法務委員会 第11号
- 発言数
- 140 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2004/12/01
会議録
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、仁比聡平君及び秋元司君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君及び山東昭子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 裁判所法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣官房内閣審議官山崎潮君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君及び文部科学大臣官房審議官徳永保君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。南野法務大臣。
○国務大臣(南野知惠子君) 裁判所法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 新たな法曹養成制度の整備は、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる多数の優れた法曹の養成を図ることを目的とするものであり、司法修習生の修習についても、司法修習生の増加に実効的に対応することができる制度とすることが求められております。この法律案は、このような状況にかんがみ、新たな法曹養成制度の整備の一環として、司法修習生に対し給与を支給する制度に代えて、司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金を国が貸与する制度を導入することを目的とするものであります。 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一に、司法修習生に対し給与を支給する制度を廃止し、これに代えて、最高裁判所が、司法修習生に対し、その申請により、無利息で、司法修習生がその修習に専念することを確保するための修習資金を貸与するものとしております。 第二に、修習資金の額及び返還の期限は、最高裁判所の定めるところによるものとしております。 第三に、修習資金の貸与を受けた者につき、災害、傷病その他やむを得ない理由により修習資金を返還することが困難となった場合における返還の期限の猶予、及び死亡又は精神若しくは身体の障害により修習資金を返還することができなくなった場合における返還の免除について、所要の規定を設けております。 第四に、以上のほか、修習資金の貸与及び返還に関し必要な事項は、最高裁判所が定めるものとしております。 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上がこの法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(渡辺孝男君) 次に、衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員田村憲久君から説明を聴取いたします。衆議院議員田村憲久君。
○衆議院議員(田村憲久君) ただいま議題となりました法律案に対する衆議院における修正部分について、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。 修正部分の趣旨は、本法律案の目的が従来の司法修習生への給費制を貸与制に移行しようとするものであることから、十分な周知期間が必要であるのに、施行期日が平成十八年十一月一日では周知期間が短過ぎるので延長すべきであるという点にあります。 本法律案では、施行期日は平成十八年十一月一日としておりますが、法科大学院がスタートしたのは本年四月であり、第一期の法科大学院生が入学した時点ではまだ貸与制への移行やその時期が決まっていなかったので、第一期の法科大学院生に対して貸与制への移行の理解を得るには周知期間が短過ぎると考えます。 そこで、十分な周知期間を確保するとともに、第一期の法科大学院生に対し給費制の下での修習を受ける機会を確保するとの観点から、施行期日を遅らせることとし、平成二十二年ころには司法試験の合格者数の年間三千人達成を目指すとされていることにもかんがみ、施行期日を平成二十二年十一月一日に改めたものであります。 以上が本法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(渡辺孝男君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○鶴保庸介君 自民党の鶴保庸介でございます。 南野大臣始め多くの方々の御努力を得て、今日こうして裁判所法の質疑、そしてまた採決をさせていただく機会、一生懸命また質問させていただきますので、テンポよくお答えをいただきたいと思います。できるだけ時間を短くさせていただきたいと思います。 まず、法案に入る前に質問をさせていただきたいことが一つございまして、新しい法曹養成制度についてであります。 この法案を質問を作成する段階でいろいろと考えておりますと、どうしてもこの制度そのもののありようについて考えなければいけないということを思い至りました。 司法試験、新しい司法試験制度、一体どのような司法試験制度になるのか、また、法科大学院の学生を始め、社会的な関心も高いところでございます。新司法試験の実施は平成十八年、再来年ですね、からだということでありますけれども、具体的な試験問題の例題を公表するとか、法科大学院の学生を対象に事前に模擬試験を実施するなどして、新司法試験について十分に周知する必要があると考えますが、法務省としてはいかに考えていらっしゃるか、お答えを願いたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 今お尋ねの中でありましたとおり、新しい司法試験は法科大学院という新しい法曹養成の中核を成す機関での教育及び司法修習との連携の下に行われるという理念が示されているところであります。したがいまして、その内容も、当然のことながら法科大学院の教育内容を踏まえたものとするというところで作成をすることが期待されているわけであります。 現に、これまでの司法試験に比べまして、相当新しい試験になるということが予想されておりますので、私どもも、それについてどのような試験内容になるかということを実際に試験が行われる前にある程度情報提供をしていかなきゃならないという考えでおりまして、また、法科大学院の方からも、関係者の方々、教える立場の方々あるいは学生でおられる方々からもそのような要望が寄せられております。 そこで、司法試験委員会におきましては、まず第一に、その具体的な出題の内容につきまして、この法科大学院の教育内容を踏まえた検討を行った結果、今年の十一月十二日に基本科目であります公法系、民事系、刑事系科目、それぞれのサンプルとなります問題を公表するという措置をいたしました。現に、法務省のホームページ等でもこのことが示されております。選択科目のサンプル問題につきましても、十二月をめどに続けて公表するという予定でございます。また、来年の夏ごろに具体的にどういった試験を行うかについて、言わば模擬試験という形で新司法試験のプレテストを行うということを現在検討をいたしております。 何分にも新しい制度でございますので、できるだけ関係者の方々に周知していただくということが大事でございますので、これからもいろいろな準備を心掛けていきたいというふうに考えております。
○鶴保庸介君 お答えのとおり、受験生には不公平や混乱のないようにゆめゆめ御努力をいただきたいと思います。 その司法試験を受かられた後、司法修習制度ということになるわけでありますけれども、司法修習を受けることになるわけでありますが、もう一つその前に、この修習制度というものをいろいろと見ておりますと、やはりその前段階、司法試験の前段階にあります新しく導入されるであろうロースクールの制度と一体として考えるべきではないかというふうに私は愚考しております。ロースクールのありようを一体として司法修習とどういう関係で構築していくか、この議論を避けて司法修習制度のありようは議論できないと思います。 その意味では、現在のロースクールを見て、これを成功しているかそうでないかという話、そういう率直な質問をさせていただくのはどうかと思いますけれども、この現在進められておりますロースクール制度、まだ始まったばかりでありますから、反省点もあればそれも含め、こういうふうにしたい、こんなふうな意図にはまだまだこういう努力が必要であるという辺りをお聞かせいただければと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほどもお話し申し上げたとおり、司法試験もそうでありますけれども、司法修習というものもいずれも法科大学院の教育というものを前提としてそれとの有機的連携の下に成り立つというのが今度の理念でございますので、当然のことながら私どもも現に法科大学院がどのように行われるかということは大変な関心を持って見ているわけでございます。 今お話のありましたとおり、今年の四月に開校したばかりでございますが、現在では全国六十八の法科大学院に合計五千七百六十七名の学生が入学したということを承知しております。いろいろな機会に様々なレベルの方から現に法科大学院でどのような教育が行われているかについてお伺いする機会があります。大変に熱心に教育が行われて、これまでとはかなり様変わりした教室での風景が見られるという意見が多いわけでございますが、私どもとして具体的にこれを評価するについては、第一に基本的な省庁としての責任が私どもにはございません。また、これについていろいろ論評するには、委員自身も先ほどお話しになりましたとおり、ややまだ時期が早いんではないかなというふうにも思います。これから、いわゆる第三者評価、認証評価機関による評価というものも加えられていく、そこで次第にそういうものを背景にまたこれの評価というものが固まり、かつ反省点も出てきて、それについて改めるべきは改め、ということで更に教育が改善されるということが期待されているわけであります。 そういう段階でございますので、私どもも国会でも御承認いただきました法科大学院への検事等の派遣の仕組みに基づきまして、現在検察官を現場から派遣するということをいたしておりますけれども、更にこれを充実させるためにできるだけそういった仕組み等も利用いたしまして、法科大学院の教育のレベルアップというものに貢献してまいりたいと、このように考えているわけでございます。
○鶴保庸介君 大変御努力をいただいている趣旨はよく分かります。ただ、お話をお伺いしておりますと、ちょっと印象としてロースクールを所管する、学校ですから文部科学省に当たられるんだと思いますが、御遠慮されておられるかなという印象を受けました。法務省として一体どういう理念を持って当たっていくかという辺りを是非とも明確に打ち出した上で、文部科学省等とも密接な連携を取っていただきたいというふうに思います。 通告しておりませんが、一つだけその点で私が気になっておりますことを質問させていただきたいと思うんですが、一番懸念しておりますのは、何といってもロースクールと、じゃ今までのような制度とどう違うのか。特に、受験生にとりまして、司法試験の予備校に行きまして司法試験に受かってしまう、ろくろく、あまねくの広い知識を持ちながら、いわゆるリーガルマインドを育てることのないまま司法試験に技術屋さんとして受かってしまう、それを是正するのがロースクールだという最初の眼目があったはずでありまして、その司法試験予備校とロースクール、ロースクールが司法試験予備校化しないための政策といいますか、そんなものがあればちょっとお伺いをしておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) これは先ほども評価のところでも申し上げましたとおり、私どもだけでいろいろ考えるべきというよりは、教育関係の責任を持っておられる文科省と連携をして十分にいろいろお話合いをして今後進めていくべき事柄だと思いますが、少なくとも現在まで拝見しているところでは、当初私どもがこの連携法を作りました際にいろいろ御議論を国会でいただいた理念というものはかなり生かされているんじゃないかなというふうに思います。 法科大学院の授業そのものも相当考えさせる授業、今までの予備校と少し趣を異にする、知識というものの比重というものを少し下げて、やはり将来実務家として未知の問題にぶち当たったときにどう対処していくかということを念頭に置いた授業というのが行われているように伺っております。そのことは、先ほども申しました実務家教員というものがそれぞれの学校に派遣されているということとも決して無関係ではないと思いますし、またこれまでの学者先生も一方的な講義のやり方よりはこの連携法の理念に示されたところに従っていただいて、いろいろな形で授業の工夫をされているというところが大きいんだろうというふうに理解をいたしております。 今後とも、このような教育機関と私どもとの連携ということは非常に重要でございますので、それは一方では、例えば先ほど申し上げましたようにどういう司法試験を現に出すかということも大きなポイントでございますので、試験の内容を考えるに当たっても考えますが、同時に委員の御指摘になられた総合的な、例えば現場にどういう教員を派遣するかということを含めて様々な面で努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○鶴保庸介君 分かりました。技術的にもいろんな工夫があると思いますので、御努力をいただきたいと思います。 さて、その新しい司法修習、新しいと言っていいのかどうか分かりませんが、司法修習制度でございますが、この修習期間を一年に短縮して行うということでございます。新しい司法修習の理念や基本的な考え方をお聞きをしたいわけでありますが、そもそも私の問題意識としては、先ほどのロースクールの話にもありましたとおり、ロースクールの学生さん、ロースクールに入られる学生さんにはあまねくリーガルマインドを養成するための教育、未知なるものにぶち当たったときに、先ほどのお言葉をおかりすれば、未知なるものにぶち当たったときにどうするかを考えさせることのできる能力を養成するため。とするならば、そのロースクールを経て司法修習制度に入った受験生には一体どういうものを期待をするかということがやっぱり問題になってくるわけでありまして、その辺りをちょっとお聞かせをいただければと思います。
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) ただいまもお話に出ておりますが、新しい法曹養成制度、これは法科大学院の教育、司法試験、それから司法修習、この三つの有機的連携の下に行われるということになっておりまして、その中核に位置付けられております法科大学院におきましては、法律実務家としての基礎的な素養を涵養するために実務を視野に入れた法理論教育が行われることとされたわけでございます。そうしたことから、委員おっしゃられたとおり、期間が一年ということになっているわけでございます。 ところで、この一年の司法修習、新しい司法修習につきましては、最高裁判所の方で司法修習委員会という委員会を立ち上げました。法曹三者のほか、法科大学院教授を含めました有識者にも御参加いただいておりまして、そこで基本方針について検討をお願いいたしたところでございますが、本年七月に議論の取りまとめが行われまして、御提出いただいたというところでございます。そこで、その取りまとめでどういうことが言われているかということを御紹介したいんですが、まず、法科大学院における教育及び法曹資格取得後の継続教育との有機的な連携と役割分担を図ることが不可欠であるということが一つございます。 それから、先ほど委員が御指摘になられた点に関係すると思うんですが、幅広い法曹の活動に共通して必要とされる法的問題解決のための基本的な実務的知識・技法、それとともに法曹としての思考方法、倫理観、心構え、見識等、こういったものを養成すると。これを標語的にまとめると、法曹としての基本的なスキルとマインドと、こういう表現も出てまいりますが、そういったものの養成に焦点を絞った教育を行うということが提言されているわけでございます。 さらに、新しい司法修習の課程ということで申し上げますと、現在でも行っておるわけですが、実務家の個別的指導に基づきまして法律実務を実体験するという、そういう実務修習を中核とする、そうしつつ、一方で体系的、汎用的な実務教育としての司法研修所における集合修習を有機的に連携させるといったこと、それから、法科大学院におきまして既に実務を意識した教育が行われているということを前提といたしまして、修習は実務修習から開始いたしまして、その後に集合修習を実施するのが適当であるといったこと。 さらに、実務修習の中身といたしましては、分野別実務修習というのがございまして、これは民事裁判、刑事裁判、検察、弁護という、こういう分野別に実務修習を行うことを基本としつつ、しかも、多様化する社会ニーズに対応できる法曹を養成するといった観点から、司法修習生の自主性を生かした多様な実務修習、実務経験の修得を図る選択型実務修習、こういったものを組み合わせて行うべきであると、こういう提言がなされているわけでございます。 最高裁判所といたしましては、司法修習委員会の、ただいま御紹介いたしましたこういった提言を受けまして、新しい修習の実施に向けて、具体的内容について検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○鶴保庸介君 丁寧な御答弁、ありがとうございました。 大体総じて、今のお話をお伺いして総括といいますか要約すると、よりロースクールのときよりも実務にシフトした修習を行うんだということだろうというふうに思いますが、世界的に見ても、ロースクールがあって、そしてまた司法試験に受かられた後、また司法修習があるという制度というのは世界的に見ても珍しい制度だというふうに仄聞をいたしております。 司法修習が、先ほど言われますとおり、実務型の修習、実務型を重視をされるということでありますならば、いわゆる、もうどんどんどんどん専門化する司法の実態に照らしまして、それぞれの修習生の望む進路、あるいは望むカリキュラムに即した、望む進路やそれから望む志向ですね、に即したカリキュラムを組んであげるべきではないか。 よく、これはもう私の、私事で大変恐縮なんですけれども、同級生などで弁護士になられた方がおりまして、よく言うのは、修習をしてきた、修習を出てきたばかりの弁護士、いそ弁と言うんですかね、という人たちは実務的にはもう使い物にならないと、言葉は悪いですけれども、といって悪口を言うような状況もあるように聞いております。 もっともっと実務にシフトをするべきではないかということを考えますが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 先ほど御紹介いたしました司法修習委員会の取りまとめで、法曹としての基本的なスキルとマインドを養成すべきだという、こういう基本的な考え方が示されておりますのは、一つは、修習期間が一年に短くなったところで、充実した修習を行うためにこういった工夫が必要であるということであろうと思っておりますが、同時に、これも先ほど御紹介いたしました、多様な実務経験の修得を図る選択型実務修習を組み合わせてはどうかという、こういう提言でございます。これは、修習生各自がそれぞれの実情に応じまして主体的にメニューを選択、設計していくという、そういう考え方でございまして、その結果として分野別実務修習の成果の深化と補完を図るという、そういうことを目的としているわけでございます。 こういう修習を実施することで、修習生の進路希望の反映といった点も含めまして、その自主性を生かした形での修習カリキュラムが実施されるのではないかと考えているところでございます。
○鶴保庸介君 そういった修習生といいますか、司法、弁護士だけではありませんが、法曹の卵となられる方々の質の確保のためにロースクール制度と一体になって制度設計をしていかれてほしいというふうにお願いをしておきたいと思います。 先ほど、ちょっと話が長くなりますが、先ほど専門化すると申しましたのも、私の問題意識の中に、専門化し過ぎて、弁護士にはなったけれども一回も裁判所に行ったこともないという弁護士も結構いらっしゃるんですね。渉外の事務所などでずっと働いておられる方々などは多分そうだろうと思います。 これは、いい悪いは別にしまして、そういった修習生、そういった弁護士と同じようにその司法修習で同じ机を並べて勉強させなきゃいけないのかという辺りは恐らく議論をしなければいけないんだろうと私は思います。そういったこともまた、いろんな面、いろんな場面で工夫をいただきたいと思います。 それでは、法案について質問をさせていただきます。 今回の裁判所法改正案は、司法修習生の給費制を貸与制に切り替えるものでありますが、この給費制は戦後の司法修習制度の創設と同時に採用されたものということでございます。まず冒頭、この給費制、ごめんなさい、貸与制、給費制が採用された理由ですね、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) まず、御質問にお答えをする前に、若干御礼のあいさつをさせていただきたいと思います。 昨日をもちまして、司法制度改革推進本部、三年間の期限を終えました。役割を終えたわけでございます。やや手前みそではございますけれども、歴史的な役割を終えたというふうに理解をしております。これも、この法務委員会の皆様方、また関係の各位の温かい御支援と御指導のたまものと感謝を申し上げております。一定の成果は上げられただろうというふうに思っております。 この三年間、始まる前は、極めて長くなる地獄の三年だろうというふうに私は思って入りました。地獄は確かでございましたけれども、終わってみれば、三年というのはあっという間だったという気がいたします。その間、本当に有意義な三年でございましたし、また、魅力にあふれた三年でもございました。それから、更に言えば、本当にスリルのあった三年間だというふうに思っております。人生の本当に貴重な経験として、これから、こういう経験を他の分野にも生かしていきたいというふうに考えております。 なお、改革は終わったわけではございません。これからなおその中身を詰めていかなければならないということになるわけでございますので、引き続き、委員の皆様方には温かい御支援、御指導をお願いをしたいというふうに思います。私の後に優秀な後輩がおりますのでしっかり頑張ると思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。どうもありがとうございました。 それでは、ただいまの御質問についてお答え申し上げます。 法曹として活動するのに必要な一定水準の能力等を修得するために、国は国費をもって修習というものをやっているわけでございます。したがいまして、修習生はやはり修習に専念する義務、これを負いまして、それから兼職とか兼業、これが原則として禁止されているわけでございます。 給費制は、その法曹の職務の重要性にかんがみまして、司法修習生が生活の基盤を確保して修習に専念することができるようにして、その修習の実効性を確保するための一つの方策として採用されたものと理解をしております。
○鶴保庸介君 それでは、その給費制を今回、貸与制に切り替える理由は何でしょうか、手短にお願いいたします。
○政府参考人(山崎潮君) これは、新しい法曹養成制度といたしまして三千人体制を作り上げていくということでございます。 質を落とさないで量を増やしていく、そのためにどうするかということで、新しい司法、法曹養成制度として法科大学院、それから新司法試験、新修習、こういうプロセスで教育をしていこうと、こういう計画をしたわけでございます。 順次これができているわけでございますが、法科大学院、これ一つ取っても大変費用が掛かるわけでございます。現実に相当の予算措置をしていただいております。それ以外にも裁判員制度あるいは司法ネット、こういうものについてもそれ相応の費用が掛かっていくと。これを、すべて国民の負担になるわけでございまして、税金でお願いをするわけでございます。 したがいまして、その国民の理解を得なければならないと、そういう観点からやはり合理化できるものは合理化して必要なものはお願いをすると、こういうことを考えざるを得ないということでございまして、そういう観点からこの司法修習生の給費というのは、戦後に導入されましたけれども、現在の時代においてなおこれが維持できるかどうかという点については、国民の方々の反応はかなり厳しいという状況でございまして、やむなくこの制度は断念をせざるを得ないと、こういうことになったわけでございます。
○鶴保庸介君 給費制を貸与制に切り替える最大の議論の一つに、司法試験というのは老若男女を問わず、また貧富の差を問わず、あまねく同じ資格で受けられ、そしてその法曹となるべき人たちが志一つでできるということがあったと思います。それを貸与制にすることによって、また、貸与ということですから、いずれはお返しをしていかなければならない、経済的負担をしていただかなきゃいかぬということになるにはちょっと問題があるんではないかという議論はあるように思います。 そこで、聞いておりますと、弁護士にあるいは法曹関係者になった以上、借りたものはほぼ間違いなく返せるんだということがこの法案の前提にあるように思いますが、一方で、先ほど言われましたとおり、弁護士の数を増やし、それからその増やすことによる一人当たりの弁護士報酬ですね、等々がやはり減ってくる。また、弁護士報酬もどんどんどんどん自由化をしていかなきゃいかぬと、報酬規程の撤廃などを進めておるやに聞いておりますので、この二律背反する状況をどう説明されるか、お伺いをいたしたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) 確かにこれから法曹人口増えていくわけでございますけれども、これは、今ある状態で増えていくということを考えればそのとおりでございますけれども、社会にはまだまだ法的な需要がかなりあるはずでございます。こういうものをもっともっと掘り起こしていく必要がある。それから、法律家が大量に生まれても、必ずしもその弁護士、裁判官ではなくて、会社の関係でやってみたり、あるいは公務員でやってみたりと様々なところで活躍をしてほしいということでございますので、そういう流れからいって、大量に人が増えるからといって非常に職業的に厳しくなるという状況ではないだろうというふうに考えております。 それから、報酬の件は、確かに昨年の通常国会で弁護士法の改正によりまして会則でその報酬を定めてはならないということになりました。しかしながら、そのことによって、じゃ大幅にその報酬体系が動いているかというと、そうではないという実態でございます。そういう点からと、それから返済については、かなり猶予期間あるいはその返済の年限、こういうことで配慮をしておりますので、無理なく返していただけるんではないかというふうに考えております。
○鶴保庸介君 無理なく返すということですが、逆に、司法修習生の給費制度については、他の資格制度と比較しても法曹になる者を優遇しているという批判も実はあるわけであります。他の資格制度では養成段階にある者に国が給与を支給している例はあるんでしょうか。 そしてまた、あわせて、この貸与制、今回の貸与制では修習資金の貸与を受けるための資格、資力要件ですね、は課されておりませんで、司法修習生は貸与を申請すれば貸与を受けられるという制度になっております。無利息で貸与をするということでありますが、司法修習生をこれでは優遇し過ぎているんではないかということについてどうお答えをされるか。 特に、この専念をされるその修習の時代、修習の時期は、司法修習に専念をしていただくということがその裏腹、権利と義務のその義務の部分にあるわけでありますから、その専念義務というのが大きな問題になってくると思います。衆議院の方の議論などを聞いておりますと、ただ注意をする、余り専念義務に違反することがあれば注意を受けるだけ、注意をするとかいうことを答弁されておられるようでありますが、果たして注意するだけでありましょうか。 また、途中、弁護士会などから、弁護士になった後ですね、退会をされた、されたというか、させられたような場合、どうやってこの優遇した措置を、優遇してその貸与を受けたその貸与分を、まあ取り返すと言ったら言葉は悪いですけれども、求償していくのか。この辺りについても、技術的なことではありますが、考えなければいけない問題だろうと思います。 時間がありませんので一遍になりましたけれども、併せてお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) 他の制度で、無利息で貸与してその資格要件を設けていないというものに関しましては、矯正医官修学資金貸与制度と、それから自衛隊法によります学資金貸与制度、それから公衆衛生修学資金貸与制度という三つの例がございまして、これはいずれも無利息で、その要件、貸与要件ですね、これを課していないということでございます。 今度、私どものこの今、制度でございますけれども、これについて資格要件を設けず無利息でということでございますけれども、特に資格要件を設けないということは、資格要件を設けますと、そこで、その資力のあるなしで、その認定が入るわけでございますと、そうなりますと、本当に安心して修習をしていただけるかどうかという点で、やっぱり腰が据わらない修習になるおそれがあると。やはり腰を据えてきちっとした修習をしていただきたいというそういう理念から、その貸与の要件、これについては設けないということにしたわけでございます。それから、将来的にはみんな公的な業務を担っていただくわけでございます。そういう関係で、ここで一生懸命磨いてほしいという思いを込めまして利息も付さないということで考えているわけでございます。 それから、返還できなかった場合どうするかということでございますけれども、これについては最終的に、いろいろ催告等をいたしましてどうしても払ってくれないということになれば、国の方にお願いをいたしまして訴訟を起こすということになろうかと思います。それによって、強制執行しても取れないという場合も、それはあり得る話でございます。これはどういう場合にも生じてくる問題でございますので、そこのところはやむを得ないものというふうに理解をしております。 これ以外にも、途中で病気をされたり亡くなられたりという方々に対しても返還の免除をしたり猶予をしたりと、こういうことの問題も生じてくるわけでございます。
○鶴保庸介君 先の先まで考えていただきたいと思いますし、これからいろんなことが出てきた段階で、その都度その都度見直しなりなんなりも含め考えていただきたいと思います。 それでは、今回の貸与制移行について、先ほど来からお話をしておりますとおり、優遇しているんじゃないかとか、批判しているんじゃないかとか、いろいろと、優遇されているんじゃないかとかあるいは弁護士にきついんじゃないかとか様々な、両方のサイドからの批判はあるわけでありますけれども、貸与制に移行すると、これが給費制によって担保されていたのが貸与制に移行されますと弁護士が金もうけ主義になるというような声もちらほら散見されます。 そもそも弁護士は、法曹、弁護士も含め法曹は社会や国民のために職務を行う者であり、給費をもらわなければ公益性を確保できないというのは余りにも志が低いじゃないかということを考えるわけでありますが、弁護士の公益性は給費制によって担保されるものではないと考えますが、もう当然そうだろうと思いますけれども、その辺の辺りについて決意を込めてお伺いをいたしたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに御指摘のとおり、その弁護士の公益性、これは職務から出てくるものでございまして、給費から出てくるものではございません。したがいまして、どういう状態であってもやはり弁護士さんのその公的な業務についてはきちっと果たしていただいて、国のためあるいは社会のために活動をしていただきたいというふうに思っております。 今回の点について、貸与制にいたしますけれども、据置期間を置いて、十年年賦でございますので、年間三十万円程度ということになるわけでございます。月二万五千円という単位でございます。したがいまして、これが弁護士の活動に大きな足かせになるということにはならないだろうと我々は理解をしております。
○鶴保庸介君 頑張っていただきたいと思います。 それでは、最後に大臣にお伺いをいたします。 新しい法曹養成制度、これまでもこの委員会でその制度そのものについての議論たくさんあったわけであります。いよいよ本年四月に法科大学院がスタートして、新司法試験あるいは新司法修習の具体的スタートが始まったわけでありますが、その具体的内容の検討はこれからでありまして、国民のニーズにこたえることのできる質、量ともに豊かな法曹を得るという法曹養成制度改革の理念が現実のものになるよう、引き続き関係機関が積極的に取り組む必要があると思います。 先ほど来お話をさせていただいておりますとおり、司法修習制度を考える上で、ロースクールも考えなきゃいかぬ、また、司法修習制度の実態を見るといろいろな私は問題がまだまだあるように思います。そして、そのことを、問題を考えるだけではなくて、また役所の中で議論をするだけではなくて、あまねく多くの方々、それは弁護士、法曹に現に携わっている方々のみならず、多くの一般国民の方々との理解を深める機会を持たなければならないと、そういう今大臣は大切な立場にあるわけでありますが、この法曹養成に関する今後の取組に向けた法務大臣の決意をお聞きをして、最後の質問とさせていただきます。
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。 先生おっしゃっておられますように、質、量ともに豊かな法曹を養成することは、今回の司法制度改革の中でも極めて重要なことと考えております。法科大学院におけます教育、司法試験、司法修習を連携させたプロセスとしての新たな法曹養成制度はこの実現のために整備されたものでございます。 法務省といたしましては、今後、この新たな法曹養成制度が魅力ある充実した制度となりますよう、関係省庁等と連携を図りながら最大限の努力をしてまいる予定でございます。ありがとうございます。
○鶴保庸介君 ありがとうございました。
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。 今日は、少し感慨深いところもございますので、少しいろいろなことを振り返りながら、総括的には後ほど江田同僚議員からも御質問があろうかと思いますが、少しこの間の司法制度改革について振り返りながらも御質問をさせていただきたいというふうに思っております。 先ほど、昨日まで司法制度改革推進委員会事務局長で、今日になりましたら内閣官房内閣審議官という、何か不思議なもんだなという、そんな気分がいたしますけれども、山崎さんから丁重な御礼も含めて感想がございました。多分、率直な本当にお気持ちを吐露いただいたものではないかというふうに思っております。 私も、この司法制度改革につきましては、縁あってといいましょうか、一貫して議論に加わらせていただいてきたということもあり、長い道のりだったな、しかしこれからがまた山や本当に谷があったりするのではないかと感じているところでございます。 この司法制度改革については、ちょうど改革推進本部の事務局からパンフレットをいただきまして、まあ本当にあれこれあれこれ、たくさん本当に取り組んだもんだな。私も、しばらく昔、実務の場にいたときを考えますと、これから数年先の訴訟の場等を考えると、まあ本当に様変わりでとてもとても、実務に戻るようなことがあったら浦島太郎のような、そういうことになってしまうのではないかなと、そんな感じもいたしております。 ちょうどこのパンフレットで「あゆみ」というところを振り返ってみますと、平成十一年の七月に司法制度改革審議会、これが内閣に設置され、そこからずうっと審議会での議論があり、私も何かあると、司法制度改革のバイブルとまで言うとちょっと大げさかもしれませんけれども、この司法制度改革審議会の意見書、これにやっぱり立ち返りながらいろんな制度の仕組みやあるいはこれからの進め方を考えていくことが大事なんだろうと。ここに立ち返りながらこの間の議論もさせていただいてまいりました。 そこから、言わば昨日が一つの区切りなんであろうかというふうに思いますけれども、ちょうどその直後の今日がまたこの法務委員会の一区切りの審議ということになるのかなと、そんな感じがいたします。余りつべこべつべこべ、こんなことばっかり言っていてはしようがないんですけれども。 ただ、私はこの間の司法制度改革の、ここまでいろんな紆余曲折もあり、それから満足できるところ、まだまだ満足できない部分、あるいは意見も多様だと思います、評価の意見、それから、いやいやこれは問題があるんだという意見もまだあると思いますし、いろんなことがあるにしても、私はこの司法制度改革がいろいろな制度化、法案化されて今日まで来たというのは、こう言うとちょっと口幅ったいですけれども、この間、私ども民主党あるいは野党などがこれについてはかなり率先して、あるいはリーダーシップをある意味では取らせていただいてきたということも、ここまで司法制度改革を進めてきた私は大きな要因でもあったかと自負をしております。 ただ、それはそれだけではありませんで、それを与党の皆さんも十分に受け止めながら、これを成し遂げるにはもう本当に党利党略あるいは与野党の対立ということでは進んでいかないということをわきまえていただいて、ともに議論を活発に行ってきたということが大変大きかったと思いますし、弁護士会あるいは多くの関係団体やそして市民の皆さん、そういう皆さんの本当に真摯な参加、議論、こういうことがもう本当に積み重なれば、あったればこそ、ここまで来たものだというふうに感じております。 そういう意味で、本当に山崎さんにもある意味で本当にお疲れさまでしたと申し上げたいような気持ちです。それから、代々いろいろと事務方を支えていただいた皆さんもいるかと思います。 ただ、私は、そういうことを考え合わせるにつけ、一つだけ大変残念に思うことがございます。 それは、やっぱりこういう節目の時期、そして推進本部も解散になったというときに、やっぱりその本部長であったのは総理大臣でございます。この間、やっぱり改革を掲げて、そしてこの司法制度改革もその大きな柱だと言って進めてこられた小泉総理におかれましても、ここまで委員会にもいろんな意味で協力をいただいた、あるいは多くの国民の皆さんに対してもこの改革にいろんな形で参加をいただいたと。それについて、まあ御礼の言葉とは申し上げませんけれども、やっぱりそれを総括をいただくようなお言葉やあるいはお考えをこの委員会などを通じて発していただきたかった、あるいはそういう姿勢をお見せいただきたかったなという、そんな気がいたします。 残念ながら、この国会では法務委員会に出席をいただけるという状況には結局はなかったようでございますけれども、これだけ多くの皆さんがやっぱり努力をしてきたということを改めて総理にも、本部長としての総理にも御認識をいただきたいし、是非、大臣からもその旨を総理にしっかりとお伝えいただきたい。私のこれは意見でございますので、是非よろしくお願いをしたいというふうに思っております。 さて、こういう司法制度改革の、言わば今度の裁判所法の改正というのが、おおよそこれで法律の改正としては大体最後になるのかなというふうに感じております。 そこで、この裁判所法の改正にかかわりながら若干質問をさせていただきたいというふうに思いますが、司法制度改革の三本の柱の一つに、法曹の養成といいましょうか、司法を支える法曹の育成あるいはその改革というのがございます。この司法修習とかも、その言わば大きな三本柱の中に入る課題だというふうに思っております。 この司法制度改革の三本の柱の司法を支える人的な部分ですね、そこの中で大きな柱が、法曹人口を拡大させる、そして法曹養成制度の改革ということでございまして、この法曹養成制度の改革、この理念というのは、先ほど申し上げました司法制度改革審議会の意見書、これに立ち返って考えますと、司法試験という点のみによる選抜ではなくして、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させたプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備をする。そこに、本当に幅広い社会経験、あるいは専門性をいろいろな形で持った皆さんが法曹としての担い手として加わっていただくという道を開いていく。こういうことがこの新しい法曹養成制度の大きな理念であり使命であろうというふうに思っております。 そして、その中のまた中核ともいうべき新しい制度が法科大学院ということに位置付けられております。そういう意味では、司法制度改革の中でも、この法科大学院教育ということをある意味では軸にした法曹養成制度というのは、非常にこれからの役割、大変重いものがあると思いますし、この理念を十分に念頭に置きながら制度設計やあるいは運用をしていかなければいけないというふうに思います。 この点、司法制度改革の中でのこの法曹養成制度の重要性、そしてその中に位置付けられている法科大学院のこれからの行く末の重要性、こういうところについて、大臣として、なかなかこの間はずっと司法制度改革の論議にお加わりいただく機会少のうございましたけれども、この辺りをもう一度御認識をいただいて、これからの大臣としてのリーダーシップを取っていただくことが必要だと思いますが、まずその認識についてお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 千葉先生の思い入れの強さということにつきましては、また総理にお会いしましたとき、是非お伝えしておきたいというふうに思っております。 さらに、そこの、専門性の持っているいわゆる教育というものが、いろいろな専門教育がございます。そのいろいろな専門教育との関連もしっかりと勉強させていただきながら、この司法ということを私も学ばせていただいてまいりました。 そういう観点からは、千葉先生思っておられるように、御指摘のとおり、新しい法曹養成制度というものにつきましては、国民にこたえることができる質、量ともに豊かな法曹を養成するためということが大きなポイントでございまして、法科大学院を中核的な教育機関といたしまして、これは司法修習等実地の研修、そういったものをしっかりとその中に包含しながらいくわけでございますが、法科大学院の教育と司法試験、司法修習とを連携させたプロセスとしての養成制度を整備しようとするものであると思っておりますし、これをいい方向に進めていきたいというふうに思っております。
○千葉景子君 ありがとうございます。 ここがしっかりとしておりませんと、本来の理念がだんだんだんだんどこかへ飛んでいってしまう、ゆがんでしまうということになります。この法科大学院につきましては、法務省のみならず、ここをある意味で管轄をするということになります文部科学省の方でもここをやっぱりわきまえていただいて、そして十分に横の連携も図りながら、この内容の発展に向けて努力をいただきたいというふうに思っております。 先ほど、鶴保議員の質問でも、何か法務省が遠慮をしているのではないかという話がありましたけれども、どちらが遠慮をするということではなくて、両方そごがないようにということだと思いますが、文科省の方は、この法曹教育、法曹養成について、法科大学院を中心にしてどのように認識をなさっているか、文科省の方の御認識を承りたいと思います。
○政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。 私どもといたしましても、司法制度改革、これは内閣を挙げた改革でございます。その一翼を担う法科大学院というものが法曹養成の中核機関であるということは十分認識をしております。 文部科学省といたしましても、十分法務省とこれまでも連携を取りまして、様々法科大学院制度の制度設計に当たってきたわけでございます。そういう中では、法科大学院の教育課程、そういったことにつきましても様々司法制度改革審議会の意見を踏まえております。あるいはまた、先ほどの議論にもありましたように、その教員につきましても実務家の登用ということで、大変法務省の御協力も得まして様々実務家の教員を登用しているわけでございます。 さらに、文部省といたしましても、この法科大学院というものが今後更に発展をいたしますよう、それにつきましては、様々私学助成の面、あるいはまた育英奨学の面、さらにまた法科大学院の形成支援プログラムという形で財政支援も行っておりまして、私どもといたしましても、法科大学院というものが、司法制度改革というものの中でのその趣旨に沿った形で今後とも発展していきますよう、あるいはまた国民、そしてまた広く関係者の期待にこたえますことができるよう努力をしていきたいと思っております。
○千葉景子君 是非、それぞれ認識をきちっと持っていただき、連携を取って、この法曹養成制度の発展に努力をいただきたいと思っておりますが、どうも、本当にじゃそういう方向に進んでいるかなということについては、若干私も懸念を感じているところがございます。 実は、もうこの間、大臣にも大変混乱が起こっているよというお話を申し上げましたけれども、こういう法科大学院、そして司法試験があり、司法修習があって法曹が誕生していくと。こういうことを考えますときに、それを発展させるためにとこの法科大学院が設立をされ、そして新しい司法試験ということになるわけですが、そのときの司法試験の合格者数につきましては七割、八割、この数字はなかなか難しいんですけれども、かなりの法科大学院を卒業した者が司法試験に合格をし、そして次の司法修習という段階に行って、こう流れで、プロセスで法曹ができるということがおよその制度設計として言われてまいりました。 これが、どうもちょっと今何か変な格好になってしまっているのではないかというふうに思います。これは多分、思った以上に法科大学院の設立、意欲のある法科大学院というのが出てきて、そしてたくさんの法科大学院ができて入学をした人数も多くなったということも一方ではあるのかもしれません。たくさんそれを目指す人が、優秀な人が出てくるというのは喜ばしいことですから、そうだったらば、司法試験の合格者も、逆に言えば、まあ考えていたより増えたねと、これで私は素直にいいのではないかというふうに思うんですけれども。 どうもそうではなくして、今度は、反面、二〇一〇年、平成二十二年で司法試験の合格者を、法曹人口を三千人ぐらいにしようという、これは、これまで余りにも少ないんで三千人ぐらいまでには何とか増やそうねと、こういう話がありました。これは別に、上限をここまで以上に増やしちゃいけないということではなかったはずなんですけれども、入口は増えちゃった、出口の方は、何か三千人というのがあるということで、何となく、せっかく法科大学院、司法試験そして司法修習という、こういう流れを育てていこうということなんですけれども、その三千人の上限をどうも念頭に置いたせいなのか、この合格者数を抑制しよう抑制しようという、どうも今動き、状況があるやに聞いております。 こうなってきますと、せっかく、社会人として仕事をしている、でも自分は法曹としてやっぱり社会の正義を、法の支配を自分も担っていこうと、そこに専門性も加えて頑張っていこうという人たちが、なかなか、いや、お金掛けてロースクールに入った、お金を、借金をしてですね、それで司法試験を受けたら、いや、ほとんどがおっこっちゃうんだということになりますと、なかなか入学者も少なくなってくる。あるいは、ゆっくりロースクールで十分にプロフェッショナルとしての多角的な教育をしようと思っても、また司法試験を受けるための何か受験勉強をしなきゃいけなくなるような、そういうことになったのでは、この改革の意味というのは損なわれてしまうのではないかというふうに思っております。 そういう意味で、この問題については十分に、先ほど大臣からも、そして文科省の方からもその法曹養成の理念、これについては御認識を聞かせていただきました。こういう認識の下に、この司法試験の実施方あるいは運用などを図っていただく必要があるのではないかと思いますけれども、その点について、入口の方を持っている文科省もどう考えておられるのかな、それから出口ということではないんですけれども、仕上げの方をする、これは司法修習をやる側あるいはこの制度設計に当たった法務省と、どういうふうに今の事態を受け止め、そして今後の対応をどうされようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。 各法科大学院では、その法科大学院制度創設の趣旨にのっとりまして、現在様々、先ほど言いましたように、実務家教員を参画をさせ、そして少人数教育を基本として、あるいはケーススタディー、現地調査、そういう新しい従来にない双方向型の教育といったことを行いまして、そういったことを通じて法理論と実務の架橋というものを目指しているわけでございます。 そういう中で、当然それぞれの大学では学生を司法試験に合格させて法曹に送り出したいということで一生懸命努力をしておりますし、私ども、そういったことについては財政的に支援を行っているところでございます。 司法試験ということにつきましては、先ほど先生御指摘の司法制度改革審議会の意見書の中でも、新しい司法試験自体もこのような法科大学院の教育内容を踏まえたものに切り替えられると、そういうふうに私どもも承知をしておりますし、あるいはまた、司法試験の合格者数といったその設定の在り方についても、現在、法務省の司法試験委員会で検討中ということでございます。 文部科学省といたしましては、去る十月二十九日に、法科大学院協会の方でそういった司法試験の在り方等につきまして要望等を公表したところでございます。是非、そういう法科大学院協会等の要望も踏まえまして、司法試験委員会の方から適切な方針が示されることを期待しているところでございます。
○政府参考人(寺田逸郎君) まず、現状を申し上げますと、この秋から、最終的に司法試験の合格者を決める権限を持っております司法試験委員会は、この点についての議論をスタートをさせました。ただ、残念なことに、一部報道機関でその議論について必ずしも正確でない報道がされましたので、多少といいますか、かなり混乱が生じたこと大変残念に思っているわけでございますけれども、事実は、衆議院の繰り返しになりますけれども、政府として、現在どういう考えの下にどういう数字としてのプランを持っているかということはございません。司法試験委員会自体で、様々なシミュレーションの資料を基に御議論をされているところであります。 これまで、議論の土台になりますのは、当然のことながら、司法制度改革審議会以来の様々な議論でありまして、特に司法制度改革審議会がお示しになりました案に基づきまして政府の推進計画に使われてまいりました、平成二十二年ころ三千人程度というのが一番の総枠であると。これに、さらに、司法制度改革の推進本部の法曹養成検討会でこの点についても御議論がありましたので、その御議論についても土台にして現在議論が行われているところであります。 過日もこの点について議論がありまして、その一部は既に明らかにさせていただいておりますけれども、基本的には、やはりこの法科大学院を中核とする法曹養成の考え方からいきますと、法科大学院の課程の修了者というものをそうでない現在の試験のグループの中から選ばれる人よりは数が多くあるべきだという考え方が一致して取られるという、そういう議論の段階でございます。今後、更に司法試験委員会ではこの点について詳しい議論をして、年度内には具体的にどのぐらいの数ということで、この新司法試験と旧司法試験の並行実施期間中における数の問題ということの考え方を明らかにするという、そういう見通しでございます。 法務省といたしましては、様々なデータを提供して、司法試験委員会に本来のこの間の法曹養成の理念どおりの考え方に基づく結論を得ていただきたいというふうに努力するつもりでございます。 なお、委員のお話の中にありましたように、確かに六千人近くの入学者がいるわけでございまして、それを預かっておられる法科大学院の方々から、できるだけ法科大学院の出身者をたくさん司法試験に採ってほしいという御要望がございます。先ほど鶴保委員の御議論にもございましたとおり、プロセスとしての法曹養成で、点としての司法試験による選抜から切り替わったわけでございますので、余りに激しい競争率、例えば現在は数%の合格率になっておりますけれども、そういうことではこれは受験戦争というような形容詞でこれまで語り伝えられてまいりました司法試験の性格を変えることにはならないだろうという理解ではおります。 ただ、他方で、何人入学、法科大学院に入学したから、その入学者をそのまま卒業するものとして、それで法科大学院の合格率をまた云々されるということでありますと、これは逆にプロセスとしての教育にならないわけでございまして、むしろ法科大学院ではかなり熾烈な今教育をなさっていただいているわけでございますが、この司法試験の審議会の意見書にもございますとおり、七割、八割の合格者を出す前提としてはやはり相当の厳しい教育をしていただいて、かつ修了認定も相当厳しくしていただくという前提でございます。それがあって初めてプロセスとしての教育になるわけでございます。ただ法科大学院ができたからプロセスとしての教育ができるわけではないわけでございますので、そこのところもまた十分に御理解いただきたいところでございます。
○千葉景子君 是非、趣旨、今御説明いただいたことは分かります。必ずしも入口入ったからそのほとんどが出口までだあっと行くということを私も申し上げているつもりはございませんので、是非この趣旨がこれからも十分に、だんだん育っていくといいますか、そういう方向で、念頭に取組をしていただきたいというふうに思います。 もう一つ、今日のこの法案に直接今度はかかわってくるわけですけれども、この司法制度改革、法曹養成の今度は仕上げの部分になるのがこの司法修習でございます。 今回はこの司法修習について、これまで給費制であったものを貸与制にしようということになるわけですけれども、これもなかなかよく、本当に法曹養成ということからこの本当に貸与制に変えることが適切なんだろうかという気がいたします。私もまたこれに立ち戻ってみました。ここでも、その給費制を貸与制等に、将来、検討課題ということで確かに挙げられております。ただ、ようやく今司法制度改革の実施がスタートをして、法科大学院ができ、そして司法修習の在り方も今いろいろと検討をいただきながら、新しく衣替えをしていこうと、こういう状況ですので、やっぱりそういうものと少し総合的に議論をして、本来、この給費の在り方も検討する、それだけもう少しじっくりとしたものがあってよかったのじゃないかと。何かこの給費のところだけ突然ぴこっといち早く飛び出してきたという感が私はしてなりません。 しかも、これまでの給費制の意義というのがそんなに悪いものだったのかな、私もそれを受けた者の一人として、そんなに意義がなかったものとは思えませんし、それからやっぱり法曹養成というのがこの司法制度改革の中でも司法の本当に担い手として大変、公共財といいますか、本当にこの社会、そして国を支えていく大きなやっぱり基盤になるんだという位置付けがされているわけですから、それをみんなの税金なりで育てていこうということは、決して私はおかしなことではないというふうに思っております。 そういう意味で、何かこの給費制から貸与制というのが、これだけがちょっと飛び抜けてといいましょうか、何かいち早く出てきてしまったという感が否めませんけれども、もう一度じっくりと在り方を、修習の在り方、そして法曹養成全体がこれからどういう流れで、そしてどういうシステムで、あるいはそこでどういう人材がやっぱり育っていくのかということも踏まえながら本当は議論をすべきだったのではないかなというふうに思っております。 ただ、これをじゃもう一度考え直しましょうということには今ならないかと思いますので、それはこれからも継続して議論させていただくとして、この給費制から貸与制になると同時に、もう一つ私ども不思議だなと思いますのは、改めて専念義務というのが規定をされました。従来からも専念義務、修習に専念する義務はあったと思うんですね。逆に、専念をする、そして法曹としてのいろんな素養を身に付けていくのが修習だと。だから、それを給費という形で生活などを一定支えようと。むしろその方がうまくつながるんで、逆に、その給費制がなくなって貸与制にしようということになりましたら、今度は逆に専念義務が規定をされるということになって、何となく逆さまみたいな感じがいたします。 これ、専念義務が改めて規定された意味というのは一体どういうところにあるのでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) この修習専念義務でございますけれども、現在条文にはございません。これは給与を支給しておりますので、その給与を支給するというそういう解釈から当然に導かれるものとしてあえて規定をしていないと、こういうことでございます。したがいまして、これを前提として最高裁の規則等が作られているということでございます。 このたび、この給与制をなくしますと、修習資金を貸与するということになるんですが、修習資金とは一体何ですかということは定義せざるを得ないわけでございます。そこで、この条文でも「司法修習生がその修習に専念することを確保するための資金」というふうにうたわれているわけでございますが、これを書きますと、その前提として、じゃ修習に専念する義務があるのかないのかということが当然問題になるわけでございますので、したがいまして、その前提を書きまして、その上でそれを確保するための修習資金を貸与いたしますと、こういう構成になるわけでございまして、確かに前書いてなかったのが、貸与制になったら急に書かれるようになったと。そういう現象面からいくと違和感があるというのは私も理解はできますけれども、それは法律の構成上はそれほどおかしいことではないわけでございまして、また書かないと、かえってどういうことになるのかが不安定になるということでございますので、御理解を賜りたいというふうに思います。
○千葉景子君 そうなりますと、この専念義務というのは、従来なかったものが突然できたということではなくて、むしろ従来からのものと内容的にはその義務の内容は変わらないのだというふうに理解をさせていただきます。 その専念義務ですけれども、これ仮に違反した場合の、これもちょっと先ほど触れていた、ございましたけれども、違反した場合、どういう措置が取られるのか。これまでとこの専念義務というのはこれからも変わらないとすれば、これまで過去の専念義務に今違反して措置が取られたとか、そういう例というのはあるんでしょうか、どの程度のものでしょうか、どんな具合でしょうか。その、ちょっとこれまでの状況など教えておいていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 今委員お話しのとおり、現在でも修習専念義務というのがございまして、時にその違反が問題になるというケースがございます。 修習専念義務に違反する場合の典型的なケースというのは、許可を得ないで他の業務を行うという、そういうパターンであろうかと思いますが、例えば後輩の受験指導、これも業務として許可を得ないで行うといった例が過去にございまして、そういった場合には、そういうことは許可を得ないではやれないと、そういうことを指摘して是正をしたという、こういう対応を取ってきております。 具体的にこういった違反が、違反の事態が生じた場合にどういうことを行うかということでございますが、結局はそういう状態が生じた理由といいますか、無許可でそういった、そういう他の業務を行うに至った事情をまず考えてみなければいけないと思いますし、その違反を知りながら行ったというと、これはかなり悪質でありますが、うっかりしてやってしまったというようなこともあり得るものですから、そういった事情ですとか、それからもちろんその具体的に行っている業務の性質ですとか、それからそれに割くエネルギーですとか、そういったものを総合的に勘案して、どういう対処をするかということを考えていくんだろうと思います。 基本的には、先ほど申し上げましたとおり、注意をすれば修習生の方もすぐ理解して、あっ、これはいけないことであるということですぐ是正されるものですから、注意をして終わってしまうというのがほとんどでございますが、これ現実には出てまいりませんが、非常に悪質なケースで、幾ら注意しても改めないとか、その結果として修習に身が入らない、修習態度が非常にふまじめであるというようなことになりますと、これはいよいよ身分にかかわってまいりまして、修習生としての身分をなくす、罷免という、そういう措置は理屈の上では考えられようかと思います。
○千葉景子君 この措置ということの最終的な、一番重いといいますかね、は罷免ということになるのだろうというふうに思います、抽象的にはですね。ただ、そこまで行くような事態にはこれまではなっていないようですけれども、扱いとしては従来と今後も異ならないということで受け止めておきたいというふうに思っております。 さて、今度、給費から貸与ということになるんですけれども、大体、この貸与額というのは大体どんな辺りが一応予定をされるのでしょうか。そして、その額の根拠は大体どんなものを根拠にしてその額が決められていくのでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 基本的な考え方は、現行の給費制での支給水準との連続性を考慮いたしまして、司法修習生が生活の基盤を確保し、修習に専念することができる程度の額ということでございます、抽象的にはですね。具体的には、これは最高裁判所の方の規則で定められるということになるわけでございますけれども、そこと協議はしておりますけれども、大ざっぱな言い方をさせていただきたいと思いますけれども、大体三ランクぐらいに分けるというイメージでございます。 それで、まず司法修習生の必要、あるいはその返還の負担を考慮いたしまして月額二十三万円程度、これを基本的な貸与額といたしまして、もう少し少なくてもいいという方もおられますので、その希望する人には更に十八万円程度の貸与額と、この二つをまず設けます。これは自由に選んでいただくということでございます。それから、これ以外にもう一つのランクがございまして、例えば扶養家族があったり、それから住居を賃借しているという場合もあるわけでございますので、そういう場合には、その基本的な二十三万円の貸与額に更に相応額を加算をいたしまして最高二十八万円まで貸与することができるというような、三つのランクを今大体イメージをしているところでございます。具体的にはこれから最終的に決めていくということでございます。
○千葉景子君 今おおよそ三ランクを聞かせていただきました。この修習の場合には、これまで給費の場合にもそうではございますけれども、これから特に修習というのは、実務修習を、そのさっきのプロセスでの教育ということから考えると、修習というのは実務修習を主体としたプログラムにだんだんなっていくということが指摘をされているわけです。 そうすると、今でもございますけれども、実務修習というところに、実務修習地に配属をされるということも今後も考えられるんだろうというふうに思います。実務修習地というのも、これからどうなるか分かりませんけれども、いろんなところでして、自分の居住地域、これまでの居住していた地域に配属になる人もいれば、全くもう見ず知らずの遠いところへ配属になるというケースもございます。 そうなりますと、今ちょっとお話がございましたけれども、その貸与額の中で、例えば実務修習地でやっぱり家を借りなきゃいけない、住まいを確保しなきゃいけないということになると、今旅費というのが出るという形がございますけれども、何か財政的なサポートなども必要かというふうに思いますが、これは今お話があった十八万、二十三万、二十八万という、その二十八万は住宅とかそれから家族がいる場合というようなことがありましたけれども、こういうような実務修習地での居住の問題等も念頭に置きながらの貸与額ということになるんでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 基本的には、これから実務修習地が中心になってまいりますので、当然そこの生活をイメージしながらこの額を決めているわけでございます。 現在、月額二十万円ともう少しの額をもらっているはずでございます。これに賞与等の手当が入りますけれども、大体その額と、年間の額と、この今申し上げた二十三万円ですね、これを十二倍した額というのは大体同じか若干少なくなる。それは、勤勉手当というのがございますので、これは修習中の身分で勤勉手当を支給することが本当にできるかどうかという問題もございますので、若干その分が減るということにはなりますけれども。 ですから、現行とほぼ同じ額を考えているわけでございますので、修習地における生活、その辺も考えながらこういうことを決めているということでございます。
○千葉景子君 この貸与、それから、いずれ、大分先の話になってきますけれども、回収の事務ということが必要になってきます。これは、今後どこが管轄をして、どういう形で行うことになるのでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) 基本的には、貸与、回収の事務につきましては最高裁判所の方で行うということになります。ただ、それがスムーズに行っているときはいいんですけれども、そうでない場合には債権管理法がございます。国の債権管理等に関する法律でございますけれども、これに従った回収手続が行われるということでございます。 具体的には、最高裁の方でいろいろ納入の告知をしたり催告をするということになりますけれども、これに従わないという場合にはもう裁判しかないわけでございますので、これは国の方に依頼をして、国の方でその裁判手続あるいは執行手続を取っていくと、こういうことでございます。
○千葉景子君 最高裁も御苦労さんでございます。回収の事務も最高裁が管轄するというのも、もう何とも、何だか不思議な感じもいたしますけれども。最高裁が回収できないときには国に手続を依頼をして、その裁判はまた裁判所で行うという、何かちょっと分かんなくなってきましたが、まあ事務を取り扱うということで理解いたしたいと思います。 それから、返還の免除ということが認められるようでございますけれども、これは将来について、例えば病気であるとかそういうことでの免除というのは分かります。これが、例えばこういう仕事に就いたら免除よとか、こういうところに就いたら免除はしないよとか、政策的といいましょうかね、そういう就いた職務柄で免除の有無を決めるようなことは考えておられませんね。
○政府参考人(山崎潮君) この政策的免除に関しましては、途中の段階ではいろいろな議論がございました。その議論をしている場合に、じゃ、最終的に一つの考え方、切り口で免除をする範囲が本当に確定できるかという問題もございました。また、特に抵抗がございましたのは、任官者の免除ということになったときにそれでいいのかどうかと、統一修習との関係でいいのかという御議論もいろいろございました。 それから、例えば司法ネットあるいは過疎地の勤務の方、そういう方については公的な義務を果たしているんだからどうかという議論もありましたけれども、司法ネットといいましても、過疎地もあればそれから大都会もあるわけでございますし、それから過疎地に行くということになりましても、それはひまわり基金で行かれる方もおられます。それから、自らの気持ち、意思で行かれる方もいます。それを一体どういうふうに切り分けするのかというのはもう至難の業であるということがございまして、最終的には政策的な免除の政策は取らないということで法案を出させていただいたということでございます。
○千葉景子君 本当は江田委員の時間なんですが、若干ちょっと私の方に少しいただきまして、この給費制から貸与制への移行ということなどを踏まえながらですけれども、先ほど冒頭に申し上げましたように、これもようやく今日、今日かな、成立をするかどうかというところまで来たわけで、これからこの法律をいろいろと実施に移していく等々の大仕事が残っているんだろうというふうに思います。 推進本部という形では昨日その仕事を終えられたということになりますけれども、今後、例えば、先ほど文科省にもお話を伺って、やっぱりそれぞれの各省庁にまたがるようなことについて横の連携を図っていく必要もあるでしょう。あるいは、在野からいろんな市民団体等の意見や協力をいただきながらこの推進方を図っていかなければいけないということもあるでしょう。この推進本部が解散をした今後、実施するための体制というのはどんな形で行われようとしているのでしょうか。本部機構という当然形はなくなるわけですけれども、実態としてどういう推進実施体制ということを考えておられるのでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) これから実行に移していく場合、法務省としてやるものもありますけれども、それはまた法務省の方からお答えをいただくことにいたしまして、私どもの関係のポスト本部の体制でございますけれども、これは内閣におきまして総合調整を行うというために、本日付けで内閣官房に司法制度改革推進室、これを設置をいたしました。もうみんな着任しております。スタンバイをしている状況でございます。ここで、まだまだこれから実行に移していく場合にいろいろな総合調整が必要になるだろうということから、ここでこの事務を行っていくという継続性を保つことにしております。スタッフが九名というスタッフで動くということになろうかと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 司法制度改革の課題は数多くございますが、かなり多くの部分が法務省の実施を求められる事項でございます。したがいまして、法務省の中に司法制度改革の実施のための推進会議を設けまして、この会議を中心にそれぞれ具体的な実施を行っていくと、こういう体制を現在のところ取るということにいたしております。この会議のメンバーは局長クラスでございまして、事務次官が主宰するということにいたしております。
○千葉景子君 内閣官房と、それから法務省の方は推進会議というお話ですが、私が申し上げましたように、省庁間での調整等々も当然していただかなければいけない、しかし本当にこれを世の中に、市民の中に、あるいはこの社会の中に定着をさせていくというためには、もう本当に多くの人の理解とそれから協力なくしてこれはもう成り立たないというふうに思います。 そういう意味で、当然それぞれの推進会議あるいは調整機関などで、諸関係機関等々の意見とかあるいはいろんな形での参画とかを得ながらやっていこうということだろうというふうに思いますが、その点についてはいかがですか。
○政府参考人(寺田逸郎君) いろんな方の御意見を伺うという側面といろいろな機関との調整という側面とあるというふうに思いますが、機関の調整の面で申し上げると、先ほど、内閣に総合調整の機関ができますので、基本的にはその総合調整のための推進室の方でやっていただくという仕切りでございます。 ただ、実施機関につきましては、ただ単にほかの機関との調整以上に、多方面でいろいろ御意見があろうかと思いますので、有識者の方に御意見を伺わせていただく機会を得なければならないというふうに考えておりまして、参与という形で先ほどの実施推進会議の中に何人かの有識者の方にお入りいただいて御議論をいただき御意見をいただく、こういう体制を取りたいというふうに考えております。
○千葉景子君 是非、いろんな多角的な意見も改めて聴きながら、そして協力を受けるいろんな関係のところの参加や、あるいは意見の聴取もしながら実施を進めていっていただきたいというふうに思います。 じゃ最後、これも常々申し上げております。やっぱりこれだけのことをこれからどんどん進めていくことになりますと、やっぱり何といっても必要なのは財政措置ということになります。全体としてもそうですけれども、まずは来年度ですね、予算、どんな構想で臨まれるおつもりでしょうか。これは法務省、最高裁、それぞれ考え方お持ちであろうというふうに思います。そして、最後に大臣にもこの予算獲得に向けましてどんな覚悟で臨まれるか、お聞かせをいただいて、私の部分は終わりたいと思います。
○大臣政務官(富田茂之君) 先般の当委員会で簗瀬委員の御質問にお答えした際には、そんなちまちました予算じゃいかぬというふうにおしかりを受けたんですが、改めて御説明をさせていただきたいと思います。 平成十七年度の要求に係る主な司法制度改革関連予算といたしましては、第一に、新司法試験などの実施のために約一億六百万円を、第二に、法科大学院への実務家教員の派遣などのために約九千万円を、そして総合法律支援体制の整備に向けた日本司法支援センターの設立準備などのために約七億二百万円を、民事法律扶助事業の充実のために約四十五億二千百万円を、最後に、裁判員制度の広報啓発活動のために約三億二千百万円をそれぞれ要求しております。 千葉先生を始め、本委員会の先生方の御協力をよろしくお願いいたします。
○最高裁判所長官代理者(大谷剛彦君) 最高裁からお答え申し上げます。 予算を担当してございますけれども、最近、裁判所、事件が増加しておりますし、事件の内容も複雑困難になってきております。また、迅速な事件処理に向けた施策を要請いたします裁判迅速化法というようなものも施行されまして、司法の体制の充実強化を目的とした司法制度改革というものが進められておるわけでございます。こういうように、司法に対する要請が高まりを見せているという、こういう状況に対応した人的、物的な体制の整備を図ってまいりたいというふうに考えております。 平成十七年度の概算要求では、例えば人的体制の整備ということでございますれば、裁判官につきまして、平成十六年度の増員が五十二人でございましたけれども、これを大幅に上回ります七十五人の増員要求をするというようなことをやっておりますし、またいろいろ、先ほども法務省からありましたけれども、裁判員制度の円滑な導入のための広報関係予算、十億を超える予算を要求してございます。こういうような要求につきまして、その必要性とかあるいは合理性というものを十分説明して必要な予算の確保に努めてまいりたい、そういうことで司法の使命を果たし、また司法制度改革を推し進めていくために必要な予算の確保に懸命に努めてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(南野知惠子君) 千葉先生から熱心な、予算をちゃんと分捕ってこいということのお話もございました。今政務官からもお話しさせていただきましたが、それらに加えまして、裁判員制度や総合法律支援制度と、そういった司法制度改革の成果を国民が実感できるように適切に実施していく必要があろうと思っております。 予算を実行していくというところに次の課題があろうかと思いますが、平成十七年度の要求にかかわる主な司法制度改革関連予算の状況につきましては御説明があったとおりでございますので、その成果の実現に向けてしっかりと頑張っていきたいと思っております。 よろしくお願いします。
○江田五月君 司法制度改革関連のいよいよ仕上げの段階に入りまして、裁判所法の一部を改正する法律案について質問いたします。 この法律案が、これが司法制度改革関連の制度設計の最後の法律案だと確信をしておりますが、今日でもう、昨日で推進本部も終わりで、更に何かちょろっと残るというようなことはないと。これはだれに聞くというわけにもいかないんで、むしろ国会の方ですので、委員長や与党の理事さん、質問するわけにもいきませんが、そう確信をした上でこの法案の質疑に入ります。 昨日まで山崎潮司法制度改革推進本部事務局長、肩書変わって今日から内閣審議官ですか、先ほど冒頭に感慨深いお話がございました。本当に御苦労であったと思っております。一時はもう何かやせ細ったような感じになっておったこともありますが、是非この仕事を終えて更に、裁判所にお戻りになるんでしょう、いい仕事を続けていただきたいと思いますし、推進本部の事務方を預かっていただいた多くの職員の皆さんの労もねぎらいたいし、さらにまた、その前に司法制度改革審議会をずっとやっていただいた審議会の委員の皆さんもそうですが、樋渡事務局長、そして職員の皆さんのこれまでの御苦労もねぎらっておきたいと思います。もう一度山崎さんに何か感想を言ってもらってもいいんですが、まあまあ、どうぞ現場にさらりとお帰りください。 しかし、しかし、やはり聞いておかなきゃならぬことがある。私どもは、この司法修習生の給費制を貸与制に改めるということに対して基本的に大きな疑問を持っておりましたし、今も持っていないわけでありません。しかし、司法制度改革をここでスタートをさせる、そのために法整備というものをとにかく仕上げまで持っていこうと。さらにまた、いろんな角度から疑問点をただしながら、衆議院の方で修正が行われてこちらに来たということで、修正されたものを賛成をするということにいたしました。 私たちが持っていた疑問、それはこの給費制から貸与制にするその本にある司法修習ということについての理念は一体何なんだと、こういうことなんですね。理念に裏打ちされずにお金勘定だけであれこれ制度がいじられるということであっては、これは見過ごすわけにいかないというので、山崎審議官、先ほどの答弁についてもう少し突っ込んでおきたい。 先ほどは千葉委員が、司法修習生には職務専念義務というのはあったんじゃないかと。そうすると、いや、法律上はそれ書いていないと、しかし給費制だからその反対解釈として職務専念義務というものがあったと。今度は給費制でなくなるんだったら、職務専念義務というのは、法律に書いてなかったら職務専念義務ないんですか。
○政府参考人(山崎潮君) いや、職務専念義務はございますけれども、それを明確にしないとその修習資金との関係がはっきりしなくなるということから、法律上明文の規定を置くということでございます。
○江田五月君 そうすると、ますます私は聞きたくなる。修習資金との関係で職務専念義務が出てくるんだったら、今度の制度では修習資金要らないという修習生もいるんでしょう。こういう皆さんには職務専念義務はないんですか。
○政府参考人(山崎潮君) ちょっと説明が悪かったかもしれませんけれども、そもそもその法律家、将来公の仕事をするわけでございますので、そこで十分なその倫理観とそれから実務的能力、これを備えて巣立っていってほしいというところから元々は出るわけでございます。で、そこが変わるわけではないということでございます。法文上は不明確になるからそれは手当てをしたと、こういうことでございます。
○江田五月君 私は、やはりこの職務専念義務というのは、書かれているのは正に確認的なものだと、司法修習というものの元々の性格から出てくるものではないかと思うんですよ。で、そういう性格を持った司法修習というものがなければ、やっぱりきっちりした法曹が育たないという、それが私たちの信念ではないかという気がするんですが、そこは共有できるんですか、できないんですか。
○政府参考人(山崎潮君) 正にそのきちっとした人間を育てるという意味で必要な修習でございますし、それに修習生もきちっと修習をしてほしいというところから修習専念義務というものが出てくるわけでございます。で、これが大切であるからこそ国でその修習を行うと、こういう政策を取っているわけでございますので、そこの大切さというのは今後も変わらないということでございます。
○江田五月君 私は、今司法修習というものをなくしてはどうかという、そういう制度設計を論ずる人たちもいます、その皆さんが考えていることも分からないわけじゃありません。ありませんが、やっぱりロースクール、法科大学院だけでは本当にこのプロフェッショナルとしてのスキルとマインドを持った法曹というのは育ち上がっていかないんだろう。どっかにやっぱりそういうプロを育てるプロセスというのは要るんだろうと。 で、もし修習というものをなくするんならば、そうするとやっぱり法曹一元で、弁護士の中にとにかく全部入れて、弁護士の実務をやっていく中で、こういうそのスキルもそしてマインドも育つ、あるいは育てる、そして育った者を裁判官の方にしていくという、そういう制度にするという、これは一つの考え方と思いますよ。しかし、そういうそのスキルやマインドをきっちり育てるというプロセスなしに、法科大学院を卒業して司法試験通ったから、はい、もうあなたは一人前の判事補でございます、検事でございます、これはできない。 だから、もし、私どもももう判事補制度はなくそうと、判事補の採用をやめたらどうですかという提案を一時その審議会のプロセスの中で言ったことあるんです。そのときに私たちが考えていたのは、法科大学院出たらすぐに判事になれる、とんでもない。やはりそれは弁護士として法曹一元の中で養成されるという頭があったわけで、ここは、司法修習というものは今のこの制度の下ではやっぱり必要なんだと。司法修習はこの統一的に法曹三者が、期間はいいです、それはたくさん育てるわけですから、多少短くなることはあるかもしれない。しかし、やっぱりそこで私たちも貸与制というものを認めますから、ただしすぐにじゃないですよ、しばらくたって、認めますから、その代わり、修習の中でプロとしての法律家の素養を身に付けてほしいということをもう念じて言うんですよ。 これはまあ一般の人になかなか分かっていただけるかどうか、私も必ずしも自信がないんですが、やっぱり南野法務大臣、聞いておいていただきたいと思うんですけどね、世の中のっぺらぼうじゃないんですよ、いろんな人がいるんです。で、そのいろんな人の中には、看護師さんとしてのその職業倫理をしっかり持ってやられる人もいる、あるいは法律家としての倫理をしっかり持って法律の仕事に携わる者もいる。いろんな役割分担がある。別にだれが偉いとかの話じゃない。それぞれの役目なんです。国会議員もそれぞれの役目なんです。 そうすると、法律家の中へ入っていくと、これ分かれるんですよ。ある人は裁判官です、ある人は検察官です、ある人は弁護士です。検察官は、たとえ総理大臣といえども逮捕をしたりすることは必要なことがある。弁護士は、たとえもう極悪非道、あんな者はというのだって弁護をするという大切な仕事が出てくる。裁判官はそれをぐっと引き受けながらいろんな話を聞く、それぞれの役目で。お互いそこでは敵対をし合うわけです、検察官と弁護士というのは。あるいは弁護士同士が原告、被告で敵対し合う。敵対し合うけれども、法曹という、あるいは司法を動かすという、そういう共通のマインドを持ってこの仕事に携わる。それを育てるのがこの司法修習で、だからここはアプレンティスシップという。 ですから、私たちも、裁判官だったらちゃんと法廷の上にいるわけですよ。現に裁判官の合議の中に入って意見を言うわけです。検察官だったら、あえて取調べするんですよ、取調べ修習が違法かどうかという議論はありますけれどもやるんですよ。弁護士だったら、あえて拘置所に入っているその被疑者のところまで行って現実に面接してくるんですよ。そこまでやるんです。そういう中で、お互いの法曹三者のある種の共通理解、これ下手をしたらギルドになるんです。国民から見たら、もうあの三人の中で、三者の中で適当にやってということになる。しかし、それは解体しなきゃいけない。だけど、そこの共通の理解は要るんだと。それが修習だと。 法務大臣、私と山崎さんのこのやや厳しいやり取りを聞いて、今の、私が今言っていること自体のことはいいですけれども、この雰囲気についてはどういうふうにお感じになりますか。
○国務大臣(南野知惠子君) 専門性ということを貫いていき、しかも人間性をその中に包含しながら、国を又は人をという、命を大切にしていく一つの形として大切な役割をそれぞれ分担していっているんだな、それが専門職であり、また司法であればそれだけ崇高な人たちが、またそれだけ熟練された人たちが人の命を預かっていくというところのお仕事をしていただいているんだなということを理解しております。
○江田五月君 山崎審議官、いかがですか。私の司法修習というものについての理解はちょっと思いが入り込み過ぎていますか。どう思われますか。
○政府参考人(山崎潮君) 思いは入っておりますけれども、正しいことだと思っております。 もう一つ、私は、法曹三者それぞれの立場をよく分かるということと、勉強をずっとしてくるわけでございますので、そこでやっぱりじっくり物を考えるという期間でもあるということでございまして、同じかまの飯を食って、いろんな方と議論をし、そこで人間性を学び、それから将来自分の進路をどうしようか、それからどういう役割を果たしていくかということをじっくり考えてもらう、そういう期間でもあるということでございますので、そういう意味でますますこの修習が大事であるというふうに理解をしております。
○江田五月君 これは、是非今のことはお忘れにならないようにしていただきたい。つまり、司法修習というものは、これから司法制度改革が実施過程に入って、恐らく私はまだまだ荒波に揺られるんだろうと思うんですよ。ですから、やっぱりそこは、ここは大切だというところはちゃんと押さえておいてほしいと、本当にそう思っております。 いよいよそういうわけで推進本部も解散をいたしましたが、南野法務大臣、この司法制度改革推進本部の本部長は小泉内閣総理大臣だったわけです。法務大臣御自身はどういう立場であったかというのはもちろん御存じですよね。お答えください。
○国務大臣(南野知惠子君) 副本部長を務めさせていただいております。
○江田五月君 副本部長を昨日までおやりになっておったと。どうですか、いよいよ今日は、副本部長という仕事は、これは特に辞令か何かあったんですか、今は解かれているんだと思いますが。
○政府参考人(山崎潮君) 法律で三年間と設置期限が決められておりますので、私も辞令もらっておりませんので、自動的になくなるということでございます。
○江田五月君 なるほど、自動的になくなった。どういう、感想をちょっと一言。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に先生の情熱を今察知させていただきました。司法というものの大切さを理解しながら頑張っていきたいと思っております。
○江田五月君 小泉本部長から南野大臣に、副本部長に当然に法務大臣になったら当然なるわけですが、そのときに司法制度改革の副本部長としてこういうことをやってくれとかいう指示はございましたか。
○国務大臣(南野知惠子君) 法務大臣の役割をいただきますときに四つの項目をいただきましたが、その中の一つに司法制度の問題についてはリーダーシップを発揮してやれということが一行入っております。
○江田五月君 一行入っております、はあ。 どうも、やっぱり私は本当にこの最後の締めくくりに小泉本部長に来ていただきたかったんですよ。それは、ここでともかくこの数年ずっとやってきたんですからね。それが何か一行入っておりますという、ああ、そんなものだったんですかと言われると私どもも困ってしまうんですがね。
○国務大臣(南野知惠子君) ちょっと済みません。 一行入っていたということは、これは取り消させていただきたいと思いますが、総理の念がその中に、四つの項目の中の一つがそれを占めていたということでございますので、御理解よろしくお願いします。
○江田五月君 私は、司法制度改革は本当にある意味で身を入れてやってきたつもりでおります。私自身、一九六九年から七一年まで、これは最高裁判所の御好意で留学をさしていただいて、そしてイギリスで、イギリスの司法制度改革の現場に、実際見たり聞いたりというわけでもないけれども、そういう雰囲気の中にいたことがあるんです。 イギリスの司法制度というのは、まあ、やたら複雑怪奇で、宗教裁判所があってみたり、それから普通のコモンローの裁判所もあるけれども、巡回裁判所があったり、何とか裁、まあ、いろんなものが重なり合っていて訳が分からぬ。そこで、王立の委員会ができて、そこで報告書が出されて、そしてそれを実行すると。その報告書を、今、まあ三十何年も昔のことで、一億円の小切手でもないのでもう忘れてしまったんですがね。今かすかに覚えているのは、今最高裁判事の島田仁郎さんと二人でそのレポートを翻訳をしたようなこともあったりして、司法制度の改革というのは、自分自身が身を置いていた場所でもあるし、何としてもやっていきたいと。 それだけじゃなくて、司法というものに対する国民のある意味ではブーイングですよね、期待がどうも裏切られるということを様々聞いて、何としても改革をしたいと思っておりました。 今、思い出すんですが、二〇〇〇年の二月十八日に日弁連が主催で東京の読売ホールで司法制度改革のシンポジウムをやったんですよ。そうすると、何と有楽町の改札口から読売ホールの入口まで行列でつながっちゃったんですね。まあ、それだけ大勢の人がこの司法制度のシンポジウムというのに、普通だったらそんなもの、とにかく来たんですね。 そして、その中で議論をした、私もパネリストでしたが。田原総一朗さんが、まあ、ある意味でいえばもうはちゃめちゃな発言をされた。はちゃめちゃというのは、要するに司法の世界にいる者からすると、とんでもない、そんなことというような発言をして、裁判官というのはもっと市民の中へ入っていかなきゃ、市民の中に入っていくというのはどういうことだといって、あるとき裁判官の家に近所の人がやってきて、私こういう事件にかかわってきたんだけれどもどうしたらいいんですかと、裁判官、質問されたらどうするんだと。そうすると、それはもう今までの常識でいうと、私は裁判官ですからそういうことはかかわれませんと。それじゃ市民のすぐそばにいるということにならぬじゃないか、どうするんだというようなそんな議論をして、これはそういう議論の中から、やっぱり裁判官だから、うっかり入ってきたら、おまえはもう出ていけ、出ていかなかったら不退去罪で警察呼ぶぞ。それではいけない。そうではなくて、やっぱりそのときに、いや、すぐ向こうに行ったら司法ネットというのがあるから、あそこへ行けばちゃんと弁護士さんが親切に話聞いてくれるから。できれば、私は裁判官という立場で公平にこの対立する皆さんの話を聞いて判断しなきゃならぬ立場だから、あなたの話は、ごめんね、聞けないんですというような、そういう裁判官になっていかなきゃいけないというような、その辺からずっと始まってきたんです。 そこで、南野法務大臣に伺いたいんですが、法務大臣、司法制度改革推進本部の副本部長になられる前に司法というものに対してどんな感じを持っておられたか。これ通告、別にしているわけじゃないけれども、是非ひとつ率直な、法務大臣としてそんな答えでいいとか悪いとかという話じゃないですから、率直なところを聞かせてほしい。
○国務大臣(南野知惠子君) 突然のお話でまだ意見はまとまりませんが、司法という問題については一番身近で考えていましたのは、やっぱり弁護士の方々、さらに裁判所でいろいろと裁判をしてくださる方々、それと事件が起こったときにそういった人たちに対応してくださる検事の方々、いろいろなそういう方々を想像いたしておりましたが、司法というところの大きなポイントの中には、やはり治安という問題もあり、またそれを大きく包含している人権問題というのがある。そこら辺の課題からいろいろと枝葉が出ていくのかなというふうに思っております。 そういう意味では、国会議員という形の中で、法律を作っていくという立法者としての立場の中からは、やはり弱い人たちの問題を特に中心にかかわりを持っていこうというところでいろいろな法律にも手掛けていき、そして先生方のこの情熱ある法務委員会の方に来て、ああ、やっぱり司法というのは国を大切にしていかなければならない、国を守るものだなと、人間を守るものだなと、そのようにも思ったところでございます。
○江田五月君 司法制度改革は、推進本部は終わりましたが、どういう制度設計にしたらいいのかなというのでこれまでずっと苦労しながら案を作り、それを法律にし、やってまいりましたが、実はこれからなんですよね。裁判員制度にしても、法科大学院もまだ揺れている、司法ネットはさあこれからなどなど、全部これからなんです。しかも、さっきの、今後どういう体制でいくかということで、内閣官房に司法制度改革推進室、そして法務省の中に推進会議、これはもう今度は副本部長じゃなくて、もう法務大臣がその司法制度改革の実施の重大責任を負うということになるんですが、財政のことはさっき千葉さん、千葉委員がちょっと伺いましたが、どういう覚悟を持ってこの推進に、実施に当たられるか、改めてもう一度聞かせてください。
○国務大臣(南野知惠子君) いろいろな国民の情報も取り入れながら、多くの人の意見を聴きながら、また国会でこれだけ審議していただいております。これをどのように成果を出していくかというのは、もちろん先生方のバックアップもございましょうし、司法にかかわる三者、これが共々に大きな活躍をしていただけるもの、しっかりスクラムを組んでいっていただくという方向に持っていきたいと思っております。
○江田五月君 法曹養成なんですが、一点突破型の司法試験で養成をされるという、これがいい面もあるんですよ、制度としては。それはあるプロセスの中でというと、プロセスの間に、プロセスにいる間じゅう何か教官の顔色をうかがっていなきゃならぬとか、そうじゃなくて、ふだん、それはもう自由奔放な活動をしていても、ここはというとき一点突破で試験を通ったらそれで法曹になれるという、そういう制度の持っている魅力もあるんですけれども、ところが現実にはその魅力がきらめくということにならずに、逆にその一点突破の試験を目指して、もう集中して受験勉強をする。その間、もうそこへ集中しているから世間のことがどうであろうと私は知りませんという、そういうある種の専門ばかといいますか、そういうことになって、しかもその試験が通ったら、おれはもうこれで勝ち組だということで、特にそのまますっと裁判官になっていくと非常にいびつな裁判官になっていくということがあってこの養成制度を変えるということをやったわけで、やはり今までの司法試験を目指して努力しているそういう皆さんはもちろん、もうあなた方は全部はしご外しますよというわけにいかないから、これは大切にそれなりのことは考えて、次第次第になくしていくという制度の移行期に当たっての配慮は要る。しかし、やっぱり新しい制度で新しい法曹養成で新しい法曹を作っていくということで制度をスタートさせている、そこに対する思いというものは、愛情というものはやっぱり一緒に共有してほしいと思っておりますが、どうです、その愛情。
○国務大臣(南野知惠子君) 愛情は人一倍あるというふうに思っておりますが、やはり一つの物事を今ここでやっと土台を作り掛けているわけです。その土台を作った以上、それがすてきな形になるまでこれは見ていかなければいけない。ある形を作った後にも、それがしっかりと歩いていけるかというところを見ていかなければならない。それはここにいる人の共同責任であろうかなというふうにも思っております。
○江田五月君 私なんかも法曹になろうとする者から相談受けたりして、君はどういう法曹になろうと思うんだと。法科大学院というのはこういう思想でこういう夢で今作ろうとしているんだけれども、それを共有できるなら法科大学院、そうじゃなくてやっぱり一発試験でということなら、それはあと二、三回まだ、もっとかな、あるから、そっちへと。そして、法科大学院に進んだ連中もたくさんいる。その皆さんが、この制度の今の移行期の受験生の数とかなんとかで、これはやっぱりもうちょっと、あともうちょっと予備校へ行けばあの一発試験通るかもしれないからというんでそっちへシフトすると、こちらの難しさとの兼ね合いでね。こちらというのはロースクール、新司法試験の、というのでこっち、旧来の制度の方へ移っていくようなことが起きたら、起きたら、それは法科大学院を通じてプロセスで法曹を養成するというもののスピリットを壊すことになるという思いで言っているわけです。 最高裁に来ていただいているので伺いますが、裁判官が本当に今問われているんだろうと思うんですよ。私は、この司法制度改革室の一連の経過の中で実は弾劾裁判所の裁判官であったこともあって、ちょうどその当時に、もう名前は忘れてしまいましたけれども、ある裁判官が児童買春、児童ポルノ法で有罪判決を受けて、そして訴追委員会から訴追をされたというケースがあって、もちろん弾劾裁判所の裁判員全員で合議をして判決を書いたんですが、その判決の中に、弾劾裁判所としての裁判官の皆さんに対するメッセージというものを書き込んだつもりでいるんですが、これはあれですかね、現職の裁判官の皆さんに多少は、そういうことを弾劾裁判所として書いたことは役に立っているんでしょうか。インパクトはあったんでしょうか。どうなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 平成十三年にただいま委員おっしゃられた大変残念な事件が発生いたしました。これは国民の司法あるいは裁判官に対する信頼を傷付けたものということで、極めて遺憾な事件であったと思っております。 この事件、今委員おっしゃられましたように、弾劾裁判所の判決がございまして、これは官報に掲載して、だれの目にも留まるような形になっておりますが、そういうことを始めとして、広く報道がされました。様々な御指摘あるいは厳しい御批判、御意見もちょうだいしたわけでございまして、私ども裁判官にとっては大変ショックな事件であったということでございます。 そういう御指摘の中で、今委員がおっしゃられました弾劾裁判所の判決の中でこういうことを申されております。単に裁判官が、その職務の遂行につき、事実認定と法律適用に職業的技量を備えているだけでは足りず、職務の内外を問わず、国民から信頼される人権感覚と識見を備えていることが必要であると、こういうくだりでございまして、ここでおっしゃられることは誠に御指摘のとおり、そのとおりであろうと思います。すべての裁判官が日々拳々服膺すべき御指摘であろうというふうに思っております。 裁判所部内では、この事件を契機に、各裁判官、この問題を非常に重く受け止めまして、それぞれの裁判所あるいは司法研修所における研修等で十分意見交換をし、裁判官の在り方について議論をしてきておりまして、私どもとしても各裁判官の自覚を促してきたところでございます。 今後とも、各裁判官一人一人が高い職業倫理を保持し続けるということは必須のことでございまして、国民からの信頼を失うことのないよう努めてまいりたいと考えております。
○江田五月君 是非、これはよろしくお願いをしたいと思います。 例えば知財高裁を作った、これもまだこれから。あるいは行政事件訴訟法の改革もやった、これもこれからいろいろある。ADRも作った、これは更に個別法を作って実を、実体を作っていかなきゃいけない。 そして最後に、これまでの、昨日もちょっと申し上げましたが、司法制度改革の中で、やはり今後の日本のこの制度の設計とその実施の過程の中で非常に重要な経験を私たちはしたと思うのは、やっぱり公開の問題なんです。司法制度改革審議会がリアルタイム公開、そしていよいよ推進本部が始まって検討会も非常に高い程度の公開性を持って議論をしてきて、そしてこれが一つの、模範と言うとおこがましいですが、形を示したわけですよね。 おとといでしたかね、NHKで二十四時ちょっと前、あれは何だ、「あすを読む」でしたかね、あの中で若林誠一解説委員が、司法制度改革、これだけ、派手ではないけど、かなり大きな改革をやってきたということをおっしゃっていただきましたが、そうやってマスコミの皆さん、あるいは有識者の皆さんみんな、司法制度改革は、細かなところの意見の違いはあっても、これは大切だから精一杯応援しようと。裁判員制度だって、ほらね、国民の普通の人からいうと、裁判所へ呼ばれて裁判に裁判員として携わる、とんでもない話。それでもやっぱりこれをやろうと、みんなとにかく社会のある種のリーダーシップを持っている人たちが言ってくれるようになってきている。それはやっぱりリアルタイム公開でみんなと議論をしながらやってきたことだと思うんですよ。 その公開性、透明性、このことについて法務大臣、最後に、これからいろんな行政をやっていく上で大切なことだと思うんですが、お考えを聞かしてください。それで質問を終わります。
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に今、先生が熱くお話しになられました。そのことについては私もいたく心に刻んでおるところでございますが、司法の難しさ、また司法の大切さということもありますが、それ一つ一つの物事が国民の中に見えていく、国民に開かれていく、そして速く、頼りがいのあるというところもそこに含まれてくるかも分かりませんが、そういう開かれた司法の在り方、国民とともに歩く司法の在り方ということは、これ目指していかなければいけませんし、大切に育てていかなければならないというふうに思っております。
○江田五月君 もし、山崎審議官、最後に何かありましたら一言。
○政府参考人(山崎潮君) 今回のその改正につきましては、国民の視点から物を考えるということでやってまいりました。過去に一度大きなつまずきがあったわけでございます。これは臨時司法制度調査会でございますけれども、そのときのやはり反省点は、やっぱり国民の視点からのテーマではなかったということと、実行の組織をきちっとしなかったという反省が残りました。その後、いろいろごたごたがあった後、法曹三者の内部だけで協議をするという期間が何十年と続いたわけでございます。これは国民から見れば全く見えない世界でございまして、物が言えないという時代がずっと続きました。 今回、先ほど御指摘ございましたように、開かれた組織で、法律家以外の方も多数参加をしていただきまして議論をいたしました。そうしますと、やはり法曹に対する注文はもう山ほどあるなということがよく分かりました。そういうものを今回取り入れて、その成果としてお示しをしたわけでございます。 そういう意味では、今回の改正はそういう意味では開かれた司法というその玄関口になったんではないかということで、十分な意義があっただろうと思います。今後、この玄関口だけで終わるんではなくて、大いに開かれたものにしていきたいというふうに考えております。 どうもありがとうございました。
○江田五月君 終わります。
○木庭健太郎君 法案の審議に先立ちまして、今も御指摘がありました様々な司法制度改革の中で、一つの重要課題でありました、先日審議をさせていただきましたADRの拡充、活性化に関して一つだけ伺っておきたいと思います。 先日、十一月二十六日でございましたが、司法制度改革推進本部の会合において、今後の司法制度改革の推進についてが決定されておりますが、その中に、裁判外紛争解決手続における隣接法律専門職種の活用についてということで、この隣接法律専門職種、ADRの代理権付与の方向性が初めて示されております。 その内容を具体的に申し上げますと、司法書士、弁理士、社会保険労務士、土地家屋調査士、この四資格者については一定のADRの代理権を付与する、行政書士、税理士、不動産鑑定士については将来の検討課題にするというものでございました。 私もこの推進本部決定の方向性について基本的には賛成でございますが、確認しておきたいことが一つあるんです。 それは、推進本部決定では将来課題とされた行政書士、税理士、不動産鑑定士ですね、これについて将来検討するのは当然のことだと思うんですが、その際に、今回一定の代理権が付与された司法書士、弁理士等についても検討する必要はないかということなんです。つまり、何を申し上げたいかというと、例えば今回、司法書士について簡裁の代理関係業務をすることができる、すなわち認定司法書士、これだけがそのADRの代理権の付与のみが触れられていたり、認定を受けていない一般の司法書士については触れられていないんですよね。こういうことを考えると、行政書士について将来検討するのであれば、このような一般の司法書士についても検討しないと、これ資格間でバランスを取ることができないというような様々な問題が生まれるんではないかというふうに思います。 そこで、この点についてどう理解すればよいのか、是非お伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) 御指摘のとおり、十一月二十六日に本部決定でADR代理についてその内容を示しております。 この内容につきましては、ADR代理権を付与すべきものとした司法書士、弁理士等の士業につきまして、現段階で付与するのが相当である代理権の範囲とかあるいはその内容を示しております。それから、行政書士等三つの士族につきましては、全体的に将来の検討課題であるというまとめをしているわけでございます。 したがいまして、この決定の意味でございますけれども、具体的にADR代理権を付与すべきものといたしました士業につきまして、将来においてその決定で示した内容を超えるADR代理権を付与すること、これにつきまして否定するものではないということでございまして、御指摘のようなADR代理権の問題も含めまして、将来の検討課題となり得るものと認識をしております。 特に、先ほど御指摘がございましたけれども、やはりこの士業の権限の範囲の問題につきましては横並びの相関関係、いろいろもうございますので、一つのものが動くということになったときのその横並びの問題というのは、これは当然考えられる話でございます。具体的にどうなるかは別として、そういうことも念頭に置いているということでございます。
○木庭健太郎君 それでは、この給費制から今後変わっていくという問題、この法案についてお伺いをしたいんですけれども、基本的に、現在給費制ではどの程度の額が支給されているのか。つまり、さっきちょっと説明していただいたんでいいかなとも思ったんですけれども、まあ今どれくらいの給費制ではあって手当がこうあるという仕組みになっていると。さらに、今回、今回この検討をする際に、合格者が若年化しているような傾向があるならば、その支給水準を引き下げることで給費制を維持するといった考えというのがあったやにも聞いております。いろんな検討が途中なされたと思いますが、その点どう考えていらっしゃるのか、現在のその水準の問題も含めてお話をいただければと思います。
○政府参考人(山崎潮君) 先ほど、今度新しいその支給の水準につきましては、貸与の水準でございますね、これ申し上げました。平均的なものとして月額二十三万円と十八万円、これは選択をしていただくということと、事情がある方については二十八万円までと、こういう三ランクでございます。現在のその修習生の給与は大体二十万円ちょっとでございますので、ボーナスあるいはそれ以外の手当等を加えますとまあ大体二十五万円平均ぐらいではないかと。その中で、勤勉手当というのは、これはなかなか支給するというのは難しいことでございますので、その分を引いたのが大体二十三万円ぐらいと、こういうイメージで考えていただきたいと思います。ですから、まあほぼ現在の水準は維持をしているということでございます。 それで、問題は、それじゃ一部減額をして残りを支給したらどうかということでございますけれども、この点につきましては、その額いかんによってはそれでは生活ができないというような額になるおそれがあるわけでございます。そういう生活ができないという額では、これは給与と言えないではないかということになります。それから、生活ができる、最低限できるんだということになると、それ以上の資金を何で貸すのかということにもなりまして、なかなかここは悩ましいところでございますし、また、このまま支給を残すということについては、やはり全体としては国民の理解が得られないということからやむを得ず全体を削除したと、こういうことでございます。
○木庭健太郎君 これ、諸外国との比較も当然なさったと思うんですけれども、諸外国でこういう修習生、給与というのが支給されているのかどうか、そういうのがもし実例として何かございましたら御紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) ドイツと韓国が、これは支給、給費制を取っております。それ以外のところにつきましては司法修習がないところもございますので、そういうところは関係ないわけですけれども、それから修習が分離されているところもあります。 そういうことで、様々な態様を設けているわけでございますけれども、現在、そのドイツと韓国、これと私どもの日本と同じ制度を設けていたわけでございますけれども、今回それと違ったのは、ドイツも韓国も司法試験、大学を出て司法試験受かって修習に入るというところまでは同じなんですが、今回、我々のような法科大学院、こういうものを設けていないわけで、ワンステップ、ステップが違うわけでございますので、今回我々は非常に手厚く、法科大学院も出る、それから修習も行うと、両方持っているわけでございます。そういう関係から、やはりその掛かっていく費用が大分違うということがもう事情として出てくるということでございます。
○木庭健太郎君 先ほど具体的な貸与額については御説明いただきましたが、これは当然最終的には最高裁が定めるんでしょうけれども、借りたお金はどういうふうにしてこれ返還していくのを想定なさっているんでしょうか。何年掛かりでどう返すみたいなシステムを作ろうとなさっているんでしょうか。
○政府参考人(山崎潮君) これは最終的には最高裁判所の方で定めるという構成になっておりますけれども、裁判所の方とも協議はいたしておりますけれども、現時点のイメージで申し上げたいというふうに思いますけれども、まず一定の返還の据置期間、これを設けたいというふうに考えております。そのイメージ、大体三年から五年という単位でございます。まだ最終的には定まっておりません。そこからその返還が開始するわけでございますが、年間、年間というか、失礼しました、十年間、十年間で返済をしていただくということで、均等でございますので、まあ大体三百万でありますと年間三十万と、こういう形になるわけでございます。 なお、その繰上償還、返済ですか、これも認めていく方向で考えているというところでございます。
○木庭健太郎君 もう一点、先ほどいわゆるその返還免除制度の問題で、政策的免除の制度についてはいろいろ検討したけれども、最終的には導入しないということを決めたんだというお話がございました。それもそれで一つの考え方でしょうが、やはり例えばこれから司法ネットを作っていくとか様々な問題を考えたときに、例えばお医者さんで自治医大がやるときに、過疎地にお医者さん派遣するとき、これ自治医大、たしか奨学金を出しながら、過疎地に行くという場合は免除するとか、実際現実にそこに配置しようと思ってもなかなか埋まらないケースが起きるわけですね、医者においても、過疎地という問題は。 これから、さあ司法ネットを立ち上げようと。さっき、ひまわりの問題されましたし、それは使命感のあるそういう人たちも出てらっしゃることを期待はしますが、それだけに期待しておいて本当にそんなものができるのかと。そういう意味でいけば、やはりその過疎地対策辺り、特に地方、過疎地の問題を考えたときには、やはりこういったものの一つの返還免除がこういうところであるというようなことがあれば、政策的にこれは使える問題として私はもうちょっと御検討いただいた方がよかったような気がしてならないんですが、更にちょっとお尋ねしておきたいと思うんです。
○政府参考人(山崎潮君) この司法ネットあるいは過疎地の問題、これにつきましては私どもの検討会でもかなり議論がございました。最後の最後まで議論があったというように承知はしております。 この問題は、例えば司法ネットの常勤弁護士として過疎地で勤務をするといった場合に、この司法ネットは大都市もございます。そうなりますと、その大都市と過疎地で仕事の違いがあるのかということの、例えば公的な業務、過疎地は公的にみんな行っているじゃないかということになると、都会でも公的じゃないかという問題もどうしても生じてくる。それから、過疎地で勤務するのは弁護士だけではございませんので、裁判官、検事も過疎地で勤務をするということになります。それから、日弁連で御努力で、ひまわり基金で行っている弁護士さんもおられるわけでございます。それから、余り例は多くございませんけれども、退官後、自らの希望で行かれている方もおられるわけでございます。 そういう方もその横並びにどういうふうに考えていくかということをよくよく考えると、極めて難しい問題じゃないかと。その入れ方によってもまた大変な論議を呼び起こす可能性もございます。そういう点も考えまして、今回はとにかくそういう問題については、その政策的な免除という点については盛り込まないという結論をしたということでございます。
○木庭健太郎君 いろんな観点から法案として賛成をしようと思っているんですけれども、やっぱり考えてみると、これが将来、一年間三十万、十年間ですか、その前にこの人たちは多分、法科大学院に行って、それから修習に入るわけですから、法科大学院というのは、これは行きますと、それは学費等どうするかという問題になると、これは奨学金の制度、文部省に組み立てていただいておりまして、奨学金が借りられると。でも、場合によっては、その法科大学院に行っていた間だけで一千万近いような借金というのは起こり得る可能性あるんじゃないかと。さらに、今回、この給費制がなくなれば、また金借りるわけですよね。そういう意味では本当にどうなんだろうかと。つまり、司法を目指そうとする、そういうものを目指そうとする人たちの意欲をそいでしまうことになりはしないかという心配は、今もそういう批判はこの法案に対してあるわけですよね。 そういった問題に対して、経済的事情から法曹になるのを断念せざるを得ないということにならないのかと、こういう不安に対してどういうお答えをなさるのか、お聞きしておきたいと思います。
○政府参考人(山崎潮君) 法科大学院で借りる場合、当然ございます。このたびの改正で月額二十万円まで借りられるようにいたしました。これで三年間で計算をしますと、七百二十万という計算が出てまいります。普通二十万あればどうにかなるのかなと。それ以外に教育ローンというものがありますので、それを借りるともっと行くということにはなりますけれども、二十万円で七百二十万円、それからこの修習の関係で三百万円が加わると、これ大体一千万円ということになります。奨学金の方は二十年年賦で払うということでございます。そういう長さがあるということと、私ども、その修習資金の返還につきましては据置期間を設けまして更に十年ということでございまして、それなりの配慮をしているつもりでございます。 両方がダブるとき少しきつい期間があろうかと思いますけれども、それにしましても最終的にその収入の中から返していけない額ではないだろうという理解をしておりまして、そういう、余り無理な計画であれば法曹を断念するというおそれもございますけれども、そこまで至らないところであろうという理解をしておりまして、これがあるからといって法曹を断念することのないように、是非一杯優秀な方に来ていただきたいというふうに思っております。
○木庭健太郎君 今回の改正案に関していろんな意見はあるんですけれども、当初は何か、司法試験の合格者がこれから増えていくんだから、修習生に支給する予算額が増えるとこれは大変だから給費制じゃなくてちょっと貸与制に変えようかみたいな論調がマスコミではあったような気がいたすんです。 ただ、私は、今回の改正というのは、この司法修習生だけの問題でなく、例えば司法ネットの問題である、例えば裁判員の問題である、大きな司法改正の中で、それに全体である意味では取り組んでいかなければならない。その取り組んでいく位置付けの中で、一体この給費制という問題をどう考えればいいんだというようなところから議論をしたんだということがはっきり国民に分かっていただくことが必要ではなかろうかという気はしておるんです。 したがって、この問題についても、ほかの法案も一緒なんですけれども、司法制度全般の改革の中から、一体、今回こういうことで多少我慢していただきますよということが起きてきたんだという説明が、国民に分かりやすい丁寧な説明が不可欠であると思っておるんですが、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) 法曹を質、量ともに充実させるために、司法修習生の大幅な増員が求められております。また、このたびの司法制度改革を実現していくに当たりましては、国民の負担を伴うことについてその理解を得ていく必要があろうかと思っております。 このたびの貸与制への移行ということにつきましては、このような状況にかんがみまして、単に財政事情が厳しいからというのではなく、国民のための司法制度改革全体を実現するため、財政資金をより効率的に使っていこうとするものであるというふうに思っております。
○木庭健太郎君 新しい司法試験について、何点かお伺いしておきたいと思います。 先ほども少しこの新司法試験について議論がなされておりました。先日、法務省からサンプル問題が公表され、いろんな意味で話題になっておりましたが、そもそもこの新司法試験の理念というのはどんなものなのか。また、現行試験とどう異なるかをお伺いをいたしたいし、先ほど寺田部長の御説明によると、来年夏ごろにはプレテストというか模擬的、模擬試験のようなものも実施するというようなお話をされたようでございますが、それについて検討、準備の状況、御説明できる点があれば、併せて説明をしていただきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 新司法試験でございますが、度々申し上げますとおり、法科大学院、これは新しい法曹養成の中核を成すものでございますけれども、そこでの教育と司法修習、こういった一連の流れの中で相互に連携を取って行われるべきものというところで、具体的に申し上げますと、やはり法科大学院の教育内容というものを的確に反映して将来の法曹としての能力というのを本当の意味で試す、そういう試験ということになるわけでございます。 具体的にその内容がどうなるかでございますが、もちろん第一次試験等がないという形式的なところがございますけれども、内容面からいいますと、まず口述試験というものが新しい司法試験にはございません。これは先ほどの流れの上から申し上げますと、この種の能力というのは基本的にほとんどの方が法科大学院で学ばれるということでございますので、そちらの方で能力を身に付けるということを旨としているからでございます。 第二に、試験科目が変更されまして、これまでの憲法、民法、刑法などという法律単位のくくり方から公法系科目、民事系科目及び刑事系科目という大きなくくり、幅の広いくくりになったわけでございまして、より考え方を試しやすい、あるいは実務で出てくる幅広い問題をいろんな角度から聞けると、こういう体制になるわけでございます。 第三に、出題の内容そのものでございますけれども、これは先ほど申し上げましたサンプル問題をごらんいただけるとより分かりやすいんでございますが、短答試験につきましては幅広い分野から基本的な問題を多数出題するという方向で検討が行われておりまして、他方、論文式試験においては、より現実に即した多種多様で事実関係に基づく長い文章を読んだ上で様々な答えに、様々な角度からの出題に答えていただくという、非常に受験生にとりましてはタフな試験ということになろうかというふうに考えております。 それから、プレテストでございますが、これは来年の夏に実施するということでございまして、その内容は先ほど申し上げましたサンプル問題等をごらんいただくと分かりますが、同じような傾向の問題を現在、司法試験委員会の下で具体的に作業をしていただいておりまして、その内容に従って出題をすると、こういう予定でおります。 なお、更に準備することが多数ございますので、またその経過に従って御報告を申し上げます。
○木庭健太郎君 司法制度改革審議会の意見書の中に、高度の専門的な法的知識を有することはもとより、幅広い教養と豊かな人間性を基礎に十分な職業倫理を身に付け、社会の様々な分野において厚い層をなして活躍する法曹を獲得するというふうにその目的が書いてあるようでございます。法科大学院の第一期生、確かに多様な人材集まって、意見書にあるような法曹人目指して一生懸命取組をされていると。 ただ、今年行われた法科大学院の第二回の適性検査の受験者数を見ますと、法科大学院の志望者が昨年より大幅に減少したという報道があっております。いろんな理由はあると思いますが、ただ、ここで一番大事なことは、やはり、じゃ、その新司法試験というのは一体合格者どう考える、そういう問題でいろいろ議論になっていますから、この辺は十分確保するとともに、もっとはっきりする必要があるんじゃないかなというふうに思うんですけど、見解をまずちょっと伺っておきたいと思います。
○政府参考人(寺田逸郎君) 今御指摘のとおり、受験者が適性試験においては減少したという報道がございます。私どもの方も文部科学省の方から減少の事実だけは伺っております。 その理由は様々ございましょう。ごく常識的に考えますと、やはり最初の試験はそれまでその制度の発足というのを待っておられた方が相当おいでになるんで、そういったことを差し引きますと減少自体はやむを得ないことであろうというふうに思いますが、これが本当にこれから制度を担っていけるような人に対する何らかの阻害要因があることによるものだとしたら、事は重大でございますので、私どももその傾向というのを今後注視してまいりたいというふうに思っております。 司法試験の具体的な在り方、特に合格者数の問題につきましては先ほども詳しく申し上げたところでございますが、現在、司法試験委員会の方でこの新しい法曹養成制度の理念、それからこれまでの推進計画、あるいは推進本部での法曹養成検討会での議論などを基に議論を行っていただいているところでございます。 基本的には、この司法試験委員会の理解も法科大学院制度を新しい法曹養成の軸とするというところでは全く意見の一致を見ておりまして、この五年間の現行試験との並行期間中もできるだけそういった理念を尊重してやっていこうということにおいては全く変わりはないものというふうに私どもも理解をいたしております。
○木庭健太郎君 最後に、大臣にこの問題をちょっとお聞きしておくんですけれども、合格者数の問題が取りざたされて、いろんなことがこれ話題になりました。これも十一月の二十六日だったと思いますが、今お話のあった司法試験の委員会ですか、ここで初年度は新試験の合格者を多くすることで見解が一致したというようなことが報道されていたようでございます。 私は、とにかく先ほど申し述べました意見書の理念に基づいて正にどう人材を確保するかということが大事なことであって、いろんな関係者の意見も聴取されながらできるだけ早い機会にその新司法試験の姿を示すことが最も大事なことじゃないかなと感じておるわけでございまして、大臣、この問題について実態を的確にとらえられた上で、一番大事なことはとにかく早期に明確な方針を示すことだと思っておりますが、大臣から所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。 現在、司法試験委員会において新旧司法試験の合格者数など、その在り方について検討しているということは聞いておりますが、この委員会では、法科大学院についての各種の資料が提示されておりますほか、委員の方々が複数の法科大学院の授業を参観したり、今後、法科大学院関係者などからヒアリングを行う予定であると伺っております。これらを通じまして法科大学院の実態の把握に努められております。 司法試験委員会におきましては、これらの結果をも踏まえながら、司法制度改革審議会意見書の趣旨等を尊重しつつ、今年度を一応のめどといたしまして新旧司法試験の合格者数に関する概括的な考え方を示されるものと思っております。
○木庭健太郎君 終わります。
○大門実紀史君 大門でございます。 今日はちょっと畑の違うところに出てきておりますので、是非分かりやすい簡潔な御答弁をお願いできればというふうに思います。 まずお聞きしたいのは、素人なりに考えても、司法というのは国の骨格を形作るものであって、その司法に携わろうとする司法修習生というのは国民的に言えば、何といいますか、国の宝みたいな、かなりそういう貴重な重要な存在だと私は思うわけです。 今日、議論をお聞きしておりますと、先ほども財政の効率性だとか費用の問題、とにかく財政上の問題がいろいろ言われておりますけれども、本当は法務省としては、そういう制約がなければ、本来この司法修習生に対してもっと手厚くしてあげたいというのが本当の法務省の本音ではないかというふうに思っているところですが、この点を大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(南野知惠子君) 法曹に関連いたしまして、法曹を質、量ともに充実させるため司法修習生の大幅な増加が求められております。もう先生御存じだと思います。また、このたびの司法制度改革を実現していくに当たりましては、国民の負担を伴うことにつきましてその理解を求めていく必要があろうかというふうに思っております。 このような状況にかんがみますと、今後も更に国民の負担を増やして給費制を維持するということについて国民の理解を得ることは困難ではないかというふうに考えられております。そこで、司法修習生が修習に専念できる環境を確保しながら給費制を貸与制に切り替える必要があると、これもやはり国の関与でございます。 このたびの貸与制への移行は、単に財政事情が厳しいからというようなことではなく、国民のための司法制度改革全体を実現するため財政資金をより効率的に行っていこうとするものでございます。今までの給費制もこれも正しかった、そして、今改革していこうというこの道筋も私は正しいものであろうというふうに思っております。
○大門実紀史君 私、お聞きしたのは大臣のお気持ちの部分ですので、それを後ろからペーパーじゃなくて是非答えていただきたかったと思うんですけれども。 要するに、今も出ましたけれども、財政的な問題が何だかんだ言っても最大の理由として、効率化という言い方、いろいろありますね、合理化とか。いずれにしても財政問題でございます。それを理由にして給費を貸与にすると、私は、ただそんな程度の話だったのかと、この給費制度そのものがですね、非常に、そんな話だったのかというふうな疑問を、素朴な疑問を感じます。 戦前から、司法試験合格者のうち裁判官、検察官になる方は有給でやってきたと、それで弁護士になる方は弁護士試補ということで戦前は無給だったわけですね。それが、戦後、司法試験合格した者すべて司法修習生にして有給にするという改革が行われたわけです。 ならば、お聞きしたいと思いますけれども、戦前、まず、司法官試補、つまり裁判官、検察官になる者を有給にした理由は何なのか、戦後の改正で弁護士さんも有給にした理由は何なのか、お答えいただけますか。
○政府参考人(山崎潮君) まず、戦前の制度でございますけれども、この制度については余り記録がはっきり残っていないので断言はできませんけれども、いろんな資料から分かる範囲でお答えを申し上げます。 まず、そのすべての司法官試補、これに給与が支給されていたのかどうかという点も、支給されていなかったというふうに発言されている方も、そういう方もいたという発言もございまして、ここも余り定かではございません。それからまた、支給されていた理由についてもなかなかこれはっきりしたものはございません。 ただ、その司法官試補は、官選弁護人、今の国選弁護人と同じでございますけれども、それとして刑事弁護を行うなど、現在の司法修習生とは権限がどうも異なっていたという点が一つございます。それから、当時は、裁判官やあるいは検察官、こういうふうになる者に対しては国から給与を支給するということは当然だと考えられていたと、そういうような発言をされている方もおられるわけでございまして、そういうことでこのような制度が設けられていたというふうに理解をしております。 それから、戦後ですが、これが理念が変わったという点につきまして、これも国会の議事録、余りはっきり言っているものがないわけでございますけれども、基本的には、その給費制は法曹の職務の重要性にかんがみまして、司法修習生が生活の基盤を確保して修習に専念することができるようにして、その修習の実効性を確保するための一つの方策として採用されたというふうに理解をしております。 ただいま御指摘の、非常に公的な仕事をこれからやっていくじゃないかという点についてはそのとおりでございまして、したがいまして、国庫で修習を行うと、この理念は非常に大切であるということでずっとこれは守っていきたいということでございますし、今後もそういう点は続けていきたい。ただ、給与を支給するか貸与にするかというのはまた別の配慮で行っていくと、こういうことでございます。
○大門実紀史君 私は、給費と貸与で大きな違いがあると思っておりますんでここのところにこだわるわけですけれども、要するに、修習に専念してもらうと、その義務を課すということだけだったらば戦後間もなくだって貸与にすることもあり得たんじゃないでしょうか、そのときにね。なぜ、そのときに給費にしたかと、貸与でなく給費にしたのかということが聞きたいわけです、お分かりでしたら。
○政府参考人(山崎潮君) これも資料がなかなかなくて、若干推測にわたるところあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思いますが。 まず、戦前から戦後の初めのころ、法律家が非常に少なかったと思います、全国的にですね。やはり、国策として法律家を育てていくと、こういう政策があったんだろうと思います。当時は、司法試験の合格者、第一回目辺り二百数十人でございまして、しばらくは三百人台というような時代が続いたわけでございまして、そのぐらいの人数でやっぱり国策として法律家を育てるということに理解があったと、こういうことであるというふうに思っているわけでございます。 今後は、これが三千人時代になっていくわけでございますし、法律家が現在足りないといいながら、戦後のときの足りなさよりははるかに多くなってきているということで、十分に育ってきているだろうと。それから、このように給与を支給している例というのがほとんどないと、こういうことで国民の理解が得られるかどうかと、こういう点で事情が変わったと、こういうことでございます。
○大門実紀史君 ただ、それは山崎さんの、この資料がないわけですからね、そのときなぜそうしたかという資料がないわけだから、今の時点で、かつ山崎さんの御意見としか聞こえないんでね。 私は、財政支出上の問題で、財政上の問題でということで今回給費を貸与にするということから考えますとね、財政というのは今確かに厳しいですね、国の財政、厳しいと。だから、厳しいから給費にするか、貸与にすると、こういう問題ではなくって、戦後で間もなくだって財政厳しかったわけですよね。それでも給費にしたと。それは国策だと、何らかの国策があったと思いますけれどもね。それは今だって私は通じるものがあって、もう少し給費にした意味は重いものがあったんではないかというふうに、例えば財政に余裕があったからやってきたと、今余裕がないから貸与にするというのはこれ変な話だと思うんですよ。国の財政というのは、余裕があろうが厳しかろうが、厳格な支出を求められるわけですからね。最初から、そんなこと今更、今ごろ言うんだったら、最初から貸与にすればよかったじゃないかというふうに言われてしまうような事柄だというふうに私は思います。 ですから、私は何人かにお聞きすると、もう少し、何といいますかね、この司法修習生に対する位置付けがきちっとして給費にしたというようなことを書かれている方がいらっしゃいます。その当時のことを知っていらっしゃる方ですね。つまり、司法に携わる者、その卵に対する、何といいますか、もっと金で考えるような話じゃなくって、もっと厳粛な、もう少し崇高な位置付けがあったんではないかと。だから、国民の皆さんも、何といいますかね、それに対して、そういう若者たちに対して、ある意味では敬意を抱いたり期待をされますからね、それを理解してけちを付けるということもなかったんではないかと。 今だって、国民の多数は私はそう思っていらっしゃるというふうに思います。国民の理解が得られないとかおっしゃいますけれどもね、だれがそんなことを一体言っているのかと。そんなアンケートでも取ったんですか、取られていないですよね。これはもうレクでお聞きしましたから、時間の関係で聞きませんけれども。 私、要するにこんなことを一々けち付けているのは財務省じゃないかと、非常に強く、私、ふだん財政金融委員会おりますんでね、感じるんです。 もう一つは、今回非常に初めて、初めてじゃないかと思うんですけれどもね、財務省の財政審建議で、受益と負担の観点からと、受益者論というのが初めてこの司法修習生の話に持ち込まれております。私はこういう問題を受益者論で考えるべきではないというふうに思いますが、法務省、いかがお考えですか。
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のように、財政制度等審議会ではそのような御意見があったということはそのとおりでございます。私どもも、こういう御意見は一つの意見ということでありまして、これがすべてを決めたわけではございません。 先ほど、統計とかみんな意見聴いたのかということでございますが、この前身に司法制度改革審議会というのがございまして、その中でもかなり議論がされまして、法曹の方は給費制を維持すべきだという意見が強かったと思いますけれども、それ以外の方については、やっぱりもう例外はなくすべきだという意見がかなりあったと。 それから、私ども検討会でも、これ、もう二年間にわたって十分議論したんですけれども、最終的には、一人の反対を除いて全員が給費制をやめるべきだと、こういう御意見で、特に、法律家以外の方の強い御意見もございまして、やはりこれは国民の声を反映しているんではないかというふうに思います。
○大門実紀史君 受益者。受益者負担、どう思われますか。
○政府参考人(山崎潮君) 受益者負担ですか。受益者負担という……
○大門実紀史君 負担論。受益者負担論、お聞きしたんですが。
○政府参考人(山崎潮君) 受益者負担論というのは、それはやはり、その受益者だから、当然そういうものを負うべきだろうとかですね、それからこういうものを支払うべきだというような、その受益者というような、そういう観点ではないだろうというふうに私は考えております。
○大門実紀史君 私もそう思うんです。だったらば、何でそういう声に抵抗されて給費制度守らないのかと。だって、この貸与制度という制度そのものは受益者論ですよ。貸与制度というのは受益者論なんですよ。この制度、皆さんが提案されているのは、そのものが受益者論に成り立っているから貸与制度を提案されておるわけですよね。だから、私、こういう問題を金目のことだけでどうこう言うような、何といいますかね、貧すれば鈍するといいますかね、非常に低レベルのことで議論されているというふうに思います。 私は、この司法修習生を給費にしてきた意義、効果というのは、いろいろお聞きしますと実態的には二つあると思うんです。 一つは、日弁連の言葉をおかりいたしますと、公的使命を自覚をしてもらう、あるいは醸成してもらうと、司法修習生の間にですね。もうちょっと平たく言いますと、国民の税金で、かつてなら二年間ですね、司法修習生の時代に、国民の税金で御飯を食べると、その間に何考えるだろうと、これから法律家になる人がですね。やっぱりそれは先ほど言いました、多分戦後の位置付け、そういうことがあったと思うんですけれども。 あなたたちは公的な、弁護士になろうが裁判官になろうが検察官になろうが公的な、社会の公的な使命があるんだよと。だから、国民の皆さん苦しい中で、皆さんを司法修習で勉強させるために、専念させるためにお金を出しているんだよと。この、もう最初の段階でのインプットをするという大変大きな効果があったと。日弁連なんかが公的使命の醸成とおっしゃっていますけれどもね。もちろん、後で踏み外す人もいるかも分かりませんけれども、最初の大事な時期に、大事な二年間なりに、そのときにインプットすると。政治ができるのはそこまでですよね。後その人の人生、責任持てませんから。若いときにそういうことをやるというのは非常に重要な効果、意義があったと思います。 二つ目は、よく言われています、貧富の差を持ち込まないと。貧しい、生活が裕福じゃなくてもちゃんと司法資格取れるようにと、これ保障するためと。二つありますけれどもね、あったと思いますけれども。 私は、重要なのは、今回の改正で何が重要かといいますと、受益者負担論という、これはもう何といいますかね、こんな考え方をこういう制度に持ち込んでいいのかというふうに思いますよ。 もう、この非常に卑近な理屈なんですよ。金貸して、受益者論だから、金貸してやるから後で返せと。こんなことは戦後、これ何十年続いた制度ですか、この給費制、給費制度。何十年の中で、法務省の皆さんの先輩方が、これ非常に思い入れを持って給費制度を作られたのに、こんな卑近な、こんなつまらない低次元の理屈で、しかも予算的には何年か先に三十四億増えるだけでしょう。国全体の予算からしたらわずかじゃないですか。それを節約する、それを合理化するために、それだけのためにこんな理屈で、はいはいと言ってこの貸与制度に変える、そういう提案をされていることそのものが私非常に問題だと思いますし、これはどんな影響を与えるかといいますと、司法修習生に、これは目に見えぬ影響を与えます。 給費だったらば、さっき言った原点に戻って、この制度を作った原点から始まっている、あなたは社会のために働くんだということをインプットされると思います。 ところが、貸与ですよと、受益者なんですよとあなたは、利益を得る、生む、得るんですよと、法曹になったらですね、資格を得たらと、これをインプットしてしまうわけですね。 これ大きなことだと思いますよ。この司法修習制度という、修習という中身に与える影響としてはですね、これはどう目に見えて現れてくるかはこれから分かりませんけれどもね。こういう国の位置付けを、大きな位置付けを今回大幅に、大幅に変えられたのが今回の改正だというふうに思いますけれども、その辺の認識はいかがですか。
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、御指摘のとおり、国の人材を育てていくと、大変な重要なことでございます。したがいまして、国庫でですよ、国庫で教育をしていくと、これでも何十億掛かっているわけでございますので、そういう点ではそこの認識はきっちり持っているはずでございます。それについては、だから受益者負担とは言っていないわけでございます。正に国がやっているわけでございます。 ただ、その給与を払うか払わないかについては、現在、司法界では皆大事だというふうに言うかもしれませんけれども、それ以外の方の賛同がなかなかもう得られない時代になっているということでございまして、それを反映してやむなくこういう制度にするということでございますので、そこは御理解を賜りたいと思います。
○大門実紀史君 ですから、私は、国民の皆さんからそんな声出ているんですか。司法修習生、貸与にしろなんて、出ていないでしょう。だから、賛同得られないのは財務省だけでね。だれも言っていないじゃないですか。国民の皆さん、司法修習生、給費でけしからぬなんて声出ていないですよ。その審議委員の人たちは何を聞いてこられてそんなこと言われたか知りませんけれども。 もう一つは、法曹資格に貧富の差を持ち込まないという点でいきますと、これ実態的にいきますと、簡単に言いますと、法科大学院で奨学金制度、最高七百二十万もし借ります、司法修習生で貸与、最高三百万借ります。弁護士になって、若いうちから払わなきゃいけないのは、毎月六万円です。若いうちの、若いころの弁護士さんの給料というのは五百万から六百万ぐらいですよね。私は、これ返せないとは言いません、返せるでしょう。だけど、どんなインセンティブが働くんですか、その弁護士さんに。やっぱり、一定稼がなきゃいけないと。世のため人のために働けば働くほど、貧しい人のために働けば働くほど、弁護士さんの収入というのは減るんです。だから、余計なインセンティブが働くというふうに申し上げたいと思います。 時間が来ましたので、申し上げたいことは、こんな大事な問題を、今、新自由主義的といいますか、何でも受益者負担だとか財政効率性だとか、そんなことがまかり通り過ぎちゃって、国が守るべきものとか譲ってはいけない一線までどんどん崩されていると私は思うんです。それがこの一つだということを指摘して、質問を終わります。
○委員長(渡辺孝男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、尾辻秀久君及び関谷勝嗣君が委員を辞任され、その補欠として中川雅治君及び岡田直樹君が選任されました。 ─────────────
○委員長(渡辺孝男君) これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○大門実紀史君 日本共産党を代表して、反対の討論を行います。 反対理由は今申し上げた質疑の中で明らかにいたしましたので、簡潔に整理して申し上げるだけにします。 反対理由の第一は、給費制度とは法曹養成の根幹を成すものであり、財政上の理由などで廃止するものではないということでございます。 貸与制にすることは、法曹になることを受益者とみなす受益者負担論を取ることであります。弁護士、裁判官、検察官、いずれにしても、法曹とは個人の利益のみを追求する職業ではないはずです。法曹養成に関する国の負担は、財政が厳しくなったからやめてしまうといった種類の問題ではございません。 反対理由の第二は、資質、能力があっても経済的事情から法曹への道を断念する事態が想定されることです。 国民各階層から多様な人材が法曹となることを可能にしてきた給費制度を廃止し、貸与制にするために、資力に貧しい修習生の勉学・生活環境の悪化を招くことが想定できます。今後の司法を支えるにふさわしい資質、能力を備えた人材が経済的事情から法曹への道を断念する事態も想定され、その弊害は極めて大きいと言えます。修正して実施を先延ばししても、法案の本質は変わりません。 以上の点から、本法案に反対するものであります。 終わります。
○委員長(渡辺孝男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 裁判所法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺孝男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました裁判所法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 修習資金の額については、法曹の使命の重要性や公共性にかんがみ、高度の専門的能力と職業倫理を備えた法曹を養成する見地から、引き続き、司法修習生が修習に専念することができるよう、必要かつ十分な額を確保すること。 二 修習資金の返還の期限については、返還の負担が法曹としての活動に影響を与えることがないよう、必要かつ十分な期間を確保するとともに、司法修習を終えてから返還を開始するまでに、一定の据置期間を置くこと。 三 給費制の廃止及び貸与制の導入によって、統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることがないよう、また、経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう、法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め、関係機関と十分な協議を行うこと。 四 新司法試験については、法科大学院における教育及び司法修習との連携によるプロセスとしての新しい法曹養成制度の理念と成立の経緯を踏まえた実施を図ること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(渡辺孝男君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(渡辺孝男君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、南野法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。南野法務大臣。
○国務大臣(南野知惠子君) ただいま可決されました裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。 ありがとうございます。
○委員長(渡辺孝男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時八分散会