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161回国会参議院2004/11/02

財政金融委員会 第3号

発言数
124
登壇者
16
会派数
5
開催日
2004/11/02

会議録

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁総務企画局総括審議官三國谷勝範君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君外四名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 自民党の舛添要一です。  昨日、新しいお札が出まして、まあこれはなかなか偽造ができないいい物だと思いますし、これの発行を機に、日本経済ぐっと上向きになってもらいたいと、みんなもそういう願いを持っていると思います。  それで、最初、お札の経済学のような話をお伺いしたいんですけれども、低金利でたんす預金が非常に増えていると思いますが、日銀総裁、どれぐらいたんす預金あると思われていますか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) まず初めに、日本銀行のいわゆる半期報の詳しい御審議を今日ちょうだいすることになりまして、誠に有り難く存じております。  早速御質問にお答えしたいと思いますが、たんす預金というのは、厳格に言いますと本当にたんすの中に入っているお金ですので正確にはつかめませんが、おおよそ銀行券の発行残高という形で申し上げますと、現在約七十兆円という非常に巨額の銀行券の発行残高がございます。これはGDPの対比で見ますと約一四%と、やはり過去の経験則からいいますと、ある意味で異様に高い、戦後、もちろん戦後最高の水準と、こういうことになっていると思います。  新券は、発行直後はこれが大事にされる傾向があります。特に今回の場合は、今お言葉賜りましたけれども、町に昨日から出まして比較的評判がいい感じもございますので、しばらくの間はこれは皆さんがしっかり持っていただくことになると思いますが、新券発行の影響というのは時間の経過とともに平準化するだろうというふうに思います。しかし、根っこの、今のたんす預金の大きさというのがこれからどういうふうに推移するか、これから先の金利情勢と金融システムの落ち着きに対する人々の安心度合いの高まりということにかなりかかわっているんではないかというふうに思っています。    〔委員長退席、理事平野達男君着席〕

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 この新札発行を機にたんす預金が外に出て少し世の中の金巡りがよくなるんじゃないか、そういう意味でマネーサプライ増えるんじゃないかと、こういうふうに期待していますけれども、そういうことはございませんかね。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 日本銀行、昨日は朝六時から発行を開始いたしまして、そのとき一言あいさつを述べよということでございましたので、このお金が生き生きと人々の気持ちを刺激して、いい意味で刺激して、生き生きと使われて、新しい日本のダイナミックな経済社会の建設に大いに役立ってほしいと、こういう願いを込めた言葉を申し上げました。本当に、私、そういうふうに思っています。  たんす預金というのは、やっぱりお金、皆さんの貴重な財が静かに眠っている状況であります。本来ならば、世の中に出て活発な経済社会の活動とともに動いてくれなきゃいけないお金ですので、今のたんす預金、今後時間の経過とともに、そういう活発な役割を果たすような場面に置き換えられていくということは非常に重要なことだというふうに思っています。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 それと、この新しいお札はサイズは前のと同じなんで、自動販売機なんかを総取替えということはないと思いますけれども、少なくともソフトを替えないといけない。そうすると、この内需拡大効果というのは、総裁、どれぐらいになると見通しておられますか。これも難しい質問ですが、お見通しで結構です。    〔理事平野達男君退席、委員長着席〕

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 正確な数字は、もし執行部の方で持っていれば答えていただきたいと思いますが。  やはりソフトウエアの組替え等で相当コストが掛かります。これは、コストは掛かりますけれども、新しいお札が前向きに使われていくための必要なコストというふうに考えれば前向きの投資というふうにも見えるわけでして、ちょっとどれぐらいの金額になっていますか、私、申し訳ありません、今は承知しておりませんが、そういう意味での経済効果は確かにあるというふうに思っています。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 多く見れば九千億ぐらいというような数字も出たり、一兆円規模なればこれも内需拡大効果があると思いますので、そういう点も期待したいと思います。  今ちょうどそのお金の話が出ましたので、マネーサプライのことをちょっとお伺いしたいんですけれども、私自身、マネーサプライ見ていて、前年比で二%程度の伸びだと思いますが、多いときはやっぱり四、五%伸びていた、ちょっとやっぱり伸び率が鈍化しているんじゃないかなという懸念がございます。  同じような懸念を、総裁、お抱きになるとすれば、それはどういう理由からか、なぜこの二%程度で四、五%じゃないのかという御説明できますでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 委員御指摘のとおり、今マネーサプライの伸び率、大体二%ぐらいと、ここしばらく余り大きな変化なく推移しております。経済との関係でこれをどう見るかということでございますが、マネーサプライの残高と今の経済規模と申しますか名目GDPの大きさ、これとの比較でいきますと、例えば名目GDPをそのマネーサプライの残高で割った場合には非常に小さな数字になるというふうに、つまり残高として存在していますお金の回転速度が非常に低いと。  つまり、経済規模との対比では非常にたくさんのお金が供給をされているということが一応言えるんですが、しかし、おっしゃるとおり、伸び率そのものがやはり今後の経済の着実な回復を、何といいますか、示唆するような強い伸びになっていないと、その点は私どもも、先行き大事なことでございますので、非常に慎重にウオッチし続けているという状況でございます。  私どもの理解は、委員も御承知のとおり、日本の企業というのは財務体質改善のために、これはバブルの反省ということが非常に強うございますが、財務体質改善のために過去の借金を今の段階ではなるべく多く返す、その後で、つまりスリムな財務体質を身に付けた後でより強い投資行動に踏み切ろうと、今ちょうどそういう移行過程にあるというふうに思います。  現在、見ておりますと、銀行の融資態度というのがだんだん企業の方も気になってきている。この先、本当に借金するときに銀行はどういう態度で出るだろうという目で銀行の態度をずっと企業の方からごらんになっているようでして、銀行の融資態度はかなり厳しめから緩いめに変わってきているなという認識を持っておられるようでして、実際にお金を借りようという段階になると、そんなに困難を伴うことなく借りられるんだなという認識は強めてきておられると思います。したがいまして、もう少し景気の持続的な回復ということへの信認が高まることと、自己の財務体質の改善の進展度合いについて、もう少し満足のいくところまでいった段階からは緩やかにマネーサプライが増える可能性は強いだろうと、そういうふうに思って見ております。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 今の総裁の御答弁にもありましたけれども、銀行貸出し自体が九月でマイナス一・二%ぐらい、前年比、であると思いますが、この減少幅がだんだん、つまり貸出し態度が緩和してきているという、この傾向は続くというふうにお考えでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) この傾向は、ここしばらくの間、大手の銀行だけでなくて、地域の金融機関についても委員御指摘のような傾向が非常に明確にうかがわれ、かつこれが続いているということでございますので、恐らく今後もこの傾向が続き、いずれ銀行貸出しはネットでプラスの増加という局面に入っていくだろうと、これはほぼ間違いないんじゃないかなというふうに見ております。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 次に、景気の見通しについてお伺いいたしますけれども、一部の論者、それから私も幾つかの指標を見ますと、景気が場合によっては後退、下降局面に入っているんではないかなと。例えば、株価を見ました場合に、一万円、一千に行かない、なかなか一万二千円というところまで行かない。これは原油高とか地震、台風、テロとかいろんな要因がございますから株価だけで見ちゃいけないんですが、こういう下降局面に入ったんじゃないかという見方に対しては日銀としてはどう見ておられるのか。福井総裁自体は、やっぱり堅調な回復傾向は変わらないと見ておられるのか、その御判断をお聞かせください。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 一つ明確に申し上げられますことは、昨年の後半以降始まりました、より明確に認められるようになりました現在の景気回復の過程で、今年の春先ぐらいまでは次々と出てまいります新しい経済指標が多くの方の事前の予想よりはいいと、言わばポジティブサプライズの連続というふうな時期がございましたけれども、春先以降、最近に至りますまでは、出てまいります経済指標が強弱まちまちと。時々、予想以上に悪い指標というものも混じって出てくるようになりまして、したがいまして人々の日本経済の先行きを見る目が少し弱気の要素も入ってきていると、こういう状況じゃないかと思います。  そういう雰囲気の中で、私ども日本銀行の判断といたしましては、先週の金曜日の政策決定会合で改めて見通しを出さしていただきましたとおり、今年度、今走っております二〇〇四年度につきましては大体実質三・六%ぐらいの経済成長を遂げ、かつ明年度、二〇〇五年度につきましては成長率は少し鈍化すると、二・五%前後の成長率というふうに成長率は少し鈍化いたしますが、しかし日本経済の持っております本来の実力、潜在成長能力を少し上回るような水準にうまく軟着陸していく可能性が強いと、こういうふうに見ておりまして、そういう意味では、成長率は少し下がるけれども、持続可能性という点ではより確かな経済に移っていくんではないかと、あらかたそういう見通しを出させていただきました。私個人としても、そういうふうな考え方に余り違和感を持っておりません。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 そこで、先ほど申し上げましたけれども、最大の問題は原油高、五十ドルをバレル当たり超えるような状況になって、先行きがちょっと不明でありますし、これから寒い時期に入りますと需要が増してくる。これが日本経済に与える影響というのはどういうふうに日銀としてはお考えでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 原油高が始まりまして以降、日本経済は原油に弱いんじゃないかというふうに見る海外の方もいらっしゃるものですから、私どもはやっぱりこの点は非常に慎重に経済の動きを見てまいりました。非常に幸いなことに、今日までのところは原油高の影響は比較的限定的に済んでいると。  いろんな理由があると思いますが、最大の理由はやっぱり過去の二回の大きな石油ショックの経験以降、企業あるいは国を挙げての努力で燃費効率というものを物すごく向上させた経済でございます。この点が非常にプラスに作用しているということもありますのと、もう一つは、現在のオイルの市況をごらんなられますと、WTIに代表されるような軽質油の市況と、日本が多く依存しております重質油の市況との間に非常にギャップがございまして、日本が大きく依存している重質油については相対的に値上がり幅が今のところ小さいというふうなことにも多少幸いしているんではないかと思いますが、しかし、今後、今のように過去最高のレベルでの原油価格が続く、長く続くとか、更にこれが上がるとかいうふうなことになりますと、多分、燃費効率の悪い経済というのは世界じゅうにたくさん存在いたします、そういうところを経由しながら悪い影響が間接的に日本により強く及んでくるリスクというのはやはり十分念頭に置いておかなきゃいけない。私どもは、油の値段、これまで影響が限定的であるからといって決して先行きは油断ならないというふうに思っております。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 今の日本経済の好調ぶりは、一つは輸出主導、輸出が非常に好調である、設備投資含めてですね。そうすると、それは、受皿は中国経済、年率九%の成長、それからアメリカ経済も非常に好調である。  そこで、この二つの国の動向についてお伺いいたしますけれども、先般、中国が〇・二七%の利上げということで、金融引締め体制を若干ですけれども取りました。これが中国経済にどういう影響を与えるのか、そして我が国の経済成長にどういうインパクトを与えるのか、これについて御所見をお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) アメリカ経済と中国経済両方についてのお尋ねがあったわけでございますが、アメリカ経済につきまして、連邦準備制度、段階的に金利を引き上げてきておりますけれども、私ども、グリーンスパン議長から伺っております限りにおいては、金融引締め、経済を抑制するための金融引締めの意図は持っていないと、今までの低過ぎる金利を経済の実勢に合わせるところまでは慎重に上げていくんだと、こういうふうに伺っておりまして、もしそういう政策意図であり、その政策がうまく成功していくということであれば、アメリカ経済もいわゆるソフトランディングといいますか、巡航速度に落ち着いていくという可能性はやはり相当あるんではないかと。  中国経済につきましても、やはり以前の九%あるいはそれを超える高い成長というのは少し過熱ぎみだと。中国政府も中国人民銀行も、それは何とかもう少しうまく調整して、中国経済も長もちする拡大過程に持っていきたい。従来は、行政指導とそれから金融面からの、日本流でいいますと、昔の窓口指導のような手段でこれをやろうということでやってこられましたけれども、その効果は多少あるけれども、なかなか十分というふうに感じられなかったんでしょう。したがって、金利メカニズムを使うということに一歩足を踏み入れられた。  我々日本銀行の立場からいたしますと、それは望ましい方向での政策運営に中国当局も踏み切られたと、こう思っておりまして、これまた中国の当局の意図どおり政策効果が出るとすれば、中国経済も少し減速するでしょうが、うまくソフトランディングしてくれると。日本経済にとってそれは、そういうことであれば環境はそう悪くないというふうに思います。しかし、本当にそうかどうか、常に政策効果というのは予想以上に行き過ぎて出る場合、これは環境要因との相乗作用でそういうリスクは常にありますので、注意深く見ていかなきゃいけないというふうに思っております。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 アメリカ経済についてですけれども、正に今日、アメリカ大統領選挙ということでありますが、ブッシュさん勝利の場合は、これは基本的な政策、継続すると思っていいんでしょうが、ケリーさんになった場合に、例えば最悪のシナリオを描きますと、ドル安に意図的に持っていく、したがって日本の輸出に対してマイナスのダメージを与える可能性がある。ドル安、裏は円高ですから。  これどちらが勝つかはなってみないと分かりませんが、仮にケリー政権となった場合に、日銀総裁としては、こういうことになったら困るなとか、こういう政策を取ることは懸念だなということを他国の内政に干渉しない範囲でお答え願いたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私も、厳密にブッシュ再選の場合とケリーさん当選の場合とで、本当にアメリカ経済あるいはアメリカの経済政策、金融政策がどう変わるかというのは正確な知識を私自身持ち合わせておりません。ただ、市場関係者、その他多くの識者の観測されるところでは、幾らか差はあるだろうと。ケリーさんが当選した場合には、今おっしゃいましたとおり、その為替政策の面で少しニュアンスが変わるんではないかと言っておられる方と、もう一つは、貿易政策の面で少し保護貿易的な色彩というのが出る可能性があるんではないかと、こんなふうなことをおっしゃる方がいらっしゃいます。  しかし、恐らくアメリカ経済そのものの診断という面では基本的に大きな差はないんではないだろうかと。つまり、為替政策一本やりで今の大きなインバランスが是正されるということはなくて、これはかなり長期的な課題を解決しながらということはだれしもが分析して分かることですし、それから保護貿易主義の弊害というものの認識は、やっぱりアメリカ自身が世界で最も最先端の市場経済の国だという、こういう共通認識の上での話でございますね。やっぱりこれにも限界があるということであれば、結果としてそう大きな差は出てこないんではないかというふうにも考えられると思います。  よく注意しなければいけないと思います。本当にアメリカ経済が実は局面として非常に微妙な段階でございます。つまり、少し成長速度を下げながら、アメリカ自身の潜在成長能力をちょっと上回るところでうまいパスを見いだしたいというそういう、グライダーでいえば静かに速度を、高度を下げてきている段階ですので、ここに政治的に、あるいは経済思想の面で人々に不信感を抱かせてショックが起こるということであれば、このグライダーの経路が大きく狂うリスクがやっぱりあると思いますので、そこは注意深く我々はウオッチさせていただきたいと思っています。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 次に、デフレをどう克服するかということについて議論したいと思いますけれども、この点に関しては、日銀もいつどこでと、これ明確に言えない状況だと思いますし、依然としてデフレは続いていると思います。  そして、その政策手段として、これは私どもがずっと日銀を批判してきたことでありますし、私はやっぱりインフレターゲットということをもっと明確に掲げるべきであるということをずっと申し上げてきました。  ただ、消費者物価、このCPI、全国規模で生鮮食料品を除いて前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続するということですから、ある意味でこれはもうインフレターゲットだと私は見て、それでしようがないかと、しようがないかというか、ないよりはいいと。  ただ、私の立場からいうと、今の段階でも二とか三とかいう数字をやってくれていればもっとうまくいったし、今でもそうじゃないかなという感じがするんですが、出口論との、いつこの量的金融緩和をやめるかという出口論との関係もありますが、この今の私の考え方に対して、総裁、どういうふうにお答えになりますか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 最も大事なポイントのお尋ねで、まずデフレが続いているかどうかと。これは、継続的に物価が下落する状況というものをデフレと定義すれば、今の物価下落率は非常に小さくなりましたけれども、なお下落が続いていることに違いはございませんので、デフレが続いていると、そういう認識でございます。したがいまして、我々は、やはりこのデフレから脱却しなければならないと、そのための政策を継続するということでございます。  委員御指摘のとおり、私どもは、いわゆる明確なインフレーションターゲティングの政策は取っておりませんが、取りあえず物価が下落し続けるという異常な事態から脱却するために消費者物価指数がゼロ%という、これは私は一つの通過点と申し上げております。通過点において明確なターゲットを掲げ、そして人々の限りなきデフレ心理というものを修正しながら、つまり限りなく物価が下がるんだというふうな、そういう期待は修正しながら、そして企業、金融機関の構造改革努力を背後からサポートして、とにかくおっしゃるとおり出口に早く到達して、出口の後の正常な経済運営、そして金融政策の運営の局面に早く移りたいと、こういう作戦を取っているわけでございます。  それで、現在ただいまの状況ではなおデフレは続いておりますけれども、経済が次第に着実に持続可能な回復のパスへ近づきながらなおデフレと。したがって、そのデフレの背景は、かつてのように大きな需給ギャップによって物価が下に強く押し下げられるというふうなデフレでなくて、次第に、これは前向きの要素と言っていいかどうか分かりませんが、生産性の向上と企業の財務体質改善等の一環として賃金調整努力がなお続いているということからくるデフレというふうにデフレの背景も変わってきていると。  これはすなわち別の言い方をいたしますと、今の民間の努力と我々の政策努力を更に推し進めることによって経済をより持続可能な回復パスへ持っていけば、その裏腹との関係でデフレも脱却できると。つまり、二正面作戦というよりは、物価の面も景気の面も一つのターゲットとして我々は追求できる状況に明確になったということで、我々の政策運営上、言わばより自信を深めながらやらしていただいているという状況でございます。  私自身は、インフレターゲティングというものは、いつも申し上げておりますとおり、中央銀行の政策手段の一つの重要な選択肢としてこれを一度も排除して考えたことはございません。将来もしあり得るとすれば、局面に応じては一つの選択肢として十分考えたい、本当にこれが採用できるかどうか。米国の場合にも、やっぱり連銀はなかなかインフレターゲティングを採用しておりません。世界経済の中で非常に重要な位置付けを占める通貨の、通貨政策の場合に、その透明性を上げるという要素とフレキシビリティーを保つという要素、この利害得失の関係を最終的にどう判断するかという難しい問題が残っているというふうに思っています。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 三年前、私が参議院議員になったときは、日銀当座預金残高、たしか四兆円ぐらいだったと思います。これが三十から三十五兆円、金曜日の政策決定会合でも維持されると。それから、買いオペも四千億だったのが今一兆二千億円ですか。だから、相当我々の提案をお聞きいただいたなというふうに私は評価しておりますが、もう一つ、非伝統的手段を使いなさいということを申し上げた。  ABSにしてもそうですが、それから銀行保有株式の買入れの問題、これは日銀の資産劣化を招くと、いろんな批判あったんですけれども、我々は日銀法を改正しても、土地でも株式でも、とにかく非常事態なんですから非常手段を使いなさいということを申し上げたんです。株式の、銀行保有株式は二兆百八十億円で終わったということですが、なぜ終わったか。私はこれのときに皮肉を言ったのは、二兆円ですか、二階から目薬ですねということを申し上げた。二階から目薬で効果がないからもうやめたのか、効果あったから、例えばこの非伝統的手段ですけれども、なのか。終わった段階でのちょっと皮肉な質問ですが、御評価を賜りたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私ども、株式、銀行保有株式を買い入れました目的は、繰り返して申し上げるまでもなく、その銀行経営が株価の変動によって大きく揺さぶられるという状況をなくし、銀行として自己資本をより前向きな活動に早く、より強く振り向けられるようにという目標でございました。  具体的には、銀行のその株式保有、その自己資本の根幹部分でありますティア1との対比で余り持ち過ぎないようにというところまでは調整したいと、早く調整したい。しかも、我々の株式買入れ措置は非常に異常な措置でございますので、できれば少ない額で多くの効果を上げたいと。二階から目薬なんですが、なるべく目玉に当たるようにということで、ある程度目玉に当たったんじゃないかというふうに今のところは思っております。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 完全にデフレから脱却するまで、これは政府も日銀も、それから我々も一生懸命協力していい政策を考え出さないといけないと思いますけれども、私、先般、総裁のお話で少し頭に残っているのは、その市場にとって財政赤字というか、それが一つの阻害要因になり得るのかなというようなことをおっしゃったように記憶しております。  我々、今憲法改正の議論をやっていますけれども、憲法の「財政」の中に、私自身は少なくとも、数字まで出す必要はないけれども、財政規律を保つのは立法府、つまり我々国会議員としても監視すべきであるというような項目がプログラム規定的にもあってもいいんじゃないかなと。つまり、何もかも行政府、政府に任せておくわけではなくて、立法の立場でもそういうことは考えるべきだということで、一つの提案として憲法改正の名を財政の項目に入れようかなということを思っていますが、財政規律の必要性ということについて、もう一度御所見を総裁の方からお述べいただきたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私ども、財政の話を申し上げます場合には、金融政策を行っていきます立場から、マクロ経済としての日本経済、これのより良き姿を実現していく上に、財政の姿がどういうことであれば日本経済がより活性化し、したがって金融政策の効果がより強く出ていくと、このうまい組合せというものを実現していくことが国と中央銀行との本当にいいコンビネーション、協力関係だと、こういうふうな信念に基づくものでございます。  そういう点からいきますと、財政規律という言葉で私どもがお話し申し上げる場合には、単に赤字の大きさ、小ささ、あるいは歳出規模の大きさ、小ささ、税制の姿、どうというふうな財政固有の問題もさることながら、一番根幹なところで、国が税収という形でお金を集められ、これを国会の議を経ていろんな目的にお金を使っていかれます場合に、民間のお金の流れとしては市場メカニズムで、もし市場メカニズムが正常に作動すれば望ましい資源配分が実現すると。しかし、財政は市場メカニズムによらないで、言わば人々の英知で適正な資源配分を行っていくということですので、政府の立案、そして国会の審議を経て、国がお使いになられる国民の財が、より望ましい資源再配分ということが実現していくと。  そうしますと、民間市場の中で、市場メカニズムを通じて実現していく資源再配分と国会の議を経て実現していく資源再配分が、両者が相まって、相乗効果として経済により強いダイナミズムを与えると、こういう姿が非常に望ましいと。そうであれば、私どもが金融政策をやっていきます場合に、市場の中で形成される金利が、資源が最適配分が行われているという前提になってまいりますと、経済の実勢、物価の実勢に即した金利形成がなされやすいということでございます。  金利形成を、その他の人為的な要素によってひずみが生じている場合には、市場の中でいろいろな思惑とかスペキュレーションが走って、実勢どおりの金利が形成されなくなります。そのときは、すなわち金融政策の効果が正しくは出ないと。今の現状でいえば、財政赤字と、こう言いますけれども、その財政赤字の中身が、国民の皆さんが感じられるところの資源再配分が適正に行われていないという要素がもし入っているとすれば、これはやっぱり将来にわたって心配の種だから、日本銀行が金融政策を行った場合に、そうでない場合に形成される長期金利以上の水準の金利を市場が演出してしまうリスクがあります。これは、財政の正しい運営と金融政策の正しい意図の浸透、この両方がなければ調整されていかない問題だという趣旨で申し上げているわけであります。

舛添要一自由民主党

○舛添要一君 二〇〇〇年八月のゼロ金利解除のようなミスを二度と繰り返さない形でデフレの克服に努力をしていただいて、慎重に出口をお探りいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 民主党・新緑風会の平野達男でございます。  今日は、福井総裁、岩田副総裁を始めといたしまして、日銀の皆さん方、どうもありがとうございます。  先週、経済・物価情勢の展望が出されました。需要面に着目しますと、外需と内需に分けまして、外需は輸出、内需につきましては設備投資と個人消費という観点からいろんな分析をされております。いずれも、少なくともここ二、三年は伸びる傾向にあるというような明るい材料を提供しております。明るい見通しに立っているというふうに言っていいかと思います。ただ、その一方で、デフレの出口はまだ見えていないというような、そういう分析もあったかと思います。  今日は、その今言った輸出と内需の設備投資、それから個人消費の見通しに関連しまして何点か質問したいと思いますが、設備投資につきましては、これは輸出と個人消費との関連で動くものだということで、専ら輸出と個人消費に関連しまして質問をさしていただきたいと思います。  そこで、まず一点目の外需、輸出なんですが、その前に、今アメリカの経済、これは今世界の経済を引っ張っているということについては、これはもう皆さん方御承知のとおりであります。そして同時に、そのアメリカが双子の赤字を抱えているという、これも古くて新しい問題ですけれども、貿易収支の赤字ということと巨大な財政赤字を抱えている。一方で、日本は対米貿易に関しましては黒字であります。経常収支が黒字の場合は、これも教科書にあるとおり、資本収支は赤字ということで、日本の黒字はまたいろんなプロセスを経てアメリカに還流している。昨年は外貨準備高が一気に二十二兆も増えまして、為替介入をやることによってドル高の、ドル高措置に動いたわけですが、見方によっては日本がアメリカ市場で公開オペレーションをしたようなもので、そういったこともございました。  言いたい質問は、そういうアメリカが今言わばドルをどんどんどんどん刷れば物が買えるという状況に今あると言っても過言ではないと思います。今、ドルの信認があるからドルに依存しながら貿易をやっているということだと思うんですが、ふっとちょっと翻りますと、何年か前に、バブルのときに、我々は土地というのは上がるものだというふうに思っていた。それに、土地というのは絶対大丈夫だということで投資をやって、バブルが起きて大変な目に遭ったということでありまして、今実はそのドルということを通じまして世界的に同じような方向にひょっとして歩んでいるんではないかというような危惧をちょっと持つわけですが、まず差し当たって、このアメリカの双子の赤字が拡大することに対してどのような見解を持っておられるか、それをまずお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 委員御承知のとおり、アメリカ経済は、特に一九九〇年代まで振り返ってみますと、やはりこの今の世界経済の潮流でありますグローバル化、あるいはIT革命といった新しいイノベーション、技術革新、この流れを言わば世界の経済の中では一番早く先取りしながら、生産性の伸びの非常に高い、そしてインフレを伴わない成長ということを実現してきた経済でございます。しかし、それでもやはり行き過ぎ、特にIT関連の投資の行き過ぎということがあって、二〇〇〇年代に入って調整を経て、そして今再び安定的な成長軌道に戻ろうと努力をしている、そういう経過をたどっているわけでございますけれども、このグローバル化が進展する世界経済というのは国境を越えて物も資本もそして情報も自由に行き交うということでありますので、それ以前の世界経済、つまり国ごとにセグメントされた、つまり障壁の高い経済と比べますと、投資家が、あるいは事業家が国境を越えて最も魅力的な投資機会ということを探りやすいし、探り当てれば実行しやすい経済の仕組みに変わったということだと思います。そして、資本も自由に移動するということでありますので、生まれ故郷に資本がなるべくへばり付いていようとする、そういういわゆるホームバイアスというものも次第に薄れていって、勇気を持って国境を越えて資本が動くと、こういう経済になっているのが特徴でございます。  したがいまして、米国は、その九〇年代の高成長、そして二〇〇〇年に入りましてからも調整を経ましたけれども今なお高成長ということで、この過程で、実は世界経済全体の組合せの中からインバランス、不均衡を抱えていると。財政赤字、対外収支の赤字と、二つの赤字を今かなり大きく拡大しながら動いている状況でございまして、以前、例えばプラザ合意の時点などのアメリカの双子の赤字はアメリカのGDP対比では三%ぐらいということで大問題だったわけですが、今はまあ五%、あるいはこれを超えていくというふうな状況になっているわけで、これは常識として、こういう赤字の大きさというのは限りなく続けられるものだと、グローバル化が進展し、資本のホームバイアスが減れば、限りなくファイナンスされ続けるものだと考えることはやっぱり現実的でないと、これは世界じゅうの人がそう思っていますし、アメリカの方々も本心そう思っているというふうに思います。  したがって、基本は、アメリカ経済が生産性上昇に裏打ちされたインフレなき経済というものをどこまで安定的に続けられるかと、それを、アメリカ経済を構成する個々の企業が海外の投資家にとってどれだけ魅力ある投資機会を提供し続けることができるかということになってくるわけですけれども、マクロ的に検証しますと、やっぱり長期的に見て、アメリカは財政赤字についてより規律ある政策を取っていく必要があると。あるいは民間経済の部門においては貯蓄率をもう少し上げていく必要があると。これはだれしも否定し得ないことではないかというふうに思います。したがいまして、アメリカがそういうふうな長期的な望ましい、より望ましい経済のバランスに向けて今後適切な政策運営を取っていく必要があると。  そして、世界経済全体としては、アメリカ以外の世界、つまり特に成長の速いアジア経済、これは日本も中国も含まれていますが、これが今後、特にこのアジア諸国なんですけれども、国内市場の開発ということがより強力に進められて、アジア以外の国からの財貨・サービスの吸収能力を上げていく、この努力との整合性ということが非常に大事になってきているというふうに思います。  重ねて、アジア諸国につきましては、為替だけではありません、為替も含め、やはり市場メカニズムをより活用できるような経済の仕組みに早く移っていくということも重要な課題だというふうに考えております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 今アメリカの、例えば貯蓄率の話もちょっと出ましたけれども、例えばアメリカ人の貯蓄性向を増すというようなことは、多分彼らのライフ生活というのを、ライフスタイルを大きく変えなくちゃならないという問題だろうと思います。そんなことが急にできるんだろうかというふうにふっと思ってしまいますが、その一方で、この財政赤字、貿易収支の赤字、財政の赤字がアメリカでどんどんどんどん膨らんでいくということについては、もうこれはアメリカの問題ではなくて、やっぱり日本の問題でもあるというふうに思います。  そこで、ちょっと次の質問に移りますけれども、先ほど舛添委員から米国と中国の金利の上昇、金利の引上げの話がございました。それに対して総裁からは、アメリカに関してはもう巡航速度に移行するんだというお話がございましたけれども、ただ、巡航速度に移行するということは、すなわち伸び率が止まるということではないかというふうに取ってしまうんですが、この金利の引上げの影響というのは、アメリカ経済が巡航速度に入ると同時に日本との、対米貿易との関係ではやはり伸び率に相当影響してくるんではないかというふうに思うんですが、そこはどのようにとらえればよろしいんでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 米国経済の巡航速度ってどれぐらいかと、なかなかこれは難しい問題でございます。  どこの国でもその国の経済の持てる潜在成長能力というのを数字の上できちんと出すということは難しいんですけれども、あらかたアメリカの場合に四%を超える成長は巡航速度をかなり上回っていると。やはり、三%台の安定した成長経路に早くたどり着くということがより持続可能な拡大のパスにつながるんではないか、大まかに言えばそういうコンセンサスがあるというふうに思います。恐らくアメリカの政策当局、特に連邦準備制度は、大まかに言えばそういうイメージを持ちながら金利政策を修正していると。  つまり、四%を超える高い成長を実現する背後にある非常に低い金利、物価上昇との関係で言えば、実質金利がマイナスに落ち込んでいたようなそういう低い金利は、少なくともある段階を経ながら修正して、経済が自然にスピード調整し巡航速度近辺に来たときに、この金利の水準とが平仄の合うような姿に持っていきたいという、多分そういう経路を今たどろうとしているんじゃないかというふうに思います。  そういう政策意図どおり物事がと申しますか、経済の推移が今後展開されれば、それは長もちする経済の拡大ということでありますので、今までの高成長の時期の日本からの輸出の容易さというのは少しもちろん減衰すると思いますが、しかしその代わり、より安定的に輸出が伸ばせるという状況、環境が用意されるということにもなりますので、そこのところは今後、本当にそういう姿になるかどうか、原油価格の要因あるいはITの関連の在庫調整の波の打ち方がどうか、いろいろな要素も考慮に入れながら見極めていく必要があるというふうに思っています。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 今総裁が触れられました原油高の問題ですけれども、先ほどのあの舛添委員の質問に対しては主として国内問題として答弁されていたんではないかと思います。ただ、答弁の最後の方向にエネルギー効率の悪い諸国を通じてという話がございまして、対外的な問題、影響もあるよというお話ではなかったかと思います。  私は、むしろこの原油高の問題につきましては後半の方にちょっと問題があるんではないかと。つまり、原油が世界的に上がることによって、例えば非常にエネルギー効率の悪い中国、これの足を引っ張るだろうと、ではないかと。その中国の足を引っ張ることで、それが中国の経済の低下を経て、じゃない、中国経済の影響が日本に及んでくるんではないかというふうに思いますけれども、これは今の問題として取り扱う必要があると思いますが、総裁はどのように考えられるでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 原油価格高騰の影響が中国の経済などには非常に強い影響があるのではないかと、私どもも前々からそういうふうに考えております。そして、中国の政策当局者に会いますたびにそのこともこれまでも確かめてきているんですが、この点は、意外にもという言葉は少し行き過ぎだと思いますが、中国経済の場合にも、これまでのところ原油高の影響がさほど決定的なダメージになっていないというお答えが返ってまいります。なぜですかと、こう聞きますと、中国の場合にはまだ石炭等への依存度が結構高い、石油への依存度は刻々と上がってきているけれども、今現在の姿としてはまだ石炭への依存がかなり高いので、原油価格上昇の影響は総体的には割り引かれるということが多分あるんですというふうなお答えです。  ただ、原油依存度というのは刻々と中国の場合上がっておりますし、石炭への依存というのは環境問題との関係でやっぱり非常に大きな限界があるということも中国の方でも認識されているようでありますので、委員おっしゃるとおり、ここから将来、先を見た場合には、原油価格高騰の影響というのは、ある意味で従来の経験則以上に強く中国経済等に悪い影響を及ぼすリスクがあると。その場合には、内外経済の一体化が進んでいる日本経済にも、直接的ではなくて、海外経由で原油高の影響が跳ね返ってくると。セカンドラウンドエフェクトと、こう言っているんですけれども、二次的な影響が強く及んでくるリスクはかなりあるというふうに思っています。そこが要注意事項だというふうに考えています。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 それじゃ、次の質問に移りますけれども、米国の赤字に関連しまして、米国の国債の今四割以上が外国人が持っているというような状況になっています。昨年の為替介入のときには、先ほど言いましたけれども、二十二兆円外貨準備高が増えまして、買いオペをやったようなものだというふうに先ほど言いましたが、日本がアメリカの国債、過去大量に買っております。その一方で、アメリカ国内には、これ以上米国債を外人に、外国人に持たせていいのかというような論調も出てきているように思います。  そういった米国債の取扱いに対してのアメリカ人、アメリカの国内のそういった外人が持っていることに対する見方、どのような状況になっているかという、もし御認識があれば聞かせていただきたいことと、仮に米国債について外人の所有を制限するというようなことが出てきた場合にどのような影響が出てくるのかについて、併せてちょっと御見解をお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 委員が御指摘のとおり、アメリカの国債の保有のされ方と日本の国債の保有のされ方とはかなり対照的でございます。日本の場合には、海外の人々が日本の国債を消化している比率が非常に低い。一方、アメリカの場合は、海外の人々がアメリカの国債を持っている割合が非常に高いと。極めて強いコントラストを示しています。  もう一番基本的な理由は、ともに財政赤字であっても、アメリカの場合には経常収支と対外収支がやはり赤字であると、日本の場合は対外収支が大幅な黒字であると。したがって、政府部門の赤字が日本の場合には資本の流れとしては国内的に賄われやすい、アメリカの場合には国内では賄えない、外から投資を受け入れなければいけないと。これは複式簿記の構造からいって当然そうなるわけでございまして、それが基本的なバックグラウンドにあると思います。  もう一つは、やっぱり、何といいますか、先ほどホームバイアスとかいうふうな、何か少しつかみ難い、つかみどころのない表現で申し上げましたけれども、アメリカのマーケットの場合には、国内の投資家、海外の投資家、その間かれこれ余り区別なく、同じ主体としてマーケットが自然に受け入れるという、そういう土壌が早くからできていると。日本の場合には、もちろん日本の市場も自由化が進んで機能の向上も進んでいるんですが、何とはなしに海外の投資家と国内の投資家との間では、出入り自由なんですけれども、どっか何か人見知りするところがあるというふうな感じが残っているとか、その差があるというふうに思われるわけであります。  アメリカの場合、外から資本を受け入れざるを得ない収支構造になっていることに加えて、市場がかれこれ人見知りしない市場だと。また、その人見知りしない市場というのが非常にアメリカにとっては大変重要なインフラストラクチャーだという認識がありますので、私の直観では幾らか議論が出る。つまり、海外の投資家が持っている場合に市場の不安定化要因にならないかということの理解については、それは債務の大きさそのものの問題であって、投資家の構造による違いではないんではないかというふうにかれこれ峻別されて議論がされていく可能性の方が強いんではないかなと私は思っておりますが、委員の方がより多くの情報を持っておられるかもしれません。そこのところは私も分かりませんけれども、私の直観ではまあそういうふうに思っております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 アメリカは資金を、お金を受け入れざるを得ないというお話がございましたけれども、日本の立場にすれば、経常収支が黒字を続ける限りは出さざるを得ない。ドルが入ってきて日本の自国通貨に替えればそれは円高になってしまいますから、円高を避けようと思ったらば、とにかくドルをもう一回どういう形かで、為替介入、外為特会を通じてか、あるいは民間の投資か分かりませんが、アメリカに返さざるを得ないと。その返すときに、先ほど言いましたように、二〇〇三年の場合はほとんど米国債を買ってドルを向こうに返したというようなことがありまして、この国債の取扱いが、これはもう本当に日本のこれからのいろんな経済を考えていくに当たっても非常に重要だということで先ほどのような質問をしました。  たまたま、私が先ほどのような質問をしたのは、フォーリン・アフェアーズという雑誌がございまして、次の大統領に対する経済政策ということで、これは民主党の方が何か書いている論文なんですが、その中に、やっぱり米国債、余り外人に、外国人に持たしておくのは安全保障上よくないというような論調がありまして、それを踏まえてちょっと質問させていただいたというようなことであります。  次のちょっと質問に移りまして、次は外需から内需の方に移っていきますが、その内需に関連しまして、デフレという問題がございます。  これも先ほど舛添委員の質問に共通すると思いますけれども、なぜデフレから脱却できないんだろうかと。  この報告によりますと、ユニット・レーバー・コストという言葉を使っておりまして、生産性の上昇及び人件費の抑制からユニット・レーバー・コストが引き続き低下したことなどが主な背景と見られるという分析をされております。  この理由として、例えば労働分配率のことなのかなとも思うんですが、たまたま須田美矢子審議委員のこの間の講演の文書を読んでおりましたら、労働分配率、大企業はほぼバブル以前の水準まで戻った、中小企業はまだそこまで行っていない。まだその労働分配率を下げなくちゃならないという圧力というか意思がある、意思が、圧力というんでしょうか、経営者側にそういう意思があるのか、あるいは社会的な圧力があるのかということなんですが、まだこちらの方の労働分配率に関する調整が進むということであれば、この分析によりますと、消費者物価はなかなか上向かないということになるわけですが、その辺につきましての分析、どのようになっておるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 先ほど私この場で、日本のデフレ、つい最近まではバブル崩壊の後遺症として大きな需給ギャップが残存し続けたことによるデフレという要素が非常に強かったと。こういう経済の下では企業は収益を上げることができませんので、収益を上げられない、景気は悪くなる、また一層デフレが深まるという形で、いわゆるデフレスパイラルのリスクというのはいつも背中に背負ってみんなが苦労してきたということですが、最近は物価がなお下がり続けている中で景気はむしろより持続可能なパスに向かって前進していると、この辺に大きな違いがございます。  それは、デフレの理由が、生産性の向上と、今、委員がおっしゃいましたとおり、労働分配率の修正という要素を含む賃金レベルの調整、これが並行して進んでいるということだと思います。つまり、労働生産性の向上と賃金レベルの調整と併せまして単位当たりの労働力コスト、ユニット・レーバー・コストが下がっているということが物価上昇圧力を大きく減殺しているがゆえにデフレがなお続いているという状況になっているというふうに思います。  したがいまして、高い生産性の上昇がいつまで続くかと、そして賃金レベルの調整というのがいつまで続くかということの答えが、デフレが終局するのはいつかという答えをほぼ一〇〇%近く出してくれると、こういうことなんですが、ところが、その算式の前半であります生産性の上昇がいつまで続くか、労賃の調整がいつまで続くかと、このこと自身がなかなか事前には読めない。  この悩みは、実は今、アメリカ経済についても同じ状況になっています。景気が回復しても雇用が極めて不満足だと言われていることとか、物価上昇が起こりそうでなかなか起こらないと、生産性の高い伸びが続いていると。同じ局面に日本もアメリカも、物価のレベルは違いますけれども、今入っているわけなんですが、しかし日本の場合は、明らかに過去の引きずっている問題はかなり小さくなったけれども、もう少しこれ残っていると。そのことも併せて考えて、より持続可能な景気回復へのパスに経済を近づけていくという努力がデフレ脱却への接近と、出口への接近と、同時達成という方向のトラックに今乗っているというふうに考えられるんではないかと思っています。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 私は、生産性の向上というのはこれはいいことですから、これはこれからも向上し続けるというのはいいことだと思います。その一方で、労働分配率についてはやっぱりどこかで底を打つはずだということだと思います。ただ、今の総裁のお話の中では出口の、デフレの出口と──何かございますか。あれですか。いや、どうぞ、おっしゃるのであれば。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 済みません、途中で遮るつもりはなかったわけでございますが。  労働分配率の修正にいたしましても賃金レベルの調整にいたしましても、いつまでも続くものではないというふうに思っています。やっぱりこれは労働力の需給の問題が答えを出してくれるわけで、短観等、あるいは月々出てまいります労働力統計等で私ども、そこのところはきちんとトレースしておりますけれども、やはり賃金の改善に一歩先駆けて雇用の改善が始まっていると。つまり、労働力の需給のタイト化という方向がまず一歩先んじて動いておりますので、これが続いていく限り、一歩遅れて賃金レベルの調整も終わると、この経路は着実に動いてきているというふうに思います。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 正に今その点をお聞きしたかったわけで、そういう労働分配率の問題についてはどこかで底を打つはずなんで見通しができやすいんじゃないかということをお聞きしたかったんですが、今の答弁がありましたのでこの質問はここで取りあえず終わらしていただきまして。  次に、これに関連しまして、これから少子高齢化というふうに言われております。  特に、高齢化というよりは、私は人口が減っていくということが非常に大きなインパクトをもたらすんではないかと。人口が減るということは、生産をする主体が減ると同時に消費をする人が減ってくるということであります。生産主体が減るということは労働生産性の向上で幾分カバーできますけれども、やっぱり経済全体が縮小過程に入っていくのではないかというふうに懸念されるんですが、そういう前提に立った場合に、やっぱりいろんなマクロ経済政策を考えるに当たっても何らかの変更が出てくるのではないかというふうに思うんですが、その辺についての御見解をちょっとお伺いしたいと思います。

岩田一政日本銀行副総裁

○参考人(岩田一政君) ただいま御質問いただきました少子高齢化の問題でありますが、委員が御指摘になられましたように、私も高齢化ということと少子化、両方考えてみますと、高齢化の方はむしろ高齢者向けのサービスが余分に必要になるとか、むしろマーケットを拡大する側面があるというふうに思っておりますので、しかも、長生きができるということは、これはそれ自体すばらしいことでありますので、経済にとっても社会にとってもむしろ長寿化ということで望ましいことだというふうに思っております。  ただ、少子化の方は、御指摘がございましたように人口が減ってしまうということでありますので、これは経済成長率、マクロ的に見ました経済成長率自体が人口が減るということでその分その伸び率が落ちていくというようなことが考えられます。  私、高齢化、少子化について、金融市場にも影響が当然及ぶというふうに思っております。これは、貯蓄率も、高齢化、少子化の両方の要因が家計の貯蓄率を下げるように作用していて、現実に日本の貯蓄率も過去二〇%以上だったのが、今、五、六%のところまで国民所得統計で見ますと下りてきている。あるいは各国の経験を見ましても、生産年齢人口が占める、全人口に占める割合というようなものを取りますと、これと投資率ですね、国内の投資率との関係がどうも正の関係がございまして、その生産年齢人口の比率が高い経済はかなり活力があって投資率が高くて成長率も高いというような現象も見られます。  そういうことで、御指摘のように、一定程度少子化、高齢化が進みますと、これは経済成長率、マクロ全体で見ますとマイナスの影響があるというふうに私も考えております。ただし、そこは私、それを相殺するような政策運営を取ることによって、そのマイナスの効果をかなり相殺できるのではないかというふうにも思っております。  一つは、御指摘がございましたように、生産性をもっと高めていく。これは、生産性の高い、あるいは収益性の高いような部門にもっと資源を再配分するということで経済全体の生産性を高めることができますし、あるいは金融市場をより効率的なものにすることによりまして、少ない貯蓄でありましてもそこから高い収益を得ることができる、そうした経済を実現することができるのではないかと思います。  金融政策の面では、そうした構造変化がございましても、その安定した持続的な成長というのを実現するよう柔軟な運営をやるということが大切なのではないかというふうに思っております。  以上でございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 分かりました。  ちょっと、次の課題の量的緩和政策についてちょっとテーマを移したいと思います。  今、三十五兆から三十六兆でしたか、(発言する者あり)そうですか、三十から三十五ですか、当座預金の限度額を設定をしております。今、そろそろこの出口政策をどうするか、出口をどのように設定していくかということが大きなテーマになりつつあります。  そこで、三要件を日銀は設定しております。消費者物価指数の前年比上昇率が基調的な動きとしてゼロ%以上である。消費者物価指数の前年比上昇率が先行き再びマイナスとなると見込まれない。それから三番目として、上記の条件を満たされたとしても、経済・物価情勢によっては量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合もあるということです。一番目と二番目は、これはかなり客観的だなという感じはするんですが、三番目につきましては、かなり一番目と二番目の客観的な指標を打ち消すような、かなり動きに幅があるような、そういう指標を設定しているなとも取れます。  そこで、この三つの条件を設定して、じゃ、いつ量的緩和政策の解除をするかという判断なんですが、まずこの判断は日銀が独自に行うというような理解でよろしいんでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 日本銀行の政策委員会で最終的にきちんと議論して結論を出す話であります。そういう意味では、自己完結的に日本銀行の判断だというふうにお考えいただきたいと思います。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 この場合、やっぱり一番問題になるのは国債との関連ではないかというふうに思います。ゼロ金利を解除して、それから金利上昇をしていくということになりますと、国の財政にも大きな影響がありますし、国債の抱えているところについては大きな含み損を抱えるということは、これは多くの方々が指摘していることであります。  そういったことに対する配慮というのは、これは日銀独自としてやっていくのかということが一つと、それから、経済・物価情勢によっては量的緩和政策を継続することが適当であると判断する場合もあるという言葉の中に、その国債の部分も入っているというふうに理解してよろしいのか、この二点についてお答えいただきたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 今お尋ねの点に関しまして二つ重要なことがあるというふうに思います。  一つは、日本銀行は、長期国債の買いオペレーションをかなり多額の金額でやっておりますけれども、この目的は金融調節、つまり市場に流動性を供給する手段として必要と認められる範囲内で行っているということであります。それ以上の目的を持っていないということであります。  と申しますのは、もう一つ重要な点は、長期金利についての日本銀行の考え方でございますが、これは基本的にはその時々の経済、物価の情勢にマッチした金利水準を実現したいということであります。それ以上でもそれ以下でもないと。特に、それ以下に人為的に金利を低く抑えたいという意図は一切持っていません。したがいまして、そういう意図で日本銀行のオペレーション、なかんずく国債の買いオペを行うということは今までもございませんでしたし、今後もそういう政策を取る考えは全くございません。  これを前提として今おっしゃいました今後の金融政策ということになりますと、経済の実勢に合わせて今後とも、望ましいと申しますか、実勢に合った金利を市場の中で実現させていくということでございますので、日本銀行の金融政策が、余りにも市場関係者あるいは市場関係者だけでなくて、広く一般の国民の方々に余りにも強く意外性を持って受け止められるような政策というのは、恐らく市場の中での金利形成をゆがめるリスクをやっぱりはらんでいるというふうに思います。  委員御心配のとおり、市場の中には国債の発行残高が非常にたくさん累積していると、俗な言い方しますと、地雷が一杯埋まっているような金融市場でありますから、そこは私どもの政策運営について、どういう考え方で運営していくんだと、もし変更があるとすれば、どういう、あらかたどういう考え方で変更していくんだということが事前にやっぱり理解が浸透しているということが非常に大事だというふうに思っています。  そういう意味で、先週末出しました展望レポートではその一端を実は出しておりまして、先ほどの委員の御質問とも関係するわけですが、今年度あるいは来年度にかけて日本経済が私どもが出しました見通しのとおり、着実により持続可能な方向へ向かって景気が回復していく場合に、その裏面において生産性の上昇が続くと、そして賃金レベルの調整もかなり尾を引くと、こういう前提で考えると、景気は着実に持続可能な方向に動いても物価に対してはある意味で常に跳ね上がりを防ぐ、つまり物価を下押しする力は減衰しながらもなおずっと続くという構図を想定しているわけです。  これが標準シナリオであるとすれば、委員がおっしゃるとおり、我々が仮に出口政策という局面にある時期行き当たるとしましても、出口政策の時期が来たんだとか、あるいは来た後どういう方策を取るか。つまり、いつからとか、どのようにしてと、この両面、出口政策について、この両面のクエスチョンに対して我々はゆとりを持って対応することができると、こういうふうに申し上げました。決して我々は慌てた政策を取って人々を驚かしませんというところまで先週もう出しているわけです。  その後、具体的に、その時期になってどういう政策を取ることによってより人々に予測可能性を差し上げることができるかと、これからの重要な課題であります。よく研究して、その局面に至れば政策委員会できちんと議論して、十分前もってコミュニケーションしながら新しいステップを踏ましていただきたいというふうに思っています。国債については基本的にそういう対応をしたいということでございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 先ほど言いましたように、この三つの要件の中で、二つ目は、二つはかなりこれは客観的な条件だと思います。しかし、三番目のその経済・物価情勢によってはというところが、これは一体何を意味するのかということが必ずしも明確に伝わっていないんじゃないかなというふうに思います。  繰り返しになってしまいますけれども、これがあることによって、実は一番目、二番目が、悪くとらえますとほとんど意味がないものになっているかもしれないということがありまして、この三番目のウエートというのはどの程度置かれているのかという、これは抽象的な質問で恐縮でありますけれども、この考え方を更にもうちょっと具体的にといいますか、先ほどの答弁の中でも総裁、答弁されているとは思いますけれども、説明していただければ有り難いなというふうに思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 三つに、条件といいますか、このお示しした結果として、三つの表現が、それぞれ読んでみると、かえってその三番目の条件は何でもここで読み取れるようになっているのじゃないかと、こういう御質問を時々受けます。しかし、これは、元々は消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまで続けると。消費者物価指数が安定的にゼロ%以上というのは何だということを因数分解して三つにしたわけであって、あくまでも全体をカバーしているものは消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上と、こういうことでございます。  したがって、終始、物価の見方ということなんでございますけれども、現実の物価、将来の物価、そして現実の物価、将来の物価が数字で目に映ってもちょっとは経済実態を見ましょうと。経済実態に脆弱性をもし何らかの形ではらんでいれば、数字で見た現実の物価、将来の物価の予想値についても基礎が十分でないかもしれませんねという部分は一応きちんと点検しましょうと、こういう意味でありまして、それ以上に範囲をぼっと広げて日本銀行は最後はもう全部自由裁量でやりますということでは決してございません。大きなくくりは消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%、それを解釈するための因数分解でございます。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 分かりました。  この経済・物価情勢というのは、政府に配慮した言葉かなともちらっと思ったりしたものですから、ちょっと二回にわたってちょっと質問をさせていただきました。  そこで、この量的緩和政策に関連しましてもう一点お尋ねしますけれども、かつてマネタリストという、かつてというか今でもいるかもしれませんが、おられまして、量的緩和を進めればこれはデフレ脱却するんだと。その背景は何かというと、よく言われたのは名目成長率というのは期待実質金利と期待インフレ率の和であるという、この関係が成立するのかどうか分かりませんが、そういう等式を持ちながら、名目成長率というのはこれはなかなか簡単には動かないと。そのまた一方で、日銀がお金をどんどん刷って出していけばインフレ率、期待インフレ率が上がる、その反作用として期待実質金利が下がって、それが投資を誘発するんだと、そういう論拠であったかと思います。  ところが、量的緩和を進めて、なかなかこのデフレの脱却ができない。量的緩和自体は、もうこれは、かつて言われたデフレスパイラルなんて言葉は最近聞かれなくなりましたし、経済の落ち込みを防いだという意味においては本当に効果があったということだったと思いますけれども、どうやらこれだけではデフレ脱却の条件にはならないということがそろそろ明らかになってきたと言ってもいいんじゃないかと思います。  私の質問は、そのかつて言われた、いわゆる通常言われたマネタリストと言われる人たちが言ってきたことというのは余り当たっていなかったんじゃなかったかというようなことを言いたいわけですが、そこまで総裁は言い切れるかどうかということなんですが、総裁、どのように思われるでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 今、マネタリストという言葉でおっしゃいましたけれども、そういった金融と実体経済と結び付けながら理論立てを行っておられる方々、まあ学者の先生方中心に、私は理論的に整合性のある分析と物の言い方を一貫して私どもに提供してくださっているというふうに思っています。  ただ、私どもは、現実の経済、そして現実の経済を構成している個々の企業、金融機関、そして我々個人、家計の行動というものを現実の姿として、そしてその人々は現時点、将来に向かってどういう心持ちで動いておられるかということをいつも認識しながら経済政策、金融政策をやっていく立場にございます。学者の先生からお教えいただいている理論が理論としてそのまま実現していくためにも、我々の現実の政策は、人々、企業、金融機関の行動に現実的な意識としてこれがうまく消化され、それぞれの行動に反映させていただくという大変厄介な過程を通さなければ実現しないというところに我々の悩みがあるわけでございます。日本銀行が学者先生と同じことを申し上げて、人々は、実は大変な借金があるんだけれども、まあ日銀がそう言うんなら明日からこう動こうと、そういうふうに言ってくだされば我々は非常に楽なんですけれども、なかなかそうはいかない。  したがいまして、我々、量的緩和政策、これは大きなフレームワークとしては学者先生からお教えいただいている理論的なフレームワークの中で我々は動いているつもりですが、その理論が理論として本当に最終的な効果に結び付くための現実的なステップというものを我々は踏ましていただいている。  市場に量的流動性をたくさん供給いたします場合にも現実に見ておりますことは、個々の金融機関の資金繰りの状況と。非常に円滑な金融機関もあれば、余り大きな問題もないのに市場の中であそこは問題だと思われていて、容易に金繰りの付かない金融機関が存在するとか、そういう状況から実は出発しておりまして、そういった金融機関はすべて放てきしておいて次に経済が展開するかというとなかなかそうはいかない。その金融機関と取引している企業にとってみれば、自分が営業上、必要上置いている資金が突然なくなってしまうかもしれない。あるいは、今現在借りている借入金をしばらくはこのまま延長していかないと自分の事業は続けられないのに、金融機関が資金繰りが付かないといって、今まで借りている金まで返せと言われた場合は非常に困るとか、あるいはもう少し前向きの企業であれば、少しは金を借り増したいと、でもとてもそんなどころではないということになっては困ると。  そういったときには、どうもそういう問題が起こりそうだというだけで、今私が申し上げました範囲以上に問題が広がって、隣の金融機関についてもひょっとしたらそうじゃないかとか、また更にその隣もそうじゃないかと、これが金融不安が広がるケースでございます。昨年の夏前までは現にそういう状況がずっと続いていたわけですので、我々はやっぱりかなり余分と思えるぐらいの流動性を供給することによって、最低限金融機関の金繰りに不安を起こさせないというところからまずスタートしたということでございます。  それに続いて、企業の方で、不良債権ではありません、過剰な借入れはむしろ少しずつ返すと、金融機関の方でも不良債権を少しずつは償却できるという状況になってまいりますと少し余裕が出てまいります。余裕が出てきた部分は企業が新規の投資ができると。昨年の夏以降はそういう状況にだんだんなってまいりました。そうなってまいりますと、今度は、今は金融機関から非常に低い金利で借りられると、もう少しこの低い金利で長い間借りられれば、この先本当に苦しい場面から脱却できる時間的余裕と自分の事業計画とがマッチするんだという段階に入ってくる。これが、緩和を少し長く約束することによって、我々は時間軸効果と言っていますが、量的にたくさん供給するだけではなくて、その時間を約束することによって事業計画を立てやすくする、こちらに少しウエートが変わってまいりました。  今、だんだんそういうこと、この現実的なプロセスを経て、人々はもうひどいデフレにはならないんですねと、しかし、まだ物価がなかなかプラスになりませんねと、この段階までは来たということで、期待の修正はある意味で学者の先生方から教えられているとおりのことが遅ればせながら少しずつ実現しているというのが現状でございます。  その辺、なかなか我々のやり方も完璧ではないことをよく自覚しておりますけれども、現実のプロセスは丹念に踏ませていただいているということをちょっと御説明申し上げさせていただきました。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 丁寧に御説明いただきましてありがとうございます。  ただ、私が言いたかったのは、かつてこの財政金融委員会なんかでもそうなんですけれども、デフレは貨幣的現象だと、デフレを救うのはもう金融政策のみだというような、そんな意見もありました。しかし、やっぱりどうもそういう単純な話じゃないということで、それが今、例えば不良債権の処理の問題だとか需要の喚起政策だとか、そういったものがセットになって今進んでいるんだということで、いわゆるマネタリストという言葉を使ってしまいましたけれども、彼らが言ってきたような単純な政策ではなかったんだということをちょっと言いたかっただけであります。(発言する者あり)後でまた議論させていただきます。  それで、私の持ち時間もちょっとなくなってきましたので、最後のちょっと質問に入らせていただきますけれども、私、出身が岩手県なものですから、どうしても地方のことを考えてしまいます。経済・物価情勢の展望というのは、これは国の全体のことを考えておりまして、なかなか地方がどうのこうの、中央がどうのこうのというようなところまで踏み込めないという、そういうことはあろうかと思います。ただ、こういうふうに将来ともこれから個人消費が伸びる、輸出が伸びる、日本の経済は明るいんだよと言われたとしても、どうも地方の実態とはもう本当に懸け離れているということはいろんな委員会でいろんな方々が言っているとおりです。  そこで、最後に私の持ち時間の範囲で質問させていただきますけれども、今地方が何をすべきかということについて総裁の何らかの御見解があればちょっとお伺いして、私の質問をちょっと終わりたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) ただいまのような御質問になりますと日本銀行の公式見解というよりもかなり個人的な見解になる心配があるわけでございますけれども、私は、今、日本の国を挙げて構造改革を進めていると。特に、現状におきましては、例えば公共事業を削減しながら民間の活力で経済を興すとか、今、また一方、三位一体の改革ということで、地方の自立性を高めるために一方ではやはり補助金の整理とかあるいは交付税の改革とかいうふうなことが必要になってきているし、これは新しい構造の日本の経済社会を作っていくためのプロセスとして避け難い面があるんだろうというふうに私は思っておりますけれども、過去の日本経済が持っていた構造との比較でいいますと、中央で景気の回復が始まったときに公共事業のパイプとか補助金のパイプとかで所得が地方にもある意味で自動的に還元するメカニズムというものは修正が始まっていると。したがって、その分は中央と地方との景気回復の温度差というものを今のような経過期間においては生みやすい状況になっているというふうに思います。  私ども、全国で三十二の支店持っておりますし、事務所も十二ほど持っておりまして、あるいはそのほかの一万以上の企業から短観という形で経済調査を、お答えをちょうだいしておりますけれども、地方の経済がどうなっているかということはいつも丹念に点検しております。今私が申し上げましたような要因もあって、中央、地方の格差は今回はかなり大きいと。最近、少し地方にもいい影響が浸透しつつあるなと思っておりますが、なお格差の大きい状況で景気回復が続いているという状況でございます。  私は、地方は、従来のようにほかの隣の県がどうかとか隣の市がどうか、隣の村がどうかということではなくて、やはりその地域の価値というものを再発見しながら、自分たちのコミュニティーはこういうものにしたいという感覚でもう少し自立的な芽が出てくると新しい所得循環のメカニズムが始まるんではないかというふうに期待をしております。

平野達男民主党・新緑風会

○平野達男君 残りは同僚議員に譲りたいと思います。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 民主党・新緑風会の大久保勉です。七月の参議院選挙で福岡地方区より初当選いたしました。  私は、国際金融に二十年間勤めておりまして、今日こうして初質問が福井日銀総裁ということで非常にうれしく思っております。つい先週まで日経新聞「私の履歴書」に掲載されておりましたポール・ボルカー前FRB議長、そしてグリーンスパン現FRB議長は、実は国際金融の世界で相当信頼され、そして尊敬されております。どうしてかといいますと、やはり政府の圧力に屈することなく自由で活力のある経済を作っていると、市場の番人ということです。福井日銀総裁におかれましても、市場との対話を重視した数々の政策、そして景気回復を軌道に乗せるだけではなく、政府の財政的な圧力に屈することなく金融市場や通貨の番人としてこれまで以上活躍されると、こういう期待をしております。  先週の峰崎委員が日銀総裁への質問で触れられましたファイナンシャルジャパンという雑誌に福井総裁、そして竹中前金融担当大臣、それに木村剛氏が並んで写真載っていると、こういうことが議論されました。私もこの記事を読んでちょっとショッキングでした。といいますのは、国際金融の世界に従事しておりましたら非常に珍しいことです。いわゆる中銀総裁というのは極めて中立的な立場であると。特定の銀行の経営者とこういう形の対話をするというのは非常にまれじゃないかと思っております。しかしながら、先週、福井総裁が陳謝され、また経緯としましては、そもそも日銀の広報から話が来て、そして組織的に決定した後に取材に応じたと。このことは個人的な問題といいますよりも、日銀の広報部のガバナンスの問題であると整理しておりまして、やはり福井総裁は可能性としましては日本のボルカー若しくはグリーンスパンに値する人だと私は信じております。  それでは、伊藤大臣が余り時間がないということで、まず金融庁に質問します。  木村氏は、日本振興銀行の事実上の創立者であります。また、金融機関を監督する立場にある竹中前金融担当相が中立を欠いたという形で特定の銀行の関係者と対談することに関して、金融庁の考え方を示してください。また、もし広報を通じて来た話であれば、どうしてこういったことに対して受けたのか、またこれはいつなのか、このことに対して質問いたします。

三國谷勝範金融庁総務企画局総括審議官

○政府参考人(三國谷勝範君) お答え申し上げます。  当庁に対しましては、一般紙のみならず、いわゆる業界の広報誌、あるいは海外の雑誌等も含めまして多様なメディアから取材の申込みがあるところでございます。これらに対しましては、取材の内容、事務の繁閑などを総合的に勘案の上、金融行政について広く国民の理解を得るべく広報に努めているところでございます。  また、取材の申込みでございますが、これは様々なルートを通じて行われますが、お尋ねのありました竹中前大臣のフィナンシャルジャパン誌の取材、これについて申し上げれば、当庁の広報室は関与しておらず、竹中議員事務所を経由したものであると承知をしております。  なお、取材一般でございますけれども、雑誌の取材を受けるかどうかの判断に当たりましては、一つは当該雑誌が個別金融機関の営業活動の一環として発行されているものであるか、それとも一般に頒布される報道、評論を目的とするものであるか、あるいは取材の内容が一般的な時事問題や金融行政全般に関するものか、個別事案に関するものかなどを勘案し、問題がないかどうかを判断することとしております。  本件の場合、フィナンシャルジャパン誌は一般に販売されている雑誌でございまして、特定の銀行の営業活動の一環として発行されている雑誌ではないと理解しております。また、取材の内容も経済問題、金融行政全般に関するものであるという具合に理解をしております。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 具体的に、こちらにも記事がありますけれども、その中で、木村さんといいますのは日本振興銀行、中小企業向けの貸出しをする銀行を作られていると。その中で木村さんの発言としましては、合併して巨大化すると年商十億円以下の中小企業に会おうともしないということ、こういったことをおっしゃっておりまして、木村さんの銀行は中小企業に特化すると。これは見る人が見ましたら、自分たちの銀行を宣伝するということになるんじゃないかと思います。いわゆる多大な宣伝効果があると。そういうことで利益供与を手伝ったと。若しくは、金融庁としましては金融機関を検査する立場でありますから、大臣自ら経営者に会いましたと。じゃ検査する場合に、下の部下の方が何らかの検査で手心を加えるということにならないか。こういったガバナンスの問題に関して質問します。

西原政雄金融庁検査局長

○政府参考人(西原政雄君) 金融検査のお尋ねでございました。  私ども、検査を行う際には、従来から、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保すると、こういう観点から厳正に実施をさせていただいております。したがいまして、特定の金融機関に対して何か特別な取扱い、そういったことは考えられないことでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 金融庁の質問はこれで終わります。金融庁の皆様、ありがとうございました。  続きまして、日本銀行に質問します。  本日は、日本銀行のバランスシート、そして二点としましては日本銀行の金融政策、最後に、時間があれば日本銀行のガバナンスについて、順を追って質問する予定です。  まず、日本銀行のバランスシートに関して質問します。  この五年間で日本銀行のバランスシートが二倍に、そして過去十年間では三倍に膨れ上がっています。具体的な数字を申し上げますと、一九九八年が八十兆、これはGDPの一六%です。これが二〇〇三年では百五十兆、GDPの三〇%になっています。国際比較をしますと、米国連銀は七%、欧州中央銀行一二%。この数字に比べても極めて日本銀行のバランスシートが急激に拡大している、また絶対的な金額も大きいと。  このことに関して日本銀行総裁に質問します。  日銀の資産のアセットサイド、資産の七割が国債ということに関して、日本銀行が事実上、政府の国債管理政策に組み込まれていると、こういった懸念があります。また、このことによりまして政府の財政の規律をそいでいると、こういう指摘もあります。このことに対して総裁はどのようなお考えでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 日本銀行のバランスシート、資産、負債ともに非常に大きくなっておりますのは御指摘のとおりでございます。これは、ひとえに、量的緩和政策によって市場に流動性をたくさん供給する政策目的から結果として起こったことでございます。市場にたくさん流動性を供給するということは、市場の中から日本銀行が資産を買い入れて、対価として流動性を供給すると、こういう形になるためでございます。  様々な資産を買っておりますけれども、おっしゃいましたとおり、長期国債の金額も非常に大きく増えていると、このことは確かでございますが、今申し上げましたとおり、これは政府の国債管理政策の一環として行っているわけではないと。ましてや、先ほどからも御質問に出ておりましたけれども、長期金利を経済の実勢以上に人為的に低く抑えると、あるいは抑え続けるということを目的にやっているものではございません。あくまで金融調節上の必要性に基づいて、その必要な買いオペレーションの一つの手段として国債というものを使っていると。結果として日本銀行の資産サイドに国債の残高が大きく増えているということでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 この問題に関しまして、後ほど、いわゆる輪番オペに関しまして関連して質問しようと思っております。  第二点としましては、財政赤字と並び財政投融資を中心として公的金融にメスを入れる必要があると。これは官から民への資金配分が重要であると、こういった考えからです。その観点から、特殊法人に対してどのような形で財務上の規律を要求して効率的な経営を強いるか、これは非常に重要な問題だと考えています。  そこで質問です。  将来、特殊法人が発行した財投機関債を購入する可能性はありますか。また、その場合は日銀のバランスシートへの影響、さらには特殊法人の財務上の規律にどのように影響するか、この点に関して質問したく思っています。  実際に、二〇〇二年から二〇〇三年、金融政策決定会合におきまして、財務省の出席者は、頻繁に財投機関債を発行してそれを購入したらどうですかと、こういうことを提言しております。このことに関して質問いたします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 少なくとも、現時点におきまして日本銀行が金融市場に潤沢な流動性供給を行っていく、このための手段として財投機関債を買い入れる必要というものは全く感じておりません。  将来どうなるかと。将来の可能性というのは全く今のところは具体的には想定できませんので、あらゆる可能性をこの段階で排除するというわけにはいきませんけれども、しかし、方向としては、先ほども申し上げましたとおり、デフレを脱却し、そして金利を中心とする本来的な金融政策の姿に戻っていくということを今展望しているわけですので、そういう展望の方向に沿って金融の姿がうまく展開していけるということになりますれば、流動性の供給の量はおのずと削減されていくということであります。つまり、日本銀行のバランスシートは小さくなっていくということであります。  銀行券につきましても、今非常に大きく膨れた状況でございますが、今後の金利水準いかん、そして金融システムの安定に対する人々の認識が更に強まっていけば銀行券の発行残高も落ちていくと。これまた日本銀行のバランスシートが小さくなる方向でございますので、財投機関債を買い入れなければ金融調節が全うできない可能性というのは今のところほとんど予見できないと思います。理論的にこれを排除して、初めからこれだけは排除してしまうという必要も感じないぐらい今は予見できないということでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 続きましても具体的な政策に関して質問があります。  舛添委員そして平野委員の方から質問ありました量的緩和の解除時期と出口政策。重複を避けるために、より具体的な質問をしようと思っております。特に重要なことは、コアCPIが単月でゼロ以上となるだけではなくて、基調的な動きとしてゼロ以上。  そこで、質問というのは、コアCPIというのがそもそもどういうものであるか。指標として的確なのか。具体的なことを申し上げますと、米国におきまして、いわゆるコアCPIといいますのは食料品とエネルギーを除いています。どうしてか。これは非常に変動幅が大きいです。日本の場合は、生鮮食品は除いておりますが、ほかは全部入っています。  じゃ具体的にどういうことが、どういう影響が予想されるか。例えば米というのが入っています。米はこの一年間で二〇%上がっています。これが元に戻るとしましたら二〇%下がります。米の比重は一%あります。つまり、米が二〇%下がったらコアCPIが〇・二%下がるんです。さらには、電力、ガス、これが約四%の比重があります。エコノミストの判断に、予想によりますと、電力の自由化、いわゆる良いデフレ、このことによりまして〇・二%の引下げ要因と。じゃ、米と電力を合わせましたら〇・四%、今後コアCPIが下がるという可能性があると。今、コアCPIがプラス〇・一%の予想ですね。先週の展望レポート。  こういう微妙な時期にコアCPIが指標として有効かと。このことに関しまして質問したく思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) どういう指標を中心的に見据えながら金融政策をやるかと、なかなか難しいわけでございます。  今、委員のおっしゃいましたことは全部私、分かりますけれども、そういう一時的な変動要因を全部抜きにして、本当に基調的な経済の姿だけを映し出す物価指数というのは、もし手にすることができれば本当に理想的で望ましいと思いますけれども、これは実際問題としては非常に不可能でございます。  今おっしゃいましたような項目を全部除いたとしても、一見普通の物資やサービスだと思えるものにつきましても、何かやはりアクシデントが起これば、そこはやっぱりイレギュラーな変動をするものでございますので、いろんな経済指標、なかんずく物価の指数を見ます場合には、何が、イレギュラーな要因がどの程度作用しているかということを懸命に見抜く作業というのはいつも並行して伴っていなければいけない。  そういう意味では、今私どもが政策上、ターゲットとして使っております日本の消費者物価指数、これは生鮮食料品を除くというものでございますけれども、一番国民の皆様方の生活実感になじんでいる物価指標だと。つまり、インフレかデフレかということが人々の生活の実感に一番この身近なところで動いている物価指数だということで私ども採用させていただいているわけで、政策運営上はもうちょっと厳密な判断が必要だというのは御指摘のとおりでございますので、私どもはできる限り、一時的な要因が更にこれにどれぐらい付加して響いているかということはいつも慎重に吟味しながら判断しているつもりでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 二つ提案があります。  でしたら、アメリカ並みにコアCPIには食料品と電力、エネルギーを除くと、こういった指標を作りまして、より安定的なCPIを作ると、もしくはそれを研究することはどうでしょうか。さらには、いわゆる物価連動債から算出しました期待インフレ率、この辺りも経済指標として利用していくと、このことはどうかと思っています。  実際に、先週、峰崎委員がデフレ懸念に対しまして福井総裁の方は物価連動債も見てますということをおっしゃっています。また、海外の例でしたら、グリーンスパンFRB議長も早い段階から、物価連動国債は金融政策決定に貢献すると言っています。  具体的には、九二年六月、グリーンスパン議長は、物価連動債から算出された期待インフレ率は賃金コストの上昇圧力をその初期段階で掌握できることのみならず、その推移を定期的にモニターすることにより、当局の政策運営に対する市場の信認をも読み取ることができると。こういった、新しい商品を使いまして新しい指標を取り入れると、こういうことは是非とも必要じゃないかと思っています。  また、CPIというのは現時点の物価でありまして、期待インフレ率というのはいわゆる物価変動のフォワードカーブも分かりますので、より安定的で、また市場が作り出した期待インフレ率というのが分かっていくんじゃないかと思っています。  ただ、問題はあります。現在、発行金額が四千億と。十二月に五千億、財務省が発行するということで、市場規模が大きくなるにつれてこういった指標も使いまして、より透明で市場の方が予測可能な日銀の政策というのは必要じゃないかと思います。いかがでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 物価指数、なかんずくコアの物価指数について、一時的な変動要因をなるべく少なくするような物価の作り方がないかというのは非常に重要な検討課題だと、御指摘のとおりだというふうに思っています。  ただ、金融政策の上で物価指数を見ます場合に、どこの国の中央銀行でも一つの物価指数だけを見ている国はないわけでございます。少なくともすべての物資、サービスの価格を総合した普通の消費者物価指数と、そして今おっしゃいましたように、一部の品目を除いたコアの物価指数と、この両方はいつも並行して見ていると。それ以外に、先行きの物価観を見るために、物価連動国債から推定される先行きの予想インフレ率等も見ていると、こういうふうなことが実態でございます。そして、そうした数々の指標の中のどこにより強く焦点を当てているかということになりますと、その時々の国の金融政策の運営のフレームワークによってかなり違ってまいります。  例えば、欧州その他の国でインフレターゲッティングをやっている国、これはどちらかというと非常に中期的な物価の安定ということを目標にやっていくものですから、ウエートの置き方はコアのCPIではなくて総合の消費者物価指数です。あわせて、コアの消費者物価を参照しながら考えている。  ところが、今、日本銀行が行っておりますような金融政策の枠組みでございますと、現実に物価がゼロ以上になるかどうかという中期的な物価の安定感というよりは、足下の物価の感覚で通過点を探ろうということでありますので、そこはイレギュラーな要因をなるべく排除した物価に重点を置いてみましょうと。したがって、コアのCPIに重点を置いて見ておりますが、私どもは同時に総合物価指数についても見ながら吟味し、判断に加えているというのが実態でございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 続きまして、長期国債買い切りオペ、いわゆる輪番オペに関して申し上げます。  これは先ほど、日銀のバランスシートで国債の保有比率が上がっていると、これに関連していると思います。現在、長期国債の買い切りオペが行われています。毎月一・二兆円です。これは年間で十四・四兆円です。この金額が大きいか少ないか、私は極めて大きいと思っています。といいますのは、日本の国が新しく国債を発行する金額、いわゆる新規財源債の発行金額が三十六兆円です。三十六兆円のうち日銀が十四・四兆買いますと、いわゆる四〇%も日銀が買っているんです。こういう実態に関して、これで日銀が直接国債を買っているんじゃないかと、だから国債価格は安定しているんだと、こういうことも言えると思います。ここに関しては、どうして年間十四・四兆買っているか、このことに関する質問です。  また、買い切りオペの上限に関しましては、日銀の方は日銀券発行残高の範囲内ということでおっしゃっています。具体的には日銀券の発行金額が七十一兆円、現在の長期国債の残高が六十六兆円です。わずか五兆円しかありません。じゃ、同じように輪番オペをやっていきましたら、いずれか、もうこれ以上買えなくなってしまいますと。そこで、じゃ上限を撤廃しましょうと、これは財務省の方はもう上限を撤廃しなさいと、別の言い方をしましたら、日銀は政府の国債管理政策に従いまして財政赤字をファイナンスしてくださいと、こういう議論があるかと思います。ここに対して日銀の考え方を是非教えてもらいたく思います。  また、非常に技術的な話ですけれども、通貨発行残高七十一兆円といいますのは、いわゆる金融危機により、たんす預金が増えています。日経新聞なんかの発表によりますと、二十兆円のたんす預金があると。いずれ金融危機がなくなりましたらこれが減っていくと、こういう段階で輪番オペの上限が低くなっていくと、そういう状況がありますから、この辺りに関しまして日銀の考え方を是非とも教えてください。  以上です。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 繰り返してお答えすることになって恐縮でございますが、日本銀行の国債の買いオペレーションは財政をファイナンスするということを目的に行っているものではございません。ましてや、長期金利を人為的に低く抑え付けることを目的としてやっているものでもございません。あくまで現在の目標であります三十兆から三十五兆円という流動性を供給する一つの手段として実施していると。これは流動性の供給は極力円滑に実行する必要があると。したがって、短期の調節手段、長期の調節手段、織り交ぜて最適の組合せで市場に対してオペレーションを実行していく必要があると。現在、流動性供給額が非常に大きくなっておりますがゆえに、国債の買入れ額も非常に大きくなっていると。ただし、日銀券の発行残高を超えないようにという大きな歯止めを設けながらやっているのも、財政に対するファイナンスではないというけじめを明確に付ける、そういう意識も持っているわけでございます。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 この点に関しましては、将来的には日銀券の発行残高が六十六兆円を切る可能性が出てくると、こういった場合に、判断を要すべき問題ですから、是非日本銀行としまして独立性を確保してください。そうしませんと、五年後、十年後に財政規律がなくなりまして、より大きな国の借金が増えていくと。これは日銀総裁としての良心に訴えたいと思っております。  続きまして、資産担保証券に関しまして質問いたします。  二〇〇三年四月の政策決定会合で、福井総裁のイニシアティブと聞いておりますが、資産担保証券を購入すると、で、残高ベースで一兆円、市場のインフラ整備に向けて努力すると。このことに関して、この効果はどうであったかと。私はこの政策は失敗であったと思います。どうしてか。これは実際の購入した金額が、先週福井総裁は累計で一兆五千億とおっしゃいました、累計。じゃ、平残は幾らですか。実はこれは一千億もないんです。一兆円買うと言っていますけれども一千億も買えていません。十分の一以下です。さらには、本当に企業に対してお金を出すためには長期資金が必要です。そのための手段でありますのは、いわゆるアセットバックセキュリティー、ABSというやつです。ABCPじゃありません。ABSの残高は何と十一億円です。ほとんど買えてないという状況です。またさらに、マーケットのうわさでは実際に買おうとしているけれども、物がないということで、ある銀行に対してABCPの枠を作って、お願いして売ってもらったと、こういう状況があります。  そうしましたら、市場のインフラ整備に向けて日銀は頑張ると言いつつ、実は日銀は市場の形をいびつにしていると、こういう状況になり得ないかというのが私の疑問です。  さらには、実際に企業金融にとりまして、長期資金を出すためには、本来必要なのはいわゆるメザニンとかエクイティーとか、よりリスクの高いところを投資することであります。ところが、今回日銀が買うと言いましたのはいわゆるシニアの分ですから、シニアに関してはいろんな投資家が欲しいものです。ですが、結局は資金供給ができなかったということになり得ないかと思っている。政策的な効果はなかったという指摘がありますけれども、これに関してどのように思われるか。  さらには、もう一点は、実際の証券化のマーケットといいますのは、いわゆる信託受益権というものが主流になっております。これは、日銀法を変えないと、変更しないと購入できません。ですから、総裁が証券化商品を買うぞと言いつつも、実際、事務方の方は具体的な法律の変更とか実務的なことができていませんから買えなかったと、この点に関して質問いたします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 詳しいことは担当の理事からお答えを申し上げますけれども、ポイントになりますところだけ私にお答えをさせていただきたいと思いますが、少しお言葉を返すようになって恐縮なんでございますけれども、資産担保証券の買入れ措置を決定しました直後から、私、たしか国会でも御説明申し上げたと思うんですが、これは、新しい市場に対して中央銀行がむしろ介入をしていく措置なので、余り多くの介入をすると健全な市場の発展を逆に妨げるリスクがあると。したがって、中央銀行はある決意を持って市場介入に踏み切るけれども、実際の介入は少なければ少ない方がいいと。それが口火となって人々が市場の中で出合いが円滑に付くようになり、市場の発展のその出発点が形成されれば、それが最も望ましい結果だと。  私どもが目標としているところは、ごく短期的に金融緩和の効果の浸透というねらいもあるけれども、この措置に関する限りは、より長期的な観点に立って、日本の金融市場全体として、銀行貸出し市場と最終的なエクイティーのマーケットとの間を円滑につなぐ信用仲介機能をシームレスに作り上げるためのものだと、そういう長期的なものなので、中央銀行がいつまでも大量に介入し続けるということはかえって目的を損なうと。口火をほんの少しつけることによって市場が自律的に動き出すことが一番望ましいというふうに申し上げました。  買入れ実績は、残高としては非常に小さくとどまっているというのは、私どもとしては理想的な姿にとどまっていると。実際、私どもがこういう資産を買入れ適格だと認定することによって、むしろ市場の中では非常に活発に出合いが付いているという状況でございまして、相当程度私どもはねらいが果たせつつあるんではないかというふうに思っております。  少し詳しいことを担当理事の方から御説明申し上げます。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) お答えいたします。  資産担保証券の買入れにつきましては、これ、市場の発展、中長期的な発展ということを目標にしております。そういう面では、日本銀行による買入れそのものももちろんこれ重要でございますけれども、それ以上に、この市場のインフラを整備していくという努力が大変重要であるというふうに認識しております。  その点におきましては、日本銀行は昨年の秋から今年の四月まで、資産担保証券市場の関係者を幅広く集めまして、何回にもわたりましてフォーラム、ディスカッションの場を設けまして、そのディスカッションの場で健全な市場の発展のために我々は何をすべきかということを議論してまいりました。  多少技術的な話で恐縮でございますけれども、例えば、証券化商品に関します情報の標準的な開示、ディスクロージャーの項目、あるいはその表示の仕方、フォーマットでございますけれども、そうしたものを提示をしていく。そうしたものが要はマーケットにおける標準的な健全な慣行として定着するということをねらったものでございます。  そのほか、日本銀行自身も、このマーケット全体が今どういうふうな姿になっているかということにつきましてできるだけ統計を整備していこうということで、これも五月から統計の発表を開始いたしました。  私どもとしましては、その買入れそれ自体ももちろん一つの大事なステップでございますけれども、こうした幅広い努力で資産担保証券市場の発展を側面から支援したいというふうに強く思っております。  数字でございますけれども、先ほどABS、一番重要であるそのABSのマーケットはそれほど成長していないということでございましたけれども、今年一月から九月まで、資産担保証券、ABSの方の発行金額が今四兆でございまして、多分年間をしますと五兆を超えるのかなという感じがしまして、これは数字と、フローの金額としては既往のピークということで、マーケットは全体は今着実に大きくなっていっているという感じがいたします。  それから、委員御指摘のメザニンでございますけれども、日本銀行は昨年、規定を整備しまして、格付にしましてBB格、ダブルB以上の証券を買うというふうにいたしました。その後、先生御指摘のとおり、マーケットではそのメザニンの発行はそれほど多くございません。ただ、これは昨年来、金融システムの状況が改善してくる、あるいは株価が下落から上昇に転じてくるということで、金融機関の資本の状況が随分改善してまいります。したがいまして、資本それ自体に対する不足感が以前よりかは後退しているということがこうした数字に反映しているのかなというふうに思います。  それから最後に、多少技術的な話でございますけれども、信託受益権でございます。  今回、資産担保証券を日本銀行が買うということは、これは民間の信用リスクを直接負担するということでございまして、中央銀行にとりましては、これかなり異例の措置でございます。したがいまして、買入れ価格の設定に当たりましては高い客観性、透明性が求められるというふうに考えております。  こうした要請にかんがみまして、今回、買入れスキームにおきましては、買入れを予定している資産担保CPを除きまして、買入れ対象を私募債ではなくて公募債に限定するということを行いました。これ、私募債につきましては、現状、中央銀行として買入れ価格を設定する上で依拠し得る正確な価格情報がない、したがって適正な買入れ価格が中央銀行として設定することが難しいということを考えたものでございます。  したがいまして、今回、資産担保型の信託受益権を買入れ対象としなかったのは、現時点では公募形式で発行されている信託受益権は存在せず、適切な買入れ価格の設定が困難であるという取引の実態を考慮したものでございます。  また、先生御指摘のとおり、信託受益権の買入れにつきましては、日銀法上そういう体裁でないという点も考慮したものでございます。  いずれにしましても、繰り返しになりますけれども……

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) 白川参考人、時間が参ってますので、簡潔にお願いします。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) はい。  市場の発展に努力をしてまいりたいというふうに思っております。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 じゃ、まとめていきたいですけれども、是非お願いしたいのは、流動性の供給と言って、事実上は国債を購入していると。いわゆるそのこと……

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) 大久保君、時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。

大久保勉民主党・新緑風会

○大久保勉君 はい。  ということで、じゃ最後は、時間来ましたので最後は、日本銀行のガバナンスのことに関しては今回は省略します。  以上です。

西田実仁公明党

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  本日はお忙しいところ、日銀総裁を始め関係各位の皆様、ありがとうございます。  まず初めに、これまでの議論でもございましたけれども、今回の展望レポートに示されております来年度の実質GDPの成長率の見通しでございますけれども、中心値が二・五%、いわゆる市場のコンセンサス、例えばESPのフォーキャスト調査等見ましても、やや強気の見方をしているという印象が持たれるわけでございます。  成長はそういう意味では強気を見ている中で、消費者物価、CPIにつきましては若干のプラスと。ここが、ちょっとそのロジックを御説明いただければと思いますけれども。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私どもの展望レポートでお示ししました経済の見通しでございますが、ただいま、少し強気じゃないかというふうなコメントもちょうだいしたわけでございますが、いろいろ民間でのいろいろな見通しの中身も聞いておりまして、基本的な経済の分析の中身について、余り私どもと大きな相違はないのかなと。強いて言えば、海外の経済の見通しの置き方などが少し違っているかもしれないと。  私どもは、海外の経済の見通しにつきましては、例えば、一番新しい時点で、IMFが出しております世界経済見通しと。これは、世界経済全体として今年は五%ぐらいのかなり高い成長ですけれども、来年は四・三%を中心とする成長に減速しながら、しかし持続可能な拡大パスにたどり着くんではないかと。  こういう展望が世界共通の今見通しになっておりまして、数字はともかく、おおむね、そういうピクチャーと申しますか、構図を前提として我々は国内の経済分析をそれに積み重ねて出しておりまして、海外の見方をより弱く見るかどうかというのは、今後のリスク要因をどれぐらい考えるかと。私どもも先行きのリスク要因については十分考慮しながらこれから経済をよくウオッチしていきたいと思っておりますので、結果としてそれほど大きな差はないんではないかと。  そしてまた、今年と来年にかけての坂でございますが、今年は我々の見通し三・六%ぐらい、来年二・五と。しかし、今年につきましては、前年から今年度にかけまして大きないわゆるげたというのがございました。この要因も考慮して考えますと、我々の経済見通しは、確かに今年度よりは来年度少し成長速度は遅くなりますけれども、極めて緩やかな、減速という言葉に値しないぐらいのスピード調整で持続可能なパスに移っていけるんではないかと、控え目な見通しをしているつもりでございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 先般のこの委員会でも趣旨説明ございましたけれども、この通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、特に先ほどもちょっと議論になりました物価面につきまして記載がございますのは、企業部門における生産性の向上や人件費の抑制等が商品市況等の上昇の影響を吸収する効果もあり、小幅な下落を続けていると、このような分析をされているわけでございますけれども、これちょっと素直に読んでいいのか分かりませんけれども、ニュアンス的には、いわゆる前向きの物価下落あるいはいいデフレというようなことを言わんとされているようなニュアンスも感じ取ることもできるわけでございます。  その点御確認させていただきたいということと、仮にそうであったとすれば、ではなぜ中堅中小企業の回復が遅れているのか。そして、特に非製造業においてはまだまだ景気回復といってもいまだしの感があるわけでございまして、その前向きの物価下落的なものと、中堅中小が遅れていると、この辺のところをちょっと御解説をいただければと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) デフレに、いいデフレ、悪いデフレというふうな区別を私どもは基本的に持っておりません。  わずかなデフレであっても、経済の局面が変わりますと、それが非常に大きな桎梏になるリスクというのはやっぱりございますので、やはり物価の面でも安定的な若干のプラス基調の物価というところにたどり着いた方が、将来の経済の展開を考えますと、人々がより安心して経済活動ができる舞台が用意できるだろうと、こういうふうな考えでございます。  そういう方向で見た場合に、いろんな条件を整えていかなければいけませんが、やはり中央、地方の格差とか、製造業と非製造業の格差とか、それぞれにおいて、また大企業と中小企業との格差とか、そこにタイムラグを置いて自然に解消できるメカニズムが整っているかどうか、ここが非常に大事な点でございます。  恐らく、今格差が生じておりますのは、製造業の場合には、こういったグローバル経済の中にもう非常に組み込まれているものですから、世界経済が回復するときにはおのずとそのリズムを経営の中に取り込みながら、自らも大変苦しい努力はいつも伴いますけれども、生産性が最終的に上がるというところにたどり着く、その時間的距離が速いというところになっていると思いますが、非製造業の場合には、そうしたメカニズムから少し離れたところで経営が続けられるというふうなこともあって、過去の問題処理といい、新しいビジネスモデルの構築といい、少し製造業に比べてラグを伴っていると。そして、地方の中小企業の場合には、それに加えまして、やはり日本経済全体としての構造改革上必要なプロセスとはいえ、やはり公共事業の削減あるいは補助金の削減等による所得還元メカニズムが従来よりは細くなっているという部分の影響は当然出ているということで、その分、当然それを、何といいますか、補完していく地方経済の自律的な立ち上がりのメカニズムをいかに用意していくかと、そこに重要な課題がもう一つ残っているという点は存在しているというふうに考えております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 大体理解できましたけれども。  続きまして、長期金利、先ほど来から問題になっておりますけれども、これは今、国債がどのように引き受けられているかという主体別の統計等ございますけれども、市中の金融機関がやはり当然のことながら非常に多くの国債を引き受けているわけでございまして、それが直接にこのマネーサプライの増加というものにつながっていくわけでございます。  そして、今後の政策を見通したときに、日銀の皆さんが想定されているような前向きな循環というものがこれから引き続いていくということであれば、景気は良くなり、また物価上昇もそれに伴っていくということになろうかと思いますけれども、この物価上昇期に当たりまして、その国債の引受けをより物価上昇期に対応して準備をしていく、そしてそれがマネーサプライに直接つながらないようにしていくということも必要になってこようかと思いますけれども、この環境作りとしての個人若しくは、先ほどもちょっとお話出ましたけれども、海外の投資家への国債をもっと買ってもらう、こういうような体制作り、物価上昇期における体制作りについてお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 経済が我々が望ましい方向性あるいは展望として持っておりますように持続可能な回復パスへより近づく、そして物価の面でもデフレから脱却していくというパスをたどりますと、金融市場の方では、金利が従来よりも変動しやすい環境の中に入っていくと思います。長期金利については、国債の発行残高が非常に大きいという前提で考えますと、ほかの金融指標よりもより振れの大きい現象を伴うリスクがある、そういう要素が存在するということは、もう今から十分みんなで認識をしておかなければいけないことだというふうに思います。  これまでのところ、各金融機関あるいは地域の金融機関におきましても、その資産側に相当大量の国債を持っておられるわけでありますけれども、将来のことを考えますと、やっぱり既にもう相当な工夫をなさっておられますが、リスク管理の体制というのはやはり個々の金融機関において、より十分に整えていっていただく必要があると。これは大前提でございますけれども、マクロの経済の運営の責任を預かります私どもの立場からいえば、将来にわたって、経済や物価に関するその実態を反映した市場金利の形成ということに一層努力を傾注していかなきゃいけない。その場合に、日本銀行の金融政策の運営が透明性を保っていること、そして政府において財政規律という面で国民の皆様から信認を得られるような努力が更に強められることということがどうしても重要な前提条件ということになってくると思います。  そして、更に加えて、今委員がおっしゃいましたとおり、流動性の高い効率的な市場の整備を図っていくと。日本の場合には対外黒字だし、どうも日本の市場はホームバイアスの強い市場ということで今まではあり続けたわけですけれども、今後はやはり、より多く非居住者にも国債が消化されるというふうな形で市場の外枠が広がっていくことが大事だと。しかし、市場の外枠が広がれば、場合によっては情報の非対称性から市場のボラティリティーを高める要素にもなりかねないと。  そういう意味では、またはね返りますけれども、金融政策の適切な運営で、その我々の政策の方向性というものを多くの方に前もってより正しく理解をしておいていただくこと、そして政府において、非居住者の方からごらんになっても財政規律は確かだという認識を持っていただくような努力と、これはまた重ねて必要になってくるということではないかと思っております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 続きまして、この量的金融緩和のお約束、約束の部分でございますけれども、常々、日本銀行といたしましては、開かれた日銀ということを言っておられますし、また市場との対話ということも非常に重視をされておられるとは思いますけれども、より重要なことは、今のこの政策につきまして、私は、市場との対話、もちろん大事ですし、先ほど来からの本当に専門家の方々の御議論をお聞きしていても大事なことだというふうに認識はさせていただいておりますけれども、より重要なことは、やはり国民との対話ということの方がより重要ではないかというふうに思っておりまして、何となく日本銀行の金融政策といいますと非常に高尚で大変に上品なというか立派なものなわけでありますけれども、やや大企業若しくは大銀行に対する政策という、印象ですけれどもね、あくまでも、そういう印象がございまして、一般の庶民として今この状態をどう言っているのかというと、いろんな世論調査を見てもよく分かりますけれども、例えば預貯金金利がゼロであると、こういうことについて一般の国民としては、例えば高齢者の人たちとか様々な形で利子で所得を得ようとしている、あるいは金融資産で一千四百兆円もあるにもかかわらず、ほとんどそれがゼロ金利であると、こういう状態の中で一体これが日本の経済全体にとってどういう意味を持っているのかという、これこそが正に国民との対話ということになるんではないかと思っておりまして、是非いい機会ですので、市場との対話も大事ですけれども、国民との対話ということで預貯金金利がゼロであるということが日本経済にどのような影響、プラスの面の影響はもう大体分かっていますけれども、逆にマイナスの面の影響として今もたらしているのかということについて御見解をお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 金融政策は常にメリットの面とデメリットの面と背中合わせにそういう要因を伴っている部分がございまして、私ども政策委員会の政策決定会合で議論いたします場合にも、こうやればこういう効果があるというだけの議論ではなくて、逆にこういう御負担を国民の皆様に掛けるとか、あるいはそのほかの面、例えば市場の機能といったような面でかえってひずみをもたらすデメリットがあるとか、メリット、デメリット両方の議論を出しながら総合してよりメリットの多い政策というものを選択するように心掛けております。  今、デメリットの面はどうか、どういうふうに認識しているかというお尋ねでございましたので、あえてこの量的緩和政策のデメリットの面を申し上げますと、やはり超低金利が非常に長く続いているということでありますので、おっしゃいましたとおり家計を中心にその預貯金の利子収入が極端に減少していると、これはやはりある意味で非常なデメリットでございます。  我々個人が将来の生活設計を立てる場合に、別に特定水準の金利を前提にするわけではないにしても、従来の経験則から想定されるある幅の中での金利を想定しながら、やっぱり将来の家計を組んでおられるわけですから、そこを狂わしているというのは非常に大きなデメリット、それはやはり消費にも影響していることだろうというふうに思います。それからまた、その国民の財産を預かっていろいろ運用している生命保険会社とか年金などのいわゆる機関投資家、これが、金利が低い環境の中では幾ら上手に運用してもパフォーマンスが上がらないと、その運用益が上がらないという形でこれまた非常なデメリットになっているというふうに思います。  それだけではなくて、先ほども触れましたように市場の機能の面と。ほとんど金利がゼロということは、特に短期金融市場では金利がほとんどゼロ水準に近いわけでございますので、取引が極端に減少しています。そして、市場を通ずる資金の再配分機能と、ひいては資源の再配分機能が著しく低下しているということでございますので、これも経済全体に恐らく目に見えないかなり大きなマイナスの作用をしているだろうということでございます。  これらの作用と、しかし先ほども申し上げましたとおり、流動性の大量の供給と、しかもこれを長く、長く続けるというコミットメントの下での企業の将来設計、そして今の困難をブレークスルーしていく力の培養という点でメリットがあると。このメリットとデメリットの比較にいつも苦しみながら判断し続けているわけでありまして、したがいまして、なるべく早く経済の自律的な回復のパスへの到達、デフレからの脱却の判断に至るということがやはり望ましいんだというふうに思っています。  しかし、これも判断が早過ぎてかえってすべての努力を水泡に帰するということがないようにしなきゃいけませんので、この苦しい判断のプロセス、いましばらく我々は続くと覚悟しているところでございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 再三申し上げますけれども、市場との対話も大事ですけれども、そうした国民生活そのものに、国民との対話ということについても今後いろいろ留意をして分かりやすい説明をなるべくしていただくということが大事ではないかというふうに思っております。  今、総裁のお話の中で、資源、資金の再配分に関しましてゆがみをもたらしているというお話がございました。この意味するところでございますけれども、よく言われるのはいわゆるゾンビ企業みたいなところがそのまんま生き長らえているんではないかという点、あるいは銀行の仲介機能というものが非常に衰えて中堅中小企業に資金が行かなくなっているのではないか、こうした点も含まれているというふうに理解すればよろしいんでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) この今おっしゃいましたゾンビ企業の生き残りを助けているかどうかと、これ自身もなかなか難しい問題でございまして、最終的に生き残る企業に対しても、あるいは場合によっては生き残る可能性が非常に少ない企業に対しても、ともにある程度時間をおかししているということは事実だと思います。現状非常に極度の困難に陥っているけれども、時間を掛けて結局見事に立ち直るケースだってあるわけで、その場合には持続的な回復パスに時間を掛けた効果があったということになると思いますし、しかし、やっぱり最終的に駄目な企業がある時間生き延びたということは、経済全体にはかえってコストを掛けたことになってしまったかもしれません。  これもやっぱり、ある時間的な距離感を置いたメリット、デメリットの計算ということになってまいります。単純にゾンビ企業が生き延びるということではなくて、時間を掛けることによって生き返れる企業は生き返ったという部分もあるわけですので、その両方の計算がなかなか難しい。全部合わせてみてマクロとしての経済が最終的に持続可能な回復パスにうまくたどり着くかどうかということが最後は決め手になるわけでございますが、途中の経過におきましては、個々の企業の運命がかなりそのプロセスの中で左右されるところがございます。  しかし、これも日本銀行の政策過程というものの透明性があれば、相互にやっぱり納得できる度合いはそれだけ高まるというふうに私どもは理解しているわけでございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 まあそういう意味で大変に難しいかじ取りの局面にいよいよ突入してくるわけでございますけれども、いわゆるこの出口戦略のところでお聞きしたいのは、先ほど来総裁がおっしゃっている、ゆとりを持った政策というお話をされました。これは岩田副総裁も前に御発言されておられましたけれども、いわゆるのり代論という、いわゆる安定的にをどう解釈するかという話で、一%ぐらいという具体的な数字も出されておられましたけれども、これの真意について副総裁にお聞きしたいと思います。

岩田一政日本銀行副総裁

○参考人(岩田一政君) ただいまの委員の方から御指摘いただきましたように、私、今の日本銀行の量的緩和を継続するということについての三つの条件のうちの第二番目の条件でありますけれども、今後再びマイナスに戻らないようという、つまりもう一回デフレに戻ってしまうということはないんだということをもう少し明確にしていくことが望ましいのではないかと個人的には思っております。  これは委員の間でもいろいろな、例えば〇・三%ならいいのか〇・四%ならいいのか、いろいろな御意見あると思いますけれども、私は先行き、これは足下が基調的にゼロ以上というのは私はこれでいいというふうに思っているんですが、第二番目の条件、経済の先行きがどうなるのか、景気の持続性がしっかりしていて力強いものであって、一%を先行きは展望できるんだという、つまり再びデフレに戻らないということがはっきり確認できるということが重要じゃないかというふうに思っております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 そうすると、それは、かつてその一%という数字を言われているわけですけれども、そういう水準でしょうか。

岩田一政日本銀行副総裁

○参考人(岩田一政君) そうですね。これ、私、先進国を見ましても、例えばアメリカの場合ですと、連邦準備制度理事会ございますが、これやっぱり消費者物価、具体的にはコアの、個人消費のデフレーターを見ていると私理解しておりますけれども、それが一%になったときにやはりデフレのリスクが相当あるということで、連邦準備は実は一%までフェデラルファンドレートを下げて、言わば超緩和政策を取ったということでありまして、国際的にも一%程度ののり代は必要ではないかというのは多くの御意見がある、そういった御意見をお持ちになる方は多いのではないかというふうに理解いたしております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 ということは、来年度の見通しは〇・一%、そんな単純じゃないんでしょうけれども、まだ来年はそういう出口戦略なりを考える時期ではないという御見解になるんでしょうか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 日本銀行全体としては、政策委員会で最終的にはこれで本当に再びデフレに陥るリスクはなくなったのかどうかということはきちんと判断しなければいけない。先週末にお出ししましたのは、来年度、つまり二〇〇五年度の経済が進展していく中で、平均的にいきますと消費者物価の上昇率が〇・一%のプラスになると、これは平均値でございます。つまり、二〇〇五年度を走っているうちに、ある月は〇・〇かもしれない、ある月はマイナス〇・一かもしれない。しかし、平均してみると〇・一ということは、恐らく経済が自然な運行をしているとすれば、後になればなるほどプラスの確率が高くなり、場合によっては最終的には〇・一よりも高い数字になるかもしれない。平均して〇・一でございます。  そういう経過をたどりました場合には、来年度中か、あるいは来年度が終わって更にもう少し先に行ってか分かりませんが、蓋然性としては、我々は安定的にその消費者物価指数が〇%以上になるという段階を迎える可能性はあるというふうに、こう思っています。  そして、逆に、どこまで来れば再びデフレに戻るリスクがないかという判断をする場合に、委員によってはある数字を念頭に置いて議論される方もいらっしゃいますでしょう。しかし、ある人はもっとほかの要素で、もっと経済をいろんな要素を分析しながら断定しようというふうにお考えになる委員もいらっしゃるでしょう。それらを全部持ち寄って我々は最終判断をしたいと。  したがいまして、日本銀行全体としては、今持っております数字は来年度の見通しが平均としてプラス〇・一ぐらいというだけでございまして、それを超えていったときに新たな数字、数値的な目標で判断しましょうというふうなコンセンサスには今至っておりません。

西田実仁公明党

○西田実仁君 先ほどの専門的なCPIの構成要件についてお話ありましたけれども、庶民の生活からしますと、生鮮食料品を除いた物価というのは本来あり得ないわけでありまして、金融政策を考えるときにはいろんなことを考えられると思いますけれども、今、普通の生活からして、物価ということで一般の人に聞くと、みんな野菜が高騰していて大変だと、こういうふうに生活をしていれば実感としてあるのは間違いありませんし、またエネルギー価格も上がって生活を圧迫していると。  最後でございますし、日銀の皆さんではないと思いますけれども、関係の方にお聞きしたいのは、この野菜の高騰、またエネルギー価格の高騰についての対応策、最後にお聞きしたいと思います。

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) どなたに聞かれますか。

西田実仁公明党

○西田実仁君 農林水産。

染英昭農林水産大臣官房審議官

○政府参考人(染英昭君) 野菜の価格政策についてお答えをいたします。  野菜につきましては、この十月に入りまして相次ぐ台風の襲来あるいは長雨、さらには日照不足等によりまして、生育の障害であるとか、あるいは冠水の被害などが生じているところでございます。  こうした中で野菜の価格について見ますと、これ昨日でありますが、十一月一日現在では、東京都の中央卸売市場では、キャベツは一キログラム当たり二百二十九円、これ平年比の四・〇倍であります。また、レタスは五百三十円、これも同じく三・九倍。白菜は百七十一円で、同じく四・一倍など、極めて依然として高い水準が続いておるという状況でございます。  現在天候が回復しつつあるという状況でございますので、徐々に出荷量も増加いたしまして、野菜価格が低下していくということでございますが、レタスなどの葉物野菜につきましては、出荷量は平年水準へ回復するには更に時間を要することが懸念されているところでございます。  このために、農林水産省におきましては、国産野菜の消費者に対する供給を緊急的に確保する観点から、この十一月から特に年末にかけましてキャベツ、白菜などの出荷の前倒し、あるいはホウレンソウなどの生育期間の短い野菜につきまして、例えばビニールで被覆して生育を促進する、あるいは通常よりハウスの温度を上げて管理する、そういうことをやりまして生育の促進を図る、さらには曲がったキュウリであるとか小玉のキャベツなんかにつきまして、通常ではこれは出荷されないわけでありますが、これの出荷処理を図っていくというようなことで、消費者に対する価格の動向、それと更に消費者の方に対する価格の動向などの情報提供にも努めていくなど、万全の対策を図ってまいりたいというふうに考えております。  今後とも、生産者あるいは生産者団体の方々の協力も得ながら、早期に価格安定を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

近藤賢二資源エネルギー庁資源・燃料部長

○政府参考人(近藤賢二君) 簡単に御説明をいたします。  御指摘のように、ガソリン価格も上昇しております。例えば、今年一月は百五円でございましたけれども、現在では百十九円で、リッター、でございます。灯油の価格も四十八円から五十五円ということで値が上がっておるわけでございますが、これは原油価格、例えばWTIの価格を見ますと、今年の一月三十三ドルであったものが現在五十六ドルということで、相当な幅で伸びておるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、この小売価格の影響は非常に大きいものですから、調査対象給油所の倍増ということ、さらには調査結果の公表区分を非常に細かくしていくといったことで、国民生活に大きな影響を及ぼすものでございますので、引き続き動向を注視してまいりたいと、このように考えておるところでございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 質問を終わります。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 大門でございます。  今日は量的緩和政策が何をもたらしたかという点について、舛添委員とは全く違う立場で御質問を、いなくなっちゃいましたけれども、したいというふうに思います。  資料をお配りいたしました。一番、一の表でございますけれども、国庫納付金が、見てもらったとおりずっと、この十三年度に比べて、十四年、十五年と極端にマイナスになっております。十三年度から十四年度で八千八百五十億、十四年度から十五年度に比べると四千五百八十億、二年間で合わせて一兆三千四百三十億ぐらいですかね、マイナスになっております。この原因を簡潔に説明をしてください。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) お答えいたします。  ただいま御指摘いただきましたとおり、国庫納付金というのはここ二年ほどの間に相当なピッチで減少しております。その大半の理由は剰余金が減少しているということでございますが、剰余金につきましては、これを十三年度の対比で見てみますと、一つには私どもの資産の運用利回りが低下いたしまして、経常収入が減少傾向にあると、こういった点がございます。  それから、二つ目には為替相場が円安になりまして、外国為替関係での収益が十三年度にはかなり上がったわけでございますが、ここ二年間は円高によりましてこれが逆に損失を計上していると、こういうことになっております。加えまして、十五年度におきましては長期金利が反転したということで、国債関係での損失が拡大していると、こんなようなことが背景にございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございます。  表に示したものがその原因ということで、資料を用意しました。要するに、この当期、表一の当期剰余金が減っている、そのものの原因が今言われた私の表でいくと三番目の外国為替の損失、為替損ですね。二番目の長期国債の評価損、償却損ということですね。これが主な原因、もちろん利回りのこと、ありますけれども、加えて言うならば、法定準備金の積立率が十四年度から五%から一五%に引き上げられております。  国庫納付金の仕組みというのは、この当期剰余金から法定準備金を積み立てて、残ったものが国庫納付金になるということでございますから、この積立率が上がるとその分差し引いて剰余金が下がるというふうになります。大きく言えば、この当期剰余金ががばっと減ったということと、法定準備金の積立率が引き上げられた、この二つになるんではないかと思います。  一つずつ、その原因についてお伺いしたいと思います。  まず、法定準備金の積立率が五%から一五%に引き上げられました。時間がないので、私の方でどうしてこうなったか説明をして、お聞きをしたいと思います。  法定準備金をなぜ引き上げなきゃいけなかったのかというのは、そのときの説明にもあったと思いますが、日銀の自己資本比率を維持するためということだということですね。日銀の自己資本比率というのは分母が、先ほどございました銀行券の発行残高が分母にあって、分子の方に資本と法定準備金と引当金と、こうなるわけですね。先ほどありました銀行発行残高、分母の方の銀行券発行残高というのは、たんす預金等もありまして、ゼロ金利ですから、市中に出回っているお金がずっと増えてきたと。つまり、分母が増えますと日銀の自己資本比率が低下していく、これを防ぐために分子である法定準備金を積立てを増やさなきゃいけないと。  こういうことから、法定準備金の積立てが五%から一五%に引き上げられて、それが差し引かれて当期剰余金が少なくなって、国庫納付金もその分、まあこの分だけでいくと六百億、十四年度で一〇%分ですから、六百億ぐらいですかね、十五年度は大した金額にはならないと思いますけれども、そういうふうになると思うんですね。  これ背景を考えてみますと、要するに、その量的緩和政策、ゼロ金利政策、これが、そのたんす預金といいますかね、市中に出回っている銀行券の残高を増やして、それがつながっていって国庫納付金を減らしたということは言えると思いますが、いかがですか。

白川方明日本銀行理事

○参考人(白川方明君) お答えいたします。  日本銀行の自己資本比率でございますけれども、今委員御指摘のとおり、最近数字、若干落ちております。  この背景は、先ほど来御説明しましたとおり、日本銀行が今、量的緩和で潤沢に資金を供給していく、その中で当座預金も増えていく、それから銀行券はもっと増えていくということで、分母が拡大しているということも一因となっております。  日本銀行としましては、長い目で見た中央銀行としての政策の能力を十分に維持するということから、自己資本比率に一定のめどを設けております。日本銀行は、現在、一〇%プラスマイナス二%というのを一つのめどとしまして自己資本比率の運営を行っております。  この数年間の剰余金の動きでございますけれども、自己資本比率の水準等を勘案し、自己資本の充実を図ることが必要という判断の下で、過去の自己資本増加額の実績等を勘案しつつ、この一五%という積立てを行った次第でございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 ですから、舛添議員と個人的に言いませんが、この間ずっと与党の方から、量的緩和やれと、もっとやれと、インフレターゲットもやれと、国債も買え、場合によっては銀行保有株も買え、場合によっては不動産だって買えと。この何といいますかね、日銀に対する物すごい量的緩和を求める、インフレターゲットを求めるその流れの中で、私は、この国庫納付金、法定準備金を引き上げざるを得ないというところに来ているということを一つまず指摘しておきたいというふうに思います。そのインフレターゲット論については私は強烈に批判をして、総裁とも議論をしたことがございます。  そういうことの結果、こんなことを生んでいるんだなという点で、もう少し振り返って申し上げますと、日銀は、私はもう日銀の独立性を保ってほしいと。余り、与党の議員あるいは一部のエコノミスト、学者が、最近少し静かになりましたけれども、相当ヒステリックに、日銀が悪いんだと、もう日銀のせいだというような金融政策をかなり求めた時期があります。そういうことで、いろんなことが進んできました。インフレ目標のこともありましたし、日銀当座預金の残高も、二〇〇一年三月は、先ほどもどなたかからございましたが、四兆円だったのが、今三十二兆円ですよね、十月二十日現在。物すごい量的緩和されております。  この二つ目の、この今回の剰余金を減らした大きな原因である長期国債ですね、これも日銀の国債買入れ、これも先ほどから御指摘ありました、大久保委員からも鋭い指摘がありました。要するに、どんどんどんどん買え買えということで、今十月二十日現在で九十四兆円になっていると。九七年度末は五十五兆円でしたから、もう倍近くに膨れ上がっているわけですね。  これは、総裁、何度も言われるように、財政をファイナンスするために買っているんじゃないと言われても、客観的に言って、国の方は、財務省の数字によりますと、十年後にはもう八百兆を超える国債出さなきゃいけないというふうなことまで出ている。  つまり、どんどんどんどんこれから国債がまだ出ていく中で、日銀がもしもこれ以上買いませんなんということをアナウンス効果やったら、それこそ違う事態を生むと。そこぐらい、それぐらいもう抜き差しならぬところまで日銀が国債を購入されているという点で、これはもう大久保委員から指摘があったんで触れませんが、要するに、こういうふうにずうっと、私は踏み越えてはならないと思っていましたけれども、どんどんどんどんそういう、日銀に何でも買えというふうなものに譲歩されてきたように私はずうっと振り返って思うんですけどね。その結果がこの表にあります長期国債の損失を生んで、国庫納付金をこんなに減らす大きな要因になっていると思うんですが、その辺の認識はいかがですか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 何かのプレッシャーに譲歩して金融政策を行ってきたという軌跡は一切ございません。あくまで主体的に判断し、デフレ脱却と申しますか、経済をより健全な姿に持っていくために民間部門も大変なコストを払っております。政策的なコストというのはやはり払わないと、無コストの政策というのはないわけであります。  これは、経済を立ち直らせることによってコストはきちんと回収していかなきゃいけないと。経済を元も子もない姿にするというのは政策ではありませんので、異常事態から脱出するために異常な手段を取り、一時的に異常なコストを払うと、これは避け難い経路だというふうに私は思っておりまして、しかしコストを無限に払っていいというわけではない。将来につながる政策でなければいけないし、将来歯止めが利く政策でなければいけないと。明確に歯止めを利かせながら、将来の政策運営をやりたいということでございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 客観的には、主体的にどうかは別として、客観的にかなり踏み込んでこられたというのは間違いないと思います。それがこの銀行保有株ですね、四番目のこれに現れていると思います。これはもう当時、世界の奇策と、前代未聞と、日銀は正気かと言われたような政策でございました。  これは買取り実績としては、この表ですと三月末ですか、今は二兆円超えているわけですね。二兆円超えているということですけれども、この部分は確かに含み益が出ていることになっていますね、六千四百六十四億。これは収入にできませんよね。  ちょっと一言、簡単に答えてください。

小林英三日本銀行理事

○参考人(小林英三君) これは評価益ということでございますんで、フローの収入には関係ございません。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 ですから、ここに含み益が出ているといっても、それが何か剰余金を増やすわけではないということになります。  これ、大体、私このときも相当質問させていただきましたけれども、これ二〇〇七年の九月までこの株式を持ち続けて、それから十年掛けて処分ですね、二〇一七年の九月末までですね、十年掛けて処分されると。少なくとも、これから三年間はこの利益が出ても、含み益が出ていても何らかの収入に計上するといいますか、そういうことはできないということでございます。  私は、もうそもそもこの表を見て、これそのものがおかしいなと思うんですけれども、何か一般マスコミは含み益ができている、出ているから結果オーライみたいなことを言っていますが、私は、これ変な話だと思うんですよね。これ、もし含み損が出ていれば、これが国庫納付金の減少につながって、国民にしわ寄せが来ると。含み益ができている、出ているのもこれまたおかしな話で、これは本来、銀行が持っていた株式ですよね。それで、日銀に含み益が出て、日銀がもうけてどうするのかと。  ですから、このスキームそのものが、私この当時申し上げましたけれども、踏み込んではならないといいますか、おかしいんですよ。含み損が出てもおかしいし、含み益が出てもおかしいし。だから、こういうものに踏み込まれるべきじゃないというふうに私は指摘をしていたわけです。そういう矛盾を持ったスキームだということが、こういう数字が出てくるとますますはっきりしたんじゃないかと思いますが、その辺の認識はいかがですか。

稲葉延雄日本銀行理事

○参考人(稲葉延雄君) お答え申し上げます。  今回の株買取りのスキームは、金融機関の株式保有リスク削減のために臨時的に一時的にやったんですけれども、そして買い入れた株式については、これは日本銀行の財務の健全性を確保するということから、できるだけ保守的に経理すべきだというふうに考えられます。  したがって、評価損が出た場合、その場合は引き当てを多く積むと、コストに立てる、一方、評価益が出た場合には収益には立てない、こういう計上の仕方が適当ではないかと考えた次第でございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 いや、だからそれは分かっているんですよ。だから、そういうことそのものがおかしな話じゃないかと。よく考えてみると、日銀がもうけても損しても、どちらにしたっておかしな話じゃないかという指摘をしているわけです。しかも、こんなことをこれから十年間にわたって日銀は公表していくと。もうかっていますよとか、損していますよと。全くこっけいなことを踏み込まれたんだなということを改めて指摘をしておきたいと思います。  要するに、私今日申し上げたいのは、ずっといろんな流れがありました。いろんなことがありました。インフレターゲット論で大騒ぎしたときもありました。日銀としては歯止めを掛けながらやっていますというふうにいつも答弁をされていましたけれども、結果的にはこういう相当踏み込んでこられたと。そういうところが国庫納付金をもう一兆円もマイナスと。この一兆円あれば何ができたかと。今国の財政が苦しいときに国民の皆さんがいろんなしわ寄せが行っているわけでしょう、国の財政がないということで。そういうことを考えると、この一兆円が国に入っていればどんなことができただろうと。今回もすごいですね、社会保障の改悪から何からですね。そういう収入が減ったことによって、そういうことが国民の皆さんにしわ寄せが行っているということですね。しかも、先ほど西田委員からもありましたとおり、ゼロ金利ということが国民の利子所得を毎年数兆円規模で奪っていると。  ですから、よく見て政策を取られないと、私はやっぱりずっと御指摘してきたように、日銀がずっとずるずると、結果的に客観的に見てずるずるとこの異常な量的緩和の踏み込んではならない部分まで踏み込んだことが、こういう一兆円を超えるマイナスを、国庫収入のマイナスを生んで、国民の皆さんに大きな負担を掛けるようになっているということを指摘したいというふうに思います。総裁、いかがお考えですか。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 今、日本銀行がいかにコストを負担し、リスクを取って金融システムを救済し、経済の健全な軌道への回復の努力をしてきたかという軌跡をたどっていただいたというふうに思います。その現れてきたメリットと負担したコストとの比較ということをみんなでよく吟味しなければいけない問題だと。私どもは常によりメリットのある方向でと、コストは掛かっていると、でもそれを上回るメリットを実現するために努力してきているというふうに確信を持っております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 ですから、そのメリットが、先ほども西田先生からありました、メリットがだれを受けて、デメリットをだれが受けているかという点と、本当にそのコストに見合う政策が効果を発揮したのかという点はよく吟味をされたいというふうに思います。  私が申し上げたいのは、かねてから申し上げているとおり、日銀は一定、政府からの、あるいは与党からの独立性を確保していただきたいと。そうしないと、こんな変なことがこれからも続くということを指摘して、質問を終わります。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 私は、先週の二十八日、当委員会での福井総裁の日銀の金融政策運営についての説明の中から、我が国の経済動向に関して、最近の国際的な原油高や、それから資源消費大国になりつつある中国経済の現状などを含めてお尋ねをしたいと思います。  まず、景気判断についてですが、先ほどもございましたが、総裁は我が国の景気は回復基調を続けているとおっしゃいます。その原因は、米国では原油価格上昇の影響を受けながらも、景気拡大のモメンタムは維持されて、東アジア経済も中国を中心に高めの成長を続けていることを挙げられています。  イラク情勢が現在泥沼化する中での米国経済や、それから資源消費大国化する中国経済の我が国経済への影響、それから業種間格差も含めて、改めて総裁の御認識をお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私どもが今抱いております標準的な経済の見通しは、ただいま委員が述べていただきましたとおりの認識を持っているわけでございます。ただ、同時に、御指摘いただきましたような原油価格高騰の影響とか、様々な地政学的リスクに由来する今後の、何といいますか、危険性というものも同時に十分念頭に置いておるつもりでございます。  私どもは、経済というものは日々動きを続けていると、私どもの活動も日々続いているわけでありまして、少なくともこういう標準的な見通しに沿って経済が動くという環境の下にあります限りにおいては、我々自身がなすべきことは、少しずつでもより多く我々の経済自体について、外からのショックに対して脆弱な部分をなくしていくと、ショックに対してより強い体質を築いていくという努力だと思います。先行きのリスク要因だけをカウントしてそれにおびえると、そして手をこまねいているというだけでは、現実にショックが起こったときにもろくも崩れ去るという悲観的なシナリオがそのまま実現するわけですので、先行き、我々が今からリスクと思っていることが仮に不幸にも顕現化しても、そのときに抵抗力はより強く発揮できるようにしていく必要があると。  それは、既に過去十年以上も掛けてみんなでやってきた努力の延長線上にその努力の中身があるというふうに私思っておりまして、企業も金融機関も一層体質改善努力をしていくと。特に金融機関につきましては、来年の春にペイオフの完全解禁という最後のハードルを迎えておりますが、これを乗り切りながら体質を更に強くしていくということがあれば、来年、今後、あるいは来年にかけて仮に世界経済のシナリオが多少今思っておりますよりも悪い方向に振れたとしても、日本経済がそれに対して耐え得る力が少しでも強まっておれば、日本経済のシナリオについて下方修正する度合いはより少なくて済むであろうと、こういうふうな感覚で考えております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 続きまして、地方の景気判断についてなんですが、現在の景気回復の背景には企業の過剰投資、過剰債務、それから過剰雇用や金融システムの脆弱性などといった、これまで我が国の経済の回復を遅らせている構造的要因の調整が進んでいるということを挙げられています。  総体としての日本経済はともかく、地域経済の現状はどうかということを考えますときに、今の三位一体改革の影響を受ける地域企業の景況分析や、それから地方経済の動向について、総裁の御見解をお尋ねいたします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 私ども、全国の支店長会議を一定のインターバルで開いておりまして、つい最近も全国の支店長会議を開きました。地方の状況についてつぶさに本部において拝聴したわけですけれども、景気回復の好影響の浸透はやはり地方にも少しずつ染み込みつつあるということではございます。  しかし、実際には中央と地方の格差はなおかなり大きい状況で続いているということも確認できたわけでございまして、今後の私どもの金融政策を判断していきます上にそれは十分念頭に置いて判断していかなければならないと。これは政策委員会におきましても再々確認しているところでございます。  地域によりまして、随分その地方の特性を生かしながら新しい経済構築のメカニズムを作りつつあるところとそうでないところとで、同じく中央からの格差は持っていても地方ごとにかなり経済のリズム感が違った姿で出始めているというのも事実だと思います。  もう北海道から沖縄に至るまで地域ごとに随分特色の違いというのは出てきているようでありまして、糸数議員の地元でいらっしゃいます沖縄の話などは私どもがかなり勇気付けられるような話、観光事業を始めあるわけでございまして、そうした現象は地域によって違いますが、ある程度出始めているというのは心強い材料だというふうに思っております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 今地域のことをいろいろ伺ったんですが、これからの将来の景気展望について全体的にお伺いしたいと思います。  日本経済がアメリカやそれから中国の経済動向に強くその影響を受けることは先ほどの御説明でもよく分かりました。今、アメリカは、先ほどもお話ございましたが、ちょうど大統領選挙の真っ最中で、やはり石油資源あるいは石油資本と結び付きが強いと言われるブッシュ現大統領のその当落が経済にどんな影響を与えるか、また、原油五十ドル時代と言われる現在の原油高騰の原因と影響について総裁の御見解をお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 米国の大統領選挙、まあ明日でございますけれども、どういう結果が出るにいたしましても、私が承知しております限りは、米国経済の持っている基本的な問題点の認識について両政党の間、あるいは両大統領の間でそんなに大きな差があるようにも見えないように感じます。  もちろん、財政赤字の問題にしても、あるいは貿易赤字の問題にしても、あるいはアメリカの企業の生産性を更に伸ばしていくためにどんな政策を取るかと、つまり財政政策とか、貿易政策とかあるいは財政政策の面で多少ニュアンスの違う政策が出てくる可能性はもちろん否定し得ないわけでありますけれども、やはりアメリカ経済全体の大きな構図というものは、やはり共通の認識として土台に据えながら政策展開がなされていくという意味では、長期的にやはりその不均衡の問題から目を離さないで、しかしやっぱり世界から資本を有効に引き付けられるような魅力のある経済作りをしていこうという基本路線はそう変わらないんではないかと。そして、景気の変動に大きな波を打たせないと、ある意味で潜在的な成長能力をより少し上回るようなところで安定的な成長を、路線を築きたいという点については、アメリカの連邦準備制度の金融政策に今後ともかなり依存しながら経済運営が行われていくであろうと。  大まかに言ってそんなところは大きな差がないと思われますので、私どもとしては、先週末私どもが抱きましたアメリカ経済についての基本シナリオというものを選挙結果いかんによってすぐに大きく修正しなきゃいけないというふうには考えておりません。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 次に、沖縄の金融特区に関連してちょっとお尋ねしたいと思います。  総裁はこれまでもいろいろとその沖縄の金融特区について温かいお言葉を述べていらっしゃるわけですが、この沖縄の金融サービス業の中長期的な発展の条件、とりわけ名護市の金融特区の抱える課題等について率直な御見解をまずお伺いしたいと思います。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 沖縄は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、地域の特性を生かしながら新しい経済興しと申しますか、地域興しといいますか、このエネルギーを非常に巧みに結集されつつある地域じゃないかなと。中央と地方との経済格差、その存在というものを十分頭に置きながらこれをブレークスルーしていくためのエネルギーの結集、その努力が他地域に比べても優れた形で今進められているような印象を私は持っているわけでございます。  観光事業にいたしましても、やはり沖縄自身が持っておられる天然資源の豊かさというものをフルに生かすノウハウというのは非常に優れて持っておられるというふうに思いますし、今おっしゃいました金融業務の特別特区、これなども、いわゆるIT革命と言われた非常に早い段階から沖縄にはコールセンターというのが相当発達して、私も幾つかのコールセンターお邪魔して、沖縄の若い方々がコールセンターでいかに自分たちの持っている持ち味が出せる職場だということを自覚しながら仕事をしておられる姿を拝見して、ITとかこのコールセンターなんて極めて無味乾燥なネットワークじゃないかというふうな、言ってみれば都会のインテリがすぐ頭に描くような感じではなくて、やはり自分たちの教育成果をそのままぼんと出してみようというふうな感じで仕事をしておられてこれは力強いなと、もうかなり前の段階で私思いましたら、今の沖縄の金融業務特区をこれから更に発展させていこうという、その一番基礎的なインフラの部分にすうっとこれが入ってきているような気がいたします。  これからもう少ししたら、沖縄の方々、特に若い人たちの潜在的な能力をもっと磨き上げていけるような、言ってみれば広い意味の教育システム、人材育成の努力と、それからやっぱり基盤ができ始めたITのインフラをもっと強固にしていくこと、そして、距離的には東アジアと非常に近い距離にあられて、金融の面でのインフラが整えば、通信その他金融業務についてもこれから新しく発展していくアジア諸国のマーケットとの連関というふうなことについても最先端のお仕事ができる可能性を持っておられるところじゃないかなというふうに思います。  したがいまして、沖縄の金融特区、これは全国版に適用しても適用可能だねと思われるようなシーズをここでたくさん生み出していただくということが非常に望ましいことじゃないかというふうに思っております。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 今いろいろございましたが、実は、今年の二月の十九日から二十日にかけて名護市の万国津梁館で沖縄金融専門家会議が開かれたその開催に当たりまして、正に日本銀行の御協力をいただき、そして、総裁に関しましてはテレビ会議の形で参加されて、沖縄の金融サービス業の活性化が進めば沖縄経済にプラスの効果を及ぼすのみならず、日本経済全体にもきっと良い影響を及ぼすことになるとお話をしていただきました。そのことに関しましては大変感謝をいたします。  しかしながら、今総裁のお話の中にもございました、金融特区というのは形におきましてはもうできております。ただし、この沖縄県とそれから名護市の懸命な企業誘致活動やそれから広報宣伝活動にもかかわらず、この二年余り、金融関連の進出企業というのは、現在のところ、ユナイテッドワールド証券とそれから琉球ホールディングスサービス、それからビックニイウスと、その三社にとどまっているだけなんですね。  八月に個人投資家としてベンチャー企業の海洋証券が誕生して、十二月にその営業を開始して、そして早ければ一年以内に金融特区の適用を申請して特区進出企業第一号を目指しているというふうに言われておりますけれども。  ただ、指定から二年二か月かけての、第一号が名のりを上げておりますけれども、これまでなぜ企業が触手を動かさなかったのか。それは、従業員が二十人以上の条件があって企業にある意味で二の足を踏ませているというふうに指摘されています。  ですから、現在、沖縄の方の、沖縄振興特別法によって創設されましたこの金融特区では、進出企業というのはやはり法人税が十年間三五%控除されるほかに不動産取得税やそれから事業税、それから固定資産税の免除などの優遇措置が受けられますけれども、一方、条件としては従業員が二十人以上という法人税の所得控除の上限が直接人件費の二〇%というその制約が設けられています。ですから、こうした条件は内閣府が沖縄の雇用環境やそして経済のその活動の実態がない企業の排除などを勘案して設定されたとは言われておりますけれども、実際にその進出企業の大きな足かせになっているわけです。ですから、二十人以上というその従業員数がネックになっているその現状をですね、これを縛りを解いて五人にして四社を進出させても、結果としては沖縄での雇用の拡大につながるという意味では、やはりその事業認定の要件の緩和が必要になるというふうに思うわけです。  さらに、その金融特区の重要なのは、やはり企業ニーズにこたえられる魅力ある商品メニューをいかに提示できるかにあるわけで、現在、名護市では、その第五次提案で金融庁にキャプティブ保険制度の融資の再提案なども求めておりまして、これ、実際には、日銀総裁には直接この金融特区に関してのかかわりということではございませんけれども、やはり今、政府が沖縄に対してその特区を実際に実施しておりましてもいろんなその縛りがあって実際には動いていないという実情がありまして、これがやはり地域の大きなその課題になっているところなんですね。  そういう意味で、今後とも総裁におかれましては、是非とも側面的な御支援などもいただきまして、今後とも沖縄の地域性にかかわる金融での御支援などもお願いしたいと思うのですが、それに関しましての総裁の御所見をお伺いいたします。

福井俊彦日本銀行総裁

○参考人(福井俊彦君) 日本銀行は、日本全体にわたって新しい金融インフラの構築と金融ノウハウの蓄積というのは、製造業だけでなくて非製造業を含めて日本経済の国際競争力をこれから強くしていく非常に重要な条件だと。その先端に立って、沖縄がその特区の構想を利用しながら新しいシーズを作り上げようという努力をしておられるということをかねてより承知しておりますし、私どもも、沖縄支店長がこの特区と申しますか、沖縄における新しい金融のノウハウの構築に全面的に協力しようと思って頑張ってくれております。今の雇用人数にかかわる制限とかキャプティブについての制約とかいうのも、沖縄支店長から私ども聞かせていただいておりまして、やはりこういった問題もできる限りうまく合理的に解決できればと思っているところでございます。  より広い観点から、いろんな問題を承知させていただきながら、できる限りの協力をさせていただきたいというふうに思っています。

糸数慶子各派に属しない議員

○糸数慶子君 ほかにもいろいろ、せっかくのチャンスですからお伺いしたいことはございましたが、お時間が参りましたので、また次の機会に聞かせていただきます。  ありがとうございました。

浅尾慶一郎民主党・新緑風会

○委員長(浅尾慶一郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会

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