法務委員会 第9号
- 発言数
- 284 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2005/04/01
会議録
○塩崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長安藤隆春君、法務省大臣官房長小津博司君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省保護局長麻生光洋君、厚生労働省大臣官房審議官大槻勝啓君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、厚生労働省職業能力開発局長上村隆史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木秀典君。
○佐々木(秀)委員 民主党の佐々木ですけれども、これから質問させていただきます。 今まで、監獄法という法律によってこの制度が持たれてきたわけですけれども、九十数年ぶりにこの法律が廃止をされて新しい刑事施設法が誕生するということになったわけです。今度のこの法律は、単なる監獄法の改正ではなしに、全く新しい思いで新しい制度をつくるんだということで、政府としてもこの法律を新しい名称のもとに出されたのだろうと思っております。それだけに、きのうも我が同僚の伴野委員の質問にもありましたけれども、大変に重い法律なのだ、それに取り組んでいるということについての緊張感ということも伝わってくるような質問があったわけです。 私もやはりそのように思っておりますが、それだけ大事な法律を今つくろうとしているやさきに、実は、昨日、私ども民主党の朝の法務部門会議で、矯正局の方から矯正関係にまつわる職員の不祥事の問題が幾つか報告されたのは、まことに残念というか情けないというか、そういう思いに駆られたわけです。 そこで、改めてここで矯正局の方から、この事案について御説明を伺う必要があるのだろうと思います。 きのうの御報告によりますと、幾つかの不祥事の中で、三つの類型に分かれると思うんです。 一つは、矯正施設の中にいる、例えば刑務所の受刑者を所外の病院での治療を受けさせるために移送する。そしてその移送について職員が、これは大体三名ぐらいらしいんですけれども、くっついていくわけですね、監視業務なんですかね。ところが、その業務に行って、病院に行ってから、その三名のうちの職員が数名、これはかわるがわるということになるかもしれませんけれども、定められた勤務要領に従うことなくパチンコ店で遊興した、あるいは飲食店あるいは病院内において酒を飲んだりというようなことだとか。これは、一つは平成十六年十二月二十五日の名古屋刑務所の事案です。 もう一つは、同じようなことが黒羽刑務所でも起きていて、これはそれよりも前年の平成十五年の八月二十八日と十二月十七日、それから翌年の十六年の五月二十一日と八月三十日と、何回にもわたっているんですね。これがやはり看守部長が酒を飲んでいる。 それからまた、同十五年の十月二十六日と十六年の八月十一日には、別の看守部長が夕食時に酒を飲んでいる。十五年の八月二十二日と十月二十六日は、別の看守部長がこれまた夕食時においてその勤務中に飲酒をしているというようなことが行われている。 それからまたもう一つの事案は、これは大阪矯正管区内で、いわゆるセクハラ事件というものが幾つか問題になって、それぞれが懲戒処分も受けているわけですね。 そのうちの一つは奈良少年院の事案。これは、少年院の法務技官が、平成七年から十四年にかけて、同僚の女子職員に対して一方的な恋愛感情を抱いて、その身体を見せるようになどということを言ったというようなセクハラ事件。 それから、大阪府阪南市の和泉学園でも同様なことがあったということで、やはり処分が行われている。 それともう一つは、大津の少年鑑別所の事案ですけれども、これは平成十五年の六月に、鑑別所の幹部職員が、酒を飲んだ際に二名の女性に対して抱きつくなどのセクハラ行為を行って処分をされているというようなこと。 それからまた、奈良の少年刑務所では、平成十五年の五月から十六年の八月にかけて、幹部職員が、同所で勤務する女性に対して、やはりセクハラのようなことをして処分を受けている。 それともう一つ、私は、これに比べて最も悪質であり許せないと思うのは、京都少年鑑別所の事案なんですけれども、これは平成十五年の四月に、この鑑別所の法務教官が、担当していた女子少年に対してセクハラ行為を行った。しかも、ほかの職員に言うなと言ったり、先生というのは自分のことだろうと思いますが、先生との約束を守れとかしむけて、それでそういう行為に及んでいる。それぞれ処分を受けていますけれども、これなんかは本当に許せない行為だと思うんです。 とりあえず、これらのことについて、私が今言ったようなことが事実あったのかどうか、どうしてこういうことが、しかも、これは数年前のことなのに今になってなぜこれが出てきているのか、これを説明していただきたいんですが、その前に、法務大臣、これらのことについて大臣としては御報告をいつごろ受けておられますか。
○南野国務大臣 病院移送中の飲酒事案につきましては昨年の十二月下旬、それから、東京拘置所の事案が発覚しました時点でこれは矯正局から御報告を受けております。その後、本年二月の十七日付で懲戒処分を行うまで、適時報告を受けております。 また、大阪矯正管区内におきましてのセクハラ、今先生お話しになられましたセクシュアルハラスメントの事案につきましては、先日新聞報道がなされたうちに矯正局から報告を受けております。 全く遺憾な出来事であると思っております。
○佐々木(秀)委員 では、局長、これについて説明してください。
○横田政府参考人 お答えに先立ちまして、このような不祥事が相次いで起きましたことに対しましておわびを申し上げます。 まず、事案の概要でございますが、東京拘置所、黒羽刑務所それから名古屋刑務所のいわゆる病院移送勤務中等における飲酒等の事件、それから、いわゆる少年施設におきます、奈良少年院、和泉学園、大津少年鑑別所、奈良少年刑務所、奈良少年刑務所は少年施設ではありませんけれども、行刑施設でございます少年刑務所、そして京都少年鑑別所のそれぞれの事件につきましては、事案の概要はただいま佐々木委員が御質問の中でお述べになったとおりでございますので、それ以上述べません。 これらにつきましては、重いものにつきましては停職、それから、それよりはやや軽いと言ったら語弊がありますけれども、それに至らないものにつきましては減給という処分をそれぞれいたしております。 それで、東京拘置所、黒羽刑務所それから名古屋刑務所の事件につきましては、もとより直ちに処分時におきまして公表いたしておりますけれども、少年施設等におけるいわゆるセクシュアルハラスメントの事件につきましては、当時、公表ということはいたしておりませんでした。もちろん、いわゆる情報公開という形で明らかになったわけでございますけれども、これらはいずれも、その被害者が女性、セクシュアルハラスメントということでございますので女性である、そして、特に佐々木委員が強くおっしゃっておられた京都の事件につきましては、少女ということもございまして、やはりプライバシーの問題ということを最優先に考えました関係で、当時といたしましては公表はいたしていなかったということでございます。 そして、これらの事件が起こりましたことにつきましては、私どもも大変遺憾に思っておりますし、各施設において同種事犯の再発を防止するための研修などをしておりますし、京都少年鑑別所におきましては、特別にこの女子被収容少年の適正な処遇について指示を発出するなどしております。今後とも、このような事案が起こらないように、私どもといたしましても、再発防止にあらゆる知恵を絞って努めてまいりたいと考えております。
○佐々木(秀)委員 例えば名古屋刑務所の事案では、報告によると、Aという看守部長は四回にわたってこういうことをやっているというんでしょう。一回だけじゃないんだよね。ほかもそうだと思いますけれども、同じ人間が何回も何回も同じような業務の最中にこういうことをやっているというのは、これはもっと早くにわかって、処分されるべきじゃなかったかと思う。 それからもう一つは、これはいずれも、所外の病院に移送あるいはそこで診療を受けるについての立ち会い監視みたいなことをやっているわけですけれども、これは時々私などのところにも受刑者から手紙が来たりしまして、外の病院で見てもらいたいと言っているんだけれどもなかなか見てもらえないというような苦情が結構多いんですよね。 そんな中で、外の病院に連れていって診せるあるいは治療を受けるというのは、やはりよほどの重体の患者だろうと私は思うんだ。だとすると、何で監視を三人もつけなきゃならないのか。およそ逃走の可能性なんというのは、そういうような患者については私はないんじゃないか。しかも、単純な治療を受けるというんじゃなくて、いろいろな、手術だとかあるいは入院だとかも恐らくさせるんだろうと思うので、何も大の男三人もやらなくたっていいんじゃないですか。そうでなくたって、刑務所はそんな暇じゃないわけでしょう。 これから後でまた質問も出ますけれども、もっと職員をふやす必要があるんじゃないかということになっていくと思うんですよ。にもかかわらず、こういうことに三人もその都度つけることになるから、結局、暇だから、暇な連中がこうやって酒を飲んだりパチンコに行ったりするということになるんじゃないですか。これは何を根拠に三人をつけてやらなきゃならないのか。こういうことがあったにしても、いまだに変わらないで同じようにやっているのかどうか、その辺はどうなっているんですか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 まず、最初に委員がおっしゃいました名古屋刑務所につきまして、一人の人が四回ということなんですが、これは決して、だからいいという意味で申し上げるわけではございませんけれども、正確を期する意味で申し上げますと、同じ日に四回ということでございますので、同じ勤務中にしたということでございますので、その点、だからどうということはございませんけれども、正確を期する意味で申し上げさせていただきます。 それから、三人も要るのかということでございますけれども、まず、本件のケースでも見られますけれども、重体の人もいますし、また重体でない人もいるということもございます。それから、三人ですけれども、これは最低限、常に二人がいられるように、つまり、仮眠をとった場合でも二人で見られるように、監視の職員がトイレに行った場合でも常に二人はいるように、一対一にしないようにということで三人にしているということでございます。それから、これまでも過去に病院から逃走されたというケースも、これも遺憾なことですけれども、現に発生しております。 それからもう一つは、これは施設外にいるわけですので、単に逃走だけではなくて、やはり外部からまた、病院に入ってきている被収容者に対して何らかの働きかけあるいはその他のものがあっても困るわけですので、そういった面での保安というものがやはり必要でございますので、やはり三人は必要だということで運用しております。
○佐々木(秀)委員 どうもその辺が私としては納得がいかないのです。それで、今の三人体制というのは、こうしたことがあった後も変わってないんですか、依然として同じようなことを続けているんですか。だとすると、同じようなことがまた起こり得るんじゃないだろうか。とにもかくにも、別々のところで、何カ所も何カ所もで同じようなことが行われているんですからね。まあ士気がおかしいということもあるのかもしれないけれども、どうなっているんですか、一体。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。 私どもといたしましては、こういう施設外に受刑者を移すわけでございますので、その警備とか保安といいますかにつきましては、安全を確保するためにはやはり三人は必要だ、三人行って、少なくとも二人は常に監視に当たるということが必要であるというふうに考えております。そういうことで、現在も行っているところでございます。
○佐々木(秀)委員 今のお話を聞いても、まあ二人いれば間に合うんじゃないかな。場合によったら一人だって私は何でもないと思うんだよね、病院の方だって管理しているわけだから。それに三人もつけて依然としてそのままやっているというのは、こういうことが起きた後でもなおというのは、私はどうも改善の方向が見られないように思えてならないんですよ。そうやってかえって余裕ができるからこういうことになるので、余裕ができないで、しっかりその業務に当たらなきゃならないという方が、こういうことを起こさないことになるんじゃないかとも思うんだけれども、その辺はぜひ検討してもらった方がいいと思うんです。 それと、セクハラ事案などは、これは最も許せないのはやはりそこの収容者に対するものだと私は思うんだけれども、そうでないにしても、やはり同僚の女性職員に対してなんというのも同じように二つもあるんですね。これは、もちろん本人のその性格がということもあるのかもしれないけれども、それにしても、あちらでもこちらでもこういうことが起こるというのは、やはり職員の教育というかそういうことにも関係しているし、それから適性という問題もあるんだろうと思うんですよ。 処分を見ると、この女子職員に対するという二人については、それぞれ配置がえになっていますね。だけれども、それだけにとどまっているんじゃないかな。これは処分としてはまことに軽いんじゃないかと思うんだけれども、またそのかわった先で問題を起こすなんということはないんですか、こういう人は。その辺、どうなんですか。
○横田政府参考人 まず、先ほどの三人体制について一つだけちょっと補足させていただきたいんですが、先ほど申し上げましたのはあくまでも原則であるということで、運用といたしましても、場合によっては、例えば全く意識がないようなそういうようなケースもあるわけですので、そういった場合に三人をどうしても厳守しなければならないということでは決してございませんので、そこのあたりはちょっと御了解をお願いしたいというふうに思っています。やはり、相手の問題とか周囲の環境の問題とか状況とか、そういったものに対して、原則は三人であるけれども、すべて三だというふうに申し上げるつもりはございません。 それから、ただいまの処分の問題でございますけれども、軽過ぎるんではないかとおっしゃられるわけなんですが、これは委員もちろんおわかりと思いますけれども、これもある程度、やはり処分といいますのは処分される者の公平ということも必要でございますので、いろいろな処分例を勘案しながら、そういったもので妥当な処分を私ども行っているというふうに考えております。 それから、行った場所でまた同じことを繰り返すんじゃないかということでございますけれども、これはもちろん、本人が十分に自覚して反省してもらうということですし、また、それなりの体制を私どももまた、同じような行為が起こらないようにいろいろな体制をつくり上げていくということで、決して、断じてそんなことがあってはならないというふうに考えておりますし、ないものというふうに思っております。
○佐々木(秀)委員 いずれ今度新しい法律ができましたら、そのもとでのこの矯正関係の職員のあり方、あるいは採用の問題も含めてになると思いますけれども、相当しっかりしてもらわないとどうにもならないわけですね。そうかといって、これは新法ができるまでじゃない、今、現状でもちゃんとしてもらわないと、矯正関係に対する国民の信頼を大きく損なうことになるわけですから、重大な問題だと思うんですよ。これはしっかり取り組んでもらわないと困りますね。 それからもう一つ、不祥事案ということになるのかどうか。東京拘置所に収容されていた被告人が自殺をしたという事件があったんですね。それで、その亡くなった人の母親が国家賠償請求をして、この訴訟が、一月の末に出て原告の請求が認められているわけですね。この内容はどんなことでしたか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 お尋ねの訴訟でございますが、これは東京拘置所に収容されておりました元被告人が、平成十四年六月三十日に居房に備えつけられておりましたぞうきんをのみ込んで自殺した。これにつきまして、今委員おっしゃいましたように、その元被告人の遺族である母親が国に対しまして損害賠償を求める訴訟を提起いたしましたところ、本年一月三十一日、東京地裁におきまして、国に対し約三千万円の賠償を命ずる判決がなされたものでございます。 その理由とするところは、元被告人が自殺をほのめかすメモを職員に提出していたにもかかわらず、職員が居室からぞうきんを撤去しなかったことには過失があるなどというものでございまして、この判決に対しましては、国としては事実認定等に承服できない点があるということで、本年二月十日に控訴しております。
○佐々木(秀)委員 実際にこれは亡くなってしまったんですね。まあ、ぞうきんを口の中に入れてそれで死ぬなんというのは、私どもとしてはちょっと考えられないことではあるけれども、しかし何が起きるかわからないわけです。 聞くところによると、いろいろなやり方で、自殺にしても方法があるということを聞いているわけですよ。例えば拘置所だとかあるいは刑務所内での自殺についても、従来の話で、ええっ、そんなことで死ねるのかいというようなことで死んでいるという例は決してないわけじゃない、それは私ども聞いているわけです。 しかも、今回のこの事件の場合には、事前にその本人から自殺をほのめかすというような、そういう何かメモみたいなものを渡されていた。これはどういうふうに受けとめていたんですか。それで、それに対してどういう対処をしていたんですか。結局はそこについての対策というか処置が適切でなかったからということで、恐らく裁判所は拘置所の責任を認めたんだろうと思うんだけれども、その辺はどうだったんですか。
○横田政府参考人 この元被告人が自殺をほのめかすメモを出したということは、これは裁判所の認定の問題でございまして、このメモの内容としては、ありがとう、疲れたという内容であったということです。これが自殺をほのめかす内容であるかどうかと直ちに断定できるかどうかのあたりは、これはまた意見の違いがあるんじゃないかと思いますが、施設側といたしましては、その内容から直ちにこの人が近く自殺をするおそれがあるとまでは判断しなかったというふうに聞いているところでございます。
○佐々木(秀)委員 控訴をしたということですから、まだ決着がつかないにしても、一応、とにもかくにも証拠調べをして、東京地裁は一審、これだけの判決をしているんですから、やはり相当な心証を裁判官は得ての上のことだろうと思うんで、こういうことというのはやはり二度とあってはいけないと思うんですね。さっきも言ったように、本当に何が起こるかわからないわけですから、万全の上にも万全を期していただかないといかぬと私は思うんです。あとは裁判の成り行きを見なければならないと思いますので、この程度にしておきますけれども。 いずれにしても、この法改正のというよりも新しい法をつくろうというこの時期に、あってはならないようなこれらの不祥事が相次いで明るみに出たということは本当に遺憾だと思いますので、その点は心して当たっていただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。 そこで、法務大臣。大臣に就任されてそんなにまだ日がたっておらないわけですけれども、恐らくこの法改正を意識されて、矯正施設をいろいろごらんになっているんじゃないかと思います、限度はあったと思いますけれども。御就任になってからこれまでに、どんなところを御視察になられておりますか、そしてまたどんな感想をお持ちになっておられますか。それをお聞かせいただけますか。
○南野国務大臣 このお答えをする前に先ほどの件でございますが、本当に今、国民の方々に信頼されるべく行刑施設を改革していこうとしているところでございますので、今後さらに注意してまいりたいというふうに思います。 病院についてまいりますときにも、制服でございません、私服にかえてまいりますので、そういう点についても十分配慮したいということは内々で話しておりますので、ちゃんと綱紀粛正できるように頑張っていきたい。 それから病院の中でも、レントゲン室に行く、どこに行く、手術場に行くということは、病院関係者は医療、治療の意味でちゃんとアテンドしてくれておりますが、我々としては、その方の警備またはいろいろな目的があり、ついていっておりますので、その点も御了解いただき、しっかり検討させていただきたいと思っております。 今、お問い合わせの件でございますが、昨年の九月に就任しまして以来、府中刑務所や東京拘置所、山口刑務所、名古屋刑務所、川越少年刑務所の五カ所の行刑施設を視察させていただきました。そのほかに、多摩少年院、山口少年鑑別所、愛光女子学園、関東医療少年院の四カ所の少年施設を視察させていただきました。 それぞれの視察の中でもいろいろな感想を持ってまいりましたけれども、中でも刑務所では、本当に厳しい、過剰な収容状態にある。一一八%、それをどのようにしていくのかという大きな悩みがございました。犯罪白書の中にも記載させていただいており、これは国民の方にも知っていただきたいという観点で取り上げさせていただいていることでございます。 そういうものの改正と、さらにまた国民の方々が安心して安全な暮らしができるようにということについて、受刑者を真に改善更生させたい、そういう気持ちが一番大きな、教育的配慮ということにかけているところでございます。そういう喫緊の課題と考えております。 刑務所を視察しまして、受刑者に少しでも効果のある教育を実施しようという努力、職員の皆、一生懸命取り組んでいるという姿にも感心したという部分がございます。少人数で長時間働きながら、それを維持していこうというのは大変なことであろうと思っております。そこら辺も十分考えながら、人員の問題、予算の問題も考えていきたいと思っております。
○佐々木(秀)委員 短期間に随分たくさんの施設をごらんいただいたということについては、敬意を表したいと思います。 お話がありましたように、やはりそれぞれの施設、私も幾つか見せていただいておりますけれども、一つは、やはり施設が古くなっているところが多いんですね。去年は、法務委員会で札幌の刑務所を伺わせていただきました。今、札幌の刑務所は新しくつくりかえられようとして、これは新しくなるとすばらしいだろうなと思いながら、古い方が余りにもひどいので、これまた一同、見た委員がみんなびっくりしていたんですけれども、そういうことでずっと辛抱してきたわけですね。 今度、国の方でも、そうした行刑施設の改善のための予算はかなりつけてくれているようですし、また、新設のための予算なんかもついている。この間も一月に補正予算が成立いたしましたけれども、この中でも八百億でしたかね、行刑関係、矯正施設に新しい予算がついている。しかし、これだけではまだまだ足りないわけですね。殊に今度、この新しい法律に基づいてということになりますと、人的、物的、もっともっと充実を図らなければならないと思うんです。 結局、私は、この行刑の効果を上げるためには、施設をきちんとすることと、それからやはり人を得ることだろうと思います。それだけに、さっきのような職員の不祥事なんというのはもう許しがたいことなんですけれども、何としても、やはり国民の信頼、それからまた中に入っている人々の人権を守りながら、その人々の矯正を図るための仕事をするにふさわしい使命感と自覚を持ってやれるような職員を得、それを育てる。それによってまた、中にいる収容者との信頼関係というのもできてくるわけですし、それがないとトラブルばかり起こることになりかねない、こういうように思うんですね。ですから、私は、人を得ることというのは非常に大事なことだと思います。 それからまた、この仕事というのは、どんなにいろいろな点が合理化されても、結局最後は人でなければならないわけですよ。どんなにコンピューターが発達したり、あるいは、刑務所へ行きましたらモニターなんかを見せてもらいましたけれども、それぞれ全部テレビなどが入って管理しているという。だけれども、それだけで済む問題じゃないですからね。もちろん、そういう設備の近代化ということもありますけれども、最後は人。だとすれば、私は、どうしても人の増員ということだって必要になってくるんだろうと思うんです。 今、最後に大臣は、予算と人、こう言いましたけれども、そのためにはやはり相当な決意を持って、他の省庁にも御理解と御協力をいただきながら、財源的な措置もとってもらわなければならないと思うんですが、それを例えば閣議の中で強く言っていただける、その御決意をお伺いしたいと思います。
○南野国務大臣 先生おっしゃるとおり、私にとっての役割というのは主にそこに絞られてもいいかなと思うくらい、今一生懸命努力いたしておりますので、どうぞ先生の御協力もよろしくお願いしたいと思います。
○佐々木(秀)委員 もちろん、私どもとしても協力を惜しみませんから、ひとつ大臣としては頑張ってやっていただきたいと思います。 そこで、法案の方に入りたいと思いますけれども、まず、今申しましたように刑務官、これは本当に大事なことなんですね。ところが、今度の法案を見ますと、刑務官についての規定は第十三条があるんですけれども、十三条では「刑務官は、法務省令で定めるところにより、法務大臣が刑事施設の職員のうちから指定する。刑務官の階級は、法務省令でこれを定める。」これだけなんですね。 それで、刑務官に対する研修だとか啓発、特に受刑者の人権に関することについての研修、啓発などについて、さきの行革会議の提言では、受刑者の人権保障を十全なものとするとともに、職員の職務権限の内容及び限界を明確なものとすることが必要だ、こういう提言がなされているんですけれども、それに比べますと、どうもこの十三条だけではその辺がはっきりしない。もう少しこの法文の中で、職員の研修、啓発あるいは規律などについてきちんと明記する必要があるんじゃないかと私は思うんですけれども、この程度にとどめているのはどういうわけでしょう。
○横田政府参考人 お答えいたします。 刑事施設の職員にも、国家公務員法や人事院規則の適用がございます。これに対する研修の実施につきましても、国家公務員法あるいは人事院規則が定めているところでございまして、この法案において、重ねてこのような事柄につきまして規定する必要はないと考えているところでございます。 しかし、受刑者の処遇に当たる刑事施設の職員には、その職務内容にふさわしい知識と能力が備わっていることが必要であることは言うまでもございません。今後とも、そのために必要な研修等の適切な実施を行ってまいりたいと考えております。
○佐々木(秀)委員 私は、さっきから言うように、一般の国家公務員と違うと思うんだよ、この職務は。非常に特殊だと思うんですよ。だから、特別な研修なり啓蒙が必要だと私は思うので、それが必要ないという局長の今のお話はどうも納得がいかないんですよ。もちろん、研修なんかをしないということでない、それなりに考えているんだろうけれども、その根拠となるものは何なのかということですよ。省令で決めるということなのか、その基準なりやり方というのは。 だけれども、私は、むしろ法律の中である程度それについての姿というものをはっきりさせた方がいいんじゃないかと思うんですよ。それは、細かく細かく書くということは法律では難しいでしょう。具体的には省令だとかあるいは規則だとか、いろいろになるだろうとは思うけれども、少なくともこの十三条だけでは余りにも簡単過ぎるんじゃないかなと思うから聞いているんです。その辺は準備はどうなんですか。
○横田政府参考人 今申し上げました人事院規則の中で、一〇—三、「職員の研修」ということでございまして、それの第四条で「各省各庁の長は、職員に対する研修の必要性をは握し、その結果に基づいて研修の計画を立て、実施に努めなければならない。」ということで、それぞれ、その各省各庁、あるいはその各省の中でまたいろいろなセクションあるいは職員がいるわけですけれども、それらの職務の内容、業務の内容等にかんがみて、それぞれ個別に必要な研修を実施すべきだというふうに私ども解釈できますし、したがって、これを根拠に私どもは矯正職員として必要な研修を行うということでやっているわけでございます。
○佐々木(秀)委員 これから恐らく修正協議も与野党間でなされるんだろうと思うので、私は、できることならば、今のような教育だとか啓発を省令に全部任せるということもここには書いていないわけですけれども、少なくとも、その辺の基準なり基本的な姿勢というものを法文の中でうたう必要があるんじゃないだろうか。それによって職員の士気を高め、あるいは自覚を促し、そしてまた、外部からこういう行刑施設の職員に対する信頼感を醸成するということにもつながっていくんじゃないか。この十三条だけでは刑務官についての規定はいかにも物足りない、そのことを強く申し上げておきますので、ぜひ検討していただきたいと思います。 次に、この新しい法律では、第五条で「実地監査」という項目が置かれています。「法務大臣は、この法律の適正な施行を期するため、その職員のうちから監査官を指名し、各刑事施設について、毎年一回以上、これに実地監査を行わせなければならない。」こうなっていますね。職員のうちから指名される監査官、こうなっているんですけれども、まず、この監査官に指名される職員というのはどういう職名の職員を考えているんですか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 これは、矯正局の幹部職員を考えております。
○佐々木(秀)委員 それから、この実地監査は毎年一回以上やるというわけですけれども、この監査の結果は公表されるんでしょうか。その点についてこの規定には何も書いていないんですけれども、公表の点はどうですか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 先ほどの実地監査の監査官でございますが、今度の法律によりまして、毎年すべての施設に行うことに、大分ふやしましたので、その関係で人の問題が起きてまいります。 そこで、これまでは局の幹部でありましたけれども、これからの実施の方法につきましては、今検討中でございますけれども、場合によってはその管区の幹部職員もいろいろな形で関与してもらうことになるかもしれないということをちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。(佐々木(秀)委員「人数的に限られているわけですね」と呼ぶ)はい。監査の対象施設数はもう格段にふえてまいりますので、そういうことでございます。 それから、公表すべきではないかというお尋ねでございますが、これにつきましては、内部監査の信頼性を確保するという観点からその公表を考えています。ただ、施設警備の不備などについて指摘するものなど、これは公表を差し控えるべきものも中にはあると思いますので、そういった点につきましては、どうするかということも含めまして、この公表の方法、内容につきましてはこれからまた検討してまいりたいと考えております。
○佐々木(秀)委員 いずれにしても、公表についてはされるものと考えていいわけですね。
○横田政府参考人 そのように考えております。
○佐々木(秀)委員 次に、第九条の関係です。 刑事施設視察委員会というのが今度新しくつくられることになりますね。これは各刑事施設ごとにつくられるんですね。これは大変結構なことだと思うんです、今までになかったことで。これは非常にいいことだと思うのですが、この刑事施設視察委員会が実を上げるためには、この委員会として実際に施設を視察したり、あるいは施設に対していろいろな質問があったりするだろうと思いますけれども、その際に、第九条では、「刑事施設の長は、」「定期的に、又は必要に応じて、委員会に対し、情報を提供するものとする。」こうなっていますね。ここで提供される情報というのはどんな情報を予想しているんですか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 この法案の七条二項に、「委員会は、その置かれた刑事施設を視察し、その運営に関し、刑事施設の長に対して意見を述べるものとする。」こう定めてございます。したがいまして、このように委員会に的確な意見を述べていただくためには、これは刑事施設の運営全般について実情を把握していただく必要がございます。 そこで、刑事施設の長は、そのために必要な情報、例えば被収容者の収容状況を初めといたしまして、刑務作業や改善指導等の矯正処遇の実施状況、保健衛生や医療の実施体制、不服申し立てや懲罰の実情、施設内で発生した事故の状況、職員の勤務状況、さらには地域住民との協調関係など、施設運営の全般にわたる事項につきまして、定期的にまたは委員会の求めに応じなどいたしまして、委員会に対し情報を提供することになります。
○佐々木(秀)委員 それだけ考えておられるとすればいいんですけれども、それもこの法律に明記されていないものですから、何かわかるような形でぜひそれを明示していただければと思います。 次に、診療の関係ですけれども、これは三十九条。これも、診療について時々私どものところに、中にいる人から、ぐあいが悪いのにちゃんと診てもらえないとかいう苦情が結構あるんですよ。今度の三十九条を見ますと、「刑事施設の長は、受刑者が次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、刑事施設の職員である医師等による診療を行い、」こうなっているわけですけれども、行刑会議などの提言でも、刑事施設における診療についても一般の診療と同じような基準でやるべきだということが書かれていますね。 そうだとすると、診療の希望、要望があったときには、まず、医師としてはそれを断らないというのが原則だろうと私は思うんですけれども、この三十九条の書きぶりを見ると、そうではないようにも思えるんですね。その点はどうなんでしょう。
○横田政府参考人 この法案の三十三条に、刑事施設においては、受刑者の心身の状況を把握することに努め、受刑者の健康を保持するため、社会一般の水準に照らし適切な医療上の措置を講ずる、これは今委員おっしゃったとおりだと思いますが、そういうような規定をするとともに、三十九条で、受刑者が負傷し、または疾病にかかっている疑いがある場合には、必要な医療上の措置をとるものとするというふうに規定しております。 したがいまして、受刑者から診療の申し出があった場合には、仮病であることが明らかな場合など例外的な場合を除き、適切な資格、知識を有する者がその受刑者の状況を把握し、疾病等の疑いの有無について判断しなければなりませんし、そして、その必要あるとき、すなわち疾病等の疑いが認められれば、これは医師による診療等の医療上の措置を講じなければならないのでありますから、重ねて御指摘のような趣旨の規定を設けることは必要はないし、適当ではないというふうに考えております。
○佐々木(秀)委員 いずれにしても、この書きぶりから見ると、希望があったら診るということが原則になっていないんじゃないかというようなちょっと心配があるものですからお聞きしたんですけれども、ここのところはやはりきっちりとやってもらわないと、今まで随分苦情がありますから、その点もぜひ考えてもらいたいと思います。 時間の関係もありますので、六番目はちょっとおいておきまして、七番目に行きたいと思いますけれども、百十二条で不服審査の申し立ての条項があります。ところが、この不服審査の申し立てについては、第二項で、「審査の申請は、これを行う者が自らしなければならない。」本人だけだというようになっているのですが、これは、例えば本人の家族だとかあるいは弁護士が代理人になって申し立てするということを認めてもいいんじゃないかと思うんですけれども、これを認めない理由は何ですか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 この法案の不服申し立てにつきまして、代理の制度を認める必要はないと考えておりますが、その理由としては以下のとおりでございます。 まず一つは、刑事施設における処分は、一般に、違法または不当であるかを比較的容易に判断できる性質のものであることなどから、受刑者が不服申し立てをするか否かをみずからが決めるために困難を伴うようなことはないということ。 それから二点目といたしましては、不服申し立てに関する事項は、収容開始時の告知を初めとしたさまざまな場面で職員から受刑者に教示されること、教えることになっております。 それから三番目といたしましては、不服申し立てにつきましては、これを受けた矯正管区の長または法務大臣が必要な調査をするものとする職権調査主義をとっておりまして、不服申し立てをした後に、受刑者が証拠を提出するなど、何らかの行為をすることは予定されていないことなどから、代理の制度を認める必要はないというふうに考えているところでございます。
○佐々木(秀)委員 富田政務官、どうですか、弁護士である政務官として。 僕は、弁護士を代理人に指定してやるというのは、これはあっていいと思うのだけれども、この辺、どんなお考えを持っておられますか。
○富田大臣政務官 突然の御質問ですので。 今は情願という制度でやっておりますけれども、私も副大臣、大臣と一緒に、情願の裁決でいろいろ申し立て書を見せていただきますけれども、受刑者の皆さん、かなり細かく御自分でやられていますから、何も弁護士が代理しなくても、不服という面についてはかなりしっかりと申し立てて、現在でもされておりますので、新しい制度の中でも御本人が、今局長が答弁したようにやれるのではないかというふうに考えております。
○佐々木(秀)委員 そういう御意見ですけれども、本人がなかなかやりにくいということだってある。それを外に、こんなことがあるのだという苦情を言ってくることもあるのですよね。本人にかわってやってやるということも場合によっては必要ではないかと私は思うので、ここのところはひとつまた御検討いただきたいと思っております。 それから今度の、法改正というよりも新法をつくるに当たって、大臣の提案理由の説明でも、「受刑者には矯正処遇として作業を行わせるとともに、改善更生及び円滑な社会復帰を図るため必要な指導を行うものとすること、」この点が強調されていますね。改善更生ということですね。今度の法案では、八十二条で「改善指導」がうたわれておりまして、「受刑者に対し、犯罪の責任を自覚させ、健康な心身を培わせ、並びに社会生活に適応するのに必要な知識及び生活態度を習得させるため必要な指導を行う」。つまり、「社会生活に適応」ということは、社会復帰をして、そして健全な社会人としてもう一回やり直すことができるように、中で矯正指導するのだ、更生指導するのだ、こういうことだろうと思うのですね。 その具体策として、例えば、麻薬、覚せい剤その他の薬物に依存があること、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員であること、こういう者についてはまた特別なということを考えておられるのだろうと思いますけれども、具体的にはどんなやり方をしようと思っているのですか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 刑務所におきましては、これまでも、罪名または犯罪に至る原因となった性格、行動傾向その他の円滑な社会復帰の障害となり得る要因に着目いたしまして、同じ類型に属する者を小集団として編成して行う指導として、覚せい剤の乱用防止教育、暴力団の離脱指導、窃盗防止指導、それから被害者の視点を取り入れた教育などの処遇類型別指導というものを行ってきたところでございます。 しかし、これらの指導は法律上の根拠が明確ではなかったことから、受刑者に対して受講を強力に働きかけることが困難な状況にあり、また、指導プログラムにつきましても、各施設が試行錯誤の上に実施しているものでありまして、統一的、標準的なものが存在していないなど、十分とは言いがたい面がございました。 そこで、法案におきましては、受刑者全般に対し、その者にふさわしい矯正処遇を受けることを義務づけることとしておりまして、これにより、受刑者の真の改善更生を図るための処遇をより積極的に実施していきたいと考えています。 また、再犯防止のための矯正プログラムを作成するに当たりましては、有識者の御意見を聞きながら、科学的、体系的なプログラムを整備していくことが肝要であると考えておりまして、既に当局におきましては、昨年、薬物事犯受刑者に対する教育処遇や被害者の視点を取り入れた教育につきまして有識者の方々とともに研究会を開催し、現在、標準的なプログラムの策定に取り組んでいるところでございます。 また、そのほかに、性犯罪の再犯防止プログラムにつきましても、精神医学、心理学等の専門家の協力を得て、プログラムを策定する予定としておりまして、各処遇類型別の教育内容の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木(秀)委員 改善指導というのは、本当に言うはやすく行うは難しいと思うのですね。しかし、やりようによっては、効果は確かに上がるのだろうと私は思うのです。 しかし、従来の統計なんかから見ても、再犯を犯す人が多い。同じような犯罪をまた繰り返して、また裁判にかかって有罪になって、また入ってくる、そういうことの繰り返しの人が結構多いのですね。しかし、そうかといってあきらめてはいけないので、やはりいろいろな工夫を凝らしながら、改善指導をしていく必要が私はあるだろうと思う。それによって得られる実績が、この行刑の効果を皆さんに理解してもらい、また、それが大事だなということについても警鐘を鳴らすということにつながっていくのだろうと思うのですね。 そこで、これは質問通告とは関係ないのですけれども、私、ここに「遺愛集」という本を持ってきております。実は、島秋人というのはペンネームなんですけれども、本名が中村覚、これは死刑囚です。私と同じ昭和九年の生まれなんですけれども、非常に貧しい中で、お父さんは警察官だったらしいんですけれども、戦争中、朝鮮で奉職していて、そこで勤めて、早くにお母さんに死に別れて、戦争が終わって引き揚げて、お父さんが職を失ったりして大変苦しい中で、本人もいろいろ病気をしたりして体を壊し、その結果、頭の方にもちょっと影響があったりして、小学校などの成績は常に最下位だったということらしいんです。 そういう中で大変ぐれて、それで子供のときに犯罪を犯して非行に走り、それから強盗殺人未遂事件なども犯して、少年院にも収容される。それからまた、空き家に放火をして懲役四年に処せられて、松山刑務所に服役するというような経歴をたどったあげくに、昭和三十四年に新潟県で、お金がなくて飢えに苦しんで、それで忍び込みをして、その家の主人に重傷を負わせ、またその妻を絞殺して、現金二千円、背広上着など四十二点をとって逃走し、逮捕されるということで、強盗殺人、同未遂罪で、結局、昭和三十五年に死刑の判決を受けるわけです。 このときに、後に日弁連の会長になられた土屋公献先生が国選弁護を引き受けるんです。土屋先生は、その後、控訴審それから上告審まで行くんですが、これを無償で、それから私選弁護をお務めになる。土屋先生は私も尊敬している弁護士さんです。 そういう中で、勉強の機会にも恵まれなくて、自分をばかだと思い込んでいた被告が、たまたま、中学のときに一回だけ彼のかいた絵がなかなか上手だったといって褒めてくれた吉田先生という先生がいた、それを思い出して先生に手紙を出したんだそうです。そうしたら先生が会いに来てくれたんですね。そして、一緒に、その吉田先生の奥さんが短歌をなさる方で、その奥様が短歌を三首ばかり贈って彼を激励した。それに大変彼は感激して、それから触発をされて短歌の勉強を始めるわけです。そして、めきめきとそれが上達をしまして、朝日歌壇だとか毎日歌壇なんかに投稿するようになる。始めてから三年目にして毎日歌壇の歌壇賞をとるんですよ。すばらしい歌、それが日々反省の歌ばかりなんですね。そういうことがある。 これは、彼は確かに人にも恵まれているんですね。もうすさみ切った心が、そうやっていい人々にめぐり会え、それからまた、拘置所の中でも、あるいは確定してからも、その所内の人たちからもいろいろ励まされたりしたということで、彼の性格は本当に変わっていく。そして、すばらしい歌人として有名になって、「遺愛集」というのは彼が死んでから出た本なんです。死んだ後で出た本なんですけれども、最後の日には この澄めるこころ在るとは識らず来て刑死の明日に迫る夜温し これが死刑の前の日につくっている歌ですけれども、こういうように変わるということもあるんですね。 私は、こういう更生指導とか矯正というのはやはり心じゃないかと思います、人の魂じゃないかと思います。本当に受刑者の魂を打つようなやり方をすれば心に響いていくんだろうと私は思います。しかし、それがなければ、通り一遍のことをやったら、幾らやったって実は上がらないと私は思うんですね。 ですから私は、そういうことを含めて、先ほどの刑務官の、人を得ること、教育ということは非常に大事だと思っております。大臣も、どうぞ機会がありましたら、恐らく法務省の図書館に「遺愛集」はあると思いますので、読んでいただければと思います。とにかくすばらしい歌がたくさんございます。二つだけ御紹介します。 君が植ゑた朝顔がよく咲いたよと看守部長の便りとどきぬ ふきあがるさびしさありて許されぬクレヨン欲しき死刑囚のわれ なんという、こういうすばらしい歌がたくさんありますので、ぜひごらんいただきたいと思います。 終わります。 〔委員長退席、吉野委員長代理着席〕
○吉野委員長代理 次に、小林千代美さん。
○小林(千)委員 民主党の小林千代美です。 行刑施設の法案について質問をさせていただきます。 この大改正の法案審議に当たりまして、この間、私たち民主党も、法務委員のメンバーだけではなくて、民主党所属の多くの衆参国会議員がこの問題に取り組みまして、全国の矯正施設に飛び散りまして、現場の視察を行ってまいりました。その件につきましては、矯正局の皆さんにも、そして、所長初め現場の皆さん方にも大変お世話になりまして、ありがとうございました。 私も、去年、法務委員のメンバーになりましてから、大臣ほどではないですけれども、数えてみたら六カ所、矯正施設を、全国を視察させていただきまして、また、来週の水曜日でしたか、法務委員会でも視察に行くことになっております。私も、全国幾つか矯正施設を視察してきましたので、その感想を含めて、今感じていることを冒頭に申し上げたいと思います。 行った中で、一言で言えば、とても抽象的で申しわけないんですけれども、やはり雰囲気が随分刑務所の施設によって違うな、においが違うなというのも同時に感じてまいりました。 例えば、L級、長い期間入所する人が入っている専用の施設ですとか、若い人の、Y級のための施設ですとか、あるいは犯罪傾向の進んだ者の施設、あるいは初犯の者が入っている施設、そういった施設の特徴というのも大きく原因になっているのかもしれませんし、受刑者の平均年齢といったことも一因にあるのかもしれません。しかし、それだけでもないと思うんですよ。元受刑者の話ですとか伺いますと、刑務所によって随分処遇が、この処遇というのは大変大きな意味ですけれども、処遇が違うという声も実際に上がっているところでございます。 また、刑務所内の職員の人事異動というものが現場の段階では余りないということを伺いました。つまり、刑務官としてある一つの刑務所に入職をする、就職をする。そこで例えば三十年間なり過ごしていく。私が視察をしたあるところの部長さんですけれども、彼はここで勤続三十年近くおりますので、ここの刑務所の生き字引のような方です、この方に聞けばここの刑務所のことは何でもわかりますというようなことを言ったところもあるんですけれども、余りそういった刑務所同士の交流というのも、もちろん所長さんは何年かで転勤というのはあるでしょうけれども、現場の段階として余りそのような風通しのいい環境でもない。 また、施設によって、いろいろと処遇というところも違ってきている。それは、現場の裁量が、任されている範囲がとても大きいからこのような差が全国の施設であらわれてきているのではないか、このように感じたところでございます。また、上意下達の組織の中で仕事をしておりますから、なかなか現場の刑務官が上司に物を言いにくい体制であるということも指摘をされているところです。 私が行きましたある施設では、投書箱というものがありまして、これは、受刑者ではなくてそこの職員、看守ですとか職員の方が上司に対して匿名で物を言えるというシステムがもう何年も前からあったそうなんですけれども、一回しか使われたことがなかったそうです。それでもそこの所長は、それでもその一回というものは、批判的な意見ではなくて、こうしたらどうですかという建設的な意見でしたよというふうに胸を張っておっしゃったんですけれども、それは逆に、投書箱はあっても言えないような雰囲気なのかなというのを逆説的に思うところもありまして、この現場の裁量に任されているという実態が、今現実としてある。 そして、今回のこの法案の中身を見ましても、あらゆるところに、省令により定めるですとか所長の権限というものに任されているところが数々ありまして、これで本当に、今回法改正をしてどれだけ現場に徹底できるんだろうかなというところは、現場を視察して率直に疑問に感じたところでございます。 それともう一点、視察の感想を述べさせていただきます。 私は、今回の視察の中で、特に医療面に注目をして視察をしてまいりました。私は北海道選出なので、北海道の帯広刑務所と釧路刑務所というのをこの二月の末に視察をしてまいりまして、北海道は、通常の社会の中でも地方の、僻地の医師不足というのは言われているところなんですけれども、言わぬもがな、この刑務所内でも医師がいない、無医村というような現状になっておりまして、ちょっとそれを報告させていただきたいと思います。 帯広は、二月の二十一日に行ってきたんですけれども、そこも医療職として定員は一名いるんですけれども、欠員状態になっている。非常勤として、週三回、医師が来てくれている。そんな中で、数年前に自殺未遂者が発生をしたそうです。そのときには、自殺未遂ということになって、状態が余りよくなかったので医療刑務所へ移送をすることもできなかったから、近くにある、連携をしている民間の病院に三カ月間入院をさせたそうです。そうすると、先ほど入院時の職員体制の話がありましたけれども、三名が二交代でその三カ月間つきっきりになってしまった。つまり、六人工とられてしまったわけなんですね。ただでさえ職員不足で大変なときなのに、このような現状になってしまっているという報告がありました。 もう一カ所行きました、釧路ですね。二月の二十八日に行ってきたんですが、ここも平成十三年の三月から四年間、医師が欠員、全く医師が来ていない。そして、非常勤として一日一時間半、週三回民間の医師に来てもらっているという医療体制を組んでいるところですけれども、そこの釧路も、ことしに入って、二月の二十八日までにですから二カ月間で三名の入院患者が発生をしていて、同じように職員をとられてしまっている。また、通院はしょっちゅうあるような状態になっている。そのたびごとに人工をとられるということになっている。 これは帯広と釧路だけではない、全国どこの矯正施設でもこういった外部の医療機関への通院、入院というのは日常茶飯事のように行われているということを聞きまして、医療を充実させることというのは緊急の課題だなというふうに感じてまいりました。 そこで、大臣、先ほど施設を見た感想を言っていただきましたけれども、医療の経験を大臣もお持ちですので、刑務所内あるいは矯正施設内での医療体制を、現場を視察になられて、もし御感想があればお伺いしたいと思います。
○南野国務大臣 先生お話しのとおり、本当に医療問題というのは大変喫緊な課題になっております。そういう観点からも、これから新しくしていこうというPFIの問題点につきましても、医療ということを私も重点的に関連させてというふうにも思っております。 お尋ねの件につきましては、刑務所等に勤務していただくドクター、これは診療の対象者が中におられる方に限定されるということでございますので、民間で働く医師と比較しまして、待遇面もそうですけれども、医師としての活動ということについても、なかなか飛び込んでいける場所ではないのかなと。まだまだ研修したい、また、こういう手術をしたいとか、そういうような問題点も医師たちの自己啓発については考えられているところですので、そういうような観点から総体いたしますと、そう魅力があるところではないのかな、そのようにも思えております。 施設によりましては確保しようと相当頑張っているところが見受けられるわけでございますけれども、やはり困難である。北海道の地域にも無医村地区があります。そういうようなところにどのようにするかという一般的な問題とあわせて、刑務所の問題は大きな課題となっております。 しかし、刑務所等の医療を充実するためには、やはり医師の確保を図らなきゃいけない。どう図るかということが一番重要であろうと思っておりますので、今後とも、行刑施設の医療に関する関係者、関係省庁、厚生労働省その他ございます、各行刑施設が開催している行刑施設の医療に関する協議会などもございます、それを通じまして、関係機関との連携を強化するようにしまして、医師の確保が円滑に行われるように努力をするということでございます。
○小林(千)委員 今の大臣の答弁の中でも、現段階での刑事施設の中での医療体制の不足度というところは御認識をなさっているのではないかなというふうに感じますけれども、こんな印象を私も持ちながら、先日の本会議、大臣の答弁を聞かせていただきました。刑事施設の医療の充実についてというところで「医療の充実に努めているところであります。」というふうに答弁をされているんですけれども、それだけではないんじゃないか、充実に努めているけれども、今のこの現状があるわけですし、ちょっとこういった答弁は認識不足というふうに指摘をしなければいけない。 それからもう一つ。矯正局の資料で「日本の行刑」というカラーの立派なパンフレットがありまして、この中でも医療のページを見てみますと、「被収容者約百六十人当たり一人という医師の配置数は、日本国民約五百人当たり一人という医師数をはるかに上回っています。」というふうに、しかも、これはごらんになっていただくとわかるとおりに、ここのところだけ太ゴシックで強調されている。 確かに、これは統計をとりますと百六十人に一人で、統計的には数字は合っているんですけれども、現状としてそういう実態があって、大臣も認識されていて、このように太ゴシックで、自信を持ってこんな立派なパンフレットに、しかも、これは隣に英語で表記が併記してありまして、海外に向かって、日本の行刑施設内における医療体制はこれだけ整っていますと黒ゴシックで、太字ゴシックで言えるような今現状ではないということでこれは間違いないですよね。やはりここはこの法改正の大切なところでございますから、まず最初にその認識を持っていただきたいと思いますが。
○南野国務大臣 本当に今一番悩んでいるのが医療の問題であろうかなというふうに思っております。そういう意味では先生の御指摘のとおりでございますので、それについては関係省庁といろいろ検討しながらやっていき、少しでも施設内の状況をよくしていきたいというふうに思っております。そこの文章にそのように書いてございますけれども、それはそれとして、現実の問題についてしっかりとやっていきたいと思っております。
○小林(千)委員 現実の問題として存在をしているわけでございます。 私の時間は、この医療体制を中心に質問させていただきたいと思うんですけれども、今回、受刑者あるいは職員、医務官に対してさまざまアンケートを実施されたようです。受刑者のアンケートを見てみますと、医療体制に対する不満というものは、随分不満があることがわかりますね。 受刑者のアンケートのうちに、刑務所内の医療について困ったことがありますか、なかったですかという質問に対して、これはすべての級におきまして、ほとんどあった。ほとんどといいますか、少ないところでも、A級というところでも五八%、六割近く。LB級という長い期間再入所されている方については八〇%が医療に対して不満を持っているというアンケート結果があらわれております。 また、具体的な内容といたしましては、満足いく治療が受けられなかった、それから、希望した薬がもらえなかった、診察を受けるまでに時間がかかったというのがベストスリーになっております。そのほかにも、診察を求めたけれども受けられなかったという声も出てきているところでして、受刑者の医療に対する不満がかなり多いというところが見受けられます。 医師のところにたどり着けないまま死に至ってしまったというような実際の報告例、これは法務省が調査をした死亡帳調査班による調査結果報告の中に実例として、法務省も認識をしている例もございます。 これは、刑務所内医療までのアクセスというのはどういうふうになっているのかなというふうに思いましたら、例えば、ちょっとぐあいが悪い、そういうときは担当看守にまず申し込むという。そこから担当看守が、週二回、准看の資格を持った職員が症状を聞きに来て、そこで訴えるわけなんですね。でも、週二回ですから、日にちを延ばせば最長四日間ぐらい待たされるわけなんですよ。その次に医者が来たときにやっと診てもらえる。週二回非常勤で来ているようなところだったら、また最長で四日間ぐらいタイミングが悪かったら待たされるわけで、最初におかしいなと担当看守に申し込んでから一週間ぐらい待たされるということは、何もなくてもこれはあるわけなんですね。 何もなくてもあるわけですし、あるいは途中で看守が、あるいは途中で准看の免許を持った人がそこでアクセスを阻害してしまうという実例さえ挙げられていたわけでございますし、受刑者から診療申し出があった場合、どうやって医療までのアクセスを確保するかというのは、これは現実問題として存在をしていると思います。先ほど佐々木委員の方からも、この診療までのアクセスについては質問があったところでございますけれども、ちょっと詳しくここのところは質問をしたいと思います。 大臣の本会議のここの診療に関する答弁のところは、「受刑者から診療の申し出があった場合には、仮病であることが明らかな場合など例外的な場合を除き、適切な資格、知識を有する者がその受刑者の状況を把握し、必要であるときは医師による診療等の医療上の措置を講じなければならない」というふうになっているわけで、これは読んだだけでも、医師にアクセスするまでに幾つかハードルがあるわけなんですよ。 これは、ここの部分の法案、例の三十九条です。三十九条のところに書いてあります。「速やかに、刑事施設の職員である医師等による診療を行い、その他必要な医療上の措置を執るもの」、条件として「負傷し、若しくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき。」というふうにありますけれども、この三十九条の条文よりも本会議のここの部分の大臣の答弁は、医療へのアクセスにおいては後退しているんではありませんか。
○南野国務大臣 本会議におきます私の答弁ということに関しましては、法案に規定しております受刑者に対する医療上の措置義務について御説明申し上げたものであります。 つまり、本会議における答弁中の「必要であるときは」とは、今先生お示しになられた法案第三十九条第一項の各号に規定されている要件が備わっていることを意味するものでありますので、その要件が備わっている場合であっても、また別の観点から必要性を判断して診療の義務を負わない場合があるとする趣旨の答弁をしたわけではないのであります。 したがいまして、本会議におきます答弁というのは、先生が御指摘のように、法案の趣旨を後退させているということにはならないというふうに解釈させていただきます。
○小林(千)委員 この法案よりも後退をした答弁ではないということですね。 でも、今実際に現場では、そのような医師にアクセスするまでにさまざまなハードルがあって、スクリーニングをされているという状態が現実としてあります。やはりこれは、医師へのアクセスというものを確実にするために、例えばこの法案の中に、受刑者が診療を申し出たときというふうに書き込んだらいかがでしょうか。 それは実際に、仮病を使っているですとか、作業を嫌がる、その口実として、ぐあいが悪いですとかそういったことも事実としてあるようです。そういうところを防ぐために何らかの条件というのは必要だと思います。例えば、その受刑者が診断を受けた後も、同一内容の診療の要求を繰り返し求めるですとか、そういった条件はもちろん必要かなと思いますけれども、この法案の中に、受刑者が診療を申し出たときというふうに一文を入れて、そういったスクリーニングが起きないようにする措置をするべきではないでしょうか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 法案におきましては、刑事施設においては、受刑者の心身の状況を把握することに努め、受刑者の健康を保持するため、社会一般の水準に照らし適切な医療上の措置を講ずると三十三条で規定しております。とともに、先ほど来委員が御指摘のように、三十九条では、受刑者が負傷し、または疾病にかかっている疑いがある場合には必要な医療上の措置をとるものとするというふうに規定しております。 したがいまして、受刑者から診療の申し出がありました場合には、これも今委員もおっしゃっておりましたように、仮病であることが明らかな場合など例外的な場合を除きまして、適切な資格、知識を有する者がその受刑者の状況を把握し、疾病等の疑いのみについて判断しなければならないわけでございます。そして、その結果、必要があるとき、すなわち疾病等の疑いが認められれば、これは医師による診療等の医療上の措置を講じなければならないのでありますから、これは法文にそう書いてあるわけです。重ねて御指摘の趣旨の規定を設けることは、その必要もないし適当でないと考えております。 先ほど委員の方から、医師に至るアクセスにさまざまな障害があるとおっしゃって、その一例として、准看護師の資格を持っている者が週二回しか回ってこないということをおっしゃったんですが、そのような事実はないものというふうに私は考えております。准看の資格を持った者、これは常勤の職員でございまして、常時、申し出があればすぐに対応するために医務課などに配置しているわけでございますので、そのあたりはちょっと御認識の違いがあるかなというふうには思っておりますので、一言ですが。
○小林(千)委員 私が申し上げました修正ができないというのであれば、ここの大臣の答弁、あるいは三十九条に書いてあることというところを確実にしなければいけないわけでございまして、そこをちょっと確認いたします。 大臣の答弁の中にありました、「必要であるときは医師による診療」を行う、講じる。「必要であるとき」というのは、一体だれが判断をして、どういう状態をいうのか。そして、この法案の三十九条の一に同じように書いてあります、「負傷し、若しくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき」、この「疑いがあるとき」というのは、だれがどのような状況を見て判断をするのか、確認をいたします。
○横田政府参考人 お答えいたします。 法案のもとでは、受刑者が診療を申し出た場合には、先ほど申し上げましたように、明らかに仮病であると認められるような例外的な場合を除きまして、医師、看護師、准看護師といった適切な資格、知識を有する者がその受刑者の状況を把握した上で、最終的には医師が必要であるか否か、すなわち、その受刑者に疾病等の疑いがあるか否かを判断しなければなりません。この点は、三十九条一項一号の「疑いがあるとき」の判断はだれがするかということにつきましても全く同様で、最終的には医師がその点についての判断をすることになります。
○小林(千)委員 ぜひ、ここのところは周知徹底を十分にしていただきまして、門前払いを食らわせるというようなことがないようにお願いを申し上げます。 続きまして、医師以外の医療スタッフの点につきまして質問をいたします。 私が北海道の行刑施設に、さあ、あさって視察だというふうに思ったやさきに、地元の新聞に、資料としてお配りをいたしました「道内十四矯正施設 無資格者が調剤、投薬」というようなショッキングな記事が社会面に載りました。これはどういうことだというふうに思いながら私も記事を読んで、実際にこの二日後に帯広、そして翌週には釧路に行ってきたわけなんですよ。 そこに書いてありますように、医師が処方を示したメモをもとに、これは処方せんかカルテなのかわかりませんけれども、看護師や准看護師が調合、投薬をしていたと。長年こんなことが行われていて、薬の詰め間違いもあったという。これは札幌矯正管区ですけれども、同管区の発表内容によりますと、直近の二年半の間にミスが十九件あって、そのうち一件は、投薬後受刑者が体調不良を訴えていた。これは、無資格者が調剤、投薬をするという、薬剤師法にあってはならないことですよね。 では、これでどうなったのというふうに、現場に視察に行ってきましたら、いや、この記事がリークされる何週間か前に、週三回薬剤師が非常勤で来てもらうように予算がつきましたよというふうなことになったそうなんですけれども、これは何も北海道だけの事件ではないと思います。 全国の矯正施設の中で、このように医師の処方せんやカルテをもとに看護婦や准看護師等無資格者が調合、投薬を行ったという現状はあったんでしょうか。それにより誤った薬が受刑者に渡ったということがあったんでしょうか。そして、受刑者がそれにより体調不良を訴えた、このような例は全国でどれだけありましたか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 行刑施設の医務部、医務課は、医療法に基づく病院または診療所として開設されているわけでございますが、薬剤師が配置されていない施設の診療所におきましては、医師みずからが調剤している場合と、それからもう一つは、医師の監督のもとで、処方せんまたはカルテによる指示に従って、看護師または准看護師が調剤を行っている場合とがございます。 看護師または准看護師が調剤したことにより誤った薬が受刑者に配付された件数は、調査してみましたところ、これは平成十四年一月から平成十六年五月までの二年五カ月間につきまして調査をいたしましたが、行刑施設全体で六件ございました。そのうち一件につきましては、頭痛を訴えましたために施設の医師が診察をいたしましたが、これは経過観察のみで回復したというものでございます。
○小林(千)委員 それは全国の数字で間違いないですか。
○横田政府参考人 そのとおりでございます。
○小林(千)委員 無資格者が調剤、これは薬剤師以外の者が処方せんあるいはカルテをもとにして、では、棚から薬をとってくるのはだめなのかですとか、いろいろないわゆるグレーゾーンがある。大臣、多分その辺はよく御存じなのかもしれませんけれども、そういったところも実際にはあるようです。こういった事実があり、間違った薬も渡されているというような現実があり、体調不良を訴えたという例もある。やはり、これは全国の施設の中で検討をしなければいけない課題だと思います。 この件につきまして、北海道保健福祉部では、札幌矯正管区に対しまして行政指導を行いました。もちろん、所管は法務省です。この行政指導に対しまして、どのように受けとめたでしょうか。そして、これからの、無資格者が調剤や投薬をしている、このような状況を改善するためにどのような対応をとられているでしょうか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 先ほどもちょっと触れましたけれども、薬剤師が配置されていない施設におきましては、医師みずから調剤を行うか、または医師の監督のもとに看護師等に調剤を行わせるよう努めてまいりましたが、最近の調剤を要する患者数の増加にかんがみまして、薬剤師の配置のない施設に対し、先ほど委員がおっしゃっていましたように、非常勤の薬剤師を配置するように措置すること、これは十七年度の予算で、これまで常勤の薬剤師が置かれていなかった施設、残った施設、これは刑務所、行刑施設の本所ですけれども、そのすべて、それから大きな支所の十四につきまして非常勤の薬剤師を配置することになりました。 先ほど委員御指摘の今般の行政指導を踏まえまして、今後とも、調剤業務のより一層の適正化に努めてまいりたいと思います。
○小林(千)委員 では、十七年度の、今回の予算の中で、全国の矯正施設に、非常勤ではあるものの薬剤師が配置を既にされているということで間違いないですか。
○横田政府参考人 きょうから十七年度でございますけれども、この十七年度の予算措置をもってこれが配置されるということでございます。
○小林(千)委員 ここで二度とこのような事件がないように強く意見申し上げたいと思います。 続きまして、医療に携わるスタッフ、こういった方々の認識を問いたいと思います。といいますのも、本来ならば、医療に携わる者の倫理として、体調の悪い人に対して医療へのアクセスを確保する、あるいは適当な処置をするというのは、これは医師あるいは医療に携わる者として必ずやらなければいけないことですよね。 しかしながら、看護師あるいは准看護師が、医師もそうでしょう、保安の部分のところから介入をかなりされていて、そのような倫理を果たすことができないというような現実があるそうです。それは、他部門からの介入だけでなくて、本人の意識の中にもそういうところの足りなさが現実としてあるのかもしれません。 実際に、この法務省がおつくりになりました死亡帳調査班調査結果報告の中に、実例として、受刑者がぜんそく発作を起こした、それを、ぐあい悪いというのを知らせるために扉をたたいた。これは、本来ならば緊急に医師に処置を求めるという対応をしなければいけない事例でしょう。しかしながら、あろうことか、扉をたたくのは規律違反だとして、処遇部門取り調べ室へ連行していった。医師へのアクセスがおくれたために、緊急の医療の必要な者に対して保安的に接する職員の対応がこのようなことを行ってしまい、結局この受刑者は死に至ってしまったという実例が、これは法務省の報告書の中でもあります。 このように、医療の部分と保安の部分とが切り離されていない、こういった現実に対してどのように対策をとり、医療の部分の独立性というものを刑務所の中で確保していくおつもりでしょうか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 お尋ねの医療部門と処遇部門との関係でございますけれども、これにつきましては、これまでの国会審議におきましても、医療部門は処遇部門に従属しているため本来の機能を十分果たしていないのではないか、そういう御指摘のあったところで、そのことは承知しております。 被収容者は拘禁下にございまして、その身柄の確保を要請されているために、刑務所におきましては医療と保安を完全に切り離すことはできませんが、保安上の要請、例えば外部病院への移送のための要員が不足していることを理由に適切な医療的判断を曲げさせることがあってはならないことから、職員を増配置し外部病院への移送のための要員を確保するとともに、もう一つは、処遇部門と医療部門との迅速かつ適正な連絡を可能とするよう、被収容者の処遇に携わる職員に対して医学的知識を付与する研修の実施について指導しております。 これの趣旨は、結局、処遇部門の職員が医学的知識が不足している、そのために適切な対応、処遇ができなかった例もあるのではないか、そういうような観点から、矯正施設の実務に即した医療関係研修を毎年計画的に実施するということにしたもので、これは平成十五年十一月に通達を発しまして、そのような研修強化、処遇部門の職員にも医学的知識を持たせる、その重要性について認識させるという研修を行っているところでございます。
○小林(千)委員 ぜひとも、そこのところは充実をしていただきまして、処遇部門に従属をしているという理由で医療が十分にされないということがないようにしていただきたいと思いますし、私は、これは意見として申し上げさせていただきますけれども、医療部分の独立性を確保するといった面から、厚生労働省への医療部分の移管というものも、やはりこれは検討する価値があるのではないかなというふうに感じております。 もちろん、厚生労働省の所管になったからといって、全く行刑施設がタッチをしないというわけにも、介入というのはそれはあるのかもしれませんし、厚生労働省になったからといって医師が来てくれるかといったら、そんな簡単な問題でもないと思いますけれども、この辺のところは、将来的な課題としてぜひ今後の検討にしていただきたいと思います。 続きまして、これは医師もそうなんですけれども、医療に携わるその他の医療スタッフももちろんこれから増員をしていかなければ、例えば情報公開、カルテの公開、あるいは医療体制の充実というものは、今の現在の状況では図れないのではないかと思います。この辺について、どのようにお考えでしょうか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 行刑施設には、常勤の医師や看護師等が配置されておりまして、さらに、必要に応じて非常勤の医師等の配置も行っておりますが、行刑施設の医療には、患者である受刑者との信頼関係が築きにくいなどの特殊な側面がありますことから、常勤医師を初めとする医療スタッフの確保が十分にできていないという状況でございます。 このような状況を踏まえまして、先ほど申し上げましたけれども、平成十七年度予算におきましては、薬剤師二名、看護師四名の増員が認められましたほか、非常勤の精神科医師六名及び薬剤師四十一名、これは先ほど申し上げましたけれども、そのような人たちを確保するための経費を得たところでございます。 それからまた、これまで中央省庁レベルで、法務省、厚生労働省、文部科学省、日本医師会等を構成員とした協議会を開催いたしましたほか、各行刑施設におきましても、地元の医師会、地域の医療機関、大学医学部などとの協議会を開催するなどいたしまして、医師や医療スタッフの確保等に努めております。 今後とも、地域医療機関等との連携強化を図り、その支援を得ながら、医療体制の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。 〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕
○小林(千)委員 続きまして、医師の問題について伺いたいと思います。 行刑施設での医師の確保が大変重要な問題だというのは先ほど大臣もおっしゃっておりましたし、例えば民間に比べてそんなに魅力的な給料でもない、立地条件も余り、実際に僻地にあるところもある。特殊な医療関係で症例も限られていて、もちろん受刑者との関係もあるというような条件もあるでしょう。医療スタッフも、民間の外の病院に比べては十分ではないというような状態です。また、健康保険適用ではありません。法務省の予算の中で医療行為を行うわけですから、十分な治療ができない。また、そこにある機械ももう一昔前の古い機械で、しかも他部門から介入されたりして、なかなか医者に来てくれといっても難しい。これは私も頭を悩ませるところなんですけれども、みんなでいい知恵を出さなければいけないと思います。 たとえ常勤の医師一名を配備しているところでさえ、常勤というのは普通、私たちは、九時—五時は少なくともいるだろう、月曜日から金曜日までは、ウイークデーは働いているだろう、これを普通常勤というふうに言うわけでして、これは一応常勤というふうに定義はされていますけれども、週二回、月曜日に午後一時間半とか火曜日に午前中二時間ですとか、それでも常勤扱いになっているんですよ。 これは難しいところもあると思いますけれども、まずは定員を満たさないと、法務省としても予算を増額してくれというのはなかなか言いづらいと思います。どうこの定員を確保して、常勤という一般的な観念の中での刑務所施設内での医療の時間を確保するか、大変難しい問題だと思いますけれども、どのように対応される予定でしょうか。
○横田政府参考人 委員も認識してくださっておりますように、この医師の確保というのは実際問題として大変難しいものでございます。 私どもとしては、いろいろな手だてを尽くして一生懸命やっているつもりです。広報も行っております。しかしながら、やはり、今先生も御指摘くださいましたようなさまざまな状況がございまして、なかなかこれに応じていただくことが難しい。しかし、なお、いろいろ地元の大学であるとかあるいは人脈をたどりながら、お医者さんの確保に一生懸命努めているというところが現状でございます。 私どもは、今後とも、先ほど申し上げましたような中央レベルあるいは各施設レベルにおけるさまざまな関係機関、関係者との連絡協議などを進めながら、何とかして医師を確保したいし、それから広報等につきましてももっといい方法がないかどうか、これをまた知恵を絞って一生懸命やってまいりたいというふうに考えております。
○小林(千)委員 私たちも、さまざまな手段をもってこういったところには協力をしていきたいというふうに考えているんですけれども、もう一方で、医師確保のために皆さんがとられているさまざまな処置が、適切なものもあれば適切じゃないものもあるんではないかというふうに指摘をしなければいけないことを見つけました。 奨学金制度、矯正医官修学資金貸与制度という制度があるそうですね。これを私は今まで知りませんでした。つまり、医学部の学生に奨学金を貸与する、卒業し、刑事施設の医療職に採用された場合はそれを返さなくていいという、早い話がお礼奉公というものですね。こういう奨学金制度があるというのを行刑改革会議の意見の中で初めて知りました。 ところが、この会議の中でも言われているんですけれども、これがうまく運用されていない。いざ就職となると、刑務所の医官になるのは嫌ですからといって学生が逃げてしまって、金を返せばいいだろうということになってしまっていて、これは実際にその発言録なんですけれども、「お金を返して、入らない方が大部分なんですね。ごくまれに入ってくださる方もいますが。」こういうような奨学金制度に年間八百五十万の予算を使っているんですよ。返ってくるんだからいいだろうという話じゃないですよ。予算がなくて過剰収容になっていて、これだけ大問題で、予算がない予算がないというときに、八百五十万を年間むだ遣いしているんですよ。これは一体どれだけ効果があるんですか、この奨学金制度。いいんですか、このまま八百五十万をむだ遣いしていて。
○横田政府参考人 委員御指摘の矯正医官修学資金貸与制度と申しますのは、大学の医学部または医科大学に在学する学生で、将来矯正施設の医師として勤務し、矯正医療に従事しようとする者に対して修学資金を貸与し、もって医師たる矯正施設の職員の充実に資することを目的といたしまして、昭和三十六年に発足した制度でございます。 そして、この制度発足後、現在までの間、修学資金を貸与した者は合わせて二百三十三名でございまして、そのうち矯正施設の医師として勤務した者は四十一名、二割弱になります。矯正施設の医師の確保を目的としているこの制度の趣旨が必ずしも達成されているとは言えない、これは御指摘のとおりだと思います。 むだ遣いかどうかというところなんですが、決して、返ってくるからいいんだというふうに、そういう態度でいるわけではございませんけれども、しかし、私どもとしてとり得る選択、やはりいろいろ考える中の手段として、二割というのが多いか少ないかというのは、それは学生の気質の問題とか、それからさまざまな、やはり人間のことですから条件が変わってくることもありますので、一概にそれが低いのか高いのかというのは難しいんですけれども、ただ、とにかく充足は必ずしも達成されていないというその認識はもちろんあるわけです。 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、この制度をもっと生かせるような形で、したがいまして、例えば今後とも矯正施設の医療環境の向上を一方で図る、やはり魅力のある職場にしなければいけないということももちろんあるでしょうし、それからもう一つは、貸与学生に対しまして、例えば施設の見学であるとか、それから矯正施設の医師と直接交流する機会を設けるとか、そのようにしてこの矯正医療に対してもっと深い認識、理解を持ってもらって、そして矯正の世界に飛び込んでもらう、そのようなことをいろいろ考えながらこの制度を生かしてまいりたいと考えております。
○小林(千)委員 この制度を生かすとすれば、今この二割という歩どまりをどういうふうに引き上げる努力をするかというのは、当然やらなければいけないことです。 この制度、聞きましたら、医学部を卒業する大学生は、できればこういうところに就職をしながら、自分では、その一方で自分の所属する医学部で研修を積みたい、そういったこともやりながら、一方でこういった行刑施設での医務官としても働きたいという意思を持っているそうなんですけれども、実際にこれを配置されるのは、当然、欠員のところなわけなんですよね。欠員のところはどういうところかというと、帯広ですとか釧路ですとか、僻地ではないところもありますけれども、僻地なんですよ。近くに大学病院があれば、もう既にそこから来ているわけなんですよね、大学病院にお願いして。そういうところじゃないから奨学金が必要なのに、学生は、自分はそういった研究もやりたいから、それは逃げていくに決まっている。 だとすれば、これは募集案内を見ましたけれども、欠員のあるところにしか採用されませんみたいなことは何も書いていない。知らないで学生は応募をして、自分はこういった奨学金を受けながら、将来は研究しながら医務官として頑張ろうという高い意思の学生が入ってくればいいですけれども、実際としてそうではない。やはりこれは募集要項の細かいところから含めて見直す必要があるのではないでしょうか。最後にお伺いいたします。
○横田政府参考人 委員の御指摘のような面もないではないというふうに思います。基本は、やはりこういう矯正の医療、そういう世界に飛び込もうという気持ちを持ってもらって、そしてその貸与制度というものを、その意義をきちんと理解して、そして飛び込もうという人たちに何といってもこの対象者になってもらうことがまず第一、そしてその気持ちをずっと持ち続けてもらうことがまた大事だというふうに思いますので、そういった観点で、私ども、もっと何かすべきことがあるのではないか、また、したらいいのではないかということをこれから一生懸命また考えていきたいと思っております。
○小林(千)委員 私たちも、この医療制度の充実につきましてもさまざま知恵を絞りながら協力体制をつくっていきたいと思います。 質問を終了いたします。
○塩崎委員長 次に、山内おさむ君。
○山内委員 民主党の山内おさむでございます。 受刑者処遇法という法律は、私たちは監獄法の改正ではなくて新法の制定だと思っています。今までの悪かった点をこう変えました、こことここに新しい仕組みを取り入れました、そういうめり張りのついた法案に仕上げたいと思いますので、充実した質疑をさせていただこうと思っています。 私は主に仮釈放の点についてこれからお伺いしようと思うんですが、今お話ししたように、監獄法の改正、単なる改正だとは思っていませんので、監獄法の獄の字を使った仮出獄という言葉は、私は死語にすべきだと思っています。そういう点から、これから、細かい定義をすると場合分けをして問いを発しなければいけないかもしれませんが、仮釈放という言葉で、特に刑務所に入っている人が刑期の途中で出た場合の方々をそう呼んで質疑したいと思います。 仮釈放という制度は、もう普通の人間として社会の中で生活できるんじゃないだろうか、そういう人たちを殊さらに施設の中にまだ閉じ込めて処遇をする必要はなくなっている、そういう人たちをどんどん社会内で、保護観察所あるいは保護司さんのもとで指導を受けながら更生をしていってもらいたいという仕組みだと思うんですね。しかも、財政的に、過剰収容という点とそれから仮出獄を余り認めないという点はやはり矛盾すると思いますので、そういう矛盾を解消する。つまり、財政的にも、やはり国としてほかに使えるお金があるんだったらほかに有効に使っていく、そういう意味でも、仮出獄については真剣に正面からとらえていこうと思っています。 ところが、今、最近でも刑法の重罰化によって長期の有期刑が制定されて、例えば懲役刑でも二十年が三十年になるということ、それから、前は三分の二ぐらいで仮釈放が認められていたのが、これは四分の三まで刑期を勤めないと仮釈放の対象にならないというような運用もなされているようです。省としては一体どういう観点からこの仮出獄制度を考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。
○富田大臣政務官 今の仮出獄制度の制度趣旨についてはもう先生は御存じのとおりでございますので。これは、無用の拘束を避けるとともに、受刑者に将来的な希望を与えてその改悛を促して、かつ、刑期終了後における社会復帰を容易にさせるという刑事政策的な意図によるものであるというふうにされております。最近は言い渡し刑の長期化傾向が認められる中で、仮出獄となる者の刑の平均執行率はおおむね八〇%程度で推移しております。 ちょっと数字を御紹介させていただきますが、有期刑の刑執行率、昭和五十三年は八五・一%でした。昭和五十八年が八五・五%。平成になりまして、平成十一年八二・六%、平成十五年は八〇・八%ということで、刑の執行率は決して数字上は高くはなっておりません。まあ、これは平均ですから一概には言えないと思いますが。 この数字にあらわれておりますように、仮出獄の許可を決定する地方更生保護委員会におきましては、本人の悔悟の情、更生意欲、再犯のおそれのほか、社会の感情が仮出獄を是認すると認められることという仮出獄許可の基準に照らして、個々の事案に即して審理を尽くし仮出獄の可否を判断しているものであり、仮出獄の運用が特に厳しくなったものではございません。 今後とも、引き続き地方更生保護委員会において、個々の事案に応じた的確な審理がなされることにより、改善更生等、受刑者の円滑な社会復帰に資するよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○山内委員 しかも、仮釈放で出た人の再犯率というか再入所率と満期出所の人の再入所率とを比べると、仮釈放で出た人は、早く出たということで、やはり社会で長くいたいということで、再犯率というのは満期出所の人に比べて低いわけなんですね。だから、そういう意味でも仮釈放制度というのは積極的に運用した方がいいと思うんです。 この受刑者処遇法の中に仮釈放についての規定がないんですけれども、これはちょっと法務省としては、余り関心がないのか、それとも仮釈放については余り積極的な運用をしないのか、もしそうでなければ、たとえ一条でも書いてほしかったなと思うんですけれども、どうでしょうか。
○富田大臣政務官 仮釈放の要件や手続等に関しましては、もう先生も御存じだと思いますが、刑法及び犯罪者予防更生法等において規定されておりまして、この法案において規定すべきものではないと考えられるため、特に規定を設けなかったものでありまして、先生が今御指摘の、積極的じゃないんじゃないかとか関心がないんじゃないかということではありませんので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。 仮釈放につきましては、引き続き、個々の事案に即して適正な運用を行ってまいりたいというふうに考えております。
○山内委員 平成十年の六月十八日に最高検察庁が通達を出しております。 この通達の内容は、無期懲役受刑者の中で特に悪質とされる者については、特別の特に丸をして、マル特無期事件として仮出獄をおくらせる、そういうような運用をすべきで、刑務所長や更生保護委員会から無期懲役でもこの人は出していいですかという問い合わせがあったら、いや、出してはいけないというような、しっかりと意見を述べよという指導がなされているようなんですが、これは政務官が言われた方向と検察の実務とが矛盾するんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○大林政府参考人 お答え申し上げます。 今御指摘の通達は、無期懲役の判決を受けた者の仮出獄の適否について意見照会を求められた場合における検察官の対応を定めたものでございます。 無期懲役の判決を受けた者でも、個々の事件ごとにその犯情には大きな違いがあり、比較的早期に仮出獄が許されてしかるべき者がいる反面、そうではない、相当長期間の服役が相当と認められる者もいると考えられます。刑の執行は犯情に即して適正に行われるべきであることから、検察官としても仮出獄の適否について意見を求められた場合に適切に対応する必要があります。 このような観点から、今御紹介のありましたように、特に犯情が悪質な者の事件をマル特無期事件として選定した上、矯正施設の長に対して、将来仮出獄の申請を行う場合に検察官の意見を求めるよう依頼するとともに、求意見がなされた場合に適切な意見を述べることを定めたものでございます。 このような通達でございますが、今御指摘のように、社会復帰を妨げるようなことになりはしないかという御懸念についてでございますが、これはあくまでも検察庁内部の通達でございまして、矯正施設の長や地方更生保護委員会に対して何らかの判断を強制するものではございません。刑の執行指揮に当たってマル特無期事件の選定をしたことを通知いたしますけれども、それも、将来当該受刑者について仮出獄の申請が行われた場合に検察官が適切に意見を述べることができるよう、矯正施設の長に対して意見照会を求めるよう依頼するものでございます。 また、矯正施設の長がマル特無期事件の受刑者の仮出獄の申請に際し検察官の意見を求めるか否かは矯正施設の長の判断によることになると承知しておりますし、地方更生保護委員会が受刑者の仮出獄を決定するに当たっては、悔悟の情や更生の意欲といった事由について総合的に判断がなされるものと承知しておりまして、マル特無期事件の受刑者であるからといって必ず仮出獄を許されないことにはならないというふうに思っております。現に、検察官においてマル特無期事件であることと選定した受刑者についても仮出獄が認められた事例がある、このように承知しております。
○山内委員 法務省の若手の皆さんにきょうまでデータをいろいろたくさんつくってもらったんですが、本当に感謝しております。 その中で、平成十年にこの最高検察庁の通達が出た後、私の目から見ると、平成十一年から、仮釈放の許可申請の件数と、それからそもそも仮釈放を申請する件数、この二つの件数が平成十年までに比べると少ないんじゃないかとデータ上見れるんです。それが、まさに平成十年に現場の各検事向けにこういう通達が出たからではないか。だとするとやはり、反省している、後悔している、社会に出たらしっかりとやらせてくれ、頑張らせてくれ、そういう意欲を持った受刑者を仮釈放させることをおくらせていることにつながっているんじゃないかと見れるんですけれども、どうでしょうか。
○麻生政府参考人 保護局におきましては、地方更生保護委員会を所管しておりますけれども、仮出獄につきましては適正かつ積極的に運用するように周知をいたしております。 仮出獄につきましては、先生御案内のとおり、刑法二十八条に定めがございまして、今申しました地方更生保護委員会がその権限と責務によって行っております。 審理に当たりまして必要があると認められるときは、本人の処遇に関係のある当該施設外の協力者、精神医学、心理学等の専門家、裁判官、検察官の意見を求めるものとするとされております。 そこで、公益の代表者であります検察官からの意見聴取は社会感情が仮出獄を是認するか否かの判断に資するために行われるものでございまして、検察官から聴取した意見は仮出獄を許すか否かの判断をするに当たりまして考慮する一つの事項とはなります。 そこで、仮出獄の許否は、社会感情のほかに、悔悟の情、更生意欲、再犯のおそれなどを総合的に判断して決定することといたしておりますので、今御指摘のありました、検察官の意見がそのまま地方更生保護委員会の判断を制約するというようなことはございません。個々の事案に即して適正な仮出獄の運用が行われているものと承知いたしております。
○山内委員 保護局長、私、最初に言いましたけれども、定義はなかなか難しい、個々場合分けして語らなければいけないのはわかるんですが、やはり監獄というのはもうなくなるわけですので、私が問いで仮釈放と言っているのに仮出獄と答えられると、後で議事録を見た人が、同じことを答弁しているのかなと思う人もいるかもしれないので、ここの場だけは、私とだけは仮釈放でやってもらえますか。 保護局長の先輩の保護局長が昭和五十九年にこういう通達を出しておられるんです。 ここでは仮出獄と書いてあるんですけれども、仮出獄は一層積極的に運用しなさいと。しかも、この内容は、仮出獄率を増加させることと、もう一つは、せっかく法律で刑期の三分の一過ぎれば仮釈放ができるんだから、その当時の運用みたいに三分の二の刑期が過ぎないとだめだとか四分の三の刑期ができないとだめだみたいなことではなくて、三分の一の刑期が過ぎた者には柔軟に仮釈放の制度を適用すべきであるということを、各地方更生保護委員会等の皆さんにもこういう書面を出しておられるのですが、やはりそのことと、先ほどの最高検の次長検事の通達というのは、どう考えても矛盾すると思うんですよ。 最高検に対して、もう通達はやめてくれとか、昭和五十九年に保護局長の先輩が出された通達どおり法務行政はやっていきますというようなことはされないのでしょうか。
○麻生政府参考人 検察当局がこのような次長検事通達を出された趣旨につきましては、先ほど刑事局長から御答弁がありましたけれども、それは検察官が公益の代表者としてのお立場についてのものであると承知いたしております。 地方更生保護委員会におきましては、先ほど申しましたようなさまざまな条件を総合的に判断いたして、仮釈放を許すか否かの決定をいたしております。したがいまして、そのような判断の一つについての検察当局の通達でございますので、その通達に基づいたものでありましても、意見としてそれを総合的な判断の中に加えることは差し支えないものと思っております。
○山内委員 先ほどから、個々の受刑者の一番適した処遇を考えて仮釈放について決めていますというようなお話が出てくるんですけれども、若手の方々がつくったデータの中に、仮釈放率というのはほぼ同じようなパーセンテージですし、毎年ほぼ同じような人数の仮釈放者が出ているんですね。つまり、個々の人間に対して対応していますというのなら、あるときは二万人であったりある年は五千人であったりということもあっていいと思うんですが、私は、ここにやはり問題があるんじゃないかと思うんです。 例えば、地方更生保護委員会の担当の委員さんが、仮釈放が適しているかどうかを面接する年間の面接人数が三百人を超えるというデータもあるんですね。そうすると、特に地方更生保護委員会のメンバーは民間の方が多いでしょう。ですから、そういう人がほぼ一年じゅう毎日一人見る。やはりそこに能力的な限界があるんじゃないかと思うんですが、その辺を考えられたことはないんでしょうか。
○麻生政府参考人 先生御指摘のとおり、限られた人数の委員でたくさんの事件を審理しておるわけでございますけれども、そこは努力してやっているというのが実情でございます。 なお、先ほどの点に関しまして、先ほど政務官の方からも御説明がありましたけれども、有期刑の刑執行率を見ますと、昭和五十三年が八五・一%でございまして、平成十五年は八〇・八%となっております。したがいまして、先ほど御指摘のありました昭和五十九年の通達以降、刑の執行率は下がっているということは御理解いただきたいと思います。
○山内委員 仮釈放とかあるいは満期出所の人たちというのは、それから社会に出ていくわけです。特に、先ほどの小林議員の問題点、医療の面あるいは職業訓練の点などについて、ひとり矯正局だけの問題ではやはり無理だと思いますので、ほかの省との連携というのが必要だと思うんですが、まず、厚生労働省はその点についてどういう認識なんでしょうか。
○上村政府参考人 まず、職業訓練の関係でございますが、刑務所を出所し就職を希望される方につきましては、まず、職業安定所において、刑務所、少年院あるいは更生保護機関と連携をして、職業相談あるいは職業紹介を行うこととしているところでございます。その際、就職のために職業訓練が必要である、あるいは訓練の受講を希望するというような方につきましては、公共職業安定所長の受講あっせんというものを受けまして、公共の職業訓練機関で無料で訓練を受けることができるということにしておるところでございます。
○山内委員 その点で、関連して質問させていただきますけれども、刑務所に入るまでというか逮捕されるまで雇用保険をかけていて、その雇用保険について、出所後からその適用をしてほしいというような議論もあるんですが、そういうような仕組みについてはどう考えていますか。
○大槻政府参考人 お答え申し上げます。 雇用保険の基本手当についてのお尋ねかと思います。 雇用保険におきましては、基本手当に係ります受給期間につきましては、離職後一年間を原則としているということでございます。ただ、その一年の期間内に、妊娠とか出産とか、真にやむを得ない事由によりまして引き続き三十日以上職業につくことができない、そういった日がある場合には、最大四年間まで延長することができる、そういう特例があるわけでございます。 ただ、御指摘の刑務所に入っておられるという人たちにつきましては、やはり、みずからの責任によりまして職業につくことができない、そういう状態になったと考えられることから、受給期間の延長を行うということは困難ではないかと考えております。 ただ、刑法等の規定によりまして保護観察に付された方、あるいはまた犯罪者予防更生法四十八条の二各号に掲げるような方々につきましては、そういった方の職業あっせんに関しまして保護観察所長から安定所に連絡があったといった場合につきましては、そういった方を就職の困難な方ということで取り扱っておりまして、出所後の失業に対しましては、所定給付日数を特に手厚くするという措置を講じているところでございます。
○山内委員 私は、人生何が意欲を持って過ごしていけるかというと、例えば家族があることもでしょうけれども、やはり仕事があるということが一番だと思うのですね。そのために、行刑施設の中に職業訓練、そして職業をあっせんする、そういう支援センターみたいな考えを持つべきだと私は思うんですけれども、厚労省と法務省からそれぞれ、この構想についてどう考えるか意見を伺いたい。
○横田政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘くださいましたように、短期間で就職に有用な技術を身につけることは大変有意義なことだというふうに考えております。 現在、行刑施設におきましては、訓練期間の長短はございますものの、二十一種目の職業訓練を三十一の施設で実施し、相当数の受刑者が職業訓練を受講しております。短期間の職業訓練といたしましては、三カ月間の小型建設機械科やフォークリフト科、四カ月間の数値制御機械科を実施しております。 しかしながら、刑期の短い受刑者の中には、訓練を受けたくても受講できない者もおります。そこで、当局におきましても、平成十二年度から、出所が近い受刑者を対象といたしまして、二カ月間の就職支援コース科職業訓練というものを一部の施設において実施しております。この訓練は、労働需要が高く、短期間で技能習得が可能な建造物の躯体工事の技術習得を目的としたものでございまして、今後も、短期間で就職に有用な技術を身につけることができる職業訓練の充実に努めてまいりたいと考えております。
○大槻政府参考人 刑務所等を出所した人の生活の安定を図るということは非常に重要であると考えております。そういった意味で、特にやはり就職して自立を目指したいという方々につきましては、厚生労働省といたしましても、刑務所あるいは更生保護機関等と連携いたしまして、こういった機関から情報提供があった場合には、きめ細かな職業紹介を実施していくことで就職の実現を図るということに努力しているところでございます。 具体的には、ハローワークにおきまして、刑務所の方から、服役中の受刑者で、釈放期が近づきまして就職を希望する、そういった方の情報提供があった場合におきましては、服役中におきましても求職登録を行う、ハローワークの職員が刑務所等に出向きまして面談をし、職業相談を行う、必要があれば、そのために特別の求人開拓も行う、また、出所後におきましては、そういった方々のプライバシーの保護にも留意しながら、職業紹介をしっかり行うというふうにしておるところでございます。 厚生労働省といたしましては、今後ともハローワークにおきまして、刑務所等と連携をいたしまして、その趣旨は、刑務所等から適切な情報提供を前広に受けたいという趣旨でございますけれども、そういった中で職業紹介に努めてまいりたいと考えております。
○山内委員 景気がまだまだ十分に回復していないのでなかなか、この次の問いについて悩みながら問いをするんですけれども、六十歳以上から六十五歳未満の方とか障害者、それから母子家庭のお母さん、こういう方には、助成期間の制限はあっても、やはり就職が困難であろうということで助成金の制度があるんですね。刑務所から出た人というのは、まさに就職が困難である最たる方々だと思うんです。こういう問題点についても、法務省や厚労省とやはり協力をしてもらって、そういう人を雇い入れた場合に雇用主に助成金が渡る仕組みを今後検討してもらえないか、問題提起しか、昨今の経済情勢では難しいのかもしれませんが、どうでしょうか。
○大槻政府参考人 御指摘のように、就職の困難な方を雇い入れた場合に助成をするという制度はあるわけでございます。ただ、刑務所などを出所した方を、例えば特定求職者雇用開発助成金というものがございますけれども、そういった助成金の対象とすることにつきましては、一つは、やはりそういった出所した方々、これは個々人によりましていろいろな事情がございます、就職が困難な事情もさまざまでございます。したがって、一律に雇い入れ助成の対象とすることでそれが解決できるのかという点については、検討を要するのではないか。 また、こういった雇い入れ助成の運用に当たりましては、支給対象となる事業主に対しまして、そういった方々の具体的な情報、例えばこれは刑務所を出所した方であるといった情報を提供しなければならないということになろうかと思います。そういった面では、そういった方のプライバシーの保護の観点から慎重に検討する必要があるという面もある。 そういったことから難しい面があると考えておりますけれども、御指摘の点も留意しながら、今後、関係機関とも連携し、多角的な面から研究課題としていきたいというふうに考えております。
○山内委員 仮釈放制度について、やはり一番関連のある仕事というのは保護司さんが担っていると思います。私も、わざわざ私の地元に鳥取保護観察所長が来ていただきまして、意見交換をさせていただきました。保護司さんのいろいろな要望なども日々聞いておられる観察所長さんでしたが、定員を満たしてほしいという要望、とにかく保護司を補充してくれという強い要望があるということです。 平成十六年版の犯罪白書を見ますと、保護司の約一割が退任時期を迎えるそうなんですね。また、何年か先には団塊の世代の保護司さんたちも大量にやめていかれるだろう。「後継者の確保はこれまで以上に緊急性を帯びてくる」と犯罪白書で指摘をされています。 退任する保護司さんが後任者を探すという仕組みがあるようなんですけれども、それも今はなかなか、地域社会が希薄になっていて、そういう人たちをどんどん探していくという仕組みはないと思うんです。先日、大臣と討論させてもらいました人権擁護制度ですね、人権擁護委員さんについては市町村が積極的になってリストをつくっていただくという仕組みがあるので、そういうような仕組みとかも考えながら、後任者について積極的に発掘をしていくという仕組みをとるべきだと思うんですけれども、省の方はどういう見解を持っておられるでしょうか。
○滝副大臣 保護司につきましては、委員御指摘のとおり、市町村との結びつきというのが希薄なものですから、なかなか後任者を得られない、そしてまた高齢化している。これはもう人権擁護委員の場合でも共通の問題があるのでございますけれども、今御指摘のように、とにかく定員割れのところは補充する、そして、できるだけ、これからの定年というか一定年齢になりますと交代してもらう、そこのところをどうやってやっていくかというのは大問題だろうと思います。今のところは、ある意味では二世、三世の保護司さんが随所に出てきてもらっていますから、そういうところは若返りをしているのでございますけれども、新しい保護司さんを発掘するというのはなかなか困難でございます。 法務省としては、やはり保護司というのは日本の誇るべき制度なんですね。世界にはこの種の制度が実はなかったわけでございますけれども、明治以来、この保護司は日本がつくり上げてきた制度でございますから、何とかこれは、やはり保護政策、更生保護の中の主体、主軸としてもう少しPRをしながら充実していく、とにかくどうやって発掘していくかということを考えていかなければいけないと思うんです。 問題は、明治のときの、これは明治二十一年に静岡県から始まった制度でございまして、あのときには金原明善さんが出獄人保護会社というのをつくりまして、それに対応して同時に千七百人の保護司を任命したというのが日本の制度のいわば発祥なんでございますけれども、そういうことを思い浮かべながら、改めて、この刑事施設法が誕生するときには、それに合わせた同じような発想方法というか、それを今様にした制度をもう一遍つくりかえるぐらいの意気込みでやっていかなければいけない、そういう決意をさせていただいております。
○山内委員 保護司さんは、地域に帰ってきた前歴を持った人を、身元保証人みたいになるわけですね。自分に対して社会が信頼を与えてくれるというその信頼感をもとに、自分が面倒を見ている前歴を持った人間にもぜひ温かい目で見てやってほしいという活動を本当に毎日されておられて、頭が下がる思いがするんです。 特に今、保護観察になるというのは七割ぐらい少年なんですね。最高齢の方というのは七十六歳でしょうか。だから相当、六十歳ぐらいのギャップがあるケースもあるわけですし、かといって、少年の気持ちが本当にわからなければ、その少年というのは少子化の時代にこれからの日本を背負っていく人材でもあると思うので、保護司さんの若返り策とか、それから、外国人犯罪もこれから複雑な経路をたどっていくでしょうから、そういうものに対応するとなると、本当に言語の問題からして必要になってくるわけです。 そういう新しい保護司さんの役割、社会から期待される役割に、今後保護司制度というのはどうなっていく、どう形づくっていかれようとしているのか、どなたか、省の考えみたいなものを聞かせてもらえませんか。
○滝副大臣 現在、法務省の保護局を中心にして考えておりますことは、やはり就職ということを前提として、もう少し今の現状を切り開く方法はないだろうかというのが最大の課題だと思います。 片や、一人一人の相談にあずかるというのは保護司さんの使命でございますから、やはりまずはきちんとした仕事というものをどうやって確保するか、それのいわば保証人、相談役という使命を保護司に担ってもらってきたわけございます。 私は、これからもそういうような使命というのは変わらないと思っておりますので、その前提として、どうやって仕事を確保していくかということを考えながら、この保護司制度、保護司の事業というものが実際の更生に役立つようなものにしていくかということを改めて、いわば働き口というものを中心にしてこの問題を考え直していく、原点に戻った考え方をしていくということが一番大切なことだろうということで保護局の方で検討してもらう、こういうことでございます。
○山内委員 保護観察所の方や保護司さんたちが、こういう人に保護司になってほしいなと思って声をかけに行くと、どういう仕事なのかと聞かれて、前歴のある人が家に来る、それは困るなという意見があるようなんですね。何かもう少し面接というか面談する施設をやはりどこかにつくって、それで、保護司になろうという人も、自分の家に来られると確かに家族もびっくりするだろうなとか、就任することにこだわりを持つ、そういう壁を取っ払うためにもそういう施設をつくるべきじゃないかと思います。 保護司さんは、そういう人たちの更生改善の役目をするばかりじゃなくて、防犯活動などにも、例えば私の地元でいえば、あるデパートの前でチラシを配ったりもされて積極的にやっておられます。そういう活動もありますし、それから、犯罪被害者基本法ができたことによって、やはりこれからはますます犯罪被害者の方々とのかかわりをどうするかということがテーマとなってくると思うんですよ。そうすると、ますます保護司さんの職務というんですか、だから、それを全部言うとますます何かしり込みをされるようで、私は、こうやって質疑することが、本当に保護司さんが来てくれるようになるのかなとは思うんですけれども。 そういうことを考えると、無給でやっておられる方に給料制にしますということは、本当にボランティアの精神でやっておられる人たちにとってはそんな制度は要らないよと言われるかもしれませんけれども、そういう費用的な面は十分に面倒を見るべきじゃないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
○滝副大臣 今委員仰せられましたように、報酬を払うということについては、保護司さんのプライドがやはり生かされないというふうに思います。したがって、私は、郷土の事業については、やはり保護司さんの、周りに任せるのではなくて、少なくとも事業をとらえて、それは財政的にもう少し法務省としててこ入れしていかないといけない問題だろうというふうに思っております。
○山内委員 時間が来ましたので、保護観察官の抱える問題などにつきましてもお聞きしようと思ったんですけれども、またの機会にさせていただこうと思っています。 仮釈放で出た人とか満期出所者を社会がどう見るか。監視の目で見るのか、あるいは更生改善を期待して厳しくもありかつ優しく見るのかとか、私は、後者の方の社会になっていって、本当に犯罪が起きない、再犯が起きない世の中をぜひ法務省にもつくっていただきたいと思います。期待していますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。
○塩崎委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後二時三十八分開議
○塩崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。松野信夫君。
○松野(信)委員 民主党の松野信夫です。 引き続きまして、刑事施設法につきまして質問をさせていただきたいと思います。 まず、刑事施設法が上程されるに当たりましては、もう御存じのように、一昨年十二月の行刑改革会議の提言があったわけでございます。この提言はかなり評価していいのではないか、私はこういうふうに思っております。率直に、この提言を見ますと、従来の監獄における問題点もしっかり指摘をした上で、それを改善していかなければならない、こういうふうにうたっているわけであります。 例えば、この提言の九ページあたりを見ますと、従来の行刑施設がどうしても保安維持に重きを置く余りに受刑者の人間性が軽視されている、こういうのを広く見直して、受刑者が職員との人間的な対話を通じて自発的に規律を遵守している状態を理想的な規律のあり方だ、これを目指す、こういうふうな形で持っていっているわけでございます。そういうような点から見ますと、大臣もこういうようなお考えに立って今回の刑事施設法を提出されているんだろう、こういうふうに思います。 まず最初に、大臣、この行刑改革の提言、これをどのようにお考えになっていらっしゃるか、この点についてお聞きしたいと思いますが、ただ、これについては、せんだっての当委員会の質問を聞いておりましたら、ある委員が、刑事加害者の人権と刑事被害者の人権、これは被害者の人権の方が重視されなきゃいけない、ともすると、加害者の人権はどうも後送りでもいいみたいな、そういうような質問がありました。特に性犯罪に絡んでは、性犯罪を起こすような人は、場合によっては、去勢すべきだとか、あるいは性欲が衰えるまでは刑務所の中にほうり込んでおかなきゃいけないみたいな、ちょっとこれはとんでもない発言だ。まさか大臣はそういうような御認識ではないと思いますけれども、念のために確認をしておきたいと思います。 〔委員長退席、平沢委員長代理着席〕
○南野国務大臣 いろいろな方のお考えがございますので、私といたしましては、受刑者処遇のあり方についての御指摘の行刑改革会議提言の理念は、現在取り組んでいる行刑改革に関する最も重要な考えの一つであろうというふうに思っております。この提言でも指摘されておりますように、他人の人間性を踏みにじった受刑者の人権を尊重する必要などないという考え方は決して妥当なものではないというふうにも思っておりまして、まして去勢ということについてはまあというふうに思えております。 他方、犯罪被害者の権利利益を図ることも同時に重要であろうかというふうにも考えておりまして、犯罪被害者等基本法の趣旨、目的を踏まえまして、さらなる施策を推進するとともに、受刑者の処遇に対しましても、受刑者が犯罪被害者の方々の悲しみや苦しみを理解した上で、真の改善更生を図るということの教育の拡充等を図ってまいりたいというふうに思っております。 〔平沢委員長代理退席、吉野委員長代理着席〕
○松野(信)委員 ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。 これからは、専ら懲罰とか拘束とか、そういうような問題について質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、今回の法案を見ますと、懲罰に関する一般的な制限規定というのは設けられていないようであります。中には、例えば五十条を見ますと、刑事施設の規律とか秩序、そういうような規定はあります。ただ、これは懲罰についてうたっているわけでもありません。それから、懲罰について具体的にうたっているところは、見ますと、百五条が懲罰の要件等ということでその記載がありますが、ただ、これも第三項に「懲罰は、反則行為を抑制するのに必要な限度を超えてはならない。」この程度の記載しかないわけで、私は、一般的な制限規定、懲罰はそうみだりやたら用いるものではない、そういう趣旨の規定はやはり置いておくべきではないか、こう思っております。 ちなみに、ちょっと御参考までに申し上げますと、ドイツの行刑法の第四条にはこういう規定があります。受刑者には、保安の維持のため、または、施設の規律への重大な障害を防止するために不可欠な制限のみを課すことができる、こういう一般的に制限をするような規定があります。どうも今回の法案にはそういうような規定がないわけです。この点についてはどのようにお考えになっておられますか。
○滝副大臣 今委員が引き合いに出されました法案の五十条で、規律に関する一般的な原則を掲げてあるわけでございまして、その二項に、委員も御指摘のとおり、この規律というのは、共同生活を維持するために必要な限度を超えてはならない、こういうような趣旨の文言を述べておるわけでございます。したがって、考え方としては、ドイツの刑事施設法の四条に思想的には同様のものというふうに考えていいんじゃないだろうかなと思うのでございます。 具体的に懲罰の問題につきましても、今委員が御指摘のとおり、百五条で「反則行為を抑制するのに必要な限度を超えてはならない。」こういうような比例原則というものを明確にいたしておるわけでございます。したがって、従来、ともすれば規律ということが矯正の基本、それが最たるもの、こういうふうに認識をされてきた嫌いがあるわけでございますけれども、この法律ではそういう比例原則というものを明言しているところでございますので、濫用というものは厳に慎む、こういうような考え方をにじませていると思っております。
○松野(信)委員 そうしますと、確かに文言上は今申し上げたドイツ行刑法の第四条のような明確な文言があるわけではありませんが、趣旨とすれば、今副大臣の方からお答えいただいたように、みだりに懲罰というのを乱発してはならない、そういうような抑制的なものが含まれているんだ、こういうふうに理解してよろしいですね。
○滝副大臣 そういうふうに考えるべきだと思っております。
○松野(信)委員 ありがとうございました。 それから、懲罰の手続のところですけれども、懲罰というのは一種の罰則を加えるというものでありますから、どうしても私は弁護士出身ということもあって刑事裁判をイメージするわけですね。何らかの事件が発生して懲罰を加えなきゃいけない、そうすると、ある意味では起訴状のようなものがあって、あなたはこういう問題を起こした、何か言い分はあるか、場合によっては証拠調べなどをきちんと行って、最終的には一種の判決に相当するような形で懲罰の中身を告知する、こういうようなのが本来の手続かなというふうに思いますが、今回の法案では必ずしもそうはなっていないようであります。 中身を見ますと、必ずしも懲罰の最終決定の内容、そしてその理由については書面の告知はどうもなされないように思っておりますが、その辺はどのようにお考えになってこういう手続というふうにしたんでしょうか。
○滝副大臣 この問題につきましては、行刑改革会議でも議論があったようでございますけれども、基本的には、現場で迅速に処分をしていかなければいけない、こういうようなことでございますので、外部からの補佐人というよりも、百十条に掲げておりますように、三人以上の職員を指名した上で受刑者に対して弁明の機会を与える、こういうようなことを規定いたしておるわけでございます。 したがって、同じ穴のムジナじゃないかというようなお考え方もあろうとは思いますけれども、この補佐役として指名された職員というのは、いわば保安部門の職員でない職員を指名する、こういうような運用を考えておりまして、したがって、そういう意味では、いわば少し距離を置いた補佐人を指名する、こういうことでその辺のところを解決していこう、こういう考え方でございます。 〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕
○松野(信)委員 今の百十条の点ですけれども、私から見ますと、同じ法務省の職員ということで、果たして中立公正な立場で懲罰手続が補佐人というような形でできるのかなという危惧が正直あるわけです。 全部の懲罰、これは懲罰も軽いのから重いのまでいろいろあるわけですので、全部の懲罰にすべて例えば弁護士を補佐人としてつけなきゃいけないとなると、これはおっしゃるように迅速性の問題とかで少し難しいところが現実問題としてはあるかなという気はしていますが、しかし、懲罰の中にはかなり重い懲罰を加えるというような問題もある。 そうすると、例えば懲罰を受ける受刑者の方が、これは重大だということで、補佐人は所内の職員ではなくてやはり弁護士をつけたいというような要望があったときには、そういうような手続というのはやはり残しておいた方がいいのではないか。弁護士を選任して、弁護士が補佐人として弁護活動できる、こういうような余地をやはり残しておくべきではないか、こう思いますが、この点はいかがでしょうか。
○滝副大臣 その辺のところは恐らく悩ましいところがあるんだろうというふうには思います。しかし、今までにない格好で、こういう手続まで法律上明確にするわけでございますから、私はこの指名された補佐役が十分に任務を果たすというふうに思っております。 また、今回新たに、今までの情願制度というような肩ひじを張ったものよりも、もう少し、少しは手続的に事務的なルートにも乗れるような不服申し立ての制度もつくったわけでございますから、私は、二重な意味において受刑者の立場というものは守られていくんだろうというふうに思っておりますし、十分な調査を尽くすとかそういう運用上の問題は、念を入れてやっていく、こういうことで御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○松野(信)委員 ぜひ、懲罰、手続的にきちっと適正な形でお願いをしたいというふうに思います。 次に、拘束衣というのが今度の法案では出てきております。これは五十五条でありますが、従来拘束衣というのは特段の規定がなかったわけでありまして、今回初めてであります。 調べますと、従来、旧法の監獄法の場合ですと、戒具を用いることができる。戒具は、鎮静衣、防声具、手錠、捕縄、この四つのようですけれども、お聞きしたところ、実際のところは鎮静衣というのはほとんど使われていない。それから、防声具というのもほとんど使用実績がない。現に、もう使用しないということで通達もどうも出ているようであります。 そうすると、今度新しく、拘束衣というのは、では従来の鎮静衣とどう違うのか。具体的に、その見本などがありましたらちょっとお示しいただいて、御説明をいただければと思います。
○塩崎委員長 どうぞ。理事会で了解をしておりますので。 マイクを使ってください。
○横田政府参考人 ここで御説明申し上げます。 拘束衣、ただいま委員会から提示するようにということでございますので、現物を提示しながら御説明申し上げます。 なお、この拘束衣は、現在検討中、試作品の段階でございまして、基本の構造は変わることはないと思いますが、細部の仕様等につきましては、最終的にはまだ確定しておりませんので、その点はお断り申し上げたいと存じます。 この拘束衣は受刑者が自身を傷つけるおそれがある場合において、ほかにこれを防止する手段がないときに使用するものでございます。 まず仕様でございますけれども、素材は、主要部分である前面と背面はこのような化学繊維で、蒸れたり、体熱で体温がさらに上昇したりすることがないように、通気性に配慮いたしまして、メッシュタイプにしております。 それから、機能性ということに配慮いたしまして、容易に装着できるということが、これは大事なことでございますので、そのために面テープ、ファスナー、それからワンタッチ式のかぎを使っております。ここにかぎがございますけれども、すぐに解錠できる、そういうことでございます。 それから、安全性に配慮いたしまして、体に密着するものでないということで、ある程度の身体の自由がききます。体にぴったりしておりますと、例えば呼吸困難とかそういうこともあり得ないではありませんので、このように余裕を持たせた形で、袋状といいますか封筒状の、いわゆるシュラフをモデルにしたようなものですけれども、それに従ってこうありますけれども、これは中に入りましてもある程度の自由はきく。 それから、下部の方から足を最終的には拘束しますので、動くことは、歩くことはできませんけれども、上半身を起こしたり、それから寝返りを打つことはできます。したがって、拘束ベッドですと全く身動きがとれませんけれども、この場合にはごろごろ動くことは可能だということでございます。 それから、サイズでございますけれども、これは一つの例を挙げていますけれども、いろいろな体格の方がいらっしゃいますので、数種類のサイズのものを用意するように考えております。 それから、固定される部位でございますけれども、両手の手首部分を体側で面テープで固定しますけれども、若干の動作がこの中では可能であるということ。それから、先ほど申し上げましたように、両足を面テープで拘束し、使用される受刑者を寝かせることによりまして、勢いをつけて頭から壁などに激突するといった、そういう事態を防止できるようにしています。 それから、メッシュ前面と背面を面テープで固定するとともに、先ほど申し上げましたように、ワンタッチで施錠したり解錠したりできるかぎをつけて、脱げないようにしております。これによりまして、既に負傷している部位に対しまして、さらに自傷行為を繰り返すことができないようにしています。 それから使用要件ですけれども、これは繰り返しになりますけれども、被収容者が自身を傷つけるおそれがある場合に、他にこれを防止する手段がないときに使用することとしておりますし、装着期間でございますが、当初は三時間といたしまして、自傷行為が継続するおそれがある場合は、三時間ごとの更新をできるといたしますけれども、通じて十二時間を超えない範囲といたしております。それから、この拘束衣を使用した場合の捕縄と手錠との併用を禁止いたしますほか、使用し、または使用時間を更新した場合には、健康状態について医師の意見聴取を義務づけているということであります。 これが拘束衣についての概略の説明でございます。
○松野(信)委員 拘束衣、現物を見せていただいてありがとうございました。 ただ、質問しましたのは、従来ほとんど使っていなかったという鎮静衣、これとの比較、これとどう違うのか、その点の御説明をお願いしたいのと、それからもう一点は、今三時間ごとに医師に意見を聞くということで、これは五十五条の第六項に規定があるわけですけれども、「刑事施設の職員である医師の意見を聴かなければならない。」と書いてはあるんですが、現実には、医師の方も定員割れを起こして、なかなか医者が見つからない、こういう現実があるわけですので、本当にこの第六項に規定しているような刑事施設の職員である医師の意見の聴取というのが現実に可能なのか、その辺の見通しをお願いします。
○横田政府参考人 鎮静衣でございますが、これは本当に使っておりませんので、実は現物もございません。そういうものが規定されたということで、そこで想定されているものは、もっと体全体を拘束するというか、しっかり縛りつけるような状態の衣類状のものだというイメージで考えていただければというふうに思います。 それから、医師の意見を聞くことでございますが、もちろん、これは法律で定めるわけですので、当然医者がいないからということではできないわけでございますので、これは法律に従って、健康状態については刑事施設の職員である医師の意見を聞くということは、当然のことながら遵守するということになります。
○松野(信)委員 それでは、続いて刑務所内の規則のことについてお伺いをしたいと思います。 これは、法案の五十一条以下に「刑事施設の長は、受刑者が遵守すべき事項を定める。」ということで、幾つかのいろいろな事項が挙がっております。それで、従来は監獄法に基づいて、各刑務所ごとに規則が設けられていたというふうに思います。ただ、見ますと、どうも刑務所によってこの規則というものがかなりばらつきがあるということのようでありまして、やはり最低の基準は矯正局あたりででもきちんとつくって、それで余り刑務所によって規則にばらつきがないように、そういうふうにした方が私はいいのではないかというふうに思っておりますが、この刑務所の規則についてはどのように今後お考えでしょうか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 刑務所内の規則につきましては、違反した場合に懲罰の対象となる遵守事項と、それから違反に対しまして懲罰をもって臨むまでのものでもない生活上のルールというものがございます。いずれにつきましても、各施設それぞれの収容対象者や処遇内容等に応じまして規則のあり方にも差異が生じ得ることから、各施設の長が定めることとされております。 このうち遵守事項、つまり懲罰の対象となる事項でございますけれども、これにつきましては、現行監獄法では何ら触れられておらず、各施設の長が自由に定めることとされておりますが、今回の法案におきましては、違反した場合に懲罰という不利益が科されることにかんがみまして、五十一条で遵守事項として定めるべき事項を法律上具体的に列挙することによって、その対象を限定しております。 また、生活上のルールにつきましては、法案においても特に規定はなく、刑事施設の長が施設の実情に応じて定めることとなりますが、その内容の合理性、必要性については、行刑改革会議の提言を踏まえ、各施設において必要に応じた見直しが行われているというふうに承知しております。
○松野(信)委員 そうしますと、従来の刑務所の規則というのは、旧監獄法に特段基づくものでなくて、各刑務所の所長さんがその裁量の中で規則を定めていたということのようですが、今後は、新しいこの法案で、かなり細かなところまで、刑事施設の長はこうしなければいけない、ああしなければいけないというふうに規定がありますので、恐らく、今ある刑務所の規則というのは、これは全面的に見直しをすることになるんだろうというふうに思います。 例えば、私は府中の刑務所の規則というのをちなみに取り寄せて見てみました。そうしますと、例えば、私本は三冊に制限をする、こういうふうな規制になっている。それから、新聞紙については、一紙のみ指定して、これを工場とか舎房に回覧する、購入や差し入れは認めない。こういうふうに、府中の刑務所の規則ではそうなっている。だけれども、これは恐らく、今度の法案によればこういう点は大きく変えていくことになるんだろうというふうに思います。 例えば、法案の四十九条を見ますと、「刑事施設の長は、受刑者に対し、日刊新聞紙の備付け、報道番組の放送その他の方法により、できる限り、主要な時事の報道に接する機会を与えるように努めなければならない。」こう書いてあるわけですから、余り新聞は見るな、本も余り見るなというようなことではなくて、むしろ社会の動き、そういうものにも接して、ある意味では、いずれ社会にまた戻っていくということに備えなさい、そういう趣旨にも読み取れますので、私は、今申し上げた、例えばこの府中の刑務所の本とか新聞とかを制限する規則というのは、これはやはり新しい法律の施行に伴って改めるべきではないかな、こう思いますが、この点はどのようにお考えですか。
○横田政府参考人 お答えします。 まず、生活上のルールの見直しのことでございますけれども、もちろん、新法ができれば新法の定めがありますし、その新法の精神といいますか趣旨というものもございますので、そういった点で、それまでのルールというものを見直していくということになろうというふうに思っています。 それから、新聞でございますけれども、現在も数紙の中から受刑者の意見を聞いて選べるという形になっておりますし、私本につきましては、新法では、この法案では新しい制度で保管私物という制度を今度設けますので、その限度量の範囲内でこれを認めるということになります。
○松野(信)委員 ぜひ、新法が施行されるに当たっては、新法の趣旨を踏まえて、それぞれの刑務所の従来の規則、これをやはり見直して、新法に則するような形で改正してもらうような指導をお願いしたい、こう思います。 それで、刑務所によってもかなりばらつきがあるようなんですが、私が聞いているところでは、ある刑務所では、例えば作業場に行ったり来たりするときには軍隊的な行進で、右手、左手を大きく振って、足を上げて、一、二、三で進まなきゃいけない、そういうふうにしているところもあれば、まあそこまでしないで、普通にぞろぞろと歩いていってよろしいというふうにしているところもあれば、また、居室の中でもきちんと正座をしていなきゃいけないとか、それからもたれかかってはいけない、そういうふうにしているところと必ずしもそこまでは言わないというところで、これはかなりばらつきがあるようですね。 その辺は、私はある程度は統一的な指導を本省あたりからされたらどうかなというふうに思っておりますが、この点はいかがお考えですか。
○横田政府参考人 初めに一点、私、ただいまちょっと不正確でございましたので、新聞紙のことでございますが、これは数紙の中から選べると申し上げましたのは、これも法案ができ上がった段階のことでございますので、現在は回覧方式をとっているところでございますので、訂正させていただきます。 それから、今委員のお尋ねは、いわゆる動作要領といいますか、そんなふうに呼ばれているものについてでございますが、これにつきましては、いろいろな、さまざまな御意見がございまして、今、行刑の現場では、大きく見直しをしているところでございます。 まず、行進についてでございますけれども、受刑者の質や施設の状況に応じまして、行進時に受刑者に大きな声でかけ声を上げさせることをやめるとか、それから腕の振り幅や足の高さの指定をなくすなど、できるだけ自然な歩行とするよう現場では見直しが進められております。 それからもう一つは、今おっしゃった居室内での強制といいますかあるいは規制といいますか、そういったことにつきましても見直しが行われて、はっきり申し上げまして、いろいろ言われたような事柄については、かなり大きく変わっているというのが現状でございます。
○松野(信)委員 ぜひ変えていっていただきたいと思うんですね。 これも私が直接にかつて受刑をされた人本人から聞いた話ですけれども、やはり刑務所長の裁量というのはかなり大きい、本人が経験したところで。例えば、出還房時の裸体検査。ある刑務所のところだと素っ裸になる。素っ裸になって、おしりの穴まで見られる。ちょっと女性はわかりにくいかもしれませんけれども、さおまで上げさせられてチェックされた、そういうところもある。また別のところでは、パンツ一つでよかった、パンツまで脱がないでよかった。その辺は、どうも刑務所長の裁量でそういうような違いがある。所長の判断で大分違うなというふうにその受刑者の人は思ったということなんです。 この辺も、余り刑務所ごとで違いが出てくるのもいかがなものかなというふうに思いますので、ぜひこの辺は、新法の施行を契機に、正すところは正して、余り裸体検査というのも、受刑者の人格を傷つけるような、そういうやり方はちょっと慎んだ方がいいのではないかというふうに思いますが、大臣、率直に、その辺はどのようにお考えでしょう。
○南野国務大臣 裸体がやってまいりましたが、あるところの視察に行かせていただきましたときには、下に鏡を敷いたところがありまして、鏡をはめ込んでいるところを歩いていただく、そういうような配慮をされているところもありましたので、いろいろ、人間性を尊重しながら、適切な形での検査ということがされるものと思っております。
○松野(信)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。 それから、運動の点、これはもう既に別の委員の方がお聞きになったかと思いますが、運動の点は、三十四条で「できる限り戸外で、その健康を保持するため適切な運動を行う機会を与えなければならない。」こういうふうな規定になっておりますが、この点については、もともと行刑改革の提言では、一日一時間、戸外運動という具体的な形で提言がなされていた。また、国連の被拘禁者処遇最低基準の規則でもそういうふうなことがうたってあります。 残念ながら、法案の中には一日一時間というところまでは記載がないんですけれども、この辺は提言と少しずれがあります。これについてはどのようにお考えでしょうか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 適切な運動を行う機会の付与は受刑者の健康の保持のために必要でありますが、現下の収容状況や運動のためのスペース及び職員配置の状況を前提といたしますと、大多数の刑事施設におきまして一日一時間の運動を行う機会を確保することは現実問題として不可能でございまして、このような不可能なことを規定することは適当ではないと考えております。もちろん、できる限り運動の機会を拡充するよう努力すべきことは当然でありまして、現在、運動時間の延長を試行的に実施している施設の状況も参考にしながら、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。 なお、これは今委員御指摘のように、行刑改革会議の提言にあることがそのとおり一〇〇%実現されない例でございますけれども、これにつきましては、行刑改革会議のメンバーの委員をしてくださった方々のほとんどの方が、その後、行刑改革顧問会議ということで、いろいろまた御相談にあずかっているわけですけれども、この法案を作成するに当たりまして顧問会議を開きまして、そこでも私どもの考えを御説明申し上げまして、その御了解を得ているところでございますので、つけ加えさせていただきます。
○松野(信)委員 ぜひ、行刑改革会議の提言を踏まえて、運用の面で、そういう方向でお願いをしたいと思います。 残された時間については、百四十六条以下にあります警察留置場の問題についてお伺いをしたいと思います。 いわゆる代用監獄というのは、日本語ですけれども、これは国際的な言葉にもダイヨーカンゴクということで、過労死とかと同じようにそういう言葉になっているんですが、今回は、いわゆる既決の部分についてだけ今回の法案でやる、未決については来年にするということのようですが、そういうような形には一応なっているわけです。 ただ、この百四十六条以下にいわゆる警察留置場の規定が設けられているということであります。基本的には、こういうような警察留置場を使う、それを監獄、刑務所にするというのはやはり廃止をしていく方向で考えるのが筋だというふうに思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○安藤政府参考人 代用監獄を廃止しようということにつきまして、警察庁の方の考え方を申し上げたいと思います。 現在の我が国の刑事司法制度のもとにおきましては、犯罪捜査を適正、迅速に遂行するために必要な被疑者の勾留場所に関する条件は、一つは捜査機関と近接した場所にあるということ、それからもう一つは取り調べ室等の設備が十分に整備されていることであると考えております。その上で、これらの条件を満たす施設を新たに整備するということは、適切な立地場所を確保しなければならないということや、施設整備のための財政的な負担などを考えますと、極めて困難であるのが現実だと思われます。 一方、警察は留置場を交通至便の地に有しておりますし、これは弁護人等の利益にも資するものと考えておりますので、代用監獄制度につきましては、これを存続することが必要であると考えております。 なお、代用監獄制度を含む未決拘禁者の処遇に関しましては、今後、関係機関の間で議論されることになっております。その中で、当庁の立場が理解されますよう努力してまいりたいと存じます。
○松野(信)委員 今の答弁は極めて残念というふうに言わざるを得ないと思います。 私は、今回この法案を審議するということですので、明治四十一年、監獄法が制定された当時の帝国議会の議事録をとってみました。ここに今、手元にございます。ちゃんと保存されているんですね。第二十四回帝国議会衆議院監獄法案外四件委員(委員中特別調査委員)会議録(速記)第四回というのがあります。 この中の審議経過を見ますと、花井卓蔵君という委員が質問して、それに対して法学博士小河滋次郎君という政府委員が答弁して、法学博士だそうですが、この答弁を見ますと、「成ルベク留置場ハ将来ニ於キマシテモ監獄トシテ用ヰナイ方針ヲ採ル積リデアリマス、」明治四十一年にこう答弁しているわけです。「実際已ムヲ得ズシテ之ヲ用ヰルノデアリマシテ、」こういうふうな答弁があって、これは明治四十一年のときから、留置場というのは余り使わない方がいい、当初からこういう答弁できていたわけです。 ところが、九十七年たっても、今お聞きした答弁では代用監獄はさらに存続させるということになっているので、これは正直、いかがなものだろうか。来年、これはもっと徹底した議論が必要かと思いますが、明治四十一年以来の約束というのがいまだにそういう状況では、ちょっとこれはおかしいのではないか。 確かに、警察庁はこれまで、こういう監獄法の改正あたりの問題が出てきますと、警察拘禁施設法案とかあるいは留置施設法案とか、そういうのをいろいろとお考えになって、代用監獄というのを恒久化するということをどうもお考えになっていたみたいですけれども、そもそも、それは明治四十一年のこの監獄法の時点から見てもおかしいわけです。その辺のところは警察庁はどのようにお考えですか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。 今委員御指摘の当時の議論というものを私は詳細承知いたしませんでしたが、ただ、先ほど申し上げましたように、現実に、我が国の現在の刑事司法制度のもとにおきまして、犯罪捜査を適正、迅速に遂行するために、被疑者の勾留場所に関する条件として二つあるわけで、それを満たすためには警察留置場を存続させることがやはり現実的な考え方ではないかということを申し上げております。 いずれにしましても、先ほど申しましたように、この代用監獄制度を含めまして未決拘禁者の処遇に関しましては、今後、関係機関の間で議論をされるということでございますので、そのようにお答えしたいと思います。
○松野(信)委員 余り時間がありませんので、こればかり議論してもあれですけれども、ただ、これは国際的にも批判がされているわけですね。警察の手元に置いていつでも取り調べできる、これがまさに冤罪の温床だ、こういうような指摘も繰り返し、繰り返しされているわけですけれども、どうも、国際的な批判に対しても改めようというような姿勢が見られないのは大変残念だというふうに言わざるを得ないと思います。 それで、具体的にこの法案の中を見ましても、この法案というのは、代用監獄をどうも存続させよう、恒久化させようというような趣旨でつくられているんじゃないかな、こういうふうに疑いたくなるような内容もあります。 例えば、百四十七条に巡察というのがありまして、これは警察庁長官が警察留置場を巡察する、見て回る、こういうような規定であります。従来こういうような規定はなかったわけで、こういうのがいきなり、巡察する、もう既にこういう規定をつくって、来年の未決のところにもやはりこういうのを盛り込ませようというような趣旨ではないかなという疑いもありますが、この点を改めるというお考えはありませんか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。 ここに規定しております巡察というのは、留置場の適正な管理運営を確保しつつ、被留置者の処遇の斉一を図ることを目的に、全国的な見地から、警察庁長官の指定する職員が直接留置場を巡回し、視察するというものでございます。刑事施設につきましては、御案内のとおり、本法案に規定される法務大臣の主宰します実地監査等により、全国的な斉一性を確保することとされております。警察留置場に関しましても、刑事施設との均衡を図るためにも、全国的な見地から調整する仕組みをつくることが必要であるというふうに思われるわけであります。 警察庁は、都道府県警察が実施しております留置業務が全国的に均衡のとれたものとなるように調整する責任を有している、これは警察法上からの調整権限があるわけでありますが、そのために必要な巡察をやはり定期的に行うことを制度として設けることといたしたところでございます。 なお、本法案はあくまで現行の法制度に基づいて策定したものでございまして、未決拘禁者の処遇や代用監獄制度について新たな内容を決定するものではないことから、今後のこれらの事項に関する議論に影響を及ぼすものではないと考えております。
○松野(信)委員 そう言うなら、もうやめたらどうですか。もうあっさり、現在ある法律で十分対応できる。何もわざわざこの百四十六条以下、警察留置場の規定を設ける必要は全くない、これが素直なやり方ではないかというふうに思いますよ。 さらに問題なのは、百四十九条で、警察留置場に限っては防声具の使用を認めているということです。本来の刑事施設、刑務所では、先ほどごらんいただきましたけれども、拘束衣は使用する、だけれども防声具は使用しないというふうになっている。ところが、この警察留置場に限っては防声具の使用を認める、これは本末転倒ではないかというふうに思いますが、いかがですか。
○安藤政府参考人 お答えいたします。 現在の監獄関係法令のもとにおきましては、留置場の規律及び秩序を維持するために、逃走、自己または他人に対する加害、あるいは施設設備の損壊、さらには大声を発することなどの行為を行う被留置者に対しましては、手錠、捕縄、鎮静衣及び防声具を使用することが認められておるわけであります。 本法案において、刑事施設の受刑者に対する防声具の使用が規定されておりませんけれども、これは、刑事施設におきましては、防音効果の高い保護室の整備が進んだことによりまして、防声具を使用する必要がなくなったことなどによるものであると承知しているわけであります。 これに対しまして、警察留置場におきましては、刑事施設の保護室に相当します、いわゆる保安室と申しますが、保安室の整備がいまだ十分なものではございません。他方で、被留置者が大声を発することにより他の被留置者に迷惑を及ぼすなど、留置場内の平穏を害し、秩序を乱す事案も多々あるといいますか、散見されますので、警察留置場におきましては引き続き防声具を使用することが必要であると判断したものでございます。
○松野(信)委員 それはまさに本末転倒の考え方ですよ。刑務所の方は保護室があるから防声具は必要ない、警察留置場の方は残念ながら保護室というのが余り完備されていないから、大声を出されたらうるさくてしようがないから防声具を使う、それはまさに議論が逆転しているわけです。それなら、警察の留置場の方を使わなきゃいいわけです。あるいは、もし使うんだったらきっちりと施設で保護室あたりを完備する、これが本来の筋ですよ。それをひっくり返して、警察留置場だけ防声具を使わせるというのは、これは議論が本当にひっくり返っているというふうに言わざるを得ないと思います。 現に、これも別の委員の指摘がありましたけれども、昨年の四月二十一日、和歌山東警察署で防声具を使用して死亡事故が発生している、こういうようなことで、ほかにもそういうような防声具の事故というのがどうもあるようで、ますます、そういうことからするならば、警察留置場に施設整備が不十分であれば、本来やはり刑務所の方に入れるというのがどう見ても筋ではありませんか。そう思いませんか、どうですか。
○安藤政府参考人 警察留置場におきましてのいわゆる保安室の整備につきましては、今できるだけ、新設の警察署の場合は保安室をつくるように鋭意努力をしておりますが、現実のところはまだ不十分だということでございます。 それで、先ほどから申し上げておりますように、現法案におきましては、現行制度を前提にしてどう扱うかということを規定しておりますので、そういう点で、防声具についても、現実的に今の段階ではこういう取り扱いをいたしたいというふうに思っております。
○松野(信)委員 時間がありませんので、問題点の指摘だけしておきますが、この防声具の使用を警察留置場では認めると同時に、捕縄も手錠も認める、こうなっている。先ほど、拘束衣の場合は捕縄とか手錠とかはしないというふうに刑務所の方ではなっている。余りに刑務所と警察留置場の取り扱いが違っているというふうに言わざるを得ないわけであります。 私が聞いているところでは、警察留置場に収容される受刑者というのは年間八百人ぐらいだということですから、全体から見ると数は少ないわけで、そういうのに警察留置場の規定を案外詳細に設けて防声具まで認める、これは極めて問題だということを最後に指摘させていただいて、質問を終わります。 ありがとうございました。
○塩崎委員長 次に、辻惠君。
○辻委員 民主党の辻惠でございます。 刑事施設法案に関する質問をしたいというふうに思っておりますが、先日私が一般質疑で質疑をさせていただいた井内顕策特捜部長についての大臣のコメントについて、翌日平沢議員の御質問に対して撤回するようなことをおっしゃっているので、その点について、真意を改めて冒頭で確認させていただきたいというふうに思います。 平沢議員の質問に対するお答えとして、マスコミとやくざを比べること、これ自体はおかしいことだと思うということはお認めになっているわけなんですね。 私の質問の中では、「マスコミは本当に有害無益な存在です。」とか「マスコミは、やくざ者より始末に終えない悪辣な存在です。」というようなかなり激しい口調の文言が出ていて、しかもそれはかなり確信犯的な理解に立って出てきた言葉であって、単に口を滑らせたということではなくて、まさに本質が顕現したというふうに思わざるを得ないような言葉として出てきているわけであって、そこについて大臣がどのようにお感じになるのかというのは、これは基本的に問いたいところなんですよ。言葉じりだけをとらえているのではなくて、まず原理原則について大臣がどうお考えになっているのかということなんです。 まず、意見をはっきりしていただきたい。その意見がしっかりとした見識に基づいた意見であってほしいというふうに私は思います。しっかりとした見識というのは、やはり報道の自由を尊重して、それとのせめぎ合いの中で検察権の行使もあり得べきだ、そういうバランスを持った感覚。そして、司法改革の中での検察庁の役割ということを念頭に置いたら、しかるべき見識に基づいた検察像というのがあってしかるべきだし、報道の自由に対する尊重の理念ということもあってしかるべきだろう。それに裏づけられて、具体的に個々の問題についてどういう意見をお持ちになるのかということを言っていただきたい。 大臣がおっしゃっているのは、個々の意見について、そこが何かくるくる変わるようにどうも思えるし、本当のところ、では見識としてはどういうふうに思っておられるのかというのは疑念を持たざるを得ないんですよ。だから、もう一回確認させていただきたいというふうに思います。 結局、この間の平沢議員の質問に対するお答えを見ますと、マスコミが扇動するとせっかくの問題点も解決しないままに終わってしまうというようなことがあるんだとわざわざ言っている。しかも、仕事の熱心さがそこにあらわれているというふうに思いますと擁護しているんですよ。だから、結局のところ、言葉としてやや穏当を欠くけれども、別にそんな大きな問題じゃないんじゃないのということを言っているんですよ。 もし大臣が本当に報道の自由を尊重しつつ検察権の行使ということを考えるのであれば、本当に御自分の理念なり見識としてお持ちだったら、そんな変なことを言う人間に対してはやはりおかしいと憤りを感じて、それを、表現の仕方はいろいろあるにせよ、人に伝わるような言葉で伝えるべきなんですよ。それが全然伝わっていないじゃないですか。だから大臣も、結局、そんな大した問題じゃないと思っているというふうにうかがわれかねない。そこが問題なんですよ。 だから、もう一回きちっと確認させていただきたいと思いますけれども、「マスコミは本当に有害無益な存在です。」とか「マスコミは、やくざ者より始末に終えない悪辣な存在です。」こんな発言自体、常識的におかしいと思いますが、その点はいかがですか。
○南野国務大臣 先生御指摘のとおり、常識的に考えてみても、その部分はおかしいかなというふうに思っております。 まず、三月二十九日の法務委員会におきまして、私は議員から、ちょっと繰り返しになりますが、「マスコミは、やくざ者より始末に終えない悪辣な存在です。」などという表現自体、常識的に考えてもおかしいでしょうとのお尋ねがありましたので、先生御指摘のとおり、人間としておかしいのかなと思っておりますとお答えいたしました。 その真意は、言葉足らずであったわけでございますが、私も、常識的な、一個人として考えてみますと、マスコミをやくざ者と比べるということはおかしい、このような表現を用いることは、表現に穏当を欠いているのではないかというふうに思いました。そのことにより井内部長の検察官としての適格性やその人格について不適格であるとかおかしい旨を述べたという意図はありませんでしたので、その真意が正しく伝わっていないと思われたため、改めて翌日の法務委員会において私の真意を言葉を尽くして説明させていただきたいとしたものでございます。 このようなことですので、世間一般の常識から見ましたら表現に穏当を欠いた部分があったものと考えているという私の考え自体は変わっておりません。
○辻委員 だから、今のお言葉をそんたくすれば、南野大臣の真意は、言葉が滑ったにすぎなくて、本来的に言っていることはそんなにおかしいことではないんだということを言っているんですよ。そこが問題だと私は申し上げているんです。 検察官としての資質がどうだというのは、それは先の問題ですよ。私は、一般の常識的な感覚として、年賀状を送ってきた新聞社の人に、四人に対して、送られてきた年賀状を突き返して、同時にこんな文書を一緒に渡す。常識人としておかしいですよ。確かに、不幸があった、では、ことしは年賀状は遠慮させていただきます、ないしは、受け取った場合には、後から、実はこうだったんですというふうに言えばいいわけですよ。突き返すなんということをわざわざやること自体が、私は本当に非常識だというふうに思います。 かつ、問題なのは、検察官というのは独任制の機関であって、権力を持っているんですよ。しかも、この渡したマスコミの四人については立入禁止の措置を講じていたという中で、なおそういうふうな行動に出るということは、これは権力的な意味を持つんですよ。相手方にとっては、それを本当にそういうふうに受けとめざるを得ない。そういう関係性についての理解をしっかり持っていただきたい。もしそういう関係性を理解すれば、妥当でないかどうなのかということは、もっとしっかりとした言葉で、自分の気持ちのこもった言葉で言えるはずなんですよ。 言葉じりが穏当でないとかそんな問題じゃないでしょう。そこを本当にきちっと、やはり法務大臣、検察庁全部を統括しているわけなんですからね。その法務大臣が、個々の行為について適当にお茶を濁して、穏当を欠くけれども、まあ職務熱心だから仕方がないんだみたいなことをあえてまた言っている。そこは化けの皮がはがれているというか、頭隠してしり隠さずですよ。何を考えているのかということを疑われかねませんよ。国民は信頼できないですよ、そんな法務大臣。そこを問われているということをしっかり受けとめて、御自分の言葉でちゃんと語ってください、もう一度。
○南野国務大臣 先ほども申し上げましたとおりでございますが、三月二十九日の法務委員会におきまして、議員から、「マスコミは、やくざ者より始末に終えない悪辣な存在です。」などという表現自体、常識的に考えてもおかしいでしょうというお尋ねがありました。私自身、常々申し上げておりましたように、本件の文書は表現に穏当を欠いていると考えており、それは議員のおっしゃった、常識的に見てもおかしいという言葉で言いかえることもできるのだろうと思っております。 そこで、その趣旨をお答えしようとしたのですけれども、時間が足りずに言葉不足であったということについては、御了解いただきたいと思います。
○辻委員 余り長々やりたくはないので、ではこういうふうにお尋ねします。今後、検察官が、私信かどうかということ、私は、私信であったとしても、今言ったようなかなり権力的な関係の中でその私信を渡しているし、出入り禁止処分をしている中でやっていることだから、やはりそれは受け取る側の気持ちを考えたときに、単純にプライベート間の問題ではないというふうに思わざるを得ない。 だから、そういう意味で、独任官である検察官として、やはりこういう発言は、一般論として、今後望ましいものではないということぐらいは言えるんじゃないですか。それをおっしゃってくださいよ。
○南野国務大臣 そのとおりでございます。望ましいものではありません。
○辻委員 聞くところによると、この出入り禁止の問題について、この間私が「新聞研究」で紹介申し上げた、いろいろな拒否の仕方があるということを含めて、今、この井内発言をきっかけとして、検察庁と記者クラブとの間で、今後どうしようかという協議がなされているやに聞いておりますけれども、この協議の行方なりについて、法務大臣として望まれる方向についてお考えを伺いたいと思いますが、いかがですか。
○南野国務大臣 東京地検におきましては、今般、報道機関との間で、報道のあり方と検察の対応について互いに率直な意見交換を行っておられます。今後もこれを継続的に行っていくものと聞いておりますので、その中で、報道、取材の自由と捜査の適正との調和が一層図られていくと思いますので、そういう形の対話をぜひ続けていただきたいというふうに思っております。
○辻委員 もう少し今回の反省点に立ってということを踏まえた発言をいただきたいというふうに思いますよ。 ただ、どうも繰り返しになりそうだから、とりあえず今の発言を承っておいて、その協議の経過なり今後の、要するに、立入禁止をそう簡単にやるということ自体、やはりこれは権力の行使ですよ。検察庁が、公式にコメントを求めに新聞社の人が来たときに、いや、君はもう出入り禁止だと言うことは、自分が愉快でない報道をするから出入り禁止なんだと言っているわけだから、そういう記事は書いてはいけないよということをやはり言っているんですよ。だから、これは報道の自由に対する事前抑制的な意味を必然的に持ってくるんですよ。 だから、そこの問題点、行き過ぎは行き過ぎで正さなきゃいけないし、それは世論をもっと喚起してきちっとやっていかなきゃいけないというのは、一面的に私は物を言っているつもりではないんです。しかし、権力を持っているのは検察庁の方なんだから、まず権力機関の側が抑制的に振る舞わなければ物事は出発しないということをよく御理解いただいて、適正な指導をやっていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。 本日は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案ということで、基本的な理念、そして、具体的に矯正処遇についてどうしていけばいいのかということをともに考える立場から、幾つか御質問をさせていただきたいというふうに思います。 受刑者の人権は二の次、三の次だというようなことをおっしゃる方もいらっしゃる。もちろん被害者の方に対する人権に配慮を払わなければいけない。しかし、いろいろな人権に対して配慮していかなければいけない。 だから、それは個別に、被害者の方については、犯罪被害者補償法なり補償金なりがきちっと手当てされていない問題とか、例えば、結果について情報がなかなか知らされない問題とか、そのことによる精神的な非常に大きなダメージをこうむられたことに対する社会的な手当てをどういうふうにしていくのかというような、まさに総合的な社会的な施策を考えていかなきゃいけない。そこで、例えば自分の肉親を失ったことに対する生き残った人の気持ちがどういうふうに社会的にいやされていくのか。その中で憤りなり、それが解消されていくのか。それを社会全体の中で解決していかなきゃいけないということを具体的に施策として講じる必要がある。それはそれとして議論をしていくべき問題だと私は思いますよ。 しかし一方で、犯罪を犯した、その結果、受刑中の受刑者の人権は後でいいんだといったら、それはそうじゃないんですよ。それはそれでまた解決をしなければ、それこそ再犯率が減らなくて、前科九犯、十犯、十一犯という、しかも高年齢層のそういう犯罪者がふえてきて、刑期が満了して出たらすぐ無銭飲食してまた入ってくる。もう自分の落ちつく場所はそこしかないんだみたいな、そういう状況だって生まれつつあるわけですよ。 だから、受刑者の問題は受刑者の問題として、優先順位の問題ではなくて、その問題は問題として解決しなきゃいけない。それを解決するときに、受刑者の人権ということも尊重しつつ解決するという方策を立てない限りは、しっかりとした処遇は成り立たないんだということだと思うんですよ。 そういう観点について、行刑改革会議がしっかりした提言をしているというふうに私は思うんです。当然、大臣はこの行刑改革会議の提言を受けて今回の法案を提出されていると思うので、私も代表質問でこの行刑改革会議の提言の二カ所を文章として引用させていただきましたけれども、そういう提言の内容についてどういうふうに重要点をお感じになっておられるのか、まずそれをお聞かせいただけませんか。
○南野国務大臣 先生がおっしゃっておられます受刑者のあり方と被害者のあり方、これについてはやはりバランスをとっていかなければならないというふうに思っております。 受刑者処遇のあり方につきましては、行刑改革会議の提言は、「受刑者が真の意味での改善更生を遂げ、社会に復帰するためには、その処遇において受刑者の人間性が十分に尊重されることが不可欠であり、いやしくも行刑施設内において、受刑者の人権がないがしろにされることがあってはならない。」これは基本だというふうに思っております。私といたしましても、この点は現在取り組んでいる行刑改革に関する最も重要な考え方の一つであると考えております。 もちろん、刑の執行である以上、受刑者の処遇は犯罪の責任を自覚させるに足りる厳しさを備えたものでなければいけない、そういうふうにも思っておりますが、受刑者を改善更生させるためには、人間としての誇りと自信を回復させる必要があろうかと思っております。他人の人間性を踏みにじった受刑者の人権を尊重する必要などないという考え方は、これは決して妥当なものではないと考えております。 私といたしましては、受刑者の方々がしっかりと矯正の中で自分を見詰め直し、さらに社会にリボーンするということが一番大きな願いでありますので、そのような形で取り組んでいきたいと思っております。
○辻委員 さまざまな受刑者がいる、それについて、改善可能性が全くないんだという人ももしかしたらいるかもしれない。しかし、行刑の理念としては、やはり改善可能性を信じて、可能な限りいろいろ改善策を講じて社会復帰を図っていくというのが行刑の理念の根本なわけですよ。改善可能性がない、したがって永久に閉じ込めておけとか、こういうことはそもそも行刑以前の話であって、行刑を論ずる立場を放棄しているに等しいわけなんですよ、私に言わせれば。 だから、犯罪を本当になくするために何をすべきなのかということについていろいろな方がそれぞれの立場で必死になって考えておられて、知恵を集めていかなければいけない。でも、現になくならないというのが現状で、今、さらに困難な状況がいろいろふえています。高齢者もふえているし、外国人の方もふえている。しかも、生活様式とか生活観とか価値観とかが多様な人がどんどんふえていて、処遇のあり方が一様にいかないという、ある意味では困難性がどんどん増している時代の中で、行刑をどう適正にやっていくのかということが問われているわけだと思うんですよ。 だから、そういう意味で、今回の刑事施設法案の第一条で、目的として三つの要請を述べている。刑事施設の適正な管理運営を図ること、そして受刑者等の人権を尊重すること、適切な処遇を行うこと。三つのことが掲げられておりますけれども、内容的にこれは連関しているというふうに私は思うんですね。適切な処遇を行うためには、受刑者の人権を尊重しないと適切な処遇にならないということなんですよ。 そのことは、十四条で受刑者の処遇の原則ということがうたってあって、「その者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行う」と。 つまり、改善更生の意欲を受刑者が呼び起こさせられる、そして社会生活に適応する能力をはぐくまれる、そのためには、受刑者が人間として扱われなければ、物として、おまえなんかもうだめなんだ、一生刑務所にいたってしようがないんだというような扱いを受けていたのでは、意欲が喚起されることはあり得ないわけですよ。だからこそ、人間としての尊厳を尊重されるような、人権が尊重されるということがこの行刑の目的で不可分一体のものとして重要な要素だというふうに私は思いますけれども、この点について、この理解はどうお思いですか。
○横田政府参考人 ただいま委員がおっしゃいますように、まさにこの法案は、第一条で目的として掲げているとおり、刑事施設の適正な管理運営、そして受刑者等の人権の尊重、適切な処遇を行う、十四条で受刑者の処遇の原則ということを定めているところでありまして、私どもの矯正の目的はまさに、こうした適正な管理運営をしながら、そして受刑者の人権を尊重しながら、受刑者が改善更生、社会復帰を図れるように適切な処遇をしていくということに尽きると思っております。
○辻委員 自民党の議員の質疑の中で、その辺の理解は非常に足りないなというふうに思った点が私はあるんです。受刑者の人権、人権ばかり言うなというようなことをどうも言いたい方がいらっしゃるようでありますけれども、そうじゃないんですね。 受刑者の人権を言うことは、処遇、矯正をきちっとやっていくために必要不可欠なんですね。だから、他の人たちの人権よりも受刑者の人権をより尊重しろとか、どちらかを優位にしろとかそういう比較の問題ではなくて、まさに行刑の目的を本当に実現していくためには、受刑者の人権を尊重する、人間として扱うということをまず前提にしない限り行刑は成り立たない。そこに今回の刑事施設法案の百年ぶりの改正の一歩前進の意味があると私は思いますよ。その点、大臣も当然御賛同いただいているし、矯正局長もそれに基づいた御発言をいただいたというふうに思います。そのことが法案の第一条や第十四条にあらわれているというふうに思います。 問題は、その次に、では具体的に矯正処遇をどういうふうにやっていくのかということだと思います。 六十一条一項で、受刑者には、矯正処遇として、七十一条、七十二条に規定する作業を行わせ、並びに八十二条、八十三条に規定する指導を行うというふうになっています。七十一条、七十二条で作業の内容が規定され、八十二条、八十三条で改善指導、教科指導ということがうたわれております。 私が懸念するのは、確かに、原則として六十一条一項でうたうことの意味はあるとは思うんですが、作業を行わせるあくまでも客体である、指導を行うあくまでも客体である十四条で言うところの受刑者が、その資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、みずから改善更生の意欲の喚起等を行うという主体としての受刑者の処遇と、この六十一条一項の原則は客体として扱うというふうに規定されていることとの距離感があるように思いますけれども、この点について、合理的な説明なり、十四条は六十一条の中でも生かされているんだということについての御説明をいただけないかと思いますが、いかがでしょうか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 御指摘がありましたように、法案の十四条は、「受刑者の処遇は、その者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起」云々、こう定めております。 受刑者の処遇の中核をなす矯正処遇につきましては、これ受けることを受刑者の義務としておりますけれども、これは、一方的にその矯正処遇を受けさせるということではなくて、矯正処遇は、必要に応じ、受刑者の希望を参酌して定める処遇要領に基づいて行う、これは六十一条でございますが、ほか、例えば改善指導におきましても、職員等からの一方的な指導ではなく、みずからがその問題点を主体的に考えるような効果的なプログラム内容を想定しているというふうに考えております。 そのほか、法案は、受刑者の処遇の具体的な実施に当たりましては、その自発性及び自律性を涵養するため、受刑者処遇の目的を達成する見込みが高まるに従いまして、受刑者の生活や行動に対する制限は順次緩和するものとしております。これは六十五条でございます。 ほかに、受刑者が自発的、自律的に改善更生や社会復帰に取り組む意欲を喚起するため、受刑態度の評価に応じた優遇措置を講ずるという六十六条がございます。一定の条件を備える受刑者について、円滑な社会復帰を図るため、職員の同行なしに、外出及び外泊することを許す制度を設けるなど、これは八十五条でございますが、種々の処遇方法において、受刑者の自発性及び自律性の涵養に配慮しているということでございます。
○辻委員 おっしゃることはわかるんです。六十一条の二項で「処遇要領に基づいて行う」というふうにあって、三項で「処遇要領は、法務省令で定めるところにより、刑事施設の長が受刑者の資質及び環境の調査の結果に基づき定める」と。四項で「受刑者の希望を参酌して定める」、五項では、専門的知識とか技術を活用する、こういうふうにうたわれているのだけれども、これも、処遇要領の法務省令での定め方において、言葉としては、受刑者の資質及び環境の調査の結果に基づくとか、受刑者の希望を参酌するというふうに言われていて、自発性を涵養するプログラムを念頭に置いているんだというお話なんだけれども、その処遇要領が具体的にどういうふうに煮詰められていくのかというのはまだはっきりしないわけですよ。 だから、原則として、一般論としてはわかるんだけれども、その辺をもう少し具体的に、こういう方向でもっと煮詰めていきたいんだというような点について、今の段階で伺えるものがあれば、ぜひお教えいただきたい、こう思います。
○横田政府参考人 まさに今委員御指摘のとおり、「処遇要領は、法務省令で定めるところにより、」ということで、まだその法務省令、これから考える。しかし、当然のことながら、この法律の制定の趣旨に沿ったものにするべき、これは当然のことでございます。 具体的にこれからどうしていくかということにつきましては、これから考えていくことではありますけれども、ごく現時点で考えられることという趣旨で、考えられる範囲でちょっとお答えをさせていただきたいと思います。 具体的には、受刑者の資質及び環境に関する調査結果に基づき、改善更生及び円滑な社会復帰の支障となる事情等に対応した矯正処遇の目標を設定いたしまして、そして、必要に応じ、受刑者の希望を参酌しながら、その目標に向けて、作業のほか、どの程度、それから受刑者期間中のどの時期に、どのような内容で改善指導及び教科指導を実施するかなどの矯正処遇の具体的な実施方法などを定めるということで、矯正処遇を行う上での留意事項などもその中において定めることになるのではないかと考えております。 なお、処遇要領は固定的なものではなくて、矯正処遇の実施に伴いまして、当該受刑者の状況に変化が生じた場合等にこれに応じて変更するということもありまして、いずれにしても柔軟に、とにかく、最終的には、何よりも受刑者の改善更生、社会復帰をするためにどの方法が一番いいのか、どのような処遇がいいのかということを常にフォローしながら、柔軟に対応していくことになるだろうというふうに考えております。
○辻委員 私は、これを読む限りで、矯正処遇を本当に実効性あるものにしていくために、処遇要領を本当に充実させなきゃいけないし、いろいろなプログラムを本当に、試行錯誤を含めて、既に今始められているのは承知しておりますけれども、より充実したプログラムを準備していけるようにしなければいけない。そういう、処遇要領でちゃんとした制度設計をしていかなきゃいけないということが一つ。 それからもう一つは、現場において、受刑者との関係性の中で、人間が処遇を行うわけだから、それを担う主体である職員の側の、その意味では労働条件をしっかりしなければいけないだろうし、専門的な素養とか研修も受けて、また、行刑に携わることについての職業意識というか充実感なりというものも持ってもらえるようなことを一方で考えていかなきゃいけない。それは、後でちょっと伺いますけれども、従来の担当制と言われるものであらわれているいろいろな問題点を、できるだけ弊害を除去して改善していくことで実現していかなきゃいけないというふうに思うんですよ。 矯正処遇に当たって、その二つの問題が重要だと私は思いますけれども、前者の処遇要領に関連して、行刑改革会議の提言の中では、収容分類と処遇分類というのは従来行われてきた、この分類処遇の理念自体は高く評価するべきであるけれども、分類あって処遇なしなどという批判も加えられているということで、割合シビアな評価を提言の中で下していますね。 だから、この辺の評価についてどう受けとめ、それをこの法案の中の処遇要領の中で改善していくというふうにお考えになっているのか、矯正当局の中でいろいろな議論があったりするのではないかというふうに思いますけれども、その辺をもう少し踏み込んで御紹介いただけるのであればお教えいただきたいなと思います。いかがでしょうか。
○横田政府参考人 ただいまの点も、委員の御指摘のとおりであるというふうに考えております。 先ほど申し上げましたように、この処遇要領をどのようなものにしていくかということにつきましては、これから法律が成立いたしました後の作業ということになりますので、具体的にはそれからになりますけれども、いずれにいたしましても、処遇をする側と受ける側との双方のかみ合いといいますか、そういったものがやはり必要でありましょうから、したがいまして、この処遇要領がそれぞれの受刑者に最もふさわしい内容であるように、さまざまな観点を考えなきゃいけません。 一方で、指導する側というか教育する側の刑務官につきましても、研修を充実させるとかして、とにかく受刑者との対話の中で教育の効果をあらしめるように、独善的に陥ることのないように、そういった効果が生ずるような職員を育成していくといいますか、そういうこともまた大事であろうというふうに考えています。抽象的なことになってしまいますけれども、現時点ではそのようなことで御理解を賜りたいと思います。
○辻委員 この処遇要領の作成について、法務省、とりわけ矯正当局が頑張っていろいろお考えになるんだろうけれども、今回の行刑改革会議等の、名前だけの人はぜひ次回は排除していただきたいと私は思いますけれども、そういう第三者機関の意見も聞きながらこの処遇要領を豊富化していく、そういう準備が想定されているんですか。その点はいかがですか。 〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕
○横田政府参考人 お答えいたします。 先ほど別の委員の方の御質問の中でちょっと触れましたけれども、行刑改革会議の顧問会議というものができております。これまでも、これまでの行刑改革の大きな柱である今回の法案の作成につきましても、その顧問会議に御説明申し上げて、そしてその御意見を賜りながらやってきたということがございます。 今おっしゃったような処遇要領というものは、まさにこれからの新しい改善教育のための大きな柱でございますので、当然、そういった点につきましても御意見を賜りながら定めていくことになると思いますし、それから、具体的には、今度は各施設ごとに刑事施設の視察委員会というものがございますので、またそれにつきましては、これは、それぞれの刑事施設の運営について、全般にわたって御意見を伺うということもございますので、恐らく、そういった中でもまたいろいろな御意見を賜りながら、よりよいものをつくっていくというふうになろうかと考えております。
○辻委員 別の機会にまた伺いたいと思うんですけれども、例えば七十一条、七十二条等の作業について、木工とか縫製とか、いろいろ現に作業をしているというふうに思うんですが、では、これが社会復帰して就労につながるのかどうなのかということが非常に問題だと思うんですね。 今三十代後半より上のとりわけ男性については、就労の機会を新たに見出すというのは非常に困難な社会状況になっていて、しかも、受刑者で出てきて、手に職といっても、縫製や木工というのはそんなにすぐに職が見つかるということではないわけですよ。ですから、その辺の、作業についてどういうふうにプログラムを設定していくのかというようなことについても、もっと広く意見をいろいろ求めて、私もいろいろ考えるんだけれども、そういい意見がなかなか出てこないのではありますけれども、英知を集めて本当にやっていかなきゃいけないなというふうに思います。 この点については、何か御意見ありますでしょうか。
○横田政府参考人 確かに、今委員御指摘のように、行刑施設ではさまざまな作業を行っています。これはもちろん、刑法が定める懲役、刑の執行でございまして、所定の作業としてさまざまなものが行われているわけでございます。それが現実に出所した後に社会に役立っているのかどうか、そういう御意見があることは確かに承知しております。 ただ、これを現実に、いわゆる追跡調査をして、厳格に、どうしているかということについて必ずしも今手元にそういった確実なものがあるわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、刑務所の中で得た、働いたこと、そしてそのときに身につけた技能が本当に社会に戻ってからも生かされるかどうかということとは別に、作業そのものについての意義というものは十分大きいわけで、それゆえにまた作業がこれまでの処遇の中心であったし、これからもやはり作業が中心になってくるであろうというふうに思っています。 ただ、やはりそれは、改善更生、社会復帰という意味からすれば、作業にもまたそういう意義が必要なわけですので、これにつきましてはまた、委員のおっしゃるように、さまざまな観点から、よりよい社会復帰に向けた作業のあり方、その選定の仕方、そういったものについては考えていかなければいけないというふうに思っております。
○辻委員 こういう作業とか改善指導、教科指導に従わなかった場合に懲罰になるということについて、一般論としてはそれはわかるんですけれども、具体的に、それが内心の自由を侵すような場面ももしかしたらあるかもしれない。そういう場合を想定したときに、一般的に懲罰の対象にするのはいかがかなというふうに感じることがあるんですが、それはちょっと別の機会に質問させていただくことがあるかもしれません。 ちょっと時間がなくなったので申しわけないんですが、担当制の方について伺っていきたいと思います。 結局、処遇要領でそれなりに立派なものができたとしても、具体的に受刑者に対して日常接して、矯正処遇をやっていく主体としては職員が主体であり、専門家もそれに関与するのかもしれないけれども、やはり人間のやることなわけです。そうすると、そこの処遇について、従来行刑累進処遇令があったのが廃止になって、六十六条の優遇措置というふうになっております。六十六条を見ますと、「受刑態度の評価に応じた優遇措置を講ずる」というふうになっておりますけれども、この優遇措置の評価基準というのは、だれがどこでどう決めるんですか。この点、いかがですか。 〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
○横田政府参考人 優遇措置の評価基準そのものにつきましては、まだ現在そういうようなものはつくられておりません。ただ、現実の優遇措置というのは受刑態度の評価を前提とするものでございますので、評価そのものは、第一義的には受刑者を直接処遇する立場にある職員、すなわち工場や舎房で勤務する職員や改善指導を担当する職員などが行って、そしてこれの評価を踏まえて総合的に評価することになるだろうというふうに考えております。
○辻委員 今おっしゃった点ですが、私の理解しているというか伝え聞いている話では、現状の担当制というのは、作業場を監督している人が、大体五十人ぐらい受け持ちで一人が担当して、現在の行刑累進処遇令からすれば、その担当者が、これはそろそろ四級から三級に上げようとか、三級から二級に上げようというふうに判断していると。 これは、行刑改革会議の提言でも弊害の点は少なからず指摘されておりますけれども、一人の担当者、その人の覚えめでたくならなければ処遇がアップしないということは、まさに刑務所内の特別権力関係の関係性の中で、支配者と被支配者の関係になるわけだから、そんな担当制がうまく矯正目的と兼ね合うわけはなかなかないんじゃないかなというふうに私は思うんですね。それは現にそういう指摘がなされている。 では、この法案で六十六条の優遇措置、今おっしゃったように、結局は担当者がやるということをおっしゃっているわけだから、従来の担当制のどこが悪くて、どういう弊害があって、それをどういうふうに除去して、新たな担当制の中では、そういう支配・被支配関係は後景化して、もっと矯正目的の中での人間関係が形成できるような担当制というのはどういうふうにつくろうとしているのか、そこについてお考えを伺いたいと思います。いかがですか。
○横田政府参考人 担当制と申しますのは、委員も今御説明がございましたように、各工場を担当する職員が、受け持つ受刑者を個別指導しながら集団を管理する処遇体制だ。受刑者の心情を把握し、個別的な相談を実施するなど、いわば血の通った処遇を行うことができる、職員と受刑者との人間関係を基盤とした適切な指導管理体制を確立させる背景となっているということがあります。 しかし、他面、この担当制には、担当職員の裁量が非常に大きくて、恣意的な運用が行われるおそれがある。それから、過剰収容下の現状におきまして、処遇困難な受刑者を含む集団に対して従来のままの担当制を維持することは、刑務官の負担という点でも無理があるということなど問題が指摘されております。 この点は、委員十分御承知のように、行刑改革会議におきましても、担当制についてはいろいろな観点から検討され、議論がございました。最終的には、この行刑改革会議の提言といたしましては、「担当制の基本的な形は維持し、その利点は生かしつつも、権限と責任が担当職員個人に過度に集中しないよう、」云々ということで、これらについては「検討すべきである。」ということがございます。 私どもは、この提言に従いまして、今後、担当制の基本的な形は維持していく、その利点を生かしつつも、権限と責任が担当職員個人に過度に集中しないように、例えば心理技官などを積極的に処遇に関与させて担当職員をサポートさせたり、あるいは担当職員を複数配置するなどの対応を進めまして、その問題の解消に努めてまいりたい。 したがいまして、先ほどの優遇措置の基礎となる評価につきましても、多面的な複数の評価といいますか、そういった形で、偏った評価がなされることのないような、そういったシステムをつくり上げるよう検討していきたいと考えております。
○辻委員 今おっしゃったように、行刑改革会議提言の十八ページから十九ページで、心理技官を関与させることを含めておっしゃったと思うんだけれども、「担当職員を複数配置するなどの組織的対応を採ることを検討すべきである。」と。 私も、一人が担当者として立ちあらわれて、優遇措置をとるかどうかというのをその人が全権限を持つというのはやはり客観性を欠くし、優遇措置をとってもらう側からすれば卑屈になりますよ、独立した人格としての人間関係をそこで形成することはできないわけだから。そうすると、まさに十四条なりで言う、みずからの意識で復帰、更生を目指すということとはそぐわないわけですね。だから、ぜひ複数の担当制ということを制度化していただきたい。 恐らく、作業現場と夜間なりの舎房の問題と、それからいろいろな教育プログラムを施す場合の職員の方々と、二十四時間の受刑者の生活の中で、場面場面が違う方々がそれぞれ職員の側で応対すると思うので、その人たちの合議制みたいな形で優遇措置を運用するような、そういうシステムをぜひ考案していただきたいと思いますが、この点、いかがですか。
○横田政府参考人 私どもも、委員おっしゃるようなそういう考えのもとでこの制度をさらによりよいものにといいますか、まずシステムをつくっていきたいし、その上でよりよい運営をしてまいりたいというふうに思っております。
○辻委員 矯正処遇はなかなか簡単にはいかないという社会状況がどんどんふえてきている。過剰収容状態の中ではさらに目が行き届かないわけだから、その辺も大きな問題として残っているということを一方できちっと解決しつつ、よりよい行刑のためにともに知恵を尽くしていきたいというふうに思います。 その中で、民主党としては、多くの点についてこれは不十分だということで修正案を今検討しております。次回、私は、その修正案の内容について、こういうことをもっと拡張すべきではないかとかいうことを含めて質疑をさせていただきたいと思います。きょうは処遇の原理原則についてお伺いしたということで、質疑を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○塩崎委員長 次に、河村たかし君。
○河村(た)委員 河村たかしでございます。 まず、私がここで何遍も名古屋刑務所のことを言っておりますのは、何遍も、なんですけれども、要するに、名古屋刑務所事案が重大なきっかけになったということは間違いないよね、委員長。
○塩崎委員長 間違いありません。
○河村(た)委員 はい。そうです。一緒にやってきましたから。いいんですよ、こういうのは。 だから、名古屋刑務所の教訓が生かされにゃいかぬですね。教訓が生かされない法律だったら意味ないじゃないですか。意味ないというのか、国会の審議がむなしいじゃないですか。 だから、その名古屋刑務所のが本当に刑務官の暴行だったのか、それとも事故であったのか。これは後の法律のつくり方が全然違うわけですよ。そうでしょう。事故だったら、事故がなぜ生じたのか、そういうことをどうやって解明していくんだ、そういう条文が中にもっと出てきますよね。 例えば、九条の一項に刑事施設視察委員会に対する情報の提供なんてありますけれども、こういうところに、自傷のおそれがある事故のような場合には委員会に対して情報を提供せよとか、そういうようないろいろなものが出てくると思うんですよ。条文の立て方が違う。 そういうことで、立法事実の重要な一部だと思うんだけれども、これをやはりはっきりさせないことには、何もせずに、委員会に法案を通してくれと。ほとんど何もせずに、一見でわかるような、事故かどうかということを。大臣、大体、これは国会に対して失礼じゃないかな、こんなの。
○南野国務大臣 直接のお答えになっているかどうかわかりませんが、法務省では、行刑行政を所管する立場から、これまでにも可能な限りの行政上の調査を行い、国会に対してその結果を御報告してきたところでございます。 一連の名古屋刑務所の事案につきましては、現在、名古屋地方裁判所で公判が係属しているということでございます。それを承知いたしておりますが、今後とも、公判の推移を見守りつつ、必要な調査があるのであれば実施してまいりたいと思っております。
○河村(た)委員 そんなことばかり言っておられますけれども、まず裁判のことについては、本当にいかぬからね、これは。 確認しておきますけれども、何か事故が起きた、被害者が出た、裁判は下手をしたら十年も、まあわからぬけれども、かかるじゃないですか。だけれども、矯正局というのは受刑者を守らないかぬでしょう、事故が起きぬように。だから、これは刑務官の故意によるのか、それとも本当に何か事故だったのか、ほかの原因だったのか。それを究明しないと、すぐ次の日に起こるかもわかりませんよ。そうでしょう。だから、別にやらないかぬのですよ。これは事故調が言ったじゃないですか、国土交通省が。これはどうですか、大臣は。
○横田政府参考人 一般論になりますけれども、矯正局といたしましては、施設において事故が発生した場合、必要な行政調査を実施して事故原因を究明し、事故の再発防止に努めてきたところでございます。今後におきましても、必要な行政調査を実施して、事故の再発防止に努めたいと考えております。
○河村(た)委員 それでいいです。だから、裁判に不当な影響を与えるからというのは、それは個人的に思っておられるのはいいですけれども、行政庁の責務としては別個だというのをきちっと言ってくださいよ。
○横田政府参考人 行政は行政としての果たすべきものがございます。
○河村(た)委員 そういうことですから、本当に究明しないといかないのです、受刑者を守るためにも。 大臣は、おとついか、僕が聞いたときに、何ですか、これは一体、会議録で。「その後も、勾留中の被告人を含めた関係者から事情聴取などを行ったところでありますけれども、これまでに国会に御報告した内容を覆すに足りる事実は把握しておりません。」覆されていないですか、あなたの印象として。自分で調査されましたか。いや、これはちょっと、大臣の答弁。
○横田政府参考人 矯正当局といたしましては、矯正行政を行う上で必要と考える事項につきましては、必要な調査をしてまいりました。
○河村(た)委員 例の報告のことですね。放水で亡くなった、それから革手錠、六十センチの穴に締めて死んだと。これを覆す事実はなかったですか、今までの国会の審議の中でも。
○横田政府参考人 私どもは必要な行政調査を進めてまいりましたけれども、これまでのところ、既に国会に御報告した内容を覆すに足る事実はあらわれておりません。
○河村(た)委員 これは、ばかにしておるのか、一体何なのかということですね。 ここの委員会で、ある刑務官が出てこられて、プラスチック片を現認したと言いましたよね、ここで。あれは何ですか。覆さないんですか。
○横田政府参考人 確かに、委員おっしゃるように、ここの法務委員会におきまして、参考人であった刑務官が、今委員がおっしゃったような趣旨の陳述をされました。それは確かにそのような陳述があったということは事実でございますが、それゆえに、私どもがこの法務委員会に御報告を申し上げた内容がそれによって覆されるというふうには考えておりません。
○河村(た)委員 委員会で、いわゆる証人喚問ではないけれども、参考人で証言したんですよ、ちゃんとここで。では、これはどうなるんですか、やっているのは。何の意味もないんですか。これはどういうことですか。
○横田政府参考人 何の意味もないというふうに私ども決して考えておりません。法務委員会において参考人意見聴取という形で御調査をなさったというふうに理解しているわけでございまして、私どもといたしましては、そのような参考人の陳述があった、内容についても承知しておりますが、そのことのゆえをもって、私どもがそれ以前に御報告した、あるいはこれまでに御報告した内容が直ちに覆るというふうには考えておりません。 つまり、あの事柄一つにつきましても、さまざまな供述、陳述があるということでございますので、一概に、その刑務官の陳述があったことのゆえをもって私どもが御報告した内容が覆るものというふうには考えておりませんということでございます。
○河村(た)委員 では、いろいろな刑務官にそれを聞かれましたか、何名の方に。当日、プラスチック片があったかなかったのかと。そのちょっと前の日に割ったプラスチック片の写真もあるんですけれども。 それから、僕のビデオも見ましたね。私がある刑務官と話し合っている。彼は図をかいて、一番最初、証言しているのは三井さんですけれども、これは西川さん。同じ場所だったんですね、たまたま。見ましたよね。それでも、何ですか、全然覆さない、全然関係ないんですか。
○横田政府参考人 先般、河村委員から、このビデオを見ておくようにということで当局の職員がビデオを渡されましたので、私もその内容は見ました。
○河村(た)委員 見ましたはいいですけれども、どうなったんですか。
○横田政府参考人 そのビデオテープの内容は、河村委員が名古屋刑務所の刑務官から、事情聴取と言っていいんでしょうか、話を聞いている状況が録画された……(河村(た)委員「調査」と呼ぶ)調査でございますか。(河村(た)委員「国政調査の一環ですよ」と呼ぶ)国政調査の一環として調査なさったということでございますが、その状況が録画されておりました。その中で、今委員がおっしゃったような趣旨のことをその刑務官が話している、それから、略図と言ってよろしいんでしょうか、図面をかいている状況も録画されておりました。 私が申し上げたいのは、確かにそのような供述もあり、そのような動作といいますかもありました。しかし、そのことのゆえをもって、私どもがこれまで当委員会に御報告した内容が覆るというふうに考えているものではございません。
○河村(た)委員 本当は、筆頭理事殿、私は法務委員をやっていますし、一応でもないですけれども国会議員をやっておりまして、国民の負託を得て出てきております。それと、三井さんはここへ来て証言したんです、参考人で。(発言する者あり)裁判は別ですよ。裁判は同じことです、実は。同じことになっています。それと行政調査とはまた、もう一つ言いますけれども、行政処分をしていますからね、別に、休職処分を。起訴されておっても休職しないというのもできるんですよ。 だから、ちょっと刑事局長見えますけれども、調査を漫然と怠って、被処分者に不利益処分を続けた場合、これは職権濫用罪は成立しませんか。
○大林政府参考人 突然のお尋ねですが、罪になるかならないかは具体的な証拠関係で判断されることだと思います。それは証拠によってはなる場合もあろうと思いますけれども、一概にちょっとお答えはできないと思います。
○河村(た)委員 いや、精いっぱいの御答弁をいただいております。わかるんです。証拠によってはなると言われたのは大きいですよ。そういうことなんです。 仮に、初め失敗したでもいいんですよ、よくないけれども。だれかを要するに起訴してしまった、ないし休職処分にして、初め給料なしだった。みんなで理解が高まってきまして六割出るようになったんです。漫然と続けて、途中で、あっ、これは失敗したな、実は彼らの、違っていたと。手錠の入れた穴も違っていた。 放水の水圧も〇・六ですよ、言っておきますけれども。〇・六といったら、そこでひねると一・二ぐらいですよ、水道、多分。きのう二だと言われたね、本管からつなぐところは。ちょっと減りますね。〇・六ですよ、水道の半分ですよ、一・五メーターの距離から、伏せておる人間に。そんなもので肛門に穴があいて、肛門の奥十一センチのところが五センチ直腸が裂開するわけないじゃないですか、そんなの。だれだってわかりますよ、すぐちょっと調べれば、実験をやってくれれば。 そういうことがわかっておるにもかかわらず、刑務官にそのまま休職処分を続けておったら、これは本当に危ないですよ、犯罪の成立が。職権濫用罪。処分権者ですから、皆さん。 大臣、あなたの部下ですよね、刑務官は。答弁してくださいよ。それと、あなた、処分権者ですね。
○南野国務大臣 裁判が続いております現状につきましては、職場復帰させることは困難であろうと思っております。
○河村(た)委員 何を言っておるんですか。自分が間違えた場合、どうするわけ。あなたは神ですか、それなら。間違えることというのはあるんですよ、言っておきますけれども。裁判とは別なんですよ。悪いけれども、これは違っていますよ、答弁、本当に。違うんだから。(発言する者あり)神だよ。大臣、答えてください。
○南野国務大臣 同じお答えになります。神ではありませんが、裁判が続いております状況、今続いておりますから、その方を職場復帰させることは困難であると申し上げております。
○河村(た)委員 行政調査を尽くして、裁判とは別個の処分なんです。いいですか。 では、別個かどうか聞きましょうか。だれがいいかな、専門家がいいですか。矯正局長、いいですか。
○横田政府参考人 休職処分というのは裁判そのものとは別個でございます。 ただ、これも前回も御答弁申し上げましたように、起訴という行為に従って行われる処分でございます。
○河村(た)委員 そういうことですね。今、別個だと聞かれましたでしょう。それでは、わかりましたと言ってくださいよ、ここで、別個だと。
○南野国務大臣 今矯正局長が答弁したとおりでございます。
○河村(た)委員 ということで、余り抽象論をやっておってはいかぬですけれども。 資料要求をしましたので、これは読みましょうか、読むと長いけれども。
○塩崎委員長 みんな手元にあるんでしょう。
○河村(た)委員 後で、これは速記はいいんですか、書いてくれますか。
○塩崎委員長 行っているんでしょう。どれの話。
○河村(た)委員 これ。理事会預かりになっているやつ。
○塩崎委員長 鑑定依頼じゃないの。
○河村(た)委員 いや、鑑定依頼じゃないです。 これは、速記の方、読まぬでもいいですか、読むと長いので。
○塩崎委員長 資料要求。これは理事会で出されたことになっておりますので。
○河村(た)委員 委員会でも出しますよ、ちゃんとこれは。
○塩崎委員長 そうでしょう。委員会には出されておりません。理事会で出されております。朝の理事会で出されたということにしております。
○河村(た)委員 では、私も委員として、これは要求しておきますね、このペーパーの資料を。
○塩崎委員長 ですから、これは理事会で、私の要望で、書面で出してくれというのに対して出てきたわけでしょう。(河村(た)委員「はい、そうです」と呼ぶ)ですから、これは法務省の方にお渡しをして、お答えをいただくということにいたしたいと思います。
○河村(た)委員 では、いいですか、この資料について答弁をもらわぬでも。
○塩崎委員長 いや、まだ渡しておりませんので。理事会でいただいて、まだちゃんと伴野理事とも私もお話をしていないので、今後これを法務省の方にお手渡しをして答えていただこう、こう思っております。
○河村(た)委員 これはぜひやっていただいて、やはりこのぐらいのことはきちっと報告してもらわないと。 例えば条文の中に、やはり事故に対してどういうふうに適切に対処しようかぐらい入れてくださいよ。これは刑務官も喜ぶと思いますよ。そうでしょう。保護房の中で大変な事態が生じておるときに、やはり実力行使が要るときがあるわけですよ、向こうが殴りかかってきたようなときに。そのときに、やはり事故が非常に起きやすい職場なんですよ、もともと。そうでしょう。 では、そこで今やっていることが、例えば革手錠、まあ革手錠は今廃止されたけれども、今二種手錠という違うやつですけれども、それをやることが、ある程度実力行使なんだけれども、それは適法なのかどうかということで、なかなかこれは接点があるわけですよ。倒れたりなんかしますから、殴ってきたりどうのこうの。 そういうときに、それがやはり、だからビデオもそれの一環なんだけれどもね。やはりだれかがそれをチェックするなりということで、やはり刑務官は刑務官で、受刑者の人権を守りながら、ちゃんとやることはやらないかぬから。安心感も出てきますよね、事故というものに。そこのところがはっきりしていなかったから、実際、事故だったんだけれども、刑務官の故意にしてしまっちゃうんだよ。 本当ですよ。本当は法務省がやらないかぬのだよ、これ。何で僕がこれだけやらないかぬかということですよ。法務省は、皆さん、これはやる責任があるんですよ、処分権者は。大臣、本当に危ないですよ、言っておきますけれども、こんな簡単にわかることで不利益処分を続けたら。また今から言いますけれども。 では、放水のことでちょっと横田さんに伺いますけれども、放水をしたという事実が一つあって、その状況なんですけれども、入浴の規定が今度できましたよね。三十六条に入浴の規定が今度できましたね。例えば「受刑者には、法務省令で定めるところにより、刑事施設における保健衛生上適切な入浴を行わせる。」ということで、私はこれに、入浴が特に困難な場合はこの限りでないとかというのをやはり条文で入れるべきだと思うんです。 例えば、この間ちょっと途中で切れちゃったんだけれども、具体例でもいいんですけれども、保護房の中に受刑者がいる、もう一週間程度入浴していない、行くと刑務官にふん尿をまき散らす、殴りかかってくる、こういう場合、入浴はどうするんですか。やはりこの規定だと、入浴させないと違法になりますか。
○横田政府参考人 結局、今委員がおっしゃった場面想定なんですが、それが、入浴がまず必要な状況になっているかということと、それから入浴が不可能な状態なのかということになろうかと思います。 入浴が必要であるならば、それは入浴をさせることになりますね。しかし、入浴が不可能な状態であるならば、その不可能を強いるということはできないと考えます。
○河村(た)委員 ですから、保護房にいる場合は、受刑者に、じゃ、今からふろへ行きましょう、はい、行きましょう、こういう場合は保護房解除でしょう。
○横田政府参考人 保護房に収容しておくべき理由がなくなれば解除になります。しかし、保護房に収容しておくべき理由が継続しているのであれば解除になりません。
○河村(た)委員 抽象論で言われましたけれども、では一緒に行きましょうか、鎮静化している、ふろは結構距離がありますから、そういう場合は保護房解除でしょう。若干アローアンスを持って答えていただいてもいい、具体例があれですから。
○横田政府参考人 つまり、保護房に収容継続をしておくべき理由がなくなれば解除になりますので、そういう前提であれば解除です。
○河村(た)委員 これもこの間聞きましたけれども、今度保護房の前にシャワーをつけられました。その趣旨の中に、府中刑務所の項ですけれども、現に暴れている受刑者の身体が汚れていた場合には、受刑者を押さえつけてまで汚れを取ろうとすると受刑者や制圧する職員が負傷するおそれが高いことから、こういうことを書いておられるのですね、矯正局。これはちょっと、間違いないですね。僕がしゃべっちゃったから、こういう意味でつくったということを確認しておいてください。
○横田政府参考人 それは間違いございません。
○河村(た)委員 ですから、具体的というか、保護房内で一週間程度入浴していない、だけれども本当にやはり暴行を加えてくるおそれがある、そういうときに、その場合は入浴はどうするんですか、どう処遇したらいいですか。
○横田政府参考人 今委員がおっしゃっているのは、府中刑務所のいわゆる新保護房といいますか、新しい保護房の前にでき上がったシャワーがあるという前提にした上でのお尋ね……(河村(た)委員「ないときの」と呼ぶ)失礼いたしました。なければ、入浴ができる状態になければそれはしないということです。
○河村(た)委員 一方、衛生管理義務というのがありますよね、受刑者を清潔に保つ義務。これを確認しておいてください。
○横田政府参考人 一般的にございます。
○河村(た)委員 そういうことなんですね。 状況にもよりますけれども、今回の名古屋の話にもつながるのですけれども、房内をふん便とか食事などで非常にひどく汚染しているということで、中はにおいもすごい状況だ。視察孔なんかは全部ふさいでしまっておる。視察孔もあるし、上にビデオを撮るのも全部、ちり紙とかいろいろなものがありますが、全部ふさいでしまう。そういう状況の中で、まず洗わなければいかぬですよね。そういう状況の受刑者を、なるべくもっと衛生管理のいい状況に移してやる、転房させてやる、こういうことは、やはりその必要はあるでしょう。
○横田政府参考人 もちろん、具体的状況によりますけれども、転房という点だけに絞れば、転房が可能な状態でかつ転房が必要であるということであれば転房することになると思います。
○河村(た)委員 その場合、どっちにしろ、水をかけて洗わなければいかぬ。洗うんです。壁とかをざあっと洗いますね。ゴムホースもありますけれども、例えば消防用ホースを使った、その場合ですが、水圧、〇・六キロですよ。言っておきますけれども、これは争いのない事実ですから。水道によって違いますけれども、大抵一・二ぐらいですから、一から一・二。水道の半分ぐらいの水圧でざあっと洗う、これは適法な行為、適法というか、やってもいいでしょう、こういうことは。
○横田政府参考人 今おっしゃったのは、汚れて転房させた後の部屋を水で洗うということなんでしょうか。
○河村(た)委員 それは当然やらなければいかぬですけれども。 後も後ですけれども、では順番から行こうか。 そこに受刑者がいる。入ると、ふん尿なんかをまき散らす、かかってくる。そういうときに、水をかける、水であっと思わせる。盾で行く場合もあるんですよ。盾もあるんですよ。ぼんと盾で入っていく。盾だと、要するに向こうにとられたりとか、やはり事故が起きやすいですね、盾でどどどっと行くのは。だからそこで、一般的な水道の水圧の半分程度の水でざあっと水をかけて、あっとなりますね。まずそうやって入室しなければ何ともならぬですから、転房させるについても。そういうことはいいわけですね。
○横田政府参考人 まず、それは転房をしなければならない事情にあるかどうか、そしてその場合に、いろいろな手段があると思うんですが、今委員がおっしゃったような手段を用いなければ転房ができないのか、そこまでして転房しなければならない特別の事情があるのかといったようなことも絡んでくることでございますので、今の前提だけでどうかとおっしゃられましてもなかなか難しゅうございます。
○河村(た)委員 悪いけれども、横田さん、これはいいんですよ。悪いけれども、刑務官必携でちょっと質問通告してあるから、刑務官必携の四百二ページ、三の一のイの二列目に「制圧対象者の抵抗力の低下をもたらす措置」として「水をかける(目つぶし効果をねらう。)。」これは刑務官必携に書いてあるんです。これはいいんですよ。確認してください。
○横田政府参考人 ですから、私、先ほど申し上げましたのは、そのような措置をとることが必要な状況にあるのかないのかということがまず大前提だと思います。
○河村(た)委員 それは当然あった場合のことを言っているんですね。当然あった場合のことです。そういう状況だった場合。
○横田政府参考人 委員が〇・六キロの水だというふうに具体的、個別的に特定されますと、なかなかお答えはしにくくなるということでございまして、一般論として、その必要性があって、かつ、相当な方法であって、それが認められるものであれば、それをするに何ら問題はないということでございます。
○河村(た)委員 そういうことなんですね。〇・六と言うとデリケートになるかもわかりませんけれども、一般的な水道の半分ぐらいより低い水圧ということなんですよ。 そのときに、それでは水をかけるとどうなると思いますか、中に入っていきますと、中の状況、保護房の中。
○横田政府参考人 申しわけございません。ちょっと、水をかけるとどうなりますかというお尋ねですが、これは建物、部屋がどうなるかという御趣旨でしょうか、それとも人間がどうなるかという御趣旨でしょうか。
○河村(た)委員 人間とか、受刑者、要するに水浸しになるでしょうということですよ。
○横田政府参考人 中に入っている人に水をかければ水浸しになりますし……(河村(た)委員「周りでもなりますよ」と呼ぶ)ですから、それはかけ方の問題じゃないかと思いますが。
○河村(た)委員 かけ方の問題でもなるということですよね。 要するに、調査されておると思いますけれども、この場合、壁にそういうようなものが非常に張りついておって、水道用ホースだと何時間ぐらいかけて取ったか調査してありますか、どのぐらいの状況だったかというのを。ちょっと聞いたらどうですか。してないでしょう、大抵。
○横田政府参考人 委員がおっしゃっているのが、いつどこの場所でどの時間帯のどのような状況において水をかけたらどうなったかということを調査したかということであるのか、その点がちょっとはっきりしませんのでお答えいたしかねます。
○河村(た)委員 調査していないでしょう。では、名古屋刑務所の十二月事案で、どの程度壁が汚れていて、放水で、ゴムホースならどのぐらいかかって、消防用ホースはいいと言ったのかどうかとか、そういうことを調査しましたか。
○横田政府参考人 今承知している限りでは、これは恐らく、今委員がおっしゃっているのは、いわゆる十二月事案、ホース事案があった日、その場所、その時間における状況を調査したかということだというふうに考えますが、そのように考えますと、現時点で私が知っている限りでは、その点について特に調査をした事実はございません。
○河村(た)委員 これもそういうことなんですよね。調査していないんですよ、その必要性を。なぜ水をかける必要があったか。その場合、私が聞いた話ですけれども、やはり保護房というのは狭いですから。それで、水道用ホースは二時間か三時間かかると言っていましたね、後の場合ですけれども、取るのに。それも、それでは取れないので、デッキブラシでこすってようやく取るんだ、だから、余りに刑務官の負担が大変だから、消防用ホースを使う。 消防用ホースというのは、たまたま名古屋刑務所の場合は、これも確認しておかないかぬですけれども、消火栓というのは普通の水道の栓と共用されていて、実は滝さんが想像されておるようないわゆる消防法上の消火栓ではなかったんです。これがとんでもない不幸を呼んだんですけれども。実際は、水圧も水道の栓と同じだった。それで、井戸水です、これは。それも真冬で十八度とか、これは争いがない事実なんです。そういったことは、それは間違いなかったですね、そういう状況。
○横田政府参考人 今おっしゃったように、井戸水を使った、井戸水の使用の栓と同じだというふうに聞いています。ただ、水温については、私、承知いたしておりません。
○河村(た)委員 だから、井戸水を使って、いわゆる普通の生活用水の水道と同じであったということですよ。ただ、消火栓と書いてあるだけだった。これはちょっと答弁してください。
○横田政府参考人 そのとおりと聞いております。
○河村(た)委員 実は、こういうことだったんですよ。だから、消防用ホースを使っておるといって、それは口径が太いですから水はちょっと出ますけれども、何とここの水道と同じだったということですよ。ちょっと温度は正確には忘れましたけれども、争いがない事実で、十八度か九度ですよ、外気が一けたのときに。これは調べてくださいよ、簡単にわかりますから。そういう状況であった。 だから、中が非常に汚れていた、それで水を、まあ威嚇というか、これは認められておるんですね。 これは刑務官に言っておきますけれども、あなた、水をかけるときに人体にかけないようにと言いましたけれども、それは、ここにありますように、消防ポンプを使った場合だからね。いいですか。ちょっと確認しておきましょうか。
○横田政府参考人 申しわけありません。今、河村委員、ここの場におります職員に対しておっしゃっていたんですけれども、今私が聞いたところでは、ちょっと前提が違うようなんですが。
○河村(た)委員 あなたが、そういう水をかけるときに、刑務官必携には、人体へ直接放水することのないようにという規定があるからと言っていたけれども、これは刑務官必携の四百三十三ページにあって、前提として、消防ポンプを活用して放水をする場合。 消防ポンプというのは、名古屋刑務所にもありますけれども、加圧すると、大体二キロから四キロぐらいになるらしいですよ。それで放水する場合にはかけないというだけであって、まずこの規定は消火栓のことではない。消火栓ではないし、ましてや名古屋の消火栓は、何と消火栓という外形だけあるだけで、今確認されたように、水道の蛇口と同じだったわけですよ、口径は太いけれども。そういう状況では違うということだけ、そのとおりですと言ってくださいよ。これは間違いない事実。
○横田政府参考人 今、最初先生がおっしゃった刑務官必携に書かれていることの場面想定と、それから現に今、河村委員が一番関心をお持ちの例のホース事件のときの状況という場面設定が違いますし、したがって、水のかけ方なんとかというのも、それについて比較をしてどうこうというのはなかなかお答えをしにくいんですが。
○河村(た)委員 しかし、このくらい調査してくれないかぬのだよ、こういうことを。 大臣、本当に大丈夫だと思うの、あなた。こんなことで、刑務官みんな、国会議員もそうですけれども、新聞にばかばか出て、刑務官の暴行だと言って、家族を地獄に突き落とした。いまだにまだやっている。きちっと調査する、すると言って、今、このままの状況じゃないですか。本当に危ないですよ、職権濫用罪。自分が逆だったら、多分訴えると思うよ、ちゃんと調査しろと。実際に私たち、かけられた水がどうだったんだということだと思いますよ。 それで、だから、何が言いたいかというと、今言った、水をかけるなというのは違う話だということですね。これは刑務官必携に書いてある。 だから、そういうところに受刑者がいる。それで、入っていくときに、ふん尿なんかを投げつけるから盾で行くのもあったらしいんですけれども、水でばっと入っていった。そうすると、ざあっと水がなるわけです。名古屋市の水道の半分でも、一応口径は太いです、水量だけは出ますよ、ざあっと。その受刑者もざあっとぬれるわけですよ。それで、刑務官も、要するにかっぱを着て入っていますから、みんなそういう状況なんですよ。当然、びしゃびしゃになるわけですよ、狭いところで。 そういうときに、びしょびしょになった受刑者を転房させるわけです。中はふん尿まるけになっている。そのときに、同時に衛生管理目的で、井戸水のものでざあっと体を洗ってやる。これはどうですか、局長。衛生管理目的、いろいろな対応があると思われるけれども、その一言で僕は違法とは言えないと思うんですよ、これは。必要な行為であったかもしれないし。どうですか。
○横田政府参考人 先ほどから繰り返し申し上げているんですけれども、まず、状況としてそのような入り方が必要な状況であったのかということも前提になると思いますし、さまざまな条件が絡んだ上での判断にならざるを得ないと思いますので、率直に申し上げまして、ただいま委員が提示された条件設定のみで、これが違法であるとかないとかということについては判断いたしかねます。
○河村(た)委員 とりあえず、具体的なことが、また設定が要りますから。 これはちょっと、理事会にも出したんだから、そのぐらいの水圧で一遍やってもらうといいんですかね。受刑者の服が水でびしょびしょになる、そういうときに、隣の部屋に裸で連れていって、タオルでふいているんですね、彼らは。懲らしめ目的で仮にこんなことをやったら、隣の部屋へ行って、受刑者をタオルでわざわざふきますかね。それで、隣の部屋で新しいパジャマを着せて。懲らしめ目的よりも衛生管理目的だったんじゃないですか、これは。どう思われますか、局長。
○横田政府参考人 それはまさに、その当時の状況と、それからそれに関与した者の主観的な内容がどんなものであったかということだと思います。
○河村(た)委員 そういうことで、そういうことをちゃんと調査してくださいよ。
○横田政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、私ども、矯正行政の運営上、必要な事柄につきましては、必要な手段、方法をもって必要な調査を行います。 ただいま委員がおっしゃったことにつきましても、その調査の必要があるかどうかにつきまして検討させていただきます。
○河村(た)委員 そういうことでございまして、では次は、あとは問題のベルトの穴ですけれども、ベルトの穴の問題。 これはきょう資料を配りましたよね。一枚だけにしましたか。これは、ここをちょっと読んでいただきますと、これは鑑定に出たやつで、僕の方がかえって、裁判と分けておりまして、余り出さなかったんです。 ちょっと何枚かになりまして、最後のところだけですけれども、この鑑定人の方は非常に有名な方です。こういう画像鑑定では日本でトップの方ですけれども、この方が、「結論」として、「第一事案」、革バンド「の尾錠の爪を円周約六十センチの孔(捜査記録上、円周六十・四センチとされている孔に相当)あるいは円周約七十センチの孔(捜査記録上、円周六十九・八センチとされている孔に相当)のどちらに装着されていたかについては、受刑者に装着された革バンドの尾錠の爪は、円周七十センチの孔に装着されていたと考えるのが妥当である。」こういうのを、平成十六年一月十六日、これはもう鑑定書が出ているんですよ。この方は大変有名な方です。どっちかというと、検察や警察、余りこんなことを言っちゃいけませんけれども、捜査の非常にオーソリティーな方です、この方は。 これは、横田さん、たしか六十センチの穴に入れたということでしたよね。
○横田政府参考人 記憶によって申しわけありませんけれども、たしか公訴事実ではそうなっていたかと思います。あるいは、中間報告ではそうなっていたと思いますけれども。
○河村(た)委員 そうですね。これは全然違うんですよ。七十センチの穴と六十センチの穴、全然違いますよね、これは、それによって。それは間違いないですね。
○横田政府参考人 六十センチと七十センチは違うと思いますが。
○河村(た)委員 全然違うんです。 これはウエスト八十の方ですよね、ウエスト八十の方。私ここでやりましたけれども、ウエストサイズに施用すると、まあ人によりますけれども、抜けちゃうんですよね、これは。自分のベルトをやられると皆さんわかるように、抜けないという場合はウエストサイズをちょっと締めてあるんですよ、二センチとか。 人間のベルトというのは二センチか二センチ五ミリです。革手錠というのは、何遍も聞きましたけれども、ここにありますけれども、これは本物ですけれども、大体九センチか十センチに一つずつになっていますので、穴はウエストサイズそのままで入れては、絶対いけないとは言いませんけれども、多くの場合、脱落するといけない、八十センチと一緒ですから。だから七十に入れるわけでしょう。 だから、七十では犯罪になりませんよ、これは。適法施用だ。では、六十。そうなると、こんなことはすぐわかるはずなんだけれども、ちょっと局長、はかってもらえませんかね、これ。ここに写真があるんですけれども、実はこの受刑者さんの保護房内のビデオがありまして、これは理事懇でみんな見たんですね、全員で見たんです。そのときに、この受刑者は伏せていまして、ベルトを締めた後に結び目をつくって伸ばすんです。当然、余り、締め代ができますよね。ここの長さをはかれば、順番に追っていけばわかるでしょう。施用の状況もきれいにわかりますから。 これをやっていただきたいんだけれども、ちなみに、悪いですけれども、これはノギスですけれども、これがそのときの写真ですよ、伏せているときの。これです。ここのところでベルトの余りがあるでしょう。この幅は四・五センチでしたね。ベルトの幅は四・五センチです。ですから、こっち側をちょっとはかってもらえませんか、局長、これ、このノギスで。
○塩崎委員長 その写真は資料要求として理事会には出ておりませんので、正式に出していただいてからでないと資料として使えないんじゃないですか。
○河村(た)委員 資料というより、これは別に自分だけ、これははかってくれるのはいいんじゃないの、そんな……
○塩崎委員長 自分ではかったらいいじゃない。自分ではかったらいいよ。自分ではかってやってくださいよ。
○河村(た)委員 いやいや、これははかってもらわなきゃだめなんだ。
○塩崎委員長 いや、それだったら理事会にかけてください。
○河村(た)委員 では、はかってくれますか、これ、後で。
○塩崎委員長 では、それは後刻理事会で諮ります。諮りますって、違う諮りますですけれどもね。
○河村(た)委員 やるかやらないかを。
○塩崎委員長 いや、それは理事の皆さんにお決めをいただくということですから。
○河村(た)委員 なるほど。要するに、これはぜひ皆さん、これなんですけれども、これをはかると一目でわかるんです、何センチかというのは。すぐわかります。これは七十センチの穴なんですよ。 これは私、この鑑定人に聞きましたけれども、いろいろな鑑定があると。例えば画像で車のナンバーを特定するとか、顔つきをやるとか、そういうのに比べるとこれは物すごくクリアでわかりやすいんですということですから、もっともっと簡単に、もっともっと早く、七十センチ適法施用だってわかったんだ、これは。これはどうですか、横田さん。
○横田政府参考人 以前から委員は、七十センチは適法であると抽象的におっしゃっておりますので、私は、それに対しましては、それが適法か否かというのは、そのときの具体的状況によるし、施用された者の例えば身体条件あるいは健康状態といったさまざまな要因があって初めてそれが適法であるのかあるいは違法になるんだというふうに一般論として申し上げてまいりました。 とりわけ、今委員がおっしゃっておりますことは、現在名古屋地方裁判所に係属中の刑事裁判における争点の一つになっているというふうに承知しております。したがいまして、今後、この点につきましては、双方当事者の主張、立証を経て、裁判によって認定されるべき事柄だというふうに考えておりますので、私どもといたしましては、その裁判の推移を見ながら、また必要なことがあれば、必要な手段、方法をもって所要の調査を行ってまいりたいと考えております。
○河村(た)委員 これは本当に違うんですよ。裁判は有罪、無罪であって、これがもし、まずどうであるかということを矯正局が示さなければ、刑務官は職務執行できないじゃないですか。どうしたらいいんですか。革手錠を廃止したら済むというわけ。だから廃止したんですか、反対に。 どういう状況でどういう施用をすることが適法かどうかということをこういう事故のときに調査しないと。違法じゃないの、これ、今の言い分は。
○横田政府参考人 お答えいたします。 もちろん、革手錠の使用は廃止されたからそれでいいというふうに申し上げるということでは決してございません。過去にこのような事案があったということは、この矯正行政の運営にやはり大事なことであります。 したがいまして、私どもといたしましては、その点につきましても、今後、調査が必要なことがあると判断すれば、それについて所要の調査を行うと申し上げているわけでございます。
○河村(た)委員 だから、命じてくださいよ、これ。やらないと、刑務官からすれば、ウエスト八十の人に七十の施用だったのを違法と言われたら、十センチ締めるのをやめないかぬですよ、刑務官は。そうでしょう。六十センチに締めたと書いてあるじゃないですか。七十センチでも違法なんですか、それじゃ。 これは委員長、調査を命じてくださいよ。簡単にできるんだから、問題は。
○塩崎委員長 政府に対して質疑をしてください。
○河村(た)委員 いや、委員長に要求します。
○塩崎委員長 いや、私は今その質問をする立場にはありません。
○河村(た)委員 質問というか、じゃ、まあ、理事ですか、これ。それならどういう……(発言する者あり)はいはい。それは資料要求。
○塩崎委員長 それは政府にお渡しして、答えるように指示をします。
○河村(た)委員 だから、ぜひ、まあ時間が来ましたのであれですけれども、理事の皆さん、委員の皆さんにぜひ考えていただきたいのは、やはり彼らがやった行為というのは適法であって事故だったということになると、法律も変わってくるんです、これは。だから、そういう立場でぜひ理事会でも協議いただいて、必要な調査は裁判とかかわりなくやらないと、不利益処分を続けるということは、違法な行為になると僕は思いますよ。こういうふうに申し上げておきます。 以上でございます。
○塩崎委員長 次回は、来る五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会