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162回国会参議院2005/04/26

外交防衛委員会 第10号

発言数
169
登壇者
16
会派数
5
開催日
2005/04/26

会議録

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  外交、防衛等に関する調査及び現在、本委員会に付託されている条約の審査のため、本日の委員会に防衛施設庁業務部長土屋龍司君、法務大臣官房審議官深山卓也君、外務大臣官房審議官鶴岡公二君、外務大臣官房審議官中富道隆君、外務大臣官房審議官長嶺安政君、外務大臣官房広報文化交流部長近藤誠一君、外務省アジア大洋州局長佐々江賢一郎君、外務省北米局長河相周夫君、外務省欧州局長小松一郎君、外務省経済協力局長佐藤重和君、外務省領事局長鹿取克章君及び厚生労働省年金局長渡辺芳樹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 外交、防衛等に関する調査のうち、日中関係に関する件を議題といたします。  まず、外務大臣から報告を聴取いたします。町村外務大臣。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) それでは、最近の中国問題に関する御報告を申し上げます。  中国では、各地におけるデモに伴い、四月二日以来、三週連続して日系企業や日本の公館等に対して暴力的な行為が行われるという遺憾な状況が生じました。こうした中、私は、十七日及び十八日に中国を訪問し、李肇星外交部長との間で日中外相会談を行ったほか、唐家セン国務委員と会談を行い、中国側に改めて陳謝、損害の賠償、加害者の処罰及び再発防止を申し入れました。先方からは、法律に基づき処理し、再発防止に努める旨の発言はあったものの、我が方として満足できるものではなく、引き続き、中国側と協議していく考えです。  同時に、日中関係の改善に向けた強い意思をお互いに確認し合い、日中関係を包括的に前進させるための日中共同作業計画の策定作業を進めることに合意しました。双方は、あらゆるレベルの交流を促進し、地域・国際社会における協力を通じて共通利益を拡大するとともに、東シナ海の資源開発問題等の懸案事項についても、協議を通じて解決していくとの認識で一致しています。また、相互理解の増進のために、日中歴史共同研究の可能性を検討していくことで合意しました。  この会談を踏まえ、二十三日に、ジャカルタで小泉総理は胡錦濤中国国家主席との間で日中首脳会談を行いました。同会談においては、日中両国の友好的な発展と協力関係の強化が、二国間のみならず、地域・国際社会全体にとっても極めて重要であるとの認識を改めて共有し、未来志向で幅広い分野における協力関係を推進していくことで一致したところです。  こうした日中双方の共通認識に基づき、日中両国で意見の異なる懸案や最近の中国国内のデモ活動によって生じた憂慮すべき事態を適切に処理し、引き続き、良好な日中関係を一層発展させることが重要です。  日中関係の重要性は今後もますます増していくものと考えています。政府としては、日中関係全体の発展に支障が生じないよう個別の懸案に適切に対処するとともに、日中共同作業計画の策定に向けて、引き続き対話を深め、地域・国際社会に寄与する未来志向の協力を強化していく考えであります。

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 以上で報告の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

三浦一水自由民主党

○三浦一水君 自由民主党の三浦でございます。  冒頭に、昨日、大変残念な事故が起きましたが、JRの福知山線脱線転覆事故が起きてしまいました。亡くなられた方々が既にもう七十人を超え、そして負傷された方々も四百人を超えていると報道で聞いております。  心からお悔やみを申し上げたいと思いますし、またお見舞いを申し上げたいと思います。また、車内に残された方々がまだ多数あるということでございます。一刻も早い無事救出を祈りたいと思いますし、また政府にはそのための、この危機克服のための最善の努力をお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  質問に入らしていただきますが、ただいま外務大臣の御報告を聞きました。大臣そして総理共々に、大変忙しい日程をこなし、また重要な会談をし、一定の成果を上げられましたことに心から敬意を表したいというふうに思います。  冒頭に、首脳会談の方からお聞きをしたいと思うんですが、今、日中両国の相互理解のみならず、地域に対する責任ということを共通認識として持てたというような成果をお話がありましたが、この成果ということを改めて大臣のお口から聞かしていただきたいというふうに思います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 四月の第一週、第二週、第三週と毎週末デモが行われ、そのうちの一部の人たちが破壊活動あるいは邦人に対する暴力行為という誠に遺憾な事態が発生をしたということで、急速に何か日中関係がおかしくなってくると、不正常な状態になってくるというような大変憂慮すべき状態になってきたわけであります。  そういう中で、今般の日中首脳会談、改めてということではありますけれども、日中双方にとってこの二国間の友好関係は大変重要であるということにとどまらず、アジア全体あるいは世界全体にとってもこの両国の友好関係を今後とも増進させていくということが大切だという、今更改めてという感じもしないでもないわけでありますが、しかし、あえて私は日中両首脳がそのことを確認をしたということの意味というのは、やっぱり私はあったんだろうと、こう思います。  実は、私も十名を超える世界各国の外相とジャカルタで会って、例えばアフリカの国々の外務大臣も、ところで日中関係どうなるんでしょうかということを大変な関心を持ち、ある意味では心配をしておられたという実態を私も改めて体験をいたしました。  そういう中での首脳会談がそういう意義を持ったということは、私は、世界に対していいメッセージを発することができたのではないだろうかと、このように考えております。

三浦一水自由民主党

○三浦一水君 私もその成果について大いに評価をするところでありますが、一つ国民の間で釈然としないのは、首脳会談でこの一連のデモ、中国で発生しましたデモによります賠償、それから責任者の処罰と、あるいは謝罪ということが首脳会談では求められなかった。十七日の外務大臣の会談ではきちっと求められたと聞いておりますが、その点どのように大臣はお受け止めになっておりますか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 外相会談では、これはある意味では実務的にはっきりと言わなければならないことを言うということもあって、いろいろ申し上げました。  総理そして胡錦濤国家主席との間のやり取りは、小泉総理からは、詳細は既にさきの日中外相会談において述べたとおりであると、したがって、この場では繰り返さないが、中国側では日本企業、在留邦人及び日本の公館等の活動については適切な対応を取るように求めるということで、外相会談のことを触れるという形で私は間接的に総理はそのことについて述べた。そして、そこでまた、外相会談と同じことの繰り返しではなくて、やはりもう一段高いレベルでの大局的な観点に立った日中友好の確認をするということが全体の目的であったと、こう思いますので、その目的に照らして、詳細は外相会談にゆだねたと、で触れたとおりだという触れ方にされたんだろうと、こう私は理解をしております。

三浦一水自由民主党

○三浦一水君 間接的ながら、総理はそのことを押さえをされたということを私もそのとおり受け止めたいと思いますし、今後の日中のこの問題に対する協議の中ではきちっとそのことをやっていっていただきたいと思うわけであります。  ちょっと今資料を配らしていただきましたが、上海の友人から、先般十六日の上海で実施されましたデモに対して中国国内でインターネット、メールを利用して呼び掛けられた文章を私が入手をいたしました。先週、もう一週間ぐらい前になりますが、それをちょっと私なりに訳させてもらいました。訳の、誤訳の責任は私にあるわけでございますが。  その中で幾つか興味深い点がございますが、一点だけその点で申しますと、二ページの最重要事項の三番目、デモの途中で、日本人が投資している商店、会社に破壊的な打撃を与えてはならないという呼び掛けがされております。なぜなら、破壊した後、日本は、日本人は中国政府に賠償を求める、みんな賢くやろう、スマートにやろうという呼び掛けもされているわけでありまして、当然もう予測の範囲の中に向こう側としてもあるということが読み取れるわけであります。この辺はきちんと。  私は二、三日前、上海に行ってきました、この週末。総領事館でもお見舞いを申し上げてきまして、大分片付いておりましたから安心をしたところであります。また一方で、市民感情の中では、これらデモにつながったような感覚というのは、私も長い間お付き合いしておりますが、感じられなかったということは、そう申していいんじゃないかなというふうに思っております。  ただ、私が感じましたのは、やっぱりここに、上海の人民政府は相当広範囲に日本企業に回っているようでありまして、一軒一軒を回りながら、相当早い段階から現金も持って、賠償すべきというか、見舞いをもう実施しているようです。現金を持っていって、その場でガラスが割れたからということで現金を上げる、何千円かの、そういう行動も上海の人民政府は単独に取られているということを事実を確認をしました。ただ、賠償というのはやっぱり国家的にきちんとやっていかなければならない問題でありまして、やはりここは、上海の総領事館がきちっとその被害状況をまとめて、きちっとした請求を起こしていくことをやっていただきたいと、私はそう思うわけであります。  ただ、あの混乱していたんで、上海の総領事館の方々も気の毒だなと。今、日本人が正確に把握されているだけでも三万人の日本の生活する方々がいらっしゃると。日本人学校も世界で最大の規模になったと聞いておりますが、たった二十八人の日本人スタッフしか上海総領事館にはないということを聞きましたし、現地の方、現地の採用の館員の方も三十五名ということなんですね。私もこんな、一方で中国の方々と話を、上海の方々と話をしておりますと、領事事務がもう非常に遅いというような不満が大変ありまして、これはちょっとこの対中問題から離れますけれども、我々がビジット・ジャパンということもきちっと打ち出して、中国も将来の潜在的なお客さんだと位置付けをしている中に、やっぱりこれは領事業務という辺りも全般にやっぱり見直しをしていただいて、今大きな拠点が上海にあるんだと、そういう意味で日中交流のということをもう一回御認識いただいてやっていった方がいいのかな、その点は要望しておきたいというふうに思います。  賠償、それから責任の求め方という点について、改めて大臣の御決意を伺いたいと思います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) ちょっと順序が後先になりまして、先ほどJRの福知山線事故の、お触れになりました。今日、朝、閣議がありまして、閣議の場で国土交通大臣から現状報告があり、総理の方からも、まず、まだ事故の復旧作業中と、生存者もいらっしゃるかもしれない、その救出に全力を挙げること、そしてまず実情をしっかり把握すること、そして緊急対応をしつつ、その事故の原因究明等にも怠りなくと、こういう御指示がありまして、政府を挙げてしっかり取り組んでいくということを今朝の閣議で確認したことを冒頭申し上げるところを、ちょっと順序が後先になりまして失礼をいたしました。  大変、三浦委員には上海まで足をお運びをいただいて、いろいろな情報も今御提起をいただきまして、誠にありがとうございました。確かに、非常に邦人の数が増えている、また非常に豊かになりつつある上海で日本を訪れたいという方も多い、そういう意味で、いろんな事務が遅くなっている面が容易に想像できるわけでありまして、貴重な御示唆をいただきましたので、できるだけ改善を図ってまいりたいと思っております。  今お尋ねのあった、その謝罪あるいは賠償の問題、かなり私は先方に二度三度と申し上げたんでありますけれども、彼らは法律に基づいて厳正に対処をするという言い方はするのでありますけれども、謝罪あるいは賠償ということについては全く触れるところがございませんでした。むしろ、問題は日本政府の歴史問題とか台湾問題と、等々について中国国民の感情を傷付けた、そこに根本原因があるんだというような言い方をしておりまして、ここはある意味ではすれ違いというやり取りで終わらざるを得なかったというのが先般の外相会談の実態でございました。  私どもとしては、総理は総理、国家主席とのレベルではああいう話で良かったと思いますが、外務省レベルでは、やはりこの問題はきっちりと片を付けることが可能になるように、引き続き謝罪あるいは賠償の問題については協議を続けていきたいと、こう思っております。五月の六日、七日とASEMというアジアとヨーロッパの外相が集まる会議が京都で行われます。そのときに中国の外務大臣も日本に来られると思いますので、いろいろなまた議論をしなければなりませんが、その一つとしてこの問題、やはりもう一度再提起をしなければいけないなと、今そう考えているところでございます。

三浦一水自由民主党

○三浦一水君 よろしくお願いします。  胡錦濤主席から五項目の主張がなされたと、その席でというふうに聞いております。日本の新聞では、随分中国国内で、それに我が小泉総理が全面的な同意をしたということが大々的に中国国内で、今度はデモは報道されなかったがこのことは大変大きく報道されたみたいなことが書いてありました。私も、新華社がどうもニュースの出元でありまして、新華社の記事を細かく読んでみたわけですけれども、やっぱり内容的には、これまで日中間で合意をしてきていた七二年の共同声明ですか、それから日中友好条約、七八年、それらのいわゆる日本国内のファシストとそれから一般国民を区別するという哲学が中心であって、そこから中国人の感情、あるいはアジア地域の感情を傷付けることがないようにというのが中国側の意図であろうなということを読み取ったわけでありますが、基本的にこれまで日中間で合意をしている内容から外れることはなかったなという印象でありまして、この点はよく日本外交も取組ができたんではないかな、この点は評価だけしておきたいというふうに思います。  いずれにしましても、こういう一連の会議で中国側の姿勢が若干デモに対するものが変わったようでありまして、もう愛国無罪は中国国内ではもう愛国無罪ではないと、この反日デモに関しては有罪だということが明確に出てきたようでございます。今日の報道では、四十二人も拘束をされ、十六人は逮捕されたというニュースもあったようでございまして、この点はその一連の我が国政府の御努力というものも評価をしておきたいと思います。しかし、政府として求めるべきは形として今後もきちっと求めていっていただきたいことを要請をしておきたいと思います。  それから、唐家セン前外相との懇談の中で、町村大臣が教科書の問題を懇談をなさったということでございます。中国側の教科書であります。その唐家セン国務委員も、もし日本側が改善の提案があるならばといったような話がされたと。これは何かといいますと、これまで日本、内政干渉だという言い方をしてきた中国からすると、非常に、町村外相がこの点を提起をされたということもそうでありますが、その反応というものは画期的なものだなと私は受け止めをしております。  実際、どのようなやり取りであったのか、ちょっとお話しいただければと思います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 一言一句のやり取りはこれちょっと差し控えますが、要旨を申し上げますと、歴史認識の話の中から、教科書の問題が先方から提起をされたわけであります。日本の歴史教科書の問題あるいはこの検定の問題ということで、私の方から、検定というのはこういう形で行われ、日本の歴史教科書の中には日本の戦前の軍事行動等を美化したりあるいはそれを正当化したりするような教科書は一つもないと。私は文部大臣をやっていたから全部教科書には目を通してあるという話をした中で、しかし、基本的には教科書というのはそれぞれの国の国内問題であるということは大前提だと思いますよということを述べた上で、中国における愛国教育が結果として反日教育となっていないのかという声は日本国内に多いんだと。また、多くの子供が訪れる記念館の展示物の内容が日中友好に資するものになるかどうか国会等でも議論になっていると。これはたしかこの委員会でも御指摘があったことを私はそのとき思い出していたわけでありますけれども、そういう旨を私の方から指摘をしたわけでございますが、これに対して唐家セン国務委員は、日本側が中国の教科書等について意見があって、それが真理であるならば中国に対して意見を出していただいても構いませんと、こういう発言があったわけであります。確かに、言いたいことがあるならどうぞというのは、いまだかつてそういう発言は中国側からなかったかもしれません。私はここのところはやはり率直な議論がお互いにできるようになることが大切なんだろうと、こう思います。  したがいまして、文部科学大臣とも若干既に相談をいたしまして、両省で体制をつくり一定のものを取りまとめて、どういう形で先方に伝えるかを含め、よく協議をしようということにいたしましたし、その旨を細田官房長官にも伝えてあります。

三浦一水自由民主党

○三浦一水君 日中間のこととして、これは画期的なことであろうと私も大いに評価をするところであります。是非、積極的にこの点をお進めをいただければと思います。  まず第一弾はそのことであろうし、こういうきっかけがあるとするならば、山谷先生もこれまで数度お話があってきております、いわゆる学校現場を超えた中国国内のいわゆる反日教育、南京の記念館でありますとか、その他もろもろ、二百三高地の資料等々も甚だ疑問なものが多いということがございます。この点も、外務省としては、粛々とこれから着実に率直な議論につなげるための我が国の見方と見解というものを地道にまとめていかれることが肝要だと思いますので、この点も併せて要望して、私の質問を終わりたいと思います。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 おはようございます。  大臣、過酷かと思うような外交、御苦労さまでございます。私も三浦委員と同じように、冒頭、JRの尼崎の脱線事故の多くの死者を生じた事故について、驚きと同時に、痛ましいという気持ちと同時に、生存者が、可能性があるとしたら一日も早い救出と、そして原因究明を求めたいというふうに思います。大臣の所感は、それにつきましては閣議を含めて伺いましたが、今私どもも飛行機を乗る、あるいは電車を乗る、あらゆる交通機関にも頻繁に乗らないと国内外、これはもう私たちの人間活動って維持できないわけでありまして、数年来、この安全神話というのは、日本というのはある意味では誇りにしていたものですけれども、様々な分野でこのことが何か崩れてきているというような、実は実感を日々思います。  一方、天災については、なかなかこれは予知が難しいわけですから致し方ないにしても、そこで繰り返さないというのはよく聞くんですが、本当にこの人の動き、物の動き、安全というのはもう欠くことができないわけでありまして、外務大臣としても、外交を預かる大臣として、今申しました原因究明ということではなくて、もし私どもが保守点検とか、いろいろな様々な事故が起きたときに、この保守点検作業というのはここ数年来軽んじてきたんではないかという実は気がしてなりません。  是非とも、閣議とか等で原因究明という中での対応策というのが出てくるんですけれども、この保守点検の在り方について、ともすると効率性を私ども求めてきておりますけれども、効率性の下にこの保守点検とかいうことについて怠ってきたんではないかという気がしてなりませんので、この外交防衛委員会の直接的な、JR脱線事故とはかかわりなくても、国際関係、国内関係、重要な問題でありますので、このことを申し上げさせていただきまして、もし、簡単で結構でございますので、その点について所感があれば伺いたいと思います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 大変貴重な御指摘であると受け止めました。早速委員のお話をまず一義的な責任大臣である国土交通大臣の方にもお伝えをいたしまして、そうした保守点検の重視ということを、政府全体としてもそれが取組の中に出てくるように努めてまいりたいと思います。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 ありがとうございます。  ただいま反日デモ、そして以降につきましての外相会談、あるいは総理と胡錦濤主席との話合いの内容についての質疑がございました。まず第一点目にお尋ねいたしますが、これは当委員会でも同僚議員から政府の方に求めてきて、なかなかその内容について具体的につまびらかになっていないんですけれども、この反日デモで被害を受けた我が国の損害について、これは額をもう出しているけど出さないのか、もう出そうとしないのか、このことについて、いかがなんですか。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 先生御承知のように、被害の全貌につきまして、大使館あるいは総領事館の方につきましては今具体的に精査中でございます。どういうものが被害があるかということについては、もちろん相当把握をしておりますが、それがどれくらいの額になるのかといったような点については現在精査していると。それから、民間の方の被害につきましても、これを一つ一つ聞いておりますが、これについても必ずしも全部が全貌を把握できるに至ってないということで、今その全体像の把握に向けて鋭意調査、精査中でございます。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 このことが損害の賠償額をめぐって日中間でずっと横たわるということはあってはならないか、あるかどうかと、これはまあ政治的な判断あると思うんですね。しかし、この間ずっと議論して、調査をしていますということをそちら側からお話になるから我々の方は待っているわけであって、何月何日現在こういう把握をして、こういうような実態ですというのがあり、これから引き続きあるいは何日間掛かりますというのが通常国民に対する説明の仕方だと思うんですよ。最初から変わってないんですよ、今の局長の答弁ですと。  これは、今外務大臣の報告で、先方からは法律に基づき処理しということを報告をいただきましたけれども、これは我々側から示して相手側がどうするかという話ですから、それはどうなんですか、局長、何かあるんでしょう、もう。第一段階というか、何月何日現在というのは。何か来週までとか連休前まで締め切って何かを整理して精査しましょうということで、そういうような実務的な取組しているんですか。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 率直に申し上げまして、何月何日までというようなやり方で作業はしておりません。しかしながら、これは極めて迅速に行う必要があるということは我々も認識をしております。  取りあえず、比較的早く状況が分かっておりますのは、公館、大使館、領事館につきましては相当分かっております。特に、最初の北京の方で生じましたところにつきましては、具体的なこの損害の項目も含めまして、中国当局の方にこれを通報をしております。それに基づいて、我々としては、具体的なこの損害補てんの問題あるいは賠償の問題について協議を進めたいというふうに思っております。  その場合に、じゃ、これを修復するのにどれくらいお金が掛かるのかということにつきまして、今精査中であるということで御理解いただきたいと思います。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 はっきりさしておきたいんですけれども、これ、補償をきちんと求めていくと、あくまでも求めていくということの姿勢は日本政府変わらないですよね。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 先ほど大臣が申し上げたとおりでございます。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 今回、外務大臣が言ったような大変な規制、警備がされまして、先週土、日はほとんど全国的にないということで、ある意味では、あのときの最初の北京なり、様変わりな国内状況だと思うんですね、中国の。このことに関しては、確かに日中のそれぞれの関係がありましても、やはり国際関係の中で中国はやはり孤立をしてしまうんではないかということは、私は首脳部、指導部というのは受け止めたんではないかというふうに思いながら、そういった規制に動いたというふうに思います。  後ほど経済関係等についても議論させていただきますが、どの国も国際社会の中で生きていくためには国際ルールに従ってもらうということが当たり前な話なわけで、ただすべきことはただしていくと、双方で。この補償の問題はやっぱり、何か奥歯に物が挟んだままだというようなことになると、これは中国にとっても私は良くないということだと思いますので、謝罪を求めていく。そして、それについてはそれからこたえていく。そして、補償について求めていく。補償もこたえてもらうということで、きちんとしていただくということが、双方の国にとって、あるいは国際関係にとって必要だというふうに私は認識していますので、そういった点について、再度、外務大臣、いかがですか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 齋藤委員御指摘のとおりであると私どもも考えております。  私も大使館あるいは大使公邸の被害の実態を目の当たりにいたしまして、入口の大きなガラスにもうクモの巣を張ったようにわっとひび割れが全部いっておりまして、これは、この厚いガラスにこれだけひびが入るんだから、これは相当な大きな石やら何か破片、コンクリートのようなものをぶつけられたんだなということがよく分かりました。  今局長お答えしたように、どこのガラスがどうなっているというのは、それはもう分かりました。あと、金額算定をどうするかということもあるんでしょう。また、特に民間の商店あるいは企業の被害、相当広範囲にわたっているようでございますので、そこを今大至急取りまとめ中ということでございまして、それを確定しつつ、あるいは中間段階でも先方政府にそのことを伝え、きちんとした対応を求めていきたいと考えております。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 他方に、損害賠償を求めていくという指摘には、我が国におきますこの大使館ですね、中国大使館でありアメリカ大使館であっても、在外公館、日本にある。もし逆にそういったことについて、あってはならないことですけれども、これは私たち自身がこれはきちんとしてまた対応していかなきゃならないということだと思うんですが、これは、我が国の在外公館の被害、仮にあればそれは、これまでそういうことがあったのかどうか、私も今こうやって質問をしながらなかなか出てこないんですけれども、我が国の在外公館、我が国におきます在外公館の、何かそういった我が国の国民が被害を与えたというようなことありましたでしたっけね。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 済みません、我が国の……

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 我が国。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) の国民が被害を与えたということですか。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 そうそう。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 外に対してですか。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 ほかの国や、例えば……

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 齋藤君。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 ごめんなさい。この東京都内にある大使館等。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 今回……

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 佐々江局長。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 済みません、今回の事例でも、日本の中国大使の居住公邸にペンキを、赤いペンキを塗ったとか、そういう意味で危害、危害と申しますか、そういう行為があったという事例がありましたし、またそのほかにも、大阪の方で日本の右翼の団体が領事館の方に当たって損害が生じたというような事例はございますし、そういうものは承知をいたしております。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 その点は、あれですか、我が国の政府として、例えば謝罪とか補償ということに、対象になるわけですか。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) これは法律に従って対応をしております。ただし、この種の案件につきましては、一体この損害が幾らになったのかと、あるいはその損害の払う形式とか、そういう点をめぐってはなかなかいつももめるのが通例であるというふうに申し上げたいと思います。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 いや、もめるといったら、そうしたら、もめるのが通例ってね、そうすると、今我が国が北京大使館とかいろいろ領事館で謝罪と補償を求めている。今もめるという、今、日中関係のこのことについてはない。実額について精査しながら、相手側の方は、法律に基づいて処理をして再発防止に努めるというのは相手から言っているわけですから、今度、我が国におけるそういった中国の大使館や領事館に対し、もし実損を与えていれば、もめ事だということじゃなくて、それは当然のことながら、実際額についてきちんと把握をして、逆なことを我が国としてこたえなきゃならないわけですよね、両国関係として。で、もめ事を、なりますなんということを答弁されちゃ困っちゃうんですよ。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) ちょっと舌足らずというか、あれだったと思いますけれども、法律に基づいて、損害生じれば厳正にやっぱりこれは処置をしていくべきものだと思っております。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 外交関係というのはそういうことではないかなというふうに思います。  それで、先ほども指摘がありましたけれども、私も、報道で上海市の公安当局が反日デモで日本料理店の破壊など違法行為を行った十六人を刑法の社会秩序破壊容疑で逮捕、更に二十六人を拘束したということで、中国での一連の反日デモで参加者の逮捕が公表されたのは初めてと、こういうことがございます。これは、例えば外交ルートでこういうのを通知というか連絡というのがあるんでしょうか。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 本件につきましては、現地の出先の、これは総領事館でございますが、上海の場合であれば当局、公安当局の方に照会をいたしております。ただし、その結果について詳細な回答がまだ先方から返ってきていないという状況でございます。  今先生がおっしゃられた報道については我々も承知しておりますし、そういうことが起きたということについても承知をしておりますが、詳細な具体的な中身については今現地の公安当局から聴取中であるということでございます。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 テレビでニュースを報道しているときに、なぜそのまま投石等あるいは破壊させているのかなということを思いながら今日までおりましたが、この報道を併せて見ますと、テレビを、まあいわゆるビデオを見ながらこの犯罪を特定をしてきたということが報道で書いてあります。現行犯ではなくて、現行犯ではなくて報道番組、報道番組というか、日本の方では報道番組というんですけれども、いわゆるテレビに映っている姿を特定をして拘束、逮捕したというふうにこれも伝え聞いておりまして、ある意味では、私は、中国政府が、まあそれは法によって裁くんでしょうけれども、これから。相当強いある意味では立場に立ってこういったことについて踏み込んできているなということの印象を感じるものですから、日本ではなかなかテレビだけ見て逮捕するとか何かというのはちょっと、まああるのはあるかも分かりませんが、時間的な経過の問題も含めてそんな違いを、日中間の違いを思った点でございます。  さて、デモの点につきましてはまだあと一、二点でさせていただきますけれども、先般の委員会でも、五四運動の、いわゆる一九一九年のことにつきまして指摘をさせていただきまして、そのことがこれから、今非常に静まりつつありますと、中国当局の規制なり取締りということで。今後、今年六十周年という節目を迎えまして、インターネットではまだ五四運動とか六十年の節目に当たってそういった呼び掛けが盛んにされている。  ただ、一方で、先ほど上海のインターネットの紹介もありますが、果たしてこれから本当にあの最初のような大きな、大規模なデモということについてまた起きるのかどうかという点についてはなかなか十分判断も付かないところでありますが、この点につきましては、既にどうするということより、インターネット上で五四運動とかあるいは柳条湖事件などの記念日にそういったデモの呼び掛け等もありますので、もしこういった点について政府として中国政府に具体的に対策を講じるように申し入れているという点がありましたら伺いたいというふうに思います。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 今回の一連のデモを通じまして、我が国の政府の方から、これは大臣からもそうでございますけれども、要するにこういうデモの取締りを厳正にやってもらいたいということを累次申し入れてきているわけでございます。  これに関して言えば、中国政府はこのデモを厳正に取り締まる、特に安全、安寧の問題についてはしっかりやるということは言っておるわけでございます。現実のところ、この間の北京あるいは上海のデモ以降、中国政府も公安部の報道官の談話あるいは全国的な会合等、いろんな機会にこのデモに対するいわゆる規制の強化の方針を明らかにしております。そしてまた、そういうことで、中国政府としては目にしたくないものであったということで、ああいう過激な行為自身を政策として容認しているということはないということでございますから、我々としてはこの中国政府がしっかりとした取締りを行っていくということに期待をしているわけでございますし、またそうなるように引き続き働き掛けをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  この点につきましては、既に大臣の方から先般の日中の外相会談におきましてしっかり申入れをしていただいたところでございます。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 これは大臣も総理も、私も思いますし、デモ行進そのものについては、別にデモそのものについては何らやっちゃいけないとか、むしろある意味では国民大衆のこの発露と申しましょうか、そういう示威行動というのはあり得るわけですから、今、過去もあるしこれからもあるだろうし、そこが脱線をしていくということについてあったわけで、これが脱線しては困るということで冷静なやはり両国関係だろうということでありますので、引き続き双方で、国際社会で、特にアジアでお互い切磋琢磨して生きていくということでありますので、お互いあってはいけないことを、求めながら是非外交交渉を詰めていっていただきたいというふうに思います。  そこで、先ほど教科書問題についてお話ありましたが、私は一点だけちょっと伺います、重複するところは避けますけれども。先ほどの答弁の中で含まれたのかも分かりませんが、外務大臣が中国の教科書も研究すると言ったのは、両国外相会談の中でおっしゃったのか、帰ってこられて我が国の報道機関に中国の教科書も研究すると言ったのか、どのような立場でお話しになったのかなというふうに思いますので、お尋ねいたします。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 先方の教科書あるいは教育の在り方、あるいは抗日記念館の在り方ということは、唐家セン国務委員との話で主として出たことでございます。もちろん、教科書問題、外相会談でも多少出ましたが、先方の教科書ということについてまでの言及はその外相会談ではございませんでした。  唐家セン国務委員との話の中で、議論の流れの中から、先方の愛国教育というものが結果として反日教育になっているのではないか、あるいは抗日記念館、多くの子供が訪れる、そういう場所の展示物が本当に日中友好に資するのかという問題提起をし、そういうことは日本の国会でも随分議論になっているんだという話をしたわけでございます。それに対して先方から、先ほど申し上げましたような、それが真実であるならばどうぞおっしゃってくださいという趣旨の発言が唐家セン国務委員からあったということでございます。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 ありがとうございます。  腹蔵なく話し合うということは、これは大変いいわけでありますけれども、いずれにしましても、双方でそれぞれの国の制度も、教育制度、これは違いますから、それぞれ違いをある程度認め合いながら、なかなかしかし、何が真実かということについて、歴史問題についてもこれは難しいわけですけれども、とにかく話合いをしていくということが何よりも私は基本だと思いますので、この歴史教科書問題、歴史問題に、教科書問題につきましても具体的にやはり口に出し行動を、口に出すというのは行動に進めるということでありますので、引き続きの努力を求めたいというふうに思います。  もう一つ気になりますのは、過日、この委員会で柳井前事務次官、駐米大使、今は中央大学の教授、それから慶応大学の小島先生お招きいたしまして、先週の木曜日に参考人質疑をいたしました。それぞれたっぷりとした内容であり、本当に中身のある私は参考人質疑させていただいたなというふうに思いまして、その中で私自身がお尋ねしたことであるので、ある意味では自分自身の思いとしてこのことも今脳裏にありますのでお尋ねさせていただくんですが、今回インターネットの呼び掛けで学生を主体にしたデモ、そしてある意味では投石事件があったと。  中国国内では、この改革・開放政策の中で、やはりなかなかそれに取り残されている、そういう階層と申しますか職業層があるということで、一つは農民であり、またなかなか、雇用になかなか巡り合わない労働者、失業者の数ということで、ここにもしリンクしたときというのは、対日とかいうことではなくて、中国国内としても大変な、やはり中国政府としても大きなやはり火種になっていくということが、これはある意味ではだれもが分析することかもしれませんが、私自身は今後の問題として非常に印象に残っております。  この反日デモの中で一部、一部ですけれども、日系企業の中の労働者にストライキがあったという、これまた私も報道でしか見ておりませんが、この企業が外国に進出する理由は、土地とか労働力とか原材料など、いわゆる低コスト、高コストから逃げ出して低コストが可能だからということで、かつて東南アジア、そして今も中国ということで経済進出をしていくわけでありまして、生活水準というのは当然のことながらそれによって、中国国内でも職に就く、賃金を得るということで向上していくと思うんですけれども、一方で、やはり労働者の方もより良い労働条件を求めていくというのは、これまた日本でもあるわけだし、どこの国でもあるわけであって、ここの辺の中国進出、特に我が国が中国に進出している日系企業の現状について総括的に、これは当該局長さんで結構なんですけれども、どういうふうに、一部労働者のストライキ等もありましたので、現状について分析されているのかどうか、お答えいただきたいと思います。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) ただいま先生がおっしゃられたこの中国の国内におけるいろんな商習慣の違い、あるいはその背景にある労働者の方々の対日感情の問題、いろんな個々に背景があると思います。  我々が聞いております範囲でも、いったん現地で相当、コストの面で進出した企業がしばらくたつとやはり高い賃金を要求されるということは、ある面で中国国内の経済状況がだんだん拡大するとその中で特に賃金格差が出てくると。つまり、都市の方と特にこれは農村でございますけれども、そういう中でいろいろと比較する材料が出てくると。これに対する不満というものが今相当強く出てきているということは聞いております。そのことが実は中国の政府に対すると申しますか、中国全体に対する不満となってくることに対しまして、中国政府も非常に心配しておると。そういうことで、この格差の是正ということを今中国政府は非常に大きな課題の一つとして取り組もうとしていると。  しかしながら問題は、その点がややもすると、これは今回のデモの私は主要な背景ではあるとは思いませんけれども、しかし将来的に、こういうインターネットが発展していくような時代で、そういう不満というものが相当広範に、今は各地散発的な状況であるというふうに思いますけれども、広がってくるとこれは相当深刻な事態になり得るというふうに思っているわけでございます。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 今、日本企業が中国での直接、間接、どのくらい雇用しているかというのは、ぱぱっと出てきます。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 済みません、今ちょっと数字を持っておりません。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 あるちょっと報道か、これ外務省の資料だったのか、私の記憶で一千万には行かないんですけれども、一千万近い、九百万ぐらいの数字を直接、間接的に雇用しているんではないかというふうに思っていますが、そんな茫漠とした何か数値は記憶にないですか。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) 中国に設立した日本の企業数でございますが、二万八千社ございます。と申しますと、一社一人ということはないわけでございますから、この雇用数というのは相当の数があるというふうに思います。  今、正確な数字はちょっと持っておりませんので、調べてまた御報告したいと思います。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 これは今二つありまして、日本商品ボイコットということで、そういう意味では販売不振があるいはこの従業員、中国人従業員の雇用関係に変化があるんではないかという危惧が一方であり、そのことが派生していって、よりまた反発が日本企業や日本政府に向けられてくるということに、これは悪循環になっていく嫌いがあります。  しかし、これ御承知のとおり、潜在的に非常にもう余剰労働力が抱えているわけであって、多分日本企業、日系企業等にとって、幾らでも低コストで、あるいは土地も含めまして、進出するについては相当やはりやりやすいというか、そういう低コストの部分では日系企業としては、日本企業としては買手市場というんですかね、よく言う、売手市場じゃない、買手市場という状況ではないかというふうに、このことが私は、先ほど申しました学生からそして労働者、農民というところに、中国国内の問題であり、これは日本と中国との関係ということで大変大きな背景としてあるんではないかと思いますので、冒頭申しました、私は謝罪の問題とかいろいろこれは、これは外交レベルではもちろんございますが、奥行きのある問題として今、日中関係というのはとらえていかないと大問題になっていくんではないかというふうに思いますので、あえて指摘させていただきますけれども、いかがですか、その点について。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 大変重要なポイントだと思います。例えば不買運動とか、こういう動きというのは中国側も決していいと思っているわけではない。  これは、二十二日に中国政府の薄熙来商務部長の記者会見というのが届いておりまして、これによりますと、日本製品の不買運動は日中双方の生産者、消費者の利益を害するものであり、中国の対外協力と発展に利益をもたらさない、中国政府は法律に基づいて日本企業を含めた中国における外資企業の合法的権利を保護し、各国の製品は中国市場において公正な扱いを受けるべきであると。こういう発言をしているのは、非常に僕は冷静な判断ではないだろうかと。その商務部長の発言の中に、中国における日系企業が直接あるいは間接的に創出した雇用者数は九百二十万人であり、二〇〇四年の日系企業の納税額は九百四十億元、約一・三兆円ということのようですが、これに達しているというようなことで、直接雇用者というよりは、直接、間接のことで九百万人を超えるという、多分委員の御指摘、こういう辺りがあるんだろうなと、こう思います。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 いずれにしろ、中国経済は日本経済にとってもこれは大変な存在感であり、日本経済も中国抜きに今、日本経済語れないという状況だと思います。したがって、中国は中国国内政策の中での労働政策あるいは経済政策、様々な政策があると思いますが、我が国として、日系企業が中国におけます労使関係なり労働政策の在り方については日本政府がそれはそれで行政指導なり、これしていくべきだというふうに私は思いますので、他の外国企業と比べてこれはもう全く異なった労働条件であるということになればこれは問題になっていくわけであって、優秀な中国人労働者が他の外国人企業の方へ行くということにもなっていくわけで、そしてまた、これは労働組合を組織するということを非常に嫌がる企業というのもあるわけで、これは国際的にもそんなことをしたら、そんなことでもうバッシングを受けるわけでありまして、労働争議を発生させる下地をそういった企業は体質をつくってしまうわけでありまして、政府として、やはりこの進出企業に対して適切な労働政策をあるいは労務管理をしていくということが、今もそしてこれからも大切だと思いますので、このことについての所見を伺いたいというふうに思います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) この点については委員の御指摘もよく分かります。経済産業省等とも相談をしながら、彼らがやはり中国の中の善き市民として十分受け入れられるようなそういう企業活動の適正化というものを是非図ってもらいたいと思います。  私も、先日中国へ参りましたときに、中国に進出している企業の代表者の方々ともお目に掛かる機会を得まして、一時間ほど懇談をいたしました。当面どういう影響があるかということが話題の中心でありましたが、たしかその議論の中でも、やはり自分たちの努力をしていることが必ずしもよく理解されないこともあると。ある企業は、一生懸命中国の山の方で植林をしているんだけれども、そのことを実は余りPRもしないでやってきたと。しかし、こういういわゆるチャリティー的活動とでもいうんでしょうかね、そういうものはもっともっとPRした方がいいんじゃないんでしょうかのような話もしたり、あるいは雇用の問題等もいろいろな悩みがあるんだというようなことも確かに言っておられました。  郷に入っては郷に従えということもあるんだろうと思いますので、その辺をよく関係省庁あるいは出先の日本人会の皆さん方ともよく話し合いながら、それが理由で大きなデモが起きたりとかそういうことに結び付かないような企業活動の適正化ということについても、私どもも大いに協力を得るように努力をしたいと思います。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 先ほど申しましたように、日系企業が他の外国企業と比べて昇進とか昇格が著しく遅いとか、それを不満として辞めるということで、そういった意味で、これは我が国としての、これはあってはならないわけでありまして、今大臣から答弁がございましたけれども、外務省、そしてまた経済産業省等の所管だと思いますので、大臣からきちんとまた申入れをしていただければというふうに思います。  さて、今年、抗日六十年ということで先ほどいろいろ、五四運動というのもありましたが、一方で自治体で、自治体レベルでも、これ全然発想が違うんですけれども、一方で抗日戦線勝利、抗日戦争勝利といいながら、やっぱり長い間、こうして戦後六十年たった今、友好関係、そして経済関係にもある意味では大ざっぱに言えば良好な関係になってきているわけでありまして、この中国とこの六十年という節目の中で双方の政府間での何か記念行事というのは今あるのか。  あるいは、私は例えば神奈川県に住んでおりますけれども、神奈川県の相模原市というのは中国の無錫市とこの姉妹都市を結んで二十年になります。ここで、そういうふうに双方の交流訪問をしようというふうなことをもうずっと計画になっていて、今度のことがあっても全く変化がないということで、これも外務省からいただいた資料で、姉妹都市の提携数を調べていただきまして、三月三十一日現在、アメリカ合衆国が全国で、都道府県から市区町村まで全部含めますけれども、四百三十五自治体、そして中国が三百十と。ですから、トータルが千五百十六ですから、アメリカが四分の一ぐらい、そして中国が三百十、千五百十六ですから五分の一ぐらい、あとは韓国が百台とかオーストラリアが百台とぐっと数字が低くなってまいります。  ここの様々な、これは日中だけでなくて日韓、様々な国々とこういった姉妹都市がありますが、とりわけアメリカ合衆国と中国が市区町村、都道府県単位、合計単位非常に多いということで、こういったやっぱり長い間のこの積み重ねというのは私は評価をし、そしてこのことをやっぱり広げていく。多角的に、重層的にというんでしょうか、幅広く深みを持ってということになると思いますが、こういったことをやっぱり日本政府の政府間、中央政府間だけでなく、地方政府間あるいは一般市民の交流というのが私はもっともっともう大きくクローズアップされるべきではないかというふうに思いますが、この点について、どうでしょうかと言えばそのとおりですというこれ答弁しかないと思うんですけれども、特に六十年ということもありますので、少なくとも私は、日中外相会議でこんなことは話題にならなかったかも分かりませんが、どういうレベルでもこういうことは、この人この人もこういうことがありますねということはいい話題として私は提供をできるし、それが蓄積ではないかと思いますので、所感を伺いたいと思います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 姉妹都市を含めていろいろなレベルの交流が活発化する、大変重要なことだと思います。  先般の外相会談でも日中共同作業計画というものをつくろうという話をし、その具体化を今いろいろ図っているところでありますが、その各種交流、もちろんトップは日中首脳レベルということに始まるわけでございますけれども、もちろんこれは政府レベルばかりではなくて、民間レベルの交流、青少年交流、文化交流、あるいは公務員同士の交流、様々な交流を進めようということについて話合いをし、大いに努力しようではないかと。日中の文化交流も進めるために日中交流基金というようなものを改めて双方でお金を出してつくって、そういう交流を促進するための具体的な検討をしようということについても合意をしたところであります。  当然、そういう中で、今委員御指摘の姉妹都市、私もそんなに数が多いということを今初めて実は教えていただきましたけれども、大変数が多いということは歓迎すべきことであるとこう私も考えますので、大いにそうした草の根レベルの交流も活発にしていただきたいと期待をしているところでございます。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 質問の大部分の時間を、ある意味では共通認識と、ある意味ではエールを送りながら両国関係というのは大切だと、これは中国のみならず様々な国々との外交は大切だということをお話しさせていただきましたが、しかしながら、なぜこれほど様々なバッシングがあるんだろうかと。幾つか様々な課題がありますが、小泉総理大臣のちょうど就任四年ということですけれども、外務大臣、靖国神社参拝ですけれども、適切に判断すると総理言っているんですが、それは昨年の発言の適切に判断するという、昨年もそういう話をしたと思うんですが、今年も適切に判断すると同じような意味合いで言って、いつか参拝をするというようなことを含みで発言されているんでしょうかね。いかがですか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 総理の靖国参拝の考え方、思いというのはもう累次述べられているところですから改めて繰り返しはしません。先般、四月二十三日、アジア・アフリカ首脳会議の際の内外記者会見の場でも、適切に判断をしていくということに変わりはないということを述べておられます。正にそれ以上私が付け加える何物も実はないわけでございます。  こうした現在の日中韓の状況等すべてをトータルで判断をされて適切に行動されるということであると私は理解をしております。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 これは御党の自民党の党内の中でも相当、マスコミを通じてこれはもう参拝をやめるべきだということを発言している方がたくさんいらっしゃいますよ。  私は、先ほどまで、六十年間の自治体や政府や様々なこの、経済関係もそうですが、様々ないろいろ紆余曲折があっても蓄積があると。この小泉さんのこの外交ということに関して、外務大臣、最初に田中眞紀子さん、そして川口順子外務大臣、そして町村外務大臣いらっしゃいますが、残り時間もなくなったんでこれを読み上げる時間はなくなるかも分かりませんが、四月十六日に毎日新聞の岩見さんが、向こう三軒両隣が危ないということで、この向こう三軒両隣というのは、中国、韓国もありますが、アメリカ、ロシア、北朝鮮、これもぎくしゃくしていると。中国にも詳しい元外相は、戦略なき靖国参拝が外交を八方ふさがりにしていることだと。小泉さんは静観しているときではないと。小泉外交に戦略性がないと言われて四年がたったというふうに言われていますというふうに書いてあるんですけれども。  この中には、中曽根さんが総理大臣になる前に、もう一年ぐらい前から韓国語講座をずっと勉強して、そしてアメリカへ行く前に戦後初めて韓国公式訪問にこぎ着けたということで、これずっとくだりがありまして、これは大臣の所属しています自由民主党の二月十四日の立党五十周年の記念講演でそのことを御披露されたというようなこれ報道出ています。  私自身、中曽根さんにすべて共鳴するつもりはありませんが、一国のリーダーが、なるという人がやっぱり事前にきちんとやはり準備をしてそして臨んでいくということに、私はここに一つ姿勢があったんではないかというふうに思います。  したがって、今この近隣関係というのは、まあ昔から韓国でありあるいは台湾もそう、中国でありということであれば少なくとも、小泉外交というのは戦略としてこういうふうにしていこうということが実はあった、あるべきだったというふうに思いますが、今日、四年たっても私はこの点について、靖国との関係につきましては何ら進展が全くなしと、本当に近隣関係を大切にするという姿勢は小泉さんの頭の中にはないんではないかと。いつも外務大臣や外務省や周りが何かやきもきしたりあたふたしておりますが、これはもうトップのまた外交姿勢に、あるところに、責任があるところにもう本当に実は思って仕方ありません。  今、小泉内閣総理大臣の下にいらっしゃる町村外務大臣ですから、私が言ったって、ああそうですか、齋藤さんの言っているとおりですよなんということはこれは言えないにしても、言えないでしょうけれども、そんなことはないというのが来るかも分かりませんけれども、ここは私は、この岩見さんだけじゃなくて、私は、この中曽根さん自身もいろいろなところで発言をしているわけで、傾聴に十分値する私はこの方たちの実績であり、私は発言だというふうに思いますが、いかがですか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 八方ふさがりとかあるいは戦略なきという御批判がいろいろな方々から出ていることを私もよく承知をいたしております。  これは、小泉総理になられる前というか、ずっと歴代自民党政権あるいは連立政権そうでありますし、現在もそうでございますが、やはりまず基礎は日米関係ということ、それを、基礎に立った上でアジア諸国、なかんずく近隣諸国とも最大限の友好関係を結んでいくと。日中、日韓それぞれ重要な二国間関係であるという位置付けから、例えば小泉総理は、着任後間もない時期だったと思いますが、シンガポールで日本とアジアあるいはASEAN諸国との強い連帯関係を結んでいこうという非常に重要な演説をされ、それに向けて例えば東アジアサミットというものも今年の年末行われる。それに向けて日本も協力をしていくこと、あるいはそれは一挙に進まないまでも東アジア共同体というような方向性、これはなかなか政治共同体にはなりません、軍事共同体にもなりませんが、主として、当面は経済的な共同体をつくるための、そのための例えばFTA、EPAというようなものも進めていこうというようなことで、私はこの内閣のアジア重視の姿勢というのははっきりしていると、こう思っております。  確かに、靖国の問題が影を投げ掛けている点は率直に認めなければなりません。しかし、それがあるからといって、じゃ日中関係すべて駄目かと、それがあるからすべて日韓関係が破壊されるかと、やっぱりそうではないと思いますし、またそうであってはならないようないろいろな外交努力をしなければいけないと、こう思っております。  そういう意味で、確かにそれぞれの国にそれぞれの課題があります。日米間だって、それはBSEの問題だってそれはあります。それは何も今に始まったことではなくて、昔からそれぞれ重要な国々との関係でいろいろな課題があるわけでありまして、今ここに来て急に全部問題が発生したとも思っておりません。日米間だって、本当に激しい貿易摩擦というようなものもかつては存在をいたしました。そういうのを一つ一つ乗り越えて友好な関係を築き上げてきたこれまでの経過もあるわけでありますので、私としては、今ある問題を一つ一つきちんと対処しながら、より長いレンジでの物の考え方をしながら日本の外交を進めていく、それが小泉内閣の役割だと、こう思っております。

齋藤勁民主党・新緑風会

○齋藤勁君 もう答弁結構ですので、感想だけ。また今後の、今日は日中問題ということを中心に、現状について分析なり方向をお答えいただきました。  柳井元事務次官が、日米関係は極めて良好だけれども、このやっぱりアジアの関係というのは、外交、今、小泉外交というのは若干お留守にしたというふうに言ったかどうか別にして、薄かったとか、そういうような意味でお話ししていました。  今、国連加盟の問題で非常に大変努力をされています、国連常任理事国入りで。一方、中国もこの今度のことで、国際社会のやっぱり非常にある意味では大事さというのを私は認識したというふうに思います。日米同盟、日米関係も重要だと思いますが、中国というのはアジアあってのやっぱり中国であり、アジアあっての日本だというふうに思いますので、二国間から多国間のやはりそういった枠組みにやはりずっと重視をしていくことをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。

澤雄二公明党

○澤雄二君 外務大臣、中国それからインドネシア、お疲れさまでございました。  今日は、少し時間が、持ち時間が短いので、幾つか提案したいことがございますので、先にそこから質問をさせていただきます。  四月の十六日、上海では一万人から二万人というデモが行われて、上海の在留邦人は三万四千人ぐらいというふうに言われておりますけれども、この人たちは一日じゅう非常に不安な気持ちで過ごされたというふうに思います。この上海の三万四千人の方たちに、外務省といいますか、総領事館は、そのデモの状況その他についてはどういう形で在留邦人に情報伝達されたんでしょうか。

鹿取克章外務省領事局長

○政府参考人(鹿取克章君) 在留邦人の方々への情報伝達でございますが、我々、様々な形で情報を発信しております。一つは、緊急のお知らせというか、注意喚起ということでスポット情報を何回か出しております。それからまた、地元の在留邦人の方々と総領事館、大使館は緊密な連携体制を取って緊急連絡網というのをつくっておりますので、その緊急連絡網を通して様々な情報や注意喚起を発信しております。

澤雄二公明党

○澤雄二君 前回のこの外交防衛委員会では、ほとんど何もしていませんという外務省のお答えだったんで、だと思います。白委員が御質問されたときにそういう御答弁だったと思いますが、そうなんです、結構外務省おやりになっていました。特に十六日については、インターネットで注意喚起するようなスポット情報をこれ一日八回ですかね、出されていて、二時間単位ぐらいでデモがどういう動きをしている、どっちへ向かっている、どういう方向は気を付けなさいとか、それから総領事館の代表電話の内線は何番と何番は空けておきますからお問い合わせがあればそちらにどうぞというふうに、かなり一生懸命されていることが分かりました。分かりましたが、これ全部インターネットのホームページですよね、総領事館のね。ということは、実はすごく大きな弱点があります。  これ、どういう弱点かといいますと、情報関係の言葉で言うと、プル型とプッシュ型というのがあるんですが、このインターネットで情報を取りにいくのはプル型といって、そう思った人がインターネットにアクセスしないとその情報が取れない。これはだから、外に出ている人とかそういうことの気が付かない人たちはその情報を知ることができないという実は大きな弱点を持っています。ですから、この間の十六日みたいなああいう大規模なデモの場合には、そうではなくて、プル型ではなくて、いわゆるプッシュ型と言われている、その人たちに直接注意喚起をするような情報伝達手段があればかなり効果を発揮するんではなかろうかというふうに考えています。  それで、一つ提案でありますけれども、この一、二年、自治体であるとか警察で、市民のために急速に普及している警報メールというのは大臣御存じでありましょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 言葉は聞いたことはあるのでありますが、現実、受け取ったりしたことはございません。

澤雄二公明党

○澤雄二君 済みません。失礼しました。  この警報メールというのは、その町に住んでいる人たちが持っている携帯電話、登録した人に警察若しくは自治体が、あなたの町でたった今ひったくり事件が起きましたよ、何か強盗事件が起きましたよというときに、その登録した人の携帯電話にその情報を即座に送るシステムであります。で、それを受け取った方たちは、御近所の人たちに、あっ、こういう事件が起きたから気を付けましょうねってまた皆さんにお声掛けをするという、これが警報メールシステムであります。  もし、この警報メールシステムを上海の在留邦人の方にシステム構築することができれば、これ大変役立つ情報になると思います。大して費用も掛からないと思うんですが、どうでしょうか。

鹿取克章外務省領事局長

○政府参考人(鹿取克章君) 今、先生御指摘の警報、警告メールでございますが、これは御指摘のとおり、迅速に在留邦人の方々に情報伝達するという意味で非常に有意義かつ魅力的な手段であると思います。  先ほど御説明しましたように、私どもとしては、緊急連絡網というものを現地の地元の方々、在留邦人の方々と協力してつくってはおりますけれども、今後とも邦人保護については様々な観点から努力をしていくものと考えております。今御指摘の手段につきましても、様々な観点から検討を進めてまいりたいと考えております。

澤雄二公明党

○澤雄二君 この警報メールシステムというのはほとんどコストも掛からないというふうに言われていますし、もし上海に平穏な日々が戻ってくればそのシステムは解除することもできますし、一度上海でそれを検証されれば、同じような事態が外国のいろんな都市で起きた場合に、まあ携帯電話事情、その国にもよりますけれども、そういうことをその各国でできるようになるんではなかろうかというふうに思っています。もしこれが、日本の外務省がそういうことを最初におやりになったとしたら、世界的にも画期的なことだろうというふうに思います。もし外務大臣の御決意が聞かしていただければと思いますけれども。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 私もちょっとその専門家ではないもので、今委員のお話を聞いてなるほどなと思ったところでございます。どういうことが可能か、今この警報メール、ひとつ重要な御提言として検討させていただきたいと思います。

澤雄二公明党

○澤雄二君 次に、今ちょっと大臣も答弁の中で少し、一言ぐらい述べておられましたけれども、中国に対するODA、円借款は二〇〇八年までに新規分はやめるということでございますが、この際、こういう問題がいろいろ起きてこれからも尾を引くと、大切な日中関係ということでありますので、この円借款に代わると言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、日中友好のシンボルとして基金を設立することはどうでしょうか。そういうお考えはありませんか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) この問題につきましては、先般の外相会談でもこちらの方から話題を提供をしたところでございます。新しい、新、新しい新ですけれども、日中友好二十一世紀委員会の提言の中に日中交流基金というものを設立をして、これでこの文化交流とか青少年交流を活発にやったらどうかという御提言がございました。これを受けまして、外相レベルでもこれもひとつ前向きに検討しようではないかという合意に達しまして、できるだけ早く、年内ぐらいには答えを得て発足をさせるような、そんな努力をこれから両外交当局で重ねていきたいと、かように考えているところでございます。

澤雄二公明党

○澤雄二君 是非その実現に努力をしていただきたいというふうに思います。  せんだって、この委員会で申し上げましたけれども、ドイツとフランスが友好関係を結んだということには、青少年の交流、教科書の改善のプログラムということが大変役立っております。そういうことにもこの基金を使っていただければというふうに思います。まあ、それほど大きな規模にはならないと思いますが、今、何か額については考えていらっしゃることございますか。

佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長

○政府参考人(佐々江賢一郎君) いろいろこの頭の中では体操的なことはしておりますが、まだここでお話しできるほど煮詰まっていないということで御理解願いたいと思います。

澤雄二公明党

○澤雄二君 今回も明らかになったわけでありますが、この日本と中国若しくは韓国との歴史問題というのは、例えば教科書問題なんかにすると、いろんな省庁にまたがっている問題であります。ですから、多分教科書問題をこれから中国と真剣にいろんなことを考えていく、共同作業もありますし、歴史の共同研究も前に進んでいくんでしょうけれども、というときには、多分そういうものを統括するような部局といいますか、担当官といいますかね、いう人が政治的には必要になるんではなかろうかと。ですから、例えば官房副長官クラスの方をそういう担当官に置くというようなことは今後の構想としてはどうでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 一般論でございますが、昨今何でも内閣官房に持っていってしまうということで、これはちょっと各省の責任放棄と言うと言葉が過ぎるかもしれませんが、もうちょっとしっかり各省がやらなきゃいけないと、逆に私は最近そういう思いを強くしております。  ですから、今委員が御指摘になったこの問題については、特に教科書等の問題については外務省と文部科学省とで共同作業で、それぞれ省の責任者を決めて、両大臣がしっかりそれを指導するという形で対処できるものと、こう思っております。

澤雄二公明党

○澤雄二君 是非文部省とうまく歩調を合わせてやっていただければ結構であると思いますけれども、それで進まないと、いろんなことが今内閣府にって言われましたけれども、一方でFEMAみたいなものをつくれという意見がまた大きな意見となってまいりますんで、どうか是非お願いをしたいというふうに思います。  それでは、今回の日中のいろんなこの問題について、各国のマスコミが様々な論調をしています。これはもう御存じのとおりであると思いますが、まあ的を射ているものもあれば、射ていないものもあります。  例えば、これはインドネシアのジャカルタ・ポストの記事でございますが、日本は歴史の事実に対して十分誠実とは言えないと批判をしています。  また、フランスのル・モンド、これは十二日付けでありますが、日本が第二次世界大戦の大戦中に犯した罪を否定するのを中国人が非難するのは間違ったことではないというような論調を掲げています。  また、フィナンシャル・タイムズのアジア版では、日本は第二次大戦中の残虐な行為に中途半端な謝罪しかしてこなかったが、ドイツは欧州でのナチスの残虐行為を全面的に認めてきた、和解には被害者の許しが必要だ、欧州の人々がドイツの過去を許したようには中国人は日本人を許せないようだとかですね。  シンガポールのストレーツ・タイムズというところは、不快になるほど繰り返された指摘だが、日本が戦時中の暗黒の過去を認めようとしないことが問題なのだ、事実の継続的な否定は手に負えない病である、日本は今すぐ過去に向き合うべきだというような論調が報道されています。  日本が正にやってきたこと、訴えてきたこと、いろんな補償をやってきたことが、そのまま伝えられていない、認識をされていない。これは、この日中問題というのはアジアの各国すべてが実は根っこでかかわっている問題でございますので、非常に大事な問題であろうと。ですから、この歴史認識の問題については、日本国としては単なるこれまでの海外広報というような立場を離れて、もっと情報戦略的なことをお考えになった方がいいんではなかろうかと思いますけれども、どうでしょうか、対応は。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) いろいろな主要な新聞、マスコミがいろいろな報道をしておることは私も承知をしております。中には全く事実を誤認をしている報道も含めていろいろございます。  よく中国の人あるいは韓国の人が、日本は歴史と向き合っていないという言い方をされます。誠に私はこれ心外であるし、不思議であるし、これほど私どもは今まで、例えば戦後五十年たったところの内閣総理大臣談話を始め、日韓の間でも日中の間でも再三にわたって日本側の、特にさきの大戦中にかかわる歴史認識というものについては再三触れております。先般のアジア・アフリカ首脳会議の場でも、小泉総理からそういう発言もいたしました。  したがいまして、私は日本がそういった歴史を、すべて日本のやってきたことは正しかったと言って特に大戦中のことを美化したり、あるいは正当化したりするというような発言はないわけでありまして、どうしてこういう言い方をされるのか。  例えば、教科書のことをよくそれらのマスコミの方も言います。しかし、ほとんどの場合、その教科書の現物を読んでいる新聞ないんですね。もう誠に先入観でしか物を言っていない。そういう諸外国の政治家もおります。ですから、私は二国間の会談でそういうことがたまに出たりすると、私はきちんと説明をして、ああ、そういうことですかということで、随分理解を得る努力もやっております。しかし、それでは足りないことがある。そこで、今委員言われた、もっと戦略的にそういうことをしっかりと情報伝達をしていくべきであるという御意見、誠にごもっともでございます。  例えば、中国も韓国も国定教科書、そういう国は多いんで、結構あるんですね。しかし、日本は違うんですと。いろいろな教科書があって、それが一定の範囲で収まっているかどうかという検定制度を取っておりますと言うと、その検定制度そのものをやっぱりよく理解されていない。したがって、改めて私は今回、中国の大使館あるいは韓国の大使館にも、そもそも例えば検定制度というのはこういうものだという解説のホームページをしっかり立ち上げて、それぞれの国の言葉で説明をする、あるいは教科書の中で軍事行動を賛美しているという批判があるが、もう具体的にどの、この教科書にはこう書いてある、この教科書にはこう書いてあるというそれを全部翻訳して載せて、どこにここが日本の軍国主義賛美という部分がありますかと、そんなことは全くないということをもっと積極的にPRといいましょうか、広報していくということをやらなきゃならない。  それから、幾つかの新聞の、まあどうも傾向がある新聞があるので困るのでありますが、意図的にやっている新聞もありますけれども、しかし、そういう新聞のオピニオンリーダーたちにもっと積極的にこちらから情報提供をする、打って出ると。こういう作業は既にやってはいるんですけれども、もっと積極的にやっていく必要がある。余りにもひどい記事があったりすると、訂正をするようにとか、あるいは投稿をしてあの記事はこういうふうに違っているというようなことも随分最近は積極的にやっております。  そういうことをより積極的にこれからやっぱりやっていかなければいけないということは今回のいろいろな事件を通じて改めて感じておりまして、大いにそういった、戦略的広報とでも言うんでしょうか、この面で努力をしていかなければいけないと、かように考えております。

澤雄二公明党

○澤雄二君 是非、よろしくお願いをしたいと思います。  先ほど、在留邦人の安全確保の情報ということで申しましたけれども、やはりホームページで幾ら細かい情報を、これは事実関係を載せたとしても、それはあくまでやっぱりプル型でございますので、見に行こうという意識のない人間は全くそれは見ようとしませんから、やっぱりこちら側からある程度発信するもの、プッシュ型とプル型をうまく融合させて、何か戦略戦術的な広報戦略をこの歴史問題についてはやっていただきたいというふうにお願いをいたします。  残り時間がなくなってまいりましたので、あと一つだけお伺いをしますが、今回の外相会談で、外務大臣の方から中国側に、歴史の共同研究をやろうではないかという提案をされました。報道によりますと、中国側は前向きであったという回答が報じられておりますけれども、具体的にはどういう回答をされたのか。  それから、この歴史教育の共同研究ということは中国側の立場にとってみれば非常に実は難しいことであると思われますので、その辺の認識もどう感じられているのかということをお答えいただければと。  それからもう一つ。韓国との歴史の共同研究は、二〇〇一年の首脳会談で決まって、今年の三月で一応第一次の幕は閉じています、幕を閉じています。韓国、日本双方ともに、この歴史の共同研究は継続したいということを表明しているという認識をしておりますが、これは現状は今どうなっているかというのを最後にお伺いをしたいというふうに思います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) まず、韓国の方から申し上げますけれども、これは平成十三年の十月の日韓首脳会談の合意を受けて立ち上げられ、約三年たちました。先月の二十六日に最後の全体会合が行われまして、今はそれを具体の文章にする作業をやっていると、こういうふうに聞いております。夏ごろぐらいには大体まとまって、発表されるのかなと思います。  なかなかこれ、歴史の認識について一致を見るというところまで、もとより急には進まないんですけれども、私は、大変意義ある活動だったということもあるので、新しいメンバーで、またどういうテーマで研究をするかということについて韓国側と打ち合わせながら、今度、多分七日の日になるか、六日か七日に日韓外相会談、京都ASEMの場においてバイの会談もやりたいと、こう思っておりますので、そんなところでも少し話を煮詰めて、協議を加速化させて立ち上げていきたいと、こう思っております。  それをひとつ参考にしながら、中国との間でもそういうものを立ち上げてはどうかという私の方から提案をし、先方も前向きに検討しようということになっておりますが、まだ、これはまだ現状漠たる状態でございまして、この辺も今後次第に双方の考え方を持ち寄ってスタートができればいいなと、こう考えているところでございまして、まだ現状ではちょっと、構想も正直言ってまだ日本側でも十分固まっていないし、彼らもこれから考え始めるという段階だろうと思います。

澤雄二公明党

○澤雄二君 是非、それもよろしくお願いをしたいと思います。  この歴史認識の問題は、正に韓国、中国の問題の一番根っこにあるところでございますので、言いっ放しに終わらないで必ず具体的にそれを実現されるように、それから、日韓との歴史の共同研究については、これまで三年間行われたことを手本にしながら更にステップアップして、もっと中身の濃いものにしていただくように念願をいたします。  どうも、ありがとうございました。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 日中首脳会談とそれを受けての日中関係について質問をいたします。  日中首脳会談では、日中友好を促進することでは一致したものの、関係発展のためにはやはり歴史問題の解決が避けて通れない課題であることが改めて浮き彫りになったと思います。その点について、大臣の所見をまずお伺いいたします。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 小泉総理と胡錦濤主席との間で、日中の友好がいかに両国にとって、またアジアあるいは国際社会全体にとって重要かという基本が確認をされたということを先ほど申し上げたわけでございます。  歴史の問題、これも確かに重要なポイントでありまして、この点については、先方の国家主席の方から、五つのテーマといいましょうか、具体的に言いますと、三つの政治文書、日中共同宣言等々でございますが、の重視、それから歴史をかがみとして未来に向かうということ、台湾問題の適切な処理、対話を通じた問題解決、幅広い分野の交流、協力の拡大ということを胡錦濤主席からお話があり、小泉総理もこの五つの点に配慮していきたいというふうに述べているわけでございます。  この政治文書あるいは歴史をかがみという中に、正に歴史の問題ということが当然主要なテーマとして含まれてくるわけでございまして、主席の方からは、靖国神社参拝、歴史認識ということについて言及をした上で、これらについて一々討論をするつもりはないが、歴史を正しく認識して対処するために反省を実際の行動に移してほしいという発言があり、小泉総理からは、お互いに感情的な反発はあるけれども、過去の非をあげつらうのではなくて、未来に向かっていかに友好関係を発展させるかということが大切であると理解をしていると、歴史をかがみとし、未来の友好を考えていきたいと、こういうようなやり取りがあったようでございます。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 小泉総理は、アジア・アフリカ首脳会議の演説で、アジア諸国に対する植民地支配と侵略への反省とおわびに言及いたしました。その内容は、九五年の村山談話、表現をそのまま繰り返したものだったわけですが、今問われているのは、小泉内閣の下で、中国側が、総理自身の靖国神社参拝などが、日中戦争の責任を痛感し、深く反省するという七二年の共同声明やあるいは九八年の共同宣言など二国間の合意に反する行為と受け止めていて、日本側としてもそこを解きほぐすことが必要だと、これが問われていると思いますけれども、その点について伺います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 靖国参拝について申し上げるならば、先ほど齋藤委員等々からも御指摘がございましたとおりでありまして、これに対する小泉総理のお答えは、適切に、一言で言うならば適切に判断をしていくということであるわけでありまして、そして同時に、この靖国の問題があるからもう他のすべての日中関係がそれに影響されてしまうというのはやっぱりおかしいということも総理は言っておられます。  そういう意味で私は、この基本的な日中友好を築くという観点に立って、今後とも総理大臣が適切に判断し行動されると、こう理解をいたしております。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 まあ靖国があるからすべてが影響されるのはおかしいと、そういう認識が総理はお持ちだということは存じておりますけれども、そのことを中国が問題にしているわけで、そこが、そこをどうするかということは問われると思うんですね。  首脳会談で胡錦濤氏は、過去の歴史を反省するという言葉を行動の上で表し、二度と中国人民の感情を傷付けることはしないよう求めました。ここに示されるように、やはり大事なことは、村山談話そのままにせよ、やはり反省とおわびに言及した以上、そしてそれが国際会議の場で小泉首相の肉声で述べられた以上、それと矛盾する行動は慎むべきだし、相手が矛盾と受け取る、そういう行動についてやはりよく考える必要があるんじゃないかと、そう思いますが、いかがでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 先方と日本側と認識が異なる点は確かにあると私は思います。しかし、この点については、先ほど来から申し上げておりますように、そうした違いは認識しながらもトータルとして適切な行動をし、適切な判断をした上で適切に行動するという総理のお考えでございますから、私としてはそれを尊重したいと、こう思っております。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 中国が首相の靖国参拝を強く批判したのは、一九八五年の八月十五日に中曽根総理が公式参拝に踏み切ったときです。政府は翌年の八月の十四日に後藤田官房長官の談話を発表いたしました。そこで、A級戦犯を合祀していることなどがあって、公式参拝が近隣諸国に我が国の行為に責任を有するA級戦犯に対して礼拝したのではないかという批判を生んだ、このことを認めて、過般の戦争への反省と平和友好への決意に対する誤解と不信さえ生まれるおそれがある、こう言って、このことを理由に挙げて、その翌年、つまり一九八六年には公式参拝を見送ったわけです。  こうした過去の政府見解に照らしても、四年連続して参拝を続ける小泉総理の態度は中国側の国民感情を刺激してきたことは明らかではないでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 先般の日中外相会談でも、そういう趣旨の先方外相からの発言があったのは事実であります。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 後藤田談話は、この靖国参拝の目的を、戦没者一般を追悼すると挙げているわけです。これは小泉首相と同じだと思います。その上で日本が担うべき国際社会の責任を挙げ、国際関係を重視し、近隣諸国の国民感情にも適切に配慮しなければならないと述べているわけです。正にこうしたことが当時の中曽根総理が靖国公式参拝を差し控える理由とされたわけです。  この問題の解決なしに、やはり言葉でいろいろ述べても、やはり真の問題の打開策にはならないんじゃありませんか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 再三これは同じことを申し上げるしかないわけでありまして、私としては、その靖国があるからもう他のすべてのことが否定をされるということであってはならないと、こう思っておりますし、靖国参拝があろうがあるまいがそれとはかかわりなく、例えば先ほど申し上げました日中の共同作業計画の推進等々をしっかりやっていこうということで今後外交活動を展開をしていくわけでありまして、ここで靖国があるのならもう共同作業計画も何もかも一切の交流が全部終わりですということではないんだろうと、こう思っております。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 靖国があるからといって、あるいはそれが影を落としているからといって、しかしその協力が進められないことはないということを言われました。それは真実なんですよ。しかし、同時に、全面的にもっとできる協力ができなくなる。双方、日中協力を望んでいるわけですよね。そのことは明確になりました。しかし、それが靖国の問題、歴史認識の問題で大きな妨げになっている、このことを解決するということがやはり日中関係を大きく発展させるという、そういう弾みを付けることになっていくと私は思うんですね。  ところで、少し基本的なことを伺いますけれども、そうすると、外務大臣は一九八六年の八月十四日の後藤田談話ですね、そこで述べられている、つまり靖国参拝が平和と友好への決意に対する誤解と不信さえ生まれるおそれがある、そういう認識はお持ちなんでしょうか、その点についてお伺いいたします。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) ちょっと、今、私、後藤田談話の全文が手元にございませんから、それについてのちょっとコメントを今直ちに申し上げるわけにはまいりません。目を通したことはもとよりございますけれども、今ちょっと正確に改めて後藤田当時の官房長官の談話についてコメントするのは控えたいと思いますが、あの当時として、当時の判断としてそれが最善であるという判断を当然されたからこそ、内閣総理大臣そして後藤田官房長官と御相談をされてそういう談話を出したんだろうと、こういうふうに理解はいたします。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 いや、後藤田談話は、やはり今こういう問題になっているので、やはりよく見ていただきたいと思うんですけれども、一つは、戦争で犠牲になった戦没者一般を追悼して、併せて日本が世界の平和の決意を新たにする、そういう機会にするんだということを述べているんですよね。これは小泉首相が参拝する論理と全く同じですよ。  しかし、同時に、大事なことは、靖国神社にいわゆるA級戦犯が合祀しているというそのことを挙げながら、やはり日本の平和友好への決意に対する誤解と不信さえ生まれるおそれがある。したがって、国際関係を重視し、近隣諸国の国民感情に適切に配慮する、その点で、そういうことを考慮して内閣総理大臣の靖国参拝への、靖国神社への公式参拝を差し控えることにしたと、そういう内容なんですよ。  私は、これは正に重要な政府の決定だと思うんですよね。いわゆるこういうことがあって、今、四度も繰り返して、しかも今批判はもっともっと強くなっている、当時と比べて。そういう中でこの靖国問題をどう処理されるのか、このことが注目されているわけです。  しかも、あのAA会議で、異例とも言われた形ですけれども、小泉首相が気持ちを表したかったんでしょう、おわびと反省を国際会議の場で述べた。そして、今、それがこれからどうなるかということを中国、韓国だけではなく、またアジアだけでなく世界が注目している、そういう関係があると思うんですね。その中で問われているわけです。  ですから、私はまず、そういう中で大臣に率直にお伺いしたいのは、この後藤田談話なるものを今の政府、外務大臣は留意されるのか、それとも、こんなものは留意する必要はないという考えなのか、その点どっちなんでしょうか、お尋ねいたします。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) さっき申し上げましたように、それは当時の官房長官あるいは内閣としての判断はきちんとされたんだろうと、こう思いますから、それについて今振り返ってみて、私の立場であれは評価するかしないかとか、認めるとか認めないとかいうことをコメントする必要は私はないんだろうと思います。当時として、後藤田官房長官、中曽根総理あるいは内閣の関係する方々が議論をされた上での結論でございましょうから、それはそれで尊重しなければならないと思います。  しかし、それと今の状況が全く同じであるとも私は思いません。そして、私は小泉総理が先般のアジア・アフリカ首脳会議で述べたその歴史の部分、戦争中の話の認識のみが報道されているのも私はちょっととらえられ方としてはいささかバランスを欠いているのではないかと実は思っておりまして、そのことを踏まえていたからこそ日本は戦後一貫して経済大国になっても軍事大国にならず、平和国家としてやってきた、その実績を皆さん方にしっかり見てもらいたいんだということを総理は強調し、その上に立って、更にアジア・アフリカ支援を今後いろいろな形でやっていきますということを述べたのであって、この小泉スピーチはその戦争中にかかわる認識だけを別に述べに行ったわけでは全くないということは、蛇足ではございますが、是非御理解を賜りたいと思います。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 状況は同じでないことは明らかなんですよね。で、もっと深刻になっている。そのことを処理しない限り、やはりきちっとした協力が進まないというふうになっている。このことをやはりきちっと認識していただきたいということを指摘して、質問を終わります。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 外務大臣におかれては、バンドン会議の御出席、大変御苦労さまでございました。  さて、小泉総理は、今回の日中首脳会談について、災いを転じて福となす会談にしたいとおっしゃって臨まれたわけですが、福となすきっかけをつかめたのかどうか、外務大臣の御所見をお聞かせください。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) それは、心配をすれば悪循環のスパイラルに陥るおそれもそれはあったかもしれません。お互いが非難をし、批判をし合う、どんどん国民感情がささくれ立っていくと、こういう事態はやっぱり避けなければならないと、こう考えて、多分災い転じて福となすという発言がされたのではないだろうかと、こう思います。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  そういう意味では、私は、今回、日中首脳間で両国関係の重要性、友好関係の重要性を再確認をしたというのは意義があったと、こう思いますし、そういう意味でどれほど大きな福になったかどうかはまだ分かりませんが、少なくともプラスの方向に向かう足掛かりはできたのではないだろうかと、このように評価をいたしております。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 先ほど、外務大臣は、中国問題に関する報告の中で、日中関係を包括的に前進させるために、日中共同作業計画を策定する旨お述べになりましたが、いつごろまでにどのような手順を経て策定なさるおつもりでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) これはどういうんでしょうか、事前に全部詰めて、一、二、三、四、五、六、七と並べてやる性格のものというよりは、むしろ、これは私のイメージでありますけれども、どんどん会談を積み重ね、いろんなレベルの交流を積み重ねて、よし、これをじゃそういう共同作業計画の一環として位置付けようというようなことで進めていけばいいのではないかなと思います。  ただ、大きなフレームワークとしては、一つは、まずいろいろなレベルの交流を促進をすると。首脳レベルを含め、として交流の促進というのが大きな柱の一つであります。それからもう一つは、今当面する諸課題の解決、東シナ海の問題が一番のいい例かもしれませんが、こうした課題の適切なる処理ということ。それとあともう一つは、両国間でともに対処する地域問題、国際問題、例えば北朝鮮の問題等もあります、こうした問題についてともに協力をしていこうと。  大きく分けると、その三つの柱の中でその中身を順次詰めていき、合意したものから実行していこうと、こういうイメージで今考えているところでございます。  この辺については、日中外相会談、また五月の京都ASEMの場でも行えると思いますので、もう少し突っ込んだ議論を今度はやってみたいなと、こう思っているところであります。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 中国の胡錦濤主席は、小泉総理との会談の後すぐ会場となったホテルのフロアで記者会見し、首脳会談で小泉総理に対して五つの主張をしたことを明らかにしました。その主張の中で、台湾問題を適切に処理し、日本が実際の行動で一つの中国政策を堅持、台湾独立を支持しないことを希望するとして台湾問題が取り上げられています。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  胡主席は、今回、台湾問題を取り上げたのは、我が国がさきの日米の2プラス2で台湾問題を含めて日米同盟を強める方向を確認したことに対する牽制ではないかというふうに思われるわけですが、この点について外務大臣はどのようにお考えですか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 中国側の発言のその背景とか考え方が全部一遍に分かるわけではございませんので、2プラス2が影響しているのかどうか、私にはちょっと理解しかねるところでございます。  ただ、2プラス2の場で述べました共通の戦略目標は、今まで何度もアメリカも述べ、また日本も述べている認識でございまして、この台湾海峡をめぐる問題は対話を通じた平和的な解決によって達成されるべきであると。そしてこの問題は、日本を含む地域関係国にとって大きな関心事項であるということでございます。  したがって、従来、この台湾問題、もちろん、一つの中国、一つの台湾というポジションではないとか、累次述べたことを含めて、これまでの日本の立場を改めて2プラス2の場で述べたものでありまして、日本の台湾に関する政策に何か変更があったとか、大きな軍事的意味合いを持たせたとか、そういうものでは全くないということは非常に明確だと、こう思っておりますし、そういう趣旨のことは私は先般の外相会談の折にも述べたと記憶をしております。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 外務大臣は、バンドン会議に先立って北京で中国の李外相と会談なさったわけですが、その際、歴史認識に係る日中共同歴史研究について話し合われたとのことですが、日中間でその間について基本的に合意されたのであれば、日本側としては具体的にどのように対応なさるのか。先ほども似たような質問がございましたけれども、いま一度確認させてください。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 日中の歴史というと、どうも先般の大戦、世界大戦のこの間の話ばかりがどうも日中の歴史だというふうに、特に中国側はそういう意識で言われますが、私は、それは日中の歴史というのは、釈迦に説法でございますが、二千年余の長い長い交流の歴史があるわけであります。そして、確かに、さきの大戦中の一時期の戦争状態、戦争状態というか、不幸な時期があったわけでありますけれども、その後、また戦後六十年は正に日中平和の時代、日本が国際的な平和と国際貢献をやった、そういうこともまた日中間の歴史であろうと。  私は、そういう意味で、過ぐる大戦のその最中のことだけを研究しようというのではなくて、もっと幅広い視野で、また特定のポジションといいましょうか、日本が一方的に悪かったとか中国がどうであるとかいう、余りポジションを定めずに、言わばゼロからの出発とでもいいましょうか、一からそういう研究をお互いに始めようではないか、願わくば、一致することは難しいかもしれないけれども、共通部分が認識の面で増えたらばそれはそれでいいことではないか、そういう思いでこの共同研究の可能性というものを提案をし、先方も考えてみるということでありました。  したがって、まだ、どういうメンバーでいつごろからどういうテーマでということはまだそこまで詰めておりませんで、今後、これから中国側と話し合っていきたいと、こう考えている段階でございます。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 日中間の懸案事項の一つである東シナ海の石油、天然ガスの開発について、その推定埋蔵量や開発に掛かるコスト、販売市場等をめぐってまだまだ不確実なところが多くて、民間の開発会社では採算に合わないとの見方があると報じられています。したがって、開発会社には日中共同開発の方が効率的との声もあるようですが、外務省としては、東シナ海の資源開発事業をどのように認識され、また進めていかれるお考えでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) この点については、先般の外相会談におきまして、東シナ海等における海洋をめぐる問題については、五月に事務レベルの日中協議を再開しようという方向で検討することで一致をしたわけでございます。  昨年の十月にこの会議が行われた後、第二回目をやろうということを我が方から申し入れていたわけでございますが、先方からは事実上回答がなかったと。その間にどんどん一方的に開発行為が進むという事態があったものですから、それは大変まずいという問題意識を持って、先般の外相会談でそういう問題提起をし、じゃ五月中にやろうということになりました。  じゃ、この東シナ海の資源開発どうするのかということについては、まず中国側に、彼らの開発行為が随分事実上先行しておりますから、どういう情報を持っているのかということをまずしっかり示してもらいたい、それから、共同開発ということをもし言われるのであるならば、どういう形の共同開発というものを、これは日本側が言ったというよりむしろ中国側の提案でありますから、それならばどういう提案を具体的にしたいのか、その中身を早く示してくださいということを申し上げております。  ただ、情報を出せ出せと言うばかりでもあれですから、私どもの方も一定の磁気探査による調査もやっております。そうした結果を我が方も提供する用意もありますし、また、共同開発についても具体的提案があれば我が方としてもそれを真剣に検討する用意があるということまでは先般の外相会談で申し上げましたので、その辺が基本になって事務レベル協議が行われるであろうというふうに考えております。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 去る三月下旬、中国国内で日本の国連安保理常任理事国入りに反対する意思表示が今回の反日デモのきっかけの一つになったのではないかと言われています。つまり、反日デモの背景には日本の国連安保理常任理事国入りに対する中国政府の言わば牽制になるのではないかというふうにも言われておりますが、中国は日本の安保理常任理事国入りについてどのような考えをお持ちなのか、御認識があればお聞かせください。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 日中間では、安保理の改革の必要性ということについては共通の認識を持っております。幅広い意味での改革の必要性ですね。細部にわたってまだ十分な議論を詰めたわけではございません。今後、局長レベルでも少しく詰めた議論をやらなければいけないと、こう思っているところであります。  特にこの安保理の改革につきましては、中国側も今のままでは十分な姿になっていないという認識があるようでございます。例えば、彼らは一つの考え方として途上国の、発展途上国の代表性が今の安保理には欠けるというような指摘もしておりますから、一切安保理改革はやらないんだ、国連改革も要らないんだという考えではないということははっきりしていると思います。  では、その中で日本の安保理入りについて中国がどういう考えかということについて言えば、彼らは明確に、日本の安保理常任理事国入りに反対ということを明確に言ったことはございません。また、賛成ということも残念ながらもとより明確に言ったことはないというのは現在の姿でございます。しかし、何といっても現在の常任理事国五か国の一か国であります。この一か国でも批准をしないと、承認しないということになれば、これは安保理、日本の加盟のみならず安保理改革そのものが進まないということになりますので、私どもとしては、日中間のあらゆるルートでこの安保理改革を含む国連改革問題については協力しながら議論をし、前向きの方向でともに対処できるように話合いを続けていきたいと、こう考えております。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 本件に関する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 話題変えまして、日本の社会保障協定の締結に関する質問を町村大臣に申し上げます。  これは、この社会保障協定をじっくり読ませていただいたんですが、一見非常に地味に見えるこの協定ですが、大変大切な協定だというふうに感じております。  大臣、今のところこの協定は大企業の人たち、日本が特に派遣をされてその大企業に所属しながら表で働く人たちを想定をして、五年という期限の中でお互いの国の社会保障を認め合うような設定になっておるんですが、まず、大臣のこれからのこの社会保障協定に関する取組の決意といったものをお伺いしたいんですけれども、将来的には大企業だけではなくて、専門的な技能を持っている人たちの交流、あるいはその先に行きますと、特にアジアの国々との資格の相互認証といったことまで視野が大きく広がってくると思います。まずは、大臣の御決意をお願いいたします。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 日本から相手国に派遣されている被用者等について、双方の社会保障制度に強制加入となりまして両国で保険料を支払う義務があるという、いわゆる二重加入の問題、これを解決をしなければならないということがあると思います。それぞれの国で払うとこれは大変に負担が大きくなるということがあるわけであります。それから、相手国から日本に派遣されてくる被用者については、日本での就労期間が短いために保険期間が年金の受給に必要な期間を満たさずに年金を受給できない、いわゆる保険料掛け捨て問題というものも生じております。こうした問題がそれぞれの国との企業及び個人の大きな負担となって人的交流の増進に影響を与えるということが懸念をされるわけでございます。  したがいまして、こうした協定を締結することによって、原則として就労地の、そこで働いている国の社会保障制度にのみ強制加入をすると、これによって二重加入問題の解消ができますし、また、両国での保険期間を通算をするということでそれぞれの国における年金の受給権を確立できる、掛け捨て問題の解消ということになるわけでございまして、まず、こうした基本的な制度間の調整を図るということがそれぞれの企業、個人の負担軽減、ひいては人的交流の促進ということになると思います。  そして、その先に、今委員が述べられた様々な人的交流を促進するための資格制度の相互認証の問題等々というものも視野に入ってくるんだろうと。現に一部のEPA協定等ではそうしたことも既に議論になってきているわけでございますが、より一層そうしたことを取り組んでいくことがこれからの国際社会、特にアジアにおいては東アジア共同体ということまでも視野に入れながらの議論をしているわけでございますから、是非そういった政策は積極的に進めていきたいと、かように考えているところでございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 今大臣がEPAという言葉をおっしゃいましたんで、FTA、EPA、これをアジアのいろいろな国々と今積極的に日本が結ぼうとしておると。私は、そうした東アジア共同体に向けた取組の最も地味であるが最も大切な取組がこの社会保障制度の相互認証といいますか、この取組だと思っております。  しかしながら、今お手元にお配りをした資料を見ていただきたいんですけれども、このチャートの一番下、協定締結数というところを見ますと、今回締結を予定しておりますフランスが五十七か国、ベルギーが四十二。これに比べまして、日本の場合は今のところドイツ、英国、韓国、米国の四か国のみという形で非常に取組が後れているんですが、この辺がどうしてこんなに後れているのか、御説明をお願いします。

鹿取克章外務省領事局長

○政府参考人(鹿取克章君) お答えいたします。  我が日本におきましても、経済発展等に伴う人的交流の活発化を踏まえまして、昭和四十年代より各国との間で年金制度への二重課税等の問題について意見交換は開始いたしました。しかし、その後、委員御承知のとおり、特に我が国におきましても何回かにわたり年金制度の大きな改革というものがございまして、そういう事情もありまして、またその後、関係国と協議いたしまして、ドイツとの間で最初に締結いたしましたが、ドイツとの間では平成十年署名と、こういうことに至ったわけでございます。  しかし、その後、我々としても鋭意努力いたしまして、今正にベルギーとフランスと署名いたしましたけれども、これから積極的に社会保障協定の締結に向け進んでまいりたいと思っております。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 このお渡ししました資料をよく見ていただきますと、例えばこの今回締結しようとしているベルギーなんですが、実はこのベルギーから日本に対してこの社会保障協定の申入れがあったのが昭和の六十一年といただいた資料に書いてございます。昭和の六十一年当時はこの表に出ているどの国とも全く締結はしておらなかったと。どうしてベルギーだけがこんなに遅れたのかという御説明をお願いします。

小松一郎外務省欧州局長

○政府参考人(小松一郎君) お答え申し上げます。  先ほど同僚の政府参考人から御説明を申し上げましたように、我が国も昭和四十年代ぐらいから経済発展に伴う人的交流の活発化を図るために年金制度の二重加入の問題の解決というものが重要であるという認識を持ちまして、諸外国とこの話合いを進めていたわけではございますけれども、先ほど同僚の政府参考人の御説明にもございましたように、我が国の年金制度の大掛かりな改正が数度によって行われたというようなこともございまして、なかなか継続的な交渉をすることが困難であったという事情がございます。  そういうことで、この条約につきましては、やはり双方の年金制度、非常に技術的な内容でございますので、この相互調整を図ると。かなり技術的に複雑な要素がございまして、まず、いい相手と典型的な条約を締結をするということが早道であろうということで、先ほど御説明をいたしましたように、平成十年にドイツとの協定を署名をしたということがございます。  昭和六十一年以降、ベルギー側より数次にわたってこの社会保障協定の締結交渉開始の申入れがあったということにつきましては委員の御指摘のとおりでございますけれども、そういったようなことがございまして、交渉の開始自体がその平成十年よりも後になったということがございます。  このベルギーとの間の交渉につきましては、我が国からの、経済界からの強い要望も踏まえまして、平成十三年の二月に行われました日本とベルギーの首脳会談におきまして、当時の森総理とヴェルホフスタット・ベルギー首相の間で、近い将来の社会保障協定の締結を視野に入れて双方の社会保障制度に関する情報及び意見の交換をこの十三年中に開始するということを確認いたしまして、そこから話が本格的に始まったという次第でございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 今政府参考人がドイツについていい相手と今おっしゃったんですけれども、そのいい相手という意味をもう少し説明してください。

小松一郎外務省欧州局長

○政府参考人(小松一郎君) 例えば、在留邦人の数でございますとか、それから経済交流の規模でございますとか、そういった観点、それから相手の国の年金制度と我が国の年金制度の関係で調整が相対的に容易であろうと思われるようなところを考えて、話を優先的に始めたということでございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 いい相手という意味は、私が今まで理解した範囲では、非常にドイツの社会保障の法律が精緻にできていると、非常にきっちりとできている相手とまずは締結を行って、その先いろいろな国と締結をする際の、何というんですか、一里塚としたいという私は理解をしたんですが、それでよろしいでしょうか。

小松一郎外務省欧州局長

○政府参考人(小松一郎君) 委員のおっしゃるとおりでございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 そこで、このアジアの諸国に対する取組を今ここで質問をしたいと思うんですけれども、御存じのように、ASEAN諸国あるいは韓国、中国に対する我が国からの企業活動といったものは非常に盛んになっており、この社会保障についても最も注目しなければならない地域であるにもかかわらず、今韓国だけが結ばれているわけですが、どうしてこんなに東アジアの諸国が遅れているのか、その辺の御説明をお願いします。

鹿取克章外務省領事局長

○政府参考人(鹿取克章君) アジア諸国との関係でございますけれども、私どもが社会保障協定を考慮する場合に、二国間の関係、在留邦人の数、企業の数、それから相手国の社会制度の現状、それから民間企業からの御希望、こういうものを総合的に判断して考えるわけでございますけれども、アジア諸国につきましては日本と保険制度の相違が大きい。例えば、社会保障、社会保険制度あるいは年金について強制加盟という制度がないと、そういうこともありまして、日本の民間企業においてもそれほどアジア諸国と社会保障協定を結ぶ上でインセンティブはないと、こういうようないろいろな問題がございました。  それで、私どもも調べて、私どもは今韓国と協定を結びましたけれども、欧米諸国の方、欧米諸国においてもアジア諸国と社会保障協定を結んでいるという例は今のところ余りございません。一つの例は韓国とフィリピンで、韓国とフィリピンは欧米諸国と社会保障協定を結んでいるという背景はございます。  しかし、社会保障協定につきましては、先ほど委員からも御説明ありましたように、人的交流、企業活動、そういう観点から非常に重要と考えておりますので、私どもも、これからアジア諸国につきましても、先ほど申し上げましたような様々な観点から検討は進めてまいりたいと考えております。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 町村大臣、これは大変大事な私は要素を含んだ答弁だと思うんですけれども、要はアジア諸国に関しては年金制度を始めとする社会的な基盤がまだ整っていない国が多々見受けられると、そこのところが一つの障害になってなかなか進展がしないということだと思うんですね。  そこで私は、読売新聞の今年の四月の二日に、非常に小さいんですが、面白い記事を発見をいたしまして、タイに文書鑑識の専門官を派遣をしたという記事がございました。こうしたまだまだ言わば基盤が整っていない国に対して、今までの例えばODAに代表されるようなインフラの整備の次には社会基盤の整備に対しても人的な支援をこれからするべきではないかというふうに考えております。  そうした意味で、こうしたアジアの諸国に対する専門員の派遣ということについての今後のお取組の状況を御説明ください。

佐藤重和外務省経済協力局長

○政府参考人(佐藤重和君) お答えを申し上げます。  委員おっしゃられましたいわゆる社会基盤の整備ということにつきまして、私どものODAの世界でも、貧困削減ということにもつながるということで、こういった分野に取り組んでいくということを考えております。  政府のODAの中期政策の中でも、例えば失業対策プログラムであるとか、いわゆる広い意味での社会的なセーフティーネットの構築ということで、途上国に対する支援、それを通じてその社会基盤の整備の強化を図っていこうということをうたっております。  お話ございましたアジア諸国に対する協力、専門家の派遣ということでございますが、今行ってきておりますのは、例えば医療保険であるとかそれから社会福祉行政、こういった分野でそういった先方の基盤整備を行うということで、タイとかインドネシアとかフィリピン等にその専門家の派遣を行ってきております。  こういった専門家が先方でいろいろな保険業務であるとか、あるいはその地域の社会保障制度の構築ということでアドバイスを行って、そうした基盤の整備ということ、あるいはその先方の人材育成ということで協力をしてきておりますけれども、今お話にございましたとおり、広い意味で、その先方、特にアジアの各国の社会基盤整備に私どもとして協力をしていくということは今後ますます重要になっていくと考えておりますので、こういった専門家の派遣、あるいは先方からのその研修生の受入れといった形で協力を進めてまいりたいと考えております。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 今、平和の構築の視点からも、やはりこうした社会基盤整備に対しての支援が必要であるという、そういう御説明だったわけですけれども。町村大臣、今ODAが〇・七%のこの目標がなかなか達成ができないという中にありまして、例えば中国を見ますと、今度、オリンピックをきっかけに一応ODAの供与は有終の美を飾るというふうに言われておるんですけれども、私はやっぱりここで発想の転換といいますか、やっぱり平和構築という意味で、今までの使い方ではなくて、ODAに関しても社会保障基盤を始めとするこうした人的、物的、あるいは資金的な支援を続けるべきだと私は思うんですが、大臣の御見解いかがでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 一例を中国に挙げますと、まあお互いが十分理解した形の中で、祝福される形の中で二国間の借款というものはオリンピック前にやめましょうということになりました。大規模な資金需要というものは、日本から資金を提供しなくても彼らも自力調達できるという部分もあるというようなこともあるわけであります。  ただ、それはそれとして、今委員御指摘のような、ある意味では地味かもしれません。ある意味では、それは金額がそう大きくならないかもしれない。しかし、中国もそうでありますし、アジアの国々、まだまだいろいろな面でいわゆる社会基盤、インフラ、物的なインフラではなくて制度的なインフラ、知的財産権などは一番そのいい例かと思いますが、そういう面の整備というのがまだまだこれからだろうと思います。  また、中国を例に取れば、確かに知的財産権の保護の制度はあっても、それの運用となると、ほとんどそれが生かされないままに大量の模倣品等々が出回って日本の知的財産権が大いに侵害をされている。制度の面とそれからその運用の面と、両方の面で私どもとしてはアジアの諸国がより高いレベルになってもらう必要が、なることが彼らにとってもプラスだし、また翻って、日本にとってもメリットがあるということだろうと思います。  したがいまして、私ども、今後ODAの中で、今経協局長申し上げたように、こうした社会インフラの面で一層の支援をやっていくと、知的貢献をしていくということは非常に重要なことであろうと、こう思っておりまして、今後、我が国の経済協力の一つの大きな取り組むべき分野として、これをしっかりと位置付けて進めていきたいと考えております。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 今大臣、制度的なインフラが非常に大事であると、そういう認識を力強くおっしゃっていただきました。  せっかくですから、ここでもう一度、中国に対するODAを、要するに、今までの道路とか橋とか、そういうインフラ整備が一応めどが付いたと、経済的なインフラ整備に対する援助はもう一段落しただろうという理解は分かるんですが、これからもっと大切な、こうした制度的なインフラ整備に日本が人も金も援助していくんだという御決意をここでお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 中国との間でも、円借款という形のものについてはさっき申し上げたような方針でありますが、例えば草の根無償、人間の安全保障協力等々の二国間の技術協力あるいは無償資金協力といったようなものについては今後よくお互いに話し合って、ニーズのある分野については引き続きこれをやっていこうというふうに考えているわけでございます。  今委員がお触れになったそうした社会、制度的なインフラ部門で、彼らの、よく話をして、中国政府とも話をして、この分野で日本は大いにまたやっていこうという分野があれば、そこは大いに協力をしていきたいと、かように考えているところでございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 さっき政府参考人もおっしゃっておられたんですが、平和の構築という意味で、非常に地味でありますが、人間の移動を地味なところから支えていくというこの制度の構築、私は先般、ルワンダのあの惨劇の後に、三年間掛けてアメリカを中心としたいろいろな学者の人たちが現地の聞き取り調査をやったレポート読んだことありまして、そこでやっぱり指摘されているのが人の移動をいかに確保するかということだったんであります。いろんなレベルがあるとは思うんですが、平和の構築にとって大切な人の移動、社会保障制度の相互に認め合うといったことをどんどんやっていただきたいという希望をまずは申し上げておきます。  お手元の資料をいま一度ごらんになってください。ここに日本の負担軽減額というのが書いてございます。例えば、ドイツが三十億円、アメリカは例えば六百億円というふうに日本の負担軽減額が書いてあるんですが、この負担軽減額というのは一体何なのか、どうやって計算しているのか、これをまず御説明ください。

渡辺芳樹厚生労働省年金局長

○政府参考人(渡辺芳樹君) 本日御審議いただいておりますフランス、それからベルギーに関する協定関連でお尋ねがございました。  ここで、表にまとめていただいております日本の負担軽減額、ベルギー約四十億円、フランス約百十億円という数字は、私どもも今推計できる範囲でこういう数字かなと承知しておるわけでございますが、そのベースにつきまして簡単に御報告申し上げます。  フランスにつきましては、平成十四年に厚生労働省が行いました実態調査がございます。また、ベルギーにつきましては、平成十三年にベルギー日本人会が行っていただいた実態調査がございます。それぞれ相手国に進出している日系企業の調査でございます。  フランスにつきましては、この中で、フランスに在留する民間企業関係者のうち保険料の二重負担者の割合、一人当たりの保険料賦課の対象とする所得、この辺りが調査上非常に重要でございますが、そこを調査しております。また、在留する民間企業関係者のうち保険料を二重に負担している方の人数、これも調査をさしていただきました。そうした中で、保険料賦課対象となる所得にフランスの保険料率を乗じて得られる一人当たりの保険料負担額というものを試算いたしまして、先ほど申し述べました民間企業関係者のうちの保険料の二重負担者の割合というものを加味いたしまして総負担軽減額を算出しておるわけでございます。それがこの百十億円というものでございます。  ベルギーにつきましても、これは日本人会の御調査を基に民間企業関係者のうちの二重負担者の割合、それから対象となった者の社会保障負担の年総額につきまして調査をいただいております。在留する民間企業関係者のうち保険料を二重に負担している方の人数を割り出し、そして社会保障負担年総額を調査の対象となった日本人派遣者の数で除して得られる一人当たりの保険料負担額を算出いたしまして、そして二重負担者の割合というものを加味して総負担軽減額を計算しているところでございます。  端的に申しますと、フランスにつきましては、一人当たりの年負担軽減額が三百六十万円、それに三千人というものを掛け合わせて百十億円というものを出しております。  また、ベルギーにつきましては、一人当たり負担軽減額が年二百四十五万円、それに千五百人という二重負担者数の数字を乗じて約四十億円というものを算出しているものでございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 簡単に申し上げると、ベルギーでは二百万円、フランスでは三百万円以上という金額を毎年毎年、派遣をされた方が現地で支払をしておると。しかしながら、その任期が終わって帰ったときにはこの金額が掛け捨てになってしまうと。要は、相手国に払ったけれども自分の年金にはならないと、この金額の合計が、例えばアメリカだったら六百億円になると、こういう理解でよろしいんでしょうか。

渡辺芳樹厚生労働省年金局長

○政府参考人(渡辺芳樹君) はい、そのように私どもも承知しております。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 ここで、この表をもう一度見ていただきたいんですが、韓国と米国がございます。この社会保障協定の発効時期、上から三段目なんですが、同じ第百五十九回の常会に提出されたこの韓国と米国が、韓国の場合は発効時期が平成十七年の四月予定、そして米国の場合が平成十七年の秋見込みとなっております。これ、半年変わってしまいますと、今の御説明ですと、例えばアメリカですと年間六百億円の負担額ですから、半年違うと三百億円という膨大な金額がここで無駄になるといいますか、なるわけですけれども、どうしてこんなに違ってくるんでしょうか。

長嶺安政外務大臣官房審議官

○政府参考人(長嶺安政君) お答えいたします。  今先生御指摘の、お配りになられた資料に書いてございますように、韓国につきましては、昨年、日本側につきまして国会御承認をいただいたものでございますけれども、もう今年の四月に発効しております。  日米、アメリカとの間の社会保障協定でございますが、これも日本側では昨年六月に国会の御承認をいただいたものでございますけれども、米国におきましては、アメリカの行政府の中の所定の事務手続を経まして、昨年の十一月十七日に大統領より米国議会に提出をされております。アメリカでは、アメリカの社会保障法の規定によりまして、社会保障協定は、議会提出後、上下両院の少なくとも一方が開会中である六十日間が経過して、その間に反対の決議が採択されない場合に協定の規定に従って効力を生ずるという国内的な手続がございます。  現在の状況につきまして米側から聞いておりますところでは、六月末又は五月初頭にこの六十日間が経過する、失礼しました、四月末又は五月初頭に六十日間が経過するものと見込んでおるという説明を受けております。この六十日間が経過いたしますと、社会保障協定の規定に従いまして、双方で外交上の公文を交換した月の後、三か月目の月の初日から効力を生ずるということでございます。  先生御指摘のように、既に署名をされておって、我が方におきましては手続が済んでおる協定でございますので、私どもといたしましても早期の発効を図ってまいりたいと考えております。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 大臣、これ半年で三百億円変わるんですよね。これだけ大きな金額が交渉の行方次第で変わってまいるわけですので、是非、今、最近ではIC旅券に関してはあれだけその締切りについてアメリカからプレッシャーを掛けられているわけですから、逆に、こうした先方が遅れていることについては、外務大臣、是非プレッシャーを逆にこちらから掛けて、この三百億円セーブしていただきたいんですけれども、御決意いかがでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 既に事務レベルでも先方に対して再三にわたって働き掛けをしているというふうに聞いておりますので、更に要すれば、またより高いレベルでの働き掛けもしたいと思います。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 お願いします。  もう一つ、この表の中で、簡単で結構ですので御説明をいただきたいんですが、通算制度の有無、ほかの国は通算制度があるんですね。にもかかわらず、英国と韓国だけがこの通算制度がないというふうになっておるんですが、この辺の御説明をお願いいたします。

渡辺芳樹厚生労働省年金局長

○政府参考人(渡辺芳樹君) 社会保障協定、私ども、二つの大きなねらい、目的というものを持って締結をしていただいてきております。一つは、委員御指摘のありましたような両国間の年金制度における二重加入、二重負担の問題、それを解消すること。それから、第二に、両国の保険期間を通算することによって個々人の年金受給権の確立に資すること、こういう二面ございます。  後者のお話について御指摘ございました。そのとおり、我が国として、イギリス、韓国との間の協定では年金通算に関する部分がございません。私どもといたしましては、交渉の過程ではこの年金通算についても協定に盛り込むべきではないかという観点で交渉に臨んでおったわけでございますが、イギリスとの協定締結に当たりましては、イギリス側が二重加入の防止に限った内容とするという方針で交渉に臨んでこられました。やはり、早期に二重加入の防止も実を上げたいという観点もあり、その範囲で協定を締結しております。  また、直近では、韓国との間でもそういう結果になっておるわけでございますが、これも韓国側の御主張の中で、韓国の年金制度の歴史が浅く、平均加入期間が交渉当時まだ十二年ぐらいしかない、日本の年金制度は四十年加入を前提としておりますので、十二年ぐらいのまだ若さであるということから、現時点で期間通算をするという協定にいたしますと、利益が専ら日本の方に偏るのではないかという懸念も先方は持ち、それで、ともかく二重適用の回避という重要な目的を達成することができるのだから今回は協定に盛り込まないで合意をした、こういう経緯でございますが、この保険期間の通算につきましては、両国とも、今後その可能性について模索していくという意見を私どもとともにしているものと理解をしておりますので、今後とも意見交換を重ねてまいりたいと、こう考えている次第です。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 正にこの社会保障協定というのは、我が国自身の年金を理解するための鏡だというふうに言うことができると思います。今の御説明によると、韓国の年金、平均で十二年ですか、十二年間しか国民の皆さんが年金に加入をしていないというような状況の国々がたくさんあるという中で、我が国の年金制度はどうかと考えることができる、非常にこれ地味ですが大事な交渉だと私は思います。  そうした中で、今回のベルギー、フランスのこの協定を見ますと、適用対象制度というところが年金だけではなく、医療保険、労災、雇用保険まで広がっているんですが、これはどうしてこうなっているのか、簡単に御説明お願いします。

渡辺芳樹厚生労働省年金局長

○政府参考人(渡辺芳樹君) これまでのドイツ、イギリス、アメリカ、韓国につきましては、主として年金制度を対象に、そして一部の国によっては医療保険制度を加えて協定の協議のまないたにのり、その対象としてきたところでございますが、フランス、ベルギーの制度は、実は、年金、医療保険、労災が一体となって不可分の制度になっているフランス、さらには、それに加えて雇用保険の制度も一体不可分になっているベルギーの制度ということで、社会保障の仕組みが日本のようにそれぞれの制度が別の制度になっているというところではない事情がございました。そういう中で、年金とか医療保険だけに協定の対象範囲を絞ることが先方においては非常に困難であるということもございまして、話合いの結果、労災保険等について今回の協定の対象とする、先方に行ったときの処理についてはそのような形になりますが、先方が日本の労災保険の対象となるかという点については、逆に日本の労災保険の対象には入らないというような、ややそれぞれの扱いがそれぞれの制度によって違う形になったことですが、そういう形で合意をしておるところでございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 これはまた細かい話になりますが、フランスの場合に限っては、日本の派遣員の方が行かれた、五年働いた、それを更に延長しようと思ってもこれはなかなか延長されないということを聞いたんですが、その辺はどういうふうになっておるんでしょうか。

小松一郎外務省欧州局長

○政府参考人(小松一郎君) この協定上の原則は、就労をしている国の強制加入の法律を適用すると、つまり日本の方がフランスで働く場合にはフランスの法律を適用するというのが原則でございますが、非常に短期に、例えば駐在員等でいらっしゃる方についてはむしろ派遣国、日本の方がフランスにいらっしゃる場合に日本の法律だけを適用しようと、これは原則に対する例外であるわけでございますが、それを五年ということで主張しておりますのは、この実態の問題として、フランスに、日本からフランスに派遣されておられる方々、これは厚生労働省の平成十四年に実施された実態調査によりますと、大体七割以上の方がそういう実態であるということで、一時派遣の期間を五年とするということを主張をいたしまして、更にそれの延長を認めるということを主張をしたわけでございます。  これに対しまして、フランス側は、そもそもフランスがほかの国と締結をしておりますこの社会保障協定の多くで、この派遣期間については一年とか二年というようなことになっているので、そういうことに日本との関係でもしたいということを主張いたしました。その双方の立場に開きがあったわけでございますけれども、交渉を重ねました結果、フランス側は最終的には派遣期間を五年以下とすることを受け入れたわけでございますが、この派遣期間の延長につきましてそれを協定に明示的に書くということにつきましては、当初の立場との関係もございまして、これを受け入れることに強い難色を示したということがございます。  以上が交渉経緯でございますが、他方、この派遣の期間の延長というものが全くできないかというと、そういうことにはなってございませんで、両国の当局が合意すれば個別の申請に基づいてこの延長を認めるなど法令の適用について調整を行うということが合意されまして、具体的には協定の九条でございますが、そこで両締約国の権限のある当局はこの第五条から八条までの規定の例外を認めることについて合意することができると。この六条にこの五年ということが書いてあるわけでございますけれども、その例外を認めることができるということが協定九条に書かれているわけでございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 今のお話も大変細かいんですが、大事なお話だったわけです。  EU圏においては、特にフランスではEU圏内あるいはフランス語圏内に特派員を派遣する、あるいは仕事をしに行くというケースが多いんですが、これはどうしても一年以内のケースが多いそうですね。そうした相手方の常識がある。日本側としては五年送る、また延長があり得るという、そういう常識のずれというものがやっぱりこういうところに出てきておるんだと思います。  そうした中で、これがずっと進んでまいりますと、私は最終的には資格の相互認証からすべての社会整備の基盤までを共有していこうという努力をしていく中で、私、これは我が党の請願にも出ておるんですが、最終的には二重国籍も認めていくという方向になるのが世の中の流れだと思うんですね。  個人的な話で申し訳ないんですが、私の娘は三つパスポートを持っております。父親の国籍と母親の国籍が違う、出生地主義であると、二つのパスポートがあると、そしてそうした子供が出生地主義のアメリカで生まれた場合は、これは当然のことながら、三つのパスポートになるわけですね。そうしたときに、二十二歳になったときには必ず国籍を選択しなければならないという今の日本の規定では、非常に子供に負担を与えることになるということになるんですが。  非常に簡単で結構ですけれども、一言で結構です、法務の方、日本の二重国籍に関するお取組を御説明ください。

深山卓也法務大臣官房審議官

○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、我が国の国籍法は原則として二重国籍を認めておりません。これは国籍法が国籍唯一の原則という理念を採用しているからです。  二重国籍を容認しますと、例えば同じ個人について外交保護権が衝突をして国際的な摩擦を生ずるおそれがあると、あるいは各国で別々の名前で登録することができますので、それぞれの国で別人と例えば結婚をして重婚を生じるなどの身分的な関係の混乱を来すおそれがあると、こういうようなことが国籍唯一の原則を国籍法が取っている根拠でございます。

犬塚直史民主党・新緑風会

○犬塚直史君 ありがとうございました。今後の課題としてよろしくお願いします。  これで時間が来ましたんで、質問終わりにしますが、外務大臣、これ、これですね、EUで今度EU憲法が発行され、リファレンダム、これがそうなんですが、現物なんですけれども、全フランス国民に配られているんです、百九十ページ、非常に細かい文字でもうびっちり書いてあるんです。これだけの今まで目に見えない今の社会保障制度の話のような議論を積み重ねてきた結果がここにあるわけですね。やはり、今二重国籍の話もそうですが、こうした地道な努力を続けていって、東アジアの共同体に将来持っていくような外務大臣のリーダーシップをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 二つの協定については、賛成であります。  この機会に歴史の共同研究についてお伺いしたいと思います。  私自身、七〇年代から八〇年代にかけて五、六年の間ですけれども、パリにおりまして、ちょうどドイツとフランスの歴史共同研究のプログラム、そういう過程をつぶさに見る機会がありました。第一回目の教科書の会議というのは独仏の間では一九五〇年に行われたわけですけれども、それが長い時間掛かって八〇年代に実るという、そういう過程であったんだろうと思うんですね。やはりその歴史について、まあ二つの国民の間では記憶が違うんだろうけれども、しかしナチに対する評価ですね、それについて一致する、そういう努力が行われ、それについて基本的に一致を見たと、そういう内容だと思うんですね。そういうことが今日のEUをつくっていくという、そういう力にもなっているというふうに思います。  また、同時に、西ドイツとポーランドの間では一九七二年に第一回目の教科書の会議が開かれる、これは政治の和解と同時に開かれるわけですけれども、五年掛かって共同プログラムをつくる、そして十年掛かってその共同の提言が教科書に反映される、そういうふうになるわけですよね。  ですから、これは大変長い時間が掛かる、そしてまた大変激しい議論を呼ぶ、そういう研究ですけれども、しかし大変そのことが効果があった。例えば、西ドイツとポーランドの間では、そういう過程の中で領土問題を解決すると、そういうことになったわけですね。  ですから、私は外務大臣が訪中されて、先方との間で歴史の共同研究ということを提案されたこと、このことは大事だと思いますし、先方もそれに賛意を示した、このことも大事だと思います。先ほど私が述べた歴史問題、これはやはり非常に大きな比重を占める問題だと思いますけれども、そういう問題を解決していく上でもこの日中の共同の歴史研究ということは大事だと思うんですが、その点で大臣にその意義ですね、政治的、また歴史研究上の意義についてお伺いしたいと思います。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 直接的には、実は日韓でやってきたと。三年間の経験しかないわけだけれども、そして一遍にめざましいそこで進捗を遂げたというわけではないけれども、やはりそこの議論に参加をされた方々と三月下旬にお目に掛かるチャンスがあって、大変に気骨の折れる作業ではあったけれども非常に有意義であったと、今後是非こうしたことは続けてもらいたいというようなお話を日韓双方の研究者から伺いました。  そのとき、なるほど日韓では引き続きメンバーが替わっても続けたいと思ったのと同時に、やはり日中にも韓国、日韓関係以上にまた長い歴史がある。どうも日中の歴史をかがみとしといういつものせりふが必ず出てくるわけですけれども、どうも日中の歴史というと、もうさきの大戦の最中のことばかりが取り上げられるというのはどうもそのバランスを失しているのではないかという思いが私、前からあったのであります。もちろんそこは避けて通れない重要な一時期ではありますけれども、それ以前に長い長い二千年前後の友好の交流の歴史がある。  また戦後、確かに国交正常化をされたのは七〇年代ですけれども、しかしそれ以前から日本と中国の間には様々な経済、あるいは人的な交流があった、平和な歴史があったではないかと。そうしたものをトータルとしてやはり踏まえた上で日中関係というものを考え直してみるということは大切なことなのではないのかなと。そして、そのことが、一遍にそれが共通認識を持ってそれがすぐ教科書に反映されるというところまでは進まないかもしれないけれども、将来そういうことに役立つ基盤的な知的作業として意味があるのではないだろうかと、こう考えましてそういう提案を中国側にし、先方も前向きに考えるということになりましたので、今後さらにその具体の在り方について両方で協議をしていきたいと、こう考えているところであります。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 その具体の在り方というのは今後の問題だと思うんですけれども、提案された大臣としての構想といいますか、考え方を伺いたいんですけれども、一つは共同研究の構成、これは当然学界とか専門家がやるだろうというふうに思います。それからまた、共同研究の運営ですけれども、公開されて研究の結果については知らされていく、このこともやはり両国民にとって非常に大事だと思うんですけれども、その点についてお伺いいたします。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) まだ具体名を云々する段階よりはるかに以前でございますが、当然、学者あるいは学識経験者と言われる方々の参加を得てやる必要があるだろうと、こう思います。  やや思い付き的なことを言えば、むしろ日中プラス、それぞれの国の歴史に詳しい、例えば外国の学者辺りも入ってもらってもいいのではないかとさえ思っております。これはまだちょっと、全く個人的な思い付きであって、そう詰めた議論ではございません。  それから、公開の面でございますが、その一つ一つの作業を全部公開の場でやるのがいいのかどうかということは常にいろんな審議会でも議論になるところでございます。日韓の作業も、当然のことでありますけれども、貴重な研究をそれぞれの方にしていただいたものですから、それを取りまとめた成果物を今最終的にまとめていると。実際の議論はもう三月で終わったけれども、何か月かのうちにそれは公表するということのようでございますから、当然、もしこの共同研究が日中間でも始まれば、その成果というものは当然公開されてしかるべきであると、かように考えます。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 共同研究は大臣が、様々な立場で書かれた教科書がある中で日中両国の共同の歴史認識を近付ける努力の一環として提案されたと承知しております。  そうであるならば、やはり研究の結果というのは、先ほどもちょっと触れられたと思いますけれども、歴史教科書の解決に反映させる必要がある、そう思いますけれども、いずれにしても、そういうものがやはり両国の教科書に反映していくという、そういう方向が取られるということになるんでしょうか。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) 将来そういうことがあっていいだろうとは思っておりますが、あらかじめそのためにやるんですということになりますと、どうしても、どういうんでしょうか、中国、特に中国の場合は唯一の国定教科書ということになりますと、もうあらかじめ一つの見方というものが定められてしまっていると。それではある意味では本当の意味の共同歴史研究にならないんじゃないんだろうか。余り、直接すぐ政策にそれを反映させるということを意識し過ぎると、かえってあらかじめ結論を方向付けてしまうようなことになるので、むしろそれよりはゼロからの出発というんで、一からの出発というんでしょうか、余り固定観念を持たずに、率直に、正に学者の良心に従ってとでもいうんでしょうか、そういう姿で研究を、共同研究を始められた方がむしろいいのではないだろうかというふうに思っております。  ただ、将来それがその歴史教科書への反映という形で、いい方向で反映されることは、もしあれば、それはその方がより望ましいと言えることであろうと私も思います。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 最後に、日韓の共同研究の場合、将来歴史教科書が編さんされる過程で参考として考慮されることが考えられると、そうされていたと思います。日中の共同研究でも、やはりその点が非常に大事だというふうに思いますし、そういうことで役立つならば今の問題の解決の一助にもなるという、そういうふうに思いますので、その点も要請しておきたいと思います。  何かありましたら答弁をお聞きして、質問を終わります。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) なかなか、同じ国内でも、同じ日本人同士でも、歴史認識というのを共通にするというのは難しい作業だと思います。まして、国が違えば更に難しいんだろうと思います。そういう意味では、日韓両国の学者の皆さん方が大変に気骨の折れる作業によく三年間携わっていただいたと私は感謝を申し上げたところでございました。  日中においても同様の困難さがあるんだろうと思いますが、しかし、長い目で見たときにそういう地道な作業というものが将来の日中関係の改善に大きな貢献をしてくれるのではないか、そういう期待を持ちながら、できればこうした研究会といったようなものを立ち上げられればいいなと、こう思っているところであります。是非そういう方向で努力したいと思っております。

緒方靖夫日本共産党

○緒方靖夫君 終わります。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 フランス及びベルギーとの社会保障協定の締結には賛成ですが、何点か質問したいと思います。  まず、厚生労働省にお伺いします。  我が国からフランスやベルギーに、また逆に、フランスとベルギーから我が国に過去十年くらいの間にそれぞれ派遣されている企業等の社員の数の推移について、また派遣期間が五年以上の人がおおよそどれくらいいるか、教えてください。

渡辺芳樹厚生労働省年金局長

○政府参考人(渡辺芳樹君) お答えいたします。  外務省の海外在留邦人数調査統計によりますと、民間企業関係者の推移、私どもから行っている方々の推移でございますが、フランスでは、平成十四年三千八百二十二人、十五年三千九百四十七人、十六年四千百八十三人と、若干ではあるが増加しております。ベルギーにおきましても、平成十四年一千五百三十人、十五年一千六百五十五人、十六年一千七百四十三人と、同様に若干ではあるが増加しているという状況にあると承知しております。  また、法務省の在留外国人統計によりますと、フランス及びベルギーからの企業内転勤者で我が国に来ておられる方々の数の推移でございますが、フランスからは、平成十四年四百三十五人、十五年五百人、十六年四百八十五人となっており、ベルギーからは、平成十四年三十二人、十五年四十一人、十六年四十七人、このようになっていると承知しております。  五年を超える方々、五年以下の方々というお尋ねもございました。フランスにつきましては、厚生労働省が現地の商工会議所の協力を得て平成十三年に実態調査を行いました。それによると、日本からフランスへ派遣される期間につきましては、五年以下の方の割合が七割ほどとなっておりまして、五年を超える方が約三割というような状況でございました。また、ベルギーにつきましては、ベルギー日本人会が平成十三年に行った実態調査がございますが、日本からベルギーに派遣されている方の派遣期間でございますけれども、五年以下の割合が八割、それから五年を超える割合がまあ一割ぐらいと、こういうような状況になっているようでございます。  なお、フランス、ベルギーから日本に派遣されている方々の期間につきましては、私ども、十分承知しておりません。  今回の協定につきましては、そうした中でも、とりわけ年金制度、医療保険制度の二重負担をしている方々の数ということが実際上の影響につながるわけでございますが、フランスの場合には、二重負担者が約三千人で、影響額が年間約百十億円、ベルギーの方へいらしていてそれで二重負担している方の数が約一千五百名、その保険料の総額が約四十億円程度と、このような形で見込んでおります。  なお、フランス、ベルギーから日本に派遣されている方々の中がどれほど日本の年金制度、医療保険制度などで保険料を二重に負担されておるのかというその数字につきましては、私どもの年金保険制度等の適用の在り方として、その国籍を一人一人把握する形で管理しておりませんものですから、なかなかそうした数字については導き出し難いということでございますが、人数自身が先ほど申し上げましたように日本と比べますと少ない数でございます。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 外務省にお伺いします。  我が国とフランス及びベルギーとの社会保障協定では保険料免除の対象に年金と医療保険のほか労働災害保険が入っており、さらに、ベルギーとの間では雇用保険も入っています。労働災害保険や雇用保険も免除対象とする点は、社会保障協定が既に発効しているドイツやイギリス、また近く発効予定の韓国やアメリカの場合とは違っていますが、その辺の事情について簡単に御説明ください。

小松一郎外務省欧州局長

○政府参考人(小松一郎君) ごく簡単にお答え申し上げます。  先ほど厚生労働省の方からもお答えございましたが、フランス及びベルギーの国内制度としまして、社会保障制度が、労災でございますとか雇用保険でございますとか、そういうことと一体として運用されて適用されているということで、そういったものを年金、医療保険制度から切り離して適用免除の可否を決めるということはできない仕組みとなっているということを交渉の際に先方より強い主張がございまして、その結果、このフランス及びベルギーの社会保障協定ではこれらの制度を包括的に対象とすることで合意したものでございます。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 中国は、人民解放軍の近代化を図るため、フランスの最新鋭機やドイツの戦車の購入に意欲を持っていると報じられていますが、そのような状況下で、EUは、一九八九年の天安門事件以来続けてきた対中国武器禁輸措置を解除する動きを示しています。  EUのこのような動きに対して、我が国はどのように認識し、どう対応なさるおつもりですか。外務省、お願いいたします。

町村信孝自由民主党外務大臣

○国務大臣(町村信孝君) この問題につきましては、これは日本を含む東アジアの安全保障に及ぼし得る影響というものが相当あるということで大変懸念をしてきたところでございまして、この対中武器禁輸措置の解除には一貫して反対をし続けてまいりました。昨年からもいろいろなレベルでの、外相レベルあるいは首相レベルでもそのことを先方に伝えているところでございます。  近くは、総理が今度五月二日の日にEUの議長国であるルクセンブルグに参りますけれども、そこの日・EU定期首脳協議の場でも小泉総理からEU側に働き掛けをするということにしておりまして、今後どういうふうになるか必ずしもはっきりいたしません。ルクセンブルグの議長国の首脳は、今年前半にこれを決めるのは難しそうだというような見通しを述べたという報道にも接しております。後半はイギリスが今度議長国になるわけでありまして、イギリスが今度どうされるのか必ずしも予断を許しませんけれども。  いずれにしても、この東アジアの安全保障環境に大きな影響を与える懸念があるということから、私どもとしては引き続き反対という立場でアメリカと、アメリカもそういう立場であるということのようでございますから、EUに対する働き掛けをやっていこうと、こう思っているところであります。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 防衛施設庁にお伺いいたします。  去る四月十二日の外交防衛委員会で石綿条約締結審議の際、米海軍横須賀基地における艦船修理作業に従事していた日本人従業員の石綿じん肺被害に関する訴訟の経緯等についてお伺いいたしました。  米艦船の修理業務において石綿じん肺被害が多く起きる背景、とりわけ艦船修理作業上の問題点について簡潔に御説明いただけますか。

土屋龍司防衛施設庁業務部長

○政府参考人(土屋龍司君) 駐留軍労働者のじん肺に関するお尋ねでございますが、この駐留軍労働者の安全衛生対策につきましては、日本側はその法律上の雇用主としまして、労働安全衛生法等に基づく健康診断や保健指導を実施し、米側は実際の現場における作業の監督を行ったりしているわけでございます。  そして、じん肺が多数出てきたというその原因でございますが、この横須賀の艦船修理廠というところでこのじん肺に罹患する従業員が出ておるわけですが、この方々がやっていますその仕事の内容というのは、蒸気タービン船等の主機関のボイラーの修理、スチームパイプ、バルブ等の石綿を使用した断熱材の取替え作業等に従事しておるわけでございます。  そして、これがなぜじん肺にかかってしまったかという問題点でございますが、米側におきましては、その石綿肺、石綿によって肺がなる石綿肺に関する知見が確立する前から、かなり古い時期からその粉じん対策を行う旨の指示は行っていたわけでございます。  ところが、実際の現場での運用面では、散水や噴霧若しくは通気システムの設置あるいはその保護具等を付けなさいといった、そういう面での安全対策が、現場でのその実際の安全対策が米側も十分でなかったし、また日本側におきましてもしっかりと現場の把握に十分でなかった面があったということから、じん肺に罹患したというふうに理解しております。

大田昌秀社会民主党・護憲連合

○大田昌秀君 終わります。

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、社会保障に関する日本国とベルギー王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、社会保障に関する日本国政府とフランス共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林芳正自由民主党

○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会

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