法務委員会 第3号
- 発言数
- 96 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 2004/11/02
会議録
○塩崎委員長 これより会議を開きます。 第百五十九回国会、内閣提出、民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案につきましては、第百五十九回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○塩崎委員長 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長房村精一君、厚生労働省大臣官房審議官新島良夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局高橋民事局長及び山崎家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。鎌田さゆり君。
○鎌田委員 民主党の鎌田さゆりでございます。 質問に先立ちまして、冒頭、多くの人々の生きていてほしいという願いむなしく、無残な殺され方をしてしまいました若き青年、香田さんの死を悼み、そしてまた国内においては、たび重なる台風被害、そして地震被害で今なお日常の生活を取り戻せない多くの国民の皆様に対して、お見舞いとそしてお悔やみを申し上げたいと思います。 それでは、きょうは、さきの通常国会に引き続きまして審議されておりますけれども、きょうも採決前に三十分お時間をいただきましたので、早速質問に入らせていただきたいと思います。 南野大臣、御就任おめでとうございます。 先週の委員会で、我が党の伴野筆頭理事が南野大臣を御自身の母親に似ているというふうに称されていましたが、振り返りますと、私自身は、九年前に政治活動を始めた際、仙台の市会議員に立候補したとき、南野先生、応援にわざわざ仙台に来てくださいまして、そのときのことをいまだに深く心に覚えております。 その先生と、今、国会で、この法務委員会で質問に立たせていただくことを光栄に存じながら、きょうは大臣とお呼びをしなければなりませんし、大臣、そして今日本の司法は百年に一度の司法制度改革、大変な時期を迎えているこのときに、そんな大臣とともにこの委員会に所属をし議論を交わせるということを幸せに思っておりますので、ぜひ、この間ずっと大臣がおっしゃっていらっしゃいます、心を込めて本気で取り組んでいくというその姿勢をもってきょうの委員会でも御答弁いただきたい、まずそのことを御期待申し上げたいと思います。 きょうは、民事関係手続の迅速化、効率化ということなんですけれども、まず、この中には、さまざまな効率化と迅速化をねらって、それを目的としていろいろな制度改正が盛り込まれておりますが、私が疑問に感じたり、あるいはこれはしっかり異議を唱えておかなくちゃいけないと思ったその優先順位をつけまして、五つ六つやりたいのですけれども、時間が三十分しかないのでどのくらいやれるかなんですが、まず一番初めに深く疑問に感じたのが、物件明細書の作成というものについてなんですね。 大臣、まずお伺いしますけれども、この物件明細書というものが競売手続の中において非常に重要な役割を担っていると私は思いますが、大臣の御認識はいかほどでいらっしゃいますでしょうか。
○南野国務大臣 先生お問いになっておられることに関しましては、本法律案では、民事執行手続を一層迅速なものとするため、現在は裁判官が判断することとされている事項のうち、幾つかを書記官が判断することとしております。 現在の実務においては、書記官が物件明細書の原案を作成した上、裁判官がその原案を審査して物件明細書を完成することになりますが、その原案は裁判官の判断と一致するものが通例であると言われております。また、これまでに書記官による物件明細書についての研究または論文が数多く発表されておりますけれども、いずれも高い評価を受けておりますし、このような書記官の実績等に照らしますと、書記官が物件明細書を作成することとしても、その適正さを害するものではないというふうに考えております。 そこで、本法律案では、不動産競売の手続が一層迅速になるよう、物件明細書については書記官が作成するということにしたことであります。
○鎌田委員 大臣が今御答弁いただいたことは、私どもも手にしている調査室の資料ですとか、さまざまなところに書いてあります。何度も読みました。 しかし、大臣、私が今御質問をさせていただきましたのは、物件明細書が競売手続の中においてどれほど重要かというその認識度合い、大臣はどう御認識ですかと尋ねさせていただいたのでございますので、今お読みをいただきましたのは、この今回の法案で改正になりました手続の概要というか中身というか、そういうものだと思います。物件明細書がどれほど重要かというものを再度伺います。
○南野国務大臣 先生御指摘のとおり、大変重要であるということは私も承知いたしておりますが、その物件明細書は、買い受け人が引き受けるべき権利、その存否や法定地上権の成否等について、そういうものが明細する機能を有し、手続的に重要な役割を持っておりますから、重要であるということには変わりありません。
○鎌田委員 大臣、大変恐縮でございますけれども、何かしら、物件明細書がその手続の中において非常に重要だと。権利がどちらに行くか、あるいはもう極端な話、出ていかなくちゃいけないか、立ち退かなくちゃいけないか、そこに残っていていいのか、あるいは裁判を進めていく中で判決が途中でひっくり返って、まるっきり逆の判決が出てしまって、そういう事例もたくさんあるわけなんですね。それだけ物件明細書に書かれてあることの正確性とかそういうものが問われていて、非常に重要だというその認識、その気持ちが、済みません、私にはほとんど伝わってこないんでございますね。 それで、今回、物件明細書の作成権限を裁判所書記官が有するようになったというのは、冒頭大臣から御答弁ありましたのでわかりました。しかしながら、これだけ重要なものを書記官が作成するということに対して、私は、そんなに簡単にいいのかしらというふうに感じている一人なんですね。 実際に現場では書記官が作成をしているというのも今ございましたけれども、これは本来は執行裁判所の権限、物件明細書の作成は。執行裁判所の権限で間違いありませんよね。
○南野国務大臣 それは、先生おっしゃるとおり、裁判所の権限であります。
○鎌田委員 済みません、素朴な疑問で質問しますが、執行裁判所の権限であるものが、しかし今回、書記官に作成の権限が移されるわけなんですけれども、公明正大な、社会に通用する制度上では執行裁判所の権限だったものが、しかし実務実態では書記官がやっているから、そして書記官に非常に優秀な方がいて、もう裁判官を大変サポートしていて、社会的にも認められている、だから今回法律を改正して制度化するということは、はっきり申し上げて、手抜きの実態を後追いする思想がこの法案に盛り込まれている、そのように私は申し上げたいと思います。 本来、実態として書記官がなさっているということを、実態としてですよ、それは否定しません。そして、優秀な方もいらっしゃる、書記官のモチベーションを高めていきながら、さらにそういう充実化を図っていくという、それは否定しません。 しかし、大臣が冒頭おっしゃったように、書記官に非常に優秀な方がいて、そして実態はそうやっているから制度化するということを、最高裁あるいは法務大臣みずからがそういうことを言ってしまっていいのだろうか、そういう気持ちを抱いているのは私一人ではございませんということを申し上げたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○房村政府参考人 御指摘のように、現在の物件明細書、執行裁判所の権限に属しておりますが、その物件明細書を作成する過程では書記官が非常に大きな役割を果たしております。これは大臣から御説明申し上げたとおりでございます。 ただ、裁判官が中身もチェックせずに判こを押しているかというと、それはそういうことはないわけでありまして、裁判官としては、書記官から上がってきた物件明細書を再度調査いたしまして、チェックをして、必要な事柄については書記官と協議をした上で最終的に物件明細書を作成しているわけでございます。 完全にそれをやっていないということであれば、それは書記官権限にしたとしてもほとんど迅速化に資せないわけでございまして、現在、書記官がやり裁判官がチェックをして、しかし、ほとんどの場合において結論が一致しているということを踏まえて、そういうことであれば書記官の方々の判断にゆだねても支障はないであろうと。 また、書記官の能力を向上するために研修所等を設けて、裁判所において書記官の能力向上については常に気を使っているところでありますし、また、書記官の方々も物件明細書については積極的な研究をしてその能力向上を図っているわけでございますので、そういう実態を踏まえて、法務省としては、手続全体の迅速化を考えれば、任せたとしても何ら支障はないのではないか、こう思っているところでございます。
○鎌田委員 きのう最高裁から御説明いただいたお話と今局長がお話しになったのとでは全然、まるっきり逆なんですよね。書記官の方が実際はつくっている、しかしそれを裁判官がチェックすることはまずないと。現場と局長が把握しているのと違うんじゃないですか。 その最高裁の説明に来た方、非常に素直で、私、すばらしいと思ったんですよ。実態だってそうだと思いますもの。逆に、いや、ちゃんと裁判官がチェックしています、そんなことを言ったら、うそを言うんじゃないよと思いますもの。正直にちゃんと実態をおっしゃっている。 しかし、局長が今お話しになったのは、それは世間体というか体裁というか、そんなことを言ったって通用しないですよ、その現場の実態としては。 だから、書記官の方が実際にやっている、そして非常に優秀で、書記官の方が作成をしても、判こを押しても大丈夫なんだというような現場の実態があるのであれば、そして今回の法案になっているのであれば、百歩譲って、いいとして、しかし、今現在さまざまなところで、この物件明細書の記載に関して、誤記載のために判決がひっくり返って、権利の存否というものがあっち行ったりこっち行ったりしているというような現実をしっかりと受けとめていただいて、物件明細書の記載については、最終責任はどこが負い、そして誤記載が決してないように、御答弁にありますように、買い受け人にとってこれは非常に重要な役割を担っているものですから、そういうところの保障というものをしっかりしていただきたいと思いますので、もう一回答弁、大臣、よかったらお願いします。
○房村政府参考人 私どもとしても、物件明細書が適正に作成されるということが重要だということは十分認識しているつもりでございますし、また、今回書記官権限化をしたとしても、裁判所においてもその努力はしていただけるもの、こう思っております。
○鎌田委員 ただいまの局長の答弁のとおりにこの物件明細書の作成がちゃんと進んでいきますように。 次に、扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制について伺いたいと思いますが、大臣、まず冒頭伺いたいと思います。 この金銭債務についての金銭による間接強制、今回、扶養料等にかかるわけですけれども、これは我が国で初めての制度導入で間違いございませんね。
○南野国務大臣 おっしゃるとおり、初めてです。
○鎌田委員 大臣は、看護師さんの大ベテランでいらっしゃって、命や人権のとうとさを非常に強く心に刻んでいらっしゃる方で、そういう土台でもって法務大臣におなりになって、そして日々、きっと、法務省あるいはさまざまな方から、今日本が取り組んでいる司法制度改革について、レクチャーというか、今一生懸命いろいろな知識を吸収されているところだ、大変不遜な言い方ではありますけれども、そういうときだと思います。 ですが、この金銭債務に対する金銭による間接強制が我が国で今初めて導入されようとしている、私はこれも非常に重く受けとめておりまして、これが今日本で初めてなんだということぐらい、秘書官から、あるいは周りからそうだということを聞かずに、そうだという御答弁を私はいただきたかったなというふうに思います。なぜなら、後で聞く質問にもかかわるからなのでございますけれども。 では、伺います。 この金銭債務に対して金銭による間接強制を認めること、これは、考えようによってはというか、私の場合、非常に、不思議なというか、おかしいなというか、摩訶不思議なというか、理論的にどうやって納得したらいいんだろうというふうな疑問を禁じ得ないんですけれども、改めて伺いたいと思います。
○房村政府参考人 御承知のように、間接強制というのは、債務の履行をしない場合に、いわば制裁金を裁判所が定めて、その制裁金の支払いを義務づける、こういう制度でございます。 金銭債権については、従来この間接強制は認められておりません。それは、例えば、金銭債務を負っている者がお金がなくて払えない、こういう事態に陥っているときに、そのお金を払わないと、例えば余分に月何万円の割合で制裁金を払え、こういうようなことになりますと、債務がどんどんいわば膨らんでしまう、非常に過酷な結果になりがちである、そのようなことから、金銭債務についての間接強制は従来認められておりませんでした。 今回、扶養義務については、いわゆる金銭債務ではございますが、かなり特殊な性格がある。金銭債務一般は、資力があろうがなかろうが、ともかく払わなければいけない、こういうことになるわけですけれども、扶養料につきましては、まず、これを決める段階で、支払い能力を十分勘案した上でその負担額が決まってくる、こういう性質があります。また、途中で、例えば失職したりして収入が落ちたというような場合には、この額を減額するということも手続的に認められております。そういうことから、扶養料については、その支払い能力を十分考慮した額の負担になっている。 そういうこともありますので、これについては、その他の事情、特に扶養料について、これを必要とする人がいわゆる強制執行までやらなければならないとなると、その手続的負担が重い、そういうことも考慮いたしまして、今回、扶養料に限って間接強制を認めるということとしたものでございます。
○鎌田委員 いかに金銭債務に対する金銭による間接強制が重要なというか、実際にそれを受ける側にすれば大変重いものだということが今の説明でわかりました。 だからこそ、今回の扶養料等に限っての導入だということなんですけれども、それに限定して導入をする、そして我が国で初めてこれを導入するということですから、私は思うんですが、きちんと、この制度を導入するだけの背景や理由、そういうものがないとこれは導入すべきじゃない。非常に危険なというか、本当に破綻状態にまで追い込んでしまう、そういう制度の導入であると思いますから、それだけの裏づけのデータをとっているのだろうか。それで、それをちゃんと国会に示して、だからこそこの制度導入なんですというものもあわせて必要だと私は思うんです。 今回のこの法案のテーマになっている扶養料等、これに関してのデータというものがどれほどとられているのか、実際に家庭裁判所の履行勧告あるいは履行命令、これがどれだけ、この法案、これで限定しているものですよ、これに対してどういうデータがちゃんととられているのか、お答えいただきたいと思います。
○房村政府参考人 この法案と言われるとちょっと問題なんですが、履行勧告につきましては、家庭裁判所で、平成十五年で約一万五千件でございます。ちなみに、その結果を申し上げますと、約一万五千件の履行勧告がなされまして、全部履行が約四千件、それから一部履行がされたのが約四千件、残りが不履行その他ということになっておりますので、約五三%が、全部または一部が履行された、こういう結果になっております。 それから、履行命令でございますが、これにつきましては、例年、履行命令が出るのは十二件程度でございます。平成十五年はやや多くて二十九件でございますが、そういう形で、履行勧告と比べますと著しく利用件数が少ないということになっております。
○鎌田委員 今、二つ、局長からの御答弁で問題があると私は思ったんですけれども、今回の法案に関してだとちょっと問題があるんですけれどもという表現は、つまり、今回の法案で対象になっている、限定されているその費用に関しての履行勧告、命令のデータはないということなんです。それに特化してのデータはない、これが一つ。 それからもう一つは、履行命令、命令の方、こちらに関しては著しく少ないという答弁が今ありました。つまり、今回の我が国初めてのこの制度導入に当たって、これだけもう履行勧告、命令もやっているんだから、それでもだめだから間接強制をかけるんだというような、こちらの方からの説明、納得には到底及ばないんですね。 ですから、私は、今回、この制度導入に当たっては、この履行勧告と命令というものを、今回の法案のテーマになっているもの、ここに対してもっと勧告、命令の制度を活用してからでも遅くないのではないか、そういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○房村政府参考人 まず、今の履行勧告等の件数でございますが、これは扶養料等に限定した統計ではありませんので、この法案に関係するものに限った数とは申し上げられないと言ったわけでございます。これは家庭裁判所で決まった負担でございますので、実情としては、その大半は扶養料等あるいは夫婦間の負担というもので、今回の法案の対象になっているものだろうと思っております。そういうことで、そのトータルの数字を申し上げたわけでございます。 それから、間接強制を今回利用するようになった経緯でございますが、これは、金銭債権に間接強制をすると過酷な結果をもたらすのではないかということは、法制審議会においても随分議論されました。 そのとき、なぜ今回このようなことになったかということですが、一般に扶養料等の債権額というのは、月額五万とか、多くても十万とか、その程度の額でございます。これを強制執行しようと思いますと、手続費用の方が余分にかかってしまいます。そういう意味で、滞納されたときに、その扶養料の権利者がそれを実現するために非常に困る、こういう指摘をかねてから受けていたわけでございます。 先年の改正におきまして、継続的な給与債権等を将来分も含めて差し押さえができる、一回の差し押さえによって以後継続的に取り立てができるというような改正をしたところでございます。これによりまして、その都度申し立てをしなければならないという負担は相当軽減できたと思っております。 ただ、現実に扶養料等で困っている方々から指摘を受けたのは、給与債権を差し押さえすると、会社にその差し押さえをしたことがわかってしまって、会社にいづらくなってやめてしまわなきゃならないということも起きるんだ、そういうことを心配すると、せっかくつくってもらった制度だけれども差し押さえができない、こういう声を受けたわけでございます。そのことから、差し押さえをしないまでも、何とか強制力のある執行方法がないかということが考えられたわけでございます。 それからもう一つ、扶養料等を支払わない人に対する調査結果で、約半数以上が、お金はあるけれども払わない、嫌がらせとかその他で払わない、こういう結果もあるわけでございます。ですから、そういう人たちに対しましては、いわば間接強制のような心理的強制をかけても過酷な結果をもたらすおそれはありませんし、また、間接強制であれば、会社に知られていづらくなるというおそれもないだろう、そういうことから、今回、間接強制の導入を考えたわけでございます。 また、条文の中で、間接強制を命ずるときには、債務者の状況を調べて、仮に扶養料を支払うことによって生活に困窮するような場合には、裁判所はそれは出せないんだ、そういうことも条文でも明定いたしまして、そういう不都合が生じないような最大限の努力はしたつもりでございます。
○鎌田委員 不都合が生じないように努力をする、そしてそれも条文の中に盛り込まれているという御答弁が最後ございました。そのとおり見受けられます。 私が先ほど来懸念をして申し上げている点はそういうところで補っていきたいというお気持ちなんでしょうけれども、条文の言葉を見れば、言葉的には非常に理想です。「債務者が、支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき、」を除きと非常に理想的な言葉が並んでおります。しかし、これは切り分けをどういうふうにやっていくのか、あるいは、金額の決定はだれが、はっきり申し上げてだれの主観で行っていくのか、一定の基準もないわけですよね。 だから、裁判官が、あなたはどういう状況ですかと、そういうときに、それに対して説明をするのは、私のような、全然法曹関係者じゃないような、そういうごく一般の市民が、私の状況はこうですと一生懸命説明しなきゃいけないわけですよ。それに対して裁判官が、きちんとそれぞれそれぞれのケースに基づいて事情を勘案して、そして間接強制の金額を決定していくということが非常に重要であります。 今局長おっしゃったように、月額五万円、養育費で払うことを約束していた人が、もしかしたら、月額それを超える額で間接強制金をかけられる、そういうことだってあり得るわけでしょう。上限を設けているわけないですよね。上限を設けたらいいのではないかという話も法制審議会で何だか出ていましたけれども。だから、非常にこれは、その運用の仕方によって、やはりみんなが心配をするところなんでございます。 ですので、その金額決定に当たって裁判官が、それぞれのケース、事情に応じて、債務者に対して過酷な状況にならないように、その運用を適切に、きちんと丁寧に行っていくということを再度確認したいと思います。
○房村政府参考人 御指摘のように、今回の法律で基準までは書いてございませんが、しかし、どういう事柄を考慮すべきかということの中に、そういう債務不履行が行われたときに債権者、いわゆる扶養料を受ける側がこうむる不利益、それから債務者の資力、それから従前の債務の履行の態様、それは、たまたま今回、一回支払いがおくれただけなのか、従来から何回もおくれて、催促があってもなかなか払わない、そういう形態だったのかというような、そういうことを総合して考慮するようにということで、考慮要素はできる限り掲げたつもりでございます。 こういうものを手がかりにして、裁判所が個別的な事情を十分当事者から聞いた上で適切な判断をしていただけるのではないか、こう思っております。
○鎌田委員 適切な判断をしていただけるのではないかという、ちょっと人ごとのようにも聞こえますけれども、そうではなく、非常に重要な問題でございますので、ぜひ今の答弁のとおり適切に運用を図っていただきたいと思います。 次になんですが、これは南野大臣に、きっと大臣お得意の分野、専門の分野にかかわる問題ではないかなと思いますので、ぜひ大臣の決意を含めた答弁をいただきたいなと思って質問いたしますけれども、執行官による援助請求でございます。 民事執行のために必要な場合があるとき、官庁または公署に対して援助を求めることができる、そういう権限を執行官に与える制度が今回導入されたわけなんですけれども、これは、まさにその現場に携わる人たちにとっては、今まで警察等に対しては援助請求できたけれども、特に、お年寄りですとか寝たきりの御老人の方ですとか、そういう方々を非人道的に、ほれ、どけろというふうに外におっぽり投げたからといって、後はどうなるのというのも大変な問題でございまして、その後の受け入れ先ですとか、どういう施設があいているのかとか、そういう情報を持っている行政に対して執行援助を求めていくということは、これは現場の悲願であったということを改めて大臣にもお伝えをしたいと思います。 そこでなんですが、きょうは厚生労働省からもお呼びをしておりますので、これは法務省としてはきっと悲願でありましたから、大臣として改めてこれを、大臣御就任の間に、全国津々浦々にこれに関する仕組みができ上がるように、その決意のほどなどを伺いたいな。 さらに、厚生労働省からは、それを受けて、各自治体に対して、健康、福祉等、民生、衛生等の機関に対してしっかりとした通達を仕組みづくりに対して行っていくというようなお気持ちがあるのか否か、きっとあると信じておりますけれども、あわせて御答弁いただきたいと思います。
○南野国務大臣 先生おっしゃるように、この法律案においては、執行官に援助請求の権限を認めております。 これは、例えば、今おっしゃったような、寝たきりのお年寄りのいる不動産の明け渡しの場合に、執行官が福祉機関に援助を求める、そういった形で関係機関との連携を図ることが強く求められているためであります。 この制度の創設は、民事上の権利の実現を図るための民事執行手続の中で、関係者の福祉といった他の利益にも十分な配慮を加える手段を提供するものであり、非常に重要な改正であると考えております。
○新島政府参考人 お尋ねのようなケースにおきます関係行政機関としての対応でございますけれども、具体的事情によって異なってくるというように思いますが、厚生労働省の対応といたしましては、例えば、市町村の関係福祉部局あるいは民生委員による相談支援、あるいは利用可能な保健医療・福祉サービスに関する情報提供あるいは利用のあっせん、こういったことも考えられます。場合によっては、状況に応じて職権による施設への措置というような協力も考えられるのではないかと思います。 いずれにしましても、法案が成立した場合には、具体的状況に応じて適切な対応が図られるように、今般の改正の趣旨それから内容等につきまして、関係市町村等の関係部局に対する周知を図っていきたいというふうに考えております。
○鎌田委員 最後の答弁にはぜひ期待を込めて進めていただきたいと思います。 質疑時間が終了いたしましたので終わりにいたしますけれども、今回の法案は、民事執行手続迅速化、効率化を目指したものでありますから、何も悪気があって法案を書いている人なんかいないと思うんです、みんな、司法サービスを受ける市民のために、よかれと思って書いている法案であると思いますので。ですけれども、運用いかんによっては逆作用を生み出してしまうということをぜひ御認識を改めていただきまして、大臣、その責任者というか監督者が頂点の大臣でいらっしゃいますから、ぜひそこのところを改めて御認識をいただきまして、運用の充実を図ることを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○塩崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○塩崎委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 第百五十九回国会、内閣提出、民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○塩崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○塩崎委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、田村憲久君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鎌田さゆり君。
○鎌田委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。 民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 民事訴訟に関する手続における申立て等が、最高裁判所規則の定めるところにより、電子情報処理組織(オンライン)を用いてすることができるようになったことを踏まえ、その周知に努めると共に、申立て等によって得られた電子情報の管理については十分な注意を払うこと。 二 少額訴訟債権執行制度は、簡易迅速な手続である少額訴訟の利便性をより向上させるため、簡易裁判所において、少額訴訟に係る債務名義による債権執行手続ができるように特別に認められたものであることに鑑み、権利実現がより円滑に行われるよう、その制度趣旨について周知徹底を図ること。 三 売却基準価額制度の導入については、最低売却価額制度の見直しが行われた趣旨が尊重され、執行妨害を助長することなく、売却がより短期間で円滑に行われるよう、十分な配慮をすること。 四 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行を、間接強制の方法により行う場合に、必要とされる債務者の支払能力等の要件を明確に理解できるよう、その趣旨について周知徹底を図ること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○塩崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○塩崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。南野法務大臣。
○南野国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。 —————————————
○塩崎委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○塩崎委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。南野法務大臣。 ————————————— 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○南野国務大臣 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 内外の社会経済情勢の変化に伴い、訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与して、その解決を図る裁判外紛争解決手続が、第三者の専門的な知見を反映して紛争の実情に即した迅速な解決を図る手続として重要なものとなっております。 この法律案は、このような状況にかんがみ、裁判外紛争解決手続についての基本理念及び国等の責務を定めるとともに、民間事業者がいわゆる調停、あっせん等の和解の仲介を行う紛争解決手続の業務に関し、認証の制度を設け、あわせて時効の中断等に係る特例を定めてその利便の向上を図ること等により、紛争の当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、もって国民の権利利益の適切な実現に資することを目的とするものであります。 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一に、裁判外紛争解決手続に関し、その基本理念及び国等の責務について定めるものとしております。 第二に、いわゆる調停、あっせん等の和解の仲介の業務を行う民間の紛争解決事業者は、申請により、その業務の適正性を確保する観点から必要とされる一定の要件に適合するものであることにつき、法務大臣の認証を受けることができるものとし、認証の要件及び手続、認証を受けた民間事業者の業務遂行上の義務、認証を受けた民間事業者の法務大臣に対する報告等について、所要の規定を置いております。 第三に、認証を受けた紛争解決手続の利用に関し、時効の中断及び訴訟手続の中止に係る特例並びに調停前置に関する特則について、所要の規定を置いております。 第四に、法務大臣の官庁への協力依頼等法律の施行のため必要な事項及び罰則に関し、所要の規定を置いております。 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○塩崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○塩崎委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま議題となっております本案審査のため、来る五日金曜日、参考人として明治大学法科大学院教授青山善充君、日本弁護士連合会副会長松尾良風君、埼玉大学経済学部非常勤講師原早苗君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○塩崎委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
○柴山委員 柴山昌彦でございます。 まず冒頭、イラクでの人質事件に関連いたしまして犠牲となった香田証生さんの御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、御遺族の方々に対してお悔やみを申し上げます。また、相次ぐ災害で被災された皆様に対してお見舞いを申し上げます。 さて、本法案、以下ADR法と省略いたしますけれども、これについてただいま南野大臣より詳細な趣旨の御説明がございました。 そこで、南野大臣に改めてお伺いいたします。本ADR法、これを導入することによっていかなるメリットが生じるのか、簡潔にもう一度お聞かせいただきたいと思っております。
○南野国務大臣 裁判外紛争解決の手続につきましては、厳格な裁判手続と異なりまして、紛争の内容等に応じて柔軟な対応が可能である、そういう特徴を有しておりますが、我が国では十分に機能していないという状況にあります。 本法案は、このような状況に対処し、国民の利便の向上を図るため、認証の制度を設け、時効の中断等の特例を定めること等をその内容としております。これらによりまして、国民が紛争の解決を図るのにふさわしい手段を選択しやすくなり、そして国民の権利利益の適切な実現に役立つものと考えております。
○柴山委員 ただいま御説明にもあったとおり、従前、我が国には、司法型ADR、あるいは行政型ADR、民間型ADR、さまざまなタイプのADRがあったわけですけれども、必ずしも利用状況が十分だったとは言えないというように認識しております。 そこで、事務局長の方にお伺いしたいんですけれども、従前、これらのADRはどのような利用状況にあったのか。特に、正式な、公的な紛争処理手続である裁判手続との比較というものについてもできれば教えていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○山崎政府参考人 ただいま委員の方からも御指摘ございましたけれども、いわゆるADRについては三つのパターンがございます。 一つは、裁判所が行う民事調停あるいは家事調停の部類のものでございます。二つ目が、行政機関でございます、例えば建設工事紛争審査会あるいは公害等調整委員会などが行うADRというものがございます。これ以外に、民間団体でございます、例えば全国各地の弁護士会の仲裁センター、あるいは社団法人日本商事仲裁協会、各種PLセンターなどが行う仲裁、調停、あっせん、こういうものがございます。 この中で、ちょっと事件の数を申し上げたいというふうに思います。全般的な統計資料がございませんので、公表されました資料によって、平成十四年度の新受事件で見てまいりたいというふうに思います。 まず裁判所の関係でございますが、民事調停が約四十九万件ということでございます。ちなみに、通常の民事訴訟事件も大体同じ事件数ぐらいでございますので、それと同じぐらいが調停に申請がある、こういうことでございます。家事調停が約十二万九千件という件数でございます。それから、行政機関が行うものに関しまして、建設工事紛争審査会、これは国と地方と両方ございますけれども、これが二百五十五件、それから公害等調整委員会が行うもの、これも国、地方がございますけれども、三十七件ということでございます。そのほか、民間団体で行うもの、弁護士会の仲裁センターの合計でございますけれども、千五十件、それから日本商事仲裁協会が行うものが二十一件、それから消費生活用製品PLセンター、ここが行うものが五十四件ということでございますので、これで比較していただきますと、圧倒的に裁判所ADRが利用されておりまして、民間のものの利用率が極めて悪い、こういう状況にあるというふうに言えるかと思います。
○柴山委員 問題は、こういったADRの利用が大変進んでいないというような現状が、この法律の成立によって劇的に変わるのか、国民の紛争解決の利便性というものがどれだけ向上するのかということだと思っております。 アメリカでも成功しているADRは、コートアネックスドADRというような、裁判所と連携しているようなADRであるというような実情を聞いております。私としては、この法律の成立に加えまして、裁判所であるとか今お話があった弁護士会等、一般に信頼が高いところから、こうしたさまざまなADRの機関に事件を送り込んでいくようなシステムをぜひ確立していただきたいというようにも思っております。 そこでお伺いしたいのが、やはりこの法律が導入されたことによって、どの機関がどれだけこのADR法を利用するのかという見通し、これをちょっと予測をしていただきたいなというように思っております。 〔委員長退席、田村委員長代理着席〕
○山崎政府参考人 この予測を申し上げるのは、結論から言うと大変難しいということになるわけでございます。若干その理由を申し上げたいというふうに思います。 まず、この法案でも、認証を受けるかどうかというのは、その業務を行う民間の事業者の自主的な判断にゆだねているということでございまして、認証を受けなくても業務を行う、こういうことができるという仕組みにしているわけでございます。どのような業界、あるいは団体等が申請してくることになるかということは、現在の時点で具体的に予測を申し上げるのは非常に困難でございますし、また、それを申し上げることによってそれを強制するようなイメージにもなることもございますので、その点については申し上げるのも相当ではないだろうというふうに考えております。 ただ、現状を見てまいりますと、公益法人、あるいはNPO法人、あるいは任意団体といった各種の組織、団体が、金融関係、知財関係、製造物責任、あるいは交通事故、こういうものにつきまして、さまざまな分野にわたって解決手続を行っているわけでございます。ですから、こういう既存の団体の中で認証を申請してくるものも当然予測されますし、それ以外に新たにこの認証を受けて活躍をしていくというものも期待できるわけでございまして、これ、ちょっと数値とかどの分野かということを現在の時点で言うことはできないということで、御勘弁をいただきたいと思います。
○柴山委員 今御指摘のあった認証の任意性ということについては、ちょっとこの後時間をとって質問をさせていただくことにいたしまして、まず認証の基準についてのお尋ねを幾つかさせていただきたいと思っております。 先ほど、本会議におきまして、江田先生の方からも少し御質問があったんですけれども、ADR機関、この認証の要件として、弁護士の関与、これをきちんと定めていることが必要だということが六条の五号に定められております。私は、紛争解決の適切性ということを確保するために、この要件は非常に重要な要件だと思っております。具体的な意味につきましては、先ほど本会議の席で南野大臣が御答弁をされましたので、私はちょっと違う観点からお尋ねをしたいと思っております。 この法文、六条五号を見ますと、要件として「法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときに、弁護士の助言を受けることができるようにするための措置を定めていること。」となっておりますけれども、この専門的知識を必要とするかどうかは一体だれが判断するんですか。 〔田村委員長代理退席、委員長着席〕
○山崎政府参考人 これは、手続の実施をしている手続実施者がおりますけれども、その手続実施者が一番その内容についてよくわかっているわけでございますので、基本的にはそこの判断ということになろうかというふうに思っております。
○柴山委員 ADRに対して、やはり十分な法律的な解決というものにつながらない、どうも不安だと。実際の当事者がそのように不安を抱いた場合に、それでは当事者は、法律の専門家に対してどのようにアクセスをすればよいのでしょうか。
○山崎政府参考人 当事者の選択として二つあろうかと思いますけれども、一つは、そういうような、弁護士が関与していないところで話し合いをするのは嫌だという方もおられるかもしれません。そういう方は、そこでは話し合いをしないという選択をするかもしれません。 ただ、そこでどうしても話し合いをしたいということで、弁護士に関与してほしいという場合には、最初に、申請したときに手続について事業者の方から説明をすることになっておりますので、そこの段階で、その説明を聞いて、弁護士をその手続実施者に加えてもらえないかという希望があれば、その希望を述べていただくということでございます。 事業者によって、そういうことを可能にするルールを決めているところと、弁護士は一切そのパネルの中に入らないで助言だけでやっていくというシステムをとっているところもあろうかと思います。そこはやはり事業者とその申し込む側の最終的な判断で決まっていくということになると思いますけれども、それは手続として加えることは通常は可能であるということになろうかと思います。
○柴山委員 実際に、利害関係を持つユーザー、当事者がやはり法律の専門家の助言を受けたい、当初からではなくて途中からでもそのような希望を持った場合には、主宰者側がこれを最大限尊重して弁護士の助言を受ける、当事者に私はそのような請求権を付与してもよいのではないかなというように思っておりますし、また、当事者が弁護士を代理人としてつける、そうしなくてはいけないということであれば、簡易で廉価な制度として発足をするこのADRの趣旨が私は損なわれてしまうのではないかと思っておりますので、そのあたりはぜひ運用面で御考慮をいただけたらなというように思っております。 さて、認証の基準としてそれ以外に幾つか問題点があると思っておりますが、六条の十五号を見ますと、主宰者の申請者が支払いを受ける報酬または費用がある場合、これはない場合もあるという書き方ですけれども、ある場合には、その額、算定方法、支払い方法その他必要な事項を定めており、これが著しく不当なものでないことというように書いております。 この著しく不当でないことというのは、政令等でその具体的な基準を定めるべきではないかというように思っておりますが、この点、いかがお考えでしょうか。
○山崎政府参考人 この点につきましては、報酬の例えば上限、これを超えるものは著しく不当だということはある程度決めることが可能かと思いますけれども、それ以下のところで、報酬をこういう事件に関しては幾らにするというふうに一律に決めることは、やはり独占禁止法との関係でやや問題が生ずるおそれもございます。 これはもう委員も御案内かと思いますけれども、各士族の報酬規定につきましても、各弁護士会で決めることにはしないで、弁護士会で決めることはやめまして、それぞれの任意の形でやっていくというふうに法改正が行われておりますけれども、それと同じような問題が生じますので、これ以上にわたるものはだめだというようなことは書けるかもしれませんけれども、それ以下の基準について事細かく決めることは相当ではないのではないかというふうに考えております。
○柴山委員 ありがとうございます。 続きまして、六条の四号を見ますと、主宰者、申請者の独立性に関する規定がございます。 申請者の実質的支配者等または申請者の子会社等を紛争の当事者とする紛争について、こうした紛争解決手続の業務を行うこととする申請者にあっては、そうした実質的支配者等または申請者がこの手続を実施する者に対して不当な影響を及ぼすことを排除するための措置が講じられていなければいけないというように書いております。 通常ですと、この手続の主宰者は、手続実施者に対して雇用契約あるいは委任契約を締結しているのが通常の場合だと思いますけれども、こうした利害関係を許容しつつ、その不当な影響を及ぼすことを排除するという文言は、具体的にはどのような措置を想定されているのか、御答弁をいただきたいと思っております。
○山崎政府参考人 この号の表現はかなり難しい書き方になっておりますけれども、要は、親子会社のようなことをイメージしていただければいいかと思いますけれども、その親の会社の方がADRを申請してくる場合とか、それから子の側、子の会社の方がADRを申請してくる場合、この両方が考えられるわけでございますが、いずれにしても、その影響力を実質的に及ぼすような、そういう形を禁止しているわけでございます。 これにつきましては、例えば、事例で申し上げますけれども、手続の実施者に外部の弁護士等が当たるという構成にしている。例えば、親会社の顧問弁護士がそこに加わっていくというようなことではなくて、それ以外の弁護士さん、あるいは弁護士でなくても結構でございますが、それ以外の方々、そういう方々を選任するというシステムになっているということ。それから、もう一つの考え方は、事業者から独立性の高いパネル、いわば委員会でございますが、独立の手続実施者委員会のようなものを構成いたしまして、その事業者からのいろいろ影響を排除できるようなシステムになっている、こういうような手続を持つとかですね。組織的に持つか、人によって決めていくか、こういうようなイメージで考えているわけでございます。
○柴山委員 ありがとうございます。 ちょっと認証要件論で最後にお伺いしたいと思います。 同じく六条の十一号あるいは十四号で秘密保持の関連について規定がございます。実際にこうした組織的なシステマチックな形で秘密保持のための方策を定めていても、具体的に秘密の漏えいというものがあった場合に、認証の取り消しというような事態に至るのでしょうか。
○山崎政府参考人 秘密の保持の問題につきましては、ここに掲げられているわけでございますけれども、では、これに違反した場合に直接罰則規定は設けてはおりません。 問題は、そういうことを行えば信用を失うわけでございまして、迷惑するのは国民、利用者側でございますので、そうなりますと、法務大臣が監督権限の発動をするということで何らかの是正をかけるということになろうかと思います。調査が先行いたしますけれども、それから、必要であれば是正を。それに従わないということになれば、認証の取り消しということにもなろうかと思います。それからまた、刑事罰はございませんけれども、民事上の責任も負う。こういうようなことになろうかというふうに考えております。
○柴山委員 ありがとうございます。 以上で認証の基準についての質問を終わらせていただきますが、次に、本ADRの利用というものは、やはり国民に廉価に紛争解決の適正な処理をしてもらうということが眼目にあると私は思っております。 そこでお伺いしたいのは、資力の乏しい者へのADR関連費用の扶助、これが現行制度上きちんと確立をされているのか、また、確立されているとすれば、その実績があるのかということについてお伺いをしたいと思います。
○寺田政府参考人 現行法上は民事法律扶助法でございますし、先ほど成立いたしました総合法律支援法にもその規定が受け継がれているわけでございますけれども、法律上は、認証ADRかどうかにかかわらず、ADRにおける和解交渉が民事裁判手続に先立つもので特に必要と認められるものであれば、これは法律扶助の対象になるということになっております。したがいまして、その代理人に支払うべき報酬を扶助協会の方で立てかえるということになるわけでございます。 この実績でございますが、これは必ずしも明らかではございません。基本的には今訴訟中心になっておりますので、ADRの利用というのは基本的には例外的なものだというふうに私どもは聞かされております。
○柴山委員 ぜひ、利用の促進ということで、今おっしゃっていただいた扶助法、支援法の積極的な活用をお願いしたいと思っております。 さて、続きまして、ちょっときょう、この点を非常に大きく取り上げて質問をさせていただきたいと思っているんですが、今回のADR法が成立をしたことによりまして、弁護士法の七十二条違反、すなわち、業として報酬を得る目的で他人の紛争にコミットしていくということを禁止するということの例外が明確に定められたわけでございます。しかし、先ほど本会議の席でも少しお話があったかもしれませんけれども、この認証の有無によってADRに対する差別というものが生じてはいけないというような発言もあったと私は思っております。 そこでお伺いしたいのは、非認証ADRに対する弁護士法七十二条、これの適用、改めてこれがどうなるのかということについてお伺いしたいと思っております。
○山崎政府参考人 確かに、この法案で、認証を受ければ、弁護士法七十二条の例外、いわば業としてあっせん等ができる、調停等ができるということになるわけでございますが、これを利用していただくかどうかというのは全く任意だということでございますので、従来、現在の弁護士法七十二条の中で業務が許されているもの、こういうものについては従来どおり許されるということになりますし、現在の七十二条の中で許されないというものについては、それはまた将来も許されないということでございまして、いわば七十二条そのものが変わるわけではございません。その認証を受けたものについてだけ特例を設ける、こういう位置づけであるということでございます。
○柴山委員 理屈としましては、非認証ADRについても、相当な手続と内容で紛争解決をするものについては刑法三十五条の正当業務行為として違法性が阻却されるというような枠組みになるのではないかなというように思っております。 しかし、先ほど来お話があったとおり、このADR制度というものが大変利用されていない。そのような中で、せっかく時効中断等の恩典を与えてこれを積極的に活用させようということで、いろいろな、暴力団等は入っちゃいけないよというような形で認証制度をつくっているわけでございますから、これ以外のものについては、可及的にこれを排除していく方向で弁護士法七十二条の解釈を進めていくべきではないかというように考えていますが、いかがお考えでしょうか。
○山崎政府参考人 今回も、そういうような議論、検討会でもいろいろございましたけれども、やはり多様なADRを育てていく、それも自由にいろいろ活躍をしていただくという観点から、すべてこの認証制度を受けなければ業務をやらせないということになると、そういうやはり多様性とか自主性、要するに自由な雰囲気で話し合いをして解決をしていく、こういう利点が失われかねないという御意見もかなりございまして、したがいまして、こちらの制度を利用していただく方については有料で法律相談業務等ができるということになりますけれども、それ以外の方について強制をすることはしないという考え方をとったわけでございますので、そこの点について、将来的に七十二条違反がないようにきちっとやっていくということはそのとおりかと思いますけれども、それをすべてこちらに強制するというのは相当ではないというふうに考えております。
○柴山委員 わかりました。 さて、それでは続きまして、時間ももう残り少なくなってまいりましたので、このADR法に基づく認証の効果について少しお伺いしたいと思います。この認証の効果として主なものを簡単に列挙していただきたいと思います。
○山崎政府参考人 簡潔に申し上げますけれども、この法案で決まっておりますのは、時効中断の効力を付与する、あるいは訴訟手続を中止する、それから調停前置主義の適用をしない、この三つがまず一つは考えられます。 それからもう一つは、弁護士法七十二条の例外として、報酬を受けて業として行うことができるということです。 それからもう一つ、論点としては、できた合意に対して執行力を付与するかどうかという点があったわけでございますが、これは盛り込まれておりません。
○柴山委員 今の最後の、執行力を付与しないことにする。先ほど本会議の中でも質問がありましたけれども、結局これは裁判外の手続ですから当然既判力がないのは当たり前として、執行力を付与しないということになると、紛争解決の実効性というものが本当に担保されるのかという議論は恐らく相当程度あったんだと思います。 私は、裁判所あるいは弁護士の関与をきちんと確保すれば、そうした強制力というものを付与してもよいのではなかったのかというような疑問を持っておりますし、また、それがない状態では、このADRの解決というものは結局は私法上の和解ということになってしまうのではないか。もちろん、手続面におけるさまざまな、今事務局長からいただいたような効果はあるわけですけれども、必ずしもユーザーに対して所期の目的を達成するというような解決方法とならないのではないかというような懸念を持っていますが、いかがお考えでしょうか。
○山崎政府参考人 ただいま委員が御指摘されたような意見も当然ございました。私どもいろいろ悩んだわけでございますけれども、最終的には、現在このような業務を行っている方、その方の反対が非常に強いということでございます。 要は、執行力を持ちますと、強力な武器を持ちながら話し合いをするということになるわけでございますので、そうなりますと自由な話し合いの雰囲気がなくなってしまう、これがいいことかどうかということがかなり言われたわけでございます。本当に強い効力を持ってやるなら、それは裁判所でやるんだろう、裁判所以外でやるならば、同じような形の効力を持たせてしまうとかえって自由が失われる、そういう御意見がかなり強かったわけでございまして、それからもう一つは、執行力をつけた場合のいろいろ弊害等についてまだ十分な検討ができていないじゃないかということもございまして、この点は導入を見送った、将来の課題にしたということでございます。
○柴山委員 質疑時間が終了いたしました。 最後に、これまで法律がなかった分野にこのように大きな意味を持つ法律ができたわけですけれども、必ずしも国民一般の認知度は高いとは言えないと思っております。平成十四年の五月に、消費者問題におけるADRに関する意識調査、これについて統計が出ているわけですけれども、実際よくわからない、ADRについてよくわからないということを答えた人が九二%だったというようにも伺っております。 最後に南野大臣にお伺いしますが、このような状況下、どうやってADRに対する認知度というものを高めていくのかということについて、最後の御質問とさせていただきます。
○南野国務大臣 本法案による認証は、新たに設けられた仕組みであります。その仕組みが十分にその機能を発揮し、おっしゃるとおり、国民が紛争の解決を図るにふさわしい手続を選択することを容易にするためには、その意義や内容について国民の正確な理解を得ることが必要であります。そのためには、積極的かつ十分な広報活動を行う必要があると考えております。 具体的には、例えば、内容をわかりやすく説明したホームページの作成、またパンフレットの配布などが考えられますが、その効果的なあり方については今後検討を深め、適切に実施してまいりたいと考えております。
○柴山委員 ありがとうございました。終了いたします。
○塩崎委員長 次に、江田康幸君。
○江田委員 公明党の江田康幸でございます。 まず、冒頭、イラクで今回犠牲に遭われました香田証生さん並びに御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げますとともに、今般の中越地震、また台風等で被害を受けられた多くの国民の皆様に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。 さて、今、私たちは、二十一世紀の我が国を支えて、国民に身近で頼りがいのある司法の実現を目指して、百年に一度と言われる司法制度の改革に取り組んでいるところでございます。いわゆるADR法案は、この司法制度改革の三本の柱のうちの一つと、国民の期待にこたえる司法制度の構築のために重要な法案であると認識をしておるところでございます。 本法案は、国民の司法アクセスの拡充のためにぜひとも成立をさせなければならない、そのような考えを持ちまして、本日の質問に、具体的な質問に入らせていただきたいと思っております。 まず最初でございますが、国民の立場、また利用者の立場からお伺いをさせていただきます。 まず、国民の皆さんが紛争を抱えた場合に、この紛争を解決するのにふさわしい手続を選択することができるようにするためには、その大前提として、国民の皆さんがこの裁判外紛争解決手続の意義や機能について十分理解をすることが必要になると考えられます。民間の事業者がせっかく認証を受けましても、国民、利用者がどのような事業者があるのかわからないとするのであれば、裁判外紛争解決手続の活性化にもつながらない。 例えば、一般の人が紛争を抱えて、これを認証事業者が提供する手続を利用して解決しようとする場合に、紛争の当事者にとっては、どのような人がどのような方法で手続を進めるのか、また、例えば費用は幾らかかるのかといった具体的な情報が必要になってまいります。これらの情報はどのようにして得られるのでしょうか。国及び地方公共団体は具体的にどのような措置をとることになるのか。これは本会議でも質問させていただきましたけれども、もう少し詳しく御答弁をいただきたいと思います。
○山崎政府参考人 まず、この法案の四条で、国あるいは地方公共団体が、裁判外紛争解決手続に関する情報の提供等を行うように努めるべきものということで規定をしております。まず、だから情報を開示しなさいということでございます。 その具体的な規定が幾つか盛り込まれておりますけれども、それを御紹介いたしますけれども、認証を受けた紛争解決事業者は、手続を利用しようとする者に適正な情報を提供するために、まず認証を受けているということを表示するということです。それから、業務内容や業務実施方法に関する一定の事項を掲示しなければならないということにしております。これが十一条の二項でございます。 それからまた、今度、法務大臣の方でございますけれども、法務大臣は、認証紛争解決業務に関する情報を広く提供するために、その事業者の名称、所在地、それから業務内容、それから実施方法に関する一定の事項でございますけれども、これをインターネット等で公表をするということにしておりまして、これが三十一条でございます。 それからまた、その認証紛争解決事業者は、この手続を実施する契約の締結に先立ちまして、当事者に手続実施者の選任に関する事項あるいは報酬、費用、こういうことに関する事項等を説明しなければならないということを規定しております。これが十四条でございます。 このような形で内容、手続をオープンにして、利用していただけるようにする、こういう手配をしているわけでございます。
○江田委員 このように、認証を受けたらそれを表示する、また内容も公開していく、インターネットでも説明をしていくということでございます。 このような国民の理解の増進にしっかりと結びつくような措置を国等がとっていく、また支援をしていく、そういうことがまずは大事になるのではないかなと思いますので、御指摘をさせていただいておきます。 続きまして、本法律案の柱でありますところの認証制度の具体的な内容に入ってまいりたいと思います。 認証制度に関しましては、第六条におきまして、認証を受けるのは「認証の申請をした者」とされております。そうすると、認証を受けるかどうかは民間紛争解決手続の業務を行う者の判断にゆだねられ、認証を受けなければいけないということではないという理解でいいのか。 また、認証を受ける場合と受けない場合とで違いが生じますか。すなわち、認証を受けないと不利益があるか否かについて確認をさせていただきたい。
○山崎政府参考人 この点につきましては、ただいま御指摘がございましたけれども、申請をする場合にはということでございますので、申請をしなくてもいいということを言外に言っているわけでございますので、現在も幾つかの紛争解決業務があるわけでございますけれども、これにつきまして、現在、弁護士法七十二条で許容されている者はその活動をしているわけでございます。この人たちがすべてこの認証手続で必ず申請をするということではなくて、選択をしていただいて、従来どおりであればそのとおりで結構ですし、新しいルールに乗りたい方は乗っていただきたい、こういうことが原則でございます。 それでは、どういう違いがあるのかということでございますけれども、この認証を受けた場合には報酬を得て業務を行うことができるという規定をしているわけでございますので、この関係では、認証を受けていない方は、原則として報酬を受けてその業務を行うことができないわけでございます。そこの違いがございます。無料なら、それは構わないということになります。それから、認証を受けた場合に先ほど効力を幾つか申し上げましたけれども、時効中断の関係、訴訟手続の中止、それから調停前置主義の不適用、こういうものの効力はないということでございます。従来どおりということでございまして、従来どおりでもやっていける方はそちらでやっていただきたい、こういう考えに基づくものでございます。
○江田委員 わかりました。 次に、それでは、この認証の基準についてお尋ねしたいと思います。 先ほどの本会議で、この法の第六条第四号の申請者の実質的支配者等や申請者の子会社等の規定について伺ったところでございますけれども、これらの規定をもって示談屋のような悪質な者を排除することができるのかどうか、そこのところをしっかりと国民にもわかるような言葉でお伺いしたいと思っておるので、もう少し具体的に議論をさせていただきたいと思っております。 例えば、サラ金業者とか、親会社等が一〇〇%出資した子会社が設立したADR機関、また、その顧問弁護士が手続実施者となるようなADR機関は、不当に影響を及ぼすものに該当して、排除はされますでしょうか。もし排除されないような場合はどのようなケースが考えられるか、お伺いしたいと思います。 これらの規定をもって、特定の企業や団体の利益を誘導するための意図的なADRとか示談屋まがいの行為という弊害が回避できるかどうか、その点について政府の見解をお伺いしたいと思います。
○山崎政府参考人 まさに今御指摘のような点をきっちりチェックしなければならないということからこの条文を置いているわけでございます。 御指摘がございましたように、一〇〇%子会社がADRをやるという場合と、親会社の方がやるんですけれども業務は子会社に全部出してしまうという二つのタイプがあろうかと思いますけれども、このいずれにしましても、その影響力を持ってADRを行うということはいかぬということになっておりまして、その点で、先ほど御指摘がございましたけれども、親会社の顧問弁護士が、子会社が行うADR機関の手続実施者、そこに入ってやるということは、それは通常は許されないということになろうかと思います。 ですから、もしやるのであれば、別の、全くそれとは関係のない弁護士さん、あるいはそういう関係にたけた方を選任するということをしていただく。あるいは、もう一つの考え方は、紛争解決事業者の中に独立の委員会、手続を実施する者の委員会をつくりまして、そこの会社から独立して物を決めることができるようなそういうシステムをきちっと持っていること。そういうような、いずれかの方法でその影響力を排除するという形をきちっと備えているということでなければ認証はできない、こういうことになるわけでございます。
○江田委員 ADR、今回の認証制度の最大のメリットは、まあメリットはいろいろありますけれども、やはり国民にとって良質なADR機関を育成する、選別するということであろうかと私は思っております。 そのような意味で、例えば今申されましたように、私もこの法律だけではわからない部分がございます。省令になるかと思うんですけれども、例えば出資率が一〇〇%以外、九〇%、七〇%ではどうなのかという問題もございますし、また、顧問弁護士でなくて別の弁護士を立てればいいということはあろうかと思いますが、こういう法律の条文では見えない部分が今後懸念されるところではなかろうかなと思いますので、第六条の第四号の法務省令の制定及び運用に当たりましては、悪質な業者が排除されますように、適切な法務省令の制定及び運用が必要であると考えますけれども、法務当局の見解を明らかにしていただきたいと思います。
○寺田政府参考人 この法案の中には、幾つか、相当数といいますか、省令で定めるべきことがございます。その中で、「実質的支配者等」あるいは「子会社等」という概念を規定するべき省令の内容というのは極めて重要なものだというふうに考えております。ここだけがいわば認証基準という実体的な要件に係るものだからであります。 おっしゃるとおり、しかもこの基準はADR機関にとって最も重要な業務の公正性ということにかかわるわけでございますので、私どもも、この規定をどうつくるか、そしてどう運用するかについては最大限の慎重さを持って行いたい、このように考えております。
○江田委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。 次に移らせていただきますが、認証を受けた事業者でございますけれども、認証を受けた時点の状態から、基準を常に満たしていく、維持する、そしてその結果、適正に業務を行う必要があるということはもちろんでございます。その観点から、法律案に設けられておりますように、法務大臣が報告を求めたり検査をしたり、場合によっては勧告、命令を下すという仕組みも必要であると考えます。 しかし、その一方で、場合によっては、これらの検査、命令等の監督が行われることによりまして、先ほどから紛争の当事者の自主性ということを言われておりますが、こういう自主性とか自由さ、民間事業者の行う裁判外紛争解決手続の多様性、そういうものが失われるのではないか、紛争の当事者と民間事業者との間の信頼関係を損なうおそれはないかといった懸念を表する向きもあるようでございます。この点につきまして、法務大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○南野国務大臣 この法案では、そのような懸念があることも踏まえまして、法務大臣は、認証紛争解決事業者に対する検査や命令などを行うに当たりましては、民間紛争解決手続が紛争当事者と民間事業者との間の信頼関係に基づいて成り立つものであり、かつ、紛争当事者の自主的な紛争解決の努力が尊重されるべきものであることなど、民間の紛争解決業務の特性に配慮しなければならない旨の規定を特に設けたところであります。 この点につきましては、制度の運用に当たりましても、先生おっしゃるとおり、十分に意を用いてまいりたいと考えております。
○江田委員 どうぞよろしくお願いをいたします。 次に、もう一度、利用者、国民の立場から御質問をさせていただきますけれども、手続を進めていく過程やその後の点について伺いたいと思います。 自分自身が、私が例えば紛争の当事者になった場合を考えてみますと、手続を進めていく上では、例えばプライバシーに属する事項を示す必要があったり、あるいは事業を行っている場合には、その営業秘密というものがございますので、そういう営業秘密に関する事項を開示したり、そういうようなことも生じるのではないかと思います。しかし、これらの秘密がしっかり守られなければ、紛争の当事者としては、不安になったり、率直に言い分やその気持ちを十分に述べるということができなくなる心配もございます。これらの秘密についての取り扱い、守秘義務といいますか、どのようになっておりますでしょうか。
○山崎政府参考人 確かに、この業務で一番大事なのは秘密保持ということになろうかと思います。 この点に関しましては、この法案でも、例えば個人のプライバシーあるいは知的財産権あるいは営業上のノウハウ、それから、そういうものを含むいろいろな資料が提出されるわけでございますけれども、その秘密の性質に応じて適切にそういう資料を保持するための取り扱いの方法、これを定めるということで申請をしていただくということになりまして、そこの点で不十分であれば、いろいろチェックをするということになります。これ以外に、認証紛争解決手続の業務を行う事業者や、あるいは使用人、手続実施者等が業務に関して知り得た秘密、これを保持するための措置ということも定めるということになっております。 こういう点をまず認証の基準として掲げまして、これがきっちりできていることということで認証するということになろうかと思います。 仮にこれが守られないということになれば、当然、検査等が入りまして、その検査によっては是正措置を命ずる、是正措置に関して履行しなければ認証の取り消しにも至る、こういうペナルティーがあるということでございます。
○江田委員 さて、このような裁判外紛争解決手続の一般的な制度化というのは、これは初めての試みでございますですよね。今後、いろいろと工夫改善していく必要があると思います。 それで、今回の認証制度の導入によりまして、このADRを利用した場合には、先ほどからも申されていますとおり、そのメリットとして、時効中断、訴訟手続の中止、調停前置の特則といった法的効果が付与されることになりましたけれども、先ほども柴山先生から御質問が出たように、合意の効果に執行力を付与するか否かについては今後の検討課題ということで見送られたと聞いております。 それで、本法案におきましては、附則第二条におきましていわゆる見直し条項が設けられております。執行力の付与など、今後の課題を含めまして、総合的に、この規定を置いた理由についてお伺いをいたします。
○滝副大臣 委員仰せのとおり、執行力をどうするかということがこの法案作成までの議論の中でもございましたし、そして先ほど来の議論の中でも取り上げられてきた問題でございます。 したがって、これは、実際にこれをやってみて、その実績の中からどういうふうに持っていくのがいいのかという問題もあろうかと思いますので、したがって、この法二条は、そういう意味で、総合的にもう一遍見直す機会をつくろう、こういうような趣旨で入れさせていただいた条文でございますので、私どももそういう実績を見守りたいというふうに思っております。
○江田委員 これまで伺いましたこの認証制度の定着を図ることが非常に大事かと思っておりますが、先ほど来答弁にもあっていますように、情報提供を含めまして、利用者の認証を受けた事業者に対するアクセス等を充実して、容易にすることが非常に重要かと思っております。また、先般成立しました総合法律支援法、いわゆるネット法の趣旨の一つも司法に対するアクセスの充実にあると認識しております。 最後に、同法との関係を含めまして、このようなアクセスの充実の重要性につきまして見解をお聞かせいただきたいと思います。
○富田大臣政務官 この法案におきましては、委員御指摘のように、時効中断の効力の付与など、裁判外紛争解決手続の機能の充実が図られておりますけれども、これらは、委員今の御指摘にありましたように、アクセスの充実が図られて初めて利用者の利便の向上につながるものだというふうに認識しております。 また、今御指摘のように、総合法律支援法を通常国会で成立させていただきましたけれども、この法律に基づきまして、十八年の六月までには日本司法支援センターを法人として立ち上げる予定でございます。ここが、弁護士会を含め、または隣接法律専門職種の方々の団体や裁判外紛争解決手続を行う機関との連携協力などと相まって、国民の期待にこたえる、より利用しやすい司法が実現できるように、さらなるアクセスの充実に意を尽くしてまいりたいと考えております。
○江田委員 ありがとうございます。 国民にとりまして身近な司法を実現するという上におきまして、冒頭申しましたように、裁判の充実を図りますとともに、この裁判外紛争解決手続、いわゆるADRの拡充、活性化を図ることが非常に重要であると考えております。本日から始まる議論を当局としてもしっかりとらえていただきながら、慎重な、また必要な審議を進めていきたいと思っております。 きょうは、私の持ち時間はまだあるのでございますが、ボーナスとして皆様に、私も本会議でも十分御質問いたしましたので、これで終わらせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○塩崎委員長 次回は、来る五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十五分散会