法務委員会 第9号
- 発言数
- 278 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2004/11/17
会議録
○塩崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、参議院送付、民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長藤野達夫君、金融庁総務企画局審議官中江公人君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長大林宏君、文部科学省大臣官房審議官徳永保君、厚生労働省大臣官房審議官黒川達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局高橋民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川上義博君。
○川上委員 おはようございます。 まず最初に、前回法務委員会に所属していまして、今回、委員長並びに理事、委員の皆さんが差しかえで質問をさせてやろうということに対して、深く感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。 最初に、この法案の審議に入る前に、通告をしていまして、大臣に、私は実は死刑廃止議員連盟に所属しておりまして、大臣の死刑の廃止についてのお考えをまずちょっとお伺いしたいなと思っていまして、お答えをいただきたいと思います。
○南野国務大臣 おはようございます。 お答え申し上げます。 死刑制度につきましては、いろいろなお考えがあることは承知いたしておりますけれども、死刑の存廃は、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる重要な問題であると思います。そのため、国民世論に十分配慮しながら、社会における正義の実現などさまざまな観点から慎重に検討すべき問題と考えております。 そして、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えておりまして、多数の者に対する殺人、強盗殺人などの凶悪犯罪がいまだ後を絶たない、そういう状況にあることなどからかんがみまして、重大な凶悪犯罪を犯した者に対しましては死刑を科することもやむを得ず、死刑を廃止することは適当ではないというふうに考えております。
○川上委員 大変明快でよくわかりましたが、大臣、では、死刑執行の命令書に判を信念に従って押されるということだろうと思います。要するに、信念に従って死刑執行の命令書には判を押す。 ついては、例えば、大臣、死刑執行の現場に赴かれる覚悟はおありでしょうか。
○南野国務大臣 まだその場には行ったことはございませんが、行くことも考慮しなければならないときが来れば、そのようなことも考えてはおります。
○川上委員 ありがとうございました。 それでは、法案の民法一部改正について質問をいたします。 今、改正を行う途中でありますけれども、施行日がはっきりしていないわけでありまして、一体、来年、通常であれば法案が成立した後六カ月以内ということでありますが、いつごろをお考えになっておられますでしょうか。
○房村政府参考人 法案の民法一部改正法の方でよろしゅうございましょうか。(川上委員「はい」と呼ぶ)この法律について、現在のところ、この国会で成立をした場合には、来年四月一日の施行を目途として準備を進めたいと考えております。
○川上委員 それでは、来年の四月一日という話でありますが、例えば、今法案がありますけれども、継続して三年を経過した場合、新法と旧法との間はどのようなことになるでしょうかということと同時に、十七年四月一日時点で係争中の案件があった場合は、これは旧法を適用されますかということでありますが、この点いかがでしょうか。
○房村政府参考人 この改正法施行前に締結された根保証契約、この扱いでございますが、まず、これを一律に無効とするわけにはまいりませんので、既存の根保証契約に対して、改正法による規制を一部変容して適用するということになります。 経過措置で定めております内容といたしましては、基本的に保証期間の定めのない既存の根保証契約につきましては、改正法の施行日から三年を経過する日をもって元本確定期日とする、こういう規制といたしておりますので、原則的には三年経過した時点で確定をするということになります。もちろんそれより早い元本確定期日が定まっておれば、その契約の内容に従って確定をするということになります。 それから、保証期間の定めがあっても極度額の定めがないものについては、やはり三年で確定をする、こういうことになります。 極度額の定めがあり、かつ、元本確定期日の定めがある場合には、三年を超えて五年までの間ではその元本確定期日の定めを有効とするということになりますので、例外的に五年まで存続するものもございますが、それ以外のものはおおむね三年で元本が確定する、こういうことになります。 それから、係争中ということでございますが、法律の適用関係といたしましては、今申し上げましたようなものは、係争中というのはもう既に元本が確定しているんじゃないかとは思うんですけれども、係争内容にもよりますけれども、係争中かどうかにかかわらず、そういった経過措置は適用されるということになります。
○川上委員 実は、根保証そのものは法律用語にどうも存在しなかったらしいんですが、今回初めて根保証そのものが法律用語に、法律の文案の中に登場してきた初めてのケース。といいますのは、根保証を世間というか法曹界が認知をする、根保証はあるんだ、存在するんだということを今回初めて提起されたと思うんですが、この根保証とは一体何なのかという規定があるのかないのかなんですね。根保証とはこういうものだというものをどこかの文言の中に置いておかなければいけないのではないかなと思うわけですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○房村政府参考人 今回の条文で申し上げますと、四百六十五条の二の第一項で、「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約」、これにつきまして「(以下「根保証契約」という。)」という形の条文を定めておりますので、この条文から見ますと、この根保証契約を「一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約」という形で定義をしているということになります。
○川上委員 それでは、今回、この根保証制度が認知をされて極度額と期間の定めを持った、包括根保証制度そのものがなくなるような印象を受けておるんですけれども、社会的な問題が乱立して大きな問題になっているわけで、それに規制を加えるという趣旨であったんだろうと思いますが、そうであれば、根保証を限定保証にして、なおかつ根保証そのものを認めない、根保証は存在しないんだということを法務省としておっしゃった方が、すべては限定債権債務、特定されているものだ、不特定はあり得ない、その都度やりなさい、契約をしなさいということの方が、非常にはっきりして明確で合理的であるんではないかなと思うわけですね。 私はちょっと勉強していませんけれども、どうも外国の場合というのは、こういう根保証制度というのは日本の商慣行だけで、ないんじゃないかなと思うわけですけれども、何ゆえこれを認めたのか。根保証制度そのものを認めないとすれば、これは法律にしなくてもはっきりするんじゃないかなというふうに思うわけですが、どうでしょうか。
○房村政府参考人 根保証契約につきましては、先ほど申し上げましたように、不特定の債務を保証するということでございますが、融資の中には、比較的長い借入期間を設定して融資をするという場合ももちろんございますけれども、短期間の間に借り入れと返済を繰り返す、こういう融資形態も広く用いられているわけでございます。そういうときに、保証として特定の債務について個別に保証しなければならないということになりますと、短期間に保証契約の締結を何回も繰り返さなければならないという、これは両当事者にとってかなり負担となるということがございます。 そういうことから、この根保証というのは、法律上用語にありませんのが社会的に定着しておりますのは、そういう実務の必要に応じて、借り入れ、返済を繰り返すような場合に、そういった不特定の債務について保証をするという必要性があって生まれた契約形態でございます。 これにつきまして、期間の定めあるいは極度額の定めがない場合には過大な責任を負いがちである、こういう弊害が指摘されたところから、今回は、極度額及び期間を定めるということで包括根保証を禁止するということとしたものでございますけれども、融資の形態として、先ほど申し上げましたような短期間に何回も繰り返すというものがある以上は、この根保証契約というものがやはり社会的に需要があるということだろうと思いますので、私どもとしては、やはり、根保証契約に合理的な規制を加えつつ、それを社会の需要に応じて利用していただくということが適切な道ではないか、こう考えたわけでございます。 諸外国の制度でございますが、これにつきましても、やはり、継続的に発生する不特定の債務を保証するという根保証の制度は、英米独仏など諸外国においても一般に存在する、こう言われております。
○川上委員 外国も存在するということですか。 では、今回の改正案では、おっしゃるとおり、三年、五年という期間、それから、限度額というか極度額を設定、導入されているわけですが、用語として正しいかどうかわかりませんが、責任制限がどうも考えたらないんではないかなと。つまり、契約において別に担保を提供してください、根抵当権設定契約、いわゆる不動産の根抵当権を設定する契約をして、なおかつ、個人に対して個人保証も求める。だから、不動産に対して、人的保証もなおかつその上に求めるということがあるんですね。 だから、これは累積的とか累積式とか非累積式、要するに、累積式というのは不動産と人的保証のダブルで保証行為をしている、非累積式というのは保証行為が不動産であれば不動産だけで限定しておる。今回の法律では、こういった制限がないわけですね。今までの包括根保証、限定保証も同じレベルになっております。同じなんですね。 だから、今回、限度額、極度額とか期間を設定するのであれば、このあたりの責任制限も、規制するということを考えられないだろうかと思うわけですが、どうでしょうか。
○房村政府参考人 融資に当たりまして、必要な範囲を超えて保証人を立てさせたり、あるいは担保権を設定したりということは、金融実務のあり方としては望ましくないものだろうとは思っております。 ただ、現実に融資をする場合に、どの程度の保証が必要であるのか、あるいは担保が必要であるのかということは、債務者の信用状態あるいは物的担保の評価額、それらの事情が将来変動するリスク、それから取引の将来の見込み、こういったものを総合して考慮されることになるのだろうと思いますが、これを民法で一律に規制しようと思いますと非常に困難なことになります。 ですから、御指摘のような問題点は私どももわからなくはないのですが、民法の規制で対応しようと思いますと、やはり非常に規定の仕方が難しい、また、そういった規制をかけた場合に、金融機関がその点を非常に心配して、保証契約が無効となるというリスクを恐れて金融に慎重になってしまうということから、かえって円滑な金融を阻害するおそれもあるわけでございますので、そういったことを考えまして、今回、具体的な弊害の指摘されております包括根保証についての規制ということにとどめたわけでございます。
○川上委員 金融が慎重になるということ自体、全くおかしな話だと思うんですね。 金融というのは公共性が物すごく高いものですから、自分のリスクだけはしっかりヘッジをして、債務者だけに過大なリスクを負いかぶせて、だから金融をやるんだというふうなことが、大体、まあ局長に言うべき言葉じゃないんです、これは銀行一般に言うべき言葉なんですけれども、そのあたりのことはまことにおかしなことになっているんではないかなと思うわけですね。 そのおかしなことが蔓延しているものですから、当然被害者が発生してくるわけであります。私の周辺も、非常に、いつの間にか、一千万の連帯保証をしたにもかかわらず、数年後に億という請求をされてびっくりしたというふうな、たくさんあるわけですね。だから、今回の改正につながっている経緯になっていると思うんですが、実は、この改正以前のそういった思わぬ被害を受けられた方の救済をやる必要があるんではないかなというふうに思います。 例えば、破産における免責の基準というのに照らした、一定の債務を返済した後の残債務は免除をする、免責をするというふうなことが考えられないだろうか、そういった条文が入らないだろうかと思うわけですね。 例えば、個人もそうなんですけれども、和議とか更生手続とか民事再生とか破産とか清算などの処理の後に、これはこれからの話なんですけれども、例えばこの法案は三年という期間がありますから、この処理後に三年を経過した場合は保証人に残債務が及ばない、要するに、手続の処理をしますね、三年経過したら、あとの残債務は及ばないように、そういった処置の条項を入れるということは検討する必要があるのではないかなと思うんですが、既存の債務者と同時に新法の施行後の債務者についてお伺いをしたいと思います。
○房村政府参考人 御質問の趣旨は、主たる債務者が破産手続等をして免責を受けた場合に、その主たる債務者の保証人についても一定の範囲で免責を与えるべきではないか、こういう御主張でございましょうか。 これは、確かに主たる債務者について破産、倒産手続が進んで免責が与えられた場合に、保証人の方は払わなければいけないというのも、やや保証人には責任が重いようにも思えますが、しかし、保証を立てているということ自体は、まさにその主たる債務者が払えない場合に保証人に払ってもらうという目的のために保証人に立っていただいているわけですので、その保証の目的からいたしますと、そのような考え方はやはり難しいのではないか、こう思っております。
○川上委員 だから、結局その主たる債務者は免責を十分されたと。ところが、保証人は免責されないで過大な支払い請求を受けるわけですね。したがって、このことはぜひ法務省は検討しなければいけないと思うんですね。 我が身になって考えるということが必要だと思う。自分がそうなれば、例えば、局長が学生のときに何らかのあれで、今立派になられて、突然数億というお金が、昔、学生時代に保証をやった記憶があるかないか忘れたのに突然やってきたというのを考えれば、これは何らかの処置をしなければいけないと思うでしょう。そこを言っているんですよ。だから、その身になって考えなさいということなんです。どうなんですか。
○房村政府参考人 確かに、保証というのは無償で情義に応じて行っている、それで気がついたときには非常に大きな責任を負うという意味で、保証人には非常に同情すべき点が多いのは御指摘のとおりだろうと思います。 そういう意味でも、今回、私どもとして最も問題の多い包括根保証についてこれを禁止するということにしたわけでございますが、今後も保証人の責任のあり方については、今言ったような過酷な結果が生じないようにさまざまな面で検討していかなければならないだろうとは思っております。 ただ、先ほどの破産免責の場合で申しますと、確かにその場合に、主たる債務者の方は、いわば全財産を投げ出して、その上で清算をして免責を得ているという事情もございますので、保証人について、そういったすべての財産をどう評価するかというふうなことを抜きにして一部の免責を与えるというのはなかなか難しいのかなとは思っておりますが、御指摘のように、保証人に非常に過酷な結果が生じかねないということはあり得ますので、私どもとしては、今言ったような保証人の保護のあり方については今後も検討してまいりたい、こう思っております。
○川上委員 主たる債務者が個人の財産もすべて処分して処理しているという話なんですけれども、実は、破産に追い込まれて、主たる債務者が復権しようとした、復権できつつあったときに、またやってくるんですよ。残債務のポンカス債権みたいなものを、元本に満たないものだから、あなた、復権してまた財産を蓄えたらしいから、そのものもちょうだいしますということがよくあるわけですね。だから、主たる債務者もそうですけれども、保証人も、救済の道というのは、処理が終わればもう請求はできないというふうなことを検討する必要があるというふうに思います。 さっきの、なぜそうなるかといいましたら、あくまでも貸し手側のいいかげんな文言にあるわけなんですね。要するに、これは形だけのものですから、連帯保証、判こを押すだけでいいです、これはみんなやっています、形だけで結構でございますから、みんなやっていることですからということで、そうですかと。包括根保証制度そのものがどんなものかわからない、説明もしない、そういったことで安易に判こを押されているわけでありますから、今回の三年、五年の間に、結局、主たる債務者が経済活動をしているわけですから、その間に重大な経済的事情変更が多分あると思うんですね。それは、知識があって連帯保証をやったにもかかわらず、自分の返済能力を超えるという事態が五年間に出てくる可能性があるわけです。 したがって、金融機関に一年ごとに、今、中間決算もそうですけれども、アメリカなんかはレビューということで四半期ごとに報告をしているわけですね、投資家とか株主に。当然、企業も経営体も一年ごとに銀行に決算書を出しているわけです。これを、財務内容も営業内容も全部含めて連帯保証人にも通知する、信用状況がわかるようなものを保証人にディスクローズしていくという必要があると思うんですね。そのあたりのことはどうお考えでしょうか。
○房村政府参考人 今回の法改正に当たりまして法制審議会で審議をしたわけですが、その審議の過程でも、御指摘のような債務者の信用状況が悪化したような場合にはこれを保証人に通知させる義務を負わせるべきではないか、こういう御議論もあったわけでございます。 ただ、民法というのは、広く一般の契約すべてに適用がある、必ずしも金融機関と保証人との関係に限らない、こういうことを考えますと、一般法である民法でそういう通知義務まで課すのは難しいのではないか。場合によると、そのような通知義務を課すことがかえって妥当を欠くような場合も民法の適用上生じかねない、そういう指摘もありまして、今回はそういった通知義務を民法で規定することは見送るということになったような事情でございます。
○川上委員 主たる債務者も保証人も同じなんですね、債務は。同じなんですよ、別に主たる債務者だろうと保証人だろうと。特に連帯保証の場合というのは取れるところに行きますから、主たる債務者が取れなかったら連帯保証にすぐ行くわけですから。だから、同じレベルですから、経営内容を、信用状況を保証人にも連絡させるというのは当たり前の話だと思うんですね。同じレベルですから、保証していることは。 だから、そういう受ける権利、当然、その経営体の財産状況がどうなのか、それは秘密にしておくべきなんだというふうなことじゃないんです。すべて、保証人になったら、当然知る権利というか、信用状況を知る権利があると思うんです。もう一回お答えいただきたい。
○房村政府参考人 先ほど申し上げましたように、例えば、そういった経営内容を熟知した者との間でそういった通知がされるということは望ましいことではあろうとは思っております。しかし、民法の場合は、金融機関と主たる債務者あるいは保証人との関係を規律するだけではなくて、今回の根保証契約の規定でいいますと、貸金等に対する根保証であればこれは広く適用されるということになるものですから、そういう場合に一律に通知義務を課すということは、民法としてそういうことをやりますと、具体的な場合に、必ずしも相当でない結果が生ずるおそれがある。また、その違反の効果をどうするかという点も、民法で規定をいたしますと、なかなか難しい面がある。 例えば業法のようなもので規制をする場合には、行政処分あるいは指導、こういうような段階を追った効果が認められるわけでございますが、民法のような規定で規制を加えますと、その効果としては、無効になってしまうというような非常に強力な効果が生ずることが多いものでございますから、そういった点も含めて種々検討いたしましたけれども、やはり今回は通知義務について民法で規定をすることは見送るということとなったものでございます。
○川上委員 民法では大変厳しいというお話でありますが、では、銀行行政の中で、銀行法の中でそういった義務を課す、あるいは今いろいろな説明義務ということでガイドラインを設定しているらしいんですけれども、あくまでもこれは努力規定なんですね。要するに、こういった、連帯保証はこういうものですよということを、貸し手側は、特に大手の金融機関、貸金業以外の金融機関なんですけれども、それはそういうふうに努力をしなさいという努力規定なわけです。だから、銀行法でそういったことをしっかり条項の中に入れるという必要があると思うんですけれども、金融庁はどうお考えでしょうか。
○中江政府参考人 お答えいたします。 先生御指摘のように、銀行に対しましては、現在、銀行法において、貸付契約ですとか、今お話のございました保証契約締結の際の書面交付を義務づける明示的な規定はございませんけれども、銀行法及びその施行規則におきまして、こういった貸し出しですとか保証を含めた業務全般につきまして、顧客の知識経験あるいは財産の状況を踏まえた説明を書面の交付などの方法によりまして行わせる十分な説明体制整備を義務づけているところでございます。 また、銀行法に基づいた監督上の事務ガイドラインがございまして、これは対外的にも公表いたしておりますけれども、このガイドラインの中におきまして、今お話のございました保証人への書面の交付につきましては、銀行が保証契約を締結した際には原則として契約者本人に契約書等の契約内容を記載した書面を交付することとしているかといった点を、当局が金融機関の説明体制の状況をチェックする上での着眼点としているところでございます。 さらに、この事務ガイドラインにおきまして、保証契約の形式的な内容にとどまらず、保証人の法的効果とリスクにつきまして、最良のシナリオだけではなく最悪のシナリオ、すなわち実際に保証債務を履行せざるを得ない事態を想定した説明を行っているかといった点を、当局がチェックをする際の着眼点としているところでございます。 そういたしまして、こうした金融機関の対応に問題があると認められる場合には、銀行法に基づきまして業務改善等の措置を命ずることができるということになっております。 こうした枠組みのもとで対応しているところでございまして、今後とも、金融機関の顧客に対する十分な説明責任の履行をしっかり求めてまいりたいというふうに考えております。
○川上委員 例えば、貸金業の規制等に関する法律で、これはもうしっかりと文書で契約を交わす、契約内容も保証人に渡しているわけなんですね。貸金の場合はそのように厳密にやって、普通の銀行に関してはそういったものがなくて、今るるおっしゃったようなことをおやりになって、ところが、その罰則の規定も何もないわけなんですよ。いや、言いました、しっかり説明しました、書面だけは交付をしておりませんけれども説明はしっかりしています、保証人は何も聞いておりませんという、証拠が何もないように、言った言わないの世界に入ってしまうわけですね。 だから、貸金業と同じレベルというか、同じ銀行法の中も、書面を交付するというふうなことをしっかり改正してやるべきだと思うんです。そのあたりの、検討するぐらいのことはおっしゃった方がいいと思うんだけれども、どうでしょうか。
○中江政府参考人 確かに、貸金業規制法のもとでは、顧客に対する書面の交付というのは義務づけられているところでございます。 そこで、貸金業規制法との比較なんでございますけれども、銀行の場合には、銀行の業務の公共性にかんがみまして、信用秩序の維持ですとかあるいは預金者の保護といったような観点から、銀行に対しましては、銀行法に基づきまして、営業免許を初めといたしまして、厳格な参入規制ですとかあるいは監督規制を求めることによりまして、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保することとしているわけでございます。 他方、これに比べますと、貸金業規制法の方は、貸金業を営む者につきまして登録制度というものを実施いたしまして、ある意味緩やかな参入規制を設ける一方で、その事業に対しまして必要な行為規制を行うということを目的としております。 このように、銀行法と貸金業規制法とではその目的ですとかあるいは規制方法等に大きな違いが見られるというところでございます。 いずれにしましても、今先生御指摘のように、顧客に対しまして契約内容等につきまして適切かつ十分な説明を金融機関が行っていくということは極めて重要な問題だというふうに認識しておりまして、金融庁といたしましては、先ほど御説明をしましたような枠組みのもとで、金融機関に対しまして十分な説明責任を果たすようきっちり対応してまいりたいというふうに考えております。
○川上委員 民事局長、先ほど私が言いました主たる債務者の信用状況が悪化した場合、これを、どんどん悪化しているなと債権者が通知がなくても知った場合、この場合に、通知も含めてそうなんですけれども、途中で解約というか、解約権というのを法律上明記した方がいいのではないかな、解約権はありますと。事情が悪化した場合に、これはもう対応できませんということで解約権を行使するというふうなことがあって当然だと思うんですが、その解約権のことについてお考えをお伺いしたいと思います。
○房村政府参考人 御指摘のように、根保証をしている場合に、例えば主たる債務者の経済状態が急激に悪化する、こういう場合に、保証人としてそれ以後発生する債務については保証の責任を負わない、こういう意味の、特別解約権と現在の実務では呼ばれておりますが、今回の法案の中身で申しますと元本確定請求ということになろうかと思いますが、そういった元本確定をできる権利を与えるべきではないか、こういうことは、今回の法案審議の過程でも法制審議会で議論をされたところでございます。 今回の法律案におきましては、そういったものの代表例といたしまして、債務者または保証人の財産に対する債権者からの強制執行の申し立て、あるいは破産手続開始の決定、あるいは債務者または保証人が死亡した場合、こういう三つの事由を挙げまして、この場合にはその時点で元本が確定する、こういうこととしております。 それ以外に、債務者の財産が急激に悪化したような場合にやはり保証人の保護を図る必要があるのではないか、こういう議論がなされまして、ある意味では極めてもっともな御指摘ではありますけれども、今典型例として挙げました三つの場合以外に、具体的にはどんな場合に解約を認める、いわゆる解約ですね、現行法の立場に即して言うと、元本の確定を認めるべきかということになりますと、さまざまな事情が考えられるわけでございます。そういうものを統一的に条文にあらわすというのは非常に困難ではないか。 一方、逆に、現在の判例あるいは学説のもとでは、根保証契約を締結した時点で予測できないような急激な変化があって保証人を保護する必要がある場合には元本の確定請求ができる、こういうことが判例あるいは学説上認められておりますので、今回の法案を通していただいて、保証契約について期間または極度額の定めが必要ということになった後でも、予測できないような事情が生じて保証人の保護を図る必要がある場合には、やはり従前と同様に、その個別事情に応じて、裁判所によって個別的な救済が図れるのではないかということから、民法に一般的なそういう元本確定請求権を規定することはしないで個別的な判例の救済にまつということの方が妥当であろう、こういうことになったわけでございます。
○川上委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、判事の判断とかという問題じゃないと思うんですね。よく判事さんは、大変失礼ですけれども、世間というかそういった、知らないというか、信用取引の実態とかというのは、神様じゃあるまいし、みんな知っているわけじゃないので、法律上の判断をしちゃうだろうと思うんですね。だから、あくまでも解約権とかというのは法律上の明記が必要だと思うんですね。 だから、最後に、例えば民法の意思の表示について、民法は意思の確認を求めているんだと。九十三条から九十六条ですね。これが、意思の確認がなければ契約自体を取り消しするんだという民法の規定もあるわけです。ところが、民訴法では、文書としての成立要件、だから、さっきおっしゃった、文書だけで、判こを押しているだけでそれは有効だ、真正だと規定しているんですね。 片一方は意思の確認を求めているにもかかわらず、片一方はそういった形式要件が整っておれば有効だという、私から見れば極めて矛盾している法律体系になっているわけなんです。したがって、このあたりのことはどうお考えなのかということと、裁判官だけにゆだねるということは少し違和感を私は覚えますが、そのあたりはどうなんですか。
○房村政府参考人 ただいま御指摘の民事訴訟法の文書の成立に関する推定の規定でございますが、これは、我が国では、一般に文書を作成して、その人がこの文書を間違いなく作成したという証拠のためにその文書に署名をする、あるいは判を押すということが広く行われておりますので、その人が間違いなくその判を押した文書であればその人のつくった文書と言えるであろう、こういう一般的な社会常識を条文の形にしたものが民事訴訟法の規定でございます。 ただ、もちろん、その人が判を押したことは間違いないけれども、中身を誤解していたとか全く理解できないで押していた、こういうような場合には、そもそも成立そのものが否定される場合もあるでしょうし、文書の成立は認められても民法上の意思表示として瑕疵があるということで、無効あるいは取り消しの対象になるということはあり得るわけでございます。ですから、民事訴訟法の規定はあくまで、そういった社会常識、判を押していればその人のつくった文書ではないか、特段の事情がなければその人がつくった文書と言えるだろう、こういう常識を条文の形にしたものでございます。 それから、裁判所のことでございますが、これは、裁判官により適切な事実認定をお願いするということになりますが、やはり、先ほど申し上げたのは、法律で書こうと思いますと、保証人に通知をしなければならないような急激な変化というものを一つ一つ条文に規定するのは困難でございますし、余り抽象的な要件にいたしますと、かえってその解釈をめぐって紛争が新たに起きかねない。そういうことを考えますと、法廷の場で裁判官だけが判断するわけではなくて、両当事者がそれぞれの事情を主張して、それを総合して裁判所が判断するわけでございますので、そういった訴訟手続の中で、より具体的な事案に即した妥当な解決が図られるのではないか、こういうことでございます。
○川上委員 どうもありがとうございました。
○塩崎委員長 次に、西田猛君。
○西田委員 自由民主党の西田猛でございます。おはようございます。 南野法務大臣、そしてまた滝副大臣、富田政務官、また理事、委員の皆さん、もちろん委員長も含めまして、法務委員会、今国会では大変重要かつヘビーな委員会になっておりまして、お疲れさまでございます。 おかげさまでいろいろな法律案がこの委員会を通過していきまして、ADR法案そしてまた刑法の重罰化などがこの委員会を通過いたしております。また、ただいまは、民法の一部改正法案、そして債権譲渡対抗要件に関する特例法の一部改正法案などがかかっておるわけでございまして、いずれも重要かつ国民生活にとって深い意味を持つものでございますので、よろしく御審議のほどお願いを申し上げたいと存じます。 また、これに引き続きましては、恐らく民事訴訟費用に関する問題、それからまた司法修習生の給費制に関する問題、あるいは国際法上の約束事でございます犯罪の国際化、組織化に対する我が国の体制整備などについてもこれからも出てまいりますので、また引き続きよろしくお願いを申し上げたいと存じます。 私は、同僚議員に引き続きまして、特に債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御質問を申し上げたいと存じております。 我が国におきます企業金融の中心は、専ら不動産を担保とする融資がなされておりまして、これにつきましては、我々法制度にかかわる者のみならず金融制度にかかわる者においても、新しいビジネスモデルを模索しなければいけない。今までですと、銀行、金融機関と言っておりましても、融資の額を超える担保価値のあるものを担保としてとっていてお金を貸し付けるのであれば、これはもうはっきり言ってだれでもできるということでございました。しかも、我が国のかつてのように、右肩上がりで不動産の価値も上がるという時代にあれば、銀行などは、本当に審査ということが行われない、そういう業種であったのではないかというふうに思っております。 ところが、今日のような経済事情に至りましては、金融機関におかれてもしっかりとした審査機能が必要ですし、そしていよいよ、不動産ということではなくして、動産ということ、そしてまた、債務者が特定されない将来の債権というものをも担保として、これを企業金融の担保の対象にしようという動きまで出てまいっております。 このように、重要な時代の曲がり角に差しかかっているわけでございまして、そこで、法務大臣にお伺いしたいのでございますが、今申し上げましたように、動産までをも融資の対象にしよう、そしてそれを登記ができるようにいたしましょうということのお話、これは新たに創設されることではありますけれども。そしてまた、これまで我が国の伝統的な民法体系におきましては、債務者というものが非常に重要な役割を果たしておりまして、いわば債務者インフォメーションセンター機能とまで言われていたわけですけれども、これらの重要な機能を営んでいた債務者が不特定なままで将来にわたる債権をも融資の担保の対象にしてこれをまた登記しようという動きまで出てまいっておりますが、このような新しい企業金融の動きの社会的なニーズがどの辺にあって、またどの程度あるのかというようなことについてお伺いしたいと思います。
○南野国務大臣 西田先生、おはようございます。 この法案に限らずいろいろな法案を抱えておりまして、先生方の御苦労、本当に感謝いたしております。よろしくお願いいたしたいところでございます。 経済産業省が昨年七月に実施いたしましたアンケート調査の結果によりますれば、今後、動産担保を積極的に活用しようと考えている金融機関や事業会社は相当数に上っているということでございます。また、債務者不特定の将来債権の譲渡、これも登記ができる方がよいとする事業会社も相当数に上っていると思います。また、法制審議会の審議におきましても、中小企業団体の推薦委員から、動産・債権譲渡登記制度の整備を早急に行うべきであるという意見が強く述べられているところでございます。 したがいまして、動産の譲渡登記制度を創設し、債務者不特定の将来債権の譲渡につきましても登記ができるようにということで、債権譲渡登記制度を見直してほしいというニーズは、先生おっしゃるとおり、確実に存在するものと思っております。
○西田委員 今大臣から明確な御答弁をいただきましたように、特に日本の中小企業におきましては、よりコストの低い金融を受けたい、信用供与を得たいということのニーズが非常にございまして、そのためには、動産の登記をしっかりとしてそれを担保とする融資を受けたい、あるいは、将来まだ特定されていないけれども、そういう将来債権についても担保として融資を受けたいというニーズが非常に高いというふうに私どももいろいろなところで聞いておるところでございます。そういう時代の要請、社会の要請に呼応して今般の法改正がなされるわけでございまして、非常に意義深いことであるというふうに考えております。 したがって、そこで、さらに中小企業などに対する低コストの資金調達を可能にするという切り口から、より一層使い勝手のいい企業金融制度ができるように、この動産譲渡登記制度及び債務者不特定の将来債権登記制度がよりよいものであってほしいという観点から、少し法務当局にも質問してみたいと思っているのでございます。 まず、根本的に、今回の債権譲渡特例法の法律案第三条第一項で、動産につきましてですが、動産譲渡の登記を行った場合の効力については、民法の第百七十八条、これは動産の引き渡しの規定でございますけれども、その引き渡しがあったものとみなす、こういうふうな規定がなされているわけでございますが、ただいまかかっております本法律案第三条第一項の趣旨をお答え願いたいと思います。
○房村政府参考人 民法の第百七十八条では、動産の譲渡につきまして、引き渡しがあったときに第三者に対抗することができるようになるという、第三者への対抗力が発生することを定めているわけでございます。 本法律案の三条一項で、動産譲渡登記がされた場合に「民法第百七十八条の引渡しがあったものとみなす。」と規定しておりますのは、その登記がなされたときに第三者に対する対抗力が発生する、引き渡しがあったのと同じ対抗力が発生するということを定めたものでございます。
○西田委員 おっしゃるように、民法百七十八条に定める、これは少し読んでみますと、「動産ニ関スル物権ノ譲渡ハ其動産ノ引渡アルニ非サレハ」、これは改正前の片仮名の方で読んでいるんですけれども、「非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」ということでございまして、したがって、今かかっている法律案で登記をすると、この引き渡しがあったものとみなすということでありまして、それ以上ではないということなんですよね。 そこが今回の改正法案の実は一番の肝ですし、そしてまたいろいろな問題を惹起するところでもあるわけであります。すなわち、我が国においては、あくまでも動産の対抗要件というものは引き渡しということが根本である、こういう伝統なのでありまして、今回の法律案によっても、その引き渡しが動産の第三者対抗要件であるということを超えるものではないということでありますね。ここが一つ大きな問題でございます。 そこで、こういう問題が生ずるわけであります。今回は、この動産譲渡を登記させることによって、これは法人の動産譲渡に限られておりますから、企業金融を円滑ならしめようという趣旨から出たものでございます。そこで、ある動産について、担保として譲渡を登記し、そして融資を行ったという者が、実は先に占有改定によって譲渡担保設定がなされていたというケースが間々出てくるのではないかなというふうに思うのですけれども、今申し上げたようなケースにおいてはどちらが優先するのか、お答えいただけますでしょうか。
○房村政府参考人 今回の改正法のもとにおきましては、先に占有改定によって譲渡担保の設定がされ、その後やはり譲渡担保で動産譲渡登記がされた場合には、先の占有改定の方が勝ちます。
○西田委員 恐らくそうでしょうね。それは、民法百七十八条の効力しか持たないという点からすると、当然導かれる効果なんだと思うんですね。 そうしますと、これは企業金融を円滑ならしめようという趣旨で出たことなんですけれども、実は動産というものの問題点ですよね。特に、占有改定で譲渡担保の設定がなされた場合には、譲渡人のところに物があるわけですから、これが真正の権利者はだれなのかということがなかなかわかりにくい。したがって、債務者、融資を受けようとする者が明確な意思表示をしないままに融資を受けてしまうということが行われた場合に、その債権者が権利を阻害されるということになるわけですね。ここをしっかりと解決していかないと、今回のような、せっかくの動産の譲渡登記というものを創設いたしましても、企業金融が大きく道が開かれていかないのではないかなという気がいたすのでございますけれども、民事局長、どのようにお考えでしょうか。 〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕
○房村政府参考人 実は、ただいま御指摘の動産譲渡登記の効力をどうするか、登記に先行する占有改定に優先するものとするかどうか、こういうことが今回の法制審議会の審議でも最大の論点の一つでございました。 現在の占有改定の問題点としては、御指摘のように、占有改定により引き渡しを受けた場合には、外観としては従前と全く変わらない、外からはそれがわかりにくい。したがって、譲渡担保を新たに設定したときに、実は先行する譲渡担保が占有改定で設定されていた、こういうことがあって、不安でなかなか動産の担保としての利用が進まないんだ、こういう御指摘があったわけでございます。それを解消しようと思いますと、占有改定で譲渡担保が設定されていても、その後に動産譲渡登記をした場合にはその登記の方を優先するという、いわゆる登記優先ルールと呼んでおりましたが、そういったルールを採用するということが望ましいわけでございます。 ただ一方、そういうことになりますと、占有改定で譲渡担保を設定している者の地位は非常に不安定になる。後で登記をされてしまうと、その地位が覆されてしまう。現在の実務の扱いとしては、債務者の中には、譲渡担保を設定していることを知られたくない、こういうためになかなか明認手段もとれないというような声がありますので、仮に登記制度ができても、やはり占有改定のみでとどめておきたいという要望が一定程度あるという御指摘があるわけでございます。そうしますと、そういった場合に、占有改定で譲渡担保を設定した者の地位が非常に不安定になるということが一つございます。 それから、現在の民法のもとでは、当然のことながら、対抗要件の間に優劣はございません。しかし、登記優先ルールを認めますと、引き渡しの中でも、占有改定による担保目的の引き渡しと、担保目的による登記との間に優劣の差ができる、対抗要件の間に優劣の差ができるということになります。 ところが、今、民法の一般的な理論は、対抗要件は全く同一の効力であるということを前提としておりますので、その中にそういった優劣を持ち込みますと、理論的にいろいろな問題が生ずる。例えば、占有改定と、登記と、もう一つ別の真正譲渡の占有改定が入ると、三すくみになって適切な解決が図れないというようなことが法制審議会の場でも随分議論をされました。 それから、登記の効力をそういうぐあいに強力にいたしますと、これを悪用されるおそれがある。やはり、占有改定があることを知りながら譲渡登記をして、故意にその先をひっくり返す、こういう濫用のおそれもあるというようなことも指摘をされました。 そういう各問題点と、もう一つ、実務家の委員の方から御指摘があったのは、隠れた占有改定が不安だというけれども、新たに譲渡担保を設定するときには、当然その相手方のことを十分調査して、既に担保に供されているかどうかということは調べるんだ、そういう意味では、仮に譲渡担保として占有改定で優先するものがある場合にはそれに負けるとしても、通常は、きちんとした調査をすればそんなに問題になることはないんだ、それよりも、登記優先ルールのような従来にないものを持ち込むことによって、かえって取引が混乱するおそれがある、こういう御指摘もあったわけでございます。 そのようなことで、種々議論をした結果、現行法のように、対抗要件としての効力は同一にする、こういう法内容になったものでございます。
○西田委員 そのとおりですね。今の日本では、民法法制上、私、冒頭申し上げましたように、やはり動産につきましては引き渡しという対抗要件があって、今度は動産の譲渡の登記という新たな対抗要件措置を設けるわけですから、その間で優劣をつけることができないという立て方でしか今のところないわけですね。そのとおりだと思います。先ほどの同僚議員の言によれば、立派になられた民事局長の御答弁で、さすがにそのとおりであります。 そこで、ちょっと諸外国の例などをいろいろ調べてみますと、私もなけなしの知識で見ると、どうやら、動産につきましても、譲渡の登記のみを対抗要件としている国もあるように見受けられる。それはそれで一つの行き方ですし、むしろすっきりするのではないかなというふうにも考えられるわけでございまして、私の方から申し上げる前に、このあたりの、諸外国の動産担保制度と、それから、私が今申し上げましたように、動産につきましても登記一本で対抗要件の優劣、先後を決めてはいかがかなということのお考えについて、どのようにお考えになられますか。
○房村政府参考人 諸外国の動産担保制度でございますが、まず代表的な例としてはアメリカが挙げられますが、アメリカの統一商事法典、いわゆるUCCでございますが、これでは、担保権を第三者に対抗する方法として、目的物の占有の取得のほか、貸付証書の登録という簡便な手続を認めております。大体、各州、この統一商事法典に倣った規定を設けているということで聞いております。これは、そういう意味では日本の登記制度に類似するといいますか、日本の今回の制度がこれを参考にさせていただいたということでございます。 それから、イギリスにつきましては、日本と同じような動産質の制度もございますが、そのほか、目的物の占有を担保権設定者のもとにとどめる動産担保制度として動産譲渡抵当がありまして、これは売買証書の登録が公示方法とされております。また、そのほか、企業の変動する現在及び将来の財産を包括的に担保の対象とします浮動担保制度、フローティングチャージと呼ばれておりますが、これもありまして、これは登記による公示が必要とされております。 それから、ドイツでは、譲渡担保が判例で認められているということでございます。 フランスでは、動産の譲渡担保につきまして、特別法によりまして、自動車あるいは営業用設備、営業財産、こういったものにつきまして、担保権設定者のもとにとどめたまま質権を設定するという制度が認められておりまして、これらの質権は登記により公示されるということでございますので、今回の日本の制度に、その範囲においては類似したものとなっております。 それから、動産の譲渡を登記一本にするということでございますが、その場合には、非常に明確にはなりますけれども、例えば、実際の真正譲渡の場合には、動産の場合、もう引き渡しで完了して、その後どんどん動産の所有権が移転していくという形が多いわけでございますので、そういったものにつきましてすべて登記を要求するということになりますと、その手続の負担が相当大きなものになる、取引費用が非常にかさむということが懸念されるわけでございます。 今回の法制審の審議でも、余り登記の効力を強くすることによって、登記をしていないと非常に不安定になるということではかえって困る、やはり動産取引の迅速性、簡便性というものが失われないようにしてほしい、こういう声も非常に強かったわけでございます。
○西田委員 恐らく、法制審議会などにおきましてもそのような議論があったのだと思います。 今のお話の中で出てまいりました動産売買における日常の安全性、迅速性という他方の要請もあるわけでございまして、そのお話も出てまいりました。しかしながら、今回の動産譲渡登記の新設による新たな道を開こうとしている企業金融をより円滑かつ効果ならしめるためには、これは一つの立法政策の提言だと思いますけれども、今も局長からもお話があったように、担保目的の譲渡にしろ、真正譲渡にしろ、登記の有無、それだけが対抗要件ということにするかどうかは別にして、やはり登記をすることの有無、あるいはその後先が対抗要件の優劣を決めるのだというふうにしていくということも一つの考え方だというふうに思うんですね。 もしそういうことをすれば、例えば、何も、担保つきの資金調達の方法としては、動産担保のついた融資だけじゃなくて、いろいろな意味の証券化、それからその他類似の担保つき資金調達方法の利用の道を開くことになるでしょうし、そのことによって、とりわけ中小企業が低コストの融資を受けやすくなるのではないかなというふうにも考えられるわけなんですね。 すなわち、例えば、今申し上げましたように、融資金を担保するための動産担保のみならず、ややこしい話ですけれども、いわゆるデリバティブ、資金調達を目的とする特殊な非担保債権を担保とするための取引を担保するための動産担保、いわゆるデリバティブをも可能とするわけですね。納得できない方はちょっと後で私の部屋に来ていただければ、どういうものなのか、仕組みをちょっと御説明いたしますが。 例えて言えば、一例として挙げればこういうことがあるわけですね。所有権留保つきの売買、これがあるわけですね。例えば、動産の購入価格が全部支払われるまではその当該動産に対する所有権を売り主が留保しているという場合の動産売却、これも一つの例なんですね。それから二つは、動産の購入後にその動産を売り主にリースバックするという場合の動産の売却取引、これもありますね。これは、いわゆるセール・アンド・リースバックと呼ばれているやつですけれども。それから、通常の動産のリースがあります。こういうものもやはり登記の対象とすることができれば、その後にその当該動産を担保として融資をしようとする者はわかるわけですね。 ところが、占有改定で今私が申し上げたような三つのようなことが行われていれば、後から融資をしようとする者はわからないので、後から来る人は取引の安全を害されるという場合も出てくるわけですね。ですから、私は、そういうことがはっきりわかることによって、中小企業などに対して企業融資をしようという者はもっと出てくると思うんですね。だけれども、今の状態ですと、あの中小企業さんは動産を持っておられるけれども、ひょっとしたらこれはリース物件ではないかとか、あるいは留保権つきの売買が行われているのではないかとかいうふうな気持ちになって、もちろん聞いてみればわかるんですけれども、そういうことをなかなかおっしゃらない中小企業の経営者の方もいらっしゃるかもしれない。だから、融資をしようにもちょっとできないなということが、今の企業金融が逼塞している状況なのではないかなというふうに私は私なりに考えているのであります。 ぜひ、動産を担保とする融資だけじゃなくて、そういうデリバティブ取引なども登記ができるようになればいいのではないかなと思うのですけれども、ちょっと派生、まさにデリバティブな質問ですけれども、いかがでしょうか。
○房村政府参考人 御指摘のような、所有権留保の場合あるいはリースの場合、これを登記制度の対象とすべきではないか、こういう声はあったわけですが、今回の動産登記制度は譲渡を公示するという仕組みにしているものですから、そういう基本的な仕組みをとりますと、所有権留保の場合とかリースの場合は登記に載りにくくなります。これを載せるとなりますと、また登記制度を相当考えないといけない。今回、全く新たに動産の登記制度を始めるものですから、やはり基本的な枠組みとしては、一般に理解しやすい、使いやすい単純な仕組みがいいだろう、こういうことで譲渡を公示するということにしたわけでございます。 御指摘のようなリースあるいは所有権留保の場合に、やはりその権利関係を公示する方法があった方が融資の場合に便利であるというのは、多分そのとおりだろうと思っております。ただ、それについては、さらに研究をしないと、なかなか的確な公示制度を考えていくのは難しいのではないか。今回は、まずはそういった最も需要の多い譲渡を公示する、そういう仕組みからスタートしよう、こういうことでございます。
○西田委員 まさにそういうことだと思います。まずは、一番単純な動産の譲渡ということを登記する道を開くことによって企業金融などの多様化を目指そうということですから、これはこれでよしといたしましても、ぜひ今後の課題として、我々立法当局としても、人によってはそちらが立法当局と言う人もいますけれども、立法府はこちらですので、我々自身の問題としても、これから動産譲渡登記制度のいろいろな問題点を解明しながら企業金融の道を開けるようにして、ひいては日本経済の活性化につながるような、そういう登記制度を考えていきたいというふうに思っておりますので、御協力のほどよろしくお願いをしたいというふうに思います。 そこで次に、もう一つの重要な問題でございます債務者不特定の将来債権の譲渡の問題なんですけれども、これまた大臣に、大変重要な問題でございますので、ちょっとお聞きをしたいのであります。 普通、日本人の商感覚から申し上げますと、将来だれが払ってくれるかもわからないような債権といいますか、そういう、債務者が決まっていないような将来債権まで担保にしてお金を借りようというのは、よっぽどこの会社は困っているんじゃないか、よっぽどこの会社は窮しているんじゃないかなということで、そういう債務者不特定の将来債権の譲渡をもって融資を受けようとする会社は社会的に信用されないんじゃないか、信用不安を惹起するんじゃないかなというふうなおそれを私などは感ずるのですけれども、法務大臣はいかがお考えになりますか。
○南野国務大臣 本当に先生のお考えは十分理解できるわけでございますが、現行の債権譲渡登記制度ということにおきましては、債権譲渡登記がされると、譲渡人の法人登記簿にもその概括的な内容を記録するということになっております。そのために、譲渡人についての無用な信用不安というものを招くおそれがある、先生今御指摘されたとおりでございますが、そこで、本法律案では、債権譲渡登記の概括的な内容を譲渡人の法人登記簿に登記する制度を廃止しようとするものであります。 また、債務者不特定の将来債権の譲渡、先生今不確かだとおっしゃっておられます将来債権の譲渡が健全な融資方法として社会的に認知され、その制度が定着するにつれて、債務者不特定の将来債権の譲渡登記が譲渡人の資産状態の悪化を示すという誤解も払拭されていくものと考えております。 そういう意味で、本法律案の成立後は、制度やこれらの趣旨、それら内容の周知徹底等に努めてまいりたいというふうに思っております。
○西田委員 今大臣からお話しいただきましたように、私、申し上げましたが、今までの民法の体系からすれば、債権債務関係の一番のキーになるのは債務者がだれかというふうなことであったわけですけれども、それを不特定なままで融資の担保の対象にしようという画期的な今回の制度でございます。今おっしゃったように、この制度が日本の経済にうまく根づくことによって企業金融の道が大きく開けていくということを、本当に我々はこいねがうわけでございます。 私、今申し上げましたのは、専ら中小企業の皆さんが、そういう将来的な債務者不特定の形のままで、それに担保をつけて融資を受けるというふうなことがあれば、信用不安を惹起するんじゃないかなというふうなことも申し上げましたけれども、それ以外にも、例えば、大きな開発、都市開発の中で、戸建ての建築請負業者の皆さんやマンション分譲業者の戸建て発注者、あるいは分譲マンション購入者に対する将来の売買代金債権を担保化するような場合などによって、大規模な都市開発あるいは大規模な宅地開発が可能になるというふうなこともあるわけでございますので、この新制度は非常にこれから有用でありますから、ぜひ社会に定着して使われていくことが望まれるわけでございます。 他方、やはり我々、神は細部に宿るといいますか、細かなところにも気をつけていかなければならないと思うのですけれども、そこで、これは法務当局にお尋ねいたしますが、今回の法案第十一条の第二項第四号で、特に動産の場合、それから債権譲渡登記の場合ですけれども、譲渡人の使用人が、今回、重要な事項をすべて記載している登記事項を証明する登記事項証明書の交付を請求することができるというふうにしておられますが、この譲渡人の使用人というのはどういう意味でありましょうか。
○房村政府参考人 動産または債権を担保目的で譲渡をいたしまして、その企業が破産をしてしまう、こういう場合に、担保目的で譲渡された財産は破産財団に組み込まれないことになります。使用人の労働債権は、先取特権もありますし、今回は破産法の場合には財団債権という形で保護をされておりますが、その引き当てとなりますのは企業の財産、破産した場合には破産財団ということになります。したがいまして、動産または債権を担保目的で譲渡されてしまいますと、使用人にとっては、労働債権に対する配当財源がその分減少するということになります。そういう意味で、非常に密接な利害関係があるわけでございます。 そういうことから、この法律案では、労働債権の保護を図る観点から、譲渡人の使用人も動産譲渡登記及び債権譲渡登記のすべての登記事項を証明する登記事項証明書の交付を請求することができる、こうしたものでございます。
○西田委員 それで、今回の改正法案の第十一条第二項第四号に定める譲渡人の使用人、これはよくわかりました。要するに、労働者の労働債権を保護ならしめようということなんですけれども、こういう動産譲渡登記及び債権譲渡登記の登記事項証明書の交付を請求することができるだけで労働債権の保護が直接に図られるかというと、なかなか物事はそう単純ではないということでございますね。ですから、そこは事細かに見ていかなければいけない。 したがって、動産の譲渡登記や債権譲渡登記に係る会社の資産のほとんどが担保にとられるということになれば、このような会社が万々が一破産した場合に、労働者の方の労働債権の保護が図れなくなってしまうのではないかという心配も指摘されているところなんですけれども、このあたりの、破産時における動産及び債権の譲渡担保の法律上の取り扱い、今もちょっとお話がありましたけれども、もう少し詳しくお話しいただけますでしょうか。
○房村政府参考人 御指摘のように、今回の動産譲渡登記あるいは債権譲渡登記制度の利用のされ方にもよりますが、場合によれば、破産をした時点で、財団を構成すべき財産がほとんどないというようなことも生じ得るだろう、こういうことは、今回の法案作成の過程でも法制審議会で随分議論をされました。 確かにそういう懸念がないわけではないのですが、現在の金融情勢を見ておりますと、やはり中小企業が金融が得られないばかりに倒産の憂き目に遭っている、こういう例もあるので、そういったものに新たな金融の道を開くことによって倒産を免れ企業活動が継続できれば、労働者にとっても雇用の場を確保することができて、最終的には労働者の利益にもなるのではないか。そういうことから、法制審議会では、多数の意見はやはり、現在の社会情勢からすると、このような制度を設けることが望ましいだろうと。 ただ、御指摘のように、労働債権の保護に欠ける面が生じないとも限らないので、その点については法務省においてさらに保護のあり方を検討すべきだ、こういう附帯要望事項も決められたところでございます。 もちろんそういう問題がありますが、もう一つ、本当に例えば企業が危なくなったときに駆け込み的にこういった動産譲渡とか債権譲渡がされた、そういうようなものにつきましては、破産であれば否認権の行使、あるいは破産に至らない場合には債権者取消権、こういうようなことで、その譲渡された財産を取り戻すということが民法上は認められておりますし、破産法の否認の制度にいたしましても、今回の改正で大分使いやすくいたしまして、特に破産決定前の保全処分のような強力な手段も用意いたしましたので、そういった意味では、従来に比べれば、そういった不当な譲渡に対しては適切に対応できるようになっているのではないか、こう思っております。
○西田委員 今、民事局長からお話がありましたように、労働債権の保護のために、破産法上の取り扱いなどなど、これからいろいろと注意をしていかなければいけない点は多々あるというふうに考えます。 そこで、法務大臣に再度確認をしたいのでございますけれども、今、法案がかかっておりますこの制度、企業金融に新たな、そしてまた多様な道を開く非常によい制度であるというふうに我々は考えております。他方、今申し上げたように、登記によるところの優先効があったりして、使用人、すなわち労働者の方の労働債権の保護が図れなくなってしまうかもしれないという他方の問題点もあるわけでございまして、こういう両方のいろいろな要請をうまく法的に調整をとっていく、これが今時の現代的な法務当局に求められる一番重要な事項だと思っているのですけれども、最高責任者の法務大臣とされまして、今回の法律案でむしろ企業金融が進むことによって、どのように労働者の保護ないし労働債権の保護が図られていくか、御決意ないしお考えのほどをお聞かせいただけますでしょうか。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。 本法律案によりまして、企業の資金調達手法が多様化し、また資金調達の円滑化が図られますので、現行法のもとでは資金繰りに窮し、また破産せざるを得なかった企業でも、破産に至ることを回避することができるケース、それが増加するものと考えております。そして、企業が破産することなく事業を継続することができれば、雇用の場も確保され、労働者の利益に資するものということになります。 本法案は、労働債権の保護を形骸化するものではない、そういう考えを持っておりますし、もっとも、この法案の利用状況いかんによっては、倒産した際には、配当原資となる動産、債権、それがほとんど残っていないという状態の企業が増加する可能性があるということも認識いたしておりますけれども、したがいまして、これらの企業の倒産時における労働債権の法律上の保護のあり方については、制度の利用状況を踏まえて引き続き検討する必要があるというふうに思っております。 ありがとうございます。
○西田委員 大臣、ありがとうございます。 このように、今回の動産譲渡登記制度及び将来不特定な債務者の債権譲渡登記制度が、企業金融の多様化、ひいては日本の経済の活性化につながるとともに、企業倒産などを防ぐことによって労働者の保護にも資するというふうにうまく定着してくれることをこいねがいまして、今、大臣、最後におっしゃっていただいたように、さりながら、今後とも検討課題がたくさんありますので、御検討いただくことを申し述べていただきまして大変ありがとうございました。 以上で終わります。
○田村(憲)委員長代理 次に、漆原良夫君。
○漆原委員 公明党の漆原でございます。 まず、民法の一部改正法案からお尋ね申し上げます。 根保証、根っこの根に保証と書いて根保証というのはなかなか読みにくい。さらにそれに包括をつけて包括根保証だという。法律の条文もなくて、国民には全くなじみの薄い言葉だろうなというふうに私は思っておるんですが、まず、根保証とは一体何なのか、さらに、包括根保証というのは何なのか、この言葉の説明をしていただきたいと思います。
○房村政府参考人 御指摘のように、根保証あるいは包括根保証というのは、現在の法律、民法典中にはございません。 まず、どういう内容かということですが、根保証というのは、保証人が継続的に発生する不特定の債務について保証する。通常は、いついつの金幾らの債務、これについて保証するというのが特定の保証でございますが、根保証というのは具体的に特定しておりませんで、例えば、今後発生する債務について保証する、こういう形のものを根保証と言っております。 その中で、包括根保証と言っておりますものは、今後いつからいつまでの債務について保証するかということが決められていない、ずっといつまでも契約が続けばその間の発生する債務をすべて保証する、また、幾らまで保証するか、その上限の限度額も決まっていない、そういったものを包括根保証と呼んでおります。
○漆原委員 今回の法改正では、限度額の定めのない根保証契約を無効とする、あるいは保証期間の制限をしたり、いわゆる今御説明があった包括根保証の禁止をしているわけですね。 たまたま私は我が党のマニフェストをぺらぺらとめくってみました。こんなことが書いてあったんですね。いいことが書いてありました。「個人保証の中でも特に問題とされている無制限に支払い責任が負わされる包括根保証制度について、限度額や保証期間を定めるなどの見直しを行います。」というふうに、たまたま我が党のマニフェストに書いてありました。これはいいことが実現できるんだなというふうに大変喜んでおるんですが、大臣にお伺いしたいと思います。 今回の法改正で、いわゆる包括根保証契約を禁止する理由についてお聞きしたいと思います。
○南野国務大臣 ありがとうございます。 中小企業が融資を受ける際には、経営者等による個人保証、とりわけ不特定の債権を保証の対象とする根保証がしばしば行われております。従来は、この根保証契約の内容を契約当事者の自由な取り決めにゆだねておりましたために、金額及び期限が限定がない包括根保証の契約が多用されておりました。その結果、近年の中小企業を取り巻く厳しい経済状況のもとで、保証人が予想を超える過大な責任の追及を受ける事例が多発いたしております。 そういうことにかんがみまして、本法律案は、個人の包括根保証を禁止するなど、根保証の限度額や期間に合理的な制限を加えまして、保証人が予想を超えた過大な責任を負うことがないような措置を講じ、その保護を図ったものでございます。
○漆原委員 今大臣のおっしゃったように、本来は、これは私的自治の原則に基づいて、契約自由の原則で、どんな契約をしても公序良俗に違反しない限り有効だということで、ずっと放置されてきた問題ですね。しかし、今回はそれを、それによる被害が余りにも大きいということで包括根保証契約を禁止しようということで、ある意味では、民法の私的自治の原則に制限を加えるという大きな改正になっているわけですね。 そこで、従来、これはバブル崩壊によって、包括根保証の裁判がいっぱい起きました。少し具体的事例に基づいて、その有効性についてお尋ねしたいと思うんですが、よくある例はこんなのがありました。 契約書にサインはしました。そもそもその人は包括根保証なんという言葉は全然知らない。そしてまた、主たる債務者も債権者もそんなことは説明しない。だから、普通の保証あるいは連帯保証と思って判こを押した。ところが、後になってみたら包括根保証だったということがあったわけですね。こんな場合の包括根保証契約の有効性について、民事局にお尋ねします。
○房村政府参考人 ただいま御説明のありましたような、例えば包括根保証の契約書に特定の債務を保証する意思で署名した、こういうような場合ですと、具体的な事案によってもちろん異なってはまいりますけれども、民法上の問題としては、錯誤によって無効になるか、あるいは取り消しの対象になるか、こういう問題は起こり得るわけでございます。ただ、それはあくまで個別的な状況によりますので、その方がどの程度の認識を持って署名したのかということにかかってくるわけでございます。 ただ、やはり、本来的に申し上げますれば、包括根保証契約を有効に締結するには、例えば今後発生する債権者、債務者間の不特定の債務について保証する意思、こういうものを持っていることが必要でございますので、そこに錯誤があればそれは錯誤無効の可能性は生じますし、だまされてということであれば詐欺の可能性が生じます。 ただ、それは具体的事案によりますので、それ以上のことはちょっと申し上げかねますが。
○漆原委員 今局長おっしゃった、包括根保証契約をする意思がない。ただ、判こを押すときは、ぱっぱっと、もう中身もチェックせずに判こを押していくわけですね。ところが、連帯保証だと思った、包括根保証という言葉は知らなかった、そういう大変な契約をするという説明もなかった。場合によっては錯誤無効があり得る、こういう御答弁だと思います。 ちょっと今お言葉に出ましたけれども、金額を明示して、三百万借りたい、確かに契約書を見たら三百万と書いてあった。それで、ぱっぱっぱっと判こを押すわけですね、商工ローンか何かに行って。ところが、その中に包括根保証の基本契約書というのが紛れ込んでいるケースがある。紛れ込んでいるというのはおかしいけれども、基本契約書があって、さらに具体的に借りる契約書があるわけですね。だから、本人は三百万だと思っているから、三百万借りるから保証人になってねと言われて保証した。確かに契約書に三百万と書いてあった。それで、判こを押しているうちに、中の、包括根保証の基本契約書に判こも押してしまった。この場合はどうなんでしょうか。やはり錯誤無効になり得るんでしょうか。
○房村政府参考人 正直に申し上げまして、具体的な事案によって相当異なってくるだろうと思いますが、一般論として言えば、錯誤無効の可能性はもちろんございます。ただ、注意しなければいけないのは、錯誤無効の主張は意思表示をした者に重大な過失があるとできませんので、そういったことを含めて、個別事情によるとしか申し上げようがございません。
○漆原委員 最高裁にお伺いしたいと思います。 これまでの判例で、最高の判例だけでなくて地裁の判例も含めて、結構争われた時期がありましたけれども、根保証契約の効力が否定された事例があるかどうか、あればその概要を御説明いただきたいと思います。
○高橋最高裁判所長官代理者 根保証契約につきましては、保証人が契約締結の時点で予期し得ないような過大な責任を負うこととなる危険性が高いために、保証人保護の観点から、今委員御指摘のとおり、個々の具体的な事案に応じて、保証人の責任を否定したり、その範囲を制限したりした裁判例がございます。 まず、最高裁の判例といたしましては、包括根保証は契約当事者の人的な信用関係を基礎とするものであるといたしまして、その保証人たる地位は特段の事由のない限り相続されないと相続性を否定いたしまして、保証人が死亡した後に生じた主債務については保証人の相続人は保証債務を負担しないとしたものがございます。 また、期間の定めのない継続的な保証契約は、保証人の主債務者に対する信頼が害されるに至った等の相当の理由がある場合には保証人の側から一方的に解約できるというふうにして、そこの契約関係から離脱することを認めた最高裁の判例もございます。 さらに、最近の下級審の裁判例におきましては、個々の具体的な事案に応じまして、信義則を用いまして連帯保証人の責任の範囲を合理的な範囲に制限したものでありますとか、それから、契約締結をしてから二十年以上も経過して保証人の責任追及をしてきたというような事案におきまして、保証人に対する請求が信義則上許されないとしたものもございます。 また、先ほど来議論が出ておりますように、保証人の意思表示に錯誤があるといった具体的な事案のもとにおきまして保証人の意思表示に錯誤があるという判断をいたしまして、根保証契約を無効としたものもございます。 要するに、信義則等の理論を用いまして、根保証契約の効力を合理的な範囲に制限したり、その効力を否定したりする裁判例が相当数ございます。
○漆原委員 信義則それから錯誤という話が出たんだけれども、もうちょっと概要を、どんな事案だったのか説明いただけますか。信義則によって制限した場合と、錯誤によって効力を否定した事例をもうちょっと説明してもらえますか。
○高橋最高裁判所長官代理者 信義則で責任の範囲を制限したものは、やはり、その保証契約を締結するに至った際の具体的な事情でございます、どういう説明をしたのかとか、そういうこと。それから、契約締結後に主債務者の資産状況が悪化するということもございます。そのことを全然連絡していなかったとか、あるいは主債務者と保証人との関係がその後非常に悪化していたというような事情で、そういう場合には解約権を認めたり、契約の締結当時には数百万程度の借金であったのが、数年たってみると急にそれが大きくなって数千万というような金額になっていた、そういう具体的な事案において、そこまでの責任を負わせるのは酷だということで、信義則上、具体的な範囲に制限したものもございます。 錯誤の事案につきましては、これも先ほど来委員が御指摘になっておりますように、説明が極めて不十分であった。これは特定の債務だというふうに連帯保証人が思っていたわけでございますが、そういう説明も主債務者から受けていた、これは二百万程度の保証であるという説明を受けていた。そして、契約する相手方の方も、債権者の方も、そこはわざと言わなかった。錯誤に陥っているのをそのまま放置していた。そして、実は書面の中には根保証契約のものが紛れ込んでいた。そういう個別具体的な事案のもとにおいて、錯誤無効、錯誤に陥ったことについて重大な過失はないという判断をしたものもございます。
○漆原委員 今回の法改正によって、包括根保証は禁止されたわけですね。これがさらに、今御説明いただいた、信義則を利用して無効にする、あるいは錯誤無効も適用する、こういう今の裁判所の流れにさらに追い風となって、そっちの方向に判決が影響を受けていくという方向になるんでしょうか、いかがでしょう。
○高橋最高裁判所長官代理者 今回の法改正が行われまして、新民法の四百六十五条の二等の根保証契約に関する規定が施行された場合におきまして、その規定が適用されない根保証契約の有効性、具体的に申し上げますと、改正法の施行前に締結された包括根保証契約の有効性が裁判において問題となりました場合に、今回の法改正がその解釈に何らかの影響を与えるかどうかという点でございますけれども、最高裁判所事務当局といたしましては一般的な見解を述べる立場にはございませんので、個々の事案における裁判体の判断にゆだねられているものと申し上げるしかないことを御理解いただきたいと思います。 いずれにいたしましても、個別具体的な事案に応じて、今回法改正がされた趣旨を十分踏まえまして適切な判断がされるものと考えております。
○漆原委員 お金を借りたり保証する人は、大体、中小企業、零細企業の事業主であったり、またその親族であったり、友人、知人であったりするケースが多いわけですよね。一方、商工ローンみたいに貸す方は、全国展開する企業ですし、金を貸すことが専門の仕事をしているわけですね。そうすると、法的知識の面においても格段の差はあるし、あるいはまた、お金を借りなきゃつぶれるという人が借りに行くわけですから、社会的地位においても大変な差があるわけですね。そういう意味では、包括根保証であろうが何であろうが、やってよと言われればやらざるを得ないという立場に追いやられているということがあるわけですね。 そういうことを考えたり、あるいは今回の法改正を考えてみたりすると、できる限り、施行前にこういう事案が争われたケースにおいても、信義則、錯誤無効、あるいは公序良俗違反、こういうものを利用して、そういう、わからないで判こを押してしまったという人を救済していくことが必要だと思いますが、重ねてお尋ねします。
○高橋最高裁判所長官代理者 包括根保証契約につきまして、公序良俗違反あるいは錯誤無効、信義則違反というような点が争われた場合におきましてそういった判断がされるかどうか、そういった判断によって具体的に責任が制限されたり否定されたりするかどうかは、先ほど申し上げましたとおり、個々の裁判体において、具体的な事案に応じて判断されるものと考えております。 したがって、先ほど同様、一般的な見解を述べることは差し控えさせていただきますが、今後とも、今回の法改正の趣旨を踏まえつつ、具体的な事案に応じて適切な判断がされるものと考えております。
○漆原委員 最高裁、どうもありがとうございました。以上で最高裁は終わります。 通告をしていなかったんですが、民事局長にお尋ねします。 限度額の定めのない場合とか、あるいは無期限、期限の定めのない包括根保証の経過措置、これを改めて説明いただきたいと思います。
○房村政府参考人 経過措置といたしましては、まず、極度額の定めのない包括根保証、これにつきましては、本法施行の日から三年を経過したときに確定する、こういうことになっております。もちろん、三年経過前に確定する旨の定めがある場合には、その定めの日に確定をすることになります。 それから、極度額の定めがあって期間の定めのある場合、これは、本法施行から五年より後の日を定めている場合には五年で打ち切りますので、遅くとも一番長いもので、極度額の定めがあり、かつ期間の定めがあって、一番長いものが五年経過した時点で確定をする、こういう形になります。
○漆原委員 ありがとうございました。 法制審議会での審議の過程についてちょっと聞きたいんですが、保証期間を制限することについて主に金融機関の立場から異論が述べられたというふうに聞いておるんですが、どのような議論があったのか、お尋ねしたいと思います。
○房村政府参考人 今回の法案では、期間の定めがない場合には三年で確定をする、定めてある場合には五年内で定めてもらう。ですから、三年から五年の間で当事者で期間を定めてもらうということになるわけでございます。 これに対しまして、金融機関から、そのように期間を定めると、そのたびにいわば更新をしなければならない、特に経営者が保証人になっているような場合に、数年置きに契約を更新しなければならないというのは、金融機関にとっても、またその経営者にとっても負担が重いのではないか、特に更新時期に例えば海外出張をしているとか病気になっている、こういうような場合に、更新ができなくなってしまうと融資がとまってしまう、そういうことを考えると、経営者が保証人になっている場合には保証期間を定めないでおいて、例えば三年たったら保証人の方から確定請求ができる、こういうような形でその保護を図れば十分ではないか、こういうような主張がされたわけでございます。 この点についていろいろ御議論がありましたけれども、実際に保証人になるような立場の方からすると、確定請求ができるといっても、それをすることによって融資を打ち切られてしまっては困るということで、確定請求権を適切に行使できないおそれがある。やはり、そういう人を保護するためには、法律で期間を定めて、その期間のときに更新をする、こういうことが必要だ、こういう意見が大勢を占めましたので、今回の改正法ではそういう内容になっております。
○漆原委員 保証期間を制限することによって保証人の保護を図るというのは大事なことだと思います。 その反面において、中小企業に対する円滑な融資が阻害されないように配慮してあげることもまた大事だなというふうに思うんですが、今回の法改正は、そのような観点からはどんなふうな措置がとられておるのか、お尋ねします。 〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
○房村政府参考人 御指摘のように、今回の改正の過程でも、中小企業の方々からは、過酷な責任を免れるためにぜひ規制をしてほしいという御意見と同時に、それが行き過ぎて金融が得られなくなってしまってはかえって困るので、その点は十分配慮してほしい、こういう意見が寄せられたわけであります。 そういうことから、今回の法律案におきましては、根保証契約とか個人保証を一律に禁止する、こういうようなことはいたしておりませんし、また、極度額について、これは必ず定めてもらう必要があるわけでございますが、その定め方については、やはり、金融機関と保証人との間で個々の具体的な事情に応じて適切な定めをしていただけるようにということで、法律的に特段の規制は加えていないということとしております。 また、保証期間につきましても、五年という相当の期間で更新をするようにということで、過度の負担をかけないように、このような配慮をしているところでございます。
○漆原委員 要式行為についてお尋ねしますけれども、保証契約一般を対象として、書面によらない保証契約を無効にしていますね。我が国の民法では要式行為としている例は少ないわけなんですが、大体、保証人を口頭でやる人というのはいるのかな、まず例がないのではないかなと思うんだけれども、あえて要式行為でなければだめだ、無効だというふうに改正した理由は何なんでしょう。
○房村政府参考人 御指摘のように、特に金融機関等に保証する場合に、書面を作成しないということは通常はないだろうとは思います。ただ、民法は、金融機関との間の保証契約に限らず、広く保証契約一般に適用されますので、その場合に、保証契約の特質といたしまして、情義に基づいて無償で行われるという場合が多い、また、契約締結の時点では現実に保証債務の履行を求められることとなるかどうかが不確定である、そういうことから、保証人において自己の責任を十分に認識していない場合が少なくないこと、こういうような事情があるものですから、保証契約の締結を慎重ならしめ、保証意思が外部的にも明らかになっている場合に限りその法的拘束力を認める、そういうことが相当であろうということで書面を要求することとしたものでございます。 それと、特に今回の根保証契約につきましては、極度額の定めもその書面に記載しなければ効力を生じないということとしておりますので、その前提として、やはり保証契約に書面性を要求するということが必要である、こういうこともございます。
○漆原委員 続いて、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、お尋ねしますが、本法律案によって、動産譲渡登記制度を創設したり、あるいは債権譲渡登記制度の対象を債務者不特定の将来債権の譲渡にも拡大しているわけですね。この目的は一体何なんでしょう。
○房村政府参考人 現在の金融のあり方につきまして、過度に不動産と保証に依存している、こういう指摘がされているところでございます。 先ほど来御質問をいただきました民法の一部改正法におきまして、保証の問題については、弊害を除去するために包括根保証を禁止するというような規制を加えることとしたわけでございますが、金融の抱える問題点のもう一つである、要するに保証あるいは不動産以外の金融手法を発達させる必要がある、そういう要請にこたえようとするものが、この債権譲渡特例法の一部改正の内容でございます。 企業の資金調達方法につきまして、これまで十分に活用されていなかった動産や債権を利用して資金を調達する方法が注目を集めているわけでございますが、特に動産について申しますと、これを担保として活用する方法としては譲渡担保が中心でございますが、その公示方法としては占有改定しかない。こういうことから、第三者に公示する力が弱いということで、金融機関の方も動産を譲渡担保にとることにちゅうちょするということが言われておりますし、この利用を活発化するためには、やはりその公示制度を整備して、金融機関が安心して動産譲渡担保を利用できるように、あるいは、動産を利用した流動化ですね、証券の発行とか、そういったもののためにも、この公示制度を整備することが必要であろうということが言われたわけでございます。 また、債権につきましては、御承知のように、債権譲渡特例法を用意いたしまして、第三者対抗要件を登記で備えることができることとして、相当程度広く利用されておりますが、問題点として、債務者不特定の将来債権、これが登記できないのが難点である。例えばマンションの各部屋の賃料、これを譲渡担保あるいは流動化したいというときに、将来の賃借人の分が登記できないものですから、そういう意味で非常に使い勝手が悪い、こういう御指摘がありましたので、そういった点を解消して、特に中小企業のために新たな金融手法を用意する、こういう目的で今回の法改正を行うものでございます。
○漆原委員 今回、動産を登記の対象とするという。僕らの古い頭では、動かないものは登記の対象になるけれども、動くものは対象にならない。したがって、動く動産は対象にならない、動かない不動産が登記の対象になるというふうに教わってきたんだけれども、まあ、ある意味では画期的なことだと思いますが、どんなふうに登記するのかなという疑問がありますので、お尋ねしたいんです。 動産譲渡の対抗要件は、占有改定の方法による制度が公示方法として認められているわけですね。今回の改正によって登記制度が認められることになるわけなんですが、登記された動産と善意取得の関係はどうなるのかな。同じ公示方法ですよね、占有を今度は渡すわけですからね。登記された動産と、それからその後に譲り受けた、現実の占有引き渡しによって譲り受けた第三者との法律関係はどうなるのかなというふうに思いますので、お尋ねします。
○房村政府参考人 登記された動産につきましても善意取得の対象にはなります。したがいまして、具体的事案によりますが、登記されたものを第三者が善意取得でその所有権を取得するということもあり得ることにはなります。 ただ、現実問題として、今回、動産譲渡で多分広く用いられるであろう在庫商品のようなものにつきましては、一般に、担保権設定者に通常のルートでの処分は処分権限が与えられているということが通常でございます。したがいまして、通常の取引で取得する場合には、善意取得以前に当然その処分権限に基づいて取得をできますので、そういった問題が生ずる可能性はないわけでございます。 善意取得が問題になる場合には、登記の調査義務との関係で過失の有無が当然問題になろうかと思いますが、これは、登記制度の利用状況あるいは具体的な取引の形態、そういったものを総合して裁判所で判断していただくということになろうかと思いますが、少なくとも、占有改定で権利を取得した者よりは登記をした者の方が保護される可能性は高くなるだろうとは思っています。
○漆原委員 動産の権利関係を登記に公示する場合の動産の特定について、どんな方法をとろうと考えておられるのか。七条二項五号は、譲渡に係る動産を特定するために必要な事項は法務省令で定める、こうなっていますね。どんなふうなことをお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○房村政府参考人 御指摘の動産の特定の方法でございますが、現在考えておりますのは、まず、動産の名称と種類、これを登記事項とするということでございます。 それから、動産の中でも、個別の動産を登記する場合と、いわゆる在庫品のような集合動産を登記する場合、これを分けまして、個別動産の場合には、その動産の型式、製造番号など、その動産を他の動産と区別するに足る特質を登記事項として登記していただく。そうしますと、具体的な個々のものについて、例えば製造番号が何番の何という動産であるということが登記されますので、場所がどこにあってもわかるということになります。 一方、集合動産、在庫品のようなものについては、今のような型式等の記載はできませんので、これは、その動産の名称、種類に加えまして、そのものの保管場所の所在地及びその名称、ですから、何丁目何番地の何という倉庫にあるこういった種類の在庫品、このようなことを登記する、これによって特定をするということを考えております。
○漆原委員 まさに登記の対象となる動産は、個別動産のほかに、原材料、在庫商品というのが含まれるわけですね。これは、今おっしゃったように、譲渡されることを前提としているわけですね。こういうものはどんなふうにして把握されるのかな、いつの段階で担保価値として固定されるのかなという感じはするんですが、その辺はどうなっていますか。
○房村政府参考人 これは、例えば倉庫に保管されている在庫品、これを譲渡担保とした場合ですが、在庫品として倉庫にあるものも通常の販売ルートで出ていくということは当然あり得るわけでございますが、そのときには当然担保の対象から外れる、そういう処分権限が与えられておりますので、そういうことになります。一方、在庫品ですから、当然次々に入ってくる。そうしますと、その倉庫に入った時点で当然に担保の対象になる。ですから、所有権が担保権者の方に移転するという形になります。 したがいまして、倉庫にあるものについて、中身はどんどんかわりますけれども、登記のときから、全体としてのそういうものについて担保権者が権利を持つ、こういう形になります。
○漆原委員 登記の調査方法をお尋ねしたいんですが、動産の取引をしようとする人は、不動産であれば当該不動産登記簿謄本を見ればすぐわかりますが、動産の場合は一個一個全部登記簿というわけにいかぬわけですから、この動産が登記されているのかどうか、これはどんな方法で調べればいいんでしょうか。
○房村政府参考人 動産譲渡登記の場合には、物を単位に登記簿を編成するわけにいきませんので、譲渡人を単位に編成するということになります。そういうことから、これはコンピューターで処理しますが、データベースとしては一カ所でそれを管理する、具体的には東京法務局でその登記を扱うということを考えておりますが、そこ一カ所で扱います。 ですから、まず、扱っております登記所に、譲渡人を特定して、この人が動産譲渡登記をしているかどうかということを調べていただく。それで、譲渡登記をしていなければありませんということになりますし、譲渡登記をしていれば概要事項証明書でその概要がわかります。さらに詳細な内容、例えば、どういう動産をだれに譲渡しているということを知ろうと思いますと、概要事項証明書ではなくて、具体的には登記事項証明書が必要になりますが、これは当事者あるいは利害関係人でないととれませんので、例えば譲渡担保としてこの物件を譲り受けよう、こういう場合には、譲渡人になろうとする者が譲渡登記をしているということがわかれば、その事項証明書をとって見せてください、それで確認ができる、こういう形になります。 東京で扱っている、動産譲渡登記をしているところにそうやって直接聞くということも一つの方法として今申し上げたとおりでございますが、それ以外に、各譲渡人の本店所在地、これの法人登記簿に従来は債権譲渡登記の概要を書いていたわけですが、今回それをやめまして、その本店所在地に、債権譲渡も動産譲渡も概要事項ファイルというものを別に用意いたします。それで、そこの本店所在地に、この譲渡人の概要事項ファイルに記録があるかどうかということを聞いていただければ、そこで、あるかないかがわかります。ないとわかれば、譲渡登記はしていないんだろう。しかし、あるとわかった場合には、先ほどの、直接、動産譲渡登記をしている登記所に聞いた場合と同じでございまして、譲渡人となろうとする者に、事項証明書を見せてくれ、こういうことを言えば内容が確認できる。 このような、本店所在地に概要事項ファイルを用意いたしますのは、法人ですので、例えば商号が変わるとか住所が移転するということがございます。その都度、動産譲渡登記をしたところに反映させるのは、これは非常に事務的な負担が重くなります。当事者にとっても負担が重くなります。したがいまして、動産譲渡登記あるいは債権譲渡登記を扱っているところでは商号変更とか住所変更は反映はいたしませんけれども、本店所在地の方ではそれが把握できますので、商号の変更とか住所の変更があれば、それを概要ファイルの方に反映させる、こういう形で、商号変更があったときにもその登記内容を調査することが可能な仕組みとする、こういうこととしたわけでございます。
○漆原委員 もう一つ、債務者不特定の将来債権も登記の対象とした。これなんかも、債務者に対して通知して初めて対抗要件が備えられる、こういう考え方が現在の法律なんだけれども、債務者がいないのに登記できる、担保の対象にできるというのは大変な考え方の、発想の違いなんだなというふうに思うんだけれども、債務者不特定の将来債権を登記の対象とする場合、典型例として、マンションの賃料というふうなものもお話しになった。もっと幾つか挙げられませんか。
○房村政府参考人 これはいろいろ考えられるわけでございますが、例えば、商品販売業者の在庫商品に係る将来の売買代金債権、そういうものもあり得るわけでございます。あるいはクレジット業者、この場合は、将来の顧客に対してクレジット債権を取得する、そういったものもこの債務者不特定の将来債権に入るということになります。
○漆原委員 こういうもののやはり調査方法ですね、登記簿を見て、どういうふうに見ればいいのかなというふうに、将来発生するこの債権が担保になっているのか、なっていないのか、この調査をするにはどういうふうにして見たらいいんですか。
○房村政府参考人 債権譲渡登記につきましても、動産譲渡登記と同じで譲渡人を単位として編成されておりますので、譲渡人をまずは登記簿で検索していただいて、その登記がされているかどうか、さらに必要な場合には登記事項証明書をとっていただいて、その内容、ですから、債務者が不特定であっても債権を特定するに足る事項は登記されておりますので、それを見て、どのような債権が譲渡されているかということは判断が可能になります。
○漆原委員 最後の質問になりますが、動産を担保にして資金調達の用に供したいという需要はよくわかるような気がするんですが、将来債権まで果たしてそういう需要があるのかなというふうにちょっと疑問に思います。その必要性について、どんな要請があるのか、その辺をお尋ねしたいと思います。
○房村政府参考人 これは経済産業省が昨年七月に実施したアンケート調査の結果でございますけれども、動産についてはもちろん高い数値が出ておりますが、将来債権につきましても、債務者不特定の将来債権の譲渡の登記ができる方がよいというものが、事業会社二千百二十二社のうち千三百十七社の六二%、こういうことで、事業会社からの需要も相当ございますので、これはやはり相当程度利用されるのではないか。特に債権譲渡登記が制度創設以来非常に利用がふえておりますので、そういう背景を考えますと、これだけの数値から見ると相当のニーズがある、こう思います。
○漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○塩崎委員長 次に、加藤公一君。
○加藤(公)委員 民主党の加藤公一でございます。 質問に入る前に、大臣に二つほどお願いがございまして、一つは先日の御議論のときにもお願いしたんですが、ぜひわかりやすい御答弁をきょうもお願いしたいと思います。 もう一点は、実は、この委員会の議論をインターネット中継や院内のテレビでごらんになっていらっしゃる方も大勢いらして、その皆さんから御意見があったんですが、マイクに大臣の声がなかなか届いていないということでございまして、きょうもいろいろな方に御答弁いただくと思います、大変御面倒をおかけして恐縮なんでございますが、マイクの方を調整していただいて、大き目の声でぜひお願いをしたいと思います。委員会室ではよく聞こえるんですが、国民の皆さん、インターネットでごらんになっている方とか、院内のテレビでごらんになっている議員の方も多うございますので、大変恐縮ですが、その点お願いをしたいと思います。 きょうは、議題の二法案を含め、少し幅広く御質問させていただきたいと思いますので、その点お許しをいただきたいと思いますが、まず、早速、ロースクールの件からお話を伺いたいと思います。 この法務委員会でもさんざん議論をいたしまして、法科大学院の制度が既にスタートいたしました。入学されている方が約六千人近くいらっしゃるという現状ですが、私思いますに、これまでのロースクールの議論では、法曹養成のことだけ、つまりロースクールに入られて修了して、新司法試験を受けて合格されるという、このコースのことはかなり議論されたと思うんですが、そのコースから外れてしまった方のことが実はほとんど議論されておりません。せっかく、ロースクールに社会人の方もどんどん来てください、大学の法学部出身じゃない方もどんどん来てください、こういう呼びかけをして、大変優秀な方を育成しようという制度でありながら、仮に法曹になれなかった場合にどうなるのかという議論がされていないというのはちょっと悲しい話でありますので、きょうはその点を伺いたいと思います。 まず、ロースクールを修了した方の中で法曹につけない方というのがかなりの数出る見込みだと思うんですが、どれぐらいの割合になりますでしょうか。
○徳永政府参考人 お答え申し上げます。 現在、法務省の司法試験委員会におきまして、新しい司法試験における合格者数の設定、そのあり方について検討しているところでございまして、現時点におきまして、法科大学院修了者の具体的な合格率については申し上げる状況にないわけでございます。 しかしながら、司法試験の合格者数が約三千人となった段階でのマクロの状況で申し上げますと、今先生御指摘ありましたとおり、法科大学院の入学定員がおよそ六千人弱でございます。また、それらの者が全員卒業したといたしまして、年間合格者数は約三千人といたしますれば、受験回数が五年間で三回に制限されている、こういったことも踏まえますと、法曹に進む者はおよそ半数程度、したがって、それ以外の者も半数程度と考えております。
○加藤(公)委員 そうなんですよね。実際、法曹養成の仕組みだとはいっても、実は半分の方が法曹になりたくてもなれない。もしかしたら最初からなる気がなくてロースクールに行かれる方もあるかもわかりませんが。では、その方々の能力というものを、ロースクールを修了した方の能力というものを一体どうしていくのか。大学であれば就職指導課みたいなものがあって適切な就職ができるようにということをされるんでしょうが、ロースクールで就職指導というのが適切かどうかはわかりませんが、何がしかのキャリアコンサルティングみたいなものはあってしかるべきだと思いますが、文科省では何かお考えでしょうか。
○徳永政府参考人 お答え申し上げます。 法科大学院、これは本当に、二十一世紀の司法を担うべく、それぞれ、大学の方も学生の方も努力をしているわけでございます。 当然、これから学生、学校ともども、まずは司法試験に合格するということを目的に頑張っているわけでございますけれども、先生の御指摘のように、法曹に進まない者といったことにつきましても、各大学院できちっとした教育を行っていただく。そうしますと、おのずから修了者に対する社会の評価が高いものになりまして、必ずしも法曹に行かない場合でも、企業や行政機関等幅広く、法理論と実務の両面にわたった教育を生かした職務につくということも可能になると思っております。 こういう中で、各法科大学院におきましては、現在、学習相談員と心理カウンセラーが協力して学習相談室を設置して、日常生活上の悩みや学習面の相談に応じるという体制を整えましたり、あるいはまた、すべての専任教員が学生との個別面談時間を設けて指導や相談に当たるほか、司法修習を終了した教務助手が常駐して相談できる体制を整備するということで、まずは、基本的には司法試験を目指しまして、修学に関する相談体制の充実に取り組んでいるところと承知をしております。 今後、法曹以外の職種に関する就職情報の提供も含めまして、今申し上げましたような法科大学院における相談体制、こういったものがさらに強化されることを私どもとしても期待しております。
○加藤(公)委員 今、御答弁の中で、法曹以外でも、例えば民間企業や行政機関などでも、こういうお話がありました。 行政機関といいますか、実は、調べますと、国家公務員の試験には年齢制限がございまして、今回、法科大学院に入学された方がどういう年齢分布かというのをお問い合わせをしたんですが、詳細なデータはないということで、一部の大学について概要だけ教えていただきました。それを見ても、実は約二割から、大学によっては三割ぐらいの方が入学時点で既に三十代でいらっしゃいます。平均をとりますと、入学者の方の平均が大体二十七歳ぐらいだ、あくまでも一部の大学ではありますけれども、こういうデータをいただきました。 そういたしますと、この方々が、つまり、社会人入学をされる方がそれだけいたということだと思いますが、三年間履修をして、三回受験をして、残念ながら法曹になれなかったという方になりますと、実は三十三歳です、あくまでも平均をモデルに考えますが。三十三歳は国家公務員の試験を受けられません。これはいかがなものか。せっかくロースクールで大変高い能力を身につけられた方がその能力を生かす場が閉ざされているというのは、これは私としては大変大きな問題だと思うんです。この国家公務員の試験の年齢制限を私は撤廃するべきだと思うんですが、人事院の方、どうお考えでしょうか。
○藤野政府参考人 ただいま先生御指摘がございましたように、国家公務員につきましては、1種試験は原則二十一歳以上三十三歳未満、それから2種試験につきましては原則二十一歳以上二十九歳未満ということを受験資格年齢としております。 これは、国家公務員試験が各府省の係員級の職員を採用するために行うもので、長期勤続を前提として、新規学卒者を採用して部内育成をしていくという我が国の雇用慣行のもとで、こうした若年層からの人材確保ということが行われているものでございます。 ただ、他方、試験による係員級の採用とは別に、公務の活性化のために、高度の専門性を持たれている方や、あるいは多様な経験を有する民間の人材を円滑に公務部門に採用できますように、これは選考でございますけれども、人事規則を整備しましてそうした採用を行っておりまして、平成十年から本年六月まで約六年間の採用実績が五百七十八名ということになっております。 なお、人事院としましては、採用試験の年齢制限について議論があることは承知しております。そのあり方について関係者の意見等を聴取しながら検討を進めておるところでございますし、また、この検討にあわせまして、民間からの人材活用を一層円滑に行えるようにするために、職業経験を有する方を対象とした新たな採用の枠組みというものにつきまして検討することにしておりますが、この旨、本年八月の給与勧告時の報告でも言及しているところでございます。 以上でございます。
○加藤(公)委員 今の御答弁の中で、我が国の雇用慣行を踏まえてというお話でしたが、それはもうすっかり変わっていますから。変わっていないのは国の組織ぐらいであって、民間企業の雇用慣行なんてもう完全に変わっているわけですね。そんなことは法務委員会で議論するまでもなくわかっている話でありますし、それから、イレギュラーで採用していらっしゃることもよく存じ上げています。しかし、今の御答弁のとおり、年間百人にも満たない数でありまして、これで十分だとはとても言えない。大手門をあけて、正々堂々、ロースクールを修了した方が試験を受けて、実力でそこに入っていただくという機会を与えることが私は重要だと思います。 何もそこだけではありませんけれども、ロースクールを修了したはいいけれども、約半数の方は実は法曹になれない。法曹になれなかった方も、例えば、民間企業ですごく活躍できているとか、ほかの専門職についたとか、公務員になったとかという実績が出れば、さらにロースクールに入ろうという方もふえるとは思いますが、仮にその逆の効果が出ていると、入学者自体の意欲が低下する。つまり、いい人材が集まりにくくなる。これは本来のロースクールの設立の趣旨とは違うはずでありまして、本来であれば、法曹になれなかったとしても、高い能力が身について社会で活躍できるんだということを示す必要があると思います。 受験者に対して悪影響を及ぼさないように、法務大臣にはぜひこの点、優秀な法曹の養成ということとあわせて、そもそも優秀な人材が集まるようなことをお考えいただきたいと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○南野国務大臣 御質問の前にいろいろ御忠告いただきまして、ありがとうございました。マイクを近づけてお話しいたします。 法科大学院の進路に不安を抱いているような方々もおられる、また、その結果、優秀な法曹の養成ということを目的達成のためにしているんじゃないかというお話でございました。 そのことのお答えといたしましては、質、量ともに豊かな法曹を養成するため、法科大学院における教育、司法試験、司法修習というプロセスとしての法曹養成制度を構築する法整備が行われました。法科大学院はその中核と位置づけられております。 また、法務省といたしましては、法科大学院の受験者そのものについては責任を有する立場にはございません、今文科省がお話ございましたのでありますが。しかし、新しい法曹教育制度の中核である法科大学院を修了した方々が、それぞれの特性に応じて、社会における意義ある働きができるという環境が整えられていくことは、これは望ましいことであり、しなければならないことだというふうにも考えております。 関係法令を所管する省庁としましては、新たな法曹養成の制度が充実したものとなるよう、今後とも、引き続き関係省庁等との連携を図った上で貢献してまいりたいと思っております。 もう一つ、今お問い合わせになられました、いわゆる公務員試験の課題でございます。 私といたしましては、法科大学院の教育が充実したものとなり、その修了者につきましては、官民問わず、有用な人材として受容されるということが望ましいというふうに考えております。
○加藤(公)委員 今の御答弁のとおり、さっき文科省の方にもお話しいただきましたけれども、ロースクールを出て法曹になれなかった方が民間企業や行政機関で活躍してほしいといっても、その行政機関の入り口が閉ざされているというのは大問題ですから、きょうは時間の関係でこれぐらいにしますけれども、今後も私はこの問題をやりたいと思いますので、ぜひぜひ、南野法務大臣前向きに、法務省としても前向きにアプローチをお願いしたいと思います。 文科省と人事院の方、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。 では続いて、先日、刑法の議論がなされまして、一部重罰化ということがされましたが、個人的にもう一つ大変大きな問題ではないかと思っております麻薬、覚せい剤の問題がありますので、この件について伺いたいと思います。 決して、私、この分野は専門ではありませんので、少し勉強させていただいたところで、率直にこれはどうしてなんだろうと思うことがありましたので、そこから伺いますが、今、麻薬や、あるいは覚せい剤などの取り締まりに関する法律が四法に分かれております。罰則もそれぞれ、まちまちです。これは一体どういう理由でしょうか。
○黒川政府参考人 お答え申し上げます。 薬物の規制に関する法律が、先生御指摘のとおり、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法、大麻取締法及びあへん法の四法に分かれております理由は、対象となる薬物によりまして、その有害性の程度、例えば、乱用によります健康被害の程度とか依存性、精神毒性などでございますけれども、そういったものの違い、あるいは規制の方法などが異なるためでございます。 また、罰則につきましても、薬物の有害性の程度に応じてその軽重が定められておるところでございます。
○加藤(公)委員 実は先日、厚労省の方にいろいろ教えていただいたところ、薬物に一度手を染めてしまうと、そこからどんどんどんどん進んでしまう。もっと手前で言えば、例えばたばこ、シンナーから入って、マリファナやって、最後、覚せい剤に行くみたいな、そういうルートがあるということを聞きました。 そうなると、とにかく麻薬、覚せい剤のたぐい、薬物のたぐいに最初に手を染めないようなハードルを設けるということが大事だと思っていまして、それは何も罰則だけではないとは思いますけれども、しかし、どの薬物も同じように今よりも厳しく規制をする、あるいは厳しい罰を与えるということが必要ではないかと実は思っています。 なぜかといいますと、薬物が流入してくるのがおおむね日本近隣のアジア諸国からということが多いかと思いますが、そちらの国の方が罰則が重い。アジアの諸国と比べると、日本の薬物に対する罰則の方が緩くなっていますから、アジアンスタンダードという言葉が適切かどうかわかりませんけれども、諸外国と比べて日本だけが緩いということがもう一つの問題ではないかと思っていまして、この四法を統一することや、あるいは罰則を強化するということについていかがお考えか、御見解を伺いたいと思います。
○黒川政府参考人 お答え申し上げます。 薬物犯罪に対する罰則については、一般的には、その薬物の有害性の程度等に応じて定めるべきものであり、一律の罰則を科することは適当でないと考えております。 我が国においては、薬物の自己使用についても処罰する等、国際的に見ましても、我が国の薬物犯罪に対する罰則は厳しいものとなっております。 薬物対策においては、罰則強化もさることながら、徹底した取り締まりによる供給遮断、それと広範な予防啓発による需要削減が有効であると考えております。
○加藤(公)委員 余り納得のいく答弁ではないんですが、きょうの本筋ではないのできょうのところはそれぐらいにしておきます。 もう一個、麻薬あるいは覚せい剤の関連で、最近、繁華街などで平気で売られている脱法ドラッグというんでしょうか、一部、売る方は合法ドラッグと言っているんでしょうか、こういう薬物の問題がありますが、これについてはどんな対策を今とっていらっしゃいますか。
○黒川政府参考人 いわゆる脱法ドラッグについては、最近、青少年を中心に乱用が拡大しておりますが、麻薬と同様の有害性を持つものもあると言われております。乱用によって健康被害が生じるだけでなく、麻薬、覚せい剤乱用への入り口、いわゆるゲートウエードラッグ、先生御指摘のとおりでありますが、になるおそれもあると言われているところでございます。 現在、厚生労働省においては、脱法ドラッグの買い上げ調査やインターネット監視を行い、医薬品成分が検出された場合には、薬事法に基づき販売中止等の指導を行いますとともに、脱法ドラッグのうち、科学的根拠に基づいて依存性、精神毒性などが確認されたものを麻薬に指定してきておりますところでございます。
○加藤(公)委員 その対策で十分に効果が上がっているというふうにお考えですか。
○黒川政府参考人 脱法ドラッグのうち、科学的根拠に基づいて依存性、精神毒性等が確認されたものを麻薬に指定してきておりますところでございますが、麻薬指定の根拠となる科学的データの乏しい脱法ドラッグも多いため、今後、さらに脱法ドラッグについて依存性、精神毒性に関する評価試験を実施することによって、速やかに麻薬指定し、取り締まりを強化していくこととしております。
○加藤(公)委員 私も、何も自分で薬物をやったことがあるわけじゃありませんから、どの程度の害があるのかとか、どの程度の依存性があるのかとかいうことは、この脱法ドラッグについて決して詳しくはありませんけれども、今のお話ですと、世の中に出回って厚労省が見つけたものについて、それを検査して、どうもこれは依存性があるとか麻薬指定できるというものは麻薬に指定をする、あるいはそうでないものは薬事法にひっかかれば販売の中止の指導をする、こういう話かと思いますが、麻薬に指定するまでの間に、いわゆる脱法ドラッグと呼ばれるものはすぐに新しいものが出てきてしまう。あるいは、薬事法で販売しちゃいけませんよと指導するといったところで、別にお店を開いて売っているわけじゃありませんから、渋谷のセンター街へ行けば、もう皆さん御存じのとおり、怪しげな人が怪しげな売り方をしているわけですよ。そこに販売しちゃいけませんなんて指導して何の役に立つのか。実質上何の効果もないというふうに私は思います。 しかし、おっしゃったように、これがゲートウエードラッグになって、若い方々が、次の薬物、次の薬物と行ってしまう。既に麻薬、覚せい剤の乱用期だと言われているのがずっと続いているのに一向に減らない原因の一つに、こうしたことが私はあるのではないかと思っているわけです。 ここから先は多少乱暴なアイデアになりますが、出てきて出回ったものの薬効を調べて、成分分析をして、どういう効果があるかを調べて、ああ、ではこれは麻薬だから指定しましょうと言っている間に次の脱法ドラッグがどんどん出てくるというイタチごっこをしていては、恐らくいつまでたってもこの種の薬物というのは減らないと思います。なぜかといえば、化学組成のごく一部を変えて、要するに、麻薬指定になれば厳密な化学式で規定をされるはずですから、そのほんの一部を変えて、ほとんど同じ効果のある薬物をつくることというのは非常に容易なはずでありまして、そんなことを、ああ、また新しいのが出たからまたこれを検査して麻薬指定しなきゃいけないなんてことを、イタチごっこをやっていても、恐らく実質的な効果は上がらないと思うんですね。 売る方からすれば、それが体に害があろうがなかろうが、お金になればいいと思ってつくるわけですから、多少これなら麻薬的な効果があると思えば、どんどん恐らくやみのルートで世に出してくるのでありましょうから、新しい脱法ドラッグが出てくるスピードというのは相当に速いはずであります。 そうすると、一度世にぽっと出た瞬間にそれを仮に規制して、仮にですよ、麻薬と同じ規制はできないまでも、仮に何がしかの規制をして、せめて口にしたり売買したりすることだけは禁止をするようなことをしておいて、その後にちゃんと成分を分析して効果を見きわめて、麻薬なら麻薬指定すればいいし、そうでなければ薬事法の規定にひっかかるならそうすればいいし、最近は、薬じゃなくて、何ですか、ワックスだとか洗剤だとか言いわけをつけて売っているものもあるようでありますけれども、もし本当にそういうものであるんだったらそういう扱いにすればいい。ただ、一たん最初に薄く広く網をかけて仮の規制をしないと、いつまでたってもこれは出続けるんじゃないかと思うんです。 私が今申し上げているアイデアというのは、今までの法律の流れからくればかなり乱暴な話だとは思いますが、しかし、それでも、それぐらい踏み込んでやらないと、この脱法ドラッグの問題は解決しないと思うんですが、いかがお考えですか。
○黒川政府参考人 物質について罰則を設けて規制対象とするためには、依存性、精神毒性等に関しまして科学的な根拠が必要であって、一般的には、そういった科学的な根拠なしに幅広く物質を規制することは困難ではないかと考えております。 また、幅広い規制を行えば、物質によりましては産業用途等の正当な目的で使用されているものまで含まれる可能性もありまして、そのような規制を行うことはやはり困難と考えておる次第でございます。 しかしながら、重要な問題でございますので、私ども厚生労働省といたしましても、脱法ドラッグについて、さらにどのような対策が可能か検討してまいりたいと思っております。
○加藤(公)委員 今、産業用に正当な使用をされているものまで規制すると言いましたけれども、私のアイデアはそうではないですからね。さっきも言いましたけれども、それを口にする、乱用するとか、あるいは個人的に売買をするということに関して規制しましょうと。工業用に使っているものまで規制しろなんてことは言っていません。 ただ、だからといって、私の申し上げた案が一〇〇%正しくて、これならできるということでもないわけですよ。ただ、今のままではよろしくない。だから何かいいアイデアはありませんか、私はこう考えましたよというだけのことでありますから、これも引き続きやっていきたいと思いますので、また御検討をいただきたいと思います。 厚労省の方も、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。 では、民法の現代語化の件を伺ってまいりたいと思います。 司法制度改革推進本部長の小泉さんは何か文語復活論なんというのを一時唱えていらっしゃいまして、その方が口語化というのも、何かつまらぬしゃれかなと思って聞いておりましたが、今回、とにかく現代語化されると。今回、民法が現代語化をされるということ自体、私も決して法律の専門家ではありませんから、それは読みやすくなっていいなと個人的には思います。中にはそうじゃないという意見の方も専門家の方の中にはあるようでありますが、私にとってはわかりやすくなっていいと思うんですが、この現代語化をするために表現を改める以外に、今回改正をされている点はありますか。
○房村政府参考人 今回の民法の現代語化につきましては、現在の法律で定めております実質的内容には変更を加えない、こういう原則でやっております。したがいまして、今回、保証の部分は別でございますが、それを除きますと、実質的な変更はございません。 ただ、同じ現代語化と申しましても、いわば片仮名を平仮名に直しただけの条文もあれば、現代の立法例に合わせて、主語を補ったり、表現を一部補充しているような条文もございますし、また、用語が非常に時代に合わなくなっているのでそれを変更しているというようなものもございます。 その中で、比較的もとの条文と異なっておりますのは、確立された判例・通説の解釈で、条文の文言に明示的には示されていないもの、例えば、条文には善意としか書いていないけれども、判例・通説では善意無過失を要求している、そういうようなものについてそれを補う、こういうようなものはございます。 それから、実質的にもう存在意義が失われている条文もございますので、そういったものは削除しております。
○加藤(公)委員 今御説明いただいたような箇所というのは、この中に何カ所あるんですか。
○房村政府参考人 判例・通説の解釈を条文に反映させるということで、要件等でなかったものを入れたというものにつきましては、パブリックコメントの補足説明で十一カ条を明示しております。その後、御指摘もありまして調べましたが、そのほか、同様の性質を有すると説明した方がいい条文としてほかに二カ条ございましたので、今申し上げたような、現行の条文とある程度表現が変わってきているというものが大体十三カ条ございます。 それから、実効性がなくなっているとして削除したものが四カ条でございます。
○加藤(公)委員 局長、それは、この資料の中で我々はどうやって見つけたらいいんですか。
○房村政府参考人 御指摘のように、特にこの条文が変わっているというのは、この法律案関係資料そのものには多分なかったかと思います。一応、パブリックコメントや何かでは、この条文についてということで、先ほど申し上げたように、わかりやすいように十一カ条を挙げて注意を促しているということはいたしましたが、この法律案関係資料そのものでは、ちょっと条文を一々見ないとわからないということだろうと思います。
○加藤(公)委員 新旧対照表に書いてないですよね。この新旧対照表にそれは書いてありますか。
○房村政府参考人 ですから、上下の条文を見比べればそういうことがわかりますが、特にこの条文が判例・通説に基づいてこの要件を補充している、そういう注意書きはしてございません。
○加藤(公)委員 では、今局長がおっしゃった以外の文言の変更というのは、今回の改正案の中には存在しないんですか。つまり、新旧対照表で、簡単に言えば上と下ですよ、上と下が全くイコールのもの以外ここには示されていないということなのか、それとも、ちょっとでも変わったものは全部示されているということなのか、どちらですか。
○房村政府参考人 今回の法案では、新旧対照表そのものは全条文が記載されておりますので、上下を見比べれば、どこが違うかはもちろんわかるようになっております。 ただ、具体的にどの程度変わったかというような注記は、条文そのものを示すだけでございますので、それぞれの条文を見比べていただくということにならざるを得ません。
○加藤(公)委員 大臣にちょっと伺いますけれども、今の御説明で、この分厚い資料、この委員会で審議をしようというときに、どこが、なぜ、どう変わったかという説明は実際ないんですよ、ここに。これは不親切だと思いませんか。
○南野国務大臣 わかりやすくできるように努めたいと思っておりますが、親切か不親切かは、それはちょっと言えないと思いますが、先生のお気持ちとしては不親切なのかなというふうにも思います。
○加藤(公)委員 さっき局長が、パブリックコメントのときには注意を促したとおっしゃっていましたね。パブリックコメントで注意を促して、何で国会の議論のときに注意が促せないのか。パブリックコメントが優先なんですか。法律をつくるのはパブリックコメントじゃないですよ、立法府ですよ。局長、もう一回答弁してください。
○房村政府参考人 その点は御指摘のとおりだろうと思います。私どもとして、この参考資料の資料編に、そういった判例・通説に従って補充した条文というようなものを掲げるべきであった、こう思っております。反省しております。
○加藤(公)委員 大臣にも伺います。 局長は反省していると言っている。大臣、いかがですか。
○南野国務大臣 同じでございます。
○加藤(公)委員 そうなんですよ。これはよっぽど親切につくってくれなかったら、この分厚さですよ。ああ、わからない、量が多いから、わからないからいいや、とりあえず、賛成だか反対だか知らないけれども、法案通しておこうかというわけにはいかないんですよ、民法を変えようというときに。 それは、実質的に中身変わっていないとおっしゃるけれども、変わっていないとおっしゃっているのは皆さんであって、本当に変わっていないかどうか、だれも確認できていないわけですよ。法律をつくる人間として、そんな無責任なことで判断できないじゃないですか。我々は、賛成、反対をちゃんと明確に意思を表示するわけだから、ああ、これならいい法案だから賛成とか、ここがだめだから反対とかということをやっていくわけですよ。国会というのはそういう仕事をしているところで、そのために選ばれているわけですから、余りにもこれは不親切だし、ふまじめだと思いますよ、本当に。ぜひ厳しく、大臣、今後こんなことのないようにお願いをしたいと思います。 お願いをした上で続けますが、では、今回のこの現代語化に際して、文言は変わったけれども、さっき実質的な内容に変更はないということでありましたが、通説はあるけれども判例が確定していないというものがあるのではないかと思いますが、いかがですか、局長。
○房村政府参考人 判例が確定していないということの意味でございますが、御指摘を受けてもう一度調べましたが、条文の中に、最高裁判所あるいは大審院の判例がないものが、先ほど申し上げたうちの四つの項目についてございます。ただ、これは最高裁判例もしくは大審院の判例がないということでございまして、一般の理解として、確立した判例・通説というぐあいに理解されております。 余りにも広く皆が当然と思うことは最高裁まで争われるということがないものですから、余りにも当然の事柄は最高裁の判例がないということもございますので、そういう意味で、最高裁判例がないものがあるかと言われればそういうものもございますが、評価として、判例が確定していないのではないかということではないと思っております。
○加藤(公)委員 今の件も、聞かなかったら出てこなかった話ですからね。大臣、ついてきてくださいよ、この議論、結構大事な話をしていますからね。 もう一個聞きます。 今回、この民法の改正は法制審議会には諮っていらっしゃいませんが、その理由をお聞かせください。
○房村政府参考人 法制審議会は、法務大臣の諮問機関として、民事、刑事の基本法について御審議を願っているわけでございます。実務家あるいは学者等に集まっていただいて慎重に審議をしていただいているわけでございますが、今回の民法の現代語化につきましては、先ほども申し上げましたように、内容は変えないでそれを現代語化する、こういうことでございます。したがいまして、問題になるのは、先ほど御指摘もありましたが、新しく定める条文がかつての条文と実質的に同じであるかどうか、こういう点でございます。 一般に、法律の審議をお願いするときには、その実体要件をどう定めるか、どのような要件とするのがいいかということを議論していただく、まさにそのために実務家、学者、さまざまな方々に集まっていただくわけでございます。 今回につきましては、その表現を見て、これが同じかどうか、実質同じかどうかという判断でございますので、あえて法制審議会を開いてその場で皆で議論するまでもなく、こちらの案をお示ししてそれについての御意見を伺えば足りるであろう、こういうことから法制審議会での審議を経なかったわけでございます。
○加藤(公)委員 では、もう一回確認しますが、一般的に、法制審議会に諮るか諮らないかの基準というのは何なのか、簡単明瞭に教えてください。
○房村政府参考人 特に基準というものはございませんけれども、対象となる法律の性質、検討すべき改正の内容、それから緊急性、そういったものを総合的に判断をして、やはり実務家あるいは学者の専門的な審議を経ることが必要である、こう判断されたものについて諮問をしております。
○加藤(公)委員 今、ここ一連の議論で、要は、今回の改正は、現代語化はするけれども、実質的な内容は変わらないから法制審にも諮らなかったし、不親切な説明でした、済みません、反省しています、こういう話だったですね。 私も、では、本当に実質的に変わっていないのかどうかということを確認しないと、責任を持って判断できない。分厚いのを全部見てチェックをするなどということはなかなか容易じゃありませんが、少しでも勉強しようと思って見ましたら、やはり疑問が出てくるんですよ、本当にこれで実質的に変わっていないかどうかという疑問が。 私よりも大臣の方が何倍もお詳しい分野で一個わからないことがあったので、率直に教えていただきたいんですが、産婆と助産師というのは一緒ですか、大臣。
○南野国務大臣 時代の変化に伴って、同じような内容を持った業務をする人間が名称を変化していくということもあります。産婆と呼ばれていた時代には、穏婆とかもっといろいろな名称がございました。そういうような意味から現代的になったのが、産婆から助産婦になり、助産婦から今助産師という名称に移行いたしております。 産婆から助産婦になったときには、大きな喜びを感じていた我々の先輩はいっぱいおる。そのように、名称が変わるたびにその役割ということへの社会的効果ということも見られているように思っております。
○加藤(公)委員 役割も今変わったということもおっしゃっていましたが、名称だけじゃなくて資格も変わっていますよね、いかがですか。
○南野国務大臣 資格はその社会に適用されながら変化していくこともありますが、助産婦が法でくくられておる法は、保助看法という法律の中でくくられております。ただし、欠格条項については、刑法でこれを認知しているところでございますので、看護婦、保健婦とはまた違うというところも出てまいります。
○加藤(公)委員 つまり、国家資格がなかったものが、国家資格ができた。昔は女性だけを指していたものが、男女を問わなくなった。 さらに言うと、そのお仕事が、国家資格ができたわけですから、どういう仕事かというのは当然規定をされるわけで、助産師の方の仕事の中には、助産以外にも保健指導というのがございますよね。産婆と呼ばれていたときのお仕事にその保健指導というのはなかったと思いますが、大臣、いかがですか。
○南野国務大臣 産婆という業務をするときにも、やはりそのような業務の中身はありました。 したがいまして、社会が変わるたびに講習またはいろいろな研修などを積み、同じ産婆という名称でのライセンスを取った人たちもアップ・ツー・デートの教育は受けているところでございます。
○加藤(公)委員 済みません、今の日本語、全然わからないんですけれども、国家資格がなかったものが、国家資格ができました、そうですよね。では、産婆という国家資格はあったんですか。大臣、教えてください。
○南野国務大臣 鑑札というような形で業務を取り仕切る一つの枠、法律枠はありました。 ですから、したがって、どういう教育を受けた人が産婆になるかということは、それは鑑札業務の中で認定され、国ではなくても県等でそれが認定されております。
○加藤(公)委員 国家資格ではなかったけれども、都道府県が認定をしていたということですか。そうなると、試験はなかったということですね、今のお話ですと。いいんです。細かい話をすると時間がなくなっちゃうので。(南野国務大臣「研修で学校を卒業すると」と呼ぶ)ある学校を卒業したら何か認定される、こういうことだったわけですよね。 そのときのお仕事と、さっき大臣がおっしゃった、今の法律で規定されている助産師さんのお仕事とが全く一緒なのかどうかというのが、要は、ここの百七十条で私は疑問なんですよ。 それで、百七十条は、もともとは産婆というお仕事をされている方の勤労の部分、勤労というのが書いてあるわけですよ。今回書きかえると、助産師の助産になっているわけですよ。勤労の中には、今大臣がおっしゃったように、助産以外の仕事も入っていたわけですから、保健指導も。今回、保健指導の部分は外されるわけじゃないですか、助産になってしまえば。そうしたら、これは仕事の領域が縮まっていないんですか。局長でもいいですよ。いかがですか。
○房村政府参考人 これは、産婆の場合の勤労というのは、当然産婆としての勤労ということだろうと思います。 ただいま御指摘の助産の場合の指導とかそういったものが当時の産婆の勤労として通常認められていたのかどうかということですが、多分、実態としては、当時の産婆としては、まさに出産を助ける助産の役割がこの勤労の中核ではなかったかと思いますので、そういった意味では、現在の規定の助産師の助産と産婆の勤労というのは実質的に見て差はないのではないか、こう思っております。
○加藤(公)委員 では、さっき大臣が言ったことと違うじゃないですか。大臣がさっき、産婆というお仕事の中には保健指導というのもありましたよとおっしゃっていたから僕は今それを聞いたんだから、局長の言ったのと大臣が言ったのと説明が違うじゃないですか。 僕はわからないから素直に聞いているんだから、わかるように説明してください。
○南野国務大臣 保健指導というものをどのように解釈するかだと思いますが、赤ちゃんを取り上げる産婆の主たる業務をするときに、お母さんに何も言わずに赤ちゃんを取り上げるわけではありません。お母さんが安楽にお産をするためにいろいろなアドバイスをすること、それを保健指導だと解釈すれば解釈するわけでございます。
○加藤(公)委員 結局、今大臣がおっしゃったことと局長がおっしゃったことと、それはどっちからとったってある意味正論で理解はできますよ。 問題は、さっきも言いましたけれども、別にここの条文をああしろ、こうしろと言っているわけじゃないんです。一つとってもこれぐらい意見が出てくるわけでしょう。それを何ら示されていないわけですよ、この分厚い中で。これは余りにも不親切じゃないかと思って私は申し上げているんです。 全部チェックしないで、これは実質的には変わっていませんからそのまま素通ししてくださいという話を皆さんはしてきたわけですよ。実質的に変わっていないかどうかは、こういうところをこういうふうに変えました、でも、ごらんのとおり変わっていませんからよろしいですねというならわかりますよ。実質的には変わっていません、だからどこがどうかもわかりません、それで国会に出されても、それは幾ら何でもちょっと無責任だと思いませんか。 実質的に変わっていないかどうかを判断するのは立法府であって、法務省じゃないはずですから、そこはやはりきちんと筋を通してもらった方が私はいいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○房村政府参考人 分厚い資料の割に、例えば、先ほど申し上げたような判例・通説で補った部分を特定するような資料がついていなかった、そういう意味で不十分な点があることはおわびを申し上げますが、しかし、実質的にといいますか、変わったところにつきましては、まさに新旧対照表ですべての条文についてお示しをしているわけでございます。 それ以上に、どの部分をどう変えるということにつきましては、我々としては、やはり実質的な内容は変わっていないということでこの条文をお示ししているわけでございますので、それはもちろん国会で御判断をいただくことではございますが、一応新旧対照表で、すべての条文についてその改正の前後を対照して御議論いただけるような資料にしているわけでございます。
○加藤(公)委員 先日、この資料が来る前にいろいろ御説明をいただいたときに、やはり法務省の方もどこがどう変わっているかというのを全部把握を、こんな量ですから当然されているはずもなく、実際に文言の表現以外で何か変わったところはあるんでしょうかというお問い合せをしたら、資料をつくっていただいたんですよ。一生懸命頑張ってつくってくださった。それをいただいたんです。そうすると、そのつくっていただいたものでいうと、ざっと約七十カ所ぐらい挙がってきていたんです。でも、それが実は全部じゃなかった、これが来たら。事前にいただいた資料には漏れていたものが、やはりこっちでも変わっている。 つまり、把握がなかなか、これはこの量だからできるはずもなくて、把握されていない、その状態が僕はよろしくないんじゃないですかということを言っているわけです。それできょうここで、ああしよう、こうしようという話じゃありませんけれども、せっかく現代語化してわかりやすくしようというときに、その審議がわかりにくいのはよろしくないじゃないですかと。 毎度毎度わかりやすくと大臣にはお願いしていますが、そういう意味でこの点申し上げましたので、今後こういう大きな法案の改正が出てくるかどうかそれは知りませんけれども、出てくるときに、国会で審議しやすいようにこうした資料をつくるなり、あるいは、別にこの白本じゃなくてもいいんですが、説明をしていただくなりお願いをしたい。大臣、御理解いただけますか。
○房村政府参考人 私どもとしては、国会で充実した審議ができるように、今後も資料の作成の仕方については十分ただいまの御指摘を踏まえて努力をしたい、こう思っております。 ただ、単純現代語化と申しましても、表現そのものはすべての条文において当然変わっているわけでございますので、その変化の度合いの中で、どこからどこまでを御要望のようなものとしてリストアップするかどうかということは、これは人によって当然違ってくるわけでございます。ですから、担当者としては当然、新旧対照表がありますので違っていることはわかりますが、その中で違いの度合いに応じて幾つのものを説明用の資料に書くかということは、これは相当違ってきます。ですから、完全なものはやはり新旧対照表しか最終的にはないわけでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
○加藤(公)委員 白本が出てくる時期と国会の審議とのタイミングの問題ですから、これが直前に来て、この分厚いもので法案審議といったって、それは間に合うはずもないんで、事前に、じゃ、これの前段階の資料をと言うと、この白本とは内容が違っていますから、そういうことで申し上げましたので、そこはぜひ今後お願いを申し上げたいと思います。 では、次に債権譲渡の法案の件を伺いたいんですが、これは先ほど西田先生が専門家の観点から大変、私が聞いていてもわかりやすい御質問と、あとレベルが高過ぎて難し過ぎる御質問とをいただきまして、私も大分理解が進んだところがありますんですが、私は私なりに法律の専門家ではない観点から幾つか伺いたいんですが、ちょっと時間の関係がありますので多少はしょらせていただきます。 この法案が仮に成立したとして、譲渡担保を登記しても、その前に占有改定がなされているとそちらが優先だ。そうすると、譲渡担保として、要は、登記をしてお金を貸してあげましょうと思っても、その貸し手側は本当にそれが担保になるかどうか不安で実はお金が貸せないのではないか、さっきもそんな議論がありましたけれども。 そうなると、制度はできたはいいけれども、実際に必要な中小企業などに資金が回るんだろうか、実際に融資が行われるんだろうかというところが、その実効性が私は疑問でございまして、そこを御説明いただきたいと思います。
○房村政府参考人 御指摘のように、動産譲渡登記を利用しようとする立場からしますと、登記前に占有改定があった場合にも譲渡登記が優先するという効力を与えられた方が、登記の利用のためのインセンティブがあるわけでございます。法制審議会でもそういう声が随分あったわけでございます。 ただ、逆に、先行して譲渡担保をとって、占有改定で対抗要件を備えた者からいたしますと、後に登記が出てきてその譲渡担保権が否定されてしまうということは極めて不安定になるわけです。譲渡担保の実情として、担保に供していることを知られたくないという債務者がいるということも事実でございますので、そういった場合には占有改定しか利用できない、こういう指摘もあったわけです。そういう人たちからしますと、登記でひっくり返されるということになると譲渡担保が非常に使いにくくなってしまう、そういうこともございました。 それから、対抗要件の効力としては今は完全に同一、単に先後関係だけで決まりますが、登記について、占有改定、特に担保目的の占有改定に優先するという効力を与えるということになりますと、同じ対抗要件の中で優劣ができます。そういたしますと、現在全く平等であると考えて理論的な統一が図られているところへ新たな制度が持ち込まれますので、理論的にいろいろ不整合が出てくる。例えば、担保目的の占有改定があり、その後真正譲渡の占有改定があり、その後譲渡目的の登記があった、こういうようなときに三すくみになるのではないか、これが法制審の場でも議論されました。 そういったいろいろな問題と、それからもう一つ実務家から指摘があったのは、新たに譲渡担保を設定するときは、当然、相手の信用状態、あるいは既に担保に入っていないかというようなことは調べる。そういう立場からすると、既に占有改定があって、それで登記をしてもその権利が認められないというおそれは余り高くない。逆に、先ほど言ったような、登記に強い効力を認めることによって現在の金融実務に悪影響を与えるおそれの方が高い、そういう指摘がありました。 そういうことを踏まえて、結局、今回の法案では対等の効力ということにいたしまして、実際にこれを利用するであろう中小企業団体あるいは金融機関の方々からも、現状ではやはりそれが一番いいのではないかということを最終的には言っていただいております。
○加藤(公)委員 非常に難しい話で、法理論上はこうするしか多分ないんだろうというのは私もそれなりにはわかっているつもりではあるんですが、もちろん、やったからといってむだになるとは言いませんが、本当に、じゃ、それで融資がどの程度回るのかというと、やはりどうしても疑問がぬぐえませんで、これは今後を見なきゃいけないのかもわかりませんが、きょうのところはこのくらいにさせていただきます。また聞く機会があれば伺いたいと思います。 もう一個疑問点は、これは大臣にぜひお答えをいただきたい部分ですが、今回、これで、今私の心配とは裏腹に、仮に中小企業への融資が活発に行われるようになったとすると、倒産を回避できる会社がふえるのではないか、こう言われていますが、だからといってゼロになるわけではなし、この制度を使ったけれども残念ながら倒産してしまうという会社が出てくる可能性は当然あるわけですね。そうなりますと、仮にこの制度まで使って会社が倒れたとすると、倒れたときにはもう何にも資産、財産が残っていない、働いていらっしゃった方が給料をもらえずに泣き寝入りなんてことになりはしないかということが、やはり非常に気にかかるわけであります。 この労働債権について、もちろんいろいろな方法はあるんでしょうが、物すごく優位な債権に位置づけるとか、あるいは別の法をつくるとか、それはいろいろな考え方があるとは思いますけれども、どうもこの法案を成立させただけでは不安が残るんですが、今後どんな対応をされるおつもりか、大臣から伺いたいと思います。
○南野国務大臣 先ほどの文言の件でございますが、これにお答えする前にちょっと申し上げたい。 名称が変わったということはそれはそうなんですけれども、中身について、どのような業務を遂行してきたか、その歴史的な経緯は保健婦助産婦看護婦法という法律の中にしっかり書き込まれておりますので、ここでこの名称がAからBになったということは、これは、私はそのままでよろしいかなというふうにも思っております。 今の労働債権の問題についてでございますが、労働債権は労働者の生活の原資でありますから、その保護をどのように図るのかということについては、極めて重要な問題であると認識いたしております。 法務省では、これまでも、一般先取特権によって担保される労働債権の範囲の拡大、また、破産手続による労働債権の優先順位の引き上げなど、このような法整備も行ってまいりました。 今後も、動産及び債権の登記制度の利用状況や企業の倒産時における労働債権の取り扱いの実情、そういったものを踏まえながら、どのような施策を講じる必要があるかどうか、それも真摯に検討していきたいというふうに思っております。 どうぞ、先生のいい御意見をいただきたいとも思っております。
○加藤(公)委員 そんなよいしょしていただかなくてもいいので、ちゃんと検討していただければいいんですけれども、その検討するというのが、政治の世界、非常に不安でありまして、検討するというと、多分、数年ほっておくなんということになりかねないんですが、大臣、もう一回だけ。どういう形で検討していただけるんですか。
○南野国務大臣 どうやってということでございます。現時点では確定なことは申し上げられません。考えていかなきゃならない形でございますが、どのように検討していくかということにつきましては、本法律施行後の一定の期間に、労働団体の関係者を初めとして、経済団体の関係者、また労働法制の研究者などで構成しております研究会を組織いたしまして、その研究会において、企業倒産時における労働債権保護の実態、または諸外国における労働債権の法律上の保護のあり方等を参考にしながら、調査検討を行うことを考えております。
○加藤(公)委員 では、ぜひそれを実現していただきたいと思います。 残りほんのわずかになりましたので、ちょっと、この債権譲渡の件、あと幾つか伺いたいこともあったんですが、金曜日に参考人の方にもお話を伺えそうでありますから、そちらに回します。 一つ、私が従前より疑問に思っておりますことがありますので、せっかくの機会ですから伺いたいと思うんです。 日本では、火事が発生をいたしますと、その火元になった方というのは、故意もしくは重過失がないと賠償責任を負わない、こういうルールになってございますね。そうなりますと、もちろん火災全般が同じ条件ということではありませんけれども、仮に、火元の方が保険に入っていらっしゃって、お隣のお宅は保険に入っていなかった。二軒燃えてしまった。火元の方は保険で家を建て直して新しい生活を始められた。人的被害はなかった。お隣のお宅は火事で全部燃えてしまって、人的被害もあった、保険に入っていなかった。これは余りにも理不尽ではなかろうかと思っているわけです。 確かに、法律上いろいろな理論があって物すごく難しい問題だとは思うんですが、やはり理不尽で気の毒な方があるのをほっておくというのは、どうも私の性分からいって気持ちのいい話ではございませんで、この理不尽な問題を何か解決するすべはないんでありましょうか。御意見を伺いたいと思います。
○房村政府参考人 御指摘の失火責任法につきましては、さまざまな御意見があるところでございます。 一応、もう御承知とは思いますが、背景だけを説明させていただきますと、木造家屋が建て込んでいる地域の多い我が国の現実のもとでは、火災による損害は、天候、消防など偶然の事情によって大きく拡大する可能性があり、また、火災を発生させた者自身も損害を受けているのが通例であることなど、失火者にも酌むべき事情があることを考慮して、御指摘のように、故意または重大な過失がある場合以外は責任を負わない、こうしたものでございます。 確かに火災の状況というのはさまざまでございますので、御指摘のように、ある意味では、類焼した方がいかにもかわいそうだという場合もございますけれども、現在の日本においても、いまだやはり木造家屋が建て込んでおり、しかも状況によって非常に火災が拡大する。その場合の被害額というのは相当大きなものになるわけでございますので、そういったものを、軽過失の場合にも過失のあった者にすべて負わせていいのかということは、やはり問題状況としては残っているのではないか。 そういうことを考えますと、御指摘のような問題もあるわけでございますが、やはりこの失火責任法の考え方自体が一概に理不尽だとも言えないのではないか。そういう意味では、さまざまな検討が必要ではないか、こう思っているところでございます。
○加藤(公)委員 明治の法案で、しかもこれは議員立法でたしかできていたかと思いますから、本来は我々がやるべき仕事だろうとは思うんですけれども、せっかくの機会なので、大臣の私見で結構ですから、伺いたいと思います。 私は、理不尽なケースが発生していると思いますし、現実にあるわけですよ。その軽過失か重過失かの境目は、私なりに調べたら、寝たばこぐらいが何か微妙なラインだというふうになるんですね。私は、お隣さんが寝たばこで火事を起こして、家が全部燃えちゃって、向こうに賠償責任ないと言われると、恐らく、被害に遭われた方、延焼された側の方は相当つらい思いをされる、腹立たしいんじゃないかと思うんです。 この失火責任法、明治以来何にもいじられていないんですが、私は、なくして、別のルール設定をした方がいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣の私見で結構です、伺いたいと思います。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。 先ほどの御質問をお聞きしておりますと、火元から延焼した被害を受けたお宅が全く賠償が受けられない。そこに情けを先生はお持ちであるというふうに思いますが、大変お気の毒な気がいたします、これは実感でございます。 ただ、民事局長のただいまの答弁にもありましたとおり、御指摘の法律はいろいろな背景を踏まえて制定されたものでありますので、法律自体を廃止すべきかどうかということについては慎重に検討する必要があろうかというふうに思っております。
○加藤(公)委員 きょうは、大臣にいろいろ御検討いただくこと、あるいは今後お気をつけいただくことを何点かお願いさせていただきましたので、そこは重ねて、お忘れなきようにお願いをして、あと、本当は、犯罪被害者の方の救済の件で、実は関心領域がありましたので御質問したかったんですが、残念ながら時間がなくなってしまいました。御用意いただいたのに申しわけありません。次回にしたいと思います。 ありがとうございました。
○塩崎委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時六分休憩 ————◇————— 午後零時五十分開議
○塩崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁交通局長矢代隆義君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長大林宏君、法務省入国管理局長三浦正晴君、厚生労働省大臣官房審議官北井久美子君、国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局大野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津川祥吾君。
○津川委員 民主党の津川祥吾でございます。 南野大臣にはどういうわけか初めて質問させていただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。 大臣が予算委員会の方で華々しいデビューを飾られたときも、私も予算委員会でございまして、後方から若干不規則発言をさせていただきましたが、御答弁はいただけなかったので、きょう初めて御答弁をいただくと思いますので、よろしくお願いいたします。 一般質疑ということで貴重なお時間をいただきましたが、いろいろ質問させていただきたいことがございまして、いろいろ準備はしたんですが、ちょっと準備し過ぎたかもしれません。いろいろな政府参考人の方にお出ましをいただいておりますが、ひょっとしたら時間がなくなるかもしれませんので、申しわけございませんが、冒頭お許しをいただければなというふうに思います。 それでは、まず、刑法の危険運転致死傷罪、これができてちょうど三年になりますが、この危険運転致死傷罪と業務上過失致死傷罪あるいは道交法について御質問させていただきますので、警察庁の矢代交通局長にもお出ましをいただきました。まず、この点からお伺いをさせていただきます。 ちょうど今から三年前の十一月に、第百五十三臨時国会、当法務委員会において刑法等一部改正案ということで、危険運転致死傷罪というものが創設をされました。 当時の議論としては、東名高速道路で発生をした事故がございました。飲酒運転のトラックドライバーが、渋滞中でとまっていた車、最後尾にとまっていた乗用車に追突をして、幼いお子さんが亡くなられたという大変痛ましい事故がございました。それに対して、業務上過失致死の罪でしか罰せられないということに対して、国民から、おかしいのではないか、もっと厳罰化するべきではないか、こういった背景があってこういったものができたというふうに記憶をしております。 これは衆参ともに全会一致で可決をされて、同年の十二月五日に公布をされておりますが、三年たちまして、この危険運転致死傷罪がその後どのように適用されているかということ、まず数字を挙げてお示しをいただければと思います。
○大林政府参考人 統計によりますと、検察庁における危険運転致死傷罪での公判請求人員数は、平成十四年中については三百十一名、平成十五年中については三百三十二名で、増加しているものと承知しております。
○津川委員 もう少し詳しいデータをいただきたいんです。要するに、危険運転致死傷罪というものができて、これまで業務上過失致死傷で処理をされていた、あるいはそれでしかできなくて困っていたものが、これができたことによってどのように数値的な変化があらわれたのか。効果というよりも実際の数値を教えていただきたいんですが。 もう少し具体的に、私がいただいた資料の方は、第一審における言い渡し刑で何年何年、何件何件というのをいただいておりますが、これの最終的な確定の数字はいただいていないものですから、そういったものもあれば、ちょっとお示しをいただければと思います。
○大林政府参考人 私が今申し上げたのは起訴の段階のことでございますが、今御指摘の、通常第一審における危険運転致死傷罪での判決言い渡しの人員数は、平成十四年については二百三人で、うち百三十人が執行猶予つきとなっております。平成十四年の統計がちょっと致死と致傷を分けていないんですが、平成十五年は分けた統計がございまして、危険運転致死罪が五十三人で、うち二人が執行猶予つき、それから危険運転致傷罪が二百七十六人で、うち二百六人が執行猶予がついた、こういうふうに承知しております。
○津川委員 ですから、その数字はいただいているものですから。その数字も紹介していただきたかったんですが、これはまだ第一審言い渡しの段階ですよね。その後確定した数字があれば、それも含めて御紹介をいただければなと思ったんです。それが質問通告の趣旨ですから。知っている数字は知っているものですから。まあ、わからなかったらまた後日で構いませんが、ちょっとお答えいただけますでしょうか。
○大林政府参考人 御承知のとおり、裁判を受けても、控訴したりするものがありますので、ちょっと私の方でまだ把握できていないところがあります。調べてみまして、わかりましたらまたお知らせしたいと思います。
○津川委員 今の言い渡しの段階の数値ではありますが、これを見てやはり驚いたのは、平成十五年度の数字で、危険運転致死罪で第一審で言い渡しをされた方で十年を超した方は三人ですね。五年超が十六件、三年超が二十四件、二年以上十件。つまり、三年未満の方が十件もあるんですね。 私たちがこの法律をつくったときには、つまり、今までの業務上過失致死傷では、もっと重く、厳罰化してもらいたかったようなものができなかったので、それでこういうものをつくった、こういう認識を持っていたものですから、いや、これだったらほとんど今までのやつでできてしまうではないかと。もちろん、はみ出している部分もありますから、全く意味がなかったとは申し上げるつもりはありませんが、ちょっとこの適用の仕方が私どもが法律をつくったときのイメージとは若干違うのかな、こんな思いがありましたので、これについてもう少し質問させていただきます。 先日の刑法の改正のいわゆる厳罰化の話の中でも参考人の方が、厳罰化、重罰化で、その効果があるものとなかなかないものがあるというお話がございました。それは、私が質問させていただいたら、ないというよりも、数値上はなかなか出てこなくても、規範を広める意味では何らかの効果があるんだというような、そういう御答弁でありましたが、その中でちらっとおっしゃったのが、交通法規のようなものは効果があらわれやすい、こういう言い方をされていらっしゃいました。三年前、危険運転致死傷罪を創設された、このことも恐らくその参考人の方は念頭に置かれて、そういったことも含めておっしゃったのかなというふうに思います。 そういった意味で、効果の点について伺いたいんですが、この危険運転致死傷罪の創設、まずその前に、危険運転致死傷罪と業務上過失致死傷罪というものについて、法律上でどのように分けられるかということを改めてちょっと確認させていただきたいと思います。
○大林政府参考人 業務上過失致死傷罪は、業務上必要な注意義務を怠って人を死傷させた者をいわゆる過失犯として五年以下の懲役もしくは禁錮または五十万円以下の罰金に処するというものでございます。これは、交通事件だけではなくて、当然一般的な労働災害みたいなものもあり得ることでございます。 これに対して、危険運転致死傷罪は、事故を起こして人を死傷させる高度の類型的な危険性を有する運転行為を故意に行って人を死傷させた者を傷害、傷害致死罪に準じた重い法定刑により処罰しようとするもので、人を負傷させた者については十年以下の懲役に、人を死亡させた者については一年以上の有期懲役にそれぞれ処せられることになっています。 危険運転致死傷罪の対象となる悪質、危険な運転行為は、刑法第二百八条の二第一項及び第二項に掲げられておりますけれども、それは、いずれも「四輪以上の自動車を」、一つは、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」で走行させる行為。それから次に、「その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しない」で走行させる行為。三つ目が、「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度」で運転する行為。それからもう一つは、「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度」で運転する行為となっております。
○津川委員 当時の質疑の議事録なんかを見ると、これはどういう解釈なんだというのがいろいろ当然されたわけですけれども、それを見ればわかるんですが、実際この法律を運用するとき、国会でだれがどういう答弁をしたかとか、どういう質問をしてどういう確認をしたかということは、民事局長、にやにやされていますが、余り評価されないんですよね。別に答えなくていいんですが。 ほとんど、やはりこの条文をしっかり読んで、条文に書かれていることしか、当然のことながらその判断の中でしか適用されないわけであって、この法律に加えて、例えば政省令、全部まとめて法令ですけれども、法令の中で何がこの罪に当たるのかということは判断されるし、その判断を最終的にされるのは裁判ということになるんでしょうけれども、私どもがつくったときはこのイメージでつくりましたから、例えば、お酒を飲んでべろべろになって運転している人はみんな当てはまるんだと思っていたんですね。 実際、そうでもないということを伺っているものですから聞きたいんですが、まず、ちょっと先ほどの効果の部分について限定して伺いますが、まだできて間もないものでありますから十分な統計がとれていないかもしれませんけれども、この平成十三年の改正が具体的にどのような効果があらわれたか。例えば飲酒運転が減ったとか、赤信号無視が減ったとか、そういう数値はありますでしょうか。
○矢代政府参考人 お答えいたします。 この危険運転致死罪と前後しまして、道交法の飲酒運転の罰則そのものも引き上げられましたので、その効果もあろうと思いますが、たしか、施行前、施行後、この時期で、飲酒運転が伴います交通死亡事故がおおむね四割ほど減少したというふうに承知しております。
○津川委員 今おっしゃったとおり、道交法そのものも変えていますから、どっちが効果があったかは判然としないものだと思いますが、いずれにしても、飲酒運転に対する厳罰化というもの、例えば罰金が上がったとかそういうものも、これはもう飲酒しちゃいかぬなと思った方は多いんだと思います。 それはいいんですが、もう一つ、ちょっと今数字はなかなか手元にないかもしれませんが、警察庁にお伺いしますけれども、飲酒運転の厳罰化が行われたことのもう一つの効果として、効果というか弊害なんですが、ひき逃げがふえたんじゃないかという話があります。 要するに、今までであれば、事故を起こして、ああ、いかぬと思って何か対処した人が、事故を起こしたときに、ああ、いかぬ、酒を飲んでいた、それで逃げちゃう、こういう例が幾つも報告をされています。そういう効果というか、そういう傾向が出たかどうか、お答えいただけますでしょうか。
○矢代政府参考人 お答えいたします。 この危険運転致死罪が平成十三年の十二月、それから、飲酒運転の厳罰化が平成十四年の六月と承知しておりますが、この前後でひき逃げがふえた、飲酒運転によるひき逃げがふえたという状況はございません。 かねてよりひき逃げは、飲酒運転あるいは無免許などの場合、あるいは気が動転してびっくりして逃げたというようなものが多いわけでございますが、この件数自体がこの前後でふえたということはございませんで、それより以前、平成十一年、十年ごろから徐々にふえている状況でございます。
○津川委員 数字の分析の部分でもあるんですが、明らかに飲酒の罰則が強化されたことによって逃げる人がいることは間違いないんです。 私の地元でも、この間話を伺ったんですが、昔は酒を飲んで運転して帰っても何にも言われなかった、お巡りさんと一緒に飲んで、お巡りさんと一緒に車を運転して帰ったという話も随分あったと言うんですね。それがいいか悪いかといえば、悪いんですが。 ただ、その当時の話として、もう一つ、飲酒運転が引き起こす注意力の低下とか危険性の上昇というもの、それを科学的にまだ認識がされていなかった、あるいは甘かったということがあったんだと思います。それが最近、本当に認識をされて、酒を飲んで運転するというのはとんでもないことだ、こういう認識を持たなきゃいけないんだと思います。そういう意識の中で、飲酒による運転というものが、状況によっては危険運転致死傷罪が適用されるということにもなっているんだと思うんですね。 それを国民の皆さんにちゃんと認識をしていただく必要があるということと、もう一つは、結果として、逆にひき逃げがふえるんだとしたら、これは非常に大きな問題ですから、厳罰化すればいいというものではないということがここに一つあらわれていると思います。 もう一つ、国民にその規範意識を持っていただくということで言うと、つい先日施行されました改正道路交通法で、携帯電話を持って話をして運転しているとそれだけでアウトというのができまして、初日に随分告知活動をしていただいたようでありますが、これは確かに、運転中、携帯電話で話すということが危険だということを知らしめるにはプラスだったかもしれませんが、逆に言うと、ハンズフリーの機械がありますね、あれを使うと法律上は大丈夫ということになっています。 実際の事故を検証したときに、注意力の低下などについて検証したときには、確かに片手を放して携帯で話すのもよくないんですが、ハンズフリーで両手はハンドルを握っていてもやはり危ないんだと。実はその違いは余りなくて、隣の席の人としゃべっている、これはそう注意力は下がらないけれども、電話とかあるいはハンズフリーみたいなもので話をするのは注意力が低下して非常に危険だというような、そういう情報を聞いております。 それがもし本当だったら、ハンズフリーはオーケーというのは、携帯電話で話すのは危険、プラスハンズフリーだと危険でないという間違ったメッセージが出されていると思うんですが、ハンズフリー装置を使った場合の規制がかかっていないということについての見解を伺いたいと思います。
○矢代政府参考人 先ほどの御質問の部分が入りますが、飲酒運転をしてひき逃げをしたかということにつきましては、捕まえた者については調べておりまして、飲酒運転をしておったのでという件数は実は減っております。ただ、これは飲酒運転全体が減っておりますのでそういう結果になっていると思います。 それから、ただいまのハンズフリーの件でございますが、私どもも、ハンズフリーであっても携帯電話の運転中の使用は危険であるというふうに承知しております。 ただ、この運転ですが、安全に運転するためには、まず前を見て、それからハンドルをきちんと持って、それから注意力を集中して運転するということが必要でございます。携帯は注意力をそぐという点では、通話に注意力をそがれますので、ハンズフリーでもあるいはハンズフリーでなくても同様の注意力低下が出てくるであろう、こういうふうに思うわけでございますが、もう一つ、片手運転と注意力が重なりますとさらに危険である、こういうことで、私どもは、罰則をつけての規制はハンズフリーを除いての携帯電話の使用ということにさせていただいたわけでございます。 ただ、危険であることは、ハンズフリーも同様でございます。
○津川委員 だから、ハンズフリーも危険なわけですよ。だけれども、普通のドライバーは、携帯電話で話しながら運転するのは危険なんだ、これはいけないんだ、だけれどもハンズフリーを使えばいいんだと思っているわけですよ、罰則がないわけですから。それは、少なくとも危険性が、片手で電話で話すよりも、どのくらいかはわからないけれども、相当下がるんだというふうに多分思っていると思うんですね。 そこは、科学的な検証をすると、そうでもない、ほとんど変わらないという話がありますが、警察というのは、事故の原因とか注意力の低下みたいなものというのは科学的に検証されていると思いますが、そこの、ハンズフリーであるかないかで線を引いたというのは、科学的な根拠というのはあるんでしょうか。
○矢代政府参考人 お答えいたします。 ハンズフリーあるいは携帯電話の使用に関しましては、平成十一年の法改正を行いますときに、私ども、自動車安全運転センターにお願いいたしまして、実験をやっております。また、このほか二つほどの大学で、これは室内の実験でございますが、実験をしておるところと承知しております。 それで、先ほど申し上げましたように、注意力が割かれるか、低下するかということと、それからさらに、片手運転その他も含めて運転行動に、ハンドルのぶれなどでございますが、どういう影響を与えるか、こういう調査をやったわけでございます。 そして、先ほど申し上げましたように、運転行動全体に与える影響はハンズフリーとそうでないものとではやはり差があるということで線引きをしたわけでございますけれども、注意力の低下につきましてはほとんど同じであるという、大学の調査結果と若干の差はあるという程度の結果が出ておりまして、これは判然といたしませんが、私どもが法改正をいたしましたときのよりどころは、運転行動全体に与える影響ということでやっております。
○津川委員 ハンズフリー装置を使うよりも、片手を使って、片手運転で携帯を持って話す方が、それはどっちの方が危険かといったら、そっちの方が危険だと思いますよ。ただし、交通事故がどういう理由で起こっているか、それは、片手で手が振れるから操作間違いをして事故が起こるということも当然あると思いますが、注意力が低下するということが一番問題なんじゃないですか。 だから、その注意力が低下するかしないかというところで、ハンズフリーであるかないかではっきりとした差があるということであるならば、そこに線を引くというのは何となくわかるんです。そこが本当に線として正しいかどうかはまた検証していくにしても、注意力に関してはほとんど差がない、もしくは少ししかない、判然としないという話ですよね。ここに線を引くというのは、私はおかしいと思うんですよ。それでも、少しずつ実態を見ながら、規制については適正化をしていただければいいんだと思うんです。 つまり、私たち普通のドライバーとしては、警察というのは、我々の知らないところでちゃんと科学的な捜査をやって、科学的に事故が減るようなことをやっているんだと思っている部分があるんですが、調べていくと、必ずしもそうじゃないんじゃないかなというところがある。あるいは、それが法律なり規制というところに出てきたときにむしろ間違ったメッセージになるということを非常に強く感じます。 危険運転致死傷罪のところも実はそうなんですが、私自身は、大臣、眠いですか。済みません。大臣も本当に、我々よりもはるかに御心労多く、ずっとそこに座っていなきゃいけないし、大変だと思いますが、ぜひおつき合いをいただければと思いますので、よろしくお願いします。 私は、実は、政治家を志した一つの理由が、死亡交通事故を減らしたいというのがありました。そのために、どういう事故がどのように発生をしているのか、科学的にどんどん検証していかなきゃいけないというふうに思うんです。 今のハンズフリーの話もそうなんですが、もっと一般的なことで言うと、制限速度なんですね。制限速度が、法定速度は一般道路は六十キロですね。六十キロなんですが、これは地域によって全然違いますが、法定速度を知らないドライバーが多いところがあるんですね。多分免許を取るときには習っていると思うんですが、ここからここまでは四十キロ、ここまでは五十キロ。ここまで五十キロという看板が出てくると、ここから先は何キロでもいいんだと思っているという人がいるらしくてびっくりしたんですが、そこは六十キロですね、基本的に。 ところが、例えば、一つの地域を挙げますが、北海道、非常に死亡事故の多い地域でありますが、北海道では、制限速度プラス二十キロまでが常識的な速度だというんです。私の住んでいる静岡では余りそういうことはないんですが、北海道等ではそういったことがあるそうであります。 この推測として、私、今二つ持っていますけれども、一つは、やはり道路の環境が全然違う。非常に幅が広くて、一直線で、交通量も少ない。横から飛び出してくる子供もいない。動物ぐらいは飛び出してくるかもしれないけれども、非常に見通しのいいところだと六十キロで走るより八十キロで走った方が安全じゃないかとか言われるぐらい、そういう道路がたくさんあるわけですね。まず、そういう構造的な問題。 もう一つが、取り締まりですね。これは警察の取り締まりです。警察の取り締まりが、二十キロを超さないとなかなかやらないわけです。 例えば、先日も私の地元で、山奥の方に行ったときに、いわゆるネズミ取りをやっていました。これは聞いた話ですけれども、なかなかその箇所はポイントだそうでして、よく人が捕まると。観光客みたいな方がよく捕まって、地元の人はそこはわかっているから余りスピードを出さないそうなんですけれども。そういったときも、大体、二十キロ超ぐらいじゃなきゃ捕まらない。 時々、二十キロ以下で捕まることがあって、十九キロとか十数キロで捕まることもあります。しかも、これからの時期、そういうのが多いんですね。そうやって捕まった人がどう思うかというと、警察の方には申しわけないんですが、年の瀬が近づいてきて、警察の点数稼ぎにひっかかってしまったと。点数稼ぎというのがあるかどうか、私、詳しくはよく知りませんが、多分、今十数キロオーバーで検挙される皆さんは、ああ、失敗した、そういえば警察は今点数稼ぎの時期だった、そう思われるわけですよ。 これは逆に言うと、要するに、普通は、六十キロと書いてあるけれども八十キロまでは安全なんだ、そういうメッセージにもなっているわけです。それは、例えば東京あたりでは余りそういうことはないのかもしれません。渋滞がそもそも多くて、四十キロ制限だけれども十キロぐらいでしか走れないみたいな道路を走っている人が、プラス二十までいいとはなかなか思わないんだと思うんです。これは地域差があるという話は前に警察の方からも伺いました。 こうやって制限速度を当たり前のように皆さんが違反しているような地域では、それ以外の交通違反も非常に多い。交通法規に対して非常にモラルが低下をする。これも間違ったメッセージなんだと思います。 私は、こういったものを見たときには、やはり規制は規制としてしっかりやる必要があるんだろうと思います。それからもう一つは、規制の仕方として、もう少し科学的な規制、法定で六十キロと書いているから、もう北海道から東京からどこまで、一般道路は全部六十キロが上限、あとはそれから何かにつけ十キロ、二十キロ減らしていくという、それだけじゃなくて、もう少し、例えば、ここは八十キロで走っても安全だけれども、当然のことながらそれ以上出してはいけない、こういうような適切な規制に、上げるところは上げる、下げるところは下げるというやり方をしなきゃいけないと思うんです。 特に、四十キロで走っていて危険なカーブとかいうものは正直あるわけですよ。そこは三十キロに落とさなきゃいけないわけですね。 道路の中で、ここは六十、ここは八十とかで余り変わっちゃ、これも運転しにくいですから、これはある程度一定にするべき、そういう警察の見解もわかりますけれども、ただ、今の規制のあり方は、ドライバーからすると非常に納得しがたい。こんな道、何で四十キロ制限なんだ、そこを六十キロで走っていたら二十キロオーバーで捕まっちゃった、そういうことをよく嘆かれる方がいらっしゃるんですが、今の制限速度のつけ方というもの、これもすべて科学的に検証されてつけているということでよろしいですか。
○矢代政府参考人 お答えいたします。 速度規制につきましては、一般の、平場の道路が六十キロということにベースがなっているわけですが、これに基づきまして、また道路構造の方も、時速六十キロの設計速度を念頭に置きながら、カーブやあるいは側方余裕を考えていく、そういう相互の作用でずっと交通規制がなされてきている、こういう状況でございます。 それで、私どもも、速度規制につきましては、道路の状況と、それからもう一つは交通量にもよりますが、できるだけ斉一なスピードで走った方がよろしい、そういう点も加味しまして速度規制をやっておるわけでございます。 考え方といたしましての幾つかの要素、例えば交差点間隔でございますとか、車線数ですとか、あるいは、根っこになりますのは道路の設計速度でございますか、そういうものも、どういう要素を加味するかという点については私どももある程度きちんとした考え方を持っておりますが、そのときに、その場で具体的に、時速五十キロになるのか、あるいは六十キロになるかということになりますと、確かに現場の判断によりまして差が出てくるということでございます。
○津川委員 ドライバーの感覚がすべて正しいとは申しません。みんなここが六十キロで安全だと思っているから六十キロで走っているんだから、六十キロ規制が適正なんだということではないと思います。 例えば、走りやすい道で、幅が広くて、見通しもよくても、そのわきに幼稚園があったり保育園があったり、子供が飛び出してくるかもしれない、そういう環境があれば当然制限速度がかかってくるもので、それは、地域を知らないドライバーはなかなかわからないですから、しっかり規制をやっていく必要があると思うんです。 例えば、私は第二東名をつくっているゼネコンにいたのですが、今設計の話をされましたけれども、第二東名は設計百四十キロ線形なんですよ。百四十キロ線形でつくっているからここは百二十キロ制限になるだろうと言われているわけですよ。この二十キロは何だという話です。 要するに、ここで切らなきゃいけないけれども、ちょっと低目にしておいて、そこは多少オーバーしてもいいですよ、二十キロぐらいオーバーしたところでようやく取り締まりますよと。これだったら、六十キロと書いているものはみんな八十キロと読みかえちゃうんですよ。三十キロと書いているところも、下手をすれば五十キロと読みかえちゃうわけですよ。本当に三十キロで走らなきゃいけないところが、でも、これはもう少し超してもいいんだなというような感覚になってしまうのが、それは警察からすれば不本意かもしれませんが、ドライバーからすればよくある話でありまして、ここの規制のあり方を相当見直さなきゃいけないと思っています。 危険運転致死傷罪に戻りますが、犯罪類型を創設した段階では、単なる過失ではなくて、飲酒をして、しかもへべれけになって車を運転するというのは、単なる過失とはとても言えない非常に重いもので、そもそも危険運転を意図してというか、しようとしてやっているというような判断で重く罰するべきだというのが最初の思いだったと思います。 それぞれお伺いしたいんですが、実際飲酒で、どこからが危険運転致死傷罪でどこからが業務上過失致死なのか。 一つの例を申し上げますが、昨年、一昨年でしたか、九州の方であった事件で、飲酒運転の車にひかれて亡くなったという方があった。それが、まさに先ほどの話で、捕まるのが怖くてひき逃げをしてしまった、逃げてしまった、その後で自首をして出頭してきたけれども、そのときにはアルコール濃度がずっと下がっていた、だからそのときにへべれけだったのかどうかよくわからない、そういうことを被害者の遺族の方がおっしゃって、時間がたってからだと危険運転致死傷罪が飲酒の場合適用されにくくなっているんだというような主張をされていらっしゃいますが、これは事実でしょうか。 これは事実というのは、この案件についてじゃなくて、お酒を飲んで運転して事故っても、そのときすごく酔っぱらって運転していたんだというのが証明できなければ危険運転致死傷罪にはならないということでよろしいですか。
○矢代政府参考人 お答えいたします。 飲酒運転、これは危険運転致死傷罪に該当する場合も、それから、そうでなくて一般の飲酒運転の場合もあり得るわけでございますが、それで、その事故の直後にアルコールの鑑定ができない場合もあります。 そのような場合には、私ども、その方がどのお店でお酒をどの程度飲んだか、それから、お店を出てからそこに至るまでの経過時間がどのくらいであるかということを捜査いたしまして、それで厳密なアルコール量、数値までの確定まではいかないわけですけれども、相当量のお酒が残っておっただろうということを立証いたしまして、それによりまして飲酒運転の検挙をやるわけでございます。
○津川委員 その場で逮捕されても同じなんですが、飲酒をして運転をして、それで事故を起こして業務上過失致死になった場合と、危険運転致死傷罪が適用された場合の違いがよくわからないんですよ。 今おっしゃった話では、数値ではない、大分酔ったかどうかというような話ですよね。しかも、時間がたてば余計わからなくなるわけです。 だから、これは酒気帯びと飲酒で分けるというのは一つのやり方なのかもしれないんです。例えば、すごくお酒の弱い方が朝ちょこっと何か飲んで、夕方もう抜けているだろうと思って運転したけれどもちょっと残っていたとか、そういう話と、ついさっきまで飲んでいて、さあ、余り酔っていないやとかいって運転するのでは、これは全然違う話で、私は、線を引くとしたらやはりここなんだと思うんです。 今の話だと、そのラインがよくわからないんです。国民に危険運転致死傷罪ができましたよということを周知をしたはいいけれども、だれがこれになるのか、だれが業務上過失致死になるのかがわからないんです。 この違い、際について、もう少し具体的に説明いただきたいと思います。
○大林政府参考人 委員御指摘のとおり、確かに難しいケースがあるんじゃなかろうかというふうに思います。 今問題となっておりますお酒の問題で例を挙げますと、酒に酔って運転中に人を死亡させる事故を起こした場合というものを設定しますと、業務上過失致死罪と道路交通法違反、酒酔い運転が成立する場合と危険運転致死罪が成立する場合があろうかと思います。 それを構成要件上言いますと、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態である場合は業務上過失致死罪と道路交通法違反、それから、事故時においてアルコールまたは薬物の影響により正常な運転が困難になった場合というのが今の危険運転致死罪が成立する。要するに、事故時において正常な運転ができないおそれがある状態にとどまるか、それとも、正常な運転が困難な状態に至っているかという認定がポイントだ、抽象的にはそういうことになります。 ただ、これは、今のお話に出ているように、現実には個々の事案ごとに収集された証拠関係に照らして判断されるというものでございまして、なかなかわかりにくい面はございます。 ただ、ちょっと統計的に申しますと、検察庁への事件送致時において、危険運転致死傷罪の罪名であった件数は、平成十四年中が二百八件、平成十五年中が二百五十二件であるのに対して、この危険運転致死傷罪で公判請求した人員数は、先ほど申し上げましたけれども、三百十一名、三百三十二名と大幅に大きくなっています。 ですから、これは、多分送致時と処理時でずれがありますので統計的な数字にずれはあると思いますけれども、かなりが、恐らく捜査機関、警察と検察だと思いますけれども、努力した結果、危険運転致死傷罪に持ち込んだという事例も少なからずあるんではないか。 ただ、これは証拠上の問題ですので、具体的な問題は言えないんですけれども、先ほどの警察庁の御説明もありますけれども、例えば、一つの例としては、スリップ痕といいまして、事故直前には、ブレーキをかければ跡が残りますけれども、これが全然ないという形でぶつかったという場合は、これはもう異常な事態ですから、危険運転致死傷罪の成立が、困難な状態だったという認定ができる場合もありましょうし、またいろいろな、前後のその運転者を見ている供述とか、さまざまな物証によってこのような認定に至っているのではないか、こういうふうに思われます。
○津川委員 今の御説明でやはりはっきりしない部分がどうしても残るんですが、これはスタートしたばかりのものですから、これから確定をしていくという部分は当然残るんだと思いますし、現場現場で、現状現状は全然違うと思いますから、適用できるかできないかをしっかり、はっきりラインを引くということはなかなか難しい部分はあると思います。 ただ、ドライバー側の立場からすれば、普通の当然の注意を払いながら運転していたけれども、その注意が、若干注意力が下がってしまったとか、ついつい何か別のことをやってしまったとか、まあ電話もそうですけれども、そういったものがあったというものと、最初から、お酒を飲んで酔っぱらっているのがわかっているのに、自覚をしながら運転するというのは、ここはやはりはっきり違うところだと思うんです。 ですから、そこはそもそもの立法趣旨ではっきりととっていただきたいということと、休憩であれば休憩をしていただきたいということと、もう一つは、高速運転ですね、速度の出し過ぎ。これも、何キロまでなのかがよくわからないんです。ちょっとでもオーバーしているというのなら、多分、ドライバー、その辺を運転している人はみんなそうなっちゃうんですけれども、これはどのくらいオーバーしたら危険運転致死傷罪が適用されるんでしょうか。
○大林政府参考人 なかなかこれもまた一律に言いがたいものがあると思います。 例えば、ドライバーによっては高速度でも非常に能力のある人もいると思います。それから、全然運転したことのない人もいると思います。それは低速度でもそういう危険が多い。構成要件上は制御できないというようなことを前提に挙げていますので、やはり個人差が多少あろうかなというふうに思います。
○津川委員 制御できないというのは、これは高速運転にもかかってくるんですか。この間お話を伺ったのは、制御する能力がないというのは免許証を持っていないという話だというふうに伺いましたけれども、今の話を聞くと、非常に運転のお上手な方は、百キロ以上を出しても私は安全ですという話になってしまいますけれども、そういう解釈でいいんですか。
○大林政府参考人 「進行を制御することが困難な高速度で」走行とは、速度が速過ぎるために、道路の状況に応じて進行することが困難な状態で自車を走行させることを意味しております。 他方、技能を有しない場合というのは、構成要件が別にありますけれども、今のお尋ねがどの程度の速度かという問題については、何キロ以上とかそういう問題ではなくて、今のようないろいろな事情を総合的に判断してということで、私の方は例示として挙げたものでありますので、御理解いただきたいと思います。
○津川委員 もう一つ、では、ちょっと例示の部分を伺います。 普通免許で四トントラックまで運転できますけれども、実際は、やはり普通の乗用車、軽乗用車と四トントラックは相当制御が違いますよね。例えば、今までずっと軽自動車しか運転したことのなかった人が四トントラックを運転して横転してしまった、それで人を傷つけてしまったという場合は、制御する能力がなかった、危険運転だという判断はできますか。
○大林政府参考人 それは、先ほど言いましたように、個別の証拠関係で決まることだと思いますけれども、今のお話を伺った感じでは、それは進行を制御する技能を有しないに当たるんじゃないかというふうに思われます。(津川委員「なる、ならない」と呼ぶ)先ほどの高速度という問題とどちらに当たるかという意味でございましょうか、今のおっしゃっているのは。ちょっと、もし質問を聞き間違えたら申しわけありません。
○津川委員 高速度であれ何であれなんですけれども、ドライバーが、四トントラックを運転する技能が欠けていた人が、スピード出し過ぎでも何でもいいです、それで事故を起こしてけがをさせてしまった、人の命を奪ってしまったというときに、つまり、軽自動車だったら自分は運転できたけれども、四トンは初めてだった、自分はできないなと思ったけれども、例えばやらなきゃいけなくて、あるいはやらされて、やってしまった、そういう場合は危険運転になるんですかという話です。
○大林政府参考人 それはなかなか答えづらいのは、やはり個別ケースで、今のおっしゃられる、技能、自信がないという程度の問題をどう評価するかという問題だろうと思いますので、私の方で、今の段階でも、それは当たるとか当たらないというのは、ちょっと申し上げられないような気がいたします。
○津川委員 個別によって事情が違うのは当然なんですが、交通事故の状況を見ていますと、やはりこの人はこの車を運転する能力がなかったんじゃないのかな、なかったのに、過信したか何したか知らないけれども、非常に乱暴な運転をしたんじゃないのかなと。 トラックみたいなものだと、例えば荷物の積み方で制御が変わってきたり、あるいは、荷物をたくさん積んでいるときには制動距離が長くなったりということがありますね。そういった知識もなしにスピードを出し過ぎたりすると、これはやはり危険運転になるんじゃないのかなというようなケースがあります。それは個別によって違うと思います。 大臣に伺いますが、何でこのことを聞いたかというと、交通事故の被害者の方あるいは遺族の方々というのは、実際事故が起こった状況をよく知ることができない現状にあります。 その遺族としては、まず気持ちとしては、当然、その罪を犯してしまった方に、罪を悔いてもらいたいというのはあるでしょうし、謝罪してもらいたいというのはあるでしょうけれども、自分の子供なり肉親がどういう状況で亡くなったのか、それをまず知りたい。知った上で、その加害者側が、例えば飲酒運転だった、あるいは、能力もないのに大きな車を運転したという状況になったときには、やはり業務上過失致死傷だけでは納得いかないというようなことがあるわけです。 そういうときに多くの方が求めているのは、捜査情報を早い段階で見せてもらいたい。その捜査情報が、まだ質問中ですから、答弁はまだですよ。いいですね。その捜査情報が正しいのかどうなのか。それは裁判になった段階で一部、実況見分調書ですか、そういったものは見られるそうですけれども、それ以外の被害者の証言とか目撃者の証言とか、そういったものは知ることができない。 不起訴になった場合には、目撃者がいたかどうかすら教えてもらえない。それで、不起訴になってしまいましたとか、ああ、この人は業務上過失致死傷罪ですよと言われても納得できないわけです。細かい現場がどうだったのかということによって、今言ったように、状況が全然変わるわけです。業務上過失致死になるのか、危険運転致死傷罪になるのか。その現場の状況を、でも遺族の方はほとんど知るよしがない。 そこで、やはりこういう状況を遺族の方々に早い段階で見ていただく必要が、これは被害者の方々の支援という意味でも必要だと思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○南野国務大臣 個別の案件でないということを確認しながら、一般論でございますけれども、そういう場合、事故の現場調書みたいなことはされておりますので、そのことについては御質問されていけばいいのではないでしょうか。
○津川委員 今大臣がおっしゃった現場調書というのは何のことですか。
○南野国務大臣 実況見分調書でございます。
○津川委員 だから、実況見分調書は見ることができるんですけれども、それ以外の、加害者、被害者、あるいは加害者とか目撃者の方々の供述調書は見ることができないんです。あるいは、これが不起訴になった場合には、目撃者がいたかどうかすら被害者の方々は知ることができないわけです。 ですから、つまり、片方が亡くなった場合ですよ、被害者の方が亡くなった場合は、どうしても加害者の方側の供述だけが残ってしまうわけですから、実際に、現場に客観的にどういう証拠が残っていたのかとか、目撃者がどういう証言をしていたのかというのは、被害者の方々は知りたいわけですよ。だけれども、なかなか知ることができない。 それから、今大臣、実況見分調書とおっしゃいましたけれども、大臣、実況見分調書をごらんになったことはありますか。
○南野国務大臣 はい。私も運転いたしますから、見たことはございます。事故とかなんとかの。
○津川委員 どういう調書をごらんになりましたか。調書を見た感想をお伺いします。
○南野国務大臣 それには、事故を、どういうところでどういうふうな事故を起こしたとか、図面がついていたり、地図があったりするわけですよね。
○津川委員 私も運転しますけれども、私は余り見ないんですが。これは大臣が事故を起こされて、事件の調書をごらんになったんですか。
○南野国務大臣 私の事故ではございません、私はまだ事故を起こしていませんから。
○津川委員 では、済みません、どなたの調書をごらんになったんですか。
○南野国務大臣 それは、ドライバーライセンスを更新するときなど、よく見せてもらいますよね。
○津川委員 いいですか、今また何か。
○南野国務大臣 供述調書を見ているわけではないんです。今申しましたように、地図とか、衝突を起こすような場面、そういうものを見ておりますが、それがどのように調書にとられているかということについては、その調書の書類を見せてもらったわけではないわけです。
○津川委員 ですから、大臣は実況見分調書をごらんになっていないんだと思うんですよ、多分。実況見分調書を見ればわかるんですが、わかるんですがというか、わからないんですよ、何が起こっているか。 私はこれを実は見せていただいたんですけれども、それだけを見ると、どこで何が起こったかわかりません。車がここから通ってこう行ったんだなとか、ここに人がいたんだなぐらいはわかるんですが。 大臣、被害者の立場になって見ていただきたいんですが、自分の肉親が車にひかれて亡くなった、余り想像したくないことですけれども、もしそういう状況があったときに、御家族としてどういうことを思うか。多分、その瞬間自分の子供なり肉親は何を思ったろうか、どこでどういう風景を見ながら死んでいったんだろうか、自分のことを思ったろうかとか、そういったことに思いをはせるわけですよ。 ただ、その実況見分調書を見ると、例えば何人かが亡くなった事件だとすると、自分の子供がどれかもわからない。こことこことここに人が倒れましたという話で、どこを、例えば歩道を歩いていたのか、渡ろうとしていたのか、車が歩道に突っ込んできたのか、車は普通に走っていたのか、スピードを出し過ぎていたのかどうかも、全然わからないんですよ。これだけを見て、はい、被害者の方、見たかったら見てください、見せられますよという答弁はおかしいと思います。 私、何でそっちを見て質問しなきゃいけないのかなと今自分で思いましたけれども、大臣に伺います。 被害者の立場に立っていただきたいんですが、被害者の方々のやはり人権というものをしっかり確立して、またそれを国としても守っていかなきゃいけない、保障していかなきゃいけないということだと思うんです。 交通事故に関してだけで申し上げますけれども、最低限、現場がどういう状況であったのか、実況見分調書というぺらっとした紙を一枚だけ見せてもらうんじゃなくて、どういう状況で肉親が死んだのか、加害者はどういうふうに言っているのか、あるいは目撃者がどういう証言をされているのか、どういう証拠をとったのか、そういったことをやはり早い段階で、少なくとも遺族の方々には閲覧をさせていただきたい。 それを公開すると何かプライバシーにどうのこうのということをおっしゃいますけれども、公開するという話じゃなくて、当事者なわけですから、これは本当は、今までは法務省としては被害者の遺族は当事者ではないという認識のようですが、やはりこれは当事者だと思うんですね。この当事者の方にはこういったものを閲覧していただけるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○大林政府参考人 私どもの刑事局が扱っている事項でございますので、ちょっと御説明させていただきます。 委員がおっしゃられるように、被害者の方々が今の実態を知りたいという御希望を強く有しておられることは、私どもも承知しております。 御承知のとおり、刑事訴訟法四十七条というものがありまして、公判の開廷前はその訴訟関係書類を公にしてはならないという規定があります。そうすると、今おっしゃられている起訴にならないような、特に、不起訴になった場合にはもう公にならないような形になってしまいますので、その場合について特に問題が生じるかなと。 捜査段階では、まだ捜査している、だれがこう言った、Aさんがこう言った、それからBさんがこう言ったと、事実関係がまだ固まっていない段階におきましては、捜査においていろいろそれが影響を及ぼすような場合もあろうかと思います。 ただ、ある程度捜査が進展して不起訴処分になる。ただ、不起訴処分になっても、これは例えば検察審査会でまたひっくり返って起訴する場合もありますから、捜査が全部終了したと言える段階ではありませんけれども、一応捜査の支障ある状態はかなり希薄化しているんじゃなかろうか、そういう場合につきましては、今委員がおっしゃられるように、被害者の御要望もありますので、もともと損害賠償等の民事訴訟については実況見分調書についてはお見せするという形になっています。 それから、今問題となっている供述調書についても、やはり民事訴訟上、例えば交通の民事訴訟において、民事裁判所の方からこういうものを出してくださいと要請があって、それで検察庁において出せるものは出せる。 従来、実況見分調書については、写真もついています、図面もついていますし、その他の復元が不可能なものが多いものですから、それはできるだけ出しましょうと。 ただ、今おっしゃられるように、供述調書によらないとそれはわからないという場合もあろうかと思います。それについては、私どもの方も検察庁の方に対して、できる限り、そういう代替性のない供述調書というものもあります。例えば、後でお亡くなりになっちゃったとか、なかなかそういう問題、あるいは民事裁判において全く違うことを言っちゃっている、これは納得できないというようなケースを限定、要するに、それがないとそういう証明がなかなかしにくいというものについてはできる限り柔軟に対応したいということで、私ども、検察庁の方にも申し上げていますし、これから、現場の対応の問題もあるんでしょうけれども、できるだけ柔軟に、説明できることは説明していきたい。また、供述調書について、どうしても今のような不可欠のような事情があれば、その内容を伝えるような努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
○津川委員 済みません、もう一点、今のをもう一回確認したいんですけれども、全く違うことがあったら出すという話ですが、全く違うというのはだれが判断するんですか。被害者の方はもともと見たことがないわけです。もともとのを見ていないわけですよ、最初の供述を。だから、民事裁判を起こしたときに、違うか違わないかを判断できないんですが、これは違うときには検察が判断するんですか。
○大林政府参考人 それは保管責任者である検察官が、今のように、当然申し入れ、弁護士さんなり裁判所なり、いろいろな申し入れがあると思います。それで、こういう状況ですということのある場合に、そういう状況の必要性というものは、そこの時点で検察官において判断するということになろうかと思います。
○津川委員 大臣、そもそも、目撃者にしろ加害者にしろ、一回証言をしているわけですよ、警察に対して。私はこういうことをやりました、こういうものを見ましたと。それを被害者の方が知ることができなくて、知りたかったら自分で民事訴訟を起こせというのはおかしいと思いませんか。もう一回やらなきゃいけない。その段階でやはり知る権利があってもいいと思うんですよ。そうは思いませんか、大臣。
○南野国務大臣 そのお答えをする前に、実況見分調書というのはこういうもので、中身をどう書くかということはもう理解しておるわけでございます。 今のお答えでございますけれども、いろいろな案件につきましては、プライバシーの問題もあり、どういうことについてはすべてが開示されるのかどうかというのは、その事案事案によるものだろうと思います。
○大林政府参考人 今委員が御指摘のことは私も理解できるんですが、これももちろん御案内のとおりだと思いますけれども、交通事故というのはいろいろな、軽いものから重いものまであります。それから、加害者、被害者が、いろいろな立場の方がおられます。ですから、事案によっては加害者と被害者の間でトラブルになるという例もございます。 委員が御指摘になっているのは、非常に被害者が同情すべきものであって、とにかく、加害者がうそをついているとかいうことで納得できないというような事例で、それはそういうふうなお気持ちを持つのは当然だと思いますけれども、交通事故の場合にいろいろ、こういう言い方をしていいのか、思惑と言ってはあれですけれども、それはいろいろな形態があって、例えば交通事故に、当事者になって、被害者、加害者になった人でない、例えば第三者、目撃者とかいう方々も、場合によっては、被害者とされる人、あるいは加害者の人から、あなた、うそついたろう、目撃状況についてうそついたろうという形で責められるものもございまして、そういう面におきまして、プライバシーの問題とか種々の問題を考えなきゃならない。 ですから、検察庁において、捜査を担当して知り得たものについて、被害者の立場を考えて、できるだけ被害回復というかそれに努力しなきゃならないケースももちろんあると思いますし、それなりの努力をしている事例もあると思いますが、今度は民事に関係して、両当事者は非常に沸騰した状態になっているのに、なかなか検察庁としては介入できない。これを見せたことによってそれがまさにまた沸騰するというような事例もあるものですから、そういう事例もあるということで御理解いただきたいなというふうに思います。
○津川委員 ちょっと私の思いが伝わらなかったようなんですが、民事になってからどういうものを出すかとか、あいつがうそをついているというときにどういうものを出すかという話では決してありませんし、プライバシーには当然配慮していただきたいと思いますが、そうではなくて、被害者の方々あるいは被害者の遺族の方々の当然の心理として、実際どういう事故があったのか、自分の子供は、自分の肉親はどういうところでどんな形で亡くなったのかということは、当然知りたいわけであって、それに極力配慮をしていただきたいという話であります。 プライバシーも守っていただきたいですし、それがさらに問題になるような公開の仕方は当然していただきたくないと思います。全然話が進みませんでしたが、よろしくお願いします。 人身売買の話等、その他いろいろやりたかったんですが、済みません、時間がなくなりました。いろいろ来ていただきましてありがとうございます。またの機会にやらせていただきますので、よろしくお願いします。 ありがとうございました。
○塩崎委員長 次に、藤田一枝君。
○藤田(一)委員 民主党の藤田一枝でございます。法務委員会では初めて質問をさせていただきます。朝からの御審議でお疲れかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 本日は、重国籍問題を中心にお尋ねをしたいと思いますけれども、この問題については、ここ何年間か重国籍容認を求める請願というものが続いておりますし、また、さきの通常国会においても松野信夫議員が詳細にわたってお尋ねをしたところでもございます。しかし、大臣もおかわりになりましたし、民主党においてもプロジェクトチームの中で検討を進めているテーマでございますので、重複をできるだけ避けながら質問をさせていただきたいと思います。 まず、この間提出された重国籍に関する請願の願意、趣旨というのは、大方、国籍選択制度の廃止、国籍留保届の廃止、成人重国籍の容認、日本国籍への復活を望む者への復権の権利、在日外国人への重国籍の容認、在外日本人への重国籍の容認ということになろうかと思います。どの要請も、国際化の進行に伴って、あるいは過去の歴史的経緯の中で生じる避けがたい、そしてまた当事者にとっては大変切実な問題であろうかと思います。 この問題を大臣はどのように受けとめていらっしゃるのか、まずそこからお聞かせをいただきたいと思います。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。 重国籍、これに先生大変御関心をお持ちでございますので、いろいろとまたここの席でも勉強していければというふうに思っております。 重国籍の容認ということを求める請願や意見が寄せられていることは承知いたしております。国籍法につきましては、これまでも、我が国を取り巻く国際情勢や国内情勢の変化等を踏まえまして、所要の法改正を行うことを含めて適切に対処してきたところではありますけれども、今後とも、国際的な動向などを注視しながら、国民的議論が深まる必要があると考えております。
○藤田(一)委員 最初から割と型どおりのお答えをいただいてしまいまして、ちょっと残念だなというふうに思います。 実は、本年の三月八日の参議院の決算委員会で、我が党の円より子議員が、グローバルな社会の中で、国籍選択でアイデンティティーに苦しむ人たちがいることは早急に改めるべきではないかということで小泉総理にお尋ねをしたわけでございます。そのとき総理は、大変率直に「率直に言って円さんみたいな感想を持った」というふうに御発言をなさっていらっしゃるんです。 もちろんその後で、そこでどうなのかと聞いたらば、なかなか難しいようで、よく検討しなければいけないんだ、こういうふうにもお答えになっていらっしゃるんですけれども、私はやはり、自分の親の血、あるいは受け継いだ文化、そうしたものを、どちらか一方を選択しなければならない、そういう問題に直面をされた方々の悩みとか苦しみとかあるいは心情といったものを聞けば、総理のようなお気持ちを持たれるのは当然ではないかなというふうに思うんですが、その点は大臣、いかがでございますか。
○南野国務大臣 今、国際化が進んでおりますので、そのような多様な方がいっぱいおられるのではないだろうか、自分の重国籍について、御本人も真剣に考えておられるでしょうし、また、周りの者も理解を持ってあげなければいけない課題もあるのではないかな、そのように思っております。
○藤田(一)委員 この間のこの重国籍の問題をめぐる議論の中で、当時の野沢法務大臣は、世界的な傾向として二重国籍を認める流れが大きくなっている、こういう認識を示されているわけであります。日本だけではなくて、どこの国でも問題が顕在化をしてきている。そして、その多くの国々でそれに対する答え、つまり重国籍を認めるという答えを出してきているということではないかというふうに私は思いますけれども、国際的に容認の傾向にある、この点に関する大臣の御認識というのはいかがでございますか。
○南野国務大臣 私もその認識は持っている一人でございます。 諸外国の法制というものを見てみますと、ヨーロッパあるいはアメリカにおきましては、本当に重国籍を比較的容易に認めている方向にあるというふうに認識しておりますし、また、数でいえば少ないのかもわかりませんが、一方、中国、韓国におきましては、外国への帰化、それにより当然その国の国籍を喪失するというふうになっている国もあります。 今後とも、こうした国際的な動向を注視してまいりたいというふうに考えておりますことを申し上げたいと思います。
○藤田(一)委員 国際的な動向を注視して国民的議論を深めるというこの御答弁は、この間、過去何回かずっと繰り返されてきているわけであります。 いつになったらここから一歩前へ出るのだろうかという気持ちを私は持っているわけでございまして、今大臣もお示しくださいましたけれども、ヨーロッパの国々は、九七年に採択されたヨーロッパ国籍条約というようなものを引き合いに出すまでもなく、容認をしている国がふえている。二十一世紀に入ってからでも、オーストラリアであるとか、あるいはアジアにおいてもフィリピンだとかインドだとか、そういう傾向が顕著になってきているわけですね。そうなってきたこういう傾向については大臣も認めていらっしゃるわけであって、そうなってくると、国際的な動向を注視しという部分はかなりもう大きくなっているのではないかというふうに私は思うんです。 いつになったらば、では本当に国民的議論を深めるために一歩前へ出ていくのかということが今問われているときではないかと思いますけれども、そういった意味で、本気で検討するべき時期に来ていると私は思いますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
○房村政府参考人 国際的動向につきましては、大臣からも御答弁したとおりでございます。 私どもとしても、重国籍のあり方については関心を持っているわけでございますが、重国籍をめぐる問題というのは、国のあり方とも関連する重要な問題であり、さまざまな議論のあり得るところだろうと思っております。そういうことから、私どもも国籍を担当する者としてそれなりの検討は加えているわけでございますが、やはり国際的な動向等を注視するとともに、その国民的議論をさらに深める必要があるというぐあいに考えているところでございます。
○藤田(一)委員 国民的議論を深めるというのは、どういうことなのでしょうかね。一つは請願もそういう意味で出てきているわけでございますし、また、私どももこうやって国会の中で質問をさせていただいているわけでございます。それから、先日、法務省の方からいただきました国籍に関する資料を拝見いたしておりましたらば、やはり積極的に、この間、認めてほしいという意見とかメールとかというものが相当数寄せられているんだ、そういう記載もあるわけでございます。 つまり、国民的議論というのは、かなり関心が深まってきている、そういう問題についていろいろな声が上がってきているというところまで今もう来ているんだろうと思うんです。問われているのは、やはり何らかの検討のための機会をつくっていくということなんではないかというふうに思うんですけれども、そこに踏み出せないということが私は大変もどかしい。 この間、本当にこの何年間か同じような議論が、質疑が続いているんですね。お答えがそこでとまってしまっているので、私は、きょうはどうしてもそこから一歩出る、つまり、これを認めますという答えをきょういただくというふうに思っているわけじゃありません。しかし、本当に検討をしていこうという、一歩踏み出していくためにいろいろな検討の機会をつくっていく、そういうことが省庁の皆さんお得意でございまして、いろいろな機関をおつくりになるじゃございませんか。大臣の私的諮問機関でもいいわけでございます。いろいろなことが一つの問題を動かしていくときにはつくられていっているわけでございますから、この問題についてももうそろそろそういうことをやるべきではないかというふうに思うんです。 これは大臣、ぜひお答えいただきたいと思います。 〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕
○南野国務大臣 今のところは当面予定はないわけでございますが、いろいろと検討していかなければいけないなと思っております。
○藤田(一)委員 今のところ予定がないというのではお答えになっていないというふうに私は思うのでございます。 各国の国籍法の違いから、重国籍というのは必然的に生じてきてしまうんですね。それを日本だけが独自の道を歩もうということは、これはもう遅かれ早かれできなくなるんではないか。 そういった意味で、やはり主体性を発揮して、ここは前へ進めていく、そういう視点に立って、結論を先にありきということで進める必要はないわけで、本当に国民的議論を深めるとおっしゃるなら、国際的動向を注視してとおっしゃるならば、そういうことをしっかりデータも集め、関係の皆さんからの意見を聴取して、そして議論を積み重ねていくということぐらいはもう日本政府もやらなければおかしいんではないかというふうに私は思うんです。 繰り返しですけれども、ぜひ大臣、大臣のときに、だれかが踏み出さなきゃいけないんです。この間ずっと、歴代の大臣の皆さん、関心は示されているんだけれども、そこから前に行っていないんですよ。これをまた繰り返すのか。次の大臣のときに先送りしてしまうのか。それは私はやはり許されないことだと思っています。ぜひ、ぜひ大臣のときに、ここで前へ進めるというそのお気持ち、どうやってするかということはいろいろ御検討いただいて結構ですけれども、ぜひ、一歩進めていく、その決意というか大臣のお気持ちを示していただきたいと思います。
○南野国務大臣 私の気持ちとしては十分に関心がありますので、これから考えていきたいと思っております。私個人としてはですね。
○藤田(一)委員 ありがとうございます。 個人というお言葉がつきましたけれども、ぜひ在任期間中にしっかりと御関心を持っていただいて動かしていただく、そういう積み重ねなんですから、そのことを強くお願いしておきたいというふうに思います。 このことは繰り返し繰り返し、またこの後の質問にも関連しながらお願いあるいは御質問したいというふうに思っていますけれども、なぜ前へ進まないのかということでございます。 これも、重国籍がもたらす弊害ということについて、この間いろいろと語られてまいりました。私は、唯一絶対のものはもうなくなってきているというふうに思うんですね。先般の松野議員と房村局長のやりとりからもそういったことはうかがえるというふうに思っています。 国家の側から見た弊害、兵役の義務であるとか、忠誠心だとか、外交保護権というものが挙げられていますけれども、兵役についても、既に戦争を放棄した日本ではちょっと考えられないことでございますし、欧州でも、一つの国で兵役をクリアすればもう一つの国では免除される、こういう取り組みが実行されているというふうにも聞いております。外交保護権の問題も、AB両国内で問題が生じた場合は、いずれの国も外交保護権は主張できないというのが一般的ルールになっているということではないかというふうに思うんです。 いずれにしても、国家の側から見た弊害というのは国際的な協定やその他の協力の中で解決をしていくということが本筋であろうかというふうに思います。さらに、国籍というものはどういうものなのかということを考えれば、これはやはり国家の構成員であるという枠組みの問題であって、国籍イコール忠誠心というものでもないというふうに思うんですね。さらに、局長は、重国籍で何らかの問題が生じた事例は把握していないと前回のときにおっしゃっていらっしゃるわけであります。 こういうことを一つ一つ見てまいりますと、要するに、二重国籍を排除しなければいけない立法政策上の差し迫った理由があるとは到底思えないんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○房村政府参考人 重国籍についてどういう問題があるかということについては、ただいま御紹介されたような兵役であるとか国に対する忠誠義務、外交保護権、こういうようなものが指摘をされているところでございます。ただ、やはり指摘をされましたように、欧米先進諸国において重国籍を容認する方向に動いているということは、必ずしもこれらの問題が重国籍を絶対認められないということに直結するものではないだろうとは思っています。 ただ、しかし、ただいまの御説明の中にも、やはり兵役あるいは外交保護権などについて、重国籍を認める場合には当然それなりの対応策がとられているということもあります。したがいまして、やはり重国籍を認める場合には種々の問題が生ずるということも事実でございます。 したがいまして、重国籍の問題を検討する場合には、先ほども申し上げましたが、国のあり方にも関係することでもありますし、またそういった種々の問題もありますので、そういった点を慎重に検討していく必要はあるだろうと思っております。
○藤田(一)委員 いろいろな問題があるということは当然理解できるわけですが、それをよその国はみんな一生懸命努力をして、できるだけ問題が起きないように整理をしてきているということであろうと思うんです。そういうことで認めてきているわけであります。 そこで、今の局長の御答弁なんですけれども、そういうことにも配慮をしながら検討しなければいけないであろうというお話でございまして、また検討の話に戻るんですけれども、そういうふうにいつも御答弁では出てくるのですが、さっきから、では実際に本当にこの問題について検討していく場がつくられているのか、そういう議論が政府の中で進んでいるのかというと、そうではないということなんでございますね。ここがやはり問題なんですね。 ですから、質問をさせていただいて、御答弁はそんなふうにいろいろ出てくるのですけれども、それはそれでやりっ放しの関係で終わってしまうんですよ。これはやはりつらいですね。質問する側にとってもつらいですし、この問題は別にどうでもいい問題ではない、国会で取り上げられる問題というのは、どの問題も一つ一ついろいろな背景があって、いろいろな思いがあって、重要な問題が取り上げられてきているわけです。それがやはり言いっ放しで終わってしまうということ自体が私は問題だと思うんですよ。 だから、やはりこれを機会に何らかの形でもう政府は踏み出さなきゃいけないんだということ、これはしっかり覚えておいてください。後でまた繰り返しますから、覚えておいてください。 その上で伺いますけれども、いろいろあって今日本は、しかし国籍唯一の原則ということを盾にとって認めてきていないということがあるわけです。しかし、この日本においても実際に、現実に重国籍になっている方々というのは存在をしている。これも前回の御答弁で、単純合計で四十万人というような推定の御答弁があったわけでございます。この四十万という数は、私は非常に大きいというふうに思いますね。四十万の固まりというのは大きい、そういう数字であろうと思っています。無視ができない数字になっています。 そういうことから考えますと、既に法律の規定とこの実態とに大きなギャップが生じてしまっているんではないか。このことをきちっと見ていくことが非常に必要であろうと思いますけれども、こういう点をどう認識されているのか。私はやはり大臣に伺いたいんですけれども、いかがでしょうかね。 〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
○房村政府参考人 御指摘のように、昭和六十年以降、平成十四年までの間に重国籍者となった方々の数は大体四十万人程度ではないか、こう思っております。 ただ、この方々は、ほとんどが昭和六十年以降に出生により重国籍を取得した方でございます。したがいまして、国籍法では、成年に達してから二年間の間に国籍の選択をしていただく、それまでの間は重国籍であるということを現行国籍法が当然の前提としておりますので、そういう意味では、ただいまの方々というのはある意味で法律の予想した方々であるということでございます。
○藤田(一)委員 それではお伺いいたしますけれども、今後いわゆる重国籍の方々がふえるという見通し、どういうふうにお考えでございましょうか。
○房村政府参考人 これだけ国際化が進んでいる時代でございますので、今後とも重国籍の方々の人数はふえていくのではないか、こう思っています。
○藤田(一)委員 人数はこれからもふえていくであろう、しかし、法律の方は頑として動かない、規定は動かないということになれば、このギャップというものが広がっていくというのはだれでもわかることじゃないでしょうか。それが今問われているんじゃないでしょうか。もう本当にもどかしい思いがするんです。こういうときに、このギャップが非常に大きくなって矛盾が広がってしまうようになる前に、やはりもうちょっと国際的な動向、ちゃんとその動きに合わせて見ていくということが必要なのではないかなというふうに思います。 いろいろな意味で重国籍になるケースというのが考えられるわけでありますけれども、もう少し逆説的に考えると、一国の国籍法で重国籍を完全に解消しようということ自体に無理があるのではないかなというふうに私は思うんです。今局長もうなずいてくださいましたけれども、私は本当にそうだと思うんですね。 これから増加していくということは、外国で出生した場合は十二条で国籍を留保すれば一定期間重国籍になるわけでありますし、十三条の国籍離脱というものも、日本国籍を放棄する場合では適用されますけれども、日本に帰化のために外国国籍を離脱するときは当然その国の法律が適用される。認めていない国もさっきの例の中に若干あったように、そういうケースもあるわけでございます。さらに選択制度というのも、法務大臣の催告というのは一度も行使をされていないということもこの間ずっと御答弁が続いておりました。これは日本国籍を喪失させることにつながるわけですから、当然慎重に扱われなければいけない問題なわけでございます。 こういうことを考えれば、先ほどの御答弁のように、国際結婚が増加すれば増加するほど、海外在住者が増加すればするほどふえていくということであろうと思うのです。それでもやはりここに見直しをしようとしない、着目をしようとしない何か理由があるのではないか、そう考えざるを得なくなるわけでございますけれども、この点、いかがでしょうか。
○房村政府参考人 私どもとしては、国籍のあり方について見直しをしないということを申し上げているわけではございませんで、先ほどから繰り返しになりますけれども、国籍のあり方というのは国のあり方とも関係する重要な事柄であるということと、国際的に重国籍を容認する国が相当ふえているということ、それから、国内的にもいろいろな要望が出ている、そういうようなことを踏まえて十分議論した上でそのあり方を決めていかないといけない問題ではないか、こういうことを申し上げているわけでございます。
○藤田(一)委員 そういたしますと、揚げ足をとる気はないのでございますけれども、この何年間か国会に請願が続いている。それから、衆議院でも参議院でもいろいろな場面でこの問題に対するお尋ねが続いている。そういうことを受けて、何か検討をされた、具体的に政府の中で協議をされていった、それで今の時点ではまだこれはこういうふうな問題があるからここまでであろうというような考え方を整理する、こういう作業をおやりになったことはあるのでしょうか。
○房村政府参考人 私どもとして、国籍のあり方を所管しておりますので、諸外国の動向あるいは国内でのいろいろな議論、請願とか要望とかも含めてですが、どういうものがあるかということを把握し、それについての検討はしておりますが、現在、法務省内において、直ちに現在の国籍法を変えるということまで進んでいるわけではございません。そういった情報収集あるいは諸外国の調査、そういったことは日常的に行っております。
○藤田(一)委員 どのぐらい、何年ぐらい前から検討、情報収集、その他いろいろなさっていたんですか。 要するに、この間いろいろあって、一つも、何にも動いていないからですね。情報収集されている、国際的な傾向は容認の方向だというと、そこに意見の違いはないわけでございます。質問者と御答弁いただく方との間にそういった意味での見解の相違はないのでございますね、この間。にもかかわらず動いていっていないんですよ。そこがやはり問題なんですね。 だから、私は、やはり本気で検討の機会をつくるべきじゃないかというふうにさっきから申し上げているんですけれども、堂々めぐりなんです。ですから、あえてそんなことをちょっと伺いたくなってしまうんですけれども、どのぐらい前から本当にこういうことについてやっていらっしゃるんですか。
○房村政府参考人 具体的にどのくらい前からと言われますと、ちょっといつからとはっきりは申し上げにくいわけですが、諸外国の動向等についてはその都度こちらとして調査をしたり、あるいは、そういう情報が来ればそれを集めておく。また、請願あるいは要望等があれば、それについて、どういう内容でどういうことを求めておられるのか、それについてどんな問題があるか、そういう検討作業を内部的には行っているということでございます。
○富田大臣政務官 私の方からちょっとつけ加えさせていただきますが、私の前任の中野政務官の方で、大臣政務官として法務省の方で重国籍を考える方たちの方から陳情を受けて、実際に当局も同席しているというふうに伺っております。 また、これは政務官としての答弁にはならないかもしれませんが、実は、法務委員会でこの夏ヨーロッパに視察に行きまして、御党の佐々木秀典当時理事の御紹介で、パリで一時間半ほど、山内理事も御一緒でしたが、地元の皆さんの、またオーストリアからも来られたかな、ドイツからも見えたという皆さんの意見を聞きまして、最後、取りまとめとして、佐々木理事が委員会を代表して、重国籍問題については、今後、法務省民事局及び入管局などの関係機関の意見を聞き、各党十分協議をしていきたいというふうにお話をさせていただいて、また、その後日本に戻ってまいりましたらまた皆さんからメールとかお手紙とかいただきましたし、議員会館まで来てくださった方もいらっしゃいます。 先生は質問をしても全然進まないとおっしゃっていますけれども、各党でそういう形でいろいろ皆さんの問題意識を受けて、随分議員間の意識は変わってきているのではないか。法務当局の方に検討機関がないからといって問題が動かないというふうには私は個人的には思えませんので、この先生の御質問とか各党の協議で十分問題は動いていくのではないかなというふうに理解しております。
○藤田(一)委員 確かに今お話をいただいたようなことは私も伺っておりますし、承知をしております。だからこそ、機は熟してきているというふうに私は思うんです。そういうふうに返させていただきたいと思います。 各党もそういう問題意識を持ってきているわけです。国民的議論深まるということであれば、その代表として出てきているこの国会の構成員の皆さんがそういう問題意識を持ってきているわけでありまして、ましてやきちっと当事者の方々のお話も聞かれているわけですから、それは、次はこれを前へ進める番だというふうに申し上げておきたいというふうに思います。 きょうは、私はどうしてもやはりこれを前に進めていただきたいということで、いろいろな角度からいろいろなことをお尋ねしようと思っておりますので、そういった意味では、繰り返し繰り返し検討していただきたいということを申し上げるしかないんです。検討します、やりますとおっしゃってくだされば、もう時間が早くても終わりますというふうに言うところなんですけれども、そういうわけにはいかないですよね。これはやはり与えていただいている時間の中で精いっぱい頑張らなければいけない、私も請願の紹介議員にもなっているわけでございますから、その責任はしっかり果たしたい、こういうふうに思うわけでございます。 それで、ではちょっと細かい話を、実務的なことをお伺いしてみたいというふうに思うんですけれども、さっき、実態と乖離をしていると言いますと、実務当局者の方々というのはそれを強化しようというふうに逆に逆ばねを発揮されることが間々あるものですから、余り誤解をしていただくといけないんですけれども、国籍の選択について、お知らせという通知がございます。この通知というのはどういう基準で出されているのか、あるいは必ず全員に行くものなのか、そういった海外在住者の方についても同様な扱いになるんだろうか、ちょっとこうした実務的なことを教えていただきたいと思います。
○房村政府参考人 国籍選択の制度は、現行の国籍法の改正に伴いまして新たに設けられた制度でございますので、法務省として国籍選択制度の国民への周知の努力をしているところでございます。一般的な形でポスター、パンフレット等での周知も行っておりますが、周知の一環といたしまして、管轄の法務局において、重国籍であると把握ができた方々に対しまして、「国籍選択について」という国籍選択制度を説明した文書を送付しているということでございます。 この重国籍として把握できた方々でございますが、これは、戸籍記載手続を完了した後、管内の市区町村長から届け書が法務局に送られますので、その届け書によって把握できた方々を対象として送付しております。したがいまして、重国籍であってもそういった届け出がなされない場合もございますので、そういった方々については把握ができておりませんので、重国籍の方すべてに送付をしているということではございません。
○藤田(一)委員 今お答えをいただきましたように、必ずしも全部の方々に行っているわけではない、徹底できているものではないということになるわけでございます。そうしますと、実態を見ますと、ある意味では、ある種の不公平みたいなものが生じてしまっているんではないか。 先日、私も当事者の方々からお話を伺ったときに、こういうお知らせが来るとびっくりする、これは大変なことになったというふうに、大変な精神的なプレッシャーがやはりかかるということでございます。 ある方には大変プレッシャーがかかって、いろいろあるけれども、もうしようがないから国籍を選択せざるを得なくなる。例えば、日本国籍を離脱するとか、また、もとの母国の国籍を離脱するということを選択する、その後、そういう手続をとってしまって非常に後悔をしている、こういう方々もいらっしゃるわけでございます。しかし、そういう手続に全然遭遇しないというんでしょうか、そういうふうな場面に直面しないという方も中にはいらっしゃる。 それから、この問題は、実態的なところで法改正の前と後では全然扱いが違ってきているわけでございますね。そういうことも考えると、やはり現状、いろいろな問題を抱えているんだろうと思うんです。いろんな問題を抱えていて、それを何とか、問題をできるだけ少なくしようといって努力をされている向きもあるのかもしれません。 伺ってみますと、最近は海外なんかでも、大使館とか領事館とかに非常に書類が置いてあって、いろいろきちっと、何かのときには必ずそういうことを言われるとか、そういうことの指摘があるとかということも、前に比べたらば多くなってきているというようなお話も伺いましたので、そういう意味では、何とか努力をして、こういうふうに思っていらっしゃるのかもしれないんですけれども、そういう努力を重ねてもそれは完全なものにはならないわけですから、そういった意味では、制度の見直しということをやはり考えていくということが、こういう観点からも必要ではないかと思います。こういうところに着目をしてお考えになったことはおありでございましょうか。
○房村政府参考人 この「国籍選択について」という文書の通知について、必ずしも重国籍の方々すべてには行っていないという点につきましては、これは重国籍の方々を漏れなく厳格に把握しようと思いますと、重国籍者名簿といったようなものを国の責任でつくらざるを得なくなるわけでございますが、そのような管理の仕方をするということは、国が重国籍者を差別的に扱っているという誤解を招きかねないということから、この国籍選択制度を創設した当初から、そういった漏れなく把握するような仕組みはつくりませんということといたしているわけでございます。 文書の受けとめ方でございますが、これはさまざまな御意見を私どもも聞いています。先ほども申し上げましたように、法律で設けられている制度でもあり、国民の方々に知っていただく必要があるということで、周知の努力をしているところでございますが、その具体的な周知の方法のあり方につきましては、そういったさまざまな御意見を踏まえ今後も検討していきたい、こう思っております。
○藤田(一)委員 いろいろな角度から見ても、やはり見直しの時期に来ているというふうに思いますので、その今の点も含めて、ぜひしっかりと御検討いただきながら、全体が動くように考えていただきたいというふうに思います。 いわゆる重国籍がもたらしている現実とか問題点とかということについて今お尋ねをしてきたんですけれども、少し角度を変えまして、重国籍がもたらすメリットというのもいろいろあるというふうに、よくこれも言われているところでございます。当事者にとってのメリットというのは、これは当然いろいろあるわけでございますけれども、もうちょっと違う大局的な観点から、このメリットという問題について、大臣はお考えになったことはございますでしょうか。
○南野国務大臣 重国籍につきましては、今先生がおっしゃるように、メリットもあるとの御指摘がございます。 一方で、重国籍を容認すると、例えば、先生ももう既に御存じのように、外交保護権というものがあり、それが、二つの国があればそこでいろいろな問題点があり、それで衝突するという表現を我々は今使っているわけですが、外交保護権が衝突し、国際的摩擦が生じるおそれがある。各国においては別人として登録されることができるため、各国において別人と婚姻するなど、身分関係に混乱が生じるおそれがあるなどという問題が発生する可能性があるということも言われております。 重国籍問題については、さらに議論を深めながら、メリットの方向を探していってみたいというふうに思っております。
○藤田(一)委員 先ほど私も申し上げましたように、国家の側から見た弊害というのは、今大臣もおっしゃったようなことがあるということ。ただ、それも唯一絶対のものではないんだというふうに先ほど私も申し上げましたし、この間の御答弁でも、そういうこともうかがえるというふうに思っております。 だからこそ、弊害の部分もあるかもしれない、デメリットの部分もあるけれども、各国みんなそれを乗り越えてきているわけで、それよりもまさるメリットがあるんだということを、もっとポジティブな部分を積極的に見ていくということが必要なんだろうと思うんです。 そういう意味で、大臣がそういうところに着目をして何かお考えになったことがあるかなと思ってお尋ねをしたわけですけれども、今具体的な御答弁がなかったんですけれども、重国籍のメリットということ、これはいろいろな角度から見ることができると思うんです。私は、たまたまいろいろと人のお話を伺ったり資料を見ておりまして大変おもしろいなというふうに思ったことがございましたので、きょうはちょっと二つのことを指摘してみたいというふうに思っております。 どういうことかといいますと、一つは、かつて国連が、日本も九五年の生産年齢人口水準というものを今後五十年間維持していくためには毎年六十万人の移民が必要だという予測を出したことがありました。御記憶でございましょうか。大変ショッキングな予測でございますし、かなり大ざっぱな予測でございますから、そのこと自体が大きな問題になったということではないんですけれども、しかし、その後現実に、我が国の合計特殊出生率というのは一・二九まで落ち込んでしまった、そういう深刻な事態になったわけです。 こういう今日の状況を考えますと、人的資源の確保ということは非常に大事なのではないのか。少子化対策ということが大変今重要になっておりまして、私は厚生労働委員会にも所属しておりまして、きょう午前中はその少子化の問題で六十分質問をしてきたところでございますけれども、そういう少子化対策と相まって、非常に重要な課題になってくるんではないかと思うんです。 重国籍というのは、つまり、日本に活力をもたらす効果があるということでございます。先ほども申しましたように、グローバル化の中で、海外で生活をするあるいは仕事をする日本人というのは大変増加をしています。そして、その子供たちもいるわけでございます。二つの文化と二つの言語を理解する、場合によっては三つかもしれませんけれども、そういう多言語を理解する優秀な人材というのがたくさんいるんではないか。 よくアメリカ企業なんかが実施をいたします科学コンテストのファイナリストに二重文化経験者が多いということが言われているわけでございますけれども、国籍唯一の原則によって日本との関係というものを遠いものにしてしまうということは、決して得策ではないんじゃないか。二重国籍を認めれば、人材のリクルートということも容易になりますし、ある意味では、投資意欲だとか起業、そういった意欲も高める効果があるんではないか、こんなふうに思ったわけでございますけれども、こういう点はどうお感じでございましょうか。
○房村政府参考人 重国籍ということは、二国の文化なりなんなりを身につけた方ということになりますでしょうから、そういう方が存在することについては、御指摘のようなメリットも当然考えられるだろうとは思います。
○藤田(一)委員 現実に、国籍選択によって、海外で活躍をされている日本の方が日本国籍を喪失する、しかし、日本で仕事をするあるいは招聘される、こういうこともあるわけでございます。 現実にそういう場面に直面されている方から伺ったんですけれども、日本国籍を喪失しているがゆえに、日本国内での活動がやはり大変不便になってしまっている。日本人でありながら、永住資格を取らなければいけなかったりとか、出入国に当たっていろいろな手続をとらなければいけない。もちろん、ある程度の便宜は図っているんだというふうなお答えが、いろいろと関係機関からは言われるんだそうでございますけれども、実際にやはり大変不便になってしまっているという事態になっているということがあるんですね。 これは一人、二人の話じゃなくて、そして今、国境をまたにかけてというか、まさにボーダーレスな中で活躍している方々はたくさんいらっしゃるわけですから、そういう方々が重国籍の方々には多いわけですから、やはりこういう実態もきちっと見ておく必要があるんだろうというふうに私は思うんです。 そういうことからいっても、国籍唯一の原則によってそういう部分を狭めてしまっている、みずからがデメリットを抱え込んでしまうことになっているのではないかというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
○房村政府参考人 重国籍で日本国籍を持っておられた方が日本国籍を喪失して外国籍一本になる、その場合、日本国内での活動にいろいろな面で不便が生ずるというのは、御指摘のとおりだろうと思います。 そういったことも含めまして、重国籍を認めるのかどうかということについては、そういった国籍選択をした結果どういう影響があるかというようなことも含めて検討しなければならない課題だろうとは思っております。
○藤田(一)委員 局長のお立場からすると、その枠を超えるのはなかなか難しいのかなというふうに思うんですけれども、今、余りそういう内向きな発想というのはやはりだめだというふうに思うんですよ。 FTA関連の交渉というものが今いろいろ進行しているわけですね。物だけではなくて人の移動ということが問題になってきている。そうしますと、当然、さまざまな問題がそこでは惹起する可能性があるわけです。働きに来られた方が日本人と結婚するかもしれない。そうなれば、当然お子さんもできるでしょう。あるいは、帰化しようと思う方がいらっしゃるかもしれない。そういう可能性がいろいろこれから出てくるわけです。その覚悟が今問われているのではないか。 そのときに、私は、やはり国際スタンダードということは大変大切なことなんだというふうに思うんですね。それがやはり信頼を得るためにも必要なことだというふうに思うんです。この点は、ぜひ大臣、お答えいただきたいと思います。どうお考えでしょうか。
○南野国務大臣 委員おっしゃるように、メリット、そういうものはあるものというふうに思いますが、先ほど申し上げましたとおり、デメリットもこの中に含まれている。いろいろ議論されていかなければいけないし、私も今関心を持っているということは先ほど申し上げました。その関心をもとに、メリット、デメリットをもう少し勉強するなりしながら、様子を検討してみたい。また、周りの方々とともに、話題に提供しながら、その意見もいろいろと聞いてみたいなというふうに思っております。
○藤田(一)委員 御関心を持っていただくのは当然、ぜひお願いをしたいと思います。しかし、やはり大臣は大臣でございますので、どうぞそういう意味でこの問題について積極的に、デメリットのところにとらわれていたのでは前へ進まない。デメリットは、各国みんなそういうことを考えていた。国籍唯一の原則というのは昔からヨーロッパの国だってあったんですよ。みんなそうだったんです。でも、国際情勢の変化、社会情勢の変化の中でそれを変えてきているということでありますから、そこに日本がいつまでも、それを後ろから、うちは違いますよという話にはならないでしょうということを申し上げているわけでございます。 ぜひ、これは関心を持つというところにとどまらずに、大臣というお立場でリーダーシップを発揮していただいて検討をしていただきたいということを重ねて重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。 もう一つ御紹介してみたいと思うんです。これも、これからの社会の中にはあり得ることというか、もっと本当に着目していい視点だなと私は思ったんです。 複数の国に愛国心がある人がふえると、戦争とか紛争を抑止する働きがある。これもアメリカでよく論じられていることなんだそうでございますけれども、要するに、二国間、多国間のきずなを深めることにつながって、外交上も影響力を発揮する効果があるということなんでございます。 こういう観点なんかも、やはり今のこのグローバルな時代でございますから、しっかりと見ていく、そういう人材もむしろ育成、育成と言っては変ですけれども、活用していくということによって日本の国益にもつながっていく部分がたくさんあるのではないかな、こんなふうにも私は思ったところでございます。 これも、感想を伺ってもお答えは出てこないかなというふうに思いますので、あえてお尋ねはいたしませんが、こういう観点からでもこの国籍問題というのは見ることができるんだということ、ぜひおとめ置きいただきたい、こんなふうに思うところでございます。 いろいろとお尋ねをしてまいりましたのですけれども、もう一つ、ぜひ確認をさせていただきたいことがございます。 国籍をめぐる問題というのは、個人と国家のいろいろな関係、相互の関係から見て望ましい解決を図っていくことが必要だろうというのは、これは私もわかります。しかし、国籍というのが、先ほども申しましたように、国家の構成というその枠組みということであれば、そして、もっと言えば、国籍が世界人権宣言第十五条によって人権として位置づけられてきている、基本的人権を保障する基準として重要な意義を有しているということであれば、こういう問題を考えていくときに、重国籍者本人の意思を最大限尊重するということが何よりも必要なことではないか。国家の側から見たいろいろな問題はあるかもしれませんけれども、そういう意味では、当事者、人権という観点から物を見ていくということも極めて重要なことであろうというふうに思います。 この点についての御認識、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○房村政府参考人 重国籍者の方御本人の意思を尊重するということが大切であることは、御指摘のとおりだろうと思いますが、ただ同時に、国籍のあり方というのは、先ほど来申し上げておりますように、国のあり方とも密接に関連する事柄でありますので、そういったものの調和が重要ではないか、こう思っております。
○藤田(一)委員 本当にいろいろと申し上げてまいりましたけれども、最後にもう一度、繰り返しになりますけれども、ぜひ検討ということをお願いしたいと思うんです。 そもそも、この法の十四条の国籍選択というのは、八五年に日本が女子差別撤廃条約を批准するに当たって、父系優先主義から父母両系主義に改正した際に、重国籍者の増加の可能性があるということで、そこに端を発したわけでございます。しかし、重国籍の解消というのは、個人の自発的意思に全面的にゆだねられるべき問題だということで、当時も随分と反対意見が多かったはずなんであります。 国籍の異なる父と母の間に生まれた子が二つの国籍を持つことは、二つの言語、歴史、文化、生活習慣の中で成長する彼らの思考や生活の当然の反映であり、人間としての自然の姿である。重国籍の選択は、本人がその生活や教育を通じて、父または母の国を自然に、かつ自己の意思で選ぶことが最も望ましい。それには、国籍離脱の自由を完全に保障した現行法、これは当時の改正前の同法十条で十分であり、国籍選択制度を新設する必要はないという指摘が大変強かったのではないかと思います。 どうかこのことを思い起こしていただいて、さきの改正から二十年経過をいたしました。そして、戻りますけれども、国際的な動向、これも大きく動いてまいりました。国民的議論もさまざまな角度で機が熟しつつある、そういうときに来ているというふうに私は思います。そういう時期に、何としても、きょうこの委員会の場でお答えをいただくということが難しいのかなとこの時間になってまいりますと思いますけれども、ぜひ大臣、関心を持つというレベルではなくて、これだけ、大体問題は出尽くしたと思います。出尽くしたと思いますので、ぜひ前に進める検討をしていただきたい。 重ねてお願いをして、そのことについてもう一度大臣のお言葉を伺って、残りの時間、ちょっとなんですけれども、もう一点だけ通告している問題に移らせていただきたいと思います。
○南野国務大臣 お答え申し上げます。 先生の情熱もしっかりと受けとめさせていただきました。私の気持ちも先ほど申し上げたとおりでございますが、それには私がもう少し考えたい案件がございます。いろいろ、先生が今厚生労働省の方で発言してこられたということも踏まえながら、厚生労働関係に起因するいろいろな解決しなきゃならない課題があろうかと思っております。そういう問題もあわせながら、私もしっかり勉強していきたいというふうに申し上げたところでございますが、そういう先生の、委員の御指摘は貴重なものであるというふうに受けとめております。 国籍のあり方は国のあり方とも関連する重要な問題である、それはお互い共通しているところだと思いますが、今後とも、御指摘の点を踏まえながら、私は私なりに勉強し、この問題については国民的議論がさらに深まっていくということを期待し、私も一生懸命取り組んでいきたいと思っております。
○藤田(一)委員 ありがとうございます。ぜひぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。 それで、次の質問に進めさせていただきたいと思うんですけれども、実は先日、内閣委員会において、婚外子の続柄表記改正をめぐってお尋ねをいたしましたけれども、あいにく大臣、副大臣ともにそのとき御出席いただけませんでしたので、改めて、基本的な問題についてだけこの場でお尋ねをしたいというふうに思います。 この問題については十分御承知のことと思いますので詳細は省きますけれども、ことしの三月に東京地裁でプライバシー権の侵害という判決が出まして、それを受けて、法務省も、戸籍の続柄表記についてこの十一月一日から一応改正をされたわけであります。 しかし、それはあくまでも表記の問題でありまして、この間、国連の各人権関係の委員会から出されていた勧告、婚外子差別の解消という問題にはやはり至っていないわけでございます。 この点についての大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○南野国務大臣 先生のお問い合わせは、民法における婚外子の差別の解消という問題でございますね。それにつきましては、嫡出子でない子供さんの法定相続分の問題、これは婚姻制度や家族のあり方にかかわる大きな重要な問題であろうと思っております。 この問題につきましても、各方面でいろいろな御意見があると承知いたしております。大方の国民の理解を得ることができるような状況で制度改正を行うのが、制度改正を行うなら制度改正を行うのが望ましいというふうに思っております。
○藤田(一)委員 これも先ほどの国籍と似たようなところがございまして、この間、御答弁が一貫して、今婚姻制度だとか家族のあり方だとかという、ここからやはり出ていないんです。 もちろん、戸籍の続柄の持っている意味、根拠というのは、確かに、なぜ区別をしてきたかといえば、やはり民法九百条の相続差別の問題、婚外子は婚内子の二分の一というところに起因をしてしまうわけですね。 しかし、このことはやはり差別なんだということが、この間、幾つもの国連の人権関係の委員会から勧告を出されている。勧告は、続柄の表記の改正について勧告が出ていたわけじゃないんです。相続差別も含めて婚外子差別全般について指摘をされ続けてきたということであります。しかも、最高裁でも二人の裁判官の方々が違憲ということを表明もされましたし、かつて九六年には、法制審議会でも廃止の答申というものも出てきているわけですね。 これもさっきと繰り返しになりますけれども、だれかが一歩踏み出さなければいけないわけでございまして、いつまでたってもこの枠組みの中で婚外子差別というものを残しておくということは、私は許されないのではないかというふうに思っています。 客観情勢も変わってまいりました。今まで相続差別があった国も解消をしてきているんです。これは内閣委員会で房村局長の方からも御答弁をいただいているわけでございますけれども、かつてそういう差別があった国ももう解消してきている。そうすると、残されている国はどこなのだと。日本が常にこういうところでナンバーワンになってしまっているという状況があるわけでございます。ですから、これはもう放置できないところにこの問題も来ている。 今回の東京地裁の判決というのは本当にいい機会でございますから、この枠組み、従来の答弁の枠組みを超えるこの問題についての検討というものを政府としても真剣に進めていただきたい、こういうふうに私は思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
○南野国務大臣 嫡出でない子供さん、それの法定相続分の問題につきましては、平成八年の法制審議会の答申を踏まえまして、その見直しを検討してまいりました。各方面での御意見が分かれている状況にあります。 一方で、この問題につきましては、委員御指摘のように国際的な動きがあるということも、これは十分承知しているところでございますが、私といたしましては、この問題について各方面での議論がより一層深められることを期待いたしておりますので、また先生の今後の御活躍、よろしく教えていただきたいと思います。
○藤田(一)委員 私も一生懸命声を上げてまいりたいと思っておりますけれども、意見が分かれている。分かれていることにいつまでも、分かれているからといってそれを放置するという、そこに任せるわけにはいかないんですね。やはりどうしていくのかということが問われるわけでございます。 私は、大臣はもともと、命を生み出す、あるいは命を守る、そういうお仕事をなさっていらっしゃったということ、そういうお立場で御活躍をされてきたということを十分存じ上げております。そういう大臣のお立場だからこそ、この問題は一番よくわかっていただけるんだというふうに私は思うんです。子供は親を選べないわけでございますから、どうか大臣のときに一歩踏み出していただきたいということを強くお願いをしたいと思います。 そして、もう一つお尋ねをいたしますけれども、今回の表記の改正が、結局、長男・長女型ということになったわけでございます。その結果、婚外子については母との続柄で出生順を決めるということになりまして、大変判断が複雑になるのではないか。それからまた、申し出によって訂正をするということでありますので、申請者に証明するための負担がかかったり、あるいは、では全員が申請するのかといえば、必ずしもそういうことではないわけでありまして、結局、婚外子の続柄というものが完全に解消されないのではないか、そういう懸念があるわけであります。長男・長女型にしたがゆえに、そういう新たな問題を抱えてしまったのではないか。 せっかくのこの機会に、もっと本当に全部の、せめて婚外子の続柄だけでも完全に解消できるような方法がなぜ選択できなかったんだろうか、こういうことを思うわけでございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
○房村政府参考人 御指摘のように、今回、十一月一日以降、非嫡出子と嫡出子の続柄欄の記載の仕方を同一といたしました。 これについては、方法としては、もちろん嫡出子の記載の仕方を非嫡出子の方に合わせるということも考えられないわけではございません。ただ、実際問題といたしまして、非嫡出子の方々の割合が二%にも満たないということを考えますと、嫡出子の記載を変えるということは、九八%の戸籍の記載を変更せざるを得ないということになりますので、これは作業量が非常に大きなものになって市町村の負担が大きいであろう、そういうことを考慮いたしました。 それともう一つは、御指摘の東京地裁判決も、嫡出子の続柄の記載そのものに問題があるということではなくて、嫡出子の続柄欄と非嫡出子の続柄欄の記載が異なっている、そういうことから、戸籍を見ただけで非嫡出であることがすぐわかってしまう、そこが問題だ、こういう御指摘でございますので、そういったことを踏まえまして、嫡出子の方々の記載と同一の記載の仕方を非嫡出子についてもするということとしたものでございます。
○藤田(一)委員 局長の御答弁は、この前も何度も何度も同じことをやりとりをやりましたので、またこれに対してそういうふうにおっしゃられると、それならばと言いたいところがいっぱいあるんですけれども、きょうはやめます。 きょうは私は大臣に、せっかく法務委員会まで伺わせていただいたわけなので、ぜひ大臣にそういうことを伺いたいと思っておりましたので、大臣、今局長の御答弁でも問題点、おわかりになられたと思うんです。どこに問題があるかということです。いい悪いとか、どっちが正しいとか間違っているとかは別にして、何が、どこに問題があるかということは御理解いただけたというふうに思いますので、そこはぜひ十分に御認識をいただきたいというふうに思います。 そしてもう一つ、今回、本当におかしなことがというか、もうこういうことをしてはいただきたくないなと思うことがあったので、これは大臣に聞いていただきたいと思うんですけれども、大臣、大臣というお立場、政治家というお立場で聞いていただきたいと思うんですけれども、この表記の改正に当たって、法務省はパブリックコメントを求めていらっしゃるんですね。パブリックコメントを求めることは大変いいことであります。 ところが、そのパブリックコメントの結果が、いわゆる長男・長女型にすることに賛成だというのはたった十件しかなかった。あとはみんな、男とか女とか子とかに統一をすべきだ、こういう結論なんですね。そういうことにもかかわらず、それはそれで御意見承りましたで長男・長女型にしたわけでございます。 これは、パブリックコメントというものをどういうふうに受けとめるのかというところにもかかわる問題だろうと思いますし、そういうことであればなおのこと、国民に対して、あえてそういう選択をしたことを丁寧にわかりやすく説明していく責任というのが法務省側にもあるだろう、こういうふうに思うわけでございまして、このパブリックコメントの問題、きっと、もしかすると初めてお聞きになられたかとは思うんですけれども、どのように思われましたでしょうか。
○南野国務大臣 先生御指摘のパブリックコメントにつきましては、いろいろと数字を承っております。パブリックコメントに寄せられたことが男とか女とかで、長女とかなんとかという形ではないということでございまして、先生が御指摘なのは、女、男でいいのじゃないかという御指摘だろうと思います。私の感想としては、やはり私は長女であってよかったなと思う、これは私的な感想でございますが。 先ほどお問い合わせのパブリックコメントということにつきましては、パブリックコメントで寄せられたその結果を手続に反映していなかったというふうにおっしゃっておられますが、反映した部分もあります。どういうところを考慮すべきものは考慮したかといいますと、続柄の認定に当たりまして母親の過去の戸籍謄本を提出させる、その申し出の方の負担が重くなるのではないか、そういった意見も踏まえて、申し出書には簡単な事実関係を記載すれば、原則としてこれにより続柄を認定する取り扱いというふうになるのではないか。 いろいろいいところも悪いところもあったと思いますが、一番国民の方に、パブリックコメントはパブリックコメントとして活用させていただき、いい方法を法務省として選ばせていただいたということになろうかと思っております。
○藤田(一)委員 時間になりましたので、今大臣は、長男・長女型でよかったというお話でございましたけれども、二十一世紀、男女共同参画社会の実現というのは国の最重要課題だというふうに位置づけられております。そういう観点からいっても、長男とか次男とか、そういう考え方に余り意味がなくなっているんじゃないか、この少子化の中では家族がみんなで力を合わせていくということがやはり必要なんじゃないか、そういう観点も含めて私は見ていただきたい。 要するに、続柄の存在ということが今問われているわけでございまして、この戸籍の続柄のあり方も含めて検討していただいて、婚外子差別の解消に向けてこれからもぜひ取り組んでいただきたい。そのことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○塩崎委員長 次回は、来る十九日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時五十三分散会