法務委員会 第16号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 2004/04/20
会議録
○柳本委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案及び総合法律支援法案並びに本日付託になりました河村たかし君外四名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。 まず、河村たかし君外四名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案について議事を進めます。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。河村たかし君。 ————————————— 刑事訴訟法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○河村(た)議員 長らく検察、警察の聖域とされておりましたこの捜査の領域においてこういう捜査の適正化の法案が民主党から出されるということ、審議入りするということはすばらしいことだということをまず一言申し上げておきます。 刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 我が国の刑事司法の目的は、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障を全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現することにあります。このように、我が国の刑事司法が適正手続の保障のもとでの事案の真相解明を使命とする以上、被疑者の取り調べが適正を欠くことがあってはならず、それを防止するための方策が必要であるとともに、また、被告人は訴訟の当事者として十分な防御の機会が保障されなければならず、被告人の不適正な身柄拘束の防止が求められております。 しかし、現実の刑事司法の姿はまことにいびつなものとなっております。 刑事訴訟法は、被告人と検察官を平等に取り扱っておりますが、現実は被告人と検察官では真相解明についての力量の差が圧倒的に違っております。このような状況下で、当事者主義のもと、検察側と弁護側の形式的な平等を貫くことは、実質的に被告人に大きな不利益を課し、真相解明から大きく外れる危険性を内包しております。 また、現実の裁判では、威迫的なあるいは誘導的な取り調べを受けて事実と違う供述をしたという主張がされ、供述調書の任意性が数多く争われているところであります。例えば、当委員会で多くの審議時間を割いた名古屋刑務所三事案は、八名の被告人のうち実に七名の被告人が因果関係を否定しその立証活動に及ぶとともに、威迫的なあるいは誘導的な取り調べを受けて事実と違う供述をしたと主張する大冤罪疑惑となっております。 被告人にとって、供述調書の任意性を否定する立証を行うことは非常に困難でありますが、検察官にとってもその任意性を立証することは非常に困難なことであり、裁判官は極めて厳しい判断を求められています。被疑者ないし被告人が事実に反する自白をすることがないよう、法制度の整備が求められております。 また、裁判員制度の導入についても、取り調べ、保釈の適正化は極めて重要であります。裁判官もかつては圧制者であったという歴史の教訓にかんがみると、司法への国民参加は大変重要であります。そうであるからこそ、一般国民である裁判員の前に事実に反する自白調書が提出されないよう細心の注意を払う必要があります。 捜査の必要性との調整も必要でありますが、保釈が自白の取引に使われているとの指摘にかんがみると、保釈除外事由の厳格化、取り調べ等の弁護士立ち会い、可視化は、一人の無辜の者も許さない、無実の者を誤って処罰することほど重大な不正義はないとの刑事訴訟の要請に合致し、時代の要請でもあり、強大な権力である検察、警察権の行使を適正化する必要な制度改革であります。名古屋刑務所三事案でも、一部を認めた被告人は三カ月で保釈されているにもかかわらず、その被告人以外はいわゆる権利保釈の事例である被告人でさえ皆一年以上勾留されている現実が厳然としてそこにあります。 この法律案は、このような状況にかんがみ、被疑者の取り調べ等について弁護人の立ち会いを認める制度及び被疑者の取り調べ状況等の録音、録画を義務づける制度を導入するとともに、権利保釈の除外事由を制限すること等を目的とするものであります。 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、権利保釈の除外事由を制限することであります。保釈の請求があったときは、被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる十分な理由があるとき等を除いては、これを許さなければならないものとすることとしております。 第二は、被疑者の取り調べ等の際の弁護人の立ち会いを認めることであります。被疑者の取り調べ等に際しては、被疑者または弁護人が求めたときは、弁護人の立ち会いを認めなければならないものとすることとしております。 第三は、被疑者の供述及び取り調べの状況等の録音、録画を行うことであります。被疑者の取り調べ等に際しては、被疑者の供述及び取り調べの状況のすべてを、映像及び音声を同時に記録することができる記録媒体に記録しなければならないものとすることとしております。 第四は、自白の証拠能力を制限することであります。弁護人の立ち会い及び取り調べ状況等の録音、録画に違反してなされた取り調べにおいてされた自白は、証拠とすることができないものとすることとしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 以上でございます。
○柳本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○柳本委員長 次に、ただいま議題となっております各案について議事を進めます。 この際、お諮りいたします。 各案審査のため、本日、政府参考人として司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省人権擁護局長吉戒修一君、財務省主計局次長佐々木豊成君、厚生労働省大臣官房審議官金子順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○柳本委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局大野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○柳本委員長 これより質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山洋子さん。
○小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。 民主党提出の刑事訴訟法改正案につきまして、主に提出者に伺いまして、また何点かは政府の考え方を法務大臣にも伺っていきたいと思います。 まず初めに、今、提出の理由説明がございましたけれども、提出者からこの改正案のポイントを説明してもらいたいと思います。
○河村(た)議員 これは間違うといけませんから、ちゃんと読まさせていただきます。 本改正案の主な内容は次のとおりでございます。 被疑者の取り調べ及び弁解録取手続に際しては、被疑者に対し弁護人を立ち会わせることができる旨を告知することとし、被疑者取り調べの場合は、弁護人も含むが、弁護人の立ち会いを求めたときは、これを認めなければならないこととしました。百九十八条二項、五項、二百三条一項等でございます。 また、弁護人を選任していない被疑者が、取り調べにおいて弁護人の立ち会いを求めている場合や、弁解録取手続において弁護人の立ち会いの上での弁解を求めている場合には、弁護人が選任されるまでの間、取り調べまたは弁解録取手続を進めることができないことといたしました。百九十八条四項、二百三条一項等でございます。 それから二つ目ですが、被疑者の取り調べ及び弁解録取手続に際しては、被疑者の供述及び取り調べ等の状況のすべてを同時に同一の方法により二つ以上の記録媒体、百五十七条の四第二項参照ですが、に記録しなければならないこととしました。これは百九十八条九項です。 それから三つ目ですが、この記録媒体について、その一つを取り調べまたは弁解録取手続終了後速やかに封印の上、捜査記録に添付することとし、残りのものを被疑者または弁護人が閲覧、聴取、複製して、起訴前にその内容を確認できることとしました。百九十八条九項から十三項、二百三条四項等です。 四つ目。これらに違反してなされた取り調べにおいてされた自白については、証拠とすることができないことといたしました。三百十九条一項です。 五つ目として、被疑者の保釈制限事由のうち、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足る相当な理由があるとき」とされていたものを「充分な理由があるとき」に限定し、保釈が認められやすくすることとしております。八十九条四号でございます。 以上でございます。
○小宮山(洋)委員 昨年から取り組まれています名古屋刑務所の事案、これは、今回の立法にどのような影響を与えているんでしょうか。
○河村(た)議員 これは、私にとっては、私にとってはですが、この法案提出の立法事実としまして非常に大きかったということで、ビデオテープを当委員会の、去年ですかね、理事懇談会で全員で見まして、そこで言われた話が、当事者の人と話を聞くと全く内容が違っている。それから、放水の話も、当事者の話を聞くと全く違っている。そういう状況の中で、どうも取り調べというか捜査の中で、何か違法な、不当な取り調べというのはやはりあるんではないかと。 それから、保釈についても、いろいろ聞いてみますと、このままいったら出れぬようになるぞとか、そういうことでやむにやまれずありもせぬことを認めてしまう。そういうとんでもない、人質裁判というのか、真相究明に反する事実がこれはあるということで、これは大変なことだということで、私は、先ほども申し上げましたように、長らく聖域とされていましたけれども、やはり検察、警察のこの取り調べのところに民主的コントロールを及ぼすことが絶対必要であると。 私、ちょっとある人に聞きましたのですけれども、検察官も、主任がこういうふうに書けと言うわけですよ、これ。それで実際に調べ官が困っていると。そんなことおれは嫌だと言っても、上から言われたからやらざるを得ないと。こういうことではいけないので、この際はやはりちゃんと見えるようにして、弁護士もいて、保釈も出すときはきちっと出す、そういう法制度をどうしてもつくらにゃいかぬということが、あの名古屋刑務所の三事案の、大冤罪疑惑ですけれども、それが私に非常に大きな立法事実になって、この立法につながっていった。 以上でございます。
○小宮山(洋)委員 今回のこの民主党提案の法案は、弁護人の立ち会いのこと、それから取り調べの録音、録画、そして保釈の制限事由と、大きく分けると三つに分けられるかと思うんですが、まず、そのうちの最初の部分、弁護人の立ち会いについて何点か伺っていきたいと思います。 初めに、現在の日本の取り調べの問題点、これはどういうところにあるとお考えでしょうか。
○辻議員 現在の刑事裁判の基本的な問題点というのは、やはり自白偏重主義の捜査を前提として、自白偏重主義の供述証拠を軸として刑事裁判が運用されている、この点にあると思います。 戦後間もなくの八海事件とか、多くの冤罪事件が数多く生み出されただけではなくて、最近に至っても自白の証拠能力は否定される、自白偏重主義のゆえに冤罪とおぼしき事件が多々ある。これは、日本の刑事司法にとって、もう根本的に深く結びついた大きな問題であるというふうに思います。やはり、自白偏重主義の温床が取り調べである、密室における捜査官による取り調べが自白偏重主義の、やはり温存している制度である。 そういう意味におきまして、密室の取り調べをなくすること、このことが非常に重要である。弁護人の立ち会い権を認めることが非常に重要であるし、捜査の可視化と言われる録音、録画等もまた重要である、このように、取り調べの問題点があるというふうに考えております。
○小宮山(洋)委員 日本の取り調べのあり方、その制度につきましては、海外からも被疑者の権利が保障されていないと批判されているのだと思います。 今月合意しました日米地位協定の見直しですけれども、日本の国内で罪を犯したアメリカ兵の容疑者の刑事裁判手続の協議で、日本の警察が取り調べを行う際に、アメリカ軍司令部の代表者を同席させることを認めざるを得なかった、このことからもそのことは明らかなのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○辻議員 二〇〇三年の五月二十五日、沖縄県金武町で強姦致傷事件というのが起こりまして、米海兵隊員の引き渡しが問題になりました。この際、日米地位協定下の米兵被疑者の取り扱い、司法手続をめぐる協議ということが問題になり、つい先日、四月二日でしょうか、この問題について合意が成立したというふうにされております。 これは、外務省なり政府の説明によれば、米国側は捜査に協力するということで立ち会うんだということでありますが、率直に考えれば、やはり、これは取り調べ時において事実上第三者の立ち会いがあるということだと思うんですね。米国側は捜査の協力ということで立ち会うと言うんですが、多くの人々はアメリカにおいて弁護士の資格を持っている人である。そういう意味におきまして、弁護士的な機能も果たす人の同席をやはり認めざるを得なかった、これが世界の常識だというふうに思います。 そういう意味におきまして、我が国の捜査、取り調べ状況に弁護人の立ち会い権が認められないというのは、国際的に大きな問題である。批判にさらされている。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、韓国において現に弁護人立ち会い権が認められているという点、この点をやはりしっかりと受けとめて、日本の取り調べ、自白偏重主義の取り調べの構造を変えていかなければいけない、このように考えております。
○小宮山(洋)委員 今、提案者に聞きました点について法務大臣にも伺いたいと思うんですけれども、やはり、今提出者からも答弁がありましたように、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オーストラリア、韓国などでは、既に取り調べのときに弁護人の立ち会いが認められている。それに対して日本ではそうではないので、被疑者の権利が保障されていないと批判されているのではないか、その点と、今回の日米地位協定の見直しのこととどうお考えなのか、その二つ、お答えいただきたいと思います。
○野沢国務大臣 まず、弁護人の立ち会いの件の方を私の方から申し上げますが、各国の状況につきましては、それぞれの捜査のあり方そのものが基本的に、構造的にも違うことがございますので、我が国の立場については今御説明を申し上げたいと思いますが、我が国のルールでは、被疑者につきましても、弁護人選任権、それから弁護人の接見交通権が保障されている上に、被疑者の取り調べにつきましては、まず供述拒否の告知義務、拒否権ですね、拒否権の告知義務、それから供述調書の作成手続等が法令で規定されておりまして、同意を求めるということもあります。 これらの規定は一般に遵守されているものと考えておりまして、また、任意にされたものではない疑いのある自白は証拠とすることができないこととされまして、公判廷において供述の任意性、信用性が争われれば、検察官においてその存在を立証する責任を負っているということ。その存否の判断は裁判所にゆだねられているということでございます。 このように、取り調べにおける被疑者の権利保障は、既に十分になされているものと考えておりますので、議員御指摘のような批判は妥当ではないと考えております。 なお、日米関係につきましては、事務局からお願いします。
○樋渡政府参考人 御指摘の日米合同委員会の合意は、いわゆる平成七年合意の対象事件におきまして、被疑者の身柄が我が国に移転することに伴って米軍当局の捜査に制約が生じることにかんがみ、捜査協力を強化するための措置として、日本の捜査当局が行う取り調べに、捜査権限を有する米軍司令部の代表者が同席することを認めたものでございます。 合意のための協議におきまして、米国側が日本の刑事司法制度に対する不信やこれを非難する意図を有していないことが確認されております上、合意の表題にもありますとおり、今回の合意は、日本の捜査当局と米軍当局との間の捜査協力を強化するとともに、平成七年合意の円滑な運用を促進することを目的としたものでございまして、何ら米軍人等被疑者の権利にかかわるものではございません。したがいまして、米国側は、我が国の取り調べ制度に懸念を持っているから今回の合意に至ったという御指摘は当たらないと思っております。
○小宮山(洋)委員 今御説明のとおりとは私どもは余り認識をしておりませんで、捜査権限を有する者ということですが、先日外務省から説明を受けたときにも、軍司令部の代表者というのは、多くの人は弁護士の資格も持っているというようなお答えもございましたので、私どもは、今までのやりとりからしても、日本での捜査で被疑者の権利がやはり保障されていないという懸念から生まれたということがあるのではないかと思っております。 提案者に伺いたいんですけれども、今大臣は、今の仕組みの中で十分に権利が保障されていると言われましたが、そうではないから提案をしているわけですよね。特に今回、裁判員制度という、素人の方がする際に、やはり今度の裁判員制度の導入などの司法改革の中で今までの捜査のあり方を変えていきたいという思いがあるのかと思いますが、重ねてお答えください。
○辻議員 二〇〇四年四月の日米合同委員会の合意というのが外務省の方から配られております。これは、米側が日本の刑事司法制度に対する不信やこれを批判する意図を有していない旨を言明したということが、わざわざ言われております。 これは、今までの経過から考えて、アメリカ側が刑事被疑者の弁護人の立ち会い権を強く求めていたということが明らかなわけでありますから、ある意味で、日本の法務当局や外務省の立場をおもんぱかった妥協の産物として、このようなわざわざ米側の言明を求めて、しかし第三者の立ち会いはやっぱり認めざるを得ないという事実、現実があるわけですね。 その立ち会う方は、これは外務省の人に説明したんですけれども、じゃ、捜査に協力するということで捜査を行うのかというと、発言はしないと言っているわけですね。事実上、弁護士の資格を持った第三者が立ち会っているわけですから、これはその存在自体の持っている効果としては、弁護人的な意味において、第三者としてその場にいるということが制度として認められたものであるというふうに理解せざるを得ません。まさに、国際的に、日本の取り調べという制度が弁護人の立ち会い権を抜きにしているということが、やはり大きく、ある意味では国際的な常識からずれているということの端的なあらわれであろうというふうに思います。 今般、裁判員制度の導入をめぐっていろいろこの委員会でも論議があり、審議がなされているわけでありますけれども、裁判員制度を仮に導入して運用を円滑にしていくとすれば、やはり捜査過程が透明化していかなきゃいけないし、いろんな冤罪の温床になるようなシステムを変えていかなければいけない。そういう意味で、裁判員制度と、取り調べの可視化や取り調べにおける弁護人の立ち会い権というのは、やはり不可分一体の要請がある制度なんだ、このように考えております。
○小宮山(洋)委員 やはり政府の方は違う解釈をされていますけれども、被疑者のそうした権利をアメリカの場合にだけ認めるというのは、やはりこれは格差になるわけですから、少なくとも、今度の司法制度改革の中でしっかりと被疑者の権利を保障したいということが今回の立法の趣旨にあるのだと思います。 次に、中身をもう少し伺いたいんですけれども、身柄拘束中に限らずに、すべての被疑者の取り調べについて弁護人の立ち会い権を認めるとしたのはどういう理由からでしょうか。
○辻議員 現に令状が発せられて身柄が拘束されて取り調べが始まるということが通常だと思われていると思いますが、しかし、もっと多く、事実上任意出頭を求めてそれで取り調べをして、任意出頭を何日か繰り返して、そのあげくに令状をとって逮捕する、身柄の拘束に至るというのが今の捜査の常道であります。 そういう意味におきまして、任意出頭時における取り調べということの持つ危険性というのは、身柄拘束後の取り調べの危険性とそれは同一である、危険性という意味においては同一であります。そういう意味で、身柄拘束時だけではなくて、身柄拘束以前の任意の取り調べ段階でも弁護人の立ち会い権を保障する必要性がある、このように考えております。
○小宮山(洋)委員 捜査当局が弁護人の立ち会いに反対する理由というのは、本当のところはどういうところにあるとお考えでしょうか。時間が少しございますので、少しゆっくり御説明いただいていいと思います。
○辻議員 これは、二月二十五日の法務委員会の一般質問で私が質問したときに、あのときも刑事局長がお答えになったことだと思いますけれども、真実をしゃべらなくなるんだ。弁護人が立ち会ったり捜査を可視化すれば、被疑者が真実をしゃべらなくなる。非常に、そうすると実体的真実を明らかにすることが今の日本の捜査の中でできにくくなるじゃないか。アメリカとかとは捜査の仕組み、制度の仕組みが違うんだから、日本は日本の独自の仕組みの中で実体的真実を発見していく必要がある。そういう意味で、取り調べの重要性があるんだ。 それは、実体的真実の発見だけではなくて、また、本人が悔悟したり、そして被疑者に対して謝罪をしたり、そのことが被害者の側の被害感情を慰撫することにもなる、それがまた被疑者、被告人の更生の道にもつながるんだ。そういう非常にある意味で日本的な、それまで明治以降行われてきた捜査の状況を踏まえて、そのような説明がなされております。 そういう意味で、実体的真実の発見ということができなくなる、これが、弁護人が立ち会いすることによって支障が生じて困る、今の捜査のやり方が困る、この点に本当の理由があると思います。 しかし、これは、戦後の日本の刑事裁判において、一方で実体的真実の発見ということが必要でありますが、他方で被疑者、被告人の人権がきっちりと保障されなければならない、守られなければならない。被疑者、被告人の人権を侵害して実体的真実を発見するというのは、これは政策として間違っている、このように多くの学者も、また心ある方々は言っております。 憲法の要請は、まさにそういう要請であると思います。これは刑事訴訟の教科書に書いてあります、よく言われることでありますが、百人の真犯人を逃しても一人の無辜を処罰することなかれというのが刑事裁判の原則であります。実体的真実の発見よりもデュープロセスと人権擁護がより尊重されなければならない、そのような社会、そのような仕組みをつくっていかなければいけない、それがまさに二十一世紀の日本の刑事裁判のあり方の進むべき方向であろう、このように考えます。
○小宮山(洋)委員 今民主党が提案しているように弁護人の立ち会いが認められることになると、それによって取り調べのあり方は本当に変わるのでしょうか。どのように変わるでしょうか。
○辻議員 私は、弁護人の立ち会いが認められることによって、取り調べのあり方がかえってよくなるんじゃないかなというふうに思います。 捜査官の方々も、無理な自白偏重をしなくてもいい。俗に、一般には、取り調べに当たっては、警察の場合では、二人がその場に立ち会って、直接発問する捜査官と、そして横に同席する捜査官がいて、いろいろとあめとむちで被疑者の気持ちを、いろいろ、自白なり捜査官の側の言う真実を語らせる方向で、そういう意味では心理的にいろいろなノウハウを駆使して被疑者の供述を引き出すということになっております。今の自白偏重主義の捜査の構造の中で、捜査官もやむを得ずそうせざるを得ない。そうでなければ、やはりみずからの能力を問われるであろうし、成績も上がらないということになるわけです。 やはり、そういうことで、勢いが余って机をたたいたり、おどしをしたり、また私は弁護士でありますから弁護人としていろいろ体験しましたけれども、目の前に指を突き刺して目つぶしをする格好をしたり、一人が後ろから回って、わっと後ろからおどしつけたり、そういうような捜査が行われております。これはもう、凶悪犯人だと言われている人たちだけに対してではなくて、本当に一般市民に対してもそうでありますし、地位や名誉があると言われる方に対しても、やはり捜査の状況、密室の捜査の状況というのはそういうものであります。 やはり制度的にきちっと、そのように密室の中において捜査官が自白偏重をみずからの任務とされていれば、おのずといろんな不当な圧力を加えたりということが起こってくるわけでありますから、それが冤罪の温床に必然的になっていくわけでありますから、それを制度としてそういうことを正す、なくする制度をきちっとつくることが取り調べの適正化につながるでありましょうし、また実体的真実の発見のためにもこれはいろいろ論議をしなければいけないところでありますけれども、自白を求めることだけが実体的真実の発見につながるわけではありませんから、むしろそれが逆の意味を持つことがあるわけでありますから、むしろ捜査を適正化し、ひいては捜査官の資質や能力の向上にもつながるし、ひいては実体的真実の発見にもつながっていく。そういう意味において、弁護人の立ち会いを認めることは、むしろいろんな意味において捜査をいい方向に変えていく力になる、このように考えます。
○小宮山(洋)委員 被疑者の取り調べというのは、被疑者から話を聞いてその内容を調書にまとめる、そういう性格のものなので、公判での攻撃と防御というような対立構造ではないから、弁護人の立ち会いは認める必要はないという意見もあると思うんですが、その点はどうでしょうか。
○辻議員 戦後の刑事訴訟法は、不十分ではありますが、公判段階では当事者対等ということが一応原則として言われております。被告人の側、被告人、弁護人の側にも対等の武器を持たせなければいけない。一方で、検察官側の攻撃と被告人側の反証、防御ということを、対抗関係で、できるだけ対等に当事者主義的な訴訟構造を実現しようという思想、理念に基づいて、制度としてもそれに近いものがつくり出されているわけであります。 しかし、一方で、捜査は対等な当事者構造になっていない。あくまでも被疑者は調べられる側、つまり、糾問主義と言われますけれども、問いただされる、ただされる側に被疑者は立っているわけであります。 しかし、これは歴史の流れ、そして世界の刑事捜査の流れからするとやっぱり逆行しているし、日本がそこにいつまでもとどまっていてはならない。対立構造ではないというのは、ある歴史的段階の特殊な構造であって、目指すべき普遍的な方向というのは、捜査も対等でなければいけない、捜査も当事者主義的な権利がきちっと保障されなければいけない。そういう意味におきまして、現在の刑事司法のあり方、捜査を変えていく方向というのは、やはり弁護人の立ち会いを認めることである、このように思います。
○小宮山(洋)委員 仮に弁護人の立ち会いがないまま取り調べが行われた場合、その法的効力については、この法案の提出者としてはどのように考えますか。
○辻議員 お答えいたしますが、法案の三百十九条一項におきまして、現行法は、「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白」は「これを証拠とすることができない。」ということで、証拠を排除する原則を掲げておりますが、私どもの提案しているこの立法では、弁護人の立ち会い権や、また可視化の「規定に違反してなされた取調べにおいてされた自白」は「その他任意にされたものでない疑いのある自白」とともに、「証拠とすることができない。」、証拠能力を排除するということになっております。裁判で証拠とすることができないということがうたってあります。
○小宮山(洋)委員 今、民主党提出の法案につきまして、弁護人の立ち会いについていろいろ提出者の考え方を聞きましたが、次に、取り調べの録音、録画について何点か聞きたいと思います。 取り調べの全過程を録音、録画することとしたのはどのような趣旨からでしょうか。
○中村(哲)議員 取り調べの録画、録音について担当しております中村です。 我が国の刑事裁判は、取り調べによって策定された被疑者の自白調書に大きく依存しています。しかし、その作成過程が本当に正しかったのかどうか、客観的な証拠によって検証することはできません。それはどういうことを生んでいるのか。その結果、検察官また捜査官の不当な取り調べを誘発しているのではないか、また、虚偽の自白による冤罪を生じさせてしまっているんじゃないか、そういった可能性が否定できないわけです。 そういったことでは、結局、現状では、自白調書がきちんと任意にされているものなのか、信用性があるのかということが問題になるわけです。自白調書の任意性や信用性をめぐっては、長時間に及ぶ証人調べが行われてしまっています。結局、取り調べをして調書をつくったとしても、それが裁判で有効に活用できていない可能性があるということですね。 昨年施行された、平成十五年法律第百七号の裁判の迅速化に関する法律というのがあります。その第一条には、目的としてこのようなことが書かれております。「公正かつ適正で充実した手続の下で裁判が迅速に行われること」、このように目的が掲げられております。こういうことを達成するためには、自白調書の任意性や信用性、これについての証拠調べを迅速に行うための制度が不可欠であります。 つまり、録画や録音ということができれば、調書が本当にそうなっているのかどうかは、確実に後で振り返ってちゃんと証明することができるようになるわけですね。そういうことも考えれば、こういった制度は非常に不可欠、そのために有効なのではないかということでございます。 さらに、今国会に提出されている裁判員の参加する刑事裁判に関する法律案、いわゆる裁判員法案ですけれども、その五十一条においてこのようなことが書かれております。「裁判員の負担が過重なものとならないようにしつつ、裁判員がその職責を十分に果たすことができるよう、審理を迅速で分かりやすいものとすることに努めなければならない。」ということでございます。そういうことであれば、自白の任意性、信用性については、証拠調べをより明瞭に行うための制度が必要になってきます。 先ほど申し上げましたように、この録画、録音というものがこういった目的に資することは明白であります。このため、本改正案では、取り調べの全過程を録画、録音する制度を創設し、適切な取り調べを担保して被疑者の権利を擁護するとともに、公判における自白調書の任意性、信用性をめぐる証拠調べの迅速化ないし明瞭化を図ることとしております。
○小宮山(洋)委員 取り調べの全過程を録音、録画することになりますと、取り調べでの供述の状況がそのまま公判手続に利用されることになります。そうなりますと、被疑者が、例えばお礼参りされることを恐れるなどで、心理的に萎縮して真実を供述しなくなるのではないかという心配の声もありますけれども、この点については提出者はどう考えますか。
○中村(哲)議員 確かにそういった考え方はあるのかもしれません。しかし、密室でしか真実が話されないという見解は、直接主義、伝聞法則のもとでの公判中心主義、すなわち、近代国家における裁判制度を否定する考え方だと私は思います。録音、録画がされていても、取り調べ官と被疑者の密室でのやりとり自体が変質するわけではありません。つまり、テープやビデオを意識するかどうか、それだけの違いであります。このことについてはかなりもう実証されているところがあります。 本改正案が実現すれば、録音、録画は常にされることになりますから、いずれも、だれもがその存在になれることになります。テープやビデオの存在も意識しなくなる。そうすれば、結局、密室でしか真実は話されない、そういう考え方をされている人の懸念もなくなるわけですね。 現実に、イギリスにおいては、その経験から、取り調べ官も被疑者も、テープやビデオの存在を意識しなくなっているという報告がなされております。また、実証もなされております。また、現時点でのテープや録画の水準、ビデオの水準からすれば、被疑者にテープが回っていることやビデオテープが回っていること、そういうことを意識させないような、そういうやり方ができます。そういうことで、余り懸念される材料はないんじゃないかと思っております。 また、録音、録画されていると真実を話したがらないという議論は、逆に、録音、録画をぜひ行ってほしいという被疑者側の要求を拒否する理由にはならないということも明白であります。むしろ、取り調べ過程がそのまま保存されることによって、その過程に作為や加工が入り込む可能性は封殺されます。その意味で、虚偽が混入する危険性は低められることは明白であります。 取り調べの状況がありのままに明確にされて、その真相が示される、それは事実そのものの真実解明にも資することになります。そういった意味では、密室でしか真実は話されていないということは当たらないと思います。
○小宮山(洋)委員 取り調べの全過程の録音、録画ということが関係者のプライバシーとは抵触しないんでしょうか。
○中村(哲)議員 関係者のプライバシーという場合に、二つのプライバシーがあると思います。それはまず、被疑者自身のプライバシーです。もう一つは、被疑者以外の者のプライバシーです。これを分けて説明させていただきたいと思います。 まず、被疑者自身のプライバシーについては、現行法上も、被疑者の供述は供述調書に録取されています。そして、被疑者はこのことを認識した上で供述や自白をしております。また、本改正案では、被疑者からの申し立てにより、取り調べ状況等の録画については行わなくてもよいことにしております。つまり、画像、動いている絵は撮らなくてもいいということにするわけですね。その場合は録音のみになるということです。そうしたやり方で、被疑者のプライバシーにも一定の配慮をしているということは言えると思います。 次に、被疑者以外の者のプライバシーについてです。被疑者の供述を通じて間接的に被疑者以外の第三者のプライバシーが明らかにされるということは確かにあり得ます。しかしそれは、程度の差こそありますけれども、供述調書の録取でも同様です。だから、このことのみを理由にして取り調べの可視化を図るために最も有効である録音や録画を禁じるのは、本末転倒の議論であると私どもは考えております。
○小宮山(洋)委員 法務大臣に伺いたいと思います。 政府としては、取り調べの録音、録画、これになぜ反対をされているんでしょうか。
○野沢国務大臣 裁判員制度の導入に伴いまして、裁判員にわかりやすく迅速な審理が行われるようにすることは極めて重要であると考えております。 しかしながら、取り調べ状況の録音、録画等については、司法制度改革審議会意見においても、刑事手続全体における被疑者の取り調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどの理由から、将来的な検討課題とされているところでありまして、慎重かつ十分な検討が必要であると考えております。 なお、最高裁判所、日本弁護士連合会及び法務省、最高検察庁は、本年三月、裁判員制度の導入等を踏まえまして、検討を要する刑事手続のあり方等に関し協議、検討を行うために、刑事手続の在り方等に関する協議会を設けたところでございます。この協議会におきまして、委員御指摘の取り調べ状況の録音、録画等の問題についても協議、検討することとされておりまして、法務省としては、同協議会における議論も踏まえ、刑事手続のあり方全体の中で多角的な見地から検討することが必要であると考えております。
○小宮山(洋)委員 なぜ慎重にとおっしゃるのか、いまいちそこの理由がよくわからなかったんですが、協議会で検討されるのは結構ですけれども、これは裁判員制度が実施されるまでには、当然、その協議会の結果も受けて、五年もたてば相当、五年たつかどうかはまだ、今後の審議でどういう法案になるかわかりませんけれども、幾ら慎重にとおっしゃっても、やはり裁判員制度が実現するときにはそういうことは実施できると考えてよろしいでしょうか。
○樋渡政府参考人 ただいま大臣がおっしゃいました協議会をこの間発足させたことでございまして、その結論を先取りして今申し上げることもできないんでありますけれども、今後の進め方も検討しておりまして、要するに、この一年間で何とかその結論が、といいますのは、この問題だけでは、この問題の結論という意味ではなしに、裁判員制度の運用に当たりましての、運用のあり方とかいろいろな問題点がございますので、一年後に何らかの結論が出るように努力しようというふうには話し合っておりますが、これから話し合っていくということ以外に、今お答えのしようがないところでございます。
○小宮山(洋)委員 今回の民主党の提案は、この機会にとにかく捜査のあり方とか司法制度を変えようと思ってやっているわけですので、いろいろな理由があると思いますけれども、なるべく積極的にそこを検討していくように、私たちも努力をしたいと思いますけれども、皆様方にもぜひお願いをしたいと思います。 それで、提出者への質問に戻りますが、ビデオテープ、録音テープといった記録媒体の複製交付請求権を起訴前の段階のみ認めるということにしたのはどういう趣旨からなんでしょうか。
○中村(哲)議員 まず、起訴前における記録媒体の複製交付請求を認めることによって、被疑者または弁護人が違法、不当な取り調べ等が実施されていないかを早期に検証することが可能となります。被疑者を違法、不当な取り調べ等から守るということがこれによって可能となるわけでございます。 また、仮に違法、不当な取り調べ及び弁解録取手続が実施されていた場合には、捜査機関に対してその違法、不当性を主張して不起訴処分に持ち込む、そういった努力が可能となります。つまり、起訴前弁護活動に資することになります。さらに、被疑者または弁護人が起訴前の段階で自白の内容について確認することができるようになります。そのために、来るべき公判に備えることにも資することになります。以上が起訴前における交付請求を認めることにした理由です。 なお、起訴後についてどうなんだという考え方があると思います。本改正案では、第百九十八条第九項、第二百三条第四項等におきまして、取り調べ及び弁解録取手続の全過程を記録媒体に記録するように義務づけておりまして、自白調書の任意性について立証責任を負う検察官は、記録媒体を証拠として公判に提出せざるを得ません。 したがって、二百九十九条第一項により、起訴後において、被告人または弁護人は、公判提出予定の証拠の事前開示の一環として、あらかじめ記録媒体の内容を確認することが可能です。そのために、別途、複製交付請求権等の規定は設けないことといたしました。
○小宮山(洋)委員 起訴前の段階で記録媒体の複製交付請求を認めますと、被疑者の供述内容が外部に流出をして、証拠を隠す、共犯者と口裏を合わせるといった罪証隠滅のおそれはないんでしょうか。また、被疑者以外の人のプライバシー保護の観点からは問題がないんでしょうか。
○中村(哲)議員 まず、罪証隠滅のおそれについて言えば、被疑者が身柄を拘束されている場合については、そのようなおそれは認められないと思います。一方、身柄を拘束されていない被疑者については、取り調べの際の供述内容を共犯者に話すことなどで罪証を隠滅することは現在の法律でも可能です。だから、記録媒体の複製交付請求を認めたからといって、直ちに罪証隠滅のおそれが高まるものとは言えないのではないかと考えます。また、このような罪証隠滅のおそれが相当程度に高まれば、身柄拘束がなされます。 いずれにしても、罪証隠滅のおそれを理由に、適正な裁判実現のためには不可欠なこのような複製交付請求権を制限するというのは適当でない、そのように考えております。 次に、プライバシーの侵害のおそれについて申し上げます。 今回、複製交付請求権が認められる記録媒体は、被疑者本人の供述状況が記録されているにすぎません。ビデオリンク方式により記録された記録媒体のように、第三者である証人の証言状況が記録されているものに比較すれば、被疑者以外の者のプライバシー侵害の程度はさほど大きくありません。よって、このことのみを理由に複製交付請求権を制限するのは適当でないと考えます。
○小宮山(洋)委員 仮に、取り調べの録音、録画の手続が守られずに取り調べが行われた場合、その法的効力はどうなるんでしょうか。
○山花議員 本改正法に定める録画、録音手続を遵守せずに取り調べがなされた場合、この取り調べにおいてなされた自白は、直ちに、任意になされたものではない疑いのある自白に該当することになります。したがって、刑事訴訟法三百十九条第一項の規定によって、証拠とすることができない。つまり、自白の排除法則が働くということになります。したがって、もし録画、録音手続を遵守せずになされた調書等が提出をされましても、それを除いて裁判官は心証を形成するということになります。これによって、取り調べの際の録画、録音手続というものが担保されると理解をいたしております。 なお、先ほど来、そのような手法をとりますと取り調べにいろいろ不都合が生じるのではないかという御懸念を、表明なのか、あるいは確認なのか、されておりますけれども、我が国の優秀な検察官をもってすれば、イギリスやあるいはほかの国でできていることですから、そういったことは起きないと考えております。
○小宮山(洋)委員 私が懸念を持っているというよりは、そういう意見もあるということで、見解を伺わせていただきました。 逮捕されて、犯罪事実が間違いないかを調べるため、取り調べ前に行われる弁解録取手続、これについても、取り調べと同様に、弁護人の立ち会い権や手続の録音、録画の制度を設けることにしたのはどういう趣旨からなんでしょうか。
○山花議員 弁解録取手続においては、被疑者に弁解の機会というものが与えられ、弁解録取書というものが作成をされております。この弁解録取書は、刑事訴訟法三百二十二条第一項の「被告人の供述を録取した書面」に当たりまして、公判において証拠とすることができることとされております。また、現状においては、弁解録取手続を終えた後には、引き続いて取り調べ手続に切りかえられることが多くなっておりますので、被疑者において弁解録取手続と取り調べ手続、この二つを明確に区別することは困難ではなかろうか、このように考えられます。 このため、本改正案では、取り調べと同様の観点から、弁解録取手続においても弁護人の立ち会い権を創設し、適正な弁解録取の機会、これを担保いたしますとともに、公判における自白の任意性あるいは信用性、これをめぐる証拠調べの迅速化、明瞭化を図るため、録音、録画制度を設ける、このようにしたものであります。
○小宮山(洋)委員 それでは次に、保釈の制限事由関連で伺いたいと思います。 保釈の権利について伺いたいと思うんですが、権利保釈をどう考えているのか。現行の刑事訴訟法第八十九条に、保釈を許されない場合が一号から六号まであるわけですけれども、それ以外は保釈される権利があると考えてよろしいんでしょうか。
○山花議員 この権利保釈という制度、何が原則かというふうに考えるべきではないかと思います。 一般に、我が国では、何か報道を見ておりますと、逮捕されるとそれで事件は一件落着というような報道ぶりも目につくわけでありますけれども、そうではなくて、それが被疑者となり、また被告人という地位になってまいります。 御案内のように、被疑者が起訴をされますと、晴れて被告人という地位を取得いたします。被告人になりますと、国選弁護権が認められたりであるとかもろもろの手続的な保護がされておりますが、それはあくまでも被告人というものは、最終的に裁判官が、合理的な疑いを超える程度の立証があって初めて有罪判決があって初めて有罪となるのだということであって、それ以前はあくまでも無罪が推定をされております。したがって、被告人にそういった無罪の推定が働いている以上、勾留というのはむしろ例外的な処分であると考えるべきではないか。 また、被告人は訴訟の当事者として十分な防御の機会というものを保障されなければなりません。一方では、捜査当局は大変国家的な権力としていろいろな捜査のために手段を持っておりますけれども、一般に被告人の方は、自分のいわゆるアリバイであるとかそういったものを、必ずしも立証という言葉が適切かどうかはわかりませんけれども、少なくとも合理的な疑いを抱かせる程度に集めなければ事実上いけないわけですけれども、そのためのやはり機会というものが十分に保障される必要があるわけであります。 したがって、保釈というのは、原則としては請求をすれば許される、このように考えるべきではないでしょうか。このことは、刑事訴訟法の第八十九条が「保釈の請求があつたときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない。」と規定している。つまり、原則は保釈の請求があれば認める、今御指摘のケースに限ってはそれは認めない、こういう構造であるという点にもあらわれていると考えられます。
○小宮山(洋)委員 政府側に伺いたいと思います。 現行の刑事訴訟法第九十六条にある保釈を取り消すことができる事由とされております「被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」というこの事由によって保釈が制限された件数のうち、自白した場合と否認した場合に分けてデータを示してほしいと思うんです。といいますのは、先ほど名古屋刑務所のことで提出者からもありましたように、やはり、自白をすれば保釈をされるけれども、否認した場合はずっととめ置かれるという傾向があるのではないかという意見もございますので。
○大野最高裁判所長官代理者 議員がお求めになっております項目、要するに、保釈請求却下決定について刑事訴訟法の八十九条の保釈制限事由である何号に当たるかということにつきましては、昔からこれは統計をとっておりません。 ただ、自白事件と否認事件の保釈率ということでは出てまいりますので、それを申し上げますと、平成十四年の通常第一審、これは地裁と簡裁のいわゆる公判請求があった事件ということですけれども、その終局人員、ですから判決に至った人員の中で否認事件の保釈率、これは勾留されていた人員のうちで保釈された人員の割合、ですから勾留で身柄が拘束されていた者のうち保釈された者がどの程度いるかということですけれども、否認事件につきましては一一・七%、自白事件につきましては一二・五%ということでありまして、否認事件の方が自白事件よりはわずかに低いというふうに言えると思います。
○小宮山(洋)委員 まあ、データはとっていなくて、たまたまというか、この年の場合はこうだということなので、私が求めました基本的なデータではないのかなというふうに思いますが、これ以外には全般的なものはとっていないということでしょうか。
○大野最高裁判所長官代理者 今申し上げました、何号に、八十九条のうちに先ほどお話ありましたように一号から六号まで保釈の制限事由というのが法律で定められているわけですが、その何号によって保釈が認められなかったのか、保釈請求が却下されたのかということについての統計はとれておらないんです。 ただ、自白事件であったのか否認事件であったのかということについては統計がありますので、今申し上げました十四年ですけれども、例えば平成十一年であれば自白事件では一三・六%が、否認事件では一二・九%が保釈になっている、そういった数字は逐年出ることになります。
○小宮山(洋)委員 そのデータからするとそれほど差はないということのようですけれども、できれば、やはりきちんとこうしたデータも全体としてとっていただけた方がいいのではないかというふうに思います。 法務大臣に伺います。権利としてあるはずの保釈がなかなか認められない、人質司法などという余りありがたくない言い方もあると思いますけれども、この実態をどういうふうに大臣はお考えになっていますか。
○野沢国務大臣 現行の勾留制度は、被疑者、被告人の身柄を拘束することによりまして、その逃亡及び罪証隠滅を防止しようとするものであるところでございます。 刑事訴訟法では、被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合など保釈制限事由がある場合を除いて、保釈を許さなければならないこととしておるわけでございます。保釈制限事由がある場合であっても、裁判所が適当と認めるときは保釈を許すことができるとしておりまして、現状以上に保釈要件を緩和することは適当ではないと考えております。
○小宮山(洋)委員 そうせねばならないとされていることがそうでないから、こういう法案が提出されているのだと思いますけれども。 民主党の法案で、保釈を制限することができる事由を「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」から「充分な理由」に改めたのは、どういうような趣旨からなんでしょうか。
○山花議員 現行の刑事訴訟法八十九条の第四号において、保釈事由として、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」となっておりまして、その該当性を広く認めております。つまり、この事由に当たる枠が大きくなっている分、保釈が容易には認められないという問題が生じているわけで、これは昭和三十三年までは「充分な理由」というふうになっておりましたけれども、それが「相当な理由」というふうに広げられているわけであります。 地方裁判所で勾留人員との対比でということで、手元にあります話でいいますと、今、私も一一・七とか一二・五という保釈率、大変低いのでびっくりしていたんですが、かつて、一九五三年当時四五・〇%、一九六三年四〇・七%、一九七三年五八・〇%、一九八三年三一・九%ということで、かつてに比べると驚くほど低くなっているのだなと思っておりました。 実は、先日も、これは有名な事件ですけれども、東京地裁であった事件で、これは無罪判決が出た刑事事件で、余り特定のことを申し上げるのもいかがなものかと思いながら、しかし、たしか十三年—十五年で求刑されていた事件なんですが、十五年六月勾留をされていたという事案がございます。先ほど河村委員の方から、一年以上もやっているのはいかがなものかという話がありましたけれども、一年などというのはまだ序の口で、十五年勾留されている。また、あるいはこの共犯者であるとされて、まだ審理中ですが、その被告人も十二年間まだ勾留をされ続けているというものがございます。 先ほど、否認事件と自白事件とでそうは違いはないという答弁がございましたけれども、それはあくまでもかなり低い保釈率の中でそうは違いはないわけでありまして、やはりこうしたことがむしろ有形無形の圧迫となり、また、もうこれも有名な話かもしれませんけれども、拘置所等、行刑施設内に長期間入れられておりますと、拘禁症を発症する者なども多数出ております。 したがって、そういった人道的な見地からも、本改正案においては権利保釈の除外事由というものを制限いたしまして、「相当な理由」から「充分な理由」、このように改めた次第でございます。
○辻議員 大野局長の方から、自白事件と否認事件で余り保釈率に変わりはないというような数字が出ておりますが、これは、現場にいる者の実感としては全く違います。 私なんか素朴に、やはり時代がどんどんたって、世の中がどんどん自由に、そして民主主義的になっていくものかなというふうに、非常に楽観的に考えておりましたけれども、私は弁護士を二十三年間やってまいりましたけれども、保釈の運用というのは逆行している。どんどんどんどん、ある意味では身柄の拘束がされる率が多くなるというか、保釈が認められにくくなっていくということを非常に実感しております。 例えば、起訴後に保釈される割合が非常に減っている。起訴後、第一回の裁判が開かれるのは大体一カ月とか一カ月半でありますけれども、その一カ月か一カ月半の間、否認していない自白事件であっても、なかなか保釈が認められないという例があります。起訴後直ちに保釈されるというのは、本当に自白をしていて、かつある特定の罪種にどうも限られるんじゃないか。道路交通法違反でそんなに大きな被害が生じていない場合とか、かなり限られている。それは、この十年、十五年、やはり保釈率がどんどん悪くなっているというふうな実感がありますし、第一回が開かれても、否認しているとなかなか保釈されない。 これは、先ほど自白事件は一二・五%の保釈率であり、否認事件は一一・七%だとおっしゃられましたけれども、どのような事案、どのような根拠でこの統計の数字が出ているのか、極めて疑問であります。 いろいろ裁判実務に関与している多くの人々からいろいろなアンケート調査をしたりしている統計表も出ておりますし、やはりこれは、法務省なり裁判所なり、きちんと調べて、本当に責任を持った回答をしていただきたい。人質司法ということが今の捜査をゆがめているし、裁判のあり方もゆがめているんです。 本当は争いたくても身柄が出ない、否認し続けたらもう半年ぐらい出ない、外に出ることができない。やむを得ず調書を全部認めて、裁判も争わないで、早期に、公判廷で認めて保釈してもらおうというふうに思う場合が結構多いですし、捜査の段階でも、いつまでも否認しているとずっと出られないぞと言われて結局自白してしまう。本当にそうだと思っていなくても、事実が事実どおりではなくても、軽微な事件だから早く出られた方がいいとかいろんなことを言われて、自白調書をとられてしまう。 ですから、捜査の段階における弁護人の立ち会い権とか捜査の可視化によって取り調べの自白偏重主義を正さなければいけないという要請は、一方で、保釈をしっかりと権利として認めるということをきちっと制度として確立することによって、一体となって前進するということが言えるというふうに思います。 民主党の今回の八十九条の案は、従来の「相当な理由があるとき。」というのを「充分な理由があるとき。」に改める。これは、昭和二十八年にこの刑事訴訟法八十九条の五号のいわゆるお礼参りの規定が、当初は「充分な理由」があるとき許すということになっていたのが、昭和三十三年に「相当な理由があるとき。」というふうに変えられている、そういう、強化されたという経過があります。 やはり法文も保釈を限定する方向に流れてきているということについては、今やはり流れを変えるときであろう、それが憲法の趣旨にも合致するし、日本の刑事裁判を本当によりよいものにしていくことであろうというふうに思います。そういう意味で、保釈制度を改善する必要がどうしてもあるということで、この法案を提案しております。 以上でございます。
○小宮山(洋)委員 民主党提出の刑事訴訟法改正案につきまして、弁護士の立ち会い、取り調べの録音、録画、保釈の制限事由についていろいろな論点を伺ってまいりましたが、最後に提出者に、今回この民主党から出されている法案は、開かれた裁判を目的とする裁判員制度を初め、今回の司法制度改革の中でその改革の成否を左右する重要なかぎだと私は考えるんですけれども、今回のこの法案にかけたその趣旨、思いをそれぞれ一言ずつ伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○河村(た)議員 やはり人間は失敗があるので、検察も警察もあると思うんですね、やはり。だけれども、実際は公訴の取り消しの規定を持っているんだけれども、それはなかなかできない。やはりしかるべきシステムをつくらないと、これは自民党さんにも言わないかぬのだけれども、やはりこういう密室裁判を続けておいて、それで突然裁判員の前に毒を盛られたジュースばかり出して裁判員に判断しろという、こういうのは本当に自由主義の精神から外れるということでございますので、ぜひこれは、もうこれは決めぬと、世界の常識ですから恥ずかしいというのが私の思いでございます。
○山花議員 済みません、先ほど辻議員から御指摘いただきましたが、先ほど私、八十九条四号のところが昭和三十三年の改正でと申しましたが、五号の方でした。失礼いたしました。 当委員会でもたびたび問題にされておりました、例の死刑を言い渡されている袴田巌さんの事件なんですが、当時の記録を拝見いたしますと、捕まってから二十三日間、例えば八月十八日に逮捕されて、十九日、十時間三十分。二十日、九時間二十三分。翌二十一日、七時間〇五分。二十二日、十二時間十一分。二十三日、十二時間五十分。二十四日、十二時間七分。二十五日、十二時間二十五分。二十六日、十二時間二十六分。読み上げるのもあれなんですが、もうずうっと、最大で十六時間二十分取り調べが続いていたということが記録として残っております。 袴田巌さんは、その手紙の中で 「殺しても病気で死んだと報告すればそれまでだ」と言っておどし、罵声をあびせ棍棒でなぐった。そして、連日二人一組になり三人一組のときもあった。午前、午後、晩から十一時、引き続いて午前二時頃まで交替で蹴ったり、殴った。それが取り調べであった。目的は、殺人・放火等犯罪行為をなしていないのにもかかわらず、なしたという調書をデッチ上げるためだ。九月上旬であった。私は意識を失って卒倒し、意識をとりもどすと、留置場の汗臭い布団の上であった。おかしなことに足の指先と手の指先が鋭利なもので突き刺されたような感じであった。取調官がピンで突いて意識を取り戻させようとしたものに違いない というお手紙を書いていたりとか、これは随分昔の事件ですから、今はそういうことはないと信じたいですが、しかし、やはり密室の中ではそういうことが行われるリスクがあるわけであって、これから裁判員制度などを導入するに当たっては、そういった自白の任意性の有無ということについて、書面で見てああだこうだ言うのではなくて、やはりビデオ録画などで決着をつける、そういった形が望ましいと考えております。
○辻議員 やはり捜査の現場におられる方とか裁判の現場におられる方、今の制度の中で与えられた役割でいろいろ一生懸命頑張っておられる。だから、今の日本の刑事裁判の状況や日本の捜査の状況がこうだからやむを得ないというふうにお考えになるというのは、それはそれでよくわかるところであります。 しかし、現場がこうであるからということで、それだけに、やはり政治の責任というのはそれを追認するものであってはならないし、今こそやはり、五十年先の日本の刑事裁判、刑事システムがどうあるべきだという観点で考えたときに、世界の刑事裁判、刑事司法がどうなっているのか。必ずしもそれはグローバルスタンダードとかほかと一致しなければいけないということではありません。日本は日本の伝統的な独自のよさもあるとは思いますが、しかし、実体的真実発見とデュープロセスの保障という対立した利益が衝突する場合には、デュープロセスの保障、人権保障を優先するんだ、これがやはり五十年先の日本の刑事司法を考えたときの原理原則であります。 そこをきちっと考えて、今の現状に追随するんではなくて、現場の必要性に引きずられてそれを固定化して制度を考えるんではなくて、先を見通した制度を政治家の見識としてつくり出していきたい。民主党はそのような立場でこれを提案しておりますし、自民党の方々も、やはりそういう意味では、政治家の見識に立ってこれにぜひ賛成していただきたい、このように思います。
○小宮山(洋)委員 再三申し上げていますように、今回の百年に一度の司法制度改革、これがやはり取り調べのあり方など刑事司法を変えていくチャンスでもあると思うんですね。そうした意味からしましても、普通の国民が参加をする裁判員制度をよりよい形でやるためにも、いろいろな意味からいたしまして、この民主党の改正案の趣旨がしっかり理解されまして、考え方が取り入れられるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○柳本委員長 与謝野馨君。
○与謝野委員 民主党から刑訴法の改正案が出されましたけれども、何たる楽観主義、それから諸外国の制度に対する無理解ということを実は感じておりまして、恐らく民主党が政権をとった世の中では、犯罪者が謳歌するんではないかという懸念を持ったわけでございます。 そこで、辻提案者にお伺いしたいんですが、辻提案者の御質問をずっと三週間ほどお伺いしていますと、裁判員制度は絶対反対だというふうに私は聞こえてきたんですが、裁判員制度はやはり本質的によくないというふうに今でもお考えですか。
○辻議員 刑事被告人の諸権利がきちっと保障されることと、それから国民の意見を反映することが調和する制度というのはやはりあるというふうに考えております。それは、日本で戦前実現されていた陪審制度はどうなのかという問題もありますし、今、参審制の一つの形態として裁判員制度と言われておりますけれども、それをもう少し利害がそれぞれ調整できるような、煮詰める作業はあり得るんではないかというふうに私は思っておりますから、一概にオール・オア・ナッシングで賛成反対ということで言っているわけではありません。
○与謝野委員 冒頭、河村提案者から名古屋の刑務所事件が一つの契機になった、こういうお話があったんですが、何か名古屋の刑務所事件というのは、むしろ民主党がずっとあおっていて、最終段階になったら今度は冤罪だというふうに話が変わってきた。何か不思議な気がしてならないんですが、その辺は一体どういうことなんでしょうか。
○河村(た)議員 最終段階というわけではありませんけれども、それぞれ質問した人が立場が、立場がというか、違うと思うんだけれども、僕は去年の二月、三月でしたか、法務をやらせていただいて、三回は、何か法務省が言うことがみんな本当だと思いましたから、あのときは。それで、マスコミもそうだったんですけれども。そういうつもりで質問しまして、しかし、当事者にちゃんと聞いたら、全然事実が違っておるではないか。 それで驚きまして、私はこの法務委員会でも謝罪しましたし、それから予算委員会でも謝罪しまして、そのかわり、皆さんを助けるために、この八名の刑務官を助けるために私は全力を尽くすというふうになってきたわけなんで、本当に僕にとっては悲しい、五十五になりましたので、やはり冤罪に手をかすというのは人間の生き方の中で私は一番おぞましい生き方だと思っておりますので、個人的なこともありますけれども。 しかし、そういう調べがどんどん出てきて、それこそ今の与謝野先生に言いたいんですけれども、それこそ調べにちゃんと弁護士が立ち会っていたら、もしビデオがあったら、僕は絶対こんなことは起きなかったと思いますね。それから保釈もそうですね。 ですから、僕は失敗したことは自分ではっきり謝りますので。それからまた、委員会は、この間も言いましたけれども、こんな、延べ六十五人ですか、予算委員会は集中審議までしている。それから法務委員会は毎週水曜日やっていたんですから。これを呼び捨てにした人もかなりいますよ、刑務官を。 何の根拠もなかったということが許されるのか、本当に。強い憤りを感じて、ぜひここでもう一遍やってもらいたい、きちっと。真相解明は裁判所だけじゃないですから、当然。真相解明は再発防止の行政の責任でもありますし、国会の責任でもあります。ぜひやっていただきたいということで、そこにもっていって捜査の手法がやはりだめだと、これは。 密室で、おまえらやっただろうといって、こういうふうに決まっているじゃないか、この場で書け、そのまま留置場へ入れるぞとぼんぼんぼんぼん机をたたかれて、やって涙をこぼしてぶっ倒れた人もおりますけれども、そんな取り調べを許しておってはこういう悲劇が何回も繰り返される、そういう思いでこの立法につながっていったということでございます。
○与謝野委員 そこで、先ほどイギリスの制度を御説明になった中村さんがおられないので、ちょっとお伺いできないのでまた後ほどお伺いします。 刑事局長にお伺いしますが、世の中、犯罪が行われるときには必ずしも単独犯とは限らない。むしろ、組織犯罪などもあって、例えば麻薬の密売事件、実際は、捕まるのは現場の密売者。実際はその上に組織が幾つもあって、末端のそういう密売者を捕まえても、何とか組織の全容を解明したい、だれに指示を受けたのかと。 例えば暴力団でしたら、組員が何か犯罪を行った。それは組員の単独犯なのか、個人で計画をして犯罪を行ったのか、あるいは上部の者に指令を受けたのか、こういう全容を解明しなければならないときに、どうしても本人からきちんとした話を聞かなければならないという共犯関係、特に共犯関係、しっかりとした供述を得なければ事件の全容が解明できないというケースが多いと思うんですけれども、こういう可視化というようなことになりますと、自分が上の人間を売ったということになる、絶対自供しない、全容は解明できない、こういうことになるんですが、実際、そういう組織犯罪などを捜査されるとき、どういう苦労をされるのか、その点をお話しいただきたいと思います。
○樋渡政府参考人 我が国の捜査におきます取り調べというものの機能の役割は、非常に各国に比べて大きなものでございます。 委員御指摘のとおりの暴力団事犯等の組織犯罪等におきましても、首謀者の配下の構成員に対する指示、命令といいますのは、実際には当事者間において隠密になされることが多いことでありますため、構成員による犯罪の実行行為そのものについては客観的証拠がございましても、当該構成員に対する首謀者の指示、命令の有無やその状況等については、当該構成員の自白がなければおよそ明らかにならない場合も極めて多いものでございます。そのような意味で、犯罪を実行した配下の構成員等の自白は、組織や犯罪の実態を解明して首謀者を検挙しその責任を問うなど、事件の全容を解明するために極めて重要な役割を果たしているところでございます。 そして、取り調べ官は、最長二十三日間という身柄拘束期間内に、被疑者との信頼関係を築いた上で、被疑者が組織の報復を恐れ、他人を前にしては話すことができない暴力団事犯等における組長の関与等について、真実を語るように説得などをしながら極めて詳細な取り調べを行い、それによって得た供述に基づきまして、さらに客観的な証拠の収集や関係者の取り調べを行うなどの綿密な裏づけ捜査を行いまして、事犯の真相を解明しているという実情にあります。 このような人たちから真相を得る、特に、自分に命令したのはだれだというようなことを問いかけそして説得するためには、並々ならぬ努力をしながら、時には自分のこともしゃべりながら、そして相手の生い立ちにじっと耳を傾けながら、そういうような信頼関係のもとで、でもやはり世の中はよくするべきだろうというような感じで調べに当たっているのが実情でございます。
○与謝野委員 そういう複雑な事件について、共犯者を割り出さなきゃいけないというときに、民主党案で、弁護士が立ち会っている、もしかしたら親分から派遣された弁護士かもしれない。可視化があって録音、録画されているから、先ほどのお話だと取り調べの全過程が録音、録画されているということだから、例えば口を割ったら自分の家族が報復を受けるとかいろいろなことが予想される。 そういうときに、民主党の可視化法案だとほとんどの人が口を割らないということになると思うんですが、その点、先ほどのお話だと、それは優秀な検事が頑張れば大丈夫だという捜査手法、それからいろいろ、質問や何かのやり方をやれば大丈夫だなんという話だったんですけれども、そんなものではない、命がけの話になっちゃうんですが、その辺はどういうふうにお考えなんですか。
○山花議員 お答え申し上げます。 むしろ、私は、御質問の趣旨が、あるいは見解の相違なのかもしれないですが、少々理解しかねることがあるのですが。 と申しますのも、現行でも供述の録取等はすべてとっておりますし、刑事裁判は、証拠として出されるものについては憲法上公開することになっております。したがって、録画をしているか、あるいは現行のような書面の形にしているか、それによって御指摘のようなそんな大きな違いが起こるのかどうかということは、起こるという心配の方がむしろ私どもはよく理解ができないところでございます。 また、取り調べの場所に弁護士がいて、それが暴力団の、あるいは親分の関係だったらどうかという御指摘ですが、しかし、それはもう弁護士制度という制度そのものの問題なのではないでしょうか。つまりは、弁護士については守秘義務というものが課されておりますので、これをよそに行って明かしたりということについては、それは弁護士倫理に触れるということで、そういうことを行えば懲戒なりあるいは資格停止という処分まで今制度としてあるわけですから、その点も現行の制度の中で担保されていると考えております。
○与謝野委員 要するに、共犯者の名前は供述調書に書かれるから、結局はわかっちゃう、この人が白状したということがわかっちゃうという話を今されているんですが、自分が言わなかったことにしてくれれば真相は言う、実はこの組織犯罪は私とだれだれとだれだれがやりました、みんなに聞いてください、自分が最初言ったことにするというのはちょっと困るけれどもというようなケースも多分あると思うんですが、刑事局長、そういうケースはあるでしょうか。
○樋渡政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、暴力団事犯などの組織犯罪等におきましては、末端の構成員である被疑者が、取り調べにおいて、取り調べ官の説得に応じて組織の実態や首謀者からの指示の状況なども含めて供述する場合でも、組織による報復を恐れて供述調書に録取しないように頼んでくることもございます。 しかし、このような場合でありましても、その被疑者の供述内容をもとに他の証拠を収集することが可能となり、その結果、捜査を大きく進展させることができる場合もあるものと承知しておりますし、また、委員御指摘のとおり、今お話しするけれども調書の作成は待ってくれということを頼んでくることもございまして、そういう場合には、今申し上げたような、捜査を尽くして、その上で機を見て本人の承諾を得て、その後そのときに調書をとるということは間々あることだというふうに思っております。
○与謝野委員 先ほどイギリスの制度について御説明された中村さんがおられないので他の提案者の方にお伺いしたいんですが、中村さんのお話ですと、イギリスはすべて被疑者が供述したことを録音、録画しているというふうに聞こえたんですが、本当にそうでしょうか。
○辻議員 すべてのケースについて漏れなく現実に運用されているかどうかにつきましては、原則としてそうされているということが調べの中では、調査の中では確認している事実でありますので、多くの場合はそうされている。だから、すべての場合に例外なくされているかどうかについては、改めてそれは調査の上お答えさせていただきたいというふうに思いますけれども。
○与謝野委員 イギリスも多分、調べていただくと、共犯者について供述するときは録画、録音はちょっとやめるわけです。これは、日本の弁護士会がイギリスから警察の御関係者をお呼びしてやったセミナーみたいなのがありまして、そのときに最後の質問で、イギリスでは共犯を自供させるときにはやはり録画、録音しているんでしょうとかいう質問があったら、それはとんでもない、それはないですということだったんで、その辺はやはり各国の制度をよく御研究になった方がよろしいんじゃないかなという気も私はいたします。 そこで、次の、弁護人の立ち会いの件でございますが、弁護人の立ち会いというのは、そこにいるだけなのですか、それともいろいろ口を出せるのですか。あるいは、取り調べられている人間が相談をすることができるんですか。ただ傍聴しているのか、あるいは助言を与え、助言を求められたら積極的に助言をする、どっちの立ち会いを言っておられるんですか。
○辻議員 まず、直接的には、弁護人の立ち会いの件につきましては、立ち会っている限りは適宜アドバイスができるという制度として考えております。 それから、前半の御質問の点で、共犯者の問題について、イギリスでは録音、録画はやめることになっているんじゃないかというふうにおっしゃっておりますが、日本の、今回の民主党のこの法案においても、録画については本人の申し出によって辞退することができるという制度になっております。ですから、委員がおっしゃるように、だといっても録音は残るじゃないかと。 ただ、そこは、その共犯者をめぐる犯罪というのは、親分がいて子分がいてというふうに必ずしも明確ではないわけですね。だから、共犯者の関係で、役割とか分担とか押しつけ合うことがあるわけですね。ですから、そこで、自分が刑事責任を免れたい、または役割を小さくしたいということで他に押しつける、そのような心理状態が働くし、現にそれが、人間の行動原理として、人情的に考えても、ある意味でリーズナブルな動きなわけです。 だから、やはりそういう中で、共犯者に限って委員はいろいろおっしゃっていますけれども、それによって解明されない問題が仮に出たとしても、しかし、政策的な優位性として、共犯者が押しつけ合って、そこで虚偽の役割が問題になったり、虚偽の自白がとられていく、それはやはり刑事裁判を大きく言って誤らしめるものになる、冤罪を生み出す根拠になる。そういう意味におきまして、やはり政策判断においてどちらを優位に考えるのか、そういう問題なのではないかと思いますが。
○与謝野委員 そこで、問題は、もともと、司法警察員あるいは検察官が被疑者の取り調べを開始するときには、何らかの形で黙秘権の存在を取り調べられる側に告知をするわけですが、立ち会っている弁護士は、取り調べられている人間に真実を話しなさいと慫慂するのか、あるいは、あなたは黙秘権があるんだからしゃべっちゃいけないというふうに慫慂するのか、どっちの役割でそこで立ち会っているわけですか。
○辻議員 これは、判例、学説で多く議論になっているところであります。学説の定着した意見としては、弁護人の側に真実を慫慂する義務はないということでほぼ一致を見ているというふうに思います。 ただ、個々のケースに当たって、その弁護人の方がどのように動かれるのか、どのようにされるのか、それは依頼者の方との信頼関係の問題だし、場合によっては弁護士の倫理の問題にかかわってきておりますが、公の意味においては、真実を述べよというふうに慫慂する立場に弁護人としてはない、そのような義務もないというのが正しい考え方ではないか、このように思います。
○与謝野委員 そうすると、むしろ、立ち会っている弁護士は、自己に不利な供述は強要されない、だから、あなたはその部分はしゃべらない方がいいですよということを言うために立ち会っているわけですか。
○辻議員 それは被疑者の方の権利を真っ当なものにするために、リーガルアドバイスをするために弁護人はそこに立ち会っているわけでありますから、適宜あなたには黙秘権がありますよということをアドバイスするというのは当然のことではないか、このように思います。
○与謝野委員 しかし、弁護士という非常に法律倫理の高い、なおかつ、先ほどから先生がおっしゃっている実体的な真実解明を弁護士の立場から求めている方が、むしろ被疑者の犯罪を軽くしようとかあるいは訴追を免れようとか、そういうことを慫慂するということは職業倫理に反しているのではないかと思うんですが、どうでしょう。
○辻議員 リーガルな範囲の中でのアドバイスをするというのが弁護人の立場であります。今おっしゃったような実体的真実の発見に協力するというのが弁護人の義務でもなければ立場でもない。 これはやはり歴史的に、私はこの裁判員制度の質疑の中でも触れさせていただきましたけれども、魔女狩り裁判とかいうことで、国民のすべてがあれは国民の敵なんだということで一人を血祭りに上げるときに、それはある意味で、客観的にだれが見ても外形的な構成要件事実に該当する行為を行っているということが見えたとしても、弁護人はその人の立場に立って、リーガルな立場で、例えば黙秘権がありますよということをアドバイスすることは当然のことであり、それは今の近代市民社会における、今の近代国家における弁護士の制度というのはそういうものであるというふうに御理解いただきたいと思います。
○与謝野委員 悪いことをした人を逃がす手伝いをしているんじゃないかと、我々、司法の資格を持っていない者は、やはり弁護士というのは悪い人を助けちゃうんだなというふうに、そういうお話を伺うと、どういうわけか聞こえてしまうわけです。 立ち会う以上は、やはり被疑者たる者に真実を語らせるというのが立ち会った弁護士の職業としての責任ではないかという気が私はするんです。立ち会った以上はそういう責任があるのではないかと。ただ黙秘権を告知して、あなた、それをしゃべると裁判になって不利になるからしゃべらない方がいいよというようなアドバイスをすることが立ち会った弁護士の使命だとしたら、立ち会いは不要だろうと私は思うんです。
○山花議員 私は弁護士資格は持っておりませんが、一般論として申し上げますと、先ほども小宮山委員の質問に対してお答えしたとおりでありまして、つまりは、裁判というのは悪いことをしたかどうかわからないからやるわけでありまして、あくまでもその時点では無罪の推定が法律上あるわけです。 ただ、与謝野委員御指摘の、例えば弁護士さんがそこについていると全部黙秘させるように、させるようにするかといえば、必ずしもすべてのケースがそうではないのではないか。つまりは、ある意味、弁護士がむしろリーガルサポートとして、いや、こういうケースではちゃんとしゃべっておいて自白した方が罪になる可能性が高いですよ、そういうサポートをする可能性もある一方で、黙秘権というのは憲法上保障されている権利ですから、あなたにはそういうものがありますよと告知をするケースもある、両面があるのだというふうに考えます。
○河村(た)議員 これは、与謝野先生、歴史的教訓でして、やはり捜査機関とか権力は時として無実の者をこうやって引っ張って、とんでもないことを言わせて監獄へ入れてしまうということに対して、弁護人制度も歴史が発明した、そういう一環の中に弁護士の立ち会いもあるのであって、やはりそれだけ立場というのは、物すごい力が違いますから。 それと、共犯の問題だって、そんなもの、調べ官が、おまえらの仲間しゃべったんだぞ、調書を前に並べたろかと言われたときに、そこで、被疑者としてはどうやって確認したらいいんですかね、これ。だから、やはりそこは第三者がおって、同じように防御してあげるというようなことをしようじゃないかというのは、これは歴史的教訓だと思いますね。
○辻議員 例えば、もう二十年以上前になると思いますけれども、九州で、車で海の中に飛び込んで、荒木虎美さんという、これは被告人で、死刑判決があって、公判中に亡くなりましたけれども、これの弁護を買って出た人がいて、全国から抗議の手紙があって、いわば非国民であるということで弁護人が指弾されて、結局辞任を余儀なくされたという例があります。 例えば、この十年来を見ても、オウム裁判で、やはりこれは国民の敵だからそれを弁護するなんてけしからぬ、あんな者は弁護士として失格だというふうな声がやはり身近につい出てしまいますよね。だから、そういう中で弁護士が非国民とされる、刑事被疑者、被告人の弁護に立てなくなると、それは、ある意味では近代国家の自殺行為だろうというふうに思います。 委員がおっしゃっているのは、弁護人はそのときに真実を話せと言って、つまり、指弾する国民の立場に立って弁護活動を行えというふうにおっしゃっているのではないかと思いますが、それは逆の意味において弁護士の倫理に反する行為になりますので、あくまでもそういう異端者の弁護をやるために弁護士の制度というのはあるんだということの御理解をやはりしっかりいただきたいなと思います。
○与謝野委員 私も荒木何がしの事件のことはよく知っておりまして、これはほとんど状況証拠のみで殺人罪で起訴された件で、なかなか難しい事件だなと思っておりました。そういう方が起訴されて公判廷に立ったときに、当然のこととして弁護人がつくということ、これは、私選の弁護であれ国選の弁護であれ、きちんとした弁護士の方が弁護に立つというのは私は当然だと思いますし、どんな事件であっても法手続が適正に行われ、すべてが法と証拠に基づいて判断されるということをきちんと見ているという意味で、やはり弁護士の方がそういう被告人の弁護につくというのは、私は当然のことであろうと思いますし、また、これは憲法上の被告人の権利である。 その点は私は先生と全く意見は違わないと思っていますが、取り調べ室に入って弁護士が立ち会うという意味が全くわからない。何か、先生のお話を伺っていると、旧刑事訴訟法の世界を思い出してしまうわけです。やはり、新しい刑事訴訟法というのは、今の憲法を受けてよくできた訴訟法であって、他の国の関係法令と比べても、極めて人権を尊重した、適正な手続を盛り込んだ制度であると私は思います。もちろん、御指摘のように、その運用に当たって間違いがあるということも考えられないことはないんですが、刑訴法は非常によくできているんではないかと私は思っているわけです。 そこで、民主党が提案されるに当たって、弁護士の立ち会いがないときの供述調書は証拠能力がない、任意性もないし何にもないんだ、だめなんだ、こう言っていますが、今全国で、弁護士の先生、一万五、六千人しかおられない。犯罪者がこんないっぱいいて、みんな立ち会わないと供述調書がとれないという話になると、犯罪の捜査は弁護士の方の数で限定されてしまうという矛盾があるんですが、その点はどういうふうにお考えですか。
○辻議員 民主党の提案しております百九十八条の二項以下の点でありますけれども、「被疑者又は弁護人が求めたときは、弁護人の立会いを認めなければならない。」三項で、「前項の求めがあつたときは、取調べの日時及び場所は、あらかじめ、弁護人にこれを通知しなければならない。」ですから、被疑者、弁護人が弁護人の立ち会いを求めて、捜査機関の側が、何月何日の何時から何時までやりますよと。それに弁護人が出てこれない場合、これは違反にはならない。したがって、仮にそこで作成された調書については、三百十九条一項で証拠能力が否定されるということにはならないという構造になっております。
○与謝野委員 それじゃ、ひどいじゃないですか。民主党の案だと、弁護士の立ち会いじゃなきゃ証拠能力がないと言っておきながら、弁護士の都合がつかないときには供述調書をとってもそれに証拠能力があるという、そんな法律構成というのはあるんですかね。
○辻議員 要するに、法文としては、権利の要求があったときに立ち会わせなければならない。そして、日時、場所を指定する。それに立ち会えなかったときには、それは要求に機会を与えているわけだから、それはそれで、三百十九条一項の適用の問題にはならないということであります。 だから、委員がおっしゃるように、そうするとそこに間隙が生じているじゃないかということをおっしゃっておられるのかもしれませんけれども、そこは、この法文は法文としてまず提案させていただいて、そこについては煮詰めさせていただければと思いますが。
○与謝野委員 そこで、民主党がこの可視化法というものを提案された背景には、各国の捜査手法とか、起訴前のいろいろな捜査の方法、その他いろいろ御研究になったと思うんですけれども、どこの法制度を一番研究されたんでしょうか。
○辻議員 基本的には、イギリスを参考にして法案を作成させていただいております。
○与謝野委員 イギリスは完全な令状主義でしょうか。
○辻議員 日本においても、緊急逮捕とか、無令状で逮捕できる場合がありますよね。そこの幅の広さというか、場合の大きさ、小ささということについては、ちょっと今詳細にはお答えできませんけれども、イギリスにおいて無令状で身柄を拘束できる場合があるというのは事実であります。
○与謝野委員 日本の刑訴法は、何人も現行犯逮捕、緊急逮捕というのはできて、我々でも現に犯罪を犯した人を逮捕できる、そういう制度になっているわけですが、イギリスも恐らく警察は令状なしで人に来てくださいということを言えるというふうに聞いたんですが、イギリスの制度を御参考になったので、その辺は少しはっきりしていただけないでしょうか。
○辻議員 先ほど申し上げましたように、日本の緊急逮捕の場合は、憲法三十四条の例外的に無令状で逮捕権限を認められるという場合があります。イギリスにおいては、令状によらない逮捕、アレスト・ウイズアウト・ワラント、これはサマリーアレストとも呼ばれているようでありますが、一定の要件がある場合に、令状なしに逮捕権を行使できる場合があるという規定になっております。
○与謝野委員 イギリスは、勾留期間も非常に短くて、恐らく可視化ということよりは、その事前のいろいろな捜査手法を駆使していると思うんですが、イギリスの捜査手法というのは、何種類ぐらい御研究になったでしょうか。
○辻議員 今おっしゃっているのは、免責制度とかそういう趣旨のことをおっしゃっているんですか。(与謝野委員「そうです」と呼ぶ)それは、基本的にはイギリスを基本にしておりますけれども、当然それにそのとおり当てはめて倣っているわけではありませんから、今おっしゃられたケースについては、要するに、逮捕の場合は令状主義なり緊急執行なりそういうことが何種類あるのか、そういう御質問なんでしょうか。 捜査の手法というのは、どういう意味でおっしゃっておられるのか、それが、民主党が今回提案しております可視化、取り調べについて、これを自白偏重主義をなくするための弁護人の立ち会い権を認めたり、可視化を認めるということとどういう御質問が関連してきているのか、その辺を伺って、もう少しお答えをさせていただきたいと思います。
○与謝野委員 要するに、民主党と私の立場というのはどこが違うかというと、皆様方は、悪いことをしたかもしれないと国家機関が判断した人の人権を守れ、こう言っているわけです、悪いことをしたかもしれない人の人権を守れと。我々は、一般の善良な人の人権を守れと言っているわけです。 だから、一定の適正な手続のもとに捜査が行われ、公判請求が行われるということは当然だ、こう言っているわけですけれども、皆様方は、多くの場合捜査が間違うんだ、多くの場合適正手続がとられないんだということを危惧されてこういうものを提案されているんですけれども、やはり調書の任意性とか信用性というものは法廷できちんと争われて、それについては、ちゃんと調書をつくった人が、任意性があります、こういう状況で供述をとりましたということを証明しなきゃいけない。ちゃんと任意性についても検察官面前調書が全く一〇〇%すぐ認められるというわけではなくて、任意性も証明しなきゃいけないし、場合によっては、検察官の面前でつくられた調書を供述した人を証人として呼んでもう一度話を聞くこともできる。 そういう意味では、可視化というのは不要なんじゃないかという気がしますし、可視化をすることによる弊害というものも大き過ぎるんじゃないかという気がするんですが、どうでしょうか。
○辻議員 例えば、死刑廃止の論議があって、死刑が存続するから抑止力になって犯罪が少なくなるんだという、もしこれは死刑廃止をやめにすれば、犯罪は多くなるんだということが言われたりいたしますけれども、これは統計的に私が知る限りにおいてはそのようなことが論証されているわけではないというふうに思っております。 今委員がおっしゃったように、民主党は悪いことをしたかもしれない人の人権に光を当てている、委員は、そうではなくて一般の人々の人権を守るということに光を当てているというふうにおっしゃっておられます。民主党は一般の人々の人権を守らなくていいなんということは一言も言っていないし、守ることにも同時に光を当てているわけでありまして、そこを対立的に問題提起されるのはいかがかなというふうに思います。 今問題になっているのは、現行法でも、任意性の立証とか検察官に課されているわけだから、憲法上の手続に基づいたさまざまな被疑者、被告人の側の手続の確保、保障はあるじゃないかということをおっしゃっていると思いますが、しかし、なお現実に冤罪が多々ある、自白の証拠能力が否定される判例が陸続と出ているという現実の中で、より今の状態を改善するための案として民主党が提言しているんだということを御理解いただきたいと思います。
○山花議員 済みません。先ほども、悪いことをしたかもしれないというふうに少し修正していただいたのはありがたく思いますが、ただ、要するに、誤認逮捕などのケースでは、御指摘のような一般の善良な方々もそういうことに巻き込まれるケースが否定できないということが一点、また、私どもは何でもすべて今の刑事司法でおかしなことが行われているということを申し上げるつもりは全くありません。 むしろ、多くのケースは適正に行われているんだと信じたいと思いますが、ただ、構造として現行の刑事訴訟法のもとで任意性に相当疑いがあるような取り調べが行われたりであるとか、それによって、最終的には、先ほど少し申しましたけれども、無罪判決が出るにしても長期間勾留をされていたり、つまりはもっと早くその任意性について決着がついていれば、それが防げたケースがあるのではないか。 さらには、最終的には法廷で、御指摘のように検面調書等について、任意性の有無について決着をつければよいではないかというお話でしたけれども、まさにこれから裁判員制度を導入するに当たって、そういったものの書面であるとか、その書面がとられたときの状況などを口頭やあるいは書面で判断するのではなくて、このときにこういう状況で供述がされましたという形で録音、録画が残っていれば、まさに迅速に決着をつけることができるという思いで提案をさせていただいたものであります。
○与謝野委員 ということは、大変民主党の手続は、被疑者の権利を守る一方で、二十三日間で弁護士の先生やなんかの全部都合をつけて、二十三日間で起訴に必要な書面、証拠、全部集められるとはとても考えられない。したがいまして、フランス並みに勾留期間を延ばす気はないですか。
○辻議員 まず、身柄を拘束されるというのは、相当程度捜査が進んで身柄を拘束に足る嫌疑が相当程度高まっているからこそ令状が発付されるわけでありますから、身柄を拘束する以前に十分な捜査を遂げる時間は十分にあるわけでありますから、身柄を拘束した後の拘束期間を長くすればいい、そういう問題ではないと思います。
○与謝野委員 日本の刑法というのは非常に、昔から運用されていて、なかなか厳密に私は運用されていると思うんですが、精密司法と言われるくらい、犯罪の事実関係ばかりじゃなくて、動機とかその周辺の環境とか、全部立証して求刑をするというようなことになっていますが、先生は弁護士として、こういう精密司法は放棄して、もう殺したら殺した事実だけで起訴をして刑を与えればいいとお思いになるのか。やはり、起訴され有罪の刑を受ける人が、その内面性とか動機とか、そういうものも立証した上で求刑をする必要があるのか。 精密なのがいいのか、事実だけに着目して、やつは人を殺したんだからこういう刑に相当するというふうな方向に行った方がいいのか、どっちだとお思いですか。
○辻議員 現行刑事訴訟法二百四十八条で起訴便宜主義というのが規定されております。ですから、検察官に公判請求するかどうかという権限が与えられていることを見れば、動機とか情状とかそれから外形的な構成要件の該当性だけではなくて、その被害の程度とか、繰り返しですが、そこに至る動機とかいうことを総合的に判断して公判請求されるか否かが決まるということが今のシステムの前提になっておりますから、当然そのような動機や内面や更生の可能性やいろいろな面について判断の範囲内に入ってきているということだと思います。
○与謝野委員 刑事局長にお伺いしたいんですが、今みたいな動機とかその他もろもろのことを多分検事の方は被疑者に聞かれると思うんですが、聞いてしっかりと話をしていただくためには、短期間であってもやはり検事と被疑者の間である種の信頼関係が成立しないと、被疑者もなかなか素直に供述をしないんじゃないかと私は思うんですが、取り調べの経験等から照らしてどうお思いになるか、お教えいただきたい。
○樋渡政府参考人 それはもちろんケース・バイ・ケースでございまして、初めから、申しわけないということですらすらと動機からしゃべる方がいないわけではないことも事実でありますが、しかしながら、犯行をやったというふうに認めるに至りましても、なおかつ相手の方が悪いとか、いろいろなことの供述をやったり、あるいは別の話をしたりしながら、なかなか本筋に入っていかないことが多いわけでございまして、そういう場合には、要するに、我々は琴線に触れるようなという言い方をしますけれども、相手方とそういうような会話をしながら、対話をしながら、徐々にいろいろな角度から、生い立ちから、先ほども話しましたけれども、自分の経験とかそういうものを織りまぜながら相手と対話することによって、相手が本当に立ち直ろうという気になったときに初めて本当の動機というものがあらわれてくるという場合が結構あることも事実でございます。
○与謝野委員 例えばアメリカの場合ですと、州によって制度も多少違うんですけれども、一般的におとり捜査は認められています。それから、通信傍受も日本ほど要件は厳しくない。通信傍受も認められています。それから、素直に供述した場合、司法取引、先ほど辻先生が言われた免責、そういうものも行われています。それから、訴追する方がたまりかねて、大陪審でいろいろな人のお話を聞こうという制度もあります。その中で可視化もあります。弁護士が立ち会える州も多分あるはずです。 今回の民主党の案は、そういういろいろな捜査手法を駆使して真実を解明しよう、社会から悪を追放しよう、それから悪い人はそれなりの刑罰に相当するということを社会として判断しよう、そういう全体の構図の中で、一部可視化だけを取り上げて、何か可視化をすることが人権派だみたいなことを主張されているようにしか聞こえない。 やはり本当に真実を発見するためには、あるいは一般的な市民の平和、安寧を守るためには、いろいろな手法を捜査当局に与えた上で可視化ということが議論されるならいいんですが、今、おとりは麻薬取締法の一部にしか与えられていない、通信傍受は要件が厳しくて使えない、司法取引は日本の社会にはなじまない、こういう中で可視化だけ取り上げて、可視化、可視化と言われても、瑕疵ある法案を提案されたとしか思えないというふうに私は思うわけです。
○辻議員 取り調べの、例えば弁護人の立ち会い権を認めれば、自白はなかなかとれなくなって、それで今委員のおっしゃっているのは、犯罪がふえる、そして市民の安寧が危殆に瀕することになる、そういう前提でおっしゃっています。しかし、取り調べに弁護人の立ち会い権を認めるとして、それが犯罪が増加する現象につながる、また治安が悪化する現象につながる、これは論証されていないことだし、実際そうなるとも私は思えないと考えております。 もちろん、民主党は、犯罪について、やはり対策は対策としてきちっとしなければいけない。ですから、もしそういうような危険性が出てくれば、それはそれでまた考えるべきことであろうというふうに私は思いますけれども、少なくとも、今の捜査の現状が司法に対するいろいろな矛盾の原因となっている、やはり冤罪が今でも後を絶たない、そういう現状をどのように前向きに改善していくのかというときに、捜査の可視化ということがやはり重要ではないかと。 これは、だから犯罪がふえるということとは全く違う、レベルの違う問題であり、論証抜きにそのように犯罪がふえることを前提として御質問になられるというのは、ちょっとこの趣旨をしっかりと理解していただけていないのではないかというふうに思わざるを得ません。
○与謝野委員 私は、犯罪がふえるという話をしているのではなくて、真実がやみからやみへ行ってしまうんじゃないですかということをむしろ心配をしているわけです。 ですから、やはり刑事手続、捜査手法全体を法曹三者で検討、研究しよう、こういうことに私どもは期待をしておりますし、我々は捜査の現場にいるわけでもありませんから本当の実態は経験者でないとわからない、だから法曹三者でこれから協議をされるということに期待をしたいと思っておりまして、民主党が出された刑訴法はややフライングぎみかなということを申し上げて、私の質問を終わります。 —————————————
○柳本委員長 この際、お諮りいたします。 ただいま議題となっております各案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長高部正男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○柳本委員長 泉房穂君。
○泉(房)委員 民主党の泉房穂です。本日は、総合法律支援法案、いわゆる司法ネット法案につきまして、本会議に続きまして引き続き質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 お手元の方にもうおなじみの一枚紙を配らせていただいております。改めて確認するまでもないでしょうが、改めて確認いたしたくお話しさせていただきます。 今回の司法ネット法案、本当に私自身も期待をしました。本当に法的な支援を必要としているけれども種々の事情によって法的な支援を受けられない方に対しまして、公的な支援をしていこうというような趣旨に出たものであります。 なかなか法的支援を受けられない事情はいろいろあります。地方に住んでいて近くに弁護士がいない、そのための方策が司法過疎対策。なかなかすぐにお金が用意できない、それが民事法律扶助であります。また、どこに行ったらいいかわからない、たらい回しにされる、それを防ぐのが相談窓口業務であります。また、刑事につきましては、犯罪の嫌疑をかけられたときに早い段階で助けが得られる、これが公的弁護の前倒し。また、被害者になったときに、そういった場合にも法的支援を受けられる、これが犯罪被害者の支援。 この五つの枠組みが今回の法案の枠組みであります。本日は、特に、このうち犯罪被害者の支援の方から質問に入らせていただきたいと思います。 この司法ネットの重要性、必要性につきましては、法務大臣の方からも強い決意のほどをお聞かせいただいておりますが、特に犯罪被害者につきましては、今回の法案、残念ながら具体的な方策が法案には書き込まれておりません。相談窓口業務とほぼ同様で、情報の提供などはいたしますけれども、それ以上、果たして犯罪の被害者に対してどういった支援をしていくのかといった具体的な内容は記されてはおりません。 その点、極めて残念に思うわけでありますが、改めて、法務大臣に対しまして、犯罪被害者支援の必要性、また原案にもっとさらなる拡充をしていくべきではないかというような視点を踏まえまして、御答弁お願いいたします。
○野沢国務大臣 犯罪の被害を受けた方や遺族の方は、突然の不幸に大きな肉体的、精神的負担を受けまして、みずからの利益の保護や権利の実現のためにどうすればよいか途方に暮れてしまうのが実情ではないか、これは委員が重ね重ね御指摘をいただいているところでございます。 本法案では、日本司法支援センターを設けまして、ここが中核となって関係機関等と連携協力しつつ、犯罪被害者の方が置かれている状況を十分念頭に置き、その支援のために積極的に取り組んでいくことになると考えております。犯罪被害者支援は、総合法律支援の重要な課題の一つでありまして、その充実に努力してまいりたいと考えております。
○泉(房)委員 前から決意としてはいろいろお聞かせいただいておるんですが、では具体策であります。 犯罪被害者支援と申しましてもいろいろあります。刑事手続上の地位を与えるであるとか、質問権などの問題です。そこまでいかなくても、例えば国選弁護を何とか導入する、国選でなかったとしても、扶助の活用によって被害者を支援していく、そこまでいかなくても、情報提供をより積極的にしていく、いろいろな工夫があり得ると思います。その点、具体的な支援策につきまして質問をいたします。よろしくお願いいたします。 〔委員長退席、塩崎委員長代理着席〕
○山崎政府参考人 この法案では、幾つか支援の方法を用意しております。 まず、支援センターは、犯罪被害者のためにさまざまな取り組みをしている組織など、そういうところと密接な連携関係を構築いたしまして、個々の犯罪被害者の方が受けておられる心身のダメージ等に十分配慮しながら、そのときに最も必要な援助が受けられるように、集約した情報を速やかにかつ懇切丁寧に提供するということをまず考えております。 これのみならず、各地の弁護士会や日本弁護士連合会と提携をいたしまして、犯罪被害者問題に精通した弁護士を犯罪被害者に紹介し得る体制、これを整備することも想定しております。また、必要な場合には、民事法律扶助制度、これを活用しながら、問題となっている事案に応じた適切な弁護士から必要な法的サービスが受けられるようにいたしまして、損害賠償等の実現やあるいは刑事手続への適切な関与、これが図られるようにということで、幾つかの支援策を考えているところでございます。
○泉(房)委員 今の答弁からも、弁護士の紹介であるとか民事法律扶助の活用という答弁をいただきましたが、それにとどまらず、もう一歩進んで、具体的には犯罪の被害に遭われた方に対しまして、弁護士に限りませんけれども、カウンセラーであるとか、本当に必要としている方を派遣していくであるとか、派遣までいかなくても、もう少し情報提供を積極的にしていくという工夫もあろうかと思いますが、その点、どのようにお考えか、改めて御答弁お願いします。
○山崎政府参考人 これは、現在も犯罪の被害者の方々に支援するいろいろ団体とか機関がございます。私が申し上げているのは、もちろん弁護士会もそうでございますが、そういうところの機関等にも御紹介をいたしまして、そういうところに関しましては、いろんな情報をお持ちだろうと思います。例えば、精神的なケアが必要な場合の医者の関係とか、そういうところを通じて手厚いケアができるようにということを想定しております。
○泉(房)委員 前から指摘させていただいておりますが、犯罪被害者につきましては、本当に思わず犯罪の被害に遭いまして、みずから足を運んでいわゆるセンターの方に来るかというとなかなか難しかろうと思います。 具体的に想定しますと、犯罪の被害者の場合、刑事手続に乗りますと、警察の方で被害者調書をとったり検察の手続で検察庁に赴いたりいたします。そういったときに、例えば、司法ネットというところでこういった情報提供サービスをしていますよといった形で、犯罪の被害者に対しましてそういった形で、易しい形で説明をして、そのときに、犯罪の被害者が、あ、そういうのがあったら、できたら話を聞きたいですとか、できたらちょっと情報が欲しいですと言ったら、丁寧な形で支援センターの方からお手紙を送るであるとか、そういった、私が言いたいのは、センターに来たらパンフレットを渡しますよ、弁護士を紹介しますよではなくて、犯罪の被害に遭われた方のところにいかにしてアクセスしていくか、そうした視点がやっぱり必要だろう思うわけです。 そういった工夫につきまして、どのような工夫の余地があるのか、お答えください。
○山崎政府参考人 現時点でまだ完全に、どういう方法をとるかということはまだ決まってはおりませんけれども、今委員が御指摘のように、ただ待っているだけ、こういう姿勢ではないということでございまして、関係のいろんな機関、団体等を通じまして、そういうところに、例えばパンフレットを置くとか案内状を置くとか、いろんな形で積極的に利用していただける、そういうような工夫をしていきたいと思っております。
○泉(房)委員 いろいろな民間団体との連携も必要であろうと思いますし、そういった御答弁もいただいておりますが、具体的に、犯罪被害者の場合、警察や検察または弁護士といった法的知識を持った方の支援も必要ですが、むしろ犯罪の被害に遭われた方がつくっている自主団体のようなところで、同じような思いを共有される方とお話しする中で心が救われていくような面もあろうかと思います。そういった面で、民間のそういった被害者支援団体に対する支援といったものも必要だと思います。 前にも指摘させていただきましたが、アメリカなどの場合、そういった民間支援団体の運営資金のかなりの部分を公の部分で負担している。しかしながら、日本の場合にはそういったところに対する公的支援、費用面でありますが、なかなかまだまだ不十分であろうと思います。お金に限りません、情報の提供、連携等を含めまして、そういった民間支援団体との連携の具体策についてお答えください。
○山崎政府参考人 今回の法案につきましては、民間のいろいろな活動をされている団体、そういうところに運営資金の援助ということは想定をしておりません。 ただ、それは、金銭的なものはそのとおりでございますけれども、私どもとしては、そういう方々が本当に救われるように、各種の団体、機関と情報交換をし、そういうところにきちっと御案内をして情報も提供したい、そういう形でサービスをしていきたいと考えております。
○泉(房)委員 この犯罪被害者の問題につきましては、この前の一般質疑の方でも質問させていただき、そのとき、法務大臣の方から、犯罪被害者等の当事者といいますか、と機会があればお話を聞くようなことをしていきますというお答えだったと思います。御多忙の折だと思いますので、まだそれはかなっていないのかもしれませんが、こういった話はやはり実際の被害に遭った方の生の声を聞いて政策判断していく方が望ましいと思いますので、改めて大臣の取り組みに関する心構えの方をお答えください。
○野沢国務大臣 この法案を具体的に実施していくためには、委員御指摘の視点は大変大事なことと思いますので、私も、直接伺う、あるいはまた団体の代表者の方から伺う、あるいは裁判の現場を見学し判断する、いろんな方法でこれからアプローチしてまいりたいと思います。
○泉(房)委員 繰り返しになりますが、犯罪被害者支援につきましては、たとえお金がかかったとしても、国民的な理解は得られるテーマだろうと思っております。与党の方でもいろいろな動きがあるというふうに報道でもなされておるようでありますので、繰り返しになりますが、犯罪被害者支援につきまして、単なる情報提供にとどまらず、一歩、二歩、三歩と進んでいきたいと思いますので、重ねて検討をよろしくお願いいたします。 続きまして、高齢者、障害者に対する支援につきましてのテーマで質問させていただきます。 この点につきましても、当初、本会議のころより、この司法ネットにつきましては、狭い意味の法律、いわゆる弁護士、司法書士といった部分の狭い意味の法律のみならず、やはり福祉的な領域、具体的に言いますと、成年後見であるとかそういった分野においては、社会福祉士会等との連携もやっぱり必要だろうというふうな指摘をさせていただいております。 ただ、残念ながら、今回の法案にはこういった視点につきましては直接明示はされておりません。ただ、大臣の方からも、司法ネットに成年後見というものを取り込んで位置づけていくという御答弁をいただいております。 この点、具体的な取り組みにつきましては、厚生労働省の方がいろいろと積極的に受け皿としてサービス提供等をやっておられると思いますので、まず、厚生労働省に対しまして、成年後見を初めとする、そういった高齢者、障害者の権利擁護に関するサービスの状況等について、お答えをお願いいたします。
○金子政府参考人 お答え申し上げます。 厚生労働省におきます高齢者、障害者の方に対する権利擁護のための施策についてのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、まず、痴呆性高齢者あるいは知的障害者、精神障害者といった判断能力が不十分な方々を対象にいたしまして、地域福祉権利擁護事業というのを実施しております。これは、地域の社会福祉協議会にお願いをいたしまして実施をされている事業でございますが、福祉サービスの利用に対しての援助、また、こういったことに伴う日常的な金銭管理といったものについての支援を行っているところでございます。 また、ただいま委員からお話がございましたけれども、成年後見制度の利用促進ということで、成年後見制度利用支援事業というものを実施させていただいております。こちらにつきましては、痴呆性の高齢者あるいは知的障害者の方に対しまして成年後見制度の利用促進を行うということで、実際には、市町村がこういった成年後見制度の広報活動を行った場合、あるいは、こういった成年後見制度の利用に関する経費の助成、こういったことへの支援を行っているところでございます。 なお、御案内のことかと思いますが、老人福祉法、知的障害者福祉法等におきましては、市町村長に対しまして後見開始の審判等の請求権限を付与しているところでございまして、こうしたことで、司法との連携にも配慮した規定も設けられているところでございます。 以上でございます。
○泉(房)委員 厚労省の現在の取り組みについては理解しているつもりでありますが、何度も指摘させていただいております成年後見につきましては、諸外国は人口の一%、日本だと百数十万人が利用してしかるべきところ、まだ四万人とかその程度。しかも、その内実は、本来の趣旨である自立支援、つまり、まだ判断能力があって、不十分な方を支援していく、そういった面ではなく、完全に判断能力がなくなった方について、ほかの方の遺産分割であるとか財産管理であるとか、そういった形で利用されている実情があります。 本来の趣旨と違った状況を踏まえまして、さらなる充実化が必要であると何度も指摘させていただいておりまして、厚生労働省、坂口厚生労働大臣みずから、心を入れかえて頑張るというような趣旨の御答弁までいただいているわけであります。 ある程度時間もたっておりますので、厚労省としてもその間検討してきたと思いますので、さらなる充実化に向けてどのような検討をしてきて、どういった方向で進むのか、お答えください。
○金子政府参考人 お答え申し上げます。 こういった成年後見制度を初めといたしました高齢者の問題につきましては、高齢者の介護問題につきまして、社会保障審議会介護保険部会におきまして現在検討が進められているところでございます。こうした中で、高齢者の権利擁護につきましても委員の方々から意見が出されているというところでございまして、それから、これに先立ちまして、厚生労働省の方で最近発表させていただいたわけでございますが、高齢者の虐待といったような実態調査も、結果をまとめまして公表もさせていただいているところでございまして、こういった審議会での議論あるいはこういった調査結果を踏まえまして、制度見直しの中で検討を進めてまいりたい、こういうように考えております。
○泉(房)委員 この問題を考える場合に大事な視点といいますのは、私が思うに、ホームヘルプサービスであるとかデイサービスであるとか、いわゆるサービスをたくさんふやせばいいということだけではないという視点であります。幾らサービスをふやしたとしても、当の本人が、在宅がいいのか施設がいいのか、それをみずから決して、自己決定でありますが、それができなきゃいけない。 しかし、本人としては、判断能力が不十分であったり家族に対して気を使ったりして、本当は地域で引き続き暮らしていきたいと思っても、実際上は施設入所を余儀なくされる、そういった実態がある。それを、そうじゃなくて、本人の思うような生き方をしていく、そのためのサポートが成年後見制度だろうと私は理解しております。また、金銭管理につきましても、権利擁護事業も同様でありまして、本人がみずからの生き方、みずからのお金の使い方を支援していくという視点だろうと思っております。 また、先ほど答弁もありましたが、高齢者虐待、また、私も弁護士をしておりまして、本当に日々感じる高齢者に対する消費者被害であります。呉服を売りつけたり浄水器を売りつけたり、何度も何度もそういう悪い人がひとり暮らしのお年寄りの家に行ってそういったことを続けるという悲しい実態が今あります。そういったことを防いでいくためには、どうしても法的な支援というものが必要であります。 ですから、こういった高齢者や障害者の支援といいますのは、これまでのようにといいますか、何か福祉サービスを充実させれば済むという問題ではなく、それももちろん重要ですけれども、そういった方々に対する法的な支援をいかにしていくか、これが極めて重要であろうと思います。 そういった意味で、法務省が厚生労働省と連携をとりながら、こういった分野について積極的に取り組むべきであろうと私は思っております。これは、高齢者、障害者に限らず、児童虐待であった場合も同じであり、厚生労働省と法務省との連携の必要性というのは、多分野においてその必要性が高まってきていると私は認識しております。 それを踏まえまして、法務大臣にお尋ねします。 厚生労働省との連携の必要性、またこういった高齢者、障害者に対する法的支援の必要性につきまして、お答えをお願いいたします。
○野沢国務大臣 日本司法支援センターにおきましては、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられますよう、相談窓口における相談受け付けあるいは情報提供などの業務を行うと同時に、国の機関を含めて、関係する機関、団体との間の連携の確保及び強化を図ることを業務としております。 御指摘の高齢者や障害者に対する法的支援についても、厚生労働省等関係する機関、団体と適切に連携協力しつつ、その充実を図っていく必要があるものと考えておりまして、委員の御指摘の高齢者、障害者に対するアプローチというのは、この法案の中でも重要な要素を占めていると私は考えております。
○泉(房)委員 大臣みずから重要であると強調していただきまして、それを踏まえた対応を期待します。 では、具体的に、この司法ネットで、こういった高齢者、障害者の法的支援、具体的にどういったことが可能かといったことでありますが、少なくとも、成年後見の手続について相談をするとか、扶助の活用をするとかといったことはあろうかと思います。高齢者の消費者被害であれば、やはりそれは民事の中で対応できる面もあろうと思います。 しかし、それにとどまらず、高齢者、障害者という特殊性もかんがみまして、さらなる充実策というものは必要であろうと思いますが、この点、推進本部はどのようにお考えか、お答えください。
○山崎政府参考人 高齢者あるいは障害者の問題、今いろいろ議題になっているということは十分承知しておりますけれども、この法案につきまして、この法案の全体の枠組みの問題でございますけれども、まず、これは法による紛争の解決に必要な情報あるいはサービス、これを受けられるように、相談の受け付けとかあるいは情報提供、関係機関等への振り分けなどを行うということにしております。したがいまして、法による紛争の解決というのが一つのキーワードになるわけでございますが、これにつきましては、紛争の予防という面、これも含むわけでございます。 ただいま御指摘のような消費者被害ということ、これは、現実に被害に遭っているということになれば、法的な措置が必要になってくるという問題にもつながってくるわけでございます。また、成年後見、全部の部分ではないかもしれませんけれども、やはり被害に遭う前にきちっとした法的な対応をしておく、こういう問題も含むわけでございます。 したがいまして、こういう点に関しましても、やはり民間におけるものも含めまして、関係機関、団体と適切に連携をして支援をしていく、こういうようなことをまず考えて、情報もきちっと情報提供するということを考えております。 あと、そういう方々で民事扶助が必要であるという方につきましても、当然、それは扶助の要件を満たせばそこでお手伝いをさせていただく、こういうことを考えているわけでございます。
○泉(房)委員 今連携という言葉も出ましたけれども、先ほど、犯罪被害者の場合、被害者支援団体、民間団体との連携のお話をさせていただきました。高齢者、障害者につきましては、やはり厚労省の管轄かもしれませんが、厚労省との連携、在宅介護支援センターなど、あと権利擁護支援事業をやっているのは各都道府県であろうかと思いますし、市町村の方で成年後見利用支援事業もやっていようかと思います。そういったところとの連携、またそれ以外のボランティア団体、そういった市民団体などとの連携もやはり必要だろうと思います。また、社会福祉士会との連携はもう既に御答弁いただいておりますが、そういった福祉関係の諸団体との連携というものをやはり視野に入れていくべきだろう。 この点が高齢者、障害者についての一種の特殊性といいますか、狭い意味の法律ではなくて、広い意味での福祉的要素も含めた法的支援という視点だろうと思っています。この点、連携の必要性はあろうかと思いますので、具体的な連携策につきお考えがあればお答えください。
○山崎政府参考人 ただいま申し上げました法による紛争の解決、予防も当然含むわけでございますけれども、こういう観点から、必要な情報提供、これは当然しなければならないということになりますので、そういう情報をいろいろお持ちの機関、団体、そういうところとは密接な連携をいたしまして、そういうところにきちっと御案内をするなり、そのほか、こちらでわかる情報があればお教えをするということ、こういうことで考えているわけでございます。 そのほか、先ほど申し上げましたような民事法律扶助の点が必要であれば、これは当然御利用をいただける、こういうことを考えているわけでございます。
○泉(房)委員 連携の必要性は重ねて申し上げた上で、今も出ましたが、扶助の活用であります。 次に、扶助の問題に入りますけれども、皆さんもう御存じのとおり、何度も指摘させていただいておりますが、今の日本の法律扶助、要するに、すぐにお金が用意できなくても法律相談を受けられたり、弁護士を頼めたりできるかどうかの問題であります。 何度も指摘しておりますけれども、イギリスの場合、この扶助予算につきましては国民一人当たり七千円以上。日本については八十五円程度と言われております。八十倍という恐ろしい差があるわけでありまして、日本の場合、現実的には、生活保護世帯及びそれに準ずるかなりの低所得者層、下二割、下という言葉はよくないですが、所得においての少ない方二割ぐらいに張りついています。 としますと、今申し上げたような犯罪被害者や高齢者、障害者の場合を考えた場合でも、犯罪に遭った方が例えば所得層において中級の方であったとしたときに、では扶助が利用できるのかという問題があります。 また、私も弁護士をしていてすごく感じるのは、医療過誤とか交通事故の被害者であります。不幸にしてある日突然といいますか、医療過誤に遭って遺族になってしまった、子供に後遺症が残った、こういった場合に、弁護士を頼もうとしても、それが大きな後遺症であれば、具体的に言えば、五千万円の損害賠償請求をしようと思えば、弁護士には二百万、三百万の着手金ということに現状なっています。普通のサラリーマンがいきなり二百万、三百万はなかなか払えません。良心的な弁護士でも百万ぐらいというのが実際であります。 そういったときに、結局、そんなお金が用意できないといって泣き寝入りせざるを得ないのかというような問題があります。そういったときに、この扶助というものをもっと柔軟に解して、いわゆる資力要件、お金の、年収の少ない方、資力のない方のみに限るのではなくて、そういった、やはり法的支援を必要としている方に何とか拡充する方向で工夫ができないかという問題意識であります。 お金のない時代でありますから、ある程度の方までどんどんふやすということを申すのではなく、私が言いたいのは、単なる資力基準で見ますと、今の扶助の予算というものの大半が自己破産に使われております。浪費をして自己破産する方の法的支援にかなりの大半が使われていて、交通事故や医療過誤の被害者についてはなかなか利用できないという現実につきまして、そうではなくて、プラスアルファの要素、単なる資力基準のみならず、要支援性といいますか、法的支援を必要とするという要素を加味して何とか拾い上げていく、そういった工夫がなされてしかるべきであろうと私は考えております。 この点は運用上もある程度の工夫が可能なのではなかろうかと思いますので、法務省、この点、運用上の解釈の問題につきお答えください。
○吉戒政府参考人 お答え申し上げます。 今委員御指摘のとおり、自己破産の事件がこの近年非常にふえておりまして、扶助決定しておる事件のうち七割近くになっております。これは一つの、今の現下の状況で仕方がないものと思っております。 そういう中で、できるだけ広くたくさんの方に扶助を与えるという意味で、自己破産につきましては資力要件を厳しくしております。これに対しまして、一般のそれ以外の事件につきまして、今御指摘のとおり、一定の類型の事件につきまして、現行の資力基準より緩和するということにつきましては、これは法律上の規定、要件がございますのは、資力に乏しい国民、資力基準の意義とか、利用者間の公平でありますとか、あるいは財政事情、こういうふうなことを考えながら、慎重に検討しなければならないというふうに考えております。 ただ、現行制度のもとでも、実際の資力の審査に当たりましては、個別の事案ごとに、家族の構成でありますとか、家賃、住宅ローンの負担でありますとか、あるいは医療費とか教育費等のやむを得ない出費等、こういうふうなことを考慮していたしておりまして、決して硬直した運用じゃございませんで、ある程度柔軟な運用もしておるというところでございます。
○泉(房)委員 今柔軟な運用と言われましたが、確かに、今言われたように、一般基準と違って自己破産につきましてはより資力基準を厳しく、生活保護世帯に限るであるとか、また、そこに同情し得るような事情があることを要件とするとか、かなりプラスアルファの要素を加味しています。 しかし、方向は限定する方向であります。限定する方向にできるのであれば緩和する方向に、資力要件を満たさないように思えるけれども、やはり救った方がいいという方に対する、救うという方向での柔軟な運用というものを心がけていただきたいと思います。 この点、推進本部、司法ネットといいまして、国民にあまねく法的支援をするという趣旨からしますと、やはりこの扶助の問題、お金がないんだったら知恵を絞って何とか国民に期待してもらえるような運用なりを心がけていかないと、これまでとほとんど変わらないことになったのでは余りにも寂しいと思いますので、この点、どのような運用の工夫ないしは法整備をしていくのか、お答えください。
○山崎政府参考人 今後の運用については、いろいろな情報を得て、それから今までのやり方、こういうものも踏襲しながら、どういう発展をしていくかということを頭に入れながら考えていきたいというふうに思っておりますけれども、ただ、事件ごとにいろいろな要件を分けるということは、なかなかこれは難しいことでございまして、それぞれみんな関係の方がおられまして、そちらから見ればこれが大事だということを言われることもございます。 したがいまして、要件としては、やはりある程度一律のものを用意せざるを得ない、その中でどうやって具体的に運用上で対処をしていくか、これが問われることだろうというふうに理解をしております。今後とも、その辺の運用のところはよく組織で見守って、救われる方は救われるようにというような運用になるようにやっていきたいと思っております。
○泉(房)委員 今の答弁のように、個々の事件ごとに見ていくのが難しい、やはりある程度の基準が要るということはわかります。であれば、事件の内容で見ていけばいいわけでありまして、具体的に申しますと、何度も言います、自己破産の場合、別の扱いをしております、現実的に。交通事故につきましては無料で相談を受けられるような体制が今既にあります。ただ、医療過誤にはそういう体制が残念ながら充実はしておりません。 そして、今回の法案、犯罪被害者とわざわざ五文字、字を書いて、したわけですから、そういった犯罪被害者については資力要件を緩和するとか、医療過誤や交通事故など思わぬそういった被害に遭った方について救っていくとか、そこで類型化して、そこを救うような仕組みを工夫していけばいいと思いますので、その点、前向きな御検討をよろしくお願いいたします。 続きまして、今はお金がなくてもの問題でありまして、次は、田舎に住んでいても弁護士に相談できるのか、また弁護士を頼めるのかという問題であります。 何度も指摘しておりますが、地方に行きますとなかなか弁護士も見つかりません。司法書士はある程度いますが、それでも少ない状況にあります。 こういったことを解消するというのも大きな主眼でありまして、この司法ネット自体が充実化していく中で、全国あまねく、どこに住んでいても、気軽に、身近に法的な相談が受けられる、法的な支援を受けられる体制になろうかと思います。 そうであれば、法律にちゃんと、全国どこにいてもちゃんと支援を受けられるということをもっと具体的に書き込んで、それに対する目標設定をすればいいかなと私は思うのですが、残念ながら、これまでの答弁を聞いておりましても、どの場所に幾つつくるか、いつつくるかはこれからの問題であるというようなお答えばかりが返ってきています。 もちろん、今すぐ、来年につくれとは申しません。ただ、ある程度のめど、少なくても地裁支部、いわゆる弁護士会の言うところの弁護士がゼロ人と一人のゼロワン地域につきましては、十年ぐらいをめどにして解消を目指すとか、それぐらいの御答弁はいただきたいと思いますが、この点、司法過疎解消の必要性の認識及び解消に向けての具体的な手順等につきまして、法務大臣に問います。
○野沢国務大臣 まず、方針の問題として私の方からお話を申し上げたいと思いますが、いわゆる司法過疎の問題を解消することは、国民に身近な司法を実現する上で非常に重要であると考えております。 そこで、支援センターの事務所配置等に当たっても、各地のニーズや地理的条件などの地域の実情に十分配慮しながら、司法過疎地域の解消に向けて効果的かつ効率的な対策が検討される必要があると考えております。また、常勤弁護士を常駐させる事務所を設置することが難しい地域につきましても、常勤弁護士を巡回させることや地方公共団体と連携してサービス提供を行うことなどの対策はとり得るものと考えております。 このようにさまざまな工夫を重ねまして、また、日本弁護士連合会等の取り組みとも連携を図りながら、ゼロワン地域の解消に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
○泉(房)委員 これまで日弁連の方もいろいろ司法過疎解消に向けて取り組んでまいりましたけれども、なかなか限界がある、不十分、不十分と言ったらあれですが、なかなか思うようにいっていない面もあります。 そのあたりのやはり教訓も踏まえまして、かなりの意気込みでつくっていかないとなかなか進まない。弁護士の確保の問題もありますし、また、地域の実情に応じてと言いますけれども、どこにつくっていくのかでまたいろいろ迷う面もあろうかと思います。ある程度の基準をつくりまして、少なくとも、ゼロワン地域、弁護士が一人しかいない、一人しかいないというのは一人がだれかに頼んだらもう相手方は弁護士がいないということですから、少なくとも弁護士が二人以上いる体制を速やかにつくっていくということを強く申し添えたいと思います。 時間の関係もありますので、次は組織の問題についてであります。 これも指摘させていただいておりますが、いわゆる今回の枠組みが独法方式になりますので、弁護士自治、弁護士の独立性の問題で何か問題じゃないかというような御指摘が各所からなされております。 ここでまとめてお伺いしますが、今回やはり中心的な役割を担うのは弁護士であろうかと思います。司法書士や税理士さんや社労士もいますが、かなり公的弁護を中心に弁護士の担う部分は大きいと思います。とすれば、運営全般について日弁連の会長の意見を聞くという運用がなされるべきであろうと思いますし、また、法文上「(懲戒を含む。)」というような文言が、二十九条ですか、ありますけれども、これにつきましては弁護士会の懲戒とは関係ないと当然理解するべきだと思います。そうであれば削除をしても構わないように思いますが、その点どのようにお考えなのか、推進本部、お答えください。 〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕
○山崎政府参考人 ただいま御指摘のとおり、この法律サービス提供の主要な担い手、これは弁護士でございます。したがいまして、支援センターがその業務を円滑に運営するためには、適宜、日本弁護士連合会や各弁護士会の意見を聴取するということなどをしながら、その協力を得ることが必要であるというふうにもちろん考えております。 そこで、この法文の中では、三十二条の五項で、日弁連等に対し、「意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。」ということにしているわけでございまして、私どもとしては、やはり、運営の担い手の弁護士会には、その必要な点についてはきちっと御意見を伺いたいというふうに考えております。 それから、もう一点の御指摘でございますが、二十九条の八項の中の「(懲戒を含む。)」、この点でございますけれども、これは私どもが考えた理由でございますけれども、これはこの日本司法支援センター、この中に常勤の弁護士とそれから契約による弁護士、二通りございまして、その中で常勤の弁護士はやはり労働契約関係の法規の適用を受けるということになりますので、いわば労働者という形になるわけでございます。そうなりますと、労働基準法上の懲戒ということ、これが適用されるということになりますと、組織が直接懲戒をするというようなイメージが出てきちゃうわけでございまして、これは避けなければならない。 弁護士等の活動につきましては、独立性を高くするということから、この審査委員会の方できちっと判断をするということにしているわけでございますので、そこの紛れがないように、この場合には常勤の弁護士であってもこの審査委員会による審査を受ける、こういうことを明確にするため設けたということでございます。
○泉(房)委員 今の答弁ですと、当然のことながらいわゆる弁護士会の懲戒ではないということ、そして確認的な条項にすぎないということだと思いますので、それはそれでよろしいんですね。
○山崎政府参考人 恐縮です。弁護士会の懲戒ではございません。この支援センターの組織上の懲戒の問題であるということでございます。 仮にこれを取ったらどうかということでございますけれども、そこの今の言いましたような労働基準法上の通常の懲戒という点との紛れが出てくるおそれがございますので、そこをどう考えるかということでございます。
○泉(房)委員 ここは紛らわしいので、今のような答弁であれば特に必要はなかろうと思いますので、削除を強く求めたいと思います。 あと、お金の問題、今度のお金の問題は組織に対するお金の問題であります。 この点、大臣の方からも、先週、予算措置につきましては立ち上げ段階から必要な予算の確保に努めたいという旨の御答弁がなされておりますが、これまでのような国選と扶助、これまで既にある予算の国選の予算と扶助の予算を足して若干色をつけたぐらいでは、この司法ネットの拡充についてはおぼつかないと思います。 国選につきましても、被告人段階でなく被疑者段階からと前倒しがなされています。扶助の拡充も、きょうも申し上げましたが、ぜひとも必要であります。また、司法過疎の解消には、センターの設置等お金のかかる面はやはりあろうかと思います。犯罪被害者支援や障害者、高齢者支援を充実していく意味でも、やはり予算措置というものが重要になってこようと思います。 そういった司法ネットの趣旨に添った、それに見合っただけの予算請求をしていくべきと考えますが、この点、法務大臣のお考えをお聞かせください。
○野沢国務大臣 全体像がだんだんはっきりしてまいりますので、これに基づきましてしっかりした積算を行いまして、手順よく予算を確保して、この事業の遂行に支障ないようしてまいるつもりでございます。
○泉(房)委員 お金の問題ですので、財務省の方に聞きます。 財務省、本会議でも聞きましたが、いつもつれない答弁なんですけれども、まず聞きたいのは、扶助の予算につきましても、イギリスと日本、八十倍も違うというような実情があります。こういった実態をどのように認識なさるのか。 また、今法務大臣の方から、やはり積極的なという方向での答弁だったと思います。これを踏まえて、司法ネットの必要性、重要性を踏まえて、財務省はどのような対応をしていかれるのか、お答えください。
○佐々木政府参考人 司法ネット構想に対する予算措置のお尋ねでございますが、まず、イギリスと我が国の予算規模の相違につきましては、社会における法律サービスの位置づけ、あるいは同分野に官がどの程度関与するかといった社会的なコンセンサス、そういうものの相違などが背景にあるのではないかと考えておりまして、ストレートに比較することはなかなか難しいのではないかと考えておりますが、近年、我が国におきましても、民事法律扶助に係る補助金を大幅に増額するなど、法律サービス分野における公的支援を拡充してきたところでございます。 いずれにいたしましても、当方といたしまして、司法ネット構想の重要性は認識いたしておりまして、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現することを目指すとの制度の趣旨に基づき、効果的かつ効率的な対応がなされる必要があると考えております。 こうした考えのもと、司法ネット構想に関する予算措置につきましては、同構想の実現に必要な準備行為及び同構想の具体の運用方法、さらに、これに要する所要額等に係る関係省庁の検討状況を踏まえた上で、厳しい財政事情を勘案しつつ、適切な措置を講じていく必要があると考えております。
○泉(房)委員 まさにいつものような、言葉は長いですが内容がどの程度かと思いますが、繰り返しになりますが、財務大臣、今、弁護士資格もある谷垣大臣であります。この司法ネットの重要性、必要性は十分認識していると思います。お金というのは限りがあるのは当たり前でありまして、どこに使っていくかという優先順位の問題になります。この司法ネットの必要性というのは、この間の審議を通じても本当に必要なわけでありまして、そういった必要なところにお金が回るように、財務省、賢い頭を使って工夫していただいて、ぜひとも予算措置よろしくお願いしたい、お願いというのは変ですね、つけるべきだということを強く主張いたします。 司法ネットにつきましては、引き続きまた次の審議でも私質問させていただきますけれども、きょうの審議を踏まえまして、大臣の方から、犯罪被害者支援については重要だと認識している、高齢者、障害者支援についても重要と認識している、また、予算措置についても頑張るというふうな趣旨の発言だったと思います。この点改めて、これは本当に法務大臣に頑張っていただきたいと思いますので、改めて決意のほどをお聞かせください。
○野沢国務大臣 私は、この司法制度は、まず理念、原則が確立され、そして具体的な法律が成立する、そしてそれに基づいて、いかにして人的、物的、あるいは運用上の経費を含めての経費がついてくるということでございますが、この司法制度改革は、まさに総理が本部長となり、全関係閣僚挙げて取り組んできた、五年にわたる経緯を持ったものでございまして、静かに進んではおりますが、日本社会のありようを根本から変えるほどの力を持った課題と心得ております。したがって、必要な予算はしっかり見積もりまして、要望、要求をしてまいるつもりでございます。
○泉(房)委員 司法ネットにつきましては、引き続き次の機会に質問をいたしますが、残りわずかでありますが、ちょっと別の話題だけ質問させていただきます。 これは全く別の話でありますけれども、新聞報道などによりますと、自民党の幹事長である安倍晋三幹事長が、公選はがきに国立大学の教授の氏名を使ったというような報道がなされております。こういったことは事実関係の問題もありますので、事実関係の確認なくして答えをしにくい面もあろうと思いますので、きょうは一般的な質問をさせていただきます。 国立大学の教授の名前を公選はがきの推薦者欄に記載した場合の法的問題点につきまして、具体的に、もしその国立大学の教授の同意がなかった場合には、立候補者は公選法の虚偽事実公表罪ないし刑法の私文書偽造罪に当たる可能性があるのかないのか。また、教授の同意があった場合、その教授自身は、国家公務員法の政治的行為の禁止であるとか、公選法の地位利用の問題であるとか、また、立候補者自身も共犯の問題等に問われる可能性がなしとはしないじゃないかというふうに思うわけでありますが、この点、それぞれ法務省と総務省の見解を問います。
○高部政府参考人 選挙部長でございますが、公選法関係についてお答えをさせていただきます。 公選法第二百三十五条の第一項は、御指摘ございましたように、虚偽事項公表罪について規定しているところでございます。私どもといたしまして、個別の問題は具体の事案に即して判断されるべきものと考えておりますので、犯罪の成否についてお答えをいたしかねるところでございますが、ただ、一点申し上げておきたいと思いますが、過去の判例等によりましても、本罪が成立するためには、行為者において、行為の当時、公表事項が虚偽の事項であることを認識していたことを必要とするというふうにされていると承知しております。 それから、地位利用についてもお尋ねがございましたが、これも公選法百三十六条の二第一項で地位利用の選挙運動が規定されているところでございます。「地位を利用して」というのは、公務員等としての地位にあるがために、特に、選挙運動等を効果的に行い得るような影響力または便益を利用する意味で職務上の地位と選挙運動等の行為が結びついているものをいうというふうに解されているところでございます。 これも具体的な事案についてのお答えは差し控えさせていただきたいと考えているところでございますが、これもごく一般論として申し上げますと、地位利用という概念が先ほど申し上げたようなことでございますので、推薦状に単に肩書を通常の方法で記載しただけでは地位利用には当たらないというふうに解されているというふうに理解しております。
○樋渡政府参考人 犯罪の成否につきましては、収集されました証拠に基づいて判断されるべき事柄でございますので、法務当局といたしましてはお答えいたしかねるところでございますが、あくまでも一般論として申し上げれば、私文書偽造罪は、行使の目的で、他人の権利義務または事実証明に関する文書もしくは図画を偽造した場合、同行使罪は、このようにして作成された文書等を行使した場合に成立するものと承知しております。
○泉(房)委員 この問題につきましては、また後日、別の同僚議員が質問するかと思いますので、本日は私の質問はこれにて終わります。ありがとうございました。 —————————————
○柳本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。 ただいま議題となっております各案中、内閣提出、総合法律支援法案について、来る二十二日木曜日、参考人として財団法人法律扶助協会専務理事藤井範弘君、学習院大学教授長谷部由起子さん、日本弁護士連合会日本司法支援センター推進本部副本部長市川茂樹君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柳本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、明二十一日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時八分散会