法務委員会 第8号
- 発言数
- 106 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2004/11/16
会議録
○塩崎委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、刑法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、警察庁刑事局長岡田薫君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長江嵜正邦君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省保護局長津田賛平君、法務省人権擁護局長吉戒修一君、文部科学省大臣官房審議官山中伸一君、文部科学省スポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官尾山眞之助君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鎌田さゆり君。
○鎌田委員 おはようございます。民主党の鎌田さゆりです。きょうもよろしくお願いします。 いただいたお時間一時間、三分の一ぐらいを今回の刑法改正に若干関連を、私は大いに関連していると思っているんですが、そういうテーマについて、実は国会議員になってからずっとやっていまして、というか、地方議員をやっているときから通算すると十年やっているテーマなんですけれども、そういうテーマを三分の一ぐらいやらせていただいて、そして残り三分の二を刑法の今回の改正について、ぜひ大臣等皆様とやりとりさせていただきたいと思います。 委員長、理事会の方で御協議をいただいて、大変ありがとうございました。参考資料と言っていいのかどうか、ぜひ役所の皆様に、あるいは政治家の皆様に見ていただきたい資料がございますので、答弁席の方、ぐるっと回して見ていただいてよろしいでしょうか。
○塩崎委員長 はい。
○鎌田委員 ずっと答弁席を回して見ていただいている間に、この件について、私の考え等を述べたいと思うんですけれども、今、パネルに張って、答弁席を回して見ていただいておりますものは、きっと、ほとんど全国各地、温度差こそいろいろあれ、いわゆるピンクチラシというものでございますけれども、歓楽街、繁華街にまかれている実態があると思います。 答弁席に、関連する皆様に見ていただきまして、終わりましたら私のところに、済みません、戻してくださいませ。また使います。 これなんですけれども、まかれている現状というのは、とにかく場所も何も関係なく、大臣、ひどいときは通学路にあるんですね。大変不名誉なことですから余り言いたくもないんですけれども、私の地元、それから、ほかに都市の名前を挙げてちょっと恐縮ですけれども、九州の大都市ですとか関東の大都市圏とか、そういうところはもう、学校に通う子供たちが朝これを目にして、ひどいところはこれを拾って学校に持っていくんですね、束ねて。という質問を、この五年間、国会で何度したことかわからないんですけれども。そして、学校の教室の机の上でトランプゲームのようにしてこれで遊ぶんですね。これは事実なんですよ。それで、PTAの、保護者の皆さんが困り果てて、そして地元の電気通信事業者にさまざまな運動、働きかけをしているというのも、これまた実態なんです。 私は思うに、こういったものはだれでも、青少年期、好奇心旺盛なころ、見たいという気持ちはあって当然だと思うんです。でも、これはやはりこっそりとどきどきしながら、それがある意味正常だと思うんですよ。しかし、今の子供たちは、どきどきも何もなく、平気で手にして何枚も束ねて学校に持っていって机の上で見ている。これは私は、ある意味ゆがんでいる成長、青少年の健全育成にとって非常に問題だと。 今回の刑法改正についても、そういう温床にならない社会、犯罪を起こしにくい社会をつくることが目的、一つの柱として掲げられてもおりますので、こういったもの、これは特に一部の大人のもうけのためにまかれているものです。そして、被害に遭うのは女性だったり、そういう子供たちの成長だったりというものですから、私はこれを撲滅したいという運動をずっと続けているんです。 いろいろ、もう述べちゃいますと、各地で条例化が進んでおりまして、罰則つきの条例ができておりますので、その条例ができたところは非常にこれの被害が少なくなっております。しかし、ここで問題なのは、条例ができた地域、そこから逃げていっちゃうんですね、業者が。そうすると、条例のないところでまたこれでもうけようという商売が始まるんです。これはやはり国が責任を持ってその拡散を防ぐということが私は非常に重要だと思うんです。 それで、まず、文部科学省の方にもきょうおいでをいただいておりますので、この現実に子供たちがさらされている、こういうものから子供を守るのは我々大人の責任だと思うんですが、文部科学省、教育の立場から。そしてまた、警察の方には、これがいわばイタチごっこの現実だと思うんですけれども、条例ができて非常にいい、これは歓迎すべきことだと思いますが、しかしこれではいつまでたっても拡散するばかりで、この現実を警察庁、どのようにとらえていらっしゃるか。何かいい方策があればびしっとこれに対して手を入れられるのにという思いを持っていらっしゃるのであれば、その辺の現実の現場の苦労などもぜひ披瀝していただければと思いますので、御答弁をお願いします。
○尾山政府参考人 お答え申し上げます。 御指摘のピンクチラシを初めといたしまして、青少年を取り巻く有害情報につきましては、心身の発達途上にあり、判断力、責任感がいまだ成熟していない青少年に対する性の逸脱行為等の悪影響が懸念されるところでございまして、大変憂慮すべき状況と認識しておるところでございます。 ピンクチラシなどの有害広告物に関しましては、地域住民がボランティアとしてその撤去を行う取り組みが数多く行われていると承知しておるところでございまして、青少年を有害情報から守るため、このような地域における取り組みを推進する必要があると考えております。 このため、文部科学省といたしましては、今年度から新たに、有害環境対策に係ります地域での推進体制を整備するためのモデル事業を実施しておるところでございますけれども、さらに平成十七年度につきましては、本モデル事業におきまして、ピンクチラシはがし、有害な自販機の撤去等の申し入れ、あるいは有害な図書類の区分陳列でございますとか、ビデオレンタルショップ等での年齢確認の徹底等の申し入れなど、地域で大人たちが青少年を有害情報から守る取り組みなども実施できるようにしたいと考えておるところでございます。 今後とも、関係省庁と緊密な連携をとりながら、社会全体で青少年を取り巻く有害環境対策が効果的に推進されますよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。
○伊藤政府参考人 ピンクチラシの配布行為等を規制します都道府県条例につきましては、現在、宮城県など十三の都道府県において制定されておりまして、ピンクチラシの配布行為の取り締まりや町の環境浄化に効果があるというふうに聞いております。 私どもとしまして、その条例の効果として、ピンクチラシの配布行為等の主体である売春業者等が他の地域に移動したかどうかについては詳細承知しておりませんけれども、少なくとも、ピンクチラシの配布行為を規制する条例が制定されている都道府県におきましては、ピンクチラシの配布が減少した効果があったというふうに承知しております。 なお、そのような条例が制定されていない府県におきましても、警察では、売春防止法等の法令を活用してピンクチラシの配布行為等を積極的に取り締まっておりますけれども、今も申し上げましたように、ピンクチラシの配布行為等を規制する条例につきましては、効果があるという実態もございますので、ただ、この条例につきましては、都道府県が地域の実情に応じて制定すべきものでありますので、都道府県議会や知事部局に対しましてそのような条例の制定や改正を働きかけるように都道府県警察を指導しまして、条例の制定、改正を促進してまいりたいというふうに考えております。
○鎌田委員 文科省さんは文科省さんの答弁だなと思いました。余り生々しさが御答弁からは伝わってこなくて、これはきれいごとで、立派な言葉で語れるようなものじゃなくて、もっと本当にもう生々しくて、どろどろしくて、それだけ私は大変なことだと思っているんですね。だから、とらえていただいている認識が共通であれば幸いなんですけれども。 それで、警察の方ではやはり地域でつくっていくことを進めていきたいというお考えのようですので、私はこれは、そうすると結局業者が逃げていくから、もうけるところを探して拡散するから、それを国が責任を持ってというふうに申し上げたんですけれども、まあ、地域の実情に合わせて、地域に任せるという、ちょっと残念ですけれども、でも、この問題については、大変な地域は本当に警察が努力している、苦労しているということは私もよくよく認識しているつもりですので、今後とも、それも含めて、ぜひ国としても地方に指導していただければなと思います。 それで、大臣、これをごらんいただきましたけれども、正直言って、一枚一枚直視するのは本当に大変ですよね。でも、これは一時期から比べれば非常にかわいくなったんですね。私が十年前、初めて目にしたときは、とんでもないんですね、本当に。これはまだ何かアイドル写真かなと思えるくらいに、そうすると私も感覚が麻痺しているのかもしれませんけれども、本当に、これでもまだよくなったくらいなんですよ。 それで、大臣、私、実は、この問題をずっと取り上げているのは、このカードは、裁判所で司法判決を受けるとき、これは証拠物件として押収されて、売春周旋の道具なんですよ。そういう認定を受けて、これを商売にしていた業者は、シロやグレーじゃない、クロの判決を受けている、そういう道具なんです。 それで、しかも、この道具に、ここに書いてある電話番号があるんですけれども、この電話番号は、大臣、私は、ここに電話して、そば一丁とかカツどん一丁とか頼む人はいないと思うんですよ。これに電話する人は、明らかに目的は一つなんですよ。まあ、利用者、お客さん側、特に男性の側からすればだと思うんですけれどもね。 それで、この電話番号がここに書いていなければ、利用者、客はこれを使っていわゆる売春周旋の道具としてこれも成り立たないし、この電話番号が実はみそであり、この電話番号を、クロの判決の出た業者が使っていたこの道具の番号、電話契約権ですね、これに関しては、一時的にこの番号を使えなくするということがこの商売を立ち行かなくさせる一つの方法だと私はずっと思っているわけなんです。ずっとそれを唱えているんですが、なかなか総務省とは、ずっと意見が平行線のままなんですけれども。 大臣は、今回法務大臣に御就任される際に、ともに少子化ですとか青少年の健全育成ですとか、そういった任務をお受けになっていらっしゃいますので、この件はきっと心に深く思うところがあると思います。通告のところではこれは伝えていなかったと思うんですけれども、この実情に関してと、そしてさらに今私が申し上げました点についてお考えがあれば、今の時点でもし踏み込めなければ結構でございますが。
○南野国務大臣 先生にお答え申し上げます。 本当に、それを見せていただきました。やはり子供たちには見せられないなというふうに思いますし、この近くでは弁慶橋の橋の上にもべたべたと張ってありましたが、ことしの夏はそれがなかったので、ちょっとほっとしているところでございます。やはり、それはいかがわしいなと思っております。はぎたいなと思っても、車で通ってしまったので、そのままになってしまったこともありました。 今先生がお話しになっておられる電話番号の件でございますけれども、売春防止法違反などで起訴された刑事被告人に刑を科す、それもしなければならない、その犯行に用いられた電話番号の利用の差しとめをできれば犯罪防止に効果的ではないかとのお考えは理解できております。そういうことでございますが、しかしながら、現行法は、裁判所が刑を言い渡すと同時に電話番号の利用差しとめを命令できるという制度ではないということでございます。 また、強いて似たような制度を挙げますとなれば、付加刑としての没収の制度がありますけれども、刑法が没収の対象とするのは有体物であり、債権その他無形の財産、これは、財産権は没収の対象とならないために、裁判所が刑の言い渡しの一部として電話加入権を没収することによりその利用を差しとめることができないというふうに考えているところでございます。
○鎌田委員 私は、そういう答弁が来るんだろうということを、というのは、この間ずっとそういう答弁を聞きながら、何とかならないのかなという気持ちでずっといまして、また取り上げさせていただいたんですが、総務省もいらっしゃっていますね。 改めて伺いますけれども、これに関しては電気通信事業法がかかわってくると思うんですが、電気通信事業法の第一条の「目的」のところに、「公共の福祉を増進することを目的とする。」と。なぜなら、「電気通信事業の公共性にかんがみ、」というスタンスから、さらに進みまして第二十五条に「提供義務」、役務提供の義務ですけれども、電気通信事業者は、正当な理由がなければ、その業務区域における電気通信役務の提供を拒んではならないとあるんですね。 今回のこれは、明らかに公共の福祉には反している、公序良俗にも反している。さらに、公共性にかんがみたら、こんなものとんでもない。それから、提供義務のところですけれども、正当な理由がなければ拒んじゃだめだと。これは司法の場でクロの判決が出ている、そして証拠品として押収されている。それは正当な理由にはなりませんか。 しかも、永久にその番号を使うなというんじゃないんですよ。一カ月でもいい、二カ月でもいい。その間この番号が使えなくなれば、結局この業者はもう一回印刷し直さなくちゃいけない。ところが、これがまだ使えるとなると、まあ、こういうのをやっている方々というのは、皆様御存じのとおり、ほとんどいわゆる組織の方々ですから、捕まったのが番頭なのか、そこの社長なのか、その二人が刑務所送りになってしまえば、また首をかえるだけで、そして、しかもこの番号は使えるから、売春周旋の道具で持っていかれたものがまた町に出るんですよ、クロの判決が出たこの道具が。そして、これでもってまた売春周旋、いわゆる売春が成り立っていく。 私は、これが正当な理由に当たると、どう考えたって。それよりも、通信の秘密を守る、あるいは役務提供の義務があるから、そっちの方が上回るんでしょうか。 今回、刑法の改正で非常に議論が大きく出ているところで、すごく重大な問題ですけれども、いつも私申し上げるのは、そういう大きな問題をかんかんがくがく議論するのも大事、しかし、やれるところからやっていかないと、野放し状態で、そして子供は被害に遭って、そして青少年の性犯罪の温床になる。やれるところからちゃんと手をつけていかないと、本当に大変なことばかり起きていく。今私が申し上げた電気通信事業法との兼ね合いの考え方について、総務省、御答弁いただきたいと思います。
○江嵜政府参考人 お答え申し上げます。 総務省におきましては、関係省庁等と連携いたしまして、電話が犯罪に利用された場合、利用停止措置が可能かどうかということについて検討してきたところでございます。 先生御案内のように、一般に通信は、基本的人権である表現の自由を保障するため、通信の内容や利用目的を問わずに自由に利用できるというのが原則になっております。このため、電気通信事業法におきましても、これも御案内のように、電気通信役務の提供について不当な差別的取り扱いを禁じておりまして、また、正当な理由がなければ電気通信役務の提供を拒んではならない旨を規定しているというところでございまして、利用目的によって役務の提供を拒むということは、基本的には難しいかというふうに思っております。 ただ、例えば、ピンクチラシに記載されている電話番号を使用している者の有罪が確定した場合であって、これに加えてさらに、例えば、当該電話番号が将来にわたって表現の自由を制約するに足りる一定の犯罪に利用されるおそれがあるとか、あと、利用停止以外の方法では犯罪を防止することが困難であるなど、明らかである場合には役務の提供を拒める正当な理由に該当する余地はないかということで、私ども、かなりの問題意識を持ってこれまで検討をしてきております。ただ、例えば、電気通信事業者が有罪判決確定の事実を確実に知ることができる仕組みがないというようなことを含めまして、困難な問題がまだあるというのも事実でございます。 いずれにいたしましても、この問題については、今後とも幅広い観点から関係省庁と協議していきたいというふうに考えております。 また、先ほど先生おっしゃいました、公共の福祉の増進との関係でございますけれども、このピンクチラシに記載されました電話番号利用停止につきましては、通信を利用した表現の自由を制限することにはなりますが、一方で、憲法上保障されています表現の自由も、公共の福祉の増進に反する場合には必要最小限度の制約に服するということも考えられるというところでございます。 どのような場合が公共の福祉の増進に反する電話番号の利用と判断されるかということにつきましては、電話番号を使用している者の有罪が確定して、かつ、例えばその電気通信事業者がその判決内容等について通知を受けられる場合、今受けられませんけれども受けられる場合、かつ、例えば、さっきちょっと申しましたが、その電話番号が将来にわたって表現の自由を制約するに足りる一定の犯罪に利用されるおそれがある、かつ利用停止以外の方法では犯罪を防止することが困難だというような要件を満たす場合が考えられると思いますが、いずれにいたしましても、この点については、憲法上の表現の自由に対する制約と先ほど申し上げたような部分もございますので、慎重には考えていきたいというふうに思っております。
○鎌田委員 全然不満足ですけれども、今の答弁自体は。しかし、私が国会議員になって五年間の中では非常に満足な答弁でございます。これを撲滅したいという目的からすれば不満足なんですが、しかし、五年間を振り返ると、今のような御答弁は初めてでございました。 だから今の、大分言葉が、いっぱい単語があったので復唱するのは難しいんですが、今何点かおっしゃいましたね、これがあれば、これがあればと。例えば、有罪の判決を受けたという確定を知る仕組みがない、裏返せば、知る仕組みがあれば、それから、これが将来にわたって明らかにそうだということがわかれば、そういう答弁を今まで私は聞いたことがないので、とてもよかったかなと思うんです。 そういう仕組みをつくったり、あるいは、将来にわたってこれはだめだというような判断というのは、やはりこれは判決の際に、司法の場で、裁判所が、裁判官が何かしらというのが私は一つの方法だと思うんですけれども、先ほど、大臣からの御答弁で、電話加入権は無体物だ、有体物には入らないのでという現在の裁判の、刑事の制度のところでこれまた非常に大きい壁がありますので、でも、今の御答弁をもとに、ぜひ私自身もまた検討していきたい。 これは有価証券扱いですよね。そうすると、またいろいろ考え方が違ってくるのかな、無体物、有体物との関係で。何か検討の余地があるのではないかと思いますので、きょうは踏み込みませんけれども、今の御答弁をもとに、またずっと取り組んでいきたいと思いますので、ぜひ皆様方におかれましても、まだまだこれは根が断たれていない、そして、これでもうけている一部の大人がいるということでございますので、ぜひ、大臣初め皆様、御認識のほど、よろしくお願いしたいと思います。 この件は、以上にしたいと思うんですけれども、ずっと今前半やってきましたのは、通信というか、今ITがとにかく私たちの生活にどんどんどんどん入り込んできて、これはもう、やはり将来にわたって欠かせないことだと思うんですね。 民主党の仲間の議員が言っていましたが、情報というのは情けに報いることだ、だから、ITというのは、寝たきりの御老人ですとか障害を持つ関係者の方々ですとか、そういう方々がこれを本当に利用できたときにこそ本来のあれを発揮してすばらしいものになっていくんだと。 しかし、今は、いわゆるマニアの人を初めとして、ごく一部の、私なんかは、パソコンはブラインドタッチなんてできませんので、全然初心者状態ですけれども、まだまだそれに入っていけていない人もたくさんいるんですが、しかし、マニアの人を初めとして一部の人にとっては、これはもう、今のことを大臣お聞きになっておわかりだと思うんです、ほとんど規制というものがかけられない状態、ほとんどやりたい放題な状態なんですね。 今の話題とは、話題が、本当に全然、天と地ほども異にすることを一点、お伺いをしたいと思うんですけれども、イラクで香田証生さんが殺害されました。その直後、香田証生さんの殺害されているシーンがいわゆる2ちゃんねるのサイトで、あの巨大な掲示板と言われているページで連日流されていたんですね。議員の方の中にも見た方がいらっしゃると思います。 あの2ちゃんねるというのは、ちっちゃい子供でもだれでも本当に自由に見られるんですね、小学生だろうが中学生だろうが。私は、香田証生さんのが流れていると聞いたときに、同じ日本人として、とんでもない、感情的に、ちょっと恥ずかしいくらいに激怒しました。ですが、その後、香田証生さんのは削除されました。が、外国のジャーナリストあるいは被害に遭った、殺害をされた方々の殺害シーンが今でも複数、一人、二人じゃありません、殺害現場のシーンが流れています。 それを、日々垂れ流し状態でそういうものにさらされている日本国民の皆さん、あるいは子供たち、そういう状況を、今のこの通信に対する規制がかけられないということと関連して、私は非常に歯がゆい気持ちもあるんですけれども、総務省を初め法務省、香田証生さんのが流れたときに、いち早くいわゆる申し入れを関係各所にしてくださったということも聞いております。 それはそれとして率直に評価を申し上げるところなんですけれども、大臣、やはりこういったことは何かしら、非常に難しい問題なんですけれども、どこに線を引くかということがありますので、どこで切り分けるか。これはいい、これは悪いということを国家権力でもって切り分けていくということは、これは正直あってはいけないことだと思いますから、難しい問題なんですが、今こういう状況があります。このことについて、大臣、改めて御感想などございましたら、御答弁いただきたいと思います。
○南野国務大臣 本当に、先生がおっしゃったように、あの映像を見て私も腹立たしく思いましたし、(鎌田委員「ごらんになったんですか」と呼ぶ)いや、静止画でございます。だから、そういう意味では、本当につらい思いをいたしました。 法務省としても、そこら辺については、もう先生御存じのとおり、それを削除するようにというようなことを申し上げて、あれはとまったということは御承知だというふうに思っております。 今お尋ねの件でございますが、報道する側や、また情報を流す側の自主規制というものを、本当に人間的に考えてもらいたいなというふうに思いますし、自主規制にゆだねるしか今のところは方法がないのではないかなと思っております。人間らしい報道をしてほしいと思っております。
○鎌田委員 おっしゃるとおり、国の、ましてや政治に携わるお立場からすれば、やはり自主規制ということが、これは、私は残念な気持ちはありますけれども、しかし正しいのではないかなという認識を私も持っています。 しかし、そういう情報を自分で選択できない、より正しい判断がなかなか難しい子供たちは、やはりこれは大人や親が守ってやらないといけないと私は思うんですね。 ですから、諸外国で見られるようなVチップ制、親が子供への情報というものを選択できるような仕組みですとか、そういったものは今後具体的に検討していかなくちゃいけないんじゃないか。特にネットにつきましても、テレビの有害シーン、残酷シーン、そういったものに対してだけではなくて、ネットに関しても私はそういう気持ちを持っておりますので、そういう意見を述べさせていただきたい、そこにとどめたいと思います。 残りは、今回の刑法の改正につきまして質問をさせていただきたいと思います。 先週の金曜日に、民主党の各議員が一日かけて質問バッターに立ちまして、さまざまな論点から政府の方々とやりとりをして、大体気になる論点は、それぞれ皆様御自身の御意見も含めてやりとりの中で述べられていたのではないかというふうな思いを持って聞いていました。 改めてこの週末思ったのは、刑法とは何だろうと。刑法とは何だろうと思ったときに、刑法の意味するところ、刑法が持つ意義、そういったものというのは、人類の歴史をさかのぼって、どんなところからどんなふうになっているんだろうという、物すごく、金曜日の質疑を聞いた結果、もっともっと素朴なところに私の場合立ち返ってしまったところがあるんです。 刑法とは何ぞやということを考えたときに、一番初めに思いましたのは、いわゆる裁判ですとか司法ですとか、そういったものが日本の教育の現場で初めに出てくるのは中学校なのかしらと。息子の中学校二年の教科書を振り返ったり、あるいは高校生の息子の中学時代を思い出したりしていろいろ考えたりしたんですが、中学校のときだったかなと思うんですけれども、刑法とは、それから、いわゆる世界で最古の法典と言われている、いつも言葉が出てこない……(発言する者あり)ハムラビではないんですよね、実は。ウルナンム法典。私もハムラビ法典だと思っていたんですよ、目には目を、歯には歯をの。ところが実際には、ウルナンム法典というのが一般的には世界最古だというふうに言われているんです。 そういったものを教育の現場でどういうふうに子供たちに伝えられているでしょうか。文科省の御答弁をお願いします。
○山中政府参考人 学校教育においてどのような形で司法等について教えられているかということでございますけれども、子供たちが、小学校、中学校、高等といった発達段階に応じまして、法律の意義でありますとか司法の仕組みといったものを理解するということが重要であるということで、例えば中学校三年生でございますと、社会科の公民的分野というのがございますけれども、この中で、社会生活における取り決めの重要性、あるいはそれを守ることの意義、刑法を含めました法の意義とか、法に基づく公正な裁判の保障、こういうことについて指導しているところでございます。 具体的に幾つか教科書がございますけれども、ある例では、権利を侵害された場合には裁判所を通じて権利を回復したり、法に違反した者を裁くのが裁判所の役割である、あるいは、裁判所は権利を守り、社会の秩序を維持する上で重要な役割を担っている、といったようなことが記述されているところでございます。 あと、私は、ハムラビ法典の方を昨日の質問の方で聞きましたもので、高校の世界史の教科書などでは、メソポタミア文明といいますか、オリエント文明というようなところの中でハムラビ法典というようなものが取り上げられているというところは調べてきたところでございますが、もう一つの先生今おっしゃられたものについては調べてございませんでしたので、ちょっとそれは恐縮でございますが、後でまた御連絡させていただきたいと存じます。
○鎌田委員 大変すばらしく御指導いただいている。しかし、実際にうちの子供なんかを見ると、教わる方がだめなんですね、きっとそういうものが伝わっていないんですね、子供には余り。 でも、今御答弁の中にありましたように、権利の存否、回復等について裁判所が、それから社会の秩序を守るために裁判所がということがございました。そういうふうに司法の教育の入り口のところでは子供たちに伝えられている。やはり教育の現場で子供たちにそう教えている、子供らが教わっていることに、今回の刑法の改正の議論ですとか中身ですとか、堂々と説明できる、決して、えっ、教育現場であんなふうに教えているのに、今回の法改正はこうなのということであっては絶対いけないと思うんですよね。 それで、やはり今の御答弁を聞くにつけ、今回の法改正のお仕事ぶりというのは、気を悪くしたら済みません、やっつけ仕事でないかなというふうな気持ちを持たざるを得ないんですよね。刑法の改正をやっつけ仕事でやってしまうあたりが、さすがに頭のいい官僚の皆様。しかし、それではいけないぞという思いを込めて、ちょっと質問をいたします。 前回の金曜日の委員会で、うちの党の松本議員が政府の皆様に資料要求をいたしました。その資料を昨日いただきまして、御説明をいただきました。確認をさせていただきますが、松本議員が先週質問いたしました国民の規範意識の変化、これを裏づけるものとしてのデータに値するもの、これはきのういただいたこの資料でよろしいんですね。これをもってそうだとおっしゃるということで、よろしいんですね。
○大林政府参考人 十分と言えるかどうかは別といたしまして、まとめられるものを提出させていただいた次第でございます。
○鎌田委員 いや、だから、そういう御答弁をされると、またそこで、ああ言えばこう言うで、十分じゃない、百年ぶりの刑法改正で、大改正を十分でないって言わないでよと思いたくなるんですね。そちらはそちらの立場で、自信を持って十分だと言ったっていいと私は思うんですよ。そこで議論が成り立っていくと思うんですよ。それを十分じゃないと言うと、じゃ十分なのを出せよ、こうなるので。いいんです、いいんです。 それで、中身についてはまた触れていきたいと思うんですけれども、先ほどのにちょっと立ち返りたいと思うんです、もともとの。刑法の目的、それを改めて、これは大臣もしくは政治家の方にお伺いをしたいと思います。刑法の目的とは何ぞやと。
○滝副大臣 改めてそういうふうにおっしゃられますとなかなか言いづらい点があるんでございますけれども、基本的には、要するに、社会の規範を刑法という形で示す、こういうことが一つあろうかと思うんです。 それからもう一つは、当然のことながら、被害者の気持ちとしては因果応報というものがあると思いますけれども、それを社会的に刑法という形で、個人の因果応報じゃなくて、社会として規範を示すということでございます。 それからもう一つは、やはり、この有名な言葉のように、目には目をということが因果応報の基本と言われていますけれども、基本は、そういうことを社会として規範として示しながら、なおかつ、過剰な反応をしないようにということがあると思うんですね。目をやられて命まではとりませんよ、こういう抑制的な、難しい言葉で言えば何か違う言葉があるようでございます、謙抑的というようなことをおっしゃいますけれども、そういうようなことを刑法という形で示したというふうに私どもは理解をいたしております。
○鎌田委員 一番初め、どう言ったらいいかとおっしゃったときにはびっくりしましたけれども、後段、本当にうなずいて聞かせていただきました。 まさにハムラビ法典の代表的な言葉の、目には目を、歯には歯をというのは、どうしても一般的に、特に私たち日本人は、目をとられたら目をとり返せ、私的復讐のイメージが強いんですけれども、しかし、今副大臣がおっしゃったように、目をとられても目までよ、首をとりたくなるけれどもそれはだめよという、そういう意味合いも非常に強く、解釈の上ではそうなんだろうと思いました。 本当に、おっしゃったとおり、刑法の目的は犯罪の抑止とそして防圧というふうに私は認識をしております。今回の刑法の改正において、提案理由の説明のところで、犯罪の抑止と防圧という刑法の本来の持つところの目的、こういったものが提案理由説明の中に果たしてどれだけ生かされているかということに非常に強く疑問を私は抱きました。 文言の中には、各議員がもう取り上げているとおり、国民の正義感が強まっている、それから規範意識の向上、そういったものにこたえるかのごとくの今回の刑法の改正になっている節が多々見られるんですよね。こうなりますと、私は、本来の刑法が持つ目的と非常にそごを来すんではないか、違うんじゃないのと。本来持っている刑法の目的はどこに行っちゃったのと。いわゆる専門家、プロの皆様方がこの刑法の改正をつくり上げるに当たって、本来の目的はどこにやったのよと。どうしたって、この提案理由説明を見れば、国民のそういったものの感情に流されてしまっている。 私は、この国民のそういう正義感の向上ですとか国民規範意識の変化というものを否定しているものじゃありません。非常に強く関連していると思います。しかし、そういった感情の面と、それと、もともとの、それに流されないバランスというものが非常に大事だと思うんですが、今回はそのバランスが非常に悪い。素人の私から見てもそのように感じざるを得ないんです。 その点について、刑法はそういうものに、国民の正義感あるいは規範意識にこたえる刑法なのかという疑問を抱きましたけれども、それに対して御答弁ありましたら、お願いします。
○滝副大臣 基本的には、いわば法定刑の上限を決めるのに余りにも安易じゃないか、こういうような御指摘だろうと思うのでございます。 ただ、昔から言われておりますのは二つあると思いますね。 一つは、無期刑と有期刑の落差が相当現実にはあるということはかねて指摘されているわけですね。できるだけ、有期刑の上限をもうちょっと上げて、無期刑との差をなくすべきだ、こういうようなことが指摘されているわけでございまして、それを今回、そういうような基本原則、昔から指摘されていることの一つの解決として出てきたのが今回の有期刑の上限の引き上げということにつながっていると思います。 それからもう一つは、極悪というか凶悪犯罪についての法定刑がやや低い。だから、それも、そういう一般原則、指摘された中でそれを何とか達成していこうという問題。 それからもう一つは、この委員会でもしばしば御指摘されてはいるのでございますけれども、下限についても、基本的には起訴猶予という問題を念頭に置きながら、そういったものをもう少し透明性のあるような判決が出せるように、こういうことで下限についても修正をした。 こういうような三点があるわけでございまして、私は、そういう意味では、先生の御指摘はされておりますけれども、基本的に、単なる正義感とか単なる因果応報とか、そういうものでは必ずしも今回の改正はないというふうに思っております。
○鎌田委員 副大臣のお立場、あるいは副大臣として常に持っていらっしゃる法務、司法に対する信念がやはりそういうお気持ち、そういう御答弁につながるんだろうと思ってお聞きをいたしました。 しかし、きのう提示していただいて説明をいただいた国民規範意識の変化の根拠となる資料を見ましても、とにかくこの大改正に値するだけの根拠、裏づけとなる、私はこの提案理由説明とつながっているようにはとてもこの資料は思えません。 ただ、今副大臣もおっしゃったように、いわゆる上限下限を、言葉は悪いですが、いじるというか、選択の幅がある意味広がっていますので、私は、現在の裁判の制度のもとで訓練されたプロの裁判官が選択をしていくというところにおいてはその裁量の幅が広がる、それはそれで私は歓迎するし、ある種評価にも値するのではないかと思うんです。 しかし、これから裁判員制度が入ってきますので、本当にこれは、裁判員制度の兼ね合いを考えると、裁判員ははっきり言って素人ですから、そしてさまざまなマスコミの情報ですとか先入観ですとか、そういうものを忌避の段階で選別されたとしても、やはり素人として訓練されていない者が加わっていくと、これは重くなったり安くなったり、そういう懸念はどうしても出てくると思うんですね。ですから、評価できる面と非常に不安を残す点とあるなということも申し上げておきたいと思うんです。 どうしても、提案理由の説明で、これでは刑法の本来持っている目的に沿って今回改正をしているというふうには、私は、今の御答弁をお聞きしましたけれども、なかなかそういう思いには至れませんでございますね。それは改めてまた申し上げておきたいと思うんです。 今、副大臣の御答弁にもありました、先ほどの答弁は別な方でしたでしょうか、私的応報、私的な復讐を禁止して、いわゆる刑罰権を国家に集中させてというところからこの刑法の意義ですとかそういったものも理解をするところなんですけれども、なぜ私的応報、私的復讐というものを禁止する必要があると思いますでしょうか。これは通告していないと思いますので、大臣、副大臣、政務官、どなたかお考えをいただければ。
○富田大臣政務官 なぜ私的応報を認めないのかというのは、国家になぜ刑罰権を独占させているんだという先生の方から通告がありましたので、その点についてお答えしたいと思います。 国家が刑罰権を独占しておりますのは、犯罪を訴追するに際して、被害者の報復感情等に偏ることなく、犯罪の社会的影響、犯人の個別の事情等をも考慮し、公平公正な立場からこれを行うのが相当だという考え方に基づきまして、こういうことによって人権を擁護しつつ、事件の真相を究明して具体的正義を実現する、これを可能にする趣旨であります。 このような観点等から、我が国におきましては、刑事事件に関しては私人による訴えの提起を認めず、国家機関に公訴の提起を行わせるという意味で国家訴追主義を採用しているのであり、必要な制度であるというふうに考えております。
○鎌田委員 済みません、素人の私にはちょっと難しいお言葉も大分あったんですけれども、つまりは、恨みの連鎖を続かせない、恨みの連鎖を断ち切る。私的な応報、私的復讐はやはり恨みの連鎖を生むだけ、それを国家がかわって取り上げる、そして国家に刑罰権を集中させて、正当な公正な客観的な判断でもってその人の違法性、結果の重大性、有責性等、そういう観点から認定していくということだと思うんですよね。 だから、私は、私的復讐を認めない、禁止をする、刑罰権を国家に集中させる、そういった意義をまた持っている刑法というものが非常に、刑法ができた当時、それこそ昔にさかのぼれば、日本でもかたき討ちだとかあだ討ちだとか、そういったものが社会で認められていたというか、そういう社会でしたから、それを変えたわけですから、ある意味、私は文化の大転換だと思うんですね。文化です。思想です。理念ですよ。この大転換をもたらした刑法、私的復讐を認めない、そういう気持ちは恨みの連鎖を生むだけ、そういう文化の大転換をもたらした刑法というものは、その底に流れている理念とかというものは本当にすばらしいと思うんです。 ですから、私は、冒頭に返りますけれども、安直に、いわゆる私的あるいは国民感情、そちらにバランスを置き過ぎて、そちらに流されるというようなことがあっては決してならないと思うんです。その点について御見解ありましたら、いかがでしょうか。
○滝副大臣 まず最初に、先ほど私、起訴猶予というふうに申し上げたんですが、執行猶予の言い間違いでございますので、ちょっとそこのところ、言葉の訂正をさせていただきます。 今の先生の御指摘でございますけれども、それは、やはり先生の言うように私も思います。基本的に、ある日突然かたき討ちだと言われたって、身に覚えがなかったらどうもしようがないわけですから、そういう意味で社会的にこういう制度をつくり上げてきたというのは、おっしゃるとおりだと思うんです。 ですから、私は、やはり国家として刑法を、特に、あるいはいわば起訴独占主義をとるというのは、それなりの法治国として強い覚悟を持たなければいけないと思います。国によっては、今でも起訴を国家が独占せずに私的に附帯的に認める国もございますけれども、少なくとも日本は起訴独占主義でやっているわけでございますから、それなりの覚悟で日本はこの刑法に臨んできたということは言えると思います。
○鎌田委員 ありがとうございました。 共通の認識ということを確認させていただきました。 今回の法案の提案理由の説明にもあります国民の規範意識の変化、これが背景となって改正にもつながっているということは、これはどうしたって、それはそれとして認めざるを得ないと思うんですけれども、この資料を見ますと、設問の仕方がどだい、明らかに誘導的だというふうに言わざるを得ないのかな。刑罰が軽過ぎるというふうに答えるんじゃなくて、刑罰が軽過ぎると思っている人は手を挙げてというものですから、中にあるアンケートは。 それから、あと、具体的な犯罪に関しても、一部、法務調査研究所ですか、そちらでやっているのは、具体的な犯罪について触れているのもありますけれども、しかし、これだって、このアンケートに答えている方々は、犯罪の中身あるいは裁判の判決の中身、熟知した上で殺人等は軽過ぎると思っているとかそういうふうに答えているとは、これは決してそうではないと思うんですよね。いわゆる、すごく広く一般的なところでの、殺人等、強盗等、どう思うという状況だと思うんです。どういう事情が背景にあって、どういうふうに裁判が進んでとかというのはわかっていないと思うんですよ。そこで軽過ぎると思っているのが八一・三%だからと。 具体的な犯罪の罪種についても触れているアンケートがありますからというふうなきのうの説明だったんですけれども、やはりこれでは、百年目にしての大改正の、しかも提案理由の一つに挙げられている国民規範意識の変化、そしてそれを裏づけるデータということには、これは到底私は値しないと思いますが、いかがですか。 〔委員長退席、田村(憲)委員長代理着席〕
○大林政府参考人 御案内のとおり、意識調査は、確かに今委員御指摘のとおり、調査の仕方によって数字が上がってくるものもあります。先日、私が答弁する際になかなかお答えできなかった、結局、計数的な処理というのが非常に難しいという、そういう調査自体のいろいろな問題点はあろうかと思います。 ただ、いろいろな面、計数にできない、私どもがいろいろな方、それは議員の先生方もいますし、報道機関の方々もおられますし、被害者団体の人方もおられます。そういう人方からいろいろな意見を聞いたことによって、あるいは治安の情勢、今の統計的なものもあって、そういうもので総合的にこのような形で改正の動きが出てきたということでございますので、おっしゃられるその調査の云々ということは私どもも理解できますし、それはいろいろな形で検証しなければならないとは思いますけれども、今回の改正は、そういういろいろな総合的な判断からなされたということで御理解いただきたいと思います。
○鎌田委員 これはこれとして参考にしたとおっしゃるのであればそれでいいんです。 ここにあるものと同時に、今回、結果としてさまざま数字が動きましたけれども、それに関して、防圧の効果、両方あわせての検証というのはなさいましたか。
○大林政府参考人 今おっしゃられている防圧の効果というのが将来に向けた予想となりますとまた先日の繰り返しになってしまうので、それは先日来御答弁しているとおり、刑罰を上げたから直ちに犯罪の例えば認知件数が減るとかいうことではないと思います。先生方の御指摘のとおり、いろいろな犯罪対策をあわせ考えてそういう効果というのが出てくるんじゃないか、このように考えております。
○鎌田委員 しかし、刑法の本来の形成しているところの目的、意義のところで、やはり防圧と応報ということが二つ大きな柱だと思うんですよね。これは両方、やはりちゃんとバランスよく検証しないと、私は、今回の上限をどうする下限をどうするという法案を提出するところの根拠になっていない。その根拠がなっていないのであれば、何でこんなものを出すのと、私は素人ですけれども、単純に、純粋に、素朴にそう思うんですよ。どうしても応報の、そちらの方に流されている国民の私的な感情ですとか、それはそれで認める。しかし、もう一方で、きちんと防圧の方の検証というものもなされないと私はいけないのではないかなと思うんですね。 今回、数字がいろいろ動きました。適切に数字があらわれたと思うところもあれば、いや、違うんじゃないのということはずっと委員会の議論の経過で知ることができますけれども、私は、いわゆる刑罰の法定刑を上げたりということは、言ってみれば、例えば、いわゆる犯罪を繰り返し起こす人、それから刑務所に送られる人、入っている人、これは、はっきり言えば、極端な言い方をすればどうしようもない人かもしれません、はっきり言って。しかし、そういうどうしようもない人を、さらに刑務所に入れておけ、さらにはじき出しておけ、さらにどこかに囲んでおけ、そういう社会風潮、そういう社会文化、私は、それを増殖させていってしまうことにつながるおそれがうんとあると感じているんですね。 しかし、もともと刑法が、さっきから言っていますとおり、私的なそういうものを禁止して国家がそれをかわってする。逆に、私たちがつくらなきゃいけない、再構築をしなければいけない文化、意識というものは、そういうどうしようもない人を温かく受け入れて、そして一日も早く社会復帰できるように、更生できるように、そういう文化をつくり上げていくことの方が私は大事だと思うんですね。うなずいていただいて大変ありがたいんですが、そこにつながる刑法の改正であってほしい、あるいは刑法改正の論拠になってほしい。 しかし、論拠を見ても、提案理由の説明を聞いても、あるいはこの内容を見ても、そういう文化を再構築するようにはつながっていかないんじゃないか。逆に、そういう人をどんどんどこかに閉じ込めておけ、死ぬまで病院に入れておけ、極端なことばかり言って恐縮ですけれども、何かそういう文化を醸成していってしまうような気がして、非常に私は心配でならないんですね。その点について、大臣あるいは副大臣、御答弁ありましたら、どうぞ。
○滝副大臣 これは大事な問題ですから、最後に法務大臣からも御意見あろうかと思うんですけれども、私は、今の先生の御指摘は、まさしくそれが法務省のこの問題に携わる者の基本的な認識だと思います。 既に、この問題は、少し懲役刑がふえてきたということの中で、刑務所のあり方、これについて、今みんなが、関係者が真剣になって考えているのは、余りにも今の懲役刑の労働ということにとらわれ過ぎてきたという思いがみんなあるわけですね。ですから、一日八時間労働というものを少し考え直して、一日七時間にしてでも少し矯正教育の方に力を入れるべきじゃないか、あるいは反省の時間をつくり出す、こういうような試みを今テストケースとして始めているわけです。 したがって、懲役刑の方がふえてくればふえてくるほど、やはり総合的な観点から、更生ということにもう少し力を入れていこうというのが今の法務省全体の意気込みでございますので、私は先生の御指摘のとおりだと思います。
○鎌田委員 ありがとうございました。 私、先ほど文化と申し上げましたけれども、私が申し上げた、そういう文化をつくっていかなくちゃいけないという思いの根底にあるのは、そういう人をはじき出さない、つまはじきにしておかない。どこかに閉じ込めて、出てくるな、また出てきたら何をするかわからないから閉じ込めておけ、そういう文化じゃなくというふうに申し上げました。 ここで文化をまたきちんと再構築して変えていく必要性が私はあると思うんですけれども、その際に、ぜひここで申し上げたいのは、文化を変えるということについては、まずは政府、まずは政治、こちらの方が絶対うそをつかない、そういう姿勢が最も大事だと思うんですね。それでこそ、国民に向けての文化をつくり上げていくということを言えるのかなと思うんです。 それで、政府はうそをつかない、政治は詭弁を弄さないということが大事だと私は思うんです。 特に、例えばイラクにおいて、今治安が悪くないんだ、決して戦闘状態ではありませんとか、いかにも実態はそうじゃないのに、詭弁を弄する。はっきり言えば、どれだけうそを並べればいいんだろうというくらいに感じるようなそういう政治、政府の姿というものからして変えていかないと、私が先ほど申し上げた、文化をつくりかえていくということにはならないというふうに思いまして、これだけは絶対言っておきたいなと思って今申し上げたんですけれども、それだけ今回の刑法の改正がすごく根が深くて、問題が大きくて、問題の本質の解決につなげていくためには、単に法定刑をいじればいいという話ではないんだということをぜひ共通の御理解をいただければなと思います。 どんなに凶悪な犯罪を繰り返す人でも、持って生まれたときのDNAあるいは遺伝子、これも生まれたときから凶悪な遺伝子を持って生まれてくる人はいないわけで、子供たちの少年犯罪を見たって、子供の犯罪がどんなに低年齢化したって、子供が持って生まれるときのDNAはどんなに時代が変わったって変わらないんですよ。子供はやはり子供らしく、すばらしいDNAを持って生まれてくる。 しかし、さまざまな犯罪も、あるいは非行にしたって、社会がつくり出していってしまう。そういう犯罪を社会がつくり出してしまうにもかかわらず、犯罪を犯した人をまた社会がつまはじきにしていってしまう、そういう文化にだけは絶対にしてはいけないと私は思いますので、ぜひ、今回の刑法の改正が、ここで私が今るる申し上げました懸念をしている文化につながらないように、逆に、私がこっちの方がいいんじゃないでしょうかと申し上げた、そういう文化につなげていく努力を、まず政府、政治みずからがつくっていけるという考え方に、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○南野国務大臣 先生が今るるおっしゃられたこと、これについては大変意味深長であろうかなというふうにも思っております。先生の御理解してこられた部分についても賛同する部分もございますが、今回の改正は、治安回復のための基盤整備、それについての重要な問題点であります。さらにまた追加して、今までの法案になかったプラスの法案で、集団的な強姦、そういうような問題点もこの中に新しくつくり入れたものでございます。 単に罰則を強化するだけでは治安の回復を図るのに十分であるとは考えておりません。政府は、昨年十二月、犯罪対策閣僚会議におきまして、総合的な犯罪対策として、犯罪に強い社会、それの実現のために行動計画を策定しております。現在、例えば平穏な暮らしを脅かす身近な犯罪の抑止のために、地域連帯の再生等の各種施策を推進しているところでありまして、今後とも、この行動計画の実施に全力を挙げて取り組み、我が国の治安の回復を図っていきたいと思っておりますので、ぜひこの法案については御理解いただきたいというふうに思っております。
○鎌田委員 質疑時間が終了ですのでもうやめますけれども、大臣、御就任された際にマスコミのインタビューにお答えをされているのを私見まして、正直、その当時びっくりしたんですが、法務大臣就任について、大臣は、治安が悪化しているこの日本の状態を女性の力で何とかせいということでの私への指名なのでしょうという場面がありました。そのとき、私がびっくりしてちょっと危惧したのは、治安の悪化、だから治安対策を強化する、犯罪に強い日本をつくると。それと関連しているかどうかわかりませんが、一番初め、この委員会が始まったときに、民主党の山内議員が人権に対する大臣の意識を問うている場面がありました。 私は、今申し上げましたように、質問の中でも続けてきましたように、治安対策、治安の不安を払拭していくということは非常に重要なテーマだと思います。安心して暮らしていけるような社会をつくる。しかし、やはり問題の本質は、犯罪が起きない安全な、安心な社会をつくり出していく、そちらの方に、本当の本質のところに目を向けていかないと、それこそさっきのピンクチラシと同じです。刑罰を上げれば済んでいくのか。そしてまた、もしかしたら何年後かにやはり下げましょうかと。上げましょうか、下げましょうかの繰り返しではとんでもない話でございまして、そんな簡単な話ではない。やはり問題の本質にしっかりと目を向けて、そして、大きな刑法というものを改正するに当たっては、しっかりとした論拠、裏づけがあって成り立っていくものだと思います。 最終的に採決、きょう予定ございますけれども、賛成すべき点も往々にございますので、きっと賛成で立っているのかなと思いつつも、しかし、刑法の改正、やはり正直申し上げて、まだまだ議論の時間が足りなかったんじゃないか、やっつけ仕事だったんじゃないかという疑問はぬぐい切れませんということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○田村(憲)委員長代理 次に、樽井良和君。
○樽井委員 民主党の樽井良和です。同僚議員に続き、刑法等の一部を改正する法律案についての質問をいたします。 私、きのう、地元の堺にあります大阪刑務所に岡田克也代表と一緒に視察に行ってまいりました。そういった経緯も踏まえて質問させていただきますとともに、ちょっと順序の方、通告していたものと前後することもあると思いますが、その点も踏まえてよろしくお願いします。 まず、刑務所を視察して、実際にデータとしてあるんですが、三年未満の受刑者、これが実に四四%を占めている。それで、全受刑者の平均が大体三年三カ月だ。そして、そういった中で実際はもう過剰になっておりまして、収容率一〇九%になっていまして、そういった中で今回の刑法を一部改正する法律案を実行しますと、例えば三年の刑期が、今四四%あるわけで、五年ぐらいになった場合、物すごく入ってこられる方がふえる、居残りの方もふえる。当たり前なんですが、これは物理的に考えて、現在でも体育館などは三交代制をとらないと使い切れないでありますとか、あるいは六人部屋をベッドを横に継ぎ足して八人にして何とか対処しているという状態なんです。 これは物理的に、この法律が通った後、どんどんと収容されていったときにどういうふうな対処をされるのか、まずお答え願います。
○南野国務大臣 先生、きのう、大阪御視察、御苦労さまでございました。私も東京の方に前回訪問させていただきました。 先生が思っておられる御不安と私が感じた不安は一緒だな、本当に、個室へ入っていただきたい方が二人部屋になっていたりする、そういう情報を得ておりますので、そういう事柄についても早急に考えていかなければならないというふうには思っております。 このたびの法改正によってどの程度の人員が増加するかということを予測することは、もう先生も御存じのように大変困難なことであろうかなというふうに思っておりますが、刑務所の拡充を含めた所要の措置を、本当に先生方とともに、一緒にやっていきたいというふうに思っております。
○樽井委員 当然、犯罪を減らすということも大事ですし、そして、外国人の方、特に四五%を中国人の方が占められていて、そういった方が日本で犯罪を犯された場合、例えば二十年の懲役になった場合、最初の何年かは日本で刑に服すのですが、中国に帰ってその残りは刑に服すとか、そういった措置もどんどんとっていかないと、さらにこれは深刻になっていくと思われるというのが現状でありました。そういったことも踏まえて、今後、対応の方、まずよろしくお願いしますということであります。 そして、この法律を考えるというか考案するに当たって、まずデータ的な部分からいくんですが、例えば、アメリカで実際に重罰化を実行して、犯罪件数というのは減少したんでしょうか、どうでしょうか。
○大林政府参考人 公表されている統計によれば、一九九一年以降、アメリカにおける主要な犯罪の認知件数及び発生率は、ともに減少傾向にあると承知しております。また、御指摘のように、これとほぼ時期を同じくして、アメリカの刑事法におきましては、一般に刑罰を強化する立場での改正が進められてきたと評価する見方も存するところではございますけれども、犯罪動向の推移は刑事法の改正によって直ちに決せられるというものではなく、このような減少傾向の原因が当該法令の制定等にあるか否かは必ずしも明らかではございません。
○樽井委員 また、そういったデータとともに、ちょっともう一個お聞きしたいんですが、このたびの法改正に当たり、実際に、服役中の受刑者でありますとか、あるいは刑期を終えて社会復帰した方、そういった方からは意見を聞かれたんですか。
○大林政府参考人 服役していた方あるいは再犯者、受刑者などに直接意見の聴取を行ってはおりません。しかしながら、こうした人たちの処遇等に関与する関係機関等とは、今回の改正についての協議を行っているところでございます。
○樽井委員 当然、服役している方あるいは社会復帰している方、そしてまた再犯してしまった方とか、そういった実際の受刑者も、こういった場合にどういうふうに思うかというのをちょっと一回聞いてみるべきだと私は思います。そういったこともまず御配慮していただきたいと思います。 そんな中で、刑務所の職員の方が言っておられたんですが、犯罪の原因なんですけれども、教育やモラルというものももちろんあるんですが、景気にかなり影響されている。失業率と収容率、これはリンクしていると言うんですね、グラフを見たら。だから、実際にはこれは、例えば刑期を延ばすとか、そういったことよりも、景気の回復であるとか、あるいは失業率が原因ではないかというふうに思うんですが、その辺に関しての見解はいかがですか。
○大林政府参考人 犯罪の原因につきましては、一概に述べることは困難でありますけれども、社会環境や経済情勢、社会における規範意識の低下、国際化の影響等のさまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えております。 今委員御指摘の景気の問題は、財産犯についてはやはりかなり影響があるんじゃないかというふうに私は個人では思っております。
○樽井委員 実際に、シュワちゃんじゃないんですから、アイル・ビー・バックとか言う人はいないわけです。出たときには、二度と戻りたくない、こういうふうに思って出ていくんですよね。それなのに、実に、例えばB級のこの大阪刑務所、犯罪者の方がいたんですが、六割、再犯して戻ってくるんだと。全国平均でも五割ぐらいの再犯率というのがあるんです。それが、この法改正に当たって、厳罰化すれば再犯する可能性というのが低くなるというふうにお考えなんでしょうか。
○大林政府参考人 今回の改正によりまして再入率がどの程度減るかを予測することは困難でございますけれども、我が国の刑務所等においては、受刑者を改善更生させて社会復帰させることを基本とした処遇を進めているところであり、今後ともこのような処遇をさらに進めるべきであるとする行刑改革会議の提言を踏まえた処遇の充実を図るとともに、仮釈放者に対する保護観察の一層の充実強化を図ることにより、円滑な社会復帰や再犯の防止に努めてまいりたいと考えております。 具体的に申しますと、確かに、今度刑罰を上げる部分が多いわけでございますけれども、犯行のときには重大な犯罪を犯す、しかしながら、その後反省される、あるいは被害者との意思疎通を図られるということになりますと、これは、御案内のとおり仮釈放という制度もございますし、こういうものを両方併用しながら刑事政策はやっていくべきものだというふうに考えております。
○樽井委員 厳罰化すれば、もうこんなところ戻りたくない、だからもう二度とせぬとこう、そういった心理が働くというのは当然考えることだとは思うんですが、実際に、かつてのような、よく小説でありましたけれども、外へ行くと、本当に、寒空の中でパンも食えない、職にもあぶれている、だから、刑務所に行った方がちゃんと食事にもありつけるし、一応の仕事もできて、生活、寝泊まりというか雨風を防げるので、ちょっとした軽犯罪をわざと犯してでも刑務所に戻ろうというような、そういったストーリーとか、あるいは実際にもそういったことがあったんだと思われます。 そんな中で、かつてのそういった時代と比べたら現在はもっと豊かになっていて、すごく文化的な世の中になっているので、精神的なものでは、相対的に、昔と比べれば、今は外の世界がおもしろいがゆえに、刑務所の中が、さらに精神的には、同じ刑期であっても厳罰化されたのと同じだけの精神的なダメージというものがあると思うんですけれども、その辺の見解の方はいかがでしょう。
○横田政府参考人 刑務所に入ることによる精神的なダメージというのは、調べたこともございませんし、なかなかはかりがたいものがありますし、また、それは受刑者個人個人のことであろうと思いますので、必ずしも一概に言えないと思います。 今委員がおっしゃいましたように、確かに現実に、中には、刑務所の中の方がいいと言って志願した、そういう新聞記事などもあることでございますので、今の委員の御質問については、精神的な面といいますとなかなかお答えは難しいということで御勘弁願いたいと思います。
○樽井委員 それとともに、同僚議員も聞いていたんですけれども、現在というのは、例えば二十年ぐらいたてば浦島太郎のような状態になります。今から二十年前を考えたら、携帯電話もなければ、インターネットなんかだれも使っていないような時代です。 そういうふうな中で、長期間刑期があればだんだんと社会復帰が難しくなっているというのは目に見えていまして、さっきの問題でいえば、失業しているから、職がないからもう一回犯罪を犯すという方がたくさんいらっしゃる。社会復帰できなくしておいて、それで、そういった失業させた状態で置いたらまた戻ってくるので、この辺で一回、ちゃんとした教育の時間もつくらないといけないというのが率直な感想なんです。 実際には、中で、手作業とか、そういうことをやっておるんですけれども、それで手に職をつけるのもいいんですが、さらに、例えばパソコン教育であるとか、このデータを見たら、三十歳ぐらいの方が一番多いんです。大体三十代の方が受刑者に一番多いので、まだまだ、世の中に出てやり直そうと思えば、一生懸命やればやり直せるし、先がある方が多いので、きちんとした教育をやっていただきたい。 こういったところで、そういった教育に対する方針とかいうのがありましたら、ぜひお願いします。 〔田村(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
○横田政府参考人 お答えいたします。 刑務所の教育といいますのはいろいろありますけれども、まず、最初に委員がおっしゃいました、社会復帰が困難になっていくんじゃないかということにつきましてですが、その点につきましては、釈放前になりますと、いわゆる釈放前教育といいまして、社会に戻ってから違和感を覚えたり、あるいはうまく溶け込めたりすることができなくなるようなことがないように、一定の期間、そういう教育訓練をしております。 それから、一般的な刑務所の中の教育につきましては、さまざまございますけれども、大きく分けまして、生活指導というようなこと、それから教化教育、勉強ですね、そういったこともしておりますし、それから職業訓練、これは委員きのうもごらんになっておりますが、職業訓練とかさまざまなことを常時やっておりまして、社会適応能力を失うことのないように努めておりますし、今後も努めてまいります。
○樽井委員 実際には、そういっても、社会に復帰できずに就職先も決まらない、そういった受刑者がほとんどだと思います。 そんな中で、やはり、刑務所の中から例えば担当者を決めて、チューターみたいにずっと世話をして、外に出たときも、きちんと就職先が決まるまでちゃんと面倒を見るとか、何かあったらおれのところに相談してこいよみたいな、そういった担当者の方も必要だと思います。 また、就職にしても、なかなか決まらないものですから、例えばグレーゾーンの働く場ですね、刑務所の中ではないんだけれども、服役、そういった懲役は終わったんだけれども、一日に一回ぐらい指導を受けたりとか、あるいは一週間に一回指導を受けながら、そこには監視の方がいて、刑務所の外にでも、そういった受け入れがたい方が、ちょっとほかの工場よりは安いぐらいの給料でもいいから、きちんと雇ってあげられて管理できるような、刑務所ではない、完全に外ではない、真ん中のグレーゾーンの期間をもうちょっと設けないと、なかなか生活に戻ることができないと思うんです。それは堺の刑務所の職員の方も実際おっしゃっていたことなんですけれども、その辺はいかがですか。
○津田政府参考人 受刑者の釈放後のケアということであろうかと思いますので、保護局の方からお答え申し上げます。 委員御案内のとおり、仮釈放という制度もございまして、これは、刑期満了前に釈放されまして、早い段階で保護観察に移行させた上で社会内での復帰を図るという制度でございます。そのようなことで再犯を防止することをやっております。我が国における刑事政策上、非常に重要な制度でございますけれども、この仮釈放後におきましては、保護観察官と保護司が一緒になりまして、仮釈放者のケアというもの、今おっしゃいましたようなことに努めておるところでございます。 また、特に長期から釈放、仮釈放になった等の場合におきまして、更生保護施設という施設もございますので、そこで一定期間、社会復帰のために、居住する、あるいはそこで就職等も探すというようなことをやっております。
○樽井委員 刑に服しているときは全く自由度がゼロで、それで出たらいきなり自由になる、そういった変化ではなくて、途中に、例えば五年の刑期ならば、三年刑務所にいたら二年ぐらいは、半分ぐらいの管理下に置いて、外にも出られるよというような、移行期といいますか、フェードアウトするグレーゾーンをつくるのが、割と社会復帰をスムーズに行うのには大事だと思っておりますので、その辺、ぜひ、また御検討いただければと思います。 それで、ちょっと時効のお話に行きたいんですが、十五年の時効が二十年になる。そんな中でお伺いしたいんですが、例えば時効のぎりぎりぐらいに検挙される、この可能性というのは大体何%ぐらい、全体の検挙の中ではあるんでしょうか。
○岡田政府参考人 時効ぎりぎりで検挙される事案というのは、恐らく罪種なり手口なりによって異なる部分もあると思いますが、何%という数字は必ずしもとっておりませんけれども、殺人事件などですと、年に、あるいは一、二年に一件程度、犯行後十五年ほどした時点で検挙されるという事案が見られております。
○樽井委員 延ばしても、小説なんかでも、大体文筆家なんかは締め切り日に仕上がるんですよね。例えば十五年を二十年にしたら、十五年の近くになったときに緊張感を持ってぐっと一気に捜査するというのが、二十年になったら、それがちょっとあやふやになって延びてしまう。それはそんなことはないよといっても、潜在意識の中で何となくまだ時間があるやと思ったらぼんやりしてしまうというようなことがあるのではないか、その辺もちょっと気になっていたものですから伺ったんです。 これは検挙率を上げないと、やはり同一犯がなかなか捕まらないものだから、例えば婦女暴行なんかにしても、捕まるまで次から次へ犯罪を犯していくわけですね。そんな中で、検挙率を上げないといけない。 何か検挙率を上げるための努力とかシステムとか、そういったものはあるんでしょうか。
○岡田政府参考人 まさに、私ども、少なくとも刑事警察の領域におきましては、犯罪を検挙するということは最重点の仕事でございます。 検挙率という概念で申し上げますと、犯罪の認知を減らして検挙をふやせば検挙率が上がるわけでございます。検挙率を上げるというか、検挙実績を上げるためには、今委員御指摘にありましたように、私ども、重点といたしますのは、犯罪として非常に悪質、凶悪な事案、それから連続的に行われるということが大変重視されるわけでございます。 そのために、日々新たにと申しますか、あるいは体系的にも、昨年は、犯罪に強い社会の実現のための行動計画などもつくられておりますが、そうした中で、組織や人員の効率的な運用ですとか地方警察官の増員、あるいは捜査官のプロとしての能力をどうやって高めるか、さらには科学捜査力をどう強化するか、外部の機関との連携強化をどうするかといったことについて、日々努力をしているところでございます。
○樽井委員 捜査については、ちょっと後でもまた詳しく、時間があれば追求していきたいと思うんです。 実際に、この法律、例えば、被害者の厳罰化を求める意識というのがかなり大きなモチベーションを占めていると思うんです。それから、自分の愛する方とか子供とか婚約者とかをこんな目に遭わせてこれだけの刑期かよという思いというのがかなりこの厳罰化というものには入っていると思うんです。 それがモチベーションなんですが、捜査状況に関しても、当然、被害者は、説明を受けたりケアがなければ、大きなショックを受けただけでなくて、警察からもう一回、いろいろな面で二度ショックを受けることになると思うんです。 厳罰化だけでなくて、被害者の意識を何とかしてあげようというのであれば、被害者のケア、説明、こういったものも必要なんではないかと思うんですが、その辺はいかがですか。
○岡田政府参考人 今の問題につきましては、委員御指摘のとおりであろうかと思います。私どもも被害者に対してどのように対応していくかというのはかなり重大なテーマでございまして、特にここ十年ほど前から、被害者対策、被害者に対してどのようにいろいろな説明をするか、あるいは被害者に対する対応における心配りということについては、被害者対策要綱といったものをつくりましたり、あるいは捜査員のための被害者対応マニュアルを各都道府県につくらせたりいたしまして、さまざまな施策を講じているところでございます。
○樽井委員 さまざまな施策を講じているということなんですが、それでも、結果が伴わなければどうしようもないんですね。 ここでちょっと大臣に登場してほしいんですが、大臣は警察に調書をとられたことはございますか。
○南野国務大臣 調書をとられた事実ということについては、私の母が死亡しましたとき、通夜を済ませて、葬式を済ませて家に帰ってきましたらガラスが壊されていて、もう二階から何から大変だったわけです。今私は妹の方にその家を預けているものですから、妹がいろいろと聴取を受けたという事実はございます。
○樽井委員 調書のとり方なんですけれども、どういうふうに感じられましたか。
○南野国務大臣 先生の御質問があると思いまして、ゆうべ、妹に早速聞いてみました。妹に聞いてみましたら、いろいろとやりとりがあって淡々と済ませたけれども、丁寧に聴取はされた、だけれども、ピッキングなのか泥棒さんなのかわかりませんが、その方がまだ捕まっていないので、その方を早く捕まえてほしいなという話がございまして、一人で寝るのも怖いからセコムにしようというようなことまでは段取りをとることができました。
○樽井委員 大臣以外にも調書をとられた方はいらっしゃいませんか。——ああ、どうぞ、ちょっと同じように聞かせてください。
○富田大臣政務官 平成四年だったと思いますが、ちょうど今ごろ、経営しておりました法律事務所に空き巣が入りまして、二十万円盗まれて、机をいろいろ壊されました。被害届を出しましたので警察の方に呼ばれまして、事情聴取を受けて、十本の指の指紋を全部とられて非常に不愉快な思いをしたことがあります。
○樽井委員 私はもう何十回というぐらい、空き巣に遭ったりバイクを盗まれたり、いろいろなことで警察の方に呼ばれ、何回も調書をとられたことがあります。 そんな中で、被害者への配慮を叫ぶ割には実際に被害者への配慮ができているのかというのを、言われるのは、こういうことをやっています、ああいうのをやっていますと言うんですけれども、実際にそれを受けた被害者がどう感じるかということなんです。取り調べ中、横柄な態度をとられたり、面倒くさそうに、気だるそうに調書をとるわけですよ。あるいは、怒りやショックからまだ立ち直っていないのに、僕が強姦に遭われた方から聞いたんですが、そんなところに行くから、おまえ、強姦に遭ったりするんだよとか、そんな言い方をされたと。 実際に、被害者の方、今回重罰化することによってある程度の配慮をするという中で、警察自体がそういう配慮をしておったらだめだと思うんですね。例えば、強姦に遭われた被害者がいたら、女性の優しい取り調べ官が出てきて、どうしたんですか、こんなことになって大変ですねというような対応をとらないと、さらに被害者の傷が深くなっていく、そういうことが考えられるんですが、そういった思いやりとか、そういった部分ではどうですか。
○岡田政府参考人 どうも、そうした御指摘をいただくことというのは、私ども、しばしばあると思っております。 ただ、犯罪捜査をしてまいる際に、被害者の方から、お話ししたくない、被害者の立場に立てば話したくないというようなことはたくさんあるわけでございます。しかし、私ども、真相を解明していくために、お話ししたくないことについても、詳しくというか綿密にいろいろ事情をお聞きしなければならないこともございます。 それから聞き方も、大変上手な者もおりますし、コロンボのように大変うまくやってくれる刑事もいますし、なかなか不器用な警察官もおります。 ただ、一般論であえて若干の弁解を申し上げさせていただきますと、我が国の警察というのは非常に丁寧に事情聴取をすると思います、外国に比べまして。 そうしたことのプラス面もあるのではないかと考えておりますが、ただ、御指摘にありました性犯罪の被害者の方などというのは、特に男性警察官である場合には本当の心の内側がなかなかわからないというようなことも多々あるのではないかと思います。そうした反省も踏まえて、事情聴取をする警察官が、女性ができるようにということで、女性警察官にそういう教育をしたり、聞く刑事をふやしたりといった努力などもいたしております。
○樽井委員 中には取り調べのときに無愛想な警察官もいるかもしれないというようなことなんですけれども、私は、例えば十回ぐらい行って、一回、ちょっとまともな人がいたかなというぐらいでしたね。もう十中八九、ちょっとひどい対応だったわけです。実際に、あの捜査官なり調書をとった方を例えば私が自分の会社で雇うかというと、絶対雇いませんね。あんなの、スーパーマーケットだったら一発で首になると思います。 そういった配慮が全くできていないから、被害者が犯罪者に対して怒りを感じながら、捜査中にその警察官に対しても怒りを感じながら、二重に憤りを感じながらいかないといけないという状態は、国としてはもう絶対に回避しないといけないと思うんです。 そういった中で、いろいろな対処をしていかなければなりません。実際に捜査のやり方も本当に非効率きわまりないから、そういった面に対しても怒りを感じずにはおれないというのが、私なんかも、多々実感としてわいたんです。 例えば現場での証拠収集なんかにいたしましても、テレビの刑事ドラマだったら、格好いい刑事が来て、てきぱきとやるんですが、何か、これが怪しいじゃないかと言ってもそこを無視していたり、勝手に、どうでもいいところから指紋をとったり、例えば車上荒らしなんかされていても、あんなものは高精度のカメラでばしゃっと撮れば、被害状況というのは写っているわけです。それをわざわざ汚い絵をかいておるんですよね。ここにガラスが割れていますとかいって、矢印を書いて。それを、だれが見て、どう判断して犯人を捕まえるのか。全く不効率きわまりないわけです。 被害届などの書類作成が本当に遅いんですよ。例えば、カードを盗まれるなんというのは、最近しょっちゅうなんですよ。それで、カードを盗んで、その後、すぐ近くの店とか、コンビニであればローソンであるとか、あるいは紳士服のところとかで即座に使われ始めているんですよね。それなのに、では、どこでとられましたか、それは何時ですか、確かですかと、ゆっくり書いているんですよ、手書きで。その間も犯罪は起こっておるわけですよ。しかも近所ですよ。 あんなもの、素人目から見ても、例えばそこで犯罪があったんなら、ぱっと今監視カメラに映った人をだれかチェックするとか、すぐ捜査官が走ってやらないと捕まらない。それをしないと、次の被害者が同じところでまた同じような車上荒らしに遭ったりするんですよね。 それなのに、全然そういったことが不効率で、例えば現代の技術を使えば、カードを盗まれたのだったら、そのカードの番号をぱぱぱっと警察が打ったら、カード会社と連携していて、一瞬で使えなくなって、使ったときには、ぱっと、その人は怪しいですよというのが店に行くようになったりとか、そういうシステムというのができそうなものじゃないか、こう思うわけです。 ところが、それを書いて、その被害届が出るのはいつですかと言ったら、一日、長かったら二日ぐらいしたら、ちゃんとまた確認して提出しますよと。リアルタイムで犯罪が進行している中でもそういった対応しかできないというのは、本当に、捜査状況、現代としては一昔前のようなやり方だと私は思っております。 例えば被害状況、会社の経営者なんかそうなんですけれども、そういった書類もつくらないと保険がおりなかったりとかするものですから、そのたびに、忙しいのに、再三警察に足を運ぶわけです。 あんなもの、普通にブックパソコンでもあって、被害のデータをカタカタ打っておけばいいものを、例えば店とかで商品を盗まれていたら、私も経験あるんですけれども、一個ずつ書いていくんですね。ぬいぐるみ一個幾ら、何々が何ぼ、またそれを、全部が幾らかといったら、計算機で一本の指で足しながら、二、三時間待たされるんですよ、結果が出るまでずっと。あんなもの、エクセルか何かでばっとやっていて、それだったら、個数をすぐ表計算できるじゃないですか。何でそれぐらいのことが、日本の警察官、優秀な日本人ができないのか、そういうふうに思うんです。 そういった捜査状況、捜査のやり方自体、被害者の方をいらいらさせないで、そしてやわらかく接して進めていくような気があるのかどうか。そういった施策も、今はできていなくても、将来的にはe—Japanの中ではやろうと思っているのか。その辺、ちょっとお伺いしたいのです。
○岡田政府参考人 そうした工夫を含めて、さまざま改善しなければならないことはあるんだろうと思います。 私どもの反省としても、いささか完璧主義的過ぎる、満点主義的過ぎる仕事の仕方があるのじゃないかと私自身も思っているところもありますし、私も今スローガンの一つとして掲げているのは、より速く仕事をするということであろうかと思います。 ただ、パソコンですとか、そういった機械類の使用というのは順次進めておりますが、若干過渡期みたいなところがございます。若い人は大分能率よくやっているんですけれども、年のいった人がそれをやると、かえって一本一本でこんなことをやって、そんなことをしないで手書きでさっさと書いてくれよというような苦情も来たりしておりますものですから、そういうこともさまざま踏まえながら対応してまいりたい、このように思っております。
○樽井委員 例えば、自転車一台とられて二時間以上にわたって調書をとられたりしたら、こんなもの、本当に不効率きわまりないので、その辺の改善というものは国を挙げて取り組んでいただきたいと思います。 実際に小泉総理大臣も、民営化するというのは、姿勢としてはそういうことだと思うんですよね。例えば、公務員でやっているんだというんじゃなくて、日本警察株式会社なんだ。そして、犯罪者を捕まえたら、凶悪犯を捕まえたら幾らとかいってもうかるんだ。それで、被害者自体がお客さんなんだと。それを考えたときも、こんな捜査をするんですかということなんですよ。例えば民間に警察があったら、もっと効率よく、もっと最新の機器を使って、さらに検挙率を上げるようなやり方を開発したりとか、そういったことに取り組んでいくと思うんですね。 そういった部分をぜひやっていかないと、被害者が犯罪者に対して怒りを感じているんならともかく、警察にも頭にきたよなんという、それはなくしていかないと、かなり問題だと思いますし、また、そういった信頼感が国と国民との間には必要なんだ、そういうふうに認識をしておりますので、ぜひ、警察の対応、そして捜査のスピーディーな効率化、こういったものに尽力していただきたい、そういうことを意見として申し上げさせていただきます。 ちょっと厳しいことを言って申しわけありませんでしたが、実際に近々に私も車上荒らしに遭いまして、何と選挙用のたすきまで盗まれておるんです。それで、被害状況を説明しに行ったら、忙しいのに、物すごくのんびり調書をとられて、それで、あなたは何やかんやと偉そうに言っておきながら、職業は何ですかと言って、一応衆議院議員なんですけれどもと言ったらいきなり態度が変わって、違う人が、上司っぽい人が来て、いきなり調書をとり始める。一般の市民だったらその対応なんですから、それはぜひやめていただきたい、そういうふうに思います。(発言する者あり)よくあるパターンですね。 そういうことなく、信頼関係、警察も、何やかんや言うてもあんなんやないかというのがないように、警察はすばらしいんだ、そういったふうにちょっとでも近づけていただけたらと強く願って、その質問を終わります。 そして次に移りますが、罰金というのがありますね。罰金も上げようというのがあるんですが、これは、そのときのインフレあるいはデフレ、こういった率も考慮して、貨幣価値を踏まえた金額に変動すべきじゃないかと思っております。 そういった迅速な変動をちゃんとしているのかどうか、これも一つ質問として聞きますが、あわせて、窃盗とか詐欺、いわゆる財産犯、この財産犯にはもっと多くの罰金刑を科して、そのお金がぜひ被害者に返るようにしていただきたい、そう思うわけです。 実際に、殺人犯の場合でしたら、謝られようが、どんな裁判になろうが、無期懲役になろうが、うちの息子は帰ってこないよ、そういった思いもあるわけですけれども、例えば五千万詐欺に遭った方というのは、五千万戻ってきたら戻ってきたんですから。 実際におかしいのは、詐欺師が、あるいは詐欺とかした財産犯の犯人が物すごくゴージャスな家に住んでいて、ベンツに乗っていて、被害に遭われた方が借家住まいで、ちょっとお金、来月支払い、子供の授業料困っているんだとか言いながら、被害に遭ったのに、その方は、刑務所に行くのはいいんだけれども一円も返ってこないとか、これはちょっとおかしいと思うんですね。 そういった状況の中で、やはり財産犯というのはもっと罰金を、被害額に達するぐらいまで罰金を取って、保険はそのときに調整したらいいんですが、やはり被害者に返すべきだ。例えば五千万だまし取ったんだったら、その犯人の家を売ってでも五千万返す、なくなるまでやるんだ、もうそれぐらいの意気込みで、意気込みというか法律があってもいいんじゃないかと思うんです。 そういうところこそ厳罰化してもいいと思うんですが、罰金に関しての見識なり所見なり、いかがでしょうか。
○大林政府参考人 まず、罰金の金額の引き上げについて今どうなっているかということについて御説明いたしますと、罰金刑の額につきましては、経済事情の変動等に伴い、昭和二十三年の罰金等臨時措置法、それから昭和四十七年の同法の改正及び平成三年の罰金の額等の引上げのための刑法等の一部を改正する法律により、順次引き上げているところでございます。 平成三年の場合は、昭和四十七年から平成三年までの消費者物価上昇率が一六八%ということで、これを改定したものでございます。その後、平成三年から最近までは、刑法自体の罰金は全般的には上がっていません。これは、消費者物価上昇率が三%にとどまっているということもあります。 ただ、財産犯等における罰金刑のあり方等については今後の検討課題であるというふうに私ども認識しております。 それから次に、窃盗や詐欺などの財産犯について罰金刑を科すべきではないかというお尋ねがございました。 財産犯の罰則のあり方につきましては、御指摘のように、罰金刑を活用すべきであるという御意見があることは承知しております。この点、法制審議会の附帯決議におきまして、強盗罪や窃盗罪などの「罰則の在り方については、近年の犯罪情勢等を踏まえ、他の財産犯に係る罰則の在り方も視野に入れつつ、更に検討すべき」ものとされています。 御指摘のように、体刑のほかに選択刑として罰金刑を設けること、あるいは刑罰の種類の中に、犯行態様別に加重処罰類型を設けるというようないろいろな考え方があろうかと思います。これについても必要な検討を行っていきたいと考えております。 それから、もう一つ御指摘があったものは、罰金刑により国家が得た金銭を被害者に返還すべきではないかという御指摘がありました。 これは、今申し上げるようにちょっと隘路がございまして、一般国民が被害に遭うことの多い窃盗や詐欺といった犯罪には罰金刑の定めがなく、一方で、酒気帯び運転や速度超過などの道路交通法違反や薬物犯罪などの特別法違反といった、直接の被害者がいない犯罪に罰金刑が定められている例が多いという現状にございます。またもう一方、罰金刑の執行により得た収入は、会計法第二条の規定により、一たん国庫に納付しなければならず、歳入と歳出の混交が禁止されていることから、罰金刑により得た金銭を被害者支援の財源として直接使用することは、現行法上できないような形になっております。そういう隘路があって、現行制度では非常に今のところは難しい。 しかしながら、今御指摘のように、財産犯自体に罰金を設けること、あるいは被害者に対しての賠償のあり方といいますか、それをどうやっていくかということについては、これはいろいろな角度から今議論されているところでございまして、そういう御指摘も踏まえて、今後さらに検討していきたいと考えております。
○樽井委員 例えば物でありますとかそういった場合、単純な話なんですが、車でもスクーターでも、とられたら、それが見つかったら返ってくるわけです、本人のところへ。ある程度改造されていたりはするかもしれませんが。お金の場合に関しては、とられているのに、ああ、返ってこないよ。これはちょっとおかしいと思うんですよね。 その犯罪をした本人がお金を持っているんだったら、それは当然、詐欺で稼いだお金なんだから被害者に返すべきだと思うんですけれども、その辺はいかがですか。
○大林政府参考人 それは御指摘のとおりだと思います。 実態としては、例えば、刑事裁判になる、あるいは捜査中であっても、被害弁償をして、刑を軽くする、あるいは不起訴にするという事例が少なからずあります。ですから、間々そういう不合理な事態が起こる事象もありますけれども、それは今のような制度で弁償されている事例も少なからずあるんじゃないかなというふうに思っております。
○樽井委員 大体、窃盗とか、被害に遭われた方のもとに物が返ってこない、お金が返ってこない、それで初めて被害者になるというわけでありまして、やはり一たん被害に遭われても、全部返ってきたら、被害者の方も大分落ちつきますし、それでもう構わないということになると思うんですね。 この辺、ずっと詐欺とかで蓄財している犯人からは、やはり被害者のもとに返す。債権取り立て屋じゃないですけれども、もういろいろなものにばっと、被害に遭われた方のもので買っているんだから、一たんとって国が管理して、被害者に還元する、それぐらいのことをしてしかるべきだと思います。 実際に犯罪に遭われた方は、ある意味で国が保護してやれなかった、そういった責任もあるわけだから、ある程度の保険的な部分で、その罰金をちゃんと返してあげるんだという制度をぜひ、全額じゃなくても、少しでも、債権取り立てみたいに返してあげるべきだと私は思いますので、その辺も十分検討していただきたいと思います。 それで、私、弁護士会の方もこれは書いていましたが、罪にも、事情や責任のあり方、人間性、これを考慮されるべきだ。 実際にちょっと気に入らないのは、懲役がふえるのは、それは、悪いやつはどんどん悪いやついますから、ある程度わかるのですが、下限がふえるという部分に関して、特に殺人罪でこれを考えた場合、例えば、飲んだくれのおやじか何かが家で暴れて、子供をいつも殴りつけて、もうたまりかねて奥さんが刺し殺したんだ、そういった件でも、では、奥さんが長いこと服役するということになると、子供をだれが面倒見るんや、そういった部分も多々出てくる。確かに犯罪なんだけれども、これは人間としていろいろな状況を見た場合、仕方なかったんやないかという犯罪もやはりあると思いますので、下限を上げるというのはどうかと思うのです。この辺、いかがですか。
○大林政府参考人 故意に他人の生命を奪うという凶悪犯罪の典型ともいうべき殺人罪について、その法定刑の下限が、酌量減軽をしなくても執行猶予を付することができる懲役三年とされているのは、現在の国民の正義感に照らせば寛大に過ぎると思われることから、これを五年に引き上げる改正を行うものでございます。 もっとも、現実に発生している殺人事件を見ますと、御指摘のように、情状に酌量すべきものがあり、執行猶予に付すのが相当ではないかと思われるものもございます。そのような事案につきましては、酌量減軽の判断を経た上で執行猶予に付した方が国民からもわかりやすい司法判断のあり方ではないか、こういうふうに思うところでございまして、酌量減軽によって執行猶予を付すことが可能な範囲で法定刑の下限を引き上げることにしたものでございます。
○樽井委員 その判断基準はどういったことになるんでしょう。例えば、キャバクラで遊ぶ金欲しさに全然関係ない人を殺してお金をとって逃げたような人と、本当に失業していて、子供が腹が減ってしようがない、そんな状況でばっと何かをとって逃げた方というのは、これは同じだけの被害額とか同じ罪であっても全然違うわけですけれども、その辺の判断基準というのは、やはり裁判とかそういったところで、どういった形式というか、過去の事例とかで決めていくということでありますか。
○大林政府参考人 御指摘のとおり、殺人罪をとってもいろいろなケースがあると思います。情状において同情すべきもの、そうでないもの、これは、例えば検察でいえば、当然それは多数の事件を扱っていますからそれなりの蓄積がありますし、裁判所においてもやはりそれはそうだと思います。ですから、そういう過去の事例等も参考にしながら判断しているものだというふうに思っております。
○樽井委員 例えば、最低の懲役が三年から五年になった場合、過去のを踏まえたら、当然これは、本当だったら二年や一年でもいいんだけれども三年ぐらいになっていたものが、五年になったから、もう五年だから仕方ないや、五年にしようというようなことになるんですか。過去の事例を見て判断するんだったら、当然、二年や三年だと思われるぐらいの罪の場合、これは五年に上がっていますよね。そういうときは情状酌量になるのか、それとも、もう五年になってしまうのか。五年という最低は初めてなわけですから、その最低に合わせるということになるんですか。
○大林政府参考人 個別の事件、いろいろありまして、一概には言えないところでございますけれども、今回五年ということが定められますと、まず基準となるのは、殺人罪は五年以上ということが基準になると思います。ただ、その実態においていろいろ考えられる情状酌量のものがあれば、当然、五年に対して二年半まで下げられる。そうすると、執行猶予は懲役三年までつけられますので、二年半から三年までの刑を選んで執行猶予に付するという形になろうかと思います。
○樽井委員 そうした複雑な人間性も考えられるべきだと思いますので、私は、何回言っても、やはり上限は上がっても下限を上げるべきではない、強くそのことは申し上げておきたいと思います。 実際に、この後、採決ということになってそういうふうに決まってしまいますと、もうこれは実行してしまうわけですが、それも、ずっと後々経緯を見て、これはおかしいんじゃないかと思ったら早急に判断してまたもとに戻す、現行法のままの方がよかったんじゃないかといえばそういうふうに改善していただきたい、この辺も強くお願いいたします。 それで、ちょっと話は戻るんですが、きのう施設を見て説明を受けたんですが、大阪刑務所で受刑者が二千八百二十九人収容されている。これは、十年前より千人ぐらいふえているらしいんですよね。なのに、職員の方が二十人しかふえていないんだと。 これは質問通告はしていないんですけれども、職員が本当にわずかしかふえずに、受刑者がふえていっている状態であって、休みがもうほとんどないんですよ、これを何とかしてくれませんかという話をきのう伺ったんですが、職員の今後の処遇なりそういった対応なり、御検討しているのであればその辺をお聞かせください。
○横田政府参考人 お答えいたします。 おっしゃるように、被収容者の数は激増していると言ってよいと思います。それに対して、それの伸びに応じて職員の数がふえていることではありません。委員もきのうごらんになりましたように、職員は大変厳しい状況の中で一生懸命頑張って、とにかく誠実に職務を執行しているというのが実情でございます。 私どもといたしましても、このような状況にありますので、これまでも、過剰収容に対しましては、収容能力の拡充と、そしてもう一つ、やはり要員の確保ということを大きな柱としてまいりました。そういうことで、最近は財政当局の御理解も得まして、かつてなかったような増員も実現しておりますし、今後とも私どもは引き続き要員の確保に努めまして、処遇の充実化、そして職員の負担の軽減に努めてまいる所存でございます。
○樽井委員 職員の方が、ぼやいていたということはないですけれども、休みが例えば月二日だとか、そんなレベルになっていると。私たち国会議員もそれに負けないんですが、それでも、それは公務員として考えた場合、当然、規定としてはおかしいので、改善すべきだと思うんです。その辺は、もしそういうふうな訴えがちゃんとあって、今度人員がふえてきてこういう状態だという報告があれば、それに対する改善をちゃんとしていただけるんでしょうか。
○横田政府参考人 先ほども触れましたけれども、職員の厳しい勤務状況というのは私どもも十分承知しているつもりでございます。したがいまして、それの軽減、緩和にこれからも努めてまいるということでございます。
○樽井委員 職員の方も充実していただかないと、その刑務所の職員だけはかなり過酷なんだというのもちょっとまた筋が違うんじゃないかと思っております。 それで、外国人対応の職員、これも本当に少なかったんですね。実際に、外国人犯罪者の方が来たらいろいろ通訳される方がいるんですけれども、これも本当に人数が足らなくて、十人ぐらいで、毎日激務だという状態なんですけれども、その辺は調査的にはどうなっておりますか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 外国人の被収容者も大変ふえてきております。そして、その使用言語もどんどん、少数言語も含めまして三十、四十といった大きな数になっておりまして、通訳人もつきますし、職員もそれだけの言語に対応できないことがありまして、大変な職務過重負担になっていることは事実でございます。 それにつきましては、先ほど申し上げましたように、やはり要員の確保、もちろん職員の確保ということがありますし、それからもう一方では、通訳業務に関しましては民間委託ということをやっておりまして、これにつきましても今後ともそういう面で拡充いたしまして、職員の負担を少しでも軽くしたいと考えております。
○樽井委員 実際の中のシステムを見ますと、本来何個かはネットワークでつながっているんですが、要するに、暇な刑務所もあるわけです。そんな中で、外国人の犯罪者の数が違うところに服役された外国人の犯罪者がいたら、そこでネットで通じて、テレビ電話でもいいからちゃんと通訳できるシステム、これを国を挙げて構築すべきだと思うんですね。 どこに犯罪者の方が来ても、例えば国の中枢部分で物すごく翻訳能力のある方が待機されていて、その会話を聞きながら同時通訳でどんどんと送り込んでいくというようなシステムの必要性を感じましたが、その辺は所見の方はありますか。
○横田政府参考人 委員がきのうごらんになりました大阪刑務所は、府中刑務所と並んで、いわゆるF級といいまして、日本語の能力、会話といいますか、理解能力のない人、本当に外国の言葉しかわからないとか、そういった人たちが集中しております。ほかのところにもよく言語がわからない人もいますけれども、それにつきましては、府中と、きのうごらんになりました大阪につきましては国際対策室というのがございまして、そこで、ほかの十分な言語対応力がない者につきましても、テレビあるいは電話で通訳を即時にするというシステムができ上がっておりまして、できる限りの対応はしているつもりでございます。
○樽井委員 これから、こういったシステム対応でいろいろな受刑者へ対応していくのか。最初の話に戻りますけれども、例えば、人員がふえるのは、この法律が通ったら確実だと思うんです、刑期がふえるわけですから。 そんな中で、建物をふやすということは考慮されているのか。今あるところにすし詰めにしていくということなのか、それとも、新たにこういうのをつくる計画があるということなのか、その辺、ちょっとお伺いしたいんです。
○横田政府参考人 お答えいたします。 いわゆる収容増に対しましては、いろいろな対処策がありますけれども、それは建物の中を改造するということもありますし、増築するということもあります。それから刑務所を新設するということもございまして、現在、私どもは、いろいろな方法で収容能力の拡充に努めているところでございます。
○樽井委員 そういったところもちゃんと改正していかなければならないと思います。 実際に、落としどころと言いましたらちょっとあれなんですが、今回のこの法律が通って、刑務所の中を考えた場合、堺の場合ですが、現在外国人が一六%収容されている。これを日本が受け持つのか、それとも、半分ぐらいは当然その国に帰っていただくようなちゃんとした対応、手続できるような条約なり結んでいかなければならない、こう思います。 これである程度人員を減らさなければならないと思うんですが、条約的に、ほかの国と、相手の国の国民がこっちで犯罪を犯した場合、どういうふうなことで対応しているんですか。
○横田政府参考人 お答えいたします。 昨年の六月から施行している法律で、国際受刑者移送法というものがございます。これは、外国で受刑している日本国民あるいは日本で受刑している外国人につきましては、国際的な協力のもとで、その本国にそれぞれ移送しまして、そして刑の執行の共助をする、そういう制度ができ上がっております。 ただ、これもきのう御説明を受けたかもしれませんけれども、この国際移送法というのは、現在適用がありますのが、これは欧州評議会の国際移送条約というものに加盟しているものについて適用されることになっております。しかし、それに、今いわゆる来日外国人の受刑者で大きな比率を占めております中国あるいはイランという国が加盟しておりませんので、現在、その人たちについて移送ができないという状況にございますので、これにつきましては、私どもも何とかそういった移送ができるようにしたいということで、現在努力を重ねているところでございます。
○樽井委員 この法律が施行されたときはどんどんふえてくるのは目に見えているんですから、そういった対応も迅速にしていただいて、先ほどからも言っておりますように、個人的な見解ですが、ちゃんとしたグレーゾーンの機会を、完全に刑に服しているのか、それとも全くフリーなのかという間の、刑務所にたまに、一週間に一回ぐらい研修を受けに、状況を報告しに来ればいいというような期間も設けて、なるべく、長いこと刑務所にずっといるような状態というものを少しずつ減らしていっていただきたい、こういうふうに思います。 実際に、服役した後、更生されなければ全く意味がないと思っております。人間というものは、基本的に、こいつはやからだとか、そんなふうな目で見られたり、ずっとそういうことを言い続けられていると、やはりそれなりに、ぐれると言えば言葉は悪いですけれども、すさんでくるようなところがありますので、そういった部分でも改正が必要なんじゃないか、こう思いました。 きのう見て、例えば音楽なんかでも好きなのを聞くようなこともできない。クラシックとか聞いているうちに精神的に落ちついてきて反省するというような部分もあると思いますので、そういったいろいろな科学的な見地とか心理学の面から見ても、ただただ刑期を長くすれば犯罪が減るだろうとか、あるいはそうすべきだとかというのじゃなくて、人間としての、ちゃんと更生させてあげるんだという強い気持ちを持ってこの法が施行された後もやっていただきたいと思いますので、その辺を強く強調して、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございます。
○塩崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○塩崎委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 内閣提出、刑法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○塩崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○塩崎委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。伴野豊君。
○伴野委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 刑法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 治安を早期に回復するため、治安対策要員の増員、施設の拡充、法制の整備など、多角的観点からの基盤整備について、積極的に努めること。 二 強盗等の罰則については、近年の犯罪情勢等を踏まえ、財産犯の一部の罪に罰金刑を選択刑として新設するなど、他の財産犯に係る罰則の在り方も含め、さらに検討に努めること。 三 有期刑の法定刑及び処断刑の上限が引き上げられたことにかんがみ、長期受刑者の処遇については、社会復帰を円滑に進め、仮にも否定的な影響を与えることのないよう、十分に配慮すること。 四 性的自由の侵害に係る罰則の在り方については、強盗罪等の法定刑の適正化を図りつつ、それらとの権衡を考慮し、さらに検討に努めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○塩崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○塩崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。南野法務大臣。
○南野国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じております。 —————————————
○塩崎委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○塩崎委員長 次に、内閣提出、参議院送付、民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 順次趣旨の説明を聴取いたします。南野法務大臣。 ————————————— 民法の一部を改正する法律案 債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○南野国務大臣 まず、民法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 中小企業が融資を受ける際には、経営者等が保証人となって、継続的に発生する不特定の融資債務を保証する根保証契約がしばしば結ばれております。そして、現行法においては、根保証契約の内容について何ら規制もないため、保証の限度額や保証期間の定めのない、いわゆる包括根保証契約が結ばれることも少なくありません。しかし、現在の厳しい経済情勢のもとで、個人の保証人が予想を超える過大な責任の追及を受ける事案が多発しており、根保証契約の内容を適正なものとするための措置を講ずる必要があるとの指摘がされております。 また、明治二十九年に制定された民法のうち、第一編から第三編までの財産法部分は、片仮名、文語体の表記のまま現在に至っており、古めかしい用語や表現も多数残されていることから、わかりやすい現代語に早急に改めるべきであるとの指摘もされております。 この法律案は、これらの指摘にこたえるため、民法の見直しを行うものであります。 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、貸金債務等について個人の包括根保証を禁止するなど、根保証契約の内容に合理的な規制を加え、根保証をした個人の保証人が予想を超える過大な責任を負うことがないようにしていることであります。すなわち、貸金等根保証契約において、極度額の定めのないものは無効とし、元本の確定すべき期日についても、契約締結の日から五年を経過する日より後の日を定めたときは、その定めを無効とするとともに、その定めがない場合には、契約の締結の日から三年を経過する日に元本が確定するものとしております。さらに、主たる債務者または保証人が債権者から差し押さえを受けたとき、破産手続開始の決定を受けたとき、または死亡したときも、貸金等根保証契約における元本が確定するものとしております。 第二に、民法を現代語化することであります。民法の第一編から第三編までの片仮名、文語体で表記された条文を平仮名、口語体にするとともに、現在では一般に用いられることのない用語を他の適当なものに置きかえております。これらの措置によって、国民生活と密接な関係にある民法を、表現や形式の面でも身近でわかりやすいものに改めることにしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 次に、債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 近時、企業金融のあり方について、不動産担保や個人保証に過度に依存した資金調達手法を見直す必要があると指摘されており、企業資産のうちこれまで十分に活用されてこなかった不動産以外の資産、具体的には、動産や債権を担保目的または流動化目的で譲渡することによって資金を調達する方法が注目を集めております。しかしながら、現行法のもとでは、動産を活用して資金を調達しようとしても、動産の譲渡を第三者に公示する制度が不十分であるという問題があります。また、債権を活用して資金を調達する方法についても、現行の債権譲渡登記制度においては、債務者の特定していない将来債権の譲渡を登記することができないという問題があります。 そこで、この法律案は、法人がする動産及び債務者の特定していない将来債権の譲渡についても、登記によってその譲渡を公示することができることとして、動産や債権を活用した企業の資金調達の円滑化を図ろうとするものであります。 この法律案の要点を申し上げますと、第一に、法人が動産を譲渡した場合には、動産譲渡登記ファイルに動産譲渡登記をすることによって、対抗要件を具備することができることとしております。 第二に、動産譲渡登記について、その申請手続や登記事項の開示方法等の登記手続を整備しております。 第三に、法人が債務者の特定していない将来債権を譲渡し、または当該債権を目的として質権を設定した場合にも、債権譲渡登記ファイルに債権譲渡登記または質権設定登記をすることによって、債務者以外の第三者に対する対抗要件を具備することができることとしております。 なお、この法律の制定に伴い、政省令の制定等所要の手続が必要となりますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○塩崎委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○塩崎委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となっております両案審査のため、来る十九日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、明十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時四十五分散会