法務委員会 第28号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 2006/06/07
会議録
○石原委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、参議院送付、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案並びに犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。杉浦法務大臣。 ————————————— 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案 犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○杉浦国務大臣 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案及び犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案につきまして、一括してその趣旨を御説明いたします。 現行の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律は、詐欺、出資法違反といった、いわゆる財産犯等の犯罪行為によりその被害を受けた者から犯人が得た財産等である犯罪被害財産については、被害者の犯人に対する損害賠償請求権等の実現を優先させるため、その没収、追徴を禁止していますが、そうした損害賠償請求権等を十分に行使することができないような事案においては、結果として、犯人に不法な利益である犯罪収益を保有させかねない事態が生じているところであります。また、暴力団関係者らによる組織的なやみ金融事案の犯罪被害財産の一部が外国の銀行に隠匿され、これが当該外国によって没収されるという事案が発生したことから、当該外国からその財産を譲り受けた上、当該事案の被害者の財産的被害の回復に充てる必要がございます。 これらの法律案は、このような状況を踏まえて、犯罪収益の剥奪及びそのような犯罪の被害者の保護を一層充実させるため、所要の法整備を行おうとするものでございます。 まず、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部を改正する法律案の要点を申し上げます。 第一は、現行法上は没収、追徴が禁止されている犯罪被害財産について、犯罪が組織的に行われた場合や当該犯罪被害財産が隠匿された場合など、被害者による損害賠償請求権等の行使が困難な場合には、その没収、追徴を可能とした上、その財産等を犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律による被害回復給付金の支給に充てることとすることでございます。 第二は、外国が没収した財産等の譲与を受けるに際し、いわゆる相互主義の保証を行うことができるようにするため、外国から要請された裁判の執行の共助により没収した財産等を、当該要請をした外国に譲与することができるようにすることでございます。 次に、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律案の要点を申し上げます。 第一は、被害回復給付金の支給手続を定めることであり、没収した犯罪被害財産に相当する金銭の保管を初めとする支給手続の主体を検察官とすること、被害回復給付金の支給の申請をすることができる者については、犯罪被害財産の没収、追徴の理由とされた犯罪行為の被害者のほか、これと一連の犯行として行われるなどした犯罪行為の被害者とすることなど、所要の規定を整備することとしております。 第二は、外国において没収された犯罪被害財産に相当する財産等についても、外国から譲与を受けた場合には、以上の手続に準じて、被害回復給付金の支給に用いることを可能とすることでございます。 以上が、これらの法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 以上です。
○石原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○石原委員長 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長米田壯君、法務省刑事局長大林宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○石原委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。矢野隆司君。
○矢野委員 おはようございます。自由民主党の矢野隆司でございます。 ただいま、杉浦法務大臣よりるる提案理由説明をいただきましたが、今回の組織的犯罪処罰法の一部改正法案並びに被害回復給付金支給法案というものにつきましては、端的に申し上げて、二〇〇三年八月に摘発されました暴力団山口組系五菱会関係者によるやみ金融事件をきっかけに、いわゆる財産犯からその犯罪収益を没収、追徴、あるいは外国にて蓄財されておるそれら収益を譲与してもらおう、そしてさらに被害者に回復給付しよう、こういったことから、その趣旨にのっとって、今回の二法の整備に取り組むものと理解しております。 そこで、質問を幾つかさせていただきたいと思います。 まず、いささか個別具体的なことから入らせていただきますけれども、組織的犯罪処罰法改正案第十三条三項から伺いたいと存じます。 この中で、犯罪被害財産を没収することができる規定の一つとして、「被害の回復に関し、犯人に対する損害賠償請求権その他の請求権の行使が困難であると認められるとき。」とございます。要は、暴力団やあるいは特異な圧力を標榜するような組織の構成員による、いわばお礼参り的なことが想定されたり、また、被害者が一体全体だれに請求すればいいのかわからない、こういったときのことを明示的に書いているのではないかと理解しておりますが、具体的に、国民の皆さんに、どういった場合のことを想定してこの規定が生まれたのかといったことをわかりやすくまず御説明をいただきたいと思います。
○大林政府参考人 委員御指摘のとおり、改正法の組織的犯罪処罰法第十三条第三項第一号は、犯罪被害財産を没収することができる場合について、前段において犯罪が組織的に行われた場合を例示した上、後段において、「その他犯罪の性質に照らし、」「犯人に対する損害賠償請求権その他の請求権の行使が困難であると認められるとき。」と規定しております。 したがって、同号後段の規定につきましては、その前段の要件には必ずしも当たらないものの、犯罪の罪の種類、犯罪行為の態様等の客観的事情から判断して、被害者が犯人に対する損害賠償請求権等を行使することが困難であると認められる場合、例えば暴力団員が殊さらに自己が所属する暴力団組織の威力や組織による報復の可能性を示しつつ恐喝に及んだ事案や、複数の者が犯行に関与しているため適切な者に損害賠償請求権を行使することが困難であるような場合も該当するものと考えられ、その場合には犯罪被害財産を没収することが可能となります。
○矢野委員 要は、暴力団の関係者がそういう会社を経営したり、あるいは裏でいろいろ組織立って金を貸して、不法な取り立てを行ったり法定外の過大な利息を徴収しておる、こういったことから被害者を守ろう、こういうことであると思いますが、新聞報道によりますと、そういうやみ金業者というのは全国に二万社あって、うちその二割が暴力団の関係者がかかわっておるという報道が、平成十五年八月五日の日経新聞の夕刊に出ておりました。 そこで、昨日、きょうの質疑に先立ちまして、警察庁の方からお越しをいただきまして、現在、そういう暴力団員がかかわるやみ金融会社というのはどれぐらいあるんでしょうかというようなことをお尋ねしましたところ、まさにやみの会社でございますのでそこはわかりません、それがやみのやみであるゆえんでございますと言われたものですから、なるほど、それもそうだなと思いながらも、そこで、ちなみに、だれが暴力団の構成員であるとか組織の構成員であるとか、そういった個々の認定というものは各都道府県警あるいは公安調査庁の所管の部署がなされておるものと理解しております。暴対法の改正以来、なかなか情報の収集に関しては御苦労されているとも聞いておりますし、そこで、そういった認定の基準というものがあるのであればお伺いしたいと思います。 また、一般市民にはそういう相手先が暴力団かどうかということがわからない場合も多々あるようでございまして、その場合の警察の対応、あるいは個別事案によってそういう認定された者であるといったことを情報開示するのかどうか、市民への情報提供という意味で警察庁としてどういうふうな取り組みをされておられるか、伺いたいと思います。
○米田政府参考人 まず、暴力団員であるかどうかというのは、その者の活動状況、それから暴力団が作成をいたしましたいろいろな書状のようなものがございます、そういうものへの氏名等の記載状況、それから検挙時における本人の供述、こういうことなど客観的な事実を総合的に判断して認定をしているところでございます。 暴力団情報の提供でございますけれども、平成十二年に警察庁、当時の暴力団対策部長からの通達がございまして、各都道府県警察がこういう情報を提供するに当たりましての基本的な考え方、情報提供基準等を定めております。具体的に申しますと、暴力団による犯罪、暴力的要求行為等による被害の防止または回復、それから暴力団の組織の維持または拡大への打撃、こういう観点から公益性が認められるという場合には、提供する暴力団情報の範囲、内容を検討の上、それを必要とする者に提供するということにしてございます。 この枠組みによりまして、例えば暴力団による被害を回復するための民事訴訟の支援をする場合、あるいは市民による暴力団事務所の撤去運動を支援する場合、それから、これは市民ではございませんで行政でありますが、福祉事務所が暴力団員による生活保護不正受給を防止しようとする場合等、いろいろな場合に情報提供を行っているところでございます。
○矢野委員 ということは、ちょっと重ねてお伺いしますが、具体的に市民、国民が警察庁あるいは所轄の警察署等で、この人はどういう人ですか、あるいは認定を受けているような人なんですかということを尋ねた場合に、それなりの情報をいただけるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
○米田政府参考人 やはり個人情報でございますので、そこはまたケース・バイ・ケースで、真に必要があると認めた場合、それから、提供する範囲というものもございます。例えば、自分のところの施設で何か行事をやりたいといって申し込んできたんだけれども、どうも何か雰囲気がおかしい、これはひょっとして暴力団が威力誇示するためのいわゆる義理かけ行事ではないかということであれば、それは、確かにそうです、あなたのところに申し込んできたのはこういう団体ですというようなことはお教えするかもしれませんが、個々の、個人の情報までは必要でないだろうということで、範囲はその場合その場合で限ってお教えするということはございます。
○矢野委員 ありがとうございます。 それでは、先ほどの五菱会の事件に戻りたいと思いますが、被害者の民事請求を念頭に東京地検の方で押収しておった三億三千六百万円を、東京国税局がそのうち約一億円を、これは所得税なんでしょうか、これの滞納を理由に差し押さえた経緯がございます。裁判中であるにもかかわらず国税庁が差し押さえたことについては種々議論があったようでございますが、検察の没収保全と国税の滞納処分による差し押さえにつきましては、言葉が正しいかどうかは自信がありませんが、先着主義とでも申すのでしょうか、いわば早い者勝ち的な考え方で行われておるというふうにも聞いております。 なるほど、法律上の手続はそうなのかもしれませんが、やはり今回の事案のような性格によっては、それなりの対応が国税当局の方でもできなかったものか、こう思うのでございますが、今後、同種のこのような事案が起きることは想定されるわけで、今回の法律の改正と絡めて、そのあたりの対応についてお伺いしたいと思います。
○大林政府参考人 御指摘の件は、いわゆる五菱会事件の捜査の過程において被告人から押収された現金約一億円が東京地検において保管中であったところ、国税当局によりその還付請求権の差し押さえがなされていたことに伴い、同事件の判決確定後である本年一月、東京地検から国税当局に当該現金が引き渡されたものと承知しております。 五菱会事件の判決では、御指摘の現金は、その一部が犯罪被害財産に当たることなどを理由として没収しないこととされ、その結果、国税当局への引き渡しに至ったものと承知しておりますが、仮に今回の法整備の後に今回と同様の事件が発生した場合には、犯罪被害財産であっても、刑事手続においてこれを没収した上、被害回復給付金の支給に充てることができるようになるため、基本的には今回のような問題が生ずることはなくなるのではないかと考えております。 また、刑事手続における没収保全と国税滞納処分による差し押さえが競合した場合についてのお尋ねですが、今回の改正法案の適用対象となる事案は、組織犯罪やマネーロンダリングなど、通常、捜査機関による事案の解明なくして犯人の所得や犯罪収益を特定することは極めて困難な事案であると考えられますので、検察官等の請求によって行われる没収保全に先んじて国税当局が犯罪被害財産の差し押さえをするという事態が生ずることは相当にまれなことであろうと考えられ、刑事裁判において犯罪被害財産を没収することができないという事態が生ずることは考えにくいものと思われます。
○矢野委員 さらに五菱会の件について幾つか伺いますが、今回の法整備を受けて、スイス政府に今押さえられている五十一億円のうち、一体幾らぐらい日本に返ってくることが可能なのかということでございますが、これについては外務省が鋭意交渉中とも伺いますが、中には半分は返ってくるだろう、そういうような説を唱えられる方もいらっしゃるようです。 お答えいただける範囲で結構でございますので、今現在、交渉の状況はどういうふうな状況になっておるのか、また、だれとだれがどのように交渉しておるのかということを、お答えできる範囲で結構ですので教えていただきたいと思います。
○大林政府参考人 御指摘のスイスが没収した約五十一億円の財産を譲り受けるための交渉につきましては、現在、外交ルートで協議が継続されているところでございます。 スイスから譲り受けることができる金額の見込みを含め、協議の状況及び内容につきましては、外交交渉に関することでもあり、お答えを差し控えさせていただきますが、法務省といたしましては、外務省と緊密に連携をとりつつ、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
○矢野委員 五十一億円が分母ですので、一円でも多くというとみみっちい話になりますので、幾らでもいいですから多目にというか、多く返していただきたい、そういう交渉をしていただきたいと思うのでございますが、そもそも五十一億円もの巨額の資金をスイスに送金できたという、そのスキームについてちょっと教えていただきたいと思います。
○大林政府参考人 お尋ねの事案の概要は、暴力団幹部らが無登録で貸金業を営み、かつ、出資法に違反して受領した利息等で購入した無記名の割引金融債の犯罪収益等を隠匿しようと計画して、その割引金融債の償還金をクレディ・スイス香港支店に開設した同暴力団幹部名義の口座に入金し、さらにその口座から、その預金を含めた約五十一億円相当の財産を前後十三回にわたり、スイス連邦所在のクレディ・スイスの無記名口座に送金等をさせて、これらの犯罪収益等約五十一億円を隠匿したというものでございます。
○矢野委員 ちょっと質問の通告にはなかったのでございますが、今のお答えに関連しまして、要するに、香港からスイスへは計十三回で五十一億送ったということだと思いますが、では、日本から香港まではどうやって、要するに日本の銀行から送ったのかどうか、あるいはそれは何回に分けてとか、そういった資料が今おありでしたら教えていただきたいんですけれども。
○大林政府参考人 日本からクレディ・スイス香港支店への入金については、割引金融債の償還金をそちらの口座に送金して入金したということでございまして、その過程において、日本の銀行の関与が認められるというふうに承知しております。
○矢野委員 報道では、スイスの某銀行のことばかりが取りざたされておりますが、日本の銀行もこれにかかわっていたということでございまして、さらに、無記名の割引債をいわば悪用しておったというふうに位置づけられるのではないかと思いますが、今後、同種のこのような事件でこのような送金があった場合、なかなか難しいかもしれませんけれども、捜査当局としてはどういった取り組みを示されるのか、おありでしたら教えていただきたいと思います。
○大林政府参考人 組織的犯罪処罰法は、金融機関等による疑わしい取引の届け出について定めておりまして、我が国において銀行業を営む、外国銀行を含む金融機関等は、その業務において収受した財産が犯罪収益等である疑いがある場合、または業務に係る取引の相手方が当該業務に関し犯罪収益等隠匿罪に当たる行為を行っている疑いがあると認められる場合には、速やかに金融庁長官に届け出ることが義務づけられております。また、金融庁長官は、外国の機関から情報の提供を受けることもできます。そして、同法は、金融庁長官がこれらの情報を分析し、捜査機関等に提供することを定めております。 捜査機関においては、こうした情報により、犯罪があると認める場合には、関係機関と連携して、犯罪収益等隠匿罪やその前提犯罪について所要の捜査を尽くしていくものと承知しております。
○矢野委員 ちなみに、この被害回復給付金支給法案、新法の第三十六条に絡んで御質問をさせていただきますが、それら送金された犯罪被害財産が外国において、よしんば不動産等の購入に充てられていたという場合、これはどうなるんでしょうか。現金ならそのままこっちへ持って帰ってくることはできると思いますが、そういった場合はどういうことが想定されるのか、教えていただきたいと思います。
○大林政府参考人 犯人が不動産の形で外国に犯罪収益を保有している場合において、我が国として、当該不動産を用いて被害回復給付金を支給しようとする場合には、基本的には、我が国から当該外国に対し、当該外国で没収された不動産について、これを外国の当局にて換価した代金を譲り受けるべく、外交交渉を通じて当該外国にその旨の要請をすることになると考えられます。 御指摘のとおり、被害回復給付金支給法第三十六条は、外国譲与財産が金銭以外の財産であるときは、検察官においてその換価等をしなければならない旨規定をしておりますけれども、この規定は、基本的には、動産のように、その財産ごと譲り受ける財産を想定した規定でございまして、不動産について適用することは考えにくいものと考えております。
○矢野委員 ということは、不動産は現地で売却して、その売却代金を持って帰ってくるということでいいんですか。そうではないんですか。
○大林政府参考人 基本的にはそのとおりだと思います。
○矢野委員 今回の五菱会で何度も新聞に出ておりますこのスイスの銀行も、名前は申しませんけれども、この銀行というのは、過去にもいろいろ問題を起こしておりまして、かつて、我が国からリテール部門を撤退しなさい、こういう指導を受けて撤退を余儀なくされたりもしておりました。その際には、銀行員が香港まで現金を持っていき、ジュネーブやチューリヒの支店で預かります、そういった違法性の高いことを指南しておったこともございました。 例えば、一例を申し上げますと、財務省や国税庁に知られることなく海外に送金したり、あるいは既に送金したお金を今度は日本に戻すという不法行為の場合には、ホテルを二部屋とりまして、相互に、相手の顔が知られないように現金を移動させたり、あるいはそういう資金を両替する、これを業界ではスワッピングというそうですが、そういう手法をこの銀行はかつて指導していたことを私は知っております。 いずれにせよ、五十一億円という巨額の送金でございますので、私としては、手数料、あるいは五十一億円ですから口座管理料は取らないのかもしれませんが、それにつきましても相当な額になったんじゃないかと思っております。本来ならば、それも没収といいますか、差し押さえをしていただきたかったぐらいでございますけれども、何せ肝心の担当の銀行員が無罪になった、こういうようなことでもございますので、これ以上の発言はいたしません。 そこで、この五十一億円の犯罪収益につきまして、一体全体、いわゆる被害者というのは何人ぐらいになるのか、教えていただきたいと思います。
○大林政府参考人 スイスに隠匿された五十一億円の犯罪収益がどの被害者の財産により形成されたかについては、判決等においても明らかにされていないため、この犯罪収益に直接結びついている被害者の数を正確に申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと存じます。本法律を成立させていただいた後、本法律に従った手続により、最終的に確定されることとなると思います。
○矢野委員 正確には困難ということでいえば、かなりの人数であろうということが想像される、こういうことでございますが、この事例に即せば、被害回復給付金の支給手続というものは検察官がなされる。これは極めて大きな労力を使って事務処理をされるのであろうな、こう思うのでございますが、法案で言う被害回復事務管理人という制度が今度設けられるということで、弁護士さんが当たられるというふうに聞きますが、その費用につきましては、被害回復給付金支給法第二十六条で、給付資金から支給されるとございます。例えば、これは取り扱う事案によって、非常に巨額の、それこそ五十一億円の例もあるわけですから、その場合の報酬というものは、取り扱う事案の大きい、少ないによって変動するものなのか、あるいは何か一定の基準が設けられるのか、そのあたりをお尋ねしたいということが一点。 それから、被害回復給付金の支給法案の第七条の二項では、支給の申請期間については三十日以上、こういう規定がございます。逆に、いつまでにという最長の年限は区切られておりません。一人でも多くの被害者に給付金が支給されることを希望するものでございますが、今、正確な被害者の算定は困難ということでございましたけれども、今回の五菱会事件でいえば、最終的には、いわゆる一件落着となるまでどれぐらいの期間を見込んでおられるか、二点、教えていただきたいと思います。
○大林政府参考人 被害回復事務管理人の報酬につきましては、基本的には、その職務執行の対価として相当と認める額を定めるべきであり、具体的には、実際に遂行した事務の作業量等を考慮して算定することになるものと考えられます。したがって、取り扱う事案ごとに実際に遂行した事務の作業量も異なることになると考えられますので、その報酬の額も事案に応じて変わり得るものと考えられます。 また、手続終了期間についてお尋ねでございます。 支給手続全体に要する期間は、支給申請期間、その後の調査や審査に要する期間、各種の不服申し立ての処理に要する期間など、事案の規模や複雑さ、手続の進展状況等に応じて決まることとなり、御指摘の五菱会事件につきましては、被害者が多数存在する大規模な事件であることもあり、数カ月程度の長期の申請期間を設けることとなると思われます。その後の手続に要する期間については、実際の申請人の数や不服申し立ての状況などに左右されることになりますので、一概にその見込みを申し上げることは困難であることを御理解いただきたいと存じます。
○矢野委員 一人でも多く、素早く救済されればいいな、こう思っております。 そこで、基本的なことに立ち返ってお尋ねをいたしますが、今回の二つの法律案、いわゆる改正案と新法でございますが、これらの法律で言います犯罪被害者という人たちは、どういう犯罪に巻き込まれた人をいうのか。あるいは、古くは、M資金話でありますとか原野商法、それから近年の振り込め詐欺、そういったものももちろん入ると私は思うのでございますが、また、昨日も、福岡の資産運用会社が五千人から百億円を集めたという事案についての捜査も始まったようでございます。 きのうの件は結構でございますけれども、どういった犯罪に巻き込まれた人をいうのか、そこを教えていただきたいと思います。
○大林政府参考人 今回の法整備は、詐欺や出資法違反などの財産犯等の犯罪行為によりその被害を受けた者から犯人が得た財産等である犯罪被害財産について、その犯罪行為が組織的な態様で行われた場合やマネーロンダリング行為が行われた場合に、その没収、追徴を可能にした上で、これにより得られた財産を被害回復給付金として、その事件の被害者及びこれと一連の犯行として行われた犯罪行為の被害者に支給することにより、その財産的被害の回復を図ることを目的としたものでございます。 したがって、救済の対象としては、例えば組織ぐるみで行われた振り込め詐欺事件や、出資法違反のやみ金融事件の被害者、暴力団員が殊さらに自己が所属する暴力団組織の威力や組織による報復の可能性を示しつつ敢行した恐喝事件の被害者、犯罪被害財産が架空名義の銀行口座に預金されたり第三者に仮装譲渡されるなどした場合の事件の被害者等が救済の対象になるものと考えております。
○矢野委員 最後に、大臣にお尋ねしたいと思います。 被害回復給付金の支給手続に関しましては官報をもって公告する、こういうふうにされております。しかし、大変失礼な言い方になるかもしれませんが、この官報というものをどれだけの国民が注目して定期的に読んでいるか、見ているかというと、私は、いささか心もとない感じがしております。 そこで、例えば法務省が適切かどうかはわかりませんが、法務省あるいはその他のホームページでそういった公告にかわるものをするとか、あるいは、今一生懸命取り組んでおられます日本司法支援センター、法テラス、この組織の周知徹底の意味も含めて、この司法支援センターに協力を仰ぐ、そういったお考えがないかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。 あわせて、最後になりましたけれども、今回の法の整備を受けまして、法律の運用に向けての法務大臣の御決意を賜りたいと思います。
○杉浦国務大臣 大変適切な御質問をいただきまして、ありがとうございました。 この法案の趣旨を実現するためには、申請資格のある被害者に対して申請の機会を十分に確保することが重要であることは申し上げるまでもないところでございます。 法律では、支給手続を開始した場合には、手続に関する事項を官報で公告するとともに、知れている被害者等に個別に通知することとされておりますが、それだけでは不十分であることは先生御指摘のとおりでございます。 運用上は、先生おっしゃったように、個々の事案に応じまして、例えば検察庁のホームページを開設しておりますので、法務省も開設しておりますが、個々の事件の支給手続に関する情報を掲載するとか、あるいは、関係機関、団体等に情報提供して協力を仰ぐなどの広報活動を行っていくことが考えられると思います。 日本司法支援センターにつきましては、その業務の一つに法定されておりますが、犯罪被害者に対する情報提供を業務の一つに掲げておりますので、業務開始は十月からでございますが、検察官から司法支援センターに対しまして個別具体的な事件に応じまして情報提供を行うなどして連携を図ってまいりたい、こう思っている次第でございます。 今回の法整備は、政府の犯罪被害者等基本計画に定めております施策の一環として位置づけられるものでございまして、犯罪収益の剥奪、財産犯等の犯罪行為の被害者の保護を一層充実させるということでございまして、大変意義深い法整備であると考えております。 これから、振り込め詐欺だとか五菱会同様のやみ金融事件が続々摘発されておりますが、そういうような事件の処理において威力を発揮していくのではないかというふうに思っております。 今回の法整備がなされた後は、法律の周知徹底を図ることはもとよりでございますが、実際に手続を主宰する検察官において、検察庁で関係各機関と緊密な連携をとりながら、その適切かつ確実な実施に努めてまいる所存でございます。
○矢野委員 ありがとうございます。 今、大臣から大変前向きな御答弁をいただきました。国民のためにもそういう周知徹底というのは大変大切だと思いますので、ぜひ前向きにお取り計らいをお願いしたいと思います。 最後に、やみ金の被害者の中には家族や職場に知られたくないという方も多いんだそうでございます。被害者情報の収集、わけて、被害回復給付金支給法案第十二条に言います裁定書の送達等、そういう通知には、やはりプライバシーの保護も含めて慎重な配慮も必要かと思います。あわせてお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 —————————————
○石原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となっております両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、来る九日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十時三十六分散会