、私はもう少し、機会費用という概念が経済学にはあるわけなんですが、働く能力と意欲を持っている高齢者が働く機会がないという機会費用の大きさを考えると、これはかなり経済的、社会的に大きなロスではないかということでございます。 三つのシナリオというのが労働力率について書かれているわけでありますが、一番上の就業継続ケースというのは、これは六十歳から六十四歳の人たちがその前の五十五歳から五十九歳までと同じ労働力率を維持する、つまり引退しないということですね、この五年間に関して言えば。そういうやや極端な仮定を取りますと、当然ながら就業者の数は維持されると。それに対して標準ケースと申しますのは、従来と同じような比率で引退されるというケースで、このギャップというのは時間が過ぎるとともに大きくなっていくわけであります。この中期予測ケースというのは、日経センターが以前に出しました様々な改革をした場合のケースでありますが、これでも若干高齢者の労働力率の高まる効果はございますが、まだまだ本来の就業継続効果との差は非常に大きいわけであります。 その結果、経済的効果だけで見ましても、こういう働く意欲と能力のある人が働かないことによって大きな雇用あるいは経済に対する影響があるということでございます。もちろん、引退を楽しみにしておられる方を無理やり働かせるということは当然ナンセンスでありますけれども、日本の高齢者の就業意欲は世界の中で極めて高いわけであります。 これは新聞社の調査で見ても、高齢者のイメージというのを何歳からですかと聞くと、七十歳というのが非常に高いわけです。先ほどもお話がございましたけれども、しかもこの年齢というのは調査をするごとに高まっているわけでありまして、新しい調査の方がより高い年齢の人を高齢者とイメージするという回答が高まっている。それから、当然のことですけど、だれに聞くかによって違うわけで、六十五歳の人に高齢者というのは何歳ですかって言えば七十以上、七十歳の人に聞けば七十五歳、七十五歳の人に聞けば八十歳というふうに、自分は高齢者じゃないと思っている人がたくさんおられるわけで、それは結構なことで、高齢者でなければ仕事あるいはボランティア、いろんな形で社会に貢献していただくと同時に、本人も健康を維持していただくというような機会を維持するというのが非常に重要ではないかと思っております。 それで、問題は、高齢化対応型の社会にどうしたらいいかということであります。 今よくマスコミ等で日本の所得格差が拡大しているんじゃないか、これは構造改革のせいではないかというような意見がございますが、これは少なくとも経済学の中では基本的に否定されているわけで、確かに格差は拡大しておりますが、そのほとんどの原因は高齢化にあるということでございます。つまり、年齢別に見ました所得格差を見ますと、若い世代よりも高齢者層で最も所得格差が大きいわけであります。その所得格差の大きい高齢者の比率が傾向的に高まってくる、人口全体に占める比率が高まってくる結果が、統計的に見た日本の平均的な所得格差が拡大するという原因になっているということであります。 この高齢者層の内部の所得格差の大きな原因といいますのが、まあ資産所得の差もございますけれども、ほとんどの要因が働ける高齢者と働けない高齢者との賃金所得の差であるわけであります。その意味では、年齢差別という言葉が先ほどありましたけれども、年を取っているからもう雇わないとか、そういう雇用機会を年齢によって制限するということをなくして、多様な雇用機会の拡大を通じた雇用者、高齢者層内の所得格差の改善というのがひいては日本全体の所得格差の是正にもつながるんじゃないだろうかということであります。 それから、そのためには、継続雇用の一層の強化とかあるいは定年年齢の引上げがいいんじゃないかという御意見もあるわけですが、私は必ずしもそうは思わないのは、定年制というのは二つの意味があるわけでして、一定の年齢になったら強制的に解雇されるという負の側面と、その年齢までの雇用が保障されるという正の側面と両方あるわけであります。 米国では年齢差別禁止法というのがございますが、これは、逆に言えば定年までの保障もないからこういう法律ができるわけでありまして、日本のように定年までの雇用を保障しながら同時に定年後も雇用を保障しろというのは、やはりそれは無理であるわけでして、ある意味で、アメリカ型の流動的な労働市場、生産性に応じた賃金が職種別に払われるという、男女、年齢にかかわりなく同一労働、同一賃金の原則を達成すれば定年自体が要らなくなってくるわけでありまして、その意味で、現在の年功賃金を維持したまま継続雇用を拡大していくというよりは、やはりそういう定年が必要がないような制度に変えていくことが基本的なポイントではないかと思います。 先ほどのお話にもあったわけですが、定年後も継続雇用されている方というのは、どっちかといえば専門職の方が多いわけで、歓迎されないのは管理職であるということで、そういう意味では、能力に応じた賃金をもらっている人は、もう企業の方から喜んで働いてくださいというふうに言うわけでありますので、そういう方向に持っていくというのが大事ではないであろうか。そのためには、きちっとした機会の均等、これは女性だけじゃなくて、高年齢者も含めたより徹底した形にしていく必要があるんじゃないかということであります。 そのためにもやはり、ワーク・ライフ・バランスというのが今少子化対策で言われていますが、これは別に女性だけじゃなくて、高年齢者も同じであります。つまり、女性や高年齢者に共通する点というのは、壮年男性のように仕事しか能がないわけではないわけで、もっと仕事以外にもいろんなやりたいことがあるわけでありますので、そういう、何というか、短時間あるいは短期間の働き方を悪い働き方として言わば規制するんじゃなくて、正にできるだけ多様な雇用機会を拡大していくというのが同時に少子化対策にもなり、高齢化対策にもなるんじゃないかということであります。 それから、この委員会は同時に産業の観点も考えておられるということですので、少し申し上げますと、今後急速に進む高齢化というのは非常に暗いイメージでとらえられておりますが、新しい産業、需要の拡大という面ではむしろプラスの面もある。つまり、これからどんどん豊かで健康な高齢者が増えるわけですから、拡大する高齢者市場というのを活用する企業あるいはNPO等から見れば、これは絶好の需要が拡大する面があるわけであります。 特に医療とか介護、あるいは教育もそうだと思いますが、こういう分野は高齢者が増えれば確実に需要が増えるわけでありますが、この分野がこれまではどっちかというと非常に規制の塊であったかと思います。そういう成長産業というものを更に育てるためにも、こういう医療や介護あるいは保育も含めて公益性の高いサービス産業であるというふうに定義して、これは介護保険等で一部実現しておりますけれども、利用者と事業者とが対等な立場で契約をする直接契約あるいは利用者補助のような制度改革というのが必要なんではないだろうかということでございます。 それからもう一つは、高齢者の労働も大事でありますが、同時に資産の有効活用というのも大事である。言わば、高齢者が年を取って労働者として働けなくなった場合でも、逆に言えば資本家として社会に貢献していただくということも大事でありまして、自ら持っている資産を有効に利用してもらうということも大事なことではないかと思います。 この点、日本の高齢者の資産の持ち方というのを見ますと非常に特異性がありまして、所得に比べた資産の大きさというのは、金融資産では諸外国と比べてそんなに差がないわけでございますが、ただ利回りが非常に低い。米国や英国では二ないし三%ぐらいの金融資産の利回りがあるんですが、日本の高齢者はわずか〇・三%。これは極端にやはり銀行預金等に依存しているわけで、もっと言わば株とか債券を買っていただいて資産を有効活用していただくと、本人の財産も有効に活用できるし、また新しい企業に資金が流れるというような面もあるわけで、これは金融市場の一層の効率化あるいは規制の緩和というのが必要なんではないだろうか。 それから、金融資産に比べて極端に多くの住宅資産を持っているわけなんですが、これも米国等では子供たちが大きくなったら大きな家を売ってまた小さな家に住み替えるということが行われているわけですが、日本ではその住宅資産へのこだわりというのが非常に強くて、住宅を有効活用していない。これがある意味で高齢者の生活を必ずしも十分にエンジョイできないということではないかということであります。 あと、先ほどもお話がありましたボランティアとの関係では、地域社会の活性化とその担い手としての退職者の活用というのは、私も参加しました内閣府の二十一世紀ビジョンでも非常に今強調されている点でありまして、この点はもし御質問があれば後でまたお話ししたいと思います。 ありがとうございました。
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますので、質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるようお願い申し上げます。 なお、午後四時ごろに質疑を終了する予定になっておりますので、一回当たりの質問時間は三分以内でお願いいたします。また、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう質疑、答弁ともに簡潔に行っていただきますよう、皆様方の御協力をお願いいたします。 それでは、質疑のある方の挙手をお願いいたします。 小泉昭男さん。
○小泉昭男君 各参考人の方々の大変示唆に富んだ御指導いただきまして、感謝申し上げたいと思います。 まず、熊谷参考人、私はシャープのファンでございまして、今手元にある電子辞書もシャープでありますし、ザウルスは肌身離さず持って歩く、こういう状況の中で、大変興味あるお話いただきました。一番ポイントの部分では再雇用、リストラはしない、なるべくリストラをしていかない、それから匠の技を生かしていく、これは大変重要なことだと思っておりますし、職場環境というのが魅力のある職場であれば皆さん勤労意欲を増すわけでありますから、以前私シリコンバレーへ行ったときに産学官一体となった開発を目の当たりにいたしまして、それをもう実行されているようなお話でございました。 川崎の例を取りますと、電気自動車、先般もちょっとお話ししましたが、電気自動車も大分開発進んでおりまして、これから自動車の産業も変わってきて電機メーカーが車を造る時代が来るんじゃないか、こんなことを聞いております。こういう中で、これから全社員一丸となって営業も、それから開発も情報収集もやっていこうという、こういう意気込みでございます。これからの将来に向けたお考えをちょっと伺っておきたいなと、こういうふうに思います。 それと、斎藤参考人の御意見の中で、定年年齢の引上げ、これは六十五歳とも言われておりましたけれども、この方策についていま一度お考えを伺っておきたいなと、こういうふうに思います。 それと、高畑参考人さんの御意見の中で、大分私も年を重ねてまいりましたので、将来こういきたいなと思うのは、ぴんぴんころり政策でありまして、高齢になった方が元気でおられるということは町も元気になりますし、医療費も掛からない、福祉、介護に掛かる予算も少なくて済むという、これはもう本当にすばらしい社会になるわけでありますから、そういう中に男女が本当にすばらしい人生を全うする、そういうことが私たちの最終的な目標ではないかなと、こういうふうに思います。 以前、こういうところでこういうことをお話ししてよろしいかなと思うんですが、サラリーマン川柳で「粗大ごみ朝出したのに夜帰る」というのがありました。それともう一つは、「まだ寝てる帰ってみたらもう寝てる」と、こういうのもありまして、男女の考え方の差があるんだなということをつくづく思った次第であります。これから、こういう流れの中で将来的には消費税も前向きに検討しなきゃいけないんじゃないか、こういうところまで言及をされたことについて、本当に感銘をいたしました。これからぴんぴんころり政策に向けた、何かこうぴかっと光るようなものがございましたら一言いただきたいなと、こういうふうに思います。 それと、八代参考人さん、大変こう、高齢者のイメージについて、七十歳以上が高齢者のイメージだという、こういうデータがあるということを聞きました。これから高齢者という言葉自体ももう一回考えていかなくちゃいけない時代だと思いますし、精神年齢、肉体年齢の差というのはかなりございますから、そういう意味で、これから教育の場に高齢者の方々もっと出ていただいたらいいんじゃないかなと。 今子供たちに必要なことというのは、その町で、例えばパンを作るのがすごくたけている方、そしてまた大工さんで本当に匠の技を持っている方、それと、八百屋さんで商品に対するいろんな手入れをされている経験の方、こういう高齢者の方々大分多いと思うんですね。こういう方々に教育の現場に入っていただいて、子供たちに本当に将来に向けた人間味豊かな教育をいただくことも必要じゃないかなと思いますが、こういう部分も含めて御意見を伺いたいと、こういうことでございます。 以上でございます。お願いいたします。
○会長(広中和歌子君) それではまず、熊谷参考人からお願いします。
○参考人(熊谷祥彦君) ザウルスをお買い上げいただきまして、本当にありがとうございます。ひとつ是非また液晶テレビの方もよろしくお願い申し上げます。 何しろ事業を地域の皆さん方と御一緒になって拡大をしていくというのが一番重要だと思っております。今液晶テレビを主体に事業拡大を図っておりますが、パネルを生産しております三重の方々、それからそれをテレビに組み立てております工場、三重県と栃木県でございますけれども、それぞれの御支援をいただいて事業拡大を図っております。 現在の状況でございますが、まず二〇〇五年度、液晶テレビの世界需要約二千万台でございます。それから二〇〇六年度、この四月一日以降向こう一年間でございます、世界需要が私ども見立てておりますのが三千六百万台。さらに二〇〇七年度には五千万台と、まだまだどんどん需要が拡大していく見通しでございますが、実際はもっと行くんではないかなと、このように思っております。 と申しますのは、ブラウン管テレビが大体平均しまして過去世界生産が一億三千万台から一億五千万台ぐらいなんですね。これが所得水準の向上、グローバルにですね、各地域ごとの、かつ私どもの生産性の向上、単価ダウンに相まちまして、この一億五千万台のブラウン管の生産、需要というものがこの薄型テレビの方にどんどん変わっていくと、こういうことになりますと、二〇〇七年度の予想の年間五千万台にしましても、まだまだ三〇%前後でございますからもっと拡大する予定ではないかなと、このように思っておりますので、先ほどお話ございました、このパネルの高精細、そしてその後ろに付く回路の映像技術等々、自社並びに産学連携も今どんどん行っておりますけれども、併せまして向上に努めてまいりたいと思っております。併せて、液晶テレビに次いで、私の次の世代、やはり太陽光だと、このように感じておりまして、これも基礎技術のところでちょっと具体的なお話が、申し訳ないんですけれども、産学連携で大変な技術を今開発中でございまして、蓄電池の技術ともにもう少し世の中に御活用いただける効率水準まで早く持っていきたいと、かように思っております。 以上でよろしいでしょうか。
○会長(広中和歌子君) それでは、斎藤参考人、お願いします。
○参考人(斎藤太郎君) 済みません、先ほど六十五歳の、その後ちょっと聞き取れなかったんですけれども。申し訳ありません。
○小泉昭男君 定年の年齢なんですけれども、私は四十歳定年説をずっと言っているんですけれども、これは体力があるうちに一回選べるチャンスを作ったらどうかと。最後に行って、どん詰まりへ行って定年を言われるよりも、どん詰まりに行かないうちに一回、体力があり、義務教育が終わったような、義務教育があるような子供を抱えている年代でチャンスを与えてみたらどうかなという考え方は自分は前から持っているんですけれども、ただ、六十五歳が将来的にいいのか、七十歳がいいのか、逆に八十歳がいいのか、四十歳がいいのか、その辺のところだけ、ポイントをお願いいたします。
○参考人(斎藤太郎君) 私自身の考えとしましては、六十五歳というのはあくまでもやむを得ない措置というか、年金制度との関係で暫定的に取りあえず何とか六十五歳までと、そういう数字だろうと思います。したがいまして、六十五歳というところまで延ばせばそれで済むかということは決してなくて、究極的には、先ほど八代先生がおっしゃられたように、定年年齢というのが必要ない、そういう労働市場というのが私自身は望ましいと思っております。 それから、四十歳定年説というのは私は非常に意味のある考え方だと思っておりまして、少し視点を変えますと、特に男性ですけれども、三十代、四十代、ややもすると、もうほとんどの人が働いていると。九十何%、一〇〇%近く働いているという状況でありますから、少し発想を変えて、このくらいの年代で一回働くのを辞めて何か別のことをする。例えば、学校に行くなり長期間どこか旅をするとか、何でもいいんですけれども、今の日本の場合、三十代、四十代でとことん働いて、六十歳まで何とか来てそこで終わると、そういうような一つの画一的なパターンというのは、ある意味では限界に来ているんですね。そういう意味では、四十歳定年という考え方は非常に興味深く感じました。
○会長(広中和歌子君) それでは、高畑参考人、お願いします。
○参考人(高畑敬一君) 大変褒めていただいて、激励いただいてありがとうございます。 ぴんぴんしてころりと死にたいというのはもうみんなの願いなんですけれども、これを望むためには、いろんなお医者さん、立派な先生方に聞いたんですが、やっぱりストレスなしに、そして友達をつくって、まずね、楽しく毎日を過ごすというのはまず第一は言っていましたから、ストレスなしで楽しい人生と。 その次は、やっぱりそれだけじゃいかぬで、やっぱりウオーキングを言われますね。とにかく一万歩歩けば少々酒飲んでもええと、そんなに栄養のバランスなんか考えぬでもいいと、腹八分目で一万歩歩けばいいと。国会の先生方は一生懸命選挙区歩いてはるから大丈夫だと思いますけれども、車で歩かないで、できるだけ足で歩くようにしていただいたらいいと思うんですけれども。そういうふうにおっしゃいまして、私どもも今、地域でもそういう、例えばラジオ体操をする前に三十分、四十分歩いてきてもらって、そこで三十分またラジオ体操と、そういう運動を地域でやったりしております。とにかく、やっぱりウオーキングをもっとはやらすことではないかなと思いますね。 それからもう一つは、やっぱり定期健康診断ですね。そうはいってもやっぱり何かがありますから、早期発見ですわね、早期発見。早期というのは何でもそうですけれども。案外この定期健康診断を受けない人が多いんです。現役時代は受けるんですけれども、定年になりますと地域の健康保険に入りますから、会社におるときは強制的に受けさせられるんですね。でも、いったん定年になりますとややそこがルーズになりますんで、何かやっぱり地域で、漏れなく健康診断を毎年一回必ず最低受けさす、これを是非やっていただけばいいんじゃないかと思いますね。 それと、例えば佐野眞一さんのレポートにありましたように、ノンフィクション作家の、瀬戸内海にある周防大島の東和町という町、今度合併いたしますけれども、ここなんかは非常にお年寄りが、もう五割以上おるんですね。そのうち半分は独り暮らしなんですけれども、非常に元気で医療費の使い方も山口県下では一番少ないと、こう聞いておりましたが、やっぱり漁業とかミカン畑なんかでもやっぱり働かれるんですね。使われて働くんじゃなしに自分の裁量で働くという、働くのが、やっぱり楽しく働く、自分の選択で働くのが一番健康にいいというふうに現地では聞いてまいりましたけれども。 やっぱり、先ほどお話ありましたように、多様な働き方というのは、やっぱり自分の、短時間とか、いろんな健康を考えながら時間を十分考えて、そして楽しく自分を生かして働くというのが一つでありますし、もう一つは、ボランティアで他人や社会のために働けば評価されますし、感謝されますから、それはまた自分の喜びに戻ってきますので精神的にもよろしゅうございますし、ボランティアで働くこと。先ほど八代先生おっしゃったような、多様な自分を生かした働き方をするという、こういう社会にどんどん持っていかれた方が、またいかれるように、どう言いますか、啓発、世論指導などをしていただけるといいのではないかなと思っております。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 それでは、八代参考人、お願いします。
○参考人(八代尚宏君) 小泉先生、ありがとうございました。 確かに、高齢者という言葉自体が一種の差別用語でありまして、その意味で私は高年齢者というような言い方をして、まあ大した違いはないわけでありますけれども。 やはり、五十歳代でももう元気がなくなる人もいれば、七十過ぎても非常に元気な方もおられる。つまり、高年齢者の大きな特徴はそれ自体が多様性なわけですね。ですから、やはり一律の制度で決めるんじゃなくて、本人の自主性というのが非常に重要なんじゃないかということであります。 それから、御指摘があったように、学校教育に参加するというのも大事で、やはり社会経験の豊かな高年齢者が、教師としてでも結構ですし、あるいは経営者というか、地域社会が運営するような学校の経営を企業経営の経験を生かしてやっていただくというのは非常にいいことではないかと思います。 一言、四十歳定年制ということなんですが、これも実は強制的な定年ではなくて、四十で辞めても不利にならないような仕組みをつくっていくというのが基本ではないかと思います。例えば、今、生涯にもらう退職金の額は四十歳で転職すると最も少なくなるというような数字もあるわけでして、そういう年齢に比例したような仕組みをつくることが結果的に選択の余地を少なくしてしまうんじゃないか。 これは労使が決めればいいことでありますが、例えば労働法の規制なんかでも有期雇用というものを非常に差別的に扱ってくる。つまり、終身雇用が良い働き方であって、有期雇用とか派遣労働というのは悪い働き方であると、こういう悪い働き方を規制しなければいけないというような考え方が非常に根強いわけで、それでは多様な働き方というのは普及しないわけですね。例えば、四十定年制というのは二十年の有期雇用というふうに考えることができるんで、今の労働法ではこれは禁止されております。ですから、そういう規制改革みたいなこともそういう多様な働き方を重視するためには必要なんじゃないだろうかということであります。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 それでは、和田ひろ子さん。
○和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子です。 四人の参考人の皆様、今日はありがとうございます。 まず最初に、熊谷参考人にお聞きをいたします。 終身雇用を心掛け、リストラをしないという会社の御方針は本当にすばらしいものだというふうに思います。会社が今、匠社員というのを優遇されるというか、つくられておられます。女性も匠の社員になられたというふうにお聞きをしました。その匠の社員はその会社内においてどんな効用があるか、またどんな皆さんに高揚心というか、会社に対しての高揚心につながったかとか、あと団塊の世代の皆さんがまたそういう匠の社員になっておられる例なんかもお聞かせをいただきたいというふうに思います。 それで、次、斎藤参考人にお尋ねをいたします。 賃金体系の是正が高齢者継続雇用上の課題になってくるというところで、賃金体系の是正などが人件費の上昇の圧力を軽減して高齢者の継続雇用を進めていく上で大変重要だというふうにおっしゃっておられます。このことをもう少し詳しくお聞かせを願いたいというふうに思います。 そして、高畑参考人にお尋ねをします。 とっても面白いというか、周りの皆さんがいつも言っておられることをきちんとまとめられたこのアンケート調査、すばらしいというふうに思います。税金の代わりに労働力を出すなんというふうにおっしゃいました。例えば献血制度なんというのは昔はあったんですけれども、そういうことからすれば、皆さんの何か、ボランティアを次の自分たちに回ってくるような、そういうことができないかという御提言かと思いますが、何かそういう提言をもっと詳しく言っていただいているようなところとか、そういうのを実際やっているところとかあるんでしょうか。お尋ねをします。 そして、八代参考人には、もし私も高齢者は何年からと言われれば、七十から七十五と答えたい年齢になっています。そういう、高齢者というよりは高年齢者というふうにおっしゃいましたけれども、今、高畑参考人からも出たと思いますが、NPOの税制の仕組みというのを、アメリカ的なものを日本が取り入れることができるかどうか、そういう仕組みについてお尋ねをしたいと思います。 よろしくお願いします。
○会長(広中和歌子君) それでは、熊谷参考人からお願いいたします。
○参考人(熊谷祥彦君) ハンダ付けの匠に、私の県の奈良県の、先ほどお話がございましたザウルスの工程の、ハンダ工程の女性二人が大変国家試験も含めました難しい試験を合格いたしまして、私どもの判定委員会全員の一致で匠に推奨されました。当然、社内誌、社内のホームページ等々にそういうものを御紹介するわけでございますが、実は匠をつくっていく更に基礎のもう一つ、どう言ったらいいのかな、基礎の部分の研修制度としまして、社内用語でございますが、ステップアップ・セルフアップ制度と、こういう制度整っております。 例えば、現場の作業に必要な技能を自分で勉強していこうじゃないかという、非常に分かりやすく申しますと、例えば工場でございましたら、フォークリフトの免許を取りましょうとか、電気工事士の免許を取りましょうとか、あるいは文系でございますとTOEICを七百点以上取ろうじゃないかとか、こういういろんな勉強のアイテムを約六十三ほど設定いたしまして、この基礎にそういうものがあって、そしてその上に匠制度と、こういう二重構造で実施をしているんでございますけれども、この女性二人が匠で合格いたしました波及効果と申すんでしょうかね、まず匠の申込者が、当初は百二十名前後でございましたんですけれども、大変難しいテストでございますのでそのぐらいだったんですけれども、それが一挙に二百六十名でしたか、かなりの人数に上がったということが一つと、それとその基礎に実施をしておりますセルフアップ・ステップアップ制度のこの研修アイテム、これが、先ほど申しましたとおり、六十三アイテムやっておるんでございますが、それを各事業所の方から匠制度の連携も深めましてもっとこのアイテムを増やしてほしいということで、今八十アイテムまで上っておりますし、その参加者も大変増えていると、こういう状況で、大変そういう意味では社員の頑張りにいい面で効果があったなと、かように思っております。 加えまして、御本人も、三十二歳の女性でございましたか、この二人につきましては大変お若い方なんでございますけれども、私どもの管理職の相当の匠の手当を支給を受けて、これまた大変頑張っておられると。またさらに、社内のコミュニケーションを良くするという意味では、今、社内でイントラのシステムができ上がっておりますけれども、その女性に対して大変他の事業所からメールがどんどんどんどん入りまして、こういうハンダ付けについてはどうしたらいいんだとか、あるいは合格するにはどうしたらいいんだろうとか、あるいはあなたは是非私どもの職場の方に来てくれないかとか、そういう意味で向上心が大変高まってきた、こういう非常に今有り難い附帯効果も出てきております。 地道にこの人たちをやはり育てて今後ともいきたいなと、かように思います。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 斎藤参考人。
○参考人(斎藤太郎君) 年功型賃金体系の是正などということをもう少し詳しく説明させていただきますと、団塊の世代の人たちが大量に退職すると人件費総額というのはかなり企業にとっては軽減されるということは間違いないところだと思います。ただ、人が減っていきますと、売上げも当然減る可能性が高いということで、問題なのは単位当たりの労働コストということになるかと思います。そういう意味では、年功型賃金体系を維持していますと、高齢化がどんどん進んでいくことによって、その生産性とは関係なく労働者の平均賃金が上がってしまうと、こういう問題を抱えているということがあります。 もう一つ、先ほど指摘させていただいたのは、高学歴化が進んでいるという問題がありまして、かなり学歴別の賃金の格差というのが非常に大きいものですから、高学歴化が労働者の中で進んでいきますと、これも自然と生産性にかかわらず平均賃金が上がりやすくなってしまうと、こういう問題を抱えております。 ですから、先ほどの同一労働同一賃金というお話がありましたけれども、こういう考え方というのを取っていかないと、生産性が落ちても賃金が高止まりしてしまうと、このことは結局は高齢者を企業は雇いにくくなってしまうということになりますから、こういう問題というのを是正していかなければ、なかなか継続雇用というのは実際には進んでいかないという問題意識を持っております。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 高畑参考人。
○参考人(高畑敬一君) 先ほど申しました税金をどんどん上げるよりも、それを上げなくてもいいように、高齢者で毎日暇な人たちを労働力によって地域でいろいろ活動するというふうに申しましたが、例えば今非常に小学校の生徒の登下校時の安全問題が大きな課題になっています。大阪は特に近辺、奈良とか大阪の寝屋川とか池田小学校といろいろあったんで、去年の四月から子供の登下校時の安全見守り隊というのを全小学校に作ったんですが、これを、見守り隊を維持していらっしゃるのはPTAと老人会なんですね、ほとんど。あと、いろいろな団体入っていますけれども、しかしPTAの人は、やっぱりお父さんは仕事がありますし、お母さんも、もう六割から七割はやっぱりパートその他で働いていらっしゃるんですね。 だから、まあ登校のときは集団で行ったり、また朝だったら何とか会社へ行く前に、パートへ行く前に見守りができるけれども、問題は下校時ですね。ばらばらですし、三時から四時というのはなかなか参加できないというんで、教育委員会も大変悩んでいらっしゃるんですね。 それで、あちこちの地方議会での議員さんのやり取りを聞きますと、結局行政でやれ、やれ言うんですね。でも、大阪の場合は一人警備員を雇ったんですけれども、一人ぐらいじゃとても下校時のいろんな危ないところをできない。そんなのみんな行政でやれ言うたら、何ぼ金あっても足らぬし、それをまた税金ってなりますね。 やっぱり地域でやっていかないかぬということになるんですが、それで、見守り隊をPTAで、老人会でやっている。で、PTAでもなかなか続かないと。老人会は最近若い老人が入ってこなくなったんですね。まあ老人言うたらいかぬ、名前が良くないんでしょうね、やっぱり、おっしゃいましたように。やっぱり八十代ぐらいの人たちですから、とても続かないって、冬なんかはね。 で、今度私どもの会は大体平均六十二歳ですから、私どもの会はね、まあ全拠点百十五あるんですけれども、一斉にやろうと。で、新学期からやるんで、一部やっていますけれども、下校時の危ないところだけ安全マップを作って、そこへ二人ずつ毎日交代でやれば、いけるんですね、まあ二十人もおれば。それをやり始めるんですけれども、できればいろんな定年退職者の、自分のためだけに時間を使っている人たちが、せめて一日一時間ぐらいは子供のために使ってほしいと。 長野県の坂城というところがあるんですけれども、ここでうちの拠点がやっているのは、例えばウオーキングをする、犬の散歩をする、買物に行く、それをちょうど下校時間に合わせてやると。で、難しいところを通っていくと、危ないところを。ということを奨励して、随分市民の参加が出たんですけれども、そういうふうにやっていけば、税金使わなくても、市民の参加によってかなりカバーできると。 これからは、そこが非常に大事じゃないかと。まあ企業で働くということも大事ですが、地域で無償で、まあ多少有償でもいいですけれども、働いてもらうというのがこれから大事になってくると。 それを奨励するためにどういう方法がいいかというわけで、私どもの会は、実は時間預託という制度を採用しておるんです。ボランティアした時間を一時間一点と、どんなボランティアでもいいから一時間一点という、シンプルにしまして、貯金通帳にもちゃんと記録するようにしていまして、個人別台帳もあるんですけれども。自分が困ったときとか、配偶者、親が弱ったときに、それを引き出して使うというシステムでやっていますんで、これは非常にいいっていうんで、皆さん入ってこられるんです。最近は全国共通でどこへ行っても使えるようになっていますんで、遠く離れて暮らす親の介護に使うという、大阪で子供が出てきて親が富山で独りでおるという場合に、大阪の子供はボランティアした時間を富山の親にやると、富山の会員が自分の代わりに面倒を見てくれるという、これが今非常に、六十か所ぐらいでやって、いいというんでね。 実は、これをNHKの「未来派宣言」とか、例のあの「ご近所の底力」ですね、あれを見られたアメリカのロサンゼルスの日系人の皆さんが、ぼつぼつ日本に残した親が心配になってくるというんで、これはいいというんで、それで是非一緒にやらしてくれというんで、実はロサンゼルスにこの間、六十人集まって、ロサンゼルス支部ができまして、鹿児島に、指宿のまだ向こうにお父さんが独りでいらっしゃる、八十二の。これを鹿児島から車でうちの会員が定期的に、まだ元気なんですけれども、様子見、話し相手に行っているというんで、ロサンゼルスの会員の皆さんは非常に安心していらっしゃる。 そういうふうなことも時間預託という制度によって、まあボランティアは元々代償を期待したらいかぬのですけれども、その程度はいいんじゃないかというわけで、実はやっております。 私は、これを行政としてもっとやっていただきたいということになりますと、もっともっと参加してほしいんですけれども、ボランティアをした時間を減税すると、税金をまけてやるという。一時間百円とかね、一時間千円でもいいですから、税金をまけてやるという、そのボランティア減税をやっていただいたら相当参加するんじゃないかなと。その分、働くんですからね。しかも、今の市役所の給料は高いですから、職員がやるもう十分の一ぐらいで、金ちょっと、報酬を払ってもやれるんですから、だから、やっぱりボランティア減税やってほしいなと思うんですけれどもね。 そして、たくさんのシニアの方々がその地域でやっていただけるようになれば、日本は変わるんじゃないでしょうかね。コミュニティーも解決しますし、あらゆるものが変わってくると。だから、シニアは本当にこれから、しかも団塊の世代がシニア入りする機会にそういう施策をやっていただくと盛り上がると思いますね。是非期待しておりますんで、よろしくお願いいたします。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございます。 では、八代参考人、お願いします。
○参考人(八代尚宏君) 和田先生から御質問があったNPO税制でございますが、これは二つありまして、一つは、NPOが払う税金でありますけれども、こちらの税金は、元々NPOって大した利益が出ないわけでありますから、余り問題ではないかと思います。 大事なのは、NPOに寄附した人に対する所得税の控除でありまして、今もボランティア減税という話がありましたが、より大規模にその所得控除の対象にする、これ米国等では広範に行われておりますが、日本ではいまだに厳しく制限されているわけです。 これは基本的に、日本では公共性というのは官が判断するんだという建前で、強制的に取った税金を官が言わば配分するという仕組みでありますけれども、今後、高齢化社会でますます大きな税、社会保険料負担が増えるときに、こういうふうに強制的に取られる税金とか社会保険料の大幅な増大というのには当然限界があるわけで、むしろ個人が選択できる公共サービスに対して自ら負担するというか支出するということをもっと奨励する必要があるんじゃないか。これは民が担う公共性という考え方であろうかと思いますが、その場合は当然、NPOの団体も少なくとも株式会社並みの情報公開、それから第三者評価というのが当然前提になるかと思います。 それからもう一つは、これからは資産を持つ高齢者の方が増えるわけですけれども、かつてのように、すべてを子供に残すというんじゃなくて、地域のために使うと。そのときも、単に無償で寄附するだけじゃなくて、何らかの見返りを求めると。その見返りというのが、米国なんかの場合はお墓を残すということでありまして、このお墓というのは必ずしも墓地のお墓ではなくて、大学なんかに、例えば自分の名前を付けた建物を寄附すると。日本では一号館、二号館という非常に無駄な名前を付けておりますが、あれが、例えば和田会館とか小泉会館とかいう名前を付けることによって、まあ言わば寄附をしてもらう。そうすると、その人は人目に付くところに巨大なお墓を建てているのと同じことになるわけで、一人で建物全体を寄附するのが無理であれば複数の人が言わばネームプレートを入口に彫っておくというようなことでもいいわけです。 日本では、昔から、神社にお金を寄附した人の名前を建てるという習慣があるわけで、言わばこれもその延長線上であるわけで、そういう工夫をすることによって、やはりできるだけボランティアといいますか、強制的でない形での公共施設、公共サービスに対する人々の負担というのを奨励するような、そういう仕組みをつくっていくということがNPOの税制改革の大きな基本になるんじゃないかと思っております。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 それでは、浜田昌良さん。
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。本日は、参考人の皆様方、貴重なお話をいただきましてありがとうございました。 まず、熊谷参考人にお聞きしたいと思います。 団塊世代の退職の関係で危惧される点は、技術、技能の伝承の問題でございますけれども、御社では取組事例として社内学校・塾をつくっておられるというのが資料にございます。液晶学校、テレビ塾とございますけれども、もう少し、どれぐらいの期間で、どういう規模で、またどれぐらいの年齢層の方に対してやっておられるのかについて、もう少しお話をいただければと思います。 次に、斎藤参考人にお聞きしたいと思います。 御説明の中で、高齢者の継続雇用の現状の話がございました。高齢者雇用安定法が改正されまして、制度としては七割の企業が持っていると。しかしながら、実際に運用されている例を見ると二割程度であるということがあるようでございますけれども、このギャップの要因について、またそれをどういう改善をすればこのギャップが埋まっていくのかについて御意見をいただきたいと思います。 次に、高畑参考人にお聞かせいただきたいと思いますが、今の団塊の世代は非常にNPOとかまたボランティアに関心が高いという話がありますが、そういう価値観を持つ背景について何か感じる点がございましたらお聞かせ願いたいと思います。 最後に、八代参考人にお伺いしたいと思います。 高齢化対応型の社会へという御提言の中で、定年が不要な制度へと、職種別賃金ということを御提言いただいておりますけれども、同一労働同一賃金と。割と技能職についてはこれが適用しやすいんですが、管理職ではうまくいっていないという話がございました。このホワイトカラー、管理職についてもこれをうまく適用していく上でのコツといいますか、ポイントございましたら御説明いただきたいと思います。 以上です。
○会長(広中和歌子君) では、熊谷参考人。
○参考人(熊谷祥彦君) 現在、大規模に実施をしておりますのが、私どもの液晶テレビ、ブラウン管テレビを作っておりますAVシステム事業本部、ここにおきますテレビ塾と、こういうことでございますが、この本来の目的は、最近、新卒の方々、企業に入られまして技能を発揮いただいているんですけれども、大半、学校教育の中でパソコンを使われて、あるいはCADを使われていろんな設計をするとか情報処理をするとか、こういうことが大半でございます。 ところが、そういう方々が来られてテレビを作ると、こういうことになりますと、そもそもテレビの放送のシステムはどうなっているのか、あるいはテレビの機構はどうなっているのか、あるいはテレビを作る一連のこの製造工程はどうなっているのか、意外と疎い点がございます。 〔会長退席、理事和田ひろ子君着席〕 ところが、その辺のところを熟知しておりますのが団塊の世代の技術者、あるいは生産の人員でございまして、そういう方々が今現在二十名の方が講師になって行っておりますが、二〇〇一年の一月にテレビで、これはひとついろいろと課題であるということで取組をいたしました。現時点では二十名の団塊の世代を中心としました方、もちろんOBの中にもこの中に一部入っているんでございますが、先生となりまして、現時点で、今AVシステム事業部の若手の技術者百名を対象に、先ほど申しました、そもそもテレビとは一体何ぞと、こういう勉強会を六か月間の間に大体累計しまして二か月ぐらいの、これは夜になるんですけれども、時間を掛けて勉強をさせていると、こういうことでございます。 もう一つは液晶でございますけれども、この液晶は、液晶テレビだけではなくて、パソコンのモニターあるいはPDAの画面、あるいは携帯電話の画面、非常に多種多様に使われております。したがいまして、液晶のパネルを作っております事業だけではなくてすべての商品に共通する一つの基礎知識であると、そういう認識に立ちまして、液晶学校というものを、液晶のパネルの技術者が中心となりまして、一九九七年の五月から開校をしております。これ、いずれも講師に当たりますのは熟年者ということになりまして、一九九七年の五月から開校をして、各事業所の基礎技術としてこれを受けるということで、若手社員が中心でございますけれども、今までの累計で九千七百名の方が受講をして、ああ液晶とはこういうものなのか、こういうことも勉強してきたと、こういう内容でございます。 それ以外にも、例えば冷蔵庫の学校でございますとかそれから成形の学校でございますとか、もう少し小規模ではございますけれども、実施をしております。大きなところではこの二つがメーンで運営をしている、こういう状況でございますので、御報告申し上げます。
○理事(和田ひろ子君) ありがとうございます。 それでは、斎藤参考人、お願いします。
○参考人(斎藤太郎君) 先ほどお話ししました、継続雇用制度が実際には余り適用されていないというお話をさせていただきましたが、先ほどのお話は当然、高年齢者雇用安定法が改正される前の数字でありまして、実は先ほど少し時間の関係でお話ししなかったんですけれども、済みません、ちょっと資料をごらんいただきたいんですが、私の資料の十四ページに、実は弊社でこの四月からの法の改正に向けた企業の対策というのをアンケートしておりまして、一月時点で行ったアンケートがありますので、ちょっと紹介させていただきます。 これによりますと、六十歳を超えた対象者のうち、実際この四月から継続して就業する予定があるかどうかというのを聞いております。上の表を見ていただきたいんですけれども、全体としてその対象者の一〇%未満しか継続雇用しないという企業が二九・八%ということで約三割くらいに残念ながら上っているんですけれども、その一方で、五〇%以上の人を雇用するという人の割合を見ますと、まあ一〇〇%まで含めまして、丸で囲ってありますけれども、これを全部足すと約五割と、五割近くという数字になっております。したがいまして、これから、この四月以降ですね、実際にはこれまでよりはかなりの割合で継続雇用がされるのではないかということを期待される数字が弊社のアンケートからうかがえます。 それと、先ほどなぜ現実になかなか継続雇用が行われないのかというお話ですけれども、これは、先ほどと重なるんですけれども、やはり高齢者の今の賃金体系では生産性に見合った賃金になっていないと。まあこれ、あくまでも平均的な話ですけれども、日本の場合、若い層では生産性よりも低い賃金水準に抑えられていて、ある程度の年齢を境に生産性を上回る賃金をもらうようになっているということがありますので、高齢者になって生産性を上回る賃金を出している労働者を更に延長して雇うということはなかなか今の賃金体系では企業にとっては非常に厳しいということがあります。 したがいまして、これも先ほどと同じ話になってしまうんですけれども、こういうような賃金体系というのをやはり是正をかなりしていかないと、実際の高齢者を雇っていくということは難しいというふうに考えております。
○理事(和田ひろ子君) ありがとうございます。 高畑参考人、お願いいたします。
○参考人(高畑敬一君) 団塊の世代というのは日本の言わば、戦後どんどん高度成長をして、社会もどんどん豊かになっていった、正に象徴的な時代を表すわけですけども、もうそれこそほとんど会社のために家族も顧みず昼も夜も働くというくらいの猛烈な企業戦士で、しかもまじめに努力をすれば報いられると、こういうことだったわけで、企業の成長とか雇用に対する影響を被るなどということはみじんも考えていなかったのが、バブルの崩壊後、定年を前にして、毎日、まあ十年ほど前にして非常なショックを受けたとさっき申しましたが、これ、大変なショックだったわけですわね。 私どもの場合はまだそういうことはなかったんで、信じてやってきて正に定年の直前まで働いて、終わってから定年のこと考え出したですけども、まあそれだけにまた何していいか分からぬ人も多かったんですが、団塊の世代は早くから考えているということ。 考えたときに、一体おれの人生は何だったのかなというようなことをやっぱり考え出して、例えば一つは、自分の小さいとき、ほとんど地方、農村から来た人が多いんですね、都会へ来た人が。その時分はまだ兼業農家じゃなしに専業農家でしたから、地域でのやっぱりコミュニティーや助け合いというのはかなり濃厚に存在してましたから。しかし、都会ではそういうのはないということですね。こういうのをやっぱりもう一度つくり直すことが大事ではないかなというようなことを一つ考えてきているという、まあ意識の背景にですね。 それから、自分の人生これからどうあるべきかなということを考えると、かなり知的な層も多いんで、まあ大学進学率はまだそんなに高くなかったんで、高校卒が圧倒的に多いんですけれども、それでも非常に知的には欲求が高い方々ですから、やはりこれからの老後の人生、第二の人生どうあるべきかということを考えると、自分のためだけに使うのはどうなのかなと、やっぱり地域や社会のため、他人のために使うべきではないかなということを考え出してきたというのは、私たちの世代と大分違うと思うんですね。 それからもう一つは、先ほどシャープさんからありましたように、企業がどんどん海外へ工場を移したりあるいは営業拠点を海外に拡大したりして、いわゆる海外で働くということが非常に多かった世代でして、しかもこれはこの人たちから多くなっていったんで、そこで、アメリカへ行けばもう圧倒的にこれはボランティア社会ですね、まあイギリスもかなり発達していますけれども。やっぱりそういうところで、非常にそのボランティアの有用性といいますか、を見習ったといいますか気が付いたといいますか、こういう三つぐらいが私はそのボランティアを今後、三位一体ですけれども、是非やって生きがいを持ちたいという意識の背景としてあったのではないかと、そんなふうに考えております。
○理事(和田ひろ子君) ありがとうございます。 続いて、八代参考人、お願いします。
○参考人(八代尚宏君) いただいた御質問はかなり難しいものでありまして、管理職に職種別賃金をどう適用するのかということで、これはもうどこの会社の人事部も苦労している点だと思います。 〔理事和田ひろ子君退席、会長着席〕 これまでの管理職というのは、言わば過去のまじめに働いた努力への報賞としての意味が強かったんではないか。したがって、ある程度の人であれば年齢が高まれば自動的に課長になれる、運が良ければ部長にもなれるというイメージがあったかと思いますが、それではやはり結果的に社内の賃金というのが市場賃金を著しく上回りますので、定年退職したときにそれに近い賃金あるいは少し低い賃金の仕事を探してもほとんど見付からない、会社の方もそういう条件ではもう再雇用したくないということになるわけです。ですから、管理職というものを、そういう言わば報賞としてのポストではなくて、人を管理する技能職という形でやっぱり定義する必要があるんじゃないか。したがって、個人の能力に応じた賃金を払うという仕組みにしなければ、同一労働同一賃金の原則を適用できないわけであります。 具体的にどうやってそれが実現するのかということですが、これは私がOECDという国際機関に勤めたときに、非常に人事制度についても興味深い経験をしたわけでありますが、そこでは課長とか課長に準ずるような管理職になりたい人をパネルで選ぶわけなんですね、つまり人事部ではなくて。何でそんなことができるのか。日本の会社でもしそんな、課長になりたい人手を挙げろと言ったら、全員が手を挙げるわけですね。みんなが課長になりたいから人事部は苦労するわけですが、そういう国際機関とか外資系の企業では、なりたくない人が大部分なわけですね。なぜかというと、昇進するということは物すごい仕事がきつくなることである。給料も上がりますが、それ以上に厳しい仕事が待っている。そうであれば、そうまでして昇進したい人というのはごく一部の人だけになるわけですね。 ですから、今、日本の会社で管理職になりたい人が大部分だというのは、やや失礼ながら管理職の仕事が楽過ぎるからでありまして、これは市場原理でありまして、正に、管理職のポストに対する需要と供給をマッチさせるほど管理職の仕事を厳しくする。それから、当然ながら管理職にはもう雇用保障はないわけでありまして、雇用保障、終身雇用というのはあくまでも平の人の特権であって管理職にはないんだというような状況にすると、これはもう本当にプロの人だけが言わば管理職になりたがる、その人の中から選べばいいと。そうすれば、当然それは市場賃金ですから、別に再就職してもそんなに変わらない。 ですから、これからは人を使う仕事である管理職というのは、本人だけじゃなくて、その部下の言わば成果に対する責任もあるわけですから、やや失礼な言い方をすれば、単にまじめに働いているだけでは不十分であって、やはりそれなりの能力が求められる。まあ、平の人は真面目に働いているだけで十分だと思いますが。 ですから、そういうような形で究極の能力主義になれば、そういうような、人を管理する技能職としての管理職という形に今後の企業あるいは官庁の中でも変わらざるを得ないんじゃないかというふうに思っております。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 それでは、井上哲士さん。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 今日は四人の参考人の方、ありがとうございます。私、熊谷参考人と斎藤参考人に御質問をいたします。 まず、皆さんから質問が集中していますリストラしないというお話なんですが、この調査会が始まった最初のころに、経済産業省の新産業創造戦略のお話を聞いたときに、当時の局長が、派遣では物づくりの強さは出ないと、研究の結果そうだと。そして、産業界の方でもようやくそういう認識になってきた。リストラの時代にコストだけで派遣を増やしたというのは、やっぱりこれからの国際競争に生きていく強い製造業をつくるという意味ではマイナスだということでありますと。むしろ、強い競争力を保つためには終身雇用に戻した方がいいと。中核となる人間を育てなくてはいけないと。こういう意識が企業の中にようやく出てきたと、こういう答弁をされまして、ちょっと驚いて聞いたんですが。 先ほどお話を聞いておりますと、この一ページのところにも「国内生産の空洞化への反省」という書き方をされておられます。ここから出てきているんだと思うんですが、具体的に、この国内生産の空洞化ということが、どのように起き、どういうマイナスがあって、そしていわゆる終身雇用という方向を打ち出されたのか、その辺の経過をお聞きしたいというのが一点です。 それから、そういう技術を受け継ぐ上でいいますと、そういう匠と言われる人たちをしっかり養成する問題と、受け継ぐべき次の若い世代をしっかりすることが必要だと思うんですね。 ただ、例えば亀山工場なんかお聞きしますと、大体三千三百人ぐらいのうち六割ぐらいの人は請負などの非正規労働者だということもお聞きしておりまして、そういう技術を受け継ぐという点で、その辺の新しい若い世代のしっかり正規雇用していくという点との関係をどのようにお考えなのかということです。 それからもう一点、斎藤参考人にお聞きいたしますけれども、数的な意味でいいますと、その団塊世代の退職が労働市場全体に与えるインパクトは非常に限定的だというお話でありました。ただ、団塊世代というのは、いろいろ論じられておりますけれども、消費という意味でも働き方という点でも特別の層としての意味を持っているということはよく論じられると思うんですけれども、そういう質的な意味でどういうインパクトを与えるとお考えになっているか、この点をお聞きしたいと思います。 以上です。
○会長(広中和歌子君) まず、熊谷参考人。
○参考人(熊谷祥彦君) 国内の物づくりの反省事項、これ一番大きな反省事項と申しますのは、まず、技術、商品設計をしている部門と、それから物をつくっております現場、これが離れてきたということでございますね。 商品設計をして、確かに図面の上、あるいはCADの上できちっとした設計をするんですけれども、実際に量産をしますとなかなかそのとおりにいかないと。したがって、設計と製造というこの間のコミュニケーションというのは、もう極めて重要なんです。それは、組立てに至る過程におきましても大変重要でございまして、その部分が、元々この設計者というのは意外と地方の大きなビルにいると、現場はまた現場で別のところにいると。そういうものが海外に移ったということで、余計、設計技術者と物づくりとの間の融合というものが大変離れてしまったと、これを大きく我々としては反省したと、こういう点が一点でございます。 それから、具体的に派遣、請負の亀山のお話がございましたですけれども、例えば亀山、現時点で、先ほど具体的な数字が、三千三百名でございましたか、そういうお話がございましたが、そのうちの、亀山で就業しております社員がトータルで三千四百名でございます、トータルでですね。そのうち派遣、請負で作業をいただいておりますところが、ちょっとアバウトな数字で恐縮でございますけど、約一千八百名、大体五割から六割の範囲と、こういうことでございますが。 その内容を見ますと、派遣、請負で実施をいただいております内容の大半は二社の協力会社の請負社員並びに派遣社員でございます。ということはどういうことかと申しますと、従前、この形態というのは、構内外に協力会社に対しまして我々が物を発注していたと、それが、より物流面でございますとかリードタイムの短縮ということで、新しい工場を造って、同じやるならば同じところでやりましょうと、つまり構内になったわけですね。で、構内になってより生産性を高めていこうと、こういう過程でございます。 じゃ、なぜその二社に私どもが委託をしているのか、発注をしているのかということになるんですけれども、それはもう正にその分野の専門家でございます。一社は、ブラウン管テレビの組立てをシャープ共々長らく過去からずうっと継続をしてそれを実施いただいておりました、正に組立ての専門協力会社でございまして、私どもより以上にその分野については専門的知識をお持ちなさっていると。で、外で今まで御協力をいただいていたものを、同じ工場を造るんであれば同じところでより協力をしてやる方がいいんではないかと、こういうことが一つでございます。 もう一つ、あとの一社につきましては、これも液晶のパネルの生産を過去からずうっとやっておりました液晶パネルの後半工程、ちょっと専門的用語でございますけど、パネルを作りました上に周辺の回路を取り付ける工程でございます。この工程の専門業者は、過去から、創業、液晶事業立ち上げのときから専門的に本来は社外でなさっておりました協力会社でございまして、その専門性を私どもは高く買って、その協力会社に、同じ敷地内でそちら様の設備でひとつ協力をしてくれませんかと。そういうものが先ほど申しました約五割から六割の中の大半を占めていると、こういう状況でございます。 これは、シャープがその分野まですべてにわたって私どもの社員でやるというのは、これはなかなかできません。それぞれ専門の分野というのがございまして、コラボレーションをきちっとやっていくというのが過去からの流れでございまして、その延長線上に亀山もあると。ただ、そういう専門業者が過去携わっていない、例えばパネルそのものの生産というものはすべて正社員で実施をしていると、ここのところに地元も含めました採用計画をきちっと立ててやる、技能の伝承をそういうところにやっていっていると、こういう状況にございます。 あと、どういう質問でございましたですか。
○井上哲士君 はい、それで。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 では、斎藤参考人。
○参考人(斎藤太郎君) 団塊の世代というのは特別の層ということで、私もそういう意識もあります。ですから、正直言って、今こうだという形で予想しておりますけれども、実際例えば二〇〇七年以降になってみると実は全然違う行動を団塊の世代の方々は取っているということもなくはないかと思っております。 一つ、ですから、ここで御指摘したように、団塊の世代は一気に退職してしまうわけではないということをお話しさせていただきましたけれども、もしかすると、この団塊の世代の人たちが年齢というのにあんまり関係なく、かかわりなく働き続けるというのの先導役になるという可能性は出てきたのかなと。幸いにも、かなり景気回復が長期化してまいりまして、このタイミング、二〇〇六年四月からというこの高年齢者雇用安定法の改正のタイミングは非常に団塊の世代の人たちにとってもラッキーではないかという今の状況ですから、労働市場のこれまで固定的に考えてた年齢という概念を一気に打ち破ってしまうという可能性もあるのかなというふうに感じております。 もう一つ重要な視点は、ここでは全く触れなかったんですけれども、やはり消費行動というのが非常に大きなインパクトを持つ可能性が出てくるということかと思います。当然消費は経済の中の過半を占めるわけですから、しかも比較的まあ裕福、裕福というか金融資産を持っている高齢者がどのような消費行動を取るかということは非常に今後の経済を大きく左右するということかと思います。 一つ考えられるものは、その消費の中身が今後大きく変わっていくということが一つ想定されるかと思います。消費のサービス化ということで、サービス消費のウエートがどんどん高まっているということはこれまでもあるわけですけれども、団塊の世代の人たちが退職した後というのは、基本的に余暇時間というのが増えますから、サービス消費というのが非常に更に増えるという可能性が高いというふうに思っております。 さらに、そのサービス消費の中でも、これまで高齢者というのは比較的、例えば旅行でも国内旅行、まあ体力的な問題で国内旅行に限られるとか、サービスを提供する企業側も、どっちかというと、そういう固定観念で高齢者の消費の枠をはめてたようなところがあるかと思うんですけれども、むしろこれからは体力のある高齢者が増えていきますから、海外旅行がどんどん、むしろ高齢者がどんどん海外旅行に出ていくとか、そのサービス消費の中身というのがどんどん変わっていくという可能性はあるんじゃないかというふうに考えております。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 それでは、渕上貞雄さん。
○渕上貞雄君 社民党の渕上です。 どうも四名の参考人の方、御苦労さんでございます。 まず、熊谷参考人の方にお伺いしますが、おたくの会社で物づくり匠制度というのを導入されておるように聞いておりますが、これは海外でもこのようなことをやられておるのかどうかが一つ。国内の場合、先ほどもお話がありましたけれども、こういう制度について雇用の条件、それから賃金、社内における格付といいましょうかね、そういうことはどういうふうになっているのかお知らせいただきたいと思います。 次に、斎藤参考人と八代参考人ですが、法の定めにもありますけれども、定年の定めのない制度をどうやってつくっていくのかということを考えますと、なかなかこれが今は導入しにくい状況にありますが、なぜそういうものが導入しにくいのか、どういうふうに認識されておるのか、その点を一点お伺いしたい。恐らく賃金制度もこれから先変わってくるでしょうし、働き方も変わってくるでしょうし、逆に横の会社から横の会社へ、今までは非常に賃金制度上行きにくいとか、雇用制度上行きにくかったものが非常に自由になっていくのではないかというようなことも考えられるんですが、この定年の定めのないことをどのようにして、お二方、実現していけばいいのか、その場合、障害になるものは何かということをお教えいただきたいと思います。 それから、高畑参考人にお伺いしますが、税制上の問題は分かりました。アンケートを取られて、定年後引き続き同一の会社で働きたくないという方が大変多いというふうに報告があったと思うんですが、同じ職場であれば非常に慣れていることもあるし、人間関係もいいんではないかというふうに思うんですが、なぜ働きたくないという人が多いのか、そこのところの原因が分かればお教えいただきたいと思います。 以上でございます。
○会長(広中和歌子君) では、まず熊谷参考人。
○参考人(熊谷祥彦君) 海外の工場では今現在、残念ながらまだ導入しておりません。日本国内だけで導入していると、こういう状況でございます。 それから、匠の方々の賃金体系との関連というんでしょうか、そういう御質問だと思いますけれども、現在私どもが取っております一般社員の賃金体系、先ほど来有識者の方々からいろいろ御意見の出ているところなんでございますが、賃金の七〇%が年功型になっております。良しあしはちょっと別にいたしまして、なっておりまして、それも五十五歳まで自動的に上がっていくと、こういう内容でございます。したがいまして、この匠の方々も一般社員でございますと、匠とは関連なしに五十五歳まで賃金ベースのうちの七〇、七割の部分が年功的に上がっていくと、こういう内容がまず一つございます。 その上に、先ほど来議論のあるところなんですけれども、私どもの職能資格制度、こういう仕事をこなし得る能力を持っていると、ここが定義付けると非常に難しいところなんですけれども。もちろん能力のいろんな基準というのは作っておりますが、完全な職種別になりますとなかなか、先ほど申しましたとおり、毎日がリストラでございますから、次の新しいところへ行くということは、そのたびごとに賃金が変わるという、原則的に申しますとね、なかなか悩むところでございまして。したがって、そういう仕事、この仕事にもいろいろランクがございますけれども、その仕事がこなし得る能力を持っていると、そういうことを判定をいたしまして、これは年功ではございません、それぞれ業績でございますとかその人の持っておる能力というところに判定をして、残りの三〇%のものは資格に応じて上がっていくと、こういう状況にございます。 したがいまして、先ほどの匠の方は優越したその分野における能力をお持ちでございますから、その資格制度につきましては、これは年齢とは関係ございませんので、上進をしていくと、こういうことでございます。それが二つ目です。 加えて、大変有能な能力を持っておられますので、匠手当という別の手当を付けております。これは管理職相当の手当と、こういう内容でございます。 以上でしたでしょうか。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 それでは、斎藤参考人。
○参考人(斎藤太郎君) 定年制の廃止というのがなぜなくならないのか、どうすればなくなるかということですけれども、極論を言ってしまえば法律で定年制というのを禁止するということが究極の姿だと思いますし、理想的にはそういう方向に行くべきだと私は考えております。当然、現状それを、すぐに法律を決めても実際にはそれが機能しないことは明らかです。 ですから、これも先ほど来からのお話にありますように、やはり実力主義の賃金体系というのが定着してきた上でないとやはり定年というのは、先ほど八代先生がおっしゃいましたように、企業にとっても労働者にとっても、今の定年制というのはある意味でのメリットがあるということでありますから、年齢によって賃金が決まらないというような、そういうことになった上でなければなかなか実際に定年というのはなくならないということかと思います。
○会長(広中和歌子君) ありがとうございました。 では、高畑参考人。
○参考人(高畑敬一君) 先ほどちょっと申しましたように、企業で一生懸命働いてきて、いささかも雇用の不安というのはなかったわけですね。それが初めて出てきたと。それもかなり深刻なリストラがあったわけで、松下電器でも一万数千人、あれ希望退職ですけども、やっぱりリストラで辞めざるを得ないというのも結構ありました。だから、企業に対する、ある意味での余りにも信頼し切っただけに逆に裏切られたという不信感というのは一つ、一番やっぱり大きくありますね。 二つ目は、今の延長線上で働くんじゃなしに、やっぱり新しく自分をもっと生かした仕事をしたいという、どうしても定年延長とかになりますとその後の延長線上になったり、逆にそれこそ余り大した仕事を与えられないという、その先輩のそれを見ておりますので、一部ですね。ですから、もっと前向きに自分の、生かす仕事はちょっと与えられないんじゃないかと。だから、新しく探したいという。 で、三つ目は、やっぱりこれもちょっと先ほど申しましたけども、もう少し自分らしく生きたいというか、そういう団塊の世代らしい、そういう意識、この三つだと思いますね、はい。
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。 じゃ、八代参考人。
○参考人(八代尚宏君) ありがとうございます。 斎藤参考人と同じ御質問だったんですけども、大部分はもう斎藤さんが答えていただきましたが、一つちょっと強調したいのは、終身雇用が良いか悪いかは、企業あるいは労使が決めることで、国が決めることではないということが大事だと思います。それはなぜかと申しますと、終身雇用というのは企業の中で既に働いている人にとっては大きなメリットがありますが、これから働きたいと思っている人にとっては実はそれは参入障壁なわけなんですよね。 ですから、例えば先ほどリストラをしない企業というお話がありましたが、それは不可能でありまして、経済社会環境がどんどん変わっている中で事業の再構築というのは当然必要であると。問題は、その事業の再構築をしたときに古い事業を担当していた人がそのまま新しい事業を担えるかどうかという問題があるわけで、そのときにやはり担えないとしたときには、これまで古い事業をやっていた人をしかるべく処遇、割増し退職金であるとか再就職支援という形での企業の義務を付けた上で新しい人を雇うという仕組みをどう公平な形で構築するかということが大事なんじゃないか。 ですから、定年という名前の強制解雇をなくそうとすればやはり流動的な労働市場が必要なわけで、それが実はなかなか既得権に阻まれて困難なことが、法律の問題は別にしても、今議員のおっしゃっている、渕上委員のおっしゃっている定年制の廃止というのができないことの最大の要因ではないかと思っております。
○会長(広中和歌子君) どうもありがとうございました。 他に御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑を終了いたします。 熊谷参考人、斎藤参考人、そして高畑参考人及び八代参考人におかれましては、御多用の中、本調査会に御出席をいただき、本当にありがとうございました。 本日お述べいただきました御意見は今後の調査の参考にさせていただきたく存じております。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 ありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十分散会