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163回国会参議院2005/10/20

財政金融委員会 第2号

発言数
243
登壇者
26
会派数
5
開催日
2005/10/20

会議録

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) ただいまから財政金融委員会を開会します。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、山下英利君、犬塚直史君、津田弥太郎君及び松下新平君が委員を辞任され、その補欠として関口昌一君、池口修次君、富岡由紀夫君及び広田一君が選任されました。     ─────────────

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として防衛庁長官官房審議官徳地秀士君外八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君外四名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 自由民主党の田村耕太郎です。よろしくお願いします。  まず、財務大臣に政策金融の統廃合に対する決意についてお伺いいたします。  郵政民営化関連法案が成立しました。しかし、国民の声は改革をやめるなという声でございます。その中でも出口論と言われます特殊法人、政策金融の統廃合、これ大きな注目が集まっています。是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。  財務省の所管も三つあるわけですね、大臣、三つの政策金融が所管の中にあるわけです。党の方でも合同部会で議論が始まっています。内容も大臣に伝わっておると思いますが、私、その中でも全廃ベースで考えるべきだと、ゼロベースで考えて、今の民間の力でできないことはないという強い議論を、個人的な話ですが、私はやらせていただいております。  今、民業補完、民業圧迫、いろんな議論がありますが、民業スポイルもあるわけですね。本来でしたら政策金融がなければ取るべきリスクを民間は取っていない。地銀やメガの人に、担当者に聞くと政策金融はあった方がいいと言う方が多いんですね。なぜかというと、いや、本来だったら取るべきリスクを政策金融が負ってくれると。うちはノーリスクで商売できると。これからその国際競争力を上げていかなければならない、こういう時期に甘やかしてしまうのもどうかなという意見もあります。  そこで、今各行からヒアリングを行っている、自民党の中での議論の話なんですが、段階なんですけれども、これから是非、私が要望しているのはその国際比較もやっていただきたいと思っています。G7の国で政策金融が全国に支店網を持って直接融資をしている、こういう事例は日本以外ないと、まあ私の知る範囲ですけれども。カナダに少し似たような事例がありますが、あれはもう収益を上げる機関に変わっていますので、こういう事例は日本以外ないと思うんですね。ですから、是非日本の民間の力を信じて、民間を鍛える意味でも、全廃、ゼロベースで、特別会計と同じようにゼロベースで見直していただきたいと思うんですが、谷垣大臣の決意をお伺いしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、田村委員がおっしゃいましたように出口、入口の改革というものも、法案がきちっと通ったと、出口の方をどうしていくかということは大変重要な課題だと思っておりまして、財投につきましては、しばしば議論もさせていただいておりますように、最盛期の四割ぐらいまで見直し、圧縮を進めてきたということでございます。  そこで、政策金融機関をどうしていくかということになるわけでありますが、今、経済財政諮問会議等でもいろんな議論を積み重ねてきておりますが、田村委員がおっしゃいましたように、あくまで民間の補完に徹すべきだというのが基本的な視点だと思っております。この民業の補完に徹すべきだという中にもいろんな意味合いの議論があろうかと思います。田村さんがおっしゃったような民業スポイルというのは今までは比較的議論がされてこなかったところかもしれませんが、そこら辺りにも十分目配りをしていく必要があるんだろうと思っております。  その上で、今までの議論では、やはり公益性というものが一体どこにあるのか、それから金融リスクの評価はなかなか難しい領域もございまして、スポイルという議論もございますけれども、なかなか出てきてくれないというところもあるわけですね。その辺の、本当に政策機関がやるべき機能というものが一体どこにあるのかという議論はきちっとやらなければいけないと思っております。  それでその上で、そういう機能を、必要でないものはもちろん廃止しなければなりませんが、必要である機能をやっていくのに一番効率的な方法は何なのかということも併せて議論していかなければならないと思っております。  海外との比較というのも大変今御指摘の大事な点でございますが、私どももまだ海外の事象を十分に承知しているわけではありませんが、ドイツ等のあの、何といいましたか、KFW、ドイツ語で言うとカーエフベーと言うのかもしれませんが、そこらは非常に大きな組織ですので、あるいはあそこは支店を持ったり、直接金融みたいな機能があるのかもしれません。  諸外国の比較も大事でございますが、私は先ほど申し上げたような視点できちっと議論を積み重ねて結論を出していきたいと思っております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 まあ小泉総理しか次の人事は分からないわけですけれども、次は改革レースをしてほしいというような議論も出ておりますんで、次の政権の大きなテーマはやっぱり財政の立て直しで、財政をよく知る本格派の登場が待たれていますんで、是非、改革レースに勝ち抜いて日本の財政を再建するためにも大臣に大いなる決意で臨んでいただきたいと思います。頑張ってください。よろしくお願いします。  次に、金融担当大臣にちょっとタイムリーな話題、幾つかお伺いしたいと思います。今、カネボウですとか楽天・TBSですとか阪神・村上ファンドとかいう、こういう話題についてちょっとお話をお伺いしたいと思っています。  まず、カネボウの事例なんですけれども、今とても大切な時期ですね。総理も大きな方針の一つとしてインベスト・ジャパンというのを言われています。日本に対する直接投資を倍増したい、そして日本を貯蓄大国から投資大国へ変えていきたい、そういう大きな構想なんですが。  今、郵政マネー、団塊マネー、中東マネーなんかが日本の資本市場に入り込んでいます。大変いい状況になりつつあるんですが、ここで世界の資本市場の競争を勝ち抜いて日本が投資大国となっていくためには市場に、自由な市場で、公正で透明な市場、これを確立するのが急務であると思われます。その中でカネボウみたいな事例が出てくるのは非常に困るわけですね。カネボウは昔から臭い臭いと言われていたわけです。カネボウは化粧品会社ですけれども、財務諸表も厚化粧だと昔から言われていたわけですね。  この中でいろんな責任主体があると思うんです。経営陣にもあります。監査法人にもあります。東京証券取引所も無罪ではないと思いますし、ファイナンスをしてきた幹事証券も責任あると思うんですね。そして、公認会計士の業界団体もあると思います。  私は、その中でも大きいのはやはり経営陣、経営陣に大きな責任があると思うんですけれども、経営陣に対する刑事罰の強化、そして雪だるま式に膨らんだこの粉飾決算を根元から断つためには、根元の時期までさかのぼって罰するために時効を、時効までの期間を長期化することが必要になってくるわけです。  そうしますと、やはり刑事罰、個人に対する刑事罰の強化というのは欠かせないと思うんですが、伊藤大臣の見解をまずこの件に関してお伺いしたいと思います。

伊藤達也自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(伊藤達也君) 今委員が御指摘をされましたように、日本の市場の活性化と、国際的に見ても魅力ある市場というものを構築をしていくためには、やはり市場に対する信頼性というものを確保していかなければいけない、そのために公正性、透明性というのは非常に重要なことである、投資家の権利というものをしっかり保護をしていくと、こうしたことをよく考えていかなければならないというふうに思っております。  そうした観点の中で、やはりまず財務諸表の問題につきましては、企業経営者が正しい財務諸表を作り上げていくということが重要でありますし、監査法人を始めとしてこの財務諸表にかかわるすべての関係者が適切な財務諸表を作っていくために最大限の努力をしていくということも大切なことだというふうに思っております。  そうした観点の中で、罰則の強化をすべきではないかと、こうした御指摘でございますけれども、虚偽記載にかかわる罰則につきましては、平成九年に、三年以下の懲役若しくは三百万以下の罰金又は併科が、五年以下の懲役若しくは五百万以下の罰金又は併科に引き上げられたところでございます。  一般論として申し上げれば、証取法違反にかかわる罰則の水準は、違反行為の性質やあるいは他の法令との均衡等を総合的に勘案をして決められております。ディスクロージャー違反に対する証取法の罰則水準につきましては、商法の会社財産を危うくする罪など他の経済犯罪と同等の厳しいものとなっており、さらに引上げにつきましては、刑事罰全体のバランス等を考慮しつつ慎重に検討すべきものと考えております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 是非前向きに検討いただきたいと思います。  もう一つ、今回見付かったカネボウのケース、見付かった発覚の端緒といいますのは産業再生機構が入り込んだことで、もしあれがなければ見付からなかったんじゃないかと、うわさはされていましたが、そう言われます。やっぱり発覚の端緒のことを考えますと、監査法人、監査法人の中のやっぱり徒弟制、ウエットな人間関係。  監査人を交代することは、これ法律になったんですけれども、世界では行われていませんが、監査法人自体を定期的にローテーションさせていく、こういうことも必要ではないかという、これは自民党内の議論で私がワンパターンでしつこく言っていることなんですけれども、これ言うとかなりおしかりを受けまして、おまえ何言っているんだということをよく言われるんですけれども、やはり監査法人のローテーション、ある意味で規律が働いてくると思うんですね。今やっているところは、これからまたライバルが入ってくると思ったらしっかりやりますし、ライバルは、今ライバルがやっているんだから穴を見付けてやろうと思ってしっかりやりますし、そうすると全体的に監査も引き締まってきますし、ずっと同じところがやっているというのもやっぱり問題があると思うんです。  もちろん、コストもあります。これからグローバルのビジネスの時代に、もう頻繁に監査法人を入れ替えていくというのは多大なコストになると思いますが、監査法人のローテーション、これに関して大臣の見解をお伺いしたいと思います。

七条明自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(七条明君) これにつきましては私の方からお答えをさせていただこうと思いますけれども、今もう先生十分よく熟知をして御指導いただいたと思っておりますし、自由民主党の金融調査会企業会計に関する小委員会の論議、私も時々出させていただいて様々な論議があることも存じ上げているところでございます。  また、先生さっきもおっしゃっておられましたけれども、昨年の四月に施行された改正の公認会計士法において、いわゆる監査業務を執行する公認会計士については交代制を導入すると。これにより、継続監査期間が七年間を超える場合には公認会計士の交代が義務付けられているところでございます。その際、公認会計士の交代制に対して監査法人の交代制を導入するべきとの意見があったが、そうした場合、大規模な組織的な監査体制を一から構築する必要があるなどから、かえって監査基準、監査水準を低下させるのではないかとの指摘もあり、現行法制上はそのような考え方は取らないところでございます。  先ほど先生お話がありましたグローバルなということもありますけれども、企業活動の国際化が進む中で、いわゆるビッグバン、ビッグフォーの系列グループにより多くの監査が行われている現状にもありまして、そのために、我が国においての監査法人の交代制を導入することには大きな混乱が伴うのではないかとの懸念も十分踏まえていく必要があろうかと。  いずれにいたしましても、金融庁としては、まずは公認会計士の交代制の徹底に努力をしていくことが重要であると、こういうふうに考えているところでございます。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 今、私が申し上げました二つの質問は、企業のディスクロージャーを徹底しようという質問なんですが、一方、今起こっていることですね、この前のライブドアとニッポン放送、フジテレビの件、楽天とTBSの件、村上ファンドと阪神の件ですね。一方、ガラス張りに上場企業はなっていく一方、それを買い占める側の方のディスクロージャーはいま一つだと思うんですね。やはり、そのフェアバランスというのが被買収企業と買収企業の間でやっぱり大事じゃないかと思っております、公正で透明な資本市場をつくっていくためには。そういう意味で、私は、大量保有報告制度、これに少し問題があるんじゃないかと思っています。  一つは特例措置ですね。証券会社や投資顧問業というのは、ある程度開示までのタイミングが長く取られています。ところが、その前提として、会社支配権の争奪にかかわらないと、会社を支配をしようとする意図がないということが原点になっているんですけれども、じゃ村上ファンドはどうなのかと。九・九九までは意思がないけど一〇%を超えた瞬間に意思が出てきた、そんな議論が成り立つんでしょうか。  また、新興IT企業というのは大体自分の傘下に証券会社を持っているわけですね。それをうまく使えばまた特例の対象になるわけです。そして、タイミングに関しましても、事務が煩雑だということがありますけれども、今もう証券会社や投資顧問業の業務というのはもうオンライン化されています。個人なら対象になるんですけれども、個人の方が業務上、この大量保有報告制度にそぐわないと思うんですが、バックオフィスの体制を見ても、投資顧問業や証券会社、十分もっと迅速な対応ができると思うんです。  この開示までのタイミング、特例措置、これを早急に見直していただきたいと思うんですけれども、それに対しまして見解をお伺いいたします。

伊藤達也自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(伊藤達也君) ディスクロージャーを充実をしていくためには、やはり買い占める側の情報開示、この視点からも充実をしていかなければいけない。具体的に、大量保有制度の特例やあるいは開示のタイミングについて今御指摘があったところでございます。  この点につきましては、今、金融審議会の第一部会の下にワーキンググループを設置をさせていただいて、そして、公開買い付け制度について様々な議論、検討を行っていただいているところでございまして、その中において、委員が御指摘がございました大量保有制度の在り方についても、重要な検討の課題の一つとして認識をいたしているところでございます。  現時点において、具体的にどういう見直しをしていくのか、その方向性について言及できる段階にはございませんが、ワーキンググループにおきましては、御指摘がございました大量保有報告にかかわる特例報告制度の在り方や、あるいは提出期限の在り方についても幅広く御議論をいただけるものと考えております。  金融庁といたしましては、この金融審議会の検討の結果を踏まえて、必要に応じて適切な対応を講じていきたいと考えております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 私もその金融審議会の議論を見守っているんですけれども、その優先順位が六番目だったんですね、たしか。一番下だったわけですよ。是非迅速化していただきたいと思うんですね。  これ、金融庁の中にも、唯一といいますか、一つの投資顧問業者のために全体の業務の負担を増やすのはどうかという議論がありますけれども、これ増え続ける傾向にあるわけですね。村上ファンドだけではなくてスティール・パートナーズというのもありましたし、これから日本に対してたくさんのお金が入ってきて、そういうことをやろうというIT新興企業を軸にそういう勢力増えていますので、是非迅速に対応していただきたいと思います。  なぜIT新興企業がこんなに急いでこういうことを始めているかといいますと、一般的には放送と通信の融合と言われているんですけれども、もう一つは、金融庁さんがIT新興企業群に対して様々なプレッシャーを掛けているんじゃないかという意見がございます。  それといいますのは、会計処理のルールがどんどん変わっているわけですね。例えば、のれん代の一括償却、これを認めない。また、ソフトウエア開発・販売の計上を、これを厳格化していく、ストックオプションの費用計上。これなんかで、今まで例えばこういうものがなければ膨らんできた、そして有利に出てきたIT新興企業の財務状況というのが非常に苦しくなっていく、今やらなきゃいけないということで、少々乱暴な手法でも今のようなTOBやMアンドAが起こっているというふうにも言われます。  こういう、IT新興企業をねらい撃ちしたわけではないと思いますけれども、こういう会計ルールの変更がIT新興企業にどのような影響を与えるか、どういうような影響を与えると想定されてきたのか、その件に関して意見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

三國谷勝範金融庁総務企画局長

○政府参考人(三國谷勝範君) お答え申し上げます。  企業会計及びそのための会計基準の目的でございますけれども、これは企業の財務内容を明らかにいたしまして、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにございます。したがいまして、会計基準は特定の業種に有利又は不利な影響を与えることを目的としたものではなく、のれん等の取扱いに係る会計基準もその例外ではございません。一般論で申し上げますれば、会計基準の整備に伴いまして、結果として特定の業種等に何らかの影響が及ぶことはあり得るものとは考えますが、そうした影響の程度につきましては個々の具体的なケースにより異なりますことから、一概に申し上げることは困難であると考えております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 谷垣大臣、是非、政策金融の統合、頑張ってください。  伊藤大臣、ディスクロージャー、買われる側と買う側のディスクロージャー、是非しっかりよろしくお願いします。  以上で終わります。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  財政金融委員会としては新人でございますので、ちょっと緊張をしておりますが、よろしくお願いをしたいというふうに思っております。(発言する者あり)ちょっとやじは余り、ほどほどにお願いします。  今日は特に谷垣大臣を中心に、予算委員会でも少し質問させていただきましたが、余り時間がなくて深い議論ができませんでしたので、道路特定財源として使われているというよりは、私は道路特定財源としてつくられた自動車関係諸税、この言葉の使い方はちょっと微妙なんで後ほど議論になるかと思いますが、それについて何点か質問なり意見交換をさせていただきたいというふうに思っております。  まず、これ予算委員会でもちょっと総理にお聞きしたんですが、ここに来まして、選挙のときにも余り議論にはなっていなかった、選挙が終わって所信演説でもほとんど触れられていなかったんですが、代表質問から境に道路特定財源に関して議論になりまして、かなり総理も指示を出しているという発言がされております。予算委員会等の総理のお言葉ですと、谷垣大臣にどうもこの指示を出したというふうに言われておりますが、まず、谷垣大臣にどのような総理から指示があったのか、できれば具体的にお聞きをしたいということと、ポイントは財源の使い方だけなのか、若しくは税制全体を検討するようにと言われたのか、そこの点をできれば確認をしたいというふうに思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 先日、予算委員会でも若干議論をさせていただきましたけれども、総理から道路特定財源の見直しについて私、指示をいただいております。  一番最初に指示をいただきましたのは、今年五月、経済財政諮問会議がございまして、その席上で民間議員の方から、今後の道路特定財源についてはどうするつもりかと、その辺りも検討してほしいという御発言がありまして、若干議論がございました。その議論の締めくくりとして、総理大臣から、これは税制の在り方等々とも関係があるので、財務大臣、よく検討してくれという御指示がそのときあったわけでございます。  それから、選挙が終わりまして、先月でございますが、平成十八年度の予算編成をどう行っていくかという方針について総理に御相談に伺った折に、道路特定財源については基本方針を年内に検討してほしいと、こういう指示をいただいたところでございまして、現在、そういう総理の御指示を受けまして、私どもの役所の中で今ブレーンストーミングプラス、どういう方向で我々としての腹を固めるかという議論を行っているところでございます。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 ちょっともう一回今の点を少し聞きたいんですが、道路特定財源の基本方針ということは、予算は収入と支出があるわけですから、それは両方に係るということなのか。重ねて聞きたいのは、この基本方針というのは道路特定財源をどう使うかという基本方針だけなのか、それともやっぱり道路特定財源をどうやって集めるかというところも含んでいるのか、ここの点もちょっと確認したいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) そこのところは詳細にわたって御指示をいただいたわけではございません。ただ、委員がおっしゃいますように、道路特定財源として道路関係に今まで使ってきた、あるいは本四架橋等にもやっているわけでございますが、使途をどうするかということはもちろん含まれていると思います。特に、御承知のように本四架橋の一応処理というものが近々、近々といいますか平成十九年には終わるわけでございますから、どうしていくかという議論が当然しなければいけないだろうと思います。あわせまして、じゃ、そのときに、税でいただいているわけでありますから、それをどうするかという議論も併せてあるんだろうというふうに思っております。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 そうしますと、総理の言い方からすると使途は含まれているんだろうということですが、やっぱり谷垣大臣としては、それは使途だけではなくてそれ以外の税制の元々のところも検討の中に入っているという受け止めをしていると。端的に言いますと、じゃ、今の税率なりのまま、若しくは、ここまではそう簡単にはいかないと思いますけれども、税全体の見直し等も含めて、場合によっては入る可能性もあるということで、谷垣大臣はお考えだということでよろしいんですか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 池口委員もなかなか微妙な言い回しをされておりますので、どういうふうにお答えしたらいいのかと思いますが、私は歳入、歳出両面にわたって議論をしなきゃいけないんだろうと思っておりますが、年内には基本方針というわけでございますので、個別具体的に制度をどうしていくかというところまで年内にまとめられるというふうにはまだ必ずしも思っていないわけでありますが、検討を本格化していく中で、今おっしゃったような点も含めてどういうふうに持っていくのかというのを年内にやはり打ち出さなきゃいかぬと思っております。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 それと、もう一点確認しておきたいのは、予算委員会なんかの答弁でも、やっぱりこれはユーザーの理解を得なきゃいけないということを答弁をされていまして、そのタイミングにもよって来年の年初からの予算編成に入ってくるものもあるでしょうし、もう少し遅れるのもあるでしょうが、その前段として、やっぱりユーザーの理解を得るという手続を言っていらっしゃるわけですが、ユーザーの理解をどういう形で得るのか、若しくはユーザーの意見をどういう形で聞くのか、この点についてちょっと大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 私は大体、まだ十分煮詰めているわけではないんですが、論点としては三つぐらいあるのかなというふうに考えているわけでございます。  予算委員会でも委員にお答えしたところでございますけれども、道路特定財源ということでやってまいりましたので、一つは、今後の道路整備の在り方というものをどうしていくかということがやはりあるだろうと思います。  それから、もう一つは、今委員がお触れになったことでありますけれども、特定財源、負担と受益という関係で今まで議論をしてまいりましたのですから、やはり負担をしていただいている納税者の理解というものをどうやって得ていくかという問題があろうかと思います。  それから、もう一つは、現在の日本の財政事情というのは必ずしも、必ずしもというか良いものではございませんので、私ども度々この委員会でも議論をさせていただいておりますが、二〇一〇年代初頭にいわゆるプライマリーバランスを回復していくと、その方策をどうしていくか、当然税でございますからそういうようなこともあると考えております。  したがいまして、この三つぐらいが、もっとあるかもしれません、三つぐらいが今差し当たって私の頭の中にある論点でございますけれども、もう少しまたこれも議論を積み重ねて出していきたいと思っておりますが、どういうふうに理解を得ていくかということになりますと、いろんな場で議論をしなければいけないんだろうと思います。差し当たっては、税という面もございますし、先ほど言った支出の面もございますから、私どものそういう議論をしていくときのツールで申し上げますと、いわゆる財政審での議論、それから税制調査会での議論、こういう場でいろんな議論をこなしていくと、煮詰めていくということではないかなと思っております。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 そうしますと、取りあえずは財政審と税調だということになりますと、そうすると決まってからユーザーの理解を得るということなのか、ユーザーの受益と負担ということでユーザーの理解を得なきゃいけないということをかなり答弁の中ではいろいろな方が強調されているんですが、この中にはこのユーザーの立場というのはそうするとどういう形で入ってきているんでしょうかね。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) まだ、その具体的なスケジュールなり段取りをどうしていくかというところまでまだ議論が煮詰められているわけではございませんので、そういうその具体的なスケジュール等々は必要に応じて財政審や税調でも御議論をいただいて、その段取りと申しますか、スケジュールと申しますか、そういうものも煮詰めていきたいと考えている段階でございます。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 まあ、今この場で手続まで全部決めることはできないと思いますので、ここは今後の展開をまた別途お聞かせ願いたいと思いますが、是非、決まっちゃってからユーザーの理解を得るというのは私はなかなか難しいと思いますので、やっぱり、今までこれは、これから後ほど議論をさしていただきますが、やっぱり受益と負担の関係が私は非常に強い税だというふうに思っておりますので、是非ユーザーの理解を得るという、得なけりゃいけないという言葉を是非、私は是非それを主張をさせていただきますし、大臣にもその観点を常に持っていただきたいというふうに思っております。  で、今日この後議論をさせていただくに当たって、少し基本的なところで考え方を一致させた方がいいと思いますので、その自動車関係諸税と言われる、六種類ぐらいある、特に道路特定財源と言われる自動車関係諸税は六種類ぐらいあると思うんですが、この自動車関係諸税をつくった目的というものについて、どういう目的を持ってこの税がつくられたのかというのをまずちょっと確認をさせていただきたいというふうに思います。

上田勇公明党財務副大臣

○副大臣(上田勇君) 道路特定財源の国分のうちの大宗を占めます揮発油税とそれから自動車重量税につきまして、その創設の趣旨、経緯について御説明をいたしますが、まず揮発油税は昭和二十四年、これは一般的な財政需要に応ずる必要から揮発油の消費に負担を求めるために創設をされました。その後、我が国の道路が非常に今立ち後れているということから緊急かつ計画的に整備をしなきゃいけないということで、昭和二十九年、道路整備五か年計画が策定されるのに併せまして、その財源として揮発油税相当額を国の道路整備に充てることとされ、現在もその仕組みが継続をされているということでございます。  次に、自動車重量税、これは昭和四十六年、自動車の走行が道路の建設、改良を始めとして、そのほかにも道路混雑や交通安全、交通事故等に関連して社会的に負担をもたらしているというようなことから、道路やその他の社会資本の充実の要請が強いということを踏まえまして、広く自動車の使用者に負担を求めるという趣旨で創設をされたものでございます。そのうちの税収の三分の二については国の一般財源ということになってはおりますが、創設時の経緯から、運用に当たってはその約八割相当額が道路整備財源に充てられているということになっております。なお、税収の三分の一というのは、これは地方の道路特定財源に充てられているわけでございます。  それが創設された経緯でありますが、またその後昭和四十九年、道路整備財源の確保が非常に必要になってきたということで、諸外国との比較とか環境の保全、そうしたことも考慮して、租税特別措置法によりまして本則税率を上回る特例税率、いわゆる暫定税率というものが現在適用されております。基本的には、揮発油税につきましてはその後財源の事情などから累次引き上げられておりますし、また自動車重量税につきましても昭和五十一年に一度引き上げられているという経緯がございます。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 暫定税率のところまで今説明していただいたんですが、ちょっとこれ確認しておきたいのは、総理は暫定税率という言葉よりも暫定増税という言葉をちょっとここになって使い始めまして、今まではそういう暫定増税という言葉を使っていなかったんですが、その総理が使っている暫定増税というのはこの暫定税率が適用されていることを意図、意味しているのか、ちょっとここはよく分からないんですが、ちょっと確認をしておきたいんですが。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 総理のおっしゃった暫定増税というその意味合いについては、私も実はこの場で池口委員にこうであると十分説明するだけの自信がないんですが、今までは暫定税率という概念で議論をされてまいりましたし、それが大体関係者の共通の理解でありますから、やはり暫定税率という言葉で考えていくのが、議論していくのがいいんではないかなと、私自身は思っております。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 暫定税率については、結構頻繁にというか、何回か四十九年以降それぞれの項目が引き上がっております。これは、その引き上げた理由というのは、今少しお話にもありましたが、道路整備五か年計画の必要に応じてその暫定税率を引き上げてきたという理解でよろしいんでしょうかね。

上田勇公明党財務副大臣

○副大臣(上田勇君) 先ほど申し上げましたように、暫定税率が適用されたのは昭和四十九年、租税特別措置法によりまして適用されたわけでありますが、そのときの主たる理由というのは、今委員が御指摘になりましたように、やはり国、地方の道路整備の財源、これを確保する必要があるということから税率、そのような本則を上回る税率が適用されてきたという経緯でございます。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 もう一つ、この税率の疑問なんですが、本則税率、この道路特定財源にかかわる諸税については本則税率があって、今言われた道路整備の必要量に応じて税率を少しずつ上げてきたと。ただ、本則があるわけですから、やっぱり本則税率はそれなりの意味合いが私はあるんで税率が決まったというふうに思って、で、道路整備の必要性というのも余りその個別の税目で、いや、この項目が高く必要だとかいう理由は私は余り思い当たらない。ということからすると、今その暫定税率と本則税率の倍率の差は、まあ地方道路税はちょっと別にしまして、特に燃料系の揮発油税なり軽油引取税は大体本則の二倍から二・一倍。で、車体に関する自動車重量税は二・五倍という差が付いているわけですが、これは何かこの、まあ取得税もちょっと今は横に置きたいと思いますが、燃料については本則の二倍、自動車重量税については本則の二・五倍と。多分、どちらもこれは道路の整備のため五か年計画に基づいて暫定税率設定されているわけですから、どうもこの差は何で付いているのかなというのは私は疑問なんですが、分かりやすい説明がありましたらお願いします。

上田勇公明党財務副大臣

○副大臣(上田勇君) 今の御質問で、昭和四十九年の時点でこの暫定税率を適用したのは、道路財源を確保するということ、またそれから諸外国との比較なども考慮して決められたわけでありますけれども、昭和四十九年当時どうしてこういう暫定税率を定めたかということになりますと、当時の経緯等私も詳細に知るところではありませんけれども、伺っているところでは、まず、この昭和四十九年当時に、従来道路整備についてはこの二つの揮発油税とそれから自動車重量税、それを主たる財源としていたころでありますので、両方の税金に大体増収規模、同程度にしたらどうかということが一点。  またそれから、従来それまでの平均的なドライバーの負担を考えたときに、車体課税とそれから燃料課税、その比率が改正前と改正後で大体同じようになると、道路整備に要する負担の在り方という基本的な部分は変えないというようなことからこうした税率が決められまして、結果としては自動車重量税の引上げ幅が大きくなったというふうに承知しております。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 そういう根拠なのかなというふうに思いますが、昭和四十九年に暫定税率を創設したときの説明で言うと、必ずしもこれは暫定税率は道路整備、道路財源の充実だけではないというのは説明のときは言っているんですよね。資源の節約なり消費の抑制、道路財源の充実等の観点から暫定税率を上げますよというふうに言っております。  ただ、この三つの観点はそれぞれに結び付くんですが、揮発油税とかいうのは資源の節約とか消費の抑制、道路整備の充実、それぞれの観点、三つに関連する税項目だと思いますが、重量税は余り資源の節約とか消費の抑制には上げたからなる話では私は余りないと思うので、どちらかというと揮発油税の上げ幅の方が大きければ分かるんですが、何とか、一つの項目しか当てはまんないのが上がっちゃっているというのは私は何かちょっと疑問なんですが、まあこれは私の疑問ということでよろしいです。  今、確認をしたように、やっぱり自動車に関する税というのは、冒頭言われた、私の方が微妙なニュアンスだというふうに言いましたように、道路特定財源として使われているということではなくて、やっぱり道路特定財源として私はつくられたという意味合いがやっぱり相当強いというふうに思っております。暫定税率も含めれば、暫定税率はまさしく、道路整備五か年計画という使途がまず決まって、これはある意味私は建前だと思いますが、使途があってそれに応じて税率を決めてきたという経緯からいえば非常にこれは道路整備と関係が強いということですし、ユーザーも、自動車ユーザーも道路整備をやっぱり進めてほしいという思いはあったわけなんで、自動車ユーザーに特に特定されて掛かる税金ではあるんですが、これは私はやむを得ないという受け止めをしていたというふうに私は考えております。  そういう前提の中で今回見直しの指示が総理からあったということなんですが、仮に先ほど谷垣大臣の言った一番、二番、三番のことで言いますと、特に三番というのは財政事情から見直すんだということになりますと、ちまたで言われていますように、一般財源化というような意味合いが、それだけを大臣は言っているわけじゃないというのはちょっと確認をしておきたいんですが、その三つの観点の一番最後に言われたプライマリーバランスというのは、ある意味一般財源化ということが検討の中に入っているのかなというふうに思いますが、この道路特定財源の一般財源化、できれば今まで議論してきた税の持っている意味合いも含めて、大臣のお考えをお聞きしたいなというふうに思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど三つぐらい観点があると申し上げました。道路特定財源ということを超えまして、特定財源一般について私どもがどう考えているかと申しますと、先ほど申しましたように、今の厳しい財政状況を踏まえて、二〇一〇年代初頭にはいわゆる基礎的財政収支をバランスさせたいと、これが大きな財政運営の目標でございますから、財政資金をできるだけ有効に活用していくと、その時代時代に応じて見直しながら有効に活用していくというのは我々の一番基本的な視点でございますから、そういう観点からまず申しますと、特定財源一般についてはその都度、一般財源化を含めて、在り方を見直していくというのが基本的なスタンスだというふうに考えているわけでございます。  他方、道路特定財源、今御議論の道路特定財源について申し上げますと、暫定税率というものをずっとやってきて、特に一番直近では平成十五年度に受益と負担の関係を見ながら五年間これを延長するということで本四公団の債務処理等の使途の拡大をやってきたという経緯がございますので、本則を上回る負担を、受益と負担と、こういうことを比較しながら暫定税率として納税者に課してきたということを一方踏まえなければならないというのは、私はこの問題の議論の一つのポイントだろうというふうに思っております。  そういう視点と、先ほど申し上げたような、もちろん今後の道路整備の状況というのがございますが、そういう暫定税率でこの五年間お願いをしているという経緯を踏まえながら、さて全体の財政状況の改善というものとどう議論をすり合わせていくかということが今後の議論のポイントではないかというふうに考えているわけでございます。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 私はやっぱり、今までもちょっと確認させていただきましたように、これはユーザーが道路を造るという観点で理解をして、そもそものこの道路の関係諸税を、自動車関係諸税をつくるというところにも、それは国民投票したわけじゃないですから賛成か反対かというのは難しいんですが、余り反対運動というのをやってこなかったというのは私は事実だというふうに思いますし、暫定税率も暫定暫定と言っている割には昭和四十九年から続いているわけですから、本当はこの暫定をこんな続けるというのはおかしいわけで、本来であればここのところはやっぱりおかしいじゃないかという声が出てきてもいいわけですが、それが余り大きな声として出なかったのは、ある意味道路を造るんだと、日本の道路整備をやるんだという観点で使われていたから余り私はそういう大きな声が出なかったんだろうというふうに思っております。  ただ、ここで三つの観点とは言いながら、その優先順位がどこかというのは、今日はあえて大臣に聞くと非常に苦しい立場になると思うので聞きませんが、三つの観点の中にそれが入っているということでいうと、そうするとこの一般財源化にもいろいろやり方は私はあるというふうに思います。  この道路特定財源についても、大臣もおっしゃりましたように本則の問題と、本則がつくられたという問題と暫定税率が掛けられていると、二つの大きな要素がありますから、やっぱりこの点を全く見直しなしに、いや使い方だけ一般財源化するということは、私はとてもユーザーの理解は得られないというふうに思っているんですが、重ねた同じ質問かなというふうにも思いますが、この点、もし発言できるんであれば教えていただきたいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 暫定税率と納税者の理解という観点に立って池口委員がおっしゃっているその趣旨は、私もよく理解できるところでございます。  他方、道路特定財源とされている自動車関係諸税につきまして、先ほど、厳しい財政事情で有効活用ということを申し上げているわけですが、これは、もうやはり国際比較等々もいろいろしなければいけないところだと考えておりまして、我が国の自動車に掛かる税負担全体の水準は国際的に見て、これもいろいろ議論があると思いますが、必ずしも高くないということがやはりあると思います。  それから、自動車の使用がもたらす社会的コスト、特に近年では環境の保全、CO2削減の関係等々が非常に重要な議論となってきておりますので、そういった観点を踏まえますと、委員の先ほどの御議論が、余り納税者はむしろ旗を立てるようなことをしないで基本的には理解をしてきたというふうにおっしゃいましたけれども、確かに理解を踏まえながらでなければ私もいけないと思いますが、今、必ずしも税負担水準を引き下げるという環境にはないのではないかというふうに私は、あえてはっきり申し上げれば考えているわけでございます。  その辺をどういうふうにまた納税者の立場から見て理解をしていただけるか、こなしていただけるかということは、我々がこれから十分議論をさせていただかなければならない点だと思っております。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 今の大臣の発言で、私が、むしろ旗と私は言わなかったんですけれども、まあ大臣が言われた言葉で使わせてもらうと、むしろ旗を立てなかったのは今までということで、じゃ、今の置かれている環境で、いやこのままでもうむしろ旗を立てないというふうには全く私は思っておりません。私は、予測はあえてまだそこまではちょっと踏み込まないんですが、私は、今はこの道路特定財源と言われている六兆円近くのお金の使い方をユーザーが理解をすれば、で、そのまま何も手を触れないで一般財源化するということになれば、私はむしろ旗が立つと思います。  是非、そういう観点で大臣には理解をいただきたいというふうに思いますし、高くないということも、他の欧米諸国に比べて高くないというのも、これはいろいろ比較の仕方のトリックが実は入ってきます。トリックと言うのはおかしいかもしれませんが、どれを要素として入れるか。欧米との、アメリカはもう全然論外ですよね、負担は少ないですから。ヨーロッパとの一番の違いは、やっぱり消費税が入れるか入れないかですよね。消費税は、私は、自動車関係諸税なり道路特定財源ではないわけですから、これは入れるか入れないかということでは大きな差があります。  あとは燃料課税ですよね。この燃料課税も、じゃこれから環境対策等をしていくと、やっぱりCO2の発生源に掛けるということが主な論点のポイントになってきますから、やっぱりその環境対策が、環境対応というのを基本にした欧米の税制と日本の、まだそこまで行ってない日本の税制との比較というのは、私は当然考慮しなきゃいけない。  で、私は、この自動車に掛かる税金というのは、やっぱり取得をする段階と保有をしている段階と走行段階という三つの段階で何種類かの税金が実は掛けられております。やっぱり、ここが非常にユーザー、自動車ユーザーからすると分かりにくいし、その根拠と取られるものとこれは比べて何となくすっきりしないなという部分でありますので、どちらかといえば、やっぱりこの三段階をすっきりする、分かりやすくすっきりするように一段階ずつにした方がいいんじゃないかというふうに私は考えているんですが。  取得段階でいうと、問題点は、今取得段階では消費税五%、自動車取得税五%掛けられております。要するに消費税一〇%というふうに見てもいいかと思いますが、それは高級車もこれはあります、今、レクサス店とかできましたからね、あれはまさしく高級車が売りですが、私はほとんどの日本の車は生活必需品として使われているというふうに理解をしております。そういう意味でいうと、なぜその取得段階で自動車だけは一〇%払わなきゃいけないのかという問題があります。  で、燃料の問題は、先ほど申しましたように、やっぱり環境対策というのが今まで言われておりますから、環境対策としてどうなのか。私は、欧米との国際的な比較の違いは、やっぱり環境対策に対する負担の部分が日本の場合はまだ余り乗っかってない、欧米は乗っかっているという違いが大きい。  で、問題は、保有段階なんですよね。自動車を持っているということで何でこんなに課税をされなきゃいけないのかと。一番日本がこれは高いんですよね。私は、自動車を持っているために課税されるという理由はどうも分からないんですが、大臣は、この自動車を持っているだけで何で、場合によっては持っていてコレクションで倉庫にやっていてもこれ取られるんですよね。何でこれ掛かるんですかね。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) これは、今委員がおっしゃいましたように、各国、日本もそうですが、取得、それから保有、燃料、消費という各段階に着目していろんな税を掛けているわけでございますから、考え方はいろいろあるんだろうと思います。一本化すべきだという委員のようなお立場に立てば、特に欧米のような消費税みたいなものを入れるのはけしからぬというお考えも、一段階で言えばそういうことになると思います。  私は、国際的に見てこういう三段階といいますか、各段階で掛けておりますので、やっぱりいろんな比較していく場合にはそういう議論が必要だろうと思います。  で、保有というところになぜ着目しているのかということになりますと、これも長い議論の経緯があろうかと思いまして、私も全部を承知しているわけではありませんが、やっぱり保有の社会的コストというものが背景にあるのではないかなと考えているところでございまして、今後この特定財源の議論をしていきますときには、その辺りの考え方も含めていろいろ議論をさせていただきたいと思っております。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 重ねて少しだけ言いますが、保有するだけで社会に負担は全く私は与えてないと思います。走ることで道路を傷めたり、それはCO2を発生したりしますが、所有をしてて負担は私は与えてないというふうに思っております。  で、アドバイスいただいているようですが、時間がありますので、次に行きますが、やっぱりもう一つの問題は、自動車に掛かる税金というのは、実は見方からすると非常に不公平というか偏った税金だと私は実は思っております。これはなぜかというと、自動車の保有台数をこれ県別にやりますと、全国ではほぼ一世帯当たり一・一台です。ただ、これは県別に非常に差があります。一番自家用車の保有台数が高いのは福井で一世帯当たり一・七三台、富山が一・七二台、群馬が一・六九、ここに群馬の人もおりますが、岐阜が一・六七、栃木が一・六三。それに対して東京は〇・五四台です。大阪も〇・七三台。ということは、これは地方の人がたくさん、相対的にたくさん負担している税なんです。  これは、理由ははっきりしていますよね。地方はやっぱり交通網が整備されてないから、車を持たないと生活できないと。地下鉄もない、私鉄もほとんどないと。で、アメリカでハリケーンの例がありましたが、あれ車を持ってない人が一番被害を受けたと言われていますから、やっぱり生活必需品だから一世帯一台というわけにいかないということなんです。これは、今の自動車に掛かる税というのは、車一台当たり大体いろんな税金が掛かるわけですよね。そうすると、地方の方が負担をしておるという観点を是非頭に入れておいていただきたいというふうに思います。  これは、仮にその一般財源化、一般財源化したら何に使うかという問題もあるんですが、一般財源化して、例えば人数が多い東京で使うような使い方をした場合には、見方からすれば地方で集めたお金を東京で使うんだということにも考えられてしまいますので、やっぱりこの問題というのは非常に大きいというふうに私は思っております。今はどちらかというと道路整備なんかは地方の方がやってくれやってくれと言っていますから、今みたいな道路の建設にかかわることでいえば地方の方も別に文句は言わないと思いますが、この使い道によっては相当問題が起きるということを申し述べておきたいというふうに思います。  最後にですが、私の考えを少し言わしてもらいますが、やっぱり今回議論をすべきは、まず一つは、そもそもこの道路特定財源の使う使途だけを議論するんではなくて、やっぱりこれは受益と負担の関係が強いわけですから、じゃ、使途を変えるんであれば集め方も議論をして、本当に今の集め方でいいのかというのを是非議論をしていただきたいというふうに思いますし、その前段階、抜本改革は時間が掛かるということであれば、まあ多分時間掛かります、そんなには結論出ないと思いますが、ただやっぱり、この財源なり支出の見通しというのは、まだまだ正確な数字じゃ言えませんが、はっきりしているのは、本四の返済が五年と言っていますが、多分四年で終わるという前提からすると、再来年にはこの問題である意味穴が空いてしまうと。  やっぱりこの部分をじゃどういう使い方をするのかというのは大きな議論になると思いますので、やっぱりこのときには、どういう改革の優先順位でやるかどうかは別にして、私は今までの中で大臣がおっしゃっていました暫定税率というか、総理でいうと暫定増税ということになりますが、やっぱりこのところを放置をするわけにはいかないというふうに思っておりますし、先ほど言いましたように、抜本改革のときには、先ほど議論をさしてもらいましたが、やっぱり取得と保有と走行、で、走行の問題は言わなかったんですが、やっぱり走行の問題で一番、まあ財源としてそんなに大きいとは思わないんですが、燃料課税をした上に更に消費税を掛かる、まさしく税金に更に一〇%、今は五%ね、五%の消費税を掛かるというところは、これは金額の大小じゃなくて、腑に落ちないというところは率直な国民の疑問だと思いますので、是非抜本改革をしてほしいというのは私の考えですし、この抜本改革するに当たっての観点を、私が今申し述べた観点で是非早急にやっていただきたいということをお願いをしておきたいというふうに思いますが、もし大臣の方で意見がありましたらお聞きしたいと思いますが。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 池口委員からこの問題に関して幅広くいろいろ問題を提起していただきまして、私どももそういった問題提起を受け止めて、よくこなしていきたいと思っております。  先ほどおっしゃった中で保有の問題について申し上げますと、確かに地方の方が車も多いし公共交通網の整備がなかなか難しいから地方の方が負担が重いじゃないかという御議論が、確かにそういう面もないわけではないと思います。ただ他方、保有に関して申しますと、かなりの部分が地方税でございますので、ここらはまた麻生大臣ともよくすり合わせて御答弁を申し上げなきゃならないわけですが、国、地方、両方の税体系も見直しながらの議論も必要であろうと思っております。

池口修次民主党・新緑風会

○池口修次君 終わります。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。引き続き当委員会に所属させていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。  まず冒頭に、先日テレビを見ておりましたら、総理候補として谷垣大臣が取材をされておりまして、自転車で元気に走っていらっしゃる姿を見ましたし、また、その中で財政再建がライフワークだというお言葉述べられていた、そのことに非常にうれしく思いましたし、また今後とも是非その思いを持ち続けていただきたいなと思います。  さて、十八年度の予算編成プロセスもこれから大詰めを迎えるわけでございますけれども、大臣始め多くの議員の皆様の御協力でようやく政府の中にも予算のマネジメントサイクルといったものが、そういった手法がだんだん定着またしてきたのかなと、そんなふうに思っております。特に、プラン・ドゥー・チェック・アクションですか、予算、執行、評価をして、そして是正をしていくという、そういったことが当たり前のように論じられるようになったのは本当に有り難いことだと思っております。  ただ、このPDCAサイクルが機能するためには予算と決算というものがきちっと比較されなければならない、その点は私は改めて申し上げたいと思いますし、ただ残念なことに、そういった対比という観点から見ますと、ちょっと皆様の今日はお手元に資料をお配りをさしていただいております。    〔資料配付〕

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 「現行の予算書・決算書の問題点(イメージ)」ということで、これは財務省さんからいただいているものでございますが、実は予算書におきましては、「甲号 歳入歳出予算 歳出」というところをちょっと見ていただきたいんですけれども、その中に所管、組織、項、金額ということで、予算立てがこのように項ごとにまず行われております。その更に項の内訳として、参考のための添付書類という「予定経費要求書」というタイトルが付いておりますが、組織、項の次には事項ということで、その細目がここで書かれておるわけでございます。要は積み上げをして予算ができているということがこれでお分かりになられると思うんですけれども。  一方、予算書はこういうふうに大変詳しく作ってあるんですけれども、一方、決算書の方を見ていただくと、「歳出決算」というタイトルが付いておると思いますが、そこには所轄、組織、項というところだけしか書いてありませんで、予算書にあった事項という細目が記載を要求されていない。ということは、項レベルでは対比はできるんですけれども、もう少し深いレベルの細目レベル、事項レベルではこれは対比ができない構造になっております。これはもう、点線の括弧で囲ってありますが、「決算書においては「事項」別の内訳は、示すことにはなっていない。」と、こういうふうに財務省さん自身がおっしゃっているわけなんですね。  ということは、私今日持ってきましたけれども、どういう結果になるかというと、予算、これ特別会計予算です、平成十七年の、まとめたもの。御承知のとおり三十一特別会計これに更にあるわけでございますね。ということは、六十三勘定も含めますと、まあ三十冊から六十冊ぐらいこの予算書はあるわけでございます。しかしながら、決算書はたったこの薄っぺらい一冊でございまして、どうやってこれと予算を比較すればいいのか私は非常に戸惑ってしまうわけでございます。まあこれまで余りユーザーが少なかったのかなと思うんですけれども、実態そうなっておるということをまず御認識をいただきたいと思います。  そういった意味で、財務省さんには是非、この予算書と決算書が同じレベルで比較できるような決算書を是非作っていただきたい。それは、さっき申し上げましたPDCAサイクルを有効に機能させるためには私はこれは必要不可欠だと思っております。まずお願いをさせていただきたいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 今日は尾立委員からこの御質問があると実は意識してなかったものですから十分に答弁の準備をしておりませんが、予算書と決算書がもう少し対比しやすいように、それから予算書の記載というのももう少し実態を反映するにはどうしたらいいかということで、国会でもいろいろ御議論をいただいてまいりましたが、財務省の中でも今その検討を進めておりまして、これまだ全部を申し上げられるところまでは進んでおりませんけれども、かなり議論を進めてきておりますので、ちょっと今の段階でいつ成果をお示しできるかは申し上げられませんが、そういう委員の御議論も入れた検討を今させていただいているということを申し上げたいと思っております。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 ありがとうございます。  それともう一つちょっと私が驚いたことは、この一年間帳簿をこうやって見さしていただいたわけでございますけれども、この限られた資料の中でございますけれども、実は予算の中に、これも大臣もう御承知だと思うんですけれども、架空の予算、こう一くくりに私は今呼ばせていただきますが、架空の予算が予算の中に紛れ込んでいるという事実でございます。これは絶対私はあってはならないことだとまず思います。  そこで、質問をさせていただきたいんですけれども、この予算の計上と執行実績の食い違い、まあこういうふうに呼びますが、私たち決算委員会でも指摘をさせていただきました。そして、衆議院でも我が党の長妻議員を中心にいろいろな事例を指摘をさせていただいたと思います。  そこで、こういった指摘の結果、平成十八年度の、来年度の予算、この編成に当たって各省庁にどのように大臣は改善の指示を出されたのか。また、財務省自身もあったわけですよね。そういう意味でどのような予算の見直しを行われたのか、御自身の省の例も含めてお話し願えればと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) この問題は尾立委員も熱意を持って御研究になっておりまして、随分議論もさせていただきました。私自身、架空予算とおっしゃられると、必ずしもそうではないと反論したい気持ちがあるわけでございますが、やはり委員と議論をさせていただいて、確かに不適切な事例があるなということを感じたわけでございます。  そこで、私は役所に指示をいたしまして、五月十二日に主計官会議を持ちまして、予算積算と執行実績が著しく乖離しているような事務事業の洗い直しを着手すると、それから、その結果を踏まえて、十八年度概算要求から実態に合った要求を行うよう各府省にも伝達をいたしました。それから、六月二十八日の閣僚懇談会で私から各府省の大臣に対して、予算執行と予算積算というものを合致させてもらいたいと、予算積算の見直しを行ってその作業結果は来年度予算編成に反映させてもらいたいという要請をいたしまして、こういったことを踏まえまして各府省は執行実績の的確な把握に努めまして、十八年度概算要求には検討結果を反映していただいたというふうに考えております。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 私たちの指摘を受けて真摯に対応していただいたことは有り難いと思います。  ちょっと確認なんですけれども、今おっしゃいましたが、谷垣大臣、五月十二日の主計官会議で指示をされたということは分かりました。その前提として四月に行われた決算委員会や衆議院でのやり取りの中での指摘があったとは思うんですけれども、そういうことを受けて指示をされたという考えでよろしいでしょうか、了解でよろしいでしょうか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 予算執行の状況を予算積算に適切に反映させるというのは当たり前のことでございますし、予算査定の一番常に立ち返るべき原点だろうと思いますから、そのため従来も努力をしてきたということもございます。  ただ、委員がおっしゃいましたように、この国会での御議論等も踏まえながら、確かに不適切なものはあると、そこのところはやっぱり切り込んでいかなきゃいかぬと私たちも考えたわけでございまして、国会での御議論を踏まえながら主計官会議等々で方針を出さしていただいたということはそのとおりでございます。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 ただ、一点だけ気になることがございまして、細かいことでございますが、ちょっと本論からそれますが、実はここにその主計官会議での指示の書類がございますが、主計官会議は五月十二日に開かれております。今おっしゃったとおり、指示をされたということでございますが、その根拠として、なぜかよく分かんないんですけれども、平成十七年五月十六日の参議院決算委員会での質問と答弁というのがこれ添付されておるわけです。なぜ五月十二日の主計官会議での指示なのに五月十六日の答弁がここにアタッチされているのかなと。その意図はよく分からないんですけれども、多分私たち野党ということで、野党の指示でこういうことを指示をしたということが何か都合が悪かったのかどうか、これは勝手な推測ですけれども、ちょっと何か腑に落ちないところがありますので、その点はただそういう事実があるということだけですので、これは指摘だけにとどめたいと思います。いいものはいいものとして是非取り入れていただきたいなと、無理やり何か後の日付のものを資料として付けるようなことはいかがなものかと思いますので、よろしくお願いをいたします。  さて、数字の具体的な話に入らしていただきますが、八月三十一日に財務省御自身も、平成十七年度予算にございました六億七千二百万円の、まあ一くくりに架空と呼ばせていただきますが、架空予算の発表をされました。そして、ちょっと不思議なんですけど、これがすべてではないと聞いております。一部を発表されたというふうに聞いております。  それで、架空予算の定義でございますけれども、御不満があるようですから改めてきちっと申し上げますと、架空予算、計上はされているけど長期間支出の実績がないというのがまず一つだと思います。もう一つは、著しく予算の金額と比べて乖離をしているというようなタイプのものもあると思いますし、さらに計上と実際の支出内容が違っていたと、こういう三つのタイプが私あるんじゃないかなと思っておりますし、多分大臣もそのように認識されていると思いますが、そこで質問は、今回各省庁がそれぞれ独自で八月末に向けて発表、架空予算の発表をされたわけでございますけれども、これではちょっと整合性の取れた全体把握というのが私の方ではできないんですね。  そこでお願いなんですけれども、是非、自主性を尊重するということで各省庁に任せているということなんですけれども、こういった自主性を重んずる余り勝手なことをするということもありますので、是非リーダーシップを発揮していただいて、財務省の責任で全省庁のいわゆる架空予算の実態把握をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) まず前提として、尾立委員がおっしゃいましたように、私どもも今度執行を反映、積算に反映さしてくれと言ったのは大体三つに大別できると、おっしゃるとおりであります。過去何年も執行実績のなかったようなものはもう要求するなというのが一つ、それから、予算計上された事務事業と異なる執行が行われているようなものは執行実態に即した要求としてほしいと、それから、過大な要求が行われていて実際にはそれほど使われてなかったというようなものについては執行実績を勘案して要求額を減額してくれと、こういう大体三つの柱でございます。  そこで、発表したものは委員がおっしゃるように各省庁の判断にゆだねておりましたので、結果としてその公表件数にはばらつきが各庁で見られるのは事実でございます。私どもがその洗い直しを機にきちっとした予算を作っていくというのは当然のことでございますが、確かにおっしゃるように、それぞれの判断で公表いたしましたので、財務省としても要求段階で各府省の取組状況全体を把握するために一定の考え方の下で全体像を把握していかなきゃいけない。そういうことで、現在改めて各府省から資料の提出を求めるといった作業を進めておりますので、もう少し全体の姿というのをはっきりお示しできるときが、もうちょっとお時間をいただきますが、来ると思っております。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 各省庁から自主的に架空予算について発表があったわけでございます。これが八月下旬。そろそろもう二か月もたちますし、先ほど申し上げました十二月末には予算があらかた固まるわけでございます。ですから、十八年度予算にきちっと反映させるために、是非全体像を期限を切って取りまとめをしていただきたいんです。  具体的な何か期日というものをお答えいただけませんでしょうか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 当然、十八年度予算要求への反映ということでございますから、期限なしというわけにはいかないわけでございます。まだちょっといつということは申し上げられませんが、取りまとめを終えた段階で速やかに公表させていただきたいと思っております。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 じゃ、くどいようですが、十二月までにぐらいの、そのような感覚でよろしいんでしょうか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 当然、予算編成を終えるまでには発表しないと意味がございませんので、今鋭意作業しております。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 それでは次に、ちょっとテーマを変えまして、政策金融の見直しについて質問をさせていただきたいと思います。  まず、資金の流れを官から民へという小泉首相の、総理の方針に従って今政策金融の見直しが議論されております。それで、八つの政府系金融機関が今統廃合で数を減らして、一つというふうにも聞こえておりますけれども、そういった数の議論に今なっているような気がしますが、私は、本来、やはり公益性といいますか公共性の要否、また、民間が金融リスクをきちっと評価できるかできないかみたいな、そういった視点で、民にできる仕事は民へ持っていくというのが私は筋だと思うんですけれども、この考え方に対して大臣の、所轄されている大臣のお考えをちょっと聞かせていただきたいなと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 八つの政策金融機関、私ども、他省と共管もございますが、財務省としてはいずれも私どもが所管をしているという面がございます。  したがいまして、きちっと私どもも責任を持ってこの政策金融機関改革に取り組まなければいけないと思っておりますが、よく記者会見なんかで質問を受けますと、機能、政策金融として果たすべき機能をきちっと検討せよと言うと、何か抵抗勢力の論理のように取られているところがございまして、私は非常に残念だと思っております。初めからまず数を幾つにしていくんだという議論でやりますと、まあ単なる数合わせじゃないかというような批判も私は受けかねない。やはり、政策金融機関として、あくまで民業の補完というところに徹しながら、政策金融機関として何が必要で何が不必要かということはきちっと整理をしなければいけないだろうと思っております。  その上でそういう、本当に、じゃこれは必要だねということになった場合には、どういう形でやっていけば一番効率がある、無駄な投資にならない、モラルハザードも生じないような形になるのかというのを議論していくのが筋道なのではないかというのが私の考え方でございますので、委員の今のお考え方と大体方向を同じくしているかと思っております。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 正に数合わせだけでなく、国全体のお金の流れをもっと効率的にして、そして無駄を省いて、次世代にツケを回していかないような、そんなことが私も必要だと思っています。  そういう観点から考えると、政策金融の見直しを政府系金融機関統廃合ということだけに限定するのではなく、私が言いたいのは、機能を中心に議論をしていくということも一つですが、もう一つ、範囲も私はもっと拡大すべきではないかと思っております。それは、今やり玉に上がっておりますその八つの政府系機関以外に独立行政法人や公益法人が貸付けを行っているわけですね。こういったことも私は範囲を拡大して、もう一度金融という意味で見直すべきだと思うんですが、財務大臣と行革担当副大臣、それぞれにお話をお聞きしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) これは私、直接所管をしているわけではありませんので、林田副大臣にお答えをいただいた方が適切かと思いますが、政策金融八機関以外の特殊法人等の貸付事業については、平成十三年の十二月に特殊法人等整理合理化計画が閣議決定が行われまして、抜本的な見直しを行うこととされまして、それは今年度末までにということでやっておりますので、政府全体としてはそういう方針で臨んでいるところでございます。

林田彪自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(林田彪君) 今、財務大臣のお答えのとおり、この特殊法人の整理合理化計画は十三年に作られたものでございますけれども、現在、この政府金融機関にかかわらず、貸付けあるいは債務保証等を含む、法人も含めまして、数で申し上げますと、百六十三の特殊法人を対象にいたしまして、この当該計画に沿いまして、八割強が一応廃止、民営化、あるいは独法への移行をなしております。その中で、いわゆる今議題になっております債務保証あるいは貸付け等を行う特殊法人につきましては、全廃が六法人、一部廃止等業務の縮減が十九法人、収支の改善その他の見直しが二法人というふうになっております。  いずれにしましても、御指摘のように、特殊法人等から独立行政法人に移行した法人につきましては、十八年度以降、中期目標期間が終了する際に、貸付け等の業務も含めました業務全般について見直しを行うというふうに考えております。  また、もう一つの分野であります公益法人につきましては、法人によって目的あるいは業務も多岐に非常にわたっております。また、国の財政的関与の有無と申しますか、軽重と申しますか、それもありますし、また、国そのものの行政的な関与の差があるように私は思っております。  そういう意味合いも含めまして、公益法人の行う貸付業務等、すべて官でというわけにはいかないかと思いますけれども、いずれにおきましても、この公益法人は、さきの委員会でも述べましたように、それぞれ主務大臣において不断の見直しを行っていくということが重要だというふうに考えております。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 分かりました。  なぜこのように私、申し上げるかと申し上げますと、八つの政府系金融機関の貸付残高が平成十六年で約百四十五兆ということになっておりますが、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、新聞の今日の記事でございます。  私たち民主党が調べたところによりますと、独立行政法人、今おっしゃいました、また公益法人等による貸付け、債務保証、利子補給、出資などを合計すると、何と百二十二兆円にも上るわけです。まあ御存じだったかどうか分かりませんけれども、これについての御感想と、官から民へを主張されるのであれば、この部分ももっと手を付けていかなきゃいけないんじゃないかと私は思うんですけれども、両大臣のお考えをお聞かせください。

林田彪自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(林田彪君) 民主党さんから提出された資料というわけではございませんけれども、各省庁がそれぞれ出しておりますのを我が内閣府でも急遽取りまとめましたところ、総額としては確かにここにありますように百二十二兆円強になっておりますけれども、その内容につきましては、それぞれ貸付けとかあるいは債務保証とか出資とか、いろいろな面がございますもんですから、この新聞記事のとおり、六十三機関が既に百二十二兆円、融資というくくりでいいのか、これはもう委員そのものが会計士でございますんで、その辺の仕分はもう十分御存じの上での御質問かと思いますけれども。  このうち、百二十二兆円のうち約九十五兆円につきましては、いわゆる財団法人である公庫住宅融資保証協会の債務保証等でございます。また、財団がこれは独自に行っている事業でありますし、また、出資の部分が約、何ぼだったかな、トータルで四千四百億ぐらいですかね、ありますけれども、この大半は十五年に発足いたしましたいわゆる株式会社産業再生機構による出資でございます。この出資につきましても、もう委員も御案内のとおり、いわゆる三年以内に目標を達成いたしまして民間に売却するという予定になっております。  このように、各法人と国との関係を、かかわり方につきましてもそれぞれ、六十三機関、それぞれいろんな多岐にわたっておるということでございますんで、この百二十二を単純に合計して論ずるということもちょっと無理なところもあるんではなかろうかなと、私自身は思っております。  いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、御指摘の特殊法人等につきましては、十八年度以降、中期目標が完了する際に、貸付業務を含めました全体の見直しをやっていきたいと思いますと同時に、公益法人につきましても、それぞれ主務大臣において不断の見直しを是非行っていきたいというふうに思っております。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) これはもう林田副大臣のお答えしたことに尽きていると思っております。私の所管でもございませんので、それ以上は差し控えさせていただきます。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 是非、八政府系金融機関以外の部分、まだまだ改良の余地があると思います。是非、改良していっていただきたいと思いますし、もう一点、貸倒れ懸念というふうにここにも出ておりますが、この貸倒れの、何というんですか、評価基準が非常に各法人ばらばらでよう分からぬというのが実態でございます。これはまた新たな国民負担にもつながりかねないというか、つながるわけでございます。この辺はまた私もいろいろと調査をしていきたいと思いますが、この点も是非頭の中に入れておいていただきたいなと思います。  それでは最後に、今回、谷垣大臣にも御説明いただいたように、特殊法人等整理合理化計画というのがあって、正に今、林田副大臣、御説明いただいたような改革が行われているわけでございますが、その中で残ったのがこの八政府機関とJRAなどのギャンブル法人ということで、今回その政府系金融機関だけをまず手を付けようということでございますが、今、全体図を見ていただいたら分かるように、実は特殊法人等整理合理化計画というのがあって実行されているわけでございますが、実態は、まだまだ特殊法人から独立行政法人への看板の掛け替えだけで、中身が伴っていないというのが私のこの一年間の実感なんです。だから、私たち民主党、我々は、この公益法人、独立行政法人も含めて、もう一度政策金融の在り方を見直していくべきだというふうに提案をさせていただいております。  是非、機能論に立つならば、先ほど、担当大臣じゃないということですが、谷垣大臣おっしゃった機能論に立ってやるんならば、こちらも機能論に立って見直していかなきゃいけないと私は思いますので、是非、林田副大臣、村上大臣によくお伝えをいただきたいと思います。  その点で是非御感想をお聞かせ願いたいと思います。

林田彪自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(林田彪君) 現小泉内閣の一生懸命取り組んでいる事業でございますし、村上大臣の意向をきちっと踏まえながら、なおかつ当委員会の意向も踏まえながら、最終的には国民のためになるように頑張ってまいりたいと思います。

尾立源幸民主党・新緑風会

○尾立源幸君 最後に、私の方からこの政府系金融機関等々の整理合理化に当たって一言申し上げたいんですけれども、小泉さんが総理大臣になられてから、これは皆さん共通の思いだと思うんですけれども、何か、セーフティーネットという言葉が何か軽んじられているんじゃないかなというふうに思います。  やはり、強い者は強い、弱い者はどんどん弱くなる、そういった流れの中にあるわけですけれども、じゃ、競争に参加できない人や競争に敗れた人、敗者復活の、そういった視点の金融の在り方というものは、是非、公的な部分でしか私は担い得ないと思っておりますので、是非、谷垣大臣、また林田副大臣、金融におけるセーフティーネットというものも含めて検討をいただきたいことを申し上げて、私からの質問とさせていただきます。  ありがとうございます。

櫻井充民主党・新緑風会

○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。  今、尾立委員から政府系の金融機関のお話がありましたが、その政府系の金融機関の見直しの前にやるべきことは、まず民間の金融機関がどこまで本当に仕事ができるのかということなんだろうと、そう思います。  済みません、いつも医療の話をして大変恐縮ですが、民間の病院でできない部分に対して国立病院や公立病院などをつくってそこを補完していっているわけですから、原点に返れば、民間の金融機関でできない部分に関して政府系の金融機関が補完していくということになるんだろうと思います。  そういう意味で、果たして今、民間の金融機関がきちんとした役割を果たしているのかどうかというところがすごく大きな問題でして、要するに、銀行は今健全性は、金融庁からかなり厳しい指導があって健全性はそれなりに確保されてきているかもしれませんが、一方で公共性を果たしているかというと、必ずしもそうではないんじゃないのかなと、そういうふうに考えております。  そういう中で、前から申し上げているところですが、私は、特にこれは今日は地域金融に絞らせて議論をさせていただきますが、大きな問題は自己資本規制とそれから金融検査マニュアルにあると、私はそうずっと思い続けております。  そこの中で、まず、日本は確かに自己資本比規制が国際ルールだと。まあ、これは国際ルールで決められたことだからそれはそれで結構ですが、これがなぜ健全性の指標として適切だというふうに考えていらっしゃるのか、その根拠を教えていただけますでしょうか。

伊藤達也自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(伊藤達也君) まず前段に、政府系金融の改革に入る前に、やはり民間金融機関がしっかりとした金融機能を発揮しているのかどうかと、そこが重要だと、その点は全くそのとおりだというふうに思っております。  政府における政府系金融機関の見直しの議論に当たっても、金融再生を実現をして、そして金融機能を強化をしていくと、その中で政府系金融機関の見直しの議論を進めていくということでございますので、そうした中で、私どもとしても金融改革プログラムを策定、公表させていただいて、そして日本の金融システムというものが活力ある金融システムというものになっていかなければいけない、利用者の満足度の高い、そしてまた地域経済にも貢献できるような金融機能が発揮できるように諸施策というものをしっかり展開をしていきたいというふうに思っております。  そうした中で、自己資本比率の健全性の指標としての適切性についてお尋ねがございました。  自己資本比率というものは、もう言うまでもございませんが、金融機関が保有するリスク、それに見合った最低限の自己資本というものを維持する、維持させることを通じてその健全性というものを確保し、そして破綻というものを回避する、このことを通じて預金者の保護と、そして預金者の信頼の確保を図って信用秩序を維持するために極めて重要な指標であると考えております。  このような指標の意義に照らしてみますと、金融機関が保有すべき最低自己資本につきましては、貸倒れ等に伴う損失が相当程度派生した場合にあっても、健全性というものを維持して、そして破綻を回避できるような水準に設定をしていくということが必要であるというふうに思います。  この自己資本比率は、債務超過に陥る蓋然性を代替する指標として世界共通の位置付けがなされているところでございまして、金融機関の財務の健全性を図る比較可能性に優れた指標として採用され、そして世界各国、そして我が国においても定着をしているものと考えているところでございます。

櫻井充民主党・新緑風会

○櫻井充君 それは、今のは自己資本規制の説明だけなんですよ。要するに、なぜこれが健全性の指標として適切なのかの根拠を挙げていただきたいんです。  例えば、例えば医学でいうと、この治療法が優れている治療法かどうかというのは、これは例えば、その副作用だ何だというようなものを全部勘案した上で、治療効果がこれだけありますということを見て、まあこの治療法がいいですねと、そういうことになっていくわけですよ。  私が申し上げているのは、ルールはルールとして設定されたのはそれで結構ですよ。しかし、本当にこのルールにのっとっていかないと、なぜその自己資本の八%まで、ああ、ごめんなさい、十二・五、八%だから十二・五倍ですか、そこまでしか貸し出すことができないとか、四%という国内ルールをつくれば二十五倍まで貸していいですよという、そこのところの、そこのところの評価、そこのところが本当に正しいのかどうかなんですよ。つまり、いろんなことが行われていって、こういう根拠があるからこのルールが健全性の指標として正しいんだという、その理論を教えていただきたいんですよ。  もう一点申し上げると、バーゼル2では、例えばリスクウエートの見直しがかかっているわけですよね。前々から私はリスクウエートとか、あそこはおかしいということをずっと言い続けてまいりましたが、しかし、そこの部分が今度変わって出てくるわけですよ。ということは、前のものに関して言うと必ずしも完全なものでなかったはずなんですね。試行錯誤中だと言われればそこまでですが。  いずれにしても、大事なことは、ルールとして提供されるのは結構ですよ。ですが、なぜそれが健全性の指標として適切なのか、そのことについて教えていただきたいんです。

伊藤達也自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(伊藤達也君) この点について、まず一般論としてお答えをさせていただきたいと思うんですが、社会的に見て最適な自己資本比率の水準を考えるに当たっては、これは銀行の破綻に伴う負の外部効果を抑制するという社会的な便益と、そして委員が強く問題意識として持たれている過度に高い自己資本比率を求めることが金融仲介を縮小させかねないという社会的費用、これを比較考量した上でネットの社会的便益を最大化するような水準に設定することが望ましい、これが基本的な考え方だというふうに思います。  その上で、多くの銀行に統一的、共通的に適用される基準を設定するに当たって、最適な最低自己資本比率の具体的、そして定量的な水準を見いだす、このことが非常に難しいこと、必ずしも容易なものではないというふうに考えますが、この点については、最終的にはこのバーゼルの委員会に参加をするそれぞれの監督当局、専門的な見地から議論をして、その判断の結果として水準というものを設定をさせていただいていると、そのように御理解をいただくことができればというふうに思っております。  それから、バーゼル2の見直しについてでございますけれども、この見直しを行うに当たっては、金融商品というものが多様化をしていく、そして金融技術の高度化の進展、こうしたことを反映をして見直しというものが行われたわけであります。そして、この見直しに当たっては、現行規制と比べて世界的に見ても重くも軽くもしない、そうした枠組みというふうになっておりまして、現行規制の負担水準を変更するために行われたわけではありません。  その中で、信用リスクの計測がより精緻なものになるために、事業法人向け与信について、今まで一律のリスクウエートを課してきたわけでありますが、この点について委員が御指摘をされているように見直しを行って、そして、個人企業、個人向けの貸出しについてはリスクの分散効果が働く、そのことを我が国としても主張させていただいて、そのことを踏まえてリスクウエートが従来よりも軽減されるものになったというふうに考えております。

櫻井充民主党・新緑風会

○櫻井充君 答えになっていないんですけど。答えになっていませんよ、全く。  要するに、どういうことを根拠に、理論は、理論は分かりましたよ、理論は分かったけれども、どういう数字を、じゃいろいろ勘案して、例えば破綻リスクなら破綻リスクで結構ですが、こういうような金融機関はこんな形で破綻していったからこういう数字が出てきたんだとか、そういうことを言っていただければ、それはそれなりに納得はするわけですよ。ところが、今のは、ただの要するにこういう経過説明だけですよ。  私が申し上げているのは、その考えに立脚するんならそれで結構ですが、そうすると、それが健全性の指標として適切であるという根拠が欲しいんですよ、理論的なね、学術的な。それがないのに、なぜ、これを国際ルールで決めたからみんなで守りましょうの世界になるんでしょうか。  後でで結構ですが、もう一度説明はいただきたいと。今ここのところで多分十分な議論ができないので、後でで結構ですが、もう一度その根拠となるべきものを教えていただきたい。つまり、国際ルールを国際ルールとして日本が認めたその根拠を教えていただきたいんですよ。それは、みんなで決めたからということではないんですね、そこのところは。  なぜかといえば、このルールがあるから、毎回申し上げますが、地域の金融機関は貸出しができなくなって苦しんでいるところが私はあると思っているんです。つまり、例えば、不良債権処理が終わったら都市銀行は貸し出しますと竹中さんはこの委員会でもおっしゃられましたが、都市銀行の貸出しは増えておりません。それは、もちろん、毎年毎年、融資額、融資額の減り方がだんだんだんだん良くはなってきているかもしれませんが、決して増えてはおりません。そのお金が、じゃ、ないのかというと決してそうではなくて、すべて国債に行くわけですね。五十兆か六十兆ぐらい貸出し残高が落ちていく中で、国債の保有残高はそれに反比例して増えていくわけですよ。なぜ国債を買うのかといえば、リスクウエートがゼロだからでしょう。  そして、地域でいえば、なぜ信用保証協会に行って保証を取ってこいというのか。これは金融機関がリスクを回避する点もありますが、リスクウエートが一〇%になりますから。ですから、もし地域の金融機関が、例えばその今の信用保証協会の保証を外してプロパーで全部貸出し一〇〇%になりました、国債を全部貸し出したとして、優良債権で、例えばトヨタのようなところにももし仮に貸し出すことができたとして、それでリスクウエートが一〇〇%になりましたと。これで本当に四%維持できると思っているんですか。  ここのところが最大の問題なんですよ。これと金融検査マニュアルのところが実態に合っていないから、貸出しが私は進んでいかないと思っているんですね。  そういう意味で、もう一点お尋ねしますが、世界各国で、これ国内業務まですべて、いろんな金融機関全部このルールにのっとってやっているんでしょうか。日本は、四%に変えているとは言いながら、基本的なところは全く変わっていません。そういう意味で、これはどこの国も全部、小さな金融機関から何からこのルールにのっとってやっているんですか。

伊藤達也自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(伊藤達也君) 世界各国のすべての制度の詳細について正確に把握しているわけではございませんが、例えばカナダにおきましては、地域の金融機関は八%よりも高く、一二・五%の水準を求めておりまして、その他の金融機関については八%ということでございます。  それから、委員が地域金融の機能強化を図っていくために当委員会でもアメリカの例を御紹介をいただいたところでございますけれども、アメリカにおきましては、これは八%でありますけれども、ウエルキャピタライズという考え方からしますと一〇%を求めておりまして、そこに向かって指導監督が行われております。金融機関全体からすると、一〇%の水準を維持している金融機関が九九・四%でありますので、これは小さな金融機関も含めてすべてでございます。  そういう観点からしますと、バーゼル委員会に参加をしている国だけではなくて、世界百か国以上の国が、国際的に活躍をしている銀行だけではなくて、一般の金融機関についてもこのバーゼルの水準というものを求めているものと承知をいたしております。

櫻井充民主党・新緑風会

○櫻井充君 諸外国は、もう一点、まあルールが入っているんならそれで結構です。  諸外国は証券化できますよね、いろんな意味で。例えば、住宅なんかに関していえば、モーゲージローンなどをアメリカはシェアの五〇%ぐらいですから。そうすると、結果的にはリスクアセットの部分は小さくすることは簡単なことなんですね。手数料を得て、それでしかも収入を得ることができるわけです。そういう国々と、日本のように貸し付けて利ざやだけで稼いでいる国と同じルールになるのかどうかというのは、これもう一つ問題なんだと思うんです。  ここのところは、何回も申し上げますが、私は、このルールがあるから貸せないと思っているんです。本当であればもうちょっとちゃんと融資できると思っているんです。これは銀行の関係者と話をするとそうおっしゃっています。それは金融庁に対してはなかなか言えない話らしくて、表立ってそういうふうには言わないでくれと言われていますが、ですが、いや、銀行名は言わないからいいわけですよ。ですが、本当に地域では、いろんなところで話をすると、ここが問題だとまず一つ言われているんです。  もう一点、金融検査のマニュアル自体にやっぱり問題があるんだと。今回は、民間の金融機関もそうですが、例えば国金の関係者と話をして、国金の不良債権がこの間どおんと増えたんですね、ある時期から。それは何かというと、条件緩和するとみんな不良債権扱いになるわけですよ。ただ、ここのところは、何というか、何か月か待ってあげるよということで、例えば金利だけなら金利だけ払ってくれと昔のような商慣行をすると、みんな不良債権の扱いになっていくわけですね。そうすると、金融機関は企業を救済したいと思っても、債権放棄か例えば条件緩和しかないわけであって、条件緩和をすると皆不良債権になると。これは、二つのグループに分けられるようになったこともこれは重々承知しておりますが、それでも、とにかく金融機関からすれば、企業を救済するためにはそうせざるを得ないんだという状況があるわけですよ。国金の方なんかはそういう手法を使って、まあ何とか経営を成り立たせていって、一時的にそこだけさえしのげればまた復活する企業は一杯あるわけですね。  そういう点でいってくると、こういう形の単純な不良債権の扱いにしてくることに問題があると思いますし、ましてや民間の金融機関で融資できないようなところで融資をしていくような、もしこれから政府系の金融機関がそういうことになっていくんだとすると、このような単純なルールを政府系の金融機関にまで当てはめてしまうとますます貸出しができなくなってしまうんじゃないのかなと、そう思いますけれども、いかがでございましょうか。

伊藤達也自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(伊藤達也君) まず前段のところでございますけれども、私も、十三年間の国会議員の活動の中で九年近くは中小企業問題をやっておりましたので、地域の金融機関の方々と接すると、委員と全く同じようなお話を聞いたことがございました。  そうした中で、私自身は、やはり中小企業に対する金融の円滑化というものを図っていかなければいけない、地域の金融機関の機能というものを強化をして中小企業の再生や地域経済の活性化に貢献できるような、そういう金融機関として活躍をしていただきたい、そういう思いを強く持って金融行政に臨んだ次第でございます。  そうした感想からいたしますと、先ほど、自己資本比率規制がやはり大きな制約要因になって、そのことが銀行の貸出しが伸びていかないという御指摘でございましたが、私、やっぱりその点は、委員と中小企業金融の円滑化を何としても実現しなければいけないという点は共通なんですが、委員の御指摘については必ずしもやはり賛同できません。これは、やはり融資が伸びていかない、今まで融資が低下をしてきた要因というのが、資金需要がやっぱり低迷をしていたこと、そしてさらには、バブルが崩壊をして、金融機関にとっても、あるいは債務を抱える企業側にとってもバランスシートというものが大きく傷付いてしまって、それを調整をしてきたと、そうしたこともやはり要因の一つではないかというふうに思っております。  特に中小企業を見てみますと、一九七〇年から三十年平均して、有利子負債とそのキャッシュフローの比較をしてみますと、つまり何年で借金を返せるかということを比較をしてみますと、大体十一・一年ぐらいなんですね、十一・一倍ぐらいであります。バブルが崩壊した後、これが十八・五倍、十八・五年まで上がったと。このやはりバランスシート調整をするために一生懸命努力をして、今十二年ぐらいまで低下をしてきている。まだバブル前と比べると高い水準にありますから、そういう意味での調整的な要素というのもあるんではないかというふうに思っております。  しかし、そうした中においても、やはり地域の金融機関が中小企業の再生や地域経済の活性化に貢献できるような機能を発揮していかなければいけないと。この点については、委員とはもう真摯な議論をさせていただいて、そして当委員会の審議も踏まえて、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムというものを策定をさせていただいて、そしてそれに基づく様々な取組がなされて、金融機関も努力をされることによって、総与信を見てみますと、私が竹中大臣とともに金融行政を担当させていただいた平成十四年の九月、これは前年比に比べてマイナス五・二%でありましたが、今年の三月はこれが〇・八%まで低下をしてきておりますし、正常先については五・〇%マイナスだったものが〇・六%プラスに転じてきている。そういう意味では、下げ止まりの傾向というものも、少しその兆しというものが見えてきているんではないかというふうに思います。  金融検査マニュアルの問題についても、私は金融行政に就くまでは、やっぱり中小企業の実態に即した検査というものを確保していかなければいけないという問題意識を非常に強く持っておりました。そうした中で、金融庁としては、この検査マニュアルの別冊、中小企業融資編というものを策定をして、そして中小企業の実態に即した検査というものを確保していくというための努力をしておりますし、この検査マニュアルの趣旨というものを検査官に研修を通じて徹底していくことが極めて重要だというふうに思っております。  それと、先ほどの答弁でカナダと申し上げましたが、これスイスの誤りでありましたので訂正をさせていただきたいと思います。

櫻井充民主党・新緑風会

○櫻井充君 お話はお話で承っておきますが、やはり若干、若干というか、現場の方々からしてくると違っているわけですよ。  もう一つ、例えば今バランスシートのお話がありましたが、企業、中小企業会計は簿価なはずですね。しかし、これが銀行に行くと時価会計になってしまうわけですよ。ですから、そこのところのバランスシートだって、本来の企業会計でやっていればこれはバランス取れているはずですが、ところが銀行に行ってしまうとみんな債務超過になってしまうと。例えば、設備投資をして、設備投資をして何か工場なら工場を造って、そこの工場の土地の値段が下がろうが何しようが製品には何にも変わりないわけですよ。ところが、そこの土地の値段が下がってしまうと、その企業自体が債務超過になっちゃうわけですよ、銀行に持っていくとね。ですから、そうおっしゃいますが、そこはその評価の仕方に問題があるのであって、評価の仕方に問題があるのであって、それがその中小企業の実態に合っているものだというふうに僕は言い切れないんじゃないのかなと、そう思います。  中小企業と大企業と違うのは、それから資本の部分で全く違っているわけです。大企業は市場から直接調達できてその配当だけしておけばいいわけでして、元々それを全部返すなんということをやったら、これはトヨタだってどうなるか分かりませんよ。だけれども、中小企業はどうなっているかというと、自己資本が極めて少なくて、今度はその自己資本の部分だって、資本金の部分だって、借換え、借換えでしょう。これが長期間借りられないわけですよ、今の民間の金融機関ではね、長期間のリスクが取れないから。だけれども、大企業は資本金をそのまま維持することができても、中小企業はそれを維持することができないとか、極めて特殊な事情があるわけですね。そこの中で、政府系の金融機関は低利で長期で固定でこれは融資してくれるわけだから、だから彼らにとってみれば命綱なんですね。ある種、僕から言わせれば社会保障政策の一環だと思っているんですね。ですから、そういう中小企業の本当の実情を勘案していただいて、勘案していただいて制度設計をしていただかないと、無意味な規制を掛けて、無意味な規制を掛けて本来であれば存続できる企業まで破綻に追い込んでしまっているんじゃないのかなと、個人的にはそう思っているんです。  それはそれとして、今日はとにかく一点お願いがありまして、前々からのことですが、金融検査マニュアルの中に、金融検査マニュアルの中に企業の経営指針というものを盛り込んでいただけないかと。つまり、どういうことかというと、例えば二期連続赤字を出してしまうと、もう要注意先に格下げされるわけですよ。ただ、要注意先に格下げされても、経営健全化計画みたいなものを書けば、そしてそれが認められればまた正常先に戻していただけますよね。ですが、そうではなくて、悪くなったときに何とかするということではなくて、社長さんたちの考え方や、それから企業の、何というんでしょうか、今後進んでいくべき道とか、そういうものが明示されてきたときには、そのことがきちんと評価されると変わってくるんだろうと思うんですよ。  私は、中小企業の社長さんたちと話をしていて、こういう経営指針というのを随分きちんと勉強されている方々は経営状況が随分良くなっていましてね。ですから、企業が努力したところに関して言うと何らかのメリットが必要だと思っていて、経営指針をきちんと、企業の経営指針をきちんと打ち出してきているところ、そしてしかもそれは金融機関側から見て、なるほどこれならいいですねというような場合には、仮に二期連続赤字を出したとしても要注意先に引き下げないとか、そういうようなルールをつくってもいいんじゃないのかなと思うんですけれども、それについてはいかがでしょうか。

伊藤達也自由民主党内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(伊藤達也君) まず前段の、その現場の様々な状況を踏まえて御指摘がございました。私も全く同じ話を聞いておりますし、同じ問題意識を持っております。したがって、金融検査マニュアルの改定に当たっても、その根雪の部分についての御指摘がございましたが、そのDDSの取扱いについて明確化をさせていただいたところでございますし、デット・エクイティー・スワップ、そしてDDS、企業再生ファンド、こうしたものを活用して企業再生のための取組を通じて健全化に向けた取組を行うことを、私どもとしては、規制を掛けて阻害をして邪魔をしているんではなくて促していると、そういう意識の中で金融行政に取り組んでいることを是非理解をいただくことができればというふうに思っております。  それから、構造改革特区に関係してのお話だというふうに思いますが、この金融検査マニュアルは、金融機関の自己査定、そして私どもの検査で検証していくに当たっての共通の枠組みとして策定をさせていただいて、そして検査官の手引として使用させていただいているところでございますので、規制を掛けていると、そういうことではございませんので、規制緩和の概念とはこれはなかなか一致していかない、なじまないものであるというふうに思っておりますが、現在の金融検査マニュアル別冊、中小企業融資編におきましては、中小零細企業向け貸出金については、企業の技術力、経営者の資質やこれを踏まえた成長性など、あらゆる判断材料の把握に努めて、それらを総合的に勘案をして債務者区分の判定を行うことといたしておりますし、また、経営者の資質やこれを踏まえた成長性の判断に際しましても、経営者の経営改善に対する取組姿勢を一つの判断要素として掲げているところでございます。  したがって、例えば委員が御指摘がございました経営指針を作成、実践をしている中小企業については、経営改善に対する取組姿勢が積極的であると評価をされる場合には、債務者区分の判定に当たって経営指針が勘案されるものと認識をいたしております。

櫻井充民主党・新緑風会

○櫻井充君 ありがとうございます。地元の中小企業の皆さんにもこのことについてはきちんと御報告させていただきたいと、そう思います。  やはり、まじめに努力している人たちがそうやって変わっていけるんだということを見てくると、ほかの企業の方々も努力し始めてきます。これは金融機関側だけの問題ではなくて、私は中小企業なら中小企業にももちろん問題がある部分があると思っていますので、そういう意味では、その解決策の中の一つにつながってくるんだろうと思ってお話をさせていただいておりました。  それから、その上で、これは谷垣財務大臣にお伺いしたいことがございますが、これ、政府系の金融機関に対して、今、民間の金融機関は金融庁でやっております。政府系の金融機関は、これ財務省になってきています。これ、本来であれば同じところが所轄した方が、ちょっと今日は通告しておりませんが、所管した方が、補完業務からしてみると極めてうまくいくような気がするんですね。つまり、また医療の問題で大変恐縮ですが、民間の医療機関も、それから公的な医療機関に関していっても、基本的には厚生労働省が全部見ていて、足りない部分はこういう形で補完しましょうという、そこのところの流れというのは極めてスムーズになると思っています。そうすると、金融ということに関して言えば政府系も何もないわけであって、全体として見る分でいえば、これはすべて金融庁で所管してしまった方がスムーズになるんじゃないのかなと私は個人的にそう思っているんですけれども、そこの点についてはいかがでございましょう。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 金融行政と私どものやっております今、財務省の行政をどう切り分けていくかというのは、過去にもいろんな議論があったところでございまして、この政策金融機関については現在のような整理がされているわけでありますけれども、これ、私、過去の議論を全部承知しているわけではありませんが、金融庁を財務省から、当時の大蔵省から独立させようというときには、やはり民間金融機関に民間の金融機関としての論理を貫徹させていく必要があると、こういう観点があって現在のような仕分になっているんだろうと思うんです。  そのとき、やはり政策金融機関というのは、それは金融機関でございますから、あくまで自律性とか透明性とか、民間金融機関の手法を学ばなければならない、受け入れなければならないところがございますが、やはり政策遂行のツールとして考えると若干違うところがあるということで今日のような整理になっているのではないかと私は思っております。  まだまだ、それはもちろん過去の議論にもいろいろございましたように、まだこれからも議論はあると思いますが、私は現在はこのような整理でよろしいのではないかというふうに考えております。

櫻井充民主党・新緑風会

○櫻井充君 そうなりますと、大臣、政策金融というのは民間の補完だと私はそう思っていますから、そうなってくると、財務省が今の民間の金融の在り方に対して何らかの意見を、意見というか考えを持たなきゃいけないことになりますよね。そして、もしそうだったとすれば、今の民間の金融機関が果たしている役割、これの中で公共性は十分に担保されていると財務大臣として思われますか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 今のような御意見を伺いますと、当時、金財分離をしたときの議論とはまた随分違ってきているのかなと。当時はできるだけ、我々は金融庁を支配していると言われないように、できるだけ金融庁は自由にやってくださいと、独立してやってくださいと、我々は物を言うまいとしてやってきたわけでございます。  もちろん、金融システムというものは公共的なものでございますから、民間の論理に徹するといってもそこに公共的な使命を果たされていることは当然だと思いますが、私どもはそこに今でも、余りすぐ、財務省としては民間金融をこうしてくれとかすぐに言うつもりはございません。  ただ、今の御議論を伺っておりまして、要するに、恐らく、国民生活金融公庫等の不良債権分類等に民間のものをすぐ導入すると政策金融機関としての役割も十分果たせないんじゃないかというような恐らくお見通しもあって言っておられるんではないかなと私は印象を受けたわけでございますが、その点は確かに、政策でございますから、政策金融でございますから、政策的な観点から、民間とはまたちょっと違った視点から貸出しの条件を緩和するというのは必要なことがございます。今までもやってまいりました。  ただ、それをどう計数の上に出していくかという点については、民間のやっておられる基準をそのままやって、いろいろ比較しながら議論をしていくことが政策金融機関の透明性等々を議論する上では私は役に立つのではないかと思っております。

櫻井充民主党・新緑風会

○櫻井充君 済みません。時間になりましたが、最後に一言だけ。  今の立場だと逆に財務省が金融庁を、僕はその監視と言ったらおかしいけれども、監督するような形になると思っています。つまり、民間金融機関が十分にやれていないから、そこの金融行政が不十分な部分を政府系の金融機関が補完するという形になれば、そこの判断は財務省が判断するという話になるんだろうと、私はそう理解しているので、であったとすれば、むしろ金融庁にそこの部分は一元化してしまった方がスムーズになるのじゃないかなと、個人的にはそう考えているところでございます。  質問を終わります。ありがとうございました。

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時開会

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、財政及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

山口那津男公明党

○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。  さきの総選挙におきまして、我々は連立与党の重点政策というものを八月末に発表いたしました。その中の一つの項目として、「小さくて効率的な政府を実現する。」ということをうたってあるわけですね。大臣、谷垣大臣も私も世代の規模という面から見ますと、今生まれてくる世代と比べると倍近くの人数がいるわけですね。これはもう民間、公的セクター問わず、我々の世代で今支えているとすれば、最近生まれた世代が支えるころにはやっぱり規模も当然縮小せざるを得ないわけであります。そうした長期的な視野で持続可能な運営というものを、民間はもちろんでありますけれども、やはりこの公的部門というものもしっかり努力をしていかなければならないと思うわけであります。その意味で、小さくて効率的な政府の実現ということは与党の共通認識になっているわけですね。それと並んで、「歳出の見直しに当たっては、これまで以上に事業の仕分け・見直しなどを行い、」、これもまた重点政策の一項目に挙がっているわけであります。この小さくて効率的な政府という考え方と、この歳出見直し、削減に当たっての事業の仕分というのは、若干考え方が異なるんだろうと思うんです。  今日は、その事業の仕分ということについて大臣のお考えを最終的にお伺いしたいと思うんです。  その前に、小さくて効率的な政府、あるいは小さい政府と言ってもいいんですが、先日、十月十三日の郵政特別委員会、参議院の郵政特別委員会で大臣は、今よりも小さい政府に持っていく必要があると、こう考えておりますと、こういうふうに御答弁をされているんですね。改めて、この小さい政府論に対しての大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 何が小さい政府なのか、あるいは今の日本の実態が小さな政府なのかどうか、いろんな議論がありまして、なかなかクリアカットな結論というのは難しいところがあると思うんです。この間も、日本は小さな政府なのかどうかと聞かれて、今より小さな政府に持っていくことが大事なんだというような御答弁をした記憶があるわけですが。  今、山口議員がおっしゃいましたように、これから人口減少が進んでいく。我々の世代といいましても、山口さんの方が若干私より、司法研修所では同期でしたけれども、山口さんの方が成績が良かったからスムーズに合格されて私の方がちょっと若干古い世代ですが、我々の世代よりもこれからの人口は当然減っていく。こういうことになりますと、政府も、どんどん人口が伸びていって税収もどんどんどんどん上がっていくぞというような時代の考え方で政府を維持していたらやっていけなくなるんだろうと、そのときの活力がなくなってしまうんだろうと。  もちろん、人口が減っていくことと小さな政府をすぐに結び付けるのは若干飛躍がありまして、その間もう少し詰めた議論をする必要がありますが、私はやっぱりこの人口が減ってくるというところに小さな効率的な政府をつくらなければならない最終的な根拠の一つがあるのではないかなと私自身は考えておりまして、人口減少社会の中でも活力が維持できるような効率的な簡素な政府をつくっていく必要があるのではないかと、こういう認識の下に御党と御一緒になって今、小泉政権を支えていると、こういうことでございます。  それで、こういう様々な改革の中で、取りわけ財政構造の改革というのは待ったなしの課題ではないかと思っております。もう何度も申し上げていることでありますが、二〇一〇年代初頭に基礎的財政収支を回復していこうということでいろんな努力をそこに傾注、そこに結び付けていきたいと考えているところでございます。

山口那津男公明党

○山口那津男君 そこで、この小さい政府、これを行政権の努力と、こういうふうに考えた場合に、既にいろんな角度で御努力をされてきていると思うんですね。思い付くだけでも、財務省としては予算執行調査というのを毎年度試みているわけですね。網羅的ではありませんけれども、やはり効率的な予算の執行を目指した努力だろうと思います。  それから、十八年度の概算要求に当たっては、この予算と執行実額との乖離、これをチェックされたわけですね。そうしましたら財務省自らも幾つか出てきて、三年間執行実績のない、そういう項目も出てきたわけであります。また、本来の予算とは異なる執行が行われてきた事業、これも財務省自ら公表されたわけですね。ですから、予算の査定の元締である財務省ですらこういうことがあるわけでありますから、ましていわんやその他の省庁においても数多くあるわけであります。こういうことが何で今ごろになって出てくるのかということ自体、私はその政府のチェックというのが甘いんだなということを実感せざるを得ないわけです。  まあそれはそれとして、そのほかにも今論議のテーマになっております特別会計の見直し、これも、一般会計を中心に財務省はチェックをされてこられたと思いますけれども、やっぱり特別会計、いろんな省庁が絡むものですから、どうしてもこれまでチェックが甘かったという部分もあって、これもまた見直し論議の対象になっているわけであります。  それから、政府のやってきたこと、これを、仕事をどこが担うのが一番ふさわしいかという意味で、民間に任せてもいいんじゃないかと、かどうかという意味で市場化テストという試みもこれからなされていこうとしているわけですね。  三位一体という議論も、これもまた国か地方かという意味での選択、振り分けの課題であろうかと思うんです。  そうした努力と並んでもう一つ、我が党が熱心に法案成立させました政策の評価に関する法律、十四年度から施行になっているわけでありますけれども、まだ三年しかたっておりませんけれども、これもある意味で各省の取る、政府の取る政策の有効性、必要性等々をチェックしていくという試みでありまして、最終的にはこの中から予算の削減、事業の廃止、こういうものに結び付いてくるものも出てきているわけですね。  それで、この政策評価のやり方というものはまだ途上にありますから、手法が全部完結されているわけでもありませんし、すべてがすべての事業を洗い出しているわけでもありませんし、またそれが予算の査定に結び付いているわけでもないんでありますが、しかし、今日は総務省においでいただきましたので、この政策評価の努力を総務省からごらんになって、これが予算の作成に活用されているかどうか、その実績をどうごらんになっているか、お述べいただきたいと思います。

福井良次総務省行政評価局長

○政府参考人(福井良次君) お答え申し上げます。  政策評価につきましては、今委員御指摘のように、平成十四年の四月に評価法が施行されました。これに基づきまして、各府省におきましては、毎年度約一万件の事前ないし事後の評価が実施されております。その結果は廃止を含めました政策の改善、見直しに反映されるなど、各府省において定着しつつあるものと当方としても認識しております。  ただ、一方におきましては、政策評価と予算、決算との連携の強化でありますとか、重要政策に関する評価の徹底でありますとか、あるいは評価の客観性の確保といった課題もまだあるというふうに認識しております。  目下、政策評価制度に関する見直しを進めておりまして、年内に基本方針の改定、新たなガイドラインの策定を行う予定でございます。  それから、予算との関係でもう一言申し上げれば、各府省におきます評価結果の予算要求等への反映状況でございますけれども、先日公表いたしました千三百十四件の評価結果が十八年度予算要求等に反映されておりまして、これも着実に取り組まれていると認識しているところでございます。

山口那津男公明党

○山口那津男君 一定の成果は上がっていると思うものの、総務省のお立場からすると、これは各省庁が自ら評価したもの、これを整理して客観性を確保する、その他の努力をするというお立場でありまして、その内容が国がやるにふさわしいかどうかとか、そういう観点ではやり切れない部分、つまり政策評価も一定の限界があると、こう思われるわけであります。  一方で、この基になる法律は、総務省が政策評価を整理せよということだけではなくて、予算の作成に政策評価の結果を活用するという主体は政府になっているわけですね。財務省でもなければ総務省でもありません。その意味で、財務省の側から見た場合に、政府としてこの予算作成に活用する、そういう取組がなされているとごらんになっているかどうか、この点どういうふうに認識されておられるでしょうか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 政策評価ですね。政策評価、委員がおっしゃったように平成十四年からなされているわけですが、これに注がれているエネルギーというのは私は相当なものがあると思っております。また、やっておられる総務省におかれましても、その手法についてはいろいろ工夫をしておられると思います。  ただ、現実に、率直に言って、どれだけ予算編成に生かされているかという点になりますと、必ずしもまだ十分にこなし切れていない面があるというのは私も事実だと思います。ですから、政策評価の手法についても今後更に吟味を重ねていただくとともに、我々としても、そこから何を引き出せるかということについては、我々の方の予算編成の技術と申しますか、方法といいますか、そういうものも高めていく必要があろうかと思っております。

山口那津男公明党

○山口那津男君 おっしゃるとおりで、政府としての全体の取組というのも十分になされておらないようでありますし、その活用もまだ改善の余地があるということだろうと思います。  そこで、去る九月三十日、衆議院の予算委員会で太田昭宏議員の質問に対して総理が、事業仕分についていろいろ御答弁されていることがあるんですね。この事業の仕分というのは、国がやっているあらゆる事業について、それが本当に国がやる必要があるかどうか、その要否というものをまず判断をして、それで、やるべきだという場合に、じゃだれが担うべきかと、場合によっては国ではなくて民間に任せた方がいい、あるいは地方に任せた方がいいと、そういう仕分をしていった上で、国がやらなければならない仕事を絞り出して、そこにどれだけの人が必要か、マンパワーが必要か、そしてさらに、その仕事と人を結び付けるとどれぐらいのお金が必要かと、こういう順序で国の仕事を洗いざらい検討しようという考え方であります。  既に地方自治体では、市町村レベル、都道府県レベルでもいろいろ試みがなされておりまして、一定の成果が出てきているわけですね。国と自治体は一緒にはできない、国はもっともっと違った観点での取組が必要だろうと思いますが、この事業の仕分という考え方そのものは妥当性を含んでいると私たちは思っておりますので、それで連立与党の重点政策にもこの文言が盛り込まれたというふうに私は思うわけです。  その九月三十日の総理の答弁におきましても、総理は、国の仕事というものを具体的に指摘しながら仕分をして、「できるだけ国の役割というものを、民間にできるんだったら民間に譲っていこう、地方にできるんだったら地方に譲っていこう、むだなものは省いていこうという成果を上げていきたいと思います。」というふうに結んでいらっしゃるわけですね。  これについて、その総理の答弁の後、十月六日に財務省の事務次官の記者会見で、ある新聞記者から、その事業の仕分についてどう考えますかと、こう問われまして、事務次官は、事業の仕分ですかと。余り反応が良くなかったんですね。恐らくは財務省がやっている査定の原点に通じる考え方だと思いますと、こうおっしゃられて、主計局から何も聞いていませんと、こういうやり取りだったわけであります。私はこれ聞いて、随分ちょっとピントがずれているなと、こうも思ったわけでありますが、また一方で、賢明な次官のことでありますから、やはり財務省という行政権の権限としてできること、また査定をする責任としてやれること、そういうことをよく、限界も使命も認識した上でとらえていかなければならないと、そういう深いいろいろな配慮からそういうやり取りがなされたのかなと、そうもそんたくするわけですね。  しかし、私はやはり、本当に国がやるべき仕事かどうか、あるいは民間に任せるべきか、あるいは地方に任せるべきか、やっぱりこういう最終的な判断、決断というのはこの政府の組織の中だけでは限界があると、こう思っているわけであります。この点について財務省としてはどうお考えになりますでしょうか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 事業の仕分という議論は御党のいろいろな御検討の中から出てきた提案だろうというふうに思っているわけでありますが、その方向性といいますのは、不要な仕事あるいは民間にできる仕事がないかどうかというのを厳しくチェックして歳出削減につなげようということであろうと思うんですが、それは、私ども財務省が取り組むべき仕事と方向はもう基本的に一致していると申し上げていいんじゃないかと思います。  実は私自身も省内の議論の中で、事業の仕分という言葉こそ使っておりませんでしたけれども、毎年毎年いろいろな制度改正も含んで予算査定をするわけでありますが、公と申しますか、公と申しますか、それに求めるべきものは何なのかということをもう一回厳しく考え方をチェックしなきゃいかぬということを今まで申してきておりました。  そういう中には、仕事の対象そのものも今までは安易に公なり公なりが担うべきものとされていたけれども、もう時代が変わってそうする必要はないじゃないかというものもあると思います。それから、依然として公益性が高くて、それは明らかに公の公益があると言えるけれども、それを担うのが官である必要があるのかどうかという問題もあると思います。民間セクターにおられる方が公の使命を担うということだってあっていいことだと思うんで、そういう観点から予算査定もやるようにというようなことは私どもも省内で議論をしてきたところでございます。  そこで、山口さんのお問い掛けは、結局大きな制度とか、そういうことになりますと、予算査定というような行政内の仕組みだけではなかなかうまくいかないことがあるんではないかと。事実大きな、もちろん、例えば税というようなものを申しましても、これは財務省の中で、もちろん主管でございますから一生懸命議論をしなければなりませんし、最善の結論をやっぱり用意するようにしなければいけませんけれども、こういったものは大きな政治的意思というものがなければなかなか進むものではないわけでございまして、要するに、今度はいろいろな歳出につながる制度というものも、やっぱり基幹的な大きな制度というものは単に行政だけで進んでいくというわけではないと思っております。やはり政治の意思、判断、決定、こういうものがあって進んでいくという面がありますので、ですから政官、政と官といいますか、政治と行政が車の両輪のように進めていくべきことが私はあるのではなかろうかなと思っております。

山口那津男公明党

○山口那津男君 そうだとしますと、今予算は毎年シーリング制度を取っているわけですね。これは量的に限度を設けてやると、これは一つの確立した手法、一定の意味を持っていると思います。それから、今公務員の数の削減ということも言われているわけですが、これも数値目標だけ決めて幾ら減らそうと、こういうやり方をしようとしているわけですね。でも、これはやっぱりいずれも上から数値目標をかぶせるというやり方だけでは限度があると思うんですね。特に公務員の場合には、やっぱりどの仕事を残すべきかということはまだ確定していないわけですから、それで何%と言っても成果は出ないと思うんですね。  政策金融改革について十月十三日に四人の議員の方、民間出身の議員の方が実現すべき姿というものを描いて、関係者からヒアリングをして、その後検討すべき事項ということで挙げていることがあるんですね。政策金融として残すもの、残さないものの仕分と、こう言っているわけです。そして、実現すべき姿に即した実施体制、そして具体的な改革工程の明示ということを言っているんですね。これは正に事業の仕分と与党が言ってきた、我々が言ってきたことと相通ずる考え方でありまして、やはり政府だけではなくて、与党あるいは立法府も含めた大掛かりな議論が必要だと、こう思うわけであります。  また、このシーリング制度というのは、三位一体の議論の中で一例を挙げて申しますと、やっぱり毎年シーリングがあるものですから、各省の側としては、シーリングのときに差し出す、つまり減らすものとして、大きな補助金というのは取っておきたい、手元に取っておきたいと、細かいものを差し出そうと、そうなりがちなんですね。そこでぶつかっているというテーマが幾つかあると思います、何省とは申しませんけれども。  ですから、このシーリングが万能であるわけではありませんで、やはりこの事業の仕分という方向性とともに進めていかないといけない、事業の仕分は大きな取組もしないといけないと、こう思うわけであります。この点について最後に財務大臣の御所見をお伺いいたします。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) シーリングというやり方の是非については昔からいろんな議論があるところでございます。  各省庁は各予算編成の段階で我々の主計局の主査と十分論争して、論争に堪えられるようなものを作ろうと思って努力をしておられることは私は事実だと思いますし、まずそれがなきゃいかぬと思います。  ただ、その上で、シーリングが必要か必要じゃないかということになりますと、今の財政の現実から見ますと、やはりシーリングというものがあって、そこでぎりぎりと、私は、孫悟空のあの頭の輪というようなことを言っているんですが、やっぱりこういうものがないとなかなか目指すところに落ちないということも事実でございます。  ただ、これでやると、やっぱり一律でいいのかとか、今おっしゃったような、何というんですか、大きな方向での制度改革というようなものに必ずしも踏み込まずに、出しやすいものを人身御供に出していくというような弊害がないとは言えないと思います。  ですから、委員のおっしゃるように、大きな政治の議論と、特に大きな制度であればあるほど両輪でなければできないことは明らかでありますが、予算編成の手法といたしましても、やっぱり単にシーリングで縛るというだけでは、不必要なものを淘汰して必要なものに有効に資金を流していくということに必ずしもいかない面があると。  そこで、この数年やっておりますことは、やはり要求段階では二割増しで要求をしていただく、ただし、査定はそのシーリングの枠内に落としていきますよということで、できるだけ二割増しの、かさ上げ部分と申しますか、そこを活用して、省内といいますか、その要求官庁側で不必要なものを淘汰して必要なものを入れ込むような仕組みをやってくださいということでやっているわけでございますけれども、もうちょっと、このめり張り付けの手法も予算編成の過程でうまく使っていただきたいなという気持ちも率直に言って私どもはございまして、私どもも予算編成の手法をリファインしていく必要があると思いますが、こういった仕組みを各省庁において活用していただきたいなと思っているわけでございます。

山口那津男公明党

○山口那津男君 これで終わります。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 大門でございます。  今日は、一般質疑とこの後の日銀報告を一つのテーマで質問したいと思います。  東アジア共同体、経済統合という意味の共同体ですけれども、その問題でございまして、この場の一般質疑では、共同体に向けた政治的なスタンスについて谷垣大臣にお聞きをして、後の日銀報告では、その具体的な取組について日銀と財務省の、これは政府参考人で結構でございます、当局の取組を聞きたいというふうに、二つに分けてといいますか、質問したいと思います。  東アジア共同体というのは、お手元に資料を配付いたしましたけれども、いろんな経過があって進んでまいりました。特に、九七年のアジア通貨危機の後、結束が強まったといいますか、いろんな構想が出て、日本もかかわってきております。経済協力、金融支援というところで、あるいはFTA等々の自由貿易圏をつくっていこうという流れの中でいろいろ進んできているというところだと思います。とうとう今度の、今年の十二月の十四日に初めて東アジア・サミットが開催されると、ここまでこぎ着けてきている大事な取組だと思います。  私は、この東アジア共同体というのは、この地域で二度と戦争を起こしてはいけないというふうな気持ちと、やはり経済的に密接に連携している国というのはかつて戦争を起こした例はまずないという点でも、この東アジア共同体、経済統合に向けた動きというのは注目してまいりましたし、今年、中国に行ったときも、そういうことを関心持って質問でも取り上げてきたところでございます。  また、今年は、小泉総理が初めて所信表明の中で、一月二十日ですね、東アジア共同体の構築を目標として宣言をされると。これは日本政府としては初めてのことでございます。積極的な役割を果たしていきたいということも総理が言われて、画期的な表明をされたというふうに、私は大変評価をしていたところです。  ところが、どうしても触れなきゃいけないんですけれども、よりによって、十一月にAPEC、十二月に、今申し上げた初めての東アジア・サミットが開かれるというような前に、総理が靖国神社を参拝されるというようなことが起きました。  今日は靖国神社そのものの議論に入り込むつもりはございません。何が、どういう影響が起きていくのかという点で、特にアジアとの経済関係に対して心配する声がいろいろ上がっておりますし、この東アジア共同体について言っても、中心は日中韓がイニシアを取らなければ進まないのは分かっているわけですから、進展が危ぶまれると。例えば、この東アジア・サミットの中で首脳会談が開かれるかもしれないという話がありましたけれども、それもどうなるか分からなくなってきたというふうな状況だと思います。  私、常識的に考えて、総理が所信表明で初めて東アジア共同体の構築を目標にすると宣言をされたということとこの靖国神社参拝というのは、全く支離滅裂といいますか、全然常識外、何を考えてこんなことになったのかと思いますが、谷垣大臣はいかがとらえておられますか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 東アジア共同体の構築ということにつきましては、私も、我が国が目指さなければならない大きな方向であるというふうに思っております。  そして、委員が資料をおまとめになりましたけれども、私自身、この九八年の新宮澤構想が出た当時、ちょうどアジア通貨危機が起こったときでございますが、あの当時は宮澤大臣の下で政務次官をしておりまして、IMF・世銀総会等にも出て、当時の雰囲気も若干経験をいたしました。  それから何年かたちまして今の仕事に戻ってまいりまして、さっきおっしゃったASEANプラス3、ASEANに日中韓ですね、こういうような会議も相当何度も出席をしてまいりまして、当時に比べると、経済連携、それから金融面、それから国境を越える問題等々について随分議論が進んできたなと思っているところでございまして、何というんでしょうか、あのアジア金融危機の教訓をやっぱりよく受け止めて、新しい秩序をつくっていこうという機運はこの地域に非常に大きくあると思っておりまして、東アジア共同体をつくっていくという方向は財務省としての大きな課題でありますとともに、政治家として私も必要な方向であると、このように考えているところでございます。  そして、今、靖国についておっしゃいましたので、これについては余り議論に入らないということでございました。  総理は私的参拝だと、私自身、総理から直接お伺いしましたのは、一国民として心を込めて参拝をしたということでございまして、やはり、総理は公人でいらっしゃいますけれども、私的な行為をする自由もお持ちではないかというふうに思っておりまして、そうである以上、余りそのことを大きくフレームアップする必要はないのではないかと思っております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 議論に入り込まないというのは、靖国問題そのものに入り込まないという意味で、ただ、この経済に関して言いますと、大変この問題で心配をされているところでございます。  私は、総理が、私的といいますか心の中で何を考えておられるということは全く興味がございません、別に理解する義理もありませんし。問題は、政治家ですから結果責任ですよね。それによって何がもたらすかという結果責任の問題で非常に危惧をしているところでございます。  ちなみに聞いてみたいんですけれども、谷垣大臣は総理になられたら靖国神社参拝はされますか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 総理になったわけでもありませんので、余り僣越なことは、私は控え目でございますので今まで申し上げないでまいりました。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 私は、答えられないというのが非常に正常だと思うんですよね。  何といいますか、総理になっても、何が何でも、やりが降ろうが鉄砲が降ろうが弾飛んでこようが参拝しますという方が本当にちょっと尋常じゃない話になっていると思いますので、なったときには正常な判断をしていただきたいと申し上げておきます。  一つ申し上げておきますけれども、この東アジア共同体との関係でいきますと、東アジア共同体という言葉、これ、中国語と韓国語でいきますと東亜共同体と言うんですね。かつて日本が、戦中ですか、提案したのが、朝鮮を併合して満州国を建国して、シナといいますか中国に対して提案したのが同じ名前の東亜協同体なんです、協同の協が違いますけれども。それが、中国側が拒否したものですから、その後、東亜新秩序と、で、東南アジアに戦争を始めて大東亜共栄圏と、こう発展していったわけですよね。その大東亜共栄圏の思想を今でも間違ってないと宣伝しているのが靖国神社でありますし、大東亜共栄圏というのは地理的に言うとこの東アジア共同体とほぼ一致するわけですよね。  そういうこともよく考えて、この東アジア共同体問題、何といいますか、そういう過去の忌まわしいイメージを相当払拭した上でないとこういうことは東アジアの中では進まないという歴史的な背景とかそういう認識を持たないで、簡単に進めなきゃと言いながら靖国参拝をするというのは本当に、何といいますか、良識に欠けている話だというふうに思いますので、機会があれば諭していただきたいというふうに思います。  東アジア共同体そのものの話をしていきたいと思いますけれども、今ございましたとおり、いろいろ機運が高まってきておりますね。どっちかというとデファクトといいますか、事実が先行してきたという経過はありますけれども、私はここまで機運が高まってきたこの根底には、まだいろんなものがあるというふうに思っております。  谷垣大臣は、ここまでどうしてこう機運が高まってきたかという点で何かお感じのことあれば、聞かせていただきたいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 一つは、先ほど申し上げましたように、アジア金融危機のやはりダメージというのはこのアジア地域にとって大きかったわけですから、やはりあのときにみんなでいろいろ共同しながら乗り越えていく方法について議論が深まってきた、やはりその流れを推し進めるべきだという、共通の理解と言って私はいいと思うんですけれども、この地域にあるだろうと思います。  それからもう一つは、やはり私ども、今G7というようなことで財務大臣同士あるいは中央銀行総裁も含めて議論をしているわけでございますが、G7はいわゆる先進国経済でございますけれども、なかなかそれだけでは、例えば人民元をどうするかというような問題をG7だけで議論しても結論が出るわけではありません。ということは、やはりそれだけ経済の広がりが、あるいは結び付きがこの地域についても現実的に進行している、こういうことがあるのではないかと思っておりまして、こういったことが、今委員のお言葉で言うと事実が先行してきたとおっしゃいましたけれども、いろいろな事実上連携が進んできたという背景にあるんではないかと思っております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 私は、九七年の通貨危機のことから思いますと、何といいますか、アメリカ、この東アジア共同体というのはASEANの諸国はアメリカを抜いてやろうというのが今のところ多数派でございまして、その原因は、APECありましたけれども、APECでは駄目だったという九七年のアジア危機の教訓があると。なおかつ、あのときにマレーシアのマハティールさんなんかは、特に思い込みなのか確信なのか分かりませんけれども、あのときの通貨危機というのはアメリカの金融資本とIMFが結託してやったんだというふうな不信感も確かにありますし、その後のIMFプログラムが非常に受けが悪かったということもあって、そして加えて言うならば、ドルとの関係がありますね。とにかくドルに依存して、米国債買って、そのお金がアメリカにまた還流されていると、ドルはいつ暴落するか分からないと。だから、ドルとの関係を距離を置きたいといいますか、ドル暴落を回避したいと、様々なアメリカとかドルとの関係も、ドル依存から脱却したいという関係も加えて強くあるんではないかと、そういうことも各政府が発言をしております。  私、面白いなと思ったのは、外務省の田中均審議官、退官されましたですけれども、例の平壌宣言まとめられた方ですけれども、東アジア共同体の必要性を三点にわたって指摘されております。  一つは、日本の中長期的な国益にかなうということと、中国と協力していくシステムをつくる必要があると。これが東アジア共同体の中で発展することが必要だと。  もう一つ面白いなと思ったのは、今いろいろナショナリズム問題が起こっております。中国でも日本でもそうですね。こういう標的がないナショナリズム、非常に不健全なナショナリズム、こういうものを抑える、抑えていくといいますか、健全に発展させるためにも東アジア共同体というのは一つの重要な運動なんだというふうに田中均さんが言われておりまして、これは私も同感でございます。  そういう中で、今、日本政府のスタンスが、私いろいろ聞いてみると、もう一つよく分からないといいますか、中途半端ではないかなと思う点がありますので、お聞きしたいのは、さっき申し上げたアメリカとの関係なんですけれども、アメリカはアーミテージさんが四月に朝日新聞とのインタビューで東アジア共同体についてこういうふうに言っています。要するに、東アジア共同体というのは問題だと、誤りだと、そういう方向が出ること自体懸念しているということをおっしゃっています。ですから、アメリカ抜きの東アジア共同体に対して非常に懸念を示しておられるわけですね。  先ほど言いましたとおり、ASEAN諸国はアメリカとの関係を一定距離は置きたいと思っておりますので、なかなかアメリカを入れてというふうにはならない。これはいろいろ日本が間に立ってせめぎ合いがあったわけですが、なってないわけでございます。  日本の立場としては、このアメリカとの関係も大事にしなきゃいけないと、ASEAN、東アジア共同体で中国がイニシアを取り始めていますから、中国に余りイニシアも取られたくないと、なおかつアメリカの顔色もうかがわなきゃいけないと、こういう点で非常に中途半端な対応になってきているんではないかと。  特に私思いましたのは、二〇〇二年ですかね、小泉総理がシンガポールでコミュニケ案を提唱されていますけれども、ここにASEANプラス3だけではなくてオーストラリアとニュージーランドも入れるべきだという提案をされて、これは見事にASEAN諸国から支持を得られなかったわけです。ただ、今度アジア・サミットには入ってきますけれども。つまり、日本は何とかAPECレベル、できればアメリカもオブザーバー参加さしていくような、そういうことを考えていると、ASEANプラス3はそういうことを考えてないと、日本はアメリカを見てそういうことを考えていると、中国はASEANを大事にしてイニシアを取っていこうとしているという中で、日本はどうもアメリカとASEANの両にらみで、スタンスが非常に中途半端な気がいたします。この辺はどういうふうにとらえておられますか。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、大門委員のおっしゃったことが一つポイントであろうと思います。  ただ私は、大門委員が日本が中途半端だとおっしゃったのは、必ずしもそういうふうには思っておりませんで、私は、日本の国際関係を考えますときに常にありますのが、一つは太平洋を挟んだアメリカとの関係であり、もう一つは、これはもちろん中国だけではありませんけれども、ASEANも含んだアジアとの関係をどうしていくかという問題を日本は常に持っているわけでありまして、一方だけに偏すればいいというふうには私は思っておりません。  ですから、東アジアの例えば金融面、経済面の協力につきましても、委員がおっしゃいましたように、かつてのアジア金融危機のときのIMFの対応というようなものに対しまして、率直に言ってアジアの中にある意味での違和感といいますか、そういうものがあったことも事実でございます。ですから、IMFとか、これはIMFとアメリカはもちろん違うわけですが、IMFとかアジアだけでひとつ解決をしたいという機運があったことも、委員の御指摘がございましたけれども、そういう面があったと思います。  ただ私は、そういう方法だけで必ずしも問題がうまく解決していくかという点については疑問に思っておりまして、IMFの専務理事は今スペインからお出になったデ・ラトさんですが、あの方が就任直後日本においでになりましたときも、委員がおっしゃったようなアジアではIMFに対して何となく違和感と申しますか、すんなり溶け込めない雰囲気があるということをよく意識してほしいと、アジアとの対話ということに意を用いてほしいということをデ・ラトさんには申し上げて、それで九月にシンガポールでIMFはアジアとの対話セミナーというのを開きました。  私も、本来であれば出席してそういう今申し上げたような問題意識から発言したかったんですが、たまたま選挙と重なりましたので、残念ながら伺えませんでしたけれども。やはりアジアで経済金融秩序をどうつくっていくかというときに、一方で太平洋を挟んだ、APEC並みとおっしゃいましたけれども、アジア太平洋という視点をどうしていくかということがどうしても必要、特にそういう場合にはアメリカとの関係、特に世界の経済のインバランスというものを考えましたときに、やはり今、経常収支国、アジアでは日本も経常収支国でございますけれども、大きな経常収支国であり、しかも巨大な外貨準備も恐らく、余り予想ばっかり言ってはいけませんが、恐らく日本を追い抜くぐらい外貨準備もたまっていると。要するに、インバランスという場合、アメリカと中国の関係がいい関係だと、極端に言えばそう言ってもいいぐらいでございますから、やはり米中双方をにらまないとなかなかこの辺は解決できないという問題があろうかと思っております。  したがいまして、アジアでいろいろ議論を進めていくことももちろん大事でございますが、複眼的にそこは考える必要があるのではないかと私は思っております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 間もなく時間ですので、申し上げたいのは、私も、アジアかアメリカか二者択一ではなくて、ただ、どうしてもアメリカ一辺倒的な、アメリカの方に顔色をうかがうようなことが続いておりますし、中曽根元総理は、中曽根元総理というのは東アジア共同体評議会の責任者ですね、日本側の窓口の責任者ですけれども、こんなことをおっしゃっているんですね。要するに、憲法を変えて、平成憲法と東アジア経済協力機構と日米安保条約と、こういうものがミックスされた日本が二十一世紀に出現するということを言われているわけですけれども、これ、まともに中国や東南アジア諸国に伝わりますと、日本はそんなことを考えているのかという強い批判を浴びるようなことだと私は思います。  いずれにせよ、軸足を、どちらかということは言いませんが、軸足をアメリカ一辺倒からもう少しアジアに移して考えていかないと、東アジア共同体は難しいんではないかというふうに思います。  具体的なことは次の日銀報告のときにお聞きしたいと思います。  ありがとうございました。終わります。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 無所属の糸数慶子です。よろしくお願いいたします。  まず、谷垣大臣にお伺いいたしますが、去る十月の十五日、そして十六日に、北京におきまして二十か国財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されました。ここでは原油高の問題が討論されましたが、そこで発表されました共同声明のその一文を引用いたしますと、その中では、長引く石油価格の高騰とそれから不安定化がインフレ圧力を高め、成長を減速させ、世界経済を不安定化させる要因となることを懸念。これらの問題に対する協力を強化することに合意するとともに、投資、生産、精製能力の拡大及び適切なフォーラムを通じた石油供給者と消費者の間の対話の促進の必要性を強調と述べられていますが、谷垣大臣はその原油価格の高騰の日本経済への影響はどの程度あるとお考えか、まずお伺いしたいと思います。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、糸数委員が引用されましたように、G20の会合でもこの石油価格の高騰は非常に大きな関心事でございまして、全体的な世界経済は過去にないほど順調になってきているんだけれども、ここが一番のリスク要因であると。それで、そのためにしなければならないということを大体五項目ほど合意をしたわけでございますけれども、エネルギー効率の向上であるとか、あるいは生産、それから運輸ですね、それから精製、こういったところにもう少しやはり投資を持っていく必要があると、いろんな意味で合意ができたわけでございます。  そこで、日本経済に与える影響がどういうことかということでございますが、私どもの頭にはどうしても過去のオイルショックのときの比較というものが、忘れるわけにいかないんでどうしても比較してしまうんですが、あの当時と比較いたしますと、日本もエネルギー効率の向上というものに非常に努めてまいりましたし、また特に、当時と比べますと、ドル・円関係で円が非常に当時より強くなってきているということもございまして、あのときに比べますと日本経済に与える影響は私は限定的だろうと思っております。  しかし、現実に私どもあっちこっちへ参りまして、例えば漁業関係の方であるとか、それから運輸関係のお仕事の方々等々、原油価格の高騰が非常に重荷になりつつあるだろうというふうに思っておりますし、今後また寒くなってまいりますと、暖房等々の関係もあるいはあるのかもしれません。ですから、こういったことが企業収益やあるいは個人消費へ影響を与えていく。  それから、さらにもう一つ、日本にとりましてよく見ておかなければなりませんことは、要するに、世界経済の中でやはり非常に好調なところあるいは弱いところいろいろありますが、こういう原油価格が高騰してまいりますと、やっぱり弱いところに相当しわ寄せが出てくるおそれがございまして、そういうところが非常に経済的にあるいは大きなダメージを受けますと、それがまた翻って波及していくと。この辺りも十分に注意をして見ておかなければならないことかなと思っております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、在日米軍の再編問題についてお伺いいたします。  実は、明日、十月二十一日は十年前の九五年一〇・二一県民総決起大会から十年目を迎える日になっております。沖縄県民にとって、やはり何といいましても、今、在日米軍再編に関するその最大な関心事は、普天間飛行場の返還とそれに伴う米海兵隊の国外若しくは県外への移転、それと辺野古沖への新たな基地建設の問題があります。  私、さきの第百六十二通常国会におきまして、この財政金融委員会の場で小泉首相に対して質問いたしました。  辺野古沖への新たな基地建設の問題を問いただしましたが、総理の答弁は、環境問題に憂慮を示し、現行のその辺野古沖への基地建設の見直しを示唆いたしました。特に小泉首相が強調されましたのは沖縄の過重な基地負担でありましたが、その過重な基地負担をどのようにしたら軽減できるのか。もちろん、在日米軍の抑止力の維持にも触れられましたが、しかし小泉首相の論旨は、沖縄の過重な基地負担の軽減にありました。  その首相答弁を受けるようにして、外務や防衛の関係閣僚も負担軽減を重視する発言を続けましたが、ところが、今年の八月の米連邦議会海外基地見直し委員会の最終報告以降、状況が変化してまいりました。この見直し委員会の最終報告は、在沖米軍の戦略的重要性を強調し、在沖米軍は削減すべきではなく、普天間飛行場の機能は嘉手納空軍基地か岩国基地に統合し、他の海兵隊は沖縄に残すべきだと、そのように提言をしております。この最終報告を契機にし、日米の在日米軍再編に関する協議は、沖縄の基地負担の軽減を軽んじて、日米同盟の強化、日米安保の堅持、抑止力の維持にその比重を置いています。この間、普天間飛行場の所属ヘリが昨年の八月の十三日に沖縄国際大学の構内に墜落するという重大事故が発生したにもかかわらず、抑止力の維持が重点的に論議されている、そういう状況にあります。  また、それ以降、今年の、今月ですね、十月末を目途とする在日米軍の再編に関する中間報告の取りまとめにおきましても、全く沖縄県民の意思を無視し、辺野古での新たな基地建設が協議されようとしています。この再編協議の中で明らかになったことは、沖縄での新たな基地建設は過重な基地負担の軽減につながらない、そういうことばかりであります。米軍基地の再編強化になりかねないこの状況に対して、沖縄県民は怒っております。県民のその負担軽減への期待は常に県内移設という基地の県内たらい回しの論議に振り回されておりますが、政府は真剣に国外や県外への基地移設を視野に入れているのか、甚だ疑問であります。  そこで、まずお伺いいたしますが、沖縄の過重な基地負担の軽減とはどのような内容なのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

徳地秀士防衛庁長官官房審議官

○政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。  沖縄には全国の米軍専用施設・区域の約七五%が集中をしていて、我が国の平和と安全のために沖縄県の方々に様々な御負担をお掛けしているということは我々も十分認識をしております。  沖縄の米軍基地の在り方につきましては、こうした沖縄県の方々の御負担を軽減することが望ましいという観点から、沖縄県から伺った要望も踏まえつつ、日米両国政府が最大限の努力を払った結果として取りまとめられましたSACOの最終報告を着実に実現することが最も確実な道であると考えておりまして、その実現に最大限の努力をしているところでございます。  御指摘の在日米軍の兵力構成見直しにつきましては、在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を含む地元の負担の軽減を図るという観点からやっておるわけでございまして、このことは、今年の二月十九日に取りまとめられました日米安全保障協議委員会の共同発表においてもこのような方針を明らかにしておるところでございますが、いずれにいたしましても、様々な、種々の具体的なアイデアにつきまして今現在検討をしているところでございます。  その個別の施設・区域につきまして、米側との協議の内容ということにかかわる話につきましては、現在協議中の問題でもございますし、それからまた米国との関係もございますので、具体的に申し上げられる段階にないということを御理解いただきたいと思います。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 今、日本の国の平和と安全のためにということで、沖縄の方の基地を戦後六十年ずっと日本は置いてきたわけですが、ところが今、沖縄の県民の世論調査、今年の八月になされましたけれども、特に沖縄の今問題になっております普天間飛行場を閉鎖するための辺野古移設、これ、先ほど私申し上げましたが、抑止力を維持するためになぜ県内移設ありきというふうに政府はこれまでずっとこの基地問題、検討してきたのか。県民の思いが全く伝わらないというのは、辺野古移設反対が今県民の八二%と圧倒的多数な数字になっております。その理由は、基地の削減につながらない、これが四八%、それから自然を破壊する、これが三一%ということで、最も注目すべき即時全面撤去というのが実は前回の調査よりほぼ倍になっておりまして二四%。これがその八二%の内訳になっておりますが、なぜこの県内の移設ありきで負担の軽減になるのか、甚だ疑問でございます。  次にお伺いいたしますのは、日米両政府は、キャンプ・シュワブへの移設に向けて、ただいま陸上案とかそれから沿岸部案などを検討するために十月十六日から現地調査に入っていると報じられておりますが、調査メンバーや調査期間、そして調査の具体的な内容をお示しいただきたいと思います。

徳地秀士防衛庁長官官房審議官

○政府参考人(徳地秀士君) お答えをいたします。  普天間の代替施設の在り方につきましては、一日も早く普天間飛行場の移設、返還を実現したいという考え方に基づきまして、様々なアイデアについて検討をしているところでございます。この検討の一環といたしまして、日米間で合意し得る最善の案を見いだすべく、日米間で協力をして、適宜現地の状況把握に努めているということは事実でございます。  しかしながら、この現地の状況把握を含めまして、検討の具体的な内容につきましては、無用の誤解を招くおそれもなしといたしませんので、その検討の円滑な進捗を確保するという観点からお答えを差し控えさしていただきたいと考えております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 今、明確なお答えをいただけませんでしたが、しかしいろんな報道やあらゆる動きを通して伝えられていることは、辺野古沖の縮小案とそれからキャンプ・シュワブの陸上案との折衷案とされているキャンプ・シュワブの沿岸部案というのも浮上しておりますが、ジュゴンが生息する辺野古海域への環境問題をクリアできるのか、そしてさらに、飛行コースによる付近住民への騒音問題をクリアできるのか、現時点での見解で結構でございますから、お伺いしたいと思います。

徳地秀士防衛庁長官官房審議官

○政府参考人(徳地秀士君) 普天間飛行場の問題につきましては、この飛行場が市街地にあることもございまして、一日も早く周辺住民の方々の不安を解消したいというふうに考えております。SACO最終報告、平成十一年の閣議決定などに基づきまして、政府として代替施設の着実な建設に向け取り組んできたところでございます。  代替施設の建設に要する期間につきまして、環境影響評価に少なくとも三年程度、それから着工から完成までの工期につきまして約九・五年を要すると見積もられる上、そのプロセスが必ずしも円滑に進んでいないということから、一日も早く普天間飛行場の移設と返還を実現したいという考え方に基づきまして、現在様々なアイデアについて検討をしているところでございます。現計画を含めまして、それぞれのアイデアにメリット、デメリットがありまして、現在、日本とアメリカとの間でより適切な方向を見いだすべく集中的に検討を実施しているところでございます。  なお、それぞれの案の内容、それからアメリカとの協議の内容等につきましては、先ほども申し上げましたとおり、現在協議中の事案でもございますので、アメリカとの関係もあり、お答えを差し控えさしていただきたいと思います。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 昨日の党首討論で、小泉首相は民主党前原代表に対して、この基地問題、十年近くたっても、特に普天間の基地問題、先ほどSACO合意に基づいてとおっしゃっておりましたが、動かないというその現状に対しまして、移設問題は、その責任はすべて私にあるというふうに総理は決着を図る決意を示していらっしゃいます。  是非とも、この沖縄県民の願いを受け止めていただきまして、この基地問題、本当に普天間の基地を、県内移設ありきという形ではなくて、県民の思いを受け止めて、国外あるいは県外への移設も併せて是非御検討いただいて、日米両政府の決着が沖縄の基地負担に具体的につながるような内容にしていただくことを心からお願いを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。  次に、都市型戦闘訓練施設についてでありますが、沖縄県金武町のキャンプ・ハンセン内の米陸軍複合射撃訓練場、これは通称都市型戦闘訓練施設でございますが、そこについてお伺いいたします。  この都市型戦闘訓練施設については、今年の九月の日米合同委員会において、現在のレンジ4から、レンジ16に近接する既存のレンジへの移転が、移設が合意されました。これは、沖縄県や金武町、それからレンジ4に隣接する金武町伊芸区民の当初からの建設反対運動、そして訓練阻止への取組の成果であると受け止めております。  ところが、このような建設反対運動や取組に水を差すような事実が今月に入って報じられました。何と、このレンジ4での都市型戦闘訓練の建設に関しまして、公式発表の十か月前の二〇〇三年の一月に、既に防衛施設庁は非公式ながら沖縄県に事前説明をしたという内容の報道でありましたが、沖縄県はこの事前説明を認めながらも、明確な建設場所は示されなかったとし、黙認の立場を取ったわけではないというふうに答えています。しかし、この問題は、日本政府側と沖縄県側との信頼関係を損ねて、米軍基地建設や施設の強化等に反対する県民の意思をそぐ極めて重大な問題をはらんでいます。  そこでお伺いいたしますが、まず防衛施設庁側の事前説明はいつ、どこで、だれとだれが話し合い、どのような内容であったのか、明らかにしていただきたい。この事前説明の時点で、沖縄県の方からレンジ4での都市型戦闘訓練施設の建設を了解するような発言がなされたのかどうか、併せてお尋ねいたします。

戸田量弘防衛施設庁施設部長

○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  金武町キャンプ・ハンセン内、レンジ4の米陸軍都市型戦闘訓練施設の件でございます。私ども、本件につきましては、十五年十一月に米側からの連絡を受けまして公表をさせていただいたところでございます。このときは、先生御案内のように、レンジ4に建設するということでございました。  この本件問題につきましては、それよりも二年半程度さかのぼります平成十三年十二月、また平成十四年一月の時点におきまして、沖縄の米陸軍の方から、海兵隊のキャンプ・ハンセンの演習場の中に、三百八十万ドルの予算によりまして既存の訓練施設の損耗に伴う代替施設を建設する旨、報道機関に対して公表しておりました。当時から、例えば恩納村議会におきましては建設に反対する旨の意見書の採決がなされたところでございます。  政府、こういった状況あるいは報道を受けまして、平成十四年、二〇〇二年二月でございますが、米側に対しまして、建設計画につきましての具体的な内容を照会していたところでございます。この回答は平成十五年十一月にございましたので、公表させていただいたところでございます。  そこで、お尋ねの地元への説明状況でございます。私ども、基地の安定的使用という役割を担っております。そういった観点から、沖縄県あるいは金武町とは常日ごろから様々な意見交換を行ってきておるところでございます。お尋ねのキャンプ・ハンセン、本件訓練場の建設計画、これにつきましては平成十三年十二月に米軍が既に建設計画を公表しておりましたので、それ以降様々な意見交換を行ってきたところでございます。その内容につきましては、ここでお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 今、米側からの説明があったということですが、先ほど私も申し上げましたように、このレンジ4の取扱いについてでございますが、これ、日本政府の予算でレンジ16に近接する既存のレンジに代替施設が完成すれば、当然のようにレンジ4の施設は日本政府に返還されると考えられますが、日米間でどのような取決めになっているのか、最後にお伺いしたいと思います。

戸田量弘防衛施設庁施設部長

○政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  米側によりますと、レンジ16に近接する既存レンジに本件訓練の実施場所が移転された後のレンジ4におきましては、この複合射撃訓練場の施設を使用した実弾射撃訓練は実施しないと聞いております。また、この代替施設完成後のレンジ4の複合射撃訓練場の施設の取扱いにつきましては、現時点においては何ら決定されていないと承知しております。なお、同施設の取扱いにつきましては、引き続き米側と話し合っていきたいと考えているところでございます。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 先ほど御答弁の中に基地の安定的使用ということをおっしゃって、地元とも話合いをされているということですが、実際にはこの問題に関しましては、地元の伊芸区民を中心として、一年以上も長い時間を掛けて地元の方々は命に本当にかかわりのある状況で訓練が行われる、例えば住民地域に近接している、高速道路が近くを走っているという状況の中で基地の安定的使用というのは、こういう状況では甚だ答弁に対しても疑問が残ります。  実際には、地元の皆さんの気持ちの中には、全く住民地域に関係のないところでの演習ならば仕方がないという結論を出しているところでありますし、ましてや、そのレンジ4は取扱いといたしましては、是非とも、使用されないという状況であれば取壊しをしていただくという方向で米側との交渉を続けていただくことを是非とも要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) 次に、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 まず、日銀総裁にお伺いします。  総裁は阪神の熱烈なファンだとお聞きしております。パ・リーグのプレーオフも終わりまして、日本シリーズの相手も決まりまして、また新たに気持ちが高ぶられているところじゃないかと思うんですけれども、今阪神電鉄の株が買い占められておりまして、その買い占めておられる村上ファンドさんの方がファンの方に聞いてみたいと。今日は、一ファンの福井総裁ということでお答えいただきたいんですけれども、阪神球団を上場させるというこのアイデア、総裁はいかが評価されますか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 日本銀行の福井でございます。  今日は日銀の半期報を御審議いただくことになっておりまして、ひとつよろしくどうぞお願いを申し上げます。  早速お尋ねがございまして、阪神という会社の株はどうかと、こういうお話でございますが、野球ファンとしてはいろんな感想を山ほど持っているんでございますが、今日は日銀総裁としての答弁ということでございますので、どうしてもこれは、特定企業が自分の会社の株を上場するかどうかといった正に経営問題そのものでございます。私の立場からはやはりどうしてもお答えをすることができない問題ではないかと。誠に申し訳なく、かつ本当は残念でございますけれども、お答えを差し控えさせていただければというふうに思っております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 私は個人的にはこの上場案には反対なんですね。なぜかといいますと、今の上場という、株式市場見てみますと、上場させるという意味が大分変わってきていると思うんですね。昔は、株式を上場させるということは企業の格を上げるとか、その人材獲得を容易にさせるとか、そういう副次効果を評価して、持ち合いがあった時代は上場していたわけですけれども、今非常に株主のプレッシャーも大きくなりましたし、裁定取引に近いような形で買い占める投資顧問業者の方も増えましたので、上場というのはキャッシュフローを常に成長させるというプレッシャーを与えられる、その場所にほうり投げるということですので、阪神ファンから常に金をむしり取っていかなきゃいけないというようなモデルに変えなきゃいけないという意味もあると思いますので、いかがなものかと思います。  ただ、阪神の問題は実は他人事ではない可能性もあるわけですね。と申しますのも、最近、この一週間、日銀の株がジャスダックに公開されているんですけれども、急騰しております。株が急に上がっているわけですね、日銀株というのが。今、どんな会社がねらわれているかというと、キャッシュリッチな会社がねらわれているんですね。日銀というのは究極のキャッシュリッチ、現金をたくさん持たれている会社。もし村上ファンドのようなアクティビストが、日銀は輪転機という資産の使い方が間違っていると、これを正していかねばならないと、資産の有効活用が不十分だというようなことを言って買占めをしてくる、プレッシャーを掛けてくる、こういう可能性がないわけではないんですが、防衛策はしっかりできているんでしょうか。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) ただいま日本銀行の出資証券についてのお尋ねをいただきましたが、日本銀行の出資証券というのは若干一般企業の株式とは異なった性格を持っておりまして、一つには、出資者の方の経営参加権が認められておりません。それから、残余財産の分配請求権も払込資本金額等の範囲内に限定されているということもございます。また、配当も年五%以内に制限されていると、こういうようなことで一般の企業の株式とは性格を異にしておるものでございます。したがいまして、その価格の在り方につきましても、ほかの株価と同様の考え方で考えることは必ずしもできないのではないかと思っております。  そういうことでございますので、御指摘いただきましたような買占めについての防衛策云々ということでございますが、日本銀行の場合は出資者に経営参加権が認められていないということでございますので、この面で特に問題になることはないのではないかと、かように思っております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 じゃ、大丈夫だということで。  株が何で急騰しているんでしょうね。この辺りはどう分析されていますか。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) 私どもの立場で、株式の取引がどのようになっているのかというようなことは必ずしも明らかではございません。何分にも日本銀行の株式といいますか出資証券というのは全体として必ずしも多くございませんので、いろいろなことで比較的値動きが大きく動くというようなこともある、こういうようなことではないかと存じております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 ちょっと、がらっと話題を変えまして、郵政民営化の関連法案が成立いたしました。これから制度設計をいかにしていくか、準備会社の構成とか人事とか、国債管理をどの程度やっていって、残りの運用資産がどれぐらいになって、それをどういうふうに運用するかということによってかなりシナリオは変わってくるんでしょうが、やはり金融市場や金融政策に与える影響は少なくないと思います。  この郵政民営化、何年かたって、中長期的なスパンで結構なんですが、これが金利や株式、不動産も含めた金融市場にどのようにインパクトを与え、日銀の金融政策にどのような影響を与えてくるのか、いろいろそのシナリオを想定されていると思うんですが、その辺りの見解をお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 御指摘のとおり、これから将来に向かって非常に重要な問題だというふうに私どもも認識をいたしております。  日本経済がこれから将来にわたって本当に健全でかつダイナミックな発展を遂げていくためには、民間部門だけでなくて公的部門においての改革が更に進んで、国民のお金が市場メカニズムの下で生き生きと流れ、かつ活用されていく、効率的な資金、資源の配分とか、生産性の高い経済の実現にそれがつながっていくということが一番大事な点だと思っています。郵政の民営化、これはそうした観点に立ちました場合に、今後、公的部門の改革を進めていく上の重要な出発点になるものだというふうに認識をいたしております。  郵政の民営化は、特に郵便貯金とか簡保とかいったお金の面からいきまして、金融市場とか金融システムに様々な形で影響を及ぼしてくるというふうに考えられます。今申し上げましたような観点からいきますと、特に資金の流れにどういう変化が生じてくるかという点がポイントだろうというふうに思います。  少し具体的に生じ得る変化というふうなものを想像してみますと、郵貯あるいは簡保の民営化による業務範囲とか規模の変化というものに伴いまして郵貯や簡保の運用姿勢が変わる可能性がある、これ今委員御指摘のとおりでございます。それだけではなくて、郵貯や簡保が民営化されることで、貯金者あるいは保険契約者など広く一般の人々の金融資産選択の在り方がやはり変わっていく可能性が強いというふうに思っています。これが民間金融機関の今後の業務展開に強く影響を及ぼしていくだろう、あるいは民間の金融機関はそれを前提に新しい業務展開を積極的に行っていくであろうというふうに考えられます。  このように、郵政の民営化は経済全体として資金の流れに大きな影響を及ぼす。どちらかといえば、より資金が有効に効率的に生かされる方向に流れを、変化を示していくであろうと思われます。  金融政策運営の観点からは、よりダイナミックな経済、成長性の高い経済、したがって金融政策の面からは、それを十分経済が力を発揮するように、最終的に通貨価値の安定というベースの上でそうした活力が発散されていくという姿を我々としては展望したいというふうに思っています。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 郵政民営化がデフレ脱却のスピードを加速させる可能性もあるんじゃないかと思いますので、その辺ももし後でお話をお伺いできればと思うんですが。  もう一つ、出口改革として政策金融ですね。もし、これも仮定の話なんですけれども、政策金融がすべて民営化されて資金がすべて市場調達となった場合、やはりこれどのような、金利、株式、不動産含めて金融市場にどのようなインパクトを与え、それがまた日銀の金融政策にどのように絡んでくるのか。仮定の話で答えられないということもあるかもしれませんけれども、住宅金融公庫の話がありますね。そういう事例も含めて、過去にどういうことがあったのか、それも踏まえてちょっとこの話をお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 政策金融の改革の意義は、今し方郵貯の民営化について申し上げましたのと全く表裏一体を成すものでございまして、市場メカニズムを通じた効率的な資源配分、市場の健全な発展、ひいては日本経済の一段の活性化を実現するための枠組みを構築するという大きな意味を持ったものだというふうに思っています。  実は、政策金融の改革につきましては既に二〇〇二年の末に、今から三年ほど前でありますが、経済財政諮問会議で、民間部門の自由かつ自発的な活動を最大限引き出す方向での政策金融の抜本的な改革が必要という大筋の考え方に一致を見て、「政策金融改革について」という、そういう表題の報告書も取りまとめられております。  この基本的な考え方は今でも妥当すると思っておりまして、この報告書に沿って改革に向けた具体的な議論がこれから深められていくことを期待しておりますし、私どももそれに貢献したいというふうに思っています。  すべての政策金融機関が、委員御指摘のとおり、民営化に適する状況になっているかどうかという問題は別途あると思います。実際に、すべての金融機関、政府系金融機関が民営化されるかどうか。仮にすべての金融機関がそうならない場合でも、つまり政府系金融機関として残る場合でも、その役割、それから仕事の仕方というものはこれからどんどん変わっていくということでございます。したがいまして、改革に伴って資金の流れに大きな変化がむしろ生じなければならないと。その大きな変化を民間金融機関が積極的、前向きに受け止めることによって自らの業務展開をダイナミックなものにし、これからの時代の顧客のニーズにしっかりこたえていく、この組合せを実現していくということが非常に大事じゃないかというふうに思います。  ある時点で静止画像を映し出して、そこでどこか切り分けるというふうな、余りダイナミックに欠けたような発想ではなくて、これからの動きの中で民間金融機関が積極的に物事を先取りしながら動くと。政府系金融機関の中も資金の流れが一層活発になる中にあって、本当に公的部門でリスクを取らなきゃいけない部分ということを確定しながら活動していただくというのが一番いいことではないかというふうに思っています。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) 住宅金融公庫についてお答えいたします。  住宅金融公庫は、二〇〇七年の四月に証券化支援事業を主たる業務とする独立行政法人に移行することが予定されております。こうした下で、住宅金融公庫は直接融資業務から徐々に撤退しているというふうに承知しております。この結果、住宅金融公庫によります貸出し残高は改革の基本方針が決定されました二〇〇一年ごろから大幅に減少をしております。  この間、民間金融機関ではこうした動きを大きなビジネスチャンスとして受け止めておりまして、商品性の工夫などを含めまして住宅ローン業務に積極的に取り組んでおるということでございます。このため、民間金融機関の住宅ローン残高は、おおむねこの間の住宅金融公庫の貸出しの減少分に見合ったという形で増加をしておる状況でございます。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 一言で言いまして、今総裁にお答えいただいたんですけれども、この出口と入口の表裏一体の改革が迅速かつ大胆に行われまして、効率的な資金運用が国全体としてより活発に行われるようになった場合、デフレ脱却の時期が早まって日銀の金融政策が大きな転換期を迎える、そういう時期が早まってくるという、その相関性ですね、この辺りはやっぱりしっかりあると考えてよろしいんでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 委員もつとに御承知のとおり、日本経済、過去既に十年余りの時間を掛けて、より活力のあるよりダイナミックな姿につくり直すために様々な努力が繰り広げられてきて、今その効果がようやく出始めている。これは、日本経済がデフレから脱却する大きなエネルギーになっているというふうに思います。  これから特に民間部門のリストラがかなり進んだこの段階で、郵貯の民営化というものを出発点にして公的部門のリストラが更に力強く進められるということになりますと、民間部門、公的部門全体を合わせた日本経済全体の活力が更に強まるということでありますので、国際的な競争力を更に強く身に付けながら有効に資源の再配分をし、最先端な技術の創出、知識の創出という一番大事な場面で日本経済が力を発揮していく。もうデフレ脱却は恐らく早く終わって、より安定的に、しかし力強い成長の力を蓄えた経済になっていく道筋につながると、こういうふうに思っております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 ちょっと話題を変えまして、今度為替レートの話をちょっとお伺いしたいと思います。  今、円安が急速にといいますか、昨日東京マーケットで百十六円近辺まで行きまして、百十五円九十八銭ですか、今日も百十五円台の後半ぐらいをうろちょろしているんですけれども、この円安の背景に関しましてどのように分析されていますか。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) お答えします。  本年に入りましてからの為替相場の動向を見ますと、委員御指摘のとおり、円の対ドル相場は五月の上旬にかけまして百四円台まで上昇しました後、足下では百十五円台までに下落しております。  この間、円の対ユーロの相場でございますけれども、こちらの方は百三十円から百四十円台の範囲内で推移しているということでございます。  対ドルで見た円安の背景でございますけれども、市場におきましては日米の金利差の拡大予想が高まっているということが指摘されております。もう少し詳しく申し上げますと、米国では原油価格の高騰や相次ぐハリケーンの来襲などございまして、インフレ方向でのリスクが意識されるということでございまして、金融政策面では緩やかな利上げが続いているということでございます。こうした中で、アメリカの金利の先高感が強まっていることが、日本経済が回復を続け、株価も上昇しているにもかかわらず円安が進行しているということの背景であるというふうに考えております。  いずれにしましても、今後とも為替市場の動向やその実体経済面への影響につきましてはよく見てまいりたいというふうに考えております。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 日本経済の回復に対する海外の見方が一服したというような見方もありますが、今後の予想に関しまして、予想は難しいですし、なかなか言われにくいかもしれませんけれども、予想だけ伺って質問を終わろうと思います。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) 中央銀行の立場で為替相場につきましての予測をするということは市場に無用の憶測を与えますので、先ほど申し上げましたような経済全体の流れの中で御理解いただければというふうに思います。

田村耕太郎自由民主党

○田村耕太郎君 終わります。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。  私は、福井総裁始め日銀の皆さんに御質問をさせていただく機会は初めてでございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  先ほど田村委員さんの方から御紹介がございましたように、福井総裁は大の阪神ファンということでございますけれども、実は私も阪神のキャンプ地の高知県の出身でございまして、ともに喜びを分かち合いたいというふうに思うんですが。  その阪神ファンの活気ほどではないんですが、いよいよ我が国の景気というものも回復基調に入ってまいりました。また、先行きにつきましても、福井総裁のお言葉をかりますと、景気は緩やかに、息の長い回復を続けていくだろうと、そういうふうな見方をされております。設備投資とか輸出とか、増加傾向でございますし、非常に個人消費も堅調ということで、今あえて目に見えて悪いのは公共投資の削減ぐらいなもんだろうというふうに思うわけでございます。  しかしながら、その一方でこの四月に日銀の方が公表されました経済・物価情勢の展望ででも指摘されますように、景気の先行きを見る視点といたしまして、いわゆる上振れ下振れというもので第一に挙げられているのが原油などのエネルギー価格の動向とアメリカ経済の動向でございます。  そういった意味で、去る十七日に行われましたグリーンスパンFRB議長との会談が大変注目されたわけでございますけれども、これらの課題につきましてどのような意見が交わされたのか、お伺いをしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 実は、グリーンスパン議長、来年の一月に任期満了になられまして、御退任の予定になっております。私、退任される前に是非一度、もう一度日本にいらして、ようやく過去の難しい問題をかなり処理して回復の足取りを次第にしっかり固めつつある日本経済を直接ごらんになっていただきたいということでお誘いを申し上げまして、今回お越しになられて、したがいまして、私とももちろんいろいろお話をしましたけれども、産業界の方、金融界の方に直接会っていただいて、そこでスピーチもしていただき、あるいは意見交換もしていただいて、本当に日本経済の今の姿を実感として感じてもらえれば非常にいいなと思って、それが実現したということでございます。  グリーンスパン議長との間では、今回何を話したかということは会談の性格からいって具体的に申し上げるわけにはいかないわけなんでございますが、もうかねてから何回もグリーンスパン議長と国際会議その他でお会いするたびに、やっぱり世界経済全体の見通し、そしてその中のリスク要因は何かと、そしてその中でアメリカ経済、日本経済がそれぞれどういう調和を持って動いていくかということを確認し続けてきたわけでございます。今回もそういうことでございました。  やっぱり世界経済全体としては引き続き、何と申しますかね、高めの、しかし安定した成長を続けるであろうと。ただ、原油価格の上昇、今後の帰趨ということは必ずしも明確に今の段階で読めませんので、これはやっぱり最大のリスク要因として受け止めていくと、こういうふうな感じ。  まあ当たり前のように聞こえますけれども、確認し合って、そしてアメリカ経済、日本経済、これ何といいましても今のグローバル経済の中で最大の経済、そして二番目に大きな経済でございますので、過ちなき政策運営をきちんとやっていきましょうと、さらに、意見交換、今後とも、議長の任期あと少ないんですけれども、最後まできちんと意見交換しましょうというふうなことを話したつもりでございます。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 お話の中にございました原油価格の上昇動向と影響につきましては後でまた御質問をさせていただきたいというふうに思いますけれども、まず、財政規律に関連してお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  福井総裁は本年八月二日の衆議院の財務金融委員会で次のように発言をされております。少し長いですけれども御紹介をさせていただきます。  これから先、経済がより順調に回復軌道に向かう、あるいは回復軌道に乗る、あるいは物価につきましてもデフレから脱却していく、そういう過程になりますと、マーケットがより変化しやすい経済になってまいりますと。このときに、背景に財政規律がきちんと堅持されているかいないかによって市場の期待が大きく振れると述べられた上で、そして、財政規律が堅持されている場合には日本銀行が最良と思って判断した政策決定がその意図したとおりの効果を発揮し得ると、そうでなければ効果が減殺されると指摘して、したがって、日銀としては今後、公的部門のリストラ、なかんずく財政規律の堅持ということはマクロの経済政策のより良き効果の発現のために欠かせない条件であると、このように述べられています。  つまり、マクロ経済政策がより実効性のあるものにするためにも財政規律の堅持の重要性を説かれたものだというふうに理解をするわけでございまして、私も全く同感でございます。  私は、財政規律というふうに、それは何なのかというふうに考えますと、幾つか論点はあるかと思いますけれども、一つには、よく費用対効果というふうに言われますが、経済全体の資源配分をより望ましいものにしていく財政政策を行うことであるとか、そしてもう一つは政府の債務残高の対GDP比に対する比率が余り発散的に拡大しないようにすること、こういうことではないだろうかなというふうに思うわけです。  そこで、福井総裁にお聞きしたいんですけれども、これまでの発言の中で財政規律というものを一体どのように今とらえられているのか、そして何をもって財政規律が堅持をされているというふうにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 今、委員がかなり詳しくお話しいただいたというふうに思っておりますけれども、財政の基本は、税金で国民の一人一人のお支払いしたお金を政府がいかに国民の意思に沿った形できちんと使っていただいているかどうかと。今、費用対効果というふうにおっしゃいましたけれども、やはりこれは政府は政府の判断でお金を使い分けていくということでありますので、国民の期待する方向、つまり経済にとってよりそれが生きていく方向に効率よくお金を使っていただいているかどうかということ、いつも国民は意識するしないにかかわらず感じながら日常生活をしているということだと思います。  それから、税金で賄えない部分は国債で資金を調達してやはり政府はお金を使っていかれるわけで、税金のお金、国債によって調達したお金ともにそういう有効な使い方をしているかどうか。もう一つは、そういうふうに債務を背負いながらお金を使っていくという場合には、その債務について将来の返済可能性ということについて十分強い意識が政府と国民との間で共有されているかどうかということも、いつも意識するしないにかかわらず感じながら国民は日常生活をしていると。そこの両方の接点のところでひとつ締めくくってみると、これはつまり財政に締まりがあるかどうかということですので、財政規律があるかどうかと。最終的にはそれは一体どうやって判断するのかなかなか難しいんですけれども、マーケットはやはり最終的に国民が財政規律というものをどの程度強く感じているかということを映し出す非常に大きな鏡じゃないかというふうに思っています。  特に、財政赤字が大きくて、国債の発行残高が大きいという今のような状況の場合には、やはり新規の国債発行がきちんと市場の中で円滑に消化されているかどうかというふうなこととか、それから国債の市場における金利の形成のされ方が不安定になっていると、つまり、国民の不安が反映されて国債の金利の中にリスクプレミアムが大きく顔をのぞかせてくるというような状況になっていないかどうかということが非常に有力な鏡だというふうに思います。  現在、御承知のとおり、世界的に長期金利低いんですけれども、日本の市場におきましても長期国債の金利は非常に低い水準にございます。恐らく、今直ちに国民の財政規律に対する不信感というものがむしろなくて、リスクプレミアムが非常に小さい状況になっているというふうに思います。これから先、景気が更に回復し、デフレから脱却していって、もろもろのマーケットが今よりも動きやすくなった、そういうより望ましい段階に入った場合にも、国債についてリスクプレミアムを発生させないように、財政規律が更に強められていくということが非常に大事なポイントだというふうに私は思っております。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 総裁、そうなりますと、総裁自身は今の政府の財政規律は堅持されているというふうに評価されているわけなんでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 政府におかれましては、既に二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化を目指すと、そういう明確な方針が打ち出されて、現実にそうした方向で財政再建に向けた取組が進められてきているというふうに思います。マーケットの方もそういう認識はしっかり持っているんではないかというふうに思いまして、ここしばらくの間の財政の動きを見ておりますと、プライマリーバランスは少しずつ改善の動きにあるわけであります。  これが将来につなげた場合に、本当に二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化という経路に結び付いていくかどうか、これは自然の趨勢として、そこまで行きますというふうにはまだ到底言える段階までには来ていないというふうに思います。むしろこれからの財政再建努力によって将来への経路をもう少し明確に、国民の目に見て、あるいは市場の鋭い目で見ても確認できるような方向にこれを固めていく必要があるということではないかと思っています。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 今の国債市場の金利等が正常な形なのかどうか、それはちょっと後でまた議論をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、ただ、今のちょっと御答弁をお聞きをしておりまして、もうちょっと明確にお答えしていただきたいんですけれども、私、規律が堅持されているということと、総裁言われたようにプライマリーバランスの目標を掲げて二〇一〇年代初頭というふうに、そしてその方向に向けて規律を堅持しようというふうにしているということとは全く違うのではないかなというふうに思うわけでして、今の政府がプライマリーバランスの黒字化を目指して国、地方併せて取り組んでいるということは私も理解をしているところでございますし、それは必ず実現していかなければいけない政策だろうというふうに認識をいたしております。  そういうふうな方向に持っていくことと、今のこの現状の政府の財政運営といったものが規律を堅持されているのかという評価とはまた別物だというふうに思うんですが、そこら辺のちょっとさび分けをされた上で、明確にお答えをいただければなというふうに思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 現在、日本の財政は著しくバランスを崩した状況にあり、かつ債務残高も非常に大きいと。そういう意味では、将来にわたってこの財政規律がしっかりしているというふうに市場も国民の我々も確信を持ち続け得る状況になるために、今後やっぱり相当な努力が要ると。国民も覚悟しなければいけませんが、政府においてやっぱりしっかりした努力を強められていく必要があるということは確かだと思います。  歳入、歳出両面からの非常に大きな改革とか財政再建に向けての改革とか、そのほかにやっぱり通常の財政収支だけでなくて年金会計まで含めたやはり抜本的な制度改革、それらの構図が今後時の経過とともに国民の目に共有される形でしっかり浮かび上がってくるということでなければ、今、仮に財政規律に対する国民の信認というのがある程度存在するとしても、それはむしろ崩れていくことになりかねないと、そういう心配はもちろんあるというふうに思います。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 今の財政がバランスを欠いている面があるというふうなお話があったんでございますけれども。  それでは、国債市場の今の在り方に関連しまして、日銀の国債保有と財政規律との関係についてお伺いをしていきたいと思います。  日本銀行はこれまで量的緩和政策の下で潤沢な資金を供給しております。その際に、金融市場から資産を買い入れることが必要になるわけでございますけれども、その買入れのとき重要なことは、日本銀行といえどもできるだけ安全確実な金融資産ということでしょうか、こういったものを購入しなければなりません。そうなってきますと、必然的に国債の購入が大きくなってくるわけでございます。よって、福井総裁がいつもおっしゃっていますように、日本銀行の国債買入れは量的緩和政策の遂行上必要な手段である、そういうふうにおっしゃっておりますが、御認識としてそれ以上でもそれ以下でもないと、こういった理解でよろしいんでしょうか。

武藤敏郎日本銀行副総裁

○参考人(武藤敏郎君) ただいま委員の方からも御指摘ありましたとおり、日本銀行は量的緩和政策の下で円滑な資金供給を行うために実施しておるということでありまして、御指摘のとおり、あくまでも日本銀行の金融調節上の必要性に基づいて行っているというものでございます。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 ただ、その一方で、日本銀行は国債市場に参加をいたしております大きなプレーヤーであるわけでございます。一般的に財政バランスが先ほど悪化している、悪いというふうに総裁もおっしゃったんですけれども、そういった場合は国債価格が下落して、それが財政悪化に歯止めを掛けていくと、そういうメカニズムが働くというふうに言われているわけなんですけれども、このように今の国債市場から財政の規律付けは与えられているのかどうか、この辺はどういうふうに今認識をされているのか、お伺いしたいと思います。

武藤敏郎日本銀行副総裁

○参考人(武藤敏郎君) 今申し上げたとおり、金融政策運営上の必要性に基づいて長期国債の買入れというものを実施しているわけでありますが、その際、あくまでも日本銀行の自主的な判断と責任において金額あるいはタイミングというものを決定しておるわけでございます。特に、買入れ残高につきまして、日銀券の発行残高を上限として買い入れるという方針を堅持しております。したがいまして、その買入れ自体によって今御指摘のありました財政規律の低下を招くというものではないというふうに考えております。  先ほど総裁から申し上げたことの繰り返しになりますけれども、財政運営の面でどうやって財政規律を低下させないようにしていくかということであれば、国民に納得できる形で長期的な財政運営の方向というものを示して信認を得ていくということが一番重要なことなのではないかというふうに思います。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 その御答弁は、確かにおっしゃるとおり、そのとおりだというふうに思うわけでございますけれども、そのような御認識を示された上で、一方で、先ほど申し上げましたように、日本銀行が国債市場においては今の郵政公社と並んで大変大きなプレーヤーになっているわけでございます。そうした公的部門が今の国債発行の五〇%以上を保有しているような形が、これは市場として正常な形なのかどうか。  これは別の議論があろうかというふうに思いますが、これまで一般的に言われておりますような一つの財政規律というものを保つためにその国債が、国債市場というものが機能を果たしてきたというふうに言われたんですけれども、これほど公的な部門が大量な国債を発行する今の現状が、本当に一般的に言われているような規律を与えるような状況になっているのかどうか、それをどのような評価をされているのか、お聞きをしたいという意味での質問でございましたんで、改めて御答弁お願いいたします。

武藤敏郎日本銀行副総裁

○参考人(武藤敏郎君) 国の財政が大量の国債発行を必要としているという事実、確かにございます。一方で、日本銀行はこの量的緩和政策運営の下で、市場から長期国債を一定の、先ほど申し上げましたような歯止めを設けてはおりますけれども、購入するということをやっているのは事実でございます。  この関係についてどういうふうに考えるかということかと思いますけれども、私どもは、この量的な金融緩和政策というものを、御承知のとおり、コアCPIが今まだわずかではありますけれどもマイナスの状況にいるといったようなことを踏まえまして、これは非常に前例のない徹底した量的緩和政策を行っているわけでございます。その中で、市場に対する資金の供給に当たってどういうオペを行っていくかということが課題になるわけでございます。  日銀の資金供給オペの市場に与える影響については我々十分認識をしておりますけれども、今、御承知のように、一定の方針を示した上で、しかもその量的緩和政策というものを思い切って実施していくために必要最小限のそういう長期国債の買入れを行うということでありますので、この財政規律との関係において、特にこれが財政規律に悪影響を与えるというふうには考えていないということでございます。むしろ、量的緩和政策運営のために、専らそのために日銀の判断において購入していると、そういうふうに考えております。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 私も、日銀の皆さんの量的緩和政策を実行するための手段としての国債買入れ、その必要性というものは全く否定するものではございません。  ただ、おっしゃったように、財政規律には悪影響は及ぼしていないという御見解については若干考え方を異にするわけでございまして、むしろ、私は地方出身者でございますけれども、高知県みたいに財政力の大変弱い自治体が今様々な歳出削減というものを図っておりますけれども、それに対して国の一般歳出のスリム化というものがそれらと比較して進んでいないというふうなデータもございまして、それは様々な社会保障費が毎年一兆円に増加するんで仕方がないというふうな議論もあるんですが、ただ、さはさりながら、やはり国債を安定的に消費するだろうという政策の協調なのかどうか分かりませんけれども、そういった思いがあって、この一般歳出の削減等が思った以上に進んでいないんじゃないかなと、そういうふうな見解を持っておりますので、先ほどのような質問をさしていただきました。  それでは、その国債の買いオペ増額に関連してちょっとお聞きをしたいんですけれども、先ほど副総裁の方からその基本的なお考え方については示されたわけなんですが、少しちょっと具体的にお伺いしたいんですけれども、日銀による毎月の長期国債の買入れ額は、二〇〇一年七月に四千億円だったんですけれども、二〇〇二年十一月、わずか一年四か月で三倍の一兆二千億円に急激に伸びました。その急激に伸びた、どうしてこのような形で急激に伸ばしてしまったのか、その理由と、その後は何か一兆二千億円の額で堅持をされているわけでございますが、それはどういった理由なのか、日銀券発行とのいろんな絡みがあるのか、そういったことも踏まえて御答弁を願えればと思います。

武藤敏郎日本銀行副総裁

○参考人(武藤敏郎君) 量的緩和政策、導入してからもうかなり時間がたつわけでございますけれども、その過程におきまして今大分、我が国経済もこの踊り場を脱却して回復過程に入ったという判断をしておりますけれども、一時はなかなか大変厳しい状況にあり、今までやったことのないような量的緩和政策をやるということになったわけでございます。その過程でどのような資産を買いオペの中で選んでいくかということについていろいろな議論がありまして、御指摘のように、今、月一兆二千億ですか、という金額にまで増額をしたということであります。  その後、もう限度額、日銀券の発行残高を上限とするという考え方に基づいて買い増しの増額をしておりません。これは純粋な、先ほど申し上げましたような日銀のこのオペの考え方の中で我々として十分に長期国債の増額を行わなくても量的緩和の実施がやっていけると、そういう判断の中でその後は増えていないということであります。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 そうすると、今ちまたでは量的緩和政策の解除の時期云々ということがささやかれているわけでございますけれども、ということになりますと、この月々の長期国債の買上げ一兆二千億円、これは今後は下がることはあっても決して上がることはないと、そういう理解でよろしいんでしょうか。

武藤敏郎日本銀行副総裁

○参考人(武藤敏郎君) 申し上げるまでもなく、この金融政策の運営はその時々の経済情勢、物価情勢等々を総合的に判断いたしまして、毎回の政策決定会合において決定されるということであります。したがいまして、将来のそういうその方向について現時点で確定的なことを申し上げることは非常に難しいということは御理解いただきたいと思います。繰り返しになりますが、その時々適切な判断をしていくと、そういうことだというふうに思っております。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 適切な判断は、何か小泉総理の靖国神社参拝と何か相通ずるものがございますけれども、ただ景気の先行き等を見通したり、デフレからの脱却云々の時期等の議論がされている中で、私は、一兆二千億円、これ以上買い増しすることないというふうに理解をさせていただきたいというふうに思います。  ただ、この日銀の国債の買入れというのは長期のやつだけじゃなく短期のものもあるわけでございます。  次に、この件についてお伺いしたいと思うんですが、本年度も日銀は国債償還の平準化のためということで、財務省の要請に基づいてということになろうかと思うんですが、いわゆる乗換えというものを行っております。この償還期間を迎えた国債のうち二〇〇五年度の日銀乗換えは二〇〇四年度より九兆円増加をして二十三兆四百三十六億円というふうになると承知しています。そのうちの約六・八兆円が再乗換えということであるわけですけれども、よく識者から、こういった数年度にまたがる乗換えの常態化というのは、実際は中長期国債購入と同じじゃないかというふうな御指摘もあるわけでございます。  日銀さんはせっかくそういうふうに上限枠を設けられているんですが、実質的にはそれを突破してしまっているんじゃないかというふうな指摘だろうというふうに思いますけれども、この乗換え、再乗換え、これらに対する評価と、この再乗換えを今後どれくらいの期間続けていかれるおつもりなのか、併せてお伺いしたいと思います。

武藤敏郎日本銀行副総裁

○参考人(武藤敏郎君) 今御指摘のありましたTBの六・八兆円の再乗換えにつきましては、昨年の十二月の政策委員会におきまして決定いたしました。  この再乗換えにつきましては、増加傾向にあります国債発行の一部をファイナンスするということではありませんで、あくまでも、国債償還が一時に集中するとこの過去の経緯からそういうことが市場にゆがみを与える、与え得るわけでございまして、そういう市場のゆがみを回避するために必要な範囲内においてこの再乗換えをやるということでございます。  したがいまして、最初に申し上げましたとおり、政策委員会において十分な議論をした上で決定しているわけなんでございますので、今後どういうことになっていくのかということにつきましては、これも年度ごとに政策委員会において決定することでございまして、もちろん、今申し上げましたような国債償還の集中に対応するということ、そういう観点から実施するものでありますので、こうした取扱いを常態化させるという考えはないわけでございます。  今後の政策決定会合において決定されていくということでありますけれども、常態化させるかどうかということにつきましては、そういう考え方はございません。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 いわゆる二〇〇八年問題というものに対応されているというふうに思いますが、財務省さんのしりぬぐいを日銀がやっているんじゃないかなというふうに思ってしまうわけでございますけれども。  ただ、こういった手法については常態化をさせないというふうにおっしゃっているわけなんですけれども、こういった、私自身ちょっと不勉強で申し訳ないんですが、量的緩和政策なんかを変更することによりまして、短期国債とか政府短期証券といったものが長期国債以上に金利上昇の影響を受けるんじゃないかと、それに直撃されるんじゃないかと、そういった懸念があるわけでございますけれども、そういったものも踏まえて、やはりこういうものは余り常態的に持つつもりはないというふうなお考えなのか、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。

武藤敏郎日本銀行副総裁

○参考人(武藤敏郎君) この再乗換えという問題は、あくまでも、この一時期に国債償還のこぶができると、これは非常にマーケットを攪乱するおそれがあるわけでございます。安定的に、国債のマーケットでの消化が安定的であればよろしいわけでございますけれども、そういうこぶができるということは、日本銀行にとってもその市場の安定を確保するという観点から望ましいことではございません。  したがいまして、そういう観点から行うということでありまして、常態化させるという考えはないと申し上げたのは、その限りにおいて必要性を判断し、政策委員会において十分議論した上で適切かどうかという判断をしていくことになるということを申し上げたわけでございます。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 ちょっと時間もかなり経過してきましたんで、こういったいろいろ日銀の国債保有と財政規律の観点から質問をさせていただいたんですけれども、自分たち、この財政金融委員会というものはいろいろな立場の違いはあるんですが、それぞれが財政規律というものを重視していると思います。そういった意味で、財政法第五条に対する考え方、つまり、すべて公債の発行については日銀にこれを引き受けさせてはならないと、こういう規定は大変重いものがあろうかというふうに思います。  実際には、先ほど来からお話がございますように、日銀さんは政府から直接国債引き受けているわけではございませんので、そういった財政法に違反しているというわけではないのかもしれません。しかしながら、直接の引受けでないにしろ、現実問題として日銀の国債保有残高が約百兆円に達した今日、この財政法第五条の法の趣旨、精神、こういうものが根本からこれは問われているのは間違いのないことだろうというふうに思います。  そこで、福井総裁に改めてお聞きをしたいんですけれども、この財政法第五条が規定している財政規律、これは手段として、手段として日本銀行が国債の直接引受けを行わなければ結果として日銀が国債を大量保有しても規律は保たれると、そういうふうにお考えなのか、ちょっと御所見をお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 財政法五条の趣旨と申しますか非常に大事な哲学は、私どももふだんから拳々服膺しながら金融調節に当たっているわけでございますが、要するに、政府に対して直接ファイナンスをする意図というのは一切持たないということが一番大事でございます。  実際、経済の様々な変化の局面におきまして、市場の中で資金を調達する方々、これは民間の経済主体、特に企業が圧倒的に資金調達をされる時期、それから、過去十年ぐらい日本経済が大変苦しい局面の中にあって、民間が資金調達するというよりは政府が資金調達をして、そのお金を使うことによって経済を何とかこの厳しい局面を乗り切ると、こういう局面とでは、私どもがマーケットで必要な資金供給するためのオペレーションの道具を探したときに、既に市場の中で存在している道具立てがもう違っているということでございます。その中で、日本銀行としては、その時々のマーケットを前提にしながら、信用度が高くかつ流動性の高い資産というものを選ばしていただいて、我々は必要な資金供給をすると。  そうなりますと、局面ごとに比較いたしますと、国債の買入れのウエート、したがって、結果として日本銀行のバランスシートに載る国債の残高が多くなる時期がございます。これは経済情勢の変化をそのまま反映しているという面があるわけでございますけれども、財政の赤字を直接ファイナンスするものではないんだということを国民の皆さんにもはっきり分かっていただかなければいけませんので、多く買い入れているように見えましても、これは必要最小限度と、かつ明示的な歯止めとして銀行券の発行残高の範囲内ということで、御理解をより一層いただくように努力をしながらやっているということでございます。  今後ともこの方針は貫いていきたい。財政を直接ファイナンスし、財政規律を緩めるというふうな方向で日本銀行のオペレーションが行われてはならないということは強く守ってまいりたいというふうに思っています。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 どうもありがとうございます。  日銀は直接ファイナンスしないことが重要であるというふうなお話でございまして、そしてまた必要最小限度の購入にとどめているというふうなお話があったんですけれども。  ただ、総裁、百兆円ですね、百兆円に近い額を購入し、日銀のバランスシート上も大変大きなウエートを占めている。こういうふうな現実がある中で、特に日銀、先ほども言いましたように、日銀さん、郵政公社等の公的な部門で国債を実質ファイナンスして、それが国債市場の金利等にもこれは影響を与えているのは間違いのない客観的な事実だろうというふうに思います。  そういった意味からいいますと、直接ファイナンスしていないんで規律を緩めるとは関係ないというふうなお話というのは、少し、いろいろ考えても腹に入るちょっと私はお話ではないなというふうに思ってしまうんですけれども。  つまり、当時この財政法が規定された時代と、いろんな反省に立ってこの第五条の規定があったと思うんですけれども、やっぱり時代背景がもうかなり違っているんじゃないかと。先人は、まさかこの国がこれほどの国債の発行をするだろうというふうに思ってもなかったでしょうし、同時にこれほどの量的緩和、ゼロ金利政策といったものも後輩たちが行うというふうには余りこれも想定してなかったんじゃないかなというふうなことで、つまり量的なものに関する、量に関しての財政規律との関係については十分なことがなかったんじゃないか。  そういった意味で、私自身がどうすればいいという見識は持ち合わせてないんですけれども、私たちは、新たに政府と日銀と国債の関係において財政規律を担保する量的な基準ですね、そういったものをもうそろそろ示していかなければいけない時代に来ているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 日本銀行が、財政法五条というものの存在がなくて、政府に対してもファイナンスをし得るというふうな場合には、これはやはり通貨価値安定、財政規律確保の観点から明確なアコードが必要だというふうに私も認識いたします。  しかし、そうではなくて、やはり財政法五条というものの存在があり、日本銀行の行為はこれによって大きく制限されております。日本銀行として実際にマーケットオペレーションをやります場合に、オペレーション、国債のオペレーションを過大にやっているかあるいは過小にやっているかということは、マーケットの中の条件が、つまり金利の形成がスムーズに行われているか、ディストーションを呼んでいるかということで、マーケットがすぐに答えを跳ね返してくれます。  で、日本銀行、たくさん確かに国債の買入れオペレーションをやっておりますけれども、これは必要最小限。したがって、マーケットの金利の形成は、その時々の先行きの経済、物価の見通し、我々の見通しとマーケットの参加者の見通しとが一致する形で金利形成が行われているということが何よりの証拠でございます。ここがもし将来乱れるとすれば、日本銀行の政策が甘くてインフレのリスクをマーケットに植え付ける場合、もう一つは、政府御自らが先行きの財政再建努力にどこかゆがみが生じて、それにやはりマーケットがウオーニングを発する場合、この二つだと思います。  マーケットのウオーニングの仕方についてみんなで厳しく見ていただきたいと、我々はもう殊更厳しく見てまいりますが、是非厳しく見ていっていただきたい。で、日本銀行の調節が甘いからそうなってインフレリスクを呼んでいるのか、それとも政府の行動に緩みがあって財政規律に信認が置けなくなったからそうなっているのか、ここをしっかり見分ける目をみんなで持っていく必要があるというふうに思っております。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 それでは、次の質問に移らさしていただきたいんですけれども、国債に関する質問の最後として、日本銀行会計規則第十三条に基づく国債の評価方法に関連してお伺いをしたいというふうに思います。  これまでも、議論でよく、長期金利が一%上昇すれば含み損は一体幾らになるのかというふうな質問があり、それぞれ質疑がございまして、これに対して、答えとして日銀の皆さんは、仮に十年物の国債金利が一%上昇しまして他の期間の金利も十年物金利と同じように上昇すると、このように想定した場合は、保有する長期国債の時価総額が約一兆七千億円減少し、その結果、九千億円程度の含み損が発生すると、こういうふうな趣旨の御答弁をされております。  しかし、実際は、仮にそうなっても、つまり時価変動の影響により損失が発生しましても日銀の財務諸表には反映されないことになっております。その訳が、国債の評価方法として償却原価法が採用されているからであります。この償却原価法を導入された理由、これをちょっと簡単に御説明をいただきたいと思います。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) 日本銀行におきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、円滑な資金供給を実施するために銀行券の発行残高を上限に長期国債を購入しておるわけでございますが、その一部の例外を除きますと昭和四十八年以来売却は行っていないわけでございます。  私どもが国債の評価方法を償却原価法という形に今は取っておるわけでございますが、そうしておりますのは、このような国債の保有の実態、こういうものを踏まえまして、考え得る選択肢の中で償却原価法を採用することが最も実態に適合すると、このような判断で行っているものでございます。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 そしたら、それに関連してなんですけれども、実態に即して変更したというふうなお話なんですが、この償却原価法による評価は、日銀が保有する国債は会計分類上の満期保有目的債券ということになって、つまり自然な理解、解釈としましては国債は満期まで売らないんだというふうに考えてしまいがちなんですが、そうしますと、将来の金融引締めの局面で売りオペができない可能性が出てきて、日銀の金融政策の手足を縛りはしないかと、足かせになってしまうんじゃないかというふうな疑問が出てくるんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) 私どもが国債の評価方法を償却原価法としておりますのは、私どもの国債の保有の実態、すなわち昭和四十八年以来一部の例外を除きますと売却を行っていないと、そういう実態を踏まえますと、考え得る選択肢の中では償却原価法を採用するのが会計的には最も実態に適合すると、こういう判断で行ったわけでございます。  したがいまして、そういう実態に合わせて国債の評価方法を償却原価法を採用しているということではございますけれども、それによりまして金融調節上必要が生じた場合、そういったような場合等に売却の可能性といったようなことまで排除しているということでは決してございませんで、将来の金融政策の手足を縛るというようなことはないと考えております。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 将来の手足を縛らないというふうなことでございますけれども、そうなってくると、この満期保有目的債券というものは時と場合によっていろいろな形で変更をしていくというふうな理解でよろしいんでしょうか。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) 現在償却原価法を採用しておりますのは、私どもの保有の実態というのが一部の例外を除きますと満期まで保有している、すなわち昭和四十八年以来売却を行っていないと、そういう実態を踏まえて現在は償却原価法にしておるということでございますから、仮に将来その実態が大きく変わるというようなことがあれば、またそういったことを踏まえまして会計上の対応をするということになるかと思います。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 どうしてこういうふうな議論が出てくるのかというふうにいいますと、これを変更した時期がちょうど日銀さんの決算が赤字になってしまった時期と重なる面があって、それを踏まえてこういうふうな評価法を変えたんじゃないかというふうな憶測があったんですけれども、それについては、決してそうじゃないと、実態に合わせたやり方に変えたんだというふうなことでありますけれども。  と同時に、市場の方から見れば、これは日銀が買いオペを更に進めていくんじゃないかと、バランスシートに出てきませんので、そういうふうな意思の表れじゃないかというふうに、技術的な変更以上の影響というものをマーケットに及ぼした形跡はあったのか、それについてどう評価されているのか、お伺いしたいと思います。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) 私どもといたしましては、この償却原価法という国債の評価方法を採用するということを行いますに当たりまして、国債市場におっしゃられますような不測の影響を与えることがないようにこの評価方法の変更の趣旨を対外的にしっかり説明してきた、このように留意してきたつもりでございます。  私どもの知る限り、実際この私どもの国債の評価方法の変更というものが国債市場に影響を与えたといったような声は特に聞かれなかったと私どもでは認識しております。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 この点についてはまた機会があればちょっと議論をさしてもらいたいというふうに思うんですけれども、金利がそのアナウンスメントによって下がったんじゃないかとかいろんな御指摘があるわけでございますので、その辺はもう一度検証させていただく場があればなというふうに思うわけでございます。  あと、もう時間が参りました。それで、最後に、私、冒頭に申し上げましたように高知県の出身でございまして、非常に、踊り場から脱却して景気が回復しているというふうな言葉がなかなか皮膚感覚で実感できない地域におる者でございます。そういった中で、今回、今年に入りまして日銀の皆さんが地域経済報告というものを作っていただいて、年に二回、短観等も含めて報告をされていただいております。これは非常に地方、地域経済にとっては貴重な情報源になっていくというふうに思います。役割とか活用についてどのようなことを期待されているのかという御所見をお伺いしますと同時に、地域にとってはまずは雇用が大変重要なテーマでございますので、特に、できれば四国を念頭に置いていただいて、団塊世代が大量退職する時代になって技術やノウハウとかこういったものをいかに伝承させていこうとしているのかとか、少子化に伴う地元志向の傾向、また公共事業等に依存している地域でございまして、こういったことによる雇用の減少をどういった分野で吸収をされているのか。  これらのことについて御所見をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。誠にありがとうございました。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 今回の景気回復はあくまで地味な動きでございます。しかし、次第に着実になっているというふうに思っておりますが、一つの問題は、やはりかなり大きな地域格差を伴いながら前進していると、こういうことだと思います。私どもも、この地域間の格差というものがどういうふうに変化を遂げながら更にこの経済が前に進んでいくかということを注意深く、これはあくまで注意深くやっぱり見させていただかなきゃいけないというふうに思っております。  日本銀行の中でその点をみんなでよく確認しながら仕事をさせていただくために、御指摘のとおり、今年の四月から地域経済報告と、我々は、表紙の色が桜色になっておりますので、さくらレポートという名前で呼んでおりますが、これを作ることにして、我々はこういうふうに地域の経済見ていますということを皆さんにも見ていただいて、それで合っているとか合っていないとか、更に正確な情報をちょうだいするというふうにいたしております。  ただ、そういうふうに情報を交換して、そして知識を正確にするというだけではありませんで、私ども、高知にもお邪魔しておりますが、支店を各地に置かせていただいて、支店長は単に情報報告するだけでなくて、やっぱり地域がこれから新しい様々な形で地域おこしをしていかれる場合に、何がしかお役に立てればという気持ちも持っているわけでございます。そうしますと、各地の支店長がこういうふうに、全国に比べて我が地方はどうかと、かつまたどういう特色があるかというふうに、更に一歩進んだ議論を地域ごとにさせていただいて、少しでも前向きの地域の活動に我々の力も加えていただければという願いもこの部分にはこもっております。  実際、各地の状況の中、公共事業が次第に減る中で、従来とは違った御苦労が出てきていると。しかし、その中で本当に前向きの動きが各地域とも出てきておりまして、今委員御指摘のような、地域において雇用の創出をねらった新しい企業誘致を積極化する動きとか、あるいは企業誘致だけではなくて、産官学連携による新興企業といいますか、ベンチャー企業育成に努力をしていく地域、自治体とか、あるいは地域固有の自然資源というものを有効に活用して、農業を始め新しいビジネス、産業を育成し、できたら集積していくというふうなことを目指して動き始めている地域もございます。  今日も私ども支店長会議やりまして、各地の報告聞いておりましたら、函館とか福島とか新潟とか岡山、高知も含まれておりました、こういったところでは支店長がそういう自覚を持って前向きの仕事も少しずつお手伝いをさせていただいているという状況でございます。  もう一つは、地域の若者が少子高齢化社会の中で、むしろ地域にとどまって積極的に外に出ないというふうなお話も時々聞くんですけれども、私は、若者、仮にそういう場合であっても、本当に地域で新しい前向きの仕事を地域の皆様と協力して始めるというのは、決して将来にとって悪いことじゃないんじゃないかと。若い人が本当に前向きの仕事に興味を持って、少しずつでも成果を上げたということの喜びを身に付けていけば、当然その身に付けた知識とか技能というのはもっと広がりを持って試してみたいという気持ちになりますので、展開も大きくなっていくだろうというふうに思っておりまして、いろんな意味で地域おこしということは非常に大事だと。  我々、微力ですけれども、せっかく支店を置いてます限りは、そこにもいささかお手伝いをさせていただきたいというふうに思っております。

広田一民主党・新緑風会

○広田一君 どうもありがとうございました。     ─────────────

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、段本幸男君が委員を辞任され、その補欠として松村祥史君が選任されました。     ─────────────

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 御紹介いただきました民主党・新緑風会の大久保勉です。  今回で日本銀行総裁に対する質問は、昨年の十一月、今年の四月、三度目でございまして、毎回明快な経済に対するコメント、見識ある意見を伺いまして、本当に勉強になっております。  今回は、今日は田村委員及び広田委員の方で、やはり日本銀行が国債管理銀行になっていると、財務省の国債管理銀行になっているという観点で質問がございまして、私もそういった観点から別の角度で質問できたらと思っております。  まずは、今日の支店長会議、メディアによりますと、景気は踊り場を脱出して息の長い回復に向かっていると、ただリスク要因としては原油価格の高騰であると、これが企業の収益とか海外経済に影響すると、さらに、注目すべきなのは米価格の下落の影響ははげ落ちて消費者物価指数は若干プラスに転じていくと、こういった見通しがございました。  特に、ここに関しまして私は非常に興味がありまして、といいますのは、いつ日本銀行が金融緩和の出口対策を行うかと、こういうことで、前回の質問したときにも、いわゆる市場との約束ということで、CPIが基調的な動きとしてゼロ以上になると。つまり、今回はゼロ以上になるということで、ここでバーはクリアするのかなということを感じましたし、二番には、CPIが先行き再びマイナスになると見込まれないということでございます。これは、景気が踊り場を脱却して回復基調にあるということで、恐らくこういうことかなというふうに想像しております。  最後は、ただし、これが非常に難解でありまして、上記の条件が満たされたとしても、経済・物価情勢によっては量的緩和政策を継続することが適当であると。つまり経済・物価情勢、これは何を意味するのかと。まあ二つあると思うんです。  一つは、狭義の意味で、これは物価変動指数として、まあ微調整が必要でしょうと。例えば、CPIがプラスといいましても、そのうちの約三%はガソリン及び石油価格の上昇と、灯油価格の上昇で、〇・三%引上げ要因になっています。もし同じような形で原油が上昇しないとなりましたらマイナス要因になりますから、いったんプラスになったCPIが三月、四月にマイナスに転じる、こういったリスクをカウントするのか。  もう一つ、こちらが重要です。いや、そういうことではなくて、やはり政府全体のファイナンス、つまり国債がちゃんとファイナンスできるか、長期金利が安定しているか、こういったことで、ただしが付くのか、どちらかというのが私は興味がございます。  こちらに関して、福井総裁の御所見を賜ればと思います。こちら通告しておりませんから、もし難しかったらそれで結構です。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 大変難しい質問でございました。  まず、お答えします前に、日本銀行の量的緩和の枠組みの修正について、いつなんだというふうな議論が少し先行して世の中に走り過ぎてるなという感じを持っております。  景気実態は踊り場を脱却して、派手ではありませんがじわじわと持続性のある姿を実現しつつあると。物価の方も基調的にデフレを脱却する方向に動いていると。で、CPIで見ると年末ぐらいにかけてプラスの世界に入っていく可能性がかなり見えてきていると、こういう情勢判断を我々は持っているということでございます。  そして、量的緩和の枠組みというのは、これを修正すれば日本銀行は金融引締め過程にまっしぐらに入るんだというふうな感覚は、お持ちではないと思いますけれども、もしそういう感覚を少しでもお持ちであれば、我々はそういう感覚を全く持っていないということをまず御理解いただきたいと思います。  今の量的緩和の枠組みというのは、今から数年前に、金融緩和政策で日本経済の立て直しのための民間部門の努力を後押ししようと思って、ついに金利がゼロになったと、いわゆる金利のゼロ制約に行き当たったときに、しかしなおその時点において金融不安、信用不安を巻き込みながら、景気の悪化と物価の下落、デフレの進行ですね、これがスパイラル的に進む心配が非常に強かった時期に、極めて例外的かつ異常な金融政策の姿としてこれを採用したということでございます。したがいまして、経済がデフレスパイラルに陥るリスクが後退し、金融不安が発生するリスクも後退し、そして物価情勢も好転に向かっていくということであれば、ある時点でこの異常な姿からはやはり脱却しなければならないと。しかし、一瀉千里引締めに向かうということではなくて、その後、いわゆる金利を操作目標とする通常の金融政策で経済、物価の実勢に見合った政策をやっていくという局面に移るということなのでございます。したがいまして、量的緩和の修正ということと引締めにすぐに走り込むということとはかなり違った概念だということをまず御理解いただきたいというふうに思います。  したがいまして、量的緩和の枠組み解除の条件、ブレークダウンして三つほどお示ししておりますけれども、いずれにいたしましても、これは経済がある程度正常な姿に戻ってきた一つの通過点を示す、その通過点において余りにも異常な金融政策の枠組みを通常の枠組みに戻すと、その時点を単に示していると、引締めへの転換点ということではないということでございます。  かつまた、その三つの条件でございますけれども、これは足下の物価がゼロ%以上になると。将来の見通しもプラスの領域にあると。しかし、表面的なCPIがそうなっても、そのバックグラウンドが少しはしっかりしているでしょうかということはやっぱりしっかり点検しますと。それは、景気回復の足取り、つまり持続的な回復に向かった足取りが次第にしっかりしていくんだということを再度確認するということと、物価の背後事情、つまりユニット・レーバー・コストの動き、需給の動きというふうな物価を形成する背後のメカニズムの変化ということももう一回点検して、そう簡単に物価が再びマイナスになることはないという判断を置いた上で枠組みの修正をすると。第三番目の条件はまあ念のための条件でございます。全部せんじ詰めて言えば、表面的に物価がゼロ%以上になり、そう簡単に元には戻らないよということを、念を入れて、バックグラウンドに少し探りを入れて点検しますというのが三番目の条件でございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 非常に明確な回答、ありがとうございました。  三番目の条件に関して更にもう少し詳しく聞きたいのは、つまり、じゃ長期金利が上がりましたと、国債の金利が上がりましたと、これはただしの条件に入らないんですね。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 長期金利というのは、金融政策でもってあめ細工のように操作できないと、一定のところにセットするということはできないものでございます。しかし、長期金利はその性格として、市場参加者及び世の中のほとんどすべての人たちが将来の経済、物価の姿をどう見るかということによって、最終的にそのラインに収れんするものでもございます。したがいまして、その間に認識に乱れが生じないように期待の安定化を図る必要というのは、政策運営の責任を負う我々としては必要なことでございます。  したがいまして、量的緩和の枠組みを将来のある時点で修正するというふうなことになりました場合には、その後の経済、物価の見通しをどう見ているかと、これを市場参加者、世の中の多くの方々とシェアするための努力を大いに我々はさせていただきたいし、そして、量的緩和の枠組みというのは、そこで何か金融政策の引締め緩和の度合いに急に段差が付くわけではありませんと、あくまで連続線上のものとして滑らかに次の局面に移らしていただきますというふうなことを何らかの形で明確にお示しして、皆様の期待を、安定した期待を持っていただくと。ということは、将来の経済、物価の姿に見合ったところに長期金利が設定されるように認識をそろえる努力は最大限させていただくと、こういうことでございますが、長期金利の振れいかんによって緩和の枠組み修正のタイミングが右に揺れ左に揺れというふうなことをしますと、かえって人々の期待が乱れると、こういうふうに思っております。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 非常に分かりました。やはり、先ほど国債の金利がなぜ低いか、理由がよく分かりました。これは私は、政府の財政規律がしっかりしているんではなくて、やはり福井総裁の、若しくは日本銀行の市場に対する対話姿勢にあると思います。やはりこういった、将来何が起こるか、どういうふうな金利状況であるかというのを明確に市場に対してメッセージを出されていますから、非常に市場としては安心感があると思っています。  ここに対して、その場合に、出口政策が実行された場合の問題点としましては、相場の将来に対する金利がどういうふうになるかということで再調整をする必要がありますから、じゃ量的緩和から元のゼロ金利政策に戻りますと、この場合には、じゃオーバーナイトの金利が今は〇・〇〇一%がどのくらいまで上がることを容認できるか。その中間点というのが、これを指し示してもらいましたら、非常に市場の方はソフトランディングができると思います。  このことに関して、福井総裁の御所見がございましたらお尋ねします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) ただいま長期金利が安定している条件は非常に様々あると思います。私どもも、十分私どもの考え方を御説明申し上げることによって、幾らかそれに貢献しているかもしれませんが、それはごくわずかでございまして、やっぱり世界的に長期金利が非常に安定していること、そして国内においても、現実に政府における構造改革と、そして財政面での収支改善努力で、プライマリーバランスはごく緩やかですけれども今改善の過程に入っていると。そういうふうなことはすべてやはり今の長期金利の動きに反映しているというふうに思います。  しかし、ここから先の方がむしろ問題であって、本当に消費者物価指数がわずかでもプラスの世界に入った以降は、市場はもっと様々な経済の変動、将来の政策の構図というものに対して敏感に反応するようになると思います。したがいまして、我々の金融政策も期待の安定化に相当努力をしなきゃいけない。それから、財政の方でも、大臣お越しになっておられますけれども、これから非常に長い期間にわたっての努力、財政再建の努力の継続性について国民の多くの者がやっぱりしっかり信認を持ち続けられるようになることということがやっぱりかぎじゃないかというふうに思っています。  それで、量的緩和枠組み修正の時点での短期金利の動きというのは、そのときの経済情勢いかんにもよるところでございまして、今から具体的な数字で予測をすることはできません。ただ、唯一申し上げられることは、今の量的緩和の枠組みというのは、市場に準備預金制度上求められている所要準備額をはるかに上回る大きな額の流動性を供給しているということ、プラスCPIが安定的にプラスになるまでこの政策を続けるというコミットメントの両方から成っているんです。ところが、このコミットメントの方は、私どもが年末ごろになればCPIがプラスになりそうだと勝手に思っているだけではなくて、市場参加者の多くの方がそう思っておられるということは、日一日経過するごとにこの時間軸効果は短くなってくるということだと思います。  したがいまして、大量の資金供給を伴っているという、つまり大きな真綿入りの布団をかぶっているように見えますが、実態はゼロ金利そのものというものに刻々と近づいているということだと思います。したがって、量的緩和枠組みの修正の時点になりますと、人々の感じている時間軸効果はほぼゼロと、我々もそう思うと、残っているのはゼロ金利と、ここをスタートにどういうふうに将来つなげていくかということですから、何もその日からがくんと変わる必要はないわけでございまして、そこから後の経済・物価情勢の見通し、併せてしなやかにこれは調整していけばいいんであって、そういう意味で私は、連続線上のものであり、階段ということは意識しないでいていただいて大丈夫でございますということを申し上げているわけでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 量的緩和に対しまして、じゃ反対の概念としまして、じゃ自然体、つまり所要準備金額という概念があると思います。これは、恐らくはゼロ金利政策の状況だと思います。今三十兆円の準備預金がおよそございますが、何兆円が所要の準備預金で、そこに行くパスというのはどういう形を考えていらっしゃるのかというのが次の質問です。  具体的には、自然体で当座預金残高を落としていくのか、若しくは資金吸収オペという形で強制的に無理やりそこまで持っていくのか。もちろん、これは自然に流していくことが重要です。どういうふうなパスを考えているのか、是非、このことを市場に伝えましたら、より安定的な長期金利の推移につながると私は思います。是非御意見をください。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 委員もよく御承知と思いますが、現在の準備預金制度に関する法律に基づいて金融機関が求められている所要準備額というのは約六兆円、六兆円プラスアルファ、七兆には達していないと思いますが、六、七兆円でございます。それを上回る部分が明らかに過剰準備になっているわけでして、理論的には、その過剰準備の部分が存在する限り、短期金利はゼロないしそれに非常に近いところに収れんする圧力が常に働くということでございます。  したがいまして、量的緩和枠組みの修正というのは、端的に言えばその超過準備の部分を解消していくということになると思います。どれぐらいのテンポで解消するかというのは、もうかなり、最終的には技術的な問題になると思いますが、恐らく余り市場に摩擦を起こさせないで、そして、何と申しますか、民間金融機関もこれまでそういう過剰準備の体制に慣れてきていますから、急に一朝にして姿が変わって民間金融機関の資金担当者が急に戸惑うというふうなことがないように、スムーズにこれは流動性の調節ができれば一番理想的だというふうに思っています。  もちろん、そのときどういう日本経済を取り巻く環境が急変するかということを一応別の条件にすれば、通常であれば余り大きなショックを起こさせないでスムーズに吸収することを我々は考えなければならないというふうに思っています。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 観点を変えまして、量的緩和が必要だったのはいわゆる金融危機対策であると。そのために、資金を潤沢に供給する方法としまして、長期国債の買いオペ、こちらを四千億円から、これは二〇〇一年三月十九日、それから一・二兆円毎月買いますと。じゃ、量的緩和を終わらせるんでしたら、是非とも買い切りオペの月々の残高を減らすべきじゃないかと、それが自然じゃないかと思います。このことに対して福井総裁の御所見を伺います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 枠組み修正の過程、あるいはその修正が終わった後、金利レジームに戻った後の金融調節の具体的中身をどうするかというのはまだ全くオープンでございます。そこまで先行して詰める必要は全くない。そのときの金融情勢に合わせて最も円滑に金融調節が進められるようなアジャストメントをしたいということに尽きると思います。  国債の買入れオペレーションの額が非常に今高くなっていると、量的緩和政策を円滑に進めるために必要な範囲内で国債の買いオペ額を増やしてきたことは事実でありますけれども、将来ずっと見回しましたときに、長い方向性としては当然国債オペレーションの額は減らしていくことになると思いますけれども、これをまた一瀉千里、早めに調整するということが本当に市場に対して円滑な調整ということになるかどうか。やはり、そのときの市場条件というものを大事にしながら、我々としてはできるだけスムーズな調整を図っていきたいと。言わば市場関係者に十分予見可能性というものを与えながらこの調整を進めていくというのが我々の責任じゃないかというふうに思っております。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 こちらと関連しまして、長期国債買い切りオペをすることによりまして日本銀行の長期国債の保有残高が増えていきます。一方で、本日も、また前回も表明されました、長期国債の保有残高は日銀券の発行残高を上回ることはないと。恐らく、金利が上がってきたら、若しくは金融不安が今減っておりますから、日銀券の流通量というのは確実に減っていきます。いつの段階か、日銀券の流通残高が減ることによって長期国債の保有残高と逆転する可能性があります。そのときに、長期国債買い切りオペを減らさざるを得ないという状況が発生すると考えられます。  こういったことに対する、市場に対してメッセージ、市場に対するメッセージを送りましたら国債市場が混乱することはないと思います。是非、福井総裁の御所見を賜りたく思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 全般として金融不安が起こる心配は更に薄れていく、そして金利が今よりも少しでも高くなる方向ということになれば、銀行券、つまり現ナマを現ナマとして持ち続ける必要性というのも薄れてくると。そうなりますと、日本銀行が多額の国債オペレーションを続けていると、銀行券発行残高というシーリングとの関係で矛盾が生ずるではないかとおっしゃるのはもうそのとおりでございます。  しかし、それはそのときになって慌てるという性格のものではなくて、今から御指摘のとおり問題が分かっておるわけでして、その手前でどういうふうに銀行券の出方が変化していくか、金融市場、金融不安の収まり方がどうだということは毎日毎日確認できていくことでございます。それを十分計算しながら我々はスムーズに調整していって、かつできる限り市場参加者に予見可能性を与えながらやっていくということでありまして、何か壁にぶつかって急に日本銀行が慌てた措置をやり、したがって市場参加者も驚くと、こういうことは避けたいということを繰り返し申し上げているわけでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 福井総裁のオペレーション能力に関しては、市場、また私も非常に高く評価しております。  ただ、一言だけお伝えしますと、そのときに、国債の再々乗換えとか突然発表されないでください。やはり、長期国債の残高が一杯になるから償還したやつを短期国債に乗り換えると、そういう形でいわゆる会計上のギミックを使うことがないように、是非忠告申し上げます。  続きまして、量的緩和を続けることによりまして金融市場である異変が生じております。ある異変といいますのは不動産市場であります。J—REIT及び私募不動産ファンドに合わせて約五兆円の資金が入っておりまして、かなり不動産物件が値上がりしております。非常にもうバブルだと言う人もおります。このバブルを解消するためにはどうしても金利を上げていかざるを得ない。そのためには、長期金利に対して何らかのコミットメントを変える、長期金利を動かす必要があります。  そこで、政策としましては、いや、資産インフレは、こういった不動産価格の上昇、資産インフレは大目に見て景気回復を重視するのか、若しくは、いや、資産インフレというのは怖いと、もし上がり出したら金利で利かなくなって、最終的にはバブルの崩壊のときにありました資金を、資金量を抑えるという形でハードランディングをしないといけないと、こういうリスクがありますから、福井総裁は、今の不動産マーケット、J—REIT若しくは私募不動産ファンドの部分に関しましてどのように思われるか、是非とも御所見を伺いたく思います。やはり日本版ユーフォリアといいますのは是非とも避けてもらいたいなと思っています。  以上です。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) しばしば申し上げておりますとおり、今は日本経済が本当に持続的な回復パスにしっかりたどり着く、そしてデフレからしっかり脱却していくための非常に重要な局面でございます。  したがいまして、日本銀行としてはここで判断を誤ってはならないという気持ちが従前以上に強く持っておりまして、判断を誤らないためには経済全体の動きをしっかり見ていくと。何かを見過ごすとか、何か特定のことにこだわり過ぎて全体の姿を見誤るというふうなことは絶対に避けなきゃいけないというふうに思っています。  したがいまして、やはりあくまで経済、実体経済そのものが持続可能性をどれくらい強めていくかと、このリズムを正しく判断したい、そして物価の基調というものがデフレ脱却の方向に向かって更に着実に進んでいくかどうかということを基本の判断の視点にしたいと思いますけれども、しかし経済全体の動きとしては、フローの物価とそれから資産価格というのは相互にある意味で連関性を持って、問題を起こすときは問題を起こすわけでございますので、資産価格の動き、なかんずく不動産価格の動きについては十分視野の中に入れていきたいというふうに思っています。  現在、私どもが不動産価格の動きを見ております限り、都心部の一部、大都市の都心部などで既に上昇が始まっているというふうなことは十分承知しております。しかし、全国的にはまだ緩やかに土地の値段の下落が続いているということも事実でございまして、それらを総合的に判断したいということでありますし、もう一つ重要なことは、かつてのバブル期と比べまして土地の値段の形成のされ方が随分変わってきたということであります。基本的には土地を利用した事業が生み出す収益に対する民間経済の主体、民間経済主体の見方を反映して決まると。つまり、収益還元価格というふうな感じで値段が決まるようになってきているという点がかつてのバブルエコノミーのころとは違っている。でも、いつ何どきこの望ましい尺度から離れるリスクがないとは言えませんので、そうしたことも十分念頭に置きながら見ていきたいというふうに思っています。  今のところは、かねてよりお約束しておりますとおり、CPIが安定的にゼロ%以上になるまで今の緩和を続けても大きな問題を別途はらむというリスクはそれほど強くないというふうに判断しているわけでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 続きまして、先ほど田村委員も指摘されました、郵政公社が民営化されます。そのとき資金循環が変わっていくということが言われました。そこで、郵政公社が民営化するときのリスクを金利リスクの観点からお尋ねしたいと思っております。  いわゆる郵政公社の銀行部分、いわゆる郵貯には百五十兆円に上ります定額預金がございます。その見合いは国債の運用という形になっています。これは金利上昇に極めて弱い構造になっていると。なぜならば、資産サイドは金利が上昇することによって大きな損失若しくは含み損を発生させると。一方で、定額預金といいますのは、いつでも解約自由ということで、金利が上昇したらもっと利回りの高い資産の方に、若しくは預金の方に乗り換えられてしまうと。民営化することによってその資金がもしかしたら別の金融機関に行く、若しくは国債に行くということで、郵便貯金銀行の方から資金が流出していくと、こういったリスクが発生いたします。  民営化するということは、もう一つ、いわゆるデフォルトする可能性があるということで、これは金融システムにも大きな影響があるかということで、日本銀行としましても、日銀考査の点からチェックする必要があるんじゃないかと思います。この点に関する日本銀行の認識、そして金融システムに対する影響に関して御所見がございましたらお尋ねします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 先ほどもお答えいたしましたとおり、ごく一般的に言えば、郵貯の民営化というのは、公的部門に滞留している資金の流れが民間部門に次第に開放されていくということになって、資源の有効配分につながり、経済のよりダイナミックな姿の実現に向かっていい効果を及ぼしていく方向になり得るものだし、是非そうしなければいけないというふうに申し上げました。さはさりながら、実際にその移行過程において、民営化後、実際の資金の流れがどういうふうに変わるか、何か混乱を生ずる種はないかということは、現実の問題として別途きちんとこれは点検していかなければいけないことだというふうに思っています。  事前に予測をすることはなかなか難しいわけでありますけれども、今私ども、郵政公社は日本銀行に当座預金を置いておられて、その当座預金の管理を通じて私どもも郵政公社の資金繰りは日々これを把握しております。何か資金の流れに好ましくない変調がある場合にも何がしかの予兆は得られるだろうと思いまして、十分民営化後の、郵政公社とは言わないんですね、郵貯銀行とも十分資金繰り判断というものを共有しながら、様々なリスクを早く発見するという努力はやっぱり必要だろうというふうに思っています。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 日銀の金融政策に対して最後の質問なんですが、私の意見としましては、やはり景気が回復していく過程で金利は上昇していきます。しかしながら、長期金利をいかに安定的に、また低位な状況に置いておくことが非常に重要だと私は考えています。一つは財政再建のためにも必要ですし、また様々な混乱を起こさないために。そのためには、やはり日本銀行、財務省、金融庁がスクラムを組んで市場の混乱を避けるような協力体制を構築することが必要じゃないかと私は考えています。  幾つかの問題がございまして、今後起こる問題としましては、いわゆる新BIS規制でアウトライヤー規制というのが出てきます。これは、金融機関が金利リスクを持った場合、自己資本にカウントしようということです。ですから、日本の銀行が国債を持った場合に資本をカウントしないといけません。現状はリスクウエートゼロのものが金利リスク分、それに対応します資本を積む必要があります。ですから、なかなか国債を持てなくなってしまうと、こういった問題がございます。また、ソルベンシー規制に関しましても、国際的に生保の債務サイドを時価評価しましょうということで、なかなか期間の長い国債を持ちづらくなっております。問題は、こういったものがどういう形でカウントされるかが分からないと、不透明ですから、リスクがあるから先に国債を売ってしまえと、国債の暴落になることは避けるべきだと思っております。  ですから、金融庁としましては、日本の場合はどう考えて、どういうステップでこういったものを受け入れていくと、また個別金融機関の財務の健全性の観点からこういった規制は必要です。一方で、市場の安定化のためにどういうふうな暫定的な規制をするか、こういったことに対してまず金融庁の御所見を承りたく思います。そして、是非、財務省には、国債を安定的に引き受けてもらうためにどのようなことを金融庁若しくは日本銀行にお願いできるか、こういった点に関して財務大臣に御質問いたします。

七条明自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(七条明君) 金融庁からのという意味で、国債管理政策上というふうに先生さっき言っておられましたものですから、そういう観点だと思ってお答えをさせていただきたいと思うわけでありますけれども。  金融機関がその資産内容をどのように構築するか、あるいは金融機関自らの経営の判断によって決定されるものではないか、それらは決定されるものではないかと、こういう観点に立って考えておるところでございまして、金融庁におきましては、各金融機関に対する自己資本比率の規制や、あるいは保険会社に対するソルベンシーマージン規制などの監督手法により、各金融機関の健全性を保つために、これらは預金者の保護及び保険契約者の保護を図っていくというところをまず考えなければならないと。そういうことを考えながら、引き続き金融システムの安定を確保する観点から、各金融機関の適正な監督に努めてまいらなければならないと考えております。  そういうふうに考えていきますと、国債管理政策上ということでございますけれども、金融システムの安定を確保する観点から、財務省あるいは日本銀行との必要な連携を行うことは、これはやっていかなければなりませんが、国債の安定消化の観点から各金融機関との健全性の確保に関する金融行政上の連携を行うことが不適切ではないかと、こういうふうにも考えるところでございます。

谷垣禎一自由民主党財務大臣

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、大久保委員がおっしゃったソルベンシーマージン規制であるとかあるいはアウトライヤー規制については、今、副大臣から御答弁がありましたように、金融行政の観点から金融庁において適切な判断をされると思っておりますし、また国債管理政策上も、金利政策というのは極めて私ども深い関心を有しておりますが、これも金融政策の上から日銀が適切に判断をなさるものと思っております。  一方で、財務省としては、これまで国債管理政策を運営していくために、国債市場の流動性であるとか、あるいは国債を含めた金融市場のインフラ整備というものが極めて大事だと、それを担当される日銀、金融庁とは密接な協力関係を取ってまいったわけでございますが、今後ともそれは引き継いでいかなければならないと思っております。  実は、今朝の御議論でも申し上げたんですが、私ども昔は大蔵省と言っておりまして、今は財務省になっておりますが、その間でいろんなことがございまして、日銀の金融政策決定の独立性を高めるために日銀法の改正が、あれ出ましたのは何年でしたか、そういうことで、日銀の政策決定、速水総裁そして福井総裁それぞれ御苦労をされてきたところだと思いますし、また金融危機の当時に、金融政策はもっとマーケットオリエンテッドなものにならなきゃいかぬということで大蔵省からいわゆる財金分離をしたような過程がございますので、私どもは、今までの御議論の中では、財務省としてそういうことを物言うのにある意味で抑制的で来たという過去の経緯があるわけでございます。  一方、そういう流れの反面に、今構造改革というのは金の流れを変えていくという意味合いでもあるわけですが、一体その日本の金の流れ全般をだれが見てだれがコントロールしているのかという議論も今までの流れの議論とはまた裏腹にあるんだろうと思っております。  今の委員の御質問もそういう観点が含まれていたのかなと思うわけですが、今の制度上から申しますと、財務省、金融庁、日銀、それぞれある意味で独立に権限を行使することになっておりますが、しかし、じゃ、同じ日本の政策決定の中でこの三者があさっての方向を向いてばらばらに決めていたら、これはおかしなことになるわけでございまして、そういう意味で、経済財政諮問会議のような場でもいろんな議論がございますが、日銀総裁にも参加をしていただいているわけでございますし、また日銀の政策決定会合に私どもも、副大臣がいつも参加をしておりますが、そういう中で議論を一緒にさせていただいていると。こういうことで、それぞれの権限の独立性というのは当然のことながら尊重しなければなりませんけれども、大きな意味での方向観というのを一致させながら運営をしていくということが大事ではないかと思っております。  その上で、先ほども若干御議論がありましたけれども、私どもは、財政規律をきちっとして、そういうメッセージも常に市場に出していくということで、国債の管理のまず前提にあるものはそれだと思っておりますし、それからさらにマーケットとも十分対話をして、マーケットのニーズがどこにあるのかということも見極めながら国債の管理政策というのを行っていくということが大事ではないかと、このように考えているところでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 谷垣大臣のお言葉を聞きまして非常に安心しました。現実は本当に厳しい状況だと思うんですね。つまり、国債の保有五〇%以上が政府系ですね、日本銀行及び郵政公社。郵政公社は民営化しますと。そして、もしかしたら国債を持てなくなるかもしれません。日本銀行さんに関しましては、通貨の発行残高の上限がありますから、いつまでも国債を持ち続けることはできませんと。一方で、民間の銀行、例えば地方銀行とか生命保険会社、地方銀行に関しましては、この新BISのアウトライヤー規制がありますから持ちたくても持てない状況が来るかもしれないと、またソルベンシー規制が出てきますと。非常に、国債の金利の観点から考えましたら、これまでと同じように金利が低金利で継続するというのは非常に想像できない状況だと思います。  ただし、その次に、じゃ、国債が暴落して市場が混乱するというのは是非とも避けるべきでありますから、将来のリスクに対しましてはいろんな、日本銀行、金融庁、そして財務省が連携を密にして市場の不安を最小限にすると、このことが是非とも重要だと私は思っています。是非ともよろしくお願いします。  続きまして、日本銀行のガバナンスに関して御質問します。時間がありませんので簡単に質問します。  一九九八年二月に、日本銀行政策委員会におきまして戸田発券センターの建設を計画しております。これは八百億円という非常に大きなプロジェクトであります。こちらの費用対効果分析が是非とも必要じゃないかと思っております。  といいますのは、発券業務は本当に日本銀行だけしかできないのか、こういった疑問もございますし、是非とも市場化テストの第一号にしようと、こういった話もございますので、どうして戸田分館、戸田分館センターを八百億円も掛けて造ったのか、そして現在のオペレーションは成功しているか、このことを福井総裁にお尋ねします。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) ただいま日本銀行の戸田分館についての御質問でございますけれども、日本銀行の戸田分館は、銀行券の取扱物量が増大してきたと、そういうことで、当時、いずれ日本橋の日銀本店のみでは対応できなくなるということが見込まれたために建設した施設でございます。  もちろん、その処理量というのを正確に予想することは難しいわけでございますけれども、例えば市中金融機関から日本銀行への銀行券受入れ量というのは、大体、当時考えた見通しに沿って増加しているということでございます。それでは、このような戸田分館ということは、そういうことでございますので、日本銀行券の円滑な供給を確保するという上で不可欠の施設であると私どもは考えております。  この戸田分館というのは、人手をほとんど介さない自動一貫処理システムというものを導入しておりまして、いわゆる発券事務の大幅な省力化あるいは正確性の向上の実現といったことに寄与しておりますし、また建物は耐震性能や防犯対応力も強化しているということでございます。さらに、いろいろな災害というようなことが想定される時代でございますけれども、そういったような非常時には、この戸田分館と私どもの日本橋の本店とを相互にバックアップするということが可能になりまして、そういうことで発券事務のいわゆる業務の継続化、そういったものの強化にもつながっていると、こういうことでございまして、私どもは、このような戸田分館の設置というのは日本銀行の発券機能を担う中央銀行といたしまして必要かつ適切なものであったと、かように考えております。  また、ただいまの御質問の中に日本銀行が発券業務を継続すること云々ということがございましたが、私どもは、現在、日本銀行法に基づきまして我が国唯一の発券銀行といたしまして日本銀行券を発行しておると、こういうことでございます。そして、その日本銀行券を国民の皆様が安心して使うことができるようにするということが日本銀行の基本的な使命であると考えておりまして、そういうような見地から考えますと、発券業務というのは、銀行券の円滑な供給を確保し、かつ、通貨に対する信認を維持するということのための中央銀行の本来の業務でありまして、そうした中核的な業務を民間に委託するということは必ずしも適当ではないと、このように思っております。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 関連した質問なんですが、この戸田分館発券センターに関しましては、現在の発券金額は計画比どの程度かというのが第一の質問。  第二点は、戸田発券センターの常駐責任者はだれであり、テロ若しくは危機管理が本当にできる権限があるのか、こちらに関して質問します。端的にお答えください。よろしくお願いします。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) 現在の戸田分館の銀行券の処理量というのは、例えば市中金融機関から日銀への銀行券の受入れ量というのは、大体、当初私どもが見通した線に沿って増加していると、こういうような今状況にございます。  それから、いわゆる戸田分館の責任者ということでございますけれども、戸田分館の常駐責任者は発券局戸田発券課長でございます。戸田発券課長は、戸田分館におけます発券業務全般を統括しておるということで、所掌事務を適切に処理できる権限を有していると、こういうことでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 私、確認したんですけれども、この課長さんというのは非常時に対応権限がないと。一方で、日本銀行は府中電算センターがあります。センター長は局長ということで、電算センターは局長がいるのに発券センターは課長さんで、危機対応能力がないと。もし、戸田分館にテロが若しくは何か危機があった場合に、どういうふうに対処されるんですか。つまり、日本橋本店から発券局長が車で行って、そこで指示されるんですか。その間に一時間、二時間掛かって本当に対応できますか。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) 発券部門におきましては、現在戸田分館とそれから日本橋の日銀本店と双方に分かれて営業しておるわけでございますけれども、これは発券事務のいわゆる企画立案といったようなことだとか、あるいは財務省との連絡調整を行う発券業務全体の本部機能というのは日本銀行の本店の方に置き、戸田分館におきましては主として銀行券の大口取引に特化した業務を担当すると、こういうような両者の役割分担を前提にしたものでございます。  そういう中で、戸田発券課長は戸田分館における発券事務の最高責任者でございまして、万が一戸田分館に非常事態が発生した場合でも、戸田分館において必要な指揮命令を行い、適切に対応できる体制を整えておるということでございまして、したがいましてそういった万一の場合のガバナンスあるいは危機管理上も特に問題はないと、このように考えております。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 私もいろいろ調べてみましたが、これはこれから調査するということであります。  元々八百億円も掛けてセンターを造ると。ここに局長を持っていく予定が、やはり日本橋から局長は離れたくないと、こういったこともあったように聞いておりまして、これが第一の疑問です。次に、八百億円も掛けて投資したものが本当にそれだけの価値、効果があったのか、これが第二の疑問です。これに関しましては、いろんな日本銀行の資料を請求しましてもう少し詳しく勉強させてもらいたく思います。  これで私は終了します。

西田実仁公明党

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今日はお忙しいところ、総裁、また副総裁、本当にありがとうございます。  今いろいろと議論ございましたけれども、一応確認でございますけれども、今ちまたではこの量的金融緩和の解除ということが大変に話題になってございまして、先ほど総裁は、ややこれが先走った議論ではないかという御指摘もございましたけれども、間違いなくこの解除ということが話題になっていることもこれは事実だと思っております。  私も総裁には何度か質問をさせていただいておりますが、市場との対話はもちろん大事でございますけれども、これは、国会でございますし、私たち国民の皆様方に選ばれてここに来ているということもございまして、国民との対話ということで是非お答えを分かりやすくしていただければというふうに思います。その意味で、このいわゆる解除、量的金融緩和の枠組みの解除ということがどういう意味を持つのかということについて総裁にお聞きしたいと思います。  実際に、地元に戻りますと、例えば変動金利でローンを、住宅ローンを組まれている方とか、あるいは中小企業の方で長期のローンを組まれている方とか、そういう方々から、新聞等で総裁のいろんなインタビュー等が載りますと、これから金利がどんどん上がっていくんじゃないかと、こういうようなことをよく聞かれるわけでございまして、いわゆるこの解除というものがすなわち金利の上昇というものを意味するものなのかどうかということにつきまして、まず総裁から、再度確認でございますけれども、お聞きしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 先ほども少しお答えいたしましたけれども、現在の量的緩和の枠組みというのは、あくまで日本経済の非常事態に適応した異常な金融政策の枠組みだということでございます。経済、物価の情勢が正常化すればするほど、これは実態にそぐわない政策だというふうに逆になってまいります。  金融政策で一番いけませんことは、実態から離れた政策をいつまでもやると、それは後からツケが非常に大きくなるということでございます。やっぱり経済・物価情勢の変化に最もマッチした形で自然に金融政策の姿、運営の姿を変えていくということが、今御懸念をお持ちになられましたように、急に金利が上がったり、取引に不円滑するような事態が急に起こると、つまり予測が不可能な状況でいろんな変化が企業とか家計の前に出てくるということを防いでいく最も正道なやり方でございます。  日本経済、派手ではございませんが、次第に着実に持続性のある景気回復の軌道に今戻りつつありますし、消費者物価指数で見たインフレ率というのも間もなくプラスの世界に入っていくということが視野に入ってきておりますので、これをもって私どもは、経済は、十分満足いけるかどうかは別にして、かつてに比べればもうかなり大幅に正常な姿に戻りつつあるというふうに思っています。金融政策の姿だけ過去の最も日本経済が最悪であった時期の姿のまま運営していくということは将来に責任ある政策を取るということにならないと、むしろ実態に合わせて緩やかに金融政策の運営の姿を変えていった方が今後の経済・物価情勢にぴたっと見合った金利形成を促していく条件を整えていくことになるんではないかと、こういうふうに思っている次第でございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 先ほどもお話ございました、またこれまでも総裁が言っておられますのは、金融緩和ががたんと階段を付けるようにして不連続で変わるわけではないというお話をされているわけですけれども、これも確認ですが、不連続に変化するわけではないと、すなわち連続的に変化していくんだということですが、それは当然このゼロ金利というものを経由して連続的に変化するというふうに理解をすればよろしいんでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 金利に目を注ぎますと、現在でも、短期金利といいますか、イールドカーブが一番短いところはほぼゼロ金利でございます。量という大きな衣をかぶっているわけでありますけれども、この持つ意味が時の経過とともに薄れてきて、実態はゼロ金利政策そのものに次第に近づいてきていると。したがって、量的緩和の枠組みの修正は、実態も名目もまずゼロ金利というところから再スタートすると、こういう御理解で持っていただければ、私どもの認識と一致いたします。  そのゼロ金利からスタートして将来どういう金利展開をするかということは今後の経済・物価情勢次第ということでありますけれども、今まで量的緩和政策枠組みの下で、人々が金融政策を見る目というのはかなり固定的にごらんになってきたと思います。CPIというものに一点に目を据えていれば、日本銀行がどういうふうに動くかということはかなり透けて見えるようになっておりましたけれども、通常の金利の世界に戻りますと、やっぱり一般の方々も、経済・物価情勢その他世界経済の動きについて幅広く目を注いでいただいて、大きな認識が日本銀行の認識と合っているかどうかを民間の方からもチェックしていただかなきゃいけないわけですが、そのために我々は、従来以上に情報発信を密にして、そういう人々の期待と我々の政策、意思というものに余り大きなそごが生じないようにしっかり運営していきたいというふうに思っています。

西田実仁公明党

○西田実仁君 いわゆる枠組みの解除がその後の長期金利の上昇を招くわけではないと、急激な変化がないんだというお話でございますけれども、それが、解除そのものがその後の長期金利の上昇を促すことはないということを、ある意味でそういう材料にならないんだということを客観的な一つの指標として示す必要があるんではないかという議論は昔からあるわけでございまして、これにつきましては総裁は、例えばインフレターゲティングにつきましてはまだそういう条件が整ってないという言い方をよくされるわけでございますけれども、こうした物価上昇圧力を示す、またその指標としての客観的な指標というものを持つ必要はあるのかどうかにつきまして総裁の御所見を伺いたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 金融政策と人々の期待の安定化ということをにらみ合わせて考えました場合に一番大事なことは、やっぱり金融政策についてはその発動のタイミングが早過ぎもしなければ遅過ぎもしないと、最も適切なタイミングで政策変更が行われ続けていくということがやっぱり人々の経済を見る目とこれが常に一致するということにもなります。  長期金利にいたしましても、その他様々な市場の中の指標というのは、やっぱりそういう多くの人が将来の経済、物価をどう見るか、日本銀行がどういうふうに見ているかと、それが一致する時点でその金利形成等が行われていくわけでございます。したがいまして、日本銀行にとって非常に大事なことは情勢判断を誤らないということでありますし、同時に、情勢判断が変わったときは、我々は機動的に動けるということでなければいけないと思います。  コミュニケーションの道具としてインフレーションターゲッティングその他様々な工夫は項目としていろいろ御示唆いただいているわけでありますけれども、コミュニケーションを密にして我々の情報発信が十分行き届くということと、逆にそれが縛りになってライトタイミングで我々が政策を行うことができないということであれば、国民経済的にはかえって御迷惑を掛けることになります。  したがいまして、政策運営の機動性確保ということと透明性向上と、全くこの性格の違う二つのターゲットのちょうどいい中間点で我々は金融政策が運営できるように、様々な道具立てをこれから工夫させていただきたいというふうに思っています。

西田実仁公明党

○西田実仁君 この金融政策決定会合のたびに内閣府の方からは、デフレ克服のためにもっとマネーサプライ増やしてもらいたいと、こういう趣旨の御発言がございます。名目成長率を高めるためにマネーサプライを増やす必要があるのかどうか。一方で、この日本にはお金がもう、先ほど不動産の話もございましたけれども、じゃぶじゃぶとお金が余っているんだというような御指摘もあるわけでございまして、これは一体どちらが本当なのかどうかにつきまして、もし御意見がございましたらお伺いします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 先ほどまでここで議論をさせていただいておりましたのは、狭い意味の流動性、金融機関が保有する流動性の議論をさせていただいておりました。マネーサプライの議論になりますと、企業とか家計が持つお金の量でございます。指標でいえばM2プラスCDといったような代表的な指標で表される指標でございます。  この指標の見方も、その残高が月々どういう上昇率を示しているか、あるいは一年前と比べてどれぐらいの増加率になっているかという見方が一つありますが、同時に、もう既に出回っている今の残高全体の大きさが、人々が日々行っておられる実物取引、金融取引の総量を賄うのに十分であるか不十分であるか、あるいは十分の度合いを超えてもうこれまたあり余るぐらい供給されているか、この二つの見方があると思います。  その後者の見方、既に出回っているM2プラスCDが現在のGDPの大きさあるいは金銭取引も含めた総取引量の大きさから見ますと、これは非常に従来に例もないぐらいマネーの方が大きくなっているわけです。つまり、マネーの残高を取引量で割り算いたしますとこの比率は非常に高くなっておりまして、逆にこの取引量をマネーの大きさで割りますと非常に小さくなっています。通貨回転率が非常に鈍っていると。つまり、お金があり余って、そのお金を全部使い尽くすほどまで人々は取引をしていないということでありますので、我々としてはそういう意味ではマネーは十分供給されていると。余りにも過去たくさんのマネーが供給されているために、最近の月々の伸びあるいはそれを前年対比で見た伸び率そのものは比較的鈍くなっていると。そこの点だけとらえてお金の出方が不十分かどうかというのは、なかなか難しい判断だと思います。  最近、日本だけではありませんで、主要先進国それぞれについて点検してみますと、お金の伸び率、マネーサプライの伸び率と景気の良しあしとのこの相関関係は従来に比べまして非常に不安定になっております。そういう点から見ましても、日本の場合、既に多額のマネーサプライが供給され、人々は使っても使い切れないぐらい今お金がある状況だというふうに極めて常識的に判断する方がむしろ今は妥当じゃないかなというふうに我々は思っております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 この金融システム全体につきましては、いわゆる一時期の大変な不安定な状況からは安定化してきているわけでありますけれども、資金需要ということで見ますと、例えば農林系とかあるいは中小企業系の金融機関、小規模な金融機関につきましてはいまだに期末時にかなり強い資金需要というのが発生していることがグラフ等で見られるわけでございますが、こうしたこの小規模の金融機関に関する資金需要につきまして現状どのような御認識を日銀としてはお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) お答えいたします。  資金需要でございますけれども、企業の方は全体として今借金の返済を進めておるということでございますから、資金需要が大きく盛り上がるということはございませんけれども、しかし全体として景気が良くなってきますと、中小企業につきましても資金需要が少しずつ伸びてくるという感じでございます。  私どもが発表しています銀行貸出しの数字を、これをメガバンクとそれから地域の金融機関に分けまして、地域の金融機関の貸出しを見てみましても、やっぱり少しずつそれが増えてきているという感じが出ております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 一昨日の報告にもございましたけれども、規律ある組織運営ということにつきまして、いわゆるブラックアウトのことにつきましてお聞かせいただきたいと思います。  このブラックアウトと言われるものにつきましては、紳士協定と申しますか、金融政策委員の間での申合せといたしまして、決定会合の二営業日前から総裁の会見の終了時刻までの間は原則として金融政策及び金融経済情勢に関して外部に対して発言をしない、こういうふうな申合せが、二年前だったかと思いますけれども、なされているわけでございます。修正されているわけでございます。  しかしながら、最近、まあこれはうわさにすぎませんから多分事実じゃないと思いますけれども、一部の政策委員の方が大変に、いわゆるブラックアウトの期間に外部に対して発言をしているかのようなことを私の耳にも何度か入ってきておりまして、事実とは思っておりませんけれども、念のためにお聞きしたいと思います。  この申合せは各委員にどのように徹底をされておられるのか、そして、万が一この申合せに反する行為があった場合にどのような対応をされる準備をされているのか、予定しているのか。またさらに、いわゆる外部に対して発言をしないということですけれども、この外部というのには、例えば財務省は入っているのかどうか、これにつきまして確認をさせていただきたいと思います。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) お答えいたします。  金融政策決定会合の直前に同会合の関係者が外部に対しまして自分の考え方を述べますと、決定会合における審議の内容や政策決定の方向性に予断を与えまして、市場に無用の思惑や混乱を招くおそれがございます。こうしたことを勘案しまして、政策委員会で申合せを行いまして、同会合関係者が決定会合の二営業日前から会合終了日当日の総裁記者会見終了時刻までの間は、これは金融政策及び金融経済情勢に関し外部に対し発言しないということにしておりまして、これが今御指摘のブラックアウトルールでございます。  言うまでもなく、この決定会合の関係者は、この政策委員会が申し合わせましたブラックアウトルールを、これを厳格に厳守しているというふうに考えております。  それから、今御質問の外部でございますけれども、政府、例えば財務省、これは入っておるかということ、これはこの申合せの中には入っておりません。

西田実仁公明党

○西田実仁君 入っていないというのは、要するに発言してもいいということですか。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) 政策委員会決定会合に出席される政府の方々も、政府の立場におきましてそれぞれの守秘義務があるということでございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 このブラックアウトの期間でも一般的な意見の交換は許されているというふうに解釈されていると理解しておりますけれども、一般的な意見交換というのは、具体的にはどういう範囲を示しているのでしょうか。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) 日本銀行の政策委員会決定会合におきます議論は、これは議事要旨を通じて世の中に公表しております。それから、会見直後の総裁の記者会見でもまたこれ説明しております。  そうした日本銀行、既に世の中に説明している事柄につきましても、これは十分、その議事要旨だけで十分にその意が通じないこともございますし、これは日銀法の規定に沿いまして、政府との間で意思疎通を密接に行うという観点からそういうふうな説明を行っておると、意見交換を行っているということでございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 最後に、今年はペイオフが解禁をいたしまして、これ総裁に是非お聞かせ願いたいんですが、いわゆる金融教育元年というふうに位置付けて、日銀といたしましても大変に熱心な取組をされていると承知しております。大学においていろんな教育を施していくということも大事でございますけれども、小中あるいは高校に至るまでこの金融教育というものを十分に普及させていくということも大変大事であるというふうに思っております。  アメリカでは、いわゆるFEDチャレンジというふうに称して、いろんな金融政策について競い合って、そこに審査員として例えばグリーンスパンさんがそこにいるというような、議長が自ら出ていって、そういった金融教育の普及に努めておられるという姿も聞き及んでおります。  こうした、まあ福井総裁もいろんな講演等を通じながら、また大学等でも御講演されながら、こうした金融教育の普及にお努めになっていることは承知しておりますが、例えばアメリカのこのFEDチャレンジのような、具体的にこの現場というか、小中高の皆さんのいるようなところでの現場におけるそうした金融教育を普及していく活動なりが、これからなさってはいかがかというふうに思いますが、もし御感想があればお聞かせ願います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) ありがとうございます。  金融教育というのもちょっとおこがましい言葉なんですけれども、国民の皆様一人一人にお金を生き生きと使ってもらいたいと。本当に若いときから、学生のころから、あるいは強いて言えば小学生のころから、お金というのは何か忌み嫌うような不浄なものだというふうな感じでなくて、やっぱりお金を上手に使うことが、世の中非常にダイナミックなすばらしい世の中になるんだということを実感を持って分かりながら育ってほしいし、大人になりますと、もっと本当に、お金をどこかに預けておけば自然にいい動きをするんだというんではなくて、自分のお金は自分で大切に使うと。預けたお金は人が本当に生き生きと使っているかをよく見ると。納めた税金もちゃんと政府が正しく使ってくださっているかをよく見るというふうに、お金がいかにこの世の中に前向きに役に立っているかということをしつこく追っ掛けるぐらいの気持ちをみんな持っている方がいいというふうに私も思っています。  そういう気持ちから、日本銀行でも今年、金融教育元年というふうに名を付けながらいろんな活動を展開しておりまして、一つは金融教育フェスティバルと。いろんなシンポジウムとか、そのほか、お金について学ぶ子供の広場とか教育セミナーとか、いろんなことを盛り込んでやっておりまして、十一月に東京で開催する予定でございます。もう一つは全国リレー公開授業と。これは、児童生徒の保護者などにも参加していただいて、金融教育の分かりやすい授業を実践するものでございます。全国二十一の学校で順次開催されております。このほか、様々なプログラムもございます。  私自身も、今年三月に大阪で全国キャラバン金融講座の講師を務めさしていただきました。また、来月、東京での金融教育フェスティバルにも私は出さしていただく予定でございます。できる限りスケジュールに余裕をつくりましてこういう活動に積極的に出ていきたいというふうに思っております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 終わります。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 それでは、東アジア共同体構築に向けた質問の第二部をお話をしたいと思います。  日銀のスタンスと財務省当局の具体的な取組について、質問というよりも学習会のつもりでいろいろ御見解をお聞きしたいというふうに思っております。  現在、東アジア共同体に向けたアプローチは、先ほどの資料に、下の方ですけれども、いろいろ書いてございます。別にこの貿易関係が土台で金融が上部構造という意味ではありませんが、両面があるという意味で資料を載せてあります。特に、この金融協力の方が、通常、こういう域内協力というのは貿易関係が先行して金融が後から付いてくるというケースがかなり多いんですけれども、このアジアの場合は、金融協力が同時並行といいますか、若干先行している場合もあるかなという進み方だというふうに思います。それは、それだけ、貿易の方はそれぞれ輸入品にかかわる国内分野から反発が起きるとかいろんなことが起きますので、時間も掛かる部分ありますが、この金融の方は政府サイドで決められるというところからスピードが速いという点もあるし、逆に言えば、政策判断が重要な部分だと思います。  この地域金融協力の部分に絞ってお伺いをしたいというふうに思いますけれども、まずこのスキームを先に、これは担当は財務省ですから説明してもらってから、その後、日銀に質問するというふうにした方がいいと思います。  まず、チェンマイ・イニシアチブというのは何なのかということをだれでも分かるように説明をしていただけますか。

井戸清人財務省国際局長

○政府参考人(井戸清人君) 御説明申し上げます。  東アジアにおけます域内金融協力の重要性につきましては、アジアの通貨危機を契機といたしまして、域内の当局者間で広く認識をされる状況に至ったわけでございます。その結果、二〇〇〇年の五月にタイのチェンマイで開催されましたASEANプラス3、プラス3とは日本、中国、韓国でございますが、このASEANプラス3の財務大臣会議におきましてチェンマイ・イニシアチブが合意されたわけでございます。これは、東アジア域内における通貨危機の予防及び対処のために、ASEANプラス3各国の間で二国間の通貨交換、いわゆるスワップという形式によりまして、短期的な資金の融通を行うということを目的といたしているわけでございます。  その後、二国間の間で通貨交換取決めが順次締結されまして、現在では日本、中国、韓国及びASEAN五か国の計八か国間で、全体といたしまして五百三十五億ドルのネットワークが形成されているところでございます。本年五月にトルコのイスタンブールで開催されました今年のASEANプラス3財務大臣会議におきまして、このチェンマイ・イニシアチブを更に強化していこうということが合意されております。現在、事務当局の間でその実現に向けて様々な検討を行っているところでございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 そういうものがチェンマイで決まったということでございます。  要するに、いざというときの、通貨危機の反省から、いざというときの介入資金をお互い融通し合うという仕組みでございますよね。スワップというのは、介入資金を借りたのを反対取引をして返すと、こういうことでございますよね。そういうものがチェンマイ・イニシアチブということです。  一つだけお聞きしておきたいんですけれども、このチェンマイ・イニシアチブは金融協力では初めての画期的な取組だと私、思いますけれども、ただIMFのプログラムの枠内で使うというふうになっておりまして、実際に使えるのは、各国の二国間でいうと、この枠内でいくと一〇%だけと。つまり、IMFが金融支援を決めるまでのつなぎ資金といいますかね、そういう位置付けがあって、実際にはまだまだもっと使えるようにということ、あと機動性が良くないという話もございますよね。これが十一月ですかね、APECのときですかね、開かれるASEANプラス3の財務大臣会議のときに、これをもっと使いやすくしようというふうなことが提案されるんではないかというふうな話がありますけれども、そういうことはあるんでしょうか。

井戸清人財務省国際局長

○政府参考人(井戸清人君) おっしゃるとおり、現在、基本的にはチェンマイ・イニシアチブを発動する場合にはIMFのプログラムがあるということが、若しくは締結されるだろうということが前提となっております。そういった意味では、IMFの支援を補完するというのが基本的役割でございますが、他方で、委員御指摘のとおり、そういう構造的な問題でない、取りあえずの短期の対応としては、これまでは一〇%だったわけでございますが、今年のASEANプラス3財務大臣会議でこれが二〇%に引き上げてございます。今後、随時各国間の取決めはそうした方向で見直されることになると思います。  ASEANプラス3の財務大臣会議は、大体毎年、アジア開発銀行の総会と同時に開催されていますが、春に開催されるわけでございますが、今後、当然ASEANプラス3の首脳会議等でも議論されることがあるかと思いますし、私どもとしては、来年のASEANプラス3財務大臣会合に向けて更にいろいろ議論を進めてまいりたいというふうに思っております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございます。  日本がイニシア取って、その辺の改善を是非進めてもらいたいと思います。  もう一つ、下にあります「アジア債券市場の育成」、これも簡潔に説明していただけますか。

井戸清人財務省国際局長

○政府参考人(井戸清人君) アジア債券市場育成イニシアチブと申しますのは、二〇〇三年の八月に、同じくASEANプラス3の財務大臣会合において合意されたものでございます。これは、アジア域内で債券市場を育成するということによりまして、アジア域内の貯蓄をアジアに対する投資へとよりよく活用できるようにしたいということがその目的でございます。  このために、具体的にはアジア域内で多様な通貨あるいは機関の債券をできる限り大量に発行しまして、市場に厚みを持たせることで、債券発行企業あるいは域内の投資家の双方にとって使いやすい債券市場の育成を行いたいというふうに思っております。当然のことですが、こうした債券市場ができますと、アジアにおいて、現地通貨建てということで為替リスクがない、かつ長期の資金を使った投資が可能となるわけで、アジア地域の通貨の安定にも資するものというふうに考えております。  これまで作業部会で具体的な検討をいろいろ進められておりまして、例えばバスケット通貨建債券の研究を始めるというような、将来のアジアにおける国際債券市場の発展に向けた検討を始めるということについて最近では合意が行われているところでございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございます。  これは要するに、これも九七年のアジア通貨危機のときの反省があって、あのときはアジアの国が外貨で借りて、短期で借りて長期で国内通貨で貸出しをしたためにミスマッチが起きた、それで資本収支が悪化してああいうことになったというのも一つの原因だということで言われておるわけですね。そういう反省が込められてこういうものが付けられて今努力が始まっているという枠を踏まえて、日本銀行福井総裁にお伺いしたいんですけれども、日銀としてはこのアジアの地域内の金融協力にどういう努力をされているのかということと、この金融協力、先ほどあったようにアジア諸国には大変メリットがあると思いますが、日本自身にどんなメリットがあるのか。どういう努力をされてきたのかというのと日本自身のメリットですね、この二つについて教えてください。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) お尋ねの点につきまして、日本銀行の基本的な認識でございますけれども、東アジア諸国、アジア、特に東アジア諸国、これは日本も含んででございますけれども、世界全体の中で見ると、この東アジア諸国というのは最も成長率が高く、この先にわたっても潜在的な成長能力の高い地域でございます。かつまた、単に成長率が高いというだけではなくて、この地域に属する諸国間において分業関係がますます濃密に築かれてきていると、つまり、相互依存関係というのがますます濃密になってきているということがございます。日本もその中に入っておりまして、日本はやっぱりこうしたアジア諸国との相互依存関係抜きに今後の日本経済の健全な発展は期しがたいところまでもう来ているというふうに思います。  それを前提として、今度はお金の面を考えたときに、また改めて世界を見渡しまして、この東アジア諸国というのはやはり世界の中で最も貯蓄率の高い地域でございます。今後、高齢化社会の進展の影響というのはアジアにだってあると思いますけれども、しかし、将来を見渡しても相対的に貯蓄率の高い地域であり続けるだろうと、こういう感じございますが、いかんながら、この貯蓄、せっかく高い貯蓄が域内で有効に活用されていないと。つまり、実体経済の面での成長、相互依存関係の強まりの割には持っているお金が十分域内で生かされていないという現実がございます。東アジアの九七年の危機にしても、持てる貯蓄を十分活用しないで、経済発展のための必要な資金をかなり大きく域外の資本に依存したと、そして、域内の経済に一たび問題が起こると外から入ってきた資本が不規則な出入りを起こすことによって傷口を一層大きくするというふうなことがあった。これは九七年の危機だと思います。  したがいまして、そのときに、もう一つの命題としては、IMFがそういったときに重要な役割を果たしてくれるんですけれども、それをまた補完する域内の協力メカニズム、つまり通貨金融システム安定のための協力体制が要ると、こういう今二本立ての認識が基礎になっているというふうに思います。  日本銀行といたしましては、この二つの中では、原点に返ってやっぱり域内の貯蓄を有効に活用していくというのがこれから最も重要な点だと思っておりまして、そのためには、この域内のマーケットがきちんと整備されることと信用仲介メカニズムがきちんと整っていくということが重要であり、なかんずく、やっぱり債券市場を、域内の債券市場をもっと機能度の高いものにしていくということは非常にかなめの部分を成すんではないかというふうな認識を持っております。  したがいまして、日本銀行自身で今注力しておりますのは、東アジア、それから、これオセアニア、オーストラリア、ニュージーランドも含んでおりますけれども、十一の中央銀行をメンバーとする東アジア・オセアニア中央銀行役員会議というのを持っておりまして、EMEAPという俗称を付けておりますけれども、ここの活動にかなりウエートを置いております。  この活動、このEMEAPという会議は一九九一年に日本銀行が呼び掛けて設立したフォーラムでございますが、これは域内の経済情勢とか金融・為替市場、銀行監督、決済システム等のあらゆるテーマについて幅広く意見交換をし、考え方を共有するという場なんでございますけれども、最近は、アジアの債券市場育成を目指して、このすべてのメンバーがアジアの債券に共同して投資を行うというアジア・ボンド・ファンドというものを創設いたしました。このファンドがうまく機能することによってアジア各国の債券市場が発展する起爆剤にしようと、こういうファンドを作ったわけでございます。このプロジェクトを日本銀行が主導し、日本銀行自身もここに投資を行ってこの活動を今広げつつあるというところでございます。  もちろん、今財務省からお話のありましたASEAN十か国と日本、中国、韓国によるASEANプラス3の各種の会議にも参画をさしていただいておりまして、こちらの方は通貨危機の防止などを目的とするフレームワークに日本銀行も参加をさしていただいております。チェンマイ・イニシアチブとか、同じく、そちらのベースで債券市場育成を目指すアジア債券市場育成イニシアチブにも関与をさしていただいております。  こういうわけで、この二つの大きなテーマ、今後とも積極的に推進したいと思いますけれども、もう一つは、アジア諸国の中央銀行の持っている様々な金融のノウハウのレベルも上げていく必要があるということで、日本銀行といたしましてはアジア諸国の中央銀行との間で個々に様々な技術協力を推進しているということもございます。基礎的な能力を高めながら、そういう大きなプロジェクトの成果を上げていこうと、こういう仕組みでございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございます。学習会と申し上げましたけれども、時間が少ないんで、講演にならないように簡潔にお願いしたいと思います。  いろいろ共通通貨、通貨バスケット、円の国際化、それぞれ聞きたいと思っているところでございますけれども、時間ないんで、共通通貨の可能性ですね。これはロバート・マンデルさんも、二十年後にはドルとユーロとアジア通貨圏ができるんではないかという話もありますが、二十年か五十年か分かりませんけれども、方向として、アジアの共通通貨の可能性といいますか、そういうものをどう見ておられるかというのと、もう通貨バスケットはややこしいから省きます。  円の国際化の話もあります。これは、実はそれほど円の国際化が今現実味があると思いませんけれども、モルガン・スタンレーが経済レポートを出していますが、要するに、人民元が切上げをされてフロートに移れば、韓国のウォンと台湾ドルは人民元の方に連動していくだろうと、円の方には、円と連動は来ないだろうと、人民元が主導になっていくんじゃないかというのがありますし、中国科学院の何帆さんでしたか、の論文によると、人民元がこれからアジアのイニシアを取っていくんだと、そうしなければならないんだということも含めてですけれども、それは中国の経済発展といいますか、経済規模がこれからずっと大きくなるとそれの取引との関係で必ずそうなるという話もあります。  ですから、共通通貨の問題と円の国際化というのがどこまで現実味があるのか、この二つの点を、もう時間、私は四十三分までですから、その範囲で教えてもらえればと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) それでは、極めて簡単に二つお答えを申し上げます。  一つは、いずれの通貨がイニシアチブを取ることになるにせよ、土台として最適通貨圏の条件をアジア域内において整えていくということが大事だと。三つぐらいあえてその中身を申し上げれば、一つは、やっぱり日本を含むアジア各国の経済的な相互関係、相当濃密になってきていますけれども、これが最適分業などを通じて一層緊密になっていくと、これが第一です。第二は、今努力しているアジアにおける金融・資本市場が一層整備されて、これ域内の資本の移動がもっと自由になって資本が生きた形で使われるようになること。三つ目は、アジア諸国の経済運営に対する内外の信認がもっと確立していくこと。これが一つの通貨圏というものを意識されるようになっていく基礎的な土台だと思います。  その中で、円か人民元かその他通貨かといういろんな問題があります。ここはいい意味で競争していけばいいと、こう思うんですけれども、円について言えば、国際的地位が更に高まっていく余地は十分あると。我々の努力次第だし、国民の認識次第だというふうに思います。円が国際的により広く使われるためと、それは何といってもこれから日本経済の信認をしっかり高めていく、そして効率的で安定した金融・資本市場をつくり上げていく。つまり、アジア全体の市場育成と言いましたけれども、その中でコアとなる機能は日本の金融・資本市場を通じてだと、そして金融市場全体に通ずるインフラを提供していく能力を日本が持ち続けると、これが非常に大事だと思います。その結果として、円の国際的利用に一たび弾みが付けば、我々は経済の活性化と相まっていい循環をつくっていくことができるだろうと。  これからは大変チャレンジングな知的なゲームが始まる。経済の大きさだけで決まるというふうには、私は一切思っておりません。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 終わります。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 最後の質問になりますが、よろしくお願いいたします。無所属の糸数慶子です。  まず、ここに来て日銀も政府も足並みをそろえて、景気は踊り場を脱した、回復しているとしております。マスコミも日銀の量的緩和政策の解除がいつかといったような論調が中心になっていますが、景気の回復、そしてデフレ脱却が当然であるというような印象を与えるのですが、感覚としてはまだまだ景気回復を実感できるところになっていないのではないかという思いがいたします。  景気が回復していると言われても実感が伴わないという背景には、景気回復の効果が国民個人のレベルまでなかなか浸透していないのではないかという、そのような気がいたします。例えば、統計的な面でも、個人消費は緩やかに増加しているにすぎませんし、雇用者所得などは底を打ったというだけで、水準自体は全く回復しておりません。  このような面からも、国民の実感からの乖離というのが表れているように思えてなりませんが、日本銀行では、先ほども御報告ございました、本日から秋の支店長会議が開催されて、総裁も午前中は会議に出席されていたということでございます。支店長方からは我が国の景気の現状に対してどのような報告があったのか、報告の雰囲気あるいは各地域の経済の印象と特徴的な点をお聞かせ願いたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 午前中の支店長会議、もう綿密な議論をいたしましたけれども、改めて確認されましたことは、日本経済全体として眺めた場合に、決して派手ではないけれども着実に回復をしているということが一つ、それから物価の基調も次第にデフレ脱却の方向に向かって動いていると。大きく言えばこの二つの点が確認されたわけでありますけれども、ただいまの委員の御指摘に沿って少し付け加えさせていただきますと、過去の景気回復とは様相が非常に違うということでございます。  幾つもありますが、二つだけ申し上げれば、一つは、グローバル化の著しい進展の中で、非常に強力な競争力を備えて新規参入をしてきたエマージング諸国、これとの激しいコスト競争に打ち勝ちながらの回復だと、そのための負担が企業にも家計にも強くのし掛かりながらの回復だということが一つ。それから、そうした競争に打ち勝っていくために国内で構造改革を進展させながらの回復と。したがいまして、構造改革の一環として従来の公共事業などについても大幅な見直しが進められている。したがって、結果としてかなりの地域格差を伴いながらの回復だと。ここに特徴があると思います。  前者のエマージング諸国のローコストコンペティションに打ち勝ちながらの競争という点では、容易に賃金、雇用の回復につながらないと。それでも徐々につながってきていますけれども、そこが一気に賃金上昇につながるような回復ということであれば競争に負ける、そういう難しい競争になっているのが一つ。もう一つは、やっぱり地域格差というものは構造改革の中である程度避けられないと、しかしこれを打ち返していくための新しい努力がようやく始まったばかりと。地域ごとの新しい経済の、地域社会、地域経済の新しいつくり方というものが模索の段階から少し具体的な動きに今移り始めている段階。  したがいまして、全体としてなかなか実感はわかないと。実感はわかないけれども、刻々と経済の歩みを計測してみると明らかに前進していると、こういう姿が確認されたということでございます。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 次に、量的緩和政策の解除の実施時期については三つの要件を満たすことがその条件であると示されていますが、新聞報道などを見ましても、量的緩和政策の解除の方法についてはいろいろな論調が見られます。  例えば、水野審議委員は、九月十五日に同友クラブにおいて講演されて、量的緩和政策の解除について次のように非常に具体的に言及をされています。引用いたしますと、金融市場調節の誘導目標を量から金利へ移行する場合、一点目、当座預金残高目標を引き下げるプロセス、二点目、無担保コール翌日物金利をゼロ近傍に維持して短期金融市場の機能回復を待つプロセス、三点目、無担保コール翌日物金利をゼロ近傍から中立的な水準に近づけるプロセスという、この三つのプロセスを念頭に置いていますとおっしゃっていらっしゃいます。更に続けますと、当座預金目標を引き下げるプロセスをスタートさせる前に、日本銀行が量的緩和政策の枠組みから金利を中心とする枠組みへのシフトを宣言する可能性はありますというふうにおっしゃっていらっしゃいます。  そこで、現段階では、実際の解除の方法となるとお答えにくくなるかもしれませんが、選択肢として考えられる解除の方法と、その方法によってどのような違いが出てくるのか、総裁にお伺いいたします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) まず、解除の時期そのものが来年、新年度にかけてということ、そういう判断にようやく至った段階でございまして、それ以上でもそれ以下でもない。したがって、時期がまだ特定しておりませんので、委員御指摘のような具体的な解除の仕方というものについては政策委員会の中であえてまだ議論は進めておりません。これから客観情勢がきちんと解除の条件に向かって更に進んでいくという過程の中で、これは政策委員会の中できちんと議論をして煮詰めていかなきゃいけない課題ということでございます。  現在は、各委員がそれぞれ頭の中で概念整理をしている段階と。今、水野委員の指摘というふうにしておっしゃいました中身につきましても、私が受け取っておりますのは、一つの概念整理の仕方。これは水野委員に限らず、この量的緩和から金利をターゲットとする通常の金融政策に移っていく過程で頭の中で概念を整理すれば、当然、量を圧縮する過程、そして金利だけを見れば、まずゼロから出発する過程、その後どういうペースで金利を上げるかと、こういう過程に分解されることだけはどなたがなさっても同じじゃないかというふうに思います。  現実にそういうふうに概念整理ができるものを実際の政策にどういうふうに組み立てていくかというところが、これからの情勢変化に寸分の狂いもなく適合した政策としてこれを肉付けしていくかという過程に入ります。したがいまして、今は単に概念整理をしている段階であって、組立ての作業はまだ始まっていないということでございます。  ただ、私が今の段階でもはっきり申し上げられますことは、何か個々別々の部品を順次取り出していくことによって、その間のつなぎがどうなるんだろうというふうな不思議な疑問を皆さんに抱かせながら今後の政策運営をやっていくということは絶対ないということでございます。これ、有機的なつながりを付けて、先ほどからも申し上げておりますとおり、実態的な緩和、引締めの度合いについては、段差を設けることなく、あくまで連続線上の変化と、しかも、その変化のプロセスについてできる限り予見可能性を皆さんに持っていただきながらやっていくと、ここまではお約束できるというふうに思っています。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 次に、十月十六日付けの日経新聞のコラムにこういうのがありました。「量的緩和 出口の哲学」というタイトルですが、日銀が振りかざしているのは物価論だがインフレ論ではない、むしろ金利機能を殺してしまうなどの副作用を強調して解除を正当化しようとしている、問題となるのはこうした副作用を取り除くことと改革加速のどっちかを優先するか、この時期に副作用と財政改革の軽重を日銀が独立性の名の下に決めていいのかどうかだと述べているくだりがありますが、こうした批判に対して福井総裁は何とお答えになりますか。お伺いいたします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 全く批判に値しない内容ではないかというふうに思っております。  二つの点申し上げますと、日本銀行としては経済、物価の認識について十分、市場参加者、国民の一般の方々と意見のすり合わせをさせていただきたい。皆さんの認識と違うことを、日本銀行は無理やり自己を正当化するための様々な論理を駆使して政策に踏み切るというふうな考えは持っていないということであります。そのために、コミュニケーションは今後とも十分続け、情勢判断に忠実な政策をやりたいと、こういうふうに思っていることが一つでございます。  もう一つは、構造改革と金融政策との関係でございますが、既にもう何回も申し上げておりますとおり、今回の景気回復というのは、日本経済全体として構造改革を促し、前向きの力を内在的なものとして新しく生み出しながら、金融政策がそれをバックアップするという形で運営してきております。今後とも民間部門の更なる構造改革が要りますし、公的部門の構造改革はまだこれからの課題の方が多いという状況でございます。  日本銀行としては、経済全体の構造改革が更に促進されていく、より活力の強い経済に変質していく姿をきちんとバックアップしていけるような金融政策をしたい。もちろん、金融政策でございますので、その過程できちんと物価の安定が保たれ、そして人々が十分先々の予見可能性を持って構造改革を自ら施し、新しいリスクにチャレンジしていける、そういう環境を用意したいというのが私どもの政策運営の本音でございまして、構造改革と矛盾するようなことをやりたいと、そのためにまた別の論理を用いて自己を正当化したい、そういう考えは毛頭ございません。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 ありがとうございました。  次に、今年四月のペイオフ全面解禁は、我が国の金融システムの変化のその象徴という意味で大変大きなものだったと思います。政府、金融庁もこれに合わせて金融政策プログラムを提示いたしましたし、また日銀においても中期経営戦略、業務運営方針を策定し、新たな施策を打ち出しておられます。特に、その中でもサービスの高度化に向けた取組として経済、市場の動向分析やモニタリングの強化にも努めておられます。その成果を共有するという観点から、この四月以降、地域経済レポート、金融市場レポート、金融システムレポートなど、各種のレポートが公表されておりますが、これらの成果が今後の日銀による金融システムの安定、金融の高度化支援に向けた取組に反映されていくことになると思いますが、この四月以降のレポートの公表、そして市場動向の分析やモニタリングの強化に向けた取組の概要について伺います。またあわせて、分析結果としての金融システムの現状に対する評価、今後の課題についても御所見をお伺いいたします。

武藤英二日本銀行理事

○参考人(武藤英二君) お答え申し上げます。  私ども日本銀行では、本年四月に地域経済報告、この公表を開始させていただきました。また、七月には金融市場レポートを公表いたしまして、我が国金融市場の動向あるいは中期的に見ました相場の趨勢、こういったものを整理したところでございます。また、八月には金融システムレポートを発表いたしました。ここでは、金融システムに関する分析評価を行いますとともに、金融システム面における日本銀行の施策の概要や考え方などを取りまとめてございます。  このほか、組織面では、七月に信用機構局と考査局を統合いたしまして金融機構局を発足させました。この金融機構局は、金融の安定に関する事務を一元的に担うとともに、金融システムの機能度向上に向けた取組を進めております。また、この金融機構局の内部には新たに金融高度化センターを設けまして、金融サービスの高度化に向けた金融機関への働き掛け、セミナーの開催や高度な考査、モニタリング手法の開発に向けた調査研究等を進めております。  ところで、お尋ねの金融システムの現状に対する評価でございますが、私どもでは、我が国の金融システムは不良債権問題の解決にめどを付けまして安定を取り戻しつつあると、このように評価をしております。  今後の課題といたしましては、各金融機関がそれぞれの特性を生かしつつ、顧客ニーズにこたえて創造的な業務展開を図るとともに、リスク管理や経営管理の高度化など、金融の高度化に向けた取組を強化していくことが重要と考えております。私どもといたしましては、金融システムの安定性を確保しながら、こうした金融機関の取組をサポートしていきたい、このように念じておるところでございます。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 次に、データの捏造と、それから具体的な再発防止策についてお伺いしたいと思います。  最近、国勢調査をめぐって偽調査員が現れたりして問題になっておりますが、日銀が委託実施している生活意識に関するアンケート調査についても、そのデータが捏造されたということが見付かりました。この調査の委託先である新情報センターでは、このほかにも内閣府や総務省の調査などの委託を受けており、GDP推計などにも用いられる家計消費状況調査などでも不正な調査が発覚しております。  金融経済運営の基礎となる統計データに誤りがあるということでは、政策の信頼性が失われることになることになりかねません。再発防止に向けた取組、委託先に対する処分等についてお伺いいたします。  また、新聞報道によりますと、この捏造の事実を把握した後も、日銀は従来のデータをホームページ上に掲載し続けたということでありますが、不正があった時点で訂正の可能性を含めて事実を公表するというのが本来のやり方ではなかったでしょうか。事実把握と訂正、公表に至る過程についてもお伺いしたいと思います。

武藤英二日本銀行理事

○参考人(武藤英二君) 委員御指摘のように、本年六月に実施いたしました第二十三回の生活意識に関するアンケート調査におきまして、調査委託先におきまして不適切な取扱いがございました。この結果、結果といたしまして、公表済み計数の訂正に至りましたことは大変に遺憾でありまして、調査結果の公表主体といたしまして、ユーザーの皆様方に御心配をお掛けし、大変に申し訳ないと思っております。委託先に対しましては損害賠償を請求をいたしますとともに、次回以降の調査の委託先の選定からも外す、こういった厳正な措置を講じております。  私どもでは、先月、次回と次々回であります二十四回、二十五回調査の委託先を決定いたしました。その際には、今回の反省も踏まえまして、厳格な再発防止策を取ったところでございます。  少し具体的に申し上げますと、第一に、契約締結に当たりまして、調査員の管理を含め、当方が期待するような正確な事務処理体制を組めることを委託先に詳細に確認しております。第二に、調査期間中も随時必要な資料の提供を受けまして、委託先の調査事務の実施状況をモニタリングする体制を組んでおります。また、第三といたしまして、調査実施後の社内監査に関しましても、他の部署から独立しました監査部署による監査を厳格に行わせる、このようにしております。  また、委員の方から、この公表計数の発表が遅れたという御批判がございました。  この点に関して申し上げますと、本件は元々、外部からの一件の問い合わせから始まったものでございます。私どもといたしましては、前例が全くない話でございまして、一体委託先がどのような仕事をしたのか、またあるいはどの程度の広がりを持つ問題なのか、この辺が皆目見当が付かないといった状況でございました。言わば、このように極めて異例とも言える状況の中で慎重を期しまして、悉皆調査に近い再調査も行い、問題を正確に把握した上で公表させていただいたものでございます。  全体としての影響度を十分に把握できないうちに対外公表を行いますと、かえって利用者の方々に無用の混乱とか御迷惑をお掛けする問題がございます。そういった問題が大きいというふうに考えましただけに、全容の正確な解明をまず優先し、その上で極力早期に公表し得るよう、できる限りの努力を払ったつもりでございます。その点、何とぞ御理解を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 やはり、金融経済運営の基礎となる統計データでございます。数字に間違いがあるというのは、そういう政策の信頼性が損なわれることにもなりかねません。今後、是非とも慎重に危機管理をしていただくように要望いたしまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。

山本孝史民主党・新緑風会

○委員長(山本孝史君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会

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