法務委員会 第16号
- 発言数
- 260 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2005/05/10
会議録
○塩崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官振角秀行君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長大林宏君、財務省大臣官房審議官加藤治彦君、財務省大臣官房審議官佐々木豊成君、国税庁次長村上喜堂君、国税庁課税部長竹田正樹君、文部科学省大臣官房審議官泉紳一郎君、経済産業省大臣官房審議官寺坂信昭君、経済産業省大臣官房審議官舟木隆君、中小企業庁事業環境部長鈴木正徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内おさむ君。
○山内委員 民主党の山内おさむでございます。 本日は、主に会計参与の点について御質問させていただこうと思っています。 なかなか景気が回復しなくて、中小企業の皆さんは大変困っておられます。この経済状況の中で、中小企業あるいは零細企業の皆さんが、金融の何かいい方法がないかということも相当悩んでおられるんですが、中小企業庁としてはどういう認識を今持っておられるんでしょうか。
○鈴木(正)政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、中小企業の景況には弱い動きがございまして、とりわけ小規模企業を中心に厳しい状況にございます。 今委員から御指摘ございました資金繰りでございますけれども、中小企業全体の資金繰り、これは例えば日銀短観の資金繰りDIを見ますと、九七年から九八年にかけましてはマイナスの二五まで悪化いたしましたけれども、二〇〇五年の一—三月期にはマイナスの五まで改善しております。 このように、中小企業全体の資金繰りは落ちつきを見せておりますけれども、今委員御指摘のとおり、小規模企業の資金繰りは非常に厳しいものがございまして、独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施しております資金繰りDIを見ますと、中規模企業に比べまして回復の動きが極めて弱い状況でございまして、この一—三月期でもまだマイナスの二一という状況でございます。 私ども、中小企業をめぐる金融状況を引き続き十分注意することが必要であると考えておりまして、今後とも、政府系金融機関また信用保証協会を活用いたしまして、中小企業金融の円滑化に取り組んでいくことが必要と考えております。
○山内委員 これまでの我が国の中小あるいは零細企業の皆さんが資金を得るためには、どうしても不動産担保に頼ったり、あるいは個人保証、経営者の個人保証もですけれども、第三者まで頼んで借り入れをしなければならなかったわけですね。ところが、中小企業の中でも元気のいい会社もございまして、そういうところは社債あるいは株式を市場に放出して、しっかり一般投資家から信認をいただくというような動きも出ております。 そういう動きを加速させるためには、やはり中小企業の会計の仕組みをしっかりとさせることがまず大事だと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○鈴木(正)政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、元気のいい中小企業、この資金調達の円滑化をするためには、私ども、会計をより信用力の高いものにすることが必要だと考えております。 私ども、中小企業が担保や保証に過度に依存せずに資金調達を行いまして、また、新たな取引先の信頼を確保するために、財務諸表の質の向上が重要という観点から、平成十四年六月でございますけれども、「中小企業の会計」を取りまとめまして、その普及に努めているところでございます。 この「中小企業の会計」は、第一歩といたしまして間接金融によります資金調達力の強化を図るということでございますけれども、次の段階といたしましては、例えば社債の発行、こういうことも念頭に置きまして、会計の質の向上を図っていくということが必要だと考えております。
○山内委員 後で「中小企業の会計」についての論点は聞こうと思っていますけれども、最低資本金制度が撤廃されたということによって、やはり一つには、マイナスの部分でいえば、しっかりとした会社かどうかを見分ける能力が、債権者やあるいは金融機関に審査能力が求められる時代になると思うんですね。つまり、いいかげんな会社と言ったら失礼かもしれないけれども、名目的な会社というのもふえていくんじゃないかと思うんですね。 しかし、もう一つ、今度はメリットという面でいくと、ベンチャー企業が、よし、一旗上げてやろう、そういう社会を招くことにもなると思いますので、そういう面で、自分の能力で皆さんに株を買ってもらう、あるいは銀行から借り入れを行っていくという面もあるわけですね。 特に、そのメリット、つまり、先日来の審議で聞いていますと、最低資本金制度を撤廃したことによって特区では一割ぐらいの会社がふえた、起業家がふえたということもあるようですので、やはりそのメリットというものも大切にしていかなければいけないと思うんですが、そのためにも、決算書を見抜く力、あるいは決算書を信頼してもらって金融機関や市場に信認を得ていくということが必要だと思っています。 ですから、中小企業の会計をしっかりされることはもちろんだと思いますけれども、それによって経済活動がやはり活発になっていく、そのためにも、中小企業の会計という仕組みはきちんとしていくべきだと思っています。 しかし、もう一つ大事なことは、やはり経営者が自分の会社の体力とか体質というものをよく知ることがまず大事じゃないかと思うんですね。ほかに金融の道を求めることは確かに大事でしょうけれども、自分の会社が今どの辺にいて、どういう能力があるのかということを見るためにも、中小企業の会計をきちんとしておくということが大切だろうかと思っています。 このたびも、会計参与の仕組みというのができ上がったわけですけれども、この会計参与は、中小企業や零細企業の経営状況を改善していくための一方策として考えられているということなんでしょうが、信用性を高めていく上で、どういうことを主眼にして導入されたんでしょうか。
○鈴木(正)政府参考人 私ども、この会計参与は中小企業にとって非常に重要と考えております。 この今御審議いただいております法律で今度新設されます会計参与でございますけれども、これは、取締役と共同して計算書類の作成、説明、また開示に係る責任を負う会社の内部機関として会社の任意で設置できるものということでございまして、私ども、このような会計参与は、会社及び第三者に対しまして責任を負いまして計算書類の作成、開示を行うということで、中小企業の計算書類の質の向上と透明性の確保、こういうものが促進されるというふうに考えるところでございます。
○山内委員 会社の発展ということを考えて会計参与制度を導入していくという基本的なスタンスはわかりますが、本当に金融を得るためということにちっちゃくならないで、やはりこれからは特に、今までの顧客とかあるいは消費者の方だけを相手にしていたのでは売り上げも限界がある、新しい取引先を見つけていかなければいけない。そういう意味でも、自分の会社の計算書類についてはすごく信頼できるものですので私の会社を買ってくださいというか、やはりそういう社会にしていかなければならないと思っています。 ところで、外国ではこのような会計参与の仕組みみたいな制度はあるんですか。
○南野国務大臣 お尋ねの件でございますけれども、役員の中に財務関係の専門家を置く、それを要求する法制はあるようでございますけれども、計算書類の共同作成者として位置づける会計参与制度と全く同様の法制は恐らくないものと考えております。
○山内委員 だとしたら余計に、日本の国内独自の仕組みをつくり上げたわけですから、絶対にまた失敗も許されないと思いますし、こういう仕組みを海外からも見られているということになるわけですね。 この会計参与の問題について、私は、法案の内容がわかってから、東京や地元で公認会計士の皆さんや税理士の皆さん、たくさんの皆さんと意見交換をさせてもらいました。その中で、充実させていかなければならないこの仕組みなんだけれども、こういう点が不安だ、あるいは疑問があるということ、その点を委員会の質疑できちんとしておいてくれと言われましたので、ちょっと皆さんから意見が出ていることについて政府の答弁を伺いたいと思います。 まず、真っ先に出てきておりますのが、これは神田秀樹東大教授あるいは森本滋京都大学教授からも言われているんですが、よくわからないままにこの制度の採用が決まってしまったという指摘、あるいは会計参与の基本的役割がよくわからないと両教授が述べておられます。私たちはやはり法制審議会のメンバーでもある両教授のこの発言についてはすごく気になるんですが、このお二人の先生は何を指してこういう発言をされておられるのか、おわかりになるでしょうか。
○南野国務大臣 先生の御懸念はそのとおりだと思っておりますが、かねてより、会計監査人による監査が強制されない中小企業の計算につきましても、専門家の関与によりその適正を確保する制度を設けるべきであるとの指摘がなされておりました。そして、有限会社形態と株式会社形態との一体化を初め中小会社法制の抜本的な見直しについての議論がされたこのたびの法制審議会におきましては、中小企業の計算の適正さの確保が喫緊の課題と認識されるに至ったということでございました。 この点につきましては、関係各方面から多数の意見が寄せられておりましたが、これらの意見を踏まえまして提案されましたのが会計参与制度でございまして、会計参与となる立場にある公認会計士側の方または税理士側、これは双方からも賛成をいただき、導入の運びになったものと仄聞しております。
○山内委員 最後におっしゃいました税理士会とか公認会計士協会の理解が得られたということはわかるんですが、このお二人の教授の発言についても最終的には法制審議会で理解が得られたというような認識を持ってよろしいんでしょうか。——はい、わかりました。 それから、こういうようなことを指摘される方がおられます。もともと、計算書類あるいは決算書、損益計算書などは、とにかく会社の人が、中の人がしっかりと正確なものを作成するべきなんだ。だから、まず社内の人たちを教育したり、中小あるいは零細企業でコストがかかるかもしれないけれども、大学の法学部を出たり、後で聞こうと思っていますけれども、会計専門職の大学院を出たような方を積極的に採用するなどして、会社の中で信頼にたえるような帳簿をつくっていくべきだという議論がありますよね。 だから、そういう動きが、まだ会計専門職大学院も数校しかできていませんし、まだまだそういう能力のある社員を雇うということもないままに会計参与制度を導入して、税理士あるいは公認会計士を会社の中に機関として入れていくということは、会社の経営者にとっては、自分のところで信頼性のある計算書類をつくっていこうというインセンティブというんですか、そういう動機づけができないんじゃないかということを言う識者がいるんですが、どう思われますでしょうか。
○南野国務大臣 会計帳簿とかまたは計算書類の作成には、会計基準に対する正しい理解と知識など、相応の専門知識、知見が必要であろうかと。そのためには、正しい会計帳簿または計算書類を作成しようとする意欲を持つ経営者であっても、全く専門家の助けをかりずに作成することは困難な場合が多い、先生が今お話しになられたことだと思います。実際には、顧問税理士などに実際上その作成をすべて依頼しているという実態もあると言われております。 会計参与は、これまでこのように事実上会計帳簿や計算書類の作成を担ってきた税理士等の方々を、役員である共同作成者として位置づける仕組みをとるということを可能にすることによりまして、むしろ経営者に会計帳簿及び計算書類の作成義務者としての責任の自覚を促すものになるだろうと考えております。 先生おっしゃるように、やはり経営者もちゃんとした考えを持って経営を成り立たせていこうとすれば、そういう旨に検討されていくものと思っております。
○山内委員 今の経営者の皆さんも、先行きが不透明な中で大変多忙な毎日を送っておられますので、会計帳簿について時間を割くこともなかなか大変なのかなとも思いますし、今大臣がおっしゃったことはそのとおりかなとも思ってはおります。 それから、こういう論点がございまして、会計参与制度を新たにつくらなくてもいいんじゃないかと。税理士は、顧問税理士として長年、ある企業の記帳の代行からずっと、決算書の作成から、あるいは税務申告まで一連の手続をやっているので、顧問税理士と会計参与の仕組みというのがちょっと不明確になるんじゃないかとか、あるいは、決算書あるいは税務申告をする税理士と、それから、兼務することはいけないにしても、監査役に税理士がなれば、それによって一定の信頼性は確保できるのじゃないかと。外の機関というか、一緒になって帳簿を共同作成するのではなくて、やはり少し離れたところから見る監査役に税理士が積極的になって、いろいろ会社のことについて発言をしていけばいいことではないかという意見もあるのですが、この点はどうでしょうか。
○南野国務大臣 先生の今のお言葉、そのとおりだろうというふうに思っております。税理士を監査役に任用することも会計の信頼性確保の一手段であることは、これは今先生がお話しになられた御指摘のとおりだろうと思っております。 しかしながら、会社法案におきましては、現行の有限会社に類似したタイプの株式会社を認めることといたしますので、このような監査役を置かない簡素な機関設計の株式会社においていかに計算の適正さを確保するかということが重要な問題となってくると思います。会計参与制度は、このような問題にも対処できますように導入された制度でございまして、十分な意義があるものと考えております。
○山内委員 知り合いの公認会計士の方からこういう発言もございました。会計監査を公認会計士がやっているので、こういう会計参与の仕組みをつくらなくても、会計監査人がしっかり監査をしていけばこういう新しい制度を導入するまでのことはないのではないかと。もしコスト面について問題があるなら、規制緩和の時代にこの仕事をしたら幾らということを決めるというのはもう時代に合わなくなっているのはわかるんですけれども、中小零細企業には何か低減措置でも設けてでも会計監査人の監査というのを普及した方がいいんじゃないかという議論もあるのですが、どうでしょうか。
○南野国務大臣 株式会社の計算書類を信頼できるものにするための方策には、先生おっしゃるようにいろいろな方法があるものと考えております。 先生御指摘のとおり、法律の枠外で株式会社が公認会計士の任意の監査を受けることも、計算書類の信頼性を向上させるための一つの方法であるというふうにも思われております。 他方、会計参与制度は、このような法律の枠外の制度ではなく、法律に組み込まれた制度として、一つ考えられるのは、専門家である会計参与を計算書類の作成に関与させる、そして次に、会計参与に計算書類の備え置きなどの一定の義務を課す、さらにまた、会計参与の損害賠償責任については株主代表訴訟の対象とするなどの措置を講ずることによりまして、計算書類の適正さの確保を目指すものであるということでございます。 したがいまして、会計参与制度は、公認会計士の任意監査とは異なる方法によって計算書類の信頼性の向上を図る制度としての意義があるものというふうに考えております。
○山内委員 会計参与が会社の機関と位置づけられることによって、取締役会あるいは株主総会での新たな行動が求められることになるわけですね。 そのことでお伺いしたいんですけれども、経理担当取締役の方と共同作成をする、そのときに、例えば建設業者でいえば、その自治体の建設業の格付を維持するために赤字が出ないようにしてくれとか、あるいは近々発行する株を高く買ってもらいたいがために含み資産があるようにしてくれとか、それがそのとおりのことならいいんですけれども、いや、ちょっと手を入れてくれとかそういうようなことをお願いされた場合に、会計参与というのはどういう忠実義務が発生するんでしょうか。
○富田大臣政務官 会計参与は、株式会社の役員として株式会社に対して善管注意義務を負っていますから、先生今御質問の、取締役から計算書類の虚偽記載等を依頼されたときは、これが行われることのないよう適切な手段をとるべき義務を負っていると思います。 その具体的な手段については、そのときの状況とか機関の設計により異なってくると思いますけれども、まず、きちんと取締役会において、こういう事実があるというような意見を述べるべきではないか、それがまた一つの手段ではないかというふうに思います。
○山内委員 取締役会に出席する義務が、会社の機関として求められるわけですね。ですから、そこに出て、今取締役がしようとされたり自分に命じられていることはこういう点が問題で、こんなことをやったら会社が危うくなりますよというようなことを積極的に発言して、取締役の例えば改ざんとか証拠隠滅とかそういうことを未然に防止する義務があるということでよろしいんでしょうか。
○富田大臣政務官 先生御指摘のとおりだと思います。
○山内委員 それでも言うことを聞かない場合がありますよね。つまり、取締役が私腹を肥やすためにそうしているんだったら、それはもう許すべからざることなんでしょうけれども、そうすることが会社のためになるんだと思う経営者もおりますよね。だから、会計参与としては、本当にそういう人を根本から考え方を改めさせて、取締役会で言ったのに説を曲げない、そういう場合に、会計参与は今度は株主総会とかではどういう行動をとることが求められるでしょうか。
○富田大臣政務官 これは法案の第三百七十七条第一項に規定がございますけれども、取締役と意見を異にする事項について意見を述べることができるというふうに規定されておりますので、株主総会で今のような事実を会計参与の方から指摘して、株主総会の判断を仰ぐということが考えられると思います。
○山内委員 つまり、会計参与が自分をやめさせるかあるいは取締役をやめさせるのかの判断を求めるということになったり、あるいは会計参与の職を辞するというところまでやはりそういう場合はいくんでしょうかね。 それから、共同作成というのは、取締役やあるいは経理担当の職員、従業員さんがつくった帳簿にただ印鑑を押すというのではないわけですよね。つまり、会計参与はやはり独立した立場で、かつ専門的な立場で、判こを押すことについても会社に厳しいことも言っていかなければいけないということなんですが、法案を見てみますと、兼職の禁止は言ってあるんですけれども、もっと独立性を確保するという、その地位を保障するにはもう一つ何か欠けているような気がするんですね。 例えば、よくこの会社法で連結のこととか親子会社の関係とかが、これは大会社向けにはまた新たな仕組みが必要でしょうねというような議論がこの委員会でも繰り返しされていますけれども、例えば親会社の経営者が会計参与を子会社に雇えと言ったり、そういうめり張りというか独立性が不十分じゃないかと思うんですが、この点、独立性に関して何か御意見はございませんか。
○滝副大臣 委員御指摘の、会計参与、独立性をもう少しこの条文上でも位置づける必要があるんじゃないか、こういう御趣旨かと思います。私も実はそういうふうに思いますけれども、基本的には、会計参与の業務というのは、計算書類の作成あるいは保存、開示、こういうような義務を負っているわけでございます。 そういう中での問題でございますけれども、条文を立てる際の考え方としては、会計参与というのは、例えば親会社の参与と子会社の参与を兼ねても、業務そのものからすると、必ずしも、親会社の意向に左右されるような、そういうような業務とは違うんじゃないだろうか、こういうようなことから、条文上の配慮は、そういう意味での独立性を特に求めるような規定を置いていないわけでございます。 その点は、監査役についても同じような考え方をとっておりますので、例えば、監査役の場合には親会社の監査役であっても子会社の監査役を兼ねてできる、こういうようなこともございますので、そういう意味で、特に親子会社を兼ねても独立性という意味からはそれほどの問題がないのかな、こういうような立て方をいたしているのが基本的な考え方でございます。
○山内委員 とにかく、公認会計士あるいは税理士の皆さんが一番責任が問われるときは、その会社が倒産したときだと思いますね。代表訴訟やあるいは第三者責任を負わされるかもしれないけれども、あえて会計参与になったわけだから、自分も共同作成した書面で、例えば会社が危うくなったときには、やはりそれは相応の訴訟を提起されるというリスクは負いながら、しかし、そのリスクがあるからこそ、まじめに帳簿を作成しなければならないということになると思うんです。 しかし、実際に倒産したときに、今の企業倒産はどうなっているかというと、会社が倒産したら、例えば銀行借り入れだったら、経営者はほとんど同額の連帯保証人になっておりますよね。そのほかに第三者も連帯保証を要求されていたりしまして、その会社が倒産したことによってほとんど何もない状態ということになるわけで、そうすると、勢い、ひっかかった債権者はどこに怒りを持っていくかというと、会計参与だと思うんです。 それが、やはりそういうリスクがあると思うと、会計参与になりたがらない公認会計士や税理士の皆さんがおられると思うんですけれども、その辺の手当てというんですか、見方は、どう思っておられますか。
○富田大臣政務官 今先生の御指摘があった件については、私も税理士さんとか公認会計士さんの知り合いが多いものですから、全く同じようなことを大勢の方から言われました。顧問先の中小企業のために会計参与になりたいけれども、いざというときに全部責任を負わされるのはたまらぬ、どうしてもちゅうちょしてしまうというように考える税理士や公認会計士の先生方が実際多くいらっしゃるのも事実だと思います。 今の中小企業、一番最初に先生が中小企業の金融のあり方について質問されましたけれども、自分が顧問をしている会社の計算書類の信用性を担保することによって、銀行の方から融資が受けやすくなっている。現実問題として、顧問の先生がついているところは計算書類を信用して利息を安くするとか早く融資するとかいうふうになっておりますので、会計参与制度が創設された場合に、会計参与になっていただいて、その先生方の作成した計算書類が信用できるというふうになれば、先生が最初に質問された点についても大幅な改善がなされると思います。 それに対して、やはり責任を負わされるのはたまらぬというところにつきましては、社外取締役と同じように、定款で責任の範囲を二年間というふうにできるようになっておりますし、実際問題としては契約で二年間というような形の合意がされるようになっていくんじゃないかと思いますので、そういう意味では、報酬との兼ね合いというのもあると思いますが、その点を理解していただいて、多くの先生方に会計参与に参画していただければなというふうに考えております。
○山内委員 今お話に出ました報酬の件なんですが、統計によりますと、中小零細企業のうちの七割は赤字企業だと言われています。もちろん、訴訟リスクを背負って会社の中に入ってきていただくそういう専門職の方には、それ相応の報酬を払わなければいけないと思うんですね。そうすると、例えば、売り上げが伸びない中で優秀な営業マンには給料をきちんと払ってやる、しかし経営者はなかなか報酬額を取れないという中小企業も多くあると思うんです。 例えば、定款の中の書き込み方いかんにもよるんでしょうけれども、取締役に準ずるような報酬を支給するみたいな規定でも入れたとすれば、経営者としてはまた負担がふえるかなという思いもあるんですが、この点はどう考えたらいいんでしょうか。
○滝副大臣 委員が先ほど来おっしゃっている会計参与の責任の問題からまず出てくると思うんですけれども、基本的には、今政務官から申し上げましたように、重要な責務を負っているわけでございますけれども、会社に損害を与えるような行為がなければいわば株主代表訴訟の対象とまではいきませんから、そういう意味では、経営者とはおのずから違うところがあるんだろうと思います。 そして、現に税理士が中小企業のいろいろ計算書類の作成に関与いたしているわけでございますから、これが会計参与ということになりますと、それにプラスアルファの責任というのはどういうことかといえば、株主総会に出るとかあるいは会計書類の保存、開示に当たるとか、そういうプラスアルファの部分があろうかと思います。そういう意味では、責任が加重されるわけでございますから、それなりの報酬ということも出てくるんだろうと思います。 しかし、特に会計参与になったからといって、企業として負担が過重になる、あるいは耐えられない、そういうようなことまでの責任を必ずしも持つわけではないんだろうと思うんですね。問題は、いかに企業として会計参与が適正な、公開できるような計算書類の作成、信頼できるものをつくるかということに従来から心がけているわけでございますから、そういうものを制度的にきちんとやっていただける、こういうことだろうと思いますので、そういう意味では、特にこれによってどうかな、負担ができかねるというようなことでは必ずしもないんだろうというのが私どもの基本的な考え方でございます。
○山内委員 政府の答弁はよくわかりますけれども、例えばこれからは一千万円以上の売り上げがある中小零細企業にも消費税がかかっていくわけですし、なかなかいろいろな出費は今の中小企業には大変かなという思いも持っております。 中小零細企業については、そうはいっても会計参与制度を充実させるべきだというのはわかりますが、一方では、大企業は、先ほども指摘しましたけれども、会計のスペシャリストみたいな従業員もたくさん雇えるわけですし、いろいろな監査制度も整っているわけで、大会社の皆さんの意見の中には、株式を公開しているような会社では採用する会社はないんじゃないかとかという議論もあるようなんです。そうすると、せっかく商法という一般法というか基本法の中に書き込んだ仕組みが、中小企業や零細企業あるいはベンチャー企業などでしか使われないというのもなかなかもったいない仕組みかなと思うんですけれども、政府の見解はどうでしょうか。
○滝副大臣 おっしゃるように、会計参与制度は、大企業、中小企業を問わず、しかも公開会社か非公開かも問わず、条文としては一般的に適用されるようなことになっているんでございますけれども、もともとの出発点がどちらかというと中小企業ということを中心にしてつくり上げたものでございますから、そういう意味では、例えば監査人を置いているような企業の中では恐らくこういう会計参与を設置するまでもない、こういうことは言えるだろうと思います。しかし、それは、個々の会社がこの制度を有用と見ればそれで採用されていくわけでしょうから、必ずしも、一概に初めから排除するということではないんだろうと思っております。
○山内委員 銀行が、例えば、会計参与を導入している会社には金利を〇・五%ほかの会社より下げて貸し出ししますという方針をとったとしたら、資金繰りにあえいでいる中小企業というのは、いや、うちの会社も採用しようという動きになっていくと思うんですが、金融庁はそういう会計参与制度を積極的に各中小企業の皆さんに導入していただこうというような政策的な考慮はあるんでしょうか。
○鈴木(勝)政府参考人 金融機関の融資と会計参与との関係についてのお尋ねでございますが、御承知のように、一般論で申し上げると、金融機関は、融資先の財務状況ですとか資金の使途、返済財源などを的確に把握しまして、そして、当該融資先の技術力ですとか販売力ですとか成長性をも見て、これらの情報をもとに適切な審査を行う、そして融資の実行を決めるものと認識しておるわけでございます。 御指摘の、会計参与の税理士をつけているかいないかといった点でどういうふうに融資の実行にかかわってくるかという点でございますけれども、それが直ちにその融資の実行を決めるかどうかということにはならない。重要な点は、先ほど委員からも御指摘があったと思いますが、借り手企業の経営者が財務諸表とか計算書類の質の向上へ取り組むということ、及びこうした取り組みを金融機関が勘案して融資姿勢を判断を行うことが望ましい、こういうふうに考えておるわけでございます。 金融庁はこの点どういうふうに考えるかという点でございますが、借り手企業が、御指摘の会計参与制度の利用を含むさまざまな取り組みを通じてでございますけれども、財務諸表とか計算書類の質の向上に努めるということを期待するものでございますけれども、その会計参与制度の利用のみを推奨するということではない点は御理解いただきたいと思います。あくまでも望ましい点、そして融資については金融機関が自主的にそういったいろいろなことを考慮して判断していただくというふうに考えております。
○山内委員 しかし、「中小企業の会計」という基準をとってそういう決算をしたり外部に計算書類を明らかにしているような会社については、金融機関は積極的な対応をし始めているわけでしょう。 ですから、中小企業にとっては、例えば金利が軽減してもらえるんじゃないかとか、今まで五千万の与信枠だったのが一億円まで与信を与えてもらえるんじゃないかとか、あるいは、二週間ぐらい融資の実行が待たされていたのを五日間で実行してもらえるとか、それから、経営者の保証もあるいは第三者の保証も要りませんというようなことは、やはり中小企業の経営者というのは、会計参与を導入することによって、相当考えて、さっきの報酬はかかってでも採用していこうと思うんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
○鈴木(勝)政府参考人 委員、私の今の発言をあるいは否定的にとらえておられるのかもしれませんけれども、そうでなくて、やはり中小企業の資金調達手法の多様化という点で見ますと、こういった今御審議いただいております会計参与の制度について、これは中小企業が財務諸表の精度を高める有効な取り組みの一つの例と位置づけられると考えておりまして、非常に望ましい制度ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○山内委員 その会計参与になられる方が公認会計士と税理士とそれらの方々がつくっている法人なわけですから、当然、守秘義務がかかってくると思います。株主や債権者が会社に開示を求めないでそういう事務所に開示を求めてこられたときに、守秘義務とバッティングするんじゃないかということを懸念する方が地元でおられたんですが、その点についてはどう考えたらいいんでしょうか。
○村上政府参考人 お答えいたします。 税理士法の問題でございますが、税理士法三十八条に「税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。」と規定がございます。一方、今御審議いただいております会社法案におきましては、会計参与設置会社の株主や債権者は、会計参与に対して、計算書類などの閲覧等の請求ができることとされております。 したがいまして、会計参与が行う計算書類等の開示は法律の規定に従うものでございますので、税理士法三十八条に言う正当な理由に当たるものと解されますので、守秘義務には抵触しないと考えております。
○山内委員 そうすると、こういう場合はどうなんでしょうか。 今まで貸し付けをしていた銀行はその企業にとっては債権者になりますね。ですから、そういう会計参与の事務所に来られても開示をするということになるんですが、今までメーンだと頼っていた銀行が貸し出しを渋り始めた。例えばそれがA銀行だとすると、B銀行に貸し出しを頼もうとしたときに、まだ貸し出しを実行していないB銀行が会計参与の事務所に来て税理士さんの見解を教えてくださいと言ったときに、それは債権者ではないから開示しません、つまり守秘義務を負っていますということになるんでしょうか。
○富田大臣政務官 今、国税庁の方からさきに御答弁がございましたけれども、従来から会社が融資を受けていた銀行は当該会社の債権者ですから、会計参与に対して、計算書類及び会計参与報告の閲覧や謄抄本等の交付を請求できます。これは法案に規定がございます。 ただ、今先生御質問のこれから会社が新規に借り入れを行う銀行はまだ当該会社の債権者ではございませんので、会計参与に対して、計算書類及び会計参与報告の閲覧や謄抄本の交付を請求することは法律上できません。 今のような状況ですと、一般的に言えば、会計参与である公認会計士や税理士の先生は、会社の同意を得て、そこの銀行から融資を受けようというのですから、こういうふうに銀行が来たけれども開示していいかというようなことを尋ねて、会社の同意があった場合には開示できるというふうになるのではないかと思います。
○山内委員 そのとおりだとは思うんですけれども、債権者でないから開示しませんというような対応をもし税理士事務所がとったとしたら、会社としては、税理士さんからも一言、我が社は立派な会社だと言ってほしいと思っていた経営者にとってはちょっとがくっとくるかもしれませんので、何か私も頭の中で考えた質問だったんですけれども、そういうときにどうなるのかな、円滑に経済活動とか融資とか実行されるのかなとふと思ったもので、聞かせてもらいました。 そろそろ地元の税理士さんや公認会計士の皆さんの疑問点の解消については終わろうと思うんですけれども、特に税理士の皆さんから言われるのは、取締役会へ出席する義務が生じる、株主総会にも出席しなければいけない、説明もする、それから監査的な能力も試されていく。会社の経営という面では、例えば税理士事務所の経営をするという意味での経営の能力はあるでしょうけれども、自分が関与している会社の経営も見詰めながら帳簿に判こを押していかなければならないというようなことで、試験科目の中に監査の科目とかあるいは会社法一般について問うような試験科目がないというようなことの不安があったり、それから、やはり研修制度を充実させなければ、それは十分な共同責任は負えないんじゃないかと不安がる方もおられますが、この点について政府の見解を伺いたいと思います。
○村上政府参考人 お答えいたします。 あくまで税理士試験というのは、税務専門家である税理士として必要な税法及び会計学の知識や応用能力を有するかどうかを判定することを目的として実施しているところでございます。したがいまして、現行の試験科目はこのような試験の目的に合致していると考えておりますので、変更することは特段考えておりません。 ただ、今般、新たな会計参与制度が創設されて、その担い手として税理士が含まれることになったわけでございますので、日本税理士会連合会におきましては、その研修会の開催等々を検討していると聞いております。国税庁といたしましても、必要な協力はいたしてまいりたいと思っております。
○山内委員 ありがとうございました。やはり十分な研修をしていただいて、間違いのないコンサルティング能力を養成していただきたいと思っています。 最後に二、三点、「中小企業の会計」のことについてお聞きします。 「中小企業の会計」がなぜ議論されるのかというと、税理士によってとる基準が違うんじゃないかということが言われて、税理士会で一つのフォームをつくろう、公認会計士でつくろうとか商工会議所でつくろうとか、今までそういうような動きがあって、それが最近、企業会計の専門家の皆さんと四者で新しい仕組みをつくっていこうという動きがあるようなんですが、どういう方向を目指した議論なんでしょうか。
○鈴木(正)政府参考人 今委員御指摘の「中小企業の会計」でございますけれども、若干経緯を御説明させていただきますと、平成十四年六月でございますが、中小企業庁から「中小企業の会計」というものを発表させていただきました。その後、日本税理士会連合会の方から中小会社会計基準、また日本公認会計士協会から中小会社の会計のあり方に関する研究報告、それぞれ発表されまして、複数の基準があるのではないかという誤解も多数寄せられたところでございます。 今般でございますけれども、一つには、税理士会、公認会計士協会、商工会議所等の四団体が集まりまして、この指針を見れば中小企業の会計について理解ができるという統一的な指針をつくりたいということでございまして、その内容についてはまだ具体化されておりませんけれども、私ども仄聞しておりますところ、例えば中小企業の実務、やはり費用がたくさんかかってしまってはなかなかこれを採用する方もいらっしゃいませんもので、コスト・ベネフィットの観点から簡便な会計処理、また税務処理と整合性をとるということで法人税法の規定を採用する、そういう方向で検討が今されているというふうに伺っております。
○山内委員 せっかくそういう四つの大きな団体が一つの指針というんですか、つくろうとしているわけですから、例えば、会計参与として入っていく公認会計士や税理士さんには、「中小企業の会計」という指針にのっとった帳簿をつくって信用性を高めていってほしいというような指導はされていく考えなんでしょうか。
○鈴木(正)政府参考人 私ども、四団体の方からは、会計参与制度が新設されました場合でございますけれども、会計参与制度の方針としては、この新たな統一的な方針を採用したいというふうに伺っております。私どもも、ぜひその方向で行っていただくよう、強く働きかけてまいりたいと考えております。
○山内委員 一番最初の質疑のころに出た話で、政府系金融機関の話がありましたけれども、政府系金融機関の融資に当たっては、「中小企業の会計」に沿った計算書類を積極的に活用するというような動きにこれからはなっていくんでしょうか。
○鈴木(正)政府参考人 私ども、担保や保証に過度に依存しない融資ということが必要だと考えております。 私ども、政府系金融機関でも、担保や保証に過度に依存しない融資、制度の創設に努めてまいりましたけれども、この会計参与制度が新設されまして、また、中小企業の会計について統一的な指針が作成されてまいりました場合には、ぜひともそのようなものを積極的に活用いたしまして、担保や保証に過度に依存しない融資、これを進めてまいりたいと考えております。
○山内委員 時間が来ましたので終わりますが、そういう「中小企業の会計」をいろいろなところで普及させていくということになると、それを知らない人たちが不利な状態に置かれたらかわいそうですので、これからも普及活動に積極的に対処していただきたいということと、それから、中小零細の皆さんにとっては、特にこれから海外に向かって出ていく、活路を見出すということも必要だと思いますし、そのためには、EUとかアメリカとかからの会計基準なんかの話も出てくるんでしょう。だから、そういう意味でも、この会計参与制度を通じて中小企業が本当に健全に発展していくことを祈念しまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○塩崎委員長 次に、辻惠君。
○辻委員 民主党の辻惠でございます。 四月二十日に、六人の参考人の方にお見えいただいて、参考人質疑をさせていただきました。 今回の新会社法の実質審議を全体的に見ておられる立場で、江頭参考人が御発言になっております。その内容を見ると、今回主要な改正点は五点ある、一つは有限会社の廃止及び株式譲渡制限会社法制の大改正、第二が会計参与制度の創設、第三が合同会社制度の創設、第四が合併等組織再編行為の自由化、第五が剰余金分配手続等の自由化だ、こうおっしゃって、一番目から三番目は非公開会社の法制の問題であって、取締役の任期の定め方とか監査役制度のあり方等議論があったけれども、一定のところで落ちついているんだ、こういう説明をされております。 四番目、五番目は公開会社も含めた制度でありますが、これに関連して、江頭参考人は、経営者に対する監督の強化、コーポレートガバナンスに関する規制強化という領域と、そしてもう一方で、株式制度とか、あるいは組織再編、剰余金分配等の制度を自由化するという領域があるんだ、今回取り上げているのは後者の領域なんだ、前者のコーポレートガバナンスに関する領域については、これは二〇〇一年十二月の商法改正において大改正をしているから、成果を観察している時期なんだ、今回は取り扱っていないんだ、こういうふうにおっしゃっているんですね。 つまり、非公開会社の法制についてどうなのかということを一つ取り扱っているということと、主に公開会社の問題について、企業再編の自由化とか、そういう領域について一点取り扱っている。しかし、コーポレートガバナンスに関する領域については今回取り上げていないんだ、これは、二〇〇一年の商法改正、大改正がなされて、それを経過観察をしているんだ、こうおっしゃっているわけです。 だから、部分的なんですよね、今回の新会社法というのは、提案している内容が部分的である。全体を統括してどういうふうな日本の会社制度をつくっていくのかという、全体的な理想像というか、総合的な提案というのがどうもなされていないんではないか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。 この点について、参考人のお一人である上村達男参考人は、証券取引法適用会社法という本格的な会社法の構想が必要なんだ、だから公開会社法というのを改めて制定すべきなんだ、こうおっしゃっている。そして、企業再編法制についても、これは大幅に自由化されているけれども、企業結合法制というのが欠落しているから、そこの弊害とか問題点について全部カバーできていないじゃないか、こういう御指摘をされているんです。 ですから、今、この新会社法の審議に当たって、日本の会社法制全体としての目配りをして、その中でどういう理念でそれぞれ非公開会社、公開会社、公開会社についても二つの領域についてどういう手当てをしていくのかということをはっきり議論しなければいけない、そこがこの審議のやらなきゃいけないところだろうというふうに思っております。 この点について、私が参考人質疑という形で江頭参考人に対してさせていただいたところ、江頭参考人は、「近時、某銀行の企業合同におきまして、実質上一〇〇%子会社である銀行を譲渡する、それが株主の意思表示も何らなしに、持ち株会社であるために、親会社である持ち株会社の取締役会限りでできたといったことにつきまして、いろいろ問題とする向きもあるということも存じております。」というふうに一応事実を指摘されて、「ああいうことが起こるということは、株式交換の制度をつくったときにもう既に予想されていたこと」なんだと。つまり、これは恐らく二〇〇一年の商法改正のことを言っているんですが、そのときにはもう実質審議一年足らずで制度をつくったので、どうするかということについては今後の検討課題だとそのときもされた、こう言っているんですよね。 だから、経過観察じゃなくて、今回全般的な会社法を新設するのであれば、まさにこの株式交換制度で予想された弊害やそういう企業再編のシステムについて、この会社法の中でやはり議論しなければいけないし、新たに法制として整備しなければいけないはずの問題なんですね。そこを先送りして論じていないというところが今回の会社法の基本的な問題だろうと私は思わざるを得ないというふうに思います。 江頭参考人自身、今後の検討課題だとそのときもなったんだということを言いつつ、ほかにも、第三者割り当て増資の方法で子会社になる、これについても取締役会限りでできるというのは問題だ。また、対価柔軟化に伴って、その対価の性質等について誤解を招くような記載が書類にあった場合にどういう責任を取締役に負わせるのかという問題も、今回盛り込まれていない。そういう意味で非常に課題は多いんだ。こういうふうに、この間、四月二十日の参考人質疑で江頭さんみずからがおっしゃっているわけですね。 これにとどまらない。江頭さんは、ことしのエコノミストの四月十一日号で、「子会社であるUFJ銀行が優先株を発行した結果、親会社の株主が事実上、権利を奪われた」「持ち株会社を作りさえすれば、親会社の株主の権利はほとんど奪える。まさに今回のUFJのようなことが起きるからけしからんと、われわれ学者は強く主張しました。」と。二〇〇一年の商法改正のときに、今回のUFJ銀行のような問題、黄金株の発行というような問題が生じるということを懸念して、それじゃいけないんだというふうに強く主張したというふうにみずから語っているんですね。 しかし、この問題について今回の会社法の中では先送りですよ。経過観察しているんだから、そこの領域については今回取り上げないんだ、こんなことを言っている。それでいいのか、そこが問題だろうというふうに思います。 そういう観点に立って、個別具体の事案、UFJ問題について逐一細かくお伺いするというのは、お答えもなかなか出にくいところだろうというふうに思いますけれども、まず、前回の商法改正でそういう問題点があるんだという議論がなされて、先送りになっていた。それで今経過観察するというのはどういう意味なんですか。これは、当局としては、何でその問題について今回きちっとした法制度として提案をしないんですか。そこの理由について述べてください。
○寺田政府参考人 おっしゃるとおり、株式交換、株式の完全親会社制度が、持ち株会社の独禁法上の解禁に伴ってできるようになったということをにらんで商法を改正いたしました。それに伴いまして、完全親会社、子会社という形での企業法制というのが新たに日本に登場したわけでありますけれども、これがどのような問題点があるかということは、必ずしも十分に問題点として、現象として出てきているかどうかというと、それはなかなか見通しがしにくい問題であったことは事実であります。 しかし、この完全親会社、子会社という持ち株会社制度というのは、一方では、企業の迅速な再編という課題があり、そういう課題に対応するものとしてぜひ必要だということでつくられてきたわけで、そのことに対して、その法制が全くおよそ問題がないかといえば、それは問題はあり得るわけであります。 しかしながら、こういう制度を採用する会社にとっては、メリットとデメリットというのをともに認識しながらその制度を採用しているわけでありますから、私どもは、そういう企業の一つの選択肢といたしまして、そういう制度をつくることに最終的には問題はないという判断でいたわけでありますし、現在もいるわけであります。 しかし、おっしゃるとおり、このことをおよそ問題がないと言うつもりはございませんので、いろいろな弊害というものが現にあらわれますというような状況になりましたら、それはそれでもちろんさまざまな見直しを行っていく用意が必要だということは、それはそのとおりであります。江頭先生の御発言というのも、恐らくはそういう意味であろうと私どもは受けとめているわけであります。 現に、非常に大部でありますが、今回の会社法の改正の過程においても、企業結合法制についていろいろな問題はないだろうか、あるいは、企業結合法制と言っていいかどうかわかりませんが、親会社の株主の地位として、例えば代表訴訟を二段階でするというようなことが考えられないだろうかということについて議論はありました。ありましたが、さまざまな角度からの検討が必要である。つまり、親会社と子会社の間の取締役の責任関係は一体どうなるんだろうかというようなところから根本的にいろいろ議論しなきゃなりませんが、それについての議論というのはなかなかまとまりがつかなかったというのも事実でございます。 そういういろいろなプロセスを経まして、その問題については、江頭先生自身も将来の課題というふうにあるいは意識されておられると私ども理解いたしておりますけれども、私どもといたしましても、そういう課題が現に我々としてあり得るということは、それはそのとおりということで認識はいたしております。
○辻委員 いや、端的な説明になっていないように思いますね。 例えば、これは二〇〇四年の十一月十六日付のエコノミストなんですが、上村達男さんが、西武鉄道だけではなくて、UFJホールディングスも上場を廃止すべきではないかと言っているんですよ。 今申し上げたように、従来いろいろ制約があった会社法の原則禁止が原則自由化になったということで、株主からのチェックを受けない、牽制を受けないで完全子会社の経営者が自由を享受することによって、違法ではないけれども、それこそやりたい放題のいろいろなことができる。特に、このUFJの問題についていえば、三菱東京フィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループとの攻防のその局面の中で、一方に加担するような選択を、子会社のUFJ銀行がMアンドAの場で選択してやっているんですね。 だから、そういうような選択肢を与えるというのは、これは株主のチェック機能、権利を不当に及ばないようにしているのではないか、こういうのは株式会社とは言えないんだから上場を廃止すべきだと、これは二〇〇四年十一月に上村さんが言っている。 上村さんの御指摘にはいろいろ議論があるところだろうと思いますけれども、だから、今は経過観察すればいいというようなのんびり構えている時期ではなくて、こういういろいろな弊害的な事例とされるべき問題提起があるんだから、それをちゃんと踏まえて、今回の会社法の新設の提言の中で、そこの問題について何で語ろうとしないんですか。そこについては全く触れようとしていないわけですよ。確かに、いろいろ問題があるから整理しなきゃいけない。では、それも含めて、公開会社の企業法制ということで、この企業結合法制も含めた提言を今回やるべきなんじゃないですか。そういう意味で、今回の会社法は出し直すべきじゃないでしょうか。その点、いかがですか。
○寺田政府参考人 具体的な事件について問題はどこにあるかということは、それぞれ会社法をめぐる現象としては、当然私どももそれを分析して理解して、できれば反映させなきゃならないということがありますけれども、これはなかなか評価が難しいところもありますし、評価の角度もまたさまざまあるだろうと思います。 確かに、上村教授は、年来、上場会社に特有の会社法制をつくれという御主張でおられます。しかし、我が国の法制からいきますと、上場ということに伴う、つまり、だれでも非常に多数の可能性を持った資金調達に応じようとする人が出てくる株式市場というものを前提とした株式会社というものについてどういう法制をとるべきかということを、会社法自体でやるのか、あるいはその外でやるのか、さまざまな角度から考え、どういう処理をするかについて考え得るわけであります。 したがいまして、今は、上場につきましては基本的には証券取引法制ということで問題にしているわけでございまして、そういうのも一つのやり方だということはお認めいただけるのではないかと思いますし、株式会社が、すべての上場に伴う問題について会社法制の中で解決すべきかどうかということについては、これは学者の間でもいろいろ御議論があろうと思いますけれども、大半の学者の先生方は、株式会社は株式会社として一つの組織法制のもとにある今の日本の法制というのは一つのあり得る制度だということで御支持をいただいているというふうに私どもも理解をいたしております。 それで、例えば今の具体例をやや抽象化して申し上げて、つまり完全親会社、子会社の関係にあったものが、完全子会社について融資を受けるために第三者から、将来の組織再編等をにらんで株式の発行をする、それを、黄金株と俗に申しますけれども、種類株として非常に特殊な地位を与えるということは、これは一つの大きな株式会社の組織の再編のやり方としてはあり得るということは否定できないところであります。果たして上場企業がそうしていいかどうかということについては、これは上場の問題だろうと私どもは理解いたしておりますので、そのことについてそれ以上申し上げるつもりはありません。 いずれにいたしましても、会社法制としては、組織の再編についてのいろいろな可能性の選択肢を広げるという限度ではそれは正しい方向であろう。それに伴う弊害というものはもちろん考えなきゃいけませんし、あるいは、それにさらに加えて、可能性として、企業結合法制の中でそれぞれどのようなチェック・アンド・バランスが働くかというようなことについて、今の日本の制度とは違う制度というものも研究してみなきゃならないわけでありますけれども、しかし、だからといって、そういうことについての手だてが全く斬新なものとしては登場していないこの会社法制というものが意味がないというふうに私どもは考えていないわけでございますので、これはこういうものとして御審議をいただきたいということで提出をさせていただいているところでございます。 〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕
○辻委員 上村さんは、公開会社法制を別途つくるべきだというふうに言っておられる。私が申し上げているのは、そういう意見もあると。だから、今回の会社法の中で、企業結合法制の領域についてやはりその中に取り込んでちゃんと提言すべきなんじゃないかということを申し上げているんですよ。現に、二〇〇四年の十一月の時点で、UFJ問題でいろいろ議論が出されているわけですよ、それの是非はともかくとして。 だから、そういう問題点が現にあるということを全く通り過ぎて、看過して、今回の会社法の制定が提案されているというのは、やはり重要な問題としていろいろ世間で問題になっている、学者の間でも問題になっている、実業界の中で問題になっている問題について、解決策を持たない提案として今回の会社法制があるんじゃないか。その点について、これはやはり問題性があるんじゃないかということを申し上げているんですよ。 例えばそれは、この間、浜辺陽一郎さんが、多重株主代表訴訟の制度を少なくとも組み込むべきだというようなことをたしかおっしゃっていたと思いますけれども、少なくともそういう目配りを含めて、これを会社法制として今回提案すべきだったんじゃないんですか。だから、そこがすっぽり抜け落ちているということは何でなのかということを聞いているんですよ。その点について、もう一度お答えいただけませんか。
○寺田政府参考人 二つ申し上げたいと思います。 一つは、今、二〇〇四年十一月とおっしゃいましたけれども、ある大手銀行同士のいろいろな企業再編をめぐる問題点、これは問題点としてさまざまございます。しかし、私どもがこれを評価するのはなかなか難しいところがございまして、これがあるために、今の株式会社法制がゆがんでいるなり、あるいは欠陥があるというふうには私どもは理解をいたしておりません。 もちろん、この大手銀行再編をめぐる中で、先ほど申し上げましたように、黄金株というものが出て、それについていろいろ御意見があるということはそのとおりであります。また、親会社の意向というものがすべての株主にとって必ずしも御納得がいただけない形で、しかし、その完全子会社が別の形で企業再編の中に組み込まれていくというのもそのとおりあり得ることでありますし、現にこの場合にはそういうことがあり得た可能性があるわけであります。 しかし、それは全体の企業再編の、大手の銀行グループ同士の間で、いわば資金調達をどうするかということで、一種の合弁企業と申し上げてはいささか語弊があるかもしれませんけれども、ある種の合意のもとにそういう大手同士の企業再編をしようという中で行われたわけでありまして、それを親会社の株主として全く阻止できなかったということが、その親会社の株主にとって果たして一方的に損失であろうかということを評価するのはなかなか難しい、そのことをもって会社法制に欠陥があるというのはなかなか難しいところであります。 したがって、この大手銀行同士の再編をめぐってさまざまな法律上の問題点が論じられましたけれども、しかし、そのことが会社法の改正の中に何ら反映されていないではないかとおっしゃられるのかもしれませんが、それはそういうことではなくて、そのことについてはまたそれなりのいろいろな理解があるという立場で私どもはいるわけであります。 二番目は、おっしゃるとおり、それとは離れて、親子会社についてはいろいろな問題があり得るわけであります。 先ほど浜辺参考人の発言も触れられましたけれども、二段階あるいは場合によっては三段階の株主代表訴訟というものも、現にそういう法制を持っている国もあるわけであります。およそ株主代表訴訟という制度を持たない国もありますけれども、一方ではそういう国もある。それについて私どもも研究をしなかったかというと、それは、先ほど申し上げたように、検討の視野には入れないわけではありません。 しかし、これも先ほど御説明したとおり、仮にそういう制度を採用するということになりますと、これはもともと親会社の株主あるいは親会社そのものにとって子会社の取締役というのは一体どういう責任を負っているのかということを、今のように、子会社の取締役が子会社の株主あるいは子会社そのものについて責任を負っているというのと相当飛躍した考え方をいろいろ考えなきゃならない。それに伴って、単に責任の問題じゃなくて、いろいろチェックをするためのメカニズムも考えなきゃいけない。相当広範囲にわたっていろいろなものを検討した上で、初めて多段階代表訴訟というのもあり得るんだろうというふうに考えるわけであります。 しかし、日本でもそういう局面で、先ほどの例から離れまして、仮に親会社の株主に損害が生じたということになりますと、それは親会社の株主としては、親会社自体の損害というものを理由にする損害賠償請求、あるいはみずからに損害が生じた、つまりみずからの株の価値が下がったということによる損害賠償請求、これは第三者に対する責任ということになるわけでありますけれども、そういう手だてもないわけではありません。 したがって、我が国の法制として全く不備であるというわけではないので、しかし、あるいはそれを飛び越えるような法制というのも考えないわけではないので、それについての検討は怠ってはこなかったつもりでございますし、今後もそのことについて視野に入れて検討をする用意がないわけではありませんけれども、それがない段階でこの会社法制を出すということは全く、いわば欠点のあるものを提出したという御批判は当たらないのではないかというふうに私どもとしては考えているわけであります。 〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕
○辻委員 UFJ銀行をめぐる事の是非について問うているわけではないんですね。それは一つの題材として、そういう指摘も起こり得る。つまり、世の中で実務上紛糾が生じるようなことが予想されるわけですよ。今後も同じようなことが予想される。では、その予想される事態に対して対応する内容を含んだ会社法制として今回提案すべきだろうということを申し上げているわけです。 そこについて、それは議論はいろいろもっとすべきであろう。これは法務省からいただいた「企業結合法制について」というレジュメについて、ヨーロッパやアメリカも比較検討されて、子会社の少数株主に関連する法制度とか、グループ子会社の業務執行に関してとか、親会社株主に関連する法制度とか、検討されているわけですよ。だから、少なくとも、この検討結果を踏まえて、企業結合法制の指摘されるような問題点について、やはりそれを制度的に今回の会社法制の中に一部でもあれ組み込んで提言すべきだったんじゃないのかということを私は申し上げているということで、やや繰り返しになるから、お答えを求めても同じお答えになるので、その点は申し上げておきたいというふうに思うんですよ。 そのUFJ銀行の事の是非はともかくとしてというふうにとりあえず申し上げました。つまり、制度の問題として、会社法の内容をもっと企業結合法制を含んで提案すべきではなかったのかという質問を私はしておりますから、UFJ銀行の事の是非はともかくとしてということで今申し上げましたけれども、では、事の是非そのものはどうだったのかというと、先ほど申し上げた二〇〇四年十一月十六日のエコノミストでは、これは編集部が編集した記事でありますけれども、この種類株式の発行について「会社法の暴走」ということで取り上げているんですね。 まさに、先ほど申し上げましたように、三菱東京フィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループがUFJ銀行とどういうふうに提携していくのかということが論議となっているときに、取締役の選任や解任、利益処分など非常に強力な八つの拒否権がついている種類株式をUFJ銀行が三菱東京フィナンシャル・グループに発行した。したがって、UFJ銀行の株主総会で今後決定しても、種類株主総会で承認されなければ重要案件が決められないというような事態が生じたわけです。 この時点、十一月二日の時点で、UFJホールディングスの時価総額は約二兆五千億円。UFJ信託銀行が三千億円だというふうになると、そうするとUFJ銀行は約二兆二千億円だ。二兆二千億円の時価総額のある会社の支配権を、三菱東京フィナンシャル・グループは七千億を出資してそれを獲得したということになる。三分の一以下の実質的な出資で経営権を押さえたということになる。こういうことはいかがなものなのかということを指摘しているわけであります。 これは、三菱東京フィナンシャル・グループとUFJ銀行との間の合意書によれば、三〇%増しの九千百億円を出せば買い戻せるという買い戻し条項がついていた。だから、要するにほかの選択権の余地も残っているんだと。だけれども、二千百億円丸々三菱東京フィナンシャル・グループにぬれ手でアワで渡さなければこの条項は解消されない。 こういう事態の中で、MアンドAの現場で、まさに種類株式の発行ということが、ある意味で、違法ではないけれども、これを担った法律事務所やそのほかの証券会社、野村証券とかは、勝つための合法的手段は何でも使う、戦争なんだ、だからこれでいいんだ、こういうことを言っている。そうすると結局、実務界において、そういう紛糾はどんどん今後生じるおそれがあるわけです。 現に二〇〇四年に起こっているのに、今回会社法を新たに出そうとするときに、そういう起こる可能性のあることについてどう手当てをするのかということを含まないで提言するというのはやはり準備不足なんじゃないかなというふうに思わざるを得ないのであります。 この点について寺田局長は、損害賠償請求とか既存の制度の中で十分可能であるというふうに、十分とはおっしゃらないけれども、利益を確保するというか補てんをするための措置を講ずる手段はないわけではないんだというふうにおっしゃったと思うんですけれども、種類株式の発行、株式交換を認めるときに議論になったいろいろな弊害が現に形となってあらわれたことについて、法務当局としてそれをいわば容認するようなことを反面語っていることになるわけだから、全体性を持った今の日本の企業法制をどうするのかという責任ある立場からすれば、それはやはり部分的である、落ち度があるんではないかなというふうに私は思わざるを得ないんです。 この点に関連して、完全子会社の例えばそういう黄金株の発行について、親会社の株主というのは事前に差しとめる余地というのが現行法であるという前提でおっしゃっているんですか。その点はいかがなんですか。
○寺田政府参考人 株式の発行について、これを違法として差しとめる制度はございますけれども、それはあくまで自分の会社の株式の発行でございます。したがいまして、親会社の株主としては、親会社の取締役についてさまざまな御注文をつけられることは可能でございますけれども、子会社の取締役がおやりになる株式の発行について差しとめをすることは、これは現行法もできませんし、この会社法制上もできません。
○辻委員 だから、完全子会社だから、子会社の株式は一〇〇%親会社が持っているわけですから、一人株主総会みたいなものを開くわけですね。そこで、子会社の株主総会の提案、承認の決議というのは親会社の代表取締役が業務執行として行うわけだから、その親会社の代表取締役の行為について事前に何らかのチェック、抑制をかける、差しとめをかけるということはあり得る、そういう理解でいいんですか。
○寺田政府参考人 親会社の取締役に対して、親会社の行為として、株主たる親会社が子会社の新株発行について差しとめをする、これをしなさいということは、もちろんそれは意見としては言えるわけであります。それをするかどうかは親会社の取締役会の御判断ということになります。
○辻委員 そうすると、親会社の取締役会の御判断ということだから、それが重要な事項なり株主総会決議事項だということであれば、少数株主の招集なり、株主総会を招集してそこで議論をするなりチェックをかける、それが親会社の株主としては事前にとり得る手段の限度である。こういう御意見、そういう理解でいいんですか。
○寺田政府参考人 基本的に、株主総会がすべての事項について決定権限を持つという会社と、そうでない会社が、これも会社の類型においてあります。株主総会がそういう権限があれば、当然株主総会を招集してそれについて制約をすることは可能でございます。
○辻委員 では、今回のUFJホールディングスの株主という局面なんですが、そういう事実関係を想定して、それを一般論に換言して、その親会社の株主は事前に差しとめることができたんですか。できる法律的な手段の余地はあったのかなかったのか。もしなかった場合に、先ほど損害賠償等というふうな別の手段があり得るんだとおっしゃったんだけれども、少なくともどういう手段があるということを考えておられるんですか。その二点についてお答えください。
○寺田政府参考人 親会社の株主が親会社の株主という立場で子会社の新株発行を差しとめることは、これは法律上、現行法もできませんし、この会社法案においてもそれを認める規定はありません。 したがって、問題は、親会社が株主としての立場において差しとめられるわけでありますから、その親会社の意思決定を行い得る場面についてその株主としてどういう行為ができるかでありますから、それはその会社の組織の決定、メカニズムによる、こういうことになります。
○辻委員 子会社が新株を発行するというときに、親会社の株主にとってそれがみずからの不利益につながるんだと考えたときにとり得る手段ということについて、やはり直接的な差しとめなり、それを阻止するという手段について保障されていないわけですよね。だから、そこの是非についてもう一回、これは企業結合法制の重要な部分だろうと思いますから、やはりそれは論議が欠かせないんだろうというふうに思うわけであります。それは冒頭からの繰り返しになりますけれども、やはりそこはもう一回、せっかく提言するんだから、今回の会社法制の中に組み込んで、何らかの措置を講ずる必要があるんではないかなということを強く指摘しておきたいというふうに思います。 近時、この持ち株会社というのが、私の経験上というか感触としてはどうもこの十年来急激にふえてきたというふうに思うんですけれども、この持ち株会社が出現をした、そして増加してきているという背景とその理由、かつ、それのもたらすメリット、デメリット、そういう持ち株会社を通して何がねらいがあるのかということと、それに伴って株主の立場にとって弊害が生じるのかもしれないわけですけれども、各当事者を見渡したときにどういう弊害が生じるのか、その点について概括的に御説明いただけますか。
○寺田政府参考人 これは先ほども少し触れましたけれども、平成九年に独禁法の改正がありまして、独禁法上持ち株会社というものはそれまでは認められていなかったのが認められるに至った。これに伴いまして、商法の方でも平成十一年に、先ほど申し上げました株式交換、株式移転の制度ができまして、制度上完全親子会社という形がそれぞれの株主総会の決定によってできるという法制になりました。 それ以後、法制上も可能になったのでふえてきたわけでありますけれども、これがふえた経済上の背景あるいは実務上の背景といいますと、やはり何といいましても機動的な組織再編ということであろうかと私どもは理解をいたしております。 つまり、もし自分の会社の中に事業をたくさん抱えているということ、これは日本の企業にとってはそれまでかなり一般的に見られた形態でありますけれども、そういたしますと、ある不採算事業を切り離す、あるいは別の事業を取り込むというようなことはすべて営業譲渡に、今度の会社法の言い方をすると事業譲渡に相当するわけであります。 そういたしますと、それ自体株主総会の決定、決議が必要になるわけであります。これは甚だ時間がかかる、手間のかかることでありますので、そういうことをもう少し機動的に行おう、つまりいろいろなユニットとして事業というものを考えて、それを単独の法人格を与えることによってついたり離れたりというようなことをもう少しやりやすくしたいという、これは企業側の強いニーズが出てきたわけであります。 それは、一つには、バブル経済崩壊後の金融機関の再編等においてそういうことが利用されていることもありますけれども、より一般的には、やはり世界経済全体といたしまして、国際的な再編を含む企業の再編によって、さまざまなファイナンシングのメリットあるいはその事業上の人的なメリットというようなものを、より迅速についたり離れたりさせて自分の企業の運営のスピードアップを図ろう、こういうねらいに出たものだと私どもは理解をいたしております。 このことと裏腹になるわけでありますけれども、この完全親会社、子会社というのには当然メリットとデメリットがあるわけであります。 メリットは、今申し上げたことをそのまま言いかえるにすぎないわけでありますけれども、結局のところ、完全親会社としては、そのような完全子会社を持つということは、いざその事業を切り離したいというときに、その子会社の株をそのまま譲渡すれば足るというわけでありますから、これは取締役会の御判断でできるということになるわけであります。先ほどの営業譲渡、事業譲渡のような面倒くさい、手間のかかる手続が必要ないということになるわけです。 しかし、その反面といたしまして、デメリットは当然あるわけでございまして、それが先ほど来委員が御主張になっておられます、当然、法人格が別でありますので、会社法制上、当該企業、当該法人でない方からさまざまにその当該法人の意思決定について働きかけをするについて相当制約がある。つまりそれは、一つの法人格をなした以上は、その法人格として完結した一つのメカニズムを持たざるを得ないわけであります。言いかえると、親会社の株主としては、その事業が親会社の中に入っているという場合の影響力の行使と、切り離した、完全子会社にした場合の影響力の行使というのには当然差が出る。つまり、先ほど来委員が御主張になっておられることがまさにそのことの核心になるわけでありますけれども、こういう親子法制をとるのはチョイスとしてそれぞれの会社に認められているわけでありますけれども、そういうふうな形態をとった以上は、そのメリットを得ると同時にデメリットも受けざるを得ないわけであります。そういう状況に今なっているわけです。 したがって、例えば銀行の再編というときも、これを子会社化したことによる再編の機動性というものも当然一方であるわけでありますけれども、他方で、先ほど申し上げましたような、別人格、法人格が別であるということによるデメリットもある程度は受けざるを得ない、そういうことでございます。 したがって、いろいろな御判断でそういう親子法制をおとりになった会社にとっては、ある程度のデメリットというのは覚悟の上でそのメリットを享受したい、そういう意図でそういう組織の一形態をおとりになっている、こう考えざるを得ない、私どもとしてはそう理解をいたしています。
○辻委員 いや、今おっしゃっているメリット、デメリットというのは、ある特定の主体にとってのメリット、デメリットというんではなくて、メリットとおっしゃっているのは、企業の経営陣にとって、機動的にいろいろ事業を再編していきたい、それにとってメリットがある。では、そのときに言っているデメリットというのは何なのかというと、例えば株主の側が、この親子会社の関係でいえば親会社の株主がチェック機能を果たす、そういう可能性なりそういう手段なりが封じられる、そういうのを奪われる、それがデメリットの一つだろうというふうに思うんですよね。 そうすると、メリット、デメリット両方を見て、メリットだけを今回取り込んでいるということになるじゃないですか。では、デメリットについてどういう対応をしているんですか。デメリットについてどういう制度設計がこの今回の会社法の中にあるんですか。それは今後の検討課題だ、先でいいんだ、やはりこういうことで制度設計されているんだ、そういうこととしか理解できないのですが、それはそのとおりなんでしょうか。
○寺田政府参考人 今、メリットが経営陣のメリットで、デメリットは、あるいは株主側のデメリットというふうに表現されたかもしれませんが、ちょっと私の説明が悪かったのかもしれません。 しかし、経営陣にとってのメリットというので私が説明した機動性というのは、当然企業の価値を上げるわけであります。それは結局のところ、その親会社の株価に反映してくるわけであります。だからこそ経営陣はやるわけであります。したがって、こういうことが株主にとっては一方的にデメリットで、ただ単に経営陣のためにメリットだというふうに御理解いただくと、ちょっと私の意図とは反する御理解にならざるを得ないので、そこのところはひとつそういうものとして御理解をいただきたいと思います。 そこで、御質問の企業法制の整備でありますけれども、我が国においてもこれまで、親会社の株主による子会社の計算書類の閲覧請求、これは裁判所の許可のもとに認められている制度でありますけれども、これが商法上の制度として認められており、あるいは親会社の監査役によって子会社の業務調査を行う、こういうことが法制としてあります。これはそのまま会社法にも受け継がれているわけであります。 その上で、さらにいろいろな諸外国の企業法制を検討したわけでありますけれども、なかなか難しい問題がありまして、新たに採用できているところはないわけでありますが、私どもが問題意識を持っておりますのは、諸外国で認められている企業法制に関連する制度のうち、例えばスクイーズアウト、セルアウトというものがございます。これはヨーロッパの制度に見られるわけでありますけれども、非常に多くのある会社の株式を取得するという場合において、その残りの部分、例えば一〇%とか二〇%とかという、残りの部分がごく少なくなってきた場合に、その部分の株主からその株式を買い取るということによって一〇〇%子会社にするという制度がヨーロッパにはございます。この反面といたしまして、逆に、そういうような圧倒的少数株主になった場合に、これは会社側にもう残りの部分は買い取らせて出ていきたいという株主がおられる、そういう株主にもそういう権利を与える。これはヨーロッパでは、例外があるかもしれませんけれども、私どもの理解ではセットで大体認められている制度でございますけれども、そういう制度というものは我が国にはございません。 これについてどうするかということでございますけれども、これはセットでございますので、大半を買い占められてしまった残りの株主が会社に請求をするということについてどういう法律構成にするか、なかなか難しい問題がありまして、なお検討をしたい、このように考えているところでございます。 また、ドイツの制度にございます、グループ内部の子会社の業務執行につきまして、子会社の利益そのものよりもグループ全体の利益あるいは支配会社の利益を優先させることを認める制度というのがあるようでございまして、そういうことについても検討をしなければならないというふうに認識はいたしております。 法務省といたしましては、グループ経営の進展に伴って、さまざまな利害関係者の間での御意向があり、その適切な保護を図るという声があることは承知しているわけでございまして、そのことについては非常に重要な課題として、今後とも、実務において実際どういうニーズがあるかというような把握等を中心といたしまして、問題を検討して、適切な方策について考えてまいりたい、このように考えているわけでございます。
○辻委員 メリット、デメリットの問題について、企業経営者の立場での機動的な事業再編、編成ということについてのメリットは、株主にとっても企業価値が上がるからメリットになる場合がある、それはそのとおりなんですよ。だけれども、いろいろな利害が複雑に錯綜するし、当事者もいろいろあらわれてくるわけだから、株主にとってそのことが、チェック機能を十全に果たせないというような場面だって生じるわけですから、そこを制度的にどう担保するのかということを問うているわけだから、現経営陣に対する無前提な、アプリオリな信頼だけで物を語っては、それはやはり部分的だと私は思いますよ。だからこそ制度設計が必要なんだということだと私は思います。 それと、確かに、企業結合法制で少数株主の締め出し、離脱、スクイーズアウトとかセルアウトとかいう、諸外国でとられている制度の導入について我が国は現在とっていない、これについては検討課題と考えておられるということはわかるんだけれども、例えば持ち株会社設立の方法として、従来は主要に株式交換の方法でなされていた。今回の会社法の新設に当たっても基本的にそのことを念頭に置いて制度設計がされているように思うんですが、そうではないんですか。もしそうではないとすれば、企業結合法制を同時にしっかりと今、やはり打ち出すものは打ち出す必要があるのではないかと思うんですよ。その点、いかがですか。
○寺田政府参考人 先ほど申しましたように、我が国においては、親子法制、完全親会社、完全子会社という持ち株会社制度をつくるための仕組みといたしましては、今委員も御指摘になりました株式交換や株式移転という制度がありますので、我が国の法制を考える場合には、それを前提に考えざるを得ないわけであります。 ただ、今度の会社法の新しい制度といたしまして、合併対価の柔軟化という問題が新たに登場したわけであります。この合併対価の柔軟化を利用いたしますと、親会社が、完全子会社と、完全子会社でない、別に買収をかけている会社である程度の支配権を握った会社というものを合併させることによって、その両者を完全子会社に結果的にする、一つの大きな完全子会社とするということが可能になりますので、そういうことも今後は視野に入ってくるということになろうかと思います。
○辻委員 これは、私は二〇〇一年と申し上げていたのですが、一九九九年に株式交換、移転の改正が行われた、こういうことなんですね。では、それは二〇〇一年と言ったのは訂正します。 やはり従前、主要に株式交換なり株式移転という形で完全子会社の設立の方法が日本ではおおむね図られてきていたと。やはりそれを前提に今回の会社法も制度設計されているから、だから部分的になっているのだろう、企業結合法制は後回しでいいのだというふうになっているのではないかと私は思わざるを得ないんですよ。やはり今後、株式交換とか株式移転というのは、それぞれの当事者が了解し合って、協議し合って、合意書を交わしてやることなんだから、合意書を交わさないでそういう事態が生ずるということがあり得るわけではないですか。 だから、そういう場合にどうするのかということで、さっき寺田局長も御紹介になられたスクイーズアウトとかセルアウトとかいうような、少数株主を締め出して一〇〇%子会社をつくる方法ということが必要になってくる。これはまさに、株式交換、株式移転という、合意を前提にしない場合の制度として、そういうことを制度設計しているのではないかなというふうに思うんですよ。だから、今、そういうことは将来課題だというふうにされているということは、今の日本の実務の現状として、合意による株式交換、移転というのを主要に考えておられるわけだから、そうではない事態が今後ふえてくるわけですよ。では、そのふえてくる事態に対して対処できる法整備をしなければいけない、それを今の会社法の新設の中で、やはり同時に設けるべきだったのではないのですか。 最初の問題に、また繰り返しになるけれども、だから、今回の会社法の提案はやはり部分的である。企業結合法制について、やはりそれに一歩でも何か手だてを講じているということを組み込むべきですよ。だから、例えば多重株主代表訴訟制度とか、そういうのをやはり組み込むべきだと思いますよ。その点、どうお考えですか。
○寺田政府参考人 今まさにおっしゃいましたように、委員が具体例として挙げた例のケースにおいても、この持ち株会社制度をつくったのは、恐らくは株式交換、株式移転という合意に基づいてつくっているわけで、それは、先ほど申したように、双方の株主総会の決議を経ての上でのことだろうというふうに理解をいたしております。 今後、おっしゃるように、スクイーズアウト、これはセルアウトとペアになっていることが多いと先ほど申しましたけれども、スクイーズアウトの方は確かに、おっしゃるように株主の意向にかかわらず完全子会社化ということが実現するわけでございます。そういうことを採用するということになりますと、おっしゃるとおり、この株主保護というのはより強く考えなきゃならない場面が出てくるかもしれません。それは私ども全く否定するものではありません。 しかし、現状の日本においては、先ほどの、持ち株会社の株主というのは、それなりに手続を経た上で持ち株会社になられた会社の株主であります。そのメリットを享受しておられ、デメリットを受けざるを得ない立場におありになるわけであります。ですから、そのことだけをもって、先ほどの例をもって、日本の会社法制に不備があり、したがって今すぐ委員のおっしゃったような多段階の株主代表訴訟というような制度を導入しなきゃならないということにはならないだろうとは思います。 ただ、委員の御議論の中にも十分な理解ができるところがあるのは、おっしゃるように、今後、意思によらない企業結合というものがどんどんふえていく、そのことによる株主の側の権利というものが不十分であるというような事態が出てくる、こういう具体例が見えました段階では、私どもも当然のことながらそれに対応することが必要だというふうに申し上げたわけであります。 つまりは、繰り返しになりますけれども、今後この問題は大きな検討課題ということでありまして、それにはしかし、全面的に、親子法制というものが意思決定のメカニズムから考えてもどうあるべきかという基本に立ち返って論じなきゃならないので、今までのような、それぞれの法人はそれぞれの法人の意思決定のメカニズムがあるということを前提にする法制とは相当違うような法制を考えなきゃならないだけに、これは難しいということはひとつ御理解をいただきたいところでございます。
○辻委員 ライブドア、ニッポン放送の問題等の敵対的買収の事例みたいなものは今後ふえてくるわけですね。ですから、親子会社の完全子会社の設立の問題についても、株式交換や株式移転という合意に基づくような場面だけではなくて、まさに合意に基づかないTOBをかけたりというような形で、そういう場合がふえてくるわけですよ。だから、そのときに、株主の立場とかそれ以外のそれぞれの立場に目配りをした法制度、制度設計がなされていなきゃいけない。 そこについて、今回の会社法については、少なくとも企業結合法制が整備されていないということに明らかなように、合意に基づく親子会社の設立、形成を主要に想定したものでしかないという意味で、これは非常に部分的だというふうに私は思います。 きょうの日経新聞の朝刊で、ニレコの新株予約権発行について差しとめ仮処分申請が起こったというふうになされています。これは上村さんも言われておりますけれども、ベルシステム二四に対するCSKとの対抗で、新株予約権を発行して、要するにそれが認められた例がある。だから、ニッポン放送対ライブドアはニッポン放送は認められなかったけれども、ベルシステム二四対CSKではベルシステム二四の新株予約権の発行が認められてしまっている。では、今回のこのニレコの差しとめ仮処分申請はどうなるのか。 だから、まさに裁判所の司法判断も区々に分かれるような事態が生じていて、そういう合意で成り立たないような企業間の買収とかいろいろな問題が今後どんどん生じてくるという状況の中で、それに対応できるような会社法の新設、制度設計の提言があってしかるべきだろうと思うんですよ。こういう点について、大臣、前向きな発言、最後におできになるのであればやっていただきたい、こういうふうに思います。
○南野国務大臣 先生の真摯な御発言によりまして、やはり我々としても今後検討してまいりたいと思っております。
○辻委員 では、終わります。今後また継続してやりたいと思っております。よろしく。
○塩崎委員長 次に、加藤公一君。
○加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。よろしくお願いします。 きょうは、会社法の中でも、商号の件と、この法案の広報と、前回やり残しの外国会社、この三点についてお伺いをしてまいりたいと思います。 商号の件については、連休前の質疑で資料をお出しして問題点を整理させていただきましたので、議論の前提として、その復習からきょうは入りたいと思います。 類似商号の規制について、問題点が二つあるということが前回確認をされました。一つは、会社の設立手続が複雑化している、煩雑になっているという問題点と、もう一つは、類似商号の規制による既存商号の保護が同一市町村内でかつ同一営業目的という規制でしかない、これが不十分ではないかという、この二点であったと思います。 私は、その営業目的によらずというところは賛成なんでありますが、だからこそ全国一律で同一商号を規制してはどうか、その方がシンプルで、既に設立をしている会社は例外になりますけれども、今後検索も容易になるし、よりよい仕組みになるのではないかということを御提案させていただいたわけであります。残念ながら大臣とは、お考えが違うようでありますから、ここは水かけ論をしていてもしようがありませんので、きょうは一歩さらに進んで、前回民事局長から御答弁をいただいた内容の詳細について少し伺ってまいりたいと思っています。 同一の商号が登記をされた、あるいは登記されようとしているということに対して知る手段というものが何がしかあってもいいのではないか、こういう御答弁を前回いただいているわけでありますが、この具体的な内容、大臣、いかがお考えですか。
○南野国務大臣 最初に意見が違うということをお認めいただいたので気が楽になりましたが、委員が御指摘になりました、同一の商号が登記された、あるいは登記しようとしているということについて知る手段、それは、委員御質問の中で、既に登記をしてまじめに御商売をされていらっしゃる法人を救うすべという問題提起に関して局長からお答えを申し上げた部分でございますが、同一の商号が登記されたことに対する争いの解決の前提といたしまして、そのような事実を既に商号を登記している者に対して知らせるための手だてがないかどうかという問題意識で申し上げたところでございます。 そこで申し上げましたとおり、登記所自体が直接登記をされた方に知らせるということも、その役割から見て容易ではないと思われるところであり、あり得るとすると、別個の主体と既に登記をした者との関係において考えるべきところではないかと思いますけれども、おっしゃっておられる具体的な内容につきましては、これはまた今後の研究課題にしたいと考えております。
○加藤(公)委員 今後の研究課題はいいんですけれども、法案を今審議していて、仮に法案が成立をすれば、今度は施行に向かって動き出すわけでありますから、そんなに時間のある話ではなくて、既存商号をお持ちの方に通知をしようとすれば結構大がかりな仕組みを何か考えなきゃいけないかもしれないんですね、そうじゃないアイデアもありますが、かもしれない。それをすべて、今後考えますから、法案の審議のときにはそこは勘弁してくださいと言われても、はい、そうですかというわけにはいかないわけでありまして、商号の規制に関する考え方が違うということを前提にせっかく議論しておりますので、何もそこで言質をとったから後で突っ込もうとも言いませんので、今、大臣がお考えのこと、あるいはもし民事局長が何かお考えのアイデアがあるのであれば、ここで御披露をいただきたい。もう一度お願いします。
○寺田政府参考人 これは、前回も議員がおっしゃったとおり、既に登記をしている者が今後は事後的な救済を求めるという形で行動を起こすということになるわけでありますけれども、その前提としては、当然そういう事実、つまり自分と同じ商号を持つ会社が登記されたという事実を知らなければなりません。それについての迅速な、御要望がおありになる可能性があるわけであります。 そこで、そういう御希望に対してどういう対応策があり得るかといいますと、登記所の方でこれを全部、同じ商号がある相手に対して、この場合には、基本的にはそれこそどこに登記をされたということにかかわらずということにならざるを得ないかもしれませんが、お伝えするということは、官と民の役割分担の観点からいたしますとなかなか難しい問題だということは前回も申し上げたとおりであります。 したがいまして、考え得るのは、何らかのこういうことをお仕事とされている主体との間で、契約ベースで、自分のところと同じこういうたぐいの登記がされたときは自分に知らせてほしいというようなサービスを、全く契約ベースでありましょうけれども行う、そういうことは考え得るのではないかというふうに思われるわけであります。 この場合に、現在、法務局における商業登記の記載というものはすべてコンピューター化を図っている途上でございますが、これはもうほぼ一年程度の将来において完成する、そういう段階にございます。つまりは、インターネットあるいは電子情報の形ですべて登記の事項は見られる、そういう状況になるわけであります。そういう状況を前提とすれば、そのような環境を利用してそういう契約を結ばれる方というのもあり得るかもしれない。そういう利用者の側の御希望が非常に強くてそういうことが商売として成り立つのであれば、私どももそういうことに十分御協力をするのにやぶさかではない、こういう趣旨で申し上げているわけでございます。
○加藤(公)委員 この同一商号の規制に関しては、私の知る限り、アメリカであれば同一州内は同一商号が禁じられておりますし、ドイツがたしか市町村内、イギリスでありますと、イングランドとウェールズの中は同一商号がたしか禁止をされていると承知しております。つまりは、日本以外の国でもある程度事前規制で商号を保護するという状況になっているわけなんですね、フランスはなかったかもしれませんが。 今回、私は別の考え方を御提案したけれども、皆さんは、この法案のような解決策でその煩雑になった部分を解決しよう、こういう提案をしていらっしゃるわけでありますから、これまである一定程度とはいっても保護されていた商号が、ある意味危険にさらされるのであれば、そこに余り費用や手間をかけずともそれが守られるような仕組みというのは、ぜひ前向きに考えていただきたいと思うわけであります。 今、局長が、インターネットなんかも使ってというお話がありましたが、インターネットに既存商号を全部公開をすれば検索をするのが容易になるなんということはもう御存じのとおりでありまして、そんなことはぜひやっていただきたいんですが、それだけではなくて、もう少し親切な仕組みをぜひ御検討いただきたい。今後と言わずに、きょうからでも、今からでも大臣にはお考えをいただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。 それからもう一つ、前回、局長の御答弁の中で、事前規制が今度は事後救済に変わります、既に商号を使っていらっしゃる方がその権利が侵害をされたら差しとめ請求や損害賠償は裁判所でやってください、こういう話になるということでありました。 私も前回指摘をさせていただいたように、それであると、現在、ある商号を使ってまじめに仕事をしていらっしゃる方に過分な負担がかかるではないか。今までは守られていたものが全く守られなくなって、全部後で裁判をやってくださいというのは負担が大きい。なおかつ、株式会社の最低資本金の規制がなくなりますから、悪い方に考えれば、一円でどんどん同じ名前の会社をつくることもできるようになるわけでありますから、それは、一々裁判をやっていたら、とてもじゃないけれども小さな会社が持ちこたえられない。 そのことについて、局長からも、裁判所に行かなくても何か紛争が解決できる仕組みについても検討したいという旨の御発言がありました。この内容についても、大臣から改めて詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
○南野国務大臣 この件につきましても、今後検討してまいりたいという言葉を最後につけさせていただきたいわけでございますが、委員が御指摘になられました、裁判所に行かなくても紛争が解決できる仕組みということにつきましては、例えばこの前通させていただいた商号についての紛争を解決するADR、そういうことが考えられますが、具体的には、そのニーズや具体的方策等につきましては、これに関係しておられる方々の御意見を十分に拝聴しながら検討してまいりたいということでございます。 先生も、いいアイデアがございましたら、ぜひ御提言いただきますようお願いいたします。
○加藤(公)委員 先日来、ADRの議論もこの委員会で続いておりますし、こうした問題こそまさにわざわざ裁判にしなくても解決をしてもらわなければならない大きなテーマだと思いますので、もちろん私もいいアイデアがあれば御提案をさせていただきたいとは思いますが、法務省としてもお考えをいただいて、法律が改正をされた後にトラブルがどんどん出てきてから慌てて何か方法を考えましょうというのじゃなくて、ぜひ今のうちから、トラブルが起きないように未然に、別に本当に起きなければこのADRをつくる必要もなくなるわけでありますから、今のうちから考えておいていただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。 それからもう一つ、これは別の観点から伺いますが、仮に不正な目的をもって同一の商号を登記した場合というのは、これは罰則があるんでしょうか。大臣、いかがですか。
○南野国務大臣 会社法案におきましては、第九百七十八条の第三号によりまして、不正の目的をもって他の会社であると誤認されるおそれがある名称または商号を使用した者は、百万円以下の過料に処せられるものとされております。 また、過料の料金は、過料に処すべき行為の内容などに応じて定められるべきものでありますけれども、会社法案における過料の金額は、その行為の内容や他の法律における過料のいわゆる金額などにかんがみまして適切なものであると考えておるのが現状でございます。
○加藤(公)委員 私も、自分で調べた限りでは、たしかこの過料の部分というのは、現行法で二十万円のものが今回百万円にという改正かと思います。確かに、数字上は五倍といえば罰則を強化したということなんだと思いますが、何度も申し上げますけれども、不十分とはいえある程度守られていたものが守られなくなる。性悪説はとりたくはないけれども、悪用しやすくなるということが、この商号の部分だけじゃなくて最低資本金とか含めて起こり得るわけでありまして、これはこれ以上議論はいたしませんが、個人的には、過料百万円というのが大臣が言うように適切かというと、今の経済状態からいって私は決してそうは思えないという意見だけここは申し上げておきたいと思います。 時間の制約がありますので、次に、広報の問題について伺いたいと思います。 今回、この会社法という新しい法体系をつくるということで、商法の改正というよりは新しい法律をつくるというふうに考えた方がいいんだと思いますが、大変多くの方がこの法律の改正の影響を受けられることになります。 実は、ことし三月に不動産登記法の改正が施行された折に、私の地元のある方から、実は司法書士の先生でいらっしゃいますが、周知がどうも不十分だったんじゃないか、一部混乱をしている、こんな御意見をいただきました。国会では皆さんそういうことをわかっているんでしょうか、こんな電子メールをいただいたわけであります。 不動産登記ももちろん重要でありますし、混乱しては困るのでありますが、この会社法に関して言うならば、大変大きな改正点が、しかも多く含まれておりますし、御商売をしていらっしゃる方、ビジネスをしていらっしゃる方には大変影響の大きな改正でありますから、国会で議論して変わりました、ホームページに載っけました、官報に載りました、これぐらいでは済まない話だろうと思います。どうやってこれを国民の皆さんにお知らせしていくのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○南野国務大臣 本当に先生がおっしゃるように、千条にも上る法案の改正でありますので、これは中身は徹底して広報させていただかなければいけないというふうに思っておりますが、この会社法案では、商号に関します改正のほか、いわゆる機関設計の選択の幅を広げるなどの大規模な改正がされております。その成立後におきましては、各会社が十分な情報を得た上で適切な対応やまた選択ができますように、積極的な広報活動に努める必要があるというふうに思っております。 そのための手段として、法務省のホームページ、またさらにそれへの掲載、ポスター、パンフレットなどの印刷物の配布による広報のほか、立法担当者による各種雑誌への解説記事の執筆、また主要都市での説明会の開催などを行い、さらに、実際に制度を利用する企業関係団体等の協力をいただきまして、その周知徹底を図るなどの方法があろうかと思います。 会社法案につきましては、このようなさまざまな施策を講じることによりまして、法律の内容の周知徹底が不十分なものとならないよう最大限の努力をしてまいる所存でございます。
○加藤(公)委員 私は、いろいろ手分けの問題もありますし、自分の興味、関心の問題もありますから商号とかなんとかいろいろ集中的にやっていますが、もちろん、有限会社がつくれなくなるとか、あるいは最低資本金の規制がなくなるとか、会計参与の問題とか、その他もろもろ、本当に大きな改正で、後で知りませんでしたでは済まない話でありますから、今大臣、いろいろな方法、手段を御披瀝いただきましたが、すべて総動員をして、徹底的に広報には力を入れていただきたいと思います。 そのうちの一つで、一番最初に今、法務省のホームページにも掲載をされるとおっしゃっていましたが、大臣、ごらんになったことはございますよね、ホームページ。いかがですか。
○南野国務大臣 全く見ていないわけではございません。
○加藤(公)委員 全く見ていないわけではないというのは、ちらっと見たことがあるというふうに日本語では言いかえられると思うんですが、ちらっとごらんになればわかるとおり、法務省のホームページは物すごく見にくいんですよ。字が細かくて、文字ばかりなんですね。余り私は人の悪口を言うのは好きじゃありませんけれども、正直言って、センス悪いんです。そこに、会社法ができました、千条ですとあそこに出して、だれが見るのかと。それで広報した気にならないでくださいねというのは、今の質問で最初に言ったのはそういうことでありまして、何もお金をかけて全部つくり変えろとは言いませんが、ホームページに載っけたからそれでいいんだという、この考え方だけはやめていただきたい。 時間の関係がありますのでお願いだけしておきますので、大臣、大きくうなずいていただきましたから、しっかり広報していただけるものと確信をしております。 では、残り時間は外国会社の問題について伺ってまいりたいと思います。 これは、私の知る限りこの委員会でも余りこれまで取り上げられてこなかったのではないかと思いますが、私なりにどうも疑問があるものですから、いい、悪いというよりは、何でこうなんだろうという素直な疑問がありますので、そこを伺いたいと思います。 まず、今回の改正で擬似外国会社に関する規制が変わるということでありますが、そもそもその擬似外国会社というのは一体何なのか、どういう定義ですか、大臣。
○南野国務大臣 お尋ねの擬似外国会社というのは、外国の法令に準拠して設立された会社、いわゆる外国会社のうち、日本に本店を置いて、または日本において事業を行うことを主たる目的とするものをいっております。これは第二条第二号、第八百二十一条にありますが、このようなものは形式的には外国会社でありますが、単に外国会社とのみ扱うとすると、我が国の会社法制の適用を避けられるという事態になるために、商法上特別の扱いをする対象となっております。
○加藤(公)委員 その定義が、後でまた出てきますからそのときにお話をしたいと思いますが、どうも私にはあいまいに思えてならないわけであります。そもそも本店とは何かという議論から始まっちゃいますし、仮にそこを置いておいたとしても、日本において事業を行うことを主たる目的としているというのは、では一体どうやって判断するのか。場合によっては、自分の会社が一般の外国会社なのか擬似外国会社なのかもあやふやだということが起こりかねないんじゃないかということが実は問題意識の一つにありますので、これは後でまた議論をさせていただきたいと思います。 では、その大臣が定義をされた擬似外国会社というのは、日本には一体どれぐらいあって、どんな規模で、あるいはどんな国で設立をされているのか、実態がどうなっているのか教えていただけますか。
○南野国務大臣 外国の法令に準拠して設立された会社が擬似外国会社に該当するか否かは、その会社が日本に本店を置いているか否か、または日本において事業を行うことを主たる目的とするものか否かといった事実状態によって判断されることになるわけでありますけれども、このような事実状態は統計などによって把握することができません。擬似外国会社の数、主要な設立国、典型的な会社の規模または典型的な業種についてお答えすることは困難であります。 もっとも、擬似外国会社を設立するための事務代行と思われるサービス提供がインターネット上で行われていること、または企業家の情報ネットワークで擬似外国会社についての情報が流されていることなどの事実はございますが、これらの事実から、日本において一定数の擬似外国会社が存在するものと予測しているところでございます。
○加藤(公)委員 要するに、擬似外国会社に対する規制をここで論じようというときに、実態がわからないわけですね。だから、ほんのちょっとしかないかもしれないし、場合によったら全然ないかもしれないし、あるいは物すごくたくさんあるかもしれないし、全然わからない。全然わからない中で議論をしなければいけないというのも、これは後でまたつながりますから、私は、ここはまず一つ問題だろうと思っているわけであります。 その全然実態のわからない擬似外国会社について、今回規制をどう変えるんですか、大臣。
○南野国務大臣 現在の商法におきましては、擬似外国会社は日本法に従って設立された会社と同一の規定に従うことを要する旨が規定されておりますけれども、この規定の意味につきましては解釈上争いがあるということでございます。 有力な考え方としては、商法の規定によりまして設立されていない擬似外国会社の設立の効力を否定し、商法で定める手続に従って再度設立し直さなければその法人格を否定することとするもの、もう一つの問題は、擬似外国会社の設立の効力は認めた上で、商法の規定のうち擬似外国会社に対しても適用することが適当であると解釈されるものは適用されるとするものといった考え方がございます。 しかし、擬似外国会社について、法人格を否認したり、あるいは解釈によって適用される規定が定まるような状況は、いずれも法律的に安定性を欠いており、適当ではないと考えられているところであります。 そこで、会社法案におきましては、法律関係の明確化を図るとともに、擬似外国会社に関する現行法の規律の実質を確保するという観点から、一つは、擬似外国会社は日本において取引を継続して行うことができないこととし、二としまして、これに違反して取引を行った者は、取引の相手方に対して当該擬似外国会社と連帯して責任を負うこととしております。 以上でございます。
○加藤(公)委員 要するに、擬似外国会社の法人格を今までは否定するという解釈があった、そのことはかえって取引先に損失を与える可能性があるではないかという問題点があった、そのことは私も認めます。それは、今回法律を変えて、擬似外国会社の法人格自体はまず認めた上で次の議論をしようということは私も大賛成なんであります。それともう一つは、取引相手、取引先の保護を図ろうという考え方ももちろん賛成なんであります。 問題は、その擬似外国会社と言われるものが日本国内で継続して取引をすることを禁じて、罰則までついている。どうしてそこまで規制をしなければいけないのか、擬似外国会社の一体何が問題でそういう規制が必要なのか、そこがわからないんです。大臣、何が問題でその規制をつくられたんですか。
○南野国務大臣 会社法案は、会社の組織、運営などに関する事項を規制し、これによりまして株主や債権者を保護することを目的としており、我が国で設立されて活動する会社について適用されることになっております。こういう前提がございます。 また、専ら我が国における事業活動を目的としながら、我が国の会社法の適用を回避するために故意に外国法に従って設立された会社の活動を認めることは、一種の脱法行為を許容することともなり、問題があるものと考えられるという二点目でございます。 そこで、これまで商法におきましても、このような脱法行為を防止するという観点から、日本に本店を置き、または日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社である擬似外国会社についての対応策が置かれていたわけでありますけれども、これについて解釈上争いがあり、どのような法律関係になるのか明らかでないとの事情がありましたために、法制審で改めて議論をいたし、日本における継続的な取引を禁止する等の規制を講ずることとしたものであります。
○加藤(公)委員 これまでの法律が解釈があいまいだったとか、あるいはその法人格を否定するとかえって取引先に迷惑がかかるという問題点は私もさっき同意したとおりでありますし、そのことに対して法律を変えようというのは賛成なんですが、今大臣の御答弁だと、擬似外国会社は一種の脱法行為だから、それは規制をしなきゃいけないんだ、こういう話だったかと思うんですけれども、私が伺っているのは、仮にそれが一種の脱法行為だとしても、何が問題なんですか。 要するに、過去何か被害が出ているのかとか、あるいはトラブルが発生しているのかとか、あるいはトラブルすれすれで何か防いだことがあるのかとか、要するに、実態を先ほど伺ったら、わからないと。数もわからなければ業態もわからない、設立国もわからない、つかんでいません。では、具体的に何か被害が発生したとか、トラブルがあったとか、あるいはビジネスの現場から要請があったとかいうんならいいんですが、今度こっちを聞いているんですよ。何が問題でこの規制をつくられたのか、そこを教えてください。一種の脱法行為だということは御意見としてはわかりますが、具体的に何が問題なんですか。
○寺田政府参考人 これは、委員の御疑問も非常にもっともなところがございます。 実は、法制審議会で議論をした中でも、一体この規定を置いておく必要があるのかという御議論もございましたし、もともと明治時代に商法ができたときにこの規定が入ったわけでありますけれども、その規定の意味があいまいなまま今日まで放置されてきたということ自体が、実はこの規定の存在意義というものを若干疑わせるところもあるわけであります。したがいまして、私どもも、この規定を一体どうするかということについては相当、いろいろな議論をいたしました。しかし、最終的には、やはり安全弁が何らかの形で必要なのかなと。 つまり、全く日本の会社と見まごうばかりの会社があって、それがそこで全く日本の会社と同様の活動をしている。普通の人は、それは日本の会社だと思ってしまう。そのときに、いや、それは日本の会社じゃなくて外国の会社であるために、例えば現在の規定でいうと商法の二百六十六条ノ三のような、取締役が何か悪いことをして損害を与える。具体的に申し上げますと、違法な取引をして取引相手に損害を与える。そのときに、取引相手は、では二百六十六条ノ三で請求しましょうといったときに、いや、これは外国会社ですからその規定は私には適用がありませんということになると、非常に困るわけであります。 具体的にそういう被害が出ているかどうかということについては、私どもも、何度も繰り返すことになりますけれども、承知いたしておりません。しかし、そういう被害が万一起こったときには何らかの手を打たなきゃならないということで、実は今回の条文でも、継続的な取引をしてはいけないということは実際に余り意味がないわけであります。それを実効的に行わせる手段もないわけであります。したがいまして、むしろその次に書いてございますとおり、その代表者として振る舞っている人が法人格否認と同様に第三者に対して責任を負うというところにこの規定の意味がある、私どもはそういうことで理解をいたしまして、最低限そこの確保だけは、何らかの被害が出るかもしれないので、しておきたい。 その程度の意味でありますけれども、しかし、伝統的な法の規定をその程度には生かしておきたいなというところでございますので、ひとつ御理解をいただければ幸いでございます。
○加藤(公)委員 いや、そこはやはり御理解いただけなくて、日本の会社と間違う可能性があるとおっしゃいましたけれども、日本で設立していないんだから、会社の商号に株式会社とか有限会社とか合同会社とかつけられないわけですよね。そもそも、例えば加藤公一商店とかつくれないわけですから、そこが日本の会社と見間違うということは、そんなに可能性として高いとは私には思えない。 それともう一つは、会社法の適用がないと言いましたけれども、だったら、外国会社にも会社法、こことここは適用しますよという規定を設けたって、それだっていいわけでありますし。何で今回取引を禁止するなんという規定を設けたのかといっていたら、今局長は、そこは余り意味がない、こうおっしゃる。だったら、なくしてしまった方がいいんじゃないかと私は思うわけであります。 なぜそういうことを申し上げるかというと、そもそもこの擬似外国会社の規制に関しては各国立場が分かれていて、全く認めていないところと完全に規制のないところと両方ある。ただ、EUの裁判所の最近の判例では、擬似外国会社の規制自体をなくす方向に判例が出ている。ドイツはずっと規制してきたけれども、これでなくそうという動きも出ている。そうすると、世界じゅう見渡したときに、擬似外国会社に取引を禁ずるなんという、しかも罰則までつけるなんという厳しい規制を課しているのは日本だけということになりかねないわけですね。世界の潮流に反しているんじゃないか。 今局長もおっしゃったように、商号の部分は事前規制だったものを事後救済に変えるというのに、ここは意味がない事前規制だけ残そうというのはどうもおかしいんじゃないか。何も私が擬似外国会社をつくろうとしてこんなことを言っているわけじゃもちろんありませんが、要らないルールはない方がシンプルで、国としては正しいと思うし、事前規制から事後救済に向かうという国の方針を立てるんだったら、すべてをそれにそろえるという方が筋が通っているのではないかということを申し上げて、時間になってしまったので、きょうはこれで終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○塩崎委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後二時八分開議
○塩崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。松野信夫君。
○松野(信)委員 民主党の松野信夫です。会社法について御質問をさせていただきたいと思います。 今回の会社法は、有限会社と株式会社、これを一本にするというようなことで、大変新しい形になっているわけです。全体としては、経営の自由度を高める、言うならば定款に記載をしておけばかなり自由に経営ができるということで、経営陣にとってはかなり、やりやすいといいますか、自由度が非常に高まっていることはあるわけですけれども、しかし一方で、やはり会社として、社会的な存在であるわけですから、それはそれでしっかりとした規律に基づいて、いわゆるコーポレートガバナンス、そういうものはしっかりと維持されるような形でこの制度設計というのはしていかなければならない、こういうふうに考えております。 そういう意味で申し上げますと、全体的に言うならば、確かに経営の自由度は高まっているけれども、規律の面ではかなりルーズになっているのではないか、あるいは、従来で言うならば有限会社的なところに基準を合わせて、必ずしも公開会社、いわゆる大きな会社の基準に合わせていない。そういう意味で言うと、かなりルーズな面が散見される、こういうふうに全体としては指摘されるかと思っております。 そういう中で見た場合、一番問題だなというふうに思うのは、やはり株主代表訴訟、法案の中では責任追及等の訴えということではないかと思います。自由度が高まる、それはそれでよろしいですけれども、やはり、取締役その他、役員がいろいろな問題を起こす、あるいは会社全体として、会社ぐるみで不正あるいは非常に不当な行為を行う、こういうことが残念ながら最近見られるわけで、そういうものに対するしっかりとした、ある意味ではチェック、こういうチェック機能はこの会社法の中でも重視をしなければならない、こういうふうに考えております。 そういう意味で言うと、今回の株主代表訴訟の考え方というのは、少し抑制的というか制約的というか、余り株主代表訴訟というのは使わせない、こういうような向きが見られて、その点では、今回の会社法の中ではこの点が一番問題である、こういうふうに私は考えております。 大臣にまず最初にお伺いをしたいと思いますが、この株主代表訴訟についての基本的な哲学というか理念というか、基本的な考え方、これをどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。 〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕
○南野国務大臣 では、申し上げたいと思います。 株主代表訴訟といいますのは、取締役等の役員が違法な行為をしたことにより会社に損害賠償責任を負っている場合に、本来は会社自身がその責任を追及すべきであるにもかかわらず、役員間のなれ合いなどからこれを行わない結果、会社すなわち株主全体の利益が害されるというような事態を防ぐために、個々の株主に、会社のために訴えを提起することを認めた制度であろうかと思っております。 株主代表訴訟は、このように役員のコンプライアンスにもとる行為によって株主全体がこうむった損害を回復するための制度であり、コンプライアンスを確保する側面があることは言うまでもありませんが、あくまでも、損害の回復という株主全体の利益の確保の機能を抜きにしては考えることはできないものであると思っております。
○松野(信)委員 今大臣の御答弁の中で、株主全体の利益、こういうようなお話がありました。しかし、その前提としては、当然、取締役等の役員の適正な執行を確保する、その辺のコンプライアンスをしっかり確保する、これが大前提であると思います。大臣もそういうような趣旨でのお話であったかと思いますが、ですから、取締役等が不正な行為を行わないような、その意味での非常に重要なチェックがこの代表訴訟だ、こういうことで、その点では大臣とそんなに大きな違いはないのかという気がしております。 ただ、その観点で見た場合に、今回のこの法案、これは第八百四十七条の一号と二号に、代表訴訟を提起することができないということで二つの場合を挙げているわけです。 見ますと、一号の方は、この訴えが当該株主もしくは第三者の不正な利益を図り、あるいは損害を会社に加えることが目的だというふうになっておりますので、これはある意味ではもっともなことでありまして、従来の裁判所で、株主代表訴訟はたくさんありますけれども、そういう中でも、訴えが棄却されるというものの中には、株主の不正な利益あるいは単に会社に嫌がらせをするというために起こした、こういうような類型もあるようでございますので、こういう一号というのはわからないではない。 しかし、従来の商法の中には、一号とか二号とかいうような、かくかくの場合には代表訴訟を提起できないというような規定はなかったんです。あくまでも裁判所の中でこういう場合はだめだということで棄却されたりするわけで、これは訴訟要件だということだろうと思いますが、何もわざわざ訴訟要件を二つも設けるというところの意図が私には必ずしも理解できない。これはある意味では、株主代表訴訟を少し従来よりは抑制しようというような意図が感じられるように思うんですが、大臣、この辺はどうでしょうか。
○南野国務大臣 先生おっしゃいますように、八百四十七条一項のただし書きの各号におきましては、本来株主全体の利益を守るための制度である株主代表訴訟が、むしろ株主全体の利益を損ない、制度本来の趣旨に反する結果となるために、訴訟の提起を制限すべき場合を列挙したものであるというふうに思われます。 一号が想定していますのは以下の場合などでございますが、総会屋が訴訟外で金銭を要求する目的で代表訴訟を提起した場合、また、株主が、株式会社に対して事実無根の名誉毀損的主張をすることにより株式会社の信用を傷つける目的で代表訴訟を提起した場合があります。 二号が想定しておりますのは、被告である取締役が無資力であるため代表訴訟の目的である債権が執行不能になることが確実である場合、また、取締役が代表訴訟で自己の職務に関する主張、立証をすることにより、会社が提起されている訴訟における正当な権利であることなどを失うというようなことでありまして、会社の正当な利益が著しく害されることが相当な確実さをもって予測される場合などであろうかなというふうに思っております。そういうことであろうと思っております。
○松野(信)委員 一号と二号の御説明はそれでよろしいんですけれども、私が質問したのは、こういう旧法になかった、従来の商法になかったものをわざわざ一号、二号という形で、こういう場合には株主代表訴訟を提起できないというふうに規定をしているということは、従来に比べると代表訴訟を抑制しようというような意図があるのではないのか、こういう質問なので、これについて端的にお願いします。
○南野国務大臣 先生おっしゃいますようなそういうことではなく、これが濫訴されるというようなことについて一つ枠を設けるということであろうと思います。
○松野(信)委員 今大臣からお話ししていただきましたように、あくまでも抑制しようというものではない、あくまでも濫訴を防止する、こういう趣旨だというふうにお聞きをいたしました。そういう意味で考えたとしても、率直に申し上げると、一号のところはある意味では当然といえば当然のようなことで、何もわざわざ書かなくてもいいのではないかというのが一点。 それから、第二号の方ですけれども、これはまた非常にわかりにくいというふうに言わざるを得ないんですね。例えば、二号の中でいうと、「当該株式会社が過大な費用を負担することとなる」、こういう記載があるわけですね。つまり、訴えられるようなそういう会社が大変な費用がかかるので代表訴訟を制限しよう、こういうことだろうと思うんですね。 しかし、最初にお聞きしましたように、株主代表訴訟の基本的な考え方は何かというと、まずもって取締役等の不正な行為を防止する、コンプライアンスをしっかり維持するというのがその大前提であるわけです。ですから、費用がかかるからというようなことで、あるいはそういう費用負担が大変だから、それでは不当な行為をしている取締役の責任は追及できないのか、そんなばかな話はないだろうというのが、非常に率直な物の言い方で言うと言えるのではないか。 大臣、その辺はそのように思いませんか。不正あるいは非常に不当な行為を取締役がやっている、しかし、いろいろと金額も大変な金額の請求があって、会社としては応訴したりいろいろ調査したりするのに費用がかかる、費用がかかるから、もう幾ら不正な行為をやっていても勘弁してくれ、これは余りにもおかしいと思いますが、大臣はそのようにお考えになりませんか。
○南野国務大臣 株主代表訴訟、これは先ほど私が申し上げたのでございますが、役員のコンプライアンスにもとる行為によって株主全体がこうむった損害を回復するための制度であります。そういう意味から、コンプライアンスを確保するという側面があることは言うまでもありませんが、あくまでも損害の回復という株主全体の利益の確保の機能を抜きにして考えることはできない。そういう意味では、みんながコンプライアンスを守っていくというところに第一義的な課題があるのではないかなと思います。
○松野(信)委員 みんながコンプライアンスを守っていくということをおっしゃるのであれば、当然、費用が会社にかかろうとかかるまいと、コンプライアンスというのを第一義的に重要視するのであれば、この二号のような、費用を云々して訴訟提起を認めたり認めなかったりというような制度設計は本当はおかしい。こういうような形が入ってくるということは、コンプライアンスはどうも二の次、取締役の不正な行為を防止しなきゃいけないというのはどうも二の次であって、第一義的には、要するに会社の利益といいますか、余りむだな費用とか何かをかけないで会社が利潤を得られる、もうけを出すことができる、多少取締役が悪いことをしたって会社がもうかればいいんだ、どうもそういうような哲学が前提としてあるんじゃないかという気がしてならないんですが、この点はどのようにお考えですか。
○南野国務大臣 会社の利益を抜きにして考えられないという観点から、先ほど申し上げたようなことになると思います。
○松野(信)委員 どうも、ちょっと余り質問と答えがかみ合いませんが。 それでは、「当該株式会社が過大な費用を負担することとなる」、こういう文言があるんですが、この過大な費用の負担ということは、恐らく何かと比較をして過大だとか少ないとかいうことになろうかと思います。そうすると、この過大な費用を負担するというのは、一体どういうものを基準にして過大だとか過大でないとかいうような判断をするんでしょうか。この点はいかがですか。
○寺田政府参考人 これは、ごく一般的に普通の債権回収の場面でお考えいただければわかるわけでございますけれども、不法行為なり何らかの違法な行為があって、だれかがだれかに債務を負っている、その場合に、被害者の方が加害者に訴訟をしてそれを取り戻すかどうかというときに、訴訟をすることによって取り戻せる額、これは理念的にはもちろん債権額ですが、しかし、当然相手方の資力等を勘案して、現実にこのぐらい得られるだろう額というのがあるわけであります。それに対して、訴訟をして、例えば訴訟代理人に物すごく報酬を払わなきゃならない、調査の費用がかかるということになりますと、訴訟をためらうということは一般的に見られるところであります。 この株主代表訴訟も、おっしゃるとおり、コンプライアンスという機能を有することはそのとおりでありますけれども、しかし、一般の訴訟と、会社が違法行為をした取締役に損害賠償請求をするという点では変わりがないわけで、会社としては、この取締役は本当に無資力なのでほとんど回収の可能性がない、つまり、得られるべき額、それに比較して、訴訟をすることによる費用が物すごくかかるということになると、これは会社がためらうだろう、それを代表訴訟ならできるという理由はないのではないかということで認められているわけでございます。 もちろん、一号に比べますと比較的わかりにくい規定という御指摘はある程度当たっている面もあることは否定できないところでありますけれども、しかし、そのような類型を全く否定し去ることもこれはまたできないわけでございますので、私どもとしては、そこにあえて掲げさせていただいているところでございます。
○松野(信)委員 必ずしも、ちょっと理解に苦しむんですが、過大な費用負担というのは、そうすると、例えば今のお話ですと、訴えられるような取締役がほとんど無資力で回収の見込みがない、そういうような場合に余計に会社に費用負担をかけてはいけない、そういうような御説明がありましたけれども、しかし、これもまさに、株主代表訴訟の哲学がどうなっているのか、この出発点から見ても、私はちょっと理解に苦しむ。この代表訴訟の哲学の出発点は、まさに取締役のコンプライアンス、取締役が不正な行為をしないように、言うならこれで一定の歯どめをかけようということでスタートしたはずであります。 代表訴訟自体は非常に古い、たしか昭和二十五年ぐらいから導入されているわけです。途中で訴訟費用が八千二百円でいいというふうになりましたので一時ふえたりもしましたけれども、もともと哲学はそういうことで、もともとの哲学は要するにコンプライアンスの維持だということになっていたわけで、従来から、費用が云々かんぬんだということで訴えが棄却されるというようなことは、従来の株主代表訴訟の裁判例、これはたくさんありますけれども、そういう裁判例あるいは判例で代々積み重ねられてきた物の考え方、判例法理を見ても、費用が余計にかかるから、どんなに悪い取締役が出たとしても請求を棄却するというような立場には裁判所は立っていなかったと思います。ちょっとこの点だけ確認をしたいと思います。
○寺田政府参考人 これはまず、おっしゃるとおり、株主代表訴訟の性格をどう見るかということとかかわる問題であります。 最初に大臣から申し上げましたように、この制度というのは、あくまで最終的には、訴訟担当という性格づけがされておりますけれども、会社が訴訟をすべきなのに、これをしない、それにかわって株主が会社のために訴えをする、こういう構成でございますから、会社がある立場において当然訴訟をしないだろう、あるいはするのは不合理であるという場合に、株主が会社に成りかわって訴訟をするということが適当かどうかということが問題になるわけであります。 そこで、この訴訟の本来の機能というのは、損害を回復するというところに最終的なものがございます。極端に申せば、取締役が違法行為をした、しかし何の損害も生じなかったときに株主代表訴訟ができるかということにもかかわるわけでありますけれども、そういう意味で、コンプライアンスという機能があることは否定できないわけでございますが、最終的には損害の回復ということが訴訟の本来的な機能だということを大臣から申し上げているわけであります。 裁判所の判例がどうかというお尋ねでございますけれども、裁判所の判例で訴権の濫用をこれまで認めた例は、数はそう多くありませんけれどもございます。しかし、現在までに出ている例は、主として、どちらかといえば一号に当たる例、すなわち、自分の利益を図っている、あるいは、本来の目的からしたらこんなものは代表訴訟をすべきでないのに、無理に会社と一緒になって代表訴訟の形をとって費用を安く上げているというようなケースでございまして、二号に当たる具体例としての裁判例が、公刊された例の中にはないというのは御指摘のとおりでございます。
○松野(信)委員 これは私も調べましたけれども、二号に該当するような従来の裁判例はない。ということは、ある意味では、立法事実として考えた場合に、従来、二号のような例が出てきた、つまり会社にとっては費用が余計にかかる、だけれども得られる成果は大した成果がない、不正行為を働いたという取締役もほとんど無資力で回収の見込みもない、例えばそういう例がたくさんあって、ただ、こういう例もなかなか棄却はしにくいというようなことが幾つかあって、どうもこれではやはりぐあいが悪いので立法的に解決をする必要があるというなら、今度二号をつくって立法的に解決をして会社の負担を少し軽減してやろうというのはわからないではないんですが、今局長の答弁にもありましたように、従来からそういうような裁判例はないということですから、立法事実から見ても、わざわざ二号を設けなければならないという必要性、これはどうも余り感じられないという気がしてなりません。 専ら、どうも一部の財界の方から、会社の費用がかかると大変だからこういうような制約も入れてくれというふうに押し込まれたんじゃないかなというふうに疑いたくなるような、そういうところですが、もし、この二号を入れるためのこういう具体的な立法事実があるというのであればお示しください。
○寺田政府参考人 先ほども申し上げたとおり、この二号にぴたり当たるような例というのは従来の裁判例には必ずしもないところでございますので、そういう意味での立法事実というのは必ずしも明白ではありません。 しかしながら、特に、先ほど委員も御指摘になりました平成五年の法改正以後、株主代表訴訟が従来にも増して使われるようになりました。その中の一部は、しかしながら、取締役に対する非常に過大な請求があるために担保提供等で抑止された部分もあります。しかし、そうでない部分もありまして、会社の関係者らのいろいろなお話を伺いますと、やはりこれに類することへの懸念というのも決してぬぐい去れないところであります。 先ほど申しましたように、一号に相当するような例というのはございますので、一号を基準に立法いたすということになりますと、ではそれだけかということにまたなりかねないわけであります。 したがいまして、私どもとしては、典型的な例が必ずしも一号だけではないということを示す意味でも、二号というものをあえてこの際お示しする意味があるのではないか、これによって、株主代表訴訟というのが、こういうものでないものは株主が正当にコンプライアンスを求め、損害の回復を求めるものとして正当なものであるという位置づけができるのではないか、そういうつもりで設けているところでございます。
○松野(信)委員 説得力があるとはとても思えないんですが、余りこればかりやっていても仕方がないので、もう一つだけちょっと確認しておきます。 この二号の中で、過大な費用が負担されるということと、「これに準ずる事態が生ずることが相当の確実さをもって予測される場合」というふうになっているんですね。これはまた、我々弁護士みたいな法律家はいいかもしれませんが、普通の人はこんなものを読んだってどういう状況を指しているのかさっぱりわからないというのが普通ではなかろうか。 「これに準ずる事態が生ずることが相当の確実さをもって予測される場合」というのは、もう少し具体的に、こうこうこういう場合はこれに当たるんだという具体的な例を幾つか指摘できますか。
○寺田政府参考人 こんな言い方をしてまことに恐縮でございますけれども、具体例として、典型的にさらにこの前の二つに横並びで続くものがあれば、そう書くわけであります。ところが、そういう類型がなかなかできないものが全体の中にはあるだろうと思って拾わなければならない、そういう場合に用いる表現でございまして、裁判規範でございますから、結局のところ裁判所に最終的な判断をゆだねるわけでございますけれども、典型的な例がないという意味では御指摘のとおりでございます。
○松野(信)委員 今の局長の答弁を聞いても、どうも二号というのは本当に要らないのがますます明らかになったのではないかというふうに思います。 次に、訴訟参加のことについて念のために確認をしておきたいと思います。これは八百四十九条にあります。この点は、従来と基本的には変わっていないところかと思います。 ただ、これも、訴訟参加できるということがありまして、ただし書きがありまして、訴訟遅延あるいは裁判所に過大な事務負担を及ぼすというようなことで、これまた制約があるわけです。 私は従来から、裁判所に対し過大な事務負担を及ぼさせるから訴訟参加ができないというのも、これまたちょっと法律のつくり方としてはいささかどうかなというふうに疑問を持っておりまして、この「裁判所に対し過大な事務負担を及ぼす」というようなことで例えば訴訟参加が認められなかったという例が過去どれくらいあるのか、あるいは、こういう規定というのは実際どういうような場面を想定しておられるのか、これについてお願いします。
○寺田政府参考人 これは、株主代表訴訟について訴訟参加が必要だということで数年前に検討した際に、この訴訟参加の条文を入れましたときから入っているものでございまして、今回新たにつけ加えたものではございません。原告である株主と被告である取締役等の役員の間に主として株式会社そのものが訴訟参加できるということに非常に大きな意義がある、そういう条文でございます。 ただし、株主も非常に多数おいでになるはずで、それらの方々の中には参加を希望される方もおいでになるわけでございます。そういうために、参加を認めることを株主にももちろん広げているわけでございますけれども、株主の数が非常に多いということになりますと、あえてそこまで株主の数を最終的に全員を拾うというようなことをしなくても訴訟としてはやっていける場合に、全員を拾うということになりますと裁判所にとって非常に負担が大きくなるという場合にこういう防御策のようなものを設けている、そういう趣旨だろうというふうに理解をいたしております。
○松野(信)委員 その防御策だというのはわからないではないんですが、ほかの事件でも多数の訴訟参加が、わっと出てくることが予想されるんですね。現に、かつて私がやっていた行政訴訟あたりは、約七、八百人ぐらい訴訟参加している。別にそれは何の制約もないわけですね。この代表訴訟に限ってこういう訴訟参加について制約をしているというのはいささか奇異な立法ではないかなという気がしてならないんです。 先ほどちょっと申し上げたように、これは最近の立法でそうなっているわけですけれども、これが現実に適用されて訴訟参加したい者が認められなかったというような例がありますか。
○寺田政府参考人 私どもでは把握いたしておりません。
○松野(信)委員 基本的には、裁判所に過大な事務負担が及ぶから訴訟参加を制約するという考え方は私は余り賛成できない、これだけは申し上げておきたいと思います。 それから次に、原告適格を維持しようということが今回の代表訴訟では盛り込まれたわけで、これはこれで評価をしたい。全体的に学者の先生方も評価をしておられるかなというふうに思いますので、それはよろしいんですが、ただ、八百五十一条の株主でなくなった者の訴訟追行、これは例えば合併などで株主でなくなるというようなケースですけれども、ただ、この八百五十一条の一項の一号にしても二号にしても、基本的には、例えば、完全親会社というか、親会社の株主にはなっていないとだめだ、こういう立法例になっているんですね。 ところが、御承知のように、例えば合併の場合に、親会社の株をもらうというケースもあるし、あるいは現金でやってしまう。いろいろと合併対価が自由化されるというのが今回の会社法で出てきて、これでいろいろと三角合併でどうだこうだという議論もなされているわけですね。 そうすると、合併対価が自由化されるということで、では代表訴訟を起こしている原告にはお金を差し上げる、つまり、親会社の株なんかじゃなくてお金を差し上げるということで出ていってもらう、こういうようなこともあり得るわけで、そうすると、現金をもらう方は原告適格はなくなってしまうというような構成になるのかなというふうに思いますが、まず、その点はそのとおりか、ちょっと確認したいと思います。
○寺田政府参考人 おっしゃるとおり、新しく、維持するために原告適格を認めている部分というのは株主であるということが要件になっております。それは、その会社の株主ではなくても、それと実質的にかなり近い利益状況にある親会社の株主という形でもいい、そういう形で辛うじて残っているわけであります。 したがいまして、おっしゃるとおり、現金等を受け取って合併で株主性を失った人というのは、この場合の対象者としては除かれるわけであります。
○松野(信)委員 ただ、そうだとすると、果たしてそれがいいかどうかという問題で、つまり、現金をもらった人は株主代表訴訟の原告適格をなくす、親会社の株をたまたまもらった人は原告適格が維持されるというような形になると、少しアンバランスになってしまうのではないかというおそれも感じているんですが、その点はいかがですか。
○寺田政府参考人 この点は、なるほど、そういう角度から見るとそういうお考えもあり得るかとは思います。 もともと、合併の場合に、株主代表訴訟を起こしている人だけを現金でスクイーズアウトしてしまうというようなことは許されないわけでございまして、それはもう一律に、現金なら現金、あるいは株なら株ということで処理されるべきものだろうというふうに考えております。 次に、現金をもらった者にどうして訴訟追行権をさらに維持しておかないんだということでございますが、ここはやはり、仮に、親会社のものであれ、株主の地位を持っているというふうにいたしますと、現在の問題になっている会社、訴訟を本来すべきであった会社に利害関係をやはり有しているわけでありまして、その会社に損害が回復されるということが自分にとって利益になる、こういう関係に立つわけであります。 これに対しまして、かつては株主であったかもしれないけれども、もう既に単に現金をもらってその会社との関係がなくなった者については、その会社がこれから先損害の回復によって利益を得るということについて、自分に何の利益もないわけであります。 先ほど委員がおっしゃったように、かつての株主のコンプライアンスを求める権利という構成にいたしますと、あるいはそういうことも全く考えられなくはないのかもしれませんけれども、先ほども申し上げましたように、この訴訟というのはあくまで当該会社に損害が回復されるというところに最大の機能があるわけでございますので、そういう点を無視して制度を組み立てるというのはやはりできないということで、今回そこで区切りをつけているわけでございます。
○松野(信)委員 この点は、今局長が答弁されたように、代表訴訟の哲学、代表訴訟というのをどういう観点でとらえるのか、あくまでコンプライアンスなのか、それとも会社の利潤追求という意味の利益なのか、この辺のところだと思いますが、しかし、私は、何度も申し上げるように、この株主代表訴訟のよって立つべき哲学というのはあくまで取締役等の不正行為を防止するコンプライアンスの点にあるし、従来からその考え方で来たはずだ、こういうふうにこの点だけは申し上げたいと思います。 代表訴訟はそれくらいにしまして、次に、定款の問題についてお聞きをしたいと思います。 今回の会社法は、従来にも増して定款の位置づけというものが非常に高められているわけです。定款というのは言うならば会社にとっては基本法、憲法みたいなものであります。会社の基本的な仕組み、枠組みをこれで明らかにしておくということですが、定款に定めてあれば、かなり自由度を高めているというのが今回の法案ですね。定款に書いておけば、例えば、一定の会社であるならば取締役の任期は十年までいいとか、あるいは取締役会の書面決議でもいいとか、そういうふうにかなり弾力的な運用、別の言い方をすればルーズなやり方でも認めてしまう、こういうことであります。それだけやはり定款の重要性、定款自治が拡大をしているということであります。 ところが、この定款に関する規制というのは従来と余り変わっていないかなと思います。定款はこれを本店に据え置きなさいとか、あるいは株主や債権者は閲覧謄写権がありますとか、せいぜいその程度にしかないかというふうに思っております。定款についてもう少し、これだけ重要性が高まっているわけですから、例えば保存の点とかあるいは公開性の点とか、これについてはより拡充してもいいのではないかというふうに思っております。 それで、日本の場合ですと原始定款は公証人の認証ということでやっているわけですが、諸外国では、こういう会社を設立するときの定款、これはどのような規制になっているでしょうか。
○寺田政府参考人 定款というのは、外国ではいろいろな呼び方がございますけれども、しかし、基本的には日本と同様に、会社の基本的なルール、組織の基本的なあり方を定めるものとして、どこの会社法制においても会社が作成すべきものというふうにされております。 定款が認証されるかどうかということでございますけれども、アメリカには定款の認証の制度というのはございませんが、大陸諸国、ドイツ、フランス、オランダ、イタリア等においては、会社設立手続の中に定款の認証というのを求める、そういう規制が置かれているところでございます。
○松野(信)委員 原始定款には公証人の認証が必要だということでございますが、今回の会社法制の中では、最低資本金制度を撤廃する、一円からでも会社が設立できるということで、ある意味では起業化を促進しようという趣旨が入っているかなというふうに思います。 ところが、会社の設立には実際にある程度の費用がかかるわけで、公証人に認証していただくということについても一定の費用がかかるわけで、実はある人とお話ししていたら、せっかく一円でも会社がつくられる、資本金はそういう形になりそうなので、公証人の費用、つまり会社を設立するための諸費用、こういうものも一緒に軽減化する、安くするということを考えた方が起業化の促進につながるじゃないか、こういう話もあったんですが、費用の点についてはどのようにお考えでしょうか。
○寺田政府参考人 おっしゃるとおり、起業の促進という意味では、できるだけむだなコストをかけないというのはそのとおりでございますが、公証人の定款認証は、現在、手数料令で五万円と定められております。 その他、会社を設立するためには、印紙税、登録免許税等を支払わなきゃなりませんが、これらについても、税のことについては私ども申し上げる立場にはございませんけれども、いろいろな経済諸情勢にかんがみまして、不断の見直しを行っていく必要があるというふうには考えております。
○松野(信)委員 会社設立の際の公証人の認証には五万円ということで、これはどうも自由競争の世界でなくて、もう決まった金額というふうになっているわけですね。 ところが、そのほか、例えば司法書士さんに登記を頼む、会社設立のための登記を頼むということになると、これは従来は弁護士さんも司法書士さんも一定の報酬基準というのを、報酬基準表を設けていたんですが、最近はそういうのはもうやらないで、ある意味では自由競争というふうな形になっているようです。 そうすると、実際に会社を設立するため、公証人の認証から、あるいは設立登記にかかる費用、司法書士さんの手数料等、大体、今現在幾らぐらいかかっているのか。例えば、登記費用あたりを軽減するというようなことで起業化を促進しようというようなお考えはないのかどうか、この点、財務省の方も来られているんでしたら財務省の方からお願いします。
○加藤政府参考人 今御指摘の、会社設立にかかる費用の一環としての登録免許税についてお話ございました。私ども、この登録免許税につきましては、基本的には、登記、登録を受ける、国家の制度として登記、登録という制度を設けて、それによって一定の効果、効力を与えているということ、それから、その背景にある事情に着目して、その担税力を評価して課税を行う、この方式でいろいろな登記、登録につきまして課税を行っております。 今回の会社法の改正におきまして、最低資本金の制度等の見直しがあったことは承知しておりますが、この会社設立に当たる登記の効力、効果等々につきましては変更ございませんので、現時点でこの問題について変更をすることは考えておりません。
○松野(信)委員 ついでにと言ってはあれですけれども、具体的に会社の設立にどのくらいの登録免許税がかかっているのか、ちょっと具体的な数字で教えてください。
○加藤政府参考人 会社の設立登記にかかる登録免許税は資本金の金額に比例するのが原則でございまして、資本金額に対して千分の七が基本原則でございます。ただ、十五万円に満たない場合は、最低額、株式会社は十五万円ということになっております。
○松野(信)委員 一応確認しておきますが、そうすると、一円でも会社はできるというふうになってくると、最低の十五万円が登録免許税だ、こういうことですね。
○加藤政府参考人 さようでございます。
○松野(信)委員 登記の点はまた後でお聞きするとして、この定款の点については、先ほども申し上げたように非常に重要性が高まっているわけで、ところが、原始定款は、これは公証人とか登記所で保存されているという形になりますが、通常、会社の方は、途中で定款変更というのが行われるわけですね。そうすると、第三者、第三者といってもいろいろな人がいると思います、これからその会社と取引をしようというような者もいれば、場合によっては敵対的買収をしようというような者もいるかもしれませんが、その第三者が、定款の変更があったかなかったか、あったとすればどういう変更がなされているのか、この辺はどのようにして認識できるのでしょうか。
○寺田政府参考人 法制上、すべての株式会社という意味で申し上げますと、定款変更は株主総会の承認が必要ですので、総会議事録に定款変更が記載されます。この総会議事録は、株主のほか債権者もこれを閲覧し謄写することができる、新しい会社法案においてもこのことが明示されております。 また、変更後の定款については、これは今まで同様備えつけ義務がございますので、株主のほか債権者もこの定款を閲覧、謄写することができますが、債権者以外の第三者については、法制上はこの定款を見るということが可能な手だてというのはございません。
○松野(信)委員 株主や債権者は定款を見ることができる、しかし、それ以外、先ほど私が申し上げたように、これから会社と取引しようというような者は定款を見る手だてがないという答弁でしたけれども、その辺は、もう少しこの定款の閲覧あるいは公開性というものをより拡充する方向で検討したらどうかというふうに私は考えております。 例えば、株主総会議事録をチェックすれば、定款の変更というのは確認できるわけですけれども、ただ、この議事録も、保存期間は本店で十年、支店では五年というふうな形にもなっているものですから、定款変更の状況を順次調べて追っていくというのは、これはかなり困難な面も出てくるのではないか。そういうことも考えて、定款の公開性、つまり株主や債権者以外の者にも拡充をしていくということは検討にはなっていないんでしょうか。
○寺田政府参考人 委員の問題意識というのは非常によくわかるところであります。しかし、定款というものはあくまで内部規則でございますので、そのすべてをすべての会社について公開を義務づけるというのは、これはなかなか難しい面がございます。 したがって、現行の法体系というのは、むしろ積極的に公開を義務づけるものについては登記という形でこれを設けているところで、今回、おっしゃるとおり、定款自治の範囲をかなり広げた部分がございますが、例えば、株式の内容でございますとか、あるいは組織の中のどういうものがこの会社に置かれているか、例えば取締役会が置かれているか、あるいは会計参与というのは置かれているのかというようなことは、むしろ登記事項として示すというのが今回の考え方でございます。 ただ、おっしゃるとおり、今のような、情報をオープンにすることが組織の値打ちを高めるんだというような、そういう傾向が仮に出てきますれば、これは法律で義務づけるというよりは、むしろ会社の方で積極的にいろいろな形でオープンにして、自分の会社のありようというものを社会的にお示しになる、こういうのが筋ではないかというふうに考えております。 〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
○松野(信)委員 重要なものは登記事項にしている、ですから登記を見れば大体わかる、おっしゃる意味は私もよくわかります。 しかし、では、今回の法案で重要な事項が十分に登記の方に回って、登記を見れば十分確認できるというふうになっているかというと、その点については、やや疑問なしとしないなという気もしております。 例えば、取締役の任期についても定款で十年まで延ばすことができたり、あるいは書面決議ができたりということで、定款に書いておけばかなり自由に会社経営関係ができるというのでありますから、そうであれば登記すべき事項というものもかなり拡大をするというふうに考えていってしかるべきではないか、こういうふうに考えております。 現に、私が聞いているところでは、例えばイギリス、ドイツあたりは定款変更ごとに登記あるいは登録義務を課しているということのようでありますので、場合によってはそういうようなことも見習ったらどうかというふうに思っております。定款の点については大体そういうところです。 次に、会社の商号についてお聞きをしたいと思います。 商号の点については今回かなり改正がなされているわけであります。特に類似の商号については、同一市町村内において同一営業のための同一商号を登記することができないというような規定を廃止する、こういうようなことになっているわけで、これはこれで一つの考え方かなというふうに思います。 しかし、そうすると、同一市町村内において似たような商号が濫用される、幾つも出てくる、あるいは、先発にある例えば南野商店というようなものに、後から新南野商店というようなことで同じようなことをやられるということで、既存の、既にある商号が、ある意味では事実上侵害されるというおそれもなきにしもあらずだろうというふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
○南野国務大臣 現行法では、会社の商号につきまして、他人が登記した商号と同一または類似の商号については同一市町村内において同一の営業のために登記することができないという規制、すなわち類似商号規制が設けられておりますけれども、類似商号規制につきましては、会社設立の際に類似商号の調査が必要になるなど、会社の設立手続が複雑化しているという問題がありまして、中小企業を中心に規制の廃止を求める声が強いものと認識いたしております。 ところで、類似商号規制は同一市町村内における商号権の確保という目的で設けられた規制でありますが、現在では、小規模の会社でありましてもその活動の範囲は市区町村にとどまらないことがほとんどであるために、規制の効果というのは限定的なものにすぎないというふうに言われております。また、現行の類似商号規制のもとにおきましても、会社の定款上の目的さえ異なれば、同一市町村内において同一の商号を登記することも可能であるということであります。 したがいまして、類似商号規制が撤廃されたといたしましても、このことによる類似商号の濫用が増加するおそれはないと考えられているところでございます。
○松野(信)委員 今大臣からお話しいただきましたものの中で、一つは、類似商号の審査に時間とか手間がかかる、似たような商号があるかないか、チェックに時間や手間がかかるというような御指摘がありました。それで、その弊害をなくす必要がある、これはわからないではありません。 ただ、もう一つの方の見方として、やはり商号としてそれだけ社会に広く通用する、商号権として一定の保護を受けようというものであれば、一定の時間や手間暇がかかっても、保護を受ける以上はやむを得ないのではないか、こういう考え方もあり得るわけですよね。 そうすると、従来、類似商号の審査に時間とか手間暇がかかったというふうに言われているんですが、類似商号の審査にこれだけ時間がかかっている、あるいはこれだけ手間暇がかかってこういうトラブルが発生している、何かそういう具体例があるんでしょうか。あれば教えていただきたいと思いますし、またどのくらい手間暇がかかっていたのか、これについてもお聞かせいただきたいと思います。
○寺田政府参考人 これは、この制度を行政面で運用いたしております私どもの方から申し上げるのは大変心苦しいところでございますけれども、中小企業の方でも、会社を設立されようとする方、どなたにお聞きになってもほぼ同じ答えだろうと思いますけれども、最大の難関がこの類似商号の問題で、そのために登記所に赴かれて、実際の審査というのは具体的に登記官への御相談というものをいただいた上でされますので、申請がされてから時間がかかるわけではございませんが、申請に至るまでに何回も登記所通いをさせられたというふうに言われるのが正直なところでございます。 具体的に申し上げますと、類似商号、つまり商号自体が似ているかどうかというのもそうでございますけれども、法律の上では、同一の目的の類似商号ないし同一商号が許されないというところでございまして、むしろ目的が許されるかどうか、あるいは同じかどうかというところに非常に手間がかかるわけで、審査の側から申しましても、どんどん新しい企業のやり方あるいは企業の中身というのが出てまいりますので、それが一体、具体的に一つの事業として、目的として記載していいかどうか、従来のものと区別がつくのかというところが大変難しいところでございます。登記所の方では、これを具体性と明確性という形でえり分けて審査をしておりますけれども、この点についての解説書だけで商法の一般的な概説書と同じぐらいの厚さがあるというのも決して不思議はないところでございます。 それで、例えば具体例を申し上げますと、最近の例では、目的に明確性、具体性が欠けて許されない、つまり、ほかのものと区別するために、同一でないと認められるためにいろいろな目的をお書きいただくわけですけれども、それが認められないケースというのがあるわけでございます。例えば中高年者等の能力開発業務というのは、具体性、明確性がないということで受理されなかったケースがございますけれども、これなどはもう少し加えられればあるいは可能だったのかもしれませんが、そうなると今度はほかのものと同じものになってしまうということで、いろいろ工夫はされているのだと思います。そういうところに非常に難しい登記実務上の隘路があった、これについて利用者の方にも大変な御不便をおかけしているというのが実情でございます。
○松野(信)委員 いや、私の方は、類似商号の審査に時間や手間暇がかかるというので、では具体的にそれが例えば何時間かかっているとか何日かかっているとか、そういうようなところを質問したので、別に目的の同一性云々についてお聞きしているわけじゃないのです。類似商号の審査で、似ているかどうかというのであれば、実際に例えば同一市町村の中でコンピューターあたりでさっと名寄せみたいなのができるようなシステムになっているのか、それとも一枚一枚紙をめくってやらなきゃいけないのか。そういうような体制が不備だというのであれば、それはむしろ法務省サイドの問題になりかねないものですから、その点を聞いているのです。
○寺田政府参考人 商号が似ているか似ていないかあるいは同じものがあるかどうかということは、今日、コンピューターの登記所がほとんどを占めておりますので、それほど時間はかかりません。判断自体も、商号そのものが似ているかどうかということはそれほど時間が実はかからないわけです。むしろ問題は、目的が違うということが同じ商号を使いたい場合に必要になるわけでありまして、そのために目的をさまざまに工夫されてくるわけです。その目的の審査に時間がよりかかるというのが実情ということを申し上げているわけでございます。
○松野(信)委員 そうすると、類似商号かどうかについては、今はコンピューターでやっているわけですから、これはほとんど時間がかからない。そうでなくて、目的のところで時間、手間暇がかかるということになるわけですね。 そうすると、大臣もお話があったように、従来でも目的が同一でなければ類似商号も許されていた、こういうふうに言われました。ただ、目的が同一かどうか、この点で見た場合、通常、会社が設立されるというふうになると、目的が一つという会社はほとんどないと思います。それこそ、いろいろな目的をまずだあっと並べて書くわけですね。建設もやれば、土木もやれば、いろいろな塗装の工事もやれば、中には金貸しもします、お菓子やジュースの販売もやります、実際にやるかどうかは全然別にして、そういう目的をそれこそ五つも十も載せるわけですね。 それから、後から類似というような商号を持つ人が、例えば一つでもひっかかる、もともと既存に例えばお菓子の販売という目的がこの十個のうちに一つあった、新しく会社を起こそうと、類似の商号、似たような商号でやって、その新しくつくろうという会社も目的がそれこそ五つも六つもあるのですが、その中にお菓子の販売というのが一つでも重なれば、これは恐らく従来でも目的は同一だというふうに判断されていたのではないかと思いますが、どうですか。
○寺田政府参考人 重なり合えば同一だという判断はそのとおりでございます。
○松野(信)委員 大臣の話にもありましたように、目的が同一でなければ類似商号も許されていたというふうにおっしゃるけれども、しかし、現実には、目的というのは今申し上げたように大変たくさん並べているケースが多いわけですから、結構同一になってしまうということが多かったのではないかなというふうに思います。そうすると、従来も目的が同一でなければどうせ類似商号は許されていたから、今回の法改正で旧法の十九条を廃止したって余り大した影響がないですよとまでは言えないのではないかなというふうに思いますが、この点はいかがですか。
○寺田政府参考人 現実に重なり合っているものが現に存するというのは、それは商号が違うケースであります。逆に申しますと、後から来た人を類似商号ではねのけようと思えばできるだけたくさんの目的をつくらなきゃならないわけでございます。それで、新しい業種をいろいろ取り込んで抽象的にどういう形で定着させるかについて、それぞれの中小企業の方が非常に知恵を絞っていろいろお出しになるわけでございます。その中に、さっき申し上げたような、果たして目的として見て日本語として定着しているのか、あるいは普通の人が見てわかるのかというようなことを悩むのが登記官の実際の作業でございまして、そういうところで時間がかかるわけでございます。 それで、今おっしゃったように、類似商号については、もし嫌がらせをしようと思えば、目的をちょっとでも異にした、しかしほとんど同じ類似商号という形でおいでになるはずでございまして、そういうものはもちろんこれまでもあり得たわけでございますけれども、それについて混乱がさして起こっていない以上、今回のように類似商号を廃止いたしまして、類似の商号をいい、目的のいかんにかかわらずいいということにしましても、それほどそのことによる混乱はふえないのではないかということを大臣は申し上げたわけでございます。
○松野(信)委員 より混乱が発生しないような法制度というのをやはりつくっていかなきゃいけないと思うんですが、要するにどちらをより重視するかということにもなろうかと思います。 ただ、今回のこの会社法案でいきますと、例えば一番地違いで全く同じ目的、全く同じ商号、これは許される、こういうことになるということかと思います。しかし、そうなるとかなり現実的には混乱するおそれもあるのではないかというふうに思います。その場合に、こういう混乱はもう仕方がないんだというふうにお考えになるのか、あるいはそういうような場合にはこういう対処ができるから大丈夫だというふうにお考えになるのか、この点はどうですか。
○寺田政府参考人 おっしゃるとおり、論理的に今度の措置によって混乱する余地が広がったかというと、それは広がったわけでございます。しかし、それを上回るメリットがあるということを申し上げているわけでございますが、ただ、その混乱のふえ方というのが一体どの程度かということも考えてみなきゃならないわけでございますけれども、これも先ほど申しましたように、現行法のもとでも登記の目的がちょっとでも違えばおっしゃるような類似商号の会社というものをつくれるというわけでございまして、その際に住所を一番地違いにしておけばそれで設立登記もできるわけであります。 そういうことを、これは一種の嫌がらせとしてあり得るわけでございますけれども、あえてできるにもかかわらず、現実には、現在そういうことについての混乱というものは我々としては承知していないわけでございまして、それに比べて今回一体どれぐらい広がったかというと、広がったその部分というのは極めてわずかではないかということを申し上げているわけでございます。
○松野(信)委員 この辺は実際にあけてみないとなかなかわかりにくいところもあるのかなという気がします。 それで、従来はそういうような、ある意味では不正な、嫌がらせ的な商号を登記するというようなことについては、事後的に一定の、裁判で差しとめとか損害賠償とか、これが可能だというふうになっていたわけですね。 それで、今度の会社法の第八条の第一項のところで、不正な目的をもって商号を使用してはならないという規定があります。これは旧法、旧法といったってまだ廃止になっていないんですが、従来の商法の二十一条と第一項は、まずほとんど同じに規定があります。ところが第二項は、従来の二十一条の第二項の方は損害賠償も認められるという規定になっていたんですが、今度の八条の第二項の方は「侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」というところにとどまっているわけですね。 ですから、従来の二十一条の二項の部分はかなり変更を加えているわけですが、この理由は何でしょうか。
○寺田政府参考人 結論から申しますと、これは法律の内容としては新しい法律も変わっておりません。ただ、規定の仕方として、ここに損害賠償請求と書かなくても、損害賠償請求というのは、不正の目的をもって他人の営業と誤認させる商号を使用した者については認められるというふうに考えられますので、あえてここで損害賠償について触れていないということにしているわけでございます。
○松野(信)委員 それはそうかなと思いますが、従来の商法の二十一条は、使用の中止が求められる、損害賠償の請求もできると明文で書いてあるわけですね。明文で書いてあるのをわざわざこの新しい八条の第二項では外したという趣旨が私にはどうも必ずしも理解できないので、今の局長の話で、明文に書いていなくたって損害賠償の請求もできるというのは、その根拠は何でしょうか。民法七百九条の不法行為でいけるんだ、こういう趣旨ですか。
○寺田政府参考人 もともとの商法が、ただし書きでそういうことを妨げないということを注意的に書いているわけでございます。 それは、おっしゃるとおり、その損害賠償の根拠というのは基本的には民法の不法行為の規定であろうというふうに考えておりますが、そういうようなものをあえて書かなくてもそのことは当然妨げられないだろうということで落としているわけでございます。
○松野(信)委員 では、従来と変わっていないということで、その点は御答弁いただいたというふうにしておきます。 それから、今回、不正な目的での商号の使用を禁止している、それはそれでいいのですけれども、どうしても、事後的に差しとめとか損害賠償というような形になっているものですから、それだけで本当に十分できるのかなという心配はないわけではないわけですね。 恐らく、不正競争防止法とかこの八条でいけるから対応はできるというのが法務省サイドのお考えではないかというふうに思いますが、この八条のところは「不正の目的」ということになっていまして、不正の目的がないとだめだ、商号使用の禁止には当たらないということは、不正の目的はなかったけれどもたまたま似たような商号になってしまったという場合は、この八条は使えないということになりかねない。 また、それから、不正競争防止法の方は不正競争ということが前提になっているものですから、全部が全部防止できるかというと、これも必ずしも、なかなかそうでもない。誤認せしめるような形にしないと不正競争防止法で使えないということもあるものですから、この事後的な手続だけで万全かと言われると、必ずしもそうでもないんじゃないかなという危惧をしております。 それで、余り時間がありませんが、この八条の「不正の目的」というところと、不正競争防止法上で言うところの「不正競争」、これは同じだというふうに理解をしてよろしいんでしょうか、それとも、これは違うものだというふうに考えるべきでしょうか。
○寺田政府参考人 基本的には私の方で所管している法律ではございませんので、若干不正確な言い方になるかもしれませんが、不正競争防止法の方は事業者同士が競争している環境のもとにおいて不正な行為が行われるということでございます。この「不正の目的をもって、」というのは、事業者同士の競争関係というのを必ずしも前提にはしていないという違いはあろうかと思いますが、現実の問題としては、しかし相当重なり合う行為ではなかろうかというふうには思います。
○松野(信)委員 重なり合うかもしれませんが、どうも法の趣旨そのものは必ずしも一致しているわけではありませんので、これで類似商号あるいは不正な目的での商号にまつわる問題がカバーされるというわけでもないのではないか、この点についてはさらにぜひ検討をしていただきたいということを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
○塩崎委員長 次に、中塚一宏君。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○塩崎委員長 では、速記を起こして。 中塚一宏君。
○中塚委員 民主党の中塚一宏です。 本日は会社法の審議ですが、私は、合併、買収、その他企業再編の問題、特に、それらについて投資家の保護ということからお伺いをしていきたいと思っております。 どんどんと持ち合い解消というのが言われておりますし、持ち合い解消自体も進んでいるわけですし、また、金融ビッグバンというのが言われて久しいわけですが、フリー、フェア、グローバルということで我が国もその歩みを進めてきたということになるんですけれども、今回の会社法でもそのあたりについて大きな改正がなされるということになっております。 ただ、会社法は、きょうある人に聞いたら、これは基本法みたいなものだというお話をされた方がいらっしゃるそうですけれども、基本法は基本法で結構ですが、その周辺の問題というものもちゃんと整備をされていかなければ本当の意味での投資家の保護というものにはなっていかないだろう、そういう視点、観点でお伺いをしていきたいと思っております。 今回、会社法の改正で合併対価の柔軟化ということが盛り込まれているわけなんですが、まず南野法務大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、本会議の答弁で、敵対的買収はふえないということをおっしゃいました。ふえないということの理由を詳しくお聞かせいただきたいと思います。
○南野国務大臣 敵対的買収はふえないということに関連してでございますが、敵対的買収とは一般的に経営者の意思に反する買収のことを指しておりますけれども、会社が合併をするためには経営者が合併相手と合併契約をしなければなりませんから、敵対的な状態で合併することはできないというふうに思っております。 このように、合併には友好的なものしかありません。そういう立場から、この対価を柔軟化することによって、合併自体が行いやすくなることはあっても、敵対的買収がしやすくなるわけではありません。 もっとも、合併対価の柔軟化によって、合併の実現を目的とする株式の買い集めがふえる可能性はございますので、その結果として敵対的買収がふえるのではないかという懸念については、これを否定し切ることはできないと思っております。
○中塚委員 買収あるいは合併というのは最終的にはちゃんと友好的なものとして行われるわけだから、敵対的買収はふえないと。 それは確かに今大臣がおっしゃるとおりなんですけれども、まず、やはり言葉の問題として、敵対的買収と言いますが、今御答弁の中でもありましたが、敵対的というのは経営陣に対して敵対的、いろいろな意味があると思うんですね。ただ、敵対的であってもいい買収だってあるわけですね。敵対的で悪い買収というものだってあるわけですね。これは後からお伺いをしたいと思いますけれども、敵対的だから悪いということではない、敵対的であったっていい買収ということだってある。では、そのいい悪いというのは何によって決まるのかということは、私、すごく大事なことだと思うんです。これはもうちょっと後の方でお伺いをいたします。 敵対的買収はふえないとおっしゃっていましたが、ふえない理由の一つに、この合併対価の柔軟化、一年凍結ということのようですけれども、はっきり言って、敵対的買収がふえないというのじゃなくて、敵対的買収、あるいは友好的でも同じですが、あるいはいい悪いということでも同じですけれども、この法案が通ったって、やはり三角合併をするということについていろいろな障害というのがあって、そっちの方は全然まだ整理がされていないということを私はまずお伺いをしたいと思っているんです。 きょうは財務省にもお越しをいただいておりますけれども、株式を対価として企業再編を行う場合、やはり課税の繰り延べというものがないと、はっきり言って全然これは前に進んでいかないんですね。 現行税制についてお伺いをしたいと思うんですが、合併対価を柔軟化するということですが、三角合併であるとかあるいは三角株式交換というのもある、また現金対価であれば、いわゆるキャッシュアウト・バイ・マージャーというやり方もあるし、キャッシュアウト株式交換というやり方もあるわけなんですけれども、これらについて現行の税制を適用した場合、課税の関係というのはどういうふうになっているのか。消滅する法人、そして残る法人、株主というこの三つに分けて、今申し上げた四類型について、この三つに対してどういう課税の関係になるのかを御答弁いただけますか。
○竹田政府参考人 お答え申し上げます。 まず、我が国の現行税制でございますけれども、企業の合併が行われた場合におきまして、まず合併の場合ですが、その合併によって資産等を移転した法人、被合併法人、先生おっしゃいました消滅法人でございますが、この法人自体の課税につきましては、企業グループ内の合併あるいは共同事業を行うための合併の場合には、一定の要件のもとで移転資産の譲渡損益を繰り延べる、それから、この法人の株主の課税につきましては、株式の譲渡損益を繰り延べる等の措置が講じられているところでございます。ただし、これはいずれも、当該法人の株主がその合併法人の株式のみの交付を受けるということが条件とされております。 それからもう一つ、商法の規定に基づく株式交換でございますけれども、これが行われた場合、完全子会社となる法人の株主に対する課税でございますけれども、これは一定の要件のもとで株式の譲渡損益を繰り延べる措置が講じられておりますけれども、これは株式交換によって完全親会社となる法人から新株の割り当てを受けることが条件とされておるわけでございます。 したがいまして、今先生の方からお話ございました四つの類型につきましてでございますが、三角合併あるいはキャッシュアウトマージャー、これは合併に当たって合併法人の株式を交付しないわけでございますので、親会社の株とかあるいは現金ということでございますので、それから株式交換につきましても、三角株式交換あるいはキャッシュアウトによる株式交換、こういったものは完全親会社となる法人の新株の割り当てを行わないということでございますので、先ほど申し上げましたような繰り延べ措置の対象にはならないということで、被合併法人の移転資産、つまり消滅する法人の移転資産、あるいはその株主の株式につきまして譲渡損益等の課税関係が生ずるということになるわけでございます。
○中塚委員 合併対価の柔軟化の商法特例というのが今産業再生法の中にもあるわけなんですが、産業再生法を利用した場合の三角合併については、課税の関係はいかがですか。
○竹田政府参考人 産業活力再生特別措置法に基づきますこうした三角合併等につきましても、現行税制においては譲渡損益等の課税関係が生ずるものとして取り扱われることになるわけでございます。
○中塚委員 ですから、いい悪いは別ですが、敵対的とかいろいろなことを言うんですけれども、合併対価を柔軟化されるということなんだが、結局、そのあたりの税の問題というのはほったらかしになっているわけですね。何にも進んでいないわけですよ。これだったら、南野大臣がおっしゃるとおり、ちょっと趣旨は違いますが、敵対的買収はふえないですね、だって税の問題があるわけだから。こっちをほったらかしにしておいてこんな合併対価の柔軟化なんかやったって、だれもやる人はいないですよ。 この産業再生法、これについて、三角合併の税の特例、課税の繰り延べについては税制改正でずっと要望されてきていると思うんですが、それについて、まずその要望について経済産業省にお伺いをし、そして続いて、きょう財務省から副大臣にお越しをいただいておりますが、認められていないということについて、その認められていない理由について今御披露いただけますか。
○小此木副大臣 会社法案に規定されている合併等対価の柔軟化に係る税制改正の要望につきましては、同法案における関係する諸規定の施行までの間に、課税の公平、適正及び租税回避防止の観点も十分に踏まえて検討してまいりたいと思います。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。 産業活力再生特別措置法に基づく三角合併等の要望につきましてでございますけれども、いわゆる三角合併等に係る課税関係につきましては、これまで合併法人等、被合併法人等という二者の関係として整理されてきた組織再編税制に新たに親会社という第三者を持ち込むという点、また、外国法人や外国株主が関係し得る組織再編成であり、国際的な租税回避行為を防止することが極めて重要であるという点、こういう点を踏まえますと、慎重な制度設計が求められているということを何とぞ御理解を賜りたいと思います。 その上で、産業活力再生特別措置法に基づく三角合併等について申し上げますと、十七年度税制改正等におきまして税制改正要望が提出されたことは事実でございますが、ただいま御審議をいただいております会社法案において三角合併等に係る抜本的な整備が行われることが予定されておりましたことから、これに先駆けて産業活力再生特別措置法に基づく三角合併等についてのみ税制を部分的に手直しすることは困難という理由で税制の手当てが見送られてきたものでございます。
○中塚委員 おっしゃる理由はわからないでもないというか、はっきり言って全然わからないんですけれども、要は、産業再生法ですら認めてこなかった。 今回、合併対価が柔軟化される。合併対価が柔軟化されて、三角合併がいよいよ本格的に行われるようになる。どういう都合で一年延期されたのか私らは報道で知る以外にはないわけですけれども、一年延期されている。でも、これを本則で盛り込むということであるならば、やはりそれは税制改正だって一緒に提出をするべきなんじゃないんですか。税制をほったらかしにしておいたままこの三角合併だけを先行させる、合併対価を柔軟化させる。それは私は、同じ行政でやっていらっしゃるわけなんだから、やはりちゃんとセットにしてお出しになってくるべきだ、そういうふうに思いますけれども、これについては法務大臣、いかがですか。
○南野国務大臣 法務省におきましても、現段階では、合併対価の柔軟化に関する税法上の手当てについては特に考えは持っておりませんが、関係省庁の動きは注視してまいりたいと考えているところであります。
○中塚委員 いや、考えは持っておりませんということは、では一体何のためにこの合併対価の柔軟化というのをおやりになるんですか。政策の目的というのは何なんですか。そういう御答弁をされると私も聞かなきゃしようがないんだけれども、政策の目的というのは何なんですか。法務省として税制改正を、特段考えがない、私はそれはおかしいと思いますよ。どういった趣旨、どういった政策目的というのがあって合併対価の柔軟化というのをおやりになるんですか。
○寺田政府参考人 この点が実は委員が冒頭におっしゃられたことと関連するかと思うんですけれども、会社法においては、基本的に、当事者が一体どこまで組織上のいろいろな事項について選択肢を有するかということを決めているわけでございまして、それが今までにおいては必ずしも当事者の御要望どおり十分な幅を与えていなかった。これを、いろいろな国際的な情勢、あるいは日本におけるさまざまな経済状況で、選択する余地を広げてほしいという御要望があり、またそれが正当であろうということで、合併対価の柔軟化もそういう問題の一つとして今回提案をさせていただいているところでございます。 私どもとしては、政策的に、合併において対価が現金であるべきである、あるいはもとどおり株であるべきであるというのは、これは当事者の選択によるべきところでありまして、法務省としてどちらがより政策的に望ましいかという判断はすべきでもないし、またこれまでもそのようなことにかかわってまいらなかったわけでございます。大臣が申し上げたことはそういう観点から御理解をいただきたいところでございます。
○中塚委員 それは法律を担いでいらっしゃるのは法務省なのかもしれないんだけれども、事の重大さというのは、我が国の経済産業のあり方、会社のあり方ということに大きくかかわってくる問題なわけですよ。そういった意味で、法務省として考えがないというのは、それは同じ内閣でやっていらっしゃるんですから、よその国の役所が二人ここへ来て話をしているわけじゃなくて、同じ内閣の役所が来てお話をされているのに、いや、それは選択肢をふやすと。 だから、私は冒頭に言ったけれども、基本法だという話をちょっときょう小耳に挟んだんですが、基本法は基本法で結構だけれども、ではその周辺の環境の整備というのはどうなっているんですかということをお伺いしておるわけなんです。だから、税制の問題だって、合併対価の柔軟化ということをやる以上はセットにして出してくる。 では、大臣は、合併対価を柔軟化する、その合併の対価は別に現金、お金でなくても構わない、株でもいい、当事者で話し合ってもらえばそれは何でもいい、何でもいいけれども、別に課税の繰り延べ等をやらなければ現実問題としてこの三角合併なんというのは起こらない、それは起こらなければ起こらないでいい、そういうふうにお考えなんですか。
○寺田政府参考人 この会社法の守備範囲というものが、そういうことを可能にするということでないと経済のために困るという状況でございますので、私どもはそれを可能にするという措置を今とろうとして、ここで法案を提出してお願いをしているわけでございます。現実にどういうふうに産業政策上日本経済を持っていくかということは、これはまた別の観点からいろいろお考えになることでございますので、大臣も当然内閣の御一員としてそういうお考えはお持ちでしょうけれども、法務省の立場として、税制上の手当てについて考えを持つということはないということを大臣から申し上げているわけでございます。
○中塚委員 必要だからやるという御答弁が今ありましたけれども、必要だからおやりになるんだったら、使われる制度をつくらなきゃしようがないでしょうが。だから、課税の繰り延べ等をほったらかしにしておいてこの制度が使われると思っているんですか、使われなくたっていいんですか、そういうことを聞いているんですよ。いかがですか。
○寺田政府参考人 それは、内閣全体のお立場から、この法律の施行までにお考えになるべきところがお考えになられることというふうに私どもは承知いたしてございます。
○中塚委員 お考えになるべきところがお考えになることだというふうな御答弁でありましたけれども、でも、私はやはりそれはおかしいと思いますよ。これを提案するということは、ちゃんとワークするようにしていくというのが当たり前の話なので。 例えばTOBなんかでも、今、別に、TOBだって、現金で買うだけじゃなくて株の対価のTOBだってできるわけですよ。でも、現実問題としてやはりそれは進んでいかない。やはりそれは税の問題やらいろいろなことがあるから進んでいかないのであって、日本の、要は時代あるいは経済産業の要請としてこれはやらなきゃいかぬということを御答弁になったのだったら、法務省としてこの税について考えがないなんということは、私はそれはあり得ないと思う。やはりそれは同じ内閣としてちゃんと連携をして、法律もお出しになっているんだから、きっちりと税の問題についても法務省なりの考えというものをお出しになって、税制改正というものも一緒に提出するべきだというふうに思います。 では、こればかりやっていてもしようがないので、最後に財務省にお伺いしますけれども、先ほども御答弁いただきましたが、要は、この合併対価の柔軟化ということが起こった、これが成立をするということになった場合に、この税の問題、課税の繰り延べですけれども、これについては今私がるる申し上げてきたとおりで、課税の繰り延べというのをやらないと、この合併対価の柔軟化の制度というのはワークしないんですね、動かないんですね。だから、そういったことを踏まえて、来年度の税制改正で、この譲渡益課税を繰り延べるという税制改正についておやりになるのかどうかということについてお答えをいただけますか。
○田野瀬副大臣 今後、要望省庁において税制改正要望に向けた検討がなされる、このように考えておりまして、財務省といたしましても、具体的な税制改正要望を受けた後、新たな会社法の実施までの間に、課税の公平、適正及び租税回避防止の観点も十分に踏まえて検討してまいりたい、このように考えております。
○中塚委員 この件ですらもう言わずもがななんですが、会社法は、こういう買収とか合併とか組織再編だけのことじゃなくて、ほかにもいろいろな中身があるということなんですけれども、特にこの部分については、いろいろな事件が昨今起こっている、起こっているから駆け込みでいろいろな制度をぶち込んでいる部分もあるし、あるいは予定していたものを一年延ばすというようなこともあるということで、いかにもつけ焼き刃でパッチワークだという思いを私はやはりぬぐい去ることができないんですね。 次に伺いますけれども、合併対価が柔軟化される、それで三角合併というのが起こる。よく、外資から日本の会社が買われるんじゃないか、外資はその時価総額が大きい、日本の会社は時価総額がどんどん減少しているということで、外資にみんな持っていかれるんじゃないかというような話もある。 ただ、私は、この外資ということについても、さっきの敵対的ということと同じなんですが、外資外資と言うけれども、外資のファンドに日本人が金を出している、出資している例だっていっぱいあるわけですね。だから、そういう意味で、外資だからだめだとか、そういう議論自体がちょっと時代おくれというか、フリー、フェア、グローバルというときに、外資だからだめだという話にはならないと思っているんです。 その上で、私の問題意識をお話ししますけれども、外資が来る、外資が、この合併対価が柔軟化されたことによって三角合併を行う。それである会社が消えてしまう。それで、残った会社があって、残った会社の株式が外国の会社の株式と交換をされるということですね。合併対価が柔軟化されて、そうやって合併をするということなんですが、まず株式を対価とする合併の場合、外国企業の株式、我が国で上場をしていない外国企業がその三角合併を使って日本の株主に自分の、海外の会社の株式を渡す、そのときの手続というのはどうなっているんですか。法務省に伺います。
○南野国務大臣 お問い合わせの件でございますけれども、吸収合併契約におきましては、合併対価を存続会社の株式等以外の財産と定めた場合、存続会社は、吸収合併の効力が生じた後に、消滅会社の株主に対して合併対価として定めた財産を引き渡す義務、これを負っているということでございます。 したがいまして、合併対価を外国企業の株式と定めた場合には、存続会社は、吸収合併の効力が生じた後、その外国企業の株式を消滅会社の株主に引き渡す必要があるということでございます。 具体的には、その外国企業の設立準拠法に基づきまして、株券の交付または株主名簿の記載の変更手続など、消滅会社の株主にその外国企業の株式の所有権を取得させる手続をとる必要があるということでございます。
○中塚委員 いや、手続があるのは別にだれだってわかるんですけれども、その具体的な手続というのを、法務省なりでちゃんとそれをつくって、海外の会社に対して、こうするんですよという話を広くちゃんと広報なりインフォメーションされていますか。そこはいかがですか。
○寺田政府参考人 これは外国会社の株式の取得という手続一般ということになるわけでございますけれども、現在も、証券会社にそのための口座を設けまして、その口座に外国会社の株式の譲渡を受けるという記録を受ける、こういうことで株式を取得するということになるというふうに伺っておりますので、この場合にもそのような手続をとる。こういうやり方については、私どもも関係者と協力いたしまして十分な広報はいたしたいというふうに考えております。
○中塚委員 というふうに聞いているみたいな、そういう答弁ですけれども、だから、はっきり言って、合併対価を柔軟化して、海外の会社がこうやって株をばあっと強制的に転換して日本人の株主が海外の会社の株を持つというその手続、それを要は海外の会社に対してもまだきちんとやっていないんでしょう。国内の投資家に対しても、その手続というものがどういうふうになるのか、どういうことで株主が保護されるのかということについてちゃんとインフォメーションできていないわけでしょう。だから、やはりそういったことをちゃんと整備もしないでこの合併対価の柔軟化ということを言うこと自体が間違っているし、時期尚早だということを私は申し上げたいんですよ。 次に伺いますけれども、これも同様に、三角合併によって外国の企業の株式が、要は日本の株式と交換をされるというとき、しかもその海外の企業というものが日本で上場をしていないというときに、その外国企業のいろいろな企業情報、これの情報の開示規制というのは今どうなっているんですか。これは金融庁に伺います。
○七条副大臣 これは金融庁でございますけれども、証券取引法上の有価証券の募集及び売り出しを行う場合には有価証券届け出書の提出が義務づけられているわけでありますけれども、御指摘の三角合併等で行われる株式交換については、会社の機関決定に基づき組織再編の一環として行われるものであり、買収会社の株式取得等に投資者の投資判断は行われないことから、御指摘の外国の買収会社は有価証券届け出書を提出する必要はないと解されるわけであります。 しかしながら、合併に当たっては、商法上の適切な手続に従って株主総会において機関決定されることは当然であり、その際に、株主の権利保護の観点から、株主に対して合併の対価に係る情報の提供がなされる、あるいは株主としての地位を継続するか否かを含めて一定の判断がされるものではないか。こういう関係からいきますと、商法の四百八条ノ三が適用されるのではないかと考えているところでございます。
○中塚委員 今の御答弁で、要は、発行開示と継続開示、開示規制は二つあるわけですね。合併するときに株主総会があって、それは冒頭、南野大臣がおっしゃったとおりで、敵対的な買収は行われない、買収自体は合意して行われる、それはそのとおりでしょう、そのとおりだと思います。でも、発行開示は行われない。ただ、継続開示はどうなんですかね。 合併するときにはすばらしいぴかぴかの会社かもわからないけれども、何年か会社をやっている間にこれがおかしくなることは常にあるわけですね。ということは、日本に上場していない海外の会社は、やはり継続開示もしないことには、投資家が本当に保護される、あるいは投資家の権利が擁護されるということにはならないと私は思いますよ。そこはいかがですか。
○七条副大臣 今お話のある件、先生の御心配をされることは重々よくわかるわけであります。 今回の証券取引法改正におきまして、上場会社の親会社に対する情報開示義務は、子会社である上場会社に係る投資家の投資判断によって重要である親会社の情報について、親会社自身に開示を求める趣旨になっております。これはもう先生十分御承知のとおりでございます。 したがって、三角合併後において、仮に合併存続会社が上場会社であれば、その親会社である外国の買収会社が有価証券報告書提出会社でない場合であっても、該当外国の買収会社の状況については、親会社情報の開示を通じて把握されることとなる。 あるいは、もう一つ、上場会社でない場合もあるわけでありますけれども、この場合につきましては証券取引法上の開示の対象とならないわけでありますが、先ほど申し上げましたように、商法の四百八条ノ三、買い取り請求権というものがありますけれども、先ほど申し上げたとおり、商法上の適切な手続に従って株主総会において機関決定が行われることは当然であり、その際、株主の権利保護の観点から、株主に対して合併の対価に係る情報の提供がなされ、あるいは株主としての地位を継続するか否かを含めて一定の判断がされるものと考えている、こういうふうに解釈されるのではないかと思っているところでございます。
○中塚委員 上場会社の親会社、非上場のもので、それは情報開示すると、この間、例の証取法の改正で決まったわけですね。私は証取法の審議のときに時間がなくてできなかったんだけれども、では、その親会社の情報開示というものが果たしてあれで十分かという議論はあると思うんですよ。それは内国株式の場合だってそうなんですからね。 それが今度は外国株式なわけですね。しかも、今までは、内国株式を持っていた、それも上場した会社の内国株式を持っていた人というのは、投資家は、やはり自分の責任でいろいろな情報をごらんになっていたはずですね。いろいろな情報をごらんになっていたのが、ある日突然外国の株になったと。ある日突然外国の株になって、その外国の株の情報は今までと同じようには見られなくなっちゃうわけですね。 ということになると、これは、制度の不備とまでは言わないけれども、やはりここの部分もちゃんと、三角合併によって海外の株式を取得せざるを得なくなった人、それは買ってもらえるという、それはまああれですが、でも、持っていたいという人だっているわけですよ。株は、キャピタルゲインだけじゃなくてインカムゲインだってありますからね。持っていたいという人だってあるわけだから。 そういう意味では、この外国企業の情報開示というものだってちゃんとやらなきゃいけないと思う。それはやはり内国企業並みにしないことには、投資家の保護、投資家の権利擁護ということにはなっていかないのではないのか、そういう問題意識を持っているわけなんですが、合併対価が柔軟化され、三角合併をされるというときに、この制度が通ったときに、やはり同時にこの外国企業の情報開示、日本に上場していない会社ですよ、それの情報開示というものはちゃんと制度として整える必要があるのではないかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
○七条副大臣 具体的に商法上の問題でやらなければならないということがあるとするならば、これは証券法上だけではなくして、商法上の問題、先ほど申し上げました商法の四百八条ノ三の問題との兼ね合わせも含めて、今後これらが問題になるということがあるというならば、先生の御心配はよくわかるわけですから、これは何かの形で考えなければいけないかなと思いますが、今のところ、商法の四百八条ノ三、買い取り請求権を与えられることで大丈夫ではないかと私は判断をいたしたところでございますが、詳細につきましては参考人の方から御答弁をさせます。
○振角政府参考人 お答えいたしたいと思います。 先ほど来、副大臣から答弁しているところに基本的には尽きていると思いますけれども、現行のシステムでは、先般来提案しております証取法の改正で、外国の会社であっても、親会社については情報の開示を義務づけるということに証取法上はしておりますし、また商法上におきましては、合併のときに株主総会の機関決定において十分な対価に関しての情報提供がなされて、株主として地位を継続するかどうかという判断がされるという手続になっているというふうに思いますけれども、さらに先生がおっしゃられたような議論もあり得るというふうには思います。
○中塚委員 発行開示だけじゃなくてちゃんと継続開示というものもしてあげないとだめだと思うんですよ。そういった意味で、この会社法の合併対価の柔軟化ということをやる以上は、先ほど申し上げた税の問題もある、外国企業の情報開示の規制の問題もある、そういったことを全部整えた上で、この合併対価の柔軟化、三角合併ということを御提案になるべきだと思うんですね。 だから、やはりまだまだやらなきゃいけない課題というのはすごく多いんですよ。この会社法の審議だって、そんなに急いでやるような話じゃないですよ。今申し上げた税の問題、情報開示の問題、こういったことをちゃんと議論して、一つ一つの問題に答えを出して、そうでないと、経済のあり方、産業のあり方、会社のあり方、それに加えて投資家の保護のあり方、権利の擁護のあり方、そこまでちゃんとやらないことには、今、例のライブドアとフジテレビのニッポン放送株争奪戦で、やはり世間の注目だってすごく高くなっているわけですね。 あの話だって、私は、何が一番の問題かというと、やはり一般の株主、個人株主というものがいかにないがしろにされているかということだと思うんですね。それが何か、フジの会長がどうだの、堀江がどうだのとそんな話ばかりに矮小化されてしまっているわけなんですが、やはりそこをちゃんとやらないと、この三角合併の法律なんか、とてもじゃないけれども通すわけにはいかないです。やはりもっと十分にそういった周辺の問題の整備というものをやっていかなきゃいかぬ。 それに関連をして、今、経済産業省の方で、法務省も御一緒にやられていると聞いておりますが、企業価値研究会というものがあって、その企業価値研究会で、またここで出てくるんですが、敵対的買収防衛策の問題、今そういったことをいろいろ議論されているというふうに伺っているんですけれども、この企業価値研究会、五月の末ですか、六月の初めですか、これは経済産業省にお伺いをすることになりますが、結論を出す、ある一定の答申というか考え方をお示しになる。きのうも部屋にお越しをいただいていろいろ話を伺いました。第一弾、第二弾があるようなことも書いてあって、第二弾ではTOBのことも研究するというようなことでありました。 要は、議論の中身については大体きのうお伺いしましたからあれですが、この企業価値研究会の議論というものが、では、果たしていつ結論になるのかということがまず一点。第二点目は、この企業価値研究会の議論の結果、法改正に結びつくようなものがあるのかどうかということについて、経済産業省にお伺いをします。
○小此木副大臣 今のところ、企業価値研究会、五月の中旬から下旬にかけてそういった結論を出したい、こういうふうなことを考えております。 そして、法改正に結びつくかという問題でありますけれども、企業価値研究会が公表した論点公開では、現行の商法及び会社法現代化により、今御議論されているようなところでありますけれども、防衛策を導入するための法的インフラというのは用意されるというふうに私ども認識をしております。 したがいまして、企業価値研究会の論点公開では、少なくとも会社法につきましては、会社法現代化で提案されているもの以上には、法改正に結びつくものはないということも認識をしています。 むしろ、重要なことは、企業価値を損ねるような買収提案には機能して、企業価値を向上させるような買収提案には機能しないような合理的な防衛策のガイドライン策定を急ぐことが必要であると考えています。
○中塚委員 きょう、初めからずっとお話ししているのは、会社法のこともさることながら、周辺の環境の整備というものができておらぬじゃないか、税の話、情報開示の話ということをしてきたわけです。 続いてこのことをお伺いいたしますのは、結局、証券市場の問題を考えるときに、まず発行市場がある、それで流通市場があるわけですが、証取法がある、会社法がある、それとは別に東京証券取引所の自主規制というかルールというものがある。それがみんなばらばらになっているんですね。どこまでがどうで、何がどうなっているのかというのが全然不明確で、しかも、何か個別の事件が起こるたびにちょこちょこと変えるということになっていて、大変わかりにくいということもありますが、同時に、やはり投資家の保護、権利の擁護ということについて明確になっていない、明らかになっていないということは、本当に大きな問題だと私は思っているんです。 四月の二十一日に、東京証券取引所が「敵対的買収防衛策の導入に際しての投資者保護上の留意事項について」という紙を出しているんですね。通告していたからごらんになっていると思いますが、本当はここで皆資料配付をすればよかったんですけれども、ここにこういうことが書いてあるんですね。 「制度化前に本留意事項に沿わない内容の敵対的買収防衛策を導入された場合、」この制度化というのは、「五月に公表される見込みの経済産業省・法務省による企業価値防衛指針の内容や関係各方面の議論等を踏まえて将来の制度化も視野に入れております。」ということが書いてある。「したがいまして、制度化前に本留意事項に沿わない内容の敵対的買収防衛策を導入された場合、制度化後にスキームの見直しをお願いすることも考えられます。こうした点を十分にお含み置きいただき、導入を検討されている敵対的買収防衛策が本留意事項に沿ったものかどうか明確でない場合には、あらかじめ当取引所にご相談くださいますようお願い申し上げます。」ということが書いてあるわけですね。 だから、要は、例の、さっきのライブドアやらフジテレビやらの話で、企業防衛策というものがいろいろと話題になって、上場企業の中にはそういったものを導入しようということを考える会社が出てくる。今回、会社法を改正されて、そういったことがある意味やりやすくなるという部分もある。ただ、それはやりやすくなったって、果たしてそれが本当に、合法なのか非合法なのか、合法、非合法の問題じゃなくて、いいのか悪いのかというのは、最終的には裁判所が決めることであるんでしょうし、そういったことを踏まえて、企業価値研究会で今いろいろなことをやられているんだと思います。 東京証券取引所が、要は、制度化前に本留意事項に沿わない内容の敵対的買収防衛策を導入されたら、制度化後にはスキームの見直しをお願いすることも考えているというステートメントを出しているわけですよ。ということは、いかに今行政の対応がおくれているかということでもあるし、もう一つは、こういった問題について周辺環境の整備がおくれているかということだと私は思うんですね。 敵対的買収防衛策の導入に際しての投資者保護上の留意点についてということについて、まず、法務省としてはどういう御見解をお持ちなのか、次に、金融庁としてはどういう御見解をお持ちなのか、それをお伺いしたいと思います。
○南野国務大臣 法務省といたしましては、東京証券取引所の判断の当否についてコメントする立場にはございません。 商法では、株式に譲渡制限をつける方法や新株予約権を発行する方法によりまして、敵対的買収に対する防衛策を工夫することができますが、そのような防衛策を採用するかどうかは、商法の規定の範囲内である限り、すべて会社の自治にゆだねられているということでございます。 一方、東京証券取引所は、取引される商品である株式の品質を確保する立場から、余り強い防衛策を施したものは一般投資家のための商品としてふさわしくないとの判断をされることはあり得ることで、このことは商法上不都合ということはない。東証は、あくまで、そのお立場から独自に敵対的買収防衛策に関する留意点を発表されたものと推測いたしております。
○振角政府参考人 引き続き、金融庁の方からお答えさせていただきたいと思います。 今法務大臣の方から御答弁がありましたけれども、東証としましては、先生が御指摘のように、先月の二十一日に留意事項というのを発出したところでございますけれども、金融庁としましては、ライブドア事件以降、いろいろ企業が、特に複数の上場企業が株主総会に向けて防衛策を検討しているという報道がなされている中で、自主規制機関として東京証券取引所が投資者保護の観点から留意事項を上場会社に通知するということについては、ちょうど四月末に株主総会に対するいろいろな議案を固めるというようなタイミングでもございましたので、そういうタイミングに際して、投資者保護の観点から留意事項を上場会社に通知するというのは適切な対応だったというふうに考えておるところでございます。
○中塚委員 きょうは、金融庁、財務省、そして経済産業省とお越しをいただいているんですが、何か、法務大臣、法務省のお話を聞いていると、会社法を改正する、要は、会社の自治の範囲を拡大する、後は何か野となれ山となれで、みんなで勝手にやってくれ、そういうふうに私は聞こえるんですね、今の御答弁なんか聞いていますと。やはりそこには、では、我が国の産業をどうするべきなのか、法務省はそもそもそういう役所じゃないかもしれないけれども、同じ内閣でやっているんだったら、そういった考え方というのはあってしかるべきなんじゃないんですかね。私はそこのところが、同じ内閣としてやっているにもかかわらず、会社法こうなりましたから後は皆さんでとか、後はほかの役所が税は考えることですとか、そんなので本当にいいのかな、改めてそういうふうに思います。 東京証券取引所がこういったステートメントを出すということは、やはり彼らだって本当に、今金融庁の参考人から御答弁がありましたけれども、いろいろなことを心配しているわけですね。心配しているからこういうものを出してきていて、あらかじめ東証に相談してくれみたいなことまで言ってきているということだし、加えて、現行商法あるいは改正会社法でいろいろなことができるということ、いろいろなことができるようになるということではあるんですけれども、企業価値研究会のお考え、そのお考えが果たして正しいのかどうかは別ですが、でも、それが出てくるまで、会社法だってそんなに焦って審議する必要はないですよ。やはりこれがちゃんと出た上で会社法だって考える、審議する。いろいろな論点が出てくるんじゃないですかね。 そこのところはいかがですか、経済産業副大臣。
○舟木政府参考人 お答えいたします。 企業価値研究会でございますが、昨年九月から検討を開始しておりまして、この三月には論点公開の骨子を出しまして、さらにこの四月二十二日でございますが、論点公開を出しておるところでございます。 この論点公開と申しますのは、ある種、企業価値研究会の結論を、検討していただいた中身を取りまとめたものでございます。この東京証券取引所がお出しになりましたものも、その時点では企業価値研究会の論点公開の骨子が出されているという段階だったと思いますけれども、企業価値研究会の検討も十分に参考にしていただいていると考えておりますし、さらに、経済産業省としましては、法務省と共同で、企業価値研究会の論点公開をもとにしまして、今度は行政庁としてガイドラインを五月中にも出していきたいというふうに考えておりまして、東京証券取引所も、行政が出しますガイドラインもさらに参考にして制度化を進めていかれるということでございます。 私どもとしましては、この企業価値研究会の中身というのは、東京証券取引所のおまとめになりましたものにも十分に反映をされていると思っておりますし、今後も反映をして制度化をされていかれるというふうに考えているところでございます。
○中塚委員 私が何でそういうことを言うかというと、企業価値研究会がちゃんとある結論を出されて、その上で会社法で議論しなきゃいけないことはいっぱいある、個別の課題としてもいっぱい出てくる。 もう一つ、私、きのう質疑通告をしてからあるニュースを見て、さっき改めて質疑通告をし直したんですけれども、企業価値研究会の考え方、理念というか哲学というか、そういう大げさなことを言ってもいいと思うんですが、きのう、産業政策局長の北畑さんが、時事通信社が主催した敵対的企業買収と防衛策についての緊急セミナーというのがあって、ここで、裁判に負けない防衛策ということを言っているんですね。 私は、二つ問題があると思っていて、裁判に負けないというようなことを行政官僚が本当にこんな講演会で言っていいのかということ、それはまず第一点目の問題点だと思いますよ。報道でしか私は知らないから本当はどんな話をされたのかはあれだけれども、できれば、次回の質疑の際には北畑産政局長にお越しをいただいてただしてもいいと思っていますが、行政官僚が裁判に負けない防衛策の話をする、裁判に負けない、どういうことだ、そういった問題がある。 もう一つは、裁判に負けない、負けないということは勝つということなんでしょうが、勝ち負けの話をすると勝つ人と負ける人が出てくるわけですけれども、では一体、勝つというのはどういうことか。勝つ人はだれで負ける人はだれかということですね。 裁判に負けない企業防衛策ということは、経済産業省あるいは企業価値研究会、まだ結論は出ていないけれども、要は敵対的買収、私が冒頭申し上げた、敵対的買収は別に悪いものだけじゃない、敵対的買収にはいいものだってあるというお話をして、そのときは南野法務大臣もうんうんとうなずいていただいたわけなんだけれども、やはりいい悪いというのと違うんですよ、敵対的買収というのは。日本では慣用的に敵対的買収というふうに言っているだけであって、いい悪いというのとは別なんですね。 だから、そういった意味で、勝つ負けるなんということになっちゃうと、結局、経済産業省あるいは企業価値研究会というのは、今の経営者を守るための防衛策を考えているんじゃないのか、そういうふうに思いたくなるわけなんですね。 私の今申し上げた二点について、いかがですか。
○小此木副大臣 この報道につきましては、私はまだ確認をしておりませんし、たった少し前に聞いた話でありまして、明確に答弁することができませんことをまずお許しをいただきたいというふうに思います。 もしそうであれば、委員の御指摘のとおりであれば、これは日本の最大の原則であります三権分立というものがありますから、行政がそういう裁判の司法判断に介入するべきではないというふうに基本的には思います。 そして、裁判に負けないあるいはだれが勝つのかという議論も、これはもう仮定上の話でありますので、これはまずは確認をしませんとならないことだというふうに思っていますが、ここでもし言ったということになれば、一義的には会社ということになるのかなというふうには思います。 この議論の中では、一体会社というのはだれのものかという議論も多々ございました。一義的に、法律的には、私どもは会社というのは株主のものだということを答えてまいりました、こういう経緯もございます。しかし、時代の変遷の中で、そういうあり方自体も、商売の仕方、会社のあり方、その見られ方、いろいろな意味合いで変わってまいっているというのも事実でありますので、一概にそういうことを言うのもなかなか難しいなということであります。
○中塚委員 毒薬条項、ポイズンピルというものが本当に効力を発揮するかどうかというのは、最後は裁判所が判断することなんでしょう。それについて企業価値研究会でガイドラインを研究されている。わからないことが多ければある程度のガイドラインを示すのは、それは私だって必要なことだと思います。でも、ガイドラインではなくてやはりそれは法律に取り込まないと、法改正には及ばないという御答弁があったけれども、法改正をした方がいいものだって絶対に出てくるはずなんですよ。 というのは、例の、証取法を改正して立ち会い外取引をTOBの規制の中に入れたんだけれども、あれだって、要は、東証はずっと、こういうことはやめてくれというふうに言っていたんですね、会員の会社に。それはやはりTOB制度の趣旨から外れるから、こういったことはやめてくれということをずっと言っていたんです。言っていたにもかかわらず、やはりやる会社というのは出てくるわけですよ。それであるならば、本当に投資家の保護、投資家の権利擁護というのを考えたら、企業価値研究会の結果で出てきたものでいいものは法改正の中に取り込むべきだというふうに私は思う。 もう一つは、重ねてのお話になりますが、北畑さんのこういう発言がありますと、本当に企業価値研究会、一体、では何を考えてやっているんだということになる。会社の自治の自由度がふえてくるということが、結局、何だ、それはやはり会社の経営者を守るためのものなのかということにもなりかねないわけですね。だから私は、この企業価値研究会というものがちゃんとした結論を出した上で、その上で、会社法だってそれを踏まえた上でまだまだ十分な審議が必要であるということを申し上げているんですね。 南野法務大臣、いかがですか。
○南野国務大臣 皆さんとしっかりと論議をしていただきながら、我々としてもこの問題についてまた検討していかなければならないと思っております。
○中塚委員 何か全然わからない答弁。私はそんなに難しいことを言っているつもりはないんですが、会社法の周辺環境の問題ですね。 きょうは時間の関係もあって三つしか聞けなかった。本当は、この企業価値研究会の中身についてもお伺いしたいことはいっぱいあるんです。 要は、ポイズンピルというのが合理性を持つための三条件とか、いろいろなことが示されているんだけれども、その三条件が果たして本当にこれで妥当なのかということ。もう一つは、ポイズンピル自体はやはりアメリカの制度ですよ。アメリカの制度だけれども、では、そういったものを導入したときに、日本の証券取引等監視委員会程度の機能で本当にいいのかということですね。原則自由だ、自由な国で、でも、その中で、おとり捜査はする、覆面捜査はする、いろいろな手段を通じて不正を摘発するという国と、日本みたいに、単に八条委員会で、処分権もないような、そんな組織しかないような、そんなところにこういう制度を導入して果たして本当にいいのか。社外の取締役にしたって、本当にそれが機能するのか。そういう問題がまだまだあるわけですよ。 だから、そういった意味で、この法律案はそんなに急いで可決をするようなものではないので、税の問題もある、そして情報開示の問題もある、今申し上げたこの企業価値の問題もあるということで、なお一層の慎重審議をお願いしたいのと、今申し上げた北畑産政局長の発言については、これは大問題だと私は思うので、小此木副大臣には、ぜひとも北畑さんに対して厳しく御注意をいただきたいということ、次回のこの委員会には北畑さんにもお越しをいただきたいということと、最後に、きょうこれだけお越しをいただきましたが、やはり連合審査をきっちりとやっていただかないと、きょう私が申し上げたようなことについてちゃんとお答えをいただいていないし、制度だってこれから仕組んでいくことができない、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
○塩崎委員長 次に、近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。 私は通常は経済産業委員会に所属をしておりますが、本日は、重要法案である新会社法の審議で質問の機会をいただいたことを感謝申し上げます。 会社法は企業の組織を定める基本法でございますし、その大改正は、日本の企業、産業構造、そして社会のあり方に大変大きな影響を与えるわけであります。小泉総理が個人的な思い込みで大変力を注いでおります郵政民営化と比べますと、はるかに会社法案の方が重要であり、社会的なインパクトも大きいと感じているところでございます。(発言する者あり)与党の方からも御賛同をいただきまして、ありがとうございます。 企業が国を選ぶ時代となった今、国家の戦略とか哲学も、この会社法改正は必要になると思っております。 そこで、今回の審議でも、私は、金融庁の方、経済産業省の方、経済官庁各省の方もお呼びしましたけれども、やはり事の重要性を考えれば、合同審査による徹底的な審議が必要であると考えております。ぜひ、与党の方々、郵政民営化のため国会の会期延長も御検討中、御要望中という話を漏れ聞いておりますけれども、与党側が会期延長を述べるならばなおのこと、本院において合同審査を審議すべきであると思っております。 国税のうち法人税というのは十一兆五千億円、十七年度予算であるんですね。私の同僚の岩國哲人議員がけさ言っておりましたけれども、国税のうち全体の一四%も占める法人税、これだけ税金を取っておいて、審議時間をとらないというのは問題だということを指摘しておりました。 委員長、まず冒頭に合同審査の再度開催を強く要望しておきたいと思います。ぜひ理事会で御検討いただきたいと思いますので、御要望しておきます。 まず、質問に入ります。 ここ数年、大変大企業の事故、不祥事が続いておるわけであります。そして、先般、JR西日本による電車脱線事故、大惨事が起こってしまいました。現時点で百七名の方が亡くなられている、そして多くの方が負傷されているということであって、あってはならないことだと思うわけであります。 この大惨事につきまして、まず冒頭、南野法務大臣。法務大臣は、御経歴として、看護師さんをやられていた、そして助産師さんをやられていたと聞いております。御経歴書を見ましたらば、昭和四十一年には人命救助により表彰もされているという話でございますし、現場で命にかかわる仕事をされてこられたという話をお聞きしました。 今回のこの不祥事、大変多くの方々の命を奪ったこの事件でございますけれども、その原因として、既に、個人の運転士さんだけの問題ではないということは、事故調査委員会の今の時点のコメントでも明らかになっておると思います。すなわち、社内の管理体制、組織のあり方も含めて調査すべきである、問題であるということも、既に現時点の調査委員会のコメントでも明らかになっておりますけれども、今回のこのJR西日本の事故、事件につきまして、まさに企業の内部管理体制ということから考えますと、会社法の提出者である法務大臣としても何らかの御見識を持っていただきたいところでございますし、また、命に長く携わってこられた法務大臣としての、政治家としての御見識もお伺いしたいと思います。
○南野国務大臣 あの事件につきましては、予想だにしていなかった大惨事である、百七名の方がお亡くなりになっているということについて、本当に突然の死というのは我々予測がつかない、そういうような意味では、本人はもとより、本当に申しわけなかったなというふうにも思っておりますし、また、家族の方々についても、本当にどう理解していいのか、どう解釈していいのか、今まで生きていた、次は死の瞬間を迎えている、そういうことにどのように自分自身を対応させたらいいかというのは、これは家族にとって大きな課題であろうかというふうに思っております。 そういう意味では、負傷された方もこれも大変気の毒であろう。PTSDのような形をこれからどのようにケアしていかなきゃならないかという課題は大きく残っていくかな、そのように思います。心身の健康、まず心の健康ということも、その場にどう対応していかなければならなかったか。まれに見るそういう大惨事をケアした方々、これもまた大変だと思います。電車に乗っていながら治療を受けた方も中にはおられる、そういうような方々に対しても、本当に御苦労さまでございましたと言いたいと思っております。 片や、また別な話題も展開されておりますので、その問題についてはまた別な課題で考えていかなければならないと思いますが、そういう傷害を受けた方、被害を受けた方々にどのように対応していくかというのは今後の課題となってくるだろうと思います。 たまたま私のめいも伊丹に住んでおりまして、その電車の前の電車の二両目に乗っていたということで、みんな大騒動したわけですが、後で電話がもらえて、よかったと。それほど命というものの大切さを実感したということを私も一言申し上げられるのかなと思っております。 そういうことに加えて、やはり、電車または、西日本のJRでございますが、どの会社においても同じだと思いますけれども、自分たちの役割をどのように展開していくのか。あの電車は人の命を預かっている仕事でございまして、我々も国の命を預かっておりますし、国民の命を預かっておりますので、議員たる者、そういうような務めはしていかなければならないということは重々知っておりますが、その問題点についてどう解釈していくのか、その事故に対してどう対応していくのかということも大きな課題でありますけれども、それをどう防いでいくのかというのが次の課題であると思います。 国土交通大臣も、しっかり現場に行かれながら、次のポイントをちゃんとお示しいただいておりますけれども、さらにそれが実効あるものになっていかなければならない、そういう課題は大きな課題であると思います。それを参考にしながら、いろいろな課題にそれを適用して、考え方を適用していきたいと思っております。 〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕
○近藤(洋)委員 大臣、看護師さん等の御経験をお持ちですから、御自分のお言葉で、命の、この事件の重大性の認識をお話しいただきました。全くそのとおりだと思います。 また、改めて何でこの話を会社法の冒頭に申し上げたかといいますと、企業事故というのは、先ほど大臣、この事故のケアが大事です、全くそのとおりだと思います。と同時に、防止が大事です、そのとおりなんです。ですから、企業のありようというものをやはりきっちり会社法の中でも位置づけていかなければいけないということを指摘したいと思うわけですね。 ここ数年の事件を見ても、命にかかわる大企業の事故ないしは不祥事、多いんですね。例えば三菱自動車工業のリコール隠し、これも命が奪われているわけですね。さらに言えば、最近では関西電力の美浜原子力発電所、この問題がございますね。そして、今回のJR西日本ということであるわけですね。これはもう命にかかわる話、大企業の問題ですね。さらには、虚偽記載の話でいえば、これは西武鉄道から始まって、UFJの検査忌避から、そしてカネボウの粉飾決算、新聞報道によると、上場廃止の方向というのもきょう夕刊に出ておりました。 こういった大企業の不祥事、事故の共通の問題として、やはり企業みずからが自分の組織を律する内部統制、これが機能しているかどうかということが大変大きなポイントになると思うわけであります。 そこで、今回の会社法改正で、商法上の大会社において、取締役会にいわゆる内部統制についての方針の決定を義務づけて、そしてその概要を営業報告書に記載するように求めている、このことが盛り込まれているわけですが、具体的にこの会社法改正で言うところのいわゆる内部統制というのは何なのか、そして、この規定を入れた理由を改めて伺いたいと思います。
○滝副大臣 今議員御指摘のとおり、特に最近の大会社を中心とするいろいろな事件、事故が目につくわけでございます。 その中で、現行法では、委員会等設置会社につきましては内部統制システムについて規定しているわけでございますけれども、今般、大会社について会社法として改めて明文の規定をもって設けることにいたしたのは、委員仰せのような背景を踏まえてというふうに私どもも理解をいたしております。 中身でございますけれども、基本的には法務省令で具体的に定めるということになってまいると思います。基本的には、現行の商法の施行規則で、百九十三条でございますか、そこでそれらしきものを現在でも掲げてございます。例えば、監査委員会の職務を執行する場合に、その補助をする使用人の問題でございますとか、そういうような、特に監査役と執行役というような観点からの条文を施行規則で掲げてあるわけでございますけれども、改めて、法務省令におきまして、内部統制システムについてこういったものを参考にしながらつくり上げていく、こういうふうに考えております。
○近藤(洋)委員 法文では、まさに政省令で定めるとしか書いてないですね。そして、副大臣おっしゃったように、それらしきものというふうにお答えいただきましたけれども、規則の中の第百九十三条の中に、私も読みました、この政省令では何を書いているのか全くわかりません。この政省令では三つ、四つ入れておりますけれども、例えば執行役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する事項とか、具体的に何が内部統制として必要なのかというのがこの今ある参考とされる政省令でもよくわからないのです。 もう一点伺います。 具体的に何が内部統制なのか、何をもって内部統制と構成するのかということについて、省内で、例えば、いわゆるコンプライアンスという概念について、そういうことも含めて、コンプライアンスというのは言葉の定義で法令遵守と訳されますけれども、私はそれだけじゃないと思うんですね、ただ単に法律を守りなさいという話だけではありません、いわゆるもっと広い意味でのコンプライアンスという概念も含めて議論されてきたのか。もう一度、改めてこの具体的な内容を、どういうことをイメージしているのか、お答えいただきたいと思うんです。
○滝副大臣 基本的には、これからのお話でございますけれども、今委員おっしゃるとおり、商法施行規則百九十三条というのは全く味もそっけもないことがずらずら並べてあるわけでございますけれども、その背景には、今回のこの内部統制システムをつくり上げる、こういうことで、改めて取締役として会社の基本計画をつくるわけでございますから、それに関連するものを少し肉づけした格好で、ある意味ではガイドラインになるようなものをもう少しこの中に盛り込めれば、こういうふうに思っておりますし、今までの議論につきましては民事局長の方から御紹介させていただきたいと思います。
○寺田政府参考人 コンプライアンスとの関係について御説明申し上げます。 おっしゃるとおり、コンプライアンスは、狭い意味では適法性の確保ということでございますけれども、広い意味では、おっしゃるとおり、全体の仕組みが適正に回っているかどうかということについての、ルールどおりいくかどうかということについての一つの規律というふうに理解できます。 現在は、この内部統制システムは委員会等設置会社においてのみ義務づけられておるわけでございますけれども、先ほど大臣が御説明申し上げたとおり、コーポレートガバナンスをめぐるいろいろな議論があるわけでございます。今おっしゃいました広い意味でのコンプライアンスを含めた、企業がどう正しい規律のもとに内部の事項を行っているかということもあるわけでございます。 そういうことも法制審議会の中で議論した上で、委員会等設置会社のみならず、一般的に大会社、今度の会社法では株式会社の範囲というのは非常に広いわけでございますけれども、やはり大会社は大会社なりの規律というのが必要だろうということで、委員会等設置会社でない、取締役会と監査役という形での株式会社においてもこの内部統制システムというものが必要だ、こういう議論になったわけでございます。
○近藤(洋)委員 ですから、議論はしたけれども、中身がよく出ていないということなんですね、少なくとも現時点でこの法文では。また、お答えにもなっていないということだと思うんですね。この内部統制の話というのは、企業に対して実際の現場では大変な影響を与える話なんですね。 御案内のとおり、この議論が出たというのは、発祥はアメリカですね。ウォーターゲート事件から始まって、ずっと議論が重ねてこられた。そして、昨今ではあのエネルギー会社のエンロンの破綻があって、そしてワールドコムの破綻劇もあって、さらに言えば、そこには実は大手の会計監査の会社もかかわっていて、もうこれはめちゃくちゃだということで大変な議論があって、企業改革法がアメリカでは出てきたわけですよね。そして今、内部統制という話は、アメリカでは着々と法律をつくってきた。 午前中の議論で同僚議員も法の部分が抜けているのではないかという指摘をされておりましたけれども、実はこれだけ大きなものなのに、さらっと会社法のところに内部統制の義務だけをつけて、そして中身がわからないというのは、これは法案として、僕は欠陥法案だと思います。大変な影響がある話だと思うんですね。 この点について、金融庁は現在、財務報告に関係する内部統制はいかにあるべきかという論点から議論を進めていると聞いております。財務報告に関する内部統制が正しく機能しているかどうかについては、有価証券報告書の内容及びその作成過程について東京証券取引所が宣誓書を出せということで任意で今決めている、それを義務化させるという方向で金融庁では議論をしているという話を伺っておりますが、これはいつその結果が出てくるのか、金融庁にお伺いしたいと思います。
○振角政府参考人 お答えしたいと思います。 先生から御質問ありましたように、金融庁におきましては、今、アメリカにおける企業改革法の流れ、あるいは昨今起こりましたいろいろな企業における不祥事等を踏まえまして、内部統制の強化について現在検討を行っているところでございます。 具体的には、現在、企業会計審議会の中に内部統制部会というのを設けておりまして、そこで、まさしくおっしゃいました財務報告に係る内部統制の有効性に関する、経営者がまずどういうふうに自分の会社のところを評価するかという基準と、外部ということで公認会計士等による検証の基準の策定についての作業を現在やっているというところでございまして、具体的には本年の夏ごろまでにその基準の骨格というのを取りまとめていただくべく、精力的な審議をお願いしておるというところでございます。 さらに具体的に言いますと、その部会におきます審議におきましては、米国を含むそれ以外の諸外国の実例を参考にするとともに、我が国の会社法制との整合性を確保しつつ、実効性のある制度を構築していくとの観点から、審議を現在鋭意続行しているというところでございます。
○近藤(洋)委員 夏までに結論を出すということですけれども、けさの日経新聞朝刊一面、頭に、企業に対して文書の義務づけ、内部管理や意思決定過程について、その意思決定の事細かな文書の保管を義務づける、金融審で議論する、証取法の改正も考えているということが出ておりますが、これは事実ですか。
○振角政府参考人 けさ、そのような報道が行われたことは承知しております。 事実につきましては、先ほど言いましたように、現在、企業会計審議会の内部統制部会におきまして先ほど説明したような審議が行われているというのが実情でございまして、具体的には、そのほかに、どういうふうに義務づけるかというところになりますとこの法制化を含めての話になるんですけれども、それは、本年夏ごろまでに基準の骨格を取りまとめていただいた後、そういう基準に示された実務上の実効性等を踏まえて、企業の財務報告に係る内部統制の評価及び公認会計士等による検証の義務化について検討するということを、もう既に工程表ということで、全体的にそういうスケジュールでやっているということは公表しているところでございます。その次の段階だと思っております。
○近藤(洋)委員 義務化の方向で検討するというふうに受けとめたいと思いますけれども、ただ、審議官、余りいいかげん、要するに、いいかげんだと言うつもりはないんですが、やはり内部統制をするということを会社法で書いているわけですから、政省令では今わからないわけですね。唯一検討しているのが金融審のここなんだから、具体的に何をやるんですかというのを聞いているわけで、夏までというのは、先ほどの同僚議員の中塚議員の話ではないですけれども、やはりこれは悠長だと思うんですね。 この議論というのはセットだと思うんです、もしも政府一体で議論しているのであれば、政府が一体であるならば。そして、内部統制というものを会社法の中で掲げて、その中の一連の流れとして金融審の中で考えて、証取法を改正するというのを視野に置くのであれば、やはりこの法案の審議の前提になると私は思うわけですね。新聞だけではどんどんリークしているわけですから、これは国会を軽視しているんじゃないですか。指摘しておきます。 あともう一点、同じような議論を、経済産業省でも企業行動研究会を二月に設けて検討しておりますが、こちらの方も、その内容、検討スケジュールはどうなっていますか。簡単にお答えください。 〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕
○舟木政府参考人 お答え申し上げます。 企業不祥事が非常に多発しておるわけでございますが、企業不祥事が起きますと、企業の倒産とかブランド価値の崩壊といったようなことだけではなくて、国民の安全、安心を脅かすような事態も生じているわけでございまして、経済産業省としましても、産業政策の観点からも、こういった企業の不祥事発生を防止するための取り組みを促進していきたいということで二月に研究会を設置したところでございます。 二月でございますので、まだ検討も途上でございます。それで、私どもとしましても、ことしの夏ころを目途にこの研究会の検討を取りまとめていきたいというふうに考えているところでございます。
○近藤(洋)委員 審議官、平成十五年六月に「リスク新時代の内部統制」というペーパーも出しているじゃないですか。これはもう内部で検討しているじゃないですか、二月につくったとおっしゃるけれども。 ですから、それはやはり遅いと思うんですね、ガイドラインをつくられるわけですから、経済産業省でもつくるというわけでしょう。今、政省令の中身も何も決まっていないじゃないですか。政府の中でも決まっていない、ほかの役所の中でも。そういう悠長なことではとても会社法の中に、会社法は企業のある意味では基本法である、基本法だったら、そこの中に盛り込まれる内部統制というのは各部分に非常に影響を与えて、ほかの省庁が議論しているならいざ知らず、まだ、六月、七月で決めますという悠長な話では、とてもこの法案の審議の骨格のところの中が固まっていないと言わざるを得ません、政府の中においても。 法務省は、この経済産業省の研究会にオブザーバーとして参加していると聞いておりますが、この研究会の中身を具体的に政省令に反映させるという方向で進めるという考えでよろしいんでしょうか。
○寺田政府参考人 会社法は、大会社一般でございますので、非常に一般的なことをいろいろ考えなきゃならないとは思います。しかし、経済産業省がおやりになっていることは、産業政策上の代表的な会社に適用されるべきいろいろなルールとしてお考えになっておられるわけでございますから、当然それも一つの重要な参考資料だというふうに私どもは受けとめて、今後検討してまいりたいと考えております。
○近藤(洋)委員 ぜひしっかりと中を見ていただきたいと思うんですね。 あわせて、これは大事な問題でして、企業統治の仕組みについて、アメリカの仕組みをそのままどんと入れるというのは、僕は議論があるところだと思うんですね。会社法上の大会社というのは資本金五億円以上ということですが、これは本当に対象が広くなってしまいますから、これもまた問題なわけですけれども、それに全部入れていいのかという議論もあります。 もう一つは、アメリカの方式をそのまま入れるべきではないと思うんです。やはり日本的な企業統治のありようというのは、企業風土が違うわけですし、アメリカ型のトップダウンの企業運営と日本型のボトムアップとはまた違うわけで、その辺も含めて相当議論をしなければいけないとも思いますし、日本の企業に適したものを調整して入れるべきだと思いますが、経済産業省、いかがでしょう。
○舟木政府参考人 御指摘のように、アメリカにおきましても内部統制に関するいろいろな制度が整備をされているところでございますが、アメリカの事例につきましては、全企業一律に対応を求めている点ですとか、それから企業に過度な負担を生じさせるのではないかといったような批判も出ているというふうに承知をしているところでございます。 私どもの研究会におきましては、企業によって異なるリスクに最適に対応していく、そういった枠組みを設けたいという方向で検討を進めているところでございまして、我が国の企業実態に即しましたガイドラインを作成していきたいというふうに考えているところでございます。
○近藤(洋)委員 繰り返し言うようですが、これは企業の運営からすれば大変大きなテーマなんですね。 私は、内部統制がすべて企業の足かせになるとも思いません。コンプライアンスというものを広く考えていけば、私は、信頼される企業になって、ひいては会社の経営にとってもプラスになるし、まさに信用される会社、信用される商品ということは利益にもつながることだとは思うんです。 しかし、他方、新たな仕組みを入れると大変な負担になるのも事実ですよね。大会社、アメリカに上場している日本企業は会計事務所に払う費用だけで十億円以上かかるとか、人件費も含めたら何百億円かかるという事例も大企業の場合出ているわけでございまして、この辺も含めて、やはり大変大きな影響を与える条文、実は、内部統制を義務づけるということはそういう形にも広がる話なんだということだと思うんです。現場は大変混乱していると僕は思いますよ、企業の現場は。何を書いたらいいのか、どうしたらいいのか、アメリカ型までやるのか、やるべきなのかというので混乱されている。 あと、もう一点言えば、これは企業の内部統制だけじゃなくて、役所の内部統制も、企業に保管を義務づけるならば、役所の文書も保管を義務づけられたらいいと思いますね。これは要望しておきます。必要な書類を次から次と廃棄をしたどこかのお役所がございましたが、あのような行政で、企業にだけ自分の意思決定の中身の保管を突きつけるなんというのはちゃんちゃらおかしいわけでありますから、この辺も、これは情報公開法の改正の話でございますが、また別の機会に取り上げていきたいと思うわけであります。 そこで、この内部統制の議論を進めてまいりますと、どこまで内部統制をやるのかという議論に入ってくるわけでございますけれども、結局のところ、不祥事なりをさせない、起こさせない、さらには企業にとっても社会的に信頼の置ける会社になってもらう、それが日本の成長力につながるという意味においては、私は、経済の司法といいますか、罰則であるとかという全体のフレームワークを見直す必要があると思うんですね。 そこでお伺いしたいんですが、日本の経済犯罪といいますか、有価証券報告書の虚偽記載であるとか独占禁止法違反の刑期や罰金は最長五年と聞いておりますが、刑法上ですね、これはアメリカと比べて著しく低いのではないか。サーベンス法、企業改革法におきましては、たしか刑期が二十年とかそういう形で大変大幅に引き上げられたわけですけれども、なぜ日本はこのように刑期が低いのか。法務省の見解をお伺いしたい。
○大林政府参考人 一般論として申し上げますと、各種犯罪における罰則のあり方につきましては、その罪の罪質や他の罪の刑との均衡、その犯罪によって起きる被害の内容や程度等種々の観点から総合考慮した上で決められるべきものであって、事案の内容に応じて適切な刑罰を科し得るものでなければならないと考えております。 そのような観点からしますと、各種経済犯罪に対する現行の罰則は適正なものと考えてはおりますけれども、社会経済事情の変化等を踏まえ、必要に応じ検討を行っていくべきものと考えております。
○近藤(洋)委員 必要に応じて検討すべきものと考えていると。要は、今、現状、このようになっているのは、ほかの刑罰との見合いで五年というふうになっているんじゃないんですか。ほかの刑罰との見合いの中で、通常の詐欺罪だとか例えば殺人罪だとか、私は余り詳しくはございませんが、ただ、そういうほかの刑罰との見合いで、虚偽記載なり独禁法違反は、ほかの刑罰がこうだから、まあ五年なんじゃないか、そういう相場感でできているんだと認識をしたいと思います。 これは、私は、もう一つ引き上げるべきだと思うんですね、経済犯罪について。ここの部分についてはやはり、一罰百戒とは言いませんが、経済犯罪の刑期は引き上げる。ただし、その一方で、いわゆるアメリカで採用されています量刑ガイドラインの考え方、これをひとつ参考にして、経済犯罪を抑制するという考え方があってもいいのではないかと思うわけです。 アメリカのものをすべてアプリオリに導入する必要はございませんが、いいものは取り入れて参考にすべきだと思うわけです。この量刑ガイドライン的な仕組みを取り入れて、その上で経済犯罪の、要するに、非常に悪い経営者については、まさに均衡、懲役刑を高めて、そしてその上で、だけれども、きちんとコンプライアンスなりルールを整備したところについては減軽するという仕組みを私は取り入れるべきだと考えるんです。 実はこの考え方は、私ども民主党が提案をした独禁法の改正案の中に入れさせていただきました、民主党案の中には。いわゆる事前に申告したらば引くとか、それだけではなくて、さまざまな考え方を入れさせていただきましたけれども、刑法の、経済司法の経済犯罪のあり方の中にこの量刑ガイドライン的な仕組みを入れるべきだと考えますが、刑事局長、いかがお考えでしょうか。
○大林政府参考人 御指摘のアメリカ合衆国における量刑ガイドラインは、同国における量刑の不統一を是正し、一般国民に量刑に対する予測可能性を与えることを意図して導入されたものと承知しておりますけれども、我が国における量刑は、御案内のとおり、一審及び上訴審を含めた審理を通じ、裁判所によって、各事件ごとに、犯罪の軽重及び情状等諸般の事情を考慮しつつ、事案に応じた適正な科刑がなされているものと承知しており、量刑ガイドラインを必要とする状況にはない、このように考えております。
○近藤(洋)委員 刑事局長、必要ないとおっしゃるけれども、では、企業犯罪は減っているんですか。企業犯罪なり、そうした企業の不祥事は起きているではないですか。 それぞれのJR西日本の経営者の方々も、実は私、前職の新聞記者をやっているころ、当時民営化になったばかりのJRを取材させていただいたことがございます。経営陣の中には、個人的によく存じ上げている方もたくさんいらっしゃいます。非常に立派な方々ですよ、個人個人を見れば。立派な方々です。そういった立派な方々も、ああいった問題を起こしてしまうわけですよね。例えばですよ、こういう不祥事にしても。あれは、法律上、刑法上、問題にはならないでしょう。ならない部分もあるかもしれません、刑法の話ではないかもしれません。 いずれにしろ、そういった企業の大不祥事が起きるわけですよね。西武鉄道の問題も起きるわけですよね。それぞれの企業の経営者の方個人個人は何も罪を犯そうと思ってやっているわけではないにもかかわらず、これだけ大企業の犯罪が起きるわけです、事件が起きるわけです。減っていないじゃないですか。 必要性がない、では、刑法は今の体系でよろしいんですか。そういう考え方でいいんですか。現状は問題ないと認識されているんですか。
○大林政府参考人 それぞれの犯罪に対する処罰のあり方というのは、いろいろな考え方があろうかと思います。 今私が申し上げたのは、アメリカの量刑ガイドラインというのは、一つの事案について一つの求刑基準みたいな形で定めているものと承知しております。したがいまして、日本の場合は、御承知のとおり、法定刑の間で裁判官が個々の事案に応じて刑を決めるというシステムになっておりますので、私は、今の日本において、いろいろな犯罪が行われているということは承知しておりますけれども、今の裁判構造において、今のようなガイドライン的なものを、では、日本においてだれが決めるのか、あるいはそれに対して、今の各裁判所において、裁判官において、憲法上独立的なものを定められている我が国の法制度におきまして、そういうものが直ちに導入できる状況にあるのかどうかという根本的な問題がございますので、その点から、先ほど申し上げたとおり、犯罪の軽重及び情状等諸般の事情を考慮しつつ裁判所が決定している現状において、量刑ガイドラインの制度を日本に取り入れられるかということになりますと、今そのようなことは困難であろうし、それはできないのではないかというふうに私は考えているところでございます。
○近藤(洋)委員 今の仕組みを刑法全体の中から見ればなかなか実現は難しいというお話でございましたが、しかしながら、会社の不祥事、不祥事が起きたからこれをやるというパッチワーク的な話で考えているわけではありません。日本の構造的な社会のありようというものをもう一度、法令遵守といいますか、倫理を持ってもらうという形の中から、経済犯罪がこれだけ複雑化する中で、今までの刑法の基準では低過ぎるし、さらには、遵法してもらうということについていえば、罰だけを厳しくするのではなくて、企業の内部統制を促すような仕組みをつくる必要があるのではないかということなんです。その中で、量刑ガイドライン的な発想を経済犯罪において入れる必要があるのではないかという指摘なわけでございます。 さて、そういう中で、これは刑法も土台になるわけですけれども、証取法及び独禁法の世界でもあるわけでございますが、証券取引法を所管する金融庁は、こういった量刑ガイドライン的なことを入れること、措置体系を見直すことについてどのようにお考えか。また、あわせて、経済産業省は、産業全体を所管するわけですから、独占禁止法の見直しの中で、これからどのような考えで量刑ガイドライン的なものを考えるのか。これは政府全体の問題だと思いますから、この点について、それぞれ金融庁なり経済産業省のお考えを伺いたいと思います。 特に、独占禁止法は二年後に見直しが控えておりますし、証取法も、先ほどの、全体の中で内部統制のあり方も含めて証取法が改正されるということだとすれば、こういった量刑ガイドライン的なこともさらに考え方を深める必要もあるかと思うわけですが、いかがでしょうか。
○振角政府参考人 それでは、金融庁の方からまずお答えさせていただきたいと思います。 先生が御指摘されましたように、これはまさしく政府全体として取り組むべき課題だというふうに我々は認識しているところでございまして、先ほど来法務省の方からお答えがありましたように、我が国の現行の刑事罰の体系には量刑ガイドラインというのは現在はまだ導入されていないということでございますので、量刑ガイドライン的な発想を取り入れることにつきましては、我が国の刑事罰全体の体系を見据えた上で、法務省を中心として、関係省庁で慎重に検討すべき課題であるというふうに考えているところでございます。
○舟木政府参考人 独禁法についてのお尋ねでございますが、産業政策の観点からどういうふうに考えるかということについてお答え申し上げたいと思います。 量刑ガイドラインそのものにつきましては、法務省からも御答弁がございましたし、金融庁からも御答弁がございましたけれども、法律的に検討すべき点も多く残っているのではないかというふうに考えておるところでございますが、いずれにしましても、経済産業省としましては、独禁法を初めとしました経済統制法といいますか、そういうものにつきまして、企業経営者がやはり自主的にちゃんと取り組む、違反を起こさないように取り組んでいく、そういった枠組みが極めて重要であるというふうに考えておりますので、先ほど申し上げました私どもの研究会におきましても、こういった企業経営者の取り組みを促すような仕組みについて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○近藤(洋)委員 今回の会社法の全体の改正では、定款で、企業が自治というか、自分で決めれば相当なことが自由にできるような形の法改正ですね。企業の自由度が高まっている法改正ですね。それ自体は私は是といたします。流れとしてはいいことだと思います、企業の自治を高めていくということ自体。 ただ、やはり、同時に、何かの本ではございませんが、自由と規律といいますか、規律をきっちり求めていくことが重要なわけですね。 そうなると、最初の話から持っていきますと、内部統制というものの中身もわからない、かつ、それに対応する刑罰の体系のところも、お話ですと政府において慎重に検討すべきだと。どこまで意識があるのか。金融庁、課徴金をせっかく、内閣法制局に言われながらも、議員立法の形で入れたんですから、もうちょっと前向きに考えたらいいと思いますよ。経済産業省は、審議官、恐縮ですけれども、ほとんど御答弁としては何も答えていなかったわけですけれども、もう少し規律の世界をきっちり考えないといけない。 少なくとも、そういうことを考えることなしに会社法の議論をしろというのは、極めてバランスを欠く、著しくバランスを欠くと思うんですね。経済司法のあり方を、会社法を見直すのであれば、せめてそういった部分を含めてバランス論から考えても見直すべきだと思いますが、ここは局長さんたちでは無理だと思います、この御答弁は政治家の方にお話をいただきたいと思いますが、副大臣、いかがですか。
○滝副大臣 委員の御指摘はそれなりに私どもも共感をさせていただくところがあるだろうと思います。 特に、やはり経済事犯となりますと、なかなか今まで、そこまで量刑の問題で手がつかなかった分野だろうと思います。全般には、最近において、殺人、強盗、強姦については量刑のアップをしてまいりました。そういうような観点とまた別の観点でこの経済事犯についてどういうふうなことをやっていくかというのは、それは、最初に刑事局長が申しましたように、社会的情勢に応じて考えていかなきゃならぬ問題でございますから、法務省としても問題意識としては持っていると思いますけれども、そういうような声というものをどうやって受けとめていくかという問題があると思います。 私どもは、そういう今までのようないわば破廉恥罪とは別の観点からの経済事犯についてどういうふうに受けとめていくかというのは、私どもの課題として持っていかなきゃいけないというふうに思います。
○近藤(洋)委員 ぜひ、この問題は早急に議論すべきだと思うんですね。 私は、繰り返すようですが、別に企業性悪説に立つ者ではありません。それぞれの企業の個人個人は、経営者にしろ従業員個人個人は、よかれと思って物事をやっているんだと思うんです。 ただ、結果として、こういった内部統制がきかずに、まさに脱線してしまうわけでありまして、そういった問題に対して今の法体系では対処できていない、さらには、その道筋もこの会社法案では示していないということを強く指摘したいと思いますし、先ほどの、前段のガイドラインが六月とか七月に出るという話でございましたけれども、だとするならば、くどいようですけれども、この審議も六月までじっくり審議をさせていただきたいものだということを申し上げて、質問を終わります。
○塩崎委員長 次に、計屋圭宏君。
○計屋委員 民主党の計屋圭宏でございます。 それでは、会社法案に入る前に、原理原則、会社というものについてお聞きしたいと思います。 まず、会社とは何ぞや、定義をひとつ教えていただきたいと思います。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。 会社法制は、営利事業を行おうとする者が共同して出資を行い、これを用いて事業を行い、利益を得ることを可能にするために設けられた制度であると思っております。したがいまして、会社とは、営利事業を行い、それによって得た利益を出資者である構成員に分配することを目的とした団体であると言うことができるのではないかなと思います。
○計屋委員 確かに、要約すれば、人と社会に役立つと同時に利益の追求だ、こういうことだと思うんですよね。 そういったふうな観点からしますと、営利目的ということですから、そういったことを考えてまいりますと、この会社法案というのは、私は、法務委員会じゃなくて、まず経産委員会で、経産省からこれは出てくるんだろうと思うんですけれども、この辺はどういったふうなことなのか、御説明いただきたいと思うんです。
○寺田政府参考人 便宜、私どもから御説明申し上げます。 会社は、これまでいろいろな伝統があるわけでございますけれども、やはり経済活動をする点での法人としての非常に基本的な単位であります。もともと、法人ができる前に団体的なものがございます。日本の民法の上での組合ですとか、あるいは商法で言うところの匿名組合というようなものがございます。しかし、それが一つの権利義務の主体ということで、それ自体が一つの活動単位として認められるということで法人化されているわけでありまして、それが会社になるわけであります。 会社は確かに営利目的ではありますけれども、そういった社会における経済活動の基本をなしているものでございますから、これは民法とともに商法の中にこれまで置かれてきて、それで明治以来の伝統を持ってきているわけであります。 もちろん、これは産業政策上も非常に重要な問題であろうというふうに思いますし、あるいは、経済活動の非常に特殊な場面においても会社というもののあり方というのが考えられなきゃならないということは言えようかとは思います。しかし、そういったものも一切含めて、一般的に法人としてのありようというものを考えるという意味では、やはり法律の基本である商法の中に置かれていた伝統を踏まえまして、法務省として立案をし、国会に提出させていただいているわけでございます。 ただ、この内容においては、法制審議会というところで審議をいたしておりますけれども、その法制審議会にも関係省庁としてきょうお見えの省庁もそれぞれ御出席いただいていたわけでございますし、産業界の方々の意見というのも十分に反映させていただいているわけでございます。 しかし、他方、そういった方に対する、債権者でありますとかあるいは一般の消費者でありますとか、いろいろな立場の方も、また会社を取り巻く利害関係者としておいでになるわけでありまして、そういった方々の利害も十分に反映した上で提出をさせていただいているということで御理解をいただきたいと思います。
○計屋委員 断っておきますけれども、御答弁は短く、三十分ですから、よろしくお願いします。 私は、今お答えいただきましたけれども、これは逆だと思いますね。やはり自由な経済行為というものを行っていくという観点において、ここはもとですね。そしてその上で、つまり法的なものを網をかぶせていくということが原理原則だと思うんです。こういったふうに、法的なものを縛って、そしてその中で経済行為をやれというような、逆の立場から見ているところに大きな問題が生じてくるわけであります。 ですから、ここで中身に入ってまいりますけれども、平成二年の商法改正から十五年が経過したわけであります。平成二年五月二十五日に清水民事局長が、最低資本金制度は高ければ高いほどよいと答弁しているわけです。今、なぜこの方針を百八十度変えて改正をしようとしているのか、そのポイントについてお答えいただきたいと思います。
○南野国務大臣 株式会社の債権者にとりましては、現に株式会社が保有している資産が責任財産というふうになります。したがいまして、債権者の保護の観点といたしましては、会社設立時の資本金の額よりも、むしろ、株式会社の財産状況、すなわち責任財産の額が適切に示されるということ、また、株式会社の財産が適切に留保されるということが重要となってくるわけであります。資本金というよりも、実際の動きの中でそれが見えてくるということであろうと思っております。 会社法案では、株式会社の財産状況の適切な開示のために、会計帳簿の作成の適時性、正確性の明文化、また会計参与制度の創設、そして会計監査人の設置範囲の拡大、または貸借対照表の公告の義務づけなどを措置していこうとしているところでございます。 また、不当な財産流出を防止するために、株主に対する会社財産の払い戻しについて統一的な財源規制を課し、財源規制に違反して配当等を行った取締役の責任についても、分配可能額を超える部分については総株主の同意があっても免除することができないこととするなどの措置を講じようとしております。 これらによって、形式的な最低資本金規制よりむしろ実質的な会社債権者の保護が図られているというふうに考えますので、最初の資本金ということと、それから運営していくその実績ということについて我々はやっているところでございます。
○計屋委員 資本金よりも運営の中で実績を上げていくということが大切だということ、これはそのとおりなんです。 ただしかし、会社を立ち上げるということは、これは当初、会社を運営するという観点から、電話も必要だ、車も必要だ、あるいは机も必要だ、事務用品が必要だ、こういうことになってまいりますと、これは経費がかかりますから、そういう点で、やはりこの運営というものをやっていく上において資本金というのはある程度必要だろう、こういうふうに考えるわけです。 ですから、こういったふうな観点から考えてまいりますと、やはり私は、一方では大変無責任な部分があるんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、これについて御答弁いただきたいと思います。
○南野国務大臣 先生がおっしゃっている不適切な問題点が起こり得るというのは、きっとペーパーカンパニーとかそういうことをお考えになっておられるのではないかな、そのように思っております。 会社設立時の最低資本金規制を撤廃すると、株式会社の設立はそれは容易になりますけれども、会社を用いた法人格の濫用があった場合には、会社の設立の難易度とはかかわりなく、これに適切に対処する必要があろうかというふうに思っております。 法人格の濫用の問題につきましては、現行法におきましても、一つは、発起人及び取締役等の第三者に対する責任、また、判例上認められている法人格否認の法理によりまして対処がされております。会社法案におきましても、この点は変わりはございませんということを申し上げたいと思います。
○計屋委員 ペーパーカンパニーとかいうことよりも、健全に会社を運営していくということは経費がかかりますし、そして、それを担保する手段というのがないと、せっかく会社はいい方向に伸びようとしていても、これを金融面で補足していくということがないわけです。だから、ばらばらということになるんです。 先ほども質問がありまして、同僚の中塚一宏氏が税務体系と一体となっていないということをおっしゃっていたわけですけれども、やはりこれは金融面でフォローしていかない限り、一円で会社を始めたとしても壁にぶつかる、あるいはまた、せっかく前向きで将来の展望が開けても、そういったような手だてをしていないというところに私は大きな無責任な部分あるいは危険性というものが伴っていくだろうというふうに思うわけですけれども、これについて説明していただきたいと思います。
○七条副大臣 私の方は、金融庁から御答弁をさせていただきたいと思います。 今先生御指摘になられましたように、新しく企業を設立させる場合、特に中小企業が何をやっていくかというときには、経営実績がない、あるいは資産の背景に乏しいというようなときに、資金調達の円滑化が一層重要であるということはもう先生が今言われたとおりであろうと思いますが、これは一般論として言うならば、資金の融資の判断は各金融機関の自主性にゆだねられているということも間違いないと思っております。 しかしながら、金融庁としては、例えば昨年末に公表いたしました金融改革プログラムにおいて、不動産担保あるいは保証に過度に依存をしない資金調達方法の拡充を掲げて、事業からのいわゆるキャッシュフローを重視する、あるいは企業に対する金融機関の目きき能力の向上なども含めて、担保、保証に過度に依存をしない融資の推進を金融機関に繰り返し要請をしておるところでございます。 例えば、先生、私も中小企業の社長をやっていたことがありますが、売掛金というものの契約をする、そして、売り掛け債権を一つの担保にするとか、あるいは、在庫が今これだけはあるんだよという在庫について、それらを整えていくとかいうようなことをどうしてやるかというようなことも一つの方法だろうと思いますけれども、これらを受けて各金融機関においては、中小企業向けの無担保あるいは第三者保証不要というようなことの融資に積極的に取り組んでいかなければならないし、そういうふうに指導をしてきたところでございますし、金融庁としては引き続き、こうした取り組みの推進を通じて、新規に会社を設立する企業を含む中小企業への円滑な資金供給を各金融機関に働きかけていきたい、こう考えているところでございます。
○計屋委員 売掛金を担保とするというようなことだとか無担保融資というものを活用していけばいいだろうということなんでしょうけれども、ただしかし、最初一円で会社をスタートして、そして既存の会社が活用するようなことをやれといっても、これはいろいろな問題で問題がある。 つまり、どういう問題かというと、やはり役員が一人でも会社がスタートできるわけですから、これはブレーンもいない、あるいは今度は会社の仕事の営業もしなきゃいけない。そういったようなことで、やはり実績があればそういったふうなことも研究してやれるわけですよ。ところが、初めて一円で会社をスタートして、それでそういったことをやれといっても、これはなかなか難しい。ですから、行き詰まって、資金ショートする。この制度というのは、つまり一円で、取締役も一人でやっていけるということですから、会社を起こしていくということについては大変いい制度なんですけれども、やはり不十分だろう、こういうことを言いたいわけです。 ですから、なぜ、そういったふうな資金の調達から、さらには税制関係も合わせて一体となった形でこの会社法案を推進しないのか。もうばらばらだと思うんですよ。これは時間を待たなきゃいけないんですけれども、資金ショートでかなりの会社が倒産する、あるいは休眠会社になる、やはりそういったことを大変懸念するわけです。 ですから、そういったことについてやはりここでもう一回、時間もあるようだし検討して、そういったものも織り込んだ形で検討されるように切に要望したいと思います。
○七条副大臣 先ほども私、答弁いたしましたけれども、少なくとも金融機関が自主的にこれを判断するということが本来の事実でありますし、当然、一円で何かをつくりたい、あるいはそれをできやすくするということは一つの重要なことであろうと思いますが、少なくとも、最初から企業をつぶすためにやるのではなくて、存続させてきちっとやりたいためにやっておられることは間違いがないと思います。それらを支援していくのが金融機関であり、それを指導していくのが私たちの立場だと思っているところでございます。
○計屋委員 形はつくって魂が入らずということだろうと思います。ですから、そういうことも含めてしっかりと検討して、今、中小企業が廃業とか倒産というのが大変多くなって、企業を起こすというのが少ないわけですから、企業をどんどん起こしていくということは評価するわけですけれども、そういったような金融面の支援だとかあるいは税制面の優遇だとか、こういった面でもっともっと配慮していかなきゃいけない。ですから、あべこべだということはそういうところに見られるわけで、もっともっと原点に返って、こういうことを原理原則に基づいて研究、検討しなきゃいけない、こういうふうに思います。 では、次に進みますけれども、有限会社から株式会社への移行期間について、この期限は無期限なのか、御答弁いただきたいと思います。
○寺田政府参考人 この法改正に伴いまして、有限会社制度というのは本則からなくなるわけであります。しかしながら、現在の有限会社というのは、そのまま有限会社として残るわけであります。もっとも、法律上の厳密な意味での性格は、非常に特例的な株式会社の一形態ということになるわけでございますが、実質的には有限会社と同等でございます。 これは、移行期間については全く期間の定めがございませんので、いつまででも株式会社の通常の形態に移行することができます。
○計屋委員 そこで、移行するという意思のある人は、株式会社の方が自治をとれる、あるいは会社の運営がうまくいくというようなことであれば、やはりこれも手当てをしてやる必要があるんですよ。これは、移行していいということで、いつまでも期間を設けないでやっていくということにおいて、複雑になってまいりますし、また登記費用を初めとする、会社のパンフレットのつくりかえだとか、あるいは事務用品のつくりかえだとか、これは大変な費用がかかりますので、こういったようなことを金融面から支援するということが大切だと思うんですが、これについてお答えいただきたいと思います。これは、金融副大臣。 〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕
○七条副大臣 私の方の担当で違うものですから、そのままお答えするわけにいかないので、失礼させていただきます。
○計屋委員 これは金融に関係することですから、やはり金融副大臣がこれに答えてもらわなければ。質問をよく聞いていないんじゃないですか。もう一回御答弁をお願いします。
○七条副大臣 これは、先ほどからお話がありましたように、金融の中で借りるとか貸すとかいうような話ですね。それから、例えば株式で融資をするとか融資をしないとかいうような話については、これは企業が自主的にやるべきこと、そして企業の中で自主的に何かができないときに、金融機関がお手伝いをする範囲はどこまであるかということを決めていく。あるいは、目ききという形の中で、企業がどういう形でやろうとしていることに対して目ききを持つかというようなことも含めて、考えなければならないということがいっぱい出てまいります。 ですから、先ほど申し上げたように、自主的にやらなければならないから、金融機関だとか、あるいは金融機関の中には株あるいは証券とかいうようなところも入ってまいりますけれども、そこが一つの考え方の中で実施をし、それらを監督していくために何ができるのか。例えば、税の問題につきましては、先ほど言った財務省の感覚でどうやるか、あるいはそれらを援助していくために金融庁がどうできるかというようなことになってくるんではないかと思っているところでございます。
○計屋委員 今の答弁だと、非常に無責任に過ぎるんですね。企業というものを、今、日本の景気の回復、あるいは企業の再生、世界の中で日本が競争に勝っていくということにおいて、競争力が今低下しているから競争力をつけていこうという観点から、資本金が一円でもいい、こういうことにしたわけでしょう。資本金が一円でもいいということは、ではどういう意味で一円でもいいということでしたのか、そこのところをもう一回答弁してもらいたい。 だから、そういう点ではもうちょっと真剣に考えていかないと、これは日本全体の景気の回復と、あるいは日本の国を将来どうするかという大きな観点に立って考えていかなきゃいけないわけであって、自主性に任せるということは大切なんですけれども、やはり政治というのは、ではどこにスポットを当てていくかということが大切であって、そういったような無責任なことをやっていたならば、これは日本の国はどこにかじを切っていくのかと私は心配になってきたんですけれども。
○保坂副大臣 経済産業省から御答弁申し上げます。 一円起業あるいはこのたびの会社法の最低資本金の制限の見直し等につきましても、私は、明らかに産業政策が入っていると思うわけですね。一円起業に関しましても、現時点では約二万社がスタートいたしまして、雇用では八万人の雇用が確保されたと言われております。 確かに、先生おっしゃるとおり、つくるのはつくったけれども休眠法人だとか、あるいはまた破綻するんじゃないかというお話がございますが、おかげさまで今のところ破綻の数は少ないんですね。そして、上場まで卒業していこうというような企業がどんどん出てきておりまして、日本の企業の状況がややもいたしますと閉業率の方が多い、起業、また創業、そういうような率が非常に低かったものでございますから、これを契機に、私たちは一つのきっかけにしたい。 そしてまた、こういう力のない方々に対する融資制度は、先ほども七条副大臣からお話がありましたけれども、政府系三公庫を初めとする政策金融もありまして、担保や保証人に過度に集中しない制度が整っておりますから、そのあたりでフォローしてまいりたい、このように考えております。 〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕
○計屋委員 今、一円でも会社ができるということで、これを特例として認めてきて、ふえている。ただしかし、これは二年、三年、五年して結果が出てくることでございますから、今まだ二年程度では、これは持ちこたえているということも言えるし、四年、五年待つことが大切で、やはりそういった一体として弱い零細企業、本当に一円で、役員が一人でスタートする企業を伸ばしていくということは大切だ、こういうふうに思います。 時間もなくなってまいりましたけれども、次に進めさせていただきます。 会社参与のネーミングについては、非常に古めかしいわけですよ。もっとわかりやすいネーミングで、もっと夢と希望のあるようなことでないと、受け身のこういったふうなことではちょっと何か夢と希望がないんじゃないか、こういうふうに思うんです。 そうしてまた、もう時間がなくなってまいりましたので、もう一点つけ加えて質問させていただきますと、この会計参与制度というのは、どちらかというと受け身なんですね。やはり企業を起こしてこれを経営していくというのは、前向きで取り組んでいかなきゃいけない。前向きに取り組む形のものというのがやはり足りないわけですよ。ですから、私は冒頭に、会社の原理原則、それから、法務省じゃなくてやはり経産省で、こういったふうな自由な経済行為というものをして、そこに法の網をかぶせていくという、これが大切だと思っております。 ですから、例えば税理士さんがこれに当たるということであれば、分析能力は大変高いわけですから、税理士さんにコンサルタントの資格を与える。あるいは、これはただ与えるんじゃなくて、やはり講習して、資格を与えて、そしてコンサルをしていく。つまり、起業の行為というのは、前向きに取り組んでいって、それで出たところをきっちりチェックしていくということが大切ですから、チェックすることは厳しいけれども前向きは勝手にやれよということで、やはりこれにコンサルをして、方向性というのを示してやって経営指導していけば、会社というのは伸びていくということはもう火を見るより明らかなわけですよ。 ですから、そういうことを考えて、もっともっと前向きに取り組んでいかなきゃいけないんだろうと思いますが、こういうことに対してどういったふうに考えているか、見解を示していただきたいと思います。
○南野国務大臣 先生お尋ねでございます、また、会計参与というのがちょっとお嫌いなように見受けましたが、会計参与制度といいますのは、公認会計士や税理士といった会計の専門家が、役員として取締役とともに計算書類を共同作成するとともに、株主や債権者に対してその計算書類を開示する義務を負うということによりまして、主に中小企業における計算の適正を確保しようという制度でございます。 ところで、辞書などを見てみますと、参与というのは、いろいろなお考えがおありだと思いますが、「ある事に関係すること」、また「学識経験ある人を行政事務などの相談にあずからせること」とされております。すなわち、会計参与は、単なる計算書類の共同作成者というにとどまらないで、その過程において、その専門的知識または知見を駆使して取締役に会計に関する適切なアドバイスをするということにより、適正な計算書類の作成業務にあずかるべき存在であることから、いい名前で、会計参与の名称を用いるということにしたものでございます。 もう一つ先生お尋ねでございました税理士さんなどの件でございますけれども、税理士さんなどの専門的知識を有する方は、各会社に対してさまざまな形でかかわることが今考えられておりますし、しておられると思いますが、今回の会社法案におきましても、計算書類の適正さの確保を図るという趣旨から、会計の専門家が会計参与という立場で計算書類の作成に携わる制度を設けているところであります。 もっとも、財務や会計の専門的知識を有する方の株式会社に対するかかわり方はそれだけにとどまるものではなく、各会社のそれこそ工夫により、専門的知識を有する方との間で任意の契約を結ぶことによって、先生が御指摘のような経営コンサルタントのような役割を果たしていただくことも可能でございますので、先生の意に沿っているものというふうに思います。
○計屋委員 時間が参りましたけれども、これは受け身の形のものじゃなくて、もっと積極的に会社の発展性というものを考えたネーミングにして、また、もう一歩踏み込んだ形の業務というか経営指導というか、こういったことをやれるようにもっと明確にしていく必要があると思いますので、ぜひお願いを申し上げて、私の質問は終わります。 ありがとうございました。
○塩崎委員長 次回は、来る十三日金曜日午前九時十五分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十五分散会