財務金融委員会 第14号
- 発言数
- 122 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2005/03/30
会議録
○金田委員長 これより会議を開きます。 財政及び金融に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 両件調査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房総括審議官石井道遠君、国税庁調査査察部長鳥羽衞君、金融庁総務企画局長増井喜一郎君、金融庁監督局長佐藤隆文君、内閣府賞勲局長勝野堅介君、法務省民事局長寺田逸郎君、厚生労働省大臣官房審議官高橋満君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○金田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩國哲人君。
○岩國委員 岩國哲人でございます。民主党を代表いたしまして、谷垣大臣、伊藤大臣に質問をいたします。 まず最初に、株式市場について。 株式市場はよく経済、景気の鏡という表現もされます。同時に、実体経済にも非常に影響を与える、単なる鏡ではなくて実体経済にも非常に大きな影響を与えるという意味で、大変大きな存在だと私は思っております。 さて、谷垣大臣自身がこれからの財政を、あるいは税金を上げるか下げるか、いろいろなことをお考えになる上で、この株式市場の水準というものについてどういうお考えを持っていらっしゃるか、幾つか質問したいと思います。 まず最初に、小泉政権発足以来、株価はどれぐらい下がっておるのか。雇用水準はよくなった、設備投資もよくなった、景気はよくなった、上向きつつある、そういうお話をいろいろされますけれども、なぜそれに反して株式市場だけはいまだにこの水準を抜いてこないのか、原因はどこら辺にあると思われますか。
○田野瀬副大臣 まず、私から株価の下落ぶりを御答弁させていただいて、お答え申し上げたいと思います。下落ぶりという表現がおかしいかどうか……。 小泉内閣が発足いたしました二〇〇一年四月二十六日の日経平均株価は一万三千九百七十三円でございましたが、今年度の三月二十九日、すなわち、昨日では一万一千五百九十九円となっておりまして、単純に比較すれば二千三百七十四円の下落、下落率一六・九八%、こんなふうになっております。
○谷垣国務大臣 どこに株式市場の問題点があると考えているかという御質問でございました。 株価はさまざまな原因で動いてまいりますので、私は、まず政府の態度としては、短期的な株価の動きをどうこうしよう、上げていこうとか、そういう態度で政策運営をするのは不適切であるし、また、事実上そのようなことを政策的に努力しても困難なことであるというふうに思っております。それから、今の株式市場をどう見ているかということに結局なるわけでございますが、私自身は、今のポジションにつきましてから、株価が高いとか低いとか株価水準がどうだというようなことは、心の中で思っておっても、それを表に出して言うことは控えてきたわけでございます。 それで、小泉内閣が成立して以来、今副大臣からいろいろ御答弁も申し上げましたけれども、アメリカのあの九・一一を初めとする地政学的要因といいますか、テロ懸念、それから日本経済、これは日本経済だけではなく世界経済、アメリカ経済も含めていると思いますが、いろいろな先行き懸念などもございまして、株価は低迷した時期が確かにございました。 ただ、二〇〇三年の四月、今から二年ぐらい前からは、いろいろな要因が、要因というよりも企業業績等々が戻ってくる、それから構造的な問題も山を越しつつあるのかなというようなことがあって、復興基調と申しますか、おおむねかたいところに来ているのではないかなというふうに今思っているところでございます。もう一つつけ加えますと、りそな銀行処理等というようなものが好感を持たれたということもあったと思います。 私どもがなすべきことというのは、やはり国民が安心してマーケットに参加できるような、株式というものに関与できるようなマーケットの透明性とか公平性、こういったものを仕組みの上で維持していって、透明な公正な証券市場をつくっていく、そのためのルールをつくっていく。これは主として伊藤大臣のお仕事でございますけれども、政府としてもそういうようなことを考えに入れながら、個人投資家が安心して参加できるような環境をつくっていくのが政府の仕事ではないかと思っております。 それで、私の仕事として、主として関与するのは税制が一番関係するわけでございますけれども、貯蓄から投資へというようなことで近年幾つか税制の面でも手を打ってまいりまして、貯蓄のような感覚で株式投資にも個人投資家が参加できるような税制といいますか、そういうようなことも幾つか講じてきたわけでございます。そういったことを今後もよく考えながら、私どもも手を打っていかなきゃいけないと思っております。 それから、株価水準についてはコメントをしないできたと申し上げましたけれども、委員がおっしゃいましたように、全体の政策運営に大きく影響するわけでございますので、株価の動向には注意を持って見なければならない、こういうつもりで仕事をいたしております。
○岩國委員 四年たってまだ一七%下がったままというのは、決してこれは合格点とは言えないんですね。経済政策、景気対策についても合格点とは言えない、いろいろな事情はあると思いますが。 さて、株価はまだ一七%下がったまま、その一七%下がったこの四年間に、小泉政権発足以来、国民負担はどれぐらい下がったんでしょうか。端的にお答えください。
○田野瀬副大臣 税と社会保険料が国民所得に占める割合であります国民負担率の変化を見てみますと、小泉政権が発足した平成十三年度には三七・三%でございましたが、平成十七年度には三五・九%となっております。 ただし、将来に先送りしております国民負担である財政赤字の対国民所得比を加えました、すなわち潜在的国民負担率につきましては、平成十三年度には四六・三%であったのが、平成十七年度には四四・八%になると見込まれておるところでございます。
○岩國委員 結局、株価水準は下がったままで国民負担率はほとんど横ばい。したがって、国民の苦しさというのは決して軽くなってはいないんですね。土地の評価損、株式の評価損をそこの中に入れていくならば、むしろこの四年間は決していい四年間ではなかったと思うんです。しかも、この四年間の間に国債を増発し、公的資金を投入し、国民の借金はふえ、そして国民の負担は減らず、それでも株価は下がったまま。株式市場のどこに原因があるのか。 谷垣大臣、先ほど貯蓄から株式市場へという誘導的な税制も必要であるというふうなこともおっしゃいました。そういう局地的な対策も必要でしょうけれども、やはり全体的に日本を元気にする政策が欠けておったんじゃないかと思うんですね。それは税制も含めて。 さて、そういった点から、最近株式市場はいろいろな意味で話題になっております。ライブドア、フジテレビの件もあり、あるいは西武鉄道の偽名株をめぐってついには年金から訴訟を起こされる、こういう問題まで起きております。いい意味でも悪い意味でもこれは話題を呼んでおりますけれども。この証券市場に対して、日本の株式市場は、なかなか景況、実態がよくなっていると言う小泉総理、谷垣大臣の言葉を反映して上がってくれないのはどこに原因があると思われますか。 特に、個人が株式を持つ理由というのは、配当が安定している、あるいは将来の値上がり期待、こういうものもあるでしょう。しかし、日本では法人がかなり株を持っている、今回のフジテレビ、ライブドアに関連したように。法人が株式を持つ動機というのは何だというふうに谷垣大臣は認識していらっしゃいますか。一つ二つその理由を挙げてください。
○谷垣国務大臣 いろいろな原因があると思いますが、まず考えられることは、株式を取得することによって資本参加を果たす、他の企業を支配するという場合もあると思いますし、支配ないしコントロールするということもあると思いますし、また、他の企業と子会社とかいろいろな関係を結んでいくということもあるのではないかと思います。そういう支配というところまで至らなくても、取引上の理由からお互いの株式を持ち合うというような場合もあると思います。それから、余裕資金を活用して運用していくために有利な株式を持っていくというようなこともあるのではないかなと思いますが、さっと思いつくというと、そんなところでございます。
○岩國委員 かつてはそういうこともあったでしょうけれども、今現在は余裕資金を株式で運用するという企業は非常に減っていると思うんですね。余裕資金があれば、どんどん返済に回す。むしろ大臣がおっしゃったように資本参加、つまり、経営に参加し、経営に支配力を持っていこう、これが日本の株式持ち合いの一つの根底にあった。しかも、積極的に参加するのではなくて、要するに意見を言わない、物を言わない株主としての大切さがあったわけです。それは経営権をサポートする、何も発言しないという形でもって経営陣を取り巻いて、そうすることによって経営者を守る。ある意味ではボディーガードかもしれません。 それは、今フジテレビの貸し株が問題になっておりますけれども、今まではそういう友好的な会社が株式を持つことによって議決権を全部経営者に渡しておったんですよ。おわかりですか。常に四割、五割は、議決権を自分が持っている。株式の名前はよその会社であっても、一遍も発言しない、必ず経営陣に、その執行部に賛成の票に回るという意味では、これはもう既に、貸し株というよりも、貸し議決権は日本の慣行によってずっと前から行われておったことなんです。これをこれからの証取法でどういうふうに規定していくのか。これは伊藤大臣に後ほど質問したいと思いますけれども、そういう認識を一つ持っていただきたいということ。 また、誘導的な税制の中では、思い切ってキャピタルゲインタックスをゼロにする。株式を買うときに、私は生まれて一遍も株式を買ったことはありませんし、ああいう世界におりましたからこそ、私は株式を買わないようにしてきたんです。自分が株式を持つことによって自分の判断にゆがみが出る。私は、自分が、性格が弱い、酒にも弱い、お金にも弱い、判断力も弱い、知っていますから、一切株式を持たないようにしてきた。いつもお客さんに公平な判断ができるように。ですから、店頭へ行って紙を書いたことはありませんけれども、株式投資をされた方の発言ですと、非常に税務申告が嫌だから買いたいけれども買わない。もっと思い切って、ペーパーもなし、税金もなし、そのかわり利益は一〇〇%その人、損失もその人、そういう世界で一番わかりやすい株式市場というものを私はぜひ検討していただきたい、そのように思います。 次に、谷垣大臣、外資について質問いたします。 この外資という言葉は、時々日本の社会では差別的に使われることがあって大変残念に思います。今回のライブドアの問題なんかにしましても、あるいはリーマン・ブラザーズに対するあのコメントにいたしましても、そうした外資の中には、日本から出かけていって、黒い目で出かけたはずが青い目になって帰ってきた、そういう外資もたくさんあるわけですね。これはもう三十年前から、黒い目の外人投資、黒い目の外人ファンドと言われて、業界では周知の事実です。これは今どれぐらい存在するのか。そういうことに対しては、政府としてはどこが担当してそういうウオッチングをやっておられますか。つまり、日本の資本が外国へ行って、迂回して日本の土地や株式を買っている、こういうのは今どれぐらいあるのか、お答えください。
○田野瀬副大臣 外国の投資ファンド、これには法的な形態、あるいは投資先、あるいは運用対象によってさまざまなものがありまして、これが外国の投資ファンドだと決めつけるのはなかなか難しいところがあるわけでございますが、我が国をめぐる資金の流れ、出ていったり、あるいはまた入ってくる、その対内、対外証券投資の状況は、平成十六年度によれば、対外証券投資はネットベースで十八兆七千七百六十三億円、対内証券投資は十四兆九千八百八十五億円となっておりまして、この対外証券投資に外国の投資ファンドに対する日本の投資家の投資が基本的には含まれておりますけれども、それがどの程度の額なのか、またどの程度日本に戻ってくるのかというようなことにつきまして、具体的には実は把握しておらないのが事実でございます。
○岩國委員 今副大臣の答弁の中に、対外証券投資に日本のものがどれぐらい含まれているか把握していないとおっしゃいました。私が聞いているのは、対内証券投資に日本の金が幾ら入っているかということなんです。 行って帰ってくる、帰り道の船に乗っている日本人がどれぐらいいるかということですね。出ていく方は一〇〇%黒い目です。帰ってくる方は青い目の船に乗っているわけです。青い目の船の中に黒い目の人がどれぐらい乗っているか、そういうウオッチはされているかということを聞いているんです。片道はわかるわけでしょう、統計の上で。私が聞いているのは、帰り船のことなんです。
○田野瀬副大臣 岩國委員の御質問の趣旨に的確に答えることができなくて残念でございますが、その帰ってくる金額も実は把握しておらないのが実態でございます。
○岩國委員 これぐらい、いわゆるグローバルとか国際化と言われるようになれば、やはりそれなりの、外国の資本が日本の株式や土地をどれだけ持っているのか、そして、その中に、日本から外国経由で帰ってきて、実質的にある会社が隣の会社のビルを支配している、極端に言えばですよ、そういったことはこれからはどんどん行われるようになるわけです、証券を通じて、ファンドを通じて。そういうことに対して、そういう監視体制というのを持つべきじゃありませんか。 我が国の安全保障というのは、何も国土を守る、そんな戦力を持つだけが安全保障ではなくて、こういう経済における安全保障というのは、お金の流れを的確に把握していること、それが我が国の経済を破壊させない大切な安全保障体制だと私は思います。そういう点において、どの官庁もそれをやっていないわけですよ、今日本の政府では。財務省でさえやっていないということは、まさか農水省はそんなことやっているはずないでしょう。 私は、国土交通委員会で石原大臣にも質問しました。日本の土地が、今、外資、いわゆる外国資本によってどれだけ持たれているのか。石原大臣は、最近どんどんゴルフ場なんか買われていますね、そういう環境の中で、石原国土交通大臣は我が国の国土の一〇%ぐらいが外国資本によって持たれているのではないかと思います、そう私に答弁されました。これは明らかに間違いです。一国の土地の一割も外国資本によって持たれている先進国なんて今まであったはずがないし、また、そんなことがあっては大変なことなんです。後ほど答弁の訂正はありましたけれども。 そうした外国資本に限らず、日本の資本が出ていってまた逆買収をしている、そういうことについてもしっかりとした監視体制をこの機会につくっていただきたい。谷垣大臣、御答弁をお願いします。
○谷垣国務大臣 ちょっと私も不勉強で、どういう体制をつくれば今委員がおっしゃったようなことがきちっと把握できるのかというのをお答えする用意がないんですけれども、これは伊藤大臣にお答えいただくべきことかもしれませんが、去年の十二月の証取法改正で、外国の有限責任組合に類するファンドが日本国内で出資持ち分を公募する場合には届け出書等が義務づけられている、こういうものを活用すると、今委員がおっしゃったようなことは明確になってくるのではないかと思っております。
○岩國委員 そういった監視体制というのは、後から追いかけて、後からどうなったというときには大体事件は終わっているんですね。そういう安全保障というのは、そういう名義書きかえが行われた後というのは、もう取引は行われて、支配権は既に移転してしまっているということですから、そんな分析は全く余計な仕事だと私は思います。むしろ、そういう流れがどういう傾向になっているのか、それを監視する体制というのを、我が国はアメリカ、ドイツのような大きな資源を持っている国でないがゆえに、金融の力に依存しなきゃならないがゆえに、そういう監視体制は早急に必要ではないか、私はそのように思います。 その一つの例として、例えば日本長期信用銀行がリップルウッドに買収されました。私は、その件について予算委員会でも質問したことがあります。外国の資本が買った場合に税金がかかるかどうかを私は越智長官にそのとき質問したんです。越智長官は私に逆質問されました。かからないという条文がどこにあるんですかと言われたんです、私の質問に対して。実際にはかからなかったんです、リップルウッドは。日本の国税庁はかけられなかったでしょう。かけられなかった結果として、このリップルウッドがその後どれだけの売却益を手にしたのか。 リップルウッドは十億円で長期信用銀行を手にし、千二百億円の増資資金を投入しました。合わせて千二百十億というのがコストと言えます。それに対して、リップルウッドは幾ら実現益を手にしているのか。さらに、今持っている株数をきょうの値段で売却するとした場合には、幾らさらに実現益がふえるであろうか。トータルとしてどれだけの利益を手にするのか。それに対して日本の国税庁は幾ら課税することができたのか。二つの数字をお答えください。
○佐藤政府参考人 旧日本長期信用銀行の受け皿となりましたパートナーズ社、ニュー・LTCB・パートナーズでございますけれども、この会社が長銀の引き受けに際しまして投下いたしました投資金額は、先ほど委員が御指摘いただきましたように、旧長銀の既存普通株式を十億円で買い、それとは別に新規出資額として千二百億円を払い込んだということでございまして、投資金額は千二百十億円ということでございます。 これに対しまして、これまでどれくらいの利益が出ているかという点でございますけれども、パートナーズ社は千二百十億円を投資いたしまして新生銀行株式約二十七・二億株を取得したわけですが、これは実はその後の株式併合で半分の十三・六億株になっておりますけれども、その後の売却状況を見てみますと、二回ほど売り出しというのをやってございます。 第一回目は平成十六年二月でございましたけれども、先ほどの十三・六億株のうち四・八億株を売却いたしました。仮にこの売り出し株数に売り出し価格五百二十五円というのを掛け合わせますと、売り出し総額は二千五百一億円という数字になります。 それから、第二回目の売り出しでございますが、これは平成十七年二月でございましたが、約五・〇億株ということでございまして、この株数に売り出し価格六百八円を掛けますと、売り出し総額は三千五十二億円ということになります。 単純にこの二つの売り出し総額を足し合わせますと五千五百五十三億円ということになりまして、そこからまたさらに単純に先ほどの投資額千二百十億円を差し引きいたしますと、これまでに約四千億円の実現益が出ているということかと思います。 それから、もう一つのお尋ねは、現在なおパートナーズ社等が有している株式の評価額と申しましょうか、でございますけれども、先ほど申し上げました売り出し後にパートナーズ社等が保有する残りの株式の評価額、これは引き算いたしますと約三・八億株になりますけれども、仮にこれに新生銀行の昨日の終わり値六百十二円というのを掛けてみますと、評価額といたしまして二千三百二十七億円、こういう規模になります。
○岩國委員 十億円の投資、そして自分が千二百億円を投資して、結果として六千億、七千億の利益を上げている。私の質問にお答えになっていないのは、それに対して日本国政府は幾ら税金をかけることができたのかということ。金額を教えてください。
○鳥羽政府参考人 御質問の新生銀行株式の譲渡益に関する課税でございますけれども、これは個別にわたる事柄でございますので、守秘義務の関係上、お答えすることは差し控えさせていただきます。 一般論として申し上げますと、こういう非居住者あるいは外国法人が内国法人の株式を譲渡した場合の課税関係につきましては、国内法及び租税条約によって律されますけれども、先進国間の標準とされておりますOECDモデル租税条約の場合におきましては、原則として、非居住者、外国法人の居住国、つまり外国においてのみ課税され、源泉地国である我が国では課税されないことになっております。
○岩國委員 要するにそういう点が、私は、さっき谷垣大臣は至って不勉強でとおっしゃいましたけれども、まことに不勉強だったと思うんですね、売却の段階から、当時の越智大臣のころからですけれども。そして、今、小泉政権のいろいろな政策について我々はいろいろな委員会で議論をしておりますけれども、郵政民営化といったようなことについては、民間に任せれば何でもよくなるという幻想。そして、この証券の面に関しては不勉強。幻想と不勉強が余りにも多過ぎるんです、最近は。 この不勉強の例として、現に、これについて私が質問したときに、かかるはずだと言われた越智長官は、結果的には税金を逃してしまったんですね、これだけ大きな利益を上げながら。本当は日本国政府に入るはずだった二千五百億、三千億の税金というのは、永久に入ることはありません。そして、それを捕捉しようとして新しい法律を今度用意され、四月一日、あさってから実行されることになるでしょう。それを見て二五%以下に比率を下げていく。もう外国の投資家、機関投資家というのは何歩も先に、上の上を行くような人たちを相手にして我々は証取法というのをつくっていかなければならない、税制も。 この新生銀行、リップルウッドの取引は、当時、二十世紀で最もおいしい取引だと言われておりました。まさにおいしい取引がそのままごちそうとなって出てきたわけです。私は、五年前にこの委員会で質問しました、四年後、五年後に一兆円でこれが公開された場合には、そのときには税金は幾ら入ってくるのか、三千億入ってくるのか四千億入ってくるのかと。現に、ほとんど私が予言したような数字に近いような形で利益を上げているでしょう。 こうしたことに対して谷垣大臣としても大いに反省し、それから、国税庁は既にそのとき知っておったんです。私の部屋に国税庁の人、主税局の人に来てもらいました。そのとき、担当の課長に私は質問しました、リップルウッドには税金かけられないということをあなたは知っていますかと。知っておりました。なぜ銀行局、そういうところに言わなかったんですか。知っておりましたけれども、局が違いますから。こういう話なんですね。これだけ大きな問題になっているときに、局が持っている情報を隣の局にさえ言わない。こういうことが平然とそのとき行われておった。私はそれぞれの立場で仕事をされるのはよくわかりますけれども、銀行局が今やろうとしている取引、これは大事なことであるというのであれば、同じ大蔵省の中でなぜ連絡し合わないのか。いや、局が違います、したがって相談があれば私たちはそういうふうに教えてあげようと思っていましたと。教えなかったために日本国は何千億のお金を損してしまったんです。 私は予算委員会でこんな間抜けな取引がと、その間抜けという言葉が越智長官は気に入らなくて、間抜けとは何ですかと反論され、結果的には議事録からは削除することになりました、その言葉は。その間抜けという言葉の語源は、馬のマではなくて、間と書いてあるんですね。つまり、局と局の間が抜けていると、まさに絵にかいたような間抜けになるんですよ。間抜けが結局三千億円の損失になってしまったじゃありませんか。 次に、質問を変えて、ライブドア、それからフジテレビの件について質問したいと思います。 伊藤大臣、証取法の改正に今取り組んでいらっしゃいますね。証取法の改正について私のところに説明に来ていただいて、私は幾つか質問してあります。それから一週間たっていまだに私のところに回答が来ない。 例えば時間外取引について。東京でしか上場していない株式、ニューヨークでしか上場していない株式、これについては、立ち会い取引時間が何時で、時間外取引は何時というのは、その取引所のローカルタイムだけ見ていればいいわけです。ところが、三菱銀行のように東京とロンドンとニューヨークと三つに上場されている場合に、三菱銀行に関する取引の時間外取引というのはどこを指して言っているのか。つまり、東京の時間外で取引をしている、しかし、それはロンドンの時間内かもしれない。ニューヨークの時間内取引であっても、東京から見ればそれは時間外取引になるかもしれない。こういう国際的に上場している会社が五十、六十社あるでしょう。 例えばシティバンクが三菱銀行にTOBをかけたときには、三菱銀行のTOBのこういったルールというのは東京のルールだけで規定されるのか。ニューヨーク、ロンドンとの整合性というのはちゃんととってあるのかどうか。今度国会に出される証取法の改正というのはそういう点も含めて対応ができているかどうか。大臣の方から、できているということの確認をお願いいたします。
○伊藤国務大臣 お答えをさせていただきたいと思います。 今のお尋ねの点でありますけれども、これは、それぞれの取引所においてTOB規制というものがしっかりと機能を果たしているかどうかということを注視していくことになろうかというふうに思いますし、そのTOB規制の趣旨を逸脱することになれば、それに対して厳正に対処していくことになろうかというふうに思います。 委員の御指摘は、国際的視野の中でしっかりとした整合性がとれているかということだろうというふうに思いますけれども、証券取引法上は、公開買い付け期間中、TOBの期間中に公開買い付けによらないでその対象になっている株券等の買い付けを行うことは、株主に平等に売却の機会を与えるとのTOB制度の趣旨に反することから、これは別途買い付けとして禁止をされているところであります。そして、TOBの期間中にTOBの対象となっている株式の買い付けを外国市場において行うことは、これはTOBによらないで買い付けを行うことになり、別途買い付けに該当する行為として禁止されているものと解されております。
○岩國委員 そうした三つの世界の主な取引所の中でそれぞれに株式の買い集めが進められるという場合に、今度の証取法改正はそれに十分対応できるようなものになっているんですね。その点を確認していただきたい。 それから、関連してですけれども、今度のフジテレビのいわゆる買収に対する対応策として貸し株ということが行われています。先ほど私は私の考えを申し上げましたけれども、この議決権を貸すという行為は、企業社会においては株式を売却すると同じような行為になってしまう。つまり、貸し株、配当を受け取る権利だけを相手に渡すとかいうことではなくて、それも大事なことかもしれませんけれども、議決権を相手に渡してしまう、会社にとって経営権をどこかに移譲するということが株式市場において非常に混乱させるもとではないか。私は、こういうことは禁止すべきじゃないか、そのようにさえ思います。 例えばフジテレビ、ライブドア、堀江さん、日枝さん、毎日毎日いろいろなところでお話しになっています。しかし、残念ながら、お二人とも一般株主の立場とか一般株主にどういう迷惑を与えているか、心配を与えているかということについての配慮がほとんどないんですね。そして、自分の経営権をとるか守るか、その話ばかり。一般の株主は、株式とはどういうものかということを今改めて考え直しているんじゃないでしょうか。 一番最初に谷垣大臣への質問の中で申し上げました。将来の値上がりを期待、あるいは配当収入を期待する、こういう素朴な意味での大衆資本主義の時代から、今や企業経営者中心の資本主義に急速に変わりつつあるかもしれない。となれば、一般大衆への株式の普及というのは大きな障害を持つことになるんです。そういう議決権までがあっちへ行ったりこっちへ行ったり。株式とは一体何なのか、そういうことからいうと、私は貸し株ということについても制限すべきだと思います。この点について伊藤大臣はどういうお考えを持っておられるか、この貸し株について。
○伊藤国務大臣 まず最初の御指摘の点でございますけれども、御指摘の点については適切に今回の証取法の改正案におきましては対応をさせていただいております。 それから、二番目の貸し株の問題でありますけれども、個別の問題についてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一連の今委員が指摘をされたように、この取引をめぐって、企業価値を向上させていくこととは何なのか、あるいは株主の利益というものはどういうものなのか、そして株主だけではなくて従業員も含めたステークホルダー全体の利益というものをどう考えていかなければいけないのか、そうした中において取締役の権限というものをどのように考えていくのか、さまざまな観点から御議論がされていることは承知をいたしております。 ただ、委員の御指摘をされている部分の多くは、証取法ではなくて商法に関する部分が極めて大きいのではないかというふうに思いますが、私どもとして、一般論として申し上げれば、会社法制等を遵守して、そして株主を初めとしたステークホルダーの利益にも十分配慮しながら、最終的にその企業価値というものを高めることを目的として対応していくということが大切なことではないかというふうに思っております。 しかしながら、貸し株につきましては、取締役の善管注意義務の問題が生じるということは私どもとしても理解をしているところでございまして、こうした中で、私ども証取法を所管する金融庁といたしましては、証券市場の信頼性というものを確保していくためには、やはり市場の透明性あるいは公正性というものを保っていくことは極めて重要でありますので、こうした観点から商法を所管する法務省とも十分連携をとりながら、投資家保護あるいは株主の権利の保護、このための制度構築のために努めていきたいというふうに思っております。
○岩國委員 具体的な名前を挙げるのは問題があるかもしれませんけれども、例えば三菱銀行は、東京、ニューヨーク、ロンドン、三つの取引所に上場されています。東京の真夜中にロンドンやニューヨークの取引所においてシティバンクの大量取引によって三菱銀行が買収される、そういうことはあり得ない、そのようにきちっと対応はできているというふうに私は理解して、質問を次に進めさせていただきます。 西武鉄道の件です。西武鉄道についてはいろいろな問題が起きて、年金運用者からも損害賠償のための訴訟が起きている、こういう動きになっております。 この創立者の堤康次郎氏、それから受けた堤義明氏は、政府から表彰された方々だと思うんですね。これについて内閣府からおいでいただいていると思いますけれども、こういう社会的な問題を起こし、そして名前を隠して相続税も払わなかったのではないかという脱税の疑惑さえ持たれ、また現に虚偽報告でもって取引所から上場を廃止され、それによって多くの株主に損害を与えた、このお二人はどういう表彰をお受けになったのか、御説明いただけますか。
○勝野政府参考人 お尋ねの堤康次郎氏につきましては、昭和三十九年四月の死亡されたときに勲一等旭日大綬章が、また、堤義明氏につきましては、平成九年秋の褒章におきまして藍綬褒章がそれぞれ授与されているところでございます。
○岩國委員 一般論としてで結構ですけれども、この勲一等旭日大綬章ですか、それから藍綬褒章、それはどういう功績を評価してお受けになるのか。
○勝野政府参考人 勲一等につきましては、内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長及び最高裁判所長官の職にありまして功績があった方に授与されていたところでございまして、堤康次郎氏につきましては、衆議院議員及び衆議院議長の功績によりまして、先ほど申しましたように勲一等旭日大綬章が授与されたところでございます。 また、藍綬褒章につきましては、公衆の利益を興した者あるいは公同の事務に尽力した者に授与されることとなってございまして、堤義明氏につきましては、平成九年当時、西武鉄道取締役会長としての功績によりまして藍綬褒章が授与されたところでございます。
○岩國委員 そういう立派なお方が今問題を起こし、そしてそういう損害を株式市場に与えておられるわけです。今までこういう賞をお受けになった方で、その後取り消しされた方はありますか、お答えください。
○勝野政府参考人 勲章を授与された方がその後犯罪に関係した場合には、勲章褫奪令という規程がございまして、勲章をその刑の重さによりまして褫奪、褫奪というのは取り上げるという意味でございますけれども、褫奪され、勲章、勲記等の没収がされるということになってございまして、その例はございます。
○岩國委員 次に西武鉄道について、国税庁の方、御出席だと思いますけれども、いわゆる偽名株、株主として名前を偽って、実際にそのとき配当金は実質の株主に行ったのか名義上の方に行ったのか。二番目に、国税庁は、税金はどちらから税金を徴収されたのか。これは私は以前もこの委員会で質問させていただいたと思います、あるいは予算委員会だったかもしれません。これについて、どちらから取るべきものなのか。そして、この西武鉄道の場合にもそのルールに基づいて既に実行されたのかどうか、端的にお答えください。
○鳥羽政府参考人 お答えします。 個別の問題につきましてのお答えについては、先ほどと同様、守秘義務の問題がございますのでお答えを差し控えさせていただきますけれども、いわゆる名義株に対する配当でございますけれども、この課税関係につきましては、まず一般論として、国税に対する配当、これは支払い段階で源泉徴収がかかっております。これにつきましては個人、法人の区別なく、一定の率、現在では上場株式については七%、未上場株式については二〇%の源泉徴収が行われておりまして、これを受け取った方々の問題でございますけれども、法人が配当の支払いを受けた場合には、これは配当所得の収入金額として所得税の申告に反映されるわけでございますけれども、その個人が単なる名義人であるような場合、実際に配当の収益を享受する者、それが法人であるか個人であるかを問わず、これに対して課税されることになります。(発言する者あり)
○金田委員長 もうちょっと大きな声で。
○鳥羽政府参考人 配当はまず支払い段階で源泉徴収がかかっておりまして、これについては個人、法人の区別なく、一定の率、現時点におきましては、上場株式につきましては七%、未上場株式については二〇%の源泉徴収税率で所得税の源泉徴収が行われております。これを受け取りました個人につきましては、もしその個人が実際に配当を受け取っている場合には、その個人の方の配当所得の収入金額となりますけれども、その個人が単なる名義人である場合、その場合には実際その配当を受領した個人ないし法人の方に課税することになります。これはいわゆる実質所得者課税の原則と申しますけれども。 いずれにしても、個別の話についてはお答えは差し控えたいと思います。
○岩國委員 今度の西武鉄道の偽名株の問題、それからライブドアとフジテレビにおいて、いろいろな証取法関係で、株式とは何ぞやと。議決権を持ったものを株式と呼ぶのか、議決権は分離して配当だけをもらうものを株式と考えるべきなのか。この際、こうした新しい法改正の前に、この委員会でも、それぞれの関係者の方、日枝会長は株式とは何を考えておっしゃっているのか。経営権をとろうとする堀江さんは、株式をどのように考えてこういう取引をやっているのか。また西武鉄道、コクドの経営者は、株式をどのように考えていたのか。株式についての考え方が、国会の外で、まさに時間外取引じゃありませんけれども、そういうところの発言だけを我々は聞かされてこの大事な法改正を審議するわけに私はいかないと思うんです。実際に、日枝さん、堀江さん、あるいは堤さん、そういう方々、今の株式に関係された方たちがどういう認識とどういう目的のもとにこういう行動をとっておられるのか、つぶさに我々自身が聞くことによって、それはメディアが買収の対象になっている、そのメディアがそれぞれの知識と限られた頭で報道していることを我々が読まされて審議するということは、メディアによってこの委員会がある意味では間接的に支配されているようなものです。我々が立法府として、実際の生の声を聞いて審議する、それが私は立法府の当然の義務であろうかと思いますから、こういう関係者を参考人として私は本委員会に招致していただきたい。そうでなければ実のある審議というのは非常に難しい、そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○金田委員長 次に、中塚一宏君。
○中塚委員 民主党の中塚一宏でございます。 いよいよペイオフが解禁になるわけなんですけれども、たびたび延期をされてまいりました。間もなくこれが解禁になる。そのペイオフの解禁ということに合わせて不良債権の処理ということも、前の金融担当大臣である竹中さん、そしてまた伊藤担当大臣のもとでもお進めになってきたということだと思います。確かに、大手行の不良債権比率というものは、ほぼ目標どおり達成をされたということだと思いますけれども、私はきょうはこの不良債権の問題、そしてペイオフに関連して、大きく二つのことをお伺いしたいというふうに思うわけです。 大手行の不良債権処理の目標は達成できたということですが、本日、私ども民主党で、朝、会議を行いまして、金融機関の財務の内容についても報告を受けたところでありますが、それを見ますと、地方の金融機関、地銀、第二地銀、また信金、信組等ございますけれども、そこの不良債権については、やはり大手行と比べるとまだまだ比率というのが高いというふうに言わざるを得ないわけなんです。ペイオフを解禁するというからには、金融システムはこれでもう大丈夫だということなんだろうと、政府としてはそういうことを言いたいし、現実問題、金融システムがもうこれで大丈夫だからペイオフを解禁するんだということだと思うんですが、地域金融機関、地銀以下、以下と言うと問題があるのかもしれませんが、地銀、第二地銀、信金、信組、これらの不良債権の処理については、もうこれも峠を越えたというふうにお考えになっているのかどうか、それをまずお伺いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。 ペイオフ解禁拡大は、もう言うまでもなく、市場規律のもとで、預金者の選択というものを前提にして、金融機関が緊張感を持って経営基盤というものを強化していく。そのことの努力が金融システム全体の効率化、安定化ということを実現していく。そうした観点からもペイオフ解禁拡大を予定どおり実施していきたいというふうに考えておりますし、また、それを前提として金融機関においても諸準備が進められてきたというふうに思います。 具体的には、今委員からは、主要行とそれ以外の金融機関における不良債権問題の取り組みにやはり差があるのではないかというような御指摘がございました。中小・地域金融機関におきましては、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」に基づいて、中小企業の再生と地域経済の活性化を実現しながら不良債権問題を同時に解決していくということで、地域の金融機関も中小の金融機関もさまざまな努力をしてきたところでございます。そのことによって、全体として不良債権比率は低下のトレンドにありますし、また自己資本比率も改善をしてきているというふうに考えております。 また、昨日、現行のアクションプログラムを承継します「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム」を策定、公表させていただいたところでございますが、十七年度からの二年間、重点強化期間においても、引き続き、競争的環境のもとで地域の再生そして活性化や中小企業金融の円滑化を図りつつ、中小・地域金融機関の経営力強化を促していきたいというふうに考えているところでございます。
○中塚委員 ペイオフを解禁するということと、金融システムが安定しているということと、あと不良債権の処理を進めるということは、三つ、実は関連することではあるけれども、これは全部別々の課題なわけですね。 私は、まず大手行以外の不良債権の問題について冒頭お伺いをしたわけなんですが、事ここに至るまでの経緯の中で、皆さんが不良債権の処理をお進めになってきた、私はまだ地域金融機関はこの不良債権の処理というものが完全に終わったわけではないというふうに認識をいたしておりますが、ここまで不良債権の処理を進めてくる、そしてペイオフの解禁に備えるということだったんでしょうが、大分弊害ももたらしている部分があるというふうに思うわけなんです。 その弊害というのは何かというと、前回もちょっと触れましたけれども、結局、不良債権を処理すれば目詰まりがなくなって資金が流れるようになるということを言っておられたわけなんだけれども、不良債権の問題に一応のめどがついて、そしてペイオフを解禁するということですが、銀行の貸し出しは伸びていない。 伸びていない一番の理由というのは、やはりこれはリスクをとる能力が著しく低下しているということだと思うんですね。だから、銀行は結局貸し出しをふやさないで国債を購入するという行動に出てしまっている。要は、銀行に対して、もっと経営の健全性を確保しなさい、不良債権を処理しなさいというプレッシャーをかけてきた、ペイオフの解禁というものがあってずっとそれをおやりになってきたわけだけれども、その副作用というものが銀行のリスクをとる能力を失わせる結果になっているというふうに私は思うわけなんです。 といいますのも、今、例えば大手行なんかでも、融資担当の営業の人というのはどんどん減っているんですよ。そのかわりにどういう営業の人がふえているかというと、投信の販売ですとか株式の販売ですとか、要は、銀行本体でリスクをとることなく手数料によって収入を得よう、そういう人たちがどんどんどんどんふえている。他方、貸し出さないで国債を買っているということもあるわけで、私は、ペイオフ解禁に至るまでの政府の施策の副作用というものが、リスクをとる能力の低下という形であらわれているというふうに思うんですが、そこはいかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 大変重要な御指摘をいただいているというふうに思います。 私は、委員の今の御指摘とは違って、不良債権問題を正常化させていくことによってリスクテーク能力というものを上げていく、そのためにもやはり不良債権問題というものをどうしても解決していく必要があるのではないかというふうに考えて、この問題に取り組んでまいりました。 御承知のとおり、私は政治家のうちの三分の二、中小企業問題や産業政策の問題に取り組んできたわけでありますけれども、なぜ、中小企業や産業側からさまざまな資金ニーズがあるにもかかわらずそれに対して的確な対応ができないかというと、やはり不良債権問題というものが大きなおもしになってしまって、そして、それを解決するために多くの経営資源がとられてしまっていて利用者ニーズに的確に対応できない部分があるのではないか。それを除去することによって資金仲介機能というものを向上させていくということは、やはり非常に大きな課題ではないかというふうに思っておりました。 しかし、委員の御指摘では、不良債権問題が正常化しているにもかかわらず貸し出しは伸びていないではないか、こういう御指摘があったわけでありますけれども、今日まで、バブルが崩壊をして、その過程の中で、企業側からすると、今までの過剰債務の問題でありますとかあるいは過剰設備、過剰雇用、こうした三つの過剰を是正していくための調整というものをせざるを得なかった。そのために長い時間をかけて、そして緩やかに調整してきたのが今日の姿であり、また現在においても、やはり借金というものを返済していく、過剰債務というものを是正していくスタンスというものがまだ残っている状況にあるのではないかというふうに思っております。 これはなぜかといいますと、GDPに占める貸し出しの比率というものを見てみますと、バブルの前は大体七〇%で推移をしてまいりました。そして、バブルを経験してこれが一〇〇%を超えた。そして、現在この水準が八二%ぐらいのところまで低下をしてきているところでありますから、そういう意味では、バランスシート調整の、ある意味では最終段階のところにあるのではないかというふうに思っております。 そうした過程の中でも、今企業においてはさまざまな努力をなされているわけでありますし、その中で新しい資金ニーズというものも出てきているわけでありますから、それに的確にこたえていくことが非常に重要なことであり、また金融機関においても、今御指摘では、いや、手数料の方に重点を置いているではないか、こういう御指摘がありますが、一方で、中小企業に対してもスピード審査で無担保で第三者保証なしの新しい金融商品というものを投入して、この貸出残高というものも伸びてきておりますので、そうした努力もなされているのではないかというふうに思っております。 また、中小・地域金融機関においては、地域密着型金融というものを発揮していく、これが極めて重要なことでありますから、そのためのさまざまな取り組みが行われているというふうに考えているところでございます。
○中塚委員 個々の取り組みの問題については確かにすばらしい動きもあると思いますよ。でも、要は、不良債権さえ処理すれば資金の流れが円滑になっていくということを信じて今日までいろいろな施策をやってこられて、ところが、それはもうはっきり言ってしかばね累々の上に行ってこられたわけですね。 今御答弁になったもので、私は二つ申し上げたいことがあるんです。 不良債権処理がリスクテーク能力を高めるというのは、それによってちゃんと貸し出しの余力がふえるということではあるでしょうけれども、余力がふえたってそれを貸さなければリスクテークにはならないわけですね。だから、そういった意味で、処理は進んだってリスクテーク能力がないから国債を買っているということが問題だし、銀行自体、収益を何で上げているかといえば、要は手数料収入でもうけているのが今主力になっているじゃないかということを申し上げているんです。 もう一つ、過剰債務がまだ残っている、要は日本経済自体のバランス調整がまだ進んでいるということだったと思うんですが、きょう実はお手元にその資料をお配りしているんですけれども、これはけさの会議で日本銀行からお出しいただいた資料で、預金種類別の動向というものなんですね。皆さんは、これで大丈夫だ、ペイオフ解禁するということをおっしゃっても、では預金者の方は果たしてどういうふうに見ているのかということです。大臣みずからがバランスシート調整がまだ途上であるというお話もされましたけれども、やはり日本国民の多くは、まだ金融システムがこれでもう万全だというふうには思っていないというのが、私はこのグラフにあらわれているというふうに思うんです。 といいますのも、これを見ていただければおわかりだと思います。上が流動性預金、下が定期性預金ですけれども、まず部分解禁になりました。部分解禁のときに、定期性預金がどっと対前年比でマイナスになっている、平残でマイナスになっている。そして、流動性預金の方がふえているということで、やはりこれは預金種類別でシフトが起こったということをあらわしているわけなんですが、その後をずっと見ますと、やはり定期性預金もずっと平残で減り続けているわけなんですよ。ということは、預金者は相変わらず、定期性預金というものについて、一千万円以上を預けるということに銀行に対しての信頼というものを置いていないということがこれから見てとれるわけですね。 ペイオフ解禁するというのは、一千万円以上預貯金を預けてはいけないということではないはずですよね。そうじゃなくて、健全な金融システムであるならば、そもそも銀行がつぶれるということ自体起こらない、あり得ない話。万々が一にこれだけは保証しますというのがペイオフなんだけれども、結局、一千万円までしか保証されなくなるというアナウンスメント効果というのは、このグラフを見ると、やはり一千万円以上は預けるなというふうに受け取る側の預金者には響いている、私はそういうふうに思うんですね。 だから、このペイオフ解禁ということなんだけれども、これをもってして、要は、日本の金融システムが安定した、盤石になったというふうには言えないんではないかと思いますが、そこはいかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 まず、先ほどの、リスクテーク能力を上げていかなければいけない、この御指摘は私も全くそのとおりだというふうに思っております。ですから、「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」においても、その点に一つ重点を置いて、各地域の金融機関、中小の金融機関は過度に担保あるいは保証に依存しない、そうした融資が行われるような取り組みというものを積極的に進めてきたというふうに承知をいたしておりますし、また、そうした目ききの能力を上げていくことが資金仲介機能というものを強化していくことにつながるというふうに考えているところでございます。 それから、今御指摘をいただいた点でありますけれども、確かに定期性預金は御指摘のとおり減少しているわけでありますが、預金者は、預金保険制度に加えて、金利の条件でありますとか、あるいは決済機能の有無、多様な要因というものを勘案しながら、自己ニーズに合った金融商品によって運用を行っているものと考えられますので、定期性預金が減少していることをもって、それが理由で金融システムに対して不安を抱えているとまでは言えないのではないかというふうに思っております。 しかし、金融庁といたしましては、今後とも、個々の金融機関の健全性、こうした健全性の問題が深刻化する前の段階で早目早目に認知をして、そして、早目の対応を行っていくことなどによって金融システムの安定性を維持、確保していくことが極めて重要だというふうに考えておりますので、こうした観点から、適切な行政としての対応を引き続き行っていきたいというふうに思っております。
○中塚委員 今、金利による選好の話をされましたけれども、二〇〇一年の一月、グラフの一番左のところだけれども、ここでは、要は、定期性預金だってふえていたわけですね。この当時と今と、では、そんなに金利が劇的に下がったかというと、そうではなくて、このグラフの横軸の間は今も昔も低金利なんですね。だから、私は、低金利によっての選好が起こって定期性預金がずっと減っているというふうには思えない。みんな預金者は怖いからですよ。やはり一千万円以上預けるということが恐ろしいからどんどんどんどんと減っている。 その中で、もう一つは、さっき金融機関の今とっている営業のお話をしましたけれども、やはりそれは、定期性預金に預けるよりは、金融機関の担当者が、こういうものもあるんですよと投信やら株やらという話になったら、そっちにお金も流れていくということなんでしょうが、いずれにしても、ペイオフの解禁というのは、金融機関もリスクをとる、預金者もリスクをとるということがやはり大前提だと思うんです。ところが、皆さんのおとりになっているそういう政策の意図とは全く別に、これを見ればわかる、またそして今の銀行の行動を見ればわかるのは、銀行も預金者も、どんどんどんどんリスクをとらない方向へ動いていってしまっているということなんですね。 だから、私は、今回のペイオフ解禁に向かって皆さんがおとりになってきたいろいろな施策の副作用といいますか弊害というものの一番顕著にあらわれているのは、金融機関がリスクをとらなくなっているということと、それに応じて預金者ももうリスクをとらなくなってしまっているということであるというふうに思います。ですから、ペイオフを解禁してこれで万々歳ということには決してならない、これからの方が、まさに我が国の金融にとっては実はもっと大変な問題が横たわっているということを、きょうは指摘しておきたいと思います。 そして、その上で、偽造キャッシュカードの問題についてお伺いをしていきたいと思いますが、先週の金曜日、二十五日なんですが、私ども民主党として、法案をつくって提出をさせていただきました。きょうは、その案についてもお話をし、また御意見もお伺いをしたいと思っております。 その提出と相前後して、全国銀行協会の西川会長が記者会見をされている、二十二日でしたか。あくまで記者会見ということなので、私どもは新聞等の情報でしか知り得る手段というものはないんですけれども、監督庁として、その二十二日の全国銀行協会の西川会長の発言について、この場で御披露をいただきたいというふうに思います。
○佐藤政府参考人 三月二十二日の西川全銀協会長の記者会見につきましては、その内容につきましては私どもも承知しておるところでございます。 偽造キャッシュカード対策の部分に関して申し上げれば、カード規定の試案というのを全銀協でつくっているわけですが、これの改定を含めまして見直しを行うこととしたという旨の表明がなされたというふうに承知をいたしております。 その上で、その中身と申しましょうか、より具体的な考え方として三点ほど、これが見直しのポイントであるというふうな形で表明をされております。第一点は、偽造キャッシュカード被害については、預金者に責任がない限り、原則金融機関が補償すること、第二点、預金者に責任がある事例についてはあらかじめ明示することにより、ルールの透明性、公平性を確保すること、第三に、預金者に責任があることの立証責任は金融機関が負うこと、こういった内容であったというふうに承知いたしております。
○中塚委員 さて、たびたび取り上げてまいりましたし、前回の委員会でも一般質疑の際に伊藤担当大臣に質問をしたわけですが、まずは伊藤担当大臣に、この西川会長の記者会見、そしてその中身についてどういう御感想をお持ちかをお述べいただきたいと思います。 〔委員長退席、竹本委員長代理着席〕
○伊藤国務大臣 お答えをいたします。 今監督局長から申し上げましたように、全銀協の会長が、三月二十二日の記者会見において、偽造キャッシュカード対策に係る発言をなされたことは承知をいたしております。同発言の内容の中で、偽造キャッシュカード問題の重要性を認識し、そして現行約款の改定が必要との認識を表明された点、また、被害者への補償について一つの方向性を示した点、こうした点については一定の評価ができるものと考えているところでございます。 委員御承知のとおり、現在、金融庁におきましては、法律やシステムの専門家による、本問題に関するスタディグループを設置させていただいて、そして、被害に遭った預金者への補償のあり方を含め、犯罪防止策、犯罪発生後の対応のあり方について精力的に検討をいただいているところでございます。 私どもといたしましては、こうした検討結果を踏まえて、被害に遭った預金者への補償のあり方についてさらなる対策を検討し、そして実施に移してまいりたいと考えております。
○中塚委員 今、一定の評価をしているという御答弁でしたけれども、この全銀協の西川会長の発言というのは、あらかじめ金融庁とお諮りになった上で西川会長はされているんでしょうか、それともこれは全銀協会長の西川さんの自発的な御発言ということなんでしょうか。いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 この機会におけます全銀協会長の御発言でございますけれども、これは被害者への補償のあり方を見直すことを全銀協として自主的に表明したものだというふうに承知をいたしております。 この会見そのものに関して、金融庁が事前に相談を受けたりあるいは指導を行ったといったことはございません。
○中塚委員 さてそれで、ここからその中身について伺っていきたいと思うんです。 一定の評価をされるということのようですけれども、まず第一にお伺いをしたいのは、これは全銀協の会長の発言ということでよろしいんでしょうか、それとも、西川さん個人のお考えということなんでしょうか。いかがですか。
○佐藤政府参考人 全銀協会長としての御発言だというふうに理解しております。
○中塚委員 理解しておりますということですけれども、私は自主的な取り組みというものを決して否定するものではありませんが、ただ事件が、要は、個々個別、預金者ごとの事件である、また対象となる銀行についても多行にわたる、そういうのがこの偽造キャッシュカード問題になるわけなんですけれども、それが全銀協の会長としての発言であるということならば、約款を改定するということですと、全金融機関が約款を改定する、そう理解をさせていただいてよろしいんでしょうか。
○佐藤政府参考人 今回の会見で会長がおっしゃいましたのは、見直しをするという方針を表明され、その見直しに当たっての心構えのような点をお述べになったということでございます。全銀協が行う作業というのは、恐らくひな形、標準的な姿というのをつくる、こういう作業だと思いますが、そこまでの話でございますので、その後、全銀協のひな形というものが強制力を持って、すべての金融機関が採用しなくちゃいかぬ、こういう性格のものには、そのものとしてはならないということではあろうかと思います。
○中塚委員 答えにくい質問なのかもしれませんけれども、私はまさにここが核心だと思っているんですね。要は、実現方法が法律ではなくて約款によるということになると、じゃ、果たして約款の改正というものを全金融機関がやってくれるのかということは、私はすごいポイントだと思うんですね。そうでなければ、救済をされる預金者とそうではない預金者というものが出てくるのではないのかと思っております。 そして、二つ目にですけれども、銀行が原則負担をするということですけれども、じゃ、これは全額補償になるのか、あるいはそうでないのか、そのことについて、個々の金融機関の判断にゆだねるということになってしまうのではないか、そういう懸念も抱かざるを得ないわけですね。ルールを透明にするということで、預金者の過失を類型化して発表されるのかどうか、それはこれからの課題だと思いますけれども、これが法律ではなく約款で行うということになった場合に、果たして全額補償になるのかそうでないのか、そうでない場合というのはどういったときなのかということが明らかにならない、個々の金融機関の判断にゆだねることになってしまうのではないか、そういう危惧を抱くわけなんですけれども、そこはいかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 議論の前提といたしまして、委員が引用してくださっておりますのは、全銀協会長としてではございますけれども、全銀協としての自主的な意図表明の話でございますので、いわばそれを前提に、それが実施された場合のその効果であるとか理由づけであるとかあるいはその解釈であるとかといったことについて、監督当局として詳細にコメントする立場にはないというふうに思っております、現段階におきまして。 ただ、いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、委員から御指摘いただきました補償のあり方が各金融機関の個別の判断、対応によっているという形でよいのか、あるいはより共通の一般的な枠組みが必要ではないのか、この点についての問題意識というものは、私ども金融庁もかねてより有しているというところでございます。 こういった問題意識を背景といたしまして、現在、偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ、金融庁の中に設置されておりますけれども、ここで精力的な御議論をいただいているということでございます。補償のあり方を先行して議論していただいておりますので、三月末を目途にその中間取りまとめを行い公表すべく、今最終的な議論の集約を行っていただいているということでございます。 被害に遭いました預金者の方への補償のあり方につきましては、このスタディグループの検討結果を受けまして、先ほど申し上げましたような共通の枠組みが必要かどうかといった点も含めまして、金融庁として、実効性のある対策を検討し、実施に移していくという考え方でございます。
○中塚委員 三月末というと実はあしたなんですけれども、そういった意味で、皆さんもいろいろお考えになっている、あとスタディグループも精力的に取り組んでいらっしゃる。私も岩原先生の御著作など読ませていただきました。岩原先生の考え方というのは、私どもも共鳴するところが大変に多いわけなんですが。あすが三月末ということになれば、それはもうそろそろ考え方だって固まっていたっていいと思うんですね。今のお話の中にありました、預金者の過失責任の範囲をどういうふうに勘案するのかというのも、結局、各行の個別の判断になってしまうんじゃないか、私はそういう危惧を抱かざるを得ないわけなんです。 もう一つの問題点は、偽造カードのみを対象にしているということですけれども、偽造カードというのは何が問題かというと、無権限取引なわけですね。正当な権限を有しない者の取引であるということが一番のポイントなわけで、そういった意味では、偽造のカードのみを対象にしているんですが、盗難カードであったって無権限取引であることは変わりはない。 ということになれば、記者会見では、盗難キャッシュカードの場合は偽造のキャッシュカードと過失の度合いが違うだろう、あるいは偽造キャッシュカードのような新たな枠組みは必要ないのではないかというふうに全銀協の会長はおっしゃっているというふうに聞いておりますけれども、私は、無権限取引であることは変わりないと思う、偽造であろうが盗難であろうが。そういった意味で、偽造カードだけを対策の対象に入れて盗難カードを入れないということではおかしいのではないかと思いますが、そこはいかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。 偽造キャッシュカードに係る補償の問題は、スキミングなどの偽造技術、これが近年巧妙化している緊急事態を受けて、どのようなセキュリティー対策を講じていくのか、また、仮に被害が発生してしまった場合において、預金者への補償のあり方をどう考えるか、こういう問題であると認識をいたしているところでございます。 このため、偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループにおいても、まずは現下の緊急課題である偽造キャッシュカード問題について集中的に検討をいただいているところでございます。 委員が今御指摘をされましたように、盗難通帳・キャッシュカードの問題は、偽造キャッシュカード問題と類似する側面があり、両者を区別する必要はない、こうした御指摘があることは十分承知をしております。しかしながら、他方で、盗難通帳を用いた窓口での不正取引は相対の取引であり、ATMという機械を利用した不正取引とは態様が異なるのではないか、あるいは、盗難キャッシュカードは窃盗の一類型であって、どういう状況で預金者が窃盗に遭ったかなど、預金者側の帰責事由が個別ケースごとにさまざまであるのに対して、偽造キャッシュカードはカードシステム自体に欠陥があり、それゆえ原則的に、システム提供者である金融機関に責任があるのではないかといった意見があるものとも承知をいたしているところでございます。 金融庁といたしましては、まず、現下の緊急課題である偽造キャッシュカード問題について、スタディグループにおける集中的な検討をお願いするとともに、スタディグループにおきましても、盗難通帳・キャッシュカードを含めた無権限取引一般に関する議論がなされた場合には、その内容も参考にしつつ、今後、盗難通帳・キャッシュカードの問題についても真剣に検討をしてまいりたいと考えております。
○中塚委員 今の御答弁では、とてもじゃないが真剣に考えているというふうには私には思えないのですが。 システムの問題じゃないんですね。もちろんシステムの問題もなくはありませんが、相対の場合はもっと深刻ですよね。だって、人間がいるんでしょう。それで無権限の人であるということを見抜けなかったということになれば、実はこれはATMなんかよりはるかに問題なわけですよ。というふうに私どもは考えて立法をしたということなんです。 〔竹本委員長代理退席、委員長着席〕 お手元に配った資料二枚目、三枚目は、これは皆さんが海外調査報告をおまとめになられた「預金者への補償のあり方と偽造予防策について」二〇〇五年三月十八日ということですけれども、二月二十一日から十六日間、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、香港、オーストラリアへ行かれてお調べになってこられた成果がこの二ページ、三ページですよね。 これを見たって、紛失、盗難、偽造というのは大体全部同じカテゴリーですね。免責の範囲は確かに違います、免責の範囲は確かに違っても、紛失も盗難も偽造も、みんな諸外国は、これは同じカテゴリーになっているじゃないですか。その中でも、偽造の場合は、顧客に負担が全くないという国があるということであって、だから私は、紛失、盗難、偽造というものを分けて考える必要というのはない。 やはりこれは無権限取引ということで、そういう考え方に立てば、紛失だろうが盗難だろうが偽造だろうが、同じことですよ。金融機関がちゃんと本人確認をすればいいということに尽きるわけであって、私は、この三つを区別して考えるということについては納得できないし、全銀協の会長の御発言についても、やはりそれは納得することはできません。 それから、システムの問題でもあるけれどもそれが本質ではないというふうに申し上げたのは、技術の発展という意味では、印鑑の偽造だって今は簡単にできるわけです。スキャナーで取り込んでそれを彫ればいいだけのことで、判こというのは日本特有の文化、北東アジアに特有の文化なんでしょうけれども、はっきり言って、印鑑だってそれは簡単にできる。どっちかというと、印鑑の方が簡単に偽造できる場合だってあるということであって、私は、これも無権限の取引であるという意味においては変わらないというふうに考えています。 というスタンスに立って私どもは法案をつくり、先週の金曜日に国会へ提出をさせていただいております。四ページ以降がその法律案の要綱なんですけれども、やはり何といっても、金融機関がちゃんと本人確認をしてくれれば、それで事は足りるということです。 そして、「金融機関等」ということで第二の一のところに書いてありますが、これらを「金融機関等」としております。あともう一つは、カードのたぐい、さっきのシステムという問題でいけば、最近は、証券会社とか生命保険会社も、こういうカードでお金を引き出したり預けたりできる仕組みをつくっているものがある。そしてまた、貸金業の場合も同様に、カードによって貸し金を行う者があるということで、およそそういったものを取り扱う機関についてはすべて含めるということを明定いたしております。 そして、第三のところ、ページ五のところですけれども、民法第四百七十八条の規定はカード、預貯金通帳等による払い戻し、カード、預貯金通帳等による貸し付けについては適用しないものとするということを明確に打ち出しています。だから、要は、これは民法の特例ということになるわけですが、やはりここまでやらないと、本当の意味での預金者の保護というのはできないと私どもは考えている。 だから、全銀協が自主的に取り組みをされる、方向性を会長がお示しになられたということでありますが、その会長の御発言の詳細のところまでやはり私たちは理解することができないし、もう一つ、偽造だけを取り上げて盗難を取り上げないということも理解できないし、あと、カードは入るけれども通帳、印鑑が入らないということも納得できないと考えておりまして、だからこういう法律案を提出したんです。 私も自主的な取り組みを一切否定するつもりはありませんから、いずれにしても、全国銀行協会の会長に一度この場にお越しをいただいて、どういったことを全銀協としてお考えになっているのか、それを直接伺った方がいいと思うんですね。 加えまして、スタディグループの岩原紳作先生ですか、その岩原先生も大変にすばらしい考えをお持ちになっていらっしゃって、やはりその四百七十八条をずっと拡大解釈してきたということが問題だというふうにも著作の中で述べていらっしゃいます。 また、かつて金融制度調査会でこの話を議論したことがあったけれども銀行側の強烈な反対で実現をすることができなかった、日本においてアメリカの五十ドルルールのようなものをつくるべきだということも金融制度調査会の中で提言はされたんだけれども、銀行の反対によって実現できなかったというお話もされているわけなんですね。今のお話は、柳田邦男さんという方のお書きになった「キャッシュカードがあぶない」という本の中からの孫引きなんですけれども。 そういった方々をお招きして、では、預金者保護というのはどうあるべきなのかということをちゃんとお伺いをしてみるべきだ。 やはり全銀協も皆さんと相談することなしに発表されたということなんでしょうから、皆さんに聞いてもなかなかお答えになりにくい部分もあるでしょう。 だからそういった意味で、委員長、今名前を挙げました全国銀行協会の会長、そしてスタディグループの岩原紳作座長、それから、この「キャッシュカードがあぶない」という著作で諸外国の例なんかもお調べになっていますが、柳田邦男さん、あともう一つは、やはり被害者の方々から実際にお話を伺うということも必要だと考えておりますけれども、これらの皆さんの参考人招致というものを求めたいと思います。
○金田委員長 中塚一宏君からの申し出については、理事会で協議させていただきます。
○中塚委員 いずれにしても、預金者保護というのをどういうふうに考えるのかということになりますと、今までは、各個別の業法を通じて預金者なり投資家を保護するというやり方をしてきたわけなんですけれども、やはりそうではなくて、預金者、消費者という視点に立った保護策を考えていかなければいけないと思います。 そういった意味で、私どもが提出した法律案はまさしく本邦初演なんですが、預金者の立場から預金者を保護するというためにつくった法律案。無権限取引は無効である、銀行がちゃんと本人確認をするべきであるという考え方について、大臣はどういう御所見をお持ちになるのか、お伺いをしたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。 預貯金取扱金融機関における無権限取引全般を無効とすることにつきましては、窓口の通帳取引等、幅広い取引が対象となることから、窓口での本人確認手続などの実務への影響、あるいは預金者保護や利用者利便の観点等を総合的に勘案しつつ、幅広い観点から慎重な検討が必要となるのではないかと考えております。 いずれにいたしましても、金融庁は、先ほど来お話をさせていただいておりますように、委員からも御指摘がございました岩原先生に座長になっていただいて、スタディグループを開催させていただいて、そして、現在精力的に議論をいただいているところでございますし、三月中には中間的な取りまとめ、そして四月の末には最終的な報告をいただきたいということで、鋭意検討作業を進めさせていただいているところでございます。こうした検討結果を受けて、さらなる偽造キャッシュカード対策を検討して、そして実効性のある対策というものを逐次実施に移していく所存でございます。
○中塚委員 預金者の利便性のためにこのまま事態を放置して、泣くのが預金者だという話では、これは本末転倒だと思います。無権限取引は無効であるということを決めることによって初めて金融機関も本人確認に真剣になって取り組んでいくようになるだろうと思いますし、例えば引き出し限度額の問題についても、それはやはり銀行がそのシステムのリスクを勘案して限度額を決めればいいことであって、大切なことは、こういった被害から預金者を必ず守る、救済するということであるということを申し上げておきたいと思います。 そして、最後に、先ほど入ってきたニュースなんですけれども、参考人の招致要求、ちょっと追加をしなければいけなくなりまして、大臣はもうお伺いになっているかどうかですが、みずほ銀行二十七万人の顧客情報を紛失というニュースですけれども、これはもうお聞きになっておられますか。今後ろからメモが回ってきたようですが、いかがでしょうか。
○伊藤国務大臣 承知をいたしております。
○中塚委員 個人情報保護法の施行もスタートする。私も、要はこの情報漏えいの問題、特に内部情報が外部に漏れる、顧客データが外に漏れるということについて、この委員会でも取り上げたことがあるんですね。そのときに、みずほ銀行の前田社長にお越しをいただいて、この問題についても指摘をしたことがあるんです。情報のセキュリティーレベルはどうなっているんだということもただしたんですけれども、それがちょうど一年前なんですね。一年たって今日、二十七万人の顧客情報の資料を紛失するということになってしまうと、では一体何をやっているんだということにもなりかねない。 私は、これはぜひ、このみずほ銀行の社長、頭取をこの委員会にお招きをして、果たしてこんなことで日本の銀行、金融システムに対する信頼が確保できるのかということでもありますから、真相を究明するべきである。 最後に、委員長に、このみずほ銀行の社長あるいは頭取の参考人招致要求をいたしまして、終わりたいと思います。
○金田委員長 中塚さんの申し出につきましては、先ほどと同じように、理事会で協議させていただきます。
○中塚委員 ありがとうございました。
○金田委員長 次に、永田寿康君。
○永田委員 きょうは差しかえでお時間をいただきましてありがとうございます。 ライブドアとニッポン放送とソフトバンク・インベストメントとフジテレビをめぐる株の争奪戦でありますが、世間の非常に大きな関心を集めております。会社法も改正されることではありますが、その関係者、ステークホルダーたちが非常にとまどっているというのが現実だと思います。果たして彼らが実行したさまざまな手段が法律的に正当なものなのかどうか、あるいは株主の利益を損なっているんじゃないか、株主以外のその他のステークホルダーの利害はどうなっているんだということで、非常に議論が盛んではありますが、しかし、まだ議論が尽きないというか、恐らく結論めいたものは見えていないんだと思います。 現実に、先日のニッポン放送による新株予約権発行の問題では、最終的には司法が判断をいたしました。つまり、ニッポン放送にとっては、あれは合法で認められるべきものだというふうに思っていたのに、自分たちの思いは悲しくも裏切られた。つまり、事前予見性がなかったということですね。ああいうことに対して最終的に司法で判断せざるを得ないのはしようがないと思いますけれども、しかし、もう少し事前にこういうことに対する考え方が世間に知れ渡っていたら、恐らくあのような混乱は起こらなかったのではないかと思っています。 そういう意味で、現在の制度がどうなっているのか、あるいは今度改正される、今度つくられる会社法で、この会社の買収にかかわる問題がどうなるのかということを、きちっと政府見解、立法者の意思をここに述べて議事録をつくっておくことは、今後あのようなトラブルを避ける意味で重要な意味があると思っています。ですから、質問については、何でこんな当たり前のことを聞いているんだと思われるかもしれませんが、この永田町や霞が関の住人にとっては当たり前のことであっても、マーケットのプレーヤーにとっては必ずしもそうじゃない場合がありますので、それを議事録に残して世間に知らしめるのがきょうの仕事でありますので、ぜひ退屈がらずにおつきあいいただきたいと思います。 まず、先ほどの岩國先生の質問に続けて、一つ追加で質問をしていきたいんですが、株を持つことの意義というのは一体何なんでしょうか。人はお金を出して株を買うわけですが、お金を出すことの対価として何を期待して株を買っていると思われますか。金融担当大臣、お願いします。
○伊藤国務大臣 これは、株主になられる方々はさまざまな理由があるんではないかというふうに思います。その中には株を持つことによって配当を期待されるということもあろうかというふうに思いますし、また、株主として当該企業の経営に対して参加をしていきたい、あるいは意思を反映していきたいというお気持ちもあろうかというふうに思いますし、さまざまな理由があるんではないかというふうに思います。
○永田委員 さまざまじゃなくて、そんなあいまいな話じゃなくて、ほかにももっとあるでしょう。思いつくままに全部言ってください。きょうは別に詰め倒すために質問しているんじゃありません。僕は従来そういうスタイルで質問をしてきたので、ちょっとおびえているところがあるかもしれませんけれども、きょうはいつもの三十倍ぐらい優しいです。ですから、わからないことははっきりわからないと言ってください。知恵比べをしているわけでもありませんし、戦っているわけでもありませんから。有益な議事録をつくることがきょうの目的ですから、おびえずに、誠実に答えて、逃げずに答えて、そしてわからないことはわからないとはっきり言ってください。 もう少しほかにも株を持つインセンティブがあると思うんですが、思いつくままにお答えください。
○伊藤国務大臣 おびえているというようなお話がございましたけれども、委員は非常に鋭い質問をされておられますので。 今の点にお答えしますと、さらに追加すれば、キャピタルゲインというものもあるんではないか。配当、キャピタルゲイン、そして経営に対する参加、支配、そうしたことが考えられるのではないかと思います。
○永田委員 大体それでいいと思います。ほかにもあるんですけれども、配当とキャピタルゲインと議決権、この三つに分けていいと思います。 株をわざわざ、この三つのどれか、あるいは全部を手に入れるためにお金を出して株を買ったのに、そのせっかく買った株を期間限定で貸し出すという行為が行われました。一体なぜそのようなことをするんでしょうか。そういうことをするインセンティブというのは何か思い当たりますか。
○伊藤国務大臣 そのインセンティブは、貸すことの対価があるということであります。貸し株は経済取引、金融取引としても認められている。これは先物取引においても同じ考えで、経済取引として認められているわけであります。株を保有しながら貸すことによって対価を求めるということだろうと思います。
○永田委員 そうなんですよ。金銭的対価は十分考えられるんです。その金銭的対価というのは、結局、最終的には貸した株は返ってきちゃうわけですから、そこにはキャピタルゲインは発生しませんよね。買い戻し価格というものを何か事前に決めていればの話ですけれども、キャピタルゲインというのは基本的には限定的。多分ない。そして、配当と議決権を、貸し出すことによって得られる対価、配当の部分は得た配当をそのままもらえばいいわけですから、これは金銭的にはかることが簡単なんですが、議決権の場合には金銭的に評価をすることは難しいとは思いますけれども、しかし、可能ではあるわけですよね。何か理由をつけて、こういう基準で計算したら、議決権は、五年間貸し出したというのはこういうような金銭的な価値になりますということになる。 その五年間貸し出すことに対する金銭的な対価が、両者、貸す側と借りる側の間で合意に至った場合、それは、例えば本当に全知全能の神が五年間貸し出しをした場合にこれが妥当な価格であるというふうに計算した場合とずれが出る場合があります。両者の合意の価格にはずれがある場合が考えられます。 しかし、仮に貸す側に有利に価格がずれていたら、借りた方が損失をこうむっているわけですから、これは株主代表訴訟の対象になります。あるいは、貸す側に不利になっていたら、貸す側に損失が出ているわけですから、これも貸す側の株主代表訴訟の対象になります。貸す側も借りる側も、どっちに有利に振れても、これはまずい問題になるんですね。 どっちにも振れない価格で決定するということはどういうことかというと、この株を貸し出した会社が、今回の場合はニッポン放送を想定しているわけですが、これがマーケットに株を売却して五年後に買い戻したときと全く同じ効果になるはずなんですよ。つまり、マーケットに売却して五年後に買い戻すということをせずに、わざわざ第三者に株を貸したということの意味が全くわからないんですね。どうしてそういうことが起こると考えられますか。どういうインセンティブがあって、何を求めてああいうことをやったんでしょうか。(発言する者あり)
○金田委員長 答えようがないんじゃないかな。もう一回、永田寿康君。
○永田委員 もう一回、簡単に説明しますね。いいですか。 全知全能の神が、株を貸し出したときに、五年間貸した場合、そのことに対する対価を全知全能の神が計算したらこういう金額になりましたという、まず客観価値というものがありますよね。もう一つ、貸す側と借りる側が合意をした価格というのがあるわけですよ。この合意をした価格が仮に神が決めた価格と比べて貸す側に有利になっていたら、借りる側は損失をこうむっているわけですから、借りる側の会社で株主代表訴訟が起こる可能性があるんです。貸す側に不利になっていたら、貸す側の会社は損失をこうむっているわけですから、貸す側の会社が株主代表訴訟の対象になる可能性がある。ということは、どっちにも転ぶことができないんですよ。これは神が決めた価格に極めて近い価格で合意するしかないんですね。 神が決めた価格というのは一体何かといったら、マーケットの世界で一番信じられるのは、マーケットに住んでいる神様、まさに神の見えざる手がそこにいるわけですから、仏でもいいんですけれども、それはつまりマーケットが決める価格。つまり、今株を売って五年後に買い戻すのと同じ効果が発生するはずなんですよ。 なぜそうしたかったのかということが問題なんです。なぜマーケットでニッポン放送が株を今売って五年後に買い戻すということをせずに、わざわざ貸し出すというリスクをはらんだ手法をとったのか、そうしたかったインセンティブは何が考えられますかと聞いているんです。お答えください。
○伊藤国務大臣 ちょっと、私がお答えできるのかどうかあれなんですが、神様も出てきたりしておりますので。 これは、貸し手、それから借り手、それぞれの考え方が合致する中でこうした貸し株、借り株というものが成立をしている、その中に経済合理性があるからだというふうには思いますけれども、こうしたお答えが、委員が聞かれていることのお答えになっているかどうかというのは十分自信がございません。
○永田委員 自信がない答えは自信がないと言っていただければそれで構いませんので。本当にそうなんですよ。僕も正直思い当たらないんですね、どうしてああいうことをするか。ああいうことをする経済的な合理性というのはないはずなんですよ、本当は。全く意味がわからないんですね。 だからして、関係者の意見をこの委員会は聞く必要があると思います、なぜああいうことをやったのか。この場合はニッポン放送の亀渕社長とSBIの北尾代表の二人を呼べばいいのかもしれませんが、やはり関係者という意味では堀江社長と日枝社長も当然かかわってくる話だと思いますので、この四者の参考人招致を求めたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いします。
○金田委員長 永田君の申し出は理事会で協議します。
○永田委員 委員長、ありがとうございます。ぜひ実現したいと思いますので、よろしくお願いします。 次に、きょうの質問の本論に入りますけれども、敵対的買収とそうでない買収という分け方で世の中でよく議論がされるんですが、しかし、果たして敵対的買収と友好的な買収はどう違うのかというのは、実は人によって言うことが違ったりして、明確な定義はありません。 政府当局は、望ましい買収とそうじゃない買収というやわらかい言い方でもいいんですが、どういう違いがあるのか、どういう部分に着目をして判断をしたら望ましいか望ましくないのかが判断できるのか、この二点、お願いします。
○寺田政府参考人 まず、敵対的買収と、そうでない、友好的と申しましょうか買収でございますが、これは商法上あるいは会社法上そのような決まりがあるわけではございません。 基本的に、今言われていることは、会社の現在の経営陣がそれに同意をする買収、株の取得についてこれを友好的と言い、そうでないものについて、つまり、会社の経営陣にとってこれは望ましくないという判断をされるものについて敵対的と言われることが多いわけでございまして、その違いは、どちらかというと証券取引上の問題ではないかと私どもは考えております。 それから、その次におっしゃいました、いい買収と悪い買収となりますと、さらにこれは非常に価値判断のある問題だろうと思います。最終的には長い目で見て、公開会社でございますから、証券市場でどう判断されるか、あるいは社会的にどう判断されるかといういろいろな意味があろうかと思いますけれども、究極的に申し上げますと、通常は会社の価値がどう高まるかということが一つの基準になって考えられているのではないかというふうに私どもは考えております。
○永田委員 きょうは厚生労働省さんと法務省さんと金融庁さんにお越しいただいているので、この三者にも同じようなお話をお伺いしたいんですが。 しかし、今の法務省さんのお答えで僕がちょっと気になったのは、最終的には長い目で見て判断すべきものだというふうにおっしゃいましたが、余り長い目で見ているわけにもいかないんですね。というのは、我々はいつか死んでしまうわけですよ。死んでしまう前に答えが出てもらわないと困るんですね。だから、長い目で見てというのは、実は答えているようでいて経済学的には何の意味もない話なんですよ。経済学的には意味があるかもしれないけれども、我々人間が命に限りある存在である以上、そういう答えをされても何の意味もないんですね。だから、もう少し、これぐらいの期間を見るとか、そういう具体的なお話をしていただきたいと思います。 それはさておいて、金融庁と厚生労働省に対しても、望ましい買収、そうじゃない買収というものを考えるときに、どういう部分に着目をして判断をしたらいいのか。つまり、これは言い方をかえれば、買収という行為が行われるときに利害関係を持っているのはだれかということと極めて近い質問だと考えていただいていいと思います。そういう切り口での答えをいただきたいんですが、お二方、お願いします。
○伊藤国務大臣 金融庁が所管をいたします証取法上においても、今御質問のことに答えられるようなものは法律的に定義をされているわけではございません。 敵対的か敵対的でないかというのも、これは一般的には、買収をされる企業がそれを敵対的か敵対的でないかということが一つの判断基準になる面があるんではないか。また、望ましいか望ましくないかということも、先ほど法務省からもお答えがございましたけれども、企業価値というものが向上されていくのかどうかということが一つの基準になる、こういう御指摘がございますし、また、株主を初めとしたステークホルダー全体としての利益というものが向上していくのかどうか、そうした観点もあるのではないか、こういう議論があることも承知をいたしているところでございます。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。 私ども厚生労働省所管の立場から、いい買収、悪い買収という御質問でございますが、これはどういうふうに考えればいいか。労働者にどういう影響を与えるのか、直接的にはそれに伴って労働条件がどうなるのかということと考えますと、企業買収そのものは会社の支配権にかかわる株主の変化というものでございますが、それに伴いまして経営陣の入れかえ等々が行われることもあるわけでございます。ただ、そのことをもって直ちに、労働条件という観点から申し上げますれば、例えば従前の労働協約の効力がどうなるかとか、労働条件がそれに伴って直ちにどうなるかということから考えますと、直ちに変更がなされるというものではございません。 そういう意味では、労働者という立場から見ますと、特段の影響というものは考えられないのではないかというふうに考えております。
○永田委員 時間が非常に短いので、今ステークホルダーはだれかという質問をしたところ、大変不十分な答えしか返ってこなかったのですが、私から後から申しますと、多分、買収にかかわる利害関係人というのは、もちろん株主が第一に来る、それから従業員も当然ありますね、それから、取引先など、あるいは債権者。そして、株主といっても、大株主と少数株主というのは影響が違いますから。そういったことだと思います。 特に、今回は労働者の立場がどうなるのか、つまりニッポン放送の従業員がどうなるのかということが大変議論になって、それはまた後でちょっとお伺いしたいんですけれども。 今のお話ですと、法務省さんは、敵対的買収について、敵対的買収かそうじゃないかということを考えたときに、現経営陣が同意をした買収なのかどうかということが一つの判断基準になるだろうというふうにおっしゃいました。ところで、自民党は、一部の報道によると、敵対的買収をするときには経営陣の同意をとらなければならないというふうに法制度を変えようとしているというふうに聞きました。同意をとっているのであれば、これは敵対的買収とは呼べないわけですけれども、仮にこういう規制をかけるということは、今お三方はステークホルダーはこういうものだというふうにそれぞれの立場でおっしゃったのですが、それぞれがお考えになっている、担当しているステークホルダーの利害について、いいことなのか悪いことなのか、お答えください。
○寺田政府参考人 御指摘のありました自由民主党で検討されている考え方というのは、私どもが理解している限りでは、アメリカのデラウエア州等が採用している会社の中の規定でございまして、買収者が事前に経営陣の同意をとるかとらないかということを確かめた上で、とらない買収については、その後の企業再編、典型的には合併でございますが、それについて一定の期間制限を設けるというようなことがある、そのことを指しておられると思います。 こういうような法制についてどう考えるかでございますが、これは基本的に買収というものはどういう構造であり得るかという政策的な判断によるものでございますから、日本でももちろんそういうことは考えられなくはないわけでございますけれども、しかし、反面、当然、先ほど申したように現経営陣にとってそれが好ましいか好ましくないかということによる区別を設けるわけでございますから、現経営陣にとって余りに都合がいいということになりますと、逆に現経営陣の保身ということに非常に密接にかかわってくる、そういう副作用と申しますか、そういうものも出てくるわけでございます。総合的に全体の仕組みを見ないと、評価がなかなか難しい問題であるということは言えようと思います。
○永田委員 実は、三人に聞いたので、本当は三人答えがあるんだと思ったのですけれども。 今のお話があったので、要は、金融庁は多分株主とか債権者とかそういうようなステークホルダーを担当していらっしゃると思うので、そのステークホルダーに対して事前に経営陣の同意をとって買収をするというような規制をかけるのはいいことなのか悪いことなのかというお答えを期待しています。
○伊藤国務大臣 今御指摘があったように、敵対的買収に対する防衛策について、会社法の現代化をめぐる検討に際してさまざまな議論があることは承知をいたしております。 ただ、御質問が、証取法を所管する私どもの観点から今のことについてなかなか直接お答えはしにくいというふうに思いますが、一般論としてお聞きをいただきたいというふうに思いますけれども、やはり重要な視点とすれば、株主を初めとしたステークホルダー、このステークホルダーは、先ほど委員が御指摘をされたように、従業員、取引先、あるいは会社が活動している地域社会でありますとか、そういうステークホルダー全体の利益を考えていく、あるいは企業価値というものを向上させていく、そうした視点からの経営が求められているのではないか、そのことが大切な視点の一つではないかというふうに思います。
○高橋政府参考人 労働者も企業にとってはステークホルダーの一員であるという意味では、企業の発展という意味では大変大きな役割を果たしている。という意味では、経営全体の観点からさまざまな形で情報を事前に提供していく中で、円滑な企業運営を図っていくということは大変望ましいことかと思います。 ただ、今御指摘のような敵対的買収にかかわって事前の経営陣の合意を条件とする云々ということは、ある意味では経営事項に属する問題でございまして、それにかかわって労働者の権利としての労働基本権の行使という観点から見ますと、これは直接には経営にかかわる事項にはかかわれないというふうなことかと存じ上げております。
○永田委員 済みません、本当はもう少し違う流れで質問していこうと思ったのですが、今厚生労働省から大変重要な答弁があったので、もう一度確認したいと思います。 つまり、今回の事件では、ニッポン放送の従業員が総会を開いて決意声明というか声明を出しているんですね。それは、自分たちはフジサンケイグループにとどまりたいという声明を出しているんですよ。このことについて、まず、こういう声明を出すことが何らかの拘束力を持ち得るのかどうかという質問が一点。もう一つは、従業員が総意としてフジサンケイグループにとどまりたいということを言ったときに、その感情というかその気持ちが法的に保護するに値するものなのかどうか。この二点、答弁をお願いします。
○高橋政府参考人 ただいまのニッポン放送の従業員の皆さん方の声明ということに関してでございますが、これが例えば労働組合法上どういう拘束力なりあるいは権利なりを持ち得るかと申しますと、全く法的には何らの保護はないというふうに考えております。
○永田委員 法的に保護するに値する価値かどうかということ。
○高橋政府参考人 今申し上げましたように、労働組合法上何らの法的な保護は与えられておりませんので、当然、そういうことになろうかと思います。
○永田委員 わかりました。 今の点は非常に重要な話でありまして、私の思うには、従業員は自分たちの力だけでは敵対的買収から会社を守ることはできないというふうに考えてよいのだと思うんですね。それは、まず従業員の手には防衛策がない。では、ほかにどんな人たちが防衛策を持ち得るのかというと、もちろん株主がありますね。株主というのは、現在の株主もあるし、潜在的にこれから株主になろうとする人も当然防衛策を持ち得ることになります。端的に言えば、ホワイトナイトというのは、現在は株主ではないんだけれども、今後株主になることによって買収から会社を守るという効果を持っているわけですから、潜在的株主も防衛策を持っているというふうに言っていいと思います。 それから、もちろん会社の取引先というのも実は防衛策を持っているのではないかというふうに言われています。このことについてちょっと、せっかく論点の頭出しの機会ですから、やっておきましょう。 欧米なんかでは、ある企業の取引先があった場合、その取引先が発注先と一つの約束を交わすことがあります。それは、発注先の現経営陣が大幅にかわった場合には一切取引はしなくなる、そういうような約束をすることがあります。これは、そういう大口の取引先がなくなってしまうと、会社としてはビジネスがやりにくくなるので、その分だけ買収意欲をそぐことができる、こういう対抗策であります。これは現在の日本では可能なのかどうか、あるいは望ましいことなのかどうか。これはだれが答えるのかわかりませんが、答えてください。
○寺田政府参考人 この段階でそもそも論を申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、そもそも敵対的買収というのは先ほど申し上げたわけでありますけれども、いろいろな形での買収、企業の株式の取得が外部から行われる場合に、それに対してどういう防衛策をとるかというのは、法律上どういうことが防衛策という形で提示されているものではございませんで、まさに委員がおっしゃいました、さまざまな観点からの企業経営陣ないし株主の工夫によって、それを防衛策として自分たちで考えるという問題でございまして、法律の上からどれが防衛策として予定されている、あるいはそういうものとして規定されているというものではございません。 それで、今、御指摘のありました第三者との契約によって相手のインセンティブを奪うかどうかでございますが、それがインセンティブになるかどうかということは、これは客観的な社会情勢ないし経済情勢で決まるわけでございますけれども、そのようなことができないかと言われると、現在の法制上も可能でございます。ただ、それが防衛策として機能するかどうかということは、あくまでその他のいろいろな情勢によると言わざるを得ないわけでございます。
○永田委員 大体そんな答弁でいいんだと思うんですね。大切なことなんですよ、これは。要は、だれが防衛策を講じ得るかということについて、ちゃんとした認識が正直言って浸透していなかったと思うんですね。 ニッポン放送の社員は、自分たちは拒否権があると思ったわけですよ。ところが、それは全く法的には保護しない、保護するに値しない感情であるというふうに厚生労働省から答弁されてしまって、本当にかわいそうな人たちなんですけれども。 それから、取引先も、別に法的にはそういう取り決めをするのは可能だというお話ですから、対抗策がとれるわけですよ。あとは一般的に、最近流行語にもなりつつあるいろいろな対抗策がありました、グリーンメールとかポイズンピルとかゴールデンパラシュートとかティンパラシュート、クラウンジュエル、ホワイトナイト。何か寿限無寿限無みたいで、早口言葉みたいですけれども、いろいろあるわけですよ。こういうことを、一個一個について法的に可能かどうか、あるいは望ましいかどうか、どういうメリット・デメリットが考えられるかということを本当は一個一個議論していきたいんですけれども、きょうは残りの時間でそれをやるとしり切れトンボになっちゃう可能性があるので、そこは時間が余った場合に追加するぐらいにしておいて、そこはざくっと飛ばしたいと思います。 それで、そういうことを踏まえた上で、敵対的買収に対する防衛策を講じることが、先ほど皆さんがお述べになったステークホルダーにとって、果たして望ましいことなのかどうかということをもう少し議論したいと思います。 というのは、一般論で言えば、例えば今の株価よりも高い株価でTOBをかけて買収に乗り出すような会社があった場合、それはTOBをかけている側にしてみれば、自分はもうちょっと会社の経営を上手にやって、お金もうけをして配当をたくさん出してあげる、あるいは株価を上げることができるというふうに宣言しているに等しいわけですから、そういう人が株を買ってくれるのはむしろ望ましいことだという考え方があるわけですよ。 一方で、買収がやすやすと行われてしまうようでは、会社は常に売り出し中という看板を掲げているようなもので、その買収が実際に行われるかどうか、あるいは買収の危険に自分がどれぐらいさらされているのかということを常に心配しながら経営をしていかなきゃいけない。心配をすれば、当然防衛策も考えていかなきゃいけなくなるし、その分だけお金と時間とエネルギーがかかるということで、常に売り出し中という看板を掲げながら経営をするのは社会的に望ましくないんじゃないかという議論もあるにはあるんですよ。だから、本当に防衛策をとることを許すべきかどうかということについても、実は議論は割れているんですね。 今のお三方にとってみれば、防衛策はあった方がいいのかない方がいいのか、あるいは、こういう条件のときにはあった方がいいし、こういう条件のときはない方がいいしというような議論ができるのか、ぜひお三方、それぞれお答えください。
○寺田政府参考人 これは先ほど申したことあるいは冒頭申し上げたことと関連するわけでございますけれども、防衛策というのは基本的に株式を公開している会社について問題になるわけでありますけれども、株式を公開するということは、それだけ多くの方の資金を手に入れるということが会社にとっての非常に大きなメリットでありますが、その反面、だれが株主になるかわからないというリスクがあるわけでございます。そういうトレードオフの関係にあるわけであります。 それで、ここで防衛策をとる、すなわち、先ほどの一般的な考え方によりますと、現経営陣が容認するかどうかについて判断をした上で防衛策を株主の同意のもとにとるかどうかということでございますが、これをとるということになりますと、当然のことながら、外部の方を引きつける度合いがいろいろな形でゆがめられてまいります。それが全体として企業価値を非常に高めるというふうに理解するか、あるいは一部の方の参入を制限するからこれをマイナスととらえるかは、まさに公開の原理が成り立っているところの市場の御判断によるわけであります。 したがいまして、これを法律の、立法者の立場あるいはこれを運用する行政の立場からどういうことをやる方がいいと言うことは無理がございまして、どういうことはやれるものとして用意はいたしますけれども、それを最終的にお使いになるかどうかは、これはまさにそれぞれの会社が経済情勢、社会情勢、さまざまな情勢を御判断の上お決めになることだ、こういうように理解をいたしております。
○伊藤国務大臣 敵対的買収に対する防衛策について、商法上の観点からもさまざまな議論がなされていることは承知をいたしておりますけれども、証取法を所管する金融庁といたしましては、やはり市場の信頼性というものが揺るがないか、そのためには市場の公正性、透明性というものが保たれていくということが極めて重要でありますから、そうした観点から、私どもとすれば、法務省とも十分連携をとりながら、投資家の保護あるいは株主の権利保護、そのための制度構築に努めていかなければいけないのではないかというふうに考えます。
○金田委員長 厚生労働省もいきますか。
○永田委員 いいです。厚生労働省は今回のケースは余り当たらないので。 今、伊藤大臣から、市場の公正性、透明性を確保することがとても大事だというお話がありましたけれども、前回この議論をしたときに、ちょっと議論がかみ合わなかったので、きょうは十分近くやれますから、やりましょう。十分もないかな。やりましょう。 金融庁は、こういう買収劇あるいは買収に対する防衛策について、実は、ステークホルダーではもちろんないんですけれども、特別な関心を持っているはずです。すなわち、市場の信頼が損なわれないかどうかという問題であります。 今回の事件で、新株予約権発行が、あれが実際に議決をされたときに、それが報道されたときに、外国のメディアは口をそろえて、これはクレージーだ、とてもやってられない、こんな不公正な防衛策が認められるようであれば日本の市場は本当に二十世紀に逆戻りするんじゃないか、こういう論調で一色に染まりました。大変賢明な判断を東京高裁が下していただいたおかげで、そのようなマーケットの信頼を損なうことは避けられたわけですけれども、しかし、余りにも乱暴な、不公正な防衛策が認められるようでは、やはり市場の信頼は大きく損なわれることになると思います。それは金融庁としては望ましくないことだというふうに考えるはずだと思います。 今回の、要は防衛策ですね、防衛策を過度に認めれば当然金融市場の信頼を損なうことになるという議論なわけですけれども、金融庁におかれましては、例えばどういうものは過度に信頼を損なう可能性があるとか、どういうところに注目をして過度にマーケットの信頼を損なうことになるかならないかを考えているのか。今の考え方を、理念をお聞かせください。
○伊藤国務大臣 今の問いに明確にお答えすることは非常に難しいと思いますが、一般論として申し上げさせていただきますと、会社法制というものを遵守して、株主を初めとしたステークホルダーの利益に十分目配りしながら、最終的に企業価値というものを高めることを目的として適切な企業防衛策を講じることは、これは経営の創意工夫としてあり得ることではないかというふうに考えられます。 しかしながら、仮にその企業防衛策が既存の株主の権利を害するといった場合には、これは商法の制度においては、過日の議論のときも私は一生懸命説明させていただいたんですけれども、新株予約権の第三者割り当てについては、有利発行規制でありますとか、あるいは著しく不公正な方法による新株発行の差しとめ、こうした商法上の制度があるわけであります。 私どもとしては、今後、この市場の取引は変化していきますし、金融技術というものは進歩していきますから、十分注視をしていかなければいけない。市場の公正性を確保していく、こういう観点から、仮に問題が生じるようなことがあれば、これは適切に対応していかなければいけないというふうに思っておりますし、また、今お尋ねになられている部分はすぐれて商法の部分がありますけれども、私どもとしても、証券取引法というのは投資家保護を目的とした法律でありますし、また、商法というのは一つの目的として株主の権利を保護するという目的があるわけでありますから、両法律というのは極めて緊密な関係にございますので、それを所管する法務省とも十分連携をとりながら、投資家の保護あるいは株主の権利保護、そのための制度の構築に努めていきたいというふうに思います。
○永田委員 非常に一般的な議論をずっとされたので、中身としては非常に薄いのですけれども。要は、経営者が自己保身を図るために防衛策を発動して少数株主の権利を著しく侵害して、少数株主はもうこんな会社はやってられんばいといって株主であることをやめてしまう、つまり、株を売却するようなことにつながるのじゃないかと一時期心配されたわけです、今回の事件で。つまり、少数株主なんかどうでもいい、おれたちが大事なんだというような考え方に立って防衛策をとったんじゃないかと思われる節があるわけですね。それは実際根拠のある話で、新株予約権発行は当然株式の価値の希薄化が起こるので、これはだれが見ても明らかなんですけれども。 例えば今回の貸し株についても、貸し株をした瞬間に、翌日にはニッポン放送の株価は大幅に下がったわけですね。つまり、適正な対価を仮に受け取っていたとしても、要はマーケットから見たらそれは適正な対価ではなかったということを言っているわけですよ。それは当然これから僕は株主代表訴訟の対象になると思うけれども、それは堀江さんがやるかどうかわからないけれども、それは当然あり得る話です。しかし、もう一個つけ加えると、恐らく、株主代表訴訟で現株主が勝利をしたとしても、それは亀渕さん初めとするニッポン放送の取締役会が経済的に賠償責任を負うのみであって、恐らくSBIへの貸し株そのものが無効になることはないと僕は思っています。それは、SBIが善意の第三者という位置づけになるからそういうふうになるんだと僕は思っているんですけれども。 しかし、そういう先の見通しはさておいて、今回のニッポン放送によるフジテレビ株の貸し株、あるいは、実は今回ライブドアは一種の転換社債をたくさん発行して資金を調達して買収をしかけたわけですけれども、転換社債を発行すること自体、実は株式価値の希薄化を招くわけであって、既存の株主の利益を侵害しているんじゃないかという議論すらあるわけですよ。金があるから、あるいは権力の座、つまり経営陣という権力の座に座っているから、少数株主の言うことなんか聞かなくていい、逃げたきゃ幾らでも逃げてくれ、おれたちはおれたちでやるんだ、こういうような態度をとるプレーヤーが今回ちょっと乱暴をやり過ぎたんじゃないかと思っているわけですよ。そういう心配がある。 金融庁は、今回の問題はとりあえず既存株主の利益を侵害していないと考えているのか、それとも、余りやり過ぎるといけないんじゃないのかなと思っているのか、具体的なことは言いにくいかもしれないけれども、ぎりぎりのところで一言コメントをお願いしたいと思います。
○伊藤国務大臣 ぎりぎりのところでというお話でありますけれども、今のお尋ねは個別具体的な取引についての問題でありますから、それについてのコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。それと、今、多くの部分がやはり商法の問題にかかわる部分でございますから、これは、法務省お見えになられていますので、法務省からもお話があるのではないかというふうに思います。 先ほど御指摘がありました貸し株の問題については、貸し株は証取法上規制の対象にはなっていないわけでありますけれども、大量保有報告書の義務でありますとか、あるいは空売りの規制でありますとか、あるいは貸し株を使って相場操縦等があれば、これは法令に基づいて厳正に対処される、そのことによって市場の信頼性を確保するための制度が構築をされているわけであります。いずれにいたしましても、私どもとしては、マーケットの動向というものを注視していかなければいけないと考えております。
○永田委員 いや、それはやはり商法の問題ですからという話じゃないんですよ。多くの株主にマーケットに参加してほしいわけでしょう。金融庁としては、多くの株主から魅力あるマーケットだと思われるような、そういうマーケットであってほしいと思うわけでしょう。だけれども、既存の株主の利益を無視して、自分たちのわがまま放題する人たちが実は野方図に置かれているわけですよ。 それで、貸し株自体は法律上規制されていないと言うかもしれないけれども、本当に望ましくないのかどうか、僕は考えてみた方がいいと思いますよ。それは僕は一概に禁止しろとは言わないけれども、岩國先生は禁止しろとおっしゃいましたけれども、やはり動機の問題、趣旨の問題だと思うのですね。単に経済的利益を求めて、正当な対価を受け取りながら貸し株をするというのは、僕は正当な行為だと思うのですよ。 しかし、今回のケースは、貸し株をした後、株価が下がったわけですよ、ニッポン放送の株価が。これは経済的に見合わない貸し株行為だというふうにマーケットがみなしたということでもあるし、何と言ってもこれは動機が不純なんですよ。経済的に見合わない行為をわざわざしたというふうに思われているのであれば、それはやはりニッポン放送からのフジテレビへの影響力を一時的に退避させるために行った行為ではないかというふうに考えるのが、僕は邪推ではないと思いますね、それは。であるならば、動機が不純だというべきだと思います。ニッポン放送の亀渕社長は、裁判で負けた後に、堀江さんがやったことは合法かもしれないけれどもずるいと思いますとおっしゃったわけですよ。ずるいとおっしゃったけれども、僕は、彼がやったことも、つまり貸し株自体も動機が不純だと思いますね。それはどっちもどっちという話なんですよ。 だから、関係者をここに呼んでじっくり時間をとってお話を聞かなければならない、そういうふうに思っています。ぜひ、これからまだ会社法の議論でじっくり時間がとれると思うので、理事の皆様、委員長には大変御苦労をおかけしますけれども、大事なことなのでお願いをして、一分ほど早いようですけれども、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○金田委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。 偽造キャッシュカード問題に関連してお聞きをしたいと思います。 私も被害者の話を聞きましたけれども、本当にひどい実態でありまして、ある日気がつくと、預金が何百万円も何者かによって何度も引き出されて、残高がゼロになっていた。びっくりして、銀行の窓口に行きまして、どういうことなんだ、何があったのか、こう聞きましても、銀行は、ともかく警察に行ってくれと。警察に行きますと、あなたはお金はとられていない、とられたのはプラスチックのカードで、あるいは電子データだ、お金をとられたのは銀行だから銀行に被害届を出してもらいなさい、こう言われる。そこで、銀行に行きますと、何を言うんだ、うちはATMにカードと暗証番号を入れた人にきちんと払いましたよ、どこがいけないんですかと。これが実態なんです。被害者は一切救われない。これが実際に起きているわけです。そこで、社会問題になり、大問題になってきている。 なぜそうなったのかという点ですが、私は、ATMなどの利便性が優先された結果、セキュリティーの面が二の次になってきたのではなかったのか。さらに、損失について、預金者に負担を押しつけ、金融機関が事実上負担しなくて済むような仕組みがつくられている。例えば、無過失の立証責任を預金者に負わせるということもその点であります。 これらが今回のような事態にしてしまった、そういうことだと私は思っておりますが、伊藤金融担当大臣の認識をまずお聞きしたいと思います。
○伊藤国務大臣 お答えをさせていただきます。 一般論として、金融機関は、その時々の犯罪技術などの実態や利用者のニーズを踏まえながら、金融サービスの提供における適切なセキュリティー対策を講じることが求められていると認識をいたしておりますし、また、偽造キャッシュカード問題についても、その重要性を十分認識し、顧客のニーズなどを総合的に判断した上で、最も適切と考えられるセキュリティー対策というものを積極的に講ずることが求められていると考えているところでございます。ATMシステムの利便性と安全性はある意味ではトレードオフの関係にありますので、両面に留意をしながら、預金者のニーズに応じてどうバランスをとっていくのか、このことが非常に重要なことであります。 金融庁といたしましても、現状においては、セキュリティー対策の強化が必要になっている、そうした認識を有しているところでございまして、このような基本認識に立って、今監督局にスタディグループを設置させていただいて、そして、被害に遭った預金者への補償のあり方を含め、犯罪防止策、犯罪発生後の対応のあり方を検討いただいているところでございます。 同グループにおいては、三月の末に中間報告を取りまとめて、そして四月の下旬には最終報告を取りまとめていただきたいということで、今鋭意作業を進めていただいているところでございますけれども、このスタディグループの検討結果を踏まえて、実効性のあるさらなる対応策というものを着実に実施していきたいというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 セキュリティー対策は当然でありますが、問題は、この被害を受けた善良な預金者が金融機関の責任によって被害をきちんと補てんされるということが大事なことであります。 そこで、国際的な比較をお聞きしたいんですけれども、欧米の場合、七〇年代から八〇年代にかけまして、盗難、偽造キャッシュカードについての対応策というものが整備されております。例えば、預金者によほどの重大な過失がない限り損失を預金者に押しつけないという原則が確立しております。例えば、アメリカには五十ドルルール、ドイツには一〇%ルールというものがあるわけです。預金者の負担に一定の上限を設けて、悪意や重過失がない場合、あとは銀行がすべて負担する、そういうルールがつくられていると思うんですが、そういう点、確認できるでしょうか。
○増井政府参考人 お答え申し上げます。 先生今御指摘のとおり、偽造カードの場合、主要国、イギリス、アメリカあるいはドイツ、フランス等でございますが、ここにおきましては、偽造カードによる被害につきましては、まず預金者に重大な過失または過失がない場合には当該被害を基本的に金融機関が負担するというふうになっていると承知をしております。それから、同じく預金者の過失の立証責任の問題でございますが、これも主要国、今申し上げましたイギリス、アメリカ、ドイツ、フランス等でございますが、そのいずれにおいても金融機関が負うルールになっているというふうに考えています。 ただし、これは、御承知のように、法律の場合と約款等に基づく場合があるということでございます。
○佐々木(憲)委員 アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、EU、カナダ、オーストラリア、これは金融庁も調査されたようですけれども、その資料によっても、立証責任は金融機関が負う、それから、被害についての補償は銀行が行うというのが原則になっているわけであります。 お聞きしますけれども、盗難に遭った場合、カードや通帳が盗まれたり、それから紛失をした場合、その損失補てんというのはどのようになっていますか。
○増井政府参考人 お答え申し上げます。 今先生御指摘の盗難とかあるいは紛失カードによる被害でございますが、これにつきましては、預金者に重大な過失または過失がない場合に預金者に負担を求めないこととしている国もございます、カナダあるいはオーストラリアでございますが。その一方で、預金者に一定の負担を求めるルールとなっている国、例えばイギリスとかフランス、こういったものもあるというふうに承知をしております。
○佐々木(憲)委員 今の答弁で明らかになりましたように、国際的に見まして、日本の制度というものがいかにおくれていたかということだと思います。 なぜそうなったのかという点ですね。これは、やはり金融庁として、今日のような事態に至るまで放置をしてきた責任というのがあるのではないか。その点で、大臣はどのような責任をお感じですか。
○伊藤国務大臣 やはり、取引の実態というものをしっかり注視して、そして、利用者を保護していく観点から適切な対応をとっていかなければいけないというふうに思っております。 偽造キャッシュカードの被害の状況を見ますと、平成十三年度は一件、平成十四年度は三件だったわけでありますが、平成十五年から十六年にかけて被害が急増をしてまいりました。 私どもとしても、そうした被害の急増、最近の急増に対応して、全銀協を初めとして各金融機関に対し、実効性のある犯罪防止策を速やかに検討するよう要請を繰り返してきたところでございます。また、先ほどもお話をさせていただいたように、金融庁として、法律家やあるいはシステムの専門家から成るスタディグループというものを設置して、今検討作業を進めさせていただいているところでございますけれども、こうした検討結果を踏まえて、被害に遭った預金者への補償のあり方についてのさらなる対策を検討し、逐次実行に移していきたいというふうに思います。
○佐々木(憲)委員 今、最近問題になってきたので対応策を考えているかのようなお話がありましたが、経過的に見ますと、これは随分昔から問題になっているんです。欧米では、七〇年代、八〇年代、もう既にその対応策というものがとられているわけであります。日本の場合も、預金者、消費者保護の原則を確立していくチャンスというのは幾らでもあったと私は思っております。 例えば、一九八七年の金融制度調査会で、金融消費者保護についての法整備が議論されておりました。調査会の中にエレクトロバンキング専門委員会をつくり、八八年には具体的な立法化の検討に入ったというふうに聞いております。 そこで聞きますが、当時の大蔵省はどのような意図でこの立法化を検討されていたのか、報告をしていただきたい。
○増井政府参考人 お答え申し上げます。 今先生御指摘の委員会でございますが、昭和六十二年、一九八七年、旧大蔵省時代でございますが、金融制度調査会にエレクトロバンキング専門委員会というのが設置されました。そのときには、金融機械化をめぐる諸問題について幅広く検討を行うということで発足をいたしまして、それで、六十三年の六月には、電子資金取引に関する法制につきまして、かなり幅広くいろいろな報告をしてございます。 例えば、手形、小切手から電子資金取引へという資金取引方法の変化、あるいは電子資金取引の性質上、全体を一つの決済機構としてとらえる必要性、諸外国のルールづくりへの取り組みについての対応の必要性等を踏まえまして、我が国においても積極的に検討を行う必要があるというようなことが指摘された、そういった経緯がございます。
○佐々木(憲)委員 消費者保護の問題も当然そのとき議論になっていたわけであります。その動きが、立法化を検討されていたけれども、実際には消費者保護については立法化されなかったということは事実ですね。一体、それはだれが反対してそうなったんですか。
○増井政府参考人 お答え申し上げます。 先ほど申し上げましたエレクトロバンキング専門委員会の中間報告が出された以降でございますが、電子資金取引に関する法制整備につきましてさらに専門的な観点から検討を行うために、その委員会のもとに法制懇談会というものが設置されまして、相当何回も議論を行いました。平成六年十月に報告書が取りまとめられたわけでございます。 この法制懇談会では、電子資金取引に関する法制整備について、その対象とすべき範囲、あるいは当事者間の権利義務関係、無権限取引等のさまざまな観点から検討が行われまして、その報告の中で、法的安定性の確保の観点等から早期の立法化が望ましいとする意見がある一方で、現行法により解決し得ないほどの問題はまだ生じておらず、約款の整備で対応可能であり、立法化は時期尚早とする意見などもありまして、結局、報告書においては両論併記という形になったと承知をしております。
○佐々木(憲)委員 いや、だから、だれが法制化に反対をしたのかというのを聞いたわけです。 ここに、先ほどもお話が若干出ていましたけれども、岩原紳作教授の書いた「電子決済と法」という本があります。この中でその経緯について書かれておりまして、「大蔵省では、昭和六十二年に金融制度調査会において電子資金移動に関する法律問題を取り上げ、翌年からその法制整備の検討に入ったが、銀行界の立法への反対に会ったため、平成七年に僅かな約款整備を行っただけで、事実上法制整備の検討を終えている。」つまり、銀行界の反対に遭ったんだと。この点は、先ほど中塚議員も指摘をされました柳田邦男さんの「キャッシュカードがあぶない」という本の中にも紹介されていて、この中には、猛烈な反対があったというふうに言われているわけです。実際そういう経過だったんですね。そうかそうでないかとはっきり答えてください。
○増井政府参考人 お答え申し上げます。 先生今御指摘の点、私どもその当時の状況を必ずしも詳細には承知しておりませんが、その当時、もちろん銀行界の方々あるいは専門家の方々が入っていただいて御議論をしていただいた結果だと思っております。その結果、いずれにしても、銀行としては、その当時、この議論の過程で、平成六年四月に全銀協がカード規定の試案を改正したというふうに承知しております。
○佐々木(憲)委員 結局、銀行業界が、こういう法的な整備をされたんじゃたまらぬ、自分たちで勝手にやらせていただきますと言わんばかりのことがあったわけです。 したがって、法的な整備というのが非常に今大事なんです。今、盗難、偽造カード等についての法整備を至急行わなければならないというふうに思います。銀行の約款での対応では、これは個々ばらばらの対応になりますし、また、銀行の裁量に任すということになってしまう。そうではなくて、やはり先ほども紹介ありましたように、無権限取引の規制ということが極めて重要でありまして、この点に踏み出すべきだという点を言っておきたいと思います。 さらに、横断的、包括的な金融消費者保護のための法整備というものが求められております。今、投資家保護の法整備が検討されているということを聞いていますけれども、預金者など金融消費者を保護するための法整備というのはやはり必要だと思うんです。 時間がありませんのでこれ以上は申しませんけれども、これに関連をして、私も参考人の招致をぜひお願いしたいというふうに思います。 お一人は全銀協の会長であります西川さん、それから金融庁の偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ座長で東大大学院の岩原紳作教授、それから預貯金過誤払被害対策弁護団の野間啓弁護士、それから「キャッシュカードがあぶない」の著者の柳田邦男氏、この四名、委員長、ぜひ理事会で検討して、実現をしていただきたい。最後にこの点を申し上げたいと思います。
○金田委員長 佐々木憲昭君の申し出については、理事会にて協議させていただきます。
○佐々木(憲)委員 以上で終わります。
○金田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十三分散会