予算委員会 第5号
- 発言数
- 233 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2006/02/06
会議録
○大島委員長 これより会議を開きます。 平成十八年度一般会計予算、平成十八年度特別会計予算、平成十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、基本的質疑に入ります。 この際、お諮りいたします。 三案審査のため、本日、政府参考人として内閣府規制改革・民間開放推進室長田中孝文君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、国土交通省住宅局長山本繁太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○大島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川秀直君。
○中川(秀)委員 いよいよ本予算審議が始まりました。自由民主党の中川秀直でございます。 私は、この我々の国が今直面する最重要の課題というものは、国内では人口減少社会が始まった、また隣国では中国が大変な経済的な発展、台頭している、十年後には日本並みの経済規模になるかもしれない、こういう状況下において、いかにこの日本全体を勝ち組にしていくかということにあるのではないか、こう考えております。 二〇三〇年まで中国は年率六・八%の成長力を持つ、これは内閣府の二十一世紀ビジョンでございます。そういう中で、十年後に日本がアジアの一周辺国に甘んじてしまうのか、まさに重要な岐路に立っている、こう考えるのでございます。 やるべきことは、まず経済力の再生ではないかと考えます。だからこそ、我々は、日本より豊かな米国の潜在成長率が二〇三〇年まで三%台、こういうふうに見込まれておるのに、なぜ日本は、二〇三〇年まで二十五年間一%台半ば、その半分なのか、これも内閣府の二十一世紀ビジョンで示されておるところであります、そういう問いかけを始めなきゃいけないと思うのであります。 今、専門家が指摘する日本の二十五年間の成長率一・五%台、これで行くのか、あるいは、日本よりも豊かな米国のように三%台まで持っていくのか。これだけで、税制も年金も全く制度設計が変わってまいります。格差社会がどうなるかということも変わっていくわけでございます。 自由民主党は、さきの党大会の新しい綱領で小さな政府の旗を掲げたわけでございます。潜在成長率が小さいということは、民間活力が足りないということであります。だから小さな政府にする必要があるわけであります。 規制の多さ、国家金融の大きさ、あるいは政府保有資産の大きさ等々、世界的に見ても日本は大きな政府であります。規制ゆえに、いろいろな民間経済活動に手かせ足かせがはめられている。情報化もまだ始まったばかりだ。官から民へで潜在成長力を上げることは十分に可能だと私は確信します。役所がやっているうちは何ら富を生まない、ただの制度であります。また、ただの国有財産であります。しかし、それが民間に移り、産業になることで、富を生み、生産性を上げていく、こういうことではないかと思います。 総理も御存じのように、戦後、ドッジという人が日本の経済再生のためのアドバイスをしにやってまいりました。彼が、一九四九年、昭和二十四年に出した声明は、いわく、富は、まずこれを創造してからでなければ分配できない、こういうことでありました。 郵政民営化によってやっと小さな政府への突破口ができたわけであります。この小さな政府を目指してもう一度成長国家をつくる、それが我々の使命ではないか、こう考えるわけであります。 まず、きょうはそういったことを考えながら、総理に、また関係閣僚にお尋ねしたいと思いますが、そのためにも、この国会、我々は行革国会、改革国会と位置づけまして、昨年の総選挙で国民の皆さんが選択した小さな政府路線を形あるものにして次の時代に正しく継承しなければならない、そういう国会にしなきゃいけないと思っております。 しかし、どうも国会冒頭から、安全国会の名のもとに改革を失速させようとする、まあ、野党の諸君が皆そうだとは申しませんが、隠れ大きな政府を主張するような意見が息を吹き返しまして、ようやく、改革の結果、光が差し始めた日本経済を再び暗やみに引きずり戻し、世界の負け組に転落させられる、そういう危険性が出てきたのではないか、こんなふうに考えます。 先ほど申し上げましたとおり、私は、改革の加速化こそが諸問題の唯一の解決方法である、こう考えるわけであります。今申し上げた基本認識について、総理の御所見を簡単にお伺いします。
○小泉内閣総理大臣 極めて広い観点から日本の今後目指す方向をお話しされましたけれども、私が総理大臣に就任してから、目指す大きな目標の一つとして、日本の持っている力というもの、これを大いに発揮させていかなきゃならない。今あるような低成長よりも、もっと日本には眠っている力、潜在力があるんじゃないか、この潜在力をいかに目に見える形で発揮させていくか。 そのためには、政府の役割、民間の役割、これをもう一度よく点検していこう。民間の企業あるいは民間人、さらに地方あるいは公務員、それぞれ役割があるし力も持っている、それをどう今後、各人、各企業の創意工夫を発揮しやすいような社会をつくって、そしてしかるべき適切な経済成長力が期待できるような社会にして、そして将来、簡素で効率的な政府を目指して、日本国民全体の力を発揮させ、成果を上げて国民生活を豊かにしていこうというのが大きな目的であります。 そういう中で、今まで、改革なくして成長なし、あるいは、逆だ、まずこういう不景気のときには財政出動して成長させてから改革を考えればいいという論争がしばらく行われましたけれども、ようやく今は、このような財政状況では財政出動には限りがある、四割も国債、借金に依存しているような財政では必然的に大きな政府というのはもう無理だ、政府の役割というものをできるだけ限定して民間の力を発揮させようという方向、これがいわゆる改革なくして成長なし路線、大体その方向は大方の賛同を得る状況になってきたと思います。 そういう中で、これからさまざまな分野におきまして、私は、国民の持てる力を発揮させていくようなそういう改革が必要である。同時に、今、勝ち組とか負け組とか言われますけれども、これは、人生というのは二者択一じゃない。マルかバツかどっち決めろ、そういうものでもない。勝ち組の人はまたいずれ負け組になるかもしれない、負け組の人たちもまたチャンスがあれば勝ち組になるかもしれない。 あるいは、いろいろなチャンスが提供されても、それをつかむかどうか。待っている人もいる。待ってつかむ人もいれば、逃す人もいる。つまり、いろいろあると思います。さばさばして、まあいずれまた勝ち組になればいい、意欲を持って希望に燃えている人もいるでしょうし、勝ち組の中にも、何かむなしい気持ちがあるという気持ちもいるはずであります。そう二者択一で、世の中、はかり切れるものじゃありません。 私は、そういう大きな観点から、それぞれの持ち味を個人においても企業においても地域においても発揮できるような社会にしていくことが大事ではないかと思っております。
○中川(秀)委員 総理から御答弁いただきましたので、ちょっと質問の順番を変えまして、ただいまの勝ち組、負け組論といいましょうか、格差社会のことについて先にお尋ねしたいと思います。 格差社会になりつつあるのではないかという点につきまして、統計にあらわれた数字と国民の実感というものの間に乖離、ギャップがあるのではないかという指摘がございます。確かに、政治として国民の実感というのをどう受けとめるか、これは非常に大事なことだと私は考えております。 そこで、ちょっとパネルを用意させていただきました。お手元の資料にも一枚目にあると思いますが、これは読売新聞の、二十五年間同じ基準でずっと定点的にやっている調査なんです。いろいろな調査はございますが、いわゆる五層分析というものでございます。豊かさに関する世論調査、現在の日本人の生活水準を次の五層に分けるとするとどの層に入るかという問いに答えたものでございます。 第一に、中の中という中流層は、小泉政権発足の二〇〇一年四月、ちょうど総理が就任したとき、このときに五割を切ったことがございますが、その一時期、就任当初を除きまして、バブルの以前、八六年の十二月以前ということですが、またバブルの最中、九一年二月までですけれども、それから、小泉総理が就任したまでのいわゆる失われた十年と言われる期間、いずれもこれは五割を超えて中の中という、そういう厚みを持った答えになっているわけであります。 二番目に、小泉政権発足の二〇〇一年四月から昨年十二月までの間に注目しますと、上というのが〇・二ポイント減っておりますが、中の上が〇・二ポイントふえております。また、中の中は二・七ポイントふえているわけであります。中の下が二・一ポイント減、下が〇・三ポイント減、こうなっているのでございます。 この世論調査は、小泉政権下において、国民の実感としてむしろ格差は縮小しているということを示していると言えなくはございません。まさに、今総理がおっしゃった、能力を生かせる機会をたくさん提供する改革の正しさというものと成果を示している、こう思うのでございます。 世論調査でもう一つ注目されるのは、お手元の資料にはございませんが、一月二十八日、共同通信が調査をしております。能力や仕事による収入の格差につきまして、大いに格差をつけるべきだという人が九・三%ございます。また、ある程度は格差をつけるべきだという人が七〇・二%、合計で八割近い人が収入の格差を是認しているわけであります。 国民の皆さんは決して悪平等を望んでいるわけではない。流した汗は報われる、努力した者は報われるということを望んでいると言えるのではないでしょうか。 そうであるとするならば、私は、今後我々がとるべき道は、勝ち組と負け組の固定でもない、また、努力する人もしない人も同じでもない、そのいずれでもない中間の道じゃないか。つまり、簡単に言えば、性別や出身などにかかわらずすべての人に均等に機会が開かれている、それから、一時敗者になってもまた勝者になり得る再挑戦の機会が与えられていること、運悪くみずからの努力で立ち行かない人が出ましても、その人たちには温かい支援の手、セーフティーネットが用意されていること、この三点なのではないか、それこそがまさに小泉改革の目指している方向性と考えます。これについては、先ほど総理から包括的に御答弁いただきましたので、あえてお尋ねをいたしません。 やや各論に入らせていただきますけれども、格差社会論の観点からは、東京などの都市と地方、この地域間の格差、将来の格差拡大につながりかねないフリーターやニートなど若年層の問題が挙げられております。 そこで、まず川崎厚生労働大臣に、地域格差の関連で若干御意見を伺いたいと思います。 一月三十一日に政府が発表しました労働力調査、昨年度の完全失業率は四・四%、前年に比べて〇・三%低下した、就業者数は前年に比べて二十七万人増加した、そして、求職者一人当たりの求人数を示します有効求人倍率は、バブル崩壊直後の九二年九月以来、十三年三カ月ぶりに一倍台に回復した、こう発表されました。景気回復の、これによる雇用情勢の改善がうかがえる結果となっております。 しかし、都道府県別で最も高い愛知県の一・六一倍に対して、最も低い沖縄県は〇・四一倍となっており、地域差が大きく出ております。 今、川崎大臣のところでは、都道府県別有効求人倍率の低いところ、〇・五を割っている北海道、長崎、鹿児島、秋田、高知、沖縄、青森県……。北海道は〇・五は超えている。こういうところについて、いわゆる雇用関連施策の重点実施をお決めになったということでございますが、これについて簡単に御確認を願いたいと思います。
○川崎国務大臣 中川政調会長にお答え申し上げます。 今お話しいただきましたように、全体的な数字が改善をいたしてきております。先ほど触れなかったもので一つだけ申し上げますと、雇用保険、失業保険を受給しておる人数が、十四年が百四万、十七年が六十四万、三七%も減っておるというのが現状の数字でございます。 そうした中において、地域間格差というものについてどう改善を図っていくか。今お話ございましたように、やはり地域の自主的、自発的な雇用創造の取り組みを支援する、こういう考え方でいきたいと思っております。 地域雇用創造支援事業と打ちまして、第一番目に、その地域に対してノウハウ、人材の支援、これをまず第一に行いたい。第二番目に、そうした物の考え方に沿って市町村が計画を組みましたときに、二億円を上限といたしまして市町村に対する支援を実施してまいりたい。三番目に、今度はその中で企業が新しい創業を行っていく、そういうことに対しまして助成金という制度を持ち、今までは三分の一が上限でございましたが、二分の一まで高めるということで、いずれにせよ、地域が物を考え、そして新しいものを生み出していく、それを厚生労働省としては支援していく、こうしたスキームを、まずこの七道県を中心にしながらやってまいりたいと考えております。
○中川(秀)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。 さらに地域間格差のことについてお伺いしますが、私は、地域間格差について、昔のように公共事業依存で解決がつくかといえば、今までやってきても格差がついているわけですから、それだけでは問題は解決しない。まさに、地方にできることは地方へという改革をさらに加速させることによって、地域の自主的な新たな努力によって新たな成長戦略をそれぞれがしっかり取り組めるようにしていく、そういうことによって本格的な解決を目指すべきだと思います。 これに先駆けて、私は、今国会に政府が北海道道州制特区法というものを提出する、そういうことを決めたということを伺っておりますが、まさに道州制というものは、こういう観点からも、本格的に解決するために導入を目指していくべきではないか、その本格的な検討をすべきだ、こう考えております。 公共事業依存の地域経済をどう変えていくかという問題は、地域の特色を生かした知恵と工夫、これで新しい成長をつかむということで解決しなければなりません。 先般、一月ですが、ここにございます国土計画研究会、伊藤滋教授のやっているところですが、ワーキンググループで、「州制度の創設と実現へのプロセス」という報告書がまとめられました。いわく、道州制は、東京一極集中と地方の衰退から日本を救うと。 明治以来、戦後六十年、毎年毎年、中学、高校、地元の大学を出た、そういう卒業者が出るたびに、相当量の人口が地方から東京へ流出し続けた。三十年たち五十年たつと、地方は、当然、人口、人材の流出による砂漠化が進む。衰退は目を覆うものがある。 道州制の創立によって、新しい州は情報や産業を引き寄せる。州の都となるところは、国政を分担するその高度な政策形成に期待を寄せて、学界、経済団体、産業、労働団体、市民団体、ジャーナリズム、芸術・スポーツ団体、外国機関等々が集まり、一大情報拠点となる。州都はまさに日本の複数の中央をつくることになる。気鋭の士を引きつけるであろう。 それによって、中央集権体制のもとで、全国画一体制のもとで力を発揮できなかった人たちのエネルギーが、九州は九州で、近畿は近畿で、東北は東北でと、それぞれの地域の人々が自分の能力を存分に発揮して産業を興し、教育を見直し、そして豊かな地域をつくる。また、そういう地域がつくれるような身近な政府をみずからの選挙で選んでいく。 州は、地域の条件に根差した強い産業、農業の復活、そういった社会も育てる。 国、県、市町村の重層的な関係の今の肥大化した行政の仕組みも簡素化できる。 これを四、五年かけて都道府県ブロックという形で準備して、さらに十年—十五年かけて、その間は県も存続しますが、市町村の基礎的自治体の自立、それに向けた権限移譲も進めながら、十五年—二十年かけて道州制に移っていくべきだ、こういう提言であります。 私は、日本が幾つかの道州制に分かれますと、実は、経済が活発な欧州やアジアの経済規模とほぼ同じになるわけであります。道州ごとに制度や政策を工夫して成長競争を行う、州都を中心とした多極的な経済構造をつくる、行政もスリム化していく、まさに適切な提言だ、このように思います。 さてそこで、竹中大臣にお伺いいたしますが、我々自民党の政権公約二〇〇五によっても、これについて、道州制の導入を検討ということをうたいました。政府の地方制度調査会も、間もなく道州制について答申をまとめると伺っております。 今後の省庁再々編においては、道州制の導入によってさらに小さな中央政府を目指せるでしょう。その小さな中央政府と地方分権、地域経済の活性化、この三点セットを実現すべきだと思いますが、お考えを伺います。
○竹中国務大臣 中川委員から、道州制を中心に、小さな中央政府、そして地方分権、地域経済活性化、三点セットについてお尋ねがございました。 道州制の問題でございますが、地方でできることは地方にやっていただく、これはもう改革の大原則であって、国民が広く求めていることでもあろうかと思います。 その場合の考え方としましては、地方でできることは地方で、その場合、やはり地方の受け皿といいますか、一つの地方団体が基礎的な財政基盤を有していなければいけないというのが大前提になろうかと思います。 どのぐらいの財政基盤、人口でいうとどのぐらいの基盤を有していればいいかということに関しては、これは専門家の間でも意見が分かれるようでございます。最低十万人必要だという方もおられれば、いや、最低三十万人必要だというような方もおられる。いずれにしましても、つい数年前までは三千二百の市町村があったわけでございますから、これを合併してその基盤を強くするということが必要である、その方向で我々も検討を進めてまいりました。この三月には、市町村の数、約千八百程度になるということが予定されております。 そうしますと、人口、今後、十万なのか三十万なのかわかりませんが、地方自治体の数も、究極的には千とか三百とか、そのような形を目指さなければいけないという姿が出てくるのだと思います。そうしますと、一つの県という単位が行政単位としてはいかにも中途半端なのではないか、より広域の行政単位が必要だという道州制の考えというのは、方向としては、まさに出てくる問題であると思っております。 現実に、総理が諮問しております地方制度調査会におきましても道州制のあり方を今調査審議しておりまして、国、地方を通じた効率的な行政システムを構築する、地方分権の推進と地方自治の充実強化を図る、そして自立的で活力ある圏域を実現する、そういう方向で検討が進んでいるというふうに承知をしております。 今後、国の政治・行政制度のあり方との関連など、広い範囲での検討課題を踏まえていただきまして、いずれにしましても、今月末に答申が予定されておりますので、そうした答申を踏まえましてしっかりと対応していきたいというふうに思っております。
○中川(秀)委員 格差社会論で重要なもう一つの視点は、正社員の雇用とパート雇用の格差問題ということであります。 ちょっとパネルを用意しましたが、お手元の資料にもございます。厚生労働省が二月一日発表した昨年の毎月勤労統計調査、速報値でございますが、正社員を中心とする一般労働者数を小泉政権発足の平成十三年以降で見ますと、対前年比で平成十三年は一・三%減少でございましたが、十四年は二・五まで減少、正社員の減るのがピークになりましたが、その後は徐々に減りまして、平成十七年には〇・五%増と、ついに八年ぶりに正社員は増加をしたわけであります。 一方、それと逆に、パートの労働者は、平成十三年三・五、平成十四年は同じくピークで六・六まで増加しましたが、その後ずっと下がりまして、平成十七年は〇・六%増加と、いっときの十分の一の増加率に下がってまいりました。 企業は明らかに、景気回復を背景に、パート確保から正社員確保に動き始めております。ようやくこの改革によって正規雇用拡大の光が見えてきたわけで、格差是正の観点からも、ここで改革をとめて時代を逆戻りさせるなどということは愚の骨頂だと私は思います。 二十代、茶髪、フリーターと言われる若者たちは、格差固定社会の閉塞状況打破を期待してこの前の総選挙では小泉改革を支持した。今でも旧体制の復活を望んでなんかはいない。改革を加速化しようという私ども自民党を支持してくれているんじゃないかと確信します。いまだに、ネット世代の若者を取り込む票寄せパンダを主張する向きがありますが、だから自民党が勝った、こういうふうに総括をしている御意見もありますけれども、そのようなことでは若者の気持ちはつかむことはできないと私は思います。 かつてイギリスのチャーチル首相は、社会主義は富める者を引きずりおろすが、自由主義は貧しき者を引き上げる。社会主義は企業を殺すが、自由主義は企業を特権や保護の足かせから救う。社会主義は資本を攻撃するが、自由主義は独占を攻撃するのであると述べております。国民の皆さんも、富める者を引きずりおろす社会主義を望んでいるのではなくて、貧しき者を引き上げる自由主義、独占や閉塞感を打破する自由主義、これを望んでいると言えるのではないでしょうか。 今まさに日本国内において、成長力のある企業や人が機関車となって日本経済全体を引っ張る、それが多くの人々の機会を生かすチャンスを生み、弱者をも救い、引き上げていくというプロセスにある、こう考えるのでございます。 財務大臣にお伺いしますが、さきの財政演説で、構造改革の先にある社会は弱肉強食の社会ではないと述べられました。また、一月下旬のテレビ番組で、高額所得者からたくさん取ってバランスをという議論は出てくる、消費税だけで議論するとおかしくなると述べられたと記憶いたします。この御発言の真意は、所得税の累進性を強めて高額所得者への課税を強化すべきだということをおっしゃっておられるのでしょうか。
○谷垣国務大臣 NHKのテレビでの発言を今、政調会長、おっしゃっていたかと思うんですが、あそこで私申し上げましたことは、税はそれぞれ特質がございますから、一般論として申し上げますと、消費課税だけではなくて、所得課税あるいは法人課税、資産課税、そういうものの全体のバランスの中で考えなければいけないということを申し上げたつもりでございます。 それで、所得課税につきましては、ことしから定率減税をもとに戻していただく法案を出させていただいているわけでございますが、どちらかというと、やや基幹税としての機能が弱くなっている面がございます。 したがいまして、所得課税をどういうふうに持っていくか。それにもいろいろな考え方があろうかと思いますが、一つの考え方としては、政調会長おっしゃっていましたように、累進性をもっと強くしていくという考え方もあるかもしれません。しかし、それと同時に、いろいろな控除のあり方を見直す中で所得再分配機能をどう発揮させていくかという考え方も私はあるんだろうと思います。その辺を十分これから議論していって、消費税との補完をどういうふうにしていくか、こういう議論がこれから必要ではないかということを申し上げたわけであります。
○中川(秀)委員 先進国で経済発展に成功したところは、税制、税率というものはなるべくフラットにしていく、単一のものに近づけていくというのが主流であります。私は、それが正しいのではないかなと基本的には思います。 ただ、人的控除、その中には、長く申し上げる時間はございませんが、日本でも、二十三歳から六十四歳まで働いていない方々、障害を持ってもいない、健常者であって働いていない、この親に対して扶養控除をつけている、こういうものは見直すべきじゃないかな。あるいは老親、親御さんと同居をしていないが同居控除がついている、こういう人たちはそういう控除はもうやめるべきじゃないかな、私はそんなことは感じます。そこは見直していいと思いますけれども、税制はなるべくフラットにというのが正しいのではないかと考えております。 私は、先ほど申し上げました、貧しい者を引き上げる自由主義、独占や閉塞感を打破する自由主義、こういう政策とは、今、先進国で常識的な財政金融政策をやることだと思っています。その結果、名目成長率四、五%を達成することは、常識的な政策でもできると考えます。 そこで、経済成長率についてお尋ねするわけですが、正規雇用の拡大の動きが出てきているように、経済成長こそが格差是正の良薬、一番の改善策になるということは確かであります。多くの人たちの夢や希望をかなえる条件を整えるのが経済成長であります。 パネルをちょっと用意しましたが、お手元の資料にもございますけれども、これはOECDのエコノミックアウトルックから取り出したものです。過去三年間、このちょうど真ん中の赤い字のところですが、日本は名目成長率は〇・九%だったのに対しまして、サミット諸国、G7諸国の平均の名目成長率は三・六%です。また、OECD諸国の平均の名目成長率は四・九%です。一番下の実質GDP成長率で見ますと日本は遜色ないんですが、何と申しましても、デフレ、真ん中の欄、マイナス一・二が足を引っ張って、日本はこのように低いわけでございます。 これに対して、内閣府が一月十八日に「改革と展望」の参考として財政諮問会議に提出した試算では、年平均で二・六%、最終年でも三・二%と、極めて低い数字になっています。 私の言う最低四%成長との差は〇・八%ございますが、かつて、一九一〇年代、二〇年代にアルゼンチンという国がございました。一九一〇年代ぐらいは、アルゼンチンという国は西欧諸国のどの国よりも一人当たりの国民所得が高かったんです。しかし、二〇〇〇年を迎えまして、八十年で、今や西欧諸国の一人当たりの国民所得の半分以下になっております。その約七、八十年の成長率の差は、たった〇・九%です。これだけの差でそんなふうになってしまうのでございます。名目成長率が内閣府の試算よりもう一%高ければ、十年後の名目GDPは、一〇%、約五十兆円大きくなります。その結果、税収は八兆円、消費税に直せば四%分ふえる計算になります。 与謝野大臣は、この前の経済演説を聞かせていただきましたが、成長力と競争力の強化の項を設けまして、悲観論や縮み思考では将来は開けないと、私は正しい御指摘をなさったと思っております。そして、今後、成長力と競争力の強化に向けたグローバル戦略、人材、産業、地域、対外政策、各分野でそういうものを盛り込む、こう経済演説でおっしゃいました。 この骨太の方針に盛り込まれるグローバル戦略の結果、当然ながら、経済成長率は「改革と展望」の試算よりは高くなり、私の唱える名目成長率四%に近づくものではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○与謝野国務大臣 日本の成長力が高ければいいという点では、中川議員と私は全く意見は異ならないと思っております。高い成長力をもたらすためには、相当汗もかかなければなりませんし、また知恵も出さなければなりません。要するに、努力なしでは高い成長力は達成できないということも全く同じ考え方であろうと私は思っております。 成長力を考えますときに、やはり日本が持っております潜在成長力を高めていくということがオーソドックスな真正面な取り組みであろうと思っていまして、潜在成長力を高めるためには生産性を高める、このためにはいろいろな要素を強化していく必要があると思っております。教育も一つですし、いろいろな国際的な戦略もそうです。私は、小泉内閣が続けてまいりました構造改革は、効率のいい社会、生産性の高い社会をつくる、そのことによって日本の潜在成長力に寄与しよう、そういう考え方に基づいていると思っております。 先般出しました私どもの試算、若干低目に出ております。これは別のモデルを使ったとかそういうことではなくて、比較的真っ正直なやり方であのような数字が出ておりますけれども、これは固定的なものではなくて、今後の国民の努力、政府の努力によって高い成長力を達成できる、またはそのための努力、これもまた必要になってくると私は思っております。
○中川(秀)委員 ありがとうございました。ぜひその方向で政策運営をお願いしたいと思います。 二階大臣にもお伺いします。 経済産業省の産業構造審議会新成長政策部会というのがあるんですね。そこで新経済成長戦略を取りまとめられると伺っていますが、二階大臣は、中長期的に日本経済の経済成長率をどの程度展望しておられますでしょうか。また、どうすべきだとお考えでしょうか。
○二階国務大臣 中川政調会長が日ごろの持論として、経済成長の展望に明るいものを見出そうという御努力をされていることに、私はかねがね敬意を払っておりました。 私ども経済産業省におきましても、今日の人口減少社会においても、新しい成長戦略というものは、考えようによっては、また努力のしようによっては達成することが不可能ではない、そういう基本的な認識に立って改革の先に明るい展望を見出す、これが今国民の皆さんが期待していることではないかと思っております。 改革、なるほど、すばらしい響きの言葉でありますが、その改革の最中にも、先ほど中川議員からお示しになりましたとおり地域格差というものは歴然としておるわけでありまして、これらの問題にどう対応するか。中小企業の皆さんが今日大変な頑張りを見せておりますが、それでもやはりこの面におきましては、政府のもっともっと支援が必要ではないかという声もよく聞かされます。 そうした意味で、私たちは新経済成長戦略を検討しようということになりまして、先ほど議員からも御指摘のとおり、産業構造審議会新成長政策部会におきまして、まず、地域活性化の議論を今スタートさせたところであります。今後、国際産業戦略または人材、教育、あるいは資本、金融、技術などの議論を積み重ねて三月の下旬にはマクロ経済の将来の見通しを発表し、議論のたたき台として国民の皆さんからの御意見もちょうだいし、また各方面の御意見もいただきながら検討をさらに加えていこうと思っております。 日本経済の明るい展望を示すことこそ、私たち経済産業省に課せられた今重要な問題だと認識いたしております。
○中川(秀)委員 ちょっと、先ほどの国際比較を出しながらお願いします。 経済には、潮の満ち引きに当たります景気循環というものと、それから、もともとの水位の高さ、こういうものを示します潜在成長率、成長力というものがあるわけであります。私は、過去十年とか過去五年とか、こういう各国の比較を見ましても、どんなに景気循環があっても再びマイナス成長に陥ることのない高い水位の潜在成長率、これを目指すのが日本の国運を左右する、こう考えるわけでございまして、それは、人口減少社会における増税の幅を縮小するためにも、さらには中国が台頭する中で日本の地位を保つためにも不可欠である、こう考えるわけです。 安倍官房長官にお尋ねします。 安倍官房長官は、一月十五日のテレビ番組で、一・五%から二%程度の日本の潜在成長率をさらに上げて、力強い経済をつくるべきだという趣旨の発言をされています。我々自民党としても、あなたが党改革委員長の時代に創設をして取り組まれたシンクタンクで、経済成長、さらに高目の三%以上の政策はどういうものがあるかというパイロット研究を既に始めましたが、今後の経済成長のあり方について官房長官のお考えを聞きます。
○安倍国務大臣 私は、よく年の初めに、ことしをどういう年にしたいんですかと聞かれたときに、ことしの年末に、ことし一年間一生懸命頑張った結果、去年よりもいい年になったね、こうみんなで言い合える年にしたい。そして、恐らく来年はもっといい年になる、そういう夢や希望を持てる年にしていきたいとか、こういうふうに話をするわけなんですが、恐らく多くの国民もそうなんだろうというふうに思います。 そのためには、力強く経済が成長していく、生活の質が向上していく必要があるんだろう、こう思っています。経済が成長していくためには、労働力が伸びていく、あるいは生産性が伸びていかなければならないわけでありますが、残念ながら、労働力人口が減少していくことが見込まれる中であっては、生産性をしっかりと向上させていかなければならないわけであります。そして、生産性を上げていくためには、規制、金融、歳出、税制といった改革をしっかりと進めていくことによって潜在成長率、潜在成長力を上げていかなければいけない。 「改革と展望」において、実質成長率一・五あるいはそれ以上が見込まれる、こう書いてあるわけでありますが、しかし、私たちはしっかりともっと努力して、この潜在成長率をできれば二以上にしていくという目標をみんなで持って努力していかなければいけない。 実際、例えば金型の分野においては、IT革命において工程の大変な改革が行われた結果、生産性が飛躍的に伸びています。これはもう実質的に産業革命と言われることが起こっているんですね。それも、しかも日本が主導している。十分に私たちはそういう目標に到達できることは可能ではないだろうか、このように思っています。
○中川(秀)委員 私は、右肩上がりの時代は終わったとか、人口が減少するから、確かに財政は深刻ではございますけれども、もう経済成長は無理だとか、そういう悲観論が、まさに夢も希望もない格差固定社会をもたらしてしまうのではないかと思います。 経済が成熟化していく中で、海外の資産収益を反映するGNP、これで経済活性化を考えるべきだという議論もございましょう。人口減少社会は、一人当たりの国内総生産、GDPがふえれば豊かな社会だということを忘れてはいけません。しかし、最も大切なことは、先ほどから申し上げている成長を重視することで私の言う名目成長率四%台ということが実現できれば、二十年弱、十八、九年で名目の国民所得は倍増するわけです。二倍になるわけです。かつて所得倍増というのがございましたが、あれは十年でしたけれども、二十年弱で、四%で倍増するわけです。年金や税負担での負担と給付の世代間対立も緩和する、そういうことのためにも必要でございます。 先ほど申しました我々のシンクタンクで、アメリカのノーベル経済学者も加えて、今この路線について本格的に研究しています。ここで、私自身の個人の案ですが、ちょっとパネルを用意いたしましたが、日本経済を上げ潮に乗せるための成長計画、経済計画というのはどういうものがあるんだろうかと、お手元に資料も用意しました。 経済成長、潜在成長力を上げていくというのは、労働力の要因と資本の要因と技術革新の要因と三つございます。何といいましても、これによって成り立つ成長を上昇させる各政策が必要だということと、金利を急上昇させないという政策の二つを両立させて、日本経済を全体として上げ潮に乗せる成長計画を推進していかなければ、これは実現できないわけであります。 その計画のまず第一の柱となるべきことは、やはりこれだけグローバルな社会になりましたので、新しい日本経済の国境概念というものを広げていくべきではないかと私は考えます。人口減少社会の日本にとって、BRICs諸国、ブラジル、ロシア、インド、中国等々、この市場はこれから本格的な市場になってくるわけですが、三十数億人です。インド、中国を含むアジア市場だけでも八・二兆ドルと申しますから、円換算で約一千兆円の市場というものになってまいります。 こういうマーケットを日本経済の発展にプラスしていくことが重要となりますが、そのための重要な手段が、今言われている自由貿易協定であり、あるいは経済連携協定でございます。 実は、韓国では最近、政府内にFTA推進委員会を立ち上げました。何と二〇〇七年、つまり来年までに三十—五十カ国とこの協定の締結を目指す。三十—五十カ国ですよ。十五カ国と同年中に協定を発効させるということを決めました。中国は、二〇一〇年にASEAN諸国とのFTAスタートで合意しまして、もう既に昨年から一部関税削減を始めております。また、インドと共同研究会設立で合意。豪州、オーストラリアと正式交渉を昨年開始しているのでございます。 官房長官、伺いますが、各省、FTAについてはいろいろな立場がありますけれども、この経済連携協定、自由貿易協定推進のために政府一体となった取り組みを進めなければ、もう日本は間に合いません。日本がやっているのは、シンガポールとメキシコのたった二カ国です。あと交渉中が数カ国あるだけです。こんなことでいいんでしょうか。 国益に沿った対応ができる万全の体制を総理のもとでつくっていくことが不可欠だと私は思います。そういう強力な官邸主導のリーダーシップ体制の確立、これについてどうお考えでありましょうか。 また、アジア共同体構想におきますリーダーシップの発揮のためにも、ASEAN諸国や豪州、さらには隣国の中国や韓国との自由貿易協定を加速すべきであると考えますが、いかがですか。
○安倍国務大臣 ただいま委員が御指摘になったように、シンガポールそしてメキシコとの間におきましてはEPAが発効したわけでありますが、さらに昨年の十二月に、マレーシアとの間のEPAについて、総理は既に署名をしておられます。そしてタイとの間のEPAについても、だんだんこれは署名に向けて条件が整いつつある、こう思っています。しっかりとした日本の世界戦略を持った上で、このEPA構想、FTA構想を進めていく必要がある、こう思っているわけであります。 もちろん、国内的にはいろいろな問題があるわけでありますが、各省庁のセクショナリズムによってそうした協定が停滞することがあってはならない、こう思っております。私も、総理の御指示のもとにしっかりと各省庁との調整を図りながら、しっかりと日本の未来のために、こうしたFTAそしてまたEPAを進めていきたい、こう思っているところでございます。
○中川(秀)委員 いずれにしても、スピード感が違うんですよね。先ほど言ったように、韓国は三十—五十カ国と来年までに交渉を締結する、十五カ国と発効させる、そんな目標です。 我が国は、例えば、合意して交渉に入った、共同研究会の立ち上げだ、この期間が物すごく長い。こんなことでは日本の将来にゆゆしき事態を招いてしまうと思いますよ。これは本当に総理主導、官邸主導で、国益を考えて、もっとスピードを上げて、外務省の経済局中心だけの交渉じゃ、スタッフも足りないし間に合いません。官邸主導で行かなければ、これは前に進まないと私は思いますね。我々も党にFTAの特命委員会がございまして、先般もかんかんがくがくの議論をしました。これからもやってまいります。 東アジア・サミットで具体的な取り組みが開始されることになった東アジア共同体、これは日本の国家戦略上も極めて重要な意味を持ちますが、この共同体構想で、日本が、自由経済、市場経済という共通の価値観を軸に、開放的な市場を目指してリーダーシップを発揮する、これが一番大事ですね。 このリーダーシップの問題、手段なんですが、深刻な財政の中で、もはやODA、政府開発援助だけに依存すべきではないと私は思います。むしろそうではなくて、日本のリーダーシップの源泉は、日本がアジア経済の需要者、買い手になってあげる、輸入の拡大を行うということが極めて重要だと思うんです。 竹中大臣、あなたは経済学者として、こういう経済の安全保障、そういう意味で、輸入拡大は国際経済における、まあ政治もそうかもしれませんが、日本の発言力の強化につながるという点についてどう考えているか、簡単に答えてください。
○竹中国務大臣 久しぶりに経済学者として質問をいただきまして、ありがとうございます。 一九八〇年代、貿易摩擦の時代に、アメリカの力の源泉は何かという議論をする際に、それは実は、マーケット、市場の脅威ではないかという議論がございました。アメリカはたくさんのものを世界じゅうから輸入します。その国がマーケットを閉ざすぞというような姿勢になると、やはり各国大変大きな影響を受ける、それがアメリカの最も大きな経済的な力の源泉ではないかという議論がございました。 中川委員御指摘の、まさに輸入を拡大することによって、それで一種の個々経済的な安全保障が確保できるという議論は、私はまことにごもっともな御意見であろうかと思っております。 いわゆる経済というのは、お互い相互依存を高めて、いわば抜き差しならない関係に入ることによって、より発言権が増される。日本のように軍事力を持たない国は、その意味では、こうした経済力、シビリアンパワーというようなものを高めることこそがその貢献であると思いますし、それを通して、まさに議員御指摘のように自由貿易等々の共通の価値観を広めていく。これは世界的にも重要なことであるし、また日本の経済安全保障にとっても極めて重要な方向であるというふうに思っております。
○中川(秀)委員 麻生外務大臣、輸入拡大は国際政治の面においても我が国の発言力強化につながる、こういうことについて、あなた自身はどう考えていますか。
○麻生国務大臣 輸入拡大イコール貿易量の増加ということになろうと存じますけれども、特定の国とだけということになりますと、同じ輸入拡大でも、石油の輸入拡大だけが続いて輸出がとか、前提条件がいろいろあると思いますけれども、基本的には、輸入が拡大され、輸出が拡大され、貿易の絶対量がふえるということは、経済を刺激し、経済を成長させるというのは基本だと考えております。
○中川(秀)委員 若干、関連で農業問題についても質問いたしますが、総理は、施政方針演説で攻めの農政というのを宣言されました。食べ物を外国から輸入するだけの守りの農業から、攻めの農業に転じて日本の食文化を世界に広げていく必要がある、ニッポン食育フェアで、そんなごあいさつもされております。 まさに今議論してまいりました、これから日本の経済を上げ潮にしていくためにも、私は、日本の国境概念を広げていくアジア共同体構想、自由貿易協定、こういうものをもっと力強く進めていく、そういう中で攻めの農政をしていくべきだと思いますが、総理、簡単に御決意をお聞かせください。
○小泉内閣総理大臣 攻めの農業という言葉を使っておりますが、今までは、各国とFTA、貿易交渉しても、日本は農業を守るばかり。輸入すると日本の農業は壊滅的打撃を受ける、いかに外国の農産物が日本に入ってくるのを防ぐかという守りの農業の方が重視されていた。しかし、これからは、守るばかりでなく、交渉するためには攻めも必要だ。日本には農水産物もいいのがあるということで、守るばかりじゃなくて日本の農業も輸出できると。かつては工業製品だって、日本の品物、各国と競争して輸出できたんです。 典型的な例が、自動車の本場アメリカで日本の車が、アメリカ国民も、日本の車はいい、高くても買いたいということを想像した人は四、五十年前はいなかったと思うんですね。それが、今や自動車の本場アメリカでも、日本の車は高くても買いたいということで頑張っていることから考えれば、今、つい数年前までは、中国からの農産物の輸入をいかに阻止するか、ちょっとふえると、もう農業団体初め自民党の議員の皆さんも、いかに阻止するかと、陳情ばかりですよ。何とか阻止してくれ、阻止してくれ、これじゃだめだと。 貿易というのは、日本も工業製品を輸出しているんだから、農産物、ある程度輸入、もうこれは防ぐことはできない、農業の農産物も入れると同時に農業も輸出することを考えていけばいいじゃないかと言った途端に、中国の高官が日本に見えまして、私が、上海では日本のイチゴが一粒三百円で売れているそうですねと言ったら、いや、イチゴだけじゃありませんと。北京では、大島委員長の青森かな、青森のリンゴが……
○大島委員長 津軽の方ね。
○小泉内閣総理大臣 日本円で二千円で売れていますよと言ってびっくりしたんです、私。これは本当かどうかちょっと信じられなかったから調べてみたら、本当なんですよ。 そうしたら、今、イチゴとかリンゴだけじゃない。何と、お米までがアジアに輸出されている。コシヒカリというのは新潟が有名ですけれども、島根県産のコシヒカリが台湾で、台湾のお米よりも二倍、三倍高いんだけれども、おいしいから売れている。中川政調会長地元のカキ。カキは外国から輸入していると思ったら、何と、広島産のカキは、高いけれども品質がよくておいしいから、今アジアに輸出している。北海道でも長芋が外国で売れて、むしろ本州の注文に間に合わないぐらい北海道の長芋も売れている。 だから、今後は、輸入阻止というよりも、日本も輸出できるんだという意欲を持って私は頑張ってもらいたい。 安売り競争だったら勝てません、発展途上国に。だから、高くてもおいしいというのが中国でもふえているんですから、外国でもやはり高くてもおいしいものは売れるという意欲を持って、これから農産物、水産物、日本の、品質がよくておいしいものをどんどん輸出していこうという意欲を持って頑張ってもらいたい、これが攻めの農政だと考えております。
○中川(秀)委員 WTOの農業交渉等々もあり、我が国の農政改革の方向とも一致するような結論を得るように農水大臣は今苦労しているところだとは思いますが、今の総理の御決意を踏まえ、それから、日本のこれから、私は経済の話をしているんですが、全体をさらに上げ潮にしていく、国民生活をそういうことによって豊かで安心できるものにしていく、そういう観点から、今の自由貿易協定と農業という問題について、大臣の御決意を聞かせてください。
○中川国務大臣 日本の農業というのは、全国津々浦々で、農業生産だけではなくて、いろいろな多面的な機能を果たしているわけでございます。水管理でありますとか、また教育への貢献でありますとか。 そういう中で、日本の農業、今総理からも答弁ございましたように、強い農業を目指していく。これは経営体一つ一つが強くなっていくと同時に、世界の競争の中でも何としても頑張っていかなければいけないということで、WTO、そしてまた、それと関連いたしますFTA、EPA、RTAといったいろいろな交渉が今行われているわけでございます。 具体的には、農政の新しい政策をこれから導入する予定でございますけれども、やはりWTOにおきましても、また二国間の交渉におきましても、譲るところは譲る、しかし、守るところはきちっと守っていくという基本方針で、貿易立国としても日本は農業面でも貢献をしていきたい。しかし、農村にとって、あるいはまた日本の産業等の面から見ましても譲れないところは、これは何としても交渉で闘っていくという視点でございます。 そして、輸出に関しましては、今総理からも御答弁ありました。日本の農業生産約九兆円でございますけれども、六兆円以上が輸入ということでございます。カロリーベースではもう四〇%を切っているということでございます。他方、輸出につきましても、約三千億円、金額ベースで農林水産物を輸出しておりますけれども、昨年から、総理の強い指示で、これを五年間で倍増しよう、六千億を目指そうということで、去年は一二%の伸びでございました。 いいものをつくって、そしてきちっと宣伝すれば、あるいはまた日本の食文化の健康面、品質面のよさというものを十分理解してもらうような努力をすればこの目標を何としても実現できると思いますので、さらに強い日本の農業、農産物、水産物、林産物を目指して、経営体それぞれが頑張っていることを政府としても全力を挙げて後押ししたいというふうに思っております。
○中川(秀)委員 FTAを拡大して輸出市場を確保するとともに、外国人労働者、この積極活用も私は真剣に考えていかなければならないと思っております。 官房長官、外国人受け入れ問題や不法滞在者対策、在留管理システムの構築、子供の教育問題、社会保険の加入問題など、いろいろな省庁にまたがる問題ですね。これも、したがって、官邸で関係省庁一体となって取り組んでいかなければならない問題だと思います。 あなたは、正月の新聞紙上でカルロス・ゴーンさんと対談をされておられました。読ませていただきましたが、日本はそもそも多様性を重視する国だと指摘した上で、世界じゅうから能力のある人たちが日本に集まってきて、その能力を発揮することが日本の豊かさにつながっていくと指摘されています。 自由貿易協定等をてことした専門的、技術的分野の外国人労働者あるいはまた一定の有期限での労働者の受け入れ拡大についてどのように考えていますか。官邸主導で対策を取りまとめていくお考えはありますか。お伺いします。
○安倍国務大臣 日本が今後成長していく、また発展していくためにも、本来日本が持っている多様性を重視していかなければならない、こう考えておりますし、日本の文化や伝統や今ある姿、そして将来の理想に対して、自分も日本に住みたいなと多くの外国の方々から思ってもらえるような国にしていきたい、そう思っていますし、また、自分も自分の子供も日本に行って日本人になりたい、そう思う人たちに対して寛容な国であるべきではないか、こう思っているわけであります。 その中で、専門的そしてまた技術的な分野を持っておられる方々に対しては、しっかりと我々もこの受け入れを積極的に進めていかなければならない、こう考えております。それで、その分野、専門的な知識また技術的な知識を持っておられる方々以外の方々については、やはりそういう方々の職の問題あるいは子供たちの教育の問題、そしてまた社会保障に加入するという問題等々、また治安の問題もございます。 そういう問題に十分な体制を整えてからでないと、これはお互いに不幸な結果になっていくということではないか、こう思っているわけでありまして、そうしたことも含めて総合的な観点から、当然各省庁との調整も必要でございますから、官邸としてもしっかりと指導力を発揮して、海外から見て日本は決して排他的な国ではないと思ってもらえるような国にしたい。そしてまた、国内においても、混乱なく海外からいろいろな人たちを受け入れられる体制を整えていきたい、こう考えています。
○中川(秀)委員 時間がだんだん迫ってまいりますので、不法滞在者対策に責任を持つ杉浦大臣、また、取り締まりの観点から国家公安委員長も御関係があるわけですが、国民の不安がないように万全の体制をとりながら国益のために外国人労働者の受け入れを拡大していく、こういうことについて、また、取り締まりの観点から、簡単でいいですから、お考えだけお示しください。
○大島委員長 法務大臣杉浦正健君、簡単に。
○杉浦国務大臣 お答え申し上げます。 問題意識は中川委員と共通いたしております。政府としては、不法滞在者を、平成十六年から五年間、平成二十年までに半減させるという目標で取り組んでおります。 不法滞在者は外国人犯罪の温床になっておりまして、外国人犯罪はまだふえる傾向にございます。この原因の一つが、外国人労働者受け入れを、単純労働者を拒んでいるところにあるという問題意識は私も持っております。 五年で半減の三年目に入るんですが、十六年のときには二十五万人不法滞在者がおったんですが、二年間で一万人減っただけでございます。この間、重点地域を決めまして取り締まっておるんですけれども、池袋北、西口を見てまいりましたが、大変な状況でございました。 今後とも、入管職員百五十人純増を認めていただきましたが、自民党の新たな入国管理施策への提言等も踏まえまして頑張ってまいります。 ただ、一方、外国人労働者の受け入れでございます……(中川(秀)委員「わかりました、結構でございます。頑張ってください」と呼ぶ)はい。頑張っております。
○沓掛国務大臣 単純労働者が日本で働き、在日されることについてはいろいろな視点から検討することが必要だ、おっしゃられるとおりでございますが、私の立場から申しますと、どうしてもこれは治安と防犯の面から申し上げなければなりませんので、お許しいただきたいと思います。 昨年の一月現在で、約二十四万人の不法滞在者が存在すると推定されております。これが来日外国人犯罪の温床になるとともに、その凶悪化、組織化、全国への拡散が進展し、国民に多大な不安を抱かせているところでございます。 来日外国人犯罪全体の検挙人員のうち不法滞在者の割合は約五割を占めており、警察としては、国民に著しく不安を与える悪質、重要、組織的な犯罪の検挙を徹底するほか、入国管理局と協力するなどして、昨年は約一万六千人の不法滞在者を入管当局に引き渡すなど積極的に不法滞在者を摘発しており、また、捜査体制の充実強化、関係機関との緊密な連携による水際対策等の諸対策を推進いたしております。 また、多くの不法滞在者が風俗営業に従事している実態にかんがみ、これへの対策も的確に行っております。
○中川(秀)委員 要は、しっかりやっておられるということです。そういうのをしっかりやりながら、なおかつ上げ潮に乗せるためにも、官房長官からもお話があったが、我々は、柔軟な、両方両立させる、そういう政策をとっていくことが必要だということだろうと思います。 外資についても一点だけ触れます。 実は、九〇年代、日本からの外国への投資を十とすると、外国からの日本への投資はその十分の一の一しかなかった。十対一だったんです。ところが、一昨年、外国から日本への投資額の方が日本から外国への投資額よりも多くなった。つまり逆転したんです。これは案外知られていないんですが、逆転したんです。ハイテク企業の研究所設立、RアンドD、それからアジア企業の対日進出も始まっています。 例えば、時差のないオーストラリアから、例の有名なニセコ、北海道のスキー場、オーストラリアのリゾート企業がこれを買収したんですね。そして、今後十五年で五、六百億の投資をして、年間二十万人ぐらいの集客をしようと、豪州の会社がニセコを買ったんです。 そういうように、今、日本の貯蓄率は、高度経済成長時代の二〇%からはるかに下がって、〇四年度は二・八%と、五十五年ぶりの低水準、十分の一になっています。今や、外資を敵視するんじゃなくて、したたかに利用する時代に来ているのではないかと考えます。総理も施政方針演説で、外国からの投資は地域の活性化や雇用の拡大につながる、また、技術に新たな刺激を与える、我が国にとって歓迎すべきもの、こう言っておられますけれども、今、したたかに利用する時代に入ったということについて、総理の御所見を伺います。
○小泉内閣総理大臣 私が総理に就任するときにも、よく外資脅威論が言われました。外国企業が日本の企業を買収するとすぐ、外国に買収されると日本の産業がおかしくなってしまうと。外資脅威論、私はこれを転換すべきだ。むしろ、先進国に比べると、外国企業が日本に投資する割合ははるかに低い。日本が外国に進出する、これに積極的であるのは結構だ。同時に、こんなに、十分の一以下、二十分の一以下、先進国に比べて、外国が日本に投資する、企業を買収する、これを脅威論から外資歓迎論に意識改革すべきだ。 というのは、外国企業は、日本の市場に魅力なかったら投資しません。日本の市場に魅力あると思えば外国企業は進出してくる。現に、今言った北海道のニセコスキー場なんというのは、オーストラリアはあそこをリゾート地で開設すると。不動産業者も今、北海道に進出して、むしろその町が活性化してきているということを考えても、あるいは各サービス産業においても、買収しよう、進出しようというのは、経営者にも刺激を与えるけれども、町も活性化する。それで、進出している企業が失敗すれば、また撤退するわけです。 日本が外国交渉において、常に、投資環境を整備してくれということは、日本の企業があなたの国でも投資できるように環境を整備してくれと言っているんです。だったらば、外国が、自分たちも日本に進出できるように日本の投資環境を整備してくださいと言うのは当然なんです。 そういうことを考えて、私は、外資警戒論から、外国企業が、日本市場は魅力あるぞとどんどん投資できるような、そういう環境整備をすべきだ。外資警戒論、脅威論から外資歓迎論。外国企業が日本の市場にそっぽを向いたら、日本の経済は発展しないと思います。 そういう観点から、まだまだ外国企業が日本に進出する度合いは少ない、外資歓迎論をとるべきだということで、倍増して、今、倍増をほぼ実現した。これにとどまるんじゃない、この倍増実現を契機に、もっと外国企業から日本の市場に目を向けてもらいたい、日本の市場は魅力あるんですよということで来てもらうような意識改革と環境整備、必要だと思っております。
○中川(秀)委員 上げ潮計画の二番目、三番目の柱は、新しい産業展開と新しい産業基盤ということです。 ここにパネルを用意しましたが、製造業の生産性というのは、本当に遜色なく、日本は大きなものがあるわけです。しかし、下の段の赤線のところですが、サービス業、これは実質GDPの六割を占めているわけですが、商業もあれば農業、医療、教育、いろいろなものがありますが、この活性化、地域の活性化が何よりも必要であるわけでございます。まだまだこれは生産性を上げられる。きょうは時間がないので詳しく触れませんが、これには規制改革がさらに必要でありますけれども、この努力を続ければアメリカ並みに成長する可能性がある。これは経済の上げ潮の大変大きな要因になってまいります。 それから、上げ潮計画の第三の柱は新しい産業基盤でございます。 私は、今自民党のu—Japan特命委員会の委員長もしていますが、来月、ITによる成長戦略の考え方について取りまとめをする予定です。IT投資は企業の生産性向上に役立つと今まで言われてまいりましたが、これを生かして、IT経営ということで、産業インフラのコストを小さくし、また、日本に残る非効率な産業分野の効率化を図る、経済全体の付加価値、生産性を上げることができるという考え方でございます。そういうことでまとめていきたいと思います。 松田大臣からもこういうことを伺いたかったんですが、もう時間がなくなって……(松田国務大臣「ぜひ答弁を」と呼ぶ)ぜひと言っても時間がないので、それでは、ちょっとだけ待って。 この関連で、実は、電子政府が始まって二年半経過したんですよ。何ぼお金を使ったと思いますか、国費で、十五年度、十六年度、十七年度。財務大臣、よく聞いておいてください。一兆二千六百五十三億円、政府予算で使っているんです。これは、それ以前の投資を入れたらこの数倍でしょう。同僚議員も、この前、補正予算の審議で聞いていますが、利用率は一%以下です、〇・〇〇幾つ、国税庁も法務省も厚労省も。 二十二年まであと四年ですが、五〇%にするという目標があるんです。しかし、かなり先の二十年の目標を各省庁は立てているだけで、政府は本年の目標値も出していない。そんなあいまいなことで、二十二年まで、あと四年で〇%が五〇%になるんですか。並々ならぬ決意でやらなければ、この一兆数千億の数倍、国民の貴重な税金を使ってきたことが死んでしまうではありませんか。 私は、総論は松田大臣に聞こうと思わない。先ほど言ったことはもう省略して、このことについてどう考えているか。また、私は財務大臣にも、これは達成できないとすれば、もう厳しい予算編成をせざるを得ないと思いますよ。こんなことを続けていくわけにはいきませんよ。松田大臣、これ、どうしますか。 もう財務大臣はお答え結構です。私の御要望だけです。総論は要らない。 この電子政府、並々ならぬ決意で本当に五〇%やらなきゃ、税金が死んでしまいますよ。
○大島委員長 松田大臣、簡明に。
○松田国務大臣 中川委員御指摘のとおり、若干だけお時間をいただきます。 御案内のとおり、おっしゃった点で、私が担当しているところは非常にかかわります。まず、科学技術駆動型のイノベーションを徹底的に起こし、技術革新を起こす。そのために、総理のリーダーシップのもとで二十五兆円という予算を五カ年間で決めていただきました。これは、今おっしゃる生産性向上に大きく寄与いたします。 また、御案内のように、ITそのもの、本当に、今のところはまだ企業内の事務効率化にとどまっております。これが、部門間あるいは産業間にわたって、本当のITの戦略的な活用というのはまだ残されております。今御指摘のサービス業を初めといたしまして、これを本格的に戦略的にやったらば、大変な生産性向上の余地があるということでございます。これが今度のIT新改革戦略の大きな柱でございます。これを徹底的に進めさせていただきます。 同時に、およそ九六%まで我が国は、今おっしゃったとおりであります、国民が電子申請できる体制を整えることができました。しかし、その活用が思うに任せておりません。これをなし遂げることによって、行政改革はもちろん、国民が本当にITの恩恵を実感できる社会が実現できるわけであります。 これから、まさに六月までかけまして、この各電子政府、どこに問題があるか、徹底的に今調べ上げております。私の全責任においてこれを五カ年間で、五カ年間任期はありませんけれども、その最初の走りを思い切りしっかりやりたい、こう思っております。 u—Japan委員会の先生方、中川委員長初め、ぜひひとつ力強い御支援を心からお願いしておきます。
○中川(秀)委員 大変すばらしい決意だ。今の大臣のお言葉は各省に響くと思いますよ。真剣に取り組むべきです。 小坂文部科学大臣に伺います。 実は、上げ潮計画にしていくためには、やはり基本的には、産業基盤あるいは産業展開と言っても、人なんですね。教育が何よりも重要です。そこで大事なのは、あらかじめ決められている答えを、唯一の答えを出す教育から、課題をみずから設定して、自分で考えて、そしてさまざまな答えをつくり上げる、そういう教育への転換が今求められていると考えるんですが、簡単に、この一点についてお答えいただけませんか。
○小坂国務大臣 中川政調会長御指摘のように、グローバル化が進み、そしてIT化が進むこの世の中において、固定概念やあるいは既成の概念にとらわれない人材の育成というものが必要だ。教育が国家百年の大計と言われるのはそのゆえんだと思っております。 そんな意味で、私どもも、今日の教育に課せられた使命を、教育改革というものを通じて、みずから学び、みずから考える教育、好奇心を育成し、そしてあらゆるものにチャレンジする、世界どこへ出ていっても通用するような心豊かでたくましい日本人の育成というものが今日求められている、こんなふうに考えて、私ども、教育改革の新しい行動計画というものをつくりました。この実現に向けて全力で取り組んでまいる所存であります。
○中川(秀)委員 ありがとうございました。 時間がいよいよ迫ってしまいましたが、なるべく簡潔に、まとめて申し上げます。 最後の第四、第五は、新しい財政構造と新しい政策協調ということです。簡単に申し上げまして、この財政構造については、私ども政調会、自民党財政改革研究会でも検討中でございますが、デフレ克服、政府の資産・負債の圧縮、制度の改革、歳出削減、税制改革の順で議論すべきだと思います。就任当初から、デフレ脱却の一番打者がようやく打席に入ったところで五番目の増税がもう打席に入ろうとしているのはまだ早いと言い続けているわけは、そこでございます。 今年度名目成長率二%達成のためにも、財政再建のためにも重要なのはデフレの克服でございまして、デフレ下の増税路線をとれば、国民経済に取り返しのつかない致命的な打撃を与えるのではないかと危惧します。後で触れますが、二、三%の物価上昇率を政策目標とするのは世界の常識でございます。そういうことを踏まえて、今年度のデフレ克服を目指していくべきだと思います。 次に、政府資産圧縮ですが、日本の政府資産七百兆円は、今世界一の規模です。その半減を目指して、徹底的な洗い直しを行うべきだと思います。さすれば、眠っている国有資産が、民間に開放して富を創造して、経済を成長させていく資源となります。今国会、行革推進法案でさまざまな分野の改革の法案を出しているのは、極めて、この国会の最も大事な法案であろう、こう考えておるところでございます。 制度改革について言えば、世界の財政再建の教訓は、初めから増税に手をつけた国はむしろ失敗していて、公務員給与や社会保障などの制度改革を伴う歳出削減を行った国は成功するというものでございます。 私は、人事院制度の根幹をも聖域とせず、制度改革について真正面から検討すべきではないかと考えますし、野党の諸君にも大いにこういう点で対案を出してもらって、公務員制度改革も社会保障制度改革も、与野党で国民のためにこの改革を進めていくべきだと提案いたしておきたいと存じます。 また、国民最大の関心事の年金と医療のあり方について、被用者年金一元化の問題は最も喫緊の課題でございまして、与党でもこの一元化を検討して、昨年末、考え方と方向性をまとめました。公務員という特別の集団は特別の制度ということを見直して、同一の報酬なら同一の保険料、給付という、民間と同じ、準拠の基本精神で被用者年金の一元化を進めていきたいと存じますが、川崎大臣、決意を。
○川崎国務大臣 御指摘の趣旨に沿って、四月末までに関係省庁と取りまとめを行いたいと思っております。 官から民へという流れが加速いたしております。かつて、電電公社が民営化いたしましてNTT厚生年金、また国鉄もJRにして厚生年金。しかしながら、独立行政法人、非公務員型を選択いたしておりますけれども、現実はまだ共済年金に残っておる。 制度間に差があってはならないという考え方で進めてまいりたいと思います。
○中川(秀)委員 新しい政策協調ということでは、新しい成長社会ではいかにインフレを回避するかということが重要でありますが、インフレの場合に、早期に対応するための消費者物価、CPIの上昇率参照値、こういう制度の導入が私は検討されるべきではないかと存じます。 先般、ロンドンでイングランド銀行の総裁にもお会いをして、マービン・キングさんと申しますけれども、政府と中央銀行が物価上昇率目標を二%で共有して、市場の信頼のもとで、極めて安定的な経済政策を実現して成果を上げているという状況を伺ってまいりました。日本も参考にすべきだと思います。 最近、経済成長と財政再建の関係で、名目成長率を高くすると金利が高くなる、こういう主張が出てまいりますが、結果的に隠れ大きな政府となってしまう増税キャンペーンの一環にならないように私は願っております。 まず、長期的な事実関係がどうかというと、アメリカの有名な経済学者マンキュー、元CEAの委員長ですが、過去百二十年、七十年、五十年のアメリカの実績を紹介していますが、いずれも成長率が国債金利を上回っています。また、他の研究でも、他の主要国について、成長率の方が国債金利より高かったことが明らかにされています。日本でも、一九六六年から二〇〇三年、二年前までの平均値でとってみますと、成長率が国債金利よりも高かったことは歴史的な事実です。日本についても、一九六六年—二〇〇三年平均値は、成長率が国債金利を上回っているわけであります。 我々、これから財政再建は喫緊の課題ですけれども、成功した国は、GDP成長率が高くなって、長期金利が下がって、そして成功しているということを忘れてはなりません。 そういうことで、我々も党としてしっかり議論してまいりますが、またこの問題は、いずれ次の時代、我々でいえば自民党総裁選挙もございますが、大いに論争すべき政策の軸になる、そういう一環であろうと考えますので、これはというお志のある方は見識をぜひ示していただきたい、こう考えておるところでございます。 総理、いろいろ用意しましたが、総理がこの四年半やってまいりました諸改革、その成果は、最後の資料にもお配りしておりますけれども、不良債権比率、名目成長率、失業率、有効求人倍率、全国勤労者世帯消費支出、給与、昨年のボーナス、いずれも好転。有効求人倍率は十三年ぶりの高水準、昨年のボーナスは四・四%もふえた。 今、日本は明るい成長時代到来の前夜まで来ている。もう一回、次の時代に再び経済を大きくして、デフレ下の格差固定社会に戻るようなことにならないように、より光を輝かせる、そういう経済成長のパイの拡大で日本の将来を切り開いていくべきだ、これが、私の言う日本経済を上げ潮に乗せる成長計画の概略でございます。総理も新たな成長戦略のあり方を夏までに示すと述べられておりますが、まさに小泉改革の成果を次の時代の成長につなげていくことが重要だと思います。 最後に、私の時間も参りましたので、総理の御決意を伺って、私の質問は終えたいと存じます。 耐震偽装、ライブドア、官製談合、質問いろいろ用意しましたが、日中問題も用意しましたが、時間が過ぎましたので、次回に譲らせていただきます。 では、総理、よろしくお願いします。
○小泉内閣総理大臣 小泉内閣の掲げております改革は、経済活性化のためであります。経済活性化は、国民生活を豊かにするための改革であります。改革を続行して国民生活を豊かにするよう、これからも懸命に努力していきたいと思います。
○中川(秀)委員 終わります。ありがとうございました。
○大島委員長 この際、伊吹文明君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊吹文明君。
○伊吹委員 自民党の伊吹文明です。 きょうは、我が党の筆頭理事である金子理事から、総理と一時間やりとりをするようにという御要請がございました。 私の一時間の目的は、一つは、我々が衆議院で小泉純一郎という衆議院議員を総理大臣に指名して、今やっていただいている内容がおおむね現代の時代認識に合っていると。耐震偽装やライブドアの問題があるから今の改革はおかしいという意見がありますが、それは私は少し違うんじゃないかということをやはり国民の前に明らかにしておかねばならない。 それからもう一つは、しかし同時に、国家を預かっている内閣、あるいはその内閣に対して責任を持つ与党としては、日本を前に進めていくために必要な改革ではあるけれども、アクセルを踏むと同時に、間違った方向へ行くときはブレーキをかけねばならない。そこのところについて、やりとりの中でなるほどということがあれば、ぜひ今後の御参考にしていただきたいということです。 まず、小泉内閣が進めてきたいわゆる改革という言葉、中身は非常に広範にわたっていると思います。しかし、そこを貫く一つの基本的な概念というか理念というのは、長寿社会、そして少子社会を迎えて、資源をやはり有効に使わねばならない。しかし、日本の資源は、保護をかけ、規制をかけ、政府が口を出し、あらゆるところで非効率に使われている。使われている中で、本来必要じゃないところに、圧力をかけたり、選挙の票をちらつかせたりすることによってお金が流れる。そういう仕組みを根本的に、市場経済化というんでしょうか、価格を中心にして、民間にゆだねながらやりとりをしていく、これが一つの小泉改革の基本的な理念だと思います。私は、その今の時代認識を支持しております。 その中で、ライブドアの事件が起こった、あるいは耐震偽装の問題があった。これは小泉改革のせいだと。まことに総理としては不本意だと思いますが、まず、率直なお気持ちを述べてください。
○小泉内閣総理大臣 総理大臣になれば、あらゆる面について批判されるというのは覚悟しなけりゃならないと思っております。 そういう中で、批判は批判として受けとめながらも、やはり現状を維持していては改革はできない。今のままがいいという人も、既得権を持っている人はそう感ずるのは無理からぬことであります。 しかし、私が目指す改革というのは、今までの国民の資源配分というのが官に集中し過ぎていたのではないか、そういうことから、適正に、国民の持っている資源というものを民間に開放する、あるいは地方にゆだねることによってより効率的に活用されるのではないか、それが国民の持っている潜在力を発揮させて、経済成長に結びついていく、それがひいては国民の生活を豊かにしていくのではないかということを目指しているものであります。 法律を守るということは大前提であります。法律を犯した者に対しては罰せられるのも当然でありますし、現行の法律で不十分だったらどういう点が改正する必要があるか、これも政治として考えなくてはいけないと思っていますが、今、これだけの厳しい財政状況を考えれば、やはり、できるだけ政府の役割というものを見直して、民間が創意工夫で発揮できる分野を拡大していく、そういう視点が必要だと思っておりますので、大方の改革路線というものは進めていかなきゃいけないと思っております。
○伊吹委員 総理、これからお話しすることは、既得権を持って改革に反対をする人のことはもうそばへ置きましょう、よそへ置きましょう。これから話をするのは、同じ改革という富士山に登るときに、静岡から登る登り方と山梨から登る登り方とがあるという話をしたいと私は思うんです。 ですから、例えば、金融を自由化したから、確かに私はライブドアの事件は起こりやすい素地をつくったと思いますよ。しかし、それ以上に、日本は金融の自由化から受ける何百倍、何千倍という利益を受けたということ、これは国民の皆さんにやはりわかっていただかなければならない。 そして、ライブドアが起こした事件は、小泉自由化の結果ではないんですよ。(発言する者あり)これは、まさに道徳の欠如であり、そして、法律を守っていこうという意識がない人たちがやったことなんですよ。 だから、政治としてやらねばならないのは、法律に違反することはもちろん罰しなければならない、法律で足らざるところはもちろんカバーしていかなければならない。しかし、日本国家を動かしていく今の時代認識として、市場化そして競争化というのは、私はもう避け得ないというか、これしかないプリンシプルだと思いますよ。ただ、そのアクセルで動かしていった日本が、残念なことをやる人がいないようにするという努力をやはり政治家はしなけりゃいけないということなんだと思うんですね。 先ほど、経済学者として質問を受けて大変喜んで御答弁なすった竹中大臣に伺いたいんだが、経済原論の教科書では、物のやりとり、価格を中心として物をやりとりする、一番効率的なところへ物が配分されますよ。これはアダム・スミス以来の経済原論の成果ですね。そして、そのときに、経済原論は十億円と十万円とどちらに、原論としてですよ、経済哲学の話はもうあなたはよくわかっておられるからいいんだけれども、経済原論としてはどちらに価値を置いていますか。
○大島委員長 学者として、大臣としてお答えくださいね。(伊吹委員「簡単に、どちらとだけ、十億円と十万円」と呼ぶ)
○竹中国務大臣 ちょっと数字が今あれしたんですけれども、十億円の方が市場での価値が高いというふうに原論ではなるわけでございます。
○伊吹委員 麻生大臣、あなたも竹中大臣も今は立派な政治家なんだけれども、前身は経営者でしたよね。経営者が損益計算書をつくるときに、十億円の利益を計上できた経営者と十万円の利益しか計上できなかった経営者と、どちらが立派ですか。
○麻生国務大臣 これはなかなか、野党の質問だったらもうちょっと慎重にお答えしないと危ないところなんですが、十億円を出したところの会社の内容が、極めて法律論的に問題があるのではないかというような形での十億円の利益計上ということになりますと、組合の問題とか公害の問題とかいうのを全く無視して短期だけで十億円という話は、前提条件が幾つか違ってくるとは思いますけれども、そこらのところは全部まともだという前提であれば、十億円出した方が……(発言する者あり)当たり前、政治家やっているんだから。
○伊吹委員 野党でも与党でも、国会で質問する限りは議会人として政府に答弁を求めているんですから、同じ答弁をしてくだされば結構です。 総理、今お聞きになったとおりなんですよ。結局、ホリエモンが稼ぎ出した十億円と、多分二月十五日から確定申告が始まりますが、中小企業の人が汗水を垂らしてやっとつくり出して税務署へ持っていった十万円は、経済や損益計算書の上では明らかに十億円の価値の方が高いんです。 しかし、政治がやはり考えなければならないのは、十億円と十万円は一千倍の違いがあるのではなくて、そこへいくプロセスを考えなければならない。これは市場経済についてくるやむを得ない、どうしようもない弊害のようなものなんですよ。大きな利益があるんだ、大きなメリットがあるんだけれども、このプリンシプルで動かしていくためにはこういう弊害が出てくるということなんですね。 この点については、総理、どう考えられますか。
○小泉内閣総理大臣 それは完全な自由市場もないし、完全な統制市場もないと思います。だから、全体の利益を考えながら考えるべき問題だと思っております。
○伊吹委員 まさに私は、総理の、今の時代であればどうしても市場化、経済化の原則によって改革を進めていかなければならないという、大変な支持者です、その基本的な考えに。 それで、私が国会に出る前なんですよ、この本は。これは国会に出る前の、一九八二年、昭和五十七年ですよ。私は今当選八回ですから、総理は多分、当選四回の中堅議員だったころですよね。そのころに私は、政治家になったら何をやりたいかと思ってこの本を実は書きました。この中に、多分総理が考えておられるのと同じことを私は書いているんですよ。 「高度成長下にあっては、財政の懐が広く、次々に出現する本当に保護が必要ではない、みずから弱いと称して、そして徒党を組んで圧力をかければ、営々として税を納めている人の税を横取りできるという「自称弱者」、「自称弱者」を抱え込む余裕はもうなくなってきた。」ということを書いておりまして、本来保護さるべき者も、こういうことをやっていると十分保護できなくなる、そして、日本のすべての人に問わねばならないのは、あなた自身が本当の弱者なのかという考えで、これはいろいろな部分の規制緩和論、自由化論を書いた本なんですよ。 ですから、私は、総理の今回ずっとやってこられたことを応援し、支援しております。しかし、この本を書きましてから私は選挙を八度やりまして、そして、ブドウ酒でいえば少し古くなったのかビンテージがかかりまして、やはりナイーブな競争論、自由化論だけではまずいんじゃないかなというので、その間にいろいろな歴史書を読み、仏教書を読み、いろいろなことをやりまして、そして、つい最近、四、五年前に出したのがこの「シナリオ日本経済と財政の再生 いま、改革する保守の時」という本なんですよ。 この本の中で私が言っておることは、先ほども中川議員の質問の中にチャーチルの言葉が出ましたが、チャーチルは、民主主義というのはどうしようもない制度だ、しかし、やはりこれしかない制度なんだ、独裁制に行っちゃいけないんだと。神様のような独裁者がいれば、一番国民に幸せなことを果断に、そして迅速にやれる、しかしながら、常に独裁者というのはそういう立場の人じゃないから、みんなに投票させて物事を決めていく、そうすると、これは衆愚政治になる可能性があるわけですね。大きなバランスでもって物事を判断せずに、要するに、パブリックオピニオンという観点から物事を判断せずに、マスセンチメントというんですか、ずばり言うわよというのはおもしろいなとか、阪神タイガース万歳とかいうので票が入っちゃう、こういう欠点があるわけですよ。だけれども、やはりこれしかないからみんなで民主主義を守っていこう、チャーチルはこう言っているわけですね。 それと同じような表現をしますと、総理がやっておられる市場化、そして競争原理化というのは、やはりこれしかない制度なんですよ。間違ってはおりませんよ。自信を持ってやっていただきたいし、私はぜひそれを支持します。しかし、これしかない制度なんだけれども、まことに厄介な制度であるという自覚と謙虚さを持ってこれを運用しないと、先ほど来出ていた格差の問題だとか、いろいろな問題がやはり出てくるということです。 私は、法律に反した人を罰するのは、麻生大臣がおっしゃったけれども、そんなことは当たり前なんですよ。しかし、法律に反しないけれども恥ずかしいということはたくさんある。これが人間の自己抑制とか品性というものですよ。この品性でもって市場の行き過ぎというのをずっととめていくことによって、この市場化の流れをやはり守り抜いていかなければならない。ちょっと変な人が失敗をしたから小泉総理がやってきた改革は間違いだなんという話は大間違い。ただ、もう一つ大切なことは、アクセルと同じようにブレーキをつけていくということですね。 それは根本的に言うとどういうことかというと、みんなこれは市場化、競争化の弊害というのを知っているんですね。こんなことはだれだって知っているんですよ。そして、人間の英知は、この弊害を抑えていくために二つの政治思想というものを提案しているわけですね、ずっとやってきた。一つは、経済学の分野でいうとケインズですよ。市場というのは失敗するんだから、政府が入っていっていろいろなことをやってやる。 これは日本が戦後やってきたことなんですよ。これはしかし、ここへ民主主義という投票のシステムを加えますと、おれの言うことを聞けばこれをやってくれ、おれの言うことを聞けばあれをやってくれということがあって、結局、政府はどんどん肥大化していくんですよ、ケインズ経済学のもとでは。だから、日本の戦後のシステムは、ある意味では政府化された資本主義というか社会主義的資本主義。これを総理は国民のための資本主義に今変えようという努力をしておられる、こういう理解だと思うんですね。 しかし、ライブドアのような欠点が出てくる、もうけなくちゃいけないというので耐震偽装のような欠点が出てくる。法律で縛っちゃったらいいじゃないか、また組織をつくって直せばいいじゃないか、これをやっていたら祖先返りしますよ。政府が一々一々口を出して、また規制を強め何を強めというのは、社会主義的資本主義に祖先返りしちゃう。これはやはりやらせちゃいけないんですね。 では、何だと。法律に反しなくても恥ずかしいことというのはたくさんあるんですね。日本の武士は、どんなにお金を積まれても、あるいは家老にしてやると言われても、自分の意に染まない、恥をかかされたときには必ず恥をそそぐわけですよ。商人も、古いうちの商人道というのがあって、古いうちにはみんな家憲、家訓というのがありますよね。これには何と書いてあるかというと、商売をする限りは利を上げなければならない、しかし同時に、お得意さんに不義理をしてはいかぬ、それから仕入れ先をいじめちゃいかぬと書いてあるんですよ。 つまり、小泉改革の理想像は、最小限の税金で仕事をするという気概を持つパブリックセクターと、それから、法律に反しなくても弱い立場の人をいじめたりしてまで利益は上げない、上げた利益はやはり大きな目的のために使うんだという、かつて日本人がそうであったような、日本に来たかつての宣教師が日本人を見て本国に送った手紙に書いてあったような、親切で穏やかで常に笑顔を絶やさない、こういう伝統的にずっと守ってきた社会規範というか人間の自己抑制のようなものの力を養って、このブレーキと、市場経済にどうしてもつきまとってくる弊害のようなものを抑えていく。 これはこの前、補正予算のときの審議で総理もそのことに触れておられるわけですよね。これは、一つの政治思想としてマックス・ウェーバーのプロテスタンティズムというのがありますね。勤勉で人のために尽くす、日曜日は教会に行って、お金にならないけれどもボランティア活動をするんだ、こういうことですよね。 これを動かしていくもう一つの歯車、これが何だろうというと、多分、日本人の人間力を失わしめた大きな原因は、一つは日本が豊かになったということだと思いますが、それ以外に、やはり戦後の憲法によってつぶされてきた公益に対する貢献、あるいは日本のよき言い伝え、社会規範、一言で言えば、世間様に顔向けできないことはやらないということですよ。この世間様を言い伝えてきた家族の制度あるいは地域の社会、こういうものを再現することによって小泉改革を完全なものにする。そういうものを身につけた経営者によって民間部門を運営させる。そうしないと、総理がここまで努力をして積み重ねてこられたものをいいかげんな人間にさせたら、これは市場経済化の弊害がどんどん出てきます。 ですから、私はぜひ一つ総理に提言をしておきたいのは、郵政民営化と同じような熱意を持って、そして今進めている経済と同じような熱意を持って、憲法の問題あるいは教育基本法の問題、地域社会と家族の復権の問題、これに取り組んでもらいたいと思うんですが、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 伊吹議員の今の御指摘は、極めて重要な正義感、使命感、人間のよって立つべき規範について歴史を踏まえて提言されたものだと受けとめております。この問題は、過去、現在、将来にわたって重要な御指摘だと思っております。 今までも、ケインズ理論を出されましたけれども、確かにケインズ理論もいっときは効果があったと思うんですね。不況になれば、そのときだけの税収では経済活性化、限界があるということで、ある程度、国債、借金をしても景気刺激策を打つ。そうすると、これが効果が出ると税収がふえてくる、税収がふえたときにその借金を返せばいいじゃないか。 しかしながら、政治においても、選挙がありますと、政権党はできるだけ選挙に有利なことを考える。国民が喜ぶようなことを考えると、せっかく税収が上がった、この税収を、過去の借金を返せばよかったというのは後で考えればわかりますけれども、選挙に、どう国民の歓心を買うかということになると、借金を返すよりも、さらに公共事業、喜ぶところを税金でやりましょう、あるいは、それだけ余分な税金が上がったんだったらば減税しましょうということになってきますよね。それが重なっちゃった。ケインズ理論というのは、一時期は合うかもしれないが、これは長く続ければ逆のマイナスが出てくるといういい例が今の日本の財政状況だと思うのであります。 欲望は無限、財源は有限、そういう中で自制心が大事だ。確かに、昔はよかったということがありますけれども、私もかなり歴史が好きですから、いろいろな本を読みます。武士の話も出ましたけれども、武士も多くは利に転んだんです。大体人間というのはお金に弱いというのも事実であります。お金を積まれると、目先のことを考えて、今の苦しさから逃れたいということでそっちになびいちゃうんです。 司馬遼太郎の本を私もかなり読みましたけれども、結局、何千人、何万人という歴史を見て、人物を見て、時代を見た司馬遼太郎さんが、最後、人間で大事なことは何かと考えたら、名こそ惜しけれだ、法律以前の問題なんだと。名こそ惜しけれ、これは名を惜しめということですね。名誉を大事にしなさい、そういう到達点になった。これは私は今の人たちにおいても大事だと思います。 法律以前の、自分はこういうことをやって自分の名を辱めることはないか、名誉というものに照らして不名誉なことではないのかということを常に考えなきゃいかぬ。こういうことを考えて、法律以前に、もっと人間として大事なことがあるということを考えていろいろな施策を、あるいは行動を人間は考えていかなきゃならないと思っております。
○伊吹委員 総理の今の御答弁を、政府というお立場で、できるだけそのような人間をつくり出すための政策をスピードを上げてやってもらいたいということです、私がお願いしているのは。認識は一緒だと思いますが、どうも私の判断では、アクセルは随分勢いよく踏まれているんだけれども、今申し上げた自己抑制とか人間の品性を守っていくという方のブレーキの踏みぐあいを少し調整してもらいたいなというのが私の率直なお願いでございます。 それで、私は保守主義というものを信奉しておりますが、保守主義には二つの大きな流れがあるんですね。 一つは、今お話をした人間の本性、やはり自助努力、自己責任、競争社会、これが基本です。これはもうこれしかない制度です。これを守っていくために、かつてケインズと大変な論争をしたハイエクという学者がおりますが、このハイエクが言っているのは、人間の力を復活させるというか、つくり上げることによって、市場経済化の深みにはまっていかないようにやっていこうじゃないかということなんですよね。 だから、ここに、これは総理が官邸で若い記者に囲まれて、悪平等で努力しなくても同じだとか、一生懸命頑張っても、一等賞、二等賞、三等賞、全部同じだということだと、やる気をなくする人が出てくると。やる気をなくする人が出てきたら日本はだめになっちゃうんですよ。だから、やる気を起こさせないとだめですよね。 それと同時に、二月一日からジャック・ニクラウスが「私の履歴書」というのを書いているんですね、日本経済新聞ですか。ここを読みますと、アメリカというのは非常に歴史の浅い多民族の国ですから、日本のように国内で社会規範が熟成して定着しているというところまで私は至っていないと思うんですが、ジャック・ニクラウスが言っているのは、自分はヨーロッパ中部を源とする人たちの子孫である。その人たちは皆、労働に対して強い倫理観を持っている。その遺産は、アメリカでいえば中西部と言われる地域、オハイオですよね、ここに住む人たちの子孫に脈々と受け継がれている。皆、勤勉で、生まじめで、かたく、そして家族のきずな、価値観を重んじている。決して後ろ向きにはならず、かといって容易に浮かれもしないと。こういう規範でもってアメリカ経済の根底は守られているわけです。だから、総理と同じように、市場経済化によってアメリカを復権させよう、ベトナム戦争でめちゃめちゃになったアメリカを復権させようと。 労働党政権のもとで福祉のばらまき、ちょうど総理が留学されていたころ、私は大使館におりました。そのころ、見ておって、英国というのは全くだめになると思いましたよ、私は。それを復活しようとしたサッチャーも、やはり総理と同じように、競争社会、市場原理というものをてこに活性化を図っているんですよ。 そして、そのときにレーガンが言ったのは、健全なミドルを復活させるために我々はこれをやっているんだということを言っているんですね。健全なミドルというのは、中産階級と同時に、今私が読み上げたジャック・ニクラウスの住んでいるアメリカの中部、この中部の人たちの倫理観を取り戻そうじゃないかということですよ。サッチャーが言ったのは、あの七つの海に日の没することがないと言われていたときの英国、つまりビクトリア朝時代の英国人が持っていた公に貢献するあの気持ちを取り戻すために、私はこの市場化、競争化をやっているんだと。 だから、市場化、競争化が目的じゃないんですね。その向こうに何か大きな国家として、宰相としての目的がある。それは、総理がさっき中川さんとの間にやりとりされたことで私はいいと思います。 そこへ行き着くために、ぜひ、今のようなもう一つの流れも、今大いに小泉内閣のもとで回っているんですよ、これはないなんということは私は申しておりません。しかし同時に、郵政民営化と同じ情熱でもって憲法改正と教育基本法と家族と地域の復権の輪を回してもらいたい。これは小泉総理に私はぜひお願いしておきたいことです。 そして、このことに関連しまして、靖国の問題、それから皇室典範の問題、これは非常に微妙な問題なので、私は余りここで議論することはかえって国益になるのかなという気を持っておるんですが、結局、日本は世界史の中での例外的な国家だと思うんですよ。アイヌ民族の方とかあるいは在日外国人で国籍を取られたような方と、先ほど中川さん、安倍さんとの話の中で、共生をしながら生きております。しかし、日本の大きな歴史の流れを見ますと、一民族で一国家を形成して、その一民族が常に、幕府であるか天皇家であるかは別として、日本国というものを統治して、そして一言語で隅から隅まで意思が通ずるという国は日本ぐらいしかないんですよ。 多分、この対極にあるのはアメリカであり中国であると思いますね。アメリカは、もうこれは人工的に移民ということで多民族を寄せてつくった国なんですね。中国も、いろいろな言語があります。そして、「三国志」でわかるように、常に国は分かれて戦っております。 しかし、日本はそうじゃないんですよ。その日本がそういう国であったから、日本は、さっき言ったような法に書かれざる民族の申し合わせというか国民の申し合わせみたいなものが非常につくりやすい国であった。これが保守主義の原点と言ってもいい、日本は恵まれた国であったと思うんですね。ここの根本にあるのがやはり天皇制だと私は思います。 かつて、中国へ渡ろうとした遣唐使かな、当時、万葉のときですから遣隋使ですかね、この人たちが、中国というのは非常に大きな国だからといって心配していたときに、山上憶良が詠んで彼を励ました歌があるんですね。「倭の国は皇神の厳しき国」「倭の国は言霊の幸はふる国」と。日本というのは、皇神というのは天皇の皇という字と神様という字ですよ、天皇家がずっと代々日本というものの中心におられて、それは厳然として揺るぎがないよ、そして大和言葉はどこへ行っても通用するよ、だけれども、あなたがこれから行くのは、大変な大きな国かもわからないけれども、こんな日本的な特徴を持っている国じゃないんだよということを言って励まして送り出しているんですよ。 私は、総理と同じように、皇室を守らないといけないし、皇統が途絶えちゃいけないと思います。全く同じ意見です。同じ富士山の頂上を目指しているんですね。 ただ、これは、大日本帝国憲法の第一条には、万世一系の天皇日本国を統治すると明記されておりますね。ここにある万世一系という意味が何だと。今、多分総理が考えておられるのと同じように私も考えているのは、皇籍を離脱した方を、今、男系だからといってこの人を天皇様だと言ったって、残念なことだけれども、明治維新以前ではありませんからね、日本の国民はその人を天皇陛下として受け入れないと思いますよ、私は。そうしたら天皇家はここで途絶えちゃう。 ですから、何とか皇統を守るためにどうするかということなんだけれども、同時に、男系というのは、これは遺伝子的には男親から伝わるY因子というのがあるんですね。これは万世一系と言われている。それで、その場合、今の秋篠宮様とか皇太子の女宮様にはみんなその遺伝子があります。だから、この方々が天皇陛下になられても、別に、男系なんですよ。 そして、旧憲法下では、総理大臣は皇室へ随分行っておられるんですね、いろいろな日記を読んでいると。芦田均さんだとか吉田茂さんは、一カ月に一度ずつぐらい宮中へ行っておられますよ。これは、例えば入江さんの日記とか木下侍従次長の日記、あるいは徳川義寛侍従長の日記とか読むと、総理大臣参内と書いてあります。「佐藤榮作日記」にも同じことがたびたび出てくるんですよ。だから、私はやはり、これから総理、あるいは総理の後の総理、そのまた後の総理と、皇室との間にもう少し濃密なお話し合いがあって、できれば愛子様や秋篠宮様の女宮様に男系の男子の方が御一緒になられるような雰囲気をつくっていくということが、政府としては非常に大切なことじゃないかと。 ここで、女帝を認めるということは私は賛成なんですけれども、やはりこれだけ世論が分かれて、女系を入れるのはどうかな、といって、男系というだけですぐに天皇陛下だというやり方もどうかな、こういうふうに思います。これが、私が今言った、法に書かれざる日本の社会規範の根底にある問題であるだけに、総理がここのところのいろいろな意見をよく聞いていただきたい。 富士山の山頂に登るということは、私は全く同じ意見です。富士山の山頂に登るのが嫌だという人は、これはもうさっきのように、抵抗勢力か何か知らないけれども、既得権を持ってる人はほっておいたらいいというのと同じで、だけれども、登り方にいろいろな登り方があるなということは、御答弁は要りません、このことは非常に微妙な問題ですから。ぜひ考えていただきたいと思います。 それから次に、予算委員会ですから、十五分ばかり財政の話をいたしましょう。 まず、谷垣財務大臣は、これは予算委員会の所管大臣なんですね。だけれども、ほとんど質問はありませんよ。だから手持ちぶさただと思われるだろうけれども、実は、小泉内閣でやろうとしている施策をすべて、あなたが金銭面でこれを表示するという責任を負っておられるんですよ。だから、常にここに座っておられなければならない。だから、ここで行われている質問は、財務省の質問じゃなくても、やはり予算査定のどこかに関係があることだと思って、ぜひ聞いておいてもらいたいんですね。 さっき総理がおっしゃったように、財政というのは非常に難しいですよ、人間がやることだから。つまり、ある人が、これがぜひ必要なんだ、おれの団体だとかおれの業界に必要なんだと。そうじゃない人が見たら、そんなものは不必要なんですよ。力任せに何言っているんだ、票をちらつかせてということはいっぱいあるわけですよ。 税の議論も、先ほど中川さんとの間にありましたね。所得が多い人の立場からいえば、やはり累進的な所得税は嫌なんですよ。そして、所得のある人もない人も、物を買ったときには同じように課税される消費税でやってもらいたいと。だけれども、所得のない人の立場は逆なんですよ。消費税は厳しい、きつい、だけれども所得税なら、おれは所得がないから、累進的に高い人たちの負担でもっておれの社会保障、おれの介護保険、おれの老人医療はみんな賄ってもらえるということになっちゃうわけですよ。 だから、Aさんの公平はBさんの不公平ということはありますから、税制とか予算をやる立場というのは、富士山に登るときに、山梨から登る道もあり、静岡から登る道もあり、お互いの目的が一緒だったらこういう考えがあるんだなという、やはり謙虚さというのかな、説明責任というのか、迂遠だけれども、時間がかかってかなわないけれども、説得をしていく努力とか、こういうものが必要だと思うんですよ。 そこで、財政の状況というのは、もう皆さんよく御承知のように、ことしは七十九兆七千億という一般会計を組んでいますね。ところが、その中で、過去の、私たちのお父さんやおじいさんが税金を払わずにうまいことをしてしまったために、返さなきゃいかぬお金が十八兆八千億あるわけでしょう。私たちが税金を納めたり、私たちが稼いだけれども、私たちの意思で使えないの、この十八兆八千億というお金は。これは、世代間の公平感からいってまことに不公平ですよね。それで、そういう不公平をやられちゃったから、では我々も、今度は二十九兆幾らという借金をして、次の世代に同じように回してやろうじゃないかということになっているわけですよ、今。 だから、できるだけ早く財政を再建しなければならないという立場は、中川・竹中、与謝野・谷垣論争とか、最もおもしろおかしく言われているけれども、みんな共通認識なんですよ、これ。ただ、どの順序でやっていくかというだけの、手法の違いだけのことですよ。大きな違いは何もありません、自由民主党の中だから。 そうすると、この七十九兆のうち二十九兆も借金しているわけだから、何とか戻さないといけないわけでしょう。戻す方法は三つしかありませんね。 それは、一つは、歳出をカットして、小泉改革の大きな流れの中で、不必要な政府の関与というのをできるだけ削除していく、あるいは無駄遣いを削除していく、これが一つでしょう。 もう一つは、税収というのは、何をどれだけ売りました、何キログラム、何百リットルとかいう単位で税金は入ってこないんですよ。税金は必ずお金で入ってくるから、今、小泉改革の成果で、実物経済はもう圧倒的に回復しました。これは、小泉改革の最大の、やはり規制緩和、競争原理導入の成果として、国民の皆さんがよく認めてくれないといけない。それで、金に敏感な人は株式市場に行っているから、そういうことを読んで株式市場はぱっと戻っている。しかし、実物経済は回復しているんだけれども、名目の物価が戻らないんですね。だから、物価を戻してくれば、名目掛ける税率で税収は入ってくるから、税収は自動的にふえてくる。これが二番目の方法なんですよ。 三番目の方法は、それでも足りなければ、制度的に税率を上げる、つまり、消費税率を上げるとか、あなたがさっきおっしゃっていたような控除を縮小するとか、そういうことをやるということになると思うんです。 それで、これはどれもやらなければならないんですが、これのどれに重点を置いてやっていくかという方法論の話に今なっているだけのことなんですよ。そこで、常識的に考えて、まず最初にやらなければならないのは歳出カットですよね。 ここで、私は二つの問題を提起しておきたい。 一つは、ここでも議論になっているのは、予算委員会は余りにも一般会計重視主義の議論になり過ぎておりますね。一般会計は七十九兆七千億でしょう。しかし、特別会計は合計すれば四百六十兆あるんですよ。ただ、四百六十兆の中で、国債整理基金特会とか地方交付税とかという仕分けをして通り抜けするのが大体約三百兆ありますからね。それでも百六十兆、一般会計が七十九兆であるのに特別会計がそれだけある。だから、我が自由民主党は、特別会計の中身について、根本的に突っ込んでこれを改革しようということを今、党で一生懸命やっているわけです。 それで、一般会計重視主義で、ぜひ今後考えておいてもらいたいことは、例えば財務省は、小泉総理最後の予算編成ですから何とか三十兆を切りたいんですとか、そういうことを言って、一生懸命一般会計のカットに努力をされるわけですよ。そして、医療費がこうだとかああだとか言っているわけですね。 ところが、医療費でいえば、医療費というのは全体で幾らあるかというと、二十八兆円あるんです。ところが、一般会計から医療費で使っているお金というのは約七兆円ぐらいですかな、七兆もいっていないと思いますよ。国民健康保険特会への繰り入れが約三兆、政府管掌保険への繰り入れが約八千億、それから老人医療の健康保険への補助が二兆八千、合計で約七兆ぐらいですよ。 この二十八兆円のうち、七兆円を抑えようという努力をされるでしょう。すると、どういうことが起こっているか。これは、よくやはり見てもらいたい。 つまり、起こっていることは、特別会計に入っていくお金を抑えるから、医療保険の特別会計で保険料を上げるか自己負担を上げるだけの結果になるんですよ。そして、医療の無駄というものがどこまで排除されているか。 だから、医療費というのは、これは私は、総理が、何でもかんでも総理の意思だとか言って、勝手に決めるみたいなことをマスコミは言っているけれども、年末の予算編成で、私は御一緒に幾つかの部分で接触があったけれども、総額管理という話がありましたね。これは、最後には、やはり積み上げてやっていかないと無理だなという判断を総理がしてくれたわけですよ。 私は、総額管理は絶対反対。それはなぜかというと、経済の調子がよくなったら無駄はますますふえますよ、総額管理みたいなことをさせたら。だから、やはり積み上げをしてやっていかないとだめなんですね。 それで、その分野で、私は、谷垣さんにぜひこれから頑張って、一般会計の国債だけを減らしたらいいというんじゃなくて、特別会計、地方財政も含めて、資金が効率的に使われているんだという財政にぜひしてもらいたい。これは、ずっと座っておられたからお願いをしておきます。 どうぞひとつ、御感想があれば。
○谷垣国務大臣 先ほどから伊吹委員の御議論を伺っておりまして、京都の歴史と水でおのれを磨いておられた方はおっしゃることが違うなと思って拝聴をしていたわけでございます。 先ほどおっしゃいましたように……(伊吹委員「丹波は違う」と呼ぶ)京の都で磨かれた方は違うと思って聞いておりました。 今おっしゃいましたように、財政はなかなか難しゅうございまして、伊吹さんの言葉で言えば、Aさんの正義、Bさんの正義、いろいろなことがございますけれども、最後は、私どももしっかり議論をして、特にこの国会の議論で一つの国論にまとめていかなければならないということだろうと思いますので、私どももそのための説明責任というのは全力を挙げてやらなきゃいけませんし、そういう御意見を酌み取って、財政の健全性や効率性を高めていくということは全力を挙げて取り組みたいと思っております。 その中で、特に、一般会計だけを見ないで、全部合わせますと、純計で二百五十兆ぐらいだと思いますが、全体をよく目を見開いて見ろという御指摘はそのとおりだと思います。 私ども、個々をことしどうしたということは、もうよく御存じでございますから申し上げませんけれども、今後そういう広い視野に立って仕事をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○伊吹委員 財政のもう一つの大きな柱である地方財政を預かっておられる竹中大臣、この前、破産法制を地方自治体に適用するという、これは非常な荒療治だと思いますけれども、まず、別に実現したわけじゃないが提言をされた、私はこれは非常に高く評価しております。 与謝野大臣が政務調査会長であったときに財政改革研究会というのを自民党本部につくって、そしてみんなで議論を始めたときに、ことしでいえば予算が約八十兆ですよね、その中で、対民間との関係でいえば、最終的に霞が関の役人の判断で支出できる金は七兆ぐらいしかないということなんですよ。具体的に言うと、防衛関係費と海外協力費、そしてあとは人件費、管理費関係ですね。あとの大部分は、地方交付税か補助金という形で地方に流されて、最終的に、地方がここに補助をする、地方がこの人を生活保護に認定してあげるという形でこのお金が流れているということなんですよ。だから、この最後に認定をするところの効率性というのかな、ここをしっかり押さえておかないと、しかも認定をする人たちもみんな首長選挙という、票をもらわないといけないですよね。 それから同時に、その議員の人たちも、これは新聞の報道どおり私はここで繰り返しますと、大阪で問題があったときに、口ききをして何が悪いんだと。確かに、私は市会議員の人が口ききをするのは悪いことじゃないと思いますよ、そのために選ばれているんだから。ただし、大阪市全体の利益と反するときはやっちゃいかぬ、この原点だけはしっかり持っていないといけないですよ。 だから、そういう民主主義というまことに、チャーチルの言葉で言えば、厄介な制度の中で地方財政は動かされるだけに、やり過ぎた自治体については、破産の宣言をするというのは当然のことなんだけれども、地方自治法、地方税法を改正して、ある程度の課税自主権というか、議会を説得して、過剰なサービスをした人は、その税金を当該自治体の住民から取ることができるという権限をもっとふやさないと、真の民主主義というのは定着しないと私は思うんですよ。 地方分権というのは、地方に権利を渡すと同時に、地方は自助を果たすという義務をやはり認識してもらわないといけない、三位一体の議論のときに私はそのことを強く感じました。いかがですか。
○竹中国務大臣 私、総務大臣として今委員の御指摘、そのとおりだと受けとめております。 きょうは前半から、例えば、市場を取り上げまして、自由とそして自制というお話をされましたけれども、この地方の分権においても、まさに自由度とそして責任、自制の問題がコインの両面のようにしっかりとやはり整っていないと、この制度は機能しないということだと思っております。自由度の中には、当然、課税自主権、そして、しっかりやっていただく。住民の厳しい目があるからこそ自制を持ってさらによい行動ができる。 そして、破綻法制も、これは破綻させようというのではなくて、破綻があり得るということを前提に自制を持ってしっかりとした運営をしていただく、そういうインセンティブが必要だということでございますので、その方向を目指した大きな改革をぜひ目指したいと思っております。
○伊吹委員 時間になりましたので、総理、耐震偽装やライブドアがあったから間違っていたなどというような批判は、気にされることは一切ありません。今進めておられる方向を堂々と進めていただくと同時に、私がお願いしたそのブレーキの話、これをぜひ、小泉内閣として、次の内閣にもしっかりと引き継いでやってもらいたいと思います。 最後に、郵政民営化については党内にいろいろな賛否がありました。しかし、最後に決め手になったのは、やはり総選挙のときと参議院選挙のときに公約しているんですよ。公約によって我々は選挙に当選したんだから、その公約を有権者に対して守らなければいけないと良識ある人は思ったと思いますね。 それで、この前の総選挙、郵政解散と言われる総選挙のときに、こういう公約をしていますね。平成十九年度をめどに、社会保障給付全般に要する費用の見直し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現すると。 ですから、この公約は、私は法律を出すということではないと思いますが、今後の税制改革、歳出カットの工程表というのかスケジュール表は、やはり有権者に、これで票をもらったんだから出さないといけないと思うんですが、いかがですか。
○小泉内閣総理大臣 歳出歳入一体で改革すべきだということから見れば、消費税も所得税も法人税も資産税も大いに議論して、どうやったら歳出歳入の一体の改革をなして経済を活性化させるか、財政健全化を実現していくか、国民生活を豊かにしていくか、国民負担をいかに少なくしていくかという観点から、その工程表なり選択肢を示すべきだという考え、同感であります。
○伊吹委員 終わります。
○大島委員長 この際、甘利明君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。甘利明君。
○甘利委員 自民党の甘利明でございます。 この間まではそこに座っておったんですが、随分久しぶりにこの席に立たせていただきました。 今国会は、小泉政権にとって事実上最後の国会になります。総理は、総裁任期の切れる九月で退陣を表明されていますから、ですよね、今国会は、言ってみれば小泉政治の集大成、小泉構造改革のいわば総決算とも言える国会になります。 そこで、小泉構造改革の成果、四年九カ月を少し振り返ってみたいと思います。先ほど政調会長は、成長率であるとか失業率とか有効求人倍率で若干振り返っておられましたので、私は、少し視点を変えて振り返ってみたいと思います。 構造改革特区、どぶろく特区とかいろいろ言われますけれども、地域の主体性を生かしていろいろなところを、教育特区等、伸ばしていこうというこの構造改革特区、全国で七百九件になりました。途上のところもあれば成果を上げているところも出てきているわけであります。 産業再生という視点で見ますと、産業再生機構による支援決定、四十一件になりました。地域には中小企業再生支援協議会というのがあります。全都道府県にありますね。これでは、約千百社が再生計画を策定しているわけであります。どんどん再生してよみがえっている企業が生まれている。 あるいは、だれでも意思さえあれば会社を起こせる。日本の危機は、起業と廃業の比率が途中逆転したというところにあるんですね。廃業がふえちゃって、起業が減っちゃって、日本じゅうから会社の数が減っていってしまった。これではいけないということで起業しやすい環境をつくった、最低資本金特例ですね。いわゆる一円起業でありますが、これで三年間で三万二千社ができました。もちろん、うまくいかないところも当然ありますが、たくましく成長している企業もあるわけであります。雇用にも貢献しているはずであります。 さっきちょっと話が出ました対日直接投資、三年間で一・五倍になりました。かつて、この分野は十対一と言われました。日本から外に投資は十あるけれども、外から日本には一しか来ない。日本はそんなに投資環境としてよくない、魅力ない国なのか。小泉改革、一生懸命取り組んで、今や一対一になったわけでございます。研究開発基盤、IT武装するあるいは研究開発投資をするのに有利なようにいろいろ税制も変えましたので、そういう意味では、研究開発をするには魅力的な国であるという評価ができまして、中国に投資をしていた一部アメリカやヨーロッパの企業も日本に帰ってきたわけであります。明確な効果が出ている。 IT化について若干触れますと、高速、超高速のインターネットの加入者数は一千九百五十万、十三年三月の二十倍であります。料金水準は三分の一。ブロードバンド料金は世界最安。世界で一番、ブロードバンドの普及も料金も、世界一低廉な料金、そして加入者数世界一になっているわけであります。 保育所の受け入れ児童数、三年間で十五万人増等々、この四年九カ月の成果というのは、いろいろな切り口で見ても確実にあらわれているというふうに思います。 まず、小泉内閣、改革の成果について、総理から総括をいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 今御指摘のように、就任して五年近く、ようやく、だめだだめだという悲観論から、日本もやればできるじゃないか、改革が必要だという認識に大方変わってきたと思います。 今言いました、不良債権処理目標も達成し、そして失業率も、不良債権を処理すれば失業率がかえって上昇するんではないか、あるいは企業も倒産件数がふえるんじゃないかと言われましたけれども、結果は逆でした。失業率も減ってきておりますし、企業の倒産件数も減ってきております。また、有効求人倍率、むしろ企業の求人数が求職者数よりも全体としては多くなりつつある。そういう中で、やはり地域的にあるいは企業別に、若干、いいところと悪いところ、出てきているのも事実であります。 そういう点については、先ほど川崎厚労大臣から話がありましたように、特に地域において、失業率の高いところについては、これを重点的に支援していこう。あるいは、フリーターとかニートとか、将来のことを考えると懸念材料も出ております。そういうことに対しても、これからは、より気配り、目配り、対策が必要じゃないかという点、もっともな御意見だと思いますので、伸びていたところはどんどん伸ばしていく。同時に、その中で、なかなかついていけない、あるいは不安のあるところに対しては対策が必要だという御指摘も踏まえて、改革の成果をさらに伸ばしながら、この改革路線を定着するようにしていかなければならないと思っております。
○甘利委員 小泉改革にいろいろ批判をされる方はありますが、国民はおおむね改革の成果を支持しているんだと思います。 先ほど来出ているんですが、小泉改革には三つの哲学というか方針があります。改革なくして成長なし、官から民へ、中央から地方へ。従来の常識からいいますと、成長なくして改革なし、総理もお触れになっていらっしゃいます。つまり、改革という手術をする際には、手術に耐え得るだけの体力の増強をしていかなきゃならない、景気を浮揚させて改革に耐え得るだけの経済にしなきゃならない、だから、改革なくして成長なしではなく成長なくして改革なしだと従来は言われました。 失われた十年の間に、この定石に沿ってまず経済を引き上げていこう、景気を引き上げていこう、それには財政出動による景気浮揚策だ。それは、そのときには確かに効いたわけでありますけれども、薬が切れるともう景気が失速をする。ならば再度ということでまた注入をする、そして一時的に景気が上がる、また失速する、この繰り返しで、振り返ってみたら、赤字国債の累増になっていたわけであります。もう後がないというところで、小泉改革は思い切って、改革をしながらそれが経済成長に資するように取り組んできたわけであります。 銀行の不良債権を、四十三兆数千億を四年間で半分に圧縮しよう、こういう宣言がなされたときには、余りに無謀だという声が出ました。そうでなくても貸し渋りや貸しはがしがあるのに、そんなことをしたら企業の倒産のまさに連続になって、日本は大恐慌になるぞ、名立たる経済学者がそう批判をしたわけであります。もちろん、中小企業対策を周到にとりながら、これに果敢に取り組んでいきました。計画年次内にほぼこの目標を達成しました。そして、銀行は金融仲介機能を回復してきたわけであります。 また、住宅金融公庫の改革に取り組んだときには、そんなことをすれば住宅ローンは、長期のものは一体だれがやるんだ、庶民からマイホームの夢を奪い去ることになりますよ、有名なニュースキャスターも批判をされました。しかし、公が、官が引いた途端に、民間金融機関がそこに乗り出して、今までよりももっと有利な住宅ローンという商品を提供してくれたわけであります。 あるいは、中央から地方へ、権限と財源の移譲によって地方の主体性や個性を生かした。それを社会の活力として、日本が復活しつつあるわけであります。 これが改革の三方針。 ところが、官から民へ、今まで官がやっていた仕事を、民にもそれだけの能力があるところには民に渡していこうとしたら、耐震偽装事件が起きてしまった。あるいは、規制緩和で、今まで新興IT企業は株価が何十万もするからみんな庶民が投資する対象になれない、そこで、株式分割をして株を買いやすくする、ポートフォリオの中に新興IT企業も入れられるように改革をした。そうしたら、悪用するライブドア事件が起きた。それ見たことか、小泉改革に批判的な方々から一斉に、これは改革が原因なんだという批判の声が上がったわけであります。 まあ、県やあるいは自治体の建築主事もこの耐震偽装を見抜けなかったわけでありますから、規制緩和が悪いということではないのでありますけれども、こういう事件が起きるたびに、改革がいけないんじゃないか、改革には光もあれば影もある、これは小泉改革の影の部分じゃないかということをおっしゃる方が出てきた。 総理、この改革の影論にどうお答えになりますか。
○小泉内閣総理大臣 就任早々においては、改革改革と言って、口先だけじゃないかという批判をよく受けました。最近は、改革、進める、一気に進めるな、拙速過ぎるなんという批判が出ています。まあ、総理大臣だから、何をやっても批判されるのは仕方ありませんから、これは将来、小泉内閣のときにやはりしかるべき必要な改革を実行してよかったなというふうなことをやるしかないなと。批判に耐えて、改革をとめることなく、改革を続行しなければならないと思っております。
○甘利委員 小泉政権が、そして我々が今やろうとしていることは、日本を官主導の社会から民主導の社会に変えていこう、民間の活力とフレキシビリティーをいろいろな社会システムに取り込んでいこうというチャレンジなんですね。過去の事前規制・裁量行政型調整社会から、事後チェック、事後監視・救済型社会への大転換を今しようとしているわけであります。 言い方をかえますと、ポジティブリスト社会からネガティブリスト社会への転換と言ってもいいんだと思います。 ポジティブリスト社会というのは、やっていいことを官が決めておく。やっていいことだけ決めておいて、原則それ以外は禁止。それから、ネガティブリスト社会というのは、やってはいけないことだけ決めておいて、それ以外は原則オーケー。そして、違反に対するルールはしっかり決めて、違反者にはペナルティーを、被害をこうむった者にはそれを回復する、そういうシステムをつくっていく、言ってみればこういう最中なんだと思います。 よく改革の光と影とおっしゃる方がありますけれども、改革が正しいとするならば、それは改革の側から見ますと、改革の利点と課題と見た方が前向きだと思うんです。つまり、改革を行っていく先に、それに関連するかもしれない事象が起きたときに、改革の方を見て、だからこれがだめなんだというのじゃなくて、改革の方から事象を見ていって、あっ、こういう課題がある、ああいう課題がある、ポジティブリスト社会からネガティブリスト社会、官から民に変えていくのにまだここに課題がある、そういう視点でとらえた方がいいと思うのであります。 官房長官、何か改革の過程でいろいろなそれにまつわるかもしれない事象が出た場合、だから改革がいけないと川上を見るのではなくて、改革から川下を見て、それを課題ととらえるべきだと私は思うんですが、小泉政権のまあ社長室長である安倍官房長官、どう思われますか。
○安倍国務大臣 ただいま、まさに甘利先生が御指摘になったとおり、我々が進めているこの改革路線は間違ってはいない、こう考えています。いわゆる大規模な財政出動ではなくて、規制緩和あるいは税制の改革といった、国民のやる気を引き出す形で、今まさに自律的な回復軌道に乗っている、こう思うわけであります。 その中で、今、甘利先生が御指摘になったように、ポジティブリストからネガティブリストに変えていかなければならない、そのとおりであろう、こう思っています。いわゆる事前チェックから、事後の、ルールをしっかりと確立して、その中で公正な競争が行われるように監視をしていく、そういう形に変えていかなければいけない、事前チェックから事後チェックに変えていかなければならない、こう考えております。 その方向で今改革を進めているわけでありまして、いわゆるメンバーシップの中に入れば後は割とゆったりとしていてもいいという社会であったわけでありまして、そこに停滞が発生するわけでありますが、だれもが参加できる市場ではあるけれども、しっかりとしたルールがあって、そしてルールを破ったら厳しい罰則がある、そういう方向で我々も構造改革を進めていきたい、こう考えております。
○甘利委員 何で事前規制、事前調整型のいわゆる裁量行政型社会から事後監視・救済型に変えていくかといいますと、事前調整型は、世の中の変化、世界の変化が緩やかな時代には何とか対応ができたと思うんですね。しかし、それで、失われた十年、閉塞感が漂って、世界の変化に日本だけが取り残されてしまっているんじゃないか。 変化に即応できない。それはそうですよ。役人が事前調整をしていく社会では、それは前例主義ですから、新しい事態には対処できませんし、ニュービジネスなんというのは絶対許可されないわけですよ。そうではなくて、民間の活力とフレキシビリティー、原則自由、しかしルール違反には厳しいペナルティーが行くぞ、そういうことに変えていかなければ、新しいビジネスも新しいシステムも生まれてこないんですね。だから、世の中の変化が激しい時代には事後チェック・救済型。 かつてPL法というのがあって、物の世界では、不利益をこうむった人に賠償する仕組みがあった。動産の世界。そこで、不動産の世界で、住宅PL法とでもいうんですか、瑕疵担保責任の仕組みができた。それでもまだ、では資力がないところはどうするんだということで、今度は保険をつけようじゃないかという議論にも今なっているわけですね。 だから、社会を大きく変えていく中で、課題は何か、まだないかということを、そういう目で指摘をするということが、実はこの大改革を成功させる。何か出てきたら、制度自体の変更がいけないんだということでは、全体を見失うことになるんじゃないかと思っております。 それで、小泉構造改革のツールとして非常に強力に役に立っているのが規制緩和ですね。魔法のつえ。小泉改革以前の話ですけれども、携帯電話の世界では、従来はNTTが押さえていたものを規制緩和で開放する。規制緩和というツール、魔法のつえを使って、新しい事業がぼんぼん出てくる、新しいサービスがどんどん出てくる。いろいろなことが出てきた。そういうことに連動するのが、まさに規制改革ですね。 それで、この規制改革、しかし、使いようによって厳しい面も出てくる。野党的な言い方をしますと光と影の影の部分で、与党的な言い方をすれば課題の部分でよく取り上げられるのが、規制緩和による状況変化。 タクシー業界の話がよく出ます。この業界を規制緩和して、新規参入がどおんと入ってきた。その結果、もちろん新しいサービスもできました。みんなGPSを備えて、お客さん、そこはどこを行くかわかりませんから次の車を探してくださいなんということはなくなってきた。あるいは、回り込んで、到着しましたと言ってドアをあけてくれる。まあ、そこまでしなくてもいいと思うんですけれども、そういうサービスをする会社も出てきた。でも一方で、過当競争によって乗務員の待遇が低下をしてきてしまって、もう生活保護に毛の生えたような状態を強いられる人もかなり出てきたとテレビで取り上げたこともありました。 ですから、この規制緩和という魔法のつえをこれからどういうふうに使っていくかということは、知恵と工夫が必要だと思うんです。私自身が思うのは、キーワードはイノベーションだと思います。イノベーションが起きるかどうか、過当競争になってしまうかどうか、そこの見きわめが大事なんじゃないでしょうか。 イノベーション、つまり技術革新が起きる、あるいは新しい市場が生まれる、あるいは新しい商品が開発される、あるいは新しいサービスがどんどん出てくる、そういう可能性の高いところには、この規制緩和という魔法のつえは大胆に使う。そして、やたら過当競争に陥ってしまう危険がある、そういうところには慎重に使う。片や大胆に、片や慎重に、対象によって使い分けるという知恵が必要だと私は思いますけれども、規制改革担当大臣、どう思われますか。
○中馬国務大臣 今、甘利議員が御指摘されたことは非常に大事なことでございまして、こうした大きな規制緩和がどれほど経済を活性し、また、それぞれの持てる力といいましょうか、民間やあるいはまた個人もそうでしょうけれども、それを大いに発揮されて、非常に活性化していることもこれまた事実でございます。 今のタクシーの問題ですが、これはちょっと、例外と言ったらなんでございますけれども、大阪のタクシーが非常に過当競争をしていることは、御指摘のとおりでございます。しかし、かといってそれが規制緩和の影響なのかどうか。逆に利便性のことを考えますならば、例えば空港から、あるいは空港へ行くまで、心配せずに定額制で乗れるとか、あるいは福祉タクシーとか、こうしたいろいろな応用問題も出てきて、これは非常に利用者には利便性を高めているわけです。 今の過当競争の問題、運賃の問題になりますと、これはやはり業界が若干自主的に規制をされるとか、また、チェックする方にしましても、今の事後チェックの話じゃございませんが、こうして本当に安全が確保されているのかどうか、過当競争によって値段を下げることによって安全が少し無視されていないか、こういったことをチェックするのはやはり行政の役割だと私は思いますけれども、運賃がこのように過当競争になっているから、それでもってまたもとの認可に戻すんだということは、私はすべきではないと思っていますし、聖域なき形でこの規制緩和を進めていきますけれども、その負の部分といったことは、行政やあるいはまた業界がこれをチェックしていくのがこれからの方法ではないかと思っております。
○甘利委員 改革、規制緩和に光と影があるという言い方はしませんが、利点と課題があるということは確かだと思いますね。ですから、課題は課題として真摯に受けとめて、その痛みをいかに少なくするかという努力は続けていくのが政府の役目だと思っております。 午前中の時間がなくなってきましたので、ちょっと質問の順序を入れかえます。日銀総裁、せっかくおいでをいただいております、といっても私が呼んだから来ただけですけれども。 さっき政調会長が新成長戦略に触れられました。というのは何かといいますと、政府が歳出歳入一体改革をする、そこで、見通しとしては余り甘い見通しはできないから、二〇一一年でも名目三・二くらいかな。しかし、我々は与党でありますから、できるだけ成長を高目に持っていきたい、そのための努力をする、そうすればその分だけ増税は少なくなるからというのは、与党側の努力としてしなきゃならないことだと思うんです。そこの一番出発点の判断は、デフレを脱却したかどうかという判断がまず初期動作になるわけです。二〇〇五年の名目成長は一・六、実質が二・七、まだ緩やかなデフレが続いている。二〇〇六年度は逆転をする見通し、させなければならない。 デフレの脱却というのは、実質成長を名目が超えたときにそう判断できると思うんです。つまり、その差はGDPデフレーターですが、GDPデフレーターのような指標が先にわかればいいんですが、あれは後追い指標ですから。日銀は、デフレの脱却、そして量的緩和政策を解除するという段階で進んでいかれるんでしょうが、その際に、消費者物価指数、CPI、コンシューマー・プライス・インデックスを重要視される、これは大事なことですよ、消費は経済の六割ですから。ただ、それだけで大丈夫かということはよく言われているんですね。デフレーターに近いような数値に、判断できるように、企業支出とか政府支出も加味したらどうだ、そういう新指標をつくったらどうですかということがよく言われるんですが、その点、いかがお考えですか。
○福井参考人 お答え申し上げます。 私どもの立場からいたしましても、今後確実に財政再建のプロセスを成功裏に実現していく、その過程においては、ただいま甘利委員がおっしゃいましたとおり、日本経済の中でイノベーションの力を強くして、潜在成長能力を高め、それを現実の実質成長率という形で大きな波なく実現させ続けていくということが一番大事だ、こういうふうに思っています。 現在の時点からそういうパスを、経路を考えますと、まずは人々が物価のことを余り心配しないで前向きの気持ちで経済活動にいそしめる状況に早く到達すること、企業が長期的な投資ができる、家計に属する我々は安心して消費ができるという状況に早く持っていくということだと思います。別な言い方をしますと、景気が持続的な回復を続けるもとで、物価が基調として下落を続けるという状況を脱して、プラスの状況で安定的な基調にたどり着くということが大事、そこをしっかり見きわめるということがデフレ脱却の判断ということだと思います。 その際、これを物価の指数を使いながら判断していく場合に、やはり国民の皆様が日々消費する商品、サービスを対象として、我々一人一人に、実感に即したものであります消費者物価指数、これが基本的な指標となるというふうに思いますけれども、同時に、委員御指摘のとおり、その他の物価指標もあわせて判断材料として十分これを取り入れていく。ただし、その他の物価指標それぞれに特性がございます。物価指数の特性というものを十分踏まえながら判断をしていくということが大事だと思います。 そして、何よりも重要なことは、冒頭に申し上げましたとおり、経済そのものを判断していくということでございますので、物価指数の動きの背後にある経済の動き、とりわけ経済全体の需給環境、需給ギャップが縮まっているかどうか、それから単位当たりの労働力コストがどうなっているか、そして人々が先行きの物価をどう見ているかという物価観、こういったことも十分注目していく必要があるというふうに思っています。 GDPデフレーター等も考慮すべきだという御意見は、私どももよく承知しております。非常に重要な指標でございます。 ただし、GDPデフレーターについては、輸入価格を控除した概念となっておりますために、例えば、原油価格が上がると輸入価格は上昇する、逆にこの指数そのものは下落するというふうに、国民の我々にとって実感に合わない面もあります。そうした特性は十分考慮しながら、これを判断材料に入れていくということだろうと思います。 いずれにいたしましても、日本銀行といたしましては、物価指数の動向、その背後にある経済の動きを今後とも十分注視してまいりたい。そして、量的緩和政策そのものは、今後、経済を持続的な安定成長軌道に乗せていく、金融政策を徐々に正常化していくための一つの通過点でございます。これにつきましては、生鮮食料品を除く消費者物価指数、これが安定的にプラスになるまでは続けると国民の皆様方にかねてより約束しておることでございますので、これは約束どおり、我々はきちんと判断させていただきたいというふうに思っております。
○甘利委員 午前中の時間が終わりましたので、あとの質問は午後に回したいと思いますが、バブルが崩壊したときも、消費者物価指数だけ追っていたので対応がおくれた、消費者物価は割と安定的に推移していた、しかし、資産価格が大暴落をしていた、そこを読み切れなくて対応が誤ったというような指摘もありました。いろいろな指標を総合的に、果断に取り入れる、そういう努力をぜひしていただきたいと思います。 終わります。
○大島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○大島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。甘利明君。
○甘利委員 午前中の最後の質疑に、日銀の金融政策に触れさせていただきました。その続きから入りたいと思っております。 政府が歳出と歳入の一体改革を行う、そこで経済成長をどれくらいまで見込めるかという判断をする、そして我々与党側は、できるだけ経済成長は高目に持っていくことができるならば、その分だけほかにしわ寄せをしなくて済むということを考えれば、できるだけ高目の努力をしなければならない、それは与党の責務の一つであるということをお話しいたしました。その前段として、デフレの脱却判断が正確に行われないと最初からシナリオが狂ってしまうということでお話をしたわけであります。 そこで、政府の政策に日銀の金融政策がどこまで同調してもらえるか、政府との協調という話と、それから一方で、日銀には日銀としての独立性ということがあるわけでございます。どこまでが協調でどこからが独立か、谷垣財務大臣、わかりやすくお話をいただけますか。
○谷垣国務大臣 現在はまだ緩やかながらデフレが続いていると思っておりますので、日銀と政府は車の両輪のように協力をしなければいけない段階だと考えております。その上で、今もお話がありましたけれども、金融政策の決定自体は、これは、日銀の独立性ということで、日銀の専管でございます。 ただ、日銀法第四条に、大きな意味で、やはり同じ日本国の政策でございますから、お互いがあさっての方向を向いているようではうまく機能するはずがないということで、日銀と政府はよく意思をすり合わせるようにという規定がございまして、そういう中で大きな方向をよくすり合わせていく必要はあろうかと考えております。現在、そういうことが行われていると思っております。
○甘利委員 デフレをまず脱却して、そして経済を名実ともに巡航速度に乗せる、これが使命でありますから、ぜひ、政府、日銀よく心を合わせて進んでいっていただきたいというふうに思います。 さて、先ほど来触れております歳出歳入一体改革、与謝野大臣が御苦労されているところでございます。 歳出と歳入を一体的に改革する、我々政治家が国民に向かって言うときには、まず行革ありき、無駄を省きます、まずきちんとやるべきことをやった、その上でどうしても足りない部分があれば増税、そうでないとなかなか国民は増税論議を受け入れてもらえない、これは当然の話だと思います。 一方で、一つのジレンマがありまして、歳出削減、無駄を省く、非効率なところをなくす、この行革努力というのは、実は、不断の努力ですから、ここまでやったからもうおしまいですということはありません。未来永劫、いつでもやはり行革というのは足元を見ていかなきゃならない。 そうすると、いざ増税をしようというときに、まだ行革が足りないという論に遭ってその足をとられてしまって、必要なときに必要な判断ができないおそれもある。ですから、歳出と歳入一体的に改革をして、いろいろなケースを提示して具体的な政策に取り組んでいく、これは大事なことであると思います。 そこで与謝野大臣、六月に具体的に方向性を提示される歳出歳入一体改革について、わかりやすい御説明をいただけませんか。
○与謝野国務大臣 日本の財政が大変難しいところにあるというのは、もう国民の皆様方にも御理解をいただいているところでございます。 昨年の自民党の選挙の際の公約も、また昨年六月の骨太方針にも、歳入歳出一体改革の選択肢とその改革の工程を、ことしの半ばごろ、すなわち六月に国民にお示しするということが書いてありますので、私どもが考えておりますのは、複数の道行きをお示しして、これに基づいて国民的な論議をしていただきたいと思っております。税を変えますときにはやはり国民から一定の御理解をいただかなければならないわけでして、税を変えるときの政治的な環境を整えるということも、また政治の責任であると思っております。 ただ、成長率は高い方がいいというのはわかるわけでございますが、成長率が高いと、物価スライドの義務的経費もございまして、また、成長率が高いと、どの程度かは議論の分かれるところですけれども、長期金利が上がってそれだけ国債費がかかるとか、プラスとマイナスの要素がありまして、どの辺が適切な巡航速度かと。これは、実質の潜在成長力を高めるということは大事ですけれども、名目成長率はどの辺が財政再建にとって好ましいかという話と二つ分けて考えていく必要があるのではないか、そのように思っております。
○甘利委員 日本経済の巡航速度がいろいろなバランスを考えてどの辺が適切かということは、慎重に判断をすべきことと思います。ただ、いずれにしても、日本の潜在成長力、ポテンシャルからいえばもうちょっと底力はあるのではないかと考えるのも、政治家としての当然の考え方かというふうに思うわけであります。 経済産業省中心に新成長戦略というのを考えていらっしゃるかと思います。さっき規制緩和の話をしました。規制緩和というのは、一銭もお金を使わないで経済成長を引き上げることができる、雇用を生み出す、新産業を創造する魔法のつえだ、ただし使い方には工夫と注意を払ってほしいというお話をしたわけであります。 産業分野でどこを規制改革していくか。それは、イノベーションが起こせるか、さっきハーバード大学卒業の茂木理事から発音の注意がございまして、イノベーションでございます。技術革新をどう起こせるか、新分野の開拓をどう起こせるか、新しいサービスや新しい商品開発をどう起こせるか、こういう視点でどこに規制緩和の物差しを当てるかということが、新産業創造戦略、新成長戦略で大事だと思いますし、生産性が高い分野よりも生産性が低い分野の方が伸びる確率が多いわけですから、そうやって生産性のいい悪いをまず精査をして、そこにどういう改革が加えられるかという見方も大事だと思います。 あるいは最近は、IT化をしてそれが成長にどれくらい貢献しているか、IT装備による成長への貢献と非IT装備の成長への貢献をはかってみますと、近年は、IT装備をするということがその成長戦略に非常に大きくかかわってくるということも検証されているわけであります。ITをどう活用していくか、これも大事なキーワードだと思っております。 経済産業大臣、新成長戦略、何か秘策はありますか。
○二階国務大臣 歳入歳出の一体改革について先ほど来ずっと議論がなされておりますが、経済の活性化が私は欠かせない要因だと思っております。それは、明るい未来の実現を果たすことが、この歳出歳入の一体改革をさらに加速し、その目的を達成することになるだろうと思っております。 今仰せの新経済成長戦略の検討は、今始まったところでありますが、できれば、三月いっぱいぐらいに中間報告をさせていただきたいと思っております。その上に、私たちは、この急速な少子高齢化や人口減少、国際競争の激化といった構造的な課題も存在いたしますが、それでも我々は、明るい兆しを見せておる今日の経済の状況をさらに推進し、業種あるいは企業規模、地域によって状況には当然ばらつきはありますが、こうした面の一体的な改革を進めて、経済の活性化を取り戻していきたいと考えております。 このような状況の中で、先ほどからおっしゃっておられる技術革新の創出につきまして、高い成長が見込まれる海外と、そして地域に焦点を当てて検討を進めていきたいと思っております。 新経済成長戦略として、例えば、世界のイノベーションセンターとして国際競争力のある世界最先端の産業を育てるとともに、アジア近隣諸国とともに発展するということを特に重点を置いてまいりたいと思います。 また、地域の発想とやる気を最大限に生かしながら、サービス産業の生産向上も、地域での特に中小企業の奮起等を期待しながら取り組んでいきたいと思っております。 生産性の向上に役立つITの効果的な活用を図るなど、まさに、明るい未来の実現に向けて我が国がなすべきことを国民の皆さんにお示ししたい、こう考えております。
○甘利委員 IT装備というと、またITかという話がよく出るんですが、ITで企業競争力を高める、いわゆるIT武装というのはなぜ必要かというと、デジタル家電で日本が韓国や台湾の後発部隊に追いつかれて、あるいはある部分追い抜かれているというのは、意思決定の速さなんですね。ITの装備によって市場のニーズをいかに瞬時に川上まで共有するか、それによって、部材の調達から始まって、市場が求める商品をいち早くデビューさせる、そういう効果がある。現場の意思を、現場のニーズを全体が瞬時に同時共有できる、これがIT装備の強みの一つでもあるのでありまして、企業がIT装備をしていくということは、あらゆる業種にとってそういう点で大事なことなのでございます。 それから、地域の話を大臣は今されました。中央はいいけれども、地方というともう公共事業しかないんじゃないかとよく言われるんですね。だから、公共事業が減っていく分だけ地域が衰退をする。確かに、公共事業は当初予算ベースでかつての二五%減でありますから、公共事業頼りの地域の仕組みを革新的に変えていかなきゃいけない。 そこで私は、地域産業クラスター、大臣のところでやっていらっしゃるでしょう、地域産業クラスターというのが地域の再生のキーワードになると思うんです。地域の大学と地域の中小企業がコラボレーションをする。技術の革新もあれば、教育面でも企業の指導者を育てていくといういろいろな要素がありますから、地域産業クラスターということもこれから地域再生の重要なツールとして取り組んでいくべきだと思いますが、どう思われますか。
○二階国務大臣 地域産業クラスターの開発、これを躍進させるということは大変重要な視点だと思っております。 今、甘利議員からは大学ということをおっしゃいましたが、大学は極めて重要な要素を含んでおると思います。例えば東北地域の中小企業の発展の様子を見ても、東北大学が果たした役割というのは極めて大きいと思っております。 しかし、全国に点在する国立高専、これの活用についても、今改めて考えたいと思っております。あわせて、一般の公立、私学の高等学校の工業科等につきましても、私どもとしては、いかに積極的に協力し合えるか、今、文部科学大臣とも打ち合わせをし、そうした面でもそれぞれの地域に点在する高等学校や国立高専等にも御協力を願って、ともに地域の中小企業を発展させていくということを考えたいと思っております。 先般、農業新聞を拝見しておりますと、農業高校がそれぞれの学校でつくるいろいろな産物があります。それを東京に集めてきて、高等学校がつくった、まさに一村一品運動のようなことを計画して実行しておられる。私は、経済産業省におきましても、直ちに全国の工業高校等の実態を調べて、そこで生産されるもので何かそういう市場に提供できるようなものがあれば、それを支援することによって、物つくりということに対して改めて地方が関心を持ってくれるのではないか、そういうことを指示しているところでありますが、今後、この産業クラスターの問題につきましてはしっかり対応してまいりたいと思っております。
○甘利委員 おっしゃるとおりですね。大学だけじゃなくて、高専や農業高校、バイオも含めていろいろな可能性をはぐくめる。地域にあるそういう一つの資源をほかの資源とコラボレートさせることによって一足す一が三とか五になっていくわけでありますから、そういう仕組みをしっかりと構築をしていただきたいと思います。 小泉総理、小泉内閣は九月で終わりますが、しかし、小泉改革はその後も続いていきます。そこで大事なのは、今国会に出ている行革推進法であります。つまり、政府系金融機関の改革だとか特別会計の改革、国家公務員の純減等の基本理念とか実施時期とか、各種改革に係る工程がある。それを、内閣がかわってもちゃんと最後までやり遂げますよ、小泉内閣がかわったらそこで終わりということじゃなくて、それから先も改革は続いていく、そういういい意味の縛りをかけている大事な法案だと思います。 総理、行革推進法に関して、その思いのたけをおっしゃっていただければと思います。
○小泉内閣総理大臣 私が退任した後、新総理のもとで続く改革は、小泉改革とは言わないまでも、新しい総裁の名前の改革が続くんだと思いますが、それは、選挙で公約したこれを進めていく改革であるべきだと思っております。 その中で、今言われた、民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、簡素で効率的な政府というこれは、党がさきの衆議院選挙でも公約した大方針であります。それに沿って、民間にできることは民間に、今、政府系金融機関、これも、民間にできることは民間に、または地方にゆだねるのは地方に、あるいは統廃合できるものは統廃合すると。 さらに、いわゆるお役所仕事というのは余り国民からも評価されていない。民間に任せた方がもっとコストも削減できる、サービスも展開できるというんだったらば、では、役所でやる仕事と、公務員で任せるのと、民間で手を挙げてできるというのはどっちがいいか、そういう市場化テスト、こういうのもやってもらおう、その対象を拡大していこうと。 さらに、三位一体改革、一段落いたしましたけれども、これで終わりではないと。今後、先ほど道州制の議論が出ましたけれども、地方における裁量権、自由度をどのように拡大していくかと。公務員も、国家公務員のみならず、地方の公務員も含めた行政改革、あるんじゃないのか。 そういう点も含めて総合的に、基本方針、さきの衆議院選挙で自由民主党として公約した方針を進めていく法案を、これから国会に提出して御審議いただくわけであります。それは、改革をとめるな、改革を続行せよという国民の声にこたえていく改革でありますから、私の後だれが総裁・総理になろうとも、進めていくべき内容を盛り込んだ行革関連法案を提出して、皆さんの御協力を得て成立させたいと思っております。
○甘利委員 自民党と公明党から成る政府は、小泉内閣が終わった後もその改革を続けていくという決意表明であります。 さて、アジア外交に少し触れさせていただきます。 私は、一月の七日から五日間、ASEAN四カ国、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナムを回ってきました。各国首脳と会談を繰り返してきましたけれども、少し衝撃を受けたことがあります。 それは、三年半前にも私はASEANを訪問したのでありますけれども、この三年半の間に随分と中国のプレゼンスが強くなってきたなということを感じました。四カ国では、それぞれ首脳が中国に対する思いとして同じことを言ったんですね。 それは、中国の軍事的、政治的、経済的な拡大、膨張をどういう認識でとらえるかということに関して、怖さはある、恐怖ではあるが脅威ではない、フィアーであるがスレットではないということ、同じ表現を複数の国の首脳が使ったんですね。これは、どうしてそうやって口裏を合わせるように同じことを言うんだろうか。それ自身が、やはり中国の拡大する影響力にいろいろな思いを感じているのかなという思いがありました。 そこで、向こうの首脳から言われるのは、もっと日本は前へ出てくれと言うんですね。それで、具体的に何をしろかというと、やはりさっき政調会長がおっしゃいましたけれども、FTA、EPAにもっと果敢に取り組んでほしいと。中国は、ASEANと物の交流だけに限れば、去年のたしか七月ぐらいに本格稼働しているわけであります。日本はまだ途上にある。わずかシンガポールと協定を交わしたにとどまっている。マレーシアはようやく調印ですか。日本はそんなことでいいんでしょうか。 つまり、ASEANの首脳は、特定な一国がいろいろな意味で影響力をASEANに持ち過ぎるということに警戒をしていることは確かなんだと思います。そこで、日本にちゃんと出てきてもらって、パワーバランスをとりたいという思いがあるんでしょう。 実は、シンガポールのリー・シェンロン首相と話しましたときに、その前にマレーシアの戦略研究所の所長の話を引き合いに出しました。マレーシアでは、東アジア・サミットのメンバーに、地理的にいえば、オーストラリア、ニュージーランド、インドが加わるのはどうかなと思うとおっしゃったんですね。そのことをちょっと触れましたら、だれが言ったんだ、本当にそんなことを言ったのかと非常にリー首相は驚いていたんですね。実は、自分が、インドも入れよう、ニュージーランド、オーストラリアも入れようと言った一人だと、もちろん日本も同じスタンスだったと思いますけれども。それは、シンガポールという国はなかなかリーダーシップのある首相である国だけれども、やはり小さな国ですから、バランス感覚を物すごく大切にするんですね。 そこで、しっかりと、一つの国だけが影響力を持ち過ぎないようにちゃんと入ってきてくれということで、地域エリアからいったらインドや何が入るのはどうかとマレーシアで言っていましたと言ったら、だれがそんなことを言ったんだ、もう子供は生まれちゃったんだぜ、もうこういう枠組みはスタートしたんだよ、何を今さらというふうに驚いていたんです。そこで、日本にもっと果敢に出てきてほしいということなんです。 もちろん、国内対策は重要でありますから、これはしっかりやらなきゃならない。しかし、もうちょっとスピードを上げてもいいと思うんですが、このFTA、EPAですね、これはだれに聞いたらいいんですか。外務大臣。
○麻生国務大臣 FTA、EPAの話が今あっておりましたので、これは基本的には、農林の問題とか産業の問題でいくと、これは農水大臣もしくは経済産業大臣のところなんだと思いますが。 スピードアップの件が今挙がっておりましたけれども、これは、今、この二月の十何日からにも、日本とASEANとの間のワークショップを二月に開催することにしておりますし、いろいろな意味で、この間来たタイとの協定も実質的には終わりましたし、いろいろな形で進んでおります。 今は中国の話が出ますけれども、中国の話は、これは物品に限っておりますので、いわゆる人材とかあれは全然やっていませんので、そういった意味では日本とは全然違う種類のEPAなんだ、EPAというよりFTAなんだと思いますけれども、そういった意味で、これは、日本にとってもいわゆる双方の利益になるところというのはかなり大きいとは思っておりますので、基本的にはスピードアップの方向で検討させていただきたいと思っております。
○甘利委員 ASEANを回りまして、インドネシアの大統領、副大統領を初め、我々に対して、中国はこんなふうにしていますよ、日本はどうされますか。どうも、ちょっと数年前より嫌らしいなという思いがあったんですね。それは、日本と中国を少してんびんにかけながら駆け引きをしているような面がちょっとあった。 私はそのときに、それぞれの首脳に、皆さん、勘違いしちゃいけませんよ、我々とあなた方はパートナーだけれども、あなた方と中国とはライバルなんですよ。中国は世界の工場だ、しかし、世界の工場もコストが上がってくる、あるいはビジネスの不透明さが出てきた、どうも政府の決定が不透明だし迅速でない、ころころ変わる。そういうビジネス環境の悪さに嫌気が差して、世界の工場は中国だけれども、第二工場はASEANにつくろうかと思っているんですよ、今。世界の工場、第二工場は我々だという意識がない限り、いつまでも下請国家から逃れることができませんよということを申し上げてきたんであります。 そこで、ODAに戦略性を持てということがよく言われます。世界の工場にしていくためには、ハード、ソフトのインフラ整備が必要です。ハードでいえば、港湾、道路あるいは電力であります。ソフトでいえば、そういう透明で迅速な行政システムの構築あるいは人材育成、そういうところに日本として戦略的にODAを選択と集中で投下をしていく、そういう発想が大事だと思います。最後にそのことだけ伺います。
○麻生国務大臣 全く御説のとおりだと存じます。 今、人材育成の話をされましたけれども、これは何も外務省の話だけじゃありませんで、今、例えば、総務省管轄下の自治大学校には毎年ベトナムから十数名官僚を送ってきて、官僚を育成しては戻す、育成しては戻すというのをずっとやっておりますし、また、統計というものに関する基本的な認識がないとか地方自治とか、そういったものを含めて、今、アジアに限らずほかの国々でそういった意識、知識のないところに対しましても、地方税、地方自治、地方自治法等々、いずれも今まで総務省に海外から需要がなかった部分ですが、急激に出てきておりますので、外務省といたしましては、そこらのところをよく一緒になって、今御説のとおり、やったはいいけれども何の対応もできない官僚では、これは向こうも困りますしこっちも困りますので、双方できちんとした単語の統一化やら何やらいろいろ今やらせていただいております。 ODAは、ここのところずっと一貫して減ってきております。やっとことしぐらいから下げどまったところまで来ておりますので、ほかの国も何となくその点は、毎年減らされてきているところとしては何となくという感情があったと、私もそれは想像にかたくないところですけれども、おかげさまで予算も少し伸びてくる形になりましたので、今言われたように、戦略的なところを含めましてきちんと対応させていただきたいと存じます。
○甘利委員 終わります。
○大島委員長 この際、松岡利勝君から関連質疑の申し出があります。中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。松岡利勝君。
○松岡委員 自由民主党の松岡利勝でございます。 自由民主党の質問の最後を承りまして、よろしくお願いしたいと思います。 まず冒頭、総理にお伺いをいたしたいと思いますが、これも何度かもう言われたことでありますけれども、総理は、任期いっぱいを全うする、全力で全うする、こういったことを再三表明されておられます。そういう意味では、今国会は、いよいよ最終コーナーといいますか、野球でいいますと九回の攻防、こういうことになると思います。よく言われることでありますが、選挙は最後の五分間、特に、戦は最後の五分間が大事だ、こう言われるわけであります。そういたしますと、恐らくこれまで以上にこれからの時間が大事なんだろう、そのように思うわけでございます。 そこで、いよいよ十八年度本予算の審議がきょうからということでございますので、改めましてここで、総理がどのようなお心構えで、また御決意で臨んでおられるか、お示しいただければと思う次第であります。よろしくお願いいたします。
○小泉内閣総理大臣 改革に終わりはないと思っております。 私は、任期までは総理大臣の職責を果たすべく全力を尽くしていく、これに尽きると思っております。
○松岡委員 御決意を承りました。ありがとうございました。 そこで、これからの時間の中で、私は、ぜひとも小泉構造改革として実現といいますか、方向づけなり、できれば枠組みをつくってもらいたい、こういったことについてきょうは三つお願いをしたいと思っておりますが、その前に、もうこれもけさ方から中川政調会長また甘利政調会長代理からもお話がありましたので、重複することになるかもしれませんが、実は、せっかく表をつくってくれましたのでちょっと示しをしてみたいと思っております。 小泉改革の実績と成果、こういうことでありますが、まず一番最初に郵政民営化があるわけでありまして、これは昨年、あのドラマチックなプロセスを経て見事に実現がなされました。それから、特殊法人改革もそうであります。 特に、私ども、小泉内閣になったときは、これはデフレスパイラル、まさにらせん状の階段を真っ逆さまに落ちていくような状況ではないか、こういうような状態であったと思いますが、それから年を経まして、物の見事に、もういつデフレを脱却するか、いつ出るか、こういった秒読み的なところまで参った。本当に、これは我々からいたしますと、やはり結果としてすばらしいな、このように思っております。もちろん、その大前提として、不良債権が大きく片づいた、こういったこともありますし、そして民間の活力を中心にして経済が大きく回復を遂げてきた。これはまさに、方向が間違っていなかったなということが証明されたんだろうと思います。 雇用につきましても、完全失業率が大幅に改善されましたし、また有効求人倍率も、一倍をこれは回復した、すばらしいことであります。それから、三位一体改革、いろいろな改革が進んできた。このように今ここに示しておるような状況でありまして、私は、大きな成果が上がった、このように評価いたしております。 しかし、問題は、これはもう済んだことでありまして、終わったことでありまして、さらにこれから、先ほど総理がおっしゃいました、改革を飽くなくやはり追い求めていく、こういうことが大事だろうと思います。国民生活、国民福祉の向上、そして社会の安定と発展、さらには国家の繁栄のために、私は、改革に休みなし、こういうことなんだろうと思います。 そこで、先ほど言いました三つのことについてということの第一でありますが、特に今回やはり大きな成果が上がったし、すばらしかったなと思うのは、一つには財政再建の問題でございます。 十七年度の補正予算においては、決算剰余金が一・二兆円出た、これを全額国債整理基金へ繰り入れられたということでありまして、剰余金の全額繰り入れは、昭和五十五年度補正以来、実に四半世紀ぶりのことだ、こういうことだそうでございます。そしてまた、同補正予算で新規国債発行額を〇・九兆円減額した。補正予算での公債減額は、これまた昭和六十三年以来、実に二十年ぶり近い出来事だ、こういうことだそうであります。 そして、いっときはここでも随分議論になったんですが、三十兆円の国債発行額の枠、これも、一時これが枠を超えましたけれども、また今回見事に、総理は有言実行で三十兆円以下にこれを抑えられた。そしてまた、一般会計予算も、これは七十兆円台に十八年度予算は抑えられた、こういうことであります。ここまで財政再建を進めてこられた、しかしまだ土台でありますから、これからがいよいよ本当に大事なんだろうと思います。 そこで、財務大臣にお伺いいたしますが、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランス黒字化、この目標をどういう運営をして実現されていかれるのか、ぜひお願いをしたいと思います。特に、後継総裁の一員としても名前も出ておりますから、ひとつよろしく。
○谷垣国務大臣 今松岡委員がおっしゃいましたように、平成十八年度予算は、過去の予算と比べまして、歳出改革路線を堅持して、小泉構造内閣で進めてきたいろいろな成果を取り入れることによりまして、財政健全化に向けた歩みは相当強化したものになっているというふうに思っております。 しかしながら、我が国の財政状況は、よく言われますが、国、地方合わせて長期国債の残高がGDP比で一五〇%に及ぶという、依然として極めて厳しい状況でございますので、今松岡委員がおっしゃいました、二〇一〇年代初頭にいわゆるプライマリーバランスを回復していく、その年にいただいた税金でその年の政策を賄って、要するに、孫や子供たちの世代にツケを先送りにしないように持っていくということを目標にしているわけでございます。 それで、ことしつくりました予算を基盤に、どうやっていくかこれから議論を進めていかなければならないのが、先ほどからも御議論にありますように、ことしの年の半ばまでに歳出歳入一体改革の選択肢と工程表を明らかにして、国民的な議論をした上で、平成十八年度中に結論を得るということで今作業をしているわけでございます。 そのためには、いろいろなことがございますけれども、考えていかなければならないことがたくさんございます。 まず、午前中の伊吹先生の御議論にもございましたけれども、やはりケインズ政策をとっている間にいろいろな、それぞれの歳出の既得権化というか膨大化というものが進みまして、歳出を徹底的に削減していくということがまず第一であるということは言うまでもございません。 それから、午前中の御議論にもありましたように、成長率を高めてそして税収を上げていくということもその一つでございますが、一方、それは当然図らなければならないことでございますが、その反面、やはり、成長を通じて物価等が上がってまいりますと、社会保障等の経費もかさんでくる、あるいは国債費の金利払いというのもかさんでくるというようなことをどう考えていくかということもございます。 それから、税の方になりますといろいろな議論がやはりあるわけでございますけれども、そういった前提の上で、やはり税についてもある程度の考え方をきちっと整理して、財政再建の道筋を示していかなければならないのではないかと考えております。 まだいろいろ申し上げたいこともございますが、概括的に申し上げました。
○松岡委員 ありがとうございました。ぜひ特段のお取り組みをよろしくお願いしたいと思います。 そこで、二つ目でございますが、ちょっとエネルギー政策につきましてお願いをしたいと思います。 といいますのは、私も、この四年ぐらい前から、自由民主党で緑のエネルギー革命推進議員連盟、これを結成いたしまして、この問題に取り組んでまいりました。 そこで、ちょっと最初に御紹介したいと思うのでありますが、二〇〇四年、今からちょうど二年前の一月、英国のインディペンデントという新聞の記事に、スウェーデンに本拠地があります国際岩石研究所、これが研究成果を発表といいますか出しまして、そこで出た話は、地球温暖化によってイギリスは、我々が生きている間に氷河期に突入するおそれがある、こういう研究結果だということでありました。それが現実になりますと、イギリスとヨーロッパ北部は冬の気温は氷点下二十度Cまで下がる、そうなれば農地はツンドラ化し、農業生産はもう大変な打撃を受ける、こういう記事であります。 何でそうなるのか。この原因は、ヨーロッパに温暖な気候をもたらすメキシコ湾流が温暖化の結果ストップする、そういうことでありまして、これはいろいろ言うと長くなりますから言いませんが、お風呂が沸くときを考えてもらうとわかるんですが、手を入れて、熱いからと思ってやめると、実は下は冷たい。これは、比重の関係で、冷たい水が下に行く。 メキシコ湾流というのは、極地で冷やされた冷たい水が下にぐっと潜って、それによって温かい比重の軽い水が、メキシコ湾流が上を流れてヨーロッパの北まで行く、これによってヨーロッパは暖かい、緯度に比べて相当暖かい、こういうことで成り立っていたわけであります。 それが、温暖化になりますと、熱帯域でどんどん海水が蒸発しますから、そしてまたこれが極地に回っていって雨を降らしたりいろいろいたしますから、その関係で、結論だけ言いますと、下にぐっと潜るやつが潜らなくなって、そしてこのメキシコ湾流が上まで流れなくなって、したがって寒くなる。だから、暖かくなって、冬は寒くなる。 まさに今、日本でそれが起きているわけでありますが、行きますと、みんな、これだけ寒くなったんだからもう温暖化はとまったのか、こう聞きます。これは逆でありまして、温暖化の結果、今寒くなっている。この大雪も、日本海が温暖化で今、二度、三度上がっているわけです、海水面が。だからどんどん蒸発する、水蒸気が。そうすると、そこに寒気団がごうっと流れてきますから、それで大雪になる、これが今のこの仕組みであります。 じゃ、それは何でなるかというのは、やはりCO2、これがどんどんいって温暖化が進む。したがいまして、CO2を減らさなきゃならぬということで京都議定書なんですけれども、これは、やはり私は、もとから絶たなきゃだめだ、こう思いますと、まさにそれが緑のエネルギー革命だ、こういう思いで、先ほど言いました議員連盟も結成して、ずっと取り組んできたわけであります。 そこで、ちょっと長くなりましたので簡潔に申し上げますが、今、世界の緑のエネルギー革命といいますか、これを推進している最先進国はブラジルとドイツであります。ブラジルは総理が一番御存じのとおりでありまして、サトウキビから砂糖を生産し、その搾りかすからエタノールを生産する、そして、これで燃料を賄っておる、こういうことになっております。もう二五%の混入を義務づけといいますか、それを基準にしている。全部エタノールという車もある、こういうことであります。 ドイツは、私も行ってつぶさに見てまいりましたけれども、今、十六基あるというか、あったというのが正確なんですが、十六基の原子力発電所を二〇二〇年までには全廃する、こういう一大エネルギー政策のもとに、もう既に三基やめた。そのかわり、じゃ、何で賄うのか、これが風力とバイオエネルギー。 バイオというのは緑のエネルギーであります。畜産、酪農のふん尿をもとにいたしまして、そこにトウモロコシやそういったものをまぜて、これをエタノール化して電力化していく。そこには、もちろん政策が大きくこれは後押しをいたしております。二〇二〇年の原発十六基全廃、そして、それをするためにバイオエネルギー、風力を拡大する、こういうことで、大きな助成措置をこれに施してそれを進めている。 したがって、畜産農家、酪農家からしますと、困っておったふん尿処理が実はエネルギーのもとになって、困るどころか利益を生んでいく、こういうことになって、エネルギーを改革しながら、そして環境を守っていく。エネルギー産業が起きながら、雇用もふえながら環境を守っていく。もうブラジルのことは総理よく御存じですから、私何も言いません。 そこで、それを受けて、今回、ブッシュ大統領、一月三十一日の一般教書でブッシュ大統領が演説をしたその中身でありますが、まさに米国は石油中毒だ、それを大統領の口みずから言って、これを脱して、そして、アメリカの競争力を維持するためには、これこそ新たなエネルギー開発だ、こういうことで、まさに代替エネルギーを開発する先進エネルギー構想というものを発表した。クリーンエネルギー費を、そのために研究費を二二%増額する、これが一般教書の中身であります。 そしてもっと具体的に、驚くことには、二〇二五年までに中東からの七五%以上の原油輸入を代替エネルギーに切りかえる、実に中東から来ているエネルギーの四分の三をこの代替エネルギーに切りかえる、これが一般教書であります。(発言する者あり)まあ、原子力もあるでしょうが、そこの中で一番言っているのは、このエタノールなんですよ、アメリカが言っているのは。 読売新聞にも書いてありますが、これが言っておりますのは、まさにブッシュ大統領は一月三十一日の一般教書演説で、無尽蔵と言える木や草などの植物繊維を原料にエタノールを製造する技術開発、これを六年以内に実用化する、今もやっているんですけれども、もっと効率的な形にしてこれを実用化する、こういったことを大きく掲げておりまして、今おっしゃったとおり、原子力もアメリカはやるとは言っているんですが、やはり今回ブッシュ演説の一番の中身は、クリーンエネルギーの開発、これが一番の中身でありまして、したがって、ドイツ、ブラジル、そして、アメリカが言っているのは、ブラジルを先進国として手本とする、こういうことを言っています。 時間の関係もありますからこのくらいで終わりますが、したがって、小泉構造改革の中で、何年までにどれぐらいのことをどうする、こういったような、まだまだ時間がありますから、概算要求なりそういった段階までに、アメリカなりドイツなり、またブラジルなり、こういったことを踏まえた日本の革命的なエネルギー政策の目標、これを小泉総理の手でもってぜひ示していただければと思うわけであります。 この点について、その担当大臣であります二階経済産業大臣からお伺いできればと思います。
○二階国務大臣 ただいまブッシュ大統領の演説を踏まえて、アメリカの取り組みあるいは欧州各国のエネルギー問題につきましてお話がありました。 全くそのとおりでありまして、我が国としても、太陽光発電、そして風力発電、バイオマスを初めとする代替エネルギー、いわゆる再生可能なエネルギーは、地球温暖化への対応としても極めて重要であると思っております。 その自給率を高めるという観点から、私たちは、これから積極的に取り組んでいこうと思っておりますが、この場合に、事業者あるいは地方自治体に対しましても積極的に補助金等を提供して、ともにこの方向に進んでいこうという決意を表明しております。 経済産業省としては、長期的な視点に立って、民間企業と連携するということは当然でありますが、私たちは、総力を挙げて新国家エネルギー戦略なるものを打ち立てようと計画をいたしております。この三月ぐらいまでに一応の目安を立てて、五月いっぱいには、先ほど来再々議論をいただいております新経済産業戦略とともに、セットにして国民の皆さんに提供し、御理解、御協力を得たいと思っております。 再生エネルギー開発の導入につきましては、先ほども申し上げましたが、特に地方自治体等においてもこのことに対して新たな観点から積極的に取り組んでいただけるように、経済産業省の出先を活用して対応してまいりたいと思っております。
○松岡委員 大臣、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。 そこで、せっかくですから、もうちょっと紹介をしておきたいと思うんですが、このブッシュ大統領の一般教書の演説に対して、アメリカ自動車、フォードのウィリアム会長が支持を即座に表明した。ゼネラル・モーターズ、これはもう既にやっておって、今、米国では既に数百万台がエタノール対応ということで、ゼネラル・モーターズもそれからフォードも、この二〇〇六年中に、ゼネラル・モーターズは四十万台、フォードは二十五万台のエタノール対応車を販売する計画だ、こういうことが言われております。 そしてまた、アメリカのある団体の試算では、二〇〇四年には既にもうエタノール産業が全米で約十五万人の雇用を創出しておる。それから、原料のトウモロコシ、これはアメリカではトウモロコシが原料なんですが、これによって、農家では大変な所得増になる、そして最終的には二兆円ぐらいの所得になるんだ、ということは、今の日本の米と同じぐらいになる、こういうことなわけでありますが、そんなようなことが言われております。 ぜひ二階大臣、先ほどおっしゃいました新エネルギー戦略、これでもってドイツ並み、アメリカ並みのひとつ日本としての、小泉改革の一環としてというか目標として示してもらえればと、特にお願いをしておきたいと思います。 その次にでありますが、もう一つ、やはり小泉改革の中で私はお願いしたいと思っているのが、今国会は行革国会、こういうことであります。 そこで、省庁再編で私はぜひ進めてもらいたいなと思っているのが、先ほどから言っていますように、二十一世紀は地球環境の問題、こうなりますと、環境が大きな軸であります。と同時に、もうBSEの問題で中川大臣苦労されておられますが、これまた、食の安全というのは大変な問題であります。したがって、そういう意味では、環境と食料、これはもう一番重要な課題ではないか。 私は実は、橋本行革のとき、農林水産の行革検討チームの座長を仰せつかっておったんですが、そのときからの持論でありまして、そのときは農林水産環境省だなんて言っていたんですけれども、そうじゃなくて、やはり今は環境ですから環境食料省、こういう形で、これが一番合理的な行政改革じゃないかと私は思っています。 まさに、例えば食品安全にしましても、屠畜場に行くまでは農林省の所管なんですけれども、屠畜場に入ったら厚生省の所管になって、同じBSEでもそこで役所が違っちゃう。だから、生産と消費を一貫して食品安全というものを考える、こういった観点からも私は一体化が必要だろうし、それが一番合理的だ、こう思って、実はあのときも行革の中で、これは一体化すべきだというので随分やったんですが、それはそこまでいきませんでした。 したがいまして、環境食料省、そういうことで、私は、省庁再編というのはITもありますけれども、ITでも省庁再編、行革が言われておりますが、イギリスは二〇〇一年に、それまでのいわゆる日本で言う農林省、それから環境問題、農村開発、田園地帯を扱う環境・運輸・地域省、それから内務省の中の動物愛護とか狩猟とか、こういったものを全部ひっくるめて環境・食料・農村省ということで一体化しておりますから、そういう例に倣っても、このことは私は必要なことではないかと。 中馬行革大臣、ひとつぜひ、行革国会ですから、総理のもとでこれを進めてもらいたいと思っております。
○中馬国務大臣 厚生省や労働省を一緒にしたり、建設省、運輸省を一緒にしまして国土交通省、こうした大きな省庁再編成をいたしましたのが平成十三年一月でございまして、それから五年を……(発言する者あり)わかりました。 そういうことで、見直しの時期に入っていることもこれまた事実でございますから、今のことも踏まえまして、今の時代に合ったことで、例の防衛庁と施設庁のこともありますし、そういったこもごものことを含めて、大胆に私は不断の改革の努力をしていかなければいけないと思っていますし、省庁再編成はもちろんその一つだと思っています。
○松岡委員 何でこの農林関係と環境が表裏一体かといいますと、私は阿蘇山が生まれたところでありますが、阿蘇の景観というのは畜産で成り立っているんです。 放牧をいたします。放牧をいたしますから、その準備作業として野焼きをいたします。野焼きをすることによって、古い草を早く焼いて新しい草を早く出す、虫も駆除する。それで、私も二回出ました、これは全部ノルマですから。去年の三月も久しぶりに行ってまいりまして、野焼きに参加してまいりました。そこで、畜産の発展がやはりあの野焼きにつながる。これで畜産をやめてしまったら、だれも野焼きをしないですから、これをボランティアとか金をかけてやったら大変なことなので、やはり畜産の振興と阿蘇の景観が実は表裏一体になっている。 こういったことからも、農林水産と環境はまさに一体ではないか、これはちょっと付言をしておきたいと思います。 その次に、これはちょっと話は変わりますが、WTOです。 先ほどから農産物、FTAの問題、甘利さんも言っておられました。今までFTAというと、私も自民党の農林関係の役を随分、今もさせていただいておりますが、そうすると、FTA反対だ、だれが言うんだ、農林関係が言っていると。私は、最近全くそう思っておりません。全く思っておりません。というのは、なぜかといいますと、今まで、守らなきゃ守れないと思っておったんですが、守っておったのではちょっとずつとられて、ちょっとずつなくなって、結局負けていくんですよ。 問題は、では日本は弱いのか。全然弱くない、強いということを確信しています。それは、量では負けます。だから、さっき総理がおっしゃった安売り競争、安売り競争では勝てません。なぜならダイヤモンドなんだから、こっちのは。プラチナなんですから。ダイヤモンドやプラチナが、普通の石とは言いませんが普通の宝石と、それは安売り競争したら負けますよ。しかし、これを買う人はだれだ、だれならこれを買うんだといった高売り競争だったら、みんな飛んできますよ。 したがって、そういう市場にすべきだと思っていまして、日本の米というのは、米の市場だけでいいますと、世界に今六十四億人口がおりますよ。穀物が二十億トン生産されています。いろんなものがありますが、米も野菜も肉もありますが、六十四億の人口が二十億トンの穀物、これを主食に今生きています。その二十億トンのうち米は五億トンです。五億トンのうち、中国人が二億四千万トン食います、ほぼ半分近く。我が日本は八百四十万トンです。だから一・六%ぐらいなんですよ。ということは、もう一つかみなんです、一握りなんだ。それぐらいしかないもので、こんなうまいものはないんです。 ところが、残念ながら、まだ輸出が中国本土にできない。私はそれを目指して、それで、日本の農産物を輸出する会、農産物輸出促進議員連盟、これをつくって三年ぐらいやってきた。最初は四、五人ですが、今は百六十名ぐらい入っていまして、こういうことをやっている。後でちょっとそれは言うんですが、したがって、それは先ほどおっしゃったように……(発言する者あり)炊飯器もそうなんですが、全部そういうことで、こんなにいいものをどうやって買ってもらうかとなったら、もう黙って買い出す。したがって、そういうことで、FTA恐れるに足りないと思っています。だから、本当にまだ自分たちの価値にみんなが気がついていないわけで、そういうような意味で、これは、将来にわたっては中国なんかは一大市場になる。そういう意味で、私は、将来だって恐れる必要はない、こう思っています。 そこで、きょうはWTOの問題なんですが、今、中川大臣も苦労されておられますけれども、香港がうまくいったと言っていますが、何とか乗り越えたというところが正直で、うまくいったというよりも、三分野であります輸出補助金と国内支持は決着つきました。もうこれはやめるということになったんですから、方向として。あと残ったのは市場アクセスだ。外堀、内堀埋められて、逆に厳しい戦いをしなきゃならぬ、これが現実だと思います。今のままいって、上限関税反対、センシティビティー品目の獲得、こういって、代償なしで上限関税を反対できて、代償なしでセンシティビティー品目を獲得できれば、それは交渉は勝ちだと思います。ところが、代償を払うとなると、結局は、まあ負けをどのくらい少なくするかというだけの交渉になってしまう。 だから、私は、もうお互いわかり合っていますから、きょうここで手のうちをさらして言うことは国益に反しますからそれ以上は言いませんが、ひとつぜひこのWTOも、先ほど総理おっしゃった攻めの交渉、そういう心構えで臨む必要がある。もうあと二、三カ月ですけれども、三、四カ月ですけれども、そういう意味において、大臣の心構えだけをちょっとお聞かせ願えればと思います。
○中川国務大臣 松岡委員には、WTO、FTA、それから輸出含めて、日ごろから大変御指導をいただいているわけでございますが、認識はもう、党の幹部でありますから、いつも同じ認識でございますが、香港では、御指摘のように、我々の最も恐れております守りの部分、マーケットアクセスが、いよいよ地上戦に入らないで終わったということ。他方、小泉総理がみずから発表された開発パッケージというものを強く打ち出した結果、トータルとしては評価されているという状況であります。 いよいよこれからこの農業のアクセスの部分。これは、今松岡委員御指摘のように大変厳しい、攻めというよりも守りの部分でございますから、何とかパッケージの中で、攻めるところは攻めて、守るところは守って、そしてやっていく。これだけ取り出してやると、本当にもうG10、G10の中でも、大半が途上国でございますから、いわゆる先進食料輸入国というのはもう数カ国しかないわけで、他方、途上国ラウンドですから別扱いということにもなりかねませんので、ここは与党、野党を問わず、厳しい状況にあるという認識のもとで、しかし、我々がこれから何ができるのか、積極的に交渉に参加をし、行動し、発言をし、そして仲間づくりをしていく。 その点で議員外交も大変重要になってくると思いますので、これはもう松岡先生初め、全国会の皆さん方の御理解をいただきながら、ぎりぎりの交渉を政府全体としてやっていきたいので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。
○松岡委員 ぜひ、大島委員長も大幹部でありますから、よろしくお願いします。 そこで、実は私は、結局このままいったら、輸入をどのくらい少なく抑えるか、わかりやすく言えば負けをどのくらい少なく抑えるか、それだけの交渉じゃとるものがない。したがって、先ほど言いましたように、品質でいったらどこのものよりも物はいいんです。だから、何が一番すごい、日本の工業がどうして強いか、物がいいから強い。そういう意味で、物のよさで勝負する、その競争力においては断トツだろうと思うんですね。したがって、そこを生かして輸出をして、輸出と輸入と、結果的にこれはこっちがはるかに多かったということで、私は日本の農業の将来はある、こう思っています。 二階大臣とあるところで話したときに、まあこんなこと言っちゃ相手に失礼なんですけれども、こっちは一で百ぐらいの値段になる、あっちは百でちょっとしかならない、こう考えたら、これは差し引きどっちが得か、やはりこういったことも含めて。 そうなりますと、どうしても、今まで輸出したことがないので、検疫が問題なんです、検疫交渉。きょうはここで御答弁は要りませんが、検疫交渉をしっかりやらないと、日本は今まで農産物を出す交渉というのはしていない、入れることをどうだという交渉はしていますが。したがって、ぜひとも、大臣のもとにおかれまして、検疫の交渉体制、これをしっかりと強くしてもらいたい。これは特に要請をしておきたいと思います。どうぞ、大臣。
○中川国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、農業というと物の貿易になりますけれども、トータルとして、少しでもポジションを強くするためにはSPS、検疫、それから知的財産権ですね、育成者権とかIPRの問題、こういう周辺の部分の大事な部分もセットで交渉していく必要があると思います。御指摘のとおりだと思います。
○松岡委員 あと、それから、これは地方の問題、課題でありますが、ぜひ国土交通大臣とそれから二階大臣に恐縮ですがお願いでありますが、今、地方の商店街は本当に大変な状況でございます。もう私がここで言葉を弄して言う必要もないと思います。 名前は言いませんけれども、大きな店がございまして、そこにやられてやられて、もうみんな死んでいる、死にかかっているというよりも、もう死んでいる。そういう状況の中で、昨年来、まちづくり三法の抜本見直し、これは我が党の公約でもございますし、自民党、公明党のワーキングチームで、先ほど質問されました甘利座長を中心にして取りまとめられたわけでございます。そこで、これを用途規制によってきちんと対応する、そしてまたもう一方で、中心市街地活性化法も大きく改正をしてこれにこたえる、こうなっております。 問題は、商業地域と近隣商業地域、そこまではやむを得ないというか、そこまではいい。しかし、準工業地域まで加えますと、これはもう実質骨抜きになってしまう。こういったことをしっかりと体していただきまして、与党の方針に即して、私は今国会でぜひともこの解決を図っていただきたい。そして、地方の中小商店街が頑張っていけるような枠組みをつくっていただきたい、このことをお願いいたします。
○北側国務大臣 我が国は、人口減少社会に入りました。また、本格的な高齢社会がいよいよ到来するわけでございますし、また、財政面でも社会資本整備をどんどんできるような状況にはありません。そういう中にありまして、まちづくりに当たりましても、どんどん町が広がっていくのではなくて、むしろ、既成の、つくられた町というものをしっかり活用していく、それをリニューアル、再生していく、そういうところに重点を置いていかねばならないと考えております。 そういう意味で、今おっしゃった大規模集客施設につきましても、都市機能の中でやはり適正立地をしていただく必要がある。郊外にどんどん出ていくだけではなくて、やはり中心市街地の中にきちんと立地をしていただくということが大事であると思っておりまして、商業地域等以外の地域におきましては一たん立地を制限させていただいて、立地をする場合には、都市計画の手続を経ることによって地域が判断する、このような制度に改めることを今検討しております。今国会で都市計画法の見直しを提出させていただきたいと思いますし、また一方で、中心市街地を活性化するための支援対策についてもしっかり充実をさせていただきたいと考えております。
○二階国務大臣 基本的にはただいま国土交通大臣が御答弁なさったとおりでありますが、我々は、この三法の見直しによってコンパクトでにぎわいのあるまちづくりをしよう、こういうことでありますが、私は、これはなかなか法律を変えただけで一朝一夕に、直ちに町がにぎわいのある町になっていくかどうかというのは、これはやはり商店街その人たち自身の奮起にかかわるところが多いと思います。 そこで、先ほども経済産業省で関係者と話し合ってきたところでありますが、私は、この三法を改正して、そして新たに中心市街地の空洞化を解消していこう、人口減少に対して対応していこうという政府のこの決意は伝わると思います。しかし、その次に、本当に町が活性化するためには、商店街の皆さんと十分協議して、政府が何ができるかということとともに検討を加えていかなきゃならぬ。したがって、地方経済産業局ではそれぞれの商店街に人を派遣するぐらいの決意でもって商店街の活性化のためにやっていこうということでありますので、このことを発案していただいた自由民主党におかれましても今後一層の御協力をお願いしておきたいと思います。
○松岡委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。 あと三分とちょっとぐらいになってしまいまして、あと一問だけと思っておったんですが、時間が間に合うかどうかわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。 問題は、少子化対策であります。 この問題につきまして、ついこの前、二〇四〇年には日本人の人口は一億ちょっとになってしまうんだ、今の一・二九が一・一六に二〇二〇年には出生率が落ちるんだ、こういう大変ショッキングな話でございます。 どうやって少子化を乗り越えていくか、こういうことでありますが、その中で特に一番大事なのが、私らも若いお母さんからよく言われるんですが、問題は小児救急。いざというとき子供が救急でどこに行ったらいいか、それがわかっておれば多少時間がかかっても安心で安全なんだけれどもということで、どうしても二十四時間体制の小児救急というものを充実してもらいたいという声が非常に強いわけであります。おととしですか、坂口厚生労働大臣のときに、私は、選挙区で三万名の人たちが署名を集めて参ったことがあります。例えばシャープ八〇〇〇番の実施だとか、小児救急二十四時間体制の充実ということを、これはもう強い思いで皆さんと一緒にお願いに来たことがございます。 この点につきまして、もうあとちょっとしか時間がございませんので、時間の限りでぜひお答えをいただければと思います。では、まず厚生労働大臣。
○川崎国務大臣 小児救急でございますけれども、委員がよく御存じでございます。 お父さん、お母さん方が、まず子供の容体がよくわからない、余り経験がございませんから。したがって、現実、小児救急に来られる方の九割は軽症が多うございます。したがって、それを解消するためには、まず医師による電話相談、それが今、シャープ八〇〇〇番。ちょっとまだ携帯電話は設備ができておりませんけれども、一般の電話でシャープ八〇〇〇番を押していただくとそこへつながる、容体をお医者さんが聞いていただいて、対応を決めていただく、それがまず第一だろう。 第二番目は、一割、二割、どうしても救急医療が必要だという体制で、二十四時間体制をしっかりとれというお話でございまして、ことしは救命救急センターにおいて小児救急専門病床、二十四時間体制をとるということで予算化をさせていただいております。一番大事なことは、やはり大学病院また地域の医療機関がどこへそういう拠点をつくるか。これは厚生省主導というより、やはり県主導で地域拠点というものをしっかりつくっていただきたい。 いずれにせよ、趣旨に沿うように努力してまいりたいと思います。
○松岡委員 ありがとうございました。ぜひとも二十四時間体制の充実ということをよろしくお願いしたいと思います。 きょうはこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大島委員長 これにて中川君、伊吹君、甘利君、松岡君の質疑は終了いたしました。 次に、井上義久君。
○井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。 私は、冒頭、総理に二点お伺いしたいと思います。 一点は、官製談合疑惑事件でございます。 防衛施設庁をめぐる入札談合事件に施設庁の幹部職員が関与していたという、まことに遺憾な事件が起きました。いやしくも、防衛庁は国の安全保障をつかさどる官庁であり、国の安全保障というのは国民の信頼がなければ成り立たない、そういう意味で、防衛庁は猛省をしてもらいたい。そして、額賀長官の決意にもありましたように、これまでたまったうみを全部吐き出して、施設庁を解体するつもりで、二度とこのような事態が起きないよう再発防止策を早急に取りまとめ、国民の信頼回復に努めていただきたい、このことを冒頭強く申し上げておきます。 再発防止のために、与党といたしましても、官製談合防止法の強化を目指して今協議をしておりまして、この国会にも改正案を提出したい、このように考えておりますけれども、この官製談合防止について総理のお考えを承りたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 昨年十二月に、与党、自民党、公明党で、官製談合防止、今までの法律でいいのかどうか、談合事件が相次いで摘発されておりますので、よく自民党、公明党、現状でいいか、改善策はどうあるべきか協議してほしいと指示していたところでありますし、最近の防衛施設庁の問題を見ますと、やはり改善策が必要だなと。こういう事件が相次いでいるという反省も踏まえて、今後、問題点を自民党、公明党でよく整理していただきまして、公共工事の入札契約の改善策等をよく整理していただいて、再発防止策、一層強化するようにぜひともまとめていただきたいと思っております。
○井上(義)委員 もう一点、イランの核問題でございます。 IAEA緊急理事会が、イランの核開発問題に関しまして国連安保理に付託をする決議案を採択いたしました。イランはこれに大変反発をしておりまして、ウラン濃縮活動を進め、IAEAによる核査察を制限する考えを表明しております。国際的に大変緊迫した状況となっているわけでございます。 今後、我が国としても、国連やIAEAとも緊密に連携をとりながら平和的な解決を目指すのは当然ですけれども、それに加えて、我が国とイランは古くから交流をしてきていることを考えますと、政府特使を派遣するというようなことも含めて、我が国としてもあらゆる外交努力を行うべきだ、このように考えておりますが、総理の見解はいかがでございましょうか。
○小泉内閣総理大臣 IAEAにおきまして、イランの核開発の問題については、理事会での問題となって、決議が採択されました。 我が国とイランというのは、今までも友好的な関係を維持しておりましたし、また、将来のエネルギー等の関係を見ますと、大変重要な、影響力のある国であります。 そういう中で、イランが国際社会から孤立しないように我が国としてもできるだけの働きかけを行っていかなきゃならない。麻生大臣も、イランの外相とも電話会談を通して、国際社会からの懸念に対して誠実に対応して、孤立しないようにという働きかけも行っているところでありますし、今後とも、我が国としてできること、そして、国際社会と協力して、イランが孤立を避けるような働きかけをいろいろな点からしていきたいと思っております。
○井上(義)委員 特使を派遣するということも一つの手だと思いますけれども、この点については、総理、どうでしょうか。
○小泉内閣総理大臣 特使はどうかも含めて、さまざまな働きかけがあります。また、イランの政府の高官も日本を訪問するということもあります。各方面からの働きかけが必要だと思っております。
○井上(義)委員 次に、昨年末から日本列島は記録的な大雪に見舞われまして、雪おろし中の転落事故を含めまして、百十八名を超える方が亡くなるという大変甚大な被害をもたらしたわけでございます。まず、お亡くなりになられた方々の御冥福と、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げたいと思います。 昨日も、北東北三県、青森、岩手、秋田の知事さんとも懇談をしたんですけれども、被害は極めて甚大でございます。 そこで、まず冒頭お願いしたいことは、この豪雪により多大な被害を受けた地方公共団体に対して、雪害から住民生活を守るための資金需要、これはもう例年の一・五倍から二倍でございます。それに対応するために十分な予算措置を講じていただきたいということでございます。特に特別交付税ですけれども、除排雪の費用の支援あるいは雪おろしの経費など、交付対象をできるだけ幅広く適用して手厚く交付をしていただきたい、まずこの点を政府に強く要請するものでございます。 あわせて、県道、市町村道の除雪についても、国交省いろいろ御努力していただいておりますけれども、今後さらに積雪が予想されるということで、今後予想される被害に対しても、予備費等十分に活用して予算措置を講じていただきたい。総務大臣、国交大臣にお伺いをしたいと思います。
○竹中国務大臣 雪害に関連して、地方に対する財政措置、できるだけ幅広く、手厚くという御指摘でございます。とりわけ特別交付税、大変重要だと我々も思っております。 今回、大変深刻な被害が広がっているという認識を持っておりまして、道路等公共施設の除排雪、さらには高齢者の雪おろし支援などに要する経費が多額に上る地方公共団体、これは大変皆さんお困りだと思っております。そうしたところに対しては、特別交付税により所要の措置を講ずることとしております。 この特別交付税でございますけれども、原則としまして、十二月と三月、年二回交付することにしているわけでございますけれども、ことしの冬の豪雪が大変深刻なことを踏まえまして、災害救助法適用団体など八十五の市町村を対象にしまして、三月に交付すべき特別交付税の一部を、約七十九億円でございますけれども、これを繰り上げて交付するということにしております。明日に交付決定を行いまして、二月の九日に交付をする予定にしております。ちなみに、豪雪、大雪のためにこのような繰り上げを行うのは初めてのことでございます。 さらに、三月分の特別交付税の算定がございますけれども、これは、地方公共団体からよく事情をお聞きいたしまして、財政運営に支障が生じないように適切に対処してまいります。
○北側国務大臣 道路はライフラインそのものでございます。今、豪雪地帯の住民の皆さん、また、地方団体の皆さんがこの道路の除雪に連日連日大変な御苦労をされていることは、本当に頭が下がる思いでございます。 予算面においても、当初予定した予算がもうないというふうな自治体もたくさん出てきておりまして、道路の除雪費につきましてしっかりと支援をさせていただきたいと考えております。道府県関連道路につきましては、一月の十三日に百六十九億円緊急配分いたしました。市町村道の除雪費につきましては、先般、事業費約五十五億円ということで緊急措置をいたしました。 二月の下旬、今月の下旬にもう一度きちんと除雪状況等につきまして再調査をさせていただいて、さらに必要な支援措置を講じてまいりたいと考えております。
○井上(義)委員 よろしくお願いしたいと思います。 今回の豪雪の被害は、御承知のように、高齢者に集中したことが大きな特徴でございます。亡くなった方の七割が六十五歳以上の高齢者でございました。豪雪地帯の過疎化、高齢化、今後ますます進展する中で、この高齢世帯の屋根の雪処理の問題でありますとか、あるいは過疎集落の雪処理体制や交通網の確保でありますとか、あるいは、積雪期の過疎地域における医療体制の確保といった問題点がクローズアップされております。 そういう中で、私は、災害弱者であるそういう高齢者の方あるいは障害者の皆さんの雪害に対する要援護者マニュアル、これが必要ではないかというふうに思っておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○沓掛国務大臣 今委員がおっしゃられた件につきましては、災害時における要援護者の避難支援に対するガイドラインというのを昨年三月に作成いたしました。それは、一昨年、一連の大水害等によりまして福井、新潟で大きな被害を受け、高齢者の方が多く亡くなりましたので、それを契機として、昨年三月につくらせていただきました。 内容としては三つに分かれておりまして、第一項目で、体制を整備していただく、市町村においてその援護者のための室や班をつくっていただく、それから二番目には、そういう要援護者のリストアップをしていただく、それから三番目に、その一人一人に対してどのように避難支援をしていくかということを決めていただくという形で、一応ガイドラインという形でつくらせていただいております。 もちろんこれは、今先生、豪雪時ということですが、災害時もほぼ似たようなことでもあり、高齢者に対しての要援護ということについても、要援護者という形で大体網羅できているのかなというふうには思いますが、先生が今おっしゃられましたような、除排雪とかいろいろなことも含めたそういう中での対応というと少しこれよりも枠が広いのかなというふうな思いもいたしますし、先生はよく法律の話もなさいますが、これはあくまでも通達という形で、消防庁と内閣府の通達として市町村に出させて、今、そういう取りまとめを一生懸命やっているところでございます。
○井上(義)委員 雪害ということに着目した要援護者のマニュアルをぜひつくっていただきたいと、改めて要望しておきたいと思います。 この雪害というのは、地震とか風水害に比べて、いわゆる突発的に来るというよりも、ある程度予測可能な自然災害であるというところに私は特色があると思うんです。積雪予想だとか積雪量に応じてさまざまな対策をとり得るということを考えますと、今後高齢化とか過疎化が進む中で、ハード面、ソフト面、さらにはまちづくりの観点からも我が国の豪雪対策を再点検する、それで、雪害の予防、応急対策などの総合対策を検討する必要があるんじゃないか、このように考えます。 また、今回の豪雪の対応を通じて、従前の豪雪対策特別措置法とかあるいは災害救助法では対応し切れないという事態が生じています。私は、新たな法整備が必要ではないか、このように考えているわけでございますけれども、この雪害から国民を守るための今後の取り組みにつきまして、ぜひ総理、お考えがあればお示しいただきたい。
○小泉内閣総理大臣 ことしは、例年になく大雪、寒波等被害に遭われている方も多いわけであります。亡くなられた方も大変多い、こういう状況も踏まえてできるだけの措置をしていきたい、また、将来、ことしの被害等を十分踏まえて、今後被害を最小限にする対策ということもしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○井上(義)委員 次に、人口減社会への対応についてお伺いしたいと思います。 昨年は戦後初めて人口が減少いたしまして、当初の予測より早く人口減社会に突入をいたしました。この最大の要因は出生率の低下ということにあると思います。昨年生まれた子供の数は百七万人でございます。このまま推移をいたしますと、これは人口問題研究所の低位推計ですけれども、二〇二五年には六十八万人、二〇五〇年には四十三万人と、出生数は現在の半分以下になってしまうわけでございます。ちなみに私は、団塊の世代、昭和二十二年生まれですけれども、二百五十六万人生まれておるわけでございますから、大変な減少ということになるわけでございます。 小泉改革の大きな目的の一つは、後世代に負担を残さないということであると思うんですけれども、しかし、このままでは、たとえこの構造改革に成功し、経済が復興して持続可能なすばらしい国ができた、しかし伝える子供がいないということになりかねないわけでございまして、私は、この国の未来を私たちの子供に残すということを望んでいるわけですけれども、そのためには、どんなに困難でも出生率の低下に歯どめをかけなければいけない、このように思っているところでございます。 そのためには、これまでの対策の延長ではなくて、社会保障、税制、あるいは働き方、教育、あらゆる面で総合的な社会のあり方を変えていく、私たちはそれを、チャイルドファースト、いわゆる子育て、子供が生まれ育てることを優先する社会に大きく転換をしていかなければいけない、それが私は、人口減のスピードを緩めて我が国の新たな活力を生み出すチャンスだ、このように思っているわけでございます。 そこで総理に、まず、この人口減社会というものをどのようにとらえ、そしてどのようにこれに対応されようとしているのか、お考えをお伺いしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 我々の子供時代、五十年前、六十年前が、大体一年間二百五十万人ぐらいの赤ちゃんが生まれていたけれども、去年一年間の赤ちゃんの生まれた数が百十万人を切ったということでありまして、今、井上政調会長が言われたように、これが、将来このままの趨勢が続くと五十万人を切る、これは何としても食いとめなきゃならない、この少子化の流れを変えていかなきゃならないということで、政府としても各方面と協力しながらこの少子化対策を展開しておりますが、私が就任以来、やはり、男の仕事は外、男は仕事、女性は家事、育児、そういう時代じゃない、男も女も、仕事も家事も育児もやる時代に入ったということから、男女共同参画時代、こういうことで、できるだけ女性の社会進出を支援していこうと。 そこで、一番今働いている女性が希望しているのは、保育園に入りたくても子供を預けられない、これがもう最優先事項だという要望が私のところに寄せられました。それではということで、最初の所信表明でも、今は十五万人の待機児童がいるから、これを三年間でゼロにしましょうと目標を掲げて、それを実現しましたけれども、いざその目標が実現してみると、十五万人じゃ足りない、まだ待機児童がいるからということで、それでは必要な予算をつけましょうということで、新たな予算をつけております。 待機児童ゼロ作戦をこれからも続けていきますし、同時に、最近は、保育園のみならず、学校に通ったお子さんが、学校から帰ってきて、親が仕事に出ていますから、一人でうちへ帰る。この午後二時から、大体学童が、小学生が家に帰ってくる、親がいなくてどうしようか。午後二時から六時までというのが今までの考えでありましたけれども、ところが、六時には親御さんは帰ってこない。会社で早引けするか残業しない、すぐ帰ってこなきゃならない。これはやはり現実とは違うんじゃないかということで、最近は、午後十時までが大事なんだと。 午後二時から夜十時まで、これは、現場の人の声を聞きますと、魔の八時間と呼んでいると。何だって、魔の八時間。それは、小学生が学校から帰ってきて一番悪に染まりかねない危険な時間だから、子供にとって午後二時から夜十時までの八時間が魔の八時間なんだと。 こういう、単なる保育の待機児童ゼロ作戦だけじゃなくて、学童保育から地域の人が、この二時から夜十時の間に、親御さんが帰ってこなくても、子供は社会の宝だという意識を持って協力して、悪に染まらないように対策を展開できないかということで、今、それに向けて、魔の八時間対策にも、民間の協力を得ながら、地域の協力を得ながら、政府として何ができるかということを展開しているわけであります。 いずれにしても、社会全体で子供を育てていこう、支えていこうと。子供を初めて持って、昔だったら、親に相談する、おじいちゃん、おばあちゃんに相談する。それが、親がいない。初めて子を持って若い親御さんが、泣いただけで戸惑っちゃう。これも困るから、そういう家族の少ない親御さんに対してどういう支援の手あるいは相談に乗るかということも考えていかなきゃならない。 各般の対策を講じてこの少子化の流れを変えていこう、そして、子供の健全な教育のために地域がどのような支援ができるか、それを全体で考えていこうということをさらに強化していかなきゃならないと思っております。
○井上(義)委員 先ほど申し上げましたけれども、チャイルドファースト社会、これは和製英語で私どもの造語でございますけれども、いわゆる子供が生まれ育つことを優先するような社会の構築をしなければいけないということで、具体的な改革のあり方については、少子社会トータルプランということで何とかこの春までに取りまとめたい、こういうふうに思って今検討しておりますけれども、きょうは、その検討内容を踏まえて、働き方の見直しと経済的支援、この二つに絞ってちょっとお伺いしたいと思います。 まず、育児休業制度があります。徐々にこれを備える企業がふえてきていることは大変結構なことだと思います。ただ、我が国の現状ですと、たとえ職場復帰できたとしても、やはり現役時代の職場には戻れないという心配がある。そういうことから、なかなか育児休業はとりづらいという状況があります。 職場復帰を円滑に進めて育児休をとりやすくするということがまず第一ですけれども、その上で、在宅ワークや短時間勤務、あるいはフレックスタイムなど、弾力的な労働時間や勤務形態を認めることも選択肢の一つとして整備すべきではないか、このように思います。また、再就職のための相談、教育訓練、就職あっせんなどのワンストップサービスを充実すべきだ、このように思いますけれども、厚生労働大臣、どうでしょうか。
○川崎国務大臣 御指摘のとおり、社会全体が、働く若い夫婦そして子供を持つ夫婦をどう受け入れていくかということに尽きるだろうと思っております。 特に、女性が勤めていて、子供が生まれて仕事から引かれてしまう。その場合に、なかなか仕事に復帰しにくい。したがって、できる限り仕事を続けていただきたいというのがまず第一の政策であろう。したがって、三歳までの子を養育する労働者に対し、第一に短時間勤務、それからフレックスタイム制、それから時間外労働の免除等を義務づけております。 また、三百一人以上の大企業に対しましては、次世代育成支援ということで、企業全体でどうとらえていただけますかという計画を書いていただくことになっております。公表しても構わぬという企業がいらっしゃいましたら、それを私どもの方から各所の企業に逆に公表させていただいて、こういう企業がそういう若い夫婦を支えていますよということを公表していきたい、このように思っております。 それから、今御指摘があった、今度は、一たんやめてしまったという方々については、マザーズハローワーク、そういう意味ではそういう方々専門のハローワークをつくって、そこで新しい仕事についてもらうということを支援していく。 いずれにせよ、複合的にさまざまな政策を進めていかなければならない、このように思っております。
○井上(義)委員 それからもう一点、有給休暇を子育てのために活用できないかということでございます。 年次有給休暇の消化率は、二〇〇〇年には五〇%を割り込んで、現在四六・六%まで低下しているんですね。この有給休暇を、例えば時間単位の取得を可能にするとか、あるいは一定以上の連続休暇を認めるというようなことで、この有給休暇を子育てのために有効活用できるような仕組みにするということも有効な手段だと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。
○川崎国務大臣 この一月の二十七日にまとめられました今後の労働時間制度に関する研究会報告書におきまして、今、井上委員御提案の年次有給休暇、これを一日単位でとるのではなくて、三時間ずつとっておけ、こういう話、それからまとめてとれぬか、それからフレックスタイムの活用ということでまさに提言をいただいて、これからどのように具体的にしていくかという段階を迎えている、こういうふうに理解をいたしております。
○井上(義)委員 ぜひ実現をしていただきたい、こう思います。 それから、結婚、出産を機に退職して、その後パートとか派遣で働く女性、これは、育児休業や保育所などの面で非常に不利益をこうむっているわけでございます。 育児休業法の改正、平成十六年で、条件つきでパートの方への適用を認めたり、また、週二、三日程度子供を預かってもらう特定保育事業の導入などでこのパートタイマーの方々の子育て支援が少しずつ前進していることは歓迎すべき動きだと思いますし、今後さらに充実すべきだというふうに思います。 やはり、このパートタイマーの方とかあるいは派遣労働者の労働条件の待遇改善とか、さらに、希望者にはパートから正社員へ転換できるような仕組みや、正社員並みの教育訓練が受けられるような環境整備をするということも私は子育て支援の大変重要な方法だと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。
○川崎国務大臣 今言われたことも必要な条件整備であろうと思っております。 パートタイム労働者が必要な教育訓練を受けられるようにするとともに、一定の条件のもとに正社員に転換できるという環境を整備していくことが極めて大事なことだと思っております。 さらに、平成十八年度予算において、パートタイム労働者から正社員への転換制度の整備や正社員との均衡を考慮した教育訓練の実施について、新たに助成金の支給対象とするなど、事業主自体へ、こうしたことを採用する事業主へ支援していくというようなスキームをつくりながら、いずれにせよ、パートタイム労働者の就業環境の整備に全力を尽くしたいと考えております。
○井上(義)委員 次に、経済的な支援の充実ということについてお伺いしたいと思います。 子育て世帯は、医療費とか教育費あるいは住宅費などの負担増とともに、結婚、出産によって女性の七割が仕事をやめざるを得ない。したがって、世帯収入が低下をして家計は一層苦しくなる。また、都市化とか核家族化に伴って、先ほど総理からも御指摘がありましたけれども、地域の子育て機能が低下している。あるいはバブル崩壊以降、企業も効率化優先で、子育てに係る負担を縮小してきた。こういったことが子育て家庭の負担を増大させ、少子化に拍車をかけてきたのではないか、このように思うわけでございます。 もちろん、少子化対策ということについては、世帯の状況とか年代におけるさまざまなニーズがあって、それらを重層的に組み合わせていくということは非常に大事なんですけれども、やはり、経済的支援を求める子育て世帯のニーズというのは極めて高い。そういう意味で、経済的支援にはいろいろあるんですけれども、その柱となる児童手当の抜本拡充ということについてお伺いをしたいと思います。 まず、十八年度予算において、児童手当を拡充するということを予算に盛り込んでいるわけでございます。法案提出はこれからだと思いますけれども、その概要についてまず確認をしておきたいと思います。
○川崎国務大臣 昨年の折衝におきまして、自民党、公明党の政調会長、井上先生もですけれども、それと財務省、総務省、厚生労働省入りまして、児童手当の拡充において議論をいたしました。 対象範囲を拡大できないかということで、一つは、小学校三年生から六年生まで支給範囲を上げる、それから、経済的な要件をできるだけ省くということから、九〇%まで拡大ということで決着をいたしまして、今回の予算として計上させていただいているところでございます。
○井上(義)委員 ここに表がございます。これは児童手当のこれまでの沿革でございますけれども、昭和四十六年にこの児童手当が創設をされました。最初は、第三子以降義務教育終了前、月額三千円ということだったんですけれども、対象児童を拡大しようということで、平成四年に、現在の一番もとになっている第一子まで拡大をして、そのかわり三歳未満ですよと。そして第一子、第二子を五千円、第三子以降は一万円、こういう制度になりました。 対象数それから予算でいいますと、平成十二年の改革までは、ほぼ三十年間、児童手当は事実上もう前進してこなかったわけでございます。それが、平成十二年に義務教育就学前まで拡大をする、それから、平成十六年に小学校三年生まで拡大をする、そして平成十八年、ことし、小学校修了時まで拡大をし、なおかつ所得制限も九〇%まで拡大をするということで、飛躍的にふえたわけでございます。 これは事実だから申し上げますけれども、公明党が連立政権に参加したのは平成十一年でございまして、必死になって公明党が児童手当の拡充ということを訴えてきてこれが飛躍的に増大をしたというのは、これは事実なので申し上げます。 しかしながら、この拡充のたびに、やれ児童手当はばらまきだということで批判されて、特に、野党の中でも民主党の皆さん、もうことごとく反対でした、この法案には。多分、今回の改正には反対はされないというふうに私は思っておりますけれども、児童手当が軽視をされてきた。 その理由としては、やはり少子化対策というのはさまざまな政策を複合的に組み合わせるものであって、児童手当はその一部にすぎないんじゃないかという考えもある。あるいは、児童手当は現金支給で、やはり拡充となるとその財源が非常に大きい、どうしてもちゅうちょをしてしまう。あるいは、この児童手当を含めて経済的な支援というのは、少子化対策にどの程度効果があるのかということを検証してこなかったというようなことがあって、なかなかこれを拡大するということが難しかった。このように思うわけでございますけれども、児童手当のこれまでの経緯について、厚生労働大臣、どのような感想をお持ちでしょうか。
○川崎国務大臣 少子化対策に成功しましたイギリス、フランスの例、それから、残念ながら我が国と同様に苦しんでいるドイツの例、いろいろな例をとりまして議論をしているわけですけれども、基本的に、児童手当だけで少子化対策になるというのは、なかなか数値的には難しかろうと考えております。 今御議論いただきました雇用の問題、それから保育の問題、複合的に組み合わせることによって成果が上がったのがフランスという国であろうと思います。たしか、最近の発表では、一・九四まで回復をした。一方で、ドイツの場合は、児童手当は第一子から二万一千円をたしか超えておりますので、ヨーロッパの中でも一番トップを走っているだろうと。しかし、保育関係についてはなかなか考え方が違う。我が家で育てる、こういう意識が強うございますので、ドイツではなかなか保育の設備が整っていないということから、我が国と同様の一・三という状況にあるというのが事実でございます。 そういった意味では、児童手当の拡充にあわせながら、保育それから雇用の環境、こういうものを複合的に整えていくというのが大事な仕事であろうと思っております。
○井上(義)委員 厚生労働大臣のおっしゃるとおりでございます、重要なファクターがやはり経済的な支援と。フランスの例を見ても、いわゆる経済的支援とそういう保育支援というのが、相乗効果で今一・八九ぐらいまでV字カーブで出生率が回復しているという例を見ますと、やはり、この児童手当というのも一つの大きな柱でなければいけないというふうに思うわけでございます。 政府も、少子化対策会議のもとに専門委員会、推進会議を設置して今検討していただいておりますけれども、国民的なニーズも踏まえて、児童手当を含めた幅広い経済的支援のあり方について精力的に議論をしていただき結論を出していただく、与党も、それを受けて何とか骨太に反映させるべきじゃないかな、このように思っておるわけでございます。 総理も、施政方針演説で児童手当の拡充について言及されておりますけれども、今般の児童手当の拡充、そして今後の児童手当の役割について、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 確かに、児童手当だけ拡充すれば少子化の流れが変わるかというと、それだけではないと思います。各府省連携してさまざまな施策が必要ではないかと思っております。 今回、公明党の格段の努力で、児童手当拡充、実現いたしましたけれども、まだまだ足りないという声もあります。そういう点も踏まえて、今後、各府省連携してさまざまな、子供を持っても、働きながら子育ての喜びが感じられるような環境整備がより重要になってくると思っております。
○井上(義)委員 児童手当を抜本的に拡充しなければいけない。少なくとも、現行を金額的には倍、今は五千円、五千円、一万円ですけれども、一万円、一万円、二万円ぐらい、また、中学校三年、義務教育終了まではぜひ抜本拡充をしたいというふうに思っております。 その場合に、これは御提案なんですけれども、やはり子供に視点を当てた経済的支援の仕組みとする。要するに、税による施策から給付による施策へ一元化して抜本的に拡充するということが大事なんじゃないかというふうに思っています。要するに、個々の家族構成等の実情に基づいて人的控除を行う、こういう今は税制措置になっていますけれども、ナショナルミニマムとして子供の健全な育成に国が一定の責任を負う、こういう考え方から、給付による支援に切りかえるべきじゃないか、このように思っているわけでございます。 その際、主要な財源は、私は、人的控除の中の扶養控除、これを廃止して支給に改める、こういう考え方が一番いいんじゃないか。今、どうしても控除ですと、収入の高い人ほどいわゆる恩恵が大きいわけです。所得控除による恩恵です。これが児童手当なんですけれども、要するに、収入の少ない人は恩恵がない。 ところが、子育てというのは、収入が高かろうと低かろうと、同じようにやはり子育てというのは重要なわけでございまして、今度、税制を抜本改革して支給対象を拡大し、また所得制限も撤廃する、支給に全面的に切りかえる、このことによって財源を捻出する、あるいは財政改革によって財源を捻出する、そういう中で抜本的な児童手当を実現すべきではないか、このように思いますけれども、財務大臣、どのようにお考えでしょうか。
○谷垣国務大臣 今までは、子育て支援、特に子育て家庭に対する経済的支援をどうするか、いろいろな議論、公明党でも熱心に議論をされてこられました。それで、今は税のことをおっしゃいましたが、現行は所得控除というやり方でやっておりますので、それは結局、子供がいると税を負担する能力が低くなるだろうという観点からの調整ということで行われております。 では、それをどういうふうにしたらいいのかいろいろ議論がございまして、より財政的支援という形がはっきり出るような税額控除に持っていったらどうかというような御意見もあるわけですね。さらに、今は児童手当との関係でおっしゃったんですが、財政面での支援という形に持っていくべきではないかという御議論もあろうかと思います。国によっても違いまして、アメリカはどちらかというと税中心、ドイツなどは税と財政の組み合わせという形でやっているように思います。 私どもとしては、その辺は十分、今までの効果の検証という議論もありましたけれども、そういう効果の検証、それから諸外国の効果等もよく見て議論をしていきたいと思っております。 もう一つは、やはりしかし、先ほどからの御議論でございますけれども、結局、公債発行によって、次世代、子供たちを支援しながら子供たちにツケを残すという形も余りよくない。そのあたりをどうバランスを図っていくか、よくよく議論をさせていただきたいと思っております。
○井上(義)委員 あくまでも子供に着目して子供を中心に考える、そういう意味で、今の税控除という家族という考え方から、子供を育てている人に着目してそこに現金支給する、こういう考え方に抜本的に転換をすることが、私は、国が子育てについて責任を負っているというメッセージを明確にできるんじゃないか、そういう意味で御提案申し上げたわけでございまして、今後引き続き協議をしていきたい、こう思っております。 次に、がん対策についてお伺いをしたいと思います。特に、きょうは、日本のがん対策のウイークポイントと言われております緩和ケアと放射線治療を中心に質問と提案をさせていただきたい、こう思っています。 我が国の年間死者数は約百万人なんですけれども、そのうち、がんによる死者は約三割に当たる三十万人、いわゆる死亡原因の第一位でございまして、まさに国民病でございます。そういう意味から、やはりがん対策というのは国家戦略として取り組むべきではないか、このように私は認識をしているわけでございます。 このがん対策としては、診断、治療の向上ですとか、あるいは均てん化、あるいは情報開示、さらに、がんのメカニズム解明に向けた研究の推進等、課題はたくさんあるわけですけれども、まず、この均てん化ということについてお伺いしたい、こう思います。 人間の一生で見ますと、いろいろな説がありますけれども、二人に一人はがんになると。これは、高齢化に伴ってリスクが大きくなるわけですから、そういうことだと思いますけれども、そして、三人に一人ががんで亡くなる、このように言われているわけでございます。 問題は、がんの診断、治療の地域格差、病院格差なんですね。厚生省の研究班の調査ですと、病院によって、治療後五年生存率、これが六四%から五二%で、一二%の開きがあるというふうにデータが出ています。このがん医療水準の均てん化へ向けた診療格差の是正が迫られているわけです。どこに住んでいても各患者に最適の専門医療が受けられる、そういう均てん化に取り組む必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、厚生労働大臣、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 まず、がん診療の連携拠点病院、各都道府県につくっていただくということでお願いしておりますけれども、先日、NHKで御指摘いただきましたように、七県がまだ未達成という状況にあります。早くやっていただくようにお願いをいたしております。 その上で、できるだけがんセンターの能力を高めるということは、私は第一に大事であろうと思います。高めたがんセンターに研修に来ていただく。実は、放射線治療とか内科のがん専門のお医者さんを早く育てるべきではないか、そういう御議論があるんですけれども、まだ正直言って育っておりません。そういう意味では、今、がんの診療の現場にある先生方にできるだけがんセンターに来ていただいて研修をしていただく、その上で、地域にお帰りになって、今度は、地域の病院と連携をとりながら地域の均てん化を図っていくということが一番大事であろうと思っております。 そういった意味では、がんセンターの能力を高めますと同時に、研修体制をきちっと整え、そして、地域拠点病院というものをしっかりつくり上げた中で、全国津々浦々まで行ける体制を整えてまいりたいと考えております。
○井上(義)委員 その次に、がんの情報開示ということですけれども、がん情報は、ITの普及によってネットで広く提供されております。しかし、必ずしも有効と言えない、こういう患者の皆さんの声がございます。患者の皆さんあるいは家族が必要としているのは、病院における医療機器の保有情報であるとか、あるいは治療の成績、あるいはがん専門医の有無、あるいは世界の抗がん剤の現状、こういったことを必要としていらっしゃるわけでございます。 さらに、身近に相談できる窓口とか、あるいは納得のいく治療を受けるために気持ちよくセカンドオピニオンを求めることができる、こういうことが患者のニーズとしてあるわけでございまして、そういう患者のニーズを踏まえたがん情報開示の仕組みというものを早急に整える必要があるんじゃないか、このように思いますが、厚生労働大臣の考えを伺いたいと思います。
○川崎国務大臣 まず、がんのさまざまな状況を、がんセンターと拠点病院が一つのネットワークになりながら、日本のがんのさまざまな要因また治療方法、これをまず情報化することが第一に必要であろうと思います。 がんの拠点病院に今度逆に地域の皆さん方が御相談に行ったときに、さまざまな対応、相談ができるような体制も整えていく。そこが、例えばセカンドオピニオンにいたしましても、自分の病院に聞いているんだけれども、拠点病院に一度相談しながら、もう一人の方から御意見をいただくということも当然大事になってまいるだろうと思います。 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、やはり地域ネットワークをきちっとつくり上げることが今喫緊の課題であると考えております。
○井上(義)委員 次に、放射線治療につきましてお伺いしたいと思います。 がん治療の方法は、その種類とか進行度によって異なるわけでございます。主に、手術、あるいは抗がん剤による治療、それから放射線治療、この三つがあるわけでございますけれども、最近、がんの罹患部位の変化などから、放射線治療の重要性が非常に高まっているという指摘がございます。従来、非常に日本で多かった胃がんとか子宮がん、これが、診断や治療技術の進歩によって死亡率がだんだん下がってきている。それに対して、一方で、食生活とかライフスタイルの変化によって、大腸がんとか肺がんとか乳がん、あるいは前立腺がんといった、いわゆる放射線治療が有効ながんが増加をしているわけでございます。 ところが、日本の放射線治療医は現在五百人弱しかいらっしゃらない。放射線の腫瘍学講座があるのは京都大学あるいは慶応大学など全国十二大学にしかすぎないということで、毎年、がん患者の三割に当たる十六万人の方が治療を受けていらっしゃるんですけれども、アメリカではこれが七割に近いという現状でございます。放射線治療医が少ないために、海外では放射線治療が標準的な治療、そういうふうにされる場合でも、日本では、その放射線の専門医が少ないものですから、手術をされるというケースがある、そういうことは珍しくないという指摘もあります。放射線治療の専門医の育成というのは私は喫緊の課題じゃないかな、このように思うわけでございます。 また、昨年、旧の国立弘前病院で過剰照射事故があって、訴訟になりました。これは示談で解決したんですけれども、かなり多額な額で示談が成立をした、こう伺っております。やはり、こうした事故の原因に、いわゆる放射線治療の品質を管理する人材の不足があるんじゃないか、このように言われているわけです。 例えば、米国では理工系の専門家が放射線治療の現場に五千人以上いて、これに携わっている、ところが、日本の場合は医師とか技師が兼務していて、専門の人はもう三名程度しかいない、こういうふうに伺っているわけでございまして、こうした放射線専門医あるいは放射線治療に関する専門の人材をどうふやすか、このことについて今厚生労働省はどのように取り組んでおられるか、官房長官、もし御意見がありましたら。
○川崎国務大臣 井上委員御指摘のとおりでございまして、我が国のがん医療、基本的には、外科医の先生方を中心にしながら積み上げてきた。放射線治療や抗がん剤治療の専門医の数が基本的に足りないという現状にございます。 したがって、先ほどお示ししましたように、やはりがんセンターへ研修に来ていただいて、今がん治療に当たっていられる方々が現実にこうしたものをこなせるように、抗がん剤等の利用をこなせるような形、そういう意味では、外科医の先生方にこういう仕事もしてもらうということになるかもしれません。しかしながら、最終的には専門医を養成していかなきゃならぬだろう。もっと言えば、外科、内科と言わずに、がんという病気に着目した専門医を育てていくということが大事だろう。やっとことしそれが、一期生が出てくるというところでございます。 いずれにせよ、関連学会としっかり詰めながら、人材の養成、もちろんこれは厚生労働省と文科省も関係してまいるかと思いますけれども、しっかりやってまいりたいと思っております。おくれておりますことはまことに申しわけないと思っております。
○安倍国務大臣 先般、放射線治療の専門医の先生からお話を伺ったわけでありますが、まさに委員御指摘のように、放射線の専門医が非常に少ない。今でも少ないわけでありますが、欧米の治療を見てみますと、いわゆる手術による治療、そしてまた抗がん剤等による化学療法、そしてまた放射線療法があるわけでありますが、非常にこの放射線が重視をされているわけでありまして、特に前立腺のがん等においては、手術に匹敵するというか、手術以上に放射線による根治が行われているわけでありまして、日本におきましてもしっかりと患者さんたちにインフォームド・コンセントをしていく、またあるいは、セカンドオピニオンを受けやすい状況をつくっていくことによって放射線治療を受ける、また選択をする人も欧米並みにふえていくことも考えられる。そうなりますと、今よりももっともっとこれは需要がふえてくる、今の人数ではとても足りなくなってくるということになるんだろうと思います。 その点につきまして今は川崎大臣からお答えをしたとおりでありますが、さらに、例えば診療報酬におきましても、がん診療の連携拠点病院をさらにしっかり中医協の中で評価をしていくということになっておりますが、その中でも、この放射線治療について適切なこれは評価も必要ではないだろうか、このように思っております。
○井上(義)委員 次に、緩和ケアの問題についてお伺いしたいと思います。 先般、東大病院の緩和ケア部長をされています中川先生にお話を伺いました。先生の御指摘もあったんですけれども、これは、がん治療とともに、がんに伴う症状や痛みを、特に痛みをコントロールする緩和ケアを施すということが、患者の人格を尊重し生活の質を高めるために大変重要であるという指摘がございました。 ちょっとパネルを。これはその中川先生からいただいた資料なんですけれども、要するに、日本のがん医療というのは、上にあるように、がんの治療ががん末期まで続く。あなた、もう助からないよ、こうなったときに初めて緩和ケアが始まる。要するに、もう本当に痛み苦しんで一生懸命がん治療をやる、あるとき、あなた、もうだめよと言われたらようやく緩和ケアに入る、こういう仕組みになっている。 ところが、やはり緩和ケアというのは、要するに、がんというふうに言われたその日から痛みを取り除いていくということは、その患者の人格を尊重することにもなりますし、それから生活の質を高めるということで、極めて重要で、本来、こういうふうにがん治療と緩和ケアを同時に進めていく、患者のクオリティーを高めながらがんに挑戦していくという仕組みに大きく転換すべきじゃないか、こういう御指摘がございました。 私も、患者の皆さんの話を聞いたり専門家の話を聞いたりして、なるほどそうだなということを思ったわけでございますけれども、本来こういう図式が望ましいんじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
○川崎国務大臣 今の御指摘もそのとおりでございます。 終末期だけでなく、治療の初期段階から積極的な治療と並行して痛みの除去等を行うことが重要と考えております。そのため、早い時期から痛みの除去等を実施することの重要性について医療従事者の認識を高める、そういう意味では、まだまだ認識をしていない医療従事者もあるという逆論になりますけれども、そこをしっかりやっていかなければならないと思っております。 緩和ケアにつきましては、医療従事者等の研修事業、医療臨床研修制度において基本的な緩和ケアができることをその到達目標の一つとすること、がん緩和ケアに関するマニュアルの作成、普及、在宅医療における緩和ケアに必要な麻薬が適切かつ円滑に提供される体制整備等を通じて、緩和ケアの普及と医療従事者の知識、技術の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
○井上(義)委員 今、厚生労働大臣の御答弁のとおりだと思います。 イギリスでは十年前から国家戦略としてがんに取り組んで、この緩和ケアというものをがん治療の中心に据えてきた。まさに先ほどの図式のような治療方法に大きく転換をしてきたということで、今ではどこの病院でも緩和ケア専門の外来がある。この十年間、国がリーダーシップをとって緩和ケアを進めて、生活の質の向上を図ってきたということでございます。 今、厚生労働大臣からも指摘がありましたけれども、がんの痛みをとるには、例えば、放射線治療のほかに、医療用の麻薬であるモルヒネを使うことに非常に効果がある。それで、医療用の麻薬を使って痛みを緩和する方法は国際的にも確立している。しかしながら、我が国では、どうしても偏見や麻薬中毒への警戒から使用がおくれてきているということで、ここにモルヒネの国別使用量の年次推移というのがあるんですけれども、日本のモルヒネの消費量というのは、これが日本です、先進国で最下位、カナダ、オーストラリアに比べると五分の一しか使っていないということで、非常に大きな問題だと思います。 そういう意味で、こういうモルヒネの使用等も含めて、緩和ケアの教育とか普及システムとか、これを抜本的に確立しなければいけないんじゃないか、患者のクオリティーを高めるということをこのがん対策の柱の一つに据えなきゃいけないんじゃないかということで、改めて厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。
○川崎国務大臣 全くそのとおりでございまして、先ほど申し上げました、まず医療従事者が全体的に理解をすることが第一だろうと。それからもう一つは、やはり社会全体が今までの概念とは少し変えて、麻薬の適切な使用というものを緩和ケアに使っていくということをお互いに理解することは大事だろうと。こういうまさに予算委員会の場を通じて国民の皆さん方も少し御理解をいただけたのではなかろうかな、こう思っております。
○井上(義)委員 最後に総理にちょっとこの問題をお伺いしますけれども、米国は、一九九〇年代に入ってがんの死亡率を大きく下げることに成功しております。その原動力というのが、実は一九七一年当時、ニクソン大統領が、がん制圧に向けた国家戦略、いわゆるがん戦争宣言というのを立ててがん対策に取り組んできたということがございます。私は、アメリカが国を挙げてがん対策に取り組んでその結果を出したということに学ぶべきじゃないかな、こう思っています。 そのためには、まず一つは、いろいろ指摘されていますけれども、がん患者の罹患とかあるいは死亡を踏まえた実効性のあるがん攻略のアプローチが必要だと。そのためには、まず正確な実態把握が必要だということで、実はがん登録というのが極めて重要なんですけれども、今日本では、地域がん診療拠点病院の院内がん登録などの仕組みはありますけれども、届け出は義務化されておりませんし、登録漏れも多くて、極めて不十分。したがって、国の制度として法律で位置づけて、精度の高いがん登録体制を確立すべきだという指摘がございます。 さらに、がん制圧計画の策定とか検診の推進などを柱とした日本版のがん対策法、いわゆる総合的ながん対策法というものを検討してはどうかな、このように御提案申し上げるわけでございますけれども、総理に、このがん対策に取り組む御決意についてお伺いしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 がん対策の重要性については、今までも対がん十カ年戦略とか、現在においては第三次がん対策で、死亡率一位になったがんにどのような有効な手だてがあるかということで、がんの研究から予防、治療、それぞれ患者さんの声も、また専門家の声も聞きながら、さまざまな対策が必要だという認識の上でやっているわけでありますが、かなり進歩してきた面もあると思います。今や、がんの細胞を見つけると、他のいい細胞を傷つけないで、そのがんに侵された患部だけを退治できるというような治療法とか、さまざまな研究が進んでいるということも聞いております。 これを法律の制定でやるかどうかはともかく、さまざまな外国の例も参考にしながら、第一位の死亡率のがん撲滅に向けてこれからも十分研究し、今の御提言も踏まえて検討していきたいと思っております。
○井上(義)委員 次に、ちょっと農業問題に入りたいと思いますけれども、その農業問題に入る前に、今回の米国産の牛肉輸入の問題に関連して、農水大臣にお伺いしたいと思います。 一月二十日に成田の動物検疫所で、我が国では米国から輸入を認められていない脊柱のついた牛肉が確認をされました。これに対して、政府内で連携をして直ちに輸入手続を停止したということは、私は極めて適切な措置であったというふうに思います。 しかしながら、今回のことで、米国政府が責任を持っている日本向けの輸出プログラムの遵守体制は本当に大丈夫なのか、しっかりチェック体制なり管理体制ができているのか、そういう意味で、この国の消費者の不安が非常に高まっておりますし、また、それを検証できなかった日本のリスク管理のあり方についても問題点が指摘されています。 こうした中で、先週末に米国農務省の監察官組織OIGが公表した監査報告書の内容、一部報道されていますけれども、その懸念をさらに募らせるものとなっております。この監査報告によりますと、十二の食肉処理施設を対象としているようですけれども、そのうち九施設が特定危険部位除去のための処理結果についての記録がしっかりとなされていなかった、さらに、一つの施設では、この特定危険部位が実際に流通しているかどうかは確認されていないものの、混入されているのが確認をされ、是正したという報告がされています。 要するに、アメリカ自身、米国政府自身がみずからこうした問題を認めている状況で、我が国の消費者に米国政府が責任を果たしていると言ってもだれも納得できないんじゃないか、こう思うわけでございます。 今回の問題だとか、あるいは今回の米国農務省の監察官組織の監査報告書の内容をしっかり踏まえて、今後、国民の食の安全、安心の確保についてどう信頼を取り戻していくのか、農水大臣にまずお伺いしておきたいと思います。
○中川国務大臣 井上委員御指摘のとおりでございまして、これは、いわゆるEVプログラムというシステムそのものに問題があったわけではないんですけれども、アメリカ側が、危険部位は日本には入れちゃいけないというにもかかわらず、結果的に成田で発見されたということでございます。 他方、今御指摘のように、先週末にアメリカの農務省のOIGという独立監察官のレポート、これは一昨年の十月から去年の九月まで一年間かけて調べたということで、これは輸出再開決定前の調査でございますけれども、御指摘のような内容の文書であるというふうに承知をしております。 いずれにいたしましても、この文書も徹底的に精査する必要はございますし、今はアメリカ側に、発生原因の徹底究明とそれから再発防止についてきちっとした報告書を時間をかけてでもいいから出してもらいたいということで、今待っている状況でございます。 水際であの十二月の再開のときに抽出率を上げたり、幾つかの精度を上げた作業を日本側もとっておりますけれども、いずれにいたしましても、アメリカ側の報告書を見て、そしてまた日本側としても、その段階からどうしたらいいか考えていかなければいけませんけれども、日本側としても、食の安全あるいは国民の食に対する信頼、特に、米国産牛肉に対する信頼の回復のためにアメリカ側には最大限の努力をしていただきたいと思いますし、また、次の段階に進む場合には、日本側としても、システムが問題なかったんだから日本側は何もしなくていいと最初から決めつけることはやはり排除すべきではないか。少しでも国民の食の安全に対する信頼に寄与できるようなことが政府として何かあれば、政府部内あるいは農林水産省で、これはもうゼロベースでアメリカからの報告書を徹底的に調査した上で、日本としてもさらにやることがあれば、大いにそれについても検討していきたい。 現時点で具体的に何かということは考えておりませんけれども、常に、食の安全ですから緊張感を持ってやるという意味で、何かあれば対応していきたいという心の準備だけはしておく必要があると思っております。
○井上(義)委員 農業振興についてお伺いしたいと思います。 総理は、施政方針演説の中で、国産農産物が海外で高く売れているということを紹介した上で、意欲と能力のある経営に支援を重点化し、攻めの農政を進めると、改革推進の強い意欲を明確に示されました。 国産水産物の輸出を五年間で倍増しよう、こういう取り組みは総理の音頭取りで今後進められていくことになるわけでございますけれども、経済的な効果にとどまらず、生産者の自信と意欲、販売技術の向上につながるもので、大いに評価をいたします。このことについては、これまでの議論の中でもあったとおりでございます。 しかしながら、我が国の農業、農村が待ったなしの生き残りの瀬戸際に立たされている現状にまず目を向けなければならないのではないのか、何よりも、持続可能な農業の構築こそが喫緊の課題であるということを本日は確認したい。 日本の農業の現状ということについてパネルにいたしました。ここにありますように、農業人口、この十五年間で、この真ん中の赤いのが農業就業人口なんですけれども、三〇%減っています。それから二番目に、その中で六十五歳以上の人、平成二年は二六・八%でした。平成十七年は五八・六%です。これをこのまま放置をしておきますと、高齢化によって農業をやる人がいなくなる。それから耕作放棄地も、平成二年は二十二万ヘクタールでしたけれども、平成十七年は三十八万ヘクタール、一・七倍にふえています。これが日本の農業の今置かれている現状です。このことをまず確認しておきたいと思います。 その上で、今回、経営所得安定対策大綱が昨年十月に決定をして、この国会に法案が出されていますけれども、平成十九年から本格的に実施をされるわけでございます。柱の一つである品目横断的経営安定対策、これは、これまで全農家を対象にし、品目ごとの価格に着目した支援から担い手に対象を絞る、そして経営全体に着目した対策へ転換するということでございまして、私は、戦後一貫して推進してきた規模拡大路線をより明確にしたという意味では、いわゆる戦後農政の総決算だというふうに思っています。 しかし一方で、米の農業総産出額における農家類型別のシェアで見ますと、主業農家の割合はわずか三六%しかありません。先ほどの数の中のさらに三六%。日本農業の中心である水田稲作というのは、準主業農家あるいは副業農家、すなわち兼業農家を含んだ中小規模経営農家によって支えられているわけです。そもそも、この水田稲作というのは、水利調整を初めとして、共同作業を基本に兼業農家を含む多様な担い手が支えてきた、こういう現状がございます。 今回の施策で、担い手として認められた農家に施策を集中する、これが品目横断的な経営安定対策ですけれども、経営面積規模要件によって生産者を二分することになり、地域の結びつきを弱体化させるのではないか、あるいは、担い手と認められないのではという不安を抱く中小規模農家から、選別政策ではないか、こういう批判があるわけでございますけれども、戦後農政の総決算である今回の品目横断的経営安定対策、これについて総理の基本的な認識をまずお伺いしたい。 まず農水大臣、答えてください。
○中川国務大臣 井上委員御指摘のように、十九年度から、意欲と能力のある農業者にもうかる農業をやってもらいましょうということでございますから、その一つの手法が、品目横断的な経営所得安定対策でございます。 これは、もちろん、やる気と能力、意思と能力というのは多くの農業者が持っておられるとは思います。また、そう期待したいと思いますが、すべての農業者に該当するかというと、御指摘のように、これは面積要件がきいてくるわけでございます。と同時に、個々の農家の面積がクリアされない場合には集落営農という手法もあるわけでございまして、これについても、関係者の皆さんは現段階でいろいろな疑問やら不安があることも承知をしておりますが、とにかく農家として、先ほどの攻めの農業じゃございませんけれども、プロの意識を持って、そして、それだけの能力のある個人なり集団がやっていくことによって構造改革がさらに進んでいくということでございますので、全部が全部というわけには、これは認定農業者の中での範囲ということにもなりますし、それから、それぞれが集まって集落営農という形で、組織営農という手法も導入いたしますので、とにかく、その中でもいろいろな例外事項みたいなものも今後幾つか検討することは、もちろん、やる気と能力というものさえしっかりしていれば、できるだけそういうところの実情も把握をしながらやっていきたいと思います。 いずれにしても、今、井上委員のお言葉をかりますならば、戦後農政の総決算として、輸出も含めて、そしてまた、日本じゅうの中で競争して生き残っていくんだという意欲、ある意味ではビジネスという感覚から、いいものをつくって、そして宣伝していけば売れるんだという農業を積極的に農政の中心に据えていきたいという気持ちでこの作業に今取りかかっているところでございます。
○井上(義)委員 今、集落営農というお話がございました。まさに、日本の穀物自給率、日本の食料自給率、カロリーベースでは四〇%、こう言っていますけれども、穀物自給率は二八%しかございません。これは、言いかえますと七二%を海外に依存しているという状況で、この日本の自給率の低さというのは、私は、食料安全保障の点からも極めて危機的な状況じゃないかと。ちなみに、飢餓が伝えられている北朝鮮でも、実は七八%自給しているということがございます。 しかも、この低い自給率を、一ヘクタール未満の稲作農家が五〇%を占めている我が国の現状でもわかるように、いわゆる小規模農家が辛うじて支えていると言っても過言ではございません。その意味から、こうした小規模農家が農業から退場させられるようなことになってはならない。そういう意味では、集落営農の集約が円滑に図れるかどうか、これがかぎだと思います。 農業者の現場では、いろいろ懇談をいたしますと、この集落営農の条件として、例えば農産物の収入や農薬代の支出、つまり財布を一つにする、あるいは、将来法人化しなければならないということでハードルがかなり高いんじゃないのか、こういう声があります。この制度移行をどう円滑に図っていくか、これが最重要だと思いますけれども、農水省としてはどう考えていますでしょうか。
○中川国務大臣 御指摘のとおり、やる気と能力、意思と能力があっても規模が小さい、だからさっさとやめていって結構ですよとは簡単にはならないわけでございまして、農業の果たす多面的な役割というもの、水管理あるいは治山治水といった観点からも非常に重要なわけでございます。 一方、先ほど申し上げましたように、こういう農家はやはり集落営農という手法をとっていただく、そのときに、組織化あるいはまた技術、経営感覚といったノウハウがどうしてもまだまだレベルが低いという方々で、しかし自分は、これからも集落営農組織の中でやっていきたいんだという方たちに対しまして、十八年度予算におきまして、その集落のリーダーを育成する支援事業でありますとか、あるいはまた経理の責任者を養成するといった人材育成といいましょうか、営農組織のリーダーなり会計責任のプロを目指すような人たちを支援して、そして、組織としての持続性を持ちながら集落営農の中で思い切った経営感覚を持って頑張っていただきたいということを、この一年前の十八年度においていろいろな支援事業を考えたいというふうに思っております。
○井上(義)委員 ぜひ丁寧な対応をお願いしたい、こう思います。 それから、今回の経営所得安定対策大綱には、もう一つの柱として、農地・水・環境保全向上対策というのが盛り込まれております。二つ柱があって、一つは、環境保全に向けた営農活動への支援ということでございます。いわゆる環境保全農業に対して支援をしましょうということでございまして、私は、本格的な農業環境政策が導入されたという意味では画期的であり、戦後農政の大転換だという評価をしております。 また、食の安全、安心という視点からも大いに評価すべきでございまして、これまで、表示とか認証とかトレーサビリティーとか、いわゆる消費者サイドの安全確保というのが重視をされてきたわけですけれども、今回は、川上から、いわゆる生産の現場から安全を確保しようということでございますから、食の安全、安心という視点でも大いに評価できるんじゃないか、こう思っています。 しかし、懸念しているのは、この施策の対象、当初の地域限定から日本全国を対象にしましょうということになったことは評価しますけれども、あくまでもやはり、地域単位の取り組みということが今回の施策の対象になっているわけです。しかし、これまで環境に優しい農業というものを先駆的に一生懸命頑張ってきた、そういう個別の有機農家というのがあるわけです。そういう農家というのは、何とか環境に優しい農業をやろうということで一生懸命苦労してやってきた、それから、社会的信頼性を担保するために第三者認証を取得するという義務を果たしてきた。こういう農家が今回の施策の対象にならないんじゃないかという懸念を皆さんお持ちなわけでございまして、これまで頑張ってきたそういう有機農家をどう位置づけるのか、このことを伺いたいと思います。
○中川国務大臣 御指摘のように、新政策の中で農地・水・環境保全向上対策ということでございますが、まさに井上委員御指摘のように、今までは、有機の農産物、無農薬の農産物を消費者に届ければいい、そのための有機農業の認定があったわけでありますけれども、文字どおりこれは、トータルとして川上から川下まで、そしてまた水系ごとにでありますとか、圃場整備事業ごとにとか、あるいは集落ごとにとか、面的な面でも非常に包括的にやっていくことが大事でございます。 これは、水管理とか農道の管理とか、そういった機能面だけではなくて、御指摘のように、農村環境の向上という観点からも非常に重要な施策だと思っておりますので、今まで努力してこられた有機農業者あるいは有機農業はまさにこれの代表例、先駆例だと思っておりますので、引き続きこういう方々にもまた大いに参加をしていただけますように支援をしていきたいというふうに考えております。
○井上(義)委員 そういう先駆的な有機農家がこの施策の対象となるような幅広い対応をぜひお願いしたい、こう思います。 それから、今中川農水大臣からもお話がありましたように、もう一つの柱は、農地や水を守る、資源保全へ向けた共同活動への支援、いわゆる地域資源に対して支援をしましょう、こういう施策が今回盛り込まれているわけです。 そもそも、農地とか農地周辺の水路、農道というのは、これまでも集落などの地域の共同活動によって保全管理されてきた資源であって、これらを対象とした支援を行うというのがこの施策のねらいだ、こう思います。 取り組みに当たっては、例えば、あぜの草刈りなどの地域共同による農地資源保全活動に、農家以外の地域の住民だとか、あるいは自治会、学校、NPOなども参加してもらうことが想定されているわけです。過疎化、高齢化に農村地域がさらされているわけでございまして、やはり、この地域資源を守っていく、その受け皿となる活動主体をどうつくり上げていくかということがこれから非常に重要だと思います。それについて今農水省としてはどのように考えているか、お伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 御指摘のように、これは農業者だけが参加するものではございませんし、むしろ、地域挙げてあるいは水系挙げてということですから、どなたでもこの趣旨に賛同した方は参加ができるわけでございます。 しかし、そうはいっても、水管理にしても圃場整備にしても、プロもしくは専門的な知識が必要ということにもなりますので、平成十八年度、準備の前一年の十八年度におきまして、約六百の地域で、モデル事業的にこの組織活動がうまくいくような準備作業、モデル事業をやって、十九年度からの導入が円滑になるようにということで準備をしております。
○井上(義)委員 最後に総理に、農業は生命産業であると同時に、地域のコミュニティー、文化を守っている貴重な産業です。一方、我が国の農業、農村の持つ多面的な機能、この資源価値も非常に莫大なものがございます。例えば、主要な農業用用水路の延長は四万五千キロ、あるいは中小の農業用排水路を含めると四十万キロ、地球十周分あります。これをもう一回つくりかえるとすると二十五兆円かかるんだそうです。 私は、人口減社会が進行する中で、こうしたすばらしい価値を有した農業、農村をどう維持、継承していくかということと、もう一方で、品目横断的な経営安定対策を初めとした農業の構造改革を実現して、将来にわたり持続可能な効率的な農業経営をどのように構築していくか、このどちらかというと相反するようなテーマを両立することが日本の農業の将来を決定づけるというふうに考えています。 最後に、農業についての総理の所感、この農業を維持発展させていくということについての決意をお伺いしたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 農業は、太陽、土、水、食料供給というだけでなくて、自然環境の恵みを受けて、我々は恩恵を受けているわけであります。 現在は食料自給率が低くて、世界から農産物が日本に入ってきますが、将来の人口増加、世界的に考えれば、金だけ出せば買えるという時代ではなくなるということも想定しておかなきゃならないと思うのであります。 そういう面において、農業の重要性をよく認識して、日本のやる気のある農家を育てて、農業の重要性をお互い認識していかなきゃならないと思っております。
○井上(義)委員 時間が参りましたので、あと幾つか用意しておりましたけれども、別な機会に行いたいと思います。 ありがとうございました。
○大島委員長 この際、斉藤鉄夫君から関連質疑の申し出があります。井上君の持ち時間の範囲内でこれを許します。斉藤鉄夫君。
○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。 私は、耐震偽装問題、この一点に的を絞りまして質問をさせていただきます。 北側国土交通大臣は、この偽装問題発覚直後、ちょうど公務、海外出張中でしたけれども、即座に中断し、帰国されました。そして、居住者、周辺地域住民の安全確保の観点から、住民移転対策、また除却、いわゆる取り壊し、除去命令等、いち早く指示をされました。一方、これは建築確認という公の事務に関することだ、純然たる民民の関係だというわけにはいかない、こういう行政責任を明確にした上で、公的支援策を打ち出しました。このスピーディーな対応は、住民の安全対策、また被害者の救済という面で高く評価されるべきだ、このように考えております。 しかしながら、一方で、公的支援が手厚過ぎるのではないか、また、民民の問題なのではないかという批判があることも事実でございます。 公の責任をどう考えるのか、また、公平性に問題はないのかということも含めまして、今回の対応についての基本的な政府の考え方をお伺いいたします。
○北側国務大臣 まず、今回の政府の支援策は、法律上、民事上の責任に基づくものというものではありません。あくまで、極めて必要性が高いというふうに行政が判断いたしまして、このような支援策をつくらせていただいたわけでございます。 念頭にございますのは、分譲マンションの中の特に危険な分譲マンション、今十棟ございます。この十棟につきましては耐震度が〇・五を切っておりまして、震度五強の地震がありますと倒壊のおそれもある、そのような非常に危険なマンションでございます。この十棟に二百八十八戸、二百八十八世帯の方々がお住まいなわけでございます。ともかく、この危険な分譲マンションの居住者の方々の居住の安全を確保していく、また居住の安定を確保していく、これが最優先というふうに私ども判断させていただきました。 それからもう一つは、ほかの、ホテルだとか賃貸マンションもございます。そことの一番大きな違いは、分譲マンションの居住者の方々には、このような危険な建物ができたことについては何らの責任がございません。ホテルや賃貸マンションの場合は、その方々自身が事業主、建築主として、そもそも施工者や設計者を選ぶことができる、そういう立場にあったわけです。そこに大きな違いがあると考えていますし、そもそも、住居という生活の本拠であるかどうかということも大きな違いだと考えておるところでございます。 それと、今おっしゃった今回の件に関しては、建築確認の時点で、それが指定検査機関であれ、これは特定行政庁の事務として公の事務でございます。そこにはやはり、これは責任があると申しているわけじゃありません、公の事務の関与があるわけでございます。 そういうことを考えたときに、さらには、本来はこれは建築主である売り主が売り主責任として瑕疵担保責任をしっかり果たしてもらうことが当然のことでございますし、それが第一義的な責任を果たしてもらわなければいけないわけでございますが、それが果たせるような状況になっていないというふうなことも勘案して、そうした要素をさまざま総合的に判断して、行政としては緊急性、公益性の点等々を考えて、これはやはり行政が支援対策、それも総合的な支援対策をつくる必要があるというふうに考えて、さきの支援策をつくらせていただいたところでございます。
○斉藤(鉄)委員 今の大臣の御答弁をまとめますと、まず住民の安全とそれから居住の安定確保のため、とりあえず公の支援を行ったけれども、第一義的な責任は建築主、分譲マンションの場合はそれが売り主とイコールになるわけですが、建築主にあって、その点は論理として貫徹をしている、こういうことではないかと思います。 その点に関連して、建築主たるヒューザーの小嶋社長が、十八の自治体や民間の確認検査機関を相手取って提訴を起こしました。何か大きな勘違いをされているんじゃないかと私自身思いますけれども、この点も含め、小嶋氏、姉歯氏、元請の設計事務所や確認検査機関、また施工会社などの関係者への責任追及についてどのような方針で臨まれるのか、国交大臣にお聞きいたします。
○北側国務大臣 今回の耐震偽装事件でございますけれども、一つは、耐震度という建物の安全性、基本にかかわるところを偽装した、そういう一級建築士がいたわけでございます。この一級建築士、そこに下請に出した元請の設計事務所があります。さらに、施工した方そして建築主とあるわけですね。 建築主というのは、建物ができ上がるまでの全責任を負っているのが建築主でございます。それは、施工者であれ設計者であれ、それを選んでいるのは建築主ですから、建築主がその建物の安全性に対する全責任を負うのは当然のことでございます。 一方、もう一つの問題は、今回、特定行政庁であれ指定検査機関であれ、建築確認という法令上の間違いがないかどうかチェックする側です。チェックする側に見落としがあった。これも重大な問題です。 しかし、そもそも、建物をつくった人、建物の安全性に全責任を負っている建築主が、チェックする側の、あんたらがチェックをちゃんとできなかったから危険な建物ができたんだということを、例えば分譲マンションの居住者や第三者の方がおっしゃるのはわかりますが、建物の安全性について第一義的な全責任を負っている建築主が特定行政庁を訴えるというのは私には理解できないというふうに申し上げたわけでございます。 その上で、当然、この支援策を実行していく前提としても、売り主に対する責任、ここはしっかりと私どもも厳正に求めてまいりたいというふうに考えているところでございますし、また行政処分としても、これは、ここに設計士とかさまざまかかわっていらっしゃいます、行政の処分もしっかりと厳正にさせていただきたい。 もちろん、姉歯元建築士につきましては既に資格取り消しをいたしましたが、それだけではなくて、この姉歯元建築士に下請させた元請の設計事務所についても、もう既に資格取り消し処分を行ったところもございます。今後とも、事情聴取の上、厳正に処分を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○斉藤(鉄)委員 私ども、全く同様に考えておりまして、しっかりと責任追及していっていただきたい、このように思います。 国民の信頼を失った建築確認制度を再び信頼されるシステムにつくり直す必要がある、これがこれからの国会審議で最も大事な点ではないかと思います。この点について質問を進めていきます。 平成十年に建築基準法の大改正がございました。建築基準法始まって以来の大改正、私も質問に立ちましたのでよく覚えておりますが、三つの大きな改正点がございました。 一番大きな改正点は、いわゆる法律の基本的な性格を変える。それまでの仕様規定基準から性能規定基準に変える、これが一番大きな改定点。二番目が、お役所の建築主事さんが行っていた建築確認を民間にも開放した。この民間開放が二点目のポイント。そして三点目が中間検査の導入でございます。 この一番目の、基本的な法律の性格を変えた。つまり、それまでは仕様規定ということでございまして、一つ一つ、使う材料とか寸法とか組み立て方だとか設計の仕方まで全部政令で定めて、そのとおりにやらなきゃいけない、これが仕様規定でございます。その仕様規定を改めて、性能規定にする。こういう性能が満足されていれば、そして、その性能が満足されているということが証明されれば自由な設計ができる、自由な材料が使える。この設計の自由度を増すというのが、仕様規定から性能規定への大きな変化だったわけでございます。 この変化は、創意工夫や研究開発によって新しい材料をつくり出す、新しい工法をつくり出す、その技術開発を促す大きなインセンティブになった。したがって、こういう改革はしなくてはいけなかったと私自身思っておりますけれども、今回の偽装事件に関連しまして、この設計の自由化が今回の偽装の背景にあるのではないか、こういう声もあります。したがって、昔の、一々全部政令で定める仕様規定の世界に戻るべきだという極論もあるぐらいでございます。 しかし、それは間違っている。全然レベルの違う二つの話を結びつけている。技術開発とそれに伴う創意工夫と偽装ということを結びつけてはいけない、このように考えますけれども、仕様規定から性能規定へ変わったということと今回の偽装問題、この関連について確認しておきたいと思いますが、国土交通大臣、いかがでしょうか。
○北側国務大臣 大切なことは性能でございます。仕様が大事なのではなくて、その仕様によって確保していこうとする性能が大事なわけであって、おっしゃったとおり、平成十年の改正では、むしろ規定そのものを性能規定化させていただいたわけです。その背景としては、技術開発をしっかり進めていただいて、多様な材料や設備等々によって性能を保つということでいいというふうに判断したわけでございます。 大事なことは、その性能がきちんと保たれているかどうかという検証がきちんとなされること、それは法律の中にも規定をさせていただいているわけでございます。 今回の事件との関連は全くないと私も考えております。今回の事件は、一級建築士という国家資格の与えられた、建物の安全性について一番責任を持って担ってもらわないといけない一級建築士が、故意で、悪意で偽装する、そういう事件が起こるとは想定もしていなかったわけでございますが、今後はそういうことも想定をしないといけないわけでございますけれども、こうした一級建築士が故意に偽装を行って、そしてなおかつ、指定検査機関または特定行政庁がその偽装を見抜けなかったというところに重大な大きな問題があるわけでございまして、しっかりその実態というものを点検させていただいて、建築基準法等の見直しをさせていただきたいと考えております。
○斉藤(鉄)委員 それでは、具体的な制度の改革について質問させていただきます。 これまでは、先ほど大臣がおっしゃったように、国家資格である建築士を基本的には信用して、建築確認では、構造計算についてその入り口、出口だけをチェックする。同じ計算を二回やるということはしなかったわけです。しかし、今回は、国家資格を持っていながら悪意の偽装をする信用できない建築士がいるということがわかったわけでございます。 この悪意の偽装を確実に防ぐには、第三者が同じ計算プログラムで同じ計算をやってチェックするしかありません。建築士を信用しないという前提に立ってダブルチェックするしかないということになります。 私も技術者出身です。技術者として甚だ情けない話でございますけれども、地に落ちた建築確認制度の信頼を取り戻すにはこれしかないのかなという思いがございます。 しかし、よくよく考えますと、ほとんどが善良である技術者であることを考えれば、この二重手間の冗長性というのは、将来、社会への大きな負担になってくるということも確かでございます。 技術士という制度、国家資格があります。登録者が全国で五万六千人余という少なさ、その少なさゆえに余り世間に知られておりませんが、この技術士資格には倫理規定がございます。技術者倫理の講義も受けなければなりません。 建築士についても、この技術士制度と同様に倫理規定を盛り込んで、いずれ将来、技術者倫理を柱とした合理的な建築士制度、建築確認制度を目指すべきだ、このように思います。 今回、建築士を信用しないという前提のもとに立った改革はとりあえずいたし方ないかと思いますけれども、大きな改革について国交大臣のお考えをお聞きいたします。
○北側国務大臣 委員、建築士の方々を信用しないというわけではございません。一級建築士の方というのはたくさんいらっしゃるんですね。今回の姉歯元建築士のようなとんでもない、故意で、悪意で偽装していく人、こういう人が世の中にたくさんいるとは全く思っておりません。もちろんしっかりと調査はさせていただきますが。ですから、信用しないわけではございません。 ただ、一定の建物については、やはり構造部分、建物の安全性にかかわる一番大事な部分、ここは二重チェックということを第三者の専門家の方々がチェックしていく、そういうことも検討すべきじゃないかということで、今、社会資本整備審議会で御議論をいただいているところでございます。すべての建物について再チェック、再計算をしていこうということではありません。一定の建物に限ってやっていこうということで進めているところでございます。 それから、倫理の話がございました。私は、建築士法についても、この際しっかりと見直しをさせていただきたいと思っているんです。 建築士会、建築士事務所協会と二つあるんですが、実はこれは強制加入じゃないんですね。任意の加入になっております。例えばほかの、弁護士会とか税理士会とかあるわけですが、これは強制加入です。会でさまざまな自治として、懲戒等々、倫理の規律等々、そういうことを会としてしっかりとやっていただいておるんですね。私は、そうした他の制度なんかもしっかり参考にしながら、建築士の団体についても、団体としてしっかり、職業倫理といいますか、そういうことが維持できるような啓発、教育また懲戒等々をやってもらえるようなシステムを考えていただく必要があるんじゃないか。この点についても、今、社会資本整備審議会で御議論をいただいているところでございます。
○斉藤(鉄)委員 構造設計者の地位の問題、これもよく我々もヒアリングの中で聞きます。 建築設計の中に意匠設計と構造設計があって、本来であれば、同じ立場で意見を調整しながら一つの設計をつくっていくというのが理想ですけれども、意匠設計の方が優位にあって、構造設計は縁の下の力持ち的な存在である。 したがって、一級建築士が百二万人いても、構造計算できる建築士は二万人程度しかいない、それは、地位が低く報酬も少ないからだ、こういう話がありますが、その構造設計の方々の名前が表に出て社会的責任も明確になる、そして報酬も確実に上がっていくという地位の向上こそ、構造設計者の数をふやし、構造設計の安定性、信頼性を増していくことにつながるのではないかという意見がございますが、この点についてはいかがでしょうか。
○北側国務大臣 その点につきましても、斉藤議員のおっしゃっているとおりだと考えております。 建築士と言われても、いろいろな種類の建築士がいらっしゃいます。大きくは、意匠、そして構造、さらには設備とあるわけでございますけれども、そうした設計士、一つの建物ができ上がるに当たって関与した設計士については、例えば建築確認申請書等々、設計図書を見ればすべてその設計士が明らかになっていると、責任の所在は明確にしなきゃならないと思います。 そういう意味で、氏名が公表されるように明示をしていく必要があると思いますし、また、今後は、さまざま行政処分等をやった場合についても、その処分された建築士については名前も公表させていただくというふうな形で明らかにさせていただきたいと思いますし、また、今、建築基準法等の見直しをやっていますが、罰則の強化等についても、今まさしく議論させていただいているところでございます。
○斉藤(鉄)委員 国交大臣にもう一問。 欧米では、建築主と契約した保険会社が検査をする。この検査は、いわゆる確認検査、今の日本で言う民間機関がやっている、もしくは特定行政庁がやっている確認検査だけではなく、施工上の、例えば溶接ですとか鉄筋の接合部ですとか、そういうところがきちんと施工されているか、安全にとって最もクリティカルなところです。そういう検査も含めて、施工の第三者検査性を上げるという意味で保険会社を組ませて、トータルとして建築主の瑕疵担保責任をバックアップしている、こういうシステムが普及しているそうですが、日本について、このようなシステムを目指すべきというふうにお考えでしょうか。
○北側国務大臣 今回の事件の一つの問題点がそこにあると考えております。 瑕疵担保責任、売り主は買い主の方に対して無過失の瑕疵担保責任を負っています。責任を負っていても、財産がなければ補償ができません。瑕疵担保責任を実効化していくような措置をきっちりとっていく必要がある。 その一つの手段として保険制度。今も保険制度はございます、住宅性能保証制度というのがあるわけでございますが、今使われているのは一三%、新築住宅で。まだまだ少ないわけでございます。やはり、これもすべてというわけにいかないかもしれませんが、ある一定の建物の売り主についてはこの保険に強制的に入っていただく、強制加入していただく、また、銀行等による保証をつけてもらう、そういう形で、建物を買われる消費者の方々を保護していくというような制度を私はしっかり検討しなければならないと思っておりまして、今、その点についても社会資本整備審議会で御議論をいただいているところでございます。
○斉藤(鉄)委員 最後に総理、今回の偽装問題、国民の安心、安全という面で大変大きな、国民の気持ちを揺るがしたものでございます。この問題についての総理の御決意をお聞きして、質問を終わります。
○小泉内閣総理大臣 ただいま、斉藤委員と北側大臣との質疑を通じまして、どういう改善策が必要か、しっかりと対話していかなきゃならない大事な問題だと考えております。
○斉藤(鉄)委員 終わります。
○大島委員長 これにて井上君、斉藤君の質疑は終了いたしました。 次に、前原誠司君。
○前原委員 民主党の前原でございます。 ここからは民主党、野党の質問でございますので、しっかりとお答えをいただきたいと思います。 まず一つ……(発言する者あり)いや、総理が元気がないように見えたものですから、元気を出してお答えをいただきたいと思います。 まず第一点、大前提の話としてお伺いをしたいんですが、総理は、今出されている予算案をベストのものと考えておられて、これについて見直す、考え直すことが、余地があると考えておられるのかどうなのか。まずその点についてお伺いいたします。
○小泉内閣総理大臣 これはもう言うまでもなく、最善と思って出して、出した途端に変えるなんて総理大臣から言えるわけないでしょう。ぜひとも無修正で、御協力いただいて年度内成立を期す、これが私の責任であります。
○前原委員 その上で、じゃ、今からお話をすることについて本当に見直す必要がないのかどうなのかということを、具体的な例を挙げてお話をさせていただきたいと思います。いわば、総理が行革国会と言われる本気さを私はぜひ伺いたいというふうに思います。 まず、防衛施設庁の官製談合の問題についてお話をさせていただきたいと思いますが、まず、額賀防衛庁長官、今回の、防衛施設庁ナンバースリーである技術審議官を含む、OBも含めて三名の方が逮捕されました。その容疑は、三宿の病院空調工事など三件の競売入札妨害という容疑で立件をされておりますが、防衛庁長官は、防衛施設庁による官製談合はこの三件だけだとお考えになっておられますか。その点について御答弁ください。
○額賀国務大臣 防衛庁幹部三人を含む、競争妨害について逮捕されたということについては、東京地検が今捜査中である。そのほかについては、捜査が進んでいくことの中で知るだけでございまして、我々が知る由はありません。ただ、捜査について我々は全面協力をして、一日でも早く全容が解明されることを望んでおります。
○前原委員 これは、本来、防衛庁長官みずからが、今の防衛庁あるいは防衛施設庁の体質というものをしっかりとらえて、そして、もし防衛施設庁の解体というものをおっしゃって、防衛庁の統合とおっしゃるのであれば、現実にどういう体質なのかということをしっかりと御自身が見きわめた上で解体的出直しとおっしゃるんだったらわかるけれども、ほかの件については捜査当局に任せているから自分たちはあずかり知らない、しかし捜査には協力するというのでは、余りにも他人事ではありませんか。 つまりは、防衛施設庁の体質をどうとらえておられるかということからまずスタートしなくてはいけない。まず、客観分析を少しさせていただきたいと思います。 平成十年以降で、防衛施設庁が一般競争入札で発注した建設工事、いわゆる建設土木工事についての平均落札率というのはどのぐらいか、防衛庁長官、御存じですか。一般競争入札。
○大島委員長 額賀防衛庁長官、しっかり調べてお答えください。(発言する者あり)お静かに。
○額賀国務大臣 過去五年間の防衛施設庁の建設工事の平均落札率は、全工事で九五・九%であります。
○前原委員 防衛施設庁から出していただいた資料で、我々スタッフで計算をいたしました。後ですり合わせていきたいと思いますが、我々の調べでは九七・九九%、つまりは九八%、約九八%がその落札率でありました。百九十一件のうち低かったのが二回だけ、七四・六と六五・二一、二回だけで、逆に、百九十一件のうち、一〇〇%予定価格に張りついた受注が十七件あったということであります。一般競争入札ですよ、随契ではありません。 つまりは、こういう状況の中で、本当にその立件された三件だけなのか。まずそういう認識をみずから持たれて、そして解体的出直しとおっしゃるならわかるけれども、ほかのことについてはほおかむりで、そして捜査当局には協力するというのは、まさに他人事ではありませんか。 その上で、今捜査状況から明らかになっているのは、防衛施設庁の幹部が発言していることで、防衛施設庁の発注工事のすべてが談合であるということを防衛施設庁の幹部が話したということが今言われておりますし、また、ゼネコンに対する捜査が入って、ゼネコンの関係者も、防衛施設庁関連の工事については、これは談合が行われていたということが言われているわけであります。 先ほどの九八%の落札率と、防衛施設庁の幹部、あるいは捜査を受けているゼネコン関係者がそういう答弁をしているということから考えたら、当然ながら、もし本当に解体的出直しとおっしゃるなら、みずからが、捜査当局に任せずにその実態を、どういう状況なのかということを調べられることが本来あるべき姿ではありませんか。
○額賀国務大臣 前原委員は、最初は、事件はどういうふうに把握なさっているかということでございましたから、事件につきましては、捜査当局に全面協力をして、一日も早く解明されることが望ましいというふうに申し上げました。 防衛庁及び施設庁が、これまでの戦後の過程で、どういう経緯でその生い立ちがあるのか、どういう体質なのか、どういう組織上の問題があるのかということについては、既に一月の三十一日にその検討委員会というものを発足させまして、北原長官を中心として、内部の問題として自浄能力を発揮して、問題点をすべて洗い出して、そして今後の再発防止のために役立てていこうという形になっているわけであります。
○前原委員 後で伺おうかと思ったんですが、今そういう答弁をされましたので、若干言いにくいことでありますけれども、私は、個人的に額賀長官について何も、恨みも何もありません。一九九八年に辞任をされたときのこと、そして今回も、要はずっと行われていて、たまたま今長官が長官をされているわけです、額賀長官が。つまりは、防衛施設庁のずっとの体質の話を私はしているわけです。それはわかって答えていただきたいと思います。個人的に私は申し上げているわけではありません。長官として、今までの経緯も含めてどう判断されているかということを私は伺っているわけであります。 長官がやめられたとき、一九九八年、そのときにいわゆる調達本部の背任事件というものが起きました。そしてそのときに、さまざまな解決策というものを出すということで、文書が防衛庁から出されております。そこの中身を見ておりますと、今答弁されたこととほとんど変わらないんです。 つまりは、どういうことかといいますと、調達の透明性、公正性の向上により国民の信頼を確保する、調達の効率化で価格を抑制する等々、今後はちゃんとやりますよということを言って、しかし、ずっと同じような体質が防衛施設庁では続いてきているわけですね。 もう一度、長官に伺います。 つまりは、防衛施設庁、先ほどの九八%という落札率、そして、これから捜査で明らかになってくるわけです。そして、個人でどう考えておられるかということも含めて、九八%、一般競争入札の落札率ですよ。それから、関係者がもう聴取もされて、そういう発言をしていることにかんがみた場合に、防衛施設庁の今までの発注形態は、この三件ではなくて、恒常的に談合が行われたとまず認めるところから本来の解体的出直しというのはスタートされるべきではないですか。その認識を伺っているんです。
○額賀国務大臣 九八年に調達本部で背任事件が起こりました。このときも調達本部を解体して、防衛庁の出直しを図りました。そして、チェック体制、透明性、それから、防衛庁のそれまでの閉鎖的な体質から開放、オープンにしていく、そして、問題が起こったら、問題を隠すことではなくて、逆に、国民の皆さん方に説明をして、説明責任を果たすことによって理解をしてもらおう、そういうことで防衛庁の再出発をしたわけでありますけれども、結果的に、今度、施設庁において再びこういう不祥事が起こってしまったことに対しまして、私はざんきにたえないと言いました。これは、ある意味では国民に対して恥ずかしいことである、そういう思いを込めてざんきにたえないという話をしたわけでございます。 したがって、私は、再び、防衛庁における調達本部とか施設庁とか、現業部門のこの分野においてしっかりと解体をして、新しい出発をしていくことが私の仕事であり、使命であるというふうに思って今やっております。 その中で、施設庁は、やはり占領軍の時代から特別調達庁として特別な権限を持ちながら仕事をやってきた。そういうところに、その体質があるわけでございます。しかも、人事交流も行われてこなかった。そういうところにも、また一つのよどんだ空気があるわけでございます。そういう中で、私は、これを透明性を持っていかなければならない形にしなければならないということでございます。 今度の事件で明らかなように、私は、防衛庁、施設庁の中で、みずからの保身的なことと、業界の利益を図ることによって将来の再就職のようなことを考えるようなことが指摘されておりますけれども、この指弾を免れ得ないというふうに思っておりますから、しっかりと体質を変えていかなければならないというように思っております。
○前原委員 質問と全然違うことを答えておられますよ。 つまりは、今私が伺っているのは、九七・九九%という落札率、そして、今もう取り調べを受けて、初めは成田空港のいわゆる空調工事の談合問題、そこから派生して防衛施設庁に飛び火をしてきた。そして、防衛施設庁を調べたら、出るわ出るわで、岩国、佐世保を含めて、いわゆるすべての調達工事で談合が行われてきたということで、燎原の火のように広がっているんじゃないですか。そのことに対して認識があるかということを聞いているわけです。それがないと、言葉だけで解体的出直しをしますと言ったって、一九九八年、まさに御自身が長官だったときにそう言ってやめられた後も同じ体質で来ているんですから、だれが国民がそれを信用するんですか。 つまりは、私の質問は、現状認識は防衛施設庁の発注工事は恒常的に談合が行われている、行われてきたという認識を持っておられるかどうか。イエスかノーかで結構です。
○大島委員長 認識の問題についてお答えください。
○額賀国務大臣 今度の事件の背景には、今委員御指摘のいわゆる落札率の問題、それが、予定価格と落札率が一致していることが多いとか、それから極めて落札率が高いということについては、極めて競争原理が働いていないということがあります。あるいはまた、重電関係については、積算根拠をはじき出す能力がないものですから、業界からストレートに情報を得た上でその算定をしているから、若干僅差になっているということがあります。 そのほかにも、私は、先ほど言いましたように、自分の保身とそれから将来のこと、あるいは業界のそういう話し合いによる原因、さまざまな談合要因の中で、我々がきちっとこれから解明をしていかなければならない要因があると思っています。
○前原委員 これは要は、談合要因があるということは、談合が行われていると認められたということでいいんですね。恒常的に行われていたからこういう高いものになって、極めてそれが不自然だ、競争原理が働いていないと。談合体質で今までの発注工事が行われていたということをお認めになったということでいいんですね。そこでうなずいてもらったら結構です。
○額賀国務大臣 談合要因は、業者の内部で話し合われていることとか、予定価格を漏らすとか、あるいは官側が知らせをするとかいうことだと思いますけれども、そういうことについてきっちりと我々は調査をした上で、しっかりと明らかにしていきたいというふうに言っているわけです。
○前原委員 この答えはまた後で聞きます。 私がなぜこの問題にこだわっているかというと、防衛庁、防衛施設庁の問題だけではないんです。すべての発注官庁に同様の形態がある、それの一つの顕著な例、典型例が防衛施設庁の話なんです。 申し上げましょう。 防衛施設庁の建設工事の予算額というのは、防衛施設庁は大体五千億ですね。そのうちの工事が大体二千億ぐらい。それで、平成十八年度予算案には千七百六十七億円で出されております、その建設工事については。それで、談合していた大手空調メーカーの営業担当者は、談合しなければ落札率は七〇%だと答えているわけです。それに対して、ちなみに重電メーカー六社の電気工事五十二件の平均落札率は、これはもう九八・九%。七〇%だと民間の人が答えていて、実際は五十二件で九八・九%。そして、五十二件のうち十二件が一〇〇%ですよ。こんな客観的な証拠を突きつけられてまだ逃げられると思うのかというのが、私は別に捜査官じゃありませんけれども。 つまりは、そういう認識、私は額賀長官とは純粋な防衛問題を話し合いたいんですよ。ただ、国民の信頼が、こういう談合問題があって税金が余分に使われている、そこで無駄に、それのうみを出して、そしてまさに再生なくしてまともな防衛議論もできないじゃないですか、国防の話も。だから私は申し上げているんですよ。 こういう状況を突きつけられても、まだ自分自身は談合ではないというふうに強弁されますか。捜査当局に聞いているんじゃないんです。額賀長官という政治家としてどういう認識かということを聞いているんです。
○額賀国務大臣 予定価格と談合率、予定価格とそれが一になった場合、それをやった場合は、きちっとこれは、必ず談合でしょうねという話がありますね。 ただ、その談合率じゃない、落札率が高いから談合があったのではないかということと、逆に落札率が低いから談合があったんではないかという、両方ありますね。今度の三宿とか中央病院の工事は結構、八〇%台の落札率になっております。だから、落札率が低ければそうではないということも当たらないんだと思います。 いずれにしても、私は、先ほど言ったように、業者が申し合わせているのか予定価格を漏らしたのか、そういう疑いがある、そういう体質があるので、庁内でしっかりと調べて国民の前に明らかにしたいと言っているわけです。
○前原委員 二千億の防衛施設庁のお金で、先ほど、業者の人は競争原理が働いたら七割だとおっしゃった。そこまで下がらないにしても、一割下がっても二百億円、二割下げたら四百億円税金が浮くんですよ。それだけ、官僚の天下り、そして業者の受け入れ、談合によって税金が余分に使われているということを私は申し上げたいわけです。その体質が、防衛施設庁だけではない、全部あるという話を、また一つの例を挙げて申し上げたいと思います。 天下りの舞台となったのが財団法人防衛施設技術協会というところであります。この防衛施設協会というのは防衛施設庁の天下り先で、受注企業へのトンネル組織になっています。資料をごらんいただきたいと思いますが、資料の二。総理、資料の二を見ていただけますか。つまりは、この組織というものはどういうふうになっているかといいますと、役員数が十四名、そのうち国家公務員の天下りが十二名、防衛施設庁から天下っているわけですね。そして、職員数九十九名で、OBが六十五名、こういうことであります。 そして、何が問題かということなんですが、幾つも問題があるんです。それは何かというと、ほとんど二年以内の在籍で、二年間を過ぎたら、ほとんどの人が建設会社にまた再度天下りをするんですね、再度天下りをする。つまりは、この防衛施設技術協会というのはトンネル機関になっているわけです、トンネル機関に。そして、二年間大体いて、在職中の八割の給料をもらって二年ほど働いて、二百万円程度の退職金をもらって、さらに建設会社へ天下りをする、こういうことですね。 後で総理にお尋ねいたしますが、発注官庁からゼネコンなどへの関係営利企業への天下りは法律で二年間禁止されているんです。つまりは、役所から直接、ゼネコンなどのいわゆる営利企業、発注者と関係のある企業については天下っちゃいけないという規定が法律、国家公務員法であるんですね。だから、こういう財団法人をつくって二年間羽を休めて、そして、二年たったらゼネコンに天下りをする、建設会社に天下りをするというまさに絵にかいたような脱法行為が行われているのがここなんですね。そこを舞台にした問題であって、だからこそ、天下りを受け入れてもらうということで配分表までつくっていた。そして、業者の方から配分表をつくって、そして、OBをどれだけ受け入れるかによって受注額を調整していたという構図になっているわけです。 もう一つ図を見ていただきたいと思いますが、一番初めの図を見ていただきたいと思います。 つまりは、まず防衛施設庁から防衛施設技術協会に二年間天下りをして、そして、法律にひっかからない形で関連企業にまた再度天下りをする、そして、そのときに、いわゆる天下りを受け入れてくれるところに仕事を重点的に配分するということが行われているということであります。 そこで、こういう構図というものは、後で申し上げますが、防衛施設庁だけではありません。これは小泉総理に感想を伺いたいんですが、この構図というのはまさに脱法行為、官僚ロンダリングと言ってもいいかもしれません。また、小泉さんが官から民へということをよくおっしゃっていますが、官から民へというのは、天下りをすることなのか、官から民へ。そういうふうにも言わなきゃいけないような状況というものが例えばこの例では見受けられるわけですね。そのことで、先ほど申し上げたように、一年間に二千億円の防衛施設庁の経費というものが恐らく一割か二割かはまさに談合によってコストアップをされている、こういう構造になっているわけです。 総理、これはまさに、行革国会であれば、こういうところにメスを入れるのが行革国会じゃないですか。
○小泉内閣総理大臣 天下りに対して、今御指摘のとおり、一定の制約を設けております。 しかし、今の表によりますと、直接二年間ではなくて、財団法人に流れているということでありますので、これはやはり退職するのが早過ぎるから、退職年齢をもっと引き上げようという運用面の改善もしてまいりました。六十歳が定年なのに四十代で肩たたきというんだったらば、これはもう天下りを考えるのは当然だろうという声もありますから、四十や五十そこそこで退職せざるを得ないというような状況じゃなくて、できるだけ退職年齢を引き下げるということで、三年延長しようということで、これでも五年かかるというんですね、公務員の職業、身分の保障とか、そういうことを考えると。 でありますので、今の御指摘も踏まえて、現在の天下り規制でいいのかどうか。それから、憲法上に認められた職業選択の自由という点もあります。しかしながら、こういう談合事件を考えますと、天下りと談合事件というのが全く無関係とは言えない。こういう点について、やはり改善策を講じていかなきゃならないなと思っております。
○前原委員 根本的な議論は、また後でさせていただきたいと思います。 財務大臣に伺いたいと思いますが、会計法では一般競争入札によるということが基本になっていますね。随意契約とか指名競争入札というのは特別である、こういうことになっております。 防衛施設庁から防衛施設技術協会、この財団法人に発注されている仕事で、例えば、建築工事の現場監督四十四件、防衛施設の建設技術などの調査研究二十一件、大体十四億円が防衛庁からこの施設技術協会へと発注をされているわけですが、そのうち、九割近い十二億が随意契約で発注されているんですね。 これは、純粋に言えば会計法違反、随意契約をこれだけやるということは。ただ、今、公益法人には会計法が適用されない。つまりは、随意契約、こういう脱法行為の、いわゆるトンネル天下り組織については、会計法が適用されていないという法の不備もあるわけです。そのことにも乗じてこういう行為が行われている。 この件、財務大臣、どう思われますか。公益法人にも、こういう実態からすると、当然ながら随契というものではなくて一般競争入札をやるべきだというふうに思われませんか。
○谷垣国務大臣 委員おっしゃるように、会計法では、あくまできちっと随意契約などは例外であると限定してあるわけです。今のように、公益法人のところが抜け穴になっているということがあるとすれば、もう一回会計法をきちっと、どういうものか議論、勉強させていただきたいと思っております。
○前原委員 当然ながらこれは見直していかないと、こういうことも抜け穴になっているということを申し上げたいと思います。 竹中総務大臣にお聞きしますけれども、平成八年の九月二十日に、閣議決定で、公益法人の設立許可及び指導監督基準についてということで、所管官庁の出身者がみずからの関係するいわゆる公益法人等団体に天下る場合については、それぞれの理事現在数の三分の一以下にならなきゃいけない、こういうことになっております。 しかし、この出されてきたものでは、先ほど図でも申し上げましたように、十四名の役員のうち、天下りが十二名、防衛施設庁だと八名なんですね。ということは、これは完全に、この防衛施設技術協会というのは、十四名のうち八名が防衛施設庁からのまさに天下りで、三分の一を超えているということで、この閣議決定に違反していると思われるんですが、総務大臣、お答えいただきたいと思います。
○竹中国務大臣 お答えを申し上げます。 前原委員今御紹介してくださいましたように、平成八年、閣議決定、正確には十二月でございますけれども、公益法人の設立許可及び指導監督基準というのが閣議決定されておりまして、その中で、公益法人の理事のうち所管する官庁の出身者が占める割合は、理事現在数の三分の一以下とするということが決められております。 それで、この天下りの場合、常にここで問題になるわけでございますが、ここで所管する官庁の出身者、いわゆる天下りというのをどのように定義するかというのが問題になるわけでございますが、この解釈に関しまして、指導監督基準の運用指針というのが平成八年の十二月に関係閣僚会議幹事会での申し合わせとして決まっているところでございます。そこでの決まりを申し上げますと、退職後十年以上を経過した後に当該法人の理事に就職した者や教育職についていた者等は含まないというふうにされている。十年以上たっていれば、これはもう少し、直接のあれはないんじゃないか、そういうような形で定義をしているわけでございます。 その定義に従いますと、今回の防衛施設技術協会については、こうした者を除いた数は理事十二名のうち四名というふうに聞いておりまして、指導監督基準に直接反するとは言えないということになろうかと思います。しかしながら、この監督基準等でございますけれども、所管する官庁の出身者が公益法人の理事の多数を占めることによって、公益法人が所管する官庁と一体となって活動して、実質的な行政機関として機能することがないようにするというのがその趣旨でございますから、その趣旨からすれば、当該法人の実態に問題はないかどうか、そこはやはり考えなければいけないところだと思います。 防衛庁においては、そうした所管官庁として適切に指導監督していただくべきものであるというふうに思っております。
○前原委員 そういう答弁が来ると思っておりました。 つまりは、基準では、理事のうち所管する官庁の出身者が占める割合は、それぞれ理事現在数の三分の一にすることということで書いてあるんですが、それでプラスして運用指針というものをつくっている。そこで、言ってみれば、今総務大臣がお答えになったように、しり抜けを許す。 つまりは、後でお話しいたしますけれども、国土交通省の財団法人なんて、社団法人なんてもっとひどいですよ。つまりは、十三人の理事のうち、OBが十二人。十三人、十二人、十六人、十四人だけれども、この運用指針に照らし合わせたら、全部三分の一以下でおさまるというようなことになっている。全部しり抜けで、運用指針というもので逃げている。本来の趣旨から全く異なる。 つまりは、天下りというものをなくしていくためにこういうものをつくったにもかかわらず、運用指針でさらに骨抜きにしているということを、もう一度、総務大臣、簡単で結構でありますが、これは見直さないと意味ないですよ。
○竹中国務大臣 先ほど言いましたように、本当に天下り、これは国民から大変厳しい目が向けられている、非常に厳しい形に持っていかなければいけないと私たちも考えておりまして、いろいろな議論を閣内で行っております。 ただ、これは天下りをどのように定義するかということに関しては、どこかで線引きをしなければいけない。そういう観点からいろいろ知恵を絞って、この運用指針の中で、先ほど申し上げましたように、退職後十年以上経過していれば、これはいわゆる天下りと少し違うのではないかというような形でこの運用指針が出てきていると思っております。 ただ、形式基準を満たしているから、あとは幾らでもいいということでは、これはないというふうに思います。そういう観点から、先ほどから、やはりこれは一般監督権限があるわけですから、一般監督権限の中で適切に指導監督していただくべきものであるというふうに御答弁させていただいたわけでございます。 これは、公務員制度全体の問題も含めて、今閣内でいろいろな議論をしておりますので、さらに議論を深めたいと思っております。
○前原委員 総理にお伺いしたいと思いますが、先ほど防衛庁長官の答弁を聞いておられて、実態というものについては、談合が行われているかどうかについて明言は避けられましたけれども、しかし、その体質改善をしなきゃいけないということをおっしゃいました。 一九九八年に、御自身が、背任問題、調達本部というものを見直して、そして、防衛庁の調達というものを透明、公正にするための指針をつくられたわけでありますが、結局それが守られずに今まで来ているということについては、私は極めて問題があると思っております。 先ほど申し上げたように、今たまたまやっておられる部分で、気の毒な部分、私は正直言ってあるというふうに思います、歴代ずっとそれが続いてきたわけですから。それで今この問題が起きてきた。 しかし、先ほど申し上げたように、わかっているだけでは、防衛施設庁の年間二千億のお金が、一割、二割、まさに談合によってコストアップされてきた。それの積み重ねというのは相当大きな金額というものが、まさに税金の浪費として行われてきたのは紛れもない事実だと思っておりますし、それを監督できてこなかった結果責任としての防衛庁長官の責任は、非常に重いと私は思います。 その意味で、この一九九八年、辞任をされるぐらいの重いことを再スタートにして、そして新たな指針をつくったのに、まだ守られていなかった、そして、その体質が続いていたことに対する監督責任、防衛庁長官の監督責任は総理はどう考えられるのか。また、御自身の責任問題もどう考えられるのか、その点についてお答えいただきたい。
○小泉内閣総理大臣 一九九八年の問題を受けて再発防止策を講じたけれども、結果的に、今回このような、見直しをしても談合が発生した、また、逮捕者が出たということは、まことに遺憾だと思っております。 今後、このような結果を踏まえて、いかに談合を防止していくかという点につきましては、今の議論を踏まえて、改善策を講じることによって、防衛庁長官にも十分責任を果たしてもらいたいと。私自身も、今のような質疑を踏まえまして、官製談合防止のために、与党としても真剣に改善策を講じていくよう、今、自民党、公明党、協議しておりますので、その検討を踏まえて、しっかりとした対応をしていきたいと思っております。
○前原委員 私は、一九九八年の辞任というものは、これは問責決議案がまとめられたものでありましたけれども、国会自身が、防衛庁の調達に対してしっかりと是正をしなさいと。そして、責任をとってやめられて、結果的に何も変わっていないどころか、その体質が延々と続いている。そしてまた、その責任をとらずして、改革しますからといって本当に国民は納得するんでしょうか。私は、それほど根の浅い問題ではないというふうに思っております。 例えば、防衛庁の問題だけではないということを先ほど申し上げましたが、ちょっと国土交通省関係の話も聞いていただきたいと思います。同じような構図なんです。 国土交通省には八つの地方整備局があります。その八つの地方整備局のもとに、例えば近畿整備局であれば、近畿地方整備局のもとに社団法人近畿建設協会というのがあります。 これも、役員十三名のうち国土交通省のOBが十二名、職員四百三名のうちOBが九十九名。二〇〇〇年から二〇〇四年の五年間の事業収入合計は三百九十四億円。そして、三百九十四億円のうち、近畿地方整備局からの仕事が約九割の三百四十八億円。そして、五年間で三千八百二十件の仕事をもらっているけれども、三千八百二十件すべてが随意契約。競争原理なし。全くもって競争原理なく、OB天下り機関に仕事を投げている。先ほど総務大臣が言われたように、三分の一はとうに超えているのですが、運用基準で甘くしているからセーフだという言い逃れになっている。これもなっている。これは全部、八整備局同じものがあるわけですね。同じものがある。 それで、最も私が腹が立ったのは、もちろんその一〇〇%随意契約もひっくり返りそうになったのですが、しかも、この近畿整備局からある調査を随意契約によってこの近畿建設協会が五千八百八十万円で受注しているんですね。これは一つの例ですよ、一つの例。受注して、何もせずにほかの民間企業に四千二百八十万円で丸投げしていた。つまりは、五千八百八十万円で受注しておいて、何も仕事をせずに四千二百八十万円でほかの企業に丸投げしている。つまりは、千六百万円をピンはねしたということですよ。随意契約、全部、一〇〇%随意契約。 これは、全部の国土交通省の整備局で同じような構図が天下りの構図で行われていて、そして一〇〇%の随意契約によって仕事を受けて、結果的には、まあ言ってみれば、そこでやめた人がぬくぬくと生活できるような状況になっているわけです。 例えば、もう一つだけ例を挙げましょう。余り例ばかり言ってもあれですので。厚生労働省のもとに、今度は株式会社。先ほどの防衛施設庁のところは財団法人、この国土交通省は社団法人、厚生労働省は株式会社です。株式会社CSSというところに対して、年間百五十億円の売り上げの約九割をこの株式会社に随意契約で発注をして、そしてこの役員もほとんどが厚生労働省職業安定局の天下り。 つまりは、防衛施設庁の問題だけではない、国土交通省も同じことをやっている、そして厚生労働省も同じことをやっている。例を挙げていったら切りがないですよ。農林水産省、ほかの発注官庁、幾らでも例を挙げることができます。 つまりは、この官と民、天下りそして官製談合、コストのアップで税金の無駄遣いをして、みずからのいわゆる食いぶちを温存している構図というものが、防衛施設庁だけでなくてどの役所にも存在をしているということが明らかになるわけですね。国と地方、公団を合わせて年間の公共調達は四十兆ぐらいあると言われている。これが、万が一、私が申し上げるように談合体質によって行われているとすれば、一割削ったら四兆削れる、二割削ったら八兆削れる、こういう話ですよ。 総理、私が一番初めに、この予算を出し直すつもりはないかということを申し上げたのは、この体質の中で税金の無駄遣いが、官製談合という名のもとによってまさにピンはねをされている構図というのが温存しているその予算を、それを正さずして審議しろというのはおかしいんじゃないですか。それを正して出直して、もう一度予算審議をやり直してくれというのが本来のあるべき姿じゃないですか。 つまりは、その実態調査を、まさに全役所を挙げてその実態調査をしてもらって、もう一度予算案を出し直すのが本来の筋ではありませんか。そのことを答弁ください。
○小泉内閣総理大臣 それはまた違う問題でして、今言った談合を防止するという提言なり指摘、これはよく踏まえて今後防止のために対策を行わなきゃならない。この十八年度の予算というのは、これは談合がないようにしっかりと執行しなきゃならないという問題であります。
○前原委員 では、どうやって談合体質を改善して、そしてそれについての責任はどう総理としてとられるつもりなんですか。 一九九八年の防衛施設庁の談合の問題で改善すると言って、何も改善されてなくて温存されてきたんですよ、その構図が。だれがそんな口先だけの空手形を、国民が信用するでしょうか。 具体案としては、もし議論をしてくれというのであれば、各省庁の所管の公益法人、社団法人、財団法人、そして発注をしている株式会社に対して、どういう仕事内容がされていて、どういう天下りがなされているかということを、全体像を例えばこの予算委員会に提出をして、そして、その精査をした上でその改善策をとる、そのことがまず議論の前提になるんじゃないですか。そうでないと、信用してくれと言われたって、だれがそんなこと信用できますか。そのことをしっかり出すことを約束していただきたい。それが私は審議の前提だと思う。
○小泉内閣総理大臣 今のような御議論は、これからの予算審議で十分やっていただきたいと思います。 しかし、予算の執行については、そのような不正がないように、各担当者はしっかり対応するのが我々の責務であります。
○前原委員 総理、御自身もこの談合体質があるということは認めておられるわけでしょう、この発注状況を見たときに。 行革国会と総理がおっしゃっている。税金の無駄遣いを徹底的になくすということは、これは我々は真の改革競争をやろうということを言っている。さっき申し上げたように、四十兆もあろうかという国、地方あるいは公団含めて、公共調達の中で、先ほど申し上げたような防衛庁の問題、国土交通省の問題、厚生労働省の問題、挙げなかったけれども農林水産省でも同じような構図がある。発注官庁は全部同じ構図を持っていて、そして、ちゃんと予算執行は健全にやるから大丈夫だということをだれが信用できるか。 つまりは、これはぜひ総理、お約束をしていただきたい。我々、この予算審議をする前提として、内閣を挙げて、今、私が先ほど申し上げたように、公益法人、株式会社含めて、どういう天下り組織になっていて、そして、どのような構図になっているかということを全部、内閣の責任として明らかにしてもらいたい。それが前提でないと議論できないですよ。それを約束していただきたい。 本当に行革国会というのであれば、小泉内閣の五年間の総仕上げというのであれば、それをやり切るというのが本当に官から民への政治を行うことじゃないですか。小泉さんの五年間というのが試されているんじゃないですか。本当にそれをやる気がありますか。 自民党をぶっ壊す、自民党のいわゆる利権体質をぶっ壊す、まさにその構図がここにあるんじゃないですか。きょうは言わなかったけれども、その企業から自民党の国民政治協会に対してたくさん献金がされているんです。そういう構図をたたき切るというのが小泉さんの本当の改革だったんじゃないですか。前提として、内閣を挙げてその資料を出すということを約束してください。
○小泉内閣総理大臣 そのような議論をするのが国会の責任であり、その議論を踏まえて不正がないように政府は対応する、それには賛成であります。議論を通じて、出すべき資料はきっちりと出します。
○前原委員 では、予算委員会の場で、今私が申し上げたような各省庁の公益法人、そして株式会社、それがどういうお金の流れになっていて、天下りはどういう状況になっているのか、また、それから先の、いわゆる先ほど申し上げたような丸投げのようなことも含めて、内閣が資料を提出して、それを前提に予算委員会がまともに議論できるように、ぜひ予算委員会として政府に対して要望していただきたい。
○大島委員長 前原君の御要請については理事会で議論をいたしますが、前提でというより、その資料についてどう扱うか、理事会で検討をしたいと思います。真摯に検討してみましょう。
○前原委員 しっかりとそれを、資料を、我々の議論の材料になるわけですから。情報公開というものが大前提でなければ、それは我々、まともな予算審議できないですよ。(発言する者あり)前提とかそういうこと抜きに、客観的に院の立場として、三権分立のまさに予算委員会という立法の場として、それを真摯に政府に要望する、そうおっしゃってくだされば結構です。
○大島委員長 理事会で検討をいたします。 それから、委員外の傍聴者に言います。失礼なことを言ったらここから出ていただきますから、真摯に傍聴態度をとってください。
○前原委員 総理、先ほど予算の健全な執行をしっかりやっていきたいということをおっしゃいました。きょう、幾つか私は提案をさせていただきたいと思います。 例えば、五枚目の資料を見てもらえますか。五枚目の資料。天下り規制法案。 この資料の五のところでありますが、先ほど申し上げたように、今、上なんですね。不十分な現行規制ということで、国土交通省、防衛施設庁などの国の機関からゼネコンなどの関係営利企業には二年間天下りできませんと。しかし、特殊法人、独立行政法人、公益法人などに二年間在籍すれば、しり抜けでそれができるというのが今の状況なんです。 我々の案はその下。つまりは、直接も五年間ということで強化する、禁止ということで強化する。それと同時に、この特殊法人経由のしり抜けをさせないような案をやはりつくるべきだ、天下り規制を。我々提案をいたしますが、そのことについて、総理、前向きなお答えをいただきたい。提案をしているんです。
○小泉内閣総理大臣 この民主党の提案に対して、今、自民党、公明党等においても協議を続けていると聞いておりますので、この民主党案も参考にしながら検討していきたいと思っております。
○前原委員 それから、官製談合防止でありますけれども、今、公務員の関与について罰則がないんですね。罰則がない。それと同時に、道路公団とか郵政公社などは、これは株式会社化されるということでありますが、株は国が持っていますね。ですから、そういうところがまさに脱法的にこれにも当てはまってしまうということでありますので、民営化による官製談合逃れは許さないということで、こういった旧道路公団、旧郵政公社にも適用できるようにすべきだということも提案をさせていただいております。 そのことについても、総理、本当に、先ほどもおっしゃったように、七十九兆円の予算を適正に執行するのであれば、先ほど申し上げた、まさに官製談合体質をなくすんだということであれば、これをやらなければいけないという思いで我々はやっているわけです。提案をしているんです。いいものについては提案をしている。ぜひ、この罰則強化、そして民営化の看板逃れは許さない、この点についても答弁をいただきたいと思います。
○小泉内閣総理大臣 今の御提案も含めまして、官製談合を防止するということは税金の無駄遣いをなくすということにも通じますので、これは今後、委員会におきましても各党においても検討を続けて、予算の健全な執行のために、政府としても全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
○前原委員 最後、この問題について質問いたしますが、もう時間がありませんので、先ほどお答えをいただいたことで踏まえておきますが、公務員の早期勧奨退職制度、まさに私もここに問題があると思っているんです。早くにやめるから天下り先を見つけなきゃいけない、こういう仕組みができてしまっているんですね。 そして、防衛施設庁の問題でいえば、公共事業の配分目安がOB年収の大体七十倍、つまりは、年収の七十倍ぐらいのいわゆる発注を、一人受け入れてくれたところに仕事として、談合として割り振るということが慣例化されているというような話があります。 これを考えると、まさに早期勧奨退職制度というものがコストアップにむしろつながっている。それであれば、定年までしっかり働いてもらって、それは、同期で次官になる人がいて、そのもとで働かなきゃいけないとか、そういう人間的な面でやりにくさはあるかもしれませんけれども、この早期勧奨退職制度というものがまさに問題となって、こういう天下り先を見つけなきゃいけない、そのことによって、まさに下世話な官製談合、そして税金のピンはねのような構図ができ上がっている。 これはやはり答弁をいただきたい。公務員制度改革を出されますね、公務員制度改革をこの国会に。公務員制度改革の一つの大きな柱として、この早期勧奨退職制度の見直しも私はしっかり入れるべきだと思う。このことについても、総理、御答弁ください。
○小泉内閣総理大臣 先ほどもお話しいたしましたけれども、早期退職の慣例をなくすといいますか、早期退職よりも定年までできるだけ働いてもらうように退職年齢をもっと引き上げようということで、今から三年ぐらい引き上げようじゃないか、そして天下りしないで済むようにしようということをやっておりますが、これについて、三年以上もっと引き上げろという声もあります。それと、公務員制度の中での身分とか、公務員の身分に関する問題もあります。さらに、今官民交流を進めています。官から民へという人材の交流の問題もあります。また、民から官へというのもあります。民間へ行ってまた戻ってくる人もあると思います。そういう点も踏まえて、今の御提案も踏まえて総合的に検討しなきゃならない。 できるだけ早期の退職慣行を引き上げて、定年なりあるいは定年近くまで能力のある者は働いて天下りしないで済むような制度というものを、どう改善していくか、これも大事な検討課題だと思っております。
○前原委員 私、あと三十分質問時間をいただいておりますので、格差の問題についてじっくりまたあした議論させていただきたいというふうに思っておりますが、そのさわりとして、幾つかあしたの議論の導入部分として総理と私は意見交換をさせてもらいたいと思います。 まず一つは、格差はあいていないんだ、そういうお話をされておりますし、また、強者というか勝者、成功した者に対するねたみのようなものを持ってはいけないんだ、こういう発言を総理されていますね。そこで私が申し上げたいのは、今の、私は格差が開いていると思っておりますが、その大きなポイントは何かというと、正規雇用と非正規雇用というものがまさに数として大きく変わってきた、こういうことなんです。 資料の七を見ていただきたいというふうに思いますけれども、まさに正規労働者については、総理が、小泉さんが総理になられたときぐらいから急激に減少しているというのが図としてあらわれています。非典型労働者というのは逆に上がっていっている、こういう図になっております。これはあくまでも、正規雇用の方が左の数字、そして非典型労働者、パートなどについてが右の数字でありまして、数の方はいまだに正規雇用の方が多いということでございます。 この問題がどういう状況かといいますと、言ってみれば、非正社員、つまりは非典型社員の給料の低さというものがまさに格差の大きな背景となっているということを申し上げたいわけであります。 きょうは私は数字を申し述べるだけにとどめておきますけれども、例えば月給十万円未満の非正社員の方が三七・二%、そして月給十万円から二十万円の方が四〇・八%、つまりは二十万円未満の月給の方が非正社員で七八%にも及んでいる、こういうことであります。つまりは、正社員の給与と非正社員の給与の格差というものがまさに大きな問題を生んでいるんだということをまず一つ申し上げたい。 もう一点、今度、地域です。 この間、厚生労働省が出してこられた有効求人倍率、一でございましたけれども、総理、正規雇用の有効求人倍率は〇・六五。それに対して、パートそれから派遣の方々の有効求人倍率は一・四一。つまりは、この格差というものと、あとは、この資料を見ていただきたいのは地域ですね、九番、地域格差、こういったものが相当出てきているということが私は大きな問題だというふうに思っております。 あしたの朝、今申し上げたことを踏まえて、ちょっと頭の中で覚えておいていただいて、それを前提に、格差は広がっているんだということについての議論をさせていただきたいと思います。 きょうは終わります。
○大島委員長 次回は、明七日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時散会