法務委員会 第20号
- 発言数
- 199 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2005/05/19
会議録
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨十八日、鰐淵洋子君、河合常則君及び松岡徹君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君、尾辻秀久君及び大久保勉君が選任されました。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局審議官振角秀行君、金融庁総務企画局審議官厚木進君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君、法務省民事局長寺田逸郎君、財務大臣官房審議官佐々木豊成君、厚生労働省政策統括官太田俊明君、経済産業大臣官房審議官舟木隆君、経済産業大臣官房審議官桑山信也君及び中小企業庁事業環境部長鈴木正徳君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 まず、両案について政府から順次趣旨説明を聴取いたします。南野法務大臣。
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、最近の社会経済情勢の変化に対応するために会社に関する各種制度を見直すとともに、これを現代用語の表記にし、分かりやすく再編成する措置を講じようとするものであります。 第一に、この法律案は、会社に関する各種制度について、体系的かつ抜本的な見直しを行うこととしており、その要点は次のとおりであります。 まず、利用者に利用しやすい会社法制とするため、株式会社と有限会社を新たな会社類型として統合することにより、現在有限会社としてしか認められていない、取締役の人数規制や取締役会、監査役の設置義務のない株式会社を認めることとするほか、最低資本金制度を見直して、現在一千万円以上の出資が必要とされている株式会社の設立時の出資額規制を撤廃することとしております。 次に、会社経営の機動性、柔軟性を向上させるため、合併等の組織再編成に関する手続を整備し、株主、債権者の保護を図りつつ、機動的な組織再編を実現しようとするほか、機関設置等における定款自治の範囲の拡大等を行うこととしております。 また、会社経営の健全性を確保するため、株主代表訴訟において、原告株主が株式交換等で株主たる地位を失っても一定の場合には原告適格を失わないこととするなど株主代表訴訟制度を合理化することとするほか、公認会計士、税理士の資格を持つ会計参与が取締役とともに計算書類を作成する会計参与制度の創設、会計監査人を設置することができる会社の範囲の拡大等の措置を講ずることとしております。 さらに、創業の活性化等のため、出資者の全員が有限責任社員であり、内部関係については組合的規律が適用される新たな会社類型の新設を行うこととしております。 このほか、株式の譲渡制限に係る定款自治の拡大、自己株式の市場売却の許容、会社に対する金銭債権の現物出資に係る検査役の調査の省略、株主に対する利益の還元方法の見直し、委員会等設置会社とそれ以外の会社の取締役の責任に関する規定の調整、大会社における内部統制システムの構築の義務化等の改正をすることとしております。 第二に、この法律案は、会社法制を現代語化しようとするものであります。 会社法制を規定している現行の商法典は、明治三十二年に制定された法律であり、片仮名の文語体で表記されているほか、現在は使われていない用語が多く用いられており、このために利用者に分かりやすい平仮名の口語体に改めるべきであるという指摘がされております。また、商法の中核を成す会社法制につきましては、商法本体に合名会社、合資会社、株式会社についての規定が置かれ、有限会社については個別の単行法が設けられているほか、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律において大規模会社や小規模会社について商法の特例規定が置かれているために、利用者にとって分かりにくいものとなっているという指摘があります。 そこで、この法律案は、片仮名文語体の表記を平仮名口語体に改めるとともに、会社法制についての規定を一つの法典としてまとめ、分かりやすく再編成することとしております。 続いて、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、会社法の施行に伴い、有限会社法ほか八の関係法律を廃止し、商法ほか三百二十五の関係法律に所要の整備を加えるとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。 以上がこれらの法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(渡辺孝男君) 次に、衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員田村憲久君から説明を聴取いたします。衆議院議員田村憲久君。
○衆議院議員(田村憲久君) ただいま議題となりました会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する衆議院における修正部分について、提出者を代表して、その主な趣旨を御説明いたします。 まず、会社法案に対する修正部分について御説明いたします。 第一は、取締役等の利益供与責任についてであります。 原案では、会社に係る諸制度間の規律の不均衡の是正等の観点から、会社に対する取締役の責任を原則過失責任として再編成することとしておりますが、委員会等設置会社においても無過失責任としてとどめられている利益供与に係る責任については、反社会的勢力に対する利益供与が摘発されている現況にかんがみ、これを過失責任とすることは、取締役のコンプライアンス意識の低下を招き、モラルハザードが生じやすくなるものと考えました。したがって、修正により、無過失を立証することにより責任を免れることができる取締役等から「当該利益の供与をした取締役を除く。」こととし、このような取締役等は、引き続き、無過失責任を負うことといたしました。 第二は、自己株式の市場売却についてであります。 原案では、会社は、定款に定めがあるときは、自己株式を、買取り請求、事業全部の譲受け、合併及び会社分割等により取得した数を限度として、募集株式の発行等の手続を経ず市場取引により売却することができることとしておりますが、平成十三年の商法改正において、自己株式の処分は、新株発行と本質を同じくするという立場で法整備をしたところであり、これを更に緩和することは、インサイダー取引や株価操縦に悪用されるおそれが広がることとなると考えました。したがって、修正により、市場において行う取引による自己株式の売却に係る規定を削除することといたしました。 第三は、株主代表訴訟についてであります。 原案では、制度趣旨に反する株主代表訴訟に対する抑止策として、実体的な訴訟要件を新たに法定し、取締役の会社に対する責任が認められる可能性があっても、会社の利益を考慮し、その訴訟の提起を制限することができることとしております。しかし、事前規制の緩和に伴い取締役の行動の自由度が拡大しているため、その行動を事後の責任追及で制御することが有効かつ重要な方策であり、新たに訴訟要件を法定することにより過度に株主代表訴訟の提起を萎縮させるべきではないと考えました。したがって、修正により、株主が責任追及等の訴えの提起を請求することができない場合のうち、「責任追及等の訴えにより当該株式会社の正当な利益が著しく害されること、当該株式会社が過大な費用を負担することとなることその他これに準ずる事態が生ずることが相当の確実さをもって予測される場合」を削除し、そのような場合でも、責任追及等の訴えの提起を請求することができることといたしました。 次に、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正部分は、会社法案に対する修正に伴い、関係法律の規定を整備するものであります。 以上が両法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(渡辺孝男君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○松村龍二君 自由民主党の松村龍二でございます。 本日は、本会議の代表質問に続きまして、議題となりました会社法案及び同法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして質問させていただきます。 事務所の方に会社法案とこの関連法律いただきまして、大変分厚いものでございます。会社法案が何条あるのかということを見ましたら、九百七十九条、あと二十条ほどあれば一千条という法律でございます。また、同法の施行に伴う関係法律というのが幾つあるか、この別冊、第一分冊というのを見ましたら、会社法の施行に伴う関係法律を廃止するのが有限会社法を始め九つあると。それから、会社法の施行に伴い関係法律を整備し所要の経過措置を定めるというのが全部で三百二十六本あるということで、大変な御苦労があったなと思います。 まず冒頭、大臣でなくても結構ですが、これだけのものを作るのにどれだけの時間掛かったのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) この会社法の改正でございますけれども、平成二年以後、しばしばこの改正が行われてまいりまして、それについて整理が十分でないという点が一つございました。また、先ほど大臣からも御説明申し上げましたとおり、商法中の会社編というのは片仮名でございますので、読みにくいというところがございますので、元々、平成に入りましてから、この会社編を現代語化する、平仮名口語体にするということで研究会を設けまして、かれこれ十年掛かりでやってまいったわけでございます。また、平成十年以後、実質的な内容につきまして、この間の国際化あるいは高度情報化、あるいはまた証券市場が大きく環境が変わりましたので、資金調達面での合理化等様々な考慮から一段と改正を必要になる状況が生じまして、その関係での実質的な検討というのを平成十年、十一年、十二年とずっとやってまいってきているわけでございます。 そのようなことで、直接的にこの間の検討をいたしましたのは法制審議会以後、約二年でございますけれども、今申し上げましたように、検討全体は相当長期を要したということでございます。
○松村龍二君 それだけの御苦労に対しまして、今日、委員会の席にいただいたものを全部持ってきたわけですが、ほかの委員の方々の席を見ましたら、簗瀬先生もそっくり置いてありまして、さすが今日御質問する立場でもございます。けれども大変な御苦労であったと思います。 このたびの会社法案及び同法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして一言で申し上げると、形式的にも実質的にも利用者の視点に立った法改正であるものと考えます。 まず、形式面を指摘しますと、今回の会社法案においては、その表記を平仮名口語体に改めるとともに、新法典を創設し、会社法制についての規定を一つの法典としてまとめております。現在の商法は片仮名の文語体で表記されているほか、現在は使われていない用語も多く用いられております。 また、法律の構成も、商法本体に合名会社、合資会社、株式会社についての規定が置かれ、有限会社については別個の単行法が設けられているほか、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律という法律におきましては、大規模会社や中小、小規模会社について商法の特例が置かれておりまして、その結果、ある企業に適用される規定が複数の法律に分かれるといった事態が生じておるわけであります。 このような法体系は、会社法制の利用者に対し大変不親切であると感じます。会社法制が企業活動を支える根幹的なインフラであり、我が国経済法制の基本を成すべきものであることを考えたとき、利用者のことを考えた改正が行われるべきであったことは言うまでもありません。 まあ、私ども非常に、先ほど条文を、最後の条文が何条かというのでぱらぱらとまくってみたというのが正直なところでありますが、しかし弁護士さんにおかれましても、会社法を専門とする弁護士でなければ会社法というのは非常に難しいものだと。また、その内容がこの現代の経済の、戦後の経済の動きの中で非常に意味を、それぞれの条文がいろんな意味を持っておるということからすると大変に難しい法律であるということであったわけでありますが、それを集大成されたということで大変に意義深いことであろうかと思います。 したがいまして、今回の会社法案では、会社法制についてまずもって必要と考えられる平仮名口語体、口語化が行われたこと、複数に分かれていた法律が一つの法律にまとめられたことについて、いずれも高く評価したいと考えております。 次に、会社法案は、形式的な改正にとどまらず、実質的にも大幅な見直しがされております。 まず、会社法案における象徴的な改正は、株式会社と有限会社の一体化です。会社法案におきましては、現行の有限会社の機関設計をほぼ取り込む形で株式会社の機関設計が大幅に柔軟化されました。この点につきましては、全国中小企業団体中央会などの中小企業団体から強い要望があったと伺っておりまして、今般の改正はその要望に沿ったものと理解しております。 したがいまして、この点の改正は会社法の最大の利用者である中小企業者の視点に立った改正と言うことができると考えております。中小企業が我が国経済の活力の源泉、雇用の担い手であるという現状にかんがみれば、この改正が今後の我が国の経済活動の発展に大きく資するものと考えております。 そこで、法務大臣にお伺いしますが、株式会社と有限会社の一体化はどのような理念に基づくものでしょうか、御説明願います。
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案では、株式会社と有限会社を統合いたしまして株式会社に一本化いたしておりますけれども、これは、従来の株式会社と有限会社の区分が理念どおりに利用されておらず、形骸化していると見られております上、最近では、株主総会と取締役のみから成る最も基本的な形の会社を出発点として、その成長に応じまして取締役会、会計参与、監査役、会計監査人など、必要とされる機関を選択しながらステップアップしたいという中小企業のニーズも出てきておりますため、これらの事情にこたえるための措置であります。 また、有限会社制度を残さなかったのは、非公開の株式会社におきまして取締役の人数規制や監査役の設置義務の廃止などを行うこととした結果、これまで有限会社制度でしか実現できなかったことがすべて株式会社として実現可能となったため、有限会社を株式会社と独立の制度として存続させる意義がなくなったということでございます。 もっとも、既存の有限会社につきましては、有限会社法の廃止に伴う経過措置によりまして、現行の有限会社に関する規定とほぼ同等の規律に従えばよいこととして負担が掛からないように配慮いたしております。
○松村龍二君 次、大企業のガバナンスについてお伺いいたします。 この法務委員会も時々難しい片仮名が入ってくるわけでございます。コーポレートガバナンスとかステークホルダーとか、何か分かったような分からぬような、コンプライアンスとか、この前はADRというのがありまして、使っている方からすると便利な言葉で、ADR、ADRと言うんですが、初めて聞く人はADRって何だというようなことでございます。 そういうようなことで、私は本会議で質問するときにも、コーポレートガバナンスということにつきましては、企業が健全に経営され、最大の利益を上げるようチェックする仕組みというふうに言い換えたわけでございますが、大企業のガバナンスについてお伺いするわけでございます。 現行の有限会社の機関設計をほぼ取り込む形で株式会社の機関設計が大幅に柔軟化され、規制が緩和される結果、利便性が向上することは非常に望ましいことでありますが、代表質問でも指摘しましたとおり、我が国の将来を預かる我々としては、政治家としては、改正によって経営の自由度が高まる反面、株主や会社債権者の保護に欠けることにならないよう意を用いなければなりません。 代表質問におきましては、このような観点から、特に大規模会社のコーポレートガバナンスにつき法務大臣に質問したところであり、大会社における内部統制システムの構築の義務付け等の措置が講じられるとのお答えをいただきました。 大会社におきましては、その活動が社会に与える影響が大きいことから、適正なコーポレートガバナンスの確保が特に重要であり、最近の企業不祥事の例に照らしても、各会社において法令遵守、コンプライアンス、お医者さんでは、医者が与えた薬をそのままきちっと飲んでいるかということをコンプライアンスとお医者さんは昔から何か言っているようですが、コンプライアンスを含め、自社の適正なコーポレートガバナンスを確保するための体制を整備することの重要性は一層増しております。 このような意味からも、会社法案において、内部統制システムの構築の基本方針の策定がすべての大会社に義務付けられたことにつきましては、これを高く評価するものであります。 本当に毎日の新聞を見ておりましても、この企業内の規律がしっかりしてないというような事例が報道されるわけでございます。しかしながら、内部統制システムの構築の基本方針の決定といいましても、その内容の一部が法務省令に委任されていることから、いま一つ具体的に把握できないところがあります。 この内部統制システムの構築の基本方針として、大会社は具体的にどのような内容を決定しなければならないのか。今後制定されるであろう法務省令のおおむねの内容につきまして法務当局に伺います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 今御指摘をいただきましたとおり、会社の内部規律、運用というものを適正化するというのは会社法制において一つ非常に大事なポイントでございます。 それをガバナンスという表現の仕方もあろうかと思いますが、この点に関しましては、平成十三年に監査役の制度をかなり強化するという形で一つ手を打ちましたし、また平成十四年の改正においては、委員会等設置会社を設けまして、大企業の経営について選択の幅を広げたわけでございます。その際に、委員会等設置会社においては、この内部統制システムというものを内部の規律を保つために義務付けをしたわけでございますが、そうではない会社、一般の取締役会、監査役というタイプの会社においてはこの点の義務付けをその際は行っておりませんでした。 今回、この会社法の全面的な見直しをするに当たりまして、内部統制システムというものの位置付けをどうするかということが問題になりましたが、同時に、委員会等設置会社と一般の取締役会、監査役タイプの会社との間の責任の、取締役の責任の問題を含めたバランスの問題というのも随分意識されたわけでございます。 そのような観点から、本来であれば、私どもは、大きな会社においてはそれぞれが自主的にこのような内部の統制というものをうまく図っていただくルールをお作りになるということを期待するわけでございますけれども、しかしやはり、この際、委員会等設置会社とのバランスの面からいいましても、大きな会社についてはこの内部統制システムを構築することをやはり義務付けなきゃならないという、こういう考えに至っているわけでございます。 そのような法制審議会での様々な議論に基づいてこの内部統制システムの義務付けを行うわけでございますが、基本的には、取締役の職務の執行の適合性、法令適合性あるいは定款適合性、まあコンプライアンスという言い方もあろうかと思いますが、そういうことを確保するためのものでございまして、先ほど申しましたように、現に委員会等設置会社においては現在の商法施行規則の百九十三条においてその内容を明らかにしているところでございますので、この新しい三百六十二条の規定に基づくものにおきましても、この現行の省令に倣いました内容というのが定められるというように御理解をいただければと思います。 具体的に言いますと、やはりコンプライアンスの問題といいますのは、できるだけその権限の濫用をチェックするという立場から行われますので、そのチェックする人がどれだけきちんとした客観的な情報を持っているかどうか、あるいはどれだけ独立して仕事ができるかどうかというようなところを中心としているわけでございます。 したがいまして、現行のこの商法施行規則においても執行、会社の事務を執行する立場の方からどれだけ独立した使用人というのをこの監査をする立場の人が持つかということを中心にいろいろな規定を置いておりますので、この新しい内部統制システムの全面義務化においても同様のことが決められるというように考えております。
○松村龍二君 さらに、内部統制システムの構築が義務付けられるといいましても、株主はその内部統制システムの内容についてどのような方法で知ることができるのか、法務当局にお伺いします。
○政府参考人(寺田逸郎君) この内部統制システムの内容につきましては、株主は事業報告の記載において知るということができることとなる見込みでございます。 この事業報告にどういう内容を記載するかどうかは、これはまた法務省令で定めるということになっておりますけれども、そういう法務省令の内容としては、この内部統制システムの点に触れるということを予定をいたしているわけでございます。
○松村龍二君 次に、コーポレートガバナンスの重要性は何も大規模な株式会社に限られたことではなく、中小規模の株式会社にも当てはまるものであることは言うまでもありません。 従前の有限会社に相当する企業が株式会社に移行できるといいましても、単に株式会社になったからといって、それだけで一定の信用を得ることができるはずはなく、健全な経営の下で経済活動を継続していくためには、金融機関を始めとする第三者から信用を得ることが不可欠であります。このような観点から、中小規模の株式会社におきましてもコーポレートガバナンスの確保が求められるところであります。 そこで、法務大臣に伺いますが、会社法案において、現行の有限会社の機関設計と同様の機関設計を採用した中小規模の株式会社についてどのようなコーポレートガバナンスの措置がとられているのでしょうか、御説明願います。
○国務大臣(南野知惠子君) 現行の有限会社は取締役会や、また監査役の設置が義務付けられておりません。また、取締役等の任期に制限がありません。監査役には業務監査権限がないということなど、株式会社とは異なる機関設計となっております。他方、会社法では、株式会社と有限会社を統合しまして、取締役会や監査役の設置が義務付けられない株式会社、すなわち現行の有限会社と同様の機関設計を採用した株式会社を認めております。そして、このような株式会社につきましては、コーポレートガバナンスの強化という観点からその規制の見直しが行われております。 具体的に申し上げますと、取締役の任期は原則二年とし、定款で伸長する場合であっても最長十年までしか伸長することができないものとすること。また、監査役を設置した場合には、原則として業務監査権限を有するものとすること。また、定款で取締役と共同して計算書類を作成する会計参与を設置することを認めることなどの見直しが行われております。
○松村龍二君 さらに、一口に中小企業といいましても、会社法案におきましては取締役会を設置するか否かを選択することができる結果、その中には所有と経営が一体化している、いわゆる取締役会が置かれていない会社と、これが分離している状況にある取締役会が設置された会社とが混在することになると考えられます。 そこで、まず、所有と経営が一体化している会社につきまして、コーポレートガバナンスの確保はどのような観点からどのような規制がされるのか、法務当局に伺います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 冒頭御質問がありました有限会社のタイプの会社というのを今回株式会社の中に取り込むといいますか、一本化するということになりました結果、おっしゃるとおり、現在であれば有限会社の形態も選択できる、そのためにそういう運用を願っているという会社がこれから後は株式会社という形で出てくるわけでございます。 しかしながら、経営あるいは会社の全体的な状況の実態を考えますと、それほど今後これまでと違ったことが、一挙に転換するというわけではございません。基本的には、おっしゃるようなタイプのものも当然想定しなきゃならないわけでございまして、そういう会社においては経営というものについて改めて別の機関を置いてチェックするということができませんので、当然のことながら、株主自体がその会社の運営を直接監視をし、様々な面での必要な修正というものを働き掛けていく、こういうことになるわけでございます。 具体的に申し上げますと、まず、株主総会の権限といいますのがこのような会社においては一切の事項に及ぶということになります。取締役会の設置が行われますと、当然取締役会と株主総会との権限の分担というものが生ずるわけでございますが、そういう以前の形態に戻るということになるわけでございます。 また、株主においては、取締役が仮に違法行為を行うというようなことになりますと差止め請求権を有するということになりますが、この場合には、株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときという要件で、一般のより経営と所有が分離しているという会社、業務監査権限がある監査役がいる会社においては回復することができない損害という厳しい要件にしているのに対しまして、一歩緩い要件にしているわけでございます。また株主は、取締役が法令、定款に違反する行為をするというおそれがある場合には、取締役会の招集をする、請求する権利があるわけでございますし、取締役会自体に出席して意見を述べるということもできる、こういう相当一体化の実態に近い運用ができることになるわけでございます。
○松村龍二君 次に、所有と経営が一体化されていない会社については、コーポレートガバナンスについてどのような観点からどのような規制が行われているのか、法務当局に伺います。
○政府参考人(寺田逸郎君) このような会社においては、具体的に申しますと、取締役会が設置されると、こういうことを意味するわけでございますけれども、そうしますと、先ほども申し上げましたとおり、株主総会で決議をすることができる事項というのが限られまして、これは原則としては、株主総会ではなく、むしろ監査役や会計監査人等において会社のチェックが行われると、その方が現実的であると、こういう立場に立っているわけでございます。 このような取締役会設置会社における具体的なガバナンスの在り方でございますけれども、先ほど申しましたように、株主総会は会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限って権限を有する、決議をすることができるということになるわけでございます。逆に、監査役が原則として業務監査権限を有する。それからまた、会社の規模によらず会計監査人を設置することができるわけでございまして、これまでは中小の会社に会計監査人を置くということを避けておりましたけれども、今回は会社の実態に応じて、それぞれの会社が望めば会計監査人というような外部の監査のエキスパートというものを自分の会社に置くことができると、こういうことになるわけでございます。
○松村龍二君 中小企業のコーポレートガバナンスに関連しますのでここで併せて質問しておきますが、会社法案におきましては新たに会計参与という制度が創設されました。その制度が創設された理由は何でしょうか、法務大臣にお伺いします。
○国務大臣(南野知惠子君) 会計参与は、公認会計士又は税理士の資格を持つ者が取締役と共同して計算書類を作成する株式会社の機関であります。特に、中小の株式会社の計算書類の適正を確保しようという制度でございます。 かねてより、会計監査人による監査が強制されない中小企業の計算につきましても、専門家の関与によりその適正さを確保する制度を設けるべきであるとの指摘がなされてきておりました。そして、有限会社形態と株式会社形態との一体化を始め、中小の会社法制の抜本的な見直しについて議論したこのたびの法制審議会におきましては、中小企業の計算の適正さの確保が喫緊の課題と認識されるに至りました。そういう意味で会計参与制度を創設することになったわけでございます。
○松村龍二君 この会計参与が設置されることによりまして計算書類の適正さが確保されるということですが、中小企業の立場に立った場合にこの会計参与の設置にどのようなメリットが考えられるのでしょうか、法務当局にお伺いします。
○政府参考人(寺田逸郎君) ただいま大臣からも御説明申し上げましたとおり、この会計参与の制度というのはあくまで任意設置でございまして、しかも設置した場合に、法律上、特に法律効果として何かが優遇されるということはございません。 逆に申しますと、この会計参与を付すということのメリットというのは、事実上、計算書類の適正さの確保について、これまでとは違うレベルの信頼性が社会的に与えられるであろうということでございます。つまり、これまででございますと、会社の内部で取締役のうちどなたかがこういうものの作成に当たっていたという場合に、新たに公認会計士でありますとか税理士のようなエキスパートを会社の内部の専門家としてこれに会計参与の仕事をお願いして、取締役と共同して会計書類、計算書類をお作りいただく、そのことの信頼性というのがメリットということになりますが、具体的に私どもの方であらかじめいろいろな予測を申し上げるのもいかがとは思いますけれども、当然のことながら、この計算書類等の適正さの確保についての評判というのが高まりますれば、当然のことながら、金融機関からの融資の面あるいは取引先の開拓の面あるいは新規の出資者の募集というようなものにつきまして、より有利な立場に置かれるということになるのではなかろうかというように推測はいたしております。
○松村龍二君 次に、取締役などの株式会社の経営者は、株主から経営をゆだねられた者として、株主を始めとするステークホルダー、利害関係者の真の利益と企業価値の維持向上を目的として行動しなければなりません。このような目的に反する取締役等の行為については、その責任が的確に追及されるべきであります。取締役等の役員に対しこのように事後的に責任追及をできることが取締役等の役員によるコンプライアンス、法令遵守を含め、株式会社のコーポレートガバナンスの確保のために不可欠であると考えます。 そこで、会社法案におきましては、取締役等の損害賠償責任についてどのような見直しが行われましたか。衆議院における修正点を含め、法務当局に問います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほども少し触れましたとおり、平成十四年にこの委員会等設置会社ができました際に、委員会等設置会社における取締役あるいは執行者の立場に置かれた方の責任というのをどうとらえるかということが問題になったわけでございますが、委員会等設置会社においては基本的に過失責任を問うということでございます。もちろん、一般的な任務懈怠責任というのは双方に共通でございますが、特別の幾つかの責任、配当に関する責任あるいは利益相反取引に関する責任等については、これらを、取締役会の設置会社、監査役設置会社と違いまして、過失責任にするという、そういう内容になったわけでございます。 しかしながら、その際に、必ずしもその場合に取締役会プラス監査役を置いているという委員会等設置会社以外の会社の責任がどうあるべきかという議論が深く行われたわけではなかったわけでございまして、そのことを反映いたしまして、この平成十四年の改正の際の附帯決議においても、必ずしも両者の間に整合性があるように思えないので、その点について検討を行って、改めて見直しをすべきだというようなお立場が示されたわけでございます。 今回の会社法を作るに当たりましては、当然この点についての議論が法制審議会においてもなされたわけでございまして、そこで、委員会等設置会社でない会社の取締役の責任についても、委員会等設置会社の取締役の責任が決められた際の平成十四年の考え方にむしろ沿って責任を規定すべきだということで意見がまとまったわけでございます。 具体的に申し上げますと、特別の様々な責任がございますが、まず分配可能額、俗に配当財源と申しておりますが、それを超える剰余金を分配した場合、配当した場合の責任、これが無過失責任であったものが過失責任に改められます。また、先ほども申し上げた利益相反取引についての責任、これも同様でございますし、さらに株主に対する利益供与の点での責任、これも過失責任になったわけでございます。 ただ、衆議院において、この点について様々な御議論をいただいたわけでございますが、特に利益供与行為に関与した取締役等のうち、直接御本人が利益供与行為を行ったと、こういう取締役についてまで現行の無過失責任を過失責任に改めるというのは、いささかポリシーとしておかしいのではないかという御意見が非常に強く出されたわけでございます。元々この利益供与責任というのは反社会的な勢力に対するものでございまして、この点での規律の緩みというのは取締役等のコンプライアンス意識の低下を招くのではないかというような御指摘もございましたし、また、全体といたしまして、やはりこの点での責任の強さというのを強く自覚を求めるというような御意見もあったわけでございます。 そこで、衆議院において修正がされまして、利益供与自体を行った取締役及び執行役については無過失責任を維持するということでございまして、無過失を立証した場合の責任免除を認める必要性はないと、こういう立場にお立ちになって修正が行われたわけでございます。
○松村龍二君 次に、会社法案を見ますと、決議に賛成した取締役はその行為をしたものとみなすとする商法第二百六十六条二項に該当する規定が設けられていないと思われますが、いかなる理由から当該規定が設けられなかったのでしょうか、法務当局に伺います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 元々この二百六十六条の規定と申しますのは、無過失責任を前提とした上で、あえてある行為をした取締役、その御本人には当然のことながら無過失責任の責任が課せられる、しかし、その他の取締役についてはどうかというと、これは賛成をすれば無過失責任を負わせるということのためにみなし規定というのが置かれていたわけでございます。ただ、今回はこれを基本的に過失責任ということにいたしましたので、この点についての規定は別に考えるべきだということになります。 具体的に申し上げますと、結局個々人を見まして、それぞれについて過失がなかったかどうかということを検討するわけでございますので、みなすということになるわけではなくて、むしろ個々人の責任というのをそれぞれ個別に検討するというのが過失責任の本質でございますので、そういうことで改められたわけでございます。
○松村龍二君 さらに、取締役等に対する責任追及の手段として、株主代表訴訟の存在を忘れることはできません。昨年十二月のヤクルトの株主代表訴訟のように、会社役員に対して巨額の賠償責任が認められた例を見ますと、株主代表訴訟制度が有する会社役員に対する違法行為抑止機能を再認識させられます。代表質問におきましては、法務大臣から株主代表訴訟に係る改正点について概括的な答弁をいただいたところでありますが、その重要性にかんがみ、会社法案における具体的な改正点等を質問したいと思います。 まず、株主代表訴訟制度に関する改正点として、株主でなくなった者であっても一定の場合に訴訟追行が認められることとなりましたが、訴訟追行が認められるのはどのような場合でしょうか。また、そのような者に訴訟追行を認めるのはなぜか、法務当局に問います。
○政府参考人(寺田逸郎君) この株主代表訴訟制度は、昭和二十五年に授権株式の制度ができまして、基本的に取締役会の権限を強めるという現実的な考え方に立った際に、しかしながら株主の側で最終的にチェックをする手段として認められたものでございますが、平成に入るまでは非常に訴訟を行う際に様々な障害があるということで、それほど活発に使われたわけではございませんでしたけれども、訴額の点について見直しをいたしました後、相当活発に使われるようになったわけでございます。 ただ、一つ障害が意識されるようになりました。それは、この組織再編というものが持ち株会社の解禁後、株式交換あるいは株式移転の制度を設けまして後でございますが、できるようになったわけでございまして、親子会社の形を作りやすくなったという法制上の転換がございました。 しかし、株主代表訴訟を行っている場合に、この株式交換、株式移転等がございますと、元々の会社の株主でなくなってしまうようなケースが幾つか出てまいりまして、その際に裁判所の御判断というものが、株主代表訴訟の原告適格を維持できるというものと維持できないというものがございまして、どちらかというと維持できないというお考えというのも相当出てまいったわけでございます。 しかしながら、この株主代表訴訟の機能を考えてみますと、そのような組織再編があっただけでこの株主代表訴訟の追行というのがもはや不可能になってしまうというのは甚だ適当でないという御指摘が強く出されていたところでございます。 そこで、今度の会社法案の設計に当たりましてこの点についての検討をいたしまして、その結果、株式会社が、先ほど申しました株式交換あるいは株式移転を行ったことによってその株式会社の株主であった原告、これがそれまで株主代表訴訟を行っていた原告でございますが、その原告が株式会社の今度は完全親会社の株主となったとき、それから、株式会社が合併により消滅をするわけでございますが、その消滅した株式会社の株式であった原告、これが訴訟追行したケースでございますけれども、その原告が合併により新たに新設されました会社、あるいは合併後存続する会社、あるいは完全親会社の株主となったとき、こういうときには、その後も株主としての利害関係はありながら、しかし直接相手方になっていた会社がなくなったというだけでございますので、こういう点においてはなお従前の株主代表訴訟を維持できるということが適当であろうと、このように考えて、そういうものについては訴訟追行を認めるということにしているわけでございます。つまり、この場合は、例えば親会社の株主であったものが子会社の株式代表訴訟をその限度で行っているということになるわけでございます。 今申し上げましたように、様々な考慮からこの点が改正されたわけでありますけれども、とりわけ会社の方で株主代表訴訟を避けるためにこのような組織再編を行うということについての一つのブレーキになるということも併せて言えようかと考えております。
○松村龍二君 次に、組織再編の場合でありましても、例えば既に株主代表訴訟を提起していた株主が組織再編によって金銭等の対価を受けて株主たる地位を失う場合、あるいは会社分割における分割会社の取締役に対する代表訴訟の場合には訴訟の追行ができないということになると考えられます。 株主代表訴訟制度が有するコンプライアンスの機能に照らしますと、できる限り株主代表訴訟を追行せしめるのが適切ではないかとの考えもあるものと思いますが、この場合になぜに株主代表訴訟の追行ができないのでしょうか。訴訟追行が認められる場合との相違点について法務当局に問います。
○政府参考人(寺田逸郎君) まず、先ほど申しました組織再編が行われた後、同じようにその会社の原告、株主代表訴訟の原告として訴訟追行していたものも親会社の株主になるというようなものもケースによってはあるわけでございますけれども、しかし、また別のケースにおいては、それは金銭でもって対価を得て株主たる地位を全く失ってしまうという場合もあるわけでございます。 この場合の比較でございますけれども、先ほど申し上げました認められる場合というのは、あくまで何らかの形で株主ということを間接的であれ地位を維持している場合でございまして、それは当然その代表訴訟が成功するかどうか、つまり会社に対してその違法行為があった取締役から損害回復がなされるかどうかについて、間接的ではあれ利益を有しているわけでございます。 当然のことながら、そういう株主、原告においては訴訟追行も自分の利益の問題でございますので、全株主、全会社のために当然一生懸命やるということが想定できるわけでございまして、そういうことが期待できる場合にはこれを維持するというポリシーを先ほど申し上げましたように取ったわけでございます。 これに対しまして、原告が組織再編によって金銭を取得した場合には、そのすべての状況を勘案いたしまして金銭の額が定められて、会社から関係を、会社との関係を失うと、こういう関係になるわけでございますが、それは、それ以後、代表訴訟を行っても直接の利害関係も間接の利害関係もないわけでございます。このようなものに代表訴訟の追行をさせておく必要はないのではないかということでこの場合の原告適格を認めないと、こういう考え方を取ったわけでございます。 なお、会社分割についてもお尋ねがございました。 この場合に、会社分割が行われて、分割会社の株主としての地位を維持している場合には、これは株主としての地位があるわけでございますのでそのまま代表訴訟を追行することができるわけでございます。これに対しまして、取締役に対する損害賠償請求権が会社分割によって分割会社ではなく承継会社の方に移ったという場合には、これは損害賠償請求権自体がなくなってしまいますので、分割会社にとってはもはやそういう請求権はなくなってしまいますので、この場合には訴訟追行ができなくなるというのは訴訟法上当然のことであろうというふうに考えております。
○松村龍二君 株主代表訴訟制度に関する二点目の改正点として、会社法、新しい法案の第八百四十七条第四項におきまして、株主に対する不提訴理由の通知の制度が設けられました。 そこで、法務当局に問いますが、伺いますが、株主から提訴請求があった場合、株式会社が提訴しない理由を通知しなければならないとの制度を設けた理由は何か、また具体的にはどのような事項を通知しなければならないことになるのでしょうか、お伺いします。
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほどの点がこの株主代表訴訟についての改善点の第一といたしますと、これが改善点の第二ということになります。こちらの方は余り注目を受けておりませんけれども、実は非常に重要な改正であると私ども考えております。 元々、株主代表訴訟を行う場合に、やはり原告側にとって難しいのは、会社内部の事情というのが一体どういうことになるのかということが全く分かりにくいというところにあるわけでございます。会社は一体どういう考えで取締役の違法行為があるにもかかわらずその訴訟を追行しないのかと、原告はそう考えるわけでございますが、それについての会社の考え方も示されないということになりますと、なかなかその訴訟のやり方自体も難しいわけでございます。 そこで、逆に会社の側、立場を考えてみますと、株主から提訴をしてほしいという請求があった場合には、元々取締役の損害賠償義務があるのかどうか、つまり違法行為が行われたのかどうか、損害があるのかどうかというようなことについての調査を行うわけでございますし、そういう調査をした結果の判断をされているはずでございますので、それほどこの点が会社にとって負担になるはずもないわけでございます。 そういう意味で、この株主にとって代表訴訟をする意味での、上での重要な情報を与えるということは非常に大事なことでございますのでこういう制度をつくったわけでございます。 また、その株主と会社との間には、この点、代表訴訟をするような状況では非常にお互いに疑心暗鬼というところがあるわけでございますが、会社の側からも決して役員のなれ合いでもって訴訟を行わないというわけではないということを明らかにすることも意味があることであろうかと。逆に、そういう合理的な理由がなければ会社はこういうことの制度の新設によって牽制を受けるということになるわけでございまして、そういう意味でのこの制度の機能というのは十分に理由のあることだというふうに考えております。 なお、通知をしなければならない事項というのは、責任追及等の訴えを提起しない理由でございます。 具体的に申し上げますと、提訴請求に掲げられた事実関係について、どのような社内調査を行って、その結果はどうである、具体的にはどういう事実があるのかということでありますとか、あるいは、損害賠償義務はあるということははっきりしたわけでございますけれども、しかしあえて訴訟をしないというのであれば、どういう理由でその訴訟をしないかというようなことを書くということになるわけでございます。
○松村龍二君 さらに、株主代表訴訟制度に関する三点目の改正点として、一定の場合に株主代表訴訟に係る訴えの提起が許されないものとされました。この点については衆議院におきます改正事項にも絡むので、まず修正前の会社法案を前提に伺いますが、株主代表訴訟の提起を制限する条項を設けたのはなぜか、法務当局に伺います。
○政府参考人(寺田逸郎君) これが株主代表訴訟の三点目でございまして、こちらの方は株主代表訴訟の濫用を防ぐという趣旨でございます。 株主代表訴訟は、先ほど申しましたように、提訴費用の点の改善後、非常に多く使われるようにそれまでと比較してなったわけでございますけれども、しかし濫用のケースがちらほら見られるようになったわけでございます。 具体的には、自分の利益のために会社を訴えて、失礼、会社のためにその取締役を訴えて、会社から何らかのものを引き出そうというような駆け引きの上でこの代表訴訟を利用するケースも出てきたわけでございます。そういうケースにおいては、裁判所は具体的には訴権の濫用ということで訴えを退けたケースも出てきているわけでございますけれども、一体どういう範囲でそういう訴権の濫用が起きるかということをもう少しあらかじめ分かるようにしてほしいという経済界の御要請というのもございました。 そこで、政府といたしましては、この改めて責任追及の訴えの法律の規定を整備するに当たりまして、この点で二つほど類型化をいたしまして、訴権の濫用による訴えの却下という仕組みを提案したわけでございます。 その一つは、先ほど申しましたような、株主が言わば自分の利益というものを中心に考えて、この株主代表訴訟というものを悪用しているケースであります。 もう一つは、先ほど申しましたこととも関係するわけでございますけれども、会社は違法行為あるいは損害賠償請求権の存在を意識しながらも、しかし会社の判断でこれを行わないというケースがあるわけでございます。 具体的には、削除前の二号に当たった部分がそれでございますけれども、会社は別に大きな利益があるために提訴を行わなかった、それが害されないようにするために行わなかった、あるいは相手方が非常に、失礼、相手方というのは取締役でございますが、その取締役が非常にお金がない、仮に訴えたといたしましてもほとんど実際に損害の回収をすることができないというようなケースで、逆に提訴をして訴訟を維持するためには非常にお金が掛かる、その経済的なアンバランスというのが非常に著しいというようなケース、こういうケースにおいて株主代表訴訟を訴えることを許さない、却下することができるという規定を設けたわけでございます。 衆議院においては、この一号については従来の裁判例等があるために合理的であるという御判断をいただいたわけでございますけれども、二号につきましては、裁判例もこれまで余りない、要件も典型的なケースというのは考えられなくはないけれども、必ずしもどこまでかということが明確になってはいないんではないか、この株主代表訴訟の重要性にかんがみて余りそれが拡大するというのは適当でないというような御判断からこの点を削除されたというふうに私どもは理解をいたしております。
○松村龍二君 時間が限られておりますので先を急ぎますが、組織再編に係る見直しもかなり意欲的に行われておりますが、その具体的な内容を伺いたいとか、あるいは合併等、三角合併ですね、合併等、対価の柔軟化による外資の参入について伺いたい、あるいは簡易組織再編行為の要件の緩和と略式組織再編行為の創設というような意欲的な改正が行われておりますが、これは省きます。 企業組織再編行為に関連する質問を続けますが、報道をにぎわしたニッポン放送とライブドアの件は、株式会社はだれのものかという最も基本的かつ深遠な問題を我々に突き付けるとともに、敵対的買収と企業防衛策について種々の議論を巻き起こしたことは記憶に新しいところであります。私は、この敵対的買収について、代表質問において、我が国が魅力ある市場とすることが急がれる中、企業防衛策を含む会社法案がくれぐれもそのブレーキにならないよう求め、法務大臣の所見を概括的に伺ったところでございます。 会社法案におきまして、そもそも敵対的買収に対する防衛策として具体的にどのような措置を講じることができるのか、法務当局に伺います。
○政府参考人(寺田逸郎君) この点はあらかじめお断り申し上げておいた方がお分かりになりやすいと思いますけれども、元々、平成十三年以後、様々な経済的な情勢から、いろいろな形での出資者の在り方というのを考えまして、種類株の種類というのを非常に増やしたわけでございます。今回も基本的には会社法案においてその種類株等を維持しておりますが、それを更に幾つか一歩進めたところもございます。ただ、大幅には変わっておりませんけれども、そういう形になっております。 これは必ずしも企業防衛策を意識したわけでございませんけれども、企業防衛策にも用いることができるということは決して否定できないところでありまして、しかし、それぞれ企業防衛策としてどういうものをお取りになるかというのは、言わば私どもとしては会社法において部品を提供しているにすぎないわけでございまして、その部品をどういうふうにお組み立てになるかというのはあくまでその個別企業の御判断であります。それは、一方では会社に有利に働く場合もありますし、言ってみれば、防衛し過ぎで会社にとって逆に弊害が出るケースもあるわけでございますので、そこは御注意をいただきたいところでございます。 ところで、どういう具体的手段が考えられるかということでございますが、例えば百八条の一項四号、八号において、拒否権付き株式というものに譲渡制限を掛けるということが今回できるようになりました。これまで拒否権付きの株式というのはあったわけでございまして、これはある種の出資者、ある種の創業家みたいなものが議決権の上でほかの株式とは違うという立場を維持するためにつくられているものでございます。それに限って譲渡制限を掛けるということを今回認めることになりました。これによりまして、いわゆる黄金株の発行というのがよりやりやすくなったということは否定できないところでございます。 第二に、これも最近非常に使われるようになりましたけれども、いわゆるポイズンピルと言われる手段、つまり敵対的買収に対しまして、企業の側において株式を発行するということによって買収者の地位というものをそれほど有利な地位に置かないという、そういう手段一般を指すようでございますけれども、この会社法案におきましても、二百三十六条の一項七号に新株予約権の発行について様々な条件を出せるということになっております。これを利用いたしますと、買収者の新株予約権はなくなり、しかし買収者以外の株主に与えられている新株予約権は有効に機能して株式が発行される。つまりは買収者の側の株式全体における地位というものの薄まりというのがここで生じると、そういう新株予約権の利用もできるようになるわけでございます。 それからさらに、合併契約の承認を始めとする各種の案件について、株主総会の決議要件を定款の定めよりも加重しておくというような定款の決議要件の、あ、失礼、株主総会の決議要件の定款による変更ということが可能になりますので、これもまた防衛策に使えなくはないということになるわけでございます。
○松村龍二君 時間が参りましたので、最後に要望しておきますが、今回の会社法案につきましては機関設計が大幅に柔軟化される等、企業の経営者にとって選択の余地が広がっておりますが、各企業経営者が会社法案の趣旨を理解し、的確にその選択をするためには会社法案の内容について広く広報することが不可欠であると考えております。 法務大臣におかれましては、この広報について力をしっかり入れていただきますよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○簗瀬進君 早速質問に入らせていただきたいと思います。 大臣、これ衆議院では審議時間は何時間ぐらいだったでしょうか、この法案について。
○国務大臣(南野知惠子君) 三十五時間ぐらいいただいたかなと思っております。
○簗瀬進君 委員の質問の時間が三十五時間ということですか、それは。
○国務大臣(南野知惠子君) 参考人質疑その他も含めまして、全体的な委員会が開催された時間でございます。
○簗瀬進君 ありがとうございました。 今日は松村議員も私と同じような考えで、世界には有名な塔がたくさんありますけれども、五重塔とかバベルの塔とか、会社法の塔が当委員会で二つほど建ちました。若干塔を建たせた趣旨は違っております。松村議員は与党でございますから御慰労の意味であったのかなと思いますけれども、私は若干批判のためにこれを建たせていただきました。 関係資料として出されたもののページ数を足し合わせてみますと七千八百四十ページなんですね。眼光紙背に徹するという言葉がありますけれども、大臣、これお目通しはどの程度なさったんでしょうか。
○国務大臣(南野知惠子君) 全部読ませていただいたと言うと、これうそになります。でも、要所、要点についてはいろいろレクも受けておりますし、そういう点については関心を持ってポイントを聞かせていただいております。
○簗瀬進君 三十五時間で割ってみますと、七千八百割る三十五ですから、一時間当たりどの程度読めたのかなというその分量が出てくるわけでございます。 実は、私ども民主党の中で最後までこの法案に対する対応、いろいろな御意見が出ました。その中で、このような重要法案、あるいはこれからの日本の経済社会の姿を決めてしまう重要法案に対する国会の審議能力を大幅に上回るような法案の提出の仕方なんじゃないのか、こういう意見が大変強くございました。三十五で割りますと一時間に三百ページ以上読まなきゃならない。二百ページから三百ページ、まあ計算すれば出ますけれども。 正に読むということが、委員会の第一読会、第二読会というふうなことで本来的な機能であるわけです。そういう意味では、恐らくこれだけの資料を出しても、我々の通常の日常活動を前提にすると、とても読み切れないような法案なんですよ。しかも、九百七十九条でございますから、その中で本当は逐条審議でもやらせていただければと思うんですけれども、それが三十五時間の中で収まってしまうと。私は、これは非常に国会の審議能力をある意味で軽視、あるいはもっとはっきりとした言い方をすれば、国会の形骸化につながるような法案の提出の仕方なのかなと、こういうふうにどうも思わざるを得ないんですね。これでは私は責任を持って議論ってできないじゃないですか。 こういうことを、基本法についてこんな対応をするということについて大臣の御所見、是非とも聞いておきたい。
○国務大臣(南野知惠子君) 松村先生の御質問に対しても局長答えておりました。もうこれについての検討期間というのは、省においては随分長く検討されていたということと同時に、この法案を百年近く使ってきているということもございます。そういった使い方の中においていろいろなポイントが見いだせてきたのではないだろうか、それをいつ改正するかというような観点もあったろうかというふうに思っております。 そういったことを合算いたしますと、衆議院でも検討していただいた時間は三十五時間と申し上げましたが、時間数というよりも中身の濃さということによって、すばらしい委員会の先生方によって中身が検討されていき、これが深まっていくものと理解いたしておりますので、先生方が御質疑、御審議されるその中身によっていい形の法案に仕上がっていくと思います。 さらにまた、既に衆議院でも御審議いただき、附帯決議を付けていただいておりますので、この法案の施行については、そこら辺も加えながら真剣に検討していくと、また、真剣に運用させていただくということがポイントになってくるだろうと思っております。
○簗瀬進君 大臣、若干の考え違いがあるんじゃないのかなと思います。 役所が何時間掛けるということと私の質問の趣旨は全然違うんですよ。逆に、役所が大変時間を使って、逆に国会議員が時間が少な過ぎるということは、それ自体何を意味しているのかというと、正に官僚主導の政治を大臣自身が容認をした、そういう答弁なんですよね。また、その官僚主導型で国会のチェック機能が弱くなってもいいよと、こういうふうなことを先ほどの御答弁は意味しているように私は受け取れます。いかがでございましょうか。
○国務大臣(南野知惠子君) 先生、それは少しお考えが深過ぎるのではないかなというふうに思っております。 我々といたしましては、やはりこの場に先生方の御審議をいただくというのが、それは最重要の課題でございます。当然、衆議院でも御検討いただきましたその議員の先生方の御審議と附帯決議、そこに盛られている中身というものを十分勘案していかなければならないということは当然の理であると思っております。
○簗瀬進君 先ほど松村議員の質問の中でも、関連の法案が三百余あったということがございました。それは法律の話でありますけれども、もっと私はこの法案のボリュームと国会の審議能力というようなものの比較を今申し上げたわけでありますけれども、もう一点申し上げれば、政令委任、省令委任の数が大変多いと。これは極めて問題だと思うんですね。 まずは、政省令委任の数、どのくらいになります。
○国務大臣(南野知惠子君) 確かに、会社法案におきましては政省令への委任事項が大切でありますが、政省令への委任事項が約二十、省令への委任事項が約三百ございます。
○簗瀬進君 正にその部分はここには書かれてないわけですよ。そういう形で、国会がこの法案、まずボリューム自体も多いし、政省令合わせると三百余と。その部分についてはこれからの話ですから、どういう方向で委任なさるのというふうな部分は御答弁は聞けるかもしれませんけれども、現実にどういうものが書かれるかと、どういうものが作られるのかということは今分からないわけですね。こういうのが三百以上もあると、こういう法案の出し方も問題じゃないでしょうか。
○国務大臣(南野知惠子君) 問題かどうかというのは、今先生方に御審議いただこうとしているところであり、また、それを基にしてどのような形で政省令が展開されていくかということにもあろうと思いますが、政省令に委任されております事項といいますのは、概して技術的、細目的事項であって、法律レベルで規定することが必ずしも適当とは言えない事項、又は政省令への委任をしている各規定におきましては、その委任の趣旨、範囲、政省令で規定すべき事項の例示などが個別に行われております。 さらに、政省令に委任されている事項のうち、組織再編時の会計処理などにつきましては国際的な基準の流れを、株主総会や取締役会の内部統制に関する事項については実務の状況をそれぞれ踏まえまして迅速かつきめ細かな対応をすることが必要なものでございますし、このように政省令に委任されている事項は、委任することが必要かつ適切な範囲のものであり、立法権限を形骸化するものではないというふうに我々は存じております。
○簗瀬進君 またもう一つ、先ほど松村議員の御質問の中にも、基本法であり、例えば有限会社という会社形態がなくなるわけですね。国民の多くの皆様にこの会社法を広報するとおっしゃいましたけれども、九百七十九条をどう広報するんですか。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり非常に大部のものでございます。ただ、一つは、先ほども御説明申し上げましたとおり、この間、平成に入りましてから様々な改正が行われてまいりまして、その改正をまあ整理する形で、さらに一部その手直しはいたしておりますが、それをかなり受け継いでいる部分もございますし、元々の商法中の会社法の規定を単純に平仮名化、現代語化したところもこれはもう相当部分あるわけでございまして、実質的にこの際に改正した部分というのは、先ほど松村委員との御質疑の中でも出ました多くのポイントはございますけれども、ただ、それが全体の九百七十九条、一条削除されましたので現在九百七十八条ということになっておりますけれども、それを占めるわけではないということはひとつ御理解をいただきたいと思います。 それから、この広報の方針でございますけれども、これはやはり現場の会社の皆様方、あるいはその皆様方に対して、今回は定款で定めることを相当幅を持ってできるという定款自治的なところが非常に大きい位置を占めております。したがいまして、逆に申し上げますと、非常に多くの会社関係者の方にとっては、本当の専門家のアドバイスを受けて、正しい自分の御判断をなさらなきゃならない部分が増えたということになるわけでございます。 それで、私どもとしては、直接こういう会社の関係者の方におかれても、代表の方にお集まりいただいて御説明をするつもりでございますけれども、それにも増して、そのアドバイザーとしての専門家であられる弁護士の先生方、あるいは司法書士の先生方のような、あるいは公認会計士の先生方のような、そういう専門家においても相当御理解を深めていただいて、この会社法についてのアドバイスを的確にしていただく必要があるんだろうというふうに考えておりますので、そういう意味で二重にこの広報活動というのは重要であるというように考えているところでございます。
○簗瀬進君 この問題はこの辺で切り上げますけれども、いずれにしても、基本法でこんな大部の形でどんと出されて、政省令の委任事項が三百以上と。こういうようなやり方を今後ともやられますと、国会は死んじゃいますよ。正にそういう意味では、国会のコントロール、チェック機能というようなものを御配慮した上で是非法案をお出しいただきたい。 それからまた、これは与党の皆様にも、当参議院において相当十分な審議時間をちょうだいをしたいと、こういうふうに御要望を申し上げておきたいと思います。 それでは、四人の衆議院の皆様もいらっしゃっております。実は修正要求、私も民主党の法務部門の責任者という立場で皆さんと一緒に議論も随分させていただきました。そういう意味で、大変御苦労があったと思います。スタートしたのがもう昨年の五月でしたか。もう十分な議論を皆さんなさって、最終的に七つの修正要求をまとめ、またその後、九つの重要論点として審議で明確にしたいと、こういうようなものをまとめさせていただいたわけでございますが、その修正要求の七項目の中で三つが取られた結果だと思います。 そういうことで、先ほども松村議員の御質問がありましたけれども、若干重なるかもしれませんが、それぞれの修正のいわゆる皆さんがお求めになったポイント、また結果として修正が現実のものとなったそれに対する評価等について、一つ一つ聞かせていただければと思っております。 私どもの修正要求の第一番目に挙げてあったのが株主代表訴訟の点でございまして、これについては、先ほど代表訴訟についての制限例として二つの類型を作られたという御答弁がありました。そのうち、一号と二号のうち二号については削除ということになったわけでございますが、この点について、まずは今申し上げたようにその趣旨と、また評価あるいは今後についての注意した方がいいなと思うような点があれば御説明をいただければと思います。
○衆議院議員(松野信夫君) 今御指摘いただきました代表訴訟、これは修正の中でも最も重要なポイントであったというふうに思っております。 御案内のように、現行法では代表訴訟、これ二百六十七条以下に記載がありますが、特に制限というのが条文上規定されているわけではないわけです。今度、八百四十七条、会社法案の八百四十七条の一項で、一号と二号で、こういう場合には訴えをすることができないという規定が出たわけでありまして、第一号の方は株主が不正な利益を図るというような内容ですので、これはまあある意味ではもっともだ、現在の裁判実務でもそういうような扱いがなされている。 ところが、問題になりましたのが原案にありました第二号の方でございます。第二号は、「責任追及等の訴えにより当該株式会社の正当な利益が著しく害されること、当該株式会社が過大な費用を負担することとなることその他これに準ずる事態が生ずることが相当の確実さをもって予測される場合」、こういう規定になっているわけです。これはやはり、元々のこの株主代表訴訟というのは、会社の利益もさることながら、やっぱりコンプライアンス、取締役等のコンプライアンスを維持しなきゃならない、この要請から見ますと、やはりこの費用だとか会社の利益を超える損害があるから訴えができないというようなものは余りにも抑制し過ぎるのではないか、これではやはり本来の目的であります会社の取締役等のコンプライアンスの維持というものが図れないのではないか、こういう考えでございます。 また、今、私、第二号を読みましたけれども、恐らくぱっと読んだぐらいでは何を言っているんだかよく分からない、非常に要件が不明確でありまして、こういう不明確な要件の下で訴えの制限を行うというのがいかがなものか、こういうような趣旨からこの第二号は削除するということでの修正案になったわけでございます。 基本的には、こういう修正がなされたということで、私は大変評価できるのではないか、これによって不当に代表訴訟が制約されるということはなくなる、このように思います。こういうことで、現行の裁判実務とそう大きく違わない形で代表訴訟というのが運用されることが予想されますし、また、一号で不正な利益というのでは駄目だということで、一定の不当な訴訟もこれは抑制することもできます。結果的には取締役等のコンプライアンスも維持できるということで、修正としては大変いい修正になったのではないか、こういうふうに考えております。
○簗瀬進君 次に、私どもの七つの修正要求を与党さんとの間でお話をさせていただいたんですが、その三番目になるんですけれども、取締役の過失責任、今まで無過失責任であったものを過失責任という形で、過失がなければ責任は問われないという形で、ある意味で責任を軽減をした部分がございました。 これについても、結局、責任の軽減が余り行き過ぎてしまいますと、逆に取締役のモラルハザードが起きてしまうんではないのかなと。昨今の大会社、あっと驚くような不祥事が続いていると、こういうこともありまして、そのバランスをやっぱりきちんと取らなければならない、これは松村議員も御指摘をしていた部分だと思います、私も全く同じ考えなんですが。結果として、この点についても一部削除ということになったわけでございます。 これについても、その評価あるいは今後の留意点、これで十分だったのかなと、あるいは不十分なんじゃないのかな等々のことあるだろうと思うんで、これについてもちょっと御答弁をいただければと思います。
○衆議院議員(伴野豊君) 本日は、良識の府で修正の意義を答弁させていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。 お答えさせていただきたいと思います。 原案におきましては、第百二十条第四項におきまして、いわゆる株主の権利行使に係る利益供与行為に関与した取締役等の弁済責任について、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合はその責任を負わないということになっておりました。 しかしながら、先ほど松野委員からもお話があったように、昨今、取締役等のコンプライアンスの意識の向上というのが注視されている中で、その責任については、反社会的勢力に対する利益供与が摘発されるという現況にかんがみ、これを完全に過失責任とすることは取締役等のコンプライアンス意識の低下を招くことになり、モラルハザードが生じやすくなると考えました。 そこで、本修正案におきましては、利益供与行為に関与した者のうち、当該利益供与行為自体を行った取締役及び執行役については、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明しても責任を免れないこととし、その責任が無過失責任であることを維持することとしたところでございます。これにより、株主への不正な利益供与といった問題の防止の一助が図られるものと考えております。 以上です。
○簗瀬進君 もう一つ、自己株式の売却についてもこれは全面的に削除ということになったわけでございます。私どもも、株価操縦やインサイダー取引に悪用されるおそれが強いんではないのかなと、こういうふうな考え方の中で、これについては修正というよりもむしろ削除の方がいいんじゃないのかなと、こういうような思いもあったと思います。 その辺についてのいきさつと、それから特に自己株式、現実に会社では結構たくさん持っていらっしゃるところもあるわけですよね。それについて、今後どうしたらいいんだろうかということもお考えになっているものがあればお話ししていただければ有り難いと思います。
○衆議院議員(津川祥吾君) お答えをいたします。 まず、自己株式の新株発行類似の手続を得ない形での市場への売却ということについては現在禁止をされているところでございます。今委員から御指摘のあったとおり、インサイダー取引あるいは株価操縦等々に悪用される危険性があるといった意味で禁止をされているわけでございますが、今回の会社法によりまして、その会社の意図せざるところによって、例えば株式の買取り請求権の行使によって自己株を買わなきゃいけなくなってしまったような場合、こういったときに関しては、その分に関しては定款にしっかり定めていれば市場に売却をすることを認めるという、こういった条文が原案にあったわけでございますが、衆議院での質疑の中で、法務省の方からは、この規定を設けることによって例えばインサイダー取引等々の問題が、あるいは危険性が拡大するということはないのではないかという認識が法務省の側からは示されました。 しかし、金融庁の方からも御答弁をいただきまして、金融庁としては確かにその危険性は否定できない、しかし金融庁としてはそこをしっかり監視をすればいいのではないかといった、こういった御意見が示されたところでございます。 ただし、私どもといたしましては、正にこの数を限定したとしても、その取得する理由がアクシデンタリーであったとしても、それを売却するときに不正があるかないかということは、これはおよそ関係のない話であると。それから、実際にそれが今証券市場の中でしっかりと不正がない形で運用されているかどうか、あるいはその監視体制がしっかりしているかどうかということについては、残念ながらまだまだ不十分であると。金融庁の方からも、今後も含めてその体制を強化するといったことも御紹介をいただいたところでございますので、やはり今の段階でこれを解禁していくというのは時期尚早ではないかと。 ただ、海外の例なども見まして、自己株式の市場売却ということについて絶対に禁止をするということでは必ずしもないと。相当慎重にしなければならないと思いますが、その大前提としてやはり市場監視機能のしっかりとした整備、こういったものが前提になろうかと思います。今回のものに限らず、市場監視の機能というものを相当まず整備をしていくということを先にやっていかなければならないと、この自己株式の市場売却については恐らくその後に議論されるべきものであろうと、そのように考えているところでございます。
○簗瀬進君 ありがとうございました。 今回、附帯決議が一号から十三号まで、十三の項目が附帯決議として衆議院の方でお付けになりました。参議院も更にこれを参考にして、もっといいものを作らなければならないなと、そういう気持ちにさせるぐらいに私はもうすばらしい附帯決議を付けられたんではないのかなと思っております。その中身もかなり濃い中身でございまして、これはもう単なる附帯決議というよりも、衆議院において各党一致して将来の課題設定をここでさせていただいたと、こういうふうに思っておるんですけれども、このようなとらえ方でよろしいのかどうか、まずはちょっと大臣に御見解を聞かせていただければと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 衆議院においては、先生方、真剣に御審議いただきました。そして、附帯決議をお付けいただきました。私もその審議の場でいろいろと考えさせられていたところでございますし、また今御意見いただきました。お示しいただきました。それをこの参議院の場でどのように御審議に加えてしていただけるのかどうか、それは先生方の御審議の在り方であるかというふうに思っておりますが、最大限意思を尊重しながら、衆議院の大勢を尊重しながら参議院でも御審議いただけるものと信じておりますし、また、その結果を、皆様方でいい法案として完成した暁には、質的に実行できるようにしていきたいというふうに思っております。
○簗瀬進君 どうも質問の趣旨が伝わっていないような、課題設定をしたことを受けていただけますか。
○国務大臣(南野知惠子君) 課題設定というふうにお話しになられましたが、あらゆる場面を想定しての法案提出であっただろうと思いますし、そういう意味では、課題設定の課題はどのように書きますか。
○簗瀬進君 とにかく、この附帯決議に挙げたそれぞれの項目についてしっかりと取り組んでいただきたいと、それが課題設定ということの意味だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(南野知惠子君) 附帯決議いただきました衆議院側の御意見、これは十分に受け止めさせていただきながら検討していこうということは衆議院の方でも述べさせていただきましたので、同じ考えでございます。
○簗瀬進君 その上で、大変内容豊富で濃い附帯決議だと私は思うんですけれども、この附帯決議をまとめる際にお考えになられたこと、あるいは附帯決議の中でこれだけは何とか早めにやってほしいというふうに思っていらっしゃるようなことがあれば、この附帯決議を付けるに大変御苦労のあった、そういう立場からの御答弁をいただければと思います。
○衆議院議員(山内おさむ君) 会社法案に対しましては、衆議院の法務委員会におきまして十三項目の附帯決議を付けました。この内容は、私たち民主党が政府案に対して修正項目を要求した事項のほかに、政府に格段の努力をしてほしい、そういう内容についても書かせていただいたつもりでございます。 その中で、皆様方に大きく二点お話をさせていただこうと思います。 まず一点目は、企業結合法制の問題でございます。この法案では、会社の合併に際する組織再編行為について、柔軟化、そして自由化を徹底して規定しております。この点について、持ち株会社の子会社、ある子会社がある特定の株主に対しまして拒否権条項付きの優先株式を割り当てたという事件がございました。随分報道で厳しい論調もございましたけれども、これらの問題を念頭に置きまして企業の中での情報公開を徹底していこうということを真剣に考えた次第でございます。 先ほど株主代表訴訟の問題についても多少説明をさせていただきましたけれども、親会社の株主が完全に支配している子会社の違法行為を問題にすることができない、あるいは子会社の株主が親会社の取締役の違法行為を追及することができないという法制になっておりますので、そういった親子会社関係についての取締役の責任の在り方等についてもしっかり議論をしていただきたいと思っております。 二点目でございますけれども、千条から成る法案でございますので、随分議論も沸騰しました。我が党の中で最終局面、議論徹底して最終局面に至りまして、簗瀬議員からこういうような指摘がございました。会社法案については基本理念とか哲学がない、つまり会社制度を利用する方々の立場にしっかりと立って法案を見直しをすること、そして会社の経営の柔軟化あるいは自由化を向上してほしい、そして会社がやっぱり健全に運営されていくことを確保してほしい、そういうような視点に立って抜本的、そして十分な見直しを行ってほしいというような指摘を受けました。そのことを与党の皆さんともしっかり議論する中で、衆議院の方では与野党とも真剣な審議ができたつもりでございますし、附帯決議案の第一項にそのことも書き込ませていただきました。 簗瀬議員の日ごろの御指導、適切な御教導に感謝申し上げますとともに、参議院の方でもより充実した審議が行われますように期待をしております。
○簗瀬進君 若干顔を赤らめておりますけれども、ありがとうございました。 修正の中身についてはこれで結構だと思いますので、それぞれお忙しいお時間こちらにお運びいただきましてありがとうございました。御退席くださって結構でございます。 質問させていただきたいんですけれども、今企業結合法制について、附帯決議の中で非常に緊急に取り組むべき課題なのではないのかなという指摘がありました。衆議院の附帯決議の今の部分というのは、これは第八番目の、第八項目にございます。「企業再編の自由化及び規制緩和に伴い、企業グループや親子会社など企業結合を利用した事業展開が広く利用される中で、それぞれの会社の株主その他の利害関係者の利益が損なわれることのないよう、情報開示制度の一層の充実を図るほか、親子会社関係に係る取締役等の責任のあり方等、いわゆる企業結合法制について、検討を行うこと。」と。そして、これを踏まえた形で、先ほどの山内議員の発言の中にもあったように、親子会社の場合に、親会社の株主が完全支配をしているはずの、ある意味で一体のはずの子会社の株主が子会社の取締役に対して株主代表訴訟を提起できないという形になりますと、黄金株を出したということで随分世間の注目あるいは批判を浴びる。結果としてその子会社の取締役もう何でもできてしまう、正にそういう意味ではモラルハザードやらコンプライアンスの点で非常に問題な状況ができてしまうと、これはやっぱり早急にやっていかないとならないと思うんですね。 今私ども非常に注目をしているのは、自民党さんのいわゆる郵政民営化法案の行方ということなんですけれども、仮にこの法案が成立をしたという形になりますと、四つの大きな会社ができ、そして場合によっては持ち株関係も発生をするという形になりますと、大変巨大な親子会社が一挙に出現をする形になる。そういう状況を目前にしながら、この企業結合法制について何の取組もしていない。特に株主代表訴訟について、言うならば親子会社をつくればもう大変なエアポケットをつくってしまう、こういう状況がもう見えているわけですよ。これは私は絶対に座視するに耐えられない状況だと、このように思っております。これは緊急の課題だと思うんですね。この辺についてどのようにお考えになっているのか、早急に取り組むべきことなんではないのかなと思うんですが、大臣の御見解いただければと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 今、衆議院の先生方からもいろいろと附帯決議についてのお話もございましたし、また、緊急に取り組まなければならないというような課題についてもお触れいただきました。 簗瀬委員御指摘のとおり、我が国におきましても近年親子会社関係の形成が進展しており、企業グループに関する適切な規制を行うという観点から、いわゆる企業結合法制の整備の必要性を唱える声があることは事実でございます。しかし、企業結合法制に対する対応は、国際的にもその手法及び内容は様々であるところであり、拙速な規制強化や制度の創設はかえって企業活動の妨げとなるおそれもありますということでございます。 他方、我が国におきましても、これまで親会社の株主による子会社の計算書類等の閲覧請求、親会社の監査役による子会社の業務調査等、企業グループをめぐる問題に対応するための措置を講じてきております。 また、会社法案におきましても、株式交換等により完全親子会社関係を創設する場合に、代表訴訟を提起していた子会社の株主が原告適格を失わないようにする措置を講じることとしているところでもございます。 もっとも、グループ経営の進展に伴う利害関係者の利益の適切な保護は、これは重要な課題であると考えておりますので、今後とも実務における問題の状況を勘案しながら、適切な方策について検討を進めていく所存でございます。
○簗瀬進君 適切な方策は結構なんですけれども、特に我々が強く意識をいたしております、親子会社をつくられると親会社の株主が子会社の取締役をチェックできないと、逆に子会社の株主が親会社の取締役をチェックできないと、こういう株主代表訴訟の大変制約状況をつくってしまうわけですよ。 これについては私は大変問題だと思うんですよ。これはもうその部分だけでも緊急立法すべきだと思っているんですけれども、これは民事局長、どうですか。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるような問題意識は私どもといたしましても共有しないわけではございません。基本的に親子関係がございます場合に、その子会社の株主というのは親会社自体になるわけでございます。親会社が、あるいはその親会社の執行部であります取締役等がきちっとこの子会社のガバナンスを保つために様々な努力をされれば、それは一つの形としてうまく回ることになりましょうし、あるいは、子会社の取締役の立場に立ちましても、親会社の意向を全く考えずに権限を濫用するというようなことは、これはなかなか子会社の取締役としても仕事をしていることにならないわけでございますので、おおむねそういう形でガバナンスがこれまでは維持されてきていることは事実であろうかと思っております。 しかしながら、それについて例外的に、非常にうまくいかなくなった場合にどうするかという問題はこれはあろうかと思いますので、私どもも親会社の関係者が子会社に対してどういうチェックができるかということは、一つ手法としてはあり得ることでございますし、またそれについて検討もしなきゃならないというふうには思っております。 ただ、これはこの問題だけ、つまり代表訴訟の問題だけを取り上げてこの法制度を仕組むというのはなかなか難しい問題でありまして、そもそも、例えばドイツのように一体子会社の、会社の運用に親会社がどういう権限を持つかということ自体をまず明らかにしなきゃならないことでございますし、親会社の取締役がどういう権限を子会社に対して持つという、これは今のことの反面でございますけれども、規定を設けないでなかなかその親子会社法制全体を考えることも難しいところでございます。 そういう意味で、現在、おっしゃるとおり、そのような二段階あるいは多段階の代表訴訟制度を持っている国も例えばアメリカのようにあることは私ども十分意識をいたしておりますけれども、そこに至るにはなかなか全体のメカニズム、親子会社法制のメカニズムというものを抜きには検討しにくいというふうに意識をいたしておりまして、しかしながら課題としては非常に重要なものだというところから、その問題をこの附帯決議にもございますとおり取り上げて検討を進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
○簗瀬進君 全く時間がなくなってまいりまして、随分、通告した質問の中で、私は特に関心の高い部分をおろ抜いて質問するような形になりますんで、ちょっと御了解いただければと思っております。 会社法を言うならば公開会社、非公開会社に分けて整理をした方がいいと。これは昨日の本会議で富岡議員が大変明快に展開をされた論でございまして、私も全く同感でございます。これについてはまた今後質問する機会もあるだろうと思いますので、その指摘にとどめさせていただければと思っておりますが。 先ほど松村議員も御質問の部分で、買収というのは敵対的な買収という形容詞を直ちに付ける話ではございませんで、企業社会を活性化するためには、場合によっては企業買収を活性化させる、それで昔ながらのマンネリズムの中でどうしても自己革新できないようなそういう企業にはかなりドラスチックな形で再生をしてもらうと、こういうふうな考え方は私は十分成り立つんだろうなと思っております。 ただ、その防衛策についていろいろな手だてを、先ほど民事局長も三つぐらいのパターンをお話しになっておりましたけれども、どうもその、私は、株式という性格、あるいは株式市場というもの、そういう場といいますか、それが必然的に持っているような内在的な制約というのはあるんじゃないのかな。例えば、株式というようなものは、投資をして、その代わりに会社経営に参画をしたいという意思の表明でもあるわけで、その手段として議決権というようなものがあるわけです。ところが、議決権を例えば会社が出している株式の中でもう九〇%以上奪ってしまうような、そういうやり方を認めたりしますと、むしろ議決権の本来的な意味を最初から否定してかかって、おいしいところだけ取ってしまうというふうな株式の世界ができ上がってしまわないのかなと。 私は、そういう意味では、黄金株の例を取りながら、株式市場という、あるいは株主権とか株式とかという、そういうようなものを基本的に否定してしまうような、そういう種類株の発行というものを私は認めるべきなんではないんじゃないのか。ある意味で、もう少し言い方を変えれば、そういう意味での種類株発行についての内在的な制約というようなものがあるんではないのかな。これは一種の株式市場の見えざる憲法のようなものがありまして、そういうようなものの中で導き出されるようなものというのはどこかであるんじゃないかなという、こういうふうな印象を持っているんです。 これについて民事局長のお考えちょっと聞かせていただければなと思っております。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは大変株式会社あるいは会社の本質にかかわる問題でございます。 元々、会社というものは、その団体的性格を有するものを想定して、それが法人化し、それに有限責任を認めという形で歴史的に進歩してきているわけでございます。しかし、典型的な株式会社というものはこの進化形態の一番先にありまして、株式市場というものを前提にして、譲渡自由な株式というものは言わば不特定多数の者から資金調達をすることが経済の活性化、大きな資本を成り立たせて大きな企業を成り立たせる、リスクも適切に配分できるという、そういう仕組みとして成り立っているわけであります。その本来の会社の団体的な仕組みというものを非常に重視するか、あるいは資金調達の便宜性というものを重視するかによりまして、会社法の中でも様々なガバナンスの仕組み、あるいは株の仕組みというのがあるわけでございます。 平成十三年以後、この種類株というものをかなり増やしてきているわけでございますが、そこには今の会社の典型的ないろんなケースを考えまして、元々日本の大きな会社というのは次第に大きな資本、大きな組織というものを前提に大きな団体というものを多数の株主をもって成り立たせるということで、一つのパターン化した形態になってきたわけでございますけれども、それがバブルの時期以後、その前提が必ずしも当てはまらないようになった。つまり、資金調達の面でベンチャー企業のようなものが出て、将来は大きくなり得るけれども現在のところ非常に簡素な組織であるようなものも生じて、あるいは資金調達においても、それこそ合名会社、合資会社と同様の人間関係のようなところが、しかしながら有限責任を持って会社を運営したいと、そういうことが出てきたわけであります。 種類株というのは、そういういろんな現象に対応できる資金調達の手段を可能ならしめるためにつくられたものでございまして、それが今日どういう機能を持つかというと、企業防衛策というのは、一方では、今申し上げた意味での資金調達の自由化というのを必ずしも十分に極限まで行かない方がいい、つまり企業というのはある程度その資金調達先というものを自分でもって縛る方がむしろいいという考えで成り立っているわけであります。 それをこの株式会社法制においてどうその中で決めていくかでございますけれども、先ほど申しましたように、株式会社法制においては必ずしも全部の企業が今申し上げたような自由的な資金調達でない状況も出てきたものですから、株式会社法制全体としてはどのような種類株というのも一応は認めることができるということでできております。 ただ、おっしゃるとおり、今の株式会社が実際に私どもに目に触れる範囲での存在、これは多くは上場会社でございまして、上場会社のようなものがその多数の資本を求める過程で、果たしてそうでない会社と同じような形で種類株を利用していいかどうかということは、これは大いに疑問の余地はあろうかと思います。 そこで、そういう規制として、株式市場の規制あるいはそういう自主規制というようなものも最近ではいろいろ御議論がなされているようでございますけれども、当然のことながら、株式会社法制の下で許される事項でも、すべてのケースにおいてそれが許されなくてもいいというもし御疑問、御提示がございましたら、それは問題意識としてはそういうことは当然あり得ることだというふうに私どもも理解をいたしております。
○簗瀬進君 次に、私は、昨日の本会議でも富岡議員が指摘をしておりましたが、株主総会の形骸化という御指摘であったと思いますけれども、企業のコンプライアンスというようなものを高めていく際に、もう一つポイントは、取締役会がしっかりとしているかどうかだろうと思うんですよ。 そういう点で、私はアメリカの例は大変参考になるなと。ニューヨーク証券市場の上場基準というようなものを先日ある学者から教えていただきました。取締役指名委員会、あるいは報酬委員会、監査委員会など、いずれもそのメンバーの三分の二以上が会社から独立していなければならない、独立とは会社との特別な利害関係がないことだと、こういうふうに言われていると聞きました。まず、そういう状況になっているのかどうかということをお示しいただければ。 そしてその上で、そういうことになりますと、取締役会自身が、言うならば会社と特別利害関係に立たない人たちがたくさん入った形で非常に見識の高いものになる、会社利益だけに過度に偏ったものというよりも、むしろ利害関係がない市民の目線で取締役会を社会的なポイントでチェックをすると、こういうことが可能になるんではないのかな。 私は、このようなニューヨーク証券市場の上場基準というようなものをどういう形で我が国が取り入れるかは別にしても、社外取締役というよりも、もっとはっきりとした形で取締役会自身がしっかりと市民の目線を含み得るような、そういう制度改革をすべきだと思っているんですけれども、いかがでございましょうか。これも民事局長で結構です。端的にお答えください。
○政府参考人(寺田逸郎君) できるだけ簡単にお答え申し上げます。 まず、ニューヨーク証券市場の上場基準についてでございますが、おっしゃるとおり、取締役の過半数が独立取締役である、それから全委員が独立取締役によって構成される指名委員会、企業統治委員会、報酬委員会を設置することと、そういう基準があるというふうに私どもも承知をいたしております。 それで、独立取締役というのはどのようなものかと申しますと、例えば直接パートナー、株主、上場会社と関係を持つ組織の役員として上場会社と重要な関係を持たないことを取締役によって積極的に判断されていないという、そういう要件であれば独立取締役ではないということになるわけでございまして、逆に非常に独立性を高く見ているというように私ども理解をいたしております。 それで、これは今委員も御指摘のとおり、証券市場の上場基準でございます。私が先ほど申し上げましたように、上場会社、つまり全くだれでも不特定な者が自由に売り買いをできる会社においてはいろいろな基準を設けることができるということであろうかと思いますので、これはこれで一つの考え方でございます。 それで、我が国にもこのようなことが望ましいかどうかは、これは上場を監督されており、企画されております金融庁の御判断ということにもなろうかとも思いますけれども、会社法一般の問題といたしまして、この取締役の独立性を維持するかどうかというのは一つの課題ではあります。つまり、取締役会を設置する会社というのは、株主総会が十全に機能するということが非現実的であるという前提に立って取締役会を設けておりますので、取締役はある意味で株主の代表ということになるわけでございますから、必ずしも執行者として会社の中である種の利害関係を十分に持ち過ぎているということではやはり困るわけであります。 ただ、こういうことを会社法の全会社あるいは大きな会社について求めるということをなかなか現実的に可能ならしめない環境も日本では逆にあるわけでありまして、このような独立取締役が成り立つ背景には、私ども詳しくは承知しておりませんけれども、やはりどこの会社でも経営者としてやっていける人の層というのが非常に厚いというアメリカの事情というのも反映しているというふうに理解をいたしておりますので、様々な環境の問題も含めながら、今後十分に一つの検討課題としては意識を持ってやってまいりたいと思っております。
○簗瀬進君 時間が切迫しております。 金融庁と、それから経済産業省にも来ていただいておりまして、まず、ちょっと質問通告はしておりませんけれども、今、寺田民事局長がお答えになりました。その上場基準の中にアメリカのニューヨーク市場の上場基準的なものを入れるべきなんではないのかと私は思っております。金融庁の御見解、ここでまず一つ聞かせていただきたい。 それからもう一つ、質問通告してあります。これは、企業価値研究会の存在なんです。 確かに、我が国の資本市場というようなものはまだ未成熟な部分がある。しかし、一方で事後的なチェックをメーンにした社会づくりをしよう、あるいはそういう経済環境をつくろうと、こういう方向で走り始まっておるんですけれども、必要に迫られた結果、企業価値研究会がある意味で証券市場を先にリードをするような形で様々なガイドラインを作り、それを証券市場が下請的に受けていくという形になると、この部分では正に官僚主導の市場ルールを作る形になっちゃうんじゃないのかな。これ、歴史に逆行するといいますか、目的としている部分が、何というか、前に戻っちゃうような感じがするんですが、その点について企業価値研究会の所管庁でございます経済産業省の御見解を伺っておきたい。 それからもう一つ、企業価値研究会、実は経済産業省なんですけれども、経済産業省が本来は金融庁がやるべき証券市場のルール作りにある意味で出張ってきているわけですよ。ところが、金融庁は、どうも衆議院等の答弁では若干後ろ向きのようなそういう答弁もある。私は、そういう意味では官僚主導型社会へ逆戻りをする、そういうマイナス点が一つ指摘されれば、もう一つとして、さらに所管も非常に不分明になってくる。本来は金融庁がやるべきことを経済産業省がやるという所管の混乱というようなものが起きている。こういう点でもまたマイナスの二番手が出ているような感じなんですよ。 だから、金融庁についてはこの点についての御見解を伺わせていただきまして、質問といたします。 まず、順番で言えば、金融庁、それから経済産業省、金融庁と、こういうふうな形が答弁として分かりやすいと思います。まず、何ですか、上場基準について。
○政府参考人(振角秀行君) それではお答えさせていただきたいと思います。 金融庁からまずお答えいたしますけれども、まず上場基準に関してだと思いますけれども、上場基準については、これは基本的には市場開設者としての東証当路が自発的に決めるということになっておりますけれども、今議論がありましたように、米国におきましては社外取締役について非常に厳しい基準を作っているということを承知しておりまして、我々としましては、そういう証券市場の枠組みを規定しております証券取引法について、現在、全般的な見直しを金融審議会でやっておりまして、まさしく先日行いました審議会におきましてはそういう証券取引所、ニューヨークにおきましてはそういう規則があるということを紹介しまして、それを踏まえて今後どうするかということについて今議論しているところでございます。 それが最初のお答えでございます。
○政府参考人(舟木隆君) 経済産業省からお答え申し上げます。 先生の御指摘で、経済産業省が証券市場のルールに介入しているんじゃないかという御指摘でございましたが、私ども企業価値研究会を設置いたしまして検討を始めましたのは、経済産業省としまして産業政策を所管しているわけでございまして、我が国産業のやはり競争力強化、これが非常に必要であるというふうに考えておりまして、その中で企業再編というものが非常に重要であるというふうに考えているところでございます。 一方で、我が国におきまして、いわゆる敵対的買収、経営陣が賛成しないような形で行われる買収というふうに定義をしておりますが、この敵対的買収の事例の蓄積も非常に少なくて、敵対的買収に関しまして、強圧的な買収や経営者の保身を目的としたような過剰な防衛、それからまた逆に過小防衛、そういうものによって企業価値を損なってしまって産業の競争力を非常に弱めてしまうと、こういうおそれがあるんではないかというふうに考えているところでございます。 このために、早急に公正な防衛策に関しまして考え方を確立することが日本の企業社会、産業社会、産業にとりまして重要な課題ではないかというふうに考えまして、こういった企業価値研究会の検討を行ってきたような次第でございます。
○政府参考人(振角秀行君) 引き続き答えさせていただきたいと思います。 企業価値研究会につきましては、今経産省の方からお話がありましたけれども、我々としましても、証券取引法を所管しているという観点から、この研究会の検討内容を含め、経産省とあるいは法務省と十分連携を取りつつ検討を行っているところでございます。 具体的には、敵対的な買収に対する防衛策につきまして四月下旬ぐらいから各会社において検討が進んでいるという状況を踏まえまして、東証は先ほど言いましたように市場開設者としてそういう動きに対してきちっと対応する必要があるという判断から、企業価値研究会における論点公表が四月二十二日だったわけですけれども、その前の二十一日に「留意事項」というのを市場開設者として自主的に判断しまして世の中に公表しまして、先ほど来ちょっと議論ありましたけれども、デッドハンド型の黄金株等については、投資者保護上問題があるということ等何点かについて具体的に、自主的に公表したところでございます。
○簗瀬進君 終わります。
○委員長(渡辺孝男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時十三分休憩 ─────・───── 午後一時十一分開会
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉です。 今回は、法務委員会で初めての質疑になります。委員の皆様、そして政府代表の皆様、是非ともよろしくお願いします。 今回の会社法の改正は、既に午前中に審議でも明らかになりましたように、六十年ぶりの大改正、そしてボリュームとしましても千条に上るということで、非常に大きな改正作業です。また、国民生活にとって多大な影響があるということで、私は極めて重要な法案改正だと考えております。 先日発表されました高額納税者の多くがITや健康食品の会社の創業者、MアンドAによる会社の売却者、あるいは株式投資等の金融関連の仕事をされている方ということで、極めて会社と深い関係があると。このことは、現代社会におきまして会社というのは極めて重要であると。そのことは、すなわち今回の会社法改正がどういった意味があるかということが的確に分かると思っております。 また、ライブドアとフジテレビのニッポン放送をめぐるMアンドA合戦により、TOB、LBO、ポイズンピル等の金融専門用語がメディアでお茶の間まで届けられました。昔、私の娘が幼稚園のとき、パパ、どういう仕事をしているかということで、金融ということで非常に説明に窮した経験があります。今回は、MアンドAとかをアドバイスをしているということで、していたということで、非常に簡単になったかと思っております。 そこで、今回の会社法改正案に関しまして所見を申し上げますと、会社法の現代化、すなわち高度情報化社会、そして国際化への対応、資金調達の多様化、会社の機動性、柔軟性確保等、多くの評価すべき点が見受けられます。 今回の改正で有限会社が株式会社に統合され、会社の設立、成長、株式公開、そして企業グループの形成等、企業の成長過程に一貫して会社法が適用されます。メリットとしては先ほど述べましたとおりでございますが、デメリットあるいは発生し得る問題は何であるか、南野法務大臣と金融庁の皆様に所見をお聞かせください。 特に、一円起業と時価総額十四兆円のトヨタ等の公開大会社を同一に会社法で規制することが果たして正しいのか、こういったことに関しても御答弁お願いします。
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案では、資本金の大小や株式の譲渡制限の有無を問わず、すべての株式会社に対する規制を設けておりますけれども、これらの会社に適用される法律が全く同一ではございません。 会社法案では、株式会社について、株式の譲渡制限がされているか否かという点と、会社の規模という二つの観点から、四つに区分して、公開会社や大会社について一定程度以上の厳格な会社機関の採用を義務付けております。 また、大会社につきましては、コンプライアンス確保の観点から、取締役の職務の執行が法令や定款に適合することなどの会社の業務の適正を確保するための体制の整備を義務付けております。 したがいまして、同じ会社法でありましても、会社の規模や性質に応じ適用される規律を適切に調整しているため、基本的に不都合が生じることはないものと考えております。
○大久保勉君 金融庁、お願いします。
○政府参考人(振角秀行君) 金融庁は証券取引法を所管しておりまして、証券市場におきまして適正な投資家保護を図る観点から適切に現在執行しておるというふうに考えておりますし、昨今の証券市場をめぐるいろんな情勢の変化を踏まえまして、更に改正すべき点がないかどうかにつきましては、現在、金融審で議論をしておるというところでございます。
○大久保勉君 この点に関しまして、ある有識者の見解としましては、複雑かつ社会的に多大な影響を与える公開大会社に関しましては、別途、公開大会社法というものを作った方がいいんじゃないかと、こういった指摘もございます。 先ほど、午前中の答弁で、会社法改正は部品を提供すると。その部品をだれが使うかといいましたら、会社の経営者です。この会社の経営者、こちらを的確に株主の利益のために取り締まると、こういったことが必要じゃないかという考え方もありまして、このことは今回の会社法だけでは不十分じゃないかという意見がございます。この点に関して、南野大臣、お願いします。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、先ほどの大臣から申し上げたこともその一部でございますけども、今回の会社法については、特に株式会社において非常に小さい会社から非常に大きい会社まで多くをカバーする、その中で様々な機関設定というものを会社自身の手で選んでいけるということにしているわけでございます。 これは、委員も正に冒頭で御指摘になられましたように、今日の会社においては、かつてのような小さい会社は小さいままでずっとやっていくだろうと、大きい会社はもう大きい会社の規範ということをワンパターンで決めて、それをすべて守っていただくということから一歩も二歩も脱却いたしまして、小さい会社も非常に大きな仕事をやり得る、あるいはどんどん成長していく過程でいろいろな機関構成というのの変更をしながら大きくなっていく、そういういろいろな形態というものを念頭に置いて、当事者の側で自らどういう律し方というのが自分の会社にとってより良いのかということを選択して、その範囲内での規律に服していただく、こういう発想にいたしているわけでございます。 確かに、公開会社には公開会社特有の問題というのがございます。当然のことながら、株主がいろんな方がおいでになり得るわけでありまして、とりわけ上場会社のような不特定の方がどなたでも株主になり得るということについては、それは当然そういうなりの規律というのが別途考えられてしかるべきであり、現にそういうものもあるわけであります。そういうものは、まあ言ってみれば会社法の中で完全な形で障壁を設けて区切りをするのではなく、それぞれについて言わば付加的にルールを加えていく、それで全体としての規律が成り立っていくと、こういう構想にいたしているわけでございますので、その点について御理解をいただきたいところでございます。
○大久保勉君 状況は分かりました。こちらに関しましては、一言重要な言葉としまして、会社がどういう形態かを選んでいくと、そういう自由度はありますが、じゃその会社はだれが経営するのか。株主でしょうか、それとも経営者でしょうか。 簗瀬委員が指摘されましたように、株主総会が形骸化しているという状況で、社長を取り締まる機関がないということでしたら、何でもありと。株主の立場よりも自分たちの利益のために会社を経営する人がいるという実態もあり得ると思います。この点に関しまして別の項目でもう少し詳しく質問させてもらいたいと思います。 続きまして、株式会社のほとんどの会社は非公開の中小企業ないしは零細企業です。政府は、これらの中小零細企業に対しまして無担保無保証の融資を伸ばしたいということでございます。私もこの政策に対して大歓迎でございますし、こちらに出席の委員の皆様全員が是非ともやっていこうと、日本経済を元気にしていこうと、こういうことじゃないかと思います。 ところが、具体的に一つ一つ問題を明らかにしていくためには、じゃどのようにしたら無担保無保証の融資が伸びていくのか、そのための必要条件は何か、このことが重要です。私は、会社の信用に対して融資するためには会社の計算諸表が、いわゆる財務諸表が本当に正しいということが担保されない限りは無担保融資というのは伸びないと思います。 そこで、質問でございますが、政府におかれましては、この財務諸表の正確性を担保するためにどのような政策を考えているのか。一つは、今回の会計制度改革のように、公認会計士、税理士が会計に、会社に参画すると、こういう制度を導入した、これは非常にいい制度だと思います。それ以外にどういう制度があるのか、中小企業庁にお伺いします。
○政府参考人(鈴木正徳君) ただいま委員が御指摘ございましたように、中小企業が担保や保証に過度に依存せずに資金調達を行う、これは非常に重要なことでございます。そのためには財務諸表の質の向上が重要であるということはもう御指摘のとおりでございます。 私どもも、こうした観点から、平成十四年六月でございますけれども、中小企業の会計を取りまとめまして、商工会議所、商工会、また日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、この方々と協力いたしましてその普及を行ってきているところでございます。 さらに、この中小企業の会計につきまして様々な解釈があるということでございまして、今回のこの会計参与制度が創設されたということも見据えまして、この中小企業における会計の在り方を統一的な指針として取りまとめるべく、日本税理士会、公認会計士協会、日本商工会議所、また企業会計基準委員会の民間四団体の発意によりましてこの中小企業の会計の統合に向けた検討委員会が行われておりまして、私どももその策定及びその普及を強力にサポートしていきたいと考えております。 また、個別の具体例でございますけれども、例えば中小企業支援センターにおきまして相談窓口を設置いたしまして、中小企業診断士、また税理士、弁護士の方々の専門家に来ていただきまして様々の御相談に応じていることとか、また専門家派遣等も行っておりまして、できるだけこの中小企業の会計といいますか、財務諸表の質の向上を、取り組みやすい環境をつくりたいということで努めているところでございます。
○大久保勉君 政府におかれましてもかなり努力されているという実態が分かりました。是非頑張ってください。 今回の会計参与制度では任意になっておりまして、通常の中小企業、特に零細企業に関しましては、技術力はありますと、ところが財務に関してはほとんど社長さんは時間もないし、また余り詳しくないと、こういう場合に税理士、会計士等がかなり大きな役割を果たしているというのが実態じゃないかと思います。 ところが、零細企業におきましては、そのための費用というのがなかなか捻出できないと、ですから正確な財務諸表を作っていないと、ですから無担保融資もなかなか調達できないと、こういう悪循環になっているんじゃないかと思います。 そのために、政策としまして、じゃ、こういった中小企業支援策としましては、税理士の費用若しくは公認会計士の費用を国若しくは地方が一部負担する、もちろん的確な要件が必要ですけれども、こういった政策というのは可能なんでしょうか。若しくは、難しいんでしたら、どういう理由で難しいか、教えてください。
○政府参考人(鈴木正徳君) ただいまの委員御指摘のとおり、中小の零細企業の方々は、財務諸表の質を向上させるためにはやはり税理士さん、また公認会計士さん、また場合によりましては弁護士さんとの相談が必要になろうかと考えております。 先ほど少し申し上げましたけれども、中小企業総合支援センターに実は相談窓口を置きまして、この支援センターは各県また各地域にございますけれども、そこに中小企業診断士、税理士の方、また公認会計士の方々の専門家によります相談窓口を設置させていただきまして、まずはそこで相談に乗らせていただいているところでございます。 あわせまして、是非こういう専門家を派遣してほしいという企業から御要望がございました場合には、この支援センターに登録をしていただいています税理士さん、公認会計士さん、弁護士さんを派遣いたしまして、その際費用の三分の二を補助をするという制度を設けているところでございます。
○大久保勉君 じゃ、続きまして、次の質問に参ります。 今回の会社法改正は、冒頭に述べましたように、膨大な改正です。短期間でこれらのことを審議することは非常に困難であり、また政府におかれましても調整作業に膨大な時間が掛かった、場合によっては調整し切れていないと、法案の欠陥がある部分もあるんじゃないかと思います。 その一例として、会社法八百二十一条の擬似外国会社の部分です。まず、法務省の方で条文をお読みください。八百二十一条です。一項、二項、両方です。
○政府参考人(寺田逸郎君) 擬似外国会社についての規定でございます。八百二十一条、「日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続してすることができない。」。二、「前項の規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。」。 以上でございます。
○大久保勉君 ありがとうございます。 じゃ、この件に関しまして金融庁に確認します。今回、擬似外国会社とみなされる金融機関は何社ほどあるのでしょうか。 私の方でいろいろ調べましたら、外資系証券会社及び保険会社で相当数の数があるということが判明しました。じゃ、お願いします。
○政府参考人(鈴木勝康君) 擬似外国会社とみなされる銀行、証券、保険会社、どのくらいあるかというお尋ねでございますが、銀行及び保険会社につきましては、現段階で擬似外国会社とみなされる会社はないものと承知しております。 ただ、御指摘のように、証券会社でございますが、これにつきましては、現在、支店形態で日本に進出してきているものが四十社ありますけれども、そのうち現段階において外国における営業実態がほとんどないなど、日本において事業を営むことを主たる目的とする外国会社であると考えられる会社は三十社余りであるというふうに認識しております。
○大久保勉君 実は私も別途調べまして、国際銀行協会、つまり外資系の銀行、証券及び保険会社の団体に問い合わせをしました。そちらの調査でしたら外資系証券の三十九社、いわゆる大手のほとんど、保険会社は四社ほどあるということなんです。 ということは、今回の法律案が通りましたらこういった会社というのはすべて撤退する、日本では営業できないということでしょうか。金融庁、お願いします。
○政府参考人(鈴木勝康君) 現在、今般この御審議されています会社法の先ほど読み上げていただきました第八百二十一条におきましては、外国証券会社を含む擬似外国会社、これは法の施行日以降は今の形態では日本において取引を継続してすることができない旨規定されているというふうに承知、認識しておるわけでございます。
○大久保勉君 法の施行期に関して、これはいつからでしょうか。法案成立後何か月以内、またこれに関しましてグランドファーザーするとか、若しくは延長する、これを法律の改正なく省令ですることはありますか。
○政府参考人(寺田逸郎君) この法律の施行でございますが、合併対価の柔軟化に関連いたしまして、一部例外はございますけれども、原則としては、この法律が公布された日から一年半以内に政令で定める日という規定がございまして、その一年半の下でございましたら政令で施行日をそれぞれ異にすることはできますが、最大が一年半ということになるわけでございます。
○大久保勉君 じゃ、その場合に、いわゆる市場への影響はどういうものがあるでしょうか。具体的には、こういった外資系の証券会社が東証でどの程度のシェアがあるか、若しくは国債の売買に対してどの程度のシェアがあるか。場合によりましては、こういったところが一斉に撤退しましたら、日本の金融市場が崩壊するということになりますので、こういった点に関して御質問いたします。金融庁、お願いします。
○政府参考人(鈴木勝康君) 委員御指摘のように、いろいろな影響が考えられると思いますけれども、一般論として申し上げますと、こういった形態をどういうふうに変化して対応させるかということにつきまして、各外国証券会社においてはそういった形態の変更によって対応することが考えられるわけでございます。 私どもとしましても、そういった法改正の会社法の施行以降取引を継続してできなくなることとされているわけですけれども、今おっしゃったような同制度のこういった施行による影響、これにつきましての対応に関しましては、引き続きその関係者と協議して、円滑な施行に努めてまいりたいと考えております。
○大久保勉君 答弁してもらいましたけど、非常に認識が甘いんじゃないかと思います。 こちらで調べましたら、東証における外国証券会社の売買代金シェアは三一・九%であります。ですから、これが一年半後にはなくなると、若しくはそれ前に新しく日本で株式会社をつくんないといけないと、事実上それが不可能じゃないかと。多大なマーケットに影響があります。 さらに、じゃこういった事態に関しまして、これまでの金融庁の金融行政との矛盾はないのか。これまで外証法というのがありましたから、海外に本店があると、香港若しくはケイマン、で、東京支店でオペレーションをすると。ちゃんとした持込み資本がありましたら、金融庁は証券会社としての取引を認めておりました。これがすべて変わってしまうと。大きな変革です。 このことに関して諸外国の日本の評価はどうなのか。特に今後、日本の金融市場といいますのはシンガポール市場と競争する、香港市場と競争する、その中で日本市場を活性化しないと日本のGNPは伸びないと、こういう状況にかんがみまして、この点を金融庁のできましたら副大臣、若しくは政務次官の答弁、政治家としましてどういうふうに決断すべきかということを是非とも聞きたいと思います。大きな影響です、これは。今各国の大使館辺りもこの問題を認識しておりまして、大きな問題になりつつあります。政治家として是非答弁してください。
○副大臣(七条明君) 今、日本の市場をこれからどう考えるかというときに、今度の法案が成立することによってどうなるかという影響も含めて今先生の方からお話があったものではないかと思いますし、外資をこれからどんどん日本の場合入れた方がいいという方もおられると思いますし、いや、外資は困るんだと、日本の今までの伝統の中において外資を入れるのは危険だという、いろいろ論議があると思いますが、私は、それなりに外資が入ってくることに対しては受け入れるべきだと。がしかし、それを特別なところでまた特別に外資を受け入れていいですよというようなことをするんではなくして、本来は市場の中でそれが判断していくものではなければならないと、こういうふうに考えるところでございます。 しかしながら、先ほど申し上げたように、金融庁から申し上げるべきことの中には、繰り返しになるかもしれませんけれども、擬似外国会社については改正会社施行業の、等々の取引を継続していくこととなることから、同制度の施行には、影響について引き続き関係者と協議をすると、協議をしていかなければならないと、こういうふうに思っているところでございます。
○大久保勉君 ちょっとはっきり分からなかったんですけれども、むしろ私が期待しておりましたのは、副大臣として、政治家としまして、法案修正をした方が日本国の信頼のために必要じゃないかということなんです。今回は、市場が判断しろとおっしゃいましたけど、市場が判断したんじゃないでしょう。 つまり、法案改正でこれまで三〇%以上のシェアを持った外資系の証券会社が日本でオペレーションをできないという状況ですから、市場が決めたんじゃなくて政治が決めたんです。ここに対して、大臣として日本の金融政策をどう考えるか、このことを是非とも決断してもらいたいんです。 一言言います。 例えば、小泉首相は二〇〇三年一月の施政方針演説で、五年後に日本への投資残高、現在は六兆六千億、この倍増を目指すということなんです。つまり、二〇〇三年の五年後というのは二〇〇八年です。じゃ、これから一年半後にこういう大きな変化がありましたら、果たして日本への対日投資が増えますか。日本はこういう国だ、つまり今までの行政が急遽変わってしまうと、こういう国なんでしょうか。 大臣の決断、副大臣の決断若しくは意見を是非ともおっしゃってください。
○副大臣(七条明君) 繰り返しの答弁になるかもしれませんけれども、我々も引き続き関係者と協議をしていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
○大久保勉君 関係者と協議するということは、つまり会社法という法の枠は改正しないということでしたら、どうやって話し合って解決できるんですか。じゃ、政省令で落とすといいましたら、一方で、会社法ではできないと言っているのに、できますとするんですか。そうしましたら、この国会の議論というのは余りにも軽視しているんじゃないかと思います。 是非とも、このことに関してもう一度質問します。
○副大臣(七条明君) 今、先ほども少し答弁させていただいたとおりでございますし、市場というものを一つの考え方の中で、外資を別に入れないということじゃなく、あるいはそれを特別にということではないということを申し上げたところでございますけれども、引き続き関係者と協議をしてまいりたいと、こういうことでございます。
○大久保勉君 じゃ、別の観点から質問をします。 じゃ、法務省に確認します。どうして八百二十一条の改正が必要であったか。特に学説等に関しまして、学説等も含めまして説明してください。 もしその必要がなかったら、修正しなかったら、修正といいますか、今回の改正をしなかったらいいと思いますけれども、あえてしないといけない理由はあるんでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) 実は、これまでも擬似外国会社の規定は商法中にあったわけでございます。ただ、その規定は、擬似外国会社は日本の会社と同一の規定に従うという規定になっておりました。 この規定の解釈をめぐりまして、これは明治時代にできた規定でございますけれども、これはそもそも、本来は日本で設立すべき会社をあえて外国で設立して、専ら日本での活動しか予定をしていない、にもかかわらず、それが外国会社だということで日本の商法の規定をすべて潜脱できると、これはおかしいんではないかと、こういう趣旨の規定でございましたけれども、ただ、効果が甚だ分かりにくいところでありまして、同一の規定に従うということの解釈として、いや、それは法人格を否認されるのだと、つまり全部個人責任と同じ結果になるという考え方と、設立についての規定には従わないけれども、あとは全部日本の会社法の規定に従っていただくという解釈と、両方あり得たわけであります。 これは、仮に会社の法人格が否認されるということになりますと、これは法律関係は甚だ不安定でございますし、そのこと自体がまた解釈で決まっているということが甚だよく分からない状況というのをもたらしてしまうわけであります。 もう一つ、そもそも設立以外の部分の会社法、商法会社編の規定が適用になるというのは、設立のところは日本の商法は適用されないで、例えば資本金についての規定をかぶらないけれども、後ろの方の規定をかぶるというのは甚だどういう法律関係になるのかよく分からぬ、具体的に考えるとよく分からない部分があります。 そこで、今回この見直しをするに当たりまして、この外国会社の規律はやはり現在のままでは維持できないだろうということで認識は一致いたしまして、ただ、どういう規定にするかということでございますが、結局のところ法人格を否定するのと同様の考え方には立ちまして、つまり取引の相手方であります日本で取引をされる方の保護は必要だろうということで、現在の、先ほど読み上げましたものの二項にありますように、同一の責任を負うということと同じように、結局のところ、その行為をなさる個人の方が責任を負っていただいて、これによって債権者、つまり取引の相手方は保護されると、こういうことが適当ではないかとなったわけでございます。 先ほどこの規定に、先ほど来ですね、この規定によって証券会社の中で外国で設立されたものはどうなるかということでございますが、また私どもは、基本的にこの外国会社については、本来、外国会社の規定に従っていただくのも一つ。これは現在の商法もこれからの商法もそうでございますが、日本において代表者を定めていただいて日本で登記をしていただくというやり方が一つあるわけであります。そうでないものについては日本で設立していただくというのが本来の筋でありまして、もし仮に今後何らかの……
○大久保勉君 端的にお願いします。
○政府参考人(寺田逸郎君) 特別の規律というのが必要であるということになりましたら、いろいろ協議された上で何らかの措置をおとりになるというのが今の御答弁の趣旨だというふうに私どもは理解をいたしております。
○大久保勉君 これ、分かったような分からないような。 ということは、じゃ、現段階ではまだ法改正ができていませんから、今三十九社の外資系証券会社というのは法人格はないんですか。じゃ、そこに対して日本国政府が国債を引受けをすると言いましたら、恐らく外資系の社長さん個人と取引をしているということになりますから、日本国政府は個人の信頼で例えば百億円、二百億円の国債の売買ができるんですか。これは同じことが日本銀行にも言えます。若しくは日本の金融システムの問題になりますから、極めて重要な問題だと思います。この辺りは是非整理すべき問題だと思いますから、やはりもう一度この法案に関しましては再審議するような大きなものだと思います。このことを申し上げまして、この部分に関します私の質問は終わります。 続きまして、先ほど私の方で公開会社法が必要だと言った観点に関しまして質問します。 午前中の政府参考人の答弁にもありましたように、様々な部品を今回会社法改正で提供します。ところが、その部品をどのように使うかはすべて社長さんに一任と、こういう状況かと思います。また、簗瀬委員の指摘のとおり、現在株主総会が果たして機能しているのか、こういった指摘がございました。実際に、安定株主三〇%以上の会社が八割を超えているという現状におきましては株主総会が形骸していると。ということは、定款の改定は比較的簡単にでき、定款を変えてしまいましたら社長さんが自由に部品を使うことができる。果たしてこういう状況でいいのでしょうかというのが私の質問点です。 一つのアイデアとしましては、やはり自由化するんでしたら、株式会社の本来の所有者、株主の権利を守るために規制も必要でしょうと、このバランスが必要じゃないかと思います。そのためには、商法で規定されます委員会等設置会社を義務付ける、こういったことに関しまして法務省はどういうふうにお考えか、質問いたします。
○政府参考人(寺田逸郎君) まず、様々な会社において組織をどうつくり上げるかということは、原則自由だと申しましたけれども、これはもちろん完全に自由ではありませんで、当然のことながら一定の制約はございます。 基本的には、株式譲渡制限がある中小会社、これはどのような組織形態をお取りになっても基本的にはいいという仕切りにいたしておりますけれども、公開会社、公開会社については必ず取締役会という言わば監督をする機関というのを設けなければいけないという扱いにいたしております。これについては、当然のことながら、多数の目が執行を行う取締役に対して向けられるわけであります。他方、大会社、これは資本金五億円あるいは負債二百億円という基準がございますけれども、それについては、基本的に会計監査人という外部の会計監査を置かなければいけないという制約がございます。 そういう制約、幾つかの制約の枠内で自由にやっていただくわけで、全くどういう会社、小さな会社も、そこら辺で私どもがしょっちゅう目にするような大会社、上場会社も全く同じ規制の下に置かれているというわけではないということはまず御理解をいただきたいところであります。 次に、おっしゃるとおり、公開の大会社をとってみますと、確かに外部取締役、外部監査役というようなものに対する義務付けが必要ではないかという声、御意見はこのところもあるわけでございます。現行法でも、委員会設置会社以外の公開会社には監査役が三名以上で構成された上で社外監査役がその半数を占めなきゃいけないという規定がありまして、当然のことながら一定の義務付けがあるわけでございます。 また、社外取締役というものも委員会設置会社において置かれており、その要件というのも平成十三年に厳格化されているというようなことで、徐々に委員の御指摘のような方向に向かっているということは確かでございますが、この今の社外監査役についての改正、あるいは今の私が申し上げました社外取締役についての改正はいずれも平成十三年の改正でございまして、社外取締役についていえば、平成十四年の五月の一日に施行されたばかりでございまして、まだその実績について、これを見通すだけの材料は私どもはないという判断でおります。 社外取締役が必ずしも、どういう方が適当かということを考えた場合に、その層が我が国ではまだ厚くないという事情を指摘される経済界の方もおいでになりますので、現在はもう少しこのままにいたしまして、要件を見るということで当面は対処させていただきたいということでこの会社法案は提出をさせていただいているところでございます。 次に、委員会設置会社を大会社に対して、全部の会社に義務付けるべきではないかと、委員会設置を義務付けるべきではないかという御指摘もございました。 これも、平成十三年に委員会等設置会社ができました際に、委員会等設置会社についてある種のメリットが当然のことながらある。外部の目がより届きやすい部分もある、執行を行います執行役についての責任分担がより明確になる部分もあると。そういうメリットはあるわけでございますけれども、他方、しかし多くの企業においてはこの監査役というものについての有用性をなおお認めになるところもあるわけでございまして、そういう状況の下において、一方的に委員会等設置会社でなければならないという義務付けを行うのはいかがかということで選択肢の形にしたわけでございまして、言わば制度間競争が起こることを私どもといたしましても一つのあり得べき形だという判断で当時いたわけでございます。その状況は現在も変わってないというふうに私どもは理解をいたしているところでございます。
○大久保勉君 先ほど、制度間競争が行われると。つまり、民間の会社で委員会等設置会社がいいのか、監査役設置株式会社がいいのか、自由にやりましょうと。 そこで質問です。だれがそれを選ぶんですか。これは会社の社長さんでしょうか。場合によっては、株主総会がありますから株主が選びますと、こういう意見もありますけれども、実態問題として三〇%以上の安定株主を持っている会社が八割という現状で、果たして株主総会でそういうことができるんでしょうか。現実問題は会社の社長さんが選ぶと。そしたら、自分たちにとってどっちがいいかと。それは余り監視がきつくない制度がいいと、こういうふうになって、つまり株主にとって悪いものがどんどん残っていると、悪貨が良貨を駆逐すると、こういう状況にならないのか、これに関して御質問します。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは定款によってお定めになることでございますので、基本的には株主がお決めになることであります。 ただ、おっしゃるとおり、それをお決めになる際に果たして十分株主総会における議論ができるか、それだけ株主に実権があるかということは、これは現実の問題でありますので、なかなか難しいところが全くないわけではない。そこのところは私どももそのとおりだとは思います。 ただ、制度間競争と申しましたのは、もう一つ、結局のところ会社のパフォーマンスがそれによって良くなるか悪くなるかという問題があるわけでありまして、その会社のパフォーマンスが悪くなった場合は、それは当然株価という形で潜在的株主を含めたマーケットからいったん評価を受けるわけであります。 そういう意味で、必ずしも社長さんだけが一方的に決められるというものではないというように私は理解をいたしております。
○大久保勉君 分かりました。 続きまして、二つの観点があります。 一つは、じゃ、監査役設置会社でもいいでしょうと。その場合に、一つの方法としましては、個別取締役ごとの報酬を明らかにさせると。少なくとも会長、社長、副社長の上席取締役に関しましては一人一人幾ら報酬をもらったかを開示しなさいと、こういう制度を導入するということはいかがなんでしょうか。 今回の改正に関しては自由化しましたと。経営陣を自由化するんでしたら、それに対してある程度規制も必要です。規制の観点から御質問します。
○政府参考人(寺田逸郎君) まず、一般論として、一方的に自由化するばかりじゃなく、規制が必要だというのはおっしゃるとおりであります。 この取締役の報酬についても、どういう仕組みになっているかと申しますと、定款に報酬の定めがあるか、あるいは定款に報酬の定めがない場合に株主総会の決議ということで決まるわけでありまして、これはもう全くお手盛り防止の観点からこういうことになっているわけでございます。ただ、総額を開示するということは施行規則、省令で求められておりますものの、個別の額を開示するということまでは義務付けられておりません。また、営業報告書等においても支給した個別額を開示するということを現在は要求をいたしておりません。 他方、委員会等設置会社においては社外取締役の過半数で構成される報酬委員会、これは正にそのためにつくりました仕組みでございますが、これが個人別の報酬の内容を決定するということに特例法上なっておりまして、これは、この場合にはこの個人別の報酬の内容に関する方針が定まって、これが営業報告書に記載されているわけでございますけれども、これも個別額において開示をするという仕組みにはなっておりません。会社法においてもこれらの現行法の規定というのはそのまま引き継いできているわけでございます。 ただ、御指摘のとおり、公開会社においてはできるだけ開示をして、その企業の評価というのを外部からの評価にさらした上で行うということが一つの流れになっておりまして、私どももそれを非常に望ましいことであろうと考えております。 現段階では、それぞれがどういう外部に対する開示方針をお取りになるということ自体が会社に対する評価として跳ね返ってくるということで、自主的にそういう方向に行かれるべき企業は行かれるんではないかということで考えてはおりますけれども、しかし、これは今後また大いに御議論のあるところでしょうから、社会情勢等を十分に注視いたしまして、必要があればこの点についても更に一歩進めた措置をとるということももちろん検討に値しないわけではないと、このように考えております。
○大久保勉君 前向きな発言ありがとうございました。 続きまして、今回、会社法改正で書面決議が可能になりました。ここに関しまして、私自身も会社経営に対しまして非常に機動性を高めるという点でいい面もあると思っております。しかしながら、公開大企業に関しましては果たしてこれでいいのかという疑問もあります。 具体的には、大企業、例えばトヨタみたいな大企業を取締役会をせずにして複雑な業務内容が説明できるのか。実際に取締役が集まりましていろんな観点から議論しない限りは複雑な問題が解決しないんじゃないかと思います。特に、株式の譲渡制限が撤廃されておりますから、会社の本当の所有者といいますのは株主と、株主を守るためにある程度公開したところで社長に対するいろんな制御、チェックが必要じゃないかと思っています。果たして公開大企業におきまして書面決議でこういったチェック機能が十分であるか、このことに関して法務省及び金融庁の見解を聞かせてください。
○副大臣(七条明君) じゃ、先に金融庁の方からお話を申し上げさせていただきますが、今回の改正法案に定める書面決議制度は、書面決議ができる旨を改めて定款に定めるところとしており、あるいは取締役全員が同意をするということを要件としておる関係もありまして、ガバナンスに配慮したものではないかと、こう承知をしているところでございます。 上場企業について取締役会、取締役による経営監視を更に強化をする観点から、証券取引所規則により書面制度、今先生が御指摘の点でございますけれども、この点につきましては証券取引所が判断するべきものではないかというふうに考えているところでございますが、金融庁としては、証券取引所と連携をしながら、必要に応じて投資者保護上に対応してまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
○副大臣(滝実君) 今、七条副大臣が基本的な考え方を申されました。私もそのように思っております。要するに、無条件に書面決議を認めているわけではございませんで、それなりの制約の下に書面決議を、議決を認めているというのが今回の趣旨でございます。 それからもう一つ、やっぱり実際問題として考えておりますのは、取締役会というのは過半数の出席で取締役会が成立するわけでございます。したがって、十五人の取締役会であれば、八人出席すればそれで取締役会が成立しちゃうと、七人欠席してもいいと、こういうことですよね。そうするとどういうことになるかというと、例えば社外取締役なんかを入れている場合にはなかなか日程が合わないとか、そういうような問題がありますとどうしても欠席がちになるおそれもある。そういう中ではやっぱり書面決議というもの、議決というものも認めるだけの意味があるんだろうというのが実際上の問題だろうというふうに思っております。
○大久保勉君 分かりました。是非とも金融庁の考え方、是非とも、支持しておりますので、前向きに検討をお願いします。 時間もありませんので、続きまして合併対価の柔軟化に関する質問をいたします。 いわゆる三角合併がこの法案の施行後一年後に解禁されることになろうかと思います。その場合に、具体的に、外国資本が日本企業を買収する、若しくは日本企業が外国企業を買収する、いろんなことがあり得ると思いますけれども、具体的にどのくらいの件数で、また国内企業にどの程度の影響があるのか、非常に予想は難しいかもしれませんが、もし分析がございましたら答弁をお願いします。これは経済産業省、お願いします。
○政府参考人(桑山信也君) お答え申し上げます。 今先生御指摘のとおり、具体的に今回の法案にございます三角合併等の合併対価の柔軟化によりましてどれぐらいの対日投資が増えるかというのを数字で表すというのは、なかなかいろんな要素がございまして難しゅうございます。 先ほど先生の御指摘にございましたように、小泉総理が二〇〇三年の一月に対日直接投資の倍増をしようということで、二〇〇一年末現在六・六兆円だったものを十三・二兆円に増やそうという計画で今進めておりまして、今現在、二〇〇三年末現在で九・六兆円という残高のところまで増えてきているわけでございます。これはもちろん、いろいろな経済情勢、日本の景気ですとかいろんなことが影響はしておりますけれども、今内閣では総理を議長とする対日投資会議で一生懸命対日投資促進プログラムというものを作りまして促進を努めておりますので、そういう成果の一つの表れかとは思います。 今回、今御質問の合併対価の柔軟化、この法案で実施をされますと、これも外国企業にとってもより活動しやすい経済環境が整備されるということになりますので、先ほど申しました対日投資促進プログラムでもその重要な項目の一つとして盛り込んできた、それで、法務省の方に盛り込んでいただいているというところでございます。 経済産業省といたしましても、こういう制度の環境整備というものをうまくまた活用いたしまして、できる限り我が国の経済の活性化に図ってまいりたいというふうに思っております。
○大久保勉君 今、経済産業省の非常に積極的な対策に関しまして、是非とも頑張ってやってもらいたいと思っております。 ところが、全省庁がそうであるか、若しくは問題がないか、この点を検証しました。一部、税法の部分が後れているんじゃないかという指摘、多くの関係者によって指摘されております。 具体的には、外国企業が三角合併を使いまして日本企業を買収した場合に、以前の日本企業の株主は新たに外国企業の株主になります。その場合に、キャピタルゲイン課税をするかしないか、こういった問題が非常に重要な問題になっています。もしキャピタルゲイン課税をしましたら、そもそも三角合併自身が成立しないんじゃないかと、こういうおそれがございまして、この点に関して経済産業省はどう思うか、まず答弁をお願いします。
○政府参考人(桑山信也君) お答え申し上げます。 今御指摘の合併対価の柔軟化に係りまして、税制上の論点が、御指摘のような論点があるということは私どもも重々認識をいたしております。この制度が実際に活用されるに当たりまして、非常に大きな論点だろうと思っております。 したがいまして、この法案におきますこの規定が施行されるまでの間に、課税の公平とか適正化、あるいは租税回避の防止というような観点も含めて十分検討させていただきまして、是非、この論点についてどう考えるかということを前向きに検討してまいりたいと思っております。
○大久保勉君 どう考えるかということですけれども、実際に法律が施行されまして一年後までにこの問題が解決されない限りは実際に三角合併は起こりませんから、是非とも判断してもらいたいと思います。 ここは財務省がこの分野に関して管轄されておりますから、現在どういう問題があるか、このことに関して質問します。 具体的には、昨年の五月に対日投資会議専門部会で、「対日投資促進プログラム及び実施状況」で、合併対価の柔軟化に係る税制措置について、三角合併制が施行されるまでにキャピタルゲインに対する課税繰延べ措置を決定する、まあ、しようというようなことを書かれておりましたけれども、実際にキャピタルゲインに対する税制措置を行うか行えないか、現段階でどう判断されているか、是非とも教えてください。
○政府参考人(佐々木豊成君) いわゆる三角合併等につきましての課税繰延べの今後の対応ということでございますけれども、先生御存じのように、現在、組織再編成の税制におきまして、原則は、資産の移転がございますとその益に課税をされるというのが原則でございますが、会社法制の方で組織再編の規定が整備されてまいりましたことに対応いたしまして、税制上の適切な措置をこれまでも講じてきているところでございます。 ただ、三角合併は御指摘のようにこれまで商法上の位置付けがございませんでしたので、税制上も、親会社の株を対価とするような合併というものについての課税繰延べというのは税制上措置されておりません。 そういうことが現状でございますけれども、今後の検討ということでございますが、基本的には、税制当局といたしましては、その必要性ということに加えまして、税制の観点からいきますと、適正な課税あるいは租税回避行為が行われないかどうかというような観点からの検討が必要であろうかと考えております。 組織再編成は、その機動性、柔軟性の向上を図るという点も重要でございますが、片や、組織再編成におきましては租税回避行為として使われる容易さというものがかなりございますので、そこは、税制上の整備というのには慎重な検討が必要であるということでございます。特に、三角合併などにつきましては第三者が現れてくるということでございまして、特にクロスボーダーの取引などにおきましては、かなりそのやり方によりましては租税回避の行われる懸念が高まるということもございます。 そういうこともございますので、今後、そういう点も踏まえまして、具体的な税制改正要望がありましたら、それを受けた後、新たな会社法の関連諸規定の実施までの間に、先ほど申し上げました課税の適正公平及び租税回避防止の観点も十分踏まえまして、適切に検討してまいりたいと考えております。
○大久保勉君 経済産業省と財務省の答弁を聞いてもらいまして、ニュアンスが分かると思いますけれども、どちらがエンジンでどちらがブレーキになっているかというのは十分に分かると思います。ですから、政府内で是非意見調整をして、小泉総理が是非対日投資を倍増しようということでしたら、やはりその辺りの調整は是非とも必要じゃないかと思います。 是非、小泉内閣は言っていることとやっていることが違うということが言われないように、是非とも各政府内での調整、よろしくお願いします。 続きまして、時間がほとんどないんですけれども、企業価値研究会、経済産業省が非常に積極的に進めています。ここで私、一つ思うことがあります。 敵対的買収の防衛策。敵対的買収というのはだれにとってかと、こういう観点が経産省の研究会にはないような気がします。アンケート調査によりますと、会社の持ち主は株主ですと。つまり、敵対的か敵対的じゃないかというのは、経営者ではなくて株主にとりという観点がないんです。これは大きな欠陥だと思います。 例えば、株主にとりましては、現経営陣が非常に能力的に劣っていると、こういう状況でしたら、敵対的買収が起こるという状況でしたら、一生懸命、より経営をしないといけない、配当を増やさないといけないと、こういうことで、株主にとりましては非常にいいことだと思います。ですから、考え方によりましては、敵対的買収防止策が実は株主にとって敵対的である、こういう状況が発生しますから、このこと、そういうふうにならないように是非とも検討をお願いします。 例えば、トウ小平の言葉で、黒猫白猫論というのは御存じでしょうか。黒い猫でも白い猫でも、ネズミを捕る猫が一番いい。今回は、会社の所有者は株主でしたら、黒い、まあ余り黒いのは良くないですけれども、黒い経営者も白い経営者も、株価を上げる経営者がいいと。ただし、この株価は短期的な株価ではありませんで、長期的な株価を上げる経営者がいいでしょうと。 この観点に関して、経済産業省、どういうふうに思われますか、御所見をお願いします。
○政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、企業価値研究会におきまして、いわゆる敵対的買収に関するいろんな問題、それからこれに対する防衛策、合理的な防衛策はどうあるべきかという検討をやってきたわけでございます。 ここで敵対的買収というふうに言っておりますが、これの定義としましては、その企業の経営者が同意をしていない買収を敵対的買収というふうに言っているわけでございまして、先生御指摘のとおり、株主にとってどうかということが敵対的買収、敵対的買収だからといって直ちに株主の利益を考えてないんだというふうに我々とらえておるわけではございません。この敵対的買収が企業価値の向上につながる場合もございます。すなわち、株主の価値を高める場合もあるというふうに考えておりまして、そういった企業価値、企業価値を高めるような形で敵対的買収に対応していくにはどうすればいいかということをこの企業価値研究会で検討してきたということでございます。
○大久保勉君 終わります。
○木庭健太郎君 参議院でようやくこの会社法制の審議に入ったわけでございます。この会社法制につきましては、厚い資料、午前中から何かありましたけれども、ある意味では、これまでばらばらだったもの、不整備だったものを一つに統一するという意味では、この会社法制は極めて重要な問題として、商法の改正等のときも私も質問をさせていただいたり、また公明党としても、昨年の十一月にはこの会社法制をまとめることについての提言もさせていただいたところでございます。 私どもが提言した一番のポイントは何かと申し上げれば、やはり経済のグローバル化ということに伴う規制緩和という流れの中と、債権者保護、株主保護といった会社法制の基本理念とのバランスをどう取っていくかというのが一番難しいところであり、大事だということも訴えさせてもらったところでございます。もっと簡単に言うならば、会社法制作る以上は、中小企業にとってはやっぱり使いやすい制度にどうできるかというのが一番のポイントでしょうし、また大企業にとりましては、これから組織再編が機動的に行えるといった制度であること、この辺がポイントになるんだろうと思っておりました。 冒頭、これから審議をするわけでございますが、まず大臣に伺っておきたいのは、こういった規制緩和という問題、それと債権者保護、株主保護といった会社法制の基本理念とのバランス、こういった問題についてどう配慮した法案となっているのかというような点について、まず基本について大臣から御答弁を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案におきましては、例えば会社の機関の設計、種類株や新株予約権の内容、それから利益処分の在り方等について定款自治の範囲を拡大し、合併における対価について選択肢を拡大するなど、会社経営における効率性を確保するための規制緩和というものを行っております。 他方で、会社法案におきましては、例えば機関設計や種類株の内容等は、これを登記事項として、利害関係者に不測の損害が生じることを防止し、また大会社については、内部統制システムを構築することを義務付け、そしてすべての株式会社について、機関設計を問わず決算公告を義務付けるなど、会社債権者、株主の利益を保護するための適正性、公正性にも十分に配慮を行っておるというところでございます。 このように、会社経営の効率性を確保することと、債権者、株主などの利害関係者の利益保護のために適正性、公平性を確保することはいずれも重要なことでありますことから、会社法案におきましては、両者のバランスを取りつつ、会社法制の全体について合理的な改善策を施しているものと認識いたしております。
○木庭健太郎君 これから何回かこの会社法案、論議をしていくことになるんだろうと思いますし、また論議を重ねていきたいとは思っておるんですけれども、今日は、その中でも中小企業にとって本当に使いやすい制度になっているのかどうかということについて幾つかお伺いをしておきたいと思うんです。 まず、今回新たに新設される制度の中で、会計参与制度というものが今回出てくるわけでございますが、これ自体は法制審議会の会社法部会でございますか、昨年十二月決定した会社法制の現代化に関する要綱案の中で初めて出てきた制度でありますけれども、この参与制度の問題というのは、昭和四十九年改正以降ですか、中小企業の計算、会計の適正をいかに担保するかの問題が課題となるたびに、出てきては何かうまくいかずに消えちゃったというようなことも現実繰り返していることも事実でございまして、今、結局、いろいろ論議が出てきたけれども、ようやくこの会社法を作るという大きなときに出てきたという形になっているんだろうと思っております。 今回の制度そのものは、従来考えているような監査、外部からの監査というような発想でなくて、税理士や公認会計士といった専門家が内部機関として取締役等と共同して計算書類等を作成するということによって、計算、会計の適正、先ほど議論があっておりましたが、これを解決を見いだそうということになっておりまして、そういった意味では、これまでとは違う大きな発想の転換も見られるわけでございますが、こうした発想の転換も含めて、この会計参与制度ということが提案されることになった経緯について、関係団体もこれいろいろあった問題でございますから、その意向も含めて、民事局長から伺っておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 冒頭に六十年ぶりの改正ということがございましたけれども、特に昭和五十年代以降、この会社の法制の見直しというのは幾つかの節目を持って行われてきたわけであります。しかしながら、昭和五十年当初に非常に大掛かりに大小会社区分立法を構想して様々な手当てをしようというふうに考えました以後、現実には企業の不祥事等がしばしば起こるということを中心といたしまして、やはり大会社についての規制の手当てというものが緊急性が高いということで、平成に入りましてからも、ほとんどこの会社法の改正の対象というのは大会社に関する部分であったと言っても過言ではないほどになっております。 私どもが中小会社の規制を考える場合に、どうしても、先ほど大会社が緊急性が要するということの、そういう事情があったということのほかに、難しかったのは、現実の中小会社の姿というのがやはりなかなか理想とする形に結び付き難いところがあったからであります。しかしながら、大会社についての様々な取組というのが、一応平成十四年辺りまでの改正において一まとまりできた、先ほど来も委員会等設置会社等の御議論ございましたけれども、できた段階において、やはり次に中小会社にとって本当に、一面では現実に即し、しかし他面では理想というものに近づける、そういう法改正が必要なのではないかということで、今回の会社法の改正は全面的な見直しに基づいて現代語化するところでありますけれども、内容的にいいますと、やはり中小会社に対する手当てというものが大きな比重を占めるということは委員の御指摘のとおりでございます。 それで、その一つの問題が、結局、中小会社の会計をどうオープンにしていくか、その前提としてどう正確性を保っていくかというところでございました。 かつては、外部監査というものを株式会社の中小の会社に対してもできないかということで様々企画を練って案を作って考えたこともあったわけでございます。しかしながら、なかなかそれは現実にはできないということで今日に至ってきておるわけでございまして、そこで、外部の監査ということは難しくても、内部では現実に様々な専門家が監査という形ではない形で寄与されているという現実もございますので、そういう意味で、一部はその内部の会員からの専門家の関与によってその適正さを保つという発想があってもいいんではないかという御意見が出てきたわけでございます。 幸いにも、今回、有限会社を株式会社に取り込んで一本化したということもございまして、決算公告も全面的に株式会社に対して行わせるという措置もとれるようになったわけでございますけれども、その前提として、やはりこの正確な計算の適正さの確保というのが抜きにこの会社法を出すのは難しいということで、最終的に試案を出した後に集中的にこの点について議論をしていただきまして、結局、内部として、専門家として関与はするけれども、あくまで取締役と共同で作業をする、しかしそれによって正確性を高める担保にはなると、こういう形での会計参与の制度というのをつくろうということになったわけでございます。 関係団体からはこの議論の過程で様々な御意見が出たわけでございます。特に、公認会計士団体と税理士団体におかれては、それぞれのお立場から、それぞれ会社を良くしようという御意思はお持ちでありましたけれども、方向性においてなかなか一致するところが難しかったわけでございますが、今のような形で、内部の会計処理を行うエキスパートと、会計監査人という外部であくまで会計監査を行うエキスパートというすみ分けをすることができるということになりました結果、両団体ともこの制度の有用性というものを全面的に支持されるということになっております。 ちなみに、中小企業団体におかれましても、このような考え方の現実性というものに対して強い支持が寄せられております。
○木庭健太郎君 この会計参与制度ですかね、会計監査というのは海外でも例は幾らでもあるんでしょうけれども、この参与制度という形、今おっしゃるように内部にかみ込むような形ですね。海外ではこんなケースというのはあるのかないのか、我が国独特のものとして今回つくり上げているのか、そこをちょっと教えてください。
○政府参考人(寺田逸郎君) 海外で、全部の制度について承知しているわけではございませんけれども、主な国の制度といたしましてこのようなものを持っている国は、結論としてはないというように私どもは承知いたしております。 もちろん、海外の法制、あるいは現実の会社の姿を見てみますと、専門家が会社の中に入りましてその財務関係、計算書類の作成関係で尽力をされておられるというようなことを現実になさっているところはあるわけでございます。しかし、それは役員の中に財務の専門家を置くことを要求するというアメリカのようなやり方が見られるわけでありまして、共同作成者として別の専門家のために資格というか機関を新たに設けるというのは、この我が国の会計参与というものが独自性を持ったものとして今回登場したということで御理解をいただきたいところでございます。
○木庭健太郎君 さっきもお話をされていましたけれども、この会計参与制度というのは、会計の専門家が一応計算に関与する制度として、資格そのものは税理士さんか、まあ、これは法人も含んでいます、会計、公認会計士かということに限定されているわけですよね。 さっきお話があったように、確かに税理士さんについては、今も結局、税務申告の書類作成というのは本当の任務なんですけれども、実際は中小企業にとっては税理士さんが会計面でのホームドクター的な存在として現実に日本の社会の中では機能をしているわけであって、現実、今も計算書類の作成もやれば税務相談もやってあげるというようなことで、ある意味ではかかわりを深くしてきたのが実情なんだろうと思うと、そこを日本としてかみ込みながら、この税理士の実態をある意味では法的に整備するような仕組みになっているのではないかなというふうに思うんですけれども、そういう考え方でいいのかどうか。 つまり、何をお聞きしたいかといえば、中小企業の皆さん、それから税理士のこのかかわり方の問題ですよね、この辺についてどういうふうに法務省として認識をされているのかということでございます。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、税理士の皆さんというのは、現実には中小企業の経理関係に非常に深くかかわっておられます。その仕事の限界がどこまでかというような法律上の問題は私ども所管ではございませんので詳しく申し上げることは避けるといたしまして、しかし現実はどうかといいますと、承知している範囲では、多くの中小企業から委託を受けて本来は税務申告の仕事をされるわけでありますけれども、しかしその税務申告をされる中で、当然のことながら、その前提となる帳簿の整理でありますとか、あるいは計算書類の作り方、そういったものに関与はされておられて、いろんな面での、税も含めた相談にあずかっておられるように認識をいたしております。 このような現実というものを前提といたしまして、税理士の方々にも、中小企業における計算書類の作成について、その限度での専門家として会社全体の計算書類の作成の正確性を高めるという機能を果たすのに貢献できる余地は、それは当然あるんだろうというふうに思いますので、そういう形でこの制度というものを税理士の方々にも対象として加える形で発足させたいと、こう考えたわけでございます。 もちろん、公認会計士の方々がこれに関与されるということは、仕事本来の在り方からして当然のことだろうというふうに考えております。
○木庭健太郎君 今おっしゃったみたいに、ただその公認会計士の皆さんにとってみれば、今回この会計参与制度というのは税理士さんが中でかみ込んでくるわけですから、ある意味では公認会計士さんにとってみれば、自分たちが本来持っている分野に、一つの仕事分野の中に税理士という大きな軍団がばあっと入ってくるんじゃないかと。 つまり、自分たちの仕事からすれば、これどうなるのかなという御心配をされるのが普通じゃないかなとも思いかねないんですけれども、さっきの局長の説明だと公認会計士も喜んでいるという話なんですけれども、どうも喜んでいないような気もするんですけれども、ここはどんな具合か、確認はしておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 大変難しいことに答弁を求められました。 喜んでいるということを申し上げた、まあ、歓迎するというふうに申し上げたわけでございますけれども、これは現実には公認会計士の方々というのは独立して外部監査をするという仕事を中心にやっておられるわけでありまして、そういった意味での倫理的な訓練というのは受けておられることが前提でございますし、現実にもそういう機能を果たされておられるわけであります。 もちろん、数の問題もいろいろあろうかとは思いますけれども、仮に税理士の皆さんは本来どこまでお仕事ができるかというと、機能的には外部監査にまで手を広げられようという方々の御主張もあったわけでございます。 しかしながら、それはやはり独自の倫理の下にお仕事としてされている公認会計士のお仕事であって、そこの部分に税理士の方々がかかわられるというのは適当でないという、そういう御判断というのが前々からあったわけでございまして、そういう御判断というものを今回ある意味では裏書したというところもございまして、公認会計士の方がそれなりに納得をされているのではないかと、これは私どものあくまで推測でございます。
○木庭健太郎君 その辺は是非、よく説明もしながら、理解もしてもらいながらということが大事だと思うんですけど、法案の中で、これ見ましたら、この会計参与の選任というのは株主総会で行われて、取締役などと同様の説明義務が課されているわけですね。責任についても社外取締役と同様の規律が適用されて、対会社・第三者責任を負い、株主代表訴訟の対象にもなるということになっているわけで、そこで聞いておきたいのは、この責任について、この会計参与を社外取締役と同様の規律とした理由、そして株主代表訴訟との関係についても伺っておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、会計参与という新たな機関を設けるわけでございます。登記の対象にもなるわけでございます。そういう専門家が存在しているということは、外部からそういう評価を受けるわけでございまして、また、そういう仕事を、単に現実に書類の書き方を手伝っているっていうことではなくて、それの正確性を担保するところまで機能として持たせるためには、調査権限というのを一定の範囲で与えなければなりません。そういう権限まで与えた上で位置付けをする以上は、逆に責任も当然負っていただかなきゃならないわけで、それだけ評価を受けるということの反面には責任があるという、そういう考え方でございます。 具体的に申し上げますと、ほかの役員と同様に、任務を懈怠した場合には会社に対する損害賠償責任を負いますし、悪意、重過失がある場合には第三者に対する損害賠償責任も負います。もちろん代表訴訟の対象にもなるわけでございます。 ただ、一般の取締役と違いまして、あくまでまあ社外の方でございますので、ちょうど社外取締役と同等に、業務の執行に当たるわけではないので、会社に対する責任については社外取締役と同様の、一定の範囲での責任免除という制度の適用は受けると、こういう仕切りにしているわけでございます。
○木庭健太郎君 だから、同じようなことを聞くことになってしまうかもしれませんけど、営業活動、経営には直接関与しないという会計参与の法的位置付けについても確認しておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、あくまで計算書類を共同して作成するという限度での責任、そういう限度での機関でございますので、会社の経営そのものにタッチするわけではございません。
○木庭健太郎君 そこまでしてこう新しい制度をつくる以上、これがやはり会計を明確にする、中小企業にとってこれまで課題になってきたことをするとともに、やはりそれをすることによるメリットというか、何がそれによって得するのかということがはっきりしない限り、せっかくこれは新しい制度をつくったとしても、これ、一応株式会社は定款で定めることによって会計参与を任意に設置できるわけでございますから、そうしない限りこれは有効に機能しない。つまり、これをやることによってどれだけメリットがあるのかということが、はっきりさせることが大事なんだろうと思います。 そこで、お聞きしたいのは、もちろんこれをやる一番の大きな意味は融資の面だと先ほどもお話があっておりましたが、その面だと私も、金融機関からの融資の面だと思うんですけど、これはどんなふうな変化がこの会計参与を設けることによって生まれてくるというふうに期待をされているのか。 つまり、先ほど無担保無保証の話もあったんですけど、これまでの不動産担保とか個人保証とか、そういう依存しないような融資の問題とこの制度の問題、どういうふうになる、この辺を期待されているのかどうか、これは法務省並びに中小企業庁、両方から伺っておきたいと思います。
○政府参考人(鈴木正徳君) お答え申し上げます。 今委員の方から御指摘ございましたように、中小企業にとりましては担保や保証に過度に依存しない融資、資金調達、これが非常に重要でございます。そのためには、やはり財務諸表の質の向上、これが重要だというふうに考えております。 今回この会計参与が新設されますと、財務諸表の質の向上が促進されるというふうに考えておりますが、例えば、私ども中小企業庁におきまして平成十四年に「中小企業の会計」を発表いたしまして、中小企業の財務諸表の質の向上、これを図ろうということを努めているところでございますけれども、この「中小企業の会計」を活用しました融資商品、無担保の融資商品が既に民間融資機関からも提供されているところでございます。 このように財務諸表の質の向上が高まりますと、担保や保証に過度に依存しないような融資、これが金融機関から受けやすくなるのではないかということを私ども期待しているところでございます。
○政府参考人(寺田逸郎君) 政策的には今金融庁の方でお答えになられた見方と私どもも同じようなことになるんではなかろうかというふうに理解をいたしております。 この制度はあくまで任意のものでございまして、この会計参与を付けたことによる直接的な法律効果という形での規定は何も置いていないところであります。間接的に効果が出る、つまりはこの会計参与の方がむしろ非常に実績を高めていただいて、やはり会計参与が付いた会社の会計というのは信頼ができるという評判が出るということによって様々な効果が出ると、そういう期待を持っているところでございます。
○木庭健太郎君 中小企業庁さんもそういった意味ではこの制度に期待をされるんであれば、メリットのある制度だという御判断をなさるんであれば、それは法案成立の後の話になるのかもしれませんが、こういったものを中小企業にどう普及推進させるのかという広報活動を含めて力を入れるべきだと思いますが、何かお考えがあるならば聞いておきたいと思います。
○政府参考人(鈴木正徳君) 私ども、この会計参与制度でございますけれども、中小企業の会計の質の向上に資する制度として期待しているところでございます。 先ほど申し上げました平成十四年の七月に発表いたしました「中小企業の会計」、私ども、今その普及に努めているところでございますけれども、本年の四月でございますが、この普及を抜本的に強化するために、中小企業政策審議会におきまして「中小企業の会計の質の向上に向けた推進計画」、これを作成していただいたところでございます。 この推進計画でございますけれども、中小企業庁また中小企業関連団体、金融機関の方々が今後三年間に取り組むべき事項がまとめられておりまして、指針の策定、また紹介するパンフレットの配布体制の拡充、そして中小企業等を対象としたセミナーや研修の充実といったようなことが盛り込まれております。私ども、この推進計画等に基づきまして、この会計参与制度が積極的に活用されるように努めてまいりたいと考えております。
○木庭健太郎君 一方、中小企業に対してはそれを是非やっていただきたいんですけど、今度は金融機関、また公的、民間も公的金融機関も両方ですよ、これらに対して、やはりそういうものが、今度会社法の改正によって新しい制度ができる。これによって財務諸表の質の向上は間違いなくできる。じゃ、それに基づいて融資が円滑にできるようにならなければこれは意味がないんであって、つまり何を申し上げたいかというと、金融庁来ていらっしゃると思いますが、金融庁、中小企業庁に対しても、やはりこの制度が導入されることによって、これによって借りられる融資制度の確立ですよね、この辺を民間に対しても働き掛けるべきだし、公的金融機関についてはそういったものも要請していくべきではないかと思いますが、この円滑化の問題について、金融庁、中小企業庁、それぞれから伺っておきたいと思います。
○政府参考人(鈴木勝康君) 今御指摘いただきましたが、一般に金融機関が担保、保証に過度に依存しない融資と、それから迅速な審査と、こういった点で円滑な資金供給等を進めていくためには、やはり借り手の側におきましても適切な会計に基づいた正確で信用力のある財務諸表を作成することが重要であると考えております。 金融庁といたしましては、昨年の十二月でございますが、公表いたしました金融改革プログラムにおける具体的施策としまして、「不動産担保・保証に過度に依存しない資金調達手法の拡充」を掲げてあります。それから、特に中小地域金融機関につきましては、先般の三月二十九日でございますが、地域密着型の金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム、これにおきまして、中小企業の資金調達手法の多様化など、各種の中小企業の円滑化に向けた取組を推進するよう要請したところでございます。 今御指摘いただきました今般の会計参与の制度の導入でございますが、これは借り手企業の財務諸表の正確性を高めまして、その信頼性の向上に資するものと考えられます。金融機関が企業金融の円滑化を図る上で有用なものと考えているところでございます。 会計参与を導入した企業に対する融資でございますが、この融資判断は、あくまでもやはり金融機関がそのプライシングなりなんなり、その借り手の返済能力ですとか事業計画などいろいろ自主的に判断して、ゆだねられているべきものと考えておりますけれども、いずれにしましても、金融庁としては、今後とも、今御指摘いただきましたように、中小企業を含む健全な取引先に対する資金供給の一層の円滑化、これに努めるように金融機関に対し要請してまいりたいと考えております。
○政府参考人(鈴木正徳君) ただいま委員から御指摘ございました公的金融についてお答え申し上げたいと思います。 現在、商工中金、また一部の信用保証協会でございますけれども、平成十四年七月に発表いたしましたこの「中小企業の会計」に基づきまして、財務諸表の質が高いと認められる中小企業に対しましては、金利等貸付条件の優遇や審査期間の短縮を行う制度を設け、活用しているところでございます。 また、政府系金融機関では、本年度から担保や保証に過度に依存しない融資、これを幅広く導入いたしましたけれども、会計参与制度やこの中小企業会計指針等を活用しまして質の高い財務諸表を作成している中小企業に対しましては審査期間の短縮等の優遇が図られるものと考えております。
○木庭健太郎君 是非、今申し上げた点がなければ、本当にせっかくやっても何のためにやっているのかという話にもなりかねない問題がございますので、是非とも金融庁、中小企業庁含めて、是非是非より推進をお願いをしたいと、このようにお願いするものでございます。 一方、こういった新しい制度をつくることによってメリットも生まれる反面、デメリットも検討しておく必要もあるのかもしれません。 私は余りデメリットは感じてないんですけれども、御批判の中には、こういう会計参与制度が創設されると、専門家が作るわけですから、その計算書類を、そうすると取締役等がきちんとした計算書類を作成するインセンティブが落ちるとか、いろんな批判もありますけれども、こういった批判に対して何かお考えがあれば聞いておきたいし、何より私は、この制度というのがきちんとできるようになるためには、今の税理士さんの数という問題も、これ足りるんだろうかと、公認会計士も含めて、実際にこれ皆さんが使うようになった場合。さらに、やっぱりそういう質の向上、税理士さんたちの問題も含めてなんですけれども、そういった需要への対応の問題を含め、今後の課題でございますが、そういった点に、両方含めて局長から答弁をいただいておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) もちろん、すべてメリットだけで済むというわけではないかもしれないので、それは様々なデメリット、あり得るデメリットについて検討はしておかなきゃならないわけでございます。 ただ、そこで、おっしゃられたうちの第一の問題、つまり過度に会計参与に依存するんではないかという御意見が一部にあるようでございますが、元々この会計参与を付ける前の状態を考えてみますと、一つには、事実上力をかりていた、また、あるいは全く力をかりずに計算書類を作っていた。そこでのしかし限界というのは現にあったわけでございまして、そのことが会計参与を付けることによって逆に、悪く言うと丸投げみたいなことになるというようにはちょっと理解できないわけであります。 むしろ、これまでに分からなかったところというのを事実上やっているために税理士の皆さんがある種の限界をもってしか関与できなかったところが、今度は正式にきちっとした調査権限等がございますので、むしろ取締役としては、会社の実情として、会計参与の皆さんに計算書類を作る際のいろんな疑問点について説明をしなきゃならない立場に置かれるのではないかなと思いますので、私はこの点は今までより悪くなるという御批判は当たらないんではないかなと。むしろ、様々な面で、これまでに隠されてきたような場面において問題が明らかになる、そういう刺激を与える策として新たにこの会計参与が出てきたということになるんではないかなと、こう考えております。 数が十分である、あるいは質が十分であるという点については、これはまあいつもこの種の問題が出るたびに当然考えておかなきゃならない問題でありますし、また逆に一つの限界のようなところもあります。 私どもとして、この税理士の皆さんあるいは公認会計士の皆さんの制度自体を所管しているわけでございませんので、その面での責任を持ったお答えはできないわけでございますが、それぞれ、私どもがこの会計参与を制度としてつくり上げる中で税理士の皆さんあるいは公認会計士の皆さんと接触した範囲内では、新しい仕事ということで大変に張り切っておられ、それに向けて研修を含めた新たないろいろな策を会としてお考えにならなきゃならないんじゃないかというようなことをおっしゃる方もおいでになりましたので、私どもとしては、むしろそういう、今回この会計参与という新しい位置付けができたことによるこの方々のいろいろな面での向上策というのに期待をしたいというように考えております。
○木庭健太郎君 話を今度はちょっと変えまして、会社法案の、中小企業というか、小さな企業にとって一番の今回この改正の目玉の大きな一つは、やはり最低資本金制度の撤廃の問題だと思います。これに踏み込めたということが大きな特徴だと思っております。 これは新事業創出促進法、これ平成十五年の二月にスタートした特例制度ですね。いわゆる一円起業を認めて、これがかなり利用されたことが一定の成果を収めていることがこの会社法案で一般化されるというふうな説明もされているんですが、そこで、まず経済産業省に、これまでの利用状況の推移について伺うとともに、起業促進の効果についてどう把握しているかについても併せて伺っておきたいと思います。
○政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。 最低資本金規制特例制度でございますが、先生御指摘のとおり、平成十五年二月の制度創設でございまして、それ以来、現在までに約二万四千社の会社がこの特例制度を利用しまして新たに設立をされるに至っておるところでございます。 経年的に見てまいりますと、法務省の民事統計月報による数字でございますが、平成十五年は全体が約九万四千件登記をされておりますが、このうちこの特例によりまして設立されましたものは八千五百件でございます。また、平成十六年につきましては、同様に全体九万八千件のうち特例によります起業が約一万二千件でございまして、およそ一割程度この新規登記件数を押し上げる効果が表れているんではないかというふうに考えているところでございます。
○木庭健太郎君 その中で、本当の一円というのはどれくらいありました。
○政府参考人(舟木隆君) 資本金一円の企業でございますが、現在までのところ、設立されましたのが一千件、一千九十四件、これは五月十三日現在でございますが、約一千件でございます。
○木庭健太郎君 今度、会社法案、これ成立しますと、この特例制度と違うところは何かというと、特例制度では五年間ですね、五年間で資本金の要件を満たすことということが要求されていたわけであって、そういう意味ではそれはそれで結構高いハードルだったわけでございますが、今度はそれがなくなってしまうということでございます。 今回、会社法案が成立する、つまり最低資本金制度の撤廃がきちんとなった場合、この状況がどういうふうに変わると予想をされ、想定されているのか、伺っておきたいと思います。
○政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。 現在のこの特例制度につきましても、先生御指摘のとおり五年間で資本金の要件を満たすようにという条件が付いておりますが、ただし、株式会社一千万円、有限会社三百万円という資本金の額をクリアできない場合にも、合名会社や合資会社になる道もあるわけでございます。合名会社、合資会社にもならない場合には、これは会社として解散等をやっていただくということでございますが、いずれにしましても、特例制度自体も、会社をつくって特例期間の五年間に一生懸命やっていただいて成果を上げていただいて、株式会社になったり有限会社になったり、又は合名会社、合資会社となって事業を軌道に乗せていただくというのが目的であるわけでございます。 この今回の会社法案によりまして特例が一般則になりまして、五年間の上限といいますか、これもなくなるわけでございますが、私どもとしましては、企業形態、いろんな形態があるわけでございまして、こういう資本金につきましても、新しく起業する場合にいろんな形態の会社をお認めいただくということが極めて重要なことであるというふうに考えておりまして、この会社法が成立しました場合には、新しい制度を使って更に起業が進むことを期待しているところでございます。
○木庭健太郎君 ただ、この資本金制度の問題というのは、ある意味じゃここ十年ぐらいで本当に大きく変化をしてきている制度の一つなんじゃないかなと思うわけでございまして、最低資本金制度については今お話があっておりましたが、これは平成二年だったと思います、改正が行われて、設立時の振り込み価格規制として、株式会社はその規模にふさわしくということで一千万円、有限会社が三百万円に引き上げられたと。大幅に引き上げられたのが平成二年でございます。 その際、私も覚えておるんですけれども、会社債権者保護のための制度として議論出たのは、たしか最低資本金の問題、会社の計算開示の問題、それから取締役の責任と、三つがセットで議論されたと思うんです。ただ、その中で結局その最低資本金だけが導入されて、三百万円というのがある意味じゃ会社債権者の保護として考えられたというような経過があったと思うんですが。 つまり、まず経過としてお聞きしておきたいのは、平成二年の改正で債権者保護がどのように考えられたのかと、特にその計算開示、取締役の責任関係が手当てされなかった理由についても伺っておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、先ほど私はこの間の会社法改正の中で大会社を対象とした改正以外のところは少ないというふうに申し上げましたけれども、その数少ない一つがこの平成二年の最低資本金の改正でございました。 平成二年の商法改正の際には、おっしゃるとおり商法の改正の試案がございましたが、その試案の中で最低資本金の導入、それから貸借対照表等の登記所公開、会計調査人による調査、三番目がその計算書類を公開しない場合の取締役の責任と、こういう三つのポイントが債権者保護に資する制度として取り上げられ、試案として出されたわけでございます。 この考え方は、基本的には計算書類の登記所公開というのがやはり対外的にその会社の実態というものを明らかにするものとして重要だということで、その信憑性を向上させるために会計調査人による調査義務を課すとともに、それをしなければ取締役の責任を問うと、こういう一つの仕組みがある。もう一つが最低資本金の問題と、こうなっていたわけであります。 したがいまして、最低資本金というのも、もちろん債権者保護も問題でありますが、その際に非常に強く意識されましたのは、有限会社とのむしろ差でございまして、どうも株式会社の中に本来株式会社として適当でない、むしろ有限会社として適当なものが入ってくると。それは会社を生み出す際に何の規制もないからである。したがって、小さいものは小さいなりに、大きいものは大きいなりにという流れをつくるためには、最低資本金のような一つのバリアを設けて、そこで仕分けをしようという、こういう考え方が色濃く出たわけでございます。 それで、経緯を言いますと、そのうち計算書類の登記所公開につきましては、やはりコストの面で中小企業の負担が大き過ぎるというところもございますし、果たして債権者保護に本当に効果があるかどうかということについても若干の疑問も呈されまして、結局導入が見送られ、一方の最低資本金の制度ということだけが残ったと、こういう経過でございました。
○木庭健太郎君 その意味では、今回法案、もちろんやられるときに法制審で同様の議論をいろんなことでなさったんだろうと思うんですけれども、その債権者保護の観点から、一体、この一円でもいいということにどういう経過の中から、ある意味じゃ上がって下がってついに一円になったわけですけれども、債権者保護の観点から見るとどういう議論がなされたか、ここも整理して伺っておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) この点につきましては、その債権者保護ということを考える場合に、先ほど申し上げましたのの反面、つまり会社の実態を明らかにするというのがやはり本当は大事ではないかという議論になりました。ただ、形式的にも、しかし資本金あるいは資本というのは一つの徴憑にはなるわけでございますので、その重要性というのも全くもちろんないわけではないという、こういう整理でございます。 ただ、その後の方の、その資本の持つ機能というのをもう少し細かく分析してみますと、設立における、まあ悪い言い方をしますと参入規制という言い方になるかもしれませんが、設立における一つの障壁という意味での資本金規制というのが一つ考えられますが、そのほかに、配当を行う際にむやみに会社のお金が流出していくということを規制するという意味での機能もございます。 そういう機能を分けた場合に、最初の会社の設立のところで高い資本金を形式的に要求するということに一体どれぐらい債権者保護の機能があるだろうか、つまり、いったん一千万円をクリアして、しかし次の日から会社の実態としては全く一千万円のどこにも影はないという事態も極端に言えば考えられるわけであります。 そういうことに果たしてどれだけの意味があるかということになりまして、やはりその意味での資本の機能というのは、配当を規制して、実際のお金が株主に流出していくということから債権者を守るべきところにあるんではないかという整理になりました。 つまり、今回、最低資本金についての規制というのを廃止いたしますが、しかし配当の面で言えば、純資産三百万円という規制はなお残しておくわけでありまして、これをクリアしなければ株主に対する配当その他剰余金の処分というのはできないという規制としては残るわけでございます。 それから、やはりもう一つ考えられましたのは、先ほど来御議論がありました特例としての経済産業省の方の仕組みでございまして、その仕組みにおいて、やはり参入を求めておられる会社というのは非常に多いということを認識したところも一つ大きな議論の支えになっております。
○木庭健太郎君 勉強のために、こういう最低資本金というのは、これは諸外国はどんなふうになっているか。これも例として知っている限りで結構でございます、お知らせいただければと。
○政府参考人(寺田逸郎君) アメリカにはこういう最低資本金に関する規制というのは余りございません。特に、多くの会社はデラウェア州の会社法というのを設立準拠法にいたしておりますけれども、デラウェア州では全くこのような規制はございません。 ヨーロッパ各国では、ドイツにせよフランスにせよ、最低資本金に関する規制を設けている国が多いところでございますけれども、最近は、ヨーロッパ全体、あるいはフランスにおいて最低資本金の機能というのをそれほど評価しない傾向に出てきておりまして、フランスでは有限会社についての最低資本金というのをつい最近撤廃しているということでございます。
○木庭健太郎君 流れはそうなんだろうとは思うんですけれども。 私、一千万を三百万にするときの論議の中で、たしかあのときは、社会的に暴力団がペーパーカンパニーつくってみたりいろんな問題があってみてこの最低資本金の問題というのはやはり必要なんだというような、たしかそんな議論も結構マスコミの中で行われて、やはりそういうものが安易に資本金を下げることによって起きてくるんじゃないかというような問題が随分言われたような経過があったような気がするんです。そういった意味では、今回はそれどころじゃなくて撤廃してしまうわけですから、この最低資本金の制度というのを。そうすると、いわゆる泡沫企業の問題であるとかペーパーカンパニーみたいな詐欺的な会社、やっぱりそれが安易にどんどんどんどんできるんじゃないかというような心配は当然なされるんだろうと思うんですよ。 いわゆるこれ、法人格のブラックボックス化、悪用の問題ですね、これについてどう対処されるのか、この辺は是非お聞きしておきたいと思いますし、会社をやっぱり設立する以上は最低限度の出資義務を課する必要があるという批判も現実にありますし、そういったことにも併せて御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 前申し上げたことが必ずしも間違いだったということではございません。しかしながら、この間事情が変わったということもまた事実でございます。 もちろん、暴力団を始めといたしまして、どんな制度も濫用することがおよそ不可能ではないわけでございますから、それに対する対処としてはいろいろ考えなければなりません。私どもも今回、こういうことで会社が泡沫企業あるいは詐欺的な設立によって設立されるという危険というのも全く意識しないわけではございませんが、それについては発起人、取締役等の第三者に対する責任でございますとか、あるいは法人格の否認ということでの対処というのが一応考えられるんではないかと思うわけでございます。 むしろ問題は、そのデメリットがあることは全く否定できないところでありますけれども、メリットが大きいというところにあるわけでございまして、この間の会社の現実を考えますと、過去の企業においては非常に、ある程度資本というのをそもそも企業の発足において要求せざるを得ないような企業というのが多額の資金を集める株式会社の典型例として考えなきゃならないところだったわけであります。ところが、最近のベンチャー企業でございますとか、あるいはいろいろな形での出資を基礎に先端的なことを行おうとする企業においては、必ずしも設立当初からそれほど大きな資金というのを求めず、むしろ次第にそのお金をうまく回しながら企業というのを育て上げていくというところが出てきておりまして、そういうものが株式会社の中の法制の中に取り込まれるということがあながちおかしいという事態ではなくなってきているわけでございます。 そういう意味からいたしますと、どうも小さな百万円とか二百万円程度の資本しかないけれども、しかし立派にやっていけそうな企業というものを国の側でおよそ生み出してはならないというような規制の仕方をするのはいかがかというような議論から今回のような、やや法制度としては十年間で考え方を百八十度変えたように御印象を受けられるかもしれませんけれども、その間の世の中のスピードというのも相当に速いということも事実であろうというように御理解をいただきたいところでございます。
○木庭健太郎君 私も、今局長がおっしゃったように、どちらかというと、本当はこれえらい、会社側というのは、前は資本金積めと言われたのに、十年たってみたらあなた要らないよと言われてみたり、これは戸惑いもあるんでしょうけれども、ただ、確かに全体の今の企業の流れから見れば、本当に資本金がない形の中でも会社が起こせる、挑戦できる社会という意味では評価せざるを得ないようなところもあるというふうに私は思っているわけでございまして。 あと、本当はちょっと合同会社の問題やりたかったんですけれども、時間がないんで、今日は最後の質問、大臣にしたいんですけれども、つまり、今回、会計参与制度の問題を取り上げました。最低資本金制度も撤廃される。つまり、これは見てみますと、中小企業やベンチャー企業にとって、言わばその推進、促進に対して大きな影響を及ぼすものというふうに私は感じますし、正にそこに今回の会社法制の改正の意味も私は一つ大きくあると思いますが、そういう中小企業やベンチャー企業の実務への影響とか起業への促進という観点から、そういう観点からこの会社法案をどう評価しているか、大臣から伺って、今日は終わりたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 委員からのお尋ねの件でございます。 会社法案では、会社制度の利用者の大半を占めるやっぱり中小企業、ベンチャーの企業の視点に立って会社法制を見直すという観点から、株式会社と有限会社の会社類型の統合、設立時の最低資本金制の撤廃、それから機関設計の規律の柔軟化、会計参与制度の創設など、多くの改正を行うことといたしております。 これらの施策はいずれも起業の促進や中小企業の発展に大いに寄与するものであると考えております。そうした意味で、会社法案は大きな意義を有するものと評価いたしております。
○木庭健太郎君 終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 今回の法改正は九〇年代後半以降の連続した商法改正の流れに沿ったものであります。私も、二〇〇一年以降、当委員会で随分商法の質問をする機会がありました。ただ、この一連の商法改正には、法制審の委員でもあるような有力な商法学者からも、この間の商法改正の作業は明確な全体像に基づいておらず、継ぎはぎだらけのパッチワークだと、いろんな改正の効果や弊害の検討が必要だという指摘もされておりました。 そこで、まず、こうした九〇年代後半以降のこの間の商法改正について幾つかお聞きをしておきたいんですが、まず大臣にお聞きをいたします。 今朝からもいろいろありましたけれども、あの尼崎のJRの脱線事故、百名を超える方々の命がなくなりました。具体的な事故原因は今後様々究明をされていくわけでありますが、その背景には、利益優先で安全が二の次であるとか、説明責任の欠如であるとか、ステークホルダーによってチェックの仕組みが働いていないとか、いろんな企業体質が今指摘をされております。私は、会社法の中にこういう、この間の事故で指摘されたような体質に企業は陥らないと、こういうことをしっかり定めていく、そういう内容が必要だと思っているんですが、その点、いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(南野知惠子君) 先生御指摘されるように、JRの尼崎の事故は本当に新しい情報を提供されるたびに大変だなというふうに思っておりますし、お亡くなりになった百七名、またその御家族に対してはいまだにまだ心がいえていないだろうと、本当に御冥福を祈るだけであると。さらにまた、この前も申し上げましたけれども、PTSDの問題点もこれから発生してくるというふうに思っております。そこら辺もしっかり他省庁とも関連しながらしっかりしていかなきゃならないということを思っておりますが、議員御指摘のように、会社には従業員ばかりでなく、取引先、顧客など、様々な外部の方々がステークホルダーとして考えられます。これらの方々の存在を大切にしていくことが会社にとって忘れてはならない経営上の要素であると思います。 そのことが会社を経営していく上で自覚されるようにするためには、会社が、規模の大小などによる差はあれ、社会に開かれた存在でなければならない。公告、定款などの閲覧、それから会計帳簿の閲覧命令などを通じて会社の経営に関する情報が明らかにされるという仕組みは、その意味で非常に重要であると思います。 また、議員御指摘のとおり、会社がその利益の追求を優先する余り、法令遵守をないがしろにしてステークホルダーに損害を与えることもあってはならないことであろうかと思っております。 会社法案では、このような企業のコンプライアンス確保を目的として、すべての大会社に取締役の職務の執行が法令や定款に適合することなど、会社の業務の適正を確保するための体制の構築を新たに義務付けるなどの措置を講じております。 さらに、会社の取締役などが第三者に損害を与えたときは損害賠償の責任を負うこととしておりますなど、会社経営における不正が外部からただされる仕組みも経営に緊張感を与えるものとして重要であるとも思われます。 このように、会社法は、会社経営において会社の内部関係者の利害を考えるだけでは十分でないとする仕組みを多数用意しておりますけれども、今後とも様々な立場のステークホルダーの存在を考慮し、適切な法制度の在り方につき検討を怠らないようにしてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 この点は三年前の改正のときにも随分議論をいたしました。 当時、狭い株主利益の追求だけではなくて、ステークホルダーによって企業の暴走等をチェックし、企業の社会的責任を果たさせる仕組みが必要ではないか、こう指摘しますと、当時の大臣は、継続的に安定した経営を行っていくためにはこれらの利害関係者の利益を考慮することは当然だとした上で、委員会等設置会社の仕組みが業務執行者の権限を濫用して暴走することがないようにということでつくられていると、こういうふうに答弁をされました。 この委員会等設置会社の仕組みが果たしてそういう効力を発揮をしているかどうかは別として、そもそもその後非上場も含めまして百四社しか導入をしていないというふうにお聞きをしております。 そして、最近、JRだけではなくて、コクド、西武の事件、カネボウの粉飾決算、それからUFJ銀行の検査忌避など、企業不祥事というのはむしろ悪化をしているんじゃないかというふうに思うわけですが、この間のこうした一連の改正の中ではこういうチェックの仕組みづくりが不十分であったと、こういうふうに指摘をしたいと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
○国務大臣(南野知惠子君) 確かに、企業の不祥事がマスコミに取り上げられることも多く、このような会社では会社の業務執行者による権限の濫用が行われていたことが少なからずあったものと思われます。しかし、大部分の企業では業務執行者が適切にその権限を行使しているのも事実でございます。 現行法の権限濫用を防止するための措置が必ずしもうまく働いていないというわけでもないと考えておりますが、もっとも、業務執行者の権限濫用を防止することは会社法制の永遠のテーマであろうかと思いますから、今回の会社法案でも大会社に内部の統制システムを整えることを義務付けたり代表訴訟制度を改善するなど、企業における業務執行者の権限濫用の防止措置を強化しております。
○井上哲士君 これは正に、今永遠のテーマということが言われましたけれども、一九七四年にこの商法改正が行われた際にも、こうした企業利益優先ではなくて、しっかり様々な関係者の利益を守るような仕組みが会社法の中に必要だということが指摘をされてきたわけでありますけれども、依然としてずっとこの問題が解決をされていないという事態があります。 もう一点お聞きしておきますけれども、ストックオプションの問題であります。 これは九七年に議員立法で導入をされました。当時、二百二十五人の商法学者が「開かれた商法改正手続を求める商法学者声明」を出すほど、様々な議論を押し切って導入をされ、その後一層の緩和が、規制緩和がされました。 ところが、この二〇〇二年の改正を前後しまして、このストックオプションが大流行だったアメリカでは、このオプションの行使価格よりも株価が下がってしまうという事態、これで非常に従業員に与えるマイナスの影響も起きました。さらに、エンロン事件などに見られるような、株価を高めるための粉飾決算へのインセンティブに逆になっているじゃないかとか、それからインサイダー取引の温床になっているじゃないかとか、さらには会計の観点から利益を不当に小さく見せる、こういう問題等が次々と指摘をされまして、見直しが進みました。マイクロソフトなど、廃止をする会社も相次ぎました。 当時、いろんな当時の質疑などを見ておりますと、例えば自民党の提案者からは、このオプションが会社、企業の業績に大きなインセンティブを与える道具でございますであるとか、大きな力を起爆薬みたいに発揮しまして、アメリカの産業を蘇生させるというか活性化をさせるというか、その大きな力になったものだということで、言わば天まで持ち上げるようなことも言われておりました。 その後、導入された後いろんな規制緩和もされたわけですけれども、当時提案で言われたような効果をその後発揮をしたと、こういう評価をされているんでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、おっしゃるとおり、議員立法でそもそも導入された制度でございます。 一般的に申し上げますと、そのオプションを与えられる者にインセンティブを与えるということで、法律的に言うと新株予約権の有利発行ということで今の法制上は整理をされると、こういうものでございます。権利者の側から言いますと、株価が高くなればなるほど相対的には有利な株式の手に入り方がされるということになりますので、そういう意味で会社の業績を向上させて株価を上昇させようというインセンティブが働くと、こういう一般的な考え方の下にこのようなものが用いられてきていると。これは日米を問わずそうであろうと私どもも理解をいたしております。 平成十六年度における調査、民間の調査でございますが、調査によると、上場会社の約四割でこの制度が用いられているなど、制度の利用そのものは非常に広がっているところでおりまして、ストックオプション制度そのものについては一定の効果は発揮されているというような評価が会社の関係者の間ではあろうというように私どもも理解をいたしております。
○井上哲士君 日本でも、オプションの価格よりも、行使価格よりも株価が下がるなど、いろんなことでマスコミ等でも様々批判もされ、問題点が指摘をされている問題だと思うんですね。 この導入の際に、インサイダー取引など市場ルールと違反が横行する可能性ということも随分懸念をされました。また、委員会等設置会社を導入をする際にも、ディスクロージャーの強化など前提となる制度の充実を図らないままにアメリカ型の企業統治機構を導入するということは政策的な整合性を欠くんじゃないかということも質問をいたしましたけれども、当時のやはり大臣は、近年、証券取引の活性化に伴い適切な法整備が行われて、諸外国と比べて遜色のない体制が整備をされていると、こういう答えでありました。 しかし、この点でも、最近明らかになった例えばコクド、西武の長年にわたる問題をチェックすることができなかったということもあったわけで、アメリカSEC並みの遜色ない体制でチェックしているから大丈夫だということとは違う事態になっていると思うんですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(南野知惠子君) インサイダーの取引等に関しましては、証券市場を規律する法制度などによりまして適正なチェックが行われているものと承知しているわけでございますが、しかしながら、現実にコクド、西武のような事件が起こってしまったということにつきましては、とても残念なことだなと思っております。 今後、これらの事件での教訓を踏まえながら、必要に応じて適切な処置がなされることを期待いたしております。
○井上哲士君 当時も、アメリカ型の都合のいいところだけつまみ食いをして、その背景にあるこうしたディスクロージャーとか監視制度の充実を図らないのは整合性を欠くということを申し上げたわけですが、そのアメリカですらその後様々な問題が起きておりまして、アメリカの会計制度もこれは世界標準ではなかったということが随分言われてきているわけでありますから、私は改めて、冒頭にも言いましたように、こうしたこの間の商法改正の効果、そして弊害ということは更に真剣に検討されるべきではないかということを指摘をしておきます。 その上で、まず企業結合法制についてお聞きをいたします。 この間、企業分割法制など企業グループが柔軟に組織再編行為を行う法整備が進められてまいりました。そこで置き去りにされてきたのがこの企業結合法制であります。今日、午前中にもいろいろ質疑があったわけですけれども、今回も組織再編行為を更に容易にする改正が含まれておりますけれども、結局、企業結合法制は置き去りにされております。株主の側からの問題もある。労働者、債権者側からの問題など、実際に様々な弊害が現に現われてきていると思いますし、既にかなり前からこの問題の必要性というのが指摘をされていたにもかかわらず、なぜ今回これだけの全面的改正をしたにもかかわらずこの問題が先送りをされたのか。この企業結合法制の必要性、重要性、どう認識されているのか、まずお聞きをいたします。
○政府参考人(寺田逸郎君) 最近、企業グループの形成というのが非常に進展してきていること、それについて企業結合法制の整備の必要性を唱えることがあるということは午前中の質疑でも申し上げましたけれども、私どもも十分に認識をしているところでございます。殊に、最近は国際的な再編あるいは一〇〇%の子会社化というようなことが非常に経営上有利だという御判断もおありになるところがありまして、ますますこういう意味での企業結合のいろんな在り方というのが追求されてきているんだろうというふうに思っております。 ただ、この企業結合に対してどう法制的に特別の制度を予定するかということは大変に難しい問題で、各国も対応が様々でございます。一般的に企業結合法制としてどういう対応をするかといいますと、親会社の支配下にある子会社が、その子会社の株主、債権者等の利害関係者よりも、支配者である親会社の株主その他の者に対してどういう利益をもたらすように考えて行動するかということについての様々な考え得る措置ということで、どういうことがあり得るかということでございます。 これを国際的にどう解決するかは、例えばドイツのように、契約関係で支配会社と被支配会社の間の利害調整を行ってしまうというようなところもございますけれども、それが必ずしも国際的に一般的ではございません。必ずしも何が今国際的に有力な考え方だということも一義的に明らかではないわけでございます。 法制審議会の中でも、この企業結合法制について議論する必要がある、検討する必要があるという声はないわけではございませんでしたけれども、なかなか難しい問題だということでむしろ認識が一致したわけでありまして、親会社の利益というものを子会社にどう反映させていくかということ、逆に、子会社の取締役が親会社に対してどういう責任を直接負うか、この間のメカニズムというのを整合性を持って検討するというのは非常にこれまでの会社単位で考えてきた会社法制の中にあっては難しい問題でございます。 問題自体として全然意識しないわけではございませんので、今後も重要な課題として検討はしていくつもりでございますけれども、まず、どのようなことが実務上本当に問題になり得るかということをよく見定めていかなければなりません。その点がまだなかなか固まった状態ではないという状況にある。その下で、今回、改正法案の中に入れ込んでしまうというのが難しかったという御事情は御理解をいただきたいところでございます。
○井上哲士君 国際的にこれが標準だというものがないというお話はありました。今の答弁でいいましても、今後それが一つのものにまとまっていくということではないんだろうと思うんですね。そうしますと、日本のこの実態に合わせたものというのをどうしていくかということをやっぱり考える必要があると思うんです。 幾つか例を挙げられましたけれども、実際日本も既にいわゆる連結決算というのをやっておりまして、税制等の面では企業グループとして扱っているわけですね。そういうような企業グループという有機的な結合体として見る連結納税制度を導入しているアメリカにしてもヨーロッパにしても、大体、企業統治の観点から、親会社の株主権の保護とか従属子会社の少数株主と債権者保護のために何らかの、いろいろ違いはあると思いますが、何らかの制度はあると思うんですね。 日本のように、こういう連結納税制度を一方で導入しながら、こういう結合法制を持っていないというのが主要な国の中でどこかあるんでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) むしろ、アメリカ、ドイツは進んでいるというように今御説明されたんだろうと思いますけれども、ヨーロッパでもそれほど多くの国がはっきりした形での企業結合法制を持っているとは私どもは理解をいたしておりません。 我が国においても、実は、親会社の株主が子会社の中の計算関係についてどういう実情であるかということを調査することは、裁判所の許可等一定の条件はございますけれども、全くできないわけではない。その限度では、それを企業結合法制と胸を張るつもりはもちろんございませんけれども、意識してないわけではないわけでございます。 ただ、おっしゃるような、株主がそれ以上直接的な権限行使を子会社に対して行うかどうかについては、なお十分に慎重な検討を要するというのが私どもの今の立場でございます。
○井上哲士君 そちらは非常に慎重な検討と言いつつ、実際上でいいますと、様々な新しい企業支配や再編の法整備はどんどん先に進んでいっているという現状があるわけですね。やはり、新しい企業支配の手段というものができれば、それに合わせた株主や債権者保護の仕組みというのを私は一体でつくるべきだと思うんですね。 アメリカの場合も、十九世紀の後半には持ち株会社が企業支配の手段として登場し、大体もうその同時期に支配的親会社株主による子会社取締役に対する多重的代表訴訟を認める判決が出て、判例法上確立された制度として認められてきたという歴史があるとお聞きをしておりまして、日本のようにどんどんどんどんこの企業再編の方向だけが先に進んで、この点でやっぱり法整備が遅れているというのは、私はこれは至急に整備をする必要があると思うんです。 具体的に、例えば九七年の独禁法の改正による持ち株会社の解禁によりまして、NTTなど大企業が株式交換によって純粋持ち株会社を設立して、持ち株会社一人しか株主を有しないという会社が随分生まれております。例えば、最近では上場会社のUFJホールディングスの子会社であるUFJ銀行の検査忌避が刑事事件となったわけですが、現行法ではこのUFJホールディングスの株主はUFJ銀行の取締役の違法行為の追及は直接追及をできないということになっているわけで、これ自体は非常に不合理だという認識は法務省としてはお持ちなんでしょうか。
○政府参考人(寺田逸郎君) 個別の案件について直接コメントするということは避けたいと思いますが、今のような親会社の株主が子会社の取締役の違法行為に対してどういう責任の追及をすることができるかといいますと、もちろんオーソドックスには親会社そのものが株主でございますので、その親会社を動かしてその子会社の取締役の責任を追及するということになるわけでございますけれども、しかし、それが親会社そのものは動かないということで非現実的であるということであれば、その取締役の違法行為によって株価が下がってしまうというようなことがございまして、現実に経済的な損害が出れば、それは取締役の第三者責任というような形で責任を追及することも全くできないわけではないわけでございますので、そういう意味で、私どもの今の会社法制が今の企業結合の現実に全く対応できないということではないんだろうというふうに思います。 おっしゃるとおり、多段階株主訴訟のようなものができれば、それは株主にとっては非常に便利な面が出てまいるわけでございますけれども、反面、どこまでその親会社の株主が子会社の経営そのものに直接影響を与えるような訴訟を起こしてくるか分からないわけでございますので、そういった逆の面での作用というのを総合的に見てそれの選択を判断していかなきゃならないわけでございます。そういうものについて、導入された場合に、一体子会社の取締役というのはだれを見て経営をするのかというような問題にも波及するわけでございますので、なかなか率直に申し上げまして難しい問題であるというように考えております。
○井上哲士君 親会社の株主、親会社の取締役に対しての代表訴訟の提起という方法もあるというお話ですが、子会社取締役の違法行為を証明するだけでも非常に負担なわけですけれども、それに対して訴訟提起を行わないことの違法性とかそのことに発生する損害の立証など大変なやっぱり負担ということになるわけで、なかなか実効性は私はないと思います。やはり、統一的な、グループとして一体しているという実態に合わせたこの点での制度を考えるべきだと思います。 もう一つ、労働者の問題について厚労省にも来ていただいていますので聞きますけれども、企業分割法制が導入をされまして、企業分割が非常に活用されておりますが、それに伴って労働者保護でいろんな問題が生じております。 典型的な例を一つ挙げますけれども、二〇〇二年に行われましたIBMのハードディスク事業の売却をめぐる問題というのがございます。これハードディスク事業部を新設、分割をして、分割をしてもう五日後には日立製作所に会社譲渡をしてしまったと、こういうケースなわけですね。この問題では、分割時ではなくて分割後の労働条件を交渉できるかどうかというのが大変問題になりました。 IBMの方は、分割した後の労働条件の変更は新しい経営者の問題だということで交渉に応じないと。それから日立の方は、もう既に事業売却の契約は行われていて労使関係が将来近々に発生するというのはもう明白であるにもかかわらず、まだ労使関係は成立してないから団体交渉には応じないということになりました。 労働契約承継法では、分割時の同一労働条件での労働契約の包括承継は定められておりますけれども、その後については定められておりません。こういうIBMのケースのように、もうごく短期間に分割に隣接して会社譲渡されるということであれば、本来ならその譲渡後の条件についても交渉することが必要だったと思うんですけれども、これを拒否をすると。そうなりますと、分割法上の協議は義務付けられておりますけれども、その場で労働組合としての意見表明をしようにも、その先の労働条件が分からないわけですから、意見表明をできないという事態も生まれたわけですし、そもそも労働者は大変な不利益を被ることになる。私はこの点は改善が図られるべきだと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。 個別具体的なことはちょっとコメントを差し控えますが、一般的なお話として申し上げたいと思いますけれども、まず、一般に会社の株主の場合ですと、これは当該会社の労働者との間に雇用関係はないということで、これは例えば団体交渉とか、そういう応諾義務の負うような使用者には該当しないということがございます。 それから、株式譲渡の場合のその譲渡先と労働者の関係ということでございますけれども、株式譲渡の場合には、これは会社の株主が変わるということでございますので、それによって直ちに労働条件が変わるということではございませんので、その分割前に譲り受けた会社と団体交渉を行うことができなくても、それ自体が労働者に不利益になるのではないというふうに考えているところでございます。 当然ながら、今お話ございましたように、株式譲渡後において、新設会社なりその会社で労働条件を変更するという場合には、その当該新設会社なりその会社で団体交渉を行って労働条件を決めていくと、これがルールになっているところでございますので、こういう形で整理されるのではないかというふうに考えているところでございます。
○井上哲士君 それぞれが別々に行われたんではないんですね。分割があって、五日後に譲渡がある、実際、一体としてこれが行われているんです。ですから、さっきも言いましたように、譲渡の際の意見表明をしようと思っても実際の労働条件というのは、失礼しました、分割の際の意見表明をしようと思っても、実際の問題は譲渡後になる。ですから、言わば私はこれは法律の、まあ脱法的なやり方を会社側がやってきているというときに、これやっぱり労働者保護をするという仕組みがないということがこういう問題を生んでいると思うんですね。 企業分割、合併と経済的には同等の効果をもたらすとされる営業譲渡とか会社譲渡ですけれども、この譲渡時の雇用契約の承継については何の保護もないという状況になっております。 今回の法案で簡易再編行為の要件は非常に緩和をされます。これは企業分割、合併と営業譲渡、企業譲渡というのは経済的には同一性があると、そうであれば手続も同一にしようと、こういう考えで会社法案自身はなっているわけですね。そうであれば、分割、合併と営業譲渡、会社譲渡、これは経済的同一性があるということであれば、労働者保護も同一性を持たすべきだと思うんですけれども、そういう方向に踏み込むべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 経済的な取引の問題と労働者保護との関係でございますけれども、営業譲渡において、分割及び合併と同様に、同様に労働契約についても当然承継したらどうかというようなお考えではないかと思いますけれども、この点につきましては、一つは、営業譲渡における権利義務の承継の法的性格がこれは包括承継ではなく特定承継であるということでございますので、そういう性格を持っているということ。それからもう一つは、営業譲渡契約の成立に重大な支障を及ぼし、かつ消費者の裁量の自由とか営業譲渡後の企業活動にも大きな制約になると。こういうことを総合勘案すると、現時点では適当ではないんではないかと考えているところでございます。 ただ、当然ながら、営業譲渡の場合には、労働者を承継しようとする場合には譲渡会社と譲受け会社との間の合意を必要とするとか、あるいは民法第六百二十五条によって労働者本人の同意が必要であるということで、労働者の権利は守られているのではないかというふうに考えているところでございます。
○井上哲士君 実態としては守られていない状況があるわけです。 今のお話は、譲渡をしたり受けたりするやっぱり会社の側からの見方だと思うんですね。現実に労働者が様々なやっぱり不利益を被っているという実態に合わせて、どんどんどんどんこういう企業再編について法改正で要件を緩和していくんなら、それにふさわしい保護というのをやっぱり厚労省としては考えていただかないと私はまずいと思うんですね。 もう一点、NTTの子会社再編の過程で問題になりました企業グループの再編行為についてお聞きをしますが、この再編行為で、東西会社はそのものについては当事者能力はないと、一方、当事者能力のある持ち株会社の方は交渉に応じないと、こういう態度でありました。労働者は、自らの労働条件を実質的に交渉したいと思いますと、この再編を決めた持ち株会社と交渉せざるを得ないわけでありまして、こういう純粋持ち株会社も含めて支配親会社との交渉権というものを子会社労働者に認めるべきだと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 今の御指摘の案件は係争中の案件でもございますので、一般論としてまず申し上げたいと思いますけれども、まず、労働組合法上の団体交渉の当事者となる使用者とは労働契約上の雇用主をいうというふうにされているところでございます。 今の持ち株会社を始めとして、親会社、子会社の関係をどう考えるかということでございますけれども、まず学説におきましては、親会社が株式所有、役員派遣、下請関係などによって子会社の経営を支配下に置き、その従業員の労働条件について現実かつ具体的な支配力を有している場合には、親会社は子企業従業員の労働条件について子企業と並んで団体交渉上の使用者たる地位にあるというのが通説でございまして、最高裁判決も同様の考え方を示しているところでございます。 したがいまして、親会社なりが、あるいは子会社が、どちらが現実かつ具体的な支配力を従業員の労働条件に有しているかということで決まってくるということでございますので、純粋持ち株会社がその子会社の労働組合との団体交渉等に応ずる義務があるかどうかにつきましても、今申し上げたような考え方に従って個別具体的に判断されるということと考えておるところでございます。
○井上哲士君 現実的、具体的な支配基準によって使用者性を認められる場合があると、こういうことのわけですけれども、これは企業の方もそういう認識があるんですね。 日経連が「企業組織再編とグループ経営における人事管理」という文書を出していますけれども、使用者と認められた場合、子会社労働組合との団体交渉応諾義務が発生することにより、グループ全体の経営の迅速性が損なわれてしまい、純粋持ち株会社のメリットが生かされないと言った上で、純粋持ち株会社が実際に子会社との団体交渉に反復して参加すること、労働条件の決定につき反復して純粋持ち株会社の同意を要することになると使用者性が認められてしまうおそれがある、こう言って注意を喚起しているんです。要するに、使用者性が認められないように振る舞いなさいよということを言っているわけですね。 ですから、実際上、この持ち株会社と子会社との関係というのは非常に第三者から見ますと密室性が極めて強くて、その支配・被支配関係の実態を知ることができないという下で、しかも会社がこういうことを注意してやっているということであって、この立証を労働者に求めるというのは非常に困難というのが実態なんです。 ですから、表面的な取り繕いで使用者性を逃れることができるということになりますと、結局、やっぱり労働者の権利は守れないわけでありまして、やはり支配力を有するというのみでこの企業再編においては使用者性を認めるということを一層明確にするべきだと思うんですけれども、もう一回いかがでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 先ほど申し上げましたとおり、最高裁判決、学説におきましても、その親会社が株式所有あるいは役員派遣等によって実際に子会社の経営を支配下に置いていると、で、その従業員の労働条件につきまして現実かつ具体的な支配力を有している場合には当然親会社の方も使用者たる地位にあるというのが通説あるいは判例ということでございますので、実際、最高裁でもそういう形で認められた例もございますし、また労働委員会でも認められておりますので、こういう通説、判例の考え方に従って判断がなされるものというふうに考えているところでございます。
○井上哲士君 先ほど言いましたように、それが非常に大変やはり労働者側に困難をもたらしているということであります。 いずれにしましても、やはり企業再編について様々な緩和をしていく以上、株主やそして労働者の地位をしっかり守っていくという点での法改正が併せて行われるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。
○委員長(渡辺孝男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時四十七分散会