財務金融委員会 第17号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2006/05/12
会議録
○小野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、証券取引法等の一部を改正する法律案、証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び古本伸一郎君外六名提出、証券取引委員会設置法案並びに小沢鋭仁君外二名提出、証券取引法等の一部を改正する法律案及び証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する両修正案を議題といたします。 本日は、各案及び両修正案審査のため、参考人として、日本公認会計士協会会長藤沼亜起君、桐蔭横浜大学法科大学院教授郷原信郎君、以上二名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。 本日は、大変お忙しい中を、当委員会で現在、証券取引法等の一部を改正する法律案等の審議を進めているわけでございますけれども、この審議に資する意味で、御出席をいただきまして、参考人としての御発言をいただくこととなりました。どうか御忌憚のない御意見を御披瀝いただきますように、心からお願いを申し上げます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、参考人各位からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。 それでは、まず藤沼参考人にお願いいたします。
○藤沼参考人 おはようございます。藤沼でございます。よろしくお願いいたします。 まず、カネボウ、ライブドア等、公認会計士が絡んだ会計不祥事の発生は、まことに残念であり、大変に遺憾に思っております。日本公認会計士協会は、公認会計士の社会的使命を自覚し、公認会計士監査の信頼性の回復のため、自主規制を一層強化し、会員と一団となって監査の品質確保に全力で取り組んでいるところであります。国民の期待にこたえるよう最善の努力を行う決意であります。 金融商品取引法案につきましては、ディスクロージャーの強化のため数々の制度が導入されております。協会は、次の五点において高く評価しており、ぜひ今国会での成立をお願いする次第であります。 第一に、財務報告に係る内部統制について、経営者の評価と当該評価に対する監査人の監査という、いわゆる内部統制報告書制度の導入が織り込まれていることであります。 協会は、財務諸表の適正性は、第一義的には、財務諸表の作成者である経営者がその職責を全うすること、次に、当該財務諸表の適正性を第三者の立場で監査し担保する監査人がその職責を遂行することにより確保されるものと御説明してまいりました。 この制度は、財務諸表の作成者である企業が、財務報告に係る内部統制を整備し円滑に機能させることで財務諸表の質を確保するものであり、当該制度の導入により財務諸表の信頼性が向上するものと期待しております。 第二に、有価証券報告書等の適正開示に関する経営者確認書の導入であります。 これは、経営者が、有価証券報告書の記載内容の適正性についてみずから確認し、署名してその責任を投資家に明らかにするものであります。経営者が確認することとなると、作成段階において担当者間での緊張感と責任感が高まり、不実記載の防止には相当に寄与するものと期待しております。 なお、経営者が確認書に署名できるのは、財務報告に係る内部統制が整備され、それが有効に機能していることが前提であります。その意味で、経営者確認書と内部統制報告書は表裏一体の関係にあると考えております。 第三に、会社情報をタイムリーに投資家等に提供する四半期報告書の導入であります。 企業を取り巻く経営環境は激しく変化しており、ビジネスリスクが高まっております。投資者からはタイムリーな情報開示が求められております。四半期財務諸表には、公認会計士はレビューにより検証業務を行うことになります。 四半期報告書制度の導入は迅速かつ適正な会計処理が求められますので、会社の財務報告に係る内部統制が整備され、かつ、それが有効に機能していることが前提であります。その意味では、内部統制報告書と一体となって四半期報告書の制度化が図られることを協会は要望してきたところであります。 第四に、虚偽記載を行った場合の経営者等の実行行為者及び当該企業に対する刑事罰、さらに幇助罪として監査人の刑事罰が強化されたことです。 有価証券報告書等の虚偽記載は、自己責任において証券市場に参加している一般投資家の期待を裏切ることになりますので、個人金融資産の貯蓄から投資への移動を促進するためには、刑事罰が強化されたことは当然のことと理解しております。 以上、内部統制報告書と経営者確認書、刑事罰の強化の三者が一体となって、ディスクロージャーの信頼性は相当に向上するものと考えております。 第五として、集団投資スキームであるファンドを幅広く新法の規制の中に取り込み、投資者の保護が図られたことも必要な措置であると考えております。 ライブドアの会計不祥事を踏まえ、協会は、投資事業組合等に対する監査の深度を高め、投資者の期待にこたえるよう、去る四月六日に会長声明を公表し、会員に注意を喚起したところであります。 投資事業組合の問題は、連結範囲の実務指針等の整備が十分でなかったという課題もありましたので、現在、投資事業組合等の連結の範囲に係る実務指針等の作成作業が企業会計基準委員会で行われております。協会も投資事業組合に対する監査の実務指針を作成する作業に着手しております。 最後に、協会は、財務諸表の適正性の確保には、従来から、経営者、コーポレートガバナンスに責任を持つ取締役や監査役、外部監査人、監督官庁、証券取引所など、関係者についての包括的な制度の整備をお願いしたところであります。本法案には協会の要望が相当に取り入れられており、十分な審議の上、今国会で成立することを再度お願い申し上げます。 本法案では、財務諸表作成者である経営者の責任が強化されますので、監査人もそれに甘んじることなく、会計監査のプロフェッションとして自主規制を一層強化し、公認会計士監査の信頼性確保に全力で取り組む所存でございます。 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○小野委員長 藤沼参考人、ありがとうございました。 引き続きまして、郷原参考人にお願いいたします。
○郷原参考人 桐蔭横浜大学の郷原でございます。よろしくお願いいたします。 それでは、今回の金融商品取引法、まず内閣提出法案の関係で、幾つかのポイントに絞って私の意見を申し述べさせていただきます。 まず、現在の証券取引法、そして今回定められようとしている金融商品取引法の目的、性格の問題ですが、私は、証券取引に関する法律というのは市場法的な性格が極めて重要であると考えております。従来、ともすればこの法律が、投資家保護法的な性格のみを強調される形でつくられ、運用されてきた傾向がありました。そういう面で、今回の法案において、市場法的な性格が目的規定の中で非常に明確に打ち出されたことは、大変有意義なことではないかと思います。 二番目に、今回の法律で、どの範囲の取引を対象としていくかという問題です。 現在の証券取引法は、証券に関する取引を基本的に対象にしております。ここからさらに金融商品取引全般を対象にしていこうとしているのが今回の法案だろうと思います。この先に、商品取引なども含めて、投資サービス全体も一つの法律で規制していくべきだという考え方があることも承知しておりますが、このような金融商品取引というのは、それぞれ性格の違いがあると同時に共通性を持っているというものでありまして、そのうちのどの範囲を同じ法律で規制していくかということ、これは一つの政策の選択の問題だと思います。その違いを十分に踏まえながら、共通部分に対して、正しい、適切な規制をしていくという意味において、今回のように金融商品取引を証券取引に限らず全体的に規制していくという方向は極めて望ましいのではないかと思います。 三番目に、市場のルール違反、今回のライブドア事件で大変な問題になりましたけれども、こういうルール違反に対して、どのような手段をもって臨むかということに関しまして、行政処分、課徴金、刑事罰、大まかに言えば三つの手段が用意されているんだと思います。この基本的な枠組みは、今回の法案では、特にその改正は予定されておりません。これは昨年の証券取引法の改正で、二年以内に課徴金についての抜本的な見直しをするという附則が設けられているということと関係しているんだと思います。 今回のこの法案の審議の中でも、後ほど詳しく申し上げますが、課徴金の性格を抜本的に改める必要があると思います。そういう面で、今回の法案にはその点は触れられておりませんが、そういう方向を見出すという面で、今回の改正を有意義なものにしていただきたいと考えております。 そして、四番目に、ルール違反の構成要件をどの程度具体的に定めるかという問題です。 インサイダー取引とか相場操縦などの具体的なルール違反に関する規定に対して、具体的な規定を用いて規制をするという方法と、抽象的な包括規定を用いて規制するという方法、二つがあります。最初に申しましたように、市場法的な性格の法に持っていくということになると、どうしても、複雑多様な取引に柔軟に対応できる包括規定の適用というのが重要なものとなっていくものと思われます。そういう面で、包括規定というのは、逆に、刑事罰を適用する際には罪刑法定主義との関係でいろいろ問題が生じます。逆に言いますと、包括規定をこれから市場規制的な法の中で積極的に使っていく上では、先ほども申しましたように、課徴金の抜本的な改革というのがますます重要になってくるんじゃないかと思います。 そして、五番目に、摘発に当たる機関が、専門機関が適切なのか、一般的な司法機関、検察のような機関が適切なのかということも一つの問題であろうと思います。この枠組みは今回の法律でも特に変わっていないわけでありますが、この問題というのは、最後の、人材確保の問題と関連づけて、今後の制度のあり方、運用のあり方を議論しなくてはいけないものと考えております。 この点に関して、今回、民主党の提出の法案の中で、SECの設置ということが盛り込まれております。これは、アメリカ型のこのような独立した機関をつくって、市場に対して適切な監視を行っていくという方向は大変正しいものだと思います。しかしながら、非常に大きな問題なのは、現在の証券取引を規制する、監視する人材が極めて不足しているということだと思います。まず、監視機関の体制を抜本的に改める、その前提として、人材の確保、人材の養成というのを積極的にこれから進めていく必要があるんじゃないかと思います。そういう面で、現時点でのSECの設置というのは、まずその前提として、人材確保のための体制の整備が先行して行われるべきではないかと思っております。 そこで、今回のその法案に関連しまして、三つほど私が重要と考えている点について、追加して申し述べさせていただきます。 まず一つは、先ほど申しました課徴金制度の抜本改革です。現在の証券取引法の課徴金制度は、経済的利得の剥奪という概念が中心になっております。そのために、制裁としての性格が認められないために金額が非常に低いものになっていること、そして対象となる違法行為の範囲が限られていることという点に問題があるんじゃないかと思います。さらに、市場規制として柔軟に課徴金を適用していく上では、やはり監視機関に裁量権がある程度付与されていることが必要じゃないかと思いますが、その辺は現在の課徴金制度では取り入れられておりません。こういうような課徴金の性格を抜本的に改めることによって、刑事罰ではなかなか柔軟に行いがたい現在の証券取引に関するルール違反に対する監視をもっと強めていく必要があるんじゃないかと思います。 そして、先ほども申しました包括条項の積極適用の問題であります。包括条項の積極的な適用のためには、今申しました課徴金をもっと活用していくことが必要ではないかと考えております。その課徴金の積極的な適用、包括条項に関する積極的な適用ということに関しても、実例をもっともっと蓄積していって、それによって不公正な取引という概念を明確にしていく必要があると思います。 こういう二つの点に関しまして重要になってくるのが、先ほど申しました金融商品取引分野における人材育成の問題じゃないかと思います。金融取引という分野は、一般の刑事事件、一般の経済取引の中でもかなり特殊な性格を持った分野であります。こういった分野に関して、最初に申しました、市場法としての性格を持った今回の金融商品取引法の運用を適切に行うための人材を確保していくことが、今後、重要な課題になっていくんじゃないかと思います。 そういう面で考えますと、現在の証券取引等監視委員会の体制、そこで今活躍している方々の構成というのは、多分に各官庁からの寄せ集め的なもので、必ずしも専門的な人材というのは十分ではありません。今後、若い世代の中から、もっともっとこういった分野において専門的な能力を発揮し得る人材を育てていく必要があるんじゃないかと思います。そのためには、私も法科大学院に教官として勤務しておりますが、法科大学院教育の充実ということをこれから考えていかないといけないのではないかと思います。現在、法科大学院においては、独占禁止法の教育はある程度積極的に行われるようになりました。しかしながら、証券取引法の教育を行っている法科大学院というのは極めて少ないというのが実情であります。 金融商品取引法が、市場法としての性格が明確になって、これから積極的に運用されていくということであれば、独占禁止法、証券取引法を含めた、その共通の性格を持った市場法に対する法科大学院の教育を充実させていくこと、そして、それを受けて証券取引、金融取引に関する専門の法曹の資格をつくっていくこと、そして、それに対応して、証券取引の監視の専門官などの官の側のキャリアというのを創設していくこと、この二つを適切に組み合わせながら、今後のこの分野の人材養成を積極的に行っていくことが必要ではないかと思います。 そして、そういったことの中で、こういう市場法としての証券取引法を司法試験科目に取り込んでいくことといったことも今後検討していくことによって、一層そういう動きが活発になっていくのではないかと考えております。 人材の養成が極めて重要であるということを申し述べて、私の意見陳述を終わらせていただきます。(拍手)
○小野委員長 郷原参考人、ありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○小野委員長 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井真樹君。
○土井(真)委員 自由民主党の土井真樹でございます。 本日は、日本公認会計士協会藤沼亜起様、桐蔭横浜大学法科大学院教授郷原信郎様、大変お忙しい中当委員会に出席いただきまして、まことにありがとうございます。私からもお礼申し上げます。 本日は、証券取引法等の一部を改正する法律案についての参考人ということで御出席賜っているわけなんですが、一昨日、大変残念なことに、金融庁より、中央青山監査法人に対する二カ月の業務停止命令という大変重い懲戒処分が下されました。このように大手監査法人に業務停止命令が出るということは、私の知る限り初めてのことであり、大変厳しい内容であると言わざるを得ないというふうに思います。同業界の人間として、大変残念でございます。 私が二十三年前に会計士になったときには、この業界もまだまだ穏やかというか、のんびりしておって、金融行政等も護送船団ということで、銀行とか上場会社が倒産するようなことというのはめったに考えられないという時代でございました。ところが、一九九七年の金融行政の大きな方向転換、金融の自由化以来、資本市場及び金融市場というものが大変大きく激変いたしました。考えてもみなかった、大証券会社とかあるいは銀行が倒産する、あるいは上場会社が倒産するというのが日常茶飯事になってしまった。それと同時に、公認会計士、監査法人も非常に大きな影響を受けて、会計士に対する責任とか要請が飛躍的に高くなったというのが私の実感でございます。ですから、この十年、会計士も非常に忙しくもなり大変にもなったということは、私も実感としてよくわかります。 ただ、その大きな市場の変化に対して、金融業界も上場会社も、さらには会計士業界も、この社会の激変にどうしてもまだまだ意識とか認識とか、あるいは体制が十分追いついていなかったのではないかということを、同時に強く感じました。 今回、この不祥事及び行政処分という事件を契機に、公認会計士に対する社会的使命、責任を強く自覚して、二度とこういう会計不祥事が発生しないように、協会としても御努力いただきたいというふうに考えております。 それでは、今回の行政処分について、具体的に質問に入らせていただきたいと思います。 今回の業務停止命令については、証券取引法監査と、さらには商法監査、会社法監査、二つの面の監査がございます。行政処分の内容をよく読んでみますと、証取法監査については、除外事項等をきちんと丁寧に設けていて、証取法監査上は影響がかなり抑えられている、かなり抑えるように処分がなされているというふうには理解できますけれども、会社法監査については、どうしても業務停止命令ということで影響を受けざるを得ない。二カ月という長期にわたる業務停止命令は、非常に影響があるということでございます。 会社法監査は、監査機関が停止するということは、会社法上罰則の対象にもなりますので、被監査会社、要するに中央青山監査法人のお客さん、被監査会社の方は同時に非常に大きな影響を受けます。この被監査会社、新聞によりますと約二千社以上あるということで、非常に大きな社会的混乱、経済的混乱を呼び起こすと思いますが、この二千社を超える被監査会社は、一昨日の行政処分が発せられて、すぐに対応策を考えなきゃいけない。 その対応策を考えるときに、三つ選択肢としては考えられると思います。一つは、監査法人の変更。もう一つは、この二カ月、二カ月だけというわけにはいかないでしょうけれども、一時会計監査人の選任ということになると思います。さらには、一時会計監査人を選任する努力はしますけれども、結局選任できないというケース。この場合は、現行法上は罰則の対象になるということですけれども、当局の方も、そこのところは対象にしないような考慮も、今検討しているようですけれども。このいずれかの対象になるわけなんです。 二千三百社もの会社の監査を受け入れられる他法人というのもちょっと私考えられないんですけれども。またさらに、一時会計監査人もすぐに見つけられるような状態ではないと思うんです。特に、監査法人側も、監査を引き受けるに当たって、事前の予備調査とか、あるいはいろいろな計画とかを立てるのに、最低でも二カ月、三カ月かかるわけですし、さらに審査もしなければいけないということで、その二千数百社の被監査会社、これらに対して、協会としてあるいは会計士業界全体として、十分対応していけるかどうか。また、この混乱に対してどのように対応していくのか、そこのところをまず御説明いただけますでしょうか。
○藤沼参考人 質問、ありがとうございます。 今回の行政処分、公認会計士協会として厳粛に受けとめております。四大法人の行政処分でこれほどの大きな影響を与えるというのは、多分初めてであるのではないかというふうに思っております。 協会としては、二千社を超える、二千三百社ぐらいの会社なのでございますけれども、現在、三月末決算の監査をやっている最中でございます。三月決算は御承知のように一番多い時期でございますので、今の段階、監査に集中しているときに、ほかの監査法人等が中央青山の被監査会社へのいわゆる勧誘というか、目に余る勧誘とか、あるいは職員の引き抜きとか、そういうふうなことがあっては三月末の資本市場の安定性が大きく崩れるということが最大の懸念でございます。そういう面で、実は、会計士協会の会長として、会長声明で、そういうような不当な顧客の勧誘とか職員の引き抜きというようなものは厳しく自己規制をしてほしいということで、もし目に余るものがあれば、協会として、これは倫理違反ということで厳しく対処する、こういうような会長声明を全会員に配ったところでございます。 確かに、今回の行政処分は会社に、中央青山の処分を受けて株主総会としてどのように会計監査人の選任を考えるか、こういうような機会を与えたものだというふうに理解しておりまして、そういう面では、会社の方はかなり大変な課題を突きつけられたということになるのではないかと思います。そういう面で、土井委員のおっしゃるように、監査人の交代を計画する会社もありますでしょうし、あるいは一時会計監査人の選任を考える被監査会社もあるでしょうし、一時会計監査人を探したけれどもなかなか探し切れないという会社もあると思います。会社の数が二千三百社ということになりますと、ほかの監査法人もそれだけ余力があるわけでございませんし、適切な監査事務所を探すのは難しいということはかなり事実だと思います。 そういう面で、会計士協会としては相談窓口を設定しておりまして、実際、昨日、一昨日から相談窓口に相談の電話がかなりふえております。また、これは企業及び、会計士の人も何人かいますけれども、企業の方が圧倒的に多いということと、あと、企業の方で、これはまだ少数ですけれども、実際、公認会計士協会を訪問して相談するという方も出てきております。そういう面で、協会としては、できるだけ混乱が起きないように、まずは中央青山監査法人が、職員もあり、大きなクライアンツを抱えているわけで、その後品質管理体制を強化しているというふうに聞いておりますので、そういう面では中央青山監査法人に相談するのが一番いいのではないのかなということで、そういう形で相談に当たっているわけでございます。 そういう面で、これからどういうような事態が起きるか、我々としては、資本市場が混乱しないように最大限の努力をしたいというふうに思っております。 以上でございます。
○土井(真)委員 まさにその二千三百社の被監査会社の皆さんが混乱しないように、協会の方としてもぜひ十分御努力いただきたいというふうに思います。 さらに、ここ数年、会計不祥事が何度も何度もあって、会計士協会としても、こういう会計不祥事が発生しないように、いろいろ自主規制なり自己努力を積み重ねていらっしゃるかと思うんですけれども、具体的に、この中央青山のことだけではなく、今まで積み重ねて、かつ、今現在も監査の品質を向上するため、あるいは信頼性を向上するために協会として努力している、その取り組みを御説明願いたい。また、わかる範囲で結構ですが、特に大手四法人が取り組んでいる取り組みの具体的な内容、仕方等を御説明願えますでしょうか。
○藤沼参考人 協会としては、今回の事件、特に、なぜこういうことが何度も起きるのかということに対して深く反省をしております。 その原因は、やはり、まず第一に、監査人の独立性の問題ということが一つ言えるのではないか。 独立性というのは、やはり顧客に対して、顧客という言葉はいい言葉かどうかわかりませんけれども、クライアンツというようなことで言う場合もありますけれども、企業に対して監査人が本当の意味で独立性があるのか。精神的独立性と外見的独立性がありますけれども、特に精神的な独立性というのが一番大きな問題ではないのか。 そういうことで、私は会長として、このカネボウの事件に関連した会員が逮捕されたということを受けて、会長声明ということで、全会員に向け、監査の原点に戻って自分たちの使命、職責ということをもう一度考え直せ、それと、あと、独立性について特に総点検してほしい、そういうような会長声明を出したわけですけれども、その関係で、今協会の会員は四十時間の継続専門教育、これを義務化しております。その中で、特に倫理に関する、独立性が一番大きいわけですけれども、それについては四時間の研修義務をつけよう、と同時に、品質管理についても、これは必修として、必ず四十時間のうちその部分を、品質管理を受ける、こういうことについて会員の注意喚起と実行をお願いしております。 あと、協会の自主規制機関として、会員に対して、会員の業務で使用できるような監査上の実務指針、そういうような実務指針をつくるとか、それが確実に監査業務に実行されているかどうかということを調べる品質管理レビューというものを、今フルタイムで二十人のレビューアーを協会の中に置いて各事務所を点検している、こういうようなことの充実。あるいは、個別案件で問題になったことを調査する、監査業務審査会と申しますけれども、ここの仕事の充実。もしおかしなことをやっているようだということであれば協会としての処分に回すということで、綱紀審査会。この綱紀審査会も、従来までは協会の執行レベルの、いわゆる理事会で最終判断を議論していたわけですけれども、それを理事会レベルから切り離して、外部の法曹関係者も入れた独立した綱紀審査会を昨年から設置して、ここで厳しくかつ公平に会員の処分を決定するというようなことをやってきました。 今回、各事務所については、品質管理基準というのが昨年企業会計審議会で作成されましたので、それを受けて、監査事務所における品質管理基準実務指針をつくりまして、その実務指針に従って各事務所はその事務所の体制をつくってほしいということで、その品質管理基準の中身については、時間の関係もありますけれども、そこでは、品質管理に対してだれが責任を負うのか、あと、職業倫理、特に独立性についてどういうふうに規定をするのかとか、新規の監査の顧客の締結時あるいは契約の更新時のチェック、あるいは監査実施者、職員ですね、の採用とか教育訓練、評価、選任についてのルールを決めろとか、監査実務の実施に当たっての、例えば専門的な見解の打ち合わせだとか、監査上の判断の相違の場合にどうするのかとか、そういうような、いわゆる監査の業務の審査にかかわることの体制の整備、これも実務指針でカバーしております。 あと、品質管理システムの監視、この監視のシステムをまた別につけろというような実務指針をつくっております。あと、不服と疑義が、監査チームの中で意見が違う、そういう場合の体制はどういうふうにするのか、また事務所間の仕事の引き継ぎをどうするべきなのかとか、共同監査にはどう対応するべきなのかというような、監査の事務所における品質管理体制、これについての実務指針を作成しておりまして、各事務所がこれに対して対応するようにということを求めております。 以上でございます。
○土井(真)委員 はい、わかりました。 ぜひそういう努力を積み重ねて、これから会計不祥事が二度と発生しないように頑張って努めていただきたいというふうに思います。 それでは、時間が参りましたので、最後に簡潔に、この証券取引等の改正案について一言御所見をいただきたいんです。 今回、この改正は守備範囲が非常に広くなった、また監査の開示制度も非常に対象が広くなり、先ほど会長がおっしゃったように、内部統制報告制度あるいは四半期報告制度、新たにどんどん範囲、対象が広がっているということで、監査対象が著しく広くなったわけなんですけれども、協会としてあるいは業界として十分対応できるのかどうか、また対応するための準備は十分しているのかどうか、簡潔にお答え願えますでしょうか。
○小野委員長 藤沼参考人、簡潔にお願いします。
○藤沼参考人 簡潔にお話しさせていただきます。 四半期報告は二〇〇八年の四月から開始されるということでございますので、それにまだ時間がありますので、対応できると思います。四半期報告は、フルの監査事務を全部行ってやるというような仕事ではなしに、むしろかなりレベルの高い監査の経験者がレビューという作業でもってやるわけですので、そういう面では対応できるのではないか。あとまた、半期報告制度という、今六カ月間の半期報告書というものをつくっておるわけですけれども、この作業がなくなるということなので、多分十分に対応できるのではないかと思います。 また、内部統制の仕事については、これはかなり重たい仕事になると思いますけれども、これも二〇〇八年の四月ということなので、現在、企業会計審議会で監査のいわゆる実施基準、内部統制の実施基準をつくっておりますので、それができれば、それに対応した研修等、各事務所、当然ながら公認会計士協会でも研修を行いまして、二〇〇八年の四月からに対応したいというふうに思っております。 以上でございます。
○土井(真)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○小野委員長 以上で土井真樹君の質疑を終了いたします。 引き続きまして、谷口隆義君。
○谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。 両参考人におかれましては、大変お忙しい中、当委員会に出席を賜りましてありがとうございます。 私の方は、初めに、先ほども質問がございましたが、この五月十日に金融庁の処分が行われました中央青山監査法人の件についてお伺いをいたしたいと思います。 先ほど、自主規制機関として一体どういうことをやったのかということで、藤沼参考人からは、自主規制機関として行ったことをおっしゃったわけであります。 それで、私も公認会計士をやっておりましたので業界のことはよく知っておるわけでありますけれども、これは、朝日新聞の二〇〇五年六月十八日付の公務員の待遇改革に関するアンケート調査というのがありまして、民間に比べ破格と映っておる待遇を見直すにはどうしたらよいかというアンケートなんですね。こういう設問で、三千三百六十七人の回答者の回答のうち、会計監査によるチェックをやるべきだというように挙げた方が八百三人、約四人に一人がおられたわけであります。これは、会計検査院の検査よりもやはり第三者の監査法人の監査の方が望ましいんだということを、国民がアンケートの中でおっしゃっておるわけでございます。 どうも最近の風潮を見ておりますと、この状況、五月十日の処分の状況を見ますと、カネボウに関しまして、平成十一年、十二年、十三年、十四年、十五年の各三月決算期において、有報上虚偽記載があったにもかかわらず、関与社員は故意に虚偽のないものとして証明した、これは確かに悪いことであって、このようなことは二度と起こらないようにやっていかなければなりません。しかし、これは公認会計士の業界の、すべてがパーフェクトでやらなければなりませんけれども、ほんのごく一部であって、過半の公認会計士の皆さんは日常の業務に大変熱心に取り組んでおられるわけでございます。 それで、先ほど藤沼参考人のお話を聞いておりましたら、公認会計士の自主規制機関として持たなきゃいかぬ独立性、経済的な独立性もありますし精神的な独立性もある、中でも精神的独立性は非常に重要であるということをおっしゃったわけであります。独立不偏の精神をもって監査に臨んでいかなければならないわけでありますが、最近の風潮、監視委員会の先ごろの建議、マスコミの動向、また議員の意見の中に、刑事罰を科したらどうかというような意見がございます。 先ほど、郷原参考人の方から刑事罰のことについて若干言及されたところがありましたけれども、刑事罰を科すということは、今後、中長期的に見て、この業界に国家権力が介入してくるということを恐れるところがあるわけであります。刑事罰というものでどうもアメリカのアーサー・アンダーセンが空中分解した、これはアメリカでは刑事罰を導入するといったことでやったと言われております。 まず初めに、藤沼参考人に、この刑事罰の導入ということについての御自身の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○藤沼参考人 証券取引法上、監査にかかわった公認会計士に対してどのような罪を科すかということの問題でございますが、現在、証取法上の構成では、虚偽記載を行った経営者、企業に対する、いわゆるそれぞれの個人の経営者と、企業、会社に対する両罰規定がある。虚偽の財務諸表にかかわった会計監査人は、共犯となるか、あるいは幇助したということで罪が問われている。ところが、監査法人は罪に問われていないではないか、だから監査法人についても両罰規定を導入したらどうかという議論だと思います。 これは、米国などでは、先ほど谷口委員の方からお話があったように、監査法人に罪を着せるということは、余りやらない、実行しないということで、手続法で訴訟するというようなことがあるということはよく聞かれているんですけれども、いずれにしても、監査法人の特殊性というものが非常にありまして、刑事罰を追及されるだけで監査法人の収益基盤である顧客の流出が始まってしまうということが、ほかの、今回、例えば貸金業、あるいは銀行、あるいは生命保険会社へ厳しい処分が下りましたけれども、そこの会社がいわゆる消滅するとか解散に追い込まれたという話は聞かないわけでございまして、監査法人の場合には、刑事罰をかけられただけで、それが町に流布すると、当然ながら株主総会で選任議題という形になりますから、それだけで消滅してしまう。この特殊性を考えていただかないと、いわゆる社会で独立監査をするという業務サービスの提供者がいなくなってしまう、あるいは大混乱に陥ってしまう。その辺のところを十分に考えていただきたいなと。 今回、行政処分ということで、実際に中央青山の業務の一部を停止するということの処分が出たわけですけれども、それでもこれだけの大きな影響がある。三千人以上の職員を抱えている事務所が、それに対して、会社も含めて大混乱に陥るという事実がここにあるわけでございまして、そういう面で、極めて慎重に判断をしていただくとありがたいというふうに私は思っております。
○谷口(隆)委員 今、藤沼参考人がおっしゃったとおりだと思います。 このまま放置しておりますと、先ほど申し上げましたように、まるで魔女狩りのように、いろいろなところから、刑事罰だ、刑事罰だ、こういうようなことを言っている。私はこれに対して大変な怒りを持っておるわけでありまして、この証券取引法に基づく会計監査が、戦後からスタートいたしまして、今この経済界にしっかりと根づいておるわけでありますけれども、この根づいた監査法人が、このようなばかな考え方で監査法人に刑事罰を導入するということは、今後自主規制団体としてのこの団体がどんどんむしばまれていく、また、人材が集まってこない、ひいては我が国の経済界全体が大きな損失をこうむるというようなことになるわけであります。 ですから、これは、このようなことを軽々しく言うべきではない。もし仮にこのような事件があって、厳しく処したいというのであれば、先ほど郷原参考人がおっしゃった課徴金の問題なんかもあるんだろうと思うんですね。私は、この刑事罰については、断固、こんなばかな考え方を捨てていかなきゃならぬ、こういうふうに思っておりますが、刑事罰ということで、法律の専門家の郷原参考人にお聞きしたいと思います。
○郷原参考人 私、もともと刑事法、刑事実務家でございますが、私の本音としては、刑事罰は現在の日本の社会において、いろいろな面で機能に限界があるというふうに考えております。 アメリカの司法制度と日本の司法制度、大きな違いがあります。その違いをわきまえないで、単純に、日本でさまざまな問題に対して、厳罰化ということだけで対応していこうとすると、大きな問題が生じると思います。とりわけ、この監査法人の問題に関しても、両罰規定の導入を考えるとすれば、公認会計士個人と監査法人との間が実質的にどのような関係なのかということをきちんと整理しないといけないと思います。 一般的な法人に対する両罰規定というのは、法人が行為者、従業者を選任、監督するということが前提になって、法人に対して罰金刑が科せられることになっております。果たして、監査法人において、会計士個人と監査法人がそれと同様の関係であるのかどうか、そういった点を十分に検討する必要があると思いますし、そもそも現在の法体系全体において両罰規定が、法人に対する刑事罰がどのような機能を果たすべきかということについての根本的な議論の方が先決ではないかと考えております。 以上です。
○谷口(隆)委員 今、郷原参考人がおっしゃったように、この監査法人という組織体は、これは合名会社的なところで、各パートナーシップを持っておられる社員は無限責任を負っておるわけであります。ですから、普通の企業体とは全く違う様子を示しておるわけでありますけれども、そのようなことを念頭に入れた議論でなければならないということを私申し上げたわけであります。 監査法人全体が今寡占化の状況にございます。これはいろいろな状況の中で、やはり業務を専門化しておりますし、多様な人材も入れていかなければなりませんし、またクライアントとの間の訴訟の問題もあるでしょうから、財産的基盤もしっかりしていかなきゃいかぬ。このようなことで、この監査法人全体がどんどん大きくなっている、一つの動きであるわけでございます。そういう状況の中で、安易にそういうようなことを口走るということは、極めて私は遺憾だというように思うわけでございます。 それで、この会計士の問題はこれで終わりまして、次に三井住友銀行の先日の金融庁の行政処分についてお伺いをいたしたいと思います。 これは初めてのケースで、独禁法の優越的地位の濫用に違反したということで、一部業務を半年停止になったわけでございます。この処分理由を見ておりますと、原因として、コンプライアンスより収益獲得優先が常態化し、ガバナンス、内部管理またはコンプライアンスにつき、取引の適切性の観点から基本的かつ重大な問題が認められるというようなことでございます。 このコンプライアンスというのはなかなか難しいことであります。郷原参考人はこのコンプライアンスの専門家でいらっしゃいますが、やはりコンプライアンスの限界というのはあるんだろうと思うんですね。 前に、雪印乳業という会社が、非常に不始末、事件を起こして、私、聞いておりますと、その後、従業員にこのコンプライアンスを紙で示したものを一人一人に配った。言って終わっていたらこれは何にもならないわけであります。ですから、やはり、このコンプライアンスの限界というのはあるんですが、郷原参考人、これについていかがお考えでしょうか。
○郷原参考人 今回の三井住友の事件の詳細についてはまだ私把握しておりませんが、こういう問題についての一般論ということで申し上げさせていただきますと、私は、三井住友の担当者のモラルだとかコンプライアンスに対する意識という面でも問題があったかもしれないとは思いますが、それ以上に、やはり何か根本的な問題があったんじゃないんだろうかと。 銀行がこのような商品を販売していく際に、今まで銀行が業務の中で培ってきた営業のノウハウとかそういったものが、若干そういう最先端の金融商品などを販売していくことにそぐわない面があったりすると、どうしてもそこに無理が生じます。その無理がこのような法令違反を招くということも十分考えられます。そういう面で、今回のような法令違反行為を、単純に、法令に違反した、けしからぬということではなくて、その背景に何があるのか、何が根本的な問題なのかということを十分突き詰める、突きとめる調査を行って、その原因を究明して是正措置をとっていくということが、本当のコンプライアンスという観点から重要になるんじゃないかと思います。 以上です。
○谷口(隆)委員 おっしゃるとおりだと思います。このコンプライアンスというのは非常に難しいものであると思うわけでありますが、先ほど郷原参考人のおっしゃった中で、市場ルール違反に対する手段として、行政処分、課徴金、刑事罰、このようなことがありました。この課徴金のところを今度はお聞きいたしたいわけでありますが、十七年の十二月一日からスタートいたしましたこの課徴金制度、証券取引法と申しますか、違反した場合、虚偽記載の場合の課徴金制度、私は提案者の一人でございますが、このときの議論で、先ほどおっしゃったように、この不当利得の返還で終わっちゃうわけですね。不当利得の返還で終わってしまいますから、本当は制裁的な意味合いのものでなければいかぬわけで、不当利得プラスアルファというのがないと痛みを感じない、もうけたものだけ吐き出したら終わり、こういうわけにはいかぬだろうと思うんですね。そこのところを、現行の独占禁止法が、課徴金体系がそういうふうになっているので、なかなかそれを打ち破れないというような限界を感じて、とりあえずはこういう形でも現行よりましだろうということで、提案をさせていただいたわけであります。 この課徴金の問題、先ほど言及されましたけれども、郷原参考人、もうちょっと詳しくお話しいただきたいと思います。
○郷原参考人 証券取引法の課徴金をめぐる議論というのは、今まで多分に課徴金に関して先行してきた独占禁止法の分野における議論の影響を受けてきているんじゃないかと思います。独禁法においては、経済的利得を超える課徴金の徴収というところまでこの前の改正で行っておりますが、証券取引法の場合は、いまだに経済的利得の徴収にとどまらざるを得ない、言ってみれば、まだ未熟な段階にあります。 私は、独禁法の課徴金も、その独禁法特有の非常に大きな問題があると思います。カルテル、談合という行為の特性に応じていろいろな問題があります。それと、証券取引法という市場の公正さを害するルール違反行為に対する課徴金のあり方をやはり若干区別して、証券取引法の分野には証券取引法の分野に最も適した課徴金制度のあり方を考えるべきではないかと思います。 そういう面では、継続開示義務違反に対する課徴金、この前の改正で導入されましたけれども、これも、国際的に見てもちょっとこれで課徴金を導入したと言えるのかというような極めて低いレベルにとどまっております。やはり、課徴金の性格を、市場に対するダメージをどれだけ生じさせたのかというような観点から、再構成する必要があると思います。 ただ、その際に問題になるのが、どうしても柔軟に課徴金を適用していこうと思えば、当局に裁量を認めないといけないし、当局の役割が非常に大きくなっていく。それでは、当局に、そういう柔軟なルール違反に対する課徴金適用、事実認定、証拠収集を行えるだけの人材がいるのかといった点が極めて重要な問題になるんじゃないかと思います。 そういうことで、先ほども申しましたけれども、課徴金制度をもっともっと抜本的に改革して、充実させていかないといけない。そのためにも、若い世代を中心にした、こういう金融取引、証券取引に精通した専門の官側の人間、そして、それを支える専門法曹の育成を図っていかないといけないというふうに考えております。 以上です。
○谷口(隆)委員 今の課徴金のことで、二年後にまたこれは検討するんですけれども、私は、やはりこの制裁的な意味合いを強めていかなければいかぬと。今の監査の現場で、クライアントが、先ほど継続開示の問題で、問題があれば課徴金を科せられることに今なっておりますが、これがきいているかどうかということで、藤沼参考人にお伺いをいたしたいと思います。
○藤沼参考人 監査の現場で課徴金ということなんでございますけれども、特に経営者については、やはり今回の金融商品取引法で、経営者が財務諸表の適正性について確認をしなくてはいけない。その前提となる内部統制について自己評価して、それの有効性を確認しなくてはいけない。その上で、うまくきちっと財務報告しない、あるいは虚偽の財務報告をした場合には、経営者個人に対する罰則強化、それと、あと、企業に対する罰、課徴金という問題につながるわけで、そういう面で、今回の法改正はそういう財務情報の信頼性回復にすごくよい経過が、影響があるのではないかというふうに期待しております。
○谷口(隆)委員 課徴金は、要するにそれによって、起こると大変だよという事前的な警告になるわけですね。それより、むしろ、起こさないような組織をつくっていくという観点では、内部統制組織、お互いに相互間で牽制をし合うような、組織全体がしっかりしておれば、ちょっと気持ちがぐらっと揺らいでも、担当者のところで、いや、そんなことをしちゃいかぬ、また、経営者の方も、そういうことをすると社会的な制裁が大変大きいんだということをわかっていただかなければなりません。そういうふうなことが行われないような精神風土をつくっていかなければならないわけでありまして、しかし、現に起こっておるわけでございますから、それに対する対応のしぶりというのも非常に重要であります。 時間が参りましたので、これで終わらせていただきますが、今後、会計士協会におかれましても、ぜひはっきりと、主張するところは主張していただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。
○小野委員長 以上で谷口君の質疑を終了いたします。 続きまして、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 民主党衆議院議員の鷲尾英一郎でございます。 本日は、両参考人におかれましては、お忙しい中、当委員会においでいただきまして、大変感謝しております。本日はよろしくお願いいたします。 冒頭、委員長に一言申し述べさせていただきたいことがございます。 今回、カネボウの事件、行政処分が下りました。本来であるならば、中央青山監査法人の理事長の方にまたお越しいただきながら、今、証券取引法を改正する法律案を審議している最中でございますが、一体どういう点でこういった事態に陥ったのか、そういうことも含めて、改めまして参考人招致という形で質疑をする場を設けさせていただけたらなということをお諮りいただきたい旨を申し述べさせていただきます。
○小野委員長 はい。この件につきましては、理事会に諮らせていただきます。
○鷲尾委員 それでは質問に入らせていただこうと思います。 まず、藤沼会長に御質問させていただこうと思っております。 先ほど来、カネボウの事件についての中央青山監査法人に対する行政処分の問題、そして先ほど谷口先生の方から課徴金の問題、そして刑事罰を導入する危険性について、大変有意義な御見解を賜ったと思います。 それに関連しまして、公認会計士協会というのは自主規制機関ということでございます。会員内の、ある意味、今回のような不祥事、そして監査の品質管理について、協会が先頭に立って自主規制をしていくという立場でございます。 ところが、アメリカでは、例えばエンロン、ワールドコムを初めとした、会計士が関与しました会計不正事件、これが起こった後、公認会計士自体の自主規制に社会から疑問の目が向けられた、そういった経緯がありまして、結局、アメリカの方では、PCAOBの方に自主規制権限が移譲されているという現実があるわけでございます。 このアメリカの現実を踏まえた上で、では、日本の公認会計士協会の自主規制というのは、今どういう現状にあり、そしてこれからどういうふうにしていこうというふうにお考えなのか、そういうことをちょっとお聞かせ願えたらと思います。
○藤沼参考人 お答えします。 アメリカでエンロン事件、ワールドコム事件が起きて、二〇〇二年に企業改革法、サーベンス・オクスレー・アクトというものができたということで、そこでPCAOB、公開会社会計監視委員会というものができた。そこに、従来アメリカ公認会計士協会が自主規制でやっていた監査基準の設定、あと、各事務所の品質管理レビュー、そういうような権限がそこの方に全部移されてしまったということで、官規制に変わったということを言われているわけです。 アメリカはやはり、日本と違う法体制のもとにありますし、また証券市場の制度も違いますし、また法曹界の力もかなり違うというようなこともありまして、アメリカ型のいわゆるPCAOBができたわけですけれども、実際、その初代の委員長のマクドノーさんがもう辞任をしましたし、その後がまだ代行で動いているというような現実、あと、監査基準を担当していたカーマイケルさんもこの間辞任してしまった。揺り戻しが起こっているというようなことではないかというふうに思っておりまして、必ずしもアメリカ型のいわゆる直接規制がいいのかということは、私自身、実は二〇〇〇年から二〇〇二年まで国際会計士連盟、会計士の国際組織の会長をやりまして、各国のことをよく知っているわけですけれども、それが本当のベストアンサーかということに非常に疑問を感じておりました。 ヨーロッパは必ずしもそういう国じゃない国があるわけでございまして、そういう面で、どういう制度が日本に適しているのか。私はやはり、こういうような職業会計人、職業プロフェッショナル、これは弁護士さんも全く同じだろうと思いますけれども、それはまず、我々自身が自分で規律を高めて業務をするということが第一ではないかというふうに思っております。 そういう面で、公認会計士協会は、先ほど申しましたように、各事務所、これは前のアメリカ型と違いまして、協会でフルタイムのレビューアーを雇用しておりまして、その者が各監査事務所に行って点検をするということになっておりまして、そういう面で、その品質管理レビューをやるということと、あと、やはり、会員の処分も協会の中で、先ほど言いましたように、監査業務審査会で審査した上で綱紀委員会に上げる、独立の綱紀委員会に上げてそこで処分する、そういう形でかなり自主規制は強化しております。 そういう面で、自主規制を強化して、そこで足りないものを公認会計士・監査審査会の審査、または、必要であれば、各事務所の立入検査、今、四大法人については立入検査をして、近くその報告書が出るというふうに予定されておりますけれども、そういうことで補完して、公認会計士協会がその提言を受けて、さらに各事務所に対して改善の努力を促す、そういうような、いわゆる官から民への流れというところが今出ているわけでございまして、公務員も数を削減しなくてはいけないというような中で、いわゆる国家規制を強めることが本当に国民経済的にいって合理的なものかどうかについては、私は非常に否定的な考え方を持っておりまして、我々自身がまずきちっとやらなくては、プロフェッショナルとしての誇りが持てないではないか、こういうことで今一生懸命やっているわけでございます。 公認会計士法の関係ですけれども、公認会計士協会に与えられているいわゆる懲戒処分権というのがまだ非常に限定的でございまして、会長の会員に対する戒告、あと、会員権の停止、一カ月、二カ月、三カ月とかという形であるわけです。あと、金融庁に処分を申請する、求めるということがあります。会計士補、ジュニアの会計士については登録を抹消するという権限が与えられているわけですけれども、フルの公認会計士については、そういう業務停止を伴うような処分権が与えられていないというようなことでございまして、私どもとしては、やはり、職業団体として、そういうものも含めて、自主規制の懲戒処分の権限を強めれば、さらに機能が強化して、会員の業務の改善につながるのではないかというふうに思っております。 以上でございます。
○鷲尾委員 ありがとうございます。 確かに、協会の自主規制という意味で、これから、よりその規制自体を本格化させていただいて頑張っていただきたいとは思うんですが、一言ちょっと申し述べさせていただきたいのは、さきに公認会計士法の改正があったときに、七年で交代制になったという話がありました。公認会計士協会は、その七年交代を導入しろということを当然監査法人に言ったと思うんです。ところが、監査法人の方で対応したのは、適用時点で継続監査期間を考慮せず、その時点から七年たってから初めて交代だ、そういうような運用のされ方をしたわけでございまして、これが一つ、例えばカネボウの問題とかああいう問題につながっている部分もあるんじゃないかなというふうに思っております。 先ごろ、それを受けまして、藤沼会長、会長の声明として、主任会計士が五年で交代ということを申し述べられたようですけれども、その五年で交代ということについても、運用状況をしっかりと確かめた上で、身内の議論にはまらない、そういう自主規制をこれからもお願いしたいと思っております。 続きまして、内部統制の報告制度がつくられました、先ほど来皆様から御議論いただいているところではございますが。私も、これは質疑の中でお伺いしたんですけれども、アメリカの方では、コストがかかり過ぎるというふうな批判がございます。先生は、アメリカの方の実務を当然御存じでしょうし、先ほどおっしゃっていました国際会計士連盟の会長でもあらせられたわけで、アメリカの実務の前提に立った内部統制報告書制度だと思うんですね。では逆に、翻って、日本の監査実務から考えたときの内部統制報告書制度というのは、アメリカとの違いからいって、若干、例えばコストの面とかいうところでアメリカとは違った導入の仕方ができるんじゃないかなというふうに思います。 その点について、例えば上場企業にも規模の差があり、そして上場準備会社に対しても、例えばこの内部統制報告書制度を導入するとかそういう話になってきますと、ベンチャー企業がどんどん起こってくるというところにも非常にかかわってくる問題なのかなというふうに思っておりまして、そういう問題意識に立った上で、会長の御所見をちょっと伺いたいと思います。
○藤沼参考人 これは、アメリカの企業改革法で特に評判が悪い一つになっているのは、四百四条、内部統制の報告制度と監査制度、これについての費用、コストがかかり過ぎるという問題でございます。 これについては、アメリカの方も、当初、大企業に採用したわけですけれども、かなり不平が、特にコストの面で事務量が大変であるというようなことから、コメントが非常にいろいろありまして、SECはラウンドテーブルというもので関係者を集めて議論した上で、それで大分手続等の見直しを行っております。 日本では、内部統制を二〇〇八年四月から導入するということで、これはアメリカに学んで、もっと効率的で効果的な運用はできないのかということで検討して、現在、企業会計審議会の内部統制部会で、基準の枠組みと、あと今度は具体的な実施基準を今つくっているところでございます。 そこの中で、やはり効率的に内部統制の評価とまた監査ができる、そういう枠組みをつくろうということで今議論が進んでおりまして、違いは、一つは、トップダウン式のリスク重視アプローチ、リスクのあるエリアに集中して企業の経営者は内部統制を評価する、要するに、もうじゅうたん爆撃のように全領域にわたって会計指針を持ちながら全部やるということではなしに、リスクのあるエリアを特定してやっていこうということ。 あと内部統制の不備の区分も、アメリカは三区分というような形で、統制の不備があるものを三つに分けて対応していこうということなんですけれども、日本はもうちょっと単純化して二区分でやっていこうとか、あと最後に、これは一番大きなあれだと思いますけれども、アメリカは経営者の評価のほかに監査人自身が評価するという手続、監査人が内部統制自身を評価するという、経営者はここまでだというふうに言っているんだけれども、監査人は、何かそれ以外にちょっとやってみよう、そこで何か問題があると、やはりちょっとエラーがあるからさらにもっとやってみようというような、だから手続が際限なく広がる、こういうことがありまして、仕事量がふえたというふうに言われているんですけれども、これは、ダイレクトレポーティングという言葉で言われているわけですけれども、これを日本ではやらない。 基本的には、経営者が、先ほど言ったトップダウンアプローチでどこにリスクのエリアがあるのかということを決めたら、それについてリスク評価の対象エリアがそれでいいか、当然ながら監査人と議論するわけですけれども、そこで決まれば、監査人が、ほかのところで何かあったところ、どんどん領域を広げていくというようなことはやらないということで、かなり効率的な監査ができるのではないかと。 ただ、私自身は、そういうことは言っておっても、日本型で、もともと日本は、御承知のように、欧米と比べると監査に使う時間というものが非常に少ないという現実があります。その中で、さらに適当にやってよという話になってきますと、内部統制をやっているのに、実際には、トータルしても内部統制の監査実行前の欧米の水準にやっと近づいたぐらいの話になってしまっては全く意味がないということなので、その辺のところは十分に注意して実行しなくてはいけないというふうに思っております。 以上です。
○鷲尾委員 わかりました。 ちょっと時間もないので、次の質問に移らせていただこうと思います。 昨今の事件では法令の不備というのが指摘されておりますが、法令の不備だけではなくて、会計基準の不備というのもこれはあったんじゃないかなというふうに思っております。 特に、SPCや投資事業組合については、会計基準が、巷間言われているのは、グレーな部分があっただろうと。例えば、連結する範囲において、ある企業は連結し、ある企業は連結しないということで、同じ業種の中でも比較可能性を阻害する、そういう事例もあるところです。 特に、投資事業組合については、最近、会計基準の設定ということで、盛んに議論されてはいるところですが、そこでちょっと会長にもお伺いしたいんですけれども、会計基準がグレーだ、連結範囲の話でも、グレーだといった場合に、連結の範囲については、例えば、私も公認会計士でございまして思うんですけれども、やはり連結原則といいますか、大前提の原則に立ち返って会計処理をするというのが一つの会計方針というか処理の仕方だと思うんですが、そこは会長はどう思われますか。
○藤沼参考人 ファンドとか特別目的会社の活用がこのごろ急速にふえておりまして、投資事業組合も含めてSPEというのが非常に膨らんでおります。 ですから、そういう面で、当初、例えばSPC、特別目的会社というものは不良資産の処分ということで使われたわけですけれども、それがもっと開発案件についてSPCを使うとか、その他いろいろなものをビークルを使ってやっていこう、こういうことが行われておりまして、ライブドアのケースでは投資事業組合が使われた。投資事業組合もいろいろな形で複雑につくられておりまして、企業が実質的にその投資事業組合を支配しているのかどうか判定がなかなか難しい。 そういうことで、今、企業会計基準委員会の方で実務指針、基準をつくっている。六月ぐらいにまず第一弾が出てくるというふうに聞いておるわけですけれども、そういうものをつくってくる。ただ、従来型の支配権というものの何%を所有しているのか、こういうことだけのいわゆる判断基準ではなかなか難しいのではないか。ファンド等については、最終的にだれがほとんど経済的な便益を受けるのかというような観点だとか、経済的なリスクをだれがしょい込むことになるのか、そういうようなことも実質判断基準で考えないと、実際的なオーナーといいますかその辺のところが見えてこない。 その辺のところできちっとした基準をつくってほしいということを私どもかねがね要望していたわけでございますけれども、それが今、企業会計基準委員会で行われているということで、できるだけ早い基準の公表を期待したいというふうに思っております。
○鷲尾委員 アメリカの基準と違って、日本の基準は完全に実質支配力基準で大原則やられているということだと思いますし、それがまた日本の会計慣行として非常に有益なんじゃないかなと思うところでございますので、その方向性でこれからも御検討願いたいと思います。 投資事業組合の件については、これもアメリカの方でエンロンの事件があったときに、これは非常に問題になったわけなんです。ところが、日本には、SPCの、先ほど会長おっしゃいました債権流動化という側面での会計基準はあったけれども、ほかに包括的な会計基準を検討するということには至らなかった、私はこれはこれからの日本の資本市場を考えたときに非常に問題だと思っています。 要するに、ルールがなければ何でもいいというような風潮が今ございまして、ルールをまずつくって、いいものは徐々に禁止規定から一つ解除していこうとかそういった方向にしていかないと、証券市場というのは、ある意味ガラス細工みたいなもので、扱いようによっては非常に危ないものだと思いますので、という観点に立ちますと、エンロンの事件があってからもう四年も五年もたっているわけで、その中で、なぜ、日本に投資事業組合なり、先ほどおっしゃいましたSPEの包括規定というのができていないのか。この事実がこの先日本の証券市場に与える影響というのはかなり大きいと思うんですよ。なぜまだ設定されていないと会長はお考えですか。
○藤沼参考人 今、実際に手をつけ始めたということで、やはり問題に対する会計基準の設定の対応、その辺のシステム上の問題があるのかということもあり得ると思います。 そういう面で、アメリカではもし基準がないのであれば、SECも含めて、FASB、会計基準設定機関なんですけれども、それと、各会計事務所というようなところが即座に集まって、EITF、エマージング・イシュー・タスクフォースという、そこで一つの実務指針をつくる、それをFASB、アメリカの会計基準設定機関がそれを認める、こういうような形で、緊急のイシューについてはそれに素早く対応するという関係ができているんですね。そういう面で、日本もそういうような対応が早急にできるような体制をつくらなくてはいけないのではないかというふうに個人的には思います。 ただ、企業会計基準委員会は、現在、日本の会計基準を国際会計基準と統合する、コンバージェンスのためのプロジェクトにかなり忙殺されておりまして、その辺のところにどういうふうにリソースを配分するかとかそういう問題。今日本で行っている問題と、国際化に合わせてどんどん対応、統合、コンバージェンスを進めなくちゃいけないという問題と両方を抱えているから、ワークロードがかなり厳しくなっているというふうには思います。 以上でございます。
○鷲尾委員 ただ、思いますのは、やはり問題が起こってからでは遅いわけでございまして、特にこれから金融商品もいろいろとまた煩雑なものが出てきます。そんな中で、当然、大原則に立ち返って会計処理をするということは先ほど来申し上げておりますけれども、やはり会計基準も事細かに適時に決めていただくということが重要ではないかというふうに思いますので、この先問題が起こらないために、ぜひ公認会計士協会としても、経済界を巻き込みながら、会計基準委員会も巻き込んで、迅速に対応していただきたいと思っております。 続きまして、もう一点だけ会長に質問させていただきます。 先ほど、緊急問題タスクフォースみたいなものがアメリカではあるというふうにおっしゃっていました。例えば、公認会計士が捜査機関なりとか証券取引等監視委員会と連携しながら問題を処理していくということは、過去あったんでしょうか。
○藤沼参考人 その点については、公認会計士にはクライアンツの情報を他の外部の者に提供してはいけないという守秘義務の規定がありますので、ただ、法律によって守秘義務が解除される場合には、それはそれで協力するということで、そういう面で、証券取引等監視委員会に対して公認会計士協会がどうだということについては、基本的には協力というような関係はないというふうに言った方が正しいのではないかと思います。
○鷲尾委員 ちょっと質問の仕方がまずかったのかもしれません。これからしっかりと証券市場の公正性なりを確保していく上では、やはり官民一体となった体制づくりというのが必要だと思いますので、ぜひ公的な機関も含めまして、先ほどおっしゃっていた、協議の場を設けるというのもこれから先重要になってくるんじゃないかというふうに思う次第でございます。 続きまして、郷原先生にお伺いしたいことがございます。 今般の証券取引法等の一部を改正する法律案については、先ほど来先生がおっしゃっていた、人材を育成する方向性というのはちょっと不足しているんじゃないかなというふうに個人的には思うわけですけれども、刑事の専門家である先生が、例えばライブドアの事件でもありました、検察と証券取引等監視委員会との連携というのが、実際これはどれぐらい働いていたのかというところで、ちょっと先生の御所見をお伺いしたいなと思うんです。
○郷原参考人 ライブドアの事件で、検察と監視委員会との間で具体的にどのような協力関係があったかということ、これは詳細はわかりません。あくまで一般論としてなんですけれども、やはりまず根本的に問題なのは、検察にも、必ずしもそういう金融の分野のプロはそれほどいません。それから、監視委員会の方には、まだ十分にリーガルなスタッフが、検察と協力して市場のルール違反に対して摘発していくだけの十分な数と、質と量という面でのスタッフが十分でないんじゃないかと思います。そういう面で、これから両方の機関がどのような役割でこの分野において機能を果たしていくかということを考えていかないといけないと思うんです。 今回のライブドアの事件というのは、そういう意味で、最終的に検察がああいう形で乗り出していかないといけなかったという経過自体に、結果として大きな問題があった。むしろ、それまでに柔軟な、ルール違反に対する監視、ペナルティーを科すというようなことが行われなくちゃいけなかったということは言えると思います。 以上です。
○鷲尾委員 一つは、先ほど先生がおっしゃっていた、人材の育成という観点でこれから証券市場を育成していかなきゃいけないという部分と、現実問題として、今も恐らく、法の抜け道を通って悪巧みをする、そういう市場参加者というのはいると思うんです。 そういう中で、では、今ある公的機関の連携、例えば監視委員会、そして検察、そして先ほども申し上げましたが、これは弁護士、会計士、税理士とかも含めて、証券市場自体をどういうふうに監視していくのかということを考えていかなければいけないと思うんですが、そこら辺の御所見もちょっとお伺いしたいんです。
○郷原参考人 やはりそこで重要になってくるのが、包括条項の積極活用ということだと思います。 今回のライブドアの問題に関しても、上場当初からいろいろな問題があったということが比較的早くから指摘されていましたし、今回の事件の表面化の後にもいろいろ指摘されました。そういった行為に対して、一つ一つ具体的な規定を設けて、その違反ということで取り締まっていくというのは、証券市場の実態ということを考えていくと、なかなか困難だろうと思います。そういう面で、アメリカで行われているような包括条項の積極適用を日本でももっともっとやっていかないと、公正な市場、公正な株価形成というのはなかなか期待できないと思います。 しかし、その場合に問題になってくるのは、それでは、日本の刑事司法のもとで、罪刑法定主義の制約の中で、果たして包括条項がそれほど適用できるんだろうかと。そうなりますと、やはり柔軟にペナルティーを科していく手段として、課徴金をもっともっと、その性格づけ自体も根本的に見直して、その範囲を拡大し、ペナルティーとしてもっともっと厳しいものにしていくという方向が必要じゃないかと考えております。 以上です。
○鷲尾委員 もう一つ、人材の関連でちょっとお伺いしたいことがございます。 では、人材を育成しようとしたときに、今回の法案の改正というのは具体的にこの先にインパクトがあるものなのかどうかというところをちょっとお聞きしたいなと思うんです。
○郷原参考人 人材の育成の問題というのは、一つの法だけでそれが実現できる問題ではないと思いますし、一つの省庁だけでそれが行えるものでもないと思います。先ほど申しましたように、例えば、法科大学院で証券取引、金融取引に関連する法の専門家を育てていくとすれば、これは文科省の問題でもあり、そしてそれが司法試験制度にも関連するということになると法務省の問題でもあり、さまざまな省庁に関連してきます。 だからこそ、こういった問題は、今後の公正な金融市場、証券市場をつくっていくために教育が必要なんだ、人材が必要なんだという問題意識を持っていただいて、政治の力でそれを何とか積極的に推進していただきたいと考えております。
○鷲尾委員 大変貴重な意見をありがとうございます。人材をどう育成していくかというのはやはり政治主導であるということがよくわかりました。 そして、もう一つなんですけれども、民主党の改正案は、SECという組織を設けて、要するに包括的に人材を育成していこうという方向性ではあるんですが、この点についてのコメントもお願いいたします。
○郷原参考人 先ほど申しましたように、アメリカ型の独立したSECのような組織をつくっていくこと、これは目指す方向としては正しいと思います。今回施行された会社法も、相当程度アメリカ型のコーポレートガバナンスが採用され、その前提として、公正な証券市場が築かれていかないといけない。それは、やはりかなりアメリカの制度というものを意識して考えていかないといけないと思いますので、そういう面で、目指す方向としては正しいと思います。 しかしながら、組織をつくっても、その中に人が十分にいるかどうか、それによって、組織に魂が入るかどうかということは違ってくると思います。逆に、人材とかそういうノウハウが不十分なまま枠組みだけつくってしまって、それで事足れりということになってしまうと、肝心な改革が逆におくれてしまうということになりかねませんので、私は、むしろそういうSECの設置ということを目指していくのであればなおのこと、人材育成の問題とセットで考えていただく方が効果的なんじゃないかと。 という意味で、現時点でSECを設置しようということは必ずしも適切じゃないんじゃないかと考えております。
○鷲尾委員 大変手厳しい御意見をちょうだいしました。ありがとうございます。 それでは、ちょっと質問の視点を変えまして、今回の改正についてです。 金融商品販売法ができました。それがホップとして、ステップとして今回の証取法の改正があります。ジャンプとして投資サービス市場法というのをつくろうということで法案の改正が大枠としてできているのかな、その大きな流れで動いているのかなという基本認識に立って、では、ステップである今回の証取法改正なんですが、余りにも利用者保護の視点がちょっと欠けているんじゃないかなというふうに思います。この証取法改正の審議に入りましてから、例えば商品先物取引がその範囲に入っていない、預金取引については除かれているということは、もう皆さん、さんざん議論されていますのでここでは申し述べませんが、利用者保護の視点について、ちょっと個別に先生の御意見を伺いたいことがございます。 というのは、今回、不招請勧誘というものについて、今後問題が頻発するということであるならば、その商品については個別的に政令指定か何かで禁止規定を置こう、改正していこうというふうにしておるんでございますが、果たして、そのホップ、ステップ、ジャンプのステップという位置づけ、そして利用者保護という観点から、今回の法律案がそういうことでいいのかどうかというところを、先生の御意見を伺いたいと思います。
○郷原参考人 不招請勧誘に関して行われるさまざまなルール違反行為をどのようにして防止していくかということに関しては、さまざまなアプローチがあるんだろうと思います。 私は、一般的に申しますと、ルールを定めることも物すごく重要だと思いますけれども、やはり必要なことは、現場の営業の実態に合って、本当の意味のコンプライアンスを高めていく、具体的なケースにおいてどのようなやり方をとるのが本当の意味の投資者保護につながるのかということを、営業の現場の実態に応じて考えていくことの方が重要だと思っています。 そういう意味で、法案に盛り込まれている内容というのが、具体的にどこまで踏み込むかということに関して必ずしも十分じゃない点があるといっても、私はむしろ、営業を実際に推進していく側の企業の自主的なコンプライアンスの取り組みをもっともっと積極的にしていくための制度づくりの方も重要なんじゃないかと思っております。
○鷲尾委員 企業側のコンプライアンスというのが到底望めないような人たちによってやはり被害者というのは出てきているという認識の上に立って、では、その制度づくりというのを先生はどのような観点から行えばいいかというふうにお考えですか。
○郷原参考人 そこが、先ほど来出ておりました内部統制の問題にも関係してくると思います。内部統制という問題を、単純に、法令を守れ、ルールを守れというようなことで上が下に対して統制をきかせていくということではなくて、その企業、その組織全体が一つの方向性、目的意識を持って、どうやって社会の要請にこたえていくのかということをまず内部統制として明確に意思決定する、そういったことを会社法、証取法の枠組みの中で実現し、それを中心にして、現場で起きている具体的な問題を解決していくという枠組みが重要なんじゃないかと思っております。
○鷲尾委員 そういう企業ばかりだと不正も少なくて大変いいんじゃないかなというふうには個人的に思います。 次の質問に移らせていただきたいと思いますが、融資が絡む金融商品の販売についてちょっとお伺いしたいんです。 というのは、既にアメリカにおいては、変額年金に融資をつけて売るケース、これについての被害というのが多発しているんです。変額年金については、今回の改正でも当然不招請勧誘を禁止しています。禁止しているんですが、変額保険を融資つきで売った場合、融資、業者側から見ると貸し付けというんですかね、貸付業務は当然これは禁止されているんですが、金融商品取引業者については、貸し付けは禁止されているけれども、貸し付けの媒介等というのはこれはまだ禁止されていないんですね。 この点について、私なんかは手当てすべきだなとは思うんですが、先生はどういうふうにお思いでしょうか。
○郷原参考人 変額保険という商品は、そもそもどのような商品としての位置づけで、どういう社会的役割を果たすべきかということからまず考える必要があると思います。恐らく、変額保険という商品の性格からして、投機性を一層高めることになる融資との結びつきというのは、非常に大きな社会的な問題を引き起こす可能性があるということで、禁止の対象になっているんだと思います。 そういう意味では、変額保険と融資との結びつきがどこまで危険なものなのかということを、先ほど来言っておりますように、こういった問題にかかわる、こういう商品の営業にかかわる者全体が認識することが必要だと思います。その認識に立って、今おっしゃったような、禁止規定の一部に欠落があるんじゃないかというようなことも今後議論していかないといけないんじゃないかと思います。 以上です。
○鷲尾委員 そんなにいい人ばかりじゃないと思いますので。やはり、高齢者に対する売り込み等を含めて、抜け穴があるということだと思うんです。その抜け穴を今回の改正で実は埋め切れていないんじゃないかというふうな疑念があるわけで、そういう観点に立った先生の御意見もちょっといただきたいんですけれども。
○郷原参考人 先ほど来の私の答えている内容、何となく企業に対して少し甘い見方をしているんじゃないかというふうに見られているかもしれません。私のコンプライアンスに対する基本的な考え方は、本来、企業人というのは、そういう社会的な要請を鋭敏に感じて行動できる人であるはずだという認識に立って考えております。 実際には、確かにそうではありません。そうではないときに、単純に厳罰化とかルールをもう網の目のようにくまなく張りめぐらせれば、それを守れと命令すれば済むということではなくて、どうやってそのルールを実質的に生かしていけるかということが必要だと思いますし、今おっしゃったような、明らかに法律に不備があるという点を是正していかないといけないという努力はもう確かに必要だと思いますし、おっしゃるとおりだと思うんですが、基本的なスタンスとしてそういうような認識を持っておりますので、御理解いただければと思っております。
○鷲尾委員 ありがとうございます。 もう一点、ちょっと別の件なんですが、投資サービス法がジャンプと考えたときに、ステップである証取法の改正なんですが、先ほど利用者保護の視点がちょっと欠けているんじゃないかなというふうなことを私申し上げました。 というのは、一つ、例えば訴訟外紛争機関というのがイギリスの方では知られている制度でございます。この件について法案の方では何も、要するに手当てされていない、今までどおり認定投資者保護団体に対して紛争解決を任せるということで、訴訟外紛争機関の改めての設立について何の言及もないわけですね。 法案の最終形を考えたときに、このステップの段階でこういうことが手当てされていないというのは、これはジャンプまでにかなりの時間がかかるんじゃないかというふうに想像してしまうんです。少なくとも十年議論しているわけですから、この問題というのは。ですので、やはりもうちょっと踏み込んだ改正が必要だったんじゃないかなというふうには思うんですけれども、先生の御見解をお伺いしたいんですが。
○郷原参考人 その点についても、この証券取引法、金融商品取引法をどういう法律ととらえるのかということに関して、いろいろな考え方があるということをまず前提に頭に入れないといけないと思います。 私は、もちろん、投資家保護ということは、この法律の重要な目的であることは否定しませんけれども、余りに単純に投資家を保護すればいいという方向に偏り過ぎると、かえってこの法律全体の性格を見失ってしまうんじゃないかと。そういう面で、今回の法律の目的で明確にされたように、市場法だ、市場を公正にしていくんだ、そこで公正に株価を形成していくんだ、株価に限らずですね、価格を形成していくんだと。そうすれば、当然、それによって投資家も保護されるんだという観点が重要だと思いますし、そういう全体的なバランスの中で考えるべきだと思います。 そういう面で、投資家の保護という面に関して現時点でまだ十分じゃないという面もたくさんあろうかと思いますけれども、私は、むしろ不十分なのは、市場法としての性格を生かすための、さまざまなルール違反に対する手当てとか、監視機関、人材の育成、そういったことの問題の方が全体としては大きいんじゃないかと考えております。 以上です。
○鷲尾委員 先生がおっしゃるように、公正な市場参加者をつくる、そういう方向性で法案というのはつくっていかなきゃいけないんだなということを、きょう改めて認識した次第でございますが、法案自体に、いわゆるセーフティーネットと言われる部分にかなりの穴があるということもまた一つ事実でありまして、確かに、先生のおっしゃるような、制度設計の中で重要性としてはやっていかなきゃいけないんだけれども、セーフティーネットの部分で穴があいていれば、やはりそれもしっかりと閉じていかなきゃいけないということもまた事実だと思うので、その点、これから我々が法案審議する過程において、また今先生におっしゃっていただいた意見をかんがみながら、市場法、そしてまたセーフティーネットの配備というものをしっかりとやっていこうというふうに認識した次第でございます。 きょうは、本当にありがとうございました。 質問を終わらせていただきます。
○小野委員長 以上で鷲尾君の質疑を終了いたします。 引き続きまして、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。 両参考人におかれましては、大変御苦労さまでございます。 まず、カネボウの粉飾決算に加担をした今回の事件を初めとする一連の事件で問われているのは、監査される会社に対して監査人の独立性というものがしっかりと確保されていなかったという問題であります。 公認会計士協会がことしの二月に最終変更をした「倫理規則の独立性(第十四条)の解説」というのを拝見いたしました。ここには、独立性に対する脅威として、自己利益、自己監査、癒着、擁護、脅迫、威圧などが挙げられております。 今回の事件は、このどこに問題があったと考えておられるか。これは藤沼参考人にお伺いします。 それから、郷原参考人には、今回の事件に関連をして、この独立性が確保されなかった理由をどのように考えておられるか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○藤沼参考人 カネボウのケースでございます。 独立性、佐々木委員のおっしゃるように、ここが一番スターティングポイントだというふうに認識しております。 カネボウの今回処分を受けた会計士たちがどのようにしてその独立性を失ったのか、どういうところに原因があったのかということなんですけれども、最終的には、一つは癒着の問題があったというふうに思っておりますし、あと結果的には自己利益ということがあったんだというふうに思います。また、その会社を失うということに対する脅迫というか、会社の人がそれを脅迫したのかどうかというのは、直接的な脅迫があったのかどうかということはわかりませんけれども、間接的な脅迫概念があったのではないか。そういうことで独立性を欠いた。それで会社の監査に対応してしまったという、基本的なところで大きな誤りがあったのではないかということで、これはやはり重大な問題だというふうに認識しております。
○郷原参考人 私は、公認会計士に関する問題は、そもそも公認会計士という職業というのがどういう職業なのかというようなところを根本的に考え直してみる契機となるべき事件ではないかと考えております。 ちょうど、我々に関係の深い仕事として、弁護士という仕事があります。弁護士も専門職業人で、弁護士の場合は、依頼者から報酬を受け取ってその依頼者の利益のために法律事務を行うということになります。 それでは、公認会計士というのは、同じように依頼者から報酬を受けるわけですけれども、一方で、公認であるということで、公的なチェックの役割を任されています。そういう公認会計士の公的な役割と、依頼者の利益を図るという役割をどのようにして組み合わせていくべきなのか、そういう公認会計士制度というそのものがこれからどのようになっていくべきなのか、そういう根本的な議論を行う一つの契機にもなる事件ではないかと。まさに、独立性の確保ということも、そういう大きな視点から改めて考え直してみるべき問題じゃないかと考えております。 以上です。
○佐々木(憲)委員 今、郷原参考人おっしゃったこと、大変大事な視点だというふうに思うんですね。 独立性に疑いが持たれるような関係ということの一つとして、特定の関与先または関与先グループから継続的に受け取る報酬、これが収入の大部分を占めてしまうというような場合は、これは独立性に非常に大きな脅威を与えると思います。 公認会計士協会の方では、五〇%を超える場合は問題があるというふうにされていますけれども、しかし、その五〇%というのもかなり高い水準ではないかと私は感じるわけです。といいますのは、今回の事件に関与した監査法人も、多くの大手の上場企業を監査しているわけであります。したがって、報酬としては五〇%よりもはるかに少なかったはずでありますが、癒着というような問題が生まれる。そこで、一社に対する依存度というだけではやはり十分ではないと思うんです。もちろん、それももっと下げる必要があると私は思うんです。 その点で、具体的に、今回の事件が発生した中央青山監査法人のカネボウの報酬というのは、この監査法人のうちのどのくらいを占めていたのか、事実関係としてもしわかったら教えていただきたいと思います。
○藤沼参考人 この数字は、具体的に私つかんでいるわけではないですし、多分、監査法人の収入というのは四百億、五百億という数字になっていますので、その中で、多くても、せいぜい一億ぐらいの話ではないかなという感じがしていますので、パーセンテージとしては非常に少ないということだというふうに思います。 日本公認会計士協会のルールとして、報酬に占める五〇%という数字なんでございますけれども、日本の監査事務所というのは非常に、特に中小の事務所の場合には、いわゆるフルサービスということでやるのが一般的なんですけれども、税理士業務は監査人ができないということで、そういう面で監査という立場からできないということで、ただ一方、税理士資格を取得することによってやっているというような問題がありまして、中小の事務所の人にとって、それを、税務とかその他のサービスを省いた上で監査の中に占める割合は何%という話になると、どうしても高い数字が出てしまう。 監査法人では先ほどの五〇%は十分にクリアされるわけなんですけれども、そういう点の中小の事務所への一応配慮というものと、あと、税理士業界と会計士業界との業際問題というか、そこら辺の区分けの問題等の特殊要因があるということを御理解賜りたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 比率だけでは問題は解決しないと思うので、それは大きな監査法人と小さな法人では全然対応が違うと思うんです。したがって、大きな法人の場合に一体何が必要かという点をぜひ考えていただきたいと思います。 具体的な対応策として、先ほど来のお話の中に、ローテーションの見直しとか、あるいはインターバル期間における前任会社の監査に影響力を及ぼすことを排除するというようなことに取り組まれているようですけれども、なおそれでも問題は解決していないわけですね。 この点について、今は七年と二年という形でありますが、アメリカの場合は五年・五年ということですね。もっとこれを具体的に、特定の企業に対する監査の期間を短くする、それから監査をしない間隔を長くする、この関係をアメリカ並み、あるいはアメリカ以上に厳しくすることが大事だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○藤沼参考人 監査人のローテーションというのは非常に大事なことだと思います。 そういう面で、カネボウ事件等を受けて、公認会計士協会は、公認会計士法で求められている七年・二年のいわゆるローテーションの制度にかかわりなく、ことしの四月以降は、七年以上の者がないように即座に、早期実施ということで各会計事務所に要請をしておりまして、その中で、特に四大法人については、七年・二年ということを当初要請したわけですけれども、やはり社会の期待、会計士の役割の重要性ということの認識から、ことしの四月以降、筆頭の業務執行社員、すなわちトップのパートナー、レビュー関与社員については五年のローテーション、そしてその他の関与社員については七年のローテーション、七年・二年、五年・五年、これはアメリカと全く同じ制度をことしの四月一日から導入いたしました。 それでは中小の事務所はどうなんだという話になるわけですけれども、中堅の事務所については、できるだけこれにフォローできるようにしてほしいということを要請しております。ただ、非常に小規模な事務所については、監査人自身が少ないから、そう簡単にローテーションといってもできないということで、これは品質管理レビュー等を強化することによって対応していこうということでやっておりまして、アメリカ並みのローテーションは四月一日から実行されているということでございます、四大法人についてはです。
○佐々木(憲)委員 それでは最後に、特定企業からの独立性を確保するという意味で、報酬の面ですね、先ほども少しお話をいただきましたが、企業から報酬をもらってその企業の監査を行うというのは、これはなかなか微妙な関係であります。特定の企業との直線的な結びつきをどうしても排除しようということとそのことが矛盾することになるので、私も、昨年の十月二十八日でしたか、藤沼参考人にその点をお伺いしたことがございます。そのとき、議論が百出しております、ベストな解決策というものはまだ見出しておりませんというお話をいただきました。 それで、どんな議論があって、どうすればいいのか。これは先ほども郷原参考人もそういう点を指摘されましたけれども、私は、報酬を受け取る関係の面で、何らかの独立性を高めていくような方策を考えていく必要があるのではないかというふうにずっと思っておりますが、この点について御両人のお考えを伺いたいと思います。
○藤沼参考人 監査人が独立監査人と言われていまして、独立監査人の監査報告書を出さなくてはいけない、それが監査する企業から報酬を得ているというのはおかしいではないか、これが一般的な質問で、確かにそういうようなことからすると独立性があるのかどうか、こういう疑問が投げかけられているわけです。 監査制度が発生してからです、これは日本だけではなくて海外でもそうなんですけれども、いつもこの議論はずっと議論されてきた問題でございまして、最近は、例えば証券取引所でお金を集めて、証券取引所がそれを分配したらどうか、証券取引所はそれは嫌だと言っていますけれども、そういうようなこととか、あるいは公的機関が集めてそれを分配したらいいだろうかとか、あるいは保険会社、保険でクレームが、いわゆる監査訴訟があって保険を払うわけですから、監査事務所と企業の問題は一番詳しいだろうから保険会社がそれをやったらどうか、これはアメリカの会計学会なんかで議論をしたわけですけれども、みんなこれらの議論は余り実態が伴っておりませんで、議論倒れという形になっております。 今、実際、それに対する実質的な解決策として、実効が上がるものとして言われているのは、やはり会社のコーポレートガバナンスを預かる体制をもう一度きちっと見直して、会社のコーポレートガバナンスの中に、取締役会の中に外部取締役がいる、取締役から、会社の経営陣から独立した監査役、その人がオン・ビハーフ・オブというか、株主あるいはその他の利害関係者の利益のために行動する、経営陣を監視する、そのような監査役、あるいは監査役会、監査委員会が監査報酬を決定する。これは、アメリカの企業改革法以降、アメリカのオーディットコミッティーはすべて外部取締役。私の友人なんかでこのオーディットコミッティーのチェアマンをやっている元会計士が結構多いわけですけれども、彼らに聞くと、すごくまじめに、このごろ時間数も飛躍的にふえて、かなりやっているということ。 そういう面で、やはりコーポレートガバナンスのストラクチャーを実質的に変えて、監査役会がきちっと外部監査人と監査報酬を決めて払う、こういう制度をするのが一番実現可能性があるのではないかというふうに思っております。 以上です。
○小野委員長 郷原参考人、ちょっと時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
○郷原参考人 もし公認会計士の仕事が、厳格なルールを単に守らせるだけ、チェックするだけということであれば、これは国の側で報酬を支払って、国の側の、むしろ公務員としてやればいい仕事だと思います。ですから、そういう仕事ではないということがまず前提なんだと思うんですね。やはり公認会計士の仕事というのは、会計基準の中でいろいろな解釈を、企業の側に立って、ある程度監査というものをそういう立場でやるということがあるから、公認会計士の仕事なんだと思います。 そういう面で、最終的にはこの問題というのは、報酬をもらっているからそれだけで何か疑われるというだけじゃなくて、公認会計士の業界における倫理の確立というような点がこれから重要な問題になっていくんだと思いますし、そういう面で、今これだけ大変な批判を受けた中で、業界の中で自主的な改善の努力が行われているわけですから、まずはそういう自主的な改善の努力を見守ることというのが重要なんじゃないかと思っております。 以上です。
○佐々木(憲)委員 時間がありませんが、最後に一言だけ。 中央青山監査法人の奥山理事長と三井住友銀行の西川前頭取、ぜひ参考人として当委員会にお呼びいただきたいと思います。
○小野委員長 はい。これは理事会での協議とさせていただきます。 以上で佐々木憲昭君の質疑を終了いたします。 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 一言参考人に対して御礼を申し上げたいと存じます。 参考人におかれましては、お忙しい中、当委員会に御出席をいただきまして、適切かつ要点を踏まえた御意見をちょうだいいたしまして、深く御礼申し上げたいと思います。委員会を代表いたしましての御礼といたします。ありがとうございました。(拍手) —————————————
○小野委員長 引き続き、内閣提出、証券取引法等の一部を改正する法律案、証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び古本伸一郎君外六名提出、証券取引委員会設置法案並びに小沢鋭仁君外二名提出、証券取引法等の一部を改正する法律案及び証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する両修正案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 各案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局長三國谷勝範君、金融庁総務企画局総括審議官中江公人君、金融庁証券取引等監視委員会事務局長長尾和彦君、経済産業省商務情報政策局消費経済部長谷みどり君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○小野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。
○宮下委員 自由民主党の宮下一郎でございます。 今回の証券取引法改正につきましては、本日までの質疑を通じまして、さまざまな面から多角的な議論が展開されてまいりました。本日は、これまでの議論を踏まえまして、主に今後の金融商品取引並びにこれをサポートする体制のあり方につきまして考え方をお伺いしていきたいと考えております。 今回の法改正の目的は、金融資本市場の環境変化に対応して、投資者保護のための横断的法制を整備することによりまして、利用者保護ルールを徹底して、市場機能の強化を図ることにあると考えております。このうち商品先物及び不動産特定事業につきましては、今回の法案におきまして、それぞれ商品取引所法と不動産特定共同事業法の改正を行い、金融商品取引法と同レベルの行為規制を入れることで規制の横断化を実現するということになっております。このことに対しましては、これで横断化がしっかりと確保されるのか、こういった議論も聞かれたところでございます。 つきましては、今回の法案では、これらの法律につきまして、具体的に現状と比べてどのような点で規制を強化し、レベルの同一化を図ろうとしているのか、また、今後の制度運用の段階におきましては、やはり所管官庁の連携をとりながら対応していくことが必要と考えますけれども、こうした連携についてどのように考えているのかについてお聞かせをいただきたいと思います。 〔委員長退席、七条委員長代理着席〕
○三國谷政府参考人 お答え申し上げます。 今回の法案におきましては、同じ経済的性質を有します金融商品には同じルールを適用するという基本的考え方のもとで、投資性の強い金融商品を幅広く対象といたしまして、行為規制の横断化を図ることとしているところでございます。 御指摘の商品先物取引につきましては、今回の法案において、商品取引所法の一部を改正し、一つは、広告等の規制、取引証拠金等の受領に係る書面の交付義務及び虚偽告知の禁止を新たに追加し、また、損失補てん等の禁止、適合性の原則等の内容につきまして、金融商品取引法の規定と整合性のあるものに改正することとしているところでございます。 また、不動産特定共同事業につきましても、法案におきまして、不動産特定共同事業法の一部を改正いたしまして、金融商品取引法におけます損失補てん等の禁止や適合性の原則の規定の準用等を行うこととしているところでございます。 これらによりまして、商品取引所法及び不動産特定共同事業法のいずれにおきましても、現行法において既に規定されている規制とあわせまして、金融商品取引法との行為規制の同等性が確保され、規制の横断化が実現されているものと考えているところでございます。 御指摘の、今後の制度運用でございます。御指摘のとおり、所管省庁間でしっかりと連携をとることが必要と考えており、金融庁といたしましても、関係省庁との連携協力に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○宮下委員 次に、監査法人制度のあり方についてもお伺いをしたいと存じます。 監査法人をめぐりましては、先ほど日本公認会計士協会の藤沼会長からも御発言がありましたけれども、カネボウ事件、ライブドア事件など、その信頼を揺るがしかねないさまざまな問題が生じております。これに関して、四月二十六日より、金融審議会におきましても監査法人制度のあり方に関する検討が開始されたと伺っております。 いずれにしましても、金融当局において真剣な検討を進めていただくことが必要だと考えますが、どのような論点について検討を行っていくのか、具体的にお聞かせをいただきたいと存じます。
○与謝野国務大臣 公認会計士、監査法人は、企業財務情報の信頼性の確保に当たり極めて重要な役割を担うものであり、御指摘のような、監査法人や公認会計士の信頼を揺るがしかねない事態が生じていることについては、真摯に受けとめる必要があるものと考えております。 金融庁としては、これまでも平成十五年に公認会計士法を改正するなど、公認会計士監査の充実強化に努めてきたところでございますが、今後ともさらなる努力を積み重ねていくことが必要であると考えております。 この点につきましては、既に、去る四月二十六日に金融審議会公認会計士制度部会を再開し、監査法人制度のあり方等についての総合的な検討に着手したところでございます。 審議会における具体的な検討項目については、今後審議を進めていく中で固まっていくものと考えておりますが、例えば、監査法人等における監査の品質管理、ガバナンス、監査人の地位の強化、監査法人等の監督責任のあり方等の多岐にわたる論点が存在をいたします。 いずれにいたしましても、今後同部会においては、監査法人制度のあり方等について幅広く御審議をいただきたいと考えております。
○宮下委員 今回の法改正の目的は、横断的なこうした法整備に加えまして、不公正取引を排除した健全な市場を形成していくことによりまして利用者保護を徹底するということにあると考えます。 そうした観点から、市場の監視体制についてお聞きをしたいと思います。 現行の課徴金制度では、インサイダー取引、相場操縦、風説の流布などの不公正取引や、有価証券届出書、有価証券報告書等の虚偽記載をその対象としておりますけれども、これに加えて、今回の改正では、相場操縦の一類型としまして、いわゆる見せ玉についても対象とされることになっております。 こうした取引のうち、特にインサイダー取引や見せ玉などの不公正取引につきましては、今後、プログラム売買でありますとか個人によるインターネット取引の増大など、ますます増加する日々の大量の取引の中から当該取引を確定して立証するというのは技術的、物理的に困難になってくる、そうした面も予想されるところでございます。 つきましては、今回の法改正や現状を踏まえました上で、証券取引所並びに証券取引等監視委員会におきまして、それぞれどのような体制整備を考えておられるのか、お伺いをしたいと存じます。
○長尾政府参考人 監視委員会でございますけれども、御案内のとおり、常日ごろから幅広く証券市場に関する資料、情報を収集、分析しまして、こうした中で御指摘のインサイダー取引やいわゆる見せ玉といった相場操縦等の法令違反に該当する事実があると疑われる場合には調査を行っているということでございます。 特に御指摘のございました課徴金に係る調査につきましては、効率的、効果的な課徴金調査を実施すべく、この課徴金制度が導入されました昨年の四月に私どものところに課徴金調査・有価証券報告書等検査室を新設しまして、またこの十八年七月、来る七月には同室を課体制とする、こういう予定であるなど、その強化を図っているところでございます。 また、近年、グローバル化の進展、あるいは先生御指摘のとおり、インターネット取引、こういったものの普及、拡大等に伴いまして、取引も大変大量、複雑化しているところでございますけれども、監視委員会といたしましては、従来より、そうしたことについての問題意識を持ちまして、不公正取引に対する取り組みといたしまして、取引所等との連携やあるいは私どもの調査手法の向上、こういったものに努めているところでございます。 今後とも、監視委員会といたしましては、新たにこういった与えられた権限の行使や定員等の体制整備も含めまして、創意工夫を凝らしながら、公正な市場の確保と投資者保護ということに最善を尽くしてまいりたいと考えております。
○三國谷政府参考人 取引所につきましてお答え申し上げたいと存じます。 取引所は、法律におきまして一定の自主規制機能を遂行することとされております。不公正取引の発見を含む市場監視の面におきましても、取引の現場に近いところで市場の実情に応じましたきめ細かい対応を行うことによりまして、公正な市場の実現に寄与することが期待されているところでございます。 こういった観点から、各取引所におきましては、人員拡充や研修の実施などを通じまして売買審査体制の拡充強化に努めているものと承知をしておりますが、市場動向や取引形態の変化などを踏まえまして、引き続き体制強化に取り組んでいくことを期待しているところでございます。 また、証券市場の公正性、透明性の確保のために証券取引等監視委員会と自主規制機関との間で緊密な連携が行われているところでございますが、引き続きこうした努力が行われていくものと期待しているところでございます。
○宮下委員 それでは最後に、今後目指すべき金融行政組織のあり方についてお伺いをしたいと存じます。 本日御質問させていただいたことを通じましても明らかなように、今回の法改正の目的を実現するためには、それに対応した体制の整備充実が必要であると思います。 充実という点では、定数の確保ももちろん重要でございますけれども、同時に、先ほどの郷原先生のお話にもございましたように、市場法教育を充実してそうした人材を確保することによって職員の専門性を確保するといった質の向上も大切であるということは言うまでもございません。さらに、行政組織のあり方を長期的な視点で考えて、そのあるべき姿に向かって着実に前進していくことが今求められているのではないかと考えます。 これからの金融行政組織のあり方につきましては、個人的には、証券部門のみを分離する米国SEC型の組織を目指すのではなくて、金融のコングロマリット化に対応する形で金融商品を横断的に取り扱う、むしろ英国FSA型の組織として金融庁全体の機能強化を図るのが望ましいのではないかと考えておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 〔七条委員長代理退席、委員長着席〕
○与謝野国務大臣 近年、金融サービス分野においては、業態横断的な販売チャネルの一般化、業態を超えた融合商品の出現、銀行、証券、保険等を傘下におさめた巨大な金融グループの出現といった流れが進展をしております。 こうした流れを踏まえますと、業態ごとに異なる行政機構が存在し別々に監督を行う体制では、一つは利用者の保護の徹底や、第二には巨大金融グループ特有のリスクの把握等に十分対応し切れないおそれもあると考えられております。 なお、今般の金融商品取引法案により、幅広い金融商品・サービスについて横断的な制度の整備が図られることを踏まえれば、まずは市場監視体制の一層の強化に向けて必要な体制整備を図ってまいりたいと考えております。 その上で、二月十七日の自民党政務調査会金融調査会の御提言なども踏まえ、安定かつ活力ある金融システムの構築と幅広い利用者保護の確保に向けて、業態横断的な組織を基本としつつ、諸外国の市場行政を含めた金融行政機構の状況等も参考にしながら、引き続き我が国における望ましい金融行政組織のあり方を議論していくべきではないかと考えております。
○宮下委員 今回の法改正を契機としまして、公正、効率、透明かつ活力ある金融システムの構築が進むことを願いまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○小野委員長 宮下一郎君の質疑を終了いたします。 引き続きまして、古本伸一郎君。
○古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。 政府におかれましては、連日の御対応、大変お疲れさまでございます。 本法も、仮に通るということになれば、大臣におかれましては間接金融から直接金融へという政策誘導を、政府もかじを切っているわけでありまして、その意味では、この法整備が滞りなく行われれば、直接金融へと大きなかじを切る政策転換を図る上において、その道具立てとしては、法の立てつけとしては十分な法整備が図られることになるというふうに理解をなさっておられるでしょうか。
○与謝野国務大臣 いろいろな議論はございますけれども、今般のこの法律改正は、公正な取引の確保あるいは投資家の保護また情報の開示のあり方等について、まだまだ議論の余地はありますけれども、金融庁としては、現段階におけるベストのことを国会にお願いしていると考えております。
○古本委員 ただいま大臣から投資者保護という話がありました。これは、投資家の保護に関して申し上げれば、契約の相手方に対してその保護を図るということだと思うんです。 ただ、一方で、ではマーケットの、市場の保護はだれがやるかということになるわけであります。マーケット全体の保護というのは一体だれがやっているんでしょうか。
○与謝野国務大臣 まず、市場につきましては、市場における価格形成が適切に行われるということは常に我々全力を挙げなければならないことであると思っております。それと同時に、やはり、例えば日本の東京市場、大阪市場を含めた市場が他の国の市場に負けないだけの信頼性あるいはサービスの内容等を持っていなければならないと思っております。 市場をだれが保護するのかという大変難しい御質問でございますけれども、私どもとしては、日本における市場の健全な育成にはこれからも努めていかなければならないと思っております。
○古本委員 マーケットの保護は今だれがやっているかということにつきましては、いろいろな議論があると思います。私は、少なくとも、マーケットがおかしくなると投資者以外の人にも影響が起こる、つまりは国民全体に影響のある大変大きな話になると思います。 その意味で、市場が機能しなくなったこの一連の、昨今の、例えば東証が停止をした、あるいはライブドア事件があった等々を見たときに、実はマーケットが機能不全になると一番困る利害関係人というのは一体だれなんでしょうか。株を持っていない一般国民も大きく国民生活に影響がある、そういうものだと思います。それより何よりも影響のあるのは一体だれなんでしょうか。
○与謝野国務大臣 先生御指摘のように、例えば市場が機能しなくなりますと、売りたい人、買いたい人が自分の意思に従っての取引ができなくなるという直接的な影響のほかに、マクロで考えますと、市場を通じまして資源の適正な配分というものがなされるということが市場機能の最も大きなものであると考えますので、それはやはり、市場が機能しない、あるいは市場が一時的にでも機能しなくなるということは、日本経済にとっては大きなマイナスでございますし、また日本の経済の対外的な信頼性という観点からも大変大きなマイナスになると考えております。
○古本委員 実は市場の最大の利害関係人は政府じゃないんでしょうか。株が上がり、小泉さんが去年の総選挙で再選され、その後、日経平均がずっと安定的に上がってきた、これを最大に享受されておられるのは政府にほかならないんじゃないでしょうか。つまり、マーケットは上がれば上がった方が、国の政策においてこれほどありがたいことはない。 そのことを考えましたならば、この利害関係人である政府が市場に関与し続ける必要があるのかどうかという大変大きな議論があるわけであります。つまり、午前中の参考人の質疑を通じましても、会計監査の話でも大変示唆に富んだ話を承りました。自主規制機関というものがあります。一方で、監視委員会という機能の強化を今我々は主張しております。そして、金融庁という監督権を持った行政庁があります。それぞれの役割が、ある意味抜け穴があった中で、今回のライブドア事件に見るような、ぽてんヒットというか、ヒットという言い方はよくないですね、結果として大変な事案が起きてしまったという理解に立つわけであります。 そこで、大臣にお尋ねするんですが、政府が実は市場の最大の利害関係人ではないんでしょうか。
○与謝野国務大臣 市場の機能がきちんと発揮されていくということは、日本経済を考えれば、政府が最も重大な関心を持たなければならない、そういう意味では、市場が健全に働くということに、政府あるいは金融行政を担う金融庁としては、大変大きな関心、最も重要な関心を払っていくことだろうと思っております。 ただ、例えば株価が上がる下がるということに関しましては、それは市場の中で適切な価格形成がなされているということが保証されればいいことでございまして、上がること下がることについての善悪の判断というものは政府においてはないんだろうと思っております。
○古本委員 今回の対象商品に、議論になっております商品先物が入っていなかったり、いわゆる預金が入っていなかったりいたしております。今後の課題として、これらのことはまだ積み残したという理解でいらっしゃいますでしょうか。
○与謝野国務大臣 今後、商品先物取引等については、他の法律、他の役所の分野として残してあるわけでございますが、委員御承知のように、同じルールを適用するという面では一体的な規制というものが実現されるわけでございます。ただ、将来像がどうなるかということはまだまだ議論の余地はある、そのように思っております。
○古本委員 ライブドアの事件が起きたときに、ニッポン放送株の時間外買い付けがあったときに、その買い付けのあった日からわずか数日後に、きょうやっと伊藤さんに座っていただきましたが、当時の伊藤大臣が法の解釈を一般論としておっしゃられた。あのときの行政庁の責任者であったのは政府であった、そして金融庁であった。 一方で、そのことを受けて、幾つかのいろいろな疑わしい情報があって、立入検査を行ったか、あるいは事情聴取を行ったか、先回の委員会で確認いたしました。それは個別の事案でお答えできないと言った。これをやるのは監視委員会であると。 一方で、大臣は、当時、御党の政策担当の最高責任者として、果たして出会い頭にこれほどのものがぶつかり合うんだろうかという疑問を大変抱いておったとおっしゃっておられた。だけれども、司法の判断は、ああ、こういうふうに判断なさるのかと思って尊重することにしたと。 一体だれが市場の本当の番人としてきちっと見ていくことができるのかというと、これはすぐれて実は自主規制で賄っていかないと、人の心の中には入っていけない領域があると私は思っています。したがって、SEC法案を出して強化をしていくという議論ももちろんあると思いますが、それと同時に、一体だれが市場の利害関係人であるかということは大変大きな問題だと思っています。 その意味で、政府が、内閣総理大臣が任命し、その委任を受けた監視委員会の委員長が、そしてまた委任をした地方財務局の検査官が実際に物読みをしたり立入検査をしたり、そういう機構である限りは、一番の長が実はマーケット最大の利害関係人であったとするならば、これはゆがめられるんじゃないかという問題意識を持っている。つまりは、独立した何かをつくらなきゃいけないんじゃないかという問題意識から、我々は証券取引委員会の設置を提出してきたわけであります。 先回の委員会の中で同僚議員から、金融庁あるいは財務省からの直接の天下りの状況に対する資料の要求も残念ながらいたしまして、今、鋭意当局の方で調べていただいているやに伺っておりますが、ちょっと見ただけで、例えばこれは人事院の平成十五年の営利企業への就職の承認に関する年次報告でありますが、直接行っています、証券会社に直接行っておられる。金融庁監督局あるいは金融証券検査官、証券取引検査官、こういう人々というのは、まさに審判官というかアンパイアの役割をしておられる方々なんじゃないんでしょうか。直接行っておられますよ。 もちろん、アメリカのSEC等々を見れば、人事交流をし、そういう技術にたけた人をもらうことによって互いに切磋琢磨するという面もあると思います。それは独立した機関だからやれることでありまして、現状のように、金融庁の中に監督権を残しながら、そして監視だけをやる監視委員会があり、そしてその委員長はこの委員会に来ていただけないじゃないですか。高橋委員長はあれだけいろいろなことを言っておられますけれども、ただの一度も質問できない。伺いますれば、三条委員会じゃないからここに呼べないということの御説明をいただきました。まさにそうであります。政府答弁者として登録していないからであります。片や天下りを看過し、そして片やこの委員会の場で、さまざまな事案があって、その事実をただしたいというふうに申し上げても、その当人が来られない、事務局しか来られない。ちぐはぐな感じがいたします。 その意味で、再三申し上げた、実は政府が市場の最大の利害関係人である限りは、今のこの監視委員会の機構には限界があると感じております。まとめて御所見を求めたいと思います。
○与謝野国務大臣 利害関係人というのはどういうふうに解釈していいのか迷っておりますけれども、市場が健全な発展をするということに関しては、経済的な利害ということは別にいたしまして、政府も金融庁も、市場の健全な維持発展ということは当然のことながら最大の関心事であるということはおわかりいただきたいと思っております。 そこで、先生の御主張は、多分、市場行政を独立した三条委員会に担わせるべきとの御提案だと私は理解しておりますけれども、一つは、行政権は内閣に属しているということ、また、内閣は行政権の行使について国会に対して責任を負うことを踏まえますれば、市場にかかわる制度の企画立案や、取引所、証券会社等に対する検査監督を担う行政委員会を新たに設置することについては、慎重な検討が必要であると考えております。
○古本委員 もしそうならば、行政権は内閣にありそして行政庁にあるということであれば、思い切って、金融庁に監督権そして監視権も含めてというやり方も逆にあるのかもしれないと思っております。 いずれにいたしましても、この委員会の質疑を通じ、連日傍聴に来ておられる方々もおられたようにお見受けいたしましたし、一般の投資家の皆さんはもとより、いろいろな面で金融商品の被害に遭い、そして苦しんでおられる方もこれは一方でおるわけでありますから、今後も当委員会での議論を深めていただきますことを切にお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○小野委員長 以上で古本君の質疑を終了いたします。 続きまして、小沢鋭仁君。
○小沢(鋭)委員 民主党の小沢鋭仁でございます。 いよいよ当法案の審議も大詰めであります。その段階で冒頭一言申し上げておきたいと思いますが、重要広範議案であるこの法案の審議において、総理出席がなかったこと、大変遺憾に存じております。 たまたまきょうの新聞、何新聞か忘れましたが、記者さんが書いている記事の中で、小泉総理に関して、小泉総理の盟友であられる山崎拓議員が、総理が就任したころ、オフレコとして小泉さんという人は驚くほど政策を知らない人だ、こう言っていたという記事があって、皆さんもお読みになったかもしれませんが、私も、そうかな、こう思いながら読ませていただきましたが、そういう総理にはこういう重要な法案審議の場にぜひ出てきていただきたかったということを改めて申し上げ、ただ、同時に、委員長、与党の皆さん方が御努力いただいたことも十分認識しておりますので、政府の皆さんにはぜひとも今後御勘案をいただきたい、冒頭申し上げておきたいと思います。 まず、いろいろな議論がありました。最終段階なので少し大くくりの議論をさせていただきますが、この法案は、金融商品についての横断的な法、こういうことであったわけでありますが、先ほど来の議論にも出ておりますように、銀行、保険の一般的な商品だとか、あるいは商品先物だとか、そういったものが含まれていない。 金融審の審議においては、これも先ほどの議論で出ておりましたが、ホップ、ステップ、ジャンプのステップの段階だ、こういう話であります。ジャンプの姿が既に見えているのであれば、なぜそこに一気に行かないのか、こう思うんですね。いわゆる金融ビッグバンと言われて、平成九年くらいからでしょうか、九年、十年をスタートに金融システム改革が続いてきておりますが、かれこれ十年ですよ、十年。 片や、例えば金融ビッグバンを最初に行ったと言われているイギリスは、当時、国際的な金融の世界の中でイギリスのシティーの地位が著しく沈下した、その危機感の中で金融ビッグバンを行って、ついでに言っておきますと、この委員会の所管ではありませんが、シティーの都市開発も見事に行って、いわゆる国際金融の中でシティーの、金融センターとしての地位を確固たるものにしました。 日本はどうなんですか。アジアのまさに金融センターとしてしっかりしたものをつくっていく、そういう政治的な戦略目標がなければおかしいと私は思っているわけでありますが、さっき申し上げたような、まさにそういう政策がわからない指導者のもとでは、そういった政治的戦略というのが成り立たない、こういうことなんだろうと思いますが、余り持論だけ言っていても仕方がありませんので、与謝野大臣に御質問申し上げますが、既に将来のジャンプの姿が見えているにもかかわらず、なぜこんなに改革のスピードが遅いのか、そのことについて御質問させていただきます。
○与謝野国務大臣 一歩一歩着実に物事を進めていくというやり方も私は一つのやり方ではないかと思っておりますけれども、小沢先生御指摘のとおり、金融審議会の第一部会においては、昨年末の報告書の取りまとめに向けて、預金、保険全般を対象に含む、より包括的な法制に関する議論がなされてまいりましたけれども、まだ議論が分かれているところでございます。他方、日本の金融資本市場をめぐっては、現行では実効的な対応が困難なものを含めまして、種々の利用者被害事例が生じております。 このため、法規制のすき間を埋め、利用者保護ルールの拡充により、さらなる利用者被害の拡大を防止することが喫緊の課題であると考えております。こうした観点から、金融審議会の第一部会報告においても、まずは投資性のある金融商品について早期の法制化に取り組むことが必要との御指摘をいただいたところでございます。 これを受けまして、今回の法案では、同じ経済的性質を有する金融商品には同じルールを適用するとの基本的な考え方のもと、預金、保険のうち、外貨建て商品や変額商品など投資性の強いものについて、銀行法及び保険業法等において金融商品取引法の販売、勧誘ルールを準用する等規制の同等性を確保することとしております。これによりまして利用者保護のための横断的な法制が整備されるものと考えております。
○小沢(鋭)委員 余り細かい質問はしませんので、与謝野大臣、どうぞ大臣のみずからの見解をお話しいただければと思います。 今大臣のお話にもありましたが、いわゆる政策的な詰めが詰まっていないという話ではないと私も思いますね。問題は、その政策的なビジョンはジャンプの段階で見えているんだけれども、そこに至るいわゆる利害関係者の調整ができていない、そういう話に私には見えてならないんですね。ということは、まさに政治のリーダーシップの問題だと私は指摘を申し上げておきたいと思います。 その意味で、例えば、今大臣がおっしゃっていただいたような具体的な話も今後詰めていただくとして、とにかくスピードアップをしていただきたい。なかなか世の中の、まさに特に経済の、ITをある意味では駆使した金融の部門の流れは予想以上に速いですから、その意味ではぜひスピードアップを図っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 今大臣からも次の話もありましたので、二番目に通告した問題は割愛させていただきます。 三番目に通告をした問題でありますが、いわゆる規制緩和を行って自由化を進めていく、我々も大賛成であります。 一方で、自由化を進めていくときには、当然、片方のところでしっかりしたチェックを行っていって、そして公正な取引、公正な社会というものを確保する。片方で自由化を進めれば、当然ながらチェック機能をしっかりする、これが大事な話だ、こういうふうに思っているわけでありまして、その意味で、我々は今回、証券取引委員会設置法案を提出させていただきました。しかし、なかなか政府の皆さんからは御評価をいただけないわけでありますが。 先ほど来のお話にもありましたように、三井住友の不祥事、あるいは中央青山監査法人の不祥事等々、幾つか続発をしています。こういう金融事案が続発をしている中で、今のチェック体制、まあ、証券取引等監視委員会だけが扱う部門ではないかもしれませんが、このチェック体制で本当に十分なのか、大臣の本音を聞かせてもらいたいと思います。
○与謝野国務大臣 完全とは言いませんけれども、十分な体制は整っていると思っております。ただ、欲を言えば、もう少し人の数をふやしていただきたいというのが金融庁全体あるいは証券取引等監視委員会の本音でございます。ただ、定員管理、あるいは公務員の人数を減らすという全体の方向がございますので、そういう中で人員の充実を図っていくということは大変困難でございますけれども、やはり市場の健全な育成、投資家の保護ということを考えれば、さらに量的な面でのチェック体制の充実ということは図っていかなければならない、そのように思っております。
○小沢(鋭)委員 今の与謝野大臣の、今の体制でほぼ十分だというお話は、まあ、当然責任あるお立場ですから、国会の場、こういうこともあってそういう御答弁しかなさらないのだろうと思いますが、ふだん、あるいはまたこれまで与謝野大臣と私も何回か話をしてまいりましたけれども、そういう大臣の御見解としてはいかにも陳腐な見解だな、本来であればもっと違った見解があり得るのかな、こう思って期待をしておりましたが、大変残念でありました。 いずれにしても、時間であります。最後に、私ども民主党は、まさに監視委員会を含めて、片方でしっかりした自由化を行う、片方でしっかりしたチェック体制を行って、そして公正、信頼できる、そういう経済活動、社会を目指していくということを改めて申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○小野委員長 以上で小沢君の質疑を終了いたします。 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。 経済産業省に事実を確認したいのですが、商品取引所法は、平成十年及び平成十六年に改正されております。その際、損失補てんの禁止を導入すべきかどうかについて議論があったと聞いております。例えば、平成九年の委託者保護に関する研究会中間取りまとめによりますと、損失補てん等の禁止を、「仮にこれを導入するに当たっては、委託者保護の観点から和解金の円滑な支払いに支障を及ぼさないように措置を講ずるべきではないか」、こういう議論が紹介されております。 結局、このときは損失補てんの禁止については盛り込まれなかった、そういう経過だったと思いますが、いかがですか。
○谷政府参考人 平成十年、平成十六年における商品取引所法の大幅な改正につきましては、それぞれ、商品取引所審議会、産業構造審議会で議論した答申等に基づきまして、政府内において改正の準備作業が行われております。こうした平成十年、平成十六年の改正につながります審議会における答申などにおいて、損失補てんの禁止について導入すべきとの答申がなされておらず、このため、平成十年、平成十六年、いずれの商品取引所法改正におきましても、損失補てんの禁止が導入されなかったものと考えております。 なお、議員が御指摘になりました、平成九年、委託者保護に関する研究会は、平成九年五月から、委託者トラブルの防止及び委託者債権の保全に関しまして、農林水産省及び当時の通商産業省の担当課が合同で、実務者の参加を得て行いました実務者レベルの勉強会、研究会でございます。平成九年九月の同研究会中間取りまとめの中におきましては、損失補てん及び利益保証は取引の公正を害しまたは商品先物取引業の信用を失墜させる行為であるため、これを禁止すべきではないか、一方、仮にこれを導入するに当たっては、委託者保護の観点から和解金の円滑な支払いに支障を及ぼさないように措置を講ずるべきではないかとの記述がなされております。
○佐々木(憲)委員 要するに、示談に障害を持ち込まないという議論もあったわけでございます。 具体的な数字がもしわかれば教えていただきたいんですが、国民生活センターに寄せられた苦情は四千件を超えると言われていますけれども、被害件数というのは、やはり何倍もあるいは何十倍もあると思うんですね。そのうち、弁護士が入って示談で解決するケースというのは圧倒的に多いのではないかと思いますが、示談というのは何件あるのか、そのうち、業者が法令違反を認めるケースは何%あるのか、わかりますか。
○谷政府参考人 議員御指摘のとおり、国民生活センターに寄せられました苦情の件数は私どもも把握しておりまして、以前七千件程度でございましたものが、昨年度は四千件と減少しておりますけれども、これ以外にどのような形で示談が行われているか、その件数、内容等の詳細は、現在私、把握しておりません。
○佐々木(憲)委員 示談のケースというのは非常に多いというふうに聞いておりますが、今回は、この法案によりまして、そういう示談というものが非常に困難になるということであります。示談は今までより狭まるのではないかと思うんですが、いかがですか。
○谷政府参考人 商品取引員が違法行為等により顧客に損害を与えた場合につきましては、現行の証券取引法と同様に、損失が事故に起因するものであることについて主務大臣の確認を受けている場合や主務省令で定める場合には、損失補てんの禁止規定は適用されないこととなり、当該顧客がこうむった損害の賠償を行うことは可能でございます。 損失補てんの禁止が定められている証券取引法では、損失補てんの禁止が適用されない場合といたしまして、裁判所の確定判決を得ている場合、裁判上の和解が成立している場合、協会のあっせんによる和解が成立している場合等が内閣府令において定められておりまして、商品取引所法の主務省令にも同様の規定を行う方針でございます。 したがいまして、商品先物取引で損失補てんの禁止の導入が行われた後におきましても、示談による損害賠償は可能であると考えております。
○佐々木(憲)委員 示談が可能になるケースというのは非常にまれなケースなんですね。業者が法令違反を認めて申請し、それを主務大臣が確認する、こういう事例というのはほとんど考えられませんし、裁判所が関与したとき、例えば判決、和解勧告、民事調停法上の裁判所の結論、こういうものですね。それから、業界団体などのあっせんによる和解。 ですから、現実に行われている非常に多くの、弁護士が介入をして行われる示談というのは、実際にはこれ以外のことはできなくなるわけでありまして、そういう意味で、今回の法案は今までよりも示談を困難にするものである。 先日の参考人の答弁によりますと、具体的な示談書を交わすなりの段階において、自分たちが行った行為が違法であるということを認める形の示談書を交わしたことは一度もございませんというわけでありまして、そういう点で、今回のこの法案は示談交渉を非常に困難にし、また、業者がその規定を盾にして示談を拒否するという口実に使われるおそれがあるという指摘は、私は真っ当な指摘だというふうに考えております。そういう意味で、今回の法案の限界というのは非常に明らかであります。 このほかにも、今回の法案の規制の対象となる商品は非常に狭い範囲に限定をされている、あるいは不招請勧誘の問題でも一部後退が見られる等々、さまざまな問題点が多いということであります。 その点を指摘いたしまして、もう昼になりますので、質問は終わらせていただきます。
○小野委員長 以上で佐々木君の質疑を終了いたします。 これにて各案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○小野委員長 この際、古本伸一郎君外六名提出、証券取引委員会設置法案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があればお述べいただきたいと存じます。金融担当大臣与謝野馨君。
○与謝野国務大臣 ただいまの証券取引委員会設置法案については、政府としては反対であります。 —————————————
○小野委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。石井啓一君。
○石井(啓)委員 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出の証券取引法等の一部を改正する法律案及び証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に賛成、これらの法律案に対する民主党提出の修正案及び証券取引委員会設置法案に反対の立場から討論を行います。 政府提出の法案については、金融資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、投資者保護のための横断的、包括的な法制を整備するものであり、集団投資スキームを包括的に法律の適用対象とすること等により、現行法では実効的な対応が困難な法規制のすき間を埋め、利用者保護ルールを拡充することにより、さらなる利用者被害の拡大を防止するという喫緊の課題にこたえるものとして高く評価できるものであります。 また、政府提出法案では、規制の横断化とともに規制の柔軟化を図っており、具体的には、プロの投資家に対して規制の適用を柔軟化する特定投資家制度を設けて過剰規制による取引コストを削減することにより、グローバルな競争環境に置かれている我が国金融資本市場における取引の円滑を促進する制度を設けております。 また、昨今の証券市場における不透明な取引が増加していることを踏まえ、公開買い付け制度の見直しを行うとともに、大量保有報告制度における特例報告の期限、頻度の短縮を図るなどの見直しを行うことにより、市場の透明性を向上させ、一般投資家も安心して参加できる透明性の高い市場を目指している点も重要であります。 さらに、健全な資本市場の発展を阻害する不正取引の抑止には現行の罰則では不十分であるとの認識のもと、本法案においては、有価証券報告書虚偽記載等の法定刑及び罰則を引き上げるとともに、見せ玉について罰則、課徴金の適用対象範囲を拡大しており、こうしたことを通じて、公正、透明で信頼される証券市場の構築を目指して迅速かつ適切に対応しているものと評価できます。 これらの措置により、市場の公正性、透明性を確保し、国民が安心して多様で良質な金融商品・サービスの提供を受けることができるとともに、貯蓄から投資への流れが加速することで、銀行にリスクが過度に集中する構造が是正され、リスクに柔軟に対応できるバランスのとれた経済構造の構築にもつながるものと考えられます。 以上から、内閣提出の二法案について、賛成の意を表明するところであります。 なお、預金、保険全般を含めた、より包括的な金融サービス法制については、金融商品取引法の施行状況、中長期的な金融制度のあり方なども踏まえ、引き続き検討を進めることが重要と考えます。 また、民主党提出の修正案につきましては、商品取引所法の主務省庁に金融庁を加えることにより三元行政による弊害が新たに生じるおそれがあること、また、証券取引委員会設置法案については、コングロマリット化が進む日本の金融市場においては業態横断的な組織のもとで市場行政体制の強化を図ることが望ましいことから、いずれについても反対であることを表明いたしまして、私の討論といたします。(拍手)
○小野委員長 引き続きまして、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました、民主党・無所属クラブ提出の証券取引委員会設置法案に賛成、民主党・無所属クラブ提出の証券取引法等の一部を改正する法律案外一案に対する修正案に賛成、政府提出二法案の原案に反対の立場から討論を行います。 近年、外国人投資家を含め個人株主の増大によって市場参加者がいよいよ増加し、一般投資家の存在が証券市場にとって重要性を増しております。政府は、規制緩和を一方で行いながら、これに対応する市場環境の整備を怠って、市場参加者が不測の損害をこうむる結果となっております。ライブドア事件はその一例であります。 民主党が提唱する証券取引委員会は、内閣府の外局の三条委員会として、金融庁にお伺いを立てず、検査監督、課徴金の納付命令、犯則事件の調査、告発などをみずからの権限で行うことができます。この法案は、金融取引全般に関する監督、監視機能の強化に特化させた内容であり、新しい時代の要請にこたえるものです。公正、透明な証券市場の確立のためにも、ライブドアに類する事件の再発防止のためにも、早期の法案成立が不可欠と判断いたします。 民主党は包括的な金融サービス法の制定を主張してきました。政府案はこうした流れに沿うもので、枠組み自体は一歩前進と受けとめております。しかし、包括的な金融サービス市場法に向かう過程において、十年前からの審議の結果がこの法律案であるというのは残念でなりません。 市場法としては一定の前進は見たものの、投資者保護に対しては、今般の改正が商品取引所法に適用されることで従来の投資者保護がかえって後退している部分もあるわけで、省庁の縦割りが優先した感が否めません。また、訴訟外紛争制度の創設など、投資者保護に関する法整備に抜本的な改正が見当たりません。このままで、包括的な金融サービス市場法がいつになったらできるのか、新しい時代の要請に適時にこたえていくことができるのか、再考する必要があります。 民主党の修正案では、商品取引所法における主務大臣に、農水、経産大臣のほかに総理大臣を加え、金融庁と共管としています。さらに、商品先物を含め包括的な規制の枠組みを検討し、法律の見直しを行う道を確立しています。 この修正案は、当面の緊急課題を解消し、最悪の事態を回避するもので、賛成すべきものと考えます。かかる修正なくしては大きな問題点が残ることになり、政府原案には反対である旨を表明し、私の討論を終わります。(拍手)
○小野委員長 引き続きまして、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、証券取引法等改正案及びその整備法案について反対の討論を行います。 政府は、金融ビッグバンのもと、銀行、証券、保険の垣根を取り払い、金融商品販売等の規制緩和を進める一方、同時に行うべき消費者保護法制の整備は多くの指摘がなされているにもかかわらず先送りしてきました。そのもとで、融資一体型の変額保険や外国為替証拠金取引、商品先物取引などの金融被害が頻発し、老後のための貯蓄や生活資金まで根こそぎ失うという事態が全国で発生しました。 本法案は、こういった経過と金融被害の実態を踏まえ、投資者保護のための横断的法制を整備するとの目的で提出されたものではありますが、その内容は国民の要請にこたえるものになっておらず、到底賛成できるものではありません。 以下、反対の理由を述べます。 第一に、本法案に反対する理由は、横断的な制度といいながら、商品先物取引などの投資商品や預金、保険、融資といった金融商品を対象から除外していることです。この間の金融被害の実態を踏まえれば、一部の投資商品に限定した本法案が不十分であることは明らかであります。金融審議会でも多くの委員から、消費者保護に立ち、包括的、横断的に規制すべきとの指摘が行われたことを見ても、本法案の内容は重大な後退であります。 第二の理由は、不招請勧誘の禁止の対象が外国為替証拠金取引などの店頭金融先物取引に限定するなど、現状よりも後退する問題です。政府は、被害が起これば迅速に対象を拡大すると説明しますが、これは、既に必要もない商品先物取引などのハイリスク金融商品による被害が拡大している実態を無視するものであります。多くの金融被害のきっかけは不招請勧誘にあることから、すべての金融商品の不招請勧誘を原則禁止とすべきであります。 その他、商品取引所法において、損失補てんの禁止が規定され、示談による被害者救済の道が狭められるなど、消費者保護の点から重大な後退もあり、以上の理由から本法案及び整備法案に対して反対いたします。 なお、民主党提出の証券取引委員会設置法案については、現行の証券取引等監視委員会より独立性が高くなることと、行政処分をみずから執行できるなど監督権限が移譲されることから、実効性の高い体制が確保されるとの理由から賛成いたします。 また、民主党提出の証券取引法等の一部を改正する法律案に対する修正案及び整備法の修正案については、消費者保護の観点から見て、本修正案は不招請勧誘の禁止などの行為規制の強化を求めないなど不十分な内容ではあるけれども、違法行為を行っている業者が金融商品、商品先物の分け隔てなく問題を起こしている実態を勘案すれば、一定の前進と評価でき、賛成いたします。 以上、討論といたします。(拍手)
○小野委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○小野委員長 これより採決に入ります。 まず、古本伸一郎君外六名提出、証券取引委員会設置法案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小野委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。 次に、内閣提出、証券取引法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、小沢鋭仁君外二名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 次に、内閣提出、証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、小沢鋭仁君外二名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○小野委員長 この際、ただいま議決いたしました証券取引法等の一部を改正する法律案及び証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案に対し、山本明彦君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び国民新党・日本・無所属の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。古本伸一郎君。
○古本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 「証券取引法等の一部を改正する法律案」及び「証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 幅広い金融商品についての包括的・横断的な投資家保護法制の整備の観点から、今回の法改正を受け、今後、その実効性を確保し、市場監視機能の強化を図るため、早急に証券取引等監視委員会等の体制強化や自主規制機関との連携強化に取り組むこと。 一 証券取引等監視委員会をはじめとする市場監視体制の強化に当たっては、優秀な人材の確保及び職員の専門性の向上を図るとともに、真に必要な部門には適切に定員を配置する観点から、定員の確保、機構の充実に特段の努力を行うこと。 一 商品先物取引、海外商品先物取引及び海外商品先物オプション取引については、取引の特徴やこれまでの被害の実態にかんがみ、実効性のある規制及び検査・監督を行うため、厳正な対応を可能とする体制を整備すること。 一 不招請勧誘禁止の対象となる商品・取引については、利用者保護に支障をきたすことのないよう、店頭金融先物取引に加え、レバレッジが高いなどの商品性、執拗な勧誘や利用者の被害の発生という実態に照らし必要な場合には、迅速かつ機動的に追加指定を行うこと。 一 課徴金制度については、機動的な執行に努めるとともに、現行制度の実施状況等を踏まえ、課徴金の水準の引上げも含め、制度全般のあり方について、今後、実効的な抑止効果をもたらすよう検討を進めること。 一 より包括的な金融サービス法制については、本改正による金融商品取引法の実施状況、各種金融商品・サービスの性格、中長期的な金融制度のあり方なども踏まえ、引き続き検討を進めること。その際、現在の監視体制のあり方についても見直しを行うこと。 一 金融・資本市場における公正な取引の確保及び利用者保護の観点から、諸外国の様々な金融商品とその市場行政を含めた金融行政機構の状況等を参考に、わが国金融行政組織のあり方について検討を進めること。 一 監査法人制度等については、会計監査の信頼を揺るがしかねない様々な問題が生じていることも踏まえ、そのあり方について真剣な検討を進めること。 一 監査法人による厳正な監査を確保する観点から、監査法人における内部統制の強化や監査の品質管理の向上等に努めるとともに、監査法人の情報開示、監査法人の選任・報酬決定及び監査法人の責任のあり方等について総合的に検討を行い、早急に必要な法整備を行うこと。 一 公開買付制度については、合併・買収等の態様の多様化を踏まえ、企業価値と株主利益の向上を目指した公正なルールの下での企業再編等を促進する観点から、規制の中立性に配慮しつつ、不断の見直しを行うこと。 以上であります。 何とぞ御賛同、御賛成賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○小野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○小野委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣与謝野馨君。
○与謝野国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。 —————————————
○小野委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○小野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十九分散会