法務委員会 第21号
- 発言数
- 126 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2005/06/07
会議録
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る五月十九日、大久保勉君が委員を辞任され、その補欠として松岡徹君が選任されました。 また、昨六日、井上哲士君及び江田五月君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君及び広田一君が選任されました。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に東京大学大学院法学政治学研究科教授神田秀樹君、弁護士・日本弁護士連合会副会長益田哲生君、弁護士太田洋君、税理士・米国公認会計士坂本孝司君及び全国中小企業団体中央会専務理事成宮治君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 本日は、両案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、五名の参考人から御意見を伺います。 まず、午前中御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授神田秀樹君、弁護士・日本弁護士連合会副会長益田哲生君及び弁護士太田洋君でございます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、本委員会における今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方について申し上げます。まず、神田参考人、益田参考人、太田参考人の順に、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、神田参考人からお願いいたします。神田参考人。
○参考人(神田秀樹君) おはようございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 本日は、この委員会で意見を述べさせていただく機会をいただきまして、大変光栄に存じます。どうもありがとうございます。 時間が限られておりますので、早速私の意見を述べさせていただきたいと思います。 お手元に一枚紙を御用意させていただいておりますので、それをごらんいただきながらお聞きいただければ有り難く存じます。 今回の膨大なといいますか、大変な量の会社法案とその整備法案の中身につきましては、委員の皆様方には既に御存じのことかと思います。ポイントは、会社法を平仮名法律として読みやすくすること、そしてあわせて、最近の社会経済情勢の変化に対応するために会社に関する各種制度を見直して、分かりやすく再編成するということであります。 本日は、最近頻繁に変わり過ぎるというんでしょうか、そういう商法、会社法につきまして、なぜこんなに変わるのかといった背景を少し申し上げ、また、頻繁に変わるけれども、その方向性をどのように整理して理解すればよいのかといったことについて私からはお話をさせていただきたいと思います。流れを押さえておけば、この先更にまた何度か変わるという、御審議をお願いするのは私ではありませんけれども、そういうことになろうかと思いますけれども、そうなっても驚かないということもあろうかと思います。 会社法、これまでで申しますと商法ということになりますが、は戦後も結構改正はされております。ドイツ法に根差しました明治三十二年の商法が原点ですが、第二次大戦後の昭和二十五年にアメリカ法を大量輸入いたしました。これは非常に大きな改正でしたが、その後も、主要なものとして昭和三十七年の改正、昭和四十一年、四十九年、五十六年と大きな改正があります。しかし、せいぜいその頻度でありました。 平成に入りまして、商法本体が変わっただけでも平成二年、五年、六年、九年、十一年、十二年、ついに平成十三年に至っては三回も変わりました。もはや平成十三年改正と呼んだのではどの改正を意味しているのか分かりませんので、官報に公布した月を取って、私は平成十三年六月改正、十一月改正、十二月改正と呼んでおります。平成十四年にも五月に改正され、平成十五年にも七月に改正され、昨年、平成十六年も六月に改正されました。そして今回、更に新しい改正をし、その上でこれらをすべて再編成しようということであります。 このように目まぐるしく変わります近年の商法あるいは会社法、これらの改正の流れですが、私なりに整理いたしますと、平成十二年までの改正と十三年以降の改正とは多少区別して整理することができます。すなわち、平成十二年までの改正は、昭和四十九年改正辺りからおおむね見通されていたものであります。これと平成十三年からの流れは多少系統が違うと理解しております。これを簡単に表にしたものがお手元の資料でございます。 会社法の分野を私は、甚だ大ざっぱで恐縮ですが、三つの分野に分けております。それらを私はファイナンス、ガバナンス、リオーガニゼーションと呼ばせていただいております。ファイナンスとは企業金融、すなわち資金を調達したり、会社から余った資金をお返しするというか株主に分配したり、自己株式を買い受けたり、そういったものであります。ガバナンスの方ですが、これは会社の組織や機関の仕組みに関するものであります。リオーガニゼーションは組織再編などと呼ばれている合併とか会社分割などの分野です。 戦後の商法改正の平成十二年改正までの流れの特徴はかなり簡単に表現することができます。 まず、ファイナンスの分野の改正の流れは規制緩和であります。普通、商法や会社法で規制という言葉は使いませんが、私は、分かりやすくて便利な言葉ですので、今日は使わせていただきます。その意味ですが、それまで商法上できなかったことができるようになった、あるいは事前に手続が重たかったことが軽くなったというものであります。 例えば、昭和四十九年改正で転換社債を取締役会決議で出せるようにしました。昭和五十六年改正でワラント債、法律上、当時、新株引受権付社債と呼んでいましたが、そういう、それまでに商法には制度がなかったものが導入されました。あるいは、平成五年改正で社債についての緩和がなされました。株式の方では、平成二年に優先株式その他規制緩和が行われ、平成六年以降、今度はお金を返す方になりますが、自己株式の買受けについての緩和が断続的に行われました。 ガバナンスの方は逆でありまして、規制強化の歴史でした。なぜそうなったかというと、これは背景が違うからであります。ファイナンスの方は、資本市場が発達する中で企業が転換社債や新株引受権付社債を発行し、また優先株を発行しようと思うと、なかなか戦前のドイツ法に基礎を置く商法は使いにくいということがありまして、これを使いやすいように商法を変えてほしいという要望が強く出され、それに商法がこたえたということであります。 ガバナンスの方は、なぜファイナンスとは逆に規制強化の歴史であったかといいますと、それには背景がございます。 企業には、まあいろいろありますが、特に大企業を中心にいろいろな意味での不祥事が起きまして、その再発防止のために商法で規制を強化したという歴史があるからであります。この不祥事はその時々によって内容は違います。昭和四十年代に東京証券取引所一部上場会社の大型の倒産事件がありました。それが粉飾決算であることが分かりまして、そこでいわゆる会計監査制度を強化しなければいけないということになり、昭和四十九年の大改正となりました。また、昭和五十六年改正、平成五年改正とも、いずれも規制強化の歴史であります。 リオーガニゼーション、三番目ですけれども、表で、戦後の商法改正のところに整備と書いたんですけれども、これはどの時点を取るかで、平成に入った辺りで書くとすれば未整備と私は書いたと思います。それは、合併については規定がありましたが、それ以外はありませんでした。なぜかといいますと、一言で言えばニーズがなかったからであります。 ところが、九〇年代に入り、日本の経済も、バブルがはじけた後、会社再編といいますか、いろいろな意味でのリストラクチャリングが必要になりました。そういう中で、独占禁止法の方でまず持ち株会社というものを原則禁止としていたのを原則解禁というふうに改正いたしました。それを受けて、商法の方でも株式交換、株式移転という制度を導入したのが平成十一年の改正です。そして、引き続きまして、会社分割の制度を創設いたしましたのが平成十二年の商法改正であります。 以上が平成十二年までの商法、会社法改正の特徴なのですが、平成十三年からの商法、会社法改正の特徴をこれと比べてみますと、ファイナンスの分野は引き続き緩和の歴史であります。ところが、ガバナンスの方は表でははてなとしてあります。リオーガニゼーションの分野は平成十二年で整備が完了いたしましたので、平成十三年以降は緩和と言ってみれば整理の歴史となります。 一点注意すべき点といたしまして、平成十三年からの商法改正を見ますと、経営の自由度が増大しています。自由度が増大するということは、実は責任も増大しているということであります。最近の言葉で申しますと、自由度が増える分だけアカウンタビリティー、説明責任も増大しているという面があります。 さて、なぜこんなに変わるのかと先生方は不思議に思われるかもしれませんが、私から見ますと、背後には二つぐらい大きな流れがあるように思います。一つは諸外国と共通の流れ、もう一つは日本に固有な事情であります。 まず、諸外国と共通の流れですが、グローバルな観点で見ますと、会社法を次々変えようとしているのは日本だけではありません。先進諸外国も競って会社法を変えています。それには理由があります。私の理解では、次の二つが相乗効果として先進諸外国の間で商法改正、会社法改正競争という制度間競争が起きていると思います。一つは、技術革新を背景として各国の大企業間の競争が激化しています。商法がハードルになっていたりコストになっていたりするので商法を変えてほしいという要望は日本だけではなく各国で出され、それに対応する改正が行われています。もう一つは、やや哲学的な意味ですが、会社法の役割についての認識の変化ということがあると思います。これは余り日本では言われていないことかもしれませんが、ヨーロッパにおける会社法改正ラッシュは明らかにこの影響を受けていると私は見ております。 一九九〇年代に二つ大きなことが起きました。一つはコーポレートガバナンスと呼ばれている議論、もう一つは会社法が国の経済にどういう影響を与えるかについての実証研究であります。 コーポレートガバナンスの議論は、必ずしも法制度だけの議論ではありませんが、九〇年代に非常にブームになって今日に至っています。九〇年代のコーポレートガバナンスの議論は、一方で不祥事の防止や危機管理のための仕組みはどうあるべきかという議論であると同時に、前向きというのでしょうか、企業が繁栄するためにはどういう仕組みが望ましいのかという議論であります。とりわけ、九七年、九八年にアジアの幾つかの国で通貨危機、経済危機が起きて以降、コーポレートガバナンスの在り方いかんが国の経済成長につながる。つまり、良いコーポレートガバナンスの仕組みをつくれば会社は繁栄し、国の経済は繁栄するという仮説を皆が信じるようになりました。 法制度との関係で申しますと、良いコーポレートガバナンスの仕組みをつくるためには良い会社法があった方がいいとなったわけです。つまり、会社法の良しあしがコーポレートガバナンスの良しあしに影響を与え、コーポレートガバナンスの良しあしが企業のパフォーマンスや、場合によっては国の経済成長に影響を与えるというロジックであります。その結果、会社法を変えればコーポレートガバナンスが良くなり、コーポレートガバナンスが良くなれば企業が良くなって国が発展する。それではというので会社法改正ラッシュが始まったわけであります。 申し上げたいことは、これら二つが原動力になって、最近では先進諸外国でも、そして実は先進諸外国以外の国でも会社法の改正競争が起きているということであります。こういう原動力で動いております世界の会社法と日本の会社法とは決して異なった方向は向いておりません。細かい点では違いはありますが、基本的なところでは同じ方向を向いております。 次に、目まぐるしく商法、会社法が変わることについての日本固有の事情ですが、これは、当然のことですけれども、国会で御審議をいただいた上で改正が成立しているわけですので、ここで私から申し上げるまでのこともありませんが、一言で申しますと、改正の回数が予想外に多くなってしまったということであります。平成十三年改正以降、昨年、平成十六年の改正までの度々の改正の直接のきっかけになりましたのは、平成十二年の会社分割についての改正が国会で成立した直後の方針決定であります。 その際に、簡単に申しますと、政府提出法案という形と議員の先生方による法案提出という形との二本線で行こうということがおおむね決まったようであります。その結果は、本来であれば、政府提出法案という形で一回、議員の先生方による法案提出という形一回、合計二回で済んだはずであります。あえて推測いたしますと、政府提出法案の方は平成十四年改正、議員の先生方による法案提出の方は平成十三年十二月改正、これは株主代表訴訟と監査役制度についての改正であります。 しかし、その間、例えば自己株式に関する改正は、国の経済対策との関係で前倒しするとか、逆に電子公告制度などには時間が掛かるため先送りするといった事情が出てまいりまして、平成十四年改正一回の予定が、平成十三年六月改正、十一月改正、そして平成十四年改正、十五年改正、十六年改正と五回にも分かれてしまいました。なお、このうち平成十三年六月改正とそれを更に改正した十五年改正は、経済対策との関係があり、議員の先生方による法案提出という形になりました。 したがいまして、今回の会社法案は、平成十三年以降の頻繁な改正を整理統合するという面も持っています。なお、これに加えて、今回の会社法案では、平成十三年以降を含めて、戦後ほとんど手を付けることができなかった非公開会社、中小会社に関する改正をも実現することができています。 最後に、残りの時間で一言だけ我が国における近年の商法、会社法の頻繁な改正の底流を成していると私が考えるところの理論的な考え方について申し上げさせていただきます。 まず第一にファイナンスの分野です。一つは市場機能の重視ということでありまして、事前規制等の緩和です。それは規制がなくなるという意味ではありませんで、その部分、事後の規制と言うべきでしょうか、そういうものは強化されると私は見ております。 それからもう一つはファイナンス理論の取り入れということであります。とりわけ、オプション理論と呼ばれるものの認知と適用ということがあります。 第二はガバナンス分野です。ガバナンス分野では、今申しました世界レベルでのコーポレートガバナンスの議論の影響を受けています。これには、後ろ向きのコンプライアンスというんでしょうか、といった意味から、競争力強化という前向きのためにはどういうガバナンス法制がいいのかという議論です。 第三に会計分野です。ここで重要なのは、横断的な剰余金分配規制の整備という点であります。これは、抽象的に申しますと、株主と会社債権者の利害調整の基準をどこに引くかという問題で、その線引きのラインが変わりつつあることを意味しております。なお、今回の会社法案で創設されます会計参与の制度も重要な制度です。 最後に、第四、起業、業を起こすという意味ですが、その起業関連です。ベンチャー企業の育成とか、あるいは起業をサポートするための改正です。今回の法案で申しますと、最低資本金制度の見直しがその例です。また、株式会社と有限会社を一つの類型にする、あるいは合同会社という類型の会社形態を創設するとかもこの系統で見ることが可能です。 そうした起業やベンチャー企業育成という発想の中で、平成十三年改正以降、定款自治ということを非常に重視しています。これには二つポイントがありまして、一つはなぜ契約自由ではないのかという点、二つ目は自由とか自治とかいう場合、それは何についての自由、自治なのかという点です。 よく、民法の世界では契約自由の原則と言います。会社法は契約自由ではありませんで、定款自由の原則であります。定款で書けば広く自由を認めましょうということです。何についてかということですが、株式の内容、それから株主間の関係、この二つです。債権者間の関係は、社債権者等を含めて原則は契約自由の原則です。これは昔からそうなっております。 話が甚だ大ざっぱで申し訳ありませんでしたが、以上で私の意見陳述を終えさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(渡辺孝男君) ありがとうございました。 次に、益田参考人にお願いいたします。益田参考人。
○参考人(益田哲生君) 日本弁護士連合会副会長の益田でございます。 本日は、会社法案の御審議に当たりまして意見を申し述べる機会を与えていただきまして、誠に光栄に存じております。以下、座って失礼させていただきます。 ただいま神田先生からは大きな流れから御意見をいただいたわけですが、私は、日本弁護士連合会における議論を踏まえまして、会社法案に対する意見を、主として実務の観点から幾つかの各論にわたって御意見を申し上げたいと存じます。お手元にあらかじめレジュメをお配りいただいているかと存じますが、これに沿って御説明をさせていただきます。 まず第一に、会社法の基本的な在り方の点なのですが、申すまでもなく、会社法は現行法制に代わりまして会社に関する基本法となるものですから、まず国民全体にとって分かりやすく利用しやすいものであるとともに、社会全体から見ましても公正なものでなければなりません。したがいまして、企業の競争力強化や経営の便宜という経済政策的観点もさることながら、株主や債権者、さらにはその他のステークホルダー等の保護という視点にも留意した、将来の評価にも堪え得るものでなければならないと考えております。 法案は、各種制度の見直しにつきまして三つの視点を挙げております。一つは利用者の視点に立った規律の見直し、二つ目が会社経営の機動性、柔軟性の向上という側面、そして三つ目に会社経営の健全性の確保という視点を挙げております。しかしながら、法案を全体として見ましたときには、経営の便宜という点に比重が置かれ、コーポレートガバナンスという点や株主あるいは債権者の保護といった点で問題を残していると申し上げざるを得ません。 そこで、本日は主として三つの視点から意見を申し述べたいと存じます。 まず第一点は、中小企業に関して、法制度を企業実態に合わせるために弊害に対する対策が十分になっていないのではないかと思われる部分があることです。第二点は、大規模公開会社に関して、コーポレートガバナンスの観点で後退している点が幾つか見られることです。第三点は、少数株主の問題です。それぞれの場面によって異なりますが、株式買取り請求権や事前差止め請求権が用意されておりますが、これらの制度が有効に機能するのか、その実効性に関する保証はなく、絵にかいたもちになる可能性があることです。 そこで、今申しました三点について敷衍して意見を申し述べたいと存じます。 お手元のレジュメの各論というところをごらんいただきたいと思いますが、まず第一点は、中小企業の関係ですが、先ほど神田先生のお話にも出ましたように、最低資本金制度が廃止されるという仕組みになっております。同様の制度は、御承知のとおり新事業創出促進法による特例として既に存在するわけですが、その特例の弊害について十分な検証がなされているとは言えませんし、少なくともまだ評価できるに足る十分な時間が経過しているとは思われません。 最低資本金制度は、債権者保護との関係では実務的にはなお有用であると考えております。起業の促進を重視する余り、会社形態を悪用したペーパーカンパニーの乱立等の弊害を恐れるところであります。今回の法案では、株式会社におきましても有限会社並みの機関設計が認められましたので、すべての会社に最低資本金一千万円を要求するのは、これは行き過ぎではないかと思いますが、少なくとも現行法において有限会社に求められている最低資本金三百万円は、なおこれを維持するべきであると考えるところです。 また、中小企業の関係では、取締役の任期についても一言申し述べたいと存じます。 御承知のとおり、今回の法案では、株式譲渡制限会社におきましては最長十年まで伸長できることになっております。これは、株式譲渡制限会社につきましては経営者と株主が一致しているのが通例であるとの考え方に基づくものと思われますが、実際には株式譲渡制限会社といいましても様々でありまして、株主の数が相当多いケースもございます。そのようなケースでは、定期的に取締役の適否について株主の信任を受ける必要があると言わなければなりません。仮に一定の伸長を認めるとしても、十年というのはいかにも長過ぎる感があり、少なくとも休眠会社整理の実効性を図るためにも長くて五年程度の期間にすべきではないかと考えております。また、譲渡制限会社におきましても、有限会社型機関設計を選択しないで取締役会を設置したようなケースにおいてまで一律に取締役の任期の伸長を認めるのは適切ではないと考えるところであります。 第二点のコーポレートガバナンスに関しましては、主として三つの点からお話をいたしたいと存じます。 まず、株主代表訴訟において、濫訴を防止するべく提訴要件を設けるとした点について意見を申し述べたいと存じます。 私ども、この点につきましては、コンプライアンスの理念やコーポレートガバナンスの理念にもとるものとして強く反対いたしました。幸い衆議院における御審議において、会社の正当な利益が害される場合とか会社が過大な費用を負担する場合には株主代表訴訟を提起することができないといった条項は削除される運びとなりました。大変喜ばしいことであります。 しかしながら、当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合には株主代表訴訟を提起できないという定めは依然として残されております。要するに、提訴株主に不当な主観的目的があるときは訴えを却下するというものであります。私どもは、この条項も不要であり、不適当であると考えております。 当該条項の目的は正に濫訴の防止にあるわけですが、そもそも統計的にも実証的にも株主代表訴訟がその他の訴訟類型と比較して特に濫訴が多いという事実は認められないと言わざるを得ません。また、仮に提訴株主にかかる主観的目的があったといたしましても、責任を追及されている当該取締役が本当に違法な行為をして会社に損害を与えた場合であるならば、その取締役にはきちんと責任を果たさせるべきであって、提訴株主の主観的目的いかんで結果として本来責任を負うべき取締役が責任追及を免れることになるのは不当であると考えるからです。 要は、株主代表訴訟の継続を認めるか否かは、その裁判が株主共同の利益に資するか否かという観点から判断すべき事柄でありまして、こうしたケースでは裁判所が担保提供制度の活用や訴訟上の権利濫用の法理などにより具体的な事案に即して解決を図るのが妥当であり、一般的な訴訟要件とすることはなお妥当ではないと考えております。 次に、取締役会の書面決議につきましても一言申し上げたいと思います。 法案は、取締役の書面決議を容認しております。しかし、書面決議を容認した場合、ややもすると実質的議論がなされなくなり、取締役会の形骸化を招くおそれがあります。また、議論が省略されることにより、各取締役、とりわけ社外取締役が十分な情報を取得できず、適正な判断ができなくなるおそれもあります。近時、ガバナンスに関する議論の高まりと取締役会審議の形骸化に対する反省から、取締役会において実質的な議論を活発に行う傾向も見られますが、書面決議を容認することはこうした動きに逆行するものと言わざるを得ません。 御承知のとおり、現在でもテレビ会議方式や電話会議方式が解釈上許容されておりますし、また近時のIT技術の進展に伴ってその高性能化、軽量化が実現され、コストも安くなっております。こうした方法を取ることによって、遠隔地に居住する取締役がいたとしましても、取締役会の開催はさほど困難なことではございません。また、取締役の責任を追及するという側面でも、議論の過程が明らかにならなければなりません。 法案では、譲渡制限会社については取締役会の設置自体強制していないわけでありまして、取締役会を設置する会社は取締役会で議論を行うことを前提としているはずです。設置する以上、会議は開いてきちんと議論をするべきであると考えます。 次に、株主総会の招集地の点ですが、法案では取締役会が自由に定め得るとしております。招集地をより柔軟なものにしようという法案の趣旨には賛成できますが、株主の側の招集地に対する予測可能性や取締役による恣意的運用の防止という観点からは一定の制約を課す必要があると存じます。むしろ、現行の商法二百三十三条を存置した上で、例えば本店の所在地が属する都道府県であるとか直近の定時株主総会において次期定時株主総会の招集地として決議された地などを招集地として同条に追加して規定することによってこの問題をクリアすべきではないかと考えるところであります。 このほか、重要財産委員会の員数要件を緩和する点などにおいて、コーポレートガバナンスの後退が見られるのではないかと考えております。 次に、少数株主の保護との関係では、法案では種類株主の設計が自由になっております。これに伴い、種類株主間の対立であるとか特定の種類株主に対する不公正な取扱いが懸念されるところです。 法案ではそうした事態に備えて株式買取り請求権が多用されておりますが、経済的補償だけでは十分でない場合もあります。特に、種類株式や新株予約権の場合、取得価格の評価自体が困難を伴うことから、裁判所に対して自己の株式に係る取得価格の決定を申立てすることができるとしても、実質的にかかる司法的救済が機能しないおそれもあります。また、法案では事前差止め請求権が認められる場合もありますが、要件が厳格で、実務では十分に機能しないおそれもあります。 そのほかの問題として、商法十九条及び商業登記法二十七条を廃止するとの提案もあります。これによりますと、同一営業のための同一商号や類似商号につきましても登記申請手続を自由に許すことになります。しかしながら、これでは従前から商号を登記している事業者の利益を著しく害することになります。不正競争目的の使用につきましては不正競争防止法や商法二十一条に基づいて商号使用の差止めが可能であるとの議論がありますが、これでは事後的である上、商号権者に手続の負担を負わせるもので、保護として十分であるとは言えません。少なくとも現行程度の規制は残すべきではないかと考えております。 そのほかにも、取締役の欠格事由から破産宣告を受け復権していない者を外したとか、基準日後に株主となった者に議決権行使を認めるか否かについて会社の判断にゆだねるとした点につきましても問題があるのではないかと考えるところです。 最後に、立法形式について一言申し上げます。 今回の法案では、省令への委任が非常に多いのが目に付きます。特に、監査日程や企業再編時の増加資本限度額等を省令に委任したことは問題であると言わなければなりません。こうした重要な事柄は法律で定め、この国会の場で十分に御審議されるのが本筋ではないかと考えるところであります。 時間の関係で幾つかの論点に絞らせていただきましたが、以上をもって私の意見陳述を終わります。 本日はどうもありがとうございました。
○委員長(渡辺孝男君) ありがとうございました。 次に、太田参考人にお願いいたします。太田参考人。
○参考人(太田洋君) 皆様、おはようございます。本日はよろしくお願い申し上げます。 本日はこのような場で発言する機会をお与えいただきまして、誠に光栄に存じます。 今、神田先生と益田先生の方からは大所高所からの御意見があったわけでございますけれども、私はMアンドAですとか企業統治に関する実務をやっております法曹実務家でございますので、そのような実務家の観点から、若干泥臭いかもしれませんが、私なりの意見を申し述べさせていただければと存じます。 まず、今回の新会社法案に関する基本的な評価でございますけれども、お手元の意見要旨というところに書かさせていただいておりますけれども、神田先生のお話にもありましたとおり、事前予防型の規制から事後責任型の規制への移り変わりという、こういう大きな流れの集大成にふさわしい法案であるというふうに考えております。 また、多様な会社類型、二十類型にも及ぶ様々の会社類型を新たに認めまして、かつ法案の中でも定款自治が非常に広く認められております点で、この多様化、複雑化する経済社会の実態にも沿ったものなのではないかというふうに考えております。 さらに、MアンドAの観点から申しますと、この組織再編行為につきまして従来よりも更に柔軟化を進めまして、機動的でかつ経済的ニーズに合致したMアンドAやリストラクチャリングというものを可能にする点でも、これは経済の活性化ですとかそういうものに非常に寄与するものではないかというふうに考えております。 その意味で、今回の新会社法案というものは、非常に考え抜かれた、関係者の方々の英知を結集された法案であるというふうに考えておるところでございます。 ただ、このように経済の移り変わりの非常に速い時代でございますので、課題が全くないのかと言われればそうではないような気もいたしますので、実務家の観点から幾つかの課題についてお話をさせていただければと思います。 まず、第一番目といたしまして、濫用的な敵対的買収に対する対処ということがございます。 これは、現在、先般出されました経済産業省と法務省の防衛指針ですとか、先般東京地裁の方で新株予約権の発行差止めの決定がございましたけれども、そういう一連のものを見てまいりますと、どうも、法務省や裁判所を含めて、全体的にその濫用的な敵対的買収に対する対処というものよりも、我が国の現在の企業の取締役会ですとか、かつ社外取締役を入れた場合でも、なかなかその取締役会について、きちんとしたガバナンスを行っていく能力があるのかということについての根強い不信感があるように見受けられます。 その観点で、今回、敵対的買収の防衛策に関して法案でも様々な手当てがされているわけでございますけれども、実際にこれが実効性のある防衛策となっているのかというと、この防衛とかそういうことの相談を受けます立場からすると、やや不十分なのではないかなというふうに思っておる次第でございます。 一例を挙げますと、まず、この全部取得条項付種類株式を利用したポイズンピルというものがございます。これは法務省の方で、今回、敵対的買収に対する防衛策として新会社法案の中で利用できるものとして説明をされているところであるかと思います。 これだけ申し上げてもなかなか難しいので、資料の終わりから三枚目に図を付けました。 どういうものかといいますと、これは、今、普通の会社があるといたしまして、普通の会社は、会社に対して株主が普通株を持っているわけでございます。これを、こういう防衛策を導入しようというときになりますと、この全部取得条項付種類株というものに既存の株を全部一斉に転換すると。そのための総会の特別決議が必要だということになっているわけでございます。 この全部取得条項付種類株というのはどういう形で機能するかといいますと、これは一定の敵対的買収者が現れました際に、最終的には、この一番右側にある図、要するに、買収者の持っているこの全部取得条項付種類株というのは無議決権株式、議決権のない株式になりまして、ほかの株主の持っている株式は議決権付きの株式になると。そうすると、買収者は議決権ないわけでございますので、これによって防衛が図れるという、こういう構造になっているわけでございます。 ここで一つ問題でございますのは、買収者が現れて、この買収者の持っている株を無議決権株に転換するときに全部取得のための総会特別決議というものが要るということでございます。要は、この防衛策を導入するときに特別決議が必要であるとともに、実際に買収者が現れてからもう一回特別決議を経ろということでございます。 これは非常に理屈にはかなった話ではあるわけでございますけれども、実際上これが機能するかどうかということを考えますと、特別決議というのは三分の二の特別多数をもって可決されるものでございますので、例えば買収者が二〇%株式を取得した際にこの防衛策を発動できるという仕組みになっているとしますと、その時点でもう二〇%は押さえられているわけでございますので、あと買収者の側は一四%集めれば、これはこういう形の転換、買収者の持っている株が無議決権株になるということを阻止できるわけでございます。という意味で、これは実際に有事になった場合に、もう二〇押さえられていてあと一四%だけ押さえればもうこの防衛策の発動を阻止できるということでございますので、非常に会社側にとってはハードルの高い、こういう形の防衛策であろうかというふうに思っております。 またレジュメの一枚目に戻らさせていただきます。 こういう形で、全部取得条項付きの種類株式というものはかなり難しいところがあるわけでございますけれども、もう一つ、昨今、新聞等で出ていますように信託型のポイズンピルというものもございます。これは幾つかの会社が既に採用しているところでございますけれども、実は、今度六月一日に東京地裁の方で出されました決定では、信託型ポイズンピルは認められるとは一言も書いてございません。これは、信託型ではない形の新株予約権を使ったポイズンピルについて違法であるということで差止めの決定をしたものでございますけれども、信託型ポイズンピルについては、実際の訴訟の場で争われておったにもかかわらず一言も触れられていないということでございまして、裁判所が最終的にこれについてどういう決定を下すかということはまだ不明ということでございます。 このような形で、なかなか実効性のある防衛策が本当に認められるのかというのはまだまだ不明な点があるわけでございますけれども、今回、施行が一年先送りになっておりますけれども、合併等の対価の柔軟化と、これが実現いたしますと、LBOというものが、これが非常にやりやすくなるというふうに考えられるわけでございます。 これは、国際株式交換の観点からこの合併等の対価の柔軟化というのは議論されておりまして、施行が一年先送りになったわけでございますけれども、この合併等の対価の柔軟化というのは現金交付合併といいまして、現金をもって会社の株主を、少数株主を追い出せるというものなわけでございますけれども、アメリカでは実はこれが認められるようになりましてLBOというものが非常に広く認められるようになりました。このLBOというのは、要するに買収者が買収先の会社の資産を引き当てにして買収をすると、あとはその会社の資産を使って借金を返していくと、言わば他人のふんどしで相撲を取るという、まあ俗な言葉で言いますと、そういうものでございまして、これは株主にとっては大きなリターンをもたらすものだとは思いますけれども、会社の従業員や、それから長年培われてきた会社の、何といいますか、地域社会に根差したそういう経営というものについてはかなり大きな問題が出てくるというものでございます。 アメリカでは、この敵対的LBOが入りましてから八〇年代後半に敵対的買収ブームというものがあったわけでございますけれども、それを受けまして、各州では非常に広範な買収防衛策の立法がされたわけでございます。 お配りいたしましたレジュメの最後の二枚に別添資料として付けておりますけれども、これは全米五十州で導入をされております様々な形のいわゆる敵対的買収規制立法というものでございます。この中で、デラウェア州は余りこの規制立法というのはなくて、一番後ろから二枚目でいいますと、この右側の事業結合規制法というものしかないわけでございますけれども、ほかの州では非常に様々の立法がされていると。これらに相当するものは今回の新会社法案の中では特に入っていないわけでございます。 こういうところからいたしまして、実際に敵対的LBOのようなものが今後急増してまいりますと、これは果たして現在のような形の法律の下で会社の方で実効的な形で企業防衛が図れるのかという点については、若干実務家の観点からは懸念がございます。これは、国際的なレベル・プレーイング・フィールドの確保という観点からはもう少しこの点将来的には手当てがされてもいいのではないかと思われます。 一般的には経営者の保身ということについて非常に深い懸念が表明されておるわけでございますけれども、しょせんガバナンスがうまく機能していない会社というのは市場で淘汰されるのではないかというふうに思っております。 グーグルという会社がございます。これは一九九八年にできました会社で、今、株式時価総額はソニーの一・五倍、日立の二倍でございます。これは検索の会社でございますけれども、この会社は栄えあるコーポレートガバナンスのワーストワン、ぶっちぎりのワーストワンでございます。これはどうしてかといいますと、創業者とマネジメントが出資の三割しかしていないにもかかわらず議決権の七割を握っていると。これは絶対に買収されないという形の、非常にある意味でひどい形なんですが、ただ、実際経営がうまくいっていればこれは株式時価総額どんどん上がっていくわけで、これ経営がいったんまずくなるとあっという間にこういう会社は淘汰されるということになるのだと思っておりまして、そういう意味では市場で淘汰されるということになるのではないかというふうに思われます。 あと幾つかの点申し述べさせていただきます。 今回の新会社法案の中で、ほかに取締役の解任決議をこれ一律に引き下げているという部分がございます。これはガバナンスの観点からは望ましいというところであると思いますけれども、これはある意味では過半数で解任できるということになりますので、中長期的な視野に立った経営というものがなかなか難しくなってくるのではないかなという懸念を持っておるわけでございます。 レジュメの次のページに参りますけれども、例えばデラウェア州では、取締役の任期は三年で、かつ解任には原則正当理由が必要というふうになっております。我が国ではこういうような規制はございません。ですので、この点についても日本の会社というのは非常にある意味では敵対的買収に弱い構造に現在のところはなっているのではないかと思います。 こういうものを解決する手段としていろいろあるわけでございますけれども、例えば日本版ESOPというものの活用も考えられてもいいのではないかと思います。これは衆議院の法務委員会で村上世彰参考人が申しておったところでございますけれども、これは従業員の価値と株主利益を合致させると。これは持ち株会の税制優遇版ということでございますけれども、こういうものを今後創設することも考えられていっていいのではないかなというふうに思います。 それから二番目に、課題といたしまして、社外取締役の普及へ向けたインセンティブというものがやや欠けているのではないかと思います。 今回の改正によって社外取締役を導入するメリットは、委員会等設置会社に移行した場合には執行役に大幅に権限が移譲できるということと、特別取締役会制度、これは重要財産委員会の改組されたものですけれども、これが導入されるという二点に縮減をされておりますが、もう少しいろいろ社外取締役の役割というもの、これをもう少し関係各位の方で御認識をいただいてもよろしいのかなと思っております。株主総会よりも実は社外取締役による監視という方が実効性がある場合がございまして、株主総会ですとどうしてもばらばらの個人ということになりますが、社外取締役の場合には、これは変な判断をすると代表訴訟でこれは訴えられるということもありますが、これは皆さん真剣に判断をされるわけでございまして、もう少しこういうものの活用というものを積極的に促進する措置もあってもよろしいのかなと思っております。 三番目に、組織再編の手当てのために更なる手当ての必要性ということですが、一例を挙げますと、例えば債務超過会社を当事者とする合併等については今回一定の手当てがされましたけれども、のれんを考慮してもなお実質債務超過であれば、引き続きそういう会社を消滅会社とする合併等が禁止をされていますが、この場合、常に事前に増資をしなければ合併ができないということはなかなか実際には難しいところでございますので、こういう点についても今後手当てが必要になってくるかと思います。 最後に、五月二十七日付けで出されました経済産業省と法務省の防衛策に関する指針について一言申し述べさせていただきたいと思います。 今回、指針が各界からの要望で出されましたわけですけれども、私は個人的にはこれには若干の疑問を持っております。これは、事前予防型の規制から事後責任型規制への転換と、それから定款自治の広範な許容というのが新会社法の理念なわけでございますけれども、これにはやや逆行しているのではないかと。官が、要するにある程度民のやることについて指針を指し示すと。これは本来であれば国会で、先生方の方でこれは立法の形でそういうものを手当てをしていくべきものであって、役所の方で指針を指し示すというのは若干いかがなものかなというふうに思っているわけでございます。 例えば、職務発明についての手続事例集、これ特許庁が出しておりますけれども、それから個人情報保護法についての指針、こういう民が何をやっていいかよく分からないときに、こういう方向でやればいいんではないかということを指し示すものは意義があると思いますけれども、今回の防衛策の指針については、幾つかの類型を分けまして、こういうものについては良し、こういうものについては駄目という形で、ある種認定をしているわけでございますけれども、そこまで踏み込む必要があったのかというのについては若干の疑問がございます。 また、この指針そのものについては、実はパブリックコメントがなされておりません。これは、企業価値研究会の報告書についてはこれはパブコメはされているわけですけれども、指針そのものは実はパブリックコメントには付されておりませんので、その関係でも、手続的な公正という点から、今後この点は改善していく余地があるのではないかなというふうに考えております。 若干時間を超過してしまいましたけれども、以上で私の意見を終わらさせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(渡辺孝男君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松村龍二君 自由民主党の松村でありますが、御三方、それぞれ非常に専門的なお立場、あるいはこの会社法の改正を手掛けて指導してこられた方々のお話を聞かせていただきまして、大変ありがとうございました。 よく国会議員が議論をするのにふさわしくないテーマが二つあると。それは原子力の問題であり、臓器移植の問題である。余りに専門的で、実際に原子力発電所を動かしているわけでもない人が原子力問題の安全その他の危険性について分かるわけないじゃないかと、こんな議論もあります。また、臓器移植も同じ意味だと思いますが、この会社法も私にとりましてはどうも非常に専門的で、何だかさっぱり分からないというのが正直なところでございますが、質問をさせていただきたいと思います。 先ほど、神田参考人におかれましては、平成十三年からの商法改正の視点、過去との比較ということで、私どもにも分かりやすく、現在の商法改正の流れが戦後、また最近どういうふうになっているかというお話をいただいたわけですが、また別の面から見たときに、日本がグローバリズム、アメリカ型の資本主義を強いられたというような時期でもあったのかなと。 これは、そのことが日本にも利益をもたらすという面も確かにあるということは事実かと思いますが、日本型の資本主義といいましょうか、今中国型の資本主義ともいう何かえたいの知れないものがありますけれども、そういう意味において、日本型の資本主義というと、例えば会社を経営して借金をすると。欧米ではそれが株で調達して、行き詰まればこれを倒産するということで、正に株式会社というものの予期されたとおりの資本主義が行われるわけですけれども、日本においては、会社経営者が借金をして、金に行き詰まれば親戚、縁者にも借金をして経営しておると。したがって、会社が行き詰まったときに簡単に倒産することができない、首をくくらないと、で責任を示さないと親戚、縁者に迷惑掛けたことが清算できないというような形で資本主義が行われてきたと。アメリカほどドライに商売ができない。あるいは、不良資産についても、何で日本がそんな手間取るんだというふうに外国から見ると見えるかも分かりませんが、そういうことで手間取っていた時期があるんではないかなと、こういうふうにも思うんですが。 それから、「拒否できない日本」という文春文庫の本を読みますと、国際会計基準を押し付けられて、それがアングロサクソンの人たちが過半数を占める委員会で、日本人は語学も分からないで、あれよあれよという間にそれを押し付けられてしまったと、したがって気を付けないといかぬというような本もあります。また、最近の郵政民営化の話も、日米構造協議、US・ジャパン・ストラクチュラル・イニシアチブという中で、日本の資本が、いろんなものが自由化されて動くようにということをアメリカが強要しておるというような話も見るわけですけれども、そういう観点から見たときに、今度の平成十三年からの商法改正、これが日本にとって純粋に裨益するような形でこういう改正が行われてきたと見てよろしいのかどうか、神田先生のお話をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(神田秀樹君) 御質問ありがとうございます。 非常に難しい問題であると思いますけれども、私も、先ほど申し上げましたように、私は、今回の改正を含めて、今先生のおっしゃったような方向と整合的であると思っております。もちろん、個々の点につきましては賛否が分かれ得るような問題もあると思います。 それで、中小企業というんでしょうか、中小会社と、それから大企業というんでしょうか、世界各国で活動している企業とは私は多少分けた方がいいように思いまして、先生御指摘のうちの例えば会社が悪くなったときでも簡単に倒産させることができないというのは、伝統的には日本は中小会社も大会社も同じ面があると思いますけれども、グローバルという点から申しますと資本主義と資本市場とは別でありまして、私は、先ほど申し上げましたように、今世界じゅうで会社法改正競争を起こしている原因はITをベースとする資本市場の変化、革命であり、それはどういうことかといいますと、企業が資金調達をするそのやり方が変わっている、またその資金を企業に出す側も、最近よく言葉を聞きます再生ファンドですとか、そういう形でお金の流れ方が変わっているわけです。 そういう状況がある中で、各国とも伝統的な会社法は余りそういう資金調達の場ということを想定しておりませんで、とりわけヨーロッパ系、ドイツ、フランス、日本の会社法はそういう面がございました。したがって、それに対応するために、日本だけではありませんで、ドイツ等も含めて、今大きな改正の流れがあるわけです。 これは主として大企業についてのことでございまして、中小の会社については、世界の資本市場を利用して資金調達をするということは余り現実的ではありませんので、そこは区別して考えることが可能かと思います。 以上です。
○松村龍二君 それでは、次に益田参考人にお伺いしますが、先ほど、参考人のお話によりますと、今回の会社法につきましては、五点の問題を挙げられまして、問題があるというお話でございましたが、それでは、今度の会社法は、改正してはというか、こういう法律を作ってはいかぬというほどの問題点なのか、問題を御指摘されただけで、まあまあこういう会社法でも前進だというふうにお考えなのかどうか、全体あるいは個別についてお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(益田哲生君) 私どもといたしましても、今回の改正が後ろ向きのものであるというふうに受け止めているわけでは決してございません。 先ほど両先生からもお話がございましたように、今回の会社法の改正の基本精神は、事前規制から事後規制ということに大きく転換するという考え方に立っていると思うんですが、その考え方は私ども弁護士会としても正しいものだというふうに受け止めておるんです。ただ、そのように事後規制に転換するときには、考えられる弊害についてどういう対処をするのかということも併せて考えておく必要があるのではないかと思うわけです。 先ほどちょっと少数株主のことを申し上げましたけれども、この株主の受ける弊害に対する防止策につきましては、例えば株式買取り請求権であるとか差止め請求権であるとか、一応その弊害に対する防止策というものは考えておられるわけですが、しかしながらその防止策について考えてみますと、やはりちょっと事後的でありますし、かなり要件が厳しいということで、本当に実務で少数の人たちの利益の保護になるのかなと。あるいは金銭でもって買い取ればそれで済むというような問題になるのかなという、その辺りの事後規制に伴う弊害の防止という点をもう少しきちんと考える必要があったのではないかと、こういうふうには考えておるんですが、大きな流れとして事前規制から事後規制へ移っていくと、それから機関の設計を柔軟化していくというのは、私ども弁護士会としては決して反対しているわけではありません。 大きな流れの中で幾つか発生する問題点についてちょっと見忘れている点があるのではないかと、こういう点についてはもう少し違った観点で考えることが必要ではなかったのかという、そういう幾つかの観点を申し上げたわけでありまして、全体の流れとしてこれを否定的に申し上げているわけでは決してございません。もしそのように聞こえたとしますならば、ちょっと私の舌足らずだと思います。 以上でございます。
○松村龍二君 太田参考人にお伺いしますが、米国では社外取締役が経営のチェックをする仕組みの一環を成しており、コーポレートガバナンスが機能的に行われ、企業の国際競争力の源泉にもなっているようでありますが、日本におきましては本来の独立性のある社外取締役が余り普及していないわけですけれども、金融庁としてはこれを奨励しようとしているようですけれども、我が国の実情を踏まえて、独立社外取締役が普及するためにはどういう方策が考えられるか、御所見をお伺いします。
○参考人(太田洋君) 御質問ありがとうございます。 社外取締役の普及というのはなかなか難しい課題でございまして、まずその人材のリソースが確保されるかどうかということが大きな課題としてあるわけでございます。これをどのようにしてそういう人材のリソースを確保していくかというのは、まあなかなかこれは立法等でどうなるものでもございませんので、これ自体はすぐ一朝一夕ということにはならないと思います。ですので、これは社外取締役を導入するとこういういいことがあるんだということを会社に対してある種のインセンティブを与えていくような仕組みをつくっていかないと、なかなか企業の方は企業の方で経営の中にそういう社外の人が入ってくるというのを導入するのをちゅうちょいたしますし、また、その社外取締役というものになってこの企業を外側から変えていこうという人もなかなか出てこないということになろうかなというふうに思っております。 ですので、制度の問題もさることながら、そういうある意味で社外取締役として活躍できるような経営のプロというものがもっともっと出てくるような形に社会全体として動いていかないと、なかなか大きな形で、社外取締役を例えば取締役の過半数にするとか、そういうことまでは一朝一夕には難しいのかなというふうに考えております。
○松村龍二君 神田先生にお伺いしますが、先生はこのたびの企業防衛の研究会の座長をしておられたと。で、それが五月二十七日に経済産業省、法務省が指針を出したわけでございますが、先ほど太田先生からこの指針につきまして御意見があったわけでございますが、それに対して反論といいましょうか、神田先生の御意見あればお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(神田秀樹君) なかなか難しい問題だと思うのですけれども、まず、私が座長をさせていただいておりましたのは研究会の方でございます。で、指針は経済産業省と法務省が共同で作成したものですので、役所の方で作成されたものでありまして、したがいましてそれについてここで私がどうこう申し上げるというのは余り適切でないかもしれません。 ただ、一点だけ申させていただきますと、これは太田参考人がおっしゃったことと矛盾するわけではないと思うんですけれども、まあ役所がどういうものを作ろうとも、それが司法というんでしょうか、つかさどる方、つまり裁判所等を拘束するわけではございません。 で、そうだとしますと、実務界の方は指針を求めているという状況の中で役所が何かを作る場合には、ちょっと表現が悪いかもしれませんけれども、厳しいものになってしまうというんでしょうか、つまり指針を作って、それに従っていた、しかし裁判所へ行って負けたと、これでは指針の何というんでしょうか権威が失墜するという、そういう表現がいいのかどうかは分かりませんけれども、そういう面があるものですから、一般論として申し上げますと、どうしても指針は、これに従っていればほとんど大丈夫ですというか、かなりの程度大丈夫ですと少なくとも役所が考えるところで書かざるを得ないという面があると思います。 で、問題は、先ほど太田参考人がおっしゃったのは、その反面というか裏側の方でして、そうでないものについてこれは危ないですよと書くかどうかという問題があると思うんですけれども、そこのところが今回の指針についての読み方について、まあ賛否両論というんでしょうか、意見が分かれ得るところだというふうに理解しております。
○松村龍二君 太田参考人にお伺いしますが、今度の会社法につきまして、まあ今日傍聴の方もおられますけれども、アメリカ大使館とか商工会議所から、擬似外国人のあの八百何十条というのが、何かそれによって会社を、形態を整えるために大変なお金が掛かるというふうな、何か御要請がされているのをお聞きかどうか知りませんが、もしも外国に、アメリカの法制について非常にお詳しいようでございますので、これについて何か御意見ありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(太田洋君) 御質問ありがとうございます。 さすがに私もそのアメリカ等におきましてこのような擬似外国会社の制度がどういうふうな形になっているかというのは必ずしもつまびらかではないわけでございますけれども、ただ、今回の新会社法案の方向自体は、これはある種、我が国の法制としてはそれなりにあり得るというか、ものではないかなと思います。 といいますのは、要するに、我が国で専ら事業をする会社について、これを我が国の商法に従わないで外国につくって、それの例えば東京支店という形で営業をしていいということになりますと、我が国の会社法が空洞化してしまうという問題があるわけでございます。 極端な話をいたしますと、例えばデラウェア州が敵対的買収に対して経営者フレンドリーであるということになって、で、別に擬似外国会社の制度がないということになりますと、日本の会社が全部デラウェア州に本社を置いて、で日本で営業するということもできるようになってしまうわけで、法制度という点から考えた場合には、我が国で営業して我が国で事業をしている以上、我が国の会社法に従って設立され、運営してもらいたいというふうな形を、立法者がそういうふうに考えるのはこれはごく自然なことであって、ある意味で当たり前ではないかと。逆に、そのような形にしないと、どんどん我が国の会社法が空洞化していってしまって、もうトヨタもソニーも全部本社はデラウェア州だと、デラウェア州法会社だというふうに言われてしまったら我が国の会社法はどうなってしまうのかという話がございますので、この方向自体は、今回の新会社法の方向というのは間違ってはいないというふうに思っております。
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
○前川清成君 民主党の前川清成でございます。 去年の七月に当選させていただきまして、千葉理事始め理事の皆様方の御配慮で対政府質疑は何度もさせていただいたんですが、参考人質疑は今回が初めてになります。 私たち民主党には次の内閣という一種のガバナンスがありまして、簗瀬さんがネクスト法務大臣なんですけれども、その簗瀬さんから、前川君の質問はいいね、いつも反対尋問みたいでと、こういうふうに言って、僕はそういうことを意図したつもりはないんですが、今日はちょっと主尋問のように意図してお尋ねいたしたいと思います。よろしく御指導いただきたいと思います。 それで、今日の参考人質疑に先立って、神田先生の「会社法制の現代化に関する要綱案についての解説」という論文を読ませていただきました。この中に単語として何か所か、大規模公開会社がどうだという単語が出てまいります。益田先生の御発言の中にも基本的視点の②の中で、大規模公開会社においてはどうだこうだというような御発言がありました。 そこで、まず益田先生にお尋ねしたいんですが、公開会社という言葉はどういう意味でお使いになったのか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(益田哲生君) 基本的には、証券市場で株式が公開され、証券市場で株式が流通している会社であると、そういう意味で私は使っております。
○前川清成君 私も公開会社というのはそういう意味だというふうに考えて、そういうふうに使ってまいりましたけれども、実は今回の会社法案の二条の第五号で公開会社の定義が設けられておりまして、公開会社というのは、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない会社をいうと、こういうふうな定義があります。これは、今、益田先生がおっしゃった公開会社の定義とは異なってまいります。 それで、神田先生の論文なんかを読みますと、実はその中で株式譲渡制限会社という単語を何度もお使いになっています。私は、今申し上げたその二条の五号ですけれども、今まで使ってきた公開会社の定義と違う定義を今回定めていますので、むしろ神田先生がこの論文の中でお使いになっている株式譲渡制限会社という用語の方が適当ではないかなと、こんなふうに考えておるんですが、神田先生、いかがでしょうか。
○参考人(神田秀樹君) ありがとうございます。 これは言葉遣いなんですけれども、私も個人的には、公開会社という定義を今回の会社法案のように定義しますと非常に広くなってしまいますので、これまでの世の中の一般の言葉からいうとちょっと違ってくると思います。 これまで株式消却特例法という法律が一度ありまして、それ自体は平成十三年改正で廃止されたんですけれども、その中では公開会社の定義は上場会社又は店頭登録会社というこの二つ、具体的には、したがってほぼ証券取引法適用会社、全国で約現在四千社だと思いますけれども、そういうものでありました。これは法律上の定義でした。 ただ、その法律は商法本体ではございませんでしたので、これまで商法本体で公開会社という定義を使ったことはありませんで、今回初めて入ってくるわけでありまして、株式譲渡制限会社以外の会社というんでしょうか、ということになるわけですけれども、まあこれは法律用語の問題ですので、ほかにもちょっとびっくりするような単語が一杯あるんですけれども、数年たてば慣れるということかと思います。 ただ、御指摘のとおり、一般に使われている言葉とはちょっと違うというか、ちょっと広い概念であることは確かだと思います。
○前川清成君 この点で、太田先生は会社法実務に大変お詳しい御様子ですけれども、実務に混乱は生じないんでしょうか。
○参考人(太田洋君) 太田でございます。御質問ありがとうございます。 これはやはり、当初は実務にいろいろと混乱というものは生じることは、これはやむを得ないことなのかなというふうに思います。 今回の新会社法案、これはほぼ千条にわたる大法案でございまして、しかも今までの概念を今の御指摘のございました公開会社のようにかなり違う形で用いている言葉もございますので、そういう意味では、当初、これはある程度実務の方で混乱が生じ得ることはなかなか避け難いのかなと思っております。
○前川清成君 ありがとうございました。 次に、最低資本金制度についてお教えいただきたいと思いますが、益田先生の方から最低資本金が一千万円というのはいささか行き過ぎではないかというような御発言がありました。 私は、今まで、これまでは有限会社という制度と株式会社という制度二つあったわけですから、別に株式会社が一千万円であったとしても三百万円の有限会社があるわけですから、制度として使い分ければ行き過ぎはないのではないかなと、こんなふうに考えておったんですが、その行き過ぎという点について御説明をお願いできますでしょうか。益田先生に。
○参考人(益田哲生君) 前川先生がおっしゃるのはよく分かるんですが、ただ今回、御承知のように、有限会社と株式会社をドッキングするというような形になりましたので、有限会社型の機関設計することも可能ということになりました。そうしますと、一律に一千万円という形で絞ってしまいますとそこにやはり弊害が出るだろうと、そういう趣旨で申し上げました。
○前川清成君 それで、少し神田先生に今の点に関連して今回の改正の基本的な方向というのをお教え願いたいと思うんですが、今、益田先生がおっしゃったように、有限会社を廃止して株式会社に一本化しました。その一方で、合同会社、LLCをつくりました、あるいはLLPも設けることができました。この辺の関係がよく分からないんです。 それで、神田先生、東大の学生に教えるんじゃなくて、その辺に一杯いてはる市民の方、会社経営者の方に分かるような、簡単に一言でお教えいただきたいんですが、有限会社というのが廃止されましたけれども、それはどういう会社だったのか、今回設けられる合同会社というのはどんな会社なのか、この辺を分かりやすく一言で御説明願えませんでしょうか。
○参考人(神田秀樹君) ありがとうございます。できるだけ一言にしたいと思いますけれども。 有限会社は廃止されたわけではありませんで、有限会社形態と株式会社形態が統合されて一つの類型になりました。これは制度的には、お金を出す人、出資者と言っていますけれども、今度は株主になりますけれども、と経営をする人、これは取締役一人かもしれないんですけれども、今までの有限会社もそうでよかったんですが、これが分離しています。したがって、お金を出す人と経営をする人とは制度的には分離しています、実際はともかくとしまして、そういう仕組みです。 それが非常に大きくなっていきますと、先ほどの大規模公開会社じゃないですけれども、非常に複雑な経営のシステム、それから経営を監視するシステムも要求されてきています。これに対しまして、合同会社、これは合名会社、合資会社という類型がこれまでございまして、今度の法案では持分会社になりましたけれども、これは出資と経営は分離してもよければ分離しなくてもいいし、それから、かつ、その経営の仕組みも、何というんでしょうか、組合型規律と言っているんですけれども、極端な例を挙げますと、お金を出す人が自分が業務執行、すなわち経営にそのままタッチしてもいいと、そういう意味で、そこのところが固くない、私は柔らかいと言っているんですけれども、余りそれだけではよく分かりにくいと思うんですけれども、簡単に言うと、そういう類型です。
○前川清成君 有限会社で経営と出資とが制度的に分離しているというような御説明をいただいてもちょっと我々の実感としては納得できないといいますかね、有限会社をやっている人は、有限会社にお金を出している人はその有限会社の社長さんですのでね。 結局、よく分からないのは、なぜ一方で有限会社を廃止しておきながら、今回合同会社という新しい会社類型を設けることになったのか。その必要性といいますか、経済的な必要性も含めてちょっとよく分からないので、もう一度今の点で御説明願えたらと、こう思うんですが、いかがでしょうか、神田先生。
○参考人(神田秀樹君) 合同会社は、LLPも同じだと思うんですけれども、内部のそのつくり方というのを組合的規律というふうに呼んでいるんですけれども、自由に当事者が決めてよろしいという、そういう仕組みであります。そういうものに対するニーズが出されたので今回これをつくったということであります。 先生が恐らくおっしゃっておられたのは、いや、有限会社であっても、廃止ではなくて統合なんですが、新株式会社の中でそれができるではないかと、だから新たに合同会社やLLPは不要ではないかというふうに私は受け止めたんですけれども、それは私の先ほどの答えが十分でなかったかもしれませんけれども、有限会社であっても、先ほど申し上げましたように、出資者は一応取締役は選ばなければいけないんですね。そして、その社員総会を開くことから始まって幾つかのことはしなければいけないわけでありまして、それを私は固いというふうに呼んできたんですけれども、固い、柔らかいという言葉で日ごろ呼ばせていただいているんですけれども、そういう、なぜそういう固い構造が必要なのかという論点は別途ありますけれども、逆に申しますと、合同会社ですとかLLPに対する要請があったというのはそこの点にございます。 なお、もう一点だけ、実は税の点での新しい形態というんでしょうか、合同会社形態については議論もありましたけれども、ちょっとその点は今別にしてお話しさせていただきました。
○前川清成君 ニッポン放送事件に関して太田先生がお書きになられました「ニッポン放送新株予約権発行差止仮処分申立事件決定とその意義」という論文を拝読させていただきました。結局は現行法の二百八十条ノ十、二百八十ノ十が言う著しく不公正な方法による発行になるんで差し止めたと、こういうことなんだろうと思います。 この点は現行法、いやごめんなさい、今回提案されております、提出されております会社法案でも二百十条の二項で著しく不公正な方法によって行われる場合には差止めを請求することができるという条文が残っておりますので、この点に関係してお尋ねしたいんですが、この著しく不公正という言葉の意味が実はよく分からなかった。どういう場合が著しく不公正になるか。 神田先生の教科書も読ませていただきました。神田先生の教科書の、私の持っている本は第三版ですので少し古いのかもしれませんが、神田先生の教科書の二百六ページには、著しく不公正な方法による新株発行とは、例えば資金調達のニーズがないのに云々かんぬんと解されているというふうに例示はされているんですが、こういう場合、判断基準といいますか、メルクマールといいますか、定義といいますか、それ自体はお書きいただいていないんです。 鈴木竹雄先生の教科書を探してきましたけれども、それも括弧書きで取締役の一部の者に不当に多数の株式を割り当てる場合など、こういうふうな書き方がされています。 先ほど、太田先生の方から六月一日の判決のことにも言及されましたけれども、どういう場合が著しく不公正な方法なのかということがやはり一義的に明らかにならないと、これからの商売をして、会社経営していくに当たってやはり予測可能性という点で問題があるんじゃないかな。やってみて裁判所が判断してくれるまでいいかあかんか分からへんというのではちょっと困りものかなと思っているんですが、そこで太田先生にお尋ねしたいんですが、太田先生と神田先生にお尋ねしたいんですが、この著しく不公正な方法というのに定義を設けるとしたら、判断基準を設けるとしたらどのように考えればいいのか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(太田洋君) 私のくだらない駄文までお読みいただいておりまして、大変恐縮いたしております。 私、その定義を設けるとしたらどのような定義がいいかというような高邁な議論を私の方から申し上げるべき立場ではないわけでございますが、判例の流れを見る限り、従来はこれはいわゆる主要目的ルールというものがございまして、これはすごく簡単に申しますと、会社の資金調達の目的と、それから取締役等の自己保身の目的とを、これをてんびんに掛けまして、この自己保身の目的の方が重いというときには不公正であると、資金調達の目的の方が重いというときには、これは不公正でないという考え方であったように思っております。 ただ、これは、ニッポン放送の事件で若干これは修正をされまして、なぜかといいますと、新株予約権というのは本来的には余り資金調達を目指したものではないわけです、株式の発行ですと資金調達を目指しておりますが。ですので、ニッポン放送の事件ではそれをもう少し資金調達の目的というところを拡大しまして、取締役は一般的な経営権限に属していること、そういう事柄と、それから自己保身の目的とをはかりに掛けるということではあったんですが、ただ、ニッポン放送の事件の場合には、基本的には取締役は選ばれる側であるのにかかわらず、選ぶ側である株主の構成を、これを変更するのはそれは許されないと、原則。ということで不公正ということになったんだと思いますけれども、先生御指摘のとおり非常にこれ予測可能性がない条文ではあるわけですが、ある意味で事前に、何といいますか、どういう場合が不公正かというのは、全部これを類型化するというのもなかなか立法される立場からすると難しいであろうなということも同時に感じるところでございます。
○参考人(神田秀樹君) ありがとうございます。 著しく不公正な方法というような基準というのは、裁判所に行ったときに裁判所がその基準を適用するものとして、ここだけではありませんで、日本の商法でもほかにもございます。例えば、有名な条文で申し上げますと、株主総会決議取消しという、現在の条文で言いますと二百四十七条一項一号、法案で申しますと、今慌てて探したんですが、八百三十一条一項一号でございます。これは株主総会決議が著しく、もうちょっと前から読まなければいけませんけれども、ちょっと省略させていただきまして、著しく不公正なときと、手続とか方法ですけれども、の場合であります。これはアメリカでいえばフェアネスと、著しくを付けなきゃいけませんので著しくアンフェアな場合ということになろうかと思います。したがって、これをどんなに定義してもそれ以上は定義できませんで、やはりすべての事情を考慮してそれを決める。これはアメリカでもそうですし、ヨーロッパでもこういう基準を作る場合はそうであり、どこの国でもそうであります。 したがって、それを事前に明らかでないと、やってみなければ分からないじゃ困るではないかというのは全くそのとおりなんですけれども、およそ事後的な基準というんでしょうか、というものについてはすべての事情を考慮して判断しますということがないと、事後的な基準としての意味も逆にない面もあるわけですね。 したがいまして、どこの国でもそれはフェアネスということでやっているわけでありますので、あえてこれを定義し直せと言われますと、二百八十条ノ十について申し上げますと、例えば私であれば一部の株主に不当であるとか、著しく不当であるという程度にしか定義はし直せないわけでありまして、あとは判例とか経験によっておのずから予測可能性が高まっていくという、そういうことではないかと思います。
○前川清成君 本当はもっとお教えいただきたいこともあるんですけれども、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。 三人の参考人の方々、貴重な御意見をありがとうございます。 まず、個別の課題で何点かお伺いしたいんですけど、まず神田参考人にお伺いしたいんですけども、先ほども松村委員の方から話がありましたが、擬似外国会社の件でございます。この件について、今、外国企業の皆さんが大変今回の法改正について、これでは日本から撤退せざるを得ないのではないかというような心配も現実なさっている面もございます。 そこで、神田参考人にお伺いしておきたいのは、会社法案においてはいわゆる擬似外国会社に関する規定を改正するというのが盛り込まれているわけですが、仮にこの擬似外国会社の規定を撤廃するとどんな問題が生ずるのかという点についてお伺いしたいのと、もう一点、いわゆる会社法、今度は八百二十一条でこれを規定するわけですが、現行の商法四百八十二条がございます。この四百八十二条よりもこの八百二十一条というのは規制を強化するものになるのかどうか、この点について、二点お尋ねをいたしたいと思います。
○参考人(神田秀樹君) 御質問ありがとうございます。 第一点でございますが、四百八十二条を撤廃するという意見も法制審議会の部会ではなかったわけではありません。しかし、結論としては採用されませんでした。その理由ですが、先ほど太田参考人がおっしゃったこととほぼ同じであります。 すなわち、外国会社と擬似外国会社の区別しなければいけませんで、外国会社は外国で事業をしていて日本でも事業をする会社であるのに対して、擬似外国会社というのは専ら主として日本で事業を行う会社です。そういう専ら日本で事業を行う会社が、設立だけは日本国外ということによって日本の商法の適用はない、これでいいのかというのはちょっと幾ら何でもおかしいのではないかということであります。したがいまして、撤廃という議論にはなりませんでした。 他方、次に申し上げます二点目とも関連しますけれども、現在の四百八十二条だと思いますが、解釈がちょっと不明確で無理な点がございますので、その点を改めて作りましたのが今回の八百二十一条ということになります。 そこで、二点目の御質問ですけれども、もうこれは先生御存じかと思いますが、現在の四百八十二条という条文は、いったんそういう日本で専ら活動をしている会社である、擬似外国会社であるということになりますと、その判例理論、これは古い判例でして、大審院では大正七年十二月十六日、それから戦後では東京地方裁判所の昭和二十九年だったと思います、の決定ですけれども、日本法上法人格は認めないということになります。そうしますと、第二点として、代表者が日本でした行為については、その法人に日本法上は効力は帰属しない、代表者個人が言わば責任を負うことになります。 このうち第一点の方が問題でありまして、それですと法律関係が非常に不安定になるということで、学説の中には、私も実はそういう立場なんですけれども、第一点は否定しない方がいいのではないかというふうに考えてはまいりましたけれども、多数説にはなっておりません。 したがって、従来の判例を前提としますと、今回の改正はどうなるかといいますと、第一点の法人格を認めないという点は改善いたします。第二点の代表者が責任を負うというのはそのままです。したがって、現在の四百八十二条よりは改善されるというのが私の理解でありまして、したがいまして、今回こういう提案がなされているということだと思います。
○木庭健太郎君 次に、益田参考人にお伺いをいたします。 今回、いわゆる最低資本金制度について撤廃をすることになったわけでございますが、この最低資本金制度については払込価額規制が依然として一定の機能を果たしていると、益田参考人始め日弁連の考え方あるようでございますが、本制度の撤廃についての意見及びその理由というのを伺っておければと思います。
○参考人(益田哲生君) 弁護士として実務をやっておりますと、もちろん大会社が日々活発な事業展開をしておるわけですけれども、大阪の方ではほとんど中小企業ということになります。そうしますと、やはり実務をしている中で、時として詐欺的な会社の設立というものに直面をいたしまして、非常にそれで市民の方が被害を受けるという事例がやっぱりあまた出てきておるわけであります。 確かに、三百万円を下回れば配当ができないとか、そういうことでカバーできるんじゃないかというお話があるんですが、やっぱりこの設立時の規制というのは、少なくとも三百万円というのは必要ではないかと。起業をできるだけ促進したいという目的はよく分かるんですが、やはり設立時のそういった病理的な現象をクリアしようと思いますと、最低限三百万もの金額は必要ではないかと。これは、日々、町で仕事をしている弁護士の実感としてはそういうものを持っております。 以上でございます。
○木庭健太郎君 太田参考人に、先ほど、先月二十七日に発表された敵対的買収防衛策指針、いわゆるガイドラインに対する評価等を言っていただきましたが、一方、東京証券取引所におきまして、四月二十一日だったと思いますが、株主総会を控えて各企業が防衛策の検討を進めている現状を踏まえて、過剰な防衛策に対する警告の意味で緊急に留意事項を通知したというような報道もございました。 今後、先ほど評価をいただいたガイドラインとかこの会社法案などを踏まえまして、秋にもこういった規制化する意向ということもありましたが、こうした動きについての所見を伺っておきたいと思います。
○参考人(太田洋君) 御質問ありがとうございます。 私の専ら個人的な意見ということになるかと思いますけれども、まず証券取引所がガイドラインを設けるというのは、これは証券取引所が取引所としてどういう企業を上場させるかということの政策もございますので、これは法務省なり経産省が指針を出すということとはレベルの違う問題ではないかなとは思っております。 ただ、アメリカの事例ばかり持ち出して恐縮ではございますけれども、実はNYSEもナスダックも、こういう防衛策に関するガイドラインといいますか、規制というのは、実は複数議決権株式と言われる、黄金株と言われるものに限っております。しかも、これはIPO、要するに新規上場するときには適用がされないという形、既存の会社が一部の株式を黄金株にするということについては規制がされているわけですけれども、新規上場のときには適用がないと。であるからこそ、グーグルは先ほど申し上げましたようなかなり特殊な形になっているわけでございますけれども、これは防衛策というもの、なぜアメリカがそういうふうになっているのか、深い理由を私、存じ上げているわけではないんですが。 実は証券市場で、先ほど公開会社の話もございましたけれども、証券市場で上場しております会社の規模、大小というのは非常に開きがございます。トヨタですと株式時価総額十兆円近くになりますし、片やジャスダック上場の会社ですと時価総額数十億円という会社もざらにあるということで、防衛策というのは、ある意味で非常に高度な経営判断に属するものでございまして、なかなか一律の規制がなじみにくい分野ではないかというふうに思っております。 であるからこそ、アメリカの場合には、むしろもう黄金株というようなかなり極端なものは除いて、あとはもう市場の淘汰に任せるという政策を取っているのではないかというふうに私は推測をしておりまして、私自身はその方が結果的には社会実態に合った形の、何といいますか、バランスに落ち着いてくるんではないかというふうに考えておるところでございます。 以上でございます。
○木庭健太郎君 神田参考人及び益田参考人、御両人にお伺いしたいんですけれども、今回、法案、先ほど神田参考人から度重なる改正というお話も、その一定の整理という問題もございました。ただ、今回の法改正を行った上で、その後、例えば企業の結合法制などの問題などが言われておりますし、そういった問題に対する考え方も、まあ今度結合法制に関する考え方も含めて、今後残された検討課題があれば、どのような課題があるというふうに認識をされていらっしゃるか、神田参考人及び益田参考人、それぞれお伺いしたいと思います。
○参考人(神田秀樹君) 私は、現時点では二つぐらい感じております。 一つは、今先生が御指摘の企業結合法制と呼ばれているものでして、日本の企業、これは世界でもそうですけれども、単体で存在している企業というのは非常に少なくて、いろいろな形で企業グループの一部あるいは企業グループを形成しているわけです。こういう場合に会社法をどうするか。現在は、一つ一つの法人格というか会社を単位に原則物事を考えて、全体で考えなけりゃいけない部分は特別に考えるという発想です。これをむしろ経済実質というか実態を重視するのであれば、グループとして活動しているわけですから、グループというものを単位に法制度というものを考えられないかと。これは非常に難問でありまして、しかし残された大きな課題だとは思います。 もう一つは、違った角度ですけれども、こう度々変わりますと、今回もいろいろ整理整とんをしているような規定があるんですが、またこれ、新しくこれを動かしていきますと、いろいろ出てくるのではないかと思います。したがいまして、引き続きそういう、まあ整理整とんという言葉がいいかどうか分からないんですけれども、そういう旨の改正というのは実務を実際に動かしてみて是非続けていかなければいけないのではないかと思います。
○参考人(益田哲生君) 私も基本的に神田先生と同じ意見なんですが、一つは、お話がございましたように、企業結合法制の点が先送りになったということだろうと思うんです。 実務の社会では、もう既にホールディングスなどのように完全親会社、完全子会社という関係になっておりまして、経済的にはもう一体として運営がなされている。ところが、商法の規定は単体主義ということで、それぞれの法人ごとに適用がされるというスタイルを今回も貫いておりますので、法体系と社会の実態がミスマッチを起こしているというこの現象は今後とも続くわけであります。これをもう実務にゆだねるということだけで、実務等にゆだねるだけでいいのかということになりますと、私はそうではないだろうと。 例えば、今回先送りになりました多段階代表訴訟という、親会社の株主が子会社の取締役が行った違法行為について何か規制ができる道がないのかという、こういう問題が提起されて、これは先送りということになったんですが、この企業結合法制というものは非常に難しいと思いますが、やはりしていかなければならない問題だろうなというふうに思っております。 例えば、労働法の社会なんかでは、結構、親会社と子会社との関係につきましては、親会社が実質的に子会社について責任を負うというような形で実務は進んでいるわけですが、こちらの方も実は法整備そのものはまだまだ進んでいないわけで、同じような問題がいろんな法の場面で残されているだろうなというふうに思っております。 あとは、いろいろ今日は細かいところでも御指摘申し上げたんですが、これは、今回の会社法が施行されて、やはり何年かたって、それがどういう形で実務に弊害となって出るのか、弊害が出ずに出るのかということが出てくると思いますので、それを踏まえて更なる改正というのは当然必要になってくるだろうなというふうに思っております。 以上でございます。
○木庭健太郎君 じゃ、最後に太田参考人に、今のお話の続きになるかもしれませんが、親会社と子会社間の法整備ということは課題となっているわけですが、この点について何か所見があれば伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○参考人(太田洋君) 御質問ありがとうございます。 結合企業法制は、これは、私もこれは今後重要な課題であるというふうに考えております。 ただ、実務家の立場からすると、企業というのは常にある意味で抜け道を探る習性がございますので、多段階代表訴訟が、これは衆議院の法務委員会でも江頭先生が御指摘されていたことかと思いますけれども、多段階代表訴訟が導入されると、じゃ今度は持ち株会社じゃなくして、その子会社だったものをコーポレートディビジョン制みたいなものにして全部営業本部長にしてしまうということがまあ起きるのかなというふうにも思いますので、ある意味でそれは、多段階代表訴訟の問題はなかなかまあ難しいといいますか、規制と問題点とのまあ追い掛けっこみたいなことになる気もいたしますので、どういう立法にするかというのは非常に難しいんだろうなというふうに考えております。
○木庭健太郎君 終わります。
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史でございます。 既にもういろいろ質問ありましたので、ダブらない部分だけお聞きをしたいというふうに思います。 私はふだん財政金融委員会に所属しておりますので、この会社法そのものといいますよりも、これによって経済の現場がどうなっていくのかという点でお伺いしたいと思いますが、最も関心があるのが三角合併、対価の柔軟化の部分でございます。一年後からそうするということですけれども、これによって何が起きていくかという点中心にお伺いしたいと思いますけれども。 これが外資系の企業の強い要望であったというのは事実として関係者の話からも私も聞いているところでございます。ただ、私、あらかじめ申し上げますと、外資系企業入ってきちゃいかぬとか、鎖国政策取るべきだとか、そういうことは思っておりません。また、神田先生が新聞で主張されているように、過剰防衛というのはかえって企業価値を低めてしまうというようなことも事実あるというふうに思います。ただ、今、先ほどから指摘されているように、欧米、特にアメリカと日本の株式の時価総額が余りにも格差があり過ぎると。その理由として、日本企業の責任もあると思います。配当が少ないとか、不況で株価が低迷しているとか、企業価値の問題もあると思います。 ただ、事実として、今、現実として格差が大きいというところで何をもたらすかということですし、一言思っておりますこと申し上げますと、アメリカの株価というのは、そもそも日本から、世界から入り込んだマネーによって保たれているという点も大きいわけですから、おかしな話ですけれども、その高い株式を使って日本企業を例えばアメリカの会社が買収するということは、日本のお金を使って巡り巡って日本の企業を買収するというふうな構図もないことはないわけでありますので、そう自由競争のきれい事ではないというふうに思っているところです。 そういう点で、対価の柔軟化、つまり外国の親企業の株式を使って日本の企業を買収できるという部分について幾つかお聞きしたいと思います。 まず、分類的に言いますと友好的買収と敵対的買収があって、友好的買収の場合ですと、経営陣が、買収される方の企業の経営陣が一応賛成をしていると。手法としては株式交換ですね、三角合併も含めて。そういう手法がスタンダードであって、敵対的の方になりますと、敵対的という言葉についてもいろいろ議論があるようですけれども、仮にそうくくった場合、買収される方の経営陣が反対をしていると。手法としては株式の公開買い付け等々、株式取得というふうになっていくと。 そういう点では、この三角合併というのは友好的買収の方に使われる手法というふうに一応分類はされているんですけれども、私は経済の現場というのはいろんなことが起きるんではないかと。私もそのアメリカの実情詳しくありませんが、いろんなことが起きているというのは聞いております。それから、実際には、例えば、この前のライブドアなんかのことも想定して考えますと、最初、公開買い付けをやって、一定の多数、一定の比率を占めてから合併に入ると、こんなこともあり得るわけですので、三角合併、対価の柔軟化が必ずしもフレンドリーな場合だけということになるのかどうかという疑問は持っているところです。 そういう点で、要するに、外資の企業にとっては、友好的とは限らない企業買収もこの三角合併あるいは対価の柔軟化によってやりやすくなるんではないかというふうに、やりやすくなる方向にはなるんじゃないかというふうに私、思っております。 そういう点で、外資系企業について客観的に事実関係として教えていただきたいんですけれども、今でも公開買い付けで日本企業の株式を買うことができるわけですけれども、なぜわざわざ外資系の企業が三角合併を望んできたのか、要求してきたのか。あるいは、何が彼らにとって便利になるのか。この辺、ちょっと現場の話も含めて、神田参考人と太田参考人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(神田秀樹君) 御質問ありがとうございます。 まず、三角合併自体は、先生も最初に御指摘のとおり、内外にかかわらずということですので、日本の企業にも逆に三角合併のニーズがあるということが当然あると思います。 それから、御質問の点、二点に分けてお答えさせていただきたいと思うんですけれども、できるだけ手短にいたしますけれども、一つは友好的か敵対的かというお話でして、合併自体は友好的、すなわち経営者が合併契約を締結し、株主総会に提案するもの、しかし、先生が御指摘のとおり、敵対的買収者もまず株を過半数を集めれば経営者を交代させることがまずできますですね。その結果、交代後の経営者に賛成してもらうことができますし、もっと、三分の二以上集めればいきなり合併決議を通すことができますので、第一弾、敵対的に入って、第二弾をこの合併を使うというふうに考えれば、その意味で、間接的にというんでしょうか、影響はあり得るというのは御指摘のとおりになります。 それで、もう一点、なぜこういう三角合併を望むのかということなんですけれども、これはちょっと私の推測にもなりますけれども、三角合併のプラスの面は何かということだと思います。これは簡単に申しますと、外国の会社が日本の会社を買収する場合について申しますと、日本の会社の株主にその外国の会社の株を渡すことだと思います。 従来は、直接、日本の会社があって、例えばアメリカの会社があって、直接二社が合併することはできません。いろいろな理由でできないんですけれども、そこで日本に一〇〇%子会社をつくって合併していたんですけれども、対価柔軟化がありませんものですから、その日本につくった子会社の株を日本の会社に渡すという形での合併でしかできない。現在もそうですけれども、そういう株をもらっても日本の株主は余り意味がないわけですね、一〇〇%子会社の株ですし。むしろ、親会社がちゃんとしているんであれば、親会社の株をもらった方が有り難い。そういう意味で、話を進めていく上で親会社の株を渡すという方が話がまとまりやすいんだと思います。 では、御指摘のように、公開買い付けという方法が現在ありますし、あるいは株式取得という方法がございます。つまり、株式を言わば交換、商法で言う株式交換と違いますけれども、日本の会社の株主に親会社の株式を渡しましょう、ですから株を譲ってください、こういう形で、株の交換ですね、普通の意味での交換というものをすれば同じことができるんですけれども、二つまあ従来障害があると言われていまして、一つは、税制上非常にコストが掛かる。それからもう一つは、例えば公開買い付けの場合ですと、制度的には用意されているんですけれども、やはりいろいろな事情で、主として私はやはり税の点が大きいと思いますけれども、使いにくい。そこで、三角合併という形に対して要請が高まったというふうに理解しております。
○参考人(太田洋君) 御質問ありがとうございます。 おおむね今、神田先生がお話しされたことで尽きているかと思うんですが、一点目のその三角合併を友好的な合併、友好的な買収にしか使われないのかということでございますけれども、これは最終的に株主総会での特別決議が必要というところからすると、最後は友好的でないとできないんだと思いますけれども、例えば、プレミアムを例えば一〇〇%付けましょうと。要するに、日本の会社の株が一株千円のところで二千円分相当のアメリカの会社の株を上げましょうということになった場合、これは、株主の方からはかなり圧倒的な支持を集めることが可能なわけでございまして、事実上、経営陣の側がその高いプレミアムが出された場合にそれにあらがい切れなくなるという意味では、最初敵対的かもしれないけれども最終的に友好的な買収に追い込まれると言うとあれですけれども、そうなるという事態はあるのかなと思っております。 それから、先生御指摘の二点目の、現在でもそういう、何といいますか、直接交換する制度がなくはないのになぜ三角合併かというところでございますけれども、御指摘のとおり、エクスチェンジテンダーオファーという形で現在でも外国の会社がその外国の会社を交換する対価として日本の会社の株主に公開買い付けを掛けることはできるわけでございますけれども、これは在日アメリカ商工会議所の規制緩和要望等を見ておりますと、一番最初は株式交換ということを言っておったんですね。その株式交換は今税制上、課税繰延べが広範に認められていると。これは、日本企業同士のMアンドAでこれは認められているけれども、これを外国企業、要するに外国企業を買う場合でもこれを認めてほしいというところが出発点であったというふうに記憶しております。 ですので、やはり税制上の問題が大きいのかなと。やはりエクスチェンジテンダーオファーで日本の会社の株とアメリカの会社の株を交換しますというときに、これは、課税繰延べというのはなかなか難しいわけですけれども、合併とか株式交換とかそういう組織再編だということになりますと、組織再編税制のようなものもございますので、これは課税繰延べが認められやすいんじゃないかというようなところが背景にあるのではないかなというふうに推測はしております。
○大門実紀史君 そうすると、税制面の、この三角合併の税制面というのは今財務省では検討している最中のようですけれども、今のお話だと、今の株主への課税の繰延べがどう認められるかというのはあると思うんですが、簡潔に神田参考人にお聞きしますけど、どういうふうなこの三角合併の課税あるべきか、どういうふうにお考えでしょうか。
○参考人(神田秀樹君) これは三角合併でない合併の場合と同じように、一定の条件を満たしたものについては、法人レベルでの含み益と呼んでもよろしいかと思いますけれども、その課税を繰り延べるということになると思います。それに応じて当然株主レベルでの課税も影響を受けてくるということでございます。
○大門実紀史君 ありがとうございます。 もう聞くことが少なくなって、最後にお聞きして、終わりたいと思います。 こういうアメリカンスタンダードといいますか、いろんなものもいいんですけれども、ルールの方もきちんとすべきではないかと思っているところですけれども、企業間の買収でライブドア問題も集中審議があったわけですが、一般株主の利益が置き去りになったり、あるいは不利益被っているという場合が起こりがちなんですけれども、一般株主、国民が会社相手に、アメリカなんかでよくあるようですが、訴訟を起こすとか、あるいは不正をただすという点の仕組みもきちっとつくっていく必要があると思うところなんですけれども、それが逆に企業のガバナンスも高めていくという両面があると思うんですけれども、その点で、クラスアクションあるいはディスカバリー等の導入ということも含めて、今後の在り方どうお考えか、これは益田参考人に最後に伺って、終わりたいと思います。
○参考人(益田哲生君) 私は、今回、買収と企業防衛のことについてはあえて触れなかったわけですが、これ両先生からのお話もございましたように、今後、有事における対抗策じゃなくて平時における対応策ということに軸足が移るんだろうと思うんですが、やっぱり三つの要素といいますか、原則は維持されるのではないかなと。 一つは、目的の相当性。これは買収する側も防衛する側もそうなんですが、株主共同利益をいかに確保するのか、向上するのか、どちらの政策がそれに資するのかという、そういった目的で判断されるだろうと。それから、手続の相当性というのもやはりあるんだろうなと。これは事前に開示をして株主の意思を問うということになろうかと思うんですが、そういったことであるとか、それからもう一つは、内容の相当性というのがあるんだろうと思います。これは、お話がございましたように、株主平等の原則に照らしてどうかとか財産権保護の原則に照らしてどうかとかいった、そういった点で考えていかれるということだろうと思うんですが、やはり先生が一つの例として挙げられました買収と合併という点で申しますと、株主意思をいかに問うたかということが今後やはり裁判の中ではかなり重視されるのではないのかなと。この辺りは実務では株主の利益をどうやって守るのかということで、株主自身がやはりしっかりしていかなければいけないことだろうと思っております。 訴訟におきましては、今回、株主代表訴訟について私どもの立場からしますと後退しているのではないかという意見を申し上げたんですが、それについては今後とも実務としてはあるべき姿をきちっと見定めていってほしいと思いますし、さらに、先生がおっしゃいましたクラスアクション、それからディスカバリー、こういう制度につきましても、特に弱い立場にある株主が裁判を起こすというのは、資料も何もないわけですから、これはそういった訴訟じゃなくて消費者裁判もそうなんですが、そういった手続面についてもきちっと整備していく必要があろうかというふうに思っております。 以上でございます。
○委員長(渡辺孝男君) 以上で午前の参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、大門実紀史君が委員を辞任され、その補欠として井上哲士君が選任されました。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 休憩前に引き続き、会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題とし、参考人から御意見を伺います。 午後御出席をいただいております参考人は、税理士・米国公認会計士坂本孝司君及び全国中小企業団体中央会専務理事成宮治君でございます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、本委員会における今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方について申し上げます。まず、坂本参考人、成宮参考人の順に、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、坂本参考人からお願いいたします。坂本参考人。
○参考人(坂本孝司君) 坂本でございます。 座らせていただいてよろしいですか。
○委員長(渡辺孝男君) はい、どうぞ。
○参考人(坂本孝司君) TKC全国政経研究会の坂本孝司でございます。よろしくお願いします。 当会は、全国約九千二百名の税理士又は公認会計士で構成され、それらの会員は約七十六万社の中小企業を関与しております、任意の団体でございまして、租税正義の実現を掲げ、租税制度、商法、会計制度などを研究しております。 私ども税理士は、中小企業の経営者あるいは経理担当者などに日常直接接触して、企業経営の在り方や会計、税務申告の適正性などについて支援しているわけでございます。このような実務家の立場から今回の会社法案につきまして意見を述べさせていただきます。 まず、今回の改正は、会社の九九%を占める中小会社にも配慮したものとなっており、ここに立法関係者の皆様に深く敬意を表するものです。 今回の改正は、記帳条件の明確化、会計参与制度の創設、最低資本金制度の撤廃、有限会社法の会社法への統合化、合併対価の柔軟化など多岐に及んでおりますが、その中でとりわけ企業経営の健全性、透明性確保という観点から、新たに創設されました会計参与制度と記帳条件の明確化について意見を述べさせていただきます。 では、論理展開の順序として、記帳条件の明確化から先に述べていきます。 現行商法では、記帳条件につきまして「整然且明瞭ニ記載又ハ記録スルコトヲ要ス」とだけ規定しておりますが、改正案におきましては、株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならないと規定されたことは、会計の健全性を図る上で高く評価されるものです。 記帳条件の明確化の必要性につきまして五点述べさせていただきます。 まず第一に、このところ大企業の粉飾決算など一連の不祥事が相次ぎました。これらの原因を見てみますと、いずれも最初のボタンの掛け違い、つまり事実を正しく記録しないというところに起因しております。こうした事態を防止するために記帳条件の明確化が求められます。 第二に、会社の規模を問わず、経営で最も重要なことは、企業経営のかじ取りを行うために会社の財政状態や経営成績を正確に掌握することであり、このためには日々の取引を適時に正確に記録することが絶対的な条件であるということです。 戦後の我が国は比較的経営環境が良好に推移し、言わば経営者の勘に大きく依存した経営でも何とかやっていけました。しかし、今日においては、もはや高度成長は期待できず、一つ一つ積み上げた綿密な経営が求められ、そのためには、財政状態や経営成績を管理するなど、計数管理が経営者の意思決定にとって重要となってまいりました。会計帳簿を基に計算書類は作成されます。その会計帳簿の基となる会計事実の記録が正確でなければ、正確な会計帳簿も作成できず、当然にも正確な計算書類は作成できません。 第三に、電子商取引の時代となり、会社間取引、会社と消費者との取引はすさまじい勢いで拡大しております。このように信用を基礎とした社会におきましては、計算書類の重要性は今日ますます大きくなってきています。IT時代の今日、年一回の決算期に一遍にすべてをコンピューターで処理しても、結果としては整然かつ明瞭には印刷されます。しかし、これでは経営に役立つ商業帳簿、証拠としての商業帳簿、利害関係者への信用供与機能としての商業帳簿にはなりません。 第四に、商法の本旨であります株主・債権者保護などですね、債権者とは金融機関や仕入先などを申します。配当可能利益の算定に加え、商取引の安全に資するための信用供与機能、さらに金融円滑化に資するためにも、正確な会計帳簿、正確な計算書類の作成が求められます。 第五に、国際的に見ましても、適時に正確な会計帳簿を作成しなければならないということは常識でありまして、国際的に見て遜色のないものにするためにはこの規定は必要でございます。 我が国商法の母法とされますドイツ商法における帳簿作成の条件は、会計帳簿その他必要な記録の記帳は、完全網羅的に真実を適時にかつ整然明瞭に行わなければならない、ドイツ商法第二百三十九条二項と規定されております。さらに、ドイツ国税通則法におきましても同様の趣旨が規定されております。 一方、アメリカには統一的な会社法は存在しませんが、各州におきまして会社法が制定されております。その中でも、アメリカの会社法において重要な位置を占めているニューヨーク事業会社法においては、帳簿及び記録の保存に関しまして、計算の正確かつ完全な帳簿及び記録、第六百二十四条と、また小会社において適用対象企業の多いカリフォルニア会社法におきましては適切かつ正確な会計の帳簿及び記録、第千五百条と規定されております。 次に、記帳条件の趣旨を踏まえまして、どうすれば正確な計算書類を作成できるのかなどについて四点ほど述べてみます。 第一に、経理担当者は会計事実を日々記録することが重要です。日々の適時な記帳は、それによって忘却を防ぎ、証憑書等の紛失を防ぐことができるなど、正確性や網羅性を確保するために最も重要な会計行為と言えます。 第二に、不正を防ぐ観点からは、コンピューターへの会計事実の入力をシステム的にチェックするなど、コンピューターシステムに踏み込んだ仕組みを構築する必要があります。会計参与はこの点のチェックをしなければなりません。 第三は、税理士など会計専門家の記帳指導を受けて経理水準を上げることです。多くの税理士は、毎月関与先を巡回訪問し、会計資料並びに会計記録の適法性、整然明瞭性、適時性、正確性を確保するため、会計事実の真実性、実在性、網羅性を確かめる業務遂行を行っております。 第四は、法人の課税所得算定に当たっては、商法決算を踏まえた確定決算主義、法人税法七十四条一項の堅持が重要です。これによって、恣意的に商事上の利益は大きく税務上の所得は小さくするというような不当な会計処理を排除することができます。また、中小企業にとってみれば、作成する帳簿書類などが一つで済むなどの利便性も有しております。 このように見ると、我が国の商事基本法に明記されていなかった記帳の適時性と正確性が明確化されましたことは、経営管理力の強化、債権者保護、商取引の信用供与及び金融円滑化に資するなどの面から高く評価されます。 次に、利用者の視点に立ち、会社経営の健全性の確保を目指して新たに創設されます会計参与制度について述べます。 まず最初に、中小企業の特徴でございますが、一般的に中小企業は内部統制が希薄で所有と経営が分離されておらず、会計に存在した者が余りいないというところが特徴でございます。このようなことから、適正な計算書類を作成するということはなかなか困難な環境にあります。したがって、今回創設されます会計参与の趣旨は、会計参与が計算書類の適正性を図る一翼を担うということに尽きると思います。 それでは、新設されます会計参与の趣旨と意義を六点に分けて申し上げます。 第一は、会計専門家である会計参与は、計算書類の信頼性を高めるためには、基になる会計帳簿、さらに会計記録の正確性をチェックしなければならないと考えます。その理由は、計算書類は会計帳簿を基礎として、そこから誘導されて作成されますので、まずこの正確性を確保する必要があると考えるからです。 第二は、会計参与は、月次決算を中小企業に促し、正確な会計資料は利害関係者への信用供与や税務申告に資するとともに、自分の会社の経営に役立つということをより啓蒙していく必要があります。このためには、会計参与は当該会社の帳簿体系を明確にし、経理担当者が適時に正確な記録を行えるような体制を構築するよう指導することが必要と考えます。 第三は、中小企業は一般に内部統制が欠如しております。このため、会計参与は、経営の健全性と透明性を高めるために会計処理面などの内部統制の確立を促し、遡及的な会計データの追加、修正、削除などを行うことを抑止するコンプライアンス形成の一翼をも担うものと想定されます。 第四は、会計参与制度創設の当初、会計参与の業務品質にばらつきが出てくる可能性があります。そこで、会計参与の業務品質を継続的に高めていくために、関係各位のお力によりまして、例えば日本会計参与振興協会などを設置しまして会計参与の普及定着を促進していけばと思うのですが、いかがでしょうか。 第五に、正直に正確な計算書類を作成する企業に対するインセンティブが必要と考えます。つまり、正直者がばかを見ない社会形成が必要と考えます。例えば、金融機関は融資に際して、適時に正確な計算書類を作成していると認められる企業には、無担保無保証の上、格段に金利を優遇したり、返済期間を長期にするなどの優遇を図るなどの措置を講じれば、経営者にとりましてそれが強い動機となり、襟を正して正直な計算書類を作成する誘因になると思われます。 第六に、取締役や監査役がよるべき中小企業の会計基準が必要と考えます。既に、国際会計基準審議会、IASBにおいても、各国が中小企業の会計基準を策定すべきであるという考えを示しております。会計は、入口である会計事実を正しく記録すること、基準に従って計算すること、そして計算書類を公告することが求められます。上場企業を中心とした会計基準と中小企業会計基準との関係をデュアルスタンダードと位置付け、中小企業の属性を踏まえた基準作りの継続的対応を関係者の皆様方にお願いいたします。 以上、今回明確化されました記帳条件、新設されます会計参与制度が年月を経まして定着され社会的評価が形成されてきますと、商法の本旨である債権者・株主保護が図られるとともに、計算書類等財務関係情報が真に金融円滑化や仕入先などに対する信用供与機能の主役の役割を担うことになると思います。今回の改正は日本の中堅・中小企業の体質を強化し、日本経済を強くするものであると考えます。 終わりに際しまして、当会にこのような機会を与えてくださいましたことに深く感謝し、これで陳述を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(渡辺孝男君) ありがとうございました。 次に、成宮参考人にお願いいたします。成宮参考人。
○参考人(成宮治君) 成宮です。全国中小企業団体中央会の成宮でございます。 本日は、会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、本委員会において参考人として意見を述べる機会を与えていただきましたことにつきまして、渡辺委員長を始め委員の皆様方に対しまして厚く御礼を申し上げます。 私からは、まず中小企業の会社利用の実態及び本法案に対する基本的な考え方を述べさせていただき、次に中小企業に直接影響がある個別の事項についての意見を申し上げたいと思います。 まず、中小企業の会社利用の実態並びに本法案に対する基本的な考え方について申し上げます。中小企業の会社という器の利用の実態についてでございます。 そもそも我が国の企業数、これは個人企業と法人企業の合計でございますけれども、おおよそ四百七十万でございますけれども、このうち中小企業基本法の定めます中小企業者の範囲に属する企業が九九・七%を占めておりまして、大企業は〇・三%となっております。これら中小企業は、製造業出荷額の五一・二%、卸売業販売額の六二・三%、小売業販売額の七三・三%を占めるなど、我が国経済の活力の源泉であり、さらに雇用者の七〇・二%を中小企業が支えているというのが現状でございます。 次に、会社の数についてでありますけれども、これは法務省の民事統計によりますと、株式会社が百十五万社であり、このうち資本金三億円未満の中小会社が九八・三%でございます。また、有限会社百八十九万社、合名会社一万九千社、合資会社八万七千社となっておりますけれども、そのほとんどすべては中小企業という状況でございます。 これに対しまして、上場会社、東京証券取引所等全国五証券取引所の一部、二部上場会社は四千二百三社でありまして、ジャスダックを含めましても五千百四十九社であります。このような会社は証券取引法、商法特例法の適用を受け、さらに商法の適用も受けているわけでございますけれども、数としてはかなり少なくて、会社法制としての商法の適用を受けている圧倒的多数は中小企業であるわけでございます。 次に、本法案に対します基本的な考え方について述べさせていただきます。 全国中央会は、法制審議会会社法部会における唯一の中小企業代表として積極的に意見を述べ、議論に直接参加をしてまいりました。法制審議会会社法部会の議論に臨むに当たりましては、他の中小企業団体と協力をいたしまして、中小会社の経営者に対するアンケートを実施をし、中小企業経営者の経営の実態と意識を踏まえ、他の中小企業団体のお考えも伺いながら意見を述べさせていただきました。 その意見の柱は、我が国会社法制の最大のユーザーは中小企業であり、その中小企業の実態を踏まえ、新しい会社法についてはドラスチックに規制緩和を行い、資本金額制限の大幅な緩和、定款自治の拡大、機関設計の自由度の拡大など、少なくとも現行の有限会社並みの規制とすべきであるということでございました。また、中小企業が使いやすい、使いこなせる会社法にという観点から、法制審議会における議論の中で次のような要望をさせていただきました。 まず第一に、株式会社は小会社から超大会社まで連続的なものであって、大会社と小会社が外形的に区別されることのない制度設計とすること。 また、第二に、株式会社と有限会社を一体化するに際しましては、有限会社的規律を株式会社に導入するなど、現行の株式会社の規制を大幅に緩和をし、有限会社に近づけるべきであること。 第三に、大幅な規制緩和、自由な機関設計、法律による規律は必要最小限にと。すなわち、定款自治を抜本的に拡大をすることと。例えば、取締役会、監査役の設置は任意にすること。取締役会の書面決議を認めるとともに、三か月に一回の取締役会における業務報告を廃止すること、あるいは会社の信用は資本金だけで担保されているわけではなくて、創業、起業の促進、経済活動の活発化のため、設立時の最低資本金を法律で一律に規制することは適切ではなく、規制を設けるべきではないこと、また現行有限会社のように役員の任期に期限を設けない、あるいは大幅に延長することといったような要望でございました。 本法案におきましては、これらの要望をすべて実現する方向で盛り込んでいただいておりますので、基本的な考え方といたしましては、商法、商法特例法、有限会社法を一体化し、平仮名口語体の会社法として一つの法典にまとめ、大幅な規制緩和を図るなど、その最大のユーザーである中小企業が使いやすい法制度が実現することとなったということを高く評価をするものでございます。 次に、中小企業に直接影響のある個別の事項につきましての意見を六点にわたって述べさせていただきます。 一点目は、株式会社と有限会社の一体化についてであります。 機関設計の柔軟化、取締役任期の延長、最低資本金制度の撤廃なども含め規制を大幅に緩和をし、有限会社に近いところからスタートできる仕組みとし、大会社と小会社が外形的に区別されることのない制度設計となっておりますことを高く評価しております。また、現存の有限会社は、望まない限り強制的に株式会社に変更させられることのない仕組みとすることにつきましても評価をしたいと思います。 二点目は、機関設計の柔軟化についてであります。 株主総会プラス一人の取締役というのを基本形とし、ここから取締役会、監査役、会計参与、会計監査人など、会社の成長に合わせて各ステージにおいて必要とされる機関を選択しながらステップアップをすることが可能となることを評価をいたしております。監査役の設置につきましては任意としていただき、その権限は、株式譲渡制限をしている中小会社においては会計監査のみで足り、業務監査権限まで一律に要求しないとする点についても評価をいたしております。 三点目は、最低資本金制度についてであります。 設立時の最低資本金規制が撤廃されることを評価したいと思います。法人格濫用防止の観点からの措置につきましては、法律の規定に基づく損害賠償責任等の取締役等の責任の追及と、いわゆる法人格否認の法理の運用により保護することとし、新たな特別の制度は設けないこととしている点も評価できると考えております。 四点目は、取締役の任期についてであります。 議論の過程では、有限会社との比較では、任期規制の新たな導入ということになり、規制強化ではないかという意見もありました。また、逆に、十年は長くて、五、六年とすべきという御意見もございました。本法案におきましては、取締役の任期は原則二年、監査役の任期は原則四年とした上で、株式譲渡制限会社にあっては定款で十年まで延長することができるというふうにされております。法律の規制を必要最小限とし、定款自治の範囲の拡大が図られるということでございまして、これを評価したいと思っております。 五点目は、類似商号規制関係についてでございます。 登記所において会社の目的の記載に関する審査に当たり相当厳密な運用がなされておりますために、会社の設立や定款の変更等に時間と手間が大変掛かるという声が圧倒的でございました。原因は、同一市町村内において同一の営業のためにその商号と同一の商号又はそれと判然と区別できない商号の登記が申請あったときには、登記官はその申請を却下しなければならないということでございますけれども、登記官のその御判断に当たっては、営業の同一性が基準になることから会社の目的の記載に関する審査が厳格にならざるを得ないという規制によるものでございます。特に、最近、ITあるいはソフトウエア関係などの新しい分野における会社の事業の内容や用語につきまして、なかなか登記官に御理解していただけない場面も多いという声が多かったという事実でございます。開廃業率が逆転現象を続けております中で、創業、起業の促進、新規事業展開などの取組を後押しすることが国を挙げての重要課題だと言われております。このようなときに、その動きを阻害するような仕組みはやはり改めていただく必要があって、これらの規制を合理化すべきであると思います。 会社法の類似商号規制が合理化、今回されることを評価をしたいと思います。本法案におきましては、不正競争目的の商号使用に対しましては不正競争防止法の規制にゆだねることとし、差止め請求、損害賠償請求、信用回復措置請求は引き続き可能でありまして、会社法の類似商号規制が合理化されるということを評価しております。なお、不正の目的で自己の営業と誤認させるような商号を他人が使用するということは引き続き許されないこととされておりますので、特段の問題は生じないというふうに思っております。 最後六点目は、監査役の見直し、会計参与制度の創設についてでございます。 大会社以外の株式譲渡制限会社は、定款で監査役の権限を会計監査に限定することができ、一律に業務監査まで行うことを義務付けないということとされている点を評価をいたしております。また、中小会社の計算の適正化のため、会計参与という制度を創設することを評価をいたしております。 特に、近年、中小企業をめぐる資金調達環境は厳しさを増しておりまして、デフレ経済の中でこれまでのように担保に過度に頼ることができなくなってきております。また、個人保証につきましても、仮に倒産等に至った場合に、経営者や第三者が破産に追い込まれてしまうといった事態が起業や再起を困難にしているのではないかとの指摘がございます。こうした中で、これまでの不動産担保と保証人があればこれ、すなわち健全な融資であるという認識を改め、過度に担保や保証人に依存しない融資慣行を確立するよう中小企業庁や金融庁が慫慂されておられるところでございます。 担保や保証に頼らず、中小企業自らの力による資金調達力を強化する上では、会計の質を向上させ、信用力のある計算書類を武器にすることが極めて有効と言えます。既に、正確性が確保された計算書類の作成とその開示により、信用保証協会の保証料率の割引や、債務超過であっても入口要件で融資対象外としない扱い、あるいは融資返済期間の延長、取扱手数料の無料化といったような優遇が受けられる融資の仕組みが実際に動き始めておりまして、この動きは今後更に加速するものと期待されております。したがいまして、会計参与を活用して開示できる正確な計算書類を作成することは、中小企業にとって大変大きな武器になるというふうに言えると思います。 さらに、このような適正な計算書類の作成と開示のほかに、金融機関や株主、債権者以外にも今後新たに取引関係を結ぶこととなる可能性のある者、すなわち一般の公衆を対象として自社の健全性をアピールしていくことが必要になってくるものとも思います。このため、中小企業といえども、経営者自らがガバナンスの強化、コンプライアンスの徹底によって周囲からの信頼をかち取っていくこと、これが重要な課題となってくることは間違いないというふうに考えております。 私ども全国中央会は、中小会社の計算書類の質の向上、ディスクロージャーの推進のため、公認会計士さんや税理士さんとも連携を図りながら、傘下の中小企業組合を通じて、所属員であります中小株式会社の経営者に対しまして、会計参与の活用を含めて、新しい会社法の活用について支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。 以上、中小企業の立場から会社法案に対する意見を述べさせていただきました。 委員各位の慎重御審議を経て、本法案を無事成立させていただくことをお願いする次第でございます。 どうもありがとうございました。
○委員長(渡辺孝男君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松村龍二君 自由民主党の松村でございます。 今日は、午後、会社法の改正につきまして、税理士、TKCの坂本様、また全国中小企業団体中央会専務理事の成宮参考人から貴重な御意見を聞かしていただきまして、どうもありがとうございます。 お二人、総じて今度の会社法が中小企業の現状に大変裨益する法律であるというふうなお話のようでございますが、幾つか質問をさせていただきます。 まず坂本参考人にお伺いしますが、記帳条件の明確化とか、あるいは会計参与制度の採用というふうなことで、大変に会社のコーポレートガバナンスあるいはコンプライアンスというような点で対外的にも通じる信用を確保する道が確立したということで評価されておられるわけですが、戦後六十何年もたっているわけですけれども、今ようやくこのような制度ができたのか、なぜここまでは実現できなかったのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○参考人(坂本孝司君) 今先生の御指摘になられたことはすごく大事なことです。 我々中小企業の会計を指導する者としましては、今まで日本の中小企業に特に覆っていた国民的な誤解がございまして、帳簿をしっかり書くとかしっかりした決算書を作るというのが何か義務のようなとらえ方がされていまして、記帳をしっかりするといいますと、つい記帳義務の強化だろうと、中小零細企業に対するいじめじゃないかというような議論がつい最近まで行われてきたというのが実態だと思います。 そこで、やはり商法に商業帳簿というものが、一六七三年のフランス以来、各国の商法典に脈々と位置付けられてきていたその本質的な理由は何だろうということだろうと思うんですね。二つございまして、要は、商業帳簿というのは、日々帳簿を書く会計帳簿と、年一回組む決算と、この二つから商業帳簿は成り立っております。 会計帳簿でございますけれども、これはもう商法上も自分を守るための証拠物です。したがって、正確に書いたり適時に書いたりというようなことは、結果として、裁判におきまして、裁判官の自由心証ではあるものの、高い証明力が認められるというのは歴史的な商法の事実でございまして、自分を守るための証拠物であると。ですから、帳簿は自ら進んで書いていたというのが人類の歴史でございます。 それから、年一回の決算でございますけれども、これは株主とか債権者とか取引先などに提出するものであると一般に言われますが、いや、実はそうじゃないんだと、本質的には違うというような考えが大事です。というのは、商法典は報告する義務がないような個人事業主にまで決算書作成を求めているわけでございまして、要は、決算書の本質的な報告先は経営者自身であるというのが決算書類の本質論だと思われます。例えば、ドイツの会計学者でレフソンという方がいらっしゃいます。ドイツ最高の会計学者と言われておりますけれども、レフソンは本の中で、商法はなぜ報告義務がない個人事業主にまで決算書の作成を求めているんだろうかという問題提起をしまして、決算書の本質的な報告先は経営者自身であると、決算書には倒産を防止する目的があると、こういうふうに述べられています。 今回、記帳とか会計参与によって計算書類の適切化を図るというようなことが法案に盛り込まれ非常に有り難いと思っておりますのは、ようやく簿記会計の本質的な位置付けがこれによって日本に浸透するんじゃないかということで、非常に喜んでいるというのが私の気持ちでございます。
○松村龍二君 どうもありがとうございます。 私も公務員していましたので会社のことはあんまりよく分かりませんが、十年ほど前から政治家にさしていただきましたけれども、そのころから比べても、会計事務所というものが、もう中小企業、零細に至るまで、もうすべて御相談してお任せしてやれというふうな空気が年々強くなって、ただいまお話しされたこの社会の動きというものが分かりました。 一方、これだけ非常に会計が透明性を持って行われるということになってきますと、アメリカなんかでも当然それを、先に進んでいると思うんですが、エンロン事件とか、とんでもない、日本のかがみとは言えないような乱脈な事件もアメリカ等において発生しているわけですが、こういう会計の透明性と今のような腐敗とをどういうふうに理解したらいいのか、教えてください。
○参考人(坂本孝司君) これに関しまして、二点申し上げたいと思います。 一つは、アメリカにはない制度で我が国にはある制度というところが大事でございます。 それは確定決算主義という考え方でございます。その確定決算主義と申しますのは、商法上の決算書を作成しまして、それを定時株主総会で確定させます。その後に税法上の調整を加えまして税務申告書を作成するという一連の仕組みを言います。要は、決算書と税務申告書が連動しているということでございます。この仕組みは日本とドイツが採用しております。 これに対しましてアメリカでは、決算書と税務申告書が連動していません。決算書と税務申告書は別々の基準で作成しても構わないという仕組みになっております。例えば機械装置の減価償却を、決算書では定額法で行い、税務申告では定率法で行うという、別々の基準を採用できるということになっております。 少し前に、日本の確定決算主義は企業会計の発展を阻害するんだという議論が一時ございましたが、実はこの確定決算主義は一石二鳥の制度だというのが結論でございます。確定決算主義というものは、特に中小企業におきましては経理コストが相対的に節約されます。さらに、適正な決算書作成と適正な納税というのを実現できる画期的な仕組みでございます。 実は確定決算主義を採用していないアメリカにおきましても、最近、決算書と税務申告書を連動させるべきであるという主張が出てきております。例えば、経済誌のフォーブスという雑誌の二〇〇二年の三月号でございますが、ツーバーズ・ワンストーンと、要は一石二鳥という表題で、例えば、連邦議会の下院の民主党歳入委員会税務顧問ジョン・バークリー氏がこう言っています。帳簿利益と税務利益の遊離をもっと厳しくしていたらエンロンのスキャンダルは恐らく発生しなかっただろうと。あるいはノースカロライナ大学のエドワード・メイデュー教授が、企業利益と税務会計のギャップを埋めることが透明性を高め、その結果、利益を水増ししたり不正な課税逃れをたくらむ企業が少なくなるはずだというような議論を起こしていまして、日本の仕組みもいいところあるというのがこれでも証明できます。 二点目なんですけれども、やはり会計、特に監査する場合、職業会計人の独立性というものが問われているんだろうと思います。 独立性には二種類ございまして、精神的な独立性と、これはインディペンデンス・オブ・マインドと、それから形式的な独立性と、二つありますけれども、特に精神的独立性が大事だろうと思います。 以上でございます。
○松村龍二君 もう一つだけお伺いしますが、法案では、大会社以外の株式会社も定款で定めれば会計監査人を任意に設置することができるとされて、会計監査人となるのは従前どおり公認会計士又は監査法人、個人のままでありますが、この点、TKCとしては税理士の登用を主張されたようでありますが、これについて所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本孝司君) 実は、今後も中小企業の決算書の適正性を証明したいというのが我々TKC政経研究会の願いでございます。できれば中小企業の決算書の監査をする権限も得たいというのが運動方針でございますが、今回いろんな調整を図られて会計参与という立場を与えられるという案を御提示いただきまして、百点満点で有り難いというところまではいかないものの、今現在、日本の中小企業の会計の健全性あるいは金融円滑化を担う上では相当高いこれは得点を得られる制度だろうということで、我々は今現在のこの与えられた会計参与には賛成ということの態度で臨んでおります。
○松村龍二君 成宮参考人に幾つかお伺いします。 先ほどの御意見で、今度の会社法は最低資本金規制の撤廃が行われているとか、株式会社と有限会社の規律の一体化の問題、あるいは大幅な規制緩和を行われていると、定款自治範囲の拡大というようなことがいろいろ行われておって大変評価が高かったわけですけれども、今後、中小企業団体中央会といたしましては、会社法について更にどのような改正といいましょうか、要望がおありなのか、あったらお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(成宮治君) 今先生御指摘のとおり、本法案につきましては、我が国企業の国際競争力の強化、あるいは我が国経済の大宗を占める中小企業の事業活動の活発化に大きく寄与し得るものだということで大変歓迎をしておるわけでございます。 定款自治の拡大が図られて経営者の選択肢が広がる、法律による事前規制から事後対応へと発想の転換がなされているわけですけれども、このことは、今後、経営者自らの責任においてその時々に応じて適切な判断を下し、いろいろ工夫をしながら経営に携わっていかなければならないという場面が増えてくるということにもなるわけでございます。つまり、会社法を深く理解をしているかどうかということによって会社の競争力、企業価値に差が出てくるという時代になっていこうかというふうに思います。 私ども中央会といたしましては、会社法制最大のユーザーである中小企業が今後ともガバナンスの向上に努め、コンプライアンスの強化にも取り組むといった中で、自らの優位性を確立して大企業に伍して競争に臨んでいけるように、取りあえずは、今回この会社法が成立をいたしましたら、その会社法の周知に努めてまいりたいと思っております。今後、こういった会社法に縛られるという発想ではなくて、これを活用することで力を付けて、我が国経済全体の活性化がもたらされるということを願っておるわけでございます。
○松村龍二君 先ほど、有限会社が今度の法律改正によって無理に株式会社にしないといかぬとか、そういうことではないということも評価されておられたわけですが、有限会社の今後の動向をどのように、このまま推移していくのか、時期を見て何か有限会社が自発的に株式会社になっていくというような動きが出てくるのか、今後どのようなふうに見ておられるか、また、将来一本化するとすればどういう手当てが必要だとお考えになるか、お聞かせください。
○参考人(成宮治君) なかなか今後具体的にどういう展開になっていくのかというのを予測することは難しいことだと思います。会社法施行後においても従来どおり有限会社のままで事業を継続していくという経営者、当然いらっしゃいましょうし、この際、社会的な信用力も魅力だということで、株式会社に組織変更をして株式会社として事業展開を図っていこうという経営者も当然いらっしゃるというふうに思います。 今回の会社法整備法案におきまして、有限会社から株式会社への移行の規定が置かれておりますことから、比較的簡易に有限会社から株式会社に移行することができるわけでございます。このため、相当数が株式会社に移行するのではないかというふうに予想される向きもあるようでございますけれども、なかなか確実な予測というのは現時点では難しいかというふうに思います。
○松村龍二君 最後の質問ですが、譲渡制限株式会社では原則として任期が、取締役が二年、定款で十年までの伸長が認められるようになったと。一方、日弁連なんかは五年でいいじゃないかというような、これ十年まで延ばすことについて反対のような御意見をお持ちだったかと思いますが、これはどちらかといえば個人的な、個人経営の会社というふうな感じで、十年でも当然に継続して取締役を務めればいいんじゃないかなというようなふう、そんなお考えで十年という主張をされたのかどうか、その辺ちょっと背景を教えてください。
○参考人(成宮治君) 我が国の株式会社のほとんど、最初、冒頭に陳述いたしましたように、株式譲渡制限を置いている中小企業でございます。つまり、そういうと、経営が原則として一致している企業ということでございます。こういう企業におきましては、一般的に相続が起きないと社長の交代も起きないというスタイルが圧倒的に多いわけでございます。むしろ、社長が二年ごとに替わるという会社はむしろまれということだと思います。 取締役の任期二年というのを大幅に延ばしてほしいというのは、会社制度の最大のユーザーであります中小企業が強く望んでまいりました点でありまして、こういった企業にとっては大いに歓迎すべきものだというふうに考えております。 逆に申しますと、現行の有限会社であれば任期の規定はございませんので、十年ですらないということでございます。そういう企業にとりましては、十年で任期が切られるということは、社長交代しなくても、重任ということで登記が必要になってくるわけでございます。その意味では、定款において延長できる長さというのはやはり相当長い期間、任期であった方が望ましいということで、任期を設定をする必要があるとするんであれば、定款で十年ぐらいまでは延ばすことができるようにということを要望を申し上げていたというのが事情でございます。
○松村龍二君 そうしますと、十年でよろしいわけですか。さらに、本当は十、もうちょっと、無期限の方がよかったのかどうか。
○参考人(成宮治君) 失礼しました。 ぜいたくを申し上げれば、現行の有限会社が任期なしでございますんで、新しい会社法における株式会社もそういう条件のものがあってもいいんではないかというふうには思います。だけれども、なかなか定款でその例外を置くということで無期限というのは難しいかもしれないということで、取りあえず十年ということになったわけでございますけれども、これぐらいのところでいいのかなというふうには思っております。
○松村龍二君 どうもありがとうございました。
○広田一君 民主党・新緑風会の広田一でございます。どうかよろしくお願いをいたします。 法務委員会の皆様方には、このような場を与えてくださいまして誠にありがとうございます。そして、坂本、成宮両参考人におかれましては、本当に示唆に富むお話をいただきましてありがとうございました。 私は、ふだんは財政金融委員会の方に所属をしておりますので、今回の会社法の改正によりまして、中小企業を始め日本の会社の活動が活発になって、税収が増えて、今のこの危機的な日本の財政に少しでも寄与していただければというふうに期待をしているところでございます。 以下、それでは質問をさせていただきたいと思います。 まず、最低資本金制度の撤廃についてお伺いをいたします。具体的には、法務省さんの示されております最低資本金撤廃理由への御見解と資本金の意義についてお尋ねしたいと思います。 私は、この撤廃につきましては、平成十五年二月からの特例措置によって新しい企業が二万三千社設立されたことからも分かりますように、企業を設立する門戸を開くという意味では評価をいたしているところでございます。 ただし、私は、現時点でこの最低資本金制度を撤廃することは時期尚早ではないかなというふうに思います。それは、最低資本金を含めた資本金に対する共通認識がまだ十分に図れていないのではないか、そして、仮に最低資本金制度を撤廃するにいたしましても、撤廃することと資本金の持つ意義とか重要性は区別し、分けて考えなければいけないのではないかなというふうに思います。 なぜなら、これまで株式会社というものは有限責任会社でありまして、株主、取締役さんなどは原則として個人責任を負いません。よって、債権者にとっては会社財産だけが唯一の責任財産になるわけです。株式会社においては、債務超過は破産原因でもあります。余りにも資本金の額が少ないと、わずかな損失が発生しただけで債務超過となり、破産するおそれが大きくなるわけです。その意味で、資本金の充実強化といったものが債権者を保護し、また会社の信用を維持するにも大変重要であり、必要じゃないかというふうにこれまでとらえられてきたと思います。 それに対して、法務省さんの方の御見解は、必ずしも資本金が多いとか少ないということによって債権者の保護が図れるのか図れないかは一義的には決められないであるとか、資本というものは単にもはや配当する際に意味のある数字でしかないと、また大きい会社と小さい会社ということと資本の大きさはつながらないという趣旨のことを述べられています。 このように、現場を熟知されているお二人から見まして、この資本金が、もはや法務省さんが言うように、実際現場においても債権者保護であるとか、会社の大きさを見る物差しの一つであるとか、会社の信用の維持を図ることに資するものでないのか、両参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本孝司君) 今先生の御指摘いただいたことはすごく大事なことでして、理論と現実とがこれだけ乖離している話も結構少ないと思います。資本金で有限会社三百万とか株式会社一千万という意味がどれだけ今債権者の保護になっているかと申しますと、さほどなっていないというのが実務家の実感でございます。 それから、金融機関なども第三者保証とかあるいは物的担保を取らない融資とは言っているものの、まだ日本全体から見ましたら、第三者保証あるいは物的担保に依存した融資は非常に多いわけでございまして、そういう意味では、何というんですか、資本金というものが実際一般債権者にとってどうなんだとなりますと、優先的に金融機関持ってまいりますので、さほど意味はありません。 ただし、これは言えます。何か事業を始めるときに百万や二百万や三百万ぐらい自己資金で調達できないような人が果たして商売やっていいんだろうかという、ちょっと覚悟の問題というのは若干やっぱりあるわけですね、ちょっと精神論に近いんですけれども。気楽に商売を始められるのはいいんですが、えっ、そんな準備もせずに商売するのという人も一部紛れ込んでいるのも確かだと、ただ一部ということですね。 それから、大事なものは、今回大所から見れば創業者を多くし会社をつくる人が多くしたいという意図はよく分かりますので、それはそれとして、でしたら情報をちゃんと開示してくださいという意味では、会計の適切さ、それから月々自分の月次決算を組んで自分で数字を把握して、ああ、このくらい売り上げれば借金返せるとか給料払えるとか、そういう経営管理のために帳簿を有効に使ってくれるような仕組みがセットされておりますので、これはセットで何ぼの世界だなという感じはやっぱりいたします。 それから、商法、会社法は時代によってどんどん変えていくものだと思います、特に会社法は。そういう意味では、今後先生方が半年、一年後に今のままの商法では、会社法ではちょっと都合悪いなと思えば、やっぱり果敢に改正を繰り返していただくというのも大事なことでなかろうかなとは思うわけでございます。 以上でございます。
○参考人(成宮治君) 確かに、事業を営むためにはその元手が必要でありますけれども、事業を立ち上げる際の必要資金の額というのは業種、業態によっても大きく異なるわけでございます。特に、最近のIT関連の企業ですとかベンチャー企業などでは比較的少額の資本でも取りあえず創業、起業が可能だという状況でございます。 事実、以前の中小企業新事業創出促進法、現在、中小企業新事業活動促進法に変わっておりますけれども、この法律によるその最低資本金規制の特例を受けて成立いたしました会社数は二万二千社に上っておりまして、このうち株式会社は八千七百社余りでございますけれども、さすがに一円会社というのは少ないんですけれども、資本金三百万円未満でスタートをした会社がこの株式会社の中の九割に迫っているという数字がございます。 これはどういうことを示すのかと申しますと、株式会社を選択したくっても一千万円という資本金の規制が高い垣根となっていたということでございますし、法律で一律にどのような会社であっても幾らというふうに規制することにどのような合理性があったのかということについても、いささか疑問を感じる次第でございます。 また、もっと申しますと、現在の最低資本金の制度は、その後その事業によって損失が生じて会社の財産が資本に満たない額しかない状態になっても、別にそのことによって解散や増資が義務付けられるわけではございません。つまり、設立事務、資本金を法律で強制をしているだけであって、その金額に相当する財産が常に会社にあるということが保証されているわけではないわけでございます。 資本がその会社やその事業の信用の基礎の重要な一つであるということ自体は、先生がおっしゃるとおり、大変重要な点だと思います。しかし、それは現行の設立時の最低資本金規制ということによって確保されるものではないということなのではないかというふうに思います。
○広田一君 それでは、法務省さんがこの問題についての答弁等でされている最低資本金の撤廃理由の一つとして、大きい会社と小さい会社ということと資本の大きさはつながらないということを述べられているんですけれども、この点について実際はどうなのか、両参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本孝司君) 今先生が言われました資本金の額と会社規模とは余り関係がないというのは相当事実でございます。 私も、田舎の浜松で三百六十社ほどの中小企業の顧問をさせていただいております。従業員が三百人、五百人、売上げが五十億、七十億という規模でも資本金は一千万だったり五百万だったりと、まあ有限会社の場合ですね、あったりもします。特に、いっとき一千万まで株式会社の資本金が上がりましたので、そこでいったん一千万に上げたまんまで会社規模が大きい会社は結構あります。というのは、逆に言いますと、内部留保がたまっておりまして、資本金が一千万だけれども決算書における利益剰余金というものが二億、あるいは五億、あるいは十億ということになります。そうしますと、資本の部が二億、五億、十億になるわけでして、金融機関からしますと資本の部全体である融資の有利、不利を決めますので、そういう意味では全然事実上困らないということで資本金がちっちゃくて大きな会社は相当あります。
○参考人(成宮治君) 実態は恐らく今、坂本参考人がおっしゃったとおりだろうと思います。 それを言わば外形的な資本金という額を変更をするかどうかというのは、例えば外形的に見た資本金の額が、例えば若い人を採用するに当たって有利になるとかならないとかというようなこと等の様々な要件で変更するということはあるにしても、例えば金融機関なんかは、今、坂本さんがおっしゃったとおり、もう少し実態を、中身の会計の実態を精査をして融資をするわけですから、その意味では資本金額の大小と会社の実態の大小というのは必ずしも直接的にパラレルになっているわけではないということだろうと思います。
○広田一君 そうなりますと、今回、会社法の第二条の六で、大会社の定義の中で、資本金が五億円が大会社の該当要件の一つになっておるわけなんですけれども、これはそうすれば、実態から照らし合わせますと、この該当要件というものは現実の物差しとしては余りじゃ適当ではないというふうな理解をした方がよろしいんでしょうか。両参考人に御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本孝司君) これも鋭い御質問なんですけれども、必要もなく三億、五億、十億の資本金にする会社はほとんどありません。ということは、必要があって五億になっているというのがその背景にありますね、五億以上の会社であれば。それは何かといったら、大会社の子会社であるとか、あるいは相当なところ、人からお金を集めているのでという状況とか、そういう意味では資本金の額と会社規模とは通常は一致しないものの、五億の資本金であればそれ相当の規模のでかい会社だろうという推測は付きますし、私どもが実務で見ている範囲内でも五億で従業員が十人という会社はありませんので、そういう意味では相当利害関係者が多岐に及ぶ会社であろうというのが多分実態だろうと思います。そういう意味で、五億円という基準は一つの物差しにはなる可能性はあります。
○参考人(成宮治君) 坂本参考人のおっしゃったことに付け加えて、会社法の大会社の定義につきましては、その資本の額五億という基準と、又は負債の額が二百億以上という二つあるわけでございますけれども、この負債の額二百億というところも併せて考えますと、債権者保護の観点からやはり小会社、大会社以外の会社に比べてもう少し規制を厚くしなければいけないというための区切りの判断基準と考えておられるということだろうと思います。
○広田一君 次に、関連しまして、最低資本金の撤廃と他の業法との関係についてお伺いをいたします。 私は、先ほど述べましたように、ふだんは財政金融委員会の方に所属をいたしているわけなんですけれども、うちの委員会では度々保険とか金融関係の業法などを審議いたします。業法ですので参入規制がございますが、その一つが最低資本金の規定であります。例えば、無認可共済に対する今回規制が導入されるんですけれども、それに伴って少額短期保険事業を行うときには最低資本金として一千万円と多分なる予定だというふうに聞いております。その理由なんかも、金融庁にお伺いしたり審議会の議事録とか答申とかを見ますと、会社が破綻したときの契約者保護とか、今回の一円会社で懸念されておりますいろんな悪徳業者とか泡沫企業、そういったものを排除するためというふうに述べられているわけなんですけれども、会社を設立するということはいずれかの何かの業界に参入することだろうというふうに思うわけです。 会社の憲法である会社法では、資本金は会社を設立し、何らかの業を始めるときには必要のないものであり、一方で、ある省庁が規制、監督する業を始めるときには最低資本金は必要不可欠な条件になってしまうということを考えたときに、今回の最低資本金の撤廃に伴って、この最低資本金に対する、ちょっと冒頭申し上げたんですけれども、やはり各省庁の考え方を整理し直さなければ私は一般の国民は戸惑ってしまうんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点について両参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(坂本孝司君) さほどの専門家じゃないもんですからその影響は答えにくいんですが、ですが、例えば国土交通省所管の建設業許可申請の場合もやはり資本金が多ければ多いほど有利な点数が付くということになっているはずなんですね。そういう意味では、どうなのかなというちょっと思いは当然あります。 ですから、そういう意味では、あれなんじゃないでしょうか、資本金もある程度覚悟というか、まあこのくらいはちょっと、公共的な仕事であるならばよりちょっと覚悟してねというボーダーラインを決めたということでしょうが、もっと言いますと、最低資本金だけで救えるものじゃないもんですから、繰り返しますが、会計の透明性とか第三者による確証とか、あるいは破綻に至るようだったら早めに解散すべきだと自主判断できるような、そういうのを組み合わせながら、もし公だから資本金がある程度欲しいんだというんであれば、そこはセットにしたらどうだろうかというのが一民間人の正直な気持ちです。
○参考人(成宮治君) 会社法はおよそ会社と呼ばれるものすべてに適用される規律を定める一般法でございますんで、ただ一方で、それぞれの業法は、それぞれの業を規律するためのある種の産業政策の必要性から、それぞれの業種、業態に応じた必要性を、必要基準を担保するためのいろんな基準のパッケージという形で規制をされるんであろうというふうに思います。そういう意味では、必ずしも一概に矛盾するものではないと思いますけれども、ただ会社法におきましても、ある意味で資本金というものに対する考え方が変わってきているということではあるというふうに思います。
○広田一君 じゃ、続きまして、会計参与制度についてお伺いをいたします。 私は、この会計参与制度の導入につきましては賛成でございまして、この目的の一つでありますように、会計の専門家と取締役が共同して書類を作成して、その主な担い手、過度な負担なく会社の計算書類の信頼性を高めることができれば大変いいことだというふうに思います。 ただ、会計参与を置くか置かないかは会社の選択にゆだねられるわけであって、どの程度普及するのかちょっとまだよく分からないところがあります。例えば、同族会社の人が身内を監査役にしているのに、その方に替えて果たして外から会計参与を迎え入れるかどうかというのも現実的にいろんな制約があるんじゃないかと思いますけれども、そこで最後に、会計参与制度が進出する機関設計カテゴリーをどのような範囲になるとお考えなのか、両参考人の御意見をお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○参考人(坂本孝司君) 先生の御質問のお答えは、やはり公開会社以外の会社、言わば譲渡制限のある会社だと思います。といいましても、会社も多分九十数%は譲渡制限付きの株式会社になるでしょうから、そういう意味では適用範囲はすごく広いと思われます。ニーズなきところにこの会計参与制度も定着しないというのも事実でございます。そういう意味では、私が考えます以下の四つのケースくらいで代表的な例が、導入事例があるだろうと思われます。 まず第一点目は、先ほどの話にもございましたけれども、やはり金融機関から求められるケースが予定されると思います。物的担保や第三者保証による融資からの脱却というもののキーワードはやはり信頼性の高い決算書しかございませんので、そういう意味では金融機関が会計参与制度を融資先企業に間接的にでも推奨するであろう、あるいは企業側から我々税理士に会計参与業務をやってくれというニーズが出てくると。あるいは、今コベナンツ融資、財務制限条項付き融資も大分活発になってまいりまして、会社の業績に連動した金利というのがありますですね。これは会社の業績に連動しているからこそ正確な決算書が欲しいわけでして、ここもやっぱり時代のニーズだろうと思います。これが一番大きなニーズだと思っております。 第二点目は、最近、やはりグリーンシート、マザーズと言われるような新興市場に対して、中小・中堅企業の株式公開が盛んに行われ出しております。いきなりやるというよりも、そういうところを目指す会社が会計の整備をするために将来を見越して会計参与制度を置いて、社内体制の準備をしておくということが考えられます。 第三は、従業員から信頼される会社づくりを願う経営者は相当多いわけです。従業員持ち株会をやる、業績に連動した賞与を払うと。この場合に従業員から、うちの社長は本当にしっかりした経理やっているんだろうかということが大事なわけですね。その場合に顧問をしている我々が会計参与の業務を行いまして、我が社の決算書はしっかりしておるというようなことがやはり一つの信頼性になって従業員参画型の企業づくりが出ていくというふうに考えられます。 第四点は、やはり仕入先や取引先、あるいは一般消費者から信用を得ようとする会社が会計参与をあえて入れまして、決算書を公告をするのと併せまして活用していくということも考えられるだろうと。 以上、四点申し上げます。
○参考人(成宮治君) 別の切り口から考えますと、今回の会社法の会社のカテゴリーで、株式譲渡制限を置く会社、置かない会社、それから先ほど御指摘の大会社とそれ以外、中小会社と申します中小会社と、この場合の株式譲渡制限を置く中小会社というのが数も多いわけでございますけれども、一般的に考えられると。 と申しますのは、それ以外の大会社あるいは中小会社でも公開会社の場合には監査役が必ず置かれるわけでございまして、もちろんその監査役があっても監査役会があっても任意に会計参与というのはどの形態の企業でも置くことはできるわけでございますけれども、やはり取りあえず会計参与を置いて計算書類の透明化を図りたいというニーズが強いのは株式譲渡制限を置いた中小会社ということになろうかと思います。
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。 今日は午後からお二人の参考人に、特に中小企業という問題も含めて貴重な御意見をいただいておりまして、本当に心から感謝を申し上げます。 まず、私は、坂本参考人の方にお伺いをしたいと思います。 会社法は、この法案第四百三十二条第一項に適時に正確な会計帳簿ということを規定しておるわけでございますが、これについてお聞きをしたいと思っておるんです。 特に、先ほども少しお話をされたようですが、これがドイツ商法等では適時性という問題についてどのような規定がなされているのかと、我が国では省令レベルにおいてどのように規定したらいいのか、そんなことについてまず冒頭お伺いしておきたいと思います。
○参考人(坂本孝司君) 今、記帳条件についてお聞きいただきました。決算書の信頼性は記帳の品質で決まるというのが実務家である我々税理士の実感でございます。今回の改正で記帳の適時性と正確性を明文で求められているということは非常にすばらしいと思っております。 今回の改正案ではやはりドイツの法制を参考にしたと思われます。ドイツの現行商法二百三十九条二項、それからドイツ国税通則法百四十六条一項第一文でございますが、同じ言葉を用いまして、記帳は完全網羅的に、適時に、正確に、整然明瞭に記載することというのを求めております。この適時にと、ツァイトゲレヒトというドイツ語でございますけれども、これは通常の時間内にという解釈でございます。つまり、記録すべき取引が発生した後に会計帳簿への記帳が遅滞することがないように速やかに記録が行われるということを意味しております。 さらに、ドイツでは、ドイツでも税法でも同じ言葉を使っておりますので、税法、商法、同じ解釈でございますけれども、この国税通則法百四十六条第一項第二文というところで、現金入金と出金は日々掌握されるべきであるということで、現金取引はその日のうちに残高を確認しなさいという適時性が求められております。さらに、所得税法、リヒトリニエンという施行規則みたいなものなんですけれども、ここでは判例を基にしまして現金取引はその日のうちに掌握すべしと。 それから、信用取引、売り掛けとか買い掛けとかですね、そういうものは発生月の翌月末までにその残高を掌握することが適時であるという規定が存在しております。 ですから、我が国でも適時にという言葉が今回採用いただけるということなものですから、適時とは何かということを明確にしていただきたいというのが一実務家の願いでございます。その場合に、適時とは通常の時間内にということであると、速やかに記録が行われるということを意味しているんだよと、さらに具体的に、できれば現金取引はその日のうちに、信用取引は翌月末までに把握されることが適時の意味なんだということを明らかにしてくれれば有り難いと思っております。 さらに、コンピューター処理する場合は、いつ入力したかがもう分からなくなってしまうくらいに改造、変造が楽なんですね。そういう意味では、先生方が作っていただいた平成十一年の電子帳簿保存法がございます。これはタイムスタンプの考え方を採用してございますので、できればこれも明らかにしていただければ有り難いと思っております。
○木庭健太郎君 正にそうできればいいし、省令でもそういう定めができるならばいいだろうとは思うんですけれども、もしそうなった場合、今度はそれをする側の方の問題でございます。 記載条件を言わばこれは義務として課してしまうと、中小企業の皆さんにとってはかなりの負担になるのではないかというふうに考えるんですが、その辺はどんなふうにお考えになられるのか。もっと言うならば、計算書類というのは、先ほども御議論されておりましたが、だれのためにあるのかというような問題にも至ってくると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○参考人(坂本孝司君) これが、日本の国土で経済活動が始まってから今日に至るまでの国民的な誤解だろうと思っております。複式簿記というものが正しく我が国には導入されていないと思います。この国民的な誤解、要は記帳は義務であるというような発想しかないというのが国民的な誤解と思います。記帳は義務というよりも商人の権利だというのが正しい歴史的理解です。 もう一回繰り返しますけれども、商業帳簿、商法で言う商業帳簿は会計帳簿と貸借対照表でございますね。会計帳簿は今回の改正案にも当然入っています。従来ありましたけれども、裁判官は職権で当事者から商業帳簿の提出を命じることができるというふうになっております。要は、帳簿というものは、自己証明は証明にあらずという法律の原則の例外だというのがローマ法以来の人類の英知なんですね。毎日毎日自分がこつこつこつこつと書いている帳簿はいざ裁判の場合でも証明力が高いと、で、商人は救われているわけです。自分の権利を守っているわけでして、そういう意味では、訴訟社会が到来すると言われている我が日本におきましては経営者は自らの会社は自らで守るんだという明示的な扱いを今回してくださっていますので、非常に有り難いと思っております。 それから、決算書はやはり破産防止、経営者が自らの業績を自らが把握して、これ以上商売を続けたら本当に不幸な運命になっちゃう、だったら今商売閉めようとか、あるいはこの工場は今閉めた方が利益が出るとか、そういう経営判断をするための最低限のツールのために商法ではすべての商人に決算書作成を命じているんだというところを先生方、もう一回御確認いただきたいと思います。 記帳条件を定めることは中小企業の負担になるというのは全くの誤解であります。しっかり記帳をすればあなたのためになりますというのが歴史的な本質でございます。さらに、記帳を適時に行わなかったとしましても何の罰則もないわけでございまして、今と全く変わりないわけです。適時にしっかりと記帳した者がより報われると、いざという場合に、という規定なもんですから、これはそういう意味では今回の立法はすばらしいと、こういうふうに私ども思っております。 ちなみに明治二十三年商法、我が国初めての商法典では、日々の記帳というのが明文で義務付けられていたということも歴史的な事実でございます。 以上です。
○木庭健太郎君 じゃ、もう一つだけ坂本参考人に聞いておきますが、税理士法三十三条の二項ですか、ここに書面添付制度がありますけれども、この記帳条件の整備でこれまで以上に品質の高い書面添付というのが作成できることになるのかどうか、その点、お答えいただければと思います。
○参考人(坂本孝司君) 記帳条件の整備でこれまで以上に精度の高い書面添付ができると思います。 書面添付制度というものは、税理士法の第三十三条の二というところに規定されているいわゆる税務監査業務でございまして、簡単に言いますと、我々税理士が見た範囲内で帳簿とか領収書とか請求書を適法であると、税法上適法であると確信した税務申告書には一定の書面を添付できるというのがこの書面添付制度の趣旨でございます。 添付して税務当局に出すわけです。この書類を税務申告書に添付したからといって税務調査がなくなるということはございません。ただし、税務当局が税務調査をするといった場合に、事前にその顧問税理士から、顧問税理士から意見を聴取しなきゃならないというふうに義務規定でございます。そういう意味では納税者を、正当に権利を行使するための制度ということでございまして、そういう意味ではこれが日本国じゅうに広まったら本当にいいなと思ってはいるんですが。 税法上は、今記帳条件としましては、法人税法施行令と所得税法施行規則で整然かつ明瞭に記載せよという条項しかないわけです。今回、会社法に適時性と正確性が求められますれば、併せて非常に高い品質の記帳ができるし、我々も御指導できます。結果としてこれまで以上に質の高い書面添付が行われるだろうと、そういうふうに期待もしていますし、覚悟もしております。
○木庭健太郎君 それでは、成宮参考人にお尋ねしたいと思います。 成宮参考人おっしゃったように、会社法というのは最大のユーザーは中小企業でございますし、その意味では会社法制の改正、見直しというのは本当に中小企業のために便利なものなのか、使いやすい制度なのかということがポイントだということは言うまでもないことであって、その意味で今回の見直しが中央会、皆さん方の高い評価を得ているということについては、我々も是非これを成立させなければならないというふうに感じているところでございますが。 幾つかちょっとお尋ねをしたいんですけど、中小企業が関係する非公開会社法制ですね。その中で、最初検討する部会の間で意見が対立した点は、もうこれも先ほどから少し議論になっているんですけれども、取締役の任期の定め方と監査役制度の在り方と、この二つが対立点になっていたと。 この任期の定め方は、もうこれ先ほどから話あっているように、原則二年、定款で十年まで延長を認めると、ある意味では皆さん方の主張が入れられたような形になっておるとともに、監査役についても、要綱試案と違いまして、取締役会においても会計検査権限だけの監査役が認められるということとともに、それなら取締役会と会計参与の組合せを認めるというようなことで決着をしておるわけでございまして、こういう決着の仕方につきまして中小企業団体についてどう受け止め、どう評価をしているのか、お伺いしておきたいと思います。
○参考人(成宮治君) 二点、今御指摘がございました。 まず、一つ目の取締役の任期でございますけれども、先ほど来申し上げましたように、相続が起きないと社長の交代が起きないというのが一般的な中小会社の場合において、有限会社法、現行の有限会社法に比べれば、十年まで延ばしたとしても、多少の規制強化ということかもしれませんけれども、ただ、二年ごとにと、改めて重任であっても登記が必要であるという現行の商法の姿からはかなり規制緩和ということでございますので、高く評価をしたいというふうに思っております。 それから、監査役でございますけれども、監査役のその監査権限についてはこれまでも商法の改正議論の中で何度か大きなテーマになったことがあるというふうにお聞きをしております。昭和四十九年の改正当時に、小会社の監査役の権限について、取締役の職務執行全般を監査するのにふさわしい者を得ることがなかなか難しいということなどを理由といたしまして、それまでどおり会計監査に限定することとされ、定款で監査役を置く有限会社についても同様ということになったというふうにお聞きをしております。 小会社の監査役にまで業務監査権限を一律に要請をしていくというのは現実問題としては難しいという実態につきましてはその当時と現在とで何ら変化はないというのが現状でございまして、その意味で、今回、一律付与を行う理由がないということでございます。 大幅に規制緩和をすべきだという意見を一貫して申し上げ、これにこたえていただくような形になっているわけでございますけれども、もちろん一方でガバナンスの強化が、こういったことの徹底が重要であるということは認識をすべきであろうというふうに思っておりますし、中小企業といえども有限責任の会社形態であります株式会社というものを選択する以上、従業員あるいは会社債権者等に対して迷惑を掛けることがないようにガバナンスの強化に積極的に取り組むべきだろうというふうに考えております。
○木庭健太郎君 成宮参考人にもう一問。 会計参与の問題について、会計参与が生まれることによって金融機関からの融資の面でどのような変化が生まれてくると期待されているか伺いたいし、逆に、会計参与を、生まれることで、創設されることで心配な点があれば併せて伺いたいし、また行政当局に要望があれば、それもこの際、会計参与のことで伺っておきたいと思います。
○参考人(成宮治君) 会計参与というのは、中小会社の計算の適正化ということのために創設されることとなったというふうに理解しております。 先ほども、冒頭申し上げましたように、担保や保証人に過度に依存しない融資の慣行を確立するように中小企業庁や金融庁が金融機関に対しても慫慂をされておられます中で、会計の質を向上をさせ、信用力のある計算書類を武器にすることが中小企業にとっても極めて有効な武器になるということは間違いのないところだろうと思っております。 金融機関から融資を受ける際に、会計参与が関与して作成された計算書類であれば各種優遇措置が受けられるというメリットが付与されれば、中小会社における計算の適正化とその開示というのが大きく前進するものと考えます。こういった、金融機関におけるこういったその優遇策というのもかなりの程度に既に導入が始まっていると。これが今後更にもっと広がっていくであろうと思いますし、そういうことを期待をするものでございます。 それから、今先生から心配な点なり行政に対する要望があるかという御指摘でございましたけれども、これに関して申しますと、会計参与を活用を実際するに当たりまして、この会計参与がよるべき中小企業にとっての公正な会計慣行の基準というものがどういうものかと。これは実は、各界の関心がここのところ非常にこの点に幸いなことに高くって、中小企業庁において中小企業の会計というのをおまとめになっておられます。それから、日本税理士会連合会におかれても中小会社会計基準という一つの基準をおまとめになっておられます。それから、日本公認会計士協会におかれましても中小会社の会計のあり方に関する報告書というのをおまとめになっておられます。逆に言うと、三つの会計基準が並立をしている状態でございます。そういう意味では中小企業の側にも若干の戸惑いがございます。 幸いなことに、これにつきましては、現在、日本公認会計士協会さん、それから日本税理士会連合会さん、日本商工会議所さん及び企業会計基準委員会、四団体が共同でこれらを統合する作業というのが行われておりまして、これに、中小企業庁、金融庁、法務省におかれましてもこの検討に御協力をされておられるというところでございまして、早期にこれが一本化されて、戸惑いなく会計参与制度の普及に取り掛かれるということを期待をするものでございます。
○木庭健太郎君 あと、私、持ち時間一分なので、坂本参考人に手短に最後に、この会計参与制度が創設されて、もちろん税理士等の職域拡大につながると思われるんですけれども、この利用促進の観点から団体としてどう対応されるのか、所見を簡潔にいただいて、質問を終わりたいと思います。
○参考人(坂本孝司君) 我々団体としてと、TKC──はい、分かりました。 我々は、ともかく会計で強い中小企業をつくるという使命感でここ三十数年間活動してきた団体でございます。今回の法案の方向性が、やはり会計で中小企業を強くするんだという意図がありありと見えるということでございます。 ここしばらく前も金融庁様の方が、中小企業庁の中小会社の会計に関する研究会、私も委員でした、の報告書に従って作成した信頼性ある決算書に関しては無担保無保証で金融スキームをつくりなさいと、平成十四年八月ですか、までに全国六百を超える地域金融機関にある部分このお願い事をしたということでして、非常に全国で広がってまいりました、運動が。 そういう意味では、我々は、先生方のこういう思いを本当に抱きまして、現場で中小企業を強くすると、会計で強くするという思いを徹底普及させていくように考えてまいります。どうぞよろしくお願いします。
○木庭健太郎君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 今日は両参考人、本当にありがとうございます。 最初に、成宮参考人にお伺いをします。 会社法のユーザーとしての中小企業が使いやすいものにという観点から陳述をいただきました。一方、坂本参考人の陳述では、債権者保護、株主保護と、商法の重要な柱だということが何度かお話があったわけですが、この債権者・株主保護という観点で、今回の会社法改正案について成宮参考人、どのような評価をお持ちか、まずお願いします。
○参考人(成宮治君) 今回の会社法の改正に当たりまして、中小企業が使いやすい、使いこなせる法案に、法律にという観点から大胆な規制緩和を求め、定款自治にゆだねる部分の拡大ということを求めてまいりましたということを申し上げました。多くの点について、その方向を体した形での法律案になっているということを大変感謝し、評価申し上げるというふうに申しました。 この際、会社法の体系の中で、株式譲渡制限を置いた会社であるかそうでないかということが、こういった定款自治にゆだねるある意味では範囲についてもこれが一つの大きなメルクマールになっていると、全体の体系がそういうふうに組まれているというふうに感じております。 株式譲渡制限が置かれている会社というのは、ある意味で株主というのは非常に限定をされて余り変動をしないというのが前提になっておりますので、そういった意味では一般の公開会社あるいは大会社といったところと多少その会社の運営の在り方も違ってきていいのではないかと、こういう観点でございます。 したがって、今回の会社法改正がすべて規制を緩めるということだけを志向しているわけではなくって、現実の中小企業の実態に即した活用の仕方が中小企業にとってできるような部分について、そういった工夫をしていただいているということであろうというふうに思っております。
○井上哲士君 次に、今とも関連しまして、最低資本金制度について両参考人にお聞きをいたします。 いわゆる狭い意味での債権者保護ということにとどまらず、少し坂本参考人からもお話があったんですが、株主が有限責任という特権を享受する株式会社というものは、破綻時には大資産家の株主であっても投資額以上は責任を負わないと。一方で、取引先や債権者は一家路頭に迷っても仕方がないという、非常にある意味、非倫理性を含んだ制度なわけですね。 ですから、最低資本金制度というのは、この有限責任を享受する株式会社という制度を利用するという人に、そういう言わば責任と厳しさがあるんだよということを教える貴重な教育効果があると、こういう指摘があるわけですね。 言わば一定のショバ代なしにそういう有限責任の世界には入っちゃ駄目だよと、こういう効果があったと。これをなくすことがいわゆる経営者としてのモラルハザードなんかにもつながるんじゃないかと、こういう指摘もあります。坂本さんからもそういうようなお話が先ほどあったんですが、御紹介はあったんですけれども、特に評価がございませんでした。 それで、まず成宮参考人には、こういう言わば最低資本金制度が持っているそういう教育的機能というんでしょうか、そういうものが失われるということをどうお考えかということ。それから坂本参考人には、実際この間の特例を使いまして随分多く起業が行われているのは事実ですが、そういうところで起業したところがどうなったかというのは、これはなかなか私たち、統計上も出てこないという問題がありまして、ここで先ほど述べたような言わばモラルハザードのような問題が現実として起きていないのかどうか、そしてそういう懸念があるとすればどういう手当てが必要なのか。それぞれからお願いをしたいと思います。
○参考人(成宮治君) その教育的な効果ということに関しましては余りよく考えてみたことがなかったわけでございますけれども、ただ、会社のその信用というのが設立時の資本金を取りあえずそろえるということだけに担保されているものではないというのも事実でございますし、特に、最近のIT関連等で当初の資本金、元手が比較的少額でも取りあえず企業を起こして事業活動を開始できるという状況であるにもかかわらず、制約、規制によってそれができないということによって開業が阻害をされてきているということのデメリット、社会的なデメリットというのも考えなければいけないということから、今回、一律にどのような業種、業態であってもこういう最低資本金を設立時に用意しなければいけないという規制をなくすということに関して評価をしているということでございます。
○参考人(坂本孝司君) 最近つくられた一円企業とか、そういうところがどうなっているんだろうと、実務上ですね、実際上。で、それが債権者保護と株主保護にどういう悪影響を及ぼしたりしているかということでございます。 そういう形でできた会社が、地元でもございます、静岡でも。問題を起こしたということはありません。そういう意味では、比較的順調に、希望どおり、当初の希望どおりやっていると思われます。 要は、債権者保護とか株主保護というのは一体何が保護なんだろうと突き詰めて考えますと、実務家として、倒産させないことだと、我が社を、それが債権者保護、株主保護なんだと僕は思っているんですね。倒産させない会社づくりをどう立法的に手当てするのかというところが必要だろうと思います。 そこで、歴史的にひもといてみますと、先ほど申し上げました一六七三年、国家的規模で商法典ができたのはフランス、ルイ十四世のころですよね。そのときに、帳簿を書き、二年に一回決算を組めというのが最初の義務規定なんです。それがドイツ、日本に渡ってきたわけです。そのときに、当時の経済状況は悪かったらしいですね、フランスは。そこで、破産、倒産防止するため、債権者を保護するために帳簿を書き決算を組めというふうな規定をやった。もし、その商人が破産した場合に、速やかに最寄りの裁判所に帳簿を持っていけと、持っていけなかった場合には即刻死刑だという死刑担保付きの記帳義務だったというところが歴史のスタートでございます。 その名残が我が日本にもございまして、当時は商法と破産法は合体していましたが、今では破産法と商法は分離しております。その現行我が国の破産法を見ていただきたいんですけれども、詐欺破産した場合で帳簿がいい加減だった場合には殺人罪とほぼ同格の懲役刑が科せられています。さらに、だらしなくて破産、詐欺じゃない破産、懈怠破産という場合も懲役、多分五年か三年だと思いますけれども、相当厳しい懲役刑なんですよ。その法律が今でも残っているのに、それが発動された経緯がありません。そんなことをやっているから中小企業者の中でだらしない人が出てしまうと思うんです。 ですから、どんどん自由にいろいろな機関設計もできました、どうぞ自由に商売やってください、ただし、いい加減なことをして債権者や何かを裏切った場合には、破産法が今あるんですから、ちゃんと適用するというのが首尾一貫した法律適用だと思いますが、先生方は立法なんで、言わば行政の運用ができてないというのが、多分この中でも司法関係出身の先生方がいらっしゃると思いますけれども、破産法の刑事罰を受けたケースは一度もないはずですよ、帳簿に関して。そんなざる法を作っているから駄目だと。済みません。 以上でございます。
○井上哲士君 ありがとうございました。 次に、有限会社の問題について両参考人にお聞きをするんですが、会社の名前を見たらおおむねどんな会社か分かるというような機能であるとか、それから、公開を想定することなく、それこそ相続のときにしか経営者が替わらないというような家族経営の中小企業に特化した制度として有限会社はそれはそれとして機能してきたと思うんですね。そういうこれまでの有限会社という制度に対しての評価という問題と、それから、先ほども例えば取締役などの任期について一方で十年というのは今よりも規制になるというお話もありましたけれども、制度としては有限会社という選択も残しておくという考え方もあったかと思うんですが、この点についてどうお考えか。それぞれからお願いします。
○委員長(渡辺孝男君) 坂本参考人、よろしいですか。
○参考人(坂本孝司君) はい、分かりました。 有限会社法あるいは有限会社制度は、日本の中で相当機能を果たしてまいりましたし、今も果たしております。非常に無駄がない、非常に機動的な法というか組織制度でございまして、私どもも会社つくりたいんだということを依頼されて、私も顧問に収まるわけですけれども、その場合にできれば有限会社の方がよろしいですよということはやっぱり申し上げてきましたし、ですから日本に会社の半分くらいは有限会社があるんじゃないでしょうか。 なぜかといいますと、やっぱり維持設計にお金が余り掛からないですね。やはり株式会社ですと、当時は二年に一回役員が替わっても替わらなくても登記代を払い登記し直すというのが非常に苦痛で、コストが掛かります。そういう意味では、有限会社はそういうことがないものですから非常に楽だったと。だから、言わば子供に大人の服を着せた形なのが従来の商法の株式会社規定だったわけでして、今回株式会社という名の下に子供も中学校も高校生も、あるいは大人も着れる服を多分用意したというのは非常にすばらしいと思います。 それから、今ある有限会社も、大分そのままの形で残っていくだろうと思われます。何といいますか、何の不都合もないというのが状況なんで、何らかのインセンティブを与えない限り、今の有限会社の半分以上がとか、一挙に株式会社に移行するというのは考えにくいと思います。不都合がないからだということと思います。
○参考人(成宮治君) 現行の商法の株式会社は、多くの出資者から多額の資金を集めて大規模な事業を展開をするとともに、リスクを分散をするという物的有限責任の会社形態で、想定としては公開の大企業を念頭に置いたような種類の各種の規制が置かれてきたと。一方、有限会社については、同族あるいは親しい仲間を募って、規模はそれほど大きくはないけれども、会社に見知らぬ人が入ってくることは好まないということで、人的な非公開会社でありながら物的有限会社の有限責任の会社形態ということで、非公開、中小企業を想定した比較的緩やかな規制というのが置かれてきた。こういう二つの会社の体系があったわけでございますけれども、今回の会社法の改正に当たって、一方で株式会社の方をかなりその規制を緩和して、大会社、小会社、いろんな実態に合わせたいろんな制度、制度というか機関設計を取れるようにということでやってきた結果、別個のものとして有限会社法という現行の法律をそのまま残しておく必要性というか独自性が相当程度に弱まったということで、多分、一本にした上で有限会社法というのは廃止をするということになったんだろうと思います。 ただ、確かに、現行の有限会社には非常に簡便な規制ということに基づくメリットは確かにありますので、現在有限会社である人は望まない限り有限会社という形を続けられるように、期限を定めていない経過措置を置いていただくことになったんだということを評価をしております。
○井上哲士君 やっぱりメリットがあってうまくいっているものなら、選択肢としても引き続き残してもいいんじゃないかなと私は思うんですが。 会計参与の問題で坂本参考人にお聞きしますが、会計参与になりますと、税理士が内部から公正な計算書類の作成義務を負うと同時に、独立、公正という税理士法に定められた立場から企業の代理人としての税金の申告納税代理を行うということになるわけですね。内部機関として会計書類の作成義務を負うということと、公正、独立な立場ということで言わば会計監査的な役割を期待されるということがどう両立していくんだろうかと。 公認会計士の場合は、取締役等として会計書類作成に関与すれば会計監査を行えないというルールになっているわけですけど、こういうこととの関係でもこの二つのことがどう両立するんだろうかという点でお願いします。
○参考人(坂本孝司君) 非常に有り難い、先生、質問でございます。 会計参与になる税理士は、従来と同じように会計参与になっても独立性は要求されますというのがまず結論でございます。 というのも、会計参与には計算書類の正確性を高めるという責任が課せられておりまして、計算書類の作成に関しまして取締役と意見が一致しない場合には計算書類を作成できないとされております。さらに、取締役に不正な行為又は法令又は定款に反するような行為があった場合には、それを発見した場合には株主に報告するという義務も課せられております。このために、会計に係る重要なことにつきまして、法務省令で定めるところにより会計参与報告書を作成しなければならないというふうに規定されております。また、会計参与は、会社又は子会社の取締役とか執行役とか監査役とか会計監査人又は支配人との兼任はできないというふうになっております。 ポイントは、この意味は、会計参与は、会社の内部機関ではあるものの、会社の内部者ではないというところでございます。会社の内部者ではなく、独立した第三者を想定しているということなんですね。 ちょっとこの辺になると分かりにくいと思います。というのは、先生も御承知のように、会計監査業務を行う公認会計士あるいは会計人には独立性が要求されておりまして、二つあります、独立性には。言わば精神的な独立性と形式的独立性ですね。今回、エンロン等々の事件で形式的独立性の強化がされております。ところが、私が思うには、精神的な独立性が我々職業会計人に一番大事だと思います。 税理士法でも、第一条で税理士に独立性と公正性を要求しております。元々税理士には独立性の要求があるわけですが、この場合のポイントは精神的な独立性を要求しているというのが私どもの考え方でございまして、たとえクライアントからお金をいただいて計算書類の作成をサポートしたり税務申告書を作ろうとも、不正な税務申告や違法な決算書は絶対作らない、その場合には辞退をすると、説得した上で、納得してくれなければ。 それが精神的独立性でございまして、そういう意味では、今回、内部機関であっても内部者ではないと、精神的な独立性を要求されているというところを重く受け止めまして、これからも業務遂行を進めていきたいというふうに思っております。
○井上哲士君 ありがとうございました。 終わります。
○委員長(渡辺孝男君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、大変お忙しいところ貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。当委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手) ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、財政金融委員会及び経済産業委員会からの連合審査会開会の申入れを受諾することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 連合審査会における政府参考人の出席要求に関する件及び参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 両案審査のための連合審査会に政府参考人及び参考人の出席要求があった場合には、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十七分散会